1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月二十日(水曜日)
午前十時三十五分開議
出席委員
委員長 八田 貞義君
理事 上村千一郎君 理事 小澤佐重喜君
理事 谷川 和穗君 理事 八木 徹雄君
理事 川崎 寛治君
大石 八治君 久野 忠治君
熊谷 義雄君 坂田 道太君
床次 徳二君 中村庸一郎君
松山千惠子君 栗林 三郎君
高橋 重信君 横路 節雄君
鈴木 一君
出席国務大臣
文 部 大 臣 中村 梅吉君
出席政府委員
文部事務官
(大臣官房長) 赤石 清悦君
文部事務官
(管理局長) 天城 勲君
委員外の出席者
専 門 員 田中 彰君
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四月十六日
教育職員免許法の一部を改正する法律案(松永
忠二君外一名提出、参法第一一号)(予)
産業教育手当法案(小林武君外二名提出、参法
第一二号)(予)
同月十八日
日本育英会法の一部を改正する法律案(小野明
君外一名提出、参法第一三号)(予)
日本育英会が昭和二十五年四月一日以後の貸与
契約により貸与した貸与金の返還免除に関する
法律案(小野明君外一名提出、参法第一四号)
(予)
は本委員会に付託された。
同月十九日
日本育英会法の一部を改正する法律案(小野明
君外一名提出、参法第一三号)(予)
日本育英会が昭和二十五年四月一日以後の貸与
契約により貸与した貸与金の返還免除に関する
法律案(小野明君外一名提出、参法第一四号)
(予)
は撤回された。
同月十九日
日本育英会法の一部を改正する法律案(千葉千
代世君外二名提出、参法第一五号)(予)
日本育英会が昭和二十五年四月一日以後の貸与
契約により貸与した貸与金の返還免除に関する
法律案(千葉千代世君外二名提出、参法第一六
号)(予)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
参考人出頭要求に関する件
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する
法律案(内閣提出第一三七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/0
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001・八田貞義
○八田委員長 これより会議を開きます。
私立学校教職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑の通告がありますので、これを許します。谷川和穗君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/1
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002・谷川和穗
○谷川委員 私学共済の行なう給付は、現在私立学校の果たしている役割りあるいは置かれております立場から見まして、国公立学校の教職員に対する給付水準と比べて決して劣らない、こういうことがどうしても必要なことであろうかと存じます。今回まで数次にわたって法改正の目ざしてきたのもこのゆえんであったと理解いたしております。政府は、昨年に引き続いてこの法の一部改正を提案をされ、給付内容の改善をはかろうとされておりますが、われわれといたしましても二年続けてこうした給付内容の改善に政府が踏み切っておるということに大いに意を強くいたしておるところであります。
法案審議に入ります前に、まず手続上のことでありますが、社会保障制度審議会設置法の第二条第二項にはこの種の社会保障制度の改正の場合には審議会にかけることといたしておりますので、その手続を踏まれたことと存じますが、その答申はどのようなものであったかをお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/2
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003・天城勲
○天城政府委員 御指摘のように、共済制度の改善をいたしますときには社会保障制度審議会の意見を求めることになっておりますので、本件につきましても本年の三月二十八日に審議会の意見を求めたわけでございます。これに対しまして、三月三十一日付で、審議会の会長から文部大臣あてに、この法律の一部改正に関しましての御意見をいただいております。それによりますと、長い文言でございませんので、ちょっと読ませていただきます。「昭和四十一年三月二十八日文管福第八十九号で諮問のあった標記の件については、次の意見を付して了承する。厚生年金保険の給付に対する国庫負担率は、昨年の法改正によって百分の十五から二十に引き上げられた。この制度は厚生年金保険制度から分れたものであるし、この点についても考慮を払う必要があるが、給付内容等の点において厚生年金保険とは異なるものがあるので慎重な取扱いが必要である。」こういう御意見を付して了承をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/3
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004・谷川和穗
○谷川委員 次にお伺いいたしたいのでありまするが、第四十八国会における四つの項目からなる附帯決議が付されたわけであります。まず第一に適用除外校について。それから第二には国の補助率を引き上げることによって掛け金負担の軽減をはかれということ。第三点に、年金額のスライド制の確立。それからさらに第四点といたしましては、女子及び高齢者組合員に対する配慮をせよ。こういう四項目の附帯決議が付されております。第一の適用除外校の加盟の問題については、義務加入をたてまえとするこの法の精神から申しまして、全私学加入が望ましいことはもちろんでありますけれども、しかしながら、一方昭和二十九年以来の経過規定にかんがみ、かつ昨年の社会保障制度審議会の答申にも、既得権を残すような一種の付加給付的な制度を考える以外解決の方法がなかろうというような答申があったようにも承っておりますので、この際、健康保険組合等の取り扱には今後さらに検討を加えていただくことにいたしまして、私はこの第一点は触れずに、第二点以下の附帯決議についてその後文部当局においてどのような配慮がなされたかということをお伺いをいたしたいと思います。
最初に、年金額のスライド制について、その後どのような配慮がなされておるのかということについて、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/4
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005・天城勲
○天城政府委員 昨年の本法の改正に伴います院の附帯決議でございますが、それに対しまして、御指摘のように四項目ございますが、第一点の年金のスライド制に関する規定についてお答え申し上げますが、物価の変動などに対応いたしまして、年金額のスライド制を考えるべきであるという御意見につきまして、実は今国会にすでに提出されております。ちょっと長い名前でございますが、恩給法及び共済各法の一部改正法、まあ要約して申しますとそういう改正法の中に、年金額の改定に関する規定が含まれております。この改正法の八条で私立学校共済組合法の一部を改めまして新しい条文を挿入いたしまして、「この法律による年金たる給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」という表現によりまして、他の共済各法と同じような形で改定案を考えて、いま御審議をお願いしておるという段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/5
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006・谷川和穗
○谷川委員 この年金のスライド制につきましては、組合員の、特に高齢者あたりから非常に強い要望があるわけでありますが、いまお話をお伺いしておりますると、ほかの法律の中の条文にまかせるんだというような御答弁であったようにお伺いをいたしたわけであります。しかし、どうせこういうような給付内容の改善をはかり、しかもこれは昨年の附帯決議の中の一つの大きな柱であったわけなんでありますが、それをこの法律改正をするときにこうした別の法律にまかせたというのは、これは何か特別の立法上の理由があったわけでありますか。それともそういうような方式でいくことのほうが立法手続その他から見て妥当でもあり、そのほうがよりよろしいというような判断でなされたのか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/6
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007・天城勲
○天城政府委員 実はスライド制の問題につきましては、御指摘のように私学共済に限りませんで、国共済その他の共済制度を通じまして、かねてからの宿題でございましたので、今回共通的にこの問題を直すということで、先ほど全部読みませんでしたけれども、たいへん長い名前の法律で一括して処理したわけでございます。この一括処理していくと申しましたのは、ちょっとことばが足りなかったのでございますが、この法律で個々の法律を直してございますので、全文は「昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案、」たいへん長い名前でございますが、この中で関係法について関係の条文を一々直してございます。その中で私立学校教職員共済組合法の一部が直されている、そういう考え方でございます。
なお、別にした理由は特に他意はございませんで、この年金額スライド制が共通の課題として出ておりましたので、一括したほうが全体の動きが明らかになるという意味で措置した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/7
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008・谷川和穗
○谷川委員 それではただいまお話の出ました旧令共済に関する云々というその法律によって、昨年のこの附帯決議の精神はその法律が成立した場合に大いに生かされる、こういうふうに判断してよろしいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/8
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009・天城勲
○天城政府委員 去年の附帯決議の御趣旨を実行していくためにいろいろな措置がまだ関連いたしますけれども、基本的な方向といたしまして、このいま申し上げました法改正によりまして附帯決議の趣旨が実現できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/9
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010・谷川和穗
○谷川委員 それでは次に女子組合員及び高齢組合員に対する給付の改善についてどのように考えておられるか、またどのような措置をなさろうとしておられるか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/10
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011・天城勲
○天城政府委員 これは御指摘の去年の附帯決議もございましたし、御承知のことと思うのでございますが、私学共済のある意味では一つの特色になっておろうかと思います。要するに、女子職員が非常に多いのでございます。比率で申しますと、五〇%以上を占めております。特に幼稚園をかかえておりますために、幼稚園教員の九〇%が女子職員である、しかも女子職員は短期間でおやめになる方が多いために、退職一時金受給者が非常に多い、こういう点が一つの特色ではないかと思います。一面公務員ではございませんので、定年制というものも私学において必ずしも確立しておりませんために、高齢者の比率もかなり他に比較して多いという点も考えられます。こういう点から附帯決議の御趣旨は、女子職員が年金受給資格を得るに至らない者が多いから、あるいは高齢者については退職後の年金受給の期間が非常に短くなってしまうという点があるので、これらの点を考えてしかるべき措置、方法を考えないか、こういう御趣旨だったと思います。これは厚生年金におきましてやや類似の傾向がございまして、女子の掛け金率を男子よりも若干調節するとか、あるいは高齢者について在職中の支給、もちろん減額支給でございますが、支給制度があるからという点からだろうと思うのでございますが、先ほど先生も御質問の冒頭にございましたが、この私学共済制度というのはいろいろな見方はございますけれども、私たちやはり国公私立を通じて教員の共済制度という考え方を中心に考えておりまして、給付内容その他については従来から国共済に差がある点を縮めていく、国家公務員共済あるいは公立学校共済と差のないようにしようという、いま努力を続けてまいってきておりまして、昨年の法改正によってほぼその実が遂げられたような状況でございます。したがいましてやはり共済制度全般の動きというもの、あるいはあり方というものと、どうしてもこれは関連して考えていかなければならないものでございますので、他の年金制度等に特例があるから、直ちに私学共済においてもそれにならうということがなかなかむずかしい状況でございます。先ほどの社会保障制度審議会の今回の法改正に対する意見聴取に対する御意見におきましてもうかがえるのでございますが、共済制度とのバランスとの関連ということも十分考慮するようにということをいわれておりますので、私たちその点をやはり一つの点に考えますと同時に、私学共済の給与水準というか、あるいは学校法人あるいは組合員の費用負担の点等を考えていきまして、なおこの点は少し研究させていただきたいと思いましたので、今回までには特別な措置はいたしておりません。今後十分慎重に検討を進めていきたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/11
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012・谷川和穗
○谷川委員 昭和四十一年度の私学共済に対する国庫補助の問題でありますが、総額二億四千六百四十万三千円の、この金額の内訳について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/12
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013・天城勲
○天城政府委員 本年度の私学共済に対します国庫補助金二億四千六百四十万三千円、この内訳でございますが、長期給付に対する補助金が一億九千六百六十五万五千円でございます。このうちこのたび改正をお願いしております法改正による増額分として、千二百二十九万一千円が含まれております。なお、共済組合に対して、事務費の補助が別途ございまして、これが四千九百七十四万八千円でございます。以上合わせまして、先ほどの二億四千六百何がしという金額になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/13
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014・谷川和穗
○谷川委員 今回の法改正の主要点はどういうところにあるのか、簡単でけっこうでございますが、御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/14
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015・天城勲
○天城政府委員 今回の改正の要点でございますが、骨子を簡単に申し上げたいと思います。
第一点は、長期給付に要する費用に対する国の補助率を、従来の百分の十五から百分の十六に引き上げるということでございます。
第二点は、昭和三十七年の一月一日から新しい法律に変わっておりますので、それ以前三十六年の十二月三十一日までを一応旧法期間といっておりますが、この旧長期組合員期間に対する長期給付の給付額の算定の基礎となっております平均標準給与の月額、その算定方法を、組合員の資格喪失前、すなわち退職前五年間の標準給与の平均というやり方をいたしておりましたのを、このたび三年間の平均に改めるということと、それから旧法期間中におきましては、最高限度額というものが規定されておりまして、五万二千円というのが最高限度額でございましたが、この最高限度額を撤廃いたしました。したがいまして、新法の十一万円までの額に広がったわけであります。これが第二点でございます。
それから第三点は、既裁定の年金者、すなわち受給が始まっております既裁定年金につきましても、いま申し上げましたと同じように、過去の旧法期間の扱いにつきまして、五年平均を三年平均に改める等の措置をいたしておるのでございます。
それから第四は、組合員の期間が退職年金の最短の年金年限、すなわち二十年でございますが、二十年以上の者にかかわる退職年金、廃疾年金のうちで、年額六万円未満のものにつきましては六万円まで最低保障をいたそう、遺族年金につきましては三万円以下のものを三万円までという形で、最低保障を六万円にいたすという点が第四点でございます。
それからもう一つ私学共済には非常に特殊な要素が入っておりまして、これは大正時代から発足しております財団法人私学恩給財団をこの私学共済が発足いたしましたときに権利義務を承継いたしておりますが、その旧恩給財団の関係の方で昭和二十七年九月三十日以前に給付事由の生じたこの旧財団法人私学恩給財団の年金の額を、これも六万円の最低保障をいたそう、六万円まで引き上げようという点が第五点でございます。
なお、施行日につきましては本年の十月一日から施行する、これが最後の点でございます。
たいへん簡単でございますが、今回の法改正のおもな点は以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/15
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016・谷川和穗
○谷川委員 今回の法律改正の中で特に問題となりまする国庫補助率の引き上げの問題について少々お尋ねをいたしたいと思います。この問題は非常に議論の分かれるところだと思いますので少々多岐にわたりこまかくなりまするし、また私の個人的な意見も加味いたしましてお尋ねをいたしたいと思います。これは特に重大な問題点だと思いますので、お答えも十分にいただきたいと思います。
私学共済は厚生年金から分かれたものであるから、厚生年金の国庫補助率が百分の二十となった今日、私学共済も当然百分の二十であるべきだという議論があります。これはある意味では一つの議論であると私も思うのであります。しかしながら厚生年金における給付基準は初めから終わりまでの給与の平均、私学共済の場合は、この法の改正によりますと最終の三カ年の平均ということになるわけでありますが、このように厚生年金と私学共済の場合には給付額をはじき出す基準は全く違っておるようであります。また私学共済に対する助成は長期給付に要する費用と事務費に対する国庫補助金、さらに私学振興会からの資金という確定財源のほかに、不確定財源ではありまするけれども、都道府県からの助成というのが今日ほとんど制度化されておるように見受けるわけであります。そのために私学共済に限り、定款に定められた掛け金率よりも実質負担は幾らかではありまするけれども、低くて済むというような点もあるのじゃないかと思います。先般の社会保障制度審議会の答申にも、先ほどの局長の御答弁にもございましたが、厚生年金保険と私学共済では給付内容等の点において異なるものがあるので、というような一文がついておるようであります。私は私学振興というこの法の趣旨からいうならば、国庫補助率は何も厚生年金の補助率に追従しなければならないとか、あるいは厚生年金の補助率を基準にしなければならないというような積極的な理由はどこにもない、こう思いますし、また国庫補助率は、もし組会員の掛け金負担その他において問題がなければ、高ければ高いほどよろしい、こうも言えると思います。しかしながら一方、私学共済のねらいは、先ほど局長の御答弁にもございましたが、国公立学校の教職員に対する給付の水準に劣らないようにするんだ、これが絶対に必要なことなんだということであろうと思います。これを目標に、数次にわたる法改正も行なわれてきたことだと思うのでありますが、ただ私はこの辺で特に問題にいたしたいと思う点は、公的年金の場合と違って、私学共済のような私的年金の場合は、給付内容の改善を急ぐあまりに、それが掛け金負担にはね返ってくる、こういうことがあってはいかぬと思う。こういうことはできるだけ避けるべきであろうかと思うのであります。つまり、いかに給付内容が改善されても、それが直ちに掛け金にはね返ってくるような形になる。そのはね返りが大き過ぎるというのでは、事業主にとりましても、あるいは組合員にとっても必ずしも満足のいく制度であるとは言い得ないのだと思うのであります。あらゆる社会保障制度がそうでありますように、国の補助率は、対象とする事業主及び組合員の負担能力、給付内容等を勘案し、しかも他の制度との均衡もあわせ考慮に入れて決定さるべきだ、かように私は理解をいたしております。今回政府は長期給付に対する費用について、従来の国庫補助率をさらに百分の一だけ引き上げることによって、私学共済の給付内容の改善をはかることを意図いたしておられるようでありますが、百分の一引き上げることによって、いかなる内容改善が期待できるのか、これが第一点。
さらに私がお伺いをいたしたいことは、その内容改善は、事業主または組合員、こういう方々の掛け金にはね返ることなく、国の補助率を百分の一引き上げるその範囲内においてまかなえるのだ、こう理解してよろしいかどうか、この辺を御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/16
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017・天城勲
○天城政府委員 たいへんむずかしい点だと思うのでありますけれども、率直に私たちの考え方を申し上げたいと思います。
確かに、沿革的に申しますと、私学共済が厚生年金から分かれたと申しますか、その系統を一部引いているということは事実でございます。しかし私たち現在、最初に申し上げましたように、私学共済制度の給付内容と申しますか、給付水準というものを本法の制定趣旨であります私学の振興という点にしぼって考えますと、国公私立を通じて共済制度の趣旨を生かしていく、具体的には国共済と給付内容を合わせていくということに重点を考えておるのでございます。
その前提で、いま御指摘のような点もございますのでお答えいたしたいと思いますが、給付内容を改善するということが、いたずらに組合員や学校法人の負担過重になっていくことは確かに問題でございます。現在私学共済におきまして、長期の負担割合でございますが、千分の七十六という数字になっております。これを組合員と学校法人で折半いたしておりますが、これは国共済よりもまだ負担率としては低い状況でございます。昨年の法法正によりまして、ほぼ内容的には両者平等になりましたけれども、なおしさいに見てまいりますと、先ほどもちょっと申し上げました旧法期間の計算につきまして、年金額算定の基礎となる平均標準給与の月額がまだ若干下回っておるようなところが残っております。今回この点を改正いたしたい。それから既裁定年金の扱いにつきましても、公務員共済に比較して同じような事情がございますので、これらの点を改善いたしたいと考えたわけでございます。それで百分の十六という数字でございますが、前年に比べて百分の一だけの国庫補助の引き上げでございまして、組合員の掛け金を引き上げることなしに、要するに組合員個人の負担を増加することなしに、国庫補助の百分の一引き上げによって可能な限度の改善をいたす、あるいはこれらの改善をいたすことによって、いま申した組合員の負担が過重にならないという限度でこのたびの改正を考えているわけでございます。
大体基本的にはただいま申し上げたような趣旨で全体を進めておりますし、今回の改正の内容もその点が中心でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/17
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018・谷川和穗
○谷川委員 ただいまの局長の最後の御答弁で、今回百分の一引き上げることによって、さらに昨年に引き続いて給付内容を改善できるんだ、こういうふうに言われたわけでありますし、またそれは組合員あるいは事業主たる学校法人の掛け金負担にはね返ってこないんだというふうに理解いたしました。具体的には、この本法改正案によって私学共済の給付内容はどこのどの分がどのように改善されていくのか、現行法と比較をして御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/18
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019・天城勲
○天城政府委員 若干条文に触れる点がありまして複雑になるかもしれませんが、お許しいただきたいと思います。
先ほど申した、百分の十五を十六にいたします。これは法三十五条で国の補助率の引き上げでございますから、一%上がる、これが一つでございます。
それから第二点といたしまして、少しややこしくなるのでございますけれども、私学教職員に対します長期給付は、昭和三十六年の十二月三十一日以前の旧長期組合員期間に対応する給付額の算定にあたりまして、この基礎となります平均標準給与の月額の算出法につきまして、組合員の資格喪失前五カ年間の標準給与の月額の平均によるとされ、さらにその平均標準給与の月額につきまして最高限度五万二千円というのが設けられておりまして、したがって、そういう前提でおりましたので、退職時の最終俸給を基礎として年金額が計算されまして、しかもその大部分の者が新しい国共済とほぼ同じ水準と見られます恩給法の適用を受けている国公立学校の教職員の場合に比較して、やや下回っているということが、その頭打ちないしは五年ということであったわけでございます。これが法律で申しますと、旧条文で附則八項にこの規定がございましたので、このたび八項を直しておるわけでございます。直しました点は、先ほど申しましたように、旧長期組合員期間に対する平均標準給与の月額の算定について、組合員資格喪失前三年、それから五万二千円の頭打ちの廃止を加えるという形にしたわけでございます。これが附則八項でございます。
それから附則の九項の改正は、この三十七年一月一日の法改正を軸にいたしまして、前後にまたがっております更新組合員でございますが、この更新組合ですでに過去において一時金を受けていた者、いわゆる再就職者の年金計算において同じような調整をはかっていくという改善策をいたしました。それから更新組合員の退職一時金につきましても同じように三年平均に改める、五万二千円の頭打ちを撤廃するというような措置をこのたびいたしたわけでございます。
それから旧恩財につきましては、先ほど申しましたように、一律に過去の受給者につきまして六万円に改めるという内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/19
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020・谷川和穗
○谷川委員 一部にはわずか百分の一の引き上げはあまりにも少ない引き上げ率じゃないか、こういう議論もあるように私は感じておりますが、ただいまの局長の御答弁をお伺いいたしておりますと、わずか一%であるけれども、この一%の使い方によって給付内容が非常に改善をされ得るんだ、それが今回の法律改正の中心なんだというふうに判断をいたしたわけでございます。特に旧法期間の適用のうちで、平均標準給与の算定期間を新法並みに三年にする、こういうような扱いをするために、この一%というのが実に大きな意義があるんだ、こういうように聞き取れたのでありますが、そのとおり判断してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/20
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021・天城勲
○天城政府委員 ごく簡単に申しますと、国立学校、公立学校の先生と比較いたしまして、新法後の措置は同じなのでございますけれども、国立学校、公立学校の先生は以前が恩給を継続しておられますから、それと私学の旧法期間の間の扱いに差がありましたので、今回これを直すことは、長い目で長い勤続の教職員の立場を考えますと、国公私立で全体の差がなくなってきたということで、私たちとしてはもちろんいろいろな前進的な希望がございますけれども、基本的な問題が解決できたと考えております。これらの一連の措置によりまして、既裁定の年金にそのことは及ぼしていくつもりでありますが、既裁定の年金につきましても金額的には約一割ほど、ならして考えますと引き上げられることになっております。
それから六万円の定額保障という問題につきましても、恩給制度におきましても今回この趣旨がとられておりますので、これも共済制度としては共通的に今回やるべき点じゃないか、こう考えておりまして、これらの点を織り込んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/21
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022・谷川和穗
○谷川委員 国公立学校教職員の給付内容に差をつけない、それに均衡させるというのがこの私立共済の中の一番大事な問題点である。そういう意味からいうと、わずか一%であるけれども、今回の国庫補助率を引き上げることによって、昨年に続いてさらに非常に大きな給付内容の改善ができたということを承って、それはまことにけっこうなことだと思うわけであります。ところが、また一面思うのでありますが、いまちょっと局長の御答弁の中にも出ましたので、その問題についてさらに詳しくお聞きしたいと思います。
最初のころの局長の御答弁の中に、私学の特殊性といいますか、私学には比較的老齢組合員が多いというお話でございました。私学共済が権利義務を継承した旧財団法人私学恩給財団の年金受給者の方々は、ほとんど大部分高齢組合員じゃないかと思うのですが、昭和二十七年九月三十日以前に給与事由の生じた者の該当者の数、及び今回の改正によってそれを一律に六万円に引き上げるようになる、この理由についてお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/22
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023・天城勲
○天城政府委員 先ほど申し上げましたように、これは大正十二年に発足しております旧恩財でございますが、この恩給財団の権利義務を二十九年から私学共済が引き継いでおるわけでございます。すでにその恩給財団の適用期間中に年金を受けておる方々がございます。この方々で現在引き続いて共済に入ってきておる方々については新しいいろいろな措置をとっておるのでございますが、すでに古い恩給財団の寄付行為の規定によって措置を受けた方々は、その限りでは年金額がストップしてしまうという事情にございまして、これにつきまして二十七年十月一日ということを申し上げておりますのは、これ以前に支給された方が現在の時点において七百三十二人おられるわけでございます。二十七年以後は恩給財団自身で最低六万円ということになっておりますけれども、それ以前の方についてはそこまでの基本的な最低の保障がないわけであります。今回、恩給法におきましても、既裁定年金者につきまして六万円の最低保障が考えられておりますので、私たちも当然、それは恩給財団でございますけれども、これらの老齢の方々に対して措置をいたすべきだと考えたわけでございます。もちろん旧恩財につきまして、昭和三十年の七月でございましたが、現在の特例法ができまして、いわゆるベースアップをしてまいったのでございますが、今回もその例にならいまして、六万円に引き上げたい、こう考えております。
七百三十二人の方々は年齢的には非常に高齢の方がおりまして、最高の方は九十六歳という方もおられることでございまして、六十歳、七十歳、八十歳というように、確かに御指摘の高齢者が多いわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/23
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024・谷川和穗
○谷川委員 九十六歳にもなられるような高齢の組合員がおられる。私はお聞きしてびっくりしたのですが、その方々にまことにわずかだけれども、一律六万円に引き上げられたということは、私はむしろおそきに失したくらいであると思います。共済にせよ、それから社会保障制度そのものが、やはりこうした高齢者にまず恩典といいますか、権利を付与していく、その方々を保護していく、その方々のためになるということが大事であると思うのであります。私は今回の法の改正はこの点において非常にいいことであると感じております。
それでは次に、最初に御質問を申し上げました附帯決議の中のスライド制にもいささか関係あることで、ここでダブってお聞きするようで恐縮でありますが、さらに局長の御答弁を得ておきたいと思います。というのは、既裁定年金の最低保障額を六万円に引き上げることにいたしたその理由づけといいますか、そういうところをぜひひとつこの際お聞きをしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/24
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025・天城勲
○天城政府委員 これは、この私学共済法が、たびたび申し上げましたように、給付内容につきまして、国共済を規定的にも準用いたしておりますし、考え方も国共済と給付内容を合わせていくというたてまえをとっております。今回、国共済関係におきまして最低六万円の保障を別途法律改正でお願いしているわけでございます。それから恩給法におきましても、最低六万円という数字が共通に考えられておりますので、先ほど申した趣旨から申しまして、国共済、恩給系統の関係から考えて、私学関係においても六万円という数字を取りあげたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/25
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026・谷川和穗
○谷川委員 今回の法改正は、先ほどもちょっと指摘を申し上げましたように、主として国庫補助金の補助率を百分の一引き上げることによって、どの範囲までの給付内容の改善がはかられるかということに論議が集中するだろうと思うのです。それから先ほどちょっと指摘をしましたように、巷間伝えるところによれば、いかにもこの百分の一というのは低過ぎるのではないかという議論もありますし、それから昨年に続いて二年続けて給付内容の改善だ、こう言っても、もともとこの制度ができるに至りましたいきさつだとか、今日までの私学共済の置かれておりまする立場だとか、こういうことを勘案いたしますと、まだまだこれは内容的に改善しなければならない問題点が多々あると思うのです。
ただ私がここでちょっと指摘をしたいと思いますことは、これは私が考えておることでありまして、あるいはその立論の過程において間違いがあるかもしれませんが、もし間違いがあれば指摘していただきたいと思うのでありますけれども、一方、現在われわれが期待をいたしておるような私学共済の給付内容を一挙に改善しようとする、たとえば既裁定年金の引き上げも大幅に一挙にやるとか、あるいは最低保障額の是正を一挙にはかろうとか、あるいは高齢者在職支給を相当若い人のほうから適用するとか、こういうことを全部一挙にやって、あらゆる共済制度よりも私学共済のほうがはるかに給付内容がよろしい、こういう制度を確立することは、それはそれとして一面大いに意義のあることだと思いまするけれども、もしそういうことをやろうとすると、国庫補助率をかりに百分の二十ぐらいまで引き上げても、やっぱりどうしてもこの不足分が出て、その不足分というのは掛け金アップ、つまり事業主たる学校法人及び組合員の折半負担をいたしておりまするこの掛け金の率をどうしても引き上げなければならない、こういうことになるのじゃないかと思うのであります。したがっておそらく文部当局においても、現在のこの私学共済の置かれておりまする立場からいっても、それから先ほど来局長の答弁の中にも再々出てまいりましたように、国公立学校の教職員の給付に均衡をさせたいというその考えからいっても、現在のこの今回提案されました法律改正だけをもって、これでもうすべて終わったというふうにはお考えになっておらないとは思いますが、同時に、いま私がちょっと指摘をいたしましたような問題点について、いま一挙にこれをやり切ろうと思えば、どうしてもこれは掛け金率の引き上げに行かざるを得ない、したがって、わずか百分の一ではあるけれども、百分の一は百分の一なりに、いま局長の御答弁にもありましたようなことから、この際これをやり遂げておくことが非常に意義があるのだ、こういうふうにお考えになっておるのだろうと思いますが、その点いかがでありましょうか、お伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/26
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027・天城勲
○天城政府委員 このたびの改正によりまして、私学共済の給付内容あるいはその他の事業全体を見て、非常に満足だということはまだ申し上げられる段階ではないと思います。なお改善を要する点がいろいろあると思います。たとえば既裁定年金の引き上げの問題などは、まだ今後十分に考えられなければならぬ問題だと思っております。それらについては、制度的に私学共済というものがかなり国共済と違う実態を前提にしております。要するに私学の実態というものが、ある意味では非常にバラエティに富んでおりますし、非常に大きな大学もあれば、少人数の幼稚園もあるというような形で実態が非常に違っております。またそれにあわせて一番問題の給与ベースについても非常に差があるわけでございます。これらの点を考えながら他の共済制度と同じような歩みをしていくことは、技術的にもずいぶん考えなければならぬ点がございます。と同時に、御指摘のように今後いろいろな給付水準を高めてまいりますためには、必然的に掛け金の引き上げか、あるいは国の負担の増加という問題にどうしてもぶっつかってくるわけでございます。この点について、物価水準も上がってくる、あるいは賃金上昇の傾向もあったり、いろいろなことがございますので、十分考慮しながら今後の改善をはかっていこうとは考えております。
繰り返して申し上げますれば、他の共済制度との関連を十分考えながら、それから財源負担の方法、組合員の掛け金率の問題あるいは国庫負担等のあり方等を含めまして、バランスをとりながら今後なお残っている問題の改善に努力していきたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/27
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028・谷川和穗
○谷川委員 それでは最後に、現在の私学共済組合の概況と、それから私学共済組合に対する各種の助成、その内容を少々具体的に御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/28
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029・天城勲
○天城政府委員 私立学校教職員共済組合の現況でございますが、いろいろ申し上げることがあろうかと思いますけれども、要点だけ申し上げます。
まず、その規模でございますが、四十年十月現在で加入口数が七千七百六十八校、組合員が十四万四千百三十人、これに対する被扶養者の数が十万四千七百十六人ということでございます。先ほど給与が非常に問題があると申し上げましたけれども、標準給与の平均は現在三万五百円でございます。
組合の行なっている事業でございますが、これは長期給付、短期給付と福祉事業でありまして、福祉事業の内容は、保健、医療、宿泊、貸し付け、そういうふうに分かれております。長期給付は、これも国共済と同じでありまして、組合員の廃疾及び遺族の補償に対する給付を行なっております。長期経理は、三十九年度末の保有資産が約百三十四億でございます。短期給付でございますが、これは組合員、被扶養者の保健、医療、災害補償に関する給付を行なうわけでございます。
それから福祉事業といたしましては、保健あるいは保養休養に資するための施設の運営あるいは組合員に対する臨時の支出の貸し付けでございますが、恒久的な保健施設としまして現在四カ所に保健施設を持っております。医療機関としては東京に病院を一カ所持っております。それから宿泊施設として全国に六カ所設置されております。貸し付け事業は一般貸し付け、住宅貸し付け、それから特殊住宅貸し付けと申しまして個々人が住宅を建設する場合の貸し付け、それから災害の貸し付けがございます。
以上が事業でございますけれども、財源といたしましては、大きく分けまして掛け金と国庫補助金と都道府県の補助金と、それから私学共済からの助成という形になっております。掛け金は、四十年度において長期が千分の七十六、この七十六の中に事務費財源として千分の一、福祉財源として千分の一を含んでおります。短期給付におきましては七十、これも事務費財源千分の二、福祉財源千分の一を含んでおりまして、この七十六と七十を使用者と組合が折半いたしております。
それから国庫補助でございますが、これは長期給付に要する費用が従来は一五%、今回の改正で御審議を願っておりますのでは一六%でございます。
それから都道府県の補助でございますが、都道府県から、掛け金率にいたしますと大体千分の八程度の補助を受けることになっております。四十年度で補助金が約三億三千万でございますが、都道府県の御協力によりまして、法人も組合員も実際に負担する掛け金は、補助金の率において実質的には低減をされているというような利便を受けておるわけでございます。
それから私学共済組合に対しまして振興会から助成がございます。これは先ほど来申しております旧私学恩給財団の年金の特別措置に関する法律という特別立法がございますが、この三条に基づきまして、旧恩財の既年金者の年金額の増額に要する費用につきましては、国庫補助分を除いては私学共済から助成を受けることになっております。そのほかに私立学校振興会から長期給付の整理資源の一部を助成を受けております。また事務所ですとか、福祉施設の新築等につきまして、毎年五千万円ほどの助成を受けておるわけでございます。
これらの点において、私学共済は他の共済とちょっと違った状況にあろうかと思っておりますが、概略、現在の私立学校共済組合の骨格と状態を御説明申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/29
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030・谷川和穗
○谷川委員 私は、当初に申し上げましたように、私学共済の置かれておる現在の立場、果たしている役割り、こういったものから、この制度の内容充実をはかることは今日の日本の教育制度を確立するためにもどうしても必要なことなんだ、こういう判断をいたしております。したがってこれは今後に残される問題でありますが、特に文部当局におかれましては、この私学共済が生まれ育ってきたいきさつもいろいろあると思うので、なかなかむずかしい問題もあると思いますし、また私学の持っております特殊性といいますか、それぞれの事業主たる学校法人、組合員たる学校の先生方、これは国公立の学校あるいは国公立の学校の先生方と比べまして、いろいろとこれまた特殊な事情もあることだと思います。したがって、私学共済をめぐっての各種の問題を解決していくことは、これまたなかなか時間のかかることだと思いますけれども、今回再び二年重ねての法律改正でありますが、さらにこの法律改正を足がかりとして、今後一そう私学共済の発展のために文部当局も努力をされますようにお願いをいたす次第であります。
それからただいまの局長の答弁の中に、短期並びに長期両給付の問題が出ましたけれども、たとえて申しますと、この短期給付の問題にいたしましても、これは何も私学共済だけの問題ではないにせよ、少なくとも短期給付に関しては自主財源ですべてまかなえ、こういうことになっておるわけでありますけれども、やはり医療費、薬価あるいはその他の厚生物資というものは、一方的にその値段がきまるわけで、こういうことから考えますと、共済内部の事業主及び組合員といった方々の掛け金負担が、この短期給付を今後進めていく上にもいま申しましたような制約からはね返ってくるようなことが万が一にもあるようであれば、直ちにこの短期給付に対しても、将来長期的な見通しを持って、ひとつ国が大いに助成する方式を打ち出す必要ができた場合に、そういうこともお願いをいたしたいと思いますし、また私立学校教育の重要性とその教職員の現在の待遇の実情などにかんがみ、今後私立学校共済の給付内容の改善については、私が当初論議をいたしましたように、従来から何かほかの、たとえば恩給だとか、あるいは厚生年金だとか、または国公立共済などに追随をする、そこまでいけばいいのだというようなものの考え方もあるといえばあるようなことも感ずるわけであります。しかしながら私は、やはり私学共済の独自の主体性を打ち出して、現在私学の置かれております独自な立場あるいは私学の果たすべき役割り、こういったものにますます益すべきであろう、かように考えておる次第でございます。したがって、いま私が申し上げましたのはむしろ将来の問題であって、この辺の問題についてもし平素文部当局においてお考えがあれば、最後にお伺いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/30
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031・天城勲
○天城政府委員 いま先生の御指摘の点、一々みなごもっともな点だと私たちも拝聴したわけでございますが、一面共済制度は社会保障制度という性格を持っておりますので、あり方としては他の社会保障制度の一環をになうわけでございまして、他の制度にただ追随するというだけのつもりではございませんで、社会保障の一環としての立場をやはり考えてやっていくということが一つの点だと思います。
同時に、私学共済制度ができた趣旨という点につきましては、先生御指摘のようにやはり私学の振興という一つの点がございますので、これは私学関係のいろいろな、私学三法といわれておる法律もございますし、また私学振興会という、これと非常に密接な関係にあります機関もございまして、ただいま申し上げましたように、私学振興会からの助成も受けますし、また、共済組合の長期の資金の運営につきましては、逆に私学振興会に貸し付けるというような形、そういう相互に助け合うと申しますか、力を合わせ合って私学の振興に力をいたしていくという点も片面ございますので、御趣旨の点は十分考えていきたいと思っております。
なお、短期につきまして御指摘がございましたけれども、最近健康保険の適用の医薬品がかなり使用制限が緩和されてきているというようなこともございまして、給付の支出が増加していく傾向がございます。しかし一面、これはいま御指摘のように医療保険制度全体とも関連がございますので、私たちも医療保険制度の抜本的な改正が全般的に検討されているということも間接に承知いたしておりますので、それと合わせまして、御指摘のように私学共済だけが置き去りになってしまったり、あるいは私学共済だけが過重な負担を背負うというようなことのないよう、これもわが国の社会保障制度の一環という点を十分考えながら、短期の問題についても十分意をいたしておるつもりでございます。幸いに現在のところ特にはなはだしい赤字で苦しむというような傾向は、今年のところはまだないかと思っておりますけれども、将来の問題につきましても十分注意をいたしたいと考えております。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/31
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032・八田貞義
○八田委員長 この際おはかりいたします。
大学病院に関する問題について参考人から意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/32
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033・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
なお、日時及び人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/33
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034・八田貞義
○八田委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。
次会は明後四月二十二日、金曜日、午前十時より理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十三分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105077X01919660420/34
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