1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月九日(木曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 伊能繁次郎君 理事 辻 寛一君
理事 長谷川四郎君 理事 藤枝 泉介君
理事 松澤 雄藏君 理事 大出 俊君
理事 田口 誠治君 理事 山内 広君
相川 勝六君 岩動 道行君
臼井 莊一君 加藤 高藏君
纐纈 彌三君 保科善四郎君
堀内 一雄君 前田 正男君
湊 徹郎君 稻村 隆一君
中村 高一君 村山 喜一君
楢崎弥之助君
出席国務大臣
国 務 大 臣 福田 篤泰君
出席政府委員
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 井原 敏之君
総理府事務官
(行政管理庁行
政監察局長) 稲木 進君
委員外の出席者
専 門 員 茨木 純一君
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六月八日
委員受田新吉君辞任につき、その補欠として本
島百合子君が議長の指名で委員に選任された。
同月九日
委員本島百合子君辞任につき、その補欠として
受田新吉君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
審議会等の整理に関する法律案(内閣提出第
一五六号)
行政相談委員法案(内閣提出第一四三号)(参議
院送付)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
審議会等の整理に関する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/1
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002・木村武雄
○木村委員長 趣旨の説明を聴取いたします。福田行政管理庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/2
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003・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 ただいま議題となりました審議会等の整理に関する法律案について、その提案理由及び概要を御説明申し上げます。
先般政府は、行政の簡素化と能率化を推進し、あわせて行政責任の明確化に資するため、各行政機関に置かれている審議会等について、その整理を行なうことを決定し、これによりましてここにこの法律案を提出した次第であります。
法律案の内容について御説明申し上げますと、第一に、審議会等の任務が終了するもの等につきましては、これを廃止することとし、第二に、設置目的が類似しているか、または、審議事項が重複していると思われるものについては、これを統合することとし、第三に、国家試験の執行につきましては、従来の試験審査会等の常設制を廃止して、試験委員を委嘱し、その試験委員が問題の作成及び採点等を行なうことといたしました。これによりまして、各行政機関を通じまして廃止されるもの十、統合の結果整理されるもの十九、試験委員制に改めることによりまして廃止されるもの五、計三十四を整理いたすことといたしました。
なお、これらの廃止または統合等は、原則として昭和四十一年七月一日から行なうことといたしておりますが、審議等の都合によりまして、七月一日に廃止または、統合ができないものにつきましては、昭和四十二年三月三十一日までの間において政令で定める日に行なうことができることといたしております。
以上が、この法律案の提案の理由及び概要であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願いいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/3
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004・木村武雄
○木村委員長 行政相談委員法案を議題として、審査を進めます。
質疑に入ります。
質疑の申し出がありますので、これを許します。田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/4
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005・田口誠治
○田口(誠)委員 では、行政相談委員法案に対しての質問に入りたいと思います。
そこで、今度の法律案の内容を見ますると、非常にわかってわからないような内容であるわけです。と申しまするのは、任命された行政相談委員の位置づけというものがきわめて明確でない。単なる名誉職というようなかっこうになっておる。したがって、この法律案を出された趣旨を私どもが考えますると、今日までの行政相談に対する件数等がどういうような内容になっておるのか。
〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕
年々増加をしておるのか、それとも減少をしておるのか、そういう点について、これは総務課長さんのほうから——総務課長でなくても、どなたでもよろしいですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/5
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006・稲木進
○稲木政府委員 四十年度におきまして、行政管理庁が処理いたしました行政相談の件数は、六万五千件から六万六千件くらいになっております。最近の実績を毎年ずっと調べてみますと、一年に一万件くらいずつふえているという状況でございます。そういうことでございます。この行政相談の仕事を始めましたのは、実は、行政管理庁は十年くらい前からやったわけです。最初の年におきましては、一年に約二千件くらいしがなかったのでございますが、その後だんだんとふえてまいりまして、特に昭和三十六年度に行政相談委員という制度を、これは法律に基づかないで、行政管理庁の長官が訓令に基づいて民間の人に委嘱するというような方式をとりましてから、急激にふえてまいりました。そういうことで、逐年増加の一途をたどっておるという現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/6
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007・田口誠治
○田口(誠)委員 相談件数というのは、いまの答弁からいきますると、年々増加をいたしておりまするので、国民のサービス機関としては、国民の要望に沿う内容にしなければならないと思うわけでございます。したがって、今度提案されたこの内容からいきますると、特に名誉職という形で、この内容に明記してあるのは名誉職という形であるので、これには報酬等は一切支払われない、こういう内容なんです。ところが、これはよく考えてみますると、全く報酬なしで、名誉職でこの職務をやっていただくことは、これは非常にありがたいことではある。しかし、ありがたいことではあるけれども、委嘱するに、人物を物色するに、たいへんだと思うわけです。どうしてこの委員を委嘱するに、たとえ少ない報酬でも、手当を出すようにしなかったのか。この点をひとつお聞きをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/7
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008・稲木進
○稲木政府委員 行政相談委員になっていただく人の地位をどういうふうにするかということにつきましては、これは前々から、われわれ内部的にもいろいろ議論をし、検討してきたわけでございますが、名誉職的な地位を持つような性格のものにするか、あるいは公務員といったふうな性格のものにするかということにつきましては、これはそれぞれ一長一短があると思うのです。相談委員に委嘱いたします業務は、これは公務員のように毎日毎日そういうような仕事を繰り返すような性質ではございません。大体委員は、各市町村に一名ないし二名程度を置いておる。しかも、その委員にお願いします仕事は、一カ月のうちに、相談を受け付ける件数からいいますれば、大体一件ないし二件というようなのが、普通の状態になっておるわけでございます。そういうような、いわば毎日きまりきって、一定の時間つとめていただくという性格の仕事ではございませんので、やはり公務員的な性格にしたのでは、必ずしも適当でないというふうに考えるわけでございます。
さらに、そういうような仕事、つまり一般の国民から行政上の問題についていろいろ相談を持ってくる。その相談を持ってくる一般の国民の方々の考えの中には、あの人ならばこういうむずかしい相談を持っていってもほんとうに納得のいくように相談に受け答えをしてくれる人だという、つまりその人の人格的なものに対する信頼と申しますか、そういうような考え方で相談を持ってこられる人が大部分である。いわばそういう立場におる人でありますので、その市町村におけるいわゆる指導的な有識者、そういうような方々である。こういうような考え方からすれば、手当とか、あるいは給料、報酬ということよりも、むしろその地位を高める、いわゆる名誉職的な立場の人であるというような位置づけをしたほうが、より一そう適切なんじゃないかというような考え方をわれわれはとっているわけでございます。したがって、実際相談委員になっていただく人も、その人の過去の経歴、あるいは人格、社会的地位、そういう面から見て、その市町村におけるほんとうに名望のある方、信頼されている方、しかも有識者であって、行政上の問題についても相当の御意見を持っておられるようなりっぱな方を、できるだけお願いする。そういうような人を求める場合におきましても、われわれとしましては、その市町村の市町村長あたりの御意見も十分お伺いして、そうしてそういう方々にお願いしよう、こういう考え方でもって、名誉職的な立場の地位を持つという性格にしたい、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/8
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009・田口誠治
○田口(誠)委員 苦情相談委員の段階における、行管として見られた隘路ですね。その隘路にのっとって今度の法律案というものが出されたと思うのです。その点のところをもう少し詳しく説明をしていただかなければ、どうもすっきりしない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/9
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010・稲木進
○稲木政府委員 まず、先ほど申し上げましたような性格の地位におる人でございますが、いままでは、行政管理庁長官が、そういうような行政相談委員を置くというような訓令を出しまして、それでもって委嘱を申し上げておったわけであります。したがって、せっかくなっていただいたけれども、対外的な地位といいますか、そういう面では、たとえば人権擁護委員でありますとか、あるいは民生委員でありますとか、そういう方々と比べてみまして、世間的な評価といいますか、そういう面でやや格が落ちる、と言うと適当でないかもしれませんけれども、一般的にそういうようなふうに見られがちであったわけであります。非常に重要な、また、いい仕事をやっていただく方々であり、しかも、なっていただく方々は、その市町村の地域内においては相当りっぱな方々がなっておられる。そういう意味では、行政相談委員というものは、法律に基づいて設置されるのであるということにすることによって、その相談委員の地位というものが、世間的にも非常に高く評価される。これが相談委員の方々に報いる一番いい一つの大きな方法じゃないかというふうに、われわれは考える。したがって、たとえば給与あるいは手当の面において、従来差し上げておった三千円なり四千円なりというものを、これを千円ふやすとか二千円ふやすというようなことよりも、むしろこういうような法的地位を確立する、世間的にも高い評価を受けられるような地位にするということが、最も相談委員に報いる道である、また今後大いに活動していただく一つの大きな原動力になるのではないか、こういうような考え方を持っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/10
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011・田口誠治
○田口(誠)委員 りっぱな人格を持たれ、経験のある人を委嘱するということ、そこでこういう比較は妥当でないかもわかりませんけれども、民生委員との比較を出されましたが、民生委員の行なわれる諸種の仕事と今度提案されておる行政相談委員とは、内容的に専門的な知識を持っておいでにならなければならないと思います。この法文にも書いてありますように、もちろん社会的には信望のある方で、しかも行政運営の改善について非常に理解を持ち、また熱意がある、そして経験のある、こういう方が適任者である。したがって、こういうりっぱな適任者を委嘱した場合には、単なる仕事の業務量が毎日ないからということで、全然無報酬ということは、この点はどうかと思うのです。もちろん方面委員にしても、毎日その業務に専念しておるわけではないわけでございますし、また、各種の審議会の委員等も、内容を見ますと、審議会の内容によっては非常にひまどりをしていただく、また審議をしていただいて仕事をしていただく内容の審議会もありますけれども、審議会によっては一年に三回か四回、ひとつの義理のような形で招集がされて、そうして全く形式的な審議をされる程度のものもあるわけなのです。こういう委員との比較をいたしますと、この行政相談委員のほうは、どの方面から見てもりっぱな人格者であり、知識を持ち、そして行政運営に対するところの大きな理解と熱意を持っておるという人たちからこういうりっぱな人格者を委嘱した場合に、全く無報酬ということはどうかと思うのですが、その点は、相変わらずこの提案されたことが正しいというようにお考えであるか、この点も加えて説明を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/11
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012・稲木進
○稲木政府委員 私どもも、相談委員の労苦に報いる方法としては、先ほど申し上げましたように、その地位はあくまで名誉職的な立場に立っていただくということが適当だと思います。しかし、全然その御労苦に対して金銭的な報いを考えないということではいけないという気持ちは、十分に持っておるわけでございます。したがって、そういうような両者のかみ合わせをどういうようにするかということでございますが、法案の第八条におきましては、報酬は差し上げないが、しかし、その業務をやっていただくために必要な実費のいろいろな経費が必要になるわけでございます。そういうような費用だけは、ぜひ弁償して差し上げる必要があるんじゃないか、こういう考え方をとっておるわけでございます。その程度は、どの程度の弁償だということになるわけでございますが、日常の業務につきましては、相談を受けた場合にそれを関係の方面に連絡する、あるいは私ども行政管理庁の出先機関であります管区行政監察局のほうに連絡をしていただく、そういうような通信費でありますとか、そのほかの諸経費、あるいは文具費でございますとか、そういうような経費が当然要るわけでありますし、また相談を受けるということになりますと、その事情をいろいろ聞いて、また、場合によりましてはその事情について調査をしていただくというようなことが、あるいは出てくるわけであります。そうした連絡のためのいわゆる実費、交通費といいますかそういう面の費用がかかるわけでございます。われわれは、少なくともそういうふうな実際かかる経費だけは、これは国がお願いする仕事でございますから、何としても国が弁償しなければいけないという考え方をとっておるわけでございます。そういう意味におきまして、第八条では、そういうような費用を弁償するという規定を特に置いておるわけでございます。
現在、相談委員の方々に対して、しからばどの程度の費用弁償をしているのかということを申し上げますと、昨四十年度におきましては、相談委員一人平均にしまして約七千円ぐらいの費用弁償を差し上げておるわけでございます。これはいま申し上げましたような交通費でありますとか、あるいは通信費その他いろいろな経費に充てる分でございます。これはできるだけわれわれとしましてはもう少しふやすような方向で努力したいというふうに考えまして、四十一年度の予算におきましては、相談委員一人当たり、これは年額でございますが、八千百円少々ぐらいの費用弁償が計上されておるわけでございます。なお、この点につきましては、これは委員一人の平均額でございますので、いろいろ仕事をやっていただくその仕事の繁閑に応じて、個人的には差等がございますが、しかし、われわれとしましては、今後なおこれの予算の裏づけにつきましては将来努力してまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/12
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013・田口誠治
○田口(誠)委員 画一的に市町村に何名ずつということにはなっておらないのですか。そこで、市町村の場合の行政相談委員の委嘱は、大体どういうような範囲でお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/13
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014・稲木進
○稲木政府委員 相談委員の総数は、現在全国で三千六百五名ということに一応予算上で定めておるわけでございます。この三千六百五名の配置につきましては、大体一市町村に少なくとも一人は置きたいということで考えておるわけでございますが、ただ、同じ市町村と申しましても、人口の少ないところ、たとえば現在でも人口が五千とか六千というような村もございますので、そういうところでは、例外的にまだ置いてないところがございます。と同時に、反面におきまして、一つの市と申しましても、非常に大きい市、人口五万あるいは十万、二十万、三十万というような人口が非常に多い市もございます。そういう多い市には、一人ということではやはりぐあいが悪いということで、これは二人、三人、四人というように置いているところもございます。それから特に六大市あたりに、区制をしいておりますようなところでは、大体一つの区に少なくとも一人は置きたいというようなことで配置をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/14
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015・田口誠治
○田口(誠)委員 認識が同じだったらいいと思いますけれども、いまの答弁の中に、町村といっても村のほうでございますが、こういう人口の少ないところには、必ずしも一名置くということは考えられない。そこで、この内容でございますが、そういう山間僻地を持ったところの村、そこの村民は、行政上のいろいろな手続問題については、都市の市民より非常に知識が低いわけです。したがって、いろいろと問題が起きた場合には、これは当然相談委員の方があれば、相談をかけなければならないわけです。ただ、相談委員があるかないかということを知らない人が相当あると思うのだが、これが今度訓令でなしに法律で規定されて相談委員が置かれるということになりますれば、この相談委員というものに対するPRも行き届いていきますので、いままで山間僻地の村の人たちがこの問題をこう処理したいというようなときに、ちょっと役場へ行って話しかけてみても、なかなか真剣に取り組んでくれないというようなことで、権利放棄、また自分の行なおうとすることも放棄しておられるというのが実態である。そういうことを考えますと、人口が少ないからといって、置かない村もあるというこの考え方は、どうかと思うのです。それで、当面置かないというお考え方であっても、いま私の申し上げたようなことを十分御承知であれば、これは将来どうするかということはおのずから出てくると思いますので、私のいま申しましたようなことが十分御認識であれば私はいいと思いますけれども、そうでない場合には、単なる人口比例というような考え方でこの相談委員を置くということは、これは質の問題と考えますと、ちょっと開きがあると思いますので、その点についてもここで明確にしておいていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/15
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016・稲木進
○稲木政府委員 非常に適切な御指摘をいただいたわけでございますが、私どもも、できれば、たとえ僻遠の村でありましても、なるべくこれを置きたいという考え方を持っておるわけでございますが、とりあえずの方法といたしましては、相談委員に一応受け持ち区域というものをきめまして、たとえばそういうような非常に人口が少なくて、しかも僻遠で、単独には置きにくいというような場合におきましては、二つの村を合わせて一人の相談委員に受け持ってもらうというような方法を講じていきたいというふうに考えておるわけでございます。
なお、せっかく相談委員という制度ができながら、そういうような恩恵に浴しないようなことになってはいけない。そのためには、御指摘のように、相談委員というものはこういう制度であって、しかもどこそこの村の受け持ちはどこそこの何の何がしという人であるということを一般に広く周知徹底させるような方策を講じていかなければならない、そういう趣旨によりまして、この法案の第三条におきましては、この相談委員を委嘱したときは、長官は、その委員の氏名、住所を関係住民に周知させるような適当な方途をとらなければならないという規定も、ここに書いてあるわけでございます。そういうような処置を極力とりまして、そうしてなるべく広くこの制度の恩恵に一般の国民が浴することができるような方策を、われわれとしては考えていかなければならないと考えております。
なお同時に、先ほど申し上げましたように、現在相談委員の数が三千六百五塩ということに一応なっておりますが、われわれの希望としては、今後もう少しこの相談委員をふやすという方向で努力をしていきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/16
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017・田口誠治
○田口(誠)委員 こういうことも御存じであるかどうか、確認してみたいと思います。ただいま指摘を申し上げましたように、町村のほうでは、この相談委員という方があるところでも、またあることを知らない人でも、また、ないところでも、便宜的に行政書士の方にいろいろ相談を持ちかけるわけなんです。そうすると、行政書士の方は、これは直接の職務ではないけれども、非常に親切にそうした手続上の問題に協力して教えてやる、また代行をやっておられる事実もあるわけであります。私は、全国にこういうケースは相当にあると思うのです。苦情相談委員とか、今度は行政相談委員ですか、こういう方よりも、行政書士の方は、ずっと以前からあるのですから、そうして大体どんな僻地の村でも一人ぐらいはおるわけでございますので、この人は頭にあるわけです。したがって、そうした行政上の問題等は、相談をしようといたすときには、職務は違うけれども、行政書士の方に相談を持ちかけておられる人が非常に多いわけなんです。だから、そういうところから推して考えてみましても、どんな人口の少ないところでも、町村に一人は必要があるのではないか、こう考えておるわけなんです。行政書士に相談を持ちかけられ、また行政書士の方も、これは全く自分の職務と違うのだから、無報酬の形で協力してやっていただいておるわけでございます。その点も御認識があるのかどうか、そういうことも考え合わせると、先ほど来私が申し上げる市町村に最低一人は必要ではないかということが、生まれて出るわけなんです。この点をひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/17
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018・稲木進
○稲木政府委員 全く仰せのとおりの町村があろうかと思います。私ども先ほど申し上げましたように、なるべく将来の目標としましては、各町村に漏れなく置くというような方向に進みたいと考えておりますが、全国で現在この相談委員の置かれていない町村の数を申し上げますと、町で八つ、村で七十九が、まだ未設置になっております。これはなるべく早く解消していきたい、かように考えております。行政書士に対してこういうような行政上の問題の相談が行なわれているところがあるというお話でございますが、あるいはそういう点があろうかと思います。ただ、私ども一般的な問題として——個々の問題としてじゃなくて一般的に考えますと、やはり行政相談委員にやっていただく仕事は、ほんとうに無報酬といいますか、それで国民に対するサービスとしてやっていくわけでございますので、相談した場合にも全然無料でやっていくというたてまえをとっておりますので、そうした行政書士あるいはその他の、職業としてそういうようなことをやっておる人たちを直ちに相談委員にするかどうかということについては、われわれなお十分検討する必要があるのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/18
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019・岩動道行
○岩動委員 ちょっと関連質問を一点だけさせていただきたいと思います。
この法律によりますと、行政相談委員は、国の行政事務に関しての苦情を取り扱う、このように解釈するわけでございます。そういたしますと、第二条で「行政機関等の業務に関する苦情の相談」ということは、国の直接関与する行政であって、地方行政、地方公共団体の行政についてはあずかり知らない、こういうふうに解釈もされるわけでありまするが、まず、この点についての明確な権限と申しますか、相談委員の分野というものについて、この際伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/19
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020・稲木進
○稲木政府委員 行政相談それ自体につきましては、行政管理庁が扱っております範囲においては、地方公共団体の業務も当然その中に含めておるのであります。また実際処理しております。これは行政管理庁設置法の第二条にも、この苦情相談の業務の範囲としまして明らかにされておるわけであります。ただ、行政相談委員に対してお願いする仕事の範囲としましては、一応この相談委員法にも書いてございますように、国の行政機関の関係の業務ということにしぼってございます。その点はどういう趣旨であるかということを御説明申し上げますと、各市町村はそれぞれ最近特に広聴活動というものが非常に活発になってまいりまして、そうして特に市町村におきましては、市町村役場で処理しております行政上の問題につきまして、それぞれ市民の相談に応ずるための窓口を設けております。そのために、これは市町村によって違いますけれども、若干の人員も配置して、そうしていろいろとその苦情の相談等も扱っておる状況でございますので、われわれとしましては、一般の市町村の役場でやっております行政等についての苦情の問題は、第一次的にはそちらのほうで扱ってもらったほうがいいのじゃなかろうかというふうな考え方で、相談委員の業務範囲としては、一応そういうようなものは対象に考えなかったわけでございます。しかし、現実の問題としまして、一般の市民がそういうような相談を持ってくる、相談をしたいというような場合におきまして、そうしてこれは市町村の仕事である、あるいはこれは県の仕事である、これは国の出先機関の仕事であるというような区別が、実際問題としてよくわからない場合も、多々あろうかと思います。そういう場合には、それがたとえどこに相談が持ち込まれましても、その相談にはひとつ親切に応待をし、そしてそれをよく聞いて相談に応ずるというかまえは、これは必要であろうというふうに考えておりますので、われわれとしては、相談委員のところにもしそういうような市町村役場の関係の問題が持ち込まれましても、それは決して、いやこれは私のところの受け持ちじゃないのだというようなことではねつけるようなことはなく、これはやはり十分に受け入れて、そしてその案件を市町村の役場のほうに取り継ぐとかというような方法は、実際問題としてはこれはぜひやらなければならないというふうに考えておるわけでございます。しかし、相談委員が積極的に苦情を受けとめるという形においては、一応その受け持ち範囲は、国の行政機関の案件をやるというのが本来の業務であるということを明らかにしたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/20
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021・岩動道行
○岩動委員 私はこの点で一番心配するのは、やはりたとえば生活保護の問題について、給付の問題について、あるいは財産調査等にいろいろな疑義がある、こういうときに、市町村がやっているのか、国がやっているのか、県がやっているのか、そういうことは、おそらく村民はわからない場合が多いだろうと思う。せっかくこういう法律ができて、行政相談委員、こういうりっぱな法律上の制度ができたなら、必ずやそういうところに行くだろうと思います。あるいは道路にいたしましても、国道であるのか、県道であるのか、町村道であるのか、そう辺はおそらくわからない。したがって、こういうりっぱな制度ができれば、市町村役場に行ったって——それは毎日の問題だから、役場にも陳情もしておるかもわからぬけれども、そこで解決がつかぬから、せっかく行政相談委員ができるならそこに行きましょう、こういう気持ちになる場合もかなり多いのじゃないか、こういうふうに思われるわけです。そこでこの法律でむずかしく「行政機関等」とやって、これはいわゆる国家行政組織法に基づく国の行政機関並びに政府関係機関、こういったようなものに限定はしておられますけれども、そこら辺は国民は非常にわかりにくい、こういうことははっきり言えるのではないかと思うのであります。したがって、この辺の運用について、ただいまは、来れば親切に取り扱ってやるというようなことをおっしゃっていますが、まずその分野をもう少しはっきり——法律ではもう書いてあるからしかたがないのですけれども、よほどPRをして、やはり国の行政事務を主にしてやるのだ、そして国の行政事務はこれとこれなんだ、こういうようなことも十分に趣旨を徹底させないと、何だ、せっかく行政相談委員はできたけれども、何の役にも立たぬ、行ったけれども、それはあっちのほうに行け、こう言われるだけだ。これではせっかくの政府の御意図もかえってあだになる、こういう心配も十分に予想されるわけであります。ことに地方の住民におきましては、道路、あるいは河川、あるいは生活保護等、そういったような問題は、大部分は地方の行政、地方公共団体に関係することが多いのであります。そういう点から考えましても、これが羊頭狗肉になってしまうというようなおそれも多分にあるのであって、そこら辺の運用、誘導のしかた、あるいは宣伝のしかた、国民の理解を深めるということについては、十分におやりにならなければいけないのであって、これは私も立案の過程においてもたびたび申し上げたのでありますが、この委員会におきましても、その点は政府側の十分な配慮を特にお願いをしなければ、この法律は生きない。しかも、地方公共団体においては、そういう窓口を設けているところもいないところもあるわけで、これは任意的なものだと思うのです。私は、政府としては、地方公共団体においてもはっきりとその窓口を設けて、そして縦横の連絡を十分にやれるような、そして住民の苦情がどこへ行っても通じるのだ、こういうような組織にならなければいかぬと思う。その点において、この法律は多少抜けているところがある、欠陥があるのじゃないか。つまり国の問題だと思っていったところが、それは県道だった、村道だった、そういう場合には、この相談委員は直ちにこれを地方公共団体のほうに持っていくのだというようなことまで義務づけるというか、そこまで業務の委嘱をしないと、いやそれは県の仕事ですからといって、そっちのほうに行きなさいというだけで期待をするということでは、不十分じゃないか、私はこういう心配が多分にあるわけであります。この点について長官の心がまえ、これはこの法律を運用する場合において最も重要な点であるし、またその辺に大きな期待をかけている国民を惑わさないように、失望させないような法律運用が必要ではないかと思いますので、長官からひとつ政府の方針をはっきりと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/21
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022・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 現実に即したきわめて具体的な御指摘があったのでありますけれども、全く同感でございます。この立法、法案をつくります過程におきましても、実は自治省、大蔵省、法制局を中心にしまして、そういう点にも触れたわけでございます。将来自治省とも、もう少し掘り下げて、明確に義務づけをいたしたいと考えるのでございます。とりあえず法案では、局長が答えましたとおり、国の機関を対象とし、地方自治体関係につきましては協力関係でいくという体制をとっておりますが、実際に苦情をお持ちになる国民の立場に立てば、そういう割り切ったことは、専門的知識は無理でございます。幸いにいま御審議をいただいておる法律ができますれば、新しい手引き書をつくるように、いま資料を整備させております。いままで有線放送あるいは市町村会報、あらゆるパンフレットその他の媒体を通じまして宣伝はいたしておりますが、一つの具体的な来年度予算の案といたしましては、広報車——先ほど田口委員も御指摘がありましたが、相談委員を置いてないような場所、あるいは離島といったようなところには、いわば移動相談所をつくる案もつくって、ぜひ来年度の予算をとって徹底いたさせたい。絶えず努力し、絶えずあらゆるくふうをこらしまして、国民大衆の苦情というものをさばいていきたい。内容を見ましても、大体一番苦情の多いのは厚生省、その次が農林省、建設省、総理府といった形で、中身も、いま御質問のとおり、国の関係あるいは市町村、非常に複雑でございます。相談委員になられる方は、相当知識もあり、御経験もありますが、そうすべてについての基礎知識というのは、御無理でございます。研修会等も開いております。これからの相談委員に対するわれわれの連絡、PRの問題、さらに地方自治体は、最近相当広聴制度も発達しておりますが、何とかしてむしろ全国的に義務づけするような方向に持っていきたい。その点については、御指摘のとおり、十分効果をあげるように努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/22
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023・岩動道行
○岩動委員 長官の御答弁で、運用には十分なる配慮を加えるということでございますから、その点は念には念を入れておやりいただきたいと思います。この相談委員を置かれる場所といいますか、あるいは大体どこにいるんだというようなことがはっきりしてくれば、相当苦情を申し出る住民のほうでも利用しやすいし、あるいは縦横の連絡もとりやすいということもあろうかと思います。したがって、地方の県あるいは市町村というようなそれぞれの窓口があるならば、それと同じ場所をできるだけ利用するとか、連絡協議会を設けるとか、いろいろなくふうをぜひしていただいて、この法律が真に国民にとって、あらゆる行政——国に限らず、地方行政に関連しても十分に活用できるような気持で、行政相談委員は国だけの仕事をやるんだ、こういう気持ちでなく、ひとつおやりいただきたいことを特に強く御要望を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/23
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024・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 昨年、名古屋で一日行監を実施いたしまして、私自身も行政相談の窓口になりまして、百五十名の方々とお話しし、いまちょうど言われたような問題が起こりまして、相談したいが、どこにおられるかわからぬというようなことで、さっそく相談委員の方の住所、略図をつくりまして、郵便局へ出しておきました。これは非常に効果をあげております。来年は全国的にやりたい。同時にまた、市町村の常置されている広聴制度、苦情相談処理機関とも連絡しまして、これは一案でございますが、たとえば定例日を一週間に一日とか二日設けて、そのときには、どなたが来られても自治体の方と相談委員の人がいてさばける、そのような方法も一つの方法ではないか。御指摘の点につきまして、実効のあがるようにくふうをいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/24
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025・山内広
○山内委員 許されればあとで御質問したいと思いますが、いま田口、岩動、お二人の中で関連してお伺いしたいと思います。
確かに羊頭狗肉になる心配があるが、私は逆のことを実は感じた。地方公共団体の業務と国家の業務との区分は、道路といい河川といい、相談に来る御本人はわからぬことはあたりまえです。そこで、行政管理庁としては、国の機関に限る、そのことはわかるのですけれども、そうなりますと、これは市町村自体が持っている相談委員と兼職ができるのかどうかこの点をまず最初にちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/25
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026・稲木進
○稲木政府委員 私どもの相談委員としてお願いする方々は、いわば名誉職的な地位という考え方でございますので、現在国家公務員であるとかあるいは地方公務員であるとかいうような身分を持っておる人は避けるという考え方でおります。市町村のほうで設置されている相談委員といった方々は、どういう方々がおなりになっているか、私正確には存じておりませんけれども、市町村によってはこれに似通った制度をとっているところもあろうかと思いますけれども、おそらく、大体やはり同じような名誉職的な立場に立っておる方じゃないかと思いますので、そういう方であれば、兼務されても別段支障ないのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/26
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027・山内広
○山内委員 その辺がちょっと問題が伏在していると、ぼくは思うのです。国で委嘱する相談委員は、市町村の推薦によってきまるわけです。そうしますと、市町村で委嘱していろいろ実績をあげているから、国の業務もやらせるということで兼務することになれば、これは地方公共団体の業務も国の業務も兼ねてやれることになります。そうしますと、業務の内容から見まして、政治運動に利用してはいかぬとかなんとか書いてはありますけれども、この人が相談委員としての権限を行使することが非常に強くなって、地方のボスをつくる心配はないかということを、私は逆な意味で心配しておる。これが一点。
もう一つ、最近国は、委任事務あるいは補助事業に対してたくさんの金を出しておる。そうしますと、これは業務は地方公共団体の仕事ですけれども、本来国のやるものを地方公共団体にやらせているのですから、あるいは大部分を国の経費で補助でやらせているのですから、これの区分は一体どうなるのか、この辺も問題があろうかと思いますが、兼務された場合は問題ないとしても、国の行政相談委員は、そこまで踏み込めるのかどうか、この点の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/27
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028・稲木進
○稲木政府委員 相談委員として委嘱しまし担方が、ただいまお話のありましたように、その相当する相談業務を他の目的、たとえば政治的な目的に利用するというようなことがもしある場合におきましては、この法案の第六条の規定によりまして、直ちに解嘱するという手続をとることも考えているわけでございます。ただ、いままで私ども、この相談委員というものを、先ほどから申し上げました長官の訓令による委嘱で運用してまいりまして、そういう地位を悪用したというような事例は、いままでに幸いにして全然ございません。そういう点では非常に喜んでおりますし、今後もまた委嘱の人選の際に十分に気をつけていきたいと考えているわけでございます。
それから第二点としてお尋ねのありました、国の委任あるいは補助によって市町村がやっておる業務、こういう業務は行政管理庁の相談の対象として当然取り上げますが、相談委員が扱う対象としては、第一義的には一応考えておらないわけでございます。しかし、先ほど来岩動先生から御指摘がありましたように、そういうことについて相談を持ってくる人は、はっきり認識をしていない場合が多いと思いますので、現実にそういうような案件が相談委員のところに参りますれば、これはやはり一応その話を聞いて、担当のところに取り次ぐとかなんとかということは、実際問題としてはそういう必要がある場合が起こってくるのではないかと考えております。しかし、その点につきましては、相談委員だけで立ち入ってそのあっせんをするとかということはやってもらわないという考え方をとっております。しかし、国の委任しました業務、あるいは国の補助に基づいて市町村等がやっております業務は、本来的にいえば、やはりもともと国の業務でございます。そういう業務につきまして、実際にその仕事をやっております市町村に苦情を持っていったけれども、それがどうしても納得のいくような処置がとられなかったということで、それに対するさらにもう一つ不服の問題として相談委員等に持ち上がってきた場合におきましては、その市町村の業務を監督しているのは国の行政機関でございますので、今度はそういうような国の監督業務としてこれを苦情相談の対象に取り上げる場合もあり得るというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/28
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029・山内広
○山内委員 実は私もこの行政相談というものの運営がどういうふうに行なわれるものかよくわからぬので、前から調べておりました。「行政相談」という機関紙の二十五号をちょっと見ました。この中で一つ参考になることは、委嘱を受けた中川さんという行政相談委員が、行政相談に関するアンケートというのを十三項目にわたって書いておる。これを見ましたときに、先に岩動さんの触れた点も非常に心配がありましたけれども、こういう地方行政と国の行政との区分というものは、ほとんどつかない問題がたくさんこの中に入っているわけです。十三項目読むことは長くなりますからやめますが、第一番目に、大雨とか融雪時に河川がはんらんして困っていることはないか、非常に大きな問題です。これは国の河川か地方河川かわかりませんけれども、またこの中に補助が入っているかどうか、この辺もおそらく行政相談委員自体がおわかりにならないと思うのです。ですから、いま住民が困まっている問題、このほか十三項目見ますと、全部区別がつかない。もう国民生活の全部がこの苦情相談に持ち込まれるというケースなんです、こういう実例を見ますと。そういうことになって、これが全部大きな権限は——あとでちょっとその問題には触れてお聞きしますけれども、一人の人がいろいろなことについて各官庁なり地方行政機関にこういうものを持ち込む、こういうことになると、非常に大きな権限をむしろ与えることになるのではないか。法規上の問題は、なるほど公務員でもないし、名誉職ですから、それほど大きな力はないけれども、こういう現実の住民の生活に触れた全般ですよ、これは拡張解釈すれば。こういうことまでやることが、はたして相談委員法のいろいろな制限規定で押えられるかどうか。私は、むしろそっちのほうが心配なんです。そこで、これからいろいろ行政指導もされると思いますけれども、こういう地方公共団体と国の関係というようなものをよほど明確にして、権限の範囲もよほどはっきりしませんと、一つには、つくったけれども何にも力のないものになるか、あるいはこれを活用されると、大きな権限を持って、かえって村にとっては迷惑なボスを養成する心配も出る、そういう点で、もう一ぺんこの点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/29
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030・稲木進
○稲木政府委員 相談委員の従来扱っておりましたケースは、国の行政機関の業務とかあるいは地方公共団体の業務というようなことは、あまりやかましく区別しておらなかったという面もあって、いま御指摘のように非常に間口が広いような印象を与えておると思うのです。しかし、現実の問題としましては、先生も御指摘になったように、相談委員も行政の専門家ではございません。したがって、この案件について、これが国の事務であるか、あるいは公共団体の処理している事務であるかというような点については、詳細の知識を持っていない場合が多いわけでございます。したがって、私どもの従来の取り扱いとしましては、相談委員が相談を受け付けましても、それについて自分でみずから判断できるような非常に簡単な問題は、相談委員がそれぞれ適当な考え方を説明して済むような場合にはそうしてやっておりますけれども、大部分の案件につきましては、こういう相談があったということをわれわれの出先機関であります行政監察局のほうに連絡をしてもらう、そうして行政監察局が所管の役所のほうにその話を持っていく、そうしてあっせんをする、こういうのが大部分の扱いでございます。したがって、相談委員のところを通ってきます案件は、非常にバラエティーに富んだいろいろな種類の問題、それは非常にむずかしい問題もございますし、非常に簡単な問題もございます。そこで考え方としましては、監察局のほうに上げなくても一目りょう然、はっきりわかるような問題につきましては、相談委員のほうで適当に助言をするとかなんとか処理をとってもらいますけれども、大部分の案件は、監察局のほうに相談委員から知らせてもらって、そうして監察局が処理をする、こういうような体制でやっておるわけでございます。そういうことでございますので、現実の問題としましては、心配されるような相談委員が今後ボス的なものに非常に悪く成長するというようなことは、あってはいけませんし、われわれとしてはそういうことの起こらないように十分にその取り扱い方の指導をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/30
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031・山内広
○山内委員 関連質問ですから、またあとで別のところで聞きたいと思いますが、移動相談なんかでいろいろ啓蒙されるそうですが、この第三条によりますと「委員は、その業務に関し、啓発及び宣伝をするものとする。」「委員は」と頭にありますから、この宣伝啓発を義務づけて委員にさしているのは、ちょっと無理なような気がするのです。これは管理庁自体がおやりにならなければならぬ宣伝啓蒙まで、しなきゃならぬ。その結果、相談に来るときには本人が受ける。この義務づけは、ぼくはちょっと無理なような気がしますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/31
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032・稲木進
○稲木政府委員 委員が業務に関し啓発及び宣伝をするという趣旨は——この啓蒙宣伝一般につきましては、行政管理庁がまず第一義的にやるべきことであることは、お説のとおり私どももさように考えております。しかし、ここで書いております啓発宣伝というものは、こういうような苦情相談の制度があるんだということ、そうして、そういうような行政上の問題について、特にこういうような問題については、私がそういうような扱いをしているのだということを、その地域に常時住んでおる委員が、一般の人たちに適当な機会をとらえて説明をするということは、あってもいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/32
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033・山内広
○山内委員 もちろん皆さんのほうでは研究されておると思うのですが、実はウォルター・ゲルホンという人がこの間日本に来まして、この人のこういう問題を研究された報告書、私もちょっとより読んでないのですが、この中でも指摘されている点は、行政相談委員というのがあるということを公務員自体の大半が知らないということを報告されておるのです。ですから、この宣伝、啓発の義務を委員に負わせるということは、私は無理だと思うのです。そういう点からお聞きしておるのですが、国家公務員も、そういう制度があるのを知らぬ人が、たしか六十何%と書いておるのです。ちょっと忘れましたが、半数以上がそういうことになっておる。そうしますと、委員に義務を負わせても、その範囲を越えている。せめて国家公務員ぐらいはそれを知っていて、何か問題があって、これが行政委員の手で処理されたほうがいいと判断されたら、そっちへ回してやるというくらいの宣伝というか、そういう啓蒙をしておかないと、これは有名無実に終わる心配も出てくる。そういう点で委員に義務を負わせないで、もう少しあなた方がおやりになるというふうに修正しておかれたほうがいいのではないか、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/33
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034・稲木進
○稲木政府委員 先ほども申し上げましたように、一般に対する行政相談制度の普及宣伝ということは、これは当然に行政管理庁がみずからやるべきことでありますし、特に相談委員制度の設置の状況等についての周知徹底という問題は、第三条にもございますけれども、相談委員の氏名、住所、こういうものの周知を長官がやれというふうに条文上も規定しているわけでございます。また、この制度全般の、行政制度一般の問題についての周知徹底方につきましては、先ほど長官からも御説明申し上げましたように、特に力を入れて行政管理庁としてはやっていかなければならぬ。今後の対策等につきましても、われわれはいろいろ考えておるわけでございますし、従来もやってまいったわけでございます。そういう点につきましては、ただいま御指摘にもありましたコロンビア大学のゲルホン教授も、日本の相談制度というものは非常にいいが、どうもまだ周知が不徹底であるというような点を確かに指摘しておりますし、今後われわれはその面であらゆる方法をとってやっていきたい、かように考えておりますが、特に今回この相談委員法が法律上の制度として成立いたしますれば、その面でも一般に対する周知徹底というのは、従来の行政管理庁のただ単に訓令でやっておった業務に比べますと、はるかに一般的な周知がはかりやすくなった。またそういう意味では、非常に強く世論の関心を受けとめていただけるものだというふうにわれわれは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/34
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035・山内広
○山内委員 終わろうと思ったのですが、それだからおかしいというのですよ。この第三条は、「長官は、……委嘱をしたときは、委員の氏名及び住所を関係住民に周知させるため適当な措置をとるものとする。」長官の責任は、委嘱を受けた人が、ここにこういう人がおりますということを知らせればいいわけです。そして今度は、委嘱された委員は、その業務に関して、宣伝、啓発という責任を負わされる。私はこれはおかしいと思う。長官がこういうりっぱな制度を設けたから活用してくれという宣伝をやらないで、これは委員にまかせる。委員は自分のうちにいる。そして現に、今度は八千円になるか知りませんが、手当は一銭ももらわないで、そしてたばこ銭にもならぬくらいしかもらっていない。どうしてこれで宣伝、啓発ができますか。長官のほうは、広報か何かで氏名と住所だけを教えられる。これは逆じゃありませんか。長官、どうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/35
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036・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 局長からも一応答弁したとおりでございまして、行政管理庁として行政相談制度を周知徹底し、啓蒙することは、当然の義務であります。先ほどこまかくお答えしましたが、あらゆるくふうをいたしまして、こういう制度があるということ、また委員の方がどこにいるのか、そういうような点までこまかく、いままでやっておりましたものは不十分でありますので、今後十分徹底さすためにあらゆるくふうをいたしたい。これは当然の義務でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/36
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037・村山喜一
○村山(喜)委員 ただいまのその点は、第三条に書いてあるのは、福田長官がいま言われたとおりのことは書いてないですよ。書いてないとすれば、これはいま説明をされた点において修正をされる御用意があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/37
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038・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 この行政相談制度の内容そのもの、あるいは委嘱された委員の氏名あるいは住所とか、そういう具体的に相談をされるほうの立場に立ってあらゆるくふうをすることは当然のことでございまして、法律にうたわなくとも、われわれの政治的責任として一番大きな問題であろうと思うわけであります。したがって、これはお願いした委員の方に、集会でありますとか——一応統計をとってみましたが、民生委員その他、いま御指摘のありました経費が相当上がっておりますので、いろいろな会合にしょっちゅうお出になるような機会が多い。そういうときにいろいろ宣伝する、そういう意味の第三条の規定でございます。管理庁あるいは管区監察局においてPRあるいは啓蒙に対して最大の努力をすることは、これは法律に書きませんでも、当然の私どもの義務であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/38
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039・村山喜一
○村山(喜)委員 ちょっとおかしいですよ。「周知等」というところの第三条に、そういうようなふうに書いてないわけですよ。長官がやらなければならないこと、それから委員がやらなければならないこと、分類してあるじゃありませんか。それは法律に書いてなくともやるんだと言うならば、こういうものは法律を出さないほうがいいじゃないですか。そうでないとすれば、なぜそこにやらなければならない限界点というものを、いま長官が説明されたとおりに法律に書いてお出しにならないんですか。
〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/39
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040・稲木進
○稲木政府委員 この第三条の第二項に「委員は、その業務に関し、啓発及び宣伝をするものとする。」ということを書きました趣旨は、委員が本来の業務としてやっていただくことは、第二条の第一項の第一号、第二号のことをやっていただくことでございます。そのほかにこういうこともやれればやってもらいたい、こういう趣旨でございますので、さように御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/40
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041・村山喜一
○村山(喜)委員 非常に苦しい答弁ですが、長官が心の中からそう思っておられるのなら、これは修正をしてお出しになるか、あるいはこの委員会で修正をするのに対して了承をいたしますということを言われなければ、どうも筋が通らない。そういう点から言うならば、この点については問題があるということを私は指摘して、関連質問ですから、次の段階に入ります。
いま約三千名の相談委員がいる。これは行政モニターと呼ばれているあの人たちなんですか、モニターとは別なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/41
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042・稲木進
○稲木政府委員 モニターというものは、実は私よく承知しておりませんが、行政モニターとは全然違うと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/42
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043・村山喜一
○村山(喜)委員 私の県においてモニター制がとられて、それを委嘱をしている。この行政相談委員の実績が一体どういうような実績であり、それでこれを法律によって位置づける、単なる訓令によってやるよりも権威づけるのだということで法律を出されているわけですけれども、実績はこういうふうになって、これを法律にした場合にはこういうふうになるのだという見通しの説明がなければ、これはおかしいと思う。その点について説明を願いたいというのと、これはやはり法律によって委嘱をした場合には、国家公務員法にいうところの特別職の公務員ということに私はなると思うのですが、その点はどうでありますか。いわゆる公務員制度上の問題点として、当然公務員法を改正しなければならないのにもかかわらず、その条項が入っていますかどうか。ちょっと見てみたら、入っていないわけです。そうするならば、一体これはどういうような位置づけをするのかということが問題であろうかと思うのですが、その点について説明を願っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/43
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044・稲木進
○稲木政府委員 相談委員は三千六百五名現在おるわけでありますが、この取り扱い件数は全体で、先ほど申し上げました四十年度の取り扱い件数が約六万五千件ばかりございますが、そのうちの約八割くらいが相談委員を経由して処理されたものであるという実情になっておるわけでございます。この相談委員制度が法律上の制度としてなった暁においては、こういうような相談業務の案件がどういうような方向をたどるであろうかということにつきましては、私どもは、この法律制度によったものになりますれば、やはり行政相談委員というものが一般にさらに広く認識されてきますし、また信頼を受ける度合いが厚くなってくるんじゃないかということを予想されますので、したがって、今後もっと相談の案件は増加するのではなかろうかというふうな見通しを立てておるわけでございます。
それから、第二点の御資問でございますが、相談委員の業務は行政管理庁長官が委嘱するわけでございますが、その行政管理庁長官と相談委員との関係は、いわば民法上の委託契約ということに考えておるわけでございます。したがって、この間には、公務員の場合のような任命といいますか、そういうような関係は生じない。したがって、相談委員は公務員ではない、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/44
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045・村山喜一
○村山(喜)委員 われわれ国会議員も、特別職の国家公務員です。それから失対で働いている労務者も、特別職の国家公務員。それからこの法律によって位置づけるというのには——まあこの場合には給与を支払わないわけですから、そういうような面で若干違うとは思うのですが、私はやはり法律に基づいてそのような制度が生まれ、そして委嘱をする、これはやはり一つの国家公務員ではないかと思うのです、そういうような広い意味においては。ただし給料を支払わない。したがって、雇用関係が成り立たないといえばそれまでなんですが、この身分は単なる民法によるところの委託業務関係をつかさどるのだということだけで済むことができますか。そうなった場合においては、たとえば法律に基づいて規制を加える、そこには限度もあるでありましょうし、その場合に、たとえば地位を利用して政党活動や政治活動をしてはならないというのがあるようです。それをもし守らない場合には解嘱をするというだけで足りるかどうか。それに対しましては、単なる委託契約だから、解嘱をすればそれでよろしいということになると、私が問題に考えるのは、行政相談委員というものがそういうようなふうに法律で権威づけられる、そして行政処理機関の監察局がそれを受け付けて処理をする、具体的な業務はそういうことになるのでしょうが、そういうようなことによって一つの政治的な人物をつくり上げることになる。これは私なんかには直接関係はありませんが、地方議員の第二の卵になっていく、こういうようなことに私はなるんじゃなかろうかと思うのです。そういうような人を選ばないのだということになれば、これは活動力のない年寄りの、もうようやく——人望はあるけれども行動力はない、こういうような人が相談委員になって、手紙を書いて、これを監察局に届けておきましょうというようなことで、実際あなた方が期待しておられるようなそういう効果を期待することは、非常に困難ではないか、こういうふうに考えるわけです。私も地方議会におったことがございますから、その実例を知っておりますが、実際そういう民衆の苦情処理というものは、地方議員が中心になって行なっておるということは、あなた方もお認めになっていらっしゃると思うのです。それはなぜ民衆が地方議員に頼むかというと、地方議員に頼んだら金がかからない。そうして安心してまかされる。その処理がきわめてスムーズに自分の期待の方向に実現ができるという、そういう期待感があるから、地方議員に頼むわけです。そうすると、地方議員は、金はもらわなくても、実費弁償ももらわなくても、それだけの仕事をやってやることによって、次の選挙のときには非常に役に立つということで、それにこたえて一生懸命やるわけです。そういうような関係が自然に成り立っておる中で、あなた方のほうは、お金も国のほうから一銭もやらない、実費弁償もこれは予算の範囲内でやるということになったら、一体どれだけの効果をこの法律によって期待されるかということになってまいりますと、どうもそういうような点から見たら、あまり効果は期待できない。ただ、いままで訓令で処理しておったものを法律によってやったのだということになると、身分的に地位が向上したような錯覚を行政相談委員に持たして、それによって事足りるというような感じになってしまうおそれがあるのではないか。そういうような点から見まして、一体この法律を提案されたほんとうの趣旨というものは、どこにあるのか。それをあなた方は非常に大きく期待しておられるとするならば、それに対応するいわゆる財政的な裏づけ、あるいは行政上の責任、そういうようなものに対する明確なる答えが出てこなければならないと思うのですが、どうもこの法律自体からは、そういうようなことが期待できそうにございませんので、期待できるのだということを福田長官のほうから説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/45
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046・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 御承知のとおり、民生委員あるいは人権擁護委員、これは法律に基づいております。いわばその職務の執行、任務の遂行にあたりましては、相当権威がある。にもかかわらず、きわめて重大な行政民主化の第一線に立たれておる行政相談委員の方は、いままで訓令に基づいて委嘱されておる。この際やはり法的な地位を与えて委嘱をいたしたい。これは実は三千六百五名のほとんど大多数の委員の方々の二、三年来の強い願望でございます。私ども現地でお会いして実情を伺っておりますが、私ども一生懸命やるが、ぜひともこの際法律的な位置づけをしてもらいたい。これは法的に申しまして、御案内のとおり、法的な裏づけができますれば、長官にいろいろ意見具申ができるとか、あるいは他の官庁との窓口折衝におきましても、前とは違った意味の権威のあることは、当然でございます。なおまた、効果につきましては、毎年一万件くらいずつふえております。公害関係だけを取り上げても、約八百件処理して解決しております。こういう実績の上から見ましても、非常な私ども期待ができますし、また効果をあげなければならない。一歩前進でありますし、また重大な任務をお願いする以上は、そういう委員の方々の御要望にも沿う必要があろうし、適切な法的な地位を与えて、公法上の契約行為にいたしたい、それが実情に即しましての私どもの考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/46
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047・田口誠治
○田口(誠)委員 大体のつぼは質疑がなされましたが、ただ、ここで長官のほうにもお考えを願いたいと思いますことは、まあ岩動先生のほうからは、国の行政だけか、またこれは国の行政だけではできないので、地方の行政も含めた仕事をやらなければならないのか、この点については両方ともやるのだ、責任は国の行政だ、こういう幅広い答弁があったわけであります。それから、これはどう考えてみましても、先ほど村山委員のほうからも指摘をいたしましたように、法律で位置づけをしたこの委員は、無報酬ということはこれは全くおかしいと思うのです。それで、これは特別職という形で、そして報酬をどれだけか出すべきではないか、こう考えます。そこで、今度苦情を持って相談をしに行くほうの側になって考えてみますならば、今日までは公務員ですらこういう行政相談委員があるということを六〇%以上も知らなかったという実態であったから、ことに一般大衆は知らなかったわけなんです。これからは法律で位置づけをして、そして宣伝、啓発も行なう。そしてこの行政相談委員の仕事を今後増していくということになるわけでございまするから、そうなりますると、無報酬で相談に応じていただくということになりますると、どうしても相談に行く側として、人情として、相談を持ちかけていろいろ助言をしてもらったり、仕事に協力してもらったりした場合には、日本の慣習として何か手みやげを持っていかなければならないのじゃないか、こういうことがすぐ頭へくるわけなんです。村山委員のほうから地方議員の立場の場合を説明されましたが、それは全く無報酬であっても、まだ選挙のときに協力してやればいいからという、この頭があるので、軽く地方議員を使うわけなんです。それで、また地方議員もそれにこたえて努力してやる。ところが、法律で今度位置づけをしたところの相談委員が無報酬でやっていただいておるということになりますると、非常に一般大衆が気がねをして相談に行かなければならない。その間には、物品のやはり授受ということも一つの日本の習慣としてなされるのではないか、こういうことを考えてみますると、これはどれだけか報酬を出して——先ほど最初に局長のほうからのお話は、まあそんなに仕事もないし、あまり仕事もないから無報酬でという最初の答弁でしたけれども、現在報告された六万件以上、それから三千名の委員の数から割って出してみましても、現在ですら相当仕事がある。これが十分に大衆に徹底されるということになると、相当仕事があるのではないか、活用されるのではないかと思うのです。そうなりますると、役場とかどこかの一室を借りて、そうして一週間に金曜日の日は相談にあずかる日だというようなぐあいに指定をして、そうして相談を受ける。しかもそれはどれだけの報酬をもらって、そうして特別職、こういう形であれば、ほんとうに気軽に大衆が相談に行けるわけなんです。そうでないと、非常に気がねをして相談に行かなければならないということになるので、こういうようなことから考え合わせてみますると、どうしても現在の無報酬ということと、それから名誉職ということだけが、私はひっかかってくると思うのです。事実問題としてそういうことがあり得ると思うのです。長官、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/47
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048・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 これだけの忙しい大事な仕事に対して無報酬ではいかぬのじゃないかという御意見は、確かに一つの御意見だろうと思います。ただ、いまの段階では、名誉職的な、実費を弁償して名誉職的に働いていただくということが、適当じゃないかと考えております。また、役場あたりに一定の日にちを指定していけば、苦情を申し出るほうも非常に便利ではないか。この問題は、具体的に、もし法律ができましたあとでは、何とか研究課題として実施をして、いろいろ試験的にも、現地の方々とも相談をして、そういうような方向をとっていきたい。将来これが名誉職そのものがいいか、あるいは報酬を差し上げるといったほうがいいかということは、これは研究課題として私ども検討さしていただきたいと思います。現在の段階では、実費を差し上げて名誉職的にひとつ御苦労を願ったほうが、いまのところではよろしいのではないか。将来の問題として、御指摘の点は検討さしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/48
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049・田口誠治
○田口(誠)委員 研究課題として、この法案の内容について何人か資疑応答の中でいろいろと指摘をいたしましたことを、ひとつ検討をしていただきたいと思います。そうでないと、どうしてもこの三条の二項の問題とか、一項の問題とか、その他いま私の申しましたようなことは、ひっかかってくるわけです。だから、こういう点は、ひとつ次の議会なり、通常国会までには検討をしていただいて、そうして改正をする必要のある点はひとつ改正案を出していただいて、検討をさしていただく、こういうようにしていただきたいと思います。私どもこの法律案を考えてみても、法制局がほんとうにすらすらと法文がようできたなと思うわけなんです。そういう内容のものであるから、これはいままでの与野党を通じての質疑の中で十分長官もその点はおわかりになったと思いまするし、そうしてこれは私らのほうから申し上げなくとも、いろいろとお考えになっておったこともあろうと思いまするが、幸いに研究課題として今後検討するという御回答がありましたので、その点に期待をして、私の質問を打ち切りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/49
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050・木村武雄
○木村委員長 次会は、明十日午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X04419660609/50
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