1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十二日(火曜日)
午前十一時十三分開議
出席委員
委員長 大久保武雄君
理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君
理事 坂本 泰良君 理事 細迫 兼光君
鍛冶 良作君 佐伯 宗義君
四宮 久吉君 田中伊三次君
千葉 三郎君 中垣 國男君
馬場 元治君 濱野 清吾君
神近 市子君 横山 利秋君
出席国務大臣
法 務 大 臣 石井光次郎君
国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 鹽野 宜慶君
委員外の出席者
総理府事務官
(人事局参事
官) 秋吉 良雄君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 矢崎 憲正君
専 門 員 高橋 勝好君
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三月十八日
委員山田長司君辞任につき、その補欠として佐
藤觀次郎君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員佐藤觀次郎君辞任につき、その補欠として
山田長司君が議長の指名で委員に選任された。
同月二十二日
委員森下元晴君辞任につき、その補欠として鍛
冶良作君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員鍛冶良作君辞任につき、その補欠として森
下元晴君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
最高裁判所裁判官退職手当特例法案(内閣栄提出
第八二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/0
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001・大久保武雄
○大久保委員長 これより会議を開きます。
最高裁判所裁判官退職手当特例法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、これを許します。横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/1
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002・横山利秋
○横山委員 高等裁判所の裁判官は、身分上は何でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/2
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003・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 高等裁判所の裁判官というふうにお尋ねであったと存じますが、高等裁判所の裁判官は、最高裁判所との対比におきまして、下級裁判所の裁判官というふうに申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/3
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004・横山利秋
○横山委員 何法によって規制をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/4
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005・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 憲法の七十九条に最高裁判所の裁判官のことが規定してございますが、その次の八十条に「下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によって、内閣でこれを任命する。」という規定がございます。この下級裁判所の裁判官の中に入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/5
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006・横山利秋
○横山委員 身分並びに労働条件は、何法によって規制されますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/6
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007・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 裁判官につきましては、裁判所法の規定によるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/7
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008・横山利秋
○横山委員 国家公務員法の適用を受けますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/8
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009・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 裁判官は、特別職でございますので、国家公務員法の規定の適用は受けないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/9
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010・横山利秋
○横山委員 高等裁判所の裁判官ないしは他の職から最高裁の裁判官になる前に、本法によれば、特別職を一たん辞職をする、そして退職金をもらう、こういうふうに理解してよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/10
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011・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 高等裁判所その他下級裁判所の裁判官から最高裁判所の裁判官におなりになった者につきましては、高等裁判所の裁判官から最高裁判所の裁判官におなりになるその前日に退職したというふうに見まして退職手当を計算するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/11
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012・横山利秋
○横山委員 最高裁の裁判官も特別職でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/12
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013・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/13
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014・横山利秋
○横山委員 特別職から特別職になると身分上は同様である、けれども一ぺんやめなければならぬというのは、どういう理由ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/14
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015・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘の点でございますが、「退職したものとみなす。」というのは、退職手当の計算上そういうふうにみなす、こういうことでございます。今回の特例法は、御承知のとおり、最高裁判所の裁判官の地位の重要性、特殊性、さらにはまた任命の実情等にかんがみまして、最高裁判所の裁判官としての在職の期間につきましてこのような百分の六百五十という高い率を認めたわけでございます。したがいまして、御承知のとおり、一般の退職手当法によりますと、最後の俸給——裁判官の場合には報酬でございますが、報酬月額を基礎といたしまして、それに従来の勤続年数を一定の比率によってかけ合わせて退職手当の額を算出する、こういう方法になっているわけでございます。その点は横山委員御承知のとおりでございます。今回の特例法は、先ほど申し上げましたように、最高裁判所の特殊性に基づきましてその勤続期間について特別の高い退職手当の率を認める、こういう形にいたしましたために、その前の勤続期間につきましても普通の場合と同じように一律にかけ合わせるということが計算上できないことになるわけでございます。そこで退職手当の計算をするにつきまして、最高裁判所の裁判官につきましては、最高裁の裁判官をおやめになるときに、最高裁の在職期間についての手当を差し上げる、それ以前の分につきましては、先ほど御指摘のように最高裁判所に入る前に退職したものとみなして、それ以前の分を計算するというふうに計算が二本立てになる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/15
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016・横山利秋
○横山委員 この「みなす」ということは、退職手当の期間通算の問題に対してだけでありますか。ほかにもみなすものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/16
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017・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 退職手当の計算についてだけみなす、こういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/17
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018・横山利秋
○横山委員 通算をするものは、ほかにはどういうものがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/18
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019・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 ちょっといろいろな例を思いつかないわけでございますが、退職年金につきましては通算することに在るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/19
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020・横山利秋
○横山委員 退職年金というと共済組合のことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/20
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021・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 共済年金の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/21
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022・横山利秋
○横山委員 ほかには通算するものは何もありませんか、いろんな問題で。とにかくやめたんだ、やめたんだけれども——辞令は出るのでしょう。特別職をやめて退職をするという辞令は出ないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/22
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023・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 退職するという辞令は出ないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/23
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024・横山利秋
○横山委員 そうすると、退職はせぬけれども、退職はしたという措置を、退職金だけについて、あとは転勤、あるいは昇職というかっこうになるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/24
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025・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 最高裁の裁判官におなりになります場合は、裁判官からおなりになる方も、検事からおなりになる方も、それからほかの公務員から直接おなりになる方も退職ではございませんで、憲法に基づきまして内閣で任命されまして、天皇が認証されるということで任命されておりまして、すべてに通じまして退職という辞令は出ないというように承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/25
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026・横山利秋
○横山委員 だから退職ではない。一ぺん退職をして、一日であろうと野に下って、それから最高裁裁判官になるということではなくて、俗に言えば、昇職、何号とかに昇職させるとは辞令で書いてないのです。長崎地方裁判所から東京高等裁判所の判事に補すということになるだけではないですか。何が違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/26
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027・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 下級審の裁判官も、それから検察官、それから公務員からお在りになる方も、おやめになるときに退職という辞令をもらって、そして最高裁にお入りになるのではなくて、やはり当然そこで切れまして、そうして新たな任命行為が行なわれるというように承知いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/27
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028・横山利秋
○横山委員 私の言うのは、退職年金、つまり共済組合の年金制度を例に引けばわかる。それは明らかに継続されておる。いま塩崎さんの言うように、従来は身分上は特別職として継続されておるというものを、ここでやめたと見なして退職年金を出して、そして新たに最高裁裁判官になった場合には、新しい退職金の年限を初めから始める、こういうことなら、これは退職じゃないか、こういうことなんです。ところがそうではなくて、退職金だけはやめたことにして年金だけはやめないようにする、そんなかってなことがありますか。やめたらやめたじゃないですか。年金もなぜ払わぬのか。これは一体どういう理屈でそんなかってなことができるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/28
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029・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 退職年金の関係で申し上げますと、たとえば中二日おきまして、あるいは中五日おいて、そして最高裁の裁判官に任命されました場合も、共済組合の年金関係については引き続いて、ずっと継続して年限は計算されるということになるわけでございまして、違うのは、退職手当についてだけは違いますけれども、退職年金についてはいずれにしても同じように通算されるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/29
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030・横山利秋
○横山委員 それがかってじゃないかというのです。年金だけは通算する、退職金だけはここでしまいだ。そうして一ぺん銭出して、また新しく始める。どこにそんな論理が生まれるかというのです。年金の通算方式と退職金の通算方式は一貫した原理に基づいてやらなければいかぬ。片一方だけはここで打ち切りで銭をやる、片一方は通算をする。そんなかってなことがあるかというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/30
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031・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 下級裁判所から最高裁判所の裁判官になる者につきまして、その切りかえのときに、退職手当を一度もらって、それから最高裁判所を退職するときにまた別の退職手当をもらうということがおかしい、こういう御趣旨のように承りますが、先ほど御説明いたしましたように、今回の退職手当の特例法は、最高裁判所の裁判官の在職期間について特例を認めたものでございます。したがいまして、下級裁判所の裁判官当時の在職年限を、これにかけ合わせていくという計算ができないことになるわけであります。それで下級裁判所あるいは国立の大学から来られた方もあるわけでございますが、その前歴のほうはそれでは計算に入らないから切り捨てるか、こういう問題が出るわけでございます。これはすでにそこまでおいでになる間に二十年、三十年と長い期間国家公務員としておつとめになっているわけでございますから、その期間を単純に切り捨てる、こういう計算をするわけにもいかないわけでございます。それは一般国家公務員の退職手当との振り合いにおきまして、これを切り捨てるということになりますと、そういうような方々には非常に不利益なアンバランスを生じる、こういうことになるわけでございます。そこで最高裁判所の裁判官としての在職期間につきましては、この特例によって計算いたしますが、その前職歴につきましては、一般国家公務員の退職手当法に基づきまして計算して、その分の退職手当を差し上げようというのがこの案の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/31
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032・横山利秋
○横山委員 案の考え方を聞いておるわけではないのですよ、理論を聞いておるのです。片一方だけはずっと通算するが、片一方はここでやめたことにして退職金を払って通算しないという理屈がどこから生まれるかといって聞いておるのであって、案の説明を受けておるのではない、案がそうなっていることは承知をしているから、おかしいじゃないか、通算の論理というものはそんなものじゃないのじゃないか、こう言っておるわけだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/32
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033・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 最高裁判所の在職期間につきましては、特例を設けましたので、その前職歴につきまして別に計算するのが理論的に相当であるというふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/33
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034・横山利秋
○横山委員 特例の論理は何かといって聞いておるのです。あなたは、特例を踏まえて、特例がこうなったから当然だといったら説明にならない。その特例の論理を聞いておる。片一方は通算する。片一方はやめたとみなす。——やめたらすべての問題がなくても出ていかなければならぬ。やめたら一ぺん大掃除をして、そして白紙で最高裁判所の裁判官になるのなら話がわかるけれども、こっちのほうはやめはせぬ、こっちのほうはやめた、双方とも都合のいいものだけとっていこうというのは少し欲が深いじゃないか、こういうことを言っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/34
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035・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 今回の特例法の趣旨につきましては、もう前会にも御説明いたしましたので、特段にあらためて御説明する必要もないかと存じますが、要するに、最高裁判所の裁判官の特殊性に基づきまして、このような特例を設けたものでございます。そこでこのような特例を設けます関係上、前職歴については理論的に別途計算する、こういうことになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/35
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036・横山利秋
○横山委員 あなたはしゃべりながら——同僚諸君の顔を見てください。まずいじゃないか、横山委員の質問と歯車がかみ合わない、みな横向いたりうつ向いたりして、恥ずかしそうな顔をしている。鹽野さん、あなたもわかるでしょう。私の問いに答えていない。この法案の説明だけしても、そんなこと質問する以上わかっているのだから、わかっている法案の説明を聞いておるのではない。これは全く水かけ論で、私が納得していないということだけはあなたもおわかりでしょう。私が納得していないということはおわかりでしょう。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/36
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037・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 私の御説明で御納得いただけると存じたわけでございますが、説明が不備なためにまことに申しわけない、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/37
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038・横山利秋
○横山委員 もうあきれてよう言わぬという顔存してござる。
大臣いらっしゃいましたから、この間あなたちょっといらっしゃっただけだから、私の主張というものがわかっていただけなかったので、ひとつ大臣にお伺いしますけれども、とにかくこれは最高裁判所の裁判官だけ六・五倍、べらぼうな額なんですよ。私はべらぼうなということばを使いましたけれども、絶対いかぬと言っているわけじゃない。私のよって立つ立場というのは、公平論を言っておるわけです。最高裁判所の裁判官と検事総長とは、歴史的に給料も一緒、そして常に均衡はどうあるべきかということがわれわれの頭から去らぬわけです。どのくらいの均衡がいいかは議論があるけれども、それをなおざりにして片一方をきめると問題が起こるぞという意味において、常に頭を去らぬわけです。今回片一方は六・五倍に上がるけれども、片一方の検事総長はほうりっ放しなんです。それで先般法務政務次官に、どうなさるかと言って聞いたところ、何かウナギをつかまえるようなもので、ちっともはっきりしたことをおっしゃらぬわけです。
そこで法務大臣に、まず第一問としては、常にこの最高裁の裁判官と検事総長というのは、同じような立場とは言わぬけれども、同じように考えなければならないと思っておったのだが、一体どうするつもりですかということを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/38
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039・石井光次郎
○石井国務大臣 ただいまお話しのように、最高裁の判事と検事総長は、その職責のぐあいにおきまして、その大きさと申しますか、大体同じようなものだということで扱ってきておったと思うのであります。そのとおりに私ども思うておるわけでございます。このたびこの最高裁の判事の退職金の問題が大きく躍進したと申しますか、多額のものを出していただきたいという法案を提出いたしましたのは、最高裁の判事の任用等につきまして、また最高裁の判事というものの地位をりっぱに確保していくというような立場から考えまして、どうしてもこういうふうにせざるを得ぬじゃないかということを私ども考えまして、これに賛成したわけでございます。
そうしますと、検事総長をどうするかという問題が起こるわけでございます。それならばすぐに最高裁の判事と同様に検事総長の退職金も改めるということができるかと申しますと、そう簡単にはいかないのじゃないかと思うのであります。俸給が現在において両方とも国務大臣と同じように扱われておりまするように、退職金につきましても何とかして検事総長をもっと優遇する道を講じていただきたいということを私どもは考えておるわけでございます。その問題は、この際は出てまいりませんけれども、やがて私ども研究いたしまして、皆さま方にお願いする時を持ちたいと思うておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/39
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040・横山利秋
○横山委員 大臣は、お読みになっているかどうか知りませんが、臨時司法制度調査会意見書は、終始一貫して検察官についても裁判官と、おおむねこれに準ずる趣旨であるという立場を貫いておるわけです。あなたのいまのお話を聞きますと、検事総長についても何とかそういうようにしてもらいたいとおっしゃっているが、これはえらい他人ごとですな。さっき理事会で、私は検事総長をここへ呼んでもらいたい、個々の事件じゃない、検察行政の一環として、あなたばかりでなくて部下各検察陣の、鳴かぬホタルが身を焦がしているような気持ちを聞きたいと言ったのだけれども、与党委員の皆さんは、みんな法務大臣に聞けばいいと言う。法務大臣に聞いたら、何か人ごとみたいに、そういうふうになればまことにいいことだというようなことで、あなたの責任じゃないような、と言っては失礼かもしれませんけれども、何かそんなふうに聞こえる。この法案が出るときに、あなたが最高責任者として、それはいかぬ、意見書の趣旨に反するから、検事総長もあわせて何でやらぬのだと言うのが当然のことだと思うのですけれども、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/40
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041・石井光次郎
○石井国務大臣 いままで給与の上で同じような扱いをやっておったのでありますから、この際、退職金に、いても、検事総長を離すということは一歩後退せしめたというふうにお考えになったと思います。私は必ずしもそうは思うていないのであります。まず一つのものが解決すれば、それと同じような格にあるものは一歩おくれましてもそれについていく道ができたわけでございます。今度はできませんでしたけれども、この次は、皆さん方にもそういうお声が出てきたということは、やがてそういう道を開いていただくことができると思うのでございます。この次にはそういうような方向に向かって私は案を提出いたす機会を持ちたいと思うておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/41
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042・横山利秋
○横山委員 これができれば、あとこれに続いて検事総長の退職金も上がるだろうとおっしゃるけれども、そうなると、検事総長がやめたときに、将来法案が提出されて、ではこの間やめた検事総長も退職金を遡及してふやしてやろう、こういうことになりますか。そうなればいいわけです。——大臣、わからぬですか、お考え中てすか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/42
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043・石井光次郎
○石井国務大臣 ちょっといまおっしゃったことがよく……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/43
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044・横山利秋
○横山委員 つまりあなたは、ここで最高裁判所の裁判官が上がれば、将来検事総長も上がるとおっしゃる。上がるなら、途中でやめた人はどうなるか。法案が出たときに、遡及してそれを救済してやるというなら私は納得するというのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/44
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045・石井光次郎
○石井国務大臣 私は、そういうふうな方向にあるというのでありまして、これがあったから、ここの者がもし途中でやめたらここに持っていくということは、それは法律ができなければならないのでございますから、それまでに法律が間に合いましたときはそういうことに適用を受けるでございましょうが、法律が間に合わないときには、やむを得ずそれは適用がないということになると思います。そういうことに落ちつくようなことを考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/45
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046・横山利秋
○横山委員 それではこの意見書に反するじゃないですか。大臣、一ぺん読みましょうかね。「裁判官の給与は、その職務と責任の見地から考えるほか、司法の独立を担保するという目的からもあわせ考慮されるべきものであり、その意味においては、裁判官の給与制度は、司法制度の一環をなすものである。一方、検察官については、その職責が司法の重要な一翼をになうものであり、その任用資格も原則として裁判官と同一であることから、裁判官に準ずるものとされて来た。そこで、以下給与制度の問題の所在を説明するに当たっては、裁判官を中心として述べることとするが、検察官についても、おおむねこれに準ずる趣旨である。」と書いてある。こういう文句は、この意見書のあらゆるところを流れておる一貫した思想なんですよ。そしていまあなたは、裁判官だけやって検察官はいまちょっとほかっておくのだ、そのうちに何とかなるだろうというたよりないことをおっしゃる。そんなばかなことがあるかというのです。何で検察陣も一緒にあわせて考えてやらないのか、こういうことを言っているのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/46
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047・石井光次郎
○石井国務大臣 その書いてあるとおりで間違いはないと思います。私どもも検察官が裁判官に準ずるというような心持ちでいままでも扱ってまいりましたし、これから先も扱っていくわけでございます。扱っていくのでございますから、いまはないけれども、そのほうに向かっていく、そのときになりましたら、よろしくお願い申し上げますということを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/47
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048・横山利秋
○横山委員 ではそれまでにやめた人は、えらい損をする。石井さんがいつまで法務大臣やられるか知らぬけれども、それまではだめじゃないですか。それともこの国会なり次の国会で、検察官についても鋭意努力して退職金の増額をはかる、こういうふうに断言していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/48
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049・石井光次郎
○石井国務大臣 法律が出る前にやめれば、適用する道はないわけでございます。この問題は、裁判官と検察官と大まかにおっしゃいますが、最高裁判所の判事と検事総長一人の問題だと思っております。検事総長は、まだ私はそういう問題がすぐ起こるとも思いませんが、その間に何とかいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/49
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050・横山利秋
○横山委員 大臣、これはこの間ぼくが引例したのですが、下級裁判所の裁判官が労働組合でも結成できておれば、検察庁に労働組合の結成ができておるなら、——こんなことは仮定の問題です。全然問題にならぬ問題ですけれども、かりに声をあげられる体制があるなら黙っておりませんよ。最高裁の裁判官だけが六・五倍の退職金になる、わしらはいい、——決してそんなことを思っている裁判官はないはずですよ。そんなことを考えている検察陣はないはずです。ところが、法務省や裁判所や検察庁の中は、ほかの省と違って、上意下達の権力組織である。だから実際問題としてそんな不平や不満が表立って言えぬ組織になっている。ほかの省とは違います。もしもほかの省がこんなことをやったら、かなえのわくがごとしですよ。けれども、この間政務次官や鹽野さんに聞いたら、いや、大体納得しているはずだと言う。鳴かぬホタルが身を焦がすということがあるけれども、最高裁の裁判官だけ六・五倍で、ほかの裁判官は上げる必要はないとは言いませんけれども、いつのことやらわからぬような話をされて、それであの諸君たちが納得すると思うほうが間違っておる。だから私は、上げるのか上げぬのか、将来いつ上げるんだと言ってだめを押しておるわけです。そうしたら法務政務次官は、それはその必要性はあるけれども、上げるか上げぬかはわからぬ、こういうだらしのない答弁でありますから、私は納得しないとこう言っている。もしも意見書が尊重されてこの法案ができておるというならば、必ず上げなければならぬはずです。その必ずはいつかということを迫っているわけです。上げるか上げぬかわからぬような話をされて、一体それでは下級裁判所の裁判官や、あるいは検察陣の諸君は、何と思いますか。あなたは最高責任者であるから、責任ある答弁をしてください。下級裁判所の裁判官の退職金は上げるのか上げぬのか、検察陣に働く諸君のために、退職金は上げるのか上げぬのか。もしも鹽野さんが言うような、最高裁判所の特殊性で上げるというならば、上げる必要はないのです。下級裁判所や検察人は上げる必要はない。そういう理屈だけだったら、つまりそれは上げぬということなんだ。それは明らかにこの意見書とは違うけれども、いままでの説明によれば上げぬということだ、あの理屈から言うならば、最高裁判所の裁判官の特殊性にかんがみ六・五倍に上げるというのだから。だから、法務政務次官は、詰めていったらうろうろしちゃって、上げるか上げぬかわからぬとおっしゃる。あなたはどうですか。上げるか上げぬかわからぬのですか、上げるのですか、どっちですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/50
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051・石井光次郎
○石井国務大臣 いま下級裁判所の判事の問題、それに関連して同じような検察官の問題にも及ぶわけでございます。この問題は、臨時司法制度調査会の答申にも強調されておる問題でございまして、これは上げなくてはならぬ問題だと私は思っております。しかし、この問題に関連してくると、いろいろな問題があるわけでございます。それらの点を、どういうふうにして運んでいくかというようなことを、いま研究中でございます。そういうふうなものの話がまとまりますれば、下級裁判所判事、並びに下級と申しますか、これに並ぶような検察官の昇給、待遇改善というような問題を必ず持ち出したい、こういうように私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/51
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052・横山利秋
○横山委員 問題を外へそらさないようにしてほしい。この法案に基づいて下級裁判所裁判官、並びに検察官、その退職金は法務大臣としては上げる方向で検討する、こういうわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/52
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053・石井光次郎
○石井国務大臣 そのとおりです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/53
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054・横山利秋
○横山委員 第二番目の質問に移りますが、大臣、本来この意見書は、私が言った骨子で流れておるけれども、事、退職手当並びに年金については、問題の所在をはき違えておるのです。
もう一ぺん念のために意見書の退職金の項を私は読みますけれども、「退職手当及び退職年金制度の改善。1弁護士から裁判官(最高裁判所の裁判官を含む。)又は検察官となった者が退職した場合に支給する手当について何らかの優遇措置を講ずることを考慮すること。2弁護士から裁判官(最高裁判所の裁判官を含む。)又は検察官となり、一定期間在職した後退職した者についての共済組合年金制度の特例を設ける等の措置を講ずることを考慮すること。」とある。つまりこの二項は、弁護士から裁判官になった者であるという問題の提起が第一。第二番目は、共済組合年金制度の特例をやれといっておるのだけれども、これはやっていないということ。第三番目は、何も最高裁判所の裁判官だけではない。「含む」と書いておるのですから、すべての裁判官並びに検察官についていっておる。三つの問題があるわけです。その意見書をどう読んだか知りませんけれども、この意見書はくそくらえというわけで、最高裁判所の裁判官になった者、しかも申しては悪いけれども、現職優先主義で、弁護士から裁判官になった者よりも現職のほうが有利なようなこの法案の出し方は意見書と全く違うではないか、何を読んでおるんだ。私の言っておるのはこういうことなんです。大臣、おわかりですね。あなたはこの法案を提案される最高責任者としてこの意見書をどういうふうにお読みに在ったか、御意見を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/54
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055・石井光次郎
○石井国務大臣 政府委員から答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/55
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056・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 この問題は、臨司の意見書の項目としてあげておりますのは、この給与制度のところの二の「退職手当及び退職年金制度の改善」として掲げられているわけでございます。しかしながら、臨司を流れております一貫した考え方は、裁判官並びに検察官につきましての給与制度を改善していくということが、その一番大きな骨子になっているわけでございます。そこで、今回は給与改善につきましていろいろ問題もございましょうが、最高裁判所の裁判官の特殊性というところに着目いたしまして今回の特例法を立案した次第でございます。
さらに、前回にも御説明申し上げましたが、このような特例法を制定いたしますことによりまして、弁護士から最高裁判所にお入りになる方々につきましても、従来よりは格段の高い退職手当を支給することができるわけでございまして、その意味におきましてただいま御指摘の弁護士から裁判官になった者についての退職手当の改善という趣旨もあわせて実現することができた、かように考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/56
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057・横山利秋
○横山委員 この意見書の中で、最高裁判所の裁判官だけ何とかしてやれということが何ページのどこに書いてありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/57
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058・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のとおり、最高裁判所の裁判官だけというふうに特定している部分はないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/58
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059・横山利秋
○横山委員 大臣、お聞きのとおりですよ。最高裁判所の裁判官だけ何とかしてやれということは、どこにも一行一句も書いてない。にもかかわらず、この法曹関係の問題について、一番最初にこの意見書に沿ったと称して書いてくるのは、何にも書いてない最高裁判所の裁判官の退職金だけじゃありませんか。順序が間違っているじゃありませんか。やりようがけしからぬじゃありませんか。意見書を悪用しておるじゃありませんか。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/59
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060・石井光次郎
○石井国務大臣 最高裁判所の判事に任用する人たちを、どういうところからとるかというと、裁判所の判事の中から、あるいはまた弁護士の中から、あるいは検察官を含む一般の人たちの中から、学識経験者の人というようなところから合わせて十五名採用することになっておるのは御承知のとおりであります。その中で弁護士の中から採用して最高裁の裁判官になってもらうという者は、最高裁の判事にふさわしいりっぱな識見、人格、学識ともに備わった、だれが見てもこの人ならばというような人たちでなければならないと思うのであります。そういう人たちを選んでお願いをするにはどうしたらいいかということを、任用上の問題としていろいろ考えまするときに、この人たちに何らかの特別な待遇をしなければならないのではないかというようなこと等を考えまして、案を講じたのが今度の問題でございます。したがいまして、弁護士から最高裁の判事に採用するにあたりまして、特にこういうふうなことは表には出てまいらないのでありますが、精神はそういうことを受けて、最高裁というものの権威を保持するということに力をいたしたいという心持ちが含まれておるというつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/60
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061・坂本泰良
○坂本委員 ちょっと関連して。弁護士から最高裁の裁判官になるという点について十分考慮してあるようですが、弁護士から裁判官、検事になるという道が開かれており、また裁判所その他も要望しておるのですが、なかなか弁護士から裁判官になり手がないですね。そこでこの臨時司法制度調査会の答申というのは、最高裁判所の裁判官も含むけれども、下級裁判所の裁判官について、弁護士から裁判官になった場合に、退職金の問題があるからなり手がないのじゃないかというようなことで、その点も考慮しなきゃならぬというので、いま横山委員の読まれた答申になってきておるのだろうと思うのです。ですから、この最高裁判所の裁判官の退職金特例法を考慮するにあたって、下級裁判所の裁判官に弁護士から在る場合に退職金をどうするかという点については考慮されなかったかどうか、この点を関連してお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/61
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062・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 臨時司法制度調査会における審議の状況は、坂本委員よく御承知のとおりでございます。ただいま仰せのような趣旨で臨司の答申がなされているわけでございます。そこで、今回退職手当につきまして検討いたしまする段階で、もちろん下級裁判所の裁判官の問題につきましても検討の対象にはなったわけでございます。しかしながら、先ほど来御説明いたしておりまするように、最高裁判所の特殊性というものに基づきまして、今回は、最高裁判所の裁判官につきましてこのような手当をいたしたわけでございます。この趣旨は、最高裁判所の特殊性に基づいて特例を設けるという考え方でございますので、その考え方をそのまま下級裁判所の裁判官にすぐに及ぼしてくるということは非常にむずかしい問題であろうと思います。そこで、臨時司法制度調査会の意見もございまして、下級裁判所の裁判官につきましては、別途さらに検討を進めていく必要があるのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/62
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063・坂本泰良
○坂本委員 大臣、その問題も、とにかく最高裁判所の裁判官は十五名でしょう。そのうちに弁護士から選べというのは、大体五・五・五で五名になっておる。それが実際このごろ少なくなって三名になっておるわけです。わずかに三名の方です。ところが、いま下級裁判所の裁判官が足らない。弁護士からその裁判官を求めてもなり手がない。やはり退職金の問題も大きく影響しているんじゃないかという点も考えられてこの答申になっておると思うのです。ですから、考えるならば下級裁判所の裁判官に対して、いわゆる官僚でなくて、何年もつとめて退職金をもらうのでない弁護士から裁判官になる者に対しての退職金の問題を、まず先に考えて——裁判というのは、下級裁判所の裁判官がりっぱな裁判をしなければならぬ。実際上はあまりりっぱな裁判はしていないということですが、いないけれどもりっぱな裁判をしなければならぬ。そのために考えられる問題があるわけです。だから、わずか三名か五名の最高裁判所の裁判官だけのことを先にやって、そうして多数の下級裁判官の任用について、ことに弁護士からの任用についての退職金の問題は大きく考えられると思いますが、その点についての御所見いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/63
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064・石井光次郎
○石井国務大臣 なるほど下級裁判所の場合におきましても弁護士から裁判官になる人があり、またその人の待遇問題も別途考える必要があるかとも思うのでございます。その問題につきましても、これは下級裁判所全体の待遇をよくしようという問題とあわせて取っ組むべき問題と思います。あわせて研究いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/64
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065・神近市子
○神近委員 ちょっと関連して。いま弁護士から最高裁に入る希望者が非常に少ない。——私も実はあとの質問でそのことに触れたいと考えていたのですけれど、ちょうどいいチャンスだからここでお尋ねいたしますけれど、前に法務予算をもっとおとりなさい、国の大事な行政機構が、国家予算の〇・何%というように低いのではだめじゃないかということを、横山委員もおっしゃったし、私も申し上げたのは、その点にこだわっていたからです。これは最近ではありませんけれど、ともかく優秀な弁護士が最高裁に入ることを希望なさらないというのは、その収入の点で非常に開きがあるということであったのです。それでついでにちょうど出たところでお伺いしますが、今度六・五倍ですか、そういうことに高めるということにあまり反発しないのは、もっと日本の裁判というものに国民的な感情を加えるという意味で、私は民間におって長く弁護士をした人がふえるほうがいいと思うのですけれども、いままでの人事で、五・五・五のときにいつも補充ができてきていたかどうか、補充ができていなかったならどういう状態だったか、それをお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/65
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066・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 五・五・五の比率の問題についてでございますけれども、最初最高裁判所が発足のときは五・五・五でございました。その後庄野裁判官がおやめになりまして、そのあとに穂積重遠教授が裁判官におなりになりました。結局それで五・五・五がくずれまして五・四・六と、こうなったわけでございます。それからその後に順次いろいろと変遷がございまして、あるいはただいま委員が御指摘のような事情があったかもしれませんですけれども、弁護士会からお出になる方が四人、裁判所から出た方も四人、で、あと七人が学識経験者というような時代もないわけではございませんでしたけれども、しかしながら、その比率が五・五・五というわけではなく、現在は裁判所出身の方が五名、弁護士会出身の方が四名、それから学識経験からお出になった方が六名というような構成に相なっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/66
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067・神近市子
○神近委員 その学識経験者というのが、ちょっと経歴が怪しいのでしょう。たとえば法務官僚ではなかったにしても、どこかの官僚がたくさん入ってきているということが私どもの伺っているところです。ですから日本の裁判というものが、なかなか国民本位にならない。変な権力本位になっていくということが言われるのですけれども、その学識経験者という人たちの前身ですね、民間に長くいた人か、それともほかのたとえば外務省とか、あるいはほかの各省にわたっているというように聞いておりますけれども、それはどういう比率になっておりますか。純粋の民間人というものがかなり入っていられるかどうか、それもちょっとお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/67
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068・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま私どものほうで、学識経験からお入りになった方と申し上げておりますお方は、前に衆議院、参議院の法制局長をなすっていらっしゃいました、それからお入りになったお方お二人、それから大学教授からお入りになった方がお二人、それから検察官をなすってお入りになった方がお二人、大体ただいま申し上げたような構成になっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/68
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069・横山利秋
○横山委員 安井さんが見えていますから、あわせてお伺いをしたいのですが、この間秋吉さんに来てもらって、退職手当の理論というものを聞きました。それによれば、今日の日本における国家公務員並びに三公社を規制する退職金の法律の趣旨とするところは、第一に勤続報償の性格を持っている。第二番目には、まあそれが太い線であるけれども、理論的には給与のあと払いという理論もないではないし、それから老後の生活保障という理論もあるであろう。しかし太い線としては勤続年数による報償というものの考え方がある。そうだとしますと、今回の最高裁判所の裁判官の退職金をかくも破格な増額をする理屈というものは、今日までの退職手当の法律の中にはなかったものだ。それは探せば一つや二つは理論的にはあるかもしれないけれども、原則的にはまずなかったものと考えられるという私の意見を言ったのです。それでこれは単に最高裁の裁判官だけの理論とはいえなくなる。先ほど大臣が御答弁なさったように、下級裁判官も検察官もこれに準じて上げていくとおっしゃるのだから、そうすると退職金の理論について非常に問題が生じてくると私は考える。もしも退職金というものの性格が、この政府の今回の法律に基づいて、功績報償といいますか、そういう性格が導入をされるとすると、これはきわめて重要な意味がある。つまり最高裁の裁判官をもって議論がされておるように、あらゆる上位の人々、上位の人々が得をすることにより下級国家公務員並びに三公社の下級公社職員並びに退職者の退職金のあり方について非常な不利な状況になると思われる、ということを私は非常におそれるわけです。
それともう一つは、先般申し上げたのですが、現在の国家公務員並びに三公社の退職金は、昭和三十四年制定のままになっておる。そうすると、いまから七年前である。この七年の間に物価は政府の統計をもってしても、昭和三十五年を一〇〇とすると、いま一四七ですか、そういうように非常に放置されておる。したがっていま最も必緊なことは、この物価高のときにやめる国家公務員並びに三公社の諸君が、一体どうやっていけばこれから生活をしていけるかということのほうが必緊性がある。法務省の話を聞けば、最高裁判所の裁判官が別に生活に困っておるわけではないんだ、それから退職金が少ないからなり手がないというわけではないんだ、要するにふさわしい退職金を差し上げたいのだ、こういう御議論のようですね。私はそういう意味の退職金の増額と、今日物価高に困って、やめてもう一ぺん働かなければならぬというておる現場の諸君とのつり合いからいって、これはどうにもがまんがならぬと思っておる。あなたも先ほど途中でいらっしゃったのですから、私の質問の要旨を全部聞いていらっしゃらないとは思うけれども、法務大臣には所管の問題として、最高検の検事総長はどうなるんだ、下級裁判所や検察庁の検事、判事、裁判官は一体どうなるんだ、そのつり合いがないというのがおかしいじゃないかということだけれども、あなたに聞きたいのは、もっと緊迫した、三月三十一日限り全国で、まさに数万人の人が国からあるいは県から市から町から村からやめていく、やめていく人の退職金のほうがさらにもっと必緊の問題ではないか、それを一体総理府としてはどうお考えになっておるのかという二点についてお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/69
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070・安井謙
○安井国務大臣 横山委員のお話の最高裁判所の判事の退職金につきましては、その任務の特殊性というようなことから今回こういった法案ができたわけでございましょうが、それにつきまして一般の裁判官、検察官あるいはさらにわれわれの直接担当いたしております一般公務員についての均衡はどうか、こういうお尋ねであろうかと存じます。
御承知のように退職金の問題は、昭和三十四年に退職年金制度に変わりまして、いわば、退職金そのものが一般公務員にとっては生活の直接のかてということより、長年勤務した人に対する報償というようなことで、民間の処遇とも対比をして今日きまっておるようなわけでございます。そういうような意味から、私ども、これが民間のそういった退職金の制度と著しい差ができてくるような場合には、常に気をつけて今後も修正することを検討していかなければなるまいと思って、これは常に民間との格差といいますか比較を心がけておるような次第でございます。いずれそういった問題につきましては、これは裁判所あるいは検察庁だけではございません、一般民間の問題についても、これからも十分検討していかなければなるまいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/70
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071・横山利秋
○横山委員 私の言っていることに十分お答えにならぬのですけれども、この法案はあなたのほうに御相談があったのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/71
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072・安井謙
○安井国務大臣 退職手当という意味では御相談をいただきました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/72
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073・横山利秋
○横山委員 もしも、最高裁の裁判官にふさわしい退職金制度ということでなくて、その前段の最高裁の裁判官にふさわしいというところまでいくならば、当然これは給与の問題だと思っている。現在の日本における退職金制度というものは、やめるときの給料に対してどれだけかけるかということが根幹になっているわけです。こちらのかけるパーセンテージはみんな一定だということになる。だから、もしも裁判官の労働にふさわしいということであるならば、論理的に給与でなければならない。こちらの率を直すということはおかしい。給与を上げて、その給与にもたれて、みんな同じような比率を年数に応じてかけていくということが論理的に筋が通っていると私は思う。あなたはそう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/73
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074・安井謙
○安井国務大臣 そういう面は確かにあろうと思います。給与につきましては、御承知のように最高額が出ておるわけでございます。ただ最高裁判所の特殊の任務を持った方が一定年限をおつとめになった場合、その職務の重大性に応じて、またその身分の特殊性に応じて、退職手当を格別のものを差し上げるということも、これはあっていいのじゃないかと私ども思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/74
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075・横山利秋
○横山委員 あなたもあとになって問題が、いまここで言われていることが、どんな変化をもたらすか気をつけて言ってもらいたい。もしも最高裁判所の裁判官は特殊なパーセンテージの比率を受ける、その職にふさわしい比率だというならば、今日の国家公務員並びに三公社の職員の退職手当についても同じような理論が出ますぞということなんですよ。何も最高裁判所の問題だけであとのその理論は成り立たぬということはないのですからね。そうしますと、最高裁の長官がそうなら、検事総長があってよろしい、何々もあってよろしい。ふさわしい、ふさわしいということの比率についてその特例を設けるならば、あに最高裁裁判官のみならんやということになることをあなたはお含みの上でおっしゃるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/75
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076・安井謙
○安井国務大臣 どういうところまでそういうものが広がってまいりますかは別にいたしまして、いろいろ検討の結果、非常に特殊性を見るべきものがあるということになりますれば、それはそれなりに考慮する必要もあるのじゃなかろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/76
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077・横山利秋
○横山委員 そういうことになれば、ますます私は最高裁判所の裁判官の退職手当に反対をいたします。身をもって反対いたします。そういう理論が今後退職手当の中へ導入され、そして現在の退職手当法に——給料の多寡はしかたがない、しかし比率については何人も二十年については二一%、二六%、三一%というふうに何の例外もなくいまきめられているのはきめられているだけの理由がある。最終俸給が、人によって違い、さらに比率によって職によって違う。私は、二重に退職金の額を人によって、職によってふやそうということは、これはたいへんなことになると思う。あなたはいまこの法案に対して法務省に義理を立てておっしゃるということならば別だけれども、退職金そのものについてそのような理論をあなた自身がお考えになる、そのよって来たる淵源は最高裁の退職金の法案を通さんがためである、そうなれば今後自分のほうの法案をつくるときにもこのようなやり方をするということなれば事はますます重大だ。私はこういうことに賛成できません。あなたは、私の質問の第一の国家公務員並びに三公社の退職金制度、これはこの七カ年間放置されているのですが、いつこの比率を変えてくださるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/77
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078・安井謙
○安井国務大臣 御承知のように、一般の国家公務員あるいは一般の公務員につきましては退職年金による生活保障を主眼にいたしまして、長年つとめましたことに対する報償のような意味の退職金制度でございまするから、これはまたそれなりに民間の一般の水準その他と比較いたしまして格差が出る場合には修正しなければなりませんが、現在ただいまのところ、直ちにその率を修正するような具体的なデータがあるとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/78
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079・横山利秋
○横山委員 いま国家公務員の組織から退職金の増額の要求が出ておることは御存じでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/79
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080・安井謙
○安井国務大臣 要求が出ておりますことは承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/80
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081・横山利秋
○横山委員 その内容はどういうものですか、大まかにいって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/81
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082・安井謙
○安井国務大臣 内容は具体的に承っていないように思っております。大幅に退職金についても値上げするように、こういう御要望のように承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/82
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083・横山利秋
○横山委員 それに対してあなたはどういう御答弁をなさっていらっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/83
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084・安井謙
○安井国務大臣 これは先ほどもお答えいたしましたように、民間の給与水準、と申しますより、退職手当の水準と常に比較をしておりまして、それが相当な格差が出るようだと当然退職金も直さなければなるまいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/84
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085・横山利秋
○横山委員 いま民間と国家公務員並びに三公社との比率はどんな状況になっていますか。調査の中間報告でけっこうですから伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/85
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086・安井謙
○安井国務大臣 政府委員からその点答弁いたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/86
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087・秋吉良雄
○秋吉説明員 ただいま的確な資料は手元に持ち合わせておりませんが、私の記憶で申し上げさせていただきたいと思います。
私の記憶によりますと、またあとで訂正させていただくかもしれませんが、勤続三十年で大体二百七、八十万円が国家公務員の場合でございます。それから民間の場合でございますが、これは私の記憶でございますけれども、大体二百十万程度じゃなかったかと思います。
それからそのほかに、御承知のように民間の場合は退職年金が厚生年金でございまして、もちろん調整年金の制度が今後できましょうが、現段階では国家公務員の場合は共済年金でございまして、これは制度的に共済年金が有利であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/87
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088・横山利秋
○横山委員 あらましでいいですが、いまのあなたのほうの民間との比較の調査の資料を出していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/88
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089・秋吉良雄
○秋吉説明員 調べまして、極力そのようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/89
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090・横山利秋
○横山委員 法務省にお伺いしたいのですけれども、今回の六・五倍というのは何に基準をおとりになっておきめになったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/90
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091・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 御指摘のように、今回の退職手当の特例は百分の六百五十という数が出ているわけでございます。これは先ほど来申しましたように、最高裁判所の特殊性に基づきまして、特別の退職手当の計算をするということを考えたわけでございます。退職手当という以上は、おのずから何らかの限度があるわけでございます。それから、国から支給する関係でございますから、財政面の配慮というものも考慮に入れなければならないわけでございます。いろいろな要素がからみ合いまして、落ちついたところが百分の六百五十ということでございまして、厳密な、数学的な計算に基づいたものではないのでございます。ただ、その考え方の一つといたしまして御紹介申し上げますと、従来の最高裁判所の裁判官であられて退職なさった方、その在職期間の平均を見ますと、七年余りという計算になるわけでございます。そこで、退職手当の最高限は六十倍ということでございますので、六十倍をどこに持っていくかということで、大体平均よりも少し長目のところで十年というところを見まして、そこで、退職手当の最高限に達するというふうな考え方をいたしたわけでございます。この十年と申しますのは、すでに御承知のとおり最高裁判所の裁判官につきましては任期の定めがないわけでございます。十年ごとに国民審査を受けるということになっておりますので、在職の期間が十年が一つの基準になるというような考え方もできると思うのでございます。そこで、十年ということを基準にいたしまして、十年おつとめになると退職手当も最高限にほぼ達するというふうに考えましてこれを計算いたしますと、百分の六百五十でちょうどそういうような計算になってまいるわけでございます。そのようないろいろな考慮のもとに百分の六百五十という数に到達いたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/91
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092・横山利秋
○横山委員 公社や公団の役員の退職手当の均衡をはかったということはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/92
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093・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 公団、公社の役員の退職手当の制度は一つの参考にはなったわけでございますが、おのずから職責等も違いますので、必ずしもそれにならわなければならぬというものではないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/93
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094・横山利秋
○横山委員 外国における最高裁裁判官の退職金はどういう制度になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/94
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095・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 退職手当は、特別な退職手当を支給するという例はないように承っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/95
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096・横山利秋
○横山委員 あたりまえのことです。しからば外国の最高裁の裁判官——私も同僚議員と去年ずっと見て回ったのですが、日本における退職金というのは日本独得のものでありますけれども、それはそれなりに歴史的な習慣があるけれども、しかし、さらにその上をこして、最高裁の裁判官だけが、給料にあらずして退職金でかくも破格の処置をするべき理由というものが私はどう考えてもわからぬ。もしもやるとするならば、給与を上げる、それがオーソドックスなやり方ではないか。給与でどうしていかぬのか。なぜ退職金でなければならぬのか、その理由を聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/96
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097・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま手元に資料がございませんので、明確な金額を申し上げることができないのでございますけれども、アメリカ、イギリス等におきまする最高裁判所の裁判官の俸給は、非常に高い数字でございまして、そして具体的にはアメリカ等におきましては、その給与がずっと引き続いて裁判官をやめられてももらわれるというような関係になっているように聞いているわけでございます。その金額が非常に高い金額であって、そしてほんとうの終身官でやめられてもそれを受けるというように聞いているわけでございまして、いろいろ各国法制の差異はございましょうけれども、日本では裁判官の報酬等いろいろな点から考えまして、私どもこの特例にお認めいただけるような線が非常にけっこうな線ではないか、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/97
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098・横山利秋
○横山委員 私の質問はまだ続くのですけれども、同僚委員もお待ちかねでありますから、私は一応きょうはこれで終わりまして、ほかの方に引き継ぎます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/98
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099・坂本泰良
○坂本委員 関連して総務長官にお尋ねするわけですが、公社、公庫役員の退職手当の支給に関する基準というのがあるわけですが、それによりますと、これは月計算になっておりますから年にしますと、七百八十になるわけですね。そうすると、今度の最高裁判所の裁判官は六百五十ですから低いわけです。ただいま調査部長の答弁では参考にしたということでありますが、こういう点については全然考慮をせずに、ただ最高裁判所の裁判官の特殊性ということがさつきから盛んに言われている。その特殊性に基づいて考慮された。−やはりいかに特殊性がありましてもこれは国民の税金から金をやるわけですから、アンバランスその他等も考えてこういう特例法なんかをきめなければならぬと思うのですが、その点について考慮を払われたかどうか。その内容がありましたらその内容等について承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/99
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100・安井謙
○安井国務大臣 いま御指摘のように公団、公社につきましては、いまここで御審議願っております最高裁判所の手当率よりさらに上回るものが規定されておるようであります。ただ、これは俗説といいますか、普通雑談の際出る話でございますが、一般の公営企業体の役員でさえこの程度出ておるのだから、最高裁の裁判官についてもある程度相当額を見るべきじゃないかというような、これは一般に雑談的には話は出ております。しかし、公営企業体のほうは、何と申しましても企業体でございますから、最高裁判所の裁判官がそれと同じでなければなるまいという議論にはなるまいというので、おそらく若干下回ってきめられておるものだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/100
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101・坂本泰良
○坂本委員 法務大臣、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/101
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102・石井光次郎
○石井国務大臣 公団の場合が大体百分の七百八十くらいですかね。最高裁の場合は六百五十ということであります。ただしかし、これは安井長官の話のように参考にしたという程度で、これがそれに上回るとか下回るとかいうように厳格な比較をとったわけではないと私も承知しているわけでございます。片一方はビジネス、片一方は役人というようなところで、このくらいのところが適当なところじゃないかというような——最後は、もちろん公団の、いろいろなものを参考にして、腰だめで、ここいらなら相当高く出して、そして、このくらい出せばりっぱな人も得やすいのじゃないかということと、そして、こうやってもあまり突拍子もなく支給するということにもならぬであろうし、また、あんまり少なくもならぬであろうというようなところで、このくらいで話し合いがついたと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/102
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103・坂本泰良
○坂本委員 関連でありますから、もう一点だけお聞きいたしますが、なお、この問題については、私としても別に御質問をしたいと思います。
ただ、ここで、関連として総務長官に承っておきたいのは、公団、公社の総裁の方、大体四十万ですから、俸給は最高裁判所の長官と同じだと思うのです。そうしますと、幸いここにたくさん資料は集めてまいりましたが、公団、公社がたくさんありまして、その月給は四十万が最高で、三十二万とか、サラリーマンから差し押えをするという育英会の会長も月給は二十五万という金をとっておるわけですね。こういうような人は、調べてみますと、大体大蔵官僚とかあるいは建設官僚とかで、一回退職金をもらっている。それで、さっきのような本質からいきますと、もう月給なんかもらわぬでも、国民のために奉仕するのだから、いいじゃないかとも思われますが、それはまた別といたしまして、一回退職金をもらって、そうして高額な月給をもらう。最高裁判所の裁判官にいたしましても、経歴を見ますと、長年判事をやったり、検事をやったり、その他の大学の教授も、やはり公務員として月給をもらい、退職するときは退職金をもらって、そして最高裁判所に出て最高裁判所の俸給をもらっておる。そこで今度はまた退職するときこの特例法によるわけですが、これに対する調整は附則としてできているようでありまして、その附則の点についてはまた別に質問をいたしますけれども、いずれにいたしましても、一回退職金をもらって、そうして高額な俸給をとっておる。これは、最高裁判所の裁判官よりほかの公団、公社の役員のほうがかえって有利に、高額な月給をもらっているじゃないか。それが、やめるときには、公団、公社の関係は百分の七百八十、この特例法は六百五十、こうなるわけですね。そうして、一番特殊事情とおっしゃる弁護士から最高裁判所の裁判官になられた方が、この資料によりますと、ほんのわずかしか退職するときはもらっていないわけです。というのは、弁護士の期間は長くても、それは退職金もないし、実績もないものだから、白紙になってくる。だから、特例法では六百五十もらえるということになれば、十年間も最高裁判所の裁判官をしておれば相当の額がもらえる。そういうわけで、裁判官とか検察官をやって、やめられて、なお最高裁判所の裁判官をやめられた方は二千何百万、相当高額のあれが出るわけですね。そういう点のアンバランスの調整が、どうもこの特例法では最高裁判所の裁判官の中でもできていない。さらに、公団、公社の総裁、役員、この人たちの七百八十というのは、六百五十より百上だから、アンバランスの調整がどうもできていない、こういうふうに考えるわけですが、こういう点について、さらに本特例法案をつくるにあたって考慮されたかどうか。総務長官のほうは、そういう点について、やはり国家全般の立場から、給与の問題あるいは退職金の一般の立場から、この法案についての意見を述べられたかどうか。全然相談がなくて、無視されてこの法案ができておるかどうか。そういう点をこの際、両大臣に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/103
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104・安井謙
○安井国務大臣 先ほど横山委員にお答えしましたように、この法案がつくられます過程におきまして御相談を受けまして、六百五十にしたい、こういうお話で、私ども諸般の事情上まあ妥当であろうと考えたわけでございます。そうして、その際に、いろいろ世間話として言われておりまする、でき得れば公団役員並みに、最高裁の裁判官であるから、その程度はしてあげていいのじゃないかと思うのだというような話は雑談としては出ております。ただ、これは、何といっても採算制をとっておるいまの企業体の役員と、こういった最高裁判所の裁判官とでは、——若干それを下回ってもやむを得ないじゃないかというようなつもりから、その下回った程度できめられることが妥当であろうと私ども考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/104
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105・石井光次郎
○石井国務大臣 大体いま安井長官のお話の程度に私は考え、話し合った程度でございます。そこまで行く、またこういうふうな案になりました順序等につきましては、政府委員からできるだけ詳しく御説明申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/105
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106・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 この退職金の予算につきましては、裁判所の予算に計上されることに相なるわけでございます。したがいまして、裁判所の事務当局といたしましては、もちろん予算の所管庁に対していろいろ折衝をいたしまして、その趣旨等ももちろん御説明申し上げ、また一方、法案の関係では法務省の御所管にも相なりますので、法務省の所管の調査のほうとも法案関係については密接な連絡をとりまして、そしてこのような結論に到達していただいた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/106
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107・坂本泰良
○坂本委員 どうも私はまだ納得できませんが、あと神近委員もおられますから……。この問題はやはり最高裁判所の裁判官だけ浮き彫りにしてこれを判定すべきじゃないと思う。やはり政府側において、われわれの質問によっては、もっといろいろなことが考慮されたと推測するわけですが、われわれとしても、単に最高裁の裁判官の退職手当の問題ですが、これはただいま申しましたように公団、公社との非常な関連がありますから、やはり国家の金というのは国民の税金ですから、その点についてはなお十分掘り出げて質疑を申し上げましてやりたいと思いますから、本日は関連ですからこれで打ち切っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/107
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108・大久保武雄
○大久保委員長 神近君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/108
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109・神近市子
○神近委員 いま法務大臣は参議院においでにならなければならないということですので、私は一、二点だけちょっと大臣のお心がまえというか、伺いたいと思うのですが、大臣はこの間、九日の法務省会議室の全国次席検事会同で、人間と人命の尊重ということを言っています。私は人命尊重ということになれば、交通の問題とかあるいは防火対策とかいろいろあると思うのですが、裁判による人間の無視ということが日本ではか在りひどいのじゃないか。それで少しきょうは大臣にお伺いしたいと思ったのですけれども、ともかく時間がないとおっしゃるので一、二点だけ所信を伺わしていただきたい。
この人命尊重、あるいは人間尊重ということが、一年とか二年とかいうような御在任の間、通すことができるとお考えになっているか、それは合いことばで、作文で、言いっぱなしで、次々に変わっていらっしゃるというのだったら、日本の裁判制度はよくならない。いま、いろいろ批判を持っていることは——大臣がおいでにならなかったらそれぞれの方に伺おうと思ったのですけれども、この人間尊重というのはどの程度貫こうという決意を持っておいでになるか、私その点お伺いさせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/109
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110・石井光次郎
○石井国務大臣 人間尊重の一番大事なことは人命の尊重だと思っております。そのために私どもは、どうやって人の命を守っていくかということにできる限りの努力をいたしておるつもりでございます。このごろ日常茶飯事のように起こっておりまする交通事故などというものを少なくして、そうして毎日毎日報道されまする交通事故による死傷を少なくするということ、それから犯罪が起こることのないように、また起こったら、そういう起こした人たちが早くこれを改めて、再びまたそういう罪を犯さないようにというような方向で、矯正保護というほうに力を入れていくということには、私どもあらゆる力を注いでいくべきだということで、部下を督励して一生懸命やっておるつもりでございます。今後ともそのつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/110
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111・神近市子
○神近委員 それで、あなた自身の御自信のほどはわかったと思うのです。いまいろいろ伺ってみると、あなたの関係ですけれども、一体法務大臣というものは最高裁あるいは検事局、こういうものについて御自分の意見あるいは批判というものは行なわれることのできるような権利を持っていらっしゃるかどうか、それを伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/111
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112・石井光次郎
○石井国務大臣 裁判所は私どもから完全に独立しておる機関でございます。司法、立法、行政、御承知のように裁判はその一つの部門でございまして、最高裁判所長官のもとに統率されておりまして、これに私ども行政部門の者から何ら容喙することはできないことになっておるわけでございます。何らかの意見がありますれば、意見は何らかの方法によって開陳する道はあると思うのでございますが、それだけでございます。それから検事総長は機関として私の部下でございます。したがいまして、検挙の問題等につきましては、私が検事総長を指揮することができるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/112
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113・大久保武雄
○大久保委員長 次会は明後二十四日開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01719660322/113
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