1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年六月二十四日(金曜日)
午前十時四十分開議
出席委員
委員長 中川 俊思君
理事 大石 武一君 理事 倉成 正君
理事 田口長治郎君 理事 舘林三喜男君
理事 本名 武君 理事 赤路 友藏君
理事 東海林 稔君 理事 芳賀 貢君
伊東 隆治君 池田 清志君
宇野 宗佑君 小枝 一雄君
坂村 吉正君 笹山茂太郎君
白浜 仁吉君 高見 三郎君
綱島 正興君 中川 一郎君
丹羽 兵助君 野原 正勝君
長谷川四郎君 藤田 義光君
松田 鐵藏君 森田重次郎君
卜部 政巳君 江田 三郎君
兒玉 末男君 千葉 七郎君
西宮 弘君 松浦 定義君
森 義視君 湯山 勇君
稲富 稜人君 玉置 一徳君
出席国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
出席政府委員
農林政務次官 仮谷 忠男君
農林事務官
(畜産局長) 檜垣徳太郎君
委員外の出席者
農林事務官
(畜産局参事
官) 太田 康二君
農林事務官
(食糧庁業務第
二部長) 岡田 覚夫君
専 門 員 松任谷健太郎君
—————————————
六月二十四日
委員中村時雄君辞任につき、その補欠として稻
富稜人君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員稲富稜人君辞任につき、その補欠として中
村時雄君が議長の指名で委員に選任された。
—————————————
本日の会議に付した案件
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出第一一五号)(参議院送
付)
農産物価格安定法の一部を改正する法律案起草
の件
農林水産業の振興に関する件(乳価及びでん粉
価格の問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/0
-
001・中川俊思
○中川委員長 これより会議を開きます。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。仮谷政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/1
-
002・仮谷忠男
○仮谷政府委員 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。
近年、国民所得の向上、国民食生活の高度化に伴い、食肉の需給規模は著しく拡大し、牛肉につきましても、需要の着実な伸長が見られておりますが、肉用牛飼養頭数が、農業機械化の進展による役畜需要の減退、肉用牛の飼養基盤の脆弱性等の事情から急速に減少してきたため、牛肉の供給不足が漸次顕在化するに至り、最近牛肉価格の高騰をもたらしているのであります。
このような牛肉の需給の逼迫と価格の高騰は、国民の食生活に重要な影響を与えているところでありますが、国民所得の向上、食生活の高度化に伴い、今後とも、食肉の需要は、全体として増加の基調をたどることは確実であり、この中にあって、牛肉自体もわが国民の嗜好に適した食品として強い潜在需要を有することは看過し得ないところであります。
以上のような事態に対処して牛肉の需給の安定をはかるためには、肉用牛資源の維持増大と肉用牛飼養経営の改善を通じて、国内供給力の増強をはかることを基本とすべきことは言うまでもないのでありまして、このことは、同時に、農山村における農業の振興にも寄与するゆえんでもあります。
また、牛肉の需給は、国際的にも逼迫基調で推移するものと見通されますので、恒久的に牛肉の供給源を安易に海外に求めることには問題があり、諸外国の例から見ても、可能な限り国内自給の確保をはかることが必要であると考えられるのであります。
このため、政府におきましては、生産、流通等全般にわたる肉用牛対策を積極的に推進してまいることとし、昭和四十一年度におきましては、肉用牛繁殖育成センターの設置、肉用繁殖雌牛導入に対する助成等につきまして、別途所要の予算を計上してあります。
しかしながら、事の性質上これらの対策によって速効を期待することは困難でありますので、当面は、増大する需要をまかなうためには、輸入の増加にまたざるを得ないものと考えられるのであります。
以上のような事情を考慮いたしますと、国際市場の動向に即応した牛肉輸入の計画的実施をはかるとともに、牛肉輸入の増加が国内生産の維持拡大に悪影響を及ぼさないよう、国内需給の動向に十分配慮しつつ、輸入牛肉の国内放出を行なうことが必要となってまいりますが、この一連の業務を畜産振興事業団に行なわせることが適当であると考え、ここに畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。その第一は、畜産振業事業団に輸入牛肉の買い入れ及び売り渡しの業務を行なわせることであります。
さきに申し上げましたとおり、牛肉の国際市場の動向にかんがみ、牛肉輸入の計画的実施をはかるとともに、牛肉輸入の増大が国内生産の推持拡大を阻害しないよう、国内需給の動向に即して、輸入牛肉の適時適量の国内放出を行ない、牛肉の需給調整をはかる必要があるので、畜産振興事業団に輸入牛肉の買い入れ及び売り渡しの業務を行なわせることとするものであります。
第二は、畜産振興事業団の輸入牛肉の買い入れ及び売り渡しの業務にかかる財務及び会計に関する規定の整備であります。
畜産振業事業団は、輸入牛肉の買い入れ及び売り渡しの業務に関する経理につきましては、特別の勘定を設けて他の業務に関する経理と区分して行なわなければならないものとし、あわせて、この特別の勘定において利益金を生じた場合には、その一部を肉用牛の生産の合理化のための事業その他畜産の振興に資するための事業に対する助成に要する経費の財源に充てるものとしております。
第三に、以上の措置に関連して必要な諸規定の整備を行なうことであります。
以上が、この法律案を提案する理由及びその主たる内容であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/2
-
003・中川俊思
○中川委員長 次に、本案について補足説明を聴取いたします。檜垣畜産局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/3
-
004・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、補足して御説明申し上げます。
この法律案を提案する理由につきましては、すでに提案理由説明におきまして申し述べられましたので、ここでは省略することといたし、以下この法律案の主要な内容を御説明申し上げます。第一に、畜産振興事業団に輸入牛肉の買い入れ、売り渡しの業務を行なわせることといたし汁ことであります。
現行の畜産物の価格安定等に関する法律におきましては、指定食肉について、安定価格を定め、価格がこの安定価格帯の中で安定するよう、畜産振興事業団が指定食肉の買い入れ、売り渡しを行なう価格安定制度を設けており、従来豚肉を指定食肉としてこの制度を運用してきたのでありますが、牛肉につきましては、従来はその価格が漸騰傾向にありながらも、比較的安定的に推移してきており、豚肉のように周期的な価格変動を示す事態がなかったこと、また、流通機構が未整備なため、価格形成が必ずしも需給の実勢によって適確に誘導される実態になく、しかも整形方法の不統一、品質のばらつき等から規格ごとに具体的な価格を定めることが不可能であったこと等により、指定食肉として指定していないのでありまして、この事情は今日といえども変わっておらないのであります。
しかしながら、さきに申し上げましたような事情から、牛肉輸入を増加せざるを得ないこととなり、輸入牛肉の買い入れ、売り渡しを弾力的、機動的に行なう必要を生じたため、牛肉については、指定食肉の価格安定制度とは別個に、畜産振興事業団が輸入牛肉の買い入れ、売り渡しを行ない、牛肉の需給調整をはかる制度を設けることとするものであります。
すなわち、畜産振興事業団は、牛肉輸入の計画的実施のため、農林大臣の承認を受けて、輸入にかかる牛肉を買い入れることができるものとする一方、その保管する輸入にかかる牛肉を、原則として中央卸売市場において売り渡すものとしております。
この売り渡しにつきましては、国内生産の維持拡大に悪影響を及ぼすことを防止する観点から肉用牛及び牛肉の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用牛の生産と牛肉の消費の安定をはかることを旨として農林大臣が方針を指示することといたし、同事業団は、この方針に従ってその保管する輸入牛肉の売り渡しを行なわなければならないものといたしております。
なお、牛肉について、指定食肉の価格安定制度とは別個の制度を設けることとしたことに伴い、牛肉を指定食肉の対象範囲から分離することといたしております。
第二に、畜産振興事業団に、輸入にかかる牛肉の買い入れ、売り渡しの業務を行なわせることに伴い、同事業団の財務及び会計に関する規定を整備することといたしたことであります。
まず、畜産振興事業団の行なう輸入牛肉の買い入れ、売り渡しの業務にかかる経理については、新たに特別の勘定を設け、現行の業務についての経理と区分して整理することといたしております。
次に、この特別の勘定において利益を生じた場合におきましては、その利益のうち一部を積み立て金として一定額まで積み立てることとし、残余を、助成の業務にかかる特別の勘定に繰り入れ、肉用牛生産振興等の事業に対する助成の業務に要する経費として使用させることといたしております。
また、畜産振興事業団の輸入牛肉の買い入れ、売り渡しの業務にかかる特別の勘定において、万一損失が累積するような事態が生ずる場合に備えて、この繰り越し欠損金を補てんするため、政府は、現行の助成の業務に必要な経費の財源に充てるための交付金のほかに、同事業団に対し、交付金を交付することができることといたしております。
第三に、以上の措置に関連して、この際、畜産振興事業団の監事の権限を強化し、役員の欠格条項を手直しする等所要の規定の整備をすることといたしているほか、附則におきまして、この法律案の施行期日を公布の日といたしておりますとともに、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法における畜産物の価格安定等に関する法律の適用についての特例に関する規定につきまして、所要の整理をいたしております。
以上をもちまして、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/4
-
005・中川俊思
○中川委員長 以上で説明は終わりました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/5
-
006・中川俊思
○中川委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
質疑の申し出がありますので、順次これを許可いたします。松浦定義君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/6
-
007・松浦定義
○松浦(定)委員 私は、昨日も同僚児玉、川崎両委員から質問をいたしました、現在非常に苦境に立っておりまするでん粉生産農家の生活安定のために、今日のでん粉価格について、時代の変遷とはいいながら政府においてはあまり重点的な力を入れていないのではないか、そういうような観点から一、二御質問申し上げたいと思うわけであります。
従来から言っておりまするように、わが国の食糧行政といいますか、そういう点については今日も依然として米麦中心の行政である。私どもは、国民食生活を安定するためには、むろん麦米に依存をしないでこれが行なわれるということは毛頭考えていないのでありますが、ちょうどいま米価審議会も行なわれております。麦価の問題にしましても、あるいは米価の問題にいたしましても、これは国民全部が中心をその価格の問題に向けておるわけであります。しかるに同じ生産農家であっても、豆類あるいはでん粉その他米麦を除く食糧生産に対しましては、政府はある程度努力をしておるといいながら、なかなかそれについては実績が伴っていない。ましてや、政府の責任においてやっておるでん粉並びに大豆、なたねあるいはてん菜といったようなものでも十分でないのみならず、その線からはずれておる農産物、畜産物等については、他の産業から見たら全く非常にみじめな行政の中に置かれておるということは、私はもう申し上げるまでもないと思うのであります。したがって、いま政府の所見といたしましてお聞きいたしたいのは、いま申し上げましたように、いま現に行なわれておる米価審議会は国民の注視の的の中でやっておる、しかるに一方においては、でん粉その他農畜産物の価格問題については全然無関心であると言ってもいいくらいなのでありますが、政府はこれでいいとお思いになるのか。そういうような方法は他に何とかしなければならぬ、こういう考え方に立つならば、昨日も児玉、川崎その他各委員から質問をいたしておりますように、特に昨年問題になりましたこのでん粉価格につきましてはどういうような考え方を持って進められようとしておるのか、この点で政府の方針をまず第一にお聞きしたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/7
-
008・仮谷忠男
○仮谷政府委員 昨日来、でん粉あるいはなたね、いろいろな問題について御質疑が行なわれたわけでありますが、決して私ども、でん粉にしましても、あるいはその他の農産物価格にいたしましても軽視をして、そのままで成り行きにまかすといったような考え方を持っては絶対に臨んでいないのでありまして、それぞれ法律に基づきまして、その許される最高限度のものを私どもは取り上げて努力をいたしておる次第でございます。そのことが、必ずしも十分に農民諸君の御期待に沿えていないといった面については、これは御意見のところも確かにあるかと思うのでありますが、私どもは、現在の法律の範囲内において最善を期して努力をいたしておる、かように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/8
-
009・松浦定義
○松浦(定)委員 いま政務次官のお話ですと、最大の努力をされておる、現行法律の範囲内ということをつけ加えておられるようでありますが、昨年の十月にこのでん粉価格を決定するときのいきさつは御存じであろうと思うわけであります。生産者の要望には、当然こたえられたような結果ではなかったのであります。しかし、いまもお話にありましたように、法律の範囲内で最大の努力をした、そういうことは昨年の十月にも私は当てはまると思うのです。ですから、来年度については何らかの方法を考えなければいかぬのではないかというようなことで、政府としては、そのときにははっきり、来年は法律の内容に触れてでも検討して御期待に沿うといったような言明は公式にはありませんけれども、政府を構成しておる与党自由民主党の諸君は、御承知のとおり、当時は脱党騒ぎまで起こしてその問題を解決した。しかし、残されたものは、何とかこの問題について来年はこのような問題を再び起こさない、こういうことでの約束が実はあったと思うのです。われわれ野党といたしましても、当然それと協力いたしまして、その内容についてはずいぶん検討をして、時があればいつでもその立法化に協力し、あるいは自主的にこれを推進したいという熱意を持っておったのは、御承知のとおりであります。ところが、今日そのような状態がまだ表面化されておらない、特にカンショにしましてもバレイショにしましても、農家は、今年度の作付については一応の目標をつくってこれを進めておるわけであります。しかし、価格はどうなるかということの心配があるわけでありますから、それぞれ、農家にいたしましても、それを指示する機関にいたしましても、いろいろ重大な問題として今日取り上げておるわけでありますが、政府の見解としては、やはり昨年の決定の経過にかんがみまして、今年はこのままの形で推進した場合には価格がどうなるのか、昨年と同じであるのか、あるいは下がるのか上がるのか、そういう点について事務当局のほうから——政治的な発言では私は困るわけです。事務当局として、はっきりした態度の表明を私はしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/9
-
010・岡田覚夫
○岡田説明員 御承知のように、イモ、でん粉価格は、農安法によりましてパリティ価格、それよら生産費、需給事情その他の経済事情を考慮して決定するということになっておるわけでございます。その法律に基づきまして価格を決定してまいったわけでございますが、御承知のように、イモ並びにでん粉の価格は十月にきめるということになっております。そのときのパリティ、それから生産の予想収穫高、そういったものを考慮いたしまして計算をするということになっておりますので、現在のところそれがどのような形で推移いたしますか明瞭になりませんので、価格がどのように上がるか下がるかというようなことにつきましては、現在なかなか答えができないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/10
-
011・松浦定義
○松浦(定)委員 またことしも去年と同じようなことを繰り返すということでは、政府並びにそれを支持する、構成をしておる与党の諸君の昨年から今年に至るまでの努力というものは、全然見られないじゃないかということを私は御指摘申し上げたいのであります。むろんパリティ方式でやるということで法律はうたっておりますからできませんけれども、それじゃ米価の問題も、パリティ方式でやるからということでいまのようなお話であったら、いま何百万というような農家の要望を受けて大会を開いて、すでにまた何千、何万という人が東京に集まらなければならないことは、私はないと思うのです。しかし、集まらなければならない、窮状をこの苦しい中で打開していかなければならぬ、それにこたえるためには、いまおっしゃったような法律的な問題だけではこたえ切れないということは、もう毎年繰り返されておる。ですから、私がいま政治的な発言はひとつ遠慮してほしいと申し上げたのは、何らかそこに、政府として昨年の経過にかんがみて、それじゃこの法案の改正等に何とかしたらこの考えに沿えるといったようなことを研究されておるのかどうか、こういうことをひとつお聞きしたがったのであります。私は、きょうは時間の関係がございますから、それに対して応酬というようなことでなしに、それから与党の諸君でも、あるいは野党のわれわれにしましても、その点については私は一致しておると思うのです。政府にその意思があればこれは確かに農民の要望にこたえるし、あるいはまた上がらないなら上がらないと、その程度の意見は了解すると思うのですけれども、ずるずると十月まで引っぱっておいて、そうして何か政治的な行動を起こさなければやれない、起こしたことによって何ぼかでもそういうものができたといったような、そういう間違った指導をされるというところに、私は日本の農業行政の中に欠陥があると思うのです。必要なものであるならば、はっきり法律の改正を必要とするなら、ずばりやるべきである、それでやる場合においては、そういうあいまいなものでなくして、現在の農安法だって少なくとも十三年間というものはあまり動かされていない。その犠牲になっているのは生産農家なんです。たとえば、いまのパリティ指数で、その結果がわからないから十月云々とおっしゃるけれども、農機具とか農薬とかその他の資材は、どんどんいまの政府の値上がりの政策の中で上がっているのです。肥料を使わないで、農薬を使わないで、農機具を使わないで一坪のイモだって生産できないのです。そういう意味で、やっている農民の苦労はあまりおわかりになっていないのではないか。こういうふうに申し上げたいと思います。ですから、そういう問題の解決は、政府も早急にやるが、あるいは国会においてもやる。こういうことに私は努力していただきたいと思います。
実は先般、六月の二十一日ですか、麦価対策全国農業協同組合の代表者会議がございました。そのときには、自由民主党、社会党、民社党三党が、それぞれの立場でその内容についていろいろ協力をする機会があったわけであります。その中で新しく、今度の麦価と違った提案を第三項として、農産物価格安定法の改正ということを言っている。その中には、与党は与党なりに、野党は野党なりに、農民の期待に沿うような確約が私はされておると思うのです。このことは、政府の考えいかんを問わず、これはわれわれ国会に籍を置く者としてもこたえなければならぬ。おそらく努力をされつつあると私は思うのです。この結果によっては、いま部長がお話しになりましたようなことではなかなかおさまらぬと思うのです。ですから、そういう点を農林省も十分考慮されて、そうした農民の期待に沿うように努力していただきたいと思うわけであります。
昨日も御質問の中にございました、いまなぜ日本の生産者が要求するような価格ができないかといえば、やはり輸入のコーンスターチ等が大きな障害になっておると思う。こういう輸入を全然やるなと言うことはできませんけれども、ことさら日本の生産者を押えるようなことは厳に慎むべきである。だから自由化政策の改定をやればこの問題はすぐ解決できる問題だ、こういうふうに考えておりますが、この点についてはいささかも現在の方針を変えないようなお考えであるのかどうか、この点を一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/11
-
012・岡田覚夫
○岡田説明員 昨日もお答え申し上げましたとおり、私たちのほうでは毎年年間の需給計画をつくりまして、その需給計画に基づきまして、供給力に不足する部分につきましてコーンスターチの生産を行なうという考え方をとっておるわけでございます。したがいまして、コーンスターチを多量につくりまして国内のでん粉を圧迫するというふうなことはごうも考えておりませんので、そういう意味で、今年等を見ましても相当現実の市場価格は騰貴をいたしておりますし、基準価格を割るような状態はないわけでございます。そういう意味で、私たちは、国内でん粉に圧迫を加えるということは今後もないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/12
-
013・松浦定義
○松浦(定)委員 圧迫を加えることはないとお考えになっても、現に約三分の一弱くらいの程度のものはやはり入ってきておるのです。これが依然として入ってきて、にもかかわらず、日本の生産者がそれに圧迫を加えられないということはないと思う。少なくとも三分の一が他の輸入によって占められておる限りは、いかに保護政策をとってもなかなかできない。にもかかわらず、保護政策がかりにないとするならば、この問題は、いま言明されたような形では推進できないと思う。ですから、私どもとしては、やはりそういう輸入については制限をしてもらいたいし、すべきであると思いますけれども、できないとしても、それはそれとして、国内における生産農民を保護する意味においても、それにかわってでき得るような内容の充実をしてもらわなければならぬということを主張しておるのでありますから、この点十分お考えおき願いたいと思うわけであります。
それから特に、先ほど申し上げましたように、この十月に価格が決定するわけでありますが、今日米価の問題は、田植えが終わるか終わらぬかにきまるわけです。もしこれが凶作になり、あるいは災害があった場合には補償されておるけれども、これらの問題については非常に不十分な点が多いわけです。ですから、何とかしてこの価格決定を少なくとも八月三十日くらいにする必要があるのじゃないか、こういう要請は前々からあるわけです。さらにまた、価格のきめ方が早いだけでは、これは問題にならないわけであります。ですから、昨日もいろいろ質問がありましたように、買い入れ価格の基準価格の決定については非常に重要な問題がある。いまパリティ問題等をおっしゃっていましたけれども、なかなかそれだけでは農家は生産を償うような形にならないのでありますから、私どもはあくまで生償方式を主張しておりますけれども、これはもちろん近々中に諸般の情勢からそうなると思いますが、いまなかなか一挙にならないということは非常に遺憾であります。ですから、この点につきましても、価格決定についてはぜひひとつ農民の要請にこたえられるような、そういう内容を充実していただきたい。
それから、もう一つ重大な問題がこの原料基準価格決定についてあるわけであります。これは、私は北海道におります関係からよくわかっておりますが、最近はコストダウンをするために、いろいろな意味で工場の近代化といいますか、大型化をやっておるわけであります。これについては非常に無理がかかります。ばく大な資金をかけなければならぬし、あるいは自分の地域以外からも集荷をしなければならぬ関係から、非常に、地理的条件を克服する、こういう点についても問題がございます。ですから、この工場の近代化に伴って施設を拡充しなければならぬ点については、ある程度生産者も犠牲になり、そしてやっておりますが、国がこれに対して協力しなければならないような問題が実はあるわけであります。それは、何といってもでん粉等から出ます廃液の処理問題であります。従来からも、この廃液の処理問題は、単にただ生産者の生活安定のために、経済発展のためにこの施設をするのだということだけでは許されないわけであります。これは一般の住民の衛生関係その他漁業等の関係もありまして、非常にむずかしい。それを克服してやっておりますけれども、最近大型化になると同時に、その規模も非常に大きくなる。特にこれは、現実の問題として現地にあらわれておりますから私は聞いておきたいと思いますし、努力してもらいたいと思いますけれども、この河川が、このごろ町村から府県になり、国になり、国の場合も一級、二級、そういう種類をつくっておるわけであります。このごろ毎年特殊河川から一級河川というような形で、一級河川にどんどんやっておる。そうしますと、なるほど一級河川になることについては非常にけっこうだけれども、その河川を利用しておるこういう工場から出る廃液の処分は、これまたそれに沿って非常に犠牲を受けるわけです。これは当然だと思う。そのことによって漁民やあるいは一般の者に迷惑をかけてはいかぬから当然だと思いますけれども、それが全部農民の犠牲によるということは、私はおかしいと思うのであります。たとえば本年、一例として北海道の十勝川が一級河川になりました。でありますから、この十勝という範囲——北海道はほとんどそうでありますが、どこへ行きましてもその河川を中心にして、両岸にはそういう多くの原料生産者がおって工場をやっております。ですから、今度一級河川になりました関係から、どうしてもいまのままでいかないという状態が出てきたわけであります。ホクレンがいまやっております工場は、もうわずか三カ月くらいで、最低百二、三十万から二百万俵くらいを処理しておる。そこから出る廃液というものはばく大なものであります。ですから、多くの犠牲を払って処理しておりましても、依然として問題は解決できない。ですから、今度は一億五千万くらいどうしても必要な資金をかけて、この一級河川になると同時の処置としてこれをやるわけであります。これは十勝川の一級河川だけを申し上げますけれども、一級であろうと二級であろうと、あるいは町村河川であろうと、同じことが言えると思うのであります。ですから、これらの問題についての経費は、当然私はこの加工経費に入れるべきである。こういうように考えます。
それからもう一点、特に大型化になりますと、その生産原料集荷の場合には非常に広範囲であります。私の地元等では、もう半径が最低十五キロから二十キロに及ぶわけです。そのくらいから集めてこないと、百数十万俵というものは集まらないわけです、それだけを専門的につくるわけじゃありませんから。そうしますと、いままで二十円くらい運賃がかかったものが、今度は三十円なり三十五円なり、ひどいところは四十円出さなければならぬ。そういうものはいままで全然見ていないわけなんです。ですから、この大型化になって、農家の手だけでは運べない、廃液処理もそういうことになる、こういうものが、現行法では私は考えられておらないと思うのです。こういう問題についても、私は、これはすみやかに改正する必要があると思うのです。こういう点について、現行法ではそれはできないとおっしゃっても、実際問題として生産をするためにかかる経費でありますから、こういう点についての農林省としての所見を伺っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/13
-
014・岡田覚夫
○岡田説明員 第一点、農民の要望するような価格にきめるという点でございますが、これは先ほど申し上げましたように、法律の規定に基づきまして算定をするということでございますが、その際のパリティ価格だとか、生産費だとか、需給事情というようなものにつきまして十分検討いたしましてきめるということにいたしておりまして、農業の生産が確保されるような考え方で進めておるわけでございます。ただ、でん粉の場合におきましては、原料でございますので、現実に消費が促進されるということによって、でん粉の需要が拡大されるということも必要であろうというふうに考えておるわけでございます。
それから第二点の、近代化施設の問題でございます。従来比較的小規模でございますが、排水設備の問題は、それほど大きな問題ではなかったと思うのであります。一応私たちのほうでは、各工場から経費をとりまして、それを基礎にいたしまして加工賃というものを計算いたしておるわけでありますが、この排水設備等の問題につきましても、十分検討してまいりたいというふうに考えております。
それから第三の運賃の問題でございますが、運賃の問題につきましては、先国会から、芳賀先生からもいろいろお話がございまして、われわれも十分検討をすることにいたしておるわけであります。従来は、現実の問題としましては、農家から持っていく場合もある、それからでん粉屋が農家の庭先まで買いに行く場合もある。いろいろな形態がございまして、農林省の調査の中にも運賃が一応含まれている。農民のイモの価格をきめます場合には、イモの価格をきめる基礎資料の農民の収入の中には、運賃も含めての経費の計算にもなっております。そのときそのときの状態によりまして非常に違った形になっておりますので、運賃だけを取り出すということはなかなかむずかしいという面もあったわけでございますが、先国会来いろいろと御意見もございまして、現在、どのようにするかということにつきましては検討いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/14
-
015・松浦定義
○松浦(定)委員 河川の汚水処理の問題につきましては、いまお話しのように、大型化すればそれだけのものはやはり処置しなければならぬ、そういうものをお考えいただかなければならぬと思います。運賃の問題についても、いままでのようにわずか半キロやそこら、一キロを農家が持っていく場合にはそれでよかったと思うのです。これだけ大型化になりますと、均衡をとる場合においても、そういう人だけではどうにもならないのですから、工場が成り立たないから、二十キロ以上の人でもこれは運ぶ、そういう人のために工場が維持されるということになれば、いまおっしゃったように、いままでと違った運賃計算もしなければならぬ。
それからもう一つは、いまもお話しになりましたように、こういうものはバレイショ原料だけです。たとえば、いま問題になっておる、陳情等を受けました乳価の問題につきましては、もう庭先まで取りに来るわけですね。何でも庭先まで取りに来るのです。それは農家がぜいたくだといわれれば別でありますけれども、これはもう近代化ということであれば当然であります。でありますから、特にそういう量の多いもの、それを運ぶとすれば、個人個人で四輪なりトラックを必要としなければならないようなものについては、当然これは機関がやるべきだと思うのです。機関がやる場合においても、国の買い上げの対象になるものについては国が見るべきである、こういう原理が成り立つと思うのです。ですから、ぜひひとつ、他の牛乳その他の雑穀等につきましてはもう全部農協が代行し、あるいはそうした形で庭先まで取りに来るわけですから、このバレイショあるいはビート、こういったようなものにつきましては、これはもうはっきりその点について明確に、今度は運賃は何がし、こういうことにしてもらわぬと、いままでのように入っておったから、あるいはいなかったからということで、その情勢の変化によってそれが明らかにならないようなことではいけない。安くなっても運賃はこれだけ、高ければこれだけというはっきりしたものを、私はこの機会にひとつ御考慮願いたい。いま第二部長も、その点については従来から検討しておる、こういうお話でございますから、どうぞひとつそういう点についても、今後のでん粉価格につきましてはぜひ生産者の意向を尊重されまして、そうして日本のでん粉が、外国のでん粉に依存しなくても需給が安定するような形を政府の政策としてとっていただきたい、こういうふうに要望いたしまして、政務次官のその点についての御見解をお聞きいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/15
-
016・仮谷忠男
○仮谷政府委員 毎年、でん粉価格決定につきましてはいろいろと農民団体からも強い御要望がありますし、できるだけそういう趣旨に沿うようにわれわれも努力を続けてまいったつもりでありますが、特に本年の場合は、昨年度の決定に関する経緯等もございまして、いろいろと私どもも、法律の範囲内で事務的に可能なる程度のものを努力しなければならないという考え方で実は臨んでおるわけでございまして、具体的な問題はただいま部長が申し上げたとおりでありますが、御趣旨に沿って改善の努力をいたしてまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/16
-
017・中川俊思
○中川委員長 東海林稔君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/17
-
018・東海林稔
○東海林委員 私は、乳価の問題について若干質問をいたしたいと思うわけです。
御承知のように、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法につきましては、昨年の本委員会におきましてずいぶんといろいろな論議がかわされ、そして最終的には三党の意見が一致しまして、二点の修正をし、附帯決議をつけて成立を見た経過があるわけでございます。本年の四月一日からこれが実施されまして、大体三カ月になんなんとするわけです。近く第一回の不足金払いが支払われることになるわけでございますが、私どもが承知している範囲におきましては、現在のところその進みぐあいは、法律が意図しておるようなぐあいにうまくいっておるようにはどうも見られないのでございまして、そういう観点から若干質問をいたしたいと思うわけです。
まず最初に、私は非常に遺憾の意を表さなければならぬことがございます。それは、本年の三月から四月一日の午前にかけて論議されました不足払いのもととなります原料乳の保証価格の算定についてでございますが、特にその生産費の中の自家労賃の算定につきましては、昨年の本委員会におきまして、当時の赤城農林大臣の、主要加工乳地帯における他産業従事者の労賃と均衡するような労賃を採用するのが妥当と認めると、こういう趣旨のはっきりした言明があったわけでございます。しかるに、本年の四月一日に、この告示を前にいたしまして農林省の内意を伺いましたところ、そうではなしに、その地帯における臨時雇用労賃をもって算定するということがありまして、本委員会において約一週間にわたってこの問題についての論議をいたしたわけでございます。そうして、御承知のように、三月三十一日並びに四月一日の午前の本委員会において、坂田農林大臣は、まず第一点として、昨年の赤城農林大臣の言明はこれをそのとおり認める、第二点として、ただし、実施第一年目である四十一年度においては、そのとおりにこれを採用することは困難であるので、その趣旨を尊重しながらも、しかし実情に合うように考えてきめたい、第三点としては、しかし、できるだけ将来においてはすみやかにその原則どおりの算定をいたしたい、こういう趣旨の答弁があって、一応われわれも了承したようなわけです。ところが、四月一日に実際に告示されたその保証価格を見ますると、その自家労賃の算定にあたっては、当初農林省が考えておったとおり、臨時雇いの労賃をそのまま採用しておりまして、そういう趣旨を尊重しつつ、しかし実情を考えてきめるという意味の、趣旨を尊重しつつという点が全然無視されておるのでございまして、全く当初から農林省が考えておった臨時雇い労賃をそのままとった、本委員会において一週間にわたって論議したことが何らその中に尊重されておらない、こういう点については、われわれは遺憾というよりは、まことに本委員会の権威としてもこれは許しがたいことではないか、このように考えるわけでございますが、その点についてまずひとつお答えをいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/18
-
019・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 加工原料乳の保証価格を算定いたしますにあたりまして、その基礎となる加工原料乳地帯における生乳生産費の算定を必要とするわけでございますが、その算定にあたりまして自家労賃の評価をいかにすべきかということにつきましては、ただいま東海林先生からお話がございましたように、当委員会におきましては、当該地域における他産業労賃と均衡するように評価がえをすべきであるという御意見がございました。また、赤城前農林大臣が、法案審議の過程において、赤城農林大臣としての考え方として、当該地域における他産業の労賃と均衡するように考えることがよいのではないかという趣旨の発言をいたしたことも、御指摘のとおりでございます。この問題につきましては、当委員会においてもしばしば農林大臣からも御意見があり、御説明を申し上げたとおりでございまして、乳価問題のきわめて重要なポイントでもございます。また、他の農産物価格制度との関連における考え方の調整というような広範な問題を含んでおるわけでございます。四十一年度の保証価格算定にあたりましては、赤城農林大臣が極力加工原料乳地域における営農の実態を考えまして、できる限り保証価格を妥当な水準にきめるべきであるという基本的な考え方を申してあった点は、私どもも尊重いたしたつもりでございます。政府内における最高の検討をいたしました結果、その結果に従いまして私ども、畜産物価格審議会に審議資料として提案をいたしました保証価格の試案というものについて若干の修正を加えまして、四十一年度の保証価格を決定したというような経緯に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/19
-
020・東海林稔
○東海林委員 当初、畜産物価格審議会に試案として出したものを若干修正した点は、私も承知しておるのでありますが、しかし、その修正した内容は、いま私が問題にいたしておりますように、自家労賃の算定を、審議会の論議なりあるいは本委員会で一週間にわたって論議をしたその結果を尊重して、自家労賃の評価について変更したというのではなしに、他の要素について変更したのでございまして、坂田農林大臣が、先ほど私の言うた第二点として本委員会で言明した、直ちに全面的に赤城農林大臣の発言のとおりにはいかないが、その趣旨を尊重しながら、本年度の実情を考えながらきめる、そういう点が何ら考慮されていない、そういう点を私が言うておるわけでございます。この点はきわめて重大な点でございますから、政務次官からひとつはっきりお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/20
-
021・仮谷忠男
○仮谷政府委員 赤城前大臣の答弁の問題につきまして、現大臣がその趣旨を尊重してやるという問題につきましては、当時ずいぶんいろいろと本委員会におきましても議論をされた問題でございまして、その趣旨を体して将来努力をいたしていこうという、そういう考え方には間違いはないと私どもは考えておるわけでありますが、ただ、本年直ちにということにつきましては、これは率直に申し上げまして、あの諮問案を若干修正することにつきましても相当の紆余曲折があり、議論をし、そして何回か協議をいたしました結果ああいう結果が生じたわけでありまして、確かにその内容は必ずしも自家労賃の評価を変えたという趣旨には相なっておりません。これは御指摘を受けるとおりでありまして、この点は、確かに委員会での論議から考えてまいりますと、必ずしも御趣旨に沿ったものでないと私ども考えるわけでありますが、しかし、われわれも最大の努力をいたしたわけでありまして、次の時期におきましてはそういった面も十分に考慮をいたしまして、今後は御趣旨に沿うような努力を続けてまいらなければならない、かように存じておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/21
-
022・東海林稔
○東海林委員 いま政務次官から、わりかた率直な御答弁でございまして、私はただ、これは納得はできませんが、過ぎたことでございまするから、これ以上この問題にこだわることをやめたいと思いますが、しかし、今後の問題としては、やはり委員会で法案審議の際に政府の責任者が言明したことは、法案の実施にあたってはこれを実行するということが、これはほんとうに私は大事なことだと思うのであります。その原則がくずれるならば、われわれは委員会で法案審議をして、政府の答弁を求める意味がない。したがって、こういう点については、今後厳重にひとつ戒めてもらいたいということを申し上げておきたいと思います。
次に質問を進めまするが、そこで、まず局長にお尋ねしますが、現在指定団体の設立の関係はどのようなところまで進んでおりまするか、状況の御報告をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/22
-
023・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 新しい法律に基づきます指定生乳生産者団体は、四十六都道府県のうち四十二都道府県につきまして指定が行なわれております。四県、すなわち神奈川、新潟、埼玉、京都がまだ未設立で、現在設立準備中でございます。埼玉、京都については近く指定が行なわれ、続いて新潟が行なわれるはずになっております。神奈川については、現在団体設立の準備が進められておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/23
-
024・東海林稔
○東海林委員 大部分の府県において設立が終わっている。しかし、わずか四県でありますが、まだ終わってないところがある。このおくれているおもなる理由、それから原因というものはどういう点にあるのか、そういう点をひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/24
-
025・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 このおくれております四県の事情は、それぞれ特殊の事情がございましておくれておるのでございますが、通観をして申し上げますならば、いずれも市乳の比率のきわめて高い地域でございまして、加工原料乳生産者補給金の交付を受けるという恩典が非常に少ない地域でございます。そういうことから、この設立をいたしますためには、生乳の共同販売という本来の団体結成の思想といいますか、考え方というものが十分に浸透いたしませんと、にわかに団体結合ができないという事情が共通的なのでございます。そういう点でおくれておるというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/25
-
026・東海林稔
○東海林委員 次にお尋ねしたいのは、特にこの市乳地帯における指定団体に対する乳業者の加入の割合ですね。大体どういうことになっておりますか、そこをひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/26
-
027・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 多少御質問を取り違えておるかと思いますが、現在設立をされております指定生乳生産者団体の当該地域における生乳生産量に対する集乳比率は、全国平均では七五・二%ということに相なっております。集乳の比率が、当然のことでございますが、加工原料乳地帯において非常に高く、場所によりましては約九〇%に近いところもあるのでございますが、市乳地帯においては総体的に集乳比率が少ない。それで、指定生乳生産者団体としての要件五〇%すれすれというような地域まで、それぞれ段階的に相違があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/27
-
028・東海林稔
○東海林委員 そこで、農林省の考え方をお聞きしたいのですが、そういう市乳地帯においては、大部分の者が加入することがなかなか困難な現状にあるというようないまの御回答なんですが、一体そういう形が望ましいのかやむを得ないのか、そういう点。原料乳地帯では大部分の方が加入するということは、これは当然考えられるわけですが、市乳地帯においては、指定団体というのは五〇%あればそれで一つ設立要件が満たされたのだから、それでいいというふうに考えておるのか、それでは不十分だ、それならばそれに対してどういうふうな考え方でいくのが正しいのか、そういう点についての農林省としての方針というものをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/28
-
029・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 指定生乳生産者団体を設立することの意義は、制度との関係におきましては東海林先生も十分御承知のことでございますが、不足払いをいたしますための機構として必須のものである、そういう観点からいえば、法律に基づく集乳比率二分の一以上ということで足りるわけでございますが、同時に、この団体は、当該地域における生乳の共同販売の機構として、従来乳業者と個別の団体において取引の交渉が行なわれておりましたその形、つまり対等の形で取引が行なわれていなかったという問題を組織的に強化をし、対等の位置に立つということのための組織でもあるわけでございますので、その観点から申せば、できる限り指定生乳生産者団体によって集乳販売をするというふうにしむけていくことが当然の方向であろうというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/29
-
030・東海林稔
○東海林委員 私も同様に考えるわけですが、そこでそういうような好ましい状態にするため、農林省としては一体どういう指導なり援助ということをやっておるか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/30
-
031・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 現段階におきましては、指定生乳生産者団体の設置発足早々でございまして、私どもとしては、都道府県等行政機構を通じまして団体の組織的強化、したがって集乳量も確保されていくという方向で行政的指導を進めたいと思うのでございますが、今後の問題といたしましては、これは決定的に申し上げるまで検討が詰まっておらないのでございますが、指定生乳生産者団体は、生乳の取引に関する機構であると同時に、酪農家に対する生産その他の面における共同事業の主体として育成をしていくという方向を考えたい。たとえば政府操作にわたります飼料について、これらの団体に乳牛用の飼料の配分等にあたりまして、できるだけ配分の発言をする機会を与えるというようなことも検討をしてまいりたい。また、今後市乳地帯においての一つの問題であります粗飼料供給という問題があるわけでございますが、それらの粗飼料の供給について何らかの役割りをこの団体にになってもらう、それに対して国としても援助をしていくというようなことも考えてまいりたいというふうに思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/31
-
032・東海林稔
○東海林委員 いまの局長の考え方は私どもも賛成ですが、ただ、いかにしてそれをそういうところに持っていくかということが実際上の問題だと思うのです。さしあたっての問題として、私どもは、乳価の交渉等については、メーカーとこの指定生乳生産者団体が一本で話し合うことが最も望ましい形じゃないかと思うのですが、そういう点については局長どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/32
-
033・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 乳価問題のことでございますので、率直に申し上げまして多少言い過ぎがございましてお許しを願いたいと思うのでございますが、指定生乳生産者団体も発足早々でありまして、乳価交渉等について、まだふなれな点が私ども見受けられるのでございます。それと、一方乳業者の側について申しますと、中小乳業につきましては指定生乳生産者団体とかなり突っ込んだ乳価交渉等が進んでおるのでございますが、それに引きかえ、大手メーカーにつきましては、従来からの取引の関係がなかったという事情もございましょうが、もともと大手のメーカーは、不足払い制度の中で最も共鳴しなかった点は指定生乳生産者団体をつくるという点であったのでございます。そういう考え方がいまだに尾を引いておりまして、従来から取引のありました指定生乳生産者団体との交渉はある程度行なわれておる、また、行なわれやすい条件にあるのですが、全く新しく設置されました団体については、われわれは、指定生乳生産者団体と乳業者が、誠心誠意乳価問題についてお互いの立場を尊重しつつ、円満に解決をはかるという努力をすべきであると考えておるにかかわりませず、現段階においては、率直に申しまして、大手乳業者は指定生乳生産者団体を敬遠と申しますか、必ずしも全面的な信頼のもとに交渉に当たるという態度を見せていない。非常に遺憾でありますが、それが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/33
-
034・東海林稔
○東海林委員 法律制定前において、大メーカー側が指定団体ということについて非常に反対的な考え方を持っておった。これはいたし方ないといたしましても、しかし、現に法律ができた以上は、やはりこれを尊重し、いま局長が申すような農林省の方針であるとするならば、それをやはり尊重しながらそういう方向にいくのが当然であろうと思うわけです。しかし、いまどうも毛ぎらいしておるという率直なお話がありましたが、現にわれわれもそういう傾向を見受けますし、さらには、指定団体の力をなるべく弱めよう、場合によっては、市乳地帯によってはこれが設立をむしろじゃましようというような策動すらあるやにわれわれは見受ける、あるいは聞き及ぶのですが、こういうことはまことに遺憾だと思うのです。したがって、法律ができ、そういう政府の方針がきまった以上は、それに協力させるように、これはメーカーに対しても、農林省としてもっと積極的な説得なり指導をすべきじゃないかと思うのですが、政務次官、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/34
-
035・仮谷忠男
○仮谷政府委員 いままでも努力をいたしてまいったつもりでありますが、ただいま局長が申し上げたとおりでありまして、おっしゃるように今後も努力しなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/35
-
036・東海林稔
○東海林委員 いまの問題は、もちろん生産者側における自覚の不十分ということもあると思うのです。したがって、生産者に対する御指導も十分お願いしなければならぬと思うのですが、特にメーカー側については、やはり強い態度で御指導いただきたいということをお願いいたしたいと思います。
次にお尋ねいたしますが、現在の乳製品価格は、不足払いの基礎となる基準価格を告示された当時と比べても、相当強気のように思うわけでございます。その点は、農林省としてはどういうように把握されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/36
-
037・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 政府におきまして、加工原料乳の不足払い制度の仕組みの中で当然きめなければならない指定乳製品の安定指標価格を基準に考えますと、現在までの乳製品の価格は確かに高い水準にあったのでございます。ただ、御参考までに申し上げますと、四月、五月、六月にわたりまして、乳製品の高価格はやや異常なものがあった。何といいますか、若干商業的投機の傾向を帯びておるのでございます。最近になりまして、畜産振興事業団の機能も、新制度によってようやく本格的な操作力を持つに至ってまいりましたので、去る十四日の脱脂粉乳の放出、昨日のバターの放出を見てみますと、過去に比べますと安定の傾向がはっきり見えるのでございます。最低入札価格は、事業団の放出活動限界要件の水準に非常に近づいておるという動向でございまして、私は、遠からず、制度がねらっております安定帯前後におさまるものと見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/37
-
038・東海林稔
○東海林委員 そこでお尋ねしたいのですが、そういうふうに乳製品価格が上がったというような場合に、原料乳のメーカーと生産者との実際の支払い価格が、基準価格との関連においてどうあるべきであるとお考えでございますか。それをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/38
-
039・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 御案内のとおり、加工原料乳についての基準価格は、乳製品の価格安定目標の操作の範囲内にありますことが、政府としては最も妥当な取引基準であるというふうに考えておるのでございますから、私どもは、従来も指導としては、年間を通じる基本的な加工原料乳の取引契約として基準価格を用いることが正しい。ただし、現在の乳製品の価格は強気であるわけでございますから、それによって得られる乳業者の支払い能力は、これはすべてを農民にというわけにもまいらぬ事情がございます。低落しました場合に、ある程度、一〇%だけは買い出動しないという規定になっておりますから、その点も考慮しまして、できるだけ農民にプラスアルファの形で、生産の刺激になるよう支払いをすべきであるという指導をしてまいっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/39
-
040・東海林稔
○東海林委員 確かに、法律の目的が乳製品の価格の安定をはかり、したがって、生乳価格の安定をはかるということでありますから、長期的な観点に立って、原料乳の実際農民に支払われる価格が、基準価格に近いものであることが望ましいということはよくわかるわけです。しかし、いま御説明のありましたように、一時的に乳製品価格が非常に上がったという場合に、農民に支払われる価格が基準価格そのままでいいということにもならないと思うのです。したがって、そういう点についての農林省の指導が、その長期的な考え方と、その変動があった場合の臨時的な支払い価格というものの考え方を、よく区別して御指導されないと、これは非常に誤解を生ずるのじゃないかと思うのです。最近ややそれに近いような農林省の指導があったために、かえって混乱を来たしたというような——長期的な価格の安定ということと、乳製品価格が高い現実において、一時的にプラスアルファを払うという意味の局長の言われた考え方を、何かあまり明確にせずに指導をしたために、せっかくメーカーと生産農民の間に話がまとまりかかっておったものが御破算になったというようなうわさも聞いておるのですが、そういう事実はなかったのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/40
-
041・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 ただいま私が申し述べました考え方は、畜産局の当然責任者としての発言でございますので、統一した見解なのでございます。ただ、一時的な高騰した条件を長期的な形で契約すれば、これはその契約がまた混乱のもとになるということであるから、問題を二つに分けて考えるべきであって、長期的には基準価格を基本的に考えるべきであるという指導が誤り伝えられ、もしくはその誤り伝えられたものが一部報道されたというようなことから、若干無用の混乱があったことは、私も認めざるを得ない一面があると思います。今日ではその趣旨は徹底しておると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/41
-
042・東海林稔
○東海林委員 いま率直に、そういう間違いを起こしたような事例もなきにしもあらずというような点の反省があったから、それ以上追及する必要はないのですが、そういう点は非常に微妙な点ですから、間違いなく指導をしてもらわないと、これは非常に迷惑することになると思いますので、その点は今後十分注意してもらいたいと思うわけです。
それから、もう一つお尋ねしますが、昨年の本委員会において、原料乳価格と市乳価格との関連についていろいろ論議があったわけです。今度不足払い法を発動すると、従来原料乳価格の不利益分といいますか、それを市乳でカバーしておった。そういう点が、今度不足払いによってメーカーに余裕が出てくるから、少なくともその部分は市乳に追加されるんだ、したがって、市乳はその分だけやはり不足払い法によって値上げし得る可能性がある、また、そういうふうに指導するという趣旨の答弁をいただいておるわけですが、市乳価格について、そういう説明どおりに、いまメーカーと生産農民の間に話し合われておるかどうか、そういう点をお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/42
-
043・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 加工原料乳についての価格が、安定指標価格を基準にいたしまして算定をされていくという関係になる。これは基準取引価格の場合でございます。それと、生産費を中心とする保証価格がきまっていくということに相なりますと、用途別の取引をする限り、飲用乳地帯について加工乳地帯の不利を何らかの形で企業プールの中から補整をしておるという事態があるならば、それは飲用乳地帯での飲用乳価格の公正な決定が行なわれる限り、潜在的な有利な要件を持っておるということは当委員会で申し上げた記憶があるわけでございますが、現段階におきまして、メーカーが提示をいたしております価格水準を見ますと、私どもはその価格水準に疑問を持たざるを得ないのでございます。現在、私どもが現実の飲用乳向けの原料乳の価格の決定をするにあたりましては、当該地域におけるメーカーの卸売り価格の建て値があるわけでございますから、これから所要の処理販売経費並びに平均的な利潤を留保した残りは、支払い乳価として残っておるはずであるという考え方で指導をしてまいっておるのでございまして、そういう観点からは、私は、現在のメーカーの提示価格には満足いたしかねておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/43
-
044・東海林稔
○東海林委員 私どもが考えておるように、局長自身が疑問を持ち、満足してない、こういうことでございますが、そういう満足しておらぬ状態に対してどのように善処されるお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/44
-
045・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 先ほどどなたかも、この席で——といいますか、冒頭の陳情の際にも御説明がありましたが、私どもとしては、ただいま申し上げました市価逆算主義ということが妥当であるという考え方に基づきまして、中央酪農会議に、私の名前で、その調査事例に基づく試算も提供いたしておるのでございますが、なお、いままでも、第一の問題は、飲用乳の価格のきめ方の基本的な考え方というものを、業界と生産者側で理解をし合う必要がある、これは将来にわたる重大な問題でございますが、まずそれを意識統一をする必要があるということで指導してまいりまして、この点については、大手メーカーの酪農担当重役を一回招致いたしまして、私の見解を示したのでございます。なお、それについて社の責任者からの承認が得られないということでございましたので、大手メーカーの社長を個別に招致いたしまして、まずもってそれについての意識統一に誠心誠意当たってもらいたいという要請をしてきたのでございますが、残念ながら、現段階ではまだその原則論のところが話がついていないということでございます。
私は、この問題は、もちろん本質的には自由取引における価格の決定でございますから、取引当事者の折衝によって具体的にはきまるべき問題であると思いますが、それがきまるように、私どもとしては、今後問題は大手メーカーに限られておると思われますので、その点に集中をして指導をしてまいりたい。また、具体的な価格の決定は、地域ごとにどうしても違わざるを得ない事情があるわけでございますので、都道府県を督励いたしまして、農林省の方針に従って当事者のそれぞれ、特に乳業者の良識を喚起するように指導してまいりたい、腹をきめてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/45
-
046・東海林稔
○東海林委員 いまの市価からの逆算方式というようなことを強くメーカーに説得していく、こういうことでございますが、その点だけでございますか。あるいは、それに関連して、もっとほかのことについても、メーカー側なりあるいは生産者のほうを指導しておるような点がありましたら、一応ここで明らかにしてもらいたいと思います。何か、聞きますと、五月ですか、局長通達でもって、中央酪農会議とかあるいはメーカー側に通達を出しておるというふうに聞いておるのですが、その内容等をひとつ明らかにしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/46
-
047・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 飲用牛乳の価格決定のルールは市価逆算方式を妥当とするという考え方に立ちまして、五月の六日に、私の名前で、中央酪農会議に飲用牛乳の製造販売費用等についてという資料を提供いたしたのでございます。これは普通牛乳、加工牛乳別に、それぞれ二十六工場の調査事例の中から、平均的な処理経費を算出するものとしては不適当であるというものをふるい落としまして、残余の、われわれとしてはほぼ妥当であると認めるというものの平均の処理経費を出すと同時に、上下に振幅がございますので、標準偏差を加えたもの、もしくは引いたもので一定の幅を出して、折衝の資料にしてもらいたいということで提供したものがあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/47
-
048・東海林稔
○東海林委員 この指定団体側のお話を承りますと、せっかく、そういう農林省の責任者である局長から出た通達をもとにしてメーカー側と折衝を重ねているが、メーカー側としては、そういうものはほとんど問題にならぬというような態度が、現在の態度であるというように聞いているわけです。まことにわれわれ遺憾でございますが、こういうような点につきまして、先ほど局長からも御意見がありましたように、この不足払い法の実際動き出した当初でございますから、農林省の指導方針が徹底して、これが円滑に、法の目的どおりに運用ができるかいなかが、ずっと今後に尾を引く問題だと思うわけであります。これはきわめて重大な問題だと思いますが、いまの段階では、局長からもお話がありましたように、担当重役は納得したけれども、社の最高責任者がまだ了承しておらぬ、したがって、そういうような関係で、指定団体との交渉においても、せっかくの局長通達というようなものがちっとも尊重された形になっておらぬというふうにいわれているのはまことに残念なんでございますが、そういう点を今後いかにして処理、解決していくかという点について、ひとつ政務次官からはっきりした御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/48
-
049・仮谷忠男
○仮谷政府委員 局長からいろいろ御答弁申し上げたとおりでございますが、この法律案施行の、しかも最初の段階でありまして、そういった面では特に留意をしていかなければならぬと思いますから、さらに条理を尽くして積極的に説得をして、われわれの目的が達成されるように努力をいたしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/49
-
050・東海林稔
○東海林委員 酪農振興法によって知事や農林大臣の調停の規定もあるわけですが、そういうような紛争調停というような形をまつまでもなく、この問題については、積極的に農林省の幹部が乗り出して早急に解決しないと、せっかくの不足払い法がどこへ行っちまうかわからないような事態にもなりかねないと私は思うのです。そういう点も、いま次官から相当決意ある表明があったわけですが、ぜひそういうかたい決意を持って、この問題の正しい解決に、今後とも、大臣をはじめ本気になって当たってもらいたい。こういうことを要望いたしまして、なおあと同僚委員の質問がございますので、私の質問を一応終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/50
-
051・中川俊思
○中川委員長 倉成正君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/51
-
052・倉成正
○倉成委員 東海林委員から、当面の乳価の問題についていろいろ御質疑がございました。また、それについて政府からお答えがございましたが、多少重複する点があるかもしれませんが、今日の乳価問題というのは、日本の酪農にとって将来の方向を決するほど重要な問題だと考えますので、ひとつとくとお伺いしてみたいと思います。
御承知のように、今度の四月一日からの新乳価制度の施行につきましてはいろいろな御意見がありましたけれども、幸いにして、法律が成立いたしまして初年度を迎えたわけでありますが、酪農民として一番関心を持つのは、ことしの乳価が用途別価格によってつくられると同時に、昨年よりも安いということはあり得ない、政府が、少なくとも五十億になんなんとする予算を使いまして、加工原料乳であるにせよ、これに金を出すわけですから、乳業メーカーの出す分とこれを合わせていくならば、単純に考えて酪農民はよけいな受け取りをするであろう、こういう期待を持つのはこれは当然のことと思うわけであります。ところが、残念ながら、今日の段階においては必ずしもそういう状況に地域によってはなっていないというところに問題があると思います。そこで、乳価交渉がされております段階において、中小メーカーにおいては比較的酪農民の要求を聞き入れ、また、指定生産者団体の交渉に応じてかなり高い乳価を受け入れておるということを伺っておるわけですが、これもある面においては酪農民にとってはけっこうなことであるけれども、中小メーカーの経営能力ということから考えますと、場合によっては支払い能力を越えた乳価をきめておるということにもなりかねないと考えるわけでありますが、中小メーカーの乳価決定の経緯と、大メーカーの乳価交渉の経緯をあわせてひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/52
-
053・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 生産者団体といたしましては、中小メーカー、大手メーカーを通じまして五月の中ごろから乳価の交渉が始まったのでございますが、中小メーカーにつきましては、今回の制度によって用途別取引をする、また、用途別取引をするにあたりましては、飲用乳価格の決定方式というものについてほぼ私どもの指導しております方向というものに沿った交渉に応じてまいったようでございます。その結果、中小メーカーについては、かなり乳価問題は煮詰まっておる段階でございます。中には多少、倉成先生のお話に出ましたように、やや異常な乳価ではなかろうかと思うようなものもございますが、私ども、団体に対しまして、その点については、中小メーカーの現段階における存在は生産者団体側にとっても重要な意味を持つものであるから、中小メーカーの立場も十分考えた交渉が行なわれることが望ましいというふうに指導してまいっておるわけでございます。
一方、大メーカーのほうは、先ほど東海林先生の御質問にもお答えいたしましたように、一部において指定団体との折衝にわれわれが望むような誠意ある態度を示さないという事情がございまして、また、全体として、今回の制度のうち一県一集荷機構ということに対する年来の反対の空気も手伝いましてか、中小メーカーの場合より折衝の段階は著しくおくれておるという事情にあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/53
-
054・倉成正
○倉成委員 そこで、東海林委員との質疑の中にございましたけれども、政府が中央酪農会議に示した市乳の処理加工費について、これは一つの乳価交渉についての目安になると思うのですが、これについて四大メーカーとの話し合いというか、四大メーカーがこの加工費を認めるという点については、政府はどういう努力をしておられるのですか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/54
-
055・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 先ほど御説明いたしましたように、五月の初めに、私の名前で、飲用原料乳価の形成の参考資料として、調査事例をもとにいたします標準的な処理加工経費というものの試算を提供いたしたのでありますが、同時に、この試算は全国各都道府県の指導指針にも利用できるように、また、団体の間でもこれが一つの足がかりになるようにということで、参考送付をいたしたのであります。その際、メーカー団体にもそのような通達をしたということは知らせたのでございますが、それに対して第一の反響は、メーカー側は、このような自由価格のものに関する製造販売費用等について、われわれにあいさつもなく通達をしたということは遺憾であるという反響があったのでございます。この点は、私どもは純然たる第三者といいますか、指導行政の立場からの決定でございますので、必ずしもメーカーに協議をする、あるいは意見を聞くというような必要はないといまでも思っておるのでございますが、そういう反響があったわけでございます。続きまして、この試算の数字は了承できないという抗議文が私の手元に出ております。抗議の理由は、中小メーカーの場合はいざ知らず、われわれ大メーカーは、このような処理経費ではとうてい収支が償わないという言い方でございます。先ほども御説明を申し上げましたとおり、私どもは決して無根拠にこの数字をはじいたのではないのでございまして、二十六工場の調査のうち、一日の処理量五千本以下というごく零細なものは、当然標準的な処理経費の対象になり得ないという意味で除外をいたしました。また、当該調査に基づいて、もしもそれがその経費を支出しておるとするならば、常時赤字を出しておる工場になるはずであるというような調査結果は、これは信憑性がないということで除外をいたしまして、以上のものを平均をいたし、変動幅に標準偏差を加えたということでございます。現段階におきましても、われわれとしては、妥当な水準の処理加工経費であると信じておるのでございます。その点については、先ほど申し上げました四大メーカーの酪農担当重役が参りました際にも、私どもとしては、これが非常識だということはだれも言えないはずであるということを強調しておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/55
-
056・倉成正
○倉成委員 問題は、結局、農林省がこれを妥当だと考えましても、四大メーカーがこれを全然問題にしないということになれば、なかなか論争の目安というものが出てこないと思うのですね。ですから、やはりこの点について、もっと積極的にひとつ加工乳についての詰めを農林省としてやっていただきたいということが一つと、それからもう一つは、生産者の論争の中心というのは、合理的な市乳価格というのは一体どういうものか、また、地域的に具体的に幾らであるかということではないかと思うわけですけれども、合理的な市乳価格というのはどういう価格で算出されるかということを畜産局長にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/56
-
057・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 御質問とずれておるかもしれませんが、私の理解しております範囲でお答えいたしますが、市乳価格という意味で市乳の末端価格というもの、また、その末端価格と原料乳価格との関係ということで申し上げますと、市乳末端価格の合理的な水準というものは、単なる算定では私は出てこないと思います。自由流通商品でございますから、その価格の動向はすべて需給の関係によってきまってくる。現在の価格水準は、歴史的に需給関係で今日形成されてきておるというふうに理解すべきものと思うのでございます。市乳の末端価格と原料乳の間には、メーカーの卸価格というものがあるわけでございます。卸売り価格の水準は、これは一面においては、小売り段階における諸経費を償い得る範囲の卸売り価格がめどになり、また、乳業者の卸売り段階での一種の競争価格として成立するものと思うのでございます。これは、大体において同一地域、同一水準の建て値がほぼきまっておるわけでございます。したがって、同一地域においては、飲用乳価格の工場価格水準というものは、必要処理経費、平均的な利潤というものを留保した残りのものが乳価としてあらわれてくるということが、私は最も合理的でないかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/57
-
058・倉成正
○倉成委員 そこで、私お伺いしたいのは、先ほど中小メーカーの話に触れましたけれども、端的に言って大手メーカーの支払い能力、たとえばいま提示している価格以上の支払い能力があるとお考えになるか、あるいはもうないとお考えになるか、この点は非常にデリケートな問題でありますけれども、端的にひとつお答えいただきたいと思います。
質問の要旨は、こういうことです。とにかく、ないそでは振れないということばがあるけれども、いろいろ処理加工経費その他、農林省と見解を異にしておるという説明をそのまま受け取るといたしますと、どうもそういう乳価を払ったならば乳業会社がつぶれてしまう。だから払えないのだということであるならば、一応そのまま、額面どおりただいまの説明を承りますと、大手メーカーには支払える能力なしという言明をしておるということになるのです。そうじゃないということになってまいりますと、大手メーカーは、まだやりようによっては十分支払い能力があるということになろうか。そこがやはり非常に問題ではないかと思うのですが、これは何円が妥当であるとか、あと幾らあると言うことはなかなかむずかしい問題だと思いますが、端的に、大手メーカーにおいて現在以上の乳価を支払う能力ありや、これは実感としてどう受け取ったらいいのか、責任担当局長としての見解をお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/58
-
059・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 現在大手メーカーが指定生乳生産者団体に提示をいたしております飲用乳の価格水準というものは、昨年度の市乳地域における混合乳価の水準とほとんど同じ程度のものでございます。この中には、やや下がっておるのではないかと思われる節のものもございますが、全般を通じて見れば、前年度とほぼ同様と見られるのでございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、私どもは、事例調査に基づく処理経費、それから現在まで推移いたしておりますメーカーの収益の事情等も考慮いたしますと、現在指定団体に提示されております乳価水準以上には出せないと言うメーカーの主張には賛同いたしかねる。むしろ、まだ交渉の余地があるというふうに私は実感として受け取っておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/59
-
060・倉成正
○倉成委員 私も全くそういうふうに考えます。現在大手メーカーの提示している価格、この水準以上にまだ大手メーカーとしては支払い能力ありというふうに考えるわけですが、にもかかわらず、四大メーカーが歩調をそろえて今日の乳価について固執しているということは、私はこの法律を推進しました一人として、まことに遺憾に思っておるわけでございます。そこで、昨日、東京市乳圏指定生産者団体の会長と四大メーカーの乳価交渉が行なわれたことは御承知のとおりでありますが、これが決裂したということを聞いているわけですけれども、これに対する政府の所信並びに今後この交渉についてのあっせん調停をどうされる御予定であるか、お伺いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/60
-
061・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 私が四大メーカーの酪農担当重役なり社長との面接を通じて受けました印象は、メーカーとしては、この際市乳末端価格の引き上げをやって卸売り価格を引き上げ、そうして支払い能力を持った上で、生産者団体との乳価交渉を取りきめたいという考え方を共通的に持っておるようであります。私は、市乳の末端価格の引き上げの問題は別の観点から検討すべきであって、用途別取引というものが発足する際における飲用乳の価格形成の原理の意識統一というものと全く別のものであるということを指摘しておいたのでありますが、なおそういう考え方が残っており、そのことが、ものごとの進捗の一つの支障になっておるのじゃないかと思うのであります。関東地域における合同乳価交渉と申しますか、メーカー側は懇談会であると言っておるそうでありますが、それが決裂をしたといいますか、結論に至らないでもの別れになったということについては、いまの基本的な問題をわれわれとしては若干ほぐす必要があるだろう、少なくとも関東地域について進められてまいりました中酪の飲用乳価格形成の原理についての意識統一ということだけは、私も大メーカーの責任者に直接会いまして、この問題の解決をまずやりたい。若干業者の間に問題意識の違いがありますのは、東京工場着価格の水準の問題と原則の問題とをチャンポンに受け取っておるのではないか、したがって問題を二つに分けて、この問題の解決にひとつ全力を尽くしてみたいというふうに思っておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/61
-
062・倉成正
○倉成委員 局長から非常に意欲的な御答弁がございましたが、やはり同じ土俵の上でこの問題を解決していかなければいけないと思いますので、そういう点についていろいろ相互の誤解のある点もあるかもしれませんから、それらの点は、ひとつ畜産局において十分指導に万全を期していただきたいと思います。問題は、適正な乳価ということで、むやみに乳価が高いのがよいとは考えません。やはり適正な乳価でなければ長続きしないでしょう。ですから、適正な乳価をどうやってきめるかということが第一点、それから、やはりこの法律の趣旨にありますように、指定生産者団体というものを中心に考えていく、この二点をひとつぜひとも聞いてもらわなければならない。もしこれが聞けないということなら、何らかの抜本的な対策をもって聞かせることが必要だ。馬占山の大砲のように全然きかないものを幾ら農林省が力んでみても、またわれわれがこの委員会でやってみても意味がありません。したがって、誠意を持って適正な乳価について、また、法律の示す指定生産者団体について十分な機能が発揮できるようなことにできるだけの努力をしていく。しかし、どうしても聞かないという場合もあり得ると思います。そういう場合に一体どういうきめ手があるか、また、もし現在ないとしたならば、われわれも、ひとつ微力ではありますが、先頭に立ってこのきめ手をつくっていきたい、そういうことを考えております。これらについて、ざっくばらんにひとつお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/62
-
063・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 現在までに指定生乳生産者団体からいろいろな要求を持ち出しておりますけれども、私どもに理解できます良識のある要求は、おのずから通るものと思っておるのであります。通らないとは思いませんので、そういう場合のことはなかなか考えにくいことでございますが、ただ、目には目を、歯には歯をとかいう意味ではなくて、日本の市乳業界というものが将来健全な構造になる必要があるということを、今回の交渉を通じて切実に感じておるのでございます。したがって、四大メーカーがどうしても支払い能力が中小メーカーほどないということになれば、日本の市乳生産、供給の構造について考え直す必要があるのじゃないだろうかというようなことを考えるのでございます。またいかなる製造形式というものが現実に適切なものであるかは、農業団体なりあるいは政府が最も把握しやすいような業態を持つということも考えられるのじゃなかろうか。それらの問題を性急な形でなくて、むしろ長期的な政策の方向として検討してみたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/63
-
064・倉成正
○倉成委員 私もただいまの局長のお考えと大体一緒ですが、二つ問題がある。一つは、やはり今日の乳価交渉が、夏場を控えまして、もう六月の下旬になってきておる、なるべく早くこれをきめなければいけないという点が一点。それからもう一つは、中小メーカーの支払い能力あるいは乳価交渉の現況の問題を別にいたしまして、少なくとも大手のメーカーがこれだけの乳価しか払えないというような状態であるならば、その運営のやり方についていろいろ問題があるのじゃなかろうか。もっと能率のいい会社をつくって、そしてもっと能率のいいところにやらしたほうが日本の酪農の発展のためにもいいのじゃなかろうかという基本的な問題に触れてくると思います。したがって、やはりただいまのお話のように、長期的な観点に立って、日本の乳業メーカーの現在の経営のあり方、そういう問題についてもやはり、考えていかなければならぬと思います。
そこで、私は九州乳業の例については、局長もよく御承知のとおりと思いますが、やはり東京のような乳価をきめる場合の一つの中心的な役割りをしておりますところに、政府が何らかの形でもっと積極的にそういう乳価についても、あるいはその他のいろいろな面についても指導的な役割りを果たすような機関の設立ということも将来は一案として考えられてくるのじゃないかと思っておるわけですけれども、それらの点について何かお考えがあればお伺いいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/64
-
065・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 ただいま御示唆のありました点については、私どもさらに検討を深めるべき問題であると思いますが、行政事務の責任者といたしましては、それ以上のことを申し上げますことは問題もあろうかと思いますので、私どもとしてもたいへん傾聴に値する御意見であるというふうに受け取らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/65
-
066・倉成正
○倉成委員 私はやはり現在四大メーカーの谷間にはさまれまして非常に苦労しておる中小メーカー、これについてはひとつもう少し思い切って助成をしてやって、そしてこういう中小メーカーがもう少し力を持って、そしてある程度の勢力分野を持つということになってくると、そういう面からも考えましてこの制度の合理的な運営ができてくるのじゃないかと考えておりますが、中小メーカーについて中途はんぱのことじゃだめだと思います。やはり思い切った助成策を講じて、伸ばすべきものは伸ばすということがこの際必要でないかということを痛感しておるわけでありますが、この点についての政府としての御見解をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/66
-
067・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 市乳業者につきましては、一般的な意味での中小企業対策ということはもちろんのこと、先ほどもやや触れたのでございますけれども、市乳の製造、供給の業界の中で、中小企業の占める位置を今日の段階ほど切実に重要性を感じさせられたときはないのでございます。そういう意味から私どもは酪農政策、乳業政策の立場からも、中小乳業の育成、助長という点について、制度金融の運営その他の面におきまして、指定生乳生産者団体とも意識を統一、調整をはかりました上で、この経営の安定ということをはかっていくべきであるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/67
-
068・倉成正
○倉成委員 それから酪農者の側においても若干問題があるのじゃないかと思いますので、ざっくばらんにお尋ねしたいと思いますが、指定団体を経由しない乳価、いわゆる裏乳に対する指導方針はどういうふうに考えておられますか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/68
-
069・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 指定生乳生産者団体を通じない乳価というのは二種類あるかと思いますが、一つは員外者の乳価の問題でございます。員外者の乳価の問題は、実は倉成先生も専門家として十分御承知と思いますが、なかなか行政庁で把握ができないのでございます。ただできる限りそういう員外者の取引乳価というようなものについても調査、把握につとめたいということは、指定生乳生産者団体の乳価水準との間に不合理な懸隔があることを防ぐように指導する必要があると思うのでございます。指定生乳生産者団体に属しております生産者ないし生産者団体というものに、正規に指定生乳生産者団体を通ずる乳価と別の乳価、類似の乳価の性格を持つ金銭給付というものがありますことは、きわめて穏当を欠くと思いますので、そのような形は絶滅をするように指導をいたしたい。指定生乳生産者団体傘下の生産者ないし生産者団体には、すべて指定生乳生産者団体を通じて支払うということを私どもの基本的な考え方として貫きたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/69
-
070・倉成正
○倉成委員 ただいまの基本的な方針はよくわかりますけれども、現実の問題としてはこれまでのいわく因縁いきさつがありますし、また乳業メーーカの営業方針、また酪農民の意識というようなことからいろいろな問題があることも御承知のとおりです。ですからひとつこれらの点については十分配慮をされまして、ただいまの方針でいっていただきたいと思います。
そこで、私はこの際特に政府に御要望申し上げ、また御見解を伺いたいと思いますのは、せっかくつくったこの法律が、指定生産者団体がうっかりすると崩壊するというような危機に瀕しておる。原料乳の地帯はそういうことはないと思いますけれども、そうでないところは、もうこういう団体はあってもたいしたことないじゃないかというような感じを持ちつつあるということは疑うことのできない事実です。そうなりますと、これはこの加工乳の不足払い制度というのが、根本的に根底をゆるがされるということになるわけでありますから、ある意味において私は米価以上にこの酪農の問題は非常に重要な問題だと思います。そこで、私はこれらの問題について私と畜産局長との間でるる質疑応答をいたしましたし、また東海林委員と局長との間に質疑応答がございましたが、農林大臣、また政務次官は先頭に立ってこれらの問題に真剣に取り組む必要があると思いますから、これらの問題について、ひとつ仮谷政務次官、今後どういうふうに処置していきたいという決意のほどを、大臣にかわってお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/70
-
071・仮谷忠男
○仮谷政府委員 先ほどからいろいろ貴重な御意見を拝聴いたしたわけでありますが、制度が出発した初年度でありますから、この初年度こそわれわれが最大の努力をせなければならぬ時期でもあると思います。それだけにまたいろいろと軌道に乗せるまでにはトラブルもありましょうし、いろいろな問題が出てくると思います。先ほどの指定生産者団体の問題にいたしましても、加工乳以外の団体には確かにそういった切りくずし等もあるということは承知いたしておりますが、これはひとつ強力に指導いたしまして、あくまでもこの組織を充実して所期の目的を達成するように努力をいたしてまいりたいということを申し上げるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/71
-
072・倉成正
○倉成委員 ただいまの政務次官の御発言、そのままひとつ強力にやっていただきたいと思います。
また、私はこの際、乳業メーカーの中にも、四大メーカーといいましてもそれぞれのニュアンスがあるのじゃないか、同一歩調をとっておりますけれども、若干その間に見解の相違等もあるのじゃなかろうかと思うわけであります。いずれにいたしましても、日本の酪農を発展さしていく過程において、加工乳の不足払いの法律をつくるときに私どもいろいろ論議をいたしまして、あるいはこういうことが起こりはしないかという危惧を抱きました。しかし、そういう危惧を抱いたけれどもやらなければならないということで、あの不足払い制度の法律を推進したわけでありまして、酪農発展のためにたどらなければならない陣痛の一つであると考えておりますけれども、たいへん困難な事態の中で、大臣、政務次官、あるいは担当局長、あるいは担当の課長、係官、全部一体となってひとつ勇気を持ってこの問題に当たられんことを要望いたします。私どもも微力でありますけれども、全力をあげてこの問題が適正な形において解決されるように努力をいたしたいと思います。
これで質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/72
-
073・中川俊思
○中川委員長 芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/73
-
074・芳賀貢
○芳賀委員 先ほど同僚の東海林委員から概要の質問がありましたが、ここでお尋ねしたい点は、いわゆる不足払い法に基づく指定生産者団体の団体交渉権の問題について、農林省としてはどういう理解の上に立っておられるか明らかにしてもらいたいと思います。
〔委員長退席、倉成委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/74
-
075・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 指定生乳生産者団体は、その傘下の生乳生産者または生乳生産者の単位団体等から生乳の販売の委託を受けておる機関でございますから、この販売委託を受けて生乳についての価格、条件等、取引条件の決定は、買い手であります乳業者との間において売買当事者として取りきめるわけでございまして、団体交渉権という問題以前に当然売り手としての交渉権といいますか、交渉の位置があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/75
-
076・芳賀貢
○芳賀委員 その点は畜産局としてはわかっておるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/76
-
077・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 ただいま申し上げたとおりでございますので、わかっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/77
-
078・芳賀貢
○芳賀委員 生産者団体はもちろんわかっておるが、ではその交渉の相手側となるべき乳業者はこの点を十分に理解しておるわけですか。法律の趣旨とか農林省の行政指導の徹底についてどういうことになっておるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/78
-
079・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 乳業者すべてがどうも無理解であるというふうにきめつけるわけにはまいらないのでございますが、一部のメーカーの中には指定生乳生産者団体を相手とする取引条件の決定について、やや誠意が欠けるのではなかろうかというふうに受け取られる向きがあるのでございますが、私は制度の趣旨を理解できないとは思えないのでございます。乳業者も相当の学問もいたしておるはずでございますので、この程度の政治的理解がないと思えないのでございまして、むしろメーカー独自の立場から、さような態度をとっておるのじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/79
-
080・芳賀貢
○芳賀委員 代表的なメーカーと称せられる森永あるいは明治、雪印、協同乳業、これらは十分法律の趣旨を尊重して代表的な取引行為をやっておるかどうか、これが一番問題だと思うんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/80
-
081・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 制度の趣旨に沿ってやっておるかどうかということになりますと、これまたむずかしい判断を必要といたしますので、現段階では直ちにきめつけるわけにはまいらぬと思うのでございますが、メーカーの側では指定生乳生産者団体の育成、助長をしていくという制度の趣旨あるいは政府の方針というものに必ずしも協力的でないということだけは、現段階では言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/81
-
082・芳賀貢
○芳賀委員 この交渉の相手方である乳業者がまだ法律の趣旨というものを十分理解しておらぬ、体得しておらぬという段階であれば、これは農林省の行政的な指導というものが不徹底であるということは明らかに言えると思うんですね。しかし、法律の内容というものをよく理解して、なおかっこの法律の効果的な運用を妨げるような態度をとっておるとすれば、これは許せないと思うんですね。ですから、局長の答弁にもありましたとおり、全然不勉強でありあるいは判断が未熟でわからぬというのではなくて、むしろ後者の、法律の効果を知りながらそれを妨げるような行動をしておるということになれば、これはやはり政府としても相当強硬な態度でこれを徹底させる必要があるのではないかと思うわけです。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/82
-
083・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 先ほど東海林先生の御質問の際に政務次官からお答えもあったのでございますが、現段階における大手メーカーの指定生乳生産者団体に対する態度については、私どももすこぶるあきたりない点がございますので、私どもとして行政の責めにある者は条理を尽くしてわれわれのとっております指導方針あるいは制度の趣旨に沿うよう協力的な態度をとることを私どもとしては全力をあげて指導いたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/83
-
084・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、この指定生産者団体が法律に基づいて当然組織員であるところの生産者の委託を受けて、加工乳はもちろんでありますが飲用乳についても、これは無条件委託の形で相手方と交渉して用途別にこれをきめるということになっておるわけですから、交渉をいたしました場合においても、まず指定団体がそれぞれの都道府県において確立されなければならぬというこの段階が一つ必要なわけですね。ところがわれわれの調査によりますと、いまだ指定団体としての指定を受けるに至ってない府県があるわけですね。たとえば、関東の地域においては、神奈川県、埼玉県はこれはまだ未指定であります。あるいは京都府、新潟県も未指定になっておるんですね。この四つの府県が指定生産者団体が生まれていないわけでありますが、前段の神奈川、埼玉の場合は、これは明らかに大メーカーが、指定団体が指定条件を具備するまでに至るその過程において、いろいろな妨害工作を行なっておるということは、これは局長のほうが私よりも内容を承知されておると思うわけです。ですからたとえば森永乳業等が、昨年も法律の制定までの間相当いろいろな面から妨害活動をしたことは、これは天下に明らかになっておるわけですが、しかし法律ができて、指定団体が順調にその都道府県の中でまず発足するということは、これはメーカー側から見ても最も望ましいことであるが、それを阻害するということをいままで放置されておるということについては、われわれとしては非常にこれは不満足であります。京都、新潟の場合には、これはむしろ生産者側における完全な体制が整わぬということも理由になって遅延しておるということを承知しておるわけですが、東京市乳圏といわれる中における神奈川、埼玉等の地域において指定団体が生じない、生まれないということに対してどういう見解を持っておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/84
-
085・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 四県の指定団体の設立ないし指定がおくれておりますのは、それぞれ独自の理由があるのでございますが、共通して申せますことは、四県ともに市乳のウエートが圧倒的に高くて、今回の不足払い制度の恩典を受ける率が非常に少ないという地域でございます。それがやはり指定団体の設立、指定という問題がおくれておる共通の事情であろうと思うのであります。京都と埼玉につきましては近く指定が行なわれる予定でございます。続いて新潟が行なわれる予定になって指定の準備が進んでおる段階でございまして、神奈川がおそらく最後になろうかと思います。
御質問の神奈川、埼玉につきましては、指定団体は申すまでもなく農民ないし農民団体の自主的な結合ということが前提としてあるわけでございまして、それらの自主的な団結が容易に進まないということが指定団体ができていないという根本的な理由でございます。その際、両県につきまして、私は乳業者が積極的な設立の妨害をしておるというふうなことは聞いておらないのでございますけれども、加工原料乳の多い地域における指定団体の設立に至る経過において示したメーカーの協力的態度というものが、これらの県においては見られないという点だけは私どもも看取をいたしておるのでございます。したがって、そういう困難な事情のありますところにつきましては、私どもも若干の期間を要しましても根強く本来の生乳の共同販売ということの利点と申しますか、そのことの持つ意義というものを十分に関係農民に理解をしてもらいました上で設立をする、足元を固めつつ設立をするという努力を続けていきたいということで、両県に対して指導をいたしておるのであります。今後もその考え方で進めてまいりたい。私は最終的には埼玉、神奈川も指定団体は設立され得るというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/85
-
086・芳賀貢
○芳賀委員 法律ができる前の生産者側の、たとえば共販体制であるとかあるいは価格交渉の体制というものは、まだ相当未成熟な点はあったわけです。ですから、法律ができたことによって体制的には相当進んだ発展を示しておることは農林省としてもわれわれとしても大きな期待を寄せておる点であります。ですから、急速に体制的に発展するといっても、内容が充実するかどうかということは相当な時間を要するわけですからして、それらの点については当然指導当局である畜産局が熱意を持って当たらなければいかないと思うのです。もし全国に数県指定生産者の団体が形成されないということになると、先ほど東海林委員からも指摘のあったとおり、それが一つの禍根になって、すでにできた生産者団体も弱体化させられるとかあるいは解体の運命をたどるということは、これは絶対ないとはいえないと思うのです。それだけに今後一そう努力してもらいたいと思うわけです。
それから、乳価の交渉についても、これは当然生産者の委託を受けて行なうわけですから、府県によっては比重が加工乳にある場合あるいは飲用乳にある場合にはそれぞれ相違があるが、しかしいずれにしても、飲用牛乳についても、法律に基づいて正当なルールで相手のメーカー側と交渉するということが最も妥当な道であるということは言うまでもないわけです。これ以外の話し合いの場を求めるというようなことになれば、また裏乳価の問題であるとか不明朗な関係があとを断たないわけですからして、あくまでも、乳価の交渉については交付金の対象になる加工乳は言うまでもないが、飲用乳面についても、交渉の重要な度合いということになれば、これはいずれも生乳であることに変わりないわけですからして、そういうことを農林省としても確信を持って今後行政的な指導をすべきだと思うのです。ですから、単に抽象的な指導ということでなくて、当事者間において交渉が行なわれる、あるいは交渉が全然前進しないというような場合には、やはり行政的な指導という形で介入する必要が当然あると思うのです。これが全然行なわれていないわけです。この点については、交渉とかあるいは乳価の決定というものが適法に行なわれるということを考えた場合、最初から行政的な介入をする必要はないが、どうしても政府が適当な積極的な行政的な指導をしなければ解決がつかない、前進しないという場合には、やはり当局として介入しなければならぬと思うのです。その点はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/86
-
087・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 新法が施行されまして、およそ大部分の乳というものは指定生乳生産者団体を通じて流通をすることに相なったのでございますから、メーカーは、指定生乳生産者団体の売った乳については、指定団体を相手方として取引条件を取りきめるべきであるということは御指摘のとおりでございまして、私どももその点は何も言う余地はないと思うのです。そういうことにつきましては私どもも先ほど来御説明してまいったのでございますが、四大メーカーの酪農担当重役、当該各社の社長といったような人たちに私みずから面接して、指定団体との交渉による各地域の乳価の決定を急いでもらいたいということを要請してまいったのでございます。ところが、現段階では、私どもの要請にかかわらず、事態は進捗してない地域がかなりあるわけでございまして、ただいま芳賀先生からお話がございましたように、私どもとしても、まず指定生乳生産者団体が一歩一歩その体制を固め、力を得ていくという方向で統一的な交渉というものを進めるようにしむけていくということにつとめたいと思うのでございます。
なお、今後の方針といたしましては、地域によりましては双方のある意味で腹の中の交渉条件というものが近づいておるのではなかろうかと思われる地域もあるわけでございまして、そういう地域につきまして、府県を通じまして今回の乳価交渉の適切な解決というものをはかっていきますと同時に、どうしても本来の姿での乳価交渉の進みが悪いというところにつきましては、重点的にお話のような本来の姿の解決方法というものをたどらせるように努力をいたしたい、指導を集中したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/87
-
088・芳賀貢
○芳賀委員 そこで、この指定生産者団体の乳業者に対する交渉の態様はいろいろあると思うのです。たとえば都道府県別に指定された生産者団体が個別にメーカー側と折衝をするという形は、これは当然あるわけです。それからもう一つは、法律的にも明らかになっておるわけでありますが、全国段階における指定生産者団体の意思を統一した相手方に対する交渉、こういう形も当然あるわけです。それからもう一つは、特に飲用牛乳の場合は、大消費地を中心にした、それに対する同一の条件を具備しておるブロックといいますか、たとえば東京市乳圏とか大阪市乳圏とかですね。これが二大市乳圏ということになっておるが、この同一の条件のもとにおかれている数個の指定生産者団体が共同して相手方の乳業者と交渉を行なう。これは非常に望ましい形でありますが、これを現在の段階ではメーカー側は拒否するような態度に出ていることは局長も御承知のとおりであります。これは畜産局長としてどう考えて対処しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/88
-
089・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 全国の指定生乳生産者団体の加入によりまして成立いたしております中央酪農会議が飲用乳の価格形成についての基本的な考え方について乳業者との間で相互に意思統一をするための努力を今日まで続けてきたのでございます。それについて途中の段階でメーカー側はそういう話し合いには応じたくないという意見が出ましたので、実は私は各社の社長に会ってその折衝を続けるように要請をいたしまして、昨日までそれが続いておったのでございます。昨日の段階で、もう折衝に応じないと言ったのか、あるいは生産者側が提示いたしました考え方についてのめないと言ったのか、その辺が明らかでありませんが、もの別れになっておるという状態でございます。その際、関東市乳圏の工場建て値が触れられたようでございまして、その点につきましては、こういう基本的な考え方の詰めについて市乳圏あるいはブロックごとに意識統一をするということは、私は非常に意味のあることだと思いますが、具体的な契約は取引当事者間で行なわれるのでございますから、まず第一に市乳価格形成についてのルールについての意識統一の折衝の場としては、ブロックなり、あるいは市乳圏なりにおいて行なわれることを、今後も私どもとしては、メーカーにこれに応じさせ、成立させるように努力をいたしたい。具体的な契約の問題につきましては、要するに生乳生産者団体もメーカー側も納得する条件が成立すればよいことであり、またそれを成立させる方法としては、これは個別にやる場合もありましょうし、集団的にやる場合もありましょうけれども、より効率的に話が進む方法を具体的にその地区ごとに考えたらいいのではないかというふうに私は思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/89
-
090・芳賀貢
○芳賀委員 ですから、いま言ったとおり、東京を中心とした市乳圏あるいは大阪市乳圏の関係指定生産者団体がほとんど条件が共通なわけですからして、いずれも市乳分量が多いというような場合には、そういう体制でメーカー側と交渉するということは、これは生産者団体の立場から見ても、あるいは不足払い法の運用から見ても、当然あるべき姿ですから、これを特に四大メーカーが中心になってこれを受け入れない、あるいは拒否するような態度をかりにも示した場合には、農林省としてき然とした態度で、正常に交渉が進み、そうして生産者側も科学的な正当な意思というものが反映できるように努力していかなければいかぬと思いますが、その点が、私たちが見ていると、どうも欠けているように思われるわけです。去年不足払い法が成立するまでは、時の赤城農林大臣も檜垣畜産局長も相当熱意を持って取り組んだことはわれわれ認めたのですよ。その熱意を認めたから、この困難な事情の中でこれを成立させたわけです。その期待というものは、法律が実現してから後の効果的な運用というものにむしろかかっておるわけですが、それが全然熱意のある態度ではなくなったんです。むしろ、うしろ向きになっちゃって、ややもするとメーカー側の陣営に立ったような行政的な行動をやっておる。これは国会を全くペテンにかけたような態度とも言えるし、全国の生産者を裏切った態度であるということも、これは一致した批判というか、そういう判断がいま行なわれておるわけです。これは農林省としても畜産局長としても、そういう非難を受けるということは好ましくないと思うのです。遺憾に考えておるかもしれぬが、これは今後の行動とか実践を通じて解明をしていかなければいかぬと思うのです。ですから、今回の飲用乳の統一的な交渉については事態が全然進展していないわけですから、これを打開するためには局長が先頭に立って——限界はありますけれども、行政的な積極的な指導を行なう。それは簡単に言えば、行政介入という形以外に進展の方法はないと思うのです。その点は、相当決意を持って今後当たってもらいたいと思いますが、局長並びに——これは農林省としてもやはり方針があるでしょうから、大臣にかわって仮谷次官からも明らかにしてもらいたいのです。
〔倉成委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/90
-
091・仮谷忠男
○仮谷政府委員 法律案そのものは野党側にはいろいろ御意見があったのですけれども、私どもは画期的な法律案として実は提出し、御賛同を得たわけであります。しかも、その制度出発の初年度でもありますものですから、先ほどの答弁でも申し上げましたように、いろいろ出発にあたってはトラブルもありましょうし、まだ不十分な点も確かにあると思うのでありますが、しかし、本年き然とした態度でいわゆる行政の筋を通さないと、今後この制度を遂行していくためにもいろいろな問題が生ずると思うのでありまして、そういう意味において全力をあげて努力しなければならぬと思っておるわけであります。
先ほど来、局長からいろいろ御答弁を申し上げましたが、決して私どもはメーカーの側に立っていいかげんなお答えをするというようなことは考えていないのでありまして、相当積極的に努力をいたしておるわけでありますが、事態がもちろん十分に御納得のいくところまでいっていない点はまことに残念でありますけれども、御趣旨に沿って今後は強力に推進をいたしてまいりたいという決意を持っておりますことを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/91
-
092・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 かねてから御説明申し上げておったのでございますが、飲用牛乳の適正な価格の形成が行なわれるということは、今回の不足払い制度の実質的な効果を確保するためきわめて重要な問題でございます。でございますので、私どもも飲用牛乳の価格の形成が合理的かつ適正に行なわれるという方向で指導をしてまいったつもりでございますが、御指摘のように現段階においては、はかばかしく進捗をしておらないということを認めざるを得ないのでございます。今後も、お話に出ましたような地域別あるいは市乳圏における原則的な問題について、集団的な話し合いが進められるというようなこと、また各個の段階においては、指定生乳生産者団体の体質の強化をはかっていくという方向に即しつつ、私どもとしてもこの制度の実効を期しますために、全力をあげて誠心誠意努力をいたしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/92
-
093・芳賀貢
○芳賀委員 その点は了解しました。
そこで、今年度の飲用乳の価格交渉上、われわれとしてもそう思っておりますし、特に生産者団体におきましても納得できない点は、まず第一に、御承知のとおり一昨年市乳の消費末端価格が一合につき二円引き上げになった。これは一升にすれば二十円ですから、この配分問題については当委員会などでも相当長期間論争して、この値上げ分の配分については、少なくとも値上げ分の二分の一以上は生産者の手取り乳価として配分されるようにすべきであるということを論議し、特に委員会決議等も付してあるわけでして、局長としても、当時値上げ分の半額分はあくまでも生産者の手取りに回るように努力するということで行なわれたわけですが、その当時は混合乳制度ですから北海道のように市乳分量の少ない地域についても、金額には差がありましたが、若干の加工乳地域に対する市乳値上げ分の配分が行なわれたことは言うまでもない点です。今度は用途別に変わったわけですからして、生産者の素朴な判断から見ても、加工乳と飲用乳を用途別に完全に区分されて価格形成も行なわれるということになれば、たとえば一昨年の市乳の末端価格値上げの場合の配分についても、これは当然加工乳地帯あるいはその数量分については、市乳からの配分というものは全然要らぬわけですね。保証乳価あるいは基準取引価格を基礎にした取引価格というものは別途にきまるわけですからして、これは直接の価格上の関係は市乳、加工乳の間にはないわけですね。ただプール計算を行なうということになっておるので、生産者が委託した受託生乳については用途別に取引価格をきめて取引を行なっている。あるいはまた政府からの交付金というものを加算してプール計算を行なうということになるので、最終的な乳代の支払いについてはプール計算になるが、価格上の問題としては、今度は加工乳と飲用乳の価格というものは画然と別建てということになるわけです。ですから、当時の加工乳の部面に配分された市乳の値上がり分というのは、今度は当然黙っておってもまず第一段階として市乳価格の上に上積みさるべきである。その後において、現在の経済事情から制度下における適正な乳価の交渉とか決定が行なわれるべきである。こういう理解の上に立っておるわけですが、これが全然解決されていないわけです。メーカー側の主張からいくと、当時と比較した場合、これを区分した場合においては、むしろ値下がりをするというような地域とか、そういうものが生じておるわけですから、これを専門的に畜産局長が見た場合においても、この矛盾は早急に取り除く必要があると思うわけです。この点お尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/93
-
094・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 従来の混合乳価取引のたてまえでありました場合には、市乳の価格改正の際の支払い能力というものが必ずしも飲用乳だけに帰せられるものではないという慣行がありまして、したがって、その間の配分が非常に不明確であったことは御指摘のとおりであります。用途別の取引ということに相なりますれば、加工乳については、政府が有権的に資料に基づいて算定した基準取引価格というものが出るわけでありますから明確になるわけでありますが、飲用乳につきましては、その点について一定の方式で画一的にきめるというわけにはまいらないのでございますけれども、それぞれの地域に市乳の卸売り建て値というものがあるわけでありますから、したがって卸売り建て値から処理販売経費並びに平均的な利潤を留保するというやり方によって、その間の費用を控除いたしますれば、おのずから飲用牛乳に対する乳価の支払い能力というものが出てくるわけであります。そういう形によって私どもは基本的な考え方を統一する必要があるということで指導してまいり、また中央酪農会議にも、その考え方に立って関係指定生乳生産者団体並びに乳業者にその方向について意識統一するように要請をいたしてまいっておるのであります。メーカー側は、この方式については、いわばこの方式の不合理性を指摘しておるのではありませんが、彼らのために都合が悪いということで現段階までは同調してきておらないということでございますが、私どもはこの方針はあくまでも貫いていきたいと考えておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/94
-
095・芳賀貢
○芳賀委員 従来は、メーカー側の主張の中で、たとえば加工乳、乳製品事業というものは利益をあげる事業ではない、したがって原料乳地帯の乳価は多分に市乳の販売事業あるいはアイスクリーム等の販売事業の利益の中からある程度配分して、それで加工乳地帯の乳価というものを会社が負担しておる、こういうことを終始主張して、そうして加工乳地帯の低乳価というものをずっと続けてきたことは御承知のとおりであります。今回は法律に基づいて、この加工原料乳は乳製品からの逆算方式で基準取引価格というものが決定されて、それに国からの交付金というものが加算されるわけですからして、メーカー側から見れば、加工原料乳については全然飲用乳部面からの利益を加工乳代に持ってくる必要がないのです。むしろ政府のきめた基準取引価格が非常に安いために、今度は指定乳製品の事業の中でメーカー側も予期しない利益というものが相当期待できるわけです。そうなると、今度は飲用乳事業あるいはそれに関連のあるアイスクリームの製造販売事業等の利益というものは、現在の飲用乳の末端価格から逆算した場合においても、相当飲用乳の生乳価格というものは値上げしなければならないということになると思うのです。これをメーカー側は交渉にも応じない、積極的な値上げもしないというのが、いまの統一乳価交渉における停とんした状態であるわけです。この経過というものを畜産局長は十分知っておるわけでありますからして、これはやはり行政的に指導して、まずメーカー側に十分理解さして、そうしてこれからの乳価交渉というのが順調に進むようにぜひしてもらわなければいかぬと思うのです。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/95
-
096・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 結論から申し上げますと、芳賀先生の御指摘、私もそのとおりだと思っております。飲用乳の乳価水準を合理的にきめるということは、先ほど申し上げましたように、私どもとして新しい不足払い制度というものの実効をあげるためどうしても必要な条件でございますので、私どもメーカーに対してもその点を強く説得をしてまいりたいというふうに思うのでございます。ただ、先ほどもちょっと御説明をいたしたのでございますが、何しろ大メーカーは、法律案の公表以来終始一貫して一県一集荷機構というものに反対であるということを言っております。先日大メーカーの社長と会いましたしきに、露骨に、いまでも反対であるということを言う頑迷なのがおるわけでございます。でございますので、相当時間と労力をかけてこれは説得をせざるを得ないというふうに私ども覚悟をいたしておるのでございまして、問題はそこに一つある。いま一つは、市乳価格の引き上げをはかって支払い余力を持って、そうして支払い余力十分のもとで乳価問題を片づけたいという、問題をすりかえようという気がまえがある。その点を分けて、私は今後指導を進めてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/96
-
097・芳賀貢
○芳賀委員 いま局長が言われた、頑迷な大メーカーがあるということでございますが、これはできれば明らかにしてもらいたい。こういう乳業者が頑迷なために一切を阻害しているというようなことになれば問題の解決が早いと思うのです。これは委員会だからいいじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/97
-
098・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 私の表現も不適切とは思いませんが、やや過度な表現を使いました関係もございまして、具体的な人名を申し上げることは、私は公開の席上では適切ではないと思いますが、大メーカー、つまり四大メーカーの中におることは間違いがないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/98
-
099・芳賀貢
○芳賀委員 そう言えば大体わかるので、この程度でいいとしまして、委員長からの指示がありましたので午前中はこの程度にしておきますが、特にあらかじめ申しておきたいことは、四月二十三日に畜産局が不足払い法の運営に基づく数量認定関係担当者会議というものを開いておるわけです。そのとき松本発言というか、これは乳製品課長の松本君のことをいうと思いますが、この際におけるいわゆる松本発言の内容、あるいはこれに関連する白井発言とかいろいろありますが、この関係の資料を午後冒頭に出してもらいたい。何か発言しておるでしょう。口頭でもいいですよ。どういうことを担当者会議で農林省の指示として指導したか。質疑の進行上、午後に突然私から言い出しても困ると思うから、これは午後の冒頭にいわゆる松本発言なるものの内容というものを、口頭でも何でもいいですからそれを文書で、資料としてこちらによこしてもらいたい。これに基づいて質疑を継続することにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/99
-
100・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 四月二十三日の各県の担当者会議におきまする担当官の発言は、すべて口頭で発言をされておりますので、文書で提出することは不可能でございますが、その事情については後刻御説明を申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/100
-
101・芳賀貢
○芳賀委員 政府の責任において行なった発言は、それが文書の形式であっても口頭の形式であっても、その場限りであとは根拠はない、権威がない、責任がないというものじゃないと思うんですね。たとえば、全国の知事会議を政府が招集しても、各担当大臣の説示というものがあるでしょう。これは口頭でやっても、あれはたいがいのあいさつと同じように勢いのいいことを言っただけで、あとは何も責任がないとか根拠が残らないというものではない。それじゃ何のために担当者を集めたかということになるのですね。だからそういうことを言わないで、口頭であれば口頭でいいですから、口頭で述べた要旨を文書に整理して、これはみなに配付するいとまがなければ私にだけあらかじめよこしてもらわないと、あと会期は幾ばくもないのですからね。まだ畜安法の提案理由の説明をもらっただけですから、そういうことも考慮に入れて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/101
-
102・中川俊思
○中川委員長 この際、暫時休憩いたします。
午後一時十七分休憩
————◇—————
午後四時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/102
-
103・中川俊思
○中川委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
農林水産業の振興に関する件について質疑を続行いたします。芳賀貢君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/103
-
104・芳賀貢
○芳賀委員 先ほどの休憩前にこちらから指摘しました、いわゆる四月二十三日の担当者会議における松本発言なるものの内容について局長から責任のある説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/104
-
105・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 先ほどの当委員会で、芳賀先生から四月二十三日の全国の乳業関係担当者の職員の会合におきまして牛乳乳製品課長の松本からどういう発言をしたかということを示せということでございまして、先生のお手元へはその要旨を配ってありますが、松本発言の要旨は新制度の趣旨に沿って加工原料乳の数量の認定、それぞれの用途別の乳価の形成が適正になされるよう一般的な指示をいたしたのでございますが、その際加工原料乳価格については政府の示しました基準取引価格を基準として折衝すべきである旨の発言をいたしたのでございます。
なお、牛乳乳製品課の課長補佐白井技官が、四月二十二日の全国酪農協同組合連合会が主催をいたしました都道府県指定生乳生産者団体の代表者による新乳価制度懇談会の席上、乳価問題で見解を表明したことがあるのでございますが、その発言の要旨は、加工原料乳の取引価格は基準取引価格を基準とすべきであり、これを大きく上回ることについては制度のたてまえ上おのずから限度があるという趣旨と、それからたまたま乳製品市況が好調だからといって加工原料乳の取引価格を高くきめると、市況軟調のときは逆に基準取引価格を下回ってもよいということになり、新しい用途別取引価格体系の意味がなくなるおそれがあるという発言をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/105
-
106・芳賀貢
○芳賀委員 それでは順を追って、まず松本発言なるものについて詳しくお尋ねしますが、いま局長から資料として提示された発言要旨の内容と、われわれが手元に持っております内容というものはだいぶ違うわけです。これは口頭で担当者会議で発言したということですから、したがって口から耳に伝わった趣旨の内容というものは、おのずから理解においてもニュアンスの相違があることは当然でして、こういう重大な説明等を行なう場合は、後日の責任を回避するために特に口頭で行なうということは今後改めてもらいたいと思う。大事な法律運用上特に指示すべき事項等については、担当者会議であっても、当然これは文書化したものに基づいて間違いのない運営とか、農林省の趣旨を徹底させるべきである、こういうふうに思いますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/106
-
107・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 御質問の御要旨は、こういうような見解は制度運用上きわめて重要な問題であるから、それについては農林省の指導方針が明確である必要がある、かつ誤解等が起こることを避けるために、文書等をもって明らかになるような措置をしておくべきであるという御意見と承るのでございますが、私もまさにそのとおりに考えますので、今後十分注意をいたしたい。この会合ではあらかじめそういうことを指示をするという目的はなかったのでございますが、たまたま乳価問題に触れました場合に、ふだん私から指示をいたしておりましたことを口頭をもって表明をしたという結果に相なったのでございます。
御趣旨の点につきましては、私ども十分留意をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/107
-
108・芳賀貢
○芳賀委員 ただいまの局長の説明によると、一般的な指示の中で加工原料乳の価格については政府の示した基準取引価格を基準として折衝すべきである旨を発言した。この程度であればそういう問題はないと思うわけですが、われわれの手元にある発言の要旨というものは、まず「加工原料乳についてはあくまでも、基準取引価格の線を守って取引価格を決定することとし、過大な要求をせしめないこと。」こういうふうなことになっておって、その理由として、一つは、「基準取引価格を従来の実勢取引価格と比較することは、その背景となる流通形態が異るので無理である。」その二は、「基準取引価格を上げなければならないような事態になれば、保証価格を下げなければならなくなる。」この点は重大な発言の点ですね。三は、「乳製品の安定指標価格の意味がなくなる。」四は、「加工原料乳価格に足を引っぱられて、市乳価格の価格形成がゆがめられる。不足払制度の意味がなくなる。従って、生産者団体としては、飲用向、その他の面で獲得すべきである。飲用向は、自由に交渉されるべきものだ。」以上のようになっておるわけです。それで、この基準価格の線を基礎にしてやるということは当然でありますが、この生産者団体に過大な要求、基準取引価格の線を越える要求をさせないようにするというのは、これはたいへんなことだと思うのです。それから「基準取引価格を上げなければならないような事態になれば、保証価格を下げなければならなくなる。」これは一種のおどかしのような発言とも考えられるわけですが、この点はもう少し詳しく局長から明らかにしてもらいたい。局長で不明であれば、松本課長を、これは政府の説明員として出られるわけですから、局長のほうで必要があれば出席さしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/108
-
109・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 乳価に関します基本的な態度は、私から明確に部下に指示をいたしておりますので、私からお答えすることができると思います。
まず、お示しになりましたお手元の資料は、おそらく報道関係の記事であろうと思うのでございます。この都道府県数量認定関係担当者会議というのは部外者を一切入れない会議として持たれたものでございまして、報道関係としても正確な報道ができるはずはないのでございます。おそらくいろいろな形での聞き取り等を総合して記事をまとめたものと思われるのでございまして、その点について多少言い分が横着かもしれませんが、責任を負いかねるのでございます。その前日白井課長補佐が全酪連の懇談会で発言をいたしたものが、これは新聞社の速記に基づいてかなり正確に報道されておりまして、松本課長の発言も同じ私の指示に基づく発言でございますから、間違うわけはないと信じますので、御参考までにその部分を読み上げてみます。
「(1)従来の取引乳価はいわゆる混合乳価であって、今後の乳価設定の基準である生産実態、市場実勢等とは何ら関係のない妥協乳価ともいえるものであった。今回の制度で加工原料乳価を全国一本に決定しているため、各地の自然・経済条件を飲用乳価格にいかに反映させるかはむずかしい問題であるし、加工原料乳の取引価格が、基準取引価格を大きく上回ることについてみずから限度が設けられるべきであるとする意見も各方面から相当強い。これらの点について目下当局内部で鋭意検討中である。(2)たてまえとしては、安定指標価格から標準経費を控除したものが取引価格であることから、乳製品市況が好調を続ければ、当然基準取引価格を大きく上回る現象があらわれよう。しかし、この行き方をそのまま是認すると、逆に市況軟調のときは基準価格を下回ることになり、価格体系の意味がなくなるばかりでなく、用途別取引が完全に破壊されてくる。」そのおそれがある、こういう趣旨の発言をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/109
-
110・芳賀貢
○芳賀委員 そこで基準取引価格と、指定生産者団体が乳業者と交渉してきめる場合の実際の取引価格の関係については、これは昨年の法案審議の場合においてもあるいはまた四月一日に農林大臣が新しい乳価を告示された後における当委員会の太田参事官の説明等においても、これは疑問のないほど明らかになっておるわけです。基準取引価格はあくまでも基準取引価格であって、実際の取引価格というものは、当事者間の交渉によって基準価格を上回っても、これは差しつかえない。当然そういうことは起き得るということをこれは明らかにされておるわけですね。それを担当者会議においてあくまでも基準取引価格の線で取引価格をきめなければ、これは保証価格の変更にまで及ぶというようなことを強調するということは、これは担当官として法律の内容を知らない言辞だと思うわけなんですよ。その発言が各地のすでに決定されたあるいは決定を見ようとした原料乳あるいは用途別飲用乳等に対する決定を変更させるというような強い影響力を与えたということは、これは局長も御存じのとおりと思うのです。ですから、いま資料として出された程度の発言であれば、これは何もあたりまえのことですからね。当事者間で決定した契約価格というものを変更しなければならぬとか、改めさせるというような、そういう事態にはならなかったと思うのです。その間の経緯はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/110
-
111・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 御指摘になりました報道の「基準取引価格を上げなければならないような事態になれば、保証価格を下げなければならなくなる。」というのは、これはおよそこの制度を知っておる者にとっては無意味な文句でございます。基準取引価格が上がるか下がるかということと、保証価格が上がるか下がるかということとは全く無関係な問題でございまして、私の信頼をする部下がこれほど法律を知らないということはない。いわんや法律案の作成に当たった者がこういうことを言うわけは私は絶対にないと思うのでございます。私もこの記事は読んだのでございますが、非常に誤解が起こるおそれがあると思いましたので、特にその報道筋の記者と単独会見をいたしまして、私としての見解をはっきり正確に記事として報道するような措置をまずいたしたのでございます。同時に、このようなことが誤り伝えられて、乳価の決定に支障があっては困ると思いまして、畜産局としての見解は、中央酪農会議に対してもはっきり指導をいたしました。また乳業関係についても、畜産局の加工原料乳の乳価の取りきめ方についての基本的な考え方を明快に示してあります。そういうことでございますので、現段階におきましてこれらの誤解というものは私はほぼ氷解をしておるものだと信じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/111
-
112・芳賀貢
○芳賀委員 この点は政府が決定、告示をしました昭和四十一年度の加工原料乳の保証価格あるいは基準取引価格、指定乳製品の価格等に関して当委員会としては四月十二日に同僚の東海林委員が主として政府に質問を行なったわけです。そのときは農林大臣、檜垣畜産局長も出席できなくて、具体的な点については太田参事官から説明が行なわれておりまして、特にただいまの基準取引価格と当事者間で決定する取引乳価との関係の部分については、私からこの点を質問しておるわけです。その点だけをちょっと申しますと、「今度は実際の生産者団体と会社の取引価格ということになりますと、基準価格は告示になったからわかっておるでしょうが、これだけで取引せよというわけはない。これはあくまで取引だから、生産者団体と会社側で取引上の話し合いをして、その結果が基準取引価格よりもたとえば二円とか三円高くきめたって差しつかえないわけですね。」こういう趣旨で太田参事官にただしたわけでありまして、これに対しまして太田説明員は「そのとおりでございます。」とこれは明快になっておるわけです。この理解というものは、昨年の法律の審議の場合において局長からもしばしば強調されておる点で、太田参事官の答弁も法律の趣旨に沿った答弁であるとわれわれは確信しておるわけです。ですから、これを担当の課長が、あくまでも基準価格を守らなければいかぬ、それをこえるようなことをやった場合においては保証価格を下げるなんというような、全く局長が言ったとおり、しろうとでも言えないようなことをあえて言っておるわけです。それも担当官としての権限をかさに着て、全国の担当者会議でそういうことを強調したということになると、生産者団体はこれは変なことを言うと思っても、会社側にしてはこれはもうえらい武器ですね。畜産局がそういうことを言ってくれたのだから、これはあくまでも基準取引価格できめればいいということで、すでに基準価格を数円上回った取りきめが行なわれたところも、これを改約して、そして基準取引価格の線でなければ取りきめしないというようにメーカー側の態度を硬化させたわけです。その意味において松本発言というのはメーカー側を利益させる有力な武器になったということは否定できないと思うのです。ですから、この武器をメーカー側から取り上げてしまわないと、加工乳の交渉にしましても、また先ほど言いました飲用牛乳の価格交渉にしても、正常な話し合いは進まないわけです。局長のいまの答弁によってその点は全くの誤報である、局長としてそういう不信な部下はいないということをあなたは信じておるわけですから、この点はそうであれば全国の指定団体等に対して四月二十三日の松本発言なるものは間違いであるということを明らかにすると同時に、メーカー側に対しても趣旨を徹底させなければならぬ。当事者間の話し合いで基準価格を上回る価格決定がされても、それはそうすべき根拠というものがあって妥結するわけでありますから、それは正常な取引価格として当然契約が実行されるべきであると思うわけです。この点は絶対間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/112
-
113・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 ただいままで申し上げてまいりましたとおり、ただいま芳賀先生のおっしゃいましたことは私ども同見解でございます。多少補足して申し上げたいと存じますが、この報道がありましたことが乳価の決定交渉に悪影響があってはならぬという配慮は、私どもも、先ほど申し上げましたように、中央酪農会議なりあるいはメーカーに対しまして、また直接四社の酪農部長にも私から公式の見解をはっきり申し述べてあるのでございます。また同じ報道紙上に私の見解を明確に報道してもらっております。でございますので、私は、その点なおこういう問題が尾を引いておるようであれば、はななはだ遺憾でございますので、心配でございますから、こういうような誤解がなくなるようにしかるべく措置をしたいというふうに思います。
なお、当然のことでございますが、この報道の中に若干あらわれてきます思想は、私の指示をいたしました線で話をしておるのでございますが、乳製品の価格は、御案内のように月ごとに変動いたすものでございます。安定指標価格というものを設けてございましても、現実に価格の支持をすべき水準というのは、政令で一定の幅が設けられておるというのも、そういう価格現象の実態に合わして考えられておるものなのでございます。でございますので、年間を通ずる基本的な加工原料乳の契約価格というものは基準取引価格をもって定めることが適当ではないかというふうに考える。ただし現実の市況によって、メーカーに乳価としての支払い余力ができる、支払い能力が増すという段階においては、それに応じた乳価のプラスアルファをすべきであるということが私どもの公式の見解でございます。その趣旨のことをただいま申し上げましたような形で表明をいたしておるのでございますが、御注意もございますので、なお十分に注意いたしまして間違いのないようにいたしたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/113
-
114・芳賀貢
○芳賀委員 いまの局長の説明も、先ほどの説明よりちょっと明快を欠いておるわけです。とにかくこの法律に基づく契約は、原則として一年間を期限とした契約ということになっているわけです。したがって、そういうことを前提として十分交渉を行なって、そうしてその結果が基準取引価格よりもある程度上回った取引価格が設定された、そういうことが当然なわけですね。そうでないと、基本契約は基準取引価格で契約して、あとはこの乳製品の市況等によって特別に勘案できるということになれば、これは従来の取引と変わりないわけです。その補助とか助成という形で行なうということになれば、ほんとうの厳密な意味の取引価格ということにはならないおそれがあるわけです。今回の場合にはあくまでもその裏乳価とか基準価格と認めがたいような季節的なものはできるだけ整理して、それを正常な取引価格にガラス張りで乗せて、そうして不安定のない状態で行なうべきであるというのが法律の趣旨でもあるし、畜産局長の指導方針でもあると考えるわけです。だからそれがまたぼかされるような指導方針はうまくないと思うのです。この点は十分注意してもらいたいと思います。
それから、いま資料として出された白井発言の要旨の(2)の中で、「たまたま乳製品市況が好調だからといって、加工原料乳の取引価格を高く高くきめると、市況軟調のときは、逆に基準取引価格を下回ってよいということになり、新しい用途別取引価格体系の意味がなくなるおそれがある。」これもおかしいと思うのです。元来、今度の基準価格の決定は、われわれが見た場合には実情よりも非常に下回った価格をきめておるというように判断されるわけです。それは結局、乳業者本位の基準取引価格をきめたということになっておるわけです。そのことは、市況の変化から見ると、市況変動によって相当下値になった場合も当然たえ得る基準取引価格であるということも言えるわけでしょう。ですから、市況軟調になった場合にはまたたいへんなことになるという、そういう不安はないのですが、これは基準取引価格を不当に安くきめておるわけですからそうなんです。これはけしからぬということをわれわれは当初から言っておるわけですから、こういう点を白井発言の中で強調するというのはおかしいのですよ。おそらく白井君というのは、政府原案を作成する場合には直接担当して、いかに基準取引価格が不当に低いかということは心得ておって作業した人物だと思うのです。この点はまだ問題残りますよ。用途別の取引価格体系の意味がなくなるというのはおかしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/114
-
115・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 白井発言の要旨の二につきましては、これは確かに片寄った見方をいたしますと、若干の誤解が生ずるおそれがあると私は思います。白井発言の本旨は、先ほど報道されました前文のところで申し述べましたようなことでございまして、要は、加工原料乳の取引価格について、基準取引価格の果たす役割りは市況の変動のいかんにかかわらず、それだけの価格は必ずメーカーとしては払わなければならない性質のものであるということを明確にしておるのであります。したがって、市況の変動に応じて加工原料乳の取引価格を動かしていくという性質のものではないということを言っておるのでありまして、市況が好調でメーカーに支払い能力がある場合には、それは上積み乳価として、基本取引契約ではございませんで基本取引価格の上に加算さるべき性質のものであるということを言っておるのでございます。もし市況に応じて加工原料乳の価格がそのつど変動するという性格の価格であるならば、用途別取引価格体系というものは維持できないという論理の話をいたしておるのでございまして、この点はこの席上で明らかにいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/115
-
116・芳賀貢
○芳賀委員 その点はさらに明確にしてもらいたいと思うのです。いまの局長の論法から言うと、基本になる取引価格というのはあくまでも基準取引価格の線できめるべきである、しかし乳製品の市況を反映させた市況の好調分の配分というのは、基本になる取引価格の上積みになるような配慮で行うなべきである、そういうことをあなたは言っておるわけでしょう。そうじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/116
-
117・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/117
-
118・芳賀貢
○芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。取引価格というのはあくまでも基準取引価格でやるという思想と同じじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/118
-
119・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 現実の取引価格というのは、私はこう理解をしておるわけです。加工原料乳の取引価格というものは、基本的な価格としてそれ以下の価格には絶対に落とすべきではないという価格であるべきである、その価格は基準取引価格である。現実の取引価格は、市況の状態でありますとか、あるいはもう少し言えばメーカーごとの支払い能力の差もあるはずでございますから、そういうものが加算されて差しつかえないという思想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/119
-
120・芳賀貢
○芳賀委員 だから、それは四月十二日の太田参事官の答弁にもあるように、実際の取引価格というものは基準価格を下回っては絶対にならぬのですね。それをキロ当たり数円上回る契約をすることは差しつかえない。それは保証価格には何ら変更の影響を及ぼすものでないということは、これは明らかになっておるわけです。そういう考え方が法律の趣旨なんですからね。だからその考え方の上に立って、たとえば一年間契約をする場合も基準取引価格に数円加算された価格で契約を締結し、それが当然基礎になって契約が実行されるわけですね。そのほかに、契約の取りきめ後に非常に乳製品市況が好転をした、しかし本契約を直すということはなかなか話し合いでもできがたいので、これは暫定的に上積みとして別途に乳代加算ということで支払いをする、こういうことは当然あり得ると思うのですよ。この区別をここで局長からはっきりしておいてもらいたいと思うのです。いま私の言ったとおりかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/120
-
121・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 基本的なものの考え方としては、先生のおっしゃいますことと私の申し上げましたことに違いはないと私は理解をいたしております。法律が加工原料乳についてこれ以下の価格を払うことはたてまえとして認めないというのは、基準取引価格であるということを私ども行政なり法律を運用する立場の者としては言わざるを得ないということでございまして、私は、当事者の間で基本的に私どもの考えております線にたがうことなく納得の上できめられる加工原料乳についてとやかく言う気持ちはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/121
-
122・芳賀貢
○芳賀委員 もう一度繰り返しますと、基準取引価格は御承知のとおりキロ当たりにすると三十一円八十一銭、一升当たりにすると五十九円六十四銭ですね。これを当事者間の取りきめに基づいて、たとえばキロ当たり三十五円なら三十五円にするということを、基本契約に基づく乳価として一年間の契約の場合にはそれを実行する。それが基本的な取引価格の決定ですね。そのほかに、この契約締結後に乳製品の市況というものが、たとえば事業団が緊急輸入するとか、市況が高騰するというような現象がいま起きておるわけです。この現象は、この契約をしたときの時点においては反映されなかったということになれば、その後にこれは時期的にあるいは暫定的にその分に対してはこれは話し合いで上積みされるべきである、そういうことを私はいま言っているわけです。この解釈に変わりがなければ、それを局長から確認しておいてもらえばいい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/122
-
123・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 基準取引価格は全国を通じるこれ以下の加工原料乳代によって取引してはならないという性質のものである、それに対して、両者の合意に基づいて年間不変動の部分のものが加算され、さらに変動部分を加算するというような方式がとられても私は一向に差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/123
-
124・芳賀貢
○芳賀委員 それは間違いないですね。——ちょっと発言してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/124
-
125・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 私は、そういう契約であっても何ら差しつかえないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/125
-
126・芳賀貢
○芳賀委員 その次にお尋ねしたい点は、ことしの四月十六日付で中央酪農会議の会長の森八三一君の名前で畜産局長に対して、飲用牛乳に対する取引交渉を相手乳業者と円滑に進めるために政府として適正な指示をしてもらいたい、その内容は、中央酪農会議と全国を区域とする乳業者並びに中小乳業の代表者と交渉の場をあっせんされたい、その二は、飲用向け等その他用途向け乳価の合理的な形成をはかるため、これらの平均加工費、平均販売費等所要の資料を提示されたいという要請が局長あてに行なわれまして、それを受けて五月の六日に畜産局長から中央酪農会議会長あてに「飲用原料乳価格の形成等について」という回報が出されておるわけです。この回報に添付された「飲用牛乳の製造販売費用等について」、これはあくまでも基準的なものであると思いますが、これを普通牛乳と加工牛乳に区分して、特に重要な点は、製造販売経費、平均的利潤等の面において明らかにされておるわけであります。これは今後生産者団体としては、飲用牛乳をメーカー側と折衝する場合において、従来不明であるとされておったところの飲用牛乳の特にメーカー段階における経費部分あるいは利潤部分というものは大体畜産局の手を通じて、上限下限の幅はありますが、よりどころが明らかになっておるわけです。生産者団体としてもこれが妥当なものとも考えておらぬかもしれませんが、しかしよりどころになることはあくまでも事実だと思う。ですから、この点は畜産局としても、折衝の場合、経費の話し合いの場合には相当確信を持って裏づけをして促進すべきでないかと考えますが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/126
-
127・檜垣徳太郎
○檜垣政府委員 この点については先ほども東海林委員にお答えを申し上げたのでございますが、私どもはメーカ自身の協力も得まして二十六工場の製造販売経費を調査いたしたものから、ごく零細な一日につき五千本以下の処理工場というものは平均的な処理経費を出すデータとしては不十分であるということで除外し、また提出された加工経費では、常時赤字を出す工場ということになるような資料では信憑性がないということで除外いたしました。残りのものを平均をいたし、それの変動幅を一シグマ・プラスマイナスして取引価格決定の際の足がかりにするように資料として提示したものであります。その限りにおきましては、私どもはこの資料はほぼ正確なものであると確信をいたしておるのでございまして、これに基づいて構想が進められることが望ましいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/127
-
128・芳賀貢
○芳賀委員 委員長に申し上げますが、いま大事な点にようやく到達したわけですが、議事進行上の都合もありますので、一応本件の質疑を中断させてもらって、あとは別途の案件について審議を進めたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/128
-
129・中川俊思
○中川委員長 この際、農産物価格安定法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
本件につきましては、先般来理事会におきまして御協議を願っていたのでありますが、その内容につきまして委員長から御説明申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/129
-
130・中川俊思
○中川委員長 その内容は次のとおりであります。
一 米麦に次ぎ重要な農産物の価格が適正な水準から低落することを防止し、農産物の生産の確保と農家所得の安定をはかることを本法の目的とすること。
二 政府は、農産物等を必要な時期において、必要な数量を買い入れることができることとすること。
三 原料基準価格については、パリティ価格を基準とし、生産費及び物価、需給事情その他経済事情を参酌し、再生産を確保することを旨として算定することとするとともに、政府の買入基準価格については、原料基準価格に原料運賃、加工に要する費用等を加えて得た額とすることとすること。
四 原料農産物の取引の公正を確保するため、農林大臣又は都道府県知事は、必要な勧告を行ない、これを公表することができることとすること。
以上でありまして、理事会の御協議によりお手元に配付いたしております案を起草した次第であります。詳細な内容等につきましては案文により御承知を願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/130
-
131・中川俊思
○中川委員長 本起草案に御発言もないようでありますので、直ちに採決に入ります。
お手元に配付してあります農産物価格安定法の一部を改正する法律案を本委員会の成案と決定し、これを委員会提出の法律案といたしたいと思いますが、これに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/131
-
132・中川俊思
○中川委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出の法律案とするに決定いたしました。(拍手)
この際、政府において所信があれば、これを聴取することといたします。坂田農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/132
-
133・坂田英一
○坂田国務大臣 ただいまの議案につきましては、院議に従いまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/133
-
134・中川俊思
○中川委員長 ただいま決定いたしました法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/134
-
135・中川俊思
○中川委員長 御異議なしと認め、さよう決定いたしました。
次会は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
午後四時五十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105007X05319660624/135
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。