1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十四日(木曜日)
午前十時五十七分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 村上 春藏君
理 事
赤間 文三君
豊田 雅孝君
柳田桃太郎君
近藤 信一君
委 員
井川 伊平君
近藤英一郎君
宮崎 正雄君
吉武 恵市君
小柳 勇君
椿 繁夫君
永岡 光治君
矢追 秀彦君
向井 長年君
国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
政府委員
公正取引委員会
委員長 北島 武雄君
公正取引委員会
事務局長 竹中喜満太君
通商産業政務次
官 堀本 宜実君
通商産業省企業
局長 島田 喜仁君
工業技術院長 馬場 有政君
中小企業庁次長 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○工業標準化法の一部を改正する法律案(内閣提
出)
○私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法
律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院
送付)
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001・村上春藏
○委員長(村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、理事会におきまして協議いたしました事項について報告いたします。
本日は、工業標準化法の一部を改正する法律案、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案の審議を行なうことにいたしますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/1
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002・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 本院先議の工業標準化法の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/2
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003・小柳勇
○小柳勇君 先般に引き続いて質問をいたします。
まず、資料を要求いたしました第一は、現在工業技術院が委託をしている調査研究機関の種目と予算その他必要な事項ということでありまして、その資料をいただいております。私がこの資料を要求いたしました趣旨は、貴重な国家の費用で委託されたあるいは委嘱された研究機関が十分にその目的を達成するようにという配慮、それから工業技術院が将来大きな計画を持って委託するでございましょうが、その委託する場合に、委託のしっ放しでなくて、血の通った指導が研究機関になされるようにという配慮から実態を調査したいということで資料を要求した次第であります。
その資料を見てみまして、相当の部門で高度の研究がなされているようでありますが、この調査機関に対して、工業技術院がとっておられる現在の指導監督などの体制について院長から御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/3
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004・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 資料につきましては、それぞれこの委託先につきまして十分な監督をするように現在努力しているわけでございますが、ただいまのところ相当密接な指導監督を現在いたしているつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/4
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005・小柳勇
○小柳勇君 今後ともなお血の通った指導監督、助成をしていただきたいと思います。なお、大型工業技術研究開発費というのが今年度でも予算査定されまして、十億二千九百八十七万七千円の予算が組まれている。そのうち七億七百万円が外部の委託部分でありまして、この問題も非常に大きな問題であります。世界の技術標準に追いつくために工業技術院が懸命に研究体制を整えておられることには敬意を表するし、われわれも協力するのでありますが、この面についても今後一そうの研さんを積まれるよう希望いたします。なお、機会がありましたら、われわれも委員会として現地を調査いたしまして、いろいろと勉強いたしたいと思います。
次に、この法律改正の各論に入ります。改正の内容について質問をいたします。今回の法改正の中心は、加工技術へのJISマーク表示制度の拡張でありますが、工業技術院としては、この制度の拡張によってどのような効果を期待しておるか、お答え願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/5
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006・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 今次の工業標準化法の一部改正のおもな目的の一つは、メッキその他の加工技術に表示制度を適用しようとするものでございます。これは、ある品物に施されております加工の質がJISどおりのものであることを加工発注した方々に一見してわからせるようにすることによりまして、その利益を確保すること、これが一点でございます。
さらに、この表示許可を契機といたしまして、企業におきます標準化、品質管理の実施を促進いたしまして、生産能率の増進その他生産の合理化をはかることを次の目的にいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/6
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007・小柳勇
○小柳勇君 そういたしますと、今回の改正で十九条以下が改正でありますが、この改正で本法第二条の定義のところの改正は必要ではございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/7
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008・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) この定義につきましては、第二条の第一項に、ここにございますのをちょっと簡単に読ましていただきますと、鉱工業品による農林物資——この場合に農林物資を除いておりますが、「鉱工業品の種類、型式、形状、寸法、構造、装備、品質、等級、成分、性能、耐久度又は安全度」というふうに書かれておりまして、このうちの「品質」ということによってこのことが解釈されると思われますので、加工によってその物が形になるわけでございます。したがって、加工技術は「品質」ということで判定されると考えられますので、これでよいものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/8
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009・小柳勇
○小柳勇君 法律的な技術の面ですから、院長に質問するのも無理かと思いますけれども、第二条のいまお読みになったところでは、きのうの論議がまた蒸し返してまいります。次の、第二条第二項のところの「鉱工業品の生産方法、設計方法、製図方法、使用方法若しくは原単位又は鉱工業品の生産に関する作業方法若しくは安全条件」とあります。この一と二をもう少し組み合わした法改正が必要ではないかと思いますが、この点は原案作成のときに法制局側と論議されたのかどうか、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/9
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010・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 法制局とも議論がございましたのですが、結論といたしまして、ただいま御説明申し上げましたとおりに、この加工ということが、結局鉱工業品に加工を施しまして、その形の物になりまして、形になったものの加工の品質ということに、そういう見方をすれば加工ということが含まれると考えられる、こういうことで私先ほど申し上げましたような解釈になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/10
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011・小柳勇
○小柳勇君 そのところで、この前の委員会で非常に論議になったのでありますが、加工技術をJIS化するということ、標準化するということは、イコール製品ではない。製品だけを見てJIS化するのではないということを私は主張したわけです。その作業工程、作業基準ですね、そういうものがJIS化されなければならないのではないか。製品だけならいままでのJISで適用できたのではないかということを主張いたしました。その点について、工業技術院として論議されたと思いますが、その結論をお聞かせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/11
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012・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) この加工、たとえばメッキなどのJISといたしましては、主としてメッキなどの質などにつきまして規定しているものと、加工を施す作業標準について規定したものがあることは御指摘のとおりでございます。したがって、ある品物に施されている加工についてJISマーク表示許可の申請があった場合には、品物はその加工について定められました標準作業方法のJISを標準といたしました方法によって加工される。その結果としてJISできめられた加工の質に合致していることが審査の結果認められましたときに、初めてその品物に施されている加工がJISどおりの加工の質のものであることを示すJISマークを表示許可することになるわけでございます。このように表示許可にあたりましては、JISマーク表示制度の目的からいいまして、加工の結果として加工品質がJISどおりのものであるかどうかが中心の問題になることは当然でございますが、加工を施す作業方法などの工程もまた審査の対象となりますことは、もちろんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/12
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013・小柳勇
○小柳勇君 加工の工程も、あるいは作業の内容についてもJIS化するということが明らかになりました。その場合に、あまり高い基準におきますと、いまの中小企業の大多数のものがJISを取れないということになります。また低い基準におきますと、何のためにJISを制定したかわからぬということになりまして、外国に輸出しましても笑われるようなことになりますが、現在工業技術院としては、日本でいまやっておられる加工技術の中でどの辺に水準を置いて規定化しようとされておるか、御答弁を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/13
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014・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) JISのねらっております水準は、その時点におきまして当然あるべき技術水準ということになるわけでございますが、その業界の水準といいますのは、業界の平均水準よりはかなり上位にあるべきものと考えておるわけでございます。具体的には鉱工業品の品目加工技術の種目ごとに当然国内の事情、海外の水準等を考慮して定めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/14
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015・小柳勇
○小柳勇君 たとえばメッキ業者など日本で三百業者あるといたしますと、今回規定されたそのJISによって何社ぐらいが該当すると予想されておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/15
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016・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 今回の改正によりまして、加工技術に表示制度が適用されました場合に、たとえば工業用のクロームメッキについて申し上げますと、直ちに許可されるものは一割ないし二割という程度と考えておる次第でございます。しかし二、三年の間には五、六割程度のものが許可を受けられるように技術の向上について指導をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/16
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017・小柳勇
○小柳勇君 一割か二割のところがJISとして指定される。その他八割、九割のところがそういうふうになりませんと、その発注の条件など仕事の度合いが変わってまいりまして、JIS化されなかった、指定されなかったところの工場は、仕事がなくなるということがあると困りますが、その点についてはどのように考えておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/17
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018・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) ただいま申し上げましたとおりに、将来にわたりまして、この受けられるところがふえるように指導いたすように努力をいたすわけでございますが、なお、現在JISに指定されておりませんものでも、相当大きな用途需要等がございますので、その点直ちにそういうことが起こると考えられないわけでございます。そこで将来にわたりまして、できるだけ早く、できれば二、三年のうちにもつと大多数のものが指定を受けられるように指導したい、こういう次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/18
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019・小柳勇
○小柳勇君 標準化ですから、作業の標準が一応定められますと、その中で各工場がその標準の中からとる作業工程というものは幅を許していただきたいと考えておりますが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/19
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020・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 当然そういうことでございまして、幅を考えておる次第でございます。すなわち、こういった場合には作業の方法を固定化いたしますと、一面そういったこともございますが、同時に技術の進歩というものを阻害するおそれがございます。そこで加工を施す標準作業方法のJISは、幅を持った標準というふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/20
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021・小柳勇
○小柳勇君 そこで、指定された工場のその作業基準というものがJIS化されまして、また新しい研究によりまして、次の仕事の工程を開発したとしますと、これを直ちに追加認定する、そういうことについてはいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/21
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022・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 御指摘のとおりにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/22
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023・小柳勇
○小柳勇君 次には、指定されなかった八割から九割の工場に対しましては、指導の強化や育成をしなければなりません。幸い、中小企業近代化促進法によりまして、指定業種の中に二十四号として金属熱処理業、六十一号として電気メッキ業、五十号として染色整理業などがございますが、こういう業種からJISをとりたいために、早急に施設の改善をしたいというような動きがあって、近代化促進法による金融など申し出た場合には、特別なる援助をしてもらいたいと思いますが、いかがでございましょう。これは中小企業庁に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/23
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024・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 先生御指摘のとおり、加工業段階におきます業種につきまして、近代化促進法の中に電気メッキ業、金属熱処理業、それから染色整理業というものを指定して、近代化の基本計画を策定して実施段階に入ったものもございますし、あるいは染色加工のように、現在近代化計画を策定の段階にあるものもあるわけでございますが、その指定された業種につきまして施設を改善し、設備の近代化をはかってJISの要請に早急に応じたいというものにつきましては、中小企業金融公庫におきまして特別の金利におきまして、特別のワクを設けまして、そういう近代化をはかっていきたいということを考えております。昭利四十一年度におきましては、八十億のワクで、金利も七分九厘という特別の金利でこれに応ずるということになっております。要請があればこれに応じていきたいと考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/24
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025・小柳勇
○小柳勇君 なお、先日私はある工場で試験研究の機関を持っておる例を申し上げましたけれども、これがない中小企業もあるわけでありますから、共同で試験研究の機関をつくろうとする企てもあるかもわかりませんが、このものに対しましても、これは機械の施設ではございませんが、JIS化するための試験研究機関、これを共同でつくろうとか、あるいは自分の工場にこれを設置しようというような場合でも、ただいま中小企業庁御発言のように近代化促進法の適用をしていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/25
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026・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 例をメッキにとりますと、磁気メッキ業の近代化基本計画におきましては、事業の共同化に関する事項という項目のところに、「共同で試験検査設備を設置し品質の向上及びその保証につとめること」という目標を掲げておるわけでありまして、それに対応いたしまして、協同組合がそういう試験検査設備を共同施設として設置するものに対しましては、中小企業高度化資金という制度がありまして、県を通じて無利子の金を流すわけでございますが、その制度を活用いたしまして、そういう要請に応じていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/26
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027・小柳勇
○小柳勇君 次には、全般的な問題として、共同で試験研究の機関もつくれないような零細企業もありますが、公立の試験研究機関を充実させるということも大きな今後の手段でなければならぬと思いますが、この点についても、重ねて技術院長あるいは中小企業庁から御答弁を求めておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/27
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028・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業の全般的な技術指導につきましては、都道府県の公設の技術試験研究所を通じまして技術指導を行なうということになっておりまして、四十一年度におきましても、技術指導事業費といたしまして三億一千一百万円の予算を計上いたしておりまして、技術指導に必要な施設あるいは開放試験室の施設費の補助、あるいは巡回の技術指導というような面につきまして、各県の公設試験研究機関の活動につきまし
て助成をいたすということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/28
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029・小柳勇
○小柳勇君 次は改正法に入りますが、十九条の二に新しく承継の規定が加えられましたが、許可製造業者の地位を承継した場合、十九条の三項に言う「許可に係る品目及び許可を受けた製造業者の氏名又は名称を公示しなければならない。」という規定は適用されないようだが、必要はないのでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/29
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030・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) この場合には、当然いまのように名称その他変わるわけでございます。準用の規定はございませんけれども、事実上そういうふうに名前が変わりますので、これに準じまして公示をいたすようにいたす所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/30
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031・小柳勇
○小柳勇君 あらためて書かなくとも、これを準用していくということで確認しておきます。
次に、現在工業技術院としては加工技術の種目としてどのようなものを考えておられるか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/31
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032・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 現在加工技術の指定対象といたしましては、特に工業用のクローム・メッキを考えているわけでございます。そのほか将来といたしましては、金属の表面処理あるいは金属の熱処理、それから繊維の染色その他のことを現在考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/32
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033・小柳勇
○小柳勇君 メッキや染色については、しろうとでもある程度理解できますが、熱処理の規格とはどのようなものか。またそれが規格に合ったものであるかどうかはどのようにして判断できるか。検査方法などについて御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/33
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034・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 熱処理技術の該当規格につきましては、現在検討中でございますが、焼鈍あるいは浸炭等の技術ごとに専業化しておりますので、これらの熱処理別に、材料別の顕微鏡組織、あるいはかたさ、引っぱり強さ、衝撃値、浸炭層の厚さ、窒化層の深さ、ひずみ、それから外観、これはきずでございますとか、脱炭の状況等の加工品質及び品質の適否の試験方法、それから判定方法などにつきまして規定しようと考えておる次第でございます。
それから次の審査の問題でございますが、熱処理技術の審査にあたりましては、熱処理を施す材料の材質、形状、寸法、それから洗滌の程度、炉の形式、温度分布、雰囲気、計器の精度、あるいは作業方法の条件といたしましては、必要なガスの質、量、圧力、あるいは油の質あるいは量、温度、時間など、そのほか積み込みの方法、炉に入れます装入時期あるいは技術、こういったような技術的な基準、こういったことを調べようと、審査の対象に考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/34
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035・小柳勇
○小柳勇君 熱処理のJIS化など、非常にこれはもうたいへんむずかしい仕事だと思いますが、今後一そうの御研さんを希望いたします。
なお現在各省庁、この工業技術院のほかにですね、各省庁、公社、大会社などで研究機関などを持って、ただいま言われましたような加工技術を調査研究しておるようなところがございましょうか。あるといたしましたならば、工業技術院としてそのような各省庁、公社、大会社などと連携をとって、一体化して調査研究していかなければ、言うはやすく行なうはなかなかかたいものと思いますが、その実態について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/35
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036・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 現在、御指摘のように熱処理関係につきましては、公社あるいは大会社、あるいは公設の試験研究機関といたしましては、東京都の工業契励館その他でいろいろ研究をいたしておる次第でございます。どういうふうな体系で推進をしているかという御質問でございますが、現在のところ特定の体系をとっておらず、それぞれの分野におきましていろんな会合その他に、あるいは学、業界その他の会合を通じまして情報の交換をやっておるというふうな現状でございます。したがいまして、これをJIS化するような場合には、当然専門の委員を選びまして、これを議論を煮詰めていかなければならぬ、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/36
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037・小柳勇
○小柳勇君 ただいまの答弁では、まだ有機的なつながりがないようでありますが、近い将来に有機的なつながりをつけていただきまして、協力して研究する体制をとっていただきたいことを希望をいたします。
なお、一般論になりますが、私ども各工場などを見学いたしますと、この必要がないと思うような会社、工場でも試験研究室を設けまして、研究員がおるようなことを感ずるわけです。まあその会社としては非常に重要なウエートでありましょうが、その会社のみえといいましょうか、参観者に見せるとか、その製品を信頼させるというような、そういうまあPRの点もありましょう、そういうものも感じます。が、試験研究、調査するということはいいことでありますから、決してそれをけなすのじゃありませんが、そういうものがありますから、あるとすると、そういうものをもっと有機的に国家的な見地からこれを統合し、有機的なつながりをつけて研究、助言して育成するということも必要ではないかと思うわけです。したがって、会社でまあ経費がかかるのに、わざわざみえのためにだけやるところはおそらくないと思いますから、しかし、小さい面で研究しますと限界がありますから、国家的な見地から研究調査室を育成強化し、あるいは共同研究の体制をとるということは、工業技術院としては大きな今後の動向でなければならぬと思います。まあ現在もやっておられるとは思うのですけれども、この問題、ほかの関連した問題でありますが、御見解をお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/37
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038・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 御指摘のとおりに、業界の共通的な研究題目につきましては、できるだけその能率を上げる、また成果の大きなところを期待するために、共同研究というような体制をとられるようにいろいろな方面からこれを推進し、検査もいたしておるわけでありますが、なお不十分なところが御指摘のようにあるわけでございまして、その点については今後なお一そう努力をするようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/38
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039・小柳勇
○小柳勇君 次は具体的な問題でありますが、加工技術にかかわるJISマークは、従来のマークとどのように区別するのか、お聞きいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/39
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040・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 加工技術の場合の表示といたしましては、この主体となりますものは、御承知のJISマークがございますが、それに加工技術の種目とそれから許可加工業春の名称、こういったものを入れるようなものを現在考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/40
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041・小柳勇
○小柳勇君 いまここに資料が配付してありますから、たぶんこういうことになると思うのですが、具体的にいろいろまたきめられたらお知らせ願いたいと思います。
最後に、この現在各業種の組合がございます。メッキはメッキ業者の組織体がありますが、法改正などをやります場合に、われわれはその連合体などの役員や技術者の意見を聞くわけであります。アウトサイダーの工場、会社もたくさんあると思いますが、たとえばメッキの業者の組合とそのアウトサイダーとの比率は現在どのくらいでしょうか。おわかりであればお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/41
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042・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) メッキにつきまして、これは装飾用のメッキもございますが、そのほか電気メッキあるいは溶融メッキ等でございます。大体全部は二千以上の業者があるわけでございますが、この半数は組合を形成しておるわけでございます。現在まず対象にしようと考えております硬質クロームメッキにつきましては、業者の数が約二百、そのうち百二十がインサイダーでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/42
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043・小柳勇
○小柳勇君 こういう法律改正など、あるいは新しい試験研究などでありますと、組合を通じてこの情報を流す場合が一番早く伝達できる面もありますので、私どもとして業者の団体の内部的な問題も若干わかっておりまするが、なるべく連携をして共同化しながら中小企業の育成発展を期待するものであります。
最後に、この加工技術がJIS化されようといたしております、最初はメッキからのようでございますが、染色、熱処理など非常に重要な面、しかも国際的な使命を帯びて、ここに法改正がなされようとしております。これはことばだけは簡単でありますが、実際になかなか困難な問題を含んでおると思いますし、作業的にも手続的にもたいへんな問題であろうかと思いますが、この法を改正されまして、業者がこれを快く受け入れて、これに沿って技術の向上がなされますように、そして海外に日本の工業技術の真価が問われ、ますます発展しますように、関係当局の指導啓蒙を期待いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/43
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044・近藤信一
○近藤信一君 この際、ちょっと関連して御質問申し上げておきたいと思うのでありますが、工業技術院におきましてはいろいろと研究を重ねておられまして、今日では高度な技術が発展していっていることも事実でございます。特に今回の法案でメッキそれから金属熱処理、金属表面処理、こういうようなものに対して新しく表示をしよう、こういうことでございまするが、たとえばメッキ等の技術というものも非常にこのごろ高度な技術をもちまして、いろいろな面にメッキがなされておるわけなんです。たとえばトランジスターの外箱などはプラスチックにメッキがなされておる、こういうプラスチックその他いろいろなものにメッキがなされて、これからもいろいろとそういうことがなされるのじゃないかと思うのですが、こういうのに対しては、これはどういう関係になるのか、これもこれが適用されるのかどうか、この点この際ちょっとお尋ねしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/44
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045・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 将来は当然先生の御指摘のようなものも加えられていくべきでございますが、現在のところはさしあたりは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/45
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046・近藤信一
○近藤信一君 たとえば、台そのものはプラスチックである、メッキそのものは金属メッキがなされる、こういう場合に、やはり私は対象になるのじゃないかというふうに思うのですが、その点は今日あなたのほうとしてはそこまでまだ考えていない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/46
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047・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) もちろん御指摘のように、ただいまのものもメッキに属するわけでございます。しかし、現在私どもがさしあたり取り上げようとしておりますものは、相当現在普及をいたしておる電気メッキのうち硬質クロームメッキ、工業用のクロームメッキ、こういうものを対象にしているわけで、将来こういう御指摘のようなものが普及してまいりますと、当然そういうものも対象に考えなければならないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/47
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048・近藤信一
○近藤信一君 さらに、これらの種類が将来方々でなされるようになってくる段階がくるであろうと私は予想するのです。その場合に、そうするとまた法律の改正ということになってくるだろうか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/48
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049・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) これは現在この法律を改正しなくともそういうものは適用できるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/49
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050・近藤信一
○近藤信一君 今日のこの改正法案が出ております。これが適用されていくと、いま院長が言われましたが、今度の場合ここにメッキと独立してございまして、あとには金属云々とありますね、そうすると、やはりメッキという部分でこの法律というものが適用されていく、こういうことでございますか、法律にはメッキということがあって、加工というものに対して、これはどこにもないわけです。その場合にこの法律がそのまま適用されるかどうか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/50
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051・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 今度改正いたそうといたしております法律には、「加工」という字が入っておりますので、ただいま御指摘のようなものは加工の中に含まれるものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/51
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052・近藤信一
○近藤信一君 この点はまたあとで工業技術院のほうで十分考えておいていただきたいと思います。
それから法律についてちょっと一点質問しておきたいと思うのですが、たとえば第十八条に公聴会の項がございますね、「主務大臣は、工業標準化のため必要があると認めるときは、公聴会を開いて利害関係人の意見をきくことができる。」と、こうありまして、その次に、「調査会又は工業標準に実質的な利害関係を有する者は、工業標準がすべての実質的な利害関係を有する者の意向を反映し、又はその適用に当つて同様な条件の下にある者に対して不当に差別を附するものでないかどうかについて、主務大臣に公聴会の開催を請求することができる。」と、こうございます。この場合の「実質的な利害関係」ということは、一体どちら側をさして言っているのか、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/52
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053・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 生産するほうと、消費するほうの両方を考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/53
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054・近藤信一
○近藤信一君 その場合、これはたとえば一人の事業者、一事業者が異議があった場合にもやはり公聴会の申請をして公聴会を開くことができる、こういうことになるのか、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/54
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055・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) 御指摘のように一事業者でも請求があればできることになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/55
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056・近藤信一
○近藤信一君 聴聞会との問題はどういうことになりますか。二十四条に「聴聞」の項があるのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/56
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057・馬場有政
○政府委員(馬場有政君) これは、表示の許可を取り消す場合とか、販売を停止するような場合に開かれるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/57
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058・近藤信一
○近藤信一君 大臣が来ておられるから私質問を終わりますが、いろいろと私もこの法律の内容をちょっと見まして、まだ十分納得のできない点がございますけれども、一応まあ同僚の小柳委員がいろいろと詳しく御質問されましたので、私はこの程度にして質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/58
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059・小柳勇
○小柳勇君 いままで二日間にわたりましてこの法律に関係することを論議してまいったのですが、大臣に最終的に三点質問いたしまして終わろうと思うのです。
第一は、ここに加工技術がJIS化される、このことは業者も非常に期待いたしておりましたところでありまして、喜ぶべきことであります。ところが、あまり高い基準をきめますと、これに漏れた業者がなかなかたいへんでありますし、低い基準をきめますと何にもならぬ。したがって、その適当なところというのが非常に大事な点でありますが、聞くところによりますと、現在の業者の中でたとえばクロームメッキの場合は一割か二割がJIS化される、その他は当分JIS化されない。三年か五年したら大部分のものをJIS化したいというような希望のようであります。そこでJIS化されましたところの商品、JIS化されないところの商品に差があります。片一方が注文が多くて、片一方が売れないということではたいへんでありますから、このバランスは大臣としても相当お考えを置いていただかなければならぬと思うわけであります。そして、あとJIS化されなかったところに対する手当てをいたしまして、たとえば金の面、あるいは指導の面、手当てをいたしまして、早急に技術の向上をいたすように援助していただかなければなりませんが、大臣の御見解をお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/59
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060・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 近代化促進法でこれは指定業種となっていますから、そういう点を通じてできるだけそういう企業が早急に全部の業者がカバーできるように、そういう点からも促進をいたすことにいたします。ただ、まあこれは国際的な基準ですから、あまり低いところにやれば何のことかわからない。そこはわれわれとしてできるだけ良識のある方向をとりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/60
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061・小柳勇
○小柳勇君 第二点は、このJISの幅の問題でありますが、現在研究機関などを持って工場で鋭意技術の向上に努力いたしておるところでありますから、この標準の中の幅を少し広くとっていただきまして、工場のほうで技術向上のために独自な研さんをやれる体制、並びに新しい加工方法などが開発された場合は、それを直ちに追加認定してJISに加えてまいるような格段の御配慮をお願いしておかなければなりません。この点について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/61
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062・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それは御趣旨のような趣旨に沿うて、われわれとしても指導していきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/62
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063・小柳勇
○小柳勇君 第三点は、メッキについては一つの標準があるようでありますが、染色、熱処理、特に熱処理の問題は非常に困難な仕事であります。私どももその少ない知識にいたしましても熱処理というのはたいへんな作業でありますが、これをJIS化するのは相当の国をあげての調査研究をなしませんと、法律はできましたけれども空文に終わってしまう危険性を感じます。そこで、各省庁いま研究調査機関を持っているわけでありまして、各省庁、公社、大会社、これはそういう調査研究機関などが現在のところまだ十分連携をとっておられないような話です、いま工業技術院長のお話ですと。したがいまして、早急に加工技術JIS化のための各省庁、公社、大会社などの調査研究機関を総動員いたしまして、これからのJIS化の調査研究をやる、こういう体制をつくっていただかなければなりません。今度の予算を見ますというと、若干予算を、民間委託をいたしまして補助したり、委託いたしましたりして、JIS化のための調査研究をやっておられる、これだけではなかなか不十分だと思うわけであります。したがって、そういう民間団体が通産省、特に工業技術院の調査研究に協力する体制を大臣がとっていただきませんと、この法律改正は空文に終わるおそれがありますから、この点に対しまして大臣の御見解をお聞きいたしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/63
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064・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 小柳さんのお話ごもっともであります。われわれもできる限り、民間との協力関係どいうものを強化するように努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/64
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065・小柳勇
○小柳勇君 最後に、これは大臣に私のお願いでありますが、いま各業者の団体があります。メッキはメッキ、染色は染色、その団体がありますと、ここに法律ができますと、そこの団体に計画を流せば、その大会とか、あるいは幹事会などですぐこれはPRして流れていきますが、なかなかアウトサイダーにはPRしにくいわけであります。私どもの論議が新聞にでもどんどん出ますと、わかってくれるのでありますが、この委員会の論議というものは出ていかないわけでありまして、そこでアウトサイダーというものは、ただいまの日本の工業技術の発展のためには、なるべく少ないほうがいいと、自由競争ですから、あまり組合に入って、組織に入って拘束されることはいやだという人はたくさんありましょう。しかし組織化されて、共同して前進する体制をしなければなりませんから、なるべく通産省としてもこういう業者団体は組合に入るように、そうして組合を育成強化する。組合の中に問題があれば、それは調整してやると、そういう体制がまず今日の急務ではないかと思うわけでありますから、そういう問題について大臣並びに各担当者が鋭意努力していただきまして、その道の前進、技術の向上などに期していただきたい。これはもし御見解があれば、御見解をお伺いしますが、私の希望であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/65
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066・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ごもっともなお話で、われわれとしてもそのように努力して、できるだけアウトサイダーは少ないことであることが必要だと思いますので、努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/66
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067・小柳勇
○小柳勇君 以上で終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/67
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068・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に対する質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/68
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069・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより本案の討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/69
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070・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより本案の採決に入ります。
工業標準化法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/70
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071・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出する報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/71
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072・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
午後二時再開することにいたしまして、これにて休憩いたします。
午前十一時五十一分休憩
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午後二時二十八分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/72
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073・村上春藏
○委員長(村上春藏君) これより商工委員会を再開いたします。
午後は、衆議院送付の私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/73
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074・近藤信一
○近藤信一君 一昨日質問いたしましたが、それに引き続きまして、本日はまず最初に公正取引委員会の独立性ということについて若干お尋ねをいたします。
独禁法の第二十七条第二項に「公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」、このように規定してあります。この所轄とは具体的にどういうことであるのか。さらにまた、公正取引委員会は国家行政組織法第三条により、国の行政機関の一つとなっている。この国家行政組織法の第二条第二項に「国の行政機関は、内閣の統轄のもとに、行政機関相互の連絡を図り、すべて、一体として、行政機能を発揮するようにしなければならない。」、こう規定してありますが、ここにございますところの「統轄」ということと所轄ということの関係、これは一体どのようなことになっているのか、この点まず御説明が願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/74
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075・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 独占禁止法第二十七条で第二項に「公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」と書いてございますが、これは公正取引委員会はもとより国家行政機関でございますので、国家の行政機関は内閣総理大臣、その他各省大臣の所轄に属することになっておりますので、そういう意味で総理府の外局として公正取引委員会が置かれているわけでございます。そういう意味でございます。一方、国家行政組織法では「統轄」ということばを使ってございますが、これはすべて「国家行政組織は、内閣の統轄の下に、明確な範囲の所掌事務と権限を有する行政機関の全体によって、系統的に構成されなければならない。」ということが国家行政組織法第二条に書いてございまして、すべて国家の行政組織は「内閣の統轄」のもとに配置されるということでございまして、そうして、「内閣の統轄」のもとに各行政機関が配置されます場合におきまして、各行政機関といたしましては、行政機関の長たる内閣総理大臣、またはその他の各省大臣の所轄の中に、傘下に入っている、こういう意味でございまして、そういう意味で公正取引委員会も行政機関でございますので、「総理大臣の所轄に属する」というのがこの第二十七条第二項の規定でございます。もっとも、あとでまた問題になるかと存じますが、これは第二十八条におきまして「公正取引委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」ということもございますので、行政組織としては総理府の外局であるが、職権の行使については独立して行なうのだというのが二十八条の趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/75
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076・近藤信一
○近藤信一君 したがいまして、公正取引委員会の所轄というものが内閣総理大臣、そういうことになっております。内閣、総理府ですね、総理府総務長官の関係については、これは予算だけ総理府総務長官がこれを担当してやっておられるのか、この点の関係というものはどういうことになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/76
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077・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 公正取引委員会の委員長及び委員は独立してその職権を行ないますが、もとより国の行政機関でございまして、総理府の所轄に属しますが、その所轄に属するということの結果どういうことをやっておりますかと申しますと、予算または人事につきまして総理府を経由するということ、それからあるいは閣議の請議を求めます場合に、総理府を経由して内閣総理大臣として御提案いただくというようなことでございまして、職権の行使については、総理府の指揮監督を受けないわけでございます。総理府総務長官は、これは内閣総理大臣を補佐する立場にございますので、そういう関係で総理府総務長官を経由して、内閣にそれぞれ所要の事項の経由をいたしているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/77
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078・近藤信一
○近藤信一君 そういたしますると、法律上他の行政機関とどの程度まで相互連絡をとらなければならないか。また不況カルテルの業務の例について、これについて具体的にひとつ見解をお聞きしたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/78
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079・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 当公正取引委員会と他の行政機関との関係はどの程度で、どういう場合に交渉があるか、こういうお尋ねでございますが、これは公正取引委員会が他の行政機関に対して積極的に行なうことが規定されております場合と、それから他の行政機関が公正取引委員会に対してアプローチすることが規定されている場合と二つございまして、たとえば独禁法で、金融機関の株式保有につきましては一定の制限がございます。この制限を超過して保有を公正取引委員会が認めます場合においては、大蔵大臣に協議しなければならぬという規定がございますし、ただいまお話の不況カルテルの認可、あるいは合理化カルテルの認可につきましては、これは公正取引委員会が認可いたしますが、その際、主務大臣に協議するということになっております。また逆の関係で、たとえば独占禁止法の適用除外を法律で規定しておりますが、その際に、主務大臣がそのカルテルの認可をしたり、あるいは事前の届け出などを受けたりしたような場合に、すべて公正取引委員会に同意を求めたり、あるいは協議をしたり、あるいは通知をする、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/79
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080・近藤信一
○近藤信一君 行政機関と相互の連絡をはかっていろいろとやっていかなければならぬ。そういたしますと、問題が発生し、あなたのほうでいろいろなこういうことをやりたい、また他の省からもやりたいというふうな連絡もあろうかと思います。そこで、特に不況カルテルの問題になりますると、これは通産省関係が主だと思うのです。そこで通産省とそういう日常の連絡というふうなことで、あなたのほうに何かそういう連絡機関というふうなものがあるのかどうか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/80
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081・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 独占禁止法の実施につきましては、通商産業省と相関係することがきわめて多いのでございますので、毎月事務当局におきまして定例的に会合を開きまして、意思の連絡、疎通をはかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/81
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082・近藤信一
○近藤信一君 カルテル行為が、私はいろいろと新聞なんかを見ますると、一般的なカルテル、それからさらに不況カルテル、あるいはヤミのカルテルというふうなことばで新聞なんかに出ておるわけなんですが、現在カルテルが結ばれておるのは全体でどの程度か、件数にしておよそでいいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/82
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083・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 昨年末で調査いたしましたところによりますと、独占禁止法の適用除外によるところのカルテルの数、これは全体で千、五十二でございます。もっとも、そのうち多くのものは中小企業関係でございまして、たとえば中小企業団体法に基づくカルテルがそのうち六百二十四、それから環境衛生法に基づくカルテルが百二十三、それから輸出入取引法に基づくカルテルが二百七といった関係で、それだけですでに九百五十幾つになります。あと残り、独占禁止法の不況カルテルが昨年米で十七、合理化カルテルが十四、その他海上運送法、あるいは港湾運送事業法、あるいはまた機械工業臨時措置法等のカルテルがありまして、合わせて千五十二になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/83
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084・近藤信一
○近藤信一君 企業局長にお尋ねするのですが、カルテルを結ぶこと自体は、まあいろいろと新聞ではいわれておりまするけれども、それが望ましいとか、望ましくないとか、いろいろと議論はあると思うのですが、企業局は一体この点をどういうふうに判断をされておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/84
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085・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) カルテルは、独禁法で認められておるカルテル、あるいは独禁法の適用除外といたしまして、それぞれ産業政策的な見地から特別立法を行なっておりまして、その特別立法に基づきますカルテルを私どもは実施をしておるわけでございまして、それ以外のカルテルは私ども結ばせる意思もなければ、これは違法なものであると、こういうふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/85
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086・近藤信一
○近藤信一君 カルテルを結ぶ場合に、これを先日問題になっておりました紡績のあるところで、期限が一年だとか、十カ月だとか、六カ月だとか、いろいろと言われております。通産省としては一年ぐらいということが言われておる、公取委員会北昂委員長のほうでは、一年は長いのじゃないかというふうなことが言われたというふうに新聞で私拝見したと記憶しておるのですが、これはまたほかのほうで調べてみますると、五年だとか八年だとかいうふうな長い期間結ばれておるのもある。こういうふうにいろいろとまちまちになっているのですが、不況カルテルの場合、一体どの程度が一番適当であろうかというふうにあなたのほうでは判断をしておられるのか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/86
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087・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 独占禁止法上の不況カルテルにつきましては、私どもが所管いたして認可いたしておりますので、それにつきましては、いわゆる緊急避難のたてまえ上、できるだけ短期間であるのが好ましいという立場でもって処理いたしております。ただいまお話の相当長いたとえば五年も十年のものもあるじゃないかというお話でございますが、これは中小企業団体法に基づく商工組合の安定事業のカルテルでございまして、これにつきましてはいろいろ問題もございますが、中小企業であるとはいえ、やはりいたずらに長くなるということは、中小企業の体質改善をかえって阻害する傾きがあるのではないかと私どもは考えておりまして、通商産業省から御協議がありました際にも、できるだけこれは早く打ち切ってほしいということをそのつど申しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/87
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088・近藤信一
○近藤信一君 先ほども委員長が言っておられましたように、独占禁止法の第二十八条に、「公正取引委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行なう。」、こうございますが、ここでいう「独立」というのは、先ほども委員長が言っておられましたのでありまするが、この「独立」と会計検査院法の第一条に「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」とこうあります。この会計検査院の内閣に対する独立と公正取引委員会委員長及び委員の独立とは、どのように異っておるのか、この点説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/88
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089・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 公正取引委員会は国の行政機関でございまして、総理府の外局ではございますが、その職権の行使にあたって上級の官庁等からの指揮監督を受けないというのが二十八条、二十七条あわせて読んだ場合の解釈でございます。一方会計検査院、これは私どもよく知りませんが、ただいま御引例いただきました会計検査院法によりますれば、内閣に対して独立の地位を有するということでございます。私どもは内閣の統轄のもとの国家行政機関でございます。そして総理府の所轄に属し、人事、経理、予算等につきましては総理府を経由していろいろ手続をいたします。会計検査院は内閣から独立しておる、こういう関係にあるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/89
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090・近藤信一
○近藤信一君 いま御説明がございましたように、公正取引委員会の委員長並びに委員は内閣と独立していろいろとやっておられる。そこで本来ならば、私は公正取引委員会委員長並びに委員はだれの制約も受けず、だれのあれも受けることもなく、独自の判断でいろいろと法の運営に当たっていくと思うのであります。ところが、これは新聞のことでございまするから、いろいろと誤報もあるであろうと私は思うのですが、またいろいろとゆがめられて報道される点もあろうと思うのですけれども、何か新聞なんか見ておりますると、公正取引委員会委員長及び委員は何かその権力に押されるような印象を国民に与えておるのじゃないかというふうに私は思うのであります。その点北島委員長はどう自分自身判断しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/90
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091・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 公正取引委員会は、もちろん独立して職権を行なうことを法律によって保障されておりますので、私どもは独自の立場において判断いたしておるわけでございます。他の行政機関から制肘を受けることはございません。ただし、私どもはもちろん独善的に独占禁止法を運用することは、絶対やっぱり禁物と思っております。やはり各般の経済事情、実際の状況をよく認識して、各省ともよく連絡をとって、その上で独自の判断で私は権限を行使すべきだと、こう考えて、そのとおりに実行いたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/91
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092・永岡光治
○永岡光治君 関連。ちょっといま所轄、それから権限の独立の問題がだいぶ論議されておりますが、この独立機関の規定のしかたが、表現がいろいろ違っておるんですね。それで私も関連をして聞くわけですが、ただいま会計検査院のことを話されました。これは人事院だとか、あるいはまた公安委員会、それから日本学術会議、いろいろあるんですけれども、内閣総理大臣の所轄とするとか、あるいは所轄に属するとか、あるいは所轄のもとにとか、いろいろ表現を分けているんだが、何か意義があると解釈をしておるわけですか。そうではない、同じようなものだと、こう解釈しておるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/92
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093・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 私も他の法律全部通暁いたしておりませんが、考え方といたしましては、内閣総理大臣の所轄に属すということは、行政組織として総理府の所轄だ、こういう意味であるかと私は考えております。すなわち総理府の中の組織である、こういう意味であると了解しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/93
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094・永岡光治
○永岡光治君 そういたしますと、いろいろありますけれども、ただ重要なポイントだけ一つお尋ねいたしますが、いま近藤委員からも質問されておりまして、ややともすれば何か公正を期待しておる委員会あるいは委員長が、どうも右顧左べんするようなことになっているんじゃないかという心配もあると、こういう意味の表現ですけれども、この責任はどうなるんですか。独自のものは別ですが、責任はどういうとり方をやるわけですか。内閣総理大臣の任命、会計検査院長の責任のとり方と公正取引委員長の責任のとり方ですね。国民に対してとると、抽象的にこう言うんでしょう。けれども具体的に内閣に所轄されておるという場合に、どういう方法をもって責任を明確にするのかですね、そういうところの長としてどういう責任をとるというのか、それはどう判断しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/94
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095・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 独禁法の第二十九条の二項で、委員長及び委員は、内閣総理大臣が両議院の同意を得てこれを任命するということになっておりますので、任命はあくまでもこれは内閣総理大臣からされておるわけでございまして、また第三十一条に委員の身分保障として、「委員長及び委員は、左の各号の一に該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。」という条件がある。これもやっぱり罷免権は内閣総理大臣にあるのではないかと私は考えております。その意味におきまして、内閣総理大臣が公正取引委員会の委員長及び委員の人事を、両議院の同意を得てのことではございますが、持っておることは私は事実と考えます。法律上もそうなっておるのではないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/95
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096・永岡光治
○永岡光治君 それではもう少し突き進んで質問いたしますと、内閣の他の機関と独立しておるわけでありますが、任命はたまたまこれは内閣総理大臣というふうになっておる。人事院の人事官は、これは両議院の同意を得て内閣がこれを任命するということになっておりますね。いろいろ規定がまちまちになっておるからあまりよくわからぬのですが、総理の任命を受けることは間違いないわけですね。それであなたも認証官であるわけですね。そこで総理の意見と全然違った——その指揮命令は受けないが、総理大臣とちょっと意見が食い違ったと、これはおれのほうが正しいという場合、これはどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/96
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097・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) あくまでも法律上内閣総理大臣の指揮監督を受けるたてまえになっておりません。ですから、もしそういう委員長であるならば、初めから任命しないという手はございます。手はございますが、一ぺん任命した以上はこの法律の規定によりまして、罷免に該当するような場合でなければその意に反して免職することはできない、こういう関係になっておるかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/97
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098・柳田桃太郎
○柳田桃太郎君 この適用外並びに特別法に基づくカルテル行為だけでも表面に出ておるものは千五十二ございますが、それを今回増員で三百七名、その三百七名でこのカルテル適用外のものであっても、協議を受けられるか、事前の相談を受けられるのですが、十分に内容を詮議して、これに対して承認を与えることが事務的に可能であるかどうかということをひとつお伺いしたいのです。したがって、この調整規程を認める場合にも、法律の規定にありますように、一般消費者及び関連事業者に不当な不利益を与えることはないかということを詮議することができているかどうかということが一つですね、内容的に。それから同時にまた、これを適用外除外例としてカルテルをやっておる間に、一般消費者に不当の不利益を与えながら、しかも長年月にわたってこれが行なわれておる場合に、調査部あるいは経済部を発動して調査をなさる余力がこの陣容であるのかないのか。いかに権限を委員長が持たれておっても、あまりに少ない行政官をもってその職責を十分果たすということが可能であるかどうか。これは非常に率直な意見でありますが、物理的に非常に困難が予想されますので、ひとつお伺いをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/98
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099・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これは率直に申しますと、この法律に基づく合法的なカルテルの、公正取引委員会が認可する、あるいは主務大臣が認可しまして、それに対して公正取引委員会が協議に応ずる場合、こういった正式の仕事につきましては、どうやら私もこれまでやってまいりましたこの程度の人員で足りるかと思うのでございますが、これ以外の非合法的なカルテルの取り締まり、そういうことを考えますと、現在の陣容ではとても足りないわけでございます。その他下請代金支払遅延等防止法等の事務にいたしましても、あるいはまた、現在問題になっております再販売価格維持行為の実態調査等につきましても、現在の人員でははなはだ不十分、こう考えております。ただし、ただいま申しましたように、合法的なカルテルの許認可事務、それの同意協議等の事務については、現在までどうやらいたしておるわけでございます。ただ、そのあとの監視の点につきまして、必ずしもこれは十分ではないと思うのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/99
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100・永岡光治
○永岡光治君 いま、たまたま同僚委員から質問がありましたが、大体その人員でだいじょうぶやっていけるという話のようですけれども、足りないと思うわけですか。足りないと、これだけ人員を増員しなければあなたのこの法律に定められた職権を完全に果たすことができないという事態が起きたとする、ところが、あなたは総理府の所轄によって、話になりました予算、人事の点については協議連絡をして了解を求めなければならぬということになるわけで、あなた自身が予算を出すわけじゃないですね。総理府のほうから出すわけですから、出してもいれられないと、どうしてもそうすると制約を受けることになるわけですね。完全にあなたの職権を保障したことにはならないわけですね。あなたはあと百名いなければ法律的に定められた目的を達成することができないというような信念を持って主張しているが、総理がそれを聞かないといった場合に、あなたの権限は阻害されるわけですね。少なくともあなたの職権は制約を加えられるわけですが、そういうことを考えますと、やはり問題が起きてくると思うのですが、完全な独立官庁といいますか、独立官庁として独立はしているわけですが、独立の権限を持っているとしても、私は会計検査院のことはよく知りませんが、会計検査院の場合も総理府のほうから予算その他定員の増員について提案されるということになるわけですか。そのところの違いはどうなりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/100
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101・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これは私も会計検査院のことはよく存じませんが、ただいま私の考え方といたしましては、会計検査院は内閣とは独立しております。ただし予算は総理府とは別の会計検査院所管というのがございまして、内閣の総理府の下にはない。ただ予算の折衝にあたっては、もちろん予算は国全体、一体のものでございますから、予算の折衝にあたりあるいは査定にあたって、内閣の制肘は受けておるのではなかろうか。そういう意味におきまして、公正取引委員会も予算につきましては、総理府を経由して、そうして実際問題といたしましては大蔵省と折衝するわけでありますが、その結果認められないことによって職権の行使が制約されることはこれはあり得るわけでございます。この点は会計検査院も人事院も同様かと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/101
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102・永岡光治
○永岡光治君 そういたしますと、一段階余分な制約の機関が、チェックの機関があるわけですね。ということは、会計検査院の独立よりはやはり少し弱いと見なければならぬわけですね、形式的には。そう思いませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/102
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103・竹中喜満太
○政府委員(竹中喜満太君) 公正取引委員会は御承知のように予算編成権はございませんが、総理府が予算を編成するわけでございます。人事院や会計検査院は予算編成権を持ってみずから予算を編成いたします。ただ予算の折衝につきましては、われわれと同じように人事院も会計検査院も大蔵省と折衝するわけでございます。先ほどのお話で、その点でチェックされると、いかに独立であるとはいいながら、仕事ができないのじゃないかというお話がございましたけれども、これは独占禁止法の四十四条に、国会に対してわれわれ委員会が意見を提出することができるという規定がございまして、この法律の目的を達成するために必要な事項については国会に意見を提出することができる。その道が、扱いができるのではないかという感じはいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/103
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104・永岡光治
○永岡光治君 それはその道が開かれておりましても、やはり第三者が見て、会計検査院の独立性のほうが強いか、公取委員会の独立性が強いかということになると、やはりこれは会計検査院のほうが強いと見るのは普通であろうと思うのです。なぜならば、予算編成権を持たないということになるからです。少なくともチェックの機関が——チェックということばは悪いかもしれませんが、余分なものが中に入るということになるわけです。そこで、そういう事態があれば、国会に対して報告することができるとこうおっしゃるけれども、いまだかつてそういう事象がないからいいというけれども、私は必ずしもそうは言えないと思う。あなたの要求どおりの予算がとれたことはまずないのではないかと思います。そう想像するわけですが、そのときに、しからば国会に対してあなた方は、私はこう考えたけれども——という意味で、そういう問題について、たとえば定員が足りない、これだけ必要なんだけれども、これしか取れなかった、認めてもらえなかったという意味のことを国会に報告されたこともやはりなかったと思いますね。それはしかし、会計検査院も同じじゃないかというかもしらぬと思うのですが、言うかもしらぬけれども、しかし、どうも私は何か独立という問題が少し弱いのじゃないかと思うのです。これはお答えにならなくてもけっこうですが、どうも会計検査院の独立性と公取の独立性と比較しますと弱い。だからいま御質問のようなことも出てくるのじゃないかと思うわけです。これはひとつ真剣に研究してもらいたいし、総理のほうに質問したほうがいいことになるかもしらぬと思うのですが、私はまだ釈然としていないのです、この問題については。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/104
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105・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これは、公正取引委員会はあくまでも行政機関であるということの一つの制約があると私は考えております、司法機関ではない。あるいは会計検査院のように内閣と独立した地位にはない。すなわち内閣の統轄のもとにおける行政機関である。したがって、職権の行使は独立ではございませんけれども、人事、予算、あるいは閣議請議等につきましては総理府を経由するということは、これは行政組織上やむを得ないことかと存じております。ただしお話のように、かっこうの上ではそういうことはございましても、いままで事実上人事につきましても、また予算につきましても、総理府の制約を受けて公正取引委員会の事務が阻害されたということはいままで全然ございませんから、そういう点はひとつ御心配いただかないようにお願いいたしたいと思います。予算につきましても、もしかりに、総理府というよりも内閣におきまして、公正取引委員会の業務の執行に十分なだけの予算が認められない場合には、先ほど事務局長の申しましたような手も実はございますけれども、それはやっぱりそういうことはすべきじゃございますまい。内部におきまして、行政機関として、あくまでも公正取引委員会の地位を主張して、そうしてたゆまず折衝を続けて、納得させるのが私は筋だと思います。今回の三十名の増員、予算的には三十三名でございますが、いかにも見方によっては少ないというお話もございますけれども、この折衝にあたりましても、七次にわたる復活折衝で獲得したこともございまして、私はあくまでも自分の趣意を、大蔵省なり内閣なりにあくまで伝えて、そうして納得をしてもらう、こういうつもりで仕事を運営いたしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/105
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106・柳田桃太郎
○柳田桃太郎君 もう一つ私は公取委員長に申し上げますが、こういう管理価格、すなわち適用外の法律に基づく管理価格というカルテルが、日本の物価高を維持する一つの徴表としてあらわれてきつつある現在において、公取委員長は、もし要員が十分でないならば、勇気をもって予算を要求し、またその意見が通らなければ、国会に独立機関の長として堂々とひとつ意見を申し上げることを私はおすすめしたいと思います。
次に、関連しておりますが、千五十二の適用外のカルテルがあり、そのほかに行政指導があり、また法の陰に隠れたカルテル行為がある今日におきまして、企業局にお尋ねしたいんでございますが、長期にわたって価格なり取引条件を維持するためにカルテル行為をしなければならないということは、これはわが国の中小企業の構造的な宿命ではございます。だから、これを一がいに否認をするということになれば、非常な経済界の混乱、社会不安を起こしますから、一がいに私は撤去するということを申し上げるのではありませんけれども、あまりに長期にわたって、なおかつその構造が改善されないということは、助長行政を担当しておる企業局側の責任にもこれはなることでございます。したがって、いままでに調整規程や特別法に基づくこのカルテル行為の一覧表が出ておるかもしれませんが、拝見はまだいたしておりませんが、一応非常に古いものもあるやに聞いておりますが、そういうものを整理してみられて、どの調整規程の価格制限はいつごろから行なわれて−おるというようなものをわれわれに御提示願いたいと思います。そうして、その宿命的な構造がどうしても行政的に直せないものであるのかどうかということを検討して、漸次わが国の中小企業の構造改善の一助にも資していく考えがなければならぬのじゃないか。これは意見でございますけれども、いままでそういうような資料が出ておりますならばお見せ願いたい。
それから、これは佐橋次官の言として、東京商工会議所の出しております会報に出ておりますが、わが国では不正取引を防止するとかあるいは独禁法をやるとかいうようなことは、それは無理なんだと、やはり助長行政でやっていかなければうまくいかぬのだということを堂々と言っておられるわけでありまして、これは新聞に出ておることでありますから、真実とは必ずしも思いませんけれども、そういう考え方で生産行政だけを助長していく、一般消費者はどうなってもいいという考え方で通産省がやられるということは、これまた非常に公取のほうと対立をしなければならぬということになるわけでございます。だから、私はいま申し上げたとおりに、この千五十二を全部あげるということはたいへんでしょうが、どういうぐあいな沿革をたどって各工業組合なり商業組合がカルテルをやっていって、これが将来に向かっては、これはカルテルがなくてもやれる態勢になりつつあるのかどうなのかというその趨勢を判断をしたいと考えるのでございます。どうかそういう意味の資料を出していただいて、さらに審議を将来お願いしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/106
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107・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) ただいま御質問がございました中小企業団体法に基づくカルテル、実は私企業局長でございまして、所管は中小企業庁長官でございますが、私から御説明いたしますと、やはりこれからの日本経済にとりまして、一つの大きな問題点は中小企業団体法に掲げられております中小企業者の保護あるいはその健全な発展の問題と、もう一つはやはり消費者保護あるいは物価対策というものをどういうふうに今後持っていくかというところに一つの大きな問題点があろうかと思います。ただいま先生のお話の、長期にわたって中小企業団体法に基づくカルテルがあるではないか、この数字はいつからどういうふうに行なわれて、どのくらいカルテルをやっているかという数字は持っておりますが、なおいまお話のように、中小企業の構造改善が行なわれて、そうしてカルテルを結ばずに個々の自主的な活動ができるようになることが私は望ましいと思います。望ましいとは思いますけれども、実は中小企業の調整カルテルというのは、中小企業の安定的な企業の運営という立場から結ばれておりますが、はたして実際に、その実は数量カルテルが、生産調整カルテルが多いわけでございます。中小企業は過当競争をやっておりますので、その価格が数量カルテルによってそれがどの程度実施されているかは私は非常に問題だと思います。その数量カルテルがきちっと必ずしも行なわれているとは言いがたい点がございまして、やはり中小企業のほうの観点から、長い期間結ばれているものもあります。ただ、いまのお話の構造改善も大事でございますので、この点は総合的な中小企業対策といたしまして、ただいまお話のようなカルテルを結ばないで自主的な活動ができるような方向に私は持っていくのが、実は基本の行き方であろうかと思います。なお、いまお話の長いカルテルが結ばれておる問題につきましては、ただいま中小企業庁で検討いたしまして、長く結ばなくても、廃止してもいいものかどうか、なお構造改善の基本対策との関連いかん等につきましては、中小企業庁の検討をお願いいたしております。なお私ども独禁法の問題に関連いたしまして、実は私ども行政機関である通産省で申し上げますというと、独占禁止法の考え方を私ども行政官庁であります通産省も守っているつもりでございますが、実態は、中小企業のみならず、大企業におきましても、実は過当競争が日本の実態でございまして、むしろ寡占、独占というような形、あるいは管理価格というような形は、絶無とは申しませんけれども、きわめて私どもは少ない、こういうふうに考えております。
ただ、いまお話のように、独禁法で認められておりますカルテル、あるいは除外立法といたしまして特別立法ができておりますが、それもいわゆる法律の目的に照らしまして、これを運営いたしていくつもりでございますが、それ以外のカルテル等につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもは認めてもおりませんし、もし違法なカルテルがありました場合には、私どもといたしましてもそれを排除する。また、公取といたしましても、これを厳重に排除する措置をとられることにつきまして、私どもも異存がございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/107
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108・永岡光治
○永岡光治君 私の先ほどの質問に関連するわけですが、いまの独立の問題で、会計検査院の場合と人事院の例をあげましたけれども、この会計検査院は確かに、「会計検査院は、内閣に対し独立の地位を有する。」と明確にしてありますから、確かにそれは行政機関とちょっと違う。権限あるいはその目的からいってそうだと思うのですが、人事院はこれはやっぱり内閣の所轄ですね。これは行政機関ですね。この独立と会計検査院の独立とでは違うと、こう見ていいわけですね。したがって公取と会計検査院、人事院と会計検査院とは違うけれども、人事院とも違うと思っていいわけですか。独立の性格といいましょうか、それはどういうように解釈しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/108
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109・竹中喜満太
○政府委員(竹中喜満太君) 独占禁止法の二十七条の第二項に「公正取引委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」と、こう規定されております。この「所轄に属する」ということばは、御承知のとおりその職務の執行につきまして、ほかの行政官庁と違いまして、内閣総理大臣の指揮監督を受けないと、こういう意味でございます。人事院のほうは「内閣の所轄に属する」、公正取引委員会は「内閣総理大臣の所轄に属する」という表現の違いはございますけれども、職務の執行の独立性につきましては、全然同じではなかろうか。また会計検査院と公取を比較いたしましても、職務の執行それ自体につきましては、全然同じであろうと私どもは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/109
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110・永岡光治
○永岡光治君 関連です。これは論議の分かれるところですから、あなたが先に急いでいるようですから、私はあとに譲ります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/110
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111・赤間文三
○赤間文三君 それでは、お許しを得て、ごく率直にお尋ねをしたいわけでありますが、独占禁止法というこの法律の名前から言うと、私的独占の禁止、あるいは不当な取引制限の禁止、不公正な取引方法を禁止する。まあ法律を調べてみると、こういうような骨子になっております。非常にこれはいずれも国の秩序を保っていく上には大事なことであると、かように思う。この点はついては私は何らの疑問も疑義も持たない。ただ、私は今日、日本の社会情勢なり産業の状況を見ると、かつてないような不況になっておる。この不況を政府はどうでもこうでも一日も早く好況に直さなければならぬ。これは全力をあげて直さなければならぬことである。しかし、また一方においては、物価が毎年六%以上も上がるということは、おそらく欧米先進国にはその例を見ないような、低開発国でなければ考えられぬような、非常にわれわれから見れば好ましくない物価の値上がりで、この物価の上がるのをできるだけ少なくする、あるいは理想の二、三%にまで持っていくということの急務に迫られておる。なおまた、いろいろ調べてみると、先にもお話がございましたように、今日のこの不況、物価の問題は、調べてみると、やはり中小企業、農業もありまするが、中小企業等の生産性が上がらないために格差が大きくなってきておる。なおまた、今日のような情勢においては、いまは不況じゃから輸出が振興する、これは不況のときは輸出というものは振興する。好況のときにはこれは必ず輸出は振興しないというのが過去の例になっている。こういうふうな国際競争力をつけなければ、輸出はやがて困ってくるであろう。これは火を見るよりも明らかになっておる。中小企業というものは、これは思い切っていまのうちに生産性を高めなければならない。物価はできるだけ下げる。こういうふうな幾多の国として重要な要請が具体的にあげられている。こういうときに独占禁止法の適用をされることはよほど骨が折れることだと、こういうふうに考えておる。それであなた方も、これからも大いに消費者のために、あるいは不正競争がなくなるために、あるいはその他のいろいろな好ましくないものをなくするためにいろいろな仕事をやられるが、こういう国の今日の要請と、あなた方の今後やられる仕事とのその関係というものをひとつ明快に御説明を願いたいと思うのです。法律は、法律を守ることだけが、いまのことばで言うと私は万能ではないと思う。これはやはりわれわれに幸福をもたらすためにこの法律ができておるのだから、いわば、このことを露骨に言うと、いかに今日こういう困苦欠乏のとき、将来に備えなければならぬときに、この法律をいかにうまく国情に合わして生かして活用をせられるか、これを私は北島公取委員長にお尋ねをしたい。露骨なことを言うならば、率直に言うならば、法律をただ尊重するということは、国民の福利増進のためにこの法律があるのだから、これをやっておけばいいじゃないかということも一つだが、私はやはり生かしてこれを活用していくためにはどういうお気持ちで、どういう取り扱いでいかれるか、こういうことをひとつ——私はあまり詳しくないのです。こういうことはしろうとですから、私のようなものにもわかるようにひとつ明快に御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/111
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112・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 私どもは独占禁止法の一番の眼目は、公正且つ自由な競争を促進する、これがやはり中心であろうかと思います。その結果、そのことによって一般消費者の利益が確保され、それからまたひいては国民経済の民主的な発展が期せられる、こういう法律のたてまえでございまして、あくまでも経済政策といたしましても、公正な、かつ自由な競争を促進することが禁止法の本来の役割りである。ただし、独立禁止法の運用にあたりましては 経済の実態とあくまで密着しなければならない。その点は私どもも十分考えております。したがいまして、たとえば今日の時代でございますと、物価抑制が非常に大きな問題になりますれば、独占禁止法の運用にあたりましても、その面の要請も頭に十分入れながら、独占禁止法を運用しなければならぬ、こういう気持ちは十分持っております。むちゃに法律をしゃくし定規に運用するということではなく、経済の実態に即応して活用するということでございます。ただし、これはもちろん独占禁止法を曲げるという意味のことでは毛頭ございません。独占禁止法の公正かつ自由な競争を促進する、その運用によって結局経済の発達を期するわけでございます。その運用にあたっては経済の実態をよく見て、それに即応していくことが必要だとこう考えておるわけでございます。この辺のかね合いは非常にむずかしいのでございますが、私どもといたしましては、あくまでも独善的にならず、各省の意見も十分聞き、そうして独占禁止法の運用を厳正に、しかもかつ経済の実態に密着させていくということを任務と考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/112
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113・赤間文三
○赤間文三君 とりあえず、おそくなるから、ごく簡単にお聞きしたいのですが、いわゆる経済の実態に即し、今日の時勢というものを頭に入れて、この法律は曲げない。あくまで自由公正な取引というたてまえのもとにやる。それが私らから見ますと、その時代が景気のときもあれば、不景気のときもあるし、またいろいろないまのような不況で物が高いと、不景気で物が高いというこういう一種の、かつてわれわれ経験しないような時代、こういうときに経済の実態に適してやるということがいまお話のように非常にむずかしいことだと思うんです。口では、それはそういうことはみんなわれわれも言えると思うが、さてしからば今日の中小企業の困った実態を、できるだけ中小企業のひずみを直していこうということと、この自由濶達なる公正な取引というものがなかなか実態にいくと 大部分は合うが、一部分においてはまたどうかと思うようなものが起こってきはしないかと、私はこういう気がするんですが、そういうことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/113
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114・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) まあたとえば中小企業対策の問題にいたしましても、やはり過当競争を避けるために中小企業団体法に基づきまして商工組合が調整規程をつくって安定事業を実施することが認められているわけでございますが、そうかといいまして、いたずらにこれが長引いていくことは、かえって私は中小企業の体質改善を阻害する原因にもなる、こういう点もありますので、私どもといたしましては、たとえばお話のような場合に、はたして中小企業がいたずらにのんべんだらりと長くカルテルを続けていくのがいいか、こういう点については常に通産省に対して私どもでは申し入れいたしているわけでございまして、省としてもそういうふうに私どもお考えになっていらっしゃるものと思っています。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/114
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115・近藤信一
○近藤信一君 二十八年の独占禁止法の大改正による独占禁止法の性格変化、こういうととがあるわけなんですが、一体どのような変化を来たしておるのか、この点をひとつ御説明いただきたい。
また、この改正の際に、この二十八年の改正以後勧告操短は行なわないと言われておったのであります。しかるに現在粗鋼減産等の勧告が実際に行なわれております。この点について公取委員長はどのような見解を持っておられるのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/115
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116・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 昭和二十二年に制定されました当初の独占禁止法、これはその例となりました米国にも見ないほどの実はぎつい法律でございました。これは一方におきまして、日本の経済の民主化ということを非常に占領軍が重きを置いて考えました結果、当初米国の独禁法よりも非常にきつい法律であったわけでございます。まあこれが日本の風土に合わないということになりまして、昭和二十四年に相当大幅に改正され、さらに昭和二十八年に現行法のような改正を見たわけでございますが、これによりまして不況カルテル、合理化カルテル、あるいは再販売価格維持契約などが認められますとともに、その他役員の兼任関係等非常にきつい規定でございましたのがなくなる、あるいはまた不当な事業能力の格差の排除というような非常に厳格な規定がございましたのもなくなってきております。しかし、それだからと申しまして、独占禁止法の本来の性格は変わったものではなく、あくまでも公正かつ自由な競争を促進する、したがって、それに反するところの制限はできるだけやめさしていくというのが独禁法の趣旨でございまして、その点においては、私は二十八年の改正におきましても性格は変わっているとは思いません。まあこれがおそらく今日の日本の国情に合った独禁法ではなかろうかとも考えておるわけでございます。勧告操短につきましては、昭和二十八年の独禁法の改正審議の際に、当時の通産大臣が勧告操短は今後行なわないということを御言明なさったそうでございます。しかしその後不況事態になりまして、通産省で勧告操短を実施されるなり、一時は、三十四年当時は二十八も勧告操短があったわけであります。これに対して公正取引委員会は勧告操短はできるだけやめるべきである、もしその必要があるならば、独禁法上の不況カルテルによるべきであるということを主張いたしまして、ずっと減少いたし、一時は、ゼロになったわけでございますが、それが昨年の粗鋼の減産勧告操短になったわけでございます。もちろんこの勧告操短に対しまして、まあ通産大臣もおっしゃっているように、これは例外中の例外であって、できるだけ早くやめさせる、こういうことを国会においても御言明なさっていらっしゃいます。私どもそれを期待しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/116
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117・近藤信一
○近藤信一君 いま委員長の御答弁によりますると、やはり二十八年のこの改正後の勧告操短はやらぬ、やらないと大臣は当時答弁をされましたけれども、その後の経済変動といいますか、非常に経済的に変動があったと、で今度また通産省が勧告操短をやっておると、こういうことだろうと思うのです。またこのことについて公取委員会としては、いろいろと公取独自の立場から、この問題に対してはいろいろと見解を持っておられるんじゃないかと私は思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/117
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118・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 先ほども申しましたように、行政指導による勧告操短、これは好ましくないというような公取の一貫した意見でございまして、なぜならば、もし勧告操短、生産調整をするというような事態がありますれば、これは大体不況事態であろう、そうならば独占禁止法上の不況カルテルという制度が厳然とあるわけでございます。公のルールに乗せて独禁法による不況カルテルによるべきであるというのが私どもの終始変わらざる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/118
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119・近藤信一
○近藤信一君 私新聞でちょっと拝見したのですが、公取委員会がカルテル退治に乗り出した、こういうようなことがありまして、これに対して通産省としては、いわゆる産業官庁の行政指導でいろいろと行なっておる協定に対して公取がいろいろと文句を言っているけれども、これは産業界の現状認識不足もはなはだしいと、こういうようなことを通産省では言って、だいぶ公取委員長がやっていることに対してはやり過ぎじゃないかというようなことの不満を発表している、こういうようなことがあったわけなんですが、これに対して委員長どう思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/119
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120・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これはまあ新聞の囲み欄につきましては、私どもあまりこれを本気にしておりませんので、正式に通産省のほうからそういう話は一ぺんもございません。ああいうことが新聞に出たのは、決してそういうことを言ったのではないからというような釈明も事務局のほうにございました。私どももそういう新聞のゴシップ記事に対しましては、あまりむきにならないようにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/120
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121・近藤信一
○近藤信一君 先ほど柳田委員からも御質問がありましたが、この通産省設置法の第九条においては、「企業局においては、左の事務をつかさどる。」とございますね。その七の二というところに、「通商産業省の所掌事務に関し消費の合理化及び一般消費者の利益の保護に関する事務を総括すること。」、それから八に「通商産業省の所掌に係る物資に関する価格等の統制に関すること。」と、こうあるわけなんです。これからいくと、消費者の利益を守るということが優先するのか、また先ほど来言われておりまするところの生産の問題、いわゆるカルテルに対してどちらが一体優先するのか、これは企業局長どう考えておられますか。先ほど企業局長が言っておられましたように、物価問題に対処するカルテルもある、こういうような御答弁でございましたが、いろいろと物価問題、それから消費者の保護の問題、それから生産向上の関係、これと何か矛盾しておるような点が私出てくるんじゃないかとも思うんです。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/121
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122・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) ただいま通産省の各局に対する所掌事務の中で企業局に関することでございますが、私はやはり生産、流通、消費を通じまして、日本経済の健全な発展と国民生活水準の向上をはかることが私目的だろうと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/122
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123・近藤信一
○近藤信一君 そうすると、ここにははっきりと規定してあるね、「消費者の利益の保護に関する事務を総括すること。」、消費者保護が私は優先するんじゃないかというふうに、この字句からいくと考える。そうすると、消費者の利益を守るということが優先するんじゃないかと私は思うんです。それはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/123
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124・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 企業局では、ただいまお話の消費者保護に関する所掌事務がございまして、たとえば繊維なりあるいは雑貨等の品質表示法、あるいは割賦販売法、あるいは総括になりますが、計量法、電気用品取締法等々の法律に関する直接消費者の利益を守り、これを保護する法律、あるいは行政事務を所管をしておるわけでございまして、そういう意味では、通産省全体の消費者保護の行政をつかさどっている、こういうことが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/124
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125・近藤信一
○近藤信一君 まあ、その程度にしておきます。
それから北島委員長にちょっとお尋ねするわけですが、独禁法の第六条、これは「事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。」と、こうありまして、第八条には「事業者団体は、左の各号の一に該当する行為をしてはならない。」ということで、「一定の取引分野における競争を実質的に制限すること。」、こうありますね。貿易自由化によるその物質、この自由化物質による一つの国際的な取引をやる、その場合に、業者は先方側と協定を結んで輸入をやろうと計画をする、その際に、日本のほうからいろいろとこれに対して問題を持ちかけて、その自由化に対するところの輸入に対しての妨害行動が行なわれることがしばしばあるわけなんですが、これなどはこの条文に私は反するんじゃないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/125
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126・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) ちょっと質問の趣旨を私十分に了解できなかったかとも存じますが、この第六条のほうは、まず事業者に対する規定、第八条は事業者団体、団体のほうの規定でございまして、第六条は、「事業者は、不当な取引制限又は不公正な取引方法に該当する事項を内容とする国際的協定又は国際的契約をしてはならない。」、第八条の事業者団体では第二号がこれに相当する、「第六条第一項に規定する国際的協定又は国際的契約をすること。」、こういうふうに規定してあるわけでございます。まあ貿易の自由化に伴いまして、国際的な取引が非常にふえてくるわけでございますが、この場合におきましても、第六条なり第八条なりで禁止しておりますのは、不当な取引制限、すなわちカルテル、または不公正な取引方法による国際協定あるいは国際契約、これの禁止でございまして、はたして個々の具体的な取引がこれに当たるかどうかにつきましては、いろいろ検討する余地があろうかと存じますが、多くの場合、これは特許権、技術導入などの場合に問題になることが多いわけでございまして、技術協定に伴いまして、不当な制限、不当な拘束条件がつけられる、そういうものが多分にございます。こういう場合におきましては、これが第六条の不公正な取引方法に該当する国際的契約というようなことになりますので、私どもも十分この点注意をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/126
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127・近藤信一
○近藤信一君 ある事業者は、その輸入物資を輸入することによって、一般消費者には非常に低廉な価格で販売できると、こう判断して契約をする。そうすると、他の事業団体は、それに対していろいろと反対行動をとって、そうして政府を動かし、妨害行動に出る場合があるわけです。これはやはりこの第八条、それから第六条に抵触するのじゃないかというふうに私は考えるのですが、そうと一方的にここで決定づけることは、これは委員長としても答弁ができにくいかとも私は思うのですが、この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/127
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128・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) これは全く個々の具体的な事例に応じまして、ケース・バイ・ケースによって判断するよりほかいたし方ないというわけでございます。そういうお申し出があれば、私どもはいつでも審査いたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/128
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129・向井長年
○向井長年君 直接この法案には関係ないかもしれませんが、ちょうど島田局長が来ておられますからお聞きするのですが、先般、特に予算委員会でもちょっと大臣に質問いたしましたが、いま大企業が独禁法に抵触しない状態であるならば、個々に企業の合併、こういう問題が自動車の場合でも、あるいは繊維の場合でも、いま起きてきているわけです。過去において通産省から特振法が一回ならず二回出されてきて流れておる。こういう問題については、いまやはりそういう特振法はもう見合わせたのだ、自主的に個々にやるやつに対して助成というか行政指導をやろう、こういう考え方でおるのか、この点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/129
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130・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 過去のことになりましてまことに恐縮でございますが、特振法は見合わせたわけでございます。当時私所管局長でございまして、ただいまも同じ局長でございますが、特振法をぜひ国会で御承認をいただきたいと思いましたが、その御承認をいただくことができずに終わったわけでございますが、ただ問題は、やはりそのときの考え方を特振法によらずして、できるだけそういう方向に誘導をしていきたいと、それからまた、実際にそういうような姿になるようないろいろ税制その他の措置で国際競争力をつけていくような、そういう環境をつくる方向に目下いろいろの措置を講じつつあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/130
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131・向井長年
○向井長年君 特振法は別に規制ではないでしょう、目的は。おそらく助成措置、税制なりあるいは金融なり、こういう方面の助成措置としてやろうという意図のもとに、相当島田局長は当時から熱意を持ってやられてきたのですけれども、ところで、いま通産大臣はこれに対して何か規制するような考え方を持っていると思うのですよ。これはぼくは大きな間違いじゃないかと思うのです。しかし、こういう形でいくと、独禁法に抵触しない形の中で一部の大企業が特権的にそういう企業の形をやろうとすると、こういう事態が起きておるのではなかろうかと思うのですよ。したがって、まあ弱小企業といいますか、そういうところは捨て去られる、いわゆるそういう助成なり、あるいはまたそういう指導にあやからないというような状態が出てくると思うんですがね。こういう点について、特振法は制定しないけれども、実質的にそういう形をとっていこうとしているのか、行政指導の中から。それとも自主的にまかせっきりで、そういう問題については直接政府が、あるいは通産省がタッチしないでおこう、これはどちらなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/131
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132・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 向井さんのお話のとおり、特振法は何ら規制の内容を持ったものではございません。ただ、私どもがいまこういう国際情勢の変化に対応しまして、日本の産業の国際競争力をつけようという観点から申しますというと、これは産業によりましてそれぞれその実態が違う。たとえば相当成長産業もあれば、停滞産業もあれば、斜陽産業もありまして、これは内外の需要構造の変化、あるいは供給構造の変化が出てまいっておりますが、その業種別に実はどういうあり方が望ましいかということを、私どもは通産省に置かれております産業構造審議会におきまして、業種別にできるだけそういう問題に取っ組んでまいりたい。業種別にそれぞれ私はそのあり方が違うと思います。その場合に、いかにしてその国際競争力をつけるためのあり方の一環として集約化の問題が出てまいるわけです。この集約化は実は大企業あるいは中小企業全体の問題に関連をしてまいるわけでございまして、そういう面からただいまの大企業だけを特権的に云々するということだけでなしに、産業全体が、その業種全体がどうすれば望ましい姿になっていくかというそのあり方の問題につきまして、業界なり学識経験者なり、われわれ通産省が寄りまして、産業構造審議会でいろいろ検討をする。それから場合によりますというと、これは事実上でございますが、通産省と業界、あるいは金融機関等も含めました懇談会を持ちまして、そこでその産業のあり方の問題を打ち出していく。なお、実際にどういう形で集約化するか、たとえば合併等の問題につきましては、これは個々の企業がそのあり方をみな納得をして結論が出た場合には、どこの企業とどこの企業が合併するかというような問題につきましては、企業の自主的な考え方によってその方向を打ち出していく。もちろんこれは独禁法に許された範囲内の合併であろうと思います。ただ、この合併等のにつきましては、国際情勢、国内情勢が変化をいたして、経済情勢が変化をいたしまして、封鎖経済の場合とあるいはこういう開放経済の場合とはおのずから違ってまいりますので、その独禁法の運用につきましては、私どもは公取には弾力的な考え方をとっていただきたい、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/132
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133・向井長年
○向井長年君 そうすると、そういう企業の自主的な合併については、いわゆる政府の助成、これは企業ごとにおのずから変わってくるわけですが、いわゆる金融の問題であれば開銀との問題もありましょうが、そういう問題については基準なしということですね。一応その企業の実態に即応した金融あるいは税制、まちまちということですね。
一つの基本がないということですね。いまの状態であれば。そういうことになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/133
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134・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 今度の国会に御承認を得たいと思っておりますたとえば企業の合併に関する税制措置というのは、これは中小企業も大企業も中堅企業も含めまして、その国際競争力をつけるための要するに税制というようなものをいま検討いたしておるわけであります。なお、ただ具体的に業種によりまして、繊維あるいは機械、あるいは石炭とみんなそれぞれ実態が違いますので、そういう場合につきましては、いろいろあり方は検討し、向かうべき姿は打ち出したいと思いますが、いまお話のように、いかなる形で集約化されてくるか、あるいは共同投資の場合もあれば、合併の場合もあれば、専門生産体制の確立という形もあるかと思いますが、そういう場合にはそれぞれの実態に応じて、できるだけそのあり方、方向は打ち出しますけれども、個々の企業がそれぞれの方向づけに基づきまして、自主的になるべく集約化を考えていく。場合によりますというと、誘導をするというような形はあり得るかと存じますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/134
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135・向井長年
○向井長年君 公取委員長にお伺いしますが、この法案は、われわれは公取の強化は非常に賛成なんですが、特に今回広島地方事務所設置、あるいは三十人の定員増、こういう形で出されておりますが、実際はどうなんですか。いまのような不況の中で、いろいろの経済情勢の変動の中で、公取の機能を発揮するためには、現状、こういう法改正の中から増強しようとしておりますが、事実上全般的に見て、もっと強化しなければならぬという意欲があると思うんですよ。その実態について、いま一例として本年度こういう法案が出されましたが、それに対する今後の取り組み方、あるいは増強、拡充、こういう問題については、構想としてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/135
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136・北島武雄
○政府委員(北島武雄君) 公正取引委員会のなすべき仕事の量、私は非常にあると思います。私は去年九月に公正取引委員会にまいりまして、仕事の内容を見ますと、もう少し人があったらばいい仕事ができるだろうなという仕事がたくさんありました。たとえば下請代金支払遅延等防止法にいたしましても、法律は備わっておるが、人員がいかにも少ないと、これではいわばしり抜けになるようなことも多いんじゃないかと、たとえば下請代金支払遅延等防止法執行にあたりましても、親事業者は事業所といたしましては一万二千もある。それに対してわずか本局で十二、三人の人員では二千ないし二千五百程度の親事業所、毎年ほんとうに頼りないわけでございます。その他最近問題になりました再販売価格維持契約にいたしましても、たった二人の人員でもって再販売価格維持契約を扱っております。そういうことでは実際情勢に応じてまいれません。あるいはまた、やみの価格協定なども相当私はあると思うんです。それに対しまして、現在の審査の人員、中央地方合わせまして、わずかに七十人程度、まあこれでは私はとうていいい仕事はできないと思いまして、まいりました当時は、もうすでに予算の概算要求をしておりまして、五十七名という人員要求でございましたが、できるだけその範囲において人を獲得することを目的といたしまして、予算的には三十三名の増、まあ実人員で三十三で、定員化すれば三十名でございますが、三十三名増を認められたわけでございますが、今後も有効適切な仕事をするために、なお機構などの拡充も必要でございますし、人員増加も必要でございますので、漸次年を追って拡充いたしてまいりたい、こう考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/136
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137・向井長年
○向井長年君 けっこうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/137
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138・赤間文三
○赤間文三君 企業局長にひとつお考えを……。例の博覧会の問題、おかげでだんだんに協会も軌道に乗って、もう担当大臣をなるべく早くつくってもらわぬと手おくれになると非常に心配しておる。博覧会の担当大臣をすみやかにつくってもらって、各省との連絡調整をやらないと間に合わぬのじゃないかと思う。これをひとつすみやかにつくってもらいたい。大体いつごろ担当大臣ができるのか。通産大臣がおそらくなられると思うのですが、これが一つ。
それからもう一つは、いま仕事を見てみますと、地元ということばがしょっちゅう出ますがね、私は端的に言うなら、地元は国全体が地元になるというような気もするのですね、地元は国全体。地元としての仕事をやるのは大阪府市商工会議所が地元代表で、これが命がけで三者一体になって事務を地元がやると、私はこのように思っている。あなた地元ということについてはどういうふうな御解釈をされておるか。あるいは近畿が地元か、あるいは西日本全体か、あるいは日本全体か、いろいろあると思う。人によって違う。私は地元という意味は広いが、地元の幹部というか、地元の事務をやる主たるところは府市商工会議所、これが調子がいい。こういう点をどういうふうに企業局としてはお考えになっておられるか。
それから第三番目は、事務所が東京と大阪にできるので非常に調子がよくなったが、主たる事務所は、会長が東京でやるなら東京を主たる事務所にしてやられたほうが能率が上がるんじゃないかというようにも考える。あなたは所管の局長でたいへん博覧会などにも一方ならぬ御苦労を願っているが、いま担当大臣、地元の点、それから事務所が二つあれば、東京のほうに力を入れてやられたほうが能率が上がる、その三点についてどういうふうなお考えを持っておられるか、率直にひとつお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/138
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139・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) 第一の博覧会担当大臣を置くことにつきましては、事務当局の一人といたしまして、ぜひ置いていただきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/139
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140・赤間文三
○赤間文三君 いつごろ、そこが聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/140
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141・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) そのいつごろかという時期の問題につきましては、これは大臣とよく御相談をいたしまして、できるだけ早目にきめていただくように大臣に申し上げたいと存じます。
それから第二点の地元ということばは、実は法律用語でも何でもございませんので、その地元という意味、使う場合の意味によりましてそれぞれ異なるかと思います。ただいまお話しのように、博覧会を実際どこの場所で開催するかといえば、これは大阪府ということになろうかと思いますし、それから実際の経過から申しますというと、御承知のように博覧会を大いに関西に誘致していこうというときには、経過から申しますると、市並びに七府県が要するにぜひ大阪へ、関西に誘致してくれといった経緯がございます。それから博覧会の要するにねらいは、国民的な規模でございますので、何も大阪あるいは近畿だけでなしに、日本全体としてこの大事業をやろうというわけでございますから、先生のおっしゃる博覧会の趣旨あるいは規模は、確かに全体だと思います。ただ問題は、この博覧会を実際にやっていく開催場所の問題と、それからこれに要する経費というものを、一体どこからどういうふうに出していくかという問題に実は関連があろうかと思いますので、むしろその問題は、国民経済的な事業といたしまして、そういう観点からその必要な資金は出されるべきものだ、こういうふうに考えております。したがいまして、その地元という意味がきわめてこれはばく然といたしておりまして、そのときどきの地元ということばが、いま私の申し上げましたように、何を具体的に問題にしているかということによって変わってくるのじゃないかと、かように考えます。
それから最後の、要するに東京と——本来大阪でその博覧会を開催し実施するわけでございますが、そのねらい、趣旨からいいますというと、実は大阪で全部が実施されるのが一番望ましいと思いますけれども、今度要するに東京から会長が選ばれた関係から、会長と大阪の副会長なりあるいは博覧会協会というこの実施団体との関係の連絡調整という問題が実はありますので、この点の連絡調整がうまく円滑にいくように、どういう方向で考えたらいいかという問題があろうかと思います。ただ実際には、やはり何といっても大阪に博覧会場が置かれている関係から申しますと、ほとんど実際の準備なり、あるいは当然開催された開催以降の運営は大阪でやりますので、やはり大阪が中心になるわけでございまして、主たる事務所というのはやはり私は大阪が中心ではなかろうか。ただ会長が東京から出されている関係から、会長との連絡等につきましては、これが円滑にいくように、東京のいま先生のおっしゃる事務所というものをどういうふうに考えていくかという点が今後の問題ではなかろうかと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/141
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142・赤間文三
○赤間文三君 いまのお答えごもっともと思いますが、地元とお尋ねした趣旨は、私は経費のことから地元負担とかいうことをいろいろ言われる、将来もそういうことが言われるだろうが、こういう国際的な博覧会の地元というものは、なかなか解釈によっては、私がおもに尋ねたのは、地元というのは経費を主として負担するというところが地元だと、こういうふうな意味で聞いた。それからもう一つ、東京を主たる事務所にしたほうが——事務所が東京と大阪とにありますね、大阪は実施を主としてやりますから、先々はなりますがね、会長が東京、それからまたあなたのようなほんとうに担当の局長なり担当大臣も東京におれば、ここで日本的なものすごいいい計画で、すごいものをつくろうということになると、あなたもこちらにおられるし、担当大臣もこちらにおられる、会長もこちらにいるということになると、東京で頭のいいものすごいものを多数集めて、いい計画をお立てになるならなって、そうして施行は大阪の博覧会の協会の事務所が、どんどんこちらと本省と地方庁のようなぐあいで、施行担当は大阪に願い、大計画は東京、こうきめたほうが調子かよくないかという考えを持っているのです。そういう意味でお尋ねしたわけです。その点について、もうこれで私質問を終わりますが、ちょっとその結論だけ聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/142
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143・島田喜仁
○政府委員(島田喜仁君) なかなかその計画を東京でやり、実施を大阪でやるといいましても、東京でもやはり相当なメンバーをまた集めませんと現実にはできませんので、三人や四人でやっても実はできないわけですから、これは考え方としてはあり得ますけれども、やはり大阪でやるだけやると、その計画もつくっていくと、ただ場合によりまして、東京のほうが、あるテーマにつきまして組みいいというような場合には、そういうものについては東京でやるということにいたしませんと、せっかく大阪で実施をやるわけですから、やはり計画と実施とがつながる、しかもスタッフはみな大阪にいるという関係から、これをなかなか二分するということは私は困難じゃなかろうか。ただ要するに、東京は政府との関係もございますし、会長の関係がありますから、その連絡を密にして、そうしてその計画が国民的な規模におきましてうまくいくような、そういう意味の東京事務所というようなことは、私は今後大いに検討する必要があると、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X01319660324/143
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144・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 他に御発言もなければ、本案に関する質疑は、本日のところこの程度にいたしたいと存じます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時散会
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