1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十年十二月二十七日(月曜日)
午前十時五十九分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 豊田 雅孝君
理 事
赤間 文三君
岸田 幸雄君
剱木 亨弘君
近藤 信一君
委 員
近藤英一郎君
宮崎 正雄君
柳田桃太郎君
吉武 恵市君
矢追 秀彦君
向井 長年君
国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
政府委員
通商産業政務次
官 堀本 宜実君
中小企業庁長官 山本 重信君
中小企業庁次長 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
○中小企業信用保険臨時措置法案(内閣提出、衆
議院送付)
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/0
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001・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、理事会において協議いたしました事項につきまして御報告いたします。
本日は、中小企業関係二法案の審査を行なうことといたしましたので御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/1
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002・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案、中小企業信用保険臨時措置法案、以上、衆議院送付の両法案を一括して議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
この際、両法案に対する衆議院における修正点について、政府委員より説明を聴取いたします。山本政府委員。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/2
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003・山本重信
○政府委員(山本重信君) 便宜私から二法案につきまして、衆議院で行なわれました修正点について御説明を申し上げます。
最近の中小企業をめぐるきびしい経済情勢にかんがみまして、また、特に年末を控えまして、信用力の薄弱な中小企業者の信用補完に遺憾なきを期するために、政府は、信用保険料の大幅引き下げ、特別小口保険の小企業者一人についての付保限度額の引き上げ、無担保保険の新設、倒産関連保証の特例、中小企業信用保険公庫への十億円の追加出資等の措置を講じ、中小企業信用保険制度の拡充強化をはかることとした次第であります。このため政府は、臨時国会に中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険臨時措置法案を提出し、十二月一日施行を目途として関係各方面においても着々準備を整えていたのでありますが、審議未了に終わりまして、信用保険料の大幅引き下げのみが十二月一日から実施された次第であります。本国会に再提出された両法案は、当初両法案の閣議決定の予定でありました十二月十七日まで遡及適用することとされていたのでありますが、衆議院におきまして、今回の特別措置が中小企業の年末金融の円滑化に資するため、当初十二月一日からの実施を予定して関係各方面においても準備体制が整えられていたこと、できる限り早期に今回の特別措置の実効を期する必要があること等にかんがみまして、十二月一日から遡及適用するよう自民、社会、民社三党の共同提案により、両法案の修正がなされた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/3
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004・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 問法案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/4
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005・近藤信一
○近藤信一君 本来ならば、大臣の御出席を願って、大臣から御答弁を願いたいのでありまするけれども、大臣は予算のほうに呼ばれておられますし、なかなか時間的にも逼迫しておる問題もありまするので、優秀な政務次官もおられますから、私が一応質問をしたいと思うのですが、まず、今回提案されました二法案、この二法案を出さざるを得なくなった背景というものがあると思うのです。やはりなぜ二法案を出さなければならなかったか、これにはいろいろと現下の不況という問題が深刻になってきておる、こういうことから特に中小企業にそのしわ寄せがきておる、一体なぜそういう結果になってきたか。特に産業界で言われておりますることは、政府が七月に決定いたしました不況対策の実施というものがもたもたしておって、非常にこれがおくれてきたんじゃないか、そういうことで産業界、特に中小企業の皆さんはもっと政府が早く、七月決定直後、この措置というものがとられておったならば、今日のような中小企業への大きなしわ寄せというものはきていないのじゃないか、若干はもっと救われておったのじゃないか、こういう声が非常に強いわけです。そこで、当時の状況として、私は何ゆえにこのすみやかな実施というものができなかったか、この点についてまずお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/5
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006・山本重信
○政府委員(山本重信君) 七月二十七日の経済政策会議におきまして、当面の不況をできるだけ早く克服しますために、財政及び財政投融資の面から需要喚起をすべきである、こういう基本方針が決定をされました。同時に、具体的な措置といたしまして数項目の事項が決定されたのでございます。最近までの動向を見てみますと、ただいま近藤先生から御指摘がございましたように、必ずしも当初の期待のようには実施が進んでおりません状況でございます。現在になりまして、その後の推移を検討いたしてみますと、まず第一に、一時予算執行にあたりまして、本年度のすでにきまっております予算の中から一割ほど留保するという措置がとられたことがございます。これは財政当局のほうが、ことしの税収が減るであろうという見込みが一方にございました。それとつじつまを合わせようという意図が働いたものと思います。七月の二十七日にその点は公共事業費等に関しては解除されたのでございますが、実施官庁におきましては、一たん一割留保するという前提でいろいろ計画を立て直したりいたしましたために、いよいよそれが解除になりましても、実施をするときにはすでに幾日かの日にちを空費しておくれてしまったということが一つ指摘できるかと思います。それからもう一つは、七月二十七日の決定の中の最も大きな項目といたしまして、財政投融資の拡充二千百億円というのがございます。その中には住宅建設の五百億円、電電公社の百億円、国鉄の二百億円、下水道関係の三百億円等々がございますが、かなりのものが地方財政との負担の分け合いという点がございまして、その辺の措置が十分にとられていなかったこと等もございまして、実施が予定よりかなりおくれたというふうに見ております。最近になりまして、十一月ごろからようやく実施体制ができまして、ようやく最近になって動き出したというのが実情であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/6
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007・近藤信一
○近藤信一君 いま御答弁がございましたように、その対策は立てられましたけれども、特にその後の重点的な問題としていまも言われましたように、公共企業に対するところの投資、それからそれに従って住宅やその他いま御説明あったとおりでございますけれども、実際今日の地方財政というものは非常に逼迫しておる、そこでこういうふうな対策を立てられても、実際に地方自治体としてこれを消化し得るかどうか、ここが問題だと思うのです。そこでそういう場合に、政府がただ投資さえすればいいのだ、こういうことでなくして、この地方自治体の消化の点も私は考慮してやらなければ、ただ公共企業はこうしていけばいいのだということだけでは、私は対策にならないと思うのですけれども、その点地方自治体で消化できるというふうな当時見通しがあったかどうか、こういう点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/7
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008・山本重信
○政府委員(山本重信君) 率直に申し上げまして、七月の二十七日の決定当時は、その辺の研究が必ずしも十分に行なわれていなかったと思います。いよいよ実施に当たってみまして、そういう問題が非常にはっきり出てまいりました。現在そのための体制をつくるために、まあ財政当局も特別な措置を考えておる、こういう段階であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/8
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009・近藤信一
○近藤信一君 今日の中小企業のいわゆる不況というものは、私は単に金融面のみでこれが今日の不況を克服できるというふうには、当局自体も考えておられないと思うのですが、それにあえて今回の二法案というものが国会へ提案された。そこでやはりこれは、長官もこの点は重々御承知だと思うのですが、金融面が若干潤沢になったところで、また利率の問題が若干引き下げられたといたしましても、中小企業は私ども話を聞くと、政府資金を借りようと思って銀行に行きましても、銀行にはいま金は若干ダブっている、そういう点で何とか自分のうちの金を借りていただこうとして、何とかかんとか言ってなかなかその政府資金のほうに努力をしない、こういううらみがあるわけなんですが、そこで、ただ金融面だけでは、いまの現下の中小企業の不況ということは救われない、克服できないと私思うのですが、この点あなたのほうの判断はどういうふうに判断しておられるのか、この点をお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/9
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010・山本重信
○政府委員(山本重信君) 現在の不況のよってきます原因はかなり深いものがあると思います。したがいまして、金融措置だけでこの不況が乗り切れるとは考えられないのでございます。やはり基本的には中小企業の体質の改善をはかりまして、新しい事態にふさわしいような合理的な経営にするということが基本であろうかと思います。また、同時に国全体として、そういう企業に十分に仕事がいくように需要の喚起をはかるということが根本であろうかと思います。しかし、そうした抜本策が実現するまでにはまだ何としても時間がかかりますし、当面目の前でこれだけ不況が深刻になってまいりますと、まじめな経常をしておる中小企業も非常に困ってきておりますので、当面のこの時期を切り抜けるためのつなぎという意味で、私は金融問題を実は考えておる次第でございます。政府系金融機関も最近は非常に積極的に貸し出しをしておりまして、つい数日前に三金融機関に状況を尋ねてみたのですが、いずれも、この第三四半期は、当初計画よりも若干上回って貸し出しをするような体制になってきております。一部におきましては、第四四半期の分を繰り上げるという措置をとるようなことにいたしておるような状況でございます。そういう政府系金融機関の貸し出しと合わせまして、また民間資金を動員いたしますためには、信用力の足りない中小企業に対しまして信用保証の制度を拡充するということがきわめて必要でございますので、そういう趣旨から今回二法案の提出をいたして御審議をお願いいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/10
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011・近藤信一
○近藤信一君 きのういただきましたこの資料の中で、やはりこの政府系の中小企業専門金融機関の取引先の倒産状況、いわゆるこの調査によっても、特に七月から九月までの間において、百万円未満の倒産件数というものが一番多い。それから三百万円以下がその次、それから一千万円以下、こう特に今日の倒産というものがだんだんと下のほうへきている傾向ということがあるわけなんです。そこで、どうしても若干の金融の面でも、いま私がお尋ねしましたように、何とか安いやつで政府資金を借りようとする。ところが、銀行の窓口にいきますると、いまうちにはワクがないとか、ちょっと困難だとかいろんなことを言って、なかなか政府資金を借りることができない。どうしても民間のほうで金を借りる。民間の金を借りると保証協会の保証が必要だと、こういうことになって、今度の利率措置等の問題にもなってきたと思うのですが、だんだんと政府資金を借りようと思う中小企業は、政府資金がいろいろと銀行で貸してくれないものだから、ワクがないとか、すべったころんだというて、どうしてもそこの銀行から金を借りなければならぬ、こういう結果になってくるのだが、そういう点で何とか政府資金――何も困っているわけじゃないので、政府資金があってもそういう結果が出てくる、こういうことに対する何らかの民間金融機関に対する方法というものは考えられないのかどうか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/11
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012・山本重信
○政府委員(山本重信君) 政府系金融機関の資金と民間の金融機関の資金と、中小企業の資金需要は非常に大きいわけですから、両方とも拡充していくということで考えなければいけないと思います。いま御質問のような事態、市中金融機関が現在必ずしも公正妥当に政府資金の取り扱いをしないようなことがありますと、これはせっかくの制度が生きませんので、そういう点につきましてはできるだけ監督等も厳重にいたしたいと思います。
実は、先般歩積み両建て問題が非常にうるさくなりました当時、市中金融機関の中には政府資金の代理店をして片方で貸しているのに、それを見返りにして貯金を事実上要求したというような訴えもございました。実地調査をした結果はっきりわかりましたものにつきましては、直ちにそういう代理業務を停止をするというような強硬措置もとりまして、その是正をはかった次第ございまして、今後もそういう点につきましては十分に監督していきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/12
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013・近藤信一
○近藤信一君 十一月二日の日に名古屋市が主催いたしまして、中小企業対策協議会というものを開いたのです。そのときに中小企業の代表の方からいろいろと意見が述べられましたけれども、その意見の中でこういうことが要望されておるわけなんです。中小企業者に対する金融保証率を引き下げるべきだ、それから中小企業の共同化を指導してほしい、それから成人開発の助成を考えてほしい、企業診断の強化を考えるべきだ、こういうふうな深刻な差し迫った意見がいろいろと述べられたわけなんです。これが圧倒的に多い意見でございましたが、保証率の点については、先日も長官の言っておられましたように、十二月一日から若干下がった。その下がったのも、いま五厘のところ引き下げ四厘九毛だとかいうふうなお話で、五厘のところは全国で三行しかないとのことで、下がったといっても一毛くらいだが、われわれから考えると一毛というのはそう大したことはないようだが、実際保証率の点からいくと、一毛はなかなかたいへんなことだというようにも聞いておりますが、こういうふうな深刻な保証率の問題でもいろいろといま言われておるのだし、共同化の指導を今後どういうふうに強化していこうと考えて、おられるのか、いろいろと対策はあなたのほうとしても考えておられるけれども、なかなか共同化の問題は思うように進んでいないとも囲いております。
それからいま一つは、企業診断においても私がしばしば本委員会でも質問をしておりまするように、特に民間の診断員にゆだねておる点が多い。こういうことでございますから、民間の診断員に頼むと、相当これは私が聞いた話によると、非常に診断料が高いのですね。そういう点で企業診断をしてもらいたいと考えておっても、小企業になりますと、なかなか進んで診断を受けようとしない。こちらからまあ一ぺんお宅も診断を受けて工場を徹底的にあれしたほうがよいだろう、こういうふうにサジェスチョンすると、では一ぺんやってみようというところもしばしばあるわけなんですね。こういう点について、診断員の問題は政府でいまあれは府県ですか、委託しているのですが、そういう点について今後診断員をどういうふうに拡充していくとか何とかいうふうな御配慮があるのかどうか、そういう点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/13
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014・山本重信
○政府委員(山本重信君) 第一の保証料の引き下げの問題でございます。金利の数字になりますと何毛とかというので、ほんとうにわずかな金額でございますけれども、実はこの十二月一日に保険料をおもなものについて三毛引き下げたんでございますが、これはいままでこの保証制度ができましてから引き下げた中では最も大きなものでございまして、いままでは大体部分的にしか下げなかったし、その下げ幅も一毛というのが従来の例でございまして、今回は三毛下げた。率にいたしますと、保険料としては一二%程度下げたことになります。それによりまして保証協会の負担がそれだけ減りますので、各保証協会に内面指導をいたしまして、おおむね一割の保証料の引き下げということで、これはすでに実施に移っておるような次第でございます。なお今後も中小企業の金利の負担の軽減につきましては、政府出資の増額等によりまして実現をしてまいりたいと思っております。
それから第二の共同化の問題でございます。中小企業は数が非常に多いし、やはり粒が小さいというところにいろいろ弱い点がございます。したがいまして、できるだけ共同化によりまして団結の力、さらに生産性の向上ということをはかっていく必要があるように思います。やや粒の大きいところでは、いままで工場団地をつくってもらってやってきておりましたが、最近特に零細企業にもやはり協業化、共同化が必要であるということを考えまして、来年度の新政策といたしましては、工場アパートという制度を新しくつくりまして、それによって零細企業、小規模企業もいわゆる集団化による合理化ができるようにいたしたい、かように考えておる次第であります。
それから診断制度でございますが、中小企業の体質改善のためには経営技術の面についても診断ということが非常に大事でございますので、診断制度の質的、量的な拡充には格段の努力をいたすつもりでおります。また特に診断をする人を得ませんと、せっかくの制度も生きませんので、中小企業指導センターでただいま研修をいたしておりますが、この研修制度をさらに来年度は画期的に拡大をいたしまして、そして診断をするお医者さんの質の向上、さらにいい診断員の数をふやすということに努力をいたしてまいりたいと思います。
それから診断をいたします場合に、民間が高い診断料を払うようではこれまた非常にぐあいが悪いのでございます。公共団体による診断はこれはもう原則的に無料でございます。そういう制度を拡充するようにつとめたい、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/14
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015・近藤信一
○近藤信一君 保証料率の問題についてはまたあとで私お尋ねしますが、共同化、いわゆる特に通産省では工場団地について力を入れてやっておられるようですが、先日もこれは十月だったかと私は思うのですが、東京で全国の工場団地の会合がございまして、そのときにお話を聞きますと、約六〇%団地であるというふうなことを私聞いたのですが、一体全国的に現在工場団地として発足しておるのはどれぐらい数があるのか、この点おわかりでございましたならばお示し願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/15
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016・山本重信
○政府委員(山本重信君) 工場団地として中小企業庁が助成の対象といたしましたものは、本年度の分も含めまして九十四になります。その中ですでに完成をしておりますものが二十七、計画どおりに造成進行中のものが五十四、当初計画からややおくれているものが十三ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/16
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017・近藤信一
○近藤信一君 そこで工場団地では、いま御答弁ございましたように九十幾つあれして、特に成功している団地もありまするけれども、失敗している団地もだいぶあると思うのですね。それでうまくいっている工場団地はいいとしても、ボーダーラインにいる団地も相当あると思うのです。私が聞いたところによると、たとえば、長官なりまた通産省から視察に行くということになると、いかにもうまくいっているようなふうにごまかすわけなんですね。というのは、製品がうんとストップになっておっては困るということで、製品をよその倉庫へ一時預けたりなんかしている、そういう、実情があるわけです、実際現地へ行ってみるとそういうことからいくと、一体いまうまくいっている工場団地、それからせっかく工場団地として発足したけれども、その後失敗して団地がうまくいかないというふうなもの、この比率がわかっておりましたら、これは明確でなくてもいいです、おおよそのところでいいからお聞かせ願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/17
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018・山本重信
○政府委員(山本重信君) 工場団地の造成が始まりました当時は、いわゆる高度成長の時期でございましたので、みななかなか野心的に計画を立てて発足いたしました。途中で経済情勢が変わりましたために、その面で予想しなかったような苦労を一般的にいたしているというふうに言えると思います。ただ工場団地全般としては、私は順調に進んでいるというふうに言えるのでありまして、一部の団地がいろいろな事情からうまくいっていないものがマスコミのほうでおもしろおかしく取り上げられて、どうも工場団地は失敗ではないかという印象を一部に与えているのではないかという点を私は心配しておりますが、決して私はそういうことはないと思います。大部分のものは順調にいっている。ごく一部のものが必ずしもうまくいっていない。おそらくうまくいっていない団地というのが数カ所あろうかと思います。たとえば北九州の機械関係の団地とか、それから富山県のやはり機械関係の団地、さらに愛知県にも一つ建設機械の関係の団地がございます。そういったところが現在どうもうまくいっていない。それ以外のところはいろいろ問題は、こういう時勢ですからございますけれども、基本的にはしっかりした基礎に立って前進をしている。特にある団地では、団地をつくりましたために関係業界あるいは親会社から非常な信頼が高まりまして、むしろ最近のような情勢にもかかわらず、集中的に注文をもらうことができる。また団地としてまとまりましたために信用力ができまして、原材料、その他を買う場合にも、むしろ金をあまり使わないで向こうから持ち込んできてくれるというような非常にいい効果をあげているところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/18
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019・近藤信一
○近藤信一君 まあおおむね成功している、うまくいっているところが多いようですが、失敗しているところはまあ数カ所くらい。しかし工場団地を発足いたしまして、その後の経済情勢から団地の中の一社なり二社が没落する場合があるのですよ。こうした場合に、その一社なり三社なりが没落すると相当の負債を持っておったとする、今度没落すれば、これの穴埋めというものは、団地の他の工場で、今度は他の工場の負担になってくるわけなんです。で、政府資金の借りているやつを残された人たちが返済していかなきゃならぬことになる。期限が来てしまうから、没落したからといって、没落のやつを最初から見込んでおるわけじゃないんだから、その場合に、一体期間中にどうしても返済せなきゃならぬかどうか、政府から借りている金をね。その場合に、その一社なり二社が没落したから、その分だけでも余裕期間というものを設けてやるというふうな考えを持っておるのか、それを認めるのかどうか、いわゆる延長返還、返済の延長、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/19
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020・山本重信
○政府委員(山本重信君) 団地に対する助成金の償還期限につきましては、最近まで、毎年実情に合わせるように延ばしてまいっておりました。実は来年度も、現在七年であるものを十年にまあ延ばすということで、目下政府部内で協議中でございます。そのように一般的にまず期限を延ばすことと、また同時に、いまお話しのように、具体的にある団地でうまくいかない企業が出たために、それを返済することがむずかしくなったというようなものにつきましては、その延期につきまして、個々の具体的な例について処理をするというふうにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/20
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021・近藤信一
○近藤信一君 その場合には、やはりそういう発生した事故ですね、それは団地のほうから申請すれば、政府のほうとしては、一年なり、また半年なり延長することもできるんだと、まあこういうことのように私いま聞き取りましたけれども、そういう点でそれができないんだというふうなことで非常に心配しておられる人もあるわけなんですね、団地の中で。そこで、ある団地の中で組合、まあ工場ですね、工場が没落倒産しようとする場合に、あれが倒産したらおれらのところはみんなだめになるから、何とかこれみんなで金を出してやらなきゃならぬということで、非常に心配して金策をしておるところもあるんですよ、現実に。私は別にそういう問題で御相談を受けたこともある。それで先ほど長官言われましたように、団地全体の期間が五年が七年、七年が十年になると、だんだん延びていくけれども、そういう特別なケースが出た場合、やはりこれは延長の申請なりをした場合に、あなたのほうでは、いま言われましたように、若干は延期することができるんだと、こういうことでよろしいんですか、そういうことで了解して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/21
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022・山本重信
○政府委員(山本重信君) 具体的な実情に応じまして延期の措置をとる考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/22
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023・近藤信一
○近藤信一君 それからもう一つは、もう一ぺん金融の面になりまするけれども、この前名古屋で開かれた懇談会のあとで、こういうことがいわれておるんですよ。実際政府が金融の面でいろいろと努力をされるけれども、実際その金融というものはのどから手の出るように欲しておる零細企業のところまで来ないんだと、中小企業の、借りなくてもいいような人のところはどんどん借りられるけれども、実際に借りたいという人は借りられないと、末端まで借りられないんだとで、近代化資金にしても、ほんとうに近代化をせなきゃならぬ工場は、条件が悪くてなかなか近代化資金を借りられない。近代化資金の借りられるというのは、中小企業の中でも条件のいいほうの人だけが借りられるというふうな結果になって、実際に近代化せなければならぬというところは、なかなか政府資金を借りることができないと、こういうふうな声もあるわけなんですね、私どもがいろいろ直面しておる問題でも。そういう点は、私ども承知しておる点もあるんです。あそこなら金借りなくても自分のところでできるなと、こう思っても、やはり近代化資金を借りて機械を入れたいということでまあ来られるわけなんですけれども、そういうことで、ほんとうに条件の悪い、どうしても近代化をするには自分の資金ではできないんだからやりたいと、こう思った人に、なかなか政府の金融対策というものは浸透してこない、そういううらみがあると、そういう声が実際末端に行きまするとあるわけなんですが、まあそれは倒産寸前のような工場が近代化をしようとしても、政府は調査のところでこれはひっかかってだめだということにもなってこようかと思うのですけれども、やはりそういう実際に欲しておる末端のほうに、もっと潤沢に政府資金というものが回っていくような方途というものを考えていくべきでないかと私は思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/23
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024・山本重信
○政府委員(山本重信君) 中小企業対策が、従来かなりいろいろと新しい制度がくふうされまして積み重なってまいったわけでありますが、何と申しましても、対象とする中小企業の数は、三百五十万という膨大な数でございますので、御指摘のように、なかなかほんとうにかゆいところまで手が行き届いているというふうには、おそらく言えないというふうに常に実は反省をいたしている次第でございます。近代化資金につきましては、現在もできるだけ小規模零細のほうに重点を置いて運用しようというので、一般の中小企業の定義は、従業員が三百人以下ということになっておりますけれど、近代化資金の運用にあたりましては、比較的粒の小さいほうに重点を置いた運用を従来もしてきておる次第であります。特に来年度は、先ほども申し上げましたように、工場アパートとか、機械貸与とかいうふうな制度をつくりましたのも、ちょうどいま先生の御指摘のようなことを考えまして、できるだけ下部まで浸透するようにつとめようというところから出ておる次第でございます。それから信用保証の分野におきましても、今度の特別小口、さらに、そのほかに無担保の二百万というようなものも、まあ大体そうした従来手の行き届いていないおそれのある分野に、何とかして少しでも行き届かせようと、こういう気持ちから考えておる制度でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/24
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025・近藤信一
○近藤信一君 中小企業の問題はまだほかにもございまするけれども、この程度にいたしまして、法案の内容の点について御質問をいたしたいのですが、今回の法案の中で、特別小口保険を五十万円までは認めるとされましたが、これは第一種保険も重複して利用できないのかどうか、利用できるのかどうか。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/25
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026・山本重信
○政府委員(山本重信君) 現在の特別小口保険ができましたときに、今度のこの制度は、特別に零細な、製造業で従業員五人以下商業で二人以下という層に対して、特別に考える制度であるということから、ほかの制度とは一応対象を別にして考えるということが基礎になっております。したがいまして、その制度以外の制度、第一種、第二種等の制度を使えるような程度にまでなっておる企業については、これは特別小口の制度は活用しなくてもいいのじゃないかということになっております。したがいまして、いま御質問の、特別小口と第一種とを同じ人間が両方これを利用できるかという御質問に対しましては、いまの保険制度のたてまえからいくと、それはできないことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/26
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027・近藤信一
○近藤信一君 できないことになっておるようでございますけれども、そこで今度の小口保険の五一十万円、第一種五十万円まで無担保無保証ですね、そうですね。それと、たとえば政府資金を借りるのがあるんですね、国民金融公庫の小口。これで三十万円なり四十万円なり現在借りておる、この国民金融公庫は、保証人が二人要るんですね。それを借りておる人、国民金融公庫から小口で借りておる人、そういう人も今度は無担保無保証のこのほうの金が借りられるかどうか、これは併用できるかどうか どうも併用できないようなことだと私は思うのですけれども、なぜ併用ということが考えられなかったか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/27
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028・山本重信
○政府委員(山本重信君) 国民金融公印から担保を提供したりして、あるいは保証人を立てて直接借りております場合、その場合には、いわゆる信用保証協会の保証というものは使わないわけです。したがいまして、その人が特別小口保険のほうの要件を別に備えておりまして、そちらのほうで借用保証の制度を使うということになりますれば、これは併用というか、両方使えるわけでございます。と申しますのは、併用できるかできないかという議論は、信用保証制度を使うという範囲のことでございまして、信用保証制度を、一方において特別小口の保証制度、他方において第一種の保証制度を使うということができないということでございます。ですから保証制度を使う場合と、それから保証制度を全然使わない、これは一応考慮の外になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/28
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029・近藤信一
○近藤信一君 そうすると、国民金融公庫のほうとは関係ないのだ、で、民間から無担保無保証で五十万円借りるという場合、保証協会が保証するのだから、これは国民金融公庫で現在借りておっても、そっちはまた借りられるのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/29
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030・山本重信
○政府委員(山本重信君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/30
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031・近藤信一
○近藤信一君 かりにそういたしますと、五十万円の担保物件を持っているだけで、適当な保証人もない場合があると思うのです。そういう業者がある場合がある。その者が今度は六十万円の融資を受けたいと、こうした場合に、方法としてはどうか。そちらで五十万円しか借りられないのだが、六十万円どうしても必要だと、こういう場合にはどうなるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/31
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032・山本重信
○政府委員(山本重信君) おそらく担保がございまして、そうして信用保証の制度を使うということになれば、いまの場合ですと、第一種保険を利用するということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/32
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033・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、六十万円――五十万円でもよろしいのですが、五十万円までが無担保無保証ということになるでしょう。そうすると、今度は五十五万円なり六十万円なりということになると、これは保証人も担保も両方要るということ、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/33
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034・山本重信
○政府委員(山本重信君) 信用保険制度を利用するという範囲に限っての一応御質問だと思います。信用保険制度を使うという限りにおきましては、特別小口保険で無担保無保証の制度を利用すれば五十万円まで借りられるわけです。それを借りる人は、そのままの状態ではほかの制度は利用できない。ほかの制度を利用しようと思うならは、これは実務の点――ちょっとややこしくなりますけれども、使えるわけですけれども、その場合は、その特別小口の取り扱いが一応振りかわってしまう、新しい別の保険に振りかわってしまうということになるわけであります。したがいまして、五十万円をこえた金額を、信用保証制度を利用して借ります場合は、担保を出すということになれば第一種の保険になりますし、それから担保を出さない場合は、今度できます新しい無担保保証の制度が活用できるということになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/34
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035・近藤信一
○近藤信一君 今度の無担保無保証の小口のお金は、一人一件、いわゆる一口ということですね。一人でたとえば二口借りるとすれば、これは百万円借りられるわけですね。この点はどうですか。一人一口か、一人で幾日でもいいのか、この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/35
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036・山本重信
○政府委員(山本重信君) これは一人当りの限度額でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/36
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037・近藤信一
○近藤信一君 たとえば、今度は私に仮定いたしまして、私が工場やっておる、私がその工場の責任者ではないけれども、私が申請して借りられるかどうか。もし私が借りて、もう一人会社の代表者、工場の代表者ですね、これが申請した場合にこれはどうなるか。これはただ工場として借りられるのか、工場の代表者になる専務、また会長というのですか、小さくても、そういう名目があるとすれば、そういうことで借りられるのか。それは必ず一工場一口というのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/37
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038・山本重信
○政府委員(山本重信君) おそらく、いまお話しの場合は、その工場ないしはその会社が借りるということであって、たまたまその代表者に会長がなられるとか、社長がなられるということだろうと思います。結局は、法人格で一人ということになりますので、かりに代表する人がかわりましても、重複することはできないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/38
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039・近藤信一
○近藤信一君 それから無担保保険の保証人は、これはだれでもいい、こういうものか。それとも制限をされるのか。また、保証人を幾たり立てなければならぬのか。現実にその保証協会がこれを指導する場合に、保証協会でこれは判断をするのか。この点、協会によってはいろいろと違ってくる点もあろうかと私思うのです。というのは、全国一律に協会というものがあるわけじゃない。各地方でそれぞれ協会というものは違っておるわけなんだから、地域的にも今度は違った考え方で出てくる場合もあると思うので、きびしい条件がつけられるようなことも、私は出てくる危険性というものがあるのじゃないかと思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/39
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040・山本重信
○政府委員(山本重信君) 保証人につきましては、特に制限は付さない、身内保証でもかまわないというふうに考えております。それから具体的なケースの取り扱いになりますと、それぞれの信用保証協会が自己の責任において処理することになりますので、現在までの実績を見ましても、同じ種類の保険でも、あるものについては担保を取らないでどんどんやっているところもございますし、担保を取っておるようなものもございますので、具体的には、保証協会のそのときどきの判断によることになるわけであります。ただ、その場合に、この制度をあんまり慎重な方針でやることしなりますと、せっかくの制度が生きないということにもなりますので、私たちは、今後内面指導をいたします基本方針としては、できるだけ弾力的に活用するという方向で掛算してまいりたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/40
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041・近藤信一
○近藤信一君 今度の場合は、身内保証でもいいわけですね。身内保証でもいいということになりますると、これは身内以外の保証人などが立つ場合、そのときにやはり保証人の調査というものは、私は、協会としてもやるんじゃないかと思うのです。これはめちゃくちゃに保証人を変えてくればそれでオーケーということには私はならないと思うんですが、その場合、その保証人に対するところの、何といいますか、調査の基準といいますか、一銭も不動産も動産もない保証人でいいのかどうか。たてまえからいくと、どなたでもいいことになろうかと思いますが、しかし、協会によっては、だれでもいいというわけには私はいかないと思います。やはり動産なり不動産というものがあるかないかというふうな調査が必要じゃなかろうかというふうにも私判断するのですが、それは協会によって違うところもあるでございましょうけれども、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/41
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042・山本重信
○政府委員(山本重信君) 保証人については、やはり保証協会としては、一応の調査はいたすと思います。ただその場合に、保証人が必ず物的担保で十分にそれをカバーするだけ持っているということを要件にしてまいりますと、この無担保保険の制度というものは、なかなか動きにくいものになってしまうと思いますので、その辺にはおのずから常識的な限界があろうかと思います。そういう場合も、私たちとしては、もうできるだけ簡易な保証人ということで処理するように指導いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/42
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043・近藤信一
○近藤信一君 やっぱりそこは私は問題になってくる点じゃないかと思うんですが、たてまえとしては、なるべく緩和した調査で保証人を認めていくと、こういうふうに通産省当局としては指示をされる、しかし、実際金を借すんですから、そうして保証協会が保証するのだから、だれかわからない保証人で貸せるということに対しては、保証するということについては、なかなかちゅうちょするんじゃないかと思うんです。そうして、その点で私はひっかかってくる点が出てくるんじゃないかと思うんですがね。協会のほうで保証人の調査という点で、資格が失われるというふうなことが、私は今後出てくるんじゃないかということを心配するんですが、この点は、あなたのほうとして万全な御措置をとって進んでいかれるだろうと私は思うんですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/43
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044・山本重信
○政府委員(山本重信君) ただいまの御指摘の点は、私も今後の運用上非常に重要なポイントだと思います。そこをもし窮屈に厳格にやっていきますと、なかなか動きにくいような制度になってしまうと思います。その点は十分に今後気をつけてまいりたいと思います。いずれにいたしましても、今度の無担保の制度というのは、相当思い切ってやろうということでできた制度でございますので、その最初のアイデアが十分に生かされるようなやり方でやってまいりたい。特に、国の負担率を高くするという意味で八〇%にいたしておりますので、その点は各保証協会あたりに、私たちのほうからよく今度の立法の趣旨を説明をいたしまして、協力していただくようにしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/44
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045・近藤信一
○近藤信一君 なお、無担保保険と既存の保険との関係はどうなっていくのか。たとえば、最初特別小口保険の法限度額五十万円を借りる、その後百五十万円または三百五十万円を借り入れる場合には、今度創設される無担保保険、第一種保険、第二種保険と、こうあるんですが、これらとの関係においてどのような取り扱いを受けることができるのか、この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/45
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046・山本重信
○政府委員(山本重信君) 今回の保険制度は、保険公庫と保証協会との間は、包括契約になります。包括契約になります場合に、いろいろな種類の保険のどれが優先するかということをきめておきませんと、いわゆる逆選択と申しますか、リスクの多いものを保証協会のほうは先に立てたいし、保険公庫は逆にリスクの少ないものから先に適用しようということになりますので、そこは適用順位もはっきり法律で定めまして、自動的にいろいろな種類の保険の中の適用順位をきめておる次第であります。それによりますれば、まず無担保保険が最優先いたしまして、そのあと第一種、第二種というふうになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/46
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047・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/47
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048・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記再開。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/48
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049・矢追秀彦
○矢追秀彦君 先ほど近藤委員のほうからも質問が出ましたが、この法案に入ります前に、現在の中小企業が非常に不況のため圧迫されまして、倒産等も相次いで起こっておりますが、今年度の倒産の状況が、昨年度と比べて特にどういった点に特徴があるか、それについてまずお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/49
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050・山本重信
○政府委員(山本重信君) まず、倒産件数の足取りでございますが、昨年昭和三十九年は、当初負債額一千万円以上の企業の倒産件数は、二百件程度から発足いたしまして逐次上昇してまいりまして、十二月に五百九十六件という高水準になった次第であります。合計で四千二百十二件。それに対しまして四十年は、最初から高水準ですべり出しまして、ほとんど年間を通じて、月五百件という水準で推移をいたし、十一月までで五玉五百三十件になっております。おそらく十二月の分を加えますと、六千件をこえる状態になろうかと思います。
そこで、最近のこの倒産の特色でございますけれども、従来は、いわゆる放漫経営というような原因によるものが比較的多かったと思いますけれども、最近の倒産の原因を調べてみますと、売れ行き不振といいますか、注文がない、受注の減少というのが一番大きな原因になっております。引き続きまして、不渡り手形をつかまされた、要する代金回収不能あるいは関連倒産というようなものが、それに次いでおりまして、いわゆる経営放漫というのは、依然としてありますけれども、特にふえてはいないという状況でございます。それから、つい最近になりまして、やはり零細企業、小規模企業のほうの倒産がふえているということが一つの特色かと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/50
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051・矢追秀彦
○矢追秀彦君 こういった昨年と比べて、いま特徴が述べられましたが、こういったことは、かなりの予想ができたんではないかと、現在の日本の経済の状況から見て考えられるわけです。中小企業白書を見ましても、本年のいろいろな政策が出ておりますけれども、こういった本年度当初立てられた政策というものがどのように実行されて、どのような効果があって、現在の経済情勢の上から見て的はずれはなかったか、そういった点について、ごく概略でけっこうですから述べていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/51
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052・山本重信
○政府委員(山本重信君) 中小企業対策といたしましては、当面の景気対策と、やや長期的に見ました構造対策、近代化対策というものがあろうかと思います。年度の初めに、中小企業対策として考えました重点は、何と申しましても、長期対策、構造対策、新しい時代に沿って能率のいい態勢をつくるというところに主眼があった次第であります。そういたしまして、設備近代化とか高度化という政策の推進に一番重点を置いてやった次第であります。ところが、経済情勢全般が予想以上に停滞を続けまして、国全体の需要がふえてこないということから、深刻な不況におちいってしまったわけでありまして、私は率直に言いまして、年度の当初は、これほどに不況が長引いて中小企業が深刻な状態になるというふうには考えなかったのであります。むしろ年度の途中から景気は上昇に転ずるのではないかというような期待が一方にはあったと思います。その点は予想以上に停滞が続いておる、そのためにいま申し上げたような倒産の高水準が継続しておる次第であります。したがいまして、年度の途中から、私たちは、特に不況を克服するための対策というものに相当力を入れてまいった次第でありまして、その第一は、やはりつなぎの金融でございます。金融につきましては、政府系金融機関の資金ワクをふやすとか、金融の引き下げをします、それから信用補完制度を充実する、こういうところに相当な力点を置いて政策をいたしてまいった次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/52
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053・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま近代化という問題が出てまいりましたけれども、中小企業の近代化が叫ばれまして、いろいろ現在まで行なわれてきておりますが、実際現実の問題として、この中小企業の近代化というものは、かえって中小企業者に対していろいろ不安を生み出している。この近代化を行なうことによって、現在の日本の中小企業というものがいろいろ問題点がある。近代化という命題自体に最初から矛盾といいますか、そういうものをはらんでいるように思うわけです。結局、とどのつまりは、中小企業の近代化は、すなわち、大企業または独占企業等のために行なわれた、結局中小企業は犠性にならなければならない、こういうふうなことが現実にいわれているし、また、実情はそうであろうと私も思うわけですが、こういった非常に矛盾――近代化という問題について矛盾をしておるわけです。こういった点について、どのようにお考えであるか、また、こういったことをどうして、どのように克服をして近代化へ持っていくか、そういった点について教えていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/53
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054・山本重信
○政府委員(山本重信君) 近代化ということばが、場合によりますと何か企業整備とかいうような響きも与えるということを聞いたこともございますが、実は中小企業対策で考えております近代化というのは、決してそういうことをねらっておるのではございません。むしろ、最近中小企業をめぐる環境がどんどん変わっておりまして、いまのままでは中小企業はわが国では発展し得ない。たとえば、労働需給の状態もどんどんこれから窮迫してまいりまして、相当高い賃金を払いませんと、若年労働者を採用できない。そうなりますと、かなりな賃金を払ってもなおかつ採算の合うような合理化した態勢をつくる、必要があれば合理化械機も入れるというようなことがどうしても必要になってまいる。また他方、国際環境も変わってまいっておりまして、近隣諸国で新興国が工業化を進めますと、従来日本の中小企業がやっておりましたような雑貨とか繊維の部門にそういう低開発国、後進国の産業が出てくる。で、おおむね賃金が安いですから――安くて、しかも、おそらく一番新しいいい機械を入れて工業化を進めますから、なかなか侮りがたい強敵としてあらわれてくると思うのであります。そうした新興国の工業と太刀打ちしてやっていくというのには、やはりいまのままの日本の中小企業のあり方ではいけないということが明らかでございますので、この際どういう分野に進出していくべきか、また、体質としてはどういう点を改善していくべきかということが、きわめて切迫した課題になっておるように思います。そうした場合に、中小企業の中で特に規模の大きいところだけがそういうことをしておったのでは、これは中小企業対策としては片手落ちでございますし、それでは相すまないわけでございますし、小規模企業には小規模企業なりの体質改善のしかたがございます。共同設備をつくるとか、今度の工場アパートというような制度を活用することによりまして、小規模は小規模なりに程度の高い、生産性の高い体質に持っていくというのが、私たちのいま一番大きな目標といたしております近代化という内容でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/54
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055・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いまの特に貿易の問題でありますけれども、いままで中小企業は特に安い賃金でやって、日本の製品がかなり安いという点でもあったと思うのですが、いま言われたように、新興国においても、いろいろ仕事をやっていく、そうなれば日本の製品が将来もっと海外に出るためには、いまの中小企業が近代化された実情においては、相当コストも上がってきますし、いい製品を出さなければいけない。そうなりますと、自然中小企業というもの自体が、整理といいますか、統合といいますか、また、いいものだけが残って、他のものはなくなっていく、そういうふうなことも考えられるんじゃないかと思うのですが、そういった点について、今後どのように方向づけていくか。実際、中小企業があるために、いい製品ができない、いわゆる日本の財政全体としては、中小企業があるために進んでいないという面もあるかともいわれておりますけれども、そういった点についてどういうふうに考えておられるか、具体的に特に日本の場合は、こういった中小企業は伸びるであろうし、伸ばさなければいけない、こういうものは何かの形で中小企業者にも迷惑をかけないように不安を持たさないようにしていい方向にもっていく、こういった具体的な方針、考えをお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/55
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056・山本重信
○政府委員(山本重信君) 先日も新潟県で関係者がお集まりいただいて、中小企業問題の研究会をいたしたのでありますが、その席で私のほうから来年度の政策の一つの大きな問題として、零細企業の組織化、そのための工場アパートの建設ということを説明いたしたのであります。とかく粒の大きい中小企業は、いろいろいままで政府の施策が行き届いておって、そういうものを活用してこられたけれども、零細企業、中小企業にまでは及んでいないんじゃないかというお話がありました。そこで今度考えました制度は、直ちに自分が工場の大改造をやる、新式の機械を入れるというような力がない人たちに対しまして、政府が力をかしてその近代化をするようにしよう。それには国のお金と一部県の金も入りますが、それによって、工場アパートをつくるそしてそこに中小企業者、特に零細な、従業員が五人とか十人という人たちに何十企業か入ってもらって、そこで分業体制をとって仕事をしてもらう。で、十年とか十五年とかの長い年限にその工場の建設費を払ってもらって、それが払い終わったときにその工場主のものになる、こういう仕組みであります。その際、三条とか燕の金属洋食器等をつくっておられます話を聞いてみますと、ほとんどが零細企業、一軒で働いている従業員が、家族労働者が中心でありまして、五人とか六人というところが圧倒的に多いのだそうであります。そういう人たちがこの工場アパートの話を聞いて、非常に皆さん賛成されまして、長期計画で三条なり燕にそういう工場アパートを計画的につくっていく。そういうふうにいたしますと、たとえば工場の、ある部屋は鉄板からナイフなりフォークにする部分をパンチで打ち抜く、それが隣の部品にいきますと、それにくぼみがつく、それからさらに次のところでみがきがかかる、最後にメッキをするとかいうことで、一人々々の企業は独立しておるのですけれども、同じアパートの中に入って、ちょうどある会社のそれぞれの部が分業していることと似たような体制になる。そういうことによりまして、ほんとうの零細企業が新しい時代に生きていけるような体制ができる。たとえばいま申し上げましたようなことによって、設備の小さいところは小さいところなりに、近代化、合理化して生きていける道があると思うのであります。ただしその場合に、自力ではできないという部分が多いと思いますので、国としてできるだけの援助をしてまいりたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/56
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057・矢追秀彦
○矢追秀彦君 いま開いた中で一つ、要するに今後の貿易ですね。その面について、どういうことを特に力を入れてやっていくか。他の外国の状況と比べて、特にいま新興国の問題が出ていると言われましたが、それについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/57
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058・山本重信
○政府委員(山本重信君) 世界の貿易の大勢から見ますと、繊維とか、軽工業の分野から、いわゆる市化学工業の分野に移行していくというのが、非常に顕著な傾向であろうかと思います。したがいまして、日本の貿易も、私は長い目で見てだんだんに重化学工業品の比重が高くなっていくと思います。その場合に、日本の中小企業の立場はどうかといいますと、むしろ従来の軽工業、繊維工業に大きな活動の分野があったわけであります。したがいまして、ある分野におきましては、中小企業がそうした電化学工業の線に沿って転換を考えたりしていくことが必要であろうと思います。
それからもう一つは、従来の繊維なり雑貨につきましても、韓国、台湾あるいは香港等がだんだん進出してまいりますと、悪かろう安かろうというようないままでの考え方では、これはとても太刀打ちができないことになりますから、一歩進んだ、程度の高い、品質の問い品物をつくっていくという方向に、技術の面、あるいは生産能力の面でくふうしていくということが必要であると思います。そういう点で、中小企業庁といたしましても、技術面の指導、あるいはどういう製品をつくっていったらいいかというようなことにつきまして、いろいろ各方面の学識経験者の意見も聞き、また場合によれば外国から人を呼びまして、そういう人たちに中小企業の指導を直接やっていただいたりして、そうして中小企業の新しい進路を発見するお手伝いをしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/58
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059・矢追秀彦
○矢追秀彦君 そういうふうになってきますと、相当政府としても力を入れて特に予算の面についても、相当大幅に中小企業の面に対しては組んでもらわなければいけないと思うのです。現実に中小企業の面に対しての予算は少ないと思う。これはこの間の十一月の十五日ごろの毎日新聞でありますが、ここで、こういうことが背いてあるのです。通産省はどうみているか。山本中小企業庁長官は「シゴクというのは当たるまいが……」と前置きしてこういう。「どうも大蔵省のやり方はケチリ過ぎて歯がゆい思いだ。企業の体質改善が必要なのはよくわかる。だが体質改善は経済成長がある程度続いているときでなければできないものだ。この一年間、生産水準は少しも上がっていない。その間に動きはじめた設備があるのだから、なおさら供給過剰は広がるばかりだ。こんな状態が続いたら体質改善どころか、よい企業までどんどん脱落してしまう。」こういうことを言われたという報道になっておりますが、大蔵省のやり方はけちくさいと、こういうことをおっしゃっているわけです。来年度予算が組まれるにあたって、中小企業庁としては、これはまあ通産大臣にお伺いしたいのですけれども、どのようにいま言われた点を実現するか。先ほどから言われていることを早急にやっていかないと、いろいろの面で日本も立ちおくれるし、中小企業の人たちも困ると思う。予算編成については、どのような態度でお臨みになっているか、その点をひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/59
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060・山本重信
○政府委員(山本重信君) ただいま御指摘の点、私も非常に重要な点だと思います。いろいろ考えましても、それを実施に移すのには、やはり予算がないと手も足も出ないのでございまして、中小企業庁の予算もまだ比較的に少額でございますけれども、これを来年度は相当ふやしまして、そうして重点事項はぜひ実現するようにいたしたいと、このように考えております。
それから、いま御引用になりました点は、実はある新聞記者から聞かれまして、どうも景気が一向よくならないのは大蔵省が金を出すのをしぶっているからだ。それは内々中小企業はこの際少ししごいて、悪いのはもうどんどん倒す、いい企業だけその中から拾い出すいいチャンスじゃないかというふうに考えているのじゃないかという、ちょっとかまをかけた質問だったのです。それで、私はまさか大蔵省といえども、そういう冷酷な考えを持っているとは思わない。やはり大蔵省とすれば、財布を預かっていますから、歳入のぐあいを考えて、さあ金を出すとなると、やはり慎重にならざるを得ない、しかし、積極的にいじめてしごくという考え方は、これはちょっと当たらないのだがということと、それからもう一つは、私はそのとき話しましたのは、いま中小企業が一番困っているのは、仕事がないということですから、仕事をふやす、そのためには思い切って公共事業費、財政投融資のほうに金をつぎ込むべきではないかと思っております。前から私はそういうことを大蔵省との話のときも主張してきたのですが、なかなかそれが思うように進まないのでちょっと歯がゆいということをそこで言ったわけでありまして、幸いにしまして七月二十七日に前向きでやろうという方針は決定したわけです。問題は、あと実行でありまして、先ほど近藤先生からも御指摘がありましたが、問題はタイミングよく早く実施に移していくということにあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/60
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061・近藤信一
○近藤信一君 先ほどちょっと中断しましたけれども、続いてお尋ねしますが、倒産会社について第二条の第二項第一号では、通産大臣が定める事由が生じた会社も、倒産と同様に扱うことになっております。その事由とは一体どんな事由を考えているのか。将来において倒産に準ずるような事態も起こるかもしれないという用意のために、あなたのほうは考えておられるのか、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/61
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062・山本重信
○政府委員(山本重信君) 倒産した企業と非常に密接不離な関係にあって、いわゆるトンネル会社みたいになっているものがありまして、直接倒産した会社との関係はないけれども、トンネル会社と関係があるというような中小企業がございます場合に、この倒産企業の指定だけでなく、トンネル会社関連の会社も指定する、こういうこともあるかと思います。それからまた、必ずしもはっきりと破産ということにならなくても、もうなることが明々白々であるというような事態もこれに準じて扱いたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/62
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063・近藤信一
○近藤信一君 それと同様に、操短中の企業と取引している中小企業が注文が減った場合、その倒産関連ということになろうかと私は思うのですが、その場合にも注文減少その他通産大臣の定める事由が生じているために中小企業の経常の安定に支障を生じているという文言がこうあります。この場合の事由とは一体どんなことを考えておられるのか、この点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/63
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064・山本重信
○政府委員(山本重信君) この規定のほんとうのねらいは、滅産、数量の減少ということでありますが、必ずしも数量の減少でございませんけれども、一般的に中小企業のほうに対してその経営の安定を害するような事態、たとえば極端な単価の切り下げとかというようなものが起きました場合にも、必要に応じて発動できるようにいたしたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/64
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065・近藤信一
○近藤信一君 それから法案の中に、負債額十億円以上の倒産企業という一応の基準が設けられておるわけなんです。十億円以上ということになると、ごく一部のものだけにしかこれは適用できない。そういたしますと、目的に書いた効果はあげ得られないのではないかというふうにも考えますし、また十億円以上という基準を設けられました理由というものは、一体どこにあるのか。十億円以下に下げたほうが、この対策としては効果をあげ得るのじゃないかというふうに私、思うんですが、この点、十億円の基準というものを定められた理由をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/65
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066・山本重信
○政府委員(山本重信君) 本件は、激甚災害の場合のように、かなり全国的に影響が広範に及ぶおそれがあるとか、あるいは地域的に集中的に発生するというような事態に対する対策として、当初考え始めた制度でございます。したがいまして、倒産の場合もある程度規模の大きい会社の場合がそういう影響が出るのではないかということで、幾らにしようかというのを政府部内でいろいろ議論をいたしまして、実は最初の発想はもうちょっと高い線だったのですが、いろいろ検討しました結果十億、金融機関からの掛り入れ金額を除いた線でございますが、十億円という線にいたした次第でございます。先生御指摘のように、なるべくこの際適用範囲を広げることが必要であろうと思いますので、私は一応この基準は十億円で出発いたしますけれども、なるべくこれに固執をしないで必要に応じて弾力的に考えていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/66
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067・近藤信一
○近藤信一君 十億円という基準を設けたけれども、これは必要に応じて弾力的に扱っていく、こういう御答弁ですから、たとえば具体的にこれを例を示しますと、八億円であって、それに関連する中小企業の被害が大きいということになれば、本法を適用する、こういうことで理解してもよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/67
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068・山本重信
○政府委員(山本重信君) この十億円といいますのは、いわば内規のようなものでございまして、法律とか政令の改正も必要といたしませんから、その点は御趣旨のような場合で特に中小企業の関連性が多い、放置できないというような場合には、任意に考えたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/68
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069・近藤信一
○近藤信一君 これを具体的に申しまするならば、たとえば十億円以上の企業の倒産ということになると、山陽特殊鋼、日本特殊鋼、こういう大企業と取引している中小企業しかこれは問題とならぬわけですね。十億円ときちんと法律案のごとくに考えますると、他の対象とならない多くのものが、この対策のうち外に置かれることになるわけなんです。そこで関連倒産対策と称するには不十分でないかというふうにも考えまするから、ただいまのような御質問もいたしたわけでございますが、また十億円以上の企業の倒産の場合に限定すると、今後取引する場合にも、中小企業の工場は考えて取引しなければならぬ。まず資本金から検討して、もし倒産した場合には、ということを考えますると、どうしても十億円以上の負債額があるだろうという見込みの企業と取引をやっていかなければならぬ、こういうことにもなろうかと思うわけでございまするから、私、心配でその点お尋ねしたわけですが、特に中堅企業ということに、この取引をやっているところは、絶えず倒産の場合のことを考えると、不安な思いで日常の取引をやっていかなければならぬ、こういうことが考えられるのでございまするから、先ほどのような質問をしたのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/69
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070・山本重信
○政府委員(山本重信君) いままでの実績によりますと、十億円以上の倒産のケースといいますと、過去一年の間に九十件ぐらいございます。相当な件数があるわけでありますが、いま御指摘のような点も十分に考慮いたしまして、運用の面では十分にせっかくの法律が効果を発揮できるようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/70
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071・近藤信一
○近藤信一君 倒産企業と取引しているという中小企業の売り掛け債権の額を五十万円以上ということにした理由はどこにあるのか。また、これは負債金額の大きい倒産企業と取引している中小企業の取引額等を考えてきめたと思われまするが、山陽特殊鋼などのようなものでない企業と取引している中小企業、先ほど私が申し上げましたように、その場合は、この金額というものは必ずしも適当ではない。
それから、たとえば負債額が、その十億円という基準がきめられておりまして、そのほかにまた取引依存度というものがありますね、今度は二〇%以上ということになるわけなんです。二〇%以上取引依存度というものがなければ、今度はこれは対象にならぬ。たとえば、これは十億円の場合と同じように、二五%くらいの取引という場合も出てくるわけなんです。二〇%というこの基準を設けられた理由は一体何か。
さらに、こうした二〇%以下のものに対する影響といいますか、そういうことについての何かお考え、こういうふうなことも十分検討して二〇%というものが、基準というものがきめられただろうと私は思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/71
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072・山本重信
○政府委員(山本重信君) 関連中小企業者といいます場合に、その関連というのが、ある程度、どこかに相当因果関係といいますか、が必要であろうと思いまして、取引依存度を二〇%という線を引いたわけであります。ただ、この取引依存度の二〇%と、それから五十万円以上の売り掛け債権というのは、どちらかが満たされておればいいわけでございますから、かりに、もうその会社とは、率は非常に少ないけれども、金額が五十万円をこえておるといえば、これに適用になるわけであります。
それから、五十万円というのは一つの腰だめでございますけれども、実は、今回の法律改正によりまして、他方におきまして、いわゆる無担保保険の制度もできておりますので、この程度の金額ならば、そちらのほうで別途救済が十分に可能であるということも考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/72
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073・近藤信一
○近藤信一君 さらに、これと関連いたしまして、今度は、その土地に三年以上ですか、経営しておるものということ、それから、取引の二〇%の判断をするのは、各府県の知事がこれの判定を与えるわけなんですが、それはどうして地方自治体にそういうあれをされたのか。通産省の出先が各地方にあるわけなんですが、そこでは判断がつかないから、各府県にこれを依存しておるのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/73
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074・山本重信
○政府委員(山本重信君) いまのような関連中小企業者であるという認定を実は市町村長にお願いしております。これはできるだけ認定を形式審査で簡便にしたい、また、利用する人が利用しやすいようにというので市町村長にいたした次第であります。これが通産局とか何かにしますと、遠隔の地の人はたいへん不便でございますので、市町村長にいたしました。
それから、そういう認定というものはなくてもいいじゃないかというようなことも議論としてはあったのでありますが、産炭地の場合の前例が一つございますのと、それから、この制度の契約の当事者というのが、保険公庫と信用保証協会でございまして、信用保証協会が認定したらどうかというような考え方もあったのですが、やはり包括保険契約の当事者でございますから、第三者が認定するということでございませんと公平を欠くということで、こういう制度にいたした次第でございます。
なお、運用にあたりましては、市町村長に対しまして今度の制度のよく趣旨徹底をはかりまして、また同時に、この認定にあたって、実質審査で手間どったりしないように、もうほんとうの簡単な手続審査でどんどん認定書が出せるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/74
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075・近藤信一
○近藤信一君 今度の法案の中で、二次、三次下請等の中小企業に対する臨時措置法というものが、これは対象外になっておるわけなんですね。二次、三次の下請中小企業に対する対策をどのように考えておられるのか、この点お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/75
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076・山本重信
○政府委員(山本重信君) 二次、三次の場合に、もし必要がありますれば、二百万円限度の無担保保険が今度新しくできますので、それが相当に活用できるのではないかというふうに考えております。
それから、具体的には、かりに、ある企業が倒産して、その第一次の下請が今度の制度の適用を受けまして倒産が防止されたという状態でございますと、その会社はちゃんと健全に経営を継続しておるわけでございますから、その第一次の企業に対して売り掛け金等持っている第二次あるいは第三次は、直接の迷惑は何も受けないわけでございまするので、そこまで考える必要はないんじゃないかというふうに思っておる次第であります。ただ、不幸にして、第一次の下請がその関連のあおりを食って、この制度を適用してもなおかつどうしても波及が免れなかったというような場合につきましては、これは第二次のほうに対しましても、この制度を適用することを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/76
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077・近藤信一
○近藤信一君 過日も私どもが視察に行きまして、二次下請の視察に行った場合、やはりそこの依存度は二〇%くらいあるわけなんですね、二次の下請に行った場合。やはりそうすると、一次下請と同じような対象にならなければ、この二次下請というものは、倒産に関連した場合に困る。こういうことが私は発生してくると思うのですが、さらに、三次下請というのもやはりこの二〇%以上の依存度ということになってきた場合、これはいろいろと第一次だけが適用されて、二次、三次なんて適用されない、こういうことになった場合には、非常にみじめなことになるのじゃないか、こういうふうに私考えるのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/77
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078・山本重信
○政府委員(山本重信君) ただいま申し上げましたように毎夜がちゃんとして経営が続いておりますれば、第二次としては、その第一次企業に対して持っております売り掛け金その他は何ら回収不能にならないわけで、影響は出てこないわけであります。それが影響が出るといいますのは、大企業の倒産のあおりを受けて第一次下請が倒産してしまったとかいう場合になって初めて出るわけであります。そういう事態につきましては、この制度の運用上、第二次にも適用できるようにいたすつもりでおりますので、その点は救済できると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/78
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079・近藤信一
○近藤信一君 いま大臣が来られて、大臣も時間が非常に制約されておるようでございまするから、大臣にただ私一点お尋ねしておきたいと、こう思うのですが、それは、この前、本会議で質問した場合に答弁がなかったから、私、ここであらためて大臣に御質問申し上げるわけでございますが、行政指導による操短が中小企業にしわ寄せをされる、こういうことは大臣自身もよく御承知のとおりで、私はこの前、本委員会において、行政指導のやり方いかんによっては大きな被害をこうむる中小企業もあるということを申したのですが、特に、今度の粗鋼の操短で、北九州の中小企業者が非常に苦境におちいっておること、これは大臣御承知のとおりだと思うのです。勧告操短の場合に、中小企業者に対して政府としては、どんな一体、配慮をなさっておられるのか、ただ行政指導で操短を勧告するだけで、そのあとの問題は考えておられないということではないと思うのですが、この点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/79
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080・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 勧告操短の場合に、不況カルテルでも、そういう傾向は同じような傾向がありますが、しかし、勧告操短を通産省がやって、粗鋼の場合は一割減炭の指示をしたわけですから、したがって、中小企業に対しての影響というものについては、できるだけこれを緩和する責一任があるわけであります。そこで、全般的には、各地方の通産局に指示をして、いろいろな仕事のあっせんなどもするようにということを指示して、しかも、局長が窓口に出てやれという指示もしたわけでございます、毎日ではないにしても。そういうことで、この受注あっせんをやるという、また、北九州の場合など、八幡の影響というものは一番受けるわけですが、できる限り仕事を、ああいう、ことに八幡は、九州のほうを堺の工場のほうへやっぱり持っていって、堺のほうのある程度の生産を維持するために、九州の八幡のほうから、生産をいつもしておる生産数量というものを、少し堺のほうに回してやっておる傾向もあるので、非常にそれで影響も多いわけなんです。下請のほうはできるだけ九州に回すようにしてほしいという指導もしておるわけです。こういうことで通産省として、できる限りは中小企業への影響を緩和したいという努力もしておるのですが、しかし、多少の影響というものはやはりありますから、だから、できるだけ、この勧告操短とか不況カルテルというものは短期間の間にこれを終わるということでないと、これをだらだらと長くやるということでは影響も多いわけですから、そのためには、全般的に政府の景気対策と関連がありますが、これを無制限にやらないで、きわめて緊急避難みたいな行為ですから、これをできるだけ、目的がある程度達成すれ、は短期間に終わり、その間のことは、通産省の指導によって、できるだけのことをして、中小企業への影響を緩和しようという配慮はしておるわけですが、全体として全国的に見ても、勧告操短しておるといなとにかかわらず、受注量が減っておりますから、だから、そういう点は根本的な対策にはならないと思いますが、できるだけのことはいたそうという決心でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/80
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081・近藤信一
○近藤信一君 関連して、いま大臣も言われましたように、行政指導によって、いろいろと弊害が起こってくると、特に、政府の行政指導で自動車の場合を考えますると、国際競争力を強化しなければならぬと、こういうことで名自動車メーカーはそれぞれやっておるわけなんです。ところが、その反面においては、それをやっていく上においては合理化を強化しなければならぬと、こういうことが出てくるのです。そうすると、その合理化をどうやるかということになると、人員整理ということになると、これは労働組合がうるさいから、結局、いままで発注しておった仕事を、発注をやめて自社でやるような傾向が出てくるわけです。それで、そういたしますと、いま中小企業は、この前、本会議でも質問しましたように、金融の面の点は、いまあまりやかましく言わぬ。いま一番問題にしているのは税制の問題、税金を何とか軽減してもらいたいということと、それから、仕事を何とかもっとあっせんしてくれ、いわゆる合理化によって仕事を奪われているから、この点は何とかしてもらいたい、こういう声が強いわけですね。これこそ、先ほど大臣おいでになりませんので、長官にもちょっとお尋ねしたのですけれども、これに対しては、通産省としては行政指導をやる上において、やはりそういう中小企業の仕事を奪うような合理化、こういうことに対しては、何とかそれをやめさせるような強い要望を出さなければ、私は、中小企業の仕事を、いままで下請に出しておったやつを継続してやっていくということはなかなかむずかしいのじゃないかと、こういうふうに思うのですが、その点まあ要望にもなろうかと思うのですが、ひとつ政府の心が支え、今後におけるそういうものをお聞かせ願いまして、まだほかにありますけれども、またの機会にいたしまして、大臣に対する質問は終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/81
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082・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私も近藤さんと同意見です。これはやはり中小企業の分野で、できるだけ、ある分野は確保しないと、これは大企業がやれば、あるいは中小企業よりも、金融とか技術の面などにおいて非常に有利な立場ですからね。そうなれば、中小企業の分野というものは非常に狭いものになる。したがって、やはりある中小企業の分野というものは確保していくことが、中小企業のためにも必要なんで、これは強力なやはり行政指導をしたい。大企業は、あまり中小企業でできるような分野まで進出して、その分野を狭めないように、これはできるだけのやはり行政指導をいたすことにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/82
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083・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/83
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084・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 再開。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/84
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085・向井長年
○向井長年君 前にも一回お尋ねしたのですが、とにかく、中小企業問題は非常に問題点が多いし、重要な繰越なんですね。したがって、今回の法案もそういう一つの一還として出されたこと、よくわかる。ところが、大臣にお聞きしたいのは、以前にも私は質問したのですが、とにかく、中小企業に取り組む姿勢が、実はどうもわれわれは納得できない点があるのです。これははっきり言いまして、中小企業庁長官は、意気込んで中小企業に取り組むような姿で、おそらく任命されてそのいすにすわると思うのです。ところが、一つの国会が済めば、言うならば通常国会済めば直ちにかわっているという、こういう実情が例年のようにあるわけです。これはやはり中小企業というものは、中小企業者をつくれとか、いろんな意見があるくらい重要な問題である。その行政指導なり行政等の問題から見て、あまりにも、その問題については、少なくとも、おれはこのいすにすわって、もう一年か、あるいは一年半したらまたかわっちゃうのだ、こういう姿になってまいりますと、やはり取り組み方というものが非常に問題点があると思うのです。そういう点について、やはり中小企業は非常に重要であるというたてまえから、行政担当責任者というものはあまりにもばたばたかわり過ぎるのじゃないか、こういう感じを持ちます。先般の国会で中野中小企業長官が真剣に一つの法案を通す、二つの法案を通すと、次にまた行っちまう、また新しくなる。行政機構の問題ですから非常にむずかしい問題だと思いますけれども、これに対して本気に取り組む姿勢を大臣はとってもらわなきゃいかぬじゃないかということが一つ、その点についての所信をお伺いしたいこと。
それからもう一つは、いま近藤さんからお話がありましたように、結局大企業に荒らされつつあるという問題、そういう中から、やはり少なくとも産業分野というものを、中小企業の産業分野はこれだというくらいの問題点をこれから考える必要があるのじゃないか。こういう大企業に、中小企業といえば、やはり資本系統の強い、金融等の十分円滑なところによって中小企業は非常に苦しい形に追い込まれていく。したがって、この産業については少なくとも中小企業が中心になってやる、大企業はそこには立ち入らない、そういう産業分野の確立という問題がこれからの問題ではなかろうかと思います。こういう問題について、ひとつ大臣の所信を二点についてお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/85
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086・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 向井さんの御意見、人事の、更迭というようなことがあんまりひんぱんに行なわれて腰を据えてやれないようなことは弊害があるのじゃないかということは、とくとその御意見は承っておくことにいたします。
第二の点は、いま近藤さんにもお答えしたように、これはやはりこちらのほうで、大企業が何でも手を出さないように、ある分野を確保しないと、狭められてきますから、そういう点においては、今後行政指導を通じて、大企業はむやみに中小企業の分野に進出しないような努力をいたします。全般として言えることは、通産省としても、中小企業の問題というものは、通産行政の中のある意味において私は一番重要な問題の一つだと思う。これは今後ともそういう心がまえで取り組んでいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/86
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087・矢追秀彦
○矢追秀彦君 政府の中小企業対策が、非常にタイミングが悪いといいますか、後手に回っている。特に今回非常に倒産も多いのですが、金融面においてはわりあい資金はある、しかし仕事はない、非常に困っているわけです。今回も、臨時措置法が出ておりますけれども、これも結局はその場しのぎのこう薬のような役目しかない。もっと根本的なといいますか、もっと先手を打った対策というものが今後講じられていかなければ、中小企業の問題は永久に解決していかないと考えるわけです。特に今後の日本の経済の中にあっての中小企業のあり方、それに対する政府の対策、特に貿易の面から考えて、これから日本の経済というものが世界のこの自由化の中にあってどう対処していくか。その中にあっての中小企業をどのように育て、どのようにやっていくか。
それからもう一つは、今回政府が大きな転換をやりまして、公債発行に踏み切ったわけでございますけれども、一応反対しておりますけれども、これがどのように中小企業に影響を及ぼして、今後どのようになっていくか、それに対してプラスがあるか、マイナスがあるか、おそらく政府のほうとしてもプラスを考えておられると思うのでありますけれども、たとえそれがプラスとかりに仮定しても、実際効果が出てくるのは相当先である。それまでの間にどのようにやっていくか、その点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/87
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088・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 第一点は、私はこういうふうに考えておる。中小企業は大企業に比べて規模が小さいということは致命的なことではない。これはやはり中小企業でも、大企業よりも成績のあがるような中小企業だって分野によってはあるわけですから、どうしてもやはり中小企業の持っておる生産性、これは大企業に比べて見劣りのしないものにしなければならない。いまやはり相当な格差がありますから、生産性の面において。生産性が低いのにいろいろその他の労働条件にしてもよくするということはむずかしいのですから、それはやはり労働賃金の格差にもなっておるわけですから、そういう点については、これは設備の近代化、あるいは中小企業の技術の面における立ちおくれを取り戻すとか、そうして近代化という面において、これは政府としてもそういう誘い水の意味において助長策というものをやはり今後強化していく必要がある。ただしかし、ここで私は中小企業自身にも望みたいことは、これは何ぶんにも中小企業という分野は非常に低いのですから、やはりみずからが中小企業というものを、ただ政府の救済的なことばかりによっておったんでは、将来性がないので、自分も、やはりこういう大きな技術革新の時代でもあるわけですから、しかも一方において開放経済で国際競争も激しくなるのですから、これに対応するために、みずからも近代化、合理化をやらなければ、これは生き残っていかれないのだという自主的な意欲というものも非常に必要になってくるので、中小企業の場合は、大企業のように企業がごく限られておるわけではないので、もう商業から工業、非常に何百万というものを対象にして、一々もう政府の中小企業対策がきめこまかくということは実際口では言ってもむずかしいのですから、みずからのこういう近代化とかあるいは合理化をやろうという意欲、これに対して政府もバックアップしていくという、両々相またないと、なかなか政府のやることだけではかけ声だけに終わるわけです。これが一点。
それから、いま、協業化というか、あるいは協同組合、あるいは下請の組合、あるいはまた企業の合併というものもあるでしょうが、できるだけ中小企業の零細な経営の点をもっと合理化していくという組織の面も私は大事だと思います。高度化などというような考え方も、そういう中小企業の零細な規模をできるだけ拡大したいという意図から、両度化資金というようなものも出ている。組織の問題と、もう一つやはり通産省として今後力を入れなければならないのは、いまいろいろ相談相手にならなければならない中小企業は、自分ではいろいろなことがわかりにくい点もあるわけですから、だから通産省の行政指導といいますか、中小企業に対してこれは強化していかなければならない。何でもいろいろな点で相談に行けば相談に乗ってくれるという、そういう点が今後機構としても、機能としても強化されなければならない。今度の指導センターなどというものも、府県に一元的にしようというのも、そういうふうな考え方でできております。こういうふうな問題はあると私は思います。
それから第二点の公債の問題は、これは実際問題として、中小企業の直面しているのは、仕事が少なくなっていくという点ですね。だから景気を回復しないとだめなんですが、景気が回復しないと中小企業だけ取り出して仕事をふやしていくわけにはいきませんから、だから公債発行をして公共事業などを積極的にやるということで、中小企業全体としても、日本の経済基盤が強化になることですから、大きなプラスにもなりましょうし、またそういう財政支出――あるいは財政投融資、あるいは財政支出を通じて購買力を喚起するわけですから、だからそのことが中小企業にも需要喚起にこれは当然に結びついておるわけでございます。そのほかに減税などもやって、減税をやれば、直接にやはり所得税の減税あるいは法人税の減税などを通じて国民の購買力にも結びつきますから、公債発行あるいは相当大幅な減税をやるということはやはり景気喚起対策として中小企業に非常にプラスになる面が多いと私は思う。そうでなければ、そういう縮小型の経済に持っていって、公債発行はしない、むろん減税もできない、来年は財源が不足しているので。そういうことで、何か縮小型の経済の中に経済の均衡を保とうとすれば、これは中小企業も参ってしまう。そういう点で、減税をやり公債を発行して積極的に購買力を喚起しようという政策は、中小企業のためにマイナスになるのではなくして、私は大きなプラスになるのではないかということで、政府の減税、公債政策というものはプラスであるという判断でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/88
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089・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/89
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090・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) それでは速記再開。
他に御発言もなければ、両法案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/90
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091・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより両法案の討論に入ります。討論は両法案一括して行ないます。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/91
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092・近藤信一
○近藤信一君 私は、この際、二法案に賛成するものでありますが、各党の共同提案ということで、二法案に対するところの附帯決議をいたしたいと思います。
まず案文を朗読いたします。
中小企業信用保険法の一部を改正する法律案及び中小企業信用保険臨時措置法案に対する附帯決議案
政府は、二法施行にあたり、左記事項につき所要の措置を講ずべきである。
一、特別小口保険の付保限度額については、経済情勢の推移に対応してこれが引上げにつき努力すること。
二、特別小口保険の普及徹底に努め、納税要件の緩和について更に検討すること。
三、倒産及び操短に関連する中小企業者の範囲に関しては、できる限り広い範囲の中小企業者が対象となるように、また再下請中小企業者にも及ぶよう配慮すること。
四、下請代金の支払を特に促進する等、中小企業への不況の皺寄せを排除することにこの際特段の努力を払うこと。
五、現下の経済情勢にかんがみ、この際特に中小企業の金融円滑化を図る必要があるので、中小企業信用保険公庫を始め政府系中小企業金融機関への出資増額に努めること。
以上でございまするが、何とぞ皆さんの御賛同をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/92
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093・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 他に御意見もないようでございますが、両法案討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/93
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094・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより両法案の採決に入ります。
まず、中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本法案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/94
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095・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 全会一致と認めます。よって、本法案は全会一致をもって衆議院送付どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、中小企業信用保険臨時措置法案を問題に供します。本法案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/95
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096・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 全会一致と認めます。よって、本法案は全会一致をもって衆議院送付どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、討論中に述べられました近藤信一君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/96
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097・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 全会一致と認めます。よって、近藤君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、堀木政務次官から発言を求められておりますので、この際これを許可いたします。堀本政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/97
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098・堀本宜実
○政府委員(堀本宜実君) ただいま御提出になりました附帯決議の御趣旨は、十分に尊重をいたしまして、今後善処をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/98
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099・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) なお、議長に提出すべき両法案の報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/99
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100・豊田雅孝
○委員長(豊田雅孝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後一時七分散会
―――――・―――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X00419651227/100
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