1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十二日(火曜日)
午前十一時四分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 伊能繁次郎君 理事 岩動 道行君
理事 辻 寛一君 理事 長谷川四郎君
理事 藤枝 泉介君 理事 山内 広君
臼井 莊一君 藤尾 正行君
保科善四郎君 堀内 一雄君
前田 正男君 湊 徹郎君
楢崎弥之助君 米内山義一郎君
受田 新吉君
出席国務大臣
厚 生 大 臣 鈴木 善幸君
運 輸 大 臣 中村 寅太君
出席政府委員
総理府事務官
(恩給局長) 矢倉 一郎君
厚生事務官
(大臣官房長) 梅本 純正君
厚 生 技 官
(公衆衛生局
長) 中原龍之助君
厚 生 技 官
(環境衛生局
長) 舘林 宣夫君
厚 生 技 官
(医務局長) 若松 栄一君
厚生事務官
(薬務局長) 坂元貞一郎君
厚生事務官
(社会局長) 今村 譲君
厚生事務官
(援護局長) 実本 博次君
運輸事務官
(大臣官房長) 深草 克巳君
運 輸 技 官
(港湾局長) 佐藤 肇君
運輸事務官
(航空局長) 佐藤 光夫君
委員外の出席者
専 門 員 茨木 純一君
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三月十九日
靖国神社の国家護持に関する請願(逢澤寛君紹
介)(第一八九八号)
同外一件(逢澤寛君紹介)(第一九八二号)
建国記念日制定に関する請願(宇野宗佑君紹
介)(第一八九九号)
旧軍人恩給に関する請願(正示啓次郎君紹介)
(第一九〇〇号)
同(中馬辰猪君紹介)(第一九四三号)
同外四件(渡海元三郎君紹介)(第二〇三二
号)
同(山本勝市君外一名紹介)(第二〇五一号)
退職公務員の恩給、共済年金に関する請願(渡
海元三郎君紹介)(第一九〇一号)
同外一件(渡海元三郎君紹介)(第二〇三三
号)
旧軍人恩給戦地加算年の不均衡是正に関する請
願(有田喜一君紹介)(第一九四〇号)
国立大学教官の待遇改善に関する請願(川崎秀
二君紹介)(第一九四一号)
同(辻寛一君紹介)(第一九四二号)
同外二件(辻寛一君紹介)(第一九八四号)
行政職俸給表(二)等職員の労働条件改善に関
する請願(稻村隆一君紹介)(第一九七三号)
同(三木喜夫君紹介)(第一九七四号)
同外二件(大出俊君紹介)(第一九八三号)
引揚者在外私有財産補償促進に関する請願(小
川半次君紹介)(第二〇五二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
運輸省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二七号)
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出第二四号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
運輸省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。伊能繁次郎君。
〔委員長退席、辻委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/1
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002・伊能繁次郎
○伊能委員 今回の運輸省設置法の一部を改正する法律案は、政府御提案の内容はおおむね六点のようでありますが、そのうち一と六はそれぞれ船舶航行の安全に関する事務内容の修正、第三については、港湾技術研究所に、昨年度港湾建設局に委託によって地方の飛行場建設の仕事をさせるということと相まって、研究所に飛行場の土木施設の建設、改良及び保全に関する研究を加えるということで、重要な問題ではあっても事務的な内容のように拝見せられますので、私は主として第二の船舶技術研究所の所掌事務に、将来の船舶航法の高度化に伴って人工衛星による航法の開発に関する研究、第四の港湾審議会の所掌事務に、昭和四十三年三月三十一日までの間港湾運送事業の合理化に関する重要事項の調査審議の内容を加え、さらに、最近の航空事故に関連しまして、本省の地方支分局として置かれている航空交通管制本部を、今回は札幌航空交通管制部、東京航空交通管制部及び福岡航空交通管制部に分轄する、この三つの点についてお伺いをいたしたいと思います。
最初に、船舶技術研究所の所掌事務に、人工衛星による航法の開発に関する研究の事項を加えられたことは、まことに適切な施策であると存じますが、その内容の実態について十分本委員会において御説明をいただきたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/2
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003・深草克巳
○深草政府委員 ただいまの人工衛星によります航法の開発を船舶技術研究所の所掌事務に加えた理由でございますが、わが国の海運あるいは水産、航空の発達に伴いまして、船や航空機の経済性及び安全性の向上のために優秀な電子航法の開発に対する要請が強くなりました。たとえばロランあるいはデッカ、こういった新しい電子航法が普及しつつあるのは御承知のとおりであります。しかし、これらの方式は、いずれも外国で開発されたものでございまして、有効範囲もきわめて狭く、しかも開発国における利用が便利なような海域でしか利用できない部分が多うございます。また、電子航法をフルに利用するにはおのおのの船舶がいろいろな機器を重複して装備しなければならない等の欠点がございます。さらに、これらの機器に対する特許料の支払いの問題、あるいは技術輸入等によりまして外貨の流出が非常に多くなってくる。これらに対しまして、今般研究をしようと思います衛星航法は、きわめて広範囲に把握できる、それから必要とあれば全世界の海域、空域をカバーすることができますので、船舶ごとに一種類の機器を装備しておりさえすれば、従来では利用できなかったたとえば北太平洋、オホーツク海その他あらゆる海域におきまして、衛星航法によって航行をすることができるようになるわけでございます。このような衛星航法につきましては、諸外国も注目をいたしておりまして、すでに米国あるいはヨーロッパの一部におきましては研究を始めております。ただ、その研究もまだ緒についたばかりでございますので、国連の諸機関におきます国際的な検討の進め方も固まっていない状況でございますが、ただアメリカあたりからすでに共同研究の申し入れさえ来ておるようなわけでございます。こういった必要性、外貨の流出を防ぐとか、あるいは一種類の機器を船あるいは航空機に積んだだけで全世界をカバーできる非常に便利なものでございますので、しかも精度が非常に高いというようなメリットもございますので、わが国で開発がおくれますとまたデッカやロランの二の舞いを生ずることになりますから、早目に始めようということでございます。
船航技術研究所でやる理由につきましては、これはロケットの打ち上げ自体につきましては科学技術庁で統一してやるわけでございますが、積み込みます機器類、あるいはそれを受けます船の受けるほうの機器類、こういったものは運輸省で研究すべしという宇宙開発審議会、電子技術審議会その他二、三の審議会の答申で、運輸省にまかされておりますので、私どもの研究所でこれを始めようということになったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/3
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004・伊能繁次郎
○伊能委員 ただいまの御説明で概略のことはわかったわけでございますが。われわれは過去において、ロラン航法、デッカ航法等についても、いま官房長からお話しのような、航行安全の上からも、経済性の上からも、きわめて有益であるということで、現に北海道、関東その他へ、ロラン基地等も設けられまして、これらの問題について相当な金も加え、かつ船にも施設をせられたと思うのですが、今回、新たに人工衛星による衛星航法というような新しい施設並びに研究が進められることは非常にけっこうでございますが、従来のデッカなりロランの実績等についてもどういう状況であったか、御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/4
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005・深草克巳
○深草政府委員 先ほど申しましたように、到達距離が非常に短いということ、あるいは一部の海域では利用できないというようなこと、それから船のほうで機器をたくさん重複して積まなければいかぬというような問題がございまして——もちろんロラン、デッカ等もその到達距離の範囲内では十分な効果をあげておるわけでありますが、そういった不便がございますので、今回の研究に踏み切ったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/5
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006・伊能繁次郎
○伊能委員 それで、科学技術庁あるいは大学等の総合的な研究に待つところが多いと思いますが、これによって人工衛星航法は大体いつごろをめどに完成をされようとしておるか、その点についてもお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/6
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007・深草克巳
○深草政府委員 一応立てておりますあれは、今後の研究開発を三つの段階に分けておりまして、四十一年度から四十三年度までの間の第一期でございますが、これは人工衛星によります航法のシステムにつきましての概略設計を終わることになっております。それから続いて、その結果に基づきまして、四十四年度から四十五年度までの第二期におきまして、システム、これは装置も含みましての詳細設計及び一部装置の試作を行ないます。その後二カ年程度の第三期に、システムの組み立て及び評価試験を行なうことにしておるわけでございます。
ただ、これは現在までの計画でございますが、国際共同開発というような問題もすでに、先ほど申しましたようにアメリカとの間には進んでおりますし、そのほか、そういった諸外国との共同研究への参加というようなことも考えますと、それによって早くなることもありますし、あるいは、そういった情勢が進展しないということになりますと、この計画よりも若干おそくなるということも考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/7
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008・伊能繁次郎
○伊能委員 開発の計画等についても、ただいまの説明でわかりましたが、日本の船舶建造技術の進歩等によって、最近は世界でも驚異と思うような超大型の船も日本においてでき、一方において、運航の合理化等によって非常に少数の人員で超大な船舶の航行を確保しておるという実情でございますが、この人工衛星航法によって、人員の面でも合理化、節約等ができるのかどうか、その辺もお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/8
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009・深草克巳
○深草政府委員 私もその辺の詳細については存じておりませんが、現在でも航法の自動化というものが相当行なわれておりますので、これによりまして、甲板部関係の、特に操縦関係の人間が——これは完全に自動化するわけでもないので、やはり人力にたよらなければいかぬ点もございますので、これによって直ちに人員の節約ができるということは予想できないわけでございます。ただ、現在デッカやロランの場合には、いろいろな機器も積んでおりますし、そういったものにつく人間の数その他から考えて、若干の節減は可能かと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/9
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010・伊能繁次郎
○伊能委員 人工衛星による航法の開発の問題は、概略わかりました。
次に、改正第四点の港湾審議会の所掌事務に、期限つきで港湾運送事業の合理化に関する重要事項の調査審議、この項目が今回加えられようとしておりますが、この点については、昨年度の政府の予算並びに法律案の提出に際して、港湾労働法の問題があり、また、それに関連した審議会の問題等もありましたが、港湾運送事業と港湾労働の問題とはかなり密接な関連がありますので、この点について両省並びに両審議会の、政府としての運用の具体的な方法等についてどう考えておられるか、その辺のところをお伺いしないと——先般の港湾労働法制定の際にもいろいろ問題になったかと思いますが、その点は港湾局長からでもぜひ内容を明確に御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/10
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011・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 二年間の期間を限りましたのは、先生のおっしゃられましたように、三・三答申を受けて、港湾労働法がこの七月から全面的に施行せられるものでございますから、早急にそれの裏づけとしての港湾事業の問題を解決していきたい、こういう趣旨でございます。
また、内閣に設けられております審議会と、港湾審議会に新しく設けられます港湾運送部会との関係は、内閣に設けられております審議会につきましては、労働大臣の諮問にこたえて港湾労働法のための労働者の定数を決定するということと、もう一つは、各省に関係する港湾の問題をあの審議会にかけることになっておりますので、運輸省固有の事務でございます港湾運送事業の問題につきましては、この港湾審議会の中に設けられる港湾運送部会においてやっていきたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/11
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012・伊能繁次郎
○伊能委員 いまのお話で非常によくわかりましたが、問題は、労働省の港湾労働、なかんずく港湾労働者保護という観点と、運輸省における港湾労働並びに港湾運送事業、港湾荷役の確立という面とにおいて、いろいろ政府部内では、数年間かかって調整をした結果、ああいう形での内容の確立を見たわけでありますが、最近の情勢において、政府部内で、港湾労働の保護と、港湾荷役の確立という面において何ら支障がないかどうか、その辺の経緯も承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/12
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013・佐藤肇
○佐藤(肇)政府委員 港湾労働法並びに港湾運送事業法の改正というものは、三・三答申をもとにして行なわれておりまして、三・三答申におきましては、労働者を確保するためには、なるべく常用化を進めろ、それから日雇い労働者につきましては、定数をきめて、その確保をはかるということになっておりますし、港湾運送事業につきましての答申の内容は、労働者の福祉を高めるためにも事業を集約化するということになっておるわけでありまして、この港湾審議会の中に設けられます運送部会におきましては、具体的に事業の集約化を進める方策というものと、料金制度をどのように基本的に改正したらいいかというこの二つの問題をやるわけでありまして、これをやることによって常用化を進める、また企業が強くなるということによって、労働者の福祉行政というものが進められていけば、両方あわせて答申の趣旨というものが達成されると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/13
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014・伊能繁次郎
○伊能委員 理論的にはお話しのとおりだと思いますが、具体的に現在の港湾運送事業の実態と、港湾労働者保護、確保という面とでは、従来必ずしもうまくかみ合っていないおそれもあったわけでございますが、われわれとしてはこのむずかしい問題について、港湾労働法の制定の趣旨、また一方において運輸省における港湾荷役の確保、合理化という面ができるだけ円満な調整を見るような努力を、ひとつぜひ政府において尽くしていただきたいということをお願いを申し上げておきます。
それから最後に、今回の航空機事故の頻発にたまたま符節を合わせて、第五の本省の地方支分部局として置かれておる航空交通管制本部を札幌航空交通管制部、東京航空交通管制部及び福岡航空交通管制部に分割するという方針をとられるに至ったわけでありますが、この点については、人員その他の面で政府がこれによって万全を期し得られるのかどうか、当面、国際的にも航空機事故の問題が非常に大きな問題になっておりますので、この改正に関する大臣の御所信並びに今後のやり方等について、御意見があればぜひお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/14
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015・深草克巳
○深草政府委員 それでは人員の確保その他につきましては、大臣から後ほど答弁していただくことにしまして、管制本部を三つに分けた理由につきまして、沿革その他から申し上げます。
御承知のように、航空交通管制がアメリカ軍から移管されましたのは昭和三十四年七月でございまして、その後航空交通量が非常に増加する一方、交通量の日本における分布状態が、北海道、東北を一団とした一つの航空圏それと本州中央部を中心とした交通、それからいま一つは九州、四国、これらを一団とした空域と、三つの空域に主として交通量が非常に多くなったということでございます。また防衛庁や米軍関係の航空機でございますが、これは大多数が特定の飛行場を基地としております局地飛行でございまして、それも大きく分けまして北部、中央部、西部というふうに、偶然ではございますが三分化されております。また一方、防衛庁が設定をいたします防空識別圏というものがございますが、これも北部、中央部、西部というような防空識別圏に三分されてあるわけでございます。このような航空交通の分布状態に対処するために、航空路管制業務でございますが、一カ所の管制機関におきまして集中して行なうよりも、航空分布に対応したブロックごとにこれを行なうほうが、航空交通の安全性を高め、なお管制業務の能率を向上させるということになるわけてございます。
その理由といたしましては、第一には航空機の管制は、航空機と管制機関との直接通信によって行なうことが理想的でございまして、直接通信によって中継方式によります各種の通報、種々の伝達の遅延や誤りを防止することができるのが、理由の第一点でございます。
第二点は、航空交通の増大及び高速化に伴いまして、航空路管制機関におけるレーダー、管制施設の整備が必須のものになりつつありますが、わが国の全空域をカバーするレーダーというのは、現在の技術では不可能でございます。そうしますと、数個の航空路管制レーダーを設置する必要があります。現在大体二百マイルをカバーできるレーダーがありますが、そういう必要から、たくさんのレーダーを一つの管制機関によって円滑に操作することは、技術的にも、また経済的にも著しく困難であるわけでありまして、こういった二点から分けてやったほうが管制能率が向上する。しかもいまの航空交通の実態に合っているというような意味で、三分化に踏み切ったわけでございますが、施設要員につきましても、従来の福岡、札幌につきましては、それぞれの機関の下部機構として、実際の業務はすでにやっておったわけであります。それをはっきり正当化するというような経緯であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/15
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016・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 航空管制施設の整備、これは非常に重大な課題であると同時に、緊急を要するという情勢に、今度の事故との関連もございましてなってまいりましたので、これの整備は早急にやる、かように考えております。そのために要する経費等につきましては、急ぐものはぜひ予備費からやる、その他のほうは最も近い機会に適当な処置をして整備をするという方針で進めたいと思います。
それから人員の整備につきましては、これは現在御承知のように各省とも欠員を補充しないという方針で進んでおりますが、今回の事故等に関連いたしまして、航空関係の人員整備を非常に急ぎます関係から、凍結されております欠員の不補充の線を、運輸省だけ特別にはずしまして、そして急速にそういう方法によって必要な人員は整備してまいる、こういうことにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/16
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017・伊能繁次郎
○伊能委員 およそ交通というものは、御承知のように、陸であると海であると空であるとを問わず、まず第一に安全正確、そして迅速ということが従来たっとばれておるようでございますが、なかんずく航空のこときは、安全ということ——スピードは時代の進運とともにいやが上にも発展をしてまいりますので、それに対応した安全ということが最大の重点をもって確保せられ、その施策が常住座臥、政府当局並びに関係業者によって確保されていかなければならぬ、かように存じておるわけでありまして、この点については、政府においても万遺憾なかったとは存じますが、たまたまああいうような事故が起こり、それに関連してといいますか、符節を合わせて今回のような航空交通管制部というものを合理化されるということになった際に、従来の政府の方針で欠員不補充あるいは増員をしないという方針は、もちろんわれわれ了承しておるわけでありますが、このような重要な問題については、それを押しのけてでも交通の安全ということが当然守られるべきであって、必要があれば当然政府としても増員を考慮せらるべきであろう、かように考えておったわけでございますが、本案提案の際には増員の問題は少しも考慮されておらなかった。ただああいうような事態の発生にかんがみて、当面欠員を補充するという措置を政府でとられるということでございますが、従来この面でどの程度に欠員があったのか。さらに今後の欠員解除の面で具体的にどういう数字を考えておられるのか、その辺を詳細に御説明をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/17
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018・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 御指摘のように管制官の定員並びに現員の整備につきましては、従来年々努力を重ねておりまして、三十七年度において対前年三十一名増、三十八年度対前年三十八名増、三十九年二十六名増、四十年四十三名増、四十一年度は、ただいま御審議をお願いしております中で、管制関係で六十一名増というものをお願いしておるわけでございます。
ただ、先生御指摘のように、従来管制官の養成というものには相当な努力を要しますのと、また若干の人間が外部に出るというような関係上、四十年度現在におきましては、定員六百十九名に対して五百九十九、二十名の欠員というような現状に相なっておる次第でございます。われわれとしては、将来その人員の充実並びに養成体制の整備というようなことについても、さらに一段の努力をいたしてまいりたいと考えておる次第でございます。
なお、先ほど御説明申し上げました四十一年度の六十一名の中には、御審議を願っております航空路管制の関係のレーダーの運用要員、保守要員等も含んでおる次第でございますので、これらの面につきましても、政府部内におきましても、要員の充足は一応計画にのぼっておる次第でございます。先ほど大臣も申し上げましたように、なお欠員の充足あるいは凍結定員の解除等をお願いしまして管制関係の要員の充実をはかりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/18
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019・深草克巳
○深草政府委員 ちょっと補足しますが、この設置法の関連で出しておりますのは航空保安事務所関係百七名の増員でございます。御承知のように凍結定員がございますので、改正の法律案の中には増員という形ではあらわれておりません。来年度の補充は欠員不補充を解除して増員に充てるということでございますから、表向きは出ておりませんが、実質は百七名でございます。
それから凍結定員でございますが、現在本省関係で約百名、そから気象庁、これは気象関係の約二十名、百二十名でございまして、その範囲内ぎりぎり獲得したいということで、いま行政管理庁と協議中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/19
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020・伊能繁次郎
○伊能委員 そうすると、自動車関係の増員その他におきましてはある程度認められておるのですが、航空関係では法律的に予算的に増員として認められたものはないというわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/20
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021・深草克巳
○深草政府委員 そうではございませんで、御承知のように、凍結定員を解除して四十一年度百七名航空保安の関係でふえております。したがってその分の人員は予算でちゃんと計上してある、したがって実質的な増員であるという意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/21
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022・伊能繁次郎
○伊能委員 いまのお話でだいぶわかりましたが、聞くところによると、あるいは同僚の社会党議員からもいろいろ先般の事故調査に関運をして御質問があるかもしれませんが、われわれもいろいろ聞くところによりますと、航空交通管制本部で当然なさるべき仕事、管制官の当然なさるべき仕事が人員の都合で実際上なされていない。それが事故の発生にも全然無関連であるとはいえないというような事実もあるやに各方面で調査したところではいわれておる向きがありますが、現在の各航空保安の関係の事務において、そういうように当然なされなければならぬ仕事もなされない程度に人員が不足をしておるのかどうか。その辺の具体的な事実等についても詳細にお話をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/22
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023・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 従来定員の審議等におきましては、われわれにおいてもいろいろ要求し、またその査定を受けておるわけでございまして、その業務は、先生御指摘の当然するべき仕事につきましては、一応要員を配置していただきまして、その業務はなされておるとわれわれは考えております。その勤務体制の改善等につきましても、わずかではございますが改善はいたされておるわけでございます。しかし、なお今回の事故にかんがみまして、この勤務体制をさらに整備するというような点、そのほかの点から、先ほど来申し上げておりますように、もう少し内容的に充実をしていただくことを具体的にお願いしておるわけでございますが、空港の管制業務の強化、特に管制官関係の連絡調整を十分にとるというような必要が最近特に出てまいりましたというのが一点でございます。
それから管制の技術関係で、特にレーダーとかILSというような新しい機器の保守というようなものを十分にしなければならないという点もございます。さらに管制の通信関係の要員を整備するというような点もございます。したがって、こういうような点につきまして、凍結定員の解除その他によりまして、われわれとしては早急に措置したいと考えておる次第でございますが、安全を保持するための最低限の必要な措置は従来もなされておる、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/23
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024・伊能繁次郎
○伊能委員 さいぜん私が申し上げましたように、航空交通として、安全の最低限の施設、人員の配置はついておったということばは、私は別にことばじりをとらえるわけではありませんが、適切であるかどうか、これを政府においてとくと御勘考をいただきたい、かように存ずる次第であります。
ただ、先般新聞、テレビ等で出ておったので、その点確認をしておきたいと思いますし、また私が当然なさるべきことがなされていないのではないかという御注意をしたのは、私自身が調べたのではないので、あるいは同僚の社会党の議員等からお調べになられた点で御質問があるかもしれませんから、その点にはこれ以上触れませんが、先般のBOACの富士山の事故においては、あの事故自体は有視界飛行についての承認を得てあちらへ行った。しかし、その一カ月前に、同じような事柄があったという際に、これは有視界飛行でなくして大島のほうへ正規の指へ刊によって飛んでいって、途中から富士山のほうに方向変更をして有視界飛行に移ったようにテレビでは言っておりますが、その点はさらに有視界飛行の許可を得たのかどうか。あれはわれわれ新聞、テレビで承知したのでありますが、ちょうど一カ月前にそういうことがあって、写真まで詳細に鈴木何がしとかいう人が写したというのが、数日前のテレビにありましたが、ああいうような場合に航路を変更する際の事後の承認手続を得られたかどうかという点を御回答願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/24
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025・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 伊能先生御承知のように、計器飛行方式によって飛行をする場合には、管制官の承認を得て飛ぶわけでございますが、それを有視界飛行に切りかえる場合には、有視界飛行状態の場合には機長の判断でできるわけでございまして、その場合には管制機関に、自後有視界飛行によって飛行するという通告をする手続をとるわけでございます。御質問の点は非常に具体的な問題でございますので、なお詳細に調査をする必要があるかと思いますが、私がテレビの報道によって承知しておりますところでは、当初計器飛行方式によりまして大島ビーコン経由で飛ぶということでまいりましたけれども、飛行の途中で有視界飛行に切りかえて富士山付近に飛んだという報道のように私は承知をしたわけでございますが、なお詳細に調査をいたしまして、別の機会に御報告させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/25
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026・伊能繁次郎
○伊能委員 ああいうテレビ、新聞等での報道があった際には、私は今回のような交通事故ひんぱんの事態に対しては、当然政府としては、あの際通告があったかどうかということをすでに御調査あってしかるべきものだと思いますが、御調査がなければやむを得ませんから、その事態がどうであったかということを十分御調査をいただきたい。と同時に、今後富士山の近辺は、すでにわれわれも有視界飛行で幾たびか通っておりますが、日本において最も気流の悪いところであるということは公知の事実でありますから、ああいうような点について途中から切りかえるというようなことを、今後ひんぱんに許されるかどうかというような点も十分御留意をいただくべきところだろう、かように考えます。
以上で私の質問は大体終わるわけでありますが、関連いたしまして、富里空港の問題等について大臣はじめ非常に御心配を願い、御努力を願っておることは、私どもは心から多とする次第でございますが、政府において一ぺん内定をせられておる経緯もありまするし、その後着々御検討も加えられております。かたがたわが党においても、国際空港推進本部も設置せられて、この問題について目下鋭意検討中でございますが、どうか政府の十二分に意のあるところを、実情並びに政府のこの問題に対する利害関係者に対する理解ある態度、並びに政府の国際空港事業に対する必要性、また客観的にも日本が東洋における国際航空の中心地となる上からも、国際空港が必要であるということについては、これはすでに国会において超党派で決議もしておる問題でございまするからして、国際航空の必要と基地の必要性等については十二分に 率直に申し上げますが、十二分に周知をせしめ、徹底をせしめる必要がある。周知の方法等について非常に不十分であるということを、私は端的に申し上げたいのであります。この問題について、もっと広く、世論だけでなく、また利害関係者にも、その必要性と実情とともに、政府の誠意、熱意というものを周知せしめる方法を当然とらるべきであると考えますが、どうもその点については不十分なような気がいたしますが、その点についての大臣の御決意を承って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/26
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027・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 国際空港の羽田における最近の情勢等から考えまして、第二空港の必要性は、伊能委員も御承知のとおりであります。政府といたしましても、その必要性から考えまして、しかも緊急性を持っておりますので、多年にわたり第二空港の候補地につきましては、あらゆる技術調査をいたしました結果、第二空港の予定地と.しては富里が最適である。最適であるというよりも、ほかに適当な場所がないというような実情でありますので、先般来政府におきましては内定の措置をとったわけでございます。直ちに本決定をいたしまして、新空港建設の公団を発足して、そして地元との間にできるだけ円満な処置を進めていきながら、新空港建設の仕事を進捗させたい、かように考えておったのでございますが、地元県当局等の意向がございます。地元の中に反対の意向を持っておられる住民がおられるという実情でございますので、反対の方々を納得させる必要があるというようなことから、公団の発足等の措置も今日まで延びておるような次第でありまして、御意見のように地元に納得せしめる措置等に万全を尽くすことの必要は、十分承知いたしておるのでありますが、地元等の関連もございますし、さらに内定当初はきわめて反対の意向を持っておられる地元の人たちの御意向等をそんたくいたしまして、しばらく時間をかげながら納得していただくような方法を尽くしていくのがいいのではないか。そういうことで、地元の方に納得していただきます要素といたしまして、土地の補償の問題とか、代替地の問題あるいは転職をなさる人に対するお世話の問題その他騒音等によるいわゆる地元の反対の空気をおさめていく処置等につきまして、いろいろ地元とも連絡をとりながら進めておるような実情でございますが、今日では、運輸省といたしまして、なるべく地元の人たちの刺激を強めないように、時間をかけて納得していただこうという考え方をとりましたために、多少その間の処置等に手の届かなかったところもございまして、そういう点は十分反省をいたしまして、現在では内閣の中に関係閣僚会議をつくりまして、強力に地元の要望にこたえていく準備を整えて、そして第二空港の作業を進めていきたい、さように考えておるわけでございますが、幸いに党の中にも推進本部をつくっていただいて協力をいただいておりますが、さらに先般は民社党におきましても、第二空港の予定地等を発表する等、これもやはり私は新空港の必要性を痛感せられてある措置と考えますので、これにつきまして政府の意向等もよく御相談をいたしますし、さらに社会党としては現在の段階では、新空港の候補地は富里は反対という態度をとっておられますが、これも私はやはり社会党にも納得していただいて、そして超党派によって新空港の設立を推進していくような方向にあらゆる努力を続けたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/27
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028・伊能繁次郎
○伊能委員 大臣の新たな御決意を伺って、まことに力強く感じた次第でございますが、問題は、この問題に対して広く理解を、利害関係者だけでなく、世論にも求め、各党にも 新国際空港設置の必要はみな痛感しておるわけでございますので、どうぞひとつこの問題に対する十分な理解と周知徹底の努力をぜひやっていただくことが必要だということを重ねてお願いいたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/28
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029・山内広
○山内委員 設置法の問題については、日をあらためてゆっくりお聞きしたいことがあるわけですが、いま伊能委員から出された御質問の中で、ちょっと聞き捨てならぬことがありますので、その一点だけ関連質問として確認しておきたいと思います。
先ほど航空局長は、富士山の事故について、機長と管制官とのいろいろな会話があった、有視界飛行に移るという、その点について、必要があればこれから調査をしてお答えしたいという御答弁です。私、これは実に聞き捨てにならない問題だと思う。飛んでおる機長と管制官との間のそういう通話というものは、どういうふうに記録されておるのかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/29
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030・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 ちょっと私の御説明があるいは不十分であったかもしれませんが、今回事故を起こしましたBOAC機の関係につきましては、先生御承知のように、出発前に有視界飛行ということで管制官に連絡をとって東京国際空港を出発したわけなんでございます。したがいまして、自後の飛行につきましては、管制の指示を受けることなく、有視界で、要するに機長が外界を見て飛行するということで、管制官との間のやりとりはございません。伊能先生から御質問ございました、その一カ月前に同じような富士山を飛行した例があるように聞いておるが、これの詳細いかんということでございますので、私が報道等によって承知しておりますところでは、大島付近までは計器飛行方式によって飛んだ。したがいまして、これにつきましては管制官とのやりとりが、資料によって調査すればわかるわけでございます。ただ、その後新聞報道等によりますと、有視界飛行方式に切りかえた、つまりこれは航空法の規定によりまして、機長の判断で、要するに十分外を見て、計器にたよらないで飛行できるような状態のときには、機長の判断で飛行できますので、その際には有視界飛行に切りかえるという通告をするだけで、自後はそういう飛行ができるわけでございますので、そういう方式によって飛行したというふうに、報道としては私は承知しておるということを申し上げた次第でございます。したがいまして、先ほど御質問ございましたので、一カ月前の事態でございまして、直ちにいま手元に資料がございませんので、早急に調査をしてということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/30
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031・山内広
○山内委員 一般論として、そういう場合の飛んでいる飛行機と管制官との応答の資料というのは、どういうふうにして確認されるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/31
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032・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 各管制機関は、管制通知をいたしたものをテープレコーダーに吹き込んでおりますので、その関係の資料は、テープレコーダーの記録として保存をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/32
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033・山内広
○山内委員 私、それを承知して聞いておるのです。それを調べるとか調べないとか、テープレコーダーにちゃんととっているものなら、調べる必要もないし、事故が起きた直後にもうそれが第一の記録として、あなた方は確認しなければいかぬ問題でしょう。それをやることにはなっているが、これから調査するとかなんとかいうことは、結局テープレコーダーにとってないということだろう。これは私は今度はちゃんと証明したい。とってないでしょう。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/33
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034・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 事故を起こしましたB0AC機の管制のやりとりは、テープレコーダーにとって保存をしてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/34
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035・山内広
○山内委員 そこが規則からいってもとることになっておるし、これは一番のきめ手であり、証拠であり、これは大事な記録としてぜひ残さなければならぬ。ところが、さっき伊能委員がつかれたように、人手がないとかいろんなことから、それを怠っておるという事実がある。これは大臣、たいへんなことです。ああいうレコーダーなんというものは、いつまでもかけっぱなしで一時間も二時間もかけられる。金もかからぬものです。そこに女の子の一人も置けばいい。そういうものすらも怠っておるという事実を私は聞いておる。いまはもう事故が出ましたから、おそらくとっておるでしょう。しかし、前に私は飛行機に乗ったときに、たまたまそこに管制官の知っている人がいて、いろいろ事故が最近あるが、気をつけなければいかぬなという話から、この話を実は私は承知をしておった。山内さん、あなたお客さんにばかりならぬで、管制塔に上って実情を見てください。テープレコーダーさえもとれないほど人は窮屈なんだということを訴えておった。大臣御承知ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/35
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036・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 私は今度のBOAC機の事故の際には、やはり最初に有視界飛行に切りかえるという許可をとって行っておるということは承知いたしておりますが、先ほど伊能委員が言われました、前回にもそういうことをやっておったらしいということは、きのうのテレビで鈴木とかいう人が言われたということで私らも承知したわけであります。その点を、そのときに許可をとったかどうかということを調査をしておらぬということのようでございますから、これは早急に調査をすればわかることでございますから、あとで御報告する、局長はこう言っておるわけでございまして、今回起こりました富士山ろくの事故に対しましては、事前にやはり許可をとって出ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/36
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037・山内広
○山内委員 この起こった事故について、いろ、いろ責任の立場もあり、所在もあり、そのことの原因を究明することは、これは大事です。しかし、私がいま申し上げたいと思うのは、この次にまたお話ししたいと思いますけれども、この事故というものは偶然に起こるのではなくて、そこに至るいろいろな問題がつみ重なって事故が出てくる。私この事故が起こる前から、そういうふうに切り詰めた人員や勤務時間等を調べておりますけれども、そういう問題から事故が起こり得るという心配を実はしておった。そこへたまたまこういう事故が相次いで起きたために、そういうレコードすらも記録が不完全であるということを思い出して、どこかに無理がある、いまになれば局長は、事故がないときはそんなことまで気もつけなかったかもしれませんけれども、どこかにそういうすき間ができていて、それがこういうふうに三つも重なるような大きな事故をこしらえた。この点について、大臣はとくと、決して組合の肩を持つとか、働く人ばかりの肩を持つということでなくて、こういう大事な人命を預かる——事故が一たん出ればみな死んでしまうのですからたいへんな話ですよ。もっと不断の緊張が、特に航空局長ともあろう責任の立場の人は、いつでもそういうところに神経を使ってもらいたい。これはちょうど話が出ましたから、以上申し上げておくので、またあらためてお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/37
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038・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 山内委員の御忠告をよく聞いて今後やりたいと思いますが、政府といたしましても、今回の事故は、私は航空管制その他の設備不十分というようなことで起こったものではないという自信を持っております。しかし、安全を確保する上には、より整備すべきであるという観点に立ちまして、至急に航空管制の設備あるいは気象情報を完全につかむ設備とか、あるいはまた、いま山内委員も仰せられるように、職員の勤務の立場まで目をつけまして、処遇の問題とか、あるいはそのほか労務管理等の面にも十分目を注ぎまして、できるだけそういう点まで十分処置をいたしまして、働く人たちにも気持ちよく働けるように処遇等も考え、さらに人員等に至りましても整備をして、より安全度を高めたい、かように考えて諸準備を進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/38
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039・山内広
○山内委員 もう一点だけ。富里の問題についていま決意が述べられたわけですけれども、先ほど伊能委員も言われたとおり、私どもも、狭くなった飛行場をもっと大きくするか、別に求めなければならぬという原則については、認めておるわけです。ただ、本職のパイロットにも聞いてみましたけれども、富里という東京の上空に近いところにもう一個飛行場を持つということは、安全性の問題からいって、かえって危険が増す、そういう見解を実は言っている人もあるわけです。必要性のことや、あるいはまた地元の反対の方々に対する対策については、またいずれお聞きしますけれども、一体、東京に近いところに飛行場を持つことについて、安全性の立場からどういうふうにお考えになっておるか、その点についてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/39
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040・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 飛行場の安全性というのは、いわゆる空の路線があいておるかどうかということにかかると思いますので、現在富里に第二空港を設置いたしましても、空の交通路線の上から考えますと、十分あいておる、安全であるという調査の結果によっておるのでございまして、そのほかに、いろいろ地方の人あるいは有志の人からも、ここではどうか、ここはどうかといって申し入れがありますが、そういうあらゆる面を調査いたしまして、地上で見た感じはわりあいに広い場所等が得られる、あるいは埋め立て等が可能だというようなことがありますけれども、いわゆる空があいていないということによって候補地とならないようなところが、非常に多うございます。そういうことで、現在予定しております富里は、空のそういう交通路線から考えまして、十分安全度が確保されるものである、こういう観点に立って候補地としてきめたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/40
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041・山内広
○山内委員 その点については、またあらためて私は私の考え方を持っております。終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/41
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042・藤尾正行
○藤尾委員 私は、ただいまの伊能委員並びに山内委員の御質問を拝聴しておりまして、非常にこれは遺憾と思いますことがございますので、あえて関連をいたしまして御質問を申し上げたいと思いますけれども、ああいうような事故が頻発をしており、特にBOAC機の場合に有視界飛行が問題になって、ああいう事故が起こっているという時期に、最近、計器飛行から有視界飛行に切りかえた実例、特に一カ月前にあったという事実すら航空局長がまだ調査していないという事態といいますのは、一体どういうわけですか。私は、これははなはだ不謹慎だと思う。これをひとつ御釈明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/42
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043・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 まことにわれわれの業務に対する痛い御指摘でございますが、御了解願いたいと思いますのは、この問題が具体的に提起をされましたのは、実は昨日のことでございまして、われわれとしては、いま伊能委員からお尋ねがございましたので早急に取り調べたいと思いますが、数多く飛行いたしておりますが、先ほど来、山内委員も御指摘のように、管制にかかったものは管制の記録がそれぞれございますけれども、これは御承知のように空を非常にたくさん飛ぶものの多数の記録でございますので、その中から十分選別をして、そういうような記録をさがし出す努力をする必要があるわけであります。新聞報道を資料にしてという御質問でございましたので、私も新聞報道あるいは法令の規定によってこういうふうになっておる、したがいまして十分に有視界飛行状態であっても、その点問題がなかったという点、実は報道によって判断をしておるわけであります。しかし、御指摘でございますので、多数の記録片、いわゆるストリップと称しておりますが、その中からさがす必要がございますので、若干の時間をいただきませんとその事実はわからぬわけでございますので、その点をひとつ御了解願いたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/43
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044・藤尾正行
○藤尾委員 そういう大べらぼうな話はないはずでしょう。BOAC機の事件が起こってから今日まで一体どれだけの時間が経過しておるのですか。それだけの時間の間に、しかも、最近に起こっておるそういう計器飛行から有視界飛行への転換というような事実を拾い出すことができなかったというようなあなたの態度といいまするものは、きわめてあなたの業務というものに不熱心ではないか。どう思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/44
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045・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 御承知いただいておるかと思いますが、航空管制は、非常に例外的のこういうような事件を引き起こしたものは、直ちにそれぞれの関係の資料を調べましてわれわれ十分調査を進めておるわけでございますが、問題は、同じBOAC機でございますが、一月前の飛行で、飛行途中のいわゆるIFRからVFRへの転換ということで、通常の飛行状態において何ら保安上危険がない問題として処理されておりますので、そういうことであるわけでございます。しかし、御指摘でございますので、早急にその点を調査いたしまして、御報告をさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/45
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046・藤尾正行
○藤尾委員 そういう事実は、私どもはしろうとですけれども、そういう事件が起こったら、それに似たような事件が前にあったかなかったかというようなことを調査するのが、当然のことでしょう。私は新聞記者出ですから、新聞記者で記事を書こうと思ったら、すぐ前例にこういうことがあったかなかったかということを調べますよ。そんなもの調べるのに、あなたそんな時間がかかるわけがない。きわめて私は遺憾な態度だと思う。これだけは申し上げておかなければなりませんから、あえてひとつ苦言を申し上げるというわけです。
それからもう一つ、富里に関連をいたしまして大臣にお伺いをいたしまするけれども、富里地区に第二空港をつくらなければならぬということで御努力を賜わっておるわけでございますけれども、いまの御計画によりますると、第二空港を設置をされるについてどれくらいの人家に犠牲をしいなければならぬかというような御調査は、十二分にできておると思いますけれども、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/46
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047・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 藤尾委員の質問の点でございますが、人家の立ちのきの数は、その飛行場の据え方によって多少違うのでございますが、現在のところでは、私ははっきり数字を承知しておりませんけれども、直接飛行場の敷地内の立ちのきを必要とするのは千戸内外、それで八百戸くらいになる飛行場の敷き方と、あるいは千百戸くらいになる敷き方といろいろございまして、まだそこまでこの線に飛行場を据えるということははっきりいたしておりませんので、多少相違があるのでございますが、そういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/47
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048・藤尾正行
○藤尾委員 ただいまの大臣の御答弁でほぼ見当がついたわけでありまするけれども、いままでの土木事業その他におきまして、千戸近い人家に移転をしていただくというような措置をとった前例がどれくらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/48
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049・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 前例はないのではないかと考えますけれども、私は、この立ちのきというのは容易ならぬことでございますし、またできるだけそういう農家の人たちに御迷惑のかかることのないようにと考えまして、その他の場所で飛行場として使える場所があるならということであらゆる調査をいたしたのでございますが、先ほども申しますように、あらゆる技術の面からも調査いたしました結果、富里地区以外に適当な場所はない、こういう結論を得ましたので、前例のあるなしにかかわらず、新空港としてはここ以外にないという形からいま内定をしておる状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/49
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050・藤尾正行
○藤尾委員 私は、富里が別にいいとか悪いとかそういうことに興味を持っておるわけではなくて、富里が非常にいいということであれば、そう恥しなければならないのでしょうけれども、それには少なくとも、もし騒音地区というようなものを考えましたならば、おそらく一千戸以上になるでしょう、そういういままでかって前例のない移転をしていただかなければならぬというような土地買収の事業といいますものは、私はこれは非常に困難な問題だと思います。そういった困難というものを十二分にお考えの上でやろうと言われるわけですから、私は大臣の御熱意というものを了といたしまして、その問題はおきますけれども、ここにひとつ大臣にお考えをいただき、また御解明をいただかなければならぬと思いますことは、私は、ほかのあらゆるところをお考えになって富里でなければならぬというようにお考えになったということでございますから、それはそれなりに一応拝聴をいたすということにいたしまして、いまアメリカの軍用機の専用飛行路線というものになっておりますブルー14というものがございます。こういったブルー14の問題に対しまして、非常に詳しい御調査といいまするものを出したことがおありになりますか、ありませんか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/50
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051・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 これは十分調査をやった上でのことであると思いますが、ただブルー14の下には四つか五つか——とにかく四つの軍用飛行場がありますが、その飛行場を一つとかあるいは二つとかこっちに譲ってもらったことによってこのブルー14がはずせるというようなことでなくて、あの飛行場というものがある間は、これはアメリカが使おうが、日本が使おうが、ブルー14という航空路というものは必要である、こういうことでございますので、そういう事情から、第二空港の予定地を富里にいたしたのであります。全部これが軍用飛行場というものが飛行場という線からはずせる、飛行場がなくせるということならば、これはまた別の観点が出てくると思いますけれども、現在の事情からはそれはとてもできないことでございますので、ほかにということでさがしました結果、東京都心から一時間ないし一時間半くらいの時間でいけるという一つの大きなワクがございますので、予定地の地域が非常に限定される、そういうむずかしい条件等の中で、富里というものがきわめて条件にかなった適当な地である、こういうことに結論づいたわけであります。ほかに、御承知のように霞ケ浦とか木更津とか、たいそうな人に立ちのいてもらわずにいいような場所の候補地としての名前があがってまいりましたので、そういうところにもあらゆる調査をいたしました結果、金の問題でなくて、いわゆる技術上どうしてもむずかしいというような結論を得ました結果、富里ということに内定をいたした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/51
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052・藤尾正行
○藤尾委員 実は私はブルー14の問題に対しましては、前に一回ちょっと関係さしていただいたことがあります。それで申し上げるわけではありませんけれども、ブルー14の問題に関しまして突っ込んだ検討をしたことはないと、私は思うのです。私は、千何百戸の人家に移転をしていただいて富里地区に飛行場を設置する困難さというものの度合いと、このブルー14を他に移転し得るかいなかという問題を実現できるかどうかという困難さを双方バランスにかけてみて、検討してみる必要があると思う。これは単に運輸省だけの問題でありませんで、防衛庁との問題もかかわりまするので、ここでどうこうというような意見は申しませんけれども、ともかく、いまの横田、厚木あるいは朝霞というような一連の基地といいまするものが、東京近郊わずか一時間か、そこらのところにどうしてもなければならないという理由は、私はないと思う。ちょうど富里に第二国際空港といいますものを設置するのが、非常に困難である。その困難さを克服する努力あるいはもし−これはやってみなければわかりませんけれども、とにかくブルー14を使っておりまする一連の飛行場といいまするものを、かりにほかの地域 片一方には御存じのとおり千歳、三沢というようなものが北のほうにあります。同時に西のほうに、そういった強力なものがもしできるならば、私はアメリカがいまのブルー14地区の飛行場に固執しなければならないほんとうの理由というものは、そうたくさんないと思う。
〔辻委員長代理退席、委員長着席〕
そういった点もひとつあわせお考えをいただきまして、今後の調査の一環にしていただきたいということをお願いをいたしまして、関連でございまするから、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/52
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053・木村武雄
○木村委員長 楢崎弥之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/53
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054・楢崎弥之助
○楢崎委員 時間がございませんから、省設置法一部改正に関連をして簡潔にお伺いをしてみたいと思います。
エールフランスによるパリ−上海−羽田の路線の話が、いまフランスと中国の間で行なわれておるわけですが、当初の計画では、四月一日からこれを実現したいという構想で進められておるというようなことでありましたが、いまその交渉の状態がどのようになっておるか、把握されておるものがありましたら、御報告を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/54
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055・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 エールフランスの協定路線に関しては、最近は特にわがほうと折衝いたした結果はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/55
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056・楢崎弥之助
○楢崎委員 中国とフランスの上海経由の交渉の情報は、全然あなたはおつかみになっていらっしゃらないのですか。羽田に上海を経由して乗り入れるという問題です。それを全然そういう情報を御存じないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/56
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057・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 先生御承知のように、一時香港紙等に、そういう交渉が中国とフランスの間においてなされているというような情報があるということは予算委員会でも大臣から申し上げておる次第でありますが、われわれとして直接フランスと最近そういうような話をいたしておる事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/57
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058・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、日本政府がフランスと話をされておるかどうかを聞いておるんじゃないのです。中国とフランスの間にそういう交渉が行なわれておる、その情報について、いまのお答えでは、何か香港あたりの新聞に載っておるのを読んだという程度ですか。それだけですか。私は、予算委員会でもこれは問題にしたのです。どうして情報をつかまないのですか。つかむ必要ないのですか。羽田に入ってくるという路線の問題です。関心がないのですか。エールフランスでやっておるのだから、どうしてエールフランスに聞かないのです。聞く必要がないのですか。関心がないのですか。はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/58
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059・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 先生御指摘のように、わが国に飛来する航空機でございますから、関心はございます。エールフランスが中国を経由してわが国に飛んできたいという希望を持っておるということも、承知しております。ただ、いわゆる航空協定上、わがほうとフランスと最近そういう話をいたしておらないということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/59
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060・楢崎弥之助
○楢崎委員 何回も同じことを言わせないでください。私は、日本政府がフランスとそういうことについて話し合ったかどうかを聞いておるのじゃないのです。フランスと中国の間で交渉がどの程度進んでおるかというような情報を、あなた方は知ろうとなさらないのですかというのです。エールフランスに聞けばわかることでしょう。私は予算委員会でも質問しましたが、全然関心ないのですか。日本と中国の友好親善問題に非常に重要な一つのかけ橋になる問題です。どうしてエールフランスに対して、情報をお入れにならないのですか。なぜです。必要がないからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/60
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061・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 非常に事務的なお答えで恐縮でございますが、わがほうは、航空協定は御承知のように二国間協定でございますので、そういう問題が起これば、当然フランスからわがほうにそういう申し入れがあって交渉が行なわれるという事態を考えておりますので、先ほど申し上げたように、一部そういうような新聞情報を承知しておる程度であるということを申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/61
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062・楢崎弥之助
○楢崎委員 全くそういう態度を、いわゆる官僚的というのでしょうか。いま、ふんと言われましたからそうだろうと思うのですが、私は言語道断だと思うのですね、そういう態度は。
それでは別の角度からお伺いをいたしますが、日仏航空協定では、路線の中に中国の本土の一部ということが入っておりますね。そこで中国本土の一部を経由するということは、問題になってないわけですね。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/62
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063・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 協定上は、先生御指摘のように、中国本土は入っております。ただ、自後協議するところによってそれを定めることになっておることも、先生御指摘のとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/63
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064・楢崎弥之助
○楢崎委員 そういうことは条文に書いてあるから、あなたがおっしゃらないまでもわかっているのです。何をお答えになっていらっしゃるのですか。中国本土の一部を経由することについては問題ないですね、ということを聞いておるのです。協議の対象になるのは、中国に寄るか寄らないかが協議の対象になるのではなしに、中国本土の一部の具体的な地点について協議の対象になる、そう思うのですが、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/64
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065・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 協定上は、中国本土を具体的に通ってくる場合に、どこを通るかということを自後協議をするものだというふうにわれわれは承知をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/65
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066・楢崎弥之助
○楢崎委員 私の質問に答えてください。もう一度申し上げます。中国本土の一部を経由することについては、協定上問題はありませんね。まずそれを伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/66
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067・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 先生のおっしゃるとおり、中国本土を通ることについては、協定上定められておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/67
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068・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうすると、中国本土の一部を経由することは、協定上問題にならない。その中国本土の一部がどこであるか、具体的に問題になるときに、初めて交渉あるいは協議の対象になる——よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/68
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069・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 手続上そうなるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/69
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070・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、中国を経由することについては問題はない。運輸大臣のお考えを聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/70
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071・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 私は、その規定された協定によって話し合いをする際に、諸般の事情を考えてその入ることを認めるか認めないかを決するのだ、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/71
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072・楢崎弥之助
○楢崎委員 どうも微妙なところでございます。協定上は、中国の一部を経由することについてはきまっておるのだから、私は問題にならないと思うのですが、大臣どうでしょう。あなたは、その一部を経由することも協定上問題になるとおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/72
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073・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 中国のどこを通って日本の羽田に来たいということがはっきりいたしまして、その後両国で相談をしてきめる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/73
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074・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、中国本土の一部を経由することには問題はない。その一部がどこか、具体的になったときに初めて協議の対象になる。もう一度確認したい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/74
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075・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 政府委員からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/75
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076・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 先生御指摘のように、航空協定上は具体的にどういう路線をきめるかということが一番問題でございますので、考え方としては中国本土を経由することをきめながらも、その具体的きめ方を自後の協議に残したというのが、現在の協定の姿でございます。したがいまして、具体的に話し合ってその経由地点をきめたときに、初めてその路線が路線として現実に運航し得る状態になるということであるわけでございまして、われわれとしては、実はそれを切り離して考えておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/76
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077・楢崎弥之助
○楢崎委員 あなたは、政治的な考慮をする必要はないのです。あなたは、さっき官僚的な答弁ばかりしている。事務的に答弁すれぱいいのです。それを、政治的な考慮をして、二つに分けていない、一つとおっしゃるのですが、協定上は明らかではありませんか。中国の一部を経由することについて、協定上は問題ないじゃありませんか。協定上問題があるのですか。これは大事なところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/77
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078・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 具体的な路線の自後の協議の問題を除けば、協定上は問題ないということは、先生のおっしゃるとおりたと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/78
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079・楢崎弥之助
○楢崎委員 どうもわからないのですが、私ははっきり——私の質問はわかりますか。中国本土の一部を経由することについては協定上問題がない、ただその一部がどこか、具体的にきまったときには初めて協議の対象になる。その地区は行けないとか行くとか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/79
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080・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 ちょっと御説明が足りないかもしれませんが、二国間の航空協定、つまり東京へ入ってくるエールフランスを指定航空企業として認める場合には、わがほうがその中間地点についての協議をしてきめる。つまり中国とフランスときめたものをわがほうが選択するという場合になるわけでございますが、わがほうも具体的に経過地点について協議をしてきめるという立場に立つわけでございますから、そういうものができて初めて中国経由の路線を現実にエールフランスが飛べるようになるということを申し上げておるわけでございます。したがいまして、これを先生のおっしゃいますように二つに分けて、協定上はなるほど中国を通ってくるようになっておるじゃないか、それはおっしゃるとおりでございますが、具体的に飛べるようになるのには、それと同時に経由地点が協議によって明確にきまる必要があるということを繰り返して申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/80
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081・楢崎弥之助
○楢崎委員 いまのあなたのお答えでいきますと、中国本土の一部なんて要らないことになるのじゃないですか。路線の中に中国本土の一部ということは要らないじゃないですか、何にしても最後に協議してきめるのだから。そうでしょう。そうじゃないでしょうか。それでは、入らない場合と入った場合とどう違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/81
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082・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 これは航空協定の路線を定める場合のいろいろな型に属するわけでございまして、必ずしも中国でございませんで、ほかにもございますが、具体的の経由地点は後に別個に協議するという形を通常とっておるわけでございます。協定の交渉上、こういうことは相互の話し合いの最後の結末において常にとり得る形でございますので、エールフランスのような場合にも、一つのこの例に当てはまるわけでございます。もちろん先生のおっしゃいますように、そういうことをしないで、初めから具体的の経由点をちゃんときめて協定を成立させる例もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/82
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083・楢崎弥之助
○楢崎委員 あなた方は、どうも政治的な配慮をしながら答弁されているようで困るのです。政治的な配慮は運輸大臣だけでけっこうなんです。
それでは運輸大臣にお伺いをしますが、上海ということが具体的に中国とフランスの間できまりまして、日本にその交渉がある際には、どのような態度をとられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/83
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084・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 その際に諸般の事情を勘案いたしまして決定いたす、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/84
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085・楢崎弥之助
○楢崎委員 予算委員会のときの答弁と違っておりまして、いまの御答弁は、当時外務大臣が言われた答弁と同じようになったわけです。外務大臣は、そのときになって慎重に検討したいとおっしゃった。運輸大臣は許すつもりはないと、初めから予算委員会のときは御答弁になったわけです。運輸大臣は、考えを少し変えられたわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/85
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086・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 私は、考えを変えたのじゃ、ございません。現在の時点においては、私はそれは認めるという意思はございませんが、いま楢崎委員からこういう場合の一つの方法を質問なさったと考えましたから、そういう具体的な問題が出たときにその時点で考えますと、こりいうように申し上げたわけでございまして、予算委員会で答えました、いまの時点においてそれを認めるという気持ちは持っておらぬという考え方を変えて申し上げたわけじゃございませんが、ことばが足らず、あるいは誤解を生じたかもしれませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/86
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087・楢崎弥之助
○楢崎委員 問題は、上海ということで話が非常に具体的に進んでおるのですね。それで上海ということを仮定して、しかも非常に実現可能な話としてお伺いをしております。それでもう一ぺん、予算委員会のときの答弁と、いまの上海ということを具体的に考慮に入れられて御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/87
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088・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 いまの日本と中国との関係が御承知のような事情でございますので、私は、いまの時点ではこれをすぐ承認するという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/88
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089・楢崎弥之助
○楢崎委員 未承認国だから、国交が正常化されていない国だからという意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/89
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090・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 それも含まれまして、その他諸般の情勢から、私はいま承認するという考えを持たないわけでございます。それだけではございません。それもやはり含んでおりますが、諸般の情勢から、いま承認するという考えを持たないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/90
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091・楢崎弥之助
○楢崎委員 諸般の情勢ということですが、諸般の情勢の中にいろいろあるとおっしゃいましたけれども、顕著な例を二、三あげてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/91
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092・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 その問題を具体的に検討しておりませんので、具体的な条件を申し上げて説明することは、私はこの際お許し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/92
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093・楢崎弥之助
○楢崎委員 国交が正常化されていない国で、民間の航空会社の問で乗り人れをやる、それを政府が許可をしている例はあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/93
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094・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 最近の例では、韓国との間に先生がおっしゃいますように例はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/94
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095・楢崎弥之助
○楢崎委員 国交正常化をされていない段階で、韓国と中国をどうして差別扱いをされるのですか。それも諸般の事済ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/95
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096・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 韓国と中国と差別扱いをしたということではございません。諸般の事情から、やはり航空協定というのは、単なる問題でなくて、いわゆる航空企業の営業の関係とか、いろいろございますので、すべての条件を考え合わぜましたときに、結ぶところもあれば、結ばないところもある。早く結ぶところもあれば、おくれて結ぶところもあるということが分かれるのは、いたし方ないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/96
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097・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、国交が正常化されておるかどうかは、条件ではありませんね。韓国の場合は許可したのです。そういうことになりますね。国交正常化されておるかどうかは問題でなくて、そのほかの事情で、韓国の場合は正常化前でも許可をした。中国の場合は、現段階では許可をしないという方針である。正常化とは関係ない。こういうことになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/97
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098・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 国交が正常化されておらぬということだけで許可したり、しないということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/98
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099・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、佐藤内閣は中国に対して政経分離の方針をとられておりますのは、御承知のとおりであります。この航空機の乗り入れの問題は、政経のうちのどちらに入りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/99
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100・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 なかなか微妙な質問でございまして、微妙な答えをする以外にないと思いますが、両方に関連があると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/100
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101・楢崎弥之助
○楢崎委員 民間の航空機の乗り入れが両方に関係があって、貿易問題は両方に関係ない。そういうことになるのですね。私は、どうしてこんなわかり切ったことを理を詰めて言っておるかというと、理屈がわからぬからですよ。筋が通っていないからですよ。一つの筋が通っていないからです。ごまかしがあるからです。だから、私はこんなに理詰めで言っているのです。それでは、航空協定は政経両方とも関係があるから、分離方式にはならないというお考えですね。もう一度念を押しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/101
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102・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 私は、航空協定は、一番大きな問題は経済が中心であると考えますが、やはり国と国とで協定を結びますので、そこにきわめて微妙な一つの問題が残るのではないか、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/102
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103・楢崎弥之助
○楢崎委員 エールフランスが上海を経由して日仏協定に基づいて日本に入る場合に、日本政府と中国の協定が要りますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/103
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104・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 それは必要ございません。日本と中国の協定は、エールフランスの乗り入れ自体については必要でございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/104
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105・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、いまの大臣の答弁はちょっと違うわけですね。乗り入れの場合は協定は要らないのです、中国と。日仏の協定でいいのです。——大臣に聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/105
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106・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 中国との協定は要りませんが、フランスが日本に入ってくるときのその経路が、中国の一地点を通ってくるというときには、その地点がきまって双方で協議をしてきめる、こういうことになっております。その慣例があるということを私は申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/106
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107・楢崎弥之助
○楢崎委員 中国と日本の航空協定の話をしておるんじゃないのです。単に経由をする場合に上海を選ぶ。日本と中国の場合でも、航空の問題は、これは経済の問題です。ましてや日仏協定を結んでいるエールフランスが上海を経由するという問題が、どうして日本の政治に関係があるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/107
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108・佐藤光夫
○佐藤(光)政府委員 大臣から申し上げておりますように、現実に航空協定が必要であるかないかということは、先ほど申し上げましように、二国間協定でございますから、フランスが中国に対して航空の権利を得る必要があると同時に、わが国とフランスとの間にその通過地点を認めるということによって現実に飛べることになることは、先ほど御説明申し上げたとおりでございます。ただ、航空協定の具体的な形として、先生御承知のように、われわれとしては、それぞれの国が二国間の定期航空運送協定のほかに、たとえば相互に技術着陸を認める、その他の条約を必要とするというような事情、その他現実に国交あるいは国交に近い人間の往来状態というものが、航空機の利用の裏づけとなるというような事情もございますので、現実には大臣から申し上げておりますように、政治経済全般の状態を考えながら具体的の航空連絡をつけていくというのが、現実の事情であるわけでございます。したがって、そういう意味から申しますと、かりに中国を経由して向こうから飛行機が飛んでくるような場合を考えます場合には、少なくともわがほうからも中国に飛んでいける状態というようなものも考えながら具体化していくということに考えるべきではないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/108
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109・楢崎弥之助
○楢崎委員 そういう状態というのは当然のことだと思うのです。
そこで、いまエールフランスは、四月一日を目ざしていろいろ交渉をやってまいりましたが、その問題も含めて、いまエールフランスの支社長がパリの本社に行っておるわけです。そしていまのめどは、日本政府の状態もあるかもしれませんが、四月を変えて九月をめどにしてこの航路開設を進めておる、そういう情勢であります。したがって、私は早晩具体的にこれは問題になると思います。しかも影響するところは非常に大きいと思います。政経分離の方式でいけば、私は、問題にならないはずだ、佐藤内閣の方針でいっても問題にならないと思っておりましたが、運輸大臣は政治問題も関連があるという御見解のようである。とするならば、運輸大臣自体でおきめになれない問題であろうと思います。そうすると、当然総理大臣を中心にして問題が検討される。いずれこの問題が具体的になったときに重ねて御質問をいたしますけれども、本日の答弁の内容は、私は非常に支離滅裂なところがあると感じました。最終的には、諸般の事情ということでお逃げになりました。しかし、そんなに簡単な問題ではないであろうと私は思います。この点は問題を留保して、きょうはこれで終わります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/109
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110・木村武雄
○木村委員長 厚生省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。米内山義一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/110
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111・米内山義一郎
○米内山委員 私はまず最初に、生活保護に関する具体的な問題を、厚生大臣からあるいは厚生省の局長さんからお聞きしたいと思います。
所得倍増政策の結果、国全体の経済は大きく伸びたといわれますが、非常に所得の格差が拡大してまいりましたし、地域の格差も大きく開いてきております。特に私の出身地である青森県の東海岸、これは特に厚生大臣の御出身の岩手県の北部とはくっついておる地域で、日本のチベットなど・といわれるような、日本でも珍しいような未開発地域、したがって住民の所得が著しく低い地域には、いまの時代においてまさかそんなことはあるまいと思われるような事態があるわけであります。ですから、私がいま申し上げたいことは、いろいろな国の法律や制度に基づいて、こういう地域の極端に——つまり国民に対しての保護政策かあるわけであります。これには法律の命ずるところによって、一定の基準とか標準というようなものがあるのが当然でありますが、あまりにもひずみの多い場合には、それをしゃくし定木に適用することが、かえって不自然であるというような事柄が起きております。
私は、そのことについて具体的な二、三の実例を述べまして、御見解をお聞きしたいと思うのですが、第一の事例は、あと五百メートル南のほうに家があれば岩手県という、青森県と岩手県の県境、五百メートル南のほうにあれば、これは厚生大臣の選挙区であったかもしれませんが、ここにこういう事例があるのです。非常に山深い地域でありまして、炭焼きなどを経営しておるところですが、いま当主は妙川よしさんという、夫に死なれた母子家庭であります。しかも、ここの主人は七年前に炭焼きに出まして、帰りに深い大雪のために凍え死にしておりますが、ここに最近、重なりあって起きた不幸な事柄でありますが——そういうことで、このうちは自来生活保護を受けておりました。ところが、去年次男が中学校を卒業したために、生活保護の打ち切りになりました。どういう生活をしておったかというと、長男と次男の出かせぎによる送金、一家の経営は一反歩の水田と五反歩の畑であります。水田は、一年に九俵ぐらいしか収穫がありませんで、自家飯米にも足りません。畑作五反歩の中で、金銭にかえ得るものはビートの三万円であります。あとはみんなみそ豆とか野菜、自家消費に充てる分であります。ここにこういう事態が起きました。まず最初は、一昨年の十一月九日に、二女のまさ子さんという人が肺炎で入院した。ここから始まるわけでありますが、そうしましたら、十一月の二十九日に次男の正蔵君が、十六歳でありますが、ダム工事現場に出かせぎに行っておりまして、事故死しました。これは、年少労働者のそういう悲惨な死に方というので、地方紙はもちろん、中央紙にも三面のトップ記事になった事件の中の、これは事実でございます。そのあとに、一月の三十一日にいまの主人であるよしさんのなくなった御主人のお父さん、いわゆるおじいさんが死にまして、二つの不幸、三つ目の不幸が重なったわけであります。そうしましたら、年を越しまして、二月の三日に火災が起きまして、家も小屋もまる焼けになって、まあいわばまる裸で寒い冬空に投げ出されるようなかっこうになったのであります。結局生活保護の打ち切りになったのは、死んだ次男の十六歳になる人が働けるようになったということが理由でありましたが、この人が死にました。その上におじいさんが死に、費用がかかり、火事で焼けた、こういう段階になりまして、この家が生活保護を受ける基準に当てはまるか、当てはまらないかという問題になったのですが、役場へ行って相談しましたら、これは田畑があるからだめだろうということでございます。いわゆる県庁の出先機関に聞きましたら、死んだ息子さんの慰謝料と申しますか、それが百四十八万来たから、その金があるうちは生活保護を受けられないということなんです。そうしますと、家を焼かれて、かわりの家を国が建ててくれるならばともかく、この金がなければいいかとか——もちろん、そういう事情ですから、農協やその他の火災共済などには一銭も入っていない。こういうふうな珍しいほどの重なる災難にあった人に対して、いまの法律や制度で何らか運用の面、そういうことでこういう人を救済することができないものかどうか。こういうことは、私は大臣の腹一つでできないわけはないじゃないか。このことに対する大臣の御回答というものは、私は、佐藤内閣の政策が正しいとか間違いだとかということじゃなしに、佐藤内閣の体温が普通の三十六度半なのか、あるいは二十五度くらいに低いのか、体温測定の一つの資料にもなると思いますので、特に大臣からこの点の御見解を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/111
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112・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 生活保護の問題につきましては、特に生活に困窮されております方々の生活の実態、これを十分調査把握をいたしまして、適正に運用するようにということを、厚生省としても指導いたしておるのであります。また、保護基準の改訂につきましては、これが社会保障の大きな柱の一つでございますので、生活保護基準の引き上げ改善ということにつきましては、特に留意をいたしてまいったところでございます。
そこで、いま米内山さんから具体的な事例をあげられましての御質問でありますが、御指摘のとおり、妙川よしさんの御家庭は、非常に生活がお気の毒な事情にございまして、昭和三十六年の三月から三十九年の十二月まで生活扶助を受けておられたのでございます。その後長男の方、次男の方が出かせぎ等に出られまして、仕送りがなされたというようなことで、四十年に入りましてから、収入か四級地の扶助基準であります約二万一千円をこえるということになりまして、四十年の一月からこの保護が廃止されたのでござまいす。しかるところ、いまお話がございましたように、次男の方が岩手県の松尾鉱山付近の土木工事で事故死をされまして、労災の補償が百四十八万円入っておるのでございます。また、その後不幸にして火災にもあわれたというような事情も、私ども聞いておるのでございますが、現在の生活保護法のたてまえからいたしまして、百四十八万円というような相当大きな金額の収入が現実にあったわけでございますので、この点につきましては、法のたてまえからいたしまして、これをもって条件を緩和をする、こういうようなことになかなか運用上困難があるのでございます。しかし私は、米内山さんの地元であります三沢の火災に際しましても、罹災者が見舞い金等を各方面から寄せられたのでありますが、この際六万円、七万円という場合には、これは見舞い金として、特別な収入としては認めないということでございますが、その後、十二万円とか十五万円とかさらに追加支給をされた。これにつきまして県当局その他で、地元でいろいろ生活扶助の問題につきまして御議論がございました。しかし、これらの方々は罹災者であって、家なんかもやはり建てなければいかぬ、こういうような事情等を考慮いたしまして、一般の基準以上に入りました見舞い金の所得というものは、家屋を復旧をするというような事情等を十分考慮に入れまして、これは生活扶助の際の打ち切りの条件にしない、こういう措置をとりましたことは、米内山さんもよく御存じのことだと思うのであります。この妙川さんの場合につきまして今後検討を要する問題だと思うのでありますが、妙川さんが火災にあったそのうちを復旧をされるというようなことが、今後当然起こってこようかと思うのであります。もとより三沢の場合の十数万円の見舞い金とは、だいぶ金額的に違います。だから、全額それを認めるかどうかということにつきましては、なお検討を要すると思うのでありますが、私どもとしては、三沢の際にとりましたような理解ある、あたたかい配慮をやるべきであるという気持ちを十分持って今後も指導をしてまいる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/112
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113・米内山義一郎
○米内山委員 ありがとうございます。実は妙川さんの問題ですが、二月二十四日訪問して聞いてみますと、百四十八万のお金をもらったのですが、すでにそのうち二十八万というのは医療費や葬式の費用、日常の生活費に費やされておりました。さらにこの焼けあとは、その日現在全然未整理のままでございましたし、さらにその火災のあとに長男の正蔵さんが中耳炎で八戸の労災病院に入院しておるというような、さらに新しい不幸が重なっております。これを一つきょうはついでですからつけ加えて、厚生大臣に陳情申し上げておきたいと思います。
そこでお聞きしたいのは、保護基準の問題も時代とともに変えていかなければならないじゃないかという点であります。たとえば先般どこかで電気冷蔵庫があるということだけで生活扶助の打ち切りを受けたという、そこから起きたいろいろな不幸な事態が新聞に出ておりますが、いまのような世の中に、電気冷蔵庫くらいあるのは普通じゃなかろうか。あるいはまた、場合によっては国民の全世帯に対する普及率が非常に低いものであるかもしれないが、それは新しいものを買った場合には何万円でしょう。たとえば乳児のお乳がくさる。それをくさらないようにするために古い冷蔵庫を買うという場合は、二万円か何ぼのものも、その日の働く時間を節約するために必要な資材ではないかと思います。ですから、電気冷蔵庫があるから生活扶助を打ち切らなければならない、それがいわゆる保護を受ける生活の基準以上の暮らしだということは、あまりにもしゃくし定木じゃなかろうかと私は思います。たとえば盲人もあれば、耳の聞こえないおしの人もある。盲人にはテレビは不要でございましょうが、おしの人にはテレビが必要だ。ラジオならば古ものを三千円くらいで買えるが、テレビだったら一万円は要る。これがぜいたくだと実際言えるものでございましょうか。私は、この辺にももっときめのこまかな政府の御配慮が必要だと思います。
実は次に、もう一つの事例を申し上げたいと思いますが、ある開拓地を福祉事務所の係官と一緒に訪問させてもらいました。何か現在行なわれておる法律やそういうものの運用の面や制度の面において、あなた方現場で働く人の不自由がないかということを私は聞きたくて案内を受けました。そうしたら開拓地に案内されましたが、そこもやはり主人の出かせぎしたあとの留守宅でしたが、老人夫婦が中風、老衰で二人寝ている。見守っておるのは留守の奥さんなのですが、この二人床を並べた病人の床の下に畳がないのでございます。板敷の上にむしろを敷いている。こういう病人に対して大事なものは、あたたかいかゆでもありましょうが、ああいう場合は、畳がもっと必要なものだと私は思う。それがなければ、吹きさらす風のために板と板の間から土ぼこりをまぜた風が吹き上げてきます。そこで、私は福祉事務所の係官に、ここには畳のほうが大事じゃないかと言ったら、それはできないのですと言う。どうしてもできないのかと聞いたら、補修ならば実は支給ができるんですが、新品はできないと言う。私は、そういう法律があるということを実は初めて聞きました。その後日でありますが、その係官が私に、実は米内山さん、あそこに畳を敷いてやりました一行ってみてください。どういう手を使ったのだと言ったら、そこの家の周囲をその係官が見たら、古い畳のへりだけがあった。それを証拠にして、これは何だ、ござのへりだ、ござのへりだか知らないが、畳のへりではないか、もと畳があったろうと言ったら、正直に、実は私のうちに畳があったことはないと言った。それでも、 へりがあって畳がないというばかな話がないから、あったということにしまして、畳を敷いてやったと言うのです。私行ってみましたら、畳が五畳敷いてありました。あとで帰って、おまえ一畳分飲んだな、六畳なければならぬはずだがと言ったら、先生それは違うんだ。実は悪いと思ったが、六畳分の金は所長に判こついてもらったが、その一畳分で中学一年の弱視の子供に眼鏡を買ってやったというのです。そうしないと行なわれない。法律は整ったといいますが、末端の運用の苦労というものはこうだ。私はそういうあたたかい末端の担当している方々があるのに、基準がこうだからやむを得ないという時代ではもうなかろうと思う。世界に誇るような経済成長を遂げておりながら、憲法に保障している最低生活、しかも国民から見ると、これは当然の権利でなければならないものがこういう形であるということは、まことに遺憾な事態だと考えるわけであります。そういうことでありますから、こういう法律や制度の基準について、すみやかにこれを上向きに拡大するように改定すべきものだと思いますが、政府の御見解をこの際お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/113
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114・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 生活保護にあたりましては、ただいま米内山さんからるるお話がありましたように、私どももそういう十分な理解と同情ある、きめのこまかい配慮をしてこれを行なってまいるということにつきまして、ケースワーカーその他の指導の際には、十分留意をいたしておるところでございます。ただ米内山さんが御指摘になりました電気冷蔵庫でありますとかそういうものにつきましては、地域住民の生活水準との見合いということも忘れてはならない点だと思うのでございます。これは国民生活の水準がだんだん改善され、向上してまいりまして、みんなが電気冷蔵庫を持ち、あるいは電話を持ち、あるいは自家用車を持つというようなぐあいに全体の水準が向上してまいりますれば、生活保護の内容につきましても、それに見合ってだんだん改善されていくべきものだ、こう思うわけでございます。しかし、その地域の方々がまだ電気冷蔵庫については一割にも満たない、あるいはきわめてわずかな方しか持っていない、そういう際に、生活保護を受けておる御家庭がそういうものを持っております際には、どうしても地域住民の感情にそぐわないものが、そこに出てくるわけでございます。われわれはまつ黒になって働いて、そうして税金も納めておる、それでも電気冷蔵庫は持てないのだ、こういうような方々が地域にたくさんおります際に、生活保護を受けながら噴気冷蔵庫を持っているということは、どうも地域住民の感情とぴったりいかない。これは地域住民の方々にも十分御理解がいけるような生活態度、生活態様を持ってやっていただくということが、やはり穏当ないき方ではなかろうか、かように考えるわけであります。ただ、私どもはそういう際に機械的に考えていくのではございませんので、たとえば電気ミシンを持っておる。しかし、その御家庭は内職をして収入を得ておるという場合には、その電気ミシンは生活の一つの手段でございます。あるいはまた、内職でいろいろあちこち物を売って歩かなければいかぬというような方がバイクを持っておる。これも生活の一つの手段でございます。そういうものは、私どもは十分これに対する理解を持ち、実態に即してそういうものを持つことにつきまして認めておるのでございます。ただ私は、電気洗濯機の段階から電気冷蔵庫の段階、そういうぐあいに国民全般の水準が向上いたしますことを念願し、またそれに見合って生活保護の基準も引き上げていく、こういうことが政治の目標でもあるわけでございますから、そういう方向に努力をしてまいりたいと存ずるわけであります。いま米内山さんの開拓農家を訪問されての実態に触れてのお話もありましたが、ほんとうに私どもも米内山さんの気持ちと同じでございます。こういう点の運用につきましては、今後十分配慮をいたしまして、実情に沿って血の通った行政ができますように努力をいたしてまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/114
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115・米内山義一郎
○米内山委員 まだ政府の態度ははなはだ不満足であります。と申しますのは、依然としてこういう事態に対しては消極的な姿勢より持っていない。要すれば、その地域の人たちの最低の水準よりもさらに低くなければならない、そういたしませんと、その地域の感情にマッチしないというようなものの考え方であります。これは明らかに不十分であり、かつ間違いであります。と申しますのは、政府のこういうふうな前向きでない、消極的な福祉対策が、国民一般に与えておる影響というものはまことに重大であります。こういう事態からいま青森県に重大な問題が発生しております。と申しますのは、いま大臣が言及されました青森県の三沢市の大火事の後における問題であります。いま大臣からお話しがありましたとおり、あの火事の直後に一番福祉対策として出たのは、見舞い金がたくさんくる、それを理由に生活扶助が打ち切られるのではないか、こういうことが事後対策の当初に起きた問題でありました。これは大臣がいまおっしゃるとおり、県庁あるいは厚生省に問い合わせた結果、今度の火事では一定の基準を越えない限りそれの理由にしないということは明らかにされたわけでありますが、そこでどういうことが起きたと申しますと、要すれば、災害にあう、不幸にあう、国の制度で救済措置を受ける、一般社会の同情を受ける、その最高の基準は近所の最低を越えてはならぬというものの考え方から、重大な事件が起きたのであります。三沢市の大火は、御承知のとおり一月十一日でありまして、まだ青森県は非常な寒気のきびしいときであります。マスコミがこれを取り上げまして、全国から集中豪雨のような同情、支援の大カンパが行なわれて、金銭で集まったものだけで一億四千万に及んだのであります。ですから、これは罹災者平均にいたしましても十数万円になるわけでありますが、この分配にあたっていま罹災者と市当局が血を流さんばかりの大闘争を展開しております。どういうことから起きたかと申しますと、厚生省が考えているように、政府が考えているように、これを全部罹災者に渡すと、隣の焼け残った人よりもしあわせがくるじゃないか。罹災者の中には、金銭に見積もれば零細な被害より受けない人がある。むしろ焼け残った隣の人が手伝いに来た人にたき出しを出したための損害のほうが、大きいじゃないかというような俗論が行なわれまして、市長がこの一億四千万の中から六千二百万を市の一般歳入の中に入れて使いたいということを言い出して、罹災者との間に大対立が起こった。市では市議会に特別委員会を組織しまして、六千二百万という市長の提案は五千万に修正可決されました。全国からの同情金から五千万が市の歳入に入るのであります。こういう考え方を生み出しているのは、厚生省のこの態度なのであります。私は、これは明らかに善意ある国民に対する裏切り行為じゃなかろうかと思う。ひどいことじゃございませんか。私は、個々のこういう救い漏れになっている人たちの不幸よりも、こういう社会的にまで拡大したこの冷たい政治の影響というものをおそれるのであります。こういうことでありまして、特に政府は国民の権利であるということを心に銘じて、福祉対策をいささかも恩恵政策であるなどという考えを持つことは、これは恥ずかしいことだと私は思います。このことは、おそらく厚生大臣もいま初めてお聞きになると思いますが、こういう考えですから、五千万を差し引くことになれば、その残額は被害額によって配分するということであります。そうしますと、大きく被害を受けた人は数十万円の配分を受けることになります。こういう人たちは、保険に入っておりましょう。別な預金もあるでございましょう。借家に入っておった労働者は、焼けるものもないかわりに、その受けた損害というものも深刻であります。これが薄く受けるという結果になる。実はこの問題はいろいろ考えてみたら、政府の考えをそのまま市町村の首長さんの考えに延長した結果じゃなかろうかと私は思って、ここにも一つの政治問題がある、こう思う。こういうことに対しての大臣の御見解をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/115
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116・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 先ほど申し上げましたように、三沢市の火事による罹災者に対する見舞いの問題につきましては、私は、従来の生活保護法のたてまえにこだわらずに、十分配慮いたしたということを申し上げたのでございます。そのことが三沢市の市当局なり議会においてどういうぐあいに扱われましたか、それは生活保護の問題ではない。生活保護の問題でありますれば、これは私の所管でもあり、その運用について、基準以上のものについて特別な事情を考慮する等の件につきましては、十分指導いたしておるところでございますが、いま多額の見舞い金があったからといって、その中からそれを一般会計に繰り入れるということは、これは私の生活保護に関する問題ではなしに、別の問題であるわけでございまして、米内山さんもその点は重々御承知の上での御質問だと思うのでありますが、その点を明らかにいたしておきたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/116
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117・米内山義一郎
○米内山委員 次に、方角を変えますが、戦後二十年に相なるわけでありますが、いま全国の国立病院に未復員患者という患者がおることを知りまして、私は実は驚いたわけであります。その中の一人に事情を聞きましたら、私は十九歳で志願兵で兵隊、戦地でけがをして、胸部疾患にかかって内地送還になり、いまここの病院に入院している。郷里に行ったことはあるが、まだ正式に帰っていない。いわゆる未復員患者であるという病人が、今日なおおるわけであります。しかも、こういう人たちはもう四十歳をこえて、しらがまじりになっている。病気は重くもないが、軽くもなっていない。何が一番心配かというと、どういうふうにして社会復帰を行なうかということであります。帰ってきたときは、両親も達者、兄貴も生きておったが、今日になったら、もう兄貴が死んでおいの代になっている。分家になるために家から物をもらうわけにもまいらぬ。結婚もしておらぬ。病状は固定化をしたが、この病院から出ることがおそろしい。要すれば、完全に治癒することがおそろしいというような心境の患者が、今日なおかつおるわけであります。しかもこの方は、たまを受けた場所が悪くて、今日なお私は実は童貞であるとも言っておりましたが、全くひどい戦争の犠牲者が今日なお病院の中におります。こういう人たちと床を並べておる仲間のうちに、隣の人は戦地発病だから恩給年金をもらえるのだが、私の場合は内地発病のために恩給法の恩典も何も受けていない。したがって、月々自分の負担する医療費の支払いにまで苦労しなければならぬ、こういうふうなことを言っておる人がありました。こういうくらいならば、せめておふくろの生きているうちに死にたかった、そうすれば、おふくろに何か慰謝料か香典かがいったであろう、こう言っておるのですが、厚生大臣は、こういうことのあることを御存じでしょうか。実は私は、これは五、六百字の文章にすぎないから、この人の声を私を通して厚生大臣にお伝えしたいと思います。「世を挙げて平和と繁栄を謳歌している時、戦中戦後より二十年以上もの長い間、結核という半ば運命的な業病と戦いつつ療養を余儀なくされ、今なお国立療養所の片隅で戦病の苦渋に呻吟し続けている内地発病者です。同じ傷痍軍人でありながら、外地と内地と云う相違だけで、外地発病者には恩給が支給され、内地発病者だけが恩給の対象とならず、このような不合理が現在の時点で許されてよいものでしょうか。また、他のあらゆる戦争犠牲者は何等かの国家補償を受けている今日、内地発病者の傷痍軍人だけがとり残されているのです。二十年以上の闘病生活の苦しみと、親兄弟にあたえたあらゆる犠牲は誠に大にして、家族の生活は悲惨をきわめております。内地発病者とは云え赤紙一枚で入隊し、公務中に発病したのです。恩給法に於てだけ非公務扱いにされるのは全く不合理と言わなければなりません。戦後二十年経過した現在、外地発病者と内地発病者の区別なく、肉体的にこうむった社会的犠牲度によって、適正かつ公平なる処置がとられることが当然であります。永年病苦と生活苦の二重にうちひしがれた私共以外に、これ程大きな犠牲をこうむった者があったでしょうか。戦争と疾病がもたらした悲しい結果とは云え、果してこれ以上の犠牲をしいられるものでしょうか。私共の中には早くも老境を迎え、妻なく、子なく、住居なく、不遇は不遇を呼び、今にして事実上の復員帰省もなしとげない者です。一方医療費の滞納の支払いの重責に苦しみ続けている現在です。一般社会にありましても、病める者、傷つく者に対する保護施策が漸次発展的方向をたどりつつある今日、発病の場所が内地であると云うだけの理由で恩給の対象からはずされていることは非情きわまりないものでございます。何卒法律を改正され、私共内地発病者にも、外地発病者同様、傷病恩給を支給下さるよう伏してお願い申し上げます。」これば私は、そのまま厚生大臣に申し上げたいと思います。これに対する政治的な御見解をお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/117
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118・鈴木善幸
○鈴木国務大臣 いまのお手紙を読んでいただいて、よくお気の毒な事情がわかるのでありますが、内地におきましても、公務で疾病をしたというような場合につきましては、これは十分考慮さるべき問題だと思うのでありますが、どういう形で内地におきまして病気にかかられたのか、その辺の実態をよく把握することができないわけでございますが、厚生省関係といたしましては、その医療費の給付等の面におきましては、そこに書いてありまするように、医療費の支払いがかさんで、そのことでも困っておるということが書いておるようでございますけれども、そういう場合におきましては、普通の場合は全額医療給付をやっておるというのが普通のことでございます。米内山さんも御承知と思うのでありますが、小田原の風祭の療養所等におきましては、やはりそういう戦傷を受け、脊髄を折損いたしたりした人たちがあそこで療養いたしておりますが、全部国で医療費等は見ております。また、生活も見ておるわけでございまして、そういう方々が全国でまだ二百二、三十人おられるのでございます。よく実態を調査いたしまして、適切な措置を講ずる必要があると考えるのでございます。また、御本人が病気がなおられて、社会に復帰されようということでありますれば、あるいは更生授産の施設もございますし、また世帯更生資金の貸し付けというような面もございます。あらゆる面から御援助を申し上げることができる、こう思うわけであります。ただ、恩給の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、内地でありましても、公務中の原因による疾病というような場合とそうでない場合とでは、いろいろ事情があると思うのでありまして、その点は恩給局のほうから御答弁があることだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/118
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119・米内山義一郎
○米内山委員 恩給局のほうからの御答弁をいただく前に、ちょっと参考のために聞きたいことは、こういう未復員患者と称する人々が現在どのくらい療養中であるか、そのうら、いわゆる内地発病としてこういった恩給法の恩恵を受けていない人はどの程度の数があるかということを、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/119
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120・実本博次
○実本政府委員 第一点の、こういった種類の入院患者がどのくらいあるかというお話でございますが、それはいま二百四十五人入院患者がございます。
第二点の問題でございますが、それに対して恩給法の対象になっていないものがどのくらいかという数字は、いまちょっとここでつまびらかでございませんので、調べましてあとでお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/120
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121・矢倉一郎
○矢倉政府委員 ただいまの御質問の点でございますが、内地発病が公務傷病にならないというふうな一般的な御見解がかなりあるようでございますけれども、現在恩給法の措置としていたしております点は、実は内地発病あるいは戦地発病というふうなことで区分をいたしておるのではございませんでして、実は、公務傷病というものの判断は、その傷病とそれから傷病の起こる原因になった問題との、いわゆる相当因果関係があるかどうかということが課題でございまして、したがって、内地の場合でもそれなりに、結核でございまいましても公務傷病になる場合がございます。たとえば、衛生兵のように感染の度合いがかなりはっきりするであろうと思われるような方々の勤務に対しましては、この人がたとえばその因果関係をもりて結核患者となられ、現に傷病に呻吟しておられるという場合には、当然に公務傷病としての扱いをいたすわけでございまます。したがって、そのところのいかんによってというわけではございませんが、ただここでちょっとお断わりを申し上げておきたいと思いますことは、やはり戦地におきましては、傷病になりやすい条件というものがかなりあり得ますので、したがって戦地の場合には、比較的公務の認定がされるケースが多いということだけは事実でございます。したがって、そういう印象から、内地発病は公務にならないという一般的な見解があるやに見えますけれども、扱いはさような点よりは、むしろ公務との相当因果関係があるかどうかということを個別に審査いたしまして、個別的に判断するというのが、現在のやり方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/121
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122・米内山義一郎
○米内山委員 もう時間も制約されておりますが、おしまいにこれだけを聞いて、あとの質問はあとの機会に譲りたいと思いますが、いまの御答弁の中に、内地発病であっても、衛生兵がそういう職務上感染したと思われる場合は、公傷病ということなんですが、実は大体の兵隊はものすごい栄養失調状態で帰ってきて、帰ってきた直後は病気じゃなくとも、それが一年あるいは一年半後に肺結核の発病の原因になっている。これは当然戦争による疾病だと一般的に解されるが、こういうことについて、今後二十年も前にさかのぼって事務的にこれを審査し、やることは可能でございましょうか。それは単なる通り一ぺんの言いのがれじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/122
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123・矢倉一郎
○矢倉政府委員 ただいまの御質問の件でございますが、確かに二十年の時日の経過ということは、事実関係の認定にかなり苦慮する問題なのでございます。しかしながら、私たちのほうでは、公務傷病になるかならないかは御本人にとっては非常な重大な課題でございますので、したがって、いろいろな当時の資料あるいは関係者の証言、それから現在の症状については十分にレントゲンなり、あるいは診断書等に上りまして、またさらにそれらの問題についてはしろうと判断はかなり危険な点もございますので、したがってこの関係の専門医の鑑定を求めつつ十分な心証を得て、公務あるいは公務以外のものかどうかの判断を下しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/123
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124・米内山義一郎
○米内山委員 これで終わりますが、最後に大臣にお願いしておきます。
戦争のあと始末として地主報償等までやった政府でありますから、これらのことはやろうとすればきわめて簡単なことだと思いますから、前向きにひとつ立法措置等を講じて、万全の対策を立てていただくことを御要望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/124
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125・木村武雄
○木村委員長 次会は、明後二十四日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X01819660322/125
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