1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十年十二月二十一日(火曜日)
—————————————
昭和四十年十二月二十一日
午後二時開議
—————————————
○本日の会議に付した案件
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出)及び中小企業信用保険臨時措置法
案(内閣提出)の趣旨説明及び質疑
午後三時三十五分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/0
-
001・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) これより会議を開きます。
————◇—————
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出)及び中小企業信用保険臨時措置
法案(内閣提出)の趣旨説明発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/1
-
002・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 議院運営委員会の決定により、内閣提出、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険臨時措置法案の趣旨の説明を求めます。通商産業大臣三木武夫君。
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/2
-
003・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げることにいたします。
小企業者の金融を円滑にするため、政府といたしましては、これまで、信用保証協会が行なう小企業者であって一定の要件を備えているものについての無担保、無保証人による保証について特別小口保険制度を設けて、小企業者の信用補完を促進している次第であります。
しかしながら、小企業者を取り巻く最近の経済環境は一段とそのきびしさを加えつつあることにかんがみ、この際特別小口保険制度に所要の改正を行ない、もって、小企業者の信用補完に遺憾なきを期する必要があると考える次第であります。
以上の趣旨に基づきまして、今回、中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、すなわち、特別小口保険の小企業者一人についての保険価額の限度額を改正し、現行の三十万円から五十万円に引き上げることであります。
以上がこの法律案の趣旨であります。
次に、中小企業信用保険臨時措置法案の趣旨を御説明申し上げます。
中小企業を取り巻く経済環境がますます最近きびしさを加えていることは御承知のとおりでありますが、政府といたしましては、中小企業者に必要な資金が適正な条件によって円滑に供給できるよう、これまで政府関係金融機関等を通じて資金量の拡充、金利の引き下げ、信用補完制度の充実等を行なってきている次第であります。
しかしながら、中小企業者は、物的担保が乏しく金融機関からの借り入れが困難な状況にあること、また、取引の相手方たる事業者の倒産、事業活動の制限の実施により、一部の関連中小企業者が経営の安定に支障を生じていること等の事態が生じていることを考えますと、この際、信用補完制度に関し、昭和四十二年三月末までの間特別の措置を講じ、もって信用力の薄弱な中小企業者の信用補完に遺憾なきを期する必要があると考えられる次第であります。
この法律案は、以上の趣旨に従いまして、中小企業信用保険に担保を提供させないで行なう中小企業者の債務の保証にかかる特別の保険制度を設けるとともに、取引の相手方たる事業者の倒産などに伴い経営の安定に支障を生じている中小企業者の経営の安定に必要な資金にかかる中小企業信用保険に関する特別措置を講ずること等により、中小企業者に対する事業資金の融通を円滑にし、もって中小企業の経営の安定に資することを目的とするものでありますが、その概要は次のとおりであります。
第一は、第一種保険について、そのてん補率を改正して、百分の七十から百分の八十に引き上げることであります。
第二は、無担保保険を新設することであります。無担保保険制度は、信用保証協会が行なう物的担保の提供を要しない保証についての保険でありまして、中小企業者一人についての保険限度は二百万円、そのてん補率は百分の八十であります。
第三は、倒産関連中小企業者が受けた倒産関連保証について中小企業信用保険の特例を設けることであります。特例の内容は、当該中小企業者に認められる信用保険の通常ワクに対して保険価額の限度額を別ワク扱いとし、保険のてん補率を通常の百分の七十から百分の八十に引き上げ、保険料率を、通常年百分の三以内でありますところを、年百分の二以内において政令で定める率に引き下げることであります。
以上がこの法案の趣旨であります。
————◇—————
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出)及び中小企業信用保険臨時措置
法案(内閣提出)の趣旨説明に対する質疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/3
-
004・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) ただいまの趣旨の説明に対して質疑の通告があります。これを許します。大村邦夫君。
〔大村邦夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/4
-
005・大村邦夫
○大村邦夫君 私は、日本社会党を代表して、ただいま三木通産大臣から説明のありました中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険臨時措置法案に関し、特に重要と思われる数点について、総理並びに関係各大臣の見解をただしたいと存じます。(拍手)
まず、その第一は、いよいよ深刻の度を加えている日本経済の危機打開の方途、とりわけ中小企業対策についてであります。
佐藤総理は、超高度経済成長のひずみをまともに受けている中小企業に対して、農業とともに、財政、金融、税制の面から格段の措置を講ずるとか、ひずみ是正に国の総力をあげて立ち向かうとか、いわゆる抜本的施策を講ずることを、しばしば言明されているのであります。中小企業対策には冷淡であった池田前首相にかわって、佐藤総理のこの言明は、危機線上にあえぐ中小企業者にとって、きわめて心強い公約として期待されていたことは、私が強調するまでもなかったと思うのであります。ところが、佐藤内閣一年の歩みは、いかなる現実をもたらしたでありましょうか。中小企業の昨年の倒産件数は、負債額一千万円以上で四千二百十二件という記録を残したのでありますが、本年は、十月までにすでに四千五百件をこえているのであります。これがすなわち佐藤総理の言う抜本的な中小企業対策の実体であります。(拍手)
一昨年まではそれでも一千台にとどまっていた倒産件数が、かくも急増した原因を、私どもは一体どこに求めるべきでありましょうか。かつては中小企業の危機を経営の拙劣さに求めたこともございます。しかし、今日の中小企業の危機は、その経営の責任とするには、あまりにも強く政治的要因が働いているといわなければなりません。大企業中心の、しかも設備投資中心の超高度成長が、政府の積極的なかけ声によって推進されたことは、私が強調するまでもないところであります。しかし、大企業は、好況時には、一貫生産体制を確立するために、中小企業に対して急速度な設備投資を強制いたしました。中小企業は、高い金利をもがまんして、その設備投資要請に歩調を合わさせられたのであります。歴史は一転いたしました。大企業中心の超高度成長が生んだ過剰生産という鬼子は、いま大企業の屋台骨までもゆすっているのであります。その矛盾の中から山陽特殊鋼問題が持ち上がり、山一証券までが音を上げました。操短カルテルが相次いで結成されています。住友金属問題に爆発している鉄鋼の苦悩は、まさに高度成長がもたらした当然の帰着といわねばなりません。(拍手)きのうまでおだて上げ、よきパートナーと持ち上げた中小企業に対して、製品は買いたたく、代金は支払わない、有無を言わせず系列から切り離す、そればかりではございません。本来中小企業の守備範囲であったところにまで大企業が進出しているのであります。歩積み、両建てを強制していた銀行が、今度は中小企業の選別融資を強化してきたのであります。
中小企業の危機をつくった犯人は一体だれなのか、私は、政府の中期経済計画をはじめ、一連の施策が、結局は何らの対策も取り得なかった責任を追及したいのであります。(拍手)
中小企業の危機は、明らかに大企業の設備拡充競争に原因があります。それを行政的に推進した政府に責任があるのであります。それにもかかわらず、中小企業だけがなぜ記録的な倒産を続けなければならないのでしょうか。佐藤総理の言う抜本的施策とは一体いかなるものをさすのか、私は、ここにその具体的な提示を、しかも納得のいく形においてお答え願いたいのであります。(拍手)
私がお尋ねしたい第二の問題は、日本経済の中に中小企業がどのように位置づけられているかということであります。
ことしの経済白書を見ますと、欧米において中小企業の付加価値生産性が大企業に比べて必ずしも低くないのは、中小企業が独自の分野を持っているからだと指摘しています。また、「西ドイツ、フランス、イタリアなどでは、中小企業の分野と近代的な大企業の生産分野とがかなりはっきり分かれており、同一部門で中小企業とが併存し、系列ないし従属関係を形成することが少ない。」と分析されているのであります。もって他山の石とすると申しますが、政府の中小企業対策に、かかる欧米諸国の実態を吸収し、わが国の中小企業対策に生かそうとする姿勢が見られないことは、きわめて遺憾といわざるを得ないのであります。
特殊日本的といわれる中小企業の生産性の低さは、中小企業者の努力によって徐々に解決策がとられようとしています。その努力に対して政府はいかなるめんどうを見たでありましょうか。大企業のためにはいかなる犠牲も惜しまぬ政府が、事中小企業対策となると、ほんのわずかの金融措置によってのみ当面をつくろう、これが戦後二十年来一貫してとられてきた政府のいわゆる中小企業対策であります。
すでに構造的危機の様相を濃くしている中小企業の危機は、実はそのまま日本経済の危機につながっているのであります。このことこそが、特殊日本的といわれるわが国資本主義の実体であります。だとするならば、従来のような小手先の中小企業政策では問題の解決はあり得ないのであります。この経済危機を解決する道は、一つは経済政策を根本から立て直すこと、第二は中小企業政策に政府みずからが真剣に取り組むことであるということを強調したいのであります。しかし、経済の立て直しといっても、インフレを助長する公債発行や大企業のための企業減税、そして大企業を優先させた経済政策では、今日の経済の危機をますます深刻化させるでありましょう。私は、有効需要の拡大、すなわち最終消費需要の喚起こそ最も大切だと考えるのであります。賃金の引き上げ、大幅所得減税、物価の抑制、住宅建設、生活環境投資の拡大、さらには、中小企業、農業などの低生産部門への国の積極的な援助が必要であります。また、貿易にしても、対米偏重を排し、中国をはじめ、対社会主義圏貿易を拡大さしていく必要があると思うのであります。財界がやろうとしている、また政府がバックアップしている生産調整、労働者の整理、賃金切り下げなどの措置は、まさに縮小経済への道であります。かくして、末端消費需要は一段とダウンし、中小企業製品の売れ行きはますますふるわず、ひいては中小企業の倒産をさらに増加させる結果を招かざるを得ないと考えますが、政府の中小企業振興対策の関連において、通産大臣の明快な御所見を伺いたい。
また、物価安定を公約した佐藤内閣は、来春早々、消費者米価の連続値上げを筆頭に、健康保険料、私鉄、国鉄運賃などの値上げをきめ、さらに、郵便料金、電信電話料、授業料、公営住宅家賃等々、公共料金一斉値上げの方針を固めつつあるが、これらの動きは、他の物価高騰の原因となり、直接国民生活に大きな影響をもたらすはもちろん、中小企業が使う原材料の値上げにも波及し、中小企業の危機に一そうの拍車をかけることになると存じますが、いかがなものでしょうか。この点、政府の物価抑制の具体策とあわせ、経済企画庁長官の御見解を承りたい。(拍手)
さらに、私は、この際、従来わが党が主張してまいりました中小企業省の設置を政府は真剣に考えるべきであると思うのであります。私があらためて申し上げるまでもなく、わが国の中小企業は、その数において約三百五十万、全産業の約九八%を占め、日本産業の中心的役割りを果たしております。したがって、これが対策なり政策は、もはや通産省管轄下の中小企業庁では果たし得たいことは、今日の中小企業の実態が雄弁に物語っているところであります。(拍手)労働行政に労働省、農林行政に農林省があるごとく、中小企業省の設置は今日的な問題になっています。その中で、金融・税制近代化計画、下請企業対策、商業対策、指導事業、こうしたものを総合的に推進していく。しかも、先ほど申し上げましたように、大企業に従属する中小企業、ことばをかえれば、通産行政に従属する中小企業行政ではなく、独自の総合政策と独自の分野を持った中小企業政策であります。経済の立て直しとあわせて、こうした大胆な思い切った施策を講じていかない限り、私は、中小企業の危機は救い得ないと思うのでありまして、総理並びに通産大臣の責任ある見解を承りたい。(拍手)
次に、私は、案件の内容について二、三お伺いいたします。
その第一は、政府は、中小企業信用保険法を一部改正することによって、特別小口保険の一件当たりの付保限度額を引き上げ、もって中小企業、特に零細企業の金融の円滑化をはかることを主張している点についてであります。
現在保険法の規定にあります特別小口保険の実施状況は一体どうなっているのでありましょうか。この制度の施行当初、政府は付保限度額百四十億を想定したのでありますが、今日に至るもその利用はわずか七億円程度にとまっているのであります。その理由について私が詳細に申し上げるまでもございませんが、一つは、資格要件がきびし過ぎるということであります。いま一つは、本制度の活用について、政府及び関係者の積極的な指導と宣伝が見られないということであります。小規模零細企業者に利用されない制度は、あってもない同然であります。私どもは、すでに今日あるを見通し、さきの通常国会における法案審議の際に、手かせ足かせの資格要件を取りはずすよう政府に強く迫ったのでありますが、政府は、私どもの適切妥当な意見に耳をかさず、ついに内閣提案どおり強行実施をしたのであります。その結果は、先ほど申し上げましたごとく、百四十億円の付保見込みに対し、実績七億円となってあらわれたのであります。今回、政府・与党は、腕の正常化の話し合いの中で、言論を不当に封殺しない、少数党の意見といえども十分耳を傾け、有効な意見については尊重するということを約束されましたが、ならば次の点について御一考を願いたいのであります。
その一つは、同一都道府県に一年以上居住し、かつ国税または地方税のいずれかを完納している名という資格要件の取りはずしについてであります。今日中小企業は不況のしわ寄せを一身に受けて金繰り難に苦しんでいることは御承知のとおりてあります。したがって、税金を納めたくとも納め得ないような事態も起こり得ることでありまして、小口特別保険の対象者にはそうした者がたくさんいるということであります。こうした気の毒な零細企業にあたたかい手を差し伸べてこそ、人間尊重の政治であります。その二は、付保限度額を百万円に引き上げることであります。物価高の今日、五十万円程度の融資は、まさに焼け石に水であります。かつては一証券会社に百数十億の融資を無担保、無保証で行なったことなどを考えあわせれば、さほど至難ではないと思われますが、以上二点について、私ども社会党の意見を尊重する意思のありやいなや、通産大臣の所見を承りたい。(拍手)
第二は、無担保保険の新設についてであります。
この制度は、中小企業者が物的担保を要せず信用保証協会の保証によって融資が受けられるとしたのでありますが、一般の保険限度の別ワクにするといわれながら、実際には零細企業は除外されることとなると考えるのでありますが、この点、通産大臣の明快な見解を承っておきたい。
第三は、連鎖倒産防止に対する臨時措置法についてであります。
今日の経済危機にあたって、政府が積極的にとっている対策は、不況カルテルの結成、勧告操短の促進であります。しかも、悪質な計画倒産に対しても、むしろこれを助長するがごときふるまいが見られるのであります。たとえば、山陽特殊鋼問題等に関連して、あれほど世間を騒がせた会社更生法の改正等による計画倒産の歯どめ措置も、いまだ行なわれていないのでありまして、これらの諸点を考えますと、私は、連鎖倒産を促進することによって中小企業の整理淘汰をはかっているといわざるを得ないのであります。もし政府に真剣な倒産防止対策があるとするならば、一年間の臨時措置ではなく、恒久立法化すべきであり、会社更生法の改正についても積極的な見解があってしかるべきであると考えるが、通産大臣はいかなる見解を持っておられるか、ここに明快な答弁を要求いたしまして、私の質問を終わる次第であります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/5
-
006・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
私からお答えするのは二点ばかりに限りたいと思っておりますが、御承知のように、この一年間、経済のいわゆるひずみ是正といわれたもの、これを克服することが私の内閣の仕事だ、かように考えまして、真剣に取り組んでまいったのであります。基本的には、この経済の不況克服、それにはどうしたらいいのかということで、あるいは金融の面、税制の面等々、具体的にもいろいろの処置をとりましたが、その際に最も注意し、積極的に集中して施策を講じたものが、いわゆる生産性の低い部門。これが中小企業であり、さらにまた農業であることは申すまでもないのであります。したがいまして、佐藤内閣として、中小企業対策、また農業政策、こういうことには非常に意を用いてまいったつもりでございます。しかしながら、何ぶんにもこの問題は深刻な構造上の問題でございます。したがいまして、短期間に成果をあげることができない。今日もなおこれと真剣に取り組んでいる次第でございます。
ただいま大村君が御指摘になりましたように、倒産件数が非常に多い、最近の倒産の実情等を見まして、毎月五百件以上の倒産がある、年間これは六千件にも及ぶだろう、同時に、その倒産の負債額なぞがだんだん小額になりつつある。こういう事態を考えますと、一そうこの中小企業対策が急がれなければならないということが言えるのであります。ただいま御指摘になりました各具体的な政策こそ、私どもがいま真剣に取り進んでおるものでございます。したがいまして、その詳細等はもうすでにお耳に達しておると思いますから、そのことは私は重ねて申し上げません。
その次に、中小企業省をつくったらどうか、こういうお話でございます。私がかつて通産大臣時分にもこの問題が起きております。中小企業は、いわゆる業種ではなくて、まあ事業の規模、こういうような問題でありますので、これを一省で片づけることは不適当でございまして、一般産業行政とともに処理するのが望ましいのであります。
いずれにいたしましても、中小企業問題こそ、わが国の二重構造だといわれるこの産業構造の特殊性でございますので、そういう意味では産業行政の面において一そう注意をいたすべきことだ、かように考えます。
詳細は通産大臣からお答えいたさせます。(拍手)
〔国務大臣三木武夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/6
-
007・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 大村君の御指摘のごとく、中小企業の倒産件数はなかなか減らない。しかし、この原因というものを考えてみると、受注の減少といいますか、仕事が少ないということが大きな原因になっておるわけでありますから、やはり全体としての日本の経済活動を活発にするということが基本であります。中小企業だけをというわけにもいかない。日本の経済活動をもっと活発にしなければいけない。そういう点で、政府が金融、財政を通じて早期に景気の回復をはかろうと努力しておることは御承知のとおりでございます。
しかし、年末を控えて、中小企業年末融資の点については、御承知のように、政府三金融機関が八百二十億の追加融資、あるいは市中銀行に対してもおおむね七千八百億程度の中小企業向けの金融を要請いたしておる次第でございます。また、担保力が少ないですから、それを補う意味において、本日御審議を願っておるような信用保証制度に対する補完制度の拡充をはかっておる次第でございます。
ここで、大村君の具体的な御質問の一点である特別小口保険、どうしてこの制度の利用者が少ないのかという点でございます。御指摘のとおり、条件がきびし過ぎた。こういう点は、税金にいたしましても、所得税、事業税、地方税、こういう税金を完納しておるとか、同一町村で三カ年以上住んでいなければならぬという条件はきびし過ぎる。それで、今回法律を改正して、一年以内に同一町村でよろしい、しかも、税金も、地方税でも所得税でも、どの税金でも納めておればよろしい、こういうふうに条件を緩和いたしましたので、この小口の特別保険というものの利用度がいままでよりは改善されるものと期待をいたしております。
とりあえず百万円までしたらどうかという御意見でございます。傾聴すべきものがありますが、三十万円をとりあえず五十万円に今回は引き上げて、将来のこの推移を見たいと思います。
また、無担保の保険に対しての臨時措置法を永久の立法にしたらどうかというお話でございますが、とりあえず昭和四十二年三月までという臨時の措置にいたしておりますが、中小企業の今後の推移等もにらみ合わして検討を加えたいと考えております。
中小企業庁の昇格については、総理大臣からお答えになったので、そのとおりに私も考えております。(拍手)
〔国務大臣藤山愛一郎君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/7
-
008・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま物価の問題と中小企業との関係についての御質問がございました。
消費者物価の問題につきましては、一般勤労者と同じように中小企業に影響することは、これは当然でございます。ただ、御指摘の点は、おそらく卸売り物価あるいは貨物輸送中の経費の増額その他等々の問題だと思います。国鉄あるいは郵便料金等を上げますことによりまして、中小企業の活動に影響があることはもちろんでございますけれども、その影響は必ずしも大きなものとは私ども考えておりません。むしろ、中小企業の対策としては、根本的に、今日高度成長の陰にあって十分な近代化も合理化も生産性の向上もできなかった中小企業が、その面において十分な今後の対策を講じていくことと、そうして、現在御承知のように極度に信用が膨張しておりまして、その中の多くのしわが、お産手形なり、あるいは台風手形というような形で中小企業にしわが寄っておる。そういう点についての改善をやってまいりますことによりまして、根本的な中小企業の対策ができると思うのでございまして、これらの点は同時に物価問題の対策にもなるゆえんでございまして、物価の根本的対策と中小企業の対策とは両々相反発することなく並行して進められていかなければならぬと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/8
-
009・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/9
-
010・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後四時十二分散会
————◇—————
出席国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
通商産業大臣 三木 武夫君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
出席政府委員
内閣法制局長官 高辻 正巳君
中小企業庁長官 山本 重信君
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X00219651221/10
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。