1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二十四日(金曜日)
午前十時四十三分開議
出席委員
委員長 木村 武雄君
理事 伊能繁次郎君 理事 辻 寛一君
理事 長谷川四郎君 理事 藤枝 泉介君
理事 大出 俊君 理事 田口 誠治君
理事 山内 広君
安藤 覺君 岩動 道行君
臼井 莊一君 小川 半次君
加藤 高藏君 久野 忠治君
纐纈 彌三君 西岡 武夫君
橋本龍太郎君 藤尾 正行君
保科善四郎君 堀内 一雄君
前田 正男君 湊 徹郎君
山村新治郎君 赤路 友藏君
茜ケ久保重光君 中村 重光君
中村 高一君 村山 喜一君
楢崎弥之助君 米内山義一郎君
受田 新吉君
出席国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
労 働 大 臣 小平 久雄君
国 務 大 臣 福田 篤泰君
国 務 大 臣 松野 頼三君
出席政府委員
総理府総務副
長官 細田 吉藏君
総理府事務官
(行政管理庁行
政管理局長) 井原 敏之君
総理府事務官
(行政管理庁行
政監察局長) 稲木 進君
防衛政務次官 井村 重雄君
防衛庁参事官 鈴木 昇君
防衛庁参事官
(長官官房長) 海原 治君
防衛庁参事官
(防衛局長) 島田 豊君
防衛庁参事官
(教育局長) 中井 亮一君
防衛庁参事官
(人事局長) 宍戸 基男君
防衛庁参事官
(衛生局長) 高部 益男君
防衛庁参事官
(装備局長) 國井 眞君
防衛施設庁長官 小幡 久男君
防衛庁事務官
(防衛施設庁施
設部長) 財満 功君
大蔵事務官
(主計局次長) 鳩山威一郎君
委員外の出席者
議 員 岩動 道行君
議 員 大出 俊君
議 員 多賀谷真稔君
議 員 中村 重光君
議 員 受田 新吉君
大蔵事務官
(主 計 官) 井上 幸夫君
専 門 員 茨木 純一君
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六月二十四日
委員相川勝六君、海部俊樹君、野呂恭一君、小
川半次君、稻村隆一君及び中村高一君辞任につ
き、その補欠として西岡武夫君、山村新治郎
君、橋本龍太郎君、安藤覺君、赤路友藏君及び
中村重光君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員橋本龍太郎君辞任につき、その補欠として
久野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員安藤覺君、久野忠治君、西岡武夫君、山村
新治郎君、赤路友藏君及び中村重光君辞任に
つき、その補欠として小川半次君、野呂恭一
君、相川勝六君、海部俊樹君、稻村隆一君及び
中村高一君が議長の指名で委員に選任された。
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六月二十四日
旧勲章年金受給者に関する特別措置法案(伊能
繁次郎君外二十名提出、衆法第五七号)
駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(伊能繁次郎君外二十九名提出、衆法
第五八号)
連合国占領軍等の行為等による被害者等に対す
る給付金の支給に関する法律の一部を改正する
法律案(伊能繁次郎君外二十九名提出、衆法第
五九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
中小企業省設置法案(中村重光君外十八名提
出、衆法第二〇号)
沖繩に対する財政措置その他の援助に関する臨
時措置法案(多賀谷真稔君外二十三名提出、衆
法第五〇号)
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
律案(内閣提出第一五号)
防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法
律案(内閣提出第三七号)
旧勲章年金受給者に関する特別措置法案(伊能
繁次郎君外二十名提出、衆法第五七号)
駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正す
る法律案(伊能繁次郎君外二十九名提出、衆法
第五八号)
連合国占領軍等の行為等による被害者等に対す
る給付金の支給に関する法律の一部を改正する
法律案(伊能繁次郎君外二十九名提出、衆法第
五九号)
行政機構並びにその運営に関する件(行政相談
委員及び審議会等の整理に関する問題)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/0
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001・木村武雄
○木村委員長 これより会議を開きます。
中村重光君外十八名提出、中小企業省設置法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/1
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002・木村武雄
○木村委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。中村重光君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/2
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003・中村重光
○中村(重)議員 提出者を代表いたしまして、ただいま議題となりました中小企業省設置法案の提案理由を御説明いたします。
中小企業省を設置し、中小企業大臣のもとに、抜本的、強力な政策が実施されることは、全国中小企業者が、長年にわたり切実に待望してまいったところであります。
現在の中小企業庁は、その機構がきわめて貧弱であるだけでなく、大企業の代弁機関と化した通商産業省に完全に隷属しておるのであります。このため、従来、中小企業庁が、中小企業者の与望をになって、せっかくよい施策を立案し、あるいは適切妥当な予算を要求いたしましても、大企業の立場から、あるいは通産省全体のワク内において、事前に葬られてきたのであります。
これでは、中小企業者の意見、要望を真に反映し、その利益を擁護する機関は、現在の政府にはないと言っても過言ではないのであります。今日農民に農林省あり、労働者に労働省あり、大企業者のためには通産省あり、ひとり中小企業者のみが、日の当らないところに置かれておって、これに相応する政府機関が欠けているのであります。中小企業者に中小企業省を、そして通産省と対等の立場で、中小企業政策なり、中小企業予算について、国政の最高の執行機関である閣議の場において討議されるべきは当然のことであります。
ここに中小企業省を早急に設置し、機構を整備して、中小企業基本法にうたうところの諸政策を最も効果的に実施し、もって中小企業経営の安定と発展に寄与してまいりたいと存ずる次第であります。
これが本法律案を提出する理由であります。
次に、その内容の概要を御説明いたします。
まず第一に、本法律案は、中小企業省の所掌事務の範囲、権限を明確にし、あわせてその組織を定めるものであります。
第二に中小企業省の任務といたしましては、中小企業者の組織、経営近代化、振興及び助成に関する行政事務や、基本政策の樹立に関する事務等を一体的に遂行する責任を負うものであります。
第三に、中小企業者の具体的な権限といたしましては、収入、支出に関する事務、職員の人事管理等、通常の所掌事務の遂行に必要な権限のほか、事業分野の確保、設備近代化の助成、組織化の指導助成等があります。さらにまた中小企業関係機関に関し必要な権限を有することといたしておるのであります。このため、たとえば、従来中小企業庁の所管の外にありました中小企業退職金共済事業や国民金融公庫に関することも、中小企業省の権限事項と相なるわけであります。
第四は、中小企業省の機構についてであります。
まず本省には、中小企業大臣のもとに、大臣官房及び振興、組合、経営指導、商業の四局を設置し、大臣官房には調査統計部を設けることといたしておるのであります。
次に、地方にも、支分部局として、札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、広島、高松、福岡の八カ所に中小企業局を設置し、それぞれのブロックを担当して、本省の所掌事務の一部を分掌せしめることにいたしております。
さらに、外局としては、中小企業者と大規模事業者等との間における紛争を調整せしめる機関として、中小企業調整委員会を設置しているのであります。
以上が、本法律案の提案理由並びに内容の概要であります。
何とぞ御審議の上に、すみやかに御賛同あらんことを切望いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/3
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004・木村武雄
○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/4
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005・木村武雄
○木村委員長 多賀谷真稔君外二十三名提出沖繩に対する財政措置その他の援助に関する臨時措置法案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/5
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006・木村武雄
○木村委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。多賀谷真稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/6
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007・多賀谷真稔
○多賀谷議員 ただいま議題となりました沖繩に対する財政措置その他の援助に関する臨時措置法案について、提出者を代表し、提案の理由を説明申し上げます。
戦後二十年余、百万人同胞が、依然として北緯二十七度線を境にして、本土と分断され、他民族の支配下に苦しい生活を続けていることをわれわれは夢寐にも忘れてはならないのであります。
沖繩は、二十数万の人々が生命を失い、しかも健児の塔、ひめゆりの塔に見られるごとく、けなげな中学生、女学生が祖国のために若い生涯をささげているのであります。
彼等の祖国、母なる国は、その後一体沖繩に対していかなることをなしたでありましょうか。
平和条約第三条により、沖繩を「合衆国を唯一の施政権者とする信託統治制度の下におくこととする国際連合に対する合衆国のいかなる提案にも同意する。このような提案が行われ且つ可決されるまで、合衆国は、領水を含むこれらの諸島の領域及び住民に対して、行政、立法及び司法上の権力の全部及び一部を行使する権利を有するものとする。」と規定し、沖繩住民の意思を何ら聞くことなくアメリカの施政権のもとに置くことに定めたのであります。
その後、わが国は国際連合に加盟いたしました。国連憲章第七十八条は「国際連合加盟国の間の関係は、主権平等の原則の尊重を基礎とするから、信託統治制度は、加盟国となった地域には適用しない。」と規定しています。ゆえに、わが国が国際連合に加盟した以上、信託統治を前提とする平和条約第三条は国連憲章違反としてその効力を失ったものと、われわれは解しているのであります。
ケネディ大統領は、一九六二年二月、沖繩は日本に復帰することを待望すると声明し、同年八月八日当時の陸軍次官エールス及び国務次官補ロバートは、下院において、八年前から信託統治に置く意思はなかったと言明し、国際連合に対し、信託統治制度のもとに置くことを提案する意思のないことを明白にしているのであって、アメリカの沖繩占有を合法化する国際法的根拠は全く失われていると思うのであります。しかるに、アメリカは沖繩をアジア戦略の重要なかなめとして基地化し、核武装化しており、沖繩はベトナム戦争の深まりとともに、その最大作戦基地の役割りをになわせられているのであります。このアメリカの占有に対し、沖繩住民は祖国復帰を念願し、施政権返還、軍事基地の撤去を要求し続けているのであります。
佐藤総理は、昨年八月沖繩を訪問し、私は沖繩の祖国復帰が実現しない限り、わが国にとって戦後が終わっていないことをよく承知しておりますと述べ、沖繩と本土との一体化を強調されたのであります。
しかしながら、政府は沖繩住民の真の悲願である施政権返還、軍事基地撤去の早期実現に努力しようとせず、教育費を中心とする財政援助五十八億円の本年度予算の計上も、沖繩住民の貧しい生活と低い行政水準を解消するに足らず、本土との格差はますます拡大する傾向にあります。
われわれは、沖繩の施政権の返還が一日も早く実現するよう努力することを諸君とともに誓うものであります。
その施政権が返還されるまでの間、沖繩住民の福祉の増進と経済の発展のため本法律案を提出した次第であります。
総理の沖繩訪問の際、琉球政府で取りまとめ提出した資料によれば、沖繩の経済、民生の現状は、次のとおりであります。
国民所得一人当たり本土平均の六二・一%にすぎず、産業構造はアンバランスであり、第三次産業が圧倒的に高く、就業者一人当たり所得額においても第一次産業、第二次産業は本土に比して五〇%台であります。消費生活の水準は、非農家計消費支出、一人当たり電灯消費量、電話普及率、テレビ普及率等で見ると、全国平均に対しきわめて低水準にあり、大方の指標は県別最下位であります。
教育については、教員数と教室面積の水準が低いばかりでなく、児童、生徒一人当たり公教育費についても、小学校で本土の四八・六%、中学校で七二%と著しい格差があります。この点は、わが国の財政援助により、沖繩の一九六七年度予算から若干改善されるものと思います。琉球大学も、本土の類似国立大学に比し教職員数も少なく、施設も貧弱であり、民生行政上最大の悩みが医師の不足であるにもかかわらず、医学部は設置されておりません。
社会保障制度は全く立ちおくれており、社会保険が現在実施されているのは、失業保険と労働者災害補償保険の二種だけであって、本年七月よりようやく医療保険と公務員退職年金が実施される運びになっている程度であります。その医療保険も、農民、中小企業経営者及びその労働者は法の外におかれているのであります。公務員退職年金も、政府、公社、市町村の職員並びに学校の教職員のみ適用されるのであって、米軍雇用者には適用はありません。生活保護も、保護基準は、標準四人世帯で見ると、一万一千六百七十八円で、本土の三級地の基準に比して七九%、四級地の基準に比して八九・七%となっていますが、勤労控除、身障、母子加算制度がない点を考慮すれば、実際は本土に比して半分程度の給付となっているのであります。
農業においては、耕地面積が膨大な軍用地接収によって減少し、農家二月当たりの平均耕作面積は六十アールの零細規模であり、農業経営はきわめて不安定であります。沖繩の基幹産業としての糖業は発展を遂げているものの、相場の異常な変動があり、本土政府の粗糖買い上げ政策のいかんによりその運命は左右され、パインアップルについても、同様に本土の移入量に影響されているのであります。
台風常襲地帯である沖繩においては、治山、治水、海岸保全等が緊要であり、道路、港湾、漁港の整備も必要であります。
住宅についても、本土に比し狭小で粗悪なものも多く、都市、特に那覇市においては、他地区からの激しい人口流入があって、住宅事情はさらに深刻な問題になっているのであります。
以上、琉球政府の資料により沖繩の現状を概括的に述べたのでありますが、沖繩に訪れた人々はひとしく住民の体格、ことに女性の身長から、栄養状態の差、生活水準の低さを感ずるでありましょう。水利権は米民政府に握られ、水道、電力は米民政府の公社が経営し、石油も米民政府管理下にあって、沖繩経済は完全に自立体制を喪失しているのであります。
同じ日本国民でありながら、かような差別的取り扱いが許されてよいでしょうか。
本法案は住民の福祉に寄与し、経済の発展に資するため、もし沖繩がかつての四十七都道府県のうちの一県であったならば、県、市町村並びに住民に交付されるであろう日本政府からの補助金等の財政措置その他の援助を琉球政府に対し、行なわんとするものであります。もちろん、施政権のない沖繩に対し財政措置を行なうものである以上、琉球政府の申し出がある場合に交付するものであります。
次に、琉球政府の統治機関として国の事務並びに事業については、財政措置の対象からはずしました。
さらに、沖繩住民からの日本政府に対する納税の方法もなく、かつ基準財政需要額並びに基準財政収入額の算定も困難でありますので、わが国における地方交付税交付金に相当する財政措置は一応いたさないことにし、市町村に対する財政補てんは、琉球政府に期待することといたしたのであります。
これらの原則に基づき次のごとく規定いたしました。
第一は、国の事務または事業に相当するものに対する財政措置、第二は、法律による地方公共団体等の事務または事業のうち、法律または政令により国の負担並びに補助割合が明確な場合、これに相当するものに対する財政措置、第三は、法律による地方公共団体等の事務または事業のうち、国の負担または補助の割合が明定されていない場合、これに相当するものに対する財政措置、第四は、国の負担または補助が法律の根拠に基づかない、いわゆる予算補助を行なっている場合、これに相当する事業または事務に対する財政措置及びその他必要な財政措置、第五には、琉球政府の申し出がある場合の資料の提供、助言、職員の派遣その他必要な援助、以上の財政措置並びに援助を行なうことといたしたのであります。
ことに、沖繩は戦後二十年余、わが国政府から放置されていたことにかんがみ、第二の事務または事業の負担または補助の割合は、奄美群島振興特別措置法に規定するものと同一の高率を適用することといたしました。
昭和四十一年度予算はすでに施行されており、琉球政府の本年七月一日より始まる一九六七年度の予算も近く施行されることになっており、かつ沖繩における援助受け入れの法整備の準備の期間も必要でありますので、昭和四十二年四月一日から施行することといたしたのであります。
何とぞ慎重御審議の上、可決あらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/7
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008・木村武雄
○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/8
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009・木村武雄
○木村委員長 内閣提出第一五号防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、及び内閣提出第三七号防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎弥之助君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/9
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010・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、冒頭にわが党の防衛に関する考え方、あるいはこの取り扱い方について態度を明確にしたいと思うのです。
昨日も総理に対する質問の中で、自民党の安保調査会の意見の問題が出されました。与党では、まだ決定をされていないということであります。また、わが党も、安全保障の問題について数多くの見解が出されておることも、私は否定をいたしません。ただ一つ、政府がどのようにそれを評価なさろうと、これまたわが党としてはまだ決定を見ていない段階であります。特に自衛隊が違憲の存在であって、われわれはこれを認めることはできない。その立場は変わらない。もう自衛隊があるからやむを得ない、あるものは一応認めて、そしてどうするかというような態度ではないことだけは、ひとつこの際明白にしたいと思うわけです。そこで、今度の三次防計画を見るに及んで、ますます自衛隊の違憲の内容が明白になってきたということを指摘せざるを得ないわけです。そこで、以下そういう立場から、私は数点について問題を明白にしてまいりたい、このように考えるわけです。
まず、国の安全保障という問題を取り扱うときに、われわれは、単に国の安全保障という問題を軍事的な観点にしぼって問題を処理しようといういまの佐藤内閣の政策に対して、非常に批判を持っております。そういった狭い軍事的な対応のしかたではなくて、もう少し外交の面からのいわゆる平和的な対話の方法があるではないかというような立場から、批判をしてまいりました。それでは二次防にもありますように、脅威の実態ということが非常に問題になろうかと思います。そこで私は、この際、直接侵略と間接侵略に分けて、脅威の実態は何なのか、またその可能性はありやいなや、それをまず冒頭お伺いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/10
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011・松野頼三
○松野国務大臣 今日、具体的に直接侵略の脅威、間接侵略の脅威というのは、現状の国防、現状の自衛隊の厳存している今日の時点において、直接具体的な侵略というものが現実に起こるという不幸な事態は、いまのところはないであろう、また、あってはならない、こういう抽象的な話ですけれども、実態というものを直ちにここで示せというような具体的なものとしては、今日は幸いわが国は安全で平和であると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/11
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012・楢崎弥之助
○楢崎委員 長官は、今度の国会で、特に参議院段階で、中国の水爆核実験が行なわれたという事態を前にして、これは脅威であるから万全の対策をとりたいという答弁をなさったのであります。また、佐藤総理も、脅威であることには間違いないという答弁をされました。そうすると、具体的には、あなた方は、中国の核実験を脅威の実態であると思っておられるのではないですか。具体的にはどうなのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/12
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013・松野頼三
○松野国務大臣 直接侵略、間接侵略という具体的な対象において、今日幸い日本は危険であるという、そういう実態という感じは、私は持っておりません。先般、参議院でお話ししましたように、中共の核実験というのは、やはりこれは兵器的、ある場合においては攻撃的兵器の開発、そういうふうな軍備の拡充というのが、諸外国、近隣諸国に起こるということは、脅威であるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/13
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014・楢崎弥之助
○楢崎委員 長官は、どうも答弁がスマート過ぎて、核心をはずすのがおじょうずなようですが、中国が核実験したこと、そのことは脅威ではないのでしょう、どうしてでしょうか。(「脅威だ」と呼ぶ者あり)では、アメリカも核水爆持っておるんですよ。持っておることだけが脅威になるのですか。(「なりますよ」と呼ぶ者あり)では、アメリカのいまの核の状態は、日本にとって脅威になるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/14
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015・松野頼三
○松野国務大臣 世界じゅう、これは一つの通俗的といいますか、一般的ですが、核開発、核兵器というものを各国で持つということは、あるいはこれの開発を進めるということは、それは世界じゅうの人類において必ずしも好ましいことではない。したがって、核拡散防止ということが叫ばれております。そういうときに、新たに一カ国、ことにアジアにおける一カ国が核開発に着手するということについては、これは大きな影響と脅威を持つと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/15
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016・楢崎弥之助
○楢崎委員 長官は、核があるから脅威だというような単純な考えでは、もちろんないと思います。与党の人はそうかもしれない。問題は、たとえば核なら核というものが、原水爆兵器というものがあるだけでは、脅威にはならない。それに政治的ないろいろなプラスアルファが加わって、初めてそれは脅威の可能性なりなってくるわけです。そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/16
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017・松野頼三
○松野国務大臣 核兵器の開発という、新たに国ができてくるということも、やはり核拡散防止という方向からいうならば、これは非常に脅威的な考えだと私は思うのです。ことに日本のようなアジアにおいて、いままでは一カ国もなかったアジアにおいて、核兵器開発が真剣に行なわれて、それが促進されるということは、それはアジア全般にとって私は脅威であると思います。その一つである日本においても、その脅威感というのは当然感ずるべきである、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/17
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018・楢崎弥之助
○楢崎委員 私が、あえて脅威の実態と脅威の可能性とを分けてお伺いをしておるところを、ひとつ長官もかみしめていただきたいと思うのです。それでは、佐藤政府としては、中国で水爆実験が行なわれたという事実は、脅威と受け取っておられるか、そう解釈してよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/18
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019・松野頼三
○松野国務大臣 もちろん今日の政治情勢及び世界の情勢から推して、日本も核拡散防止というものについては主張しております。それと変わった核開発、核兵器の装備というものが近隣諸国にあるということは、これは脅威であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/19
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020・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、間接侵略のほうに移りましょう。間接侵略の脅威の実態は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/20
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021・松野頼三
○松野国務大臣 間接侵略の脅威の実態と言われると、その実態の内容によってまた議論が違います。今日では何なのか、どこなのだ、こう言われれば、そういうものは、幸いいま日本にはその脅威はありません。それでは、いまないからといって間接侵略はないのかというと、今度は長期的な見通しから言うと、そう安全ということはどこの国でも言えないのではないか。長期的なもの、今日、この二つの段階において、議論が分かれると私は思います。したがって、今日この時点において具体的に何が間接侵略の内容なんだ、この実態をここで示せと言われれば、幸い日本は今日そういう危険というものはございません。それじゃ永遠に間接侵略はないのか、そういうわけではない。やはり世界の情勢を見るならば、間接侵略というものは、各地で行なわれておる苦い体験を見るならば、日本においてもそういうことを想定して、やはり間接侵略というものに対する対策というものがなければいけない、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/21
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022・楢崎弥之助
○楢崎委員 間接侵略とは、具体的に例をあげてください、どういう場合が間接侵略ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/22
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023・松野頼三
○松野国務大臣 自衛隊法ですでに御説明申しましたように、外国からの示唆扇動によって組織的な国内における治安を乱すこと、これを間接侵略と私たちは一応呼んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/23
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024・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、二月の予算委員会で私が明白にいたしました、自衛隊が考えておられる対象勢力という場合の脅威と、間接侵略の場合の脅威と、どういう関係がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/24
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025・松野頼三
○松野国務大臣 その問題は、間接侵略の対応というものを、まだ自衛隊はいたしておりません。まだいたしたことは、幸い今日ありません。したがって、その問題じゃありません。われわれが言うのは、ただいま申しましたような外国からの示唆扇動あるいは援助によって組織的に国内治安を乱す場合は、間接侵略、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/25
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026・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、間接侵略の対象になりそうな実態は、どういうお考えですか。いま長官は全然ない、具体的には全然日本にはない、そのような御見解でしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/26
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027・松野頼三
○松野国務大臣 いかなる形式で、いかなる方法で間接侵略というか、蜂起あるいは暴動が起きるかということは、予想がつきません。幸い今日はまだその危険性というのは、国内にないということであります。したがって、今日までは間接侵略の出動命令を出したこともありませんし、間接侵略の出動自身をやったこともありません。したがって、幸い今日までない。どういう形かということを予想もできないわけであります。ただいま申しましたように、国内治安を組織的に乱して、国民の生活を危険におとしいれ、国の存在を危うくする場合ということであります。まだそういうものには幸いにして、今日、今時点までには、出動命令も準備命令も出したことは、一ぺんもございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/27
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028・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、その問題を明らかにしたいのです。自衛隊が考えておる対象勢力、これは二月の予算委員会で、私は自衛隊が考えておる敵という内容と同じように考えられておるのではないかという質問をしました。私は具体的にその例をあげました。自衛隊の大学で、学校長がそういう講演をした内容を披瀝いたしました。したがって、自衛隊が考えておる対象勢力というのは、間接侵略の場合の脅威と非常に関係があるのではないか、これを私は論理的に痛感せざるを得ないのです。その関連は全然ないと長官はお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/28
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029・松野頼三
○松野国務大臣 二月の委員会のことをいま思い起こしまして、私の答えも明白にいたしたと思いますが、それとの関連は全然ございません。あのときは、演習の場合は、敵、味方ということばは書きます。ある場合には、青あるいは白ということばを使うこともあります。要するに一つの演習をする、演習想定であります。想定が必ずしも間接侵略とつながる想定と、そういう意味じゃありません。一つの想定としてこれを何々と認め、それに対する演習をする、こういうふうな場合において、A、Bあるいは青、白、これに対抗するものが対応勢力、こういう答弁を私は二月にした記憶を持っております。いまもそれは変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/29
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030・楢崎弥之助
○楢崎委員 対象勢力というのは演習の場合の相手方だ、そういう御答弁でございます。そうすると、あの竜情報によれば、対象勢力の中に社会党、共産党、労働組合、報道関係まで入っておる。そうすると、間接侵略を想定した場合の演習のときは、そういった人たち、そういった団体が仮想敵になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/30
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031・松野頼三
○松野国務大臣 それは内容が非常に違いまして、あのときはたしか、竜情報とか竜作戦というのは、一つの通俗語であります。それは何だというならば、ある場合には非常に平和的なものもあります。あのときもお答えしましたが、かりに言うならば、大蔵省作戦ということをやります。何だといえば、予算獲得のためである。そのときの対象勢力というのは、大蔵省の役人で、より多く予算を獲得するための問題であります。そういうふうな場合に、これはよく使うものなんです。やはり一つの演習というか、年じゅうそういう用語を使っております。したがって、その内容によって違うわけであります。したがって、この場合はナイキ、ホークを設置するというのは、ナイキ、ホークの設置のための一つの準備というか、通俗語でいう、そういうふうなときに使う語であって、私たちは、年末にはいつも大蔵省作戦のためといって、対象勢力が大蔵省にある。だからといって、これが間接侵略につながるということはあり得ないわけであります。予算獲得のための一つの計画という、そういうふうなことでよく使う。そういうことばが、ある場合には竜作戦といわれたかもしれません。それとこれとは全然、私の言う念頭と方向というものは違う。その一つの目的を達成するための一つの準備をする、その準備の相手方というわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/31
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032・楢崎弥之助
○楢崎委員 長官の言われるとおりにしておきましょう。
そこで「国防」という——これは私ども無料でいただいておる。この三月号の「防衛に関する諸問題」の中で、海原官房長——きょうに限ってお見えになっておらぬようですが、海原さんが論文を書いておる。この中で海原さんは、脅威の問題に触れて具体的に書かれておる。長官は、これをお読みになっていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/32
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033・松野頼三
○松野国務大臣 「国防」という本は知っておりますが、その論文は、おそらくまだ新しいのじゃないかと思います。私まだ読んでおりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/33
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034・楢崎弥之助
○楢崎委員 防衛庁の官房長、前防衛局長、問題の海原さんです。私は、この海原さんの御意見というのは、長官の次に防衛庁を代表する意見じゃないかと思うのです。それで私は、もしあれだったら、海原さんをひとつ呼んでいただきたい。——じゃお見えになりましたから、重ねてお伺いします。
いま長官との間に脅威の実態あるいは可能性の問題について論争しておったのですが、直接侵略のほうは一応終わりました。間接侵略の点でお伺いをしておったところです。長官は、間接侵略についても、いまその脅威というものは全然ないのだ。直接侵略の場合は、たとえば中国の核実験等は脅威だ。ところが、あなたの論文によると、この脅威の問題にすなおに触れられておりまして、見解を具体的に出されております。そこで官房長にお伺いしますが、直接侵略と間接侵略に分けて、脅威の実態及びその可能性について、御見解を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/34
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035・海原治
○海原政府委員 まずお断わりいたしたいと思いますが、それは去る二月一日、日本新聞協会の御依頼で「防衛に関する諸問題」というのを私がお話ししたときの内容でございます。いま先生は、私の見解と申されましたが、その冒頭にも最後にも私はお断わりいたしてございまして、私は、国家公務員であるから、この防衛問題についてこうあるべきだということを示す立場ではない、ただ事実をすなおに申し上げますと、私の知っておる事実をずっとそこに書いてあるわけであります。一番最後にも、現実の事態はこういう事態である、したがって、これをどう判断されるかは国民の皆さま方の問題だ、さらには新聞界の方々の問題だ、そういうことを特にお断わりしてございます。したがいまして、私の見解、特に防衛庁の官房長としての見解というものではございませんということを、ひとつ御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/35
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036・楢崎弥之助
○楢崎委員 それは困りますね。いいですか。あなたはこの一文の中に、あなたは一番詳しいから、これは正直に出されておる。いわゆる具体的な問題をずっと出されて、「以上のことから、私は、直接侵略、間接侵略の危険は十分ある、脅威はすでに現存していると考えております。」——長官は、ないとおっしゃる。防衛庁内の見解は不統一ではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/36
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037・海原治
○海原政府委員 先ほど申しましたことに引き続きますが、その場合の「私は」というのは、個人の私でございます。と同時に、現在の防衛庁設置法、自衛隊法というのは、現に直接侵略及び間接侵略というものを前提にしまして、そのための自衛隊の存在を認め、そのための教育訓練を行なうことを任務といたしております。すなわち、国会でお認めになりました法律によりますと、直接侵略、間接侵略というものが現にあるという前提でものが考えられておるのじゃないかということが、一応考えられます。そういう立場に立って考えてみますと、そこに書いてございますように、現在のわが国周辺のそれぞれの国家の軍備の状況、ないしは過去におきまして日本国内においていろいろな問題が起こっておりますそういう問題についての事実を、どう判断するかということでございます。私は私なりの個人的な体験も入れまして、このように考えます、しかし、それは国家公務員としての私ではありませんというような意味のことを、先ほど申し上げましたようにお断わりしてあることを御了察願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/37
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038・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、あなたは正直だと思います。あなたは防衛庁の官房長としてですね。それで問題は、いま長官もお聞きですが、こちらのほうが正直なんです。防衛というものは脅威というものを前提にして考える、こう書いてある。そのとおりだと思います、あなた方の論理でいけば。そこで、いまくしくもおっしゃいましたように、海原さん、いかに個人とおっしゃっても、個人と官房長という役職はひっついておるのですから、あなたのお考えというものは、やはり個人であろうと官房長であろうと、こういう考え、だと思うのです。そうすると、松野長官、あなたは少なくとも間接侵略には脅威と感じられるものは何もないのだとさっき御答弁なさいましたが、その点どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/38
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039・松野頼三
○松野国務大臣 その内容についての問題ですが、先ほど申しましたのは、治安出動及び治安出動準備をするような実態は、今日日本には幸いにないということです。永遠にないかというふうな話は、先ほど申し上げましたように、保証いたしません。それは常に警戒すべきである。だから、その問題は、時点のとらえ方、今日ただいまどこが間接侵略の危険性が日本にあるのかというならば、幸いにそこまでの準備と不安はないということ、直接侵略も同じことであります。しかし、間接侵略が今後日本にはないのだと断定するようなことは、世界の情勢がどう変わるかわからない、また日本の防衛は永遠のものであると考えるならば、そう簡単に割り切れない。海原官房長の文章を読んでおりませんが、私の思想はそういうことであるし、また海原官房長も、それ以上のことが実態にあるとは私は思いません。したがって、今日、治安出動とか治安出動準備とか、そういうふうな実態はないということ、幸いにして日本はそこまではなっていない。諸外国から見るならば、日本は非常に平和を守られておると私は思う。だからといって、今後治安出動はないか、これはまた違いがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/39
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040・楢崎弥之助
○楢崎委員 長官は最高責任者としてそういうような答弁をなされざるを得ないのでしょうが、実際あなた以外の防衛庁の人は、官房長以下こういう考えを持っていらっしゃると思います。実態はあるのだ。例をあげて、官房長は共産党の問題を出されておる。そこで、私はなぜこういうことを質問するかというと、今度の三次防のうち、特に陸上自衛隊関係の装備の充実というものは、間接侵略に備えての問題が非常に出てきておると私は思うのです。(発言する者あり)だから、私はこれを最初お聞きしております。いま声があっておりますように、自民党のウルトラCの方々は、全部そう思っていらっしゃるのです。それで、たとえばあなた方がその間接侵略の演習をなさるときには、大体対象勢力としてはどういうものだということは、想定してなさることは当然だと思うのです。
そこで私は、この三次防と関連をいたしまして、少なくとも今度の三次防を中心として、昨日も特徴を申し上げましたが、一つは自衛隊の戦略が質的に転換してきている。質的転換の内容は何かというと、一つは装備を近代化する。そのことはどういうことかというと、いつでも核装備に移れる体制を今度の三次防で……。(「そんなことはない」と呼ぶ者あり)勉強されてない方はわかってないが、私はそれを明らかにしております。それから、その質的転換の二番目は、いままで防衛庁は防衛、防衛、武器も自衛ということで、防衛の武器に限られておった。しかし、今度三次防にあらわれておる装備の状況を見ると、攻撃的な兵器にこれが転換しつつあるという事実であります。これは私はあとで立証してまいります。
そこで私は、三次防の問題に入ってまいりたいと思います。
昨日も触れましたが、いま中期経済計画が全く見通しのないでたらめな計画になることを政府はさすがに認めまして、これを廃止いたしまして、新たに新長期経済計画を立案中であります。その大綱は、聞くところによると、八月ごろ出されるということであります。この三次防は、四十二年から四十七年までの五カ年の計画です。そしてこれはすべて国民の総生産あるいは総所得と関連をしてまいります。そしてそれは日本の経済の発展の度合いに応じていく。とするならば、これが長期であるゆえに、この政府が出される責任のある経済見通し、すなわち八月ごろに予定をされる新長期経済計画と関連が出てまいると私は思います。そこで長官としては、この八月の経済計画が出される前でも、この三次防の計画は全部ひっくるめて国防会議で決定を見るべきであるというお考えなのか、それともこれは経済計画が出た後に慎重に決定をさるべきものであるとお考えでしょうか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/40
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041・松野頼三
○松野国務大臣 秋ごろ新経済計画が出されるようですが、防衛計画を先にきめても、私はそれに大きな支障はないじゃなかろうか。これはまだ企画庁長官と打ち合わせておりませんが、私は、そんなに大きな経済計画をじゃまするようなものではないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/41
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042・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは島田局長にお尋ねをいたしますが、あなたは四月五日記者会見をなさって、三次防の大綱を説明されたと聞いております。新聞に載っております。私どもは、それを基礎にこの三次防の検討をせざるを得ません。四月五日にどのような発表をされたか、お伺いしたい。それは内容については新聞に載っておるとおりなら、載っておるとおりでよろしゅうございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/42
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043・島田豊
○島田(豊)政府委員 私が記者クラブにおきまして、四月五日でございますか、一応ブリーフに申しましたのは、それまでの三次防に関します作業の経過につきまして松野長官に御説明を申し上げまして、その御説明申し上げました作業の経過につきまして、記者クラブで私が一応の説明をした、こういうことでございます。
その内容につきましては、三次防の作業の基本になりますところのいろいろな考え方、それから陸海空の作業のおもな骨子、こういうのについて御説明を申し上げたわけでございます。新聞に出ておりますのは、非常に具体的に数字の入りました詳しいものでございますけれども、私はそういうことはそのときには説明いたしておりませんので、主として考え方、長官に御説明いたしました考え方について説明した、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/43
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044・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、数字等については責任を持たれないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/44
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045・島田豊
○島田(豊)政府委員 これは各紙にあるいは雑誌に出ました数字等についていろいろ比較検討いただきますとわかりますように、その内容は区々でございます。したがいまして、そのときも、私は、防衛庁なりあるいは防衛局の案につきまして発表したというものではございません。そういう考え方の骨子を述べたということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/45
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046・楢崎弥之助
○楢崎委員 昨日も問題になったところでありますが、防衛庁のお考えによれば、防衛問題は国民とともに進む、とするならば、この国会は国民の代表であります。われわれの前に明示されないものが、どうしてあんなに具体的に出てまいるのですか。それはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/46
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047・島田豊
○島田(豊)政府委員 これは、各紙の記者の皆さん方はそれぞれ非常に御練達でございまして、取材活動等においていろいろ資料を集められたということじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/47
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048・楢崎弥之助
○楢崎委員 きのうも問題になったところであります。一体国防会議というのは何をやっておるかというのです。昨日も受田さんが問題にされました。何もかにもおぜん立てができて、そして国防会議に持ち込まれて、形式的な運営になる。こういうことでは、国防会議なんてある必要はないじゃないですか。防衛庁設置法の第三章国防会議の項には、何と書いてあるか。六十二条の二項に、「内閣総理大臣は、次の事項については、国防会議にはからなければならない。」その事項の中に「一 国防の基本方針 二 防衛計画の大綱三 前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱 四 防衛出動の可否 五 その他内閣総理大臣が必要と認める国防に関する重要事項」たとえばこの中の三号に、「前号の計画に関連する産業等の調整計画の大綱」というのがある。私はもうくどく言いませんが、昨日も指摘されましたように、いわゆる防衛産業界との懇談会等を通じ、長官の考えがずっと発表されてまいりました。そして防衛産業界は、非常な競争の状態になっておる。こういった問題は、国防会議にはかる事項にあるのだから、国防会議にはかった上、そういった問題が示さるべきであると私は思う。国防会議にはかられずに、大体の構想だけが産業界に示されると、産業界はやはりその構想にたよって、そしていろいろな悪い状態が出てまいると私は思うのです。私は、これは与党の皆さんだっていえることだと思う。与党の皆さんも、もう少しいまの防衛庁のこういった進め方については批判があってしかるべきだ。そういう点については、国防会議との関連で、国防会議が非常に無視されて計画がどんどん進んで、外部との関連もそれで進んで、最終的には形式的な判こしか押されないというような国防会議のあり方では、少なくとも総理大臣なりあなた方が思っておられる国民とともに進むというような形にはならないのじゃないか。そういう点についての長官のお考えを明白にしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/48
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049・松野頼三
○松野国務大臣 昨日も総理からも答弁いたしましたが、国防会議のあり方等については、もちろん時々刻々検討すべき時期がきておると私は思っております。したがって、国防会議というものは、より以上権威を持たせ、より国民とともにその責任を負うというふうな立場で運営さるべきであろう。今日までは、残念ながら国防会議のスタッフ、人員、機構というものが非常に弱小であるために、ほとんど防衛庁のほうからのお手伝いを受ける、あるいは通産省からの意見も聞くという中二階的な存在であって、実際の実働は、いまの機構では不可能であります。したがって、私はそこにも欠点があると思いますので、やはり国防会議の充実は近いうちに考えるべきであると思っております。この国会では国防会議の改正案は提出いたしておりませんけれども、私は、今回を機会に、将来において国防会議の充実、拡充を考えるべき時期であると思います。いずれよく政府部内で相談いたしまして、その問題は近い将来に検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/49
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050・楢崎弥之助
○楢崎委員 それではいまの長官の御見解は、防衛庁設置法改正も含めて国防会議の改編を検討したいというお考えですね。——それでは、先ほど申し上げました経済計画との関連において、私は新聞しか読んでおりませんから、責任持たないとおっしゃいますので、明らかにしたいのです。三次防の総予算は二兆七千億といわれておりますが、その程度ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/50
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051・松野頼三
○松野国務大臣 大体今日そういうふうな数字を原案として、防衛庁内では準備をいたしつつあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/51
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052・楢崎弥之助
○楢崎委員 二次防が一兆三千数百億になりました。約二倍に及ぶ膨大な計画であります。そこで、現在のところ、防衛費が国民総生産の一・三%といわれております。国民総生産と総所得とは違います。あなた方がそういった関係と防衛費を比べる場合の対象は、国民総生産ですか、総所得ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/52
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053・松野頼三
○松野国務大臣 総生産で比較した場合は一・一八くらいになると思います。所得に比較しますと、一・三七くらいになると思います。その数字は、どちらに比較しても内容は同じことでございます。したがって、一応国民所得を基準にしてやっておるわけであります。国民総生産にしても、これは数字が動くだけで、基礎の考え方は同じであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/53
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054・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、三次防の最終年度に大体国民総所得の二%にしたいというお考えのもとに、この三次防二兆七千億というものは組まれたわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/54
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055・松野頼三
○松野国務大臣 国民所得の二%というのも、実は国民所得の総体の数字が出ておりませんので、二%が幾らになるかということもわかりません。これは経済計画を秋におきめになると思います。したがって、そういう前提がありますので、二%が二兆七千億になるかといわれると、その数字は基本の国民所得がきまりませんとわかりません。したがって、私たちはそういうことを目途としてはじき出すとこうなるという、一つの希望と申しますか、一つの構想として、その数字が出たわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/55
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056・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、最終年度の昭和四十六年の国民総所得を大体どのくらいと想定されて出されましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/56
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057・松野頼三
○松野国務大臣 その想定は、秋にならないとわかりません。それでは何を基礎にやったか。中期経済計画——いまなくなりましたけれども、それがもしあったとして、このままの経過が続いた場合という以外にないものですから、中期経済計画をそのままずっと延長していった場合ということであります。ところが、中期経済計画は、この数字を出しましたあと、これは狂いが多いというので、ある意味においては実情に沿わないというので廃止されて、新経済計画をいま策定中であります。したがって、政府として責任のある国民所得の予想というのは、今日まだ策定中で、できておりません。したがって、二%というものは必ずしも正確ではない、二兆七千億も正確ではないというので、防衛庁としては、過去につくりました二兆七千億を目途に、いま原案を策定中であるということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/57
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058・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、明らかになったのは、中期経済計画を、御破算になったけれども、一応のめどとして計画を立てている。そうすると、中期経済計画の場合は、昭和四十六年度の国民総所得はどのくらいと見ておられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/58
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059・松野頼三
○松野国務大臣 それがいま企画庁のほうで四十六年まで想定したものがありません。非常に残念ながら、ないのです。そこで、この数字を出した当時は、中期経済計画の年率成長率を八%のままもしこれを推定すると、ということが前提でありました。いまそれがないものですから、政府として責任ある答弁はおそらくどの省もないのです。そういう場合に、二%とすればこうであろうという案を実はつくって、そのあとで実は中期経済計画が廃止になったものですから、ちょっと政府から責任を持って言う時期がちょうどいまブランクになってしまっている。そこで、非常に議論があって、私のほうも策定に困っております。答弁も非常に困っておるのです、ものがなくなってしまったものですから。そして秋には新しい経済計画が生まれるだろう。だから、その数字にとらわれずにわれわれが防衛というものを考えるならば、二%という数字もこれは不確定である。言うならば、あと残りますのは、二兆七千億ということで充実した防衛を進めていきたい。これはおそらく二%になりません。もっと以下になると私は思います。そこにまた問題がいまあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/59
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060・楢崎弥之助
○楢崎委員 長官みずから問題があるとおっしゃっていますから、何をか言わんやです。問題があります。これじゃ、先ほど申しました、長官も肯定されましたが、国民の総生産なり総所得、経済の発展の度合いとのかね合いにおいて防衛を考えるということは、この現状ではできないではないですか。長官もおっしゃっているように、ないのだから……。そうしますと、中期経済計画にたとえば準拠をしてこれがつくられたというならば、成長率を大体八%とするならば——実質は一〇%ですよ。そうすると、中期経済計画の規模ではじき出すならば、昭和四十六年度の国民総所得は、約五十兆になります。そうすると、その防衛費の二%ということになりますと、一兆になる、こういう計算で一応されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/60
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061・松野頼三
○松野国務大臣 かりに五十兆になったときの二%ですから、数字的には一兆になるわけであります。五十兆になった場合は、もし二%というならば、これは一兆ということになる。五十兆というものがきまらないのですから、一兆というものもきまらないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/61
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062・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、二兆七千億の各年度の数字を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/62
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063・松野頼三
○松野国務大臣 各年度の数字というのが、非常にカーブのかき方で違いますから、最後だけぽっと上げるという場合には、その総体は非常に少なくなります。順々に上げていくというのと、階段のカーブのかき方で、その数字は確定のものではありません。したがって、二兆七千億というのは、防衛費として今後国内における装備をするためにはこういうものが必要であるという方面から、二兆七千億という数字の基礎が出た。逆に言うならば、国民所得にそれを対比していくならば、二%を目途としていくとちょうどこれになる、こういう両方の面から出ておるのであります。毎年毎年の積み上げじゃありません。一つのカーブとしてかいた場合ですから、この二%というものと二兆七千億というものの関連は、非常に不明確であります。また、不明確以外の数字はここに出てこない。したがって、二%に重点を置くのか、二兆七千億に重点をおくのかによって、うんと違ってきます。二兆七千億は、二%よりもうんと下回って、一・八かそのくらいの数字になるのじゃないかと私は予想しております。したがって、二兆七千億のほうに重点を置くならば、パーセントは下がる。二%に重点を置くならば、一・八より上になってしまう。どこに重点を置くかという二つの関連で非常に変わってまいります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/63
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064・楢崎弥之助
○楢崎委員 そう問題をむずかしくしないでください。二兆七千億の場合の各年の予算要求額は、どのように想定されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/64
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065・松野頼三
○松野国務大臣 今日成長率が八%という場合、このままいけば、防衛費というものは国民所得に対して一・三七をずっと維持してしかいけません。防衛努力をするために二%に上げるならば、本年予算が三千四百億ですから、三千四百億から毎年八%ずつふやせばいまと同じ比率、一〇%程度ふやすと大体二%に近いものになってくる。したがって、毎年国民所得が八%のときには、防衛費を一〇%程度ふやしていくと、どうやらその二%という数字に実は落ちつくわけです。そういうふうな数字を積み上げてまいりますが、本年が三千四百億ですから、大体一割程度ずつ積み上げていくと、ある程度伸びるという——前提がこれは違えば別ですよ。前提が狂ったときには別ですが、そういうのが、過去において計算をした一つの基礎になっております。したがって、防衛費をいまの現状から一割程度というものがふえていくと、国民所得に対比するパーセンテージが二%近くなるということであります。したがって、本年が三千四百億ですから、これからずっとそういうふうに概略計算していくと、それに近づく。多少の数字は違いがあります。しかし、基本の考えは防衛努力をするということですから、防衛費というものの充実をする、国民所得の成長率に応じて、国民を圧迫しないでやっていきたい。急に二兆七千億というとたいへんな数字のようですが、五年間を通算して徐々にやろうというのですから、本年の三千四百億から出発していくのですから、そんなに一ぺんに一兆になるというようなことはありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/65
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066・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、大体本年度が三千四百億ですから、その約一割というようになると、来年は約五百億プラス、そうすると、来年、昭和四十二年度は三千九百億、その次また八%という算用でいきますと、若干ふえていきますね。そういうことの累計が二兆七千億になる。それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/66
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067・松野頼三
○松野国務大臣 それは、内容は別として、数字的にはそういうふうな計算というものが、私は一応成り立つと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/67
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068・楢崎弥之助
○楢崎委員 しからば、私が今度はそれを概算してみましょう。四十二年度は約三千九百億——島田さんも聞いておってください。それから四十三年度は六百億プラスで四千五百億、四十四年度はそれにまた七百億プラスで五千二百億、四十五年度はそれにまた八百億プラスで六千億、最終年度はその前年にまた九百億プラスで六千九百億、大体そういうことになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/68
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069・松野頼三
○松野国務大臣 ただいまお示しになった数字をこう入れますと、二兆八千億くらいになると思います。したがって、二兆七千億はそれ以下になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/69
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070・楢崎弥之助
○楢崎委員 大体そういうところですね。大体そういうところということは、長官お認めになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/70
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071・松野頼三
○松野国務大臣 それは毎年度の予算できめるわけではありませんので、それが翌年にずれたり前年にふえたりいたしますので、予算編成の毎年度の年度計算をするような意味でやったわけではありません。そういう意味ではありません。もちろん経済が好況なとき、不況なとき、それは伸び縮みがありますから、毎年算術計算のとおりには、それはいかないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/71
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072・楢崎弥之助
○楢崎委員 私の計算でいくと、二兆八千億にはなりませんがね。いまのは計算すると、約二兆七千億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/72
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073・松野頼三
○松野国務大臣 いまの楢崎試案の計算でいけば、二兆七千何百億になります。——試案というのは、計算の試案です。計算の試案でいくと、二兆七千億をこしておりますので、二兆八千億と切り上げて言ったのです。二兆七千何百億、切り上げて八千億近くなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/73
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074・楢崎弥之助
○楢崎委員 いま防衛庁の発表が約二兆——約ということばがついておるから、いいじゃないですか。大体そういうことだと思うのです。
そこで、私はそういう計算でいくならば、あなた方がたとえ新経済長期計画に間に合わないときに、せめて四十二年度分だけでも計算していきたいということになるのじゃなかろうかと思うんです。そういう方針ですか。もしこの二兆七千億というものが承認されない場合は、少なくともその考えのもとに来年度は約四千億近い防衛費を要求されることになりますね。三千九百億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/74
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075・松野頼三
○松野国務大臣 それは非常に状況が変わってくると私は思います。したがって、それを今日要求するというまだ要求書自身もつくっておりませんので、大体これがまだ国防会議で認められておりませんので、そういう要求をまだ出すという段階じゃありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/75
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076・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、私は先ほど申しました今度の三次防について、全容にわたると時間がありませんから、特徴的なものをピックアップしてお伺いをいたしたいと思います。
先ほど申しましたように、今度の三次防は、装備の質的転換がある、すなわちいつでも核装備をし得る体制に入りつつある、その具体的なわれわれの危惧を申し上げたいと思います。
一つは、ナイキハーキュリーズの問題であります。これは予算の分科会でも申し上げましたように、ランチャーはアジャックスと併用型であります。そしていわゆる核弾頭をつけ得る兵器であります。このハーキュリーズが開発された理由は、つまり弾道弾が発達してとらえにくくなる、あるいはその攻撃機が非常に発達してとらえにくくなる。そこでアジャックスを改良して、そして核をつけることによってその把握範囲を広くする、これがハーキュリーズ開発の理由です。何も通常弾頭をつけるためにわざわざハーキュリーズは開発されてない。その効用は、核弾頭をつけることによって、初めてアジャックスからハーキュリーズに変えた意味がある。このハーキュリーズを今度三大隊置かれるように聞いておりますが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/76
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077・木村武雄
○木村委員長 時間がありませんから、答弁は簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/77
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078・松野頼三
○松野国務大臣 ハーキュリーズはぜひ設置したいと思いますが、核弾頭の問題は、全然考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/78
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079・楢崎弥之助
○楢崎委員 それはそうでしょう。いま核をつけますなんて答弁できないでしょう。しかし、私が言っているのは、いつでもつけられる、核装備をされる状態になってきたという一例をあげておるのです。そうでしょう。核弾頭をつけ得る、また核弾頭をつけることによって、初めてその兵器としての効果をあらわし得るハーキュリーズを入れるというのです。そうではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/79
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080・松野頼三
○松野国務大臣 ハーキュリーズの長所をとって、そうしてそれを装備するので、核を目標としておるわけでは断じてございません。もちろんその中の長所はあります。距離が延びる、速力が速くなる、それを私のほうはとるわけで、核弾頭をとるわけではありません。したがって、核弾頭をつけるような構想もなければ、そんな準備も絶対いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/80
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081・楢崎弥之助
○楢崎委員 準備はしておりませんとおっしゃったって、具体的には、客観的にいつでもつけられる状態にある。あとは意思がどうかという問題です。用意はちゃんとそれで完了する。そこで、ハーキュリーズはアメリカで生産停止されておると聞いておりますが、そうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/81
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082・松野頼三
○松野国務大臣 装備が完了したので、新生産はしておらぬと聞いております。
なお、核弾頭をいつでもつけられるような状態で、日本は装備はいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/82
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083・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうすると、ハーキュリーズの生産は、アメリカですでに行なわれていない。ハーキュリーズを日本が装備するということになると、考えられるのは、技術を導入して日本で国産化する、もしくは全く日本で開発する。その辺はどう考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/83
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084・松野頼三
○松野国務大臣 日本で開発するというハーキュリーズJという、日本向きのものを私はつくりたい、また開発したい、装備したいということでございます。したがって、核弾頭は、Jの場合は全然そういうものはありません。そういう考えで開発あるいは装備をしたいと、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/84
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085・楢崎弥之助
○楢崎委員 技術導入ですが、導入国産化方式なのか、それとも全く国産化でやられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/85
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086・松野頼三
○松野国務大臣 一〇〇%国産ということは、いまの日本の技術ではできないと思います。したがって、国産率を七〇にするか、六〇にするか、八〇にするか、その意味で国産化というパーセンテージをふやしていきたいので、一〇〇%全部技術を導入しないで生産するということは、日本の今日の技術では、このハーキュリーズでは不可能だと思います。要するに問題は、七〇国産にするのか、六〇国産にするのか、八〇国産にするのかということであります。全然技術導入なしで一〇〇つくることは、私は非常にむずかしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/86
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087・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは長官の構想によれば、ランチャーとその弾頭とを含めて、一基予算はどのくらいに計算してあるのですか、兵器だけで。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/87
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088・松野頼三
○松野国務大臣 この基準というのは、一般の市場にその価格は出ませんが、一応アメリカが諸外国に供与しているマス価格、日本の場合にもこのマス価格というものを基準にして、これを高い安いというものを選定する以外はないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/88
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089・楢崎弥之助
○楢崎委員 二兆七千億という総額がきめられているのだから、大体そのハーキュリーズがどのくらいかかるということは出ているでしょう。具体的なあなた方の想定されている金額は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/89
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090・松野頼三
○松野国務大臣 一応マス価格というもので計算しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/90
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091・楢崎弥之助
○楢崎委員 私はよくわからぬのですが、教えていただきたいのです、具体的にどのくらいになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/91
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092・松野頼三
○松野国務大臣 マスの価格で言うならば、一個大隊が、これは装備とあとの補修、燃料の補給、部品の取りかえ、そういうものでうんと計算が違ってまいりますが、大体十年間の長期の見通しをしてマスの価格を計算しますならば、二百億くらいのものがまず計算される。その後の修繕とか維持というものを入れますと、これまた別な計算になりますが、大体いままでは、マスというものは、ナイキの場合には二百億くらいのものが一個大隊の基準になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/92
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093・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうしますと、ハーキュリーズはアジャックスと同じ配備になると思いますが、一個中隊には九基装備されるわけですね。アジャックスの場合はそうでしょう。ハーキュリーズもそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/93
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094・島田豊
○島田(豊)政府委員 そのとおりでございます。一個中隊九基でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/94
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095・楢崎弥之助
○楢崎委員 そうすると、おそらくまた全体で四個中隊一緒につくられるのだと思いますが、四、九、三十六のマス価格が二百億、そうすると、一基当たり大体幾らにつきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/95
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096・島田豊
○島田(豊)政府委員 ただいまの二百億といたしました場合に、これは長官から御説明がございましたように、そういう地上機材だけでありませんで、ミサイル機材も含んでおります。それら個々の段階の整備の費用も含んでおりますので、いま一基当たり幾らということは、私ども直ちに申し上げられません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/96
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097・楢崎弥之助
○楢崎委員 なぜ出ないのですか。アジャックスの場合は、出したじゃありませんか。委員会で出しましたよ。どうして出せないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/97
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098・島田豊
○島田(豊)政府委員 まだその詳細につきましては、細部についての検討を計算しているところでございまして、一基どれくらいということは、いまちょっと申し上げられないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/98
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099・楢崎弥之助
○楢崎委員 いま大蔵省と折衝しているというのに、いまから検討するというのですか。ばかにしてはいけませんよ。そうでなければ、私が出しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/99
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100・松野頼三
○松野国務大臣 防衛局長は非常に正確を期して申し上げているので、二百億という数字自身も、いろいろ議論が出てまいります。私は、別にこれを否定するわけではございません。したがって、地上設備を二百億の数で割っていけば算術計算は出ますけれども、全部に地上施設が共通なものがあります。レーダーなんていう共通なものがあります。これを確実に各一基に計算して割っていくわけにはいかない。したがって、一つのセットとして二百億という数字を基準にしております。一本幾らかというと、それにミサイルが幾つ付属するかということによって変わってくる。なかなか正確を期しているわけで、一つのセットが二百億ですから、それを算術計算していただいても、そう大きな違いはない。地上施設が非常に違うのです。しかし、これは共通ですよ。一基一基じゃない。これは算術計算して割っていただいても、議論としてはそのほうが早いかもしれませんので、まあ政府委員はそれをどういうふうに計算するか、地上施設とランチャーとミサイルと分けて計算するというふうな非常に正確を期しているのじゃないか。私は、大臣で専門家じゃありませんので、多少の失言は許していただけると思いますが、大体マス価格は一つのセットで二百億、それを計算して割っていただいて議論されても、大きな違いはないのじゃなかろうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/100
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101・楢崎弥之助
○楢崎委員 アジャックスの場合は、たとえばターゲット幾ら、ランチャーが幾ら、弾頭が幾らと出されました。ハーキュリーズが出せないのは、どういう国産化の方式だから出せないのですか。こういうことは言いたくないですけれども、やはり国民の税金をお使いになるのです。そうして国民とともに進むというのに、そういうものを明らかにしないで、とにかくハーキュリーズ三個大隊をつくるのだというような呼びかけでは、国民は納得しませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/101
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102・松野頼三
○松野国務大臣 議会で正確に出されましたのは、当時アメリカと契約、協定をいたしましたときに、正確にお出しいたしました。まだ契約あるいは協定をする段階じゃないものですから、今日はただ一つの基準としてそういうものを出し、その中を分析しながらやっておる段階であります。したがって、協定あるいは契約するときには、それはもう詳細なものまでそろえてちゃんと出てまいります。いまはまだそこまでいっていない一応の段階で、相当大きな長期計画の中に入れる概算数字の段階でございます。したがって、全然無数字じゃありません。数字がないわけではありません。しかし、厳格に言うと、やはりなかなか計算にある程度時間がかかると思うのです。その時間的ズレが、この答弁と質疑の内容と多少違っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/102
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103・楢崎弥之助
○楢崎委員 時間がありませんから、先に進みます。
核装備をする準備体制に入っておるという例を、もう一つあげます。海上自衛隊の場合を例にあげたいと思います。本年度就役をいたしました新護衛艦「やまぐも」、これには対潜ロケットのアスロックが装備されておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/103
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104・松野頼三
○松野国務大臣 アスロックが装備されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/104
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105・楢崎弥之助
○楢崎委員 そのアスロックという兵器は、サブロックをいわゆる水上艦に乗せた場合の、まあ大まかに申しましてこれは兵器ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/105
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106・松野頼三
○松野国務大臣 サブロックではなしに、アスロックであります。したがって、アスロックは、核問題は私はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/106
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107・楢崎弥之助
○楢崎委員 日本の場合はそうかもしれませんが、アスロックというのは、核と関係ありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/107
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108・松野頼三
○松野国務大臣 アスロックは、核の関係はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/108
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109・楢崎弥之助
○楢崎委員 官房長、そうですか。あなたかつて答弁したことがあるのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/109
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110・海原治
○海原政府委員 いま大臣からお答えしましたように、サブロック、アスロックは全然別個のものであります。サブロックにつきましては、しばしば内閣委員会その他においても御質問が出ておりますように、これは楢崎先生十分御承知と思いますが、アスロックは、大まかに言えば、と申しましたが、それはちょっと大まか過ぎることでございまして、全く別個の兵器体系というふうに、軍事的には御判断願いたいと思います。(楢崎委員「核との関係」と呼ぶ)アスロックは、一応通常の魚雷と核爆雷と両方を装備する計画のもとに進められておりますが、私の知る限りでは、まだ核爆雷のほうは開発が完成してないというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/110
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111・楢崎弥之助
○楢崎委員 つまり核との関係は全然ないということの言えない兵器ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/111
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112・海原治
○海原政府委員 日本語の「関係」ということばが、非常にばく然としております。先ほど申しましたように、アスロックというのは、正確に申しますと、通常の魚雷ないしは核爆雷、これは魚雷、核爆雷のいずれかを使えるような目的で開発されておる。関係ということになりますと、これは核爆雷を使う限りにおいては、核そのものであります。しかし、アスロックは、両者いずれかを使えるための武器体系であります。見方によりますと、あるともないとも言えると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/112
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113・楢崎弥之助
○楢崎委員 両方つけられる可能性のある兵器であります。それでは、来年二月、就役予定の護衛艦の「たかつき」、これにDASHを装備される予定ですね。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/113
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114・松野頼三
○松野国務大臣 そういう計画を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/114
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115・楢崎弥之助
○楢崎委員 これも両用兵器ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/115
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116・松野頼三
○松野国務大臣 両用兵器といって、私のほうは核の装備とか、核の爆雷とか爆弾というものを入れる気もなければ、持っていないのですから、したがって、核兵器というものには全然関係ないと思います。また関係もございません。また、いろいろのことがいわれるならば、それは非常に広範囲な話は別ですが、その装備する目的、装備の内容には、核というものはどちらも念頭にございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/116
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117・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、核をつけられる気持ちかどうかをお伺いしているんじゃないのです。事実をお伺いしておる。いままで明らかにしたところで、ハーキュリーズにしても、アスロックにしても、DASHにしても、両用の兵器を用意されつつあるという事実であります。私は、これを指摘したいわけであります。すなわち、意思さえ決定されれば、いつでも核を入れられる準備体制に入った。私が最初指摘したのはそこであります。事実は、客観的にはそのとおりであります。あとは意思があるかどうかの問題が残るだけであります。すなわち、その体制はできたという事実であります。私は事実を申し上げておる。
それからもう一つ、今度の三次防で、海上自衛隊の場合には海上交通を確保する。そのためにヘリコプター、駆逐艦四千八百トンですか、これはおそらくできたときには五千トンをこすと思います。そういう用意があると聞いておりますが、そうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/117
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118・松野頼三
○松野国務大臣 前提が、海上護衛ということばはあれですが、海上警備のために、日本の沿岸周辺の海上警備のため、足の長い船が少ないのですから、有効なものをつくりたい。少ない船で有効な警備範囲を持ちたいというと、やはり水上艦艇にヘリコプターとかいう航空力を加味する。その意味で、ヘリコプターというものを搭載できるものを持ちたいという気持ちを私は持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/118
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119・楢崎弥之助
○楢崎委員 島田さんが発表された項目には、海上交通を確保するということばがたしかあったと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/119
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120・島田豊
○島田(豊)政府委員 ヘリコプター搭載の護衛艦は、対潜護衛艦という性格を持っておるのでございまして、これを海上交通の保護ということに使う場合もございますし、ただいま長官も申されましたように、わが国周辺の防衛の強化、こういう意味でも使う場合もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/120
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121・楢崎弥之助
○楢崎委員 だから、あなたは新聞記者会見をするときに、あの問題は、私は取り上げたが、あなたの発表によると、海上交通の確保のために護衛艦艇の質的近代化をはかる。そして以下ヘリコプター駆逐艦二隻、それからミサイル駆逐艦一隻、こういうふうに並べられておる。間違いありませんか。海上交通確保のために……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/121
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122・島田豊
○島田(豊)政府委員 これは、海上自衛隊の任務が、一つはわが国の周辺に対して海上から侵攻してくる、これに対して防衛するという一つの任務と、もう一つは海上におきますところの海上交通の確保という二つの任務があるというふうに考えられるわけでありまして、一つの兵器をどちらかの目的にのみ使うというふうにはわれわれも考えておりませんで、そのときの事態の様相によりまして、あるいは海上交通のほうにも用いますし、あるいは日本周辺の海域防衛の強化、こういうほうにも使うわけでございまして、ただこれをしいて申し上げますならば、対戦兵器として考えておりますところの護衛艦は、海上交通の保護ということを主として考える、こういうことが言えるわけでありまして、そういう趣旨で御説明したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/122
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123・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、海上自衛隊の護衛の海域というのは、どうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/123
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124・松野頼三
○松野国務大臣 日本周辺の船舶の出入港の多いところであります。かりにいうならば、東京港の周辺、あるいは近畿大阪周辺、四国豊後水道周辺、あるいは日本海方面の港湾の多いところ、それが海上自衛隊の警備地区であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/124
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125・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、本年三月十五日に西村海幕長が記者会見をなさって、その中でどうおっしゃっているかというと、各国海軍は自国の生命線を守るため、全力をあげる態勢である。日本もその例外であってはならない、こうおっしゃって、つまり中東地域からのわが国への原油輸送ルート、いわゆるオイルロード、これの護衛の必要を強調されておる。そこで、このヘリコプター駆逐艦という、この問題がそれに出てまいる。つまりそのオイルロードを守らなければならないという要請のために、このヘリコプター駆逐艦が、やがて四次防ではあるいは二万トンクラスの空母になり、五次防では四、五万トンクラスの空母になるという構想に私はつながり得ると思う。そうなっておるのです。そこで、いま長官は、日本の周辺に限る、大阪とか神戸とか、全く近海のことを言われる。海上自衛隊は遠洋の護衛のことを考えていないと断言できますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/125
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126・松野頼三
○松野国務大臣 公海ですから、どこまでという線の限定はもちろんございませんが、いまの自衛隊の能力、目的として、そこまでの成長はとてもできません。航空母艦というようなことは、とても考えられるものじゃありません。したがって、第三次防で何万トン、六万トン、七万トンと言いますけれども、それは隻数から割ってまいりますと、そんな大きなものはとてもできない。もちろんどこの国でも、自国の権益を守るためにより以上の艦艇が必要であるということは、どこも認めております。しかし、わが自衛隊においては、そんな成長は急にはできません。まだ日本の近海以上の性能、能力というものは、そこまで成長しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/126
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127・楢崎弥之助
○楢崎委員 だから、成長していないから、三次防ではまずヘリコプター駆逐艦をつくる。空母の小型ですね。だから、四次防では空母になる。これを私は言っておるのです。
そこで、時間がありませんから、私は先に進まざるを得ません。いま公海上はとおっしゃいましたが、公海上なら海上自衛隊の海外派兵にならないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/127
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128・松野頼三
○松野国務大臣 海外派兵ということばが、先般私が申しましたように、武力行使の目的を持って武装して海外に出かけるということです。したがって、その武力行使の目的ということばがなければ——遠洋航海などは外国に行っておりますが、これはもちろん海外派兵ではありません。したがって、その限界は地図できめるべきものじゃなくして、その目的、任務によって、私は海外派兵というものはきまることだ。在外武官もおります。これはもちろん海外派兵ではありません。それは制服を着ておるじゃないかと言われても、それはおのずから違うのでありまして、やはり武力攻撃、戦闘状況を前提として行くとき、これが派兵ということばに該当する。わが自衛隊は、そういうふうな目的で今日あるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/128
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129・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは明らかにしておきます。いま武力行使の目的とおっしゃいましたが、武力行使の目的の場合には、公海上といえども海外派兵になる、そうでない場合には海外派兵にならない、そう理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/129
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130・松野頼三
○松野国務大臣 武力行使を目的として、外国の領土、外国の領海に入るというのが、海外派兵ということばになると思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/130
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131・楢崎弥之助
○楢崎委員 公海を言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/131
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132・松野頼三
○松野国務大臣 公海は、航海の自由ですから、どこの軍艦でも公海は泳いでおる。また公海は自由に航行しております。といって、これは武力行使を目的としておるわけではありませんで、お互いに交歓をしたり、お互いに握手したりして動いておるのであって、これは別に問題はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/132
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133・楢崎弥之助
○楢崎委員 よく聞いておってください。武力行使の目的の場合にはと言っておるのです。私、訓練のために行かれた人のことも知っています。遠洋航海されておるのも知っております。そうでなく、武力行使の目的の場合には、公海上といえども海外派兵になる、こう理解してよろしゅうございますかと言っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/133
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134・松野頼三
○松野国務大臣 武力行使の目的を持って外国に日本が派兵をするときは、海外派兵……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/134
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135・楢崎弥之助
○楢崎委員 外国じゃない。公海上です。何度も言わせないでください。武力行使の目的のために公海上に派兵することは、海外派兵になる、そうお考えですかと聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/135
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136・松野頼三
○松野国務大臣 それは状況が非常に違うわけです。武力行使の目的といいましても、自衛のための日本の艦船が、非常な攻撃を受ける、組織的な攻撃を受ける。これに対して日本の生命財産を守らなければならないというときは、これは海外派兵ではありません。それは護衛といいますか、自衛ということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/136
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137・楢崎弥之助
○楢崎委員 どうも明白ではありませんね。武力行使の目的の場合は、公海上に出さないということですか、それは海外派兵になるから。それとも公海上は、武力行使の目的といえども海外派兵にはならない。そのどっちなのかと聞いておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/137
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138・松野頼三
○松野国務大臣 そのことばが非常にあいまいなんですが、武力行使の目的を持って外国の領土、領海に行くこと、これは問題ははっきりします。武力行使の目的を持って公海に出るということは、私は前提としてないと思っております。何もないところに武力行使の目的を持って行くということは、ないと思っております。したがって、そういうものは、まず考えられないと私は思っております。したがって、具体的なことを、どういうとき、だということを言っていただくと、もっとはっきりするのです。ただ、いきなり武装して公海に行っちゃいけないということではないと思うのです。しかし、自衛艦ですから、やはり常に自分の国を守るという権益擁護の任務は、今日持っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/138
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139・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、具体的にあげろとおっしゃいますならばあげます。時間を与えていただけばあげます。それではあげてみます。私は詳細を期そうとして書き取ったものがあるのですが、たとえば米国と第三国が——私はあえて第三国と申します、刺激がありますから。第三国が衝突した場合、日米安保条約のたてまえから日本が協力する。そういう場合には、その第三国と日本とは交戦状態になるわけですね。戦時国際法による交戦状態になるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/139
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140・松野頼三
○松野国務大臣 安保条約の規定内と規定外とがあります。いまの場合は、安保条約の規定の中には該当しないのではないかと思います。私はそう思います。私が聞き違いなら別ですが、安保条約は、日本の海外派兵というふうなあれはないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/140
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141・楢崎弥之助
○楢崎委員 具体的に申します。第三国と米国とが衝突した際に日本が協力する。たとえば言われておる中東から原油を日本へ持ってくる。そういう場合に、日本の海上自衛隊が公海上でそれの護衛に当たるとするならば、それは当然第三国と日本の海上自衛隊の間の問題が起こりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/141
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142・松野頼三
○松野国務大臣 日本はその戦争に参加していないんですから、日本の護衛艦が日本の船舶を護衛するということは、これは何も当事者同士の問題とは全然別個な部外者の話で、かりに海上自衛隊がそれを護衛したからといって、これは戦争に協力するとか、戦争に参加するということではない。もちろん日本の護衛艦は日本の国益がなければ航海しませんから、それは私は全然問題外だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/142
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143・楢崎弥之助
○楢崎委員 私は、そこが非常にデリケートであるから、そういった場合を想定するとデリケートであるから、公海上にそういった武力目的と解釈上明確な場合は別として、非常にあいまいな関係のときに公海上に海上自衛隊が出るということの危険性を、私は指摘をしたいわけです。それで私は、武力目的と関連のある場合に、海上自衛隊が公海上だからといって派遣をされることは、これは海外派兵になるではないか、したがって、それはやるべきではない、こういう私の論理なんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/143
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144・松野頼三
○松野国務大臣 交戦国の一方の艦艇とともに行動するというならば、これはある程度出動ということになるでしょう。しかし、いまの楢崎さんのお示しの場合は、日本の船を日本の自衛艦が護衛するということでありまして、交戦国でない場合に、日本の権益、日本の商船を護衛するということは、戦争状態に介入するわけじゃありません。日本だけの問題であります。したがって、それは派兵とか派遣とかいうのでなしに、自衛隊自身の任務の一部であると私は考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/144
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145・楢崎弥之助
○楢崎委員 それでは、公海上は海外派兵にはならない、はっきりそうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/145
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146・松野頼三
○松野国務大臣 先ほど言いましたように、出動の目的が、戦争という、あるいは戦闘状態を現実に起こすという場合と、ただ護衛をするという場合と、ただ一般に哨戒するという場合と、おのずから違うのであります。公海上において、すべてそれが派兵になるとかならぬとかいう限界は、それはもう少し先の条件によって、私は判定すべきものではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/146
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147・楢崎弥之助
○楢崎委員 今度の三次防における海上自衛隊の構想は、これは公海上なら海外派兵にはならないんだという構想のもとに進められている、その点を私は指摘をしたいわけです。これは論争になりますから、きょうはここでピリオドや打っておきます。私は納得できません。
それでは、まだ時間があるそうですから、最後に一問お伺いいたしておきます。大蔵省見えておりますか。主計官見えておりますか。−大蔵省にお伺いをいたします。昭和二十七年に、法律四号により財政法の一部改正が行なわれました。つまり継続費の設定であります。この継続費の目的を言ってください。——時間がありませんから、私のほうから申し上げます、法律ですから。これは第十四条の二にこう書いてあります。「国は、工事、製造その他の事業で、その完成に数年度を要するものについて、特に必要がある場合においては、」継続費を認める、こういうことであります。このときの国会の論議は、あなたは御承知なさっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/147
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148・井上幸夫
○井上説明員 詳しくは存じておりませんが、一応速記録は読ましていただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/148
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149・楢崎弥之助
○楢崎委員 当時は、たしか池田大蔵大臣であったと思います。この「工事、製造その他の事業」というものと、今年公債関係で問題になりました、第四条の公債発行の条件としては、公共事業費になっておりますね、その公共事業費とこの継続費の、いまの「国は、工事、製造その他」となっておりますこれは、大体同じように考えてよろしゅうございますか。問題は数年を要するという場合……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/149
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150・井上幸夫
○井上説明員 海上自衛隊の護衛艦の建造の場合には、数年を要するケースはあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/150
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151・楢崎弥之助
○楢崎委員 冗談じゃないです。何を言っているんですか。あなたは昭和二十七年の、そのときの国会の論議を御存じであるといまおっしゃったじゃないですか。当時の池田大蔵大臣は、何とおっしゃいましたか。軍艦の建造なんかに使わないとおっしゃっていますよ。何を言っているのですか。あなた知っていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/151
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152・井上幸夫
○井上説明員 記憶は正確ではございませんけれども、軍艦の建造には使わないとは言っておらないように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/152
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153・楢崎弥之助
○楢崎委員 軍艦をつくるようなことはいたしません、そういうことには使いませんということを言っておるのです。どうですか。(「大蔵大臣がそんなことを言うはずがない」と呼ぶ者あり)もしそうならば、私はここで休憩してはっきりしたいです。なぜかというと、今年度の七千三百億の公債発行、これが順次ふえてまいる。しかも防衛関係というのは、松野長官もおっしゃっているように、兵器については数年かかる。とすれば、この公債発行の公債金が、いわゆる軍備拡張につながるということをわれわれは国会で指摘をいたしました。なぜそれを心配するかというと、継続費がそうであるからであります。当時国のほうは、この継続費の審議にあたって、軍艦の建造あたりには使わないということを大臣が約束しておきながら——それでは大蔵省のほうにお聞きしますが、現在この継続費は各省のうちどこにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/153
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154・井上幸夫
○井上説明員 お答えいたします。現在では護衛艦の建造以外にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/154
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155・楢崎弥之助
○楢崎委員 それ、見てごらんなさい。そうなってくる。昭和二十七年の財政法の改正のときに、継続費の問題のときに、まさかこの継続費が防衛関係費以外には使われないというような事態は、おそらく国のほうも思っていなかった。だから、ほかの国の事業で数年を要するもの、ただし五年以内ですよ、そういうことで私はこの改正がなされたと思う。ところが、年を経るに従って国民の感情もだんだん麻痺し、国会議員の一部も、自民党も、いまのやじが出ておるような事態が出てきた。そうして継続費は、いまや防衛庁だけにしか使われていないじゃないですか。公債金がこのような状態にならないとだれが断言できます。どこに歯どめがありますか。公債金が軍事費に回らないという歯どめが、どこにあります。いいですか。国民から集める税金のうち、その札束に、この分は国防費だ、この分は社会保障費だ、そうお金に書いてないですよ。そこで、一般会計のほうから防衛費にばっと——本来ならば公共事業費に使われるべき一般会計の費用も、まずそれを一般会計のうち公共事業に使われる分までも含めて防衛費のほうに回して、そうして足らなくなった公共事業費のほうを公債で埋める、こういうことは容易にできることじゃありませんか。私は、この点を明白にしてもらいたいと思う。事実がこうなっておるのです。よく勉強してください。事実がこうなっている。これを明らかにしてください。(「明らかになっているじゃないか」と呼ぶ者あり)なっていませんよ。継続費は、そういった軍艦をつくるようなことには使わないということを約束されている。いまや継続費は、いまお答えのとおり、防衛庁だけに使われるようになっている。ほかの各省は使っていない。やがて公債金もそうならないとだれが断言できますか。歯どめは全然ないのです。そうしてあわせて最終年度には、国民総所得の二%に膨張しようとしている。二次防に比べて三次防は二倍になっている。やがて四次防、五次防では、どれだけ膨大になるかわかりませんよ。これを公債金でまかなうようにならないと、だれが断言できますか。これはひとつこの審議の終わりまで——私はこれでやめますが、その責任ある大蔵省の御答弁をお願いしまして、その点だけ保留しまして私はやめます。この法案が結末のつくまでに、それをひとつ明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/155
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156・木村武雄
○木村委員長 勉強しておってください。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/156
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157・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、きのうも総理と松野防衛庁長官に質問をいたしたのでありますが、先般内閣の調査室で国民世論調査を行なったその中で、自衛隊があったほうがいいという支持率が最近は高くなってきた、八二%はあったほうがよろしいという見解になっているということをいつもいわれるわけであります。ところが、この中において、同じように増強に対して賛成なのかという意見、あるいは現在のままでよろしいのか、こういう国民世論というものを調査してみますると、増強は一九%しか賛成がない、そして現状のままというのが五〇%という状況にある、このことはお認めになると思うのですが、いかがでございますか。
さらに、この八二%の内容の問題であります。うち七五%は、自衛隊があったほうがいいというのは何でそういうことを言っているのかというのを調べてみると、災害派遣で非常に役に立った、こういうようなものの見方というものをしているのであります。そこで私は、これは国防のために役に立ったのではなくて、災害のために役に立った自衛隊、こういうような形の中から自衛隊はあったほうがよいという意見が強まってきた、こういうふうに受け取らざるを得ないと思いますのは、次の調査項目にありますが、自分の子や家族の志願についてはどう考えるのかというのについて見てみますと、これは賛否いずれも三四%ずつであります。今後自衛隊に何を望むかという世論を調べてみると、災害派遣が、災害関係に五〇%という非常に高いウエートを占めておる。これに比べて、国防にもっと重点を置くべきであるというのは一五%にすぎないのでありますが、それは事実としてお認めになると思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/157
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158・松野頼三
○松野国務大臣 その一群だけをおとりになればそのとおりですが、総体的にこの統計の判断は、私は少し違います。それは一番大きなものは、世界じゅうに戦争がなくなるかという資料が、お示しの中にあります。なくなるという方よりも、やはり危険がある、やはり戦争はなくならないであろうという国民の基本的な安全保障に対する考えがある。したがって、やはり自衛隊の訓練はしっかりやれとか、必要なときには出動をやれとかいう数字がふえております。したがって、いろいろな統計の中のとり方で、その一つの部面だけとって、それを一つ一つ継ぎ合わされるとそのとおりなんですが、私はそれを認めるわけにはまいりません。しかし、この世論調査の数字は同じ数字で議論しているのですから、その数字の議論は私はいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/158
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159・村山喜一
○村山(喜)委員 他の世論調査の数字も私ここに持っておりますから、後ほどそれも示しながら問題を提起してまいりますが、私はここで長官にお尋ねしておきたいのは募集のときに、いろいろわれわれも自衛隊関係のPR紙をもらうのですが、自衛隊というところはこんなにすばらしいところだ、技術も覚えられるし、生活も安定をしているし、除隊をしてからの就職の世話もいたします、それで日本の国を守るために来たれという内容のものであります。しかしながら、これについて私は今日まで自衛隊法第百十九条あるいは百二十条、百二十二条を見ますと、これらは昔の陸軍刑法よりも非常に重い刑罰に処することになっている。治安出動あるいは防衛出動等に対してこれを拒否した自衛隊員はもちろんのこと、これを教唆した家族も七年以下の懲役に処するという条項があるわけであります。こういうような罰則というものについて、このようなものがあるのだということをあなた方は周知をして、それを募集の要因として入れておるかということについては、私はいままで寡聞にしてそれを聞かないのであります。この点については、どういうふうに取り扱いをされているか。
〔委員長退席、伊能委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/159
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160・松野頼三
○松野国務大臣 かつての軍事法廷というようなものと比較いたしますと、それはそんなものはありません。今日でも、国家公務員法の身分に対するある程度の義務づけがされているだけであります。軍事法廷があるわけではありません。極刑があるわけではありません。それは基本的に国家公務員の身分に関する職務上の内容について、多少変わっているだけです。したがって、これを特に特筆大書して、こんなに違うのだというような事例というものはほとんどないのですから、ないからといって伏せておくわけではない、それを募集の最前線に出すほどの重要な問題ではありません。自衛隊が今日やっております募集の内容は、誇大な広告でもなければ、現実にそのとおりだと私は思います。その一番いい例は、自衛隊に入隊した者の途中でやめる者のパーセンテージは、わずかなものでございます。したがって、応募した者は、ほとんど最初の宣伝とそう変わっていない、したがって、残留する者がうんと多い。やめる方は、ときに家庭の事情、本人の健康、また本人の多少の考えもあるでしょう、非常に少なくなっています。その例を見ても、私は今日の募集方法は悪くないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/160
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161・村山喜一
○村山(喜)委員 募集方法が悪くないから自衛隊員が途中でやめるやめないという問題ではないのであります。これは募集のときに、いわゆる特別職の国家公務員、そういう立場からこれは明らかに一つの就職なんです。そういう立場をとってまいりますならば、雇用条件というものが明らかになされなければならない。ところが、私はいままで自衛隊の募集にあたって、こういうような勤務条件であります、こういうような内容のものについて知らされない形の中で募集がされているのではないか。だから、こういうような罰則があるのだという内容を知っているのは、一〇%程度であって、九〇%は知らないで入隊しているのだ、こういうふうに思うし、また本人のみならず、家族も同じことじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/161
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162・松野頼三
○松野国務大臣 入隊前に全自衛隊員の方が自衛隊法をお読みいただけばこれは幸いですが、なかなかそうはまいりません。したがって、自衛隊法の中で本人に直接関係があるものを前もってお知らせする。その他のものは、自衛隊法で全部読んでいただけばこれはありがたいのですが、なかなかそうはまいりません。だからといって、それはこれを隠していることではないと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/162
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163・村山喜一
○村山(喜)委員 隠す意図はなくても、そのことを知らしめずして募集をされるわけでしょう。それを知らした例はないでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/163
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164・宍戸基男
○宍戸政府委員 募集の際には、いろいろな内容の要項を示しますけれども、お話しの罰則を特に要項の中で示した例はないと思います。それは一般公務員の募集の場合と同様かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/164
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165・村山喜一
○村山(喜)委員 一般公務員の場合には、これは乏しいながら団結権があります。憲法上のいわゆる結社の自申権が保障され、それに基づいて組合をつくり、その中において自分たちの生存権を主張することができるのです。特別職の自衛隊の場合には、そういうようなことをやった場合には、政治活動禁止で罰則を受けることになっている。そのような法律のもとにおいて、いわゆる就職の条件というものがきまっているはずです。したがって、そういうようなことが明らかにされないままに、私は自衛隊員募集がなされているということを指摘をしたい。まさにそのことをあなたは認められたわけです。しからば、いわゆるそういうような労働条件、雇用条件というものが明示されない形の中において募集をされる。これは、やはり私は民間の募集の場合は別だと思うのですが、国家公務員としてこれから防衛の任に当たろうという者について、そのような心がまえがないという形の中においてこれをやるということは、あなた方のやり方としてもおかしいのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/165
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166・松野頼三
○松野国務大臣 こういう事例というのは非常に少ない事例ですが、身分上においてはこれはもちろん必要なことであります。したがって、募集のときに、あるいは入隊前に宣誓するときに、やはりそういうものを周知徹底させることのほうが、これはより親切なやり方だと私も思いますので、宣誓する前というものについては、やはり自衛隊法の重要な身分に関すること、これは周知させるほうがよろしい。もしそれがいままで手抜かりでしたら、当然御趣旨のように今後注意いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/166
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167・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、募集のときにはそのような措置がされていないとするならば、入隊をしてから、教育の体系の中において、やはりこの自衛隊の目的なり任務なりというものが明らかに教育をされるであろうと私は思うのです。そこで、この自衛隊の任務というもの、あるいは目的というものが、どういう程度において教育がされているか、この点について承りたいのでありますが、いま自衛隊の教育方針の基本になりますのは「自衛官の心がまえ」、昭和三十六年六月に出されましたこの内容が、私は骨子になっているであろうと思うのです。これは、防衛大学においても、たとえば入隊をいたしました初めての陸士とか、そういうような自衛隊の隊員に対しましても、「自衛官の心がまえ」というものを中心に、防衛二法等についても教育がなされているであろうと思うのですが、それらの教育体系の中において一体どういうような形でこれらの問題を取り上げておいでになるのか、この点をお伺いをしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/167
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168・中井亮一
○中井政府委員 新隊員として入隊をした隊員に対しましては、初めに約三カ月、ただいまの自衛隊の任務あるいは使命の自覚というような問題、あるいは基本的に縛られておりますいろいろな諸法規というようなもの、基礎的なもの、あるいは団体生活についても習熟をされますように、また体力も、基礎的に自衛隊員として必要な体力づくりというようなものにまず充てているものでございます。そのほかにも、新隊員以外で新しく学生になったりしているような防大生についても、初めに基本的な問題についてはやはり教育を施している次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/168
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169・村山喜一
○村山(喜)委員 「自衛官の心がまえ」というこの方針は、今日まで、言うならば自衛隊の教育基本法的な性格のものであると私は思うのでありますが、そのような取り扱いをされておるのかどうかということを聞いているのです。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/169
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170・中井亮一
○中井政府委員 「自衛官の心がまえ」につきましては、三十六年制定を見まして以来、自衛官の基本的なものの考え方のものとして十分徹底するようにやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/170
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171・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、私は、やはりこの特別職の国家公務員である自衛隊の教育は、憲法にのっとって方針というものが立てられなければならないと思いますが、憲法教育というものは、どの程度やっておいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/171
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172・中井亮一
○中井政府委員 憲法問題につきましては、具体的に時間を設けてやっておりますのは、防衛大学校、幹部候補生学校、幹部学校においてそれぞれやっております。新しく隊員になりましたものにつきましては、ことさら憲法教育ということでやっているわけではございませんが、現在の自衛隊の置かれております民主主義に基づく自衛隊という意味において、その基本が憲法に定められておりますので、その必要な範囲内においての教育を実施しているものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/172
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173・村山喜一
○村山(喜)委員 将来幹部になるものについては、憲法について教育体系の中で位置づけられたものとして単位等を取得するような形で教えておられるそうでありますが、ただいま承りますと、幹部でないいわゆる一般の自衛隊員については、憲法教育というものは行なわれていない、こういうように確認しておってよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/173
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174・中井亮一
○中井政府委員 新隊員についてでございますが、憲法のどこにどういうふうに書いてあるということをもって憲法教育というふうにお名づけになるとするならば、そういう形においては何条にどういうふうに書いてあるということは教えております。しかし、ことさらに時間を設けて、憲法を何時間教えなければならないというふうには規定していないという意味で御説明したものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/174
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175・村山喜一
○村山(喜)委員 私は、これは非常に重大な問題と思う。というのは、いまこの「自衛官の心がまえ」という内容が、時代に合わなくなった、もう少し今日の時代に合うようなものに改正をしたいということで、新聞に伝えられている内容から見てまいりますと、いわゆる自衛官の戦陣訓的なものをつくるんだという発表が出されたことがあります。いま鋭意検討されているというふうに承っているのでありますが、これらの問題は、やはり憲法なり法令なり、あるいは今日まであなた方が自衛官の教育の基本として持ってまいりました「自衛官の心がまえ」、こういうようなものにのっとってやられたものが、今度さらにもっと分厚いものにつくられようとするということになるのかと思うんですが、いまお聞きをいたしますと、幹部については憲法についての教育がなされる。しかし、一般の隊員については、直接憲法としての教育というものは行なわれないで、これらの法令の基礎とか、そういうようなものに関係のあるものだけが行なわれている、こういうふうに承るのでありますが、私は、そういうようなところから、自衛隊の教育の方向というものについて、実は非常に危惧をいたしている点があるのであります。というのは、これは特に参議院の予算委員会で問題になりました「あかしあ」二月十三日号の花見達三論文、こういうようなものが広報誌——自衛隊の広報誌ではありませんけれども、いわゆる同友誌、同友会みたいな、そういうような誌面を飾って、これが回覧をされる、こういうような形の中において、自衛隊が一定の偏見と考え方を持たされていくようになってまいりますと、これはいわゆる武器を持った集団でありますから、これに対するシビリアンコントロールの立場から考えましても、また、日本の国民のための自衛隊としての立場から考えても、きわめてわれわれが憂慮しなければならないような事態というものが——これらの教育のあり方の上において、これがもし間違った方向に進むとなれば、たいへんな問題が出てくるということを危惧いたしているものでありますが、この花見論文の取り扱いの問題は、善処されることを長官が約束されたのでありますが、その後どうなりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/175
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176・松野頼三
○松野国務大臣 誤解を招く点がありましたから、今後編集及び発行については、根本的に改めるようにいたしました。それは、私から直接各総監会議の席上で、そういうへんぱ的なことのないように、すべての問題を解説するようにいたしまして、今後はそういう疑いがかかるようなものは、かりに寄稿であっても載せないようにいたしております。
なお、御承知のごとく、自衛隊は武器を持っておる集団でありますから、われわれ議会としましても、また議員としましても、最も重要なものであります。シビリアンコントロールということも必要ですが、基本はみずからの精神の中に民主主義精神を植え込めるということが、第一の基本だと思います。それには、まず接触する幹部自身それを植えつける。それから次の班長に植えつける。それから隊員一人一人に植えつけるということは、教科書を読ますよりも、指導者自身の心の置き方というものが、一番大事だと思います。二十四時間一緒に寝起きしておりますから、したがって、憲法という本を課程において与えませんけれども、「自衛官の心がまえ」も、自衛隊法と民主主義教育を基本につくっております。その根本は憲法であります。したがって、教える時間は防大あるいは幹部であるかもしれませんけれども、その影響するところは、それに接触する全隊員に影響すると思いまして、民主主義教育には徹底して、まずこれが基本でなければ今後国民とともに歩む自衛隊には成長しないというところから、私は就任以来、これは特に各教科書まで取り寄せてやっております。「ただ自衛官の心がまえ」、だけではあまりに範囲が狭いものですから、新たにひとつ「自衛官の心がまえ」より以上なものをつくりたい。秋ごろまでには何とか成案を得たいというわけで、参議院で指摘されました一つの原稿というものもございましたが、まだほかには礼儀作法、日常精神、いろいろなものが実は加わって、情操教育まで入れたものをひとつつくりたいという考えで、いま作業を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/176
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177・村山喜一
○村山(喜)委員 民主主義の基本的な概念の中で教育が行なわれる、その基本は憲法である、こういうようなたてまえで教育体系がつくられているとは思うのでありますが、しかし、それらの内容について、いままで国会のほうに、その教育体系についての書類等の提出をされたことはないと私は思うのであります。やはり国民の選出存受けた国会が、基本的には自衛隊を討議する、こういう立場に法制下にもありますので、戦陣訓といわれるような、こういう新しい自衛官の心がまえといいますか、新しい教育方針をつくられる前には、こういうような構想でやりたいと思うがどうであろうかというような提案といいますか、事前に国会の意思というものを聞かれるような考え方は、お持ちになっておいでにならないのか、この点についてお答えを願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/177
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178・松野頼三
○松野国務大臣 戦陣訓と言われますが、私は平和訓ということばで言いますけれども、自衛隊は日本の平和を守るという意味から、平和訓という感じで今日もおりますし、もちろん国会に提案じゃありませんから、法案として提案する必要はないと思いますけれども、その編成の内容、大きな項目、方向というのは、私の責任で当委員会あるいは関係委員会にお示しすることは、少しもやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/178
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179・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、これに関係いたしました具体的な問題として、六月二十一日、朝日新聞に大きく出ておりました「完全武装で「靖国」参拝、自衛隊の遠洋航海部隊」こういう見出しでございます。この内容は、自衛隊が隊列を整えて神社へ参拝するのは、これが戦後初めてである。遠洋航海に先立つ七月五日午前九時、銃を持った完全武装の実習生と遠洋航海部隊幹部二百余名が、音楽隊を先頭に参列をする、こういうふうに報道いたしているのでございます。これはそういう計画があるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/179
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180・松野頼三
○松野国務大臣 まだ私のところに、そういう申請あるいは要請はきておりません。しかし、報道されるようなことが、計画の中にあるようには聞いております。しかし、私への口頭での説明では、完全武装というふうな感じではなかったようであります。私も新聞を見て、こういう計画があるかと言ったら、まだ大臣のところまではきておりませんという話であります。完全武装というよりも、それは軍楽隊をつけて、儀仗兵をつけて靖国神社に参拝したいという意向があるという、いま話の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/180
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181・村山喜一
○村山(喜)委員 私がこの点について問題にいたしておりますのは、憲法二十条との関係であります。憲法二十条の上から見てまいりますならば、明らかにこの点については問題があると私は言うのでありますが、その点についてはどういうふうに判断をしておいでになるのか。長官のところまでまだそれがきていないとするならば、事務当局のところでこの計画が進められているであろうと思うのであります。そういう意味においては、これの計画を練っているのは海幕の総務課のようでございますが、これを担当いたしますそこの内局の局長の答弁を願いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/181
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182・松野頼三
○松野国務大臣 憲法的な議論ですから、私がお答えするほうが妥当かと思います。まだ計画はおのずから各部でやっておりまして、最終責任は私が負うつもりであります。私もさっそく憲法を読み直してみましたが、憲法に抵触するという考えは、私は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/182
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183・村山喜一
○村山(喜)委員 その考え方はどこから出てきたのか、私はふしぎでならないのです。憲法二十条は「信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。」そうして「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。」こういうように明示してあります。したがって、私はこの点から見てまいりますると、一体この信教の自由とは何であるか、これは明らかに信仰の自由、宗教的儀式上の自由、宗教団体の自由、この三つの要素から成り立っていると思うのであります。しかも明治憲法によって誤ってまいりましたように、この明治憲法下における神道と国家との結合というような立場を排除して進んでいることも、事実であります。いま靖国神社というのは、これは神社神道の一宗教法人にすぎないわけであります。この点は、ああいうような形はとっているけれども、現実の法令上における位置づけというものは、宗教法人であるというふうに私は考えておりますが、その立場から見てまいりますると、いわゆる宗教上の行為とは、礼拝なり、祈りなり、その他宗教的信仰の表示としてなされるすべての行為をやるのだ、このように憲法学者の学説はほとんど一致いたしております。したがいまして、神社に参拝をする、これは個人の自由であります。そしてそれが強制をされないという意味において、憲法上保障をされている基本的人権なんです。このことは、私が取り上げようとしているのは、いわゆる「命令を拒否した場合の取扱いについては考慮中」ということで、一体国の機関である防衛庁のこれらの職員が、隊を組んで参列をする、この命令に違反をした者についてはこれを処罰する、こういうことになりました場合においては、これは明らかに憲法違反であります。というのは、国及びその機関はその他の宗教活動をしてはならないということが明らかになっているのに、宗教上の行為というものが規定をされているのにそれを強制するということは、明らかに「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」というたてまえでできているこの憲法二十条が無視されることになる、こういうふうに考えるのですが、松野長官が違反をしないというのは、それは強制をしないのだ、したがって処罰をしないのだ、自主的に参加をするのだ、こういうような形をとるならばという前提があるのではないかと思うのですが、いかがですか。
〔伊能委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/183
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184・松野頼三
○松野国務大臣 要するにこの趣旨は、信仰上の行事に参加するというわけじゃありません。したがって、靖国神社の信仰の行事は、これには関係ございません。靖国神社参拝というのは、御承知のごとく国防の英霊に対する礼、したがって、宗教上の行事にあらずして、精神的行事でございます。同様に、無名戦士の墓に参る、これも信仰上よりも精神的な行事であります。したがって、その意味において私は憲法に何も抵触するものではない。靖国神社参拝というのは、要するに防衛の英霊に対する礼に参るということであります。靖国神社でいろいろおはらいをしたり、靖国神社の行事に参加するという趣旨ではございません。したがって、無名戦士の墓に参る趣旨と同じであろうというので、私は憲法上には抵触しない、またそういう意図ではないという話を今日申し上げておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/184
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185・村山喜一
○村山(喜)委員 それはおかしいです。時間が部会のためにさかれておりますから後ほどに譲りますが、一言だけ私申しておきます。いわゆる宗教上の行事というのは、これは宗教団体がやる行事だけに限っているわけじゃない。この点は憲法をもう一回読み直していただきたい。これはいかなる団体がやろうが、いかなる行為をなすものが主体になろうが、そういうような宗教的な祈りなり、あるいは礼拝なり、あるいはそれに類似するすべての行為ということになっている。ですから、これを個人として禁止する意味じゃありません。その区分をあなた方が間違えられるということになると、これはきわめて重大な問題であります。なぜかなれば、いわゆる霊魂は不滅である、魂というものは存在をするのだ、こういうような感覚を持っておる人もおります。あるいは神というものは存在をしないのだ、こういうような考え方で、そういうような認識というものを持っておる人もおるのです。無神論者というのがおるのです。あるいはキリスト教の信者もおりましょう、あるいは創価学会の信者もおりましょう。そういうような者が自衛隊の幹部の中にいないということを、あなた方は保障できないわけです。これは信仰の自由というものが保障されているのですから、そういうような形をとるということは、明らかに憲法二十条の宗教上の儀式というものを国の機関が強制をするということですよ。この問題については、松野長官は憲法の権威者ではありませんから、法制局あたりと十分相談をされて、誤りのないように措置されたいと思いますが、どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/185
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186・松野頼三
○松野国務大臣 私はそうは考えませんが、せっかくの御忠告で、法制局長官よく打ち合わせまして、憲法上の問題については解明をした上で実行するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/186
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187・木村武雄
○木村委員長 この際暫時休憩し、午後二時より再開いたします。
午後一時七分休憩
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午後二時十二分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/187
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188・木村武雄
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
伊能繁次郎君外二十名提出、旧勲章年金受給者に関する特別措置法案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/188
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189・木村武雄
○木村委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。岩動道行君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/189
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190・岩動道行
○岩動議員 ただいま議題となりました旧勲章年金受給者に関する特別措置法案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
旧金鵄勲章年金令が明治二十七年勅令第一七三号によって制定されましたことは、御承知のとおりであります。その後、この年金令は昭和十六年に至り勅令第七二五号によりまして廃止されましたが、同時にまた、この勅令により昭和十五年四月二十五日以前の叙賜者につきましては、旧令によって年金は下賜されていたのであります。しかるに終戦後、昭和二十一年三月に至りまして、これらの勲章年金は、昭和二十年十二月末を限りといたしまして、一切廃止されることとなって今日に至っておるのであります。
戦後二十年、この間幸いにわが国の経済は順調に再建発展しまして、国民生活も年一年と向上をたどりつつあるのであります。この間にあって旧金鵄勲章年金受給者については、かつて支給されていました年金は打ち切られ、その経済的期待権を喪失し、不遇のうちに日々を送っている人々も多いのでありまして、御同情にたえないものがあります。よって、本法律によりまして、これらの人々の処遇改善をはかるため特別の措置を講じ、あわせて勲等年金受給者についても、その年金額が現在きわめて少額で、受給者の大部分はわずか数十円という低額のものでありますので、これが改善措置を行なおうとするものであります。
本法案の要旨を申し上げます。
旧金鵄勲章年金受給者については、昭和三十八年四月一日において日本国籍を有する者に対しまして、旧制の功級による区別なく、十万円の一時金を特別措置として支給しようとするもので、その認定は、これを受けようとする者の請求に基づきまして、内閣総理大臣が行なうこととしております。
勲等年金受給者については、昭和二十一年三月三十日内閣告示第九号により勲等年金を支給する旨の通知を受けた者で昭和四十一年一月一日においてその支給を受けることができる者に対しまして、一時金として三万円を支給することとしております。
なお、昭和四十一年分以降の年金は、同年六月の支給にかかる分を除き、これを支給しないことにしております。慎重御審議の上、御賛成くださるようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/190
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191・木村武雄
○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
この際、国会法第五十七条の三の規定により、本案について内閣の意見を徴取することにいたします。細田総務副長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/191
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192・細田吉藏
○細田政府委員 旧勲章年金受給者に関する特別措置法案につきましては、政府といたしまして、やむを得ないと存じております。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/192
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193・木村武雄
○木村委員長 本案については、質疑及び討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
旧勲章年金受給者に関する特別措置法案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/193
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194・木村武雄
○木村委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/194
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195・木村武雄
○木村委員長 次に、伊能繁次郎君外二十九名提出、駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/195
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196・木村武雄
○木村委員長 提出者より趣旨の説明を求めます。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/196
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197・大出俊
○大出議員 ただいま議題となりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につき、提案理由並びにその要旨を御説明申し上げます。
御承知のように、駐留軍関係労働者は、きわめて雇用の不安定な立場に置かれておるのであります。一昨年におきましては、日米共同声明による米軍基地の縮小に伴って約六千人の労働者が解雇されました。また、昨年におきましても、約二千人に近い労働者が離職せざるを得なくなったのであります。
この間、政府は、これらの離職者について積極的に再雇用につとめると言明を行なってきたのでありますが、これらの離職者のうち、再就職した者は、わずかにその三割程度にすぎず、その他の者は、なお安定した職場を得ていないというのがその実情であります。これらの例を別にいたしましても、いままでの駐留軍離職者の再就職状況を見ますと、その不安定な立場にもかかわらず、離職後の措置に多分に不備な点が多いのであります。たとえば、炭鉱離職者、金属産業関係離職者にとられてきた離職対策と比較いたしますと、その対策はきわめて不十分であると言わざるを得ないのであります。特に駐留軍離職者は、中高年齢層が多く、その再就職ははなはだ困難な状況にあり、これらの見地に立ちますとき、駐留軍関係離職者につきましては、その就職対策をさらに積極的に行なう必要があると考え、本法案を提出した次第であります。
次に、その要旨を御説明申し上げます。
第一点といたしましては、すでに炭鉱離職者に対して行なわれております特別の就職指導と、その就職指導を受ける間に支給される就職促進手当の制度を、駐留軍関係離職者にも実施しようとすることであります。
第二点は、これもすでに炭鉱離職者や金属鉱業等離職者に対し実施されてまいりましたごとく、駐留軍関係離職者を雇い入れる事業主に対しても、雇用奨励金の支給を行なうこととし、離職者の再就職促進をはかることとするわけでございます。
なお、これらの措置は、一昨年、日米共同声明による米軍基地の縮小に伴って大量の解雇が行なわれた事実に着目いたしまして、昭和三十九年一月一日以降の離職者を対象として行なうことといたしました。
以上、はなはだ簡単ながら、本法案の提案理由並びにその概要について御説明申し上げた次第でございます。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/197
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198・木村武雄
○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/198
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199・木村武雄
○木村委員長 この際、国会法第五十七条の三の規定により、本案について内閣の意見を聴取することといたします。小平労働大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/199
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200・小平久雄
○小平国務大臣 ただいま御提案になりました駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案につきましては、政府としてはやむを得ないものと考えます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/200
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201・木村武雄
○木村委員長 本案については質疑及び討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
駐留軍関係離職者等臨時措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/201
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202・木村武雄
○木村委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
なお、ただいま議決いたしました両案に関する委員会報告書の作成については、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/202
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203・木村武雄
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/203
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204・木村武雄
○木村委員長 伊能繁次郎君外二十九名提出、連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/204
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205・木村武雄
○木村委員長 提案者より趣旨の説明を求めます。受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/205
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206・受田新吉
○受田議員 ただいま議題となりました連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。
御承知のとおり、占領期間中における連合国占領軍等の行為により死亡し、負傷し、または疾病にかかった被害者に対しましては、昭和二十一年五月閣議決定により見舞い金の支給措置を講じ、昭和二十七年五月には閣議了解により追給措置を講じ、さらに昭和三十六年十一月十一日には、政府の実態調査の結果、これらの者に対する救援の立法措置を講じ、それぞれの被害の実情にあわせ、療養給付金、休業給付金、障害給付金、遺族給付金、葬祭給付金及び打ち切り給付金を支給することといたしたのであります。
しかしながら、この法律による措置は、被害者が、法律施行前に占領軍等の行為以外の原因で死亡した場合には適用されないなど、救援措置として十分でなく、かつ被害を受けたときから相当の年月を経て実施されたという経緯もあり、また最近における災害補償制度並びに社会保障制度筋進展等、社会情勢の変化に伴い、被害者より国家並びに政府に対しまして、さらに救援措置の適用を広め、厚くするよう、しばしば陳情、請願が行なわれてまいっているのであります。これら被害者のお気の毒な状況を考慮しまして、この法律案を提出することといたした次第であります。
本案の具体的内容について御説明申し上げますと、まず第一に、障害給付金または遺族給付金を受ける権利を有した者及び打ち切り給付金を受けた者のうち、本法律施行の日に日本国籍を有するものに対し、新たに特別障害給付金、特別遺族給付金及び特別打ち切り給付金を支給することといたしております。
なお、これらの額は、それぞれの現行給付金の額を考慮して定めております。
第二に、被害者が現行法の施行前、すなわち昭和三十六年十二月二十日前に占領軍等の行為等以外の原因によって死亡した場合においても、その被害者の遺族に対しまして、療養給付金、休業給付金、障害給付金または特別障害給付金の額に相当する金額の支給金を支給することといたしております。
第三に、被害者が昭和三十六年十二月二十日から本法律施行の日までの間に占領軍等の行為等以外の原因によって死亡した場合においても、その者の遺族に対しまして、特別障害給付金または特別打ち切り給付金の額に相当する金額の支給金を支給することといたしております。
第四に、本法律施行の日において日本国籍を有する被害者の妻、被害者が死亡している場合には、死亡当時の妻に対しまして、五万円または七万五千円の支給金を支給することといたしております。ただし軽度の障害者の妻は除いてあります。
以上、本法律案の提案の理由及びその内容の概要を申し上げた次第でありますが、何とぞ慎重審議の上、直ちに御賛成くださるようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/206
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207・木村武雄
○木村委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/207
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208・木村武雄
○木村委員長 この際、大出俊君より発言を求められておりますので、これを許します。大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/208
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209・大出俊
○大出委員 きわめて簡単にお尋ねを申します。提案者である受田さんにまずもって承りたいのですけれども、本法案の重点といたしております点は四つほどあるのではないかと思いますので、簡単に御答弁いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/209
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210・受田新吉
○受田議員 御質問にお答えいたします。本法案の骨子とされている点は、ただいま提案理由に申し上げましたところの四つの問題点の解決にあるのであります。
御存じのように、本法は、現行法は昭和三十六年十二月二十日に施行されて、ある程度の救援措置が講ぜられておるのでございますが、しかしながら、この救援措置は、たとえばここに掲げてありまするところの特別給付金関係のものにいたしましても、あの災害を受けられた当時の無職者の日給二百円を基礎にして、その千日分という見舞い金措置にとどまっているわけです。この問題点は、無職者と有職者を考えたときに、有職者のほうがはるかに多い六八%、無職者は三二%であったという現状にかんがみたときに、その平均をとったときには三百五十五円、差し引き百五十五円を支給すべしという断定に立ったわけでございます。
また、その後これらの給付金を受けた方々の国会陳情並びに政府に対する陳情を見ましても、これらの方々のうちで、この法律施行前被害者が占領軍等の行為以外の原因で死亡した場合に対しての措置がしてない。これに対しても、その遺族に対して特別の給付金を支給すべきであるという御要望、これも被害を受けた方々の立場は同じでございますから、われわれは、法律施行前の方々が占領軍等の行為以外の原因で死亡された場合にも、同様追加支給措置を講ずべきであるという断定に立ったわけでございます。
さらに、被害者に対しまして特に問題となることは、その奥さまが御主人の御苦労に対してどんなに重荷を負っておられるかを考えなければなりません。私は、これらの奥さまが重傷を負った御主人をささえているその日常の生活苦と精神的な苦痛を考えたときに——現在戦没者に対しましては、その妻に対して特別給付金二十万円が昭和三十八年に施行されました。また戦傷病者に対しては、すでに衆議院を通過し参議院で目下審議段階にある、十万円の戦傷病者の妻に対する特別給付金制度が確立しております。これらを勘案したときに、占領軍という特殊の事情の被害を受けてなくなられ、あるいは傷つかれた方々の奥さんに対する特別給付金制度を、一時払い方式で七万五千円ないし五万円の措置をすることは、当然であると考えておるのでございます。
いま一つの理由は、ここに書いてあるとおりなので追加する必要もないと思います。
以上、四つの改正点を列挙したわけでございますが、われわれはこの機会に、いまお尋ねになられた法案の改正点を十分理解をして、当時の事情と現時点における事情とは大幅に変わっておることを考えて、しかもここにおられる全議員だけでなく、三党あげて——この提案者、賛成者をごらんいただけば、挙党一致、衆議院全議員賛成のもとに出た法案であるということを御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/210
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211・大出俊
○大出委員 そこで大蔵大臣に、これまた簡単に御質問を申し上げたいのでありますが、いまの重点からいきますと、まず一ぺん補償らしきものが行なわれておる、こういう理由がありますけれども、それは三十七年の実施、つまり十年ほどおくれているということになりますし、それから当時の全産業平均給与等から見まして、一番低いところをとったという実情もございます。さらに、いまお話に出ましたような特別給付金制度などというものが、講和条約発効後のものについてはとられております。それから沖繩におきましても、つい最近、一人当たり四十三万円くらいに該当いたしますが、全く同じ制度でありまして、日本の場合に換算をいたしますと、五十何万になるのでありますが、その差というのは、全産業平均という形の給与の取り方が、沖繩のほうが日本より低いというところにあるのでございます。したがって、そういう点からいきますと、それとの比較の面で、前回補償はしているというようなものの、あまりといえば違い過ぎるという問題が生じているわけであります。さらに行政協定、地位協定に基づくもの等を考えますと、やはりこの際、いま受田さんが言われるように、何としても早急に——これはいま御提案は直ちにここで、こういうお話でございましたが、予算官庁である大蔵省という立場から、いろいろ仄聞をいたしますと、むずかしい事情等が述べられておりますけれども、この際いまここで直ちに実施するということに大臣から御賛同をいただけないならば、近い将来に向かって急ぎかくかくしかじかの措置をとるという点を明確にしていただかなければ、今日一万四百五十名ほどの該当者のうちで、死亡が四千三百八十四、後遺症で呻吟されておる、今日なおかつ病院に入っておられたりする方が三千二百九十九名もあるわけでありますから、それらの点も十分にひとつ御勘案いただきまして、明確な御答弁を承っておきたいと存ずる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/211
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212・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 連合国占領軍などの行為等におきまして被害を受けた者に対して、御説のとおり、昭和三十六年法律第二百十五号で給付金が支給された。私はいいことが行なわれた、こういうふうに存じまして、処置完了、こういうふうに理解をしておったところ、今度内閣委員の皆さん、三党の各位から、いろいろの御意見を承った次第でございます。それで、御意見のとおり考えてみますると、今日なお処置を要する被害者もある、こういうふうに思いますので、それらの方に対しましては、何とかしかるべき措置を考慮いたしたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/212
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213・大出俊
○大出委員 そういたしますと、三党で相談をいたしまして、意見一致して提案をいたしておりますが、いまの受田さんの提案の趣旨に対しては、御説のとおりであるというのが、いまの御回答の一つであります。もう一点は、しかるべき措置は考慮する、こういうことでございましたが、間違いございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/213
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214・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 処置の方法にりきましては、ただいま申し上げましたように、私ども考えておりますが、受田さんが述べられたような処置がそっくりそのままできますか、これはいろいろ考えなければならぬ点も私どもとしてはあるのです。しかし、お話のような点もありますので、措置につきまして十分考慮したい、こういうふうに御了解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/214
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215・大出俊
○大出委員 十分考慮するということでございますから、提案者である受田先生に、その辺についてのお考えを確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/215
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216・受田新吉
○受田議員 大蔵大臣から、私の提案理由に対して御了承をいただき、かつこれに対して十分の考慮をするという御答弁であったと了解をさしていただきます。ただ、これに伴う予算額におきまして、約九億三千五百万円という金額でございます。この金額は、この占領軍の被害者に対する措置としては決して多額ではないし、参議院では、社会党からももっとより高額の措置を要望される法案も提出されたこともあるわけなんです。また、この現行法が参議院を通過する段階で、参議院内閣委員会において、他との均衡等に関して非常にこの措置はまだ低いというお気持ちであったからでありましょう、特別の附帯決議がついておるわけです。こういうことを考え、いま大出さん御指摘の、沖繩における同じ事情にあるところの講和発効前の被害者に対する行政協定措置に伴う金額は、御存じのように四十万をずっとこえている金額である。これらとの均衡を考えたら、当然現在の被害者に対する九億三千五百万円という金額は決して多いものではない、むしろ低きに過ぎるぐらいに考えておりまするが、三党一致のこの妥協案でありますので、ひとつ大蔵省もこの九億三千五百万円という額を十分尊重して、御考慮いただくということをお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/216
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217・大出俊
○大出委員 最後でございますが、いまの大臣の御発言等で結論的に申し上げれば、御説のとおりであるから十分考慮する、こういうことになるわけでございますので、それを了承いたしまして、あわせてひとつ三党共同の提案でございますので、委員長から一言御発言を賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/217
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218・木村武雄
○木村委員長 この際一言申し上げます。
本法案は、他の議員立法二法案とともに、自由民主党、日本社会党及び民主社会党、三党の間において十分検討の上、意見の一致を見て、三派共同提案として提出したものであります。本法案の取り扱いにつきましては、三党共同の責任において、次の通常国会までに必ず成立するよう、委員長として万全の努力をすることを提言いたします。
また、政府においても、右の趣旨に沿い、すみやかに予算的措置などを講ぜられるよう、強く要望する次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/218
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219・大出俊
○大出委員 それではひとつそういう趣旨で、いま御発言のとおり御努力のほどをお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/219
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220・福田赳夫
○福田(赳)国務大臣 ただいまの委員長の御発言よく承りましたが、先ほど申し上げましたように、その方法等についてはなおよく検討させていただきまして、できる限り善処いたしたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/220
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221・木村武雄
○木村委員長 行政機構並びにその運営に関する件、特に行政相談委員に関する問題及び審議会等の整理に関する問題について調査を進めます。
発言を求められておりますので、これを許します。田口誠治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/221
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222・田口誠治
○田口(誠)委員 行政相談委員のほうは山内委員から御質問申し上げることになっておりますので、私は一言だけ審議会等の整理の問題について御質問をいたしたいと思います。
そもそもこの法案が提出されましたことは、臨調の答申に基づきまして、各行政機関の能率的な運営とそれから整理ということが主になって出されておるわけでございます。今日出されておるものは、ここにも明確に出ておりまするように、各行政機関を通じまして廃止されるものが十、統合の結果整理されるものが十九、試験委員制に改めることによりまして廃止されるものが五、計三十四を整理することになっておるわけでございます。したがって、私この内容をずっと検討させていただきましたが、了解のできるものでございます。ただ、私は残されておる審議会あるいは調査会等の内容をいろいろと見てみますると、なおすぐ行管のほうでいろいろと作業を進めていただかなければならない内容のものが残されておると思いまするが、こういう点につきまして、今後どういうようにお考えになって作業を進められようとするのか、この点をひとつお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/222
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223・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 御指摘のとおり、この三十四で全部終わりとはとうてい考えられないわけであります。まだまだ十分内容を実質的に検討して、整理その他統合の措置をすることも必要であろうという対象のものが、相当残っております。これは御審議をいただきまして、一応三十四を終わったあとで、引き続き簡素化の線に沿いまして検討を進めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/223
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224・田口誠治
○田口(誠)委員 御案内のとおり、行政機関に対するところのもろもろの問題を審議する審議会、調査会の扱いでございまするので、この扱いには、委員の数とか、あるいは委員の中には国会議員が含まれておるというようなこともありまするし、画一的にこの問題を律することの困難性はあろうと思いまするが、事行政に対する重要な問題でありまするので、その点のところは無理のいかない検討をしていただいて、そして、できるなれば臨調の答申の精神をどう生かすかという点を御苦労になって、また次の国会に提出していただくということを希望申し上げまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/224
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225・木村武雄
○木村委員長 山内広君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/225
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226・山内広
○山内委員 行政相談委員法について若干御質問したいと思います。
これは新しく生まれる法律でありまして、将来これが運営についてはかなり細心の注意と努力をいたしませんと、効果をあげるか、あるいは失敗に終わるか、最初でありますから、かなり条文を吟味して調べてみたわけであります。いろいろ疑問点はありますけれども、すでに会期も終わりに近づいておりますので、そのうちから若干お尋ねをしておきたいと思います。特に意見とか政策にわたる問題は後日に譲りまして、おもに条文について、この点は明らかにしておかないと運営が困ると気がついておる点を若干お聞きしておきたいと思います。ちょっと質問を短く整理したので、こちらの質問が手間取るかもしれませんが、ごかんべんを願います。
第二条なんですが、「国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)」となっておりますけれども、これは間違いではありませんか。百二十一号のように行政管理法令集を見ますると書いておりますが、どちらが正しいのですか。——それは担当の方に御調査いただきまして、次にお尋ねしたいのですが、これはちょっと政策になりますけれども、この行政相談委員を委嘱される、あるいはこれを法律で認めるということは、提案趣旨のとおり私は賛成でございます。ただ、考え方として、当然政府がやらなければならぬ行政の一端を民間人に委嘱するということは、どうもお役人の不足分をそういうところに転嫁したというような誤解もあると思いますので、この点はどういうお考えに立っておられるのか、明らかにしておいたほうがいいと思いますので、長官から御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/226
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227・福田篤泰
○福田(篤)国務大臣 行政相談の性格から申しまして、いわば名誉職的に法律に基づきまして今回はこれを委嘱する、相談委員としての仕事をお願いするわけであります。これは行政責任を転嫁というよりは、むしろ日常の行政に関する国民大衆の苦情というものを、やはり一つの窓口として相談委員が相談に乗っていただく。これによっていわゆる現在ある行政組織や官庁等の手の及ばないところを補っていただくという関係にあるわけでありまして、むしろこういう制度によりまして、より完全に国民大衆の不満なりあるいは御要求その他に対する苦情を処理できる、私どもは補助的にその効果を期待いたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/227
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228・山内広
○山内委員 それには意見もありますけれども、申し上げません。
それから第二条の一項一号の、「政令で定めるもの」とありますが、この政令の中身はどんなものでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/228
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229・稲木進
○稲木政府委員 政令で定める法人につきましては、大体私ども考えておりますのは、いわゆる特殊法人と普通称しておりますが、特殊法人の仕事は、国の法律に基づきまして一定の準行政的な機関という立場に立っていると思うのでありますが、そのたくさんある法人の中で、特にその業務が国民生活に非常に密着している、そして国民の側においてその法人のやっている業務について、従来苦情が比較的多かったもの、そういうような種類のものを選択したいというふうに考えておるわけでございます。具体的に申し上げますと、日本国有鉄道あるいは日本電信電話公社、あるいは日本専売公社、こうした三公社の業務は、そういう先ほど申しました趣旨で、国民の側から従来いろいろと苦情なり注文なりが、比較的多かったと思います。そういう意味で、三公社は一応指定したいというふうに考えておるわけであります。そのほか、金融公庫関係の業務につきましては、貸し付けの業務でありますので、まあ貸すか貸さないかという問題につきましては、必ずしもこれは行政相談のベースに乗らない場合も多いと思うのでありますけれども、申し込んだけれどもなかなかその手続がおくれているというようなことについての、いろいろな国民のほうの要望もございますので、そういう意味で金融公庫もある程度指定をいたしたいというふうに考えております。そのほか、道路公団でありますとかいうような業務につきましても、やはり土地の買収等に関連して、国民の苦情も相当あると考えられますので、こういうものも指定したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/229
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230・山内広
○山内委員 行政管理庁設置法の二条の十三号の、「苦情の申出につき必要なあっせんを行なうこと。」と書いてあるのと、この相談委員法の「苦情を通知すること。」という、この苦情の通知とあっせんとは、どういうふうに相違があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/230
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231・稲木進
○稲木政府委員 あっせんは、関係の行政機関に行政管理庁が連絡をとりまして、苦情の申し出人のほうに相当理由があるという場合には再考を促すというような取り扱いを考えておるわけであります。相談委員が通知する場合におきましては、これはいわばあっせんといったふうなところまでは実は考えておりませんので、こういう苦情があったということをとりあえず知らせる、知らせることによってその行政機関で大体処理してもらえるだろうというようなものを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/231
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232・山内広
○山内委員 そうしますと、処置やそういうことの権限は全くないということですね。通知するだけということですか。あとは、しいて言えば意見を開陳できるという、その程度のものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/232
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233・稲木進
○稲木政府委員 委員の人にすべてあっせんをやっていただくということは必ずしも考えておらないので、実は通知することによって、その行政機関にもう一度考え直してもらうという機会をつくってもらう。もし委員がそういうように通知をいたしましても、その行政機関のほうでそうした十分な再考なり吟味なりが行なわれないという場合には、今度は委員のほうから行政管理庁のほうに重ねて連絡をしてもらう、こういう考えをとりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/233
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234・山内広
○山内委員 第二条の二号に「通知」という字が二度使ってますけれども、あとのほうの「申出人に通知する」というのの「通知する」というのは、それは行政機関がやることですか、相談委員がやることになりますか、どっちなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/234
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235・稲木進
○稲木政府委員 あとのほうに書いてあります通知は、相談委員が関係の行政機関に通知をしまして、そうしてその行政機関で適当な措置をとった場合におきまして、こういう措置をとったということを相談委員の人に知らせてもらう、そうしてその知らせてもらった事柄を今度は苦情の申出人に相談委員を通じて知らせる、こういうことを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/235
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236・山内広
○山内委員 これもちょっとわがままなやり方なんで、行政相談委員も迷惑な話だと思うのですよ。そうしたら、相談委員に通知するのと同じものをこの行政官庁から申出人に通知すると、二カ所やるという義務のほうが正しいんじゃないでしょうか。どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/236
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237・稲木進
○稲木政府委員 行政機関から相談委員に通知するということは、これは絶対そうしてもらわなければならぬというふうに考えておりません。行政機関から苦情の申出人に直接通知されるということがかえって多いのじゃないかと思いますが、しかし、相談委員を通じてこの苦情の連絡をしたわけでございますので、相談委員としてもどう措置されたかということを知りたいだろうということを実は考えておるわけでございます。そういうことでありますので、相談委員のほうから行政機関のほうに苦情の内容を通知しました場合に、その結果について相談委員のほうにも知らせてほしいというような場合もありますので、そうした場合には、相談委員を通じてこの苦情の申出人にその結果をお知らせする、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/237
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238・山内広
○山内委員 これもちょっと意見がありますけれども、省略して、第三条の、これはこの前ちょっと関連質問で私お聞きしておったのですが、業務の啓発及び宣伝は相談委員に義務づけないで、当然官庁のほうでおやりになるのが正当である、私そう考えておるのですが、この「委員の氏名及び住所を関係住民に周知させるため適当な措置をとる」とともに「その業務に関し、啓発及び宣伝をする」、この「委員は」という三字を抜いたほうがむしろ適切と思いますが、これについてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/238
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239・稲木進
○稲木政府委員 啓発、宣伝につきましては、もちろんその委員の住所、氏名等を一般の国民に知らせるということが非常に必要でございますので、行政管理庁としては、この点は直接もちろん大いにやる必要があり、またやるつもりでおります。また委員にも啓発、宣伝の義務を負わせるというふうなお話でございますが、私ども、これは義務的なものと考えておりません。ただ、市町村でいろいろ集会等があるわけでございます。そういう集会等に委員さんが出られたときには、こういうような趣旨をひとつ一般に知らせてほしい、こういう程度に考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/239
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240・山内広
○山内委員 ここでこの前の意見を繰り返すようですが、この条文は運営によっては非常に危険を伴うわけです。この「啓発及び宣伝」に、たとえば宣伝車を使って宣伝する、そういう経費はあなたのほうでお持ちになるのでしょう。そうしてどんどん啓発、宣伝をやって、そしてあとでは政治活動を禁止しておる。ここの分界というのは、非常に私あいまいだと思うので、これはこの次の国会までに御研究いただいて、私どもも場合によってはこれは改正したほうがいいと思います。
それから第四条の「意見を述べる」というこの「意見」は、一つのケースごとにやるのか、あるいは年に一ぺんとか二へんとか分けて意見を開陳するのか、この辺が非常に明確を欠いておりますが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/240
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241・稲木進
○稲木政府委員 意見を述べることは、一つ一つのケースについてということじゃなくて、いろいろ一年なら一年、取り扱ったこと全体を通じて何か行政運営の問題について御意見があれば、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/241
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242・山内広
○山内委員 第五条は、これは意見を申し上げると相当に時間を食うのでございまして、しかし大事な条文ですが、これはまた次の機会に譲りたいと思います。
そこでこの解嘱なんですが、「委員たるにふさわしくない非行があった場合」の非行の範囲ですけれども、これは委員としてということであれば、業務外のこと、たとえばよそに行って何か悪いことをして懲役にいったとか——まあ、懲役は極端ですが、何かそういうことがあった場合は、この第三号というものは適用されないことになりますか。これは委員としてとあれば、委員外のことならば多少刑事罰を受けても、委員たるにふさわしくないものに該当しないということになりますか。どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/242
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243・稲木進
○稲木政府委員 両方の場合にそういうことが考えられるんじゃないかというふうに思いますが、直接的には、私どもは委員としての職務を執行する場合において、そのやり方が不適当な場合というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/243
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244・山内広
○山内委員 新しい法案ですから、いろいろ条文上にふさわしくない点も意見としてはありますけれども、これはいま修正とかなんとかということになると、また参議院に戻るということで、せっかくの皆さんの努力が結ばないことになりますので、私どもきょうはこの程度で質問は終わりたいと思いますけれども、ただ最後にこれは委員長を含めて意見をちょっとこの際申し上げておきます。
この二つの法案は、去る十七日に、ああいう混乱の際でありまして、私どもも十分これは質疑をして、いまちょっと御質問申し上げた点なども深く掘り下げて、今後どういうふうにこれは建設的にこの法案を盛り上げ、行政の能率をあげていくかということで協力申し上げたいと実は考えておったのであります。ところが、そういう形にならないで、はなはだ私残念に思っておりましたけれども、委員長の賢明な判断とそのほかの方々の努力で、ああいう無理な採決で法案を打ち切ることはよくない、そういう判断に立って国会正常化の線で多少でもこの質疑を許してもらったということは、私は非常な進歩であったと喜んでおるわけであります。
そこで、いま申し上げたとおり、私ども、この二つの法案は実は非常に賛成しておる法案であります。特に審議会等の整理というのは、これは私どもの考えがようやく一歩踏み出そうとしておる法案でありまして、今後この二つの法案が行政面で成績をあげるためには、与野党の協力がなければ得られない、実効があがらない法案であります。したがって、十七日の採決が、社会党が反対した、原案に反対しておきますというと、将来いろいろな問題で原案が基礎になりますから、私ども反対の立場をとらざるを得ないことが多くなる。それではこの二つの法案はなかなか大きく育たない、こういう考え方を持っておりますので、あの十七日の採決については、いろいろ典例もあり、習慣もあることではありますけれども、私どもの考えももし織り込めるならば織り込めるような委員長の適切な御配慮をお願いして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/244
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245・木村武雄
○木村委員長 この際申し上げます。
去る十七日の本委員会において、行政相談委員法案及び審議会等の整理に関する法律案の採決に際し、起立多数と宣言いたしましたが、先刻よりの御発言によりまして、両案については自由民主党、日本社会党及び民主社会党とも賛成であることが明らかになりましたので、ここにあらためて全会一致であることを明確にしておく次第であります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/245
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246・木村武雄
○木村委員長 内閣提出第一五号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、及び内閣提出第三七号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/246
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247・村山喜一
○村山(喜)委員 先ほどの問題につきましては、憲法の問題に関する条項であり、しかも信教の自由という基本的人権に関する問題でありますので、誤解を与えるようなことがないように、一応現在の時点における問題点だけを詰めておきたいと考えるわけでございます。
そこで、まず第一点といたしまして、新聞に伝えられておりますように、命令を拒否した場合の取り扱いについては考慮中、いかにも処罰を意味するような内容に受け取れるような表現がございますが、こういうことは間違いであるということに受け取って差しつかえないものと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/247
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248・松野頼三
○松野国務大臣 午前中の質疑でも明らかにいたしましたように、憲法の条項に抵触するような行事の計画実施は、私はいたす考えはございません。同時に、その内容が憲法に抵触するかしないか、どの程度までが抵触するか、どの程度までが抵触しないかということが第二点。したがって、第三点は、処罰問題というものをまだ考える段階まで至っておりませんので、一部新聞にも出ておりますけれども、そういうことがないように、処罰しなければならないような行事を行なうという気持ちは、まだ私どもは実はありません。したがって、せっかくの御指摘ですから、憲法問題というものをさらに検討しまして、そうしてこの行事をやるにいたしましても、疑義の起こらないように私どもで十分考慮いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/248
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249・村山喜一
○村山(喜)委員 前段はいまの答弁でよろしいかと思うのですが、私はやはりそういうような部隊命令といいますか、命令を出して、それによって行動を整えるというような方式に入るたぐいのものではないのではないかと思うのです。それは基本的人権に関する信仰の自由の問題です。そういう立場から、そのような状態に至らないような手続をとりたいということはわかる。しかし、その場合に強制をして、強制をした結果、従わないから処罰をするというようなことは、間違いだと私は思うのです。その点を明確にしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/249
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250・松野頼三
○松野国務大臣 部隊の行動と申しましても、今回の場合は内容、行事がそういう趣旨でありますので、特に強制というふうな考えで今日この案をつくったわけじゃございません。一つの部隊の行動計画ということでありまして、もちろん行動ですから部隊命令に準ずることは当然でしょうけれども、今回は、宗教的な問題あるいは憲法上の問題があるなら、その問題を考慮した上で部隊の行動計画をつくりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/250
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251・村山喜一
○村山(喜)委員 この問題につきましては、先ほど長官もお認めになっておるように、現在法制局とも話をしている最中でもあるし、あるいは部内自体においてもまだそこまで検討もされていないようでございますので、今後あなた方が検討をされます際に、やはり先ほども言われたように、憲法上の規定というものは順守すべき立場にあることは何人も否定し得ないのでございますから、宗教上の行為というのは、これは礼拝なり、あるいは祈りなり、その他の宗教的信仰の表示されたすべての行為ということになっておるのでございますので、そういう立場から基本的人権が侵されないような措置として十分考慮されたいという点をつけ加えて、次の問題に入りたいと思います。
私は、松野長官に基本的な姿勢としてお尋ねをいたしたいのは、歴代の防衛長官が、自衛隊法の取り扱いの問題等について、あるいは防衛庁長官としてなされる行政行為というものと法律との関係においては、小泉前防衛庁長官の時代から今日に至るまで変わっているものではないと考えるのでございますが、その点は間違いないだろうと思いますけれども、念のために前置きをして質問をいたしてまいりたいと思います。
というのは、今回提案をされております防衛二法の中で、第七航空団司令部の所在地を移転するという内容が入っているわけでございます。これに関連をいたしまして、実は昭和三十九年十二月十八日、この内閣委員会で私が当時の防衛庁長官でありました小泉さんに、築城の問題につきまして追及をいたしたのでございます。それは、当時防衛二法が通過をいたしませんので、それの措置といたしましてとられた行為が法律に適合しているかいないかということを、私が追及をいたしたのであります。というのは、臨時築城航空隊の新編という問題が行なわれまして、それが第八航空団の新編を規定した防衛二法が成立をしていないための暫定措置としてとられたことがあります。これを私がただしてまいりますと、法案が通らない前に臨時という名のもとに法案の通過成立後の準備行為をしたという点については、これは遺憾である。しかし、それらの編成にあたっては相当時間的な余裕も必要であるので、やむを得ざる措置としてこれを行なったのでございます、こういう答弁が行なわれているのでございます。ただ、それは適当な措置ではないということを認めました。なお、そういうような事態が生ずるとするならば、あらかじめこの内閣委員会において、このような事情でございますからという了承を得べきではなかったかという点につきまして追及をいたしましたが、その点につきまして、全くそのとおりに考えております、今後においてはそういうようなことにならないように措置をいたしますという答弁をいたしておられるのであります。この考え方というものは、私は、やはり法律と行政との関係において、シビリアンコントロールという基本的な立場が、国会が基本的には討議をしていくという姿勢の中において、あなた方が行政的にさらに統制をはかっていくという形が、日本の自衛隊の今日の姿であろうと思うのであります。そういう立場からするならば、やはりそこには行政行為としてなされる内容というものも、法律によって規定をされるまでは一定の限界があるし、それにそのような措置を万一とらなければならない事態が生まれたといたしましても、それについてはあらかじめ了解を得るというような方途をとるのが正しいし、妥当であると私は考えるのでございますが、やはりそういうような考え方というものは、小泉長官と同様に現在の防衛庁長官もお考えになっているものかどうか、この点をお伺いをいたしておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/251
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252・松野頼三
○松野国務大臣 御承知のように、自衛隊法で規定されている項目、その範囲において行政に委任されている事項というのは、法律では二つに分かれております。こういうものは立法について立法府の議決を経なければならない、こういうものは長官の権限として委任するという区分けが、私は明確にあると思います。したがって、その区分けを越えるようなことは行政府がやるべきではない、私はそう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/252
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253・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、今回百里に第七航空団の基地をかえる、こういう計画でございます。そこで、私は、いま長官からそういう基本的な考え方、姿勢の問題については聞いたのでございますが、事務当局において今日までなされてまいりました行為が、はたして適法な行為として承認できるものであるかどうかということについて疑義を感じますので、現在の実情について、あなた方は移転準備、その部隊編成の準備過程にあるからこのような措置をとったのだと言われるだろうと思いますが、今日百里に至りまするこの航空団の新設過程の中において見られることについて、説明を願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/253
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254・島田豊
○島田(豊)政府委員 現在、第七航空団は入間にございます。従来その入間第七航空団の部隊は、F86Fの第九飛行隊を主体としておりまして、今回F86Fの部隊を廃止いたしまして、F104Jの部隊を二個飛行隊百里に展開をするということで、現在準備を進めておるわけでございます。そこで、申し上げるまでもなく、この法律案がまだ成立いたしておりませんので、実行の段階におきまして、現在パイロットを含めて約千二百名の者を百里基地に配置をいたしておるわけでございます。第七航空団は、航空団の司令部と飛行群、整備群及び基地業務群、こういう編成でございますが、団司令部はもちろん現在入間にございまして、第七航空団の司令官以下入間において勤務いたしておりますが、百里基地の工事の完成に伴いまして、二つのF104Jの飛行隊を百里に前進させまして、現在いろいろ実際にそういう新たな勤務につきます準備をいたしておるということでございます。したがいまして、百里における飛行隊の運営をいたしますための整備群あるいは基地業務群も、現在百里に配置をいたしております。したがいまして、司令官は現在入間におりますけれども、航空機をはじめ、それの運営に必要なそれぞれの要員は、百里に現在配置をしておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/254
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255・村山喜一
○村山(喜)委員 では、私がいまから読み上げることは間違いないか、間違いか、その点を指摘をしてください。
昭和四十年四月から七月にかけてF104準備室が入間において開設された、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/255
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256・島田豊
○島田(豊)政府委員 ただいま御質問の点につきまして、その日時であったかどうか、私はっきり承知しておりませんが、準備室ができたということであろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/256
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257・村山喜一
○村山(喜)委員 準備室というものがつくられたことは事実でしょう。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/257
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258・島田豊
○島田(豊)政府委員 事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/258
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259・村山喜一
○村山(喜)委員 四十年の八月以降、その準備室は百里に進出をしましたか。いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/259
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260・島田豊
○島田(豊)政府委員 おそらく百里に進出しておったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/260
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261・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、司令部、飛行群、整備補給群の人員を逐次臨時勤務及び出張の名において百里に投入をしましたか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/261
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262・島田豊
○島田(豊)政府委員 逐次そういう要員は百里に進出したと思いますけれども、その名目がそういう出張とか臨時派遣とかいう形であったかどうか、ちょっと私も承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/262
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263・村山喜一
○村山(喜)委員 当時においては、百里という基地は法律上まだ存在していないわけですね。存在をしていないところに自衛隊の部隊を移動をさせるその準備をあなた方がやられる場合には、臨時勤務及び出張という名目でしかこれは百里に投入はできないわけじゃないですか。そういう形においてあなた方はやられたのでしょう。それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/263
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264・島田豊
○島田(豊)政府委員 百里基地の工事の完成に伴いまして、逐次部隊を百里に進出させております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/264
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265・村山喜一
○村山(喜)委員 十月一日、第七航空団副司令を長とする移動訓練隊を百里に進出をさせました。これの集結はいつですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/265
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266・島田豊
○島田(豊)政府委員 この二個飛行隊については、十二月二十日に編成をいたしましたのと、ことしの三月末日に編成いたしましたのと、二つの飛行隊があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/266
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267・村山喜一
○村山(喜)委員 十二月二十日、集結が行なわれている。第七航空団副司令が長となって移動訓練隊が百里に進出をしていることは、間違いでございませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/267
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268・島田豊
○島田(豊)政府委員 移動訓練隊という、そういう正式の名前を使っておるかどうか、私も承知しておりませんけれども、いまの二個飛行隊は、すでに現地で編成をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/268
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269・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、この編成が完結をした時点において、86Fを104Jに切りかえて、入間にその大部分を配置するほか、改編いたしましてから、百里派遣室を設置して、司令部の機能を百里において整備をした事実はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/269
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270・島田豊
○島田(豊)政府委員 司令部は現在入間にございますので、司令官以下幕僚は入間におります。ただ、先ほど申しましたように、飛行群、あるいは整備群、あるいは基地業務群、これは現地にすでにおりますので、それぞれの群司令部の指揮を受けて現在準備を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/270
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271・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、飛行場の設置告示がなされておりますが、これはいつ現在でなされておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/271
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272・島田豊
○島田(豊)政府委員 飛行場の設置に関する告示は、昨年の十一月二十六日付でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/272
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273・村山喜一
○村山(喜)委員 告示は十一月二十六日。臨時使用承認はいつですか。そういうようなものがあるでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/273
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274・島田豊
○島田(豊)政府委員 臨時使用承認の手続がいつ完了したかということについては、私いまちょっと手元に資料がございませんけれども、百里飛行場の開設に伴います告示としましては、物権の制限に関する告示、これが昭和四十年五月七日付でございます。さらに本年に入りまして、航空灯火に関する告示、これが四十一年一月二十七日付で告示済みでございます。それから飛行場管制の告示を六月十六日、着陸誘導管制の告示を同じく六月十六日、計器飛行進入管制の告示を六月十二日に、それぞれ終了いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/274
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275・村山喜一
○村山(喜)委員 丁33Aを搬入したのは、昨年の十月の何日ですか。それからF104Jの搬入をいつから始めたのですか。現在はどれだけの機数になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/275
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276・島田豊
○島田(豊)政府委員 丁33あるいは104J、これがいつから現地に進出したか、ちょっと私はっきり承知しておりませんけれども、今日F104Jが三十四機、T33Aが二個飛行隊で八機ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/276
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277・村山喜一
○村山(喜)委員 去年の十二月一日には、私が調べたところでは川は十八機、これが現在においては——現在というのは六月現在だろうと思うのですが、もう三十三機百里におけるわけです。
そこで、もうすでに管制、気象、救難の各部隊を新編をされて配置されているわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/277
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278・島田豊
○島田(豊)政府委員 百里の管制隊、あるいは気象隊、救難隊、この部隊が現在正式に編成されているかどうか、ちょっといま私確認をいたしておりません。当然、部隊が新編されますと、こういう関係の部隊はそれに伴いまして編成されることになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/278
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279・村山喜一
○村山(喜)委員 昨年の十一月二十日に新編されているわけだから、もう配置されているのじゃないですか。そこら辺がはっきりわからなければ、ひとつ調査しておいていただきたいと思います。あと五分ほどしたら本会議が本鈴で始まるようでございますので、その間に、次の質問のときまでに調査をしていただきたいと思います。
それから飛行訓練を開始したのはいつからですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/279
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280・島田豊
○島田(豊)政府委員 104Jが現実に進出いたしましてから、逐次訓練は開始しておると思いますが、部隊が正式に編成をされました以降、いつの時点から正式の訓練に着手したか、この辺も私いま十分承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/280
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281・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、今日この百里には、先ほどの説明にはたしか部隊の人員は千二百名だと聞いたのですが、それだけおるわけですね。ことしの六月十二日に何か記念行事を行なわれましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/281
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282・島田豊
○島田(豊)政府委員 六月十二日の記念行事は、飛行場開きという形で記念行事を行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/282
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283・村山喜一
○村山(喜)委員 いままで法律の上で基地が設定をされたとするならば、普通であるならば基地開庁式というものが設けられるのが普通ですね。この飛行場開きというのは、すでにことしの一月から飛行訓練が開始され、先ほどの説明を承りますと、飛行場の設置告示は四十年十一月二十六日に行なわれている。それを飛行場開きというので、ことしの六月十二日にそういうような何か式にかわるようなものをやらなければならない理由があったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/283
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284・島田豊
○島田(豊)政府委員 正式な記念行事としましては、航空団が百里に正式に配置されましてから、航空団としての正式の記念行事をやるのが通常であろうと思いますけれども、すでに昨年工事も一応完成いたしまして、現在部隊がそういうふうに展開いたしておりますので、一応航空機も配置せられた状況において、一般の百里周辺の住民の皆さん方にもこの事実について承知していただく、こういう趣旨で記念行事が行なわれたものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/284
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285・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、これはどうも私たちに考えられるのは、基地開庁式ができなかったので、そのかわりに飛行場開きという名のもとに開いたような印象を受けるのであります。私が三十九年十二月十八日に、この第八十二航空隊の問題で追及をいたしました。そのときには、いわゆる四百五十名の隊員とそのほかの部隊まで入れまして五百五十名、これくらいの部隊が編成をされて、臨時という名において展開をされた。これはおかしいじゃないかということを追及したときに、こういうようなことは望ましいことではない、妥当なことではないということで、事前にそうような了解を求めるなりの方法を今後とりますから、こういうことを言われたにもかかわらず、今度はいまもはや千二百名、しかもF104J戦闘機は三十三機も展開をされた。これは一体基地であるのか何であるのか、自衛隊法施行令からいった場合には、この百里は何に該当するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/285
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286・松野頼三
○松野国務大臣 入間所属の飛行基地の分遣隊であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/286
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287・村山喜一
○村山(喜)委員 この分遣隊というのは、長官がどの規定によって承認をされたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/287
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288・松野頼三
○松野国務大臣 特に立法事項ではありませんので、その基地においての部内運営の編成の範囲内、大きな編成は立法によってやるべきもの、行政によってやるべきもの、その分限の中における長官における行政措置であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/288
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289・村山喜一
○村山(喜)委員 本鈴が鳴っておりますから、いまの問題はまた本会議終了後に質問をいたしますが、ただいまの答弁は承服できません。そこで、一体何に基づいてそういうような行為ができるのか、この点については、あとで条文によって明らかに願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/289
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290・木村武雄
○木村委員長 この際、本会議の開会中休憩いたします。
午後三時三十一分休憩
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午後五時五十分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/290
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291・木村武雄
○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
参考人招致の件につきおはかりいたします。
明二十五日の委員会において、国家公務員の制度に関し、公務員制度審議会の答申に関する問題について、公務員制度審議会会長前田義徳君を参考人として招致いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/291
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292・木村武雄
○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
なお、会長の出席時間は、午前十時から十時三十分まででございますので、御了承願います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/292
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293・木村武雄
○木村委員長 内閣提出第一五号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、及び内閣提出第三七号、防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、以上の両案を一括して議題とし、質疑を行ないます。
質疑の申し出がありますので、これを許します。村山喜一君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/293
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294・伊能繁次郎
○伊能委員 議事進行。村山君の質疑に入ります前に、さいぜん楢崎君からの保留せられた質問の問題がありますから、大蔵省から御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/294
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295・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 本日、楢崎委員の御質問がございました継続費の問題につきまして、お答え申し上げたいと思います。また、財政法第四条の問題につきまして、関連して申し上げます。
二十七年の参議院の大蔵委員会で、当時の池田大蔵大臣が木村委員の質問に答えられまして、われわれいま軍艦をつくろうなんというような気持ちは全然持っておりませんというような御答弁をされたことを、私どもは速記録で存じております。これは当時といたしましては、継続費の制度を公共事業のために用いる予定でございまして、いま軍艦をつくる気持ちはないというようなことをお答えになっているものというふうに私どもは聞いておるのでございます。その当時は、まだ海上警備隊もできておりません時代でございまして、艦船を継続費によって建造する計画は全くなかったのでございますが、その後逐次防衛力の漸増がはかられてまいりまして、二十八年以来艦船も次第に建造されてまいりましたが、三十一年になりまして、潜水艦を建造するときになりまして、継続費という制度を利用するようになりましたのでございます。私どもといたしましては、大型艦船の建造には、継続費として計上いたしますほうが、船の建造には相当長期の建造期間がかかりまして、当初にこの事業規模の全体につきまして国会の御了承を得るという必要がございますし、またこの発注の関係につきましても、あるいは船体とか、機関とかいうように分けまして契約できる。普通の債務負担行為でございますと、当初に全体の契約をするというようなことになりますので、制度といたしまして継続費のほうが合理的であるというようなことから、継続費というものを使っておるのでございます。
また、もう一つの問題は、財政法第四条で公債の発行対象を公共事業、あるいは貸し付け金、出資金というようなものに限っておりますが、こういったものにつきまして、あるいはただいま申し上げましたような艦船とか防衛庁の施設等が、公債対象になるのじゃないかというような問題がございます。これは御承知のように、本年二月七日の当院の予算委員会におきまして、当初から御質問がございまして、これにつきましては、大蔵大臣並びに総理大臣から御答弁がございまして、防衛費につきましては公債の発行対象にはいたしませんというような御答弁をされておるのでございます。これは、公共事業というものは国民全体の資産となるようなものというふうな観点から考えておりますので、防衛費のようなものはその対象にはしないということにいたしておる次第でございます。
以上、先ほど御答弁が不正確でありましたので、お答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/295
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296・楢崎弥之助
○楢崎委員 ただいまの問題は、昭和二十七年一月三十一日、参議院の大蔵委員会における当時の池田大蔵大臣とわが党の木村禧八郎委員の間の論議であります。そのときに池田大蔵大臣は、軍艦をつくるなんという気持ちは毛頭ありません、平和的なものに使います。こういうことを答弁しておるのです。そのときに海上自衛隊がまだないことは知っております。だから、軍艦をつくろうと思ってもつくれないことも知っております。それは形式論であります。われわれは、その当時の警察予備隊から保安隊に変わっていくその将来を見越して、いずれ現在の防衛庁のような膨大な軍備を持つに至るということはそのときから予想しておるから、わが党としては念のために、これが軍事費に使われるようなことはないかということを聞いておるのです。で、そういうことはありませんというお答えであったわけです。(発言する者あり)それが、いまや継続費は、全く防衛庁の軍備の軍艦をつくる費用にもうしぼられて使われるに至っております。いま声がありましたように、これは十四年昔の論議でございます。だから、この国債がいまは国民の目もきびしいし、われわれの追及も激しいから、そういう形であるかもしれないが、これがだんだん軍事費に流用されてくるようなことはないという保障が、どこにありますか。いいですか。われわれが言うのは、いまの国債は公共事業費に限られております。限られておるが、では、逆に今度の四十一年度の予算で、三千四百億に及ぶ防衛費がもしないと仮定してごらんなさい。ないと仮定したならば、公債は半分で済むのです。そうじゃないですか。そういう関係にあるのです。そうでないなら、論争しますよ。いまから時間をかけてやりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/296
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297・鳩山威一郎
○鳩山政府委員 第四条の公共事業費の範囲という問題につきましては、大蔵大臣も総理大臣も御答弁になったことでございますし、私どもは、これは長い先のことになりますと、いろいろ社会情勢も変わるかと存じますが、財政法という法律が現在の制度としてあります以上は、公共事業費というものには防衛費は含めないということに私ども御答弁するしかないのでございます。これが財政法の根本的な改正というようなことがありますと、それはまた情勢が別になるかと思いますが、そういう先のことにつきましては、やはりそのときに応じた財政措置というものがいろいろ講ぜられることは、当然かと思います。ただいまからそういった事態は想定できないと私どもは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/297
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298・楢崎弥之助
○楢崎委員 私も、この問題では、いまの答弁では納得できません。これは大いに論争を要するところであります。それで私は、当委員会の空気も考えまして、きょうはこれでこの問題は保留をいたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/298
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299・村山喜一
○村山(喜)委員 先ほど私がどういう根拠に基づいてこういうような措置をとったのかという質問をいたしましたのに対しまして、防衛庁長官は、行政措置としてやったのだ。その行政措置とは一体何かということでさらに追及をいたしてまいりますと、いわゆる分とん基地としてこの問題を取り上げた、こういうような説明がたしかなされたかと思うのであります。それについてさらにお尋ねをいたしてまいりますけれども、この内容について説明を要する点がありましたら、事務当局のほうから追加説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/299
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300・島田豊
○島田(豊)政府委員 御答弁申し上げます前に、先ほど村山先生から御質問ございました事項につきまして、その後調査いたしました結果をあらかじめお答え申し上げます。
まず、先ほど申しましたように、104の部隊につきまして、第一の部隊につきましては、昨年の十二月二十日に編成いたしております。それから次の部隊につきましては、ことしの三月三十一日の日付で編成いたしておりますが、管制隊、気象隊並びに救難隊につきましては、昨年の十二月二十日、第一の飛行隊が編成せられましたと同じ日付で編成をいたしております。基地につきましては、先ほど先生からお話しございましたように、現在入間が本基地でございます。百里は分とん基地ということでございます。当初三十三年に基地の工事建設のために百里の基地隊を設置いたしまして、その後工事に着工いたしまして、大体工事が完成したところで、先ほど御説明いたしましたように、飛行場設置等に関する告示をいたしまして、逐次この二飛行隊が現地で編成された、こういうことになっておるわけでございますが、現在航空団の司令部はいまだ入間にございますので、入間が基地でございまして、百里は分とん基地ということになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/300
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301・村山喜一
○村山(喜)委員 分とん基地というのは、これは正しいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/301
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302・島田豊
○島田(豊)政府委員 基地の設置になりますと、これは政令事項になりますけれども、分とん基地の設置につきましては、長官が定めるところとする、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/302
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303・村山喜一
○村山(喜)委員 分とん基地の問題は、これは自衛隊法施行令五十一条の二の第一項に掲げてあると思うのですが、その点を説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/303
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304・島田豊
○島田(豊)政府委員 五十一条の二の規定によりますと、「航空自衛隊の部隊又は機関が所在する施設を基地と称する。ただし、小規模の部隊又は機関が所在する施設は、長官の定めるところにより、もよりの基地の一部となるものとする。」「基地の名称及び位置は、別表第八のとおりとする。」ということでございまして、現在航空団司令部が入間にございますので、入間が依然として基地でございまして、百里は入間基地の分とん基地、こういう性格のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/304
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305・村山喜一
○村山(喜)委員 長官、お尋ねいたします。この五十一条の二によりますと、「小規模の部隊又は機関が所在する施設は、長官の定めるところにより、もよりの基地の一部となるものとする。」この「小規模」という解釈は、一体どこを限度としてあなた方お考えになっているか。先ほど話をお伺いをいたしますと、二飛行隊が現在駐とんをし、千二百名の部隊が駐とんをしている。それは一つの準備過程だということでは、私は説明をされても納得はできないと思うのであります。というのは、この小規模部隊というのは、きわめて限られたものではないかと思うのでありますが、一昨年取り上げましたその内容の中から見てまいりましても、四百五十名程度の航空隊の場合においても、これについては非常に臨時的なものであり、そしてその準備的なものである。しかし、それにしても、事前に内閣委員会に報告をし、了承を求めるのが正しい、そういうような措置を今後において講じますということを言われた。この問題は、新設の第八航空団の準備過程として生まれた事項でありますが、今回は第七航空団の移駐に伴う問題である。しかしながら、そういうような一つの既成事実というものをつくり上げる、そして少数の部隊である、だから長官の権限においてやったのだ、こういうことになりますと、一体法律が制定される前に事実上の——二飛行隊といえば、これは第二次防計画の中においてはたしか二十四飛行隊の建設というのが目標だったと思いますが、現在の航空兵力から考えるならば、その数はわずかの部隊ではないと思うのであります。千二百名というのは、航空部隊としては相当大きな勢力である、こういうふうにとらなければならないのでありますが、この五十一条の二に定めるような小規模の部隊という解釈をおとりになることはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/305
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306・松野頼三
○松野国務大臣 飛行隊の編成内容は、常時、政令あるいは長官命令で変更いたします。一飛行隊がどこに移駐する、どこに移転する、どこへ進出するということは、これは年じゅう変わるもので、その飛行隊所属の隊というものを厳格に法律で制定すべきものではこれはございません。したがって二飛行隊が多いか少ないかということは、その瞬間においては言えることであります。したがって、今回の分遣的なものというのは、入間という指揮系統が上にありますから、それより上の越権なものを置くならば、おっしゃるように法律を無視していると言えるかと思います。かつて築城の場合は、御承知のごとく、航空団として司令部の所在地を、法律抜きにして仮司令部というものを置いたじゃないか、これは法律事項じゃないか、越権じゃないか、そこが問題なんです。今度の場合は、法律事項に関係のない、そのもっと下のものの移動であります。したがって、政令事項の範囲であるということが、築城の場合と入間の場合基本的に違います。築城の場合、第八航空団司令部というものを、法律ができる前に仮司令部というものを移動した。これは不届きじゃないか、これは確かに法律事項で、自衛隊法の中にあります。この入間の場合の分遣あるいは派遣というものは、入間の所管、管轄内でありますから、飛行隊の移動であります。したがって、この議論はおのずから角度というか、高度が違うと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/306
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307・村山喜一
○村山(喜)委員 その性格的な差はわかりますよ。しかしながら、第五十一条の二、ただし書き以降は「ただし、小規模の部隊」これの基地の一部になるものについては、長官の権限なんです。そこで、私がお尋ねしているのは、一体千二百名も駐とんをし、そして二飛行隊もあるようなのが、小規模部隊であるというふうに解釈できますかどうですかと聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/307
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308・松野頼三
○松野国務大臣 千二百名の二飛行隊というのは大きいか小さいかと言われますが、そんな大きなものでもなければ、そう小さいものでもありません。もちろん日本じゅうの飛行隊から見るならば、大きいほうじゃありません。しかし、もっと小さいものがあると言われれば、それから見れば小さいほうでもありません。したがって、大きい小さいは人数だけできめられるものでもない。したがって、一番大きなものは四千人、五千人とたくさんおりますから、それ以上のものを置くというなら、法律以上のものを置いておるというそしりを受けるかもしれません。千二百人か五百人程度ならば、法律事項よりも大きなものではありません。法律で規定している以上のものを置いたという範疇には、私は入らないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/308
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309・村山喜一
○村山(喜)委員 しからばお尋ねいたしますが、新田原の基地は、飛行隊は何飛行隊あって、何名おりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/309
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310・島田豊
○島田(豊)政府委員 新田原の飛行隊は、百四部隊の二飛行隊でございまして、約千五百名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/310
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311・村山喜一
○村山(喜)委員 もうすでに新田原と人数は若干の差はあるにしても、二飛行隊ここに現在存在しておるわけです。新田原の場合には、これは基地として法律事項なんです。そういたしますと、この百里の場合は、二飛行隊で千二百名、同じじゃありませんか。大臣の説明はおかしいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/311
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312・松野頼三
○松野国務大臣 編成、指揮命令というものが法律における規定であります。内容は政令事項であります。新田原に三飛行隊を置こうが四飛行隊を置こうが、それはそのときの移動状況によって変わることであります。そういう法律規制の中の問題じゃありません。したがって、飛行隊は常に移動するものですから、その移動は政令事項に委任されておるわけであります。指揮命令及びその司令部の所在、それの編成がえをする、これが法律事項になっておる。したがって、それをおかすようなことがあるならこれは別ですが、今日は入間という司令部から分遣されたものでありますから、大小というよりも、現実において指揮命令権はその所管内であります。私は、大きい小さいは人数だけできめるべきものではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/312
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313・村山喜一
○村山(喜)委員 時間もありませんので、できるだけこの問題は早く終わりたいと思っておるのですが、どうもおかしいと思うのです。というのは、基地というのは、別表に法律事項として明示されているのです。こういうような段階に至った過程については、その事情は察するに余りあると思うのです。しかしながら、五十一条の二の適用によってあなたがやったんだ、飛行隊というのは逐次移動していくんだ、そういうような原則でがんばられるんだったら、この問題は重大な問題だと思う。この点については、そんなにかってに飛行隊はどこでも増減ができるはずのものではありません。やはり基地としての性格を持ち、機能を持ち、能力がそこにあればこそ、基地というものが法律事項で明示されるのです。だから、こういうようにして既成事実を一つ一つつくり上げていく中において、まだ法律は制定をされなくても、そういうような第七航空団の司令部の位置が変わらなくても事実上はそういうような方向に持っていくことをしておるじゃないかということを指摘しておる。この点については、顧みてあなた方はどうも説明が少ししにくいなというようにお考えになるはずだと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/313
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314・松野頼三
○松野国務大臣 そう説明しやすいわけでもありません。御承知のごとく、法律事項としては、十五カ所くらいが法律事項、今度は、委任事項としては、基地では約二十五カ所くらいあります。したがって、おもなる指揮命令及び所在は、十五カ所は法律事項です。しかし、委任されている政令事項は二十五カ所ありますから、これは法律と政令が同じじゃないことは、数だけでも御理解いただける。したがって、そうやさしいわけではありませんが、この説明はやはりできるじゃないか、政令と法律を比べてみれば。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/314
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315・村山喜一
○村山(喜)委員 それじゃその問題はおきます。
次の問題に移りますが、先般定員の充足率について説明がございました。最近は、海空については充足率がだいぶ向上をしておる。ところが、陸については、やはり向上はしてきておるけれども、十分でない。そこで、私はお尋ねをいたすのですが、今日いわゆる階級ごとにこの問題をながめていった場合には、いわゆる幹部クラスと士クラス、あるいは曹クラス、そういうような充足率のそれぞれ統計がとられているであろうと思う。それは師団別にあなた方としてはちゃんとそういうような統計をお持ちであろうと思うのですが、そういうようなものがございますかどうか。さらにまた、方面隊ごとにこの問題について下士の定員の充足率はどういうふうになっておるのか、これを説明する資料がそこにあるのかないのか、それをお尋ねをいたしておきたいと思うのであります。
それに関連をいたしまして、今回四十年度分として海上自衛隊における定員の増が五百九十八人、それに航空自衛隊関係が九百人、こういう内容になっております。これらの内容をつまびらかにいたしてまいりますと、時間もそうないので、その点までは要求をいたしませんが、今日その定員の充足の状況の中から、たとえば南極の探検のための軍艦ふじ号の場合等においても、他の船からこれを転属させて、それによってやっていったそのやりくりがあるわけです。その結果、支障を来たさなかった。こういうような点を考えてまいりますと、ここに出されているような増員の中においてやりくりが——この増員をしなくても、そのような既成事実をつくっていくというやり方をやっていくならば、やりくりができないはずがないじゃないか、こういうふうに考えるのですが、それができないのかどうか。この点について説明を願っておかないと、問題があとに残るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/315
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316・松野頼三
○松野国務大臣 陸の場合は別として、海空の場合、ことにただいま御指摘の南極観測船ふじの南極派遣は、任務の一つでありますから、これを実行しております。しかし、各部隊、各基地からそれは派遣して、定員に欠員を無理に生じて、そして今日の任務遂行をしております。したがって、もちろん今日の海上護衛に直ちに支障があるという意味ではありませんが、やはり定員を無理しておるということは、大きな戦力とし、あるいは防衛力として行なうときには、安全なやり方ではないと私は思います。やってできないことがないと言えば、それは短期間ならできないことはありません。しかし、やはり長期間になりますと、この問題はおのずから隊員に対する影響は甚大であると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/316
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317・宍戸基男
○宍戸政府委員 手元には陸海空別の階級別の充足率の資料がございます。それを申し上げたいと思います。
陸から申し上げますと、幹部で九六・九%、曹で九六・二%、士で八二・九%、陸で合計いたしますと八九・一%、これは五月三十一日現在で申し上げております。海のほうを申し上げますと、幹部で九九・九%、曹で九七・六%、士で九七・九%、海を合計いたしまして九八・二%。空を申し上げますと、幹部で九九・五%、曹で九七・七%、士で九九・一%、合計いたしまして九八・七%。そのほかに統合幕僚会議がございまして、これは九四・九%。全部合計いたしますと、陸海空及び統幕を合計いたしまして申し上げますと、幹部で九八・〇%、曹で九六・七%、士で八七・〇%、全部を合計いたしますと九一・九%、このような数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/317
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318・村山喜一
○村山(喜)委員 とするならば、この海空についての充足状態から見た場合には、定員の増加をしない限りやりくりはできない。陸の場合には、まだ定員の欠員分が、特に士の場合には非常に多いので、それのやりくりができる、こういうように常識的に受け取っても差しつかえないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/318
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319・松野頼三
○松野国務大臣 定員上はそういうふうに御理解いただいて間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/319
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320・村山喜一
○村山(喜)委員 ここにナイキ部隊の新編がありますが、これは編成上は何名になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/320
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321・島田豊
○島田(豊)政府委員 お答え申し上げます。第二高射群の定員は、約八百八十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/321
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322・村山喜一
○村山(喜)委員 八百八十一名だと思いますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/322
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323・島田豊
○島田(豊)政府委員 八百八十一名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/323
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324・村山喜一
○村山(喜)委員 そのうちで、今回追加する定員というのは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/324
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325・島田豊
○島田(豊)政府委員 御質問の趣旨がよくのみ込めませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/325
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326・村山喜一
○村山(喜)委員 先行要員がすでに出ているでしょう。だから、今回はその補充分として本隊に——人員関係からなれば本隊になるんだろうが、すでに編成は完結をしているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/326
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327・島田豊
○島田(豊)政府委員 すでに編成は完結してございます。先行要員として教育いたしました者が、約三百名程度おります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/327
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328・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、今回第二次の増員分というのが五百数十名、こういうようなことですね。それはこの定員が認められたら、現在新たに訓練を開始するのでもなく、すでに訓練を終了しておった者をそちらのほうに振り向ける、こういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/328
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329・島田豊
○島田(豊)政府委員 この要員確保につきましては二つの方法がございまして、米国に留学さして米国におきまして教育訓練をする者、それから国内で教育する者、二通りございますが、いずれもここに配置する者につきましては、あらかじめそういう所要の教育を受けておるという者でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/329
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330・村山喜一
○村山(喜)委員 すでに教育を受けて、そうしてこの法律が通りさえすればそこに充当をし、能力を備えたものとして配置をされる。こういうような態勢にはなっているわけですね。そうなりますると、いわゆる現在の隊員の中から選抜をして、そのような訓練が行なわれて配置をする。そうなれば、今回ここにこの二法によって増員をされる者は、それの穴埋めとして採用をする、こういうことになろうかと思うのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/330
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331・島田豊
○島田(豊)政府委員 増員がございません前にこういうふうに実際上部隊を編成をいたしますので、結局、その要員は、ほかの部隊に非常に大きなしわ寄せがいっておるわけでありますので、結局、この法案が通過いたしますれば、それぞれの定員はもとの部隊にそれぞれ戻す、こういうかっこうになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/331
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332・村山喜一
○村山(喜)委員 そういたしますと、この提案理由の説明のやり方は、私は正直に掲げているとは思わないのです。というのは、「ナイキ部隊の新編等を行なうにあたって必要となる人員であります。」だから、この人員が認められることによって新編が行なわれるんだ、こういうことになると、いまのような実情の説明とはちょっとおかしいじゃないかと思うのですが、それはこれでいいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/332
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333・島田豊
○島田(豊)政府委員 説明といたしましては、この八百八十名というものが新しく補充すべき定員でございます。ただ、実情といたしましては、すでに編成を行なっておりますので、ほかの部隊にしわ寄せがいっております。その辺の説明としては、御指摘のような点はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/333
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334・村山喜一
○村山(喜)委員 それだったら、そういうふうに書いたらいい。違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/334
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335・島田豊
○島田(豊)政府委員 ちょっと誤解を招くおそれがありますので申し上げておきますけれども、ここにございますのは定員でございます。実員は定員と観念の違いがございますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/335
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336・村山喜一
○村山(喜)委員 まあいいでしょう。飛行部隊の新編というのがありますが、これがいわゆる定員上は第七航空団の百里の問題だと思うのでありますけれども、これは一体どういう定員配置になるわけですか。いまの一千二百名というものがどういう形になって配置をされるのですか。すでに一千二百名は百里に進出をして、そこには実際上編成が終わっておる。とするならば、飛行部隊の新編というのがここに書いてあるけれども、これの内容は一体どういうふうになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/336
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337・島田豊
○島田(豊)政府委員 正式の定員は一千四百五十名でございますので、現在の実員は約その八〇%ということでございます。定員の内訳につきましては、航空団の司令部、飛行群、基地業務群、並びに整備補給群、以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/337
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338・村山喜一
○村山(喜)委員 いや九百名の内訳を説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/338
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339・島田豊
○島田(豊)政府委員 航空自衛隊の九百名の増員につきましては、第七航空団一千五十五名、百里管制隊百二十三名、百里気象隊二十三名、百里救難隊五十六名、百里警務分遣隊五名、第二高射群、これはナイキ部隊でございますけれども、これが八百八十一名、これを実施いたします場合に、これの両方の総計をそのまま掲示をいたしておるわけでございませんで、それと並行いたしまして各種の部隊を整理いたしまして、その差し引きが合計の九百名、こういうことになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/339
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340・村山喜一
○村山(喜)委員 そこで、私が先ほどからちょっと数字的におかしいなと思っているのは、第七航空団の定員は、百里に今度移ってまいりますのは一千九十六名だと記憶をしておるのですが、それは違いますか。そのうち五十七名が非自衛官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/340
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341・島田豊
○島田(豊)政府委員 104の二飛行隊の百里基地配属に伴います増が、千二百六十二名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/341
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342・村山喜一
○村山(喜)委員 この第七航空団の定員は、全部入れて何名になりますか、そうすると。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/342
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343・島田豊
○島田(豊)政府委員 千四百五十名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/343
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344・村山喜一
○村山(喜)委員 そうすると、今回千二百六十二、残りは、そうなりますと、入間には現在幾らおるのですか。先ほどは、千二百名はもう百里に移っている。そうすると、二百名ぐらいしかいない、こういうことになるのですが、そういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/344
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345・島田豊
○島田(豊)政府委員 これは、第九飛行隊の配置の人員との相殺をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/345
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346・村山喜一
○村山(喜)委員 いや、幾ら残っておるのですかと聞いておるのです。もっとはっきり答えてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/346
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347・島田豊
○島田(豊)政府委員 現在入間に残っておりますのは団司令部でございまして、それを合計いたしますと千四百五十名ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/347
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348・村山喜一
○村山(喜)委員 そうしたら、百里のほうには千二百名、そして団司令部のほうには千四百五十名、事実上は二百五十名ほど残っているということですね。そうすると、この中で既設部隊の整理が入っていたはずだと思うのですが、入間のほうは幾ら整理をするのですか。入間を含めてたしか七百四十名ぐらい整理をして、新しい部隊編成のほうに回すんじゃなかったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/348
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349・島田豊
○島田(豊)政府委員 第七航空団の定員が千四百五十名でございまして、第九飛行隊の廃止と相殺いたしまして、自衛官が九百八十名、その他の職員七十五名、合計千五十五名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/349
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350・村山喜一
○村山(喜)委員 千五十五名というのは、私が聞いているのは、既設の部隊のいわゆる削減があるのでしょう。それを聞いているのです。あなたのおっしゃる数字を聞いているわけじゃない。——どうも防衛局長は、このごろ新しくなられたので、そういうような数字の点が十分整っていないようでございますが、団司令部は、入間にあるその全体の第七航空団が今度百里のほうに移る。そして現在は、その団編成は千四百五十名が定員だとおっしゃる。千二百名がもうすでに百里のほうに移ってきている。あとに残っているのは二百五十名しかいない、こういうふうなかっこうになる。だから、これは政令事項だというので、行政的な措置でそういう移動はできるのだとおっしゃるのだが、団司令部というのは、入間に今日形の上では残っておっても、事実上は主たる戦力はもう百里のほうに移っているといってもいいわけですね。そういうような状態であるならば、私は、この司令部の所在地が事実上もう移っている、こういうようなかっこうに受け取らざるを得ないと思うのですが、それじゃ差しつかえるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/350
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351・島田豊
○島田(豊)政府委員 一つの部隊を運営いたします場合に、やはり団司令部、司令官以下の幕僚と、第一線におきますところの部隊との関係がきわめて密接でありまして、団司令部の指揮統率が十分行なわれ、部隊の掌握が十分行なわれるということが望ましいわけでございますが、現在の団司令部と現地におきます部隊との間が離れておりますために、いろいろ業務運営上も支障があります。そういうことで、団司令の指揮掌握のもとに部隊としての十分なる活動を行なうという意味におきましては、やはり団司令と隷下部隊とが同一地にあるということがきわめて望ましいわけでございます。そういう意味におきまして、司令官の意図が、現状におきましては必ずしも直截に現地部隊にはなかなか徹底しないというふうなことも懸念されますので、今回お願いしておりますところの法律の改正案は、団司令部の所在地を入間から百里に移しまして、十分な掌握のもとに部隊の運営ができるように、こういう趣旨で提案しているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/351
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352・村山喜一
○村山(喜)委員 その問題はもういいです。
予備自衛官の充足率はどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/352
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353・宍戸基男
○宍戸政府委員 ことしの三月現在で申し上げますと、定員二万四千人に対しまして現員は二万三千百九十二人でございますので、充足率は九六・五%になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/353
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354・村山喜一
○村山(喜)委員 そうしますと、今回は予備自衛官は三万名になるわけですね。この予備自衛官を三万名にするというのは、第二次防衛計画の中では最終年度になるわけですが、三万名という計画だったわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/354
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355・島田豊
○島田(豊)政府委員 四十年度三千名、四十一年度三千名、この両法案が通過いたしました場合に三万名になりますが、これは第二次防の目標どおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/355
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356・村山喜一
○村山(喜)委員 もうだんだんと時間がありませんので、まだ聞きたいことがたくさんあるのですが、一点だけ聞いて終わります。あとはまたほかの人もおりますので、一つだけお尋ねいたしますが、これは長官からお答え願います。
先ほど楢崎君との間で、いわゆる脅威の存在という問題、能力と意図の問題、これについていろいろ論議がされました。そこで第三次防は、あらゆる戦争の侵略の形態に備えたものをあなた方としては考慮されているのか、それをお考えになっているのかということをお尋ねしておきたい。というのは、二月の二十二日新聞が伝えるところによりますと、二月の二十四日から二十八日にかけて群馬県の相馬ケ原で第十二師団司令部で行なわれました図上演習、この中においては、すでに放射能の防護対策というのですか、そういうようなものが用兵上の計画として行なわれたということを報道いたしております。これは核に対処するところの戦術を利用した初のケースだ、このように伝えられているのですが、そのようなところから、世上あらゆる型の戦争に対応し得る能力を準備する足がかりをつくった、そういうような考え方のもとに第三次防というものを計画しようとしているのではないか、こういううわさが流れている一つの原因だろうと思います。さらに内容を調べてまいりますと、CBR防護計画というのですか、対Z戦において抵抗力を保持し得るような被服及び防護能力の向上、これはいわゆる第二次防の計画の中に入っておるのだという、そういうような説明もございますが、それらの点から考えてまいりますると、その第二次防の細部計画、そういうようなものがはたしてあるのかどうかですね。さらにまた今回のこの三次防の中においては、そのような核対策を考慮したものとして、いわゆる陸や海におけるところのそれに対応するような兵器というものを備えようとしているのではないかという、そういう、たとえば海におきましては、フォールアウト対策というもの、いわゆる放射能灰に対する対策というものを考えて洗浄装置を艦艇の上につけようという計画が進められているのではないか、こういうような説をなす人がありますが、そういうようなところまで想定をしてあなた方としては三次防というものを練り上げようとしておいでになるのかどうか、この点を、三次防と核対策の問題について、そのような用意があるとするならば、用意をしているというふうに説明を願っておきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/356
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357・松野頼三
○松野国務大臣 現実部隊について申せば、それはガイガー計算器です。放射能に対する一般民間が使用されておるガイガー計算器を小さくした小型のものであります。いわゆるガイガー計算器という放射能測定程度のものでありまして、それ以上大きな装備を今日してもおりませんし、またそれだけの予算もありません。三次防でも同じように、主として被害を受ける、一般的にだれが見ても、人道上心配であって、被害を受ける際の測定器という方向から、これは二次防においてある程度のものを試験としてやっているだけであって、全部装備するという装備品までまだ成長しておりません。おそらくただいま御指摘のものは、万年筆大程度のガイガー計算器のことを言われたのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/357
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358・村山喜一
○村山(喜)委員 じゃ、があがあ言ってもしようがないから、これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/358
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359・木村武雄
○木村委員長 受田新吉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/359
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360・受田新吉
○受田委員 時間が進行しておるから大急ぎでやります。私、ポイントを三つの点にしぼって約二十分で質問を終わります。
第一、防衛庁長官は国防の性格をどう判断されておるかと思うのですけれども、昭和三十二年に、岸内閣のときにできた国防の基本方針の受け取り方でございまするが、この国防の基本方針の中にうたっている直接及び間接の侵略を未然に防止するということ、そして万一侵略があったときにはこれを排除するということ、同時に国際の平和ということ、それから同時に協調を保っていくという関係において、国連の機能が整備するまでは日米安保条約をもとにして日本の安全をはかるというこのきめ方ですね。その中に、私は、ただ単に自衛力を漸進的に増強するというだけでなくして、もっと国防の基本の中に平和的外交をしっかり進めて、そういう侵略の事態を防止するという、直接、間接の侵略を排除する前に、それを未然に防止するという点に重点を置く、ここに国防の基本の第一義的なものがあると私は思うのです。そういう意味で、ひとつこのあたりで、軍力を強めるだけでなくして、実は日本を取り巻くいろいろな国際間の協調をはかり、敵を少なくして味方を多くするという外交努力に重点を置くことが国防の第一義であると思うが、御所見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/360
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361・松野頼三
○松野国務大臣 御趣旨のようなことは、当然国防の基本的第一要素であると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/361
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362・受田新吉
○受田委員 第一要素にあることにのっとって——いまジュネーブでは十八カ国の軍縮会議が行なわれているわけです。一カ月休んだが、また行なわれた。日本は、この軍縮を世界に提言する国として、もう一つは、核装備というものを全然なくするための核拡散防止の提案国となって、すなわち核の犠牲を受けた唯一の日本としては、非核武装諸国家を十分合縦連衡をして核禁止地域を漸次拡大するという外交方針を確立して、願わくは総理や防衛庁長官が陣頭に立っていわゆる核保有国でない国々に合縦連衡を呼びかけるという平和外交を進める、これはやはり国の安全保障の第一義的なものだと思うのですが、御所見。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/362
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363・松野頼三
○松野国務大臣 その思想においては、私も同感であります。ただ、現実問題として、その時期と、国防の時期というものは必ずしも一致していないという現実も念頭において、私はその思想においては基本的には同じような考えを持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/363
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364・受田新吉
○受田委員 それを具体的に進めていく熱意というものが、私は行動の上にあらわれなければならないと思うのです。日本はアメリカとの間の相互防衛条約をあまりにも強く考え過ぎて、反対に中共との平和的な外交、人間の交流とか、経済、文化、産業等のいろいろな交流などをはかって、核保有国として強大な国家になったところの中共に対して、平和外交によってこれを敵にしないで、味方に取り入れるという作戦、これは私は大事なことだと思うのです。アメリカとの強い約束の前に、中共を敵視して、これを重大な対抗国にさせるような手段はとるべきでない。(「向こうが敵視しているんだ」と呼ぶ者あり)それはこちらの心がまえで直ってくると思う、主体性はこちらにあるわけですから。自主防衛、自主平和外交という意味から積極的に中共へも働きかければ、核保有国の三大国家を融和させるための道が幾らでも開けると思うのです。日本の非常なる熱意でもって、これを長官もひとつ具体的に行動の上であらわしてもらわなければいかぬ。それから、いま申し上げたいま一つの核武装をしない国々の合縦連衡をはかるという考えの上に、世界各国を行脚する——アメリカだけを防衛庁長官は従来訪問して困ったものだと思っておるので、これらの問題に取っ組んで、世界の国々をみずから積極的に説得して歩くというこの方針を行動の上におあらわしいただけるかどうか。あなたは国務大臣として、外交も合わせた国防の第一義は平和外交とおっしゃったから、ひとつ実践の上においての御所見を…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/364
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365・松野頼三
○松野国務大臣 御趣旨について、私は少しの異論もなければ、同じような考えであります。ただ、現実にこれを進める時期と方法、あるいは今日わが国がとっております外交は、そういう趣旨を基本的にとっておりながら、現実にはなかなか諸外国がそのとおり来ない。同時に、中共問題にいたしましても、相互対等、相互平等、相互同じ条件でなければ、それは国の永遠の親善というものはない。日本ばかりも責められない。お互いの国柄において、ある程度私はまだ今日はその理想に到達しないと思っております。しかし、その方向として努力することに、少しもやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/365
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366・受田新吉
○受田委員 私は、これはやはり核保有国に対抗して非核武装の国々を合縦連衡する、繰り返し申し上げますけれども、そういうものを日本が提案すれば、必ずついてくると思うのです。これはやはり佐藤内閣の中において、松野さんたちが国防の本義を外交の面に置いておられる以上は、これを積極的に閣内においても御主張に相なって——時期はいま非常にいい時期だと思うのです。これをひとつ核実験の犠牲にされた日本は、二十年のこの平和への願いを世界の国々に訴えて、提唱するという外交をきめていただく、これは憲法の第一義だと思います。時期とか方法とかおっしゃるが、いまはいい時期だし、方法も行動の上をもってあらわすことで解決すると思いますから、紳士としての松野さん、一つ熱烈なる火の玉となって、私は防衛庁長官だが、平和外交の点において第一義的に行動に移すというところでやられたら、これは世界における英雄になれると私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/366
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367・松野頼三
○松野国務大臣 御趣旨をよく体して、その時期に応じて、適当な時期には総理大臣に十分お話しするつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/367
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368・受田新吉
○受田委員 きのう総理に話し得なかった問題を、きょうはあなたに要望するわけです。
もう一つ、現時点における第三次防計画と、四年後に迫る安保改定の時期とが、接点を描くわけです。そのことについて一つ触れておきたいのでございますが、この安保条約の中身は、双方がいわゆる共同責任において防衛体制をしくというこの形の中に、第六条の規定は、自衛隊として非常に大事な問題でございまするが、日本の区域、施設を彼らに使用せしめるというこの約束は、いつも使用させるとも書いてなければ、必要に応じて使用させるとも書いてないわけですが、この条約の解釈は、はっきりいって、いざ事あるときには使用するという場合を含む、有事駐留を含む規定であると解釈してよろしいと私は思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/368
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369・松野頼三
○松野国務大臣 今日の安保条約は、常時駐留ということを原則にしております。したがって、その原則は、解釈によっては御趣旨のような解釈も不可能ではないという議論も今日ございます。しかし、常時駐留が原則であるこの安保条約は、常時駐留であるべきだという議論もございます。これはいろいろな研究を今日しておりますので、御趣旨のことは全然不可能だという結論を、政府はまだ出したわけではありません。といって、それがいいんだという結論も、出したことはありません。一つの大きな問題点として、条約の解釈の問題としては一つの問題点であることは、私は承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/369
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370・受田新吉
○受田委員 第三次防計画というものは、昭和四十五年の安保改定の時期において、いま残っているところの三万何千かの米軍が、漸次撤退していく方向で計画を進めるという方針になっておりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/370
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371・松野頼三
○松野国務大臣 要するに、この第三次防衛計画だけでは、日本の自主防衛体制というものは完全にはまだとてもそろわない。まだそこまでいかない手前の、幼年から少年、少年から青年に達する一つの段階を踏んでいる段階でございますので、三次防が完成すれば、日本の防衛は、自主的な防衛力からだけ批判するならば、私はまだ少し足らないのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/371
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372・受田新吉
○受田委員 自主防衛体制からいって、防衛庁としては、日米安保条約なるものが日本の防衛に関して補完的作用の意義にすぎないという解釈に立ちまするか、あるいは全く対等の意義を持つものであるとお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/372
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373・松野頼三
○松野国務大臣 立場においては対等な立場に立ちますが、能力がまだ対等な能力ということにはほど遠いということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/373
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374・受田新吉
○受田委員 私は、日本の防衛というものは、少なくとも自主防衛を目的にされなければ、防衛庁としても意義がないと思うのです。そのために、三次防計画なるものは、自主防衛体制に移行するための努力をされるという熱意があるからだと思っていたら、案外いまのところそういう気持ちというものは伺うことができない。昭和四十五年の改定期までに、第三次防計画が、在日米軍を漸次撤退せしめる方向にあるという御結論も伺っておらないわけです。どうしてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/374
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375・松野頼三
○松野国務大臣 第三次防衛計画が整備すれば、今日よりも自主的な防衛力というものが増大することは事実であります。しかし、完全に到達するというにはまだ少し足らないと私は感じます。しかし、これは世界情勢の変化あるいは諸国の状況にもよりますけれども、今日の状況に大きな変化がない限り、自主防衛体制に近づくと思いますけれども、完全であるというまでにはまだとても到達できないということが、私たち真実の姿であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/375
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376・受田新吉
○受田委員 したがって、漸次近づいていくというその時点において、有事駐留というものが原則になって、常事駐留が例外になるという方向へ努力をされるという形でなければ、防衛庁としてはその存在意義がない。方向としてそういう努力をされるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/376
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377・松野頼三
○松野国務大臣 自主防衛ということばがいろいろ出ますが、自主孤立防衛という国は、世界じゅうございません。自主共同防衛、自主協力防衛、自主連帯防衛という姿が、今日の自主防衛の通俗的な解釈ではないかと思います。したがって、自主防衛ができたからといって、どこの国でも孤立でできるというわけではないわけで、先ほどお話しのように、おのずから条約や平和的なお互いの外交に応じて、その防衛体制がいろいろ変わってまいります。
ただ、今日そういうことを抜きにして、各国の軍備力、防衛力というものだけを比較いたしますと、第三次防衛計画では、日本の国を完全に守るまでに到達するには、まだ努力が今後要ると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/377
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378・受田新吉
○受田委員 大臣、自主孤立防衛というものもあるとおっしゃったけれども、これは集団防衛体制の中で、国連の認めている、一時的ではあるけれども、集団防衛体制地域取りきめというものを前提に日本の防衛を考えておられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/378
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379・松野頼三
○松野国務大臣 国連の規定に応じて安保条約、安保条約において今日実行しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/379
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380・受田新吉
○受田委員 そうすると、集団自衛権というものと個別自衛権というものと区別をしてお考えになっておるという前提の国連憲章の解釈でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/380
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381・松野頼三
○松野国務大臣 国連憲章の最終目的というのと現時点というものとは、同じ国連の中でも多少解釈が違います。理想を掲げているが、現時点においては、まだ各国の個別的自衛権というものは必要であるという前提のもとに、私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/381
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382・受田新吉
○受田委員 そうすると、日本は個別的自衛権しかないということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/382
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383・松野頼三
○松野国務大臣 まだ日本の憲法は自衛力というものを主体にしておりますから、国連の一般的解釈プラス日本の憲法解釈というものが必要だと、私は思っております。したがって、両方のものが当然一致しなければならないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/383
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384・受田新吉
○受田委員 これは議論すると非常に発展する問題であるし、時間に限りがありますから、この問題は後刻に譲ることにしますが、非常に重大な問題に発展する段階で、惜しいところでちょっとやめます。
もう一つ最後に、自衛隊の中で一つの悲劇がある。長官は胸を痛めておる。何を私が言わんとしているか、おわかりですか。言わなければわからぬですか。これは自衛隊の中で、特に航空機搭乗者の大きな犠牲です。最近多少緩和しているけれども、自衛隊の多くの航空機搭乗者の殉職という事件は、これは国民が新聞であの自衛隊機の墜落、死亡という記事を見るたびに、胸を痛めます。若い奥さん、若いお子さんの生涯を思うときに、胸が暗くなるわけです。この自衛隊の航空機事故の続発というものは、訓練のまずさか、装備の欠陥か、あるいは諸情勢の的確なる把握に事を欠いたのか、人間の意思力の不足か、いろいろ要素があると思うのですが、しかし、日本の航空機の訓練は、国民の税金でこの航空機ができたという理由から、なるべく最後まで、死の瞬間まで飛行機を安全にという、物を大事にする思想が流れているのではないか。これはもうだめだと判断したときに、飛行機から脱出する手もある。その墜落によって一般の善良なる市民が被害を受けないように飛行機を落として、脱出するといういろいろな配慮をされて、訓練されているのか。物を大事にし過ぎて人を粗末にするということであれば、人間尊重の基本方針にもとるわけでございますが、防衛庁長官、あの若くしてゆける前途ある青年航空士が、若い家族を残してわずかの手当でこの世を去っていくということは悲劇だと御判断されると思うし、したがって、この問題についてどう防止するかという熱意のほどと、いかなる指示を隊内に与えているかということと、そしてその犠牲になった人々にどれだけの補償がされているかという数字もお示しいただいて、さらにもう一つこれに追加質問をさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/384
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385・松野頼三
○松野国務大臣 私が大臣になりましてから昨年中に、実は二十八名の殉職者を出しました。ことしになりましてから、また数名出しております。防衛庁長官で一番悲しいことは、このことです。そのためには実は全力を注いで、毎日自分の日記に殉職者の数等を書きながら、涙を流しております。したがって、その問題につきましては、全隊員に対する精神の統一、整備員の訓練、それから訓練指導者、責任者から人命尊重の指導理念——事故が起こりますと、その部隊には必ず再検討を命じております。ある場合には、訓練も大事だが、人命尊重の見地から、二日間という貴重な訓練を停止した部隊も実はございます。指導におきましては、人命を第一に、脱出、これを常に命じております。したがって、今日は、危険状態の際には赤信号を立てて、脱出命令を地上から命令をしております。それでもなおかつ隊員は何とかして自分の愛機を救おうというので、命令を聞かずにその救済に努力したために人命を落とした例も近々ございます。この問題は、受田さんから言われると、防衛庁長官として一番きついことであります。最善のことは、私の在任中、もちろん先輩もそうですが、人命尊重にはあらゆることをしております。といって、飛行機が悪い、古い飛行機を飛ばしているわけじゃありません。規定の時間以上は、飛行はもちろん禁止しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/385
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386・受田新吉
○受田委員 長官の御誠意のほどはわかりました。私は、あなたが飛行訓練を何日か停止されたという、いまだかつてない措置をされたことも知っております。これは部下を愛せられるお気持ちのあらわれであると、あの措置を承ったときに、松野さんりっぱであると私は思ったのでございますが、私はあの遺族の一人に接したことがあって、その遺族が、御主人をなくされてどう生きるかという状況を伺ったときに、わずか二十何歳かでこの世を去っていった、若くしてゆける青年の将来に、お国としてどんな手伝いをしてあげてもいい。もし許されるならば、他のいろいろな法規で殉職者に対する措置がされているのを数倍する、公務で、しかも訓練で、人命を軽視して国民の愛機を守ろうとするこの気持ちに対して、特別補償規定を設けても私はいいと思うのです。その意味で、人命を尊重する措置に出て、全隊員にその意味を十分徹底させるという御措置をされている、これは私十分うなずきますが、同時に、遺族補償という点においてどのような扱いがされているか、事務当局でけっこうです、御答弁願いたいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/386
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387・宍戸基男
○宍戸政府委員 航空機の殉職のありました場合には、一般公務員と同様に、災害補償、退職年金あるいは一時退職金というふうな、一般公務員が災害を受けた場合にもらうものと同じものは当然もらいます。それ以外に特別のものといたしましては、ジェット機で殉職した場合には百五十万円を限度として特別弔慰金を、それからジェット機以外の航空機の場合には百万円を限度として賞恤金を授与されることになっております。特別な制度として、賞恤金と特別弔慰金とこの二つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/387
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388・受田新吉
○受田委員 それを合計しても二百万か、三百万ないのですね。二百五十万どまりです。それでその若い人の将来は、もう家族はそれで運命づけられるのです。私は、防衛大学の卒業式にはたいていの場合参加させていただいておる。野党議員としてこれに参加することを強く希望しているのは、あの卒業生の若くしてたくましい奉仕の意欲です。このきれいな、純粋な気持ちに打たれたときに、特に航空自衛隊に属する皆さんの、この中からまた一年か二年かの後に何人かの犠牲者が出るのではないかということを思うときに、非常に胸が痛むのでございますが、ひとつ今後いまの処遇の点でもう少し優遇してあげる、若い奥さんが子供をかかえて生涯を生き抜くところの、もう少し高額の特別弔慰金制度などを設けられても、私も社会党の皆さんも十分共鳴してあげます。この点を十分善処されることを希望しておきます。長官としてひとつこの処遇についての御決意を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/388
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389・松野頼三
○松野国務大臣 私も、ぜひひとつ近い機会に、与野党を通じてこの問題については超党派的に、人命問題、職務における殉職という問題でお願いするつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/389
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390・受田新吉
○受田委員 これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/390
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391・木村武雄
○木村委員長 大出俊君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/391
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392・大出俊
○大出委員 本論に入りますと何時間かかるかわからぬことになりますので、冒頭にきわめて事務的なことなのですが、しかし、横浜市民ないしは神奈川県民がずいぶん長いこと待望をし、かつ苦心をして進めてきた問題がありまして、ようやく何とかなるやに思っているやさきに、どうもちょっと簡単にいきそうもないと見られる状況が出てきておりまして、この点について三点ばかり冒頭に承っておきたいのであります。
その一つは、全国一の基地県、特に横浜市のまん中にあります本牧の一号住宅地の移転の問題に関してでございますが、それがここ三年ばかり、三十九年二千万ばかりの現況確認調査費ということがつきまして、さらに四十年度で移転先調査費ということで千四百万組まれたわけでありますが、いろいろな諸君の御努力によりまして、本年はようやく一般歳出予算から二億円、それから国庫債務負担行為という形で三十億円という額が計上をされまして、どうやらこれで、港の背後地として、にっちもさっちもいかない路面交通をかかえて、かつそこだけが住宅地になっておりますために発展が阻害されているということ、また旧地主がたいへん苦心をしているということ、こういう中で、やっと何とかなるわいということになったのですが、さてさっぱりそれから先進展をしそうもない、こういう状態なのです。私は、これは防衛庁の皆さんに非常に大きな責任があると思うわけなのでありまして、今日ただいまどうなっているのかという点を、まず簡単に御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/392
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393・財満功
○財満政府委員 横浜の市内の三住宅の点に関しまして、特に地元の強く要望されておりますのは旧海浜住宅四百二十九戸、約四百三十戸だと思いますが、これをどこかへ持っていってほしい、そのことは、横浜市の港湾計画と非常に重要な関係がある、こういうことで、ただいま先生がおっしゃいましたように、一部の用地買収及び調査費、測量費等を含みまして二億円の予算がつき、そのほかに国庫債務負担行為の額として三十億、こういうものが計上されておるわけでございます。これを控えまして、私どもは米軍とまず交渉を詰めております。かなり交渉は詰まったものと存じておりますが、現在におきまして問題になっております二、三の点がございます。それは第一、移転先の問題であります。これをどこへ移転させるか。それから第二に、日本側といたしましては一挙にばく大な費用を計上いたすことは困難でございますので、旧海浜一号地だけを移転したいというふうに考えておりますが、米側としては、この住宅に山手住宅の一部を抱き合わせて、それを移転させろということでいま交渉しておるのが、第二点でございます。
それから、これははなはだ奇妙なことでございますが、彼らは二階建て以下のものをつくってほしい。表現といたしましては、移転先地に、すでに存在する住宅に似たようなものをつくってくれという言い方をしておるわけでございまして、ずばり申し上げますと、そういうことになります。したがいまして、そういう点を現在最終的に詰めておるという段階に立ち至っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/393
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394・大出俊
○大出委員 これは四百二十九世帯以外に、山手住宅が二百四十戸ばかりありますね。二百四十世帯。それを、これは旧来の経緯がありまして、一部この際これも一緒に移転をしろ、こういうことを米側が言っている。これはどうも防衛庁御存じで、対大蔵省という関係でお出しになっていないのじゃないかと私は思う。そういうことがどうもひっかかりになっておるように思うわけなのですが、そこらのところと、それからもう一点、時間をかけぬように承っておきたいのですが、一般歳出二億円の中に七千五百万くらいの土地の買収費が入っておりますね。これは買収するとなると、買収される地域、これも大都市なんですから、おそらくまた大反対が起こるわけであります。だから、私は事を進めるにあたっては、七千五百万円の土地買収費はありますけれども、これはあきらめていただきたい。そうしないと、ここでまた何年かかるかわからぬ反対運動が起こる。そこで、その点を明確にしていただきたいということと、それからもう一つ、国庫債務負担行為三十億、これは財政法十五条との関連だと思いますけれども、いまの見通しからいって押し詰まってきておりますから、一体これはどうしようもないということになったら、どういうことになりますか。ここのところを三点、あわせて承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/394
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395・財満功
○財満政府委員 山手住宅につきましては、私どもとしては、さしあたり横浜市の計画に直接の影響がございませんので、何とかこれはがまんさせるということでやりたい。
それから、土地の買収の問題でございますが、これは移転先地をある場所を予想いたしまして、そのところで約三千坪ばかり買収したいということで考えておったわけでございますが、いま先生おっしゃいましたように、やはり簡単にはまいらないような情勢でございます。したがいまして、これは土地買収をあきらめる、あきらめないの問題とは別に、移転先地の問題について、さらにいわゆる既設の米軍の施設の中を選ぶという方向を考えてみたいと思っております。
第三に、国庫債務負担行為の点につきましては、私ども極力努力いたしまして、今年度内に契約をいたしたいと存じておりますが、かりにこれができないといたしますと、もう一度組み直すということ以外にはなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/395
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396・大出俊
○大出委員 この問題で、これは最後ですが、この横浜市は、いままでにこうした基地があるために、接収されているというために、二千数百億という損害をこうむっているという、学者その他の評価がされているわけですよ。これは防衛庁に何度も陳情しているのです。ですから、こういう問題は、せっかくここまで来たんだから、市にそんなに負担云々ではなくて——質問書もこれは出ているのだが、あなた方から回答がないのだが、したがって、やはり国が基地内に建てるなら建てて、そうしてこうこうするというやり方、分け方、進め方を何としてもしていただかぬことには、事は進展いたしません。そこのところをあなたのほうは、ここまで来たんだから、最後の詰めとおっしゃったけれども、どう考えているかによって変わってくるわけですから、このポイントだけ、ひとつ明らかにしておいていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/396
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397・財満功
○財満政府委員 私どもは、建築交換をいたしたい。横浜市に建てていただいて交換いたしたい。ただ、横浜市としてそれが非常に困難であるという場合に、別途これはただいま検討しておる段階でございますが、たとえば住宅公団——たとえばでございますが、住宅公団あたりに建ててもらって、そして交換するという方法はないかというふうに検討しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/397
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398・大出俊
○大出委員 建築交換方式なんですから、建築して交換する、これが三十億の債務負担行為の内容なんです。そうすると、これも確認しておきたいのですが、いま横浜市は御存じのように金がないのです。したがって、苦心惨たんしているわけです。きょうも市会の本会議が開かれて、そこでいろいろ問題になっているわけで、そこのところは、いまおっしゃるように住宅公団なら住宅公団に——これは市が金がないというのは、大量接収地が市のどまん中にあるからそうなので、そこをお考え願って、その方式をぜひひとつ、いま検討中とおっしゃったのをまとめていただきたいと思うが、大体その方向に進んでいくというふうに考えてよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/398
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399・財満功
○財満政府委員 そのことに関しまして住宅公団から確定的な御返事をいただいておるわけでございませんので、なおその点はさらに詰める必要があろうかと思っておりますので、そのように努力いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/399
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400・大出俊
○大出委員 次の問題ですが、これは簡単にお答えいただきたいのですが、富岡の弾薬陸揚げ場の米軍接収地ですが、弾薬陸揚げ場の前に八区埋め立てという埋め立て地をつくることになっておりまして、この米軍の弾薬の運び入れの水路の問題、進入路の問題、搬入路の問題ということでもめております。これは一点だけ聞いておきたいのですが、先般私が防衛施設周辺整備法の問題で承ったときに、アメリカとの合同委員会の中に港湾部会がございますけれども、ここで話し合いがつけば、それで運輸省の港湾局と大蔵省国有財産局と横浜市という形で進めてけっこうだ、こういう話があっておるわけで、そのとおりに手を打ちましていま進んできておりますけれども、大蔵省側から特に私が念を押されておりますのは、港湾部会できまったからといってそれでよろしいというふうに進めた場合に、いま海の中を埋めるわけで、埋めてでき上がったところと交換するわけです。片方は国有財産と、埋め立てた市の土地を交換する。その場合に、合同委員会のほうで人がかわったりなんかして、合同委員会のてっぺんのところでノーと言われたらどうにもならぬ。だから、大蔵省としては、港湾部会で話がついて進めていったら、合同委員会のてっぺんがノーと言わない、この辺の見通しが明確でなければ困るというのが、最後に残った政治的接点なんです。ここのところをひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/400
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401・財満功
○財満政府委員 港湾部会の中には、その上部機構である施設特別委員会の米側のメンバーも入っております。なお、合同委員会に出席する米側の委員も、この施設特別委員会のメンバーでございます。したがいまして、港湾部会がそれを決定的に承認いたしました場合、内部的には事情が通じていると思います。したがって、従来そのような、下のほうできまって上できまらなかったという慣例はございませんので、たぶん下できめれば、そのようにしり上がりにいくものと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/401
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402・大出俊
○大出委員 事務的な点の最後ですが、横浜には例の四カ所の高射砲陣地がございまして、これは前に私が防衛庁長官その他に——福田さんのときですが、質問したときに、こんな時代おくれのものを何で置いておくのか、たまは届きはせぬじゃないかという話をしたら、現在使っている兵器の中にランクされているからしかたがない、しかし、近く何とかなるかもしれぬ、こういうお話でした。しかし、これはことしの三月に全部高射砲陣地を撤廃いたしました。これは四カ所ございまして、横浜市磯子区岡村というところ、保土ケ谷区の花見台というところ、それから神奈川区の子安台の子安台分とん地、港北区岸根の岸根町分とん地の四カ所です。これは磯子区岡村の場合を例にあげると、かつて公園指定地なんです。公園指定地を高射砲陣地に使われたために、公園がないという問題が起こって、地域でいまだに問題が続いている。そういう例が幾つかある。みんなそういう地域、置きやすいところに置いたわけです。それがなくなったんですから、当然これは払い下げるべきだと考えているのですが、ところがこれは行政財産だから払い下げができないというもめ方になっているのですけれども、ここのところをあなた方は最終的に現在どういう判断をお持ちですか、そこを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/402
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403・財満功
○財満政府委員 ただいまおっしゃいましたように、この高射砲の分とん地のあと地は行政財産でございます。したがいまして、いまお話がございましたように、もともと公園地であったのでそれを公園に戻すようにというお話につきましては、これは普通財産の処分に関する問題であろうかと思います。したがいまして、大蔵省でおきめになることと存じますが、せっかくただいまのような御質問もございましたので、この点は大蔵のほうにも伝えて、可能なるものであるならば、ある程度希望をいれていただくようにお取り次ぎいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/403
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404・大出俊
○大出委員 長年、あなたのほうの所管だったのですから、ひとつぜひこの点はあなたのほうからも、これは前から再三再四質問も出たり、陳情も出ておりますから、大いにプッシュをしていただきたい、こう思うわけでございます。
ところで本論に入りますが、これは何時間かかるかわかりませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/404
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405・伊能繁次郎
○伊能委員 ただいま審議中の防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案、内閣提出第一五号及び同法案内閣提出第三七号は、この際質疑を打ち切り、直ちに採決されんことを望みます。動議を提出いたします。
〔発言する者多し〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/405
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406・木村武雄
○木村委員長 ただいまの伊能繁次郎君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/406
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407・木村武雄
○木村委員長 起立多数。両案に対する質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/407
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408・木村武雄
○木村委員長 討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
内閣提出一五号、防衛庁、自衛隊法改正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/408
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409・木村武雄
○木村委員長 起立多数。原案のとおり可決いたしました。
次に、内閣提出第三七号、防衛庁、自衛隊法改正案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/409
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410・木村武雄
○木村委員長 起立多数。よって、本案は可決されました。
委員会報告書の作成につきましては、委員長一任に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/410
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411・木村武雄
○木村委員長 起立多数。よって、そのように決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/411
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412・木村武雄
○木村委員長 本日はこれにて散会いたします。
午後七時二十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105104889X05019660624/412
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