1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月三十日(水曜日)
午後二時十三分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 中村 順造君
理 事
稲浦 鹿藏君
山内 一郎君
小酒井義男君
委 員
青木 一男君
内田 芳郎君
大森 久司君
小山邦太郎君
平泉 渉君
米田 正文君
竹田 現照君
達田 龍彦君
前川 旦君
片山 武夫君
国務大臣
建 設 大 臣 瀬戸山三男君
政府委員
建設省計画局長 志村 清一君
建設省都市局長 竹内 藤男君
建設省住宅局長 尚 明君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
参考人
住宅金融公庫総
裁 師岡健四郎君
住宅金融公庫理
事 中村 博正君
日本住宅公団総
裁 林 敬三君
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本日の会議に付した案件
○都市開発資金の貸付けに関する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
○住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
○日本住宅公団法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
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001・中村順造
○委員長(中村順造君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
都市開発資金の貸付けに関する法律案を議題といたします。
質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/1
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002・達田龍彦
○達田龍彦君 この前の委員会で資料の提出を求めて、それでいただいたのでありますけれども、この計画によりますと、初年度の買い上げ予定地というのは、東京と大阪でおのおの一カ所が工場あと地の買い上げ予定地になっておりますが、そこで、一つは、一体これに要する費用はどのくらいになるのか。それから第二点としては、公共用地の買い上げを考えておるわけでありますけれども、この公共用地を買い上げるいわゆる大都市とは、一体どういう範囲の都市を言うのか。しかもその中で、道路、公園、緑地その他の公共施設の買い上げを具体的にどういったところを買い上げようといたしておるのか、そういう具体的な計画があればお示しをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/2
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003・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) お配りいたしております資料の二ページにございます、工場あと地利用の二地区が出ておりますけれども、これは今後やります場合の例でございます。四十年度に行ないましたところではございません。今後われわれがやろうといたしておりますモデル的な例を引きまして、再開発計画というのはおおよそこういう形になるということを御説明したつもりでございます。これにつきましては、したがいまして、面積は出ておりますけれども、事業費はどれぐらいかかるかという積算までいたしておりません。
それから第二点の、第一条二号の「大都市」でございますが、これは政令で定めることにいたしておりますが、一応東京、大阪などの七大都市を対象に考えております。それから、二号において書いてございます「道路、公園、緑地、広場その他の政令で定める公共施設」と申しますのは、幹線街路あるいは相当広い面積を持っております公園、緑地、広場というようなものを政令で指定するつもりでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/3
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004・達田龍彦
○達田龍彦君 そうしますと、具体的に十五億の金でございましたか、それでどういうように工場あと地の買い上げをしていき、それからどういうように公共用地を買い上げていく、こういう具体的な計画は現在事務当局としてはお持ちじゃない、こういうふうに理解してよいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/4
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005・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) これは、この事業を行ないますには、当然貸し付けに関します内部的な規定をつくらなければいかぬと思います。その規定はまだ検討中でございまして、規定がまだできておりませんけれども、大体の考え方を申し上げますと、第一号のほうにつきましては、この法律に書いてございますように、「計画的に整備改善を図る必要がある重要な市街地の区域内にあるもの」というふうに書いてございますので、当然この市街地の整備改善計画というようなものをもとにいたしまして、その地域の中でどこどこの工場を買いたいというような申請をもらいまして、われわれのほうで審査をいたしまして貸し付け決定をする、そういうことになると思いますし、二号のほうの重要な公共施設につきましても、政令で基準を定めまして、その基準によりまして重要なものから審査をしていく、こういうふうなつもりでおります。ただ今年度は金が十五億でございますので、一応一号につきまして十三億、二号につきまして二億の金を貸し付け資金としたい、こういうふうに考えております。したがいまして、二号の金は二億くらいしかございませんので、現実に四十一年度の仕事といたしましては、東京、大阪の大都市に限られることになろうかというふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/5
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006・達田龍彦
○達田龍彦君 この調査によりますと、東京、大阪でもって希望されているのが八十九件の四百五十億ですね。この中から第二ページによりますと、これは具体的な例示だ、こういう話でありますけれども、この例示の考え方によりますと、一つの地域をまとめて買い上げるという考え方に立っておるわけですね。そうしますと、八十九件という、まあいうならば、金の面から、あるいは地域の面からすると、相当大きな金額であり、件数になるわけでありますけれども、その中から一つの地域あるいは一つの区画された区域の工場を買い上げる、こういう構想ですか。それともある区の中から一つを買い、あるいはその他のところから買うという形で十億円ですか、十五億の金を使っていく、こういう考えですか、その点もう少し具体的に説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/6
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007・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) この例にございますように、市街地の整備改善という観点から、ある地区をとりまして、その中の工場の買い上げのしかたでございますが、われわれといたしましては、買い上げ希望のある工場を買い取っていくわけでございまして、幾つか工場を買い上げて、公共団体がそれを保留しておいて、そしてあるまとまった工場敷地がいわば公共団体の公有地に転換いたしました段階におきまして、この地域について各種の事業を実施していく、こういうような考え方でこの地域の再開発をまとめていきたい、こういうふうな考え方でおるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/7
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008・達田龍彦
○達田龍彦君 そうしますとね、それで買い上げるわけでありますけれども、工場は、たとえば首都圏に例をとりますと、首都圏整備法の中における工場の地域開発区域というのがあるわけですね。いわゆる市街地再開発のための市街地の開発区域というのがあるわけですね。そういう場合の関連において、それとの関連はどう考えていられますか、その点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/8
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009・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 首都圏の市街地開発区域整備法におきましても、工業団地造成事業の都市開発区域で行ないました場合に、それに団地を分譲いたします相手方としての工場の選定基準が法律できめられております。そういうような場合の考え方は、首都圏の工業制限区域から出ていくものを優先さして工業団地に受け入れていこうという考え方でございますので、われわれの資金の貸し付けにあたりましても、大体そういうような考え方で取り入れていきたいと考えます。したがいまして、工場の移転あと地をそっくり売り払って向こうへ出ていくというような場合に、市街地開発区域のほうに出ていくようなもの、あるいは新産、工特というように遠くへ出ていく場合もあると思いますけれども、そういうような政策的に工場をそこへ集めようというような地域に出ていくものにつきまして、優先さして考えるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/9
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010・達田龍彦
○達田龍彦君 でありますと、市街地開発区域、あるいは工場開発区域の団地の造成ですね、こういうものは比較的積極的に行なわれておるように見ております。同時にまた、移転をした工場は、そこで工場を建設しなければならぬ、あるいは設備費を必要とするというのでありますけれども、それに対する国の投融資、あるいは資金的な援助、貸し付けというものは、一体どういう規模で、具体的にはどういうふうに進められているのか、その点御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/10
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011・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 工場の移転に関します融資の問題でございますが、これはいろいろの制度があるのでございますが、第一は、中小企業団地というようなものにつきまして、通産省が無利子の貸し付け金を地方公共団体に貸し付けまして、さらに、それを企業に転貸するというような形で資金の融通、あるいは援助ということを行なっております。それから大企業につきましては私はよく存じておりませんが、中小企業につきましては、中小企業金融公庫等におきまして、工場の移転につきましては融資を行なっておりますが、数字につきましては、ただいま手元に資料がございませんので申し上げることができませんが。それから、なお税金につきましては、圧縮記帳の方法によりまして、移転する工場等の譲渡所得につきまして、向こうへ行って買上げる土地なり、あるいは建てます建物との関係を圧縮記帳の方法によって減税の措置をとるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/11
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012・達田龍彦
○達田龍彦君 これは、私はここが非常に重要だと思うのでその資料がほしいのです。工業団地を開発していくという状態、これに対して相当開発は進められておる。それからまた、移転をするわけでありますから、過密都市の弊害を除却するために移転をするのでありますから、それに伴って建設資金の問題、あるいは設備改善の問題に要する費用等については、これまた国が大きく援助ないし補助をしないと、これはなかなか私は、買い上げ用地を買上げてみても、促進しないという結果になるわけであります。でありますから、一体そこら辺の今日の進捗状況というものは、資金の規模がどれだけで、進捗状況がどうなっているのか、それがこの問題とは重要な関係があると私は思うのであります。でありますから、その規模と今日の状況をすぐ説明できませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/12
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013・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 実は私どもがこういうようなことを御提案いたしておりますのも、首都圏の内部におきましては、工業制限がある、さらに、通産省系統では、工場の移転に関して融資その他の措置を行なっている、さらに、税制上の対策も講じられておる。しかし一番の問題なのは、工場の移転あと地を買い上げてもらわなければ動けないじゃないかというような声がありましたので、そういうような施策とマッチさせる意味におきまして、われわれといたしましては、通産省のほうも大いにこれをやってくれということでございましたので、こういうことを提案したわけであります。ただいまおっしゃられた資料は、ただいますぐ金額がわかりませんので、できましたならば後ほど提出いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/13
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014・達田龍彦
○達田龍彦君 非常に私は問題があると思うのは、元来こういう地域の開発の一環として、工場用地を再開発をして、そこに移転をしていく、さらに、市街地をこれまた再開発をして、別に新しい市街地というものをつくっていく、こういう計画があるわけでありますから、その必要性のうらはらの関係で、では一体引き揚げるについて、あと用地は買ってくれるのかという必要性が出てくるわけでありますから、当然そういう計画と予算規模、進捗状況というのは、あなたの部局で押えておって、こういう計画を立てられるのが私は順当なやり方ではないかと思うのであります。そういう面の押え方をしないで、単にこれをつくっていくというのは、非常に私はずさんなやり方ではないか、こういうような気がいたします。特に私が考えているのは、首都圏の整備あるいは近畿圏の整備というものは、きわめて大きな計画、しかも、多くの金が要るのであります。特に工場団地の移転あるいは施設の移転というものは、相当膨大なお金がなければならぬと思うのであります。で、そういう大きな計画に基づいて行なわれるこの改造、開発の問題に対して、あまりにもあと地の買い上げの資金が少なく、考え方が非常に小規模であるという点は不均衡だと私は思うのです。これはやっぱり一面で団地をつくり、そこで工場施設を増大していくというならば、それに匹敵するだけのあと地の買い上げの費用がうらはらとしてなければならぬと私は思うのであります。そういう意味で、この問題は何か非常に表面を糊塗するような、形式だけそういう形でもっていくような気がいたすのですが、そういう意味で私は非常に重要だと思うのでありますけれども、こういう点について、一体当局としてどう考えておるのかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/14
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015・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) おっしゃるとおりでございます。私どものほうでいま資金の量がちょっと調べがつかなかったことはまことに申しわけないと思っております。ただ相当多い、相当の資金が工場移転関係で政府がめんどうを見ております。資金融通が相当行なわれるはずでございますので、ここで、ここにあげました十三億は、もう当然その資金とタイアップいたしますと、対比して考えますと、少ない額になる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/15
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016・達田龍彦
○達田龍彦君 きょう予定が、この法案を上げるか上げないかという問題ですけれども、実は私は、その資料が明確につかめて、できればこれが地域開発あるいは過密都市の緩和の一環として役割りを果たすというならば、資金量においても、あるいは将来の制度のたてまえにおいても、もう少し意欲的な、積極的なかまえを持たなければならぬ内容ではないかと思うのであります。で、実際はその資料がなければ審議が進められないという状況でありますけれども、あとで資料提出をいただくということにいたしまして、将来のこの制度の構想でありますけれども、そういう意味では、私は資金量の問題についてもまず大きな不満があります。さらにまた、この制度それ自体についても、第二号の中には、公共用地の施設の買い上げの問題がこの少ない費用の中で盛られておるという考え方があるのでありますが、総合開発の面あるいは新産都市の面から考えると、そういう面も必要だと思うのでありますけれども、当面重要な問題として、一体何をそのためにどう裏づけしていくかというように、私は、一つの目的に沿って、少ない費用を中心に、それを注いでいくという考え方のほうが、むしろ一つの事業が推進していくんではないかと思うのであります。公共施設の買い上げ等については、これから見ていきますと、ほとんど全国の中で約二億の金をどういう形でつぎ込んでいるのか、全くもって私は、各都道府県の計画ならまだ理解ができるのでありますけれども、国の計画としてそういうものをしていくという考え方も全く理解ができないのであります。そういう意味で、一体なぜ公共用地の買い上げの問題も、こういう少ない資金で、しかもその必要性というのは、開発区域に重点を置くような考え方を持っておりながら、入れなければならなかったか、その点十分説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/16
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017・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) この制度をつくります趣旨については、前から申し上げておるところであります。資金量の面からいうと、全くこれは、この制度とは問題にならないくらいに四十一年度はなっておるわけです。ここでぜひ御理解願いたいことは、こういう新しい制度をつくりますときには、なかなかものが進まないのであります。従来から考えて、大都市の再開発とか公園、広場、その他社会環境と申しますか、生活環境と申しますか、今日の公害その他の問題を解決するという理論が用意周到に論議せられておりますけれども、裏づけする具体策がない。たとえば工場等のこれは適地でない、制限されておる、拡張を許さない、一定規模の公園にしなければ成り立たない。あるいは別の問題でありますけれども、交通輸送の関係からいってもこれは適地でないという、そういうまた別の面がある。かといって、ここを引き揚げると言っても、あと利用させませんから、引き揚げたいけれども、どこかへ移転したいけれども、移転ができない。いろいろな矛盾を包蔵いたしております。それに対して先ほど申し上げましたように裏づけがない、そういう意味でどうしても移転をスムーズにするためには、あと地を利用するといいますか、あとを工場その他に利用するということになってはもとのもくあみでありますから、できるだけ公有地を保存する必要がある。同時に、公有地を広場——たまには高層住宅を建てますけれども、環境のよろしい町づくりの形態をするために公共団体で保有する、まあたまに起債で——東京都あたりでは一般起債でやっておるところもありますけれども、これも利率の問題、あるいは資金量の問題等なかなか思うようにいかない。これを解決するためには、どうしても新しいこういう制度をつくらなければならない。これが趣旨でございますが、残念ながら新しい制度をつくりますときには、なかなか——ざっくばらんな話ばかりして恐縮でございますけれども、役所が理解がない。特に財政当局などは、新しい事業に金を出すということは、わけはわかっておっても、なかなかやらないという実情でございます。それで私どもは、最初は二百数十億の金を予定して要求しておるわけでございますけれども、金額の問題で、議論を立てて、そうしてこの制度をまた一年伸ばすということはどうしても耐えられない。一応制度をつくっておきますと、その成績をあげていけば必ず当然資金量をふやさなければならない、こういう事態になるのが通常でございますので、これは全くこういう資金量でこういう法律を提案するというのは、率直に申し上げておかしいじゃないかという考えが出るのは私はよくわかります。しかし、この際制度を打ち立てて、いままで前進しなかったことを前進させて、これはやはり数百億の少くとも資金量を将来持つようにならないと、いま議論されておりますような問題も解決をしないと思っております。そういうつもりでありますので、どうかひとつ将来を期するのだということをぜひ御理解願いたいと思います。
それから先ほど、なるほどこれは世論が——しからばほかに団地等の関係で移転して、そうしてどういうふうにするか、向こうに移って工場を整備する資金はどうだということをお尋ねになって明確にお答えができないのは、まことに残念でございますけれども、これは役所のチームワークのうまくいかないところで、率直に私は聞いておったのでございますが、それは実はいろいろ打ち合わせておりますが、資料ができればすみやかにあとでも出したいと思いますが、そういうことでございますので、どうか御理解願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/17
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018・中村順造
○委員長(中村順造君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/18
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019・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/19
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020・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
都市開発資金の貸付けに関する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/20
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021・中村順造
○委員長(中村順造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全回一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/21
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022・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/22
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023・中村順造
○委員長(中村順造君) 次に、住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続き質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/23
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024・前川旦
○前川旦君 簡単に二、三の点お尋ねしたいと思います。
まず、最初にお伺いしたいのは、御承知のとおり、ILOで労働者住宅に関する勧告一一五号というのが出ております。これはまだ批准もされておらぬというふうに思いますが、あるところで聞いたところによりますと、政府もこの趣旨には賛成であるというふうなお話を伺ったわけです。そこで、この労働者住宅に関する勧告第一一五号について、この趣旨について政府はおおむね賛成であるというふうに伺いましたが、そのとおり増えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/24
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025・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 住宅問題に対するILOの勧告の中で、できるだけ、労働者と申しますか、勤労者が拘束を受けないような措置をとるべきである。もう少しかみ砕いて言いますと、いわゆる使用者側から住宅を提供する、こういうことは、人間の社会でありますから、どうしてもそのために労働者の心理的自由を束縛するおそれがありやせぬか、こういう問題だと思います。できるだけそういうことが各国いろいろ事情があるかもしれぬけれども、できるだけすみやかにそういう事態がないように住宅を建てる政策を進めるべきだ、こういう趣旨の勧告であります。私どもは、原則としてそうありたいということで、賛成といいますか、考えておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/25
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026・前川旦
○前川旦君 それでは重ねてお伺いいたしますが、この一一五号の勧告の一般原則の第四章の中に「使用者がその労働者に直接住宅を提供することは、」「一般的に望ましくないことを認識すべきである。」、こういう文言がはっきり書いてございますが、その点についても、これは望ましいことではない、そういうふうなお考えをお持ちになられるのかどうか、お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/26
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027・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 原則としてそうあるべきだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/27
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028・前川旦
○前川旦君 同じく続けて、社宅が使用者により供給される場合には、「労働者の基本的人権、特に、結社の自由は、認めるべきである。」、こういう文言がございますが、これについても御賛成であろうと思いますが、御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/28
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029・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) それも別に異論のないところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/29
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030・前川旦
○前川旦君 もう一つだけ伺っておきます。第五章の第十四項でございますが、「政府並びに使用者団体及び労働者団体は、協同組合及びこれに類する非営利の住宅協会を奨励すべきである。」ということばが入っております。この点についての御意見を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/30
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031・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私は、そういう何と申しますか、確実なと申しますか、ゆるぎないそういう方法ができることを好ましいことだと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/31
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032・前川旦
○前川旦君 それでは、この法案について一つ二つお伺いをしたいわけですが、特に労働者に住宅の分譲をすると、特に今度五千戸ということだったと思いますが、この際これをなさろうというのはどういうお考えなのか。労働者の住宅というものについてはどうあるべきだというふうなお考えからこういうことにされたのか、お尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/32
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033・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 私どもは、今度五千戸ぐらいのものを産労住宅式に建ててそれを分譲したい、分譲制度を新たにつくりましたのは、御承知のように、従来は賃貸で産労住宅をやっておったわけであります。まだほかにもありますけれども、やはり人間の気持ちとしては、最終はだれしも自分で家を持ちたい、大小さまざまありますけれども、大でなくてもいこいの場というものはみずから持ちたい、私は人間の通常の心理だろうと思います。そういう意味で、同じ資金を出しても、家はどうしても早く建てなければなりませんからいろいろな手法をとりますが、建てるならばやはりある程度家賃として払いながら将来は自分のものになるんだ。こういう希望を持ちながら払うのと、いつまでたってもやはり貸し家は貸し家で家賃を払うだけだというのとは相当違いがあろうと、一つの試みとして、将来はそこに住んでおる勤労者のものになりますということを試みにやってみようじゃないか。ILOのさっきの勧告との関係がありますが、最初から、そういうことで使用者側に関係なく全部やれる態勢であればそれが一番好ましいのでありますけれども、民間資金もこれはできるだけ導入しなければならない。その使用者と称する人もできるだけそういう資金を住宅建設に回してもらいたいと、私、常日ごろ要請もし協力を求めておるところでありますから、その中の資金で建てたものも、将来はやはりできるだけ勤労者のものになると、こういう制度は一歩前進であろうと、試みにやってみよう、どのくらい消化ができるかということについては、これからの問題でありますから、まあ五千戸程度やってみようということで、これは別な話になりますけれども、公団のほうでも、今度新たにやはり一定期間賃貸をし、それから後自分のものになるという賃貸分譲住宅というものを、今度約五千戸でありますが、計画をしておるのは、そういう趣旨であります。で、わりあいに払いやすい方法でまあ相当程度の規模の住宅が自分のものになる、こういう制度を二つ並べてやってみようじゃないか、まあこれは試みといえば試みでありますが、これが成績がよければだんだんそういうふうに進んでいきたい。根本的に申し上げますと、先ほどILOの話が出ましたが、これはできるだけ使用者の金も入れないでどんどんできるという事態が望ましいのでありますけれども、いろいろな資金を導入したい、こういうことで試みておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/33
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034・前川旦
○前川旦君 それでは、これが実際実現した場合に、その債権債務の関係でございますけれども、一体どこが債権者になってだれが債務者になるのであるか、そのつながりについて御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/34
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035・尚明
○政府委員(尚明君) まず、このやり方につきまして申し上げますと、いま私ども研究いたしておりますものに、大別して二つの方法を考えております。一つは、住宅金融公庫が企業のほうへ貸してそうして企業がお金を貸しまして、で、企業が従業員との間に分譲契約を結んで行なうという場合でございます。それからいま一つは、住宅供給公社を利用いたしまして、あらかじめ企業からのいろいろの申し込みを受けまして、そして地方住宅供給公社が住宅金融公庫の融資を受けて建てて、そして予約に応じて各企業に売るという方法、そして各企業がさらに従業員に売るという方式をとりたい。この二番目の、地方住宅供給公社を通すというのは、なぜそういうことをいたしますかといいますと、一定の会社のみで団地をつくったりアパートをつくって従業員に貸しますと、かりにその退職してからも、もとその会社につとめた者ばかりの一つの集団になって、せっかく持ち家をつくりましても持ち家の感じが出にくいということもございますので、そういう場合は、それはそれで一つの方法でございますが、いま一つは、供給公社が大きな団地開発等をいたしまして、その中の一部にこの種の従業員、産労分譲住宅なり家をつくりまして、そして会社を数社なり数社に分けて売ります。そういたしますと、退職した後等にはいろいろの会社の方が、その会社につとめている最中及びやめても入っている混合社会ができまして、その会社の拘束が将来にも長く及ぶということがないというふうに考えております。
以上のようなやり方がございまして、そこで、その所有権の問題でございますが、これも実はそれぞれのやり方でいろいろございますが、私どもいま考えておりますのは、やはりこれも二つの方法を考えておりまして、まず、所有権は全部従業員に移してしまう。そのかわり企業はそれの債務を保証しなければならない義務を負わせるという考えでございます。それからいま一つは、企業が所有権を持っていて、そして従業員に分割して払い終わってから渡すという方法でございます。で、私どもとしては、その二つのうち、でき得る限り所有権が従業員のほうへ早く移るような方法を考えたいと思っております。で、もし企業が持っていて従業員に移る場合でも、仮登記の形におきまして、所有権が、もし会社がつぶれたりなんかしたりしても必ず従業員にいくという保証を仮登記の方法その他によって行なうということにして、究極従業員にいくことを確実に確保いたしたい。これはいま私ども、そのいろいろな供給方法があるものですから、いま申し上げたような一つの方法だけにするとかえって窮屈になる可能性がありますので、いろいろ考えているわけでございますが、いずれの場合でも、精神といたしましては、なるべく、もう必ず従業員に——会社にもし何かのことがあった場合でも、必ず従業員のものになるということを確保する方法ということをいたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/35
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036・前川旦
○前川旦君 そういたしますと、住宅金融公庫の融資はだれに対してするわけですか。企業に対してするわけですか、個人に対してするか、その債権債務の関係は一体どうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/36
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037・尚明
○政府委員(尚明君) そこで、いろいろな供給方法がございますので、住宅金融公庫の融資を企業に行なう、つまり第一には、企業になっている場合が一つ考えられます。それから地方住宅供給公社、これに公庫で第一の債務を負うものがなる場合もあります。しかしながら、実はこういうことが考えられるわけでございます。企業がやはり相当の間融資をいたしているわけでございますので、まあ企業は当然、たとえば供給公社から買う場合でも、企業はまた供給公社に対してさらに債務を負うというふうになります。そして、実はこういうことがあるわけでございます。企業につとめている間はいいんですけれども、従業員がそれをやめますと、企業との間が切れる、その場合に、企業との間は貸借関係を退職金その他によってきれいにすると、そうすると、また公庫からの融資分についての返済という問題がございます。そういう場合は、従業員がいきなり公庫との契約にするかというようなことをいま研究しているわけです。きさくな申し上げ方をしてたいへん恐縮でございますが、やり方をなるべく従業員に有利にしようということを考えております。そうして住宅供給の方法にいろいろなやり方が考えられるものですから、いまはっきりこれときめたということを申し上げにくいわけですが、いま考えております方法はそういう方法でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/37
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038・前川旦
○前川旦君 どういうふうにしてそれを運営するかということの具体的なプランがまだ検討中でありながら、法案だけ通すというのは、私ちょっと不可解なんですが、それはそれとしてあとでまたあれいたしまして、ただいまの御説明でまだのみ込めないところがありますが、供給公社の問題はちょっと除外して、企業の問題だけを考えてみた場合に、典型的な例であろうと思いますが、住宅金融公庫は企業に対して金を貸す、その場合の債権債務の住金との問題は、企業が債務者となり、住金が債権者になる、このように考えていいわけですね、よろしゅうございますか。そうなりますと今度は、その家へ入った労働者の側からとってみた場合に、この労働者が融資を受けておる借金の債権者は一体どこになるか。住宅金融公庫になるのか、企業になるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/38
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039・尚明
○政府委員(尚明君) その場合は企業でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/39
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040・前川旦
○前川旦君 企業になる。——そこでひとつお尋ねしますが、住宅金融公庫ですから、抵当権は当然設定されますが、抵当権の設定の対象となる物権は、建てた建物になり、土地なりになるのか、あるいは会社の財産から選ぶと、その辺のことについてどうお考えになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/40
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041・尚明
○政府委員(尚明君) その建物を原則といたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/41
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042・前川旦
○前川旦君 そこで所有権の移転なり、あるいは保存登記をするわけなんですが、その場合に、一つは、分譲を受けて直ちに所有権が移転できるという場合、いわゆる短期の場合。それから長期でこれをやるという二つの種類があると思います。先ほどその辺があいまいでございましたので、どういう計画を主として考えていらっしゃるのか、もう一度お聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/42
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043・尚明
○政府委員(尚明君) 先ほど申しましたように、長期と短期のことなんでございますが、二つございますが、いま私ども考えておりますのは、でき得るならば、なるべく短期の形式にしたいと思っております。しかし、まだ供給の方法いかん、たとえば住宅供給公社を間に入れたほうがよかったりする場合の——供給した場合にもそうしたほうがいいか……。できるだけ短期分譲方式に近い方法にしたいというふうに考えております。そこらは決定的にこうするということはまだ研究中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/43
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044・前川旦
○前川旦君 短期で分譲を受けた場合に、その入っている労働者の側から見れば、所有権は自分にあると、そうして住金から借りた金、この分の債権者はやはり企業であるというふうに見てよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/44
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045・尚明
○政府委員(尚明君) いま私申し上げましたように、短期と申しましたが、短期にすっかりなかなかし切れない問題もあるかと思いますけれども、私のほうでいま考えておりますのは、債権債務の関係を、公庫と事業主体である企業との間にして、そうして所有権を仮登記の形で、従業員のほうに仮登記の形で担保するというような方式はいかがかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/45
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046・前川旦
○前川旦君 先ほど大臣のお答えにもありましたように、いま住宅金融公庫で貸す金の量は、現状と非常に食い違っております。頭金だけがあればいけるということじゃなくて腹金から足金まで全部要るということが皮肉に言われている状態になっているわけです。したがって現状としては、その労働者が分譲を受ける場合に、住金だけではもちろん足りない場合がたくさんあると思うんです。その場合に、おそらく企業から金を借りなければいけないような問題が起きると思う。それは先ほど建設大臣おっしゃいました、そういう実例が起こると思います。その場合には、これはひとつお尋ねしますが、抵当権の設定について、その企業が第二抵当の抵当権を設定することをお認めになるのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/46
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047・尚明
○政府委員(尚明君) 企業が第二抵当でもほしいということの場合は、第二抵当でもいいという考えをいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/47
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048・前川旦
○前川旦君 住金で第一抵当がついていて、それからその第一抵当のついている土地、建物に第二順位の抵当権を設定するためには、住金のほうで制限をなさっているようでございますけれども——承諾書というような形で制限なすっていると思いますが、それについて企業から金を貸したから第二順位の抵当権設定したいと、普通金融機関の場合は、審査してたいてい第二順位認めているようでございますが、その場合にこれを認めると、その辺の基準はどういうふうに見て認めたり認めないようにしたり、その辺の大まかな基準というものを考えていらっしゃるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/48
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049・尚明
○政府委員(尚明君) いまのところ、まあはっきりした基準という形は考えておりませんけれども、実際の問題としては、企業がこれに対して勤労者のために当然頭金その他としての長期低利資金を応援するわけでございますので、そういう応援の度合い等も考えた範囲の通常の認める範囲という考え方をしたいと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/49
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050・前川旦
○前川旦君 その所有権の移転が、普通住宅金融公庫から借りて家を建てるときのように、これは保存登記と抵当権設定登記を同時にして初めから自分の持ち家にするという場合と若干違って、いまの住宅局長の御説明では、なるべくそういう短い期間にいきたいけれども、なかなかストレートにそうはならぬだろうというように私は承ったわけです。そうしますと、結局、いわゆる長期の何といいますか、短期分譲じゃなくて長期分譲的な要素というものを無視することはできないと思うわけです。その場合ですね、人が中に入っていて長期分譲であれば、結局ある程度の期間というものはその不動産の所有権というものは企業にあるというふうに見ていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/50
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051・尚明
○政府委員(尚明君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/51
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052・前川旦
○前川旦君 労働者が中に入っていて、そしてその建物の所有権がたとえ仮登記——これは所有権、請求権保存のときだと思いますがね、たとえ仮登記をしていたにしても、結局所有権が企業にあるということは、先ほど瀬戸山さんのおっしゃった持ち家、自分の家を持ちたいのは、これは人情だからという、持ち家を推進したいという瀬戸山さんのお考えと若干矛盾のする面が出てくるのじゃないかという気がするわけですが、その辺でもう少し御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/52
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053・尚明
○政府委員(尚明君) 先ほど大臣も申し上げましたとおりに、できるだけ個人に直接供給公社等をもって分譲住宅を公的に、公共企業が供給するということが大きな眼目ではございますが、今日のわが国の実際の状態として、やはり現に社宅の制度等がある程度行なわれておる現状におきましては、やはり企業にそれ相応の協力をしていただくということが、住宅問題を片づける上に一つの大きな要素をなしております。したがいまして、今回も企業からも相当の低利長期資金を協力するという形で最終の従業員に家が渡るようにするわけでございます。したがいまして、企業が協力しておる以上、企業というものが全然債権等においてかかわりないということにするにはやはり困難があろうというふうに考えまして、そこで——申し忘れましたが、この融資をいたしますにつきましては、御承知のように、現に社宅の場合でございましても、公庫の貸し付け条件の中に、企業とその従業員とで住宅の管理のしかた等について協議会を設けて、その協議会等で家賃や入居者の選考等の方針をきめて、労使双方の意見の合った案を持ってきていただく。それに対して社宅融資するといういまの制度をやっておりますが、これをこの場合にもやはり生かしまして、労使のそうした住宅管理協議会というようなものでの結論を得た方式で、かつ、われわれのほうから見て妥当であると思うものについて融資をすると、こういう方式をとって融資いたしたいと思います。しかし、先ほど申しましたように、企業の協力を得ておる関係もございまして、まあある程度企業がそこに入ってくるという形をやむを得ずとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/53
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054・前川旦
○前川旦君 もう一つお伺いをいたしますが、普通であれば、住宅金融公庫の金を借りて家を建てた場合に、その入った当人から見ると債務は住宅金融公庫に対してあると、これはもう普通の例であるようです。この場合は余分に企業というものが一つ中へ入ってくるわけですから、そこで、貸した金の保全という場合を一つ考えてみた場合に、支払い不能になるという場合が余分に一つ加わるわけです。一つは、入った本人が支払い不能になった場合にはどういう措置をするのか。もう一つは、企業そのものが支払い不能になった場合にはどういう措置をするのか、これについてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/54
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055・尚明
○政府委員(尚明君) まずこれはこういうふうな形でございます。企業が公庫に対して債務を負いまして、そうして自分の従業員から長期割賦代金を集めてまとめて、自分の分はもうもちろん自分に返してもらうわけで、公庫に返す分は、その中から公庫に返す分だけを取り出して公庫に返すというわけでございます。そこで、御本人が何らかの理由でその契約に応じた割賦支払いができなくなったということになりますと、おそらく企業としては債務が十分履行できないので、たとえばどうしても払えないなら出ていってくれ、あるいは賃貸社宅のほうへ移ってくれというようなことになって、そうしておそらくさらにそのあとを欲しておる他の従業員に債務を継承させることになっていくというようなことをとるのではないかというふうに、また、そういうふうに私どもは指導したいと思います。
それから企業が公庫に対して債務が不履行になりました場合には、私どもとしては、まあ、たとえば会社が倒産とかいうようなことだと思うのでございますが、そうした場合には、その企業との債務関係を個人との間に切りかえて、そして個人がその後も公庫に対して債務を払っていただくのなら、そのままその所有にいたしたいということを担保する方式をとりたい、こういうふうに——しかし、その中で公庫に対して依然として債務が企業の分というのが残るとすれば、これは公庫としては、さらにこの債務を履行すべき問題を別の問題で追及するということになると思います。個人との関係、そのいわゆる従業員との関係は、なるべく従業員がそのまま家にいて、そのままお払いになれば、普通の分譲住宅みたいに切りかわってしまうわけでございますが、そういう措置ができるようにしたい、そういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/55
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056・小酒井義男
○小酒井義男君 関連して。いまの問題ですね、こういうことはあまりないかもわかりませんが、個人は企業に対しては金と支払っておった、企業が公庫に対して金を払っていなかったというような場合にどうなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/56
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057・尚明
○政府委員(尚明君) ちょっと私、先ほど企業が倒産した場合のお話を申し上げました。まあその場合、私どもとしては、いまあまり十分捕捉しておりませんが、私の考えでは、極力企業に対して取り立てをやる、しかし、どうしても企業というものがそれを履行できないようならば、その住宅については、企業と切り離して、むしろ個人と公庫との関係にして、企業はその住宅に対して——まあしかしそこのところは実際問題として、そういうときどういうふうに運ぶか、まだ債務の残っている状況その他において非常にむずかしいところだと思いますけれども、それに応じて処置したい。いずれの場合でも、最終、その家にいる従業員の方は、直接はなるべく迷惑をこうむらないようにいたしたいというようには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/57
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058・小酒井義男
○小酒井義男君 それははっきりしておいてもらうほうがいいと思うのですが、なるべくというようなことでなしにですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/58
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059・尚明
○政府委員(尚明君) まあ非常に重要な問題でございます。場合によっては、これは研究いたしまして、そういうことの事態に対処するために増し担保でも取って、場合によって住宅に影響を及ぼさないような担保の取り方ということを研究しなければならぬと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/59
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060・前川旦
○前川旦君 いま小酒井理事の質問ですが、よくそういう例が実際あります、現実に。労働者からはちゃんと金を取りながらほかへ横流ししてしまった、こういう場合あるわけですね。その場合に、なるほどそれは別の問題として処理するとおっしゃったけれども、その労働者自身はちゃんと金を払っているわけです。本人は払っているわけですね。そうなると、かりにその金が企業で使われて住宅金融公庫へ入ってなくても、住宅金融公庫としては、その間の支払いがあったものと認めていかない限りは、結局その企業のしわ寄せが個人にいくということに私はなると思うのです。そこで、その問題はこれは大事な問題ですから、明確に私はしていただきたいと思います。
もう一つ、それと関連いたしますが、個人が今度支払い不能になって、先ほどあなたがおっしゃったように、出てもらいたい、こういうようなあれがあって、あと次に人を入れるんだと、この場合には所有権というものは一体どう考えればいいのか。一つには、そのときに長く入っている本人に所有権が移っていた場合、この問題ですね。そうなりますと、いままでその人はかなり長い間金を払っているわけです。何年かかりに金を払っているわけですね。それを途中で出ていく場合、特に所有権がまだ企業に残っておるような場合、本人の手になっていないような場合を考えた場合、一体本人が金を払いながら、かなり多額の金を長い間払いながら出ていった場合には、一体所有権というものは、その人には何のあれもなくて、あとの人が残りのあれを払えばそのあとの人に所有権が確定する、こういうふうなことはちょっとおかしい、矛盾じゃないかと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/60
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061・尚明
○政府委員(尚明君) 実はそういうことはいままで分譲住宅や何かやっても、ときどき勤務の都合あるいは疾病等でもって起きるわけですが、この場合こういうふうになっております。たいがいその移られる方は次の移る方に対して所有権を譲るにあたって、いままで自分が払った分はちゃんと取って、そうして所有権を譲る、そうしなければ譲った人としてはあまりにも不得になりますから、やはりそういう形で売買の形が行なわれて債務が継承されます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/61
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062・前川旦
○前川旦君 それじゃその場合は、要するに、その家を売ればいいのだというふうに考えていいのじゃないかと思うのです。
それじゃもう一つお尋ねをしますが、先ほど企業が金を借りる場合には、第二順位の抵当権を設定する場合もあり得るとおっしゃいました。これについては住宅金融公庫で一応第二順位の抵当権設定についての許可を要すると、こうなっておるわけです。ところが、これは許可なくして実はやっておる場合がたくさんあるわけです。たとえば町の金融業者等が——住金が第一順位であるのに、第二、第三が高利貸しの抵当権設立になっているという場合がたくさんある。これはこちらから一応届け出て許可してもらうのですが、届け出てなければそれはそのまま通るわけで、そこで、その建物の所有権が企業にまだある場合を仮定した場合、企業が左前になって、中の本人の承諾も得ずして、あるいは住金の、第一順位の抵当権設定者の承諾も得ずして、かってに第二、第三の抵当権設定者に、企業の利益のために売る、そうして仮に支払い不能になると、第二、第三の抵当権設定者からたとえば競売の手続がとられる、こういうふうになった場合、中に入っておる本人は何ら関係ない、企業の責任ですね。企業に責任がありながら追い立てを食うというような場合が出てくるのじゃないかということを懸念するわけです。その辺についてのお考えはどうなっておるのか、お尋ねしたいわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/62
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063・尚明
○政府委員(尚明君) いまのような非常に不幸なケース等もあるので、全部担保するための方法としては、一つ考えられますのは、思い切って所有権を個人に移してしまって、そうして物上担保というような形で公庫との関係を出して、企業と公庫の間が債権債務になります。そこで所有権は個人に移す、ただし、個人の債務不履行に対しては企業が保証するというような方式でいくという方法等も考えられるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/63
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064・中村順造
○政府委員(中村順造君) 前川君、委員長から申し上げますが、本日本委員会に参考人として住宅金融公庫の師岡総裁、中村理事のお二人が出席しておりますから、申し添えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/64
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065・尚明
○政府委員(尚明君) なお、いま申し上げましたように、実はいろいろ公庫とも協議して研究中でもございますし、いま公庫の総裁も出席しておられますので、公庫のいま研究している結果を補足して説明さしたいと思いますので、よろしく願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/65
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066・師岡健四郎
○参考人(師岡健四郎君) ただいまのような事例の場合でありますと、まず、先ほど局長からも御説明がありましたように、本人に、購入者に所有権をできれば移してまいりたいと思っております。したがいまして、これが他人の手に売られてしまうというようなことは起こりません。それから長期分譲方式で仮りに所有権を移さずに仮登記あるいは保存登記をしておくということになりますれば、これはまたその登記の効力がございますから、かってに他人に売られてしまうということは起こり得ないと私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/66
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067・前川旦
○前川旦君 私お伺いをしたのはこういうことなんです、ちょっとことば足らずでしたけれども。その建物の所有権が企業にあって、まだ半分払い切ってないからまだ本人の所有になってない、企業にあるわけです。その所有権が企業にありますから、仮登記があろうと何であろうと、それは公庫にないしょで第二、第三の抵当権の設定をすることは可能であろうと、その抵当権をもって転売その他の手続がとられた場合に、一体、それはどういう救済の措置があるのかということをお伺いしたわけなんですので、もう少し明確にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/67
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068・師岡健四郎
○参考人(師岡健四郎君) そういう場合でありますと、実際売られるということも起こりかねないわけでございます。したがいまして、この分譲をやります場合に、できれば、先ほど申しましたように所有権を移していくという形をとってまいりたい。それからいまお話しのように、所有権が会社にまだ残っておるという場合には、私どものほうで貸し付け契約をします場合に、実際に企業から従業員に分譲する分譲契約内容を十分審査しまして、その分譲契約の条項の中にそういうことの起こらないような規定を置かせるというような指導をしてまいりたい。これによって大体そういう事態が起こらないことが保証できるのではないかと考えております。これに対して違反すれば、会社に対してその責任を追及していくという形になりますので、大体、その購入者に迷惑がかかるというようなことはそうは起こらないんじゃないかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/68
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069・前川旦
○前川旦君 先ほど尚住宅局長のお話では、いつ所有権の移転をやるんだと、その時期についてあいまいなお話であったように私は思うわけなんです。ただいまの師岡総裁のお話では、すみやかにやりたいというお考えであったように伺います。普通これは金融公庫で金を借りた場合には、保存登記と同時に抵当権設定登記があると、結局、そこで自分の名義となるわけですね、初めから。それが普通行なわれておる。そこで、そういうやり方をやらない限りいろいろな矛盾というものが起きてくると思うのです。先ほど申しました、それじゃ、会社に所有権がある場合には、途中で出ていく場合には、それは売るといったって売れないのです、会社に所有権がある限り売れませんからね。これも一つの矛盾になるわけです。そういう意味からは、やはり住金で融資をして分譲した時点ですぐにまた所有権というものをはっきりと中に入った者に与えていかなければ、運営上非常に困る問題が起こるのじゃないかということも考えるわけです。その点でお二人のお話は、そうしたいと思いますとか、いや、ある程度時間がかかるとか、ちょっとややっこしいので、その点の考えをやはり明確にしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/69
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070・尚明
○政府委員(尚明君) 一般的に申しまして、私が十分の明確さをもってお答えしなかったのは、住宅金融公庫との間で、方向として、なるべく個人に直接所有権を早く移す方向で考えようという原則論は話してございますが、それを、供給のしかた、全部のケースの場合に当てはめての検討が実は全部まだできておりません。で、いま総裁が申されたように、私の意思としても、先ほどから、できるだけと申しましたように、全体としては早く従業員に所有権を移すほうがいいだろうということになっておりますが、先ほど申しましたように、地方住宅供給公社を通じて供給したほうがいい場合、企業から直接のほうがいい場合、そのほか、この法律にありますように、二号法人からの場合と、いろいろな場合がございますので、その吟味がまだ全部できておりませんので、これは若干はっきり申し上げ切れなかったというのが実情でございます。
なお、先ほどからるる申し上げますように、何と申しましても従業員の所有権の担保ということが一番重要な問題でございますから、それにつきましては、できるだけその線で答えを出したいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/70
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071・前川旦
○前川旦君 おしまいにもう一つ尋ねておきますが、さっきの聞き直しになるかもしれませんが、結局、その家へ入った本人の立場から見るならば、その本人が借りている金の出所、つまり債権者ですね、本人にとって。これは住金ではなくて企業だと、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/71
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072・尚明
○政府委員(尚明君) 形の上では企業になります。しかし、先ほども申し上げましたように、その契約その他の内容をつくりますときに、当然公庫から幾ら借りて企業が幾ら出してというようなことが住宅管理協議会で話されてございますから、従業員はその内容はもちろんよく知っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/72
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073・前川旦
○前川旦君 私たちが住宅金融公庫から金を借りる場合に、これは普通の銀行の窓口で借ります。しかし、私たちの感覚の中には、これはその銀行から借りたのではなくて、住宅金融公庫から幾ら金を借りて建てた、こういう感覚になっております。ところが、債権者が企業であるということになると、その企業がその金を住金から借りようが、あるいはどこから借りようが、あるいは企業のみずからの金を出そうが、債権者が企業であって、持っていって払うのも企業だと、請求するのも企業だと、こういうふうな実態になる場合、これはその労働者の気持ちとしては、これは自然に企業から金を借りて家を建てたのだ、私は自然にこうなると思うのです。この中に住金から幾ら入っておるとか、あるいは何がどうだと、こういうことが幾ら書いてあっても、結局金を払うのは企業であり、世話になったのは企業である。それからそのほか頭金、腹金を借りたのも企業である、こういうことになりますと、その労働者の気持ちの中には、その企業から金を借りたいという一つの気持ちというものは、私は自然に固まっていくのではないかと思う。その企業を通り越して住金と直接債権債務があるというのであれば、これは住金という公の機関から金を借りておるのですから、その点で企業意識が入ってくる余地はありませんけれども、企業を通じて金を借りておるということになれば、非常にその点で困る問題が出てくるのではないか。特にこのILOの精神とはだいぶ食い違いが出てくるのじゃないか、こういうふうに思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/73
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074・尚明
○政府委員(尚明君) いまの公庫の金を銀行の窓口から借ります場合は、これは全く貸していただくお金の全額が住宅金融公庫から出ておるわけでございまして、まあ銀行は手数料その他だけの問題でございますから、そういう感触が強うございます。企業が間に入ります場合は、この場合は公庫も貸しますけれども、頭金相当につきまして企業も貸すわけでありますから、一番正確な認識は、企業からかりに四割、公庫から六割来ているということがはっきりわかれば一番正確な認識になるわけでございます。ですから、そこで私どもとしては、先ほど申し上げましたように、決して企業が自分で全部貸して、それを貸したことによってその住宅に関する支配をするというようなことのないように、この住宅の融資をするにあたりましては、従業員とちゃんと話し合って、入居者の選考あるいは分割代金の払い方等をちゃんとした契約その他を見て、そうしてそれが公正妥当と思いましてから初めて企業に貸すという方法でいきたい、したがいまして、従業員のほうは、当然今度の家は、公庫からも幾らのお金が借りられている、その金利が幾らについているということも全部御承知の上で入られるという形になるわけでございますし、また、それを積極的に私どもも明確にわかるようにいたしたいと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/74
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075・前川旦
○前川旦君 社宅に入っておる場合であれば、その会社をやめれば社宅を出ればそれで済むわけです。実害はありません。で、この場合には、企業から金を借りておるわけですから、自分がその会社をやめようと思っても、全額それを払ってしまわなければやめることができません。かりに退職金で全部それが済むことができればいいですけれども、それも満たない場合には、結局金に縛られて、その職場に縛られるという点、こういう結果が出てくると思うのです。ということは、ILOの精神からいうと、いまの社宅でさえ問題があるのに、より一そう企業との従属関係を強めていくのではないか、こういうように思うわけです。御意見承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/75
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076・尚明
○政府委員(尚明君) その点につきましても、契約内容に公庫が立ち入りまして、その退職時にいかなる条件にするか、これが非常に過酷な条件にならないように、妥当と思われる場合にこの貸し付けをするというふうにいたしたいと、こういう考えであります。確かに退職のときどう対処するかという問題は、非常に重要な問題だから、ILOの精神を生かすか生かさないかのこの制度の上の非常に重要な問題であると私ども認識しておりまして、これについては十分審査して、妥当と思われる契約であれば貸す、それが妥当な契約でない場合は私ども貸さないということでいきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/76
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077・前川旦
○前川旦君 過酷な契約とか、そういった内容を過酷であるかそうでないか別として、いずれにせよ、企業から借りた金と、住金の金も企業を通じて借りるわけですから、債権者は企業です。いずれにせよ、企業に対して労働者は借金ができるということ、労働者が企業に借金をするということについて、それが一体労働者と使用者との間の原則として、一体これは正しいことなのかどうか、労使の近代化についてこれは逆行するのではないか、こういうふうに私は思うわけですが、御意見承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/77
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078・尚明
○政府委員(尚明君) 私どものいまの考えといたしましては、この産労分譲住宅を別段強制するという気持ちは持ちたくないわけでございまして、労使で話し合ってそういう制度のもとにでも、家を長期にわたって持ち家として求めたいというお話ができた場合についてお貸しするという考え方をとっております。かつ、その場合に企業がお貸ししたお金の貸す期間、金利、そういうようなものについても、当然、いわゆる一方で地方住宅供給公社が積み立て分譲をやっておりますので、ああいう条件を上回るようなことをするならば貸さないということでいきたいということで、一つのものさしに地方住宅供給公社の分譲住宅のつり合いというものを考えたいというふうに考える、それ以外の条件で、それよりも従業員に有利な条件で貸すようなものについてこの貸し付けをいたしたい、こういうように考えております。
そこで、お話の企業がお金を貸すことはどうかということでございますが、現にこの公庫の融資等とは全然離れまして、企業からお金を借りて従業員が自分の持ち家を建てているというような会社も相当数最近ございます。これらは両者合意で一定の条件のもとに契約していられるわけでありまして、その制度がいいか悪いかということ自体は、これは私は強制するなら、いい悪いという問題が出てまいりますが、両者合意でやっていらっしゃることでございますので、大体その線をもう少し組織的にいたしたいということを考えただけのことでございますので、特段それをいいか悪いかといって厳密にお返事はできないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/78
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079・師岡健四郎
○参考人(師岡健四郎君) 先ほど来の御質問でございますが、何と申しますか、観念が混同しているようなところがあるのじゃないかと思うのでございます。と申しますのは、この分譲住宅を建設するまでは、公庫が金を貸したものが一部分、それから企業があとの足りない自己資金というものを補足して建てるわけでございます。この建てましたものを従業員に分譲するわけでございますが、この従業員が講入するという段に相なりますと、法律的に申しますと、公庫からも、会社からも借りてないのであって、講入した代金を分譲契約に従って割賦金を払っていくという形になるわけでございます。そこで、分譲契約の中に割賦金の支払い方法はすでにきまっておることでございますから、やめた場合にも変わるはずはないのでございます。その分譲契約の中に、万一退職のときに、一時金で支払えとか、残った債権を全部払えということがもしも書いてあるような分譲契約の場合は、これは私どもも貸し付けをいたしません。したがいまして、分譲契約を十分に見ますれば、分譲契約の内容がしっかりしておれば、いまやめた場合に、いままでよりも不利な支払い方法になるということは全然起こらないと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/79
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080・前川旦
○前川旦君 私は、やめた場合というよりも、むしろやめたいと本人が思った場合に、やはりあなたのおっしゃった割賦金ですね、割賦金ということばはずいぶんおもしろいことばですが、要するに、企業に借金が残っているのですから、弁済していくと考えていいと思うのです。企業をやめたい、よその企業に移りたいという場合でも、結局はその金を全部、全額払ってしまわなければよそに移れないという弊害が出てくるのではないか。で、たとえば資本の側からいっても、労働力の流動という面からいって若干問題があると思う。労働者の側からいっても、このILOの、要するに職場以外の、労働時間外の支配者による労働の強制というものをなくしようという趣旨からいうと、かなりこれははずれてくるのではないかと案じているので、その点をお伺いしたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/80
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081・尚明
○政府委員(尚明君) 御指摘のとおり、そこが労働者がいかに拘束を転職等について受けるかという重要なところでございます。そこで、先ほど総裁からも申し上げましたように、それがいわゆる非常にきつい金縛りになって、つまり一時に払わなければならぬということになって、身動きができないということにならないような契約を結ばせて、そういう契約になっているもののみ貸すと、したがいまして、その契約がある以上、かりに出ていけということを言っても、これは裁判にかかりましても、当然通らないわけでございます。それはこの家を渡すについての契約でございますから、そういう形でいま私ども考えておりますのは、そのあとの会社との関係についてどうするか、公庫との関係についてどうするか、この二面についていま申しましたように、労働者がそのために自分の転職等の意思が阻害を受けるというようなことのないように契約の内容をいたさせたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/81
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082・前川旦
○前川旦君 その点が一番実は心配になる点でございますので、いやしくも労使の近代化に逆行するような面が絶対出ないように、合理的に近代化の方向にいくように、その辺の配慮というものを十分にしていただきたい、このことを特に要望いたしまして私は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/82
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083・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど来前川さんの御心配される状態というのは、従来の考え方からいたしますと、そういう懸念があると思います。先ほど金融公庫の総裁からもお答えいたしましたが、これは私どもは家を建てる資金構成の問題だというふうに考えておるわけでございます。なるほど企業等に何ら関係もなく、公衆住宅が満ぱいにできるようにできれば非常に好ましいことでございますけれども、なかなかそういう事態にいかない。最初に私申し上げましたように、民間資金も動員しなければならぬ、民間も最近住宅問題というものは非常に重要性を認めて、これに相当の情熱を、情熱と申しますか、熱意を示しておると、ことばが過ぎるかもしれませんけれども、近代的な感覚の企業者も相当おられます。そういう意味で、先ほど尚局長から申し上げておりましたが、こういう制度にかかわらず、従来の社宅制度というものも、必ずしも現代的には好ましいものではない、したがって、あるいは退職資金、あるいは給与の一部の中で住宅を将来取得し得るような考え方で、いわゆる持ち家になる方法で住宅を建てておる、まあ、進んだと申しますか、近代的感覚を持っておる相当大規模な会社等も現にあるわけでございまして、そういうものをミックスいたしまして、整備資金を、従来単に賃貸というだけで出しておったのを、この際そういう意欲も生かして、重ねて申し上げて恐縮でありますが、いわゆる住宅部門に資金をできるだけ動員する、こういう形のものをつくろう。したがって、最初に申し上げましたように、これは社宅の場合でありますと、その職場を離れるとなるとこれを移らなければならない。したがって、ある程度の心理拘束を、異動ごとに拘束を受けるということはありますけれども、これは建てるときの資金構成だけで、だから、かりに移っても、そこにおって他の職場で働いて、それを分譲割賦と申しますか、それを払っていけばよろしい、こういう形にしたほうがやや一歩前進ではないか。持ち家の精神が、そのままではありませんけれども、単なる社宅よりも、単なる賃貸住宅よりもやや一歩前進ではないか、こういう基本精神はそういうところにあります。したがって、先ほど来いろいろこまかい現実の取り扱いについて御議論がありましたが、私非常に傾聴しておりました。でありますから、そういうふうに、いまの目標にはずれないような、きめのこまかいと申しますか、制度を確立していきたい。そういう点に十分留意し、いま私が申し上げたような趣旨を殺さないような方式をとりたい、必ずそうしたいということを申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/83
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084・前川旦
○前川旦君 最後に、いまおっしゃったのでもう一度繰り返しますが、社宅であればやめれば出なければいかぬから、その社宅から転職する場合には出なければいかぬ。それに比べて、この分であれば自分のものになるのだから、その企業をやめてもそこにいて金だけ続けて払っていけばそれでいいんだと、こういう話であります。ところが私は、公務員のことはよく知りませんが、私の聞いている範囲では、たとえば公務員の共済というのがあります。これは国家がやっておるのではありません、自主的にやっておるのですが、これでも、たとえばあなたが建設省の職員であって共済の住宅資金を借ります。あなたが今度厚生省にお移りになった、そのとき権利がそのままいくかというと、私はそうじゃないというふうに思うわけです。一ぺん払って、また向こうへいったところで借りかえなければできない。公務員の共済でもたしかそういうふうになっておったように記憶をしておるわけです。これは私の記憶なのですが、同じようなことが、これは間違いかもしれませんが、私の地方でそうなっているのですが、企業の場合は、ことに転職するというのは企業の人は非常にきらいます。ですから、転職しても借金はそのままでいいですよ、うちの窓口へ持っておいで、よそへいってもいいぞ、こういうことを自然に言う事業主の人はありません。転職すれば全部払ってしまえばそれはいいけれども、これは自然にそうなります。そうなると、やはり転職の自由というものを制限するという実態が出てくると思いますので、その辺のことは、やはり十分に指導なり考慮をしなければ、これは逆行する、こういうふうに私は思っておりますので、それを申し上げて終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/84
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085・中村順造
○委員長(中村順造君) 他に御発言もなければ、本案についての質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/85
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086・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/86
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087・中村順造
○委員長(中村順造君) 速記を起こして。
それではこれより討論を行ないます。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/87
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088・前川旦
○前川旦君 まず、この法案につきましては、たいへん不満ではございますが、賛成であることを申し上げます。
なお、たいへん不満な点がたくさんございますので、附帯決議を実はつけたいと、こういうように思うわけです。そこで附帯決議を読ましていただきます。
「住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)
政府は、本法施行に当り左記について特に配慮すべきである。
記
I・L・Oの労働者住宅に関する勧告(第一一五号)は、労働時間外における企業の労働者支配を排除し労使関係を近代化することに一つの重要な意義をもつものであるが、住宅協同組合の発達していないわが国の現状では、その趣旨を完全に生かすことができない。よつて政府は、右勧告の趣旨にそつてできる限り速やかに勤労者の自主的な住宅建設を促進させるため適切な措置を講ずべきである。
右決議する。
以上です。
以上の決議を附帯して本案に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/88
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089・中村順造
○委員長(中村順造君) 他に御意見もないようでございますので、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/89
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090・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
これより採決をいたします。
住宅金融公庫法及び産業労働者住宅資金融通法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/90
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091・中村順造
○委員長(中村順造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、前川君提出の附帯決議案を議題といたします。
前川君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/91
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092・中村順造
○委員長(中村順造君) 全会一致と認めます。よって、前川君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたします。
ただいまの附帯決議に対し、瀬戸山建設大臣から発言を求められておりますので、この際これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/92
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093・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいま御決議になりました附帯決議の趣旨を尊重して、検討を進めたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/93
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094・中村順造
○委員長(中村順造君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/94
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095・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/95
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096・中村順造
○委員長(中村順造君) 次に、日本住宅公団法の一部を改正する法律案を議題といたします。
前回に引き続いて質疑を行ないます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。−御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/96
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097・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでありますので、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/97
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098・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
日本住宅公団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/98
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099・中村順造
○委員長(中村順造君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/99
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100・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時五十分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01119660330/100
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