1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年二月二十四日(木曜日)
午後一時二十四分開会
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委員の異動
二月二十三日
辞任 補欠選任
江藤 智君 石井 桂君
横山 フク君 平島 敏夫君
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出席者は左のとおり。
委員長 秋山 長造君
理 事
鹿島 俊雄君
源田 実君
戸田 菊雄君
森 元治郎君
委 員
石井 桂君
近藤 鶴代君
笹森 順造君
中村喜四郎君
平島 敏夫君
宮崎 正雄君
山本 杉君
伊藤 顕道君
光村 甚助君
森 勝治君
矢追 秀彦君
向井 長年君
国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君
政府委員
科学技術政務次
官 田川 誠一君
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁長官
官房会計課長 藤井孝四郎君
科学技術庁計画
局長 梅澤 邦臣君
科学技術庁研究
調整局長 高橋 正春君
科学技術庁振興
局長 谷敷 寛君
科学技術庁原子
力局長 村田 浩君
科学技術庁資源
局長 橘 恭一君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○科学技術振興対策樹立に関する調査
(昭和四十一年度科学技術振興基本施策及び予
算に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/0
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001・秋山長造
○委員長(秋山長造君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
昨二十三日、江藤智君及び横山フク君が委員を辞任せられ、その補欠として、石井桂君及び平島敏夫君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/1
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002・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 科学技術振興対策樹立に関する調査として、昭和四十一年度科学技術振興基本施策及び予算に関する件を議題といたします。
御質疑のおありの方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/2
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003・戸田菊雄
○戸田菊雄君 この前、科学技術庁長官の所信表明があったわけでありますが、その表明の内容について若干質疑をしておきたいと思います。
あらかじめお願い申し上げておきますのは、本会は委員会でありまするから、ぜひひとつ、質問に対して、具体的に、確信のあるところをお答え願いたいということを、あらかじめお願い申し上げておきます。
で、質問の第一は、長官は、所信表明の中で、大綱六項目をあげて、今後の科学技術振興政策に向けての要望が行なわれておるわけでありますが、その所信表明を聞いて、私は、作文的には非常に申し分のない、りっぱなものだという考えを持っておりますが、しかし、その内容については、きわめて抽象的であり、総花的であるというふうに判断をするわけでありますが、所信表明の中心は一体どこにあるのか、もう一度、ひとつ長官の御回答をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/3
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004・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この項目をあげました、まあ六つとも中心と言えば言えるわけでございますけれども、しいて言えば、その並べ立てました順番にあると、こう御理解をいただければ……、そして、さらにしいて言えば、最初の三つの、科学技術基本法の制定、それから原子力開発、宇宙開発、この三つになる、こう御理解をいただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/4
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005・戸田菊雄
○戸田菊雄君 では、まあ中心は全部というお話でありますが、あえてしぼれば三つだという、順番は第一項からだということになるのでありますが、この第一項の、いわば、科学技術基本法の制定、その他あるいは科学技術振興の基盤の強化、まあこういう点について——もちろん、この点については、今次国会において、いずれにしても法案として明確に提案をされる、こういう運びになるかと思いますから、具体的な内容等については別の機会に譲りたいと思うんでありますが、きょうは、おおむねその大綱について質問しておきたいというふうに考えるわけです。
科学技術会議は、一九六〇年、まあ数年前、政府の同会議に対する諮問第一号、これは十年後を目標とする科学技術振興の総合的基本的方策について答申がございましたが、これを中心として私は若干の質問を行ないたいというふうに考えるわけであります。
この諮問の第一号、「十年後を目標」云々という、この表題に対する答申についてこれが出て、いわば専門的な科学者、技術者の側から、これは技術導入の十年計画ではないかとか、あるいはまた、応用科学や技術に偏しているものであって、基礎科学の振興を軽視しているんではないか、こういった、いわば専門的な立場からのいろいろな批判があるのであります。それに対するお考えはどういう考え方か、との点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/5
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006・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この科学技術会議の第一号答申は、御承知のように、科学技術会議は、基礎的な科学を専門に御研究の学者も、それからまた応用方面の学者も、数多くそろっておいででございまして、十分討議をされておる御答申でございますので、おっしゃるような、いずれかに偏したと、こういうことはないものと考えております。また、御批判があることも承っておりまするけれども、それは、いずれか一方の方の御批判ではないかというふうに——私学問が専門でございませんから御批評は申し上げられないのでございますけれども、そういう御批判があるというのではないのではないか、こう思っておる次第でごあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/6
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007・森元治郎
○森元治郎君 関連。いまの戸田さんの質問と大臣の御答弁を聞いていると、基礎科学とは何ぞやという概念、あるいはその概念の及ぼす範囲といいますか、そういうものが明確でないので、専門家から、基礎科学、これの説明を、ちょっとしてもらえば、質問がしやすくなるのじゃないかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/7
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008・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 諮問第一号、十年後の見通し、あのときに考えましたときには、やはり基礎、応用科学、あるいは応用工業化、そういうような考え方に立っておりまして、基礎科学の中には何が入るか——大体そのときも、科学の基盤の育成と申しますか、科学する心、そういう心を含めまして、基礎的に学理の探究、そういうことから始まって、基礎の大切さをうたっております。それで、基礎科学が大切であるということを述べたわけでございますが、ただ、こういう十年後の見通しという立て方になりますと、とかく、工業化あるいは応用技術のほうは課題が明らかになっております。したがって、そららのほうは非常に緻密な書き方になりますが、この最初のところに「基礎科学の振興」という項があって、網羅的に、その基礎科学の大切さということをうたっておるわけでございます。したがいまして、十年後の諮問を科学技術会議でやられました諸先生は、この基礎科学の振興を最初にまずうたいまして、それから応用技術のほうをうたっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/8
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009・戸田菊雄
○戸田菊雄君 長官は、お答えの中で、そういった専門的な立場からの御批判について軽く見ておられるようでありますが、私は決してそうじゃないと思います。これは、日本学術会議を中心としたような科学者の集まりがあることを長官も御存じだろうと思う。二月十四日の東京大学新聞というのがありますが、それらの問題に触れておる内容があるわけです。これによりますと、従来、学術会議としては、いわばこの科学研究、こういうものに対するところの政府に対しての要望というものが行なわれておるわけでありますが、そういうものによると、学術会議の意向というものが全然取り入れられていない。基本的に。それは、確かに、あとでいろいろと論議をされていけば、条文の中には、二条ぐらいの間にちょっと挿入されているところがあるようでありますけれども、基本的な精神において、そういうものに真剣に取り組んでいることはないということを断言した言い方をしているわけです。こういう、いわば、これからの科学発展ないし技術振興の基礎をなす日本の有力な学術会議等に対して、もっと私は、政府の立場から謙虚に耳を傾けてもいいのではないか、こういうように考えるわけでありますが、そういう点について、もう少し明確に回答を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/9
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010・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) もちろん、日本の科学技術の中心をなしていらっしゃると……、学術会議が。学術会議だけとは申し上げかねますが。ですから、学術会議の御意向は十分取り入れて、その御意向に反しないような行政をやらなければならぬと、こう考えておるわけでございます。そこで、これはもう基本法の問題になるかと思うのでございまするが、基本法の制定につきましても、学術会議の御意向は十分取り入れて、また、学術会議ばかりでなく、各方面の御意見を十分取り入れてほんとうに科学技術に精進せられる方々の、それからまた、それに投資をされる事業家の方々の御意見も、みな取り入れて、どこからもあまり御批判あるいは御反対のないような基本法をつくらなければならない。これはもう、基本法をつくろうとかかった最初からの方針でございまして、いまでもその方針に変わりはございませんのでありまして、いま基本法の制定が多少おくれておりますのも、そのためで、科学技術振興の基盤を強化するための基本法、こういう目的のものでございまするから、各方面から指弾されないような基本法をつくらなければならぬという考え方で進んでおる次第でございまして、決して御指摘のような心がけではございませんし、また、そういう御心配のないように運んでまいりたい、こういう覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/10
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011・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いま森先生が質問したことに対する概念の問題でありますけれども、これは、「基礎科学白書」の第一章——日本学術会議編集の一九五九年四月発行のものでありますけれども、この序文を見ますると、「基礎科学とは何か」、こういうことが論議されておるわけであります。結論として私は、この中から判断することは、まあ今後の基礎科学あるいは技術振興、こういうものに網羅されるその概念の定義的なものをここにきめられているのでありますけれども、いま局長がおっしゃられた概念とは若干相違があるように考えられる。と申しますのは、若干読んでみまするけれども、こういうことになっておるのです。「そもそも基礎科学とは何か、ということに関し、総会においても」——この総会というのは第二十七回の総会で論議になったようでありますけれども、そこで論議をされて、総会はこれらの明確な定義というものは目下のところ出すまいという前提に立って、より今後慎重に討議をしてそれらの概念を定義づけようじゃないか、こういうことを言われておるのですね。ところが、いまの計画局長の説明から、言うと、一定の概念を打ち出して、しゃにむに基本法というものをつくるために、押しつけがましい考えというものがその中にあるのではないかと思うのでありますけれども、その辺に対しても、考えをもう一度聞かしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/11
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012・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 基本法をつくります際に、その科学及び技術、これはどういうことであるかというのが非常に論争されました。そのときに、いま御指摘の、学術会議で考えております基礎科学ということばも、当然そこで問題になりました。そこで、それのほうに関係されました諸先生と一緒に、科学技術会議でその点を考えたわけでございます。そこから考えますと、人類の福祉等から、当然、科学する心、そういうところの基礎が一方にございますし、一方、技術のほうは成果で、産業の育成、産業が発達する、その技術は最後のところにございます。その二つは分けられない。必ずつながりがある。したがって、科学というものの一番端の限定はできるけれども、科学分野として考えた場合には、その科学分野は技術のほうとのつながりが密接であって、科学及び技術はつながっているのである。したがって、科学とは何であるか、技術とは何であるか、こういうことを極端にはっきりいたしますと、そのつながりのところがはっきりしてこない。したがって、科学と技術というのは非常に密接な関係にあるという態勢でいこう。したがって、科学技術という考え方は、その二つで、科学及び技術の全体の範囲を言うものとして考えたほうがいいのではないか、そういう考え方で、事実、現在科学とは何であるかということは、はっきりきめておりません。その点が、先ほど申し上げましたように、科学技術の全般のつながりということから、かえって、科学とは何であるかと言いますと、科学の範囲が狭い範囲内のことだけしか言えない。当然、科学の範囲というものはございますが、そういう関係で、「科学及び技術」という解釈をしております。したがいまして、いまの、科学とは何であるかということの定義というものは、はっきりまだ考えられておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/12
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013・戸田菊雄
○戸田菊雄君 はっきり考えられておらないということでありますけれども、今後、基本法制定に対して具体的に作業が進められる、そういった研究に入っていくわけでありますから、そういった問題については、やはり一定の結論というものを出す必要があると思いますが、それは時期的にいつごろ、そういう確定した意義づけをやるつもりですか、その辺について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/13
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014・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在、基本法で考えます場合には、「科学及び技術」ということで全体の範囲の考え方はもうすでに出しております。ただ、その中で分けた場合に、一番極端の科学分野については、基盤の育成でいくというその科学分野というのは、科学として研究を進める、そういう手法といいますか、取り上げ方、そういう科学という考え方で、科学する心でやる分野を科学と言って、その考え方でいく。したがいまして、大体大学でおやりになるのは、すべて科学としておやりになり、それから、技術として物をつくる、そういう技術としてやる場合という考え方で一つとる方法がございます。その二つのとり方は、もうきめております。ところが、それを今度は、技術に関する事項という考え方でいきますと、技術の中にも、また逆に、根源を探らなければならない分野がございます。その分野だけを見ますと、現在は科学の分野をやっているではないかという考え方にもなると思います。ただ、技術でやります場合には、やはり技術を実らせるには基礎から全部やるわけであります。せつな的には科学分野をやるが、それは完全に技術としてやる考え方、技術を実らせるためにやる分野という考え方であります。その取り上げ方が科学及び技術の中で違って、科学としてやる場合、技術としてやる場合、こういう考え方で現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/14
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015・戸田菊雄
○戸田菊雄君 私は、この諮問第一号の問題の内容について若干質問をしておきたいと思うのでありますが、答申の内容は、御存じのとおり、膨大な内容になっておる。二百十六ページという、まさしく膨大なものであるというふうに考えますが、この内容をちょっと読ましていただいたのでありますが、大体、科学技術振興のいわば基本原則から説き起こして、一つは、方策策定の意義と重要観点についてということで広く書かれておる。それからもう一つは、十年後に到達すべき科学技術目標の設定、大体こういう二つを骨格にして答申の内容というものは書かれておるのであります。さらに具体的には、これらを土台にして、一つは人材の養成、あるいは研究活動の拡充整備、情報の流通あるいは国際交流の促進、そうして制度の改善、その他二項目ほどあるようでございますけれども、そういったのに大体具体的に表現をされて一年の総括をやっておる。
こういう内容を見てまいりますと、まあ総括としてすべて触れておけ、こういうことに考えられるのであります。それはなぜかというと、今後この科学技術基本法が制定をされるような角度で、そういうものが全体網羅をされて真剣に取り上げられておるかということになると、これも列挙はしておりますけれども、内容としてはいろいろ不備な点があるようであります。それで結局、帰するところ、答申は、第一に基礎科学の振興、それから第二には科学技術における新領域の開拓、第三には新技術の創出、こういうことを指摘しておると思いますが、この理解について誤まりはないか、長官の考えをひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/15
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016・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 私も、そのように理解をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/16
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017・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それじゃ具体的にお伺いしたいと思うのでありますが、私がいま言ったとおり大体理解してよろしいということであれば、今後の対策等について、過去の経緯からいろいろな欠陥是正というものについて解決をしていかなければいけないと思うのでありますが、そういう点について、一つは人材の養成、こういったものに対して、具体的な計画があるかないか。予算書を見ましても、これはおおむね大綱をうたったと、そういう程度でありまして、この資料だけでは私ははっきり判断をするわけにはまいらないのでありまするけれども、その裏づけの点においても、非常に私は微弱だというふうに考えるのであります。こういう点について、人材の養成、それからもう一つは制度の改善、こういう問題について具体的にどういう方向に取り組まなければいけないのか、あるいは具体的な経過があったらお示しを願いたい。
それから、これは参考まででありますけれども、科学技術白書を見ますると、科学者の需給関係の資料がここに載っておるわけでありまするけれども、これを見ますると、現在日本の科学者の総数は十一万何がし、こういうことになっている。これは四十年の十一月でありまするから、三十九年の実績だろうと思うのであります。そういう具体的人材養成を七いま十一万何がしというものに対して、今後どの程度まで人材養成を、数の面でいって、具体的に政府としては考えられ、あるいはまた、その具体的養成の内容、こういう問題に、ついて考えられておるのか、この辺について質問しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/17
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018・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この基礎科学の振興あるいは新領域の開拓とか、それをするための人材の養成、また、それがしやすいための制度の改善、こういうことは、科学技術庁といたしましては、ぜひひとつ大規模に推進をはかりたいのでございますけれども、これは科学技術庁だけの受け持ち、所掌事務でございませんで、科学技術審議会から総理にあてた答申の中にあることで、たとえば人材の養成というふうなものは文部省の力を借りなければどうにもならない、こういうことでございまして、力を合わせて実現をはかりたいと思うのでございますが、御指摘のように、思うように事が運んでおりません。まことに残念でございまするけれども、国としましてもやらなければならないことがたくさんあるから現在のようなことになると、こうは考えておりますけれども、科学技術庁だけでは何ともいたしかたのないことなのでございます。
それから科学技術庁としても、従来、答申が出ましたのは、しばらく前のことになりますが、その後科学技術庁は、その答申の内容が示達されておりますから、それに基づきまして努力したこともございます。これは計画局長からお答えさせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/18
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019・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 三十六年の二月に、文部省のほうで理工学部の学生の計画を一万六千名計画されました。そのときに、科学技術庁長官のほうからは、それではやはり足りないということで、それをもっとふやしてくれという要望を出しました。それに基づきまして、昭和三十八年に二万名の増員ということにすることができました。そして、その後四千人以上のふえ方をしておりまして、現在われわれのほうの調査でまいりますと、量的には相当のところまでいっております。ただ、業種別、専門別に見ますと、化学、機械、電気あるいは応物、こういう関係のほうと、ほかの分野との調整がとれておりません。したがって、総数からいきますと、ほぼ間に合う、といいますか、ところまでまいっておりますが、実際には、その中で専門別の問題がございます。この点について、目下、文部省とわれわれのほうで、どうするか、いろいろ協議中でございます。実際的には、十年の諮問が出ましてから、こちらから要望したその点につきまして文部省が考慮してくれまして、増員計画のほうは比較的進めてもらっているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/19
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020・戸田菊雄
○戸田菊雄君 非常に問題が大きいから抽象的にならざるを得ないと思うんでありますが、あとで具体的にお聞きしていきたいと思うのでありますけれども、他国と比較をして、ことにアメリカ、あるいは日本と大体立地条件が同じだと言われるフランス、イタリー、大体経済情勢、規模、そういった問題についても私はおおむね同等ぐらいだと思ますが、そういうところの、いまの問題はどういうふうになっているか、これをひとつ教えてもらいたいと思います。
それから、四十一年度の予算も示されたわけでありまするから、この中で、いまおっしゃられたような内容がどの程度要請をされているのか、この辺、おわかりになりましたら、具体的に教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/20
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021・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 海外との比較でございますが、人口に対して科学技術者がどのくらいいるかということから言いますと、もちろん、アメリカが一番多うございます。大体千人に、たしか三人程度でございます。それから欧州系統を見ますと、大体千人に対して一人ないし一・二人、こういうところでございまして、われわれのほう、日本が大体一・一人ぐらいでございます。大体千人に一人。その点、人間の数からまいりますと、大体欧州並みのところに、割り数というものでは、いっているのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/21
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022・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) 四十一年度の予算で、どういうあれを当庁の予算で考えているかという問題でございますが、これは、直接研究者の数をふやすという問題は、先ほど御説明申し上げましたように、文部省と連絡をとってやっておるわけでございます。当庁の予算といたしましては、現在国立の試験研究機関におります人間の質の向上を大いにはかろうと……。先ほど計画局長からお答えいたしましたように、数の問題も、さることながら、質の問題がたいへん重要な問題だと、それには、国立の試験研究機関の人間の質の向上を大いにはかろう、こういう観点から言いまして、国内留学、つまり、大学の中へ勉強にやるとか、あるいは大学で試験研究させるとか、あるいはまた、学問というのは国際的でございますので、外国に研究にやるとか、そんなような、国内国外の留学をひとつ大いに活発にやっていこうと、こういうような観点から、金額にいたしまして一億六千八百万の予算を計上して、国立研究機関を中心にした研究者の質の向上をはかろうと、これが当庁の四十一年度の研究員の質向上対策の一つでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/22
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023・戸田菊雄
○戸田菊雄君 一億六千八百万というのですが、過去の実績からいって、これは、割合としてどのくらいふえて、昨年と、計画でどのくらい質が向上できるか、具体的にあらわしたのがございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/23
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024・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) 昨年の予算を申し上げますと、一億五千一百万でございます。したがって、差し引き千七百万の増ということになるわけでございますが、特にその内容が大きく変わっておりますのは、人員を、昨年は百二十四人考えておったのでございますが、四十一年度は、これを百三十九人にふやすと、こういうふうにいたしておるわけでございます。数は少のうございますけれども、ずっとこれを続行いたしておりますので、逐次研究者が、それぞれ勉強にいくというチャンスは与えられますので、さような意味で、意味があるというふうに私ども考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/24
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025・戸田菊雄
○戸田菊雄君 こまかいことは、あとでまた質問いたしたいと思うんですが、次に制度の改善について。
今後、基本法などが制定されて、本格的に乗り出すと見ても、それを受ける体制の問題が非常に私は大事だろうと考えております。そういった、いわば制度の改善の問題について、どういうところに中心を置いて制度の欠陥を是正しようとしておられますか。そういう内容について、おわかりであれば、お知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/25
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026・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この科学技術開発のあり方、制度につきましては、科学技術基本法に大いに期待をいたしているわけなのでございますけれども、これがまだ最後の成案に至っておりません。そこで、それに対しまする考え方などにつきまして、計画局長から答えさしていただくことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/26
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027・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 基本法第二十条に、科学技術関係の体制を整備するという条項が載っております。それに基づきまして、当然、科学技術関係の制度の問題を考慮いたさなければなりません。ただ、現在、行政管理庁のほうで——臨調の勧告がございます、その関係からも、われわれのほうと一緒になって、科学技術体制の制度のことは、大綱は考えなければならぬ点がございます。それからなお、いまのその各条項から出てまいります制度として、研究公務員制度の確立というのが、一つ、科学技術会議の第三部会の中で分科会を設けられて現在検討されており、これが、近い将来に出てまいります制度の改善の問題点だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/27
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028・戸田菊雄
○戸田菊雄君 目下こういう計画で具体的にやっていますとか、あるいは、こういう計画をこれから出そうと思っていますとか、そういうものはまだないわけですね。想定の域を出ないということですか。いまのお話も、そういった制度上の、何といいますか、改善等については、どうも答弁がぴんと来ないのですけれども、どうなんですか、その内容は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/28
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029・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) 実は、先生のおっしゃる制度の改善の、その制度の意味が理解できなかったものですから、的確なお答えができなかったかと思いますが、これは、いろいろ制度の面がございます。まず最初に、行政組織の整備についての問題を申し上げたいと思いますが、そのほかに、研究公務員の処遇の改善の問題だとか、あるいは税制の問題だとか、予算制度の問題だとか、あるいは、当庁には直接関係はございませんが、特許の問題とか、そういう問題があるかと思いますが、逐次これを申し述べさしていただくといたしまして、
まず第一に、行政組織の問題につきましては、先ほど計画局長かちょっと申し上げましたように、先般、臨時行政調査会から出ております答申の中で、科学技術行政については大いに今後しっかりやらなければならぬというようなことから、科学技術行政を強化する意味で、機構としては、現在は科学技術庁は、大学関係の分野は一応別になっているのでございますが、そういう大学関係をひっくるめた国全体として研究の総合的な機能をはかることを考えるべきではないか、そういうようなことを中心にいたしまして、科学技術会議の改組強化、二番目に、科学技術庁の諮問機関として科学技術政策委員会というものをつくるということ、それから三番目には、科学技術庁の総合調整機能を大いに強化すべきである、大略こういうような趣旨のことが臨調の答申として出ているわけでございます。御承知のように、臨調答申全体の実施の問題が、いろいろと政府部内で検討されておりまして、その全体との見合いで、今後私どものほうも進めていかなければならないかと思いますが、さしあたってやれることからやっていく、こういうような観点から、先般来議論がございました科学技術基本法制定を契機にいたしまして、基本法を制定する際に科学技術会議の機能を強化しなければなりませんので、科学技術会議を、基本法実施のために必要な限りにおいて、これを改組していくというようなことを、さしあたり考えてまいりたい、かように考えております。
なおまた、科学技術庁の総合調整機能の強化という問題につきましては、運用問題でいろいろ改善できる点もございます。たとえて申し上げますと、私ども特調費と申しておりますが、特別研究調整費というものを科学技術庁がとりまして、各省の研究を総合的に遂行していくためにこの特調費を使う、こういう制度があるわけでございますが、この予算をふやすことによりまして、科学技術庁の総合調整機能を一段と強化していこうというようなことをいたしております。
以上申し上げましたように、全体の見合いは、臨調答申の実現ということで考えていきたいと思いますが、そのもとにおいて、基本法との関係で、科学技術会議の改組強化、あるいは特調費の活用による科学技術庁の総合調整機能の強化などを逐次実施してまいりたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/29
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030・戸田菊雄
○戸田菊雄君 いまの説明で、主として行政体制の強化等については若干わかりましたけれども、具体的に、大学教官とか、あるいは研究公務員の待遇改善、これは、今年度の予算の大綱でありますが、これを調べてみたのですが、そういうものは具体的にこの中には盛られておらないような気がするわけですね。ですから、そういう問題について、四十一年から、基本法も制定をするというのであれば、当然これらの問題についても考慮をしていかなければならない問題だと思うのですが、そういった関係職員、教官等の問題について、具体的に待遇改善等の問題について考えられたことがあるかどうか、この辺の問題を一つだけ。
もう一つは、科学技術振興のために、いわば税制改善をやりたい、こういうことであります。これは長官、今年度において、四十一年度予算の中には、そういうものがやはり予算の説明の中ではありません。これらの問題について考慮をされて、あるいは大蔵大臣等と折衝されて、幾ばくの効果なり、そういうものがあったのか、この辺についてもお聞かせ願いたいというふうに考える。
もう一つは、国立大学及び国立研究機関の予算会計制度の運用改善、こういう問題について、それぞれ研究の補強政策はとっておるようでありますけれども、これは額にしてみれば、微々たるものだと思うのであります。長官が言われたような所信表明の内容からいけば、これは全く、さっき話をしたのでありますけれども、そこはやっぱり美文化をして、魂が入っておらない、こういうものがありありと見えるのであります。そういう問題についても、私は、その内容というものについて、ただしておきたいというふうに考えるわけなのであります。
それからもう一つは、特許行政の改善なんかについても当然考えるということになっておるわけです。また、それらをしんしゃくして答申を採用するということを言っておるようであります。一体、そういう問題についても、どういうことで今後取り組んでいくのか、この辺の問題についても明らかにしていただきたい、こういうふうに考える。
以上四点について、ひとつお聞かせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/30
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031・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この研究公務員の処遇の改善につきましては、科学技術庁だけでなく、各省庁に研究所がございまして、研究公務員がたくさんいるわけでございます。その意味から、科学技術庁などはごく少数の公務員しかおりませんけれども、科学技術庁は科学技術振興の受け持ちの役所でございますので、各省庁と連絡をとりまして、ことに通産省、農林省などとは連絡をとりまして、年々歳々、この処遇改善のために、人事院並びに大蔵省に、俗なことばを使わしていただけば、かけ合ってきているのでございます。これにつきましては、多少の効果があがっておりまするから、その点を具体的に計画局長から報告させたいと思います。
また、税制改革につきましても、同じように各省庁と、ことに通産省とは連絡を密にいたしまして、研究のための税制改善、研究費のための税制を改善するということのために努力を重ねております。これも、ほとんど実効があがっていないということで、御指摘に対してまことに恥ずかしい次第なんでございますが、多少の実績はあがっているのでございます。
それから、研究機関の予算会計、この御指摘がありましたが、これは、科学技術庁の機能でございます予算見積り調整、こういうことをやっておりまして、予算の増大に寄与したという御報告ができないのが残念でございますが、そういう精神でやっておりますので、多少の効果はあがっているかと思うのであります。
それから特許の行政の改善につきまして、これはもう通商産業省の専管でございまして、特許というものが科学技術振興に非常に重大な役割りを果たしますることは御承知のとおりでございまするから、科学技術庁といたしましては、通商産業省に科学技術庁の考えを絶えず申達して、それを実現してもらうように、つまり、一口にいえば、特許を早くしてもらって、運びを早くしてもらって、そうして特許権者を保護してもらう、こういうことで庁内の意見などを通産省にも申達しておりまするから、この点、具体的には計画局長からお聞き取りを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/31
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032・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 初めに、待遇の問題について御説明申し上げます。
去年、待遇改善の人事院の勧告がございましたが、そのときに、ある程度していただいた点を申し上げます。大体、研究公務員、これにつきましては、だいぶ昔は、二割なり三割、民間との差がありまして、お医者さんのほうでは三五%の差があったというようなことでございました。しかし、去年の改善で、平均でいけば、研究公務員のほうは約八%の差ぐらいのところまで追いついてもらっております。そういう関係で、ある程度ほかの一般行政職よりも率よく上げてもらっております。それからもう一つは、上げる場合に、非常に中だるみ的——たとえば、中堅クラスの月給というものが非常に安い。その点、中だるみを直すという点で、級別定数を改善してもらっております。それから、研究所の所長につきまして、いままでは所長の格が下がっておりましたが、所長も、指定職申と乙という関係を、大学の学長並みのところに持っていくということで、その所長の指定職の格上げ、この点によりまして、大体国立研究所の三分の一程度が、甲並びに乙の指定職になりました。それからあと、特別研究員制度というものを現在考えておりますので、これも、そういうことができますれば、上級職の一等職、二等職の研究のいわば指導者ということになります方々の定数をふやすという形を進めております。そこの定数が上がりますと、漸次それがピラミッド型になりまして、下の定数もふえてくる形になります。そういうところで、級別定数、あるいは指定職、その運用の面で相当待遇のことを、できる範囲内で努力していただいております。
それから、税金につきましては、先ほど大臣から申し上げましたが、われわれのほうは、この三十六年以来、税金のことを相当やってまいっております。それに、つい最近、今度できましたことは、試験研究の法人がございますが、法人に対する寄付金、これに対する免税の割合をふやしてもらうこと、これはことし確立いたしました。それからもう一つ、国際科学映画というのがございまして、普及その他非常に大切な問題であります。これを輸入する場合に、いままで税金がかかっておりました。しかし、これはやはり国民一般の科学技術の普及という関係から、それは去年、免税措置をとってもらうことも認めてもらいました。そのほか、毎年、いまの寄付金のこと、そういうところのワクの引き上げ等につきましては、相当のことをやってもらっております。ただ、われわれが最も願望しておりました、先ほど長官がちょっと触れましたですが、試験研究というものは、その利益があがったときにすぐに研究に金を出すことはできますが、非常にこれは長くかかるものでございます。したがって、利益があがったときに、ある程度準備してためておいて試験研究を続けていくという体制はとれないかということで、試験研究準備金制度というものをわれわれ練っております。これは、われわれ数年来練っておりますが、経理の関係、あるいは会社の関係、こういう会社の要望の調査もいたしておりますが、現在のところ、これも非常に不景気の状態、そういう関係から、いますぐにその準備金制度をして、準備金で間に合うか、そういう点に疑問がございまして、われわれは目下努力中でございます。これは、何とか今後努力して、そういう準備金制度を確立したいということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/32
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033・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 特許制度の改正につきまして、私どもが特許庁から連絡を受けております点を御参考までにお答えいたします。
特許の審査を早くいたしますために、来年、四十一年度におきましては、特許庁の定員を大体百六十名ばかり増員いたしますとともに、特許法及び実用新案法を改正いたしまして、特許につきましては出願後三年以内に何らかの決定をするようにというような規定を入れますと同時に、実用新案につきましては、従来、出願がございますと、審査をした上で報告をしたわけでございますが、今度は審査制度をやめまして、出願がありましたときは無審査で公開をいたしまして、異議があったものについてのみ審査を行なうと、こういう体制をとろうということで、特許庁でただいま法律案を準備中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/33
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034・戸田菊雄
○戸田菊雄君 それで、答申案の総体をながめてみますと、一つ残念なことがあるのは、長官の所信表明でもそうでありまするけれども、科学技術振興に対する過去の歴史的な反省というものが、残念ながらこの中には一貫して流れていないと私は思う。たとえば、先ほどいろいろと人材養成の説明などありましたが、言ってみれば、諸外国と比較して、日本の場合、相当おくれておることは間違いない。今後さらにこの格差が増大しようという中で、より力を入れていこうことで所信表明もあったわけでありましょうけれども、そういう、いわば反省といいますか、そういうものは具体的に内容として私はあらわれていないと思う。まだ外国依存性というものが非常に高くやられておるのではないかと思う。あるいはまた、科学技術者の不足、そういう問題一つとらえてみましても、私は容易にうかがうことができる。こういうふうに考えるわけでありまして、そういうときに、やはりこれからほんとうに科学振興、技術開発をやろうということであれば、そういう反省の上に立って——ことに科学技術庁というものが創立をして十年であります。この辺で、やはり本格的再出発を求めてやっていくのが至当ではないかと、こういうふうに考えるのでありますが、きびしく責任はだれかと言っても回答のしようがないように考えますが、この辺に対する反省について、長官どういうふうに考えておるのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/34
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035・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) その点を御指摘いただきますと、弁明のことばがないわけでございます。科学技術の開発振興ということが歴代の長官の意気込みにもかかわらず、実績をあげていないということは、全く御指摘のとおりでございます。それで、ことしはやろうということで所信表明ができる、こういうことに相なろうかと思うのでございますが、私はじめ、庁内の幹部の諸君も、ことしこそはということで意気込んでいる次第でございます。何ほどかの進展が見られますれば、ぜひひとつ御寛容をもちまして、御鞭撻のほどをお願いしたい、こうお願いしてやまぬ次第でございます。
それから、これがだれの責任かということについて、ちょっとおことばがございましたが、結局は政府の責任であろうと思います。(「あやまっていちゃだめだ」と呼ぶ者あり)しかし、実際そうだから、何ともしようがない。これは、何と申しますか、国力が小さいから、このようにおくれをとっているのか、あるいは、おくれをとっているから国力が小さいのか、その辺のことはよくわかりませんけれども、いずれにいたしましても、こんなことではいけないということは、われわれのほうも、庁内の諸君も、政府の諸君も、みんなあると思います。おくれをとっております。科学技術の振興だけにとどまりませんで、みなあると思うのでございまして、必死に努力精進いたしまして、国民の皆さま方、また、議会の皆さま方の御期待に沿うようにやらなければならない、こう覚悟だけはかたくしている次第でございます。ひとつ御了察をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/35
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036・向井長年
○向井長年君 ちょっと関連。
いま、今後督励してやるのだということで、非常にけっこうなんですが、代々、科学技術庁長官が就任されたときは、同じような、やはりことしこそはという表明をされるのです。しかし、実際政府自体として裏づけも十分ではない。こういうことで消極的にならざるを得ない。これはやはり、科学技術庁という存在をもっと大きいものにしなければならぬと思うのです。したがって、やはり前のときにも、科学技術省にしなさい。昇格して省にして、もっと大きな規模で、そうして裏づけをとって、本気に取り組むという姿を打ち出すべきではないかということで、いまの佐藤総理の科学技術庁長官の時代にも、そういう意見を出した。いろいろ意見がございましたけれども、結局、これは付随した各省にわたる問題が多いから庁でいいという考え方を持っているのです。しかし、やはり根本は、国自体が大きく取り上げていこうとするならば、その機関、いわゆる政府機関というものを、やはりもっと重みをつけ、拡大し、裏づけをとってやらなければ無理じゃないか、こういう感じがしますので、これはひとつ、今後の問題ですけれども、長官としての腹がまえ、それに対してちょっと伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/36
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037・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) たいへんありがたい励ましのことばをちょうだいいたして、うれしく存じますけれども、私もそう思います。科学技術の振興というのは、文明の進歩発達のその基礎をなすものだと、こう考えまするし、現在の科学技術の開発事業は、いかにもばらばらでございまして、これはもう歴史がございます、伝統もございますから、いたし方ないとは存じますけれども、スピードアップするためには、おっしゃるようなことが必要なのではないかと、しんから考えております。しかし、これはわれわれが考えるだけでは、どうにもなりませんので、国会の皆さま方の一致した御支援、御鞭撻を、この機会に心からお願い申し上げたいのでございます。そうして、そういう構想が実現しますように、私どももできる限りの努力を続けてまいりたい、かように考える次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/37
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038・戸田菊雄
○戸田菊雄君 二時三十分ごろまでということでございますから、急いであと三点お伺いをしたいと思います。
国際交流の問題であります。科学というものは、本質的に普遍性であり、国際性を備えていることは言うまでもないことであります。しかし、どうも政府が推し進めてきている国際交流については、アメリカ一辺倒、それのみを追っているのじゃないかという気がするのです。これらの問題について、ことに戦後、われわれが予想もしなかった原子核物理学の発達ですね、こういった問題については、いま非常に国際的には巨大化をしている。相当進んできているわけであります。そういうときに、単にアメリカのみと、こういう一辺倒の形での国際交流ということは、私は好ましくないので、言ってみれば、ソ連や中共もまた、それといろいろ取り組んでいる。こういうことでありますから、あくまでも、この国際交流、ことに科学者としてのそういう思想なり、国家間のそういったもろもろの政治情勢というものは超越をして、私は国際交流をはかっていくのが至当ではないか、こういうふうに考えるし、そのこと自体が日本の科学の発展をしていくことになるのだろうと思います。こういう点について、従来だいぶ、何といいますか、いわば政府の国家政治方針に従っておる、こういうきらいなきにしもあらず。こういう点について、どういうふうにお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/38
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039・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 御指摘のように、いままでの国際交流は、アメリカ一辺倒とまではいきませんが、適切かどうかわかりませんけれども、欧米に片寄っておったということは、もう確かでございます。これは、国際交流が国際連合を主として、そこから始まっておるということに基因いたしておると思うのでございます。現在では、たとえばIAAだとか、それからOECDだとか、国際連合の分かれでない機関とも非常に緊密に連絡をして交流をはかっております。また、日ソ国交がだんだんと改善されるにつれまして、ソビエトとも相当に交流が今後行なわれると思うのでございますし、行なわなければならぬと考えております。強大先進国の一つでございますから。ただ、残念なのは中共だけで、ここはどうも厳重に門戸を閉ざして、相手にしてくれないというふうな形でございます。今後は、これも何とか改善してまいらなければならない、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/39
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040・戸田菊雄
○戸田菊雄君 まあ、中国との問題について、門戸云々ということでありますが、これは見解の相違もありまするからあとに譲りますけれども、いずれにいたしましても、長官が言われたように、そういう問題についても、できるだけ科学等の問題については、私は、中国等とも交流を深めて、そういう普遍性の精神に立脚をしてやっていっていただきたいと要望をいたしておきたいと思います。
で、予算関係でありまするけれども、政府の提案によりますると、昨年と比較して一一%の増ということになっておる。総体予算の伸び率が一七・九%でございまするから、一一%の増といっても、総体予算から見れば、その伸び率よりもはるかに下回っているわけですね。これは、御存じのように、歳出予算額で二百五億八百万円であります。国庫債務負担行為を含めて約二百四十億二千四百万程度であります。これで一体、今後十年間でもって宇宙飛行あたりまで持っていこうという、そういう意気込みに対する裏づけとしては、全く私は微弱じゃないかと考えるわけです。ことに、昭和三十三年からの科学技術庁の予算大綱をちょっと見ますると——これは四十年の十一月ごろの白書であります。白書によっても明らかなとおり、昭和三十三年に一・五五%、漸次低下をしまして、昭和三十八年からわずかに上昇して、三十八年は一・二五%、三十九年が一。二六、四十年が一・二八%、四十一年は、これはまだ出ておりませんが、まあ、そういうことで比較をしてみますると、私もきょうは資料を持ってきておりませんけれども、物価高騰は、三十年以降三十九年までの統計で申しますると、おおむね一四五・八%ぐらいまでの物価上昇だというふうに考えられる。機材、材質、そういったものがどんどん上がってきておるわけでありまするから、このくらいの伸び率では、依然として私は低減の方向をいっているんじゃないか。予算の面、裏づけ等。これでは私は、幾ら力んでみても、関係職員なり、そういった方の意欲がわいてこないのじゃないか、この上は、まさしく長官の政治力によって、もっと、いまおっしゃられた決意のほどを、やはり政府の内部に十分反映をして、今後改善をしていかなければならぬ最大のポイントではないか、こういうように考えるのでありますが、この辺に対するところのひとつ御見解を明確に伺っておきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/40
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041・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 全く御指摘のとおりで、返すことばがない次第でございます。ただ、この科学技術庁の予算は、昨年度の予算と、今年御審議をいただいておりまする予算との間は、一一%何がしの増でございまするけれども、実際には、もう少しのぼっておるのでございます。というのは、昨年は使わなかった、まあ取り残されたと言っていいんですか、四十年度に執行した予算から比べると、だいぶパーセンテージが上がっているわけなのでございます。それにしたところで知れたものであることは御指摘のとおりなのでございます。私どもも、それから庁の幹部の諸君も、これから先は、もっと熱心に努力をしまして、もう少し成果のあがるようにしなければならぬ、こういう覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/41
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042・戸田菊雄
○戸田菊雄君 最後に一つだけ。
学術会議についてでありますけれども、まあ、最近の運営は、主として科学技術会議、ここを通じて行なわれておるようでありますが、もちろん、その中には学術会議の代表も二、三入っておるようであります。しかしどうも、その政府の姿勢を、こう、ながめてみますると、学術会議を——まあ、そういった学術会議の自主性というか、そういうものに対して圧殺をしようという考えがないのかどうか。あるいはまた、その学術会議自体を分裂に追いやろうという……。たとえば、科学技術会議に一定の特定代表を入れる、このようにして亀裂を生じさすと、こういう意図的なものがちょっと見受けられるのであります。さらに、この自主的活動ですか、そういうものに対する支援、援助、こういったものに非常に熱意を欠いているように考えられる面があるわけであります。そういったことは、過去の技術院等を通じて日本の科学の趨勢というものが引き続き今日に至っている。戦後せっかく民主的組織としてつくられた学術会議でありますから、むしろ政府は、その活動しやすい条件をつくり上げてやると、こういうことが逆に私は大事じゃないかと考えますし、ことに十カ年計画を目標にした基本計画を立てるやさきでありますから、そういった学術会議に対する長官の真意といいますか、考え方、こういうものについて、最後に私はお伺いをして終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/42
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043・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この科学技術基本法の制定にあたりまして、学術会議を、何と申しますか、軽視するとかなんとかという考えは全然ございません。いま得ております素案も、十分学術会議の御意見を取り入れたつもりでございます。いま多少国会提出がおくれておりますのは、学術会議の御意向に沿ったようなもの、また、ほかの団体とも調和のとれたようなものにして、おっしゃられる総合的な各方面の御意思がみな調和したような基本法をつくりたいと、こういうことで努力をしておるわけでございます。そのために少しおくれておることも御承知いただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/43
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044・矢追秀彦
○矢追秀彦君 時間がありませんので、簡単に質問しますが、いま戸田委員のほうからも、科学技術基本法の問題について質問がございましたが、その答申案によりますと、この科学技術基本法案には、「自然、人文・社会の分野における」と、こういうようになっておるわけでして、非常に特徴として、人文科学、社会科学を対象に、ということが出てきておるわけですが、はたして科学技術庁で、こういった人文科学、社会科学というものを扱うのかどうか、また、科学技術基本法の中に、こういう人文科学、社会科学を入れることが妥当であるかどうか、そういった点について長官はどういうふうにお考えになっておるか、伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/44
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045・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) これは科学技術の基本法でございまして、科学技術庁だけが所管して執行するものではないのでございまして、日本の国が行なう科学技術開発のための法律でございまするので、科学技術庁が受け持つというわけではないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/45
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046・矢追秀彦
○矢追秀彦君 この基本法の内容をずっと見ますと、あくまでも、やはり自然科学に大体限られておるように考えるのです。科学の中には、人文科学、社会科学が入るということはもちろん考えられますけれども、実際、科学技術、特に「技術」ということばが入っております。先ほど、科学と技術の関係についてお話もありましたけれども、ちょっとこの点が私は矛盾を感ずるわけですけれども、いまおっしゃったように、確かに科学技術庁だけで扱うものじゃない。じゃ、全体で扱うものとしたならば、人文科学の中における歴史学であるとか、また社会科学における経済学であるとか、または社会学であるとか、そういった問題を網羅していく上の科学技術基本法としては、何か幅が狭い、もし入れるとするならば、この科学技術基本法というものを変える必要があるのじゃないかと思うんですが、まあ、自然科学に限るとするならば、すっきりするわけですね。特に科学技術会議というものを設けられるということになれば、よけい人文科学との問題がひっかかってくると思うんです。それに対して、はっきりした線を出して臨まないと、将来に禍根を残すと考えているんですが、その点について、もう一度お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/46
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047・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 基本法を制定するに際しまして、去年の一月でございますが、それまでに大体そこで一番問題になりましたのは、人文を入れるか入れないかということが一つ問題でございました。しかし、そのときに、科学及び技術でいきました場合に、当然人文を入れて考えていくべきではないか、それで、人文がこの中に入ります場合に、一番ここで入ってくる場所は、研究の基盤の育成、ここのところで人文が非常に入ってくると存じます。したがって、研究基盤の育成と申しますと、研究がしやすい設備、体制、それを育成していくものであると思います。そうなりますと、そこの科学分野には、当然人文が入ってまいります。そういうものを考えながら基本法をつくってみようではないかということで、この中には人文の諸先生に入っていただきまして、そして基本法の要綱が学術会議ででき上がったわけでございます。したがいまして、人文の先生方の御意向から、こういう入れ方でまずまず入っているんではないかというところで、この基本法は人文を含めて考えるという前提でできております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/47
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048・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いまのお考えも、わからないことはないんですけれども、そうすると、さっきの議論に戻りますけれども、技術という問題ですね、だから、分けて考えることはできないかどうかなんですよ。だから、こういうことは変な話ですけれども、科学基本法と技術基本法と、こういうふうに分けるか、そうしないと、ちょっと無理じゃないかと思うんですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/48
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049・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) それは、実はこの案ができる三年前、三十七年でございますが、そのときに、学術会議のほうから、科学研究基本法、これにつきまして人文が十分入っておりますし、それから科学技術会議のほうでつくりましたやつは、一部技術の振興的な部分が加わった——もちろん基本法で科学も入っておりますが、加うるに、ある程度技術上の振興的なものがたくさん加わった分野ということが出ておりました。したがって、それが一本の法律になり得るであろうか、どうであろうか、ということが非常に問題でございました。しかし、先ほど申し上げましたように、科学と技術というものをかりに分離してしまいまして、技術の基本法、科学の基本法、こういうことになりますと、非常につながりのあるものに対して困る分野があるのではないかということで、一本でいけるのではないかということで、一本にまとめたわけでございます。その関係から、科学技術全般の基本法——ただ、いまのこの法律で技術に片寄る感じが出るという言われ方でございますが、この法律でそれをなるべくなくすように、特書きというのが入った。二条の二項でも特に、「科学の発展の基盤の育成を考慮するとともに」というようなところで、科学技術の分野で、科学に対する観念は特書きを入れた形で進めているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/49
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050・矢追秀彦
○矢追秀彦君 まあ、こういった点は、どうかよく検討の上、決定をしていただきたいと思います。
次に、科学技術振興の費用でありますが、特に研究費の問題でありますが、日本の研究費というのは非常に少ないわけでして、この科学技術白書は少し古いデータでありますので、最近のデータを二、三、少し教えていただきたいのですが、特に各国と比較して、ここには百三十二ページに「第四−一三表」というのがありますが、研究者一人当たりの研究費が日本においては非常に少ない。これは一九六二年版でありますが、もう少し新しいのがありましたら……。オランダ、ベルギーよりも少ないわけです。現在どういうような状況であるか、お知らせ願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/50
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051・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 六三年のデータが出ておりますので、それで申し上げますが、会社関係で申し上げますと、特殊法人関係が五百七十二万円、それから会社の平均でいきますと、三百三十八万円が一人当たりの金額でございます。それから研究機関、これは国営の研究機関でございますが、二百七十四万円となっております。それから大学関係、これは百七十二万、六二年より少し上がっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/51
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052・矢追秀彦
○矢追秀彦君 外国と比べて、やはり大体ランクは同じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/52
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053・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 外国のデータがございませんが、いま申し上げました比率でいきましても、六二年の先生のお用いになりました比率と大一体同じ程度の比率で、それ以上にオーバーにはなっていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/53
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054・矢追秀彦
○矢追秀彦君 このように、日本の国としても、また日本の民間も相当研究をやっておりますが、科学技術の振興に対するお金の面の力の入れ方は非常に弱いわけでして、まあ、オランダとかベルギーのような国でも、日本人よりはたくさんの研究費をもらって研究をしておるわけです。日本の科学技術というのは、かなり世界においても高い水準にあるわけでして、もっと大いに力を入れていかなければならないと、こう考えるわけです。で、今年度の予算においても、少しはふえてはきておりますけれども、まだまだこれではいけない。もちろん、全面的に研究費をふやすことも必要でありますが、特に日本の科学が進歩する上においては——現在の日本のいろいろな科学の研究を見ておりますと、非常に広い分野、あらゆる分野のことをやっておるわけです。もちろん、すべての分野において世界の水準をいくというのが、これは理想でありますけれども、現在の日本の持っている経済力、いろいろな実情から言えば、もう少し重点的に、日本で非常にすぐれているものはどんどん伸ばしていく、おくれているものについては、もちろん徐々には進めていくけれども、もっと進んだ面に力を入れて伸ばしていく、そうすれば、たとえ研究費が同じであったとしても、その面では非常に世界の水準以上のものができ上がると考えるわけであります。この間の長官の所信表明の中にも、原子力平和利用の推進や、また宇宙開発等、いろいろ言っておられるわけです。そのほか重要総合研究、すべてにおいてやられると、これはけっこうでありますけれども、現在の日本の国情、経済力と合わせて、そういった重点政策というものをとるべきじゃないかと私は考えるのですけれども、その点について長官はどのようなお考えを持っておられるか、またどういう方向で進まれるか、それをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/54
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055・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) おっしゃるとおり、私もそう思います。ただ、日本が科学技術の研究に有利な点がたった一つございます。というのは、日本人が非常に勤勉で、しかも頭がいいということ、それから科学的な先進国と比べると物価が安いということ、そういうことで、同じ費用ならばすぐれた研究をやり遂げると、こういう点が、日本が持っております特徴だと考えております。その特徴をますます生かして、そして科学技術の進歩発達によって得られた業績というものは税金になって大蔵省に入ってくるわけでございます。これをますますたくさん出してもらって、それに拍車をかけるということでいったら、明治、大正においてなし遂げたような業績を、昭和からその次の年代にかけて、またなし遂げることができるのじゃないか、こういう希望を持っておりまして、そういう点で努力するつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/55
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056・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま、非常に日本人が勤勉であるということを言われましたが、確かにそうであると思いますが、勤勉でもあるし、器用でもあると言われておることですが、はたして、その勤勉ということが科学の面においてプラスかマイナスか。もちろんプラスだとは思いますが、たとえば、アメリカ人の場合であれば、非常に時間的な面が合理的でありまして、大体、夕方になったら仕事をやめる。土曜、日曜は絶対研究なんかしない。そのかわり、そういった面ではかなり合理的に割り切っている。だから、そういう時間を何か機械でカバーしようと……、また日本人は非常に器用である、器用であるがゆえに、ある面では科学技術が発達しなかったとも、おくれたとも言えるわけです。外人は不器用でありますから、その点を何かで補おうと、そういった面も考えていかなければいけない。ただ勤勉だから、ただ日本人は頭がいいからという、そういうのだけではいけない。だから、同じ予算ではなくて、やはりもっと客観情勢を伸ばさなければ、何でも勤勉だ、器用だ、頭がいいんだと、それだけで日本は優秀だと言っておれば私はおくれていくと、このように思うわけです。その点について、どのようにお考えか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/56
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057・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) そのとおりでございます。とにかく、外国並みの時間と費用と人数とをかけて研究を開発する、それが一刻も早くできるように努力を重ねてまいらなければならない、こう思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/57
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058・矢追秀彦
○矢追秀彦君 研究費の問題で、民間企業における研究費の問題でありますが、わが国の研究費の中では七〇%が民間であると。確かに、これは科学技術庁関係の研究機関もそうでありますし、また大学においてもそうでありますが、非常に研究費が少ない。そのために、どうしても民間に依存をしておる。特にその中におる学者、研究者は全部最近では大学より民間のほうへ流れていく。また、日本の国から外国へも流れていく。非常に学者というものが外へ出ていっておるわけです。特に、私も大学において数年間研究室におりましたけれども、一番感じたことは研究費の足りないこと。やりたい仕事ができない。そこへもってきて、先ほども待遇改善の問題が出ましたが、給料が安い。安いところへもってきて研究費が足りないので、自分の安い給料の中から薬を買う。いろいろな実験器具なんかも買わなければならないという事態があるわけです。そういった点について、民間で大いにやられることはけっこうですが、国家と民間との協力体制、そういう点においては、わりあい外国においては、ロックフェラーとか、いろいろな研究機関がありまして、財団法人がありまして、お金を出してくれるわけです。日本の大学においても、そういったところから金をとれる研究室は非常に栄えている。非常にいい仕事をやっている。そういった点で、なかなかとってこれない研究室というのは、国家予算だけではなかなかできない。そういった実情にあるわけです。そういった意味において、民間と国の機関との協力体制、これをもっと行なえば、まだまだ私は進歩するのじゃないかと、こう考えるわけですが、そういった点についての長官の御意見なり、それに対してどういうふうな具体的な方法をお考えなのか、その点をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/58
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059・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 全くそのとおりでございまするけれども、日本ではただ一つ困難なことがあるのでございます。というのは、民間の研究と、大学の研究はもとよりです、公立の研究所と提携するということが非常に困難なのでございます。諸外国の例を見ていますと、それが非常にスムーズに行なわれておるようでございますけれども、民間の研究に大学が力をかす、民間の私企業に、営利事業に国立大学が、あるいはまた、私立でも国から補助を受けている大学が個人のあるいは民間会社の事業に力をかすというのは不都合ではないかという考えがございまして、これは、ある意味におきましてはまた正当な考え方ではないかと思われることもございまして、これが官民の協力を非常に阻んでいるわけでございます。これをどうすれば解決できるか、これからの問題でございまして、なかなか解決が困難なようでございますが、まず、その常識のようなものから打ち破ってかからなければならぬし、また、その常識のようなものを打ち破るための制度というふうなものも考えなければならないのでございまして、ぜひこの点もお力をおかしいただくようにお願いする次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/59
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060・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いまの問題でありますけれども、確かにそういった、民間の会社と提携をしていろいろな利害関係があることは、これは事実でございまして、そういういろいろなスキャンダル等も生まれておるわけでありますけれども、いま言われた制度の問題、やはりそこに法規制などを設けて、純粋な研究のみに使っていく、そういうようなことであれば、これは、かなりいけるのじゃないか。ぜひその制度のほうをひとつ努力してやっていただきたいと願うわけです。
それで、この間の所信表明の第二番目の原子力平和利用の推進のこのことでありますが、特に原子力発電所の営業運転、これは非常におそくなっておるわけです。一たん動いたが、何か事故があってまた延びた、こういうことも聞いておりますが、この原子力発電が現在どのようになっておるか、どのような進行状況であるか、ちょっとお聞かせを願いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/60
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061・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子力発電株式会社の一号炉と申しておりますが、東海発電所の最近の状況をお尋ねでございますが、御案内のとおり、昨年の五月四日に、原子炉といたしましては臨界に到達した、つまり燃料が全部入りまして炉としての機能を一応達成いたしております。その後、営業運転に入るための各種の竣工検査を行なって、初め臨界に達しましたときはもちろん電気的には出力はゼロでございますが、漸次炉の中の温度を上げ、蒸気の発生量をふやしまして、初めには一万二千キロワット、次は六万キロワット、それから八万キロワットに上げまして、当初の予定では、昨年の暮、十二月には十二万五千キロワットまで上げまして、その水準で営業運転に入りたいと、こういう計画でございました。まあ初めてのわが国における大型の原子力発電所でございますから、その営業運転に入りますまでにはいろいろ慎重に準備を重ねる、こういうことであったわけであります。しかるところ、五月四日以降、いろいろ実験を進めております間で、一、二、部分的な故障などもございまして、その手直し等のために、やや、ただいま申しました予定がおくれまして、ことしに入りまして一月の初めに八万キロワットまでの運転に入ったわけであります。ところが、八万キロワットまでの運転に入りましてから、また一つ故障が出まして、そのため、現在原子炉の出力運転をとめております。
その故障と申しますのは、簡単に申しますと、原子炉から出ました高温の炭酸ガスを、熱交換器、まあ一種のボイラーでございますが、そこを通しまして、ボイラーの、熱交換器の中にありますパイプに水を通して、その水を高温、高圧の蒸気にいたすわけでありますが、その熱交換器の蒸気パイプの一部に漏洩が出まして——その漏洩をいたしますと、炭酸ガスの中に水分が入ってまいりますので、そうしますと、機器、装置等に腐蝕も起こってまいりますから、とめまして、その漏洩個所をいろいろ調べておるところでございます。御承知と思いますが、この熱交換器は、一つの原子炉に対して四つ設けてございます。ただいままでのところでは、四つのいずれの熱交換器にも部分的なパイプに亀裂が出ております。したがいまして、それだけを修理いたすのは、これは比較的簡単でございますけれども、なぜこの八万キロワットの運転を始めますときに、このような亀裂が出てきたかという点は十分究明いたしまして、そうして根本的な復旧を行なってから営業運転に入るということで、目下、この炉の設計をいたしましたイギリスのほうから専門家も参りまして、原子力発電会社とともども、また日本の国内メーカーも入りまして検討を進めております。私どもの聞いておりますととろでは、大体その見当は三月の半ばごろには一応の結論が出ているように聞いて、おります。この結論が出てまいりましたならば、その結論に従いまして復旧の手配をいたしまして、ただいままでの見通しでは、四月あるいはおそくも五月ごろまでには営業運転にはいれるものというふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/61
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062・向井長年
○向井長年君 関連して。
東海村の原子力発電の問題は、いま言われたような問題があったと思うんですが、いずれ適当な機会に、科学技術庁並びに通産省も関係ございますが、原子力開発全般について質問をしたい、こう思っておりますが、いまお話が出ましたので、一言、一応所信の中に重要案件として書かれておりますので、質問しておきますが、これはもう皆さん御承知のとおり、特に大臣も御承知のように、わが国では原子力開発が非常におくれておる。これはもう、諸外国では、核兵器開発に伴って、付随的に原子力平和利用というものが出たわけです。したがって、わが国ではそういうことをやっておらない。そういう中から、十年余り、十年以上おくれておる、こういう現況で取りかかったことはよくわかるわけです。ところが、原子力平和利用の形は、昭和四十五年度までは百万キロの開発をして、あと十年に七百万から九百万くらいまではやりたい、こういう一応の方向性を持っているようですけれども、ほとんどこれは民間依存というかっこうで、政府行政上の問題としてこれを大きく取り上げているようには、われわれは感じないんです。したがって、民間にやってもらいたい、民間にやらすんだ、原子力開発委員会あるいは懇談会ですか、こういう中でその計画を立ててやっていこう、こういうふうにわれわれは受け取っているわけです。
実際の問題点として、いま原子力発電所の中に起きているように、建設途上においてそういう問題が起きておる、あるいは燃料の問題もあれば、あるいはサイクルの問題もあるようです。将来は、いわゆる原子炉の炉の開発の問題、国産開発の問題、こういう多岐にわたる重要な問題があるわけです。こういう問題に対して、政府は、具体的に、民間への依存だけではなく、こういう問題に対してはこう取り組んでいく、これに対してはこういう助成をする、というかっこうでやっていく決意があるのか、これをまず聞きたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/62
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063・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) おっしゃるように、原子力発電は、民間の構想に従って、民間の力でやっていこうということで、いままで進んでまいりましたけれども、御指摘のように、東海発電所の相次ぐ故障と申しますか、こういうようなことがございまして、このままでいいのかどうかは疑問があると思っております。
それからまた、世界的には、原子力発電はどんどん実用化しておるのでございますから、二号、三号になりましたならば、ちゃんとコマーシャル・ベースで発電ができるんじゃないかという期待も持っておりますが、ただ、例の再処理、できました燃えかすをプルトニウム化するということは国の力でやらなければだめだろう、高くついたらコストが合わないだろう、こういうわけで、これだけはぜひとも国の力でやろうということで努力をしまして、予算も幾らかもらっておりまして、再処理は国の力でやろう、こう考えております。
それから、発電炉のほうも、在来型のものはもう実証済みでございまするから、民間の力でやっていただいて十分できるのではないかと思って、これを期待いたしておりますけれども、改良型転換炉とか、増殖炉とか、こういうものは、国の力で、国の費用でやらなければなるまい、こういう覚悟で、これには今後力を入れてまいるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/63
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064・向井長年
○向井長年君 民間依存ですけれども、実際には、長官が言われたように、経済性の問題 いわゆる商業ベース、こう言われるけれども、おそらく東海村は、これで十六万キロですか、これを発電いたしましても、一般の火力あるいは水力ベースになるかどうかという問題ですよ。合わないというのは、資本費がたくさんかかっておるという問題ですね。少なくとも、四百五十億から五百億近い金を民間から出しておるわけですね。政府は何ら助成をしていない。これは、民間会社がつくったからやむを得ないということになればそうでしょうけれども、しかし民間ベース、いわゆる商業ベースに合うということになれば、燃料の再処理問題だけに政府は取りかかるんだ、こういう考え方のようです、いまは。しかし私は、そうじゃなくて、原子力開発そのものに対する政府の行政上の責任があると思うんですよ。民間で力があればやってくれというかっこうで、各社がかってにこういうことをやり出したら、実際問題としては、水力とか、あるいは火力の開発とは違うと思う。燃料はすべて外国依存です。日本では、人形峠で何が取れますか、ウランなんか……。ほとんどが外国に依存しなければならぬ。燃料の購入が問題ですよ。あるいはそれに対するところの再処理の問題は、そんな簡単なものじゃないと思う。そうでしょう。燃料を買って、船で持っていって、そこで再処理できないとすれば、国内に再処理場をつくらなければならない。これは何億というばく大な金がかかるはずなんです。一カ所でも、運ぶのに危険ですから。そうすれば、適当な時期に考えなければならぬ。
そうすると、総合開発の中から、いわゆるいま東京電力とか関西電力とか、あるいは中部とかが若干計画をして、四十五年度までには開発しようという計画を持っておりますけれども、これに対しては政府は何ら行政上の規制あるいは助成、そういう点においてはほとんどやっていないと思う。こういう問題は、一貫してやはり原子力開発という立場から政府が行政上問題を考えていかなければならぬ。それと同時に、いま申し上げましたように、本来であるならば、これは政府自身が統一してやらなければならぬ問題だと思う。ある会社は能力があるから、かってに開発するんだということになれば、これはおかしい問題だと思うんですよ。今後私は具体的に質問いたしますけれども、一応基本の問題だけを、いま長官にお聞きしたがったわけなんですが、したがって、東海村の問題については、先ほど言うように、長年かかってようやく完成したけれども、まだまだ狂いがあって、十分これを動かすことができない。こういう実態も一つの大きな体験かと思いますが、そういう点について、少なくとも基本法とあわせて、科学技術全般の問題とあわせて、この開発が大きな課題として取り上げられている以上は、科学技術庁のほうで具体的に今後いわゆる行政上の問題としてどう取り組んでいくか、こういう問題をひとつ御検討をいただきたい。回答はけっこうですから、よろしく。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/64
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065・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いまの問題については、民間の話が出ましたけれども、原子力船についても同じようなことが言えると思うんですが、そういった点、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
最後に、第三番目の宇宙開発の推進ですが、この中で、ロケットの問題ですが、現在ロケットは、どことどこで研究をされて、どのような成果があがっておるか、簡単でけっこうですから教えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/65
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066・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 現在、ロケットにつきましては、気象観測ロケットと、それから人工衛星を打ち上げますための、いわゆる打ち上げ用のロケットと大別されると思います。
前段の気象観測ロケットにつきましては、科学技術庁と、それから東大が、気象庁の依頼を受けて開発いたしております。それからさらに東大におきましては、お知りおきのとおり、カッパー、ラムダの段階まで、いわゆる科学観測用のロケットを開発しておる。
それから後段の人工衛星打ち上げ用ロケットにつきましては、東大は、従来の観測用ロケットでございますミューをさらにエクステンドいたしまして、四十二年に人工衛星を打ち上げる計画を持っております。これは四段の固体ロケットでございますけれども、お知りおきのとおり、第一段目の一番大きなブースター、これの地上の燃焼試験を昨年度大体完了いたしまして、本年度から飛しょう試験を行ない、四十二年には人工衛星を打ち上げる。それから科学技術庁におきましては、四十五年に実用衛星を打ち上げるという目途を持っております。現在のところ、一段目、二段目は固体ロケット、これは東大が開発いたしております現在のミューの技術を導入いたしましてこれを使いたい。三段目につきましては、これは東大の科学衛星と違いまして正確な軌道を得なければなりませんので、いわゆる誘導の技術が必要でございますので、液体燃料のロケットを使うべく科学技術庁におきましてやっておる。なお四段目もプラスチック製の固体ロケットを使うわけでございますので、三段、四段目は私のほうでやり、一段、二段目は東大の技術を使いましてミューの成果を使うということで計画の調整は一応できております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/66
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067・矢追秀彦
○矢追秀彦君 防衛庁では全然やっていないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/67
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068・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 防衛庁におきましては30でございますか、この前防衛庁長官からお話ございましたが、私どもは、御承知のとおり、宇宙開発は平和利用目的のみということになっておりますので、その点につきましては、こまかい情報は得ておりませんですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/68
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069・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま、二つの部門、防衛庁についてはよく存じないというお話でありますが、とにかく、ロケット一つでも、これはほかの問題も同じでありますが、とにかく日本の研究体制というのは、すべてが各省にまたがってやられておることが非常に多いわけです。東大のほうのロケットには、非常に東大としての特徴がある。また、防衛庁で研究されているのには、それなりの特徴があると言われておるのです。なぜそれを合わせてできないのか。ロケットならロケットという問題にしぼってやれないか。これは、ほかの研究にも全部当てはまることです。そこらじゅうで同じ研究をしておるわけです。これをもっと一つにまとめる、いわゆるそういった行政面の処置というのは、特に日本の国はそういった面では、へたであると私は考えるのですが、そういった点を、もっと基本のことを中心にしぼっていくならば、また現段階においてもいいものができると私は考えておるのですが、そういった点について、やはりそれを推進し、指導していくのが科学技術庁ではないかと考えますので、そういった点についての長官のお考えをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/69
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070・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 私も、そのとおりだと考えます。しかし、これは御承知のように、歴史がございまして、なかなか一朝一夕に一カ所にまとめるということがむずかしいのでございます。しかしこれは、私正直に申し上げますと、そのうちに自然に解決されてくると思うのでございます。ロケットに関しましては東大と科学技術庁がやっておるわけでございますが、大学は学問の府でございまするから、学問上の実験をやるということでとまるだろうと思いまするし、また、東大宇宙航空研究所も学閥としての衛星の打ち上げをやるんだ、こう言明しておいででございます。ですから、そこまでいけば自然とまとまるところにまとまってまいろう、こう考えておる次第でございまして、いまのところは、調整局長が申し上げますように、同じロケットにいたしましても、目的が違いまするし、また燃料なども違っておるわけでございまして、実用的な衛星を打ち上げるというのが科学技術庁のわけでございまするから、あらゆる研究が実用を主として行なわれまするし、東大のほうは学問としての衛星を研究しておいでのようでございまして、それには固体の燃料でいいけれども、実用に供するためには液体の燃料を使わないと、うまくいかないというのが、いまのところの常識でございまして、どういうふうに進歩発達してまいりますかは、わかりませんけれども、いまのところは、二カ所でやっておりましても、別にこれがひどくロスになっておるということはございません。しかし、おのずから時がたちまして、研究が進んでまいりまして、規模が大きくなってくれば一カ所にまとまってくる、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/70
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071・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 長官から大要の御説明ございましたですが、補足して御説明申し上げますと、先生御指摘のとおり、宇宙開発の機構を一元化いたしまして、できるだけ、技術の面につきましても、あるいは経費の面につきましても、効率的に行なうべきだということは、私どもも十分に考えております。たまたま昭和三十九年の二月に、宇宙開発審議会から第三号の答申というものが出まして、その中の要旨といたしまして、宇宙開発の機構の一元化は理想である——ただ、先ほど長官のおっしゃいましたように、従来の経緯等もあるので、この内容につきましては、いかなる方法で、いかなる時期におきまして一元化するかということは、今後宇宙開発審議会で検討するということになっております。
もう一つ、それまでの暫定的な措置といたしましては、同じ答申に、東大を除きまして——これは当庁の設置法上、大学の研究にかかわるものは除くということになっておりますので、これは必然的に除外されますが、その他の各省が宇宙開発をいたします場合、各省庁が競合いたしまして重複すると思われるようなものにつきましては、科学技術庁で全部一括して推進せよという御答申をいただきまして、そのために宇宙開発推進本部というものをつくれということになっております。ただいま私どもで、それを中心にいたしまして、実施官庁たる各省庁等の関連を密にいたしまして、一元的に各省のものは御用命を聞きまして、やるということになっております。
それから東大との関係は、先ほど申し上げましたように、当庁の設置法上、調整の対象になっておりませんですが、審議会の答申では、一元化機構ができるまでは、両者の間の話し合いというものは宇宙開発審議会の場を使えということを言っておられます。したがいまして、両者の計画等につきましては審議会の席上で十分に御討論をいただいておりますが、さらに具体的に実質的に科学技術庁の宇宙開発推進本部と東大の宇宙航空研究所との技術的あるいは人的な面の交流をはかりますために、三十九年の末から東大の宇航研の所長でございます高木教授に、私どものほうの宇宙開発推進本部の本部長をかねていただきまして、さらに、宇宙開発推進本部の中に、技術委員会という一種の本部長の諮問機構のようなものがございますけれども、この中に東大の宇宙航空研究所の教授五名をメンバーにいたしまして、その場を通じまして両者の技術的な提携なり技術の交流ということに努力をいたしております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/71
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072・光村甚助
○光村甚助君 質問の通告がしてございませんが、簡単なことですから大臣にお答え願いたいと思いますが、先般新聞に大きく取り上げられた人事の問題ですが、厚生省で選挙違反を起こして休職中になっていた人を科学技術庁が受け入れた、しかし、世論がこれをたたいたために、一日でこの人はやめたといういきさつをわれわれは知っているんですが、一体これはどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/72
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073・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) いきさつは新聞紙上にあらわれたとおりなんでございます。科学技術庁は、従来から放射線医学総合研究所のお医者さんの人事につきましては、厚生省から出向されたものをそのまま採用しておって、また厚生省に帰るというようなことが繰り返されておったのでございまして、選挙違反に問われて、いま公民権の停止中のものを採用するというのは疑義がある、こういう考え方で、次官も官房長も厚生省に話をされましたし、私もそうしたのでございましたが、ほかに適当な人がないということで、いま医師という資格の要る仕事はなかなか人が得がたい、特に管理職の者は得がたい、こういう話がありましたので、そのまま採用しよう、こうきめたわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/73
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074・光村甚助
○光村甚助君 あなたは、この人が選挙違反で休職中だということを知っていたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/74
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075・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 報告を受けましたから、知っておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/75
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076・光村甚助
○光村甚助君 知っていて、一日でやめさせるなら、雇うということは見識がないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/76
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077・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) おっしゃるとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/77
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078・光村甚助
○光村甚助君 さっきから、あなた何でもおっしゃるとおり、おっしゃるとおりだと言っておられますけれども、もちろん、お医者さんというのは足りないということは私たちも知っていますが、しかし、いやしくも一たん自分が、大臣が採用するのだと判こもついておきながら、新聞がたたいたからといって一日でやめさすというのは、私はやめさせるということには賛成ですが、そういう人事をやるということは、一つも大臣の権威というものはないじゃないですか。もう少し、人事をやるなら、確固たる信念を持ってやってもらわなければ、大臣自体が科学技術庁に対して、しめしがつかなくなるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/78
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079・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この放医研の病院部長は、厚生省に復職いたしまして、厚生省から回ってきた人事でございますから、本人の辞表も厚生省に出ているわけでございまして、そういうわけで、まあ見識がないじゃないかとおっしゃられれば、それまでの話でございますけれども、当庁だけの人事でなかったということは、ひとつお含みおきいただきたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/79
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080・光村甚助
○光村甚助君 そういう人事が上級——あの人は上級職である。上級職は選挙違反をやっても各省で拾ってくれるのだという悪い風習が、考え方がございますと、非常に選挙というものが軽んじられて、選挙違反をやっても、どこかの省で拾ってくれるのだという例をつくるということは非常に困ると思うのです。官房長は、厚生省からそれを推薦を受けたときに、どう言って大臣に推薦したんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/80
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081・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) いきさつでございますので、私から説明をさせていただきたいと思いますが、放医研の病院部長といいますのは、大体が病院の院長さんみたいなもので、どちらかと言いますと、いわゆる行政官として一般国民に接触するようなポストでもございません。もともとが、このポストというものは医者という専門の分野でございますし、そういう意味で、厚生省のほうからの推薦を符って交流人事という形で処理をしておるわけでございます。したがって、私どもの中でも若干議論も実はあったのでございますけれども、厚生省のほうから、強く、人柄もいいし、学者としての能力もたいへんりっぱだという強い推薦もございまして、私どもいろいろ意見もございましたが、慎重検討いたしまして、実は大臣の御了解を得ておりますけれども、あまり詳しい説明は大臣まで実は上がってない事情でございます。翌日になりまして、御本人から、いろいろ世間を騒がして、はなはだ申しわけない、自分としてもこの際やめさしていただきたい、こういう申し出があって、厚生省のほうに御相談が出まして、私どものほうへやめたいからと、こういう意思が表明されて、それに従ってやったような次第でございます。内閣のほうといたしましては、先般の閣議で口頭了解という形でございますが、遺憾の趣旨を徹底いたすべく人事局長のほうから各省に要望が出されておりまして、選挙違反の者の復職につきましては、世間の疑惑を招くことのないように慎重に注意をしろと、こういうお話が要望として出されております。それぞれ今後そういう線に沿って慎重にやっていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/81
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082・光村甚助
○光村甚助君 済んだことですから深く追及しようと思いませんが、医学の分野で非常に医者としてまじめな人というなら、選挙なんかタッチしなければいいのです。医者であって、科学者でありながら、選挙をやって選挙違反を起こすような人は俗人ですよ。こういう者が科学に携わるということは、あまり感心した話ではないです。今後ひとつ大臣も、こういう人事に対しては大いに気をつけていただきたいと思います。
それから資料の要求ですが、最近中性洗剤を各家庭で使っております。先年ですか、厚生省のほうでは、これが有害だという説と、無害だという説とが分かれておりまして、われわれは日常使っておりますから、非常に皮膚に湿しんができるとか、あるいは野菜を洗って完全にこれをよく洗わなければ肝臓を悪くするとかいうことで、非常にこれが世間の主婦の間で問題になっておるようです。大臣のうらでおつくりになっているかどうかわかりませんけれども、これに対して賛成の学者もいるし、反対の学者もいますが、両方の資料を出していただきたい。そしてわれわれは、いつかの委員会に両方の学者を呼んで、ほんとうに無害か、有害かということを、はっきりしてもらわなければ、主婦の人たちが困っております。この資料を至急出していただくようにお願いしておきます。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/82
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083・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) いま光村委員の御指摘の資料につきましては、私どものほうで特調費でこの問題を研究いたしましたものがございます。その資料をお出ししたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/83
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084・森勝治
○森勝治君 だいぶ時間がたっているようでありますから、一点だけ、かいつまんで質問をしてみたいと思うのですが、それは、いまの話にもありました東海村の原子力研究所に隣接する米軍の射爆場返還問題について質問してみたいと思うのです。
このことは、すでに近藤長官以来の懸案事項でありまして、御承知のように、もう茨城県議会でも、あるいはまた衆参の科学特別委員会においても、この返還の要求の決議をされたというふうに私は仄聞しておるところでありますけれども、その後の米軍との折衝がどうなっておられるのか、ひとつ大臣からお伺いをしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/84
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085・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この射爆場の返還問題は、実は窓口は防衝庁でございまして、そうして、防衛長官も熱心にその返還を求めておるわけでございますが、実は、私もライシャワー氏に会いまして、実情をるる述べて、返してもらいたいということを申し述べましたところが、それはいつでも返す、しかし、代替の場所がなければ困る、こういうことなんでございます。それで行き詰まっておるわけなんでございます。そこまでいきますと、科学技術庁ではなかなか、何と申しますか、手足がございませんから、代替の場所をさがすということができませんので、防衛庁にもぜひひとつ何とかしてさがしていただきたいということを切に求めているわけでございます。防衝庁も、私も、各関係者も、熱心に返還してもらうように努力を重ねておりますけれども、なかなか、らちがあかないというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/85
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086・森勝治
○森勝治君 当時、もうすでに誤爆による被害者が出ておったわけですね。その後も出たというふうに聞いておるのですが、その辺の事情を、ひとづかいつまんでお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/86
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087・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいま、誤爆の毎年次における同数とか、それによって生じた損害とかの資料を手元に持ってきておりませんので、具体的数字で申し上げられませんが、昭和三十四年、五年ごろまで、一時非常にそういう誤射、誤爆、あるいは誤投下という問題が生じまして、それによって、人その他の損害も生じたわけでございますが、飛行条件、演習条件等につきましていろいろ申し入れました結果、三十六年ごろから、たいへんその点は改善されてきておったわけでございます。しかるところ、他方におきましては、あそこで演習いたします機種がだんだん新しくなりまして、速度も早くなる、そういう角度から、最近また若干そういう誤射あるいは誤投下ということが出たケースがあるようでございまして、ちょっと手元に資料がございませんので、最近の詳しい数字を申し上げられませんが、地元のほうとしましても、そういうことからいたしまして、やはり根本的には、あの場所で射撃の演習をいたす、あるいは爆撃投下の演習をいたすということが問題だということで、どうしても至急移転してほしい、こういうことを強く、防衛庁はもとより、私どものほうにも申してきておられるわけです。長官から御答弁ございましたように、直接の所管は、防衛庁、特に防衛施設庁でございますが、隣に原子力施設、原子力センターがありまして、そこで日本の原子力開発を中心的に推進いたしております。私どもとしましても重大な関心のあるところでございますから、長官もみずから米側と折衝されまして、できるだけ早く移転してもらうようにということで御交渉をいただいておるわけでございますし、また、私自身も担当局長といたしまして、防衛施設庁長官その他と随時面会いたしまして、防衛庁側における移転計画とその進捗状況等を聴取するばかりでなく、積極的に推進をはかっておる、そういう状況でございます。
ただいままで聞いておりますところでは、長官のお話にもございましたように、防衛庁長官はじめ関係者非常に御努力の様子でございますが、移転するとなりますと代替地が必要だ、その代替地の条件といいましょうか、そういうものが、米側の希望と、現実に防衛施設庁あたりでお考えになってきましたことが、必ずしも話がうまく一致しないというようなことから非常に手間どっておるというのが現状のようでございます。施設庁としましては、その間にも、現地のいろいろの方々の御満足、と言うとあれでございますが、御得心のいくように、いろいろと地元対策というようなことはできるだけしてまいりたい、このように申しており、その線に沿った予算措置等も講じておると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/87
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088・森勝治
○森勝治君 いま局長が言われた後段で、地元の要望にこたえて最善の措置をするということは、これは返還を実現することじゃないですか。そうでしょう。ところが、具体的に働きかけておりますか。大臣は大使にも会ったとおっしゃっておりますけれども、代替地については、もうすでにだいぶ前から、米軍から、代替地さえよこせばいつでも明け渡すという申し入れが逆にあるわけでしょう。それを防衛庁にまかせちゃって、ほったらかしているのじゃないですか。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/88
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089・村田浩
○政府委員(村田浩君) 私ども聞いておりますところでは、決してほうっておるわけではございませんで、幾つかの候補地を検討し、その資料をもって米側と折衝しておる。かつまた、米側の希望に応ずるためには、まあいろいろ施設なり整備なりをいたさなければなりませんが、そういったことに必要な予算等についてもいろいろ検討をいたしておる、こういうふうに聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/89
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090・森勝治
○森勝治君 どうも合点がいかないのですよ。たとえば、けちをつけて恐縮ですけれども、この文章ですね。大臣の所信表明の要旨を見たところで、「一段とこれが推進を図る」、「さらには一段と努力する」、「一段と強力にその推進を図って参りたい」、「一段と強化する」——一段一段とあるが、一段一段と後退しておるのじゃないですか。特にいま国会でも問題になった返還問題は、あちらだって返還すると明らかに意思表示しているもので、それに対して一段一段と逆に後退している姿じゃないですか。いままで措置はしていると言われるけれども、あそこに研究所をつくっておいて、地元の対策がよくなったから、誤射が少なくなったからといって、ここしばらくほうっておるじゃないですか。最近防衛庁を督促した状況について説明してくださいよ。ほうっておるじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/90
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091・村田浩
○政府委員(村田浩君) 正確なことは記憶いたしませんが、私自身防衛施設庁におもむきまして防衛施設庁長官と面接して、そうして科学技術庁側、原子力側の非常に重大なる要望を特に伝え、そうして善処万を督促いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/91
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092・森勝治
○森勝治君 これで終わりますが、私は一言苦言を呈したい。
先ほど光村さんからの質問にもありましたように、まことに失礼だけれども、よその部門、他省に振り回されている傾きがあるんじゃないかと思うのです。具体的な例をあげれば、いまの射爆場についても、防衛庁にあずけっぱなしでしょう。窓口は向こうだと言うし、努力しましたと言っているのですけれども、努力のあとがさっぱり出ない。人事の問題——まあ確かに一人は特殊部門の方かもしれないけれども、厚生省から押しつけられて、それをはね返す自主性がない。これでは、口に科学技術を唱え、科学する心を国民に植えつけようとしたって、これではさっぱりよくならない。科学技術庁そのものが笛すらも吹けないじゃないですか。まことに失礼だが。ここに一段一段とあるけれども、一段一段でなくて、三段飛びをしてやってください。きょうはロケットの話をしているのですからね。ですから、やはりそういう前向きの姿勢の科学技術庁としてのあるべき姿を、さらに行政の具体的な面でお示し願いたい。特に、私がいま質問いたしましたこの件については、御承知のように、これは多年の懸案事項でございますから、上原長官在任中に、会社の業績としては天下一流の長官でありますので、こうした問題についても、ぜひとも解決していただきたい。もう相手方が了承済みの問題でありますから、こんなものにけちつけるはずはないと思うのです。いやだというなら、これはたいへんですけれども、もう引き渡すと言っているわけですから、ごく簡単な問題、いわば事務的な処理の問題だと私は思うのです。したがって、ひとつぜひとも在任中に本件の解決方を大臣にお願いをしたい。その点について、一段一段でなくて、三段飛びの大臣のかたい決意を重ねてお伺いしたい。
これで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/92
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093・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) まことに申しわけないのでございます。とにかく必死の努力をいたしますことをお伝えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/93
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094・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 質疑は次回に続行することとし、本日はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00319660224/94
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095・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。
本日はこの程度にとどめまして、これにて散会いたします。
午後三時三十分散会
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