1. 会議録本文
本文のテキストを表示します。発言の目次から移動することもできます。
-
000・会議録情報
昭和四十一年四月十九日(火曜日)
午前十一時十分開会
—————————————
委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
山内 一郎君 園田 清充君
四月一日
辞任 補欠選任
園田 清充君 山内 一郎君
—————————————
出席者は左のとおり。
委員長 中村 順造君
理 事
石井 桂君
稲浦 鹿藏君
山内 一郎君
小酒井義男君
委 員
内田 芳郎君
平泉 渉君
米田 正文君
竹田 現照君
達田 龍彦君
前川 旦君
村田 秀三君
春日 正一君
国務大臣
建 設 大 臣 瀬戸山三男君
政府委員
首都圏整備委員
会事務局長 鮎川 幸雄君
首都圏整備委員
会事務局計画第
一部長 吉田 伸一君
建設省住宅局長 尚 明君
事務局側
常任委員会専門
員 中島 博君
—————————————
本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○首都圏近郊緑地保全法案(内閣提出)
○住宅建設計画法案(内閣送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/0
-
001・中村順造
○委員長(中村順造君) ただいまから建設委員会を開会いたします。
理事の補欠互選についておはかりいたします。
山内一郎君が三月三十一日委員を辞任され、本月一日再び委員に選任されましたが、本委員異動により理事に欠員を生じましたので、この際その補欠を互選いたしたいと存じます。
互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/1
-
002・中村順造
○委員長(中村順造君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に山内一郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/2
-
003・中村順造
○委員長(中村順造君) 首都圏近郊緑地保全法案を議題といたします。
まず、政府から提案理由の説明を聴取いたします。瀬戸山国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/3
-
004・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいま議題になりました首都圏近郊緑地保全法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
御高承のとおり、首都及びその周辺地域への人口と産業の集中は、最近ますますその激しさを加えておりますが、これに伴いまして首都の近郊においては、無秩序な市街地化が進み、緑地等は日に日に荒廃の一途をたどり、地域住民の生活環境を著しく悪化させております。
また、昨年首都圏整備法が改正され、従来の近郊地帯、いわゆるグリーンベルトを改め、既成市街地の近郊でその無秩序な市街地化を防止するため、市街地の整備とあわせて緑地を保全する必要がある区域を近郊整備地帯として指定することとされたのであります。
このような制度の改正に伴い、従来の近郊地帯については、一方においてはその計画的な市街地化をはかるとともに、新たな見地に立って、緑地を保全することが必要となってまいったのであります。
また、緑地を保全する制度につきましては、従来は都市公園法による公園緑地の整備、または自然公園法による自然の風景地の保護等がございますが、特に大都市の周辺において地域住民の良好な生活環境を確保し、無秩序な市街地化を防止するための広域的な見地からする緑地を保全する制度につきましては、今日まで必ずしも十分な措置がとられてきたとは申し上げることができないのであります。
しかるに、先述のように首都近郊における緑地の荒廃の趨勢はまことにはなはだしく、このまま放置すれば、再び創造することができない緑の自然環境は、数年を待たずして壊滅に瀕する状況にあります。
このような情勢から、この際首都圏の近郊整備地帯内における緑地については、緊急に法制上及び財政上の特別の措置を講じて、その荒廃を防止してこれを保全する制度を樹立し、もって首都圏の秩序ある発展に寄与することが緊要となってまいりました。これがこの法律案を提案する理由であります。
次に、この法案の要旨を御説明申し上げます。
まず第一に、この法律で保全しようとする近郊緑地は、原則として農地を除外し、首都圏の近郊整備地帯内において良好な自然の環境を有する樹林地、水辺地等で相当規模の広さを有しているものといたしております。そこで首都圏整備委員会は、無秩序な市街地化のおそれが大であり、かつ、これを保全することによって地域住民の健全な心身の保持及び増進に役立ち、または公害や災害の防止の効果が著しい近郊緑地の土地の区域を、あらかじめ、関係地方公共団体の意見等を聞いて近郊緑地保全区域として指定いたすことといたしました。
次に委員会は、近郊緑地保全区域の指定をしたときは、当該区域内における行為の規制、近郊緑地特別保全地区の指定の基準等について、首都圏整備計画の一環として近郊緑地保全計画を定めることといたしております。
第三に、近郊緑地保全区域内におきましては、建築物の新築、宅地の造成等土地の現状を著しく変更するものにつきましては、都県知事に対して届け出をしなければならないことといたしております。
なお、都県知事は、緑地保全のため必要があると認めるときは、届け出をした者に対して必要な助言または勧告をすることができることといたしております。
第四は、近郊緑地特別保全地区についてであります。
近郊緑地保全区域のうちで、特に良好な自然の環境を有し、地域住民の健全な心身の保持、増進または公害、災害の防止の効果が特に著しい地区につきましては、これを近郊緑地特別保全地区として、建設大臣が都市計画法の定める手続によって都市計画の施設として指定することといたしております。
この地区内におきましては、建築物の新築、宅地の造成等の土地の現状を著しく変更する行為につきましては、原則として都県知事の許可を受けなければならないことといたしております。
このような規制を行なう反面、この許可を受けることができなかったために損失を受けた者に対しましては、通常生ずる損失を補償することといたしております。
また、土地所有者から都道知事の許可を受けることができないため、その土地の利用に著しい支障を来たすことにより当該土地を買い入れるべき旨の申し出があった場合には、その土地を買い入れることとするための所要の規定を設けております。
第五は、この法律の実施機関と費用の負担等についてであります。
近郊緑地保全地域内の行為の規制等は都県知事が、また、土地の買い入れ等は都県が行なうことといたし、損失の補償及び土地の買い入れに要する費用につきましては、国がその一部を補助することといたしております。
第六は、特別保全地区内の近郊緑地保全のために必要な資金に対する配慮についてであります。
都県が以上の措置によるほか、単独で特別保全地区内の近郊緑地の保全のために事業を行なう場合に必要な資金につきましては、国は、法令の範囲内において、資金事情等が許す限り、できるだけの配慮をいたすこととしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/4
-
005・中村順造
○委員長(中村順造君) 次いで、補足説明を聴取いたします。鮎川事務局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/5
-
006・鮎川幸雄
○政府委員(鮎川幸雄君) ただいま議題になりました首都圏近郊緑地保全法案について、逐条に御説明申し上げます。
この法案は、本則二十二条と附則六項からできております。
第一条は、この法律の目的についての規定であります。
さきに、提案理由において説明がありましたように、この法律は、首都圏の近郊整備地帯内において良好な自然の環境を有する緑地を保全することが、首都及びその周辺における現在及び将来の住民の健全な生活環境を確保するため、ひいては首都圏の秩序ある発展をはかるため欠くことのできない条件であることにかんがみ緑地保全に関し、必要な事項を定め、その無秩序な市街地化を防止し、もって首都圏の秩序ある発展に寄与することを目的といたしております。
第二条は、用語の定義についての規定であります。
まず、「近郊整備地帯」とは、首都圏整備法第二十四条第一項の規定により指定された区域、すなわち、既成市街地の近郊でその無秩序な市街地化を防止するため、計画的に市街地を整備し、あわせて緑地を保全する区域であります。
次に、「近郊緑地」とは、近郊整備地帯内にある緑地であること、また、原則として農地ではなく樹林地、水辺地もしくはその状況がこれらに類する土地であること、また、これらが単独でもしくは一体となって良好な自然の環境を形成し、かつ、相当規模の広さを有しておりますことといたしております。
第三条は、近郊緑地保全区域の指定の要件、手続等についての規定であります。
首都圏整備委員会は、近郊緑地のうち、無秩序な市街地化のおそれが大であり、かつ、これを保全することによって得られる首都及びその周辺の地域の住民の健全な心身の保持及び増進の効果が著しいか、またはこれらの地域における公害もしくは災害の防止の効果が著しい土地の区域を近郊緑地保全区域として指定することができることといたしております。この区域の指定の手続といたしましては、委員会は、あらかじめ、関係地方公共団体及び首都圏整備審議会の意見を聞くとともに、関係行政機関の長に協議しなければならないことといたしております。
第四条は、近郊緑地保全計画についての規定であります。
委員会は、近郊緑地保全区域の指定をいたしましたときは、当該保全区について、首都圏整備法の定める手続に従い、同法第二十一条第三項の整備計画として近郊緑地保全計画を決定しなければならないことといたしております。この計画には、保全区域内における行為の規制その他緑地の保全及び緑地の保全に関連して必要とされる施設の整備並びに近郊緑地特別保全地区の指定の基準、土地の買い入れ等に関する事項等を定めることといたしております。
第五条は、近郊緑地特別保全地区の指定の要件、手続等についての規定であります。
建設大臣は近郊緑地保全区域内の土地のうち、特に良好な自然の環境を有し、地域住民の健全な心身の保持及び増進または公害もしくは災害の防止の効果が特に著しい、いわば枢要な土地の区域につきまして、都市計画の施設として、近郊緑地特別保全地区を指定することができることといたしております。
また、この地区の指定にあたりましては、広域的な緑地計画等との調整をはかるため、建設大臣は、あらかじめ委員会等の意見を聞かなければならないことといたしております。
第六条は、委員会または建設大臣が保全区域または特別保全地区指定の準備のため他人の占有する土地の立ち入り等について定めた技術的な規定であります。
第七条は、標識の設置等についての規定でありますが、特別保全地区につきましては、行為の規制等を伴います関係上、都県は、特別保全地区である旨を表示した標識を設けなければならないこととしており、本条はこの標識の設置等に関する事項を定めた規定であります。
第八条は、保全区域における一定行為の届け出についての規定であります。
保全区域のうち特別保全地区以外の区域内において、建築物その地の工作物の新築、改築または増築、宅地の造成、土地の開墾等の土地の形質の変更その他近郊緑地の保全に影響を及ぼすおそれのある行為をしようとする者は、あらかじめ、都県知事にその旨届け出なければならないことといたしておりますとともに、都察知事は、近郊緑地の保全のため必要があると認めるときは、届け出をした者に対して、必要な助言または勧告をすることができることといたしております。
なお、保全計画に基づいて当然行なうべき行為、通常の管理行為等については、届け出を必要としないことといたしております。
第九条は、特別保全地区における行為の制限についての規定であります。
特別保全地区は、さきに御説明申し上げましたように、保全区域のうちに枢要な土地の区域について指定されるものでありまして、その地区内におきましては、一般の保全区域より特にその保全をはかる必要があります。そこで、前条で御説明申し上げましたような行為につきましては、知事の許可を受けなければ、してはならないことといたしておりますとともに、都県知事は、これらの許可の申請があった場合において、これらの行為が近郊緑地の保全上支障があると認めるときは、その許可をしてはならないことといたしております。
なお、通常の管理のための行為等につきましては、前条の場合と同様、この規定の適用を除外することといたしております。
第十条は、原状回復命令等についての規定であります。
都県知事は、特別保全地区内において、前条の規定に違反して一定の行為を行なった者等がある場合には、近郊緑地の保全に対する支障を排除するため必要な限度において、これらの者に対して、原状回復等を命ずることができることといたしており、これについて必要な規定を設けたものであります。
第十一条は、損失の補償についての規定であります。
都県は、特別保全地区内において、第九条第一項の許可を受けることができないため損失を受けた者があります場合におきましては、原則としてその者に対して、通常生ずべき損失を補償することといたしております。ただし、同一行為について、他の法令により許可その他の処分の申請が却下された場合または社会通念上特別保全地区の指定の趣旨に著しく反すると認められる場合等におきましては、この法律による補償は行なわないことといたしております。
第十二条は、土地の買い入れについての規定であります。
都県は、特別保全地内の土地で緑地保全上必要があると認めるものにつきまして、その所有者から、第九条第一項の許可を受けることができないため、その土地の利用に著しい支障をきたすこととなりますため、その土地を都県において買い入れてほしい旨の申し出がありました場合には、これを時価で買い入れるものといたしております。
第十三条は、買い入れた土地の管理についての規定であります。
前条の規定により、買い入れた土地は、都県がこの法律の目的に適合するよう管理しなければならないことといたしております。
第十四条は、費用の負担及び補助についての規定であります。
保全区域内の近郊緑地の保全に要する費用は、都県の負担といたしておりますが、国も、第十一条第一項の損失の補償及び第十二条第一項の土地の買い入れに要する費用につきましては、政令で定めるところにより、その一部を補助することといたしております。
第十五条、第九条の許可にかかわる行為についての実施状況の報告、第九条の許可等の処分をするために必要な立ち入り検査等についての規定であります。
第十六条は、大都市の特例についての規定であります。
地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市、首都圏におきましては、横浜市がこれに該当いたしますが、これにつきましては、都県または都県知事が行なうこととされている事務を指定都市またはその市長に行なわせることといたしております。
第十七条は、特別保全地区内の近郊緑地の保全のために必要な資金の配慮についての規定であります。
近郊緑地を保全いたしますためには、第十二条の規定による土地の買い入れを行なうことといたしておりますが、このほかに都県が要すれば積極的に土地の買い入れ等を行なうことが望ましいのでありまして、このために必要な資金については、国も資金事情等が許す限り、配慮することといたしております。
第十八条は、第九条第一項の規定による処分に対する不服申し立てについての土地調整委員会との調整に関する規定であります。
第十九条から第二十二条までの四条は、この法律の実施を確保いたしますために必要な罰則についての規定であります。
次いで、附則について御説明申し上げます。
附則第一項は、施行期日の規定でありまして、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行することとしております。
附則第二項から第六項までは、この法律の制定に伴う関係法律の一部改正に関する規定でありまして、第二項は、第五条の特別保全地区の指定に伴う都市計画法の一部改正を、第三項から第五項までは、この法律の施行のための所掌事務に関しての、建設省、土地調整委員会及び首都圏整備委員会のそれぞれの設置法等の一部改正を、第六項は、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律についての字句修正のための技術的改正であります。
以上、首都圏近郊緑地保全法案につきまして、逐条に御説明いたしました次第であります。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/6
-
007・中村順造
○委員長(中村順造君) 次に、住宅建設計画法案を議題といたします。
政府から提案理由の説明を聴取いたします。瀬戸山建設大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/7
-
008・瀬戸山三男
○国務大臣(瀬戸山三男君) ただいま議題になりました住宅建設計画法案につきまして、提案の理由及びその要旨を御説明申し上げます。
およそ住宅は、国民生活の基盤をなすものでありまして、住生活の安定なくしては、円満な家庭生活はもちろん、十分な社会活動を行なうことも望めませんが、近年著しく改善された衣や食に比べ、住宅事情は、はなはだしい立ちおくれを示していることは御承知のとおりであります。
もとより、政府は、従来から、住宅問題の解決に真剣に取り組んでまいったのでありますが、著しい人口の都市集中、世帯の細分化等により、住宅需要は増大の一途をたどり、依然として住宅難が解消されるに至っていないのが現状であります。
このような現状にかんがみ、政府としましては、住宅対策を今後一段と拡充強化し、国民の要望にこたえるため、昭和四十五年度までに国民の待望する「一世帯一住宅」の実現をはかるとともに、さらにその後においても、国民の住生活の改善向上をはかるため五年ごとを区切って総合的な計画を樹立し、この計画に基づいて国、地方公共団体及び国民が相協力して、住宅建設の適切な実施をはかる必要があると考え、この法律案を提出することといたした次第であります。
次に、この法律案の要旨について御説明申し上げます。
まず第一に、国及び地方公共団体は、住宅の需要及び供給に関する長期見通しに即し、かつ、住宅事情の実態に応じて、住宅に関する施策を講ずるようにつとめなければならないとの国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、住宅の建設を計画的に推進するため、国、地方を通じ、住宅の建設に関する長期計画を策定することといたしました。
第二に、国全体の長期計画として、建設大臣は、昭和四十一年度以降の毎五カ年を各一期とする住宅建設五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を経ることといたしました。
この住宅建設五カ年計画には、五カ年間における住宅の建設の目標を定めることとし、あわせて、公的資金による住宅の建設の事業の量を明らかにすることといたしました。
第三に、それぞれ地方の住宅事情の実態に即応した住宅対策を推進するため、国全体の長期計画に即して、地方における長期計画を策定することとし、建設大臣が地方ごとの住宅建設五カ年計画を、都道府県が都道府県ごとの住宅建設五カ年計画を策定することといたしました。
第四に、これらの五カ年計画の実施を確実にするため、国及び地方公共団体の講ずべき措置について規定いたしました。
なお、五カ年計画の制度の新設に伴い、現行の公営住宅三カ年計画の制度を廃止することとし、公営住宅法に関し、所要の改正を行なうことといたしました。
以上が、この法律案を提案する理由及びその要旨でありますが、何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/8
-
009・中村順造
○委員長(中村順造君) 次いで、補足説明を聴取いたします。尚住宅局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/9
-
010・尚明
○政府委員(尚明君) ただいま議題になりました住宅建設計画法案について逐条的に御説明申し上げます。
この法案は、十条と附則四項からなっております。
第一条は、法律の目的を定めたものであります。
この法律は、住宅の建設に関する総合的な計画を策定することにより、住宅の建設の適切な実施をはかり、もって国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的としております。
第二条は、国及び地方公共団体の責務について定めたものでありまして、国及び地方公共団体は、今後の住宅の需要及び供給に関する長期見通しを持ち、また住宅事情の実態を的確に把握し、これらに即応して、住宅に関する施策を講ずるようにつとめなければならない旨を明確に規定いたしました。
第三条は、この法律における公的資金による住宅の定義を定めたものでありまして、公的資金による住宅とは、公営住宅、改良住宅、公庫融資住宅、公団住宅のほか、国、政府関係機関または地方公共団体が建設する住宅及びまたは地方公共団体の財政援助にかかる住宅のすべてを包含することとしております。
第四条は、住宅建設五カ年計画の策定の手続及びその内容について定めたものであります。
住宅建設五カ年計画は、国民の住生活が適正な水準に安定するまでの間、昭和四十一年度以降の毎五カ年を各一期として策定することとし、その策定の手続としては、建設大臣は、都道府県知事が市町村長の意見を聞いて作成した資料を参酌し、あらかじめ、関係行政機関に協議するとともに、住宅対策審議会の意見を聞いて、住宅建設五カ年計画の案を作成し、閣議の決定を求めることとしております。
また、住宅建設五カ年計画の内容としては、五カ年間における民間自力建設を含むすべての住宅の建設の目標を定めるとともに、公的資金による住宅の建設の事業の量を明らかにしなければならないこととしており、この住宅の建設の目標を定めるにあたっては、住宅の需要及び入居者の負担能力を考慮しつつ、質のよい住宅が建設されるよう配慮しなければならないこととしております。
第五条は、地方住宅建設五カ年計画及び都道府県公営住宅建設事業量の策定について定めたものであります。
地域の住宅需要に見合った住宅の供給をはかる趣旨から、建設大臣は、住宅建設五カ年計画に基づき、政令で定める地方ごとに地方住宅建設五カ年計画を作成することといたしました。その定めるべき内容は、住宅建設五カ年計画と同様のものとし、その作成の手続としては、あらかじめ、関係行政機関の長に協議し、住宅対策審議会の意見を聞くとともに、関係都道府県の意見を聞かなければならないことといたしました。
また、公営住宅に関しては、住宅建設五カ年計画及び地方住宅建設五カ年計画の策定に伴い公営住宅建設三カ年計画はこれに包含されることとなりますが、都道府県の区域ごとの公営住宅建設三カ年計画の制度については、これにかわるものとして、都道府県ごとの五カ年間の建設事業量を別途定める必要がありますので、建設大臣が地方住宅建設五カ年計画に基づいて関係都道府県の意見を聞いて定めることといたしました。
第六条は、都道府県住宅建設五カ年計画の策定について定めたものであります。
すなわち、都道府県は、市町村と協議の上、地方住宅建設五カ年計画に即して都道府県住宅建設五カ年計画を作成することといたしました。この計画においては、当該都道府県の区域における五カ年間の民間自力建設を含むすべての住宅の建設の目標を定めるとともに、地方公共団体が建設または財政援助を行なう住宅については、その事業の量を明らかにしなければならないことといたしました。
都道府県住宅建設五カ年計画は、地方自治の本旨にのっとり、都道府県が自主的に定めることといたしましたが、公営住宅にかかる部分については、公営住宅法との関係から、第五条の規定により建設大臣が定めた都道府県公営住宅建設事業量によらなければならないことといたしました。なお、住宅の建設に関する計画は、当該都道府県が作成した総合的な開発に関する計画と密接な関連がありますので、これとの調整につき十分配慮されなければならないことといたしました。
第七条は、五カ年計画の実施を確実にするため、国及び地方公共団体の講ずべき措置について定めたものであります。すなわち、公的資金による住宅の建設の事業の実施については、予算の計上等所要の措置を講じなければならないこととし、民間自力による住宅の建設を含めて五カ年計画全体を達成するために必要なその他の金融上、税制上等の所要の措置を講ずるようにつとめなければならないことといたしました。
第八条は、住宅建設にあたっては、道路、公園、下水道その他の公共施設及び学校、医療施設等居住者の共同の福祉または利便のための公益的施設の建設が不可欠でありますので、五カ年計画の実施に関連して必要となるこれらの施設の整備について、関係行政機関が相互に十分な協力をしなければならない旨を定めたものであります。
第九条は、五カ年計画を実施するにあたっては、五カ年計画で定める建設の目標に即応した規模、構造等の住宅を建設する必要がありますので、住宅の建設基準の設定を行ない、国及び地方公共団体は、これに基づいて住宅の建設及び住宅の建設に関する指導を行なうようにつとめなければならない旨を定めたものであります。
第十条は、五カ年画計の作成及び実施にあたっては、住宅施策の総合性を確保することが必要でありますので、建設大臣は、関係行政機関の長に対し、五カ年計画を作成するために必要な資料の提出を求め、または公的資金による住宅の建設基準、助成条件等その供給に関して意見を述べることができる旨を定めたものであります。
附則第一項は、施行期日を定めたものであります。
第二項は、公営住宅法の一部改正でありまして、住宅建設五カ年計画が策定されることに伴い、現行公営住宅建設三カ年計画の制度を廃止することとし、公営住宅の建設は、都道府県住宅建設五カ年計画に基づいて行なわなければならないこととする等所要の改正を行なったものであります。
第三項は、公営住宅法の一部改正に伴う経過措置でありまして、都道府県住宅建設五カ年計画が作成されるまでの間は、公営住宅建設三カ年計画がなお勢力を有する旨を規定したもので量ります。
第四項は、この法律の施行に伴って必要とされる建設省設置法の一部改正であります。
以上、住宅建設計画法案につきまして、逐条御説明を申し上げました次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/10
-
011・中村順造
○委員長(中村順造君) 両案についての質疑は−後日に譲ることといたします。
本日はこれにて散会いたします。
午前十一時四十二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114149X01319660419/11
4. 会議録のPDFを表示
この会議録のPDFを表示します。このリンクからご利用ください。