1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月一日(火曜日)
午前十一時五分開会
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委員氏名
運輸委員
委員長 江藤 智君
理事 岡本 悟君
理 事 金丸 冨夫君
理 事 岡 三郎君
理 事 吉田忠三郎君
木村 睦男君
谷口 慶吉君
天坊 裕彦君
中津井 真君
平島 敏夫君
前田佳都男君
松平 勇雄君
吉武 恵市君
相澤 重明君
大倉 精一君
木村美智男君
瀬谷 英行君
浅井 亨君
中村 正雄君
岩間 正男君
農林水産委員
委員長 山崎 斉君
理 事 野知 浩之君
理 事 和田 鶴一君
理 事 武内 五郎君
理 事 渡辺 勘吉君
理 事 宮崎 正義君
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
小林 篤一君
櫻井 志郎君
園田 清充君
田村 賢作君
高橋雄之助君
任田 新治君
仲原 善一君
温水 三郎君
森部 隆輔君
八木 一郎君
大河原一次君
川村 清一君
鶴園 哲夫君
中村 波男君
森中 守義君
矢山 有作君
北條 雋八君
商工委員
委員長 村上 春藏君
理 事 赤間 文三君
理 事 豊田 雅孝君
理 事 柳田桃太郎君
理 事 近藤 信一君
井川 伊平君
大谷藤之助君
岸田 幸雄君
剱木 亨弘君
近藤英一郎君
宮崎 正雄君
吉武 恵市君
大矢 正君
小柳 勇君
椿 繁夫君
永岡 光治君
藤田 進君
鈴木 一弘君
矢追 秀彦君
向井 長年君
物価対策特別委員
委員長 吉江 勝保君
理 事 金丸 冨夫君
理 事 岸田 幸雄君
理 事 野上 元君
理 事 田代富士男君
内田 俊明君
大竹平八郎君
木村 陸男君
塩見 俊二君
高橋 衛君
豊田 雅孝君
温水 三郎君
森 八三一君
加藤シヅエ君
木村美智男君
北村 暢君
松永 忠二君
山本伊三郎君
辻 武寿君
中沢伊登子君
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出席者は左のとおり。
運輸委員
委員長 江藤 智君
理 事
岡本 悟君
金丸 冨夫君
岡 三郎君
吉田忠三郎君
委 員
木村 睦男君
谷口 慶吉君
天坊 裕彦君
中津井 真君
平島 敏夫君
前田佳都男君
松平 勇雄君
吉武 恵市君
大倉 精一君
木村美智男君
瀬谷 英行君
浅井 亨君
中村 正雄君
岩間 正男君
農林水産委員
委員長 山崎 斉君
理 事
野知 浩之君
和田 鶴一君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
櫻井 志郎君
田村 賢作君
高橋雄之助君
温水 三郎君
森部 隆輔君
大河原一次君
川村 清一君
鶴園 哲夫君
中村 波男君
北條 雋八君
商工委員
委員長 村上 春藏君
理 事
豊田 雅孝君
柳田桃太郎君
近藤 信一君
委 員
井川 伊平君
大谷藤之助君
岸田 幸雄君
大矢 正君
小柳 勇君
椿 繁夫君
永岡 光治君
藤田 進君
鈴木 一弘君
物価等対策特別委員
委員長 吉江 勝保君
理 事
野上 元君
田代富士男君
委 員
塩見 俊二君
高橋 衛君
加藤シヅエ君
松永 忠二君
山本伊三郎君
辻 武寿君
中沢伊登子君
国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
文 部 大 臣 中村 梅吉君
農 林 大 臣 坂田 英一君
通商産業大臣 三木 武夫君
運 輸 大 臣 中村 寅太君
建 設 大 臣 瀬戸山三男君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
政府委員
経済企画庁調整
局長 宮沢 鉄蔵君
経済企画庁国民
生活局長 中西 一郎君
経済企画庁総合
計画局長 向坂 正男君
大蔵省主計局次
長 武藤謙二郎君
文部省大学学術
局長 杉江 清君
農林大臣官房長 大口 駿一君
農林省農林経済
局長 森本 修君
食糧庁長官 武田 誠三君
通商産業政務次
官 堀本 宜実君
通商産業省鉱山
局長 大慈彌嘉久君
運輸大臣官房長 深草 克巳君
運輸省鉄道監督
局長 堀 武夫君
運輸省鉄道監督
局国有鉄道部長 原山 亮三君
建設省道路局長 尾之内由紀夫君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
説明員
農林省農林経済
局参事官 岩下 龍一君
通商産業省企業
局産業立地部長 中川理一郎君
日本国有鉄道副
総裁 磯崎 叡君
日本国有鉄道常
務理事 遠藤 鉄二君
日本国有鉄道常
務理事 今村 義夫君
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本日の会議に付した案件
○国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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〔運輸委員長江藤智君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/0
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001・江藤智
○委員長(江藤智君) ただいまから運輸・農林水産・商工・物価等対策特別委員会連合審査会を開会いたします。
先例によりまして、私が連合審査会の委員長の職をつとめます。連合審査会の各委員長及び理事打合会におきまして協議の結果、本連合審査会は午後五時を目途として終了することを申し合わせました。つきましては、各委員の御協力をお願い申し上げます。
国有鉄道運賃法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案につきましては、すでに本会議において趣旨説明を聴取し、また運輸委員会におきましても提案理由の説明を聴取いたしておりますので、直ちに質疑に入ります。
質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/1
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002・野上元
○野上元君 私は、本連合審査会におきまして、国鉄運賃の問題について、政府並びに国鉄当局に質問を申し上げたいと思いますが、御承知のように、今日物価の問題が社会的な最大の問題としてやかましく言われておるのであります。また、この国鉄の運賃の値上げも当然物価の一部であるということになりますれば、非常に重要な問題であることは言うまでもないのであります。したがいまして、私は、政府の物価対策との間にどのような関係があるかという点をただしたいために、特に総理の出席を求め、かつ大蔵大臣の出席を求めたのでありまするけれども、本日総理並びに大蔵大臣が出席されておらない理由をひとつどなたか御答弁願いたいと思います。(「それは委員長から言わなければ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/2
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003・江藤智
○委員長(江藤智君) お答えいたします。総理の出席につきましては、鋭意折衝中でございますが、まだ出席の明確な返事を受けておりません。
大蔵大臣は、衆議院の大蔵委員会との関係で、ただいま折衝中でございますから、後刻出席の予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/3
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004・野上元
○野上元君 非常に私は残念に思います。で、物価の問題は、執拗に申し上げますが、今日国民の最大の関心事でありまするから、総理の口から佐藤内閣の物価対策について明言を聞きたいのは、私だけではなくして、国民の全般の要望だと思うのです。それにもかかわらず、総理がこの委員会に出席されないのは、非常に残念に思いまするけれども、しかし、先ほどの委員長の報告にもありましたように、時間が制限されておるということでありますので、総理の出席をいたずらに待っておるというわけにまいりません。したがいまして、総理にかわりまして、幸いにして藤山経済企画庁長官が出席されておりまするから、藤山長官から政府を代表してひとつ御答弁を願いたいと思うのであります。
今日物価が非常に高騰をいたしております。これは、今日の段階においては国民所得の上昇を上回るような勢いで物価の上昇を見ておるわけでありますが、こういう状態はなぜ起きたのかというその、原因がはっきりしないと、対策は打ち出しにくいと思うのでありまするが、政府は、今日の物価が異常な高騰を示しておる原因は一体どこにあるか、その点をひとつ明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/4
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005・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御承知のように、今日物価が著しく高騰しておりますことは、単純な物の需給関係だけではございません。むろん物の需給関係もないとは申し上げかねるわけですが、たとえば牛肉であるとか、豚肉であるとかいうようなものが、ある場合に非常に需給上円滑にいってない、そういうときは緊急輸入その他で補いますし、したがって、そういう面が全然ないとは申し上げかねますけれども、大きな要因だとは思いません。要するに、私どもは、今日高度に経済が成長した中におきまして、その成長が同じようなテンポでもって大きな企業あるいは中小企業、農業というようなものの間に行なわれないで格差が出てきたと、したがって生産性の向上、合理化というようなものが立ちおくれていた企業が相当ある、あるいは業種が。そういうことから見て、原因が一つ起こっている。また、流通過程におきましても、輸送の問題——これは鉄道ばかりではございません。道路その他の設備が、私どもから申せば、高度に成長したものに対応するだけの準備が十分になってない、そういうところに物価高騰の主たる原因がある、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/5
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006・野上元
○野上元君 ただいま長官から原因についてのお話がありましたが、それを要約して言えば、きわめて生産性の低い中小企業あるいは農業あるいはサービス部門等々をかかえながら経済が高度に成長した、そのひずみが今日の状態になってきた、こういうふうに言われたと思います。そこで、池田内閣時代の所得倍増論に帰るわけでありまするが、当時池田さんは、今日確かに日本の経済は二重構造である、だからこそ高度経済成長を遂げなきゃならぬのだ、高度経済成長を遂げながら、その中で二重構造を改善していくんだ、逆に言えば、二重構造を改善する道は経済を高度に成長させる以外にはないんだ、こういうふうに言われた。ところが実際は、今日の状態を生み出したのでございますが、長官はこの所得倍増計画を廃棄された、中期経済計画も廃棄されたんでありまするから、池田さんが唱えた高度成長の任務というもの、目的というものは明らかに政府の意図に反した方向に発展した、したがって、藤山長官としては、あるいは佐藤内閣としては、この所得倍増計画は明らかに失敗だったと考えておられるのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/6
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007・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 所得倍増計画自身については、全部が必ずしも失敗であったとは私考えておりません。日本の経済を高度に伸ばしていくということが、戦後の日本経済を発展させる上において非常に不可欠の要件であったことは、これは申すまでもないのでありまするけれども、その意味において半分の成果はあったと思います。ただ、その高度成長の際において、いま御指摘もありましたような、中小企業であるとか、農業であるとか、そういうものの合理化、あるいはサービス業の合理化というものがおくれたというところにあるわけでありまして、同時に、たとえば輸送関係におきましても、御承知のとおり、所得倍増計画の出発点は十三兆六千億、そして十年後に二十七兆二千億という発展を遂げるということでありました。今日ほぼ名目的にはそれが達成しております。その当時の、たとえば十三兆六千億という国民総生産があったときに対応して、道路だとか輸送が十分にそれにマッチするだけの拡大がされておるかというと、私は必ずしも拡大されてないところに輸送上のやはり困難があった、また中小企業においても同じことが言えると思います。ですから、そういう意味におきまして、われわれも過去の高度成長経済政策というものに対してあった経路について反省し、今後経済目的を達成するためにそういうことの再び起こらないように今後はやってまいらなければならぬという反省を持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/7
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008・野上元
○野上元君 政府がこの問題について答弁されるときには、非常に回りくどい、歯に衣を着せたような言い方をするわけです。しかしながら、藤山長官御承知のとおりでありまして、中期経済計画を破棄された。これは明らかに所得倍増計画の影響であったわけです。しかし、これを破棄されて、新しい角度から長官を中心に長期経済計画を立てようとされておるわけです。ということになれば、その点をはっきりと私は明言して、出直すのだと言ったほうが正しいのではないでしょうか。そういうふうに言わないから、国民がなかなか納得しないのだと思うのです。あやまったのは改めればいいじゃないですか。あやまったやつを改めないのが最も悪い態度だと私は思うのです。現実にそれを改めようとしておるのにもかかわらず、口では必ずしもそうではない。そういう点が非常に私は残念に思うのですが、もっと率直に御意見を聞かしてもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/8
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009・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) いま申し上げましたように、私といたしましても、高度成長でもってこういう状態が現出されたことについて反省をしておると申し上げたのですが、したがって、その反省の上に立ちまして、将来の、いまお話しのように中期経済計画、これはある意味から言えば、高度成長、所得倍増政策の手直しだと思います。しかし、そのこと自体も今日適当でないので、それをやめまして、そして新しいものをつくる場合には、その反省の上に立ってやってまいらなければならぬと、こういうふうに考えておるのでございまして、その点ははっきりしておるのじゃないか、こう思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/9
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010・野上元
○野上元君 所得倍増計画がスタートしたときには、御承知のように、昭和三十六年を起点として、昭和四十五年に国民総生産力を倍にする、こういうことになっておったわけです。それで、逆算して、年間平均成長率を七・二%に求めた。ところが、実際にはそれをはるかにオーバーするような成長が行なわれた。ところが、今度の手直しをされるという、長官を中心にしてつくられておる長期経済計画を見ても、やはり年間七%ないし八%の成長率を目標にしておる。そうしますと、所得倍増計画と一体どこが違うのですか。その目標が大き過ぎるがためにあのような状態になるのじゃないでしょうか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/10
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011・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) わが国の経済が成長する場合に、私はやはり、日本の経済というものはまだ若いのですから、外国の経済が四%、五%成長するよりも、成長は高くあってしかるべきだと思います。問題は、高いときに同じようなテンポでもって——片方が伸びたと、大きな企業が非常に伸びたにかかわらず、中小企業なり農業がそれに伴っていかないような伸び方をするところに問題があるので、伸びること自体は、もし均衡ある伸び方をしていけば、私は、ある程度日本の経済の現状から見まして、あるいは国民の生産意欲なり、あるいは発展力から見まして、外国よりも若干高くたっても、それはかまわない。ただ、今度われわれが考えてまいらなければならぬことは、いま申し上げたような点について大きな意味を——基礎産業というようなものが伸びていくと同じように、中小企業が伸びていく、あるいは農業の生産性が上がっていくというところに重点が置かれなければならぬと思う。したがって、たとえば民間設備投資の場合におきましても、私は金額からいえば、まあ四十年度は、非常に、四兆五千億くらいに下がりました。来年は四兆五千五百億と見ておりますが、かりにこれが千億、二千億ふえる場合でも、それができるだけ、いわゆる大きな企業のシェア競争にならないで、できるだけ中小企業の合理化のほうに金が振り向けられていくということであれば、私は、七%、八%の成長でも、日本の経済というものはこうした今日のような現状におちいっていかないと、こう思うのです。要は、そういう意味において政府も考えてまいらなければならぬし、企業家方面も、いたずらにシェア競争をして、そうして設備の拡大だけをはかっていくということを自省されることが必要だ。政府もそういう意味において今後指導をやっていかなければならぬことは、むろん当然のことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/11
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012・野上元
○野上元君 いま藤山さんが言われたことは、これはもう当然のことだと思います。それは過去の経験から徴して見て、実証的にはそれは証明できると思う。問題は、口で言うことをやるかどうかという問題だと思う。私はそこに問題があると思うのですが、われわれの経験則から見て、成長を求める場合には必ずそこに秩序の混乱が起きると思う。そうして、成長が大きくなればなるほどその混乱は大きい、そうして格差が増大していく、これがいままでの経験則じゃないでしょうか。だからこそ政府は、それの存在価値がある。それを是正するための存在価値があると思う。ところが、今日まであなた方がやられてきたことは、ますます各種の所得の格差が増大しているじゃないですか。産業別についてもしかり、あるいは地域別についてもしかり、あるいは階層別についてもしかりであります。これでは政府の存在価値がないじゃないですか。政府は一体何をやっているかとわれわれとしては言いたくなる。四十一年度の予算で、おそらくあなた方は、中小企業の手当てをした、あるいは農業の手当てをした、あるいはサービス部門に対する手当をしたと、こう言われるでありましょうけれども、しかし、大企業に対する手当てから見れば、ほんの小さなものです。したがって、今後、こういう政策を続行していけば、ますます私は所得の格差が増大していくものと考える。これまた過去の経験から見て明らかだ、実証的に証明できると私は思うのでありますが、どういう気持ちで均衡ある成長を試みようとされておるのか、その点をひとつ明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/12
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013・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいまお話しのような点につきまして、われわれは、過去の経済発展、発達の状況から見て、戒心をしていかなければならぬ。
そこで、自由主義経済の中におきまして、どうしてそういうふうな民間の指導をしていくかということは、これは相当大きな問題でございます。しかし、政府としても、大きな企業を経営していらっしゃる方々と接触して、そうしていたずらにシェア競争に走るとか、たとえば、過去において、石油コンビナートをつくろうといえば、みな競ってやるというようなことで、今日では過剰設備ができた、あるいは設備があってもそれが十分に稼働していないという現象が起こっているわけですが、そういう点はおそらく民間の経済界のどなたも反省しておられることだと思います。それと同時に、政府としては、そういう現象が今後起こらないように、適当な指導をしてまいらなければならぬと私は思うのです。
また、御承知のように、今日まで景気対策としては、金融面における操作だけが今日までの景気対策のおもなるやり方でございます。どうもロンドンの「エコノミスト」をよく例にお引きになりますが、「エコノミスト」が、過去において日本の景気調整を金融一本でやったということについて指摘しておりまして、むしろその効果が大きかったということを言っている。しかし、やはり今後の経済というのは、財政と金融とが相関関係を持って景気を指導し、あるいは押えていくという形でなければならぬと思います。今日、公債を発行し、政府の財政を膨張させましたけれども、民間の意欲が非常に出てまいりますれば、これはある程度政府自身も財政を縮小していくという方向も考えていかなければならぬのでありまして、金融と財政の上から見て、政府がそういうように指導をすべき方向をとっていく、そうして、同時に民間の人たちと接触して、その乱に流れないようにしていかなければならない、こう私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/13
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014・野上元
○野上元君 長官の言われることは、私も理解できます。そのこと自体は理解できるのですが、実際にしかしやっておられる現状を見てみますと、大企業のシェア競争についても、なかなか調整できないじゃないですか。鉄鋼にしてもしかり、繊維にしてもしかり、あらゆる大企業においてシェア競争の調整というのは非常にむずかしい。結局、放任されてしまう。そういう状態になっています。また、金融機関の状態を見ても、今日の金融機関は金融の機能を発揮していないのじゃないですか。大企業と密着して系列化してしまっている。金融と産業がワンセットになって、運命共同体になっている。したがって、産業が非常に非能率で悪くとも、一たびこれに金融をしたら運命をともにする、倒してはならないということで、あらゆる犠牲を払ってこれに投入していく、こういう金融機関のあり方を見ておりますと、いま長官が言われたようなことは、理屈としてはわかるのですが、現実の問題として非常に私は困難があるのじゃないかということを指摘しておくことだけにとどめたいと思います。
それから、佐藤総理はこういうふうに最近答弁されておりますが、要するに、ただいまの物価の倍増の一つの原因として賃金の平準化ということを言われております。これが無理があったのだ、したがって、将来は、利潤をあげておるところはどしどしハイ・ベースでよろしいが、しかし利潤をあげておらないところはこれは遠慮すべきである、こういうふうに答弁をされております。したがって、賃金の平準化というのは好ましくない、こういうふうに言われておる。これは非常に私は重要な問題だと思うのですね。そもそも、政府の存在価値は、すべての所得の公平分配にあると思うのです。社会構成の考え方から見て、初めて政府の存在価値がある。ところが、その政府の首班が、でこぼこでよろしいのだ、それが当然なんだ、こういうふうに考える、こういうことになってまいりますと、将来、大企業の賃金は非常に上がるが、またまた中小企業や農業やサービス部門は賃金の格差が開いていく。しかし、それは当然なんだ、こういうふうな言い方をされておるのですが、非常に重要な問題ですから、藤山長官のこの問題についての考え方を聞いておきたいと思うのです。この思想がもしも許されるとするならば、かつて池田さんが言った有名なことばがあります。貧乏人は麦を食え、金持ちは米を食えばいいじゃないか、こういう思想と何ら変わらぬじゃないですか。その点を明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/14
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015・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 佐藤総理もそういう意味で答弁されたのだとは思いませんが、賃金が平準化していくという傾向は、経済が発展し、そうして国民生活の安定をはかっていくという上においては、起こってくる現象でございます。ただ、その場合に、中小企業等の合理化を進めて、そうして生産性を上げて、それを吸収できることに持っていかなければならぬと思います。それが十分でなければ、お話のような問題が起こってくる。また同時に、今日では日本で労働が非常に過剰というわけではございません。かなり景気がいいときには逼迫しております。したがって、その労働の流動性なり何なりを考える、あるいは中高年齢層の職場の問題等も考えて労働の条件を考えていかなければならないと思うので、そういうことによって私は吸収していくことが、経済全体をうまく運営することにもなり、国民生活の上にも非常な大きな幸福をもたらすゆえんだと思います。ただどうしても、賃金が平準化の際の場合に、生産性を上げなければ合理化できないような仕事が若干ございます。たとえば理髪業というようなものは、いくら合理化をしようと思っても、一時間に何人か急にやるわけにはいかない。その場合に、平準化した結果としては、理髪料を上げなければならないということが起こってまいります。ですから、外国におきましても経済の発展段階において二%前後、ヨーロッパでは二%より若干高い、アメリカでは一・五%くらいになっている。その程度まではしかたがないというのは、どうしても生産性を上げるあるいは合理化できない仕事がございます。ですから、その点は国民の皆さまが十分に了承していただいて、国民の働く幸福という面において、ある程度全体に合理化をできないあるいは生産性が上げられない仕事の料金の値上げというのは認めていただくだけの寛容な心持ちを持っていただきたい。それだけなら、私はやはり二、三%のところにとめ得るんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/15
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016・野上元
○野上元君 私が申し上げているのは、平準化という問題は、これは政府の当然の任務だと思うのです。これこそ社会構成の最大の問題だと思います。ところが、総理がそういうことを言われるということは、非常に大きな誤解を受けると思うのです。その点については、総理がおられないので、残念ながら質問をすることができないのですが、十分にひとつ経済企画庁長官としては肝に銘じておいていただきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/16
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017・永岡光治
○永岡光治君 関連して。ただいま野上君のほうから質問をいたしましたポイントは、総理は賃金の平準化を否定している、しかし企画庁長官は肯定しますかどうですかという端的な質問です。どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/17
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018・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、同種という前提の立場において、平準化していくことは当然だと思います。業種が違ったり職種が違ったりしている場合には、それがすべて同じだというわけにはいかない。平準化ということはそうでないと思います。同種のような仕事が……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/18
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019・永岡光治
○永岡光治君 そうすると、総理の考え方と違っているというわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/19
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020・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は総理の答弁と違っているとは思いませんけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/20
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021・永岡光治
○永岡光治君 明確にしていただきたいのですが、いま野上君の質問の中で明確にいたしましたように、利潤の多い企業は賃金を上げてもいいけれども、利潤の少ないあるいはないところは賃金を上げなくてもいいじゃないか、つまり賃金の平準化というものは要らないんだということに帰着するわけです。すなわち、これはもう少し端的にわかりやすいことばで言えば、総理の考え方は貧乏人は麦を食えということに通じていると思います。この考えを藤山長官は肯定するのか否定するのかということだけで、総理はこのことを肯定しているわけですね。企業の利潤の多いところは賃金を上げてもいいけれども、利潤の少ないところは賃金を上げてはならぬ、この考え方をあなたは肯定するのか、否定するのか、その一言だけでいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/21
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022・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) おそらく総理は、現状のような不況下において、非常に不況でありながらもうかっている会社についてはある程度上げてもやむを得ないだろう、しかし不況下で非常に困難な経理の中ではあまり上げるわけにはいかないだろう、だからそういう意味において現状の不況下における問題をとらえて言われたので、普通の状態において平準化というものを否定されたものではないと思います。私は、いま申し上げたような意味で、総理と別に違った考え方ではございません。根本的には平準化というのは望ましいことだ、こういうふうに思っておりますが、総理もおそらくいまの時点において、いまの状況をとらえて、こういうときには、余裕のあるところは、利潤のあるところは賃金を上げても当然だけれども、賃金を上げることができないような産業は、そのためにこわれてしまうというような状態では、若干自制してもらいたい、こういう現時点におけることを言われたのだと私は思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/22
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023・野上元
○野上元君 ただいまの思想を発展させていくと、もうかるところは企業を続けなさい、もうからないところはつぶれなさいということになる。非常に重大な問題で、かつての池田さんを再現するような状態なんです。その点はまた後ほど総理にお尋ねしたいと思います。
それから、先ほど散髪代の問題が出ましたが、これは御承知のように環境衛生カルテルによって最低の料金がきまっているわけです。したがって、最低の料金をきめているが、それ以上のものはこれは自由競争によってやれということになっている。ところが、あなた方散髪に行ってごらんなさい。必ず値上げのときには、組合の協定により値上げをいたしますとなっている。ひどいところは、その筋のお達しによりということになっている。その筋とはどこか、そういうことが許されるのか。それは明らかに法律違反じゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/23
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024・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 理髪業の場合には、環境衛生法の立場からの取り締まりで、これは料金の最低料金をきめた一つの理由だと思います。それは、ある衛生的な一つの規格を守っていかなければ破傷風が伝染するとか、そういうような種類のことで、衛生器具をそろえる、そういうような設備をすることによって行なわれる企業というものがあるわけですから、それで最低料金というものがきめられた。それ以上は自由な競争ということになっているのが原則だと私は考えております。しかし、組合等において、往々にしてそれを話し合いによって自主的にやってまいる場合もあると思いますが、しかし原則としては、ただいま申し上げたような原則の上に立って運営されているべきはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/24
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025・野上元
○野上元君 通産大臣がおらないので、その点質問しにくいのですが、この散髪代のカルテルを認められるのは最低料金についてのみ認められる。それ以上上げる場合には、これはカルテルであってはいかぬのです。そうでしょう、自由競争で上げられるべきだ。ところが実際には、組合の協定により今度値上げになりましたと堂々と書いてある。その筋のお達しにより値上げをいたしましたと書いてある。これは明らかに違反だと思いますが、その点についてどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/25
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026・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 環境衛生法だけでなしに、あるいは中小企業の協同組合法によってそういうことが認められているかもしれません。私は正確にいま申し上げかねますが、あるいは厚生大臣等のほうが適当かもしれませんが、中小企業の協同組合法によって価格協定というものが相当やられていることは御承知のとおりでございますから、その法律の関係だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/26
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027・野上元
○野上元君 その問題はまた後ほど質問することにいたしまして、物価上昇の理由を論ずる場合に、もうきまって言われることは、二重構造をかかえたままの高度成長にあった、だから中小企業、農業、サービス部門の値上がりがひどい、問題はそこにあるのだというふうに皆さんが言われる。また、政府の説明などを見ても、たいていそういうふうに書いてある。どうして大企業の製品について触れようとしないのか、この点を非常に疑問に思っておりますが、よく調べると政府部内でも意見が分かれている。大企業製品の価格の問題についてどうあるべきかということについて、政府の意見が分かれている。ここに問題があると思います。ある人は、今日の価格の上昇は明らかに低生産部門にあるのだ、大企業のほうに向けてくるのは誤りだ、われわれは過当な競争の中で生き抜いてきているのだ、こういうふうに言われている。そこには自由競争があるのだ、したがって、価格というものはその自由競争の中から生まれておる価格であるから、これは妥当な価格なんだ、こう言っておるのです。ところが、一方の政府の一部の人は、そうではない、今日の大企業の価格を見てみても、好況期に非常に大きな利潤を上げ、極大利潤を追求しながらいわゆる価格は下げておらぬ、生産性は著しく向上しておるけれども価格を下げておらぬ、こういうことが言われておるのです。そして、一たび不況が来ると、不況カルテルの中に逃げ込んでしまう。あるいは合理化カルテルの中に逃げ込む。そして、再びまた好況期が訪れると、極大利潤を求めるために動き出す。これが今日の大企業の姿じゃないか。したがって、当然この大企業の製品にもメスを入れるべきだ、価格にもメスを入れるべきだ、こういう意見と、二つに分かれております。だから、あなた方の説明には、いつも大企業製品の問題については出てきていない。そういうところに理由があるのじゃないか、その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/27
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028・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 大企業の利潤の内容を見てみますと、御承知のとおり、原料企業が非常に大企業としては大きいわけで、同時に最近ではいわゆる電気製品等の直接消費的な物資も大企業になってまいります。そこで、われわれ見ておりまして、耐久消費財につきましては主として大企がやっておられるのですが、わりあいに正当な競争が行なわれて、相当技術革新によって値段が下げられてきております。ただ、いま申し上げた中に、御指摘のような一部の商品に硬直的な価格が維持されておるということはございます。これは公正取引委員会のほうで厳重に監督する必要があろう。かつて板ガラスの問題が、長年硬直価格だということで、公取委員会等でも調査をされたこともございます。ですから、こういうものが絶無とは申し上げません。ですから、そういうものがありましたときには、やはり公正取引委員会の適時の活動によってそれを押えていく、あるいは硬直価格を引き下げていくということを、これはとってまいらなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/28
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029・野上元
○野上元君 最近、独禁法の問題についていろいろと論ぜられております。昭和二十八年に独禁法は改正されておりますが、そのときに、合理化カルテル、不況カルテル、あるいは再販売価格維持契約というようなものが認められたのです。ところが、その独禁法というのは、もともと消費者の生活を保護するためにある、これがまあ独禁法の目的だと思うのです。ところが、最近の独禁法は、このカルテルと再販売価格維持のほうに重点がかかってしまって、消費者の生活が犠牲にされておりはせぬですか。そういう傾向が非常に強い。私ははっきりした数字をつかむことはできませんけれども、先ほど問題になっております環境衛生の問題についても、中小企業の問題にしても、またその他のカルテル、千数百件ある。また、この独禁法の中に適用になっておるカルテルにおいても、十七業種が認められておる。したがって、国内において消費価格が流通しておりますが、その流通しておるうちの大部分は、統制による価格、人為的につくられた価格になっておるのじゃないか。そうしますと、この独禁法というのは、国民の生活の保護のためではなくして、生産者の保護のためにのみ存するというようなゆがんた状態が今日私は出ておると思うのですが、この点について長官はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/29
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030・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 独禁法の基本的な観念というのは、要するに寡占体制を排除して、そして消費者の便益をはかっていく、自由公正な競争が行なわれるようにしていくということで、一つの業種あるいは一つの会社が、その業種における総生産のシェアが寡占的形になることを防いで、そしてその結果として自由な競争が取り行なわれるという方向に独禁法は運営されていく。ただ、ただいまの御指摘のような中小企業その他の問題につきましては、いわゆる合理化カルテルというようなものが大体中小企業カルテルの大半でございます。これが、いま御指摘のように、非常に数多くございますし、しかもその中にはわれわれが見ましてもすでに数十年になんなんとしている中小企業の協同組合法によります合理化カルテルがございます。そういう合理化カルテルを結ばせた以上は、合理化が二、三年の後に進んで、そうして価格協定が二、三年後に排除されるというのでなければ、合理化カルテルの機能を持つ協同組合法の性格に反すると思うのでございますが、そういう状態が現状では残念ながら残っております。したがって、今後通産行政等の運営の上でそういうものに力を入れて、合理化カルテルを結ばせた以上は、数年後にその合理化カルテルを結ばせた目的を達して、中小企業はそれぞれ自由な競争に耐えるという状態に持っていかなければ、せっかくそういう目的でできた協同組合法の中での価格協定でございますから、そういうふうに運営しなければならぬ、またそういう姿勢で指導をしてまいらなければならぬと思います。こういうところにいま若干の欠点があるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/30
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031・野上元
○野上元君 その若干の欠点が出ました根本原因は、カルテルというものに対する考え方だと思うのです。私が言うまでもなく、アメリカなんかでは、カルテル、トラストは非常に毛ぎらいしますね。これは悪だ、こういうふうにはっきり割り切っておる。ところが、日本も最初は、GHQの指導によって、カルテルは悪だという観点から独禁法が結ばれたのだと思います。ところが、二十八年改正後は、むしろカルテルは善だ、自由放任は悪だ、こういう考え方のほうが支配しておるのじゃないでしょうか。それを私は実は心配しておるのですが、その例として、先ほど申し上げましたように、独禁法に適用されておる不況カルテルで十七業種が認められております。ところが、二月、三月に全部その期限が切れるわけであります。ところが、通産省はいち早くこれの延期を新聞に発表しておる。こういうことになると、政府自体がカルテルを助長しておるのじゃないか、こういうふうに思えて、ますます今後ふえていくのじゃないかとさえ私は心配しておるのですが、それは好、不況を問わず、過去の経験から見ると、カルテルの件数はふえてきておるというのが実情であります。好況のときも、不況のときも、ふえてきておる。これでは、ずっと漸増していくのじゃないか、こういうふうに思われるのですが、そのカルテルに対する考え方について政府の見解を聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/31
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032・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ただいま御指摘のありました十七業種は、これはいわゆる独禁法上の不況カルテルでございますから、不況カルテルというものは私は緊急避難的なものだと思います。したがって、時間も非常に短く、そうしてその間に不況からそれぞれの業種が生き残っていけるように——生き残っていけるということは、 つまり、寡占体制をつくるのでなくて、それぞれの業種の数社が生き残ることによって公正な競争による取引をやっていく。ただ、不況のためにその機能ができないという場合に、不況カルテルをつくりまして、そうして、破滅倒産も差しつかえないのだということであれば寡占体制になってまいりますから、そういうのを防ぐ意味において、緊急避難的ないわゆるカルテル行為、これは独禁法で認められた行為でございます。ですから、そういう意味で、期間もできるだけ短い期間にその効果をあげて、そうしてそういうカルテルというものは期限の延長をしない、あるいは廃止する、こういうことにならなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/32
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033・野上元
○野上元君 時間がないようですから、あまり突っ込んだ質問はできなくて残念なんですが、私の言いたいのは、今日の国民の生活があなた方の言う自由競争によって与えられる恩典というものはほとんど受けておらないということですね。いま申しましたように、千数百のカルテルがある。また大企業においてもカルテルが存在している。再販価格維持の問題がある。あるいは地下カルテル等については、あるいは地下管理価格等については、これはもう膨大な数字だと思うのです。そして一方、公共料金がある。これもいわゆる独占価格。こういうように見てまいりますると、国民の生活は、いわゆるカルテルか、でなければ独占価格、両方で二重の責め苦を負っているわけです。そういう状態のときに、せめて政府は、みずから直接に影響力を持つ公共料金はこれを抑制するということがなければ、国民は一体どこに希望があるんです。しかも、今次の国鉄の料金の値上げは三十数%です、旅客運賃。これはおそるべき値上げだと思うのですが、これは後ほどまた聞きたいと思っておりまするけれども、そういう状態にある国民を保護するのは政府であるはずなんです。まあ英国でよく言われるように、ゆりかごから墓場までということが言われておりますが、日本の場合には、とにかく墓場の中にしか安定がないということなんです。生きておるうちはみんなにさいなまれる。特に低所得層はそうなんです。墓場の中にしか安息がないなんということは今日許されないと思うので、そういう点については十分にひとつ検討してもらって、国民の保護のために努力をいただきたいと思うのです。
さらに、この際、特に政府に注意を喚起しておきたいのですが、二月二十五日の総理府統計局が発表した昭和四十年家計調査を見てみますると、初めて実質手取り収入が下回ったということですね、前年度に比べて。実質消費支出も、二十九年以降十一年ぶりで前年を〇・三下回った。エンゲル係数も十一年ぶりに上がったという。上からも下からも国民は押えつけられておるというのが今日の状態なんです。これを考えてみますると、池田政策のときには、確かに物価は上がったけれども、所得が上がった。池田さんの最も得意な、物価は上がったけれども、所得がそれ以上上がったから、その差額は、あなた方は実質所得はふえておるはずだ、こう言った。ところが、いよいよ佐藤内閣になっては、物価は天井知らずに上がっていく、ところが所得は実質上下回ってきた、こういう状態、最悪のいま状態にある、こういうことを十分ひとつ考えてもらいたいと思います。
そして、さらに注文したいことは、常に政府は平均の数字を発表して国民を煙に巻いてしまうんです。ところが、問題は、平均の数字じゃなくて、その中の構成なんです。構造です。これが問題だと思うのです。マクロのみを重視してミクロを軽視しておるというきらいが非常に強いと思うのです。昔からよく言われているように、木を見て林を見ずということがありますが、いま逆で、林を見て木を見ないのがいまの佐藤内閣の政治姿勢じゃないかとさえ私は思うのですが、長官の考え方をひとつ聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/33
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034・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 四十年度暦年におきまして、総理府統計局の発表したような状態に至ったことは、まことに最悪な事態だと思って、われわれもこういう事態が続いてはならぬと思います。同時に、いま御指摘のように、物価の問題を私どもは扱っておりまして、全国平均のCPI等に統計的には依存いたさなければなりません。しかし、この物価の問題は、個々の家庭における主婦の立場に立ちますと、いわゆる統計数字よりも、ある場合には非常に大きな影響、感じですね——があることは、これは当然でございます。それは、ただいまのエンゲル係数が上がったということからもおわかりいただけるように、特に最近では、食料関係、あるいは住居関係、教育費関係というようなものが著しく上がったわけであります。これが主婦のさいふの上から見ますと——そうしてこれはやはり大都市と農村ともおのずから影響がそれぞれ違ってまいります。あるいは職業等によっても違っておる。しかし、おしなべて言えますことは、主婦のさいふの上に非常に大きな影響があるということは言えるのでありまして、その実感の上に立ちますと、いわゆる全国平均の数字よりも多くの場合に家庭の皆さま方が非常に大きい負担と影響と圧迫とを感じておられることは当然だと思います。したがって、われわれは、政治の上で、そういうことのないように、やはりいまお話しのように、マクロでなくてミクロの家庭の状態をわれわれも考えながら物価政策をやってまいらないといけないと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/34
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035・野上元
○野上元君 特に私は注意しておきたいのは、実質消費支出の低下の内容を見てみますと、まことにおそるべきことは、穀類が減っております。穀類の実質所得が減っておる。生鮮食料品の実質所得が減っておる。いまや国民は、食費を倹約しても生きなければならぬ、こういう状態にあるのです。これは非常に私は重要な問題だと思うので、特にその点を要望しておきたいと思うのです。
それから、長官は、四十年度の物価を大体七・五%、四十一年度は五・五%、それ以後三・三%ですか——くらいに押えていきたい、こういうふうに言っておられるのですが、今日このように各種の公共料金を軒並み上げていっておる。しかも、大企業製品は下方硬直性にあるのです。こういうことで、あなたの言われるような数字がはたして実現できるのですか。もしもあなたが、内心そう思っておられなくて、もっと上がるだろうというように思っておられるのならば、私は率直に国民に訴えるべきだと思う。それが政府の責任だと思う。国民に幻想を与えちゃいかぬと思う。幻想は短く、恨みは長いということです。このことはよくあなたに考えてもらわなければならぬと思いますが、この物価の上昇率については、あなた自信はありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/35
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036・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 大体四十年度のCPIの指数は、もうあと一カ月くらいです。残念ながら、一月の東京、二月の東京は、一・二%上がりました。まだ二月の全国平均は数字が出ませんけれども、一月の場合には、東京都が一・二%のときに、全国的には一・一%でございましたから、そこで二月の東京都の一・二%上がったものを基準にして全国平均が上がるとかりにいたしますれば、七・四%くらいでおさまる。もしさらに三月だけで——二月は一・二%上がりましたが、一・二%以上になると七・五くらい、七・五くらいになるために一なるためにと言っちゃおかしいですが、七・五という数字が出るためには、三月が一・三六%くらいの値上げになりますと七・五になりますから、大体もう一カ月で四十年度のほうは——これは私は大体私どもが目標としておる七・七%以内に、七・五%前後におさまっていけるのではないかというふうに考えております。しかし、三月非常な天候異変とかなんとかあってあれすれば別かもしれませんけれども、まあ一・六%上がるくらいに見ておけば、そう大きな狂いはないんじゃないかと、こう思います。それから七・七%に予想すると、三月は一・五七上がるのでございますからして、こうはならない、七・七はだいじょうぶだろう、こう思っております。
それから、来年度の四十一年度の物価でございますが、私ども五・五%と申しておるわけでございます。むろん、政治をやります者がいいかげんうまいことを言って国民をつっておいて、そして結果において非常に間違ったということになれば、その政治家の信用にもかかわりますししますから、われわれも実情を率直に申し上げて、御協力いただくのは御協力いただくべきだと思います。ただしかし、政治をやっておりまして、そして物価の問題は実は各省に非常にまたがっております。ですから、各省の施策の上でみなその気になってやってもらっていかなければならぬ。そのためには、少なくも五・五%くらいにおさめなければいかぬという一つの努力目標を置いて、そしてそれに向かって各省の御協力を願うということも、私は大事なことだと思います。もう八%、九%でもいいのだというような安易な考え方よりも、若干むずかしいところに置いて、みんながそれに協力していくということでございます。ですから、私は、五・五%というのは努力目標が相当入っているのだ、したがってその努力を続けていかなければならぬ、こういうことを申し上げているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/36
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037・野上元
○野上元君 私は、政府が発表する数字というのは、われわれ信用しておらないのですよ。経済学で利潤を伴う数字に正しいものはないとこう言っておりますが、政府に不利な数字に正しいものはない、かつていままでなかった、必ず政府の数字を上回っております。今度は国鉄運賃の値上げについても、一般消費物価へのはね返りは〇・三%、こう言うのですがね。そういう考え方だから、私は五・五%ではおさまらぬと思う。ある人はこう言っております。物価の本格的な高騰は四十二年度以降に起きるだろう、こう言う。なぜならば公共料金を軒並み上げた、さらにまた食料品は財政政策とは無関係に上がるだろう、こう言うのです。そして三番目には政府の不況対策。たしかに遊体施設はある。しかし、労働事情が非常に逼迫しておるから、不況対策をやれば必ず賃金の上昇を引き起こす。それがコスト・プッシュになるだろう。そうすると、これがいよいよ徐々に財政投資の効果が発揮するのは秋ごろだろうということになると、本格的な物価の高騰はむしろ四十二年以降だろう、こう言っておる。これは非常に国民にとっては暗い灰色の将来なんですが、長官はどういうふうにそれをお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/37
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038・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 四十二年度以降に、本格的と言っちゃおかしいかもしれませんが、物価が上昇していくのだということであっては、これはたいへんだと思います。ですから、何としても四十二年度くらいには安定してくるようなところに持っていかなければ、私は政治にならぬのじゃないかと思うわけです。ですから、そういう意味においてわれわれ努力をいたしておるのでございまして、たとえば四十一年度の五・五%につきまして、郵便なり、あるいは国鉄なり、あるいはその他の公共機関の値上げというものは、われわれも若干計算には入れております。しかし、まだ地方公共団体等の水道もございますし、あるいは電車等もございますし、すべてがそういう計算に織り込まれているとは申しませんから、そういう意味においては相当な努力をしてまいらなければならぬと思います。
それから、いまお話しのように、農産物価の問題は、これは農業、農村の方々の立場からいって、やはり暴騰もしないが暴落もしないというところにある程度基準を置いて、安定的な価格が維持できるようにやってまいらなければならぬと思います。ですから、物によっては安いものがある程度安定的な価格まで上がって、農産価格が平準化と申しますか、同じように毎年農村の方々がやっていかれるようにやる。ただ、農村と都市労働者との間にまだ所得の格差その他がございますから、そういう意味において、農産物がある程度若干上がるのはやむを得ないかと思いますけれども、しかしそういうものは他のものによって吸収していくという方向をとっていかなければならぬのじゃないか。また、農業自身の生産性向上によって解決していくということも考えていくべきであると思います。政策の主力をそういう点に合わせて、そうして最大の努力をやってまいらなければ、安易な立場に立って私はそういうことができるとは思っておりませんけれども、それはどうしたってやらなければならぬわれわれの大きな命題であると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/38
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039・野上元
○野上元君 物価の引き上げをやったときは、これは申すまでもなく、政府の所得倍増計画、これが大きな刺激になって過当競争を起こしたことは明らかです。いよいよ物価が上がって、政府の存在価値があやしくなってくると、物価問題は、これは簡単なものじゃない、構造的なものだ、国民の協力を仰ぐのだ、こう言っておりますが、国民は一体何を協力したらいいのですか、協力することはないじゃないですか。先ほど言ったように、ほとんどの価格は統制になってしまって、国民の協力するところなんかないのです。むしろ私は、政府なりあるいは企業家が相当思い切った手を打って、物価の引き下げをやっていかなければならぬ、あるいは安定をさしていかなければならぬ、こういうふうに実は思っておるのでございます。特に過当競争が起こる現状等を見てみますると、カメラならカメラの業界をとってみますと、先発メーカーがカメラをつくって、そうしてその製品価格をきめるときには、必ず極大利潤を入れているのです、その価格の中に。したがって、もうかるわけです。もうかるから、後発メーカーが刺激されるわけです。そうしてまた後発メーカーが、比較的能率が悪くても、その中に参入していって、十分その価格でやっていける。しかも、利潤を上げていくことができる。こういうことになると、次の後発メーカーが入ってくる。だんだん、だんだん入ってくる。そこで過当競争が起きて、初めて供給がオーバーしてくる。こういうことになる。そうなってくると、あわてて不況カルテルに逃げ込んでくる。こういうことばかり繰り返しているわけです。こういうことを考えてみますと、国民の協力を求める前に、政府はもっと指導性を、リーダーシップを発揮すべきだ、私は特にそう思いますので、要望しておきたいと思うのです。
最後に、総理に質問としての最後なんですが、佐藤内閣のいわゆる存在というのは、池田政策に対するアンチテーゼとしてのみ存任価値があったと思うんですよ。ところが、最近の佐藤内閣のやり方を見ておりますと、池田さんを上回わるような料金値上げを続々とやっているわけです。これじゃあ、池田政策のアンチテーゼではないでしょう。国民生活に対するアンチテーゼですよ。これでは佐藤内閣の私は存在価値がないと思う。特に、先ほど申し上げましたように、池田さんのときには、物価も上がったけれども、所得も上がった。だからまあ救いがあった。佐藤政策の現在の状態を見ると、収入も減ってきた。物価は戦後最大の上昇率を見せている。これでは、佐藤内閣というものは一体何のために存在しているのだか。私は佐藤さんにいさぎよく解散をして国民に信を問うべきだということを質問したかったのですが、佐藤さんが来ないものだから、あなたに言っても、あなたには解散権がないから、これは聞いてもしかたないと思いますが、そういう状態にあると思う。したがって、国民は、佐藤内閣ができてから、これで物価を押えられるのだなと思ったが、現実は逆なんです。憂しと見し世ぞいまは恋しき、こういう状態になって、佐藤さんはどういう考えを持っているか、あるいは池田政策に対して批判を試みられた藤山長官はどういう現在心境にあるか、聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/39
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040・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) ここで経済が不況と物価高という二つの現象、これは過去にも私はほとんどなかった経済現象じゃないかと思います。物価が高ければ景気がある程度過熱して経済活動が起こりインフレーションになるというのが普通の過去における経済の常道で、また過去において、不況であれば物価が安くなり、そうして不況の中で物価が安いからどうやら持ちこたえていく、こういう状況が過去の不況における現象ですが、そのいずれでもなくて、両方が併存しているというような状況が今日起こっているわけです。ですから、これを解決してまいりますのには、やはり一方から言えば、ある程度景気を回復する、同時にその景気を回復させる過程において物価安定のための施策をやっていかなければならぬという、非常にむずかしい状況に入っていると思います。ですから、単純ないわゆるアンチテーゼといったような形においてものを処理するわけにいかぬというのが私は現状ではないかと思います。そういう意味において、なかなかむずかしいものである、われわれもこれを切り抜けるのに相当な苦労が要る、苦心が要る、努力が要るということだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/40
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041・野上元
○野上元君 いまも申し上げましたように、国民としては、収入が減ってきておるし、一方では物価が上がっておる、非常に苦しい状況にあるわけです。そこで、国民としては、せめて公共料金の値上げだけでもストップしてもらいたい、こういう強い要望があることは当然だと思うのですね。その当然な要望もついに踏みにじられて、これでは国民は希望を失うのは明らかだと思うのです。三十九年は、御承知のように、物価は三・八%くらいしか上昇しておらない。このときには公共料金値上げをストップしているのです。それがやはりきいているわけです。今日国鉄の経営の問題にでついては、あとで幾多の人が触れられると思います。思いますが、そうしてまた非常にその資金調達の面においていろいろな議論があることは知っております。知っておりますが、こういう物価が上昇して国民が非常に困っているときに、少なくとも政府のリーダーシップのもとにある公共料金くらいを押え切らなければ、政府の存在価値がないじゃないか、こういうふうに私は考えるのですが、この国鉄料金の値上げについて長官はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/41
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042・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国鉄が今日経理のほうでも相当行き詰まっていることは、御承知のとおりでございます。同時にまた、国鉄の輸送力増強あるいは過密ダイヤの解消というような問題に取り組んでいかなければならぬことも事実でございます。そして過去におきましてストップをしたけれども、そのこと自体は物価の問題には若干の好影響をもたらしましたけれども、国鉄自体には二重な、非常な経理上からも、あるいはただいま申し上げましたような運営の上からも、大きな影響をもたらしておるのでございまして、これをこのままの状態で続けていくということは必ずしも将来の輸送の効率化あるいは輸送の合理化という面において適当だとは思いません。したがって、この資金面の充実をはかります意味から申しまして、ある程度国鉄自身が独立採算制の立場に立ってこれをやっております以上は、自己で資金を集めて、そうしてやらなければならぬのでございますが、同時に、そういう面からいいまして、利用者の方々にもある程度の負担をしていただくことは将来のためにこれはやむを得ぬことじゃないか、こう思いますので、物価対策全般の上から見まして、できるだけ低めに上げてもらいたい、また輸送物資等についても物価に影響するものについてはできるだけ据え置いてもらいたい、あるいは小幅の値上げにするなりということで、私どもこれを認めたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/42
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043・野上元
○野上元君 今回の国鉄運賃の値上げの問題のポイントは、設備資金の調達の方法にあると思います。これを租税でまかなうか利用者負担でまかなうかという点は、非常にむずかしい問題だと思います。それは独立採算制の問題にもからんできます。また、原価の計算の方法にもからんでくる、きわめて重要な問題だと思います。しかし、むずかしい理論は別として、とにかく非常にいま物価の問題が佐藤内閣の命取りにもなりかねないような重大なときに、あるいはまた国民の生活を窮乏に追い込もうとしているときに、例外の措置があっていいと思うのですね。そして、いま長官は、ある程度の料金の利用者負担はやむを得ないのだ、こういうふうに言われておりますが、今回の料金負担は平均して二五%でしたか、旅客運賃がたしか三〇%をこえておりますね。これはある程度の負担じゃありませんよ。公益企業のいわゆる資本構成率といいますか——の問題についても、非常にはっきりしないものがあります。したがって、何といいますか、非常にまちまちな考え方が出ていることは事実です。しかしながら、損益収支が悪化して、五%ぐらい悪化したらまあ一〇%ぐらいの値上げをするのが普通の考え方だというのですね。もう二〇%以上上げるということは絶対に避けなければならぬ。いわんや三〇%以上なんというのは、これはもう悪性インフレのときにやるか、その他の特別の事情がない限り、こういうことをやってはならぬというのが私は公益企業の一般的な世界的通念だと思うのですが、長官は経済企画庁の立場からどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/43
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044・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) できるだけ大幅に上げないほうがいい、これはもう当然なことでございます。しかし、同時に、いまの日本が国鉄の設備を充実していく、そして、輸送力を増強するばかりでなく、過密ダイヤの解消等をやってまいります場合には、相当に年々資金をかけてまいらなければなりませんですから、先般も御意見がありましたように、あるいは小刻みに上げたらどうだ、そのほうが物価に影響しないじゃないか、そういう御議論もあると思います。今回の場合は、約四年上げなかったわけでございますが、その中において国鉄経理というものは必ずしも順調な経路をたどっておりません。ですから、今後そのかわり四、五年は国鉄合理化その他でもって運賃の値上げをなるべく押えていただくということで、今回はそういう値上げを認めたのでございまして、決して少ないとは申しませんが、まあこの程度はやむを得ないところじゃないかと私どもも認めまして、そして国鉄の原案から平均して二五%まで下げまして、そして承認をしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/44
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045・野上元
○野上元君 私申し上げているのは、一般的な公益企業の経営上からくる通念として、もう一〇%以上の値上げは避けるべきだというのが通念なんです。にもかかわらず、旅客運賃のごとき三十数%も上げるということは、これは過去の政策に重大なミスがあったということになると思う。そのミスを国民の利用者の犠牲において埋めようとしている、こういうことになるのじゃないかと思うのです。その点はどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/45
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046・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) むろん四年間上げなかったことでございまして、これを計画の進展に伴って小幅に上げていく——外国の例にそういうものもございます。いわゆる国鉄と類似したフランスあたりでも、しょっちゅう上げている、毎年上げているというようなところもございます。しかし、日本の現状から申しまして、毎年上げていくというのも、私はいかがかと思います。あるいは毎年じゃないにしても、小刻みに上げていくというのも、いかがかと思います。ですから、ある程度まとまったときに上げざるを得ないというのは、やむを得ないところもあるかと思います。その点は、今後のやはり公共企業体の運営等について、われわれも十分考えてまいりませんと、非常に大きな発展をしております過程におけるこの値上げという問題を、今後どういうふうに、いまのお話のようなふうに小刻みに上げていくのがいいのか、あるいは若干小刻みにじゃないけれども、ある年限をきめて上げていくのがいいのか、その点は当然検討に値する問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/46
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047・瀬谷英行
○瀬谷英行君 関連。きのう公聴会がありまして、きのうの公聴会の公述人の公述の中で、私は社会党の推薦の公述人のことは言いません、自民党の公述人の公述を引き合いに出しますけれども、前田公述人と高橋公述人、二人とも利用者負担ということを非常に強調されました。特に通学割引のような場合に、政府が認めたならば、それはたとえば文部省が負担をすると、こういうようなことが必要ではないだろうかと、それから高橋公述人の場合は、貨物運賃の例を取り上げて、貨物の大量輸送は大企業が事実上行なっているんだから、その大企業が低運賃を国鉄にしわ寄せするよりも、大企業自体が負担をすべきであると、こういう意味のことを大ざっぱに言えば述べているわけです。つまり、貨物運賃と旅客運賃とのつり合いがとれないということになるわけです。これは自民党の推薦の方もそう言っているわけです。政府の今回の原案は、旅客運賃が三割だけれども、部分的には五割増しになったり、倍近くになったりするところがある、非常に大幅な増額なんです。貨物運賃のほうは、公聴会のほうでも言われたとおり、非常に割り安で、貨物に対して大サービスをしている。言いかえれば、貨物に対する大サービスを旅客運賃で補っているという形になっております。お客のほうは、百円の運賃で済むところを百五十円取られる、そういう形でもって大企業の超過利潤に奉仕しているというかっこうになる。そういう形態がはたして妥当であるとお考えになるかどうか、もしそれが物価政策として必要であるとおっしゃるならば、それらの部分については、ヨーロッパにおけるように政府が補償するというのが、筋として正しいのじゃないかというふうに思われます。もし物価政策として必要だということになれば、 この運賃が上がることによっての物価に対する影響はこれこれであるという数字をあげて示された問題は、矛盾しているように考えられる。だから、旅客と貨物とのつり合いの点について、企画庁長官としてはどのようにお考えになるか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/47
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048・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国鉄の経理の中で、貨物収入と旅客収入との割合というものは、外国と日本と全く反対な状況にございます。外国では大体六〇%ぐらいが貨物収入、四〇%ぐらいが旅客収入、ところが、日本の場合は、貨物収入が四〇%、旅客収入が六〇%ぐらいになっているように拝見しております。そこで、私はやはり今日、貨物が非常に自動車その他の競争でとられるという、だんだん減っていくという状況ですが、これを何とかして、やはり日本は国土も相当長いのですから、フランスのようにまんまるい国とちょっと違いますから、国鉄輸送というものに、もっと貨物が寄ってもいいのじゃないかと思います。そうして、それが他の自動車運送に比べて、今日必ずしもそう高いとは私は申せないと思うので、これはやはり企業努力で将来やっていただかなければならぬのではないかと、私は外から見ていてそういう感じがいたします。
それから、そういう状況に今日ございますが、いまお話しのような貨物収入の大きな部面というものは、特段の価格を出しておりますものは、農産物その他あるいは基礎的な仕事に対するものだと思います。農産物その他については、特段のやはり考え方を用いることがこれは必要であり、今度の場合にも、そういう配慮を国鉄としてはいたし、また運輸省としても、各省との間の協議においてそういう面を考えておられるようでございます。で、いわゆる態容の大きな貨物につきましては、これは私は値上げをしても、ある場合にそれが吸収できる形が全然考えられないわけではないと思います。ですから、そういう面については、やはり相当考えなければならぬところがあろうと思います。せんだっても私は委員会で申し上げたと思いますが、たとえば木材の輸送というような問題について、相当大きな木材を原料とする会社の方々が私のところへお話に見えましたけれども、木材の運賃の値上がりされることは、その方たちも困るのだというお話ですが、あなた方の経営の立場から言えば、もしあなた方の借り入れ金の金利を若干でも下げてもらえば、その鉄道の値上げ分ぐらいは吸収できるのじゃないか、そういう面で木材の値上げ等についても、最終価格に影響しないように運賃の値上がりを吸収する方法を、あなた方もひとつ努力していただきたい、こういうことを申したのです。これは日本の経済が、資本構成が非常に悪くなっておりまして、今度は企業減税等もいたして、企業自体の経営も他人資本借り入れ、自己資本対他人資本の比率を改善いたしていく方法をとっておりますけれども、そういうことで金利負担というものを相当下げることによって、他のものの負担が私は可能になる場合もあろうと思います。ですから、そういうことを将来は考えていかなければならぬというのであって、ただ単純に大企業だから高いという立場には、現在の運賃制度は私はなっておらぬと思います。ただ、どうしても必需的な物資、たとえば木材にしても、住宅をつくるというような場合においては、それぞれ必要な点がございますから、農産物とともに、そういう面についてはある程度の割引をする。また、農林行政の上から、必要な措置を通じて国鉄当局と話し合いをしてきめるべきことだと思います。全体として、物価指数からいえば、国鉄総裁もしょっちゅう言ってらっしゃるように、他のものに比して運賃の値上がり率が少ない、運賃の値上がり率が他のものに比して少ないということは申せると思いますが、若干の是正ということは、今回やっても差しつかえないとこう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/48
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049・大倉精一
○大倉精一君 関連。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/49
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050・江藤智
○委員長(江藤智君) 大倉君、簡単に願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/50
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051・大倉精一
○大倉精一君 長官、いずれ運輸委員会に出ていただいて、いろいろお聞きしとうと思っていますけれども、いまの答弁の中で、物価担当大臣として非常に重大な御発言があったので——重大というよりもむしろあいまいな発言があったので、もう一ぺん確かめておきたい。というのは、国鉄運賃に関して、情勢の変化に応じてそのつど上げていくのがいいのか、一ぺんにぽこっと上げていくのがいいのか、あなたの答弁があいまいで、検討中だ、検討しなければならぬというんですが、その意味は、今度の戦後最大の大幅な運賃値上げについては、こういうことを検討せずにやったのですか、政府は。これは非常に重大な問題です。最近におけるところの物価の値上がりの趨勢というものは、非常なものです。でありますから、大臣は、情勢に即応してぼつぼつ上げるのがいいのか一というのは、本来ならばそうしなければなりませんが、物価の問題をお考えになってそうしたのか、どうもいま聞いておりますと、物価担当大臣としての運賃の値上げに対する考えというのが、ちょっと疑問に思った。で、あなたの発言のニュアンスからいくというと、私は多年ためておいてぽかっと上げたほうがいいのじゃないかというふうにもとれる。その点ひとつはっきりとお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/51
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052・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) その点は、必ずしも小幅に上げるということが絶対にいいのだ、あるいは大幅に上げることが絶対にいいのだという、そういうふうに割り切ってきめることは、私は必ずしも適当だとは思いません。そのときの情勢に応じて考えてかなければならぬ問題だと思います。そこで今回の場合に、四年上げないでおって、そうしていま申し上げたような値上げを——国鉄がいままで事業を遂行して相当事業ができているのでありますが、今回の値上げが物価に及ぼします影響も、貨物については非常に計算がしにくいところでございまして、その貨物の最終的な消費者物価に対する影響というものはほとんど計算ができない、非常にむずかしい問題でございます。でしかし、その場合にこの〇・三ということを申し上げておるのですが、その程度の影響というものはやむを得ないのじゃないかというのが、私のほうの今日の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/52
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053・大倉精一
○大倉精一君 いまの御答弁ですと、どちらがいいかは情勢に応じてきめていく、考えると、こうおっしゃるのですけれども、いま現実に起こっているこの情勢についてはどうお考えになるのですか。この情勢については、やっぱり国鉄が今日のような状態になるというのは、いまに始まったことじゃない。四、五年前からちゃんとわかっておる問題です。こういう問題についてのいまの論議ですから、情勢に応じて考えるなんということは、いまそんなことは答弁にならぬですよ。情勢についてはどういうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/53
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054・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) いまの情勢の上に立って、私は今回の値上げはやむを得ぬということを申し上げているのでございます。それは物価の問題でなくて、都市周辺における過密ダイヤの問題であって、冬になれば、外套を着れば、もううしろから人が押さなければならぬというような状況、そうして、そのために発車まで二十秒、三十秒も駅に停車している、こういったような状態は早く解消しないと、物価だけでなくて、そのために職場に行かれた方々が、しばらくの時間、仕事に十分力が入らない、疲労をしておる。こういうものはやっぱり、物価の面も考えますけれども、こういう面もあわせて考えないと私はいけないのじゃないか。ですから、国鉄総裁が言われておりますように、今回東京周辺、大阪周辺、そういうところの過密ダイヤの解消をやるには、ぜひこれだけの金が要るのだ。そうしてそれを急速に遂行しなければならぬという立場も、私は国民生活の上からいえば、物価と並んで重要な問題だと思う。ですから、そういう点を現時点において考えていく。ただ小幅に上げるのがいいか、大幅に上げるのがいいか、どちらがいいかということは、将来の問題で、ある場合は小幅に上げなければならぬ、ある時期には大幅に上げなければならぬが、今回の場合は、いま申し上げたような理由で私は賛成したのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/54
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055・野上元
○野上元君 国鉄の設備投資の資金調達方法について、いろいろとこの国会で論議をされてまいりました。しかし総理と藤山長官との間には少し食い違いもあると思うのですね。たとえば総理は、あくまでもこれは利用者負担でやることだ、こういうふうにはっきりと割り切っている。長官のほうは、たしか毎日の経済部長に対する答えの中で、新線を建設する場合に、数年を出ずして採算がとれるというようなことであれば別だけれども、永久に赤字が最初から予定されておる。しかしながら地域住民の福祉のためとかいう社会的要望が強い場合には、あえてそれをやらなければならない場合がある。そういう場合には、政府が最小限金利くらいは見るべきである。こういうふうにお答えになっているわけですが、その点は、政府の統一した見解ですか。藤山経企長官の個人的見解ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/55
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056・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 私は、今回国鉄の値上げという問題に当面いたしまして、それについていろいろ考えてみたわけですが、国鉄は、御承知のとおり、出発当初から公共性をたてまえとして、新線建設なりあるいは運賃の割引なり、そういうことをやっているわけでございまして、つまり公共企業体として、公共の利益ということで出発していることは事実でございます。その意味においては、それは国鉄は初めから負担すべきだという議論は当然の議論だと思います。ただ国鉄が、日本の幹線輸送において今日のような、経済活動に非常に大きな寄与をして、そうして公共性というものに対する負担が非常に大きくなっている現在においてわれわれはこういう問題を考えなくてもいいだろうか、ということでございます。私は検討に値する問題だというふうに考えているわけでございます。これはいま直ちに負担すべきものだという結論には達しておりません。しかし検討するだけの値打ちはある問題だというふうに、私個人としては考えております。ただ内容が日本国有鉄道は、最初から公共性をもって出発したものですから、その線に沿っていけば、国鉄自身が負担するのは当然であるという議論もできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/56
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057・野上元
○野上元君 国鉄当局にお伺いしたいのですが、きょう総裁はおいでになっておらないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/57
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058・江藤智
○委員長(江藤智君) 委員長からお答えいたしますが、総裁はからだをいためて休んでおりまして、副総裁がかわって来ておりますので、副総裁に御質疑を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/58
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059・野上元
○野上元君 いまとやかく言っていてもしかたがないので、聞きますが、国鉄の運賃をきめるときに、独立採算の上に立って考える場合に、当然原価計算というものがとられるわけですが、しかしその原価というものが、非常に大きく議論の分れるところですが、あなたのほうで基本問題懇談会に諮問されたときに、当初運賃の値上げ率を、原価の中にフェア・リターンを入れて、構成要素というか、それを入れて三十数%の値上げを諮問した。しかし懇談会のほうは、フェア・リターンの問題もいろいろ議論があるけれども今回はそれは検討の結果、入れないことにしたのだ、こういうふうに説明されていると私は解釈しているのですが、公社が考えられているフェア・リターンの考え方は、一体どの程度までを考えられていたのですか。その点を、フェア・リターンの構成要素の考え方についてお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/59
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060・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 総裁が休んでおられるので私からお答えいたします。国鉄運賃の考え方については、先生御承知のとおり昭和二十三年の国有鉄道運賃法、それから財政法第三条の特例法、この運賃法によっていろいろ原則がありますが、その第一条にいま先生のおっしゃったように、「原価を償うものである」ということをきめられております。その解釈について従来ずいぶんいろいろと議論がございまして、その問題を大きく分けますというと、原価の中に何を含めるべきかという意味の、原価とは何ぞやという問題と、それから原価というものは、いまおっしゃった独立採算制のたてまえから申して、輸送の種類別の原価と線区別の原価があるが、この見方をはたして線区別なり、あるいは輸送の種類別に見るべきかどうか、大体分けると、こういう議論であったのでありますが、そこであとのほうの話は別といたしまして、原価構成要素として一体何をあげるべきかということにつきましては、実は昭和三十五年に運賃制度調査会をつくって、そこでずいぶんいろいろ議論をいたしました。さらにいま御指摘の一昨年の内閣の基本問題懇談会におきまして、やはり原価問題に触れまして、いま先生がおっしゃったとおり、人件費、動力費、修繕費、業務費、租税公課、減価償却費、退職引き当て金、支払い利子を含めたフェア・リターンをあげて一応説明したわけであります。この際のフェア・リターンの出し方、あるいはいま御指摘のフェア・リターンとは一体何%が適当であるかといったことなどにつきましては、いろいろと御議論もされましたが、この意見書にもございますとおり、通勤輸送とか保安対策等採算がとれない事業を緊急に実施しながらも、しかも長期的に見て経営を安定さすためには、どうしてもある程度の資本に対する報酬というものがなければできないのだ、こういう議論が一応出たわけであります。その際に、電気事業あるいはガス事業あるいは水道事業といった各種の公共事業につきましての実績をいろいろ検討いたしまして、あるいは一割がいいのか、あるいは七%がいいのか八%がいいのかということを、いろいろ議論をされたわけでございます。しかし結論的には、まだこの委員会でフェア・リターンというものを認めるのには議論が熟していないということで、結論にございますとおり、フェア・リターンというものを認めるわけにいかない。そして今後の資金需要を考えた上で、三二%という私どもの要求を二六%にしたんだ、こういうことになっております。実はその後のお話でございますが、この問題をこのままにしておくわけにもまいりませんので、昨年一年かかりまして、今度は会計と財務だけにつきましてやはりもう一ぺん基本問題調査会をつくりまして、そこで今度は学者ばかりでございますが、日本の一流の会計学者にお集まり願って検討いたしたのでございます。その際にも、いま野上先生御質問の公共事業における原価とは一体何かということが非常に論議されまして、そして運賃原価構成要素とその算定についてという項目を一つ起こしまして、いわゆる収益主義ではもちろんいけない、かといって先生方の御意見は、公正報酬原則でもいけない。結局何と申しますか、企業のいま一般的な原価と目されるもののほかに、公共的給付の提供を基本目的として今後公共性を維持するために必要な限度のものはフェア・リターンではない。しかし原価構成要素としては認めるべきである、こういう一応の中間的な公共企業体の価格決定原則ということで、御結論が出たわけでございます。こういう経過でございますが、実は今回の算定につきましては、主として前の内閣の基本問題懇談会の御意見を重視いたしましたために、いまの御質問に該当するお答えといたしましては、いわゆるフェア・リターンはその中に入れない。結局七カ年間の経営費と利子と租税公課と、それからあとは減価償却費をフルにまかなうわけにはいかないけれども、減価償却費の相当部分に相当するものということを原則といたしまして、今回の全体の運賃値上げによる所要資金を算出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/60
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061・野上元
○野上元君 公益企業の料金論というのは、非常に複雑で私たちも難解でよくわからないのですけれども、まあしかし一般に言われていることは、原価というものは科学的にきまるものじゃないのだ、それは妥協によってきまるのだ、科学じゃなくてアートだ、こう言っておるのですね。これが学者の一つの意見です。そうしますとそれが認められるということになると、いわゆるフェア・リターンが入り込む余地はないと思うのです。特に公営の公益企業料金の中にフェア・リターンを入れるということは、非常に私は難点があるのじゃないか、こういうように思うのです。私営の公益企業ならあるいは若干フェア・リターンがなければ維持できないと思うのです。だからその点をどういうようにお考えになっておるかを聞きたいし、かつまたいまの副総裁のは、フェア・リターンではないけれども、資本の蓄積が必要なんだということだと思うのですね。その資本蓄積が必要だというのは、たとえば採算のとれない事業、緊急に実行しなければならぬという場合が大きいわけですね。それをあなたのほうではフェア・リターンでまかないたいんだ、こういうふうに考えておられると思うんですが、それこそ私はフェア・リターンでまかなうべきではなくして、これは政府の補助、いわゆる租税がこの部面を受け持っていかなければいかぬのじゃないか。これが藤山さんが見解を発表された考え方ではないかと思うんですが、その点について国鉄当局はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/61
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062・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまのお話しのフェア・リターンにつきましては、私どもも十数年かかっていろいろ文献その他も検討いたしましたが、いわゆる社内保留的に将来設備にかわるフェア・リターン、それから資本蓄積なり社外流出する場合のフェア・リターンといろいろ意味があるようでございます。私どもといたしましては、御承知のとおり、国鉄はもちろん配当が必要じゃございませんので、収支のバランスで出ましたものは、これは全部設備投資にかわるという原則が貫かれておるわけでございます。したがいまして、たとえフェア・リターンがあってもなくても、収支の差が出ますれば、それはその年度中に固定資産にかわってくる。したがいまして、貸借対照表上は翌年はすぐ固定資産になってしまいます。そうしていわゆる利益準備金のような形になって表面上は残りますが、実際は全部物にかわってしまう、こういう形になるわけでございます。そうしてこの間の財政会計関係の先生方の御意見は、いまの野上先生のおっしゃったような御意見確かにございます。しかし一方には、こういう表現もされております。企業体内部に再投資されなければならない資本造成の原資としてのある意味のサープラスが必要である、企業体内部に再投資されなければならない将来の資本造成の原資としての金が、ある程度必要である、これが従来のフェア・リターンであるかどうか、多少考え方は違うと思いますが、そういう意味でこの運賃の中に、いま先生の御指摘のアンペアブル・インベストメントというものが、運賃構成の中になければならないという点が問題点だろうと思います。今回その点につきましては私どもといたしましては、もし三二%ならばある程度、たとえば通勤とか保安とかいうものの費用がその三二%の中に一部分計上できるというつもりでおりましたけれども、今回の二五%でまいりますと、実際には七カ年間で現在の制度で減価償却費を累計いたしますと約一兆一千億くらいになります。それに対しまして今回の運賃値上げによる増収分がちょうど一兆一千億に見合う部分でございまして、そうしてそのうちの実際に物にかわるもの、すなわち減価償却に見合います老朽資産の取りかえ、あるいは陳腐化した財産の取りかえ等に充当するものは八千五百億でございます。したがいまして、いわゆる運賃の中から設備投資されるものは、全体の大体減価償却に見合うものよりは少し少ないということになりますので、正確に申し上げますと、償却費を全部今回の運賃値上げで見ないという形になりまして、見方によりましては非常に不健全だ、償却も一〇〇%できていないというような見方も、数字からだけは出てくるわけでございますが、その点は一応いま先生のおっしゃったある意味の妥協ということで八千五百億だけでもって減価償却をやっていく、したがいまして、今回の全体で三兆の投資、それに約七カ年間の元本の償還がちょうど一兆でございます。三兆と一兆と足しまして四兆が七カ年間の所要額でございます。その四兆のうちの自己資金は八千五百億でございます。したがいまして、大体いまの御質問にお答えしますと八対二の割りで八が借入金、二が自己資金ということになります。いまの先生の御質問は、その八の中に当然政府で見るべきものがあるんじゃないか、こういう御議論だとは思いません。その点はこれは一つの意見として申し上げておきますが、確かにその八の中には、たとえば非常に利子の払えるものがある。あるいは電化工事でございますが、こういうものは電化いたしますれば非常に経費が安くなる、輸送力もふえるということで、これは典型的なペイアブル・インベストメントでございます。それから非常に中間的なもの——単線を複線にする工事は、全国でやっておりますが、これはすぐにはもうからない、しかしながら、長期的に見ればもうかるという意味で、一応私どもはペイアブルのほうに入れております。それからもう一つ、さっきのいわゆる保安対策、たとえば踏切を除去するとか、あるいは立体交差にする、これはこういう表現をしては非常に不適当でございますが、国鉄としては直接利益があがらない。しかし国民全体の立場からすれば、どうしても踏切の立体交差をしなければならない、踏切を改良しなければならない、こういう意味で国鉄も三分の一なり二分の一の負担をするわけでございます。こういったものの金、あるいは列車自動停止装置をつける、こういった保安装置を高める問題へあるいは現在東京付近で大々的にやっております通勤輸送を根本的に解決する問題、こういった問題につきましては、ちょうどいわゆるペイアブル・インベストメントとアンペイアブルとの中間より少しアンペイアブルのほうに近いものではないか。非常に長期的に見ますれば、三十年、四十年のロングランで見れば何ですが、五年、十年では利子も払えない。こういうものについては、いま先生のおっしゃったとおり、議論としては、確かに国鉄が利子を払う借金としては無理があるというふうな御議論が成り立つのは、私は当然だというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/62
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063・野上元
○野上元君 フェア・リターンの解釈の問題については、ややこしいからやめますけれども、少なくとも国鉄が公営企業の立場から見て、資本の形成比率をどれくらいに見ておるか、これをお聞きしておきたいと思うのですが、日本においての一般公営企業の経営状態を見てみますと、資本形成比率は大体一〇%内外におさまっているようです。この資料を見せてもらって私は試算して見たのですが、四十一年度においては一九・四%。これはもう最初ですからはね上がっておると思うのですが、四十二年度が一八・五%、四十三年が一四・九%、四十四年が二二%、四十五年が一一%、四十六年が九%と、こうなっている。ところが、これが下がっていくのかというと、そうじゃなくして、あなたのほうの計画を見てみると、次に五十年度までに第四次の計画がされておるわけです。そのときにはおそらくまた料金の値上げをされると思うのです。そうすると、資本形成比率というものは、またこれと同じようなことを繰り返していくのじゃないか。ということになると、国鉄の場合には一〇%をはるかにこえておるということになると、一般の通念からははみ出ておる。その分だけは利用者が余分に犠牲を背負っているのじゃないか、こういうふうにも言えると思うのですが、その資本形成比率を大体どのくらいに置いて、いままでやってこられたか、その点をひとつお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/63
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064・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) いま先生の御指摘の資本形成比率は、毎年の資本形成比率の御質問であろうと思います。それはただいまお手元の資料でごらんのとおり、私のほうの資本形成比率と申しますのは、大体いわゆる自己資本で出てきたものでございますが、いま四十一年以降漸減しておるわけでございます。これは主としてと申しますか、ほとんど全部減価償却費に見合う分が自己資本であるということで、最近非常に急激な投資をいたしますので、償却費も実はふえております。減価償却費に見合う分が、借り入れ資本でなしに自己資本でもって投資される。減価償却に見合わない分が大体八割から八割五分くらい、これがいま申しましたような何と申しますか、将来利益を生むであろう利子の払える仕事に対する投資ということになるわけでございます。したがって、私どもといたしましては、結局問題はいわゆる準価償却費が全体のその年々の投資のうちの何%を占めるべきかという議論になってまいると思います。これは逆に申しますと、全体の投資のスケールによっておのずから変わってくるのではないかというふうに考えます。ですから、先生の御指摘の割合から申しましても、私どもは四十四年度以降は年間五千億の投資を見ておるのでありますから、自然にいまの自己資本形成率が減ってくる、こういう形になるのであります。したがって、過去の例から言いますと、昭和三十二年度から始めました第一次計画、あるいは昭和三十六年度から始めました第二次計画につきましては、第一次の場合の自己資本が約半分でございまして、第二次計画の場合の自己資本が約三割、今回は、いま御指摘のとおり、約一割八分ぐらいになっておると思います、金額的に申しますと。したがいまして、徐々に自己資本率が減ってきておる。毎年の投資から見ますと、徐々に自己資本率が減ってきているということになるわけでありまして、必ずしも何%が妥当かということは、なかなか簡単にはおそらく出てこないと思いますが、計画のスケールが大きくなるたびに、徐々に借り入れ資本がふえまして自己資本が減ってくる。そうして、大体その限界は、先生のおっしゃったとおり、一〇%ぐらいということになるのじゃないかというふうに考えております。この点、電電公社あたりの財務諸表を見ますと、やはり徐々に自己資本率が減ってきているという形になっておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/64
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065・野上元
○野上元君 現実の姿としては、その点は了解できないことはないんですが、原価計算をやる場合に、まあ原価主義をとる場合に予見として当然考えなければならぬのでしょう。ところが、それほど考えなきゃならぬものを、いや、それは毎年減っていっているのだ、こういう現実をあなたは言っておられるのであって、それでは原価計算はできないわけですね。そうじゃなくて、資本形成をする意思がなければなりません。余ったものが資本形成になるのだ、こういう考え方では、原価計算は成り立たないと思う。資本形成をどれだけにするかということを意思として決定しなければ、原価計算はできないようなわけなんですね。その点私は理解に苦しむわけなんですが、その点もお聞かせ願いたいと思います。
それから、まああとでもいいんですが、国鉄事業はいわゆるゴーイング・コンサーンですね。ところが、会計制度は、毎年独立して会計制度があるわけです。これは非常に不合理だと思うのですが、そういう点について、あなたのほうで検討をされたことがないか。その点もひとつあわせてお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/65
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066・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの先生の前の御質問でございますが、あるいは先生の御質問に当たっておらないかとも思いますけれども、一応私のほうでかりに算出したものといたしまして、今回七カ年に投資いたします総体の二兆九千七百二十億のうち、いま先生のおっしゃったように、理論上当然自己資本でやるべきもの、それから理論上当然借金でやるべきものというふうに観念的に二つに分けてみた数字でございますが、まあその二つの間の分解が非常にむずかしいわけでございますけれども、一応二つに分けまして、理論上自己資本の対象であるべき工事、いわゆる利子のつかない金でやらなければ将来非常に大きな負担になるという工事が一兆一千三百二十四億。それから逆に、これは将来必ず利子の払える仕事になるので、当然他人資本でやるべき工事が一兆八千三百九十六億。これは大体試算でございますが、今度の二兆九千億の工事全部をまとめてごく大きな二つのカテゴリーに分けまして、このうちで初めに申し上げましたのが、先生御指摘のいわゆる自己資本形成比率、自己資本でやって、しかもそれを将来原価に繰り入れるべきものというふうな頭でもって原価計算をしろ、こういうふうなことに私はなると思いますが、今回の八千五百億ではいま申しました一兆一千億がまかなえないということになるわけでありまして、この点、このギャップについては先生のおっしゃいましたように、確かにいわゆる借金でない政府出資なり何なりの利子のつかない金でもってやらなければ、将来非常に経営上困るということはお説のとおりであります。これは理論上そういうことを私ども考えまして、実はいまごらんの基本問題懇談会意見書にも、将来政府出資あるいは負担金等を考えていかなければやっていけなくなる、こういうことも書いております。
それから第二番目の御質問でございますが、実は国鉄の会計制度自体は昭和二十四年に公共企業体になりましたときは、もう全くいわゆる会計問題と考えませんで、主として労働問題の関係からああいうふうになったわけでございますが、根本的に会計制度を改めようということで、一応現時点では発生地主義に改めるものは改めたわけでございますが、ただ先生のおっしゃったように、ほんとうにゴーイング・コンサーンのようなかっこうにはなっていないわけでございます。これは将来の問題といたしまして、一体国鉄のいまの企業体の会計制度をどう持っていくか。ことに国家予算との関係でもって、私のほうでは収支のバランスの勘定と、それから工事の勘定と別になっております。収支のバランスの勘定のこまかい点まで大蔵省その他に折衝すべきかどうか、いろいろ問題がございますが、この点につきましては、なお会計制度基本問題調査会等の意見を参酌いたしまして、将来の問題としてぜひ企業体的な会計制度に改めてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/66
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067・野上元
○野上元君 農林大臣がお見えになったようですから、農林関係のほうにバトンタッチをいたしますが、あとでまた続いてお聞きすることになると思いますが、国鉄の経営方針といいますか、一度知りたいのですが、たとえば今回料金値上げをやりまして千六百五十億の増収になるわけでございます。この増収が実現したときには、国鉄の経営状態の損益分岐点というのは当然下がるわけですね。ところが、来年は下がるけれども、それからまた逐年上がっていくのですか。その損益分岐点の動きについて簡単に御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/67
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068・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問、実は今度の問題の一番焦点でございまして、基本問題懇談会もずいぶんいわゆる損益分岐点がだんだん下がっているじゃないか、これは企業経営としておかしいという議論が成り立つわけでございます。七カ年間の収支じりをごらんくださいますと、確かに損益分岐点は下がっております。これはなぜかと申しますと、三兆という投資を七カ年間にする。これは非常に膨大な投資でございます。したがいまして、利子負担の問題が非常に大きく出てくる。しかも、投資いたしました三兆は、七カ年間にいわゆる収入増加となって返ってこない面が相当あるという問題が一つあります。普通の生産工場でございますれば、たとえば三兆の投資をすれば、工場ができて製品がおそくとも二、三年のうちには出てくる、こういうことになるのでございますけれども、私どもが三兆投資いたしました結果出てくるいわゆる輸送力という製品は、そう短時日には出てまいらないということが一つの問題でございます。したがいまして、投資をするわりあいに収入が伸びないということは、いま先生のおっしゃった損益分岐点の一つの問題点でございます。それからもう一つは、やはり七分前後の利子負担が非常に大きいということでございます。これでごらんくださいますと、四十六年度には大体年間二千億の利子負担でございます。そのほかに借入金の返還をいたさなければならない。これはなるべく借りかえのできるものは借りかえをいたしてまいりますけれども、いわゆる利用債というもので一般民間から拝借しておるものは、どうしても借りかえができませんので、お返ししなくちゃいけません。もう一つは、人件費の問題がございます。これはまあ将来、国鉄の人件費は現在六〇%こしておりますが、この人件費がどこまで上がっていくかという問題は、相当大きな問題でございます。私どもといたしましては第一次、第二次五カ年計画のうまくいかなかった理由は、一つは人件費の見方の甘さと申しますか、少なかったということでございます。こういう点が問題点だと思います。今度は多少実情に即した見方でございます。主としてこの三つのためにいまの損益分岐点が当然下がってまいります。問題は結局投資いたしました三兆が、いつ商品として、輸送力として一般国民が買ってくれるか、それがいつ現実に運輸収入になってはね返ってくるか、この問題のタイム・ラグと申しますか、時間のギャップが私は一番問題だと思います。この点やはり鉄道のようにいわゆる寝ている期間の長い投資につきましては、どうしてもこの問題が出てくるのじゃないかと思いますが、ただやはりそうも言っておられませんので、何とかひとつ少しでも早く稼働するように、少しでも早く輸送力になって一般国民に利用していただけるような努力は、工事のしかた一つにしましても、最大限注意してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/68
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069・野上元
○野上元君 いまタイム・ラグの問題出たのですが、それについてちょっと質問したいのですが、あなたのほうの投資計画見ると、前期は平均三千七百億円の投資をしているわけですね、後期は五千億円しておるのですね。これは私はタイム・ラグを問題にすれば当然逆だと思うのですね、基本問題懇談会でそういうふうに答申しております。それを国鉄当局はどうして受諾したのか、私にはふしぎでしょうがないのですが、国鉄のような大工事をやる場合は、いわゆる投資と投資効果のタイム・ラグというものは、非常に大きくなるわけです。しかも、うしろのほうへいって投資額が大きくなれば、よけいにタイム・ラグの問題で利用者はおこると思うのですね。四十七年になったらまた料金値上げをして五十年まで突っ走って行く、もうタイム・ラグでずっといって、結局いつも不満な状態になる、これをどうして計画されたのか、一言だけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/69
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070・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 実は、その点が運輸委員会における国鉄の主張と委員の主張との一番違った点でございまして、私どもの原案は実は先生がいみじくもおっしゃったように、最小限五千億フラットで六年間、こういう主張をいたしました。初めは実は頭が上がって下が下がるような計画を立てましたが、これはあまり資金量からいって無理だ。それじゃ最小限五千億フラットで六年間という計画をつくりましてずいぶん主張いたしましたが、いろいろな角度、ことに日本全体の資金量から見て無理じゃないかという一語に尽きますが、そういう点からまさしく先生のおっしゃったように、結果的には逆に将来大きくなるという投資をせざるを得なくなったという点、確かに御指摘の点がそのまま残っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/70
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071・江藤智
○委員長(江藤智君) 次は渡辺勘吉君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/71
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072・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 わが日本社会党は、今回の国鉄運賃値上げには、同僚委員がすべて衆議院、参議院を通じて述べておるように絶対反対であります。
しかし政府案には、いろいろとまた問題点が内在をしております。特にまた農林水産業の立場から見ますと、幾多の矛盾点が、この提出された法案の内容には内在していると指摘せざるを得ないのであります。したがって、私は、まずこれらの疑問や矛盾点を、審議を通じて明らかにいたしたいと思うのであります。農林漁業の立場から、まずこの法案について伺いたいのでありますが、農林漁業がその産業としての性格の上からいって、他の第二次あるいは第三次産業に比べて、発展の度合いが総体的におくれておる、そういう傾向にあることは、これは単にわが国だけのことではなしに、洋の東西を問わず共通の現象であると言わなければならぬのであります。したがって、政府は五年前に農業基本法を制定した、あるいは林業基本法なり沿岸漁業振興法が、それぞれの分野に制定されましたのは、農林漁業には自然的な制約なり経済的な制約なり、社会的な制約を受ける特殊な産業であるから、私は当然の責務としてこれを保護助長しなければならぬというたてまえで、こういう法律が制定されたものと理解をするわけであります。現在の農業は曲がりかどに立っていると言われましてから何年たったでしょうか。毎年毎年曲がりかどを曲がって、もうまっくらな袋小路にとじ込められた実態であることは、大臣諸公といえどもこれを認めざるを得ない現実だと思うのであります。農業だけでは食っていけないので、他産業に兼業の傾向がふえてきておる。農業だけで食っていける全体の農家戸数に占める割合は、二割程度に減少してきているじゃありませんか。こういういろいろな現象の問題はさておいて、私はよほどこの際国鉄運賃をいじろうとする政府としては、現実のこの姿というものをまじめに直視する責任があると思うのであります。簡単に申しますと、たとえばフランスにおきまして、日本でいういわゆる農業基本法というものが一九六〇年に制定されておる。これは農業の方向づけに関する法律であります。これにさらに一九六二年には、農業の方向づけに関する法律を補完する法律というものがさらに追加制定されて、内容が一そう強化されておりますが、私はこの中で第五条を特にここで取り上げて、閣僚の認識をまず深めておきたいと思うんです。このフランスのいわゆる農業基本法には第五条に、「本法公布の日から一年以内に、政府は、特に流通径路の改善、農産物に関する運賃率」——とうたっております。「農産物に関する運賃率及び税負担の公平化及び緩和の措置によって、農産物生産者価格と食糧小売り価格との間に存する不均衡を減少せしめるために必要なすべての措置をとらなければならない」と規定されておるのであります。農林物資の運賃率を他の物資と特に区別して優遇しなければならぬということを、わが国の基本法にもないようなはっきりしたうたい方を、フランスでは農業基本法にうたっておる。で、こういうまず先進国のすぐれた考え方を頭に置いて、私はこれから特に時間の関係で農林大臣が先を急ぐようでありますから、農林大臣を中心にお尋ねをいたしたいのでありますが、わが国の基本法にももとより第二条第一項に「国は、」「その政策全般にわたり、必要な施策を総合的に講じなければならない。」とうたつておりますし、第四条第一項にも「政府は、第二条第一項の施策を実施するため必要な法制上及び財政上の措置を講じなければならない。」と規定しておって、すなおに読めば、これは抽象的ではあるけれども、かなりその前文にもうたっているような自然的、経済的、社会的な制約を補正するということが、具体的な農業政策以外の政策で補完的な義務づけをうたっているものと私は理解するのであります。こうした農政全般の政治的な政府の姿勢に関して、ただいま引例をいたしました西欧の先進国に比べて、一体農林水産物資を所管する農林大臣は、今回の国鉄運賃を値上げするその政府の法案に参画したと思うのでありますが、いかなる基本的姿勢をもってこれに臨まれたかを、まず、坂田大臣に、基本的なあなたの態度というもの、信念というもの、それを具体的にひとつこの際明らかにしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/72
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073・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの御質問にお答え申し上げます。農業基本法制定以来、近代化、構造改善、生産対策、その他について十分とはいかぬにしても、でき得る限りの努力を注いでおることは、御了承のとおりでございます。しこうしてまた、ただいまお話しのとおりに、全体の政策、いわゆる総合的にこれらの社会的、経済的、自然的制約を除去する意味においての政策を、総合的に立てるという趣旨をもって基本法は運営されておることも御説のとおりでございます。今度のこの国鉄の運賃の問題につきましても、農産物、特に生鮮食料品等、この生活必需物資並びに生産に必要なところの生産資材というものの輸送につきましての運賃等については、でき得る限り軽減をはかるということについて関係方面と十分の折衝をいたしてまいりました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/73
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074・江藤智
○委員長(江藤智君) ちょっと渡辺さん……、速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/74
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075・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記つけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/75
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076・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 通産大臣、国鉄副総裁に伺いますが、昨年の九月十日ですね、参議院の農林水産委員会で、農林水産関係物資の国鉄貨物運賃に関する決議をあげたのでありますが、この内容は御承知でありますか、どうですか、まず、運輸大臣から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/76
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077・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/77
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078・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 国鉄……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/78
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079・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/79
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080・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 もとより直接所管の農林大臣は十分御承知だと思うのでありますが、当日は大臣の出席がなかったので、この決議に関連して以下いろいろお尋ねをいたしたいと思うのであります。わが参議院の農林水産委員会においては、諸外国の例に徴するまでもなく、次のような幾多の理由から、この農林水産物資の運賃問題については、常に重大な関心を払ってきたところであります。第一は、農林水産物資は、生活必需品またはその生産資材としてきわめて重要な地位を占め、社会政策上、物価政策上ゆるがせにできないという観点からであります。第二点は、農林漁業の生産性を向上し、所得格差を是正する立場から、できるだけ運賃を押える必要があるという根拠からであります。第三点は、農林水産物の産地が、おおむね僻遠の地にあって、国鉄に対する依存度が高いこと、その上、国土が細長いために、輸送距離が長くて運賃負担が多い。しかも概してかさばり、価格が割安な商品であるため、運賃負担力が少ないということ。第四点は、今回の改正案もそうであるが、過去数回の改正においても、遠距離逓減の縮小とか貨物等級制度の改正、あるいは連絡航路に対する擬制距離の適用など、何がしかの制度改定を行なって、いわゆるコスト主義に近づけようとしたため、農林水産関係物資が平均以上値上がりするケースが多かったことであります。またこの結果設けられたいわゆる公共政策割引が、いつの間にか国鉄側によって一方的に暫定割引と改称され、その適用期間が小刻みにきめられる状態を推移してきたために、これを基盤に流通秩序が形成されてきた農林水産業にとって、この問題を盾過することはでき得ないのであります。そういう点から、従来農林水産委員会としては、この運賃の問題に取り組んできた経過が、その会議録等によっても明らかにうかがえるのであります。私をして言わしめますならば、この運賃改定という構想は、独占寡占資本に奉仕する、資本の利潤を減らしてまで弱い部門をカバーする気持ちのない政府、自民党の経済合理主義のあらわれであると言わざるを得ないのでありまして、企業減税によって大企業には何らひものつかない補助金を大量に交付する財源があるのに、そういう財源があるなら、なぜこれを税金もろくに払えない弱い産業あるいは低所得者にこれを振り向けないのか。そういう措置をとることこそが、これは政治ではないかと思うのであります。かりにこういう大乗的な取り上げ方は別といたしましても、わが国の農林水産業を振興していくためには、国土の高度利用なり食糧の自給率の向上なり、農林水産物の価格の安定等、国民経済上すこぶる重要であることに、これは思いをいたさなければならぬと思うのであります。このため、私は経過をこれから申し上げますが、参議院の農林水産委員会は、いままでにしばしば運賃問題を議題として政府に対する申し入れ、決議等を行なっております。すなわち、第十五回国会の農林委員会において二回決議をしておる。同じく第十五回国会の水産委員会で一回、第二十六回、第三十一回、第三十二回、第三十四回、及び昨年の第四十九回国会閉会中の農林水産常任委員会において各一回、合計前後八回に及ぶ申し入れや決議を行なっておるのであります。で、その申し入れや決議の内容をその性質によって大別をしてみますと、貨物等級の改正に関するものが二回であります。運賃法改正案に関するものが一回であります。公共政策割引に関するものが三回、貸物等級の改正を公共政策割引に関するものが一回、運賃制度全体に関するものが一回であります。これだけの意思表示を、従来参議院の農林水産委員会では行なっておるのであります。
特にお手元に配付をいたしました昨年の九月十日の決議は、もちろんいままでのものとこれは同様に全会一致で決定されたものでありまして、今回の改正法案に直接関係するものでありますから、この国民の意思というものに対する政府の政治責任は、きわめて重大であると言わざるを得ないのであります。この九月十日の決議は次のようにうたっております。「農林畜水産関係物資は一般に重量容積が大きく輸送距離が長いため、その運賃のいかんは農林畜水産業のみならず国民経済上きわめて重要である。よって政府は、農林畜水産関係物資に対する国鉄貨物運賃の遠距離逓減率、特別等級など現行制度を充分尊重するとともに、公共政策割引を恒久化すべきである。」。こういう内容の決議であります。すでに御答弁があったように、中村運輸大臣も国鉄責任者も、この決議の内容は熟知をしておるということでありますから、私は当然この国民の声にこたえるものが政府、国鉄側にあってしかるべきだと思うのでありますが、遺憾ながらこれからお尋ねをするいろいろな点において、結果的に言えばこれらの国会の意思というものをじゅうりんしておるのではないかと疑うのでありますが、幸いにしてこれが疑いが晴れれば最もこれはけっこうなことであります。で、この決議は、いま読みましたように、現行制度の仕組みを十分尊重するということであります。単純に尊重するのではなくて十分に尊重するということであります。私はこの委員会でいろいろ審議をいたしましたその中では、十分現行制度を尊重するということは、別なことばで言えば、現行制度を堅持するという考え方に貫かれて質疑をかわし、結果、こういう決議になったわけであります。現行制度を堅持すべきである。しかしながら、これは全会一致の決議案としては少し表現がきつ過ぎるというので、十分尊重するということに、これは多少経過的にはその表現に幅を持たせたようなことになっておるのでありますが、この際に政府当局、国鉄当局と質疑をかわして出たその経過の中では、いまの特に農林物資については、現行一級から十級までのほかに特別等級として二十一級から二十四級で特別措置を講じておるその制度、その仕組みを十分尊重すべきであるという内容であるわけであります。また公共割引制度は、いままでのように五分刻ざみ一寸刻みに暫定、暫定、でそのつど関係者にいろいろなエネルギーを浪費させないためにも、当然これは恒久制度としてがっちりと運賃制度の中に位置づけるべきものである。この二つの柱が昨年九月十日の決議の趣旨であります。この趣旨を十分わかっておられる運輸大臣にまず伺うのでありますが、まず第一に公共割引制度の取扱いについてであります。昭和二十五年から勘定しますと、三十一回ですよ。三十一回にわたって国鉄が一方的に暫定割引制度と性格を変えた結果、切りかえ切りかえをして今日に至っている、内容も多少変化があります。いまそういう詳細な点は一切触れませんが、いずれにしても三十一回小刻みにこれが暫定の継続をして今日に至っている。もとよりあなた方の御用といえば語弊があるかもしれませんが、政府に大体都合のいいような人たちでできた国鉄の基本問題懇談会ですか、そういう人たちから見れば、その答申にもあるように、こういうものは廃止すべきであるという意見も出ておりますが、しかし、これは冒頭に申しましたように、農林水産業のわが国民経済の中に占めている現実の立場というものを考えたならば、この公共政策割引制度というものは、参議院の決議を尊重するならば、恒久的にこれは制度を明確にすべきものだと思うのでありますが、運輸大臣はこの点についていかようにお考えでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/80
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081・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 今回の第三次長期計画は、御承知のように国民経済全体の立場に立ちまして、輸送需要の要求に応ずるように、国鉄の受け持っております一つの事業範囲の中で、計画を立てたものでございますことは、御承知のとおりでございます。そういう国民経済全体のいわゆる人の輸送、貨物の輸送等を国鉄が分担しております責任範囲において、その使命を達成することによって、国民の生活の安定向上に貢献をしていくというたてまえで計画されたものでございますが、いま渡辺委員が言われます農業の国民生活の中に占めております重要性等も、十分考えの中に入れまして、いわゆる参議院の決議等は十分尊重いたしまして、公共政策の割引等につきましては、今回も残しているようなわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/81
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082・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 立場は運輸大臣ありますが、私の知る限りでは、農業、農民に愛情を持たれる点では、並みいる閣僚にもまさるとも劣らない中村運輸大臣であると理解をしております。ただいまの答弁はわかったようでわからぬのでありますが、尊重した、この際の改定にはそれらを存置したことが、財政的にも組み込まれているようでありますが、これは恒久的に存置したと理解をしていいのですか。そうだと言えばそれだけでけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/82
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083・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 農林物資等の中で、国民生活等にきわめて重要な影響を与えるような物資につきまして公共割引制度をやっているように、恒久的に残したというものではありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/83
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084・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 恒久的に残したというのでなければ、暫定的に残したということですね。それはいつまで存置するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/84
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085・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 今回の改定では、いま申しますように、特別割引を残しておるのでございまして、いつまでということは、いまの時点ではきめておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/85
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086・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 いつまでということをきめないといっても、まさか一年未満でないことは、過般の予算委員会で答弁になっていることでありますが、少なくとも五年とかそこら辺くらいは、これは残すのでしょうね。それでも暫定だろうと思うのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/86
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087・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 今回の運賃是正の計画の中には、はっきり暫定割引というものを残しております。今回の運賃是正が五年続けば五年、十年続けば十年残っていくものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/87
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088・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 再確認をしますが、運賃改定が今後是正されるまでの期間は存置をするという答弁でありますから、これは何しろお互いの立場もあることでしょうから、これをさらに恒久的といってがんばったところで、すれ違って時間ばかりかかりますから、さよう、内容としては、今度は一体改定になるかどうかは問題でありますが、この改定案が、大臣としては、実施されれば、今後改定時期が五年後か十年後かわからぬが、その間は公共割引は存置するという明確な答弁をいただいたので、これ以上この点についてはもうお尋ねをいたしません。そういうことでございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/88
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089・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/89
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090・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それでは次に、遠距離逓減等特別等級について伺いたいのであります。繰り返しましたように、これは現行制度を十分尊重せよということであります。ですからこれは私が冒頭申しましたように、現行制度を堅持するという日本社会党の立場でありますから、そういう立場で考えますと、いろいろ今度の改正案の中に入ってお尋ねをすることは、立場上いかがとも思われますが、改定案の中にもいろいろ問題点があるので、私は以下これから政府の改定案の中に入って、私なりに抱いておる問題点をいろいろお尋ねをして、国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
この法案を見ますと、従来存置しておった二十一級から二十四級の特別等級は姿を没しておる。ということは、私は実質的には、昨年の、国鉄運賃が大幅に改定されるといういろいろなそういう政府の流すムードの中におびえておる農林漁業関係の声を代表して審議をした附帯決議に、これは沿うものではないというふうに思うのです。で、従来の特別等級というものが今度一級から四級まで整理をされた中にもう溶け込んで、これは従来の特別等級というものはなくなっておる。等級間格差を示す指数が現行の一〇〇、九三、八五、七九というものから、一〇〇から九〇に大幅に底上げされたことによってもこれは明らかであり、したがって政府には昨年の九月に決議をしたこの内容を真剣に尊重する気がもしもあったならば、従来存置しておった一級から十級のほかに特別等級二十一級から二十四級までを存置した、たとえば米については本来なれば四級であるべきものを二十四級にしておる。修正した指数からいえばこれは二八の指数の開きをもって優遇しておる。それが今回は単にこれは四級にこれを編入しただけである、具体的に。何らこれは農林物資の特殊性を考慮して、従来の特別等級というものを存置せよという、十分尊重せよという趣旨にこれは沿うていないのじゃないですか。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/90
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091・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 大体尊重しておったのでありますが、遠距離逓減制は、今回も改正せずに存置しております。その他詳細のことにつきましては、国鉄当局からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/91
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092・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 先ほど来貨物の暫定割引並びに遠距離逓減制あるいは貨物等級について、いろいろ御意見を拝聴いたしております。まあ、私はこの問題につきましても、先生御承知のとおり、十数年来農林水産委員会に伺いまして、始終お話をいたしておりますので、よく御承知かと存じますが、端的に申しまして、国鉄に負担力があるというとき、国鉄の財政に余裕があるときは、これはできるだけ農林水産物資に対しては、私は奉仕をしなくちゃいけないし、また、してきたと私は思っております。まあ昨日まで、過去四日間にわたる運輸委員会における各先生方の御質疑も、ほとんど問題はこの点に集約されまして、いわゆる国鉄の負ってる公共負担について一体どうするのだという御意見、御議論がほとんど全部であったように私ども承っておりまして、この国鉄の公共負担の中でも、やはり農林水産物資に対する公共負担は相当大きなウエートを占めておることは、渡辺先生よく御承知のとおりでございます。
暫定割引につきましては、大臣が御答弁をされましたが、暫定という名前をつけましたのは私でございます。そして、期間を短く切ったのも私でございます。と申しますことは、もうすでに大臣が答弁されましたので、私が申し上げるのは蛇足かと存じますが、いまの等級問題にからんで一言だけ申し上げますと、いわゆる国鉄の貨物等級と申しますのは、渡辺先生よく御承知のとおり、戦争前に昭和十年前後に完成したものでございますが、いわゆる鉄道——陸上交通機関で、ほとんどトラックのなかった時分、すなわち、国鉄がほとんど陸上交通機関を独占しておった、いわゆる九十何%の輸送シェアを持ってたときの制度でございます。現在、世界各国、こういう古い貨物等級制度を使ってる国はどこにもございません。フランス自体におきましても、すっかり等級制度が変わっております。この等級制度は、いまおっしゃったとおり、全体の物資を十の等級に分けました。この分けました基準は、税金と同じように、従価制度と申しまして、物の価格によって運賃を変えようという制度でございます。ですから、そのうちのある部分につきまして、いまおっしゃった約百品目でございますが、これを特別等級として、さらに一般等級から三割程度の割引をいたしておるわけでございます。今回の運賃改定におきましては、当然こういった制度改正を一緒にやりたいということで、まず遠距離逓減につきましては、これはいろいろ計算いたしましたが、大体現在の制度でよろしいということで、遠距離逓減等はいじっておりません。これは現行どおりでございます。しかしながら、貨物等級制度につきましては、すでに全然陸上輸送における輸送分野が変わってきております。国鉄が農林水産物資について、それだけの大きな割引をして、そして、他の品目から運賃をいただくということができなくなっております。他の品目がだんだん減ってきております。それで、先ほども御質問がございましたが、貨物運賃は非常に原価を割った赤字輸送をいたしております。この相当大きな部分は農林物資であることは御承知のとおりでございます。今回は実は理想といたしましては、トラックに近くなるべく原価一本でいきたいということでございましたが、あまりにも急激な変化であるので、現在ある特別等級を二つに分けまして、百と九十というふうに分けたわけでございます。さらに、あまり急激な変化は困るということで、大臣のおっしゃいましたように、ある程度の暫定割引のさらにプラスのような形で、約四十億近いものを特別割引をせざるを得ない現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/92
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093・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 農林大臣に伺いますが、この決議ですね、特別等級の現行制度を十分尊重すると附帯決議にあげておるのですが、いまの運輸大臣並びに国鉄副総裁の答弁では、これは尊重したことにはならない。これは国鉄側の言い分をただ述べたにすぎない。われわれの意思というものは、そういう国鉄自体の立場というものを離れて、いわば、これに政府の責任と財政によってカバーするという前提があるわけであります。いずれにしても、現行特別等級というものは尊重すべきものであるということについて、主管大臣はいかなるこれは見解を持っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/93
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094・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) お答えいたします。
この特別等級の問題については、運輸関係の現状から見てこれはやむを得ないということも認められるのでありますが、しかし、農林物資の輸送の点からいきますと、それは相当急激に運賃が上がるという問題に相なりまするので、私どもの立場からいたしますと、そういうときには特別に何らかの調整措置を必要とするということについて、これは強く要請をいたしたわけでありまして、したがいまして、この調整をいたしました物資は、主として農林物資になるわけでございます。大体五十一品目くらいになります。これらについては調整措置をとっていくということで交渉をいたしまして、ほぼこの交渉もまとまっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/94
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095・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 御答弁は次の特別措置にも開通するようでありますから、時間の関係で、私はこの問題ではこれ以上は伺いませんが、この特別等級の設定によって、従来国鉄が負担しておった公共負担は、三十九年度は一体どのくらいか。私の伺うところでは、百九億四千万だということでありますが、その数字に間違いがないかどうか。また、今回の改正によって、この公共負担というものがどの程度になっているかを明らかにしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/95
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096・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の、国鉄の公共負担の額でございますが、この特別等級によるものが、三十九年度の実績で、ただいま先生のおっしゃったように百九億、それから暫定割引が二十億、貨物の合計が百二十九億であります。今度の等級改正によりまして、一応百九億が四十二億に下がります。しかし、このうちで、さらにいま特別措置が復活いたしますので、いまの特別措置約四十億、その四十億のうち、三十四億くらいが農林物資——肥料が農林に入れる場合と通産に入れる場合で若干変わってまいりますが、一応農林関係に入れまして三十四、五億が農林関係でございます。これはほとんど特別措置のうちでございます。したがいまして、現在の四十二億に——いま計算しました四十二億にそれを足しますと、七十七、八億は貨物運送制度上の公共負担として残る。そのほかに、現在の暫定割引の二十億が約二十五億になりますので、それがふえます。以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/96
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097・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 そうしますと、三十九年の公共負担というものが百九億四千万だと、今回の改正によって、この公共負担というものが四十二億と、特別措置によって四十億、大体二十七、八億か三十億くらいというものが、従来の実績からいけば、それだけ農林物資は従来の特権から略奪されたということになる。こういうケースを見ても、私はこの決議がきわめて軽視されたと思うのである。
それで、いろいろ話の出ている特別措置でありますが、これは提出された資料のナンバー6、これの一ページに(5)として「生活必需物資に対する特別措置」というもので、「(米、鮮魚、生野菜、その他につき合計六十九品目)」というものが、この資料には説明が出ておる。私はきょうのこの審議を深めるために、この六十九品目の内訳と、適用する運賃率というものの一覧表の提出を求めたのでありますが、いまだに私の手元に来ていませんが、これは資料として提出願えますか。願えないと、その資料が出るまで、私の質問は暫時休まなければならぬ。具体的な資料によって私は問題点をお尋ねをしたい。そのために、きょう突然としてここで資料要求をしてはお困りだろうから、前もってきのう参議院の委員部を通じて資料の提出を要求しておったが、出てこない。聞いてなければ、いまでもいいが、それを出してください、資料を。ここに書いてあるもののバックデータを出してください。その内容を私はこれから伺う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/97
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098・堀武夫
○政府委員(堀武夫君) 私伺っておりませんものでしたから、失礼いたしました。いま出すことができます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/98
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099・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 伺っていない——まあ事務的に連絡がなかったかもしれませんから、私はまだ出ないことをとやかく言いませんが、早急にこれは出していただきます。その資料が出てから私はお尋ねをします。私の質問はここで一応中断します。予定している宮崎君に、一応農林大臣に対して公明党の宮崎君がぜひお尋ねしたいそうであります。私も農林大臣にも聞きたいことがありますが、しかし、私だけ農林大臣を独占するわけにはまいりませんので、資料の提出される間、私の質問は一時中断します。委員長いいでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/99
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100・江藤智
○委員長(江藤智君) 承知しました。運輸省、至急資料を提出するように。
次は宮崎正義君の質疑に入ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/100
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101・宮崎正義
○宮崎正義君 いま渡辺委員のほうから、こまごまと関係閣僚等に御質問をなさっている途中でございますが、私も農林大臣に特に申し上げておきたいと思うのです。お伺いしておきたいと思いますが、御存じのように、運賃体系が大幅に改められますと、運賃の負担力の少ない農林畜水産関係の物資が大きな影響を受けますことは、私がいまさら申し上げるまでもありませんが、特に二重格差のひずみの中に追い込まれている農林畜水産業者の経済は、不況を相まって激しい打撃をこうむるわけであります。政府の物価対策と、これらの見通しとをあわせて、政府の基本的な所信を経済企画庁長官に、いまおいでにならないようですが、あとでもけっこうですが、運輸大臣並びに農林大臣の今後の所信について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/101
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102・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ちょっとたいへん恐縮ですが……。(「聞いてなかったのか」と呼ぶ者あり)ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/102
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103・江藤智
○委員長(江藤智君) 宮崎君、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/103
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104・宮崎正義
○宮崎正義君 要約しますと、農林畜産水産関係の物資が、今度の運賃の値上げによりまして、負担力の少ない農林水産業者は、さらに二重格差の生活の中に追い込まれていくのだということに対しての農林大臣の将来の考え、それを伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/104
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105・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) お答え申し上げます。
この運賃の問題は、なかなか農林物資については相当関係がございまするので、これらの問題について私どもも非常な関心を持っておるのでございます。したがいまして、たとえば遠距離の逓減の改正をいたさないという点について、話し合いを進めて、大体そういう方向でいきましたのでございます。それからまた、この特別等級を非常に減らしたという問題についても、急激にこれは影響があるという点について、それらの緩和方策としてこの矯正措置を講ずるという点についても、先ほど渡辺委員にお答え申し上げましたとおり、重要物資五十一品目についてそれらの処置を講ずるということで、大体これらの処置も交渉がまとまってきておりまするので、そういう点、それからして公共政策割引制度、これらにつきましても存続するということに相なりましたので、これならばとにかく現在の情勢からしてやむを得ないであろう、こういうふうに私ども見ておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/105
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106・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 今回の運賃是正の問題の中で、農林物資に対する処置について御質問でありますが、今回の第三次長期計画は御承知のとおり、国家の経済の成長に伴いまして、輸送需要、人と貨物の輸送需要が非常に急激に増加いたしまして、現在国鉄の持っておりまする輸送能力との間に、非常に大きな開きがふえた。この開きを埋めて国民の要求しておる輸送需要に対応した国鉄の能力をつくり上げてまいりたいというたてまえでつくり上げました第三次長期計画の中における運賃是正でございますので、基本的には、国の経済全体、物資全体、人の流れ全体等を目的としてつくり上げた計画でございます。しかしながら、この農林関係の物資、それから農業の受け持っております国民生活における重要性等を勘案いたしますときに、農業の非常に、今日の状態から申しますと、成長度からいっても格差のひどい不利な立場に置かれておる農業の立場等を十分考えまして、さらに、参議院等における、あるいは衆議院でもそうでございますが、農林水産委員会の再々にわたる決議等をも十分尊重いたしまして、農業生産物の中で国民生活に大きな影響を与える物資、あるいは農民生活に大きな影響を与える物資につきましては、できるだけ割引率を高くして負担を軽くしていくようにという配慮のもとに、今回の公共割引、政策割引を生かしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/106
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107・宮崎正義
○宮崎正義君 先ほど農林大臣の御答弁がありましたんですが、私は生活必需物資に対する特別措置としての生活必需物資の米、鮮魚、生野菜あるいは肥料等、特にこれらが取り上げてあるわけなんですが、この資料によりますところの基準率との関係がどうなっているのか、その点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/107
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108・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 政府委員から答えさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/108
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109・岩下龍一
○説明員(岩下龍一君) 私から基準率の改定について申し上げます。
米につきましては、基準率でございますと、三三・九%の値上がりでございます。それが特別措置によりまして一五%となっております。それから大麦につきましては、三三・九%が一七・二%、それから小麦につきまして、三三・九%が一七・二%、それから、なま大根二四%が一五%、なまバレイショ二四・四が一五・〇、それからタマネギ三三・九が一五、それからサバ三四・四が一五、アジ三四・四が一五、みそ、しょうゆ二四・四が一七・二、それから肥料につきましては、ただいま折衝中でございますが、肥料につきましては、硫安が三三・九が一五、過燐酸石灰三三・九が一五、それから大豆かす二四・四が一七・二、それから、まきにつきましては、二〇・二が一七・二、おおむね以上のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/109
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110・宮崎正義
○宮崎正義君 お伺いしますと、一五%の上昇率になるわけでございますが、これらは生活を圧迫していく大きな基礎になっていくのでありまするが、もっとこれを縮めるわけにいかないのかどうか、将来に対する考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/110
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111・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 現在の時点では、この案で御承認を願いたいと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/111
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112・宮崎正義
○宮崎正義君 農林大臣に伺いますが、運賃の値上げによりまして、農林水産物資の価格が、じゃどの程度の影響を受けるのか、いま政府委員から言われましたおもな農産物については、どの程度の影響を受けていくか、詳細に御説明を承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/112
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113・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) お答えいたします。
消費者価格において、大体のところでございますが、〇・二%程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/113
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114・宮崎正義
○宮崎正義君 農林大臣は二時十五分に退席されるということなんで、さらにお伺いしておきたいのですが、農林畜産物の物資の貨物運賃が、この法案どおり決定されたとして、どれくらいの影響があるのか。また、運輸大臣には、どれくらいの増収になるのか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/114
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115・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 国鉄当局からお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/115
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116・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 今回の運賃改定によりまして、貨物運賃全体で二百五十六億の増収を期待いたしております。旅客運賃は千五百億程度ですが、貨物運賃は二百五十六億、その中で、これはまあ農林物資、通産物資という分け方が非常にむずかしいのでございますが、一応常識的に農林物資——一応肥料は共管でございますが、農林物資として入れますと、農林物資からあがってまいりますのが百十八億九千万円、それから通産物資からあがりますのが百四十一億、そのほか、たとえば、たばこ、酒、ビール、こういったものから五億程度の増収がございますが、全部で二百六十五億でございます。このうちから、さっき渡辺先生の御質問にお答えいたしましたように、四十億を主として農林通産物資にお返しするわけでございます。したがいまして、所定賃率によって計算した数字から、農林物資において三十五億、通産物資において五億減ってくる、こういう勘定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/116
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117・宮崎正義
○宮崎正義君 いま国鉄副総裁から回答がございましたけれども、私は農林大臣として自分の主管しておるところのものがどれくらいあるかというくらいのことは、すぐにお答えができるようでなければならないと思うのであります。
それからさらに農林大臣に伺っておきたいのでありますが、畜産経営の支出経費の六〇%から七〇%を占めていくのは飼料だと思うのでありますが、運賃値上がりになりますと、直接飼料の価格にこれが大きく反映してくるわけです。そうしますと、畜産農家の経営はその負担に耐えられぬようになってくるのは、これは理の当然でございます。また、肥料と飼料とは切り離すべきものではないのでありまして、現在は肥料の需要より飼料のほうが重要視され、また多く使用されております。こうした事情下で、当然飼料も一五%の引き下げがあるべきじゃないか、また、この飼料を品目の中に当然加えらるべきじゃないか、こう思うわけなんですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/117
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118・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) お答えしますが、飼料の問題については、これはいま仰せのとおり、畜産関係については相当問題があるのでありまするので、この点は一五%程度にいま交渉中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/118
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119・宮崎正義
○宮崎正義君 飼料の年間の輸送の取り扱い量がどれくらいあるか、農林大臣、御存じでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/119
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120・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 昭和三十九年度の実績でごさいますが、肥料——硫安、石灰窒素、過隣酸石灰、その他の無機の肥料、有機の肥料、全部合わせまして、トン数が七百八十二万トン、平均輸送距離が三百十九キロになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/120
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121・宮崎正義
○宮崎正義君 それは肥料でしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/121
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122・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 飼料でございますか。
飼料につきましては、ちょっと小計いたしておりませんが、おそれ入りますが、飼料と配合飼料と別々に申し上げさせていただきますが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/122
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123・宮崎正義
○宮崎正義君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/123
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124・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 飼料は、二十三級でございまして、トン数が百三万七千トン、配合飼料が同じく二十三級で、トン数が二百三十六万一千トン、平均輸送キロが、飼料が三百二十四キロ一分、配合飼料は三百二十八キロ四、運賃が、現行運賃で、飼料が九億三千二百万円、配合飼料は二十一億八千八百万円。これは本国会に提出いたしました予算の積算の内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/124
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125・宮崎正義
○宮崎正義君 先ほどお話がありました、渡辺委員のほうからお話がございましたのですが、暫定割引制度について運輸大臣のお答えがあったのですが、いつになるかわからないと言われたのですが、どうもそれではちょっと納得しかねるのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/125
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126・江藤智
○委員長(江藤智君) ちょっと宮崎委員、農林大臣は二時十五分、本会議の関係がありますから、ようございますか、退席して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/126
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127・宮崎正義
○宮崎正義君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/127
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128・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 先ほど私が、暫定割引期限をいつまでかという渡辺委員の質問に答えましたのは、現在の運賃是正の続く間は政策割引は変えませんということでございます。
それから、ついででございますが、先ほど宮崎君が質問なさっておりましたえさ、配合飼料のことと存じますが、これは、今日国民生活の中で食生活が非常に大きく変わってまいっております。畜産物を国民が消費する量が非常に画期的というくらいに変わってまいっております現状等を考えますときに、さらに農業が畜産に大きく転換していっておる経過等考え、いろいろえさの問題、配合飼料のふすま等の問題につきましても、これはやはり公共政策割引として考慮をすべきものであるという見解に立ちまして、目下その方向で検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/128
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129・宮崎正義
○宮崎正義君 申し上げるまでもありませんが、この制度は、大衆の生活にいまおっしゃられたように直結している生鮮食料品の価格を安定するということは当然でありますが、農林畜水産業者の、またその事業の助長になっていく目的で設けられたと思うのでありますが、これは当然公共的な施策であり、昭和二十五年からと思いましたけれども、実施されて、毎年延期されておるようでありますが、今日までそれが及んでいるということになっているのですが、そういうことから考えましても、この処置がいかに適当であるかということをこれは証明しているのじゃないか、こう思うわけであります。たびたびこの件につきましても附帯決議がきめられているとおりでありますが、この際、恒久的な処置を考えるべきじゃないか、こう思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/129
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130・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) この公共政策割引の出発のときには、現在の農業の実態、あるいは農業が国民生活に及ぼす影響等を勘案しました特別の割引率でございまして、これは他の一般物資から見ますと、非常に大きな割引率になっておりますので、やはり国民生活全体、産業全体から考えまして、私はいまの時点におきましては、暫定割引処置で——農業の状態が特別に大きな変化を来たさない限り、いま言いますような暫定割引制度でこれを続けていったほうがいいのではないか、かように考えておる次第でございまして、現時点におきましては、恒久的なものとする意思はいまのところ持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/130
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131・宮崎正義
○宮崎正義君 貨物の等級品目等につきましても、いまの時点と、これをきめられた当時の時点とが、だいぶ違うように思うのであります。そういう観点の上からいきましても、いまのお話はどうも納得できないのでございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/131
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132・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 私も気持ちの上では、農業生産物等の運賃は、できるだけ農業の性格等から考えましても、安くしてあげたほうがいいという気持ちを持っておりますが、今日の国鉄の財政状況から考えますときに、今回の運賃是正にとっております割引率が、まあ国鉄のほうにも相当気張ってもらった一つの割引率だ、かように考えておる次第でございまして、今回はこの程度でひとつ御了承を願いたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/132
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133・宮崎正義
○宮崎正義君 次にお伺いしておきたいことは、大型貨車を使う割引率のほうがよくて有利なようであるように思われるし、また、一体、大型貨車と小型貨車との車両の数はどんなような割合になっているのでしょうか、この点、運輸大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/133
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134・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 国鉄当局からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/134
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135・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) お答え申し上げます。
貨車の大型、小型によりまして、今回の制度改正による影響は違うわけでございます。で、従来国鉄は、貨物の積んである状態によってその運賃をいただくのでなくて、貨車の標記トン数というのがございますが、それによっていただいておったわけでございます。こういたしますと、軽い荷物の場合にはトン当たりの負担が多くなって、また、減トン制度ということが、多少の修正をいたしてはおりましたけれども、軽い荷物は損するわけでございます。したがいまして、実際に各一車ごとの運送に要した経費にできるだけマッチしました、いわゆる原価主義といいますか、完全な原価主義ではございませんけれども、運送に要する実費に応じて運賃をいただこうというように今回は制度を直そうとしているわけでございまして、どういうことをやるかと申しますと、貨物を運送する実費は、荷物の目方と車の目方を足したものに比例するわけでございますので、従来の貨車標記トン数主義から実重量主義といいますか、に今回は移行することにいたしたいのでございます。そういたしますと、結果といたしまして、小型車のほうが荷物に対する自重の割合が大きいのであります。大型化すればするほど、荷物に対する貨車の目方の割合が減ってまいります。したがいまして、今回の改正では、十五トン車よりは三十トン車一ぱい積みましたほうが五%ばかり安くなる、こういう計算になっております。諸外国では大体こういうような制度にもうすでになっているわけでございまして、世界的に見て、日本のやり方は非常に古いのでございまして、今回これを直したいわけでございます。
それから、いまお尋ねの、貨車の大きい、小さいの数でございますけれども、現状では、大きな貨車は非常にまだ少ないのでありまして、大部分が現在は十五トン車が基準のようなかっこうになっております。しかしながら、だんだんと国鉄も速度を上げなければなりませんし、輸送原価を下げるという意味におきまして、できるだけ大きな型の貨車を今後つくっていきたい。十五トン車はあまりつくらずに、三十トン車をつくっていきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/135
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136・宮崎正義
○宮崎正義君 参考に伺っておきたいのですが、トン数別と貨車の種別数ですね、トキとかトラとかありますが、それらの数を知らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/136
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137・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) お答え申し上げます。
総数が十四万両貨車はございます。そのうちで、ワキと申しますのが、有蓋車では一番大きい貨車でございますが、これが千三百十八、レキというのが二十七、トキというのが五千五十九、小さいチキで二千七百八十八、その他を合わせまして大型貨車は一万五千六百七両でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/137
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138・宮崎正義
○宮崎正義君 車扱い貨物の貨物等級の等級表にありまするが、減トンの表示ある貨物に対しては、このトン数を差し引いたものを運賃計算のトン数としていると言われておるのですが、この表示ある貨物とはどういうふうな貨物になっているのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/138
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139・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) お答えいたします。
現行の等級表上減トンの表示あるもの、こういう貨物がたくさんございますが、これは軽量品でありまして、十五トン車に一ぱい積んでも十トンとか、それしか積めない場合に、運賃計算トン数を一トンないし二トン引いて計算をする、そういう表示が等級表上ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/139
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140・宮崎正義
○宮崎正義君 そこで、中小企業及び零細産業等、物資の数量あるいは資金の大小から判断いたしましても、私は小型車のほうが依存度が多いように思うわけであります。この点についてはどうお考えでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/140
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141・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) 先ほど大型車といたしまして、三十トン車の数を申し上げたのでありますけれども、現在大部分が十五トンでございまして、十トン車が少々ございます。そうして、少量の取引をされます方は十トン車を希望される場合が多いわけでございますね。そういたしますと、も配車上、少数の貨車の配給でございますから、ちょっと手間もかかりますし、その場合には、今後この制度の改正が行なわれますれば、十五トン車を配車いたしましても、十トンの貨車をお使いになると同じ運賃にしようということでございまして、十トン御希望の荷主さんには、従来なかなかこの十トン貨車が回ってこなかったわけでございますけれども、今日は十五トン車を使いましても、十トン車を使ったと同じ運賃でございますので、小型の荷主さんには輸送の御都合がよくなる、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/141
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142・宮崎正義
○宮崎正義君 車扱い貨車について少しお尋ねしてみたいと思うのですが、今度の賃率の改定で、現行貨物の等級制度を廃止する方向で当面上下の幅を圧縮しているということでありますが、普通等級に編入されたものについて、基準の三級賃率ですか、三級賃率を基準として、一、二等級のものと四等級との賃率は、現行法と比べてどうなるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/142
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143・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) 現在までの等級表では、普通等級が十ございまして、特別等級が四、合わせて十四ございましたわけです。そうして、一というクラスは、これは非常に高価品ばかりございますけれども、運賃の指数が一六〇ということになっておりました。最低の特別等級の四が七五ということになっておりました。したがいまして、最高最低の幅が二倍ちょっと以上と、かようなことになっておったのでありますけれども、まあこういう負担力主義を非常に強く採用いたしております等級制度では、競争状態が激しくなりました今日、値段が高く、しかも運賃の高い貸物はなかなか鉄道にまいらない、こういうようなことで、世界的にすべてこういう等級制度を廃止しますか、あるいは上下の幅を圧縮いたしております。今回は一、二、三、四という四つに分類をいたしまして、それぞれ現在までの等級表の位置をそのままもちましてこの一、二、三、四に編入するようにいたしたわけでございます。一のクラスが一三五という指数であります。四のクラスが九〇という指数であります。一が二二五の、四が九〇であります。そういたしまして、特別等級の従来一、二、三、四、四つございましたが、その一と二の品目は三という基準——三は一〇〇でございますから、一応平均運賃ということになりますが、そこに編入をいたし、三と四は新しい四というところに入っていただく。この四というところは九〇でございまして、一割引きということになっておりますが、従来特別等級の三と四を適用されておりました貨物は、この四の九〇のところに編入をしたいと、かように思っております。そういたしまして、従来の三と四が新四に入ります結果、先ほどいろいろお話が出ておりますところのお米でありますとか、そういうものが、平均値上げ運賃率以上上がるわけでございますね。それを特別の措置によりまして一五%にとどめようと、こういうようにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/143
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144・宮崎正義
○宮崎正義君 いまのお話を承って、さらにお伺いしてみたいのは、貨物等級品目を見ますと、一トン当たりの等級価格の高いもの、すなわち、需要度の少ないものが上昇率が低くなっておるようであります。また、これに反して、国民の需要度の多いもの、特に、先ほど来からお話があります農林物資が多く占めております。それらが換算指数が上昇しているということは、中小企業の立場においてもちょっと納得しがたいのでありますが、この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/144
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145・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) お答えいたします。
従来の一、二、三級の貨物でありますけれども、これは、先ほど申し上げましたように、値段が非常に高いわけでありまして、国鉄の現在の運賃が負担力主義でございますから、値段の高い荷物は高い運賃を取る、かように格づけをされております。したがいまして、自動車が発達いたしました今日、一、二級の貨物は原則的には鉄道に来ないわけであります。高級製品でございますラジオ、テレビというような貨物は、国鉄では原価の倍近くいただくことになっておりますが、トラックのほうは平均原価で運んでおりますから対抗ができないわけでありまして、現在非常に輸送トン数が少ないわけであります。したがいまして、国鉄営業上といたしましては、なるべく普通平均の運賃にこれを近づけまして、企業努力によりましては、近代化された製品も鉄道にできれば乗せたい。現在ほとんど乗っていないわけです。そういうつもりでもって、一、二級のほうの指数を下げましたわけでありますが、これが国鉄の営業施策によりまして、はたして鉄道に乗るか乗らないかは、今後のわれわれの企業努力でございますけれども、そういうようにいたしたいと思っております。したがいまして、この上の等級の運賃が下がりましても、これは国鉄の減収にはならないわけでありまして、現在乗っていないわけでございますから減収にはならない。そこが減収にならないのはおかしいという御議論もございますけれども、現在は乗っておらぬわけでございますから、これが乗ることによって国鉄の増収になると、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/145
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146・宮崎正義
○宮崎正義君 ついでに数字をちょっと示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/146
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147・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) 運賃の指数のお尋ねかと思いますけれども、現在の一等級は一六〇でございます。それを二二五というところに下げるわけでございます。大体現行運賃の幾らか低目というところに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/147
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148・宮崎正義
○宮崎正義君 いま私の伺い方が悪かったんですが、いずれにいたしましても、等級のトン当たりに対する高いものが需要度が少いから低くなっているのが従来の姿であるというように言われるわけですが、多く使われるものをやはり中心に考えられて、より運賃の是正をしなければならぬ、こういうふうに思います。また、貨物の積み合わせをやるときに、運賃の計算はどうなっておりますでしょうか。また、等級の高いもの、低いものを積み合わせて、どういうふうな割合に計算されるのですか、この点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/148
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149・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) 等級の違う荷物を一車にまとめまして託送される場合には、高いほうの等級が原則的には適用されるわけでございます。しかしながら、魚などについては、同じ車に、大衆魚と高級魚とございますが、そういうものが混載される場合がございますが、そういう場合には、特別な例外の運賃をきめております。原則的には高いほうの等級によって計算することになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/149
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150・宮崎正義
○宮崎正義君 こうした考え方の、高いほうというのではなくて、その中間的な、あるいは低価格のほうをとるようにすべきじゃないか、こう思うわけですが、この点について将来の考え方を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/150
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151・遠藤鉄二
○説明員(遠藤鉄二君) お答えいたします。
混載された場合は、きわめて例外でございまして、この場合、低いほうの貨物の等級を適用いたしますと、これは悪い言い方でございますけれども、荷主さんの大部分は、高い貨物を積んで、そこに一部安い貨物を積めば全部が安くなると、こういう結果が営業的には出てまいりますので、われわれはそれを避けるために、高いほうの運賃を適用いたしておるわけであります。それからまた、実際、高いものが何割で低いものが何割であったかということを一車一車ごとに計算をやるというのも、実務上なかなか容易なことではございませんので、従来とも高いほうの等級を適用いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/151
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152・宮崎正義
○宮崎正義君 鉄道の定期旅客運賃に対して私は素朴な質問をしてみたいと思うのですが、普通定期及び通勤定期を購入しまして、われわれ国民生活上いろいろな事情ができまして、急にその定期を取りやめにしたいという場合に、ちょっとした区間の書きかえとか、あるいは、それを取りやめて払い戻しをしたいというようなことがずいぶんあるわけなんです。こうした場合に、発行後幾日間くらいでそれができるのかどうか、それを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/152
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153・今村義夫
○説明員(今村義夫君) お答えいたします。
発行後、たとえば長い定期でございますと、三カ月とか六カ月の定期でございますと、使用開始前では全額返すわけですが、使用開始後ですと、一カ月分を差し引いて、あとの分は払い戻す、それから一カ月使用開始後三日以内でございますと、不要となった事由を証明する証明書が提出された場合には、既収の定期旅客運賃からその経過日数を差し引いて払い戻すということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/153
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154・宮崎正義
○宮崎正義君 定期利用者の加入者の数と、それからその金額と、また、途中でやめられた数と額との現況がわかっておれば示してもらいたいと思うんです。と言いますのは、定期旅客運賃の割引は、国民大衆にとっては非常によい制度であると言われておるのですが、私は現行よりももっと割引率を上げるべきだと思っておるのであります。と申しますのは、たとえば購入して五日目に会社の都合、あるいは長期出張等で使わなくなってしまった、また、移住等余儀なくするとか、不幸にして会社が倒産した——昨年なんかは中小企業が六千件も倒産している、そういったそれぞれの人が使用しなくなったり、また、病気やその他の理由で死んだりなんかする人がおる、こういう人たちは、勢い定期は宝の持ちぐされのような形になると思うのです。そうしますと、使用しない運賃をどれぐらい計上されたということになるのか。また、申し上げるまでもなく、一カ月間または三カ月間、あるいは六カ月間の通用期間の定期旅客として運賃を先払いしている、その定期も、日曜日や、また休日に使用しない分、そういう点から考えてみましても、この割引率とどういうふうなあんばいになっているのか。また、納入するものは全部、何カ月分の定期であろうと、先払いなわけですから、それらの金利を換算しますと、現行法よりもっと割引率をよくしなければならないじゃないかと、こう思うのですが、その点について御説明をお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/154
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155・今村義夫
○説明員(今村義夫君) お答え申し上げます。
第一の定期の払い戻しの件数は、実は調査はいたしておりませんで、その実数をつかんでおりませんので申し上げかねますが、確かに払い戻しの必要があることは確かでございます。
そこで、いま申し上げましたのは月割り計算でいくというのが原則でございまして、たとえば区間を変更する、勤務先をかわったために区間を変更する必要があるとか、死亡——なくなられたというような場合には、旬で計算いたしておりまして、その旬以後のものは払い戻す、こういうようなことにいたしているわけでございます。それから、あるいは天災地変なりそういった場合には、その天災地変で不通になった期間中は払い戻し、天災地変でお乗りにならなかった場合はその日割りで払い戻しをするということをやっておるわけでありまして、したがって、そう不当な扱いをしているとは思っておりません。
それから最後の利子等の計算をすれば、もっと割引率を高くしてもいいじゃないかというお話でございますが、そういう利子その他の計算をいたしましてこういう制度になっておるわけでございます。まあ、特にいままでのいろんな委員会における議論からいたしましても、そういうことはやはり一つの公共負担でございますので、私どもとしては、公共負担の額はこれ以上ふやしていただきたくない。むしろ、公共負担は政府の補償をお願い申し上げたいという気持ちでございますので、大体、現在のような公共負担の是正はやむを得ないのじゃないか、私どもはぜひそうお願い申し上げたいと思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/155
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156・宮崎正義
○宮崎正義君 いまのお話ですが、むしろ、それは逆じゃないかと思うのです。もっと実態が、いまの件数とか、あるいは金額等が出なければ、はっきりしたことは言えないと私は思うのです。むしろ、今度の改定じゃなく、現行よりもっと下げるべきである、こう私は言いたいのであります。
時間等の都合で私の質問は以上で終わりたいと思いますが、あくまでも国民大衆を基盤に置いたところの運賃改定じゃなければならないし、また、それが即国民大衆の生活に必ず影響してくる、その影響度が大であるということを考えられて、国民大衆の中に立ったところの改定でなければならない、これを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/156
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157・江藤智
○委員長(江藤智君) 近藤信一君の質疑に入ります。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/157
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158・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記をつけて。
近藤君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/158
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159・近藤信一
○近藤信一君 国有鉄道運賃制度の改正は、この値上げが国民生活全般にわたりまして非常に大きな影響力を持っておるのでございます。したがいまして、あらゆる角度から十分にこれを検討する必要がある、こういう意味で、私ども商工委員会としても連合審査をお願いしたわけでございまして、この連合審査に運輸委員長並びに運輸委員の諸君がこれを了とせられまして、この連合審査になりましたことを私は厚く感謝いたします。
そこで私は、運輸行政に対しましては非常にしろうとでございまするから、運輸委員の諸君が質問されたことと重複するかもわかりませんが、また、とんちんかんな質問が出るかもわかりませんが、その点はひとつ御了承を願いたいと存ずる次第であります。
そこでまず、国有鉄道の意義についてお尋ねするわけでありますが、日本国有鉄道法が昭和二十四年に施行をされました。この鉄道法を見ますると、その目的の第一条に、「国が国有鉄道事業特別会計をもって経営している鉄道事業その他一切の事業を経営し、能率的な経営により、これを発展せしめ、もって公共の福祉を増進することを目的として、」と、こうなっておるわけでございます。そういう意味で、これが、国有鉄道というものは設立されておる。能率的な運営で今日までこれが行なわれてきておるということでございまするならば、私は今日赤字が出るということ自体がおかしいではないか、こういうふうに考えるのです。公共の福祉に反して運賃値上げというものがなされるということは、私はこの第一条の違反に当たるのじゃないかと思うのですが、まず、この点について明快にひとつ答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/159
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160・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 私は国鉄が今日までやってまいりました実績というものは、国民の必要とします輸送需要に対して、これに十分こたえるだけの体制をとりながら来たと思いますが、戦後のいろいろな事情、国情といいますか、そういう状態が一つは大きなやはり国鉄の機能に打撃を与えたような結果ももたらしたと思うのです。さらに、最近における国民経済の急激な上昇過程におきまして、国民の必要といたします人の動き、あるいは貨物の流れ等に対応いたしましての国鉄が持っております設備というものとの間に、大きな一つのアンバランスを生じた。そういうことから、私はいま指摘をなさるようなあるいは見方があるのかと思いますが、私は国鉄自体はきわめて忠実に本来の趣旨に沿ってきたと思いますが、いま私が申し上げますような、そういう事態に当面して今日の経営状態が非常にむずかしくなっておる、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/160
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161・近藤信一
○近藤信一君 しからばお尋ねいたしまするが、公共の福祉とは一体、じゃどのようにあなたのほうでは解釈をしておられるのか。やはり私は公共の福祉ということであるならば、いわゆる一般国民に利益を与えないようなこと、いわゆる不利益をこうむるようなこと、これをしていること自体が私は公共の福祉に反するのじゃないか、こういうふうに思うのですが、あなたのほうの公共の福祉というその解釈について、どう考えておられるのか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/161
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162・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 私は、国鉄は国民の必要といたします輸送需要にこたえて、そうして国有鉄道の持っております使命を十分に達成いたしまして、国民の経済の成長に協力し、国民の生活の安定向上に資するという使命を持っておるもので、その使命に沿って国鉄の経営が行なわれておると、かように解しておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/162
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163・近藤信一
○近藤信一君 そこで、今回の運賃法が改正になりまするならば、いわゆる四十年度には一もうあと一カ月でありますが、四十年度には運賃の収入がどの程度あるか、さらに、値上げによりまして、四十一年度にはどれくらいの見込みを立てておられるのか、その点おわかりでしたらお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/163
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164・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 国鉄当局から答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/164
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165・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 今回の運賃改定によりまして、四十年度と申しますと、ちょうど三月中でございますが、四十年度中の運賃収入の増加分が約百三十億円、運賃法施行の日がきまりませんので正確に申し上げられませんので、三月分は一日大体四億四千万、二月分が大体一日約四億というふうに計算いたしております。来年度につきましては約千六百億でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/165
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166・近藤信一
○近藤信一君 四十年度は、三月のが一日四億幾ら、四十一年度には千六百億くらいを見込まれるわけなんですが、その増収額を今度は旅客運賃と貨物運賃に分けまするならば、一体どういう比率になるのか、この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/166
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167・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 正確には千六百五十億でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/167
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168・近藤信一
○近藤信一君 それは旅客のほう……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/168
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169・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 合計でございます。貨物が二百六十六億でございます。旅客が千四百三十四億でございます。これは四十一年度分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/169
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170・近藤信一
○近藤信一君 いま増収の収益の分は御答弁がございましたが、国鉄の増収額は、これはだれかが負担しなければならぬのでございますが、その負担について、運輸省なり国鉄はどんな推測を持っておられるのか。そこで、旅客運賃について値上げの激しい通勤定期について、国鉄はその負担は官庁や会社がこれは負担しているというふうなことも言っておられますし、これは個人で負担しておるのも多くございます。少なくとも大部分は事業者が負担していると、このようにも聞いておるわけでございまするけれども、その調査がもしあなたのほうでできておりまするならば、それをお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/170
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171・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの前半の質問の、旅客、貨物の分け方の問題でございます。これにつきましては、どういうふうに旅客と貨物に配分すべきかという問題、いろいろな角度から議論しなければならぬ問題でございまして、主として私どもといたしましては、三つの立場から考えておるのでございます。
一つは、戦前との倍率の問題でございまして、戦前の昭和十年前後、わりあいに国鉄運賃レベルが平静を保っておった時分のことでございますが、それと比較いたしますと、旅客運賃が現在百六十一倍、貨物運賃が二百十二倍ということになっております。したがいまして、旅客運賃につきましてのほうが、貨物運賃よりも上げ幅の余裕があるのじゃないかということで、もし今回、いまお願いいたしております運賃の是正ができますと、旅客が二百二十倍になります。貨物が二百四十二倍になります。まだ若干貨物のほうのレベルが高いというふうに考えられますが、大体いまほどの格差がなくなってまいる、こういうふうに考えております。これが第一点でございます。
それから第二点といたしまして、今度の運賃値上げによります増収分約一兆二千億のうち、八千億程度のものは設備投資に回るわけでございます。もちろん全額回るわけではなしに、全額のうちの四分の三が設備投資に回りまして、四分の一が大体人件費その他の経費の増加になるわけでございますが、設備投資の面から申しまして、客貨どういうふうに負担すべきかという議論が一つございます。これは全体の二兆九千億の設備投資のうち、鉄道におきましては、旅客、貨物に共通する部分が非常にございます。たとえば単線を複線にする、あるいは電化するという場合に、これを旅客、貨物どういうふうに配分すべきかと、いろいろございますが、一応二兆九千億のうち、純粋に両方に共通に使えるものは約一兆七千億でございます。純粋旅客だけに使うものが約七千億、それから純粋貨物に使うものは約五千億、合計二兆九千億になりますが、いわゆる運賃値上げによりまして国民からいただきましたお金の四分の三を設備投資に回すとすれば、その設備投資は、旅客と貨物のいずれに回るかという見方も一つの見方でございます。これはいま申しましたとおり、共通部分が一兆七千億で、残ったのが、純粋旅客七千億、純粋貨物が五千億、これも一つの中に入ります。もう一つは、けさほどもお話がございました、いわゆる客貨の輸送原価の問題でございます。御承知のとおり、これもどうやって原価を計算をするかということは、非常に世界各国のどの国鉄も非常に苦心をしておりますが、一応いま私どもでとっております原価計算、いろいろ前提がございますが、その原価計算によりますと、旅客は相当黒字で、貨物は相当赤字、こういうことになっております。したがいまして、もし運賃を是正するならば、貨物に重点を置くべきじゃないかという問題も当然議論としては出てくるわけでございます。さらに物価との関係、これもいろいろ午前中お話がございましたが、一体直接物価に響くのはどちらが大きいか、これもいろいろ見方がございますが、各専門の御意見なども承りまして、平均して〇・三二%、これの客貨別の配分は非常にむずかしいのでございますが、そういう物価への影響等も考慮いたしまして、いま申しました三つの点を総合的に考慮いたしまして、旅客が千六百五十億のうち千四百億、貨物が二百六十五億、こういう一応の結論に達したわけでございます。
また、いま御質問の、そのあとのほうの定期の分担の問題でございますが、私ども今度、現行の通勤定期一カ月現在七割五分六厘の割引をいたしております。割引が七割五分六厘引きでございます。それを今回六割五分八厘引きにいたしたいというのが、通勤定期の修正案でございます。それによりますと、御質問の中のいわゆる通勤定期の負担個所でございますが、いろいろ私のほうである一定の日にちを限りまして、数日間抽出調査をいたした結果、いわゆる雇い主負担の、雇い主が全部負担する——一部負担するものを別といたしまして、一応雇い主が負担をしておるのは約八五%ございます。純粋に個人の負担が一五%、雇い主の負担八五%のうち、全額まるまる負担をするものと、それから御質問のように一部しか負担しないもの、こういうふうにいろいろ分かれております。たとえば国家公務員におきましても、全額負担でなしに、いわゆる限度負担になっておりますので、これらは非常にこまかい数字になりますが、御質問がございますればそのときに御答弁申し上げますが、一応全体としては八五%、その中に全額、一部、いろいろ入っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/171
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172・近藤信一
○近藤信一君 そこで、この通勤定期は、まあ官庁や大企業は、おおむねこの事業者が負担をしておるのが多い。ところが、中小企業関係にまいりますると、これは個人負担が多いわけなんであります。ところが、今度運賃が上がりましてさらに高くなるということになりますると、その負担分というものが個人にかかる場合と、また、中小企業でも事業者側でめんどうを見ておるところもございまするから、その中小企業者の今度は事業者側に負担がかかる、こういう点が出てくると思うのです。そこで、やはり私は中小企業に負担のかかるということは、また、その中小企業で生産をしておる生産コストにこれがかかってくるのじゃないかというふうな見方もできるわけなんですが、この点はあなた方はどういうふうなお考えを持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/172
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173・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 私のほうの調査でございますので、いわゆる各事業の内容まで立ち入って調査するわけにはまいりませんでございましたが、昨年の昭和四十年の調査によりますと、私が先ほど申し上げました八五%は、一昨年の資料でございまして、昨年は八八・五%、そのうち全額負担が三三・二%、一部負担が五五・三%、公務員はほとんど一部負担に入りますが、全額本人負担が一一・五%ございます。
それから最近の調査になりますと、いわゆる中小企業でも非常に労働力の獲得がむずかしくなっているということで、わりあいに中小企業においても、たとえば東京の下町などでよくわかりますが、下町の各駅に発着する通勤客の調べによりましても、必ずしも中小企業が全部この一一・五%の本人負担だということにはなっておりません。しかし、全般として確かに中小企業に働く皆さん方には全額本人負担が、割合からいえば多いということも事実でございますので、その点はたいへん私どものほうといたしましては、負担の重くなるということは心苦しい点であるというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/173
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174・近藤信一
○近藤信一君 貨物運賃につきましては、これは生産者の負担分になるのと、それから消費者の負担分になるのと、こう議論が二つに分かれるわけなんです。そこで、もし、これが生産者が負担するということになりますれば、これはやはり消費者物価というものにはね上がってくるのじゃないかということも考えられるわけでございまするから、やはりこの点は、私はどっちがどうということはできないと思いまするけれども、貨物運賃の増収分の内訳として、あなたのほうはこれはどういうふうに見込んでおられるか、この点でございまするけれども、それがこの生産者の負担になる分、これはこまかいからちょっとわかりませんかもしれませんが、また、これが消費者の負担になる分と、こういうふうにもし影響してくるとすれば、どのような結果が生まれてくるのか、もしお調べになっておられるならば、この点御説明が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/174
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175・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問は、実は私どもあまり専門でございませんで、正確な調査がたいへんむずかしいのでございますが、いま先生のおっしゃったように、生産者がまるまるかぶる分と、それから最終消費者まで持ち越す分と、それから中間のマージンで消えてしまう分と、それからもう一つは、二次製品的なものに吸収される分と、いろいろ実はございまして、なかなか一がいに、たとえば生鮮食料品と鉱産品では非常に違うということもございまして、一がいに申し上げかねますが、ただ少し見方を変えまして、品物の価格の中に占める運賃の割合というものも一つの見方だと思っております。こういう見方をいたしますと、大体、たとえば鮮魚でございますと、鮮魚価格の中の約二%が運賃であると、その二%が今度二・二%になるというような計算、各物資別の卸売り価格に対する運賃割合、これは品目別に詳細に実は調べてございますが、ただこれがどこの負担になるかということは非常にむずかしくて、なかなか一がいにはお答えできないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/175
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176・近藤信一
○近藤信一君 私どもは、運賃値上げ分を生産者にも消費者にも負担させないことが、本来ならば希望するところでございます。それは運賃を値上げしないで、値上げ分を国鉄の合理化によって、あるいは政府支出の形でこれを吸収していくことでなければなりません。公債政策をとる新財政時代に入ったのでありまするから、それによって私は第三次長期計画をまかなっていったならばどうか、こういうふうに考えますし、また、運賃値上げを断念できないかどうか。あなたのほうは国会へこれを値上げをするほうで審議を求めておられるのでございますから、断念できないと御答弁されるでございましょうけれども、この点、あなたのほうでもう少し合理的に考える方法はないかどうか、この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/176
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177・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 今回の第三次長期計画の目的といたしましておるのは、御承知のように、国民の必要といたしておりまする輸送需要が非常に急激に膨張いたしまして、通勤、通学のごときは、安全性をすらもう失おうというような、いわゆる殺人的な交通事情まで現出しておるのが実情でございます。さらに、地方幹線におきましても非常な過密ダイヤで、運転の安全を確保しておるたてまえから申しましても、どうしてもここで大増設備をやって、そして事業を交通需要に対応するかまえをつくっていかなければならぬという事情から、第三次計画を樹立いたしたのであります。その中で七カ年間の設備投資の投資量、あるいは二兆九千億の大きい金をつぎ込むのでございます。そういう点等を考えまして、これの財政資金をどうして調整するかというようなことからいろいろ考えまする場合に、一つは、財政投融資によっていくということと、いま仰せられるような政府出資というようなことも一つの道であると思いますし、さらに運賃収入によって自己資金を強化していくという点等があると思いますが、いろいろの検討、くふういたしました結果、現在の第三次長期計画による以外に方法のないということで、利用者の方々にも今回の運賃の是正の案によって負担をしていただこうと、そうすることによって第三次長期計画の実現を完成をいたしまして、国民のみなさん方に交通不安からひとつ離れていただきたい、かように考えて今回の第三次長期計画になったものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/177
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178・近藤信一
○近藤信一君 運賃値上げを考えておられる以上、相当なるサービスの向上ということを当局としては考えておられると私は思う。私は、サービスの向上もよろしいけれども、本来ならば運賃を上げることなく国民に迷惑をかけない、これが私は本来の姿じゃないかと思うんです。しかし、いまの段階では、国鉄当局としては運賃を値上げしなければ今日のもう行き詰まった経営で何ともならないと、こう言われる。そこで、今回大幅値上げを考えておられまするけれども、やはり何といいましても、サービスの向上ということに重点が置かれなければならないと私は思います。そこで私は、今回の値上げで運転能率をあげて物価引き下げに役立たせるんだ、こういうふうなことも御発言があったように私記憶しておるわけでございまするけれども、私はそんなことはよっぽどうまい手品師でなければできないじゃないかと思っておるんです。そこで、この能率をあげて物価引き下げに役立たせるという理論的根拠、この数字について、これは企画庁長官から答弁がしていただきたいと思います。さらに、サービス向上、たとえば運送時間の短縮とか、荷物の破損の防止とか、また交通事故の防止とか、こういうものに対する貢献といいますか、これは国鉄当局のやられることでございますから、こういう点につきましてもひとつ具体的に御説明が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/178
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179・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国鉄がサービス施設を改善しましてサービスの向上をやっていくということは、私はやっぱり物価に影響すると思います。たとえば青森県のリンゴは産地においては非常に安い、東京においては非常に高い。それはおもに米の出回り期とリンゴの出回り期と同じになりまして、国鉄の単線輸送が十分でない、貨車回り等が十分でないというようなところから非常に大きなギャップが出ているように思います。これは一例でございますけれども、そういうことが非常にたくさんあると思いますので、やはり時間的な改善、あるいはそういうことによります中間の経費の節約というようなことが、物価問題に相当にやはり貢献しておりますことは、ただいまの物価問題を扱ってみまして輸送の問題というのは非常に重要な問題であると、こう考えておりますので、国鉄がサービス向上をやりますことによってよい影響を与えることは間違いないんじゃないかと、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/179
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180・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 国鉄の提供いたしますサービスの中で、やはり何と申しましても一番大事なサービスは、いま先生の御指摘のとおり、輸送の安全ということはもう肝に銘じているつもりでございます。今回の長期計画の中にも、やはりまず第一に、輸送の安全ということで保安対策費の充実を取り上げまして、これに約二千億強の金をつぎ込むつもりであります。
さらに、やはり保安と関連いたしますが、東京あるいは大阪付近のいわゆる過密ダイヤの解消とまでいかないまでも、過密ダイヤの緩和ということを念願といたしまして、東京、大阪付近の通勤輸送に約五千億の金を入れることにいたしております。また、その他各地方の幹線が、いま企画庁長官がおっしゃいましたとおり、ほとんど全国的にまだ単線でございます。この単線を複線化することによってまず輸送の安全が非常に高くなる、次に、輸送力がふえるということでございまして、今回の計画では、ほとんど全国の主要幹線だけは複線、できれば電化いたしたいというのが今度の計画の第三の目的でございます。したがいまして、基礎的な安全ということをまず第一のサービスといたしまして、それを中心として通勤輸送あるいは幹線輸送の全般的な増強をはかってまいりたいと思います。
次に、具体的にお尋ねのございました、主として貨物の問題のサービスでございますが、先生御承知のとおり、現在国内の流通経費が、全体で約四兆数千億といわれておりますが、このうちの荷づくり費とか、保管費とかいうものが非常に大きなウエートを占めておりまして、四兆三千億のうちの国鉄貨物運賃は約千六百億、荷づくりと保管費だけですでに約五千億円ということになっております。国鉄運賃の約三倍が荷づくり、保管費等に費やされておるわけでございます。今回の輸送改善がもし完成できますと、まず全国的にもう少し早い、高速の貨物輸送列車をつくりたい、これによりまして、一番問題になりますのは、たとえば生鮮魚類でございますと、たとえば荷揚げ、陸揚げ地から東京市場に、あるいは大阪市場に至る期間が一日でも半日でも短縮されることは、それだけ市場に鮮度の商いものが入ってくることになりますし、せりの値段にも影響してまいりますので、まず生鮮魚類——ほとんど野菜は国鉄には乗りません。でございますから主として魚類でございますが、こういったものの市場到達時間をなるべく短縮するということがまず第一の問題。
次に、現在市中でときどきごらんのコンテナという箱がございます。ちょうど四畳半ぐらいの大きさでございますが、これが非常に最近おかげさまで一般的になりまして、ほとんど引っ越し荷物はコンテナに移りました。そうしますと、いままで引っ越しの際一番やっかいなのは荷づくりでございますが、ほとんど、この荷づくりがゼロとは申しませんが、非常に減ってくる。それからたとえば薬とか、菓子とかにいたしましても、いわゆる販売のための荷づくりはいたしますが、輸送のための荷づくりはほとんど現在いたしておらない、こういうことで、先ほど申しました流通経費の中で荷づくり費等に対する軽減は、相当、目に見えないながら実際には貢献できるという考え方でございます。
さらに保管の問題でございますが、倉庫等につきましても、できるだけ業界の力も借りまして、なるべく駅頭で通運の手数の少ない倉庫等をつくりまして保管料の軽減等もぜひはかってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/180
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181・近藤信一
○近藤信一君 いまいろいろと御説明がございましたが、私どもが町を歩いて特に工業地帯に行って見ますると、かつては盛んに国鉄を利用しておられました大企業、これはみな引っ込み線が引いてあるわけなんです。ところが、だんだんと貨物輸送というものが、トラックが大型化になりまして、これがトラック輸送のほうに切りかわっていっておる工場がいま非常に多い。特に生産工場におきましてはそういう傾向が強い。やはりそれは国鉄のサービスというものがだんだんと薄らいでいった結果がそういう結果を生んだんじゃないかと私は判断するのですが、現在でも使用しない線路が大企業の中に引っ込んである、こういう姿を見たときに、私はやはり国鉄の輸送に対して、だんだんと民間側に移行していったんじゃないかというふうに思うのですが、この点、あなたのほうではどのように判断をしておられるのか、御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/181
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182・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問の高級貨物、そして専用線を持っております大工場の貨物でございますが、確かに御指摘のとおり、国鉄のウエートは減っております。それはいろいろ原因がございますが、やはり先生御指摘のように、国鉄の貨物サービスがよくないということは率直に私は言えると思います。今後この点につきましては、極力機構を刷新いたしまして、貨物のサービスは全面的に改善いたしてまいりたいと思っておりますが、やはり運賃一つとりましても、けさほど申し上げました高級貨物の運賃が非常に高い、トラックと比較いたしまして、トラックの原価主義運賃に対しまして、国鉄の従価主義運賃と申しますか、どうしても工場製品の高級貨物は高くなってくる、そういういろいろ運賃のこともございますし、やはり全体として量の輸送に追われまして、あまり質的にいい輸送サービスを提供しなかったことが、やはりそういう高級貨物がだんだん減った原因だと思います。その点につきましては十分反省いたしまして、極力そういうものを元に戻したいという努力をいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/182
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183・近藤信一
○近藤信一君 私どもとしましては、運賃を値上げしないで、国鉄自身の合理化で、自分の力で第三次長期計画というようなものを私は稼ぎ出してほしかったと思うのです。元来、大企業はやはり設備の近代化、高度化また経営の能率の合理化、こういうもので生産性の向上というものをはかってきておるのが事実でございます。そしてやはり大企業で行なっておる工業製品というものは、そのわりに価格が下がっていない。これはむしろ生産性向上のために値段が下がるべきでございますけれども、カルテルなどのために現在下がっていない。とにかく大企業製品の価格が下がって、中小企業やそれから農業の製品の値上がりと相殺して物価が安定すべき現状ではないかというふうにも思います。物価を安定すべきはずのところがそれが本筋でございますけれども、国鉄という、大企業の中でも飛び抜けて大きな公共企業体が率先して運賃の値上げをやられるわけでございます。どうしても私どもはそういう点について納得がいかないところでございます。どこか国鉄の中に生産性向上に対する欠陥というふうなものがあるのか、また、設備的に欠陥というものがあるのか、あなたのほうでは新幹線の問題も言われるでございましょうけれども、やはりそういうふうなところを十分検討されて長期計画というものが立てられておるのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/183
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184・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 国鉄の合理化、近代化の点につきましては、監査委員会が慎重に監査いたしました結果を見ましても、今日の国鉄は相当以上に近代化もはかり合理化もしておる。国鉄のそういう点を考えても、やはり今度の第三次長期計画を必要とする現時点においては、やはり運賃の是正という方向によらなければ、どうしても現在の輸送事情の緩和の方策は立たないという意見でございまして、私は、国鉄は相当近代化にも努力いたしておりますし、企業の合理化についてもよくやっておると、かように実は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/184
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185・近藤信一
○近藤信一君 国鉄は傍系事業を持っておられる。これは鉄道弘済会なんかそうじゃないかと思いますが、これは間違ったらあとで御訂正いただきたいと思いますが、私どもが考えてみますると、国鉄は赤字だ赤字だと言うけれども、一方、私どもが汽車の中でいろいろ鉄道弘済会で売っている物を買っても、相当利益があるような品物が売られている。そうすると、もうかるほうは弘済会のほうにさせて、弘済会のほうはそれで営業でどんどんともうかっていく。今度麹町にもりっぱな弘済会館ができているのですが、私はあれを見て感心いたしました。
これをひとつのたとえにいたしますと、ある事業者が二号さんを置いて、自分のところでどんどんともうかったやつを二号さんのところに持っていく、今度は自分でもうからなくなったから二号さんのところにかけ込んでいく、こういうふうなことが言われるのじゃないか。というのは、この鉄道弘済会の役員の方々は、かつては国鉄で働いておった高級職員の人が多いのじゃないかと思います。一体そういうことがいいのかどうか。一体国鉄としてそういうことを検討したことがあるのか。私どもしろうと考えからいくと、あの弘済会は相当利益があろうと思います。その利益のあるところはよそにやらせている。そうして、自分のところで長期計画を立てて、赤字だ赤字だということでは、私は国民が納得しないと思いますが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/185
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186・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま国鉄の傍系事業として鉄道弘済会その他をおあげになったわけでございますが、いわゆる傍系事業の中で、国鉄法第六条に基づきまして正式な投資をしている事業がございます。これは御承知のとおり、臨海鉄道とかバス・ターミナルという国鉄の輸送と直結した事業をやっているのであります。それから鉄道の構内で仕事をさせているのが弘済会でございますが、この弘済会というのは財団法人で、御承知のとおり、日本では社会福祉事業をやっている団体としては有数な団体の一つでございます。三十九年度の決算書はたしかお手元に提出いたしたと思いますが、ごらんのとおり、社会福祉事業で約七億の赤を出し、一般の駅構内の収益事業で約十一億の黒を出しまして、四億三千万円の繰り越しをいたしましたが、四億三千万円は翌年度の社会福祉事業並びに売店その他食堂等の事業の資金に充てる金でございまして、いわゆる利益として配分するのは法人の性質上ございませんが、社会事業を、鉄道弘済会や国鉄の構内からあがる金で社会事業をやることのよしあしはございますが、一応現在の弘済会でやっております社会事業は、多岐にわたりまして、いわゆる鉄道部内の公傷、けが人その他を対象にするのだけではなくて、約三十万人前後の国民一般の方々にも、養老院あるいは義肢の製作、こういったことで、できるだけの御奉仕をさせていただきたい、これで弘済会から年間取っております営業料金は約十一億でございます。これは弘済会と同じように構内で仕事をいたしております、たとえば弁当屋、大体弘済会は雑貨が主でございまして、駅弁その他は鉄道開設以来の地方の弁当屋がやっておるわけでございまして、これは全然関係ない別なものでございます。こういったものと同率で売り上げ金のパーセンテージをきめまして、それから構内営業料を取りまして、この構内営業料金が全体で二十億ちょっとこえますが、そのうちの半分前後のものは弘済会から取りまして、それを私どものほうの雑収入に入れておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/186
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187・近藤信一
○近藤信一君 運賃値上げは、企業にとりまして合理化操作の余地の全くないものでありまして、それはコストに織り込んで購入者に転嫁するか、しからずんば企業者自身がこれをかぶるかの、これはいずれかしかないわけなんです。どっちか一つの道を選ぶしかないわけなんです。特に、いまのように産業界の不況時におきまして、多くの業種において企業が負担する余地はきわめてこれは乏しいと考えなければなりません。だといたしまするならば、これはどうしても製品価格に転嫁される、そういうことに相なるわけでございます。その結果は、国内的には物価高に拍車をかけることになりますし、国際的には、これは海外市場からの後退ということを余儀なくさせられるのじゃないか。国内経済の安定と輸出振興の点から見まして、運賃値上げというものがはたして得策であるかどうか、こういう点について経済企画庁長官からひとつ所見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/187
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188・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 国鉄のサービスの問題で、御承知のように、国鉄の従業員諸君は、私はかなりよくサービスしておると思います。ただ設備が、先ほど来申し上げておりますように、サービスを全うするのに十分でない設備がある、それは施設の上において見られるところでございまして、そういうものが改善されますことは、たとえば輸送の時間が短縮される、あるいは輸送が円滑にいく、あるいは輸送中の安全が確保されるというようなことは、日本経済の上で私は大きな影響があると思います。で、そういう施設をやってまいりませんと、国鉄の従業員諸君が一生懸命で価格のサービスをされても、それが伴わなければほんとうの力としてあらわれてこないと思います。ですから、私は、やはり施設をこの際相当拡充していく、改善していくという点については、これは当然国鉄がやっていただくことが、日本経済の上で非常に大きな役割りを占めるのじゃないか、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/188
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189・近藤信一
○近藤信一君 長官も御存じのように、いま輸出に対しましては非常に苦しい点があろうかと思うのです。というのは、特に日本からの輸出は、価格の低いものがたくさん出るわけなのです。この価格の低い製品は、いま香港なんかで非常にたくさんの製品が出されておる。香港あたりではいろいろな規制がございませんし、香港あたりの輸出はどんどんと振興しておる。こういう点からいくと、その安い香港製品と今後も海外市場において争っていかなきゃならぬということになってくるわけなんです。その場合、こう運賃の値上げになってまいりまして、それが製品価格のコストが高くなってくるということになってまいりますと、やはり海外におけるところの競争、これに太刀打ちができないような状況になってくるのでなかろうかというふうにも私心配するわけなんですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/189
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190・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 今日、日本の経済が国際社会に活動いたしますためには、それなりの私は構造改革が必要だと思います。御承知のように、アジアにそれぞれ独立国ができまして、それぞれの産業を興こしてまいります。そうすると、どうしてもアジアの低開発国の産業というものは、まず技術的にも幼稚と申しますか、あるいは品質的にも普通——粗悪とまで申さなくても、普通なものから出発する、日本はその間に立ちまして、生活水準を上げてそうして所得をふやしていくという立場に立って日本の経済が発展していくと考えるとしますれば、相当にやはり高度の製品をつくっていくというふうに日本の産業自体が構造改善をいたしてまいりませんければ、いつまでも同じような低級品と申しますか、粗悪なもの、安かろうというような、悪くても安ければいいのだというようなものをつくっていたんじゃ日本の国際貿易はできない。したがって、最近香港フラワーとかいわれますように、造花などすべて香港にとられておる。しかし、私は、日本の最近の科学おもちゃと申しますか、そういうものは非常に発達しておりまして、進んでまいりまして、外国にも輸出されて相当の成果をあげているものがたくさんございます。したがって、造花みたいなものをつくらぬで、そういうものにやはりおもちゃ業者が構造改革をし、技術的進歩をしていくということが、日本の貿易が世界に覇をなし得る道だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/190
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191・近藤信一
○近藤信一君 経済企画庁との議論は、またほかの委員会に譲ることにいたしまして、政府、国鉄は、運賃値上げが消費者物価に与える影響というものは非常に少ないのだ、いわゆる数字的に〇・三二%ぐらいにすぎないのだ、こういって繰り返し説明をしておられるわけでございます。
〔委員長退席、運輸委員会理事金丸冨夫君着
席〕
なるほど政府、国鉄は説明できる根拠を持って数字をはじき出しておられるであろうと、こう思いますが、現実の消費者物価、また生きた経済というものは、ただ役人のはじいた数字どおりには動いていない。役人のはじいた数字どおりにいっておれば、これは私は苦労のないことでございます。政府は物資の原価の中で運賃はそんなに大きくないと、いま私から言いましたような数字まで出しておられる。直接運賃の占める割合が少ないにしても、それが一般物価にはね返っていくことは明らかであろうと思います。また、国鉄運賃の値上げに今度便乗いたしまして、便乗値上げというものがいろいろと出てくるのじゃないか、こういうふうに思っておりますし、また業者も、この機会をえたりかしこしとばかりに便乗してくるのもございます。そういうふうに考えてまいりますると、物価がどんどん上がっていく。そこでいま労働界におきましては、春闘の大幅賃上げというふうな戦いも出てきておる。これはやはり何か経営者や政府は、賃金を上げるからものがどんどん上がってくるのだ、こう言っておられまするけれども、やはり公共料金が上がり、それに便乗値上げがどんどんとなされてくる、そこからやはり国民生活の窮迫というものがくるから、賃金は上げなくちゃならぬという議論も生まれてくるのじゃないか。そうすると、やはり春闘を招いたというのは、政府がそうさせておるのだ、こういうふうに私どもは理解せざるを得ないのであります。特に、きょうは出席しておられませんが、総裁は三井物産におられたし、いろいろとそういう点についての問題にも詳しいと思うのですけれども、残念ながらきょうは欠席しておられます。やはりそういう物価と賃金とのバランス、こういうものについて政府、国鉄は一体どのように考えておられるのか、この点を御答弁願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/191
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192・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 先ほども申し上げましたように、賃金が上がって、それが生産性の向上で吸収されるということであれば、賃金が上がることは物価に影響はいたしてまいりません。生産性の向上が上がらない中小企業その他において、そういう状況が起こると思います。ただ今日のような状況の場合には、やはり経営者も利益が上がれば、労働者と資本と、そうして商品の値段を下げる。三つに分けてそうしてその利益を分配していただくことが望ましいことだと、物価政策の面から考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/192
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193・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 便乗値上げ等は、そのつど申請がありました場合には、その会社の経理内容等を厳量に審査いたしまして、経営の実態と、それから企業がになっております輸送の実態等々を厳重に検討いたしまして、便乗値上げ等は断じていたさない方針で進めておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/193
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194・近藤信一
○近藤信一君 通産省の資料によりますると、通産省関係の物資で運賃値上げが強く響いてくるものに、非鉄金属の二六・八%、硫化鉱の二六・八%、石灰石の二五・七%、こういうふうに非常に高率な値上げが予想されておるようでございまするが、これをこの特別措置で考えていくと一七・何%くらいになると、こういうふうな説明も私聞いておるわけなんですが、これは一体どういうふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/194
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195・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 鉱産物などについては、金属も非鉄金属も、こういうものに対しては運賃が相当響きますから、いま特別措置で一五%ないし一七・二%、これくらいの間で特別措置を講じてもらうことを交渉しておるわけでございます。ただしかし、これが全部国鉄によるわけではないですから、したがって、海上輸送による場合もありますから、いま言ったようなもので物価へのはね返りというものはそんなに多い数字ではないわけであります。たとえば鉄鉱石などでも、全体の価格に対する特別措置を講じた場合に、全体の価格に対する影響は、鉄鉱石で〇・二%、非鉄金属鉱で〇・七%、硫化鉱で二・五%、石灰石で一・七%、硫安で〇・二%、この程度のはね返りが、全体としては特別措置を講じても他のはね返りがある。もちろん付加価値の高いものはこれは問題にならぬ。どんどんははね返りがない。いま言ったような相当かさばるものについては、この程度の影響はあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/195
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196・近藤信一
○近藤信一君 農産物、鉱工業品の輸送において、トラック輸送の占める割合はかなりあると思います。鉄道輸送との比率は、現状では一体どれくらいの比率になっておるのか。これは詳しくなくてもいいんですが、わかっておりますればひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/196
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197・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問は鉱産物でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/197
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198・近藤信一
○近藤信一君 農産物、鉱工業製品。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/198
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199・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 鉱工業製品のうちの、ことにマイニング関係のものでありますが、いま通産大臣のおっしゃった非鉄関係のものは、これは大体鉄道輸送が主でございます。しかしながら、石灰石になりますと、ほとんど、日本の全生産量の中で鉄道に乗りますものは、わずか全体の三〇%くらいであるというふうに、ほとんど海送——ほとんど海でございます。トラックはございません。
それから農産物でございますが、農産物も、先ほど申し上げましたように、たとえば東京に入荷いたします野菜につきましては、大体二割は鉄道で、八割はトラックその他であります。生鮮魚類になりますと、船と鉄道が大体とんとんで、トラックが全体のうちの二割弱という程度のものと考えております。その他の品目については、あまり詳しい資料を持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/199
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200・近藤信一
○近藤信一君 運輸省の白書、これは四十年版によれば、昭和三十年と三十九年とこれを比較してみますと、国鉄は四百二十五億六千四百万トンでございまして、自動車、トラックのほうは九十五億一千トン、それが昭和三十九年を見ますると、国鉄のほうでは五百八十八億八千一百トンで、自動車のほうはこれは四百七十二億一千五百万トンと、こう非常に大きな比率で自動車のほうは伸びておるわけなんであります。
〔委員長代理金丸冨夫君退席、委員長着席〕
これは長距離トンキロ輸送の比率の表なんでございますが、これを見ますると、この国鉄のほうは伸びておりまするけれども、たいして伸びてない。どんどんと自動車のほうに移り変わっていっておるように、私どもしろうとから見ますると、この表で見て考えた場合に、そう思えるのですが、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/200
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201・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 先ほど先生の御質問にお答えした中でちょっと申し上げましたが、確かにトラック輸送はふえておりまして、そのふえます中でも、いわゆる高級貨物のトラック輸送が非常にふえております。バルキー輸送はあまりふえておらないが、高級貨物の増加が大きい、こういうわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/201
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202・近藤信一
○近藤信一君 運賃値上げによる増収と、トラック輸送への移行に伴う減収、これ差引いたしますれば一体どうなるのか。それから増収見込みがこういう要素を加味して算出してあるのか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/202
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203・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) トラック輸送への転化による減収につきましては、正確な算定は困難でございますけれども、大体傾向的に見まして、ある程度の算出が出ております。来年度以降の七カ年間につきましては、トラックと鉄道の輸送分野を考えた上での収入見込みになっております。それから鉄道自体の問題の御質問でございますが、この点につきましては、今後の経営努力も入れました上での収入見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/203
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204・近藤信一
○近藤信一君 私は、このような御質問をいたしますのは、国鉄の今回の値上げ案が実現いたしますると、国鉄は高いからひとつ、ハスや——乗客のほうはバス、貨物のほうはトラック、こういうところにだんだんと移り変わっていくということが心配されるわけでございます。そういうふうに移り変わっていけば、バスやトラック業者は喜ぶことでございましょうけれども、やはりいまの日本の現状からいって、バスやトラックがどんどんとふえてきた場合に、ここに一つの心配が出てくるわけなんです。それはどういう心配かというと、これはやはりいまの日本の道路の現状ではとうてい輸送し切れない状況がここにあらわれてくるんじゃないかと思うんです。今日でも、東京と大阪というふうなところは麻痺状態におちいることがしばしばあるわけなんです。それが今度は長距離で輸送された場合に、いまの日本の国道、特に一級国道を見ましても、これは非常に狭い。ちょっと雪が降ればまた通らないというふうなことで、しばしば国道ですら麻痺状態におちいることがあるわけなんです。また排気ガスの公害というものも多くなるでございましょう。こういうことを考えた場合に、非常に私は寒けを催すような状態なのであります。特に、日本の一級国道ですら、最高五十キロといわれておる。ところが、昼間のうちは五十キロで走っておっても、今度夜間になるとキロは変わってくる。七十キロも八十キロも吹っ飛ばして、制限をはるかにオーバーしていく。そこに事故がしばしば起こっていく。先日も雨降りに一級国道で一人の老人がトラックにひかれた。そうしてその上を何台もトラックがひいているんです。四、五回目にやっと、はねたような気がするといって警察にいきましたところが、もうその前に四回も五回もその人の体の上を走っておるのです。こういう、人命尊重からいきましても、私はいまの日本の国道、一級国道からいっても、こういう事故が起こるんだから、いまの国道で、はたして今後の輸送力というものを建設大臣は十分だと考えておられるのかどうか。この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/204
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205・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 十分だとは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/205
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206・近藤信一
○近藤信一君 いや、十分だとは考えていない、じゃ、どうしようという対策なんかはないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/206
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207・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいまお話しのように、自動車道路交通は非常に急激に進展してまいりました。したがって、道路整備には従来から努力を続けてきておるわけであります。一級国道、いまお話しのように、約一万二千キロでありますが、ようやく第四次のただいま行なっております道路整備計画の中で、元一級国道一万二千キロぐらいは、おおむね四十一年度で舗装まで完了する、四十二年度にやや舗装が残る点が岩手県の一部にございますが、そういう状態であります。なお、元二級国道一万五千……七千キロですか五千キロぐらい、これはいまの想定では四十七、八年ごろまでに整備を完了したい、こういう想定でやっておるわけであります。その他の主要地方道あるいは一般県道、こういうものも昭和五十五年ごろまでにはおおむね整備したい、かようなことでやっておりますが、率直に申し上げてこれだけでは非常な発達を遂げておる。先ほど来お話がありますけれども、自動車輸送交通が年々非常な発展を遂げておりますのは——わが国はおくれておりますけれども、世界的な趨勢でございます。
なお、貸物輸送も先ほどお話のありますように、年々トラックに依存する度合いが急速に発展してきた、こういう状態でありますので、いまやもうすでにこれもおくれておりますが、いわゆる高速自動車道路時代に入って、欧米先進国は、近藤さん御承知のように、すでにさような状態に入っておる。残念ながらわが国においては道路整備が非常におくれておる、これも諸般の事情があったことは御承知のとおりでありますが、そういう意味で私どもは、高速自動車道路網の整備に入る段階である、こういう考え方で今後進めていきたいという構想でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/207
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208・近藤信一
○近藤信一君 産業の発展と道路計画というものは、私は切っても切れないものじゃなかろうかと思うのです。私はかつて予算委員会でも建設大臣に質問したことがあるのですが、道路建設の計画をしたならば、やはり三車線ぐらいの計画を持って、そうして将来の展望の上に立って私は国道計画というものをしなければ、せっかくできた国道で、すぐ一年もたたないうちに麻痺状態になるということでは、私は完全な道路行政の計画じゃないと思うのです。やはり産業がどんどんと発展してまいりますれば、それに伴うところの輸送力に見合った道路計画というものを私は必要とするのじゃないかと思うのです。そういう見地から、建設大臣としては、私がかつて質問したときには、とにかく予算がないから手一ぱいの買収しかできないから狭い道路しかできないというような答弁でございましたけれども、狭い道路を幾らつくったって、すぐだめになれば、むだ金を使うようなものだと思うのです。やはり私は、予算をとって、この予算の中で広い安全な道路をつくる、人命を尊重するという立場からいっても、そういう計画こそ私はほんとうの道路計画じゃないかというふうにも思うのです。この点大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/208
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209・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 近藤さんのおっしゃること、全く同感でございます。先ほど申し上げましたように、わが国の道路整備は少なくとも、欧米先進国といってよろしいでしょう、そういうところと比べますと、二、三十年おくれておるというのが私の感じでございます。従来、先ほど申し上げました整備は、既存の道路が間に合わない、とにかく急に間に合わない。率直に言って、自動車のあとを道路が追っかけているという表現でもいいのじゃないかと、かように考えております。しかし、ようやくこの段階にまいりましたので、先ほど申し上げましたように、四車線あるいは六車線の高速自動車道を建設する段階になった、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/209
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210・近藤信一
○近藤信一君 では次に移っていきますが、今回のような運賃値上げが実施された場合に、鉱業への影響は非常に大きいのじゃないかと思うのです。主要鉱業だけで年間十億円の負担増となると、こう見込まれておるようでございます。貿易自由化対策としてとられておるところの新鉱床探査補助金制度、それから減耗控除制度その他の施策による国の助成策もその効力を失う結果となるのじゃないかと思います。特にわが国の鉱山は自然条件に制約された、山間にこれは限られておるというような状況から見まして、他の産業のごとくに立地条件の選択ということは必要になろうし、また、有利な輸送機関への転換ができずに、ほとんどが鉄道輸送に依存せざるを得ない、こういう現状でございます。しかも、鉱石価格中に占める運賃の比率はきわめて高くて砂鉄の三三%をはじめ硫化鉱一八%となっているのであります。このような特殊事情にある鉱石類の運賃について、産業の発達に資するという見地からいいまして、何らかの特別措置というものが考慮されているのかどうか、この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/210
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211・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 先ほどお答えをいたしましたように、特別措置についてただいま国鉄との間に折衝を続けておるわけであります。そのまま従来の運賃、この値上げをそのまま適用されると打撃が大きいので、特別な措置を講じてもらうようただいま折衝中であって、その目的は達成できると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/211
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212・近藤信一
○近藤信一君 特別措置を予定されておるのは、これ見ますると、石灰石と硫化鉱という、これ表になっておるのですが、その他の砂鉄だとか鉱石、そういう特殊事情にある鉱石については、通産大臣いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/212
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213・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 政府委員のほうからお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/213
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214・中川理一郎
○説明員(中川理一郎君) 鉱石類につきましては、マンガン鉱、珪石、亜鉛鉱、鉛鉱、硫化鉱、珪砂、石膏、鉄鉱、金鉱等の非鉄金属類、それから耐火粘土、陶土、陶石というようなものの若干のものにつきましては、まだ最終的に結論の出ていないものがございますけれども、国内鉱石につきましては、大幅に特別措置を講じてもらうよう目下国鉄と折衝しているわけであります。なお、そのほかに、通産所管物資で申しますと、化学肥料を特別措置の対象にする、それから紙のパルプ類といたしまして、バルブ用の材料、それから故紙、生石灰、消石灰といったものにつきまして特別措置を講ずるよう折衝中でございます。なおその他、二、三折衝中のものがございます。以上が特別措置の概要でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/214
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215・近藤信一
○近藤信一君 いまも御説明がございましたように、特別措置を受けるであろう品目というものは六十九品目ないし七十品目、こう伝えられております。通産省所管の物資は、いま御説明がございましたが、この適用を受けるであろうところの鉱産物、これはわが国の工業の現状からいたしましても、値上げ率というものを最小に押えていかなければ、特別措置後の値上げ率というものが非常に心配されるのではないかというふうに私は思うのですが、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/215
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216・中川理一郎
○説明員(中川理一郎君) ただいま申し上げましたものにつきましては、先ほど大臣から答弁なさいましたように、実質の値上がり率が一五%ないし一七・二%という二つのカテゴリーに分けて措置をすることになっております。多少問題がございまするのは、国鉄の賃率表によります実際表面的な値上がり率と、従量段階制等によりまして名目的な賃率を実際に当てはめました場合に、実質値上がり率というものがどのくらいになるであろうかということを過去の実績によって推定しなければならないという問題がございます。それから逆算いたしまして、実質一五%ないし一七・二%になるように何%引きとするかといったところには技術的な問題がございますけれども、でき上がりといたしまして願っておりますのは、特に影響の大きいもののグループにつきましては、大体一五%、それよりやや軽微だと思われますものにつきましては一七・二%、それだけの値上げでとまるということを、いまの原案のままですと二十数%になりますものをそこまで圧縮する、かような特別措置を考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/216
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217・近藤信一
○近藤信一君 そこで、特別措置の中身をいま説明聞きましてわかりましたが、その大半が大企業の関係の商品であることは、もう通産大臣も御存じのとおりだと思いますが、中小企業の商品は、ほとんどそういう措置というものは講ぜられない、特に今日の中小企業の危機ということは、ここ昨年来叫ばれておることでございまして、この中小企業の物資輸送というものは、おおむねいまトラック輸送にゆだねておるわけでございますから、特別措置のそんな心配はないのだ、必要はないのだと、こういうふうにまあ考えておられるのか、それによって影響する中小企業の経営というものについて、通産大臣はどう考えておられるのか。また、国鉄当局としてもこの点を、中小企業にかかってくる影響というものがあるんじゃないかということも御存じのことだと思いますが、ひとつ両方から御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/217
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218・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 鉱山の中にはかなり中小の鉱山がありまして、そういう点でいま申し上げたような特別措置が大企業中心であるということは実情に沿わない。鉱山なんか非常に中小の鉱山が多いわけであります。そういう意味でこの運賃の値上げが中小企業に大きく響くということではないわけであります。また、中小企業の鉱山以外の場合にはわりあい軽いようなものが中小企業の製品の中には多いのですから、この運賃の値上げが中小企業、ことにいま弱いという中小企業に響かないような配慮はわれわれとして考えたのだということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/218
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219・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま通産大臣がおっしゃいましたとおり、この話が起きましたのは、実は通産省から、日本の国内鉱石はほとんど中小企業である、もし運賃が上がれば倒産するのだ、こういうお話がございましたので、実は特別措置と申しまして、また公共負担をふやすかっこうになりまして、非常に昨日来のお話と違うのでございますが、その点は、私どもといたしましては、中小企業に対する助成の手助けをしようという話に乗りましたので、これがもし大企業なら私どもは当然お断わりすべきものだと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/219
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220・近藤信一
○近藤信一君 それで公共政策割引は、今後ともこれ実施していかれるつもりでおられるのか。特に生活必需品の値上げを調整するためにぜひこれは残していく必要があるのではないかと私思うのですが、この点どのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/220
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221・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 今回の特別措置と、従来までのいわゆる、けさほど御質問の暫定割引と合わせますと、年間六十億というものが、いわゆる貨物等級の範囲外の割引ということになるわけでございまして、すでに暫定割引だけでも、推定二百億をこしておりまして、私どもといたしましては、これ以上現時点よりも公共負担がふえることは全く経営上問題でございますが、とりあえず今回の措置としてお願いしたわけでございまして、今後何らかの運賃補給金、その他の形で通産省、農林省のほうに肩がわりしていただくというような方向でお願いしたいと、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/221
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222・近藤信一
○近藤信一君 時間がないようでございますから、ちょっと急いで質問していきますが、石炭運賃は、国鉄貨物運賃収入に高い比率を占めております。しかし、石炭鉱業の現状から見まして、三十六年の鉄道運賃の引き上げに伴って、引き上げ分の半額について延納措置というものが講じられております。三十八年度末までこれを認めておるわけなんです。で、四十五年以降三年間で分割弁済することになっておることも事実でございましょう。今回の値上げに際しても延納措置が認められることになりましたが、前回の延納分を含めて四十三年以降の弁済をどういう方法で行なう予定でおられるのか。また、その時期までに石炭鉱業が黒字経営になるものと予想しておられるのか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/222
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223・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 御承知のように石炭は、抜本的な石炭鉱業の再建築を立てなければならぬ、そういうことで、ただいま鉄道建設審議会、あるいはエネルギー調査会などを通じて抜本的再建策を検討中でございます。これはそう捨ておくことのできない状態でありますので、大体六月ごろに答申が出ることと期待しておりますので、政府のほうでも検討を加えておりますし、そういう専門家の意見も徴して根本策を講じたい。したがって、これは直ちに石炭鉱業に対して、値上がりした運賃を支払うということは困難がありますので、明年の三月までこの運賃の延納を認めるようにしたい、こう考えておるわけでございます。
従来の償還については、政府委員のほうからお答えをいたさせます。——おそらくこの問題は、石炭の根本的なやはり再検討と結びつくので、そういうことも今後抜本策を講ずるときに、従来の延納分に対してどう処理するかということも、あわせてこれは検討することにならざるを得ない。いまいろいろな案を出しましても、なかなかやはりその石炭鉱業界の内情は苦しいですから、政府委員といっても、まごまごするのも無理がないので、やはり根本策を講じたときに一緒に解決すべき問題であると御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/223
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224・近藤信一
○近藤信一君 まあ政府は、通産省が三十六年の運賃値上げの際に石炭政策の一環として、いま大臣が答弁されたような措置を国鉄に申し入れられて、それが今日ずっときておる。私が聞くところによると、それでもなおこの運賃の滞納があるというふうにも聞いておるわけなんですが、そうなりますと、やはり四十五年まで延納分というものが解決できないのじゃないか、私はそう思うのですが、その見通しはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/224
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225・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 今度抜本策を講ずるときには、そのときに処理できなくとも、償還計画をちゃんと立てて、この問題は必ず処理したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/225
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226・近藤信一
○近藤信一君 今回の値上げは、そもそも国鉄第三次長期計画の策定に伴って出てきた問題でございます。第三次長期計画は二兆九千七百二十億の巨額にのぼる設備投資をその内容としておるわけなんです。そうしてその調達方法としては、財政投融資の増加、政府出資及び運賃収入の増加、こういう三本の柱でまかなうことが考えられているのであります。このうち運賃収入の増加の資金調達計画におけるウエート、いわゆる寄与率はどのくらい見込んでおられるのか、この点をお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/226
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227・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 第三次長期計画の所要額は、ただいま先生のおっしゃいました二兆九千七百二十億でございますが、このほかに、昭和四十六年度までに返さなければならない借入金の返済が、ちょうど約一兆ございます。合計いたしまして三兆九千億ほどの資金が要ることになる。その中で運賃収入の占める割合が、八千五百六十三億でございます。八千五百六十三億でございますが、ちょうど二〇%がいわゆる自己資金、運賃でございまして、残りは、政府出資がございませんので、全額借入金ということになりまして、残る八〇%は借入金でございます。したがいまして、四十六年度末には国鉄の長期負債は約三兆にのぼるという計算になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/227
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228・近藤信一
○近藤信一君 二〇%の寄与率というふうな御答弁でございますが、やはり私は、この寄与率が少ないということになれば、わが党が主張しているように、財政投融資の増加、政府出資でこれをまかなうようにしていく。そうしていけば、この値上げをしなくても済むのじゃないかというふうに思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/228
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229・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいま申し上げました八千五百億の自己資金のほかに、結局借入金が約三兆一千億くらいございます。この借入金は、現在私どもが、一応全部利子のつく財投、大体七分の利子のつくお金を拝借することで計算しておりますが、もし先生のおっしゃるごとく、そのうちの一部でも政府が無利子の金を貸してやる、あるいは、政府が出資してやるとおっしゃってくれれば、それだけ利子負担、元本の償還が楽になります。それだけ逆に自己資金がふえてくる、こういうふうに考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/229
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230・近藤信一
○近藤信一君 二兆九千億にのぼるこの膨大な設備投資計画でございますが、この資金額算出の基礎となった建設資材の価格というものは、いつの時点であなたのほうはお考えになっておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/230
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231・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 二兆九千億の中には用地費、人件費等ございますが、それを除きまして、いわゆる鉄、セメントその他の建設用資材につきましては、これを策定いたしました一昨年秋の単価を考えておりまして、一応そういった国鉄が買いますのは卸売り物価で買いますので、一応そういう卸売り物価には変化がない。ただし、相当労賃を、人件費のほかにいわゆる人夫賃を払いますので、人夫賃につきましては、いままでの一般の増加傾向を見まして、これだけは増加分として考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/231
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232・近藤信一
○近藤信一君 設備投資計画期間が七年間という長い期間でございまするから、その間に価格の変動というものがあると思うのですよ。物価がやはりどんどん高くなっていくのと同じように建設資材等も上がってくる、上昇するという見通しだと私は思うのですが、そういたしますると、一体現在のあなたのほうの計画で事が済むのかどうか。また、その際になると、これではまた赤字だから、またこれを運賃値上げしなければならぬというふうな結果が出てくるということを私は心配するのですが、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/232
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233・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 国鉄で一番使います資材は鉄、セメント等のものでございますが、これらにつきましては、一応過去の数カ年間の趨勢を見ましても、ほとんど価格の変動はございません。むしろ場合によっては下がっているものもございます、たとえばレールのごとき。そういったものもございますので、一応こういう主要資材につきましては横ばいということを前提として計算いたしておるわけでございまして、これらの将来の卸売り物価の価格変動は非常に推定が困難でございまして、一応現在の価格の線で算定する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/233
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234・近藤信一
○近藤信一君 あともうこれで私終わりますが、現在産業界の不況ということで、いろいろとカルテル政策というものがとられておるわけなんです。そこで、先ほども申しましたように、カルテル政策がとられておるがために、もっと安くあがる品物も安く出ない、こういうことになって、やはり物価というものも上がってくる、そういうふうなことでございまするから、景気が回復してくるとまあ仮定いたします。そうした場合に、諸設備の今度は拡充ということがいろいろと問題になってくるんじゃないかと思うのです。景気がずっと上向いてくる、そういうことが十分予想されて、そうして今日政府並びに国鉄では対策というものを立てておられる。すなわち、第三次長期計画というものが立てられておるけれども、もしそれが一つ間違った場合に、この長期計画というものが狂いを生じてくるんじゃないかというふうに、反面から見ますると、考えられるわけなんですが、そうした場合の対策として、何かいまからもう考えておられるのか。そんなものは必要ないんだ、ずうっとこのまま、いま政府が景気対策というものを立てておるんだから、景気がどんどんとよくなるんだ、そういう心配は要らないんだ、こういうふうにお考えになっておられるのか。この点御答弁を願いまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/234
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235・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまの御質問、たいへん実はむずかしい点でございまして、私ども過去の第一次五カ年計画並びに第二次五カ年計画のおのおのの中におけるそういった問題を逆に反省いたしてみますと、確かに景気の起伏がございます。第一次五ケ年計画も、ちょうど二年目ぐらいから、急に収入が減少し、また第二次につきましても、やはり同じような減少がございます。したがいまして、今度の第三次の計画の中にも、絶対に景気がよくなる一方だというふうに解釈することもどうかと思いますが、一応全体七カ年間の傾向としては、さほど大きな逆傾向にはならないだろうということを前提としての計算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/235
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236・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記を中止して。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/236
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237・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/237
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238・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は、主として大蔵大臣、運輸大臣、国鉄総裁にぜひひとつ尋ねたいことがあって参ったのです。というのは、この前の石田総裁の発言に関して、私は相当問題があると思うのですが、委員長、どういう都合でお見えにならぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/238
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239・江藤智
○委員長(江藤智君) できるだけ出席を要請しておりますが、どうも健康が悪いようでございますので、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/239
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240・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ運輸大臣にちょっと聞きたいのですが、これはあなたの所管であるかどうか知りませんが、国鉄の運賃、旅貨合わせて約二五%上がるのですが、それがCPI——いま近藤委員は生産財に対する影響を尋ねられたのですが、私は、主として消費者物価に対する影響——藤山経済企画庁長官は、運輸委員会あるいはその他の委員会で、〇・三%程度は生計費に響くだろう、こういう答弁ですが、これを上げられる運輸当局としてはどういう見解でおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/240
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241・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 私も、消費者物価に影響するところは〇・三%ぐらい、そのように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/241
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242・山本伊三郎
○山本伊三郎君 あなたにそれ以上尋ねるのは無理だと思うのですが、専門家の藤山長官に聞きますが、〇・三%上がるという、これは一番重要に思っておるのですよ。〇・三%程度であればという国民の感じがあります。しかし、どうも私は、生計費のいろいろの指数その他の取り方からみると、その感度が、ちょっとわれわれは納得できない。もちろんCPIについてはなかなか感度については議論があるようでありますが、しかしその根拠は一体どういうことか。あなたでなければ、専門家がおられるから聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/242
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243・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) こまかい点については、事務当局から答弁いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/243
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244・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 申し上げます。CPIにおきまして、全国平均で旅客の賃率の占めますウエートは、一万分の九八でございます。その旅客が三一・二%上がります。かけ合わせますと、〇・三二ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/244
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245・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それが問題があると思うのですよ。しからば、今度の国鉄の引き上げのウエートを九八と言われましたね。一体それはどこから取られたのですか。どういう調査によるのですか。これは運輸省も関係がありますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/245
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246・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) いま申し上げました九八といいますのは、昭和三十五年の家計の構成におきます実績値、それをもとにして、現在の総理府統計局の消費者物価指数ができておる。それを申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/246
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247・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは総理府統計局専門でやっているのですが、交通通信のウエートが全国で三
○五、東京は三九一、国鉄の旅客がそのところに幾らのウエートを占めておるかということについては、なかなかこれは調査がむずかしいと思うのですが、どうして出されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/247
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248・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 申し上げます。いまお話の交通通信は、三十五年を基準にしましたウエートで、全都市で三〇五でございます。この内訳は、市内電車が二六、私鉄が四三、国鉄運賃が九八、以下、バス、郵便料、電話料、通信料、タクシー料、それぞれウエートが明記してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/248
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249・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そこで、追及して聞きますが、このウエートの取り方の基礎、これは経済企画庁専門だと思うのですが、これはもう利用者であろうと利用者でなかろうと、一応全国の平均で取っておると思うのです。詳細に全部の家庭を調査をして、国鉄利用者はこうこうであって、これはこうだということにはなっておらぬ。全国二十八カ所を中心にこのウエートを取っておられると思うのです。したがって、九八ということは、私が言うのは、〇、三%というウエートにはどうも、どう思っても納得できない。総理府が最近発表しました消費者物価指数を見ましても、全国はまだ二月は出ておりません。東京だけです。東京だけでございますけれども、交通通信費四・四%と、一月から二月動いておるのですね。その間に郵便が上がったというわけでもなし、私鉄が上がったというだけの要素だと私は聞いておる。そうすると、一月十五日からだと思いますが、一月何日ですか、私鉄が上がったのは。こういう数字を見ると、いまのウエートからみまして、私鉄が大きくウエートを持っていますね。そうすると、ぼくらの感じでは、この数字からいって納得できないものがあるので、一応それをただしたいと思っているのです。〇・三%——これは四 四%一月から二月にかけて上がっているということを総理府は発表している。これは東京だけです。全国は出ておりません。しかし、あらゆる数字を総合いたしまして、東京と全国の間には若干の差がありますけれども、〇・一%か二%程度の動きしかない。ですから、これを推測いたしまして、やがて出される総理府の全国の消費者物価の指数においても、四%台にあろう、こう思うのです、上がりが。この点どういう感じでおられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/249
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250・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) お答え申し上げます。お話しの東京に例をとりまして申し上げますと、先ほど申し上げました交通通信の三〇五と申し上げましたウエートは、東京では三九一でございます。国鉄は全国で九八と申し上げましたが、東京では一万分の一五一ということでございます。同様私鉄の場合にも全国では四三でございますが、東京では六七ということで、交通通信関係のウエートは、全国平均よりは東京のほうが大きく出ております。そんな関係もあって、一月から二月ですかの指数は変わってきたのではないか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/250
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251・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはおかしいですよ。〇・三%と四・四%という動きが、あまりにも大きいのですね。東京だけとりまして、私鉄の利用者、それから国鉄の利用者のウエートはだいぶ違っても、それをかけても、〇・三%になりますか、計算をいたしまして。私はそれがわからない。ならんでしょう、ウエートをかりにいま言われた一五一ですか、かけられてもそうなりますか。ウエートを倍にしたところで、〇・三%であれば、結局〇・六か、一%になればそれは大きい上がりになるんですね、影響が。その関係はどうなっているかということを私は聞きたい。どうもわれわれ——もちろん指数の感度において違いますよ。しかし、一応総理府が責任を持って出したところのこの速報が、国民は信じておりますので、私鉄が上がっただけで四・四%上がったのだという感じを持っているのです。これは一体どういう関係になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/251
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252・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 申し上げます。先生お持ちの数字は、総理府の統計局の計算だと思いますが、われわれが申し上げております値上げ率とウエートとかけ合わせて家計への影響を調べたのと、計算の方式は変わっていないと思います。基礎数字については私手元に持っておりませんけれども、おそらく計算としては、方式は両方とも同じであると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/252
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253・山本伊三郎
○山本伊三郎君 計算は同じだが、結果はこういうものが出ているのは、この四・四%、これは総理府が、責任を持って政府が出しているので、間違いがあれば別ですが、前月比として一月から二月の数字が出ているのです。これは前月比四・四%上がっているというふうになっているのですが、これは一体どういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/253
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254・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) その四・四%という数字が、交通通信ですか、あるいは私鉄の項目ですか、あれなんですが、それに問題である交通通信のウエートの三九一をかけますと、家計費に及ぼす影響が出るわけであります。そういう計算をしますと、おそらく国鉄について私どもが〇・三%程度といっているのと、感度は合うはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/254
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255・山本伊三郎
○山本伊三郎君 感度が合うというのは、それはあれですね、これは国鉄の利用者と私鉄の利用者、こういう点を考えて、私は調べてないのです。だからただしているのです。だから一ぺん計算式を出して、感度が三百幾ら——国鉄ですよ、国鉄だけ言うのですよ。通信交通費のウエートが三九一なんですね。それに対して国鉄のウエートが幾らかといえば、いま百幾つとかいわれましたが、それをかけたら、そういう数字が出ますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/255
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256・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 申し上げます。いまおっしゃった四%何がしというのが交通通信関係であるとすれば、それに交通通信のウエート一万分の三九一をかけ合わせますと、おそらく〇・一から〇・一五程度の家計への及ぼす影響ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/256
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257・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはね、そういう数字的な家庭全般に及ぼす影響というのは、その利用者も利用者でない者も、結局その影響を受けている。そういうことでしょう。そういう点が国会で論議されておる。国民は非常に誤解していると思うのですよ。これは現に四・四%一カ月で上がっておるのですね。上がっておるのですよ、交通は。だから通信費は上がっておらないと思う。郵便料金は上がっておらないと思う。上がっている上がっていると言われたが、そうすると、交通であれば私鉄だけしか私はないと思っているから、この要素が四・四%もある。しかるに国鉄が上がったところで〇・三%しか上がらないと言われるから、それをどう解釈するか。家庭に影響するのは〇・三%だ、そういうことではちょっと納得できないですね。まあこれがぼくの本論じゃないのだ、ほかに大きな問題があるのだけれども、どうもあなた納得する答弁せんと、これは次へ進めませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/257
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258・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 申し上げます。先ほど来申し上げております東京での家計費の中におきます交通通信のウエートが三九一、これは一万分の三九一でございます。先生のおっしゃいました交通通信費が一月は四・四%上がった、それはそのとおりでございます。四・四%はそのとおりでけっこうなんですが、その四・四%と一万分の三九一をかけ合わせますと、東京都の平均的な一カ月の家計費の中で全体の負担が幾らふえたかというのが出るわけです。かけ合わせますと、ほぼ〇・一七ということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/258
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259・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは予算委員会じゃないから、じかに関係がないから、何しますけれども、私の聞いておるのは、四・四%上がったのはどういう要素で上がったのですか、上がったその要素は。国鉄は上がったのは〇・一幾らしか上がらないとこう確約されるのですか。CPIの問題が出ましたときに、おそらくいつから上げるかしれぬけれども、上がったのちに、上がるのは〇・三か〇・一とあなた言われたが、これだけしかCPIが上がらないと、こういうことをここで確約できるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/259
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260・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 申し上げます。CPIをもとにして計算する限りでは、国鉄が三丁二%上がりました場合に、家計全体では〇・三%ほどの負担増になるということについては間違いございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/260
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261・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは長官わかっているでしょう、あなた専門家だから。私はそういうことは家庭に影響することではなくして、おそらく、やがてこれは総理府から出るのですよ。三月に出たときに、交通通信費が四・四%上がったというのは、私鉄の上がった影響を受けていると私は見ている。間違いだったら指摘願いたい。国鉄が上がった場合に、〇・一ではなくて〇・四、あるいは〇・五ぐらいにとどまると、こういうことを言われるなら、私はこれは打ち切ると言うのです。CPIが、数字は——どうですか。わからないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/261
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262・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) いま御説明申し上げましたように、交通通信費として含まっているやつでございますけれども、中で国鉄運賃だけをとって一万分の九八ですか、かければ、大体平年度〇・三%、それが三一%上がるときに〇・三%になると、こういうことだと理解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/262
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263・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃあ大臣ね、これはまだ予算がここで論議されるときがあるのですから、このデータは出るのですから、はっきり聞いておきますよ。言われたこの指数、あなた持っておられるかどうか知りませんが、政府は持っておられると思うが、消費者物価がずっと細目全部ウエートが変わっていますよ。交通通信費前月比一月から二月までで〇・四%上がっているのです。今度上がった場合、この四・四プラス家計に影響ということではなくて、これはCPIなんだから、これだけのものが上がったということを示しているのですから、これが〇・四か〇・五、あるいはあなたが言われる〇・一、こういう程度でいいということですか。それだけ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/263
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264・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) お答えします。交通通信費の項目について申し上げますと、私鉄のウエートは先ほど申し上げましたように、東京で六七でございます。国鉄は一五一でございますから、同じ程度の二、三割の値上げというふうに考えましても、国鉄が上がった場合には、私鉄の場合に比べてほぼ倍になるあらわれ方をいたす、さようになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/264
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265・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いろいろ言われたが、わかりました。わかったというよりは、答弁があいまいだったが、CPIが、通信交通費にして九%ぐらいになるということは明らかになったのですよ。ところが、〇・三%家庭に響く、〇・三%じゃこのCPIでは九%ぐらい動くということ、これが明らかになっておるのですよ。したがって、その点の間違いのないように、この物価指数というものは、いろいろ学者の説もありますから、感度においては問題ありますけれども、私は〇・三%ではないと思ったのですが、CPIに響くやつは。いま言われておる東京を基準にして五%、まあ倍ですから九%ぐらい上がる、こういうことですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/265
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266・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 誤解があると困るのですけれども、CPIといいますのは、交通通信費以外のすべての項目を含めての指数でございます。先ほど来お尋ねのございます交通通信費が四・四%というのに対して、その項目はその倍近くになるだろうということを申し上げたのですが、そのことはCPIそのものではございませんから、念のために申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/266
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267・山本伊三郎
○山本伊三郎君 CPIの、その消費者物価指数の総合においてはそうなりますけれども、私の言っているのは、交通通信もこの段ではそうなるということを言っておるのですよ。私はそんな無理なことを言っていない。わかりましたね。それじゃそういうことでよろしゅうございます。はっきりと確約しておきます。上がることは事実ですね。交通通信費においては少なくとも一割ぐらい上がってくると。総体のCPIにおいては、それは総合するから一万分の三九一になるのですから、東京の場合はそれだけ値下がる。交通通信費については約九%上がってくるということは、これはもう明らかになって、これはもう間違いないことを確認したいのですが、経済企画庁長官それでいいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/267
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268・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) CPIに対しては、〇・三ということを御了承いただければ、それでけっこうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/268
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269・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それだけ実は〇・三%の影響しかないということは、ぼくはそういういろいろの統計上のものは、どっちかといえば、ごまかしているわけじゃないのでしょうが、こういう指数のむずかしさがあるのですから、こういう点が一つ問題がある。また指数のとり方も、いわゆる抽出方法で公平にとっておるけれども、実際その地域は国鉄を利用されない方も相当おる、そうでないものも一緒にして実は統計をとっておるのでありますから、やはり三〇%以上も上がっておりますから、やはりそれだけの影響があるということを、家庭の影響というものは三〇%ないけれども、ウエートは違いますけれども、そういう点を十分配慮して答弁をしてもらいたいと思うのです。それでは、その問題はこまかい問題であったので、私は確認だけしております。
次に、いよいよ大蔵大臣に聞きたいんですが、大蔵大臣は二十二日の本院の予算委員会で、この場所だと思いますが、国鉄運賃引き上げの決定がおくれるということで補正予算を出すべきであると、いわゆる機4号ですか、これに対して大蔵大臣は、いやそれは必要はない、国鉄の不用財産あるいは企業努力によって穴を埋めていけるのだ、こういうことを言われたのですが、われわれとしてはそれは納得できない。私は、国鉄総裁がきょうおらないのですが、国鉄がそういう考えがあってあれをぼくは出してきているとは思わないのです。ただおくれたがために、大蔵大臣がそう言うものだから、国鉄当局はあなたの言うことに対して反対のことも言えぬから、ああいったことを言ったと思いますが、その点について異議があるのですが、なぜ補正予算を出さぬのか、出すのが当然だと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/269
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270・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先般、大体五十億程度の不用財産その他の企業努力で措置をいたすと、この緊急措置によって何とかやっていけるということを申し上げたのであります。ところが、五十億というのが、大体きのうぐらいで切れちゃうわけで、きょうあたりから、もう早急に御審議願わないと、一日四億円程度の欠損を生ずるわけなんです。さようなことで、この生ずべき欠損、欠額に対しましてどういう措置をするか、これはまあ御審議の様子を見ないと、私もここで意見を申し上げるわけにはいかないのでありますが、その時点でもって国鉄当局とよく相談をいたしまして善処いたしたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/270
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271・瀬谷英行
○瀬谷英行君 関連。予算委員会のときに、あのときは関連質問だし、また時間もなかったからそれ以上のことは聞けませんでした。大蔵大臣のあの答弁でもって、国鉄が一日のうちに五十億の捻出を考えたんじゃないかと思うのですよ。なぜかというと、あそこで相談をして、夕方までにリストを出せといって、夕方持ってきたのが五十億になるようなリストだったわけです。しかしきょうは、十五日から計算すると、もう二週間以上たちました。それから、まああからさまに申し上げますけれども、最短距離を考えてみて、かりにきょう自民党の皆さん方が運輸委員会で強行採決をして、それからあしたの本会議で成立をするというふうに考えたとしても、あさってでなければ実施できないわけです。その場合でも十六日になりますから、一日四億という計算をすると六十四億になるわけです、少なくとも。あるいは場合によっては、それがもっと延びるかもしれないということになるわけですから、最初二十二日の予算委員会で、その場しのぎで答弁をしてこしらえあげた五十億というのもこれまたこわれてしまって、六十四億は少なくともこれは穴があくということになるわけです。この六十四億以上に該当をする穴はどうやって埋めるか。当時の国鉄副総裁の答弁によれば、これはぎりぎりいっぱいの予算で余裕がないんだ、だから補正をしてもらわなきゃ困るという意味の答弁を衆議院の運輸委員会ではやっております。参議院の予算委員会では、大蔵大臣が何とかいたしますと言ったわけです。その何とかいたしますのほうも、超過をしてしまっておるのですから、その点は本日の連合審査のこの機会に、国鉄当局と相談をしてということではなくて、数字がはっきりした以上は、そのはっきりした数字をもとにして、大蔵大臣としてはどうするかということを明言をすべきじゃないかというふうに私は考えるのですが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/271
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272・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先般の二十二日でしたか、あの段階では、私はまあこの運賃法の改正は三月一日には実施できるもの、こういうふうに期待をいたしておったのです。それがそういかないで非常に苦慮いたしておるわけですが、これはどういうふうな結末になりますか、その結末を見て、国鉄当局とどうするかということを相談をして結論を出したい、こういう方針であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/272
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273・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ぼくは、国鉄に相談するでなくて、政府自身の責任だと思うのです。したがって、相談をしてということでなくして、もうここではっきりと当然やらなくちゃならぬ。これは国鉄当局に聞きますけれどもね、石田総裁はとてつもないことを言っておるのですね。これほど大きい世帯だから、四十億や五十億ぐらいは何とかなるのじゃないかというような答弁をされておるのですが、もしそうだとすると、これはもう国鉄自体に問題もあるけれども、運賃値上げをせずにもっと財源をそこから捻出したらいいじゃないかという国民の感じも起こるですね。ここにいろいろ項目を書いて瀬谷委員に出されたデータを実は持っておりますが、この何といいますか資産も、これもほんの場当たりに大蔵大臣の顔を立てようと思って国鉄は苦労して出してきたと思うのですよ。これを一々追及すると、国鉄は一体どうなるのですか。たとえば廃用レール三万二千百トン、鋳鉄くず一千トンと書いてございますがね、こういうものは実際要らないものをずっと持っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/273
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274・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 収入欠陥の補てんの問題でございますが、この点につきましては、去る二月二十二日の当予算委員会、去る二月二十四日の参議院の運輸委員会におきまして、るる御説明申し上げましたので、重複する点は省略いたしますが、まず第一に、総裁が五十億、六十億何とでもなるというふうに申したといって新聞の囲みの欄に出たようでございますが、その点は二月二十四日の参議院の運輸委員会におきまして、総裁からその場の事情の釈明をいたしましたので、これ以上申し上げません。それからその前の二月十日の衆議院の運輸委員会におきまして、私が二月十五日からおくれた場合には、政府に財政措置をお願いしなくちゃならぬかもしれぬというふうに申し上げ々のは、当然私どもといたしましては、二月十五日に本法案が成立するということをもちろん信じて疑わなかったわけでございます。ところが諸般の情勢上、二月十五日から運賃改定を実施する、これは不可能だということがはっきりいたしましたときに、私ども全く実は苦慮いたしました。と申しますことは、御承知のとおり今度の予算は、機の2号と申しますのは、すでに昨年の暮れに成立いたしまして、これは国会が国鉄総裁に対する支出権をお与えになったわけでございます。支出権はすでに国会から御承認をいただき、その裏づけになる歳入のほうが、私のほうで申すと収入のほうが機の3号でございます。ですから、したがって支出権だけいただいてしまって、しかもその支出権を使ってよろしいということになっております。その収入はいつのことかわからぬということでは非常に困るということで、私どもといたしましては、二月十五日に必ず法案が成立するものという前提のもとに、二月十日に私は衆議院の運輸委員会でお答えしたわけでございますが、その後不幸にして二月十五日までに上がる見込みがなくなってしまったということで、私どもは実際苦慮いたしました。そして、一体いつ上がるかわからないということでも困りますので、一体どのくらいのものがほんとうに実際問題としてやり繰りできるかということで、ただいま先生がお示しくださいましたこの資料につきましては、相当実は私ども苦慮してつくったものでございます。大体全額五十億前後というふうに申し上げておりますが、たとえば、いまおっしゃった不用資産を売却いたしましても、これは何も天からわいてきたものでも何でもございません。これはふだんならば、大体翌年度になってから実は売却するたてまえになっております。それを事務を進めて何とか年度内に売却することはできないか、そういたしますと、また翌年度も欠陥を生じますので、いままでの大体翌年度回しでもって売却していたものを何とか早めて年度内に処理するというような体制をとったわけでございます。それらによりまして、何と申しますか、四十一年度予算を手前へ持ってくる、四十一年度予算の欠陥分については今後仕事のやり方を改めて、四十二年度分を四十一年度に繰り上げる、こういう措置をとることによりまして、不用資産を売却するにいたしましても、不用施設の売却するにいたしましても、相当・実は具体的に現地の在庫まで調べまして、つくり上げたものでございまして、非常に私どもといたしましては苦慮いたしまして、一体いつ予算が実行できるかわからない。しかも支出権は国会からいただいてしまったと、こういう非常に国鉄の予算史上かつてないような予算になってしまったものでございますから、非常に苦慮いたしまして、何とか収入の欠陥を補てんをしたいという気持ちのあらわれでございます。これで五十億前後のものは一応何と申しますか、補てんできるということでもって機3号を成立したわけでございますが、過般の二十四日の参議院の運輸委員会でも申し上げましたが、大体これは二月一ぱい分ぐらいまでしかございません。したがいまして、今後の問題といたしましては、先ほど近藤先生の御質問がございましたが、大体一日四億四千万ぐらいの減収になると思います。それにつきましては、実際まだいまの時点でいつ運賃法が成立するかということは私ども全くわかりませんので、現実に成立した暁におきまして、実際何月何日から何月何日までの収入欠陥があるということを確定いたしませんと、実際にはいろいろ政府にお願いするといたしましても、お願いできない状態でございます。したがいまして、今後は予算上の資金問題としてこの問題を処理してもらいたい。その前提といたしまして、一体いっこの法律が上がるのか、いつから四億四千万円ぐらい増収させていただけるのかと、その日にちがきまりませんと、実は私どもといたしましては資金不足を補てんする具体的方法を講ずるだけのことができないわけでございまして、私どもといたしましては、何とか早く確定的に実施期日をおきめ願えれば、それを前提といたしまして今後の歳入欠陥の資金不足を補ってまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/274
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275・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それは国鉄副総裁ね、あなたがそれほど苦労しておるということ、なぜもっと早く政府当局に苦衷を訴えて、何日に通らぬと試算ができないというけれども、一日おくれたら四億四千万円ですか、ということになっておるのだから、出すということは、大蔵大臣も相談して出すと言っているのだから、ここで国民の前で国鉄は、金があるんだったらいいですよ、ないのでしょう。困って困って、そして運賃上げようというようなもの出してきたのでしょう。それなのに不用資産を売却してまでもやらなくちゃならぬということを総裁がそういうことを言うもんだから、政府はそれならばそれでやりなさいということで大蔵大臣ヌーボーと答弁する、どうもいけませんと言えば政府が困るかしれませんよ。しかし、やはり国鉄はあれだけの大きい世帯を持っておる企業ですから、なぜそれが言えないか。それで大蔵大臣に聞きますが、相談をしてというよりも、ああいう実情ですから、もうはっきりと機四号を出すのだと、もう相談も何もない、大体明らかになってきたのだから、政治的な配慮も何もないです。国鉄に金を融通するのだということなんですから問題ないのですから、相談してどうこうということでなくして、大蔵省もそういう方針を立てざるを得ない、立てるというとまた閣議の問題があるかもしれぬが、立てざるを得ない、こういう答弁はできると思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/275
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276・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま副総裁からお答えいたしたような事情でありまして、いっこの法案が上がるのかということがわからないわけです。かりにきょうはむずかしそうな様子でありますが、あしたはというと、十億円の問題なんです。これを一体どういうふうにするか、十億をですね、十億円の歳出を、せっかく御審議をいただきましたから、これを削るというような措置をとりますか、あるいはさらに五十億円というような企業努力、これを押ばすという方法をとりますか、あるいは他の方法をとりますか、どうも見当がいまのところつかないのです。いつ上がるという見当がつきますれば、政府部内、運輸省、国鉄等と相談いたしまして、なるべく国鉄の運営に支障のないような措置を具体的にとりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/276
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277・藤田進
○藤田進君 私は、別途質問通告をいたしておりますから、質問台に立つのが至当ですが、時間も経過しておりますから、山本委員の質疑に関連して問題が解決されれば、別途質問台に立つつもりはありません。しかし、それは問答の結果によるわけで、できることなら関連といったような形式で私質問台に立たなくてもいいように委員長にはからっていただきたいということを、まず要請しておきます。
そこで第一の点は、国鉄の態度についてですが、残念ながら非常に重要な急所であるところで、総裁が朝から休んでおられたが、もう出てこられると思ったが、出てこられぬのはまことに遺憾であります。なぜかと言えば、二月の十日の衆議院の運輸委員会において、磯崎副総裁は、関谷議員の質疑に対して、十日ですから、あと五日を実施原案について控えた日であり、仮定のことではあるがと言って質疑をしたのに対して、磯崎副総裁は、その歳入欠陥については、全部は長いから読みませんが、いわく、「この予算には何らゆとりはございませんので、もし二月十五日で計算いたしましたこの計算が予定どおりまいりませんときには、私どもといたしましては別途予算を、補正予算のさらに補正をやっていただくか、あるいはその他特別な借り入れ金等をお認め願うか」——「何らかの措置をしていただかなければならないかと存じております」。という核心と実態を把握しての答弁がすでにあってあるわけです。そのあと、二月の二十二日、当院機3号予算委員会において、当初は石田総裁は、もう国鉄にはそんな不用だなんだということはないとほのめかしながら、大蔵大臣は一般予算に付随する政府機関予算も出ていることが頭にあるし、したがって、これはうかつなことが言えないということになったのでしょう、一夜にして出てきたのが五十億ですね。ああ言ってみたりこう言ってみたり、まあ国鉄は世帯が大きいものだから五十億や六十億はどないにでもなるというようなことは、国会に対する答弁なり態度としては許しがたいのです。それなれば、二晩でも一週間でも待つから、さらに何百億を出してもらいたい。しかも佐多委員が二月二十二日機3号予算に関連して、再三質疑しているにかかわらず、答弁してないものがある。それは四十年度、あとわずか三十日、この間に、資産充当として三十五億みているんじゃないか、さらに四十一年度も三十億資産充当をみているんじゃないか、合わせて六十数億、こういう資産充当に一夜にしてできるような五十億というものが資産充当もしないで出てくるということ自体が、われわれには不可解しごくで、これはなかなか聞き捨てならぬです。やれしまった、それなら五十億くらいな不用資産なり、あるいは営業収益を上げるというようなリストを出しておけばよかったと思っているかどうかしらぬが、これ以上どうにもならぬから、この上は副総裁がいま答弁して言うのに、予算上その他の措置をしていただかなければ、もう国鉄の中では重箱のすみをほじくりようがないという趣旨だったですね。うなずいているからそうでしょう。そこで大蔵大臣は、これはもう予算上の措置、その他の議会を通過しての措置でありましょうが、これをやらなきゃならぬということになれば、これまたたいへんだということで、いまの御答弁によれば、いつ通るかさっぱりわからない、あなたがたはどうしてもこの段階で通してもらいたいということは、与党を通じていろいろやっているじゃないですか。それにしても、本日三月一日というものは、お認めになったように本会議の成立はこれはむずかしい。なぜならば、もう与野党一致して、きょうは少なくとも連合審査ないし運輸委員会ということになり、きょうは本会議はないんですから。こう考えてくると、困ったあげく、いつ通るかわからないから、通った暁においてどうするかを考えたいとおっしゃる。それはあなたの政府の立場であって、これを国民にかわって審議しているわれわれの立場から言うと、この歳入、収入の欠陥というものがどう処理されるかというこのことがはっきりしないで、何とかするだろう、福田さんを信用してというわけにいかないじゃないですか。そこで書記長、幹事長会談等もきょう持たれて、四時半からこの点についてはどうする、固定資産税はどうするということを期待して、われわれも質疑はできるだけこの問題をあとに回したところ、与党の希望で。内容に一向きょうは入らない。あすはどうなりますか。そういうきわめて重大な国会の審議の態度として問題があるものを、じゃおまかせしますというわけにはいかないのであります。そこで、繰り返して要約しますが、第一の点は、これ以上はまあどうにもならないということであるならば、国鉄当局はどうしてもらいたいのかはっきりしてもらいたい。それから第二の点は、資産充当額というものがすでに計上されている。一体これに六十億というものをやみ資産でほおかぶりしようと思ったのかどうか、国民は勘ぐるでしょう。私自身もふに落ちない。なぜ資産充当をしなかったのか。資産充当しているとすれば、いまの四十年度、四十一年度についてはリストを出してもらいたい。私はきょう資料をいただいただけで、あとは値上げに関する関係といえば提案理由の説明ぐらい、半ぴら一枚ぐらいしかいままでもらっていなかった。きょうもらったいままでのあれをずっと見たところ、資産充当の四十年度、四十一年度はこれこれかくかくだというものは見当たらない。あるいは政府機関予算の四十一年度を見ても、私はまだ見のがしているのか見当たらない。出していれば御指摘いただきたい。出していなければこれを出していただきたい。私どもはどうも五十億、先般二十三日にお出しになったものと重複しているのじゃないだろうか。そうでなければ、そんなものをほったらかしにしておいて資産充当に計上しなかったということについては明確にしてもらいたい。
第三の点は、大蔵大臣に、先ほど触れましたように、何とかきまってからその穴埋めについては考慮したいとおっしゃるが、どういう考慮を払われるのか、この点を明確にしてもらいたい。企業努力も精一ぱいでしょう、もう。たとえ一日おくれて四億四千万という穴があいたとしても、これはどうしようもない、予算としては。決算ということになれば、案外不景気にもなったんですし、こんなに国鉄が無理に上げて、旅行しようとしてもできない。やめようかと思う。増収十億と見ているけれども、この間のメモではそれどころではないですけれども、いまのたてまえとしては、企業努力、不用その他の資産はこれを売り払って、もうきれいに洗い出したというたてまえでいく以上、たとえ一億であろうともこれは出しようがないわけです、いまの予算として審議する場合は。そうすれば、一体どういう穴埋めを考えているのか、これは当然機4号になるが、この点はひとつ国鉄もその立場から考えていただくわけだが、大蔵省も考えていただきたい。そのことを答弁していただきたい。まず、この辺から。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/277
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278・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) 過般の機3号の成立いたしましたときの収入欠陥五十億の点につきましては、当時内容を申し上げましたが、増収その他の努力が三十億でございます。資産充当と申しますのは、不用の貯蔵品の売却と不用施設の売却が、両方合わせまして約二十億円、五十億を全部資産充当と申したわけではございません。その点はお手元のリストに載っておると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/278
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279・藤田進
○藤田進君 それを出しなさい。われわれはそのリストを持っていませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/279
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280・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) それは山本先生がお持ちでございます。それは予算委員会のときの資料でございます。二月二十二日の資料で申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/280
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281・藤田進
○藤田進君 これは全議員に配付しておりますか。ぼくはもらっていないよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/281
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282・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) それで予算委員会で機3号が成立したわけでございますが、これは先ほど申し上げましたように、ことしの予算に計上いたしました三十九億はこれは当然四十一年度中に売却すべきものでございます。先ほど私が申し上げましたように、過般捻出いたしました約二十億というものは、四十一年度予算、予算書には三十億と計上してございますが、四十一年度予算の中で事務を何とか早く進めましてその分だけ早く処理するということでございます。そういたしますと当然四十一年度予算に穴があく。その点につきましては、これを従来不用施設の売却等は年度が過ぎましてから売却するのが例でございます。それを現場の仕事のやり方を変える、あるいは事務を機械化することによりまして極力早め、できるだけ年度内に十億程度のものを売るという、こういう仕事のやり方に改めようじゃないかということで、部内の仕事のやり方をあらためて考えておるわけでございます。この点はわれわれ努力しなければならないし、われわれの努力だけではできないし、実際現地の末端のこれを扱っておるふだんの連中の仕事まで影響いたします。それらを考えました上で、なるべく資産充当を早くしたいということがわれわれの趣旨でございます。四十一年度の三十億の資産充当をいままでのようなペースでやりますと、これは先生の御指摘のようにとてもできませんので、当然いままでの仕事のやり方ならば四十二年度で処分されるであろうものを四十一年度に繰り上げるという、こういう緊急措置をとるのが、これからの仕事のやり方になってくるわけでございますが、この点は、先ほどの増収努力と同じようにわれわれ努力しなければできませんので、ほうっておいてできる金ではございませんが、やむを得ないこういう緊急事態でございますので、これは努力によって何とか補ってまいりたいというのがわれわれの偽らざる気持でございます。
それから、きょうからすでに五十億さえ切れてしまいました。きょうからまたほとんど財源が歳入欠陥になってくるわけでございます。私ども全く国会の審議の模様を予断するわけにもまいりませんし、現実の問題といたしまして、何日に成立して何日から運賃法が施行されるのかということが確定いたしました上で、やはり先ほど先生も企業努力一ぱいとおっしゃいましたが、われわれはできるだけの努力をいたします。当然それは義務として私たちは努力するつもりでございます。しかし、それにそう大きな期待はかけられない。したがいまして、ある程度のことはどうしても歳入欠陥の補てんといたしまして、予算の問題ではなしに資金の問題、金繰りの問題として大蔵省にお願いしたいと思っております。もう少し金額が確定いたしませんと、まだ具体的に大蔵省にお願いする段階でございませんので、金額が確定し次第、そのときに私のほうの資金状況とにらみ合わせた上で十分御相談いたしてお願いいたしたい、こういうふうに思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/282
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283・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま副総裁からお話がありましたように、いつこれが国会で議決になるか、ちょっとわからぬものですから、はっきりしたことをここで申し上げられないわけです。しかしいずれにいたしましても、(「きょうはだめだ」と呼ぶ者あり)きょうはだめだ。あした、かりにあした議決になるとすると十億ばかりの穴があくわけです。これをどうするかという問題になりますが、これに対しましては、まあ国鉄の歳出を、支出をそれだけ削るという措置をとるか、あるいはまた国鉄が五十億やった、さらに企業努力でそれだけを生み出すか、それでなければまあ国鉄副総裁が申しておるように、資金繰りの問題として解決するかと、こういうようなことが考えられると思うのです。いずれにいたしましても、国鉄並びに運輸当局の意見を十分尊重してきめるべきものである、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/283
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284・藤田進
○藤田進君 まあ資産充当については、こうなんですか。確かめておきますが、四十一年度三十億ということだが、事務能率等をあげ、三十億は繰り上げ、これに二十億を三十億の中から充当する。よって四十一年度は十億資産処理が予算上残っているんだ、こう解釈すべきですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/284
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285・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) ただいまちょっと包括的にお答えしましたので、不正確でございますので、もう一ぺん申し上げます。
私のほうの過般御説明いたしました項目は、いわゆる資産充当に当たるものは七億一千万でございます。それから不用資産の売却は私どものほうではいわゆる発生品収入また貯蔵品収入と申しまして、別な項目で収入することになっております。したがいまして、資産充当のほうは、これは私のほうの工事勘定の収入でもって収入し、発生品収入のほうは損益勘定のほうの雑収入で収入いたします。これは結局は工事経費に繰り入れになりますので、最終的には同じことでございますが、資産充当の項目といたしましては七億一千万。それから不用品の発生品収入が十二億ということで、さっき総括的に資産充当と申しましたが、雑収入と資産充当の二つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/285
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286・藤田進
○藤田進君 私が聞いているのは、先ほどのがわからなければ、速記を早くつくってもらって確かめますが、あなたが言われた資産充当をしているにかかわらず、今度まああわせて企業努力というので五十億出してきた。で重複してないかという点を聞いたところ、それは四十一年度の資産充当三十億というものの中で二十億、これは資産のあれもありましょう。実は二十億は四十一年度資産充当しているものを、電子計算機かなんかしらぬが、これを促進してだ、四十一年度分を四十年度に繰り上げて、この際だからやっていくんだと、そう言ったでしょう。言ったのか言わないのか、それだけ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/286
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287・磯崎叡
○説明員(磯崎叡君) その点が、先ほど十二億と七億足しまして二十億と申しましたが、いま申し上げましたように、資産充当に当たる項目は七億一千万、したがって、来年度の予算でいま御審議願っております予算に計上されております資産充当の三十億のうち、七億一千万を何とか本年度内に処理いたしたいと考えております。先ほどの二十億のうち約十三億のほうは発生品収入でございますから、それを除きまして、不用品売却でない資産充当の七億一千万を、来年度の三十億のうちの七億一千万、それを先に年度内に処理する、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/287
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288・藤田進
○藤田進君 だから、そうなると、四十一年度予算がいずれ衆議院で議決されれば、参議院へ送付される、そのもの自体これは衆議院の段階でもほおかむりすることはできないでしょう。それはなるほど予算が審議され、議決されて成立したあと、企業努力のプラス、マイナスなり、あるいは請負工事に出され、処分の施設、設備というものが予定価格よりも安くいったとか、決算面では食い違いがあることは、それは当然でしょう。けれども、予算審議のさなかにおいて、いままさにそのとおり。その審議のさなかにおいて、そういう四十一年度から四十年度に持ってくる、あるいは足りないからどういうふうにするというやりくりは、予算が成立してない今日では、いまこれを訂正されなきゃならぬ。これは明確な話じゃありませんか、七億にしろ、一億にしろ。どうしますか、大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/288
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289・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まあ歳出の支出のほうはもうきまっているわけですから、問題になるのはその財源があるかどうか、こういう問題なんです。で財源はこれは見積もりでございます。その見積もりが多少狂ってきた、そこで非常措置を講じた、こういう関係なんです。それが四十一年度に若干の影響がありますが、結局この非常措置は、実質的には四十一年度にも引っかかってくる、こういう関係になるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/289
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290・藤田進
○藤田進君 だから、それをどうするかということだ。それは法的根拠はどこにあるのか、財政法の第何条に、そんな緊急措置の場合は議決を経なくてもいいのだと、これは一般会計で予備費だ何だいうのもこれにも一つの基準がある。少なくとも年度初めに、あるいは年度末のこういう予算審議をする過程に、そういうことがもう明確に出てきていましょう。その場合には議会の議決を経なくてもいい、もうあとは適当にやりくりすればいいのだ、そういうものじゃないのだ、予算総則を見ようが、何を見ようが。ごまかしはだめですよ、この際。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/290
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291・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) でありまするから、この四十年度の五十億の措置が、やはり四十一年度にも響いてくるのです。その四十一年度の措置は、さらに四十二年度にも若干の響きを持つ、こういうふうに思います。四十一年度でそれが全部企業努力で消せるということになれば、それで片づくわけでありますが、消せない場合には、また四十二年度の分を繰り上げて使うというようなことに、理論的にはあり得るわけでございますけれども、そういうことを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/291
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292・藤田進
○藤田進君 委員長、注意してくださいよ。私の質問をわざとすれ違い答弁というかね、これが。簡単に言っているのですよ。いまの時点において、来年度四十一年度の資産充当としてちゃんとわれわれの手元へ予算書を出してきているでしょう、分厚いものを。そいつを実は四十一年度計上はできなくなっているのですよ、現実に。少なくとも七億余というものはね。これを四十年度で食っちまうというのです、運賃の穴埋めに。いわゆる四十年度で食っちまうというのだ。四十一年度に計上して、あなたがいまわれわれのほうに出してきている。そいつを金額は別にして、一応七億としますかね、それを食ってしまう。そうすると、いまお出しになっている予算書の四十一年度資産充当三十億というものはないことになっちゃう。全部じゃない、少なくとも七億はね。にもかかわらず、これはここで食いますがということで、ただ口頭で説明して、印刷の数字というのはそのままで通ろうというのですか。これが一つ。
それからもう一つは、七億ではどうにもならぬ。きょうは通らない、あしたも通らないということならば、それにまだ積み重ねて措置をしなきゃならぬでしょう。この点は機3号の説明のときには、あれでもうきちっと穴埋めできるということで、二月十五日をきめてお出しになっておる。その後どっこいまた四十一年度分をここへ持ってきました、あとは企業努力、景気がよくなれば、新幹線もなんぼかふえるということなんでけっこうな話ですがね、これは。かりにそうなったとしても、これ以上もう五十億以上は出ないと言っているのですから、出ない。じゃそれはあとで借り入れでいきますとか、そういうものじゃなくて、ちゃんと四十年度の始末として議決を経なきゃならぬ、立法府の。そういうものなんですよ。その点をどう考えるかというのです。非常手段ならばやってもよろしいという条文があれば何でも出せるというのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/292
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293・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 四十年度の措置につきましては、過般来予算委員会、また運輸委員会で申し上げておるとおり、二月一ぱいで五十億円ぐらい穴があきそうだ、そういうことで五十億円はどうやって財源を調達するかということを御説明いたしたわけなんです。ところが、今日になって、またそれでも足らぬと、こういう事態になってきて、これはかりに——これは私の仮定でございますが、明日議決があるといたしましても、十億近くの財源をさらに調達しなきゃならぬ。こういうことに相なるわけでございます。そういう事態に対しましてどうするかということですが、まあ五十億は一応手当てをした、そこであとの残る十億というものに対しましては、この五十億というものの企業努力がもう少し伸びないかという問題もあるわけなんです。まあ副総裁も言っておりますが、なおそのくらいのことができるかできないかという問題もあります。それからさらに、それだけの支出を見合わせるというような方法もあるわけであります。その場合におきましては、予算の修正を要するということになります。それからさらに、そのいずれもどうも取りにくいという際には、いま国鉄側で申しておりますが、資金繰りの問題としてこの問題に対処していく、こういう方法も考えられるわけであります。そのいずれにするか、これはまあ明日上げるということになりますれば、この問題ですから、これは何とか考えないこともないかと考えておるわけでございますが、その議決の時点において、国鉄、運輸省の意見が尊重されるべきと思いますが、政府において方策を決定する、こういうふうに御理解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/293
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294・藤田進
○藤田進君 ついでに四十一年度についてどうですか、いま出ておるんだから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/294
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295・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 四十一年度のものを四十年度の措置として繰り上げる、そうすると、そこに穴があくじゃないか、こういうお話でありますが、これは四十二年度のものを同様にまた繰り上げて措置するということになろうかと思いますが、これはとにかく金額にいたしましても少額の問題でありまするから、何とか四十一年度の歳入予算のスケールの中で始末できる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/295
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296・藤田進
○藤田進君 どうですか。何べん言っても同じ答えなら、これ以上言ってもしょうがない。予算というものはそういうものじゃないですよ。不測の事態に対しては、それは予備費とかいうものが出てくるわけでしょうが、いまは不測の事態じゃないんですよ。四十一年度は四十二年度と同じことだということなら、議決機関も議会も何もへったくれもないはずですよ。これはいやしくも予算をちゃんと編成されて、政府機関を含めてお出しになる以上、その原案を守り、それに対してどうするか、できなくなれば補正をするなり、あるいは今度の場合は機4号を出すなりということでなければ、議会にかける価値も何もないのです。これは一応出しておるけれども、足りなければ来年だ、それでなければ借り入れか何かでやりましょうと……、予算なんて関係ないじゃないですか、そうなると。その点をどうおやりになるか。いま三つほど言われましたが、企業努力でいくのだ、それは余地ないといっておるわけです、それはだめです。それはやってみてどうなるかは、来年の上半期なり下半期の決算の話でしょう。いまの段階ではこれ以上どうにもならない。企業努力はこれはいまあなたの提案である。第二は予算の補正をするとおっしゃった。第三は金によってはどこかで借りてくる。そういうやり方のうちで、第二の予算を修正される以外にはなくなるのです。これはたいへんだからというので、あなたはお答えにならぬ。幾らたいへんでもこれはしようがない。これだけはもうあなたが野党の立場でも見のがすわけにはいかぬでしょう。曲げたらいけません。そこのところを答弁しなさい。総理も含めて相談してもらわなければ困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/296
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297・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国鉄は交通政策上非常に重要な任務を持っておるわけです。その国鉄の事業計画に支障を及ぼすということがあることは断じて相ならぬ、こういうふうに考えております。したがいまして、その財源のほうを何とかして調達したい、その財源の調達方法については何とか運輸省、国鉄に知恵を出してもらいたい、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/297
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298・岡三郎
○岡三郎君 関連。私本来の委員会のときにやろうと思いましたが、この前の機3号をやったときには本日じゃなかったわけですよ。少なくともいま国鉄の副総裁が言っておるように、二十八日分まではあるような答えを総裁にさして、あの段階で機3号というものをあげてきたわけです。機3号はあげられないものなんです、ほんとうは。いわゆる確定をしないのですからね。あなたのことばを聞けば、どういうふうに運賃値上げの日どりがきまるかわからぬから、その歳入補てんはわからぬということをいま言っているわけです。ところが、あの場合は大体二十八日をめどに置いて、一応五十億というものを無理算段国鉄にさせることによって何とかつじつまを合わせて機3号を上げた。ところが、時点が狂ってきて本日になった。今度はつじつまを合わせるところの答えが国鉄にはないわけですよ。ただ、われわれはそういう予算を背景にして、収入というものを確定して、将来のことは将来のこと、現在われわれが運賃値上げの審議をしている場合において、そういう予算書、収入というものをはっきりとして、運賃値上げを幾らにするのかという審議をここでしておるわけでょう。あなたの答弁からいうならば、運賃値上げは適当でいいんだと、ある程度パーセンテージは。そういうことにもなりかねないのです。それで四十一年になったら四十二年のほうとのかみ合わせ、そんなことを言ったら、私は予算の審議にならぬと思う。歳出歳入を見積もって、そうしてその中から第三次計画をつくって、運賃値幅はこうだというふうにしてやってきているところへ、今度は歳入欠陥ができた。工事はどうなるか、かりにそれが十億であろうと二十億であろうと百億であろと、根本的に予算審議の態度、あるいはこの運賃値上げの審議の態度としては変わらぬと思うのですよ。ただそれは十億円だからまた何とかなるだろう、そういう精神でやるということは、逆に言えばいま問題になっている歩積み両建ての精神と同じわけなんです。弱いものに何でもしわ寄せして、上のほうはそれで通ってしまうというそういう根性に通ずると思う。すぐ金をもらいたいものに、金がないので困っているのに、長期の手形を書いているという大資本家のやり方と同じですよ。国というでかい世帯を持っている、大蔵大臣大したものですよ。しかし国鉄がいま何ともならぬということを言っているときに、それはそのうちに何とかなるだろう、そんなばかげたことでこの運賃法審議はできませんよ。この点ははっきりしてくださいよ。その点どうです。四十一年がたってから、四十二年になったらどうするとか、そんなことで審議できませんよ。いまここでこれはめどをつくってはっきりして、それから狂ってきたら狂ってきたときのことで、また四十一年度のときに審議するということになるんじゃないですか、予算というものは。その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/298
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299・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) かりに私は仮定を置いているわけなんです。つまりあしたこの法律案が議決される、そうするとあさってから施行になる、そうすると十億程度が問題になってくるわけです。その十億を一体どうするか、こういう問題でございますが、(「七億をどうするかという問題もあるのです。」と呼ぶ者あり)七億にプラスしてもよろしゅうございますが、どうするかという問題がある。そういう場合に金額が少しであれば、いま私はここで頭にありますのは、その企業努力というものをもう少し伸ばすということもなお検討してみる余地がないか、こういう問題もあります。しかし同時に、そういうわけにはいかぬということになりますと、これは資金繰りの問題を考えてみる、国鉄当局はいまそう言っておりますが、その問題を検討してみる、こういうことかと思うのです。それ以外にいま私の頭にはないのでありますが、いずれにいたしましても、その結果が一体どうなるか、どうなるかによってそれを判断していく、かようなことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/299
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300・山本伊三郎
○山本伊三郎君 どうも大蔵大臣の答弁はわれわれ納得できないのですよ。もしあなたの言うことを言えば、機3号自体出さなくても、企業努力でやれたということにも国民とるじゃないですか。したがって、われわれとしては出された予算に対しては忠実にその数字を考えていままでいろいろと審議をしてきたのですね。大蔵大臣が言われるようなことになると、そのときばったりです。国鉄が企業努力でまた増収してくるだろう、こういうふうに期待することは、国鉄内部の努力はそれでいいが、少なくとも国民の代表として審議をしている国会ではそれは通らない。したがって、われわれとしてはこれ以上審議ができませんよ。はっきりとここで、これに対しては補正予算については機4号を出すなら出す、こういう方向を明らかにしてもらわない限りは審議ができません。理事のほうで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/300
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301・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/301
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302・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記を始めて。
暫時休憩いたします。
午後五時四十四分休憩
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午後九時十九分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/302
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303・江藤智
○委員長(江藤智君) ただいまから連合審査会を再開いたします。
大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。福田大蔵大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/303
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304・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) さきに申し上げました不用施設売却の七億円余の点は取り消しいたします。なお、政府といたしましては、運賃法改正遅延に伴う収入不足の対策については、短期借り入れ金で処理するか、または予算補正を行なうか、至急検討いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/304
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305・江藤智
○委員長(江藤智君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/305
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306・山本伊三郎
○山本伊三郎君 だいぶ長時間政府のほうで検討されたようでありますが、いまのまあ大蔵大臣の答弁では私としては不満であります。が、しかし、そこまで政府は真剣に考えるということでありますし、また五十億の問題は、企業努力で十億をひねり出す、いわゆる急行十二本、それからこだまを三本ふやしてやるということが言われておりますが、現在でも相当過密ダイヤで問題になっておるときでありますから、そういう国鉄ばかりにそう責任なり義務を負わさずに、政府は今後ともいま言われた補正その他について、ほんとうに前向きで検討されるということの了解で、一応私の質問を打ち切りたいと思いますが、そう点について、大蔵大臣もう一回……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/306
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307・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいまお答えいたしましたとおり、慎重に、真剣に検討いたしたいと存じます。なお国鉄は大事な任務を担当しておりますので、大蔵省としても極力協力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/307
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308・江藤智
○委員長(江藤智君) だいぶ時間も経過いたしましたので、これにて連合審査会を終了いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/308
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309・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
これにて散会いたします。
午後九時二十二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113824X00119660301/309
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