1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月三日(木曜日)
午前十一時六分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君
理事 辻 寛一君 理事 長谷川四郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 大出 俊君
理事 田口 誠治君 理事 山内 広君
臼井 莊一君 加藤 高藏君
野呂 恭一君 保科善四郎君
堀内 一雄君 前田 正男君
湊 徹郎君 茜ケ久保重光君
稻村 隆一君 大原 亨君
村山 喜一君 米内山義一郎君
受田 新吉君
出席国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君
国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
人事院総裁 佐藤 達夫君
人事院事務官
(給与局長) 瀧本 忠男君
総理府事務官
(人事局長) 増子 正宏君
総理府事務官
(恩給局長) 矢倉 一郎君
総理府事務官
(中央青少年問
題協議会事務局
長) 赤石 清悦君
科学技術政務次
官 田川 誠一君
総理府事務官
(科学技術庁長
官官房長) 小林 貞雄君
総理府技官
(科学技術庁計
画局長) 梅澤 邦臣君
総理府技官
(科学技術庁研
究調整局長) 高橋 正春君
総理府事務官
(科学技術庁振
興局長) 谷敷 寛君
総理府技官
(科学技術庁原
子力局長) 村田 浩君
総理府技官
(科学技術庁資
源局長) 橘 恭一君
厚 生 技 官
(環境衛生局長)舘林 宣夫君
通商産業事務官
(軽工業局長) 伊藤 三郎君
委員外の出席者
文部事務官
(初等中等教育
局職業教育課
長) 望月哲太郎君
文部事務官
(大学学術局学
生課長) 笠木 三郎君
専 門 員 茨木 純一君
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三月三日
委員茜ケ久保重光君辞任につき、その補欠とし
て大原亨君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員大原亨君辞任につき、その補欠として茜ケ
久保重光君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二日
旧軍人恩給に関する請願外一件(竹下登君紹
介)(第一四三一号)
同外一件(森清君紹介)(第一五〇七号)
同(小沢辰男君紹介)(第一五二九号)
同外四件(田口長治郎君紹介)(第一五三〇
号)
同(高瀬傳君紹介)(第一五三一号)
同外二件(山本勝市君外一名紹介紹介)(第一
五四八号)
同外一件(佐々木義武君紹介)(第一五六一
号)
同(千葉三郎君紹介)(第一五九七号)
同(中馬辰猪君紹介)(第一五九八号)
同外二件(千葉三郎君紹介)(第一六四九号)
元南満州鉄道株式会社職員であつた公務員等の
恩給等通算に関する請願(田中伊三次君紹介)
(第一四三二号)
同外四件(塚田徹君紹介)(第一四三三号)
同(池田清志君紹介)(第一四八五号)
同(上林山榮吉君紹介)(第一五三二号)
同(砂原格君紹介)(第一五四九号)
同(二階堂進君紹介)(第一五八八号)
同(山中貞則君紹介)(第一六一〇号)
同(田村元君紹介)(第一六四八号)
公務員の退職条件改善等に関する請願外二件
(五島虎雄君紹介)(第一四五五号)
同外一件(五島虎雄君紹介)(第一五〇五号)
同外五件(五島虎雄君紹介)(第一五三三号)
同外二件(五島虎雄君紹介)(第一五八七号)
同外一件(五島虎雄君紹介)(第一六四七号)
国立大学教官の待遇改善に関する請願(船田中
君紹介)(第一四八六号)
同(船田中君紹介)(第一五〇六号)
同(藤枝泉介君紹介)(第一五九九号)
国家公務員等退職手当法の一部改正に関する請
願外一件(田中武夫君紹介)(第一四九七号)
同(井岡大治君紹介)(第一五一五号)
同(稻村隆一君紹介)(第一五一六号)
同(河野正君紹介)(第一五一七号)
同(栗林三郎君紹介)(第一五一八号)
同外一件(五島虎雄君紹介)(第一五一九号)
同(重盛寿治君紹介)(第一五二〇号)
同(田中武夫君紹介)(第一五二一号)
同(森本靖君紹介)(第一五二二号)
同(横山利秋君紹介)(第一五二三号)
同外六件(佐々木良作君紹介)(第一五三四
号)
同(八木昇君紹介)(第一五三五号)
同(吉田賢一君紹介)(第一五三六号)
同外五件(五島虎雄君紹介)(第一五八六号)
退職公務員の恩給、共済年金に関する請願(毛
利松平君紹介)(第一四九八号)
寒冷地給与改善に関する請願外八件(栗林三郎
君紹介)(第一五二四号)
旧軍人恩給増額に関する請願(森下元晴君紹
介)
(第一五六二号)
特高罷免及び武徳会追放等による警察退職者救
済に関する請願(大平正芳君紹介)(第一五八
五号)
政府関係機関職員の労働基本権保障に関する請
願(河野正君紹介)(第一六四三号)
同(滝井義高君紹介)(第一六四四号)
同(安井吉典君紹介)(第一六四五号)
同(柳田秀一君紹介)(第一六四六号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出第二六号)
総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一
部を改正する法律案(内閣提出第七五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/1
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002・田口誠治
○田口(誠)委員 質問に入る前に委員長に強く要請をいたしておきたいと思います。従来委員会の質問に入るときには、与党の委員の方が七名ないし八名くらいはそろっていただいてからの開会をしてもらい、それからいろいろと御用事のあった場合には順次少なくなるということはあり得ましたけれども、このように少ない開会は少のうございますから、これはきょうだけでなしに、この前の委員会も同様でございましたので、委員長はその点をひとつ御配慮をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/2
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003・木村武雄
○木村委員長 自今注意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/3
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004・田口誠治
○田口(誠)委員 それでは質問に移りたいと思います。
今度の法案の内容につきましては、前回の委員会で山内委員のほうから相当詳しく質問をしていただいたので、私どもの質問の内容の大半が消化されております。したがって、これに関連をしたことについて二、三お伺いをして村山委員に質問を譲りたいと思います。
そこで、第一番にお聞きをいたしたいと思いますることは、今度の法案の中にも定員増の問題が入っておりまするが、ちょうど二月の二十八日に、科学技術庁は各企業の科学技術者の配置と職務に関する調査を行なった、その結果を発表しております。そこで今度の調査は三回目だそうでございまするが、対象は鉱業、それから建築業、製造業が対象になっておりまして、特に十億円以下の資本を持っておる企業を対象にして調査をしておられるわけでございまするが、その内容の結果を見ますると、各企業とも、理化学関係の技術者は、量においても質においても非常に不足である、こういう結論が出ておるのです。したがって、各企業では、やむを得ないから工業高校卒業生を企業の中で養成して間に合わせをいたしておるということなんです。こうした科学技術関係の技術者が非常に不足しておるというこの調査の結論から、今後どういうような施策を考えられておるか、大臣のほうから御意見を承り、具体的にまた御質問をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/4
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005・上原正吉
○上原国務大臣 御指摘のように、たいへん科学技術者の数が少ないし、それの養成がなかなか間に合わないというのが実情でございますので、この点は文部省にもお願いして、科学技術に対します学校教育の振興並びに人員の増加などをお願いしております。具体的には政府委員からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/5
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006・梅澤邦臣
○梅澤政府委員 三十五年におきまして、そのときに科学技術会議に対して諮問いたしました。そのときの状態では、四十五年までに十七万人の科学技術者の不足がある。したがいまして、それを何とかカバーしろという諮問の答えが出ました。それに基づきましてこれを文部省にお願いしまして、三十八年までに二万人の増員計画をいたしまして、それは予定の実績をおさめました。それからその後三十九年に、またさらに三千人の定員増をいたしております。それから四十年に五千人の定員増をいたしまして、現在年間に六万人の理工学生が卒業できる体制になりまして、量としましてはほぼ需要者側の要求の関係に間に合う形にはなったわけでありますが、実はこの中の配分関係でございまして、依然として機械、電気、化学、こういう専門分野におきましての不調和がございます。したがいまして、今後その専門分野の不調和をもう少し合理的にいたしまして、各専門分野が調和した形で養成できるような形に持っていく努力を文部省と考慮中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/6
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007・田口誠治
○田口(誠)委員 文部省のほうからちょっと数字的にお示しをいただきたいと思います。——文部省のほうがおいでになりませんので、関連した答弁ができないので、一時質問の内容を変えてお伺いをいたします。
これもちょうど二月二十二日に、科学技術庁の資源調査会が水力発電に関する勧告をまとめて提出をしております。その内容をちょっと拝見をいたしますと、わが国の電気需要のうち四〇%程度が、国内エネルギーを中心とした安定エネルギーを確保することが絶対に必要だ、そうなりますると、今後十年間に毎年百万キロワットの水力発電の開発が必要だということに計算的になるわけであります。したがって、現在総合的な国土開発が計画されておるおりから、科学技術庁としての分野においてこの問題をどういうように判断をされ、年次計画を立てられていくのか、これもあわせてお聞きいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/7
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008・上原正吉
○上原国務大臣 政府委員から答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/8
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009・橘恭一
○橘政府委員 申されました資源調査会の勧告は、水力開発の総合開発の必要性、重要性を認めたものでございますので、その趣旨に沿って経済企画庁、通産省と連絡をとりながら、他の部門とのバランスを考えて推進したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/9
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010・田口誠治
○田口(誠)委員 経済企画庁との関係もございますが、この問題は、科学技術庁の資源調査会が勧告的な答申を行なったのですから、あなたのほうでもう少し年次的な計画がなされなければならないし、その案をもって関係省に御相談をなされなければならない。したがって、今日の時点ではまだその具体的な構想がないのかあるのか。あったらお示しをいただきたいし、それからないとすれば、今後どういうようにこの問題と取り組んでいくか、ひとつお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/10
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011・橘恭一
○橘政府委員 実現をはかるための推進案は、まだただいまございません。それから、しからばどう考えるかということでございますが、電源開発、水力開発についてのいろいろな事態は十分わかっておりますので、今後の進め方は、その問題点の解決が非常に困難であるというその事情について、諸般の問題がスムーズにいかないという点の解決を、私どもとしてはやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/11
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012・田口誠治
○田口(誠)委員 いまの答弁では、今後の計画というようなものもあまりお示しにならなかったし、どうもはっきりわからないのですが、これからどうするかということについては、これは三省ほど直接関係があるわけです。したがって、そういう省との折衝なり計画を推進いたしていく上には、科学技術庁としてどういう形で音頭をとっていかれるかということ、これはいろいろなやり方があろうと思いますので、そういう構想をお示しいただきたいと思います。何もないのなら何もない、そういうことになると、まことに遺憾ですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/12
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013・橘恭一
○橘政府委員 科学技術庁としては、あのレポート、勧告を受けた立場として、推進の音頭とりはいたしますが、その形態については、両省とまだ打ち合わせをするに至っておりませんで、現在としましては、推進の形式についてまだ具体的にきめておりません。
〔委員長退席、長谷川(四)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/13
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014・田口誠治
○田口(誠)委員 技術屋さんが技術的な問題を処理する場合には、これは直接作業に取りかかっておらぬ場合には、これはなかなか答弁ができぬと思いますけれども、ただいま大臣お聞きになったように、科学技術庁が主役となって、そして関係省と折衝を行ないつつこの勧告を実施するようにしていかなければならないわけであります。こういう問題に取り組んだときには、いろいろな組織をつくり、一つの例を引けば、関係省で審議会とか、研究会とか、あるいは調整するところの会合等を持って行なわれておるわけであります。政治的にこの問題を今後進めていこうとするには、どういうような考え方を一案としてお持ちになっておるか、長官のほうからお示しをいただきたい。これは抽象的な答弁になろうと思いますけれども、そうでもよろしいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/14
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015・上原正吉
○上原国務大臣 資源調査会が費用をかけて調査をいたしまして、結論を出して勧告をいたしてまいったからには、当庁といたしましてはこれを実現する責任を負っておる、こう考える次第でございますけれども、それを実現するためには、各省庁にこの勧告の趣旨をよく説明して、得心をいただいてこれを実現するように努力していただくという権限だけしかないというのが実情でございますので、そのことを努力を重ねてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/15
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016・田口誠治
○田口(誠)委員 権限というのは限定されておりますけれども、しかし、この問題は科学技術庁のほうへ勧告があったのだから、ただこういう勧告があったから、建設省としては治水の問題に努力していただきたいとか、あるいは利水の問題もひとつ検討してもらいたいとか、道路の問題も検討してもらいたいとか、いろいろ関連したものがあるのですが、単なるそういうような連絡をするだけではなしに、これは科学技術庁としてもう少しほんとうの主役的な音頭とりとしていろいろ案をつくり、また各省との連携をとる必要があろうと思うのです。だから、いま大臣からお話のあったようなことの範囲の作業を行なうのでも、時期をいつごろ、どういうような方法でやられるのか。方法の一つは大臣のほうからもちょっとお話しになりましたけれども、もう少し事務屋さんのほうからでもけっこうですけれども、具体的に説明をしていただかなければ、せっかく勧告を受けたものを、まだ今日のこの委員会で全然その方向がお示しがいただけぬということになりますと、何ごともスローガンであってはならないので、少し突っ込んだ質問ですけれども、もう一度お答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/16
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017・橘恭一
○橘政府委員 積極的にその促進をはかる所存でございます。特に水力調査につきましては、すでに相談を始めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/17
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018・田口誠治
○田口(誠)委員 それではお聞きいたしますが、あの勧告の内容は、項目的に出ておりますね。そしてその項目を答弁の中で出していただいて、この問題についてはどう考えられ、どう計画されるとか、こういうような聞き方でいかなければ、ただいま私の質問申し上げておる形では、どうも答弁にならないわけなんです。ちょっと質問のスタイルを変えますから、御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/18
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019・橘恭一
○橘政府委員 勧告の要旨は、まず第一番目が、総合的な水力開発を促進することという精神的なこと。その次に、総合的な立場に立った水力開発の調査をやれということ。第三番目が、必要な財政的な措置をしろ。第四番が、補償等の問題について善処をしろ。そういう趣旨の四項目でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/19
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020・田口誠治
○田口(誠)委員 そこで大臣、いまお聞きになったような勧告が出ておるわけです。したがって、この勧告の趣旨を貫徹するために、各省に連絡をとって努力してもらうという、こういう先ほどの御答弁であった。ただこれは連絡をとって努力してもらうということだけでなしに、もう少しほかの方法で、権威ある開発の審議のできるような、一つの例を言えば審議会等を構成して行なうとか、連絡会合を持って、そうして総合的な連携をとりつつ具体的な政策を行なうとか、何かやらなければならない。この点については、あえて先ほどの答弁以上に説明を受けようといたしませんけれども、ただいままでの答弁の形で徹底をするという程度では、せっかくの調査会の答申がなかなかスムーズに、しかも効果をあげることはちょっと不可能じゃないか。特に予算的な問題もございますし、相当むずかしい土地の収用の問題もございますし、非常にむずかしい問題であろうと思いますが、しかし、こうしたことが日本の国土開発に非常に必要であり、一日一日と進歩をしていく科学産業に対して、また科学的な経済発展に対して非常に必要であるということからいけば、積極的に科学技術庁としてもその方策を考えてもらい、また実行に移してもらう必要があると思いますので、その点を強く要望申し上げておきます。もしこれについて御回答があれば、回答をしていただいてもよろしいが、なかったら、私の要望だけで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/20
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021・橘恭一
○橘政府委員 近く、建設省、経済企画庁、通産省その他の連絡会は、少なくとも開催する予定になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/21
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022・田口誠治
○田口(誠)委員 ただいま要望申し上げた点をひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。
次にお伺いをいたしたいことは、ウランの濃縮に関する研究でございます。これは御承知のとおり、遠心分離法によるウランの濃縮の研究を行なうために、一号機、二号機が三十九年の四月理化学研究所から原燃東海製錬所のほうに移されて、この研究が続けられておるわけでありますが、今日どういうようなところまでいっておるかということを、まず御発表をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/22
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023・村田浩
○村田政府委員 いま御質問のございました原子燃料公社で行なっておりますウラン濃縮の研究でございますが、お話にございましたように、当初この研究は、東京工業大学のほうで基礎的な勉強が始まりまして、そしてこの実験装置を試作していくというところまでなったわけでございます。それをその後、予算の関係もございまして、原子燃料公社に移して研究を続けることにいたしたことは、お話がございましたとおりでございます。このウランの濃縮の技術は、一般的に申して三つばかりあるわけでございます。それは、一つは熱拡散法と呼ばれるもの、一つは遠心分離法、それから第三番目がノズル法と呼ばれております。現在国際的にも、一応ウランを濃縮する技術は以上の三つがあり得るということでございますが、現実にウラン濃縮を行なっておる米国あるいはイギリス、最近ではフランスが入っておりますが、それからソ連、こういったところがやっておりますのは、いずれも熱拡散法と申される方法でございます。しかし、この方法は非常に設備が大じかけになる。かつまた隔膜材料の開発等、技術的にも非常にむずかしい問題がある。それからさらに多量の電力を必要とする、こういうような点がございまして、たとえば軍事目的のために非常に濃縮度の高いウランをつくるというようなときには、確かに現在の技術では熱拡散法がよろしいということでございますが、濃縮度の低い、つまり平和利用に使うような濃縮ウランのような場合には、私が申し上げました第二、第三の方法でもいけるのではないかということで、それぞれ各国では研究しておるようでございます。わが国におきましては、先ほど申しましたように、東京工業大学におきまして遠心分離法の勉強を始めまして、その点の続きとしまして、現在原子燃料公社に遠心分離機を置きまして、遠心分離の実験をいたしております。しかしながら、これは遠心分離装置そのもののまだ実験研究の段階でございまして、これは遠心分離の性能が高まりませんと、ウラン濃縮が経済的、技術的に達成できませんので、ただいまは小型の遠心分離機を使いまして、周辺速度秒速三百メートルくらいの遠心分離装置を開発するということで研究を続けておりますが、最近の状況では、どうやらその近くまでいけそうであるということが、ただいま東海村にあります装置によってわかってきた。もちろん、中にウランなどを入れての実験はまだ行なわれておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/23
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024・田口誠治
○田口(誠)委員 この研究は、西ドイツあたりではずいぶん早くからやっておりますし、アメリカでは相当大じかけな規模で研究をやっております。したがって、日本で研究をする場合には、そうした早くからやっておる国の研究度合いを教えてもらうというか、盗むということばは悪いのですけれども、そうしたことも利用をして研究をすることが進行が早いのではないか、こう考えておるのですが、これはドイツとかアメリカというようなところへは、研究生を送っておられるのかどうか。おられるというならそれでよろしいが、おられないということなら、その必要性が実際ないのかどうか、金銭的な問題にあるのかどうか、この辺のところもあわせて説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/24
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025・村田浩
○村田政府委員 西ドイツあるいはオランダあたりでも遠心分離法の研究はいたしておりますが、先ほど私が申しました三つの方法を含め、現在アメリカ、イギリス等は、このウラン濃縮法については、大体外国には出さない方針をとっております。ドイツのものにつきましても、アメリカとの話し合いで外に出さないことになっておると承知しております。もちろん、基礎的な学術論文はいろいろな機会に出ておりますので、そういったものは私どもも入手いたしておりますが、他の技術のように、積極的にノーハウを買ってくるとか、あるいは機械装置を買ってくるとか、そういうことは現在のところ可能でない状況でございます。したがいまして、わが国の研究もきわめて息の長い研究で、自分でこつこつと勉強をやっておる、こういう状況でございます。
他方、三十六年に原子力委員会が定めました長期計画にございますように、ウラン濃縮ということが、今後わが国の平和利用の推進に伴って、実際にわが国に必要になってくるかもしれない。そういう時期はまだこれから十四、五年先であろうということから、その程度の長期の研究計画として実施いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/25
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026・田口誠治
○田口(誠)委員 そうしますと、外国がどの程度日本より進歩したところまで研究しておるかは未知数でございますけれども、外国のその結果の文献を手に入れることもできないし、それから日本から科学者を送り込むこともできない、しかたがないから、日本で自力でこつこつ研究をして、他の国に負けないように研究を行なうより方法がない、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/26
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027・村田浩
○村田政府委員 一般的に申しますと、大体そのとおりでございます。
〔長谷川(四)委員長代理退席、辻委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/27
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028・田口誠治
○田口(誠)委員 そうであるとするなれば、これは予算的な措置の必要性も相当あると思うのですが、こういう方面に対する予算は、あなたのほうで必要だと思われる予算は、予算要求の中で一〇〇%確保しておられるか、その点はどういうようになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/28
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029・村田浩
○村田政府委員 ウラン濃縮技術の研究につきましては、ただいま申し上げましたように原子燃料公社にやらしておるわけでございますが、原子燃料公社が当面やってまいります試験研究に必要な予算は、燃料公社の予算の中につけて確保してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/29
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030・田口誠治
○田口(誠)委員 それはどういうことですか。どこでも、研究しようと思いますれば、とにかくお金が足りないということが第一番に出てきますけれども、幸いにこの研究に対しては必要な予算は確保できるということでございますので、問題は、これから研究をとにかく能率的に効果をあげてもらうところにあるわけでございますので、そういう点につきまして、今後如才のないように指導をしていただかなくちゃなりません。その点も要望を申し上げます。その点については、これは大臣のほうもひとつ約束をしてもらったほうがいいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/30
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031・上原正吉
○上原国務大臣 ただいま村田局長が申し上げましたように、当局と一緒になって努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/31
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032・田口誠治
○田口(誠)委員 簡単な約束ですが、結局、今後の研究に万全を期し、他国に劣らない研究をしていただく。それから、予算の面については事を欠かないということでございますけれども、私どもがそれぞれの問題を研究する場合に学者等に聞きますと、とにかく予算的な措置がないから、金がないからと、これはもう口ぐせのように言っておるわけなのです。したがって、それだけにいまの問題についても、私は予算的な措置について心配をいたしたわけでございますので、十分に確保されておるということであれば問題はありませんが、この点も十分であるかないかということについては、実際に研究をしておられる人たちの意見を聞いて予算措置を今後行なっていただくように、希望を申し上げておきたいと思います。
それでは次の質問に移りたいと思いまするが、昭和四十年度より、日本原子力船開発事業団、それから運輸省船舶技術研究所、それから原子力研究所、この三者の共同研究による船用炉遮蔽に関する研究が行なわれることになっておりましたが、この問題はどのように進んでおるのか、これもひとつお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/32
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033・村田浩
○村田政府委員 御質問は、原子力研究所に設置いたしましたスイミングプール型原子炉、JRR4と呼んでおるものでございますが、この原子炉を使いましての主としての原子力船における遮蔽の実験研究のことであろうかと思います。ただいま田口先生の御質問がございましたように、運輸省等からの要望もあり、造船工業界等からの希望もございまして、原子力研究所に遮蔽研究に主として利用するためにJRR炉をつくったわけでありますが、この原子炉は大体予定どおりに完成しまして、その後の調整を終わり、現在予備的基礎的実験をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/33
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034・田口誠治
○田口(誠)委員 四十年度のいつごろからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/34
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035・村田浩
○村田政府委員 昨年の初夏ごろ、五、六月ごろからだったと記憶いたしますが、その予備的基礎的実験をやっておりますが、この実験によりまして、若干の部分の——これは装置そのものよりも、むしろその周辺の付帯設備でございますが、そういうところに若干改造を加えたほうがよろしいという研究者の意見がございまして、ただいまそのような改造をいたしつつ、他方次の遮蔽実験についての準備を進めておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/35
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036・田口誠治
○田口(誠)委員 問題は、この遮蔽に関する研究ということは、今後平和利用をする場合に絶対に必要なことですから、この問題には大いに力を入れていただいて、そして完全なものに、自信の持てるものにしていただきたい。この点、今後の原子炉関係の平和利用を考えたときに、この遮蔽関係が研究がおくれるということになりますと、これは何にもなりませんので、非常に市要でありまするから、ひとつ私のほうからも督励を申し上げておきます。
それでは前の質問に戻ります。文部省から望月職業教育課長、それから笠木学生課長さんと、お二人おいでをいただいておりまするが、先ほど私が質問を申し上げて途中で中断いたしておりますことは、科学技術庁がこの二月二十八日に、各企業の科学技術者の配置と職務関係に関する調査を行なった結果を発表いたしておるわけであります。その結果を見ますると、科学関係に必要な要員が量においても質においても不足をいたしておるということでございます。その不足分は、その企業において工業高等学校の卒業生を養成して間に合わせておるということなのです。そこでお聞きをいたしたいと思いましたことは、現在高校へ進学する人の総数に占める科学関係を志望しておる人、そうして卒業しておる人がどの程度あるのか、これは大学の場合も同様、まずこれから数字をひとつお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/36
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037・笠木三郎
○笠木説明員 ただいまのお尋ねでございますが、高校の四十年三月の全卒業者が約百十六万人でございますが、このうち科学技術系の卒業者であり、同時にその方面に就職いたしました者が約二十二万二千人でございます。大学の場合は、四十一年三月卒業予定者の一月十五日現在での就職状況の動態的な中間調査でございますが、これから見ますと、四年制大学の場合には、いわゆる理工系の理学部及び工学部の卒業者のうち、就職希望者が約三万七千人でございますが、そのうち、一月十五日現在で職につきました者が約三万三千人でございます。
以上のような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/37
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038・田口誠治
○田口(誠)委員 いまの数字をお聞きいたしましても、普通科と比較いたしまして約一割強なのですが、この程度では、ただいま申しましたように、各企業では不足をしておるということから、増員の要請があるわけなのです。
〔辻委員長代理退席、委員長着席〕
したがって、理化学関係を卒業した者は就職も楽であるし、どちらかといえばこの志望者が多くなければならないと思うのですけれども、依然として数学的に多くなっておらないという原因をどういうように分析されて、そうして各企業の要請にこたえて今後文部省として理化学関係の専門家を養成しようとされておるのか、将来の計画も含めてひとつ御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/38
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039・望月哲太郎
○望月説明員 お答え申し上げます。工業高等学校の卒業生をなるべく多くして、いわゆるわが国の産業経済の要請にこたえるということにつきましては、文部省としては高等学校、大学の段階を通しましてできるだけの努力はしてまいっておるわけでございまして、御承知のように、一応高等学校の中の工業関係の学校の新増設につきましては、工業高等学校の入学定員を八万五千人増加するということで、いわゆる急増対策の一環としまして、昭和三十九年度までの間に、国庫補助金としまして二分の一補助で八十数億に及ぶ補助金を投入して、工業高等学校の学科の新増設をはかってまいりました。それから今度は、産業教育振興法の関係におきまして、昭和三十九年度から産業教育振興法の施行令、さらに施行規則を改正いたしまして、産業教育の補助金の対象となりますところの施設、設備の基準を大幅に改定いたしまして、設備につきましては特に従来の三倍程度まで基準を高めまして、それに対して大幅に国庫補助金を導入いたしまして、できるだけ工業関係の教育も充実されますように鋭意努力をしてまいりまして、特にその関係の補助金につきましては、昭和四十一年度予算におきましては、一般設備費二十三億、一般施設費十五億、四十年度に比較いたしましても設備費におきまして五億円増、施設費におきまして十億円増と大幅な予算の増額をはかりまして、今後意欲的に工業高校の充実等につきまして都道府県の協力も得ながら十分配慮をしてまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/39
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040・田口誠治
○田口(誠)委員 よくわかりました。そこで、新制中学から高校へ入ることのできない生徒で、こうした理化学関係の勉強を行なってそうした職務につきたいという希望者が、相当にあるわけです。したがって、こういう希望者に対しては、社会へ出てから、どういうところで教育をし、そしてその希望をかなわせ、同時に各企業が要請しておる要請にこたえようとされておるのか、この点もついでにひとつ御託明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/40
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041・望月哲太郎
○望月説明員 先生御指摘のように中学校を卒業いたしましてそのままそれぞれの職場に入る子供たちが、現在高等学校の進学率は七十数%まで高まりましたけれども、なお二十数%いるわけでございまして、それらの子供は、あるいは企業内職業訓練所であるとか、あるいは公共職業訓練所であるとか、あるいはその他のいろいろな訓練施設において、あるいは社会教育のいろいろな場において、それぞれなお一そうの心身の発達をはかるためにいろいろと働きながら努力しているわけでございますが、そういう子供たちに対してできるだけその勉学の結果を社会的にも評価されるようにということでございまして、昭和三十六年に学校教育法を改正いたしまして、ただいまのところ、ある一定の条件を備えました技能教育施設に入っている子供が同時に定時制の高等学校に入っている場合におきましては、定時制の高等学校の卒業に必要な単位の三分の一までその技能教育施設——これは企業内職業訓練所でございますが、そういうところで学びました単位を高等学校の単位に見直すことによって、できるだけ肉体的な負担も軽くしながら同時に高等学校卒業の資格がとれるようにということで、現在措置してまいっておりますが、御承知のように、ただいま中央教育審議会等におきましても、後期中等教育の拡充整備の問題が真剣に検討されております。いずれその御答申もいただくことになると思いますけれども、当然その後期中等教育の拡充整備の一環といたしまして、それぞれの場におきまして勉強しているそういう青少年の努力というものを、できるだけ社会的にも評価を与え得るようにいろいろと検討をしてまいることになろうと思います。中央教育審議会の答申をいただきました上で、文部省といたしましても十分検討してまいりたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/41
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042・田口誠治
○田口(誠)委員 あとの質問者の時間を一時間残せという約束でございますので、まだ質問内容がだいぶ残っておりますけれども、私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/42
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043・木村武雄
○木村委員長 村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/43
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044・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、四点について大臣に御所見をお聞きいたしたいと思います。
第一は、この今回提案をされました設置法関係の内容であります。無機材関係の問題ですが、いままでお話をお伺いをいたしておりますと、とりあえず四十一年度は二十一名で発足をして、そのうち十名が研究者だ、そして炭化硅素の研究に取り組むのだという説明を承ったのであります。そこで、第二の質問にも関連をしてくるわけでありますが、これは将来において原子炉の材料の開発という問題に関係がある部門だと思うので、さらにまた宇宙開発の材質に関係のある問題だと思うので、そこでそういうような部門から考えてまいりますと、現在のいわゆる非金属材料であります原子炉の材料開発の中身において、構造構築材料、冷却材、中性子減速材、遮蔽あるいは遮蔽コンクリート及び骨材、こういうようなものが考えられると思うのでありますが、そういうようなものを、計画的に今後部門を拡張をし、人員、スタッフをそろえてやっていくのだという方向においてあなた方お考えになっているものだと受け取るので、そういたしますと、将来の方向として、日本で独自の、いわゆるアメリカのひもつきでない日本独自の原子力開発という方向を目ざしておられるものだと思うのでありますが、それはどうでありますか。その点を大臣からお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/44
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045・上原正吉
○上原国務大臣 金属でない、非金属材料を研究するのがこの研究所設立の目的でございまして、これは、これから高度に科学技術が発達すると、あらゆるものに必要になってくると思うのでございます。それで、各方面から研究所をつくれという御要望がございましたので、去年準備の予算をもらって、ことしから出発する、こう相なったわけでございます。そういうわけで、原子力開発だけと直接関係があるというものではないように思うわけでございます。と同時に、またアメリカのひもつきである原子力開発というものではない独自の研究開発をやるのかというお尋ねでございますけれども、もともと独自の研究開発をやらなければならぬというのが科学技術庁発足の使命ではないかと思っておりますので、その点ももちろん望んでおるわけでございます。原子炉の構築ということだけが目的でないように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/45
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046・村山喜一
○村山(喜)委員 もちろんそれは原子炉の材料の開発だけが問題じゃないだろうと思うのですが、しかし、それは重要な部門だ、私はこういうふうに考えて質問をしておるわけです。大臣はいま、将来は、そういうような自前で原子力の独自の開発を進めるのだという方向で科学技術庁というものは設けられているのだから、そういう方向でやるのだと言う。そこで私はお尋ねいたしたいのは、この前あなた方のほうで、あなたが原子力委員長としてあの参与会ですかにはかられた内容、それについてお尋ねをしてまいるわけですが、いわゆる特殊核物質であります濃縮ウラン、プルトニウム、ウラン二三三、これの民有化に対する原子力委員長としての見解の表明がなされて、これを見てまいりますと、アメリカの場合、一九六四年八月十八日、御承知のように核燃料の民有化法が成立をいたしまして、これに伴ってアメリカから核燃料を輸入する、日本もこれに従っての民有化措置というものをとろうとしておられるわけです。いわゆる日米原子力協定というものが現在ありますから、その改定のプログラムというものを見てまいりますと、今月から交渉に入って、そして来年の九月には署名をしたい、そして、四十三年三月には批准をしたいという方向を打ち出しておられると聞くのでありますが、その方向、プログラムというものは、大体そういうふうな段取りであるというふうに確認をしてよろしゅうございますか。これは重要な問題だから大臣ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/46
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047・上原正吉
○上原国務大臣 御承知のように、アメリカが民有化に踏み切りました関係で——御承知のように、日米原子力協定は、アメリカの要請で民有にすることはいけないという条件つきのものを輸入しておりますので、そうなったわけでございますが、アメリカが民有化に踏み切れば民有化でよろしいのではないか、こういうことに原子力委員会の大勢が動いておる、こういうことなのでございまして、日米原子力協定は、実際問題といたしましてあの内容では日本の原子力開発に支障ができた、こういう実情なのでございます。詳しく申し上げますと、敦賀にできます原子力発電所は濃縮ウランを使用しますので、あれは日米原子力協定は、要請でなくて制限なのでございます。これしかおまえのところに供給しないぞという制限なのでございます。その制限を緩和してもらわないと、ことによったら、開発が順調に進んだら不足しやしないかというおそれがあるので、実は去年アメリカの原子力委員長が来朝しましたときに、非公式に私は、あれは改定してもらわないと日本の原子力開発はうまくいかぬという話をしたわけでございます。そういう経緯がございまして、あの協定は改めていただかなければならぬわけでございまして、この改まるときにはやはり民有にしたらどうか、こういう考えなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/47
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048・村山喜一
○村山(喜)委員 私はプログラムを聞いておるのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/48
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049・村田浩
○村田政府委員 日米原子力協定は、現在昭和三十三年に締結されたものが有効でありまして、その有効期限は十年となっておりますので、四十三年十二月に期限が切れることになっております。いずれにいたしましても、わが国の将来の原子力計画を進めるためには、米国から、技術情報はもちろんでございますが、ただいまの濃縮ウランその他必要な材料の供給を受ける、あるいは研究協力をするというようなことが必要でございますから、この協定を延長いたさなければならない、こう思っておるわけでございますが、この間、先生先ほど御指摘のとおり、一昨年、米国におきましては、一九五〇年原子力法を改正しまして、国内における特殊核物質の民有を認める方針を出しました。そういう状況で、現行協定の第七条D項にございます、わが国内において特殊核物質の政府による権原保持義務というものが消滅したことに相なるわけでございます。しかし、現行協定にはそのことがちゃんと書いてございますが、改定協定においては、この条項を除きまして、国内における民有化ができるようにいたしたいと思っておるわけでありますが、協定は国会批准事項でもございますので、四十三年の十二月までに間に合うようにやりますためには、一応政府間の交渉並びに署名ということは四十二年の暮れごろまでには済ましておきたい、またおかねばならない、こう考えておりまして、現在その線で非公式に外務省を通じ米側と接触しておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/49
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050・村山喜一
○村山(喜)委員 大体伝えられる情報と一致しているようです。来年の九月、秋ごろまでに批准をしなければ——条約ですから、国会に提案をする関係がありますから、そうおくらせるわけにまいりません。三月、通常国会において批准を完了する、そして有効期限内に処理をしておくという見通しでありますから、そういうことです。ところが、協定の内容というものが、三十年というふうに伝えられる。これはなぜかというと、原子力委員長として大臣が意見を述べられたときに、評議員会ですか、評議員の諸君が、やはり日本のいわゆる原子炉の償却年数から考えて、あるいは採算をとる上から見まして、どうしても長期にわたるような契約でなければ困る、その間に原材料がストップするようなことになると支障があるというので、長期の契約、やはり三十年くらいのやつを結んでもらいたいという要望があったと聞いている。この立場から言いますると、あなた方としては三十年くらいの長い間にわたってやろうとしておられるのではないかと思うのですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/50
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051・上原正吉
○上原国務大臣 そういうつまり長期の契約でなければ困るというのが民間の要望であることは確かなのでございまして、原子力委員長としてそれを強く要望したということではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/51
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052・村山喜一
○村山(喜)委員 参与側の意見は、なるべく早く実現をはかってもらいたいというのが一点、第二点は、なるべく長期、三十年が望ましい、こういうことを言っているでしょう。これを受けて、あなた方はどういうふうにしようとお考えになっているのかということを聞いているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/52
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053・村田浩
○村田政府委員 参与会におきまして、長期の供給が保証される形で協定を結ばれたいという要望がございましたのは、民間の企業としまして濃縮ウランを使います発電所をつくりますときに、それが寿命のある限り一応供給源として米側から入手可能であるという保証がほしいわけでございます。原子炉の寿命はどのくらいになりますかわかりませんが、最近、昨年でございますが、アメリカの原子力法の改定後にアメリカがスペインあるいはスイス等と結びました原子力協定は、三十年という期限で結んでおります。そういう実績もございますので、民間側ででき得べくんばそういう長期のものを結んでほしいということを要望されておるわけでございます。しかしながら、具体的に日米の改定いたします協定が有効期限としてどうなるかということは、今後米側との折衝によることでございまして、現在絶対三十年でなくちゃならないということを、政府側としてきめておるわけではございません。要は、長期間にわたる供給の保証ということがあればよろしいわけでございまして、それと協定の有効期限とを一致させるかどうかという点は、いろいろ問題がございます。その点につきましては、今後外務省とも協議し、米側といろいろと折衝してまいりたいと考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/53
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054・村山喜一
○村山(喜)委員 長期が望ましいというようにお考えになる年数はまだ確定をしていない、これが原子力委員会並びに科学技術庁の態度だ、こういうふうに承ってよろしいわけですね、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/54
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055・上原正吉
○上原国務大臣 そう御理解をいただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/55
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056・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、私がこの問題をなぜ取り上げるかというのは、先ほどの問題との関連があるわけであります。というのは、日本でも今度十二月一日から東海村の東海発電所が原子の灯をともした。これは天然ウランを使ってやっている。ところが、日本の場合には、濃縮ウランを今度受け入れるということになってまいりますると、これのいわゆるアメリカにおける生産状況というものを見なければならない。これを握っている——まあ民間が今度握るわけですが、その握っている資本の側に立つ人たちが、どういう構成であるのか、それが日本に渡ってまいったときにどういう会社と提携をして、そうして日本の核エネルギーというものをどのように保有しようとしているのか、そういう立場において考えた場合に、日本の原子力の独立性というものは一体どうなるのか、こういう問題が私は提起されてくると思うのであります。そこで、長期ですから、かりに二十年ないし三十年といたしますと、今世紀中は、大体アメリカの濃縮ウラン受け入れに伴いまして、日本の原子力というものは従属をする形にならざるを得ないわけです。で、アメリカでは、もうこの核燃料があり余っているところに、民有化したという具体的な事実があるわけですね。ですから、これを受け入れていく場合において、日本の原子力発電会社の二号炉は、天然ウランを使わないで濃縮ウランを使うということを原子力委員会が決定をした。そこからこの民有化の問題が私は生まれてきたんじゃないかと思うのであります。ということは、これは私が言うように、日本の原子力の独立性というものが放棄された形になったのじゃないか、こういう見解を私は持っておりますが、それは間違いであるとお考えになるならば、原子力委員長である上原担当大臣からお答えをいただきたい。
それから三番目には、いま日本に進出しようとしているアメリカの会社にどういうような会社があるかということを調べてみますと、ゼネラル三レクトリック社と日立と東芝が組んで濃縮ウランの会社を設立の準備中だと聞くのであります。このゼネラル・エレクトリック社は、御承知のようにホーミング魚雷をつくっておりまして、これは三菱重工が今度入れることになるわけです。ホーミング魚雷は、御承知のように音波追尾の魚雷であります。四十一年も七十発ぐらい入れる計画を立てておるのでありますが、それを国内で生産をしようというような軍事関係の産業会社であります。そういうようなものが、日本の日立とかあるいは東芝と組んで濃縮ウランの会社をつくろうとしておる。それからもう一つは、私はアスロックをつくっている会社がどこであるかはっきりわかりませんが、これなんかも、核弾頭が発射できる対潜用ホーミング魚雷なんですが、そういうようなものがつくられている会社と提携をしていく方向というものがあるんじゃないかといううわさが飛んでいるわけです。
それから第二点は、同じような種類なんですが、ユナイテッド・ニュークリアー社と住友原子力グループとの間における話し合いが進んでおる。あるいはカマック・ギイ石油が第一原子力産業グループと提携をしようとしている。それからニューメック社が三菱グループと提携をしようとしている。さらにシェルも動いているという情報が入っているわけであります。で、これらは、いわゆる国際石油資本というものが、石油と原子力エネルギーという大動脈を国際的に握ろうとする動きがあるわけです。その中においてあなた方がこの濃縮ウランを受け入れるという方向をお出しになったという立場から考えてまいりますると、これは財界の中にもそういうような危険性を指摘をしている人たちがおりますが、いわゆる国際石油資本の動きによりまして、日本の今後におけるエネルギーが石炭から石油に変わり、石油からやがては原子力に変わっていくという将来の構想の上に立って見た場合には、非常に問題になる可能性というものが出てくるのであります。
そこで私は、そういう立場に立って、ナショナルインタレストという問題を考えていかなければならないと思うのであります。そのためには、やはり私はいまこの無機材の研究所というものを設置をしてやるというような構想のもとに、先ほど大臣はそのような平和利用のために日本の原子力というものに対する向上の方策をあなたが構想としてお持ちだという、片一方においては濃縮ウランを受け入れて長期にわたってそういうような動きがあるということが事実であるとするならば、かえって相反する方向にあなたは原子力行政を進めていこうとしているんじゃないか、その面において食い違いがあるんじゃないかと私は思うのであります。とするならば、一体東海村の原子力発電の第二号炉の問題から、今後において民間のいわゆる九電力の株式会社がこれを保有をして、そうして原子力発電をやっていこうという形態の中において、日本独自のものをどういうふうにして織り込んでいく行政を進めようとしているか、これはきわめて重大な問題でございますから、その方向を矛盾する方向でないとお考えになるのか、その矛盾をどういうふうにして統一をしようとお考えになるのか、その点をお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/56
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057・上原正吉
○上原国務大臣 私は、原電の第二号炉が濃縮ウランを使いますのは、原電の考え方によるので、原子力委員会が指図したことはないわけなのでございます。そうして、濃縮ウランの製造方法をそうたやすくアメリカの技術者が日本に教えるとは考えられないのでございます。そこで、日本独自の力で濃縮ウランをつくれるように、つまり濃縮ウランでなくても原子力発電がどんどんできるということになれば別ですけれども、そうでないと、やはり第二号炉が濃縮ウランでやりましたように、何と申しますか、建設費が少なくて済む、分量が少ないものですから、そしてわずかなことでもコストに影響しますから、なるべく安いものをつくらなければ、従来の水力発電、火力発電にかなわない、こういうことから濃縮ウランを選んだものと私は考えておるわけなのでございまして、自力で開発しなければならぬというのは、そういう点にもあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/57
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058・村山喜一
○村山(喜)委員 産業界がおっしゃるように濃縮ウランを使いたいというのは、これはもう実証されている一つのデータがあるわけですね。それが一つと、それから経済ベースに乗るから、だから濃縮ウランを使ってやったほうが、コストが安くて商売上そろばんをはじいた場合にはいいということで受け入れようとしている。しかし、科学技術庁としてはそれではよくないだろうと私は思う。大臣がおっしゃるように、今後やはり日本の方向としては独自のものをやるんだという方向を打ち出される以上は、一体いままで原子燃料公社は何をしておったか、そういうような鉱石を日本に入れていく努力をどれだけやったのかという点も、私は問題として追及をしなければならないのじゃないかと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/58
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059・上原正吉
○上原国務大臣 私は創設以来、原子燃料公社がどれほどどういうことに努力したか、実はつまびらかにしていなくて申しわけないのでございますけれども、とにかくプルトニウムの製造、つまり最初の技術の研究というふうなものを熱心にやってまいったり、それからまた金属ウランの精製をやりましたり、ひいては濃縮ウランの製造ができるようにということで努力してまいったに違いないと思っているわけなんでございます。そして先ほど私が申し上げましたのは、日本の独自の力で濃縮ウランまでも製造できるようなものにならなければ、ほんとうの原子力開発にはならないのではないかという危惧を持っているわけなんでございまして、つまり、どこまでも外国依存ではほんとうの原子力開発はできないから、科学的にも経済的にも日本が自力でやれるだけの力を持たなければならぬ、こう努力しなければならぬということを考えているわけなのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/59
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060・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、まあ原子燃料公社が、アフリカのコンゴであるとかカナダであるとかいうようなところから原料鉱石を入れましてやろうという努力をしなかった。それから、先ほど原子力局長がお話しになりました濃縮ウラン製造の三つの方法、その中でいわゆる気体拡散法によるものは非常に大きな設備が要って、金がかかるということもありまして、それが取り納まれていなかったというところに持ってきて、日本の原子力発達が非常におくれておりますから、いまのところ採算ベースに合わせるというためには、濃紺ウランのほうがいいということになってきた。これが二十年も三十年も長期にわたって続けられていくと、明らかにいま動いている国際的な資本、石油資本というものが片一方においては石油の動脈を握り、片一方においては原子力の動脈を握って、その下に日本の産業というものが置かれるということになる。それに対して、あなたとしては国家的利益、ナショナルインタレストをどういうふうにして守っていこうとしておられるか、その方向を私は聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/60
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061・上原正吉
○上原国務大臣 私は、国際原子力資本といいますか、たとえば石油のごとき、こういう資本に支配されないように気をつけ、努力を重ねていかなければなるまいとは思っております。これは日本の産業を維持し、開発し、発達を期していく上には、ぜひそうでなければならぬと思っておりますが、それとこれとは別なような気がいたします。それはそれで努力しなければならぬし、原子力の開発は原子力の開発でやらなければならぬ、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/61
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062・村山喜一
○村山(喜)委員 それの有効な、あなたが考えておられる方向で、どういうような規制の方法がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/62
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063・上原正吉
○上原国務大臣 やはり学問、技術、経済力、これをたくわえる以外にないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/63
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064・村山喜一
○村山(喜)委員 何か原子力局長、手をあげておられるので、あなたのほうから説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/64
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065・村田浩
○村田政府委員 先生御承知のとおり、原子力発電の時代が近くやってまいるわけでございます。そのためにわが国も着々とその準備を整え、着手しておるわけでありますが、私どもの見ますところでは、原子力発電というものが非常に大きく国のエネルギー政策の上でウエートを占めてまいりますのは、これから十年先以降であろうと考えております。それまでは、いわば一種の開発段階から実用化段階への手順を踏んでいくということでございます。特に原子力は、先ほど御指摘がございましたように、安全の問題を無視するわけにはいきません。新しい技術でございますから、国内にこれを円滑に導入していくためには、安全の点で万全を期しつつ技術の開発を進めていかなくてはならぬ、こういう絶対の要請があるわけであります。そういう意味で、当初の段階においては、海外の先進諸国で開発され、技術あるいは安全性の面における実証がなされたものをわが国に取り入れまして、これを国産化していく、そうしてわが国の原子力産業の基盤を育成し、強化していくということからスタートするのが手順であろうというふうに、原子力委員会も考えておられるわけであります。しかしながら、それだけでは、先生お話しのように、全く海外の技術あるいは資材に依存するということになりかねませんので、原子力委員会の長期計画にもございますように、もう一本の柱として、将来の動力炉を国内で開発していく、いわゆる自主開発の線を打ち出すことによりまして、十年先以降、いわゆる真の原子力発電時代が参りますときには、国内の自主的に開発された技術が海外の技術と組み合わさって、さらに将来には、自主的技術によって国内の原子力開発が進められるという姿になるべきであろう、そういった観点から、かねがね原子力委員会としましては、将来の動力炉の本命と目されておる高速増殖炉というものを、国内の開発プロジェクトとして、これはかなり長期にわたる計画になりますが、全力をあげて進めていきたい。しかし、高速増殖炉は、その完成が大体昭和五十五年、あるいはそれ以降というふうに見られております。その間まだ十四、五年はあるわけでございますので、その間におきましても、国内の自主的な技術というものによる原子力発電というものが必要であろうということで、ただいま新型熱中性子炉というものの計画を近々にまとめたいということで、せっかく検討中でございます。それがまとまりましたならば、四十一年度からでもその線に沿った開発計画を進めまして、国内の自主的開発の織り込まれた、特に御指摘のエネルギー政策の観点からも、わが国として有効なそういう炉型、と申しますことは、できるだけ天然ウランを使っていける炉型ということでありますが、そういうものを開発してまいりたい、このような二本の柱による今後の開発を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/65
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066・村山喜一
○村山(喜)委員 大体わかりました。そこで、この問題についてはこれ以上触れませんが、次に問題になりますのは、宇宙開発の問題であります。先ほどもちょっと触れましたけれども、東大の生研ロケット、それから東大の宇宙航空研究所、ことしの予算が二十七億、これに対しまして、科学技術庁の人工衛生ロケットの基本設計及び開発研究、これが四億五千六百二十八万六千円、それに国庫債務負担行為が四億八千三百十一万あるようでございますが、この内容は一体どういうふうになっておるのか。機構の上においては確かに統一されました。しかし、研究をされている内容は、ほとんど変わらないのではないかという印象を私は受けるのであります。というのは、東大の生研ロケットの研究所なりあるいは宇宙航空研究所が今日までやってまいりました内容は、電離層のイオン密度あるいは温度、それに宇宙線大気光、地磁気の観測、高層地域における風の観測、放射線、電波雑音の観測等をやっておるわけであります。そしてカッパー8型、9型、ラムダ2型から3型の打ち上げをやる、三月には四段式のラムダ4Sロケットを打ち上げ、国産衛星を飛ばすんだ、これが一号になるんだということで、佐藤総理大臣もだいぶ気をよくして、青少年の集まりに行っては話をしているようであります。科学技術庁のほうは、人工衛星ロケットの基本設計及び開発研究ということで、中身を見てみますと、それと関連する搭載機器の製作、あるいは試作研究の委託調達、さらに環境試験、試験研究、こういうようなものでいわゆるプラスチックロケット、液体ロケット、SBあるいはLS、こういうようなものを打ち上げて成功はしているようでありますが、どうも中身を見てみますと、研究をする内容は一体どういうようなものをねらっているのか。しかも防衛庁と一緒になりまして、あなた方は仕事をやっておられるようであります。そういうような面から見ますと、そのロケット自体の性能も向上させるんだ、そういうような面に重点が置かれているやに見えるのでございます。それは一体軍事的な方向に考えられておるのか。新島のロケットの発射場、これは防衛庁と協力してあなた方はやっておられるというのですが、内容的にダブっているのであるならば、行政機構の上においては統一されたということでありますが、内容の面においても、これこれについてはもう大学側のほうにまかせる、文部省のほうにまかせる、これ以外のところは自分たちでやるんだという、両者間のいわゆる行政内容についてもダブらないように、経費を有効的に使うという意味においても、従来行政監察委員会あたりからも指摘されてきたようなものも受け入れて、あなた方は態度をきめてことしはやられようとしているのであろうと思うのでありますが、どういうような方向にいま進められているのかということを承っておきたいのでございます。時間がございませんので、簡単に要領よく答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/66
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067・高橋正春
○高橋(正)政府委員 結論から申し上げますと、本年以降、私のほうは四十五年に実用人工衛星を打ち上げるべき長期計画を持っております。東大側におきましては、御承知のように、四十二年に科学衛星を打ち上げる計画になっております。本年度の予算上におきましても、両者の調整は十分にとれていると思います。一例を申し上げますれば、科学技術庁は、従来はロケットは液体ロケットを主として開発いたしまして、東大側は固体ロケットを開発をいたしたわけであります。四十五年に当方で打ち上げます実用人工衛星の打ち上げに使用いたしますロケットは、四段のロケットを考えておりますが、第一段、第二段及び第四段は固体ロケット、第三段を液体ロケットで考えておりまして、この場合におきまして、第一段及び第二段の固体ロケットにつきましては、ただいま東大におきまして開発中でございますミューロケットの技術をそのまま——多少これは径等は違ってまいります。打ち上げますロケットの径が違いますので、その点につきまして多少の改良は必要でございますけれども、これを使うということになっております。したがいまして、一段目、二段目の開発費というものは、本年度は当方は予算上には要求いたしておりません。なお、三段目は実用衛星にいたしますために、これは誘導制御を正確に行なわなければなりませんので、これは液体ロケットを使用する。四段目のプラスチック製の固体ロケット、これにつきましては当方が開発をいたす。一例でございますけれども申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/67
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068・村山喜一
○村山(喜)委員 ことしその東大のほうは国産衛星一号を打ち上げるというような状況にきて、四十五年を目ざして科学技術庁はやられる。両方をやればまことにこれはけっこうなことには違いないと思うのですけれども、国民の側から見ますと、どうも同じようなやつをやるのだったら、研究を一本にしぼったほうがいいんじゃないかという印象を受けるわけです。そういうようなところから私は行政監察委員会のほうでも指摘をしたんじゃないかと思うのですが、まあ機構の上においては同一人物で両方を兼ねるようなかっこうの中でうまくやられましたけれども、やっている内容そのものももう少し掘り下げていただいて、できるだけそういうような重複した措置にならないような措置を今後推進方をお願いを申し上げておきたいと思います。
それから次は、科学技術庁の資源調査会の報告二十八号「改訂 日本人の食糧構成」、この中身の問題ですが、昭和四十五年を目標にしてあなた方はやられた。実際は二千三百カロリーというカロリー計算だったのが、今日の段階において、食糧自給度の向上によりまして二千三百カロリー、七十二グラムのたん白質というのが、もう計画以上に進んできた。それを今度改訂をされたわけですが、それはカロリーにして二千四百九十五カロリー、それからたん白は七十四・二グラム、こういうことになっておりますが、これはこのとおり承ってよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/68
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069・橘恭一
○橘政府委員 資源調査会三十九年の報告では、総カロリーが二千五百七十六カロリーになっております。それから脂質、脂肪量は四十五・八グラム、それからたん白質は七十二・七グラム、そのうち動物性たん白質は、うち数で二十八・八グラム、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/69
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070・村山喜一
○村山(喜)委員 それはいつの資料ですか。私のいただいた「改訂日本人の食糧構成表」というこの資源調査会のやつからはちょっと数字が違うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/70
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071・橘恭一
○橘政府委員 三十九年七月二十一日付です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/71
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072・村山喜一
○村山(喜)委員 ちょっと合わせてみてください。そうでないと質問が発展しませんから。——数字が二千四百九十五カロリーが二千五百七十六カロリーというのはわかりました。そこで、私はいま二千三百十三カロリーを摂取していると思います。これは農林省が発表した昭和四十年度の食糧需給調査によるカロリー数です。それからたん白は七十四グラムか五グラムのところまできている。これによりますと、七十二・七グラムということになっておる。そこで、一体この「改訂日本人の食糧構成」というものは、これを無視してあなた方科学技術庁としては行政を推進しておられると思うのでありますが、到達年次における目標というものの食い違いが現実にもうまた出てきたということは、この先行きの見通しというものが捕促できないという状態が現実の姿としてあらわれているのではなかろうかと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/72
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073・橘恭一
○橘政府委員 確かに先行きの見通しにつきましては、予定よりも現実の数値が上回ったことになっております。その見通しも困難な点がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/73
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074・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、これは物価対策の問題からこの問題を提起したわけなんです。というのは、やはり今日食料品を中心にする需給のアンバランスというものの上に消費者物価が非常に高騰をしている。これを押えるためには、いわゆる生産構造というものにメスを入れなければならない。それには、基準年次をどこにとるかは別問題にいたしまして、目標年次というものをたとえば昭和四十五年なら四十五年に置いてもけっこうです。五十年に置いてもけっこうです。それまでに至るいわゆる見通しというものを立てて、そして一つの生産目標のもとに行政がそれを指導をしていくというシステムがなければ、需要と供給のアンバラというものは是正できないんじゃないでしょうか。そういうような生産誘導をやっていく中において、いわゆる国民の物価対策というものを考えていく、国民生活に及ぼす影響を物価上昇から食いとめていくという形においてやらなければならない。私は、むだにこういうような資料をつくっておられるはずはないと思う。これは一つの目安としてこういうふうになるであろうから、こういうふうに行政は持っていこうじゃないかという科学技術庁としてのこれは一つの目標設定だろうと思うのですが、これの使途の目標は一体何ですか。それとは違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/74
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075・橘恭一
○橘政府委員 これは国民の栄養と農産物の生産の見通しと、両方を兼ねてつくった一種の目標でございますので、お説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/75
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076・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣、こういうような努力をしておられることは、私は高く評価する。しかし、この具体的な数字が、この前のものを改訂をして三十九年につくったけれども、また改訂をしなければならない状態になってきた。これは日本の産業構造、それから貿易構造、いろいろな部面にわたる将来の見通しの問題に関しますので、測定の非常にむずかしいことだと思うのです。思いますけれども、ここらあたりで、科学技術庁としても物価対策という立場からこういうようなものを是正をして、しっかりしたものをつくって、こういうふうに国民生活というものは向上をしていかなければならないと思うし、またいくであろう、だから、この科学的な測定に基づいて日本の行政をこういうふうにしなければならないということを、大臣としてお示しになってやられる必要があると私は思う。そういうような意味において「南九州の農産物の海上輸送について」という、これは資源局のほうでつくられた資料があります。こういうようなものは、まことにけっこうだと私は思う。こういう方向でやってもらいたいと思う。やってもらいたいと思うけれども、基礎になるこういうようなものが狂っておったのでは、やろうといたしましても、これは話にならぬということで大蔵省に一蹴されることは間違いない。そこで大臣、これをどういうふうに今後処理をしていかれるつもりであるか、もう一回責任者の立場からお聞かせを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/76
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077・上原正吉
○上原国務大臣 おっしゃるように、調査をしたり、統計をとったり、計算をしたりするからには、それを実現する責任まであるものと私は思うのでございます。何ぶんにも科学技術庁の使命はものごとを科学技術的に究明してまいるということで、実は実施官庁ではないわけでございます。しかし、実施官庁でないからというのでは言いわけにもなりませんから、調査をし、数字をあげ、表をつくったからには、それが国民生活に最もいいのだということを発表しましたからには、それが実現するように努力する責任がある、こう考えまして、今後その実現のために一そう努力を重ねてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/77
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078・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、指数等についても、また調査会のほうに頼んで改訂をされますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/78
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079・上原正吉
○上原国務大臣 そうしなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/79
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080・村山喜一
○村山(喜)委員 もう一つ、科学技術庁が食生活の体系的な改善を目ざしまして、コールドチェーンの推進をやる、まことにけっこうなことです。ただこの際、一体コールドチェーンの形態の中において、日本の食生活というものが冷凍ものに対してまだ非常に低い評価しかしていないという実態、それから家庭にあります冷蔵庫の容器の内容から見まして、ブリージングボックス、冷凍室ですが、これに入れますと、冷凍食品の格納はバターあたりでも三カ月くらいはできるわけでありますけれども、しかしながら大きなスペースのところは、これは八度ないし九度くらいしかないわけです。そういうような立場から、冷凍食品といわれるものを中心に今後考えていくとするならば、日本のいわゆる消費構造の中における家庭用の電気冷蔵庫の位置は、まだ非常に低いのじゃないか。それを受け入れる家庭の主婦の態度も、まだ十分に習熟していない。そのほか、流通機構の上においても、そういう冷凍食品を貯蔵する体制といいますか、産地における大型の冷凍施設も必要でありましょうし、さらに輸送体系の上においても問題がありましょうし、それから市場から家庭に至るまでのチェーンの間にも問題があるわけです。そういうような問題をあなた方はどういうふうにして克服をしていかれようとお考えになっておるのか。方向としては一つの新しい近代化の方向に向いてはおると思うのですよ。しかし、非常に困難性があるということが一つ。それからもう一つ問題になりますのは、こういうような大型の冷凍食品を取り扱うようなことになりますと、現在の流通機構に対する新しい流通機構が生まれてくるわけです。それは、現在の仲買い人を中心とする流通機構をコールドチェーンのようなものによって迂回作戦で競争の場をつくって、そして物価抑制に役立たせたいということなんです。ところが、その品物を取り扱うものはやはり大きなメーカーでなければ、資本力がなければ、そういうものができないという悩みがある。そうすると、今日においても、魚関係は大きな大洋とか日魯とかいうようなところがほとんど全部牛耳っておるわけです。末端の機構にまでずっとそういうコールドチェーンができていきますと、大資本の手に牛耳られるというおそれがあります。非常にいい点と悪い点とを持っております。その大資本によって牛耳られるような形になるのをどういうふうにしてチェックしていこうとしておられるのか、その点を大臣から承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/80
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081・上原正吉
○上原国務大臣 お説のとおり、コールドチェーンを実施するためには大事な問題だと考えまして、大資本の手に握られて、中小企業者が恩恵に浴せないばかりでなくて、被害をこうむるということになっては本末転倒になる、こう考えておりまして、それを防ぐために、現在実験をしてみようと思っておりますものは、地方の府県自治体と連絡をとって、自治体の御協力を得てやってまいりたい。それからまた、そうでない地区におきましては、農協など相当規模のものにしてもらいまして、実力のある農協などを府県に養成していただきまして、これを中核として事を運んでまいりたい。そして中小企業や零細農業者を若しめるどころか、何ぶんの御貢献ができるようなことにしたい、こういう覚悟でやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/81
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082・村山喜一
○村山(喜)委員 大臣、あなたが言われたことを実現せしめるためには、現在中央卸売市場法という法律があります。しかし、地方市場は全国に三千五百ある。青果物、水産など六種類に分かれております。この中において、いわゆる魚菜市場が千二百ある。魚のそういうようなコールドチェーンを考えていくとするならば、産地あるいは消費地において大型の冷凍施設をつくらなければならぬでしょう。しかし、それは経営形態を見てみますと、ほとんど会社有、いわゆる株式会社有が主体なんです。農協とか漁協とか、こういうようなものが関係しておるのは非常に少ない。ましてや地方公共団体が公設の市場としてやっておるのは、まことにりょうりょうたるものです。そこで、私は農林大臣にこの前予算分科会を通じて、地方市場法というものをつくって、そして現在では条例にしかたよっていない取り締まり、いろいろな規制を法律事項にして、そしてそういうようなものを育成をしていく方向をとらない限りそれはむずかしいですよという話をしたら、そういう方向で努力をしようということなんです。そこであなたの説を裏づけるためには、やはり地方市場法という法律を制定して、野放し状態になっておるものを是正をしていくという方向がこれに伴わなければ実現性がないと思いますが、そういうような面も努力をしていただけるでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/82
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083・上原正吉
○上原国務大臣 お説のような努力をしなければ、仏つくって魂入れずになるおそれがある、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/83
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084・村山喜一
○村山(喜)委員 終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/84
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085・木村武雄
○木村委員長 次に、総理府設置法及び青少年問題協議会設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/85
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086・大出俊
○大出委員 設置法の青少年局の問題がございまして、これもいろいろ今日問題になるところでありますから、それなりに補強の意味で意見もございますけれども、実は当面人事院の勧告の実施時期の問題をめぐりまして相当な論議が各方面にあるようでございまして、この変更が政府部内でいろいろ云々されておりますので、公務員の皆さんの側ではたいへん心配をしているわけでございます。実は連日私ども陳情を受けるという形になっておりますので、なるべく短時間に御見解だけを承っておきたい、こういうふうに実は思うわけでございます。
そこで、実施時期を動かしたいという理由の中に、人事院がいま四月調査、八月勧告、五月実施、こういうことにされておりますけれども、これは年度半ばで補正を組まなければならぬということになるというのが一つの問題点、さらに十分な自然増収でもあるときならばいざ知らず、今日なかなか財源的に苦しい時期に入っている、したがってどうもまずいという言い方、あるいはさらに自治省あるいは大蔵省の皆さんの側では、特に予算財源というものから見まして、時期変更、つまり私どもからいたしますと、改悪意見が出ている、こういうふうに考えられるわけです。
そこで、端的な御質問を申し上げて御答弁を賜わりたいのでありますけれども、まず、人事院の佐藤総裁がお見えになっておりますので、公務員法の改正というようなことでも将来行なわれれば、これはまた別になりますけれども、現行法律からまいりますと、勧告の時期の判断につきましては、これは人事院の権限に属すること、こういうふうに私は理解をいたします。したがって当然に人事院のこの時期判断は尊重をすべきものである、というよりは、むしろ尊重しなければならぬもの、こういうふうに考えるわけでありますが、法のたてまえ上、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/86
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087・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 おっしゃるとおりでありまして、勧告時期、それにつらなる一連の手続につきましては、現在の国家公務員法上人事院におまかせいただいておると信じております。したがいまして、その点は人事院が責任を持ってきめるべきことであり、そしてそれにできるだけ御協力をいただきたいという筋合いになるものだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/87
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088・大出俊
○大出委員 先般、私安井長官に承ったことがございますが、とりあえず人事院総裁に伺いたいと思いますが、人事院勧告の権限、これはスト権にかわる代償機関、代償措置、こういうことでなければならぬわけでありまして、公務員の諸君が給与局長さん等ともやりとりをされているように陰ながら承っておりますけれども、その中でも、その点はストライキ権にかわるものという言い方をされていると思います。その点を前提としますと、予算や財源措置を根拠にいまより悪くする、こういうことは明らかに間違いだというふうに私は思うのであります。もう一ぺん申しますが、予算、財源措置ということ、それが発想の中心になって、逆に権利、権限のほうがおくらされる、あるいは悪くなるということは、あるべきことではないという意味で、私は間違いだと思いますが、どうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/88
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089・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 私と全く同じ考えでありますと拝聴いたします。この内閣委員会におきましても、二度ばかり給与勧告の完全実施について御決議をいただきました。その決議の趣旨も、予算上、財政上の備えを十分することによって勧告を完全にするようにという趣旨の明確にあらわれたものであるというように思いまして、私ども非常に喜んでいるわけでございます。まことにそのとおりだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/89
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090・大出俊
○大出委員 つまり公務員法二十八条でいう勧告の権限、これは予算、財源にかかわりなしに、公務員の生活の実態あるいは民間給与の比較ということの上から、公務員の生活を守るという観点で、そういう立場に立って、公平な立場から上げる必要があれば上げる、それから上げる必要がなければ上げない、こういう性格のものだというふうに私は考えるわけであります。つまり公平な第三者、こういう立場に明確に立たれた上での勧告かつ時期判断、こういうことになる筋合いだと思いますけれども、その辺についてもお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/90
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091・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 基本的な考え方としては、先ほども述べましたとおり、そうあるはずのものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/91
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092・大出俊
○大出委員 それからもう一つ、これはかつて総裁とこの席でやりとりをいたしましたけれども、どうも人事院の総裁の立場で過去を振り返ってみて、民間給与のあとを公務員はいつも迫っかけておる、これはいいのか悪いのかということも首をひねってみたけれども、公務員という立場からすればしかたがないじゃあるまいかということを言われたと思うのです。私はそうではなかろうという反論をしたことがある。公務員の給与の実態ということを一つぽつんと点を打って、民間給与というのはこうなっておるのですから、公務員給与のあり方をそういう意味で人事院が検討されても悪くはなかろう、こういうことを言ったわけでありますが、総裁はそのときに、あとを追いかけるということも、公務員の立場からすればやむを得ないじゃないかということを、ある意味で述懐した、こういうお答えをいただいた。つまり民間給与のあとを追っているという意味では、おくれているということになるのであります。だとすると、いまいろいろいわれている考え方からいたしますと、どれを見ましても、あとを追っかけている、おくれているのに、さらにおくれる、こういう発想のしかたになるわけでありまして、その点で賛成ができない、こう私は考えるわけでありますが、その辺についてひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/92
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093・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 私どもも一応立場は、先ほど申しましたように、基本的な立場に立ちながらも、しかし、われわれのやり方を少しでも変えることによってさらに完全実施が保障されるという方法がある、あるいは現状よりもさらに成果をおさめ得るという確証のある方法があれば、これに越したことはないわけでありますから、その意味で、われわれ努力はしておるわけであります。また、人事局のほうでも、非常に協力をしていただいておりますけれども、いままでいろいろな案をわれわれも考え、また方々から考えていただきましたけれども、またその限りにおいては、われわれがいま申しましたような希望から申しまして、これならだいじょうぶと責任を負えるものを認める段階にまだ入っておらぬというのが、実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/93
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094・大出俊
○大出委員 公労協等の構成、つまり公労委の今日のあり方等を見まして、あれは予算、財源にかかわりなしに、裁定が出るわけであります。これは法的な逢いがございまするけれども、完全実施をいたしております。そういうことになりますと、これらとの関連からいたしまして、法律のたてまえが違いますけれども、予算との関係ということになれば、あくまでも公労委方式というものの考え方が先行して、完全実施あるいは尊重などということばの相違はありますけれども、そういう趣旨のものだという受け取り方をしたいわけであります。その辺についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/94
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095・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 公労委関係の裁定の対象となりますものは、われわれのおあずかりしておる一般職の職員の方も、国家公務員としておられるわけであります。私どもはその点に従来一番関心を持ってきておるわけでありますが、いまお話しのように、公労委関係の裁定は、もはや十年ぐらいずうっと補正もなしに、完全にさかのぼって実施されておるということの比較を常にわれわれはやっておるわけであります。そうすると、それはどういうところからきておるかと申しますと、先ほどもお話に出ておりましたような財政技術上の問題ということでずいぶん共通の面があるのじゃないかという気持ちがいたしまして、その点は、関係の各大臣にも、昨年暮れあたりから盛んに申し上げておるのですが、ひとつそれはポイントじゃないか、こう私は考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/95
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096・大出俊
○大出委員 先ほど総裁がお話しになりました、いろいろなものの考え方があるけれども、いまの段階では、その種のことを前進的にという意味でとるべきでない、こういう意味のことを言われたわけでありますが、それとからめまして、つまり調査、勧告、実施時期の繰り下げ、こういうものの考え方が一つあるわけであります。この秋というところを目途にして、翌年度の予算編成時期に合わせる、つまりこういうことだと思うのでありますが、これでは公務員給与が、さっき申しましたように、今日でもおくれているのに、さらに一年おくれる。これは民間給与にならって公務員の給与はきめられるべきものであるという法の精神、原則に反するということになると、私は理解するわけであります。
それからさらに、当初予算で何とか組む方法はないか、こういう議論もございます。これは予備費あるいは給与費などとして組む。こうなった場合に、しかし、それは翌年の春の賃上げ、これの予測をあらかじめすることになるというふうなことから、いままでなかなかここに踏み切れない、こういうやりとりがございました。しかし、翌年の春の賃上げ幅の予測だから組めないという理屈になりますと、これは一つの政府の所得政策という政治的配慮が公務員賃金を左右する、こういう結果になりかねないわけでありまして、私は、これはそういう意味では、その考えは間違いだというふうに思っておるわけであります。
それからもう一つの問題は、予算の編成の中間的な時点で人事院の勧告が出るというので、予測的な勧告あるいは中間的な勧告などを出さしたらどうだという話も聞くわけでありますが、これもいたずらに人事院勧告を政治的な舞台に乗せていくということにしかならないと私は考えるわけでありまして、ある意味では、公務員の労使関係を不安定なものにする、こういうことになりかねない。したがって、私は、これもとるべきでないという見解をとるわけであります。
さらに、予算補正はやむを得ないものだ、こういう前提に立って、前年度分を翌年の当初予算で組む、こういう言い方をされる意見も一、二聞くわけであります。これも、実のところ民間給与が春に集中している今日の事情等から勘案をいたしますと、やはり民間とのズレを大きくする、こういう方向にしか動かない。その意味では、現行から見て改悪である。こういうふうに私は判断をするわけであります。
したがいまして、これらのいろいろな御意見がありますが、こまかく言うと時間がありませんから、大ざっぱに申し上げているわけでありますが、しかし、いずれにしても、これらは、いま総裁の言われる、前向きに公務員の生活を守ってやる、そういう代償機関としての、第三者機関としての公平な立場から見て、とるべきでない、こういうことだろうと、先ほどの御答弁を理解をするのでございます。大筋としてどんなものでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/96
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097・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 大筋として申し上げますと、官民比較主義は、われわれとしては、当分は少なくとも堅持すべきだという立場にあります。
そうすると、いまのおことばにも出ましたけれども、しからば、民間給与の一番変動の大きいのはいつかというと、春になるわけであります。これをつかまえなければならないということで現行制度ができておるわけでありますから、官民給与の比較を鉄則としていきますと、その時期から離れれば離れるほど、そこにちょっと不穏当なところが出てくる。
それから、最初に申し上げましたように、私どもとしては、民間より先に五現業を控えておるわけです。五現業の賃金が春に上がる時期をわれわれとしてはいつもにらんでいなければならない立場にあると実は思うので、非常に窮屈なことは申し上げませんけれども、言いかえれば、大きな目から見て、公務員のためにいまよりも非常に有利だという保障があれば、多少のゆとりを持って考えてもいいと思いますけれども、その一番の原則は、そういう立場に立って物事を判断しておる、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/97
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098・大出俊
○大出委員 総務長官がお見えになっておられますけれども、人事局長さんがおられますから、私は、多少そういう技術的な面も含みますので、とりあえず増子さんのほうから御答弁をいただいて、そのあとで総務長官のほうから承りたいと思います。
いま私が立論の根拠を明らかにいたしましたように、今日の公務員法等からまいりますと、あくまでも実施時期の判断、勧告時期の判断、調査時期の判断というふうなことは、人事院の権限だ、こういう理解が私は正しいと思うわけでありまして、この点どのようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/98
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099・増子正宏
○増子政府委員 御指摘の点は、私もそのとおりであろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/99
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100・大出俊
○大出委員 これも前回、総務長官がちょうどお見えにならぬときに、人事局長さんに、私、質問したことがあるのでありますが、人事院というのは、代償機関、つまりスト権にかわる代償機関であるということ、この根本理念をお認めになっておると思うのでございますが、この点について承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/100
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101・増子正宏
○増子政府委員 正確な意味において、代償機関ということにいろいろ御意見があろうかと存じますが、いわゆる争議権あるいは、団体協約締結権、そういったものが制限されている国家公務員の勤務条件の維持、改善のための機関というふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/101
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102・大出俊
○大出委員 言い直しますが、憲法十五条、二十八条の関連でILOの条約勧告その他報告等がございますが、かつて私は、予算委員会で、政府の統一見解というものを求めたことがあるわけでありますが、そのときに法務大臣——当時高橋さんでございますが、さらに労働大臣——石田さんでございますが、お話し合いの上で私にお答えいただきましたが、十五条に基づく全体の奉仕者的な意味の条項があるけれども、基本的に代償機関であることに間違いない、長くは申しませんが、こういう相当長い説明がありましたが、そういう当時の石田労働大臣からの御発言があったわけであります。したがって、そういう意味に私は理解したいのでございますが、よろしうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/102
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103・増子正宏
○増子政府委員 よろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/103
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104・大出俊
○大出委員 ということになりますと、先ほど総裁が言われたいろいろな考え方があるけれども、前向き、前進的にというふうにものを考えた場合に、よりよく公務員の生活を守るという意味で考えた場合に、どうもとるべきものではない、こういう意味のことを言われておるわけです。この人事院の見解というものを、私は人事院の権限に属する問題でもございますので、尊重すべきものと考えておるわけであります。そこらについての御判断をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/104
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105・増子正宏
○増子政府委員 私自身としては、そのように考えておるわけでございますけれども、政府部内にはいろいろな御見解もあり得ることと存じます。
それからなお具体的な問題の解決という意味で、いろんな立場からいろいろと考えてみるということは、もちろん必要なことではなかろうかというふうに考えるわけでございまして、人事院の権限を侵すとかなんとかということではなしに、共通の問題といいますか、そういうものを解決するためにいろいろ知恵を出し合って研究しておるということはございます。それは必要であろうかというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/105
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106・大出俊
○大出委員 総務長官にお伺いしたいわけでありますが、給与担当の責任者というお立場でございますので、私はいまおいでになるところで論議を進めてまいりましたが、この大筋に誤りがないというふうに私は考えておりますし、そういうお答弁も大筋として賜わりましたが、その辺のところを総務長官からひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/106
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107・安井謙
○安井国務大臣 いままでの質疑応答の限りにおきましては、これは大筋でそのとおりであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/107
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108・大出俊
○大出委員 そうしますと、人事院の権限に属するものという意味で尊重願える、こういうふうに受け取りたいのでありますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/108
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109・安井謙
○安井国務大臣 いままでの公務員の給与につきましては、そういうことでやっておりますし、またそうあることが正しいと思っております。ただ、根本的に言いますならば、全体の奉仕者である公務員の身分というものは、政府自身の責任で保障すべきものではないかという一つの考え方もある。そうなれば、政府自身がきめてしかるべきものじゃないかという考え方も、一つの考え方としてあると思います。しかし、私はいまの制度が非常にいいものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/109
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110・大出俊
○大出委員 いまの制度が非常にいいものであるという御見解でございますから、いまの論議を前提にいたしますと、御検討願えるということになると思いますが、よろしうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/110
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111・安井謙
○安井国務大臣 そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/111
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112・大出俊
○大出委員 そこで、時間がおおむね二十分近くなりましたから簡単に御質問いたしますけれども、給与局長さんのほうに承っておきたいのでありますが、去年の人事院勧告は、一・六%ばかり積み残しという意味で積み上げたわけでございます。ところで、これはどうして積んだのだという意見も陰ながら聞いているわけです。つまり人事院が一・六%積み上げたかということです。そこで、本年度の勧告の時期がやがてまいりますけれども、それに向かって調査時期、さらに勧告、実施時期、こういうふうなものについて、技術的な面を含みますから局長にお伺いするのでありますが昨年と対比いたしまして、どういうふうにお考えになっているかをいまの点で御質問申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/112
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113・瀧本忠男
○瀧本政府委員 昨年一・六%というものを積んだということは、これは全く異例の措置であるというふうに思います。あくまで人事院の勧告は、人事院が行ないます厳密なる調査に基づきまして、その厳密な資料に基づきまして御勧告申し上げる、そういうことが一番われわれとして大切なことであろうというふうに思っております。去年の一・六%というのは、これは非常におくれたという経緯もありまして、異例の措置としてこういうふうに考えた。去年もいろいろそのことについては、常態としてそういうことを考えるものでないということをわれわれ注釈的に何べんも申し上げたのですが、そういうことでございます。
で、ことしはどうするかということでございますが、これがもうただいまお話が出ておりますように、公務員共闘の方々がおいでになりまして、いろいろお話のあるところでございます。現在におきまして、人事院として決定いたしておりません。しかしながら、現在の勧告のやり方、実施時期なり、調査時期なり、いろんな問題を含めまして考えております。これは一朝一夕のわがほうの任意な気持ちでできたものではございません。必然性があるわけであります。これを変えるというような場合には、それ相当の理由がなくてはならない。現在のところ、まだそういうことを決定する段階に至っておりません。けれども、私もそのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/113
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114・大出俊
○大出委員 いま公務員共闘のお話が出ました。出ましたから申し上げるのですが、私も陰ながら聞いておるのですけれども、局長さんのほうの答弁のやりとりの大きな筋を私、耳にしておるのですが、一つは、財政に従属さすべきものでなかろうという判断、それから公務員法二十八条に従ってやるべきものだという判断、さらにまた、その意味ではさっき総裁とのやりとりで私が申しましたいろいろな案がありますが、賛成できかねるという立場、さらに公務員に不利になることは好ましくないという考え、さらに原則として四月調査、八月勧告、五月実施というふうなものは変えたくないという意味のこと、それからポイントが幾つか考え方としてあるように聞いておるのですが、それはいま言われた一・六%の積み上げは異例な措置だというような意味、それから毎勤の実態等についての民間との格差等のはじき方、あるいは春闘によって春に集中的な賃上げが行なわれておるという現実でありますから、それとの関係などが述べられておるように思うのですが、これについて念を押しておきたいことが一つあるわけです。これはあくまでも人事院が判断する調査時期、実施時期というものの検討の上に出てくる問題であって、先ほど来私が申し上げておる、総裁から御答弁をいただいておる基本的なものの考え方、勧告の実施時期、調査時期、あるいはそれをめぐる問題、この基本理念については、瀧本さんのほうも誤りないものとお考えの上で、給与をいろいろ判断をされる技術的な面を含めていまのようなことばが出ておる、そういうふうに理解したのですが、その辺のこと、二つを質問しておるのですが、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/114
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115・瀧本忠男
○瀧本政府委員 現在のところ、人事院といたしましてことしどうやるかということは、決定いたす段階にまだ達しておりません。この問題は、そうは申しましても、時期的にこれから二月たっても三月たってもきまらぬというような問題ではございません。現在そういう状態の時期にあるわけです。そこで、お話がいろいろ公務員共闘からも出ておりますが、申し上げ得ることは、先ほど総裁がおっしゃっておられたような原則論しか言い得ないのであります。たまたまいろいろなお話をしておりますと、三時間くらいお目にかかっておりますと、黙っているわけにはまいりませんから、いろいろ言うことがございます。そうすると、そっちのほうへむしろとらえられて、話がいろいろ発展するのですが、いま申し上げることは原則論であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/115
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116・大出俊
○大出委員 そうお答えいただければいいのであって、異例な措置などを去年はとったから、ことしはその異例な措置をとらないのだとなると、おくれるということになりかねませんので、いまの原則ということにお帰りのようですから、その点だけ念を押しておきます。
それから次の問題は、これは終わりでありますけれども、私は、きまっておらないわけですから希望を申し上げるのですが、いままで物価というものをどう見るかということについて、民間給与との比較をやるのだから、その民間の給与に物価が含まれておるという考え方をされていたわけですが、どうも政策的な面、いろいろ含めまして、物価が正しく民間企業に反映をしていない、こういうものの見方も一面あるわけであります。人事院が直接的に物価というものを入れる努力をなさったらどうか、これは私の希望でございます。というのは、きまっておられないからということでございますから、それから春闘分の積み上げ、積み残しなどといわれるものについても、正しく積み上げなり、あるいは調査なりしていただきたいというふうに私は思うのであります。なぜならば、世上いろいろなところで春の集中的賃上げの結果はこのくらいのところにいっているということが公然といわれている時期に、人事院がおとりになっているのがあまりにも低い、こういう点がございますので、そこらの御勘考のほどをいただきたいと思うわけであります。これは要望であります。
ところで、最後にけさの日本経済新聞の社説に、一番最後のところに、官公労使の関係を不安にしてはいけない、こういう観点をひとつ取り上げまして、そういうことを含めての公務員給与改定の実施時期をきめることが必要なんだという立論で、したがって、現行の方式を踏襲をして予算措置について別途な方法を講ずる。いろいろな案が出ておるけれども、どれもこれもまずい。まずいからいまのシステムでいって、途中で勧告が出るんだから、したがって、予算をどう組むかが問題になる。しかし、その問題点を克服をして、やはり特別な予算措置を考える。いまの体制をくずさないで、予算措置の面だけ特別な予算措置を講ずる、つまり予算に従属させられる勧告であってはいけない、こういう意味の社説がるる書かれておりまして、この結論は旧来から主張いたしております私の考え方とほぼ同一でございますが、あたかも時期的に日本経済新聞あたりの御認識でこう書かれたことは、私は非常に幸いだと思うのでありますが、この辺のところを、おそらく総裁も、あるいは長官もそう御異論のあるところではない気がするのであります。そういうふうにひとつお受け取りをいただきたいと思いますが、総裁いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/116
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117・佐藤達夫
○佐藤(達)政府委員 私の立場はちょっとひいき目に見るせいかもしれませんけれども、私の読んだきょうの社説は、いま大出委員のおっしゃるとおりに読みまして、わが意を得たという感じを持ちました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/117
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118・大出俊
○大出委員 終わりますが、総裁、長官は、給与担当という非常にむずかしい責任をずっと負っておられるわけでありますが、私もその意味で何べんもごやっかいをかけておりますけれども、どうかひとつ、人事院の現行法制に基づく立場というものを御尊重なされたいことを最後に申し上げて、その点についてだけ御回答をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/118
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119・安井謙
○安井国務大臣 どういう方法が一番いいかということは、目下鋭意検討中でございまして、いろいろな御指摘の点も十分配慮しながら、最善の方法を早急に出したい、かように思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/119
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120・大出俊
○大出委員 大体いまの人事院の法律的な立場というのは御尊重いただくという先ほどの発言がありましたので、それとからんでただいまの御答弁を受け取っておきたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/120
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121・木村武雄
○木村委員長 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/121
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122・大原亨
○大原委員 昨年の八月に、科学技術庁は予算を相当ばく大に使われまして、中性洗剤ABSの毒性や公害問題についていろいろと調査をなさった、その結果を昨年八月に発表されておるわけです。大体予算を幾ら使って、どのくらい年数がかかってやったのか、この点を最初にお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/122
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123・高橋正春
○高橋(正)政府委員 お答え申し上げます。千五百四十六万九千円でございまして、三十七年及び三十八年の初頭に出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/123
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124・大原亨
○大原委員 千五百四十六万円ですか、違ってないですか。それは科学技術庁だけが使ったもの、それとも厚生省その他部会に研究してもらった費用を含むのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/124
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125・高橋正春
○高橋(正)政府委員 特別研究促進調整費の全額でございますので、当庁が関係各省に移しかえをいたしまして使用されました総額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/125
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126・大原亨
○大原委員 科学技術庁というところは、いま設置法の問題を議論になっておりますが、ここは日本の科学行政について大体責任を持っているところだろうか、私はこういう疑問を従来から持っております。各官庁あるいは部会に対しまして、もちろん各方面の知識を動員するということは大切ですけれども、何も科学技術庁の中で全部やる必要はないのではないか。大体でいいのですが、どういう調査の経過をたどって結論を出されたのか、これをひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/126
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127・高橋正春
○高橋(正)政府委員 当庁といたしましては、各省庁が行ないます研究を総合的、かつ、合理的に行なうという使命を持っておるわけであります。したがいまして、二省庁以上にわたります各省庁が研究をいたします場合に、これを総合的に行ないますために、先ほど申し上げました特別研究促進調整費を支出するわけでございますが、三十七年初頭以来、中性洗剤の問題が各般にわたりまして種々論議をされまして、さらに国会等におきましても種々御論議に相なったわけでございますが、特に科学技術特別委員会におきまして、この問題に対しましての研究を十分に促進するようにというようなお示しもございましたので、昭和三十七年の六月に各省庁に対しまして研究の総合的な進め方につきましての協議を行ないまして、当年の六月に予算の移しかえを行なっております。以降、各担当の研究機関におきますところの研究を進めまして、その中で必要なもの、たとえば食品衛生上の問題につきましては、結論を早く得られましたので、たとえば三十七年の九月の下旬には一部は研究の結果を御報告申し上げまして、食品衛生調査会等の中性洗剤に対します諮問のお答えに対します資料と相なっております。さらにその後におきましても、研究の内容につきましては、研究の促進の過程がいろいろございますこと、それからさらに中性洗剤の分解微生物に関します研究項目を新たに追加する必要等もございまして、これは三十七年度の末に新たに予算を追加して支出いたしております。三十八年の三月には上水道と下水道に関する研究ができまして、これを発表いたしました。先ほど申し上げました分解微生物等に関します研究が終了いたしましたのが四十年の三月でございますので、したがいまして、四十年の七月にただいま申し上げました全部の研究の結果を取りまとめまして、四十年八月に総論という形態で発表いたしております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/127
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128・大原亨
○大原委員 通産省にお尋ねするのですが、この四、五年来のABS、ハード型の中性洗剤の生産量、それから商品の種類、これは何種類くらいあるのか、あなたのほうは生産を管理しあるいは指導しておるわけですから、それをひとつお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/128
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129・伊藤三郎
○伊藤政府委員 合成洗剤のうちハード型の洗剤の生産実績でございますが、昭和四十年度が三十二万二千二十八トン、三十九年度が二十六万八千八百三十四トン、三十八年度が二十三万二千五百トン、三十七年度が十六万四千七百十八トン、三十六年度が十一万七千九百十六トン、三十五年度が五万二千九百九十五トンでございます。いま申しましたのがABS系の洗剤の生産実績でございますが、このほかに高級アルコール系統のものがございます。これはいわゆるソフト型洗剤でございまして、この数量も申し上げましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/129
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130・大原亨
○大原委員 ついでに言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/130
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131・伊藤三郎
○伊藤政府委員 この数量は、四十年度が二万六千七百六十一トン、三十九年度が二万四千三トン、三十八年度が二万五千二百九十トン、三十七年度が二万四千五百八十トン、三十六年度が三万二千五百五十五トン、三十五年度が三万三千百六十九トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/131
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132・大原亨
○大原委員 おもな商品名。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/132
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133・伊藤三郎
○伊藤政府委員 ハード型の合成洗剤の原料につきましては日本石油洗剤、三菱油化、住友化学、これが現在生産いたしておるわけでございます。ソフト型の洗剤は、日産コノコが現在工場を建設中でありまして、本年の四月から操業を開始する予定でございます。こういういわば洗剤の原料を使用いたしまして、あと洗剤メーカーがいろいろそれぞれの商標をつけて販売をしておることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/133
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134・大原亨
○大原委員 この話はちょっと逆にいくのですが、最近新聞に出ていますね。ソフトモノゲン、これはモノゲン製品、日本の井戸水とか川にあわがある、水道からあわが出た、あるいは「お洗たくなさる奥さまのためにも」というようなことも書いてあるのです。これは一面に出ている。ハードをソフトに切りかえるのだということで、ずっと最近出たわけですね。これはモノゲン第一工業ですか、ここも切りかえているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/134
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135・伊藤三郎
○伊藤政府委員 第一工業で計画しておりますソフトの洗剤は、現在は原料を輸入いたしましてつくっておるそうでございます。日産コノコの生産が、先ほど申し上げましたように本年四月から始まりますと、日産コノコの製品を使いまして、ソフト洗剤を生産するという計画のようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/135
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136・大原亨
○大原委員 ハード型をソフトに切りかえるのは国際的な問題でありますから、あとで議論いたします。通産大臣とも分科会で議論をいたしまして、通産省の方針もやや明確に聞きました。そこで、通産大臣の御答弁は、ハードをソフトに切りかえる、こういうふうな積極的な指導方針をとってやるのだ、こういう御答弁でした。これは間違いありませんね、局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/136
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137・伊藤三郎
○伊藤政府委員 現在のところ、ハード型を直ちに全部ソフトに切りかえるということは、いろいろ事情がございまして、法的な禁止をやるということはできかねる考えでおります。ただ、今後洗剤の原料をつくる工場につきましては、行政指導をいたしまして、ソフト型の洗剤原料をつくるような工場にしなさいという行政指導をしておるわけでございます。したがいまして、新しくハード型の洗剤の設備を増設するというようなことはないわけでございます。できるだけ早くソフト型に切りかえるようにという指導をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/137
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138・大原亨
○大原委員 あなたの答弁は大臣の答弁と違うじゃありませんか。大臣はそんな答弁はしなかった。通産省というのは、だれの立場に立って行政をやっておるのですか。メーカーの設備はできるだけいまの分は置いておいてもうけさせるという立場ですか。これは国際的にも、ドイツやアメリカから四、五年来伝わってきたわけです。非常にあわ立ちがよくてみんな喜んで使っておったが、あとで申し上げるような毒性や公害の問題がどこでも問題になっておるわけです。それについてはもう少し的確な指導をすべきであるという考え方で通産大臣に答弁を求めた。あなたの答弁と違いますよ。これはまたあとで私は具体的に質問をいたします。
そこで、昨年の八月に科学技術庁がやりました中性洗剤の特別研究についての研究結果の概要というのを発表いたしたことは、御承知のとおりです。これはあなたが科学技術庁長官の時代。これは一部の新聞——それぞれ新聞や報道等によって取り上げ方が違うわけですが、私は切り抜きを持っております。これは毒性の問題については無害である、こういうことをまっ先に報道されたわけであります。議論する問題は毒性と公害の問題ですが、しかし、この記録を詳細に検討いたしてみますと、どこか逃げ道のあるような表現のしかたであります。これは厚生省も食品衛生、環境衛生で研究されたことなんですが、しかし、これもいままでの経過の中で非常に問題となっておったわけであります。これはあとで申し上げます。このような問題に対する表現のしかたというものは、私は非常に科学的でないと思うのです。非科学的だと思うのです。というのは、問題の起こりは、現在裁判をやっておると思うのでありますが、これは薬の害、薬禍の問題で——この問題ではない、私はほかの問題で議論したけれども、そういうことに類する問題だけれども、いまのハード型の洗剤をライポンF、ライオン油脂が精製しておるのですが、相当有名な品物です。あやまってさじで二グラムか三グラム飲んで死んだわけです。解剖いたしました結果は、やはりその中性洗剤だということに医師の診断があるわけです。その議論はともかくといたしまして、これは政府も悪いし、メーカーも責任があるということで、いま裁判中であります。それはともかくといたしまして、動物実験その他を見ましても、あるいは科学技術庁が出しました各論の研究資料を見ましても、動物実験等でも有害である、量を過ごしたならば有害である、そういうことが出ておるわけです。だから、少なくともここには明確に、量を誤ればやはり人畜に被害があるという、誤用した場合においては、そういう毒性なり、問題があるということを明確にやはり一本出すべきである。この点を出さなかったのは、業界その他の圧力があるのではないかというふうに一部でいわれておるけれども、科学技術庁としては国民のためにとるところではないと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/138
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139・高橋正春
○高橋(正)政府委員 大原先生の御指摘のとおりでありますが、私どもは研究結果をそのままここに出しまして、たとえて申し上げますと、急性毒性の場合には、動物実験でありますけれども、体重一キロ当たり二、二グラムで半数死ぬというようなことも、ここに明記をいたしておるわけであります。したがいまして、ここにございますように、通常の使用濃度、方法で用いればよろしい。たとえば致死量にいたしましても、通常私どもが野菜等の洗浄に用いました場合に、体内に取り入れますところの、これも研究結果がございますけれども、体重当たり〇・六ミリグラム、そういたしますと、急性毒性でも三千六百分の一以下になっておるというようなことがございますが、先生の御指摘のような行政的な措置はここには触れませんでしたけれども、研究の結果といたしましては、明らかに半数致死量等をここに明記いたしておりますので、全く無毒であるというような、誤解を受けるような表現はいたさなかったつもりでございます。ただ、御指摘のような点は、確かに研究結果の発表そのものの中には明記をいたしてございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/139
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140・大原亨
○大原委員 文章にもありますように、通常の使用濃度というふうに、ここへ逃げるように書いてあるわけですが、しかし、通常といいましても、何倍とか、どのくらいの濃度というようなことは、なかなか専門的にもわからないわけです。ですから、使用量を誤ればこれは危険ですよということを——これは動物実験等に出ておるわけです。そういうことが、あれだけ問題となった政治問題でありますから、研究結果としてそういうふうに表明することが民主的であり、当然のことではないか。当時の報道等は、詳細に書いたところもあるし、反論を載せたところもあるのですが、無害であるということだけが前面に出ているわけです。動物実験等を見ましても、動物実験につきましては、経口投与によって血液、体内酵素等には特に影響は認められないということで、しまいに分量が書いてあるわけですが、これは分量が問題であるわけです。蓄積や許容量の問題があるわけで、これは今日どんどん使われているときには、公害問題として非常に重大な問題であります。手が荒れる、あるいは顔なんかの皮膚に黒ずんだところが出てくるというような、俗に言う主婦湿しんという問題、これは特に学校等の給食婦はたくさん使うわけです。食器を洗うときにしょっちゅう使っておる。そういう給食婦等は手の荒れやその他を訴えるし、あるいは下痢その他を訴える、こういう実情があるわけであります。量を過ごせばそういうことになるわけであります。だから、主婦湿しんについては、これは触れておりませんね。これはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/140
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141・高橋正春
○高橋(正)政府委員 皮膚の問題につきましては、衛生試験所、東京医科大学皮膚科の研究報告がございますが、その中につきましては、こまかいことは略しますけれども、特別に通常の使用濃度のものを用いました場合には、たとえばABSの十カ月間の長期の使用等におきまして、八十四名中三名にきわめて軽度の荒れを生じたというようなこと、それから同じくABSの軟こうを張りつけました試験でございますけれども、四十八時間の検査でございますが、これにつきまして三十名中一名荒れを生じたというようなことがございました。そのほか、三カ月間に長期の使用をいたしました結果がございますけれども、これにつきましては、二十名中全員障害なし、このような結果が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/141
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142・大原亨
○大原委員 それはそういう資料はどうかしているのですよ。私はここにこういう資料を持っているのです。これは東京、大阪における洗剤、シャンプー等に関する消費者調査、これは限定出版なんですが、東京都北区の農業技術会議、その住所をつけて株式会社マーケティング、リサーチ・サービス、こういう会社が三十五部ほどその調査結果の資料をつくったのであります。それでこれは第十二部目です。それによりますと、東京を調べてみたら、荒れた、荒れないの、そういう調査をしている。その荒れたというのが四七%、約半分であります。四七%荒れた、こういうふうに出ているのです。あなたの資料はどこかどうかしている。それはよほど注意をして使ったか、そういうところであります。これは関東の逓信病院の皮膚科で撮影した写真ですよ。ちょいちょいよく出ている写真です。これはいわゆる中性洗剤で荒れている。こういうふうに荒れが生ずるのは、皮膚や血液を通って肝臓へ入ってくる、肝臓をおかすという議論もあるけれども、胃や腸に許容量を越えてたくさん入っていくと、胃や腸を荒れさせて下痢をさせる、こういう学説や議論にも発展をいたしておるわけです。私どもは、科学技術庁の調査というものは、非常に有利な調査だけをとったのじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/142
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143・高橋正春
○高橋(正)政府委員 大原さんから御指摘になりましたが、私どもといたしましては、これは研究者の研究の成果をそのまま載せましたものでございますので、もちろん何らの作為は加えてございません。
なお、御指摘の資料と当方でやりました研究の場合使用いたしましたABSの濃度と、あるいは貼付の時間等が差があるかと思いますけれども、御指摘の資料を私拝見いたしておりませんので、その点につきましては申し上げられません。
なお、皮膚から吸収されまして、これが各臓器などに対しましての影響につきましては、この研究の中にございますが、これはコンマの三%のABS溶液を四十八時間手に浸しておきました場合の結果でございますが、この場合に血液にABSが入ります量は、体重一キログラム当たりにいたしましてコンマの〇〇一ミリグラムと、ほとんど無視してよろしいというような結果が出ておりますのと、それから吸収されましたものが排出されますところの時間というものも、一応非常に早いという結果が出ております。これはそれらの研究の結果の実情でございますが、そのような資料が出ております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/143
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144・大原亨
○大原委員 動物実験をやって、相当な濃度のものですけれども、ずっと継続して何日かやっておいたらネズミが死ぬる、こういう動物実験のほうもあなたのほうの各論にあるのですが、あなたのほうの各論か、同じ研究者になった学者の調査の中に書いたものがあるのです。私は、これは秘密になっておるのはなぜかというと、これは花王石けんがやったのですよ。花王石けんが、ライポンFか何かつくっておるから、こっそり権威のある市場調査の株式会社に委嘱してやったのですよ。今日そういう専門の技師なんかに聞いてごらんなさい。あなたのようにあいまいな答弁をする人はおらぬですよ。あなたのような非科学的な答弁をする人はおらぬですよ。私はあとから幾らでも資料を出しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/144
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145・高橋正春
○高橋(正)政府委員 私は研究の結果をそのまま申し上げましたわけでございますが、先生の御指摘のようなものは、実は最近私も文献といたしまして調査いたしました。御指摘のものは順天堂大学の小谷教授の御研究の結果だろうと思っておりますが、これは原液を使っております。同じく柳沢先生が援用されております外国文献等も見ましたけれども、これは同じく原液を使っております。先ほど申し上げました私どものほうの研究結果は、そのような濃度のものを使っておりませんので、その間の結果的な差だろうと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/145
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146・大原亨
○大原委員 今度公害の問題だが、これは玉川上水の水だ。長官、こういうのですよ。ひねったらあわが出るやつで、新聞にも出た。つまり、使って分解しにくいものだから、次から次へ流れていって、地中へ入っていっても、そういうハード型の洗剤ですから、下水の浄化をやってもきれいにならないで、回り回ってまた玉川上水に入る、こういうことです。玉川浄水場みたいなわりあい位置のいいところでも、許容量すれすれ——許容量というものがあるかないかということは別として、そういう問題が起きている。——それでは本会議になったようですから、これはついでに、いままでの議論の経過がありますから、これからの対策がありますから、これはぜひ問題点だけは議論をしておく必要があると思って、私も資料を集めております。公害の問題とそれから毒性の問題、あるいはこれからの扱いの問題、あるいは監督上の問題、それから通産省の産業政策上の問題、こういう問題を簡潔に触れておきたいと思うのです。そうしないと、科学技術庁に人間を出したり予算を出しても、何をやるかわからぬ。これは大切な問題ですから一応……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/146
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147・木村武雄
○木村委員長 次会は、明四日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時五十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01019660303/147
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