1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十四日(木曜日)
午後一時十二分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 秋山 長造君
理 事
鹿島 俊雄君
源田 実君
戸田 菊雄君
森 元治郎君
委 員
石井 桂君
笹森 順造君
中村喜四郎君
平島 敏夫君
船田 譲君
宮崎 正雄君
伊藤 顕道君
光村 甚助君
矢追 秀彦君
向井 長年君
国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君
政府委員
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁原子
力局長 村田 浩君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞寿君
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本日の会議に付した案件
○核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・秋山長造
○委員長(秋山長造君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。
核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本法案に御質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/1
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002・森元治郎
○森元治郎君 私、専門家でないので、ひとつわかるような御答弁を願います。だんだん専門家になりますが、ちょっと時間をかしてもらいたい。
ただいま議題となったこの臨時措置法ですね。これの提案理由の説明に関連して主として質問します。
この中に出てくることばのことなんですが、核原料物質開発の促進、「物質開発の促進」というのと、核燃料資源の開発、「資源の開発」——まあ、リソーセスというのですか、資源はね。物質は、マターとかサブスタンスとか言うのでしょうが、どういう意味なんですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/2
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003・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいまの御質問の、核原料物質と、それから核燃料資源といいますか、核資源といいますか、の関係でございますが、法律上は「核原料物質」ということに統一してございます。で、この臨時措置法におきましては、「ウラン鉱及びトリウム鉱をいう」ということになっております。
核燃料資源とか、あるいは核資源とかいいますのは、もちろんやはりウラン、トリウムでございますが、一般的に、より広い意味で申します場合に核燃料資源、いわゆる資源論の立場に立ちましたときに、そういうことばを使っておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/3
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004・森元治郎
○森元治郎君 やはり、その二つの、ウランとトリウムということになる。これは法律ですから……。提案理由の説明にあった場合には、やはり常識のものとまじってしまう。しろうとのわれわれは、間違えやすいですな。だから問題は、先ほどあげられたウランとトリウム、物質開発、こういうふうに理解してよろしいんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/4
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005・村田浩
○政府委員(村田浩君) そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/5
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006・森元治郎
○森元治郎君 この地質調査所というのは、ウラン資源を、このことばで言うと、概査して、そして原子燃料公社が精査をする、こういう分担がある。日本の三分の二に相当する二十万平方キロというのを概査をした。残りの三分の一は、これはどういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/6
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007・村田浩
○政府委員(村田浩君) ウラン鉱あるいはトリウム鉱の概査をいたしますということは、放射線の測定機器を使いまして、そして放射能異常がある土地を調べるわけでございますが、それには、一応、放射能を持つような鉱物というものを地質学的に見まして、国内における地質の状況等から判断して、そういう可能性が幾らかでも考えられる所を地質調査所で調べていただきましたところ、これが大体二十万平方キロにわたる所である。もちろん、その場所場所で違うわけでございますが、そういうことでございましたので、ちょうど十年ほど前に、この二十万平方キロを対象として概査の十カ年計画を立てていただきました。そうして今日までその計画に従って概査をやっていただいた、こういうことでございます。概査のやり方としましては、放射線の測定器を載せました車を走らせる、あるいは一時は飛行機に計器を積みまして上空を飛びまして調べる、こういうことを行なってまいったわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/7
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008・森元治郎
○森元治郎君 その残りの三分の一はどういうふうになっておるのですかと伺ったのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/8
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009・村田浩
○政府委員(村田浩君) 残る三分の一のほうは、地質学的に見て放射線異常があり得る可能性が非常に乏しいと見られておる地質構造でございますので、それについては概査を行なわい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/9
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010・森元治郎
○森元治郎君 この法律は十年で廃止するとなっているのを、今度また十年延ばして、そうして十年後に効力を失う、失効する、こうなっておるわけですね。十年間で四千トンのウラン鉱量を把握した。あと十年すれば二万トンぐらいは把握できるだろう——これは努力のしかたにもよりますが、前の十年で四千トン、あと今度二万トン、たいへん多いですね。これは、どういう見通しがあって違うのか。普通ならば、初めに二万トン、あと、なお努力すれば四千トンがあるだろうというのが常識的なことなんですが、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/10
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011・村田浩
○政府委員(村田浩君) この核原料物質の探鉱につきましては、ただいまお話がありましたように、まず地質調査所に概査というものをやってもらいまして、放射能の異常地区を見つけていくわけでございますが、二十万平方キロを対象としてやりました結果、放射能の異常の感ぜられた面積が一万六千平方キロあったわけでございます。この一万六千平方キロに対して今度は原子燃料公社が精査を行なう、このことを今日までやってまいりまして、一万六千平方キロのうち二千五百平方キロを今日まで精査を完了いたしました。その結果、鉱量を大体推定し得ましたものが、天然ウランに換算しまして四千トン、こういうことでございます。鉱量を推定いたしますのには、概査だけではもちろん不十分でございまして、精査を行なって初めて鉱量が推定できる、こういうことでございます。したがいまして、一万六千平方キロのうち残り一万三千五百平方キロは、これから精査を行なう。この精査を、今後十年間延長いただいて、やらせていただきたい。そういたしますと、大体その一万三千五百平方キロの中で約二万トン相当のウランが見つけられることが期待できる、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/11
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012・秋山長造
○委員長(秋山長造君) ちょっと申し上げますが、政府側の出席者、科学技術庁関係のほかに、通商産業省公益事業局技術長藤波恒雄君が出席されておりますので、お知らせいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/12
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013・森元治郎
○森元治郎君 この数字、四千トン足す二万トンですか、四千トンは二万トンの中に入るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/13
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014・村田浩
○政府委員(村田浩君) 四千トンにプラスする二万トンでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/14
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015・森元治郎
○森元治郎君 そうすると、さらに十年やって合計二万四千トンぐらいは把握できる、残りの面積で言うならば、日本全国の三分の一は地質の構造から見て探査をするまでもないところと思う、こういったことですね。
そこで、これは、いままでの費用、この概査、精査をする場合、過去十年間に両方合わせて三十二、三億ぐらいだったと思うのですね。今後の見通しは幾らぐらいでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/15
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016・村田浩
○政府委員(村田浩君) 今後の十年間につきましては、地質調査所のほうは、これまで行ないました概査の補完的な調査を約三年ぐらいやってもらうことを考えておりますが、主体は原子燃料公社による精査になるわけでございまして、これらの費用はおよそ十年間に三十億程度と見込んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/16
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017・森元治郎
○森元治郎君 そこで、一番ここで問題になると思うのは、なぜ掘らないかということ、あるものをなぜ掘らないかということが問題になると思うのです。そこで、提案理由の説明を見ますと、この目的は、長期的な立場からいかなる情勢の変化に対しても対処し得るように、国内における核燃料資源の賦存状況を明確に把握して、その開発の可能性について検討しておくんだということが書いてあります。私は、これだけの、二十年間に六十数億の金を使い、そしてそのままにしておく、しかも、いかなる情勢の変化に対してもと、何か戦争でも起きるような非常な強い表現なんですね。そのときにはこれを掘り起こして使うが、それまでは使っておかない、というのがわからない。たとえば、戦前、帝国海軍時代に、石油というのは瀬戸内海の島の中に、たぶん二年間の貯蔵をしておったと思うのですね。そういうふうに、いかなる事態に対してもと言う限り、これは取り出しておくべきじゃないかと、こう思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/17
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018・村田浩
○政府委員(村田浩君) わが国の原子力開発利用は平和目的に限られておりまして、その大宗である原子力発電も商業的にこれを開発するように進んでおりますことは御承知のとおりであります。したがって、何といいましても、経済性が非常に大きな問題になるわけでありますが、国内に賦存しておりますウラン鉱は、これまでの概査並びに精査の結果判明しておりますところでも、国際的なウラン鉱に比較しまして含有率がかなり低い、平均しまして大体〇・〇五、〇・〇六%程度でございます。今日、国際的にウラン市場で出ておりますものは、少なくとも〇・一%以上ということでありまして、従って、その価格も、買い手市場という状況もございまして、ポンド建てになっておりますが、一ポンドあて、酸化ウランにいたしまして五ドルから十ドルの間くらいという価格になっております。少量でございますと五ドル以下のものもある、そういう引き合いもあるというような状況でございます。一方、わが国の低品位のウラン鉱を使いまして製錬いたしまして、これによって得られる酸化ウランの価格は、これはまた規模等によって違うわけでございますが、大体十数ドル、十五ドル前後、十三ドルから十五ドルくらいというような試算が現在出ておるわけであります。したがいまして、いまの国際価格でかなり豊富に入手できるという時期におきましては、国内で国内のウラン鉱を製錬してつくりますのは、どうしてもコスト高になる。こういう状況でございますが、世界各国における原子力発電開発の進展の予想からいたしますと、ウランの買い手市場というのは、やがては、やはり売り手市場に変わっていくだろう、そういう見通しは非常に大きくあるわけでありまして、そうなりますと、現在の安い建て値のウラン鉱も、価格が漸次上昇することを予想されるわけであります。そういった点から考えまして、現在の国際価格からしますと、国内ウランの製錬は引き合わないわけでありますが、原子力発電の開発が進めば、漸次これが引き合う状況になることが予想されるのではないか、こういう点を一つ考えておるわけであります。他方、この製錬の技術の改良というようなことも、コスト引き下げのためには十分考えておくべきことでございます。そういった点につきましても、現在原子燃料公社に一貫製錬試験というようなこともやってもらいまして、国内の低品位鉱を使って、なおかつ、できるだけコストの安いウランを取り出せるような勉強もしてもらっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/18
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019・森元治郎
○森元治郎君 「いかなる情勢の変化」って、何ですか、これ。たいへん強いことばだが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/19
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020・村田浩
○政府委員(村田浩君) まあ、特に非常の事態だけを考えたというわけではございませんが、原子力開発利用の国際的な動きというのは、何ぶん新しい分野でございますので、今日、十年前のことを考えましても、非常に情勢が変わってきております。そういった点からしまして、今後の十年というものは、いろいろな意味で大きな発展があるものと思うわけでありますが、ただいまのわれわれの知識では完全にそれが推定できるかどうか、そういったこともございまして、どういうような状況が起こっても、これに対応できるようにというような意味で書きましたものでありまして、それ以上に特に非常事態があるだろうとか、こういうことを想定したわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/20
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021・森元治郎
○森元治郎君 このことばの調子が、戦前的調子を感ずるから伺っておるのです。この二万四千トンというのは、詳しくは知らぬが、鉱石をいうのか、あるいは粗製錬して二万四千トンくらいのものか、どっちを言うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/21
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022・村田浩
○政府委員(村田浩君) 鉱石ではございませんで、製錬いたしました、私ども三八酸化ウランと言っておりますが、ウランの含有量が八〇数%、大体そのくらいになりますが、そういうものでの換算でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/22
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023・森元治郎
○森元治郎君 これをかりに取り出すと仮定して、そうして二万四千トンあるでしょう。その他、これから掘り起こすものもあるでしょう。これを製錬して燃料として発電所に使えるようにする。これの製錬所をつくるためには、相当の施設、お金、時間もかかると思うのですね。どのくらいの時間、お金がかかるものなのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/23
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024・村田浩
○政府委員(村田浩君) 製錬につきましては、ただいまもちょっと申し上げましたとおり、一貫製錬についての試験をやっているほかにも、基礎的な技術等につきましては、原子燃料公社あるいは民間の企業におきまして、すでに相当の開発がなされております。ウラン鉱石からウランを製錬します技術というものは、ほかの金属に比べて特別むずかしいものではございません。したがいまして、需要が十分出てまいりますれば、それに相応した規模のウラン工場をつくるということで、いまから新しく特別に時間と血をかけて、その技術を研究開発してからでなければできない、そういうものではないと考えております。これに要する費用といいますのは、現在そのような規模で製錬工場をつくるという計画がございませんので、ここで具体的にちょっと申し述べる資料を持たないわけでございますが、まあ、一般の鉱石から金属を製錬いたします場合に比べ、若干高目な点も出てまいるかと思いますが、著しく商いということはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/24
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025・森元治郎
○森元治郎君 日本にある核原料物質というのは品位が低い。そして、これを本気になって実用化するためには金も時間もかかる。がしかし、 いまは実験的な研究をやっておるけれども、本気になってそれをやるという段階には至っていない。そういうような条件から見て、何かの情勢の変化で日本みずからこれを開発しなければならぬということになったときには、いくらか足しになるくらいのものですかな、量から見て。それから品位から見て。そしてまた、そういうものを実用化に要する製錬その他のことにたいへん金がかかるわりに、エフィツェンシー、効果はあがらないというような程度のものでは、大して期待できないのじゃないかと思いますが・…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/25
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026・村田浩
○政府委員(村田浩君) 国内の鉱石を製錬しますと高くなる原因の第一は、非常に品位が悪いということであります。先ほど私、値段を申しました、大体一ポンド当たり十ドルから十五ドルの間…−。まあ、実際に計算した結果では、十三ドルとか十四ドルという数字が一応出ておりますが、そういうコストになるというのは、製錬した後の価格でございます。これに対して、外国のほうでは、品位が高い、あるいは量的にたくさんあるというようなこともありまして、工場の規模が大きいということからいたしまして、現在五ドルないし十ドルで同じものができておるわけであります。そういう意味で国内の価格が高くなっておるわけでありますが、将来、この五ドルないし十ドルでは入手できなくなってくる、自然、十ドルないし十五ドルのものも買っていかなければ原子力発電計画を十分遂行できない、という事態が考えられる。これに対処できるであろうかということが、一番重要な点だろうと思います。
なお、それにしても、高い価格ではあまり使えぬのではないかということでありますが、原子力委員会のほうでただいま結論を急いでおられる、わが国の動力炉開発計画におきましても、将来のために高速増殖炉という型の動力炉の開発を国をあげて推進しようという方針でいらっしゃるわけでありますが、この高速増殖炉ができますと、燃料の価格の影響というのは非常に小さくなりまして、燃料の価格がかなり高くても十分経済的な原子力発電が可能になるということであります。したがって、この開発がいつごろになりますか、あと十五年とか、そこらは必要かと思いますけれども、こちらのほうの鉱量の把握ができ上がった後において、やがてそういう新しい増殖炉ができていくということになりますと、たとえ国内の鉱石は現在の国際市価に比べて高くても、十分その利用価値が出てまいります。こういうことを予想いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/26
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027・森元治郎
○森元治郎君 この二万四千トンという数字は、これは推定の数字ですね。こういう場合の誤差というようなものは、どのくらいに判断して二万四千トンくらいは確実、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/27
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028・村田浩
○政府委員(村田浩君) 私も鉱山屋でございませんので、詳しいあれは、なんでございますが、大体、ただいま森先生もお話しのとおり、一応の誤差を考えての推定の数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/28
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029・森元治郎
○森元治郎君 これは、きわめてぜいたくな感じがするんですがね。ほかに安いものがある。これに書いてありますように、低廉豊富なものが世界にあるのだ。しかし、一応自分の国の中ではどれくらいあるか見ておこうということの、軽い感じがするのです。やはりこの燃料も、人から買うのも一法ですが、自分でそれをつくる、つくり出すということも、こういう原子力の事業をやる上で、経験というのは大きいものだと思うのです。これを捨てておいて、どうも電力コストが、外から買ったほうが安い、便利だというようなことばかりねらうような気がするのです。やはり、これだけの金を使ったならば、私はやるべきだと思うのです。これは、保存はできるのでしょう。よそから買ってくるのだって、イエローケーキというんですか、そんなものにして持ってくるのですから、この二万四千トンを、ある形にして保存もできるわけですね。そういうことのほうが、私は貯金だと思うのです。裏の畑を掘り起こせば、確かに埋めておいたはずだから、あるのだ、あるのだと言って、百億近い金を寝かしておく。何か真剣さが足りないという感じがするのです。あるいはぜいたくといいますか、買えばあるのだが、ちょっとさがしておこう、二十年もかけて。それで、六、七十億の金をかけて寝せておく。金利でもたいへんな金だね、これは。どうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/29
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030・村田浩
○政府委員(村田浩君) 先生のお話は、一つの考え方だろうと思います。これを製錬いたしますと、同時に相当の投資がやはりそこに必要でございます。それが直ちに市場を見出だせないということで、備蓄——備蓄はもちろん可能でございます——いたすならば、やはりそれだけ多量の投資を寝かすという形になるわけであります。一方、国内に、山の中に眠ったままである状況とはいいながら、確かに二万数千トンのウランをわが国は持っているのだ、こういうことは、今後、海外からウランを購入してまいるという時点におきましても、何も持たないで、原子力発電をやっていくからには、どうしてもそのウランを買わなければならぬというところに追い込まれる形での交渉と違いまして、やはり、それはそれなりの一つの大きな意義を持ってくる、こういうふうに私どもは考えております。
さらに、先ほど申しましたように、これからの十年といいますと、世界の状況はかなり大きく違ってまいるのではなかろうか。その一番大きな原因は、従来の原子力利用にかわりまして、平和利用であるところの原子力発電というものが世界的に非常な勢いで伸びていく。正比例して燃料の需要量はふえるわけでございます。現在だぶついているために、一時かなり値段が安いとはいいながら、需要が大きく出てまいりますと、どんどんその値段は上がっていくというのが、このような鉱物資源の通例でございます。そういった点からいいまして、国内の賦存量を、現段階においては、まずできるだけ正確に把握しておくということが一番大切なことであろう、こういうふうに考えているわけでありまして、情勢がこの十年の以内にも大きく変わってまいるようでございますと、ただいま先生のお話のように、製錬ということも考えるべき時期が参ろうかと思いますが、いまの時点においては、まず、とにかく正確な埋蔵量を把握しておくということに趣旨を置くべきだろう、こう考えまして、臨時措置法の延長をはかりたい、こう考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/30
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031・森元治郎
○森元治郎君 お金の話になりますが、銭というのは、つかんでみないと、もうけということにならないんですね。もうかる話は、そこに薬をつくっておられる大臣がおられるけれども、金をにぎってみなければ金じゃない。これだって、あるはずだ、あるはずだといって寝かしておいて、どうも品物はよくない。いざというときには少しは銭がかかってもしかたがない、掘り出そう——何か気分が足りないと思う。こういうものを掘るということ、取り出すということをやっただけでも、いろいろな科学的な経験をたくさんなされるわけですね。そういうことは一切人まかせで、畑の中にあるんだというようなことを言って、財産がある、財産があるというようなことでは、私はどうも、ふに落ちないんだな。大臣どうですかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/31
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032・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) どれだけのものが日本の国内にあるかということは、私も知っておく必要があると思っておるわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/32
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033・森元治郎
○森元治郎君 つかまなければ知ったことにならない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/33
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034・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) ウランは、一〇〇の中の〇・七が放射能を持った二三五でございますから、かなり正確に知れるのです。ボーリングをやってみて、掘り上げて見れば、かなり正確に知れるので、どれだけあるかということは、かなり正確につかめると思うのでございます。それにまた製錬を、いかなることがあっても——その「いかなること」とは、どんなことかわかりませんけれども、「どんなことがあっても」という意味なんでしょうけれども、単なるそういう単純なる意味なんでしょうけれども、ある、だけでは話になりませんから、製錬はやっているのでございます。原子燃料公社でウランの鉱石からウランを製錬しておりまして、私もできた品物を見てまいりました。もっとも、技術の巧拙もありまするし、進歩もありましょうから、これから先、技術は大いに進歩はすると思いまするけれども、技術も現在持っておりまするし、開発もやっておるわけでございまして、あるだけで満足しておるのではなくて、あることを確かめて、あるから製錬しようと思えばできると、こういうことにならなければ意味がないと思いまするけれども、そこまでは、いっているわけでございます。だから、やはり、どのくらいあるかということは確かめて、そしていつでもつくれるという自信があるだけの技術を開発して持っておる、これはまあ、ぜひ必要だと思いまするが、そのとおり行なわれておるわけなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/34
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035・森元治郎
○森元治郎君 情勢の変化で、どうしても取り出さなければならぬというようなことになった場合の時間、金その他の計画というようなもの、およその計画、そういうものはまだできてないんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/35
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036・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 実はまだできていないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/36
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037・森元治郎
○森元治郎君 そういうところが、その可能性について検討をしていくことにはならないと思うんだな。あるというだけにとどまっておったんでは。情勢の変化によっては取り出す必要が出てきた場合に、きわめて非科学的な説明しかできないということでは、はなはだ遺憾だと、こういうことですな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/37
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038・村田浩
○政府委員(村田浩君) 大臣がただいま御答弁になりました点を少し補足させていただきますが、先ほど申しましたように、人形峠が、現在のところ、わが国の主たるウラン鉱の生産地でございますが、ここの鉱石を使いまして、これを掘り出すところから始め、そして金属ウランまで製錬いたします、この間の技術を一貫してやってみる。ただし、これは生産規模でやるわけではございませんが、少なくとも生産規模でやった場合に、森先生のおっしゃいますように、どのぐらいの投資が必要かというようなことも含め、技術的な推定ができるに足るだけの勉強はしなければいかぬということで、三年ほど前から人形峠地区に製錬試験工場をつくり、現在動かしております。この試験は、ここ一両年じゅうには一応完了する予定でございますが、それが完了いたしますと、わが国の鉱石を使いましてウラン金属をつくりますのに、どのようなコストでできるか、また、どのような技術があればいいかということは相当はっきりわかってくる、こういうものが、もし国内で大々的な生産を始めるという場合には直ちに役に立つようになるもの、こういう趣旨でやっておりますので、ただ探鉱だけいたしまして鉱量を把握するというだけで、そのまま放置しておるわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/38
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039・森元治郎
○森元治郎君 だから、いまの人形峠のお話も一つの材料として試算をやることも、ラフな数字でいいけれども、できないこともないんですね。そういうものを、別の機会でもけっこうですから、知りたいと思うんです、資料として。そういうふうにお願いしたいと思います。
それから、これは十年でなくなってしまいますね。失効する。そうしますと、そのあとは一体どうなるのか。いまは、この鉱業法の特例で、いろんなことができるわけですね。ところが、それができなくなる。適用する法律的根拠はなくなる。しかし、必要性が出てきた、掘りたい、私有地も掘り込みたい、木も切りたい、というときには、どういうふうになるのですか。これは例の法律技術か何かで、長く個人の財産を制限するがごときことはおもしろくないので、大体、条約と同じように十年として、また延長——そういうために十年という数字をかりに設定をしておられるのか。これは長くなければ、「いかなる事態に対しても」ということと考えあわせますと、発動ができなくなるのじゃないかという心配があるんでしょうが、どんなもんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/39
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040・村田浩
○政府委員(村田浩君) もちろん、十年後にどういう状況になるかは、いろいろわからない点もあるかと思いますが、少なくとも、十年前にこの措置法をつくっていただきまして、国内におけるウラン鉱の探査に乗り出しましたときと今日では、この十年間の経験、調査というものが相当できておりまして、この点から、今後の見通しというものも、十年前とはずっと違って、よりはっきり言える状況になってきていると思っております。それで、先ほども申しましたように、国内における放射能の異常地帯というものも一万六千平方キロということがわかっておりますし、この範囲内を調べるのに、もし十年以上かかりますれば別でございますが、現在私どもの考えております計画では、十年の間に十分放射能異常地帯を調査することはできると、こう見ておりますから、そういう意味におきましても、あと十年延長していただければ所期の目的は達成できるのではないか、こういうことであります。で、十年後にこの法律が失効しましたときには、もちろん、そのような事態がもしもあれば、通常の鉱業法によって行なうということでございますが、まあ、何らかの新しい技術の開発によって、ただいまわれわれが対象としておりますような地域以外にも、さらに調べてみる可能性なり必要性が出てくるようなことでもあれば、これはまた別かもしれませんが、まず今日の知識では、大体ただいま立てております計画を遂行すれば目的が達成できるのではないか、こういう判断で、あと十年延長で失効するというふうにいたしたいと考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/40
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041・森元治郎
○森元治郎君 それじゃ、もうこれ以上この特例法を存置しなくても十年後は済むだろうという見通しであるかどうか。
それから、燃料公社があちこち精査しますな。これは民有地も入るだろうし、国有地も、いろいろあるのでしょうが、おおよその面積、ことに民有地の……。一万六千平方キロ、この一万六千平方キロというのは、一カ所じゃなくて、あちこち集めて、したがって民有地も入っていると思うのですが、その面積は、どういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/41
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042・村田浩
○政府委員(村田浩君) お話のとおり、この一万六千平方キロというのは、全国に分かれて、かなり多くの地区にあるわけでございますが、原子燃料公社がみずから所有しております鉱区というのは非常に少のうございます。他は民有地あるいは公有地といいますか、県等が持っておる鉱区というようなことでございます。ただいま先生のお話の土地の所有と鉱区の所有とは別でございますので、鉱区の所有で申しますと、公社自身が持っておりますのは、人形峠、それから奥丹後地区が中心でありまして、合わせて五百平方キロメートル。一万六千平方キロメートルのうちに五百平方キロが公社所有で、あとは公有もしくは私有、こういうことになっております。さらに詳しい数字は、ちょっとただいまここにございませんので、もし必要でございましたら、別途調べて申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/42
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043・森元治郎
○森元治郎君 この十年後の電力の需給状況の中で一いまの計算では原子力発電は約八%くらいだということですね。これは衆議院の速記録でちょっと拝見したのですが−…。どの程度になつて、何キロワットになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/43
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044・村田浩
○政府委員(村田浩君) 現在審議をさらに継続中でございますが、政府としましては、通産省の総合エネルギー調査会の中で原子力部会を設けまして、原子力の開発規模の推定を現在行なっておるところであります。ただいままでの中間的な調査の結果によりますと、規模といたしましては、昭和四十五年度までが大体百五十万キロ、それから昭和五十年までに約五百万キロ、それから昭和五十五年までに約千五百万キロ、それから昭和六十年度までに、これは上限と下限を設けておりまして、三千万ないし四千万キロワットという程度の原子力発電を開発するのがよかろうというような、中間段階でございますが、数字を出しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/44
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045・森元治郎
○森元治郎君 そのパーセントは。水力だ、火力だ、原子力だという中における原子力のパーセントは、たとえば六十年の三千万ないし四千万キロワットアワーの場合なんかには、何%になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/45
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046・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいまの私の申し上げましたのは設備容量でございますが、原子力発電は、主として基底負荷、ベースロードに使われます負荷率は大体年間八〇%を予定しております。したがって、設備容量の比率と、それから発電量としての比率とは違ってまいりますが、発電量としての比率で申しますと、昭和五十年度、つまり設備で五百万キロワットをつくりましたときに、原子力発電による発電量の全体に占める比率は六ないし七%程度と見られております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/46
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047・森元治郎
○森元治郎君 火力、水力に取ってかわって、原子力一本という夢の時代はいつ来るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/47
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048・村田浩
○政府委員(村田浩君) エネルギーの需要が非常に増大いたしますと、この供給というものがたいへんな問題になるわけでございまして、経済性の問題がございますが、その経済原則の範囲内で、やはりできるだけその供給源を多様化することが供給の安定化上は必要であろうと思っております。その意味で、原子力発電は、供給の安定化という役割りを果たす上の重要なものでございますけれども、一方、水力あるいは通常の火力というものを全然やめてしまうという必要はないわけであります。しかし、原子力発電の占める割合は漸次増加いたします。推定によりますと、これは別な民間の研究によって出てきた数字でありますが、昭和七十五年、つまり西暦紀元二、〇〇〇年に当たりますが、そのころになりましたときのわが国の発電量の中で原子力の占めるのは約三分の二、六〇数%に達するという推定が行なわれております。私どもとしましても、紀元二、〇〇〇年というと、だいぶ先ではございますが、そのぐらいの比率には十分達するのではなかろうか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/48
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049・森元治郎
○森元治郎君 あと三十年というと容易じゃないね。これは、われわれはまだ相当生きなくちゃならぬと思うが、少し夢のような話であります。
そこで、最後に一つ。私はしろうとで見ているのだが、新聞その他でも、日本の業者、電力業者が特にそうですが、あっちこっちから、そのときのハイカラなものを買いたがる。しょっぱな東海村のときはコールダーホール。私らも、たいしたものだといって参観に行った。今度はアメリカのほうから第二回目を入れてくる。三回目は、今度は何というのですか、また濃縮ウランとかというハイカラなやつをこれから入れよう、あるいは日本でも開発しようか……。あっちこっちのものをたくさん入れてくるのですね。そういうことじゃなく、どっしりとして、世界の需給状態や世界の情勢も判断し、自分の持っているウランはこれだけの少ないものだけれども、こういうものを勘案して、一体どの方式でいくべきか。日進月歩ですね。高速炉などというたいへんハイカラなものも、遠からず日本でも持つ。あれもほしい。これもほしい。とても日本の財政では追いつかないようなお遊びをやっているような感じがするんだが、科学技術というのは、私は、おそくとも、やっぱり自分の道をじっくり行くのがほんとうじゃないか。イギリスなんかの場合を見てみますと、おそいけれども、アメリカ式の方向でなくて、自分の道を行っている。西ドイツも大体そのようである。日本人は頭がお互いいいですから、小回りがききますから、どうも目新しいものに飛びついていきたがる。これでは、日本自身の技術の開発というものは、いつまでたっても借りものであり、経験の少ないものになりやせぬか。電力さえできればいいんだ、しかも火力と張り合ってコストを安くやれるようになればいいんだというだけでは、科学技術の進展というものはいつまでたっても望めないのじゃないか。どこかこの辺で、日本はこれでいいのだということがなくちゃならぬと思うが、大方針は、どういうところにありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/49
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050・村田浩
○政府委員(村田浩君) 一つには、わが国が先進諸国におくれて原子力の開発利用の分野に着手しましたということもございまして、何せ、全然それまで手がけておりませんでした全く新規な科学技術の分野でありますから、できるだけ早く勉強しまして追いつくという必要があったわけで、また、今日もあるわけでありますが、そういった観点から、当面まず、諸外国で技術開発の進みましたものを入れて、そうしてその技術をもとにして国産化をはかっていくというコースを、これまでとってきておるわけであります。
しかし、他方において、ただいま先生御指摘のとおり、わが国の自主的な技術開発といいますか、独自の技術開発を行なうためには、海外の技術をただ入れて、これを国産化するというだけでは十分ではありません。そういう意味で、今後実用化が期待される、そういう原子炉については、国として総力をあげて、できるだけ自分の力で開発していこう、こういう必要があるわけであります。そういった観点から、先ほど私もちょっと申し上げましたように、原子力委員会では、近く、わが国の動力炉開発について、海外の技術の導入、国内における自主的開発、将来の高速増殖炉の研究開発、それらを含めた総合的な動力炉開発の方針を樹立して、今後はその大方針のもとに国の政策を進めていく、こういうことで進んできておるわけでございます。確かに御指摘のように、自主的な技術の開発のためには、ただ海外の技術を輸入しておるというだけでは不十分でありまして、これを国の開発計画というような形で総力を結集してやるかまえが必要であろうと思います。そういった観点で、高速増殖炉はもちろんでありますが、今後開発される新型炉と呼ばれるものも、ひとつプロジェクトとして取り上げてまいりたい、大体こういうような方向で、現在最終的な結論を取りまとめ中のところであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/50
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051・森元治郎
○森元治郎君 それ、いつごろ出ますか、動力炉の開発の結論は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/51
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052・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいま原子力委員会で非常に御熱心に取りまとめをやっておられるところでありますが、私の予想としましては、大体今月一ぱいぐらいのうちにはおまとめいただけるんじゃなかろうかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/52
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053・森元治郎
○森元治郎君 同じようなことで、もう一点だけでやめますが、核燃料物質の民有化というものが、一昨年ですか、アメリカで方針をきめ、日本も待ってましたとばかり、それとばかり、政府も踏み切ったようですが、そこらのところは、何か、先ほど来申すように、新しいのに飛びつく、じっくりしないところが私感じられるんですがね。やっぱり商売人に引きずり回されたような感じをどうしても受ける。科学行政という、ことに原子力なんという新しいものは、政府がどっしりと腹を据えて、長い見通しを立てて、あわてないでやっていくことが大事だと思うのですよ。たとえば、先ほどのお話では、日本の場合、三十年たって、やっと発電量の三分の二くらいしかまかなえない。全部はとてもできない。二十一世紀も相当たたなければ、石炭、石油全部すっ飛ばすわけにいかぬという状況のときに、もっとじっくりやるべきだと思うのです。
そこで、私の伺いたいのは、民有化に政府が踏み切った理由。それからいろいろな批判がありますね。専門家がいろいろな場合に批判をされておりますが、短所といって指摘されているところ、あるいはアメリカの技術屋などに引きずり回されるのじゃないかといったような心配、いろいろな心配がありますね。そこらを概括して要点だけでいいから御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/53
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054・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子燃料の民有化につきまして、現在、原子力委員会で民有化の方針で検討しておられるのはそのとおりでございますが、その最大の理由は、何と申しましても、わが国の原子力発電事業は、電力事業の一環として民営の形で進めてまいっております。今後も、そういう形で進むということで計画を立てておるわけであります。そういたしますと、原子力発電所を民営でやっております際に、これに使用いたします燃料を国有のままにしておくということは、種々の一面できわめて非能率的なところが出てくるわけで一あります。原子力発電技術というものが高度に研究開発を要する技術でありますために、これを能率的に行ないませんと、経済性の面で非常なマイナスが出てくるわけでありますが、わが国のエネルギーコストをできるだけ下げていくためにも、より能率的な原子力発電を遂行させる必要がある。
問題は、この民有化に伴いまして三つあると思うのでございます。第一は、民有化いたしまして、原子力基本法の第二条にございますところの大目的、つまり平和利用ということの保障が、それで十分できるかどうか。それから第二は、安全性の問題でありまして、民有したことによって安全性に危惧を抱くというようなことはないかという問題。それから第三は、先ほどお話のございました国の核燃料政策といいますか、こういうことに支障があるかどうか、こういう問題であろうと思います。
これらの点につきましては、いずれも重要な問題でございますから、原子力委員会でもいろいろ御検討いただいておるわけでありますが、すでに今日までに、主として原子炉等規制法というような、燃料を管理しますための法律が十分に整備されておりまして、まず第一の平和利用の保障、第二の安全性の確保、こういった点につきましては、この規制法によって十分に管理はできるものという結論になっております。
そこで、第三の燃料政策に関連してでありますが、国有である場合には、国が海外から必要なものを購入し、そうしてこれを民間事業に貸与するという形をとらざるを得ないわけでございますけれども、これは確かに国の政策が直接そのまま反映される方法であります。しかし他面、このために要する費用というものも、たいへんな規模に将来は達するわけであります。三千万キロワットないし四千万キロワットというような原子力発電が予想されておりますときに、これらの大規模な原子力発電所に十分な燃料を供給するためには、大体の予想でございますが、八億ドル程度の国家資金が必要である、こういうことに相なります。これはまた相当な金額でございます。他方、先ほども申しましたように、国としては、今後のわが国の原子力開発のために、新型炉あるいは高速増殖炉の開発を重点的に進めなければならぬ、こう考えておるわけでありますが、これに要する経費というものも、これまた相当な額に達するわけでありまして、現在の予想では、大体これからの十年間に千数百億という額が必要であろうと思われます。そういったような点を考えますと、資金の効率的な使用ということも当然考えなくてはなりませんし、また、そのために民間が所有して、自分の自由意思で、かってに処分するというようなことがあると、国の燃料政策と合致いたしません。しかしこのためには、原子炉等規制法その他の法律によった規制によりまして、たとえば民間の原子力発電所で民間が購入しました燃料を使用いたしますと、そこに使用済み燃料が出てまいります。その使用済み燃料もまた民有に相なるわけでありますが、その使用済み燃料を処分する方法につきましては、その原子力発電所の設置を許可いたします際に、ただいま原子燃料公社で再処理工場の計画を進めておりますが、その再処理工場に送って処理する、つまり、国内でプルトニウムを回収するような、そういう政策に乗せるようにする方向で、燃料政策を十分実施できるようにいたしたい。
このような観点から、燃料の民有化を行ないました際に、一方では民営の原子力発電事業をますます活発に行なわせる上に役立て、他方、国といたしましても、必要な安全性、安全保障あるいは核燃料政策の立場を十分保持してやれる、このように判断いたして、その方向での政策の決定を急いでおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/54
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055・森元治郎
○森元治郎君 きょうは、それを伺っておくだけでやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/55
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056・船田譲
○船田譲君 時間もあまりありませんから、重複しないように簡単に質問を申し上げたいと思います。
まず第一番目に、臨時措置法の今度の改正の要点は、期限の十年延長ということと、それからこまかい字句の改正だと思います。期限の延長の問題については、森委員がすでにおやりになりましたので、字句の改正について……。
今度の改正で、鉱業法との矛盾は全くなくなると考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/56
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057・村田浩
○政府委員(村田浩君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/57
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058・船田譲
○船田譲君 現に、人形峠の燃料公社の鉱区の隣に民有林地があると思いますが、その部分の採鉱の問題について、いまどのように……。具体的でなくてもけっこうですが、大体概括的にどのように交渉が進んでおるか、また、そういう問題の解決に本法が何らかの役に立つかどうか、ということをひとつ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/58
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059・村田浩
○政府委員(村田浩君) 人形峠の鉱区における隣接の民有林地については、詳しいことは私もよく存じておりませんが、一般的に申しまして、民有地にかってに立ち入り、そうして鉱石を一部分採取したり、あるいは立ち入るために立木を伐採したり、ということはできないわけでございますが、この臨時措置法によりまして、このことが可能とされ、それによって公社の行ないます探鉱というものが非常に能率的にできることとされております。しかしながら、現実におきましては、この法律に基づいてそのようなことを強制的に行なうということでなく、この法律があるということで、その民有林の所有者と原子燃料公社との間で円満な話し合いの上で実施いたしておる、こういうことで、まあ発動に至らずして、実際上支障なく行なわれておる、こういうことでございますが、これはやはり、その裏に本法が存在するということが大きな理由になっておるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/59
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060・船田譲
○船田譲君 まあ、いわば、抜かなくともいい伝家の宝刀、あれば何かの役に立つ、こういうことでございますね。
次にお聞きしたいのは、今後の国内採鉱、あるいは国内で製錬する場合のコストと現在の国際価格との比較を簡単にお述べ願いたいと思います。いまのところ、天然ウランに関しましては世界的に買手市場だと思います。ですから、一部には、何も国費をかけて、そんなに採鉱、あるいは探鉱、製錬の技術を保存する必要はないじゃないかという説もあるわけでございますが、そういうことについてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/60
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061・村田浩
○政府委員(村田浩君) 世界的なウランの価格としましては、三八酸化ウランと呼んでおりますが、いわゆるイエローケーキでございますけれども、ウランの純度で申しますと八〇数%に高めたものであります。鉱石から粗製錬を行なったあとのプロダクトになりますが、これで建て値を立てておりますところによりますと、大量の引き合いと少量の引き合いでは、かなり価格の差がございます。しかし、大まかに申しますと、大体一ポンド当たり五ドルないし十ドルというのが相場でございます。これに対しまして、国内のウラン鉱を国一内で製錬いたしまして、そうして同じ酸化ウランを生産いたすとしましたときには、もちろん、生産規模等にもよりまして違うことではありますけれども、概略のところ、一ポンド当たり十数ドール……。もっとも試算の方法にもよりますが、原子燃料公社で行ないました一例によりますと、たしか十三ドルくらいの試算も出ております。いずれにいたしましても、現在の国際相場に比べますと数割高いコストになるだろう、こういう見通しでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/61
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062・船田譲
○船田譲君 なお、探鉱を行なっているのは原燃公社と地質調査所だと思いますが、その仕事の割合いというのは、やはり公社のほうが多いわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/62
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063・村田浩
○政府委員(村田浩君) 地質調査所と原子燃料公社は、同じ探鉱につきましても、概略の調査をする概査と、それから概査の上に立って精密な調査をいたします精査とに分けますときに、地質調査所は概査のほうを受け持ち、燃料公社のほうが精査を受け持っておる、こういうことで仕事の分担をきめております。概査と申しますのは、まず、地質学的に放射能異常があり得べき場所に放射線測定器を持ってまいりまして、そうして地表あるいは空中から放射線の異常の有無を広く調べて回るわけでございまして、その結果、放射能異常がかなりありそうだという所を決定いたしますと、その地区に対して今度は燃料公社が精査をいたすわけであります。精査の内容としては、いわゆる物理探鉱−地震探鉱とか、あるいは電磁探鉱とかございますが、そういうことのほか、トレンチを、みぞを掘って資料を採取してみるとか、さらには、場合によりましては、人形峠でやっておりますように、坑道を掘りまして埋蔵鉱量の把握につとめるとか、というような精査を行なうのは燃料公社の役割りということで分担いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/63
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064・船田譲
○船田譲君 先ほどのお話のように、国際的な価格から見て、たとえば、原燃公社の採鉱のコストが高くても将来のことを考えてやっておられるということでありますけれども、その場合に、現在の原燃公社に、海外の資源、特にいわゆる開発のおくれている東南アジアその他の国々に対する海外資源の探鉱をやらせるようなお気持ちはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/64
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065・村田浩
○政府委員(村田浩君) 国内の賦存状況というものは先ほど来申し上げたとおりでございますので、将来のウランの需要増ということを考えました場合に、海外の資源につきましても重大な関心を持つべきであろうと思います。その観点から、どのような形で海外における探鉱あるいは入手ということをはかるべきかということは、いろいろ国際的な事情等もございますから一概には申せませんが、そのようなことも考えまして、当面は、原子燃料公社に海外における資源開発につきましての可能性等々を調査させてまいりたい。その調査の結果に従いまして、さらに探鉱に協力するとか、あるいは開発に協力するとかというような方法を貝体的に考えることができるように相なるものと期待いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/65
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066・船田譲
○船田譲君 次に、原子力発電が盛んになるに伴いまして、わが国の核燃料物質の需給の今後の見通しに関連してもお聞きしたいと思うのですが、その前に、まず第一番目に、いま原子力発電株式会社がやっておられます一号炉の営業運転のスケジュールが少しつまずいているようでありますけれども、最近の実情と、今後の見通しをまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/66
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067・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子力発電株式会社の東海発電所が、予定よりおくれまして、いまだに営業運転に入っておらないのは御指摘のとおりでございますが、最近の状況といたしましては、故障の主体が、前にも当委員会で申し上げたと思いますけれども、四つございます熱交換器の蒸気管−蒸気管は多数入っているわけでございますが、その蒸気管の一部に漏洩を生じまして、その漏洩を生じましたところを検査しましたところ、何らかの理由で配管が振動を起こしまして、そのために亀裂を生じておる。こういう状況でございます。そこで、現在亀裂しておりますのは一部でございますけれども、このまま放置いたしますと、冷却剤である炭酸ガスの中に蒸気が多量に混入いたしまして、原子炉内の装置等を腐食させるというようなことにもなりますので、営業運転に備えて抜本的に改良して、そういうような亀裂を生じないようにいたしたいということから、この原因の探究並びに最も適切な復旧工事の方法を確立するため、これを設計いたしましたイギリスの技術者をも招き、さらには国内におけるこのような蒸気発生装置の設計製造についての専門家もお招きしまして、現地で種々御検討いただいた結果、すでにその原因につきましては専門家の意見が一致しまして、私どもの承知しますところでは、この蒸気発生装置の中を高温の炭酸ガスが非常な速度で通過するわけでございますが、その際に生じますところの渦巻き、ボルテックスと申しておりますが、渦巻きが生じますと、それに伴って配管の一部が振動を起こす、その振動によって局部的にひ、ずみを生じまして、そのために亀裂を生じた、こういうのが原因であろうということであります。したがいまして、これからそのような渦巻きの生ずるのを妨げるような装置を施しまして、その上で試運転をいたし、確かめた上で営業運転に入りたい、こういうことでございます。この復旧工事は、比較的簡単であると聞いておりますので、ここ一、二ヵ月中には一応めどがつくというふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/67
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068・船田譲
○船田譲君 そうしますと、一号炉が、最初の予定の、何ですか、十六万ですか、ちょつと数字は忘れましたが、キロワットですか、要するに最初に予定されたところまで上がっていくというのは、大体いつごろと考えておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/68
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069・村田浩
○政府委員(村田浩君) 東海発電所の出力は、十六万六千キロワットでございますが、これは原子炉が、私どもが申しますことばで、平衡状態に達した一ある程度運転しまして、全体かあったまり、いわゆるそのままの状況でずっと運転できるという状況に達した状況での出力でございます。したがって、当初から、東海炉を営業運転しますときの出力は、大体十二万五千キロワットということにしてございまして、今回も、その程度の出力が出てまいりますところで、営業運転に入ることに相なろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/69
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070・船田譲
○船田譲君 その次に、東電も、それから関西電力も、動力炉——これは軽水炉でおつくりになるかと思うのですが、大体こういった二番手、三番手の動力炉が営業運転に入る大体のタイム・スケジュールをお教え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/70
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071・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいまのところ、原子力発電株式会社が建設予定の敦賀の発電所は、出力三十二万五千キロワットでありますが、これは順調にまいりますと、昭和四十四年の十二月に運転開始の予定でございます。それから、東電と関電の計画がこれに続いておりまして、つい先ほど、電源開発調整審議会におきまして、今年度の建設計画の中に取り入れられたわけでありますが、これが予定のとおりにまいりますと、昭和四十五年の末までに運転開始に入る、こういう予定であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/71
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072・船田譲
○船田譲君 そのようにして、四十四年あるいは四十五年末までに、第二、第三、第四の動力炉が発電の戦列に加わった場合に、従来の重油専焼の火力発電のコストと、こういった原子力発電のコストと比較して、どの辺のところでそれがクロスするという見通しでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/72
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073・村田浩
○政府委員(村田浩君) 重油専焼火力の発電コストの最近の状況、さらに今後の見通し等は、むしろ所管の通産省のほうからお話しいただくのがよろしいかと思いますが、私どもの承知いたしておるところで一般的に申しますと、これから建設いたします原電の二号炉、あるいは東電、関電の一号炉におきましては、その発電コストは、大体重油専焼の新鋭のものの全コストと、石炭専焼の同じ規模の新鋭のものの発電コストの中間くらいになろうかと思います。数字的には、原電の二号炉、敦賀の発電所の場合には、初年度の発電コストは大体三円十銭パー・キロワット時と見ているようでありまして、二十年間平均で二円六、七十銭と予想しているようでございます。東電の場合は、出力が四十万キロワットあるいは四十万キロワット以上と考えておりますので、これよりもう少し下回った発電コストが可能になるだろう。つまり、大体三円あるいは三円を少し下回るくらいのところで発電可能になるだろうという予想であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/73
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074・船田譲
○船田譲君 こういうふうに核燃料物質の需要が多くなってまいりまして、先ほど森委員からもお話がございました特殊核燃料物質の民有化に踏み切るようになると思うのでありますが、アメリカでも、先ほどお話しになりましたように、一九六四年の八月に民有化法が成立したようでありますけれども、実際にすでに民有化しているのでしょうか。それとも、実績はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/74
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075・村田浩
○政府委員(村田浩君) 米国は、すでに一九五四年の原子力法が改正されておりまして、民有化が実施されております。現実には、この民有化につきましては、十年間の経過措置を講じておりまして、一九七三年以降は全部民有化ということでございますが、一九七三年の一月一日までは、発電事業者その他特殊核物質を購入する側におきまして、民有で、自分の資金で買いたいという者には買い取らせ、あるいは、それまでは借りたいというところには貸与するという、いわゆる選択制をとっておりますので、ただいまのところは、大部分がまだ貸与、賃借の形でやっていると承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/75
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076・船田譲
○船田譲君 その次に、民有化にわが国が踏み切る場合、どうしても日米原子力協定、現行の協定の改定が必要だと思いますけれども、その改定のスケジュールについて、ちょつとお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/76
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077・村田浩
○政府委員(村田浩君) 現行日米原子力協定は、昭和三十三年に調印されまして、その有効期間は十年間でございますから、したがって四十三年の十二月ということになっております。この協定の第七条D項に、アメリカの国内において特殊核物質の民有化が認められるまでは、日本へ引き渡される特殊核物質は国が公有することという、いわゆる国の権原保持義務が規定されております。しかしながら、その後、お話のございましたように、アメリカの原子力法が改正されまして、アメリカ国内における民有が法的に認められましたので、第七条D項でいいますところの制限は、とれたわけであります。このことは、政府の所有の権原保持義務が消滅したということでございまして、この点につきましては、すでにその解釈につきまして、一応、アメリカ原子力委員会の非公式の確認をとっております。しかしながら、協定は国会で御承認いただきますところの事項でございまして、現行協定には、明らかにただいまのような規定が入っております。いずれ、四十三年には、この協定を延長するなり、あるいは改定するなりしなくてはならないわけでございますので、その際、この民有化問題もはっきりさせるということを含めまして、日米原子力協定を改定いたしたい、このように考え、ただいま非公式な折衝をいたしているところであります。
この協定の改定には、ただいまの民有化の点のほかに、もう一つ重要な問題として、この協定によって、米国から供給可能とされる特残核物質のワクがございます。現行協定では、それが二千七百キログラム、ウラン二三五に換算してでございますが、二千七百キログラムと規定されております。これでは、今後の原子力発電計画を遂行しますのに、全く不十分でございますので、このワクを大幅にふやしたいというのが、他の重要な点でございます。
これらを含めまして、協定の改定交渉をこれから進めまして、予定といたしましては、これは相手のあることでございますから、相手の出方等によっても、いろいろ遅延したり、あるいは早まったりすることがあるかと思いますが、私どもの心づもりとしましては、昭和四十二年の末までには調印できるところへ持ち込みたい。四十二年の末までに調印できますならば、その次の国会に提出しまして、国会の御承認を得たい、このような予定で進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/77
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078・船田譲
○船田譲君 その次に、わが国での自主的な核燃料サイクルを確立するためには、どうしても、先ほど局長もちょっとお話しになりました国内での再処理工場の建設の問題、あるいは核燃料物質から燃料を加工製造する工場の問題等があると思うんですが、大体原燃公社、あるいはほかのところはどうか知りませんが、日本国内で使用済み燃料の再処理工場を建設する計画、それから燃料の加工製造といいますか、燃料物質から燃料をつくる、そういう工場の建設の大体の目安はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/78
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079・村田浩
○政府委員(村田浩君) まず、再処理工場につきましては、船田先生のお話のとおり、ただいま原子燃料公社に、規模といたしまして一日当たりの処理能力〇・七トンの再処理工場を建設すべく、現在、詳細設計の契約を結びまして、作業を進めておるところであります。予定といたしましては、昭和四十二年中ごろまでに詳細設計を全部完了いたしまして、引き続き、できるだけ早く建設に取りかかり、昭和四十五年あるいは四十六年早早には完成しまして、昭和四十六年じゅうには稼働に入るようにいたしたいと、こういう予定で計画を進めておるところであります。再処理工場につきましては、当分原子燃料公社の再処理工場の計画だけでございます。
それから、燃料の加工でございますが、現在、国内のメーカーが、燃料の加工につきましていろいろ勉強してまいっております。原子燃料公社においても勉強しておりますが、これまでの経験からいたしましても、燃料の加工は、それによって得られまする性能が、原子炉の性能と直ちにつながるものでありまして、原子炉の性能の保証をさせます際に、燃料の性能の保証と切り離し得ないというのがこれまでの状況でございます。したがって、今後、原子力発電所をこれからつくってまいりまするのに際しましては、そういう意味で、原子炉を製造いたします、あるいはそういう製造をいたします会社と提携いたしておりますところの業者によって加工事業を行なうということになろうかと思います。現在のところは、まだ正式に加工事業を国内で行ないたいという申請はございませんけれども、しかし、話し合いとして私ども承知しておりますのは、アメリカのジェネラルエレクトリック会社が、わが国の東芝並びに日立とジョイントベンチャーで国内に最初の燃料製造会社を設立したい、この会社によりまして、わが国に建設される軽水型原子炉の燃料を製造してまいりたい、こういう話し合いが進められておることを承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/79
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080・船田譲
○船田譲君 時間がないので、これを最後にいたします。
最後に、それまでの間、過渡的に、アメリカが盛んに、何といいますか、宣伝といいますか、しております、委託濃縮を申し受けますという、そういうのに日本も委託濃縮に出したり、あるいは再処理を外国に出すというような考えはおありでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/80
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081・村田浩
○政府委員(村田浩君) 委託濃縮でございますが、これは、原子炉に入れます燃料は、軽水炉の場合、その素材になります濃縮六弗化ウランというものが必要でございます。これをつくりますのが濃縮工場であります。濃縮工場は、ここ当分、わが国でこれをつくれる見込みもございませんので、当面といいましょうか、当分は、アメリカの濃縮工場で生産されるものに依存するほかはなかろうかと思います。アメリカは、御承知のとおり、大規模の濃縮工場を持っておりまして、ここで生産される濃縮ウランが最も低廉に入手できるものであるわけであります。そこで、委託濃縮と申しますのは、原料である天然ウランは、わが国、あるいは海外でわが国が買いましたものを送りまして、濃縮という過程だけをアメリカの濃縮工場にやってもらう、こういう仕事でございますから、この点は、いずれにいたしましても、ここ当分は、そのような形でアメリカの濃縮工場に依頼しなくてはならないかと思います。
問題は、その濃縮工場を出てまいりました原料の六弗化ウランを酸化ウランに転換し、この酸化ウランの粉末を固めまして燃料要素をつくり、その燃料要素となりましたものが初めて原子炉に装荷されるわけであります。これを燃料の加工と申しておりますが、この加工事業は、できるだけ国内でやっていけるようにしたい、国産でやっていけるようにしたいという考えをとっております。先ほど申しましたジェネラルエレクトリックと東芝、日立とのジョイントベンチャーによりますものが国内でできますと、そういうところで、ただいまの加工という仕事をやることに相なるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/81
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082・船田譲
○船田譲君 これで終わります。ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/82
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083・向井長年
○向井長年君 まず、直接この法案に関係ございませんが、長官にお尋ねしたいんですが、長官は、所信表明の中で、科学技術基本法を今国会にぜひ出したいという意向を述べられたと思うんですが、しかし、これについて何か調整が難行しているようなので、現在どういうようになっておるのか、またその原因はどこにあるのか、この点、ひとつまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/83
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084・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) ぜひとも、この国会に基本法を出したいと思って努力をしてまいったのでございますが、十二月の一日に、科学技術会議から要綱の答申がありまして、総理に提出されまして、それを科学技術庁が受け取りまして、政府ベースでは、その際にも、大蔵省からも、文部省からも、学術会議からも、その他からも、法案化するにつきましての御注文がいろいろ出たわけでありますが、そういう点も話し合いまして調整をいたしまして、政府ベースとしての案だけはまとめたのでございます。そうして、国会に提出する手続といたしまして、政府から党の政務調査会に、こういう法律案を出したいということで御審議を願ったわけなんであります。その政務調査会の中での審議はお聞き及びと思いますが、意見が出てまいりまして、そしてその意見の調整が難渋をいたしておりまして、いまだに落着しないのでございます。そのために提出がおくれております。これは、もっと詳しく申し上げますると、政務調査会の中で、科学技術基本法というものの中に人文科学が含まれておるということはおかしいではないかというような意見が出てきたのでございます。しかし、この意見は、科学技術庁で要綱に達するまでに、どういうものをつくろうか、要綱の要点を論議する際に、すでにもう四、五年間議論が尽くされてきたものでございまして、その結果として、一致して、人文科学も一緒にこの基本法の中に取り扱うことにしよう、こうなったのでございまするから、よくお話を申し上げたら御理解がいただけるものだと、こう考えておりますが、この素案の作成に協力をいただいておりました自民党の政務調査会の科学技術特別部会、この部会の方々に非常にお骨折りいただいておったのでございまするけれども、部会の方々以外の方々に得心いただけるというところまでまだ至っていない。私どもの役所のほうでも、四年も五年もかかって論議を尽くしたものでありまするから、一週間や十日でなるほどそうかということにはならぬのかもしれませんけれども、いまだに御了解がいただけない。そういうことで熱心な努力を重ねておる、こういうのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/84
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085・向井長年
○向井長年君 いま長官が言われるように、これはもう過去六年間慎重にいろいろ検討されて、少なくとも今国会へはこれは提案したい、こういう意欲を持っておったにかかわらず、自民党の文教部会ですか、まあ新聞紙上でも出ておりますが、こういうところで横やりが入って、いまだにそれが非常に難航しておる。それであるならば、過去何年もの間やっておる間に、いろいろとそれに対しての意見があってしかるべきだ。こういうところから、いま説明があったように、努力はされておると思いますが、しからば見通しとしてはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/85
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086・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 何ぶんに4国会の期日が切迫してまいりましたので、必死の努力を傾けておるわけでございまするけれども、見通しとしては、必ず出します。出すからには、国会で通らないと、これは、あれだけもんで一「もんて」と言うと語弊がありますけれども、あれだけ論議を重ねて、そして意見の一致を見たものでありますから、出たわ・通過はしなかったわ、ということでは、これはお話にならぬと思いまして、出すからには通過するように、これを念願しておりまするので、だんだん時日が切迫してまいりまして、衆参両院ございますから、やきもきしておる、こういう現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/86
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087・向井長年
○向井長年君 長官としては必ず出すと、こういう決意のもとにやっておるということに了解したいと思います。
それで次に、先ほどからも各委員からいろいろ意見がございましたが、原子力行政について詳しく掘り下げて質問をいたしたいのでございますが、時間の関係もございますし、関係者、特に原子力委員長も出てもらってと思っておりましたが、時間もございませんから、私は掘り下げてやることは、きょうは省略いたしますが、ただ一言、原子力行政というものはどこが主管になっておるのか、これをお聞きしたいです。
いま、御承知のように、原子力委員会があり、しかし原子力委員会というものは、原子力委員会設置法に基づいてつくられておりますけれども、権限が非常に薄弱ですね、この内容を見ますと。で、科学技術庁は、特に原子力開発についての研究開発という立場から取り組んでおられる。しかし、実用開発になってくるならば、これまた通産省ですね。したがって、先ほどからもいろいろ意見が言われ、答弁がなされておりますが、ここ五年あるいは十年間の見通し、あるいはあと三十年間の見通し、いろいろ言われておりますが、これはどこが主管で、どこが真剣に取り組んでやるのか、行政上の主管がどうも不明確ですよ。ですから、この点について、まず具体的に、行政上の主管というものはどこにあるのか、この点をひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/87
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088・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 御指摘のように、原子力委員会並びに科学技術庁は、行政機関でないので、行政機能を持っていないわけであります。したがいまして、原子力の研究開発は主として科学技術庁が原子力研究所を持ってやっておるというような状況でございますが、行政的には、御指摘のように、発電事業は、火力、水力、原子力、いずれも通産省の所管、こうなってくるわけでございますから、原子力利用の専門的な行政機関は存在しないと申し上げたほうがいいのかとも思うようなわけであります。これが将来必要かどうかということは、いろいろ御議論があることと思いますけれども、いまのところは、そのように、行政機能となりますと各省に分散してしまう、こういう実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/88
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089・向井長年
○向井長年君 行政上の主管が、有名無実で、ないのだ、こういう長官の答弁ですが、確かに私もそう思うのですよ。原子力委員会の設置法の中では、勧告するとか報告するとか、総理は一応報告を受けて、それに対して委員会に対しては拘束されないとか、いろいろ問題点があるのですが、しかし、いま言うように、少なくとも、原子力の研究から開発ということになれば、燃料の問題、あるいは先ほど答弁のあった炉の開発の問題あるいは電力開発の問題、こういう問題に来ると思うのですよ。燃料の問題については、いま科学技術庁が担当しておるでしょう。いわゆる燃料公社において、国内において、あるいは将来においては再生をはじめ、あるいは輸入の問題もそこでやろうとしている。それから炉の問題は、これはどこでやるのですか。一応炉の開発をやるのだというような、基本的なそういう方向をきめておりますけれども、その開発については、国内開発については、どこで担当してやろうとしているのか。通産省がやるのか、あるいは科学技術庁がやるのか。行政上の問題ですよ。こういう点はどうなんです。どうもこの点明らかじゃありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/89
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090・村田浩
○政府委員(村田浩君) 先生御案内のとおり、わが国の原子力の開発上の推進は、原子力基本法及びこれに基づきました原子力委員会設置法その他の関連法律できめられておるのでございます。原子力基本法では、まず、わが国の原子力の研究、開発並びに利用−研究、開発ばかりじゃございませんで、利用を含め、これに関するところの行政を民主的に運営するために原子力委員会を置くということが基本法でまず定められております。この基本法に基づきますところの原子力委員会設置法では、原子力委員会の機能といたしまして、原子力の研究、開発及び利用にかかわる原子力行政全般についての基本的事項を企画し、審議し、決定するというように定められ、その決定し、内閣総理大臣に報告したものにつきましては、総理大臣はこれを尊重しなければならないという、尊重義務が課せられておるのは御案内のとおりであります。したがいまして、原子力委員会は、行政機関ではございませんけれども、審議機関ながら、特殊ないわゆる決定するというような機能を持たされておりまして、その決定を内閣総理大臣に報告されますときには、尊重する義務を課せられるということから、総理大臣を通しまして関係各省庁の長官に原子力委員会の決定事項を実施させるようにするという形で原子力行政が進められているわけであります。その中で、ただいま向井先生お話しの炉の開発というような問題でありますが、これは、科学技術庁のほうにおきまして、科学技術庁の設置法に明らかなとおり、科学技術庁の原子力局の事務としまして、原子力利用——これは研究、開発を含むわけでありますが、に関する基本的な政策の企画、立案及び推進に関すること、と定められております。したがって、原子炉の開発あるいは燃料の開発というように、原子力の開発、利用に関連する基本的なことは、科学技術庁が、原子力委員会のおきめになった基本的政策の線に沿って推進してまいる、こういう仕組みでございます。
ただ、先生おっしゃいますように、一元化されてないじゃないかという点でございますが、その点につきましては、科学技術庁設置法におきましても、大学に関連するところが除かれております。したがって、この原子力の研究の相当主要な部分は大学で行なわれるわけでありますが、これは、現在の仕組みでは一元的になされていない。その点は、まあ総理大臣から文部大臣を通じましてのルートで処理されるほかはない、こういう形になっております。そういう意味で、完全な一元化ができていないと言われますと、あるいはそういうことになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/90
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091・向井長年
○向井長年君 原子力委員会は、一応、企画あるいは、審議決定する事項がきめられておりますね。そうすると、その内容につきましては、原子力利用、技術、政策あるいは行政上の事務調整とか、なお、炉の規制あるいは核燃料物質、いろいろ条項があるわけですね。こういうことで、いま、原子力の研究開発というものは、大体基本的には原子力委員会が担当しておることになりますね。しからば、それの裏づけといいますか、それから先に進むものは行政上どこかということですよ。だから、これは自治省の問題もある。通産省にも来る。あるいは科学技術庁もやらなければならぬ。いろいろそういうかっこうになってくるんですが、しかし、これには、何らかの裏づけというものが、予算が必要なんですね。したがって、そういう問題については、これは、どうしても一元化された、真剣に取り組む姿がどこであらわれるのか。どうもわれわれ、わからないのですよ。また、これで満足なのか。あるいはこれではいかぬと考えるのか。この点ひとつお聞きしたいんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/91
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092・村田浩
○政府委員(村田浩君) 先ほどの御説明にさらに付加する形に相なるかと思いますが、原子力研究、開発及び利用のうち、研究、開発につきましては、大学におけるものを除き、ほぼ科学技術庁がその実施の推進に当たっておると申してよろしいかと思います。そのための予算の一括計上、見積もり方針の調整並びに配分に関することも科学技術庁の原子力局の職務とされております。しかしながら、利用の面におきまして、特にこれが事業化されるという段階になりますと、たとえば、ただいまの原子力発電でございますが、原子力発電といえども電気事業の一部でございます。全国的な電気事業の計画あるいはこれを維持する政策の中の重要な一環にならざるを得ない、なるのが当然であります。あるいはまた、船の場合で申しましても、原子力で船を実際運航するということになりますと、これはやはり船舶あるいは海運という行政を担当しております運輸省が非常に重大な責任を持ってまいるわけであります。そのような利用の発展しました事業化という段階に達しますと、それぞれの省庁が責任を持って行なっております発電関係の行政、あるいは海運、船舶、造船の行政というものと密接不可分になってまいります。そういうような点から、そのような状況になりました分野につきましては、原子力委員会の基本的な政策のもとに、私どものほうと関係省庁とが十分に協議いたしまして、そして円滑なる推進をはかるようにいたすという運用をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/92
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093・向井長年
○向井長年君 円滑な運用と言われますけれども、先ほど局長からもいろいろ答弁されておりましたが、大体そういう企画、推進方法を立てるにしても、技術上は、すべていま、現実に利用の問題になれば、民間に依存してやらさなければならぬ。民間は、特に事業者というものは、何といったって、電力を供給するためには経済性というものを頭に置きますね。先ほどぼくは聞いておって、関西あるいは東京の問題については、単価、コストを三円ぐらいにできるとかなんとか、そんな見通しはどこから出たのですか。三円とか二円六十銭とかというコストを先ほど答弁されておりましたね。東海のいまやっているやつについては、少なくとも五円五十銭か六円じゃないですか。それが関西、東京の炉の問題に対しましても、いま、やはりアメリカの軽水炉を入れようとしているんですね。これは経済性から出ているんですよ。幾ら、新型高速炉とか、これからいろいろ研究していくといっても、やはり経済性が伴わなければ、民間の開発は困ることになる。こういう点について、ただ構想としては、五年以降においては百万キロ、十年以降では八百万キロの予想を立てて、しからばそれをどこがやる、八百万キロをどこが開発する、開発する場合に、どういう炉を使って、どういう核燃料を便ってやるか、こういう点はどこで調整され、あるいはそれに対するところの指導あるいは助成というか、そういう問題はどこでやるのでしょうか。民間依存でしょう。民間依存であれば、経済性をまず第一に持ってきて、一番単価の安い軽水炉を入れる、あるいは濃縮ウランを入れる、こうなってくるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/93
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094・村田浩
○政府委員(村田浩君) まず、発電コストの見通しを三円程度と申し上げたことでございますが、これは、ただいま建設に着手する準備を進めておる原電の二号炉、つまり、東海ではございませんで、敦賀の発電所の推定発電コストを申し上げたわけであります。東海発電所の場合には、お話のとおり、いろいろと故障その他もございまして、発電コストはかなり高くなる予想でございます。
国の原子力発電の推進の方策としましては、原子力委員会の立てました基本的な政策に基づいて行なうわけでありますが、原子力発電につきましては、昭和三十六年の二月に原子力委員会が原子力開発利用長期計画を決定いたしております。この中で、昭和四十五年までの原子力発電規模について百五十万キロワットということで、同時に、これの実施につきましては、電気事業者が相協力し、協調してその推進に当たることを期待しておるわけであります。民間の電気業界におきましても、原子力委員会の立てられたその方針というものに十分こたえて、そうしてただいまのところ、百四、五十万キロワットが大体昭和四十五、六年ごろまでに完成できるだろうという見通しになっております。このように原子力委員会が決定いたしました長期計画は、それ自体、民間の事業者に強制してやらせるという法的な権限はございませんけれども、実質的に委員会の定められた方針の線に沿った計画を立てて、そうして推進していく、監督官庁であります通産省並びに私どものほうでも、その実施をより有効にできるように側面的な助成措置等を考えていくということで進めておるのが実情であります。仮定の問題でありますが、そういう計画を立てても、なおかつ民間がその期待にこたえないということがありますとどうなるかということでありますが、現在のところでは、少なくとも私どもの委員会のほうで立てました政策に沿ってやっていただいておるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/94
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095・向井長年
○向井長年君 時間がないようですから……。とにかく、いま言ったように、電力が不足して開発を早期にやらなければならぬということで原子力に取り組んでおるのではなくて、現状においては、おくれたいわゆる平和利用という立場から、いま政府も、あるいは民間も、あわせて取り組まなければならぬということでやりつつあると思うのですよ。そういう場合においては幾ら金がかかってもいいということじゃないのですよ、民間がやるとすれば。政府がやるとすればまた別なんだが。そういう事態で、やはり個々別々に、東海の原子力発電株式会社、あるいは東京、関西、あるいは中国、こういうかっこうで、いま開発を進めておりますけれども、これはやはり、民間がやるとすれば、先ほど言ったように、経済性の問題、あるいは炉に対する自分たちの最も適切な問題こういうかっこうで、個々別々にそれがなされていく。そうして、わが国においては炉開発懇談会ですか。こういうところで、まず実証炉、あるいは新型転換炉、高速炉というようなかっこうで、段階的にこれを開発する。これはいつのことかわかりませんよ。十年以内にしたいとか、五年以内にしたいと言われても、事実、政府のいまの取り組み方がそういう実態であるならば、これはどこでやるか。先般あなた、原子力商船の問題ですね。ああいう問題で、一つは頭を打っているのですよ。民間でやろうとしても、そういう単価ではできませんと拒否された。そういう状態が現状にある。そこで、先ほど冒頭に言ったように、原子力行政というものをどこが担当して真剣に取り組もうとしているのか、そういう問題が非常に不明確であるから、これは適当な機会に再び掘り下げて質問をしたいと思います。
で、それはけっこうですが、ただ問題は、この核燃料開発問題について、特にせっかく、いま公社が、十年間延ばして、各所で探鉱をやるために努力する。しかし、ウラン鉱は、結局外国に依存しなければならない、実用化の中で。そういういまの実態だと思うのです。いまおそらく、先ほど言ったように、軽水炉を使う。軽水炉は濃縮ウランでやる、アメリカに依存するのだ、こういうかっこうになってきているわけですね。そうすると、そういう意味において、今後燃料の確保と、それから炉の開発、それから実用化の開発の主体、こういうものを、どういうかっこうで求めていこうとするのか、その点ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/95
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096・村田浩
○政府委員(村田浩君) 先ほどの私の答弁で若干不十分なところがあったかと思うのですが、原子力委員会が決定されました長期計画の中では、開発規模、それと、その実施主体について民間の電気事業者の協力によることを期待することのほかに、昭和四十五年ごろまでの期間における原子力発電の炉型は、いわゆるコールダーホール改良型といわれる天然ウランガス冷却型と、それからただいま二号炉、三号炉等で問題になっております軽水冷却炉型というものをはっきり打ち出してございます。ですから、その範囲で民間の電気事業者が計画を立てられ、その線に沿って計画を進めるのを促進するようにいたしたい。
それから昭和四十六年以降につきましては、規模としては、合計して六百万ないし八百五十万キロワット、今日から見ますとやや少ないかと思いますが、一応その規模を打ち出しまして、それを実現するための炉型につきましては、四十五年までに開発されます炉型の改良といいますか、そういった、つまり軽水型、あるいは天然ウランガス冷却型というものが主流を占めるが、しかし、それに若干のいわゆる新型炉というものが加わっていくという考え方を示しておるわけであります。この線からも考えまして、原子力委員会の動力炉開発懇談会で、その場合の新型炉はどのようなものであるかということをいろいろ検討していただいたわけであります。ただいまの長期計画の線でいきますと、その新型炉といわれるものも、これまた海外から買ってきて入れてもいいような形になるわけでありますけれども、それでは国内の実際の自主開発という、技術的水準の向上等をはかる意味の政策が、実現できませんので、新型炉につきましては、幾つかの炉型というわけにはまいりません。最もわが国として適切と思われる炉型を選びまして、これを国のプロジェクトとして開発していく、もちろん、将来のものである高速炉についてもプロジェクトとして自主的に開発していこう、これらが裏づけされて、将来の原子力発電の規模の拡大が実現できるようにしたいという考え方で進めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/96
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097・向井長年
○向井長年君 まあ、あんまりこれは了解できないことばかりで、もう少し、具体的な問題については、いずれ日をあらためてお聞きすることにいたしまして、時間がないようでございますから終わりますが、特にこれは通産省にも関係があるのですが、いわゆる燃料公社のやる、この十年間の延長に伴って、いま、通産省の重工業局ですか、と思うのですが、金属鉱物探鉱促進事業団ができておりますね。これは昭和三十八年にできた。これもやはり、アルミとかその他の金属の開発ですよね。こういう地下資源の開発について、いま言うこの核物質の開発と、どういう協力体制をとっておるか。おれのところは核物質だけだ、そういうものは関係がない、というかっこうでやっているのか。この点、やはり地下資源の同じ開発でございますが、これについて協力体制があるのかどうか。どういう関係にあるか、お聞きしたいと思います。これはどちらでもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/97
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098・村田浩
○政府委員(村田浩君) 金属鉱物探鉱促進事業団法との関係でございますが、この事業団の設立の趣旨は、私どもの了解しますところでは、民間企業の行ないます金属鉱物の探鉱の経費を融資し、あるいは民間企業が探鉱を行なうための基礎的な資料を作成して、その業務の推進をはかるというような点でつくられたものであります。ところが、ウランあるいはトリウムという核原料物質については、これをみずから探鉱し開発していうこという民間の企業が現在ないわけであります。しかも、国の立場から見ますときには、将来に備えて国内にあるウラン資源を、核原料物質の賦存状況を十分把握しておく必要があるということから、ぜひやっておかなければならないという使命がございます。そういった点から考えまして、特に金属鉱物探鉱促進事業団とは別に、この臨時措置法を延長しまして原子燃料公社に核原料物質の探鉱を十分にやらせたい。こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/98
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099・向井長年
○向井長年君 今国会で、この金属鉱物探鉱促進事業団法の一部改正が出ているのですよね。したがって、これは衆議院を通ったと思いますので、参議院に近く来ると思います。内容は、地質調査所が行なっているところの広域調査を行なうのが主眼だと思うのですよ。そういう中から、いま言う、この核物質の探鉱を、燃料公社が、十年間延長して、掘り下げてやっていこう、こういうことですが、こういう問題との関連ですね。特にその目的が、そういう形で地下資源の発掘のために広域的な調査をやるためにこの改正案が出ているわけなんです。そういうものと、今回のこの核物質を開発する公社との協力体制、広域運営というものは、どう組み合わせているかということですが、これは通産省の技術長さんのほうからでもけっこうですよ。通産省にも関係ございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/99
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100・村田浩
○政府委員(村田浩君) この核原料物質開発促進・臨時措置法によりましても、民間における探鉱を促進させるという意味で、奨励金といいますか、助成金を出そう、こういう規定がございます。これによりまして、この法律ができました当初、昭和三十二年ごろから昭和三十七年までは、ある程度の奨励金を実際に予算に組みまして支出してまいったわけでありますが、昭和三十七年までの経験で、民間のほうでこれを受けてやるところがないということで、昭和三十八年以降は、この奨励金は全然予算計上されておらない状況でございます。この状況から見ましても、核原料物質の探鉱ということは、やはり国の機関である原子燃料公社というようなところで実施さしていかなければならぬということは、はっきりいたしているのじゃなかろうか、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/100
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101・向井長年
○向井長年君 委員長、もう一つ最後に。
小さい問題ですが、本案の中で、現行法は「施行の日から十年以内に廃止するものとする。」、こういう条項があるのですね。今度の場合は、「昭和五十一年三月三十一日限り、その効力を失う。」、こういう表現が使ってあるのですね。これはどない違うのですか、いままでのと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/101
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102・村田浩
○政府委員(村田浩君) 十年以内に廃止するというのは、その実際の必要性が十年以内にもう消滅しましたときには、廃止法案を出しまして、廃止するということをやるわけでございます。この臨時措置法ができました昭和三十一年当時におきましては、そもそも核原料物質というもの、ウラン鉱あるいはトリウム鉱というものが、国内にどのように、どういうふうにあるのかということも、全く未知の状況である、将来の見通しも全く立たないというような事情のときにスタートいたしまして、そういうようなことから、かつまた、臨時の、鉱業法の特例として設けたものでございますし、そういう意味で、通常の臨時措置法の形をとったわけでございます。今回延長するにあたりましては、すでに過去十年の経験というものの上に立って、そうして今後の計画を相当はっきりした形で打ち出せる状況になっており、先ほど来御説明しましたように、十年間に約二万トンのウランを把握する、面積にして一万三千五百平方キロを精査していく、こういうことがはっきり出ておりますので、この計画を実施していくのに必要にして十分な期限があればよろしいだろう、こういうことで考えまして、十年後のこの会計年度の切れるところで失効させるというふうにしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/102
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103・向井長年
○向井長年君 そうすると、十年で切れるが、場合によればまた延長する、こういうことも含ませているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/103
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104・村田浩
○政府委員(村田浩君) 現状におきましては、これをさらに延長する必要はないという判断に立っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/104
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105・向井長年
○向井長年君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/105
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106・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/106
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107・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/107
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108・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
核原料物質開発促進臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に御賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/108
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109・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって、原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/109
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110・秋山長造
○委員長(秋山長造君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午後三時十四分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105113913X00519660414/110
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