1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月八日(水曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 中川 俊思君
理事 倉成 正君 理事 田口長治郎君
理事 舘林三喜男君 理事 本名 武君
理事 赤路 友藏君 理事 東海林 稔君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 金子 岩三君
小枝 一雄君 坂村 吉正君
笹山茂太郎君 白浜 仁吉君
綱島 正興君 中川 一郎君
丹羽 兵助君 野原 正勝君
長谷川四郎君 藤田 義光君
森田重次郎君 卜部 政巳君
兒玉 末男君 千葉 七郎君
西宮 弘君 松浦 定義君
森 義視君 湯山 勇君
玉置 一徳君 林 百郎君
出席国務大臣
運 輸 大 臣 中村 寅太君
出席政府委員
農林政務次官 仮谷 忠男君
農林事務官
(農林経済局
長) 森本 修君
農林事務官
(園芸局長) 小林 誠一君
委員外の出席者
専 門 員 松任谷健太郎君
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六月三日
委員西宮弘君辞任につき、その補欠として久保
田鶴松君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員久保田鶴松君辞任につき、その補欠として
西宮弘君が議長の指名で委員に選任された。
同月七日
委員西宮弘君及び山本幸一君辞任につき、その
補欠として久保田鶴松君及び稻村隆一君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員稻村隆一君及び久保田鶴松君辞任につき、
その補欠として山本幸一君及び西宮弘君が議長
の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
野菜生産出荷安定法案(内閣提出第一三一号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/0
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001・中川俊思
○中川委員長 これより会議を開きます。
野菜生産出荷安定法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。兒玉末男君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/1
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002・兒玉末男
○兒玉委員 運輸大臣がお見えでございますので、順序は多少前後しますけれども、特に輸送関係について大臣の御所見を承りたいと存じますが、行政管理庁が五月二十七日に出しました「生鮮食料品の生産および流通に関する行政観察の結果」、この文章を見てみましても、昭和三十五年から四十年にかけましての消費者物価の値上がりの中において、特に生鮮食料品の中の野菜は、実に九七%の値上がりを示しております。同時に、先般の中部監察局なりあるいは東京都の追跡調査によりましても、この価格の中に運賃の占める割合というのが非常に高いわけであります。この点、農林のほうとしましても、やはりどうしたならば国民生活に関係の深い生鮮食料品の中間経費というものを安くすることができるか、こういうことが非常に問題になっているわけです。でありますので、この際、特に運輸大臣にお聞きしたいのは、このような生鮮食料品の輸送ということについて、中でも野菜の輸送ということについては、きわめて重大な関係でございますので、本案の制定に関連しまして、まず大臣としての全体的な輸送体制というものについての御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/2
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003・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 野菜その他生鮮食料品の価格を下げるということは、これは佐藤内閣でもあらゆる努力を続けておるところでございますが、その中で、運輸省の受け持ちます輸送の面におきまして、鉄道施設を整備するとか、あるいはトラックターミナル、倉庫、港湾等の整備をするというような、そういうあらゆる面の近代化あるいは合理化をはかりまして、輸送の円滑化をはかる、それが物価の安定と低物価に役立つというような目的をもちまして、鋭意努力をしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/3
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004・兒玉末男
○兒玉委員 特に生鮮食料品の中でも、野菜の場合は、輸送時間の短縮ということが第一の問題点ではなかろうかと私は思うのですが、今後の貨物輸送関係の中で、特に生鮮食料品の輸送時間ということについて、どのような構想なりあるいは計画をお持ちか、この点まずお伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/4
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005・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 遠隔の地から野菜あるいはその他生鮮食料品を送ります際には、兒玉議員も指摘をなさいますように、できるだけ時間を短縮するということが、消費者に対するサービスでもございますし、さらにそのことによって運賃としての価格も下げられるというような利点もございますので、陸上で送ったが便利であるか、海上で送ったが便利であるか等、いろいろ研究いたしまして、最も安くして、しかも早く消費者のところに届け得る方法を検討していきたいと思っております。御承知のように、最近、科学技術庁等で宮崎から野菜を船で運ぶというような研究をいたしておるのでございまして、それは冷凍施設をするとか、あるいはコンテナー輸送等にいろいろくふうをいたしまして、そして生産地から消費地へ直結するような輸送体制をつくろうというような点でも、いま検討を続けておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/5
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006・兒玉末男
○兒玉委員 先般国鉄のほうからいただいた資料によりますと、たとえば、現在五十時間近くかかる九州から東京までの例でありますが、これを現在の特急の大体二十四時間程度に短縮をしたいというふうな意向が示されておりましたが、この点、特に今回の野菜法案の提案と軌を一にしまして、その構想は非常にけっこうですが、大体その実現というのはどの辺に目安を置いているのか。今度の第三次長期計画が確立されておるわけですが、単なる構想としてではなくて、この輸送時間の短縮ということは、いま大臣も言明されたわけでありますが、特に特急貨物列車の設定によって距離的格差を解消するという問題ですけれども、大体どの年次を目標としてこれを実現しようとするのか、この点大臣の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/6
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007・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 鉄道によります貨車輸送につきましては、いま兒玉議員が指摘をなされましたように、直通のいわゆる貨物列車等を研究しております。運賃等につきましても、先般の運賃の引き上げの際も、野菜その他生鮮食料につきましては特別の割引の処置をとりましたのも、できるだけ物価に影響を与えないようにという配慮からでありますが、そういう問題等も含めまして、直接野菜を積みまして、それを直行で消費地に送ることのできるようなダイヤの組み方を研究さしておるところでございまして、できるだけ早い機会に逐次そういうことをやってまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/7
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008・兒玉末男
○兒玉委員 きょう明確にお聞きできない点は、また明日お伺いしたいと存じます。次に、現在の国鉄のいわゆる貨物駅の設備でありますけれども、現在東海道筋は全部汐留駅におろされるわけですが、現在の神田市場等関係市場にいわゆる継送するために、時間的にもあるいは経費の面においても、相当私はロスがあろうと思うのです。そういう点から、貨物の積みおろし場の設備の改善ということも、これは重大な問題であります。いつでございましたか、愛知方面からきた貨物が汐留にきて、それからまた横浜等の市場に転送するのに三日も四日もかかった、こういうことで、全然その品物が役に立たなくなった、こういう一つの問題等も起きておるわけです。この点、特に先般の運賃改定の際にも、そういうふうな輸送時間の短縮なり、あるいは設備の改善を通じて大衆に奉仕するということが、運賃改定の大きなねらいとして明らかにされたわけですが、特に国民生活の中でも、最も値上がりの高い野菜の価格等においては、国鉄の輸送形態、あるいは設備の改善ということが要求されている面か、私はきわめて大きいと思うのですが、この設備改善等についてどういうふうなお考えをお持ちか、明らかにしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/8
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009・中村寅太
○中村(寅)国務大臣 設備の改善あるいは輸送体系の整備等につきましては、兒玉委員が指摘されるような方向で具体的に国鉄で検討を続けまして、そしてできるだけ早い機会にそれが列車ダイヤの中に組み入れられるように、計画を進めさせてまいりたい、かように考えておりますが、具体的な問題につきましては、国鉄でないと、私ではよくわかりませんので、国鉄にひとつ答えさせるように、きょうは来ておらぬようでございますから、次の機会に延ばさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/9
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010・兒玉末男
○兒玉委員 それでは、大臣に対しましては、また国鉄当局等とも十分連絡をいたした上で、明確な御答弁ができますように、大臣を通じて要望を申し上げて、運輸大臣に対する分はきょうはこれで保留をしておきたいと思います。
園芸局長にお伺いしたいと存じますが、先ほど大臣にもお尋ねしたわけですけれども、野菜の価格は、昭和三十五年から四十年にかけましての一般の消費者物価というのは約三五%の値上がりを示しておりますが、その中で、特に生鮮食料品は平均五六%、その中でも、野菜は倍近くの値上がりを示しておるわけですが、このように野菜の価格がべらぼうに高くなった。しかも日本は世界でも有数な野菜の消費国でございまして、国民生活の中に占める比重というものは非常に大きいわけですが、このように野菜が非常に高くなったというのは、一体どこに原因があるのか、この点まずお聞きしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/10
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011・小林誠一
○小林(誠)政府委員 お話のように、野菜の小売り価格でございますが、これが昭和三十五年に比べまして、昭和四十年では約九六%の値上がりになっております。この原因がどこにあるかということでございますが、卸売り価格も、大体三十五年に比較しまして、四十年が約九五%ぐらいの値上がりになっております。それからまた、農家の手取り価格でございますが、庭先価格でございますが、これも昭和三十九年で大体九〇%ぐらいのアップになっておるわけでございます。
その原因でございますが、野菜というものでございますけれども、この生産は、御案内のとおり、相当伸びておるわけでございます。作付面積の伸びはそう大きくないのでございますが、お手元の資料にございますように、生産額と申しますか、これは相当の勢いで伸びておるわけでございます。ところが、需要の面におきまして、これも相当また伸びておるということから、生産が需要に追っつかない、需給が均衡しないという問題から、その価格が上がっておると思いますが、さらに、昭和三十五年と現在とを比較いたしてみました場合に、たとえばトマトにしましても、キュウリにいたしましても、いわゆる端境期の生産額あるいは出荷額というものが相当伸びておるわけでございます。そういうことから、わりあいに高価なものが出回っておるという問題があろうかと思います。しかし、その根っこの問題といたしましては、御案内のように、野菜作は非常に人手を要するのでございまして、米に比べまして、十アール当たりの投下労働時間も、露地栽培で大体倍、あるいは施設栽培になりますと、三倍、四倍というような労働の投下量があるわけでございます。また、流通段階におきましても、それぞれ非常に人手を食い、小売り段階においても非常に手間を要するというようなことで、最近の農家の労働力の不足という面、あるいは流通段階におきます人件費のアップという、いわゆるコストが上がってきておるというような問題、いろいろな問題が合成されまして、先ほどのような値上がりを示しておるのだというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/11
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012・兒玉末男
○兒玉委員 経済局長にお伺いしたいのでありますが、これは先般本会議の際にも大臣にただしたのでありますけれども、あまり明確な答弁をいただけなかったのですが、いま局長の値上がりについての大体のお考えが説明ありましたが、先般中部管区行政監察局の追跡調査の結果というのが、ある新聞に発表されております。これによりますと、小売り価格を一〇〇とした場合に、生産農家の手取りが二二・六、小売りマージンが三二・七から六六・二、それから中間マージンが七七・四、そういうことによって見ましても、とにかく生産者価格と小売りとの格差というのが二倍ないし五倍というふうな、きわめて常識的にも考えられないような数字が発表になったわけです。このことは、いま園芸局長の答弁されました、価格が倍近くはね上がったという中においても、特に流通部門における抜本的な改革ということが、きわめて重要なウエートを占めているのじゃないかと思うのですが、これらの点を通じて、経済局としてはどのような理解をいたしているのか、まずこの点お伺いしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/12
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013・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、いろいろな段階別の価格の数字が出ております。あるいは農林省で三十七年度に調べましたもの、東京都で追跡調査といったようなことでやっておるもの、それから中部管区のもの、いずれもそれぞれある時点において調べ、また調べ方にも、それぞれいろいろな方法があって、違いがございます。時によっていろいろ数字が違ってまいります。必ずしも中部管区で調査されたものが流通段階別調査の絶対的なものであるというふうには見られない。いずれにいたしましても、それらの調査によりまして、生産者の手取りの価格と、それから最終の末端の価格と、かなり開きがあるということは言えると思うのであります。一つは、そういうふうな開きが出てまいりますのは、何といいましても、御案内のように、野菜の価格そのものが、価値そのものがわりあいに低い。したがって、中間的な経費、たとえば荷づくり包装費であるとか、あるいは運賃であるとか、その他小売りの経費であるとか、そういったものが比率としては高くなってくる。野菜の価格そのものが安いものですから、絶対的な中間の経費というのは、比率としてはかなり高く出てくるというふうな傾向になると思います。これは単に日本ばかりではございませんで、諸外国においても、もちろん日本とは数字は違いますけれども、傾向としては同様な傾向が出ておる。ただ、最近の趨勢を見ますと、先ほど園芸局長がお答えになりましたように、人件費のアップでありますとか、あるいは集荷経費、運賃、そういったものも若干ずつは上がってきております。そういうふうな諸経費のアップによって、中間経費が絶対額としては増大していくということは言えると思うのであります。その面をコストを下げていくというふうな対策になりますと、やはり中間的な諸種の段階をできるだけ簡素、強力にしていく、小売りの段階にしても、あるいは卸、仲買いの段階にしても、できるだけ簡素、強力なものにしていく。それから取り扱いの数量にしても、できるだけ大口にして単位当たりの経費を下げていくというふうなことで、非常に抽象的でございますけれども、そういうふうな方向で中間段階を合理化していくということが長期的に必要ではなかろうか、そういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/13
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014・兒玉末男
○兒玉委員 五月三日の閣議において、野菜等を中心とする生鮮食品の安定対策について、特に計画生産と流通機構の整備を促進する、この二点について早急に対策を講じようということが決定されまして、特に農林省関係においては、東京都の卸売り市場の増設ということ、それからこれは経済局か園芸局かわかりませんが、標準売り場の設定、さらに消費者教育の徹底、こういう点等を早急に講じようということが決定せられておりますが、経済局に関する部門であろうと存じますが、これらの点についてどういうふうな措置をいまとろうとしておるのか、この点お聞かせいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/14
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015・森本修
○森本政府委員 最近政府部内におきまして、御指摘のように、生鮮食料品の価格対策として、緊急に何らかの対策をとるべきであるというふうなことになっているわけです。ただ、御指摘になりましたそれぞれの項目について、緊急に対策を考え、できるものから手を打っていこうというふうな決定があったところでございまして、現在、それらの項目について具体的にどういうふうな対策を講じていくか、目下検討しておる段階でございます。まだちょっと申し上げるところまで具体的な中身は固まってございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/15
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016・兒玉末男
○兒玉委員 園芸局長にお伺いしたいのでありますが、今回のこの法案の制定を通じまして、とにかく計画的な生産と同時に、需給のバランスをとって、価格の安定をはかるということを考えておるわけですけれども、御承知のとおり、野菜というのは、過去の歴史が示しますように、非常に価格が不安定であり、しかも自然現象に支配されやすい。そのために減産、暴騰、増産、暴落、こういうことを絶えず繰り返しておるわけですが、何といいましても、生産農民の意欲というのは、価格の安定ということが絶対的な条件であるわけですが、特に生産者の価格の安定と同時に、消費者の価格もやはり安定をはかるということでなければ、私は非常にいびつな形になろうと思うのです。そういう点から、特に今回は、生産者に対してはとにかく産地指定なりあるいは価格補てん等の方策はとられておるけれども、消費者に対して、この法案の制定を通じて、いかなる方法でもってこの消費者価格の安定もはかることができるのかどうか、そのための対策はどうしようとしているのか、まずこの点お聞かせをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/16
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017・小林誠一
○小林(誠)政府委員 本法案と消費者価格の関係でございますが、先ほどもお話がございましたように、三十五年に比べまして、倍近くも価格が上がったということのほかに、野菜の価格は、御指摘のように暴騰、暴落を繰り返しておるわけでございます。この暴騰、暴落の原因と申しますか、それをしさいに分析をしてみますと、卸売り段階から消費者に至るまでの流通段階の経費でございますけれども、これは人件費の増というような問題がございまして、ふえてはおりますけれども、比較的固定的でございます。ところが、卸売り市場の価格が非常に大きな変動を繰り返しておる。その上に固定的なものが乗っかりまして消費者価格が形成されておるということに相なるかと思うのでございます。したがいまして、そうなりますと、値上がりという問題だけでなくて、やはり消費者の家計の設計をいたします場合に、非常に安かったり高かったりいたしますと、毎日の献立もなかなかうまくできないというような問題、あるいは消費者のさいふにも響くということにもなりますので、卸売り段階の価格の安定をはかるということが必要と存ずるのでございます。したがいまして、そのためには、やはり野菜の生産と出荷の安定をはかるということが、卸売り価格の安定になり、また消費者価格の安定に通ずるものであるというふうに考えるわけでございます。もっとも、先ほども申し上げましたように、反当の投下労働時間も非常に多い作物でございます。また、出荷の場合にも相当手間を食うものでございます。したがいまして、各生産及び集荷、出荷の段階においても、できるだけ生産性を高めていくということによって、労賃の上昇部分がじかに野菜の価格あるいは生産費に影響しないような方途も考えていかなければならない。その価格の安定と生産性の向上ということを通じまして、消費者価格の安定、また消費者のためになるのだというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/17
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018・兒玉末男
○兒玉委員 この点、一番大事なことは、いま少し突っ込んでお聞きするわけですけれども、その前提として、現在の消費の需給関係の中においても、大体全国的に野菜の生産の状況というものは、一体どういうふうな形で把握されているのか、この点が、いわゆる供給者側の状況の把握というものが的確にとれなければ、いま局長が答弁されたような価格形成というものも、私はなかなか困難ではないかと思うのです。この点、経済局長にお伺いしたいのですが、大体市場への出荷が二割ないし三割程度少なくなると、価格は倍近くに上がるような現象を示す、この点、供給の関係というものが、非常に価格変動の幅を大きくしているということで、先般、私は何回も委員会でそれをお聞きしたわけですが、わずか二割か三割出荷が減ったことによって、価格がやたらに上がる、そういうことは一体どこに原因があるのか、この点まずお聞かせをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/18
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019・森本修
○森本政府委員 野菜の価格が必ずしも出荷量の増減の割合に計数的に比例して騰落をしていないという問題でありますが、たとえば出荷が二割減れば、価格が二割上がるというふうなことになるのは当然で、そうなっていないではないか、こういうお感じであろうと思います。御承知のように、野菜はほとんど貯蔵がきかないというふうな関係がございます。したがって、たとえば入荷量が若干ふえたということになりましても、そのふえた部分を貯蔵して価格をならしていくという操作はきかない。したがって、ふえましても、それをその日のうちにさばいていかなければならぬ。またあるいは減少した場合にも同様なことで、時期的な調整がなかなかつきにくい品物でございます。それからまた、小売りの業態の姿を見ましても、大量に荷が来ましたから、それを値段をうんと下げて大量にさばこうといったような経営の対応のしかたでも必ずしもないわけであります。また消費者も、大量に入荷があったからその日の消費量をやたらにふやすというふうな態様も必ずしもない。ことに最近の野菜の消費の状況を見ますと、一種の生活必需品といったようなことで、需要そのものがかなり固定をしておる、弾力性が少なくなっておるといったような傾向を見ますと、やはり出荷量の多少の変動によってその価格変動が増幅されるといったような経済現象が生じてくるということも、やや事柄の性質上あり得るのではなかろうか、こういうふうに私どもは思っておるわけです。ただ、価格がいたずらに変動いたしますことは、決していい状態ではないわけでありまして、あるいは生産の安定、出荷の調整といったようなことを通じて、供給量にそれほど不安定がないという状態をつくり出す、また、卸売りなりあるいは小売りの段階におきましても、できるだけ価格が安定するような形で業務をやっていただくといったようなことについては、できるだけ今後指導を強化していかなければならぬ、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/19
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020・兒玉末男
○兒玉委員 園芸局長にお伺いしたい。
先般の行政管理庁から出されました「行政監察の結果について」の中の第二の第二項で、生産状態の把握ということで、特に各地方農政局において地域野菜流通改善協議会というものを開いて、生産量等の把握につとめておるけれども、これはなかなか的確な把握がなされておらない、こういうことが指摘されておりますが、今回のこの法案の制定は、特に生産出荷、いわゆる計画的な出荷を行なって供給をはかるということがその最大の目的になっておりますけれども、先ほど来需給の関係等も局長が答弁されましたが、一体、現在農林省としては、主要野菜等の生産状況というものはどういう機関を通じて調査を行なっておるのか、この点、きわめて基本的な問題でございますので、行政管理庁が指摘した点等も含めて御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/20
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021・小林誠一
○小林(誠)政府委員 野菜の作柄あるいは作付面積の把握でございますが、作付面積はわりあいに把握しやすいと存じますけれども、作柄は一日、二日の天候が非常に影響するというようなことで、技術的に非常にむずかしい問題があろうかと思います。しかし、この御指摘のように、その作柄あるいは予想収穫量を的確に把握いたしますことは、計画的な出荷ということについて不可欠の要件であろうと存ずるわけでございます。そういう意味におきまして、農林省におきましては、統計調査部で作付面積あるいは収穫量の調査もいたしておるわけでございますし、また出荷につきまして、それぞれ野菜の主産地につきましては、出荷組合なりあるいは農協からどのくらい出荷するのだという見込みでございますが、そういうものもとつておりますし、また荷受けのほうの入荷期待量というものも統計調査部でとっておるわけでございます。しかし、現在の段階におきましては、まだそれをそのまま行政に使うという段階になっていないものでございますので、したがいまして、その出荷者の団体にお集まり願いまして、それぞれ出荷者側から見ました出荷数量あるいは生産予想数量というものを持ち寄りまして、いろいろ出荷につきましての会議をやっておる実態でございます。で、今度この法律によりまして指定産地を指定いたしました場合に、おもな野菜につきましては、作況なり、あるいはそこの土地に適した品種を選び出すという意味におきまして、その試験圃の設置ということも考えておるわけでございまして、そういうようないろいろの資料を使いまして、できるだけこれを的確に把握したいと考えておるわけでございます。行管の御指摘に、将来統計調査の仕事を野菜の作付面積なりあるいはその作況というものに十分利用しろという御指摘がございます。私は、当然そういうことで、農林省の統計調査部の機構でそれが的確に把握されるということを期待しておるわけでございまして、今後私たちといたしましても、統計調査部とも十分連絡をとりまして、その仕事の充実につきましてお願いをし、またその資料についてはこれを十分利用して、今後の野菜対策をやっていきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/21
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022・兒玉末男
○兒玉委員 この行政管理庁の監察報告にも書いてあるとおりに、「農林省統計調査部の調査結果を活用するとともに、現地においても、その下部機構である地方統計調査事務所と直接の連けいを密にし、正確な資料にもとづいて、生産出荷の調整を行なうこと。」ということが明確に指示してありますけれども、本法案には、そういうような農林省機関等との調整などということは全然うたってないと思うのです。その点、いま局長の答弁で幾らかわかったわけですが、そういうふうなせっかくの機構があるのが、本法案の制定の際に全然考慮されていないように私は思うのですが、その辺はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/22
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023・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この法案には、先ほど申しましたようなことは織り込んでないわけでございますが、予算措置あるいは統計調査部の調査というものは、この法案に織り込みませんでも、当然これを利用して、できるだけ一般に作況あるいは収穫予想量というものを周知徹底させる、その上に立ちまして、農協その他の団体が自主的に出荷の問題についていろいろ調整をやるということが必要だと存ずるわけでございます。何ぶん、先ほども申し上げましたように、野菜の作況調査というのは非常にむずかしい問題でございます。統計調査部がこの仕事を本格的にやり始めるという体制になりましたのも最近でございます。米の収穫調査、予想収穫量というものが完全になりましたのも、やはり相当の年月を要しておるわけでございますので、やはり今後いろいろの方法で、その把握方法、サンプリングの方法というようなものにつきまして、統計調査部のほうで十分御検討願いまして、的確な数字が迅速につかめるように私たちも期待しておりますし、またそれにつきまして、私たちが行政に利用することにつきましては、十分これを行なっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/23
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024・兒玉末男
○兒玉委員 この法案の全体を通じて考えることは、とにかく生産者関係については相当思い切った方策がとられておるけれども、先ほど経済局長も答弁されましたが、流通機構の改善等を通じて、消費者に対しましてもやはり安定した価格で供給すべきだと思うわけです。そういたしますと、いままで再三の答弁にもありましたとおり、需給関係その他あらゆる角度から判断いたしましても、消費者に対して確実に安定した価格で供給できるというような確信のある御答弁がなかなか引き出せないわけですけれども、少なくともこれまでの生産者を中心とする法案ができたならば、当然消費者に対しましても、安定した価格で供給できるためには、やはり野菜価格に対して一つの安定のめどというものを明らかにしていくべきではないか。いわゆる標準価格といいますか、あるいは一定の限度以上は上げないとか、こういうような一つの標準価格的な点をやはり明らかにしていく必要があるのじゃなかろうかと思うのですが、この点についての見解を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/24
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025・小林誠一
○小林(誠)政府委員 野菜の価格の水準をどこに置くべきかという問題でございます。これは非常にむずかしい問題でございまして、考え方によりますと、一つは、消費支出の中で、野菜に対する支出は幾らであるべきかという接近のしかたもあろうかと思いますけれども、しかし、現実の問題といたしまして、大体消費支出の中で、野菜に対しては三%ちょっとのところが消費支出になっておりまして、食糧支出の中では、家計調査によりましても、大体食糧費の八%というのを占めております。その比率は変わっていないのでございますが、値段が上がって、消費量が少ないのじゃないかという問題もあるかと思います。そこで、なかなかこれはむずかしい問題でございまして、そちらのほうからも接近がなかなかむずかしいということでございます。また生産費が償うかどうかという問題からの接近のしかたも、これも御案内のとおり、野菜についての生産費の調査というものは非常にむずかしいわけでございます。もう一つむずかしい問題は、野菜につきましては、ホウレンソウというものを一つとりましても、これは非常にやわらかい、いいホウレンソウから、非常にたけが伸びて、とう立ちのホウレンソウまであるというようなこともございます。そういう意味で、どうしてもそれぞれ規格というものをきめて、それによった価格という問題が非常にむずかしい問題でございます。それから戦時中の統制時代でございますれば、どろがついていた野菜という問題もあったのでございまして、そういう意味におきまして、なかなか一がいに、価格が幾らであるべきか、また個々の品目の価格は幾らであるべきかということを見出すことはむずかしいわけでございまして、したがいまして、そういう意味におきまして、本法案では、そういう標準価格というものの設定あるいは個々の価格の設定というものがむずかしいということで、その点は、私たちの対策では、現在のところ考えていないわけでございまして、むしろ、そういうことよりも、将来にわたりまして、なるべく価格が安定して消費者の口に入るようにということがこの法案のねらいでございまして、お話はよくわかるのでございますけれども、どうも技術的に非常にむずかしいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/25
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026・兒玉末男
○兒玉委員 消費者価格と生産者の関係というのは、非常に微妙な関係にあると思いますが、いずれにいたしましても、暴落した場合は保護をされるけれども、上がる場合は野放しということでは、一本くぎが抜けておる。いまの局長の足りない答弁でありますが、この点、せっかく安定法でありますから、やはり暴騰する際には何らかの歯どめをする、こういう一つの構想くらいは検討してもいいのじゃないかと思うのです。政務次官がお見えになっておりますが、下がるほうは保護して、上がるほうは野放しということでは、消費者不在だというきめつけをされても全く答弁の余地なしということですが、その点、ひとつ次官として、上がる分は全くやむなしというお考えなのか。何らかこれらの対策を考慮する必要があるのじゃないかと私は思うのですが、この点政務次官の御答弁をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/26
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027・仮谷忠男
○仮谷政府委員 兒玉先生の御意見はよく了解できるわけですが、この法律自体が野菜の生産、出荷の安定というのが趣旨でありまして、法律には限界が一応できておるわけであります。ただ、私どもは、野菜が暴騰することを防いで消費者を守る、暴落することを防いで生産者を守っていく、そういう意味で、あくまでも暴騰、暴落を防ぐための生産、出荷安定をはかる、そうして結論的には、いわゆる卸売り価格というものを安定することによって、生産者も消費者もある程度利益を保護することができるという考え方に立っております。それが第一の眼目ではないかと思うのです。それが十分に徹底すれば、私はその目的の大半が果たせるのじゃないか、こういう考え方を実は持っておるわけでありまして、お説のように、確かに暴落のときには農民を保護する方法はできておりますけれども、じゃ、暴騰するものを、それをした場合に、どこで限界をつけるかということになりますと、たとえば、牛乳とか卵とか肉というぐあいにはなかなか野菜はいかないことは、これは御理解がいただけると思うし、技術的な問題として非常に、おそらく不可能に近いほどのものじゃないか。要するに、暴騰を防ぐことに全力をあげていくということになれば、おのずから常識的なところに安定をしていくのじゃないか、こういう考え方を持つわけです。そういう観点から、先ほどいろいろ議論のありました、たとえば供給量をどうして把握するかという問題等も出てくるわけですが、これは私は、単に農林統計、いわゆる作況報告といったものだけで十分に供給量の把握はできないと思う。したがって、やはり生産出荷の体制というものを十分に整備するなれば、おのずから私は供給量の把握というものはできると思う。現に、私の県の高知県なんかはそれでやっておりまして、年間通じてキュウリがどれだけとれてどれだけ出荷をする、しかも、毎日どれだけのものが出るというぐあいに十分把握ができております。そういうふうに体制が全国的に整えば、その問題は相当伸展ができるんじゃないか、こういう考え方を持っておるわけでありまして、需給のバランスをとるような生産安定を考えることに全力をあげて努力をいたしてまいりたいと思います。御答弁には十分ならないかもしれませんけれども、法律そのものがその点が限界でございますので、御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/27
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028・兒玉末男
○兒玉委員 抽象的で理解できないわけですけれども、先ほど園芸局長が答弁されたように、品質の改良だとかあるいは規格の統一とか、また包装等を画一的にする、こういうような内容面における改善というものができてくれば、ある一定の商品に対する上限価格等をきめることは決して不可能じゃないのじゃないか。しかも、これからコールドチェーン等を通じて、先ほど経済局長も答弁されましたが、野菜等のいわゆる貯蔵という面等もやはり改革していくならば、いま次官なり局長が不可能に近い答弁をされましたが、私は、この点は決して不可能ではない、そういう側面的な改革というものを通じて、上限価格等の設定を通じて暴騰を防ぐことは決して不可能じゃないと思うのですが、もう少し前向きの姿勢で答弁していただきたい、このように考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/28
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029・仮谷忠男
○仮谷政府委員 どうも、不可能ということばは、あるいは私の言い過ぎだったかもしれません。そういうことばはないはずでありますが、いずれにしましても、非常に困難な問題でありますけれども、いずれ、そういう問題も検討されなければならぬ時代もくるかもしれませんし、もちろん前向きで検討することにやぶさかではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/29
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030・兒玉末男
○兒玉委員 経済局長にお伺いしたいのでありますが、価格の問題は大体この程度にして、次に移りたいと思うのですけれども、これから理想とする形態というのは、特に生産から消費までの過程を太く短くするというのが流通改革の結論だと私は思うのです。そういたしますと、これから生産から消費までの過程における大体中間経費の節減以外に、価格の暴騰を防ぎ安定をはかる道はないと思うのですが、流通段階の合理化というのは、一体どういう点が理想的な形態なのか、中間経費というものは、大体生産者価格との比率においてどの程度が最も理想とする形態なのか、この点、局長の御所見を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/30
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031・森本修
○森本政府委員 中間段階なりあるいは中間経費のあり方でございますが、先ほど申し上げましたように、抽象的に言いますと、できるだけ中間段階が簡素で、かつまた、流通なり輸送のパイプが太くてということが理想であろうと思います。しかし、現在必ずしもそういう状態になっていないということには、やはりそれ相当の事情があると思うのでございます。この前も申し上げたかと思うのですが、たとえば、生産なり供給の体制にいたしましても、漸次改善はしつつありますけれども、いまなお零細かつ分散的であるというふうなこと、あるいは消費の形態にいたしましても、多種類のものを少量ずつ毎日買っておるというふうな消費の形態、あるいは小売り業の段階にいたしましても御案内のような事情になっております。そういうふうな生産と消費の両末端が、いずれもかなり零細であるというふうな形でありますから、現在のように市場の中へ持ち込んでくる、市場を通じてまたこまかく分配をされる、こういうふうな形態が支配的になっておるということ。それからもう一つは、やはり先ほど園芸局長がお答えになりましたように、必ずしも規格が十分整っておりません。したがって、取引をするにも、必ず現物を見て確認をしないと、なかなか値がつかぬというのが現在の野菜の取引だろうと思います。したがって、一たんは中央卸売市場なりそれに似たような市場に持ってまいりまして、そこへ売り手と買い手が集まって値ぎめをするというふうなことが行なわれておるわけです。したがいまして、そういった現在の流通複雑といいますか、そういった流通形態が改善されますには、やはり野菜全体について、生産なり出荷、あるいは小売り、消費の段階といったようなものが漸次改革をされてくるということが、条件整備の第一であろうと思います。それから、先ほど言いました規格化を進めていくというふうなことも、取引を改善する上の非常に大きなポイントになるであろう。また、技術的な問題が解決されて貯蔵が進んでいく、あるいは冷凍、冷蔵のままで輸送がされるというふうな、輸送なり貯蔵の手段が整備される、これは将来技術開発に待つべき点が非常に多いと思いますが、そういうふうないろいろな条件が整備され、その上に立って野菜の流通機構というものも簡素、強力になってくる、こういうふうに私どもは思っております。そういった条件の一つ一つについて、おそらくかなり長期的に、また、根気よく政策を続けていくということが基本的に必要ではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/31
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032・兒玉末男
○兒玉委員 これも特に経済局長にお伺いしたいわけですけれども、今回の法案が人口集中度の高い大都市周辺に一応限定をされておるわけでありますが、このことによって、むしろ私は、生産をするところの地方都市へも、大都市への集中によって波及効果をねらっておるわけですけれども、現実には、生産者価格のいわゆる安定ということと、出荷団体なり生産者がどうしても中央市場に集中する結果、地方都市の需給関係のバランスがくずれて、大都市よりもむしろ地方都市において価格の暴騰、暴落という現象が起きまして、大都市からの安定した価格の波及効果というよりも、むしろ逆の結果を招くようなことが予想されるんじゃないかと思うのですが、この点についてはどういうような対策を講じようとしているのか、この点お聞かせをいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/32
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033・森本修
○森本政府委員 中小都市における市場の整備の問題であろうと思いますが、現在、たてまえとしては、中央御売市場法では人口十五万以上の都市に中央卸売り市場が設立できる、こういうふうなことになっております。私どもとしても、できるでけ、大都市ばかりでなしに地方の都市に対しても中央卸売り市場が開設されるように指導をしてまいりましたし、将来もしていきたい、こう思っておるわけです。現状を簡単に申し上げますと、現在、中央卸売り市場が設置せられております都市が二十三ございます。もちろん六大都市も含め、かなりな都市に中央卸売り市場が設置されておるわけです。それから、さらに近々の間、ここ一、二年の間に四都市ぐらいに中央卸売り市場が設置せられるであろう、こういうふうなことになっております。なお、そのほかに、十数都市で中央卸売り市場をつくろうということで、地元で準備ないし相談中である、そういう状況でございます。十五万以上の都市ということになりますと八十ぐらいになるわけですが、そういう都市にまんべんなくというふうな指導をしておってもいかがかというふうに思いますので、将来は、私どもとしましても、残っております都市のうちで比較的人口が大きい、かつまた、生鮮食料品の消費の傾向を見ますと、かなり増加をしそうであるというふうな都市を重点的に指導いたしまして、中央卸売り市場ができるだけ早期に開設されるように努力をしていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/33
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034・兒玉末男
○兒玉委員 この市場整備の点は、明日農林大臣にも特に要望したいと思っておりますが、これに関連しまして園芸局長にお伺いしたいわけですけれども、この法律においては、大体四大都市にこれがきめられておるわけです。この中で、特に集中度の高い大都市及びその周辺の地域を政令によって指定消費地域とすることになっております。本年度においては京浜、中京、京阪神及び北九州を予定しているわけですけれども、この中で京阪神地域において姫路が含まれておりながら、京浜地域におきましては千葉が含まれていないように聞いておるわけでございます。この消費地域の指定の設定の基準と、本年度この四大消費地域だけに限定した理由は一体どこにあるのか、この点についてお聞かせをいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/34
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035・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この消費地域を指定いたしますときの基準でございますが、これは相当人口の集中が大きく、したがいまして、野菜の消費量が大きいということ、それから、やはりそこにおきます野菜の価格形成が全国の野菜の価格に相当大きな影響を及ぼすという観点から、お話しのように四大消費地域を指定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。大体その四大消費地域の中央卸売り市場に出荷されます野菜の量でございますけれども、年間二百五十万トンぐらいになるわけでございます。全体で流通します野菜の量が約八百万トンでございます。もっとも、その四大消費地域の類似市場も含めますと、二百五十万トンでなくて、おそらく三百万トンぐらいになるだろうと考えるわけであります。そうしますと、大体八分の三くらいのウエートになるわけでございます。そういうことで、この四大消費地域を指定したいというふうに考えておるわけでございます。
御指摘の京浜地域で千葉が入っていない、あるいは京阪神地域でなぜ姫路を入れたのかという御質問でございますが、千葉の状況でございますけれども、大体中央卸売り市場に出荷されます野菜の九割方ぐらいが千葉県産でございます。野菜の生産地でございますし、千葉県は御案内のように非常に野菜の生産が多いわけでございます。ところが、姫路の場合ですと、県外から相当多量の野菜が入ってまいります。したがいまして、たとえば四国から野菜を出荷いたします場合に、京都、大阪、神戸という都市のほかに姫路というものも入れまして、それを一まとめにしまして一つの京阪神地域という出荷計画をするほうがよりいいのではないか、また、その地元の方々にしましても、相当県外の野菜にたよっておられるわけでございますので、したがいまして、そういう理由から姫路は入っておりますけれども、千葉はその指定をしなかったというような考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/35
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036・兒玉末男
○兒玉委員 この点、もう少し私も研究して、さらに御質問したいと思いますが、いずれにいたしましても、先ほど経済局長にもお伺いしましたように、三十八年の流通機構の改善要綱の際にも特に指摘されているとおり、一応十五万以上の全都市に中央卸売り市場を設けなさい、こういうようなことが決定されております。そういう点等々と関連いたしまして、やはり四大消費地域だけでなくして、こういうふうな、少なくとも十五万以上の都市のその地域をもこのようないわゆる指定消費地域に指定して、生産出荷の安定、そうして特に野菜価格の生産、消費、両方の安定をはかるべきだ。この点、農協関係の団体からも指定消費地域を拡大すべきだという意見が出されておりますが、今後の地域の拡大についてどういうようなお考えを持っておるのか、この点をお聞かせいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/36
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037・小林誠一
○小林(誠)政府委員 十五万以上の都市は、先ほど経済局長からお話がございましたように八十幾つかあるわけでございます。それから千葉の例でも申し上げましたように、大部分が県内産の野菜でまかなわれておる都市が多いのだろうと思います。そういう意味から、この中央卸売り市場というものが設けられますのは、当然野菜の流通秩序の観点から非常に好ましいことであるわけでありますけれども、これにつきまして、指定産地を設けるという観点に立ってこれを見ました場合に、その都市の近郊蔬菜というものは一つのまとまりがあって生産されるものではございません。いろいろな野菜がオート三輪その他の小さな運搬車をもって運ばれるというのが多いのだろうと思います。したがいましてそういう意味で、指定産地、集団産地というものを育成していくという観点から考えましたときに、その十五万都市を全部指定消費地域にするということはむずかしい問題だろうと存じます。しかし、お話の点で、単に四大消費地域に限らないで、もっとその範囲を拡大すべきじゃないかというお話につきましては、今後のその地域の野菜の消費量あるいは中央卸売り市場に集まります県外の野菜の量というもの等も検討いたしまして、将来の問題としてこれは検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/37
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038・兒玉末男
○兒玉委員 若干質問の内容は前後しますけれども、先ほど経済局長にお聞きするのを一点抜かしておりましたが、地方都市の需給関係も含めて、特に北海道だとか東北方面のように、冬場に非常に野菜が不足する、こういう地域に対してはほとんど考慮がされていないわけですけれども、先ほども御質問しましたように、地方都市の市場整備も含めて、こういうふうな北海道なり東北等の冬場に野菜の不足する地域における対策というものはどういうふうに考えておられるのか、この点お聞かせいただきたいと存じます。どちらでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/38
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039・小林誠一
○小林(誠)政府委員 北海道、北陸、東北という地域の冬場の野菜の問題でございます。例を札幌にとりました場合に、大体冬場に道外から札幌の中央卸売り市場に入荷いたします野菜が一万七、八千トンではないかというふうに記憶いたしております。しかも、いろいろの種類の野菜を合わせて一万数千トンでございます。したがいまして、そういう意味で、札幌に対して近くに一つの指定産地というものを指定するということは、その量の上からいきましてなかなかむずかしい問題でございます。しかし、積雪地帯の冬場の野菜の問題は、最近の生活様式が変わってまいりました点から申しまして、当用買いが非常にふえておるという現実もあるわけでございます。そういうことから、やはりこれに対しては、スムーズに冬場野菜が供給されるような方策を考える必要はあるというふうに考えておる次第でございまして、大体札幌に供給されます供給国、野菜の生産は、関東地方あるいは東海地方というところからこれが出されておるわけでございます。したがいまして、北海道庁と関東各県なりあるいは東海の各県にお集まり願いまして、どの県から大体冬場にどのぐらい札幌に出すのだというようなことをお打ち合わせをしておるわけでございます。そういうことで、最近におきまして、札幌の冬場の野菜が非常に高くて弱ったということも聞いておりません。今後も、そういうふうに出荷いたします県と北海道あるいは北陸という各県とお集まり願って、いろいろ打ち合せをいたしまして、スムーズに流すということにつきましては、今後も園芸局が中心になりまして努力いたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/39
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040・兒玉末男
○兒玉委員 この指定消費地域の指定については、明日また大臣にも特にただして、今後拡大の方向にひとつぜひ検討していただきたいと思っております。
次に、指定野菜の関係でございますが、この第二条の二項によりまして、当面六品目が予定されておるようであります。しかし、実際指定する野菜とは一体どういうふうな根拠に基づいてやっているのか、さらには、実際三十九年度の市場への入荷量等から見ますと、この六品目のほかに、ニンジンだとか白ネギ、バレイショ、サトイモ、カブその他洋菜等、将来相当私は需要の増加が予想されるものがあると思うのです。たとえばレタスだとかピーマン、こういうもの等は、ほとんどの家庭が消費しているんじゃないかと思っておるのですが、この野菜指定についての方針というものは一体どうなっておるのか。さらにまた、私は、今後指定野菜というものを需要に応じて拡大していく、この法律の条文では、単に「消費量が相対的に多く又は多くなることが見込まれる野菜であって、」ということでございます。そういう点からいきますならば、やはりこの六品目以外に、申し上げました点等も十分考慮していくべき問題じゃないか。しかも、今日、露地栽培じゃなくて、施設等が相当整備されまして、いわゆる四季を通じまして、ほとんど一時期に集中するような形態でなくて、今後恒常的に出荷をされる状態というものは、すでにもう現実に起きているわけですが、そういう点から、指定野菜に対する御見解を承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/40
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041・小林誠一
○小林(誠)政府委員 指定野菜の指定の基準でございますが、これは消費量が多い、また裏返して言いますれば生産量が非常に多い、したがいまして、国民生活上非常に大きなウエートを持っておるというものを逐次指定いたしていきたいということを考えているわけです。それからもう一つは、やはり指定産地というまとまりを持った集団産地を育成していくという観点に立つわけでございます。したがいまして、相対的には量は多いけれども、それは主として都市近郊でばらばらにつくられておるということで、集団産地として育成するということが非常にむずかしいという種類のものもあるわけでございます。そういう観点から、先ほど申し上げましたような基準によりまして六品目を指定いたしたいというふうに考えておるわけでございます。
この六品目に次ぐものといたしまして白ネギあるいはニンジン等ございます。これらにつきましては、将来これを追加する方向で検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。一時期に集中するということ、たとえば従来ならば、トマトでございますとかあるいはキュウリ、これは夏場のものでございます。それが次第に周年化いたしております。私たちといたしましても、そういう意味で、需要の動向から見まして、夏場のキュウリあるいはトマトということでなくて、それぞれ一年を通じましたキュウリあるいはトマトというものの供給を円滑ならしめるということで、指定産地につきましても、そういう観点で指定産地を種別ごとに指定しておるわけでございます。
なお、レタス、ピーマンでございますが、これにつきましては、最近非常に伸びておるわけでございまして、レタスでは、過去七、八年の間に三倍半ぐらいに伸びております。そういうことで、大体国民の消費生活の中にこれは入ってきておるわけでございます。しかし、まだその生産量、収穫量から申しまして、これは五万トン程度の生産でございます。そういう意味から、今後需要の伸びあるいは国民消費構造の変化というものによりまして、どうしてもレタスなりあるいはセロリというものが国民の生活必需品として中に入ってくるという場合には、そういう動向を見きわめました上で、これを検討いたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/41
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042・兒玉末男
○兒玉委員 この点、いままでの需要の動向等は十分把握した結果、一応本年度六品目が決定されたものと思うわけですが、やはりこれから食生活の傾向というものが年を追うて相当変わってくることも予想されますし、この辺の扱いについて、ひとつ十分検討の上、今後できる限り拡大をしていくべきではないかと思うのですが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/42
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043・小林誠一
○小林(誠)政府委員 御指摘の線に沿いまして検討いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/43
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044・兒玉末男
○兒玉委員 次に、農林大臣は関係都道府県知事の協力を求めて学識経験者等の意見を聞いて指定野菜の需要の見通しを立て公表しなければならない、こういうことになっておりますが、こういうふうな指定野菜の需要の見通しというものは大体毎年これを公表するのか、あるいは一定期間置いてそういうふうな見通しを公表するのか、この辺はどういうふうになっておるのか、その点明らかにしていただきたい。また、学識経験者の意見を聞くということになっておりますが、この構成等はどういう点を考えているのか、この二点についてお聞かせをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/44
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045・小林誠一
○小林(誠)政府委員 何年後の需要の見通しを公表するのかというお話でございますが、私たち考えておりますのは、大体五年後の需要の見通しというのを立てまして、それをもとにいろいろ指定産地の指定というようなものも行ないたいというふうに考えている次第でございます。
学識経験者でございますが、これは需要の見通しでございます。したがいまして、消費についての学識経験という点、あるいは流通の関係、また、それを満たし得るかどうかという点におきまして、生産、流通、消費各段階の学識経験者からいろいろその御意見を承った上で、これを決定いたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/45
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046・兒玉末男
○兒玉委員 これは多少前後する点もありますけれども、特にお聞きしたい。あとのほうの価格補てん制度のところでございますけれども、大体指定地域の中央市場を通す分だけが暴落した際の対象になっておるわけですが、やはりこれから流通機構がとにかくこういう前提に立っていきますならば、いわゆる生産地から大口の工場だとかあるいは学校給食だとか、こういうふうな直接取引をする機関も相当あるわけで、そういう点から考えますと、その数量なり価格等が確認をされますならば、このような中央市場を通すものだけに限定しないで、やはり価格政策という面からも当然このような大口需要等、こういう施設等の関係に対しましてもこの適用を私は拡大していくべきだと思うのですが、この点どのようにお考えになっているか、お聞かせを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/46
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047・小林誠一
○小林(誠)政府委員 生産地から各消費地域に野菜の流れてくるルートといたしましては、中央卸売り市場を通すもの、あるいは類似市場を通すもの、あるいは大口の需要者に直接生産地から送られるもの、いろいろ考えられるわけでございますが、現在のところ、その大部分が、先ほど経済局長からお話もありましたように、中央卸売り市場を通しているわけでございます。そういうことから、この対象を中央卸売り市場を通すものだけについて対象にいたしたいというふうに考えておるわけでございますが、その理由といたしましては、類似市場の場合ですと、これの報告聴取ということも非常にむずかしい問題があるわけでございまして、現に幾らで仕切られたかという問題、あるいはその価格水準が幾らであったかということが非常に確認がむずかしいという問題もあるわけでございます。また、大口工場の場合も、このような取引価格の確認ということもむずかしい問題でございます。いまのところ、まだ生産地から消費地に直接に渡るというルートは非常に狭いルートでございまして、したがいまして、将来の方向としまして、そういうような方向でその面が拡大してくるということとあわせまして、今後におきまして、その価格補てんの対象を単に中央市場に限らず、生産者なりあるいは消費者なり大口工場に直接渡るものにつましてもこれを広げるということについては、その流通の動向というものを十分に見まして、また、技術的にその確認方法がどういうふうにできるかということにつきましても検討いたしたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/47
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048・兒玉末男
○兒玉委員 この点、特に流通面との関連がありますので、経済局長にもお伺いしたいわけですけれども、いまの園芸局長の答弁は非常に慎重にされておる。もちろん、これは価格なり数量等を明確に確認することが前提であります。同時に、価格形成の面においても、そういう機関等を当然対象とすることによって、いわゆる直接取引が消費者により安い価格で提供されるという点等から考えますならば、やはり単に中央市場を通すものだけに限定しないで、そういうふうな大口需要等なりそういった関係のものについても適用を拡大していくことが、生産と消費を直結させる、同時に、私は、流通の合理化を拡大するという面からもきわめて必要なことじゃないかと思うのですが、この際経済局長の御所見も承りたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/48
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049・森本修
○森本政府委員 園芸局長がお答えになりましたように、他のルートを通りましたものについても取引の数量なりあるいは価格なりは十分把握できるというふうな技術的な問題が解決されるならば、先生の御指摘のような方向で検討していくべきであろうというふうに私も考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/49
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050・兒玉末男
○兒玉委員 次に、野菜の指定産地の点でありますが、特にこの第五条によって、都道府県知事は指定の申し出をすることになっておるわけでございます。この点、やはり都道府県知事は野菜指定産地の指定の申し出をする場合に、特に関係の深い都道府県の農業団体等の意見を十分この際聞く必要があるのではなかろうかと私は思うのですが、この点明文化されておりません。この辺はどういうふうなことになっているのか、この点明らかにしていただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/50
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051・小林誠一
○小林(誠)政府委員 指定産地の指定の方法といたしましては、農林大臣が都道府県知事の意見を聞いて指定をするという方法と、もう一つは、都道府県知事からの申し出に基づきまして農林大臣が指定するという方法と二つあるわけでございます。御指摘のように、この法案では、その指定に際しましては農業団体等の意見を聞くという規定はございません。ところが、指定産地につきまして生産出荷の近代化計画を立てます場合に、知事は農業団体の意見を聞くわけでございます。しかも、その指定産地につきましては、都道府県知事は生産出荷の近代化計画を立てなければならないという義務規定になっておるわけであります。したがいまして、指定産地になりますと、当然生産出荷近代化計画を立てなければならないということになるわけであります。さらに、その生産出荷近代化計画に盛られております内容は、これは土地改良その他でございます。これは農協でございますか、農協連というものがこれの実施主体になるのでございます。したがいまして、その知事がその地域につきまして指定産地の指定の申し出をいたします場合、あるいは農林大臣に意見を述べます場合には、当然その農業団体の意向に反しないでそれを行なうというふうに考えておる次第でございまして、特に法律規定を設けなくても、一連のものといたしまして農業団体の意見というものが反映されるものというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/51
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052・兒玉末男
○兒玉委員 この点、あとでまたいろいろと御要望したいと思いますけれども、野菜指定産地の指定について、農林大臣は指定野菜について一定の要件に従って産地指定をするということになっておるわけでございます。この指定産地の年次別の計画は一体どのようになっているのか、また、現行の指定基準と、この法律の施行後の指定の規模、あるいは消費地域への出荷の比率等についていろいろと基準の相違もあるのではないかと私は思うのですが、この点いかようになっているのか、お聞かせいただきたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/52
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053・小林誠一
○小林(誠)政府委員 昭和四十年産末までに指定いたしました産地は、これは四品目でございますが、キャベツ、白菜、トマト、キュウリの四品目につきましては百九十八指定いたしました。さらに本年度は二品目を追加いたしまして、本年度末までに三百十の指定産地を指定いたしたいというふうなことで、その予算措置も講じておるわけでございます。先ほど申しました百九十八の指定産地も、当然この法律に基づきます指定のし直しということも含めまして、本年度は三百十の指定産地を考えておるわけでございます。
将来の問題でございますが、これは来年度からの話でございまして、数としては確定いたしておりませんけれども、おおむね各品目とも四大消費地域に出荷されますそれぞれの野菜の量の七割以上をカバーするということで指定を進めていきたいというふうに考えておりますが、そうなりますと、大体六品目で五百産地くらいになるんではないかというふうに考えておるのでございます。
現在の指定基準でございますが、これはいろいろ例外はありますけれども、おおむね露地栽培につきましては五十ヘクタール、施設栽培につきましては三十ヘクタール、そういう基準でやっております。また、出荷量につきましては、大体その半分が指定消費地域に出荷される。また、共販の率でございますが、そういうものについても基準を設けておるわけでございます。この法律に基づきます指定につきましては、従来の方針を踏襲しつつ、なおその点につきましては弾力的に、先ほど申しましたような七割以上をカバーするというような観点から、基準につきましては、将来弾力的にこれを運用いたしていきたいというふうに考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/53
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054・兒玉末男
○兒玉委員 これは、ここの条文のところではないのですけれども、産地指定の問題に関連しまして、この対象野菜というのは、いわゆる生食用の野菜に限定をされていようかと思うわけです。しかし、私は、今日の国民の消費部門別の動向というものを見ておりますと、生食用以外に加工用の需要も相当大きいわけであります。たとえば、白菜だとか大根とか、そのほかにつけもの用として、特に白菜、大根等が相当使われておるのではないか。同時にまた、トマト等を原料とするジュース、ケチャップ、こういうふうな加工用の野菜も相当集団的に栽培をされていようかと私は思うわけです。そういたしますならば、このような生食用以外の加工用の野菜等についても、やはり産地指定なり、また対象野菜として当然考慮に入れるべきだと思うのですが、この点どういうふうにお考えになっておるのか、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/54
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055・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この法律案の目的が、最近問題になっております生鮮野菜の供給ということが中心でございます。したがいまして、加工用の対策ということは直接には考えていないわけでございます。たとえば、トマトの場合には加工専用の品種がございます。ダルマでございますとか、ローマでございますとか、加工用以外に生食には回らないというような品種がございます。また、産地としましても、四大消費地域には指定しないで、ほとんど加工用に回すという場合もございます。そういう場合は、この対象にはなってまいらないわけでございます。しかし、御案内のように、大根を例にとりましても、これはたくあん用である、あるいは生食用であるということは、必ずしもはっきり分かれていなくてつくられておる場合が多いと思います。そういう場合には、当然加工用に回ります分もその対象に入ってくるということはあろうかと思いますが、加工専用というものにつきましては本法の対象には考えていないわけであります。もっとも大根の場合等につきましては、これがたくあんに回るということが生食用の価格安定ということにも通ずるものでございます。したがいまして、そういう意味で加工を全然ネグってしまったというものではございませんけれども、加工専用の品種あるいは加工用の野菜だけをつくっておる産地というものは、この法律の対象にはなりがたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/55
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056・中川俊思
○中川委員長 午後一時半より再開することといたしまして、この際暫時休憩いたします。
午後零時二十九分休憩
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午後一時四十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/56
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057・倉成正
○倉成委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
野菜生産出荷安定法案を議題とし、質疑を続行いたします。林百郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/57
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058・林百郎
○林委員 野菜生産出荷安定法案に関連して、私質問いたしますけれども、よく、野菜の小売り値段が非常に上がった上がったということを聞いておるのでありますが、ここ三年間、四十年からさかのぼって三十八、三十九、四十年の間に、野菜の値段が小売りと卸と生産費と三つに分けて、パーセントでどのくらい上がったかという数字、わかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/58
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059・小林誠一
○小林(誠)政府委員 お尋ねの三十八、三十九、四十年の数字でございますが、パーセントで出します場合に、実は三十五年を基準に作業をいたしてきたわけでございます。したがいまして、三十五年をベースに五年間でどのくらい上がったかということでお答えいたしたいと思います。三十五年を一〇〇といたしまして、小売りの価格でございますが、これは総小売り店について毎月調査をしておるわけでございます。一九六・七%、約九七%のアップでございます。それから卸売り価格でございます。卸売り価格につきましては、これは中央卸売り市場に入りました数量でございます。それで卸でせりました価格をその数量で割ります。そういうことで全野菜について計算いたしますと、これもまたやはり一九五%ぐらいになったかと思います。それから生産者のほうでございますが、これは統計調査部で庭先価格の調査をやっております。ところが、四十年の末の調査がまだ出ておりませんですけれども、昭和三十九年末で比較いたしますと、大体九〇%ぐらいのアップになっております。総じて申しますと、大体各段階ともここ五年間に二倍近くになっておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/59
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060・林百郎
○林委員 小売り価格に比較して生産者価格はどのくらいの比率ですか。——もし何でしたら、四十年度の調査があったら四十年度の調査でいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/60
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061・小林誠一
○小林(誠)政府委員 実は先ほども申し上げましたように、それぞれ調査の方法が違っておりますものですから、それぞれずばりそのもので比較するわけにはなかなかまいらぬと思うわけであります。もっとも、その数字はあるわけであります。それで、いまのどのくらいのパーセントになっておるかという関係でございますが、これにつきましては、むしろ、先ほど申し上げましたように、各調査の方法が違っております。したがいまして、伸び率として見ます場合は、わりあいに正確なんでございますけれども、その間に何倍になっておるかということにつきましては、むしろ追跡調査と申しますか、生産地で出された品物が、同じ品物が小売りでどのくらいになっておるかという追跡調査が一番正確なんだろうと思います。それの結果によりますと、午前中もお話が出たわけでございますけれども、この方法としまして、統計調査部でやっている調査がございます。それから東京都が毎年生鮮食料品の追跡調査というのをやっております。それの数字を御説明申し上げますと、昭和三十九年に東京都が追跡調査をやりました場合、いろいろ品目によって違っておるわけでございます。まずトマトでございますが、これは産地の千葉から築地を経て小売りにいったという場合でございます。これによりますと、三三・五%、約三分の一が生産者手取りになっております。それからタマネギでございますが、これは北海道から神田、淀橋を通じまして東京に入ったものでございますが、これの生産者手取り価格は三二・七%というようになっております。それから北海道のジャガイモは同じく三二・四%というふうになっております。総じて申しまして、この調査によりますと、大体三分の一くらいになっておりますが、なお、三十七年に農林省で調査いたしましたところでは、手取り率は大体五〇%くらいの例もございます。いろいろそのときの価格によって違うわけでございまして、三十九年に東京都が行ないました調査で、ちょうどキャベツのわりあいに高い時期でございましたが、その高いキャベツの場合には、小売り価格につきまして、大体六二%くらいが生産者の手取りになっております。そういうことで、いろいろ物によりまして、距離によりまして、それからそのときの野菜の価格によりまして、いろいろ農家の手取り率は違っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/61
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062・林百郎
○林委員 そうすると、あなたの言うことをまとめますと、昭和三十九年に東京都で発表している——私の手元にも東京都のがありますが、新聞では先月の八日に発表になったのです。これによりますと、三十九年の小売り価格を基準にしますと、生産者価格はものによって違うけれども、大体三分の一前後、こう見ていいということですね。
そこで、次にお聞きしますが、今度は野菜の生産費の値上がりなんですけれども、これは三十五年を基準にして農産物の価格の値上がりとマッチするような数字がそっちにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/62
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063・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この数字でございますが、野菜につきましては、お手元に資料を差し上げてございます生産費調査というのがあるわけでございます。これにつきましては、実はサンプルの数が非常に少ないのでございまして、そういうことで、野菜一般についてそれぞれの品目別の野菜の生産費を全部それで推定するということは、非常にむずかしいわけでございます。したがいまして、どのくらい各野菜の原単位がかかっておるかということにつきましては、これは非常にむずかしい問題でございます。そういうことでございますので、三十五年に比較してどのくらい生産費が上がっているかということは、ちょっと計数的にはじき出すのは困難でございます。ただ、言えますことは、三十五年に比較いたしまして、農業労働の賃金の推移でございますが、これが大体男女とも三十九年までに二倍に上がっております。そういう意味におきまして、労賃部分が、野菜につきましては、米に比較いたしまして、露地栽培で大体二倍くらいになるかと思います。それから施設栽培では三倍ないし四倍、温室栽培その他についていえば、もっと反当の労働投下量が多いわけでございます。したがいまして、そういう意味で、野菜のコストの中で大きなウエートを占めます労賃部分の値上がりが非常に大きいわけでございます。
もう一つ、先ほど申しましたように、野菜の生産費の調査では、その原単位が平均的なものとして出ておるかどうかというのが疑問でございますけれども、一例といたしまして、また年次がちょっとずれておりますので恐縮でございますが、三十二年と三十三年、その二カ年間の平均と、それから三十七年と三十八年の二カ年間の平均のいわゆる生産費調査から出ました費用の増加というものを出したことはございます。それで、例をカンランにとりますと、その間、五年間に反当一万二千六百五十五円というふうに値上がりになっております。そういうことで、大体六七%のアップということになっております。その値上がりの一万二千六百円というものを一〇〇といたしまして、各項目別構成を見ますと、労働費が六四%ということで一番大きな比重を占めておりまして、農機具費が三〇%ということになっております。その農機具費と労働費というものでほとんど大部分を占めておりまして、肥料はむしろ逆に下がっておるというようなかっこうになっております。もっとも、これは先ほど申しましたように、対象としてとりましたサンプルが違いますので、正確なことは申し上げかねますけれども、総じて申し上げますれば、労働費のアップが一番大きなものであろうというふうに推定されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/63
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064・林百郎
○林委員 四十一年度の農業観測がきょう配付されましたけれども、これで見ますと、いま局長の言うのと違って、農業用品価格の概況は、変動率がかなり高くなるという見通しのものが非常に多い。それから野菜はやや高目になるであろうということで、これでいくと、やはり野菜の値上がりや、あるいは農業用品価格——これはいろいろの項目がありますけれども、このほうがかなり高くなるという見通しで、むしろ、資材のほうの上がる率が高くなるというふうにこれには書いてあるようですが、そうしますと、あなたの言うた、労働費が高くなっているだけで、資材費はそれほど
でないというのと違うじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/64
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065・小林誠一
○小林(誠)政府委員 先ほども申しましたように、生産費調査から、三十二年、三十三年というのと三十七年、三十八年の分を比較したわけでございます。したがいまして、その農家の対象が違うものですから、先ほども申しましたように、それをなまで比較いたしますと、そういう結果になります。確かに資材費の値上がりというものはあろうかと思います。ただ、昨年、四十年でございますが、卸売り価格が四十三円でございましたが、三十九年は三十四円ということでございまして、一キログラム当たり約九円くらいアップしております。昨年は特にそういうことで、農産物の価格が、前年あるいは前々年に比しまして、気象状況もあったわけでございますけれども、比較的高くなっておるわけでございます。そういうことで、この観測におきましては、昨年の春作はわりあい高かったわけでございます。ことしの春作というのは、昨年の春作の高価格というものに影響されて、相当作付がふえるであろうという観測でありました。それからまた、暮れに出ます秋冬野菜につきましては、昨年の暮れになりまして野菜価格が軟調になりまして、白菜等につきましてはキロ当たり六円という相場も十月ごろに出たわけでございます。そういうことで、むしろ若干去年よりは減るであろうというのが観測の結果じゃなかったかと思います。総じて、それを両方合わせました場合に、昨年よりやや伸びるであろうということでなかったかというふうに記憶しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/65
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066・林百郎
○林委員 局長、私がいま質問している前提はこういうことなんです。野菜が非常に高い、そのことが食費の高くなる一つの要因になる。そして何か消費者の家庭生活に重圧を加えているような意見を述べる人がいるわけなんです。そして何か野菜の生産農民と消費者と対立させるような意見もある。しかし、正確な数字を見ますと、小売り価格の約三分の一、よくて五割程度のものが生産農民の所得だ。それに資材費も相当高くだっている。局長はいろいろなことを言っておりますけれども、ことしから来年の見通しについては、野菜の上昇率よりは資材費の上昇率のほうが強く影響するのじゃないかということも見られますので、これもまた生産農民としてはやむを得ない事情だと思うわけです。したがって、いわゆる消費地における野菜の値段の高いということが農民の責任だというようなことで農民に転嫁さして、消費者と農民を対立させるような意見については、農林省としてはどう考えているのか、これは仮谷さんどうです。重大な問題だと思うのですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/66
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067・仮谷忠男
○仮谷政府委員 いろいろそういう誤解を受けるような議論もあるようでございますが、私どもは絶対そういうことはあるべきことじゃないと思います。野菜の価格が上がるのは全部農民の責任だといったような、そういう考え方は持っておりません。そういう観点から、やはり野菜の価格の安定をして、生産者も保護するし、ひいては消費者の家計の安定にも資していこうという考え方で今回の法律を提案したようなわけでございまして、われわれは絶対そういうことは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/67
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068・林百郎
○林委員 局長、意見ありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/68
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069・小林誠一
○小林(誠)政府委員 仮谷政務次官のおっしゃったとおりでございまして、私たちは、野菜の高いというのは、先ほど申し上げましたように、資材費の値上がりということをあげませんでしたけれども、生産コストが相当高くなっておるということから、野菜の価格が上がっておるということが言えるわけでございます。そういう意味で、農家がつり上げているという意味じゃございません。現に野菜の収穫量は伸びておるわけでございまして、むしろ、一方におきます需要が非常に堅調であるという意味におきまして、需給の均衡がとれてないという問題はございます。しかし、その根っこにございます生産費が非常に高くなってきているということについては十分認識しておりまして、機会あるごとにその点については御説明をいたしておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/69
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070・林百郎
○林委員 園芸局で出している資料の二二ページに、総農家戸数の三十五年と四十年の比率がありますね。この三十五年と四十年を比べると、六百五万戸が五百六十六万戸に減っております。野菜収穫農家数は五百四十四万農家が四百八十八万農家に減っておるし、販売農家数は百四十二万戸が百二十万戸に減っておるわけですが、この野菜収穫農家数と販売農家数の(B)と(D)の減少、これは(A)の総農家戸数の減少率と比べるとどうなっておりますか。これはちょっと計算すればわかることですが、わかりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/70
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071・小林誠一
○小林(誠)政府委員 いまここに計算した数字は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/71
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072・林百郎
○林委員 こまかい数字はいいのですが、大体の趨勢としては、総農家戸数の減少比率と並行して野菜収穫農家戸数、販売農家戸数が減少していると見ていいのですか、それとも野菜収穫農家戸数、販売農家戸数の減少率のほうが高いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/72
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073・小林誠一
○小林(誠)政府委員 総農家戸数が六百五万戸でございまして、それが四十年には五百六十六万戸になっております。したがいまして、ここで四十万戸の減になっておるわけでございます。収穫農家戸数は五百四十四万戸から四百八十八万戸になっておりまして、ここでは五十六万戸の減という数字になっております。したがいまして、野菜収穫農家戸数というのは、農家戸数の減少よりも減少率をしては高くなっております。それから販売農家戸数につきましては、百四十二万戸が百二十万戸でございますので、二十万戸の減になっております。したがいまして、やはりその点におきましても高くなっておるということが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/73
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074・林百郎
○林委員 そこで次に、この資料の二四ページを見ていただきたいのです。これにいま局長の言われた生産費の内訳があるわけですけれども、最初に、野菜収穫農家の平均耕作反別は七アールをちょっとこしている、こういうふうにわれわれは理解しているが、それでいいかどうかということと、それから、これは十アール当たりの生産費があって、これを見ますと、さっきあなたが言われたように、圧倒的に労働費が多い。しかし、労働費のうちの圧倒的なものは家族労働になっておるわけですね。そうすると、野菜収穫農家経営というものは、耕作反別も非常に小さいし、それから家族労働が中心としてなされておる、こう見ていいのですか、この統計から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/74
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075・小林誠一
○小林(誠)政府委員 平均の野菜作付面積は、お説のように七アールでございます。したがいまして、非常に零細な作付であるということが言えると思います。それから、やはりほかの農業でも同じでございますけれども、野菜につきましても家族労働が主体になっております。ただ違いますところは、反当の労働投下時間がほかの作物に比べて大きいというところの違いがあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/75
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076・林百郎
○林委員 そこで、労働費でもいいですし、家族労働費でもいいのですが、これは一人一日幾らという基準で計算しているのですか。一日の労働費が幾らという計算をするとこういう数字が出てくるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/76
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077・小林誠一
○小林(誠)政府委員 これは生産費調査でございますので、労働費として計算いたします場合は——これは三十九年の調査でございます。したがいまして、これは全国の平均の農業労働賃金を使っておると存じます。それによりますと、男が一日七百七十五円、女が一日六百十八円ではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/77
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078・林百郎
○林委員 そうすると、労働費ですが、これも決して平均の労働費より高い労働費になっておるとは言えないどころか、非常に安い。失対労働者でもいま一日八百円前後とれるのですからね。そうすると、これは野菜の値段を不当に上げるような高い労働費として決して計算されておるものではない、こういうように理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/78
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079・小林誠一
○小林(誠)政府委員 労働投下時間が多いということを申し上げたのでございますけれども、この農家経済調査は、一番左の欄にございますように、調査いたしました集計戸数の数が非常に少ないわけでございます。たとえばトマトですと三十戸、そういうことでございますので、実態をあらわしているということはむずかしいと思います。ただ、もう一方、三十八年に、これは農家経済調査から接近いたしました数字がございます。それによりますと、これは相当サンプルの数が多いわけでございまして、野菜の部門別収支が出ておるわけでございますが、大体一日当たり、ここに出ております数字程度の家族労働報酬になっております。いずれの側から接近いたしましても、それによりまして高い所得をあげているということは決してございません。
ただ問題は、野菜の価格が堅調で、値段が非常に上がったという場合の収支を計算いたしますと、相当高くなることもあろうかと思います。先ほど申しました農家経済調査は三十八年でございますけれども、三十九年は部門別収支が出ておらないわけでございます。米と野菜を相当つくっておる農家で、全体の経営の中の一日当たりの所得というものを計算した例がございます。それによりますと、大体千円くらいになっております。そういう意味で、必ずしも、ほかの作物に比べて高い労働報酬を得ているということは、各資料を見ましても言えないところであろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/79
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080・林百郎
○林委員 物価の値上がり、家計費の高騰に、野菜の値上がりあるいは生鮮食料品の値上がりが大きな影響を及ぼすというような意見を述べている人もありますので、それと農民の生産費・所得の実際の補償がどういうことになっておるかということを、最初に質問して、あなたに聞きたいと思って、こうやってやっておるのですけれども、そうすると、野菜については、投下労働が非常に量が多くなるということはあっても、単位労働力の労賃というものは、一般の農産物価格を計算するときの労賃が適用されているのだ、野菜だけ特別な単位労賃の計算の数字を使ったのではない、こういうようにお聞きしたわけです。そういうことでしょう。野菜の場合、単位労働の一日当たりの労賃を幾らに計算するか。一日当たりの労賃は一般の農産物価格を計算するときの一日当たりの労賃を使っておるのであって、これは野菜生産だから、野菜の一日の労賃は普通の農産物の一日の労賃より高く計算するのだ、こういうことはないか、そういうことを聞いておるのだが、そういうことでいいかどうか。もともとわれわれの見解としては、野菜に投下された労働の計算にはいろいろの意見があって、われわれとしては不当に安い、こう考えているわけなんですけれども、米価の問題あるいは乳価の問題が農産物価格の計算の重点になるわけですが、そういう意味で話を元に戻して、野菜に投下された労働の単位当たりの労賃というものは、他の農産物の単位当たりの労賃と同じものを使っておるのであって、別に野菜生産農家の労働だから特別な高い労賃で計算しておるのではないということ、こう聞いているのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/80
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081・小林誠一
○小林(誠)政府委員 これは生産費調査をいたします場合の一つのルールでございまして、その土地の周辺の農村の労賃水準というものを単位労働時間に掛けまして、いわゆる労働費を計算しておるわけでございます。したがいまして、そういう意味では、すべて各作物とも同じものを使っておるはずでございます。ただ、その結果が、むしろ純益としてどのくらい残るかということになってまいります。家族労働報酬の場合は、それを含めましたのを労働時間で割るわけでございます。そこには差が出てくるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/81
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082・林百郎
○林委員 野菜に投下された労働の労賃の計算については、付近の労賃とはどういう基準ですか、ルールからいうと。何人平均の経営の労働の賃金が基準になるのですか。付近といったっていろいろあるでしょう。大きな経営もあるし……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/82
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083・小林誠一
○小林(誠)政府委員 その地帯の農業労働賃金というのを統計調査事務所でいろいろ調べまして、そこはたとえば男なれば七百七十五円というふうにして、それをもとに計算をするというふうに聞いております。そういう意味で、それをどういうふうにきめたかという点につきましては、またそれをどこの経営についてとったか、あるいはどういう労働者についてとったかということについては、私不案内で存じ上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/83
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084・林百郎
○林委員 では、四十年度は男と女でどういう計算にしたか、数字はわかりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/84
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085・小林誠一
○小林(誠)政府委員 まだ私手元に数字を持ち合わせておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/85
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086・林百郎
○林委員 さっきあなたが言ったのは三十九年度ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/86
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087・小林誠一
○小林(誠)政府委員 はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/87
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088・林百郎
○林委員 そこで、先ほどあなたから、野菜の需給関係やいろいろで値段の上がるときがある、そういうときの計算だと、一人当たり千円ということもあり得るという話がありました。御承知のように、これは大暴落もあるわけだし、しかもこの法律は出荷の安定とあるけれども、価格の安定も考慮するということも一応うたってあるわけです。そこで、私のほうの計算だと、三十九年度の野菜の総出荷量を金額にしますと約二千九百億、この法案が適用になりますとすると、四十年はどのくらいになり、四十一年は野菜の総生産額はどのくらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/88
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089・小林誠一
○小林(誠)政府委員 これにつきましては、統計調査部で農業総産出額というものを毎年はじき出しておるわけでございまして、それによりますと、これが総生産額でございますから、結局農家の手取りというかっこうになると思います。その数字で申し上げますと、三十九年が三千百三十億でございまして、四十年が最近発表になりまして三千四百三十四億ということで、約三百億くらいの増になっております。四十一年度につきましては、これはまだ今後の問題でございますので、いまのところわからないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/89
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090・林百郎
○林委員 このうち、商品として販売に出すのは幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/90
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091・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この数字でどれだけ販売したかという点は、結局商品化率の問題になるわけでございます。商品化率につきましては、個々の野菜の商品化率の調査というのは非常にむずかしいわけでございますが、ここの私たちのほうで調査いたしました結果によりますと、大体つくられました野菜の三分の一が農家で消費されて、あとの三分の二が販売されるのじゃないかというふうに推定されるわけでございます。なお、経済調査からいたしまして、七五%という数字も出ております。かりにそういうことで三分の二といたしました場合は、大体千二百万トンでございますから、八百万トンぐらいが出されるわけでございますが、その価格の問題になりますと、これは非常にむずかしい問題でございまして、幾らで売られたかということについては、その総額が幾らであるかというのを調査したこともございませんし、またちょっと調査することができないような状況になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/91
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092・林百郎
○林委員 そうすると、この法案の価格補償の対象になる野菜ですね。その販売の総額は四十年度幾ら、四十一年度幾らになる見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/92
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093・小林誠一
○小林(誠)政府委員 販売総額と申しますか、これは、中央卸売り市場に入ります数字は的確に把握できるわけでございますが、類似市場等に入ります数字はちょっとむずかしいわけでございますので、そういう意味で、卸売り市場を通した調査、これは全野菜についてでございますが、それについてお答えいたしたいと存じます。
これは統計調査部で毎年やっておるわけでございますが、それの四十年と三十九年の数字を申し上げますと、二百八十二の都市の青果市場、これに入荷いたしました野菜は昭和四十年で六百万トンでございます。三十九年は六百十万トンくらいになっておりますけれども、約六百万トンが二百八十二都市に出ておるわけでございます。このうちで、中央卸売り市場が設置されてないところもあるわけでございますが、中央卸売り市場の地域においては、四十年度で約半数の三百九万トンが中央卸売り市場を通ずるわけでございます。それで、その中で、四大消費地がどのくらいかと申しますと、約二百五十万トンでございます。二百五十万トンくらいが四大消費地域の中央卸売り市場を通じて出されておるということが言えるかと思います。価格はどうかという点につきましては、ちょっといまその数字を全部計算いたしておりませんので、トン数で申し上げたような次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/93
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094・林百郎
○林委員 そうしますと、まずこの量から申しますと、野菜の総生産量が千二百万トンですね。その中で、販売になるのが六百万トン、そのうち、中央卸売り市場に出るのが二百五十万トンということになると、野菜の総生産のうちの二百五十万トンがこの法律の対象になるのだ、こう見ていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/94
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095・小林誠一
○小林(誠)政府委員 二百五十万トンは、入荷いたします野菜の量の全部でありますが、その中で、六品目につきましてどのくらいのウエートを占めておるかという表がお手元にございます。二十六ページの東京都の例でありますが、五四%、約五五%で、三十九年の東京都の例から言いますれば、その半分以上が対象になるということになろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/95
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096・林百郎
○林委員 そうすると、二百五十万トンの五〇%と見ていいわけですね。この法律の適用対象の野菜の量からいえば、そう聞いていいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/96
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097・小林誠一
○小林(誠)政府委員 御説のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/97
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098・林百郎
○林委員 そうすると、野菜の総生産量の一割、販売の市場に出てくる野菜の約二割、中央卸売り市場に出てくる野菜の約五割という数字になるわけですね。それでいいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/98
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099・小林誠一
○小林(誠)政府委員 さようであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/99
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100・林百郎
○林委員 そうすると、その対象になる農家戸数はどのくらいと見ておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/100
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101・小林誠一
○小林(誠)政府委員 対象になります農家戸数の問題は、これは実は調査をいたしておりません。と申しますのは、指定生産地にいたします場合に、そこの作付面積というものを頭に置いておりますので、その中の農家がどのくらいになるかということにつきましては、指定の基準にもいたしませんし、調査をいたしたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/101
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102・林百郎
○林委員 それから中央卸売り市場に上場される野菜の中で百二十五万トン、これは販売総額にするとどのくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/102
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103・小林誠一
○小林(誠)政府委員 十七ページに表がございます。三十九年度におきまして、ここに入ります野菜が二百四十五万トン、先ほど申し上げましたように二百五十万トンでございます。それの金額でございますが、その金額は八百四十六億六千二百四十万八千円ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/103
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104・林百郎
○林委員 八百四十六億に対して、大体十二億で価格の暴落を補償できるのですか。ことにこの十二億というのは、はっきりまだ政府から責任ある答弁を聞いていないのですけれども、引き続き約六、七億、近く政府はそれととんとんのものを出すとわれわれは聞いておるわけです。その点も聞きますけれども、いずれにしても、総金額にすると、野菜の総金額が三千億近くのもの、上場される市場へ集中されるものは八百四十六億、それに対して十二億の基金で野菜の価格を安定し、出荷を安定させる、少し大げさじゃないかとわれわれは思うのですけれども、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/104
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105・小林誠一
○小林(誠)政府委員 その点でございますが、お話のように約十二億でございます。それで、暴落した場合に十二億円出せる金を積むということでございます。その対象品目といたしましては、カンランとタマネギと白菜ということでございまして、それをいわゆる予約数量と申しますか、何トン分についてやるかということを予約しておるわけでございます。それが三十四万トンになります。三十四万トンを予約いたしますということで——これはまだ白菜については発足いたしておりませんので、カンランとタマネギについて申し上げますと、四大消費地域に出荷されております数量が、カンランにつきまして約十八万八千トンでございます。三十四万トンの内訳といたしまして、カンランが八万七千トンでございますので、大体そういう意味で、四大消費地域に出てまいりますカンランの中で、価格補てんの対象になっておりますのは四七、八%ということになろうかと思います。約半分くらいということになるわけであります。タマネギにつきましては、その数字は全国で二十六万トンくらいになっておりますが、その中で、この対象になっておりますのが十五万六千トンということで、大体五割以上、六割近く、五九%くらいになっております。したがいまして、そういう意味で申しますが、指定野菜が全体の野菜の中に占める割合が小さいという意味におきまして、全体と比較いたしますと、先ほど申しましたようなことでございますけれども、各品目につきまして見ました場合は、相当そのカバー率が高くなっております。そういう意味で、そのものにつきましての効果はあろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/105
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106・林百郎
○林委員 時間が来まして、あまり前提が長過ぎちゃって、あと要約してやります。
野菜の生産出荷安定というような大げさな名前が出ておるものですから、名前と中身とあまりかけ離れておるので聞いておるわけですが、結局、三十四万トンというと、日本の総生産野菜の三%、販売総野菜の六%、中央卸売り市場へ出される野菜の約一割五分くらい、こう見ておるわけですが、そこで、この農家戸数は幾らなんすですか。この対象になる生産量はわかりましたけれども、戸数がわからないことには、近代化計画だって立たないわけなんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/106
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107・小林誠一
○小林(誠)政府委員 先ほども申し上げましたように、この戸数というものをたよりに政策をやっておりませんで、指定産地の作付面積というものを対象にしておるわけでございます。したがいまして、二月当たりどうかということはむずかしいわけでございまして、それからまた現在やっております程度の会員は大体県の単位の連合会が主でございまして、そこで各単協を通じ農家へ渡すものでございますので、その農家戸数が幾らであるかということは、ちょっとこうつかむ仕組みになっておりませんので、その点についての御答弁は御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/107
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108・林百郎
○林委員 国会は、この法案で幾らの野菜が保護されるかじゃなくて、野菜をつくっている農家が何軒くらいこの法案の均てんにあずかるかということが、法案審議の中心なんです。それでわれわれは態度をきめるわけですよ。いくらりっぱな法案が通ったって、五、六百万戸もある農家のうちの一%にも満たないような農家だというときに、そういう場合、政府がいろいろ金を出してやるといったって、われわれそこににわかに賛成できるかどうか、問題になるわけでしょう。だから、法律にうたってあるように、生産及び出荷の近代化の計画を推進する、そして野菜農業の健全な発展、国民消費生活の安定という以上は、この野菜農業の健全な発展をはかること、この法律の適用農家は幾らが対象になるかということが大体出てこないことには、どうにもしようがないじゃないですか。おそらくはんのわずかなものだと思いますがね。だから、実際は農林省はつかんでいるけれども、あまりわずかで、出すと林さんにまたそこを突かれちゃ困るから、言わぬほうがいいだろうということなら、それはそれでいいのですよ。そこはすっと通りますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/108
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109・小林誠一
○小林(誠)政府委員 そういう意図は毛頭ございません。そういうことで、なかなかむずかしいわけでございますが、これまでやっておりました、三十九年度までに指定いたしました指定産地の中の作付農家数というのはございますので、それから推定いたしまして、正確な数字でないかもしれませんが、それで計算いたしますと、一産地約千五百戸でございます。先ほどからお話しになっております五百地区というふうにいたしますと、七十万—七十五万になりますけれども、そうしますと、百二十万販売農家の中の七十五万が対象になるのだということにもなりますが、これの数字は、先ほど申しましたように、全産地について洗っている数字じゃございませんので、いまのような試算もできるということで御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/109
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110・林百郎
○林委員 そうすると、七十万戸という数字が検討に値するものであるかどうかは別として、かりに七十万戸としても、野菜の生産農家の総戸数が約五百二十二万戸ですか、そうわれわれ見ているのですが、その約一割前後というように見ていいかと思います。そういうことですか。もしあなたの出した数字が検討に値する農家戸数として……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/110
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111・小林誠一
○小林(誠)政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/111
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112・林百郎
○林委員 そこで、次の問題ですが、今度は本法の八条の二項二号、「生産出荷近代化計画においては、次に掲げる事項を定めるものとする。」とありまして、「土地改良、作付地の集団化、農作業の機械化その他生産の近代化に関する事項」、こうあるわけですね。そこで、この法案の対象農家になって主産地指定を受けると、この事業を必ず裏づけとしてやることになると考えていいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/112
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113・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この計画は知事が立てるわけでございまして、それに基づきます実施主体は、これは土地改良あるいは共同利用施設が多いと思いますので、農協なりそういうところになろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/113
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114・林百郎
○林委員 どこがやるにしても、いずれにしても、土地改良、作付地の集団化、農作業の機械化、生産の近代化という事業が裏づけとしてなされるというようにわれわれは見ているわけですが、そこで、かりに土地改良としますと、これはさっき私的ではあなたと話していたのだけれども、基盤整備の補助率が四五%、近代化施設が三分の一、あとは原則として生産農民の負担として行なうようになる。負担というのは、借り入れ金という形になるかもしれませんけれども、そうしますと、かりに対象になる農家はさっき言った全日本の野菜生産農家の一割前後として、しかし、それにしても、これだけの負担を平均耕作反別七アール前後の農民が負担するということになると、これは負担し得る農家と負担し得ない農家とがどうしても出てきて、この負担にたえられない農家は、この負担がしょい切れなくなって、野菜の生産からはずれていくということになりませんか。だから、八百億ぐらいに対してわずか十二億前後の基金制度によって、暴落した場合——これは基準価格の算定のしかたも、私は非常に意見がある。五年平均なんて、最近みたいにインフレが非常に進行しているときに、五年平均して、しかも著しく暴落した場合と書いてあるけれども、ある程度暴落した年も除くということになりますと、その保証基準価格が一つ問題になりますけれども、それにしても、わずか十二億くらいのえさで、八百億もの野菜生産農家をつっていこうとしている。しかもその農家は、同時に土地改良、作付地の集団化、農作業の機械化、それからそのほかの近代化方式をやって、五五%を自己負担、近代化施設は三分の二を自己負担しなければならないということになると、これはまさに対象農家が非常に局限されてくるのじゃないですか。そういうこと考えられませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/114
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115・小林誠一
○小林(誠)政府委員 平均面積からいいますと、七アールでございますが、この農家も、作付といいますか、全体の耕地面積の規模からいきますと、相当多いわけでございます。したがいまして、その中の一部分の問題でございます。したがいまして、その点についての土地改良の裏負担の問題ということ、また共同利用施設の裏負担の問題という問題は、一般の融資なりあるいは補助の問題にもつきまとう問題でございますが、この三分の一の補助でございますけれども、これは共同利用施設的なものが中心でございます。だから、たとえば共同防除施設でございますとか、あるいは集出荷施設とかいうものでございまして、直接その農家の借金というものにならぬものが多いのだろうと存じます。したがいまして、そういうことで労働節約的な作業をやりますことによって、当然そこの農家の所得もふえるわけでございますので、そういう意味におきまして、必ずしもこの裏負担が農業経営を非常に圧迫して、脱落する農家が出てくるのじゃないかということにはならぬものだ、こういうふうに考えておりますし、またわれわれとしましても、過重負担にならぬようによく注意していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/115
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116・林百郎
○林委員 たださえ脱落の農家戸数が他の農家より多い野菜生産農家ですから、それがこの基盤整備や近代化施設で膨大な負担を負うことになると、あなたの主観的な意図はわかりますけれども、客観的には、あなた方が考えているのは、相当大規模な農家で、資本力もあって、合理化ができて、そしてコストを安くさせることのできる大規模野菜農業経営を考えているのじゃないですか。——それはそれでいいです。私はそう見ているのです。時間がありませんから、あとでまとめて答えてください。これはそうせざるを得ないのですよ。
それからもう一つの問題点は、野菜の価格についてあなた方がもっと真剣に考えるとするならば、卸売り市場、これは各方々が聞いておるのですが、ここは一体どう考えるのですか。たとえば私たちの持っている数字だけ見ましても、四十年度には約二千億ぐらいの扱いを大手二十五会社がやっているわけですね。これは東京から全国ですけれども、二十五青果会社がやっているわけです。四十年が約二千億、三十九年が千六百六十二億ですか、それから三十八年が千四百二十一億というようにわれわれは見ていますが、数字はもし正確でなかったら直していただきますけれども、私たちのほうの数字では大体そういうように見ております。これで手数料が八%から七%ですから、これがますます集荷の面までいろいろ手を伸ばしてきている。そうしてここが価格の操作——全国で青果会社が大手二十五社、これがほとんど実際上操作をしておりますから、ここで価格の操作が相当できるわけですね。しかも近ごろは、近代企業としても集荷の面までずっと手を伸ばしてきているということになりますと、ここへメスを入れなくて、どうして消費者に対する低廉な価格の保証ということが万全の策と言えましょうか。こればかりとは言いませんけれども、しかし、これは非常に重要な要因であるし、これは各委員がみな聞いている点なんですが、監督と指導の責任ある農林省としては、これはどう考えているのか。まずいまの数字から大手二十五青果会社の扱い高の数字がもしわかりましたら、四十年度だけでもいいですけれども、数字を出してみてください。私の数字でいいかどうかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/116
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117・森本修
○森本政府委員 ちょっと大手何社という数字はいま手元に持っておりませんが、全体の、全国で青果物の中央卸売り市場の卸売り部の扱った金額としましては、三十九年度二千九十億という数字になっております。四十年度はまだ手元に持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/117
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118・林百郎
○林委員 わかりました。
それで、手数料はいろいろのパーセンテージがあるようですが、全国で二千九百億ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/118
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119・森本修
○森本政府委員 二千九十億です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/119
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120・林百郎
○林委員 二千億として、かりに七%平均として百四十億ですか、それが大体二十五程度の大手のところにいっているわけですが、これは取り扱いが保証されているし、額が保証されている。手数料が保証されている。施設は都や公営の施設々使っております。ここに看板を出しているというだけで、これだけの八%から七%の手数料が取れる。これが野菜の価格にはね返ってくる。しかもその価格のきめ方も、ここで売り惜しむか買い惜しむかすれば、自由に操作できるようになっておる。これについては、これは各委員が聞いておりますので、どう考えるか、これは次官と局長と両方にお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/120
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121・仮谷忠男
○仮谷政府委員 いろいろ林さんの言わんとするところはよくわかるのですけれども、中央市場の手数料というものは必ずしもかってに取れるわけじゃございませんから、一応定められた範囲内において手数料を取って、それによって市場運営というものを行なっておる。しかもその市場に出荷される代金決済というものについても、責任を負わなければならぬということは御承知のとおりだと思いまして、決して不当なものを取っておると私どもは考えておりません。ただしかし、手数料もできるだけ安くしようということで、たしか三十八年だったと思いますが、手数料もある程度引き下げをやったことがあると私は記憶いたしております。そういうふうなことをいろいろ考えてみますと、必ずしもそこがすべて暴利をむさぼっておるというふうには考えませんが、改善する余地は大いにあると私どもは思っております。売買にしましても、特別に貯蔵のきくものならともかくも、野菜というものは貯蔵のきかないものですから、持っておって操作をするといったことはほとんどできないのじゃないか。しかも市場の値建てはせりによってやっておるわけですから、そういうふうな御懸念というものはあまり大きく考える問題じゃないものだ。私は、取引の改善といった問題、施設の改善といった問題、これは大いにやるべきだと思いますけれども、改善の余地はたくさんあると思いますけれども、林さんのようなお説の面については、全面的にそのとおりですということを申し上げることは、いささかどうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/121
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122・林百郎
○林委員 これは会社にしなくてもいいのじゃないですか。都なら都とか、国なら国の公の施設によって、手数料は実費だけでやったらいいのじゃないですか。しかも、ここに古い官僚が天下りに行ったり、あるいは荷受け会社から政治献金までされるというようなことまで聞いておるのです。これは風評ですが……。しかし、これは要するに、もうける機関が、日本の大事な生産者と消費者をつなぐその関門を握っておるのですから、これはかりに仮谷さんのおっしゃるように手数料の率を幾らか下げても、取り扱い量をふやせば、そんなことはカバーできてしまうわけです。それから非常に腐りやすいとかいっても、コールドチェーンとか何とかチェーンとか、冷蔵施設も最近はずっとできてきておりますし、若干率を下げたくらいで、ここにメスを入れたということにはならぬわけです。どうしてここへ株式会社というような営利会社を、中間に、しかも決定的な段階に置かなければならないのでしょうか。そこがわからないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/122
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123・森本修
○森本政府委員 卸行為をいたしますところの企業の性格でございますが、確かにいろいろな考え方があり得るかと思うのですが、何といいましても、大量の商品を集荷して、しかも短期間に販売をするというふうな、きわめて商業活動としても敏速かつ的確にやるというふうな必要があるわけであります。そういう場合に、公団でありますとか、政府機関といったようなところにいたしますならば、やはり何といっても、その間に、能率の問題その他そういった生きた商業活動をうまくやれるかどうかというような問題もあろうと思います。そういうことで、従来から卸売り業者というものを厳選いたしまして、中央卸売り市場に配置しておるということであります。また、そこにおいてやっておりますところのいろいろな行為にいたしましても、あるいは業務規定、あるいは受託契約準則といったようなものをかなり詳細にきめまして、届け出をし、あるいは認可をしてやっております。現実にやっております行為についても、随時監督をいたしております。先ほど来御指摘がございましたようなことについても、原則としては全部委託販売であります。したがいまして、自分が買いにいって高く売るといったようなこともやれる余地が少ないわけであります。また、業務の方法にいたしましても、委託を受けたものはすべてその日に販売をするというふうなことでやっております。業務の執行についても、開設者並びに農林省としても、従来から十分監督いたしております。随時毎年検査をいたしまして、その適正を期しておる次第であります。
手数料につきましても、先ほど政務次官からお答えがありましたように、過去数年の実績を洗いまして、三年前に適正な額に引き下げをしたわけであります。
なお、監督上不行き届きの点がありとすれば、われわれとしても将来十分考えていかなければならぬ、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/123
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124・林百郎
○林委員 そうすると、青果会社、荷受け会社の主としたもの、取り扱い高の大きいところ、上のほうから五つくらいでいいのですけれども、年間の配当をどのくらいやっていますか。——手元に持っているものだけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/124
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125・森本修
○森本政府委員 ちょっと各社の配当の数字はございませんが、売り上げ高に対する利益率というもので見てまいりますと、青果全体では〇・八八%というふうな数字になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/125
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126・林百郎
○林委員 それしかわからないのですか。そうすると、配当は全然してないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/126
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127・森本修
○森本政府委員 先ほど申し上げましたような売り上げ高に対する利益率をあげておるわけでありますから、当然配当はしておると思います。ただ、少数の会社につきましては、配当ができないようなものもあるように聞いておりますが、大部分の会社は配当をしておると思います。ただ、どういう会社について幾ら配当しておるかということは、いまちょっと手持ちの資料がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/127
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128・林百郎
○林委員 ただ利益率だけあげましても、たとえば金利が幾らだとか、新しい事業にどう手を伸ばしているとか、償却がどうかということをつかまなければ、そんな利益率だけ出してごまかしたって、私はごまかしだと思うんだな。だって、年間二千億近くも取り扱って、公定の手数料だけでも七、八%とすれば、もう約百四、五十億の金があがっているし、施設は全部国家のものなんだからね。それに対してもっと農林省がどう改革するか、どうそこを民主化するかということをやらなければ、野菜の価格の真の安定と、それから出荷の安定に非常に大きな画竜点睛を欠くことになると私は思うのです。だから、あなたがそんな利益率〇・八八%なんという数字だけでこの国会の質問に答えようと思っても、そういう態度はいかぬと思うのです。たとえば配当はこれだけやっています、あるいは将来手数料についてはこうするとか、監督についてはこうするとか、そういうことがなければ、この荷受け会社に対する農林省の行政的な方針というものはないとひとしいじゃないですか。しかも施設はみんな公の施設、都やそういう地方自治体が提供して、しかも場所が狭いから広くするとか、土地も、そういうものはみんな提供しているわけでしょう。あそこに看板を持っているだけで、しかも最近では、その利益を集荷のほうまでずっと手を伸ばしているから、表面の利益率はそうなったのじゃないですか。そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/128
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129・森本修
○森本政府委員 先ほどちょっと見当たりませんでしたが、配当状況、それぞれの会社についてはわかりませんけれども、全体の卸売り人について総括的な表が出てまいりましたので、申し上げますと、青果で六十一社ございまして、配当をしておる卸売り人が四十九社であります。それから配当していない卸売り人が十二社、三十九年度はこういうことになっております。それから配当の率でございますが、個々のものはわかりませんが、ここにあります数字によりますと、配当しておりますものの平均配当率は約一割ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/129
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130・林百郎
○林委員 一割配当といえば、相当な配当ですよ。しかも農林省では言わぬですけれども、さらに荷受け会社を大型化していく、集中し、独占していくということも聞いております。この点は、時間の関係で私はもう質問いたしませんが、しかし、非常に生鮮食料品に対して決定的な力を持っている荷受け会社についての農林省の国民を納得させる政策というものが出ないことは、私は非常に遺憾だと思うのです。この点については、将来さらに農林大臣にお聞きしたいと思います。
最後に、私の党としては、こういうことを考えているわけです。真に野菜の生産を拡大し、出荷を拡大させることは、まず第一には、このようなごく一部の農家だけを保護する法案ではなくして、やはり価格の点で生鮮食料品の二重価格制をとって、農民の生産費・所得を十分補償してやる、そうすれば、農民は必ず野菜の生産に意欲を燃やして生産を拡大してくると思います。これは御承知のとおり、野菜の値段に非常に上がり下がりがあるということは、価格の保証がなくて、非常に暴落と高騰が激しいということ、しかもそれをたてにとって今度この法案を通そうとしておるけれども、この法案は、ほんのごく一部のもので、しかもこれは必ずしも価格の安定にはならぬと考えています。二重価格制をやはり貫いてやること。むしろ、この法案でいきますと、低廉な農産物価格、すなわち、標準保証価格がかえってワクになってしまって、野菜を農民が取引する場合に、そこでとめられてしまって、実際の生産費・所得が補償されないという逆の作用をこれに及ぼすのじゃないかというように私たちは考えています。したがって、二重価格制を十分にとること。
第二は、何としても市場ですね。大手二十五社、全部で六十社、そうして四十何社が配当をし、配当率は平均一割。この荷受け会社を民主的にしていくということ。そしてこの荷受け会社の利益が生鮮食料品、ことに野菜等の値段にはね返ってこないような措置を厳重に講ずること。そうして消費者には、政府の責任をもって家計に影響を及ぼさないような価格で野菜を提供する。こういう制度を徹底的に追求することが真に野菜の生産を拡大し、出荷を安定する道だ、共産党はこう考えています。
そういう立場からして、この法案に対しては、きょう質問した範囲ではとうてい賛成できない、これを私の質問の結論にして終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/130
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131・倉成正
○倉成委員長代理 玉置一徳君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/131
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132・玉置一徳
○玉置委員 野菜生産出荷安定法案につきまして御質問申し上げたいと思います。
本法案は、消費者の物価対策が大きな政治社会問題となっている現状のもとで、消費者物価上昇に大きな寄与率を持つ野菜の生産、出荷安定対策を積極的に推進し、野菜農業の健全化をはかることを中心に、消費者物価対策の一助にしようという意味で御提案になったわけであります。かねて私は、予算分科会等におきまして、京都におきまして浜田元農林部長がやっておりました構想をもとに、農林省に野菜の指定生産地制度あるいは出荷安定基金制度の構想の実現方をお願いしておったわけでございますが、そういう意味におきまして、本法案をおつくりになりましたことにつきまして、まず最初に敬意を表しておきたい、かように思います。
そこで、順を追って御質問を申し上げていきたいと思うのでありますが、まず最初に園芸局長にお伺いいたしたい。それは野菜価格の近年の上昇率はどうなっておるか、その原因は一体どこにあるか、それについて一つずつの対策としてはどういうことが考えられるか。まず最初に、野菜価格の近年の上昇率であります。その原因はどこにありますか。そしてその対策はどうしたらいいか、この問題についてお伺いをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/132
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133・小林誠一
○小林(誠)政府委員 野菜価格の上昇でございます。これは、小売り価格が昭和三十五年に比較しまして約九六、七%上がっております。そういう意味で上がっておるのでございますが、その原因といたしましては、まあ生産は相当のテンポで伸びておることは、お手元の資料でも御案内のとおりでございますけれども、それに比較しまして、むしろ需要が非常に伸びておるという意味で、需要に生産が追っつかないということが第一点だと存じます。またもう一つは、最近の野菜の供給形態から申しまして、周年化ということで、冬でもキュウリ、トマトというものが八百屋さんの店頭にあるということになるわけでございます。したがいまして、そういうような相当高級な野菜のウエートが高くなってきておるということから、その値段が上がるということでございますが、その根っこにございますものは、やはり野菜の反当の投下労働時間というもの、これが非常にほかの作物に比べて多いということでございます。さらに生産者から消費者の口に入りますまでに各段階があるわけでございまして、その段階におきます人件費その他の資材費、運賃というようなものの上昇ということ、生産者が生産いたしまして消費者の口に入りますまでの生産費並びに流通経費の増高というものがその根底にありまして、そういういろいろなものが原因となりまして、野菜の価格が上昇をしておるというふうに考えております。
その対策でございますが、この上昇というものもさることながら、その変動というのが、消費者にとりましても生産者にとりましても非常に悪影響を及ぼしているので、その生産、出荷を安定させる、そうして卸売り市場価格を安定するということが本法案のねらいでございます。さらにこの法案にございますような生産出荷近代化計画というものを着実に実行いたしますことによりまして、農家の労働生産性、農業におきます労働生産性を上げる、また出荷、選別等の、関係の市場に至りますまでの間の経費というようなものをなるべく節減していくということが、この法案の中に盛り込まれておるわけでございますが、さらに流通過程の全体にわたりまして合理化することによって、その中間経費をなるべく節減していくということによって、生産者の手取りを引き下げることなく、消費者の価格を上昇させない、上昇させないと申しますか、あるいは上昇の幅をできるだけ少なくするということで考えていかなければならないものだと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/133
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134・玉置一徳
○玉置委員 この問題につきましては、またあとで戻りまして詳しくお伺いをしたいと思うのです。
そこで、次に、簡単にお伺いをしておきたいと思うのですが、主要野菜の卸売り及び小売り価格の推移を東京都のほうからの資料で見てみますと、主要野菜のうちで、ものによりましては、卸売り価格がさして上がっていないにかかわらず、小売り価格が異常に高騰しておる例、大根あるいは白菜というようなものが見られるのですが、これは大体どういうような原因だとお思いになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/134
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135・小林誠一
○小林(誠)政府委員 卸売り価格が高騰していないのに、小売り段階で高騰しているという例は、ちょっと私存じ上げないのでございます。ただ、卸売り段階から仲買いあるいは小売り段階というところに至ります経費につきましては、たとえば東京都の調査でいきますと、キャベツでございますが、大体中間経費というのが、キロ当たり二十七、八円から三十円近くかかっておるわけでございます。この経費は、卸売り段階の価格が変わるその値段のいかんにかかわらず、そのくらいのものがこれにつけ加わっておるという意味におきまして、卸売り段階の価格あるいは生産者の価格というものが相当大きく上下いたしましても、小売り段階におきましては固定的な経費がございますので、それにつれて同じ率では上下してないということはいわれるかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/135
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136・玉置一徳
○玉置委員 先ほどの話の、野菜価格の上昇は需要に追っつかないところにある、こういうお話でありますが、従来とも暴落したときには生産者泣かせで、えろう思い切った政府の施策がない。暴騰したときには、それがほんのわずかの期間であろうとも非常に声が高い。ことに物価抑制のやかましい今日でありますので、その点のほうが非常に声が高くなるわけでありますが、需要に追っつかないということは、こういう天候その他に左右されるものでありますので、そういうことがあり得ると思いますけれども、これについては、野菜の生産安定という方法によってある程度防げると思います。しかしながら、いまのお話のように、私は、物価上昇には、一つは——一つの季節ものじゃないし、年間を通じてこのごろは野菜を生産している。それにはトンネル栽培だとかあるいは温室栽培とかいうようなことで、技術的にいままでよりも非常に生産費がかさんでおるということも事実でありますし、野菜そのものが非常に高級になっておるということも、ひとつお互いに消費者として頭には置いておかなければいかぬのじゃないか、こういうように考えます。
そこで、流通の問題に入るわけでありますけれども、追跡調査によりますと、これも東京都のやつですが、生鮮食品六品目の価格追跡調査を見ますと、ナシ、ブドウ、大根、白菜、キュウリとなっておりまして、それぞれ生産者価格が——大体小売り価格は生産者価格の二・五倍くらいになっておる。中部管区行政監察局の野菜価格の追跡調査によりますと、生産者から消費者までの倍率は三ないし五倍になっておる。それにつきまして、この追跡調査をされた東京都の意見としては、「これまでの調査結果では、産地で計画的な生産がされていないこと、高騰をつづける荷造り包装費や輸送費などが問題点としてあげられている。その価格の動向とマージン等の構成は前掲した表のとおりであり、「調査した六品目の小売店マージンはほぼ三割になっている。これはまず妥当と云える。又現段階で流通機構で、とくに暴利をあげていると指摘する点はない。」との見解であるが、」こういうことになっておりますが、農林省の園芸局や経済局は、今度のこの法案を出す考え方としましては、一体生産者価格と小売り価格がどの程度であるのが妥当であるのかという点と、もう一つ、この法案でもって将来の価格の上回りを年率どの程度に押えようとするのか、いまのままで押え切ろうと思うのか、横ばいですね、あるいは下げようと思うのか、それと生産者価格との関連はどうするのか、こういう点は一体どういうようにお考えになっておりますか。政務次官も含めて局長二人、合計三人、ひとつ御相談されてお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/136
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137・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この生産者価格と小売り価格との割合と申しますか、どのくらいであるべきかという問題は、非常にむずかしい問題でございます。生産者価格が引き合いませんときには、当然農家といたしましては、生産費を償わないということで、野菜をつくらなくなるということになるわけでございまして、そういう意味で、生産費を償わないという価格になりますれば、生産者はそれをつくらないということになるわけですから、生産者価格は農家の所得を確保する価格でなければなりませんし、また小売り価格につきましては、需要が相当伸びておるということでございますが、やはり家計に対する圧迫があまり大きなものであってはならないということになるわけでございます。しかし、実額としてどうあるべきか、それを実額で言えということになりますと、個々の品目につきまして、野菜全体の消費支出がどうあるべきかという問題につきましても、非常にむずかしい問題でございますが、ここで問題になります点は、消費者の価格があまりにも暴騰、暴落を繰り返す、安定をしないということが、値上がりの問題と同時に一番大きな問題でございます。したがいまして、生産、出荷を安定することによって、暴騰、暴落を繰り返さないように、安定した価格で消費者に野菜を食べていただけるようにするのが本法案の目的でありますし、生産者価格を引き合うものにするという場合に、生産者価格が高くなるということになれば、当然引き合うわけですが、それは消費者の家計に影響するわけでございますので、一つの考え方として、生産者の労働生産性を上げるということによって所得はふやすけれども、価格はあまり上げなくてもいい、場合によっては全然上げなくても引き合うということも考え得るわけでございます。そういう意味で、労働の生産性なりあるいは出荷の経費というものの節減ということに、またこの法案のねらいの一つがあるわけでございます。それだから、野菜が現在の価格をもとにして年率どのくらいの程度まで上がると思うか、あるいは上がるのはやむを得ないのか、あるいは横ばいがいいのかということの問題も、今後の生産資材の値上がりとかあるいは労賃部分の上昇という問題との関係もございまして、年率何%にすべきかという点については、野菜生産を取り巻くいろいろの事情によって変わってくると思いますので、その点については、あまり価格が上がらないように、何とかその辺をうまくやっていきたいというのがわれわれのねらいでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/137
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138・玉置一徳
○玉置委員 抽象的で、私の質問に答えられておらないと思うのですが、それはまたあと回しにいたしまして、対象品目を今度のこの法案によりまして追加する、四十二年度までに指定生産地の指定を追加する、そういうようにいたしまして、全国の市場に入ります野菜の総量の何%ぐらいになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/138
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139・小林誠一
○小林(誠)政府委員 大体五四%ぐらいになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/139
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140・玉置一徳
○玉置委員 三十二万トンが——市場に入ります全野菜量のうち、指定生産物は何%ぐらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/140
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141・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この三十四万トンが価格補てんの対象になるということでございますが、これにつきましては、白菜を今度また対象に加えまして、カンラン、タマネギ、白菜ということになるわけでございます。カンランにつきましては入荷量の約五割、それからタマネギにつきましては約六割程度になります。白菜は京浜向けのものだけ今年度だけ対象にする予定でございますけれども、その率はまだ未定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/141
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142・玉置一徳
○玉置委員 そこで、お伺いするのは、アウトサイダーがあるわけですね。これはどこどこに出荷したらいけないということは言えないわけです。局長からいままで御説明がありましたとおり、どこまで価格を安定してどこへ近づけようかというようなところまで具体的にはまだいっていない。しかしながら、暴落、暴騰というようなものをなくして、まず価格の安定をはかりたいのだ、合理的な安定に落ちつかしていきたいのだ、こういう話でありますが、アウトサイダーというものを規制し得ない今日、この出荷が、暴騰にならぬような仕組みはこれでできると思うのですが、これはまだ五割しか対象になりません。そのとき、まずお伺いしたいのは、指定生産地の指定された計画出荷の時期に、計画量よりも一割以上上下した場合は、全体が価格補償の対象にならないのか、超過した部分だけが対象にならないのか、それを説明してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/142
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143・小林誠一
○小林(誠)政府委員 暴落した場合に、これは予約数量というものをきめております。補てん予約数量というものを現在でも財団法人の協会との間にきめておるわけでございまして、それの予約数量を——それぞれの作柄ごとに出荷機関か違うわけでございます。それからまた出す市場も違うわけでございます。市場ごと、それから出荷機関ごとに現実に市場に出します。その場合に、その市場の価格が一般の保証基準価格より非常に下がりました場合は、その機関を通じましてプール計算をしまして、その確定金額を出荷数量に応じまして交付するというのが従来の仕組みでございます。資金協会になりましても、その方法を踏襲するということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/143
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144・玉置一徳
○玉置委員 そこで、もう一つ、先ほどお伺いしておりました、ある時期にある指定生産地からある品目を百持ってくるように予約しておる。それを百十以上持ってきた場合は、百十以上になった部分だけを対象からはずすのか、全般をはずすのか。あるいは百持ってくるところを八十しか持ってこなかった場合、いわゆる一割であるから、九十ですが、それよりも低まった場合は、全般をはずすのかどうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/144
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145・小林誠一
○小林(誠)政府委員 これは予約数第がたとえば百ありました場合に、その作柄によりましていろいろ違うかと思うわけでございますが、そのときに、やはり無制限に出しましたのでは値くずれをするということにおきまして、お互いの間で百十ぐらいにしようじゃないかというふうにきめました場合は、それより上の場合は、むしろ全体について予約補てんの対象にしないという取り扱いが行なわれておるわけでございます。ただ、八十出しました場合は、当然その予約数量の範囲内、出荷数量の範囲内でございますから、その八十は対象になるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/145
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146・玉置一徳
○玉置委員 それでわかりました。
そこで、先ほど申しましたように、アウトサイダーの問題がある。ただいまタマネギならタマネギの総出荷の約五割予定されておる、カンランは六割予定したものを対象にする、こういうことでありましたが、かなり豊作のときであって、一一〇%くらいで話し合いがつくとしましても、アウトサイダーは無制限にこれを出し得るわけであります。そうした場合に、廃棄処分をしてくれるような制度、そしてその廃棄に対して、そのまま出荷したと同じような価格補てん金その他を渡せるような制度、と申しますのは、包装と運賃を考えれば、こちらはそのまま廃棄してもらっても、農家としてはうまくいけば全額の補償になり得ることがあるわけであります。もう一度申し上げますと、アウトサイダーの場合には、豊作の場合に無制限に出すことに手がつけられないわけでありますので、逆から申しますと、結果的にいえば、アウトサイダー優先と言えるわけであります。そういう事実になると思います。そういう場合に、これを棄却してもらうような方式を同時にこの法案に盛り込んでおかなければ、これは先ほど申しましたような暴騰にする対策にはなるけれども、そういうところに生産者の不安があり得ると思う。だから、消費者のための法案であるということはよくわかるけれども、生産者のための法案にちょっとなりにくいような感じがするのですが、その点につきましてはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/146
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147・小林誠一
○小林(誠)政府委員 このアウトサイダーの問題でございますが、当然指定生産地以外にも同じ野菜をつくっている農家が多いわけでございまして、そこの農家から市場には無制限に出荷をされます。市場側といたしましても、当然これは受け入れなければならぬという義務規定になっているわけでございますので、当然市場に入ってくるということになるわけであります。したがいまして、アウトサイダーの数をむしろなるべく少なくするということで、たとえば市場に出ますキャベツならキャベツの指定生産地のカバー率を高めていくということが必要であろうと思うわけでございまして、私たちとしましては、各品目七割以上、おそらく八割近くになるのではないかと思いますが、その程度の産地を指定するということによりまして、むしろアウトサイダーの影響をあまり受けない、そこの出荷が安定すれば全体が安定をするというような仕組みに将来は持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
それからもう一つ、廃棄処分の問題でございますが、おっしゃるように、確かに豊作の場合に出荷しなければ交付金がもらえないということから、むしろその出荷経費をまかなうのであれば全部出してしまうという問題、御指摘のとおりでございます。そういう意味で、廃棄についても、この金が出せるようにという考え方につきましては、一つの考え方でございます。ただ、そこで問題になりますのは、やはり廃棄するという場合に、野菜につきましては非常にむずかしい問題がいろいろあるわけでございます。廃棄したところが、そのあとに非常に暴騰するとかいうこともあり得るわけでございます。いつ廃棄するかという問題もございますし、またどういう方法で廃棄をするのだという問題等もございます。そういうことをいろいろ考えまして、それからまた消費者の不利益にもならぬという廃棄の方法が必要だろうと思います。そういうことを考えまして、やはり前向きに、そういう点につきましてはわれわれ今後検討していきたいと存ずるわけでございますけれども、何ぶんにも、いま申しましたように、指定産地のカバー率の問題、これに関連する問題でございます。本法案でも、協会の業務といたしましては、価格の暴落がその生産者の経営に及ぼす影響を緩和するための生産者補給金を生産者に交付するとなっておりまして、交付のしかたというものについては、廃棄はこの条文ではだめだということでもございません。そういうことでございますので、将来の問題としまして、十分御趣旨の点につきまして検討いたしまして、結論を得たいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/147
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148・玉置一徳
○玉置委員 いま御質疑申し上げましたとおり、安定というものは、やはり豊作のときが問題だ。したがって、五割ないし六割の対象をなるべく七、八割までに広げていくことが大切である。地域的にも広げていくことのほうがそういうことはやりやすい。それで結局、全般を抑制するというような制度をつくれば、暴落という問題も起こらぬのじゃないか。最初に私が申し上げましたとおり、案外暴落のときにはお百姓、生産者は大体泣き寝入りになっておるものであります。それが暴騰のときには非帯に声がやかましいものでありますが、安定ということでありますので、同時に両者が満足できるような方向にやはり徐々に持っていく必要があるんじゃないか、そういうような意味で、品目の追加並びに同じ品目についてももう少し量及び地域の指定を広げていっていただきたい。同時に、いま申しましたように、廃棄もしくは貯蔵あるいは加工のほうに回しましたときの差額の補給を、やはり安定するような方法に持っていかなければならぬ。いまは逆にアウトサイダーが守られて、この人たちが自粛規制をしなければならぬようなぐあいになるという結果もあり得る、われわれはこういうように考えるわけであります。
そこで、もう一つでありますが、いまの基金の設定は大体どのくらいになっておるわけですか。それは指定出荷総量の一体何割くらいに——まあ価格のあれですから、暴落してきた場合のことを考えた場合、どの程度それを守れるのか、その金額総額ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/148
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149・小林誠一
○小林(誠)政府委員 カンランとタマネギと白菜三つ合わせまして約十二億の基金の積み立てを予定しておるわけでございます。それの対象になりますのが三十四万トンでございます。先ほど申しましたように、カンランにおきましては約五割、それからタマネギにおきましては約六割というカバー率になっておるわけでございます。それの価格の仕組みでございますが、十二億という積算でございますが、これは大体五年に一回くらいは三分の二以下に低落するわけでございます。非常に経営費自体もまかなえないというようなことにな
るわけでございますので、その三分の二以下に低落しました場合に、いろいろと出荷経費との差額の七割というものをいま申しましたトン数分だけ払うに十分な金を用意するというふうにいたしておるわけでございます。
〔委員長退席、田口(長)委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/149
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150・玉置一徳
○玉置委員 私は、下落するときに、三分の二というよりは、ただになるというあれがこわいと思うのです。そこで、先ほど林さんのお話のあれは大体二千億あるのですね。二千億の中央卸売り市場を経由する全出荷者から一%ずつ安定資金になにしますと、約二十億円毎年できるわけです。林さんのお話の逆に、対象農家戸数の数の問題よりは、全般の中央市場、全般の野菜の価格が安定すれば、その他の全農家にも非常に好影響をもたらすものでありますので、そういう意味では、全出荷者が安定基金の積み立てのなにがいいのではないか。むしろ中央市場だけではなしに、把握できるならば地方の市場まで、これの恩恵に、間接的に非常に大きな影響を与えられるわけです。先ほど申しましたように、対象農家の直接これの価格の補てんにあずかる人たちだけでなしに、日本じゅうの野菜生産農家に影響を与えるものであるという観点からすれば、いまの手数料から一%とるというと、何かものをとられるように思いますから、卸売り市場からいまの手数料のうち一%を全出荷者の安定基金に回しなさいという行政的なあれでもできるのではないか。御承知のとおり、この間かなり下回らせたわけであります。それともう一%、ついでに全出荷者のためにそういう操作をするからということになれば、できないこともないと思うのです。言わんとするところは、指定された対象の方々だけの影響ではなしに、全生産農家に大きな影響を与えるものであるから、出荷の安定基金の原資の積み立ては全出荷者が出してもいいのではないか、そういうような感じがします。それと同額を国が出してあげるというような制度もつくりまして、これは非常に大きな基金操作ができるわけでありますので、これはひとつ前向きに御考慮いただきたい。決して無理な話ではないと思う。こういう感じがするわけです。先ほどの暴落対策を考えた場合に、廃棄というような処分をお互いに思い切ってやるくらいなやり方をしなければ、不足のときの安安はできるでしょうけれども、豊作、暴落の対策が若干足らないような感じがするものでありますので、やはりそういうことも考えるべきではないか、こういう感じがするのですが、園芸局長のお感じをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/150
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151・小林誠一
○小林(誠)政府委員 これは非常にむずかしい問題でございますが、その理由といたしまして、出荷者がとにかく全部負担をする、あるいは手数料でまかなうということになりますと、生産出荷者が金を出すということになれば、またその受益も自分らも下がったときにはもらわなければならぬという声も出てくるだろうと思うわけであります。全出荷者が出しまして、指定産地の中の生産者だけがその利益にあずかるということになりますれば、そこにまた問題も出てまいりましょうし、また先ほど申し上げましたように、出荷量にしまして約五十数%の野菜が対象になっておるわけでございます。ほかの野菜も出荷者からくるということになれば、やはりそこの負担とそれから利益の均衡の問題というものが出てまいると思うわけであります。この金はだれが積むかというときにも、先ほどおっしゃいましたように、卸から手数料の問題も検討いたしたのでございますけれども、いずれにいたしましても、これは非常にむずかしい問題でありまして、現在のように国と県と生産者というふうに三者が負担をする、しかし、そうかといいまして、従来の三分の一ずつでは、これは生産者の側の負担も大き過ぎるということで、消費者のためにもなるのだということも加味いたしまして、国の負担率を五割にしたわけでございまして、そういうことをいろいろ考えた結果、どうしてもやはりこれは消費者行政という面からいきましても、国の負担率を上げるということによって解決すべきではないかというふうに考えた結論が、負担率の改定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/151
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152・玉置一徳
○玉置委員 私は、かえってそういうことを考えずに、生産者からも取っていただいていいんじゃないか。というのは、これは生産者行政にもするのだという意欲がわいてこないと、先ほど言うように暴落対策がないじゃないかということになるのです。だから、百分の一は手数料としてみんないいんじゃないか、こう思って、逆に、その対象になる方は、三%なり五%なり価格が上がったときどうだというやつでいいんじゃないかという感じがするから、お話し申し上げておるわけであります。
そこで問題は、先ほどのところに戻りまして、一体この法案のねらいは、消費者価格、小売り価格をいまのままで押えようと思うのか、あるいは生産者価格ももう少し手取りを多くしながら、消費者価格はもう少し下げようと思っておるのか、あるいは七%ほど上がりますものをせめて三%に押えようとしておるのか。先ほどのお話のようにいろいろな問題、いろいろなケースがあると思いますが、しかしながら、いよいよ具体的な法案を出しておるのでありますので、この法案を出す限り、消費者物価の抑制策を非常に大きなねらいで出す今度の重要法案でありますので、農林省だけではなしに、政府全般として、一体どういうふうにしようと思っておるのか、仮谷政務次官からひとつお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/152
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153・仮谷忠男
○仮谷政府委員 先ほどからいろいろ玉置先生の御意見承りまして、よく御趣旨は了解できるわけであります。野菜の価格をこれから上げるか下げるかという問題、ではこれからという時点は一体どこでとるのか、それは百二十種もある野菜を一体どういう価格によって決定するのかという問題になってきますと、非常に技術的にむずかしい問題で、抽象的だといってしかられるかもしれませんけれども、合理的な価格によって安定せしめるという考え方、私どもはそれはきわめて常識的な線を実は持っておるわけであります。しいて数字を出さなければならぬということになると、一定の年度、一定の価格というものをそれは出してやってもいいと思います。数字として出すということになればこれはできることでありますけれども、それで、では何%上げる、下げるという問題になってきますと、これは非常にむずかしい問題になってくるのじゃないかというふうにも思うわけであります。いずれにしましても、現在一番問題になっておるのは、野菜価格が暴騰、暴落するということが一番問題であって、消費者自体も、暴騰しなければ、ある程度の価格の上がっておることは、これは野菜が現在非常に高級化してきて、しかもそれが施設的につくられておる野菜でございまして、従来のように露地栽培ではないわけでありますから、しかも季節はほとんどなくなって、年間を同じものをつくっておるということを考えると、野菜の価格が従来よりいいということくらいは消費者も理解できると思うのです。それがいわゆる需給の関係によって暴騰、暴落することによって、消費者も非常に生活に影響してくるという問題、しかもそのことが生産者にも非常に大きな打撃を与えておるという点、生産者自体も、これから野菜がどんどん値上がりしてどんどんもうけなければならないという考え方は、私は持っていないと思うのでありまして、やはり生産者の所得というものが一応安定的に収入されるなれば、それによって私どもは十分了解できる、納得できる問題じゃないかと思う。したがって、暴落の場合には、政府はこれをある程度補償し、安定をせしめていくという施策が十分にとられていくなれば、これによって協力ができていくものではないかということであります。いまこの法律を見ていろいろな角度から議論をいたしてみますと、まことにくつの上からものをかくような、何だかもの足りないような問題が確かにある、私どもも実はさように考えておるわけでありますが、結論は、暴騰、暴落を避けるための生産出荷体制をこの際強力に行なうことによって、まず卸売り価格を安定せしめる、それを出発点として、先ほど申し上げました、玉置先生からお話のあった、あるいはアウトサイダーの問題も、技術的にはまた出てきましょうし、あるいはまた豊作の問題も、廃棄処分の問題も出てきましょうが、この廃棄処分の問題にいたしましても、資金を充実するということも必要でありますけれども、せっかく農民がつくったものを結局余って廃棄さすというふうなことは、いろいろ及ぼす影響というものが非常に大きいわけなんです。そういう点から考えまして、その問題でも、たとえば貯蔵の問題、加工の問題、これも徐々に、この法律が施行されていくと同時に、将来の懸案として積極的に考えなければならぬ問題じゃないかと思う。物価の値上がりの大半が生鮮食料品にある、野菜にあるということがいわれておりますから、要するに、生鮮野菜の安定の問題に全力をあげていくということになって、具体的に方策がきまっていかなければ——私は、そのための基金は十二億を二十億にしてもあるいは三十億にしてもいいのじゃないか、そのくらい積極的な考え方を持つべきだという考え方を持っているわけであります。そういう姿勢のもとに今後は努力していきたいと思いまして、それがこの法案を提案をした趣旨なんであります。不十分ではございますけれども、ひとつ御了承いただきたいと思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/153
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154・玉置一徳
○玉置委員 不十分ですけれどもとおっしゃるように、なかなかむずかしい問題でありますので、まあ今年度はこれで出発されまして、来年あたりには対象の拡大からアウトサイダーの問題、いろいろな問題をひとつなにしまして、三年目くらいにはほぼ満足した数字まで出せるような範囲に持っていきたい、こう思うのです。
ただ、私は、いまのお話のように、廃棄処分の問題は農民の問題だといいましたって、商品生産の場合、廃棄したほうが全体の値段が上がるのだったら、わざわざ荷づくりして市場へやって値段を下落させる必要はないのですから、これからは考え方を少し変えぬと、あまり昔の農本主義でもいかぬのじゃないか。ただになってもけっこうですから、せっかくできたものは一応市場へ東京見物させてくださいということは要らないのじゃないか。やっぱり耕地で廃棄していただいたほうがいい場合もあると思いますので、賢明な仮谷さんにひとつあれしておきます。
そこで、この対策で、どうしても生産者にもある程度の希望を持たせながら、しかも消費者価格もあまり高くならないところへ定めたいということになりますと、先ほど来議論しておりますこの安定法案を拡充して内容を充実していくと同時に、やはりだれが見ても流通対策というところへ最後にはいかなければならぬ。中間マージンをどう少なくするかということがこれからの問題だと思うのです。どのくらいが中間マージンとして適当と思うかというような質問は、少しやぼった過ぎますのであれでございますが、やっぱり中央市場というもののあり方がどうしても問題になるし、東京都におきましてこれを数をふやしなさい、しかもこの生産の規模を拡大して、規格の統一されたものを出荷していこう、こういう段取りでございますので、いまのように現物を必ず見なければならぬ、中央市場に集めて見て、手を上げなければならないという売買の方式は、ここ一、二年の間に変わっていっていいのじゃないか、こう思うのですが、経済局長から、きょうは詳しくは申しませんが、大体流通の問題としては、この安定法案と並行してどういうような考え方でどういうところを直していこうと思っておいでになるのか、ひとつお伺いしておきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/154
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155・森本修
○森本政府委員 午前中も実はお答えをしたわけでございますが、現在の流通段階あるいは流通経費、いろいろ問題があると思います。ただ、これは単に流通の関係だけをながめてそれを切り離してどうこうしようということも、根本対策の範囲にはございますけれども、野菜全体の生産なり出荷なりあるいは消費なり、また先ほど御指摘がございましたように、現物を必ず見て取引をするというふうな問題、これは当然規格化ということに関係をしてくる、こう思うのです。あるいは卸売り市場の施設でありますとか、その中における取引の関係とか、いろいろ流通問題を考えていきます上に、また今後改善をしていきます上に、非常に多くの要素があると思います。当面は、先ほど御指摘がございましたけれども、やはり全国の生産地から、一口にいいますと、かなり多数のものが集まってくる。それから、消費地においても零細な消費が集合するというふうなかっこうであります。規格化が十分進んでいないというふうな関係からいきまして、やはり中央卸売り市場を通るという形態が大部分を占めているという事態は、当分続いていくものと思っておるわけであります。したがいまして、中央卸売り市場の施設の整備でありますとか、あるいは内部における取引の改善合理化でありますとか、またその間にあって流通を担当しております卸なり仲買いの簡素化、強力な経営に持っていくといったようなこととか、そういう対策に重点を置いてやってきております。またそれを相当期間続けていかなければならぬと思います。しかし、やや長い観点から見ますならば、産地も大口化する、また出荷体制も整備してくる、規格化も進んでくる、あるいは貯蔵等についても試験研究段階から漸時実用段階に入っていく、小売り段階もある程度整備をされてくるという姿を想定されますならば、おそらく現在のような中央卸売り市場を通るといったような形態のみが唯一の経路ではなくなってくるというふうにも思われるわけであります。しかし、それは、先ほど申し上げましたような各種の諸要素がそれぞれ合理化、改善をされたその集合体として、そういうふうな流通経路も発見されてくる、こういうふうに思うわけであります。何ぶんにも、理想としては、しばしば申し上げておりますように、パイプとしては太く短く、その間に流通経費も節約されてくるということが、流通合理化の基本的な理想であろう、こういうふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/155
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156・玉置一徳
○玉置委員 仮谷政務次官にお伺いしたいのですが、私は、野菜生産地の指定という制度は、日本の農業の改革に非常に大きな一歩を踏み出すんじゃないかと思うのです。そういう点から考えれば、今日これくらいやかましくなっております中央卸売り市場をはじめとする流通の形態セリというものをやめることもなかなか困難だということもわかります。いろいろなことがわかりますけれども、いましろうとから何からみんな寄っていろいろな意見をどんどん言っているわけであります。そういうような意味では、農林大臣の諮問機関として、学識経験者その他有権的なかなり権威のある審議会でも一つ設けられて、流通、ことに市場の問題についてまる一年、まる二年かかって、応急対策とは別個に、ひとつ根本的に審議をしてもらう、国民の前にいろいろなことを中間的に発表していただいて、世論を喚起し、それをまたまとめていくというようなものを急速に設置されていいんじゃないだろうか。あたかも政府が卸——そうじゃないこともぼくらはよくわかりますが、一般の方々からすれば、なぜ中央卸売り市場なんてものを永久に持っておらねばいかぬのだろうかという疑念すらわくおそれもあると思うのです。こういう機会でありますので、私のいま提案しておるような問題をひとつ真剣に農林省でお考えいただくわけにまいらぬかどうか、御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/156
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157・仮谷忠男
○仮谷政府委員 いま経済局長の話を聞いてみますと、現在中央卸売市場審議会というのがありまして、いろいろの問題を検討しておるようであります。ただ、私も、実はまことに申しわけないのですけれども、いま聞いてそういうことを知ったという程度のことで、はたしてそれがどの程度の実効ある問題をいままで審議し、しかもそれを現実にあらわしたかということになってきますと、全くこれはむずかしい問題とはいいながら、申しわけない次第だと思っているわけでありまして、玉置さんの御意見は、十分に御意見として拝聴をいたしまして、さらに現在の機構そのものを充実して、御説のように、長期にこの問題と根本的に取り組んでいく、こういう姿勢を持つことはきわめて重要な問題だと思いますので、御趣旨に沿って善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/157
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158・玉置一徳
○玉置委員 経済局長に伺いますが、その審議会というのは、いままでずっと常設されている中央卸売市場審議会ではないのですか。何もかも中央市場のことをそこでやっているという在来の機関ではありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/158
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159・森本修
○森本政府委員 御指摘のように、中央卸売市場審議会というのは常設の機関です。念のために補足して申し上げますが、たとえば、昭和三十八年に生鮮食料品の流通対策というのを閣議決定をしてやり始めた。その際も、中央卸売市場審議会で相当長期間にわたって御審議を見、対策を考えた、こういうことであります。引き続いて各税の問題、たとえば過密都市における中央卸売り市場はどういうふうに立地したり、廃止するか、こういう問題についても現在審議を行なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/159
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160・玉置一徳
○玉置委員 そうしますと、現在の中央卸売り市場の機構のいろいろな問題をやっているずっと昔からある審議会というのじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/160
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161・森本修
○森本政府委員 たしか昭和三十六年に法律を改正いたしました際に、そのものはできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/161
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162・玉置一徳
○玉置委員 それでは仮谷さんのおっしゃったように、ひとつこの際、根本的にメスを入れるという角度から見た形をとらないと、在来のものをそのまま守っているというようなことではいかぬので、お願いしておきたいと思います。
最後に、これに付随いたします近代化計画ですが、これは非常にいいことだと思うのですが、これにつきまして、園芸局長、ごく簡単に、どういうことをするのか、あらましを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/162
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163・小林誠一
○小林(誠)政府委員 この近代化計画でございますが、これはこの条文にもございますように、作付面積、生産数量、それから指定消費地に対する出荷数量というものをまず設定いたしまして、それに必要な生産の近代化に関する計画、具体的に申しますれば、やはり天候によりまして野菜の作柄というものに変動が非常に大きいわけでございます。したがいまして、それの作柄変動をできるだけ少なくする、具体的に申しますれば、病虫害を共同防除する、あるいは畑かんをやって干ばつに対処するというようなこと、それからまた、そこにおける出荷経費を節減するために共同の出荷施設をつくりますとか、あるいはそこの労働生産性を高めますために、いろいろの農機具によって共同作業をやる、そういう生産の近代化に関します事項と、それから先ほど申しました集荷、選別に関するいろいろな施設をやっていく、また先ほどからお話が出ております規格統一につきましても、やはり同じような規格で出すということが、これは生産者のためにもなり、消費者のためにもなるわけでございますので、そういう計画をやるわけでございまして、それに対しましては、土地基盤整備に対しましては農業基盤整備の補助率、それからその他の共同利用施設につきましては三分の一の補助率ということで、国から補助をいたしたい。それから補助残につきましては、各種の制度融資を活用することによりまして、本年度は七十五産地につきまして、三カ年計画でその十分の三分を計上いたしまして、土地基盤整備と共同施設を合わせまして約三億一千万の予算が計上してあるわけでございます。それを活用いたしますことによりまして、その計画の目的を達成していきたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/163
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164・玉置一徳
○玉置委員 私は、仮谷さんにここでもう一つお願いしたいのは、赤城農林大臣のときにも、いまの農林大臣にも申し上げたのですが、在来の構造改善事業は、果樹なら果樹、その他酪農にしろ、いままで日本的にある程度まで進んでしまったところには、あの構造改善事業は受け入れやすかったと思うのです。しかし、今日これからあの構造改善事業という指定を受けまして、それから別にいままでたいした生産の経験もないところに、主産地形成しなければならぬということで、どんどんこれから市町村ごとに、日本全般の生産状態がどうなっておるのかもわからずに、町村長の責任において何かやれというようなやり方は、非常にむずかしゅうございます。したがって、ここらで——いままでのは間違いだとは私は申しません。しかし、これらのはなかなか受け入れがむずかしいと思う。いままでのやつは、在来の進んだところでございますので、そこへ一億円、二億円の投資をしてあげると、それはそのまま有効に生きておると思うのですが、そういうような意味では、これからの構造改善は——いままで政府がおやりになっているやり方は、これがほんとうじゃないか。畜産は畜産で、こういうようなことにしなさいということで、多頭飼育をおやりになるところへは思い切ったあれをやっていくというような構造改善がほんとうであって、それはどこまでも日本の全般の生産をにらみ、全般の流通をにらんだ形でやっていくやり方でないと無理じゃないかということをきょうまで申し上げておったのです。その意味では、こういった近代化計画という名前にはなっておりますが、先ほど申しましたように、野菜の指定産地制度を設定して、それを拡充していくというようなことは、私は日本の農業の一大進歩になるのじゃないかというような感じがします。したがって、それに付設するそういう構造改善的なものは、思い切ってひとつ予算措置をしていただきたい。むしろ、在来の政府のやっておる構造改善事業と、もう一つ、 ことばの違う土地改良を基盤とする、農地を頭に入れた、農家の戸数やいろいろな問題点からやる構造改善、いま言うように生産基盤を思い切って培養して、出荷のルートに合わせて日本的な効用を発揮していくという構造改善と、二つあっていいのじゃないか、こういう感じがするものですから、決していまので十分でないと思いますし、これだけやっていただくだけでも非常にけっこうなことでありますが、そういう意味で、ひとつ在来の構造改善にとってかわったということでは言いにくいことばですが、それと同様にひとつ力を入れて、今後こういうものをやっていっていただきたい。そのことが 大きな日本の構造改善事業のあり方を象徴することになるのじゃないだろうかという結果を期待しますので、ひとつぜひともお願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/164
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165・仮谷忠男
○仮谷政府委員 ただいまの御意見は、私も全く同感であります。私は、従来の農業構造改善というものは、これはいろいろ見方もありますけれども、もちろん成功した面もありますし、十分所期の目的を達していない面もあるわけでありますが、これから先は、そういうふうな問題を取り上げていくにも、やはり長期の需要の見通しの上に立って考えなければならぬ。そういう観点から、さきに果振法も御審議をいただいた。今回の場合においても、野菜の長期見通しの上に立って指定をしていかなければならぬと思う。そういうものをやっていく上においては、これはせっかく指定をしてここまでやるのです。しかも物価対策というものの一環として、いわゆる現在の自民党内閣の最も力を入れている問題でもございますから、それから出発して、この事業が進められていくとすれば、在来の考え方をさらに一歩前進せしめて、積極的にお説のような方向に進めていくということは当然だと思いますし、私どもはそういう考え方で努力しなければならぬ、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/165
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166・玉置一徳
○玉置委員 私たちは、以上御質疑申し上げましたとおり、なお皆さんとともに、本法案の期待する成果をあげるためには改正すべきもの多々あると思いますけれども、いずれにいたしましても、事農業に関する限り、一日で革命的なことをやりましてもついてもきてもらえないわけでありますので、若干の時日を要することは当然であると思います。しかしながら、やり出した限り、ひとつ断固としてこの政策を推し進めていただきたい、こういう意味で、私たちは本法案に以上のいろいろな質疑を通じた御要望を申し上げながら、賛成の立場に立ちまして御質疑を申し上げ、今後の御研さんを期待するものであります。
以上をもちまして質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/166
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167・田口長治郎
○田口(長)委員長代理 兒玉末男君から、資料要求に関し、発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/167
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168・兒玉末男
○兒玉委員 この法案に関係のある政令、省令等の資料を明日の審議開始までにぜひ提出していただきたい、御要望を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/168
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169・仮谷忠男
○仮谷政府委員 提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/169
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170・田口長治郎
○田口(長)委員長代理 次会は明九日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X04519660608/170
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