1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十四日(木曜日)
午前十時五十二分開議
出席委員
委員長 大久保武雄君
理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
理事 小島 徹三君 理事 田村 良平君
理事 濱田 幸雄君 理事 井伊 誠一君
鍛冶 良作君 唐澤 俊樹君
四宮 久吉君 田中伊三次君
中垣 國男君 森下 元晴君
森田重次郎君 神近 市子君
横山 利秋君 竹本 孫一君
竹谷源太郎君 田中織之進君
出席国務大臣
法 務 大 臣 石井光次郎君
国 務 大 臣 安井 謙君
出席政府委員
検 事
(大臣官房司法
法制調査部長) 鹽野 宜慶君
委員外の出席者
総理府事務官
(人事局参事
官) 秋吉 良雄君
最高裁判所事務
総長 岸 盛一君
判 事
(最高裁判所事
務総局人事局
長) 矢崎 憲正君
専 門 員 高橋 勝好君
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三月二十四日
委員濱野清吾君、早川崇君及び西村栄一君辞任
につき、その補欠として森田重次郎君、鍛冶良
作君及び竹谷源太郎君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員鍛冶良作君、森田重次郎君及び竹谷源太郎
君辞任につき、その補欠として早川崇君、浜野
清吾君及び竹本孫一君が議長の指名で委員に選
任された。
同日
委員竹本孫一君辞任につき、その補欠として西
村榮一君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
最高裁判所裁判官退職手当特例法案(内閣提出
第八二号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/0
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001・大久保武雄
○大久保委員長 これより会議を開きます。
最高裁判所裁判官退職手当特例法案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神近市子君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/1
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002・神近市子
○神近委員 この間大臣が次席検事会同で、人間尊重とか、あるいは人権尊重の御決意を語られておりましたので、前回の委員会で、それはどの程度かと私は言いたかったのですが、この間は大臣たいへん時間がないとおっしゃったので、まあお人柄としてあなたのこの御決意は固かろうと思って、その前提のもとにいろいろきょうは御質問申し上げたいと思っておいでを待っていたわけでございます。
これは事務局のほうに伺いたいのですけれど、この前、例の巌窟王といった吉田石松の裁判をなされた小林登一裁判長、それから判事の成田薫、斎藤寿、こういう方々はその後どういうふうになっておられますか、ちょっとそれがわかれば伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/2
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003・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。
小林さんはその後おやめになりまして、公証人をなすっておいでになります。それからあとの成田さんと、陪席をなさいました裁判官は現在やはり名古屋で裁判官をなすっておいでになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/3
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004・神近市子
○神近委員 これは私があとでお尋ねすることに関連してきますけれど、もう一つ、福岡事件の第二審をやった島田さん、これはフルネームはわかりませんけれども、島田さんという人はどうなっていますか。裁判の途中で、第二審をやっていらっしゃるのに、判決の前にこの人が転任になりまして、そしてそのあと筒井さんという方がやるのですけれど、この筒井さんというのは一回も公判を開かないで判決を言い渡した。その判決のもとは、島田さんの第二審における公判の記録によらないで、第一審をそのまま使ったということが調査で出ているのです。そういう意味で、この判決直前に島田さんをやめさせた、その島田さんという人がどうなったかということを伺いたいのですけれど、それはわからないでしょうね、 フルネームもわからないし……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/4
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005・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 実はいま御質疑の島田裁判官につきまして、私現在のところ承知いたしておりませんので、できるだけすみやかに尋ねまして、間に合わせてお答え申し上げたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/5
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006・神近市子
○神近委員 私がこのことに触れますのは、これからちょっとお尋ねしようと思うことに関係があるからです。これはせっかく大臣が人間尊重あるいは人権擁護ということをうたっておられるのに、良心的なこういう人たちは、私どもが裁判官として最も貴重な存在だと思うような人たちが、いられなくなるという、この官僚制度に私は疑問があるのです。それで、たとえばダイヤモンド事件で青木斌という人が死ぬ事件があるのですけれど、これは決算でこの間もやったことなんですけれど、そのダイヤモンド事件で殺された青木という人、この人の裁判をやることになっていたのは大槻さんという検事さん、ところが大槻さんがかぜをひいたそうで、かぜをひいたというだけのことで、これは違った人がやっている。この大槻さんも、それからいまの吉田事件の人も、みんな弁護士になってしまうのです。法務官僚というものがいかにいづらいか、良心を持ったり、あるいは人間的なものを、あるいは人権を擁護をしようというような人が、いづらいところになっているということが、私ども非常に心配なんです。それでこの三人のことをお尋ねしたのですけれど、これはあとでもまた触れますけれど、なぜこういうことを私が問題にするかといいますと、名前を伏せておきまずけれど、非常にりっぱな理学博士が告白していることがあるのです。これはある雑誌でございますけれど、これは今日の官僚制度というものの批判でありまして、結局官僚が出世するためには、なまけるほうが一番いいそうです。これはきょうの東大の落第生が非常にふえたという記事をごらんになったでしょう。この人も同じことを告白しています。大学に入ってみたら非常につまらなくなって、そうしてもうやめようかと思ってなまけて歩いていた。ところが、あるときひょっと自分で考え出して——幻滅を感じて、もう勉強はしたくなくなって、悩みに悩んだあげくにひょっと自分がみんなの幸福のために生きるのだというような理性を取り戻して、初めて勉強というものができるようになった。それからやっと立ち直った。ところがこの大学、いま興味をなくして、ただ出世のために勉強するというような大学になってしまった。それで、これを出ると役人になるでしょう。そしてたとえば大蔵なら大蔵、あるいは建設なら建設、そこの官僚の中に入ると、今日の大学生に希望を失わせたと同じように、何でも黙ってその筋のいくところについていきさえすれば出世が早いのだそうです。それに異論を持ったり、あるいは疑問を持ったりする者は、結局いま申し上げたように弁護士になるか、あるいは会社に入るか、そういうようなことで脱落していく。それは私ほかの場合は私の関係するところでないけれども、人間の、人権の擁護ということが一番大きな目的でなければならない法務官僚にそのことが出てきたならたいへんだと思うのです。ところが非常に不幸なことには、私はこれは日本の一つのいまの悲しみだと思うのですけれども、裁判というものが非常に時間がかかって、手間がかかる。私はこれはぜひ大臣にお聞き取りを願って、何とかこれをよくするほうに向いていただきたいと思うのです。なまけ者にならなければ官僚では出世ができないというあほうなことは、私たちは許しておくことはできないと思うのです。特に法務官僚にそれが著しく見えるということは、裁判の非常におくれるということ、それから変な裁判が相当行なわれているということ、そういうことに私はよく出ていると思うのです。私は訴追委員もやっていますけれども、この間訴追委員で、裁判が非常におくれているじゃないか、問題によっては議員でも訴追ができるのかという話を聞いたことがありました。そうしたら、議員で訴追するというときには、委員をやめればいいということ、それからもう一つは、裁判は大体平均で一年で片づけております、こういう話です。それが事実かなと思って、帰ってきて調査をしてみますと、交通事故が入るから一年というような甘い点数が出たのであって、交通事故というものは、早ければ三カ月か四カ月で片づく。それを入れての平均だから一年ということになるのですけれども、きょう判決が出ましたところの青梅事件なんかも考えてみていただきたい。これは十何年かかっているでしょう。そういうようなことはやはり怠慢であり、あるいはさっき申し上げたようななまけ者が一番出世をするというところに私は問題があると思うのです。そういう意味で、私はさっきの良心的な者しがいづらくなるような法務官僚ということをたいへん嘆かわしいと思っているのですけれども、その点あなた方はどういうふうに弁解なさいますか。私どもは、予算の問題では、大体において多くなったほうがいいということを横山委員からも申し上げたし、私もそれに賛成だったのは、裁判がもう少し能率的にできなければならないと考えたからだったのです。それで、いま私が申し上げたことについて、官僚制度というものではないとあなた方はおっしゃるのですか。そして、あってもなまけ勝ちだということは言えないとおっしゃるのですか。どちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/6
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007・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように、裁判がおくれている、早くないというおしかりでございますが、早く処理されているものも多々あるのではございますけれども、おそいものも相当あるわけでございます。そこで、たとえて申し上げますれば、東京の地方裁判所の刑事部におきましては、ちょうど三年少し前から旧件処理部というものを設けまして、おくれております事件を集めまして、それを集中審理で、できるだけ早く処理しようというような特別な方策を考えまして、着々その成果をおさめまして——御承知のように旧件と申しますのは、いろいろなことが、原因になりまして、裁判官が一生懸命にやろうと思ってもなかなかできないような事情もあり、また当事者のほうにもいろいろな事情がありまして、それが一緒になっておくれているのが原因といわれているわけでございますけれども、そういうような事件を東京刑事部では集めまして、鋭意その事件の処理にかかりまして相当の成果をおさめているわけでございます。しかしそれかと申しまして、決していま御指摘のように事件がすべて早くいっているわけではございません。おそい事件もあるわけでございます。こういうような事件につきましては、われわれのほうといたしましても制度の面、たとえて申しますれば刑事の事件を例にとって申し上げますと、アレーンメントの手続をとったらいいかどうか。もう少し簡単な事件は簡単な事件で処理できるように、複雑な事件は複雑な事件で処理できるように、手続を二つに分けて考えてみたらどうかというような制度面の検討等もいろいろいたしているわけでございますけれども、いろいろと問題がございまして、なかなかすっきり迅速にすべての事件がいっていないというのが現状でございます。しかしその事件の処理に当たります各裁判官につきましては、いま御指摘のように決してなまけているわけじゃございませんで、ほんとうに一生懸命になりまして、うちに記録を持って帰って、夜おそくまでかかりまして、十一時、十二時というころまで記録も見、また法律問題もいろいろ調べたりいたしまして、たいへんな努力を払っているのが偽りのない現状でございます。そして裁判官は、お互いの間にそれぞれ事件の処理の度合いがわかるようなかっこうになっております。たとえば自分の隣の部屋にいる裁判官が、どういうように事件を処理して、どういうように法廷の処理をやっているかというようなことも十分わかるようになっておりまして、おのずから裁判官の中ではお互いに励まし合いまして事件を処理するというようなかっこうができているわけでございまして、裁判官に関しましては、ただいま御指摘のような官僚というような空気と申しますか、そういうものはございません、こう申し上げていいのではないかと思っているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/7
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008・神近市子
○神近委員 幾らかよくやっているとおっしゃるけれども、古田石松の事件は再審を頼んで五十年かかっているでしょう。きょう青梅事件がやっと解決をしたけれども、これも十二年かそこらかかっている。私は幾らあなた方が一生懸命やっているとおっしゃっても、何か納得できないことがたくさん出てきているということ、それは大臣が切望されているところの人権あるいは人間を守るという意図にそぐわないものだと思う。
もう一つは、あなた方が非常に権力に弱い。これは例をあげろとおっしゃれば幾らでも私あげますけれども、時間があまりないからその例をあげるということはできないのですけれども、権力に対して弱い。その一つのごく卑近な例をあげてみましょうか。この間ここでも問題になったのですけれども、国士館大学の事件があります。その暴力事件で、単純な暴力事件なのです。——検察庁の方でいらっしゃるでしょう。単純な暴力事件です。それが、一昨年の十月二十三日かにおこった事件を昨年の四月一日まで告発しなかった。それはこの被害者の方が何か考えがあって、自分の地位を確保しておきたかったか、あるいは首になるのがこわかったのか、そこはわかりませんけれども、ともかく四月一日に玉川署から告発しているのです。幾ら検察庁は働いているとおっしゃっても、まだこれを起訴するのかしないのかということもきまっていないじゃありませんか。この間刑事局長に聞いたところでは、八人の参考人から検察庁は聞いているとおっしゃったんですけれども、これはどうした状態か、もしおわかりの方があったら伺わせていただきたい。これは大臣を前にしてお気の毒ですけれども、大臣のお名曲がかってに使われたというようなことをおっしゃったんですけれども、ともかく顧問としてあの大学にいられるということになっておられる。総理大臣も、それから外務大臣も、こういう人たちがみんな顧問に名を連ねて、そして昨年の七月八日には入閣の祝賀までやっているというのが、実態なんです。それで、その学校のことだからということが、大臣が顧問をなさっている、あるいは総理大臣も顧問をなさっている学校だからという御遠慮があったのではないかということが、一般に関係者には疑われて、これは文部委員会でずいぶん問題にしているようですから、そちらでなにと思うのですけれども、この間刑事局長は八人参考人を呼んだというだけのことで、一年ですよ、四月一日です。……。それでまだ起訴するかしないかきめてない。単純ななぐったりけったりを、二百人も学生や教授がそこで見ているところでやった。ただ特殊の事情があの学校にはある。私はそれでどうかと思うのですよ。幾らあなたが能率的にやっているとおっしゃったって、検察官というものは一体何をしているのだろう、検事さんというものは一体何をしているんだろうというふうに私は感じる。これは私だけでなくて、文部委員会でやった人たちの記録を見ても、やはり同じことを言っているようですけれども、それはほんとうにどういう人をお調べになったのか。玉川署のパトカーが行ったんですから、その状態をお聞きになればわりに簡単だと思うのです。私、その点の御弁明ができれば伺いたい。
それから、その七人か八人の参考人というものの氏名がわかれば教えていただきたい。それをお願いしたい。わかりますか。調査官、どなたか関係のある方いらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/8
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009・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 ただいま神近委員の御指摘の事件でございますが、私、直接その関係の仕事を担当しておりませんから、委細承知しておりませんので、私から御説明申し上げかねるのでございます。ただいま担当の者がこちらのほうに参るようになっておりますので、しばらく時間をいただきまして、後刻御説明申し上げることにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/9
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010・神近市子
○神近委員 これは私が自分でかってに言っていることじゃないのですよ。ここの委員会に後藤信夫さんという日弁連の人権擁護委員会の副委員長をしている方がお出になって、小委員会で、検事さんのやり方について、どうも検事というものは告発や何かをいろいろ取捨するような傾向があるということは言っていらっしゃる。たとえばこれは一つは再審の問題にからんでおります。ともかくやりたくない、取り上げたくない、これは後藤さんだけでなく、訴追委員会で一昨年だったか、弁護士を何人か、あるいは学識経験者を何人か呼んでヒヤリングをしたことがあった。そして訴追される人たちの実態を握ってみようということでやったことなんですけれども、そのときもやはり弁護士さんたちが言ったことはそのことです。いま記録を読み返す時間がなかったので、具体的なことは言えないのですけれども、ともかくも怠慢というか、あるいは権力の側に弱いというようなことは、関係なさる方みんなが持っている感じなんです。その点、一体そういう事実はない、検事さんも一生懸命夜の八時までも書類を調べているというようなことをおっしゃりたいのか。
それから、宅調というのが今度の予算に出ております。宅調ということは、私、弁護士でないからよくわかりませんが、一体どういうことを宅調というのか。
それから、そのために調査事務官を六人ふやすとその横に書いてある。そうしてその次には、自動車を買うとかあるいは何かのパンチを買うというような金らしいけれども、その予算も出ている。これは一体プラスするのか。ほんとうにそのすわっている検事さんを起こすだけの力があるのかどうか。どういう自信を持っていらっしゃるか。それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/10
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011・鹽野宜慶
○鹽野政府委員 ただいまの御質問は、検察庁につきましてと裁判所につきましてと、両方の問題が含まれていると存じます。検察庁につきましては、ただいま神近委員の仰せのとおり、検察官がそれぞれ相当の事件を担当いたしておりますので、鋭意努力いたしまして、ただいまお話しのように、場合によりましては八時、九時まで居残りをして事件の処理をするというようなことをいたしておるのが実情でございます。
なお、ただいまの増員の問題は、裁判所関係の職員のことと存じますので、その点につきましては、最高裁判所から御説明いただくのが相当であると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/11
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012・矢崎憲正
○矢崎最高裁判所長官代理者 ただいま宅調というお話が出ましてございます。これはどういうものかと申しますと、実は大都市の裁判所におきましては、裁判官が出てまいりましても、その裁判官がいる部屋、机がないわけでございます。要するに、二部交代といいますか、一日おきの交代になっておりまして、その一つの部屋に出ますと、月水金ならば月水金に出る裁判官がその日に出まして、そして公判を開きまして、そこで審理をして帰るわけでございます。それから火木土にきめられた裁判官は火木土に出まして、そこで法廷を開き、審理をしてうちに帰るわけでございます。その場合に一つの部屋、一つの机が二人の裁判官によって共用されるというかっこうになるわけでございます。そのほかの日は、先ほど申し上げましたように裁判官は自宅で朝から夜の十一時、十二時というおそくまで判決を書きましたり、記録を調査いたしましたり、そういうことで自分のうちを職場として使っておるわけでございます。これが非常にまずい、いわゆる事務の能率という点から見ましても非常に困った実情でございますので、昨年からいろいろと御配慮をいただきまして、そして予算の点でも宅調廃止に伴う予算というものが認められてまいりまして、できるだけ裁判官には一つの机、それから原則としてその裁判官だけの使えるような部屋というようなものがあるにこしたことはないというような方向で、いろいろと設備ができていっているわけでございます。これがただいま御指摘のいわゆる宅調廃止ということでございます。
それから増員の点でございますが、今度の六人の裁判所調査官というのが地方裁判所に認められた。それはどういうものかと申しますと、工業所有権とか、税法関係につきましては非常にむずかしい技術的な問題がたくさんございまして、裁判官の知識を補ってくれると申しますか、裁判官からこの点どうだ、この点を調べてこいという指摘を受けまして、そういう問題につきましていろいろと調べて裁判官に報告をする。裁判官は、これを材料といたしまして自分の判断を導き出す、いわば判断の基礎的な一つの材料にする。こういう資料を集めるための調査官というものが六人認められたわけでございます。いまのところはわずか六人でございますけれども、これによってそういう下準備等についての資料を集めさせる、そして裁判に役立てるという制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/12
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013・神近市子
○神近委員 自民党会館で会合があるから、十二時から始まるから十一時半ごろやめてくれということですけれども、これは大臣の御都合なのかどうなのか。始まったのが十一時近いところだったでしょう。だから、いま序論に入ったばかりです。しかし、これはかなり大きなテーマだと思って質問申し上げているので、十二時にやめろというようなこと一まだあとで大臣に伺いたいことをたくさん持っていますけれど、大臣がこの自民党会館の竣工式かなんかとおっしゃるなら、私けっこうですけれど、委員長もおいでにならなければならぬ……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/13
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014・大久保武雄
○大久保委員長 どうぞお続けください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/14
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015・神近市子
○神近委員 きょうは私の質問はここで中断しなければならないのですが、ただ、きょうたいへんうれしいことは、私がいま持ってきているテーマについて、たとえば、青梅事件の判決が、人権あるいは人間尊重に符合していること。それからもう一つは、大阪の裁判所での交通事故に対する三つの子供の証言の上取り上げ、あれは私はたへいんりっぱだと思うのです。ともかく目と口よりほかに十分に動かない純粋な子供たちの見ていた証言を裁判所が取り上げたことは、たいへんりっぱだと思って、私はまさに好意的にきょうは質問をしていたつもりでございます。では、中断いたしまして、また明日にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/15
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016・大久保武雄
○大久保委員長 横山利秋君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/16
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017・横山利秋
○横山委員 後刻三党の共同提案の附帯決議が出るのですが、それに関連いたしまして総務長官にお伺いをしたいのです。先般あなたと、国家公務員の退職金は引き上げられるべきであるという点について質疑応答を行ないました。後刻提案されます附帯決議は、裁判官並びに検察官等の俸給あるいは退職金についても、臨時司法制度調査会の意見書を尊重して、すみやかに検討して改善を行なえというのが国会の意思になる模様であります。それに関連いたしまして、これらの附帯決議は、国家公務員並びに公社職員の退職金と密接な関係があるのであります。先般あなたも御報告になりましたように、長年にわたって改善がされてない。これらの問題についても、民間の要請並びに物価の値上がりや労働需給等の諸問題を検討の上改善を行なうべきであると思うのでありますが、いかがでございますか、一言。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/17
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018・安井謙
○安井国務大臣 お話しのように、国家公務員の給与は民間のそれに比較して常にバランスをとるように心がけております。しかし、いろいろ御指摘のような点もあろうかと思います。さらに十分民間企業と比較検討いたして、改善すべきものがあれば今後も積極的に改善いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/18
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019・横山利秋
○横山委員 「あれば」というのがどうもひっかかるのであります。「あれば」がなければいいのです。私どもとしましては、最高裁の裁判官が一つの特殊な理由によって上げられるという説明ではありますけれども、それらについては、いろいろ質疑応答の末、私どもとしては均衡論、それから退職手当の理論からいって異議なしとしないのであります。しかし、かりにそういうことでありましても、引き上げられるとするならば、均衡上、下級裁判官や検察官等が引き上げられることは当然であろう。その点については与野党一致をするわけであります。そうだといたしますと、当然国家公務員、三公社の職員についても、均衡上引き上げなければならぬということへ、結局はいくと思うのであります。あなたの御意見は、今日までの民間とのつり合いをおっしゃっているのですけれども、ここに新らしい退職金についての発展があるのです。それをあなたは考慮をしていただかなければならぬというのが私どもの所論でございます。民間給与ももちろん今日までの理論からいって当然ではございますけれども、本日ここで決定いたします国会の意思を尊重して、国家公務員並びに三公社の退職金についても、検討の上改善をしていただきたいのでありますが、その方向で御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/19
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020・安井謙
○安井国務大臣 一般検察官あるいは裁判官等の給与が改善されるというような場合におきましては、その事情を十分一般公務員の場合にも考慮いたして考えてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/20
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021・小島徹三
○小島委員 私、何も横山委員の質問に異議を申し立てるわけではございませんが、はっきりしておきたいことは、裁判官や検察官の給与は独特のものでございまして、一般国家公務員とは関係がないのであって、関連してと言われると、何かこっちを上げたらこっちも上げなければいかぬ、そういうのではなしに、別の意味で国家公務員の退職金等を考えてあげるということでなければ、関連してということばにちょっとこだわりを感ずるものですから、その点ひとつ。……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/21
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022・横山利秋
○横山委員 別にここで討論をするわけではありませんが、私の意見を申し上げて同僚議員の誤解を解きたいと思います。
同僚議員は錯覚におちいっているのであります。私どもの立場とは別でありますけれども、本法案は最高裁判所の特殊事情、裁判官の特殊事情という点に力点が置かれているわけであります。しかし、その特殊事情は意見書のものと考え方が相違する点がある。したがって、本院はこの法案に附帯決議を付して、裁判官並びに検察官等の給与並びに退職金についても改善をするべきであるという附帯決議を付することになっております。そうだとしたならば、本院の意思は、最高裁判所の裁判官が上げられた理由と、それから附帯決議の趣旨とは若干違うという、意見の相違はあるかもしれませんけれども、しかしながら、この裁判官並びに検察官一般も上げるべきであるという立場は変わりはないのであります。それが上げられれば、それとまた兄弟相和す国家公務員並びに三公社の退職金を、当然均衡上から上げざるを得ないのではないか、こういうふうに発展すると、こう言っているのでありますから、わざわざ私の質問を打ち消すような誤解、錯覚におちいられないように、ひとつ同僚議員に了解を求めたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/22
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023・大久保武雄
○大久保委員長 この際おはかりいたします。本案に対する質疑はこれにて終了いたしたいと存じますが、これに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/23
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024・大久保武雄
○大久保委員長 御異議なしと認めます。よって、本案に対する質疑はこれにて終了いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/24
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025・大久保武雄
○大久保委員長 これより討論に入る順序でありますが、討論の申し出もありませんので、直ちに採決に入ります。
採決いたします。最高裁判所裁判官退職手当特例法案に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/25
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026・大久保武雄
○大久保委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/26
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027・大久保武雄
○大久保委員長 この際、本案に対し上村千一郎君より、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
この際、本動議について提出者からその趣旨の説明を求めます。上村千一郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/27
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028・上村千一郎
○上村委員 私は、最高裁判所裁判官退職手当特例法案に対する附帯決議を付すべしとの動議を、自由民主党、日本社会党、民主社会党の三党を代表いたしまして提案をいたしたいと思います。
まず、これが案文を朗読いたします。
最高裁判所裁判官退職手当特例法案に対する附帯決議(案)
政府は、臨時司法制度調査会の意見を尊重し、速やかに裁判官並びに検察官等の報酬、俸給又は退職金等について検討を行ない、改善すべきである。
右決議する。
これが提案の趣旨につきましては、いろいろとこの法案に関する本委員会の質疑応答の中に十分その趣旨があらわれておりますので、これを省略いたしたいと思います。何とぞよろしく御審議を賜りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/28
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029・大久保武雄
○大久保委員長 これにて趣旨説明は終わりました。
本動議について採決いたします。本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/29
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030・大久保武雄
○大久保委員長 起立総員。よって、本動議は可決されました。
この際、本附帯決議に対し政府の所信を求めます。石井法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/30
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031・石井光次郎
○石井国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重いたしまして、できるだけ早い機会に何らかの適切な施策を講じまするように、鋭意検討を行なう所存でございます。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/31
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032・大久保武雄
○大久保委員長 次におはかりいたします。ただいま可決せられました法律案に対する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、これに御異議はございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/32
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033・大久保武雄
○大久保委員長 御異議なしと慰めます。よって、さよう決しました。
〔報告書は附録に掲載〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/33
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034・大久保武雄
○大久保委員長 次会は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。
午前十一時三十六分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X01819660324/34
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