1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月一日(金曜日)
午前十時三十四分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 小澤佐重喜君 理事 谷川 和穗君
理事 南 好雄君 理事 八木 徹雄君
理事 川崎 寛治君 理事 二宮 武夫君
理事 長谷川正三君
大石 八治君 久野 忠治君
熊谷 義雄君 坂田 道太君
床次 徳二君 中村庸一郎君
松山千惠子君 大原 亨君
落合 寛茂君 河野 密君
高橋 重信君 中嶋 英夫君
松原喜之次君 三木 喜夫君
鈴木 一君
出席政府委員
文部政務次官 中野 文門君
文部事務官
(大学学術局
長) 杉江 清君
文部事務官
(管理局長) 天城 勲君
文部事務官
(文化財保護委
員会事務局長) 村山 松雄君
委員外の出席者
文部事務官
(大学学術局大
学課長) 吉里 邦夫君
文 部 技 官
(管理局教育施
設部長) 中尾 龍彦君
自治事務官
(大臣官房参事
官) 鎌田 要人君
専 門 員 田中 彰君
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三月三十一日
委員松山千惠子君及び鈴木一君辞任につき、そ
の補欠として周東英雄君及び玉置一徳君が議長
の指名で委員に選任された。
同日
委員周東英雄君及び玉置一徳君辞任につき、そ
の補欠として松山千惠子君及び鈴木一君が議長
の指名で委員に選任された。
四月一日
委員栗林三郎君、横路節雄君及び和田博雄君辞
任につき、その補欠として中嶋英夫君、大原亨
君及び三木喜夫君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
同日
委員大原亨君、中嶋英夫君及び三木喜夫君辞任
につき、その補欠として横路節雄君、栗林三郎
君及び和田博雄君が議長の指名で委員に選任さ
れた。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
国立劇場法案(内閣提出第五七号)
文教行政の基本施策に関する件(国士舘大学に
関する問題等)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
国立劇場法案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますのでこれを許します。中嶋英夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/1
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002・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 長年の懸案であり、国民の待望の的でありました国立劇場がいよいよ建設が終わりまして、間もなく開幕という段取りになったことは非常に喜ばしいことと考えます。今後の国立劇場の運営について、殿堂にふさわしい、あるいはそれ以上の内容ある運営を期待する立場から質問をいたしたいと思います。
まず第一に、各国それぞれが伝統芸能というものを非常に尊重しております。洋の東西を問わず、国力の盛んな国で伝統芸能を粗末にしている国というのはほとんどないわけでございます。この伝統芸能を尊重しておる諸国家の国立劇場に対する国費の支出状況、同時にわが国が現在まで無形文化財の指定を行なっておりますが、特に芸能関係の無形文化財指定者に対する処遇について、他国では、わが国の無形文化財指定者に相応する人々に対して国家としてどのような処遇をしておるのか、そういう点について事情を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/2
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003・村山松雄
○村山政府委員 諸外国における芸能文化の保護に関しましては、ドイツ、フランスなど、ヨーロッパ大陸の国々におきましては、国立劇場を設置して、専属の劇団を持ち、自主的な公演を中心としてその保護、振興をはかっておるのが例であります。それに対しましては、国からおおむね二分の一以上、場合によっては三分の二程度の補助金を出しまして、支持をしておるというのが実情のようであります。
それから西欧諸国におきましても、イギリスでありますとか、それからアメリカ合衆国のような国は伝統的に国立劇場といったようなものを設けておりません。アメリカは、国の考え方といたしまして、演劇活動などは国がやるべきものではなくて、民間の自由な発展にまかせるという考え方のようであります。イギリスも従来はそういう考え方であったのでありますが、最近国立劇場を持つべきであるという議が熟しまして、現在組織ができているようでありまして、建物建設計画も並行して進められているようであります。
それから、演劇技能者の保護の問題でありますが、わが国におきましては、文化財保護法によりまして無形文化財の指定という制度を昭和二十九年以来とっておりまして、必要な保存すべき無形文化財に対しましては、団体指定、個人指定ないし記録選択というような措置をとっております。指定されました文化財に対しましては、技術の保持、伝承者の養成等のために、あるいは団体に、それから個人指定の無形文化財に対しましては個人に対し、技能の保持、伝承のための経費を補助いたしているのが実情であります。
外国におきましては、そういう無形文化財の指定に相当するような制度はないようであります。国立劇場を持っている国におきましては、これも全部ではありませんが、野風俳優を持っているわけでありますので、ある意味で人件費までめんどうを見ているということが言われようかと思いますし、また、専属俳優に対しましては、これも一部の外国においては、現役を引退した後においても年金を支給している。フランスなどがそうやっているようであります。そういう方法によりまして保護をいたしているようであります。保護の態様、程度は国によってまちまちでありますが、いずれも必要に応じて保護の措置を講じているのが実情であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/3
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004・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 いまのお答えの中で、ドイツ、フランスの例、西欧諸国の例をあげられましたが、アメリカの場合に、これを民間にまかしているということは、その原因としては、一つにはアメリカの歴史が浅いということ、伝統芸能として確立されたものが特に劇場演劇としては非常に少ないということ、こういうところに基因していると思います。イギリスの例のように、趨勢としては、将来アメリカにおいても国立劇場の考えというものが生まれてくる可能性はないと言えないだけの趨勢があると思うのであります。特にいまのお答えの中で、わが国の無形文化財指定者に対する、団体、個人等に対し、伝承者の育成その他を含めて経費の補助をなさっているということでありますが、どのくらいの補助をなさっておるのか、それを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/4
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005・村山松雄
○村山政府委員 団体の場合ですと、おもなものは、文楽に対しましては文楽協会という組織がございまして、これに対しまして年間、四十一年度若干増額されまして千七百万円の補助をいたしております。それから歌舞伎に関しましては歌舞伎保存会という組織が最近できております。これに対しまして四十年度百万円を補助をしたわけでありまして、四十一年度は無形文化財関係の補助金のワクが若干増大いたしますので、百万円をこえる補助をいたしたいと思っております。それから個人に対しましては、個人指定をした保持者に対しまして、まあ技能の保持ないしはあと継ぎの養成のために年額二十万円の特別の助成金を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/5
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006・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 次に運営費補助金の内訳を伺いたいのであります。予算を見ますると、運営費を公演事業費その他と合わせてここに数字が出ておりますが、これを管理運営費と公演事業費とを分けて、しかもその対比はどの程度になっておるか、この点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/6
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007・村山松雄
○村山政府委員 国立劇場の四十一年度の予算は、これは法人そのものは法案設立後すみやかに発足いたしますが、事業としては、十一月にこけら落とし興行を予定しておりますので、約半年間の事業ということになります。そこで、予算といたしましては人件費の一年分、それから事業費の約半年分ということに相なるわけでありますが、全体として四億二千五百万円の支出予算を考えております。そのうちで人件費が約一億二千万、それから管理運営費が約七千五百万、公演事業費が一億七千八百万、それから公演の付帯事業、これはプログラムとか宣伝費とかそういうものでありますが、これが約三千万、それから研究調査費が約四百万、それから養成事業費としましては、ほんの事務的な経費としまして約二十万、予備費としまして千六百五十万、こういう内訳になっております。これに対しまして大体三億程度を収入でまかなうことを予定いたしまして、差額を国庫補助金といたしまして一億一千三百万を予定いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/7
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008・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 そうしますと、十一月こけら落としの関係でまあ半年分と考えましても、入場料収入と公演の事業費というものは大体とんとんくらいになりますね。大体もくろみとしましてどうですか、平年度に直した場合。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/8
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009・村山松雄
○村山政府委員 収支予算を立てます大体のめどといたしましては、これは入場料をもって事業費をまかなうという明確な方針を立てておるわけでございませんが、結果的にはそのようになっておりますし、でき得れば事業費は入場料でまかなえる程度にやることが、まあ特殊法人の運営上、財政の健全をはかる一つの考え方ではなかろうか、そのように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/9
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010・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 入場料の設定のしかた等については、あとでまた御質問しますが、私は、これを見ると、いわゆる独立採算制で入場料に見合うものが何となく実質上の公演事業費というような慣例がいつの間にか原則になり、そこで固定化する可能性が多いんじゃないか。もちろんこれは国立劇場の運営が始まって経験の中からまた次の考え方が当事者のほうでも生まれてくるんだろうと思うのですが、場所を提供するだけの国立劇場というだけであってはならないと思いますので、この点についての検討をなおお互いにしていきたいと思うわけです。
そこで、初年度は期間も少ない準備期というととで、わずか二十万ということでありますが、私は国立劇場の運営の中で非常に大きな期待を持っているのは、伝統芸能の伝承者の養成の問題であります。しかしこの問題はうかつにお役所仕事で考えてもなかなか成果はあがらんと思うのです。と申しますのは、伝統芸能というのはようやく最近に幾らか日が当ってきたという形で、ほとんどは斜陽芸術化しておったのであります。文楽興行などを見ておりますと、プレーガイドで切符が売れないで、そして小屋は六分なり七分の入りなんということはほとんどない。大半は団体ですね。あるいはその団体というのも団体で希望者を募ったのではなくて、半ば押し売りのような状態でおつき合いで買っている。切符は売れたけれども、小屋へ行ってみると三分か四分の入りしかない。切符はどこへいってしまったかというと、どこかの団体の、お役所の秘書課あたりの机の中へしまわれてしまっておる、希望者も募っていない、こういう状態で運営してきたのが実情なわけです。同時にその一面伝統芸能者、技能者は非常に劣悪な条件の中で生活をしてきたわけであります。伝統芸能者を見て、二、三の例は別ですけれども、大体かっぷくのいい、血色のいい健康そうな人というのはあまりないので、どう見ても貧相な栄養不良じゃないかと思われるのが多いわけです。私はちょうど七、八年前の経験でありますが、なくなった難波掾吉田文五郎師匠の弟子の方から、たまたま当時文楽が分裂しておりましたけれども、年に何回かの合同公演をやって東京から大阪へ帰るのだけれども、特急の切符がほしい、何とか切符を買ってもらえぬかということを紋十郎のほうから話がありまして、手配をしてやったわけであります。手配をしてやって、その切符を持ってまいりました。秘書が届けたのでありますが、当時は一等、二等、三等があったころでありまして、二等の特急の切符を秘書が持っていったところが、それを見てがく然とした顔をして、たいへんえらいそそうをしました、実はお願いしたのは三等の切符でありました、三等の切符を実はお願いしたんだ、こういうことを聞いて秘書がびっくりして、けっこうですからと言っておいて帰ってきたということがあります。当時文五郎というのは日本の文楽では最高位の位を持っておったし、同時に無形文化財の指定も受けておったわけであります。しかもよわいすでに七十をこえておった老齢で手足が自由でない、あるいは目も非常に弱っておる、人の肩へつかまらなければ歩けない、こういう国宝と言われながらも、その人は実は切符は三等の切符をお願いしたんだ、こういう実情にあったわけです。こういう苦しさの中ではたして伝統芸能の伝承者というものが育っていくのかどうか。特に年少のころから仕込まないとなかなか一人前の技術者にはならぬわけでありますが、もちろん最近はその教え方その他も合理化して、労働基準法に触れない年齢からでも相当の仕込みの成果が上がりつつあることは非常に喜ばしいことでありますけれども、実際はそういう諸君の中でも生活苦のためになかなか修業をつとめあげることができない。うまくつとめている者を見ると、たまたま個人的後援者がおった、そういう関係です。あるいは文楽の場合ならば、三味線とか義太夫の場合ですとこれをけいこでやる人がおります。うなる方が文楽の一流の三味線ひきを呼んでうなってみるのもいい気持ちでありますが、うちの娘に人形を教えようという親はないわけでありまして、そういうアルバイトというものはほとんどない。アルバイトがほとんどない中で、しかも興行日数が一年間にそうたくさんは持てない。持ってもそれは大体赤字興行になる。したがって、東京で精一ぱいがんばっても、関東地区で二カ月、関西では一カ月くらいということになりますと、三、四カ月で一年間を食おうとしますから、その生活状態というものは実にみじめな状態にあるわけであります。したがいまして、そういう状態にある者の伝承者を養成するためにいま当局のほうで考えておられるのは、ある期間を限って学校のようなあるいはそれに近いような研究室のようなものを設けまして、初歩のものを教える、それからまたある期間たったならば研究会で講習会のような、何か学校のようなものを考えておるということでありますが、そういうことも必要でありましょう。研究会などは必要だと思います。しかし無形文化財指定者が後輩を育成するに足るだけの条件というものを具体的につくってやる必要があるんじゃないか。先ほどの質問で伺いますと、無形文化財指定者に対して年間二十万、二十万といいますと一カ月にしまして二万円足らずの額であります。二万円足らずのものでめしを食わせて自分の手元に置いて教育をさせていくというようなことはなかなか困難であります。一人が一人を教育するということであってはバックグラウンドが狭いわけでありますから、花が咲かないわけであります。少なくとも数人の者のめんどうを見なければならない。そういうめんどうを見るだけの対策を一面で考えておかないと、ただ国立劇場にそういう養成機関なり設備なりを設けたということだけでは、私は成果があがらぬと思うのであります。こういう点についてのお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/10
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011・村山松雄
○村山政府委員 伝統芸能の伝承者の養成は、国立劇場をつくるからにはその大きな使命の一つであるということは十分認識しておりますが、当面の事業としては、説明資料にありますようにささやかなものでありまして、これはやってみていろいろ御意見や御批判を賜わりながらだんだんに拡大していくという考えであります。
そこでそのささやかな伝承者の養成にしましても、実は四十一年度はまだ実施するに至らない準備期間でありまして、四十二年度から三十名程度の義務教育を終わった程度の人を入れまして、国立劇場に出演していただく無形文化財の保持者その他歌舞伎保存会の方々などを指導者として、主として歌舞伎の技能を中心にして始めて、それからおいおいさらにレベルの高いものないしは歌舞伎以外の分野にも及ぼしていきたい、こういう計画であります。それと並行いたしまして、従来からやっております無形文化財保持者に対する特別助成金の増額ということも要望されておりまして、これはこれで努力をいたすつもりでありますが、国立劇場ができれば一切の保護助成措置は国立劇場に吸収して、そのほかのほうからは手を引くというような考えは持っておりません。ただ無形文化財の保持者の特別助成金は、御案内のようにこの制度を始めましたのが昭和三十九年でありまして、まだ日が浅いものですから、この種の補助事業の特質といたしまして、直ちに飛躍的に増額もなかなかいたしがたいというような事情もありまして、実は四十一年度予算におきましても二十万——工芸技術の場合は若干、経費もかかるということで多いのでありますが、それにしても少額でありますので、ぜひ予算的に増額をはかりたいという努力をいたしましたが、私どもの努力が不十分で実現を見るに至りませんので、これの増額その他必要と思われる各般の措置を、国立劇場の竣工と並行して進めていきたいという考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/11
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012・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 次にお伺いしたいのは、この資料によりますと「芸能資料の収集および展示」で、ここに「図書、台本、小道具、衣裳、文楽の頭等およびレコード、スライド、写真等各種資料を収集、展示する。」となっております。これはけっこうなのでありますが、大道具とか舞台装置、背景、こういうものに対して同様に関心を払っていただきたいと思います。日本の舞台装置の技術というものは相当一部では高度なものになっております。特に新劇関係等においては最近非常に舞台装置というものが、伊藤熹朔氏その他進んだ人もおるわけでありますが、諸外国から見て称賛の的になっている。もっともこじんまりうまくまとまっているということで称賛の的になっているのであります。ところが邦楽一般とか文楽など——舞踊の場合はこれはいまの家元制度、あるいはお嫁入り支度の関係で子供のころから弟子がたくさんとれるとかで、全部じゃないでしょうが、相当はでな装置なり衣装を持っているわけです。ところが文楽の場合などを見ますと、芸は最高の芸、ところが人形の衣装が最近ではほころびて非常に古びたものであります。古いから古典芸能といえましょうが、衣装が古いのが古典ではない。やはり新しいのがいいわけであります。それから背景でありますが、彼らの資力では背景の新調がほとんどこの数年間できないわけであります。まるで学芸会の背景のようなものをバックにしておる。特に国立劇場が新しくできますと、まだ完成した現場を私は見ておりませんけれども、あれだけの予算を使っておりますから相当のものができるだろうと思います。建物はりっぱだ、壁もきらきらしている、芸も最高の至芸が展開される、しかしパックは学校の学芸会のようなものにも及ばないような、古い旅興行の時代のようなバックそのままで古色蒼然たるものがあるのではないか。そうなると、古典芸能に親しもうとする若い諸君にも、雰囲気だけでもなかなかついていけない古ぼけた斜陽そのものが印象的に入ってしまう。そうすると芸が全然生きない、こういう面があると思うのです。ですから、せっかくこの伝統芸能というものを保存し、これを育成し、拡大発展さしていくという考えがおありになるならば、小さなコレクションだけではなくて、大道具の問題あるいは背景の問題——レパートリーによってはその資金的な面から、上演したくてもできないものがある。たとえば文楽でもおはやしを入れて勧進帳も鏡獅子もできるわけです。ちゃんとその芸は残っているのですから。最近ではおはやしの給料が払えないということから、こじんまりした心中物か何かでお茶を濁している。せっかくのすばらしい、むしろ歌舞伎の上をいくような至芸というものを展開する場面がないということは、後継者ができないということに通ずるわけであります。そういうわけで、このコレクションは何か小型のコレクションだけで事足れりというのではなくて、もう少し拡大していったらどうか。たとえば文楽の興行の場合には、当分の間はそういう背景とか大道具までめんどうを見る。それが、劇団が自主的につくる能力がなくてつくれなかったら、学芸会のたれ幕みたいなもので、仏壇のきれをうしろへ並べてやっている、こういうことまでいくか。そこまでめんどうを見るか。これは非常に大事な点だと思う。この点に対するお考えなり御決意があったら伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/12
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013・村山松雄
○村山政府委員 大道具の重要性は十分認識しているつもりであります。ただ大道具は事柄の性質上たいへんがさが大きいわけでありまして、これは国立劇場の展示場に相当のスペースを要する……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/13
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014・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 「収集および展示」の「収集」を言っているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/14
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015・村山松雄
○村山政府委員 それから大道具というのは、現在の日本のやり方で申しますと、一部の劇場では専属の舞台装置機構を持っておるところがありますが、一般には業者がありまして、業者の請負契約におきましてその劇場に大道具の製作所を置いてそこで製作して、劇場はできたものを業者から借りて使うというかっこうになっております。そこで、済んでしまえばそれを保存しがたいという特性があるわけでありまして、収集の困難性ないしはかりに収集し得たとしましても、場所その他の関係でにわかに展示まではできにくいということで、この資料室の第一次的な収集展示の対象には掲げておらなかったわけでありますが、見方を変えますと、国立劇場ができて十分な事業費をもって優秀な大道具をつくれば、それは国立劇場用の大道具としては、いろいろな出しものに使えるものであれば、国立劇場の大道具装置として大道具の部屋に置かれるわけでありますので、常打ちの古典芸能の劇場がなくて、たとえば文楽にいたしましても、大阪でやったり東京の三越劇場でやったり転々とやっておる状態では、つくる経費なり意欲があっても、本格的な大道具はできなかったというようないわば弊があったにしましても、国立劇場で常打ち的に文楽をやるという段階になれば、相当りっぱな大道具ができて、それが必要がある限りは存置されて活用される。それからものによっては、将来の課題としては、永久保存の措置を講ずるという可能性も出てまいろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/15
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016・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 私は収集及び展示の箱の中で考えないで——特に背景などは、文楽の場合などは、藤浪とかに頼まないで自分で持って歩いているのです。まわりはりっぱな殿堂、座席もシートも新しい、芸はりっぱだが、背景は学芸会の背景と同様に古色蒼然、これではむしろ、せっかく大事にしたいという伝統芸能がみんなから遊離してしまう。そういう危険性をどう埋めるかという問題を十分お考え願いたい。こういうことで申し上げているわけです。もちろんコレクションできるものでもない。しかし大道具の場合は分解してしまっておけば、そうかさをとらぬ、長年中でつくっていますから。歌舞伎の場合は藤浪などに頼めばできるでしょうけれども、文楽の場合は一々藤浪を頼むまでの力はないのです。そういう点をどう埋めるかということをお考え願いたい、こういうことです。
次に、この運営の方針から見ますと、古典芸能、狂言、文楽については、大劇場の使用が考えられていないようであります。確かにこういうものについて大劇場がふさわしいとは私も思いません。しかし奥行きなどを見ると、小劇場と大劇場の奥行きというものはそう違わない、ほとんど同じですね。したがって、人形が小さ過ぎるということはない。問題は二階、三階が、文楽の場合は上から俯瞰しますと足が見えるから不適当である。しかし時に長い期間でなくて短く、特に学生生徒、そういう青少年向きに低入場料で行なう場合、あるいはダイジェスト版のような場合で理解を深める、あるいは紹介をする、そういうような場合は、年に数回国立劇場自身の興行として大劇場に多くの人を集め、こういうものだ、われわれの民族は庶民の中からさえこういう芸能を歴史の中で生んできたのだというような機会をつくることはお考えになれないかどうか、こういう点を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/16
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017・村山松雄
○村山政府委員 国立劇場の運営の考え方としてお手元に資料として差し上げましたものは、この前も御説明申し上げましたように、最終的には特殊法人が発足した後において十分検討して決定するものでありますし、またその後におきましてもこれは演劇活動でありますから、世間の反響、御意見等を承りまして必要に応じて改定されるべきものでありまして、固定的なものではないわけであります。
一応ごく端的に申しますと、必要経費の予算を要求する積算基礎としてつくったものを大体現在まで踏襲して、どういうことをやるのか計画がなくては批判のしようがないという御意見に対しまして、世間に発表しておる程度のものであります。さればといいまして、これを根本的にくつがえすというようなことは、予算その他との関係もありますし、これはさかのぼれば国立劇場設立準備協議会以来の識者の御意見を基礎にして立てた計画でありますから、大筋はこういう方向でやらなければなりませんけれども、たとえば文楽で入りがよければ大劇場の公演を計画するというようなことは、十分可能であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/17
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018・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 私は、古典芸能の場合、実は初めから入りがいいと思えないのです。入りが悪い状態であればこそ保存育成の国家としての対策が必要である。まあ商業ベースで十分やっていけるものはめんどうを見なくてもけっこうやっていけると思うのです。たとえば美術などは国家があまりめんどう見なくてもいいものは値がつくし、だれしもが手を出すわけであります。ところが古典芸能というものは、特に最近急激に日本が西欧その他中南米方面までの文化を一ぺんに吸収しておりますから、古典と特に青少年の間には大きな断絶といいますか、距離があるわけです。それをどう埋めていくかということが仕事だと思います。おそらく私の予想では、年四回の公演などでもなかなかむずかしいのではないか。そういうものをしばらくの間は保護育成ですからめんどう見なければならぬ。
そこで入場料の問題になるのですが、できれば安い入場料でやってもらったほうがいいと思う。ところが安い入場料でいくと今度は古典芸能などの場合、自主公演のほうがやっていけなくなる。というのに、安い入場料で国立劇場のりっぱな場所でやった、ところがそれが年に四回しかない。あと自分でやるときには、まさか東京に来た場合、国立劇場よりも高いものではやっていけない、お客が集まらぬから安くしなければならぬ、そうするとやっていけない面もあるわけです。こういう面を考えると、何か入場料の関係以外の面で、いわゆる補助金とか、劇団団体あるいは個人に対する補助とかそういうところに力点を置いてめんどうを見る。そうすればおのずから自主公演の場合でも非常に安いものでやっていける。特に文楽の場合は、一つの配役に対して三人かかるわけですから、一人の役者で済まない、三人かかるのですから、経費は実際余分にかかるわけです。人件費が三倍かかるのは文楽の場合は当然なんですから、そういう面を十分配慮していただきたいと思いますが、その点から考えて、入場料の設定のしかたなどについていますでにお考えになっておるものがあるなら、それを伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/18
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019・村山松雄
○村山政府委員 入場料は国立劇場でありますから、でき得る限り低廉にしたいという気持ちは持っております。しかしひるがえって考えてみますと、国立劇場でありますからには内容の充実した演劇を上演しなければならぬ。内容の充実した演劇を上演するにはやはり仕込み費も相当考えなければならない。それから俳優の出演料などにしましても、国立劇場なるがゆえによそより安くするというわけにもまいりません。それからまた国立劇場の入場料は、他の独占企業と違いまして、趣旨は多少違っても、形態的には同じような演劇活動が民間事業としても行なわれておることを考慮いたしますと、そういう民間事業の入場料とのある程度の均衡、何と申しますか、民業圧迫にならないようにという配慮も必要かと考えられます。そのような点を考慮いたしますと、一口に申しますと、固有名詞をあげて恐縮でございますが、歌舞伎座や明治座でやる場合よりは安くといっても、それほど飛躍的には安くならないということに相なるわけでございまして、一応そういう考え方で入場料は積算してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/19
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020・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 出発当初いろいろな問題が多いので、その経験の中から自然に国立劇場の運営というものはりっぱになっていくことを期待するわけです。したがって、運営の衝に当たる人々というのは非常に大事だと思う。とかく従来日本では芸術というものを非常に形式的に、観念的には尊重する。しかし、実質的にはあまり尊重していない傾向が全般にあるわけです。芸術全般についてそういう傾向がある。あるいは骨とう品的なものをいつまでも大事にして、活動力がなくなったものでも古いものだということだけでただむやみやたらに大事にする。そういう面から、私は役員の問題というのは非常に重大だと思う。ですから、役員の陣容が何となく国立だからお役人だけであるというのも問題がある。といって、他から入れる場合、芸術については明るいけれども、実際の劇場運営についてはほとんどずぶしろである。何人か入って、お役所出の人の言うことを何でもはいはいと聞いておる。国立劇場つくってもらってありがとうございますという状態で喜んで黙って従っているというような老人を入れた。そんな陣容であっては生々脈々たる国立劇場の発展は考えられないと思う。そういう意味で役員の問題については、ほんとうに日本の伝統芸能というものを大事にして、これを育てていくという熱情のある人をこの役員の中に入れていく、そういうお考えがあるかどうかを伺いたい。
さらに、呼び屋などのよいえさになってほしくない。外国の芸能であってもすばらしいものである場合は、国際交流の観点からこれを使用するということがあるようです。私もこれは反対しません。反対しませんけれども、とかく呼び屋の横行というものは日本の芸能界というものを非常に乱しておる。もっと逆に言うならば、確かに外国のすばらしい芸術は国民に親しまれていいことですけれども、宣伝や何かで、ばか高い三千とか四千というような入場料でなければ入れないものが呼ばれてきておる。これはとても庶民大衆のものにはならない。何か一部のみえっ張りか何かで盛んに流行している。一方では日本古来の伝統芸能というものは非常にみじめな状態で、まるで町の片すみのほうに追いやられていって掃きだめ扱いをされている、こういうアンバランスが出ているわけでありまして、呼び屋の好餌にならないような配慮も十分していただきたいと思うのですが、この点についての何かお考え、対策がおありになるならそれを伺って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/20
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021・村山松雄
○村山政府委員 役員といたしましては現在の予算で会長、理事長、それから常勤理事、常勤監事、各一名、計四名の常勤の役員を予定しております。これは法案にありますように文部大臣の任命にかからしめてございますので、大臣の御判断によって十分御趣旨のようなことを含めて選考がされることと考えております。
それから、国立劇場の上演演目の海外のものを呼ぶ場合の配慮でありますが、実は国立劇場は、前に御説明しましたように、その構造につきましても、たとえば音響効果というような点につきましても日本の伝統芸能に最適のように設計されておりまして、西洋の演劇、特にオーケストラを使用する演劇には不向きでありますので、外来演劇の上演は実はかなり例外的に考えてございます。ひんぱんに外国演劇を呼ぶというような機会はおそらく少なかろうと思います。しかし、もしありました場合には、御指摘のような点は十分配慮して運営してまいる所存であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/21
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022・中嶋英夫
○中嶋(英)委員 最後に政務次官に、特に役員の人事の問題については大臣の権限の中のことですから、いま申し上げたような点を十分配慮されることを大臣にもよくお伝え願いたいと思います。
以上、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/22
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023・中野文門
○中野政府委員 大臣はただいま参議院の予算委員会のほうに入っておりまして、この席におりません。ただいまのおことばは大臣によく伝えまして、御期待に沿いたいと思います。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/23
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024・八田貞義
○八田委員長 この際、おはかりいたします。
国立劇場法案について参考人より意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/24
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025・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。
なお、日時及び人選につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/25
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026・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/26
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027・八田貞義
○八田委員長 文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
質疑の通告がありますので、これを許します。大原亨君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/27
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028・大原亨
○大原委員 簡潔に質問しますから、ひとつはっきりと明確に答弁してください。
私が質問をいたすのは、義務教育関係の老朽校舎及びすし詰め教室解消のための予算、起債に関係いたしまして、文部省と自治省に質問をいたしたいと思うのです。四十一年度の老朽校舎をなくするための予算と改築の坪数は幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/28
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029・中尾龍彦
○中尾説明員 お尋ねの建物の改築につきましては、四十一年度におきましては坪数にいたしまして約二十九万坪、金額にいたしまして七十五億三百三十七万六千円、前年に比しまして十三億増を計上いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/29
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030・大原亨
○大原委員 これは文部大臣に質問したいことですが、次官からお答えいただきたいのですが、これは一般論であります。来年は御承知のように統一地方選挙なんですが、やはり学校建築や起債をめぐりまして、たとえばPTAに集まってもらう、そうしていろいろ説明をする、陳情を受けるというようなかっこうをとって、そして地方財政の困難な中でやはり陳情をする。そこで何かみやげを持って帰らなければいかぬということで持って帰って、無理やりに問題をでっち上げる、こういうことは身辺の問題で二、三にとどまらない。そういう政治的な圧力というか、一般市民や県民や国民の立場に立ち、あるいは教育の機会均等というような立場に立ってみると、公平さを失うようなことが行なわれておるのではないか、行なわれておってはこれはたいへんである、こういうことで、そういう陳情政治の弊害というか、そういう問題について、一般論といたしまして、私は文部省のそういう問題に対する方針をひとつお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/30
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031・中野文門
○中野政府委員 お答え申し上げます。
ただいまのお尋ねでございますが、一口に申し上げまして、文部省が予算を執行いたしまする場合に、陳情等を土台とした取り扱いは、私の考えから申しますと、絶対にあってはならぬと思います。なお、私自身の短い体験から申し上げましても、私、兵庫県でございますが、兵庫県の側からいろいろと、たとえば屋体なら屋体をどこに設置するか、その他いろいろな問題につきまして、県の内部で合法的に順序を立てて文部省のほうへ書類で持って参ります。ところがそれとは別に、個々の陳情に類するような側のほうから直接私どものほうへいろいろと言ってくることがございますが、私の場合を失礼ですが申し上げますと、一切そういうものを取り上げませず、すべて県の段階を通した序列、順序でなければ絶対にお取り次ぎしない、私自身はそのような態度をとっておりますが、先生のおっしゃりまするように、何か特殊な意図を持ち、あるいは特殊な希望を持ち、あるいは特殊な陳情その他によって公な予算配賦はあってはならない、かように私考えておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/31
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032・大原亨
○大原委員 私は一、二の例を持っておるのですが、一つの例は、これはいま地元で非常に大きな社会問題になっているのですが、広島市の幟町小学校の改築に関して、広島市が四十一年度予算と並行して二千二百八十万円の補正予算を提案いたしておるのです。これは、私どもはその改築については賛成でありますけれども、その提案のしかた、内容の問題であります。手続の問題であります。つまり予算を計上しておけば起債がもらえるんじゃないか、ある場合には国庫負担金がもらえるんじゃないか、こういうことで予算市会等においてこれを計上いたしましたために、市会や市民や県民の中におきまして、行政の筋の問題といたしまして非常に大きな反響を呼んでおるわけであります。このようなことを事前に自治省や文部省が十分了承する、文部省は起債だけであるならば了承であろう、あるいは意見具申であれば、自治省は承認であろう、起債のワクの設定なら。そういうことについて、事前にそういう点について承認あるいは了承、上申等をいたしておる事実があるかないか、これは事実だけでよろしいから、自治省、文部省からお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/32
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033・鎌田要人
○鎌田説明員 自治省といたしまして、事前に了承あるいはオーダーといいますか、内諾といいますか、そういうものを与えた事実はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/33
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034・中尾龍彦
○中尾説明員 お話しの広島市の幟町小学校につきましては、これは火災で焼失した学校でございますが、これの資格の不足坪数というのを押えますと、十分必要坪数がございますので、補助の対象とはなり得ないものと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/34
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035・大原亨
○大原委員 起債の対象にも、義務教育諸学校施設費国庫負担法による、これは第三条の一項の一号、教室の不足数解消にも該当しない。あるいは第三条の一項の第七号の構造上の危険校舎にも該当しない、三分の一の補助の対象にもならないし、その裏づけとなる起債の対象にもならぬ、こういうことでございますが、そういうことであるのに、市議会において、予算が起債を前提として提案をされるというふうなことは一体どういうことなのかということですね。市長の説明あるいは一部議員の圧力というふうにいわれておるけれども、これは与野党を通じて議論になっておる問題です。その予算を計上すれば起債に有利であるというふうな、そういう理解がなされておるやに聞いておる。しかし広島市内の市民の立場や父兄の立場、教育上の立場からいうならば、広島市内には原爆の直接、間接の被害によって、非常に戦後のバラックその他等も多いわけだけれども、二万一千六百平方メートルの危険校舎を抱えておる。そうするならば、この二万一千六百平方メートルの危険校舎全部を予算化しておいて起債や負担金をとればよろしいではないか、そのほうは一体どうするんだという議論が出ております。
そこで私はまず文部省にその点を踏まえてお尋ねいたしますが、この火災で焼けたけれども不足教室はない、これは一年前に焼けた、しかしながら不足教室が発生をしたならば、これは助成の対象にしましよう、こういうような具体的な約束をしておるのですか。国庫負担法によって三分の一不足教室に負担がある、そして裏づけとなる起債も認められる、こういうことであるならば、そういう可能性があるならば、幟町の小学校の校舎はこれは建設されてよろしい、私は一市民としても、あるいは行政全般について十分監視をする立場にある国会議員としても、了承できる、そのことは私はお願いしたい。そういう見通しがあるのかどうか、この問題について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/35
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036・中尾龍彦
○中尾説明員 私どもの補助対象として考えますものは、毎年五月一日現在の現有面積それから必要面積というようなもので、それに準拠してやっております。お話しの幟町小学校につきましては、四十年の五月一日現在で保有坪数は千五百四十六坪ございまして、このうちには危険に該当する建物はございません。そこで必要坪数は、三十三学級という基礎に基づきますと千三百五十一坪ということでございまして、保有坪数が必要坪数を上回っておる現状でございますので、私どもとしては補助対象と考えていないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/36
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037・大原亨
○大原委員 私は感情的には、これはできるだけやってもらいたいと思う。しかしやる場合には国庫負担法があるのですから、それに基づいて公平にやってもらいたいと思う。国庫負担法に基づいて必要な起債の措置をやってもらいたいと思う。相伴うてやってもらいたいと思う。こういう考えであります。しかしいまのお答えによりますと、自治省も知らない。私が県の地方課に聞きましても、県の教育委員会に聞きましても、全然申請書も出ていないし知らないと、こう言っておる。そして文部省も、義務教育施設に対する国庫負担法に該当しないと言っておる。それが予算に計上されて、そしてそれが議論の対象になるというふうなことは、地方選挙その他の前提でもあろうと思うけれども、これは全く不可解である。その点は自治省はどういうお考えでございますか、その点についてのひとつ御所見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/37
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038・鎌田要人
○鎌田説明員 ただいま具体的な事例についてのお尋ねがあったわけでございますが、私どもの義務教育施設に対します起債の考え方は、すでに御案内のとおり、災害以外のものにつきましては、これは国庫補助の残、いわゆる地方負担額というものを対象にして起債をつけてまいる。また災害特に火災にあいました場合は、これは事柄の性質上一日も放置できないわけでございますので、できるだけ早く復旧ができるように援助をする、そういった意味合いから、先ほど文部省から御説明がございました保有坪数が足りなくなったという場合は、起債をつけるわけでございますけれども、保有坪数の残存坪数をもってなお教育ができるということでございますれば、火災復旧の対象の起債は起こせないわけでございます。そういった意味合いにおきまして、私どもいまのこの幟町小学校でございますか、これにつきましてはもちろん起債の申請も受けておりませんし、したがって事前に了承を与えるということも当然ないわけでございます。ただ地方団体の中には、予算を計上する場合に、そういった形での予算を組まれるという事実が従来とも間々あるわけでございます。私ども毎年毎年度当初に予算の編成並びに執行についての通達を次官名で出しまして、各関係地方団体の長並びに理事者の方々の、ことばが適切でないかもしれませんが、自覚と反省をお願いしておる。財源は的確な見通しに立って計上すべきだ、こういうことを毎年毎年通達、指導をいたしておるところでございます。そういった趣旨からいたしまして、的確に見込み得ない財源というものを予算に計上するというようなことのないように、さらに指導に留意してまいりたいと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/38
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039・大原亨
○大原委員 私は文部省にこのことに関連してもう一つの事実を言うのですが、圧力を加えたり陳情すれば何かがでっち上がってくるのじゃないかというふうな幻想を各行政機関その他関係者に与えるということは、行政秩序の面からいっても、教育の機会均等からいっても、あるいは教育の場をそういう問題の醜い論争の場にするという面からいっても、許しがたいことではないかと思うのだ。
私はこの問題に関連して文部省に一言だけ申し上げたいことがある。これも昨年の広島県の大柿町の問題ですが、助成金を取るために、現在台帳に残っている、危険度からいったって、公平度からいったって問題のあるような、そういう校舎を抹殺しておいて申請書をつくっている。公文書偽造だ。そういうことをしておいて、補助金を取る。実際上いろいろな理由をつけて出ておるようであります。そういうことは、これは建築をより進めていくという上においての熱心のあまりとは言いながら、これは公平さからいったって、法律のたてまえからいったっておかしいのじゃないか。何か圧力を加えればでっち上がってくるようなそういう事実というものは、これは十分調査をした上で、そういう点について今後なきように善処してもらいたい。この点について具体的な答弁でなくてもいいが、文部次官からお答えいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/39
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040・中野文門
○中野政府委員 お答え申し上げます。
ただいまのおことばでございますが、そのとおりに私も存じます。十分調べまして、そういうことのないように、将来ともやりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/40
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041・大原亨
○大原委員 広島市の市教委の調査によりますと、危険校舎は二万一千六百平方メートルというのですけれども、文部省では一万三千平方メートルを危険校舎として認定して国庫補助の対象となっている。市のそういう調査と文部省の確認が違うわけであります。それはあり得ることであります。ただし小学校の場合をとってみますと、一つの学校について千五百平方メートル以上の危険校舎があるものが相当数あるわけであります。この起債によって校舎を建てるという幟町小学校等の問題の議論の中で、そういう直接間接原爆の被害等で周辺地区やその他老朽校舎がたくさんあるところの人々が、おかしいじゃないかということを言っている。その裏を返しますと、これは、適正なだれもが納得できる助成をして、そうして起債をつけて、国の統一した方針の中において復旧がなされるようにという、強い要望のあらわれであります。たとえば千五百平方メートル以上の危険校舎がある最も広いのは、宇品小学校、比治山小学校、大河小学校、仁保小学校、青崎小学校、草津小学校というふうな、そういうふうなところがあるというふうに、一般にこの問題に関連をして報道され、認識されておることは事実であります。ですからそういうことに対して、危険校舎の解消のために、やはり文部省なり自治省は、当面率先をして積極的にこれに協力をして、予算上そういうふうな措置をとるべきである、それについて積極的に協力すべきである、こういう意見が、この問題に関連をいたしまして出ておることは当然のことであるわけであります。これらの問題に対しまして、文部省は、これは政府委員でよろしいが、どういうお考えを持っておられるかについてお聞きをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/41
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042・中尾龍彦
○中尾説明員 危険校舎の改築につきましては、県の教育委員会を通じまして、危険度の高いものから順次改築を急いでいくという在来の方針を厳守いたしております。
ただいま具体的な事例をお示しになりましたが、そういう具体的なこまかいことを、残念ながらただいま不勉強でこれを存じませんけれども、そういう具体的な実例につきましても、現地の県教委、あるいは市教委を通じまして、その順逆を誤らないように指導してまいりたいというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/42
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043・大原亨
○大原委員 これは最後に、文部次官、こういう問題があるわけで、二、三の問題を示したわけでありますが、私がこのようにあえてこれを議論に乗せましたのは、やはり公平にかつ積極的にやってもらいたい、あるいは不当な政治的な圧迫によって、あるいは一部の宣伝だけによって、一般父兄や市民が迷うことのないように、行政の筋は筋として通してもらいたい。そのことはそれぞれの各機関に徹底をして、かりそめにもそれに接触しておる人々が誤った考えのもとに、そういう不当な圧力あるいは陳情政治でむだづかいをするということがないように、折り目というものを正してもらいたい。特に統一地方選挙あるいはいろいろな選挙、また総選挙がこの秋にあるらしいけれども、それは与党に聞いてみなければわからぬけれども、そういう総選挙等を前にいたしまして、そういう不当なことが行なわれることがないようにぴしっとしてもらいたい。それを最後に、文部省と自治省の見解を聞きまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/43
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044・中野文門
○中野政府委員 先生のおことばのとおりと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/44
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045・鎌田要人
○鎌田説明員 起債の配分につきましてはできるだけルール化をいたしたい。またそういうルールに基づきまして、できるだけ市と申しますか、言い過ぎるかもしれませんが、そういうものが介入する余地はなくしてまいりたいというのが、私どもの年来努力をし、また反省いたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/45
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046・八田貞義
○八田委員長 二宮武夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/46
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047・二宮武夫
○二宮委員 参議院のほうで、大臣そのほか関係者が動けないそうでございますので、実は三月十八日に資料要求をいたしました問題に関連をいたしまして、御質問をいたしたいと思います。
そこで、この際、そういう参議院との事情も勘案をいたしまして、もし局長がいないところはそれにかわるべき者、責任者のいないところはそれぞれそれを補佐すべき者の陣容が渋滞のないように、そこにひとつ出席をしてもらいたいと思うのです。
したがって、私は前もって質問の項目だけを申し上げますから、これに必要な方はそれぞれ連絡をとって、十分準備をしていただきたいと思います。
まず第一番は、これは文部省の態度として、いわゆる大臣の所信表明にございました高等教育における私立学校の非常な重要性、こういうものに対して、これは別途調査会等をつくって目下研究中であるということでございますが、この問題に関して省内に統一した一つの今後の意見というものが、もし調査会の結論が出る前に困難だというのであれば、意見としてひとつお出しを願いたいということが一点。
その問題に関連をいたしまして、従来公立あるいは国立の学校に落ちた者が私立学校に拾われるのだ、公立学校に通った者は孝行者で、私立学校に行く者は経済的に親に非常に負担をかけるのだ、こういう文部行政上差別待遇を心の中に持っておるようなことでは非常に困りますので、これらに関連をいたしまして、ひとつ大学関係の当局からのお答えをいただきたい。
第三番目は、この前資料要求をいたしました問題の中で、一体どのような態度でこの資料を出されたのか、その資料の中にこちらとしてはまことに不満足な問題がたくさんある。この資料要求の調査をされました責任者にその内容について質問をいたしますから、ひとつ御準備をいただきたい。
第四番目は、学校法人国士舘寄付行為というものの内容について少し綿密に究明をいたしたいと思いますので、それに対して詳しい方の御出席をひとついただきたい。
第五番目には、国士舘における教授の罷免問題について、これも資料には、私が考えておるのとは違って、ほんの一部分しか報告しておらないのであるが、何らか意図的なものがあるのかどうなのか、この問題も詳しくその内容についてお聞きをしたいので、よくわかる人の御出席をいただきたい。
第六番目には、この国士舘大学の柴田学長という、たいへんお年をとったがんこ一徹の総長のようでございますが、この人の思想系統あるいは学校における実践倫理、そのほか教育実績というものについて十分に検討をしないと、私はここで勉強しているところの一万人の学生諸君が、心底からこれに心酔しておるのかどうなのかということについては疑問がございますので、この思想系統そのほかについてお聞きをいたしますから、これは杉江さんも朝日新聞の記事を見ますと、私も交渉してみたいという意見が談話として出ておるようでございますから、大学学術局長の意見としてひとつお聞きをしてみたいと思っております。
それから学校法人でやっておる私立学校は、はたしてその定款において日本のいまの憲法、基本法あるいは学校教育法というものをほんとうに守っておるのかどうなのか、その実態把握をしておるかどうか。もしこれを守っておらずして日本の憲法を否定をし、教育基本法を否定をし、学校教育法を踏みにじるような教育をやっている場合には、これは私立学校に対する六十二条の発動ができるのかどうなのか。その学校法人に解散を命ずるという権限があるわけですけれども、あるいは聴聞に付するというような問題もあるわけですが、そういう問題についての権限のほどをひとつお聞きをしたい。
第八番目には、資料の中には顧問というものの名称は何ら報告をされておらない。ところが昨年私が質問した際にはちゃんと名簿の中に顧問の名前が明瞭にあった。佐藤総理以下財界、政界の知名の人の名前が羅列をしてある。石井法務大臣もその中に入っておる。こういう顧問としての責任、これは政府の一つの責任にもなろうかと思うのですけれども、法務大臣が顧問会長としてその学校に行って大演説をぶっておる。そういう事実もございますので、もし必要があれば私は顧問を参考人として呼ぶことも考えておるのですけれども……。
その次に問題になりますのは、この学校における学生諸君の人権が不当に侵害をされておりはしないかという問題でございます。あるいはその学校の運営の中で、懇親会を持つことを拒否したり、あるいは学生に対して学校教育法で禁止をしておる、懲罰を科してもいいけれども体罰を科してはならないというこの項目を私は踏みにじっておるのではないかという問題も、学生諸君の待遇に対して不当な人権侵害の事実があるように考えておりまするけれども、それらの問題についてもぜひひとつ御説明をいただきたいと思っております。
その次には、教育基本法の第八条から考えて、法律で定められた学校においては特定政党を支持するところの政治活動をやってはならないという規定があるが、この学校には選挙権銀行倶楽部という一つの選挙権行使の政治結社が届け出をされておる。そしてこれに対しては強制加入をさして、もしこれに違反をする者に対しては懲罰を科す。まことに偏向的な政治教育が行なわれておるように思うわけですけれども、この選挙権銀行倶楽部については昨年も触れましたので、その後十分文部省としても研究済みだと思いますから、詳しい御説明をいただきたい。必要とあれば自治省の選挙局に来てもらってもいいと考えております。
これらの問題を含めましてひとつ御質問を申し上げたいと思いますので、それぞれ責任者がいないところについてはひとつ十分答弁のできるような準備をお願い申し上げたいと、前もって項目だけを申し上げておきます。いいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/47
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048・杉江清
○杉江政府委員 国士舘のいま御指摘のような問題点について、実は文部省の所管としては主として管理局と大学学術局の両方にまたがった問題でございますが、私学の問題は純教育的問題を除いては主として管理局で扱っておる現状でございます。したがいまして、私がお答えいたしたいと考えますのは、この中で純粋に教育に関することについては私の責任でお答えいたしたいと思いますが、そのほかの諸問題については主として管理局で扱っておりますので、その点をひとつあらかじめ御了承を得たいと考えます。
管理局の局長、課長はただいまほかの委員会に出ておるようでございますので、そのこともお含みいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/48
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049・二宮武夫
○二宮委員 私、前もって申し上げたのは、もし局長がいない場合には、そういうことを勘案をして、局長以外の方で答弁のできる方を準備願いたいということを申し上げたのです。それくらいはできるでしょう。それもできないというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/49
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050・杉江清
○杉江政府委員 管理局長は間もなくこちらに来るそうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/50
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051・三木喜夫
○三木(喜)委員 ちょっと関連ですが、大臣はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/51
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052・中野文門
○中野政府委員 大臣はきょう参議院の予算の総括の質問の日になっておるので、そちらへ行っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/52
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053・三木喜夫
○三木(喜)委員 午後になればおいでになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/53
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054・中野文門
○中野政府委員 その点いまここで申し上げかねますが、一ぺん連絡をとります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/54
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055・二宮武夫
○二宮委員 一昨日河野委員から私立学校の問題についていろいろ質問をいたしましたところ、大臣は、私立学校法の一部改正の必要があるのではないか、こういうような意味の御発言があったと思うのですけれども、大学問題については援助して介入せず、ただし所轄庁としてやるべきことについては、その域を脱しない範囲において、やれる範囲は調査もし、あるいは資料も持っておる、こういう程度の、あまりに野放しにしない、しかも介入もしないという非常に微妙な問題があろうかと思いますけれども、やはり所轄庁としての責任だけは十分準備をしておく必要があろうというふうに主張してまいったわけでございますが、大臣の所信表明にもございましたように、特にベビー・ブームが大学に押しかけておるといういまの段階におきましては、大学並びに高専を含めての高等教育については、私立学校の重要性を特に強調されておるのでありますが、政務次官にお尋ねいたしますが、先ほどちょっと触れましたように、文部省としてどうも公立、国立の大学には非常に多くの助成をする、あるいは国としてめんどうを見ていくけれども、私立の大学というものは、その財政的なものは自分でかってに借金をするなり、入学金を取るなり、あるいは授業料を増すなり、そういうことでまかなうのがいいのだ、こういうような考え方をもって、どうかすると冷遇をするという傾向がある。そこで早稲田大学そのほかに、これは他のものも入っておると思いますけれども、いろいろな問題があるわけであるし、父兄の負担の軽減という問題から考えましても、大学の選択いかんによっては父兄の負担のバランスというものは非常にくずれるという状況にあるわけであります。そこで政府としても早急に臨時私立学校振興方策調査会というものをつくって、その対策について中間報告でも急いで出したいというような意欲はあるやに聞いておりますし、私どももそういうものの特別委員会をつくって、それらに対する振興策を現在検討中であるのでございます。
私は、いろいろな学閥とかあるいは社会的な通念を越えて国の子供を教育しておる、大学教育をやっておるのだ、したがって大学の教育水準を高めるということについては、一国の文教政策の責任者である文部省がやはりその責任を持つべきであって、これらに対しては抜本的な改革をやらないと、その面についての差が非常についてくるのではないかという心配があるわけでございますが、そういう調査会の意見を出す前に、文部省としては一つの意見を出すわけにはまいらない、こういうような意見になろうかと思うのですけれども、大筋としては、省内の意見として、私立大学の主体性を尊重するという意思の表示はございましたけれども、それに対して、もう少し突っ込んだものの考え方、これを一つお聞かせをいただきたいと思うのですが、政務次官どうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/55
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056・中野文門
○中野政府委員 お答え申し上げます。
今日入学問題等に関連をいたしましての国立、私立の大学に関するもろもろの問題が非常に世間で論議をされておるのでございまして、ただいまおことばの中にもございました私立学校のみをとらえてみましても、私立学校の現状、将来どうあるべきか、あるいは同じわれわれの子供でありながら、たまたま私立に行ったことによって国立、公立に入学した子供よりも現実にいろいろと経費その他の負担が増大をし父兄を困らしておるというようなふうに、いろいろと私立大学そのものにつきまして今日問題が山積をいたしておることはおことばのとおりであろうと思います。いろいろな理屈はございましょうとも、とにかく私どもの子供の学びやすいような、父兄が子供を勉強させやすいようなあらゆるくふうをすることが文部行政の衝にある者のつとめであることに間違いないと思います。大臣も申されたと思いますが、臨時私立学校振興方策調査会というものができたゆえんのものも、やはりそうした問題の解明、解決のためであろうと私は存じております。
〔委員長退席、谷川委員長代理着席〕
ところが、こういろいろと私立学校問題が深刻になっておる場合に、任期がどれくらいあるから、二年なら二年あるから、それ一ぱいかけて答申をやろうというような手間ぬるいことはできないので、中間報告のような形式であろうとも、なるべくすみやかにその調査会の具体的な答申を得たいということに間違いがございませんが、それにかかわりなく文部省は文部省自体として、少なくとも明年度予算編成の——明年度と申しますか、昭和四十一年度がきょうから始まったわけでございますが、次の予算編成の時期までには私立学校の振興対策について文部省自体の自主性のある前向きの態度を打ち出さなければならぬと、私自身はさように存じておりますが、なお足らざるところはほかの政府委員のほうからお答え申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/56
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057・二宮武夫
○二宮委員 具体的な内容に触れましては、対策特別委員会がございますのでなかなか申しにくい点もあろうと思いますが、いまの精神を私立学校の経常費や従来見捨てておったところのそれらの問題につきましても十分考えていく、あるいは非常に高い利率でもっていろいろ借金をしておる。寄付金がふえたといっても、その寄付金は実は借りたお金を寄付の形でもって学校設立のために申請をしておるというような場合もある。そういうものを文部省のほうでは、寄付が多くなった、こういうような誤解をしておるというような問題もあるように聞いておるわけでございますから、非常に苦しい財政の状況にあるという自覚、この内容についての検討を十分に次の予算時期までにも具体化するようにお願いを申し上げたい。
大学局長にお尋ねしますが、国公立の大学で本年度の入学試験を終わって収容し得る人員は大体概数幾らですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/57
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058・杉江清
○杉江政府委員 約二十万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/58
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059・二宮武夫
○二宮委員 それに対する専従の教授の数は一体どれくらいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/59
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060・杉江清
○杉江政府委員 国立だけで約三万でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/60
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061・二宮武夫
○二宮委員 管理局長にお尋ねしますが、私立の大学で本年度の試験を終了して収容し得る人員数並びに国公立と大体比率を同じにするとすれば、どれくらいの教員数があってしかるべきである。それに対して実数は一体どれくらい教員数を持っておるのか。専従の教授、助教授、そのほかの職員を含めての数について、大体の数でよろしいが、いま国公立が二十万に対して、二万九千、約三万といいますけれども、大体二万九千だと思うのですが、それに対して私立のほうについてはどういう計数になっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/61
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062・天城勲
○天城政府委員 本務教員の国立と私立の比較でございますけれども、本務教員一人当たりの生徒数、いま手元にございますのは、そういう資料でございますので、恐縮でございますが、大学では二八・三人、国立の場合には、これは研究所を含んだ数字になっておりますので、ちょっと的確な比較ではございませんけれども、七・九人、そういう比率になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/62
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063・二宮武夫
○二宮委員 収容人員は幾らで、実数は幾らで、大体私学として、私学の大学の教育を推進するに必要だと思われる教員数は、どれくらい確保したらよろしいと考えておるのか、それの具体的な数を聞いているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/63
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064・天城勲
○天城政府委員 恐縮でございますけれども、あるべき教員数というのは、いまちょっと手元にございませんので、後ほど御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/64
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065・二宮武夫
○二宮委員 それはひとつ十分御調査をいただいてけっこうですが、私の調査によりますと、大体私立は、本年度の試験を終わって、七十万の学生諸君を収容しておるという割合になるようでございます。そしてこれに対する実際の教員数は二万ないし二万一千しか教授の数を確保しておらない。教育水準を高めるということについて、国公立と多少の差はあるにいたしましても、それにほぼ同率の教員を確保するとすれば、八万四千ないし八万五千の教授数を必要とする、こういう実態にあるのが、私はいまの私立学校の大学の実情ではないかというように考えておるのです。もしあなたのほうで専門的に調査して、この私の数が間違っておるとすれば、ひとつ御修正をいただきたいのです。
そこで次官にお尋ねをいたしますが、いまこのように管理局長でさえも、私立大学の実数を、一体どれくらい収容しているのか、そしてこの大学の教育水準というものを維持するためにはどれくらいの教授数が必要であるのか、一体現在どれくらい確保しておるのか、こういう数さえも文部省に把握できないというような状況では、あなたが、いかに私立大学を振興するために抜本的な方策を今後考えよう、こういうようなことを申しましても、その基礎になるべき数が、こういう全く基本的な数が確保できておらないというような状況では、私どもはおっしゃることがなかなか信用できないのです。そのような実態ではなかなか信用できかねるわけでございます。
しかし、これはいま天城さんのところにないというだけで、おそらく調査すればすぐできる問題だと思いますから、きょう答弁できないとしましても、そういう文部省の私立大学に対する実情の把握であるという実態を、この際次官は御認識いただいて、官公立については十分に資料を把握しておるけれども、私立の大学についてはまことにずさんなものであるというこの実態だけは、ここで十分肝に銘じておいていただきたいと思うのです。
その次にお尋ねいたしますが、これは管理局長、私はこの前具体的に資料要求をいたしました中に、私は故意とは申しませんが、非常に不満な問題が多いわけなんです。この調査の実態というのは、どのようにして御調査になったのか。それのいかんによってあるいは私も邪推をしなければならぬ問題も出てくるのですが、そういうことのないように、ひとつ局長のほうで調査されたいきさつについて、私にわかるように御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/65
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066・天城勲
○天城政府委員 委員会でいろいろ御質問ございました点につきましても、私たち詳細存じていない点がございますので、一応私立学校法の六条に調査、報告を求めることができるという根拠がございまして、実際問題として、私立大学の事情を伺うときには、まず学校に説明に来ていただくというやり方にいたしております。したがいまして事実上のお話し合い、状況を伺うということからいつも始まるわけでございます。この前御質問がございましたいろいろな点に関して、先生のほうから資料を提出するようにというお話でございましたが、これも同じように私たち明らかにしていない点がございますので、大学当局の方に来ていただきまして、いろいろ事情を聴取して、その聴取した限りのことについて御報告を資料として提出した次第でございます。
なお、特にこの前の委員会で、二宮先生からあらためてこういう事項こういう事項についてさらに事実についての調査をするようにというお話がございましたので、これにつきまして三月の二十四日付で、前の調査に重ねて調査をいたしますために、文書をもって国士舘大学にあてて事項を依頼したわけでございます。これにつきまして学校側からも関係の方がおいでになりまして、私ども担当官にその間の事情について文書質問に対する回答をなされておられますので、それらの点は私たちメモとして全部とどめてあるのでございますが、大体私立学校に対する調査のしかたは、こういうやり方をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/66
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067・二宮武夫
○二宮委員 昨年四月に私が質問いたしました際に入手いたしました特に大学の報告という項目の中に、たとえば給与の問題について私はお尋ねをいたしました。その際に、去年の四月の大学の報告によりますと、「採用時に被採用者の要望と公務員給与を参考とし、年齢、職歴、経歴などに基づき決定する。大体早稲田大学の給与額の八割ないし九割程度を基準とする。なお、本年四月から早稲田大学の給与を参考とし、給与体系を整備し、工学部と体育学部、政経学部間の均衡をはかるべく検討中である。」こういう報告を昨年の四月にもらっておるのです。今回あなたのほうで文書をもって報告を求めたというものの中に、この給与の問題については一切報告は出ていない。この未提出の給与問題についていつごろまでに提出ができるのか、少なくとも公の文教委員会において大学の報告として私が読みましたような報告を私は昨年、一年前にもらっておるのです。そして一年たってなお私が再度資料の要求をいたしました際にその資料がまた出てこない。これは、私が察するところ、早計かもしれませんけれども、昨年四月の報告というものは単なる文章であって、その後給与について検討中というその給与体系というものが、はたしていま読み上げましたような学歴や経歴やそのほかによって、本人の希望等も聞いて、そうして給与体系というものをつくっておるのかどうであるか、その努力はなされておるかどうかということは、残念ながら私はその努力を認めるわけにはまいらない。もしこれができるならば、その意思があるならば、一年たった今度の報告の中に、この給与の報告というものが、私は求めておるのですから、当然その結果として何らかの形で出てきてしかるべきだと思うのです。この未提出の分については一体いつごろ提出の見込みがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/67
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068・天城勲
○天城政府委員 給与の問題につきましては、御指摘のとおりのようないきさつがありまして、今回も私たち重ねて給与関係の資料の提出を求めたわけでございます。大学側としては、今年の報告にもあったように、なお現在給与関係の改定の仕事を継続中だということでございまして、最初資料は出なかったのでございますが、それにしても改定の方向とかあるいは少なくとも現状、考え方等についていろいろ進んでおるものなら、その状況でもいいから出していただきたいということを重ねてお願いいたしまして、これはたいへんぎりぎりになったのでございますが、実はけさ現在の給与水準、給与算定の基準ということと、それから本学における給与の改定の方針という資料を今朝学校側から届けていただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/68
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069・二宮武夫
○二宮委員 きょうはまあエープリルフールという日ですから、どういうことを言われるかわかりませんけれども、少なくともこの問題が文教委員会で取り上げられて、一年たったのちに四月一日、日をきめてその給与水準が報告されるということについてはどうも私も信用しかねる面があるわけでございます。
そこで、まあ途中で天城さんおかわりになったのにちょっと無理な質問だと思いますけれども、私は義憤を感じますのは、昨年四月、あれほど私どもが文教委員会で国士舘大学については大臣もいろいろな知らなかった問題があった。そして不当解雇、傷害事件も起こった。それでこの大学についてはその後何とか——もしあなたのほうでいろいろ強制的にやることができない、私立学校の主体性を尊重するというのであれば、何らかの機関を通してあるいは政治的に、あるいは懇談的にいろいろな面で反省を求めるという必要は、私はあってよかったのではないか。ところが、私の感じておることは、昨年四月、私どもが文教委員会でこの問題を取り上げましたら、とたんにその後なお解雇の問題は一そう拍車をかけておる。同時に、学生に対する体罰の問題についてもあるいは無期停学、停学、というようなものについても何ら反省の色がない。これほど文教委員会なりあるいは所轄庁であるところの文部省がばかにされておるという状態は私はないと思う。全くの私どもの善意によるところの忠告というものに対して耳をかそうとしない。私は文部省と国士舘大学との中に何らかのくされ縁があるのではないかとさえ邪推したくなる。これはのちにお尋ねしますけれども、理事の中にかつての文部省の高級公務員がいる。現職の参議院議員であるところの高級公務員がいる。何ものか筒抜けになるのか知らぬけれども、認可のできないうちにこういう学生の募集をやっていろいろ新聞発表しておるというような事実もある。私はいま少し謙虚な気持ちで——文教委員会で真剣に問題を討議されたという場合には、一年間の余裕があるのですから、私はその次の日でも一週間後でも、少なくとも文教委員会でこういう問題があったぞ、そういう気持ちで、これは法的あるいは強い力に基づいてではなくても、国士舘大学に対して反省を求め、柴田学長に対して反省を求めるということ自体は、そういうことをやることは何ら学校の主体性を損害するものではないと考えておる。
そこでなおお尋ねいたしますが、資料の中に解雇職員、解雇された教授の問題についての資料を求めた。ところが文部省のほうから出してまいりました資料を見ますと、三名の教授が出ておる。これは四月と何ら変わりがない。ところが実際問題としては、佐藤両教授に三上教授の三名、これは三十九年九月——十一月にかけて解雇されておる。これは目下東京地裁で身分保全の仮処分が審理の進行中でございますが、その後において昭和四十年の四月に村岡、笹島という二人の高等学校の先生方がここで解雇されておる。四十年の十一月二十七日には桑田、今川そのほか五人の教諭がまた再び解雇されておる。最近に至っては四十一年二月十日に民主化運動といいますか、学校の懇親会を開こうとしていろいろ主唱したところの鹿島宗二郎という中国経済の教授がこれまた解雇されておる。一体この三名以外の解雇された教授の資料というものをなぜ出さなかったか。あなたのほうでは全然関知してないのですか。この学校のしきたりは、あなたは解雇しますよということだけで終わっておるのだ。実際の状況をあなた方は御承知でしょう。解雇の辞令、あなたはやめさせますよという理由をつけての辞令を渡したという例はいままでない。教授会にもはかってない。柴田という学長がお前は首だといえばそれでその学校を解雇になっておる。しかも私に出してきたところの文部省の報告を見ると、佐藤教授は解雇してないといっている。ところがその佐藤教授に対しては私立学校の共済組合の加盟証を返せと言ってきている。これは事実解雇であることに間違いない。とかくの理屈はつくかもしれませんけれども、少なくとも私は公正なる文部省が私ども文教委員会の決議に基づいて資料を要求したものに対して、何がゆえに去年の三名しか出さずに、その後行なわれたところの数名の教授の解雇というものを隠しておるのか。あるいはそれは調査し得なかったのか。そういうところに私は、私どもが努力しても努力してもなお国士舘大学というものが明朗化されてないところの原因があるのではないか。文部省も一方をかついでいるのではないかとさえ疑いたくなるほどこの調査なるものはずさんである。局長どうです、あとの問題は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/69
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070・天城勲
○天城政府委員 先ほども調査のやり方について御報告申し上げましたが、一応学校側に来ていただきまして、いろいろな事実問題を伺うというやり方を最初にいたします。それで学校側から了知したものについて御報告を国会にもいたしたわけでありますけれども、重ねてその後も二宮先生のほうからいろいろな問題についての資料の御要求もございましたし、私たちもなお十分事情が聴取しきれない点もあったと思いましたので、先ほど申したようにあらためて文書でもってこれらの点についての報告を求めたわけでございます。時間がたいへんおくれたのですけれども、三十日付でいまの解雇問題につきまして、佐藤英夫、佐藤嘉祐、三上弘之、鹿島宗二郎、村岡要、笹島賢二郎、桑田博、今川八朶、この八名の方々の解雇理由につきまして報告をいただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/70
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071・二宮武夫
○二宮委員 そうしますと、きょうは四月一日ですが、その後にあらためて八名の解雇者があったということの資料を追加されるわけですね。理由についてお調べになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/71
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072・天城勲
○天城政府委員 私たちこの解雇問題につきましては、解雇または退職の事由とその事情ということでお尋ねしまして、学校側からはいま申し上げたような個人個人についてその事由、状況について八名の方についての報告をいただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/72
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073・二宮武夫
○二宮委員 学校側の理由としては、それはいろいろ個人に公開の席上ではいろいろ言いにくいような理由があるいはついておるかもしれません。そういうことをやりかねない学校側の態度ですから、私はその内容がどういう理由で解雇されたかということをここで重ねて質問をいたしませんが、少なくとも私どもに出す資料の中に三名しか出さずに、三十日に来たものがいま局長から報告される、これはやはり文部省も早めにそういう資料というものは私とものほうに——資料要求して相当長いのですから出してもらうべきであるというように考えております。
そこで、私はお尋ねをいたしますが、この定款ですね。寄付行為そのものはその後変更されておりませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/73
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074・天城勲
○天城政府委員 四十一年度から法、文学部が新設されましたので、その点につきましては、従来の寄付行為について一部変更がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/74
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075・二宮武夫
○二宮委員 先ほどちょっとお尋ねして御答弁がなかったのですが、これは杉江さんにお尋ねしますが、三月の十三日に朝日新聞の社会欄のトップに国士舘で学園民主化運動というたいへん大きな記事が出ておるのですが、その中に杉江さんの談話として、率直に反省を求めたい、場合によっては学長と話し合うことも考えている、こういうように、その場を濁したのか、あるいは真意を吐露したのかわかりませんが、言われておるので、あなたを信用してお尋ねしますが、学長にお会いになりましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/75
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076・杉江清
○杉江政府委員 この問題ではお会いしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/76
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077・二宮武夫
○二宮委員 今後会う意思がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/77
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078・杉江清
○杉江政府委員 状況によっては会うことも考えております。いま具体的な日程は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/78
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079・二宮武夫
○二宮委員 状況というのは何ですか。こういう問題があるから新聞社の方からあなたの御意見を聞かれたのでしょう。これはお会いになって聞かれたのか、電話で聞かれたのだか知らないのですが、少なくとも、大学局長が、学校は率直に反省すべきである、そうして私は場合によっては学長ともお会いをしよう。これは世間受けのする局長としての談話ですよ。しかし、これで、場合によっては、というのはあり得ないのですよ。この場合に、あなたはこういう場合に会おうと言ったのだ。それよりほかの場合というのは何ですか。こういうことがあるということを聞かれたら、ここでひとつ反省を求めて私も柴田さんに会おう、あなたは柴田さんを説得する力があるとお考えになっているんだろうから、一ぺん会おうと言われておるのだ、これでお会いにならないということになると、これはごまかしたことになる。場合によっては会いましょうと逃げ口上を言う筋合いのものではないはずです。こういう運動が起こっております。いろいろ問題があるからどうですかと聞かれたら、場合によっては会いましょう。この場合のことを言っておるのです。これから後に起こる場合のことを言っておるのではないのですよ。大学局長として新聞発表したら、発表したものに対して責任を持ちなさい。あなたお会いになって、学長さんに、こういうことでは、と言って、あなたのお考えを述べて、新聞で発表されたように局長としての態度をとるべきではないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/79
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080・杉江清
○杉江政府委員 実は私立学校の問題については、最初に申しましたように主として管理局の問題でございます。私のほうとしては教育問題、それから大学学部等の設置の問題について関連いたしております。この記事に関連いたしましても、実は私、いままでも大学設置の際においてお会いしたこともありますし、それからまた設置審議会の方と私のほうの事務当局の者と一緒にお会いしたことがある。そういうようなことを申し上げ、話のついでに私は出したように記憶いたしております。で、これらの問題について、私は率直に大学としてもいろいろ反省していただきたいという気持ちをそのままお伝えし、また、いままでもお会いしたことがありますが、今後とも私のほうの関係で会うということがあれば、そのときはお会いします、こういうふうなことを申し上げたわけでありまして、特にこの記事そのものについて、全般的に私が窓口として会うというそういう強い意向で申し上げたわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/80
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081・二宮武夫
○二宮委員 もう少し熱意を持ちなさいよ。あなた、そういうことを言われるのならお会いして、国士舘大学の教育を民主化するために、いろいろ前から関係があって、お力になる面があるのならお会いになって説得することは、やはり一つの方法ですよ。そういうことをやることが必要です。さっき天城局長にお尋ねしたのですが、昨年私どもが言ってから後に少しも反省の色がないということを私は申し上げたのですが、昨年文教委員会でこの問題が取り上げられた後に、文部省としては国士舘大学の幹部の方、あるいは理事長、そのほかにお会いになって、ただ記事を通し、速記録を通したということではなくて、何らかそこでお話し合いをして、相当に文教委員会でもこの問題についていろいろ話があったぞということで真意を伝えて、そうして国士舘大学の今後のあり方について、いま杉江さんの言われたような反省を率直にさせるような措置をおとりになったことを聞いておりますか、あるいはあなたがやっておりますか。私は逆にさっき言ったように老いの一徹で意地になっておるのではないかとさえ思われるような筋合いがある。したがって、私はその辺をひとつ文部省のやわらかい気持ちでお会いになってお伝えをするような責任を感じてやられたかどうかということに対して、当時大臣は愛知さんでしたが、愛知さんもたいへんびっくりしたような気持ちであのときに話を聞いておられたですが、そういう文部省の努力があったかどうかを、ひとつそれは簡単でいいですから、おそらくやっていないだろうと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/81
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082・天城勲
○天城政府委員 まず私のことから申し上げまして恐縮でございますが、私は直接そういう機会をまだ持っておりません。ただ、私のほうの担当の者が従来からいろいろな私立大学と接触が深いものですから、その担当官は、大学の関係者に、国会で取り上げられておる趣旨だとか、いろいろそういう趣旨を十分伝えながら必要な資料の提出等についてお話し合いをしております。そういう過程は私にはわかっておりますが、私自身あるいは大臣がそういう意味で柴田学長と懇談をしたということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/82
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083・二宮武夫
○二宮委員 時間がありませんから簡単にお尋ねいたしますが、この学校法人の目的の中には、第三条に、この法人は教育基本法及び学校教育法に従いということが明瞭にうたってある。そこで、政務次官にお尋ねをいたしますが、いろいろの投書や電話やそのほか聞きますと、学長は七十何歳ですが、なかなかかくしゃくとしておって、いろいろ講話をされる場合にすわっておるというと二時間ぐらいすわらせる、あるいは演説を始めると三時間も四時間も五時間もかかり、その間に生理的な現象が起こって騒ぐと、騒いだ者を引っぱり出してみんなの前でたたく、平手打ちを食わせるという。平手打ちということばがいろいろなものの中に出てくるのです。そこで、私はちょっとお尋ねをしておきたいのですが、学校教育法の十一条だったと思うのですが、監督庁の決定に従って、懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。こうなっておる。体罰を加えることはできないということは平手打ちをしてはならぬということになると思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/83
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084・杉江清
○杉江政府委員 そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/84
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085・二宮武夫
○二宮委員 そうすると、その柴田という人は、これは何十人でも前に引っぱり出して平手打ちを食わせるのだそうですが、教授をなぐったのは刑事問題になって目下捜査中ですから、これは別といたしまして、これはほんとうに戦前の教育の中には、あるいは戦時中の教育の中には、私ども体験をしたことがある問題でございますけれども、いまなおその考え方は全然変わっておらない。そしてそれをやること自体は、ありがとうございますと言って頭を下げて帰るというような教育は、この人が塾をつくった当時はそれでよかったかもしれぬけれども、その後一万人という総合大学に発展をして、その内容そのものが近代化されておらずに、学長はすべて高等学校の校長、大学の学長、応援団長、柔道部長、何々部長というものを一人で背負っておって、そういうものの中でもし自分の言うことに反する者があれば、あるいは批判する者があれば、おまえは首だといって先生をやめさせる、おまえら出てこいといってたたく、こういう中で教育が行なわれておるということについては、それを喜んで受けておる何百人かの生徒はいいと思うのです。自分で好きな学校を選んでやるからいいと思うのですけれども、無理にいやいやながらさせられておる子供が一万人のうちに何人かあるということになると、これは私は教育上重大問題だと思うのです。その柴田さんをたよって、柴田さんでなくてはならぬといって涙を流していく組はけっこうですけれども、そうでない組は無理にさせられて、それがうまくいかぬと卒業ができぬ、進級ができない。実践倫理学というものをやって、実践倫理の単位というものがあるのです。私はこの前要求しましたら千円もするのだ、四十人に配ったら四万円もするからというので、国立図書館へ行って借りて読めというから借りて読んだのです。もちろんその書物の中に一貫をして流れておるものは、これは全く戦前の教育と何にも変わらない。敗戦という事実があったということ、日本で平和憲法というものができたということ、民主主義教育というものがいま日本の命題であるということ、生徒や先生方の個人の人権が尊重されるということが基本であるというようなことは、何らこの中にはないんです。ある程度思想の固まった人にこれを読まして批判をさせるためにはこういう本もよろしいと思う。ところが、これを教科書に使っておるんですよ。そうしてこの意思に反した答案を書いたものはみなペケなんだ。学校を卒業させない、この実践倫理の単位をとらないと卒業できない、こういうことをまだ精神的に頭のやわらかい中学校、高等学校、大学、大学院という思想の固まらない生徒や学生諸君に、これを頭から押えつけて、絶対これを読まなければお前には単位をやらぬというのは、思想、信条のいかんにかかわらずみな平等であり、差別待遇を受けないという憲法第十四条の精神に違反をしておると考えておるんですが、この点政務次官どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/85
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086・中野文門
○中野政府委員 実は残念ながら私は国士舘大学の問題につきましては、何も知識、知恵がございません。ただいまのお尋ねでございますが、はなはだしく変わった教育の実態のように私ここで拝聴いたしたのでございまして、十分検討いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/86
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087・二宮武夫
○二宮委員 中野さんは初めてですから少々変わったぐらいに思っておるかもしれぬが、少々ぐらいの変わり方じゃないんです。私は、うちの前の委員長の鈴木茂三郎先生が同級生だというから、また、この書物を読むと、鈴木茂三郎、鈴木茂三郎というのがたびたび出てくるから、特に先生に、この人は一体どういう人ですかと一ぺん聞いてみた。ところが、これはとてつもないやつだ——鈴木さんのことを盛んに悪く書いておるが、思想が合いませんので悪く言うのは当然だ。また、全部の各学校におる教員の中で左翼思想の持ち主はこういう先生だとみなこの書物の中に書いておる。そうして外交政策としては、日ソ不可侵条約を一方的に破棄したところのソ連に対しては、当時の満州における二十億ドルの日本の権益あるいは財産をなくしたその代償として、ウラルから東の方のシベリア全土を日本に割譲すべきであるという主張をしておる。それから共産党、社会党は全部非合法化して、それは全部中国やソ連に引き取らせるがよろしい、こう書いてある。これは日本の憲法のいまの精神からいったら全く矛盾した、相反したところの思意でもって一貫しており、赤毛虫と言っておる。赤鬼のソ連、青鬼のアメリカだと言ってマッカーサーから追放されておるんですから、マッカーサーの占領政策をずいぶん批判しておる。あなた方もずいぶん悪く言われておるんですよ。中央官庁の豚が服を着ておるというので、ことばをきわめてずいぶん悪く言っておる。私はこういうような者は教員としての資格はないと思うのです。これは学校教育法の八条か何かにありますけれども、その項目を引いてきても、これは教員の資格はないと思う。特に私どもがいろいろ注意をして忠告をいたしました後に出ておる四十一年二月七日の学校の掲示板を見ますと、この教料書を買わない者には後期の試験を受ける認可証をやらないぞと書いてある。同時にあとから出てまいりますけれども、選挙権銀行倶楽部というものの負担金二百円を出さない者には試験を受けるところの許可証をやらないと書いてある。うそだと思うなら写真がある。ちゃんと写真にとってきておりますけれども、そういうことを言って、生徒の自由を束縛しておるわけです。そして、もしそれを受けられない者は、学校から通学の証明書をやりませんから、学生の諸君は普通の乗車券を買って学校に通学しなければならぬということになる。学校のいろいろの学科を新設する際の申請のその土地の利用のしかたにつきましても、詳しく申し上げますと、まことにインチキきわまるものがあるのです。こういうような考え方を持った人が、いまごろになって、七十四歳になって、思想的な革命をして——きのうの佐藤総理に対する佐々木委員長の質問じゃございませんけれども、佐藤総理に、いまから社会党員になってくれと言うわけにはいきません。これは七十四歳の柴田さんに、いまから思想を改めろと言っても、死ななければ直らぬのですから、私はそれは言いません。三十をこした者は性格上の変更はないといわれておるのですから、七十四歳の戦前派にそういうことをやれとは、私は要望いたしませんが、ただし、一万人の生徒をあずかっておる校長、総長、学長として——あるいは舘長と呼ばせておる。こういう者を学長、舘長、校長として持たなければならない子供のかわいそうな立場というものは、私は見のがすわけにはいかぬ。こういうものを黙認をして、こういう学校法人をそのまま認め、これで文部省は学校法人に対する許可権を持っておるということになれば、これは文部省に対しても、私は非常に文句の言いたいところです。これは絶対許容できない。私どもは侮辱されたということ以上に、この自由なるべき思想の子供に対して、こういう強制的な、これを買わなければ卒業させないぞ——私のところに新潟県から電話がかかってまいりました。実は私の子供が国士館に行っているんだが、一体どうしたものだろう、こういう電話がかかってまいりました。手紙も来ております。まじめな子供から手紙が来ておる。その手紙の中を読んでみると、試験の際には、どうせおれはこの学校には長続きはせぬのだから、もし成績が悪いとおれのメンツにかかわるので、おれは廊下に出ておるから、その間にだれの答案を見てもいいからいい成績を取れよと言って、先生は廊下に出る。学校の先生が足りないものですから、大学の生徒をもって先生にかえる。それは一週間に一ぺんぐらいの問題ではなくて、一年間ぐらいはそれをやるというのです。こういうめちゃくちゃな大学というものを、私は学校法人として許すわけにはいきません。生徒の名前を言ったり、いろいろしますと、非常にリンチを受けたり、ひどい目にあいますから……。副館長であるところの柴田さんの子供は、おれの学校はごみためだ、全部の学校に通らないやつはみんなおれのところに来る、だからおまえたちはごみだ。こういうものの言い方を平然とやって、そして、よその学校にかわろうと思ってもかえてくれない。内申書に判を押してくれない。おれを舘長と呼べ、舘長の判を押さなければ、おまえは学校に行けぬだろうと、おどしておる。政務次官は少々変わったと言いますけれども、これほど変わった人物はちょっと見当たらぬと思うのです。この大きな学校に、門衛もいなければ小使いもいない。そして学校の生徒を全部、何かで違反をすると懲罰にかける。その懲罰は大体停学あるいは無期停学。停学、無期停学になった者は何をすればいいかというと、門衛をするか、便所の掃除をするか、あるいは新しい学生を勧誘してくるか、あるいは選挙権銀行倶楽部の会員を募集してきて、これでどうぞと言ってお願いすると、初めて復学ができる、こういうようなシステムになっておるのです。この学校を、学校法人として、ほんとうに大学の教育水準を維持していくためのりっぱな大学として、私は推奨するわけにはまいりません。生徒の人権たるや、まことに哀れにも踏みにじられておるものであって、本日、法務委員会でも人権問題としてこれは取り上げられておる問題でございます。
しかももう一つお尋ねしますが、教育基本法の第八条には、先ほど申し上げました選挙権については、特定の政党を支持することはできない政治教育の規定があるわけなんですよ。この自治省からとってまいりました選挙権銀行倶楽部、これは文部省かどこかの資料によりますと、政治教育研究所と変えたと言っておるけれども、変えていない。明瞭に変えていない。そうしてこれは政治資金規正法によって、全部の届け出を済ましておる。学長の言うとおりの人に投票しなければいけない。これは、選挙は秘密ですから、なかなかそうはいくまい。なかなかそうはいかぬだろうけれども、方向としてはそういう指導を常にやっておるわけですね。けしからぬ学校であるという一言に尽きるのです。
もう一つ重大問題は、この学校の顧問については、文部省は何のゆえか、顧問の名簿を私には出してくれなかった。しかし私のほうには、顧問の名簿は明瞭にある。顧問会長は石井光次郎法務大臣、そして法務委員会で石井光次郎さんが稻村隆一さんの質問に対して答えたところは、これは同郷だから私が知らないうちになったのであって、何ら私は好んでなったものではない、こう言っておる。佐藤栄作氏も顧問——中村文部大臣は顧問ではないけれども、財界、政界の知名人を全部顧問に並べておる。石井さんが、もし、私は顧問でございませんと言うのなら、石井さんが顧問として大演説をぶっておるところの写真がここにございます。この写真には明らかに顧問代表石井光次郎閣下というのがちゃんと書いてある。防衛庁長官松野頼三閣下と書いてある。国士館の中で入閣祝賀の大会をやっておる。石井さんがここで演説をしておる。本人が知らぬというなら、法務大臣はうそをついておるのであって、はっきりここに生きた証拠があるというわけなんです。こういう財界、政界の知名の人を顧問に置いて、そしていま申し上げましたような、全く敗戦ということに対する謙虚な反省は一つもなく、一万人の生徒の長として、こういう学校を営んでおるということに対しては、私は明らかにここで私立学校法第六十二条の私立学校の学校法人に対する解散を命じてもよろしいというぐらいに強く考えておる。これについては、なお一方的になるおそれがありますから、次に参考人を呼んでいただいて、私の申し上げたことが事実か、あるいは事実でないか、そういう点について、もしそのような事実が反省もなく今後もなお続けられるということであれば、私ははっきり、これに対する懲罰的な態度をとるべきであるということを考えておるのですが、文部大臣はおらずに、政務次官にはたいへん気の毒ですけれども、いま申し上げたような実情であるということを十分お聞きをいただいて、これに対して文部省の責任者である管理局においては、あまりにも手ぬるいいままでの態度であるということを私は指摘をいたしますから、もしこれに対して今後再度質問をしなければならぬというような状況になれば、その際には管理局長の責任も追及する。同時に文部大臣、文部省全体についても、私は許された範囲内においてどうしてこういうものを放置しておくか、またもう少し進んでいけば、あるいは都からもらったところの高校急増対策の費用、それを転用して、大学学部新設の土地にすり変えておる、そういう問題についてもしっかりした資料を持っておりますから、それらを公にして、これは刑事問題として考えなければならぬ問題も起こってくるのじゃないかというふうに考えております。ただ私どもは、私学を振興し、ほんとうに国立、公立へ入れない子供が、自由な場所で、自由な思想で、ほんとうに真理を探求しながら理想を求めて、明るい生活ができるような、そういう学校に国が援助してもらいたいということを考えておるやさきですから、特に声を大きくして、このような偏向のある学校に対しての反省を求めるわけです。
終わりのほうはどうも質問が少なくなって、私の意見ばかりになりましたけれども、以上のような状況でございますので、ひとつ文部省においても十分に検討の上で善処されるように要望いたしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/87
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088・中野文門
○中野政府委員 本日のこの委員会における貴重な御発言並びに最後に申されました御発言につきましては、そのまま文部大臣にお伝え申し上げまして善処いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/88
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089・谷川和穗
○谷川委員長代理 三木喜夫君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/89
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090・三木喜夫
○三木(喜)委員 ただいま二宮委員から質疑がありましたように、今回問題になっておる国士舘大学の教育は柴田学長という特異な存在によって大きくひん曲げられておりまして、教育という名に値するかどうか疑問の点が多いので、私はその立場に立って質問したいと思います。
きょうまで私は国士舘大学の問題について三回文教委員会で取り上げておりますが、時間がなかったり、調査中ということで満足な答えを得ておりません。二宮委員と私が最初に国士舘大学問題について質問したのは昭和四十年七月四日ですから、大かた一年になろうとしています。さらに本年になってから問題を重大視して法務委員会では四回、いま行なわれておりますからそれを入れると五回です。予算、内閣委員会で各一回、そして質問者も延べ六、七人になっておりますが、依然として問題が次々に起こっております。私は本日は最初に重要な点を一応だめを押しておきたいと思いますので、その重要な点から申し上げます。
第一、柴田学長の暴力事件です。一昨年十月二日校庭において多数学生の前で佐藤英夫教授——医学博士、生理学、解剖学担当と校医をしておりますが、ステッキで殴打し、左ひざをくつでけ飛ばし、左ひざ関節骨折、血腫、全治二カ月の重傷を負わせて、佐藤教授はその場からパトカーにより運ばれ、そして学長は暴行罪で訴えられております。この事件は国士舘大学の学長ともあろう人がやることでない、野蛮きわまりないものと私は思います。文部省はこれをお認めになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/90
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091・天城勲
○天城政府委員 そういう事件のあったことは学校側からも報告を受けておりますし、関係者のほうからの陳述もございました。しかし現在これは訴訟事件になっておりまして、私たちはその学校側との意見が食い違ったままとなっておりますので、そういう事件のあったことは存じておりますけれども、事実その他のこまかいことについてはいまお答えできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/91
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092・三木喜夫
○三木(喜)委員 こまかいことはないのですが、非常に重大なんですが、まあそれでいいでしょう。
そうすると、文部省はこの暴力が認められた場合、学長の地位はどうなると思われますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/92
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093・天城勲
○天城政府委員 認められた場合ということは、現在の告訴事件の結果ということだと思うのでありますが、刑事上の問題だと思います。刑事上の問題になりますと、学校教育法の教員の資格という条項に該当いたしまして、それに抵触するようなことになれば資格を喪失することになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/93
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094・三木喜夫
○三木(喜)委員 第二番目にお聞きいたします。その後連続して学長は暴力をふるっておるようですが、この点はお調べになったかどうか、文部省にお聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/94
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095・天城勲
○天城政府委員 連続ということは私ちょっと理解しかねておりますし、聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/95
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096・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうすると、これは調べておいてください。
第三番目は不当解雇についてです。学長の気に入らぬ者は理不尽に、しかも何の手続も踏まず罷免がいともやすく行なわれております。また、学生の退学処分も同様です。いま人権擁護局が来ておられませんが、この点、人権擁護局にお聞きしておきたかったのです。
第四番、最も問題になるのは政治と教育の混同です。選挙権銀行倶楽部はその最たるものですが、そうは思われないか。これは事務所だけ外へ移しましたけれども、いまなお募集等は大学の中でやっております。しかもその中には未成年者も含まれております。文部省は、これでよいかどうか、あるいはそういう事実を知っておられるかどうか、まだ続けておるということを知っておられるかどうか、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/96
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097・天城勲
○天城政府委員 選銀クラブの問題につきましては、昨年の国会の御質問その他の経過から、大学に教育と政治の分離というたてまえからお話をしまして、大学は選銀クラブの事務所を外に移したわけでございます。その後、なお学内に選銀クラブの事務所がある、それから選銀クラブの会員を強制しているというお話がございましたので、この点について重ねて大学側に報告を求めているわけでございますが、それについては大学側としては、一応選銀クラブの学生会員の募集方法等について意見が出てきておりまして、強制している事実はないということを報告してきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/97
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098・三木喜夫
○三木(喜)委員 ここに写真があります。これは校内の掲示板に張られたものですが、授業料後期分とか暖房費とか就職資料費とかあるいは本の代金とかあって、七番目、選銀会費二年度分二百円、合計二万八千二百五十円、以上完納と出席日数三分の二以上の者は二月七日より受験許可証を渡す。——外じゃないですよ。中にこういうことがある。これを納めなかったら受験もできないのです。これは教育の場で教育と政治とが混同されておる証拠だと私は思います。報告だけでは、これは一方的になります。これも調査しておいてください。これは写真を渡しておきますから——調査されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/98
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099・天城勲
○天城政府委員 報告の中身も、学生の中で未加入会員もおるし、卒業生にもそういう者がおるし、それから会費の募集方法もこういう方法をやっておるということで、具体的に納入の強制をしてないという報告を私いただいておりますので、そのことをここで申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/99
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100・三木喜夫
○三木(喜)委員 そうでないのです。その報告はそれでいいですよ。それは言うでしょう。しかし政経学部学生監の掲示としてこれが出ておるのです。あなた方にはそういう報告をしておいて、こういうことを平気でやっておるところに——文部省もそれを調査する意思があるのか、あるいは全然これは無視されておるのか、どっちかだと思うのです。
この写真を渡しておきます。見ておいてください。
第五をお聞きします。学内または他において教職員が集合を持つことすら禁じている。またこれを妨害しております。集会、表現の自由、これを抑圧すると私は思うのですが、こういう事実は聞いておられないか、あるいはこういうことをとめるのは、憲法に保障されておるところの集会、表現の自由を抑圧しておる、こういうふうに思われるかどうか、文部省の所信を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/100
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101・天城勲
○天城政府委員 私もその事実は聞いておりません。存じておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/101
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102・三木喜夫
○三木(喜)委員 以上三つ、御調査をいただきたいと思います。
もう一回申し上げます。選銀の依然として校内で行なわれておること、学長の連続して暴力をふるっておること、そうして集会の自由を抑圧しておること、この三つ、御調査いただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/102
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103・天城勲
○天城政府委員 先ほど申したように、大学に、これらの点について調査をいたします。ただし大学の御返事によります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/103
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104・三木喜夫
○三木(喜)委員 けっこうです。
以上私は五つの設問によりまして念を押しておきます。
そこで、今日ほど、私学の経営がいろいろの意味で注目になっているときはないと私は思います。いま二宮委員もその重要な問題点について触れましたが、このときにあたりまして、私このような問題の多い私学があるということは、文部省として何とかせねばならないと思うわけであります。それに、これくらい紛争を起こし、顕著な事実があって、たびたび国会で取り上げられているのにもかかわらず、結論が依然として出ない。それぞれの当局において以外に事が長引いておる原因は一体何だろうか、端的にひとつお聞きしたいと思います。刑事局長がおられたら刑事局長に聞きたいと思いますし、人権擁護局長がおられたら聞きたいと思いますが、きょうおいでになりません。そこで教育問題として文部省にお聞きしておきたい。去年の四月からです。そして数回国会でも取り上げられておる。それがじんぜんとして日が長引いておるところの原因は一体何だろう、これをひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/104
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105・杉江清
○杉江政府委員 私は基本的に私学法のたてまえとして、私学の自主性を非常に尊重するたてまえをとっておるということ、大学の自治の原則が一般にある、こういうことのために文部省としてもこれらの問題に立ち入ることを遠慮せざるを得ないという面が多分にあるということが、いま御指摘のような問題の解決をおくらせている一因をなしていると私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/105
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106・三木喜夫
○三木(喜)委員 私はそれもあろうと思います。確かに私学の自主性を尊重しなければならないという大前提がありますから、その前提のもとに立ち入って検査ができない、ここに私は問題があろうと思いますけれども、もう一つ私は要素があると思うのです。それは、文部省としてもいまこの学校のたどっておるところの事大主義的な考え方をひとつ頭に置いておいていただきたいと思います。二宮委員が触れました顧問の問題です。あなた方の調査によりますと、これに、照会中である、こう書いてある。こういうことをいってごまかしたらだめですよ。照会中である、これはちょっと問題がある。というのは、これは膨大なものでわからないとあなた方は言われておりますが、国士舘大学院政治学研究科、経済学研究科設置認可申請書、大学法人国士舘、そうして昭和三十九年十一月、こう書いてある。この申請書は文部省へ出たものです。そんなものを照会せぬでもちゃんとこの中に書いてあります。それをなぜ照会中と書かれるかというところに私は問題があると思うのですが、それは抜きましょう。この中ではっきりといま言われましたような政界の要路の人が顧問になられ、そうして政界の要路の人がこの国士舘をささえるところの維持委員としてちゃんと届け出てある。特定の人の名前をあげることは私は差し控えたいと思いますが、これこれの人が維持委員ですよとちゃんと出ております。しかしその御説明を聞きますと、私は知らない、同郷のよしみでかってにあげておるのだろうこういうことを言われます。そのことを私はよしとします。そうだろうと思います。政界、財界の著名な人の許可を得たか得ないか、そんなことはせんさくできませんから別問題として、そういう人の名前をあげることによって国士舘大学というものを非常に大きく前面に出そうとしておる。一方顧問とかあるいは維持委員の名前にあげられた人は、私はそうでない、こうおっしゃっておる。それがほんとうだろうと思いますが、そういうところの政界の大ものが名前を連ねておるところに文部省はいじけておられるのではないか。私はそう思うのです。そうだったらたいへんなことになると思うのです。これが一つの考え方。
もう一つは、この中に書いてあることは天皇制の護持です。けっこうです。思想ですから。各人いろいろな思想を持っていいのですから、私はそれまで否定しません。しかしながらそれは考えようによっては天皇の名前において訓練をやる、天皇の名前の陰に学長が隠れて、あるいは顧問の陰に隠れてやろうというひきょうな思想があると思うのです。そういうことにごまかされたら困ると思うのです。だからそういう点はよくよく検討してください。私は後にこの中で教育の内容として申し上げますけれども、そういうように考えてみましたときに、天皇の名前の陰に隠れるというのなら、それほど不敬なことは私はないと思う。そういう点は問題があると思うのです。その二つのことがやはり大きな要素になっておるのじゃないかと思います。皆さんがそういう幻影におびえられるというか、そういう見せかけにおびえられるというなら改めてください。そして私たちと一緒に教育をよくするために柴田さんに会ってもいいじゃないですか。調査に行ったらどうですか。参考人として呼ばれるのもけっこうですけれども、私は委員会が調査に行く必要を後のほうで言いますが、大学関係の両横綱の局長がおられるのでちょっとお聞きしておきたい。杉江さんどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/106
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107・杉江清
○杉江政府委員 私のほうはこれまでも私のほうでできるいろいろな調査はいたしてまいっております。ただいまのような点については今後検討させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/107
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108・天城勲
○天城政府委員 私も私たちの与えられた立場で最大限度の事情を明らかにする努力は続けたいと思っています。
それからちょっと補足させていただきたいのでございますけれども、先ほど三木先生が暴力事件とおっしゃったのは、学長の暴力事件ということなんでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/108
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109・三木喜夫
○三木(喜)委員 そういう、連続してやっています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/109
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110・天城勲
○天城政府委員 さっき私もちょっとことばが足りなかったと思うのでございますけれども、佐藤医師の事件に関して具体的のお話でございましたが、佐藤医師解雇事件をめぐってそういう意見があるということを聞いております。学校側はこれを否定しておりますので、その事実の真相は私どもにはいまのところわからないのでございますが、解雇事件があることは私存じております。御存じのとおり告訴になって刑事事件になっておるものでございますから、その真相については私は何とも申しかねますが、佐藤医師の解雇事件そのものは存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/110
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111・三木喜夫
○三木(喜)委員 いままでのものはそれだけです。しかしながら杉江さん、ここに調べに行かなければならない事実を私は出します。あなた方が調査されたのでは完全にごまかされておるというその証拠をいまから出しますから、それで今度は答えをしてください。柴田学長のやっていることは、教育的な立場から見てこれでいいかどうかということを聞くわけですから、杉江さんひとつお答えしてください。
ここに二冊の本がございます。一つは「革命は如何にして起るか」というものです。もう一冊は「日本はこうすれば立直る」という本です。この本は生徒と保護者が強制的というか義務的に買わされているということを御存じですか。まずそこからお聞きしてまいりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/111
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112・杉江清
○杉江政府委員 私はそこまでは存じておりませんでした。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/112
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113・三木喜夫
○三木(喜)委員 この写真に載っておりますから、見ておいてください。
〔三木(喜)委員、杉江政府委員に写真を示す〕
そこで、この本は毎週一回、一年から四年まで集めて柴田学長の訓話のときに使われるのです。しょっちゅうではありませんけれども、訓話のときに使われる。そして実践倫理の単位としてこの本が使われておるわけです。そしてこの読後感というものをこれによって求められる。もしこの読後感を出さなければ、単位はもらえない。そして実践倫理の単位をもらえない者は卒業できない。こうなる。こういう仕組みです。
そこでこの中に書いてある例をひとつ申し上げましょう。「革命は如何にして起るか」という中に、読んで見ると驚くほどです。「売国的要望を全権河野以外の日本人の誰がするか、」——河野さんのことです。「彼は醜聞の平塚の家一軒焼かれた位で警察を恨んだ記事が新聞に出たが、ソ連から、数百万人の同胞が家を焼かれ、」云々と書いてある。飛びまして、「実に全権河野は、国家、国民の名誉と利益とを、破れ草履のように捨て去った。日本三千年の歴史に前例なき愚劣極まる売国奴とごうごうたる非難が起つた。この大罪は、共産党の徳球が犯し、社会党の茂三が」——鈴木茂三郎さんの茂三です。「茂三が犯しても許し難いが、保守党大臣の河野が犯した事は断じて許すべからず。」そしてずっと飛びまして、「これを承知で大臣にした岸信介は同罪である。池田勇人も同罪である。彼を当選させた選挙民も同罪である。これに一片の筆誅も加えぬ新聞も同罪である。憂国の義憤に燃ゆる国民の名において断乎、政治的極刑に処すべきである。」とこう書いてある。極刑ですよ。保守党の諸君もよく聞いておいてください。あなた方もやられるのだから。
その次、マッカーサーの占領革命」について、「彼は執行吏の仮面を被って、強盗の行為を行い、」政治を破壊し、制度を破壊し、教育を破壊し、道徳を破壊し、国防を破壊し、治安を破壊し、秩序を破壊し、科学研究を破壊し、産業を破壊し、貿易を破壊し、ずっとこう書いてあります。これがマッカーサーです。保守党の諸君はマッカーサーをそうそう悪う言うはずないと思いますけれども、そのマッカーサーを受け入れ、占領政策を受け入れ、そうした今日の行き方というものに、こういうような筆談が加えられておる。
それからこれはさっき言いました「日本はこうすれば立直る」という中にこういうことが書いてある。前を抜かします。「門上家の弟は、兄が殺したのではありません。吉田茂首相、鳩山一郎首相、岸信介首相、池田勇人首相が「悪政治」で殺したのであります。彼等は、門上家の弟一人だけでなく、全国二千二百万の学童を全部、今でも「極悪政治」で殺し続けているのであります。」同じく九十九ページには、「彼等は一人二人を殺したのではなく二千二百万の学童・生徒・学生を連続的に精神上殺している殺人鬼であります。」それから二百六ページ、これは浅沼委員長のことが書いてあります。「たまりかねた右翼の人々は、一人一殺主義とかで、浅沼稲次郎が刺された時など、「自業自得、人手を借りて自殺かな」と発句を読んだりしたと聞きますが、」云々とある。学生から聞いたのですが、これを講義するときは学長は山口二矢をたいへんほめておるそうです。こういう教育をやっていることは、私は教育の内容として妥当でないと思うのです。これは一例ですけれども、こういう内容でよいのかどうか。これが読後感として感想を出さなければ卒業できない。そういうことなら、これは教科書にひとしいと思う。文部省にも私は問題があると思うのですが、これは刑事的にも問題がある。杉江局長さん、これでいいですか。こんな内容で教育していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/113
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114・杉江清
○杉江政府委員 まず私どものほうで学校の関係者に伺いましたところ、テキストとしてはこれを使っていない、こういうようなお答えをいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/114
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115・三木喜夫
○三木(喜)委員 答えた責任者を言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/115
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116・吉里邦夫
○吉里説明員 公式的でなくて、私は非公式に口頭で大学の教務幹事、その他に聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/116
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117・三木喜夫
○三木(喜)委員 非公式でもいいですから、だれに聞いたかということを言ってください。そういうことなら、またあとで取り消せますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/117
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118・吉里邦夫
○吉里説明員 教務幹事というのは、藤井という方であったと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/118
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119・三木喜夫
○三木(喜)委員 テキストとして使っておるおらぬは調査しましょう。重大問題ですから調査しなければならぬ。殺すとか、テロとか、殺人鬼とか、政治的極刑とか、こういう書き方で、義務的に買わされている本をあてごうて、それによって読後感を書くということなら、思想の固まっていない生徒に対してどういう影響を及ぼすか。あなたは、調べてみたらそういうことはなかったとおっしゃるけれども、事実だとすれば、これは重大な問題ですよ。思想的に固まっていない生徒にこういうことを教えるということは、どういう結果を来たすと思われますか。杉江さん、あなたは、教育の内容について干渉する、こう言っておったから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/119
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120・杉江清
○杉江政府委員 お伺いした限りにおいて、もしこれをテキストとして使うということであれば、私は必ずしも適当ではないと思います。ただ大学において、教育内容の選択は大学の裁量の範囲にあるものであります。その限りにおいて、大学の学問の自由を内容とする自治との関連においてこれをどう考えるかという面があると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/120
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121・三木喜夫
○三木(喜)委員 私、冒頭に申しましたように、これは必修科目ですよ、実践倫理ということで。だから、選択の自由もない。これは一年から四年まで全部一色に塗られている。そしてこの内容でいいですかというのです。選択の自由があるとか、変なことを言いなさんな。こんな内容ではいけないでしょう。私はひどいところを読んだわけですけれども、まだ歴史的な面もいろいろあります。それはどうですか。
〔発言する者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/121
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122・谷川和穗
○谷川委員長代理 静粛に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/122
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123・杉江清
○杉江政府委員 いま御指摘のような点について、私も必ずしも妥当だとは考えませんけれども、ただ私が選択と申し上げましたのは、どういう教材を大学で使うか、教育内容に何を選ぶかということは、基本的に大学の自治の範囲の問題になってくるわけでございます。そういう関連において、その大学で使われる教材についての妥当性云々の判断は、私どもは慎重な立場をとらざるを得ないということを申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/123
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124・三木喜夫
○三木(喜)委員 私は早くやろうと思ったけれども、そういう言い方をすれば問題になってくると思うのです。こういうような内容を生徒に教えつけておるのだから、その範囲内ではどうですかと聞いた。それがなければ一番けっこうですよ、しかしこんなことを押しつけておるのではどうですかということを言ったら、それは自由だとかなんとか、ここには自由はないですよ。私が冒頭に言うたでしょう。それであなたいいですか、そんなことを言ったらたいへんなことになるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/124
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125・杉江清
○杉江政府委員 その辺は、その教育資料をどういうふうに実際使われておるかということがやはり問題だと思います。そういった具体的な内容、具体的な方法等を吟味せずに、単にいま御指摘の資料そのままでどうかという御質問に対しては、やはり私は大学のたてまえからは軽々に判断しがたい、こう申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/125
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126・三木喜夫
○三木(喜)委員 それはもちろんそうですけれども、しかしながら前提として、私は全部これでやられておるのだ、こういうことを言っておるのですが、それはまあ仮定としましよう。それがわからない、こうおっしゃるから、それを調査する必要が出てきたわけですね。いいですか、あなたの言うのは、わからないですから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/126
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127・杉江清
○杉江政府委員 教育内容に対する調査は私どもは軽々にすべきでないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/127
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128・三木喜夫
○三木(喜)委員 なぜ調査をしたら悪いのですか。これをやっておるんですよ。これをやっておるのに、それならほっとくのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/128
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129・杉江清
○杉江政府委員 私は先ほどの当、不当を言うときには、やはりきわめて具体的な状況把握が必要であると申し上げたわけですが、そういう意味において、そういった具体的な状況把握というところまで、具体的な調査をなすべきかどうかについては、私たちは疑問があると考えております。ただそういうふうなものが教科書として使われているかどうかという点は、これは私ども調査の対象になり得ると考えて、先ほどのように関係者にその間の事情をお尋ねし、調査いたしたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/129
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130・三木喜夫
○三木(喜)委員 その調査の内容が違っておりますから、再度調査をする必要ができてきておるから私が言うわけです。それが間違ってなければこのまま私も引き下がります。しかしながら私の調査したところでは全然違いますから、それで申し上げておるのです。こういう内容でいいですか。しかしながらそれは前提があります。そういうことを調査しなければわからないというあなたの言われる前提と、大学の教える内容については調査するかしないかということは、これは大学の自主性を侵すという問題があるので問題だということもわかりますけれども、こういうことをやっておったら、これはたいへんなことだと私は思うのです。そこで調査が食い違っておりますから、それは調査しなければならないでしょう、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/130
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131・杉江清
○杉江政府委員 まあ私どもの調査ではそうなっておるのであります。もしそうでないということであれば、これはまた別でございますけれども、私どもは一応調査を終わったと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/131
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132・三木喜夫
○三木(喜)委員 えらいあなたは固執するんですね。その調査は向こうに聞いただけでしょう。それも非公式です。それがみな間違っておるんですよ。そんな調査では意味ないでしょう。それはあなたおかしいですよ、これだけ問題の学校ですよ。そんな問題の学校の内容を調べないで無制限に許しておるということになると、これは日本の大学教育にとってゆゆしい問題ですよ。だから、あなた方が言いよるのは、結局私がさっき言いましたように、大学の自主性というところに隠れて調査をさぼっておるわけです。それともう一つは、えらいおびえておる。うっかりこれにからまれたらめいめい自分の首があぶないというような危険性を感じておるわけでしょう。そういう子供だましみたいなことにわれわれ黙っておるわけにいかないのです。問題点は二つですよ。だから最初に二つはちゃんと言うてあるじゃないか。(発言する者あり)黙れ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/132
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133・谷川和穗
○谷川委員長代理 私語を禁じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/133
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134・三木喜夫
○三木(喜)委員 どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/134
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135・杉江清
○杉江政府委員 私どもは一応調査したのでありますが、その事実を……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/135
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136・三木喜夫
○三木(喜)委員 違うよ。聞いただけだよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/136
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137・杉江清
○杉江政府委員 それはまあ別の問題になると思いますけれども、一応調査いたしました。ただ、国会においてもいろいろ参考人等をお呼びになってお調べになるということでありますから、そういうふうな点でその点は明らかになってくると思いますが、私どもは一応……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/137
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138・三木喜夫
○三木(喜)委員 ちょっと待て。そんな非公式に聞いたことが調査になっておるのですか。非公式に、名前も言えなかったじゃないですか。それが調査しました、そんなことをあなた主体にしていままでやってきておったのですか。この委員会なり法務委員会でいろいろやってきたことを、そういうことでいままで国会でやったことを軽視してかかっておったのですか。これは重要な問題だから私どもも言うのじゃないですか。殺すとか、テロとか、政治的極刑とかいうことが内容に書いてある。保守党の人でもこれは私は認めるべきものじゃないと思うのです。しかしながら、これが教科書でやっておったかどうかということにおいて問題があるということだから調査しなければならぬ。それがあなたは、調べてみました、非公式でした、こういう答えじゃないですか。それが非公式で調べて何の公的な価値があるのです。そこに調査の間違いがあると私たちは言うのじゃないですか。そうすると、大学の自治があるからそこまではいけません、選択は向こうの自由です、私らは調査したのですからもう責任ありません、こういうぐあいに逃げる。そこに問題があると思うのです。これは内容的に非常に問題を含むのですよ。そこで私は申し上げておる。そうじゃないですか。それは一ぺんよく考えてください。私は問題だと思いますから……。杉江さん、ひとつ答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/138
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139・杉江清
○杉江政府委員 いまの点についてはよく考えてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/139
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140・三木喜夫
○三木(喜)委員 次に柴田学長はたびたび暴力事件を起こして、あまつさえ生徒にさえ体罰を加えております。これは二宮委員が触れたとおりです。これで学長として風上に置けるか、教育者としての資格が成り立っておるかどうか、私は疑問に思うのですが、先がた設問としてお聞きしたように、三隅教授はステッキでなぐられております。これは昭和三十八年の六月六日。集会の席上、二千人の人の前で法学部の一年生ですが、三十九年の九月一日、始業式のときになぐられております。その告訴をしてから後に政経学部の学生が殴打されております。これは四十年十一月の二十七日。それから同じく政経の学生が殴打されております。この学生は停学になっておりますが、これは四十一年の二月。これについては証人を出すことも可能だと言っております。これは学校教育法十一条違反ではないか。体罰を加えてはいけないということが十一条に書いてありますが、こういうことを次々とやっておる。これは表に出ただけです。こういうような考え方で生徒をしばき上げておる。それでいいのかどうか。これは管理の立場からひとつ管理局長にお聞きしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/140
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141・天城勲
○天城政府委員 まずその事実を私存じておりません。ただ法令上、先ほどもお話が出ましたように、学校教育法上では体罰は禁止しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/141
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142・三木喜夫
○三木(喜)委員 だからどうですか。そういうことがあるからということで、連続暴力事件はいままで調査になりましたかということで私聞いたのです。そこでやはり調べる必要があるでしょう。どうですか、これもないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/142
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143・天城勲
○天城政府委員 これは先ほど学長の連続暴力事件があるからというお話がございましたので、これは調べてみるとお答え申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/143
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144・三木喜夫
○三木(喜)委員 関連がありますからもう一つだけお聞きしておいて、そうして答弁で不満な点が多いですから、また後ほど別のときにやるといたします。さらに二宮委員も触れましたように、体罰の一種として使役を課しておる。実践倫理の要素として、その仮面をかぶって便所掃除、教室掃除、これは一週一回やっておる。これは自治的に申し合わせの形をとっておりますが、それはいいとして、その上事故者、実践倫理の単位の不足の者に対しては復学させるまで使役に使うのです。警備員の仕事はもとより事務所の仕事、雑役、ペンキ塗り、門番等までやらせております。したがって、生徒を使っておるのですからこの学校には用務員がいない。これも一種の体罰であり強制労働であると思うのです。私はこれは労基法違反にもなろうかと思います。こういうことをやっておる。これは一種の体罰の続きだと私たちは思うわけですが、管理局長どういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/144
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145・天城勲
○天城政府委員 学生に対する門衛勤務等の問題について、この前調べるようにというお話がございましたので、学校側に対して調査いたしましたが、これにつきまして学校側からの回答といたしましては、国士舘学生心得というのがあって、その中に学校内における心得として十四項目、その中の第十四項に、諸勤務の心得としてきめられている問題がございまして、掃除、事務受付の諸勤務は、社会に出た場合のことを考えて責任を持って確実に仕事をするという習慣をつけるために学生心得の中で規定している。それから、特に外来者に直接接する勤務、受付者は、一人の言動が学校全体を代表するものであるから、その言語、態度、服装を厳正にして親切丁寧に応対している云々、そういうような心がけでやれということを規定して、学校の学生指導の一環としてこの諸勤務を学生に命じているのであるということが報告されております。したがいまして、門衛勤務につきましても、全学生に交代勤務で勤務させて、当該学生に対して授業に支障を生じないように配慮しながら、全学生にこういう勤務を与えているんだということを言っているわけでございます。それから、これらの点についてかなり厳格な勤務を命じていることは事実のようでございますが、これらの点につきましても重ねてこの機会に聞いたわけでございますが、学校としては、これは一つの教育方針だということを私たちのほうに回答してきております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/145
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146・三木喜夫
○三木(喜)委員 把握のしかたを平面的に一方だけとらえるとそうなんです。そこまではいいのですよ。私たちもそこまでは是認するのです。教育としてそういう労働といいますか、労作、からだで働くことを加えていくということも一つの方針です。しかしながら、実践倫理の単位をとれなかった者に労役、使役を課することによってそれを埋めていこうという強制労働の形がある。事務所の仕事をやらせるとか、ペンキ塗りとか、こういう仕事は、当然教育的な仕事の内容に入らないわけです。これはどちらかというと一般の労務者を入れてやらなければならない、学校が雇わなければならない問題です。ここまで逸脱していっておるのです、そういう美名のもとで。そこを問題にしておるのです。だから先方だけの報告をもって足れりとされるところに私は問題があると思うのです。それとも調査されますか。そういう逸脱しておるところに問題があると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/146
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147・天城勲
○天城政府委員 いろいろのお話もございまして、大学側としては、学生の生活指導上ほかの学校よりもかなりきびしいかもしれぬけれども、自分の学校としてはこういう方針をとっておるんだということを言われておるわけでございます。その勤務の個々につきまして、それが教育的であるか非教育的であるかという判断になりますと、きわめてむずかしい問題ではないかと思うのでございますが、私たち学校に調査をしたところこういう回答をしてまいったわけでございます。それから、単位不足の場合にこういう勤務を懲罰として科しておるんだということは、学校側はそういうことはないということを言っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/147
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148・三木喜夫
○三木(喜)委員 学校側のそういう答えだけでは一方的になっておるのです。そこで私は両横綱ということを言いましたが、学校教育をよくする、私学を盛り立てるという立場からこれを解明しておかなかったら、こういうものまで許しておるところに、文部省も一緒になってこのことを認めておるのかという批判が出てくるわけです。そこで徹底的に調べるということは、調べ方に問題があろうと思いますけれども、ただ非公式に聞いたとか、学校の報告だけでこうでしたこうでしたと言ってみても、それは当たりませんということを言っておるのです。こういう逸脱した点があるということを申し上げたので、これは調査する必要が出てくると思います。
そこで申し上げます。そうおっしゃるなら、管理局長としていままであなたがだまされておるということを申し上げます。あなたの調査がそういうことであるならば、私は、最も悪質な問題、学部学科の設立について二重専任、これは二宮委員が触れましたけれども、それから虚偽の申請、詐称、ごまかし、インチキをやっております。教育者の風上に置けないものだと思いますが、文部省はこれを許可しております。たくさんそういう例がありますので、悪質なものから私は順次申し上げたいと思います。こういう申請書が出ておりますけれども、この中の重要な点はみなインチキで、ごまかされております。たとえば校舎の問題です。この中にもその回答が出ておりますけれども、国士舘大学の世田谷校舎の敷地は、所有地が六千坪、借地が六千坪であり、四年制大学の一学部を建てるのには、建坪千五百坪、敷地六千坪としております。国士舘では一万二千坪に左のものが設立されております。一、体育学部、二、政経学部第一部、政治学科、経済学科、経営学科、三番目、政経学部の第二部に経済学科、政治学科、四番目に工学部の機械工学科、電気工学科、土木工学科、建築学科、五番目に法学部、法律学科、六番目に文学部、教育学科、史学地理学科、文学科、七番目に大学院、政治学研究科、経済学研究科、八番目に短期大学、国文科、工学科(昼間)、商業科(夜間)、九番目高等学校、十番目中学校。これだけの学校が一万二千坪の中にひしめき合っておるわけです。その中には、問題点だけ申し上げますが、専用校舎だというて届け出ておりますけれども、実は専用校舎になっていない。宙に浮いたまま、専用校舎がないままにあなた方は許可を与えておる。これは、皆さんお急ぎですから、一つ一つ言いませんけれども、後の機会にこの点はお聞きしたいと思います。あなた方のところに行って、これは一つ一つただしたいと思います。皆さんの前で言うと、もう時間的にお急ぎだと思いますから、申しませんけれども、これはどうなっておるかということでお聞きしたいと思います。とにかく、要は専用校舎でないものを専用校舎として届け出て、そうしてそれはほかの教室に使われておる。そういうような許可申請が出ておるのにかかわらず、それに対して許可を与えておる、あなた方も、三十九年に、杉江さんのときですか、これについて勧告をしておられる。こういう条件でやりなさいということを言っておられるにかかわらず、それを守っておりません。さらに専任教授の問題も、専任がほかの学校の専任と一緒になっておる。こういうことはできるのですか。専任の場合、所得税の問題がどうなるかということがありますし、両方のかけ持ちでやっておるのです。これは明らに税金をごまかすという方法にしかならない。そこでこれも私は証人として呼んでもらいたいと思うのですが、そういうことをやっておったが悪かったということで、そういうことを悔いておる方も中にある。そういうことを一つ一つ取り上げるのはこらえてくれ、こういうように言っておられる方もある。これは良心的な人です。二面に、校舎と、それから人との中に非常なごまかしがあるままに、こうした設置認可申請書というものが出され、それをうのみにされておる。一時は文部省も非常に困られたそうですね。そういうことも聞いておりますけれども、そういう紆余曲折はここでは触れますまい。しかしながら、そういうインチキをやって、ごまかしをやって、そうして大学の学科、学部の新設許可をとっておるというところに、私は教育者としてどうかと思う、この学校のあり方について問題があると思いますので、また杉江さんの御答弁でも問題があったと思いますから、きょうは一応この辺でおいて、杉江さんと、それから管理局長とお二人にじかに私はこの話をしておきたい。すでにここの教授だった人から管理局長に、こういうことを言っておりますということを三回にわたって、私信の形ですけれども、注意を申し上げておるようです。その書類も私は持っておりますけれども、それを見のがしてこういうところを許可されたということは、顧問の名前が大きく光っておるということは抜きにしても、これは大きくあなた方の潜在意識の中にのしかかっておるのじゃないかと思うのです。しかしながら、そういう顧問に名を連ねられた方はそうでないとおっしゃると思う。私はこれはほんとうだろうと思う。こういう事大主義的な考え方のもとに自分を隠し、ときには天皇の名前を冠して教育を進めていく、自分はその陰に隠れていこうというこういう考え方の教育には私は大きな問題があろうと思います。まだ問題はあとに残っておりますし、あなた方の答弁なさってくださったことに非常に不満なものがあると思いますので、社会党としても考えてもらいたいと思いますが、きょうはこれくらいでおいておきたいと思います。
そこで、大臣代理として中野さんおいでになっておりますが、こういう状況ではこれは調査をしなければならない、あるいは参考人として呼ぶ必要がある、こういうふうにお考えになりませんか。私は一方的にものを言うておるのではありません。もし一方的にものを言うておるとすれば、なお調査してもらう必要があると思う。どういうぐあいにお考えになりますか、御所見を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/148
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149・中野文門
○中野政府委員 いろいろとお聞かせいただきまして、私としては先ほども申し上げましたように、国士舘大学の問題を、またいろいろと聞かしていただいたのはこの席が初めてでございまして、その点ははなはだ残念でございます。
ただいまのお尋ねでございますが、調査のことにつきましてもいろいろと他の政府委員のほうからもお答えを申し上げましたが、私の考えるところによりますと、結局するところ、学問の自由とか、あるいは大学の自治とかいう問題と、文部省自体に法律上与えられておる権限との関係が、いろいろの場合に大事な一つの事柄になってまいりますので、いろいろと不審な点があれば直ちに行って調査をするといいましても、結局文部省の法律上の権限を逸脱するわけにはまいらぬと思いますし、特に無事平穏な場合において、かりにいろいろな調査的なことを各大学等にいたしますというと、もうきゅう然として文部省が非難されるというようなこともあるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、委員会の場において委員の方から一つの調査を要求されて、その御要求に基づきましてやるところの調査は、権限の許す範囲内において真剣に、真実に行なわなければならぬことは当然であろうと思いますし、さらに、われわれの文部省側が一応調査したことが、先生方の御調査と全然相反するというような逆の一つの面、逆のと申しますか、その調査は違うのではないかと立証されて、証拠を提出されて、さらに調査を御要望に相なったことにつきましては、文部省といたしましても十分——重ねて申し上げますが、非常に遺憾ながら、私、しろうとでございまするし、文部省自体のこういう場合の権限が決して権力におもねるわけでも何でもなかろうと思いますが、非常に萎縮された法律の権限しかないようにしろうとながら思うのでございます。しかし、おことばでございまするが、あらためていろいろな新しい御指摘事項につきましての調査につきましては、十分省内で検討させてもらいたい、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/149
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150・三木喜夫
○三木(喜)委員 大臣にかわって所信の表明がありました。私たちのほうも、この件は決してゆるがせにできない重大な問題を含んでおりますので、党としても再度検討していただくようにしたいと思います。
ただ、ここで委員長にお許しをいただきたいことは、両局長に私一人でお伺いするのも何だと思いますから、社会党の者、自民党の方でもいいですから、立ち会っていただいてお聞きして、きょう質問できなかった点は一ぺんただしておきたいと思います。その上に立って、調査をするとかしないとかという問題に発展してくると思います。
重要な問題を時間の関係でたくさん抜かしておりますから、そういう点、皆さんの御意向をはかっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/150
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151・谷川和穗
○谷川委員長代理 ただいまの三木委員からの御要望に関しましては、あらためて理事会ではかることにいたしまして、本日はこれにて散会いたします。
午後一時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01519660401/151
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