1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月三十一日(火曜日)
午前十時七分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 川野 三暁君
理 事
小林 武治君
玉置 和郎君
松本 賢一君
多田 省吾君
委 員
青柳 秀夫君
金丸 冨夫君
楠 正俊君
西郷吉之助君
新谷寅三郎君
天坊 裕彦君
吉江 勝保君
占部 秀男君
加瀬 完君
鈴木 壽君
北條 浩君
中村 正雄君
国務大臣
内閣総理大臣 佐藤 榮作君
自 治 大 臣 永山 忠則君
政府委員
自治省選挙局長 長野 士郎君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○公職選挙法の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
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001・川野三暁
○委員長(川野三暁君) ただいまから公職選挙法改正に関する特別委員会を開会いたします。
公職選挙法の一部を改正する法律案(閣法第一三二号)を議題といたします。
前回に引き続き、本案の質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/1
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002・松本賢一
○松本賢一君 質問いたします。
いま、この委員会で論議されておる本案は、永久選挙人名簿をつくるという法案なんですが、初めのころは自治大臣もえらいゆっくり、まあ来年の地方選挙に間に合えばいいわといったような調子で進めておられたのですけれども、最近に至って、この法案を上げることを非常に急がれる。というと、何となく、これは衆議院の解散につながっておるのじゃなかろうかというふうにも考えられるわけなんですが、そこで衆議院の解散について総理にまずお伺いしたいのですが、四月十二日の衆議院の公選特別委員会で、総理は山下榮二さんの質問に対して、こういう御答弁をなさっております。「過日六者会談、これは自民党の首脳会談でございますけれども、その席でも、年内解散は考えていない、こういうことをはっきり言おう、こういって実ははっきり申しておるのであります。これは外へ出した公式な声明の初めてのものだと思います。これを信頼していただかない限りにおいては、どうも政府の説明のしようがないのであります。」と、こういうふうに実にはっきりと年内解散説を否定しておられるのであります。ところがその後、総理がどこでどんな機会にどんな発言をされたかは存じませんけれども、世間では、どうも年内解散必至だというようなムードがわいてきておるように思うのでございます。
そこでお尋ねしたいのですが、失礼な言い分かもしれませんが、総理が御答弁なさったり、いろいろお話をなさるときに、いつも合いの手と申しますか、ただし書きと申しますか、それがいつもたくさんありまして、その主題が何となくぼやけるというような場合が多いので、人がいろいろ揣摩憶測するのだろうと思いますので、きょうはひとつ、私がいま引用した四月十二日の御答弁をここで再確認されるかどうか、簡単にイエスかノーか、その合の手を入れないで御答弁をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/2
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003・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ただいまの六者の会談の話し合い、その後も変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/3
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004・松本賢一
○松本賢一君 それでは、年内解散はないというふうにはっきり理解をさせていただきます。
次に、選挙制度審議会の答申が近く出されようとしておるのでございますが、この問題についてお尋ねしてみたいと思うのですが、まず、この出されようとしておる答申は、衆議院の選挙区制については、もう小選挙区制を主体として、それに比例代表制を加味したものになる。衆議院の選挙区制については、そういうふうな形のものが出されるということが決定的だという報道がなされているのですが、これも簡単に御答弁を願いたいのですが、総理は、その小選挙区制を主体として比例代表制を加味したこの選挙区制について、賛成なのかどうか、お答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/4
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005・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私は、選挙制度審議会に諮問をいたしておりますので、諮問が答申になるまでは私の考え方は言わない、こういうことで、私の考え方を発表したことはございませんし、また、この機会でも私は、ただいま諮問しておる最中でございますので、私の考え方は申し上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/5
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006・松本賢一
○松本賢一君 そうすると、まあ言えないとおっしゃるならしかたないと思うのですが、答申が出ましたら、それを受けて、これを国会に成案として出されることだと思うのですが、それは大体答申が出てからどのくらいの時期でできるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/6
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007・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 答申がいつ出るかわかりませんが、答申が出たら、できるだけ早い機会に、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/7
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008・松本賢一
○松本賢一君 永山自治大臣は、政治生命をかけても小選挙区制はやるのだと、こういうふうにこの間も広島のほうで記者会見でおっしゃっておるのですが、どうですか、総理、やっぱり総理もそういうふうにひとつ促進しようという腹がまえでおられるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/8
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009・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私の考え方は、冒頭にお答えしたとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/9
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010・松本賢一
○松本賢一君 それでは別なことを質問します。
時間がどうも二十分ということで切られてしまっておりますので、私はその半分の十分しかありませんので、聞きたいことがたくさんあるのですが、それが聞けないのですが、最後に、それじゃ参議院の制度の改革ということが問題になりつつあるわけでございます。これについてもかつて永山自治大臣は、次の選挙制度審議会には参議院の改革について諮問をしたいと思うと、こういうような御発言もかつてあったわけでございますが、総理いかがでしょうか。参議院の改革について、やはりそういうふうなお考えをお持ちでしょうか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/10
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011・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 参議院の場合もいろいろの問題が起きていると思います。しばしば言われますように、全国区の存置というような問題もありましょうが、これはちょっとただいま手を触れるような問題ではないと思いますけれども、ただ人口の非常な過度集中が行なわれたりしておりますので、戦後にきめられた地方区の定員、これは適正なりやいなや、こういう問題に当面しておる、かように私は思いますが、そういうような点についてどういうような意見が出されるか、そういう意味の諮問をしろという、こういうような意見が各方面から出ておる。このことはもうすでに御承知じゃないか、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/11
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012・松本賢一
○松本賢一君 そうすると、全国区の問題をどうするとかいった根本的な問題は一応当分お預けにしておいて、人口の移動による定員の変化といいったようなことについての諮問は、さっそくおやりになるというようなことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/12
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013・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの選挙制度審議会にもそういう意見があって、すでにそういう点には、答申の時期等については議論がまとまらないようでありますが、この選挙制度審議会においても議論しておる、かように私は伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/13
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014・松本賢一
○松本賢一君 聞きたいことはたくさんあるのですけれども、次の質同者の時間を食っちゃいけませんので、これでやめますけれども、きょう、われわれの要求に応じて総理が出席してくださったことに対して敬意を表しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/14
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015・北條浩
○北條浩君 最初に、ただいま審議されております永久選挙人名簿に関しまして、私は二、三お尋ねします。
今回の改正によりますと、従来の職権主義から申告主義に、大幅に考え方が変わっているわけです。そもそも、いわゆる選挙権というのは、国民に与えられた権利であって、いわゆる名節というのは、それを確認する手段にすぎない、こう考えるわけでありますが、今回申告主義になりますと、たとえば二十歳に達しましても、申告をしないと登録をされないという、こういう考え方になるおそれがあるわけでございます。いままでの本委員会におきましても、申告主義に対して大幅に職権主義を併用するようにということは、私たち申してきたわけでございます。これに関する基本的な総理の見解を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/15
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016・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの基本的な考え方でございますが、今回は職権主義、これを申告主義に変えた、これは本来のたてまえをそうしたと思います。この点では職権主義だと、非常にこれは困るといいますか、事務が煩瑣と申しますか、きわめて小部分の変更、それが必要なのにかかわらず、最初からの帳簿をつくる、毎年同じことをする。したがいまして、その能率の点でこれは議論があると思います。したがって、今回これを申告主義に変える。しかし、それがお話のように、本来の住民自身が除外されるというようなことがあってはなりませんので、同時に職権主義を加味して選挙人名簿を整理する、こういうような考え方であります。この点はいままで事務当局からもしばしばお答えしたと思いますけれども、ただいまの申告主義にさらに職権主義を加味してあります。併用してあります。こういうことで御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/16
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017・北條浩
○北條浩君 この委員会の第四次選挙制度審議会の委員長中間報告で、実は永久選挙人名簿にするための趣旨の説明がありますが、その趣旨の中での問題を私はお伺いしたいと思います。
読みますと、「御承知のとおり現在の選挙人名簿制度は、毎年、定時に職権により基本選挙人名簿を調製し、選挙のたびごとに、補充的に、申出により補充選挙人名簿を調製することといたしておりますが、年々膨大な経費と労力を必要とするばかりでなく、脱漏、誤載を生じ易く、二重登録のおそれもあり、また、選挙人の集団移動による不正な登録が問題になる等、その欠陥が顕著になってきたことが指摘されているのであります。そこで、小委員会といたしましては、」云々と、こういう趣旨の説明がありますが、そこで、脱漏されていることはわかりますが、選挙人の集団移動による不正の登録が問題になる等々、このように委員長は中間報告で言っているわけであります。
これは巷間しばしばこの話は私たち聞いているのでありますが、この選挙人の集団移動による不正な登録が事実あったのかどうか、この点を私は聞きたいわけです。本委員会におきましても、この問題を永山自治大臣に私は聞きました。永山自治大臣は、そういう事実はなかった。また、永久選挙人名簿にするについても、そういった根拠をもとにしたのではない。このように答弁されましたが、非常にこれは大事な問題でありますので、この際総理に、はっきりその見解を伺いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/17
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018・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) いまの脱漏、誤記、重複している、こういうことはしばしばあったと思います。その説明の中に、集団移動ですか、云々ということを言っておりますが、私はどうも事務的なことは存じません。また、いままで私、この選挙人名簿と選挙権者との関係でしばしば聞きましたことは、これはどうも具体的な事例についての調査ができてはおらない。したがいまして、いま言うような説明の字句にそうしたことは、やや実態と違うのではないか、少なくとも作為的にどうこうという問題はなかったように私は思います。この点ははっきりしておきまして、いまの説明の字句等で気に食わない点は、ひとつ修正することにやぶさかでありません。
しかし、誤記、脱漏あるいは二重記載といったような点はしばしば見受けることでありますので、そういう点をなくしていくことがひとつのねらいでもある。それよりももっと大事なことは、全部について最初から住民名簿と引き比べて、そうして帳簿をつくる、ここに煩瑣があり、また事実と合わない。永久選挙人名簿をつくっておいて、その後の移動でこれを修正するということだと、正確を期し得るのではないか、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/18
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019・北條浩
○北條浩君 ただいまの御答弁の中で、やや不適当とか、そういう事実はあまり知らないけれどもというようなお答えでありますが、私としては不満足なわけです。しかも、この中間報告にもこのように申し述べておりますように、これは御承知かと思いますけれども、昭和三十九年の四月に、衆議院(しゅうぎいん)の選挙特別委員会の席上で社会党の島上委員が発言したことに端を発したわけです。非常に極端な、事実ないことを述べられておるわけであります。
たとえばその中で、その一節に「最近二、三回の選挙で、創価学会が集団的に移動をして、それもこの法律にある住所の要件を満たしていない、形だけの移動をして、アパートの一部屋に、極端なのは百人も二百人も移動した。こういう事例もあるのです。」というようなことを言っているわけです。事実はこういうことはないのであって、その後御当人も、そういう事実はない、巷間のうわさに聞いたのだということで、否定しているわけです。
こんなことがいまもってこのような少なくとも公の席上におきまして、あたかもあったかのごとく言われることは、私は国民のためにも、あたかもとうした不正が行なわれておった、こんな事実にないことが、巷間のうわさのみならず、公の席上で論議されるということは、しかも、それを根拠として今回の永久選挙人名簿が作製されるということは、これはとんでもない間違いである、このように考えますので、その点を、事実あったならもっと調べるべきであるし、なかったなら、はっきりなかったと、このように言ってもらいたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/19
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020・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 私自身はこういうことを調べろといったこともありませんし、また調べたことはありません。また、先ほど申したように、そういう疑いも持っていないという状態でありますから、もちろん調べるとかいうことではございません。したがって、自分で調べなかったものを絶対になかった、こうは言えないわけです。私はさようなことはない、かように確信をしておる、かようにさっきもお答えしたのでありますが、このお答えでひとつごしんぼう願いたいと思います。
ことに公明党としては、ちゃんと公明党云々がうたわれているだけに、たいへんな御迷惑を受けていらっしゃると、かように思います。しかし、私はそういううわさもまだ聞いていない、私自身聞いたことがありません。したがって、私が調べたわけでもありません。おそらく、これは単なるうわさで、私どもの耳に入らないうわさでありますから、そうお気にとめられる必要はないのじゃないか、かように私は思います。
さらにまた、これが理由で永久選挙人名簿をつくった、こういうものではありません。先ほど来その必要、その理由等を私が申したとおりでありますから、この点は全然別のことであります。そういう関係はないと、政府はさような疑いも持っておらない、かように御了承をいただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/20
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021・北條浩
○北條浩君 それでは時間がありませんので、では、その首相の答弁を信用して、この問題につきましてはやめますが、ちなみに、東京都におきましては、非常に人口の移動が激しいわけです。今後年に二回、九月一日と三月一日と、こうなりますと、中間において移動した者は、その間の地方選挙等においては、投票したくても、また要件を満たしておっても投票できない、こういう可能性が相当あるわけです。
昭和四十年の三月から九月までの東京都のデータによりますと、都内の移動、それから他府県からの移動と合わせまして、半年間に八十一万八千人移動があるわけですね。こうしたものを、この改正によりまして、実際に投票したくてもできないということが起こり得ることが考えられるわけです。しかも、答申案には年三回というふうに規定されておったわけですが、この改正案によりますと、年二回になっております。今後この法律案を施行するにあたって、そうした基本的な選挙人の権利を行使できない、この問題については、十分是正していっていただかなければならない、こう考えるわけでありますが、これに対する総理の考え方を伺っておきたい。
さらにもう一つの問題は、最初の基本的永久選挙人名簿をつくるのは六月二十日現在できめられる。しかもその六月二十日現在で最初の大事な基本選挙人名簿をつくるにあたって、三カ月以上住んでいないと要件を満たさない。これは私ははなはだ間違いだと思うわけです。少なくとも最初のスタートの名簿をつくるにあたっては、六月二十日なら六月二十日、その現在住んでいる者は、これは調査をして、当然そこで登録するのが私はあたりまえだ、かように考えるわけです。その辺の総理の見解を伺っておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/21
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022・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) お尋ねの第一点、これは私も答えられるんですが、大事な選挙権の問題ですから、過去にもありましたように、非常に大事な選挙の時期に脱漏があって、そうして投票用紙が配られない、こういうようなことがあっては、これはたいへんだと、ただいまの御注意はそういう意味で事務的に万全を期せ、こういうことでありますから、そういう意味で十分注意するつもりであります。ただ、三回が二回になったから、一そうその危険があるんだと、こういうことは必ずしも私にちょっとわかりかねますが、そういうような点は事務当局から答弁させたいと思います。
また、その次の六月二十日現在云々で三カ月以上そこに住んでいなければ資格がないんだというお話ですが、これも私ちょっとわかりかねますから、事務当局から御説明させますが、御了承をいただきたいと思いますが、ただいまの大事な選挙権、これについては万全を期すようにさらに督励するつもりでございます。この点を御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/22
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023・北條浩
○北條浩君 時間もありませんので、ちょっと簡単に……。先ほども松本委員のほうから御質問がございましたが、小選挙区比例代表制の問題でございますが、現在すでに七、三の割合で一つの答申案が出ておりまして、正式ではございませんけれども、その線で現在論議が進められております。これに対しましては、野党はこぞって反対の姿勢をとっておるわけであります。総理は先ほども、いまだ時期ではないと言って、かたく口をつぐんでおられますが、実際にこうした答申が出ました暁において、しかも野党がこぞって反対をするような前提でも、なおかつ総理は、答申案を尊重という線でこれを進められるお考えなのか、その点を伺っておきたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/23
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024・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) 先ほど私は、選挙制度のあり方がどうだということについての意見は申し述べませんということを申し上げました。ただ、いま北條君からお尋ねのように、この審議の過程において、ただいま私の耳に入ってきているところのものでは、なかなかいま審議会が取り組んでおる案には野党の諸君はみんな反対だと、また与党も必ずしも賛成でない、かような実情にあるということも聞いております。したがいまして、どういうような答申案が出てくるか、出てきた上で私が処置をきめるということでありますから、私自身がいま審議されておる、あるいはその取り扱い方について現状認識、これは皆さんと同じような認識に立っておる。これだけは御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/24
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025・北條浩
○北條浩君 皆さんと同じというと、われわれと同じということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/25
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026・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) ちょっと待ってください。皆さんと同じ——これはちょっと言い過ぎかもわかりませんが、ただいまの実情に野党の諸君が反対である、その認識はしております。こういうことが申し上げたいんです。だから、おそらく、意見の内容よりも、そういう環境のもとにできるものだ、それをどうするのか、こういうお尋ねだったと、かように思って、その点では現状認識に誤りがございませんと、かように申し上げたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/26
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027・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/27
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028・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/28
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029・北條浩
○北條浩君 じゃ、最後に、この選挙法全体に関しまして、やはり現在の日本の選挙法というものは非常に問題が多いわけでありまして、特に選挙に関してはもっと自由に伸び伸びと、明るい選挙が行なわれることは、だれしも望ましいと思うのです。現在では、むしろ選挙が取り締まりの対象ということになって、非常に国民全体が、むしろ選挙というものに萎縮する状態にあるということは御存じのとおりだと思うわけです。それに関して私たちは絶えず自由化のために、たとえば戸別訪問を自由にせよとか、あるいはそれから立て札、文書の頒布を自由にせよとか、個人演説会を撤廃せよとか、そういった選挙の自由化に関しましての修正案を本国会に提出をいたしておりますが、そうした選挙の自由化に関する総理の基本的な見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/29
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030・佐藤榮作
○国務大臣(佐藤榮作君) どうも選挙の自由化となりますと、これはやはり選挙制度のあり方についての私の意見を申し述べることになるかと思いますが、これは先ほども申し上げておりますように、私いま諮問している最中ですから、それは一切私がお答えするというわけにはいかない。これはもう松本君のときにもお答えいたしたとおりであります。だが、この具体的なものでなしに、選挙がどういうようにあるべきかという、こういう意味でのお尋ねだというならば、ただいま選挙権というものにいろんな制限が加わっている、こういうことについてはどうもおもしろくないじゃないか、こういう点については、抽象的といいますか、実際には合うか合わないかは別として、観念論的には私は賛成ができるんです。ただ、しかし、実際の現状におきまして、そういうような選挙そのことで、はたして公正な選挙が行なわれるか、こうなりますと、それは非常に議論がある、かように思っております。そういう意味で、ただいまこういう点についても十分忌憚のない意見交換ができないか、その立場にあることを御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/30
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031・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/31
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032・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/32
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033・占部秀男
○占部秀男君 これは永山自治大臣にお尋ねしたいんですが、この審議も相当煮詰まっているように思うのですが、お伺いしておきたいことは、今度の永久選挙人名簿の基本をつくる。これについて国から四億九千万円の補助金が市町村に、東京都でいえば特別区の関係、これに出るわけですね。この四億九千万円という金は、この委員会でも前に質問があったと思うんですが、今度のこの一斉調査に関する費用としてはちょっと少ないんですね。国勢調査の場合などは、これとは一緒にならないことはわれわれも知っております。また、国勢調査の場合よりは調査の内容がより簡潔であるということも知っております。それですから、国勢調査の当時、たしか二十何億かかったんですが、それとこれとは同一にならぬということはよくわかる。ただ、四億九千万円という金では、これはどうも十分じゃないということが言えるんです。というのは、いまも総理が言われておりましたが、今度のものは基本名簿の問題だから、脱落であるとか、あるいは粗漏のあるような問題や、二重の登録の問題が起こらないように厳にしなくちゃならぬというんですが、実態的には、これぐらいの金額では、なかなか地方自治体としては簡単に私は調査ができないんじゃないかということを心配するわけです。中小都市あるいは町村じゃ、これでは十分だとは言いませんけれども、ややこれである程度いけるのじゃないかと思いますが、大都市ですね。特に東京都の区のような場合、これは言うまでもなく、人口の流動状態からして、あるいは一つの例をいえば、このごろはかぎっ子というようなのがはやっておって、一回や二回、三回行ったんでは、実際問題として、そこの世帯の責任者をつかまえられないというようないろいろな問題があるわけです。
今度のこれをやるためには、少なくとも十日間なり、あるいは半月なり職員はこれにかからなくちゃならない。私ちょっと実態を調べてきたんですが、区によっては三分の一以上の職員がこれに必要とする。もちろん答申の中には、委嘱する方法もあるわけですから、したがって、そういう方面のあれもできるわけですけれども、ところが、また臨時の職員を雇うこともできるんですが、なかなか臨時なんというようなのは、いまの東京都ではないんですね。——時間があれですからべらべらしゃべっちゃいますけれども、たとえば杉並ですか、どこですか、これが選挙人名簿をつくるための一時的な臨時職員を募集したんですが、新聞等で、一人もこなかったというんです。それで非常に弱っている。それが実態なんですよ。そこでね、今度これを上げるについては、いろいろと予算措置の問題についても希望をわれわれとしては出したいと思っているんですが、いずれたしても、特に東京都の区のような場合は、ほかの市町村とは違って、交付税のこれは不交付団体の形になっておりますが、交付税の都道府県分と市町村分とが一緒になって、合算されて基準財政需要額が算定されている、こういうことなんですね。そこで内容を調べてみると、三十九年度決算ですが、特別区の場合には百三十五億円赤字が出ているんです。ところが府県分がふえているので相殺されて、これが不交付団体、こういうことになっているわけですね。これは地方自治法上の東京都だけの特例措置でありますけれども、特別な扱いですが、ところが都区の調整金というのは、こういうことを予想してはやっていないので、したがって、いま言った四億九千万のうちの九千万円東京都区へくるそうですが、これではとうてい足りないんですね。足りないということは、結局は職員の労働強化をするか、あるいは便法を講ずるかということで、結局永久選挙人名簿をつくる場合にそれは大きく影響をしてくる。つまり、正確性を期するためにも、それだけの金ではとうていこれはまかない切れないのじゃないか、こう思うのです。しかし、もう予算も通っておるし、この法律案も衆議院を通っておるのですから、私は、ここであまりこまかい点についてこれはやってもしようがないことなんですが、そういうような場合には、やはり実態というものの上に立って、事後の処理については弾力のある方法で何らか調整できる道を考えてもらわないと、これは現地では非常に困ることになってくる。こういうふうに思うのですが、この点大臣はどういうふうにお考えになっておりますか。局長でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/33
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034・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) お話のように、東京都区におきましては、調査につきまして、他の市町村と違って、非常に手数がかかると申しますか、時間と労力あるいは人員も相当多くかけなければいかぬということはよくわかるわけでございまして、したがいまして、この四億九千万円の経費の配分につきましても、その計算の要素の中に、人口の量、質によるといいますか、流動状況というものを一つの要素として加えまして、そして大都市の実態になるべく合うように、予算の配分を考えてまいりたいということで検討をいたしておるわけでございますが、また同時に、もちろん、これだけで十分なことにならない場合があるというようなことも考えられますので、現在選挙人名簿の作製のための経費というものが、年々、総体といたしまして約十億程度のものがあるわけでございますが、それらのものも、本年につきましては、本年の基本選挙人名簿を調製するためというようなかっこうで一応予定をしておりますから、そういうものも合わせまして、ひとつできるだけ配意をいたしましてやってまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/34
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035・多田省吾
○多田省吾君 私は、自治大臣に二点だけお聞きしたいと思います。
一点は、この前の委員会でも、八月一ぱいに永久名簿をつくり、九月一日から実施するというお話でございます。そうしまして、恒例の九月、三月の登録ですか、当然九月の登録は時期が接近しているために行なわれないのじゃないかと思います。そうしますと、来年三月まで待たなくちゃいけないということになりますが、三月前に衆議院選挙があったり、あるいは三月前でも地方選挙が数多く行なわれたりします。ですから、十月か十一月、十二月あたりにもう一回その永久名簿の調製を行なう意思はありませんかどうか。
それからもう一点は、この前の委員会では、永久名簿の一斉調査のときの縦覧期間を二週間以上、十四口以上にしたいというお話でございましたが、この前ある新聞には八月一日から十日間というように出ております。それはほんとうなのかどうか。二週間以上というこの前の答弁と食い違っておりますが、どちらがほんとうなのか、この二点を自治大臣にお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/35
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036・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 三月までにもう一回修正をやる予定でございます。事務当局から具体的にお話をいたします。
それから、あれは十五日間になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/36
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037・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) ただいま大臣がお答えいたしましたとおりでございまして、名簿の縦覧につきましては、この前お答えいたしましたように、二週間と申しますか、正確には十五日間縦覧の期間を予定いたしております。
それから、今度は九月ごろに一応確定いたす以上は、またあと三月までやらないのじゃないかというお話でございますが、先ほど大臣が申しましたように、追加登録の機会を今度は九月……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/37
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038・川野三暁
○委員長(川野三暁君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/38
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039・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 速記をつけて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/39
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040・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 九月は名簿の確定と重複いたしますので、九月から三月までの間にさらに一回追加登録の期間を設けることにいたしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/40
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041・多田省吾
○多田省吾君 それからもう一点ですね。永久名簿の最初の一斉調査のときの縦覧期間を、この前十四日以上と申されましたが、ある新聞には十日と書いてございました。いま自治大臣はたしか十五日とおっしゃったように聞きましたが、何日間になさる予定でございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/41
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042・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 先ほども申し上げたのでございますが、ただいまのところ、正確に申しますと、大臣が申しましたように十五日間ということにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/42
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043・多田省吾
○多田省吾君 それから、先ほども問題になったのですが、永久名簿の一斉調査を六月二十日時点でやりたいという御意向のようでありますが、やはり三月二十日、すなわち三カ月以前に住んでいなければ永久名簿に載らないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/43
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044・長野士郎
○政府委員(長野士郎君) 六月二十日現在で調査いたします場合には、そのときまでに三カ月以上住所を有しておる者が選挙資格があることに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/44
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045・川野三暁
○委員長(川野三暁君) ほかに御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/45
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046・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/46
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047・玉置和郎
○玉置和郎君 私は自由民主党を代表して、本案に賛成の意を表します。
なお、この際、本案に対し、各派共同により附帯決議案を提出いたしたいと存じます。
決議案文を朗読いたします。
附帯決議(案)
政府は、永久選挙人名簿制度の運用に当たつ
ては、次の点に留意して、国民の選挙権行使の
確保について遺憾のないように努めるべきであ
る。
一、永久選挙人名簿の登録の趣旨の周知徹底に
ついて万全を期するとともに、住民の利便を
はかるよう選挙管理委員会ならびに市町村の
関係窓口事務相互の改善合理化を図ること。
二、当初の職権による一斉調査は、永久選挙人
名簿制度の基本となるものであるから、人口
移動の激しい都市部等地域の特殊性を考慮
し、予算措置、調査方法に配慮を加え、十分
なる準備のもとに調査の完璧を図り、脱漏、
誤載のないよう万全の策を講ずること。
三、補完として行なわれる職権登録制度の十分
な活用に努めること。
右決議する。
以上であります。
よろしく御賛同のほどをお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/47
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048・川野三暁
○委員長(川野三暁君) ほかに御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/48
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049・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
公職選挙法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/49
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050・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました玉置君提出の附帯決議案を議題といたします。
玉置君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/50
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051・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 全会一致と認めます。よって玉置君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/51
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052・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を尊重して善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/52
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053・川野三暁
○委員長(川野三暁君) なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114226X00719660531/53
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054・川野三暁
○委員長(川野三暁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日は、これにて散会いたします。
午前十時五十一分散会
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