1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月七日(火曜日)
午後一時四十三分開会
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委員の異動
六月二日
辞任 補欠選任
中津井 真君 森田 タマ君
春日 正一君 岩間 正男君
六月七日
辞任 補欠選任
瀬谷 英行君 柳岡 秋夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 江藤 智君
理 事
岡本 悟君
金丸 冨夫君
岡 三郎君
吉田忠三郎君
委 員
井野 碩哉君
木村 睦男君
源田 実君
谷口 慶吉君
平島 敏夫君
前田佳都男君
森田 タマ君
相澤 重明君
大倉 精一君
木村美智男君
柳岡 秋夫君
浅井 亨君
岩間 正男君
国務大臣
運 輸 大 臣 中村 寅太君
政府委員
運輸大臣官房長 深草 克巳君
運輸省港湾局長 佐藤 肇君
運輸省自動車局
長 坪井 為次君
事務局側
常任委員会専門
員 吉田善次郎君
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本日の会議に付した案件
○港湾運送事業法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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001・江藤智
○委員長(江藤智君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
去る二日、中津井真君及び春日正一君が委員を辞任され、その補欠として森田タマ君及び岩間正男君がそれぞれ選任されました。
また、本日、瀬谷英行君が委員を辞任され、その補欠として柳岡秋夫君が選任されました。
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002・江藤智
○委員長(江藤智君) 港湾運送事業法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/2
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003・大倉精一
○大倉精一君 まず冒頭にお伺いするのですけれども、今度の港湾運送事業法の一部改正、これの根拠になっておるというのがいわゆる三・三答申ですね。港湾労働等対策審議会からこの答申が出されておるのですけれども、その答申というものが今度の改正の一つの基準といいますか、根拠になっておる、こういうぐあいに考えていいのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/3
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004・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/4
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005・大倉精一
○大倉精一君 それで私のほうからお尋ねするのですけれども、三・三答申の中で今度の改正案で実施ができなかったものはどの点ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/5
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006・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 答申で述べておりますものは事業の集約ということがおもでございますが、そのほかに運賃料金の適正化ということがございます。これにつきましては、法律の問題としてではなくて、料金体系につきまして、港湾審議会に設けられます港湾運送部会の審議を経て新しい合理的な体制に改善していきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/6
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007・大倉精一
○大倉精一君 三・三答申の中で非常に重要な部分というのは、一つの何といいますか道義的なものになるかもしれませんけれども、総括の一番終わりに、「しかし、何よりも重要なことは、港湾関係者の自覚であり、遠く、且つ、広い視野に立って、諸対策を実現する原動力となることを要望する。」、こういう最後の総括の部分が非常に大事だと思うのですけれども、これに対する政府の現在までの指導あるいは今後の対策、こういうものについてどういうぐあいに考えておられるか、これをひとつお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/7
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008・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 業界に対しましては、この答申を受けまして、従来は元請中心の任意団体としての日本港運協会というものがございましたが、そのほかに船内を中心とする全国港湾荷役振興協会、さらに全国沿岸荷役協会というような、いろいろな団体があったわけでございますが、業界を打って一丸とする公益法人である日本港運協会というものを設立するに至りまして、業界を一本にしてその意向を反映したいということが一点でございます。
次に、昨年設けられました港湾審議会の中の管理部会におきましては、港湾に関係する方々に委員になっていただきまして、港湾管理者の財政と港湾の効率的運営について審議していただいたわけでございますが、その中におきましても、この答申にいわれておりますように、港湾運送事業の現在の体制というものはあまりにも前近代的過ぎるので、これをさらに近代化するために努力することが必要だという答申をいただいております。さらに、今度審議会の中に新しく港湾連送部会というものを設けまして、各般の港湾に関係する方々に委員になっていただきまして、法律改正に伴う具体的な集約化、近代化の措置については、その審議会の意見を聞いて指導していきたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/8
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009・大倉精一
○大倉精一君 この答申の中の第一項の(七)ですか、ここに港運事業者としての適格、不適格費ですね、中身はいろいろ書いてありますけれども、そういうものについては免許の取り消し等の措置をする、あるいは勧告をする、こういうことが出ておりますけれども、現在までそういうことをおやりになったことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/9
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010・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾事業法におきましては、職業安定法違反の場合には免許の取り消しまで至るということが書いてございますが、現在までこれに該当する事例がございましてこのために免許を取り消したということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/10
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011・大倉精一
○大倉精一君 これは従来ともこの委員会でも問題になったことがあるんですが、かなり最近において非常にクローズアップされてきたのは、神戸の山口組という暴力団の組織ですよ、これは全国的にある。田岡という人が何か中心になっておるんですが、この港湾運送事業上における過去の実態というものはどういうものですか。これは運輸省として、この山口組というものの実態について、さらにまた港湾運送事業に及ぼす影響についてどういうぐあいに把握をされているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/11
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012・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 山口組の配下と申しますか、関係ある港湾運送事業者というものは大体船内でございまして、中心が神戸である。この山口組関係の港湾運送事業者の中で、最近三友企業というものをほかの恐喝事犯によりまして警察当局が取り調べた。そのような関係から、私どものほうで実態調査をいたしました結果、二、三の違反事件を発見いたしまして、その違反につきましては告発をいたしております。その後の行政処分につきましては、県警当局ともいろいろ連絡をとってやっておりますが、まず第一に、企業の現在のいわゆる山口組系統と称せられる方が幹部になっておられるという体制を改めるようにということを強く勧告いたしまして、その結果を待って行政処分をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/12
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013・大倉精一
○大倉精一君 この問題は、いまに始まった問題ではなくて、ずっと以前からの問題なんですね。かつてこの委員会でたぶん問題になったことがあるのですけれども、そのときは、一応形式上正規の業者というかっこうをとっておるので処分ができない、こういう答弁があったような記憶をいたしております。ところが、正規の業者の形をとっておるといっても、山口組というものの実態を見れば、これはもう公益事業として港湾運送事業をやるのに適当ではないということは、これは十分わかっているわけなんです。今度の法改正でも、特に常用労働者についてちゃんと規制しております。こういうちゃんとした労働者を使わなければいけないということになっている。ところが、山口組の配下の労働者、これがやっておることは十分わかっているのですけれども、そういうものを何ら行政処分もしないで今日まできておるということは、これは港湾行政上非常に大きな問題ではないかと思うのです。したがって、こういう法改正をやって文章の上でいくらいいものをつくってみても、結局行政措置ができないというようなことであっては、この法律は死んでしまいますよ。今度ようやく警察が手をかけて、そしてこれに運輸省も協力するというかっこうで調べてみたら、違反行為がちょいちょいあると言っておられるのですけれども、ちょいちょいあるどころではないと思うのです。日本の神戸における暴力というものは、これは天下周知の事実であって、世界的にも有名なものですね。そういうものを港湾行政上黙って黙殺しておったということ、ここに一つの大きな問題があるのじゃないかと思うのです。こういうものであっては、いわゆる港湾の近代化なりあるいは合理化ということもできない、こう思うのですが、こういう点についてこの際徹底的にひとつ強力に調査をされて、そうして免許を取り消すものは取り消して大掃除をする、こういうお考えはございませんか。これは大臣にひとつ伺いたいのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/13
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014・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 山口組のことについては、いろいろ御指摘もあったところではございますが、労働につきましては、職業安定法違反なり労働基準法違反なりというものの事例が、これは所管も違うわけでございますが、具体的にはございませんでした。そういうようなことで、現在までそれを対象とした違反行為に対する処罰というものは行なわれなかったわけでございますが、先ほど私が申し上げましたのは、限定免許の範囲をこえてほかの仕事を引き受けておったとか、また神戸港以外のところで免許がないにもかかわらず船内荷役をやっておった、こういうようなことでございます。したがいまして、このような事例が発見されるごとに、港湾運送事業法に明示されておりますところの処罰をやって是正していきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/14
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015・大倉精一
○大倉精一君 むろんこれは、運送事業法に抵触しておれば、そうしなければならぬでしょうけれども、問題は、今度のねらいというものは、港湾運送事業者並びにこれに従事する労働者、これの近代化、向上をはかろうというのが大きなねらいなんですね。でありまするから、現実には、法に違反をしていなくても、働く労働者の質、内容というものが暴力組織の中に含まれておる、そういう場合に、それじゃこれは一体そのままで黙殺しておってもいいものかどうか、そういう点ですね。これは港湾運送事業法にひっかかりさえしなければほうっておいても差しつかえない、こういう考えなのですか、どうですか。そうでないと、これは——神戸の港湾に行ってごらんなさい、横浜の港湾に行ってごらんなさい。これはたいへんなもんですよ。これは港湾のほんとうの労働事情を調査しようと思ったら、自分ではっぴを着て一週間も二十日間も泊まり込んでいなければわからない。変なことを言えば消されてしまう、そういううなものが港にはびこっておる。そういうものをほうっておいて、こういう法律だけを直した、港湾運送事業者なり港湾労働者の近代化と言ってみたって、それはナンセンスだと思うのです。そういう点にメスを入れなければならぬと思うのですが、これは大臣どうでしょうか。相当思い切った決意が要る仕事だと思うのです。その決意がなければ、こういう法案をつくってみても、目的を達成することはできないと思うのです。大臣どうでしょうね、一大決意をもって、この際、警察と協力して、運輸省としても不適格な者はどんどん大掃除をする、こういうことをして初めて港湾の近代化というものは達成される、私はこう思うのですが、大臣、お帰りになって早々で恐縮でありますけれども、ひとつお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/15
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016・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 港湾運送事業の近代化、合理化に対しましては、これは積極的に当然やらなければならない課題であります。運輸省としてもこの問題を取り組んでおるわけでありますが、いろいろいままでの港湾運送の実態がきわめて複雑であることは、大倉委員御承知のとおりであります。運輸省としては、やはり港湾運送事業法に照らしまして、法にもとるような者があれば、それはいかなる場合といえども、容赦なくこれを適当に処置していく、そうして所期の目的を達するように努力をしてまいりたいと考えておる次第でございますが、この問題は、大倉委員の指摘なさるように、運輸省としても決意をもって、警察当局等々と密接な関係を持ちながら、暴力というようなものが介在する余地のないような港湾事業に行政指導をしてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/16
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017・大倉精一
○大倉精一君 このことは答申の中にも非常に重要な示唆があるわけですね、それだから私は聞いておるのです。たとえば答申の初めのほうに、「港湾の重要性ないし国際性は、必らずしも十分に認識されず、港湾運送事業や港湾労働の近代化は著しくおくれたままに放置され」ておるということを受けて、「このような見地から、旧慣を打破する抜本的な対策が必要であり、従来の考え方にとらわれない」でやっていきたい、こう書かれておるわけですが、こういう抜本的なものにメスを入れなければ、こういうような法律の趣旨というものは生きてこないと思うのです。それだから私は聞いておるのです。ですから、これは非常に決意の要ることであるし、あるいはまた困難な仕事であるので、直ちにやれるとは思っておりませんけれども、たとえ一年かかっても二年かかってもこの大事業をやってのける、こういう根本的なものがなければ、こういう法律をやっても港湾の近代化はできない、それだから私は大臣に聞いておるのです。ですから、これは運輸省だけではやれません。警察もやります。各省にもまたがっております。そのうちの一つの担当者が運輸省です。しかも直接の自分の所管事項でありますからして、自分の所管事項をこういう状態に放置しておくということは、これは他の省の責任だけでは済まされないと思うのです。こういう点で大臣に聞いておるのです。この際どうですか、一大決意をもってそういううみを出してしまう、こういうお考えはありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/17
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018・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 私は、港湾運送事業の正常化のためには、近代化、合理化を進め、労働環境等を整備いたしまして、そうして労働者が生活の安定を期することが、やはり正常化していくために必要な大きな要素であると思うのであります。運輸省といたしましては、いろいろの法令等を整備いたしまして、そうして厳重な規制を整えながら、労働者の生活の安定と、それから労働環境等を整備し、そうして労働者が働きやすいように正常な環境の整備の方向で行政指導をしていくと同時に、警察当局等とも関連を持ちまして、暴力的な組織の介在する余地のないように、そういう方面でも努力を続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/18
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019・大倉精一
○大倉精一君 まあこの点については、特に私はこの際この法案に関連をして強く要望しておきます。まあ一年、二年かかるかしりませんけれども、少なくとも暴力的な業者あるいはそういうような内容を持つ要素というものを港湾から一掃する、こういう大事業に取り組んでもらうことを要望しておきたいと思います。それから、その次には港湾運送料金ですけれども、これはどうでしょう。昭和三十七年のときに問題になったものですけれども、非常にこれは外国関係に比べて安いですね、日本の港湾料金というものが。特に港湾問題につきましては、一般生活に及ぼす影響というものは数字的にはたいしたことはないのですね、これは答申にも書いてある。そこで、現在の日本の港湾運送料金というものは諸外国に比べてどういう程度になっておるのか、数字がおわかりでしたら聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/19
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020・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 料金のきめ方その他につきましては、各国ともいろいろ違っておりまして、はっきりした数字ではございませんが、横浜、ニューヨークその他について、ちょっとこれは資料が古いのでございますが、昭和三十七年度現在における数字で申しますと、横浜を一〇〇といたしました場合に、ニューヨークが六三九、ロンドンが三三八、ロッテルダムが二七七、大体こういうようなことで、日本は欧州並びにアメリカと比べて低いということが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/20
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021・大倉精一
○大倉精一君 これはいろいろ物価政策等もあると思うのですけれども、港湾料金等に関する問題は、むしろ外国に対して奉仕をしておるというような気がするのですね。日本の全港湾の組合あたりからも、せめてフィリピン並みの港湾料金に上げて待遇改善をしてもらいたい、こういうような要望がかねがねあるのですけれども、いま話を聞いてみますると、大体世界の主要港のは日本に対して二倍ないし六倍、あるいは三倍というような数字なんですね。こういう点はどうも、港湾運送料金というものの不合理性、ここに働いている人がいろいろ圧迫を受けている、こういうことが実態じゃなかろうかと思うのです。それで、仄聞するところによりますと、港湾運送料金のごときは、船主協会あたりから相当圧力がかかってどうにもこうにもならぬということを聞いているのですが、私は、港湾運送事業というものを公正に、あるいは正常に公益事業としての機能を果たす、あそこの労働者もいま大臣がおっしゃったように安んじて働くようにできる、これがためには、港湾料金、運送料金というものも考慮に入れなければならぬと思うのです。こういう点についていま考慮されておられるかどうか、これもひとつお答えいただきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/21
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022・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 料金の実態は、先ほど申し上げましたように、大体外国は自由料金でございます。しかもその内容は秘密でございますから、はっきりした数字はございませんが、大体われわれの聞き得た範囲は、先ほど申し上げましたような差があるわけであります。しかし、実際に現在きめられておる認可料金がそのまま守られておるかというと、必ずしもそうではない。それから料金の面で港湾運送事業者が企業の経営が成り立たぬかというと、必ずしもそうではない。しからばそれが労働者の賃金を非常に安くしておるかということでございますが、それほどほかの給与に比べて安いということもないわけでございます。私どもはやはり、港湾労働法が施行されました機会に、さらに企業会計につきましても今回の法改正で近代的な方式をとることを要請するわけでございまして、そういうような実態調査の中で、はっきりした労働者が適正な生活が得られるような料金にきめていきたいと考えておるのでございまして、現在すぐこの料金について、まあ公共料金の規制の問題もございますが、値上げをするという考えは持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/22
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023・大倉精一
○大倉精一君 いま値上げをするとかせぬとかじゃなくて、先ほどの質問と関連をいたしまして、港湾労働者の生活なり労働条件なりあるいは港湾運送事業の近代化あるいは合理化というものの中に、港湾運送料金というものが非常に大きな要素を占めておる。でありますから、そういう面も行政的に考慮をしないというと、こういう法律も死んでくるのじゃないかということを私は杞憂するのですね。三・三答申の中にも、料金の問題は答申してあります。特に「作業料金の原価計算は、荷役の近代化、資本の蓄積及び投資受入の可能性並びに労働の近代化等を考慮して適正に行なう。」、こうなっておるわけでありますね。そこで、「港湾運送事業の利用者は、認可により定められた料金より低い金額で港湾運送事業者に港湾運送をさせてはならない。」、これも答申に出ておる。でありますから、いまあなたがおっしゃったように、この認可料金が必ずしも指示されていない、そこに問題がある認可料金なんです。認可料金であるが、これは港湾ばかりでなく、陸上でも言えることでありますが、こういうところにやはり港湾運送事業の非近代化の要素があると思う。それで、いまの料金でいって十分やっていけるのだと、こうおっしゃるけれども、港湾労働者の実態をひとつごらんなさい、実態を。もうその日暮らしの労働者を使って、どんぶり勘定です。お前どこどこへ行けと、それでもって帰りがけに幾らか知らぬけれどももらって帰ってくる、こういうことでやっておる。そういうことで港湾運送事業というものは成り立っておるのですけれども、とにかく運送事業をやっておるけれども、中身はきわめて非近代的なやり方で、もっとひどいものもある。こういう要素を直すことをしなければならないと思うのです。そういう点が港湾運送料金というものに非常に大きなウエートがあるということで聞いておる。きょう上げろあす上げろというのでなくて、いまの料金が適正であるかどうか答申に書いてあるように、適正でなければ上げなければならぬ。しかしながら、物価事情等によって、政治的な配慮、政策的な配慮によって上げないというならば、それに対応する救済措置を政府は講じなければならぬと思う。救済措置を講ぜずに、上げなければならぬけれどもしかし物価等の問題があるからいけないのだ、あとは合理化によってやれと言って、精神訓話だけやっておる。ますます港湾運送事業の非近代化に拍車をかけておる、これが実態であると思うのです。でありますから、港湾運送料金というものはそういうことであるという認識をひとつ持ってもらいたい。さらにまた、国内における影響でなくて、これはむしろ外国に奉仕するという、そういう性格を持っておる。でありますから、いまおそらく港湾の国際収支は赤字だろうと思うのです。どのくらい赤字であるか知らないけれども、そういう点について配慮しなければならないと思うのですが、どうもそういう配慮がないような気がするのです。大臣どうですか。港湾運送料金というものが、港湾運送事業の近代化、正常化、合理化のために非常に大きなウエートを持っておる。しかも、国際的な要素を持っておる港湾の国際収支が赤字である。こういう実態で、この際これを検討する、こういう御意思はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/23
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024・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましては、この答申にいわれておりますことは、やはり労働者というものの常用化を進めていくということ、そのためには港湾運送事業が近代化されて、一貫作業ができる体制になって、規模が大きくなる、そういうことが根底になければならないということを答申がいっておるのだと思います。したがいまして、今回の法改正におきましては、そういう趣旨の法改正をお願いしておるわけでございます。
なお、具体的に国際収支の問題から、上げるべきではないかということでございまして、これはやはり各国間に労働賃金においても格差があるわけでございまして、日本は日本として港湾に働く労働者が労働の条件なり労働の質というものに比べて不当に安いということはいけないわけでございます。こういうようなことがないようにもちろんやっていかなきゃならぬと思います。で、料金体系全体につきましては、先ほども申し上げましたが、港湾審議会の中の港湾運送部会で十分審議をしていただき、将来はこの答申に沿うような料金体系をつくり上げていきたいと、かように思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/24
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025・大倉精一
○大倉精一君 そこで、この問題は特にひとつやってもらうということにするのですけれども、十分審議をして将来はと言われますけれども、三・三答申が出たのは、これは三十九年ですか、九、十、十一と三年たってもまだ将来となっておると、これはもう一ぺん答申をもらわなければならぬ事態が出てくるのだと思いますがね、だんだん変わってくるから。日進月歩です。こういうものはそんなに手間はかからぬと思うのですよ、調査するのに。ですから、この際私はこれも特に要望して大臣からお答え願いたいのだけれども、港湾運送料金の実態、現在の認可料金並びにその収受料金の実態、それからこれのいわゆる国際収支に及ぼす影響及び今後の対策ですね、今後の何といいますか改正ですか、この調査、検討にさっそく取りかかる、こういうことにしてもらいたいと思うのですけれども、運輸大臣どうでしょうかね。やっぱり将来というふうになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/25
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026・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 先ほど申し上げました港湾運送部会の設置期間は二年でございまして、二年以内に結論を出したいと、かように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/26
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027・大倉精一
○大倉精一君 これはこれでやめますが、二年も三年もかからぬですよ、こんなものは。あなたたち、これで月給をもらっているんじゃないですか。簡単にわかるのですよ。二年か三年たってなんて言っているのは、私はおかしいと思うのですよ。何でも審議会を設ければいいと思っているのですね。審議会審議会と言っておるけれども、あなたたちは一番詳しいのでしょう、こんな問題については。ですから、二年とか三年とか言わずに、特に流動性の激しい今日ですから、きょうの状態とあしたの状態は違うのですから、ですからさっそく実態的に調査をしてもらいたいと思うのです。私は、この二点ですね、暴力組織の問題と港湾運送料金の問題、これは近代化に重要なる関係があるので、これは法律には書いてないが、これはぜひやってもらいたいということを要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/27
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028・岩間正男
○岩間正男君 いまの問題、非常に重要な問題で、これは港湾労働者の労働力のダンピングだ、日本の海運は非常に隆盛を来たしておるとか、そういうことを言っておるけれども、労働者の犠牲で行なわれていることは明白だ。したがって、これは国際的な価格との比較ですね、日本の港湾労働者の賃金、それから世界各国のおも立ったものでいいですから、これとの比較を、いまの大倉委員から要求された資料とあわせて、そのことをぜひ要求したいと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/28
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029・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/29
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030・大倉精一
○大倉精一君 それから三・三答申には、港湾運送事業というものは非常に多岐にわたっておりますから、総理府に港湾調整会議というのを設ける、こういう提案が三・三答申にあるわけですね、これはまだできておりませんか。できておったら、その運用内容についてひとつ聞かせてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/30
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031・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) これそのものではございませんが、昨年港湾労働法の施行を機にいたしまして、総理府に港湾調整審議会というものが設けられております。この調整審議会でやりますことは、一つは港湾労働法の施行に伴いまして労働大臣の諮問にこたえて定数その他について意見を述べることと、さらに港湾の問題で各省に関係ある総合調整を要する問題を審議する、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/31
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032・大倉精一
○大倉精一君 この港湾調整審議会の中には各界の人が入っていると思うのですけれども、これは部外からいわゆる学識経験者ですとか、業者、あるいは労働者、こういう者は入っておるのですか。入っておるとすれば、割合はどんな割合で入っているか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/32
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033・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 委員は七人でございます。労働代表が二名でございます。あと各界の代表は、港湾の管理者、港湾の関係者、それから港湾運送事業と申しますか港湾の運営の関係者、それから荷主関係者、それから純粋の学識経験者と、こういうようなことで七名になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/33
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034・大倉精一
○大倉精一君 会議の運営はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/34
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035・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 運営は総理府がやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/35
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036・大倉精一
○大倉精一君 現在まで何回くらい開きましたか。何かきめたことがあったら報告してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/36
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037・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 先ほど申し上げましたように、運輸省の所管でございませんのではっきりしたことはわかりかねますが、港湾労働法の施行に伴う定数の決定その他を議題といたしまして、三回ないし四回昨年の秋以来開かれております。
そのほかに専門委員会というのがございまして、これはさらに数多く開かれているはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/37
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038・大倉精一
○大倉精一君 これは運輸省は入っていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/38
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039・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 運輸省も入っております。委員ではございません。専門委員の中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/39
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040・大倉精一
○大倉精一君 これはこれでやめますが、いまの答弁から見ても、これは所管が違いますので云々という話があるが、少なくとも港湾の調整審議会ですね、あなたの所管の調整審議会ですよ、それを運輸省が所管でございませんのでという答弁そのものが、いかに調整審議会なり何なり設けても依然として各省の連絡がとれていないという証拠なんですよ。これはそうでしょう。ですから、何とか審議会、何とか調整審議会、何とか本部というものがありますけれども、事ほどさようにばらばらなんですよ。ですから、こんなものは、大事な審議会ですから、いままでこれこれ開かれてこういうことを決定しましたと直ちに報告ができなければならぬわけですね。それを、いや所管事項が違うから云々ということは、依然として各省ばらばらだということです。そういうことでは、こういう法律をつくっても、これまたいわゆる近代化あるいは総合調整あるいは総合施策ができないですよ。こんな法律をつくっても、できない。本来、港湾労働法ができると同時に出てこなければならぬはずなんですね、どうですか。これはいまの総理府にある審議会ですね、この運用についてさらに再検討を加えて、ほんとうに関係各省が入って名実ともに合同して対策を立てる場にする、こういうことをやってもらいたいと思うのですけれども、これはいかがでしょう、それはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/40
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041・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) この法律の施行に伴うことは、先ほど申し上げましたように、運輸大臣の諮問機関である港湾審議会の部会で足りると思います。
なお、総理府に設けられました調整審議会は、各省に関係のある議題につきまして調査審議するわけでございまして、私どもはこの法律の施行はあくまでもわれわれの責任でやっていきたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/41
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042・大倉精一
○大倉精一君 また一つどうも疑問が出たのですけれども、あなたのほうで港湾審議会というものがある、その部会でやれば足りると、こうおっしゃる。その港湾審議会の部会というものは各省に関係のないことをやるのですか——やはりあるのでしょう。そうすると、あなたのほうにも設けてある、あるいは総理府にも港湾調整審議会というものがある、これは一体どういう関連を持って仕事をやっているのでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/42
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043・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 総理府に設けられました審議会は、相当広い範囲で各省に関係ある、要するに総理府で取り上げなければならない問題を審議するわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/43
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044・大倉精一
○大倉精一君 具体的にどういう問題を扱うか言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/44
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045・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 一つは、港湾労働法の施行に伴う問題でございます。これは施行される各港における定数の決定でございます。そのほか、私どもとしては、月末集中の問題等が現在以上に激しくなれば、この問題は通産大蔵その他とも関係のある問題でございますから、運輸省が主になってやるというわけにはいきませんので、これは総理府にある審議会でやっていただきたいと思います。ただし、この港湾運送事業法の施行に関しますることは、もちろん各省の御協力も要るわけでございますが、私ども固有の事務とすることが多いわけでございますので、私どもの審議会に関係の各省の方も入っていただきましてやっていただきたい、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/45
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046・大倉精一
○大倉精一君 そういうものをあっちでもこっちでもつくりますと、われわれ外部から、第三者から見ておりますというと、かえってそういうものがあるがためにいろいろな障害が起こっているんじゃないでしょうか。あっちでもある、こっちでもある、それはおれの所管じゃないというようなことで、たとえば運輸省でつくったものを、どういう内容のものを審議するかわりませんけれども、少なくとも港湾関係の問題は、たとえばこの港湾運送事業法にしましても、港湾労働法と密接に関係がある、あるいは労働者の福祉厚生の面にも関係がある、あるいは職業病という問題にも関係がある、あらゆるものに関係があるんですよ。運輸省だけでというのは一つもないと思うんですね。ですから、この港湾運送事業法並びに三・三答申というのは、石井照久さんはこう言っておったんですね。その当時、三十二年の七月十九日に一応答申出したんだが、政府の総合政策がないから、こっちのほうでつくってやったのだ、こういうことを、まあ簡単に言うと、そういう意味のことを言ってみえたんです。それほどさように総合的な施策というものがない。ないということは、いま言ったように、審議会がほうぼういろんなところにできていること自体がかえってそのじゃまになっているのじゃないか。ですから、港湾運送事業というものは、港湾輸送にしても、海上輸送にしても、非常に複雑多岐にわたっておるものであり、しかも伝統があり、歴史があり、非常に困難な問題をかかえておるので、あらゆる部門を総合した対策の場をつくる、こういうことが必要じゃないかと思うんですが、これはどうでしょうね、大臣、どうですか、こういう問題について閣議においてこういうものをひとつ少し審議される意思はありませんか。港湾問題きわめて重要ですよ、これは日本の玄関ですからね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/46
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047・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 現在政府でいろいろ審議会の整理問題等検討しておる途中でございまして、いま大倉委員が言われるように、運輸省に移したらどうかというような意見等もございますので、そういうものを含めまして前向きで検討してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/47
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048・大倉精一
○大倉精一君 なお、質問続けていきますけれども、大臣お帰りになったばっかりで非常にお疲れだと思うんです。しかし、少なくとも法律を通すというのですから、これはやっぱりものを言ってもらわないと困るんですが、どうしてぐあいが悪ければ、きょう通さなくても、この次の委員会で、大臣の頭脳明快なところでひとつ御答弁を願って、それから通していきたい、こういうふうにしたいと思うんですけれども、委員長どうですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/48
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049・江藤智
○委員長(江藤智君) 運輸大臣、明快な答弁できるでしょう。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/49
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050・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/50
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051・大倉精一
○大倉精一君 じゃああらためて大臣にお伺いいたしますけれども、いま問題になっているのは、総理府にも審議会ができている、運輸省にもこれと同じようなものができている、こういうことじゃなくて、どこでやるにしろ港湾問題というものはきわめて多岐多様にわたっているわけです。しかもなかなかむずかしい、伝統もあり、歴史もあるので、一応三・三答申のように、従来の慣習にとらわれないで、抜本的にということになると、政府が一本のまとまった場をつくらなければできないと思うんですね。そういうまとまった場をつくるようにひとつ御努力を願いたいと思うんですが、いかがでしょうね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/51
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052・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 審議会の問題は、直接運輸省でやっておりますものはそういう専門の審議会でやっておりますが、総理府にありますのは、労働、港湾荷役の問題がいろいろ非常に複雑でございまして、たとえて言えば労働関係の労働省所管の問題もありますし、あるいは厚生省所管、その他いろいろ各省にまたがっておりますので、そういうものを総理府で統合的にやっておるのでございます。先ほど私が申し上げますように、各種の審議会を整理統合しようという政府の方針によって、この問題は運輸省に移したらどうかという行管の勧告等もございますので、そういう方向で検討してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/52
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053・大倉精一
○大倉精一君 まあ先へ進みますけれども、港湾の問題というのは、たとえば通産省にも関係があります。あるいはもう各省全部関係あると言って差しつかえないですね。ですから、これはまあ専門事項は専門事項でおやりになるとして、もっと強力な一つの総合的な場をつくると、こういうことで、大臣ひとつその方向で御努力願いたいと思うんです。まあ内閣改造があるかもしれませんけれども、そういうこともひとつ申し送っていただいて、そうしてせっかくこの法案が生きるように、その基礎固めをつくってもらいたい、こう思うんですね。まあこれはもっとほかの委員からも御質問があるかもしれませんけれども、私は一応先へ進みましょう。
そこで、具体的な問題についてお伺いするのだけれども、今度の法律によるというと、いわゆるこの荷役の受注の調整をするとなっておりますね。受注の調整をする。つまり荷役能力に応じた仕事を受ける、こうなっていますね。そうして、労働者の相互融通はいけないと、こうなっている。これは非常にきびしい規制ですよ。非常にきびしい規制なんです。具体的にどういうぐあいに指導をなさるんですか、具体的にですよ。つまり、常用労働者はこれだけいなければいかぬと、したがっておまえのところの作業能力はこれだけだと、だから仕事を引き受けるにはそれ以上引き受けちゃいけないと、そしてよそから労働者を借りてきてもいけないし、貸してもいけない。これは具体的にどういうぐあいに指導なさろうとするのか。具体的なひとつ運輸省としての意向をこの際聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/53
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054・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) ただいまのお話は、十六条によります再下請の禁止、それからもう一つは直営率を省令できめると、この問題だと思います。で、従来は一部を直営すればあとは全部下請にまかせてもいいと、それから再下請につきましては事実上私どもは行政指導として禁止しておりましたが、再下請を禁止する規定が明示されておりませんでした。そこで、いま先生がおっしゃられたような事態が起こったわけでございますが、業自身が健全であるためには、やはりこの一定の規模というものを持って、その規模で直営できるものだけを受注すると、こういうことでいく以外にはない。それがまた再下請を禁止することになりますし、常用化というものを高めていく。すなわち、幾らでも仕事をとって日雇いにまかすということがなくなるわけでございますから、そういう形でもって答申にこたえたいと、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/54
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055・大倉精一
○大倉精一君 その趣旨はけっこうなんですけれども、具体的な問題として、季節的に、あるいは一時的に荷役作業の要求がたくさん来たと、こういう場合に、港湾の荷役能力というのはさまってくるわけですね。大体きまるでしょう、その業者の能力がきまっちゃうんだから。その港湾能力以上にいわゆる荷役需要が殺倒してきた場合、そういう場合を想定する場合に、どういう指導をされるかと、こういうことを聞いているんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/55
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056・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 直営率は七〇%でございます。で、七〇%にいたしましたのは、一つは、いまおっしゃられましたように港湾の波動性というものを考えまして、一〇〇%の直営というのは無理だということでございます。それからもう一つは、どういう期間でそれを押えるかということでございますが、これは月単位にしたわけでございます。月間の仕事量というものが七〇%を直営でなきゃならぬと、そこでいまおっしゃられましたような波動性というものが吸収されると、その弾力性でやっていけると、かように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/56
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057・大倉精一
○大倉精一君 まあ現在でも、はしけにしろ何にしろですよ、このいわゆるやみばしけというのたくさんありますね。各港にですよ。そういうようなものが、これによって行政指導を誤るというと、かえって助長されるような結果になりはしないか、こういう心配もあるのじゃないかと思うのですがね、行政指導うまくいかないというと。これは画期的なものだと思うのですがね、今度の規制というものは。ですから、現在でも帆船というものがあるそうですね。たとえば、木船を鋼船に切りかえた。ところが、これも今度は鋼船のほうが、いままでは内航のほうでやっておったんだけれども、今度はしけのほうにやってきて、そうして業者を圧迫しておるというような状態。あるいはまた木船を、かえたはずの木船をさらにまたはしけに使っておる。こういうやみ行為がいまでも港にはびこつておる。こういうようなものの取り締まりといいますかね、行政指導措置というものは、これはこの規制によって今後ますます必要になってくると思うのですけれども、そういう点についての見通しと対策ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/57
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058・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) やみばしけということをいろいろ言われるわけでございますが、港湾運送事業によると、自分の持っておるはしけについては、はっきりした標示をつけることになっております。それをチャーターしたはしけについて標示をしていないということが、やみばしけといわれておるものについて相当あるのじゃないか。やみばしけについては、具体的な事例があれば、私どもとしてはどしどしこれは取り締まっていくわけでございますし、さらに、先ほどおっしゃられましたようなやみの運送事業、すなわち無免許の行為というものがふえていく限りにおいては港湾の正常化というものがないわけでございますから、一方においては無免許のものを強力に取り締まると、こういうことによって、われわれが考えている、集約化された、系列化した運送事業者がその規模に応じた仕事を引き受けていくと、こういうような指導をする以外に、現在の港湾の状態を正常化していく道はないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/58
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059・大倉精一
○大倉精一君 ここにも一つの非近代化の要素があるわけですね。つまり、言うならば、そういうぐあいに荷役能力を規制し、常用七〇%というぐあいに規制してみても、そういうやみの業者がはびこっていると、いわゆるワク外の者によって港湾荷役というものがどんどん行なわれておる、あるいははしけ作業が行なわれておる、こういうような現状というものを何らかの方法によってチェックしないというと、こういうりっぱな法律をつくっても、これはいわゆるザル法になるわけですね。これは陸上運送でも言えるわけなんです。ですから、こういう免許する、認可するというその業種にとってですね、いわゆるやみ行為でもって業界を混乱させるという、こういうことについて、特に行政上の考慮をしなければならぬと思います。いまその事例があればというお話でありましたけれども、やはり船込み時になりますというと、木船とか何とかというものをチャーターして、そうして船込みのときはチャーター料が高い、ひまになれば安い、こういうようなやみばしけを雇ってやっている事例、これはそういう事例があればというのじゃなくて、こういうことこそ、たまには港に行ってやっぱり実態をつかんでこなきゃならぬと思うのですね。ですから、今度こういうような規制をしまするというと、こういうやみ行為というものがさらに助長されるという傾向になりはしないか、こう思うのですね。ですから、こういうやみ行為に対する行政指導といいますか、そういうものに対する方針というか、そういうものをひとつこの際われわれが安心できるような御説明を願いたい。これは業界も労働者も心配しているんです、そういうことじゃないかと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/59
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060・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 従来のように、多数の小さい業者がたくさんおりまして、その間に結びつきがない。すなわち荷主なり船主から引き受けた貨物が、一貫作業体制になっていない。ここにわれわれが取り締まる上においても非常に取り締まりにくい。したがって、やみばしけその他というものが発生する原因があるんじゃないかと思います。今回の改正におきましては、一定規模以上に集約をする、そのもとで直営を七〇%義務づけるわけでございますが、さらに自分で直営できない業種につきましては、一つの株の持ち合いであるとか、長期の下請契約というものによる何らかの経済的な利益を与えるということによる結びつきとか、そういうようなもので港の中の業界というものをすっきりした形にするわけでございますから、そういうような形に持っていけば、おのずからやみというものの入る余地もなくなるし、また、もしそういう行為をしても直ちに発見できる、こういうことになりはしないかと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/60
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061・大倉精一
○大倉精一君 そういうこと自体はちっとも反対しませんが、けっこうなんですけれども、現実の問題としてこういうものがあるんです。将来もあると思うのです。これは私はそういう措置をしたからやみ行為はなくなるのだ、そういうのはちょっと私は甘いと思います。ですから、いわゆる近代化というような要素、第四番目の要素がこういう規制外のものの跳梁というもの、これはぜひともひとつこれを契機にして、画期的な行政指導をしてもらわないというと、これまたせっかくの構想というものが混乱をしてくるんじゃないかと思います。これはぜひひとつ今後とも具体的に港湾何とか審議会ですか、それに議題にのせてもろうて、この二、三年といわず、さっそくひとつやってもらいたいと思います。
それから次は、検数の問題でお尋ねをするんですけれども、検数労力というものが非常に不足をしておるということを聞いております。たとえばドックとシップが別々に立って、そして管理しなければならぬやつを一緒に立ってしまう、そういうことでもってちょっと何といいますか一時金、つかみ金でもってお礼を出してやらせる、こういうことをやっておるんですけれども、これはやっぱり免許検数人としての登録がある労働者をそういうやみ働きをさしているということ、ここにも一つの大きな問題があると思うのです。こういう検数の問題については、これに関連してどういう現状打開の方策を持っておられるのか、これをひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/61
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062・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 検数につきましては、外国では必ずしも日本と同じことをやっていないようでございますが、日本ではシップ・サイドとドック・サイド別々の検数を依頼すると、こういうやり方を従来からとっております。ところが月末、月初の船込みになりますと、人が足りなくなる。その関係で、いずれか一方の検数人に他のほうの検数をお願いする、こういうようなことがあるようでございます。こういうようなことをいまダブル検数というようなことで言っておりますが、こういうものがないように、私どもとしては行政的な指導はやっておるわけでございますが、やはり先ほど御指摘のように、検数人が足らないということが、こういうことになるんではないかと思います。そういう検数事業そのものの、検数業そのものの整備につきまして、私ども大体いまドック・サイドとシップ・サイドと、大体二つの公益法人でやっておるのでございまして、これらにつきまして、強くその事業の整備について要請をしておる、こういう段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/62
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063・大倉精一
○大倉精一君 公益法人の検数業自体の現状は、非常にこれまた問題があります。私はもう少しやっぱり公益法人としての資格要件というものを、しっかり監督をしてもらわなければならぬと思うのですよ。この検数人が海運局に検数人登録をしておるんですね。一体これは検数当録をすれば、何か特別の恩典なり、義務なり、権利なりというものがあるんですか、検数人登録というものは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/63
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064・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾運送事業法によりまして、登録をしない者は検数の業務ができないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/64
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065・大倉精一
○大倉精一君 登録をすれば検数の業務をする権利、資格がある、ところが両方やっているんですね、いまさっき言ったシップサイドとドックサイドのダブル検数といいますかね。これは非常に権威のないものじゃないですか、登録検数人にそういう法律に書いてないことをやらせるということは。これはほうっておくわけにいかぬと思うんですが、検数人の数の養成といいますかね、確保、これはどういうめどが立っておりますか。足らぬままですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/65
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066・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 検数人の登録は別にシップ・サイド、ドック・サイドということはないのでございますが、荷主、船主はおのおの二人に頼む、こういうのが実情でございます。検数人の養成につきましては、日本貨物検数協会なり、全日本検数協会、おのおのが独自で検数人の養成をやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/66
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067・大倉精一
○大倉精一君 それで、これはどうもかねがね私はふしぎに思っているんですけれども、港湾労働法による登録になっていないんですね、検数人というのは。これを港湾労働法からはずした理由というのは、どういうわけなんですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/67
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068・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 労働省の所管ではございますが、検数をやるのは常用だけでございます。港湾労働法をつくりましたのは、常用化ということもありますけれども、法律のしばっているのは、むしろ日雇い労働者の登録制度でございまして、そういう意味から対象からはずれたのだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/68
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069・大倉精一
○大倉精一君 いまのような現状ですと、なかなか急に検数人の養成もできないでしょう。足らぬままでしばらくいかなければならぬと思うんですが、結局港湾労働法の中へ含めてやったほうがいいと思うんですが、そういうふうにすることは都合が悪いんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/69
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070・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 検数人は港湾運送事業法によって登録を要することになっております。したがって、これは常用であるのがたてまえでございまして、港湾労働法の対象とするのはどうかという気がいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/70
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071・大倉精一
○大倉精一君 それならそれとしておきまして、検数については特にひとつ同じように考慮を払ってもらいたいと思う、港湾運送事業と同じように。
それで検数業者があるいは港湾運送事業者も同じですけれども、非常に港湾運送事業というものを混乱におとしいれるような状態を自分でやるという実際を見ているんですけれどもね。たとえば名古屋における事例を申し上げますと、港湾業者が何か協会か何かをつくって、そうして別のはしけ会社みたいなものをつくって、そうしていままでの業者と別のはしけ行為をやっている。このときに労働者がストライキをやっていて、そのスト破り会社ですかね。そういうものをつくってやったという事例があり、さらにまた名古屋の検数会社が前時代的な労働者の取り扱いをした。これはもう御承知のとおりだと思うんですね。そういうものに対する行政指導というのは、どういうぐあいにおやりになっているんですか。これは先ほど申し上げたように、暴力団なんかと同じように、前時代的な頭、感覚、こういうのか社団法人、財団法人となっている。こういう中身をほうったらかしておいて、文字だけでものを始末しようと思ってもなかなかいかぬと思うんですが、そういうような好ましからぬ業者に対して行政指導というものは、どういうぐあいにおやりになっているか、またおやりになるおつもりか、これをひとつ聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/71
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072・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 名古屋のはしけの問題につきましては、昨年七月に出先の海運局が中に入りまして、労使間に協約ができたはずでございます。ところが、その後この協約について、この協約どおりやっていないというようなことが労働者側から申し出られた事例がございます。それを受けて出先の海運局が中に入ったわけでございますが、労働組合側としては、春闘が終わったあとで交運協会と交渉に入りたいということで、そういう段階になっております。もう一つの、検数関係で不当解雇といいますか、解雇があったわけでございますが、それにつきましては訴訟の段階でございまして、一方、労組と全検の本部との間では、おのおのが条件を出し合って、現在話し合いを進めておる、こういう状態でございます。
なお、港湾運送事業における労使の関係というものは、先ほど御指摘があったように、前近代的な部門が多いわけでございますが、私どもは、やはり業自体の近代化ということによって、労使の関係というものを近代化していくように指導していきたいと、かように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/72
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073・大倉精一
○大倉精一君 まあこの問題であまり多くの時間を費やしませんけれども、たとえば労働協約を結んでも、協約どおりにやっていない。あるいは時間外手当もほとんど払っていない。あるいはまた、八時間労働といっても、実質は十時間になってみたり、そういう業者の実態であり、その中で港湾労働者が自分たちの労働条件を近代化しようという動きがある。当然これはぶつかります。でございますから、港湾運送事業の場においては、そういう労働問題はこれからも発生するだろうと思うが、そのつど経営者というものが、この問題をいわゆる近代的な感覚といいますか、正常に評価をせずに、暴力団を使ってみたり、それからそういう労働者の当然の権利を破壊するような、何といいますか、別会社をつくってみたりするような、そういう悪質な手段に出たり、そういうものがあると思うのですが、これも今後、この法律には書いてないけれども、近代化の大きな要素でありまするから、特にひとつ業者の指導については、格段の関心を払ってもらいたいと思います。
それから、最後にお尋ねするのですけれども、今度の法律は、非常に政令が多いのですね。大体この基準についてお伺いしておきたいと思いますけれども、今度は、一定の規模以上でないと免許をしない、こうなっており、その基準というものは政令で定めると、こうなっているのですね。これは、どういう規模を想定なすっているのか、この際、お伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/73
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074・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 省令にゆだねましたのは、港におきまして——大きな港、地方の港によりまして、おのおの基準の考え方というものを違えていかなければなりませんので、省令にゆだねたわけでございます。現在考えておりますのは、六大港におきましては平均の年間受注量、一店社当たりの平均の年間港湾貨物取り扱い量、これは船内で押えるのが一番はっきりしておるわけでございますが、それをもって適正な規模と、最小限の適正な規模と考えますが、それの七割を直営で行なう、そのために必要な施設及び労働者というものを基準としたわけでございまして、六大港で申し上げますと、大体現行の免許基準の一・五倍ないし三倍になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/74
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075・大倉精一
○大倉精一君 一・五倍というと五〇%増しということですね。これも念のために申し添えておきたいと思うのですけれども、そういう取り扱いの数量ばかりではなくて、冒頭申し上げたように、質の問題も十分ひとつ勘案してやってもらいたいということを、この際つけ加えておきます。
それから下請の禁止の項で、一定の要件のもとに下請制度を利用することを認める。この一定の要件というのは、どういう要件をお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/75
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076・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 法律的には、株式の五〇%以上を保有することによって支配するに足る密接な関係、その他省令にゆだねるということになっておりますが、その省令の考えておりますのは、元請業者が下請業者の四分の一以上の株を保有する、さらに役員を派遣している、それが一つでございます。次に元請業者と下請業者との間に長期の下請契約が結ばれておる。これを五年契約と考えている。それで元請業者が下請業者に対してその作業に必要な施設、資金その他の経済上の利益を提供していること。逆に下請業者が元請業者の株の二分の一以上を保有している。それから下請業者が元請業者の株の四分の一以上を保有するとともに、役員を派遣している、こういう逆の場合があるわけでございまして、この四つを考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/76
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077・大倉精一
○大倉精一君 大体わかりましたが、それからもう一つ。船内と船外との区分に関連して船の大きさをきめるのに、その大きさも省令できめる、こういうことになっている。大体どういうようなことか、これもこの際明らかにしておいてもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/77
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078・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 現在五百トン未満というように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/78
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079・大倉精一
○大倉精一君 これで終わりますけれども、要するに、きょうは私は冒頭から非常に抽象的なお尋ねをしましたけれども、抽象的ではあるけれども、そういう抜本的な分野に新たな決意と構想がなければ、港湾の近代化というものは私はできぬと思う。ですから、暴力の組織なり、港湾運送料金なり、やみ行為なりその他きょう質問しましたこういうことを、ぜひともこの際心を新たにしてやってもらいたいと思う。特にいままでのように、役所にばらばらに審議会なりあるいは本部なりということも、けっこうかもしれませんけれども、やはり総合的に、抜本的に答申にあるような旧来の慣例を破った抜本的な対策を考究する場をつくる、こういうことでほんとうにこの法案が生きるようにしてもらいたい、こういうことを要望して質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/79
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080・岩間正男
○岩間正男君 私は二、三点簡単にお聞きしたいのですが、第一に、この法律の提案理由によりますと、事業規模の拡大とか、一貫責任体制の確立をはかるとか、こういうことをうたっているわけですね。その結果は言うまでもなく、これは企業合同を推進する、系列化を促進する、こういうことになると思うのです。当然このしわは、これは港湾労働者に最終的には当然押しつけられてくると思うのです。この点についてどういう対策を考えているのか、この点をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/80
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081・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) ただいまお話がございました集約化、一貫責任体制化というのが答申にございますその趣旨でございまして、答申はそういうことによって、企業規模が拡大することによって、労働者の常用率も高まるし、労働者の福祉施設その他も整備されて雇用が安定する、こういう方針をとっているわけでございまして、私どもはその方針に従って今回の法改正をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/81
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082・岩間正男
○岩間正男君 そういう答弁ですけれども、実態をほんとに把握すれば、簡単にそういう形にはならぬと思う。企業の合同化、系列化を促進する、そういうことで答申がなされた。しかし、結局そのしわは、私は最終的にはこれは労働者に押し寄せられてくるのは、当然だと考えます。
第一に、それならお伺いしますけれども、これはどうですか。輸送量は、海上輸送量というものが最近年々ふえておる。ことに高度経済成長政策になってから、非常に膨張してくると思います。それから最近のベトナム戦争の特需問題なんかが当然出てくるわけですが、それから東南アジア開発、これに対して日本政府は国民所得の一%というものを援助して送りたいということがありますけれども、これは金じゃない、やはり物です。こういうことになりますというと、貿易額は非常に拡大されてくる。当然これは統計にあらわれていくと思うのでありますが、ここ数年間の、ことに高度経済成長政策になってからの伸び率というものは、どういうふうなものですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/82
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083・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾運送量の推移を申し上げますと、昭和三十年を一〇〇といたしました場合に、三十六年が二一六、三十七年が二三四、三十八年が二六四、三十九年が三〇九、四十年はわかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/83
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084・岩間正男
○岩間正男君 いま説明がありましたが、当然これに対する港湾労働者の数というのは、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/84
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085・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/85
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086・江藤智
○委員長(江藤智君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/86
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087・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 労働者で申し上げますと、常用労働者でございますが、これは三十一年が一〇〇でございますが、三十一年を一〇〇といたしまして三十六年が一二〇、三十七年が一二四、三十八年が一二五、三十九が一二九でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/87
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088・岩間正男
○岩間正男君 私はなぜそういうことをお聞きしたかというと、これは近代化とかなんとか言って機械化、合理化そういうことを推進する。そういうことでこれを埋めるということだと思うのですが、運送量のほうはこれは大体三十年の三倍に伸びておる。労働者の数はどうかというと、これは一・三倍くらいですね。ほとんどこれは伸びがないわけでしょう。そうすると、そこからのしわというものは、非常に重大な問題だと思う。近代化とかなんとか言っておりますけれども、これをどういうふうにして政策的にここのところを埋めていくか、どう考えておるか、その点についての方策をお聞きしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/88
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089・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 先ほど申し上げました指数の中でさらに申し上げますと、沿岸労働者の数はそうふえておりません。船内労働者の数はふえております。と申しますのは、沿岸のほうが機械化が非常にしやすいわけでございまして、私どもはやはり企業規模というものが大きくなって企業が協力することにより機械化を促進するということ以外には、手がないんじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/89
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090・岩間正男
○岩間正男君 そこでお聞きしたいのですけれども、これはどうです、港湾労働法で運送の近代化でまかなうというようなことも、いま当然政策としては進めるということなんですが、しかし、この結果はどういうふうにあらわれてくるかという実態について、これは把握をされておるのか、私はこういう点で先ほども大倉委員から質問がありましたけれども、これは十日くらい泊まり込んで、そうして実際労働者の末端の労働の姿というものをもっとはっきりする必要があるんじゃないか、こういうふうに思うわけです。そうでないと、ここだけのプランでやっているというと、いかにもそれはもっともらしい答弁をされているけれども、実態は必ずしも合っていない。そのしわが、実際に労働者にかぶっているというのが現在である。そうして近代化、近代化と言っているけれども、それは非常にやはり大資本本位の都合のいい近代化で、労働者の面にはしわとして大きくこれはあらわれているというふうに思う。そういう実態については、どういうふうにあなたたちは把握しておるか。それからその把握についてどういう一体対策を持っておられるかお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/90
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091・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) この答申が出されるまでの二年の間十分現地を調査いたしまして、この答申がなされているわけであります。それはどういうことかといいますと、経済が伸びたために港湾労働者の数が少なくなった。それを確保するために常用化ということを進めなければならないし、また日雇いについては、これは登録制にしなければならないということから起こっているわけであります。私どもは、やはりこの答申を忠実に進めていくというのが一番いいことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/91
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092・岩間正男
○岩間正男君 実態を把握といっても統計とか、それから業者の報告とか、それから港湾局のそういう報告ぐらいでつかんでおる。この前のタクシーの問題もそうなんです。表面はうまくいっているのだが、実際の実態はそうはいっていない。
私は最近、これは名古屋の例ですが、名古屋の例を聞いても船内、沿岸を含めて約一万人の労働者がおる。ところが、非常に最近事故が続出しておる。死亡、重傷者がずいぶんふえておる。たとえば最近すごい例がありますよ。三月二十四日ですか、朝の九時ごろに中央埠頭沖合いに停泊中の大阪商船、三井船舶の貨物船の羊毛の荷揚げ作業をやっていた。そうして大正海運の船内労働者がそのときに起重機の支柱が突然に倒れてきて、そこで二人下敷きになって一人が即死、一人が頭部を強打して重傷、こういう例がある。ところがそれだけではない。さかのぼって三月十五日に同じように太洋海運の労働者がイタリア貨物船から荷おろしのためはしけで作業をしておったところが、四十キロもあるアルミ粉末の積み荷が落っこって腹にぶつかって、内臓を押しつぶされて死亡した、こういうことがある。それから同じ日に藤木海運、仕事は大体南ベトナム向けの弾薬、ジープ等の軍需物資の輸送をやっておる、これを一手に引き受けておる業者のようでありますが、この船内労働者二十人が荷おろし作業のために接岸中のベトナム貨物船に、乗船の際突然タラップがへし折れて五メートル下の固いコンクリートに重だって転落した、三人が頭部を強打して重傷を受け、七人が負傷しておる、こういう事態が続出しておるのです。三月一カ月の間で三人が死亡して十数人が重傷を負っておる。そうしてこれも統計的に見ると、平均一日二件以上の傷害事故が起こっておる。一カ月に一人以上の死亡者で出ている。これは名古屋の例ですが、しかし、このようだ事態というのは、その他の重要港湾の神戸、横浜、東京ではどんどん起こっておるのじゃないか。これは合理化のいわば犠牲なんですよ。こういう実態をどうつかんでいるかという問題なんですけれども、この事故の把握というものは、どういうふうになっておりますか。これに対する対策はどうなのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/92
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093・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 遺憾ながら、港湾におきましては労働災害が多うございます。で、全産業の大体約七倍、それから陸上貨物取り扱い業の約二倍、大体鉱業と同じくらいの労働災害の率になっております。で、これは私どもは改善をもちろんしなければならぬということで、労働省とも一緒になりまして、現在日本港湾労働災害防止協会というものがつくられて、それが中心になって災害防止をやっておりますが、さらに私どもは、先ほど来申し上げておりますように、企業というものがもっと健全化して、災害防止にさらに力を入れ得るように、また適正な労務管理をできるように指導していかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/93
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094・岩間正男
○岩間正男君 港湾労働法が通ったのはいつです、去年でしょう。そのあとですよ、ことしの三月ですからね。そうすると、港湾労働法なんというのは、これは少しもこういう事故の解消には役立っていないのじゃないか。安全的にはこれは関係ないというかっこうになっているんじゃないですか。いまの報告によりますというと、労働災害は全産業の七倍、これは聞き捨てにならない問題でしょう。やすやすとここの議場で七倍と言って、いるけれども、これはたいへんなものじゃないですか。これに対する抜本的な対策というものを、もう少しやはり実態に即応して、これは私はやらなければならぬというふうに思うのですけれどもね。これに対する対策というのはほとんどないのじゃないですか。これは港湾労働法が通ったって役に立たない。そしてまた、この問題は非常に今度の法改正と深い関係があるのです。この問題を解決しないでおいて、これを何というか、ふたをして、そして近代化と言ってみたって話にならない。近代化によって逆に犠牲が起こっている。いま言ったように、はしけが折れたとか、それからもうクレーンでけがをするとか、積み荷に押しつぶされるとか、近代化、近代化という名前の労働強化じゃないか。先ほど申しましたように、非常にこれは輸送量と労働者のバランスというものはとれていなくなっている。一方は三倍にふえている、労働者の数はほとんど同じ、こういうところに、もっと抜本的な対策を講ずることなしに、私はこの問題を基本的、に解決することはできないと思うのです。そういう点についての一体行政指導というものは根本的になされておるか。
中村運輸大臣に伺います。私はこの前タクシーの問題をやりました。タクシーもほんとうに前近代的なものだ。全部労働者のやっぱりそこのところの問題を解決しなければ、全くこれはほんとうに能率化と言ったって、真の正しい意味でのそういう発展を遂げることは私はできない。この点どういうふうに考えておられますか。この点もう少し、切実な問題ですから、運輸大臣から行政指導面としてはっきり答弁を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/94
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095・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 先に私から申し上げたいと思います。港湾労働法の施行は、この七月から全面的に見るわけでございまして、登録制度というものは七月から取り入れられるわけでございます。で、まあこの事故の原因でございますが、私どもは、やはり日雇いが多くて非熟練であるということが大きな原因ではないかと思います。で、これにつきましては、今回の改正で業というものを強くしていくということは、常用化というものを進めていくという答申の趣旨でございます。また、港湾労働法にきましては、日雇い労働者が仕事につかない場合には訓練をするということになっております。このようにして熟練度を高めるということと、安全管理をさらに強化するということによって、事故を防いでいかなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/95
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096・岩間正男
○岩間正男君 大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/96
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097・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 近代化、合理化の内容の中には、労働者の安全というものが、当然重要視された内容でなければならぬと思いますが、労働者みずからもやはり十分安全に気をつけて、できるだけ、いま局長が言いましたように、他産業に比べて七倍というような、そういう災害率にならないように、行政の面でも十分気をつけてまいらなければならぬ、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/97
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098・岩間正男
○岩間正男君 この保安対策というやつはどうなんです、実態を知らぬのですか。これは先ほど災害防止協会をつくってやっていると言いましたね。しかし実態は申しわけ的なものじゃないですか。名古屋の実態を私聞いておるのですが、経営者たちは確かに会をつくった。しかし何をやっておるかというと、毎月十五日に安全日というものをきめておいて、それで週一回の港内パトロールで何をやっておるかというと、安全帽をかぶれということをマイクでがなり立てているだけです。こういうかっこうでは、実際はこういうことだけで、そんなパトロールで注意するくらいのことでは、基本的な問題は解決しないと思う。これは労働強化によってほんとうにすごいところに追い込まれていますね。名古屋の場合を見ますというと、これはピークのときには一日約二百数十隻の貨物船があって、荷さばきのために労働者は早朝七時から継続して四十八時間あるいは七十二時間の徹夜連続作業をしいられておる。十分な休憩時間もない。食事は夜中の十二時に一回補食が出て、一日四回ということになりますが、これにはお茶の設備も十分にない。こういうことが現地の実情のようであります。そうしますと、一方ではいまのようにマイクでがなり立てるというようなことを何ぼやったって、実態に即応しないわけですよ。全然。問題は、そこのところの労働条件に対してもっと徹底的にメスを入れ、これに対しての施策というものがなされなければならぬと思う。こんな災害防止協会なんというものは、全く申しわけ的な、事態を糊塗する、そういう機関にしかなっていない。これが実情だ。この点どうですか、つかんでおられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/98
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099・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 根本は、やはり港湾運送事業そのものが前近代的であるということではないかと思います。で、この労働災害防止協会にいたしましても、決して申しわけではないので、むしろもっと早くこういうものが当然できているべきものが、できるのがおくれたというのが実態ではないかと思います。しかし協会といたしましては、安く、規則をさらに検討するとか、労働省の指導のもとに各港ごとに具体的な安全対策を立てておるわけでございまして、私どもはやはりわれわれのやることとすれば、港湾運送事業そのものを近代化することによって、労働者の福祉施設をつくり、また労働環境をよくしていく、こういうことを進めていくのが、やはり根本対策じゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/99
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100・岩間正男
○岩間正男君 私お聞きしたいのですが、いまのような七十二時間継続作業あるいは四十八時間継続作業、そういう実態をあなたたち、いままでつかんだことありますか。知っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/100
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101・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) その実態については聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/101
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102・岩間正男
○岩間正男君 そこが問題なんですよ。いつでも行政の面と実態がそれるのですよ。そうして実際の問題を解決するということを言っておるけれども、かゆいところに手が届かない。そのしわがどこにいくかというと、労働者にいってしまう。これは明らかに労働基準法違反じゃないですか。いまのようなことはどうなんですか。これは労働基準法でははっきり重量荷物を扱う危険作業は二時間をこえてはならない、こういう規定が基準法の中にはっきりされておると思うのです。こんなものは無視されておるのじゃないですか。ここには基準局長きょうは見えておりませんけれども、これは単に基準局長だけの問題じゃございません。港湾荷役行政として非常に重要な問題なので、これをあなたたち知らないと言うことはできない問題なんですがね。これはどうなんです。こういう実態、当然これは直接監督に任ずる労働基準局が調査をしなければならぬ。この実際の直接監督に、当たっているのは、これはあなたたち御存じかどうかわかりませんが、これは南労働基準監督署というのですね。そうでしょう。三カ月に一回調査をするだけだというのですね。三カ月に一回の調査だといったら、その間、すき間を何ぼでも抜けていくわけですね。そうしていまのような事態がもっともっとこれは繰り返されていく可能性が十分ある。これは大臣どうです。大臣にお聞きしたい。基準局長きょう呼んでおりませんけれども、基準局長からも見解は当然求めるべき問題なんですが、呼んでいないから大臣に伺いたい。労働行政の面としてこれはどうですか。これはタクシーのときにも全く労働基準法の違反があったわけですが、もっとひどいわけです。前近代的というよりも、前々近代的というくらいな問題だ。労働者に対しては最も日本の古い、そうして顧みられない、そうして全くくさいものにはふたをされているという実態がここにある。これはどうですか。中村運輸大臣も空をずっと歩いてこられて、まだそのなにが抜けないかもしらぬけれども、もう少し地上を見てください、現実を見てください、海上を見てください。そうして責任のある答弁をしてください。どうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/102
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103・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) ただいま岩間委員から仰せられるような過重な労働状態が実は行なわれているということは、調査しなければ何とも言えないのでございますが、そういうことが行なわれているとすれば、それはやはり基準法違反ということになるので、そういうことのないようにやっていかなければならぬ、かように私としては思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/103
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104・岩間正男
○岩間正男君 あなたはこの前、東南アジア閣僚会議で、海上輸送の問題で演説されておりますね。こういうことを言われているでしょう。東南アジアの港湾を整備し、輸出振興の基礎をつくらなければならないということ。——思い出しましたか、こういうあなたは演説をされていると思うのだが、これと非常に関係があるのだ。どうですか。ことにいま政府の政策としては、どうです、対外援助が非常に大きな問題になっているでしょう。年間もう現在輸出輸入八十一億ドルですか、年々これは激増しているような状態です。そこへもってきて、最近の東南アジア向けの軍事物資の輸送が、これが非常に大きな問題になっている。特需の問題が起こっている。それからいまの海外援助の問題です。これなんかは別名を大東亜共栄圏というようなかっこうで言われている。そういう一環としての港湾づくりというものとこの法案は無関係ということはできない。こういう点についていま独占本位の、私は、系列化、企業合理化、こういうものをやっておりますけれども、これで一体ほんとうにいまの港湾労働者の問題が解決される、そういうふうにはこれは考えられないのです。ここが非常に重大ですよ。日本の最近の産業経済の体制がそういうような大きな一つの何といいますか、アメリカの核戦略体制の中にどんどん組み込まれて、そういう一環としての経済進出なんだから、そういう体制からやはり私はこの問題を明確にしなければならぬと思う。どうですか、この点について。あなたの演説されたのは、いかにもそれだけ聞いていると、もっともらしいことになっておるが、いまの置かれておる日本の現実との関連、そうしてこの法案との関連というものが、私は明らかに浮かんでくるのじゃないかと思うのですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/104
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105・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 私が東南アジア方面の港湾整備あるいは荷役等の整備をせなければならぬと申しましたのは、後進国が大きな商船隊をつくりたいというような希望がございますので、大きな船舶等をたいそうそろえた商船隊等をつくってみても、港湾の整備等ができておらないと、後進国の経済的な発展のためには直接つながるものでない。それで、日本が持っておりますような海運の体制、そういう大きな体制をつくる前に、やはり港湾等の整備が必要である、こういうことを申し上げたのでございまして、いま、岩間委員が仰せられるような、そういう政治的な含みがあって申し上げたものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/105
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106・岩間正男
○岩間正男君 海外進出をやるためには、基地が必要です。土台が、体質が弱くてはできないのですから、独占本位の体質をここで強化する。それが大きな踏み台になって東南アジアを含めた、そういうアジア経済進出体制というものをつくることができる。そういうことをあなたの御答弁は裏書きされておるように思います。政治的であるかないかなどというのは、それはもっと背後で大きなそういう構想のもとに動いている人がないということは、言えないわけです。
それから、これは局長にお伺いしておきますが、私はこれで終わりますが、それに当たって確かめておきたいのだが、さっきの四十八時間、七十二時間というのは、これは基準局長に聞くまでもなく明らかに基準法違反です、こういうふうに思うのですが、こういう実態を把握されたら、一体どういうふうにあなたたちは処置をとるか、この点伺って私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/106
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107・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 労働大臣の所管でございますが、そういう違反事例があれば、当然これは労働省が労働基準法に基づいて処罰すると思います。私どもはそれを受けて行政的な処分をし、かつ指導をしていかなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/107
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108・相澤重明
○相澤重明君 港湾運送事業法の一部を改正する点について、運輸大臣はじめ関係者にちょっと聞きたいと思うのですが、まずこの法律をつくることによって、全国でどの程度の港湾が近代化され、合理化されるという考えであるか。実際に法律はつくったけれども、資金面、あるいはそうした計画面というものが示されないというと、運輸省は法律さえ国会を通せば能事終れりということになっては、私はたいへんだと思う。政府が考えておる、この法律を通したとするならば、一体どういうふうになるのかというひとつプログラムを、まず最初に御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/108
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109・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) この法律の対象になっておりますのは、九十二港でございます。中でも問題の多いのは六大港でございます。それは全国で経営者の数が約千八百程度だと思いますが、そのうち千百程度というものが六大港にあるわけでございます。やはり六大港を中心にしてこの法律の趣旨を運用していかなければならないと思います。これをやっていきますには、別に、港湾審議会の中に港湾運送部分というものを設けてありまして、各界の学識経験者に寄っていただきまして、具体的な名港の実態調査から、一つの集約の方向というものを原則的につくっていただきまして、これに基づいて行政指導をしていきたい。法律におきましては二年間の猶予がございますが、二年以内にこの問題を解決していきたい、かように思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/109
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110・相澤重明
○相澤重明君 その次に、この合理化、近代化による施設等の資料が出ているようですが、この法律を通してそういう合理化、近代化ができたならば、これは関係港湾においてどのくらいの総トン数が一体輸送できるのか、これをちょっと説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/110
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111・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) ただいまの資料は免許基準の改定でございまして、これは先ほども申し上げたのでございますが、大体六大港におきましては、現在の免許基準におきます施設及び労働者が一・五倍ないし三倍の規模になるわけでございます。その数字をここに書いてあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/111
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112・相澤重明
○相澤重明君 佐藤君の言うのは何……、労働者の数が一・五倍にふえるということか。いま一回言ってくれ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/112
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113・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 法律の改正によりまして、免許基準というものを省令にゆだねられたわけでございまして、省令案としてここにあげたわけでございますので、いまお話がございましたように、いままでの免許基準よりも一・五倍ないし三倍の施設及び労働者がない限りにおいては、今度は免許できないということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/113
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114・相澤重明
○相澤重明君 そこで労働者の数がふえる、施設がよくなるということになると、たいへんよいことになっているわけなんです。しかし、港湾の労働問題というのはしかく簡単ではない。私は特に横浜港の地元でありますから、いつも港湾の荷役問題については、強く指摘をしておるところでありますが、従来の常用関係だけでは、これは全くいざというときに仕事ができない。そこで港湾労働法という問題が出て、労働者をいわゆる完全雇用の方向に進めなければ、ほんとうの仕事というものはできない、こういうことが指摘をされておったのであります。この法律の精神からいって、一・五倍ないし三倍という人を必要とする、こう言っておるが、この扱いトン数あるいはその船舶の数、そういうものと港湾の施設との関係において、人間の数というものはさまってくると思う。そこでそういう最大のピークのときを押えて、いわゆる人間というものを考えられるのか、それとも最低の基準をもっていまの一・五ないし三というものを考えているのか、これは重要な分岐点になりますから、その基準をどこにとったのか、ひとつお答えをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/114
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115・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 従来の免許基準で申し上げますと、荷主もしくは船主から委託を受けた業務が、円滑に遂行されれば足りるという精神でございました。今回それを基準を上げましたのは、一つの企業の規模として最低これだけの模模はなくてはならないというふうに大きくしたわけでございます。それは港湾三・三答申でも言っているように、適正な規模ということを言っておるのでございますが、それはどのようにきめたかと申しますと、六大港におきましては、年間の一店社当たりの平均の取り扱い量、これは船内荷役で押えたわけでございます。それをもって最低の規模であるというふうに押えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/115
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116・相澤重明
○相澤重明君 やっぱり政府の考えは最低を押えていると思うのです、私は。ところが最低なるものが、実はどうも最低になっていないんで、むしろ労働者側から見るならば、これが最高に押えられているというふうに思うわけです。この点は私は各国の港湾等を見ても、日本はまだまだおくれているということを言わざるを得ないわけです。私は法律改正にあたっては、むしろ近代化、合理化というものはもう最低限必要なものはやらなきゃいかぬ、そういうことはそれだと思うのです。ただ近代化、合理化をやらなければならないけれども、そのために労働者がしわ寄せを受ける、労働者が犠牲になる、これは許すことができないと思うのです。という点が政府の見解と違う点で、いまの基準を最低にとったか、最高にとったかという問題が出てくるわけです。
いま一つ聞いておきたいのは、この港湾運送事業に関連をした仕事を、今度は規制ということになると、関連をした仕事というものは、われわれが従来主張しておった清掃の問題であるとかあるいは今度は船の場合、沿岸に施設をしたクレーンであるとか、そういうものが、今度は船自身がつくっておるクレーンであるとか、あるいは英国やアメリカでいま進められている船出体によるコンテナー輸送というようなものまで、たとえばこれは例示だが、そういうものまで政府としては考慮に入れた港湾運送事業法の関連ということを指摘をしているのか、どういうものなのか。そのこともあわせて御報告をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/116
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117・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 今回の法改正におきましては三・三答申に言われておりますように、一方においては労働者を確保する、もう一つは業務を集約して一貫体制を整える、この趣旨でございまして、特にこのコンテナーとか、そういうものを対象にして考えたんではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/117
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118・相澤重明
○相澤重明君 運輸省ではそういう考えはないのかね。ほんとうのいわゆる国際競争に耐えて、国際収支を改善するというには、私はなまじっかのことじゃできないと思う。もっと日本の将来のいわゆる海上運送なり、港湾運送事業というものに対する根本的な検討が、私は要請をされるのじゃないか。むしろ世界のそういう海運界の中におけるわが国の海運事業といわれるものを、いま一歩私は検討して進んでいくのがほんとうにこれから国際収支の問題をはじめ、私はひけをとらないことになると思うんです。だから、いまの話を聞いていると、人を確保することをまず第一条件として、そうして港湾の合理化、近代化を進めるのが今回の法改正だと言うが、私はそんな程度では、実際の港湾運送の近代化や、合理化ということにいかぬのじゃないかと思う。むしろそういう感を深くするわけなんです。そこで、爆弾的な動議になるかもしれぬが、これは運輸大臣からひとつ答えてもらいたいと思うんだが、いまの港湾の、たとえば船内荷役にしても、一ギャング十五名ないし十六名ですね。こういう労働者の確保というそのこと自体が、非常に日本の労働者の常用というものを少なくし、俗に言う、港の雇われていない労働者を低賃金で引っ張ってきて、いざというときに働かせる。こういう形でやっていって、低賃金で人を雇うのは、実は職安法で禁止をされている。人集め事業をやっているいわゆる港湾の労働者を扱っているのは、何々組という、実は私どもから言うと、右翼暴力団的な存在のものが多い。こういうことで、実は兵庫における山口組なるものが摘発され、現在はかなり大きな世論の関心になっている。こういう連中がばっこをする限り、正しい意味の私は労働者を確保することはできないだろうし、また、いわゆるそういう政府の方針、政策を進めようとしても、妨害が起こり得るのじゃないか。かつて神戸市議会では、この港湾事業の問題について、市議会自身も非常な混迷におちいったということは、本院の決算委員会においてもそういうことが指摘をされたわけです。こういう面で、いわゆる港湾の明朗化、近代化あるいは合理化ということを真に進めるとするならば、私は、ほんとうに局長が答弁する、まず人権を尊重して、人間のいわゆる労働条件をよくする、こういうことでいくならば、何々組なんというようなものは、これはどうしても追放しなければならぬ。そういうものの人集めというようなものは、やめなければならぬ。つまり正しい意味の常用ですね。いわゆる労働者と経営者との契約というものがなくてはいかぬ、こう私は思うのだが、一つの例で——これは法務省がやっていることだが、そういうたとえば山口組といわれるものがいま摘発されつつあるんだが、そういうものを運輸省自体が港の明朗化についてやる気があるのか、ないのか。これはもう法務省の関係だから法務省にまかしておけばいい、こういうことでは、私は実際に人というものは集まってこない、こう思うので、ひとっこれは運輸大臣の所信をお尋ねしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/118
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119・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 港湾荷役の実情につきましては、相澤委員が指摘をなさいましたように、いろいろの問題を含んでいると思います。きわめて正常ならざる姿等も多いという実情でございますが、港湾荷役の近代化、合理化によって、ある程度労働者の生活の安定と労働環境を整備していくというような、いわゆる行政指導等とあわせまして、暴力行為等につきましては、警察当局と打ち合わせながら、正常な労働、港湾荷役の場の中に暴力が入る余地のないような環境をつくり上げていく、そういう方向でまず意見はやってまいりたい。違法な行為あるいは暴力行為等に対しましては、政府は力をあげてそれをなくして、そうして、まじめな、正常な労働者の生活環境を守っていくという方向で努力を続けてまいりたい、そういう決心をもって対処してまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/119
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120・相澤重明
○相澤重明君 なかなかいい答弁だと思うのです。答弁としてはりっぱだ。しかし、それが実際に行なわれるかどうかということが、われわれ議会側にとっては大事なわけです。
そこで、それでは実態をひとつ聞いてみたいと思うのです。たとえば港の常用労働者というものは現在どのくらいの賃金をもらっておるのか、これがまた、外国の港湾労働者と比較してみた場合は、日本はどの程度なのか。それからいま一つは、いわゆる非常用ですね、つまり、忙しいときに何々組が集めてくる、そういう人たちには、いまどのくらい金を払っているか、これをひとつ説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/120
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121・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾労働者の賃金でございますが、平均で申し上げまして、昭和三十九年が千二百五十円でございます。これは現在は大体千六百円程度というふうに考えております。なお、外国の労働者の賃金でございますが、これにつきましては、先ほど岩間先生から資料を提出するように言われておりますので、後刻提出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/121
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122・相澤重明
○相澤重明君 そのぐらいのことを説明できなくてどうするのだ。調べてなんということでどうするのだ。法律の提案をする立場の者が、いまから資料を取り寄せ、調べて報告しますなんという、そんなお粗末なことがあるか。やはりちゃんとそれは、たとえばアメリカと比較したならば七分の一とかなんとかいう、そういう資料はあるのじゃないですか。そのくらいのことを答弁できなくてどうするのだ。
それからいま一つ、いまの常用の場合が千二百円が千六百円になっておってとたとえば言っても、それでは非常用の場合は幾らで集めているか、それを言えないのか、いまそれを答えぬといかぬよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/122
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123・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 先ほど労働省の賃金というお話でございましたが、荷役労賃でございますれば……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/123
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124・相澤重明
○相澤重明君 荷役労賃じゃないよ。非常用者の賃金だよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/124
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125・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) それは先ほどの千六百円に対応するものといたしまして、大体日雇いの場合は千二百円程度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/125
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126・相澤重明
○相澤重明君 だからだめだというのだよ。逆なんだよ。そうじゃない。無理に人を集めてくる場合、たとえば、いま横浜港でやる場合には二千円以上出すのだよ。常用の者は賃金が安いのだ。それが組の者が集めるから、高く払ってもできるのだ。なぜかというと、そういう仕事を自分たちがとれば、それだけのかすはとれるのだ。上をつむことができるのだよ。まるで大蛇が酒を飲むようなものだ。みんな業者が仕事をおれがやってやると言って、うんと先にいわゆるつまみ食いしちゃうのだよ。そういうところがわからないから、低賃金じゃありません、普通の給料払っていますと——しかも、常用のほうは千五、六百円で、そういう非常用は千二百くらいで済む——千二百円ぐらいで港の常用者が来るところがあるか。そういう認識だからだめだというのだ。そういう認識だから、二千円ぐらい出すから、おれは常用でなくてもいい、そういう組の者、そのほうがいい、中には、そういう盛んに肩たたきをやってそういう常用化をこわさせる方向もあるのだよ。そういう点をわれわれ考えていかないと、実態というものをつかんでいないと、港の近代化とか、特に何々組をやめさせようなんと言ってもできないです。これはそういう権力も握っているし、金の力もあるのだよ。これが日本の港の前時代的だということが実はなかなか直らぬところなんだ、これでは、港の労働者が一番苦労しているし、かわいそうです。だから、せめて三・三答申を受けて今回の法律改正をするならば、そういうときにやはりメスを入れる、そうして労働者の労務というものを確保し、生活を守るという立場がなければ、そんなものは、法律なんというものは、ただ大臣が読んでよろしくお願いします、ああそうかと言って通るだけの話だ。そんなもの何にもならぬ。大臣以下気をつけて提案をしなければならぬ、そういうことを——これは答弁は要らぬわ。わからないのだから要らぬ。
そこで私は、そういう点をひとつやってもらうために、そこで実態調査をやる必要があるのじゃないか。そこで、私はおそく来たからどの程度同僚議員が言っておったか知らぬが、そこで、せめてこの法律が通って、そういうことをやるというならば、どうだ、六大港ぐらい、重要港ぐらいはひとつ実態調査をやることと、いま一つは、そういう港の運営について、どういうふうに政府が協力を求めるか、これは業者、地方自治団体、学識経験者も入ると思うのだが、そういうようなものをまず発足をさせてやる気があるかないか。これは実際に歌だけ歌っておってもカナリヤは鳴くかもしらぬけれども、仕事にはならぬ。そこで私は、運輸省がせめて全国の十幾つか——この話の中でこの重要港ぐらい、そのくらいのことは当面発足をさせる。それから実態調査を政府がやると同時に、われわれ、これは運輸委員長にも注文をつけておきたいのだが、運輸委員長も委員長理事打合会でどことどこを見るぐらいのことを早急にきめて、それで政府が言っていることがほんとうに実施をされるという確信を持たなければ私はいかぬと思うのですよ。予算というものは、単につくっただけで予算がとれたからそれで使ってしまえばいいということでは、国民の血税というものは何の役にも立たぬ。私は特に決算委員だから、予算がいかに適正に使わっているかを調べるのが私の役目だからね。そういう意味で、運輸大臣がどう使っておるかということは、これは一度監査しなければならぬ。そういう意味で、いまの実態調査をやるしかた、それから何カ所ぐらいやるか、それから今度は、そういう重要港について当面協力を求めるにしても、どうしたらそういうふうなことができるかという、その考え方があるのかないのか、その二つをお答えいただきたい。あとのは委員長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/126
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127・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 三・三答申を出す前に現地を調査した結論がとの三・三答申でございまして、先ほどの労働に関するいろいろな問題も、港湾労働法の施行によって、手配師等が排除されると思います。私どもは、この法律の施行につきましては、現在すでに実態調査の緒についているわけでございますが、実態調査の結果をもって審議会にはかって、具体的な集約の方途を原則的にきめてもらって、それによって行政指導をしていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/127
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128・江藤智
○委員長(江藤智君) 次に、委員長からお答えいたします。
ただいまの相澤委員の御提案につきましては、委員長及び理事打合会において、十分御趣旨に沿うように検討をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/128
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129・相澤重明
○相澤重明君 委員長の答弁、それでたいへんよろしい。
そこでその次は、いまの局長の答弁で、実態調査を終わり、そうして審議会にかけて進めるという話だが、それはいつごろにそういうことを行なうのか、その時期の目標をお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/129
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130・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 実態調査は現在もうすでに始めております。実態調査は六大港を中心にして行なっております。その結論を得次第に、すみやかに港湾部会にかけたいと思うわけでございます。結論は二年以内に出したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/130
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131・相澤重明
○相澤重明君 いまの最後の二年以内に結論を出すということは一体どういうことなのか。私は先ほどから言っているように、まあ、あまりふだん運輸委員会でしゃべらないからあとになってしまったのだが、とにかく、二カ年以内になんというマンマンデーな話をしておって、それで、この法律を通せば港の近代化、合理化ができて、労働者の雇用条件もよくなりますと、よくもぬけぬけと言ったものだ。この二年先にはどんなに日本の経済事情の変化があるかは予測できない。これはいままで政府が、たとえば国鉄の問題にしても、道路の問題にしても、住宅の問題にしても、五カ年計画を策定したって、満足に五カ年計画をやったことがあるか。そんなことはできやしないじゃないか。その事情の変化というものは実に大きいものですよ。それを、いまこの法律を通してもらって、それで二カ年かかって答申をまとめますという頭の古さ、全く頭でも刈ってこい。実際にほんとうに、こんなこの二年内に出せばいいということになってしまう。だから、そんなことではなくて、これはもっと、いまの実態調査はじき終わるでしょう、そうしたら、君、実態調査が終わったら、部会にかけて、一週間に一回やったっていいじゃないですか。一年に一回やらなければいけないということではない。そういうことをやはり政府の行政の担当者が誠意を持って進めることが、具体的によくしていくことなんですよ。そんな二年なんということは、私がしゃべった以上は了承できないですよ。運輸大臣の答弁は何を言っているのだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/131
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132・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) できるだけ早くやることにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/132
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133・相澤重明
○相澤重明君 できるだけ早くじゃだめだ、そんなこと言っておっちゃだめだ。大臣、もっと誠意を持って答弁しろよ。二年というのは、できるだけ早くなんと言ったって、二年というのは、一年九カ月も一年半もある、そんなことはだめですよ。すみやかにもっと——この法律を実際に移す時期はさっき示されたのでしょう。その実施の時期が来たならば、それに合わせるようなことを考えないでやるなんということは、全く二カ年というのは、それはもう終わりのほうの実際にどうにもならないものを何とか生かしていくということなんですよ、これは。まず法律は、少なくとも、できたならば、その実施の第一段階が一番大事なんです。それがもたもたするから長引いて、しかも、先へいけば事情変更によってこの法律をいま少し延期しなければならぬということが出てくるわけです。そういうことであっては私はいかぬと思う。そういう意味で、これはもう少なくとも一年以内、そのくらいで答申がまとまらないでどうすると私は言いたい。そこで、その時期を運輸大臣にいま一度答弁をしてもらうと同時に、注文があるわけです。
いまの労働組合について、一体どういうふうに考えて、どういうふうに労働組合に協力を求めようとするのか。これは、この港湾関係について全港湾があり、日港労連がある、その他の中立もあります。そういういわゆる労働組合の連合体なり労働組合の単一体なり、そういう労働組合が港の運動については、きわめて経営者側よりもむしろ熱心に私は進めてきていると思う。これら労働組合の意見というものを十分尊重して、そうして生かすことにならなければ、これはこの法律の精神というものは生きていかない、こう思うのだが、労働組合についてどう考えているか。また、労働組合の団体について、どう現状を把握し認識しているか。これは大事なことだから、わからなければあとで教えるけれども、とにかく先に答弁してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/133
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134・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾労働法の施行の場合も、二年という期間がつきまして、一年三カ月を経ましてこの七月施行ということになっております。私どもはそれに負けることなく、できるだけすみやかに施行するようにいたしたいと思います。
それから、もう一つは、いまの労働組合の協力の問題でございますが、労働組合は全港湾と日港労連と二つございますが、そのおのおのから、港湾審議会、港湾運送部会の委員になっていただいて、その審議を通じて協力していただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/134
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135・相澤重明
○相澤重明君 たいへんよく答弁ができるようになりました。いま少し早くすればよかった、私も、四時が会議だからもうやめないと……。
そこで、次に聞いておきたいのは、いまの労働組合の団体の二つは説明されたのだが、審議会なり部会にそれぞれの組合が代表を出すようですが、その審議会の人数ですね、人数は幾人なのか、そのうち、労働組合は何名なのか、それを言ってもらわぬと、労働組合を形式的に一人出したからそれでいいのだというのでは、これはお粗末過ぎるから。人数が少なければこれは別だけれども、全体の人数と、それに占める労働組合の者は幾人か。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/135
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136・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 港湾運送事業者の代表は、元請、船内、沿岸、はしけ、それに全体の代表として一名でございます。おのおの一名でございます。全部で五名になります。それから船舶運航業者が二名でございます。それから製造業者が二名、貿易関係業者が二名、港湾労働者が二名、港湾管理者が二名、学識経験者が二名、行政機関は、運輸、大蔵、通産、労働各一名、計二十一名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/136
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137・相澤重明
○相澤重明君 あとは、審議会に労働組合側の代表も出て、その意見もまたわれわれも聞く時期があると思うから、まあ労働組合の代表が参加をすれば、先ほどの政府の答弁も実際によくなってくると思いますから、それを期待しておきます。
そこで、運輸大臣帰ってきたばかりでたいへん恐縮ですが、一つだけ注文をしておきます。この運送事業と関係があるから私申し上げるのですが、横浜港は、浦賀水道を通ってこないと東京湾に入ることができないたいへん港が複雑なところなんです。海水汚濁の問題については、産業公害委員会なり運輸委員会なり、関係の委員会でもやっておりますから、私はそのことを進めてもらいたいと思うのだが、海水汚濁の防止に関する条約、これを運輸大臣が責任大臣でありますから、次の国会に提案されることを望んでおりますし、そう政府も答弁しておりますから、私ども見守っております。
そこで、それはそれとしていいが、先日この浦賀水道を通って横須賀に原子力潜水艦が寄港したわけです。そのときに、私は朝六時四十分に横須賀へ行ってみたところが、全く、いままで横浜の港が非常に事故が多くて困っておるのに、ふだん、はしけとか、国内船、国外船、国際船を含んで非常に困難をしておる、この港の中に、原子力潜水艦が横須賀に入ってきた、そのときに海上保安庁の船がこれを誘導をしたとか護衛をしたとかいう話が出ておったが、確かに船がずっと一ぱい並んで出てきたわけなのです。私は、ああいうことは国の方針として、いわゆる事故を起こされてはいけない、こういうことで、いわゆる原子力潜水艦が入るのを誘導した、しかも、運輸省所管の海上保安庁の警備艇を出した、こういうことなのかどうかということが一つ。
そういうふうにもしやってもらえるならば、横浜の港に常時いて、ひとつ私は整理をしてもらいたい、こう思うのだが、そういうことができるのかできないのか。
それから、いま一つは、原子力潜水艦が寄港するについて、いわゆる海水の汚染調査というものをやったはずであります。この汚染調査というものを科学技術庁で進めるなり、運輸省で進めるなり、厚生省で進めるなり、関係政府機関がやるとするならば、それは一体どういう結果になっておるか、これはいますぐここで大臣に答弁しろと言っても無理だから、これは資料を提出してもらいたい。
それから、もちろん、原子力潜水艦が寄港をして、もし一たん事故があったら、これはたいへんなことです。たいへんだから、それだけ政府も大事をとって警備もし誘導もしたと思う。しかし、そのあとの原子力潜水艦が帰って後、どうなったかということについても、これは明らかでないから、その点の調査も、いま言った汚染調査というのがあるから、そのデータを出してもらいたい。
それから海上保安庁に、原潜が横須賀に入港した時間、これは海上保安庁にとれるわけですから、全部われわれとってありますから、それをひとつ記録を出してください。接岸をした時刻、何時何分に接岸をしたか。
それから海水汚染調査というものは、これはアメリカ大使館から日本政府に通告があった時点をもって、その航行をするところを調査をしたものなのか、単に横須賀のこのバースに停泊する時点だけを調査をしたのか、これはきわめて重大なことでありますから——なぜかというと、潜水艦の原子炉が活動するかしないかということはきわめて重大な問題なんです。これはつまり原子炉から出る廃水の問題がありますから、そういう意味で、二十四時間以内ということで日本政府は受け入れておるんだけれども、その航行する規制区域がありますから、そういうものまで行なったのかどうか、これはひとつ大事なことでありますから、資料を海上保安庁に命じて提出をしてもらいたい。
以上、これは爆弾動議的になったけれども、港をきれいにしたいから申し上げている。横浜港はきわめてよこれが目につくし、特に東京湾なんかが、先日もここの瀬谷委員が産業公害では、東京湾はふん尿投棄でもってたいへんだ、こういうことが言われておりますから、そういう点をひとつ要求して終わりたいと思うのですが、大臣の所見があると思いますから、大臣の所見を承って私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/137
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138・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 最初の質問の、海上保安庁の船が誘導したという点でございますが、お尋ねのように、安全のために誘導をしました。
それから汚染調査でございますが、これは入る前、相当数日前からの状態を調べることと、それから入ってきてからのあれを調べて、その差があるかどうかということを見つけるために調査をいたしておるわけでございます。入港時間、接岸時間及び汚染の調査の結果につきましては、後ほど海上保安庁から資料を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/138
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139・岡三郎
○岡三郎君 一つずつ簡単に聞いていきますが、この「港湾運送事業の現状」にいろいろ書いてありますので、これはあとでよく読ましてもらいますし、いままで各委員から質問があって重複する面もあるようですから、あまり時間がかかっては、委員長もだいぶ急いでおるようでいかぬと思いまするけれども、最小限度やはり聞いておきたいことがあります。
先ほども随時質問があったわけですが、最近における港湾のいろいろな仕組みというものが、前から比べるとかなりよくなりつつあるということは認めるのにやぶさかではないですが、ただやはり抜本的な問題が残っているような気がするわけです。それは、先ほど大倉さんなり相澤さんから言われたように、各主要港の労働の実態ですね、こういうものについては時々刻々変化するので、一様にここで断定的なきめつけ方はできないにしても、やはり現在の近代化がおくれている港においては、かなり臨時雇用という形の労働者が必要でありまするし、それに乗じて、やはり組織的な暴力団ということに当たるかどうか、これがうわべだけは近代化されてやっているというふうな形で、実態はなかなか本質的に改まっておらぬじゃないかという気持ちがするわけです。こういう点について、これはあとで委員長理事打合会で実態調査ということになっておりますので、これは重複を避けます。
次に、労働者の需給関係で、主要港において慢性的な滞船現象が生じている。慢性的な滞船現象で、かなり経済的なロスというものがあるわけであります。これは月末集中の問題とも関連するわけですが、滞船による損害、こういったものについて、どういうふうに運輸省は考えておられるか、つまり、船込みとかそういうことによって船の荷さばきができない。そのために、ある期間船をここにとどめておくという形で、荷さばきが円滑にいかないという現象がよく見られるわけです。こういう点の損害というものは、ある程度円滑に荷さばきがいった場合における問題と、その損害がどこが受けているのか、こういう点についてひとつお答えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/139
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140・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 大体一日滞船いたしますと、一万トン級の船でございますと、六十万ないし七十万の損失になります。これは船主の損失になるわけであります。ひいては、これが海上運賃というものを高くするということになりますので、私どもは鋭意バースをつくっておりまして、滞船をなくするには係留施設を整備しなければならないのでありまして、この増強をはかっていくのが一番大切なことじゃないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/140
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141・岡三郎
○岡三郎君 これはどの程度影響があるかお聞きいたしますが、つまり、港における労働条件というものは、しばしば言われておるけれども、非常に浮動性がある。そういう点で、たとえばいま言ったような滞船の問題は、施設の整備、拡充とあわせて、労働者の技能訓練とか、やはり充実した労働条件というか、そういうふうなものが兼ね備わっていけば、かなり円滑にいく面が出てくるのじゃないか。そういう面で、港の施設ができても、労働者のほうがそれに伴って近代化されていかなければ、片手落ちになると思うのです。そういう面で、運送事業の料金の値上げという問題は非常に問題点があります。ありますけれども、全体的な経済効率からいって、そのことによって国民生活に波及しないということになってそれが吸収されていくというなら私はいいと思いますが、先ほどもしばしば指摘されたように、諸外国の例と比べて安い、そういうことで、港の労働者自体が、非常に希望に満ちた生活というか、職場ということにはほど遠いのじゃないか。そういう点で、やはり港の労働者というものが、希望に燃えて労働者が集まる、そうして、そこに定着するという要素を考えていったときに、総合的な経済効率と労働条件というものを考えたときに、もう少し考え方を進めてもらっていいのじゃないか。つまり、労働者自体が、運送業者もそうですが、やはり、ある程度張りのある方向というものをつくってもらわなければ、幾ら理屈をこねても、実態は改善されていかないのじゃないか、こういうふうに考えるわけです。とにかく、零細業者がやっていかなければならないような形に置いておかれているわけです、実際は。そうして近代化、近代化と口では言うけれども、実態の運営状況はどうしても下請というものを使わなければできないような形になっている。これをどういうふうに改善していくかという問題で、運輸省の考え方をお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/141
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142・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 労働問題につきましては、今回、七月一日から港湾労働法が全面的に施行されるわけであります。ここに労働秩序というものができるわけでございますが、やはり、おっしゃられましたように、企業も労働者も張りのある生活ができる、そこに定着性というものも生まれてくることは、御指摘のとおりでございまして、港湾運送料金のあり方につきましても、今後、前向きに検討していきたい。さらに労働生産性を高めるように、機械化その他ということもあわせて考えていく。そうすれば、それによって吸収されるものもできてまいりますので、そういうことをあわせて前向きに検討していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/142
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143・岡三郎
○岡三郎君 そういう面で、料金についても逐次改善されている面があると思うのです。だから、そういう点で、やはり私は、物価の問題について一がいに全部上げてはいかぬという考え方は持っていない。それはなぜかというと、いまの公共料金というものが非常に一つの指標になりますから危険だけれども、これも一つの公共料金として抜本的に港の近代化を進めるという場合に、一体料金体系はどうあるべきかという一つの方向というものをやっぱり運輸省が考えていかなければならぬと思います。しかし、これは政治的にすぐ施行ができるかできないかは別にして、やっぱり総体的に、今言った料金とかそういうものを考えていってもらいたい。特に、料金はきめても、荷主のほうがきまった料金を払わない、まごまごすると荷を取り扱っている業者が文句を言うというと、自分のほうで、自分で荷さばきをするという、こういう傾向があっては、それを専業にしている業者というものは食っていけない、どうしてもダンピングをするという形で、荷主のほうから強制される。だから、荷主がそういうふうなことをすることについて、業者の規制をするというふうなことも必要じゃないかと思うのですが、この点どうですか。自家荷役に切りかえるということについて、ある程度はっきり規制していかにゃならぬのじゃないですか。これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/143
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144・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 確かに、従来は、そういうような荷主から強制されたというような点がありました。これはやはり企業が弱小であるということと、過当競争であるということが一つの大きな原因をなしておるかと思います。今回の集約にあたりましては、企業それ自身が強力であるということによって、荷主に隷属させないようにしていきたいというととが一つございます。もう一つは、現在、日本港運協会の中にも秩序を立てていくということで、いまの料金を確実に収受しようということの委員会を設けておりまして、自主的に料金を正確に収受するということで強力に働きかけております。また、私どもも、通産省並びに荷主に対しましては、確定料金であるからこれを順守してほしいということを強力に呼びかけております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/144
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145・岡三郎
○岡三郎君 私は、中小企業に対ける金融でも、歩積み両建てについてずいぶん国会でも取り上げられてやっております。しかし、実態はそれになかなか即応していかない。これはやはり需要供給の関係というものがありまするから、金を借りるほうは、のどから手が出るほどほしい、大きいほうは金はいま余ってぶくぶくしている。ところが、小さいほうはやはり依然として資金が苦しい。そういうところにやはり歩積み両建てを廃止していかない一つの根本問題があると思うのです。だから、いまの料金の問題についても、やはり業者の過当競争というものがここに潜在的にある限りにおいては、幾ら指示、通達を出しても、表はそれに従っているごとくにして、内容的にはやっぱりダンピングしなければ仕事がもらえない、こういう現状というものは改められていないわけです。だから、少なくとも、そういう中において、自己の都合で自家荷役をするというふうなことについてやはり規制をする、まず一つの問題を取り上げて、やるならやる。総体的に、やはり健全な業者がとにかく常用を置いて、ある程度食っていけるという見込みを立てていかない限りにおいては、なかなかうまくさばき切れないんじゃないか。そういう点で、いま、そういう方向で業者の団体が自主的にやられるということが一番好ましいことだと思うのですが、そういう点について特段の措置をしてもらいたいと思うが、自家荷役というものについて何か規制をする考え方はないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/145
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146・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 先ほど自家荷役について答弁忘れましたが、自家荷役の実例としては、日本鋼管が扇島で鉱石のはしけ荷役を専業者にやらしておりましたのを、自家荷役としてプッシャー方式でもってやり出したということがございます。本来私ども考えますのには、分業と申しますか、専業者にやらしたほうが安いはずなんでございますが、専業者自身が力がない、そこでプッシャー・バージのような新しい方式というものを取り入れ得ない、そこに、日本鋼管なら日本鋼管というものが自家荷役というものをやるもとがある。この自家荷役自身は港湾運送事業法で取り締まるということは不可能だと思います。私どもやはり企業自体が強くなって、自分の専門の面においては技術革新というものをみずからやっていくのだ、こういう体制をとるのが一番いいのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/146
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147・岡三郎
○岡三郎君 それはもう一つは、滞船のときにも起こるのですね、しばしば滞船するということで、自分の岸壁を持っていれば、味の素のように、船を持ってきて、そこでどんどん自家荷役をする、いろいろな形で原因があると思います、単純ではないと思いますが、その点について、事業法で取り締まりは無理かもわからぬけれども、やはり港のそういう生存にかかわることですから、これは行政的にもできる限りひとつ連絡をとって、まあ、いま言ったように、近代化されて企業ががっちりして、そうして低廉なるコストでいければ、自動的にそういう面は解消するということはよくわかるわけですから、そういう点について、大きくひとつ指導してもらいたいというふうに考えるわけです。
それから時間がありませんが、事業団体の組織強化という面について、事業者の自覚を強く求めておるわけですが、この日本港運協会が大同団結してできた、これがまあ合理化推進母体として、運輸省の行政指導とまってこれからやろう、昨年六月に社団法人として発足した、その下に、いま「港湾運送事業の当面する諸問題について真剣な検討、努力を行なっている」と、こう言っておりますが、これは一体どの程度になっているわけですか。つまり、検討とか努力をしているということの報告が昨年の六月だから、もう一年経過してきているわけですから、その点どういうふうになっておりますか、具体的にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/147
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148・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) 三・三答申ができまして以来、業界といたしましても、必ずこの答申に沿うような改革というものが行なわれなければならないということを考えておりまして、六月以来、今回の法改正につきましていろいろと私ともの考えを述べ、また、業界の意見も聞いて今回の法改正まで持っていったわけでございます。したがいまして、いままでやってまいりましたことは、一番大きな問題は、この法改正の趣旨というものをどのように業界が受けとめるかということをやってまいったわけでございます。さらに、先ほど申し上げましたような料金の問題、料金を確実に収受するというような問題についても、この協会が部会を設けてやっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/148
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149・岡三郎
○岡三郎君 それから次に、港湾審議会の港湾運送部会の設置の問題についてお尋ねいたしまするが、これは臨時に二年間の期間をもって設けたわけですね。これはもう発足しているわけですか。何か聞くところによると、五月二十日ごろに発足したというのですが、その点はどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/149
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150・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) これは、この間の運輸省設置法の改正によって設けられたものでございまして、まだ発足はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/150
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151・岡三郎
○岡三郎君 その組織、機構及び大体の運送部会の委員ですね、どういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/151
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152・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) この審議会でやっていただきますことは、港湾運送事業の集約化のための具体的方策、それから埠頭の効率的運営及び港湾における流通経済の合理化をはかるための港湾運送機能の改善についての具体的方策、それから港湾運送運賃及び料金制度についての改善策、この三つを主なる議題としておりまして、組織といたしましては、二十一名の委員を考えておりまして、この委員は、日本港運協会の代表が一名、それから一般港湾運送事業者、船内港湾運送事業者、はしけ運送事業者、沿岸、おのおの代表が一名、それから船舶運航業者が二名、製造業者が二名、貿易関係者が二名、港湾労働者が二名、港湾管理者が二名、学識経験者二名、それに行政機関といたしまして、運輸、大蔵、通産、労働各一名、計二十一名でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/152
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153・岡三郎
○岡三郎君 で、いつこれは発足いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/153
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154・佐藤肇
○政府委員(佐藤肇君) できるだけ早く発足させたいと思っています。実はまだ私ども、法案をかかえておるわけでございますので、法案の上がり次第、できるだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/154
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155・岡三郎
○岡三郎君 いまの答弁はわかりましたけれども、これは運輸大臣の諮問機関ですからね、運輸大臣のほうとしても、すみやかにこれは発足さして、やはり具体的な集中方策というものを考えていかなきゃならぬと思う。それで、いまの御答弁でいうと、この法律を通してくれれば、すみやかに構成して発足させるというふうに聞いたんですが、運輸大臣のひとつこれは見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/155
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156・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 七月には発足したいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/156
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157・岡三郎
○岡三郎君 少なくとも、これは臨時にとにかく四十一年度から二年間ですからね、早くやっていかないというと、これはまた延期延期という形になると思うが、七月ということを聞いて、それでは大体間に合うと、こういうふうに考えます。
そのほか、労働者の問題もあるわけですが、まだ質問もありまするが、運輸大臣もせっかくお帰りになってお疲れのところと思うので、以上をもって質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/157
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158・江藤智
○委員長(江藤智君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/158
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159・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/159
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160・岩間正男
○岩間正男君 私は、日本共産党を代表して、港湾運送事業法の一部を改正する法律案に反対するものであります。
本法改正のねらいとするところは、明らかに一貫責任体制の確立を口実とする中小零細港湾運送事業者の整理統合、大企業本位の系列化促進であります。このことは、佐藤自民党政府が現在各産業にわたって推し進めている中小零細企業切り捨て政策と軌を一にするものであり、その目的は、ほかならぬ独占資本主義の復活強化であります。また、本法の改正によって、合理化と低賃金、さらには、生命の不安にさえ脅かされている、下請企業の労働者を含めた港湾運送労働者の労働条件を改善するどころか、むしろ悪化させることが火を見るより明らかであります。
このような港湾運送事業に対する大企業の支配権の確立と強化は、現在政府の進めている東南アジア諸地域への侵略のための海上輸送基盤の整備と無関係ではありません。政府は、四月の東南アジア開発閣僚会議で、東南アジア地域の港湾及び付随する水陸運送施設の整備を提案し、アメリカ帝国主義のベトナム侵略、中国封じ込め、植民地支配維持に積極的に協力する施策を明らかにしております。
したがって、日本共産党は、アジア侵略と、それに伴う独占資本本位の港湾運送事業の整備を目的とする港湾運送事業法の一部を改正する法律案に反対し、港湾労働者の労働三権と生活権の確立により、港湾運送事業の正しい発展を促進するものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/160
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161・江藤智
○委員長(江藤智君) 討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/161
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162・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
港湾運送事業法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/162
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163・江藤智
○委員長(江藤智君) 多数と認めます。よって本案は、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/163
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164・江藤智
○委員長(江藤智君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/164
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165・相澤重明
○相澤重明君 運輸大臣と官房長がいるが、さっき港の話をしたが、実は港湾災害もさることながら、海上災害を私ども非常に心配をしているわけです。それで、海上保安庁のいわゆる消火艇、いわゆる火災が起きた場合に消火艇のいいのがないと困るわけだ。これはまあ新潟の火災の問題ばかりでなくて、京浜間においては、そういうことが何回もあって、私どもは政府に化学消火艇の配置を要望してきたところなんです。昨年の話では、四十一年度になったら古いやつを改造して、そしてこの処置をする、できれば将来はいいものをつくって配置をする、こういうような話だったのだが、その際に私は、横浜に大型消火艇を一隻少なくとも配置してもらいたい、こういうことを言っておいたのだが、それはどうなっているか。これはひとつ答弁をしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/165
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166・深草克巳
○政府委員(深草克巳君) 化学消防艇の港ごとの配備につきましては、まだ、私が承知いたしている範囲内では、決定をいたしておらないというふうに考えております。先生の御要望は常々伺っておりますので、その点、重ねて海上保安庁のほうに通知をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/166
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167・相澤重明
○相澤重明君 きょうは突然だから、その程度のお答えでしかしようがないと思うけれども、私は、少なくとも、四十一年と言ったって、もう六月ですから、やはり政府予算というものはできるだけ効率的に使用しなければいかぬのだから、きまっているものだったら、早くやるべきだと思うのですよ。そういう意味で、きょうは運輸大臣に申し上げておきますから、海上保安庁長官に、一体横浜の大型化学消防艇はどうなったか、それで、その答弁いかんによっては、そういうわけにいかぬぞと、そういうことをあなた自身が言わなければだめですよ。海上保安庁長官にやはりそれを言わないと、役人というのは黙っていては癖になるから、それはきちっと言ってもらいたいということを、希望を付して私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/167
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168・江藤智
○委員長(江藤智君) なお、運輸大臣お帰りになりましたから、一言ごあいさつでもございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/168
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169・中村寅太
○国務大臣(中村寅太君) 私は、先般、月末から、ノルウェー・オスロの海運関係の閣僚会議に出まして、いろいろ会議の中に参画いたしまして、日本の立場も主張してまいったのでございますが、昨日無事に帰ってきました。皆さま方に留守中いろいろお世話をおかけいたしまして、その間、議案の審議等にきわめて誠意を持って対処していただきましたこと、厚く感謝を申し上げる次第でございます。いずれまた、そのうち御報告は申し上げたいと思います。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113830X02719660607/169
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170・江藤智
○委員長(江藤智君) 本日はこれにて散会いたします。午後四時三十分散会
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