1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月七日(木曜日)
午前十時四十一分開議
出席委員
委員長 大久保武雄君
理事 上村千一郎君 理事 大竹 太郎君
理事 小島 徹三君 理事 濱田 幸雄君
理事 井伊 誠一君
鍛冶 良作君 唐澤 俊樹君
佐伯 宗義君 四宮 久吉君
千葉 三郎君 濱野 清吾君
神近 市子君 山田 長司君
横山 利秋君 田中織之進君
出席国務大臣
法 務 大 臣 石井光次郎君
出席政府委員
法務政務次官 山本 利壽君
検 事
(民事局長) 新谷 正夫君
検 事
(刑事局長) 津田 實君
委員外の出席者
検 事
(民事局第四課
長) 味村 治君
専 門 員 高橋 勝好君
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四月七日
委員賀屋興宣君辞任につき、その補欠として鍛
冶良作君が議長の指名で委員に選任された。
同日
委員鍛冶良作君辞任につき、その補欠として賀
屋興宣君が議長の指名で委員に選任された。
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本日の会議に付した案件
刑法の一部を改正する法律案(内閣提出第三八
号)
商法の一部を改正する法律案(内閣提出第一二
七号)
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/0
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001・大久保武雄
○大久保委員長 これより会議を開きます。
刑法の一部を改正する法律案を議題といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/1
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002・大久保武雄
○大久保委員長 まず、政府より提案理由の説明を求めます。石井法務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/2
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003・石井光次郎
○石井国務大臣 刑法の一部を改正する法律案について、その趣旨を説明いたします。
今次の刑法の一部を改正する法律案は、最近における交通事犯の実情等にかんがみ、刑法第四十五条後段の併合罪となる罪の範囲を禁錮以上の刑に処する確定裁判があった罪とその裁判確定前に犯された罪とに限ることとするとともに、同法第二百十一条の罪の法定刑に五年以下の懲役刑を加え、かつ、その禁錮刑の長期を現行法の三年から五年に引き上げようとするものであります。
まず、刑法第四十五条後段の改正についてでありますが、近時道路交通法違反事件は急激な増加を示しております。たとえば、昭和三十九年に全国第一審裁判所において有罪の告知を受けた人員は約四百万人に及ぶのでありまして、その大部分は、道路交通法違反にかかる罪について即決または略式の裁判で罰金以下の刑の告知を受けたものであります。しかして、現行刑法のもとにおいては、これら道路交通法違反の非により罰金以下の刑に処した確定裁判であっても、同法第四十五条後段の確定裁判に含まれますので、その前後に犯された二個以上の罪が右の確定裁判のあった後に審判される場合には、これら二個以上の罪の併合罪関係は右の確定裁判により遮断され、必ず二個以上の刑に処することとなるのであります。このために、裁判及び検察の手続の段階においては、右のような確定裁判の存在の調査を的確に行なっており、これがための事務量はまた少なからぬ状況にあるのであります。
ところで、併合罪の処断に関するわが刑法の原則から考察いたしますと、刑法第四十五条後段の規定により数個の罪の併合罪関係を遮断することは、これらの罪がいずれも禁錮以上の刑に処すべき罪である場合に最も実質的な意義を持つものであり、罰金以下の刑に処する裁判によってはこのような併合罪関係を遮断しなければならないものではなく、むしろ、罰金以下の刑に処する確定裁判によって併合罪関係を遮断することは、刑事審判の手続において、また、刑の執行の手続において複雑さを加え、犯人に不利益となる場合も生ずることとなりますので、この際、同条後段の確定裁判を禁錮以上の刑に処するものに限るよう改正しようとするものであります。最近における道路交通法違反の罪により罰金刑に処せられる者が激増する傾向を考慮いたしますとき、早急に右のごとき改正を行なうことは、現下における刑事裁判の迅速円滑な運営をはかる上において緊要のことであると存ずる次第であります。
次に、刑法第二百十一条の改正についてでありますが、最近における交通事故とこれに伴う死傷者数の増加の趨勢は、まことに著しいものがあり、政府におきましては、かねてからこのような事態を重視いたしまして、交通対策の樹立とその推進につとめてまいったのでありますが、近時の自動車運転に基因する業務上過失致死傷事件及び重過失致死傷事件の実情を見まするに、数において激増しつつあるのみならず、質的にも高度の社会的非難に値する悪質重大事犯が続出いたしております。法定刑の最高限またはこれに近い刑が裁判において言い渡される例も次第に増加しつつあるのでありまして、この際、この種事犯中特に悪質重大なものに対してより厳正な処分を行ない得るものとするよう必要な法改正を行ないますことは、今日における国民の道義的感情に合致するばかりでなく、国家の刑政から見ましても、きわめて緊要なことと考えられるのであります。
以上が刑法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げる次第でございます。
〔委員長退席、上村委員長代理着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/3
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004・上村千一郎
○上村委員長代理 次に、本案についての逐条説明を求めます。津田刑事局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/4
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005・津田實
○津田政府委員 本法案につきまして逐条御説明を申し上げます。
まず、第一項の第四十五条後段中「確定裁判」を「禁錮以上ノ刑ニ処スル確定裁判」に改める。この改正は、刑法第四十五条後段の併合罪となる罪の範囲を禁錮以上の刑に処する確定裁判があった罪とその裁判確定前に犯された罪とに限るものとしようとするものであります。
元来、数個の罪につきまして訴追された被告人に対して有罪の裁判をする場合に、一罪につき一刑を科する原則をとるならば、犯罪の数だけの有期自由刑を併科することとなって犯人に過酷な結果を来たし、また、死刑と死刑、無期刑と無期刑を併科することとなって刑の執行を不能ならしめる等不当な結果を生ずることとなるので、諸国の立法例におきましては、このような場合には、併科主義を緩和して後記のいわゆる吸収または制限のある加重主義を適用し、数個の罪の全体を評価して一刑を科することとしているのであります。わが刑法においては、確定裁判を経ない数個の罪を同時に審判して有罪の告知をする場合には、これを第四十五条前段の併合罪として、これに科すべき主刑につき次のような原則によっているのであります。
(一)いわゆる吸収主義に関しまして、(1)一罪について死刑に処すべきときは、他の刑を科さない。これは第四十六条第一項であります。(2)一罪について無期の懲役又は禁錮に処すべきときは、罰金及び科料以外の他の刑を科さない。これは第四十六条第二項であります。
(二)いわゆる制限のある加重主義に関しましては、有期の懲役または禁錮に処すべき罪が二個以上あるときは、その最も重い罪の法定刑を一定限度で加重した刑期範囲内で一個の懲役または禁錮の刑を科する。これは第四十七条であります。
(三)いわゆる併科主義に関しましては、(1)罰金については、死刑以外の他の刑とはこれを併科し、罰金に処すべき罪が二個以上あるときは、その合算額の範囲内で一個の罰金刑を科する。これは第四十八条であります。(2)拘留は、死刑及び無期の懲役または禁錮以外の他の刑と、また、科料は、死刑以外の他の刑と、いずれも併科し、拘留または科料に処すべき罪が二個以上あるときも二個以上の拘留または科料をいずれも併科するということになっております。これは第五十三条であります。
すなわち、わが刑法は、原則として、禁錮以上の重い刑に処するべき罪が二個以上ある場合には、併科主義を緩和する吸収または制限のある加重主義をとっており、数個の罪のうち罰金以下の刑に処すべき罪がある場合には、原則として、併科主義によることとしております。例外となる場合は、数個の罪のうち、一罪について処すべき刑が罰金以下、——ただし、拘留を除きますが、——であって、他に死刑に処すべき罪が競合しているとき及び一罪について処すべき刑が拘留であって、他に死刑または無期の懲役もしくは禁錮に処すべき罪が競合しているときであって、その場合には、吸収主義をとっているのであります。
ところで、審判の対象となっている数罪の間にすでに確定裁判が存在する場合は、その確定裁判があるにもかかわらずさらに犯した罪こその裁判確定前に犯した罪とを併合して全体として評価し、いわゆる吸収または制限のある加重主義のもとに一個の刑を科するものとするときは、不当に犯人に利益となることがありますので、わが刑法は、第四十五条後段におきまして、右の併合罪の範囲を制限し、碓定裁判にかかる罪とその裁判確定前に犯した罪とを併合罪とするものとし、右の確定裁判後に犯した罪については、これを別個に評価して別に刑を科することとしているのであります。
したがって、ある罪について確定裁刑があった場合、その前後に犯された二個以上の罪が右の確定裁判のあった後に審判されるときは、これら二個以上の罪の併合罪関係は右の確定裁判によって遮断され、その犯人は常に二側以上の刑に処せられることとなるわけであります。
しかしながら、この場合、右の確定裁判の前後に犯された罪がいずれも禁錮以上の刑に処すべき罪であるときは、確定裁判後に犯された罪を別個に評価し、確定裁判前に犯された罪との間に吸収または制限のある加重主義を認めない点において、併合罪関係を遮断するかどうかに最も実質的な差異が生するわけでありますが、確定裁判の前後に犯された罪がいずれも罰金以下の刑に処すべき罪またはそのいずれかが罰金以下の刑に処すべき罪であるときは、その罪の処断が原則として併科主義による以上、別個に評価するかどうかに実質的な差異はほとんどないわけであります。
したがって、かように数個の罪の併合罪関係をその間に確定裁判が存在することによって遮断することは、前後の罪がいずれも禁錮以上の刑に処すべきものであるときに最も実質的意義があるとすれば、このような併合罪関係を禁錮以上の刑に処する確定裁判によって遮断することは別として、必ずしも罰金以下の刑に処する確定裁判によってまで遮断しなければならないというものではなく、かえって、罰金以下の刑に処する確定裁判によっても併合罪関係を遮断することとすることは、刑事審判の手続及び刑の執行の手続に複雑さを加えるものであり、また、犯人に不利益を生ずる場合もありますので、この際、刑法第四十五条を改正して併合罪の関係を遮断する確定裁判を禁錮以上の刑に処するものに限ろうとするものであります。
近時、道路交通法違反事件は急激な増加を示しており、これに伴って、同法違反の罪によって即決または略式の裁判で罰金以下の刑を告知される者も急増しているのでありますが、このような裁判も、それが確定すれば刑法第四十五条後段の確定裁判に含まれますので、数個の罪で訴追されたすべての事件の裁判においてその調査を必要とするのであります。そのため、検察庁における捜査の段階においても、裁判所における審理の際にも、右のような確定裁判の存否について明碓を期するため、その調査を行なっているのでありますが、元来この調査には相当の時間と手数を必要とし、その事務量は少なからぬ実情にあるのであります。そこで、右のような現状にかんがみ、刑法第四十五条後段につき、早急に、今回のような改正を加えることは、現下における刑事裁判手続の迅速円滑な運用をはかる上においてもきわめて有意義であると考えるのであります。
なお、すでに公表されている改正刑法準備草案は、第六十三条において、今回の改正法律案と同趣旨の規定を設けていることを付言いたします。
第二項は、第二百十一条中「三年以下ノ禁錮」を「五年以下ノ懲役若クハ禁錮」に改める。この改正は、最近の自動車運転に基因する業務上過失致死傷事件及び重過失致死傷事件の実情にかんがみ、その法定刑に新たに五年以下の懲役を加えるとともに法定刑の禁錮の長期を五年に引き上げようとするものであります。
まず、法定刑に新たに懲役刑を選択刑として加える点でありますが、近時における自動車運転に伴う業務上過失致死傷及び重過失致死傷事犯中には、傷害、傷害致死等のいわゆる故意犯とほとんど同程度の社会的非難に値するものが相当数見受けられるに至っているのであります。たとえば、相当量の飲酒をした上での酒酔い運転、運転技術の未熟な者の無免許運転、はなはだしい高速度運転等のいわゆる無謀な運転に基因する事犯中には、きわめて軽度の注意を払えば人の死傷等の結果を容易に予見し、その発生を防止することができたのにかかわらず、これをさえ怠ったため、重大な結果を発生せしめたような事案が見受けられるのであります。これらの事案は、故意犯に属するいわゆる未必の故意の事案と紙一重の事案であり、このように人命を無視するような態度で自動車を運転した結果、人を死傷にいたした場合も、単に故意犯でないとの理由で、禁錮刑ないし罰金刑によって処罰せざるを得ないことは、国民の道義的感覚からいってむしろ不自然に感ぜざるを得ないというべきであり、この種事犯中きわめて悪質重大なものに対しては、懲役刑を科し得るものとすることが相当であると考えられるのであります。
次に、法定刑のうち、禁錮刑と新たに加えるべき懲役刑の長期をそれぞれ五年とする点でありますが、近時における自動車交通の発達に伴い、主として自動車運転に基因する業務上過失致死傷及び重過失致死傷の事案は、一般的にその過失の態様、程度のみならず、その行為の結果において重大なものが増加しつつあることにかんがみますとき、犯情の最も重大なものに対しても、現行の禁錮刑について定められた三年をもって責任を評価することは、いささか軽きに失すると考えられるのでありまして、諸外国のこの種の事犯に関する立法例等をも参酌すれば、法定刑の上限をこの程度に引き上げることが望ましいと考えられ、これにより過失の態様、程度及び行為の結果に応じ、具体的事案に即したより適切妥当な刑の量定をなし得ることとなるのであります。
なお、すでに公表されている改正刑法準備草案は、第二百八十四条において、業務上過失致死傷及び重過失致死傷の罪に対する自由刑として、今回の改正法律案と同様「五年以下の懲役もしくは禁錮」を規定していることを付言いたします。
次に、附則でありますが、附則の第一項、この法律は、公布の日から起算して二十日を経過した日から施行する。この項は、改正法の施行期日を定める規定であります。
第二項、この法律による改正後の刑法第四十五条の規定は、数罪中のある罪につき罰金以下の刑に処し、または刑を免除する裁判がこの法律の施行前に確定した場合における当該数罪についても、適用する。ただし、当該数罪のすべてがこの法律の施行前に犯されたものであり、かつ、改正後の同条の規定を適用することが改正前の同条の規定を適用するよりも犯人に不利益となるときは、当該数罪については、改正前の同条の規定を適用する。前項によりますと、改正法の施行後に罰金以下の刑に処し、または刑を免除する確定裁判——以下この項の説明におきましては、単に「確定裁判」と申します。——があった場合におけるその罪とその確定裁判の前及び後に犯された罪について、改正法による改正後の刑法第四十五条の規定——以下「新法」と申します。——の適用があることは明らかであります。しかしながら、改正法の施行前に確定裁判があった場合におけるその罪とその確定裁判の前及び後に犯された罪について、新法の適用があるかどうかは必ずしも明らかではないので、この項は、その本文において、これらの罪についても新法を適用することを明らかにしたものであります。したがって、改正法施行前に確定裁判があれば、上記の罪のうち、確定裁判の後に犯した罪が改正法の施行前にあろうと施行後にあろうと、すべて新法が適用されることとなるのであります。これは確定裁判の前と後に犯された数罪を併合罪としない現行法に比し、新法は併合罪とすることによって一般的に犯人に有利な取り扱いとなり、また、新法の取り扱いによれば刑事裁判の迅速円滑な運用をはかり得ることとなるので、このような取り扱いを認めることとしたものであります。ただ、特定の場合には、新法を適用することが、改正法による改正前の刑法第四十五条の規定——以下この項の説明におきましては単に「旧法」と申します。——を適用するよりも、犯人にとって不利益となることがありますので、刑法第六条の趣旨をくみ、この項ただし書きで、対象となっている数罪がすべて改正法の施行前に犯されたものである場合において、犯人に右のような不利益が生ずるときは、例外的に、旧法によることとしたのであります。
第三項は、前項の規定は、この法律の施行前に確定した裁判の執行につき従前の例によることを妨げるものではない。この項は、前項の規定が、数罪中のある罪につき罰金以下の刑に処し、または刑を免除する裁判が改正法の施行前に確定し、その他の罪の全部または一部につき改正法施行のときまでにまだ確定裁判がない場合に関する規定でありますので、その他の罪の全部または一部につき改正法施行前に禁錮以上の刑に処する確定裁判があった場合におけるその刑の執行につきましては、すべて従前の例によるべきものであることを念のために明らかにしたものであります。
以上が逐条説明でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/5
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006・上村千一郎
○上村委員長代理 以上で、本案に対する提案理由の説明及び逐条説明を終わりました。
本案に対する質疑は後日に譲ります。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/6
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007・上村千一郎
○上村委員長代理 次に、商法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大竹太郎君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/7
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008・大竹太郎
○大竹委員 それでは前回に引き続いて質問をいたしたいと思いますが、議決権の不統一行使の問題、まだ前回残っておりますので、それから質問に入りたいと思います。
それでこの規定を見ますと、不統一行使をする場合には、三日前に不統一行使をするということとそれからその理由を会社に通知するようにという規定になっておるわけでありますが、不統一行使を許すかどうかということの回答といいますか、返事といいますか、これはいつまでにやればいいことになるのでありますか、まずその点をちょっとお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/8
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009・味村治
○味村説明員 会社が不統一行使を拒否するかいなかという点につきましては、もし会社が拒否しようということになりますれば、その拒否の意思表示は株主が議決権の不統一行使を行なう前にしなければならないというふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/9
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010・大竹太郎
○大竹委員 それで、続いてお聞きしたいのでありますが、もしこの不統一行使を拒否した場合に、拒否したにもかかわらず不統一行使をしたという場合には、議決権の行使は有効になるのでありますか、無効になるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/10
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011・味村治
○味村説明員 会社が株主の議決権の不統一行使をいたしますことを拒否いたしましたのにかかわりませず、その株主が議決権の不統一行使を行ないました場合には、その会社の拒否が正当であります限り、そのような議決権の不統一行使はすべて無効というふうに解釈いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/11
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012・大竹太郎
○大竹委員 それではその反対に、不統一行使を許された場合に、事実不統一行使をしなかったらどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/12
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013・味村治
○味村説明員 御質問の場合には、会社が、株主が議決権の不統一行使を行なうことを単に拒否しなかったにすぎないわけでございますので、株主といたしましては、不統一行使をいたしますか、あるいは統一行使をするかという自由は持っておると考えられますので、統一行使をいたしてもその行使は有効であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/13
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014・大竹太郎
○大竹委員 そうすると、不統一行使をしてもよろしいといういわゆるあれであって、不統一行使をしなければならないという義務を負うものではないという御解釈と考えてよろしいのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/14
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015・味村治
○味村説明員 そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/15
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016・大竹太郎
○大竹委員 それでは、前回の私の質問が、どうも趣旨がおわかりにならなかったのかどうか、まだ疑問になっておる点があるのでございますが、不統一行使をする場合に、その背後にたとえば百株ずつ三人持っておったというような場合、たとえば不統一行使を拒否されなかった、不統一行使をするというような場合には、個人に不統一行使を許さないという趣旨からいいまして、その百ずつが賛成、反対どっちに動いてもよろしいけれども、その三人がそれぞれ百を持っているのでありますから、その百を分ける不統一行使というものは、個人に不統一行使を認める、許可のない人に不統一行使を認めると同じ結果になるから、いわゆる百五十と百五十というような分け方による不統一行使というものは許さるべきじゃない。したがってそういうことのないように、不統一行使をする場合には、その背後にあるものは百株ずつ三口あるのだということを通知をしておくべきではないかというのが、私のこの前の質問の要旨だったわけでありますが、その点どうもお答えが私には納得いかぬのでありますが、その点についてお返事をいただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/16
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017・味村治
○味村説明員 ただいまの大竹先生の御質問は、たいへんごもっともな御質問であると存じます。ただここで、商法の改正法の第二百三十九条ノ二は、要するにこれは株主が二個以上の議決権を有する場合には、これを不統一行使することができるということをまず原則にいたしておりまして、ただ会社に、信託の引き受け等の場合を除きまして、会社が株主の議決権の不統一行使を拒むことができるのだ、このようにしているわけでございまして、原則といたしましては不統一行使ができるということになっているわけでございます。二百三十九条ノ二の第二項で「株主ガ株式ノ信託ヲ引受ケタルコト其ノ他他人ノ為ニ株式ヲ有スルコト」を理由といたしますときには、会社は株主による議決権の不統一行使を拒むことができないというように、必ず議決権の不統一行使ができることを保証しているわけでございますが、これは前回も民事局長から説明がございましたように、株主が株式の信託を引き受けているというような場合に、委託者の指図に従いまして議決権を行使するということを可能にしようということでございまして、その場合には法律上の株主は、実質上その株式によりまして利益を受ける者の指図に従いまして議決権を行使するであろうということが、通常予想されるのだ。通常そのようなことが行なわれるということを前提といたしまして、このように規定を置いた次第でございます。したがいまして、御質問の場合のように一人の法律上の株主が、三人の委託者から三百株を百株ずつ委託を受けていると申します場合には、その法律上の株主はそれぞれ三人の人の指図に従いまして議決権を行使するということが通常の状態でございますので、御質問のように、それぞれ百株ずつ分けて、百株ずつの委託を受けておるにかかわりませず、たとえば百六十株を賛成というような議決権の行使をするということは、通常はないのではなかろうかというところから、このような規定になっている次第でございます。またその際に通知におきまして、委託を受けております株主の数とか株式の数を通知するということは、望ましいことではあるかと思うのでございますが、それに対しまして法律上の効果を与えるということはなかなかむずかしいことであろうかと思うわけでございます。この通知をいたしますのは会日より三日前でございますので、その通知をいたしましたときには、実質上の株主と申しますか、実質上その株式によって利益を受ける者は三人、百株ずつということでございましても、いざ議決権の行使をいたしますときには、その株主の数、あるいはそれぞれの株式によって実質上利益を受ける者の数とか、それからそれぞれの株式の数、こういうものが変動するということも考えられるわけでございます。また百株ずつ三人から委託を受けているのだ、このように通知をいたしましたところが、百六十株だけ賛成だ、このような議決権の不統一行使をいたしました場合に、そのような議決権の不統一行使は無効だというふうにすることも、これは非常に複雑なことになりまして、法律に規定することは困難ではないか、このように考えられる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/17
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018・大竹太郎
○大竹委員 どうも私納得できないのであります。私の質問の趣旨はおわかりだと思うのでありますが、私がいま質問したような事態が現在のこの改正によって起こり得ると思うのでありますが、そういうことはこの法律全体の精神からいって好ましいことだと思われるのですか。それともそういうことは好ましくないことだと思われるのですか。その点はどう考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/18
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019・味村治
○味村説明員 先ほども申し上げましたように、この法律は原則としては議決権の不統一行使ができるのだ、ただ一定の場合以外は会社が断わることができる、このように規定しているわけでございまして、大竹議員の御質問になりましたような事態が生じました場合には、これは好ましい好ましくないという問題よりは、この二百三十九条ノ二の原則にはかなっているというふうに考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/19
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020・大竹太郎
○大竹委員 私は原則にはかなっていないと思うのでありまして、法律の趣旨は、不統一行使をさせない、許可といいますか、拒否されない場合にのみ、しかも理由のあるときにだけ不統一行使を許すのだというのが法律の精神だと思うわけであります。そういたしますと、いま申し上げましたように百株ずつの人が三人いた。そして百五十ずつ分けて議決権を行使したということになりますならば、その背後にいる一人の人が何も許可も受けないで不統一行使をしたということになるのであって、私はこの法律の精神からいって好ましくない現象であり、そしてまたこの法律の原則に反していることだと思うのでありますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/20
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021・味村治
○味村説明員 先ほど申し上げましたように、この法律の原則としては、議決権の不統一行使はできるのだ、しかしながら、株主が株式の信託を引き受けた場合以外の場合には、会社が議決権の不統一行使を拒むことができる。このような形になっているわけでございまして、株式の信託を引き受けた場合には会社は議決権の不統一行使を拒むことができない、このようにいたしましたのは、これは先ほどから申し上げましたように、法律上の株主が、実質上のその株式によって利益を受ける者の指図に従って議決権を行使するということを可能にするために、このようなことにしたわけでございまして、原則といたしましては議決権の不統一行使を認めるということが法律上のたてまえにはなっている、このように考えるわけでございます。大竹議員の御質問の御趣旨を徹底いたしますと、会社といたしましては、いわゆる法律上の株主のほかに、もしもその法律上の株主が信託を引き受けておるような株主でございますれば、その委託者の名簿をつくらなければならぬというところまで徹底するかと思うのでございますが、そこまで会社に対して希望する、あるいは株主に対して要望するということは、これはむずかしいことではあるまいか、このように感ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/21
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022・大竹太郎
○大竹委員 くどいようですが、いまの御答弁によりますと、また最初と多少違うのでありまして、私が言ったような場合は、この法律の全体の精神から見ると非常に不都合だけれども、手数の問題もそうだし、なかなかむずかしい問題だから、そこまで法律には規定できないというふうにとれるのでありますが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/22
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023・味村治
○味村説明員 その点は先ほど申し上げましたように、御質問のようにいたしますことは法律的にむずかしいことであるというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/23
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024・大竹太郎
○大竹委員 私はこの前にもたしか申し上げたと思うのでありますが、不統一行使をする場合には、少なくともその内容が確定したときに、もちろん賛否をあらかじめ通知する必要もありませんし、人間の名前も私は通知する必要はないと思いますが、少なくとも口数があり、そしてその議決権の数がそれぞれ幾つあるんだということをやはり会社に通知させて、そして不統一行使をさせれば、いまのような問題は、多少手数がかかるかもしれないけれども、そういう結果は防げるのじゃないか。そしてまたそれを防がなければ、不統一行使を特殊な場合に認めたという趣旨にも反するのではないかというふうに私は考えるわけであります。そこまではむずかしいかもしれませんが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/24
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025・新谷正夫
○新谷政府委員 前回の委員会におきまして、大竹委員からその点につきまして非常に詳細な御質問があったわけでございます。不統一行使をいたします際に、会社に対して、実質的に株主として利益を受ける者の持っております株式の数、あるいはどういうものがそういうものに該当するかということを通知することが望ましいことは確かに仰せのとおりだと思います。しかし、先般申し上げましたように、議決権を行使いたします者は、株主名簿に記載されております形式上の株主、この場合について申し上げれば信託銀行でございます。これが議決権を統一しないで行使することを認めようというわけでございまして、かりに仰せのように通知の内容を書くことが望ましいといたしましても、議決権を行使いたします場合に、その内容によって拘束されるということは実質的にできないわけでございまして、実質上株主としての利益を受ける者は法律上の株主ではございませんし、すでに議決権を行使いたしますまでの間変動があるわけでございます。したがいまして、通知する段階におきましては、確かにお説のようにどういうものがそういう実質上の株主に該当するかどうかということもわかっておりますし、その時点における株式の数と申しますか、実質的にそのものが有しておる株式の数はわかるのでございますけれども、ただ会社の側にしてみれば、そういう人が背後におるので、形式上の株主が議決権を行使することが適当かどうか、これを認めるかどうかということを判定する一つの手がかりとしてこの通知を求めるわけでございます。したがいまして、その内容がどのようなものであるということを通知には記載いたしましても、その通知どおりには議決権が行使できないことになるといたしますれば、それに仰せのような事項を記載することが望ましいといたしましても、それによって拘束するという法律的な効果まで持たせるわけにはまいりません。そういう意味におきまして、どういうことを通知するかという内容をこまかに法律の上に規定することはこの場合には相当でないのではないか、こういう考えで、そこまでは規定に入れなかったということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/25
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026・大竹太郎
○大竹委員 なかなかめんどうなことでございますから、私もまたよく考えてみて、あとで御質問するかもしれませんが、その程度にしておきます。
いま一つ、株式の譲渡制限のときに私から御質問を申し上げたのですが、この点もどうもあいまいになっていた点がありますから、あらためてもう一度お聞きしたいと思います。株式の譲渡を制限する場合、いわゆる株主総会においては、株主の半数以上の賛成が必要だということになっておりますが、この場合に、もし不統一行使をする株主があった場合においては、いわゆる株主の数、したがってその過半数をどういうふうにお考えになるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/26
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027・新谷正夫
○新谷政府委員 株式の譲渡制限をいたします際に、定款変更の要件といたしまして、「総株主ノ過半数ニシテ発行済株式ノ総数ノ三分ノ二以上ニ当ル多数ヲ以テ之ヲ為ス」こういうふうに今度の三百四十八条の規定で議決の要件を厳重にいたしたわけであります。これにからまりまして不統一行使をした場合に、総株主の数、あるいは賛否の議決権を行使した者の数、そういった数の関係がどうなるかという御質問が前にございました。私、一応お答えしたのでございますけれども、説明がまだ十分でなかった点もあったかと思うわけでございます。
あらためて申し上げますと、「総株主ノ過半数」と申しますのは、この総株主というのは、あくまでも総会が行なわれますときにおける株主名簿に記載されておる株主総数でございます。それが総株主の数になるわけでございます。ただ、議決権を不統一行使いたしました際に、一人の者が賛成と反対の両方の議決権を行使いたします。したがいまして、これを頭数と見ますときには、賛成の数にも一人加えなければならない、また反対の数にも一人加えなければならない。したがいまして、同一人が、不統一行使をいたしますと、賛成にも反対にも加えていかなければならないという意味におきまして、合計しますと一人が二人として計算されるという結果になりますので、総株主の数がそこでふえるのかという疑問も出てくるわけでございます。しかし、総株主そのものはあくまでも株主名簿に記載されておる株主の数でございまして、ただその賛否の数を計算いたします関係で、賛成であり、反対であるという双方の意思表示をいたしますときに、同一人とはいうものの、これを賛成の数にも一人、反対の数にも一人として数えるべきであるというふうに考えるわけでございます。したがいまして、賛否の計算の面から申しますと、総株主の数よりも一人多く計算されるような結果にはなるわけでございます。ただ「総株主ノ過半数」と申しますのは、総株主の中で賛成した者が、反対した者あるいはその総会に出席しなかった者、これを加えました者よりも数が多いという場合、簡単に申しますと、議決権を行使いたしました賛成者の数が、それ以外の者よりも多いというときには、総株主の過半数ということに当然なるわけであります。したがいまして、ただいまの不統一行使をいたしました際にも、総株主の数はあくまでも株主名簿に記載された株主の数でございますけれども、不統一行使をいたしました結果、賛成の議決権を行使した者が、それ以外の者よりも多いという場合には、当然総株主の過半数が賛成ということになるわけであります。ただ計算上、賛成と反対を計算する際に、それぞれ一名加えるという意味でございますので、総株主には変動はないわけであります。ただ賛成が幾ら、賛成でない者が幾らということを計算する関係上、双方に一名ずつ加えるのが妥当であるという意味を申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/27
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028・大竹太郎
○大竹委員 どうもそういうことが条文と合わないと思うのです。総株主はなるほど株主名簿にたとえば十人といたしますと、十人が株主の総数、そうすると六人が過半数ということになると思うのでありますが、一人だけ不統一行使をすれば十一人、それならやはり六あればどっちにしても私はいいと思うのですけれども、二人不統一行使すれば十二人ですね、そうすると、過半数ということは、やはり七なければならぬわけでございましょう。そのほかもっとふえてくれば、もっと変わるわけですが、そういう場合に、それなら株主総数は十人、そして七人が賛成したからということでは、論理が合わぬということになるのです。いまのお説からいえば、やはり十人として六人ということで表示しなければ理屈に合わぬのじゃないですか。株主総数はどこまでも十だということを固執されれば、七でなければ過半数でないという理論はどうしても通らぬのじゃないかと私は思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/28
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029・新谷正夫
○新谷政府委員 株主の総数が十名と一応仮定して考えてみますと、いろいろの形のものが出てくるわけでございます。たとえは一人が議決権を不統一行使するいう場合には、残りは九名でございます。その九名のうちかりに五名が賛成で、四名が反対という結果が一応出ておりますと、残りの一人が不統一行使をいたしますので、それにそれぞれ一人ずつ加えますと六名に五名となります。そういたしますと、その場合には株主総数は十名でありますが、議決権を行使して、賛成の頭数がそれ以外の頭数よりも多いという結果が出ておるわけでございます。六名が賛成で、五名が反対ということでございますから、賛成者はそれ以外の者よりも多いということで、この過半数の賛成があったというふうに理解すべきものではあるまいか。要するに賛成の議決権を行使した者が全体の数の中で多数を占めるということであれば、総株主の過半数といってよろしいわけです。したがいまして、それぞれ一名加えましたために、それを合計いたしますと、確かにお説のように十一名になるわけでございますが、これは賛成と反対を比較するために、公平に見てまいりますためには、双方にそれぞれ賛成、反対を加えるべきであるというふうに考えられるのでございますけれども、結果的に賛成者のほうが反対者より多いという結果が出ますれば、これは十名のワク内を考えましても過半数になります。また……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/29
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030・小島徹三
○小島委員 関連質問。
それでは、十人の株主のうち四人が賛成、五人が反対という場合、十人おるのですから、もう一人おるわけですが、これが不統一行使をしたという場合、そうすると賛成が五になりますね。それから、そうじゃない反対が六人ということになると、そのときに過半数というのは、一体六人なのか、それとも五人なのか。半数というのは、過半数ということになったら、そのときはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/30
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031・新谷正夫
○新谷政府委員 それはやはり株主は十人でございまして、賛成が五で反対が六でございます。したがいまして、その五では過半数に達しません。多数ということになりませんから。全体の株主の多数ということでなければ——賛成者のほうが反対者より多いということが過半数の賛成ということでございます。いまの場合には、賛成した者が反対した者より多いわけではございません。少ないわけでございます。したがいまして、その場合には議案は成立しないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/31
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032・小島徹三
○小島委員 そうすると、そういう場合に勘定するときは、その不統一行使の場合の人間をもう二人に勘定する、そして総株主数といえば十人しかいないのだ、勘定するその基礎、基準というのは、どういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/32
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033・新谷正夫
○新谷政府委員 総株主そのものは一定しておりますが、その一人の者が賛成と反対と両方の議決権を行使するわけでございますから、賛成のほうだけにこれを加えるのも妥当ではございません。さりとて反対のほうだけに加えるのも妥当ではございません。したがいまして、これは賛成にも反対にも一応加えるべきであるということでございます。したがって、総数は一定しておりますけれども、その中で賛成が反対より多いか少ないかということを見ればよろしいわけでございます。多ければ、当然過半数になるわけでございます。同等であれば、これは過半数と言えません。したがいまして、いまちょっと御質問がございましたが、十名のうちの二名が議決権の不統一行使をやると仮定いたしますと、残りが八名でございます。その八名が四対四に分かれて、どちらも同等だったという場合には、さらに残りの二名が不統一行使をいたしますと、両方に二人を加えてまいります。そうしますと賛成も六、反対も六ということになりますと、六というものと十とを比べると過半数かもしれませんが、賛成と反対が同等でございます。したがって、その場合は、賛成のほうが反対より多いというわけにはまいりません。したがって、この場合には総株主の過半数が賛成したと言えませんので、議案は成立しない、こういうふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/33
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034・小島徹三
○小島委員 総株主の過半数という場合の総株主というのは、十人という意味でしょう。そうして過半数の計算をするときは、不統一行使をしたときに、それは加算して多数だ、こういうのですから、総株主が十人だといってきめてしまうなら、ちょっと書き方がおかしいということじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/34
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035・新谷正夫
○新谷政府委員 確かにおかしいという感じはあるかもしれませんが、要するに総株主というのは、名簿に登録されている株主でございますので、これはもう総会の時点においては不動のものでございます。ただいまの例で申し上げますと、その全体の十名という総株主の数は動かない、その中で反対者よりも多数の者が賛成ということであれば、全体が十名のワクでございますけれども、賛成の議決権を行使した者の頭数が反対の者より多いという場合は、総株主の過半数が賛成したということになるわけであります。ただその数を数える場合には、総株主の数は一定しておりますけれども、賛成にも反対にもそれぞれ一つずつ加えませんと、結果を比較する上において妥当な措置と言えません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/35
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036・小島徹三
○小島委員 あなたのおっしゃることは、わからぬわけではないのですが、総株主の過半数というのですから、総株主が十名しかいなければ六名だというのは、だれにも考えられることであって、あなたの計算の仕方は一つのフィクションであって、総株主の過半数といっても、いまのような状態では、賛成も五人、反対も五人であって、過半数ではない。総株主がふえるわけではないのだから、総株主の過半数というのは六になる。あなたの説明を聞いていると、こっちのほうが多数だと言うが、多数といっても、株主数が十人しかおらないのだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/36
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037・新谷正夫
○新谷政府委員 不統一行使をした者も株主でございます。つまり十人の株主の中で一人が不統一行使をして、その結果七人が賛成だということが出ますと、反対のほうは四人でございます。四対七になっております。四対七を比較しますと、これは四ということをあまり強く頭に入れて考えますと、十一人ということがすぐ頭にまいりますので、何だか総株主の数と合わないのじゃないかというふうにお感じになるかもしれませんが、要するに賛成の議決権を行使した者の頭数が全体の株主の中でそれ以外の者よりもより多い、つまり反対者より賛成者のほうが数が多いということであれば、総株主の過半数……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/37
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038・小島徹三
○小島委員 あなたのおっしゃることはわかっておりますけれども、総株主の過半数とおっしゃるから、総株主は十人しかいないじゃないか、だれだってそう考えますよ。それを、ただ出席株主の行使したものの過半数ということになるならわかりますが、総株主のと言われたら、総株主十人しかいないものが十一人もあるはずないですから。ただし行使したものは確かにあるわけです、二つ行使できるのだから。行使した人間の過半数である場合と、こうおっしゃるなら、それは話はわかるのですよ。ただこの条文の上で「総株主ノ過半数」とおっしゃるから、十人しかないものがなぜ十一人になるのだという問題が起きてきます。それは説明を聞けばわからぬことはないですけれども、「総株主ノ過半数」ということが問題なのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/38
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039・大竹太郎
○大竹委員 いまの小島委員からの御質問でもおわかりだろうと思うのですが、やはりこれはただし書きとでもいいますか、何かを入れて、不統一行使の場合にはどういうように数えるのだというような条文をお入れになることが、私はやはりそれをはっきりするゆえんじゃないかと思うのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/39
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040・新谷正夫
○新谷政府委員 確かに御意見のようなことも考えられるわけでございますけれども、私どもとしましては、ただいま申し上げましたような趣旨において、賛成者のほうが反対者より多いということであれば、これは当然過半数になるわけでございまして、一々双方を合計してみる必要はないわけでございます。ただ賛成か反対か、賛成者が幾らあるかということを割り出しますために、反対の議決権行使をした者を全くネグレクトするわけにはまいりませんから、そういう意味で反対にも加え、賛成のほうにも加えてみて、賛成者のほうが多いということになりますれば、一定の総株主の中でも賛成者が多くを占めるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/40
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041・小島徹三
○小島委員 だから結局出席した株主の議決権を行使した者が過半数である場合ならわかるのですよ。話は簡単にあなたのおっしゃるとおりになると思うのだけれども、これは「総株主ノ過半数」と書いてあるから、いろいろな誤解が起きてくるのじゃないかということなのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/41
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042・新谷正夫
○新谷政府委員 それは法律の規定をこれからつくるのでございますから、出席株主の過半数ということも確かに考えられると思います。議決権を行使した者の過半数ということも考えられるわけでございますけれども、しかしこれは非常に重大な問題でございますので、できるだけ株主の立場を考えなければなりません。少数株主の保護ということも考えなければならないといたしますと、やはり出席のいかんにかかわらず総株主の意向というものを十分考慮する必要があるというので、総株主の過半数というふうにいたしたのでございまして、議決権を行使した株主とか、あるいは出席株主ということにしますと、株主保護には欠ける結果になるのじゃないか、このように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/42
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043・大竹太郎
○大竹委員 これはやはりただし書きをお入れになって——総会において不統一行使をした場合には、一面においてはその不統一行使をした人を除くというようなのも一つの手でありましょうし、また不統一行使をした者を加えて、その過半数ということにされたほうがはっきりし、いまのような疑義は起こらぬのじゃないかと思うのです。これは小島さんの質問の過程において考えついたことでありますので。そんな水かけ論をしていてはいつまでたっても先に進みませんから、先へ一応進みます。
次に、この新株の発行の問題でございますが、新株を株主以外の者に発行する場合にはいままでは特別決議が必要であったのであるけれども、特に有利な発行価額で新株を発行しない限り株主総会の決議は必要でないということになったわけでございます。一体この立法の趣旨はどこにあるのでありますか。私はやはり特に有利な発行価額で発行する場合だけ株主の利益を害することがあるからこういう規定を設けたのだろうと思うわけでありますが、私は、特に有利な発行価額でなくても、株主以外の人に新株の引き受け権を与えることは、株主の不利になる場合があり得ると思いますが、そういう点はお考えにならなかったのかどうか、あわせてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/43
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044・新谷正夫
○新谷政府委員 二百八十条ノ二の規定の改正でございますが、これは新株の引き受け権を単純に与えるか与えないかというだけの問題でございますれば、株主に有利であるのか不利益であるのかということは言えないものと考えております。と申しますのは、新株引き受け権と申しますのは、これを与えられることによって当然に引き受け人になり、そうして株主になるというものではございませんで、まだその一歩前の段階でございます。引き受けるかどうかということの選択を与えられる、もし希望があるならばその引き受け権の範囲内で株主になり得るという権利でございます。優先的に新株の割り当てを受ける権利。ところが新株の割り当てそのものはこれは取締役会の自由でございまして、株主に何株割り当てようと、株主以外の者に何株割り当てようと、これは取締役会の自由である、こういうたてまえになっておるわけであります。したがいまして新株引き受け権のみを第三者に与えようと、あるいは株主に与えようと、これによって特に株主に不利益になるという問題ではないわけでありまして、もともと、現在の商法の考え方が、自由にその付与をできる権限を取締役会に与えておるということでございますので、新株引き受け権のみをどうするという問題でございますれば、特別に株主に利益、不利益という問題はないと思うのであります。ただ株主に特別にそれだけのものを保証するということになりますれば、定款で書いてもよろしゅうございますし、あるいはあらかじめ取締役会でそれを書くことも可能でございますが、しかし第三者に与えるからといって特に株主に不利益になるとは言えないものと考えている次第であります。しからばどういう場合に株主に不利益になるかといいますと、一般の場合にはその当時の時価によって新株を発行できるにかかわらず、第三者に対して特別に有利に、時価以下の価額で新株を発行するということになりますと、これは資本の充実にも影響いたしますし、そういう意味で株主に影響が及ぶということでございまして、特に株主に有利であるかどうかということは、第三者に発行価額が特に低く定められた場合が問題なわけでありまして、新株引き受け権を与えるかどうかということは特に株主には影響のない問題である、こういうふうに考えております。今回の改正はそういう趣旨を明らかにいたしますのが目的でございまして、特に有利な発行をしようということは株主に影響いたしますので、この場合には株主総会の特別決議によって認めるようにしよう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/44
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045・大竹太郎
○大竹委員 私はそういう一つのお考えもあると思いますが、それならば株式の譲渡制限のある会社において株主以外の人に発行することは、私は当然制限されなければならぬと思うわけでありますが、その場合に発行価額いかんにかかわらず、株主以外にやることは株主の一般の利益に関係あるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/45
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046・新谷正夫
○新谷政府委員 株式の譲渡制限の定められております会社につきまして新株を発行します場合に、たとえば譲渡の相手方を一定の範囲にしようというふうな会社の基準と申しますか、そういうものがあります場合、一般の大衆に向かって新株を割り当てるということは、その会社の方針にも反する結果になるわけでありまして、取締役会はそのようなことは通常はしないはずでございます。しかし割り当ててしまえば、これはその者に対して株式の保有を認めることになるわけでございますが、譲渡制限の規定とは必ずしも矛盾しないと思います。譲渡制限と申しましても、取締役会で承認すればよろしいわけでございます。取締役会がある特定の者に株式を割り当てる、あるいは新株引き受け権を与えるということをきめますならば、その者に対して株式の保有を承認するのと同じ結果になるわけでございます。それは譲渡制限のある会社につきましても、第三者に与えるかいなかという点につきましては、別に矛盾はないというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/46
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047・大竹太郎
○大竹委員 これは私は違うと思うのでありまして、現在ある株さえよそへやることを株主の過半数をもって定款で制限をするわけでしょう。今度は、新株を募集するのはあとで、いわゆる取締役会だけの考えで幾らでもよそへやれるということでは、総株主の半数以上、それから株式総数の三分の二以上の特別決議でそれを制限した趣旨とまるきり反対になるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/47
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048・新谷正夫
○新谷政府委員 ある特定の者に株式の保有を認めるか認めないかということは、取締役会がきめることでございます。したがいまして、譲渡制限の規定がございましても、取締役会が承認しさえすれば、いかなる者でも株式の保有を許されるわけでございます。
ただ、いまの新株を発行いたします際に、いかなる者に割り当てるかということは、やはり取締役会の自由でございます。したがいまして、譲渡制限の規定がございましても、取締役会がこの人なら差しつかえないと認めなければ、新株の割り当てをしないわけでございます。そのことが譲渡制限の規定の趣旨とは相反しないと私は思うわけでございます。要するに、譲渡制限があるということは、ある特定の人がその会社の株式を保有することが困るという場合にそれを拒否できるわけでございます。新株を割り当てする場合にも、その人に割り当てするのは都合が悪いと思えば、割り当てをしないわけです。割り当てするしないは全くの自由でございますから、その会社にとって不利益だと思えば割り当てをしないだけのことであります。したがって、新株発行の場合に譲渡制限の規定がありましても、取締役会がこれは適当だと思って割り当てをする分におきましては、これは差しつかえないものと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/48
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049・大竹太郎
○大竹委員 ただ、そこは多少私は違うと思うのでありまして、たとえば現在一億なら一億の資本でその制限をするでしょう。それはいま制限しようと思えば株主の半数以上の同意とそれから株数において三分の二以上ですかの特別決議で制限をするわけですね。今度倍額増資して、もう一億新しい株を出す。その場合に、いわゆる制限をするかしないかということは、取締役だけのものの考え方できめてよろしいんですか。ほかの株主には全然利害関係はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/49
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050・新谷正夫
○新谷政府委員 特別な厳重な手続によりまして譲渡制限の定めをするわけでございます。譲渡制限の定めができますと、特定の株式の譲渡につきまして、それを許すか許さないかということの判断を取締役会にゆだねるわけでございます。取締役会がこれは適当だと思えば、ある特定の株主が不相当だと思いましても、これは総会の決議に基づいて定款を変更してその権限を取締役会に委任したのでございますから、取締役会がこれは相当だと思う者に譲渡する分にはこれは差しつかえないと思います。同様に、譲渡制限があるという会社につきまして新株を発行する際におきまして、その譲渡制限の趣旨は確かに取締役会は尊重すべきでございますけれども、その譲渡制限があるからといって、取締役会が定めた割り当てについて、これが譲渡制限の規定との関係において有効になるとか無効になるとかいうことは起きないのでございまして、取締役会の、権限をゆだねられた範囲の問題だろう、このように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/50
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051・大竹太郎
○大竹委員 次に、その発行価額が特に有利な価額である場合に限って特別決議が必要だということになっておるのですが、もちろんこの臨時総会をやるかやらぬかは会社側の取締役会その他がきめるわけでありますが、その有利な発行価額かいなかの判断は取締役会がやるのですか。取締役会がきめるんだろうと思うのですが、それでよろしいんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/51
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052・新谷正夫
○新谷政府委員 株主以外の者に対しまして、特に有利な発行価額で新株を発行するかどうかという場合の、特に有利な発行価額になるかどうかという問題は、取締役会が一応判断すべき問題でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/52
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053・大竹太郎
○大竹委員 次に、この間も横山委員から非常に質問があったわけでありますが、買い取り引き受けの方法で新株を募集する場合があるわけでありますが、その場合においても、いわゆるこの買い取り引き受けをする証券会社その他に対して株を渡す場合においても、有利な発行価額である場合においてはやはりこの規定は適用あるのでありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/53
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054・新谷正夫
○新谷政府委員 適用ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/54
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055・大竹太郎
○大竹委員 次に、この間も問題になって、たしかお答えになったと思うのですが、この特別決議を経ないで有利な発行価額で新株を発行した場合においても、株の発行そのものは無効にならぬというように、この間御答弁になったと思うのでありますが、これは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/55
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056・新谷正夫
○新谷政府委員 最高裁判所の判決でそのようになっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/56
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057・大竹太郎
○大竹委員 それで、この買い取り引き受けの場合、私、この実情はあまりよくわからないのであれでありますが、もちろんこの買い取り引き受けした場合に、引き受けた証券会社は、その後一般大衆に公募といいますか売るといいますか、それは差しつかえないのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/57
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058・新谷正夫
○新谷政府委員 差しつかえございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/58
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059・大竹太郎
○大竹委員 次に、この新株を発行する場合には、あらかじめ第二百八十条ノ三ノ二の規定によって、公告をしなければならないということになっており、この公告には募集の方法を記載しなければならないことになっているのでありますが、これは一体どの程度に表示すればいいのでありますか。ことに買い取り引き受けの場合にはどういうふうに表示するのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/59
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060・新谷正夫
○新谷政府委員 この場合には、一定の株式を買い取り引き受けの方法で募集するとか、あるいは募集の委託をするとか、そういう趣旨のことを募集の方法として通知する、あるいは公告するということになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/60
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061・大竹太郎
○大竹委員 募集の委託ということになれば、買い取り引き受けじゃないのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/61
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062・新谷正夫
○新谷政府委員 買い取り引き受けのみに限定されません。二百八十条ノ三ノ二は、買い取り引き受けの場合の規定ではございませんで、一般的に株式を募集する場合に、あらかじめ株主の利益を保護しますために、どういう内容で、どのように行なわれるかということを株主に知らせる必要がございます。場合によって、法令違反の手続があった場合には、株券の発行の差しとめ請求を許す機会を与えなければならない、そういう意味で、あらかじめ公告したり通知するわけでございまして、これは買い取り引き受けの場合のみではございませんで、一般の公募の場合にもむろんこの規定は通用になるわけでございます。
〔上村委員長代理退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/62
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063・大竹太郎
○大竹委員 この新株の募集については、この間横山委員からも相当質問がありましたから、私はこの程度にいたしまして、次に引き受け権譲渡の問題でありますが、これはいろいろ最近新聞その他で見てみますと、この趣旨に大体賛成のようでありますけれども、先般来問題になっておりますように、最近のように大量流通するという場合には非常に問題になっているが、今度新株引き受け権証書でこれがまた同様流通するというようなことで、たしかこの引き受け権は前の法律で許されていたのでありますが、その当時偽造といいますか、変造とでも申しますか、そういうようなものが非常に出回った。引き受け権証書というものは、株式同様相当金をかけて、やたらにちょっとつくれないようなものにしなければ、やはり相当問題が起きるのじゃないかというようなことが新聞その他で出ているのでありますが、それらについてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/63
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064・新谷正夫
○新谷政府委員 確かに仰せのように新株引き受け権証書が、簡単につくれるというふうなものでございますと、御心配のような事件も起きる可能性があるわけでございます。新株引き受け権を譲渡することが望ましい、あるいは新株引き受け権証書によってそれを譲渡するというふうなことは、これは一般の経済界の要望に基づいてむしろこの法律案をつくったわけでございます。したがいまして、実際にこれを実施いたします会社におきましても、その点は十分配慮を加えまして、印刷とか紙質、そういったものにつきましても合理的な配慮が加えられて、御心配のようなことがないようにされるであろう、こういうふうに私どもは期待いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/64
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065・大竹太郎
○大竹委員 次に、いま新株引き受け権証書の交付によって譲渡する、株券と同じものでありますが、引き受け権の譲渡は引き受け権証書でなければいけないのでしょうか。たとえば、なくしてしまったというような場合には、もう新株引き受け権というもの、もちろん割り当てられた株主そのものも引き受けできないかもしれませんが、引き受け権証書なしにこの引き受け権を譲渡できないのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/65
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066・新谷正夫
○新谷政府委員 新株引き受け権を譲渡することができる旨を定めることができるわけでありますが、この場合にも新株引き受け権を譲渡する必要がありますれば、株主の請求によって新株引き受け権証書を発行するわけであります。そのような必要がなくて、引き受け権の範囲内で全部株を引き受けるというふうな株主でございますれば、これはそのようなものは不要でございます。ただ引き受け権を譲渡して資金を調達して、株式を引き受ける必要があるという人に限りまして、譲渡の必要が生ずるわけであります。そういう場合に新株引き受け権証書を発行することができるというふうに定められるわけであります。その場合にはお説のように新株引き受け権証書を交付しなければ、引き受け権の譲渡はできない、このようになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/66
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067・大竹太郎
○大竹委員 それで、実際問題でありますが、もちろんこれは特に請求しなければ出さないようになっておるのですが、普通何といいますか、増資の場合に、株主に割り当てるときに申し込み書が来ますね。申し込み書が来て、申し込み書で申し込んだ、そうして一面においては新株引き受け権証書でそれをよそに流した、そういうようなことは起こり得ないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/67
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068・新谷正夫
○新谷政府委員 新株引き受け権証書と株式申し込み書を、同時に交付することはできません。株主が請求いたしますれば、新株引き受け権証書をその場合にのみ交付するということでございまして、両方同時に会社のほうから株主に交付するということはできない仕組みになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/68
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069・大竹太郎
○大竹委員 だけれども、普通の場合においては割り当てをして、黙っていても株主のところに申し込み書を送ってきますね。そうすると、今度は新株引き受け権証書を請求する場合には、その申し込み書を回収しなければ引き受け権証書は渡さないのでございますか。その点はどうなのでありますか。私はその点を聞いている。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/69
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070・新谷正夫
○新谷政府委員 そのような場合には渡さないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/70
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071・大竹太郎
○大竹委員 そうすると、今度は申し込み書を持っていって、それと引きかえに新株引き受け権証書をもらうということになるのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/71
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072・新谷正夫
○新谷政府委員 そのようになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/72
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073・大竹太郎
○大竹委員 次に、これは実際の問題で、つまらぬ問題でありますが、もちろん割り当てられたものを一部引き受けて、一部譲渡するというようなことも人によってはありますし、また全部を分割して譲渡したいというようなこともあるわけでありますが、それらはもちろんできるわけでありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/73
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074・新谷正夫
○新谷政府委員 可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/74
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075・大竹太郎
○大竹委員 次に新株引き受け権の譲渡というものは、定款において禁止の規定を置くことができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/75
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076・新谷正夫
○新谷政府委員 二百八十条ノ二の規定にも「定款ニ定ナキモノハ取締役会之ヲ決ス」とございまして、その第一項の五号に、株主に新株の引き受け権を与える旨、あるいは六号にその引き受け権を譲渡することができる旨、こういうふうな規定が載っております。したがいまして特別に定款に規定がなければ、取締役でこれは定める。しかし定款で定めました場合には、もちろんそれが優先するわけてございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/76
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077・大竹太郎
○大竹委員 次に転換社債について一、二点お聞きしたいのであります。これは私ども実情がわからないのでお聞きしたいのでありますが、国内の株主その他ではあまり問題にはならないので、むしろ外国関係の株主その他から強い要求があり、そして早急にこれをやらなければいけないということになったように聞いているわけでありますが、この実情についてちょっとお知らせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/77
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078・新谷正夫
○新谷政府委員 差し上げてございます参考資料の三九二ページに、外国建ての転換社債の一覧表がございますけれども、さらに三九五ページに「国内転換社債の発行状況」というのがございます。これをごらんになりますとおわかりと思いますが、いずれもかなりの数の会社が外国建て、あるいは国内向けの転換社債の発行をいたしております。現在のところ特にこの転換の請求のございますのは外国建ての場合が多いようでございます。と申しますのも、これは外国のそれぞれの経済界のしきたりその他もあって、そういうことになる面もあろうと思いますけれども、従来株主名簿の閉鎖期間内においてそれができなかったというのが非常に不便だ、ひいては社債の募集にもそれが影響するということでありましたので、今回株主名簿の閉鎖期間内でも転換の請求ができるようにしようということにいたしたわけでございます。ただ、いま申し上げましたように外国建ての場合には直接これが社債権者に有利になるわけでございまして、活用されることが多いだろうと思いますが、国内の転換社債の場合にも、従来こういう規定がありましたためにあまり動かなかったということも考えられるわけであります。したがいましてこの改正をいたしました暁は、あるいは国内転換社債につきましても同じような転換請求が出てくるものというふうに予想されるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/78
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079・大竹太郎
○大竹委員 そうすると、もちろんそれもこっちに出ているかもしれませんが、国外においては大体今度改正されるような規定になっている、こういうふうに考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/79
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080・新谷正夫
○新谷政府委員 逐一外国の例を詳細に精査できませんでしたので、確実なお答えはできませんけれども、わが商法のような閉鎖期間内の問題としてではなくて、基準日制度をとっておるところが多いようでございます。しかしこの基準日の制度をとりますと、これまた株主総会までの間の株主の確定が手続上非常にめんどうなことになるわけであります。それはそれなりに不便はあるようでございます。しかし少なくともこの閉鎖期間内の不都合を除去することによって社債の発行が円滑になるということは期待されると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/80
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081・大竹太郎
○大竹委員 次に、これも念のためにお聞きしておきますが、この規定のこまかい準用規定までは読んでおりませんのであれでありますが、定款による禁止は可能なのでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/81
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082・新谷正夫
○新谷政府委員 転換社債を発行いたします場合には、商法の規定にございますように、発行条件を付して社債の発行をいたしております。その発行条件として株主名簿の閉鎖期間内には認めないということを書くことは差しつかえございません。それは発行会社と社債権者との間の契約ということになります。法律では許すといたしましても、特定の会社の都合によってこの社債についてはこれを許さないということを条件にして発行する分においては、これは差しつかえないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/82
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083・大竹太郎
○大竹委員 大体各項にわたって質問したのでありますが、ただこの間質問をした中でちょっと思いついたことを一つだけお聞きしておきたいと思うのであります。
株主保護のたてまえから株を発行しないことを株主名簿に記載する、または銀行あるいは信託に寄託をする、これは会社の考え方でどちらを選んでもいいということで、株主の保護ということになっておるわけであります。これはやはり自分で自分のことをきめるというようなかっこうになるのでありますが、定款でこれも、そういうめんどうな手続はうちの会社はやらぬのだということをきめてあるとすれば、その保護を受けたいという株主も、その手続ではやってもらえないということになると思うのですが、法律上はそうなっておるのですかどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/83
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084・新谷正夫
○新谷政府委員 第二百二十六条ノ二に書いてございますように「定款ニ別段ノ定アル場合ヲ除クノ外」云々とございますので、原則としては不発行制度あるいは寄託制度というものをとるべきであるというたてまえになっておりますが、会社によりまして定款で別段の定めをいたします場合にはこの規定を排除することができる、こういうことになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/84
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085・大竹太郎
○大竹委員 それでは、これで質問を一応打ち切っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/85
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086・大久保武雄
○大久保委員長 次会は明八日午前十時から理事会、午前十時三十分から委員会を開くこととし、本日はこれにて散会いたします。
午後零時十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105206X02419660407/86
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