1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十日(木曜日)
午後一時二十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 秋山 長造君
理 事
鹿島 俊雄君
源田 実君
森 元治郎君
委 員
石井 桂君
近藤 鶴代君
笹森 順造君
平島 敏夫君
宮崎 正雄君
山本 杉君
森 勝治君
国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君
政府委員
防衛施設庁長官 小幡 久男君
防衛施設庁総務
部会計課長 大浜 用正君
防衛施設庁施設
部長 財満 功君
科学技術政務次
官 田川 誠一君
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁長官
官房会計課長 藤井孝四郎君
科学技術庁研究
調整局長 高橋 正春君
科学技術庁振興
局長 谷敷 寛君
科学技術庁原子
力局長 村田 浩君
科学技術庁資源
局長 橘 恭一君
外務省北米局長 安川 壯君
事務局側
常任委員会専門
員 渡辺 猛君
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本日の会議に付した案件
○核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣送付、予備審査)
○科学技術振興対策樹立に関する調査(水戸射爆
場返還問題に関する件)
(使用済燃料再処理施設に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/0
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001・秋山長造
○委員長(秋山長造君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。上原科学技術庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/1
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002・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び要旨を御説明申し上げます。
核原料物質開発促進臨時措置法は、原子力基本法に定める目的の達成に資するため、国内に賦存する核原料資源の開発を促進することを目的といたしまして、昭和三十一年五月四日に制定された法律であります。
その内容としましては、通商産業省地質調査所及び原子燃料公社による核原料物質の探鉱及びその開発を、国家的立場から積極的かつ効率的に行なわしめるために、鉱業法の特例を定めているものであり、その性質上、施行の日から十年以内に廃止するものとされているものであります。
本法のもとにおきまして、過去十年間、原子燃料公社及び地質調査所は、積極的な探鉱活動に従事いたし、日本全国の約三分の二に相当する地域の概査を行なうとともに、有望な地域につきまして、さらに精密な調査を行ないました結果、人形峠地区、東濃地区等の地域におきまして約四千トンのウラン鉱量を把握する成果をあげてまいりました。
しかしながら、その調査は、いまだ十分に尽くされてはいない状況でありまして、さらに全国的に有望地域の調査を行なうにあたっては、今後とも、原子燃料公社及び地質調査所の探鉱活動に期待するところがきわめて大きく、そのためには、今後なお十年間を要する見込みでありまして、これらの活動によって、約二万トンのウラン鉱量が把握できる見込みであります。
今日、核燃料としてのウランの需要に対し、世界における低廉なウラン資源の賦存量はかなり豊富であり、わが国といたしましては、その入手について当面困難を来たす事態にはないわけでありますが、世界各国における原子力発電の開発はまことに著しく、その結果として、将来における低廉なウラン資源の需給逼迫等も考慮するとき、わが国といたしましても、その入手についての情勢の変化の可能性を十分考えておく必要があると存ずる次第であります。
このような長期的観点に立って国内における核原料資源の賦存状況を明確に把握し、その開発の可能性について検討しておくことは、エネルギー資源の安定した供給の保障を考える場合、その一つの手段として、きわめて重要な意義をもつものと考えるものであります。
以上述べましたような観点から、国内の核原料資源について、原子燃料公社及び地質調査所の探鉱業務を今後とも積極的に続行せしめることはぜひとも必要であり、そのためには、探鉱活動の円滑な遂行をはかる上で、その背景として重要な役割りを果たしてきた本法を存続せしめることが必要かつ適切であると考えます。
以上のような理由から、本法をなお十年間存続せしめ、あわせて若干の条文の整理をすることを内容とする本法案を提出することとした次第であります。
何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/2
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003・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 本案に対する質疑は、これを後日に譲りたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/3
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004・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 次に、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。
前回に引き続き、質疑を行ないます。
御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/4
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005・森元治郎
○森元治郎君 私は、すわってやりますから、お願いします。
水戸の射爆場の返還問題と、使用済み核燃料の再処理工場、これについて伺おうと思ったんですが、三十分大至急でやっても、一つしかできないと思いますが、ひとつお願いします。
射爆場について、まず伺いますが、それじゃ事務的に、方針を変えて、形容詞を抜きで、ずばり伺いますが、大臣は、ライシャワー大使にお会いになって射爆場返還について御努力をしてくだすったようですが、その結果を伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/5
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006・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 射爆場の返還は、御承知のように、長い間の懸案でございまして、一日も早く解決したいと考えまして、就任早々、実はライシャワー大使に面会を求めまして、返還方を懇請いたしたわけでございます。だいぶわれわれの主張はよく理解をしてくださいまして、前から何べんか折衝が行なわれておったと見えまして、よく理解していただいておったのでございますが、何ぶんにも、代替地が思うようなものが見当たらないということで遷延しているのだ、こういうことでございます。
それから防衛庁にも、しばしばこれは回を重ねて参りましたところが、やはり防衛庁でも、御承知のように、新島の射爆場を東海村の射爆場のかわりに拡張して、整備してやりたいということで、予算の要求などもやってくださいましたけれども、思うように進捗いたしませんようなことで、いまだに解決しないでおるわけでございまして、まことに残念でもあり、申しわけない次第でございます。今後とも一そう努力を重ねてまいるつもりでございますので、よろしくお願いを申し上げたいのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/6
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007・森元治郎
○森元治郎君 ライシャワー大使にお会いになったのだから、私は何か具体的なものを持っていかれたと思ったのですがね。そうでなければ、お互いによく、もう理解しておるはずだと思うのです。ただ手ぶらで行かれたというのは、どうも、代替地はどうだと向こうから言われて、いまのところ、こっちが、げたを預けられた形のように伺っておりますから、預けられたほうはどうだ、こういうことでなかったんですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/7
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008・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) その手ぶらで行ったという……。実は、新島ではどうかという話になっておりましたから、それをぜひ取り上げてもらうようにと、こういうつもりで行ったのでございましたが、それが成就しなかったと、こういうわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/8
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009・森元治郎
○森元治郎君 その新島というのは、その場で「ノー」と言われたのですか。検討の上、防衛庁長官に向かって返事が来たんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/9
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010・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 「ノー」というのではない。もっとも、ライシャワー大使が直接の担当ではございませんから、「ノー」というのではなかったんでございまするが、軍が承知をするような代替場でないということなのでございまして、まあ、承知しそうもないという話ではございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/10
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011・森元治郎
○森元治郎君 それじゃ、施設庁長官、少し専門家の見地から新島を水戸射爆場にかわる価値のあるものだという確信をもって持っていかれたのか、そうして共同で検討しようということになったのか、あるいは、その話を聞いて、向こうだけで、どうも思わしくないといってけってきたのか、あるいは現在懸案中であるのか、向こうが考えているのか、日本側じゃなくて向こうが検討して返事する段階にあるのか、いわゆる事実の経過だけを御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/11
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012・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) 先ほど新島というお話が出ましたので、かりに新島という問題にしぼって申し上げます。
かりに、そういうことでありますと、われわれのほうも、昨年の五月に小泉長官がウェストン将軍と会いましたが、たとえば新島にいたしますと、あそこは御承知のように海面の広がりはございますが、陸地が非常に狭いということと、まあ、これも御承知だと思いますが、断崖が九十メートルばかりございまして、非常に気象の乱れがある。かてて加えまして、あそこは、船着き場にも、めったに船が着かぬという激しい気流もございまして、気象上——主として気象条件でございますが、安全な低空の訓練ができないというのが一番大きな難点でございます。われわれのほうといたしましては、そういうことに対しましても、たとえば陸地を削るとかいうふうな問題もいろいろ考えて、試案としては、そういう検討もして相談をしておるのでございますが、先ほど大臣からもお話がありましたように、やはり低空飛行の安全が保しがたいという致命的な問題で、現在行き詰まっておるというのが真相でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/12
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013・森元治郎
○森元治郎君 行き詰まっているというと、現在のところは、代替地は新島一つで話をしぼってやっておられるんですか。まだ、ほかに向こうと話の議題になっているものがあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/13
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014・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) まあ新島と、いま名前が出ましたものですから出しましたのですが、あと一、二、これは名前を出しますと、また非常に問題になりますので、具体的なあれは差し控えさしていただきますが、複数で話はしております。しかし、いずれも非常にむずかしい条件であるという交渉の段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/14
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015・森元治郎
○森元治郎君 新島ですが、これはお出しになった以上、例の射爆場の条件として水陸両面があること、広いこと、人口が稠密でないこと、それから気象条件がよいことなどなどがありますね。いやしくも、こちらから出す以上は、これをおよそ充足するものだと、この目標はそういうことでお出しになったと思うんですが、その自信のほどは、何%充足しているか、その条件の……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/15
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016・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) まあ、何%という、その表現はむずかしゅうございますが、一番基本的には、土地の提供は必ずしも現時点では満足すべきものではありませんが、これに相当量の土木工事をすれば、あるいは可能ではないかという判断をいたして出したわけでございますが、その後いろいろ折衝しております段階におきまして、たとえば、過去十年間の時点における特に冬期及び夏期の天候が悪いという点、先ほど申しました悪気流による飛行の障害がある、それから平たん地が少ない、それから緊急時のための、補給のための飛行場として適当な滑走路というものを得る地積が近郊にない、というふうな、いろいろな条件がございましたし、飛行場は全体としていろいろな付属設備等もございまして、そういった見地から、非常に現在行き悩んでいる。ことに、その気流の悪いという点が一番のポイントになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/16
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017・森元治郎
○森元治郎君 あちらこちら適当な土地をさがすためにはお金もかかる。人も出すんですから、そういう予算というものが計上されているんだろうと思うのですが、四十一年度はどのくらいか。昨年はどのくらい使っておられましたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/17
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018・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) 会計課長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/18
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019・大浜用正
○政府委員(大浜用正君) 当庁の予算書に、施設区域等調査旅費として一千三万八千円というのが計上されておりまして、その他事務的なものが、施設区域等調査費、八百四十七万九千円計上しております。まあ、施設の返還、提供その他の調査は、この経費をもって充当いたしますので、その範囲内で調査をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/19
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020・森元治郎
○森元治郎君 昨年だったか、小泉長官が、アメリカ側とはもう高度折衝の段階で、いま私は事務当局をして根回しをさせております、こういうことをおっしゃったようでしたが、その結果はどうでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/20
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021・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) その経緯が、いま申し上げたようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/21
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022・森元治郎
○森元治郎君 それが高度政治折衝ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/22
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023・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) 小泉長官が、米側に対しまして、書面で代替地の腹案を出すから検討してほしいという、まあ折衝をなされたわけでございます。それを受けまして、われわれが自後の具体的な候補地を出しまして折衝しているわけでございますが、その具体的な候補地の一つでありますところの、いまお話しになりました新島につきましては、そのような見込みになっているということを申し上げました次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/23
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024・森元治郎
○森元治郎君 愛知長官が、昨年、長官の一つのお考えでしょう、原子力委員会の決議などをもってアメリカ要路へのアッピールをするのも一つの方法だと考えているということを言われたのですが、愛知長官はおやりになったのかどうか。あるいは、おやりになって、なお上原長官も、その線でおやりになっているのか。この愛知長官のアイデアの行くえ、行くえ不明になっているのか、行くえを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/24
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025・村田浩
○政府委員(村田浩君) 愛知前長官は、御在任当時に、ただいま上原長官のお述べになりましたような趣旨もありまして、まずライシャワー大使に会われまして、そしていまお話のあったような趣旨も含め、いろいろ日本側の考え方、特に原子力委員会委員長、科学技術庁長官としての要望を申され、その際に申されたことで、実際に米国の要人とお会いになって具体的なお話し合いをされたかという点につきましては、長官御在任中に米国へ回られるという機会も残念ながらございませんで、来日された米国側の要人とお会いになりました際に、あるいは非公式な会合その他等で申されたかと思うわけでございますが、具体的な資料としては私ども承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/25
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026・森元治郎
○森元治郎君 原子力委員会の決議をもって、というのが大臣の御答弁の中にあったのですが、そういう原子力委員会の決議というような形はやったことがあるのですか、愛知さんのときに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/26
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027・村田浩
○政府委員(村田浩君) 手元に資料を持っておりませんが、私の記憶いたしますところでは、愛知前長官御在任中に、原子力委員会が委員会においてそのような趣旨のことで正式な決議を行なったということは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/27
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028・森元治郎
○森元治郎君 そこ、また話をもとへ戻して、アメリカ側が出しておる、四つでしょう、四つか五つの射爆場の適地条件、これは、日米合同委員会などで、施設庁長官や安川北米局長などお出になってお話しになったときに、議題に当然なったと思うのだが、これを緩和するというような話し合いは、これまでにあったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/28
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029・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) ただいまのお話、米側の条件ですが、これは、三十六年度の五月に、合同委員会でありませず、施設特別委員会で言っております。施設特別委員会は、合同委員会の下部機構でございます。いろいろこまかいことは、先ほど四つか五つかとおっしゃいましたが、たくさんございます。しかし、そういうこまかいことの中で、ある部分は緩和してもよいということを言っております。しかし、せんじ詰めまして残りますのは、ここは横田飛行場とか厚木の飛行機が行くわけでございますので、横田基地から一定の距離が必要だ、これは譲れない。それから陸上及び海上の演習もあわせてやりますので、陸海両用でないと困るという点でございます。それから気象条件でございますね。これは飛行安全上当然のことでございます。それから現在程度の海陸を含めての広がりが必要だと。それから人口の稠密地帯から離れる。こういったようなことは、これはまあ日米双方にとって当然なことであると思います。そういった点は基本的な問題でありまして、あとの技術的な問題は多少話し合いの余地はあるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/29
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030・森元治郎
○森元治郎君 そこで、専門家が日米合同委員会に出て射爆場移転についての話し合いは何回もやったわけですが、もう私は限度じゃないかと……。この横田基地から二百キロくらい——二百キロくらいでしたね、くらいの間に、那珂湊射爆場のような三百五十万坪、それから海面まで入れれば二千三百万坪などというけっこうな所はない。しかも、人口が密な所では困るという条件があるが、日本全体が稠密であり、関東はそれが集結している所ですから、これはないのだと私は思うのですね。ですから、日米合同委員会で幾らおやりになっても、限度が見えている。あなた方の折衝では話はできないのじゃないか。その感想を伺いたいが、北米局長、英語は達者だし、アメリカ人の言うことも完全に理解しておられるのだから、その感じはどうですか。私は、合同委員会の作業はもう限度だと思うが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/30
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031・安川壯
○政府委員(安川壯君) 私も、率直に申しまして、この問題は非常に困難な問題だと感じております。で、やはり基本は代替地を見つけるということでございまして、代替地を見つけるということは非常に困難だということは、私も率直に、そういうふうに感じております。しかしながら、そうでありますからといって、私、これが不可能だという結論を出すのは、まだ早いのではないかというふうに感じております。先ほどから施設庁長官からいろいろアメリカ側の条件というようなものを御説明ございましたが、私も、いやしくも安保条約に基づきまして、まあいわば日本の防衛の責任を持っておる米軍の軍事上の最小限度の要求というものは、これは当然尊重しなければならぬと思いますけれども、その最小限度の範囲内で何とかその代替地を見つけるということが不可能であるという結論をここで出しますのは、時期尚早で、さらに努力をする余地はございますし、また、その条件につきましても、最小限度の条件というものはもちろん動かし得ないと思いますけれども、私の接触しました感じから申しまして、アメリカ側も、この問題の重要性と申しますか、ということは十分認識しておりますので、条件につきましては、何らかの妥協点というものを見つけることは不可能ではないと、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/31
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032・森元治郎
○森元治郎君 施設庁長官、どんな感じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/32
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033・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) 私も、これですべてピリオドを打つという気はございませんが、非常にむずかしい問題だという感じはしております、率直に申しまして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/33
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034・森元治郎
○森元治郎君 大臣に伺いますがね。これはもう事務的な段階では、とてもそんなけっこうな条件にかなう土地を、横田を中心に二百キロ内外のところに求めるというのは、私は困難だと思う。いま事務当局は、望みはないと言ったんじゃ、これはあがったりですから、不可能とまでは思わないと言っておりますが、むずかしいと思うのです。
そこで、この問題に対する一体日本の態度はどうかというと、歴代の大臣は全部移転に賛成して、努力する、科学技術庁長官も、防衛庁長官も、外務大臣も、そういう御意向です。衆参両院の科学技術特別委員会も、決議をして、移転をしましょう。地元の県民は反対、県知事は反対、自民党の与党も、われわれ社会党も、茨城県では超党派で全部反対、市町村も反対——これだけになりますと、これは日本国全体、総意をもって反対という形ができているのですね。その総意をもって日本が当たっている。これは、どっちが譲るべきかというならば、私は、アメリカが、もう譲りがたきを譲る以外には手がないんじゃないか。どう思いますか、どっちが譲るべきか。こっちは、国民の総意、与野党、一億の国民が反対と言ってもいいくらいにまとまっておる。珍しくまとまった問題です。そこで、これを高度政治折衝というのじゃなくて、閣議まで持ち上げて、閣議で——前にやったことがあったかとも思うのですが、あらためて返還を内閣総理大臣の名において求める、閣議の決定に持ち込んで向こうに求める、こういうことをやるべき段階だと思うのです。しかし、この射爆場は、防衛に関しては防衛庁の所管にもなるだろうし、原子力関係の施設から見ていけば科学技術庁長官の所管にもなるようだし、外交折衝面では外務当局の所管という、中心がないような形なんで、そこで私は、科学技術庁長官が、歴代のおっしゃっていることばはみな同じなんですから、あなたがイニシアチブをとって、閣議としてこうしようということをやってもらう段階である、それしかないと思うのですが、長官の所信をひとつ伺いたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/34
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035・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) これは、私がイニシアチブをとるべきものだとは思わないのです。やはり、何と申しますか、順序も形もございまして、むしろ、国の総意であるとすれば、外務省がその衝に当たるべきである。直接の管掌は防衛庁であり、それから国の窓口は外務省で——条約に基づく施設ですから、どうも外務省を通じてやるのが一番の本筋だと思うわけでございまして、国会の決議もございますことですから、その国会の意向に従って、その窓口になるべきものは外務省であろう、こう考えておりまして、私が率先してイニシアチブをとろうという気には、まだなっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/35
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036・森元治郎
○森元治郎君 私は、そこに外務大臣がいれば、外務大臣にイニシアチブをとったらいかがかと、防衛庁長官なら長官に言うと思うんです。あなたは科学技術庁長官ですが、あなたの辞令には、任ず国務大臣、科学技術庁長官を命ず、とあるのだろうと思うのです。そこにあなたのえらさというものがあるのですよ。国務大臣上原正吉さんがイニシアチブをとって閣議でやるということ、国務大臣として閣議に列席しておられるのだから、あなたが言い出そうと、だれが言い出そうと、これは同じなんですね。ですから、たまたまいま、いろいろな問題もあり、密接な関係にある科学技術庁長官、歴代の長官が、もう一生懸命努力してますという同じ文句を言っているわけですから、さっそく次の定例閣議に、どうかしなきゃならぬということを、私はおやりになるべきだと思う。また、前の防衛庁長官やなんかのいろいろな話を聞くと、外務、防衛、科学技術、みんなと協力して閣議のレベルにおいて何とかをバックアップして——形容詞たらたらでやっているのですな。とどまるところを知らない。もうこの辺が、私は、はっきりすべきときだと思う。だから、閣議であなたがおっしゃって、国務大臣上原さんがおっしゃって、一向差しつかえない。外交折衝は外務大臣、防衛のほうについては防衛庁長官で一向差しつかえないんで、どうです、閣議に持ち上げて、はっきりする——はっきりするということは、向こうと折衝をして、聞いてもらうということを、ぜひやってもらいたいと思う。いかがですか。もう一ぺんひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/36
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037・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) どうも私は、私が所掌すべき事柄ではないように思われますので、いままでそういうことであれば、閣議にのぼっておったかと思うのでございまするが、従来も、森先生おっしゃるように、各委員会の議題になり、国会の決議もあり、いたしますから、閣議にのぼっておるべきであったかと思うのでございますが、そうなっていないとすると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/37
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038・森元治郎
○森元治郎君 怠慢だな、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/38
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039・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) いや、それは持ち出すべき人が持ち出さなかったのではないかと、こう思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/39
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040・森元治郎
○森元治郎君 一回、何か、いまから五、六年前に、閣議の話題にはなったようなことがあったようでした。私は、はっきり資料を持っておりませんが、あったようでした。しかし、私は、そこまでの問題にしなければ解決しないということ、それから長官が、そう右、左見て心配しないで、堂々とおやりになって、国務大臣としておやりになって越権でも何でもないから、やってもらいたい。言うべき人が言わなかったのなら、幾ら待っていても言わなければ、わかっている長官がおっしゃって一向差しつかえない。平等ですからね、閣議は。それを強くお願いします。
そこで、ふしぎなことは、陳情団が来ますと、最近はだんだん、政治折衝でやると——たとえば、福田さんなどは、「おれが在任中に片づける」という有名なことば、皆さんがよく引用することばですが、在任中にはとうとう片づかなかった。
日米間には、条約による安全保障協議委員会というものもあって、外務大臣、防衛庁長官、アメリカの太平洋司令官、いなければ日本にいる司令官、それと日本にいる大使、この四者会談によって話をしようという往復書簡が結ばれた。それから安保条約の本文第四条にも、条約の実施上問題があれば随時協議をするという随時協議というのがあるのですね。その線に一体話を持っていったことがあるのかどうか、ひとつ外務省からお伺いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/40
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041・安川壯
○政府委員(安川壯君) 先ほど申し上げましたように、やはりこの問題の解決のかぎと申しますか、それはやはり、これの代替施設というものを何とかして見出すということが問題のかぎであると思います。ただいま森先生の御意見は、もう代替施設を見つけるのは不可能だから、むしろ代替施設というようなことは抜きにして、とにかくアメリカ側に返還を要求すべき時期じゃないかという御意見と承りましたけれども、ただいまの段階で、外務省としましても、この代替施設を見つけることが絶対不可能だという段階に立ち至ったとは考えておりませんので、やはり何とかして代替施設を見つけるという努力をさらに続けるべきものだと考えております。いまの段階で、もう代替施設はないから、とにかく一方的に返せということを要求する立場にはないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/41
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042・森元治郎
○森元治郎君 いま、私の発言を、かわりの土地を抜きにして、というふうに御理解になったようでありますが、私は、その努力は続けられて、そういう問題も含めて、高いところで一ぺん——国民の総意なんですから、高いところでの、ちゃんと条約上規定された会合の場所があるのだから、そこへ話を持ち出すのが、その時期であり、問題の本質である、こういうふうに思うが、大臣、いかがですか。条約上相談すべき機関もあるのですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/42
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043・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 私は閣僚の一人ではございまするけれども、科学技術庁長官でございますから、おっしゃることは科学技術庁の管掌事項のほかのような気がしますので、私が積極的に発言したり動いたりすることは、いかがかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/43
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044・森元治郎
○森元治郎君 この問題は科学技術庁所管じゃないとか、そういうふうな事務的なことじゃなく、私は上原さんを、尊敬する国務大臣として、日本全般を見て、国務大臣として、しかも、長い間問題のある——このあなた所管の原子力施設の近傍は、いつでも問題になる。施設の拡充については、これがいつも支障となり、発展を進める上において障害になっているから、私は、大臣として当然発言があってしかるべきだと思うのです。防衛庁の施設庁長官が直接の所管だが、安川局長が言うように、不可能ではない。とすれば、必ず見つかる。必ずあるはずだ。条件についても、向こうを緩和させる、こういうふうな自信がおありなのかどうか。その時期も、そういい所、いい所と言っても、この狭い所では、あれだけの広さで、あれだけの条件というのは、数カ所しかないですよ。あそことあそこというふうに数カ所しかないと思う。その見込みは、どんなふうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/44
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045・小幡久男
○政府委員(小幡久男君) 先ほど申しましたとおり、今後もなお、地元の要望もよく知っておりますので、努力はいたしますが、非常に現実的にはむずかしい問題であるということを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/45
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046・森元治郎
○森元治郎君 どうも、伺っていて、ただ長く引っぱられている。不可能じゃない、不可能じゃないといって、雲をつかむようなことを言っているのだが、これは、さっきの条件のものさしがあるのですから、条件をうんと切り下げてもらう以外はない。それと、閣議に持ち出して、正式に日米間の外交の議題として、条約による機関でもよろしいし、あるいは総理大臣から大統領へという、もう、最高の道で話し合いをつけるべき段階だと思うのです。
二時ということでありますから、私は次回に譲りますが、そういう意味で、ひとつ科学技術庁長官も閣議で奮闘してもらいたいということを要望して、大事な再処理、あなたの専門のほうは、残念ながらあとに譲って、終わります。所信のほどを一ぺん述べてから行って下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/46
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047・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) おっしゃることは、よくわかるのです。私も、その点はわかるのですけれども、何と申しますか、努力はお誓いいたしまするけれども、できるだけの努力はいたしますということで、ごかんべん願いたいと思います。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/47
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048・森元治郎
○森元治郎君 使用済み燃料の再処理について、今度あなたのほうの所管ですから、原子力局長に……。
何か新聞では、今度、再処理工場の設計、これをつくるためにフランスの会社と契約をしたというようなことが二月の二十四日の新聞に出ておりましたが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/48
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049・村田浩
○政府委員(村田浩君) 四十年度予算に、原子燃料公社に再処理施設の詳細設計費の一部としまして、債務負担行為額として三億九千九百万円、それから現金としまして二億円がつけてございます。この趣旨は、昭和四十六年を一応完成のめどとしまして、わが国に再処理施設をつくる場合に備えて、その設計をいたすと、こういうことであります。その設計費がついたわけでございます。したがいまして、その線に沿って、アメリカ、イギリス、フランス各国の再処理関係をやっておりますメーカーといろいろ折衝されました結果、ただいま森先生のお話にありましたように、先ほどフランスのサンゴバン社との間で詳細設計につきましての第一次契約ができた、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/49
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050・森元治郎
○森元治郎君 一次契約とはどういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/50
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051・村田浩
○政府委員(村田浩君) この詳細設計をやります前に、当然でございますが、予備設計というようなものをやってございます。これは、すでに昭和三十八、三十九年と二年間にわたって勉強いたしたわけでございます。これは同じく原子燃料公社でございますが、その線に従って、ただいま詳細設計の契約を進めているわけでありますが、予算等の関係もございまして、四十年度予算では、ただいま申し上げましたように、債務負担行為の額を含めて三億九千九百万円しかついておりません。しかし、予備設計から大体推察できますことは、詳細設計費全体といたしましては、十三億程度かかるものと予定されております。したがいまして、詳細設計の中身を区分いたしまして、そのうちの第一次分ということで、先ほど契約を結んだわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/51
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052・森元治郎
○森元治郎君 この設計を頼む場合には、いまお聞きすれば、三十八、九年と予備設計の作業を日本側でやったわけですね。設計する場合には、当然敷地、どこへ建てるかということも、環境、立地条件、その他考えてやりますから、架空な設計ということはないわけですね。そうすれば、どこにやるのか。東海地区、われわれの東海村ですね、あそこかとも思うのですが、いままでの大臣の説明では、東海を含めて流動的に考える……。この設計にあたっては、あそこを一応頭に入れての設計なんですか。一応頭に入れての設計か、そうでないか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/52
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053・村田浩
○政府委員(村田浩君) 再処理工場を建設することになりますれば、当然、そのための用地が必要でございます。そういう観点から、燃料公社でも、かねがね準備を進めておられるわけでございますが、予算的には、すでに昭和三十七、八年度予算であったと思いますが、東海村にございます原子燃料公社の用地を、これは地元とも御相談して、買収いたしまして、所要の敷地を持っております。したがいまして、現在そこに必ずつくるという、建設をそこでやるかどうかということを正式に決定したわけではございませんが、設計を進めていく段階におきましては、一応そういったこともございますので、頭に置いてやっている、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/53
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054・森元治郎
○森元治郎君 要するに、頭に置いてやった、空なことはありませんからね。そこで、いつまでにそういうことを決定しなければならぬか。あなたのほうからもらった説明書では、四十六年度に稼働できるようにということであれば、やはり決定しなければならぬ。いつ、どんな機関が参加して、手続はどんなふうになるか、その間の御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/54
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055・村田浩
○政府委員(村田浩君) 形としましては、再処理施設を具体的に建設するということに相なりますときには、やはり法に従いまして、設置の許可をとることになります。その設置の許可の申請がございましたときには、内閣総理大臣は原子力委員会に意見を聞かれるわけでありますが、その設置を許可いたすときには、当然、用地がどこにあるかということと関連して安全性を検討するわけでございますから、その安全性の検討の結果、たとえば東海村なら東海村の用地で安全であるという結論が出まして許可が行なわれますと、形としましては、一応それがはっきりしてくるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/55
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056・森元治郎
○森元治郎君 時間節約だから……。
私の言ったのは、いつという時間の問題ですね。いつごろ許可になるか。いろいろまた許可にも時間がかかりますね、審査したりなにかするので。それで、おおよその見当をつけなければ仕事はできないので、いつごろ原燃のほうにはそういう許可を出してくるようになるのか。いつということが一つ。
もう一つは、愛知長官なんかの談話では、その際には、おせじかどうかしらぬが、委員会——この委員会ですね、委員の方々と御相談もし、地元とも——地元とは何を言うか知りませんが、地元とも御相談して検討したい、こういうふうに答えておられる。地元にも相談するのか、当委員会に、はかられるのか、その点もあわせて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/56
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057・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいま申し上げました安全審査というものは、現在、原子力委員会に、再処理施設の安全審査専門部会というのがすでに設けられております。それで、原子力研究所にございます再処理研究施設等の安全審査等もすでに行ないまして、現在は、燃料公社の詳細設計にかかります前に、予備設計をやっているわけでございますから、そういうものを材料として、いわゆる予備審査的な勉強をしておられます。正式な設置の許可申請が出ますのは、これからの契約に基づいて詳細設計がどのように進みますか、それができ上がりませんと、詳細な事項が判明いたしませんから、そういう事項を加えて設置の許可の申請が出るわけであります。ただ、予算上の予定から申しますと、詳細設計が全部終わりますのは昭和四十三年になっております。したがいまして、おそくとも、それまでには設置許可の申請のために必要な材料は整うことに相なると思うのであります。ですから、その線から申しますと、ほぼそのころといろ推定ができるわけでありますが、これはもちろん、ただいま結んだばかりの契約が順調に進むかどうか、そういうこととも大きく関連いたします。さらに、私申し上げましたのは、設置許可という点での決定でございまして、現実に許可が出ましても、建設は、やはり地元の方々の協力なくしては、できるものではございません。したがいまして、実際の建設ということは、地元の方々も御納得いただくという形になって初めて着手し得るものと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/57
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058・森元治郎
○森元治郎君 私はしろうとだけれども、いわゆる敷地が、東海とか愛知とか、どこということが役所のほうとして公式に発表される時期は——きめておいて相談というのもあるし、相談して不調になれば移すという相談もあるが、大体この場合は、想定をしてもう設計しているのだから、東海だとは想像はしますが、四十三年度といっても、まだ少し時間がありますが、東海というふうに私は言わず語らず理解しているわけだが、敷地決定の時期は早ければ早いほうが、すべての準備、環境整備その他、準備に時間があっていいと思うので、本年じゅう、四十一年度じゅうに名前がきまることになると思うのだが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/58
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059・村田浩
○政府委員(村田浩君) 再処理工場を含み、重要な原子力施設を国内に設置いたします場合には、設置者の責任において用地を取得し、あるいは配慮しまして、その用地に当該施設を置きました場合の安全性につきまして、政府に審査を求め、許可を求める、こういうたてまえになっております。したがいまして、原子力委員会あるいは科学技術庁としまして、先に用地を政府として決定して、必ずここにつくらなければならぬのだ、こういう形でまいりますと、安全性の審査というものが、そこで前提が課せられてしまうのでありますので、そういう方法をとっておりません。
私申し上げましたのは、一応過去の予算措置の経緯等から申し上げて、お話のとおり、東海村を頭に置いて設計を進めておりますから、当然、そこに設置した場合の安全の審査を求めてくるものと思います。その場合に、はたして東海村の現状において……。これは射爆場もある。現に存在する。そのときに存在いたしましたならば、その存在しておるという条件のもとでの安全審査をいたすわけであります。そういたしまして、その安全の面からはどうであろうかということを判断いたしまして設置の許可を与えるわけであります。そういう意味で申し上げたわけでございます。しかしながら、安全審査会のほうの意見はともあれ、地元のほうにおきまして、建設するのは困るということでございますと、それを強行させるという法的な根拠はないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/59
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060・森元治郎
○森元治郎君 適不適の問題でありますが、御承知のように、地元では反対であるという空気であります。何か、再処理工場の問題について、こっちから調査団が行って、報告書も一番新しいのしか拝見しないが、たぶんイギリスの場合だと思うが、飛行機の墜落と使用済み燃料再処理工場との関係のところで、イギリスでは、飛行機の離着陸のコースにさえ入っていなければいいんだというふうなことを書いてあったように思うが、あそこは、そうじゃなくて、爆弾——大小は別として、とにかく爆撃をする所だということになりますと、おそらくイギリスでも承知すまいと思われるような調査報告書を私は読ましてもらったわけです。
この反対のことについては、いずれ申し上げますが、きょうは時間がありませんから、事実だけを、将来の勉強のために、さらに伺いますが、地元の意見も聞いてと、局長は先ほどおっしゃいました。地元の意見としては、再三あなたのところに県から要望書が出て、地元の公共団体として——災害発生のときに働くのは公共団体ですわね。何かというと、その協力を得なければならない。それが、治外法権のようになっていて、何ら発言権、介入権……、運営、管理のどの面にもタッチできないのはおかしいじゃないか。何か法律で、その公共団体の長が、これの管理運営などに、どんな形で参加するかは別として、法的に相談の相手として入れてもらいたいという要望が出ております。これをどんなふうに考えられるか。従来、愛知さんの御答弁だったと思うのだが、その愛知さんの答弁の中には、現行の法律の運用でいいんじゃないか。現行の法律というものは災害対策基本法をいうのだか私わかりませんが、それでいいんじゃないかという、やわらかい表現で、賛成じゃない意味を答えられておりますが、この公共団体の要望、これをどういうふうにお考えになりますか。私は、至当な要望じゃないか、不当ではないと考える。法制化するかどうかは次の問題として。どんなふうにお考えになるか、虚心のところをひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/60
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061・村田浩
○政府委員(村田浩君) 愛知前委員長の御在任中に、そんなような要望が茨城県当局からありましたことは聞いております。しかしながら、私どもの考え方は、るる申し上げましたとおりでありまして、むしろ、地方の公共団体等の御意見は、安全審査ということと関係がある問題ではないかと思っております。そこで、法的に必ず地方公共団体の長の承諾を受けるという形をとるという性質のものではなくて、むしろ、安全審査について安全審査の専門家が、その土地の状況に対して、あらゆる事故を想定してみて、住民の安全を確保できるかという点で判断される際に、地元の不安がございましたならば、それを開陳して、委員も十分その点は認識して審査を行なうということが実際に即した考え方でないかと思っておるわけでございます。法律上は明記されておりませんが、原子力施設を安全審査いたします際には、その設置されます地元からのいろいろな意見というものは、これを聴取することができるわけでございますから、再処理施設を実際に安全審査して設置の許可を出すかどうかという際におきましては、そのような意味で、そのような線で、地元の意見を十分お聞きするということは、現行法規の中でも可能であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/61
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062・森元治郎
○森元治郎君 向こうの、茨城県の出しておることの趣旨は、安全審査のあなたの専門の領域に手を突っ込むというのじゃなくて、向こうの言っておるのは、原子力災害発生時における対策は地元公共団体にその全責任を負わしている、この責任を全うするためには、原子炉の規制法を改正して、原子炉設置にあたっては関係知事の同意を求めるとか、知事の権限を明確にするとか、こういうことを言って、災害というところに重点が入っているわけですね。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/62
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063・村田浩
○政府委員(村田浩君) それは、災害対策基本法に基づく防災計画のことであろうと思いますが、防災計画を立てます際には、一体いかなる状況を想定して計画を立てればよいかということでありますので、その際の想定し得る最大の事故というものを、どういうものを考えておけばいいか、その際の想定し得る最大の事故というものを、どういうものを考えておけばいいか、これは科学的に根拠づけて出してくるものでありますが、その判断は、私がいま申しました安全審査会のほうにおいて検討されて、この程度の想定であれば、十分いかなる場合もカバーできるという判断をいたし、そうしてその際における周辺住民の安全等を検討される一わけでありますから、設置が許可になりましたときには、そこで出されました最大想定事故の材料をもって、それに対処できる防災計画というものをつくっていくと、こういうことに相なるわけであります。地方自治団体がこれをつくります際には、中央の所管官庁において策定した基本要綱というものを一つのよりどころとしてつくるわけでありますが、茨城県当局とは、そういった点につきましては、これまで密接に連絡いたしまして、御相談し、研究もいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/63
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064・森元治郎
○森元治郎君 それは、あまりいこじにならないで……。何かの権限によその者が手を出すと日本人はいやがるから。そうではなくて、安全性という、災害という問題について、調査報告書にも、ほんとに外国の場合は、面積とか人口分布を考えるとか、非常によくできておる。日本のような、ああいう爆撃場のそばにあるようなところはないようでありますから、私は引き続き御相談されるのが至当だと思うのです。
また、一体再処理するには、どのくらいの燃料、何トン、何キロ……。おそらく何トンになりましょうね。何トンを目標としているんだかを伺いたい。
その他問題は、たくさん山ほどありますが、それはやめまして、一問だけ伺います。たとえば二百トンなら二百トン、百トンなら百トン。そうすると、工場は東海だけでは、それだけでは、できないでしょうから、どことどこで、何年度計画で、どのくらいの再処理をするかということが一つ。トン数。それと、大体の傾向としては、工場のそばにあったほうがいいということもあろうし、単独であっていいんだ、あるいはどこか集中的にやるとか、離れ島がいいとか、いろいろありますね。そういう立地条件の中で、工場のそばにあったほうがいいと、いまのところ考えられているのか。たくさん工場が関西のほうにもできるでしょうから、であるからその中間がいいとか、そういうことの御説明を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/64
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065・村田浩
○政府委員(村田浩君) 先ほど申し上げましたフランスのサンゴバン社と原子燃料公社との間で詳細設計についての一次契約がなされたわけでありますが、その際の設計の基礎となっております再処理工場の規模は、一日の処理能力〇・七トンということになっております。大体年間の稼働日数を、この種の化学工場は三百日程度と見るようでございますから、そういたしますと、年間の処理能力は二百十トン程度、こういう規模のものであります。それで、この程度の規模のもので、どの程度の原子力発電所から出てくる使用済み燃料が処理できるかということでありますが、これは、原子力発電所の原子炉並びにそれに使われます燃料の種類、性能等によりまして、かなり違ってまいりますので、現在、まだ二号炉の調査しかわかっておりません段階で正確には申し上げられないわけでありますが、概略で申しますと、原子力発電規模にして、大体大ざっぱにして三百万キロワット程度の発電所から出てくる燃料は処理できることになろうかと思っております。そういった点から考えますと、今後のわが国における原子力発電所の建設を予想しますと、昭和五十二、三年ごろまでは、少なくともこの工場で十分処理できるのではなかろうか、こういうふうに考えております。これは、繰り返し申し上げますが、今後の原子力発電所の建設状況によって、ただその能力だけじゃなく、どういう型の、どの種類の燃料を使う発電所になるかということで違ってまいりますけれども、大ざっぱなめどとしては、その程度の見方をいたしております。
将来、原子力発電の規模が非常に大きくなった場合に、一カ所の再処理施設だけでは間に合わないのじゃないかと、こういう御質問でございますが、もし、ただいま私が申し上げましたような予想でまいりますと、昭和五十二、三年、あるいはもっと先になるかもしれませんが、このころになりますと、御指摘のとおり、国内では全部を処理し得ないということで、さらに第二の工場の計画というようなものも必要になろうかと思います。海外における、英米等における経験に徴しますと、たとえばイギリスなどがいい例かと思いますけれども、もちろん、非常に遠方から運んでくるということは、いろいろ不便もあるわけでございますけれども、他方、再処理の費用という点を考えますと、当然のことながら、規模がある程度より以上大きくありませんと、再処理が非常に高くかかる。再処理が非常に高くかかるということは、そこから回収されます減損ウランあるいはプルトニウムのコストも非常に高くなる。したがって、こういうものをリサイクルして、国内で核燃料サイクルの確立をはかりたいというのが原子力委員会の基本方針でありますが、そういうことを遂行する上にも、コスト高というおそれも出てまいります。そういう意味で、小さなものを各地に分散して設けるというやり方はイギリスあたりじゃとっておりません。できるだけ大きなものを集中してつくる。まあ、輸送上のいろいろな不便もありますが、その点よりも、むしろ大規模のものをつくって、そこに一括してやらせるというほうの点を強調したやり方をとっております。わが国の場合は、まあ、そのようなこともいろいろ考え合わせまして、年間で大体二百十トン程度の規模のものということにきめたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/65
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066・森元治郎
○森元治郎君 あと一つで終わりますが、これはしろうと考えで、炉が一つふえたんだというような感じを私は持つのですが、もしそうじゃないというなら、科学的に説明してもらいたい。というのは、危険性といいますか、同じ廃液でも、液体の場合でも、程度の高い廃液である場合には固型化するとか、たいへんな開発努力が要るわけです。なかなか容易ならないしろものの扱いになるわけですね、再処理は。これはやはり一般の原子炉が一つふえたんだということになりますと、愛知長官の言う、炉はふやさないんだという方針とちょっと違うんじゃないか、実質的に。名前は再処理工場でも。そんな感じがするんだが、きょうは、おとなしく承りますから、科学的に説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/66
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067・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子炉も、また再処理工場も、その中で原子燃料といいますか、つまり、ウランを取り扱っているという点においては相共通いたしておりますけれども、施設の機能としましては全く違うわけであります。つまり、原子炉のほうでは、その中に装入されましたウランを燃やすように、いろいろと仕組みを考えてある。ですから、安全装置にいろいろ考えてございますが、もしそういう配慮がないとすれば、燃え過ぎまして、そうしてたいへんな放射能が出てくるということがあり得るかもしれません。
他方、この使用済み燃料の再処理工場のほうは、取り出しました燃料を硝酸などに溶かしまして、そうして化学的に、中に入っておる減損ウラン、プルトニウム、それからいわゆる放射性の灰を分離していくという工程をやっておるところでございますから、いわば、一種の化学工場のようなものであります。したがいまして、かりに事故というものを想定いたしましても、再処理工場の場合は、どちらかと申しますと、化学工場に相似た形の事故というものを考えておかなければならないということになろうと思います。現実には、この硝酸等を大量に使うというような点から、あるいは放射性の灰を分離していく、そのものは非常に放射線が強い、そういうものを取り出したり、移動したり、あるいは容器に詰めたり、ということをいたしますから、そういう意味で、工場内における種々の故障、事故というものについて特に気をつけておかなければならない、そういう性格を一般的に言って持っておると思います。
原子炉の場合は、そういう化学薬品の形で取り扱っておるわけじゃございませんから、通常の場合、放射能が漏れたと申しましても、そう大きななにはないと思います。万々一、原子炉がいわゆる暴走するというようなことになりますと、燃料を一カ所にまとめて置いてあるということから来る問題があるわけであります。
ですから、周辺住民の立場から見ますと、そういう意味では、原子炉のほうが、まあ非常に大きな関心があるということになり、再処理工場の場合は、むしろ所内の従業員の災害防止という点に非常に力点を置いて考えなくちゃならぬ。これは非常に一般的な言い方ではございますが、そういうような傾向がある。そういうものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/67
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068・秋山長造
○委員長(秋山長造君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/68
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069・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 速記をつけて。
他に御質疑もございませんようですから、本件につきましては、本日はこの程度にとどめます。
本日は、これにて散会いたします。
午後二時三十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00419660310/69
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