1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月十二日(木曜日)
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議事日程 第三十二号
昭和四十一年五月十二日
午後二時開議
第一 借地法等の一部を改正する法律案(内閣
提出)
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○本日の会議に付した案件
厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、参議院回付)
日程第一 借地法等の一部を改正する法律案
(内閣提出)
永山自治大臣の地方財政法第三十条の二の規定
に基づく地方財政の状況報告についての発言
及び質疑
午後二時六分開議発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/0
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001・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) これより会議を開きます。
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厚生省設置法の一部を改正する法律案(内閣
提出、参議院回付)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/1
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002・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) おはかりいたします。
参議院から、内閣提出、厚生省設置法の一部を改正する法律案が回付されております。この際、議事日程に追加して右回付案を議題とするに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/2
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003・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。
厚生省設置法の一部を改正する法律案の参議院回付案を議題といたします。
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004・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 採決いたします。
本案の参議院の修正に同意するに御異議はありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/4
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005・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 御異議なしと認めます。よって、参議院の修正に同意するに決しました。
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日程第一 借地法等の一部を改正する法律案
(内閣提出)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/5
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006・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 日程第一、借地法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
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007・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 委員長の報告を求めます。法務委員長大久保武雄君。
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〔報告書は本号末尾に掲載〕
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〔大久保武雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/7
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008・大久保武雄
○大久保武雄君 ただいま議題となりました法律案につきまして、法務委員会における審議の経過並びに結果を御報告申し上げます。
本案は、最近、借地借家に関する紛争が相当多数にのぼっているのにかんがみ、借地借家に関する紛争を未然に防止して当事者間の安定をはかるとともに、土地及び建物の合理的利用を促進する等のために、借地法、借家法、建物保護法及び民法の一部について所要の改正を加えようとするものでありまして、そのおもなる内容は次のとおりであります。
すなわち、第一は、借地権の目的たる土地の合理的利用を促進するために、裁判所は、当事者の申し立てにより、非堅固の建物所有の借地条件を堅固の建物所有の借地条件に変更し、または増改築の制限を緩和する裁判をするとともに、当事者間の利益の公平をはかるために、他の借地条件を変更し、または財産上の給付を命ずる裁判をあわせてすることができるものとし、この裁判を非訟事件手続法によるものとすることであり、第二は、借地上の建物の取引を円滑にするために、土地の賃借人がその建物を他人に譲渡しようとする場合において、賃貸人が敷地の賃借権の譲渡または転貸を承諾しないときは、裁判所は、賃貸人の承諾にかわる許可を与えることができるとともに、地代の増額、金銭の支払い等の条件を付すことができるものとすることであり、第三は、地代または家賃の増減請求から生ずる紛争を防止するため、その請求があった場合の法律関係を明確にすることであり、第四は、借家人が相続人なしに死亡した場合、内縁の夫婦または事実上の養親子関係にあった同居人の居住権保護のため、建物の賃貸借関係の承継を認めるものとすることであり、第五は、建物保護法第一条第二項の規定は、その後に施行された借地法との関係で、解釈上疑義があるので、この規定を削除するものとすることであり、第六は、土地を立体的に利用するために、地下または空間の部分に、その範囲を限定して、地上権の設定を認めるものとすること等であります。
さて、本案は、三月三十日当委員会に付託せられ、自来、慎重審議を行ない、さらに、学識経験者等参考人の意見を聞き、審議の完ぺきを期したのであります。
かくて、五月十日、質疑を終了し、討論の申し画がないので、直ちに採決の結果、本案は全会一致をもって政府原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。
なお、本案に対し、借地借家関係を規制する法律は、国民の日常生活の安定に重要な関係を有するから、政府及び最高裁判所は、その運用にあたっては、今回の改正の趣旨にかんがみ、借地借家に関する紛争の未然防止、関係当事者の正当な利益の保全、鑑定委員の人選等について慎重な考慮を払い、いやしくも便乗的な地代、家賃の値上がりをもたらすことのないよう遺憾なきを期すべきであるという趣旨の附帯決議が付されました。
以上、御報告申し上げます。(拍手)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/8
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009・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 採決いたします。
本案の委員長の報告は可決であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/9
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010・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。
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永山自治大臣の地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告についての発言発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/10
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011・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 自治大臣から、地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方財政の状況報告について発言を求められております。これを許します。自治大臣永山忠則君。
〔国務大臣永山忠則君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/11
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012・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 地方財政法第三十条の二の規定に基づき、地方財政の状況を御報告申し上げます。
まず、昭和三十九年度の普通会計決算につきまして、その特徴を申し上げます。
第一に、歳入面では、経済の不況等を反映して地方税等一般財源が伸び悩み、これを補うため地方債が大幅に伸びております。
第二に、歳出面では、人件費が引き続き増高を続けた一方、普通建設事業費が著しく伸長いたしております。
第三に、地方公営企業及び国民健康保険事業に対する繰り出し額が前年度に引き続き増大しております。
第四に、財政構造は前年度に引き続きさらに硬直化の傾向にあります。
第五に、財政収支は前年度よりもさらに悪化いたしております。
次に、地方公営企業について申し上げますと、前年度に引き続き事業数、規模ともに増大した反面、経営面においては赤字がさらに増加しております。
また、国民健康保険事業会計につきましても、その財政収支は前年度よりも悪化いたしております。
次に、昭和四十年度における地方財政の運営状況について申し上げますと、地方税及び地方交付税は、地方財政計画額より大幅な減少が見込まれるに至りました一方、公共事業の完全実施、災害対策、地方公務員の給与改定等、歳出に新たな増加要因が加わりましたので、地方財政はきわめて深刻な事態に立ち至りましたが、公共事業関係の地方債のワクを増額し、国税三税の減収に伴う地方交付税の減収に対しても所要の対策を講じましたので、昭和四十年度における当面の問題は一応解決されることとなった次第であります。
また、国民健康保険事業の財政に対しましても、昭和四十年度において所要の財政措置を講じましたので、これまた相当改善を見るものと考えられます。
以上のように、最近の地方財政は、財政構造が硬直化傾向を示しており、また、地方公営企業及び国民健康保険事業会計に対する繰り出し金の増加も普通会計の大きな圧迫要因となっております。したがって、地方財政全般の健全化方策の一環として、まずこれら特別会計の財政健全化措置を促進するとともに、普通会計については、一般財源の増強、給与費等の合理化、超過負担の解消、経費の効率化等について抜本的な検討を急がなければならないと存じます。政府といたしましては、今後とも地方財政の健全化のためあらゆる努力をいたすとともに、各地方団体においても、財政の健全性を保持するよう十分指導してまいる所存であります。
以上、地方財政の状況についてその要旨を御報告いたした次第であります。(拍手)
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地方財政法第三十条の二の規定に基づく地方
財政の状況報告についての発言に対する質
疑発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/12
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013・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。これを許します。秋山徳雄君。
〔秋山徳雄君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/13
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014・秋山徳雄
○秋山徳雄君 ただいま御説明を受けました地方財政白書について、私は、日本社会党を代表し、総理並びに関係大臣に対し若干の質問をいたしたいと思います。(拍手)
まず最初に、政府の御見解を特に伺っておきたい問題は、昨年、東京都議会の議長選挙をめぐる贈収賄事件で全国民の非難と不信を浴びている最中に、現職知事が、全く同様に、中元という名目で現金数百万円をばらまいたという事実があり、また、松山市での汚職に伴う議会のリコールから自主解散、熊本県議会、福岡県宇美町の入札事件などなど、中央に直結する政治とは、汚職や贈収賄に直結するということかと思われるような気がしてなりません。(拍手)大きな都から小さな町に至るまで不祥事件が惹起しております。こうしたもろもろの事件の起こる原因を考えるとき、国政を指導する者が、まずその方々の姿勢を正すべきだと思います。
また、京都、奈良、鎌倉市及び政令で定めるその他の市町村の歴史的風土を保存する目的で、いわゆる古都保存法が公布されていますが、特に鎌倉市においては、この法律の施行を見越して、大資本の不動産土地造成業者が、われ先とばかりに、土地の買収、宅造に血眼になっているのであります。これを放置せば、日本民族古来の由緒ある多くの伝統が昔日の面影もなく破壊されていくのではないかと、憂慮にたえないのであります。
これについての、総理、自治、建設の各大臣はどのように考え、指導監督を行なうべきか、見解を承りたいと存じます。
さて、三十九年度の地方財政の分析の結果については、ただいま自治大臣から御報告をいただき、経済の不況で税収が伸び悩み、そのために地方債が大幅にふえたこと、給与改定による人件費増や地方公営企業及び国民健康保険事業に対する一般財源からの繰り出し額の増加等で一そう赤字が累積し、財政構造の硬直化で財政収支の悪化したことを御指摘になっておられます。
そこで、まず財政構造の硬直性について見ますと、人件費の増高を指摘されていますが、三十九年四月現在で、国の職員数は四十六万七千人であるのに対しまして、地方職員は、一般八十万五千人、教育関係で八十九万五千人、警察職員は十六万四千人、消防では四万六千人となっておるのであります。それでも、人件費、扶助、公債費など通常義務経費は、三十八年の四五・二%から三十九年には四五・三%と、わずかに〇・一%しか増加しておりません。また、三十九年度の財政規模一は、国の一般会計に匹敵する大きさでありますが、歳入に占める地方税の割合は三五・八%にしかなりません。あとは国庫支出金、地方交付税、地方譲与税、地方債等が四九・五%で、国の財政支出や地方債にたよっているのが実情であります。一方、三十九年度の決算額は、道路、治水、学校建設などの投資的経費が三五・二%、人件費が三六・五%で、経常費は二八・三%にしかならないのでありまして、地方税の歳入の三五・八%を占めております。これでは国の事業を地方の人件費でまかなっているといっても言い過ぎではないと存じます。(拍手)特に、国と地方の租税収入と財政支出の実質的配分状況では、租税総額に占める国税と地方税の割合は六九・三%対三〇・七%であり、租税の実質的配分状況は、収入の割合とはさかさまになって、地方公共団体が六四・九%、国が三五・一%となっております。いまこそ、地方自治体が中央の出先機関化した実情を分析して、税財源や事務の再配分等を調査研究し、その上に立っての真の地方財政を確立するような論議を進めるべきではないかと思いますが、総理並びに自治大臣のお考えをお伺いいたします。(拍手)
次に、都市過密化の問題に触れてみたいと思います。先般東京都の生活白書が発表されましたが、それによりますと、東京の人口は年間二十三、四万の増加を示し、都内の通勤、通学者は三十九年調査で約五百七十六万人、十年前に比べてちょうど二倍となっている一方、国鉄はじめ公私営交通機関の輸送力はこの間六割しか増強されません。ラッシュ時は定員の三倍以上の混雑となっております。また、道路の渋滞もひどく、東京の自動車は全国の約一六%に当たる百六万台で、十年前の四・四倍であるにもかかわらず、道路面積の伸び率は十年間にたった二〇%にすぎません。主要交差点での信号二回から四回待ちは普通となっております。都内の住宅不足数は五十五万戸、四十年五月の世論調査では、実に都民の四四%が住宅に困っていると回答しています。しかも、その半分以上が家賃の高い民間アパートに月給の三分の一を充てているのが実態であります。東京の異常な膨張は必然的に近県都市の財政に大きな問題を投げかけております。政府は、この際、都市の過密化を抑制または分散するために、都市の再開発または官庁、学園、工場等の計画的移動を真剣に検討すべき段階に至っていると思いますが、総理並びに建設大臣はこれについていかなる構想をお持ちなのか、お聞かせ願いたいと存じます。(拍手)
次に、国民健康保険事業についてでありますが、地方財政白書によりますと、実施団体の六五%が赤字で、その額は二百五億円にもなっております。こうした赤字の増大が地方財政を逼迫せしめる一つの要因として、決して見のがすわけにはまいらないと存じます。国保財政のおもな財源は、保険料と国庫負担であります。国庫負担のうち、事務費については国が全額負担するたてまえになっておるにもかかわらず、実際の交付率はおおむね五割程度にしかなっておらない実情であり、他は申すに及ばないのであります。
ちなみに、神奈川県が本年四月厚生省に提出した報告書によりますと、葉山町の例は、年間保険料が、現行一世帯七千四百七十円、一人当たり二千五百三十三円が、一世帯一万百九十円、一人三千四百二十八円と、三五・三%も増加しなければならない実態であります。これほど多額の保険税を納めるので、医師のもとに行くときは一銭も要らないというならともかく、医師にかかるときは自己負担がなければならないとは、これでも国民健康保険かと、町民の声があがっている実情であります。これでは名ばかりの国民健康保険であって、実は市町村健康保険であるといわないわけにはまいりません。厚生並びに大蔵大臣の所見をお伺いいたしたいと存じます。(拍手)
次に、昭和四十一年度の地方財政計画を見ても、地方財政対策の中心が、一、地方交付税率の二・五%引き上げによる五百八十六億円、二つ目には、四十一年度限りの臨時特例交付金四百十四億円、三つ目には、財源補てん特別事業債千二百億円で、合計二千二百億円の財源措置がとられておりますが、一般財源の伸びがわずか七%なのに、普通会計分の地方債の増加率が七七・六%にもなっておることを考えると、今年度地方財政は、まさに国以上の借金財政的性格と申さねばなりません。(拍手)
学校の施設、公営住宅の建設、国民年金、補助負担事業等で、その補助単価などが実情に合わないために地方自治体の持ち出しになるいわゆる超過負担は、三十九年度でも自治省の調べで千百四十三億円にもなろうと推定されている今日、二百五十億円程度の単価の是正では、全く焼け石に水であります。地方財政のガンといわれる地方自治体の超過負担をどうして解消しようとお考えなのか。また、地方交付税率が三二%に改定されたとはいえ、国税三税の減収が予想されている今日、むしろ減るのではないかとさえ考えます。
このように最近の地方財政には多くの問題があると同時に、制度そのものの矛盾も目立ってきておるのであります。四十一年度の地方財政対策は、こうした制度の持つ矛盾には手を触れないで、なしくずし的な処理に終わっており、問題を一そう複雑にしております。これもこの一、二年が限度であり、根本的な再検討を迫られることになると思います。
ここで、私は二つの問題を提起して、総理、自治、大蔵大臣の所見を伺いたいと存じます。
その一つは、地方財政の現代的役割りを明確にすること、すなわち、現在の地方財政制度はシャウプ勧告によって骨格がつくられていますが、その根本理念は、古典的とも言える地方自治であり、現実の行政の全国的関連性、行政の質的変化等を考えれば、シャウプ地方財政では、国の財政政策と地方財政との関連が無視されており、本格的なフィスカルポリシーに対応できる地方財政ではない。したがって、国と地方とを一体とした財政政策が行なえるような機能的地方財政制度を考えるべきであると思います。
その二は、交付税制度の再検討であります。交付税率の引き上げは限界に達しているので、交付税制度の持つ一般財源保障機能にも限界が生じております。そして、その算定方式は、きわめて安定的、かつ停滞的な社会を前提としているものと考えられますし、現在のように、人口流動が大きく、特に都市地域での社会的変化が激しく、社会資本の必要性が著しく高まっている流動的社会に十分に対応できないようになっていると存じます。したがって、地方財政の調整を合理的に行なえるような制度と財源の再配分を検討する必要があると思います。
次に、政府は赤字債券の代償として各公営企業に独立採算制を強く主張し、公営企業法の改正を求めておりますが、地方自治体の権限を縮小し、人員整理に結びつくようなこの法案には絶対に賛成できないことを申し述べまして、私の質問を終わります。(拍手)
〔内閣総理大臣佐藤榮作君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/14
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015・佐藤榮作
○内閣総理大臣(佐藤榮作君) お答えいたします。
最近起こりました贈収賄事件やそれに関連するような不祥事件が各地で次々起こりましたこと、まことに私、残念に思っておる次第でございます。
私が申し上げるまでもなく、政治は清潔でなければ、国民の支持を得るということはまことに困難だと思います。これは中央も地方も同じでございます。こういう意味におきまして、綱紀の粛正を叫んで、また官紀をゆるめないように、あらゆる努力を続けておるのであります。十分今後とも自粛自戒、もって国民の信頼にこたえるつもりでございます。
第二の問題といたしまして、地方と中央との財源の再分配、これが適正でなければならない、こういう御指摘であります。そのとおりだと思います。そういう意味で、地方制度調査会におきましても、行政事務の分配の問題を根幹とし、さらに、税制調査会等も、これに対応する財源はいかにあるべきかということで、せっかく調査、努力中でございます。いずれ答申を得ました上に、地方財政の健全化、同時にまた、中央の行政、さらに国民負担というような点からも十分対応策を立ててまいるつもりでございます。
次に、過密都市対策についてのお尋ねがございました。近代社会で一番困っておりますのはこの過密都市だ、かように思います。そういう意味で、集中を排除するといいますか、できるだけ集中されないような施策をとると同時に、既成の都市における、東京あるいは大阪、名古屋等の過密対策、いわゆる都市の再開発、こういう問題と真剣に取り組まなければならないと思います。秋山君の御指摘になりましたような点が、私どもが今日基本的な根幹として過密対策と取り組んでおるその方向でもあることを御了承いただきたいと思います。(拍手)
〔国務大臣永山忠則君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/15
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016・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 地方財政の健全化をはかっていく上におきましては、その理事者並びに議会人等の指導者がえりを正していかなければならぬということは、お説のとおりでございます。今後、これらの点に対しましては、決意を新たにいたしまして、十分指導をいたしまして、さようなことのないように全力をあげたいと存じます。
また、地方財政の確立をはかる上におきまして、財源及び事務の再配分をやらねばならぬ、さらにまた、中央集権的性格を脱却すべきであるという点に対しましては、お説を尊重いたしております。必ずそういう方向に全力をあげまして、地方制度調査会の答申等を待ちまして努力をいたす考えでございます。
また、交付税の性格の問題あるいは交付税配分の問題について十分再検討しろというおことばに対しましても、いわゆる人口の増減の状態、あるいは地方が特に繁栄いたしておる状態、あるいは過密都市の状態、これらを総合いたしまして、将来根本的な検討をいたす考えでございます。
公営企業の問題は、首切りにつながるものではないのでございまして、健全なる経営をいたしまして、安定経営をいたしまして首切りにならないようにいたしたいという目的でやりたいと考えておる次第でございます。(拍手)
〔国務大臣鈴木善幸君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/16
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017・鈴木善幸
○国務大臣(鈴木善幸君) お答えいたします。
昭和三十九年度の国保の財政は、医療費の増高等に伴いまして相当悪化をいたしたのであります。政府といたしましては、昨年八月に臨時財政調整補助金といたしまして四十億円を予備費から支出いたしました。また、昨年暮れの臨時国会では補正予算として二百十一億円を補正増額いたしました結果、昭和四十年度の決算におきましては、国保財政は相当の改善を見ておるところでございます。また、今回の国会に対しまして、国民健康保険法の改正法案を提出し、御審議をただいま願っておるところでありますが、これによって、家族七割給付を実施いたします市町村に対しましては国庫負担四割の定率化を実現し、また、事務費につきましても、一人当たり二百円を二百五十円に改正しようとするものであります。これによりまして、国保の財政は今後相当の安定の方向を見るものと考えておる次第であります。(拍手)
〔国務大臣福田赳夫君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/17
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018・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私に対する質問の第一点は、国民健康保険の問題であります。これにつきましては、ただいま厚生大臣がお答えになったと同じ見解を私は持っております。
第二は、超過負担の問題でありますが、これは御指摘のように相当大きな問題だと思います。千百億円あるいは千三百億円ともいわれる。この原因を探求してみますると、これは中央政府の責任に帰すべきものも多いのです。しかし同時に、地方自治団体が補助基準などを越えまして施設をする、そういう要因もある。これは中央、地方相協力して解消につとめなければならぬ、かように考えておるわけであります。さような見地から、昭和四十一年度の予算におきましては、知事会の要請にかかわる八項目についてその解消をいたしたわけでありまして、三百三十億程度のものになります。保健所の医師の人件費、これの解消でありますとか、人件費の解消は大体においてまあなし遂げた、かように考えております。また、学校の建築なんかの単価でありますが、これも相当解消実現をしたわけでありますが、まだ相当残っております。これにつきましては、今後もなお努力をいたしていきたい、かように考えておる次第であります。
それから、中央、地方の財政が一体化でなければならぬ、これはもう全く同感であります。私は、しばしば申し上げておりまするとおり、一体的感覚で中央、地方の財政を運営しなければならぬ。予算の編成にあたりましても、まず地方財政についての見当をつけて、それから中央財政の編成に当たらなければならぬ。従来最後に地方財政がきまっていく、こういうような状態はよろしくないというので、本年度はそういうたてまえを変えております。現に、私も、地方財政がその後どういう動きであろうか、こう考えまして各地を歩いておる。地方財政も大体において満足をしておるという状態であることを、この際御報告申し上げたいのであります。
次に、交付税制度につきまして、これが限界にきたのじゃないかというような御指摘でありますが、私はそうは考えておりません。これは、地方自治を、つまり地方の独立性を尊重しながら、財源の適正な配分、調整をしていくというためには、適切な制度である、かように考えておるのであります。ただ、その財政需要を見るその方法、あるいは配分の基準、そういうものにつきましては、時勢の変化に応じまして、これを流動的にやっていかなければならぬ、かように考えておりますので、それらの点は自治大臣ともよく相談をいたしまして適正な成果をおさめたい、かように考える次第でございます。(拍手)
〔国務大臣瀬戸山三男君登壇〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/18
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019・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 第一は、古都保存法が実施されてから、特に鎌倉等においては資本家等が大切なところをスプロールする傾向がある、こういう御心配でありまして、私どももそれを心配いたしております。そこで、法律が国会で成立いたしました直後、すみやかに四月十五日にこの法律を施行いたしました。これは、御承知のとおり、審議会等の審議を要しますので、四月二十二日に第一回の審議会を開きまして、今月の三十日に第二回の審議会を開いて指定地区をきめたいと思っております。と同時に、指定いたしました地域の行為の制限基準等をすみやかにきめたいと思っております。それにいたしましても、御承知のような弊害が出るおそれがありますし、京都等においてもそういう問題があったわけであります。したがって、現行制度における風致地区の法律等の規定によりまして、そういうことのないようにいたしておるわけでありまして、鎌倉の状態など私ども心配いたしておりますから、できるだけそういう事態の起こらないように措置をとりたい、かように申し上げておきます。
それから、第二の点は、これはもう申し上げるまでもなく、いわゆる過密都市の問題であります。これは今日始まった問題ではございません。事こまかに申し上げることを差し控えますが、基本的には、この日本の現状が非常にアンバランスになっておる、何が原因か、これは地の利だけにたよって、その地の利を改良するという政治が非常におくれておったというところであります。申し上げますると、たとえば道路、あるいは港湾、あるいは空港、いわゆる交通、輸送、通信の施設というものが非常に偏しておった、これに基本的な条件があると思います。これを改めることが第一であります。けれども、これは相当長期を要することであります。過密の状態というのは、御承知のとおり、これは世界的な傾向でありますが、一番ひどいのはわが国であります。これはまた経済の急速な伸展等の特殊な事態があったことは御承知のとおりであります。特に東京、大阪等については、その解消あるいは解決のために、首都圏整備法あるいは近畿圏整備法というようなものまでつくって今日の事態に備えておりますが、まだまだ十分でございません。こういう法律、制度等を活用し、さらに、もう少し抜本的には、いわゆる東京都内等の非常に土地利用の適切でない状態を改善するために、新たに積極的な構想を立てるべき段階にきておる。詳細なことは申し上げませんが、同じような心配をいたして対策を進めるということを申し上げておきます。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/19
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020・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) これにて質疑は終了いたしました。
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/20
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021・山口喜久一郎
○議長(山口喜久一郎君) 本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十八分散会
————◇—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105105254X04919660512/21
4. 会議録のPDFを表示
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