1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月四日(金曜日)
午前十時四十八分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 上村千一郎君 理事 小沢佐重喜君
理事 谷川 和穗君 理事 八木 徹雄君
理事 川崎 寛治君 理事 長谷川正三君
熊谷 義雄君 坂田 道太君
床次 徳二君 中村庸一郎君
松山千惠子君 落合 寛茂君
河野 密君 湯山 勇君
横路 節雄君 和田 博雄君
鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中村 梅吉君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 安嶋 彌君
文部事務官
(大学学術局
長) 杉江 清君
委員外の出席者
文部事務官
(大学学術局庶
務課長) 井内慶次郎君
専 門 員 田中 彰君
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三月四日
委員和田博雄君辞任につき、その補欠として湯
山勇君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員湯山勇君辞任につき、その補欠として和田
博雄君が議長の指名で委員に選任された。
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三月二日
学校図書館法の一部改正に関する請願外七件(
相川勝六君紹介)(第一四二四号)
同外一件(上村千一郎君紹介)(第一四二五
号)
同外十一件(宇野宗佑君紹介)(第一四二六
号)
同(植木庚子郎君紹介)(第一四三五号)
同外十一件(大石武一君紹介)(第一四三六
号)
同(小坂善太郎君紹介)(第一四三七号)
同外十件(田中伊三次君紹介)(第一四三八
号)
同(濱田幸雄君紹介)(第一四三九号)
同(藤本孝雄君紹介)(第一四四〇号)
同(八木徹雄君紹介)(第一四四一号)
同外五件(南好雄君紹介)(第一四四二号)
同(長谷川正三君紹介)(第一四五四号)
同外二件(落合寛茂君紹介)(第一四五七号)
同(川村継義君紹介)(第一四五八号)
同(久野忠治君紹介)(第一四五九号)
同外十件(田川誠一君紹介)(第一四六〇号)
同(高橋重信君紹介)(第一四六一号)
同外二件(和田博雄君紹介)(第一四六二号)
同外四件(二宮武夫君紹介)(第一四九一号)
同(前田榮之助君紹介)(第一四九二号)
同外一件(松山千惠子君紹介)(第一四九三
号)
同外十一件(川崎秀二君紹介)(第一四九九
号)
同外二件(床次徳二君紹介)(第一五〇〇号)
同外十二件(中曽根康弘君紹介)(第一五〇一
号)
同(奥野誠亮君紹介)(第一五〇九号)
同外二件(八田貞義君紹介)(第一五二六号)
同外五件(木村武雄君紹介)(第一五六四号)
同外二件(川崎寛治君紹介)(第一五九〇号)
同(辻原弘市君紹介)(第一六四〇号)
なぎなたを中学校以上の女子に正課として採用
に関する請願(臼井莊一君紹介)(第一四二七
号)
同(加藤高藏君紹介)(第一四二八号)
同(登坂重次郎君紹介)(第一四四五号)
同(神近市子君紹介)(第一四六三号)
同(堂森芳夫君紹介)(第一四六四号)
同(野原覺君紹介)(第一四六五号)
同(山口丈太郎君紹介)(第一四六六号)
同(安藤覺君紹介)(第一四八七号)
同(前田榮之助君紹介)(第一四八八号)
同(秋田大助君紹介)(第一五〇八号)
同(森義視君紹介)(第一五五〇号)
同(保科善四郎君紹介)(第一五六六号)
同(内海安吉君紹介)(第一五八九号)
学校栄養士設置に関する請願外二件(南好雄君
紹介)(第一四四三号)
同(森義視君紹介)(第一四七〇号)
同外七件(小沢辰男君紹介)(第一五三八号)
へき地教育振興法の一部改正に関する請願(大
竹太郎君紹介)(第一四四四号)
同(久野忠治君紹介)(第一四六九号)
幼稚園の義務教育に関する請願(清瀬一郎君紹
介)(第一四六七号)
学校警備員の設置に関する請願外一件(久野忠
治君紹介)(第一四六八号)
教育予算増額に関する請願外四件(山中吾郎君
紹介)(第一四七一号)
同外十二件(高橋重信君紹介)(第一五六五
号)
同(加藤清二君紹介)(第一六〇〇号)
同外一件(辻原弘市君紹介)(第一六三八号)
産業教育に従事する国、公立高等学校基礎教科
担当教員に産業教育手当支給に関する請願(砂
田重民君紹介)(第一四八九号)
同(田村元君紹介)(第一四九〇号)
同(和爾俊二郎君紹介)(第一五九一号)
同(和爾俊二郎君紹介)(第一六〇一号)
同(上村千一郎君紹介)(第一六一一号)
同外一件(遠藤三郎君紹介)(第一六一二号)
同(大石八治君紹介)(第一六一三号)
同(大倉三郎君紹介)(第一六一四号)
同(奥野誠亮君紹介)(第一六一五号)
同外一件(押谷富三君紹介)(第一六一六号)
同(神田博君紹介)(第一六一七号)
同外二件(菅野和太郎君紹介)(第一六一八
号)
同(久野忠治君紹介)(第一六一九号)
同(河本敏夫君紹介)(第一六二〇号)
同(砂原格君紹介)(第一六二一号)
同(正示啓次郎君紹介)(第一六二二号)
同(高見三郎君紹介)(第一六二三号)
同外二件(辻寛一君紹介)(第一六二四号)
同(渡海元三郎君紹介)(第一六二五号)
同(中垣國男君紹介)(第一六二六号)
同外一件(中村幸八君紹介)(第一六二七号)
同(永田亮一君紹介)(第一六二八号)
同(永山忠則君紹介)(第一六二九号)
同(早川崇君紹介)(第一六三〇号)
同(坊秀男君紹介)(第一六三一号)
同外一件(堀川恭平君紹介)(第一六三二号)
同外四件(松田竹千代君紹介)(第一六三三
号)
同(山手滿男君紹介)(第一六三四号)
同(和爾俊二郎君紹介)(第一六三五号)
同(早稻田柳右エ門君紹介)(第一六三六号)
同(渡辺栄一君紹介)(第一六三七号)
義務教育における珠算教育強化に関する請願(
福田篤泰君紹介)(第一五三七号)
鹿児島県内之浦町に宇宙科学館設置に関する請
願(二階堂進君紹介)(第一五七七号)
国立夜間(独立)大学設立に関する請願(門司
亮君紹介)(第一六〇七号)
公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数
の標準に関する法律の一部改正に関する請願(
辻原弘市君紹介)(第一六三九号)
千葉市加曾利貝塚の保存に関する請願外七件(
長谷川正三君紹介)(第一六四一号)
同外四件(山中吾郎君紹介)(第一六四二号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法
律案(内閣提出第二二号)
国立学校設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出第四五号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案及び国立学校設置法の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
質疑の通告がありますので、これを許します。湯山勇君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/1
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002・湯山勇
○湯山委員 私は、国立学校設置法の一部を改正する法律案につきまして、三点についてお尋ねをいたしたいと思います。
その第一点は、今回の国立学校設置法の改正をはじめ、従来国立学校の門戸はだんだん広がってまいりました。しかしながら、門戸を広げるということは非常に重要なことではありますけれども、はたして質的にそれが高められていっているかどうか、こういうことについて非常に大きな疑問がございますので、この点についてお尋ねいたしたいのが一点と、第二点は、学校教育法が施行されましてもう二十年近くになります。その間、旧制高等学校が文理学部として残されておりましたが、これを改組しなければならないという長い間の懸案が、今回二校だけは処理されておるようでございますけれども、まだ残っておるのが六校でございますかございます。こういうことを早く処理しなければならないのではないか、そのことについてお尋ねいたしたいのが第二点。それから第三点は、学校教育法で大学の通信教育が規定されております。しかし、今日通信教育は、国立の大学では一校も行なわれていない。これは私は法律のたてまえからいっても適当ではないというように考えますので、この三点をお尋ねいたしたいと思うわけでございます。
まず、国立大学を含めて、大学全般の内容がはたして期待どおり高められていっているかどうか、これについては非常にいろいろなことが言われておりますが、具体的に文部省として大学生の質、もっと端的にいえば学力になるかと思いますが、それについて調査もしくは調査しなくても資料をお持ちになっておられるかどうか、あるいは検討されておられるかどうか、これについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/2
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003・杉江清
○杉江政府委員 大学において学んだ学生の学力がどうかという点につきまして、具体的な資料はございません。ただ実業界などの採用試験等においてあらわれた結果において、相当ひどい学力のものもあるのじゃないか、こういう声は私のほうも聞いております。ただこの学力が高まっているか落ちているかについての調査もなかなかむずかしい点もあるわけでありまして、現在のところ具体的な資料を持ち合せておりませんが、しかし大学においてほんとうに教育の質を高め、学力をつけることは、大学関係者の大きな課題でありまして、いろいろな面でのくふうがいままでもなされてきております。その一つの面といたしまして、大学の設置基準の改正の作業をこの二年来慎重な審議を続けて、やっと一年前にその答申が出ております。これは単に学力を高めるということだけでこの作業が行なわれたわけではありませんけれども、その改定の一つの基本的な目標として、やはり大学の質を高める、学力をつける、こういう点に最も大きな関心と注意が払われたわけであります。その結果、やはり学生を学校にとどめて教育する時間をももっとふやす必要があるという観点から、単位計算の方法について大きな改善がなされようとしておる答申がすでに出ておるわけであります。
それからなお、一般教育のあり方につきましても、いままでのようなやり方では、高等学校教育の蒸し返しになって、重複があり、ロスがある、こういう観点からそこに大きな改定が加えられようとしております。ことに従来の一般教育のワクの中において、基礎学力の充実という点で基礎科目という範疇を特に取り出しまして、その整備をはかろうとしておるわけであります。その他、教官定数の点においてもいろいろな改善が加えられております。こういった設置基準の改定等を通じましても、学力の向上、質の向上という点についての努力を現在いたしておりますし、今後ともいろいろな面からこの学力の向上については十分努力をいたさなければならぬと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/3
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004・湯山勇
○湯山委員 いまの御答弁によって、大学の質を高めていく、そういういろいろな構想は進められておるということでございますが、大切なのは、一体どの程度どうなっておるのかという把握がなければ、いまのような、かりに設置基準にいたしましても、これでいいかどうかという見当が立たないと思います。
そこで重ねてお尋ねいたしますが、たとえば国家試験をやっておる、医師の国家試験あるいは薬剤師の国家試験、そういうものにあらわれたものが、一体どうなのか、あるいは文部省から直接諸外国の大学の学生の勉強の状態、そういうものの調査も視察のときになさったと思いますが、そういったものも、あるいは量的にははっきりはいかないにしても、質的なものは大体おわかりになると思いますので、そういったようなものをどのように御把握になっておられるか、これをひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/4
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005・杉江清
○杉江政府委員 私ども、試験の結果にあらわれておりますところでは、総体としては学力は低下しているという結果はあらわれておらないと思います。戦後のあの混乱時期に比べれば、大学の教育も充実しておりますし、生徒の学力も次第に向上してきている。まだまだ不十分ではありますけれども、しかし向上の方向にあるととは事実だと思います。
それから諸外国における大学生の質との比較でございますが、まず一般的に言われますことは、日本の学生は入るまでには勉強するけれども、入ってからは勉強しない、また大学もさせない、しかしアメリカその他においては、入るときには比較的容易であるけれども、入ってから卒業するまでにはうんと勉強させ、学力のない者は卒業させない、こういうことが一般に言われておりますし、そういう傾向は確かにあると思います。
ただ実際の学力の比較ということになりますと、日本の大学の教育の質、また学生の質が一般的に全体として比較してみたときに劣るというふうなことは軽々に言えないのではないか。日本においては、いろいろな弊害はありながらも、小中高等学校における教育は、やはり諸外国よりも充実していると思います。これは特に低学年における学力の比較は現にあるわけでございまして、これは教育研究所が関係しております国際的な数学についての学力の比較の資料は明らかにございますが、これは日本が非常に優秀な結果を示している。このような調査がありますと、もう少し明らかになると思いますけれども、私は少なくとも高等学校の段階までにおいては、諸外国に比べてその学力という点についてはひけをとらないものと考えております。これはしかし推測でございます。
確かに大学においていまのような大学教育のあり方では相当の問題がありますけれども、しかしそのような素地の上に立った大学教育でありまして、総体的にその学力が著しく劣るというふうには私どもは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/5
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006・湯山勇
○湯山委員 私は局長とは全く逆な心配をしているのです。私も実はいろいろ外国を三回ばかり見てまいりました。日本の学生の能力が低いとは毛頭申しておりません。どこでも言っておりません。ただ諸外国へ行っている日本の学生は確かによく勉強しております。しかしその行って勉強している人が、国内を振り返って、一体日本の大学の学生はあれでいいのだろうか、確かに能力はすぐれているけれども、世界で一番勉強しない——到達したレベルを言っているわけではないのです。一番勉強しないのは日本の学生じゃないかということをしみじみ言っております。で、東京へ遊学すれば年に何十万かの金を使って、しかも百万近い大学生がある。年間何千億円という金が使われている。そして人間の一生からいって、一番体も発育するとき、精神的にも成長するとき、そのときがいま局長の言われたように、これで大体順調にいっているとはたして言えるかどうか。これは一々詳しいデータがなくても直感でもわからなければならぬ問題じゃないかと思います。
そこで大臣は一体このことをどうごらんになっておられますか。憂慮すべき事態だとお考えになられますか。これでいいのだとお考えになりますか。私はもちろん何割かは確かによく勉強して大学生にふさわしい生活をしておる学生があることを否定するのではありません。ただ全体的に見た場合に、はたしてこれでいいかどうか、こういうことを心配しておりますので、大臣どうお感じになられますでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/6
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007・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 大学の学生の水準を高めることについては、文部省としては設置基準の問題、あるいは単位の改善、あるいは教官定数の改善等にいろいろ努力はいたしておりますが、御指摘のように、私ども見ておりましても、日本の大学は人情があり過ぎるというのでしょうか、入学させると卒業させなければかわいそうだという気分が多く手伝いまして、結果的にはほとんど卒業していくという、こういう姿にありますから、どうも入学するまでは入学競争で、進学競争をやってノイローゼになるまで勉強するが、入ってしまうとほっとしてしまって、どうも見ておって十分に一生懸命勉強にいそしんでおるという姿が欠けておると私も感じております。天野先生あたりの独協大学では、入学はさせても卒業させるまでには十分に試験をして、そして能力のない者はどんどん落第をさせるという新らしい方式をとり始めておりますが、日本の大学のあり方というものについてまだまだ研究をし、もっと学生である以上は学問の勉強及び研究にいそしむような姿をつくり出したいものだ、こう考えております。しかし、大学生急増の時期でありますので、これらの急増対策ともにらみ合わせて今後どうあるべきかということについては、さらにさらに十分に研究をして対策を講じていく必要があると考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/7
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008・湯山勇
○湯山委員 私は幾つかの資料を御提供したいと思います。それは、一つは科学技術教育というものは非常に重要だということで、今回の国立学校設置法の一部改正においてもそういう意図がよく見えております。しかしながら、はたしてそういうことが期待どおりいっておるかどうか。
これはこういう雑誌なんですけれども、これに小学校の四年生、それから大学は国立大学の一般教養を終わった三年生です。それらについて、もうだれでも知っていなければならない基礎的なごく簡単な問題についてテストした結果が出ております。やったのは大学の教官がやったのです。それで見ますと、こういうことになっておるのです。五題の問題の中で小学校四年生の平均点が十四・八、それで大学の三年生、百五十名を対象にしてやった平均が十三・一、小学四年生よりも低いのです。それから第二番目の問題では、小学校四年生が二三・五、大学の三年生が三五・三。それから第三番目の問題では小学校四年生が五六・三、それに対して大学の三年生は五六・二、これは低いです。それから第四番目の問題は、小学校四年が二七・二に対して大学の三年が三九・二。それから第五番目には小学校四年が八・六に対して大学は四五・一。この五番目の問題は幾らか大学の面目を保っておりますけれども、実はこれは事実についての調査なんですが、こういう状態です。それは局長が言われたように小学校が順調にいっておる、中学校が順調にいっておる、高校が順調にいっておるといっても、いまの段階から言えば、これはいずれも中間段階です。中間段階で幾らすぐれておっても、そもそも教育というものの仕上げをした段階、その大学を卒業した者が、実は入学するときが最高で、それからどかどか落ちていって、ほんとうの大学でしなければならない学問をしていない、する態度が不十分だということは、これは国家的に見て非常に重要な問題、国の将来から見てきわめて重大な問題であると思います。このことは、いまただ単に審議会の答申を待つとか、そういうことでなくて、文部省が総力をあげて取り組まなければならない問題じゃないかというように思います。これはいかがなものでしょうか。これは大臣のほうから御答弁いただいたほうがいいように思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/8
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009・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 いま御指摘をいただきましたそのデータも非常に重要なものだと思います。まあ、どういう出題か内容をよく存じませんが、問題によっては小中学校で学んだことは、大学へ入ると一段落ということで忘れてしまうという傾向がたぶんにあるのじゃないか。しかし、やはりこれらが基礎でありますから、そういう学問の基盤については、大学生であってもさらにそれを伸ばしていく努力というものは必要なんで、こういう意味において、大学の教育の内容に文部省として干渉がましくタッチすることは困難でありますが、何かやはり履修単位の基準であるとか、そういうようなことを十分今後研究しまして、やはり一定の水準の学力がなければ卒業できないような仕組も、国公立、私立を問わず考えていく必要があるのじゃないか。内容に対して干渉はできませんが、一つの水準を何か研究をしてきめていく、こういうようなことは大いに考えさせられるのじゃないかというように思います。中教審の審議等もいただきまして、十分今後こういう点の改善につとめたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/9
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010・湯山勇
○湯山委員 局長にお尋ねしますが、よその国に行ってみると、大学に入って日本語を勉強し始めたという人たちが、大学で三年なり四年なりやって、けっこうてにをはなんか正確に使ってわれわれと話ができます。もろちん十分ではありませんけれども、しかし、日本の大学では、大学を終わった者は、いま中学で三年、高校で三年、大学で四年、十年間英語をやっておるわけです。これも新聞に出ていたことですから、どこまでがほんとうかということには問題はありましょうけれども、大学で原書を持ってぶらぶらしておる。その中で中学二年のリーダーが満足に読めない、こういう指摘があります。これも全然間違いじゃないと思います。これでは私は何のために一体大学へ来ておるのか、実にたいへんなことじゃないかという気がいたします。
それから、実業界あたりでいろいろそういうことをやっておるということですが、最近企業内大学というようなものが生まれておりますが、これは正規の大学じゃないですけれども、局長御存じでしょうか。どうお思いになられますか。そして、どうしてそういうものができてきたかということについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/10
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011・杉江清
○杉江政府委員 私、日本の大学の学生の学力は、諸外国に比較して著しく劣っては必ずしもいないだろう、こういう観測をいたしましたけれども、それは私は向こうのかなりの部分の優秀な層と、日本のかなりの部分の優秀な層とを比較して主として考えております。しかし、日本の大学は最近急にふえております。そしてそこには率直にいいまして、その大学の教育の質の低い大学もある。また、生徒の質の低い者の集まる大学もあるわけでありまして、それらにおいてははたして大学教育として要求される質を維持しておるかどうか、非常に疑問だと思われる点は確かにございます。そして、日本の大学が戦後これだけ膨張しておりますので、十分質の向上に行き届かなかった点が非常に多い、そういうことから学力の点からいいましても、いろいろな欠陥があるということは事実でございます。そういった点について、私どもも十分そういった欠陥を承知しておるつもりでございます。ただ、これが改善の方途についてはなかなか意のごとくにならない点を反省いたしておりますけれども、いろいろ改善しなければならない点が確かに多いと思います。
いま英語の学力についてのお話がありました。これも非常に優秀な者もあれば、いま御指摘のような者も確かにあると思います。これらの点、大いに改善しなければならないことであります。ただ、これも私一般的にいいまして、英語の力ということに対して、非常にふえてきた段階における総体的な力ということについては、私もかなり疑問を持ちますけれども、かなりのすぐれた層においては必ずしも劣っていないんじゃないかということを私は考えますけれども、それは確実なデータがございません。ただ、欠けておりますのは、いわゆる話す、聞くという、こういった実践的能力が確かに欠けておる。これは長い間勉強してきたそのわりに、話す、聞く能力は非常に劣っているということは確かだと思います。この点については、やはり最近いろいろな改善の努力は払われております。が、まだ不十分であります。その原因には、私は試験制度というものがそういう点の災いをなしていると思いますが、しかし、いろんな点について学力不十分な点も、英語のみならず、各方面にあるわけでございまして、具体的な解決に努力しなければならないと考えております。
それから、企業内大学のこともある程度は承知しております心そして、そのかなり多くが非常に充実した教育をやっておる。そうしてほんとうに実力もつけておると私は考えております。相当見習うべき点があるというふうに私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/11
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012・湯山勇
○湯山委員 いま局長がおっしゃったように、正規の大学じゃなくて、企業内にそういうものをつくってやっておる、それが実際には非常に成績をあげているということは、これは非常に問題だと思うのです。むしろもう正規の大学にたよらないという、正規の大学に対する不信感のあらわれと見て決してこれは言い過ぎではないと思います。しかも石川島播磨重工とか、日立製作所とか、東京電力、東洋レーヨン、こういういわゆる大手のところでそういうことをやっておる、これは反省の資料にしなければならないことだと思います。
そこでいろいろこの点については申し上げたい点たくさんあるのですけれども、一つはいま大臣おっしゃったように、卒業させなければならないということは、特に私学等においては経営の問題もあると思うのです。教育の上からはこの定員がいいのだけれども、経営上はそれじゃいけない。経営定員と教育定員とは違っておるし、順々に送っていかなければ、学校の経営が困るというような実情もあるでしょうし、それからいまの状態では、さっきのように入学することに一生懸命で、それからあとはどうにかこう卒業できるという、いまの甘さ、こういうこともあると思います。だからよく言われておるのは、日本の大学は世界一甘いという批評を受けておるのも、それだと思います。したがって、いま局長おっしゃったように、単に設置基準とか、あるいはそういう問題じゃなくて、大きな立場から取り組まなければこの問題はなかなか是正できない。そうしてそれは将来の日本の国にとってきわめて重大な問題だ。いまこそ方々の国が日本の学問技術に対して敬意を払っておりますし、それからもっといえば、ある種のコンプレックスを持っているのじゃないかというようにさえ思いますけれども、このまま行って五年、十年先に日本の大学の卒業生というのはこんなものだということで、そういうことがはっきりわかったときには、逆にたいへんなことになるということを心配いたします。この問題は触れなければならない多くのものを持っております。ひとつ政府におかれても、単に一文部省の仕事じゃなくて、国全体の仕事としてぜひひとつ強力なお取り組みを願いたい。設置法によって学校のふえること、それが必ずしも私は国のためになっていない、そのことを指摘して、ぜひひとつ善処をお願いいたしたいと思います。大臣の御決意をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/12
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013・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 たいへん建設的な御意見を承りまして、私どもも現状を見まして、現状で満足するどころではない、大いに改善を要する問題を非常にかかえておると思います。したがいまして文部当局としましては、その改善に向かいまして今後一そう力を注いでまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/13
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014・湯山勇
○湯山委員 次に文理学部改組の問題についてお尋ねいたします。
戦後当然改組されなければならない状態にあったものが、今日まで約二十年間そのまま放置されたということは、私ははなはだ遺憾なことだと思います。なぜこういうことになってきたか、その経緯を一度御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/14
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015・杉江清
○杉江政府委員 文理学部はかっての高等学校のあとを受けて設けられたものでありますが、その再編成のときに、すでにいろんな意見があったわけであります。一般教養を担当するものとして編成がえをするとか、あるいは教員養成を担当するようなものにしようとか、いろんな考えがあった。しかし一応その高等学校の教育、また教官組織を大幅に変えないような形で新しい学部をつくるということに意味があるというような考え方もあって、文理学部が発足したものと私は理解しております。ここでは人文、社会、自然の各分野にわたる総合的な教授及び研究をするということになっておるわけであります。しかしこのようないわば複合的な学部というものの教育というものは、なかなか能率が上がらない、また運営にもいろんな問題がある、できるならば単一学部に編成がえすることが適当だろう、こういうふうな意見が前々からあったのであります。しかしこれが編成がえは実際上いろいろな困難が伴うわけであります。この数年前までにおいては、特に新しい学部をふやしていくということについては、一そう慎重であったわけであります。学部をふやさずにこの中身をすっきりした形にするということにはいろんな困難があった。そういうことから、その必要は唱えられながらもこれが改組がなかなか実現しなかったのであります。しかし大学生急増期間において大学の収容力をふやすということを考え、実際に相当の収容力の増加を現にはかっているわけでありますが、この際こういった懸案を発展的に解決していきたい、こういうふうな考え方で、現在その改組が進められているわけであります。やはりこういった長い間解決しようとして非常にむずかしかった問題を、この際発展的に解決をはかる、そういうことが実際との問題を解決する道であるという考え方でその改組が進められておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/15
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016・湯山勇
○湯山委員 非常に困難な問題があったという、その一番困難な問題はどこにあったんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/16
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017・杉江清
○杉江政府委員 先ほど申し上げましたように、原則的に学部をふやさずにそれを改組しようとすると、たとえばこれを、一部を理学部にして、そして法文を一般教養に移すというようなことも、一つの改組のしかただろうと思います。しかしこういうことは人事異動も伴うし、非常にやりにくいということは私はあったと思います。そういった、やれば望ましいことだが、しかし実際問題としてやれなかったということ、それと、もちろんそういうふうな改組をしないでも、文理学部というこういった総合的な教育を行なう学部そのものに意味があるという主張も相当あったわけであります。だから実際上の困難と、それから文理学部の教育それ自体にもかなり意味があるのではないか、そういうふうな見解も相当ありまして、その改組の方法についての意見も必ずしも帰一しなかったということが、この改組をおくらした大きな原因じゃないかと私は見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/17
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018・湯山勇
○湯山委員 これは評論家の御意見ならばいまおっしゃったとおりだと思います。もっといえば、旧制高校の人事、これがブレーキになって改組をおくらしたと端的にいえば言えないことはないと思います。それについて文部省として、これをいまのような御把握に立って今日までどういう努力を重ねてこられたか、これを伺いたいと思います。今度はみずからそれをやる立場に立ってどういうふうな努力を続けてきたかという経過を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/18
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019・杉江清
○杉江政府委員 いろいろな方法について学部長さんのほうからの御意見もお伺いし、またそういった学部長会議等で相談してきたわけでありますけれども、いろいろな意見があってなかなか十分にまとまらなかったというのが私は大観して言い得ると思うのであります。ただ具体的な努力の経緯については、私はよく承知しない点もあるのですが、いま課長が来ておりますので、また補足説明することがあればひとつ課長からさせたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/19
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020・井内慶次郎
○井内説明員 文理学部の改組の問題につきましては、御指摘のように新制大学発足以来多年の懸案の問題でございまして、本格的にこの問題が取り上げられましたのは、中央教育審議会の大学教育改善につきましての全般的な答申の中におきましてもこの問題が取り上げられまして、昭和三十八年一月に文部大臣あてに答申をいただいたわけでございます。この中央教育審議会の答申におきましては、十四の文理学部がございますが、新制大学発足後十有余年の経過をたどりましたので、十四文理学部それぞれ実情が必ずしも画一でないという点も十分しんしゃくをいたしまして、実情に即した改組の必要があるという御指摘をいただきました一中央教育審議会の答申が出るにつきましては、文理学部を有します学長の意見等も徴されまして答申をいただいたと承っております。中教審の答申を一方に受けまして、また一方で先ほど局長から御説明申し上げましたように、大学入学志願者等もふえてまいりますので、国立大学の拡充もいずれ具体的日程と相なるであろう、その際に、文理学部が存在いたします大学は、旧制高校がそうでありましたので、大体地方の県庁所在地ですが、地方大学の育成という趣旨にも合致するのではないか、そういうことで、できればこの際発展的な改組をはかっていきたい、こういうことで三十八年以降本格的な取り組みをいたしました。いろいろな問題にぶつかりましたが、その際の最大の問題は、御存じのように、文理学部は全学の一般教育を担当するという使命を一つ持っております。それから第二に文理学部自体の専門教育を行なう。これは学士号で申しましても、文学士、理学士、社会科学士という三つのものを出しておる。かつ十四のうちで若干濃度の相違はございますが、教育学部のほうの専門教育を担当しておるというものもございます。したがいまして、文理学部の改組をはかるにあたりまして、現在文理学部が担当いたしておりまするただいま申し上げました三つの役割りが、できればそれぞれ発展してほしいという要請が第一にあったわけでございます。したがいまして、全学の一般教育の体制という面においても現状よりも前進をはかりたい、それから文理学部が担当してまいりました専門教育のほうにおきましても、もう少しまとまった内容のある、できれば単一学部にしたいという要請、第三には教員養成の教育学部のほうもその結果手薄になってはいけない、この三つの要請を一つの具体的な案としてどのようにまとめてまいるか。理想的な姿で申しますと、それぞれ必要とする教官を増員し、施設設備を拡充してまいるということになろうかと思いますが、現実の予算の問題等もございまするし、またどの要請を優先させるか、この辺を当該文理学部の所在する地域の事情、また当該文理学部の所在する地域にございまする他の公私立大学の事情、そういったもの等も勘案しながらやってまいらなければならない。こういうことで、具体案を作成するにあたりましては、いろいろな問題にぶつかりました。
これは基本的にはいま申し上げました全学の一般教育の内容を前進させるという要請と、文理学部の専門教育の内容を充実するということと、教員養成学部の内容を充実するということ、この三つの要請をそれぞれにおいて、どれか一つが犠牲になるということを避けながら、一つの案を取りまとめてこなければならない。それを地域の実情に即しながらやってまいる。抽象的には大体このような点に最も苦慮しながら今日まで作業を続けてまいっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/20
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021・湯山勇
○湯山委員 いまの御説明を聞いて大体の理解はできますけれども、何か文部省自身に積極性がないという感じを受けます。どこへどうするのか。現実に妥協していこうという気持ちもあれば、また新しい方向を求めていこう、発展的に改組するということばがそういう内部矛盾を含んでいる、そういう感じがします。そういうことはもう少しはっきり、それから多年の懸案を解決するということであれば、予算だってそんなにびっくりするような予算じゃないはずですから、当然一挙にやらなければならないというふうに感じます。ところが今年度四校ですか改組された。その段階では大体どの大学はどうなるという見通しがついていたのじゃないかと思います。あるいはまだ残っているのもあるかもしれませんけれども、現在、将来こう発展的に改組するのだという見通しのついている大学が、いま提案されている二校を含めて幾つあって、まだそれがはっきりしていないというのが何校なのか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/21
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022・杉江清
○杉江政府委員 文理学部は十四大学に設けられておったわけでありまして、四十年度に四大学、四十一年度に四大学の改組をするわけであります。この改組の形については、先ほど課長から申し上げました諸般の要素を具体的な事情に即して考えて、適当な形の改組を考えていくわけでありまして、その形は必ずしも一律であるということは私ども考えておりません。たとえば今年度の改組の信州大学においては、これを理学部と人文学部の二学部にしたのでありますけれども、山口大学におきましては、教養部をつくって、そしてその他については中身について改組、充実したのでありますけれども、文理学部という学部そのものは残すという形をとっております。
今後の基本的なかまえでございますけれども、私は、急増期間にできるならば全部の改組をやりたいと考えております。しかしどういうふうに改組するかということは、先ほどのような観点を十分考慮し、実情に即して大学当局とよく御相談して、具体的な改組の方法を考えていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/22
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023・湯山勇
○湯山委員 非常に誠意を込めて御答弁いただいているのですけれども、ちっとも実態がつかめないのです。おっしゃるように、諸般の情勢を考えて実情に即して適当にやりたい、これではいまの答弁の中から何も出てこないのです。だから、もう少しはっきり、いま残っているのはどこどこ、今度はそういうふうにお答え願いたい。いま済んだのがこれだけ、ことしのでできるのがこれだけ、残っているのがこれだけ、その中でもうこういうふうに改組するというふうにきまっているのは、残っておる六つか七つの中でこれだけ、まだきまっていないのがこれだけ、それをひとつはっきりお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/23
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024・杉江清
○杉江政府委員 四十年度に改組いたしましたのは弘前、埼玉、静岡、鹿児島でございます。それから四十一年度に実施いたしましたのは信州、山口、島根、佐賀の四大学でございます。したがって残っておりますものは山形、千葉、富山、愛媛、茨城、高知の六大学でございます。このそれぞれの大学をどういう姿に改組するかということは、これはにわかに私どもきめられない問題だと思います。これは概算要求時までにいろいろな話し合いをし、そしてそれまでにその話し合いを固めるということでございます。と申しますのは、それぞれの文理学部がつくられた経緯もかなり違っておるものがありますし、また現在の姿もいろいろ違っておるので、そういう具体的な事情に即して具体的な形を考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/24
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025・湯山勇
○湯山委員 そんなことではたいへんだと思うのです。確かに予算要求の関係があるから、局長はそういう御答弁をしておられると思うのですけれども、いまの六つ、山形、茨城、千葉、富山、愛媛、高知、これらについては、もう数年来折衝を続けておられるはずでしょう。そして、大体こういくというのはさまっているはずです。全部かどうか、それは私はわかりませんけれども、少なくともこの大部分はこういうふうにいくのだということは、文部省と大学との間では話がついているはずです。それはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/25
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026・杉江清
○杉江政府委員 話はついておりません。この改組にはいろいろな問題があります。たとえば教養部を充実するにつきましても、その定員をどういうふうに内部操作で教養部を構成するか。それからまた、教育学部との関連において、ある場合には、教育学部の定員を文理学部にもってきて編成したという事情もありますし、場合によると、必ずしもそうでなくして、教育学部のほうはかなり充実したままになっている。それからまた、教育学部との関連の依存度が大学によって非常に違います。そういうものを具体的に詰めて最終的な形をきめるわけでありますが、いままでそれぞれの大学についてはかなりの話し合いはしておりますけれども、最終的な形を出しますには、いろいろ具体的なことについての詰めをしなければならないのでありますけれども、それらの詰めが必ずし一も各大学でもされていない。また、されて、一応一大学としてのお考えが出ておる場合においても、それはあまりに過大な膨張の計画であったりして、私どもとしてのみにくいというものもあります。そういう問題もある。だから、ある程度それで話は進めておりますけれども、今後の改組の最終的な形というものは、やはりなお予算編成時までに十分御相談申し上げてきめていきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/26
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027・湯山勇
○湯山委員 来年度予算編成時までにこの六つの大学については成案を得て、来年度国立学校設置法において御提案になる、こう理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/27
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028・杉江清
○杉江政府委員 私は、来年度一挙に六大学について実施できる、またしなければならぬとは必ずしも考えておりません。大学の拡充整備は、四十二年、四十三年までにわたって行ないたいと考えておりますので、なるべく早くということを考えながらも、四十三年度までにはこの六大学の文理学部の改組を実現いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/28
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029・湯山勇
○湯山委員 それはたいへん重大な御発言で、文理学部の整備は三カ年計画でやるという前大臣のお約束があったのを御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/29
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030・杉江清
○杉江政府委員 私はそのような計画も一応あったと聞いておりますけれども、そういう方針が確定しておったということは私は承知しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/30
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031・湯山勇
○湯山委員 昨年、予算の分科会で愛知文部大臣が、こうやって三カ年でやります。できるだけそのような努力をしますというようなことを言っておられるのです。だから、この六つの大学について困難な事情があるということは、それは認めるのにやぶさかではありませんけれども、いままではやりやすいものからやってきたわけですね。そして、これだけ残った。それは何年もの話し合いの積み重ね、それがもう最終段階にきているということなんです。これをまた二つに分けて、来年三つ、その次三つというようなことでは私はいかぬと思う。文部省としてはやるという御決意で臨まなければ、いまおっしゃったように、実情に合うようにというようなことやいろいろなことを言っておったのでは、結局できないことになるおそれがあります。
で、局長は、むしろ来年度は、それぞれ基本的には方向もきまっておるのだから、六校とも全部やります。やる決意で臨みますと言うべきであって、この改組が必要だということを認めておりながら延ばしていこうということは、必要ないいことを延ばすことと同じことで、とるべき態度でないと思います。いかがでしょうか。大臣いかがでしょうか。事務的にはなかなかお答えしにくいと思いますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/31
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032・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 御承知のとおり、文理学部は旧制の高校を新制大学になるときに吸収をいたしました関係で、高校時代には一般教養を十分に行なうということが目的であり、大学に吸収をされましてからは、大学によって一般教養のいわゆる教養学部に属するものを受け持っておるところもあり、あるいはまた教員養成を重点にしているところもあり、いろいろ内容が複雑であることは御承知のとおりでございます。そこで、旧制高校の時代には一般教養の目的でありますが、完成教育である大学にこれを吸収した以上はすっきりさせるべきものであるという考え方については、私も同感でございます。ただ昭和三十八年ごろ以来、聞くところによりますと、中教審にもこの問題を転移しましていろいろ御検討いただいたのでありますが、内容の実情を知っておる者から見ると、そう画一的にはさばけないというむずかしさがあって、そういう弾力性のある答申をいただいておるわけであります。
そこで、先ほど来大学学術局長も苦慮しておるところでありますが、大学の内部のいろいろな編成がえをするについての考え方、意見の統一、それは意見が統一しても、今度は具体的に教授陣営をどういうような配置にし、分離のしかたをするか、こういうことにつきましては、これは文部省だけで押しつける姿では実行できませんので、私どもとしましては、大学ごとに実情に即して詰めをしてもらって、そして詰めのできたところから順次解決をして、最終的には先ほど申し上げたような方向で解決をはかりたい、こう思っておるわけでございます。おそらく局長がちゅうちょしておるのも、三カ年といいましても、来年度それじゃあと残された六校が詰めが終わるかどうかという点に疑念があるので、これは終わるべく努力すると思いますが、大学は学長にしたがってなかなか学長の自由になりませんし、教授会等で十分人的配置等について議を練って、そうして成案を得たものから実施に移す以外に方法がありませんので、そういう考え方で、私どもとしましては詰めのできたものから順次解決をするということにしてまいりたい、こう思っておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/32
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033・湯山勇
○湯山委員 そこで、大臣の御決意はよくわかりましたが、その場合、いま局長が言われた諸般の中に、非常に大きい要素になっている問題は予算なんです。予算さえもっと文部省のお考えに合わしてい−、あるいは大学側の希望に合わしていく、そういう態勢ができれば、私は六大学の問題はけっこう間に合うと思います。そこに問題があるわけです。予算を理由にして引き延ばしていけば、来年三校になるか三校になるか、予算段階が見通しがつくまで、さっき局長の言われたこまかいだめ詰めというのは絶対できないのですから……。それならそれを口実にして延ばしていけば、あと六年かかるか七年かかるかわからないのです。問題は、したがっていろいろ言われたけれども、政府がこれに対してどう取り組むかということにかかっております。その点についての御決意があれば、来年度六大学は問題が解消する。もし弱腰になれば、あと二年で済むか、ひょっとして三年で済むのかわからない。そのうちブームが去れば、また結局一校か二校がその前世紀の遺物をぶら下げていかなければならぬ、こうもなりかねないのですが、これは大臣、私もこの実情を幾らか存じておりますので、端的に申し上げるわけです。ひとつそういうところを十分お考えくださって、ぜひひとつ四十二年度には全部改組するということで御努力いただきたいと思います。重ねてひとつ御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/33
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034・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 これは予算の関係と、もう一つは、大学の学内の事情とからみ合ってまいりますから、御期待に沿うように最善の努力はしてまいりたいと思います。しかし若干問題の残るところがあれば延びることもいたし方ないと思いますので、この点はお含みをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/34
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035・湯山勇
○湯山委員 では、大臣の御答弁は、来年度に全力をあげて努力をされる、それでもやむを得ず残るのがあるかもしれない、しかし大多数は再来年度解決する、そういうように了解いたしまして、この質問を終わります。
次に、通信教育についてお尋ねをいたします。
これは私どもにとってはたいへん心外な点ですが、学校教育法にある大学、そういうものは大体国立もそれをつくるということが前提でなければならないと思います。私学にまかしておいたのでは、つくるつくらないは私学の自由意思ですから、そこで国が通信教育の大学をつくらなければ、日本の国で大学の通信教育が行なわれるという保障はありません。ところが一方において、国のほうは国がやらなくてもいい短期大学はつくっておられて、当然つくる責任のある通信教育を国がやっておられない。これは一体どういうわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/35
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036・杉江清
○杉江政府委員 大学教育についてはそれぞれの大学で具体的にいろいろお考え願って、その御意向を受けてできるだけ諸般の措置を講ずるようにいたしておるわけでありますが、現在のところ、国立大学においては実際問題としてこの通信教育開設の御要望もないのであります。その原因については、運営に自信がないとか、通信教育ではたしてどの程度の教育効果があがるかということについての自信もないとか、いろいろな問題があると思いますが、私は今後とも国立学校においてこれを実施するということは検討すべき課題だと思います。ただ、実際上は相当困難が予想されるので、その点も十分検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/36
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037・湯山勇
○湯山委員 私のお尋ねしているのはそういうことではなくて、これは学校教育法において規定しておる教育です。学校教育法の四条あるいは五十四条の二にちゃんと規定されております。それについて国が何もしていない。これはどういうわけですか。できてきてからあとのことを言うのではなくて、発足のときになぜつくらなかったかということをお聞きしておるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/37
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038・杉江清
○杉江政府委員 法律のたてまえにおいては、これは「できる。」という規定になっておるわけであります。そういうふうな法律のたてまえに基本的になっておる、そこでこれを国立大学で実施すべきかどうかという点については、従来ともぜひこの方法を国立大学で実施せよ、——国としてそういう立場をとることについては、なかなか教育上の問題もあってちゅうちょされ、そういうふうな強い指導方針はとってこなかったのであります。また大学からもこの点についての積極的な御要望がない、こういう状況が現在まで開設されない原因だと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/38
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039・湯山勇
○湯山委員 私は何も大学からの要望とかどうとかいうことを問題にしておるのではないのです。学校教育法をつくるときに検討して、これは必要だということでこういうものをつくるということの規定をお入れになったわけです。短期大学なんか、その当時でも全然入っていないのですよ。ですから、短期大学というようなものは国がつくるべき筋合いのものではなかった。そういうものはおつくりになって、やらなければならないものをつくらないで、しかも都道府県に対してはかなりこれをすすめられてやらしております。それは成績をあげておる。国だけがそれをやらないで、そういう機会を与えないで今日まできたというのは、国はやってもやらなくてもいいというのではないのですね。「できる。」とはなっておりますけれども、できるということで、つくらなくてもいいということではない。ですから、局長の言われるのと、私が法律のたてまえから聞いておるのと食い違っているのです。その当初にどういう検討をしてどうしてどうであったか、これはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/39
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040・杉江清
○杉江政府委員 私は法律で「できる。」という規定がされておる趣旨は、これはやはりこの条文そのままの意味で理解していい、そういう方法もできるのだということであって、これを大学において早急に一般化するという考え方は当初なかったと理解しております。と申しますのは、通信教育については、その教育方法について非常に問題があるし、また生徒の側にとっても、その学習は必ずしも容易でないのであります。できるならば、やはり教育はある一定の場所へ集まって実際先生に常時接して教育を受けるということが望ましいのだ、そういうふうなことは当然のことでありまして、そういう本則による整備をはかるということに重点が置かれていた、そのことが、私は、法律のあの規定からいって必ずしもそれに違反するとは言えないと思うのです。しかし今後の課題として勤労青少年教育の充実という点から、これが整備、充実、拡充を今後検討すべき課題だというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/40
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041・湯山勇
○湯山委員 私は、局長の御答弁をそのままお受け取りするわけにまいりません。ほかの問題は別として、この問題に関する限り、局長はたいへんな間違いをしておられます。いまのことばならば。なぜかというと、学校教育法は教育基本法に根拠を置いておるのですね。いいですか、間違いありませんね。その教育基本法は憲法に基づいておるものですね。間違いないでしょう。その憲法では能力に応じて教育を受けさせなければならぬことになっているのです。そうすると、能力があっても勤労しておる青年、高校教育を終わった勤労青年はではどうやって大学教育を受けますか。通信教育以外ないでしょう。だからあなたは必要の有無というようなことを言われますけれども、現にあなたのところでやっておる教員の資格再教育は、どれだけたくさんの教職員が通信教育を受けて単位をとったか。御存じないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/41
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042・杉江清
○杉江政府委員 承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/42
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043・湯山勇
○湯山委員 では答弁はそれでいいです。
それから現在働きながら通信教育を受けている学生の数はどれだけありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/43
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044・杉江清
○杉江政府委員 四年制大学において五万三千、短期大学において六千六百でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/44
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045・湯山勇
○湯山委員 それだけの勤労青年が通信教育を受けておる。それだけ必要がある。これは通信教育が大学においても必要だということの証明にはなりませんか。五万三千の学生がそれを受けているということはそういう証明になりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/45
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046・杉江清
○杉江政府委員 私は、勤労青少年教育を大学教育においても大いに考えていかなければならぬという根本趣旨については、先生と考えは全く同じでございますが、ただ私は、やはりそういう勤労青少年教育の充実という点から考えましても、いろいろな方法が考えられていい。夜間大学もそうでありますし、それから育英奨学の方法もありましょうし、いろいろな方法が考えられていい。それで大学の拡充に戦後努力し、そして戦前に比べて飛躍的な大学の拡充はされてきたのでありますが、それらは広く青少年に門戸を開放するという結果になっていると私は思います。ただ、勤労青少年教育のために通信教育というものをどの程度やるかについては、先ほど申し上げましたような観点から、いろいろな問題もあり、国としても必ずしも十分な自信が持てなかったという点が、この教育を必ずしも発展させなかった一つの原因だと私も実は思います。しかしそういうふうないまの考え方について再検討していくということは、私は必要だと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/46
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047・湯山勇
○湯山委員 文部大臣にお尋ねいたします。大臣は、中村文部大臣がやられたという意味じゃありませんが、文部大臣は私学の申請に対して、必要だ、適当だというので、認可しておられるのですね。国では、いま局長の言うように、効果があるのかどうかわからない。これで一体いいのですか、勤労青年の教育というものは。大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/47
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048・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 私は、私の気持ちを申し上げますと、勤労にいそしみながら、講義録でもいいから勉強したいというその勉強の意欲、これは非常にとうといと思います。したがって、私立大学にだけ、通信教育という制度があるのに、これをゆだねておっていいかどうか、こういう根本問題については、研究すべき課題であると思います。問題は、おそらくいままで国立大学では、そういう通信教育の制度を、うちの大学でやってみようという意欲が乏しかったと私は思うのです。考え方としては、私立大学で通信教育をやって講義録を出し、そうしてそういう勤労をしながら勉強したい人たちの勉強のできるような道を講じておるとするならば、どこかの国立大学で、権威ある講義録を出して、一つのサンプルをつくってあげる。そして講義録の水準といいますか、そういうものを確保していく努力をするということは、考えようによっては非常に大事だと思うのです。ただ問題は、国立大学の教授なら教授、国立大学がそういうことをしようという意欲がないから、文部省としても押しつけるわけにいかなかったというのが、おそらく正直なところじゃないかと思うのですが、これについては大学側の考え方もありますので、われわれとしては、ひとつ御指摘をいただきましたこの問題は、一つの課題として研究をしてみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/48
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049・湯山勇
○湯山委員 大臣少し違っておるのです。と申しますのは、学校教育法で規定されておる教育なんです。したがって国は、国立のどこかの大学に、片手間でやってくれ、あなたのところで希望はないか、こういうことをやる必要はないのです。この設置法によって、国がやる場合に、そのための機関をつくったらいい。たとえば通信教育大学というものを設置する。そして大臣がそれぞれちゃんと任命して、設置すればできるのです。
大学に希望があればでなく、やるかやらないかの問題で、これはいまおっしゃったように、やらなければならぬ問題を、今日まで放置しておった、怠慢であった、これしか言えないんです。たまたまいまのように私立の大学が、ことばは悪いけれども、そのために奉仕しよう、現在ある大学の機構を通じて、片手間というか、労力を提供してやってあげましょう。それにおぶさってしまって、国立大学でどこかやる希望があるとかないとか、それは全然この際の条件にはならない。国がつくればいい。つくれるんです。それをほっておいたのは怠慢であって、当然やらなければならぬことだと私は思います。そういうことについての御所見を聞いておるわけです。これは、いまおっしゃったのとは、全然違います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/49
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050・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 その問題も含めて、ひとつ研究してみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/50
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051・湯山勇
○湯山委員 私は、研究するいうとような、右するか左するかわからないようなものでなく、どういうようにつくったらいいかを研究する、それなら了解いたします。しかし、大臣の御答弁は、まだそこまでおわかりいただけてないのではないかという気がするものですから、たいへん失礼ですけれども、もう一度御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/51
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052・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 私、実態をつまびらかにしておりませんが、おそらく私立大学で通信教育をやっているところも、大学の教授の協力を得るか何か、そういう形でやっておると思うのです。ですから、いま御指摘のように、新しい通信専門の大学をつくるということは、机上の、そういう立案だけではふさわしくない点もあるのではないか。やはり大学で教べんをとっている人が、何の学問にせよ、みずから講義の原稿をつくってやっているような、実践をした成果を講義録の作成等については相当織り込まなければ、うまく遂行できないのではなかろうかというような気もするわけであります。したがって、いまの既設の国立の大学にやらせるとか、あるいは国立大学の別のものをつくるにしても、国立大学の教授等に相当犠牲を払って協力をしてもらうのでなければ、成果のあがるような通信教育はでき上がってこないのではないか、私はこういう感じがいたします。
したがって、これは文部省だけの考えでは遂行困難でありますから、いまでは国立大学協会もできましたので、そういう機関にもはかりまして、とくと研究をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/52
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053・湯山勇
○湯山委員 大臣、もう一つこの問題で御要望申し上げたいのですが、確かに大学の先生の協力を求めなければならないということは、それはよくわかります。しかし、国立の学校だからといって、国立の学校の先生だけの協力を求めるというものでもない。そういう形で、たとえば教育課程の審議会だとか、そういうところでは、そういう先生の協力を実際に委嘱して文部省はやっておられるのです。中には−中にはといいますか、おそらく大学の先生方には、そういうことならというので、積極的な協力をしてくださる方が、特に大臣が委嘱すれば、やってくれる人はたくさんあるはずです。またたければならぬと思います。だから、そういう点については、あるいは大臣の御意識の中に、何か大学の自治とかあるいは自主性というものがこびりついているようないまの御答弁ですけれども、それはちっとも御心配要らない。
そういうことに問題があるのでなく、いまのように大臣が、おつくりになる方向で検討せいと言えば、局長は一カ月もあればそのスタッフをつくります。私はその局長の能力も、現在文部省の力も十分あると思う。ないですか。あるでしょう。ありますよ。それはもう大ありです。いまどこかに自主性とかなんとかいうことがあるのじゃないかという感じがちょっとしたものですから。そうじゃなくて、そのお気持ちになればその体制というものはまことに簡単で、準備期間を一年なら一年ということにしてその間につくってもらう。それから現在あるものを使わせていただければそれも拒否しないと思います。ですから問題は、いまの実情をどうこうじゃなくて、そういう気持ちでやる、そういう方向で検討を命じる、そうされるかどうかが大臣から聞きたい焦点ですから、ひとつもう一度いまの点お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/53
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054・杉江清
○杉江政府委員 ちょっと私、事務的な補足説明をしたいと思うのですが、先ほど先生は通信教育の単科大学はつくろうとすればできるのじゃないかというお考えのように承ったのですが、私どもは、まずいまの法律のたてまえは、学校教育法の五十四条の二にございますように、「大学は、通信による教育を行なうことができる。」いわばこの段階では方法論を言って、一応そういう方法を用いることができるという規定になっておる。その前の第五十三条に、大学には学部を置くのだということがある。そして第五十四条には「夜間において授業を行う学部を置くことができる。」というふうな規定があるわけです。ところが通信教育については、通信による学部を置くことができるという規定じゃなくして、それは方法論になっている。「大学は、通信による教育を行なうことができる。こういう規定になっているわけであります。したがいましていまの解釈では、通信教育のみの大学をつくるということは、私はこの法律の見方として無理があると思います。やはりやるとすれば既存の大学に、通常の形において行なわれております学部を持つ大学に通信教育の方法を採用してもらう、こういう方法をとる以外にないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/54
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055・湯山勇
○湯山委員 私はそういうことを問題にしてはいないのです。ただ、二十年間これを放置した、その責任回避の答弁のようになってほしくないと思います。というのは、それは確かにそういう単科大学をつくるとかいうふうにとれたとすれば、それは訂正いたします。ただ、現在府県でやらしておるのは何々高校、そこで通信教育をやる、それは別個な教員を任命して、その事務局をつくってちゃんと独立してどこもやっておるのです。そういうことを頭に置いて言っているのです。東京大学に研究所を設ける、それから京都大学に研究所を設ける、そういうようなことはできますね。それで東京大学でそういう教育方法をとる、そのために人を任命して、その人は余分なことをしないでそれだけ専門でやるという機構は、人を配置して、予算を配置して、これはこうだということでやれないことはないはずです。だから、そういう技術的なこととかなんとかいうようなことはもういま言わないことにして、それでこわすとかこわさないとかいう議論をしているのじゃないのですから、やる気になればできるということを申し上げているので、そこで大臣、最後のこれについての御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/55
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056・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 実は私も就任以来、勤労にいそしみながら勉学しておる定時制高校の生徒であるとか、あるいは通信教育で勉強しておる生徒、こういう人たちの勉学の意欲に対しては何か報いなければならぬという気持ちで、奨学の拡充、たとえばこういう単位をとれば、お前さんは、講義録の経費を国が持って無償で勉強できるようにする、こういうような奨学の拡充は実は考えておったのです。今度の予算でもやったわけでありますが、国立でそういう通信教育の分野を新しく開拓したらどうかという問題は、そこまで考えが及びませんで、きょう湯山さんから初めてこういう建設的な課題を投げかけられたわけでございますから、とにかく私どもとしましては、十分に御趣意の点を考慮して研究をさしていただきたい、これが私の申し上げる最大の結論でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/56
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057・湯山勇
○湯山委員 いまから新たにそういうものを検討してつくるというのじゃなくて、当然つくっていなければならなかったものができていなかったのだということも御考慮に入れていただきたいと思います。
実はこのことを私がなぜこんなに申し上げるかというと、現在私立の大学で通信教育を受けている人たちは、非常な困難に遭遇しております。それは何かというと、スクーリングなんです。スクーリングの実情を、局長御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/57
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058・杉江清
○杉江政府委員 ある程度承知しているつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/58
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059・湯山勇
○湯山委員 どこに一番問題がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/59
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060・杉江清
○杉江政府委員 一番の問題は、スクーリングは大体夏休みに行なわれておりますが、そこで暑いさなかに遠隔の地から東京へ来る場合が多いのでありますが、そこで夏休み一ぱい勉強するということが、経費的にもまた肉体的にもたいへんなことだと思います。そういうふうな困難があります。また日ごろの勉学も、通信によってやるということの困難性、勤務との関係におけるいろいろな困難もあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/60
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061・湯山勇
○湯山委員 通信教育を受けている学生は、夏暑いときに東京へ出てきて勉強することなんかいとわないのです。むしろその熱意があるからやっておるのです。私が申し上げたいのは、毎年六週間職場を離れなければならない、このことなんです。私の知っておる幾つかの例を申し上げますと、ある国家公務員ですけれども、通信教育に行くと言うと、上司が非常にきげんが悪い、そこで職場をかえてもらったという例があります。それからこれではとても通信教育を受けられないというので、退職した例もあるのです。年次有給休暇は二十日しかないのですね。御存じですね。だから、二十日は有給休暇でいいのですが、六週間、四十二日の中の半分以上は結局欠勤して来なければならない。これは期末手当、勤勉手当に影響します。昇給にも影響します。どうしても出してくれないというところもあるのです。まだ公務員の場合はそうやって二十日間という利用できる機会がありますけれども、民間の場合はもっとひどいです。そこで、通信教育を国がおやりになって、国立——これは各県にあるのですから、そこでスクーリンゲをやってくれることになれば、通えるわけです。かりに日曜日とかなんとかいうものを利用してやってもらえば、そういうことをしないで済む。旅費もうんと少なくて済む。いま一番困っているのはスクーリングなんです。ところがこのスクーリングについて文部省は何もしていらっしゃらない。ただずっと以前に、次官通牒か何かで協力してほしいということがありましたけれども、それももうほとんど消えて、何の効果もありません。この点をどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/61
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062・杉江清
○杉江政府委員 その辺、私も具体的にどういうふうな措置をしていいか、いまにわかに案も浮かびませんが、何とか解決のできるように努力をし七まいりたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/62
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063・湯山勇
○湯山委員 局長の御答弁がはっきりしないのは、これは文部省は大学の通信教育ということについては今日まで野放しであったという証拠なんです。これはあなたが悪いというのじゃありません。いまの文部大臣がおやりにならなかったというのじゃありません。過去約二十年近くの間全く勤労青年の通信教育は野放しにされておりました。これは率直にお認めになると思います。私もずいぶんこのことについてお尋ねしましたけれども、いやそれは学生課だ、いやそれは大学課だというようなことで、一つの問題の処理ができていない。結局大蔵省へ聞いたら、所得税についての免税点がどうだというようなことが幾らかわかったくらいで、ほとんどこれについてはタッチしておられなかった、それは設置すべきものを設置しなかったということと軌を一にするものであって、私は決意を新たにしてこの問題とは取り組んでいただきたいということを強く要望したいと思います。
そこで人事院はこのことについて、国家公務員の場合にスクーリングに出る者については、これも大きくいえば憲法のあの条章との関連もあるから、特別休暇として認めるべきじゃないかということを言っております。国家公務員についてその制度ができれば、地方公務員が右へならえですから、できます。公社もおそらくならうでしょう。それができれば今度は民間の職場においても団体交渉その他によって年次有給休暇を拡大する、特にそうやって通信教育を受けて、その労働者の質が上がるということは企業にとってもいいことですから、それにならってくる、これは私は期待できると思います。そこで特に文部省が強く人事院のほうへ要望されれば、このスクーリングの期間は特別休暇として認められる条件を持っておると思います。そういうふうにひとつ強く働きかけていただく、そういう御意思はございませんでしょうか。これは大臣から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/63
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064・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 その点はさっそく人事院にも要望しまして、とくと協議いたしてみます。確かにスクーリングのために六週間時間をさくということは、そういう勤労青年にとっては重大な問題でありますから、時期がちょうどたいていは夏の時期にやっておるようでございますから、そういう特別休暇の道を開くことが可能になれば、たいへん好都合かと思いますから、至急ひとつ協議をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/64
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065・湯山勇
○湯山委員 ただいまの大臣の御答弁はたいへんありがたい答弁で、ぜひひとつお願いをいたしたいと思います。それから同時に民間の企業に対しての要請は、文部大臣ももちろんやっていただくし、前の次官の何かで要望されたんですけれども、ほとんど無視されております。ですから、大臣が労働大臣あたりとしっかり御連絡していただいて、そうして経営者の側に、ぜひこれも強力に御要望いただきたいと思うのですが、その点はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/65
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066・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 それもけっこうでございます。至急ひとつ連絡してみます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/66
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067・湯山勇
○湯山委員 それでは以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/67
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068・八田貞義
○八田委員長 川崎寛治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/68
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069・川崎寛治
○川崎(寛)委員 国立学校設置法に関連をいたしまして根本的な問題からお尋ねしてまいりたいと思いましたが、ただいま湯山委員がいろいろと質問を進められました中で、通信教育と関連をしまして先ほど大学局長が、勤労青年の問題は、夜間学部の面で大いに考えたい、こういうふうに答弁されておりますので、私、その点実は後ほどお尋ねしたいと思っておりましたが、関連をしてやったほうがよさそうでありますから、その点からまずお尋ねしたいと思います。
先ほど明らかになりましたように、通信教育を受けております者が、現在大学で五万三千、短大で六千六百、こういうことでありましたが、先日の私の要求しました資料が、ここにまいっておりますので、この資料で少しくその点をお尋ねしたいと思いますが、四十年度の夜間の国立、公立、私立、これによります入学定員は三万一千九百四十七、こういうふうになっております。そうしますと、四十年度の在学学生数は何ぼになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/69
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070・杉江清
○杉江政府委員 いま総数は調べてお答えいたしますが、とりあえず入学定員としまして短大を含めて二十六万二千でございます。四年制大学で十九万五千、短大で六万六千でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/70
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071・川崎寛治
○川崎(寛)委員 いやいま問題にしておるのは夜間だけの数ですよ。夜間の四十年度の入学定員は、国公私立大学で、短大を含めまして三万一千九百四十七、こういうふうに出ておりますね。そういたしますと四十年度の夜間学部の在学学生数は何ぼになるかということをお尋ねしておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/71
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072・杉江清
○杉江政府委員 いま調べておりますので、ちょっとお待ちいただきたいと思います。四年生大学の四十年度における夜間学部の生徒数は十一万五千三百六十九でございます。短大の分につきましては、いま調べておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/72
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073・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そういたしますと、短大の数がわからないと全体的な把握はできないわけでありますけれども、先ほど局長は湯山委員の勤労学生の問題についての質問に対して、夜間で考えられてよいのじゃないか、こういうふうな御発言だったと思います。そうですね。そうしますと、夜間で考えられてよろしいという場合に、四十年度の国立の学生入学定員はここにありますように千九十ですね。これは三十九年度からいたしますと何ぼふえましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/73
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074・杉江清
○杉江政府委員 いまの御質問にお答えする前に、短大におきます夜間学部の生徒数を申し上げます。四十年度でございますが、二万八千二百九名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/74
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075・川崎寛治
○川崎(寛)委員 四十一年度は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/75
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076・杉江清
○杉江政府委員 四十一年度はいま調べております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/76
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077・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それではもう一ぺん再質問します。四十年度の国立大学の夜間学部における入学定員が千九十、こういうふうになっております。そういたしますと、三十九年度は何ぼですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/77
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078・杉江清
○杉江政府委員 数字についてはいますぐにお答えできない分があることを残念に思いますけれども、国立大学におきます四十一年度の夜間学部の生徒数の増は五百名になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/78
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079・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと五百名ふえる。ことしが千九十、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/79
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080・杉江清
○杉江政府委員 そうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/80
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081・川崎寛治
○川崎(寛)委員 先ほど湯山委員が通信教育の問題で質問をされましたのは、現在私立あるいは短大を含めまして通信教育を受けている学生数が五万九千六百、先ほどの答弁はこういうことでございました。そういたしますと、五万九千、約六万の勤労学生が、先ほど来いろいろ御質問がありましたように、たいへんな苦しみに耐えながらがんばっておるわけです。大学局長は勤労学生の問題は夜間学部で考えられているのじゃないか、こう言われた。ところが実際にはそこへ出てきている数字というのは、五百の増でしかない。六万人が通信教育で悩んでいる、それに対して私立も含めてですけれども、国立で夜間学生の問題は考えられていいのじゃないか、こういうわけです。つまり国立の通信教育についてはまだこれからだ。先ほど大臣が非常にりっぱな答弁をなされたわけでありますけれども、これからの問題ですね。これまでの問題は夜間学部で考えられてよいのだ、こう明確に答弁をされた。ところが実際には、見られているのはわずかに五百の増。これは私毎通常国会の本委員会において夜間学部の問題は質問をいたしております。いろいろとこれまでの灘尾文部大臣あるいは愛知文部大臣もそれぞれ答弁をされてきております。しかし実際に数として出てくるのはわずかに五百、どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/81
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082・杉江清
○杉江政府委員 私、先ほど湯山先生の御質問にお答えしました際に、勤労青少年対策としてはやはりいろいろな面でその措置が考えられなければならない。通信教育も一つの方法でありますし、夜間学部もやはり勤労青少年のための制度でありますし、また育英奨学を拡充するということもその対策であります。いろいろな面でその対策を充実強化していかなければならぬというふうに申し上げたわけであります。
それで、夜間学部の定員増につきましては、ただいま申し上げたように五百の増を四十一年度にいたすことにいたしておりますが、この総数は必ずしも多くないかもしれませんが、私ども予算編成にあたっては比較的、夜間学部の充実については努力したつもりでございます。この夜間学部の学科増設、定員増についてほとんど大学の御要望をそのまま予算化するように要求しておりますし、その大部分は実現できております。ただ、それにいたしましても総数としては必ずしも多くないのでありますけれども、この点に重点を置いて拡充に努力をしているということは言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/82
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083・川崎寛治
○川崎(寛)委員 努力している結果が五百だそうでありますけれども、ただ先ほど育英資金の問題その他の点も触れられております。しかし、勤労学生の問題としては、やはり夜間あるいは通信教育、こういう面に最も端的に、非常に苦しみながら勉学にいそしんでいるというものが出てまいるのです。それが実際には五百にしかならなかった。しかし、文部省としては努力をしたんだ、そして大学当局からの要望についてはほとんどこたえられたのだ、こういうふうにおっしゃっておられるわけであります。しかし実際に、それでは文部省が夜間の問題について、かかるとき大学当局からの要望に従えばこの程度だ。現実こうなる。しかし、もっとふやしたいのですか。それとも大学当局からこの程度の要望しかないからその程度の措置しかできないのですか。つまり夜間というものはもっとふやして、もっと充実させたいというお考えがあるのか。あるいは現実にそれぞれの大学がこれだけの要望しかしないからこの程度にするんだ。ある面においては、たとえば、これは後ほど問題になりますが、学芸学部を教育学部に名称変更する、そういうような場合にはたいへんな指導性を発揮しておられる。そういう場合には指導性を発揮しながら、実際にこういう勤労学生の問題を具体的に処理をしようという問題については、大学当局の要望がなければ、あるいは要望があるからという程度で終わっておる。だから、ほんとうにどういうふうにしようという腹なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/83
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084・杉江清
○杉江政府委員 私も、夜間学部は今後もっと拡充されていいと思います。そういうふうに大学にもいろいろな機会に申し上げております。ただ、実際にこれをやっていくという段階になれば、やはり大学の御協力を得るということが大切なわけでありまして、そういう点で大学の御要望を待って措置するようにいたしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/84
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085・川崎寛治
○川崎(寛)委員 ことしの国立における夜間学部の増設は幾つですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/85
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086・杉江清
○杉江政府委員 学部として新しく設けたものはございません。学科増設が主であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/86
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087・川崎寛治
○川崎(寛)委員 昨年もこの問題について質問いたしましたときに、夜間大学を取り巻いている環境に問題があるんだ、こういう答弁だったと記憶しております。つまり実際には夜間に入っても勉強していけるということが、企業内の実態その他があってなかなか思うようにいかないんだ、こういう点を昨年私に対して答弁をしておるわけでありますが、その点はどうですか、少しは改まりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/87
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088・杉江清
○杉江政府委員 やはりいろいろな困難があると聞いております。それから実際働きながら夜来るということもなかなかたいへんなことでありまして、そういう学生がほんとうに集まる地域を選ぶということはやはり必要であります。その点で、そういうふうな土地の事情を考えずに単に夜間学部を設けますと、この夜間学部が本来勤労青少年のための、働きながら学ぶ学生のための制度であるにもかかわらず、昼間の落ちこぼれが入るという実態があるわけであります。この点夜間学部運営の困難があるわけであります。また設置の際においても、そういうふうな点を考えて設置するということが必要になってくると思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/88
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089・川崎寛治
○川崎(寛)委員 先ほど大臣は、通信教育の問題について人事院あるいは労働省等それぞれの関係機関との話し合いで努力しようというふうな湯山委員に対する御答弁であったわけですけれども、大学局長がいま答弁されましたように、夜間学生が働きながら学ぶという環境については、昔からも問題になりながらなかなか改善をされていかないわけです。その点について、文部大臣としての根本的な方針といいますか、あるいはこれまでいろいろとってこられた大臣としての御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/89
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090・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 ちょうど年齢的に大学生急増期でもありますから、私どもとしましてはできるだけ夜間部のほうも拡充につとめたい気持ちでおったわけであります。しかし先ほど局長からもお答え申し上げましたように、実施をいたします大学の熱意といいますか、協力がなければその実を結ばせることができませんので、所要の大学に対しましては文部省からもできるだけ夜間部の採用人員、定員をふやす努力をするように勧奨をいたしました結果が、このような数字になりまして、結局国立といたしましては短大を含めて三千四百二十人ということに落ちつきましたような次第でございます。現状はこういう次第でございますが、今後とも勤労青少年が学ぶ場所を得ることについては、われわれとしては努力を続けてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/90
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091・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでは次に大学局長にお尋ねしたいのですが、これは国公私立を含めまして、短大から四年制の大学あるいは五年制の夜間大学、そういうものに今年度昇格するのは幾つあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/91
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092・杉江清
○杉江政府委員 国立の昼夜間については、本年度短大から四年制大学に昇格するものはございません。それから昼については、北見工業大学は短大からの昇格でございます。夜の短大についての五年制の課程への昇格はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/92
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093・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでは、これまでに国立の夜の短大で昇格をした分は幾つありますか。あわせて公立もお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/93
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094・杉江清
○杉江政府委員 課長からお答えいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/94
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095・井内慶次郎
○井内説明員 夜間の短大から夜間の学部に最近昇格をいたしましたものは室蘭の工業短大が室蘭の夜間学部、それから大阪外語の夜間の短期大学がございましたが、これを大阪外語の夜間の学部に、それから岡山大学に法経の夜間短大がございましたが、これを夜間の学部に昇格をいたしました。これがここ数年間に昇格いたしましたものでございます。それから夜間短大がなくて夜間学部をつくりましたのが横浜の経済、これが一昨年だったかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/95
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096・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そのように夜間の短大から夜間の大学にしてほしいという要望が地域では非常にあるのです。しかし実際にはその地域の財政力がないという点で困難な問題があるわけです。先ほど局長は昼の大学のこぼれが行っているんだと言われましたが、それは全部という意味ではないと思いますけれども、こういうふうな言い方はちょっと問題があると思う。たとえば鹿児島に現在県立の短大があります。この鹿児島の県立夜間短大を粒々辛苦ようやく卒業し、さらに僻地の——この人は母一人子一人なんですが、その年寄った母親のところにも二、三カ月に一ペんしか帰れない。こういう僻地におって三年、四年と苦労したあげく、ようやくこの春中央大学の法学部の経済学科の通信教育学科を卒業するわけです。ようやくたどりついたわけですね。私はその経過を、苦労をいろいろと聞きまして、先ほど湯山委員からも御質問になられた通信教育の問題の悩みというものを切実に感ずるわけです。
それでその通信教育の前に、それでは短大は単なる昼間のこぼれかというと、地方の場合はそうじゃないのです。実際に東京なり、あるいは東京近辺なり大阪近辺なり、そういう大都会に出て行って勉強したい。これは若い者だれしもの気持です。しかしそれが家庭の事情でできない。ですから、これは南君という男でありますけれども、この男の例をとってみましても、三十五年に鹿児島の短大の夜間学部に入った。八十名入ったのです。ところが実際に卒業できたのは六十名です。つまり二十名は途中で息が切れたわけですね。しかも、この卒業し切った者というのはほとんどが官公庁に昼間働いておって、夜短大に行っているという諸君はどうやら続いている。これはもう勤務の時間が夕方でぴしゃっと切れますので、大体行ける。ところが民間の企業に働いておる者はほとんどが脱落をしてしまうわけですね、短大の場合でも……。その点について、これは企業の自主性、企業経営の問題だという、資本主義のたてまえからすればそのとおりだと思います。実際に勤労学生を包む環境というのは、ただ本人の努力だけではどうにもならない、あるいは本人の意思だけでは続かないものがある。こういう点を考えますとき、もっとその点についての指導の方法はないのか、あるいは環境改善の方法はないのか、お尋ねしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/96
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097・杉江清
○杉江政府委員 私ども、経済団体といろいろお話しする機会を持つときには、よく夜間学生の扱いのことについていろいろお願いしてまいっております。それは、できるだけ勉学の便宜を与えてもらいたいということと、卒業後の採用について差別しないで、あたたかい気持ちで採用してもらいたい、この二点についてはいろんな機会にいままでも言ってまいりました。今後もお願いしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/97
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098・川崎寛治
○川崎(寛)委員 まあそういう実態であります。短大を出て、これだけでは自分としてはもの足らぬ、もう少し勉強したい、しかし実際には大学に行けない、そこで中央大学の通信教育を——八十人入学をして、六十人卒業をした、そのうち十人が通信教育を受けているわけです。ですから、比率からすれば非常に高いと思うのです。県立の短大を出て、そして今度職場に働いて、その六十人のうちの十人が、さらに私立大学の通信教育を受けておる。ただここで問題になりますのは、通信教育の場合に、まあほとんど法科だということ、これはまた通信教育の内容の問題もあろうかと思いますが、そういう実態にあることは知ってもらいたいと思う。そして、その通信教育を続けても、先ほど湯山委員が言われたように、スクーリングの問題でなかなか卒業までこぎつけられない。短大を卒業して、そして通信教育学部の三年生に編入をされて、そこからさらに続けて、ようやく三年がかりで今度卒業というところにきたわけです。ですから、先ほど来繰り返しておりますが、夜間の問題あるいは通信教育の問題については抜本的な施策をお願いしたい、こう思うわけです。
そこで次にお尋ねしたいことは、今日公立の夜間短大で五年制の夜間大学に昇格をさせたいという希望を持っているところが全国的にどれくらいあるか、どういう動きにあるか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/98
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099・杉江清
○杉江政府委員 いまのところ、私ども、その辺的確に把握しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/99
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100・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと、国立の短大、あるいは公立の短大の場合に、夜間大学に昇格をさせる、させるというより、してもらうということについて文部省として積極的な意思がおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/100
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101・杉江清
○杉江政府委員 これはやはり地域の事情、地域の必要によると思います。実はある地域では四年制、まあ夜間でいうと五年制になるわけですが、そんなに長くはどうも行けない、その地域の多くの学生にとっては、働きながら学ぶという限度はやはり短大程度が適当だ、そういう実態にあるところもあるわけでございます。しかし、地域の事情によって、五年制にしても多くの勤労青年がついてこられる、こう思うところはこれを五年制に昇格するということはいいと考えております。そういう点については、具体的な事情に即してその適否が判断されなければならない、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/101
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102・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それから、私つけ加えておきたいと思いますことは、先ほどの鹿児島の例をとってみましても、その短大を卒業した者が九〇%やはり地域に残っておるということですね。これは私、たいへん大事なことだと思うのです。大学の地域配分といいますか、地域的な配置の状況という問題については、また後ほどお尋ねをいたしたいと思いますけれども、私は、この鹿児島の、一番南の果てのそういう恵まれない環境の中で出た諸君が、やはり鹿児島というおくれたところで短大を卒業してからさらにがんばっておるということを考えますとき、私は地方の公立夜間短大を夜間大学に昇格をさせていくということについて一は、積極的な御指導がほしいと思うのです。文部一大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/102
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103・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 そういう地域につきましては、短大の昇格、または短大にあわせて夜間大学というようなことは大いに拡充をしてしかるべきことと思いますから、大いに勧奨をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/103
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104・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それから夜間の問題でもう一つ大学局長にお尋ねしたいのですが、これは技術的になりますが、夜間短大、昼間の短大、昼夜間の短大がございますね。昼夜間の短大がある場合に、その夜間短大だけを昇格ということは、技術的に、制度上不可能ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/104
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105・杉江清
○杉江政府委員 法的に不可能であるかどうかということになりますと、いま不可能ではないと私は考えておりますが、ただ実際上適当ではない。やはり昼のほうが学校運営の中心になり、そういうものがあってこそ夜も伸びる、充実される、こういう関係にありますので、夜間だけ五年制になり、昼が短大という形はやはり適当ではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/105
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106・川崎寛治
○川崎(寛)委員 夜間の問題から先に入りましたけれども、次に大学急増の問題について、ひとつお尋ねしたいと思います。
大学局長にお尋ねしますが、今回の国立学校設置法の提案理由には、入学定員増の問題については何ら触れてないわけですね。昨年の提案理由の説明にはちゃんと触れておったのです。大学急増が一番やかましくなったときになぜはずしたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/106
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107・杉江清
○杉江政府委員 これはもう当然のことだというふうに考えまして、むしろそれを前提とした具体的措置について御説明申し上げたわけであります。必ずしも適当ではなかったかもしれませんが、そんな気持ちで書いたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/107
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108・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうじゃないのですよ。大体くさいものにはふたをしようというあれもあると思うのです。この数字というのは、大学急増計画というものはたいへん幾変転しておりますから、その中で一番いやなものは隠しておけというようなことになったのではないかと勘ぐるわけです。そうじゃないというのであれば、それでよろしいわけでありますけれども、ことしはたいへんな年ではないかと思うわけですが、ことしの高等学校の新卒は推定幾らになりますか。そしてそのうち大学を受験するであろう、受験者数は幾らに見ておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/108
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109・杉江清
○杉江政府委員 四十一年三月の高等学校卒業者は百五十五万一千でございます。そして新卒の志願率はおおむね三三・六%と見込んでおります。だから新卒の志願者は、実数としまして五十二万一千と一応推測いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/109
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110・川崎寛治
○川崎(寛)委員 じゃ、昨年の不合格者とそれからそのうち受験するであろうと予測される者……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/110
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111・杉江清
○杉江政府委員 昨年の不合格者は十六万三千と一応見込んでおります。そしてその八〇%程度が再び大学を志願すると、こういうふうに考えておりますが、数字にいたしますと十三万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/111
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112・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと、六十五万一千が受験をするわけですね。そしてこのいただきました表によりますと、二十二万九千二百六十七名が四十一年度の入学定員、こういうことになりますね。そうしますと、ことしの不合格者というのは、六十五万一千から約二十三万引きますと、四十二万がことしの不合格、こういうふうに見てよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/112
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113・杉江清
○杉江政府委員 ことしの大学の入学者の数は定員としまして二十六万八千、それから実員——これは事実上とにかく詰め込みが行なわれておる、それを計算に入れて、実員として三十八万八千になるわけでございます。——失礼しました。去年ですね。去年の四十年における定員としては二十二万九千、実員としては三十三万が大学に入ったわけでございます。そこでいまのように浪人として十三万が出てくる。そしてそれに対して四十一年度の一応見込みとしまして、定員としては二十六万八千、実員としては三十八万八千、こういう数字になるわけでございます。結局大学入学者は実際入る者は三十八が八千こういうふうに私ども見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/113
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114・川崎寛治
○川崎(寛)委員 これはつまり大学設置基準に基づいた四十一年度の入学定員というものが二十六万ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/114
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115・杉江清
○杉江政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/115
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116・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと、入学定員からまいりますならば、六十五万一千のいわゆる受験者に対して二十六万、だから約四十万のあぶれがある。しかしそれが水増しで三十八万、こういうことになるわけですね。そうしますと、水増しで三十八万になって二十七万の不合格者、こういう数字になるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/116
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117・杉江清
○杉江政府委員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/117
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118・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと、いままで二十万をこしたことはないと思うのですね。一番多かった年で三十八年ではなかったかと思うのですが、これだけ、二十七万の不合格者、高校浪人が出る。しかもこの二十七万というのは二十六万を三十八万に水増ししておるのですから、これは幾ら水増ししたことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/118
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119・杉江清
○杉江政府委員 六割二分の水増しになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/119
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120・川崎寛治
○川崎(寛)委員 ですから国立としては設置基準でいっておりますけれども、実際に私立の場合はこれだけ水増しせざるを得ない。してもらわなければならぬ、こういうことになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/120
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121・杉江清
○杉江政府委員 推測でありますけれども、最近において大体この程度のいわゆる水増しが行なわれておるわけであります。過去数年周の数字を見まして、これより多少低いのでありますけれども、しかしかなりこれに近い数字を示しております。四十年度においては全体として私学においては六割二分のいわゆる水増しになっておりますが、これはこの急増期間中おおむね続くもの、こういうふうに私どもは見ておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/121
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122・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと国立の場合、ことしは大蔵省に幾らの定員増を要求して、そして実際に予算定員は幾らになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/122
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123・杉江清
○杉江政府委員 五千五百であります。そして実際予算化されました数字は四千五百九十二名でございます。しかし、大学の収容力ということから言いますと、実はこのほかに、小学校教員の増として三百八十名がございます。それを加えておおむね五千でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/123
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124・川崎寛治
○川崎(寛)委員 昨年も四千四百の要求に対して三千三百九十四、約一割以上削られておりますね。ことしも、五千というものの、実際は千ぐらい削られておるわけですね。大学急増の問題がこれだけ問題になっておる。そして私立の場合に、六割二分の水増しをやらなければ三十八万というつじつまが合わない。こういうふうに、これは単に教育上の問題だけではなくて、非常に大きな社会問題になっているわけです。その中で、なぜ政府として、これだけの文部省の要求が十分に通らなかったかという点について、大学急増計画についての政府としての根本的な構えが少し足らないんじゃないかと思うのです。その点、文部大臣にお尋ねをしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/124
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125・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 先ほど局長から申し上げましたような予算要求をいたしまして、この点は、国立のになうべき分については極力目的を達成いたしたいと思いまして、努力いたしましたが、いろいろな計数を詰めた結果、いま申し上げたように、教員養成を含めて約五千というところに落ちつかざるを得なくなりましたような次第であります。主としてこまかい事務的な詰めの折衝には局長あるいは担当課長が当たりましたので、こまかい点は必要に応じて事務当局からお答えをさせますが、私どもとしましては、最善の努力をいたしたわけでございますが、こういうような結果になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/125
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126・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと、来年は約三十万近い浪人がひしめいているわけですね。そうしますと、来年の高校卒、そしてそれに対する大学受験者数等、四十二年度の急増計画について、文部省の計画を示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/126
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127・杉江清
○杉江政府委員 四十二年三月に高等学校を卒業する者は、百五十八万八千でございます。進学率も多少上がるものと見込みまして、新卒の志願者は五十三万七千と見ております。それから、浪人の再志願率を一応八〇%と押えますと、二十一万七千になるわけであります。大学入学志願者は本年度よりも約十万ふえまして、七十五万四千と一応見込んでおります。
これに対してどういう措置を考えているかということでありますが、まず国立については、四十二年度において三千ないし四千の定員増の措置をいたしたいと考えております。先ほどのように総数はふえるのでありますけれども、各年次における純増は、この四十一年度が一番大きいのであります。その純増は漸次低下いたします。そういう関係で、定員増の措置も四十一年度に最重点を置き、四十二、四十三の両年度にわたってなお増加措置を続けていく。しかし、それは四十一年度よりもその幅は小さくしていく、こういう一応の計画を立てております。
公私立につきましては、これは何といいましても一応の見込みにすぎないのでありまして、実際にそういう大学学部を設置するかどうかは、地方公共団体ないし学校法人それ自体の問題でありまして、あくまでも推測の域を出ませんけれども、私どもは一応こういうふうになるのではないかという数字として考えておりますのは、公立については四十二年度千三百名、私立については二万人、こういうふうな増加数を見込んでおります。しかし、これは繰り返しますけれども、公私立については相手のあることでありまして、相手がどういうふうにお考えになるかということによって、この数字はよほど動くことが予想されるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/127
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128・川崎寛治
○川崎(寛)委員 いまのお答えですと、これで増になりますものが約二万四、五千、ことしより増ということになるわけですね。しかも受験者数は、先ほどのお話のように七十五万四千というふうに、ことしよりも十万ふえる。こうなってまいりますと、大体ことしの三十八万ということ自体がたいへんな問題だと思うのです。つまり六割以上の水増しをしなければ実際には収容できない。しかも、これが受験者数にいたしましても、先ほどの御答弁ですと、浪人が——ことしの浪人も、見方によっては十八、九万になるんじゃないかという見方もあるわけですね。つまり昨年の不合格者だけが受けるということではなくて、それの前の不合格者も、それはいろいろの事情によって去年受けてなかったのが、また受験という形で入ってくるわけです。昨年の不合格者だけで押えることには問題があるんじゃないか、そう思いますと、ことしの浪人はへたをしますと三十万をこすという事態になりかねないとも思うのです。そこら、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/128
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129・杉江清
○杉江政府委員 確かに浪人の数の見込み、その再志願率、これは非常に不確定要素を含んでおりまして、なかなか推測はむずかしいのであります。こういった入学競争の激しいときだからといって、あきらめる者もかなり出るかという推測もあるわけでありますが、私どもは一応八〇%の再志願率、こういうふうに見込むことがほぼ妥当ではなかろうかと考えております。そういたしますと、四十一年度、この四月は十三万の浪人が押し寄せる。四十二年の四月には二十一万七千という数が出てくる。これは多少動くことは考えられますが、私は、いまおっしゃったような三十万というような数にはならない、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/129
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130・川崎寛治
○川崎(寛)委員 しかしいずれにしても、従来十四、五万、多くて十七、八万、こういう浪人が、文部省の計算でも、一躍ことしは二十七万出るわけですね。これはたいへんな問題だと思うのです。そうしますと、このことは何も昭和四十一年度に突然現象として出てきたわけではないわけです。戦後の復員の状況、その他人口構成の中から、今日の事態というのは当然予想できた。ただ高等学校の進学率なり、あるいは大学の受験率なりというものが、これほど急速に上がっていくかどうかという点については、たいへんな見込み違いもあったと思いますけれども、しかし現在の年齢人口というものの把握においては、今日の事態というのは当然に社会構造の上においては見られてきたわけだと思います。
そこで私は、大臣の所信ををあらためて読み直してみて、大臣の五十一国会における文教行政の所信の根本的な問題についてお尋ねをしたいと思うわけです。実はこの所信、熟読玩味いたしてみましたら、たいへん高邁過ぎて、その本質といいますか、実態がなかなかつかみがたいわけでございます。われわれのような者にはなかなかつかみがたい。さすがに政治家中村文部大臣の所信だと思うわけですけれども、その一番ポイントになっておりますこと、これは佐藤内閣が、二十一世紀から呼びかけるのだ、あるいは二十一世紀に向かってのたいへん大きな展望というものを、いつも掲げられるわけです。そこで二十一世紀に連なる新しい世代の問題、それが今日の大学生急増でひしめいておる不幸なさまよえる羊であります。そこで今日の事態というのが、これは戦後の社会構造の中で十分に把握されていながら、なおかつこういう現実の事態というものが出てこざるを得ない。こういう点を考えますとき、この所信表明で言われております「文教の施策は、長期的な視野に立って着実に推進すべきものでありますから、ことさらに新しきを求めず年来の施策を地道に発展させつつ、国民の期待と要望にこたえたいと存じております。」こう言っていますね。最初は二十一世紀に向かって高らかに長期計画が出されて、その長期計画の中で今日のこの事態はこう解決するのだ、しかもそれは着実にやるのだ、こういうふうに思っておったら、よく読み直してみますと、これはそうじゃなくて、非常に長期のものでなければならぬと言いながらも、いままでのものをやっていけばいいのだということに、後のほうはなっているわけです。こういう読み方が誤りかどうかわかりませんけれども。
そこで大臣にお尋ねしたいのは、こういう事態になった。私は、これまでの文部省の文教行政というのは、あまりにも数量的な面に、しかもその数量的なものも、本質的なものにはメスを入れることができずに、つぎはぎを張ることに精一ぱいだ。小中学校の義務制、それから高校生の急増、そうして大学生の急増、しかもそれは常に本質的なものの解決はあと回しになってきておる。だから、高等学校の場合も、結局高校定数法の附則の五項、六項で読みかえをやってきた。大学はどうですか、六割二分も水増しをしなければならぬ。これは教育の長期計画という面からいきますと、——もっとも長期計画なるものがなかった。所得倍増計画だ、あるいは中期経済計画だ、そういうものの中で、そういうものが最も根本的なものでありながら、その根本が欠けていたということを暴露していると、残念ながら私は言わざるを得ないのです。
その点、文部大臣として、二十一世紀に連なる新しい世代というもの、たとえば私立の問題にしても、このあとで出てきますように、調査会の結論待ちです。そうなりますと、とにかくその時期が過ぎてくれればいいんだ、根本的な問題は、あとから出てくる審議会なり調査会が出してくるものを待ちましょう。高校定数法も、急増期を過ぎて下り出した、後期中等教育の答申はまだ出ていない。だからこれも、結局この急増期の中においては何ら具体的な質の向上——先ほど自民党の諸君はしきりに質の問題だ、質の問題だと言っておられたけれども、これも質の問題をやるわけです。そこで、大学の問題にいたしましても、いま数量的な問題にぶつかって、その解決に追われておる、こういう実態です。ですから、その中で、大臣として、この五十一国会における長期の展望の中で、教育の根本的な問題をこう解決したいんだということを、そういうむずかしい抽象的な言い方でなく、もっと具体的に大臣の所信を私は表明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/130
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131・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 高校の卒業生が非常にふえまして、いわゆる大学生急増期というものは、文部省にとりましては非常に頭痛の種でございます。大学問題につきましては、大学の本質自体ももっと改善をし、充実をいたしまして、本来の高等教育の完成を期したいという一面があります。同時に、さしあたり人員増に対してどう対処するかという大きな課題をここにになっておるわけでございます。
そこで、当面の進学熱というものがこれだけ高まってきております現状から見まして、進学熱自体は決して悪いことではありません。できるだけ大学教育を受けたいと希望する者に対しては、大学教育を受けられるような措置も必要でございますので、私どもとしましては、四十一年度予算の編成にあたりましては、国、公、私立を含めまして、極力受け入れ態勢を拡大したいという希望を一つには持っておったわけであります。その方向に立ちまして、従来具体的に検討を進めてまいりましたが、施設の面あるいは教授陣営の面——受け入れ態勢を広げたいからといって、大学の学問の内容を、これ以上といいますか、学問の内容を低下させることは忍びない。低下させずに、受け入れられる範囲はどのくらいかということで、努力してきたわけでございます。したがいまして、設置審議会等に御協議をいただきましたが、こういう大学生急増の際に、私立学校としましても、かなりいろいろな申請がたくさんございましたが、設置基準というものを甘くするわけにもまいりませんので、設備の面で今年は残念ながら認められないというもの、あるいは教授陣営の編成が充実していないもの、こういうものがありまして、見送らざるを得ないものが相当に出たのであります。したがって、当初受け入れ態勢の人員増を見込んでおったよりは若干減りました。これも大学の教育を低下させまいとする一面から見ればいたしかたないことでありましたので、こうなったわけでございます。明年度につきましてはさらに一般にも努力を願い、われわれもつとめて努力してまいりたいと思いますが、非常にこれはむずかしい時期にさしかかってきておるわけであります。また一面、いまは大学生の非常な急増期でありますが、やがては相当の幅で減ってくる時期もありますから、私学等においてはいま受験生が非常に多いからといって無理な拡張もおそらく差し控えるでありましょうし、またわれわれのほうとしましても、その無理な拡張を干渉するわけにもまいりませんし、非常にむずかしい時期にさしかかっておるわけでございます。反面また労働省との間には意見の調整をつけましたが、別の面から見まするというと、そんなにこの高等教育を受けた人間ばかりたくさん世の中のために養成しても困るじゃないか。高等教育を受ける人数には、世の中の需要には限度があるのじゃないかというような説もございまして、まあ日本の現状は御承知のとおり大学進学率というものは世界でも相当高い水準に今日ありますわけで、これらも一応もっともなことでございますが、私どもとしては、とにかく志望者がこれだけ殺到してくる時期にはできるだけやはりその志望を達成させる努力だけはすべきである、こういう角度に立ちまして極力努力した結果が、このような現状になっておる次第でございます。この急増期を過ぎましたならば、われわれは、長期展望としましては大学の内容を極力充実をいたしまして、あるいは大学の現在の四年制で二年は教養、二年は専門学問、とこういうような内容につきましても、もっと充実した大学教育の理想を達成しなければならない。しかしいまは、当面こういう人員増の時期にさしかかっておりますから、この長期展望に立った理想達成に向かうということは困難な実情に置かれておりますので、これはしばらく二、三年はしんぼうせざるを得ない状況にありますので、長期展望としましては、大学のあり方、内容、こういうものの充実につとめて、りっぱな高等教育ができるような国家体制を築きたい、こう思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/131
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132・川崎寛治
○川崎(寛)委員 今日の直面しておる文部大臣としての苦労についてはよく理解できるわけであります。ただ、私は、本委員会のあり方として、まあこれはほんとうに繰り返しなんでありますけれども、問題にしたいと思うのです。それは、灘尾文部大臣の際にもまた愛知文部大臣の際にも私は要望申し上げました。それはいま大臣が言われたように、長期の問題としてはしばらく研究さしてくれ、こういうふうに御答弁になっておるわけでありますけれども、そういたしますと、この本委員会にかかってまいります大学の問題一つをとってみても、それから量的な問題をとってみても、常に区切られた短期間のものがここに結果として出てくるわけです。私は前の文部大臣の際にも申し上げました。それは、本委員会が、行政当局がきめたものを事後承諾をするだけの機関であってはならない。だからもっと行政当局に材料を提供してもらう。それを本委員会で審議をするという率直な姿勢が望ましい、こういうことを私は要望してきました。しかし、残念ながらいままでの毎通常国会においてはそういう審議の問題というのはされずに、待ってくれ、先の問題はもう少し研究させてくれ、待ってくれ、そうして常に翌年の実際の予算が変わるときにきめられた短期間のものがここに素材として出てくる、こういう実態にあるわけです。私は、これは国会の委員会のあり方としてはたいへん問題だと思う。先般の理事会においても民社党の鈴木理事もそういういまの委員会のあり方というものは問題だ、こういう問題提起を理事会で言っておられました。私はまさにそのとおりだと思うのです。だから長期の展望に立てばたいへんな問題だ。なぜなまの問題をこの委員会に出してここで審議をする、そしてその方針が具体的に実行されていくということにならないのか。
そこで私は委員長にお尋ねしますけれども、本委員会の運営というのが、政府が出してくるものをただここで審議をして承諾を与える、そういうだけのもので終始をされるつもりなのか、それとも文教行政の基本施策に関する問題というのはあとのほうで、とにかく法案をやってくれ、こういうことではなくて、もっともっと本委員会自体を名委員長のもとに権威のある委員会にしてもらうためには、委員長みずからがひとつ文部当局に対して具体的ななまの資料の提供を求め、本委員会においてそれらのものが十分に審議をされて、国の文教行政に反映をしていく、そういう方向の委員会の運営というものをひとつ委員長の指導のもとに私は打ち出してもらいたいと思います。その点まず委員長いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/132
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133・八田貞義
○八田委員長 ただいまの川崎委員の御発言に対しましては、委員会の運営上まことに大切な御発言と思いますので、十分に理事会で検討して取り計らってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/133
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134・川崎寛治
○川崎(寛)委員 大臣、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/134
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135・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 もろちん、私どもとしましてはいろいろものには順序があったり、あるいは予算との関係があったり、あるいはことに教育につきましては文部省が考えるだけでなしに、それを実施に移します大学側がどういう事情にあるのか、こういうことを勘案して、さしあたり今年度はこの程度のことは実現いたしたいという成案を得て、法律案を提案し御審議を願っておる次第でありますから、この提案をいたしましたものについてぜひ御審議の上御賛成を願いたいことはやまやまでありますが、いろいろ先ほど来御意見が出ておりますように、将来われわれなり文部省当局が参考にして、今後の施策の資料に供さしていただく、こういうような点はあわせて御意見を拝聴し、議論をいただいてしかるべきことと思いますので、建設的な諸種の御意見につきましては十分に拝聴いたしまして今後の施策の上に検討の資料にしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/135
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136・川崎寛治
○川崎(寛)委員 逆だと思うんですね。いま大臣も言われましたように、それはいま出されているものをまず審議してあわせて将来のものをと、こう言われた。ところがそうじゃなしに、私が毎々この委員会で言っておりますこと、通常国会で毎回言っておりますことは、大学の問題一つとってみても、今日のこういう事態の問題は去年も一昨年もすでに予測された問題として議論されてきているわけです。ところがそのときにも、その時点の身近の問題だけにしぼられて将来の問題というのは常に先に延ばされてきている。だから今度ここに出てくるものが、去年の際にもっとなまで審議をされ、そういうものの審議の上に具体的な四十一年度の問題として出るようにすべきだ、こういうわけです。これは自民党の諸君は反対だという声がわきのほうでありましたけれども、それは委員会でまともに審議をする……(「賛成をしているのだ。」と呼ぶ者あり)賛成だそうでありますから、これからはひとつそういう与野党一致で、本委員会の運営についてはもっと出してもらって、そして大いに審議をし、進める。やはり教育の問題は民族百年の問題であります。私はいま文教行政の面においても、そうした長期的な見通しが十分になくて、その時点時点で継ぎはぎを当てることにせい一ぱいできたというところに、これは社会構造上の変化が激しいためにやむを得なかった面もあろうと思います。しかし現実はそうだった。ですからそういう方向で与野党一致でひとつこれからやります。そういう方向でひとつ大臣も審議に臨んでいただきますことをお願いをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/136
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137・八田貞義
○八田委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00719660304/137
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