1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十一日(金曜日)
午前十時三十七分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 上村千一郎君 理事 小沢佐重喜君
理事 谷川 和穗君 理事 南 好雄君
理事 八木 徹雄君 理事 川崎 寛治君
理事 長谷川正三君
坂田 道太君 床次 徳二君
中村庸一郎君 松山千惠子君
落合 寛茂君 河野 密君
高橋 重信君 松原喜之次君
和田 博雄君 鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中村 梅吉君
出席政府委員
総理府事務官
(首都圏整備委
員会事務局長) 鮎川 幸雄君
文部事務官
(大臣官房長) 安嶋 彌君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 齋藤 正君
文部事務官
(管理局長) 天城 勲君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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本日の会議に付した案件
小委員会設置に関する件
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正
する法律案(内閣提出第四六号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第九三号)
文教行政の基本施策に関する件(研究学園都市
に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/1
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002・上村千一郎
○上村委員 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正案につきましてまずお尋ねをいたしていきたいと思います。
今回の改正の提案理由を拝見いたしますると、公立の小学校及び中学校の屋内運動場の整備の促進に資するため、国庫負担額の計算の基礎となる工事費の算定方法を、校舎の工事費の算定方法と同様の方法に改める必要がある、こういう趣旨のもとに御提案になっておるわけでございます。
私は、この屋内体育館の要望というものは近来特に著しくなっておるわけでございまして、このことはきわめていわば必要度が多いというふうに感じられるわけでございますし、実情がまたきわめて必要度の高いものだというふうに信じております。でございますので、工事費の算定方法について、校舎と同様に改めるということはきわめて適切なものだというふうに存じております。しかるに、従来校舎の工事費の算定方法と屋内運動場の工事費の算定方法というものが異なっておったという理由は一体那辺にあったのか、それとともに、公立学校施設の整備につきまして、政府は昭和三十九年度から第二次五ヵ年計画を実施しておるわけでございますが、四十年度の実施状況並びに四十一年度の事業量、建築単価、それから構造比率、これに伴う予算措置というようなものにつきましてお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/2
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003・天城勲
○天城政府委員 御指摘のように、学校教育におきまして定められた学習指導要領の基準に従った教育を実施していきますたてまえから申しますと、現在の体育館の整備につきまして国の予算の積算の基準が必ずしも適当でないということをわれわれ感じておりました。これは一般の教室につきましても、従来生徒一人当たりの坪数で計算しておりましたのが適当でないということで、すでに一学級当たりに積算の根拠を変えてきておりますが、屋体につきましてはたいへん恐縮でございますが若干おくれておりました。このたびこれも教室と同様に改定いたしたい、こう考えたわけでございます。その改定いたそうとする理由でございますが、いま御指摘のように、学校教育上体育館の持っている意義が非常に大きくなってまいりましたし、なかんずく教育課程の実施を考えていく上で、どうしても一定の基準を確保しなければならないということが一つでございます。それからもう一つは、従来のように児童生徒一人当たりで計算してまいりますと、最近の児童数の減少という現象もございますので、学校の総体の人数が減ってまいりますと、必要な基準の屋内運動場の確保がやはり非常に困難になってきております。その両方の理由から、学級単位にこのたび改めたい、こう考えたわけでございます。
ただいま御指摘の四十年度の計画実施状況あるいは四十一年度の全体の考え方でございますけれども、御案内のように三十九年度から、従来の五ヵ年計画を改定いたしました第二次の五ヵ年計画が進行中でございます。これで四十一年度は第三年次を迎えるわけでございまして、全体の国庫負担事業として三百八十七万三千坪を計画いたしておりまして、その年次計画に従ったおおむね三年度分までやってまいりました。四十年度につきましては、小中学校の屋体につきまして、小学校につきましては二万坪、中学校につきましては三万九千九百坪余を予定しておりまして、それぞれ小学校につきましては五ヵ年計画の二四%分、中学校については二〇%分を計画いたしたわけでございます。この基準改定に伴いまして、単価、構造比率等につきましても実態に即して改善を加えたいと考えておりまして、四十一年度の内容で申し上げますと、体育館につきまして従来構造比率において鉄筋、鉄骨のほか木造分というものを五%見込んでおりましたけれども、四十一年度におきましては、この木造をやめまして全部鉄筋、鉄骨にいたしまして、予算上の構造比率を改善いたしたつもりでございます。
それから単価につきましては、これも実態を考えまして、屋内運動場の単価、これは鉄筋、鉄骨で違いますけれども、鉄筋において前年度が八万一千五百円ということでございましたのを八万四千八百円、それから鉄骨におきまして六万一千九百円を六万四千七百円というふうに改善いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/3
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004・上村千一郎
○上村委員 従来全体の事業量の八〇%を国庫負担事業として、いわゆる頭打ちを行なっておった。それで現実の負担率が法定の負担率より下回るというようなことが指摘されていて、何らかこれが改善をしなければならぬというような要望が従来強かったわけであります。四十一年度におけるこの点の改善策というものは施されたものであるかどうか、この点につきましてお尋ねをしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/4
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005・天城勲
○天城政府委員 これはただいま申し上げましたように三十九年度からの第二次五ヵ年計画の上にのっとってやっておりますので、一応最初に立てました基本線においては変わっておりません。先ほど申しました三百八十七万三千坪、これはやはり全事業量の八〇%を国庫負担の対象といたしておるわけでございます。ただ実際の執行にあたりまして単価の改善、構造比率の改善あるいはいま申しました基準坪数のとり方の改善等をいたしておりますので、実際の個々のケースにあたって見た場合には、配分の実態として考えますれば、この八〇%を上回る負担の実施が可能だと思っております。またその方向で実施に努力いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/5
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006・上村千一郎
○上村委員 この際でございますからお尋ねしておきたいと思いますが、小中学校の施設にかかる国庫負担率を、すべて二分の一に引き上げる御意思があるのかどうか、この際承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/6
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007・天城勲
○天城政府委員 この点につきましても前々から御指摘いただいておりますが、現在三分の一の事業量負担がございます。これも五ヵ年計画の進行の全体をにらんだ形で進めておりますので、やはり必要な事業量の確保ということを大前提として置いておりますので、今回この三分の一の負担率を引き上げることはいたさなかったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/7
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008・上村千一郎
○上村委員 要は、今回は事業総量というものにつきまして重点を置いた、そして負担率という問題につきましては、将来できるだけ負担率の増加をはかりたいけれども、四十一年度としては事業量そのものに重点を置いたというふうに理解しておいていいのか、お尋ねをいたしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/8
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009・天城勲
○天城政府委員 御指摘のとおりでございまして、負担率の改善はできるだけいたしたいと思いますけれども、当面事業量の確保と、それからいわゆる地方の超過負担の解消ということで、中身の改善に主力を注いだわけであります。負担率の問題は将来において検討いたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/9
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010・上村千一郎
○上村委員 昨年度校舎の工事費の算定方法を、学級数を基準とする方法に改めた。今回は屋内運動場を、同様に学級数に応ずる所要面積をもって算定する方法に改めるという御方針のようであるが、この新旧基準による屋内運動場の必要坪数の比較を、学校規模別にして承りたいと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/10
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011・天城勲
○天城政府委員 このたびの改定で考えておりますのは、学級単位でございますので、幾つかの段階を設けてあるわけでございます。小学校の例で申しますと、七つの段階を設けまして、第一段階、一番小さいのは一学級から三学級までのクラス、それから次は四、五、それから第三が六、七、四が八—十三学級というように、区切りを分けてまいりました。中学校につきましても同様でございまして、六段階にそれを分けたわけでございます。したがいまして、この六段階に即して、従来の一人当たりの計算とこの学級段階の計算とで基準を計算してまいりますと、大体小学校において八学級から十三学級の四段階あたりが基準になろうかと思っております。この例で申しますと、旧基準で計算いたしますと九十五坪でございますが、新基準で計算いたしますと百二十八坪になりまして、約一・四倍の基準になろうかと思います。それに、このたびは、寒冷地におきまして、渡り廊下とかあるいはくつ脱ぎ場等の補正をいたしたいと思っておりますので、この基準で約八坪の寒冷補正をいたします。
そういうわけで、このくらいの面積になりますと、学習指導要領の基準に基づきます球技、ドッジボールのコートができるんではないかと考えております。中学校の例で申しますと、大体六学級から十学級あたりを基準に考えますと、これが旧積算でまいりますと九十七坪でございますが、新基準でまいりますと百五十六坪、一・六倍の基準になりまして、この基準になりますと、学習指導要領の定めておりますバレーボールのコートが一面ぐらいとれるのではないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/11
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012・上村千一郎
○上村委員 国庫負担または国庫補助の対象とする公立養護学校の建物の建築に要する経費の額の算定方法を、児童生徒の数を基準とする方法から学級数を基準とする方法に改めていない理由につきましてお尋ねをいたしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/12
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013・天城勲
○天城政府委員 特殊教育、すなわち盲ろう養護学校につきまして、現在まだ改善が行なわれてない理由ということでございますが、一つは、先ほど申しましたように、小中学校におきましては児童生徒の減少が差し迫っておりますが、まだ盲ろう学校にはこの現象はございません。その点で若干時間をいただいて、次の検討に入りたいということが一つでございますのと、それから、特殊教育の教育形態がかなり普通の学校と違っておりまして、小中学校に比べまして複雑でございます。この点につきましてはなお検討中でございますので、特殊教育の施設の基準改定は今回は見送ることといたしまして、なお検討をすることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/13
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014・上村千一郎
○上村委員 この公立小中学校建物の新増築に伴う校地の購入費、公立小中学校寄宿舎の新増築に要する経費について、これらを国庫負担の対象とするお考えはあるのかないのか、この点をお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/14
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015・天城勲
○天城政府委員 二つの内容の御質問でございますが、一つは、学校施設のための用地購入の問題でございますが、これにつきましては、最近都会地におきまして土地の単価が上がりまして、非常に購入が困難だという事情はわれわれも承知いたしております。しかし、土地の単価につきましては、全国的に非常に開きがございまして、予算上の単価をきめます場合に非常に困難な状況がございます。したがいまして、実質を確保するためにはむしろ起債のほうが有利なのではないかという考え方をとっておりまして、補助制度には踏み切っておらないわけでございます。
なお、起債の問題につきましては、可能な限りこれの拡大をはかるように自治省とも交渉を重ねて、逐次改善を続けておるつもりでございます。
それから宿舎の問題でございますけれども、現在義務教育の段階におきまして、宿舎の問題はほとんどが僻地の学校統合に伴う問題でございます。また、高等学校の場合におきましても、主としてそういうような事情が裏にあるわけでございますので、これらにつきましては現在国庫補助の対象に取り上げております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/15
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016・上村千一郎
○上村委員 次に、僻地集会室について、基準改定を行なう意思があるかどうか、これをお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/16
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017・天城勲
○天城政府委員 僻地集会室は、われわれの考えでは、体育館もかなり兼ねる場合もございますし、ある意味ではかなり多角的な意味を持っておりますので、今回の改正におきましては、僻地集会室も体育館と同じような扱いの中に含めてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/17
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018・上村千一郎
○上村委員 私、この義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正につきましての質問を大体終わりたいと思うわけでございますが、私が一連の質問をいたしましたのは、政府は、昭和三十九年度から第二次五ヵ年計画を公立学校施設整備について樹立されているわけです。そうして、これに対するところの前向きの姿勢をもって御努力をされておられることは多とするものでございますが、もちろん、予算のいろいろな関係もございまして、意のように進まない点もあるであろうし、また、御努力によりまして相当進展した部門もある。ことに、今回の屋内運動場につきまして、これが基準改定をされたということは、私はきわめて喜ばしい改定であると思うとともに、先ほど一連の質問をいたしましたように、まだ、基準改定をして、そうして大いに公立学校施設の整備につきまして推進をしなければならない点が残っておるわけですね。でございますので、今回の改正ということにつきましてはきわめて賛意を表するとともに、今後この五ヵ年計画につきましていろいろと問題はあるものの、強い熱意を持って推進されることを希望いたしまして、私の質問を終える次第でございます。
なお、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正については質問を終えるわけでございますが、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、質問を続けていってよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/18
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019・八田貞義
○八田委員長 どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/19
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020・上村千一郎
○上村委員 お許しを賜わりましたので、この点につきまして少しく質問をいたしてまいりたいと思います。
この公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部改正案を今回御提出になりました提案理由は、「高等学校の教育水準の維持向上に資するため、管内の公立の高等学校の生徒の昭和四十一年度の総数が、前年に比し減少する都道府県の区域内の公立の高等学校について、学級編制及び教職員定数の標準に関する経過規定の特例を設ける必要がある。」こういう意味におきまして御提案になっておられるわけでございまするが、生徒急増期間を過ぎれば、要するに本則どおり学級編制を五十人とする現行法をあくまでも堅持していくべきかと存ずるわけでございまするが、これを五十三人とする理由は那辺にあるか、この点からお尋ねしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/20
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021・齋藤正
○齋藤政府委員 現行のいわゆる高校定数法におきましては、昭和四十二年度の入学者からはすべて本則に戻りまして、五十人の編制を標準とし、教職員の定数につきましても、これをもとといたしまして計算するようになっているわけでございます。そこで、四十一年度、一年前に一部の府県、まあ半数くらいの府県におきまして、中学校の卒業生の減の事情があらわれた、いわゆるベビーブームの波が他県よりも早く過ぎてきたという府県と、それから公立高等学校に対する進学率というものが他の府県よりも早期に及んできた府県等は、公立学校に入学すべき四十一年度の入学者数が、四十年度より減少する府県があらわれました。したがいまして、本法の精神から見て、急増期においては財政上の事情あるいは過度のすし詰めを防止するという両面から、標準を暫定的に五十五人にするという制度でありますから、そういう実態があらわれましたので、それらの県については本則に戻すということをいたしたいと思ったのであります。これは大体九府県でございます。ところが、それほどの減少でない、本則に立ち戻るというほどには減少しないけれども、なおその中間にあって問題となる府県が出てまいりましたので、これについては、その標準を五十三人にするということにいたしたわけでございます。これはやはり各府県における高等学校の生徒の実態に即するという観点から、今回経過的に中間のものも一つ設ける。本則どおり五十人に戻るもの、それからなお高等学校生徒の増が続いておって、そして現在の附則のとおりに四十二年度から五十人になり、現在は、四十一年度は現行の経過措置のとおり五十五人とする県と、それからその中間の県を設けまして府県の公立学校の生徒の実情に合わしたい、こういう趣旨で五十三人というものを設けたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/21
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022・上村千一郎
○上村委員 私がなぜそういう質問をしたかと申しますと、四十二年度以降の入学生については、法律の本則どおり一学級五十人の学級編制とする。そうすると四十一年度の暫定措置になるわけです。しからば思い切ってこの際五十人とするこの現行法のたてまえを貫いていけなかったのはどういうわけだろうか。要するにこのすし詰め教室の解消という問題につきましては、これはいろんな社会的な要因もございまして、やむを得ずいわゆるすし詰め教室というものが生じてきた。だからこういう不自然な状態というものが一刻も早く解消をする必要があろう。また社会党の御提案などにおきましても、これが趣旨もうかがえるわけでありまして、こういうような線ということについては、私も、とにかく理想的な前向きな線で検討をしていく必要があろう。けれども予算関係やあるいは施設の関係あるいは教員の問題というようないろいろな問題があるから、一挙にこの理想的な状態にいくわけにはいきかねるという事情はよくわかるわけでありますが、しかし四十二年度から本則に戻るという場合、四十一年度だけの暫定措置の場合にどうして本則を一挙に貫き得なかったのであろうかという点をお尋ねをしたわけでございます。この昭和三十八年からのいわゆる高校生徒急増に対しては、一割増しの学級編制で対処してこられた。この急増の波が昭和四十一年度は各都道府県で若干事情が異なっているということで、その実情に沿うように配慮して今回の改正案を提出されたものだと思うわけでございます。ここ数年間の中学校卒業者数と進学率及び昭和四十一年度以降のこれらの見込みについて、政府の御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/22
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023・齋藤正
○齋藤政府委員 中学校の卒業者の一番多かった年は昭和三十八年、いわゆるベビーブームのはしりの年でございます。その後三十九年から四十年にかけまして、だんだん減っております。数字で申しますならば、三十八年度が二百四十九万、約二百五十万でございます。それに対しまして四十年度が二百三十六万、それから四十一年度が二百十三万となっております。ただここで高等学校の在学生を考えます場合には、単年度の卒業生の比較をもっては考えられないのでありまして、これが三年間累積するわけでございます。したがいまして今度は高等学校の生徒のピーク時ということになると四十年度がピークでございまして、これが約五百万でございます。今後の推移でございますが、四十五年度に至ります間に中卒者というものはだんだん絶対数が減少してまいります。私どもの推定でございますと、四十五年度は百六十五万程度になろうと思います。しかし、その傾向に比して高等学校の生徒が減るかと申しますと、一面におきましては、進学率の上昇という問題がございます。でございますから高等学校の生徒の総数というものは、大づかみに申しますと四十年度の五百万に対しまして、四十五年ごろには一体どこまで減少するかということは、義務教育の場合と違いまして非常に推定の要素が加わるわけでございますが、私どもはこの進学率の伸びがある程度伸びていくということを仮定いたしまして、その伸び率というものを相当押えてみても、ベビーブームのはしりの年の三百八十万のところには戻らないのではないかというふうに考える。したがいまして、今後こういう問題を検討いたします際に、義務教育のように急増急減というような形でなくて、府県によって、あるいは私立学校で申しますなら個々の設置者によって、その受ける影響が違うのであって、全国的に見ますと急減というような要素は将来そうこないのであって、少なくとも戻るにいたしましても、ベビーブームのはしりの年の昭和三十八年度の線に減ったとしたらぎりぎりの減った線であって、むしろ四百万の前後を想定することが、その辺が安定的な高等学校の生徒の数と考えるのが至当か、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/23
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024・上村千一郎
○上村委員 今度は逆の面から考えて質問いたすわけですが、昭和四十二年度以降の入学生については、法律の本則どおりすべて一学級五十人の学級編制になるわけであるが、なお引き続いて一学級五十三人ないし五十五人の学級編制を必要とするところの府県が出てくる心配はないだろうか、この点についての政府のお見通しを承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/24
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025・齋藤正
○齋藤政府委員 今回の法改正は、四十一年度の入学者数について一年早目に本則に戻すもの、あるいは五十三人の中間の数字をとるものというふうにしてあります。これは学年進行で上がっていくわけでございます。ですから四十二年度では五十人のものが第二学年になるものもある、五十三人が第二学年になるものもある。附則五項、六項はその当時の入学者についてでございますから、依然として五十五人の学年があるというたてまえで教職員数等も計算されるわけでございます。
そこで御指摘の、なお進学率等が非常におくれておって伸びてくる府県については、四十二年度以降もなおすし詰めを要するようなところがあるのではないかということでございますが、これは法律の規定といたしましては、そういう事情にかかわらず、四十二年度の入学者からは五十人を標準とするということであります。それを標準といたしまして、それぞれの府県におきまして標準に基づいて若干の増減を考えるかどうか、これは府県の判断でございます。しかし、法律のたてまえは、これは四十二年度の入学者からは五十人の本則にするというたてまえをとっておるわけでございまして、財政措置等はこの本則に従って考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/25
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026・上村千一郎
○上村委員 次に、高校の標準法とそれから高等学校設置基準との関係について少しくお尋ねをしておきたいと思う。
設置基準では、原則として一学級四十人以下ということになっている。学級におきまする生徒数というものについて、どの程度で押えるかということは、これはなかなか重大な問題でもあるし、むずかしい問題でもあろうかと思いまして、この学級編制その他につきまして、私当文教委員会でも過去におきましてたびたびお尋ねをしたわけでございますが、一体どのくらいの生徒数が一学級の単位として適切であるのか、教育効果の上からいってもどれが妥当であろうかという問題の見通しでございますが、どんなお見通しを立てられておるのか。この点につきましてまず質問をいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/26
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027・齋藤正
○齋藤政府委員 設置基準は国公私立を通じましておよそ高等学校につきまして甲号基準、乙号基準、理想的なもの、現実的なもの、というような立て方に相なっております。これは公立学校の標準法が制定された当時の考え方としては、大ざっぱに言えば、その中間的なところをねらっておるということが言えるだろうと思います。高等学校の学級の規模の問題でございますが、この点は設置基準に四十人ということがあるから、考え方としてそれが一つの目標になるわけでございますが、高等学校の学級規模は義務教育の学校規模、ことに小学校のように全科を一クラスで担当するという組織と違いまして、学級規模に重点を置いて改善をはかるのがいいか、それとも、むしろ高等学校のいろいろな教科等の関係があって、学級規模ということを基礎にそれほど置かないで、教職員組織という観点からものごとを考えるのがよいか、両者をどういうふうに考えるかというのが、今後の検討課題だろうと思うのであります。私どもといたしましては、高等学校の問題につきましては、そもそも高等学校のあり方自体につきまして今後検討をすべき要素もございまするし、また教員以外の他の教職員につきましてもいろいろ検討すべき問題があろうと思いますので、これらをあわせて財政事情等も勘案しながら検討してまいりたいと思っておりますので、直ちにいま公立高等学校の学級の規模という観点からどこにしたいのだというふうにはまだ結論が出ていないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/27
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028・上村千一郎
○上村委員 今度の改正で、昭和四十一年度の入学生については五十五人、五十三人、五十人というふうに三段階の学級編制が行なわれることになるかと思うのでありますが、この一学級五十人の学級編制に該当する都道府県はどの府県であるか、また、一学級五十三人の学級編制に該当する都道府県はどの都道府県であるか、具体的にお尋ねをいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/28
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029・齋藤正
○齋藤政府委員 法改正によりまして五十人を標準とする該当府県は九県と予定されておりまして、富山、石川、三重、京都、兵庫、和歌山、鳥取、岡山、香川でございます。五十三人標準に該当する都府県は、東京、山梨、長野、岐阜、静岡、愛知、大阪、奈良、島根、広島、山口、徳島、愛媛、高知、大分でございます。これを概観いたしますれば、東北、九州の県は大体なお高等学校の生徒が増加を続ける県である、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/29
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030・上村千一郎
○上村委員 それに関連しまして五十人標準となる府県及び五十三人標準となる府県の教職員定数の実情につきましてお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/30
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031・齋藤正
○齋藤政府委員 この法案を検討いたしました際には、必ずしも現在おる実員との関係というものは、直接にはそう関連を生じていないのでございます。ただ目的が、急増が終わったのになおすし詰めするというような標準を立てておくことはどうかということと、またその標準を直した際に、計算さるべき財政措置、交付税の積算の基礎となるべき教職員の定数というものを改善をする府県について直したいということが主でございます。概観いたしますれば、実員というものは、必ずしも通常の新陳代謝が行なわれておりますれば、その本務者について、いわゆる首切りとかというようなことが起こる実情ではございません。ただ財政上の措置といたしましては、これは改定が生じますのは、いわゆる交付団体だけでございますから、全国、これらの関係府県で昨年度の教員をほうっておけば千百二十人程度の減になる。それを今回の改正によりまして、そのうち六百七十人は増となりまして、差し引き四百五十人の減でございます。ただ、先ほど申しましたように、この傾向は府県によってまちまちでございますから、一面現行法によりましても、教職員が増加する東北ないし九州等の府県がございまして、この増が七百五十人ございます。したがいまして、それらを相殺いたしますと、教職員の定数におきまして三百人程度の増加ということに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/31
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032・上村千一郎
○上村委員 今回の法改正に伴う交付税関係の措置はどうなっているか、いま関連してお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/32
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033・齋藤正
○齋藤政府委員 交付税法の十二条におきまして、測定単位の数値といたしましては、この高校標準校によって計算された教職員をもととして計上されるわけでございます。したがいまして、今回の改正を行ないますれば、該当府県については、九県につきましては第一学年の生徒数は百分の九を減ずるということでなくて、本則どおり教職員が計算をされる。それから五十三人の府県につきましては、百分の九ではなくて、これは実員の百分の六の補正減をした結果の数を基礎として教職員を算定することとなります。これらの改正によりまして、先ほど申しましたように、この五十人ないし五十三人に学級規模を改善した府県はそれに伴う教職員が交付税上計算され、措置されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/33
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034・上村千一郎
○上村委員 次に、いわゆるすし詰め教室の解消ということにつきましては、私はできるだけ早期にこれを解決していく必要があると思うわけでございます。そんなような関係から、今回いずれ本則に戻すならば、特例も出さずに五十人の本則へ戻していくほうがいいのじゃなかろうかという感じを持ちながら質問をしたわけでございますが、しかし、いろいろな教員の関係、あるいは施設の関係、予算の問題、いろいろな問題がございますから、とにかくじりじりと前向きに措置をしていかれる今回の改正につきましては、ごもっともであろうというような感じを現段階において持っておるわけであります。そういうわけで、五十五人とか五十三人とか五十人というような、要するに三段階に編制が行なわれるようなことになっておるわけであります。今度は少し観点を変えまして都道府県の実情によってそういうふうになっていき、そういう御配慮をされたものだと思うわけであります。しからば都道府県の実情に即して五十四人とか五十二人とか五十一人というような標準もまた考えられるのではなかろうか、この点につきましてお尋ねをしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/34
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035・齋藤正
○齋藤政府委員 提案理由にも述べられておりますように、今回の改正の法案の趣旨が高等学校の生徒総数が前年に比して減少する。その著しいものにつきましては、一年早目に本則に戻すということが骨子でございます。ただいろいろ実情を見ますと、そこに至らないのでもなお中間的に改善したほうがいいということで、標準を五十三人といたしたのであります。いま御指摘のように、いろいろな段階をつくればいいのじゃないかという考え方もありますけれども、この法律は標準を示すわけでございます。もちろん現行法でも五十五人という標準がありましても、府県の実情によっては五十四人のところもあるし、また場合によりやむを得ず一部には五十六ということをとることもあり得るわけであります。今回はその標準を示すということでございますから、標準を幾通りも示すということが法のたてまえからもどうであろうかということもございます。
それからもう一つ、財政上の理由といたしましては、先ほど申しましたように全国的に減少の一途をたどっているわけではなくて、なお増加を続けている県がある。それは現行法のままでは教職員が増加するわけでございます。でございますから、この減る分を全部もとへ戻しておいて、ふえるのは——ふえるというのは高等学校の側から見ればようございますけれども、これは現在の地方の財政事情等からすればかなり困難なことでございます。ふえる要素もありますから、できるだけふえる要素というものも考えながら、しかも実情に合うようにできるだけ救済をしてやりたいという考え方で五十三人ということに固定したわけでございます。標準という考え方からして、このどれも標準だという考え方はたてまえとしてとりにくいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/35
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036・上村千一郎
○上村委員 次に、養護教諭とか事務職員の算定方法を改善するように各方面からの要請があるわけでございますが、政府の考えは現時点においてどんなふうになっておるかお尋ねいたしておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/36
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037・齋藤正
○齋藤政府委員 今回は、先ほど申し上げましたように高校生の数の移動の著しい府県につきまして、教員の定数につきましての経過的な特例を設けたということでございまして、いま御指摘のありました養護教員、事務職員につきましては現行法を考え方として変える内容は持っておりません。ただ数といたしましては、この法改正によって若干事務職員、養護教員等も増になるところがございます。しかしこれはきわめて微細な数字でございまして、養護教員あるいは事務職員の問題あるいはほかに学校図書館の問題あるいは生徒指導の担当者の問題、高等学校教育にはまだ幾多の問題がございますから、これは将来の問題として検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/37
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038・上村千一郎
○上村委員 高校急増期におきまして、私立高校が果たした役割りというものは非常に大きかったと思うのであります。この急増期において大きな役割りを果たしました私立高校に対しまして、生徒の減少期に入る際におきまする経営面その他についていろんな問題が将来生じてくるであろうと思うのであります。政府はこの私立高校の振興につきまして十分なる援助あるいは指導というようなお考えがあるのかどうか、お尋ねをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/38
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039・齋藤正
○齋藤政府委員 確かに高等学校の生徒数が減るというところでは、私立高校の受けるべき影響というものはわりあいに多いということは、一般的には言えると存じます。たとえば四十年度と四十一年度の高等学校の入学者数の相違等を見ましても、公立のほうが受ける影響が少なく、減少がわりあいに微弱であって、私立のほうがわりあいに多いというようなことがあります。特に大都市をかかえております府県におきましては、公立高等学校への入学者と私立高等学校の入学者の比率という点が非常に問題になるわけでございますが、今回の改正によりまして、急増期に私立高校に重要な役割りを持たしたその関係等も顧慮されて、府県によりましては、公立高等学校の入学定員を無理のないところへおさめようという考え方をとった府県もございます。今後、部分的にではございましょうけれども、私立の高等学校にも入学者減に伴いますところの経営の問題が起こってまいろうかと存じます。これは一つには、経営の問題だけではなくて、今後の高等学校のあり方、たとえばいろいろ生徒の進路、特性に応ずる多様化した内容を持ってくるということによりまして、くふうをいたしまして、その激減というものの影響を防ぐということもございます。また、経営につきましては、これは直接所管ではございませんけれども、現在臨時私立学校振興方策調査会において審議されておりまして、これは大学問題だけでなく、高等学校以下の問題につきましても振興策が論講ぜられておりますので、その中でもこの高等学校の生徒の推移というものは問題の一つになっていると思うのであります。その答申を待って文部省としては善処いたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/39
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040・上村千一郎
○上村委員 最後に一点、お尋ねかたがた御要望をいたしておきたいと思いますが、この後期中等教育の充実、これは施設とともに教育内容の充実ということが、世間でも非常に問題になっておりますし、またぜひこの際、この充実のために思い切った施策を講じなければならない段階に立ち至っておるであろうと思うわけであります。政府としましては、高校の将来のあり方というものを一体どうお考えになっておるか、この点をお尋ねをするとともに、これは相当最近各方面の話題となるとともに、批判の対象にもなっておる点でございまするので、どんな心持ちで取っ組んでおるのかお尋ねをしておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/40
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041・齋藤正
○齋藤政府委員 後期中等教育の拡充の問題は、申すまでもなく十八歳以下の青少年の能力の発揮あるいは人格の陶冶という観点から、何らかの意味でできるだけ多く教育の場を与えたいということが眼目であろうと思います。現在そういう見地で中央教育審議会におきまして審議を急いでおりまして、遠からずその結論が公表されるものと思います。これは単に高等学校だけでなくあるいは単に全日制という問題だけでなくて、あらゆる形態の教育ないしは訓練機関というものを考えまして、いずれかの機関において青少年の資質をみがくという機会を積極的に与えようという角度で検討をされておるわけでございます。その中で高等学校の問題に限りますならば、一つは、全日制高等学校は何といいましても青少年の大部分を量的には占めるわけでございまするので、これはやはり能力、適性に応じあるいは将来の進路に応じて多様なものがあっていいのではないかということで、これは教育内容にいたしましても、形態にいたしましても、そういう観点から議論をされております。文部省といたしましても、この中教審の審議に即応いたしまして、高等学校のあり方について現在検討中でございます。なお、全日制以外の定時制あるいは通信制の教育につきましては、これは勤労青少年の教育という観点から、比率は少のうございますけれども、いままで以上に、その形態、方法、教育内容あるいは他の機関との連絡ということでくふうをこらさなければならない問題がございます。この点につきましても、中教審の審議と並行いたしまして、現在検討いたしております。いずれにいたしましても、この後期中等教育の拡充ということは重大な問題でございまするので、教育内容の面におきましてもあるいは施設設備の問題につきましても、今後十分に中教審の御答申を待って力を入れてまいりたい、かように考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/41
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042・上村千一郎
○上村委員 私は以上をもちまして、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部改正案並びに公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部改正案につきまして、質問を終える次第でございます。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/42
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043・八田貞義
○八田委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。落合寛茂君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/43
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044・落合寛茂
○落合委員 目下筑波山ろくで建設中の研究学園都市の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。
この問題は、前々議会等におきましてもすでに何べんか質問をいたしておるのでありますが、近ごろになって反対運動等が起きまして、遅々として進まないでいるようなわけであります。この際関係当局の強い決意が必要でありまして、その点につきましてお尋ねをいたしたいと思います。
この研究学園都市の構想というものはどうして起こったかと言いますと、これは東京の人口の激増によって生ずる諸問題を解決する一方法として、地方に人口を分散しようとする手段として政府が考えたものと言っていいでありましょう。というのは、当時建設大臣でありましたなくなりました河野一郎氏に、直接私どもは地元としてこの研究学園都市問題が起きてまいりましたときに面接したときも、河野氏の口から、この問題はただ研究学園都市をつくるのではなくて、それが目的ではなくて、それと同時に約十六万の人口を有する都市をここに一つつくる、それが研究学園都市なんであるから、首都東京の人口問題解決にこれが非常な大きな効果があると思うというふうなことを、直接私ども河野氏から聞いております。そういう関係でありまして、そのために外務省や法務省を除いたほかの各省が、全部この問題に関係をしておるのでありまして、きわめて大がかりなものであって、当時池田内閣において閣議了解事項として取り上げられた輪郭は、私が申し上げました人口十六万の都市を向こう十年間につくる、四千億という予算の国家事業が始まったのであります。国のほうでは、その事業の着手として、昨年現地の茨城県に委嘱をして、茨城県ではこれを受けまして、土浦市に茨城県研究学園都市建設事務所を開設して、五十八億円の初年度予算で基礎調査に乗り出したのが、ただいままでの経緯であります。
そこで私、文部大臣にお伺いしたいのですが、まだお見えになりませんで、首都圏の方がおいでになるようでありますから、この研究学園都市関係の当局の方並びに首都圏整備委員会のほうの方の御答弁をひとつお願いしたいのでありますが、ただいまのようなことになってまいりましたその調査と申しますか、いろいろな手段を尽くしておいでになりました内容につきまして、ただいままでのところの御報告をひとつお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/44
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045・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 研究学園都市の建設につきましては、ただいまお話がございましたように、昭和三十八年九月に筑波地区に建設するという閣議決定を得ましてから、首都圏整備委員会を含みます関係十四省庁で構成されます研究学園都市建設推進本部というものを設けまして、その計画を練り、また実施の推進をはかっておるわけでございます。また事業の実施面で申しますと、日本住宅公団を通じまして、地元茨城県と関係六ヵ町村に対しまして、昭和四十年の三月に土地の状況等に関する調査の契約を結びました。その契約に基づきまして、九月ぐらいをその調査の完了目途といたしておりましたが、現地のいろいろな状況等もございまして、土地の権利調査等の状況は、ほぼ十二月に完了いたしたわけでございます。推進本部におきましては、先ほどお話がございましたように、今後十ヵ年で新都市を完成するという閣議了解の目標を達成いたすことを目途といたしまして、四十一年度には用地の買収を終わるような目途のもとに、準備を進めておるわけでございます。この点については、すでに御承知のように、昭和四十年度には五十八億円の債務負担が認められておるわけでございますが、四十一年度予算におきましては、用地費とその他の費用等に充てますために、さらに二十七億円の債務負担のワクが認められまして、合計八十五億円になっているわけでございますが、この負担ワクに基づきまして、先ほど申し上げましたように、四十一年度にその基盤となる業務を完了するような目途のもとに、進めておるのが現況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/45
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046・落合寛茂
○落合委員 茨城県に委嘱された、その委嘱を受けた茨城県の、過去一年間におけるいろいろな取り扱った問題を御報告願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/46
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047・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 昭和四十年度におきましては、先ほど申し上げましたように、谷田部町ほか六ヵ町村に対しまして、土地等の調査業務をお願いいたしまして、県に対しましては立木あるいは家屋、生活再建、あるいは町村が調査いたします業務の指導、こういうことを委託してまいって、仕事を進めていただいておるわけでございます。この点のうち、すでに先ほど御説明申し上げました土地等の権利調査につきましては、すでに御承知のように調査の業務を完了いたしてまいったわけでございますが、茨城県としましては、さらに現地の営農対策等が、この仕事を進める上において非常に重要な問題であるというふうに考えまして、その点でもいろいろと現地の状況をもとにしまして、国等に対しましてもそれに対する対策を確立するようにということの要望をいたしておったわけでございますが、この点につきましては、関係の農林省、また実際の補償業務に当たります建設省、住宅公団等の関係がございますが、その関係のところと相談をいたしまして、県の要望にできるだけ沿うようにということで話し合いを進めておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/47
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048・落合寛茂
○落合委員 次に、都市造成の性格を伺いたいのですが、少なくとも十六万の人口を擁する都市を十年間に造成していこうという国の方針だそうでありますが、その十年間における年別にしたいろいろな計画があってしかるべきだと思いますが、その内容をひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/48
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049・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 閣議の了解の中身は、新都市の建設は四十年より発しておおむね十ヵ年で完成をするということになっておるわけでございまして、これに基づきまして、予定の人口をどのくらいの期間にどういう手順でこの計画を達成するかということにつきましては、ただいまいろいろな点で検討を進めておる、関係省庁が多いわけでございますから、いろいろな方面の御意見等も伺いつつその内容を固めておる状況でございますが、昨年の、先ほど申し上げました推進本部の総括部会におきまして取りきめました内容を申しますと、用地の買収は先ほど申し上げましたように昭和四十一年度でほぼ完了することを目的とする、ただし、建物等に関する研究機関、あるいは学校等に関する施設の全体の計画等につきましては、昭和四十一年の六月を目途として、さらに十分その内容を練って確定するという申し合わせをして、それに沿ってただいま関係省庁と協議をしておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/49
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050・落合寛茂
○落合委員 われわれといたしましては、まことにその点が心もとないのでありまして、少なくとも四千億の予算、十年間、十六万の都市というものをはっきりとそこにうたい出しておく以上、もうすでに足かけ三年もたっておるのに今日いまだ年次的にその計画がきまっていないというようなことは心外にたえないのでありますが、次に、十六万の都市を造成する場合に、研究学園都市という名前からいきまして、学園を勧誘して移転をする、そういうふうにしてたくさんの学園を移転させて、それでそれの周囲からいろいろな人口がふえていくとか、あるいは機関ができてそれに対する設備、いろいろで、人口がだんだんふえていくというふうにして十六万の都市を造成していくのか、あるいは、国でまず国費を使って、いろいろな施設、たとえば水道とか道路その他のものを設備して大都市の輪郭を備えて、そうして都市を造成していくのか、この二つの方法が考えられるのでありますが、そういう十六万都市を造成する方針をひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/50
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051・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 先ほど申し上げました閣議の決定の際におきましても、研究学園都市の実施に関する年次目標のほかに、十分な機能を備えた都市を建設するというようなこともその内容に含まれておるわけでございまして、ただいま、この新都市をどういう性格のもので、またどういう内容のものでといういわゆる計画の面におきましても、関係省庁並びに学識経験者等の意見を徴しながら、その内容の具体的な細部についても検討しておるというのが現状でございまして、特に都市施設等につきましては、この都市に必要な道路、公園緑地、上下水道、電気、ガス、電話の主要施設をはじめ、住宅、学校、病院、商店街、運動施設の諸施設を築造する。また、この施設の整備とともに、必要な交通体系、輸送体系の整備もはかるような計画を進めておるわけでございまして、人口の十六万人の目標は最終的な目標でございまして、このような全体計画をつくり、逐次各機関別の内容の具体化に従い、また移転の年次に従って、この諸施設がうまく調和がとれて整備されるようにというような目標のもとに、現在、計画を細部にわたって進め、検討しておるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/51
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052・落合寛茂
○落合委員 聞けば聞くほど、学園都市ももう足かけ三年たっておるのにその状態であるので、地元でも非常に危惧を持って、あるいはだめになるんじゃないかというような流言が飛んでおるくらいな状態に今日なっているのでありまして、学園都市でありますから、学校がどんどん移転されまして、そして毎日のように学校が方々から申し込むというふうな状態でなければならないと思うのでありますが、今日まで移転を申し込みました学校の名前をひとつ文部省のほうからお話しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/52
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053・天城勲
○天城政府委員 学園都市の建設の目的が、先ほどもお話がございましたように、東京における過密の解消という点も確かにございますけれども、移転する学校から見ます場合には、やはり新しい地域に移転することによって、大学も内容を充実し、水準を高める一つの契機にしたいという希望は当然あるわけでございまして、そういう点で単なる引っ越しというような形になかなかいかないわけでございます。現在学園都市の市街地の形成そのものがただいまお話しのような形で進行中でございますが、一方、移転をいたすべき大学につきましていろいろお話は進めておるわけでございますけれども、現在のところ正式に行くときめた大学はまだないわけでございます。ただ、従前から東京教育大学が一つの候補として考えられておりますし、大学におきましても移転の問題について内部で先ほど申したような観点からいろいろ検討を続けている現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/53
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054・落合寛茂
○落合委員 その内容はとにかくとしまして、ただいまのお話によりますと、教育大学が多少そういう意思があるというだけで、ほかは一校もないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/54
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055・天城勲
○天城政府委員 いま申し上げましたように、教育大学もまだ最終的にきめたわけではございませんし、ほかのほうも最終的に移転を決定した機関はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/55
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056・落合寛茂
○落合委員 国として大きな計画を立てて、そして動き出したこの問題、三年になるわけでありますが、学校がどうしても移転するのはいやだというその理由はどこにあるか、御承知の点がありましたら……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/56
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057・天城勲
○天城政府委員 ただいま申し上げましたように、教育大学が一つの候補として、具体的に移転の可否について、あるいは移転する場合の先ほど申したような事情について検討を進められているわけでございますが、率直に申しまして学内に賛否両論がございます。この賛否両論というのも、いろいろな条件がはっきりしないために決しかねているという面もございますし、また、本質的には都会地になければ研究が進まないというような条件を持っておる分野もあるようでございまして、それらの今後のあり方につきまして、教育大学がその土地に移った場合にそれらの各種の条件というものがどういうふうに解決されていくかというようなことを検討中と承っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/57
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058・落合寛茂
○落合委員 大臣、お見えになりましたから申し上げるのですが、実は茨城県の筑波山に研究学園都市ができるわけなんで、四千億を閣議了解事項でなにしまして、そして十年間に十六万人の人口を有する都市をつくる。ただいま、そのことで心配になるものですからお尋ねしているのですが、端的にいいまして、大臣は積極的にあくまでも初志を貫徹して、それだけのものはつくるというお考えかどうか、ひとつ結論からお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/58
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059・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 私は、ああした企画をつくり、また、それを推進いたしまして、研究機関を集結し、またそこに学園都市をつくるということは、非常に望ましいことで、われわれとしては積極的に努力をしてその実現をはかりたい、しかもその実現はできるだけ十分のビションを織り込んで、将来、やってよかったというようなぐあいなものをぜひ完成したいという情熱を持っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/59
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060・落合寛茂
○落合委員 そういたしますと、ただいままで当局の方に伺って、そのお答えによりますと、まあ大臣同様に、大いにやるんだ、やるんだということは伺うことができるのでありますが、その一番基礎になる大学があの土地に移るのがいやだというので、今日まで相当努力されたのでありましょうが、教育大学一校しか、しかもそれははっきりと行くというのじゃなしに、行ってもいいぐらいな程度らしいのでありますが、そういう事態に対して、何かもっと積極的な、あるいは極端に申せば立法的なことにまでお考えになるようなものがないのでありますか、大臣としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/60
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061・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 実は先ほども申し上げたように、理想であって、この理想はぜひ達成したい情熱を持っておるわけでありますが、強制するわけにもまいりませんしいたしますので、幸い教育大学ではまとまりつつあります。しかし現地のほうの整備がまだ予定どおりにはいっていないようで、このほうの進行との関係もありますが、幸い教育大学ではそういう機運がございますから、できるだけ、いざとなったときにまた学内から反対意見や何か出ないように、学内を十分まとめておいてもらうように、いまいたしておるところで、なおそれについてはできるだけ私どもとしては、やる以上は財政当局その他にどんな努力をしても、理想的な移転のしかたをしたい、そして教育大学関係者としても、この研究学園都市に移ってほんとうによかったというような構想のものにしたいというつもりでおるわけでございます。
なお将来のことを考えますと、私どももかつて推算をしてみたことがあるのでありますが、国家的な研究機関がそこに集結をすることになりますと、相当、工学博士あるいは理学博士、農学博士というような学位を持った権威ある人たちだけでも千人以上の人数になる予定でございます。そういうような権威ある学者、技術者がそこに集まれば、おそらく理工系の大学などは進んでぜひあそこへ行きたい、そうしてそういう人たちの協力を得て、あるいは講義もある程度の時間くらいは担当してもらって、いい大学にしたいということになってくるかと思うのであります。そういうことを私どもは大いに期待をしておるわけで、かつて私、建設省におりましたときに、当時そのほうの関係でございましたので、そういうようなことになってくれば、来た大学に対しては、国の機関におる学者あるいは技術者の人たちに、政府が閣議決定等をして正式に了解を与えても、週何時間は大学に行って講義をやってよろしいというふうなくらいにまで積極的にやったらいいのじゃないか、当時そういう話題を出しましたら、全員賛成でございました。仕事に差しつかえない限りはできるだけそういう人たちに教鞭もとってもらう、そうすれば、教える身分になれば、また一面研究との関係も出てきて、研究のほうも促進される、両々相まってたいへんいいのじゃないかというようなことも言ったことがあるのでありまして、考え方としましては、国家機関である試験所、研究所等が集結されたならば、ぜひそういう方向にまで発展をさせていきたい。それにはある程度の用地を確保しておかなければなりませんから、文部省の現在の立場としましては、そういうような必要な用地だけは計画の中に確保しておきたいということで、この用地確保については注文をつけてあるような次第で、まあ全体のやはり進行の度合いとにらみ合わさないと具体化はできませんが、考え方としましては、私どもはそういうようなことでぜひこれは国家的な試みというよりは、理想達成の一つの方法としてそこまでやりたいものだ、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/61
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062・落合寛茂
○落合委員 いまでも実はいろいろな団体がありまして、これに対する反対運動を展開しておるところもあるのです。そういう人たちあるいは団体等におきまして、内部のいろいろの事情を聞いてみますと、要するに行きたくないというのは、東京を離れると家庭教師とかいろいろその他のアルバイトができない、それからまた子弟の教育もできない、そういうような個人的な立場に立った反対論者が非常に多いのです。私が考えますのに、やはりそういう憂いをこの際まずとるために、国としてあすこに移転をした学校あるいは教授その他そういう職を持っておる人たちには特別な手当てをするとか、あるいはまたこれに交通の問題もからまりますから、東京から三十分程度でひとつ直通道路をこしらえるとか、そういう方面から勧奨していったならば、そういう反対も思ったより早く解けるのじゃないか、こう私は思うのでありますが、そういう問題に対するお考えをひとつお述べいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/62
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063・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 いま御指摘の点は、私だけの責任ではどうも明言いたしかねるのでありますが、特別の手当等は制度上の関係でむずかしいかもしれませんが、とにかくやる以上は環境の整備を十分にし、またいまお話しのありましたような道路、交通機関などを完全に整備をいたしまして、行った人たちが非常に愉快であり、よかったということにしなければいかぬ。同時に国立、公立の研究所とか試験所などの集結ということは、どの機関にしましても自分のところだけでは研究が完成できない面が相当あるのじゃないか。したがってそういう機関が一ヵ所に集まれば、自分のところでここまでいったがこれから先が打開ができないというようなものについては、常時そういうものの横の連絡がありまして、それじゃそれから先の部分をどこの試験所、研究所で研究してもらえば達成できるぞ、どこならよかろう、こういう関連がすぐついて試験研究をする上にも非常に好都合がもたらされるのじゃないかというようなことも実は考えておる次第で、現在もあるいはそういう機関の中に批判があるかもしれませんが、当時としましては、特に国立を中心に各試験所、研究所等に、おまえさんのところはこういう規模のものができたら行くか行かないか、賛成か反対かという意見の聴取をいたしまして取りまとめたことがございます。これにはかなりたくさんの機関が、もういまのようなところにおるよりはそこへ行って、近代的な設備をしてもらって、試験研究の目的を達成したほうがいいというので、賛成がかなりたくさんございました。それも文部省ではありませんが、建設省が中心になって各機関にはかりました当時の集計ができておると思います。結局問題はやり方次第で、行ってもつまらないぞということになったのでは、行くところはあってもだんだん減っていく、行けば非常に有意義であるということがはっきりしてくれば、いままで賛成しかねて踏み切らなかったところも踏み切ってくるということになると思いますから、そういう点のにらみ合いが非常に肝心かと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/63
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064・落合寛茂
○落合委員 学校の問題ですが、私立はどうなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/64
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065・天城勲
○天城政府委員 大臣のお話もございましたように、学園都市でございますので、私立大学も行かれることはたいへんけっこうなことだと思っておりまして、私たち計画といたしましては、国立学校のほかに私立関係の団地も一応予定しておるわけでございます。当初この案が出ましたときに、私立学校にも現在都市からの移転を考えておる大学等もございましたし、あるいは拡充を考えておる大学もございましたので、一応話しかけてみましたが、当時新設あるいは移転を希望する学校は、当時のことでございますから非常にばく然とした前提ではございましたが、かなりございました。けれども、その後整備の進行がただいまのような状態でございますので、その後の事情についてはっきりした御相談をしたこともございませんし、また御返事をいただいたわけでもございません。と申しますのは、校地の払い下げの単価がどのくらいになるか、あるいは公共施設がどういうふうに進展しているかというようなことと関連してまいりますので、いま申し上げましたような点がだんだん整備していきますれば、私学側の希望を具体的に確かめていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/65
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066・落合寛茂
○落合委員 首都圏のほうに伺いますが、ただいままでの土地の買収状況はどうなっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/66
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067・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 先ほど申し上げましたように、昭和四十年度、昨年度に土地の権利の状況等の調査を終了いたした状況でございまして、土地の買収につきましてはその調査をもとといたしまして三月ぐらいからと考えておりましたが、大体昭和四十一年度にかかるかと思いますが、昭和四十一年度にかけまして買収に関する調査を県並びに市町村に委託しまして、その委託契約に基づいて買収を進めようという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/67
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068・落合寛茂
○落合委員 家屋の移転は何軒ぐらいでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/68
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069・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 いま移転家屋数を正確にちょっとお答え申し上げかねますが、御承知のようにこの地域は約一千万坪ぐらいが対象になるわけでございます。そのうち買収の予定の面積が五百八十万坪ぐらいに当たるわけでございますが、そのうち区画整理で実施するもの、あるいは全面買収でこれをやるものと分かれてくるわけでございます。その区画整理による場合、御承知のように必ずしもすぐに移転ということにはならないわけでございますし、全面買収をいたしましても、買収契約後こちらのほうの建設計画等が進むに従っていろいろ移転の問題が出てくるかと思いますが、その全体の移転戸数についてはただいまのところ正確には申し上げかねるという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/69
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070・落合寛茂
○落合委員 農耕地がやはり買収の中に入るのですが、その代替地に対する手当てはもうできておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/70
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071・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 代替地の問題は、この事業を進めまする場合に重要な問題でございます。そこで県から特に、先ほどもちょっと触れました代替地の問題以外に、営農対策全般につきまして、関係機関においても善処してもらうようにという話があったわけでございまして、その中の一環に、代替地をどうするかということについての処置を、県からも意見が出てまいっておるわけであります。これに対しまして、特に関係機関は、建設省と農林省に関係いたすわけでございますが、建設省といたしまして代替地について考えております点を申しますと、代替地の提供を希望するものに対しましては、県や町村が協力してあっせんすることといたしまして、この場合実施機関である公団は、必要に応じて農地の造成を代行する、また住宅地の代替地につきましては、特に必要な場合は一定限度の環境整備を行なう、こういうような考え方で建設省は考えておるわけでございます。
なお、農林省といたしましても、農林省の一般の農業行政と申しますか、農業構造改善事業、とか、あるいは土地改良事業等の仕事を進めておられるわけでございますし、また、代替地の土地改良事業に関しましては、開拓改良事業等を実施しておられるわけでございますが、このような事業の一環において、条件に該当する場合は、できるだけこれについても十分な考慮を払いたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/71
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072・落合寛茂
○落合委員 いろいろ御答弁を得まして、皆さん当事者の熱意のあるところはわかるのですが、実際問題として、この問題が何か中折れになっておるような印象を与えるものですから、その間にいろいろな問題が起きて、そこにまた利権屋が入りまして、すでにあの予定地の中だけでゴルフ場が四つもできております。しかもそのゴルフ場にもってきまして、ホテルをこしらえたり、いろいろなことをして、国で買い上げるときの価格をつり上げようとしているような状態でありますから、ひとつ大臣は、ことにそういう理想を持っておいでになるのですから、理想具現のために、ぜひ積極的にこの問題に取り組んでいただきたいと思っております。
質問を終わります。(拍手)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/72
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073・八田貞義
○八田委員長 この際、小委員会設置に関する件についておはかりいたします。
学校警備員に関する調査のため、小委員十名よりなる学校警備員小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/73
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074・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
ただいま設置いたしました小委員会の小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/74
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075・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
小委員及び小委員長の指名は、追って公報をもってお知らせいたします。
なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに小委員に欠員を生じた際の補欠選任につきましては、委員長に御一任願っておきたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/75
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076・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/76
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077・八田貞義
○八田委員長 川崎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/77
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078・川崎寛治
○川崎(寛)委員 先ほど落合委員のほうから質問がありました学園都市の問題について、ひとつ資料の提出をお願いしたいと思うのです。
基本計画と今日までの経過、これはまだ一ぺんもこの委員会には正式に出されていなかったと思いますから、それを出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/78
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079・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 ただいまお話がございました基本計画と今日までの経過資料というお話でございますが、今日までの経過資料は、十分私どものほうで取りそろえて提出いたしたいと思いますが、基本計画につきましては、先ほども申し上げましたように、十ヵ年で実施をするという閣議の了解が最も基本となっておるわけでございまして、その了解に基づきまして、先ほども申し上げましたように、推進本部ではおおむね本年の六月を目途としてその構想をさらに固めたいという状況でございまして、それ以外にちょっとお出しするものはないわけでございます。(「実に貧弱なんだな」と呼ぶ者あり)基本計画は、もちろんそのいわゆる最終的な決定までには至りませんけれども、関係方面では十分練りに練りをいたして、草案というものはたくさんございますが、まだこれだというものに至っていないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/79
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080・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでは、その閣議の了解事項並びに各関係機関の——未決定でもけっこうです。最終的な基本計画というのが固まっていないという御答弁ですので、そういう関係機関のいろいろの資料を出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/80
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081・落合寛茂
○落合委員 あのとき、三つ候補地があったのです。那須と、それから赤城山のふもと、それからいまの筑波山。それで、当時、先ほど申し上げた河野建設大臣でしたかな、あの人がヘリコプターに乗って、その三つを見て歩きまして、私もあれしたのですが、その河野発言によって、何かふわふわとできたようなものですね。ですから、いまの基本的ななんというのも、そんなようなことで、きっといいころかげんになったんじゃないでしょうかな。だから、こういう際、整理するにいい機会ですから、ひとつ当局のほうで整理をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/81
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082・鮎川幸雄
○鮎川政府委員 御趣旨に沿うような資料を取りそろえまして提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/82
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083・八田貞義
○八田委員長 次会は来たる三月十六日水曜日午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時二十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X00919660311/83
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