1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十日(木曜日)
午前十時四十二分開議
出席委員
委員長 大久保武雄君
理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君
理事 井伊 誠一君 理事 坂本 泰良君
理事 細迫 兼光君
鍛冶 良作君 唐澤 俊樹君
中垣 國男君 濱野 清吾君
森下 元晴君 神近 市子君
山口シヅエ君 竹谷源太郎君
出席政府委員
法務政務次官 山本 利壽君
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 鹽野 宜慶君
委員外の出席者
判 事
(最高裁判所事
務総局総務局
長) 寺田 治郎君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 矢崎 憲正君
専 門 員 高橋 勝好君
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三月九日
委員中嶋英夫君辞任につき、その補欠として横
山利秋君が議長の指名で委員に選任された。
同月十日
委員賀屋興宣君及び西村榮一君辞任につき、そ
の補欠として鍛冶良作君及び竹谷源太郎君が議
長の指名で委員に選任された。
同日
委員鍛冶良作君及び竹谷源太郎君辞任につき、
その補欠として賀屋興宣君及び西村榮一君が議
長の指名で委員に選任された。
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会社更生法の一部を改正する法律案(田中武夫
君外二十名提出、衆法第一九号)
は本委員会に付託された。
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本日の会議に付した案件
裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正す
る法律案(内閣提出第八一号)
最高裁判所裁判官退職手当特例法案(内閣提出
第八二号)
訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律
案(内閣提出第九二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/0
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001・大久保武雄
○大久保委員長 これより会議を開きます。
裁判所法及び裁判所職員定員法の一部を改正する法律案、最高裁判所裁判官退職手当特例法案、及び訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/1
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002・大竹太郎
○大竹委員 それでは最高裁判所裁判官退職手当特例法案について御質問いたしたいと思いますが、この法案を出されましたおもなる理由は、やはり在野法曹または学者というような分野から最高裁判所裁判官になられた方について特に配慮した面にあると思うわけでございますが、それで参考資料の中にもございますけれども、現在の最高裁判所裁判官の構成とでも申しますか、在野法曹、あるいは学者のほうからなられた方がどういうことになっておるか、それからいままでその方面から来られておやめになった方がどういうことになっておるか、それから全部のうち何人が在野から出られ、また学者から出られ、また各キャリアの裁判官から来られるというような内規があるのかどうか、そういう点についてまずお尋ねいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/2
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003・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 最高裁判所の裁判官で現にいらっしゃる方の最高裁判所にお入りになる前の職歴につきましては、お手元に差し上げてございます最高裁判所裁判官退職手当特例法案参考資料、法務省から提出してあるものの二三ページ−二四ページ、表で申しますと第八表でございます。これに長官以下の最高裁判所の裁判官のお名前が記載してございまして、右のほうの欄にその前職が記載してあるわけでございます。現在の裁判所の方々はこのような状況でございます。それからすでに退職なさった方々につきましては、同じ表の中段以下に並べてございます。長官といたしましては、すでに退職なさいましたのは三淵長官と田中耕太郎長官でございます。その他裁判官の方々が庄野裁判官以下お名前を並べてございます。現在までに退官された方々は二十八名、さようなことになっているわけでございます。その最高裁判所にお入りになる前の職歴につきましても、同じように一覧表の右の欄に記載してあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/3
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004・大竹太郎
○大竹委員 それで在野法曹からあがられた方、それから学者からあがられた方、裁判官からあがられた方が何人、何人ということはさまっておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/4
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005・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 最高裁判所の裁判官の任用資格につきましては、御承知のとおり裁判所法の規定によりまして、識見の高い、法律の素養のある年齢四十歳以上の方ということでありまして、ただし、そのうち少なくとも十人は十年ないし二十年、多年法曹の分野で仕事をなさった方であることが必要であるという規定があるわけでございます。特にどういう分野から何名というふうな分布につきましては、規定がないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/5
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006・大竹太郎
○大竹委員 それでは次にお聞きしたいのでありますが、これはこういうところでおっしゃっていいものか悪いものかちょっとわからぬ、疑問の点もあるわけでありますが、それぞれの分野によって選考の方法が違うんじゃないかというふうにも思われるわけであります。お差しつかえなかったら、たとえば在野法曹から選ぶときにはどういう選考方法をしておるのだということも、お聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/6
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007・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 任命につきましては、御承知のとおり憲法の規定によりまして、最高裁判所の長官につきましては内閣の指名に基づいて天皇が任命するということになっております。その他の裁判官につきましては内閣が任命するということになっているわけでございます。そこで任命の手続と申しますか、方法についてのお尋ねと存じますが、これは内閣の重要な人事の権限でございまして、事務担当といたしましては内閣官房が担当いたしておるわけでございます。そこで私ども法務省は直接の所管ではございませんので、手続の詳細は存じておりませんが、私どもが聞いております限度では、最高裁判所の裁判官が定年なりあるいはその他の事由で退職なさいまして欠員が出ますと、内閣官房のほうで事務手続を始めます。選考につきましては、内閣総理大臣を中心とした内閣において、いろいろその場合、その場合、適宜な方法で選考なさいまして、指名ないし任命を決定している、かように承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/7
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008・大竹太郎
○大竹委員 これは聞くところによりますと、戦後現在の制度になったときに、たしか選考審議会というようなものがあって、審議をしたということを聞いておりますし、その後法律ですか、規定は現在はなくなっておるのだというようなことも聞いているわけであります。私は、そういう審議会とでも申しますか、選考委員会とでも申しますか、そういうようなものがやはりいまのお話だと事実問題としてあるようでございますので、ある程度規則に基づいたそういうものがあるべきが至当だし、あったほうがいいと思うのでありますが、その点どういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/8
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009・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 任命に関する諮問委員会についてのお尋ねと存じますが、先ほど私の御説明申し上げたところから、何か実際上任命諮問委員会式のものがあるのではないかというふうにおとりいただいたように承りましたが、私の御説明申し上げましたのは、必ずしもそういう委員会式なものがあるという趣旨ではございませんので、そのつど適宜な方法で選定していく、こういうことを申し上げたにすぎないのでございます。その点、修正さしていただきたいと思います。
そこで、裁判官の任命諮問委員会の問題でございますが、これはすでに御承知のとおり、裁判所法の制定当時には、裁判所法の三十九条の最高裁判所の裁判官の任命の規定の四項、五項にこの任命の諮問委員会の規定があったわけでございます。四項には、「内閣は、第一項の指名又は第二項の任命を行うには、裁判官任命諮問委員会に諮問しなければならない。」そうして第五項に「裁判官任命諮問委員会に関する規程は、政令でこれを定める。」という規定がございまして、この規定に基づきまして、政令で裁判官任命諮問委員会規程が設けられていたわけでございます。そこで、最高裁判所が発足いたします場合の第一回の裁判官の任命は、この諮問委員会の諮問を経て任命されたわけでございます。ところが、その後間もなく、この裁判所法の三十九条四項、五項が削除されたのでございます。これは昭和二十三年の法律第一号で削除されまして、同年の一月一日からさような諮問委員会はなくなる、こういうことになってきたわけでございます。そこで、法律によって、この諮問委員会の規定を削除いたしました際、その理由として述べられておりますところは、この種の委員会は、ややもすると形式に流れ過ぎて、所期の効果をあげられないということと、それから人事に関する責任の所在を不明瞭にするおそれがある、かようなことで、この諮問委員会というものが削除されました。したがって、政令も廃止される、こういうことになったわけでございます。その後、この諮問委員会につきましては、現在までかような委員会は置かれていないわけでございます。先ほど私が御説明申し上げましたように、そのつど適宜な方法で、最も適当と思われる人を選定いたしまして、これを内閣において指名し、あるいは任命するということになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/9
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010・大竹太郎
○大竹委員 それでは次にお尋ねしたいのでありますが、これは申すまでもなく、特別な非常に責任の重い最高裁の裁判官の退職手当をいままで以上に上げてあげようという趣旨であるわけでありますが、先ほど来申し上げましたように、在野法曹からあがった方を特に考えようというような趣旨からいたしますと、やはり司法の一元化というような点を考えまして、下級裁判所の裁判官というものについても、ある程度考えるべき点がある、そして考えてやらなければ、下級裁判官に在野法曹からなる人も少ないということも事実であるわけでありますが、その点いかに考えていられるか。ことに臨時司法制度調査会の答申等を拝見いたしますと、「弁護士から裁判官又は検察官となった者が退職した場合に支給する手当について何らかの優遇措置を講ずることを考慮すること。」それから「弁護士から裁判官又は検察官となり、一定期間在職した後退職した者についての共済組合年金制度の特例を設ける等の措置を講ずることを考慮すること。」というような点を指摘しているわけでありますが、これらについて御所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/10
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011・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 今回の特例法につきましては、提案理由説明の中でも述べておりますように、最高裁判所裁判官の地位の重要性、特殊性、さらにはまたその任命の実情等にかんがみまして、特に退職手当の支給率を高める等の特例を設けたものでございます。御承知のとおり、最高裁判所の裁判官の中には常に数名の方々が、民間と申しますか弁護士の方がお入りになっているのが慣例でございます。これらの方々につきましては、現在の退職手当法は勤続報償的な性格が非常に強いために、これらの方々の裁判官としての勤続期間が比較的短い関係から、おのずから退職手当も少なからざるを得なかったわけでございます。たとえて申しますと、五年間最高裁におつとめになった方が御退職のときに百五十万円程度の退職手当しか受けられないというのが現状であったわけでございます。そこで臨時司法制度調査会でも、その点につきまして、弁護士から裁判官、あるいはその他のものになる方々についての特別の配慮をするようにという御趣旨の意見が提出されたわけでございまして、それは必ずしもいわゆるキャリアの裁判官よりも、弁護士から来られた方を差をつけて優遇せよという御趣旨ではなかったように了解しているわけでございます。ただ現状があまりに低いから何らかの配慮を必要とするという御趣旨であったように承っているわけでございます。そこで今回は、最高裁判所の裁判官の地位などの重要性等にかんがみまして、最高裁判所の裁判官につきまして、このような特例を設けましたので、その結果、弁護士その他民間からお入りになる方方につきましても、相当な待遇の改善ということができることになったわけでございます。また一例をあげますと、弁護士から最高裁判所にお入りになって五年間おっとめになったという方、先ほど申しましたとおり、現在では退職手当が百五十万円程度でございますが、今回の特例によって計算いたしますと、五年間で約千万円を多少オーバーするという退職手当を差し上げることができるようになるわけでございます。
そこで、臨司の意見にもございますように、それでは下級裁判所の裁判官の場合にはどうかという問題が出るわけでございます。この問題につきましては、私どもも臨時司法制度調査会の意見は全体として適切なものと考えられるので、この実施について努力を払うというのが政府全体の方針でございます。その一部分といたしまして、私どもといたしましても、これらの事項についても検討を進めているわけでございます。しかしながら今回の特例法は、最高裁判所の裁判官の地位の重要性等にかんがみまして特例をつくったものでございまして、この特例がすぐに下級裁判所の裁判官にも及ぼし得るものとは考えられないのでございます。下級裁判所の裁判官の処遇ということは、もとより重要な問題でございますが、これは別途また最高裁判所以外の下級裁判所の裁判官の給与体系のあり方ということの一部分といたしまして、今後検討を進めていかなければならない問題であろうというふうに考えております。
それから臨司では、弁護士から検察官におなりになった方についても同様の御意見が出ているわけでございます。先ほど申しましたと同様の理由で、今回考えましたような特例を検察官に直ちに及ぼし得るものとは考えられないのでございます。この点につきましても検察官にふさわしい給与、処遇というものがいかにあるべきかということを検討いたしておるわけでございます。その重要な一部分といたしましてさらに今後引き続いて検討を続けたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/11
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012・大竹太郎
○大竹委員 次にお尋ねしたいのでありますが、具体的な支給の点等を見ますと、勤続期間一年につき報酬月額の百分の六百五十ということになっておるわけでありますが、この百分の六百五十という支給率の根拠と申しますか、計算の基礎と申しますか、それはどこに求められたわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/12
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013・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 支給率の百分の六百五十の出た根拠についてのお尋ねと存じますが、実は最高裁判所の裁判官の地位の重要性等にかんがみまして退職手当を増額することを考えるということになりますと、ある意味ではなるべく多いほうがいい、こういうことになるわけでございますが、退職手当という以上は、おのずから何らかの限度があるわけでございます。また同時に、財政面の配慮というようなものもいたさなければならないわけでございます。そこで、このような各種の要素を勘案いたしまして、百分の六百五十という数が算出されたわけでございます。これは率直に申し上げますと、厳密な数学的な計算に基づいて算出されたわけではないのでございます。ただ、その考え方を申し上げますと、現在まで最高裁判所の裁判官であられてすでに退職された方、これらの勤続期間の平均を見ますと、七年余りという期間になっているわけでございます。そこで七年くらいで退職手当の最高限に達するように、もしいたしますと、平均以上に勤務なさった方の勤務期間が退職手当には反映しない、かようなことになってしまいますので、やはり平均以上の期間をそこに考えることが必要であるということになるわけでございます。それじゃ長くおっとめになった方々はどの程度であろうかということを見ますと、十年をこえる勤続期間の方々は非常に少ないわけでございます。全体の二割に達しないという状況でございます。そこで、いささか腰だめの感もあるわけでございますが、まず十年というところに目安を置きまして、十年間おつとめになった方が最高限度額の支給を受ける、かようなことを考えたわけでございます。そしてこの十年という期間は、御承知のとおり最高裁判所の裁判官につきましては任用の期間がないわけでございます。これは御承知のとおり十年ごとに国民審査を受けるということになっておりますので、最高裁判所の裁判官の方につきましても、やはり十年が勤務の一つの段階と申しますか。一つのまとまった期間だというふうな考え方もあるいはできようかと思うのでございます。そのような事情を勘案いたしまして、勤続期間十年で退職手当の最高限に達するようにしようというふうに考えまして、それを逆算いたしますと、一年で報酬月額の百分の六百五十というふうにいたしますと十年で最高限度に達する、こういう計算になるわけでございます。先ほど最初に申し上げましたように、厳密な数学上の計算に基づいたものではございませんけれども、いま申し上げましたような考え方に基づきまして、この百分の六百五十という数に到達した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/13
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014・大竹太郎
○大竹委員 次にお聞きしたいのでありますが、検察官の俸給その他については、おのずから別に考えなければならないというふうなお答えであったわけでありますけれども、たとえば、検察官と比べてみますと、検事総長の俸給額というものと最高裁判所の裁判官の報酬額というものは大体同額になっておるわけであります。少なくとも退職金とか恩給とかいうようなものは、ある意味においてはやめるときの俸給を基礎にして計算するというのが一般のものの考え方であるわけでありますが、そういうようなことから考えますと、たとえば最高裁判所の裁判官と検事総長というような者が、あまり違い過ぎるというような気もするわけでありますが、そういう点についてはどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/14
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015・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のとおり検事総長の俸給の月額は最高裁判所の裁判官の報酬の月額と同額になっております。しかも検事総長は最高裁判所の裁判官と同じように認証官ということでございます。検察の最高幹部といたしまして、その職務がきわめて重要であるということはいまさら申し上げるまでもないところでございます。そこで、この検事総長の退職手当なり給与の体系をいかにするかということは一つの非常に重要な問題でございます。しかしながら、今回の退職手当の特例法は、先ほど来申し上げておりますように、立法、司法、行政の三権といわれておりますその一つである司法権を行使する裁判所の最高の機関である最高裁判所の裁判官の地位の重要性、特殊性ということにかんがみまして設けられました特例法でございまして、これを直ちに検事総長に及ぼしていくということはむずかしいことであろうと考えるわけでございます。そこで、検事総長等検察官の処遇の問題につきましては、別途検察官にふさわしい給与の体系というものがどういうものであるかということをさらに進んで検討を重ねまして、そうしてしかるべき処置を考慮いたしたい、かように考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/15
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016・大竹太郎
○大竹委員 次にお聞きしたいのでありますが、これは法案のほうにあるのか、いまちょっとわからぬ点があるからお聞きするわけでありますが、国家公務員の一般の退職手当につきましては、いろいろな場合に増減することがあるわけであります。自分の都合でやめるとか、病気でやめたとか、それからはなはだしいのは処罰の対象になってやめたとか、あるいは裁判官には、最高裁の場合には国民審査の結果やめさせられるというような場合もないわけではありませんし、また裁判官の欠格事由の発生によってやめなければならぬとか、いろいろな場合があるわけでありますが、そういう場合については、この一般の規定を適用するのでありますか、それともこの場合には適用しないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/16
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017・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 お尋ねの内容は、二つ問題があるように思われるわけでございます。一つは、一般の退職手当法の場合には、退職の事情等によって支給率が違う、それがこの特例法の場合にはどうなるかという問題と、一般の退職手当の場合には支給しない場合があるが、この特例の場合にはどうかという点と、問題が二つあると思います。
最初の支給率の点について御説明申し上げますと、御指摘のとおり、一般の退職手当法におきましては、勤続期間あるいは退職の事由等によりまして、それぞれの支給率が違っているわけでございます。これは退職手当法の性格から来るものでございまして、退職手当の性格ということにつきましてはいろいろな考え方があるわけでございまして、たとえば老後の生活の保障であるとか、あるいは勤続に対する報償である、あるいはまた勤務中の功績に対する報償である、いろいろな考え方があるわけでございます。現在の一般の退職手当につきましては、勤続報償ないしは功績報償という性格のものというふうに理解されております。ことに勤続報償的な性格が非常に強いわけでございます。そこで長くつとめた者ほど支給率がいい、こういうことになっているわけでございまして、十年未満で退職した者よりは二十年までつとめた者のほうが率がいい。さらに三十年までつとめたほうが率がいいということで、なるべく長い間公務員としてつとめてもらいたい、そしてその結果いい率の退職手当を上げる、こういうことになっているわけでございます。ただ、長いほどいいと申しましたが、三十年をこえますと、また少し率が下がるというふうな計算もあるわけでございます。それからさらに退職の事由でございますが、そのように勤続報償的な性格が強いために、自分の都合だけでやめたという人の場合には比較的率が低い。役所の都合とか、あるいは長くおつとめになって定年でやめたというような場合には支給率が高い、こういうことになっているわけでございます。ところが、先ほど来申し上げましたとおり、今回の特例法は、最高裁判所の裁判官の地位の重要性等にかんがみてこういう特例をつくったということでございまして、いわば功績報償的な考え方が非常に強いわけでございます。そこで同じ期間同じように最高裁判所の裁判官としておつとめになったという場合には、すべて同じ率で支給するということが相当であろうというふうに考えまして、一般の例のように退職の事由とか、あるいは勤務の年限というようなものによって差をつけないというようにいたしてあるわけでございます。
それからもう一つのお尋ねの点、すなわち退職手当を支給しない場合の例でございます。これは現在までは最高裁判所の裁判官につきましても一般の退職手当法の適用がございましたので、退職手当法の八条第一項に退職手当を支給しない場合が列挙してございます。それがそのまま適用になったわけでございます。今回の特例法では、率等の計算を変えましたために、八条のその規定を今回の特例法にも準用いたしております。そこでこの特例法が適用になるようになりましても、現在までのところと変わりがない、こういうことになるわけでございます。
その内容についてごく簡単に御説明いたしますと、一般の公務員の場合に退職手当を支給しないのは、まず懲戒免職になった場合、その他これに準ずる場合というのがございます。御承知のとおり裁判官につきましては懲戒免職ということはないわけでございます。懲戒の場合には戒告あるいは過料ということになっております。これに準ずるものといたしまして弾劾裁判による罷免というものがあるわけでございますが、これが懲戒による罷免に準ずるものと考えられます。弾劾裁判によって罷免された場合には退職手当は支給されないというふうに解釈いたしているわけでございます。
いま一つは、一般の公務員の場合には、欠格事由が発生したために退職するという場合、この場合には退職手当を支給しない、かようなことになっております。この点につきましては最南裁判所の裁判官につきましても同様でございます。かりに欠格事由の発生によって退官されるというようなことがあるといたしますれば、その場合には退職手当を差し上げない、かようなことになっております。ただし一般の公務員につきましても、欠格事由のうち、準禁治産、禁治産の宣告を受けたという場合には、欠格事由として退職にはなりますけれども、この場合には退職手当だけは差し上げる、かようなことになっております。その点も、裁判官につきましても同様でございます。
それから、裁判官につきまして多少疑問になりますのは、国民審査の結果退職になったという場合にはどういうことになるかという問題でございます。これは従来の解釈といたしましては、国民審査の結果退職したという場合には、この退職手当を支給しないという場合には当たらない、すなわち普通どおり支給するというふうに解釈いたしております。それは、退職手当を支給しないという場合は、本人に非行があった、けしからぬことがあったので退職する場合という考え方でございますが、国民審査の場合には、国民が必ずしも適任と考えない、不適任だというふうに判断したということで退職されるという場合に相当いたしますので、この場合には退職手当は支給するというふうな解釈をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/17
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018・大竹太郎
○大竹委員 最高裁判所裁判官退職手当特例法につきましては一応この程度で質問を終わりたいと思いますが、ほかに関連質問その他がございましたらおやりくださって、あと訴訟費用の法案のほうに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/18
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019・鍛冶良作
○鍛冶委員 関連。参考資料の、先ほど言われた八を見ますると、いままで最高裁判所の裁判官をやられた方も載っておるのですが、これを見ますと、最初の三淵先生が長官になられたときの十五名の裁判官のあれを見ますと、どうも在野法曹、弁護士から出た者が非常に多かったようです。私がここで見るところでは、庄野理一、塚崎直義、長谷川太一郎、谷村唯一郎、——本村氏はあとでやったのじゃないかと思いますが、真野毅、それから小谷勝重、これらはみんな最初に在野法曹から出た人じゃないかと思う。こう数えてみますると、六人か七人だったと思います。現在は弁護士出身の方々は何人ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/19
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020・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 現在は、弁護士出身の方というその範囲は非常にむずかしいことでございますが、在野から直接最高裁にお入りになったという方はたしか三名であると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/20
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021・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 御説明申し上げます。
ただいま鍛冶委員から御質疑がありましたように、最高裁判所が創立当時は学識経験者が五名、弁護士会からお入りになった方が五名、裁判所からお入りになった方が五名でございます。そしてその中で庄野裁判官がおやめになりまして、そのあとに穂積重遠さんが裁判官におなりになりました。そこで学識経験者が六名、弁護士会から入られた方が四名、裁判官からなられた方が五名、こういうことになったわけでございます。ところが穂積裁判官がおなくなりになりまして、そのあとで小林裁判官がおなりになったわけでございますが、小林裁判官は在野からお入りになったというように一応考えられておるわけでございます。この場合は、学識経験者五名、弁護士会から五名、裁判官から五名、こういうことになっておるわけなのです。ところがこの比率がそのときどきに応じまして非常に変わりまして、たとえば学識経験者が七名、弁護士会からの方が四名、裁判官からの方が四名というように比率が変わったときもございます。現在は学識経験者の方が六名、弁護士会からが四名、裁判所からが五名というように私どもの中ではいわれておりまして、従来入られた方の数を、おやめになった方を含めて合計いたしますと、裁判所から入られた方が十五名、弁護士会から入られた方が十四名、それから学識経験者としてお入りになった方が十四名、合計四十三名というような色分けになっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/21
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022・鍛冶良作
○鍛冶委員 現在、弁護士会から出ておるのはだれとだれですか。河村大助君とか……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/22
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023・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま弁護士会からの方は城戸裁判官、柏原裁判官、山田作之助裁判官、五鬼上裁判官が弁護士会からお入りになった方ということで、以上、合計いたしまして、四名の方が弁護士会からお入りになったというようにわれわれのほうでは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/23
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024・鍛冶良作
○鍛冶委員 五鬼上君も昔は弁護士だったんだが、弁護士をやめて判事になってからもう二十年からの上だと思いますが、戦争中になったはずです。いずれにいたしましても、かりに五鬼上君を入れるにしましても、どうも在野法曹から出る者はだんだん少なくなっておるようですが、これはやはり在野法曹から出るよりほかのほうから出るのがいいということでされたのですか。それとも適任者がおられないということでだんだん減ってそういうことになったのですか、一体どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/24
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025・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 この点につきましては、先ほど来申し上げましたとおり、これは内閣の任命でございますので、私ども事務当局としては正確には承知いたしていないわけでございます。考え方といたしましては、在野の方よりもほかの方のほうがいいからそちらのほうを任命したというふうな比較の問題ではないと存じております。そのつど、各界の方々の中から、その際最も適任だと思われる方を選定して任命いたした結果がかような形になっているというものであろうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/25
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026・鍛冶良作
○鍛冶委員 われわれとしては、最初からそういうふうに五名ずつとられたのですから、なるべくその率は維持しておいたほうがいいように思いますが、それができぬとなればこれはやむを得ないが、そこでどういうわけでできないだろうかということが問題になってくるわけです。そこで私聞いているのでは、どうも在野法曹からいろいろ推薦してくれということでやるけれども、なり手がだんだん少なくなってくるという話ですが、その点はあなた方の耳に入っておりますか、いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/26
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027・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 さようなことをうわさのような形で耳にすることはございます。それは、一つは待遇の問題もございましたためと思います。その点につきましては今回の退職手当の特例法が多少なりとも待遇の改善という意味で、在野のほうからお入りになりやすくなるという一つの方策にもなるものと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/27
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028・鍛冶良作
○鍛冶委員 それはないよりかあったほうがたいへんいいとは思いますが、人間ですからね。裁判所から出てきた人と、弁護士から出てきた人と、実質においてたいへんな違いがありますからね。裁判所から出てきておる人は、最高裁判所に入るときに一たんやめて、そして最高裁判所に新たに任命されるわけです。やめるときには三十年なり三十何年なりつとめておった退職金をもらってやめます。その後にまた最高裁の裁判官として、またこの法律によってもらう。弁護士はどうもその前のほうはひとつももらわぬですね。あとから入ったものだけはもらうのだから、お前は判事をしておらなかったのだからそんなことはあたりまえだと言われれば、それはそうですかとあきらめる者がおればけっこうですが、人間はなかなかそうはいかぬのです。裁判官からなればたいへんあれだが、われわれ弁護士からなるといかにもどうもたいへんな差がある。こういう考えも弁護士から選ぶのに困難な一つの理由になりはせぬか、ないよりはいいけれども、そうするとわれわれ出てくるのですから。こういうことから考えますと、われわれはできるだけ在野法曹からいい人をとってもらいたいと思う、この点に対する考慮をひとつやってもらわなければいかぬと思うが、いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/28
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029・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 今回の特例は、最高裁判所の裁判官の地位の重要性、あるいは特殊性にかんがみまして構成いたしました特例でございます。臨時司法制度調査会におきましても、弁護士から最高裁判所の裁判官その他の裁判官におなりになる方について、退職手当について特別な配慮をする必要があるという意見を提出されておるわけでございますが、先ほど来申しておりますように、退職手当というものは、おのずから考え方が従来からあるわけでございまして、いま鍛冶委員のおっしゃいましたように、役人として勤務していないからしかたがないと言われればそれまでだが、とこういうふうにおっしゃいましたが、現在の退職手当は、率直に申しますとそのような考え方でできているわけでございます。そこで役人としての勤務期間の短い方、これについて何らかの配慮をするといたしますれば、そのお入りになった仕事の重要性ということに着目して、特別の措置をとっていくということが比較的考えやすいわけでございます。そのお入りになった地位の重要性に着目して特別の配慮をするということになりますと、いわゆるキャリアからそのポストにつきました者についても、その人はキャリアからきてそのポストについたのだけれども、そんなにたくさんもらう必要はないのだという考え方ではなかなかやりにくいのでございます。やはりそのポストの重要性というものを考えますと、どういうような経歴からお入りになった方でも、そのポストについた限り、そのポストにいる限りにおいては、同じ取り扱いをするというのが一般の考え方であろうと思うのでございます。
そこで、最高裁判所の裁判官の退職手当につきまして、このような特別の支給率、それから特別の期間の計算というものをいたしまして、かりにキャリアの人につきましては、最後に最高裁判所の裁判官として特別のこういう率の高い手当をもらうんだから、前のほうはやめておけというわけにはまたいかないわけでございます。二十年、三十年というふうに、長年勤務しておられるわけでございますが、これを全部切り捨ててしまうということになりますと、一般の官吏、公務員との公平が保たれないということになりますので、これはこれとして見てあげなければならないわけでございます。そこで御承知のとおり、現在の退職手当法のたてまえによりますと、最後の報酬の月額あるいは俸給の月額に、従来の勤続期間を一定の率でかけ合わせて、合計額を出すというのが退職手当の計算のしかたでございますが、今回は最高裁判所の裁判官については、百分の六百五十という高い率を考えました。したがいまして、そのかけ合わされる期間は、最高裁判所の裁判官としての在職中に限るわけでございます。それより以前の、たとえばキャリアのほうでいいますと、下級の裁判所の裁判官としての勤務期間というものは、それにはかけ合わされないわけでございます。最高裁判所におつとめの期間だけ、この百分の六百五十という計算をする、こういうことになるわけでございます。そこで、それでは下級裁判所の裁判官としての期間をどういうふうにするかと申しますと、これを計算するのに、最高裁判所の裁判官の報酬月額を基礎として計算するわけにはまいりません。したがいまして、最高裁判所にお入りになる前の、たとえば高等裁判所の長官というものの給与を基礎にして勤務年限をかけていく、こういうことになるわけでございます。その場合にも、最高裁判所におつとめの期間をこれに算人することができないわけでございます。かりに入れますと、二重取りの計算になるわけでございます。そこでこのように特例法を設けました以上、それより前の職歴につきましては、前の段階の最終の報酬月額を基礎にいたしまして、それまでの勤続期間を一般の退職手当法の率でかけて、その段階における退職手当の額を算出する。そこで一応従来の前職歴については御破算にいたしまして、すべての方が同じ立場で最高裁判所にお入りになって、それから新しい退職手当の計算が始まる、こういうふうな制度にいたしたわけでございます。職歴が長いために、またいまのような事情で二つに分けて退職手当を計算いたしますために、何かキャリア、あるいは他の公務員から最高裁判所にお入りになった方については非常に得をするので、そのわりに在野から来られた方のほうが得のしかたが少ないじゃないかというふうな印象をあるいはお受けになるかもしれませんけれども、実際には決してさようなことではないのでございます。ただ計算を二つに分けてするということにすぎないのでございます。二重取りではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/29
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030・鍛冶良作
○鍛冶委員 これは始終出てくるわけですね。法曹一元論の出る根本の理由もそこからくるのですが、同じ年限、司法のために働いてきたが、在野であったものと在朝であったものとで区別があるということを私は考えてもらわなければならぬ、こう思うのですが、これはおまえ官吏をやっておらなかったからそういうことを思うのは、おまえのほうが邪道だといわれればそうかもしれませんが、人間はなかなかそうはいかぬのです。
それでついでですから私は聞きますが、最高裁の場合はそれでよろしい。普通の裁判官の場合でも、この間も私は何べんも念を押したのですが、二十七人新しく裁判官を採る、在野法曹からどれぐらい採るのか、確かに採れるのか、いつもだめにだめを押しましたが、なかなかなり手がないのです。それというのは、一緒に研修所を出ておった者が弁護士を十五年やっておってそれで判事になった、一緒に出て判事になった者と弁護士から判事になった者と、やめるときになったらたいへんな退職金の違いがある、いわんや恩給に至ってはたいへんな違いがある、そういうところを考えますと、どうだひとつ一緒になってやらぬかといっても、なかなかなり手がないのはあたりまえだと思うのです。これらについてもどうです。あなた方考えておられますか。これは法務省から聞いてもよろしいし最高裁から承ってもよろしいのですが、考えておられますか。それともそんなことは眼中にないんだ、考える必要はないとお思いになりますか。もしお考えになるとすれば、どういうことがいいとお思いになるか、ひとつこの機会に承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/30
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031・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 先ほど来同種のお尋ねがございますが、下級裁判所に弁護士からお入りになった方についての退職手当ないしは退職年金についての特別な配慮という問題でございますが、率直に申し上げますと非常にむずかしい問題でございます。先ほどもちょっと申し上げましたが、退職手当というものの考え方からまいりますと、かりに勤続報償という考え方をとりますれば勤務期間が違うのだからこれはしかたがない、こういうことになります。功績報償という考え方からまいりましても、同じ仕事をしているということでございますから、特に弁護士からこられた、在野からこられたということで特別な配慮をそこに入れていくということは、現在の退職手当の考え方からは非常にむずかしいと思います。それからかりに退職手当を老後の生活保障というふうな趣旨で考えてみましても、下級裁判所の裁判官をおつとめになってやめられた方の老後の生活の保障ということになりますと、やはりどういう経歴の方でも、同じように考えて差し上げるというのが一般の考え方であろうと思います。そこで現在のようなと申しますか、従来の退職手当の考え方からいきますと、在野からお入りになった方について何らかの特別の措置を講ずるということは非常にむずかしい問題でございます。端的に申しますれば、それは結局民間から人材を吸収するというために、お入りになる方の、少ないポストに優秀な人を吸収したいというための、何か人を求める、求人の一つの政策というふうな考え方にあるいはなるのか、あるいはまた弁護士として仕事をしておられれば非常に収入が多い、下級裁判所の裁判官になると収入が減るんで、しかも先も心配だ、こういうことが問題だといたしますと、それは何か得べかりし利益の補償というふうな考え方にもなってくるのではないか。そういたしますと、問題は従来考えております退職手当というものを離れた別途の配慮から手当をしていかなければならない問題ではなかろうか、こういうことになりますので、さような制度というものは、御承知のとおり現在までの日本の法制では見受けられないように考えられるわけでございます。ここらあたりの点についてさらに解明をしていかなければ、退職手当でいまの問題を補っていくということは非常にむずかしい問題であろうと思うわけでございます。そこで先ほど申しましたようにそういう問題がございますので、それならば下級裁判所の裁判官について、全体の問題として処遇を考えていくということ、その一環として弁護士の方々の処遇もこれに含まれるというふうな考え方で検討を進めていくほうが、従来の考え方からいけば比較的進めやすい考え方ではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
それから退職年金の問題でございますが、これは御承知のとおりいまの退職年金は昔のような恩給ではございませんので、共済組織による保険数理に基づく社会保険というような形になっているわけでございまして、その費用も本人が四〇数%負担するということになっているわけでございます。そこで、従来この組合員でなかった期間につきましてこれを計算に入れて退職手当を差し上げるということは、現在の共済組織のもとの退職年金では非常にむずかしいことなのでございます。これは臨時司法制度調査会でもあるいはさような議論が出ていたのではないかと思いますが、場合によっては弁護士会のほうで公的年金制度というようなものをおつくりになって、それを一般の共済年金と通算するというふうな制度でもできますれば、この問題は比較的スムーズに解決できるのじゃなかろうか、あるいは解決の方向としてはそういうような方向が一番考えやすいのじゃなかろうかというふうに考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/31
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032・鍛冶良作
○鍛冶委員 私は、司法制度においては特別の考えを持っていいのじゃないかと思うのですが、この機会に私の考え方を申し上げておきたいと思います。いま最高裁判所の裁判官になるのは、何十年間弁護士をやっておる、その基礎があればこそなるのであって、ただぽかっとなるのじゃないのですよ。だから、その裁判官になり得る基礎にあったということから考えてくると、私は特別の考えを持ってしかるべきものじゃないかと思うのです。この点われわれは主張したいのです。一番いいのは、何といっても法曹一元を実現すれば文句はないのです。文句はないのですけれども、これらにしましても、やっぱりキャリアもまただいぶ違ってきますから、弁護士を十年やらなければ裁判官になれない。十年やった後に選ばれて裁判官になるとすれば、その十年という基礎にもそれはよほど考えなければならぬ。その間に間違ったことをしておればなれないわけなんです。裁判官としての修業を積んできた者だ、こう考えてくれれば、これは特別に取り扱いをしてよろしい、こう思うのです。この意味においてできるだけ法曹一元制度を実現してもらいたいと思うし、それができないので、こういうことでやられるのであれば、それらの点を考えられぬとなかなかこの難問題は解決できぬと思いますので、この際、いつかはそれを申し上げてみたいと思っておりましたが、とくと御考慮を願われんと、いずれは非常なめんどうな問題にぶつかってくる、こう思いますので、この点特にひとつ御研究を願っておいて、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/32
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033・大久保武雄
○大久保委員長 竹谷源太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/33
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034・竹谷源太郎
○竹谷委員 私は、最高裁判所裁判官の退職手当特例法案について二、三お尋ねをいたしたいと思いますが、まず裁判官の報酬の問題をお尋ねいたします。
一般の公務員、すなわち行政官の待遇につきましては人事院というものがあって、これが適正な報酬等を考え、それを政府に勧告をする。ベースアップの要るような場合には、この人事院勧告に基づき、また政府を構成する何百万という行政官が背後にあるので、大きな力となって国家の財政当局すなわち大蔵省と折衝する、こういうことになりますから、一般行政官のベースアップは実現がしやすい、こう思うのでありますが、裁判官の場合いかなる報酬が適正であるかというような判断、またこれをどんな方向へ財政当局と折衝して実現をはかるか、こういう点で裁判官のほうはだいぶ力不足のような感じがする。そういうことが裁判官の待遇に影響しやしないか、こう考えられますが、この点最高裁判所はどんなふうにお考えになり、またどんな手続でそうした待遇について適正な措置がとれるか。また、ベースアップ等の場合にどんなふうにしてこれを主張し実現をはかるか、お尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/34
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035・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 裁判官の報酬につきましてはただいま竹谷委員から御指摘のとおり、まだ私どもといたしまして臨時司法制度調査会での答申どおりの報酬が実現されたとも思っておりませんし、また、そのために、われわれとして十分努力いたさなければならないということを痛切に感じている次第でございます。昨年のベースアップの際には、裁判官の報酬はいわゆる三号以下の報酬についてだけベースアップがあったにとどまりまして、それ以外のものについては全部据え置きというような状態が現状であります。これにつきましては今後なお一そう努力いたしまして、裁判官にふさわしい報酬の体系の樹立に努力いたしたいと存じておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/35
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036・竹谷源太郎
○竹谷委員 手続としては、一般公務員について人事院のベースアップの勧告等がありました場合に、それに準じて最高裁判所の裁判官の給与等について案をつくって、そして大蔵省に折衝する、こういう手続をとっておられるのか。また、他の何らかの手段方法を講じているのか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/36
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037・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 裁判官の報酬は、裁判官の報酬等に関する法律によってきまっているわけでございますが、この法律は法務省の所管になっているわけでございます。それは、この裁判官の給与の問題が司法制度の重要な一環である司法の独立を担保するという意味において、司法制度の重要な一分野であるというふうに考えられますので、法務省の所管に属しているわけでございます。そこで法務省でこの給与の改定等の立案をいたします場合に、最高裁判所の御意見を十分に伺いまして意見を聴取した上で、この改正案を立案するということになっているわけでございます。ただ御承知のとおり、給与でございますから予算を伴いますので、その面で最高裁判所におかれまして大蔵省と予算面の折衝をされて、そしてその結果、その内容が法制としておかしくない形のものであるかどうかという法制面からの検討を加えまして、報酬法の改正をしてベースアップをしていく、こういうことになっているわけでございます。それから御承知と存じますが、裁判官の報酬法の中に一般の官吏についてベースアップをする場合には裁判官についても同じような手当をすべきものだという規定が報酬法の十条にあるわけでございまして、一般公務員について人事院の勧告に基づきましてベースアップが行なわれる場合には、これに準じて裁判官の報酬につきましてもベースアップの方途を常に講じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/37
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038・竹谷源太郎
○竹谷委員 裁判官はその職務の特殊性と責任の重大性という点にかんがみて、特に待遇をよくしなければいかぬ、こういうのでGHQあたりの勧告もあって、一般の公務員よりも三〇%から四〇%高く給与をきめるというようなことで実施されたと思うのですが、自来十数年たつのですが、その間一般行政官と裁判官との待遇の開きが、当初処置したような三〇%から四〇%高いというその線が現在も維持されているかどうか。あるいは低くなっていやしないかと私は心配する。ことに上のほうや下のほうが顧みられないで、中ほどのところは一般公務員、行政官に準じていくが、最高裁判所の判事などの場合にはなかなか上がらぬというようなことで、一般行政官よりも三、四〇%高くするという方針は維持されていないんじゃないかと思うのですが、その点、数字の上で現状はどうなっているか、お答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/38
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039・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 裁判官の報酬の問題につきましては、御指摘のとおり、当初から一般の公務員よりも高い額がしかるべきものだという考え方があるわけでございます。現在においてもさようなことになっております。ただ、一般の公務員の給与体系が、いろいろ年月がふるに従って変わってまいりますので、それに合わせましてできるだけ裁判官の報酬という問題についても、かりにおくれをとると申しますか追いつかれると申しますか、さようなことのないように常に相当の報酬を支給できるようにできるだけの配慮をいたしているわけでございます。
そこで、実際の問題でございますが、最高裁判所の長官は内閣総理大臣と同じ月額になっております。それから最高裁判所の裁判官は国務大臣と同じ月額になっております。その次が東京高等裁判所の長官でございますが、これは従来官房長官と同じ額というふうになっていたわけでございます。その他一般の裁判官につきましては、判事一号が二十一万円ということでございまして、それから十九万、十五万何がしというふうな状況になっているわけでございます。一般的に申しまして、一般の国家公務員よりは相当高い報酬月額になっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/39
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040・竹谷源太郎
○竹谷委員 結論的に言ってどうですか、いま言ったような程度の幅をまだ持っておりますか。幅がもっと縮減されていはしませんか。また下のほうはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/40
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041・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のとおり、最初の、新憲法ができまして以来発足された裁判官の報酬につきましては、判事は次官と同額でございました。したがいまして、ただいま御指摘のとおり、確かに裁判官の報酬は行政官の報酬に比べまして数等上だったわけでございます。しかしながら、その後次第に裁判官の報酬と同じように行政職の報酬が高まってまいりました。したがいましてその差異はだんだんとなくなってまいったわけでございます。現在は、鹽野法制調査部長からただいま御説明がありましたように、判事の一号が次官とほぼ同額ということに相なっておるわけでございまして、判事の最下限が本俸九万六千円ということに相なっておるわけでございます。そしてそれまでの判事補の十年間の時代につきましては号俸が十二号に分かれておりまして、非常に小刻みに昇進していくということに相なっておるのが現状でございます。
この報酬につきましては、いつも当委員会でいろいろと御配慮をいただきましてお世話になっているわけでございますが、先ほど申し上げましたように何とか少しでもいい、裁判官にふさわしい報酬制度ができ上がりますよう、私どものほうといたしましても予算面で極力努力いたしたい、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/41
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042・竹谷源太郎
○竹谷委員 日本国憲法では、裁判官は、独立して憲法並びに法律に従って神明に誓って正しい裁判をするという非常に重要な司法面における国家意志の決定者でありまして、一般の官吏が大臣の指揮監督を受けてやる場合とは違い、その職務は非常に崇高であり、またその責任は重大である。こういう点にかんがみて、一般公務員等に対するよりも、待遇の面でもこれを十分守っていくというのが新憲法の精神ではないか。だとするならば、新憲法発足当時のその精神をあくまで貫いて、日本の裁判の神聖を持し、国家のほんとうにりっぱな判断が生まれるような、そういう裁判官に対する待遇が維持されなければならぬのではないか。私、こまかい数字は一々存じませんが、一般的に言ってそういう面でもうだんだん差がなくなってきているんじゃないかという感じがいたします。この点、どうも司法、また裁判官は、神さまのようにりっぱ過ぎてその力ははなはだ貧弱であり、財政面の点では主張することがはなはだ足らないのではないか。法務省も最高裁判所もこの問題に最大の努力をして、日本の裁判の崇高性を一そう実現するように御努力を願いたいと私は考えます。
次に、今度のこの特例法によりますと、一般職員の裁判官から引き続いて最高裁判所の裁判官になります場合、同じ裁判官であるがそこで切れてしまう、そして新たな待遇をしていくということになりますのは、これは最高裁判所の裁判官になる前の年限を通算すると非常に多額になるし、年数も長くなるからここで切ったのだろうと思いますが、そういう意味で継続して裁判官から最高裁判所の裁判官に就職をする場合にここで断ち切ったのであるか、その趣旨を御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/42
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043・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 ただいま御指摘の点は竹谷委員の仰せのとおりの考え方でございまして、最高裁判所の裁判官としての在職期間について高い支給率を定めました関係で、下級裁判所の裁判官から最高裁へ上がってきた方につきましては、その最高裁判所にお入りになる前の期間と、最高裁判所にお入りになってからあとの期間を別々に分けまして、そうしてそれぞれの支給率に合わせて、しかも基礎の金額は、片方は最高裁判所の裁判官としての報酬月額、一方は前職歴、たとえば東京高等裁判所長官の報酬月額というものを基礎にいたしまして計算するわけでございまして、最高裁判所の裁判官についてこのような特例を設けました関係上、計算を二つに分けなければならぬということから、このようなことになったわけでございまして、「退職したものとみなす」というのは、退職手当の計算についてそういうふうな退職したものとみなすという措置で計算していく、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/43
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044・竹谷源太郎
○竹谷委員 先ほどわれわれの手元に配付された「最高裁判所の裁判官の退職手当額と主な前歴」という資料の一番最後のページの四人の退職最高裁判所裁判官の前歴を見ますと、みんな裁判官もしくは公務員だった人、したがって、退職手当の額は千八百万、千四百万というふうに相当の額になっておる。ところが最初のページの田中耕太郎さんのときは、十年勤務期間があるのですが、わずかに三百八十三万、これは大学教授、文部大臣の前歴があるのですが、これは最後の報酬月額が違うせいですか。最後のページの四人は裁判官、公務員と最高裁判所の裁判官との勤続年数が通算された結果こうなったのであるか、また弁護士から出た方などは何十万円、百万にも満たない。非常に格差がひどい。これを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/44
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045・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御質疑がございました田中耕太郎前長官につきましては、御承知のように、田中前長官は東大教授、文部大臣等をなすっておられまして、それをおやめになりまして、それからまた参議院議員におなりになりまして、それからまた後に最高裁にお入りになっておられるわけでございます。したがいまして、その退職手当の金額の基礎となるものが、最高裁の長官でおいでになった時代だけの年数が基礎となっておりますので、ここにございますように、三百八十三万というような少ない金額に相なっておるわけでございます。これがただいま御審議いただいております退職手当特例法によりますれば、十年間おっとめになれば最高の金額までいく、こういうことに相なるわけでございます。それから三枚目をごらんいただきまして、おわかりでございますように、ここにございます霜山精一裁判官でございますが、霜山裁判官も一度おやめになりまして、それから裁判官におなりになっておられます関係上、二十七万というような少ない金額になっておるわけでございます。それから次の井上登裁判官でございますが、井上裁判官は、勤続年数四十年というように、長い期間おつとめになっておられる方でございますけれども、しかしながら、この当時は基礎となる報酬月額が低うございますために、四十年の永年勤続でございましても、三百七十六万というような低い金額に相なっておるわけでございます。
一番最後の御指摘の裁判官につきましては、これは勤続年数が長いことと、現在の報酬月額が大臣と同額という関係で、このような金額に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/45
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046・竹谷源太郎
○竹谷委員 次に、今度特例法で支給しようという退職手当は、報酬月額の百分の六百五十というふうになっておりますが、いま国にはたくさんの公社、公団、公庫、そういうものがありまして、そのうちで公団などの例を見ると、報酬月額の百分の七百八十になる。そういう基準で公団、公庫等の予算なども要求している。またそういう規定を公庫、公団等に設けているようでございますが、こういう同じような特殊な公務員でございますので、これはどういうわけで、こうした公社、公団、公庫等よりも低い手当にきめようとするのか。公団、公庫等もこうした退職手当をきめるについて、相当の根拠があったのだろう。最高裁判所裁判官は、これよりも二割方低い、こういうことであるようでございますが、そうなると、最高裁判所の裁判官のほうが公団、公庫の総裁、理事等よりも低く評価されるということははなはだ不可解に思うのですが、これはどういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/46
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047・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のとおり、公団、公庫の役員の退職手当につきましては、支給率が百分の七百八十という計算になっているわけでございます。公団、公社等の退職手当に関する基準を見ますと、これは年額計算ではございませんで、一月の計算で、一月につき百分の六十五というのが正確なところでございます。しかしながら、これを年に直しますと、ただいま御指摘のような額になるわけでございます。計算としては御指摘のとおりのような次第でございます。
そこで、それと最高裁判所裁判官の特例の支給率とが違うのはどういうわけか、最高裁判所のほうが低いのは特にどういうわけかというお尋ねでございます。私どもも、この特例法を考えます際に、公団、公社等の退職手当の特例につきまして、いろいろ調査はいたしたわけでございます。ところが、一カ月につき百分の六十五というこの数字は、これまた必ずしも厳密な数学的な計算に基づいたものとは言いがたいように思われるのでございます。そこで、このような百分の六十五あるいはまた年にして百分の七百八十というふうな計算をしている例があるということを一つ頭に入れまして、さて最高裁判所につきましてはどういう率が相当であろうかということを考えてまいりました。いろいろ財政面その他の要素もございますが、結論といたしましては百分の六百五十という計算に落ちついたわけでございます。その考え方といたしましては、先ほども申し上げましたように、従来の裁判官の方々の退職の際の平均勤続期間というようなものを勘案いたしまして、まず、十年間おつとめになった方が今回の退職手当の最高額をお受けになるようにするために、逆算してまいりますと百分の六百五十という数が必要でございますので、一応この特例法におきましては百分の六百五十という数を採用した次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/47
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048・竹谷源太郎
○竹谷委員 日本国有鉄道、あるいは日本専売公社、日本電電公社、こういうところは、これは最高裁判所の裁判官よりも、総裁、トップの人はずっと月額報酬が高い、普通の住宅金融公庫だとか国民金融公庫だとか七つ、八つありますし、また国立の開発銀行や輸出入銀行、あるいは各種のたくさんの公団があるが、大体総裁の月額が三十二万円である、副総裁は二十六万円、こういうふうに非常に高いのでありますが、これらの人は給与月額の六五%に勤続月数を掛けた、結局一年にすれば七八〇という、二割方最高裁判所の退職手当よりもいいが、その差別の根拠はないように思う。むしろその職務から言いましたならば、比較にならぬ重要性が最高裁判所の裁判官にはある。この点片方は裁判官で、向こうは国家的な事業をやる公社、公団、重要性から言ってむろん大切な国家的機関ではございますが、最高裁判所の裁判官はだれが見てもなお一そう重要性も高い。また責任の重大な職務でございまして、こういう点からいってむしろ公社、公団のそれよりもはるかに高くなければならぬ。これが低いということははなはだもって理屈に合わない。予算がないということになるかもしれませんが、公社、公団もつまるところ国の予算と変わりはない。しかも、昭和四十一年度の予算等において、あるいは法律案等で副総裁、あるいは理事というようなものを非常に増加して、一公団で九人も十人も役員がいる。最高裁判所は全部で十五人しかいない。一つの公団で九人も十人も役員がおり、それが何十という公社、公団がある。そこに出す費用はたいへんなばく大なものだ。それに比べればわずか十五名の裁判官の退職手当は微々たるものではないか。予算がないとは私は言わせない。裁判官に対する待遇について政府はきわめて熱意がない、こう断ぜざるを得ないのでございます。山本政務次官、いかがですか。こうした公社、公団と比較にならない重要な職務と重大な責任を持つ最高裁判所の裁判官の退職手当について、公社、公団よりも低く見るということは、これは国家として考えなければならぬ、いかがお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/48
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049・山本利壽
○山本(利)政府委員 ただいま竹谷委員からお話のありましたように、最高裁判所の裁判官というものは、非常に重要な、地位の高いものでありますから、これに対してはできるだけの優遇措置を国家として講じなければならぬということはだれしも異存のないところでございます。ところが、今回法改正の提案をしております以前におきましてはまことに低いものでございましたので、これをどの程度まで上げるかということについていろいろ各方面においても比較、検討をいたしまして、結局、今回は原案としてはこの程度におさまったわけでございまして、これがただ世間的に、いろいろ収入だけの点から申しますと、公団、公社等の以外にももっともっと多額の収入を持っておられる方もあるかと思いますけれども、われわれといたしましては、できるだけ優遇措置を講じたいというところで、いろいろ現職の各官庁の長官その他政府当局の者とも比較、検討した結果が、大体今回はこの程度でというところにおさまったわけでございまして、御趣旨は十分に了承いたしますし、私どもも同感でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/49
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050・竹谷源太郎
○竹谷委員 公社、公団等の役員に就職する方は、長年各方面に活躍された方で、ことに公務員をやってから入られる方が多いので、どうもうば捨て山で、隠居仕事のように世間で見られる向きも非常に多い。それに非常な待遇をしておいて、最高裁判所の裁判官は長年の間法曹のために心魂を傾けて研究をし、勉強をし、その英知をしぼって、独立して国家最高の法律的判断を下さなければならない、非常に重要な、責任の多い心身を労する仕事なんです。これを隠居仕事として公社、公団以下に見るということは、国家のためにはなはだ嘆かわしい、この点十分将来考える必要があろうと思いまして、反省を促す次第であります。
次に、これは事務的になりますが、この裁判官の在職期間を計算するのに、何年何カ月というのは、これは何カ月は切り上げるのですか、切り下げるのですか、どういう計算になりますか。これは一年分だと相当の数になりますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/50
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051・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 一年何カ月、あるいは二年何カ月という場合につきましては、一般の退職手当法の場合と同じように、何カ月の分は切り捨てで、年単位でいくわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/51
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052・竹谷源太郎
○竹谷委員 先ほど来申し上げるように、公団、公社に比べて非常に低いので、せめてもの救済手段としてこれは切り上げはできないのですか。一年五カ月は二年にする、一年十カ月はそれを二年にする、それが一年十一カ月であってもただの一年、これははなはだ残念なことです。これは切り上げるという解釈はとれないのですか、かりに法律案を修正しなくても。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/52
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053・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 今回の特例法は、御承知のとおり一般の退職手当法を基礎といたしまして、それに支給率等につきましての特例をかぶせていくという考え方で構成されておりますので、支給率等、特段の事情のない場合は、なるべく一般の退職手当法の規定に従っていくということでございます。したがいまして、一般の退職手当法ではいま申し上げましたように一年何カ月、二年何カ月というときには切り捨てということになっておりますので、特例法につきましてもそれと同じ考え方をしているわけでございます。ただし、一年に満たないという場合があるわけでございまして、これは一般の退職手当法によりますと、六月以上、一年未満の場合には一年に切り上げる、それから死亡とか傷病あるいは官庁の都合によって退職した場合には、六月未満の場合でも一年に切り上げる、こういうことになっているわけでございます。この特例法におきましてはその点は一般の場合と多少趣を異にいたしまして、六月未満の在職期間でございましても、この特例の場合にはすべて一年に切り上げるということで、その点は一般の場合と違っております。いま竹谷委員のおっしゃるような御趣旨が反映しているわけでございますので、一年をこえるもの、二年をこえるものという、そのこえる部分につきましては一般の例と同じ取り扱いをする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/53
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054・竹谷源太郎
○竹谷委員 一年未満の場合は問題ないじゃないですか。まさか一年未満でやめる人はない。何年何カ月でしょう。これはどうせ初めから特例法ですから、その点も特例を設けて切り上げるというふうに改めるべきじゃないですか。これは非常に残念な立法ですね。だから、これが解釈上どうしてもできなければ修正する意思はございませんか。さっきの百分の六百五十ではなく、百分の七百八十なり八百にするというのと同様に、一緒にひとつ修正したらいかがですか。山本さんの御見解いかがです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/54
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055・山本利壽
○山本(利)政府委員 いろいろ好意的な御親切な御発言でございますが、今回の場合は、政府といたしましてはいろいろ研究した結果、原案を提出したわけでございますので、これで御審議の上、可決していただくようにお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/55
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056・竹谷源太郎
○竹谷委員 さらに念を押しておきますが、特例法案第二条の第二項によると、十年で切っちゃうんですね。だから、たとえば十二年つとめたという裁判官の場合、報酬月額三十万円、そうすると十年つとめれば二千三百四十万円ということになるんだが、これは六十倍で切るんですね。そうすると千八百万円ということで、頭打ちになる。十年つとめても二十年でもということになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/56
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057・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のとおり、この特例による退職手当の最高限度は、報酬月額の六十倍ということにいたしてございますので、一般の裁判官の方々では約千八百万円が最高限度、それから長官の場合は六十倍で二千四百万円程度が最高限度、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/57
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058・竹谷源太郎
○竹谷委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/58
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059・大久保武雄
○大久保委員長 大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/59
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060・大竹太郎
○大竹委員 それでは訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案について質問いたします。
この提案理由の説明で拝見いたしますと、国家公務員等の旅費に関する法律の一部を改正して、国家公務員の宿泊料が上がったから、裁判所関係の証人、鑑定人、そのほかの宿泊料、止宿料を上げるということでございます。それでこの国家公務員の宿泊料一覧という参考資料を拝見いたしますと、公務員は六段階に分かれているようでありまして、この裁判所関係の証人とか鑑定人は、六段階の一番下のランクに相当するように改正をしてあるわけでありますが、これはいままでずっとこうなってきているから自動的にまたこういうようになるのかとも思うのでございますけれども、少なくとも鑑定人その他は、相当な社会的地位のある方なんかが主として鑑定人になられる場合が多いのでありますが、この最下位に見合った額にしておくという根拠は一体どこにあるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/60
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061・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘の証人等の宿泊料は、仰せのとおり公務員の最下位と申しますか、六等級以下の職員のそれと最高額を同じくいたしているわけでございます。これはただいまも御指摘がございましたが、従来の沿革もございます。従来の状況を見ますと、戦争後国家公務員の宿泊料が一律に等級による区別なしで甲地方が八百円、乙地方が六百四十円と定められていた時期があるわけでございますが、この当時は証人等につきましては、これを下回る六百円及び四百八十円というふうな定めがされていたわけでございます。したがいまして、一般の公務員より下だという勘定になっていたわけでございます。その後昭和二十七年当時、公務員の宿泊料を職務の等級に応じて区分したのでございます。その際に、ただいま御指摘のように、最低の区分の定額に応じて定めるということにいたしたわけでございます。その後国家公務員の旅費法によりましてこの宿泊料が改定されてまいりまして、結局現在では六等級以下の職務にある者というものの宿泊料と同額になっているわけでございますが、御指摘のような問題も確かにございますので、この問題につきましては、今後訴訟費用はいかにあるべきかということでさらに検討を進めてまいらなければならない問題があるということは十分承知いたしております。
ただ現在のところ、各種証人等の宿泊料をずっと見てまいりますと、訴訟費用として民訴と刑訴はこれでいくわけでございますが、そのほかに民事調停、家事審判というようなものにつきましても、これと同じような形になって構成されているわけでございます。それから検察審査会の証人というものも政令でこれと同じような形の定めになっております。そのほか特許審判の証人等もこの訴訟費用法を準用しておりますので、これも同じような形になっている。さらに多少趣を異にしておりますが、公正取引委員会の参考人あるいは鑑定人、これも宿泊料につきましては同じような形になっております。さらに電波監理審議会の聴聞における参考人とか、あるいは労働保険審議会の審査の場合の参考人というようなもの、各種のものが大体同じような形で構成されておりますので、今回のところは、やはりその一般のレベルに合わせて、かような形でただ額だけを改定していくというものにとどめたわけでございますが、全体の問題としてただいま御指摘のような問題が確かにございますので、将来訴訟費用の検討をいたす際に、これもいま一度検討を加えなければならないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/61
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062・大竹太郎
○大竹委員 ついでですから、この際お聞きしておきたいと思いますが、陸路の旅費でございますが、汽車はもちろん実費でありましょうが、陸路の規定を見ますと、たしか一キロ八円となっているようであります。そういたしますと、国家公務員のほうと比べてみますと、このほうはたしか「指定職の職務又は一等級の職務にある者」というこの第三番目のランクに相当すると思うのですが、さっきいろいろ御説明になったのでありますが、こっちのほうは、それならどうしてそういうことになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/62
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063・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 この点も御説明申し上げるのが非常にむずかしいのでございますが、確かに旅費のうちの陸路で汽車のない場合、これはキロ当たりにして計算することになっておりまして、一キロ八円以内という計算になっているわけでございます。そしてこれは御指摘のとおり国家公務員の旅費に照らし合わせてみますと、かなり上のほうにあるわけでございます。そこで宿泊料については一番下であるのに、なぜ旅費についてこういう取り扱いをしているのかということでございますが、これも沿革的に考えるようになっていると申し上げるのが、最も率直なお答えでございます。ただ旅費につきましては、まあ汽車賃、船賃を支給する、こういうことになっておりますが、大体の考え方は、船賃、汽車賃でもいろいろ等級がございますが、汽車賃の場合には特に制限をいたしませんで、たとえば一等、二等とある場合には、一等以下というふうな勘定になるものと考えます。先ほどいろいろな例を申し上げましたが、各種の例も大体そういうふうな考え方によっておりまして、旅費の場合には比較的最高限を上のほうにきめるというような考え方があるように思われるのでございます。この点もやはり御指摘のように問題がありまして、それならば車馬賃のところはなぜ一番上まで持っていかないかというふうな問題もございますので、これも将来の研究問題としてさらに検討を進めるということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/63
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064・大竹太郎
○大竹委員 次に地方の区分でありますが、訴訟費用等のこの本法案のほうによりますと、「六大都市」と「その他」という区分になっておりますが、この「国家公務員の宿泊料一覧」というこれによりますと、「甲地方」「乙地方」こうなっておるのでありますが、それならこの宿泊料は、国家公務員の甲地方は六大都市に当たり、その他は乙地方に当たる、こう了解してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/64
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065・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のとおり、この訴訟費用関係におきましては六大都市とその他というふうな分け方をいたしております。国家公務員のほうは甲地方、乙地方ということになっております。そこで、この甲地方と申しますのは勤務地手当のございました当時四級地、一番まあ物価の高いというところでございますが、四級地に相当するところが甲地方、こういうことになっているわけでございます。現在では御承知のとおり勤務地手当というものはなくなりまして、それをだんだん本俸に繰り入れるということで一部が暫定手当という形で残っておりますわけで、現在では勤務地手当という名称はないわけでございます。以前ありました当時の勤務地手当の四級地に相当するというところが甲地方、こういうふうにいわれているわけでございます。その考え方は、この訴訟費用の場合に六大都市とその他と分けてございますのも、すでに御承知のとおり、比較的物価の高いところとそうでない場所ということで区分したわけでございます。それから甲地方、乙地方という区分もやはり同じような配慮のもとに勤務地手当を支給するということで、最も支給を必要とする場所が甲地方、四級地、こういうことになっていたわけでございます。
そこで、考え方といたしましては共通の考え方でございますが、この訴訟費用のほうが先にこういうふうに六大都市とその他というふうな区分をいたしてまいりました関係で、先ほどいろいろな証人、参考人の例をお話しいたしましたが、大体この参考人、証人の宿泊料につきましては、六大都市、その他というふうに分かれているのが非常に多いわけでございます。そこで、さような証人、参考人の中でも、たとえば海難審判の証人等につきましては甲地方、乙地方というふうな分け方をいたしております。それから労働保険審議会の参考人というふうな場合も同じように甲地方、乙地方というように分かれております。その他の場合には大体六大都市、その他という、訴訟費用と同じような考え方になっているわけでございます。
そこで、それではどの程度に違うかと申しますと、六大都市よりも甲地方のほうがかなり広いのでございます。甲地方すなわち四級地がどういうものであるかということは、一覧表に詳細に出ているわけでございますが、たとえて申しますと、東京では八王子市、三鷹市、武蔵野市、立川市というようなところが甲地方に入ってまいるわけでございますが、御承知のとおり六大都市には入らないということになっておりまして、そこにギャップがあるわけでございます。これはどういうふうに整理するかということは一つの大きな問題でございますが、訴訟費用関係の多くの証人、参考人というものが、やはり従来どおり六大都市、その他ということで現在区別されておりますので、これも一ぺんにその訴訟費用だけを急に公務員並みに合わせていくということもむずかしいことで、全体を見て整理する必要がございますので、いまおっしゃいましたような問題があるということを頭に置きまして、今後訴訟費用の制度を整備する際にその一環として検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/65
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066・大竹太郎
○大竹委員 そこで、この際、今後お考えになるというのでございますので、希望申し上げておきたいと思うのでありますが、いまおっしゃったように六大都市、そういうのと、甲地方というのを、たとえば八王子市なんかは甲地方に入るけれども六大都市に入らぬというようなことは、ことばどおりいえばそうなるのでありますが、私はむしろ全国的に見まして、私どもが歩いて旅行なんかして考えてみますと、たとえば新潟、私どもは新潟が選挙区で非常によく行くわけでありますが、私は宿泊料なんかむしろ東京より高くあっても安くないように思うわけでありますが、そういうようなことから見ますと、いまのような、何といいますか、六大都市付近を考えるのも必要でありましょうけれども、全国的に見てもう少し、どういう表現にいたしますにしても、もっとこの表を再編成する必要があるように思うのでありますが、その点についてお考えを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/66
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067・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 非常にごもっともな御指摘でございまして、私どもも今後さらに検討いたさなければならないと存じております。ただ、現在の額が低過ぎる。それから、全国一律に考えたらどうか、最高限度でもあるから、こういう御趣旨でございます。国家公務員のほうはなるほど最下位のところに合わせてございますけれども、六等級以下の職と申しますのは、係長にもそろそろなるというのが六等級でございまして、必ずしも非常に低い職というわけでもないわけでございまして、非常に低い、たとえば昔でいう雇にでも相当する宿泊料ということではないのでございまして、その点、ひとつ御了承をいただきたいと思います。
それから全国一律の問題でございますが、これは今後の検討問題として慎重に調査研究いたしたいと思います。ただ一つだけ私どもが考えておりますのは、これは御承知のとおり訴訟費用になるわけでございまして、終局的には当事者負担ということになるものでございますので、ただ裁判所に出てきて、いわば裁判所の手伝いをしてもらう証人、参考人であるからなるべく待遇をよくするという考え方はもっともなのではございますが、それだけでは必ずしも割り切れないわけであります。結局その費用が当事者にかぶってくるという面がございますので、高ければ高いだけいいという考え方でも進めないものがございます。その点をあわせて考慮いたしまして、将来さらに検討を進めて適切な措置をとってまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/67
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068・大竹太郎
○大竹委員 それでは、最後に一つだけお聞きしておきますが、執行吏の恩給が年額六万円ですか、それより低かったものをそこまで引き上げてやるというのでありますが、一体この最低限を引き上げてもらうことになる執行吏はどのくらいおるのですか、金額にしてどういうことになりますか、お伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/68
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069・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 お手元に訴訟費用等臨時措置法等の一部を改正する法律案参考資料というのが差し上げてございますが、その一番最後に「三 執行吏恩給受給者数詞」というのがございます。この表を御説明申し上げますと、一番目が「給与事由の生じた日」すなわち退職した日でございます。それから二番目が「恩給年額算出の基礎となる俸給年額とみなすべき額」いわゆる仮定俸給年額というものでございます。それから、それぞれの金額による受給者数がその下にございます。その一番下に「三六人」「一人」こう出ておりますのは、現在年額が六万円に満たない者でございます。したがいまして、この法律改正によりまして三十七名が六万円に切り上げられる、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/69
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070・大竹太郎
○大竹委員 金額はどういうことになりますか。三十七に六をかければよろしいということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/70
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071・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 六万円に切り上げられる者が三十七名おりまして、その切り上げによって要する経費でございますが、これは二十七万七千円、恩給局のほうに計上してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/71
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072・大竹太郎
○大竹委員 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/72
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073・大久保武雄
○大久保委員長 次回は明十一日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十五分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01319660310/73
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