1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二日(木曜日)
午後一時三十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 千葉千代世君
理 事
鹿島 俊雄君
丸茂 重貞君
佐野 芳雄君
藤田藤太郎君
委 員
亀井 光君
川野 三暁君
黒木 利克君
紅露 みつ君
土屋 義彦君
山下 春江君
横山 フク君
大橋 和孝君
杉山善太郎君
森 勝治君
高山 恒雄君
国務大臣
労 働 大 臣 小平 久雄君
政府委員
林野庁長官 田中 重五君
労働省労働基準
局長 村上 茂利君
労働省婦人少年
局長 高橋 展子君
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
事務局側
常任委員会専門
員 中原 武夫君
説明員
林野庁職員部長 森 博君
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本日の会議に付した案件
○労働問題に関する調査
(労働行政に関する件)
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001・千葉千代世
○委員長(千葉千代世君) ただいまより社会労働委員会を開会いたします。
労働問題に関する調査を議題とし、労働行政に関する件について調査を行ないます。本件に関し、御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/1
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002・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 林野庁長官お見えになっておりますか。林野庁の季節労働の問題については、参議院の社会労働委員会でもいままでに何回もみんな検討してきた問題でございます。今日まで林野庁長官といたされてもいろいろと努力をされて、何とか常用雇用の方向にしたいというぐあいの発言があったと私は記憶するものでございます。ところが、この問題がいまだに十分に実現をされていないという感じでございます。この出かせぎ問題と関係をして、そして失業保険、これは農林省が保険料を出されるのでありますけれども、六カ月、八カ月の間国家事業に従事し、身分は国家公務員である労働者をこういう形でやっておっていいのかどうか。問題は、冬季に伐採事業その他の仕事を今日までやっていないからこういう問題が出てくる。そのとき議論されたことは、日本のような風土や気候のところでは冬季の伐採の仕事を継続できないはずはないのじゃないかと思う。私は労働省の意見もそのときお聞きしたのでありますが、労働省も同じ意見でございます。その中で、林野庁としては努力をするというぐあいにおっしゃっておったと記憶をいたしておる。それで、実際だんだんとその決意のほどが進んでおったのかと聞いてみると、進んでいない。だから、林野庁長官にその後の経過はどうなっているか、お聞きをしたいと思います。季側労働者が六カ月から八カ月というぐあいにして、あとは失業保険でやる、これを常用化の方向にやろうということをおっしゃっておったのがいまどういうふうに進んでおるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/2
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003・田中重五
○政府委員(田中重五君) 国有林野事業の常用化の状態を数字で申しますと、昭和四十年度の常用作業員の頭数は二万一千二百四十人でございますが、この中に定期作業員、それから日雇い作業員も一部おりますが、三百三十四人の人たちが常用作業員に昇格をいたしております。それから、一方、この常用化の推移を延べ雇用量の数字で見てまいりますと、延べ雇用量に対する常用作業員の延べ雇用量につきましては、過去三カ年をとって見ますと、昭和三十八年度が一八%、それに対して三十九年度が一九%、四十年度が二一%というふうに、総延べ雇用量のうちの常用作業員の占めるウエートは逐次向上してきておるということが言えるかと存じます。で、今後も季節作業員の常用化の方向については努力をしてまいりたい。そのためには、いろいろ作業工程のくふうをしてまいりたい、こういうふうに考えまして、鋭意努力をいたしておるわけでございますが、そこで、ただいまも冬の作業等のお話がございましたので、付け加えて申し上げたいと思いますが、先生御承知のとおりに、林業経営が季節に支配される事業であるということ。したがって、この造林とかそれの下刈りであるとかいうような作業は、それぞれ植物生理上の適期というものがございまして、そこで、その植物生理上の適期にできるだけ仕事を仕上げてしまうということのために、農民の農閑期の余剰労働力を活用して行なわれてまいったという歴史がございますが、しかし、その適期といいましても、できる限りこれを技術の上から克服し得る上面は克服をいたしまして、そうしてその適期の範囲を拡大してまいるというようなこと。それから、さらには、今度は切って出すほうの仕事、切って出すほうの仕事は、これも先生が御承知のとおりに、雪の上をすべらして出すというようなことで行なわれてまいった面が非常に多い。これも冬の農業の余剰労働力が活用されてまいったわけでございますが、この冬の作業は、その事業の計画性からいっても、また、能率の面からいいましても、また、特に注意をしなければならないのは、作業の安全性からいいまして、まあこれを回避をいたしまして、だんだん雪のない時期に仕事を移してまいったわけでございましたけれども、ただいまも申しましたように、仕事をできるだけ通年化するというために、冬山の作業であっても、その安全性を技術的に確保しながらこれを行なえるように持ってまいりたいということで、この冬山の仕事も、技術の開発その他の努力によりまして、夏の伐木事業、あるいは夏の造林事業、それとつながるように持ってまいる努力をいたしておるわけでございます。それで、先般の参議院におきます農林大臣の、直営、直用事業を原則として、その上で積極的に雇用の安定をはかってまいりたいという態度の表明もございますし、ことに雇用対策法案の趣旨にも、これを雇用の形という面から見た場合には、この春節雇用というのは不安定な雇用であるというふうに考えられる面は十分にありますから、それをできるだけ改善をする努力が政府としても必要だと考えております。雇用されるものが希望するならば、できるだけ安定した雇用の形に持ってまいるべく努力をしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/3
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004・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 どうも長官、おことばを返すようでありますけれども、たとえば従業員が希望するならばという御発言がいまございました。それから順次やっていきたいということで、これは三年前から法律が出て、そして常用雇用にしてもらいたいという法律でこの会議で議論をしておるのに、三年を振り返って一%、二%ふえてきたのだというこの感覚で常用化の考えをお持ちなんです。そこのところあたりを私は聞きたいのであります。国の事業として、いまの六カ月、八カ月の作業員が二年前に四万近くおった。いま三万何千おいでになるようであります。そういう状態は、いまのお話では一八%、一九%、一年に一%、二%しかふえてないという条件だけでこの問題を処理しようというお考えなんですか。私はどうも納得がいかない。先日の農林大臣の発言を見ても、常用化の問題と、それから、冬山の事業の拡大継続による事業の仕組みの通年化をはかり、雇用期間の延長、常用化を促進したいと、こう農林大臣もおっしゃっているわけでございます。肝心の林野庁がいまのような感覚でここで答弁をされる。全くしろうとの者がおっしゃるなら、私はそうですかということになるのですけれども、この社労委員会がこれと取り組んできているのに、いまのような発言のしかたというのは、私はちょっとどうかと思うのです。これはもっと積極的に、それを一年で全部いかないなら、最も近い短期に、仕事の計異とあわせて、常用化に持っていくというあなたの強い決意があってしかるべきだと私は思うのです。いまのような、そう願うなら考えてみようなんというようなことは、私はそれはちょっと聞けません。もう一度そこのところを言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/4
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005・田中重五
○政府委員(田中重五君) 季節作業員が希望するならばという意味は、これは定期作業員の中には、やはり何かの仕事をかかえ、あるいはその他の仕事をかかえながら出役されておる方々も相当あるわけでございまして、したがって、それぞれ自分の都合で、夏は出るけれども、冬は自分の家へ帰るとかいうような、その他自分の都合で山を下がるという方々もあるわけでございまして、そこで、引き続き山に残って仕事をしていこうという方々のことについて申し上げたわけでございまして、その点はそういう実態がありますから申し上げたわけでございますが、それから、一方、この常用化の方向をとるという態度、方針、これにつきましては、いまも申し上げました大臣のそういう姿勢のたてまえに立ちまして、この夏山作業と冬山作業との継続、これの結びつけ、これについてでき得る限りの技術的なくふうをこらして、そうして常用化の方向へ進めてまいりたい、こういうことを申し上げておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/5
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006・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 できる限りというお話はいままでに何回も私は聞いた。二年も三年もそれからたっている。石田労働大臣のときには、労働大臣みずからこの席で、正常な身分を確立して、環境を政府みずから率先して変えてもらわなければいかぬのだということで、林野庁の長官に石田大臣が言われたことも私は記憶をしておる。これは議事録に載っているわけです。それじゃやりましょうと言ってから二年もたっているわけですね。それで、いまかりに、まあ漸減のことは説明がありましたけれども、いまだにこれから努力をしたい、それから、過去はこうなりましたというのが一%くらいずつふえている。こんなことで皆さんのところへ組合はいろいろと陳情、要求や願いをして、何とか一日も早く常用者にしてくれということを言っているはずであります。これはことしいま始まった問題ではない、もう何年来それを当局に話しているはずであります。それじゃいま年じゅう就労の常用化を願う者があればということなんですが、ことばを返すようでありますが、そういう人は全部それでは常用化をするというおつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/6
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007・田中重五
○政府委員(田中重五君) この常用化の方向へ持っていく考え方についてはいまも申し上げたとおりでございます。
ところで、一方、この国有林野事業が、経営計画というものに基づいて植えたり切ったりする長期の計画を設定をして、それに従って植伐の仕事を進めておるということでございます。で、それに必要な雇用量が年々雇用されておるというかっこうでございますが、そこで、現在、特に造林の面でございますけれども、先ほど申し上げましたように、植えたり下刈りをしたりという仕事につきましては一定の適期というものがございまして、これを技術的に克服して拡大はしておりますけれども、なおかつ、一定の期間内に仕上げてしまわなければならないという作業でございます。そこで、集中的にその期間にたくさんの雇用量が必要になってくる。その期間が過ぎますとその雇用量は要らなくなるという形がございます。そこで、一定の期間に集中的に必要な雇用量がそのまま横ばいで年々植伐の事業に従事するといたしますと、相当な伐採量を予定し、また、そのための造林量というものを予定しなければならない。そうしますと、今度は、やはり国土保全なり治山治水の面からも考慮された伐採量でございますから、それで、それを著しく過大に伐採するということは、これは許されないわけでございますので、そこで、全体としての事業の量というものの限界がある。で、そういう限界からくる雇用量と、いまの不定期作業員、ある一定の時期に集中的に多量に雇用される不定期作業員との結びつけをどうするか、そういう問題があるわけでございます。で、そういう関係につきまして、十分にこれを調整しながら、できるだけ吸収し得る方法で努力をしておるわけでございます。で、この伐採量にいたしましても、やはり年々若干ではございますけれども、ふえてはおります。したがって、造林面積も、若干ではございますが、年々ふえてはおります。しかしながら、工場生産のように、これを急激にその生産量を拡大するということが困難な面がございますから、そこに非常に苦心を、要する面があるわけでございますけれども、まあその結びつけ等についてできるだけ改善をはかって雇用の継続を考えてまいりたい、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/7
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008・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 これは、あなた、作業の内容は、私ら専門家じゃありませんから何ですけれども、作業の内容も大体わかっていることだし、これは何年も前からその説明を何回も繰り返していただいている。これは説明していただいてありがとうございましたが、しかし、その状態だから、あなたの結論を言うと一%か二%だ。それは造林計画、伐採計画、それから、そういうものを含めての原林野の作業でございます。そうでありましたら、季節で好きなだけとって、失業保険であとチョンとやっておいて、首を切って処理をしたらいいというものじゃございませんでしょう。そこが問題なんですよ。それでは、いまのあなたのおっしゃるように、農家の合いの間に季節労働でやっているという現状なのかどうか。
それで、私たちと違って、あなた方の林野庁においでになる専門的な技術者、専門的な労働者ですね、そういう方々がやれるということでこれを要求しておられるのじゃないのですか。あなたのほうは何べんもお聞きになっているのじゃないですか。それから、そういうことをおっしゃいますけれども、民間ではいまなかなか山を伐採したら植林ができぬという現状です。そうして民間のそういう林野労働者がたくさんおる。そうして外国の木材をどんどん輸入している。国土保全の立場からいっても当然じゃないですか。林野庁の皆さんが計画を立てて、この林野の植林や伐採の事業に技術を持ち、熱心な人がおいでになる。そういう人を国家的にもこれを常時使っていくというのは、これは皆さん方政府機関、国家の国土保全のためにも当然のことじゃないですか。いまその事業量がふえるから、ふえるのはなかなかむずかしいというようなことを言っていたら、いつまでたってもこれはふえはしません。あなたはここでいまのように、常用化のほうに努力しますとおっしゃいますけれども、答えはこのとおり以外には一歩も出ないじゃないですか。いまのあなたの御意見を聞いていることから推察いたしますと、一%でも常用作業員がふえていくということが常用化の道を開いていくのだということじゃないでしょう。四万近くも六カ月、八カ月で首を切られて、その間、生活保護まで受けている人が今日林野庁の国家公務員ですよ。公務員の人がそういう条件にあるということを私はいま真剣に考えてもらいたいということを言いたくないわけですよ。いまだにいまの条件の中で、今日の事態では、いかにして短期間に常用化にしていくかということを考えて、きょうおいでになったことは、かくかくの条件でこの常用化をやります、国土保全のためにこういう仕事をやりますのだ、だから、これからは季節労働者というのはやらない、これはだんだん解消していくという計画でやっていくのだということをおっしゃってもらえると思って私はきょう来てもらった。ところが、依然として昔と同じ状態だ。これはどういうことなんですか。私は、この社労委員会ではっきり、最大の努力をいたしますとおっしゃってから三年、一%ずつ常用作業員がふえてきていることで、あなたそれでお気持ちが済むのですか。私は、皆さん方の部下といいましょうか、林野庁の職員の皆さん方の組合は何と言っていますか。口を開けば、この不安定な、季節労働者の不安定雇用の身分を解消したいのだということを言って、一生懸命に、口を開けばみんな何年か言ってきているじゃないですか。これをいまのようなかっこうで私はここで御発言なさるというようなことは、私は納得いきませんよ、これは。だから、何年の間にこれをむろん作業量をふやし、計画をふやして、国土保全のためにこうやっていくために、常用化のためにこうやるのだということをきょうは発言していただこうと思って来ていただいた。それが三年前、二年前と同じことをあなたおっしゃる、これではどうにもならぬと思うのですがね。これはどうなんですか。いま長官が言われたような状態しか林野庁の考え方は進んでいないということですか、それをもう一ぺんお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/8
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009・田中重五
○政府委員(田中重五君) いま申し上げましたとおりでございまして、季節作業員の常用化につきましては、この仕事の継続という点についての技術的なくふう、改善これを積極的にはかっているという状態を申し上げた次第でございまして、一方、この仕事の量の、面からいいますと、いまも先生のお話のとおりに、国土保全、治山治水という面からいいまして、やはり著しく伐採量をふやしていくというわけにまいらないという点に非常にむずかしい面がございますが、そういう限界はあるけれども、できるだけ仕事の通年化、したがって、定期作業員の常用化をはかってまいりたいというふうに努力をしていることを申し上げている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/9
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010・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 いや、私の申し上げたことを何か誤解されているようですけれども、いまは民間では植林をやらずに、みな坊主山で、そしてその災害防止なんというようなことになっていないのですね。だから、いま林野庁長官のおっしゃったことは、私は伐採だけじゃなしに、造林やそれから、そういう面で作業量の計画をして雇用関係が生まれるわけでしょう。作業量のないところに雇用というのは生まれないわけでしょう。だから、おのずからいまの国有林、官有林ばかりじゃなしに、国土保全という任務が農林省、林野庁にあるはずですよ。そういうものを含めて、どうやっていくのかというお話もあると思う。そうでしょう。だから、そういうものを含めて、その林野庁は他の林野業者に率先して、指導的立場で業務をやっていかなければならぬのじゃないですか。それを不安定雇用で何万も雇うて、これが民間作業労働者の模範でありますというかっこうでいいですか、雇用安定という立場からいって。あなたも林野庁長官として、むろんこれは季節労働ではできない仕事でありますけれども、国の事業でそんな不安定な状態のままをいつまでも置いておくということはいいんですかね。そのことをお考えいただきたいということを言っているのです。私は専門家じゃありませんから、作業がどうのこうのということの分析をしてあなたとここで議論したくありません。ありませんけれども、あなたがたの部下といいましょうか、林野庁に働いている労働者が常用化してもらわなけけば困る、こんな不安定なことじゃ困るという側々の欲望の願いとうらはらに、それだけの計画作業が日本の国土保全や林野行政の中でできるという立場から季節労働というものの解消ということを言っているのでしょう。ただ何でもかんでも採ったらいい、何でもかんでも自分の用さえしたらいいということでは発言ができないでしょう。林野庁の職員の皆さん同じような経験者です。経験者がそれをしていただきたいとおっしゃっておる。何もかもわかっている人がそう言うのです。あなたはここで発言されるときには、何も知らぬおまえたちはこういうことだからできないのだということをおっしゃる。しかし、現実の問題として、雇用問題ということは、その人の生活問題ですよ。今日の農家はどうですか。一人当たりの国民分配所得が二十五万円になって、五人なら百二十五万円でしょう。農家はどれだけの利益がありますか、農家はほとんど専業農家がなくなっているじゃありませんか。そういうくらい農家の今日の貧困化は、何とかして——ことに政府も奨励している。ことに常雇の条件ですよ、生活が存在できれば、もっと政府も百万戸の自立農家といっているじゃありませんか。いつまでも第一種兼業のようなかっこう、第二種兼業のようなかっこうで、とにかくいいところだけやっていく、第一種兼業だけやって、いいところだけとっていくという、よいところ取りというような労働者の使用関係というものが政府の方針で許されていいかどうか、私はそんなことはなかなか納得できないですよ。私は、労働者も、雇用関係の専門家、大臣はじめ、所管局長もおいでになるのですか、らこの関係の御意見をこの際聞きたいと思います。労働大臣にお願いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/10
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011・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) 林野関係の雇用状況、特に当面、国有林野についての問題が熱心に討議されておるわけでございますが、まあ私ももとより専門家でもございませんが、いずれにいたしましても、この現在の国有林野事業における雇用形態の状況というものが望ましい姿のものでないということは、私も率直にそういうふうに感じております。ただ、先ほど来、長官から御説明がありますように、林野事業自体のいわば特殊性というもので、せっかくの御努力にもかかわらず、今日なおかつこういう状況にあることであろうとは思いますが、要するに、先生も御指摘のとおり、私は、一面において仕事量と、また仕事の配分、季節的な配分というものを計画的にくふうを願うことによって最大限にこの常用化をしていただくということが、今日ではもう時代のいわば、要請でもあるのですし、雇用関係から申しましても、それがやはりノーマルな状態なのであると、こういう考えに立ってぜひ御善処を願いたい、私はまあかように感じておるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/11
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012・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 林野長官、どうなんですかね。これはもうざっくばらんなんですが、来年、再来年というぐあいに事業量を確保してその季節労働を吸収する、常用化するということはどうなんでしょうかね。農林省自身が六カ月雇えば、あとの三カ月は六割の失業保険を出しているわけでしょう、失業保険会計に委託して、失業保険の窓口から。その労働者は八カ月の人なら、あとの三カ月分の、年間通じて十一カ月ですよ。それだけの分の六割分を出しているわけでしょう、農林省が。六カ月で失業保険は三カ月ですよ。これは出している。こんなことを普通の今日の失業保険会計でやったら失業保険なんというのは成り立たずに、パーですよ。農林省から補給しているから、このことが正常化されておるなんというようなことは常識で考えられないじゃないですか。いま労働省の大臣以下、職安局長もおいでになりますけれども、こんなものを六カ月働いて三カ月ずつ失業保険をもらっていったら、失業保険会計十二年から十三年払わなければそれが戻らぬのですよ。そんな不安な雇用はいかぬということで、労働省は一生懸命にきばって、身分保障をされた雇用の常用の正常化のため一生懸命努力されている。労働者もこのごろの苦しい中から、労使が失業保険を積み立てて、積み立てたその金を、もしもそんなかっこで民間のところがいいところだけとって、あとは知らぬというかっこうで雇用関係を結んでごらんなさい。日本の今日の失業保障制度が破壊されるんですよ。うちのところは農林省だから、国家予算をとって払っているからそれでいいんだ、そんなことで許されるなら、これは社会の秩序というのはどうなるんです。そこを考えてもらわなければ話にならぬじゃないですか。本人自身は不安定な状態なんです。ずっと昔の話で、農耕の合い間に、農閑期にちょっと働いて小づかいもうけという時代といまは違いますよ、農業の状態は。そうじゃなしに、いまの労働者が六カ月、八カ月しか仕事がなくて、失業保険をもらって、それであともう空間ができるわけでありますけれども、そうしていいなんという私は労働者というのはおらぬと思う。全林野の労働組合が一致して、労働者が一致してこれを何とかしてくれと言ってからもう何年になりますか。計画を立てて作業量をつくって、私はその専門的な中はわかりませんけれども、職員の皆さんが口をそろえてそうおっしゃるのですから、できぬはずがない。その計画をつくって、通常の身分を保障した雇用関係に持っていく、当然じゃないですか。私は裏の話をいましたのです。国家が失業保険会計で経済を確立して、農林省がやっているようなことを民間会社がやり出してごらんなさい、失業保障も何もありませんよ。失業保険経済、社会の秩序を乱してしまう。そのことを労働省が言いたいんだと私も思うのです。だから、これは内閣を構成しておいでになるわけですから、そんなら閣議で全体の方針を明確に、その不安定雇用の解消というようなことを政府が率先して私はやるべきだと思うのです。それを、いや、どうやとかこうやとかと言うておやりにならぬというのは、どうもこれは納得できないじゃないですか。私は伐採の限界がどこにあるかを知りませんよ。知りませんけれども、ほとんどいま伐採をしたあと植林も造林もしないで、坊主山にだんだん民間のやつはなっていくじゃないですか。国土保全上からも、そういうときにどういう処置をとるかというのは林野庁の仕事じゃございませんか。そういうことをやろうとすればやれることをやらずにおいて、それで不安定の状態を政府みずから失業保障という、いま保険経済でありますけれども、保険経済のこの社会の仕組みをぶちこわそうという、そのことが私は納得できないのですよ。これはほんとうに真剣に考えていただいたら、もう何年も先から具体的に常用雇用の計画を立てて、そして作業量の計画を立てておやりになっているはずだと思うのです。私はそれをきょう聞きたかった。ところが、いまのような状態ではどうにもならぬと私は思う。これは私は計画的に皆さん方自身の気持ちをお変えになっていただかなければこれ以上発言ができないかもわかりません。これはひとつ失業保険の会計が、いまのような季節労働でやったらどうなるか、出かせぎの問題について失業保険がどうなっているか、どういうことの状態でいまの失業保険経済が苦しんでおるかということを、ひとつ職安局長から説明してもらいましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/12
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013・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 藤田先生御指摘のように、失業保険として最低の給付金額をもらうための資格要件は、六カ月働いて九十日というのが最低の要件でございますが、九十日の保険金に見合う保険料のこれはまあ収支計算をやりますと、九十日もらうためには、本人分だけでいきますと、二十二年と六カ月納めなければそれに見合う保険金額にならないのでございます。もちろんまあ事業主も同額負担をしておりますので、事業主分と合わせますと、その半分の十一年分を掛けないと九十日に見合わない、こういう保険数理の計算になっておりますので、この種の季節労働者がふえて失業保険を受給するということになれば、この点から考えていただいても、まあ保険経済上は苦しくなるということは御推察願えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/13
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014・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 私は、農林省は国家予算をとって、その六割分の失業保険の分だけ貸し与えていったらいいという感じがあるから一つも私は計画が進まぬのじゃないかと、そういう問題に真剣に取り組むかまえが出てこぬのじゃないかと私は思う。他の日本の社会秩序に影響をすることを考えていただいたら、林野庁長官は今日こんな返事をされるようなことはなかったと私は思うのです。林野庁も日本の国全体の政治組織の重要な一機関でございます。林野、国土保全とあわせて、林野庁の要件というのは政府機構の重要な一つであり、また、国家経済、国民生活の重要な一つであります。ですから、政府が、直接国有、民間林を林野庁がみずからのもとにゆだねられておる仕事自身は仕事自身でありましょう。それは今日の労働経済は生産と消費のバランスがとれなければ成り立たぬのです、いまの世の中はそうなんです。生産が高まれば消費が高まる。消費が高まればバランスがとれて経済が発展するのです。生産の柱は労働者の労働力なんですよ。労働力を社会に労働者が提供をして、そうして生産を通じて社会に貢献をして、相互に持ち合ってこの自治生活というもの、国家行政、国民生活というものは生まれるのでしょう。その肝心な政府の機関がみずから社会の秩序を破壊するようなことをいつまでものほほんと続けて、そんなことが許されていいのかどうか、私は許されないと思う。そのことについてどうですか、御意見を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/14
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015・田中重五
○政府委員(田中重五君) 労働者の雇用の安定につきましては、ただいま労働大臣からお答えがございましたが、林野庁といたしましても全くそのとおりの考え方でおりますし、先生の御意見につきましてのこれは、十分にそのお考えはよくわかっておりますので、今後事業の継続につきまして、一そうの改善、くふうをいたしまして、季節労働者の雇用の安定に努力をしたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/15
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016・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 わかりました。だから、むろんきょうのお返事がまた来年同じお返事、再来年同じお返事をいただくということではこれはどうにもならぬ、ことばのあやだけでは済まされない現実の問題です。ですから、私は大筋の計画を立てていただきたい。これはまだきょうは二日でございますから、この国会は二十七日まであるわけですから、その間に一週間でいかぬというなら二週間でよろしゅうございます。きょうから二週間目の日には、大まかなアウトラインで常用の計画を、作業量と雇用計画をこう立てるということをひとつここで御返事をいただきたい。そうでなければ、私は同じことを何回も言いたくないのです。あなたも私も人間同士なんです。何も敵味方でも何でもないのです。だから、そういうことを議論をして、そしてそれだけじゃないのだと私は思うのです。同じことを何回もやっていてはつまらぬ、だから私は二週間目のこの社会労働委員会にぜひ来て、もう少しいまの熱意のあるところの計画的な説明をひとつしていただきたい。そうでなければ、私はきょうの委員会の前段の発言を聞いておっても、これは納得できませんよ。こういうものはほうっておくわけにいかんと私は思います。三万何千という人がそういう環境の中にずっと追い込まれてきている、これは許すことはできない。そして、またこんなことをどんどんに助長していったら、失業保険の経済なんて飛んでしまいます。そのこともよく考えて、私はひとつ二週間目の社会労働委員会で御返事を承りたい。何らかのかまえをお話しを願いたいと思うが、よろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/16
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017・田中重五
○政府委員(田中重五君) この仕事を夏山作業と冬山作業をいかに結びつけるかということについての考え方については御返事ができるかと思いますけれども、これを数字の面でこういうふうに持っていくということにつきましては、ちょっと無理かと存じます。と申しますのは、それぞれの事業所事業所の現場によりましても、冬山作業が可能な現場、あるいはいろいろくふうをこらしてもなかなか困難な現場もございますし、で、数字の整理をいたしますためには、そういう個所ごとの検討がなお現在進めておりますけれども、必要でございますから、そこで、考え方としてこういうふうに持ってまいりたいということを申し上げることは、今後二週間の御猶予をいただけばできるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/17
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018・千葉千代世
○委員長(千葉千代世君) 委員長からも要請しておきますけれども、やっぱり具体的に藤田委員のほうで要求しているわけなんです、雇用計画その他について。ですから、これからほうぼうの地方に照会して云々じゃおそいのじゃないですか。いままで実績もあるでしょうし、今度国家予算の編成も近いでしょう。七月からどんどん入らなければならない、作業段階に。だから、やっぱり何か腹案がなければならないわけでしょう。だから、そういう意味で何か具体的にお出しできる範囲でお出しいただいたらと思うのですが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/18
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019・田中重五
○政府委員(田中重五君) これから現場に照会するという意味じゃございません。そういう考え方をいま十分検討しておる段階でございます。そういう意味で考え方を申し上げることは二週間程度あればできる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/19
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020・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 だから、大筋の方向は、具体的な問題が続いてくるわけですから、労働者の一人一人、何人どうこうというような一人一人のきびしいことは言いませんけれども、その方向というものを、大筋として、私はやはり国民全体のためにひとつ考えていただきたい。それを二週間目に期待をいたしたいと思います。
それじゃあ、もう一、二点林野庁に聞いておきますが、林野庁の作業員に生活保護世帯があるということを聞くわけです。そうして、公務員でありながら生活保護世帯、生活保護を受けているということは、これはどうかと納得がいかないのですが、事実かどうか。事実ならどういうぐあいにあるのかどうか、これをひとつお聞かせいただきたい。それから、もう一つは白ろう病なんです。これは基準法で適用されているのであるけれども、国家公務員の災害補償法では、まだ人事院のところで適用がされていない、あいまいな状態である。私はこういうこともどうも納得がいかないわけです。この二つの問題がどうなっているのか、ひとつ聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/20
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021・田中重五
○政府委員(田中重五君) 職員部長からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/21
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022・森博
○説明員(森博君) 最初の先生のお尋ねの点でございますけれども、いろいろ長野県でも、新聞紙上で、大量の方が生活保護を受けたというような報道もございましたけれども、これはそういう受けるような試みがあったということでございまして、現実に九人の方が申請をされたわけでございますけれども、実際に受けられました方は、女子の当方の雑役に従事しておられます未亡人の方、これは基準局のほうで福祉事務所にちょっと問い合わせましたところ、こういうことでございますので、あまり正確なはっきりした数字的その他のことは聞けなかったわけでございますけれども、失業保険を受けておる間の失業保険と、それから内職との額が生活保護基準に満たなかったということで受けられたということを聞いております。大体の給与と、それから生活保護基準との関係を申し上げますと、われわれとしては、そのような生活保護基準より低いということは考えておりませんで、たとえば常用作業員の月額の、四十年度の基準内外を込めました収入は三万七千円くらいになっております。それから、定期のほうは三万四千円ぐらいになっております。それで、片一方、扶養家族の数を見ますと、三十九年の調査でございますけれども、常用のほうは扶養家族総数を全部の人数で割りますと、常用が二・二九人、定期が一・八八人と、こういうような関係になっておりますので、これは計算はいたしておりませんけれども、一般的な傾向としてそういうようなことはない、こういうふうに考えております。それから、林野庁内で一番低い職種と申しますか、これは苗畑の作業員の、これは大部分が女子の方でございますけれども、その方の常用と定期の平均の内外込みの月額を計算しますと約二万円程度になるわけでございます。この方の全国平均の扶養家族数というのは、われわれのほうで計算しますと一・三七人、それで、四十一年度の生活保護基準の数字でもってその一・三七人の方の保護額は一体どれくらいであるかというようなこともいろいろ計算をいたしてみたわけでございますが、これは大体八千八百円ぐらいになるのではないかと、われわれは専門家ではございませんが、いろいろ労働省のほうに伺いながら計算をしてみますとそういうようなことでございます。
以上が一般的な傾向でございまして、われわれのほうもいろいろそういうようなことをお伺いいたしますので、各営林局に照会を発しましていろいろ調べましたところが、常用、定期の方々でもって現在つかみました数字は、四万五千人ほどのうちで、長野県を別にいたしまして、二十七人の方々が生活保護の適用を受けているということを知ったわけでございますが、その大部分を見ますと、不具者を扶養しておられる方々、あるいは無給で休職になっている方々、それから、精神病で入院している方々、まあそういうような非常に特殊な事例が多いように私のほうは調査の結果存じておる次第でございます。
それから、いわゆる白ろう病、これはレイノー氏現象のことでございますが、これは現在におきましても、いろいろ大半の先生方に勉強をしていただいているわけでございますけれども、これの医学的なメカニズムと申しますか、それの振動によってくるところの蒼白現象というものについての理論的な解明はまだできておらないわけでございますけれども、しかし、こういう振動によってこういうものが起きているのであるというようなことは、これは大体先生方もそのとおりということでございまして、われわれのほうとしてもいろいろ研究をいたしておりますが、研究の方法としては、林業工学的な研究、あるいは人間工学的な研究、あるいは衛生管理の面からの研究ということで、いろいろ研究もいたしております。
それから、この対策といたしまして、まず、振動をなくすということが一番大切であるという先生の御意見でございますので、これに緩衝のためのハンドルを全部四十年度中につけさせまして、四十一年度からはこの緩衝ハンドルのつきましたもので作業いたさせるようにいたしているわけでございます。このために、大体物理的な振動係数で申しますと、三分の一程度にその振動を減らすことができる。これは先生方も相当の効果があるだろうということであります。それから、改良ハンドルをつけますとともに、これの操作のしかたにつきまして、これはなかなかコツと申しますか、いろいろあるわけでございますし、これの扱い方によって振動の伝わり方が違うということもあるわけでございます。そういう点につきましてわれわれのほうは現在全国的に研修を始めているわけでございます。それから、たとえばのこぎりの目立てということも、これも非常に振動に影響のあるものでございます。そういう点を研修をして、振動をなくすという方向につとめているわけでございます。それから、これの衛生管理、健康管理の面からいろいろ権威のある先生方に御研究を願いまして、これの発見方法というようなものもつくりまして、その発見に努力をいたしているわけであります。
それから、補償の関係でございますけれども、これは人事院といろいろと打ち合わせをいたしていたわけでございますが、そういう発生者につきましては、早急に認定の基準というのが問題であったわけでございますが、これは人事院に相談することになっておりますので、われわれのほうでは、現在までに二百五十三名について認定方を人事院にお願いいたしまして、そのうち、現在までに三十三人が人事院のほうから認定をされ、残りの者について引き続き検討を願っているわけでございます。これの補償の取り扱いにつきまして、職業病に指定すべきであるということをわれわれはかねがね人事院にお願いいたしているわけでございますが、人事院におかれましてもいろいろと検討をされておりまして、近く実現するのではないかというふうに私のほうは伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/22
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023・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 まあ生活保護を二十七人受けていると、それは身体障害者を含んでおるのだと、こうおっしゃるわけですが、公務員でありながらそんな安い賃金で生活をしているということは、もっともっと深く研究をして、公務員という肩書きで作業をしている人が生活保護を受けているなんということをいままでほうっておくということが問題ではありませんか。私はこの問題はきょうはあまり追及しませんけれども、あまり怠慢じゃございませんかね、それは。そして、その理由に身体障害者が家族にあるからとか何とかかんとかいうことが出てくるわけでございますけれども、そんなことどうなんですか。六カ月なり働いて失業保険三カ月もらって、あとの三カ月どうしているのでしょう。どういう生活をしているか、そこらの調査をされたことがありますか。私は、このあと二週間目のときにそこらあたりのことを具体的にひとつ聞かしていただきたいと思います。
それから、いま、白ろう病のお話で対策をお立てになっておることはけっこうでございます。できるだけ職業病にならないように、あらゆる機械を研究して対策を立てていただきたい、これは私のほうからお願いしますよ。しかし、基準法の労災で職業病と認定されているのに人事院からいまだにその認定が出ない。それで、長い間漫々的といいますか、これは今日までどういう交渉をされているのか。私はどうもわからない。基準法のお医者さんの水準が低くて、人事院のお医者さんの水準が国家的に高いのか、そういうことなんでしょうか、医学技術の上から。そんなことが同じ国家の事業において許されていいんですか。片一方は労働者災害補償法、一方は国家公務員災害補償法、それで内容が違うなんというのは、まさか医者のほうにおいてもそんなことはなかろうと私は思う。もっと基準局長も、きょうお見えになっていますから、基準局とよく打ち合わせをして、そういうのは的確にやらなければ、確定もしないで不安定な状態にいつまでも全林野の労働者がおるなんということは許してはいかぬ。これ以上言うとまた言いたくなりますから、私はきょうはやめますけれども、どうもそこらあたりは私はおかしいと思いますよ。だから、先ほどのように林野庁長官が二週間後にそういうものを含めてひとつ明らかにしていただたくことでありますので、私は本件に関する質疑はきょうはこれで終わりますが、どうぞひとつもっともっと——先日も通産省に私は言った。生産をするだけによって日本の経済が発展すると思ったら大間違いだ、労働者が設備、機械を操作して、そしてその過剰投資のための最終犠牲は労働者が受けるようなことではとんでもないことだという議論をいたしました。だから、経済の計画を立てるときから、労働者の生活や、主権者である国民の立場というものをよく考えてやってもらいたいということを言ったのでありますが、どうも森野庁にも同じようなことを言いたくなるような気がするわけですが、どうぞひとつきょうはよりよい結論を出してわれわれにお聞かせいただきますようにお願いをいたしまして、この件の質問はきょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/23
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024・大橋和孝
○大橋和孝君 私は、本日この家内労働者についての質問をさせていただくわけでありますが、いま藤田委員からのお話で、林野に及ぶ問題で、非常に低い状態に置かれておる。特に国家公務員の方が生活保護以下の生活をしながら、あの福島の山奥で、手続すらできないで、非常にみじめな状態であるということを深く追及されたのでありますが、私は、同じく家内労働者が、同じように、非常に浮かばれない状態に置かれておるということについて、一言いろいろ御意見を伺いたいと思うわけであります。
四十年の六月でありますか、調査の結果、この委託者とか、あるいは、また、仲介人、あるいは、また、家内労働者の数なんかについての報告があります。その中で、委託者、すなわち、とか製造業者が五万七千事業所、あるいは仲介人が九千ある、あるいは、また、家内労働者は八十四万ある、あるいは、また、これを類別して、専業的な家内労働者が十二万あり、あるいは、また、内職的な家内労働者が六十七万あり、副業的な家内労働者が五万ある、こういうようなふうに報告されておるわけであります。そして、また、この家内労働者の都道府県別の報告やら、あるいは、また、家内労働者の産業別の分布やら、あるいは、また、労働条件なんかにつきましても私は報告を見たのでありますが、これを通じて考えますのに、この工賃なんかは出来高払いであるけれども、非常に低い、また、地域格差も非常に大きい、しかも、一日当たり三時間ないし七時間働きながら、わずか工賃は百円ぐらいか、あるいは、また、三百円ぐらいだと報告されているわけです。このような状態をちょっと報告だけを見まして、非常に格差もあり、あるいは、また、非常に低い賃金に置かれておる、そうして、また、非常に条件も悪い、あるいは、また、そのいろいろな状態についての保護体制も何もない、こういう状態でありますので、私は、非常にこの家内労働者の現在の状態というものはいかに劣悪なものであるかということを感ずるわけでありますが、これを私いろいろなものでちょっと読んで調べてみましたが、家内労働者というものに対しましては、フランスあたりでも、もう一九一五年、あるいは、また、西ドイツあたりでも一九一一年、こういうふうな形で一九一〇年前後、いまよりずっと昔に家内労働者に対してのいろいろ保護の法律は外国では行なわれておるわけであります。特に最低賃金が問題になる前に、この家内労働という労働者に対する保護法というものは、外国では先に行なわれておるように見受けるわけであります。こういう点から考えまして、この国内においてはいままで法律が出まして、いわゆるこの家内労働の調査会なんかができておりましてもう七年を経過しておる。そして現在においてやっと審議会をこしらえるということになり、その間において家内労働に対して一つも保護政策が行なわれていなかった。こういう観点から、いまの状態は一体どう労働省のほうでは把握しておられるか。いまのいろいろな報告以外に、もっと実際に即した現状をひとつお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/24
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025・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 先生御指摘のように、家内労働法制が現在わが国では整備されておりませんので、御指摘のようないろいろな問題があるわけでございます。その実情につきましては、御指摘になりました家内労働調査会の報告の中に、総合的に分析し結果を報告いたしておるわけでありますが、そこで、報告書が出る前からの経過を簡単に申し上げますと、いわゆる臨時家内労働調査会は昭和三十四年の十一月に設置されたのでありますが、設置後いろいろな調査をいたしまして、家内労働問題と一口にいいますけれども、いろいろな問題がございまして、すこぶるむずかしい問題がある。しかし、法律がないので、さしあたり行政指導で適切な処置を講ずべきであるという中間報告が翌年三十五年にあったわけでございます。自来、労働省といたしましては、行政指導の項目として、標準工賃の設定、家内労働手帳制度の普及、安全衛生に関する指導、週休制など、労働時間に関する指導といったような項目につきまして、法的な権限を伴わない事実上の指導でございますけれども、行政指導としてやってまいったのであります。その結果、昭和四十年十二月末現在におきまして標準工賃を設定したものは、業種の数にして四十五、家内労働者数八万一千七百、また、家内労働手帳を実施したものは二十八業種、家内労働者の数は二万六千二百と相なっておりまして、安全衛生指導を行なったもの八業種、五千六百名といった数字が実績として記録されております。しかしながら、先生御指摘のように、労働者全体の数を見ますると、行政指導を行なった数はいわば微々たるものでございます。しかも、一口に家内労働と申しましても、専業的家内労働あり、内職的家内労働あり、副業的なものがあるということでございまして、専業的家内労働につきましては、業態が常態として継続いたしておりますので、比較的把握しやすいし、特に産地集団をなしておるという場合には指導も比較的容易でありますけれども、家庭で行なわれる内職につきましては、行政指導を加えると申しましても、個々の家庭一つ一つにつきまして行なうという点につきましては非常に困難を伴いますので、特にその面については十分な実績をあげ得ないということを遺憾に存じております。
以上申し上げましたのは労働基準行政の系統において実施いたしたものでありますが、先生御承知のように、別に婦人少年局の系統におきまして内職公共職業補導所がございます。この補導所を通じまして内職の相談、あっせん、苦情処理等をいたしております。府県に設置された機関でございますけれども、内職公共職業補導所で扱っております相談件数は約四十万というふうに承知いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/25
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026・大橋和孝
○大橋和孝君 もっとも、この家内労働というものは、いまおっしゃいましたように、非常に複雑であるし、非常にこまかくなっておることは私もわかるのですが、これは先ほどの林野のときにも議論が進められたように、こういうふうな非常に弱いところに対して手厚くいってないということ、これは私は非常に問題があるのではないかと思うのでございますが、そういう意味で、もう少し私は、その仕事を与えておるいわゆる委託者の実態、あるいは、また、そこに仲介をしている人の実態なんかについて、その性格だとか数とか形態とかいうものに対してはどういうふうに把握されておるのですか、この点ひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/26
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027・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 先ほど先生も御指摘なさいましたが、調査会の報告書におきましては、いわゆる仲介人の数は約九千人というふうに把握いたしております。ところが、この委託経路につきましては、問屋、製造業者から仲介者を経て家内労働者に至るこの経路につきましては、実は幾つかの複雑な形がございまして、ちょっとことばでその一々を申し上げるのは非常に困難な点がございますけれども、仲介人が幾層にも、第一次仲介人、第二次仲介人、さらにその下というように重層になっておりますもの、あるいは仲介人がみずから家内労働者をも兼ねておるといったような形態、実に複雑な幾つかの形態に分かれているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/27
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028・大橋和孝
○大橋和孝君 私、質問は、それはもう私読んで知っているわけなんですが、そうではなくて、そういうものをあなたのほうではどういうふうに把握をして、そしてそういう仲介者に対しては、いままで指導をしたりなんかしておられるわけですが、そういう指導をするときにはどういう措置をとっておられるか。よけいあるからいけないのだ、だからして、いけるところだけ大まかにやっているんだというとらまえ方であるか、あるいは、もっと具体的な指導をする面にそれをどういうふうにつかんでおられるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/28
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029・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) いまお答えしましたように、委託経路がきわめて複雑な、いわば迷路のような形のものもございますが、家内労働対策の基本は、やはり非常に複雑困難ではありますけれども、そういった経路をただしまして仲介人なり委託者をとらえるということが非常に大事なことは申すまでもございません。したがいまして、従来行なってまいりました行政指導も、この委託者ないしは仲介人といったものをできるだけとらえまして、それを通じていろいろな施策を展開してきたということでございますし、本年の三月に労働基準局長名で通達を出しまして、行政指導の細目につきまして通達を出した次第でありますけれども、幾つかの対策の重点は、いずれも委託者または仲介人を押えて施策を展開するという考えを持っておるような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/29
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030・大橋和孝
○大橋和孝君 それから、家内労働者の受ける工賃でありますが、あの調査の報告を見ますと、日雇いよりは上だというふうな形に出ているわけでありますが、私は、これは平均であるかもしれませんが、非常にもっともっとみじめな状態の人がたくさんあると思うのですが、何かそういうことについてのデータはお持ちでしょうか、発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/30
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031・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 家内労働と一口に申しますが、専業的家内労働者につきましては、特殊な技術を要するもの等については比較的高い工賃を得ておるようでございます。問題は、内職または授産的な性格のものでございます。この業種が非常に多岐にわたっておりますので、平均的な工賃は幾らということは非常にむずかしく、調査会の報告におきましても、百円ないし三百円という、非常に幅のある数字を使っておるわけでございます。私ども可能な限り、地区ごとに、それから、きわめて多種多様にわたる業種ごとに一応工賃の金額を承知いたしておりますが、いかがいたしますか、その一々について申し上げましょうか、あるいは例示的に申し上げますると、たとえば編みもの内職につきまして一時間当たりの工賃を見ますると二十八円、その他の繊維一次製品加工内職三十円、洋裁内職四十四円五十銭、和裁内職三十三円六十銭、下着、身の回り品加工内職三十円五十銭といったような、以下職種ごとに数字をあげ得るのでございまして、共通して言えますことは、いかにも安いではないかという印象を受けることは否定できない事実ではなかろうかというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/31
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032・高山恒雄
○高山恒雄君 ちょっと関連ですが、仲介者の一体マージンというのはどのくらい取っておるのですか。これが問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/32
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033・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 臨時家内労働調査会で把握いたしましたものによりますと、仲介人の手数料の額は、普通家内労働者に渡る工賃の五ないし二五%程度を目安にしてきめられておる、かように申しておりまして、不当に高いと一がいに断定はできない。しかしながら、不当に高い手数料を取る可能性を内蔵しておる、つまり中間搾取という問題を惹起しやすいということは指摘できるという結論を出してございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/33
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034・大橋和孝
○大橋和孝君 現在の、何といいますか、高物価の状態で、非常に生活に追い込まれておる人たちがこの家内労働を実際はやっておるわけでありますが、先ほど婦人少年局長のほうからいろいろいままでの内職なんかの指導をやってきたと言われたわけでありますが、ぼくはまだまだその点についてはやられてないと、それはやられてないのに近いような感じを持つわけでありますが、いままでやってこられた実績をもう少し詳しく説明してもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/34
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035・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) 内職公共職業補導所におきまして従来行なってまいりました内職対策ということに限定いたしましてお答えをしてよろしうごさいましょうか。——内職公共職業補導所は、先ほど労働基準局長からも申し上げましたところでございますが、都道府県に設置いたしまして、国がその経費の一部を補助するという形で運営をいたしております。現在この補導所は全国に三十九カ所設置を見ておるわけでございます。昭和三十年から設置を始めまして、今日二十九カ所でございます。ここでの業務の主たるものは内職の相談あっせんでございますが、これはその趣旨といたしまして、内職を求めるものと内職を提供する事業所とを直結させるという、この考えに立っておりまして、したがいまして、ここを通じて行なわれます内職のあっせんには、当然に手数料等はございませんし、また、内職委託事業所とこの施設との間にも仲介人等の介在はございませんので、この内職公共職業補導所を通じて行なっております内職補導事業におきましては、仲介人対策ということは従来からないわけでございます。むしろ仲介人を排除して、求人側と求職者側を直結させる方式におきまして内職従事者の条件を改善するということを試みてまいったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/35
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036・森勝治
○森勝治君 ちょっと関連ですが、いまの局長のお話だと、内職補導所では両者の間にあってあっせんをするだけで、一切手数料その他取らぬという話だけれども、そのとおりですか。事務費ということで三%ないし五%程度はよろしいというような内面指導はなされておりませんか。その点ひとつお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/36
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037・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) ただいまお尋ねの点につきましては、いかなる名目によるにいたしましても、手数料の性格を持つものはこの施設においては取っておらないはずでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/37
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038・森勝治
○森勝治君 再質問で恐縮ですが、それは私は事務費という表現を用いました、いいですか、事務費という名のもとに取られるようなことはないかと、こう申し上げておるのです。実際ありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/38
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039・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) どのような名目をもっても、手数料的なものを徴収するということはないはずでございます。ございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/39
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040・大橋和孝
○大橋和孝君 その公共の職業補導所のいまの内容はちょっとお聞きしたわけでありますが、ここを通過するところのものと、そうでなくて、非常にいわゆる仲介を介してきているものとがあるわけでありますが、特にまたこの公共補導所を通過してやられておるのに、またその中に加わっている人が仲介人になっているような場合があり得るやに聞いているのですが、そういうことがあるかないか、お伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/40
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041・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) 補導所を通じて行なわれますあっせんのあり方でございますが、先ほど申したように、求人側からの求人申し込みを受けまして、また、一方、求職者側からの求職申し込みを受けまして、それを直結させているわけでございます。その内職従事者がまたそれが仲介人になっているのではないかという御疑念であったように思いますが、内職従事者はしばしばグループをつくってこの公共職業補導所の内職のあっせんを受けております。グループで従事することはいろいろな点から双方に便利がございますので、補導所はそれを奨励していると思いますが、その場合に上便宜的にグループにリーダーを置くということがあって、そのリーダーがそのグループ員の便宜のために補導所に代表的に出かける、あるいは業者のところに代表的に出かけるということがあるわけでございますが、しかし、そのことは仲介人ということとは全く性格が違うわけでございまして、何かそのような形からそういった御疑念がお出になったのではないかと思いますが、これは全くグループの一員が代表して全部のために働いている、このような形でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/41
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042・大橋和孝
○大橋和孝君 それはそれにします。私はちょっと耳にしているのは、そういうふうな人が交通費とか、あるいは何かということでもって少しずついわゆる事務費というか、いろいろな言い方があって、先ほど森君から話がありましたような話を聞いておるわけでありますが、そういうことはないということになったのですから、それはそういうことでないとして受け取っておきますので、そのような行政指導をしてもらいたいと、こう思うわけであります。
それから、また工賃の問題でありますが、ILO二十六号条約では、明らかに家内労働にも最低賃金の率を決定するようになっているわけでありますが、これについてお考えはどんなふうなものでございましょうか。特に、また、この最低賃金率をどのように政府は設定しようと考えられるのか、このILOの問題の中からこれが出てくるんじゃなかろうかと思うのでお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/42
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043・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 御指摘の点につきましては、ILO第二十六号条約の第二条で、「特にいずれの家内労働の産業又は家内労働の産業の部分について、前条に掲げる最低賃金決定制度を適用するかを決定する自由を有する。」と、ちょっと抽象的な表現ですが、このような規定がございます。御指摘のように、最低賃金制度の確立、存続と家内労働の工賃の問題とは関連があることでございます。これは一般の周知のとおりでございます。現在の最低賃金法におきましても、第二十条で最低工賃決定の制度がございます。ただ、現在までの状況を見ますると、この最低賃金法第二十条の最低工賃は、まず最低賃金がいずれかの形によってでも決定され、しこうして、さらに同一または類似の業種に従事する家内労働とその関連を見まして、その最低賃金の有効な実施を確保する必要があるという場合に最低工賃の決定ということが問題になるわけでございます。現在業者間協定方式を中心にいたしまして、かなり最低賃金が普及されましたけれども、業種が必ずしも家内労働の業種とマッチしないといったような問題もございまして、残念ながら、まだ最低工賃の決定例はございません。しかしながら、本年度の行政指導といたしましては、最低賃金の普及率と相まちまして、最低工賃の設定に一段と努力したいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/43
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044・大橋和孝
○大橋和孝君 先ほど私ちょっと質問の中に触れて聞きたださなかったので、もう一つお聞きしたいと思います。
いま私が申し上げたように、各国ではほんとうに家内労働に対して保護対策が講じられている。ことにドイツだってフランスだって、あそこら辺全部できているわけでありますが、日本ではそのようにはまだできなかった。特に私は、家内労働者は一つも組織されておらないというか、野放しにされているわけであります。ことに家内労働委員会といいますか、こういうようなものもやはり外国では家内労働者が参加して、その委員会でいろいろ身分を訴え、また、組織されているためにそういう面でいろいろ発言する場をつくられているようでありますが、こういうことに対して日本では全部野放しの状態である。特に私は、保護対策ということに対してこれからどういうふうな態度で進まれるのか、そういうことについてのかまえをもう一ぺん聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/44
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045・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 一言で尽くすのは困難でございますけれども、臨時家内労働調査会が指摘している問題点としては幾つかの項目がございます。まず、家内労働者は各自の家庭に分散しておって、しかも、浮動的で、実態がなかなかつかみにくいが、どういうふうにしてこれをとらえ、施策を講ずるか。第二は、家内労働者には専業と副業といろいろ類型がある。一口に家内労働といっても、就業形態、労働条件がさまざまであるので、これをどのような視点に立ってとらえて対策を講ずるか。第三には、問屋、製造業者から最末端の家内労働者に至る委託経路は、数段にわたります仲介組織が存在しているという場合もありまして、きわめて複雑である。これをどのようにしてとらえ、どのような規制を講ずるか。第四は、家内労働条件について見ますと、家内労働時間、工賃などさまざまでありまして、しかも、その開きが大きい、工賃額も一般に低い、また、安全衛生等の観点からも問題があり、これをどのような角度からとらえて是正するか。最後に第五点として、家内労働問題も経済成長の過程におきまして非常に大きな影響を受けるわけでございますが、今後わが国の経済成長に伴いまして、この家内労働者の性格なり、その数がどのように推移するであろうか、そういった点についても十分予測して対策を講ずる必要があるのじゃないかといったような問題が指摘されているわけであります。したがいまして、この対策を考えます場合には、非常に広範な角度からの検討を必要とすると存じますので、また、一方においては中小企業対策、また、社会保障制度との関連もあるわけでございます。したがいまして、考え得る対策といたしましては、かなり広範多岐にわたるものになり得るのでございますけれども、その中でも、立法措置によって解決すべきもの、行政指導によるべきもの、一般の世論喚起と相まちまして、社会的良識に従いましてさらに改善につとめるべきであるといったような対策の全貌があらわになるといたしましても、それを具体化するための手段として立法手段、行政指導手段、一般的な世論喚起等々、幾つかの方法が考えられると思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/45
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046・大橋和孝
○大橋和孝君 その広範な考え方はおっしゃるとおりだと思います。そういう向きでそれはいろいろ整備をしていただかなければならぬ。私はいまのお話を聞いておりまして、ここでこの家内労働をやっておる人に対していま最も考えなければならぬことは工賃の問題。やっぱりそれがいわゆる百円から三百円というようなかっこうで、非常にまとまっていない。それから最低賃金の考え方、ことに最低賃金法の第三章にもありましたように、あるいは、また、二十条以下ずっとやられておるところを見ても、やはりこの七年間もの聞こうしていろいろ調査会があったりなんかして、いつもいままでそのままになって、いろいろむずかしさもあると思いますけれども、やはりこの辺でもう最低の工賃はどれくらいということを打ち立てて樹立していかなかったならば、これらの人をほんとうに守ることはできない。弱いところはいつまでも弱くて、そうして非常に収入の道は安定化しないという観点から考えましても、私は、もっとこの三章以下のこの最賃法の考え方からして、もう少し工賃の問題を徹底しなければならぬと思うわけでありますが、こういうことについて民主的な考え方を何かお示しいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/46
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047・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 今日まで行政指導によって行ないました標準工賃設定の例を見ましても、四十五業種、八万千七百人に適用があります標準工賃が設定されておるわけでございます。で、このように、工賃を扱います場合にある程度把握できるいわば産地集団的な形態を持っておるものにつきましては、委託者であるとか仲介人といったようなものを把握いたしまして、一種の協定方式を用いまして標準工賃を協定せしめるというような方式がある程度実現し得たわけであります。しかしながら、問題は、個々の家庭でばらばらに分散して内職をしておる家内労働につきまして、いかにして最低工賃なり、あるいは標準工賃を指導するかということになりますと、一々の家庭につきましてこれを調べてそういったものを決定するということについては、かなり実際上の問題があるわけであります。将来の方法としては、おのずから委託者または仲介人をとらえまして、いわば委託経路をある程度掌握いたしまして工賃を明確にし、不当なものについては是正するという必要があろうかと存じます。将来の問題ではございますけれども、過去に実施しました標準工賃設定の経験にかんがみまして、さらにくふうをこらしまして前進せしめていきたい。ただ、問題は、行政指導によってもおのずからそれは限界がありまして、家内労働審議会が設置されました暁におきましては、審議会の御意見を尊重いたしまして、一般的な法規範意識と申しますか、これは守らねばならないといったような意識の確立と相まちまして、法的な拘束力を持つものとして展開するというのでなければ万全は期しがたいというふうに私どもは考えておるわけであります。しかし、それにいたしましても、専業的家内労働、内職的家内労働、兼業的家内労働といった類型に相違がございます。したがいまして、それを一律にやる、そうじゃなくて実態に応じてやる、しかも、家内労働の職種になりますと実におびただしいものがございます。それから、職種が一定いたしておりましても、デザインなどが絶えず変わりますので、その工賃額をきめたとしましても、デザインの目まぐるしい変化に伴いましてその価格もまた変動をするというような問題があるわけであります。しかし、私ども一応把握し得ましたそのようなもろもろの条件を踏まえまして、さらに検討を進めていきたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/47
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048・大橋和孝
○大橋和孝君 先ほど局長のほうからも触れられたわけでありますが、このいまの家内労働者に対しての、また、労働基準法の立場からの災害、あるいは、また、災害の補償、あるいは、また、安全衛生なんかの面については、わりあいいま前向きでやるというお話でありますが、これは実際問題としてなかなかむずかしくて野放しになる傾向が多いわけでありますが、こういうものをやっぱり私はいまの基準行政の中でとらまえ方が非常にむずかしいと思うわけでありますが、やはりこれをよほど制度化するなり、あるいは、また、もう一歩進めて、これをどういうふうに把握してこれを行政に反映さしていくかということが非常に問題だろうと思うのでございますが、そういう点のお考え方、それから、今度また家内労働者の立場からいえば、何か組合組織でも指導して、そしてその家内労働者のお互いの不満なり、あるいは、また、要望なりを反映さすような方向の育成指導、こういうことも必要なんじゃないかと思うのですが、こういう点についてのお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/48
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049・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 家内労働の中でも、危険、有害な作業に従事する者について安全衛生の問題が特に大きくクローズアップされるわけであります。かつてベンゼンを含有するゴムのりを使用いたしまして、いわゆるヘップサンダルを製作一する内職におきましてベンゼン中毒がかなり発生いたしました。この問題につきましては、労働基準法第四十八条の規定によりまして、別に命令でベンゼンを含有するゴムのりの使用をある程度制限をいたしたことがございます。このように、法的な根拠によりまして、有害物質を使用する場合に最初から規制するといったような形がとり得ましたならば、これは一番徹底するわけでございますが、そういった措置が講じ得られないもの、たとえば職場で、じん肺になるおそれがあるとか、あるいは引火性料品、火薬類を扱うとか、ベンゼン以外の有機溶剤を使用するといったようなものについては、中毒その他の疾病、あるいは負傷を起こしやすいわけであります。そこで、従来、たとえば岐阜の陶磁器というようなものにつきましては、労働基準法適用事業場における安全衛生の指導と相まちまして、同地区における家内労働者につきましても指導を加えて、ある程度成果をあげたという例がございます。先ほど安全衛生について五千六百人について指導を加えたと申しましたが、率直に申しまして、行政的に可能なそういった手段を活用して指導を展開したわけでございます。しかしながら、その他のものにつきまして非常にむずかしい問題があろうかと存じますが、目下地方に通達を出しまして示しました安全衛生の指導方式は、委託者または仲介人等をとらえまして、まず有害な、原材料を使用するという点につきまして、そこからひとつやってみたらどうか。それから起こりやすい疾病等についての参考資料等を作成いたしまして配付につとめる。それから、また、一番端的に重要なものは健康診断でございます。このことも言うべくしてなかなか困難でございますので、中小企業等における巡回健康診断等の方法もあるわけでございまするので、第一線機関におきましてできるだけそういった健康診断機関のあっせんを行なうというような手段を考えております。もとより非常に広範に存在いたします家内労働者に対する対策といたしましては十分でないというそしりを免れないかもしれませんが、私ども行政権限は、法律上の権限はございませんが、実際上の指導としてできるだけのことをやっていきたい、そして、かたがた、それが家内労働法制定といったような問題に対する一つの基盤を提起するものではなかろうかという認識に立ちまして、鋭意努力したいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/49
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050・大橋和孝
○大橋和孝君 大体いま御説明を受けている中では、そうした指導はいわゆる専業の家内労働の場合にしやすくて、その他副業とか、あるいはそういうような場合には非常にしにくい。実は去年の秋でしたか夏ごろでしたか、小柳委員長のときに京都の西陣の方面の家内産業の調査に行ったことがありますが、あの場合を見ましても、非常に何と申しますか、照明の悪い、あるいは、また、非常に環境の悪いところで家内労働をしているのが非常に多い。特にそこで話を聞いたのは、目の悪い人、それから婦人の家内労働者では、非常に何といいますか、婦人病が多いというような報告も受けたわけでありましたが、そういうようなことで、非常に私は組織立って行きやすいところは非常にそれが行き届きやすいと思いますけれども、ことにそうでない場合には、非常にまだまだ悪条件であるのが見のがされておるということでありますが、こういうことに対しては特にどういうふうな方法でやったらいいかというのが私自身にまだよくわからない。専門的な立場から見られて、こういうものに対してどういうふうに処置しようという前向きの行政をやっていただきたいと思うわけであります。特に私は内職あっせんの側から、この公共の指導所あたりでいろいろ取り扱われる個々の小さい内職あっせんの直接の指導、そういうような場面にはそうしたものも含めておやりくださることが一つの大きなあれにはなるんじゃなかろうかと思うわけであります。そういう意味からも、特にどういうふうに今後それを具体化していくかということについてのひとつ十分な配慮をお願いしたいと思います。
それから、一つ資料的にお願いをしたいのは、あっせん所のほうでいろいろいままであっせんしてもらっているようでありますが、そのあっせんの件数やら、あるいは、また、金額ではどういうふうにして、工賃がどういうふうなものをどれくらい行なわれて、そして総額どういうふうな金額のものをそこであっせんしておられるか、あっせんの状況を何か詳しくひとつ資料として出していただいて、それについて一ぺん勉強さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/50
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051・千葉千代世
○委員長(千葉千代世君) いまの資料はよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/51
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052・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) はい、出させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/52
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053・紅露みつ
○紅露みつ君 これは大臣に伺うのでございますが、臨時家内労働調査会というのは三十四年にできたのでございますね。大臣が御就任の前にできておるわけですね。ところが、この家内労働というのは、この資料にもございますように、九割以上が女子なんでございます。で、この調査会のメンバーがちょっと気になるのでございますが、どういう方たちで構成されておりますか、ちょっと伺いたい。なかなかこれは男子の方ではわかりにくい面も相当あると思うのですが、ちょっとその構成を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/53
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054・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) 臨時家内労働調査会としていままで存続いたしましたものにつきましては、主婦でございます内職者が一名と、それから、学識経験者といたしましては専修大学教授の田辺繁子先生にお入りいただいた。それから、また、NHKの江上フジさんなどにもお入りいただいておりましたが、今度新しく労働省設置法の一部改正法律案が通過いたしますれば家内労働審議会が新設されるわけであります。その際には、家内労働者及び一般労働者の代表の御参加を願うことになっております。したがいまして、みずから身をもって家内労働を体験しておられる方々を代表として御依頼することになろうかと思います。そういった点についても十分配慮をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/54
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055・紅露みつ
○紅露みつ君 わかりました。審議会が設置されれば新しくまた構成をし直す、そこには婦人を多く取り入れると、しかも、体験を持った者もそこへ入れていかなければならない。学識経験者というものも必要でしょうけれども、私は、その場合、まあ田辺さんなんかもいままで入っていた方でけっこうでございますが、やっぱり婦人を相当入れなければ、男子の方々にはわからない面が多いと思う、これはほんとうに。それで、ぜひそれはひとつ強化していただいて、相当のメンバーをそろえていただかないといけないと思うのですが、それにつけて、ちょっとこの問題は婦人少年局長に伺いたい。だいぶ補導所がふえましたね。たいへんけっこうなことで、私どもは一生懸命推進してまいったのですが、で、仕事もやっぱりそれにつれて活発になってきておると思うのです。もう手なれておりますからね。さっきお話の中に、グループでやっていると、内職をですね。そういうようなものが相当出てくることは私どもは望ましいと思うのです。それはやっぱり一つの団結でございますから、そこでいろいろ話し合って、要求すべきものも、主張すべきものもそこで強くなり得ると思うのですが、それはどのくらいございますか。割合から申しましても、数から伺ってもけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/55
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056・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) 現在、内職公共補導所三十九カ所で、大体登録されております内職従事者が十一万ほどあるわけでございますが、グループの結成状況につきましてはあまり明確な数字はございませんが、大体この従事者たちの七割から八割がグループをつくっていると、このように推定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/56
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057・藤田藤太郎
○藤田藤太郎君 関連。ちょっと私、婦人少年局長に奮起を促しておきたいと思うのですが、まあこれは労働大臣にもお尋ねして、決意のほどを聞いておきたいと思うのですが、いま雇用労働者二千八百万ですね。で、二千八百万の家族の五〇%から八〇%内職をやっているというのが今日の風評でございます。しかし、まあ厳密な意味で私はわかりませんけれども、しかし、半分くらいの人は内職しなければ食っていけないと、この国鉄労組、電通、私鉄という場合に、組合ではよく調べていますが、どれだけぐらい内職をやっているかというと、大体三〇、四〇、五〇くらいというのがやっているというのが現実なんです。今日政府の補導所が三十九カ所あって、私も東京の補導所を見に行きました。しかし、内職というのは、生活を守るために非常に労働者が苦しんでいるという現状に今日あるわけです。ですから、京都のように、行政単位に「内職友の会」というものをつくって、そうしてそれに京都府、いわゆる地方の自治体が援護金を出して、そうしてお手伝いをしている。それでもまだ足らないと私は思うのです。
それから、内職工賃を見ましても、大体太平洋岸ベルト地帯の内職賃金というのは、大体三十円から五十円くらいです。しかし、これをはずれたところが大体十円から二十円で、三十円というのはよっぽど熟練工でしかないわけです。これは私たちがずっと調べて歩いた内職の実態なんです。ですから、ひとつこれはどこが担当ですか、私は、基準局長の答弁があったり婦人少年局長の答弁があったりして、よくわからぬのですが、今度労働省設置法で家内労働審議会を設置されようとしている。これは法律に基づかないで審議会だけつくろうというのはどういう意図なのか。ちょっと疑いかければ、この前、いま紅露さんからお話がありましたように、臨時内職調査会ですか、というものがあって、しりつぼみでしぼんでしもうたが、またあの二の舞いが起きるのじゃないかという心配が起きる。どの法律に基づいて審議会をつくろうとしているのか。いまの最賃法の家内工賃というなら、最低賃金がきまった関連産業だけが家内工賃を云々ということできめているわけですね。それに法律に基づかないで審議会だけをつくるというのはどうもようわからぬということで、またこの説明をしていただきますが、そういうことでございますので、具体的に、家内労働者の行政というのは婦人少年局がおやりになるならおやりになるように、ひとつ各府県の少年室を強化するなり、基準局が中心でおやりになるなら基準局のお手伝いをするなり、そこらあたりがどうも明確でない。単に婦人対策としてなら家内労働ばかりじゃないと思う。ひとつそこら辺を明確にしてもらいたい。まだお尋ねしたいことや意見を言わなければならないことがたくさんありますが、もう一つだけお尋ねしておきますが、現実に内職を見ておりますと、おもちゃ屋その他が多いので、出血輸出です。出血といいますか、日本人の血を売っているようなかっこうのおもちゃ製造内職労働、こうなっておる。私はそんなのが多いと思うのです。だから、そこらあたりを、いま基準局長が今度の審議会の構想なんかをお話になりましたけれども、具体的にアメリカで十二ドルで売っているものを、材料費も内職賃もみんな入れて二ドルで日本で製造しておるというようなことを、いままでも政治上、行政上見のがしておいていいのかということを、私は現実を見てきて思うわけですけれども、そういう内職の実態、そして仲介人その他の関係、詰まってくると、もうあすの生活が困るから内職をされるわけですが、結局これが分散作業場みたいなかっこうで、そして低収入、チープレーバーを製造するようなかっこうになりはせぬか。労働者自身の生活を、零細な工賃でその生産ができるからといってそれにゆだねられて、結局労働者の生活の足を引っぱることになりはせぬかという心配もあるわけですから、そこらあたりの構想をひとつこの際お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/57
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058・紅露みつ
○紅露みつ君 一緒に御答弁いただくことがありますから……。
専業というのがここにございますね。家内労働の中に十二万となっております。一割四分ありますね。一四%ではありますけれども、十二万という数ですけれども、これは婦人少年局長でもどちらから伺ってもけっこうですが、その中に男子がむろんあると思うのですけれども、大部分そうではないかと思うが、しかし、婦人といえども、その中に専業として一家を養っているという労働者家庭があると思うのです。そうなりますと、いわゆる内職にやっているのではない、専業にやるとなれば、これは男子も女子もございませんね。そういう職種につきましては相当数最賃制はできているのでございますから、一般の労働者もあるのでございましょう。それは審議会ができればそういうことも審議するのが大きな目的であろうと思うのですけれども、その中に婦人も専業で家族を扶養しておるというようなのがありましょうから、ぜひ一般の労働者と同じように見合って、最低賃金をきめるときには、家内労働者といえども、専業である場合は私はそれはできると思うのですけれども、それは賃金と違いますよ、違いますが、これと見合ったら最低のところというものは出るはずですね、内職で家内労働であっても。それで、形は違いますけれども、そこから割り出せば、やっぱりこれくらいな賃金でこの仕事はやらせなければならないということで、零細企業であろうが何であろうが請け負わせる、そうすれば、たいがいその工賃というものは割り出せると思うのです。それから、その他の全く内職的なものでありましても、これは先ほどちょっと伺ったように、はっきりしておりませんけれども、非常に低い工賃のようでございますけれども、婦人少年局長、昔の内職といまの内職との賃金というものはどうなっていますか、工賃はどのくらい違っていますか、それから先に伺いましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/58
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059・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) 私から概括的に御答弁申し上げます。
最初に、藤田先生の御質問でございますが、まだ家内労働関係の法律がないのに審議会をつくるのはちょっと前後がおかしいじゃないかという御趣旨かと思いますが、実は先生御承知のように、従来ございました臨時家内労働調査会が、家内労働の現状に関する報告というもの、それから、家内労働対策の進め方に関する見解というものと、両方先生のお手元にあるいは差し上げてないかもしれませんが、お示しになりまして、その見解のほうで、どうも家内労働問題というのは非常に複雑であり、総合的な視野からこれをさらに続いて検討する必要がある、その際は法制的措置も含めて検討する必要があると、こういう見解をお示しになられましたので、労働省としましてはその御意見をも尊重いたしまして、今後具体的にどういう施策を行なうべきか、もちろんそれはいわゆる家内労働法の立法の問題等も含めまして御審議をいただこう、こういうことで、別途、御承知のとおり、労働省設置法の一部改正をもって審議会設置をいまこちらの内閣委員会で御審議をわずらわしておるところでございます。そういうことでございますが、労働省のと申しますか、私の考えでは、とにかく家内労働の問題が非常に重要な問題であり、かつ、こうして国会におきましても非常に大きく御論議をいただいておる問題でもございますし、もちろん一般雇用労働者との関連においても、これまたいろいろ重要な関連のある問題でございますから、やはり家内労働法といったようなものをつくる必要性はあると、私はさように考えておるわけであります。そういうことも含めまして、かりにつくるとすれば、それじゃどういう内容のものをつくるかというような趣旨で審議会で御審議をわずらわしたい。この審議会は一応三年間と設置期間はなっておりますが、私は、従来のこの検討の結果もあることでございますから、私の気持ちとしては、でき得れば二年計画くらいをもってひとつ御答申をちょうだいして、できるだけすみやかに立法措置も講じたい。そういう点も、審議会ができた上は、よく私どもの気持ちもお話を申し上げて、そうして、審議促進をお願いいたしたいと、そんなふうに実は考えておるわけでございます。
そこで、また従来労働省がやってまいったことでございますが、これも先ほど来お話が出ておりますように、別段法的な裏づけがなくて、ただ労働省という役所の立場から、労働者に対するいわばサービス機関ですから、そういう広い意味においてこの調査会等の御意見等もこれまた尊重しながら今日まで進めてまいったわけでございます。確かに、主として基準局と婦人少年局と両方で関係してきたわけでございますが、基準局のほうで労働条件の維持改善といいますか、そういうやはり本来の任務もございますから、それに準じて、この方向でタッチをしてまいっておる。婦人少年局のほうでは、家内労働に従事しておられる方々が、内職を中心として、婦人の方が非常に多いというような関係からいたしまして、大体御相談なり、あるいは仕事のあっせんなり、こういう方面でタッチをしてまいった、こういうことでございます。しかし、いずれも、御存じのとおり、別段法的な根拠があってやってまいったわけでもないわけです。しかし、今後家内労働法といったようなものが、どういう内容かは別として、できるといたしますならば、私は、この面の行政というものは、もちろん今度はこれに裏づけされた行政を行なわなければならぬのでありまして、そういうことになりますならば、この行政の機構としても、やはりこれは検討する必要があると、私はそういうように考えておるのであります。現在あります内職公共職業補導所ですか、これも御承知のとおり、県の機構としてやっていて、若干の運営費の補助を国でやっているという程度のものでございまして、陣容もきわめて大体貧弱のようであります。ですから、これだけで一つの法律ができた場合に、広範多岐にわたる家内労働行政というものはとても十分にはいかないだろう、したがって、いずれにいたしましても、全般的に行政の機構というものも、これも私は検討を要するであろう、かように考えておるわけであります。
なお、何か出血輸出的な問題に家内労働が関係あるというお話でございました。そういう面も確かにあるやに私どもも聞いておりますが、いずれにいたしましても、これらは工賃の適正化の問題でございましょうし、また、国内的には適正であっても、外国に出す場合には、これははなはだどうも輸出価格の数倍、数十倍で外国で売られるというようなことが事実といたしますならば、こういう点はもちろん所管省とも十分連係をとって進めなければならぬことであろうと、かように思います。
最後に、紅露先生のお話でございますが、専業的な家内労働、これでも婦人がいるじゃないか、その場合には何か最低賃金をきめてやるべきじゃないか、やっているのかといったようなお話でございましたが、これは先生御承知のとおり、もともと家内労働というのが他人を使わないというたてまえで、使わないものを家内労働、家族だけでやっている、こういうたてまえに、もともとといいますか、一応そういう考え方で家内労働というものを考えておりますから、賃金という考えではないわけなんです、現在の考え方ではですよ。要するに、家族だけでやっている、こういうことです。家族内でまた約束でもして、賃金といわなくも、何と呼ぼうと、きまった分け方をやるということになればまた何でございましょうが、それは家族同士の問題ということになるのでございまして、少なくも、現在は、要するに最賃という関係は家内労働にはない、ただ、しかし、労働者の最賃を維持するために、家内労働の一般に工賃工賃といっておるようですが、工賃が非常に安いために賃金の維持向上というものが妨げられるという場合には、その工賃の最低をやっぱりきめられるということが現在の最低賃金法では規定されておる。しかし、それは一家でまとまって受ける場合の工賃でありまして、その分け方までは別に言っていないわけです。さような事情になっておりますので、ひとつ御了承をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/59
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060・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) 紅露先生の御質問に、内職の工賃が昔と比べてどうなのかという御趣旨のお尋ねがあったと思うのでございます。で、御承知のことでございますが、内職というのはたいへんにとらえにくい問題でございまして、その人数につきましてもなかなか正確な把握ができないというのが現状でございます。まして、昔と申しますか、戦前はもちろんでございますが、十数年前におきましても、全国的に内職の調査というようなことが行なわれたことはないようでございますので、そういう意味合いにおきまして、昔との比較ということはきわめて困難な状態でございます。人数の点でも、あるいは工賃の点でも、比較するということはたいへんむずかしいのでございます。労働省といたしましては、そのような基本的な内職従事者の数であるとか、その工賃の実態を明らかにするということから仕事をしなくてはということで、数年来その努力をしているわけでございます。その結果、人数につきましては先般の調査で一応はっきりつかまえられた数字として、内職従事者は六十七万人という数字が出ております。また、工賃につきましては、これは始終変わるのでございますけれども、四十年度に私どものほうで全国的にいたしました内職工賃事情調査によりますと、これはまた地域により、また、職種によりまして非常に違ってはおりますけれども、一応一時間当たりの工賃といたしますと、平均いたしまして二十五円八十銭、時間当たりにして二十五円八十銭というような数字が出ております。一日にまた労働する時間が六・二時間というふうになりますので、結局一日に内職によって得るところの収入が、これも平均でございますが、百五十九円九十六銭、このようになっております。また、これを月に引き伸ばしますと、平均いたしまして三千三百十五円となるわけでございます。ただ、これも初めに申し上げましたように、非常にバラエティーがありますので、たとえば一月の月収額といたしましても、その職種によりましては二千六百円程度のものから、また、高いほうの職種では五千五百円程度というふうに、たいへんなバラエティーがあるわけでございます。で、そのようなわけでございまして、昔との比較ということはたいへんにむずかしいのでございますけれども、私どもがこの職業補導所のあっせんを通じて行なっております内職従事者について観察いたしましたところでは、昔、比較的に散発的に観察したものと比べまして、何と申しましょうか、暗い感じが少なくなったような感じで働いておられることがございました。しかし、これは何ら統計的な情報ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/60
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061・紅露みつ
○紅露みつ君 昔と申しましても、それは時間的な問題で、婦人少年局ができて、そうして仕事を始めて、補導所ができて、それからの比較でございますが、ただ、観察の感じというようなことでなく、やはりそのころもある程度の数字が出ていたんだろうと思いますし、私はいまここで数字の差をはっきりと御答弁いただこうとは思っておりませんけれども、こうした物価の状態や、いろいろ社会情勢から考えまして、その賃金が上昇しつつあるかどうか、賃金というとまた語弊があるようでございますが、工賃と申しましょうか、その工賃でも何でもよろしいが、その手数料が上がっておりますかどうかということを心配しているからお尋ねしているわけです。
それから、もう一つお尋ねしておきたいが、そのグループというものは、一体何人ぐらいでグループをつくっているのか、大体これもしっかり統計をとっていらっしゃるわけではないでしょうし、おっしゃるように、これは移動するもので、そんなにちゃんときまっているものではないから、数字を的確にお答え願おうとは思いませんけれども、もう少しそういうことをおっしゃれるだけおっしゃってみていただかないと、婦人少年局の存在というものは非常に影が薄くなって、何か基準局に寄っかかったような、あるいは大臣にかばってもらうというのはそれはけっこうでございますよ、大いにかばってやっていただかなければなりませんけれども、何か影が薄いような感じがいたしまして、心細く感じるのでございます。おっしゃれることは、どうかもう少し勇敢にひとつ答えていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/61
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062・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) どうも先ほどはことば足らずなことを申して失礼いたしました。
工賃の単純な比較という点で申し上げることが許されますならば、たとえばこの補導所が開設されましたころの昭和三十二年ころに、たとえばエプロンの縫製一枚についての工賃は二十円、これは東京の場合でございます。東京都の都内の補導所の場合でござます。四十年にはそれは三十八円程度に上がっております。あるいは、また、ブラウスの縫製、これが同じく三十二年度には三十円程度でありましたのが、四十年になりますと五十五円から百円というふうになっております。ただ、御承知のとおり、同じくブラウスと申しましても手の込み方等がいろいろでございますから、単純に何倍になったということも言いかねるかと思うのでございますが、一応あっせんしたものの算術的平均ですとそういうふうな数字が出ておりまして、もちろん工賃としては上昇しているということは言えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/62
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063・紅露みつ
○紅露みつ君 グループはどのくらいの人数——これもいろいろでしょうけれども、大体でけっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/63
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064・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) グループにつきましてはいろいろございまして、大体はこれはグループの場合、地域的に近接した方々がグループをつくることが一番便宜上都合がよろしいわけでございますから、そう大きなグループということはもちろん期待もされませんのでございます。しかし、もちろんこれはきまりはないのでございます。現実には二十名から三十名程度のグループが多いというふうな情報が入っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/64
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065・紅露みつ
○紅露みつ君 最後に、この資料でございますけれども、私は、家内労働が賃金労働者と違うということはわかっておるのでございますが、で、賃金労働者についての私はこれが最低賃金の表かと思ったのでございますが、労働省の基準局から出ておるわけでございますね、この資料。「産業別最低賃金決定状況」としてございますね。これに「製造業」、「非製造業」というふうに区別をいたしまして最低賃金の決定状況というのが出ておりますね。それだから、私は、最低賃金がこれらについてはできておるのであろうと思ったのでございますが、これはどういう資料でございますか、伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/65
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066・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) これは最低賃金法に基づきます最低賃金の実施状況をまとめたものでございます。すなわち、雇用労働者について適用あるものでございます。先ほど来御指摘のございました家内労働者につきましては、法的には労働関係にないという観点に立ちまして、一般に工賃と、最低賃金法上も「最低工賃」という名称を用いておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/66
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067・紅露みつ
○紅露みつ君 それで、御説明でわかりました、工賃と賃金というその表現の差は。ないないとおっしゃるから、ここにこういう資料があるからと私は申しましたので、私の申しました意味は、こうした最低賃金はこれらの業種については決定されているのだから、その仕事は、工賃であろうが賃金であろうが、同じ種類の仕事であったら、小資本で家内だけでしておる仕事であっても、家内労働の仕事であっても、それと見合わせたらば、個々の家内労働の仕事の価値もそれとの比較において打ち出されるのではないでしょうかということを申し上げたのでございまして、その御答弁でわかりました。私は、まことに意外なことを聞くものかな、最低賃金は一つもないのかということのように受け取ったものですから、そこでこういう、ふうな質問になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/67
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068・村上茂利
○政府委員(村上茂利君) まことに御指摘のとおりでございまして、最低賃金との関連におきまして、最低賃金に悪影響を及ぼすといったような場合には、最低工賃というものを決定いたしまして、それを守っていただくという制度が現在法的にあるわけでございます。しかしながら、それを実施する前提としては、いわゆる業者間協定方式が決定されます。それが地域的に拡張される、あるいは労働協約による最低賃金が地域的に拡張されるという前提が必要でございます。しかるところ、業者間協定の拡張適用の数字は二百二十三件この資料にございます。それから、十一条方式と、こう書かれてございまして、六件といったようなものがございますが、件数がわずかでありますのに加えまして、家内労働の職種とぴったり吻合するようなものがございませんと、同一または類似の職業と、こうなっておりますので、まだそこまで至っていない。しかし、法的には最低工賃の決定可能でございますから、本年度におきましてはそういった方面において行政努力を払いたいというふうに先ほども申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/68
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069・紅露みつ
○紅露みつ君 これは大臣に伺っておきたいのでございますが、家内労働法というもの、これは方針というのでございましょうか、どのように作業を進められておられるのでございましょうか、いつごろそれが出されるようなお見通しなのでございましょうか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/69
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070・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) その点は先ほどちょっと申し上げたのでありますが、いま労働者設置法の一部改正、内容的には家内労働、審議会の設置ということの法律案を提出いたしておりまして、衆議院を通過いたしまして、ただいま当院の内閣委員会で御審議をいただいておるところであります。この審議会ができますれば、ここで家内労働についての全般の重要事項を調査御審議願うわけでありますが、その具体的な一つの問題としては、家内労働法というようなものをどう一体つくるかつくらぬかが第一問題ですが、さっき申しましたが、私どもとしては、むしろつくりたいという意向を持っておる。しかし、つくるといたしましても、どういう内容のものを持つべきであるかと、こういったことに、問題が問題だけに、非常に複雑であり、なかなか簡単にまいりませんが、その点をよく御検討いただきまして、その、審議会の御意見がまとまりますならば、できるだけ早く法案を作成いたしまして国会におはかりをいたしたい。でき得れば、私としては二年間くらいで御答申をいただきたい、こういう内容を持っておるということを先ほども申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/70
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071・高山恒雄
○高山恒雄君 これは婦人少年局長のほうから、非常にむずかしいということよりも、大事なことを発言されておりますから申し上げたいのですが、基準局長もどうお考えになっておられるか知りませんけれども、最近の平均の二十八円、二十五円八十銭ですか、これは従来よりはよくなったと言われますけれども、経済の動向によってみな加工賃は違うのですよ。それでよくなったなんて言ってもらっちゃ困るのですよ。全く劣悪な状態にあるのですね。加工賃をうんと下げておる、押えておるのです。それで手工業を押えて、機械的なやつも押えられておりますけれども、機械的なものは長時間で勝負しておるわけですね、こういう認識に立っていただかぬと、従来よりもだいぶよくなったなんていうふうに労働省がお考えになると大きな誤解だと思うのですよ。さっき答弁がありましたが、私は決してよくなっていない、手工業的なものは全部たたかれておる。それで、政府としては指導的な方法でやっておられるようですが、必ず二割ないし三割たたかれておる。手工業の家内工業というものは、そうすると機械的な家内労働というものはこれも工賃をたたかれておるから、長時間労働でカバーしておるということですね。やはり景気の状態によってこれ、が変動するということを深く認識してもらった上に立って、最賃が早く必要だということと、適正工賃が必要だということを認識してもらわなければ、いまの答弁を聞いておりますと大きな誤解があるんじゃないかという懸念を持ちましたから、念のために申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/71
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072・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) おしかりをいただいたり御鞭撻いただいたりして恐縮でございますが、先ほど申し上げました二十五円八十銭の分は、これは全国調査でございますので、全国の一万世帯につきましての調査でございますが、これと比較し得る昔のデータはないわけでございます。そのような意味合いで比較ができにくいと申し上げました。
それから、先ほどエプロンにつきまして二十円が四十円になったというようなことを申しましたが、これはやはり単純な算術平均で言えば上がっていると申したわけでございますので、私どもも同じような認識に立っておるのだということを御承知願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/72
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073・千葉千代世
○委員長(千葉千代世君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/73
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074・千葉千代世
○委員長(千葉千代世君) 速記を起こして。
他に御発言もなければ、本件に関する質疑は、本日はこの程度にとどめておきます。
次回の委員会は六月七日午前十時から開会することとし、本日はこれにて敬会いたします。
午後四時二分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114410X01819660602/74
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