1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月十一日(水曜日)
午後二時十七分開会
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出席者は左のとおり。
理 事
小林 武治君
玉置 和郎君
松本 賢一君
多田 省吾君
委 員
青柳 秀夫君
金丸 冨夫君
楠 正俊君
新谷寅三郎君
吉江 勝保君
占部 秀男君
鈴木 壽君
北條 浩君
国務大臣
自 治 大 臣 永山 忠則君
政府委員
自治省選挙局長 長野 士郎君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
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〔理事小林武治君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/0
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001・小林武治
○理事(小林武治君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一三一号)を議題といたします。
本案につきましては、前回までに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/1
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002・多田省吾
○多田省吾君 公職選挙法の一部を改正する法律案につきまして二、三大臣にお伺いしたいと思うのです。
この法律案は永久選挙人名簿に関する法律案でございまして、もうすでに衆議院の公職選挙法改正に関する特別委員会において、二回ばかり質疑が行なわれて、論争点も大体はっきりしているところでございますし、私はこの中から重要点だけ取り上げてお伺いしたいと思うのでございますが、単刀直入にお伺いしますけれども、今度の永久選挙人名簿の作成につきましては、申告主義をとっているようでございますけれども、外国の例はいかがでございましょうか。申告主義と職権主義とありますけれども、どちらが多いでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/2
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003・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 選挙人名簿のつくり方につきましては、年に一回定時に作成するような制度と、それから永久選挙人名簿のやり方と、世界各国、形の上で申しますと、そういうやり方の違いがあるように思います。そしてそのやり方につきまして、お話のございました職権登録と申告制度とこれも二通りございまして、イギリスでは年に一回名簿を職権でつくることになっておるように聞いております。それからアメリカの多くの州では、永久選挙人名簿で申告主義というたてまえをとっておるようであります。それからフランスは永久選挙人名簿の制度をとりまして、定時に申告による登録をする、こういうやり方をとっております。それから西ドイツでは住民登録庁という役所がございまして、その住民登録庁に住民登録いたしておりますので、選挙の際に名簿をつくる、こういうやり方をしておるようであります。伺うところによりますと、西ドイツはたしか三国管理というか、四国管理というか、そういう時代がございまして、市民がいわゆる住民票を持っていなければ社会的な活動なり、あるいは交通することも非常にできなかった時代があるそうでございます。そういう意味で、住民登録というものが非常に徹底をしておりまして、その登録された結果を選挙に際しまして名簿として使う、こういうやり方を現在もやっておるようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/3
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004・多田省吾
○多田省吾君 いま局長からお話があったように、選挙人名簿の作成に対しましては、申告登録主義と職権登録主義がありますが、やっぱり選挙人名簿の作成というものは、私は申告主義よりも職権主義のほうが望ましいというように考えるわけです。なぜならば、選挙権というものは、国民が一定の法律的な条件を備えるに至ったときに、客観的に選挙権というものは与えられるものである。選挙権というものは国民が申告しなければ得られないというものではなくて、申告しなくても選挙権というものは国民が一定の法律的な条件を備えれば得られるわけでございます。また、選挙人名簿というものは法律上それを確認するにすぎない。ですから、申告主義というものは法の理想あるいは法の理念というものに沿わない、むしろ職権主義で、国民のだれでも法律的な条件を備えて選挙権を得たならば、選挙人名簿に登録される、それで選挙をするかしないかは、それ以後の問題として考えなければならない。とにかく選挙権を得て選挙人名簿に登録されるということは、国民のだれしも負担を感じないで登録されるようにならなければならない、そのように考えるわけです。いま選挙局長のお話を聞きますと、イギリスにおいてもおおむね職権主義による調製を行なっておるようでございます。またフランスにおきましてもほとんど職権主義が行なわれておりまして、またお話にはありませんでしたけれども、イタリアにおいても、これは永久選挙人名簿でございますが、職権主義をとっておるようであります。また西ドイツでも、住民登録庁からの報告によりますけれども、職権主義をとっております。アメリカでは一部申告主義をとっているようでございますが、一部の州でも職権主義をとっておるようでございます。やはり世界の大勢をながめましても、ほとんどの国が職権登録主義をとっている。申告主義というのはむしろ少ないわけです。
また、第二点の問題としまして、いままでの基本選挙人名簿あるいは補充選挙人の登録申請制度ですか、その問題を見ましても、いままでもおおむね大体職権主義をとっておるわけです。ここにきて急に申告主義に変えるとすれば、相当いままでなじまれてきた職権主義というものが破壊されるわけでございますから、申告に切りかわったところで相当の混乱が生ずる、申告漏れ等が生ずる、そういうおそれが十分あるわけでございます。この選挙法というものは、あくまでも憲法に次ぐ大事な法律でございまして、国民の生活と密接に定着していなければならない性質のものでございます。そういった観点から見れば、永久選挙人名簿の作成に対して申告登録主義をとっておるということは、一つの逆行じゃないか、そのように私は感ずる次第でありますけれども、基本的な問題でございますので、大臣の明確な御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/4
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005・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 本案は調査をきわめて公正にいたしまして、遺漏なきようにするという、また二重登録等がないようにするという考え方で申告登録主義を原則とはしておりますけれども、なお補充的に職権主義を採用をいたし、かつ国勢調査のように世帯を一斉調査いたしまして、最初は八万三百四十六人の人を一斉に動員しまして、そうして申告関係と合わせて遺漏のないように実態調査をいたしまして、そうして永久選挙人名簿を正しくつくり上げていくという方法をとりまして、そうしてまた、一定期間の間、補充的なことも許し、さらに職権でも必要に応じては脱漏することのないようにやるという方法で、これを大体お願いをして永久選挙人名簿の基礎を十分把握いたしまして、その後の移動については、やはり移動証明等を十分取りまして、粗漏のないようにやっていく、原則的には申告主義でございますが、実際は職権的な点を強く取り入れまして、遺憾のないようにやっていくという考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/5
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006・多田省吾
○多田省吾君 いま大臣は永久選挙人名簿についての御説明をなさいましたけれども、私の質問の本質に対するお答えではないように感ぜられます。
私がお伺いしたいのは、根本的な問題でございますから、大臣にお伺いしたいのは、大臣はいまの私が述べましたように、やっぱり選挙権というものは、国民が一定の法律的な条件を備えれば、たとえば、満二十歳になったとか、そういった条件を備えれば自動的に客観的に選挙権を与えられる。で、選挙人名簿というのは、それを確認するにすぎない。ですから、職権制度で国民のだれしも、どんどん自動的に、申告によらなくても選挙人名簿に登録されるという姿のほうが望ましいのではないか。それから申告主義というものはそういったように法の理想から遠いのではないか。そういった面から見れば、申告制度と職権主義というものを考えた場合に、いま自治大臣は、原則は申告主義であるけれども、実際は職権主義も取り入れるということをおっしゃいましたけれども、逆に、原則を職権主義にして申告主義を取り入れるという従来のたてまえのほうが望ましいのではないか。それが一点と、もう一点は、いままでの基本選挙人名簿の作成というものは、ほとんど職権主義で行なわれてきたわけですね。ですから、ここで、いままでの職権主義による作成を申告主義に切りかえますと、相当混乱が起こるのではないか。そういうことが十分に考えられるわけです。この二点から、大臣は、原則として、申告主義と職権主義では、選挙人名簿の作成についてはどちらが望ましいか。この法案自体の御説明ではなくて、一般的にどちらが望ましいか。その基本的な態度についてお聞きしたいわけです。もし申告主義のほうが望ましいのだとおっしゃられるならば、それでは、いままでの基本選挙人名簿のやり力というものが望ましいやり方ではなかったのか。それとも、職権主義が望ましいけれども、万やむを得ず申告主義を原則とされたのか。その原則をお聞きしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/6
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007・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 御存じのように、旧来は基本名簿は職権主義で、あるいは補充名簿を中管制をとってきていたのでございますが、今回の法は、選挙人名簿には申告主義をたてまえとしておりますが、職権主義を、いま申しましたように、併用いたしておりますのでございまして、いずれにしても、一方的のものでなくして、やはり職権主義と申告主義とをよく調整をいたしまして、名簿の脱漏、二重登録等がないようにするということが望ましいのでございまして、旧来におきましては、そういう弊がございましたが、したがいまして、観念論にとらわれず、実質的に遺漏のないようなぐあいにやるということで職権主義との併用をいたしたのでございますが、申告主義はたてまえではございますけれども、職権的には十分ひとつ脱漏のないようにやるという態勢を整えて、そうして永久選挙人名簿という基本的なものをつくり上げていくという方向で進んでおるのでございまして、この点はずいぶん選挙制度調査会でも論議をいたしたのでありますが、まあ観念論を脱却しまして、実質的に遺漏のないようにするという実質論をとって進んだと考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/7
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008・多田省吾
○多田省吾君 まあ大臣は観念論と実質論で言いのがれされたようなふうにお聞きしましたけれども、これは、この職権主義と申告主義というものは決して観念論ではなくして、このどちらを原則にするかということによって、実際に選挙人名簿の作成のしかたが非常に変わってくるわけですよ、職権主義と申告主義ですから。申告主義というのは、どうしても申告しなければ名簿に載らないわけですからね。新有権者——来年、再来年新有権者になるような人が、申告しなければ、とにかく原則的にはその選挙人名簿に載らないという姿になりますから、これは観念論じゃなくして、これは現実の問題、実際として大きく隔たりが生じてくるわけですよ。各国においても大いに論議されて、大部分の国は、やっぱり職権主義が望ましいということで、職権主義をとっているわけでございますけれども、この問題について、あまり論議をしましても時間ばかりとってまずいので、この辺でやめますけれども、ひとつ明確に大臣としては、申告主義と職権主義、どちらを原則にするのが望ましいとお考えになるのか、それを一応態度を表明していただいて、それから論議を進めたいと思います。いままで基本選挙人名簿は職権主義だったのです。今度の永久選挙人名簿はたてまえを中背主義にとっております。だけれども原則としてはどちらが望ましいか。これからだって職権主義に変わり得る場合もあると思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/8
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009・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 職権主義をやはり併用してやっておりますので、脱漏がない結果になると思います。また補充名簿については、現在も常時申し出で主義が行なわれておりまして、申告制に対しても国民はなれておるという、まあこれらの実態を考えまして、職権主義との併用をやることにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/9
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010・多田省吾
○多田省吾君 いままでまあ補充選挙人名簿の制度があったから、少しは、なれていると申されますけれども、原則的には基本選挙人名簿のいままでのやり方というものが職権主義をとっているわけです。その補充の場合でも、このたび、選挙の告示前に補充選挙人名簿の登録が終結しなければならないという、今日の補充のやり方においては、相当、申告だけで見ますと、申告する人が非常に少なくて、各地方自治体、あるいは選挙管理委員会で、困った、困ったという声が非常にあがっているわけです。そういった面から見ても、また、いま住民登録が申告主義のもとにおいて行なわれておりますけれども、その登録制度においては、二重登録があったり、登録漏れがあったり、非常に住民登録というものが、申告主義ではありますが、不備な点がある。そういった点から見ましても、今度申告主義を原則として、まあ職権主義も一部併用の形でありますけれども、こういった申告主義を原則とするようなやり方というものは、相当の混乱を招くおそれがある。むしろあくまでも、精神としては併用するにしましても、職権主義を原則として申告主義を従の立場で併用していくという従来の考え方のほうがむしろよいのではないかと、私はどこまでも思うわけです。
それからもう一つお聞きしますけれども、いま住民台帳制度合理化調査会で三月、この住民基本台帳の作成について答申がありましたけれども、第四次選挙制度審議会の選挙の手続に関する小委員会で、二月の十五日に委員長の中間報告が出されたわけでありますが、それをもとにしてこのたびの永久選挙人名簿の制度が法制化されたと思いますけれども、この選挙の手続に関する小委員会で答申された最後のほうに、住民台帳制度合理化調査会の答申の問題も論じていると思いますけれども、それはどういう答申があったのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/10
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011・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 住民台帳制度合理化調査会におきまして答申が行なわれておりますが、その答申はかなり各条項について、項目についてわたっているわけでございますが、趣旨は、現存の住民登録制度というものでは、住民の実態把握に十分でないということが現状でございますので、それを明確にいたしまして、国民健康保険たり、あるいは国民年金とか、食糧配給とか、あるいは選挙権等につきましての実質が容易に把握できるようにいたしますために、いままでの住民登録をやめまして、住民基本台帳というものをつくりまして、そして氏名、生年月日、あるいは男女の性別、あるいは戸籍の表示とか、国民健康保険関係あるいは国民年金関係、米穀類の配給関係の事項等を基本台帳の中に取り入れまして、そして市町村長が中心になりまして台帳の整備をはかっていくということを基本にいたしておるように思うのでございます。そのために住民が一々届け出義務を負いまして、そうして転入、転出、転居の場合の届け出をするというようなことが考えられておるわけでございます。で、もちろんそうなりますと、現在の住民登録法その他関係法によりまして、いまの国民年金であるとか、保険関係とかというもののそれぞれの台帳ができておるわけでございますが、これらのものを統合いたしまして、したがって、そのためには立法化も必要になることであろうと思います。そうやって新しい住民台帳を整備していくことがいいというようなお考えのように承っております。選挙制度審議会におきましては、そういう住民台帳が整備をされましたときには、選挙人名簿の調製につきましても、何らかの形でこれと調整をはかっていくということは当然に考えるべきだという考え方を基本にいたしまして審議をされたわけでございますが、現在のところそういう答申はございましたけれども、住民基本台帳が、現実に言われるような意味で整備されておるわけではございませんので、選挙人名簿の整備ということを重点にいたしまして、審議会といたしましては、永久選挙人名簿の考え方をまとめておる、そうして早急に実施を要請をされたということになっておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/11
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012・多田省吾
○多田省吾君 まあ時間を節約する上から、住民台帳制度合理化調査会において答申した答申の内容でございますが、答申の段階ではございますけれども、その「選挙人名簿」という項に、「選挙人名簿は、住民基本台帳に基づいて選挙管理委員会が職権で作成するものとする。」というように、まあ職権で作成することを調査会では答申しているわけでございます。今後実際にはどうなるか、これはわかりませんけれども、この第四次選挙制度審議会の小委員会の答申というものを、もし尊重するならば、もの後半に、いま局長がおっしゃったように、住民台帳制度合理化調査会の答申、あるいはその整備された暁には、その選挙人名簿との調整がはかられなければならないことは申すまでもありませんと、そのような答申が出ているわけです。もしこれが実現されたとすれば、また再びこの前の基本選挙人名簿のときのように、選挙人名簿の作成というものは職権で作成されるように変わるわけですね。まあそれはまだそういう決定にはなっておりませんけれども、方向としてはそのような方向に向かうということは、諸外国の例においても考えられることです。だから、いままで、基本選挙人名簿の作成が職権主義で行なわれる、また、将来ももし住民基本台帳が完成するとすればですね、職権で作成されるということが十分考えられる。その段階において、この永久選挙人名簿が申告主義を原則としておる。そうしていま補充の登録等を見ましても、非常に登録する人が少ない。また、住民登録の状態なんか見ましても、登録に非常な不備があって、住民登録制度が危機に瀕している。そういったことは十分いまの現状で認められるわけです。ですから自治大臣には、職権制度も大いに併用していくというお答えではありますけれども、それでは具体的にどういう姿で職権主義を取り入れていくのか、具体的にお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/12
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013・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 先ほど大臣がお答えいたしましたように、今回の永久選挙人名簿は、申告による登録を原則としておりますが、三月と九月の二回の登録の時期の中の九月の場合には、登録の申し出だけでなくて、職権で登録をする道を開いておりまして、そうして登録漏れのないようにするという考え方が出ているわけでございます。これは先ほどのお話にありましたが、選挙制度審議会でも、申告主義だけで行なうべきだという非常に強い議論もございましたけれども、ちょうど先ほどから御指摘のありますように、いわゆる新しい有権者等につきましては、必ずしもそういう申告主義だけでは不適当な場合もあるんじゃないだろうかというような意見もございまして、そこで職権で登録する道を開くということで、一応現在の案では併用していく、両者を併用していくというかっこうになっております。したがいまして、職権で登録いたします場合には、いま申しましたような新有権者でありまして、その者の登録資格というものが非常にはっきりしているというような場合あるいは他の行政機関のいまの住民台帳その他のいろんな公簿上の関係からいたしましても、その人が当該市町村の住民であるということが非常にはっきりしている、しかもその人が名簿には登録されていないというようなものにつきましては、職権でその人を登録していくということの道を開くという考え方であります。
それから、住民台帳が整備されましたときには、選挙人名簿は職権主義に変わるのではないだろうかというお話でありますが、現在の永久選挙人名簿の申告主義、申告で登録するという形が、ちょうど住民台帳におきまして、住民が届け出をして住民台帳に登録をするという形に合流をしていくわけなんだろうと思うわけです。したがって、住民台帳のほうに届け出なり申告なりということが載っていきまして、そうして住民台帳に載ったものを引き写しをするという形での職権調製ということが行なわれていくというような形に、住民台帳の整備が行なわれました場合には結びついてまいるものと私どもは考えておるわけであります。いまの永久選挙人名簿の中で、申告と登録というのを一つでやるかっこうでいま考えられておるわけですが、その申告の部分に属するものが住民台帳のほうの届け出のほうに合流していく、こういう形になるわけでございまして、その点では申告主義がまた職権主義に変わるということだけ、まあそういう面もございますけれども、必ずしもそれで矛盾をするというかっこうではないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/13
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014・北條浩
○北條浩君 関連。ただいままでの質問で一番基本的な問題である申告主義か職権主義かということが論議されておりますが、おっしゃることは一応わからないこともありませんけれども、むしろ問題はいままでの職権主義をここでもって申告主義に変えるのです。大きな変革であるわけです。特に最初のスタートが私は問題であると思うのです。先ほど大臣のお答えでありますと、最初につくる永久名簿というものを脱漏がないように、二重登録がないように完ぺきを期すると、こういうふうにおっしゃいますけれども、はたしてこれで具体的にはどのようになさるのか、具体的な方法を示されなければ、なるほど脱漏を防げる、ああそれならば二重登録を防げるということが納得できないわけです。新しい申告主義を基礎としてなさるということ、今度永久名簿をとにかく作成するわけですね。それについては具体的にどういう方法をもってなさるのか、またかりにいつの時点になさるのか、そういうことについての具体的な今後のやり方をお聞かせ願いたいと思います。観念的な話では議論のやりとりになって審議にならぬと思う。その点を具体的にお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/14
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015・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 先ほど大臣からもちょっと申し上げましたが、この改正法案の附則に、十二項から十九項まで改正規定が盛られておるわけでございますが、最初に永久選挙人名簿に切りかえますために、この附則の十二項に書いてございますように、一定時点で選挙資格を有する者につきましての一斉調査を各市町村ごとに行ないます。そしてその調査の結果に基づきまして、その調費目現在に確定いたしておりますところの選挙人名簿を対照いたしまして、その中で名簿に載っております者の中で名簿に載せる資格のない者、あるいは名簿に載せるべきである者が載ってないような場合、こういう者を点検をいたしまして、その現在にあります選挙人名簿を修正をいたしましたり、必要な表示をいたしたりいたしまして、それを一定期間住民の縦覧に供しまして、異議の申し出その他を受け付けまして名簿を確定をする、要するに永久選挙人名簿に移行いたしますために、現在有効でありますところの選挙人名簿を、全世帯の一斉調査の結果に基づきまして、必要な修正を職権で加えまして、そしてそれを確定して、確定をした名簿を永久名簿として発足をさせる、こういう形をとろうと考えておるわけでございます。一斉調査をいたしますにつきましては、全国全市町村につきまして、それは八万人ぐらいの予定にいたしておりますが、調査員を委嘱いたしまして、そして市町村長と選挙管理委員会とが共同いたしまして、そして各市町村内の適当な区域、調査区を設けまして、調査区ごとに調査票に基づきまして世帯の調査をいたします。調査をいたしますときに、選挙人名簿に載っている人、載ってない人、載ってないがしかし載る資格のある人、そういう人の調査をいたしまして、その調査の結果に基づいて名簿そのものを修正するということでございますが、その調査をいまのところ、おおむね六月の中旬ごろに一斉調査をいたしたい。そして各市町村の間で連絡し、照合し、本籍地に照会する等の必要がございます。大体それをできれば四、五十日のゆとりをとりまして、そういうことを完了いたしまして、そしてそれに基づきまして修正をいたしまして、八月一ぱいくらいかけましし、四、五十日かけまして、そして永久名簿というものの発足ができるような形にできれば、一番適当ではないだろうかというふうに考えておるのでございますが、そういう意味で、現在調査要領とか、調査票とか、調査区の設定とか、あるいは調査員の設定とかいう準備が必要なわけでございますが、そういうものの検討をいたしておりまして、また、具体の市町村の選挙管理委員会のいろんな計画や意見も、それぞれ準備的に伺っているような状況でございます。そういうふうにいたしまして、現在の選挙人名簿をもう一ぺんつくり直しをいたしまして、そして永久名簿として発足をするというような形を、この附則の十二項から第十八項までの中にその関係の規定がございまして、そういうやり方で縦覧に供しました選挙人名簿を本条の第十九条一項に規定する選挙人名簿として、政令で定める日をもって確定するというのは、そういう意味でございまして、そうやって修正されました選挙人名簿を、本法にいいますところの永久選挙人名簿として発足をさせるという移行の方式をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/15
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016・北條浩
○北條浩君 そうしますと、最初の永久名簿というのは、いまのお話によりますと、職権でやることになるわけですね。そうしますと、具体的な方法については、先ほどのお話では八万三百人ですか調査員を使って、改めて一軒々々国勢調査と同じようなやり方で全部をやる、このように考えていいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/16
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017・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) お話のように、最初につくられます永久名簿は、お話のように職権調製でございます。また、それのためにいたします調査は、全国一斉、定時点で一斉調査を世帯にわたって調査をいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/17
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018・多田省吾
○多田省吾君 大臣、申告主義、職権主職の問題で、結論としてお伺いしますけれども、大臣のお答えでは、あくまでも職権を併用して選挙権のある日本国民がなるべくたくさん選挙人名簿に遺漏なく登録されるように職権も併用してやっていきたい、そういうお考えのようです、御精神のように思われますけれども、その点に関してはいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/18
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019・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) さようでございまして、いま申しましたように、最初の一斉調査のときは八万人から動員しまして、いわゆる職権で調製をするわけでございます。さらにまた九月には遺漏がある場合には職権でもって脱漏を防止するという方向で申告主義ではございますが、実際は職権主義的な要素がうんと加わりまして、旧来はどうも職権的にやってみましたが、やはり移動の激化その他の関係で脱漏が多いものでございますから、こういう方法で一斉調査を十分職権でして、そして基本的に脱漏のないものをつくり上げ、さらに申告制と職権制を併用して完ぺきを期したい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/19
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020・多田省吾
○多田省吾君 いまの大臣の御答弁で大体納得できましたけれども、そしてまた、憲法の精神から申しましても、やはり基本的人権をもって——特に選挙権は国民にとって一番大事な問題です。選挙権を持っている国民が安心して選挙人名簿に登録され、また、登録漏れがおおむね防がれ、そして選挙権を行使できるという姿があくまでも望ましいものと思います。これは国民的な基本的な人権にかかわる問題であると思います。ところがちょっと一つ心配になることは、この前の四月七日の衆議院の特別委員会におきまして、長野局長が高橋委員の質問に答えられて、「選挙権の行使ということは、単なる住民の権利というよりは、むしろ公選職というものを選任する一つの国家的な、国家の構成員としてこの任務もあるわけでありますから、そこで申告主義を原則として、そういう政治的な自覚の商い人を中心にものを考える。」というふうに返答されておるわけであります。だからあくまでも政治的な自覚の低い人はどうせ申告しないから、そういうものは切り捨てて、政治的な自覚の高い人を登録して選挙に参加させようというふうな、むしろ国民の権利というよりも義務だけを強調するような、ちょっと官僚的なお役所的な考え方が強いような御答弁でございまして、ちょっと心配でございますが、それはいまの自治大臣の御答弁と同じ精神で長野局長はやっていかれるつもりでございますか、御答弁をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/20
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021・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 私がそこで申し上げましたのは、まあたいてい選挙法の関係の学者の大体書いておる考え方、単なる基本的人権というだけでなくて、公職を選ぶ国民的な一つの地位が選挙権には付随しているんだという考え方を、多少御説明の際に使わしていただいたわけでございますが、その点が少し強くあらわれ過ぎておるとすれば、それは表現の非常に未熟なところでございます。つもりといたしましてはそうであるけれども、同時にそれは選挙資格を持っている人が漏れていいということを考えておるわけではございませんで、政治的な関心が高まって、その高まる人たちが一人でも漏れないように、あるいはまた新有権者等につきましては、必ずしも最初からそういう関心を持っておるとは期待できない場合もございますが、そういう人についてももちろん漏れていいというわけではございません。なるべく漏れないようにするということから、まあ審議会でもそこで職権登録というものを併用したわけであります。そういう意味で、有権者であるべき者が正確に誤りなく名簿に載り、載るべからざる者が載ってもいけないし、載るべき者が漏れてもいけない、これはあくまでも基本でなければならないということは、当然われわれとしても心していくことだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/21
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022・多田省吾
○多田省吾君 長野局長のおっしゃることは、ちょっと私は違うと思うのです。それは、政治的な自覚の高い人を中心にするということが、出過ぎだという御答弁でございますから、あまり問題はありませんけれども、政治的な自覚が高い低いは、やはり選挙人名簿に実際に登録をされて選挙権を行使する場合に、政治的な自覚の高い人は当然選挙に参加するのだし、自覚の低い人は棄権しがちである、そういうことは言えますけれども、問題は、たとえば政治的な自覚の高い人でも、登録のしかたで非常にややこしかったり、あるいは国民にあまりにも負担をかけ過ぎるような登録のしかたですと、どうしてもその法の不備のために、選挙人名簿に載らない場合だって非常に多いわけです。ですから、その政治的な自覚云々の問題は、それは投票のときに、選挙権を行使する場合に考えたらいいのであって、選挙人名簿に登録されるということは、国民的な選挙権の当然の権利として、なるべく大臣がおっしゃるように、広く登録漏れがないように職権を強くしていかなければならない問題だと、私は思うのです。
それは、その問題はその問題としまして、長引きますとあれですから、具体的な問題に入っていきたいと思いますが、たとえば、二重登録の問題でありますけれども、こういったことが考えられますね。ある都市に住んでいる二十歳に達した新有権者が、申告を忘れていた。それで、転々と住所を変えて、五回目あたりにたどりついた都市で、申告を忘れていたことに気がついて、そこで申告をしたとします。そうしますと、二十才に達したときの、最初の都市で、九月に職権によって登録されたとしますね、次の、五、六回住所を移転したあとで、またそこで申告で登録をした。それは二重登録になってしまいますけれども、その場合は、どうそれを防がれるおつもりなんでございましょうか。これは具体的な問題なんです。最初の都市では職権で登録されて、それを知らないで、住所を五、六回変えて、選挙が近づいたものですから、政治的な自覚が生じて、それでまたそこで申告をしてしまった。二重登録のようなかっこうになりますけれども、それはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/22
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023・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 初めのところで、お話の場合でございますと、申告は忘れたけれども、職権登録で登録をしてあるということでございますと、その人が、次のところか、その次のところか、別にいたしまして、そこで申告をするという場合には、それまでの間に、その人が登録されているということがわかっておりますれば、初めのところの市でずっと登録が続いているわけですから、その登録をされているという証明をもってほしいということになるわけでございます。が、その人が、自分が登録されていることがわからない、気がつかなかった、本人としては。気がつかなかったというような場合には、そういう人はそういうことを知りませんから、新しいところで、自分はいままで登録されていなかったと思うということを申し出をすることに相なります。その場合には、その人がいままでおりましたところにつきまして、その市のほうで照会をいたしまして、ほんとうに登録されてなかったか、登録されておったかということの返事をもらいまして、その上で処理をするという形に相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/23
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024・多田省吾
○多田省吾君 そうしますと、前の都市を調査する場合は、住所を移転したところを全部調べるのか。それとも、満二十歳に達したときの選挙管理委員会のところを調べるのか。それとも三月とか、九月とか、登録すべきときに住居したところの市町村を調べるのか。どこを調べるようになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/24
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025・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 具体の場合によって違ってくると思いますけれども、その人が最初のところで登録をされているということを知っている場合でございますと、問題はかなり簡単でございまして、そこのところが消えて、新しいところに登録をされれば済むわけでございます。それからその人が前のところで登録されていることをわかっていない場合でございますと、申告に来ましたときに、その人は、当然二十歳以上でございますから、元来からいえば、その人は前の住所地で登録をされているべき人であるわけです。登録をされているべき人が登録をされてないということに、その人の申し条によればそうなっておりますから、その場合には、その申し出を受けました市町村の選挙管理委員会のほうで、その人がその時期に登録されたはずだと思われる市町村に照会をするということの措置をとらざるを得ないわけです。移転の状況によって違うわけでございますが、当然、そのぐらいの時期おれば、そこで登録されておるはずだと思われるところの市町村については、少なくとも照会をする。非常に短期間のところで、問題になるはずもないようなところは、これは照会する必要はないから省略する、こういうことに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/25
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026・多田省吾
○多田省吾君 それから移転した場合の申告ですが、たとえば、二月に市町村を移転して二月に申告したとすれば、三月の登録には載らないわけですね。その点はどうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/26
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027・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 二月に移転をいたしまして、二月に移転をするということは、二月から三月、一カ月しか新しいところに住まっていないということになりますと、その場合は三月には登録が、住所要件が足りませんから、三月にはされない。その人はしたがって前のところになお登録が残っておるということに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/27
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028・多田省吾
○多田省吾君 前のところに登録が残っておる、当然。そうしますと、あれですか、そこに住んでいなくても投票はできるのですか。それともそこに住んでないということがわかれば、投票は差しとめられる場合があるわけですか。たとえば四月に選挙があったと仮定しますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/28
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029・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) いまのような場合でございますと、その市町村の選挙には住所要件が足りませんから、参加するわけにはまいりません。それから、前の市町村にはすでに住所がございませんから、前の市町村の選挙にも参加することはできない、こういうことに相なります。しかし、国の選挙につきましては、前の登録されたところで投票する権利を失わない、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/29
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030・多田省吾
○多田省吾君 選挙制度審議会の答申では、登録は年に三回程度定時に行なうものとするという答申がたしかありましたが、この法案では年二回と変えられているわけでございますが、その経緯はどうなんでしょうか。
それからもう一つは、選挙制度審議会の答申とこのたびの法案が違っておるところはそのほかにどういうところがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/30
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031・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 選挙制度審議会の永久選挙人名簿制度要綱は、年三回程度と実は書いておるのであります。この点につきましては、いろいろ御議論がございまして、結局、程度と書いてあるので、あとは事務的な処理としてどの辺が合理的かということは、事務的に具体化する場合に考えることにしたいという考え方だということを審議会の起草に当たられた委員の方々が確認をされております。と申しますのは、現在の三月、九月と申しますのは、従来の例から申しましても、選挙の一番少ない時期でございます。従来毛選挙人名簿を作成いたしますについての所要期間と申しますか、所要期間は大体基本選挙人名簿の場合のようにいたしますと、四カ月以上時間的に必要なわけでございます。そういうことから考えまして、間に選挙が入りますと、名簿の作成を中断したり、名簿作成に支障を来たすというようなことが起こりますので、選挙が間に入りまして名簿の作成を中断したりおくらせたりしていくということが重ならないような時点を見出そうということで、いろいろ検討いたしますと、やはりどうも三月と九月というのが一番合理的でもあるし、そう支障の起こらない可能な時期ということになります。また同時に、名簿の調製に必要な調査とか登録資格の決定というものが、選挙とダブらないでやれるだけの必要な期間ということになるますと六カ月ぐらい、その間に選挙が入ってもかまわないくらいの期間ということになりますと大体六カ月ぐらいということに相なるようでございます。そういう意味で、年三同程度ということで要綱がきめられましたけれども、そういう事務的処理というものの必要ということとにらみ合わせまして、三月と九月ということに具体化をいたしまして提案さしていただいたような次第でございます。それ以外には永久選挙人名簿制度要綱とこの改正法案とで異なるところはないように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/31
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032・多田省吾
○多田省吾君 そうしますと、登録が少なくなった、登録の機会が年二回と改められた結果、こういう場合が生じた場合にちょっとどうなるのですかお聞きしたいのですが。たとえば、登録が終わってから、すなわち九月の登録が済んでから十月に市町村を移転したとしまして、この次の登録以前の二月に選挙があったと仮定します、市町村の選挙があったと仮定します。そうしますと、国会なんかの場合は問題ないでしょうけれども、市町村の選挙の場合は、十月から二月まで、その同じ場所にもう四カ月以上も住んでいながら、選挙権を行使できないという場合が考えられますけれども、それはどうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/32
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033・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) いまのおあげになりました事例の場合でございますと、確かに三カ月以上住所をその市町村に持っておりましても、その人が登録時期がはずれた時期でございますと、名簿にはその市町村では登録されておりませんので、その時期に選挙がございます場合には、市町村の選挙には参加できないということは、これは残念ながら起こると思います。ただそういう意味で、二月とか十二月とか、まあ十月に移転をいたしてまいりました場合には、一月、二月に選挙があれば、その場合の名簿にはなお登録されておりません。三月にしか登録されませんから、その面町村の選挙にはその人は遺憾ながら参加できないということでございますが、まあ実際問題として、そういう時期にどれだけ選挙があるかということとのまあかみ合わせだろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/33
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034・北條浩
○北條浩君 いまのに関連してですけれども、そうしますと、三月と九月の中間に有権者になった者はどうなんでしょう。同じ事例で九月に選挙があった場合、中間において有権者になった者も登録できないから選挙ができない、こういうことになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/34
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035・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 三月一日、九月一日現在で、住所でありますと三カ月の住所要件が必要になる。それからそれまでに、年令でございますと二十歳以上であることが必要になります。したがいまして、三月一日までに三カ月に一日欠けたとかりにいたしますと、その人は三月一日現在では登録できないわけでございます。したがって、その人は九月にしか登録になりません、という意味では、九カ月に一日足りない時期まで、その人はその市町村では登録できない。それから年齢でございますと、三月の一日までに二十歳にならない人、極端な場合でございますと、三月二日に二十歳になる人を考えますと、その人は登録を三月の場合にされませんから、九月までいくわけでございます。したがいまして、その人にとりましては、九月の登録ということは二十歳プラス六カ月マイナス一日。その人たちが一番長く登録されなかった人ということに結果として相なります。そういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/35
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036・北條浩
○北條浩君 そうしますと、いまのお話ですと、現実にそういう事例は相当多数にのぼると思います。なおかつ、また都市における人口の流動というものは非常に激しいものがあります。したがって、半年間の流動人口というものはおびただしいものにのぼると思います。現行の制度におきまして、それを補うためにいわゆる補充選挙人名簿という制度があったわけです。なるたけ有権者には選挙権を行使させる、こういう意味でいままでは補充選挙人名簿があるわけです。今回こうしたことをあえて行なって永久選挙人名簿に変えて、数多くの有権者が当然権利がありながら選挙権を行使させられない、そういう国民多数に不利益を及ぼすようなことをあえて行なう理由ですね。なぜそういうことを行なうのか、これをお聞きしたい。たとえば、二重登録の防止ということが先ほど言われましたけれども、現に今度の永久名簿に変えたといたしましても、相当各選挙管理委員会または地方自治体等の業務が円滑に行なわれなければ、いままでと同じような弊害というものは防げないと思うわけです。したがって、いま申しました、なぜそうした国民大衆にあえて不利益を行なっても、このように制度を変えなければならなかったか、この理由をひとつ大臣にお伺いをいたしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/36
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037・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 旧来の関係の補充選挙人名簿は、選挙の前にいろいろ殺到いたしておりまして、十分調査ができずにやるものでございますから、非常に遺漏並びに二重登録という弊ができてきたわけでございます。そういうことのないようにするということが、脱漏、二軍登録その他を今度せないようにするために、確実に名簿をやるということのほうに重点を輝きました関係で、そういう結果が生まれるところは遺憾ではございますが、しかし、永久選挙人名簿では完全に一つも脱漏のないように二重登録のないようにするということが重点でいくほうがいいのではないかというように考えられて、今回のようにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/37
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038・北條浩
○北條浩君 私はこの永久名簿ができることに何も反対しているわけじゃないです。いま大臣の御答弁によりますと、現行制度において非常に選挙まぎわに殺到して混乱を起こし、調査が不十分なために二重登録が行なわれたと、このように言われました。そうした弊害を防ぐために、あえてこのような永久名簿に踏み切ったと、このように私はお聞きしたわけです。で、ここでちょっと私問題にしたいことは、その二重登録が相当いままで行なわれたということの根拠ですね。たとえば、四月五日の衆議院における公職選挙法の特別委員会におきまして、山下委員の発言の中に、「結局ああいう大きな異動寺が行なわれたものと想像いたすのですが、」〜、こういう語句があるわけです。これに対して答弁に立たれたのは長野局長ですが、この問題につきましては的確な答弁はされておらないわけです。ただいまの大臣の二重登録が過去において行なわれたとその弊害を防ぐためにといわれましたことと関連して大臣にお伺いしたいのは、このような過去においてああいう大きな異動等が行なわれたものと想像いたすというようなことを、大臣はこれを現実に大きな異動が行なわれたということをお考えになっているのか、それともそういう事実は聞いてないのか、大臣のこれに関する御答弁を私は求めたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/38
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039・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 私はまあ事務当局でなかったものでございますから、その実態について同様のことがあったかということはよく存じませんけれども、しかし、選挙の前でございますのに、ここで異動証明を持ってこさしたり、あるいは実態を個々に行って調査をしたりということが、なかなかふくそうしてできかねるわけでございます。それでやはりそういうことを確実にやって脱漏がないようにするとか、二重登録がないようにするためには、やはり事務当局にも一定の期間、十分調査かできるような余裕を与え、それらが完全にいろいろの事務処理ができるようにしたほうが、こういう脱漏、あるいは二軍登録を防止することではないか。まあ一応巷間では脱漏や二重登録が相当あったというようなことを当時の新聞でまあ承ってはおりますけれども、実質的にどこがどうかということは十分調べておりませんので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/39
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040・北條浩
○北條浩君 では大臣の答弁で、新聞等で若干見たけれども、実質御存じないということでありますので、ちょっと説明を加えますと、こうした問題につきまして、昭和三十九年の四月八日の衆議院のやはり公選法の特別委員会におきまして、この具体的な問題が発言されておるわけです。で、これはまあ御存じかとも思いますが、島上善五郎委員ですね、社会党の。この委員の発言の中にきわめて具体的な発言があるわけです。「創価学会が集団的に移動をして、それもこの法律にある住所の要件を満たしていない、形だけの移動をして、アパートの一部屋に、極端なのは百人も二百人も移動した。こういう事例もあるのです。」云々と、こういうふうな発言が続いているわけです。で、その後この問題につきましては、事実アパートの一部屋に百人も二百人もというような架空なことは一体何を根拠にして言ったのか、本人にも問いただしましたところ、別に根拠はないと、どこかで聞いたという話で、きわめてあいまいな話である。それがこうした委員会の席上において公式に取り上げられておりまして、それが巷間伝わって、いわゆる集団移動というようなことがまことしやかに伝わっている。これは私たちもよく知っております。大臣もおそらくそういう巷間のうわさ、また新聞紙上の報道等をお聞きになったと思うのです。で、この事実につきまして私は明らかにしておかなきゃならない。現にこういうことがあったがゆえに、幾多の弊害もかえりみず、今回このような永久名簿に切りかえたんだということになりますと、これはゆゆしき問題であると思います。したがいまして、こうした事実につきまして、もし大臣が的確にまだ御存じなければ、やはり突きとめられて、この次の機会でもけっこうですから、あったか、なかったか、それを明らかにしていただきたいと私は大臣に要求したいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/40
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041・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 私がこの法案を作成するときに聞き及びました限りでは、そういうようなことが中心でやっておるように聞いておりません。事務当局が実態調査を十分せなけりゃならないのに、ふくそうしておる関係上、調査等が十分できていないので、脱漏あるいは二重登録等がよくできるので、やはり十分ひとつ調査をする期間も与え、そしてそれに対する関係資料を各町村に照会して十分整理をするというような点において、やはりこういうような方法が、やむを得ず、三カ月以上の方に対してですね、多少の問題はあっても、正確にするということの関係が、事務的にこういうようなものが正しいのであるというように聞いておるわけでございますが、ただいまのようなことは巷間伝わられている程度で、何も実態がないのじゃないかというようには存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/41
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042・北條浩
○北條浩君 巷間伝えられているということで、実態はないんじゃないかということでございますが、委員会の席上発言されたことでありますし、また関連して、きわめて近い先だっての衆議院の特別委員会におきましても、先ほど申しましたような、ああいう大量の異動云々ということが発言されて、それっぱなしになっているわけです。ですから、そうしたゆえなき、根拠もなき、ためにするそうした集団移動説というようなことは、根拠がなかったら、なかったとはっきり私はしていただきたい、こう思うわけです。したがいまして、次回までにお調べいただきまして、現にそういうことがなかったら、なかったと、このようにお答え願いたい、事実をお願べ願いたい、このように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/42
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043・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) お説の点もございますので、十分ひとつ事務当局と検討させていただきますが、実質的には調査するまでもなく、さようなことはないというように聞いておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/43
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044・北條浩
○北條浩君 ただいまのお答え、わかりました。
で、今回の新しい改正案によりますと、異動に関してですね、それを証明する要件といいますか、先ほどはまあ住民登録といいますか、その名簿が完成された暁には、それに基づく云々というお話がありました。現在は住民登録ということは非常に不完全である。したがって、このたび新しい改正案になりました場合ですね、異動を証明するに足る要件、これはいかがなりますかお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/44
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045・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 異動に際しましては、従来おりました場所の選挙管理委員会でつくっておりますところの選挙人名簿にその人が登録をされておる場合には、その人がその市町村の選挙管理委員会の選挙人名簿に登録されているという証明書をもらいまして、そして異動先の市町村の選挙管理委員会に登録の申し出をする。要するに、選挙人名簿だけを相手にこちらは考えておりまして、住民登録というものとの関係は全然考えておりません。選挙人名簿に載っておるということを従来の市町村の選挙管理委員会が証明をいたします。これはもう載っておったということは確かであります。それがこちらへまいります。そして、それを載せる場合にはそれで載せて、そして載せたという連絡をまた相手に返す、こういう措置をやることにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/45
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046・北條浩
○北條浩君 で、移動して、たとえば、私いま新宿に住んでいますけれども、かりに足立区へ引っ越したという場合ですね。現に足立区に私が居住していることを証明するについては、どういう要件が要るかと、こういうことを伺っているわけです、具体的な問題として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/46
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047・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 足立区に住んでおるということの証明について一番都合のいいのは、たとえば、住民登録などがあれば、これは一番都合がいい。それから、かりに住民登録がないという場合でも住んでおる場合があるわけでございます。したがって、その場合には住民登録にかわる、と申すと少しあれでございますけれども、やはり居住を証明するような資料——資料と申しましても、いろいろあると思いますが、たとえば、そこを生活の本拠にいたしまして、生活の本拠がそこにあるということがわかりますような資料でございますから、たとえば、そこを本拠にしていろいろな人と通信をしておりましたり、取引をしておりましたり、行動しておるということがはっきりするようなものがあれば、その時点から住所を持っておるということがわかるわけでございますので、そういう資料、できるならば公の資料が一番いいわけでございますけれども、それ以外にも、そういう資料によって住所が確認されるということであれば、それによって登録の手続をしていくということに相なると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/47
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048・多田省吾
○多田省吾君 公選法第九条の三項に、「引き続き三箇月以来市町村の区域内に住所を有していた者で天災事変等に困りやむなく他の市町村の区域内に住所を移したものは、その市町村において住所を有する期間がまだ三箇月に達しなくても、当該市町村の選挙管理委員会にその旨の申出をすることにより、前項に規定する住所に関する要件にかかわらず、当該市町村の議会の議員及び長の選挙権を取得することができる。」という、天災事変等によるやむを得ない場合には、三カ月住んでいなくとも選挙権を得られるという条項が従来の選挙法にはあったわけでございます。このたびの、ダム建設の立ちのきとか、あるいはたとえば、新国際空港の問題なんかいま論ぜられておりますけれども、その場合に、何千戸立ちのかなければならないという事態が当然生ずることを考えなければならないと思います。そういう、むしろ前よりもそういった社会的な変動あるいは天災事変等が起こり得るということが十分考えられるにもかかわらず、今度その項目をけずった理由は、どの辺にあるのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/48
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049・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 従来のこの第九条の三項は、御指摘がございましたように、海外引き揚げ者でありますとか、あるいは天災事変にあったものでやむなく他の市町村に移転をしました場合に、その移転をした先の市町村で三カ月の居住要件を充たさなくても、その市町村の選挙権を与える、こういう規定なわけでございます。
で、この実態を調べてみますと、お話がございましたが、該当はきわめて少ないようでございますし、また同時に、その人の個人的な事情によって他の市町村に移転をしたということと、そのための市町村が当然に選挙権をその人に認めなければならないという理由とは必ずしも合致する場合ばかりではない。他の市町村としてはその人が移転をすることについて三カ月の住所要件を省略しても、その人に選挙権を認めなければならない理由というものは、その市町村のほうから考えました場合には、それほど十分なものということで、すでに納得できる場合ばかりではないという気もいたすわけであります。そこで、むしろ緊急避難をいたしまして、なお、元のところに住所がなくなっても、なお残してあるんだということであれば、逆な意味である程度わかる話でもあるように思いますけれども、いまの場合はそうでございません。そうして該当も非常に少ないようでございますし、まあこの際、選挙権の要件、選挙人名簿の登録資格というもので、それほどに支障のないものであれば、なるべく例外的な措置というものをがまんのできる程度のものであれば整理をいたしまして、取り扱いが酷にならないようにすることがある程度できるのではないかということで、引き揚げ者の問題とか、いまの天災地変の場合とかというようなものについての整理をしてはどうかということで考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/49
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050・多田省吾
○多田省吾君 いま、大臣の御答弁の中に、このたびの永久選挙人名簿の作成にあたっては国勢調査に準ずるようなやり方で総ざらいにやっていきたいというようなお話がございました。で、国勢調査のときには、たしか二十二億ほどの予算を使ってやっているようでございますが、このたび当初の概算要求では十億六千万円を要求されたようでございますけれども、実際は四億九千万円に減らされているようでございます。ほんとうに八万三百四十六人の調査員が任命されて、そして先ほどお話しのように、戸別訪問のようなやり方で完ぺきを期して調査され得るのかどうか、そういった半分に減らされた予算で、実際、国勢調査のときの調査に匹敵するような規模で調査ができるのかどうか。場合によっては調査員を雇う予算も足りなくて、自治体の職員を雇ってやってしまったり、あるいはその調査が不完全で、ただ、いままでの基本選挙人名簿を引き写すというような事態にならないかどうか、その辺のことをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/50
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051・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 具体的には事務当局に答弁させていただきますが、予算折衝の過程におきまして、やはり日当の関係を少し落として御協力を願うようにしたり、まあ、どのくらい見ておったか存じませんが、とにかく日当を少し単価を下げました。同時に交付税関係をこれに充当をしていく。なお、永久選挙人名簿ができますれば、初めは金がかかりますが、次回から少し費用が減りますから、そうすると、交付税関係を減らさずに町村の負担が——交付税は二年三年と少し多く、旧来のように出していけば町村に迷惑をかけず、事実においては国勢調査と同じようにやるという、実態はあとへ引かない、ただ支払い関係で、単価を八百円ぐらいに見積もったものを六百円ぐらいにするとか、交付税は旧来八億ぐらいあったのをやはり続けて、永久選挙人名簿になってもやはり交付税をそのまま交付して町村のほうに迷惑をかけぬようにして、しかも実態の調査は国勢調査と同じように十分ひとつ調査ができるようにしようという、あとは事務的な扱いで交付税の関係とあわせて十分ひとつ調査ができるようにしようということでございますので、具体的な金額等はまた局長のほうで御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/51
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052・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) この調査費はほとんど調査員に対する手当でございまして、大臣が先ほど申し上げましたように、調査員一人当たりの手当等は国勢調査と同じような手当の額を計算いたしておりますが、ただ選挙権の選挙資格の調査ということは、国勢調査は非常に複雑な調査をいたします。ある面では割りと簡単といっては語弊がございますけれども、多少そういうこともございますので、一人当たりの調査世帯を三百世帯程度に見ております。そうしてこれは十日間というようなことで考えておりまして、そういう積算の基礎になっております。
それから先ほど大臣がお答えいたしました選挙人名簿につきましては、交付税の財源措置といたしまして、従来約九億程度の費用が地方の財源に措置されておりますが、今回それに加えまして約三億程度財源措置を加えております。そういうことで、かれこれいたしまして、調査と名簿の調製ということについての措置をいたしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/52
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053・多田省吾
○多田省吾君 カードの問題でございますが、この案によりますと、市町村の選挙管理委員会は、なるべくすみやかにカード式名簿に切りかえるものとすることと、かようにうたっておるようであります。なるべくすみやかにということで、予算が足りないというような理由で二年も三年も基本選挙人名簿のような形式で放置しておかれるような可能性も多いと思うのです。またカード式につきましては、世帯のカードをつくるのか、個人のカードをつくっていくのかというような問題もございます。また、いままでも、たとえば参議院地方区の場合、あるいは衆議院(しゅうぎいん)選の場合に、公営掲示場を今度設けるようにしたというような場合、予測のつかないような不備が出てまいりまして、掲示場はつくったけれども、五十も六十もつくって、わずか十人内外しか掲示しなかったとか、あるいは予想外に——この前も大阪に視察に参りましたときに、適当な場所が見つからなくて困ったとか、あるいはその関係者に一々始まる前、終わったあと係員が個人的に謝礼をしなければいけないので、個人的に謝礼の負担がかかってきたとか、あるいはどうしても毎日巡回しなければならないので、たいへんだったとか、いろいろな苦情も出ておることもありましたが、このたびのカードにおきましても、ただこのように法律できめただけで、いまのお話のように、予算要求だって半分以下に削られておる。そうして最初の永久選挙人名簿をつくる場合だって、大臣の御答弁によりますと、国勢調査のときよりも日当を安くしていくとか、そういうことをおっしゃっておるわけでございますが、その方面に予算をとられてしまって、カード式に切りかえる場合に、なるべくすみやかにというぐあいにうまくいくかどうか、その辺は非常に心配なわけでございますが、お尋ねしたいのは、第一点は大体なるべくすみやかにとおっしゃいますけれども、いつごろまで完備させる御予定なのか、あるいはカードは世帯のカードにするのか、個人のカードにするのか、その二点を具体的にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/53
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054・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) カードにつきましては、おおむねいまのところ三年ぐらいで全部切りかえを終わりたいというふうに考えております。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、現在選挙人名簿調製のための財源措置といたしましては、交付税において十二億いたしております。それから今回の一斉調査のほうは約五億いたしております。それでカードと、それから保管をいたしますための堅牢な容器といいますか、そういうものの費用を大体計算いたしますと約十億前後かかるようでございます。そういうことからいたしますと、大体二年ないし三年あればいまの選挙人名簿関係の経費の中で始末がつけられるように考えておるわけでございます。カードにつきまして世帯カードにするのか、個人カードにするのかというお話がございました。これは現在検討いたしておりますが、やはり整理の都合からいいますと、なお結論を得ておりませんけれども、どうも個人カードと申しますか、個人式というのが何か能率的だという話を最近聞いております。どちらか能率的なほうにしたいと考えております。なお検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/54
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055・多田省吾
○多田省吾君 いまのカードの問題にしましても、細目がまだきまっていないのでございます。また、新有権者あるいは移動する人が移動したところで異動証明書のようなものを前の市町村からもらって次の市町村の選挙管理委員会のところに提出して、そして申告するわけでございますが、その場合に政令によってきまった書類によると、そのように言われているようでありますけれども、大体いまの考えではどういった書類になさりたいお考えなのでございましょうか。それともまだそういう具体的なことは全然きまっていないのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/55
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056・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 市町村の選挙管理委員会が発行いたします証明書は選挙人名簿登録抹消申請証明書という名前の証明書を出すようにいたしたいというふうに考えております。選挙人名簿に登録されていない人がございます。そういう人が登録の申し出をいたします際には、未登録の理由書という、本人がつくりました理由書というものを提出をしてもらうというかっこうにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/56
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057・多田省吾
○多田省吾君 その場合はあれですか、新有権者を含むのですか。それからもう一つは、異動の場合の書類の様式はどのようになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/57
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058・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) いま申し上げましたのが異動の場合の形でございます。新有権者と移動者との場合に違いますことは、そういう添付資料を移動者のほうはつけてもらう。それから移動者につきましても新有権者につきましても登録申し出書というものは本文のほうはつけてもらう、これは新有権者も移動者も同じようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/58
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059・多田省吾
○多田省吾君 その内容ですね。たとえば生年月日とか、住所とか、いろいろあると思うのですが、それはまだきまっておりませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/59
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060・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 登録印し出書につきましては、選挙人名簿に記載いたします事項を中心にいたしますから、いまの登録印し出講とほとんど変わらないと思っております。すなわち、氏名、住所、生年月日、性別、その他のことを害いてもらうということを中心にいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/60
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061・多田省吾
○多田省吾君 この永久選挙人名簿による選挙人名簿を使用する時日でございますが、いままでのところでは来年の地方選挙からだというようなことをお聞きしておるわけでございますが、大体自治大臣としましてはいつから御使用になられるおつもりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/61
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062・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 具体的には局長のほうから、もし何でございますれば御答弁申し上げますが、本年九月ごろから使用できるように、法案が通りましたならば、各町村のほうへ至急に連絡をいたしまして、鋭意ひとつ事務的に努力をしていただくようにしたいと、こういうふうに言っておりますが、なお実態については、もし何でしたら局長から答弁を申し上げますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/62
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063・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 大臣が申し上げましたように、できれば九月ごろから永久名簿に切りかえるようにいたしたいというので、一応いろいろな準備や検討をいたしておるところでございます。と申しますのは、十月、十一月に入ってまいりますと、基本選挙人名簿をつくらなければならないということが起ってまいります。そうすると、ことしも九月十五日現在で、放っておけば基本選挙人名簿をつくるという作業が始まるわけでございます。そういたしますと、二重手間と申してはちょっと語弊がありますけれども、やはり一種の二重手間になるわけでもございますので、なるべくならば、本年は基本選挙人名簿をつくらないでもいいように、すなわち永久名簿がそのままずっと使えるような形に、基本選挙人名簿をつくらないで済むような形に、できれば持っていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/63
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064・多田省吾
○多田省吾君 たしかこの前の委員会でお尋ねしたときに、選挙局長は来年の地方選挙のときから使いたいというような御意向のようにもお見受けしましたけれども、その方針は結局変わったのでございますか。そうしますと、十月、十一月ごろ衆議院の選挙があればそのとき使いたいという御意向ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/64
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065・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) そういうこととは全然関連がございませんですが、まあそういうことを言うことは私の権限外のことでございますが、とにかく憲法で四年になっていますから、任期一ぱいやるというよき慣行をつくって、非常事態に通ずる解散等はできるだけ避けてもらいたいことを総理に強く私としては要望いたしておりますが、全然これとは関係がございません。ただ事務的にできるだけ、いま申しましたように二重の作業にならぬように、ことしからやるようにできればやりたいというので、町村長側との協力関係を法案が通りましたら相談をしてやってみたいと、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/65
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066・多田省吾
○多田省吾君 結局、いまの選挙局長のお話のように二重に名簿をつくることはわずらわしいから、永久選挙人名簿一本やりの作成のほうに向かいたい。それから基本選挙人名簿を九月十五日現在、この法案が通れば、つくらない方針だという御意向ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/66
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067・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/67
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068・北條浩
○北條浩君 名簿のことに関連するのでございますけれども、名簿の閲覧といいますか、縦覧といいますか、それに関する具体的なやり方をちょっと伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/68
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069・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 今度の改正法案におきましては、第二十八条という条文を新たに規定さしていただきまして、名簿の閲覧は常時できるということにいたしました。それから選挙人は選挙人名簿に脱漏とか誤載とか、誤りがあるということを常時閲覧した結果わかるわけでございます。そういう場合には市町村の選挙管理委員会に対しまして、名簿の修正について苦情が持ち込める。調査を請求ができるというような形で取り扱っていきたい。常時閲覧ができ、常時苦情の申し込みができる。それで政令の中におきまして、そういう苦情持ち込みがありました場合には調査をして、その事実について返答するようにというような規定も入れておきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/69
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070・北條浩
○北條浩君 そうすると、実際その名簿そのものを有権者は見ることができるわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/70
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071・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/71
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072・北條浩
○北條浩君 従来、その問題に関して、実際に区役所等の窓口等において、非常に窓口の扱い方が一般の有権者に対しては不親切なんです。したがって、今後は特に私が心配しますのは、いままでは職権主義であったけれども、今度はこれが申告主義に変わる考え方自体が、さらに申告したものは受け付けてやるというようなことに変わりますと、いままで以上に実際の窓口事務等が不親切になるきらいが十分考えられるわけですね。したがって、先ほどの大臣の御答弁にも、決して申告主義になったからといって、有権者に対しては、できるだけその権利を享受させるようにつとめると、こうおっしゃいましたけれども、実際にそれを周知徹底さしていただきたい。窓口のすみずみに至るまで、この方針が変わりますと、当然窓口にも混乱するでありましょうし、また、有権者にとっても、はたして自分が名簿に記載されているかどうか、疑問も起きてくるでありましょうし、相当波乱が予想される。したがいまして、これに対しては十分新しい方針を周知徴底していただきたいと同町に、具体的なその取り扱いにつきましては、できるだけ有権者にわかりやすく説明していただくようにお願いしたいのです。これに関して大臣として具体的にどのような方法をもってこれを周知徹底さしていくか、さらにサービス精神というものにつきましては、大臣としてはどのようにお考えになるか、これをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/72
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073・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 御説のように、私が言うのはどうかと思うのですけれども、やはりまあ徳川幕府の封建政治以来、明治から今日に至るまで、官僚あるいは中央集権的な性格が非常に強く出ておりますので、やはりその惰性、必ずしも逸脱してないと思うのでございますが、したがいまして、私は町村長会、議会等に臨みましたときには、いわゆる憲法にいう公務員は奉仕精神でいかなければならない、国民に奉仕するというのが原則でありまして、やはり民意を尊重して、十分ひとつサービスをよくしていかなきゃいけないということを一般的に申しておりますが、特に今回はこの一斉調査等いたしまするので、調査の際に、十分ひとつ住民の御意思を尊重してやるという、との法の内容を周知徹底せしめまして、なお、事務当局に対しましても、ただいまお説のような点を十分注意してやるように、特にひとつあらゆる方面で通達あるいは講習会あるいは示達と、いろいろな点で努力をいたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/73
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074・北條浩
○北條浩君 それからもう一点ですが、先ほども問題になりましたが、新しい制度になりますので、実際に法律に定められた要件を満たす要するに有権者でありながら、九月と三月の間に住所を移動したために投票できないとか、または新有権者になっても投票できない、こういう人がだいぶ出ると思うわけです。こうした新しい制度によって出るところの弊害ですね。これに関してはく7後改めていくお考えがあるかどうか。そういったものは、そういったマイナスは承知の上でやっていくのだというお考えか。それともやはりそうした不備な点については、今後とも改めていく意思がおありなのかどうか。それをひとつ何っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/74
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075・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 今回は要するに名簿の脱漏、あるいは二重登録その他不備がないように事務的な調査等に十分完ぺきを期するというような考え方におきまして、不利の関係者が多少ごさいますけれども、重点的に旧来種々論議されておりましたので、そういうような登録のそごのないようにするということに重点をおいておりますが、しかし、お説のようにこれを実施の上におきまして、そういうような非常な不利の立場におる人が多数できたり、また、そういうことが実際一人もないようにすることが望ましいのでありますから、事務当局の事務の関係が永久選挙人名簿が数理されまして、調査その他がスムーズにいくというような諸種の要件ができますれば、お説の点については、十分ひとつ将来検討を続けて善処せにやならぬ。さようにまたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/75
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076・北條浩
○北條浩君 ただいま伺いましたが、確かにこの都市の流動人口は予想以上に大きいということをあらためて私は申し上げておきたいわけです。したがって、新しい制度によりまして、そうしたものの不利益を十分カバーしていくという前提がなければ、私はこの新しい制度によって、むしろ国民全体がこの選挙に関する意思がさらに遠くなるのではないか。これをおそれるわけでありますけれども、ただでさえ日本の選挙制度というのは非常に制限が多くて自由に伸び伸びと明るい選挙ができないようになっております。かてて加えて、この選挙人名簿すらも現行制度よりより以上にやっかいだ、一々申告にいかなければやらしてくれない。窓口にいかなければ登録されているかどうかもわからない。こういうようなことになりますと、せっかく日本が戦後民主化になって、一人々々が国民主権という新しい近代国家が発足しておりながら、こうした制度によって、さらに国民大衆が選挙というものから遠ざかって、やっかいなものはやりたくない、こういうようなことになるということは非常に私は日本国家のためにはなはだ憂うべきである。もっと自由に当然権利のあるものは投票できる。さらに選挙制度に関しましては、その他問題幾多ございますが、今回この問題には触れませんけれども、この永久名簿に関しましても、私はその点が問題だと思います。したがいまして、あえて大臣にその点を重ねてでありますけれども、決して民主化に逆行しないように、十分有権者にはむしろ投票さしてあげるような、そういう考え方で、この制度の運営に当たっていただきたいし、実際にやってみて、まずい点は改めていく、このように私は強く希望したいのです。したがって、先ほども解れましたが、現行制度における脱漏とか、または二重登録という弊害、これは何も制度そのものに欠陥があるのではなくして、やはり国民全体の意識が非常に低いがゆえにそういうことが行なわれる。それからまた、実際の事務当局が非常に不親切なために、または、やるべき仕事をやらないがために、当然現行制度においても、二重登録等は十分防止できるのですが、それが事務の当事者が怠慢のために、あたら二重登録が行なわれるとか、そういう不備は、私は制度にあるのではないと、こう考えるのですが、したがいまして、永久選挙人名簿にすることにつきましては、そういった点を十分考慮せられまして、決してうしろ向きにならないようにしていただきたい。で、先ほど申しましたような、中間において有権者になったような人たちも、今後とも、できるだけすみやかな期間に、やはり選挙には参加できるように改正していただきたい、このようなことを私は強く希望するわけであります。そうした私の考えにつきまして、総括的に大臣の御意見を承って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/76
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077・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) ただいまの御説の点は、全面的に賛成でございますので、要は脱漏や二重登録やそごがないようにするということが、そうして有権者の皆さんが一人も漏れなく選挙ができるような態勢にするということが目的でございますから、御説のような点を十分ひとつ考慮いたしまして、将来善処をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00519660511/77
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078・小林武治
○理事(小林武治君) 本案についての本日の審査はこの程度にいたします。
次回は、明後五月十三日午後一時に開会する予定であります。
これにて散会いたします。
午後四時十四分散会
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