1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十八日(金曜日)
午前十時五十八分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 谷川 和穗君 理事 八木 徹雄君
理事 川崎 寛治君 理事 二宮 武夫君
理事 長谷川正三君
大石 八治君 久野 忠治君
熊谷 義雄君 坂田 道太君
床次 徳二君 中村庸一郎君
橋本龍太郎君 濱地 文平君
松山千惠子君 河野 密君
高橋 重信君 松原喜之次君
横路 節雄君 鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中村 梅吉君
出席政府委員
警 視 監
(警察庁刑事局
長) 日原 正雄君
検 事
(刑事局長) 津田 實君
文部事務官
(初等中等教育
局長) 齋藤 正君
文部事務官
(管理局長) 天城 勲君
委員外の出席者
大蔵事務官
(理財局地方資
金課長) 玉置 明男君
自治事務官
(財政局財政課
長) 佐々木喜久治君
参 考 人
(公立学校共済
組合理事長) 田中 義男君
参 考 人
(公立学校共済
組合監事) 赤堀 正雄君
専 門 員 田中 彰君
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三月十六日
委員久野忠治君辞任につき、その補欠として佐
伯宗義君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐伯宗義君辞任につき、その補欠として久
野忠治君が議長の指名で委員に選任された。
同月十八日
委員重政誠之君及び栗林三郎君辞任につき、そ
の補欠として橋本龍太郎君及び堂森芳夫君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員橋本龍太郎君及び堂森芳夫君辞任につき、
その補欠として重政誠之君及び栗林三郎君が議
長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正
する法律案(内閣提出第四六号)
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数
の標準等に関する法律の一部を改正する法律案
(内閣提出第九三号)
文教行政の基本施策に関する件(公立学校共済
組合に関する問題)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
この際、二宮武夫君より発言を求められておりますので、これを許します。二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/1
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002・二宮武夫
○二宮委員 実は、本年度の大学受験難に伴って、私立学校の担当する部門が非常に大きいということを大臣が先般の所信表明でなされました。そこで、大学に対する臨時の調査会をつくって、これに対する具体案を作成をする、六月までには中間の報告をしょうかというような緊急事態でございましたので、私は、それに関係をして、特に先般から問題になっておりました国士館大学のいろいろな問題について本日は質疑をする予定で準備をいたしておりました。しかし、いろいろな事情で、理事会でその内容が、運営の状況が変わりましたので、本日は開会劈頭にこの問題に関連をして資料の要求をいたしまして、その資料に基づいて今後の質疑を展開してまいりたい、このように考えますので、あるいは文部省に所管外と思われるような問題があるかもしれませんけれども、それらはひとつ所轄庁としての文部省が責任を持ってそれぞれの関係各省と連絡をとって、できることなら資料を提出願いたい。できないものについては、私のほうでまた再度他の方面から資料の入手をいたします。問題になるのは、昨年の、中村文部大臣が就任をしなかった以前の四月七日、四月二十三日にこの問題についての質問をいたしました。そうして国士館大学の学内における学長の独裁制といいますか、非常に独断専行の面が多いということを指摘をしたのでありますが、その後私は少なくとも文教委員会でこの問題が論議をされたという後に、多少でも反省の色があるかと思うと、実はそうではない。かえって老いの一徹でがんこさが増して、ますますその偏向性というものは強まっているような状況です。そこで私は各方面から資料は入手しておりますけれども、この際文部大臣に、私立学校の自主性を尊重するということは十分理解できる。しかしながら、所轄庁としての責任において、やはり公式な文書を資料として提出を願いたい。もしこの公式な文書に、学長談話であるとかあるいは推測であるとか、そういうものが入ったというのでは問題にならない。この公文書をもし偽造をして、間違った報告をするというようなことになれば、その報告書に対しては道義上もあるいは法的にも責任が持たされるという意味の資料をひとつ提供願いたいと思うのです。
それを前提といたしまして、まず第一に、国士館大学の設立母体になっておりますところの学校法人国士館寄付行為というもののいわゆる定款規約というものをひとつ正式に取り寄せて御提出を願いたい。それには当然、先般私が触れましたが、かつて文部省の高級公務員であったところの参議院議員もその理事に名前を連ねておるという事実もあるわけでございますから、この理事の役名、氏名も当然これには付記してお願い申し上げたい。
同時に、この前資料要求いたしまして「日本はこうすれば立ちなおる」、「革命はいかにしておこるか」という柴田さんの出した書物を私は二冊読んでみましたけれども、どうもいろいろな方面に力を得て、かつての軍国主義的な教育を再現しようとする意図があるやに受け取れる面が非常に多くの個所に見出されるわけでございますから、私はもしこれは学校側が拒否すれば、別の方向でお調べ願って、公文書でなくてもけっこうですが、いわゆる顧問の氏名——顧問会長は石井光次郎ということでございますけれども、顧問会長並びに顧問の名前につきましても、でき得るならば御提出を願いたい。
それから、先般提出をいただきました資料の中に、給与について——これは文部省か出した資料ですが、これも電話でとった資料では困る。給与については、これは大体早稲田大学の八割ないし九割のものを支給することを原則としておる、こういうような報告があるのですが、事実は全く報告とは相反しておるような状況ですから、その教員の給与状況についても、この際一応でき得るならば御調査の上で御提出をいただきたい。
それから、これは管理局長に文書でなくて電話でお願いしたのですが、多少意思の疎通を欠いた面がありますけれども……。これは昔は体育専門の塾であった。それが近ごろは一万人を擁するところの大学に膨張しておる。ところが大学の中の体制というのは旧態依然としたものがあるわけでございますが、この大学の設置の際の申請書の写し並びに教授陣あるいはそれに必要な設備、施設、これに認可を与えた当時の審議会の審議委員のメンバー。
次に、三年前に文部省が認可をしましたところの土木建築を中心にした工学部の申請書、当時建てられました八号館という建築は、工学部にはその後一切使われておらないという報告を私は受けておるのです。それを見て、これが工学部に使用される建築物だということで認可をしたらしい形跡があるわけですけれども、それはその後工学部に使用されておらないという状況のように承っておりますから、これらに付設をしたところの、新設をした学部に対する教授陣並びに施設、設備。
つい最近に、いま新しく募集をしておりますところの文学部、法学部、これらの申請書。並びにこれに対する認可申請に必要な書類はずいぶんたくさんあったそうですから、その中の専任教授、この中には多くの二重籍を持った教授がおるということが、私どもの聞いておるところではあるのですけれども、そういう二重籍の教授を持っても認可をするという態度を文部省はとっておるのかどうか。これらの実態についてひとつ御調査の上で御提出をいただきたい。
なお、これらに必要な設備の中で鶴川分校という建築物がございます。これは政経の一部、二部が使うということで認可をした建築物であるけれども、これは全部いまは寄宿の寮になっておる。その寮たるや、まことに人権じゅうりんもはなはだしい粗末なものであって、暖房もなければふすまも戸もない、ただベッドが二十重ねてあるというだけのところに収容をしておるというような、こういうひどいやり方をやっておる。こういう実態について、認可の状況とは違って学内の自由でやっておるのであろうと思いますが、そういう問題。
それから、学校内の人事の解雇、採用というものが教授会にはかられずに、非常に非常識に行なわれておる。おまえは学校の校風に合わぬから首だと言えば、それでそのままその人はやめさせられる。したがって、最近における教授あるいは高等学校の教諭に対する解雇、その理由、その後の措置。
もう一つお願いしたいのは、これはこの前愛知文部大臣にお尋ねしましたら知っておらなかったのですけれども、選挙権銀行倶楽部というものがその中に設置をされておる。これは齋藤さんが管理局長のときに御答弁があって、それはけしからぬということで、実は名前は政教調査所というように変わっておるそうですけれども、試験を受ける場合には、告示を見ますと、選挙権銀行倶楽部、選銀二年度分の二百円を納めないと後期分の試験が受けられないということになって、学校内では看板をはずしておるけれども、あくまでそのようなものをもって生徒をあるいは——未成年も含めてですよ、学生に対して、五名ないし十名の会員をノルマとして勧誘することを非常に強く強制をしておる、こういう事実がある。これは選挙権銀行倶楽部の栞というのがある。その中に柴田学長の政治信念というものがいろいろと書き出されております。自民党の皆さん方もずいぶん悪くいわれておりますし、あるいは革新的な政党は赤毛虫とか、あるいはソ連は赤鬼でありアメリカは青い鬼であるというような表現でいろいろ書かれておるのでございますが、こういうものが学校内にあって運用されておるというこの事実については、これは教育基本法第八条違反であるというふうに私は考えます。定款には教育基本法に基づいてつくると書いてあることから考えて、いま少しこれは文部省は所轄庁として調査をする必要があるのではないか。
もうあと一件だけ。先般、この学校に自殺をした者が出てまいっております。名前は不明でございますけれども、芥川文学にこって死んだと学校では称しておるけれども、実はこれは銀行倶楽部の会員を募集をすることが不可能になって、それに対して学校から非常に責めたてられましたためにノイローゼになって、そのノイローゼが高じてやがて自殺したというようなことが生徒の間では信ぜられておる。こういう教育の実態がはたしてあるのかどうなのか、その辺について御調査の上御報告願いたいと思います。
いろいろたくさん問題はございますけれども、文部省で私は以上の点については可能な資料であろうというように考えますので、大臣、それぞれ局長、課長にひとつ御命令をいただきまして、省内で御協議の上でその資料の提供をいただきたい。その資料に基づいて私はかくのごときいまの日本の、憲法あるいは教育基本法、学校教育法を踏みにじって得々として、それがとおらなければその学校から卒業も進学もできないという権力を学長が握っておるというような、こういう封建的な学校というものは許すことはできないので、今後において追及をいたしてまいりたいと思いますので、公の資料としてひとつ資料要求をいたします。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/2
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003・八田貞義
○八田委員長 義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案及び公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。長谷川正三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/3
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004・長谷川正三
○長谷川(正)委員 ただいま議題となっております義務教育諸学校施設費の国庫負担法につきまして、若干お尋ねをいたしたいと思います。
まず第一に、今回の改正は公立小学校、中学校の屋内運動場の経費を国庫負担する場合の算定基礎を児童生徒一人当たりの方法から、学級当たりの方法に改めるというのが骨子だと思いますが、そこで前回、三月十一日の委員会でも上村委員からいろいろ御質問がありまして、それぞれ御答弁があったわけで、それらを伺った中で、なおもう少し明らかにしていただきたいと思いますので、お尋ねをしたいと思います。
まず前回の質問と答弁の中で、ある一つのケースについて御答弁、御報告がありましたが、私は、これは全般的に小、中学校それぞれ一人当たりの坪数の場合は大体どうなっておったのか、それが学級当たりになりますとどういうふうに変わり、どういうふうに改善され、つまり坪数がふえておるのかということを、そうたくさんの数字ではないと思いますから、全般的にひとつお示しをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/4
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005・天城勲
○天城政府委員 このたびの新しく考えております基準と、それから従来の旧基準との比較でございますけれども、最初に総体的に申し上げますと、児童生徒を一学級四十五人という前提で比較した場合の学級数で比較いたしますと一・一六倍ということになりますし、実際の一学級平均収容人員数、人数で比較いたしますと一・四倍となっております。それをいま御指摘のように学級段階別に申し上げたいと思います。
ただいま申し上げましたように、小学校につきましては七つに分けております。第一は一学級から三学級に、第二が四、五、三段階が六、七、それから四を基準的に考えておりまして、八学級から十三学級まででございます。五段階が十四から二十四学級、それから六が二十五から三十六、七が三十七学級以上ということになります。これにつきまして、旧の考え方で申しますと、一段階は三十三坪、これが新で申しますと六十六坪、二倍でございます。それから二は五十六坪、それが八十三坪、倍率で一・四倍、それから三は六十九坪が百一坪でございます、一・五倍、それから四が九十五坪が百二十八坪、一・四倍、それから五が百四十三坪で百八十二坪、一・四倍でございます。それから六が二百八坪、新しくは二百四十三坪、一・三倍、最後の区分七が二百十九坪が三百六坪、一・三倍、これは全国平均いたしますと、一・三八倍という数字になると思います。
それから中学校でございますが、中学校の区分は六段階でございまして、一段階は一クラスから二クラス、それから二段階が三から五クラス、三段階が六クラスから十クラス、これを大体基準に置いております。四が十一から十八、五が十九から三十三、六が三十四学級以上、これにつきまして新旧を通じて申し上げますと、一は三十一坪が六十七坪、二倍でございます。それから二段階が六十四坪が百二坪で一・六倍、基準の第三段階が九十七坪が百五十六坪で一・六倍、それから四番目が百四十七坪が百九十七坪で一・三倍、五段階が二百十四坪が二百六十二坪となって一・二倍、それから最後の六段階が二百六十九坪が三百十六坪で一・二倍、中学校を全国平均いたしますと一・四一倍になります。
なお新基準におきましては、これに一種の寒冷地補正というものを寒冷地帯につけようと思いまして、これらの小学校をいまの区分で申し上げますと、一段階で四坪、二で六、三で七、四の基準で八坪、それから五段階で九、六段階で十一、七段階で十一、それから中学校では一から順に申し上げますと、四坪、六坪、七坪、八坪、九坪、十一坪という寒冷地補正を加えております。
なおこれは新しくメートル法になっておりますが、便宜坪で申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/5
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006・長谷川正三
○長谷川(正)委員 ちょっと念のために伺いますが、寒冷地のは、これはやはり一学級についてそれだけプラスですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/6
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007・天城勲
○天城政府委員 いま申し上げましたように、各段階ごとについて、いま申し上げた数字のプラスでございます。一段階の学校について四坪、二段階の学校について六坪でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/7
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008・長谷川正三
○長谷川(正)委員 つまり三学級の小学校の場合には六十六坪に四坪プラスして七十坪になる、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/8
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009・天城勲
○天城政府委員 さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/9
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010・長谷川正三
○長谷川(正)委員 そこでこれはごく初歩的なことですが、まあ名は体をあらわすというので、特にこの際お聞きしておきたいのですが、「屋内運動場」というふうになっていますが、これはまあ通称は雨天体操場といったり、あるいは体育館といったり、あるいは屋内体操場といったり、いろいろのことばが使われております。法律のこのことばでは「屋内運動場」となっていますが、特にその名称については何か特段の意味がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/10
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011・天城勲
○天城政府委員 御質問の趣旨をあるいは私、的確に把握していないで、不適当でございましたら、また訂正いたしますが、従来いろいろな名前の呼び方もありましたし、いろいろに使われておりましたけれども、このたびはこの学習指導要領における体育の教課が実施できるようにということを中心に考えております。ただ、現実にはこれだけの施設ができますと、他の用途にも使うことが非常に多いだろうということを考えまして、場合によればまあ講堂に兼ねる場合もあるだろう、それから体育の中でも、若干何と申しますか、音楽と合わせてやるようなものも考えられるということで、これも個々の場合はそれぞれの学校で考えますが、基準坪数の中にステージの要素も考慮いたしまして、大体小学校、中学校の第二の型からステージをとれる面積を積算に考慮いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/11
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012・長谷川正三
○長谷川(正)委員 つまり先ほどの小学校七段階、中学校六段階ありますその二番目の段階以降の坪数はステージも考慮しておる、こういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/12
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013・天城勲
○天城政府委員 小学校二段階、四学級ないし五学級の運動場におきましても、大体ここでリズム運動ができるということを考えておりますので、基本の坪数の中には小さなステージが持てるようにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/13
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014・長谷川正三
○長谷川(正)委員 そうしますと、屋内運動場という名前があまり適切じゃないような気もいたしますが、まあ名称の問題はともかくとして、そういう御配慮を組み込むということはたいへんけっこうなことで、さらに拡充していただきたいと思います。
そこで、屋内運動場、雨が降った日にも体育の授業に差しつかえないように、そういうことが一番中心であるといういまお話でありましたが、今回ともかくこれは改善でありまして、その点では非常にいいと思いますけれども、しかしまだ屋内運動場としてはこの基準で十分とはいかないと思うのです。これはもっと広いほうがいいことはもちろんでありますが、特に私は、一番小さい場合でも、屋内運動場というからには最低この程度は確保しなければならないのではないか、こういうことを考えるわけであります。そうしますと、この間の御答弁にもございますが、小学校の場合、最低ドッジボールのコートがとれるように、中学校の場合はバスケットボールですか、バレーボールですかのコートがとれるように、こういうふうなことを御答弁なさっておりますが、そうしますと、少なくとも小学校の最低は百三十五坪を必要とするのではないか、中学校の場合には百八十坪を最低必要とするのではないか。できればひとつ、ステージの御配慮までいただいておるとすれば、屋内運動場としては一番最低でも、つくるからにはこれだけの坪数を確保していただけたらよかったのではないかと思いますが、その点についてひとつ御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/14
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015・天城勲
○天城政府委員 私たちも希望としてはいろいろ考えてはみたのでございますけれども、この前も申し上げましたように、大体基準の、小学校で申しますと八学級ないし十三学級の四型、これがドッジコートができることを考えております。中学校ですと、第三の六学級ないし十学級のところでバレーコートができる基準を考えております。これを前後に基準にして、学校の規模、生徒数から考えてみたのでございますが、一型、一学級ないし二学級の学校で、教室数との関係もございますし、球技を完全にやるまでのスペースというのは、いろいろくふうしてみましたけれども、どうしても無理でございますし、なおかつ、これも御案内かと思いますけれども、僻地学校における集会室というものも前からございますが、今回僻地学校の集会室も実はこの体育館の基準を使うことにいたしまして、全般として小は小なりに基準を高めてまいっておりますので、球技の基準につきましては一応標準のところでがまんしていただくという考え方をとったわけでございます。なお小さな体育館につきましても、一応の運動ができますように、なおかつ運動器具の置き場もやはり必要でございますので、この点も考慮いたした坪数は考えてあるつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/15
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016・長谷川正三
○長谷川(正)委員 お考えもわからないではないのですが、今後さらにこれを拡充するような改正を行なう場合には、いま私が申し上げた最低の坪数というものについてはぜひひとつ十分な御考慮をいただきますように、強く御要望申し上げておきます。
きょうは時間がだいぶありませんので、いろいろ伺いたいのですが、なるべく省略して、簡単に進めたいと思います。
前回の上村委員の質問に対しまして、三十九年度から第二次五カ年計画を立てて、この義務教育諸学校の施設の整備拡充をはかっているという御答弁がありまして、数字として三百八十七万三千坪を全体の計画の目標額としておるという御答弁があったと思いますが、これは三十九年度から四十三年度までどういうような年次計画になっているのか、それからその内容は、これはもちろん体育館、いまの屋内運動場だけの問題ではないと思いますが、それはどういうような種類別に計画されておるのか、それをお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/16
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017・天城勲
○天城政府委員 五カ年計画の国庫負担整備坪数として三百八十七万三千坪を三十九年度からの事業として計画いたしております。これのまず事項と申しますか、事業でございますが、大きく分けまして義務制と非義務制とございまして、御存じの小中学校の校舎、小中学校の屋体、僻地集会室など、それから学校統合、危険校舎の改築、特殊建物、それから幼稚園、高等学校の改築、もちろん定時制を含みます。それから高校の寄宿舎というように事項は非常に多岐にわたっておりまして、全体を五カ年でやるということで、今日まで進んでまいりました進捗状況を申し上げますと、昭和三十九年度に全体の一七%実施いたしまして、四十年度で二〇%、それから四十一年度で二一%を見込んでおりますので、三カ年で五八%の大体工事が進める見込みでございます。したがいまして、あと二カ年、四十二年、三年で四二%やるということになると思います。最近——最近というよりもこの過去三カ年間の事業の伸び、きっちりこれは五カ年を同じ坪数でやったわけでございませんので、進行が事項によっていろいろ違うものですから、結果的にはこういう形になっておりますが、大体予定どおりの進行をいたしておりますので、四十一年度予算で大体五八%できますので、前からの進行の歩み方から申しますと、五カ年計画でほぼ予定の事業が達成できるというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/17
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018・長谷川正三
○長谷川(正)委員 ただいまの点については資料をもしいただけたら後ほどいただきたいと思います。
それで、特に屋内運動場につきましてはその計画が完成しますと、大体全国の小中学校には全部あるということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/18
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019・天城勲
○天城政府委員 このうち屋体につきましては少し申し上げなければならない事情がございます。これは三十九年に新しい五カ年計画をつくりましたときに、未保有校につきまして全部を五カ年計画の内容といたすことができませんでした。特に、中学校などにつきましては大規模と申しますか、小さなところを捨象いたしておりますし、また小学校につきましても的確な資料がないままある程度見込みの数を入れておりますので、屋体につきましては基準も改まりました、今度改正いたすわけでございますので、この法律が認められまして新しい基準が適用される段階になりました四十一年度におきましては、あらためて実態調査を行ないまして、これに基づきまして事業量の再改定をいたしたいと現在考えております。その点では屋体につきましては五カ年計画の一つ一つについてはなお不十分な点がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/19
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020・長谷川正三
○長谷川(正)委員 ただいまの点はひとつ今回の改正ができましたあと、できるだけ確実、正確な御計画を立てて推進をせられるように強く要望いたします。
なお、時間がありませんが、私、この間見た新聞の記事の中で大牟田市の勝立中学校の一つの例がありまして、卒業生が体育館ができたらそのまわりに記念に花壇をつくるということで記念品代をすでに昨年から寄贈しているということだが、実際は、その体育館を建てることができないために卒業生の贈りものがそのまま形をなさずに宙に浮いているという、子供たちの心情を思うと非常に気の毒な記事が出ております。こういうことは全国にあるので、驚いたことには、東京都下でも、たとえば日野市という市を見ますと、小中学校に一校も体育館がありません。こういう状況は、一方で文部省がこういう計画を進めていながらどうして起こっているのか、ここが非常に私は重要なことだと思うのです。これは一つは国庫負担の率が三分の一ないし二分の一であって不十分のため、あと地方財政でまかなうという場合にこれができないという面も一つあるし、あるいは文部省のその年、年の割り当てが少ないために、地方自治体としては半額ないし三分の二は用意しておるのだけれども、なおそういうふうに何年おくれにあとへ送られているという、そういう事情の場合もあると思うのですが、いずれにせよこういう状態は当局が熱意をもって推進しているにかかわらず、全国至るところにまだあると思いますが、こういうことについて実情を把握され、今後さらにこの解消のために推進をされる御決意があるかどうか、これは大臣から伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/20
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021・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 実は、今度この基準の改定をお願いしておるわけでございますが、基準の改定ができましたところで全国的に実態調査を進める予定でございますので、実態調査をいたしまして、いま御指摘のようなアンバランスのないようにわれわれとしては全力を尽くしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/21
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022・長谷川正三
○長谷川(正)委員 時間がありませんから、いろいろお聞きしたいことがあるのですが省略いたしまして、今回は屋内運動場の算定基準の方法の改定だけにこの改正案がとどまっておりますが、すでに前から、特に四十六国会でやはりこの改正がなされた際にも附帯決議がつけられておりまして、少なくとも小学校も中学校並みに校舎あるいはこういう運動場等について国庫負担の率を二分の一にせよ、こういうことを言っておりますし、さらに今日土地の地価が上がっているということが、非常にこの学校施設をする場合に、各自治体、市町村の悩みになっておるわけでありますから、この点についてもできれば国庫負担対象にする。当面地価が変動するというようなことから、起債のほうが融通性があるということで、起債のワクをできるだけ広げるという方途をとられているようでありますが、この点もまだまだ非常に不十分だと思うのであります。それらについてもう少し抜本的な改正をされる御決意があるかどうか、あるいは当面どういうような処理をなさるおつもりか、大臣あるいは担当者からお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/22
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023・天城勲
○天城政府委員 二つの点でございますが、一つはこの公立文教施設整備の補助金の負担率に三分の一があるという点でございます。これらは確かにわれわれもそろえるべきだという考え方をもちまして、国会の附帯決議もございますし、毎回努力いたしておるのでございますけれども、結果的にはまだ実現できないでたいへん残念に思っております。これをそのままに放置しておこうという意味ではございませんで、補助金の引き上げというのはいろいろなむずかしい問題がからまっておりますので、一様にいかないわけでございますが、同時にこのことが学校の施設の整備をおくらせる理由になってはならない、また地方団体の負担を重くしていくことにならないという面の努力は同時にあわせていたしております。たとえば構造比率を引き上げるとかあるいは単価の是正をはかるとかという面を同時に考慮いたしまして、できるだけ補助率の問題からくる地方の負担を軽減するような努力を同時にあわせ行なってきているつもりでございます。
それから土地の問題につきましては、御指摘のとおり最近は特に社会増を持っております地域におきましては、土地の取得に困難を感じておられることをわれわれもしばしば伺っておりますし、見聞きもいたしておるわけでございます。これはお話のございましたように非常に土地の単価というものが浮動でございまして、かつ補助金という形で適正単価をきめることが技術的にきわめてむずかしいものでございますので、むしろ実態に即する起債のほうが現状に即するではないかという考え方から、われわれも自治省を通じまして起債の増額方についていろいろ交渉を重ねてきております。義務教育の分につきましても、ここ三、四年の間にかなり伸びてまいりまして、四十年度も、まだ最終はきまりませんが、土地取得費につきましても、大体自治省のお話で、御用意願っている金額が百億は大体確保できるのではないかといま思っておる状況でございます。明年につきましてもこういう面で努力を続けていきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/23
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024・長谷川正三
○長谷川(正)委員 起債でもこれはないよりはいいわけですけれども、結局、これは市町村の負担になってくるわけです。金利もついてくることですし、いまの貧弱な市町村財政では、やはりこれは非常な重圧にもなりかねないわけで、何らかもう少しこれがスムーズにいくような措置をとってもらいたいと思います。
都下の国分寺市でも、非常に紛争が起こりまして、学校の敷地が駅前だから、地価が上がったのを売って、そして不便なほうに今度は二カ所の土地を買って建てなければならぬというような、教育的に考えましてもどうかと思うような面もある措置に追い込まれて、父母も非常にこのために不安、動揺をして、連日陳情に歩いているというような状況もありますし、特にこの人口急増地帯につきましては、これは全国的に大都市周辺に起こっておる事象でありまして、本法の第五条の一項の後段では、若干そのことを考慮して、まあ翌年の推定ですが、児童生徒数を推定して計画を立てるというようなところで、多少の配慮をしておるようですけれども、この程度のことではとうていまかなえないので、ある一定期間臨時立法でもして、この際特別の義務教育諸学校の施設についてはめんどうを見るような検討を早急にすべきではないか、こういうふうに思うわけです。
それからまた、この本法施行令の第五条によりますと、本法の五条を受けまして、集団的な団地等ができた場合の考慮等がありますけれども、これらにつきましても、三百戸以上ということで、しかも住宅公団であるとか、公営住宅であるとかいうことに限定され、また一項三号の中で、大臣が認定するものというようなこともありますが、公団住宅が建つのではなくて、個人住宅が激増しているような、三百戸はおろか、五百戸も六百戸も建っているようなところは、この法律だけじゃないのですが、東京都の場合など、東京都自身のいろいろな施策の中にもそういうものが見落とされるために、一そう困難をしておるというような事態もあるわけでありまして、こういう点につきましては、特に文部当局としては、常に積極的に事態を把握して、立法措置なり施策を講ずる必要があると思いますが、これについて御所見を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
特にこの点については大臣からもひとつ御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/24
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025・天城勲
○天城政府委員 私から現在われわれの考えております点を御説明申し上げたいと思います。
御指摘のとおり、われわれ社会増地域と呼んでおりますが、社会増地域におきます学校建設は非常に大きな問題になってきておりまして、現実に毎年の予算の執行にあたりましても、社会増に伴います学校建設の新設件数が非常に目立っております。これにつきましては、先生御存じのとおり、いろいろな団地ですとか、集団住宅の場合に、いろいろな措置をできるだけいたしておりますが、なおかついま御指摘のような雨だれ式にふえていってしまう地帯などでは、非常に困っております。これにつきましては、実情につきまして現地といつも連絡はいたしておりますし、予算の執行におきましては、私たちほかのほうをネグる気持ちは毛頭ございませんけれども、集団社会増に伴います地域というものを最優先にいたしております。なおそれにつきましても、基準につきまして特例を設けておりますので、これの運用で前向きの施設の建設も最大限度にいたしておるわけでございます。なお社会増の現象が計画当初とかなり違ってきておりますので、これも先ほどの屋体の問題とあわせて、ことし、四十一年度にもう一ぺん実態の調査を進めてみたい、こう考えておりますし、社会増の問題については最大の考慮を払っておりますし、またそのつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/25
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026・長谷川正三
○長谷川(正)委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/26
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027・八田貞義
○八田委員長 川崎寛治君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/27
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028・川崎寛治
○川崎(寛)委員 二、三お尋ねしたいと思います。
第二次五カ年計画の問題につきましては、上村委員あるいは長谷川委員のほうから詳しい御質問もあったわけでありますけれども、聞くところによりますと、三十九年の審議の際の経過を振り返ってみますと、全体計画として五百七十九万坪を要整備の対象として要求したのに対して、これが大蔵省との折衝においては、最終的に四百四十三万坪に縮小されておるわけでありますが、これでまいりますと、先ほどの屋内運動場の問題についても、この第二次五カ年計画が進んでも、十分な充足ができない、こういうことになっておるわけでありますが、全体計画として当初第二次五カ年計画に入るときに、五百七十九万坪を要求しながら削られた、こういうことになりますと、第二次五カ年計画が終了する段階においてなおかつ要整備の対象がどれだけ残るか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/28
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029・天城勲
○天城政府委員 これも過去のことに戻るわけでございますが、三十九年度から一般の教室につきましても基準改定をいたしております。当初計画を立てましたときに、いろいろな未確定な要素が入った数字も入っておりまして、結果的には、現在のような五カ年計画の成立校数になっておるわけでございますが、そういう事情で要求と最後の決定との間に、基準改定という要素が入っておりましたために、若干開きができたわけでございます。
なお、先ほど申し上げましたように、その後一般教室につきましても、生徒単位から教室単位に改定が行なわれておりますし、また屋体につきましても、新しい基準ができるというような状況が出ておりますので、なお新しい実態の把握につとめて今後はいきたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/29
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030・川崎寛治
○川崎(寛)委員 何かはっきりしないのですけれども、時間を制約をされているようでありますから、少し進めてまいります。
そういたしますと、基準の改定が行なわれて、引き上げていく。こういうことになりますと、第二次五カ年計画の場合でも、たとえば四十年度の実績で、屋体の場合で、小学校が一万六千六百八十坪、中学校が三万三千二百八十二坪、ほとんど変わらない坪数で四十一年度の予算計画が立てられておるわけであります。そういたしますと、基準が引き上げられただけ学校数としては当然に減ってくるのじゃないか。こういうことになれば、基準の改定は一方にあるが、一方では全体的には全国の学校数の充足という点については、なお満たし得ない要素というのが出てくるのではないか。当初計画で非常に削られておる。なお基準の改定という現実の強い要求があるし、しなければならない。こういうことでまいりますと、その二つの面から見て、充足率としては落ちてこざるを得ないのではないか。この辺どうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/30
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031・天城勲
○天城政府委員 この計画の途中でこういう基準の改定等がございますと、基本的には、その改定した新しい坪数で、この全体坪数を再検討しなければならないわけですけれども、ちょうど年次の途中でございまして、一応全体の計画の坪数で進めてまいりますので、具体的に考えた場合には、基準か上がれば、実施の校数、件数が減るということは事実でございます。いなめないと思います。これらの点につきましては、先ほど申しましたように新しい基準による全体の実態がまだ把握しきれないものでございますので、四十一年度に新しい調査を進めてあらためてこの点を考え直そうと思っております。四十一年度といたしましては、御指摘のように基準が上がると件数は減るということは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/31
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032・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そういたしますと、第二次五カ年計画が四十三年に終わる。次にそれだけ残った分、あるいは上村委員の質問に対しても、特殊学級の点であるとか特殊学校の問題等で次の検討項目にしたい、こういうふうに言っておられるわけでありますが、それらを含めて未確定の要素があるので、それは次の検討事項だ、こういうことになりますが、第三次以降の計画というものについて現在のそうした要素を含めてどのように考えておられるのか、それから第三次計画の柱を現在時点でどこに持っていこうとしておられるのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/32
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033・天城勲
○天城政府委員 四十一年度でちょうど計画のまん中でございまして、いままでやってまいりました五カ年計画の実施上幾つかの問題が出ております。これは先ほど申し上げたように社会増の地域の問題であるとか、このたび手をつけました屋体の基準改定とか、中間で出てまいりました問題がたくさんございます。また実施の過程を見てまいりますと、当初の計画が早く進行するような事項も出てまいりますし、全体の流れが必ずしも均一に進んでいるとは思われないのであります。したがいまして、なお計画の進行の過程におきましてこれらの点を十分反省し、同時に新しい事態の実態調査を進めまして次の計画に入りたいと思っておりまして、いま特に第三次五ヵ年計画についての具体的な構想をまだ申し上げる段階に至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/33
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034・川崎寛治
○川崎(寛)委員 自治省、大蔵省にもおいでいただいておりますが、その突っ込んだ議論は、あとにもう一つ法案もありますし、少し省きまして、具体的な問題でお尋ねをしたいと思います。
今度かかっております屋体の問題に限って考えてみましても、あるいは学校建築全体を見ましても地方の負担というのはたいへん重いわけです。先ほど来長谷川委員もそういった点については質問をいたしてまいったわけでありますが、屋体の場合で先般の上村委員の質問に対する御答弁によりますと、予算単価とそれから実績単価というものは非常に違ってまいるのじゃないか、こう思いますと、地方の超過負担というのはたいへんに重いわけであります。これに対する対処策について文部省それから自治省、大蔵省、それぞれ御答弁願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/34
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035・天城勲
○天城政府委員 屋体の地方負担の問題につきましては、これは単価の問題と構造比率の問題が非常に影響しております。私どものほうで両面につきまして逐年努力を重ねてきておるわけでございますけれども、大体、構造比率を引き上げることによって質的な改善をはかると同時に単価も適当なものにしたいという考え方でおりますが、これは構造比率によって違いますが、たとえば体育館の鉄筋について考えてみますと、四十一年度の八万四千八百万円というわれわれの予定しておる予算単価は四十年度の実績単価を大体カバーし得るのじゃないかと現在考えております。なお、木造は若干まだ予算のほうが低くて、これは一〇%アップしたのですが、少し開いておると思いまして、残念でございますが、一面構造比率を高めてまいりまして鉄筋鉄骨に回してまいりますので、従来よりもかなり地方負担の問題については改善がはかられたと考えております。
なお今後につきましても、これは当然やるべきことでございますので、十分実情を勘案しながらこういう面からの地方の過重負担にならないように、今後も努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/35
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036・川崎寛治
○川崎(寛)委員 それでは特殊の問題についてお尋ねしたいと思います。
私は鹿児島でありますけれども、鹿児島は台風常襲地帯であります。毎年やられる。しかも、昨年の台風におきましても、その台風が通過した地域は同じようなやられ方をしておる。屋根が吹っ飛ぶとかいうことでやられておるわけであります。そういたしますと、せっかく国庫負担をやってみましても、また地元がたいへんな負担をしてやってみても、これはまあある意味においては国費のむだだと思うのです。そこで、台風常襲地帯等については、当然に単価の引き上げと構造比率の改善ということも、一律の建築基準で縛られていたのではいけないのじゃないか。特に学校の屋体等は台風の際の緊急避難の場所であります。緊急避難の場所がやられておる。こういうことを毎年繰り返しておるわけでありまして、私昨年の災害対策特別委員会においてもこの問題を質問いたしましたが、その際文部省当局は検討させてくれということであったわけでありますけれども、この点について特別に考慮ができないのかどうか、ひとつ文部大臣の御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/36
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037・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 台風常襲地帯は、御指摘のように台風がありますと木造建物でありますと被害が一そう甚大になるわけでありますから、構造比率の適用につきましては、現在事務当局でもできるだけ優先的に構造比率の引き上げを配分をしておるようでありますが、今後一そうこの点については注意をして改善をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/37
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038・川崎寛治
○川崎(寛)委員 自治省、この点いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/38
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039・佐々木喜久治
○佐々木説明員 建築単価の問題につきましては、現在、先ほどお話のありましたように超過負担等の問題もありますし、現実の単価とある程度かけ離れた建築が行なわれる場合もあります。私どもが地方負担分につきまして起債の単価を算定いたします場合には、地方の実情を考慮いたしまして、実際の基準単価に対して約一〇%までの補正をとり得るような措置を実際にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/39
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040・川崎寛治
○川崎(寛)委員 ぜひこの点については自治省あるいは大蔵省——文部省はもとよりですけれども、特段の御検討を願い、早急に改正方を推し進めていただきたいと思います。
次に校地の問題でありますが、校地取得について、これは起債である程度見られるようになっております。この点については、建物が中心になって四百十億程度の起債だったと思いますけれども、今年度分が何ぼか。その中で校地取得の分が何ぼであるかをまず文部省にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/40
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041・天城勲
○天城政府委員 御存じのとおり、建物につきまして補助金がつきますと、それの裏起債が認められております。それを合わせまして義務教育で四十年度で施設関係二百九十億でございます。それから用地関係でございますが、いま自治省にいろいろ御配慮を願って御相談しておるところでございますけれども、まだ最終的にきまっておりませんが、土地の問題につきましては大体百億確保できるという段階で、いまお話を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/41
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042・川崎寛治
○川崎(寛)委員 自治省としてこのワクを広げていくお考えがあるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/42
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043・佐々木喜久治
○佐々木説明員 四十年度の義務教育関係の校地の起債は、先ほどお話がありました二百九十億のワク内から校地取得分に配分いたしました金額が五億八千万円、そのほかにワク外分といたしまして約百億の起債を許可する予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/43
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044・川崎寛治
○川崎(寛)委員 そうしますと、これについてはぜひ政府資金でやってほしいという要望が地元には強いわけであります。この点いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/44
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045・佐々木喜久治
○佐々木説明員 昭和四十一年度の実際を見ますと、現在策定いたしております地方債計画で義務教育関係の起債ワクは三百十一億でございます。これは全額政府資金ということにいたしておりますが、何ぶんにも本年度の場合には公共事業関係におきます起債の資金需要が相当大きいために、現在政府資金を全部校地取得費のほうに回すということはまず不可能であろうというふうに私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/45
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046・川崎寛治
○川崎(寛)委員 大蔵省としてはどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/46
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047・玉置明男
○玉置説明員 学校用地の取得につきまして、政府資金を全額充当していただきたい、こういうお話でございますが、何ぶんにも運用部資金並びに簡保資金のワクが窮屈でございまして、特に四十一年度はただいま自治省からお話もございましたように、公共事業の裏負担に充てるための地方負担が激増しておりますので、そのために義務教育施設整備事業としましても、通常のルールによります充当率の三百十一億のほかに、特別に四十一年度は地方負担を軽減する、こういう意味におきまして、百億を乗せまして四百十一億という施設関係の起債を計上いたしておるわけでございます。これが施設関係に回るわけでございまして、用地関係にはできるだけ財政状況等を勘案して、ケース・バイ・ケースでめんどうを見てまいりたいと思いますけれども、なかなか御要望のように当面政府資金を充当するというわけにはまいらないかと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/47
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048・川崎寛治
○川崎(寛)委員 これは地元の要望に応じて、自治体の要望に応じてひとつワクを広げていただくように、また明確に建物の中にごく一部用地関係があるわけでありますから、広げていただくように、各関係機関の御努力をお願いして、これについては終わりたいと思います。
次に、高校定数法の問題についてお尋ねをしたいと思います。
戦後の社会変動でたいへんに高等学校の生徒の増減というのは予測をこえた動きをいたしておりまして、なかなか文部当局としても苦労をされておるわけでありますけれども、今回提案になりました一年限りの経過措置として、減少の激しい県については五十名あるいは五十三名、こういう学級当たりの定員改定を行なってまいっておるわけであります。これは上村委員も御質問になられましたように、この改定の際に、そういう段階的なものを三段階に分けるというふうなことをすべきではなくて、それだけ当初文部省が予測したのと違った情勢というものが激しくあらわれてまいっておりますので、この際、附則の五項、六項というものは撤廃をして、ことしから本則に戻るべきだというように思うのでありますけれども、なぜそれができなかったか、お尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/48
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049・齋藤正
○齋藤政府委員 現行法の経過措置の予測が全部について狂ってしまったという事態ではないのであります。そういう事態でありますれば、もちろん附則五項、六項を撤廃していいわけでございますけれども、そうではなくて、部分的にあらわれてきたということでございまして、なお当初の見込みどおり増加を続けている県が相当あるということでございます。本則に戻すべき状態というものが九県あるということで、その九県については本則を一年早く進行させる。それから、これはむしろ本則か経過措置かという選択を直ちに適用しては困る府県があるだろう、もう少し実情を考えてその経過措置の適用を緩和してやろうという考え方で、中間の五十三人の標準を設けたわけでありますから、いま御質問のございましたように、附則五項、六項を全部撤廃をするあるいは撤廃に至らないでも、一年早く全部について切り上げるという状況には生徒数の増減もなっていないし、したがいまして、教職員の定数の切り方等もそこまではいけないという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/49
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050・川崎寛治
○川崎(寛)委員 五十人にした県でなおかったいへんな過員が出る、そういう問題県はやはり出てまいると思うのです。たとえば和歌山等の場合、聞くところによりますと、教師だけで五十五人の過員が出るのではないかと思うのです。それから、なお一方、私費負担の分が百五十七名、教師でおるわけであります。そういたしますと、これはやはりその県としてはたいへんな問題が出てくるわけです。こうした五十にしながらなお問題の出てくる県についてどういう指導をされようとするのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/50
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051・齋藤正
○齋藤政府委員 ただいま和歌山県について例をあげて御説明になりましたが、和歌山県は五十人の該当県に今回なるわけでございますが、もし現行法のままで置いておきますれば、四十年度の教員定数と四十一年度の教員定数、これは実員ではございませんが、標準法で考えるべき、財政上の措置すべき人員は七十一名の減になるはずでございます。しかし今回の改正によりまして三十七人が救済された。したがいまして定数上からいえばなお三十四人の過員を生ずるということに相なるわけでございます。しかしこれは本則に返してなおそこまでの過員を生ずるのでございますから、その改正といたしましては最大限の改正でございます。なお実情から申しますれば、必ずしも本務者というものは財政上の計画どおりに埋まっておらないのでございます。非常勤職員の運用とかあるいは将来起るべき事態を予測いたしまして県では人事行政をやっておるわけでございます。また一面、教職員の新陳代謝ということが大切でございますから、通常の場合に二・五%から三%の自然退職というものを予想し新規の者を入れていくということでございまして、これを全部見ますれば十分に新陳代謝を行なってなおかつ新規の採用ができるという数字の中におさまるような実態になっておりますので、この改正によりあるいは緩和によりまして首切りが起こるとか、人事行政上非常な支障が起こるという事態はないものと想定をして私どもは案をつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/51
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052・川崎寛治
○川崎(寛)委員 五十三の県と五十の県になっておるわけでありますが、そうした問題県、つまり減少の激しい県ですね。それについては今回すべて本則に戻すという原則からいくならば、なぜ五十にしなかったのか、当然五十にすべきだと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/52
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053・齋藤正
○齋藤政府委員 公立高等学校の生徒の減少というものを比較いたします場合に、四十年度の生徒数よりも四十一年度の生徒数が減るという県はすべて本則の五十人に持ってきた、しかもその減るというのも単に自然数を比べる、定員を比べるということでは実情に合わないだろうと思いまして、付表の計算におきましては当然学年進行による減耗率でありますとかいろいろの点を見て、減少の県はそれで五十人、減少に至らないけれどもなお中間の数字をとったほうがいいというものについても緩和措置をとったのでございますから、両方比べまして非常に減になるところはすべて五十人の本則を一年早めるという考え方をとったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/53
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054・川崎寛治
○川崎(寛)委員 学年進行で減耗率というものは当然考えられるわけです。そういたしますと、ことし一年早く五十にした県というものは、この法案でまいりますと来年の四十二年度における第二学年というものはやはり五十でいくということになるわけでありますけれども、そうした減耗率等から考えてみて五十の県というものは来年はさらにまた問題が出てくる。たとえば和歌山等の場合はすでにあるわけで、それが考えられるのでありますが、それであるならば、今回のそういう法改正の考え方というものを貫いていくならば、五十で本則に来年全部第一学年は戻るわけだけれども、これでは済まない、こういう問題が出てまいると思うわけです。当然に上村委員も御指摘になられておったわけでありますが、やはりここで抜本的な改正に入らなければならぬのじゃないか、入るべきだ、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/54
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055・齋藤正
○齋藤政府委員 いま御指摘ございましたように、今回の改正は単に四十一年度だけに採用するものではございません。四十一年度に本則に早く返った部分につきましては四十二年度の第二学年が本則に返って計算されるわけでございます。したがいまして単年度の財政措置ではなくて、将来を想定いたしますれば、四十二年度にかりに自然減というものが進行していくというときに、このままでありますればおそらく三千人くらいの全国の減が出るという場合にあっても、これを四十一年度も一千名ぐらいに押え得るという作用もあるわけでございます。その点で、この法案が一年早く繰り上げる効果というものはその次の年にも及ぶし、第三の学年になっても及ぶという考え方かとっているわけでございます。
ただ、最後に御質問のありました、将来の減の問題というものはどういうふうに考えるかということでございますが、確かに四十年度から四十一年度に公立の高等学校の生徒は一万七千人の減でございます。それから四十二年度以降四十五年くらいまでの間は、府県の報告を受けると、これは推測になりますが、先般上村委員にもお答えいたしましたように、義務教育と違いましてベビー・ブームの始まった三十八年度の線までには高等学校の生徒の人口は戻らないであろう。三百八十万にならないで四百万前後に減るにしても、落ちつくのではないかという一つの見方がございます。その場合の公私立の配分がどういうふうに動くかということによって、この法案に関係いたします高等学校の生徒数あるいは教職員の定数というものはどういうふうにして推移していくかという問題があるわけでございますけれども、一応推算を立てますならば、四十二年度以降四十五年まで、公立高等学校についてはなお減少を続けていくだろう。しかし一面におきましては、もはや四十二年度以降は高等学校の生徒の数は四百万単位でもって安定していくという要素もあるわけでございます。この点が、四十二年度以降の高等学校に対してどういう考え方をすべきかということと関連が起こるわけでございます。また七五%から八〇%に近くなっていくものが収容されるところの高等学校のあり方、教育内容、学科の建て方というようなものについても考えながら、この教職員なり生徒の減というものをどういうふうに活用しながら高等学校の教育の水準を高めていくかという問題がございます。この点は私どももさっそく検討を始めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/55
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056・川崎寛治
○川崎(寛)委員 検討されるということでございますけれども、これはなお上村委員の御質問にも関連をいたしてまいりますけれども、その検討に際しては、定数法の先にあります高校設置基準におきましても四十人以下ということになっております。戦前の中学校におきましても一学級は生徒数五十人以下を原則とする、例外は認めない、こういうふうに戦前の中学校においてもあったわけなんです。さらには、これは廃止になったわけになりますか、中期経済計画におきましても——一応これは閣議決定でまいりましたが、変更にはなっておりますが、しかしこの中期計画においても年度計画を立てて四十人を目標にすべきだ、こういうことで政府も、特に今後の後期中等教育の拡充整備という場合に、所得倍増計画あるいは人的能力開発に関する計画、そうしたもの等との関連において進められておるわけでありますが、それらの基礎になります中期計画等においても四十人を目標に年度計画を立てていくという方針が一応策定をされておったわけであります。そういたしますと、設置基準等から見ても、これは当然に、その検討の際には、そうした方向に向かって抜本的改正というものに進まなければならない、こう思うわけであります。その点ひとつ大臣の基本的な態度といいますか、御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/56
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057・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 このベビーブームが終わりまして、平準化という時期が来るわけでありますが、その平準化された段階で、いま齋藤局長からも御説明申し上げましたように、それから先の進学率のあり方、あるいは私学と公立との児童生徒の分かれ方、こういうものをにらみ合わせまして、そういう段階が来れば、どうしてもあらためて検討をしなければならない時期が来ると思います。その際に、御指摘のような点につきましては、文部当局としては十分に検討すべきものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/57
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058・川崎寛治
○川崎(寛)委員 局長、お願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/58
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059・齋藤正
○齋藤政府委員 大臣のお答えで尽きるわけでございますけれども、私ども検討いたします際に、先般もお答えいたしましたように、学級規模ということを重要な視点として検討すべきか、あるいは今後改善すべき高等学校の内容に即応して、教職員の組織という点をどういうふうに考えるかというような問題等がございます。また一つは、教員の組織を考えます場合に、義務教育のように学級の数、学級の規模というものを考えるのか、現行法も相当部分そういう考えを入れておりますけれども、もっと教師と生徒の比率というような考え方でいくか、いろいろな問題があろうと思います。このことは、単に定数の問題だけでなくて、施設の問題、あるいは設備の問題、いろいろ関連してまいりますので、そういう点もあわせて私どもは検討してまいりたい。ただ現行の甲号基準と現行法の差ということをいいますれば、形式的に見ますれば、確かに普通の教育、全日制の場合等をとってみれば、若干甲号基準に達しない面もあります。それから基準と現行法の差では、むしろ教員よりは他の職員との関係というものの落差がございます。しかも他の職員の種類等につきましては、現行基準よりももっと複雑な要素があるのかどうかという点は、先ほど申し上げたとおりでございます。そういうものをひっくるめまして、私どもは検討してまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/59
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060・川崎寛治
○川崎(寛)委員 高校定数法の第一条の目的でも、高等学校の教育水準の維持向上、こういうことになっておるわけであります。本則に戻るということは、単なる維持の線に戻るだけのことである。しかもその維持の線自体も、設置基準からすると、正規の甲号からいたしますとはるかに低い、こういうことになるわけでありますから、向上という面からいいますならば、いまの局長のその御答弁、これは当然にこの目的に合致するというためには、抜本的な改正に移ってまいらなければならぬ、こう思うわけであります。先ほど、検討するということでございましたが、そうしたものが、高校定数法の基本目的というものからいたしますならば、本則に戻るその前に、そうした抜本的な方向というものが確定をしなければならぬのじゃないかと思うわけです。そうなりますならば、当然に、ただいま上程されております経過措置と引き続きまして、そうした抜本的な改正の方向に向かって、今年度内に方向が打ち出されてしかるべきじゃないか、こう思うわけでありますが、そういう考え方があるのかどうか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/60
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061・齋藤正
○齋藤政府委員 検討は直ちに私どもは始めたいと思います。ただ先ほど申しましたように、学級規模の標準という観点のみ、あるいは教職員の定数という問題のみでなく、後期中等教育の拡充という観点から、高等学校の占めるべき地位、あり方というものも、いま中教審において御検討中でございます。近く結論も出ることでございましょうから、それの方向を考えながら、いまの問題等もあわせて検討してまいりたい、高等学校の教育の質的な水準の維持向上になるという観点で検討してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/61
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062・川崎寛治
○川崎(寛)委員 ただいまの局長の答弁は、後期中等教育についての答申を待っての高等学校の再編成計画の問題に関連をしておると思うのです。私はその点についても御質問いたしたいのでありますが、時間の制約がございますから、この再編成計画の問題については別の機会にあらためて御質問いたしたいと思います。
最後に、定時制の問題について、これはたいへん大事な問題が今年から来年にかけて出てまいりますので、お尋ねいたしたいと思います。
三十六年にこの高校定数法を制定いたします際に、これは自民、社会、民社各党共同で修正をいたしまして、第五条の中の分校の問題については、政令で定めるということで削除になって、修正になった経過があるわけであります。そしてその修正の経緯というものも、地域の状態に対応できるように、こういうことで定時制高校教育の重要性というものを認めて、そういう修正がなされたと判断をするわけであります。ところが、それに引き続きました政令の二百十五号におきましては、本法のほうからはずされた数というものが政令のほうに出されてまいりました。ここで、法の修正というものを実質骨抜きにしてしまっておるわけです。何のために修正をしたかわからない、こういうことになってまいるわけで、負担能力の低い自治体は定時制を廃止していく、こういう方向に速度が強まっておるわけです。定時制教育というのは、申すまでもなく、各地域あるいは特に後進県等に残る勤労青年がその定時制高校を働きながら出て、なおかつ地域に残って、地域の開発、発展のために努力をいたしておるわけであります。そういたしますと、この政令二百十五号の第二条第一項の規定によりまして、政令が来年の四月一日から発効する、こういうことになってまいるわけでありますが、このままでまいりますならば、定時制のそうした廃止という問題が当然に出てまいると思います。一方、自治体の財政事情からのつぶそうという考え方というものとマッチして、そうしたものが現実にあらわれてまいるわけであります。その点について、定時制の問題の重要性を考えますならば、当然に、政令のこの策二条第一項の規定、この施行は延期してしかるべきじゃないか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/62
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063・齋藤正
○齋藤政府委員 定時制の統合の問題につきましては、私も重要な関心を持っております。これは要するに、四十年度でいいますと、高等学校の生徒が五百万、そのうちの一割が定時制になっております。私は、後期中等教育の政策を議論する場合にも、これのシェアとしては今後も少なくなるであろう、経済的な事情というものも好転いたしますと、全日制のほうがふえるだろうけれども、少なくなれば、この問題はむしろ逆に重要ではないかと思っております。特に農山村地帯におきましては、従来もややもすると、教育効率ということの関係だけで統合というものを考えておって、これは普通の場合には非常に大切なことでありますけれども、定時制のようなものは独立して小規模であっても必要なものはこれを置いておかなければならないということを、私は中教審等の審議の過程でもそういう考え方を参考意見として述べております。したがいまして、この方針につきましては、私は府県をよく指導したいと思います。
それから定時制の教員のはじき方というものも、全日制に次いでさらに特例を設けることをしていないということの欠陥を御指摘になりましたが、私はその点の重要性というものをよく認識しておりますから、今後検討してまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/63
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064・川崎寛治
○川崎(寛)委員 大臣、局長もああいうふうに言われたわけでありますが、先般、本委員会において湯山委員のほうから通信教育の問題等で、あるいは夜間大学の問題等で私から大臣にもいろいろ御答弁を願ったわけでありますけれども、どうか法律をそのまま進めるということによって、待ってましたとばかりにつぶすということのないように、この点は十分に措置をしていただきますよう、大臣としての御所見もひとつ伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/64
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065・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 定時制高校の重要性にかんがみ、また定時制に学ぶ生徒のけなげさにかんがみましても、これは虐待するんじゃなくて、むしろ定時制高校というものは今後一そう配慮をしてよくしていくように、われわれは方向としては考えたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/65
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066・川崎寛治
○川崎(寛)委員 どうかその線で、局長のほうは自治体に対する、県に対する指導を十分にしていただきますことを要望いたしましてお終りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/66
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067・八田貞義
○八田委員長 ほかに御質疑はありませんか。なければ両案についての質疑は終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/67
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068・八田貞義
○八田委員長 両案について別に討論の申し出もありませんので、これより順次採決いたします。
まず、義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/68
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069・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/69
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070・八田貞義
○八田委員長 この際、委員長の手元に長谷川正三君外七名より本案に対し附帯決議を付すべしとの動機が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を聴取することといたします。長谷川正三君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/70
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071・長谷川正三
○長谷川(正)委員 私は、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいまの議案に対し、三派共同の附帯決議を付するの動議を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
義務教育諸学校施設費国庫負担法の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は義務教育の重要性と地方財政の実情から速やかに次の措置を講ずべきである。
一、公立義務教育諸学校の施設の整備に必要な経費は、小学校、中学校の別なく、その二分の一を国が負担するよう関係法を整理し、もつて義務教育費国庫負担法の趣旨にそうこと。
二、公立義務教育諸学校における校地の購入についても地方公共団体その他の負担が加重しているので、起債措置を十分にすること。
以上でございまするが、この動議の趣旨につきましては、本法案についての審議のうちに十分尽くされておりますので省略させていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いして、趣旨説明にかえる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/71
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072・八田貞義
○八田委員長 以上で説明は終わりました。
採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/72
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073・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/73
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074・八田貞義
○八田委員長 次に、公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。
本案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/74
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075・八田貞義
○八田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/75
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076・八田貞義
○八田委員長 この際、委員長の手元に谷川和穗君外七名より本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
まず、提出者から趣旨の説明を聴取することといたします。谷川和穗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/76
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077・谷川和穗
○谷川委員 私は、自由民主党、日本社会党並びに民主社会党を代表いたしまして、ただいまの議案に対し三派共同の附帯決議を付するの動議を提出いたします。
まず、案文を朗読いたします。
公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数の標準等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
一、教育効果をあげるため、高等学校設置基準甲号を指向して速やかに措置すること。
二、養護教諭、養護助教諭、実習助手、事務職員等の適正な配置を速やかに措置すること。
以上でございまするが、その動議の趣旨につきましては、本法案についての審議のうちに十分尽くされておりまするので省略さしていただきます。
何とぞ委員各位の御賛同をお願いして、趣旨説明にかえる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/77
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078・八田貞義
○八田委員長 以上で説明は終わりました。
採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/78
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079・八田貞義
○八田委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付するとこに決しました。
この際、文部大臣から発言を求められております。これを許します。中村文部大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/79
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080・中村梅吉
○中村(梅)国務大臣 ただいまの義務教育諸学校の施設整備のことについての御決議につきましては、その御趣旨を尊重して今後十分に努力をいたしたいと思います。
次に公立高校の教職員の定数の標準等の法律の一部を改正する法律案に関する、ただいま決議されました附帯決議に対しましては、政府といたしましても、その御趣旨にのっとりまして努力をいたしたい所存でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/80
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081・八田貞義
○八田委員長 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/81
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082・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/82
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083・八田貞義
○八田委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
この際、おはかりいたします。公立学校共済組合に関する問題について、本日公立学校共済組合理事長田中義男君、同監事赤堀正雄君を参考人として、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/83
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084・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次に、質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、これを許します。横路負雄君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/84
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085・横路節雄
○横路委員 岐阜の公立学校の共済組合の問題について、先日に引き続いて質問をいたしますが、この間私から法務省の刑事局長に、公金の扱いについてお尋ねをしたわけです。あなたは専門家だし私はしろうとなのです。しかし私はどう考えても、公金の扱いについて、これをいわゆる公金扱い者としての口座に入れないで個人名義に入れることは法律違反である。まずその点が第一点。そから、そのときにあなたは、どのロッカーに入れようと、どのポケットに入れようと、横領の意思がなければ法律違反でないと言った。私はそんなことが法律上通るわけはない。しかし、私はあのときも会計法、予算決算及び会計令その他で、たしかこの問題は明確になっておると思ったが、私はそのとき別に条文を持ってきてなかったから、その点の詳細をきょうに譲ったわけです。まず私はあなたにお尋ねをしますが、その前にきょうはここに法律条文を全部書いてきた。法務省の刑事局長という方が、公金の扱い者について、どのロッカーに預けてもいいのだ、どのポケットに入れてもいいのだと言ったが、そんなことが許されるはずはないのです。ないですよ。まず、会計法の第二十八条、第三十九条、第四十条、第四十五条。会計法は昭和二十二年の法三十五号。その第三十八条に、「出納官吏とは、現金の出納保管を掌る職員をいう。」「出納官吏は、法令の定めるところにより、現金を出納保管しなければならない。」三十九条は、「出納官吏は、各省各庁の長又はその委任を受けた職員が、これを命ずる。」四十条があり、四十五条があり、「出納官吏に関する規定は、出納員について、これを準用する。」とある。そうして、私が指摘をしたように、予算決算及び会計令にもそれが明確になっている。第百十四条に「出納官吏及び出納員は、この勅令に定めるものの外、大蔵大臣の定めるところにより、現金の出納保管をしなければならない。」こうなっておる。そうして昭和二十二年大蔵省令九十五号で、出納官吏事務規程がきまっている。そして、第一条には「現金の出納保管をつかさどる出納官吏の事務の取扱に関しては、他の法令に定めるものの外、この省令の定めるところによる。」「2前項の出納官吏は、これを収入官吏、資金前渡官吏、歳入歳出外現金出納官吏及び繰替払等出納官吏の四種とする。」四番目に問題があって、「資金前渡官吏とは、現金支払をするため支出官から前渡を受けた資金の出納保管をする出納官吏をいう。」第三条があって、第二十五条があって、第二十七条がある。第二十七条に何とあるか。「日本銀行所在地に在勤する資金前渡官吏は、その保管に属する現金を、その他の日本銀行に預託しなければならない。」そうして、第二十七条の前段の第二十五条に何とあるか。「資金前渡官吏は、日本銀行に資金を預託しようとするときは、照合のため、その印鑑に資格及び官職氏名を記載し、これを預託先日本銀行に送付しなければならない。」となっている。
〔委員長退席、上村委員長代理着席〕
一体、国の大事な公金を扱うのに、あなたのように、法務省の刑事局長のように、どこのロッカーに入れようといいのだ、どこのポケットに入れようといいのだ、そんなばかげたことがありますか。きょうは取り消しなさい。まず第一番目にぼくはあなたに取り消しをしてもらいたい。あなたのこの間の答弁は、法律違反ではない、法令違反ではない。どのロッカーに入れようと、どのポケットに入れようと法令違反ではないというのが、全国至るところの新聞に出ている。これは一般的に国の公金を扱う者というのだから、あとでいわゆる地方公務員等の共済組合法等についてはさらに規程について申し上げるが、まずこのことを取り消してもらいたい。やはりあやまちはあやまちとして率直にお認めになるのが至当だと思う。ぼくはこの間、予算決算及び会計令のところでたしか明確になっておったと思ったが、ぼくはそのときに法令集を持ってきていなかったから、そのときは指摘しただけにとどまった。これは明確に取り消してもらいたい。そんなばかなことはないです。公金を扱う者についてちゃんとある。「資金前渡官吏とは、現金支払をするため支出官から前渡を受けた資金の出納保管をする出納官吏」。第一条からずっとなっているのです。まずその点を第一番目に、この間のところで取り消してもらいたい。法令違反です。はっきりしてもらいたい。ぼくはこのことを文部大臣も聞いておいてもらいたい。きょうは私どもは、実はいまの二つの法律案については、前々からの理事の打ち合わせもありますから上げることに同意しました。しかしこれからの法律案の審議、採決等は、この問題が解決をしない限りはできませんからね。文部大臣にもその点ははっきり申し上げておきます。きょうのところは譲って、しかも緊急上程まで認めたんだ。しかしこういう、だれが考えたって、常識的にいっても法令の上からいっても、明らかにこれは違反である。それを刑事局長が違反でない、横領の意思がなければ違反でないと、全国の新聞に出ている。大問題だ。だからあなたは率直に、お立場もあろうけれども、これは間違いでしたと、その点をはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/85
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086・津田實
○津田政府委員 前回のお尋ねに対して答えました場合は、公金ということでありまして、国の公金であるとか、あるいはその他の公金であるとかいうことの種別ははっきりしていなかったわけであります。そこで、ただいま御指摘のような会計法あるいは予算決算及び会計令の規定があることは私も十分承知しておりますが、あのとき申し上げましたのは、横領、領得の意思がなければ犯罪にならないと申し上げたのです。法律違反にならないとは申し上げていないつもりであります。したがいまして、あのとき申し上げましたのは、そのこと自体の適不適は内部規律によってきまることである。こう申し上げましたが、予算決算及び会計令、会計法というものは国の役人に対する命令的法規であります。したがいまして、その法規違反であるという場合は当然あり得ることであります。それを私はあの当時否定したわけではございません。私は、犯罪になるかどうかというお尋ねに対して、横領、領得の意思がなければ、その取り扱いが間違っておっても犯罪にはならないということを申し上げたにすぎないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/86
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087・横路節雄
○横路委員 私はあなたに二つに分けて聞いているのですよ。あなたははっきり言ったではありませんか。まず私は、これは法律違反ではないか、法令違反ではないかと言ったら、あなたは、どこのロッカーに入れようと、どこのポケットに入れようと、それは法律違反ではない、こう言ったではないですか。横領かどうかはこれからまた第二段でやります。これは法律違反ですよ。こんなことがどうして許されますか。あなたはあのときは、どのロッカーに入れようと、ロッカーと言ったでしょう。どのロッカーに入れようとどのポケットに入れようと、それは違反でないと言ったじゃありませんか。ちゃんと言ったじゃありませんか。そういうことをあなたは言っていますよ。そんなことが許されますか。個人名義であろうと何であろうと。ぼくはわざわざ二つに分けてそのように聞いたでしょう。この点はきょうはまずはっきりしてください。法令違反ですね。個人名義でやることは法令違反ですね。その点だけまずはっきりしてもらいたい。いわゆる地方公務員等の問題については、私もきょうは法令集を全部調べてきているから、一つずつやります。
まず私は一般公金だから、国の金について一番最初聞いた。それをさらにあなたは、どのロッカーに入れようと、御丁寧にどのポケットに入れようとまで言った。法令違反ですね。個人名義ではできないでしょう。できるのですか、それは。わざわざここに出納管理事務規程の第二十五条に「資金前渡官吏は、日本銀行に資金を預託しようとするときは、照合のため、その印鑑に資格及び官職氏名を記載し、これを預託先日本銀行に送付しなければならない。」第二十七条は、「日本銀行所在地に在勤する資金前渡官吏は、その保管に属する現金を、その地の日本銀行に預託しなければならない。」それをあなた、個人名義でやって何がいいのですか。横領する意思があるかどうかは別ですよ。横領のことはこれからやります。個人名義でやれば法令違反でしょう。個人名義でやればこの本件については法律違反ですね。その点だけお答えいただきたい。率直に答えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/87
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088・津田實
○津田政府委員 法令違反ということになるかどうか、これは会計法規の問題でありますれば、私は所管でございませんからお答えすることは適当でない。したがいまして、そのこと自体は、会計法規に違反しているかどうかは、それは国の金の場合でございますが、会計法規に違反しているかどうかという問題は、それは私は違反しているものは違反しているであろうということでありまして、それは具体的な事実に照らさなければわからないし、私自身がその会計法規の解釈をここで申し上げることは、所管外のことでございますので、これは適当でないと思います。
しかしながら前回に申し上げましたのは、これは横領になるかならないかという刑事上の問題、私は刑事上の問題については不法領得り意思がなければならないと申し上げたのでありまして、その意味だけにすぎません。したがいまして、ほかの法規あるいは内部規律に違反するかどうかということは、私はわかりません。それは具体的な事実に照らさなければお答えできませんし、その法規の解釈は私の所管するところではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/88
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089・横路節雄
○横路委員 いや、刑事局長がそう言ってがんばるなら、私はきょうこれで質問をやめますよ。あなたこの間私の質問に御丁寧に、どのロッカーに入れようとどのポケットに入れようとそれは法律違反ではないと言ったではないか。きょうはあなたは、会計法に違反しているかどうかあるいは出納官吏事務規程に違反しているかどうかはおれの所管でないから知らない、そういうことをおっしゃるのですか。この間はぼくが二つに分けて言ったとき、あなたははっきりとそれは法律違反ではないと言ったではありませんか。横領の意思があるかどうかできまるのだ、こう言っておったではありませんか。あなたがそういうような御答弁であるならば、きょうはあとぼくらは質問するのをやめて、この問題はあなたのほうでそういう態度を改めない限り自後の文部委員会の法律案の審議に入れないですよ。あなたはこの間は御自分で言っておいて、刑事局長という立場もあるだろうけれども——それは私たちのようなしろうとに言われて、専門家であるあなたが間違えましたといって取り消すことは、これはぐあいが悪いかもしれない。しかし、やはり間違いは間違いとしてここでやっぱりはっきりすべきではないか。
もう一つあなたに聞いておきますが、二つに分けるということは横領の意思があったということですよ。判例を調べてごらんなさい。分けたときは全部横領の意思があるとして業務上の横領としてやられていますよ。全部判例を調べてごらんなさい。二つに分けたこと自体がその瞬間において横領の意思がある。ある場所でこういうことがあった。刑事局長聞いてごらんなさい。それは地方自治体から寄付があった。それは当然国の口座に入れて支払いをすべきなものを、その金を会計課長が、その場所に保管してある金庫の中に入れた。支払いは同じところへ支払った。ただそれだけで、その口座に入れないで、その金庫に入れただけで、その瞬間で業務上の横領の意思ありとして、業務上の横領として判決が下っている。二つに分けた瞬間に横領の意思があるのですよ。しかし、私はあなたがそんなにがんばるなら私もやめますよ。
委員長、刑事局長はもっとすなおに言ってくださると思ったのに、こんなことであるなら、ぼくもやらぬ。ただし、委員長代理に申し上げておきますが、社会党はこの次の審議にも入りませんからね。あなたはお聞きになっていなかったかもしれぬが、しかし大臣は聞いていた、大臣は聞いていた。同じ政府部内のことだからよく調整してもらいたい。
ぼくはきょうあなたがそういうことについて率直にお認めになれば、私は次に、地方公務員の問題について法令全般を調べてきているから次にいきたいと思ったんだが、あなたがそうやってがんばるなら——法令に違反しているかどうか、おれの所管外だからそんなことは知らぬ、おれはそんなことは言った覚えはない。——ぼくらは前にやったことをもとにして質疑をやっているのに、前の、そういうことを全部否定されておれは言ったことがないなんということでは、質疑が続けられないですよ。そのかわりあとの法律案の審議はやれませんからね。
委員長、とにかくこれは私一人じゃないですよ。大臣だってお聞きになっている。それから委員だって全部聞いている。私はあのとき念を押したんです。私は会計法、予算決算会計令その他に違反していると思う。しかしきょうは私は持ってきていないから、私は少なくともあなたのように専門家ではないから、私は違反していると思うがと言ったときに、あなたは御丁寧に言ったじゃないか、どのロッカーに入れようと、その上にあなたはことばをもう一つ継いで、どのポケットに入れようとそれは自由なんだと言ったじゃないですか。だから新聞はみな法律違反ではないといっているではありませんか。私はこれは全部会計検査院の諸君を呼んで調べてきたんだ。あなたはもっと率直に言わなければいかぬ。
公立学校の共済組合の問題はあなたの所管なんです。いまのようなことは当然政府部内のことですから調整してもらいたい。
しかも、それをいまになってあなたがそういうように、私は言った覚えがないというようなことでは、私は質問できません。そのかわりこの問題が解決しない限り、法案の審議には入れません。私はきょうは保留しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/89
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090・上村千一郎
○上村委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
午後零時五十九分休憩
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〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01119660318/90
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