1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月二十六日(木曜日)
午前十時二十六分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 村上 春藏君
理 事
赤間 文三君
柳田桃太郎君
近藤 信一君
委 員
井川 伊平君
大谷藤之助君
剱木 亨弘君
近藤英一郎君
宮崎 正雄君
吉武 恵市君
大矢 正君
小柳 勇君
椿 繁夫君
藤田 進君
鈴木 一弘君
国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
政府委員
通商産業政務次
官 堀本 宜実君
通商産業省企業
局長 熊谷 典文君
通商産業省重工
業局長 高島 節男君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
参考人
日立精機株式会
社社長 市川 政章君
大日金属工業株
式会社社長 小山 省三君
株式会社島本鉄
工所社長 大里 武雄君
冨士機械製造株
式会社代表取締
役 坂上 守君
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本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○産業貿易及び経済計画等に関する調査
(日本万国博覧会に関する件)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/0
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001・村上春藏
○委員長(村上春藏君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
まず、理事会において協議いたしました事項について報告いたします。
本日午前は、機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案について、参考人出席の要求の御決定を願い、引き続いて参考人の方々から意見を伺いまして、午後は、日本万国博覧会に関する件の調査を行なうことにいたしましたので、御了承願いたいと存じます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/1
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002・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 機械工業振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
ただいま議題といたしました本案審査のために、本日の委員会に参考人として、日立精機株式会社社長市川政章君、大日金属工業株式会社社長小山省三君、株式会社島本鉄工所社長大里武雄君、富士機械製造株式会社代表取締役坂上守君の出席を求めて、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/2
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003・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 御異議ないと認めます。さよう決定いたします。
それでは四人の参考人の方々にすでに御出席をいただいておりますので、これから順次御意見を伺いたいと存じますが、その前に参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
参考人の方々には御多用のところ、当委員会のために御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。委員一同にかわりまして厚くお礼を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/3
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004・近藤信一
○近藤信一君 参考人の方々にきょうは出席願って御意見を聴取するわけですが、もし参考人の方で印刷物でもございましたならば、ひとつ委員の全員に御配付願えれば幸いだと思いますので、その点ひとつ委員長から取りはからってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/4
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005・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 参考人の方にちょっと申し上げますが、何か参考になる書類をお持ちなら委員の方に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/5
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006・市川政章
○参考人(市川政章君) 別段用意してございませんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/6
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007・小山省三
○参考人(小山省三君) 私どもグループの編成の書類は持っておりますけれども、それだけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/7
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008・村上春藏
○委員長(村上春藏君) それではそれだけ……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/8
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009・近藤信一
○近藤信一君 それでは持ってみえる人はお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/9
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010・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 御出席の皆さま方から工作機械工業の体制整備について御忌憚のない御意見を御開陳を願い、当委員会の参考に資したいと思います。
なお、議事の進め方について申し上げます。まず初めにお一人十分程度で御意見をお述べを願いまして、そのあとで委員から質問がありました場合にはお答えを願いたいと存じます。
それではまず市川参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/10
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011・市川政章
○参考人(市川政章君) 日立精機の市川であります。
工作機械というものは機械をつくる機械でございまして、あらゆる機械工業の基礎機械でございます。言ってみますと、耐久資本財と申しまして非常に重要な産業なわけであります。この点につきましては、すでに御承知かと思いますが、日本の高度経済成長時代、非常にこの工作機械工業というものは発展いたしまして、昭和三十七年をピークといたしておるわけでありますが、その後、日本の不況によりましてだんだん力が衰えてまいりまして、昭和三十七年と昭和四十年を比べてみますと、大体半分程度の力に落ち込んでしまったというのが工作機械工業の現状でございます。その間に、不況の中で非常に過当競争が起こりました。これは需給のバランスが破れたということになるわけですけれども、高度経済成長の中でたくさんなメーカーが生まれたわけでございます。そこで、生産力も非常に強化され、大きな生産力を持ってもそれが不況のために機械が売れなくなってしまった、いわゆる過剰投資といいますか、そういうことが叫ばれまして、投資意欲というものはだんだん衰えまして、われわれの機械というものが売れなくなってしまった。そこで、供給力が多くて需要が少なくなったという結果、非常に競争が起こって——過当競争というのはやはり販売上の問題であると思います。業界全体がこの問題につきましていろいろ方法をやったのでございますけれども、なかなか思うようにまかせない点がございます。
現在、日本に二十人以上の従業員を使っておる工作機械メーカーが三百社近くあると言われております。その中で、工作機械工業会という会の中におる会社が百五社現在ございます。この百五社の中であらゆる面を皆さんで相談して、工作機械工業発展のためにいろいろやってきたのでございますけれども、何ぶん不況の中で、いろいろ取りきめたことも実行されず、だんだんと過当競争の渦の中に巻き込まれてまって、すでに昨年、一昨年に業界の中でも十社あまり倒産した会社もあるような状況でございます。非常に数も多いし、いろんな話をいたしましてもなかなか話が通らないといいますか、実行できないという面があったわけであります。何としてでもやはり大事な産業であるがゆえに企業自体も維持継続させねばならぬ。同時に、あるいは輸出もさせなければならぬ、刻下のまた機械工業の設備更新にも役立てねばならぬという立場から考えまして、そのような状態ではよろしくない、何とかひとつ体制整備の方向を打ち出す必要があるのじゃないかということで、工業会といたしましても、昨年の十一月理事会を開きまして、「工作機械工業の現状と対策」という白書めいたものを出しまして、これが理事会で承認されまして、その中にいろんな内容が書いてあるわけでございますけれども、この内容に基づきまして、昨年十二月十三日に私ども工作機械第一グループというものを結成したわけでございます。
これは、なぜそういうグループをつくったかということになりますと、工業会全体の中では、いろいろやってみましても思うにまかせない点が多い。そこである程度お互い気心のわかった会社が同一歩調、あるいは共同的な問題を取り上げて、そこで自分らの経営姿勢を正す、そして過当競争の悪い面をひとつ取り去っていこう、こういうような考え方からグループ化したわけであります。言ってみれば、これは業務提携といいますか、あるいは集団とでもいいますか、そういうような形で、とにかく気心の合った会社同士で寄り合っていろんな話をやろう、それには何をするかというようなことが問題になるわけでありますけれどもこれは販売面が一番乱れておるから、販売面をひとつ正常化する方向を打ち出す、それから技術の開発あるいは交流、共同研究、こういったものであります。それから輸出をひとつ振興するためにお互いがひとつ話し合って共同行為をやっていこう、あるいは資材の共同購入であるとか、あるいは生産の共同化、そういったようなことを取り上げまして着々といま進めつつあるわけですが、まだこれが大きな成果だというものはないわけですけれども、いずれにしましても、その過当競争から抜け出して取引の正常化、あるいは企業の防衛といったようなことを考えながら、この産業というものを維持継続さしていきたい。同時に今日、日本の輸出が非常に伸びております。従来は工作機械というものは外国から輸入されたのが多いのでございますけれども、今日は逆に海外に輸出しておるということから考えますと、この輸出というものを将来どしどしひとつ伸ばしていきたい。これがためにはどうしたらいいかということになりますが、やはり技術の開発といいますか、そういうものをやはり取り上げてほしいと同時に、輸出というものを世界各国に振興させていくのにはやはり共同してやったほうが利益があるのじゃないか、各個ばらばらで輸出するよりはお互いが共同してそうした技術の面、価格の面、サービスの面、そうした面において十二分にお互いが協力していこうじゃないか、こんなことでグループというものが生まれたわけであります。今日、そのグループを中心にしてただいま申し上げたようないろいろな問題を取り上げて、よき方向に方向づけておるわけであります。簡単でございますが、以上申し上げましたことで、工作機械業界のいままで非常に乱れておったものをこの辺で姿勢を正し、同時に姿勢を正すためにグループ化して、たとえ一部なりとも正しい方向にそれを持っていこう、そうして技術の開発、企業の繁栄、輸出振興に大いに寄与したい、こういう念願でグループ活動をしておるわけであります。
以上簡単でありますが、ちょっといまの現状を申し上げた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/11
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012・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 次に小山参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/12
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013・小山省三
○参考人(小山省三君) 関西の大日本金属工業株式会社社長小山であります。
大阪グループと関西グループ、二つつくりまして、関西と中国、九州まで入っております。私のほうは、いま市川さんからお話がありましたが、ともかく工作機械工業は、所得倍増水準のときには大いに生産に力を入れて設備を拡大してきたというふうなことから、月産大体百億円くらいの生産力があったと思います。そこでこの両三年不況に見舞われまして、生産過剰、在庫がふえてきた、こういうふうなことで、人は整理するわけにいかぬ、こういう時代になりまして、このままいきますと、全部がつぶれてしまう、こういうふうな非常に悲しい事態に直面したわけであります。御承知のように工作機械は景気がよくなるときはあとからついてきて、悪くなると一番最初にカットされると、こういうふうな非常にもうからない苦しい産業であります。ともかく日本が今日戦後工作機械に力を入れたために、性能においても世界の水準に達しており、生産量におきましても欧米各国に比べて決して負けないのだ、こういう事態まで私ども業界が努力してこぎつけてきた、こういうふうな結果でございます。しかしこのままいきますと、先ほど申し上げましたように、全部つぶれてしまう。過当競争になってめちゃめちゃになってしまう、換金のためには値段も何も手段を選ばないのだ、こういうふうな事態もあるわけであります。そこで工作機械工業におきましてもいろいろ内部で立案いたしまして、ああしろこうしろ、生産分野をどうしたらいいか、こういうふうなことをやってきておるのでありますが、なかなかこれが実行ができないのであります、まとまりにつきまして。政府のほうでも、法律できめてもらっても運用がなかなかうまくいかない。一体どうしたものかというふうなことで寄り寄りみなが心配をしておるわけであります。ことに、関西は昨年六社倒産いたしまして、また本年になりまして、事業がふるわないというので、われわれのグループのほうから一社、社長以下現重役が全部退陣して新しい人と交代すると、こういうふうな実情でございます。そこで今年の三月に、これは何とかしなきゃいかぬといったところが、東京グループができる、第一グループができるということで、官僚統制にならないように気の合った者が寄り寄り相談していくより道がないということでできたというのが、このグループでございます。歩調を合わせてやらなきゃいかぬということで、メーカーが関西に三十、九州を合わせて三十三ございますが、そこでオープン方式をとりまして、好きな人はみな入ってくれ、何とかまとめてやろうじゃないか、しかし一つのグループにせいぜい六社以上入ってはもう相談できないんだ、だから三十全部入るということであったら、五つか六つにひとつ区切っていこうじゃないか、こういうことでオープン方式で相談を何回かいたしました結果、とにかくつぶれて整理会社に入っているところだけは、ひとつもっと落ちついてからやってくださいということで、現状動いているところだけということで、気の合ったところだけということでとりあえずできましたのが大阪グループが六社、関西グループが六社と、こういうことで成り立ったわけでございます。
そこで、そのメリットはどうかといいますと、業務提携をやって販売の正常化をしよう、こういうことと、過当競争をやめてつぶれないようにしようじゃないかという問題と、それから経営の協議をやっていこうじゃないか——生産調整ということはなかなかむずかしいことでございますが、これをひとつ相談して、どうしたらお互いに成り立っていけるのかということで、経営の協議もやりたい、それから技術の交流もやりたい、もう一つは、設備がないものは友好相互利用をしようじゃないか、それから人事の交流をやろうじゃないか、たとえばここが百人整理したと、百五十人整理したと、それならその人を——工作機械の技工というものはなかなか容易にできないわけでございます、熟練工は、そこで、やめた人は次にほしいところへ、一つのグループの中で回してその人を雇っていって、ほかの事業に転業しないうちに人事の交流をやっていったらどうかと、こういうことで先般来いろいろ協議いたしまして、お互いに工場を見学し合う、それからもっと掘り下げて仲よくやっていこうじゃないかということでだいぶ着々と進んでまいりましたので、この辺でひとつ力を入れて、どう持っていったらお互いが成り立っていくか、それからもう一つは、輸出にひとつ力を入れなきゃならぬ。私どものほうの関西グループというのは、みな資本金二千万円、千万円というような小企業ばかりでございます。それから大阪グループのほうも中企業でございまして、大企業はございません。そこで輸出にも大部分が経験が乏しい、こういうことでございます。私は中企業でございますけれども、年に五、六回世界各国回っておりまするので、輸出に少し経験がございますので、このほうで引っぱって、とにかく余ったものを輸出に向けていきたいとかように考えて、いま国内のお互いの間で余ったものを輸出に持っていかなきゃいかぬ、その方法をどうするかということで、いま寄り寄り協議しておる最中でございます。どうかそういう事情でございますので、あらまし御説明だけ申しまして、いまのところは非常に順調に進んでおる、こういうことを申し上げて、また民主的に、自主的にこれが進んでおる、その上でまたグループ間では仲よく歩調を合わせて、ひとつ工作機械全体がつぶれないように、繁栄していくように、もし工作機械がつぶれるということであったら日本の産業に重大な結果を生ずるものと、あらゆる産業が非常に心細いそういう基幹産業であるというわれわれ責任感を持ってやらなきゃいかぬと、かように考えております。
したがいまして、政府のほうといたしましては、何とか工作機械に対して助成措置をひとつ講じていただきたい。たとえば税金をまけてもらいたい、税負担をひとつ軽くしてもらいたい、償却をどうしてもらうか、輸出に対する減税を何とかひとつ考えていただきたいと、こういうことでございます。せっかく内部留保をせいと、こう言われましても、私どもはほとんど小企業でございまして、税金も六三%納めますと、あとの残ったものは原材料だけで、金は残らないのだと、こういうことでございます。でありますから、どうぞこの減税措置を——いいときに工作機械は内部留保して蓄積しなさいと、口では蓄積しなさいと言われましても、実際はできないのだ、三十何%残った利益というものは原材料だけだと、こういうことになりますと、不況のあおりを受けますと一番犠牲が大きく、一番つぶれやすいのだ、こういうことでございますので、輸出の面あるいは設備の償却の面、何らかの方法で減税をひとつ大幅にやっていただきたい、そして保護を加えてもらいたい。イギリスあたりでは、最近労働党内閣は設備を早く入れかえろ、こういうことを叫んでいるようであります。設備が古いからイギリスの経済は伸びないのだ、量がたくさんできないのだ、設備の入れかえをやれ、こういうことを指導しているようであります。日本におきましても、もう設備は相当できておりますので、これをどうやって活用していくかというところに問題がございますので、イタリアあたりは政府が工作機械の株を持っておりまして、配当も自由にしなさい、そうしてつぶれないようにする。政府が株を持っていると、銀行は金を安心して貸していいのじゃないかと、こういうことで保護を加えておるのでありますから、日本もイタリア並みとは申しませんでも、先般も大臣にお目にかかっても、どれもこれもみんな重要産業だ、こういう御意見のようでありますけれども、実際に掘り下げていただいて、工作機械がどれだけの重大使命を持っておるかということをひとつ御賢察願いまして、減税と、どうやって保護を加えるかということを御検討いただきましたら、非常にありがたいと思っております。
私以上申し上げましたような意見でございます。どうもありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/13
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014・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 次に、大里参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/14
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015・大里武雄
○参考人(大里武雄君) 島本鉄工所の社長をいたしております大里武雄でございます。
今般、私ども日本工作機械自動盤協議会というグループを結成をいたしました。自動盤と申しましても、実は私どもでつくっておりますグループの機械は、時計、カメラ、ラジオ、テレビ、それからタイマー、テープレコーダー、扇風機といったような大衆に非常に影響のございます、しかも最近相当な高い精度と量産性とを兼ね備え、しかも機械自体の寿命が長くなければならないといったような非常に過酷な条件のもとに、それらの条件を備えた自動盤を供給するというのが、私どものグループの会員の仕事でございます。実は約一年ばかり前から非常な過当競争が起こっておりまして、これを何とかしなきゃならないというので、約一年ばかり前から同種の自動盤メーカーの寄り合いをつくりまして、その代表者によりまして自動盤の懇談会を開催してまいりまして、すでにそれをもう十回ぐらい経過いたしておりますが、その中でいろいろと話してまいりますと、やはりこれはグループというものに成長さしたほうがいいだろうということが最近非常に強くなりまして、ここに今月グループを結成したような次第でございます。
実はその精度と申しましても、髪の毛の十分の一ぐらいというような精度までのものを出さなきゃならないということで、特にこういったような大衆に影響のあります平和産業でありまして、最近非常にたくさん外国にこれらのものが出ております。それらの加工の基盤になります自動盤の業界というものが非常に過当競争をしておるのでは、日本の工業に対しても非常に障害になるのみならず、私どもこういう非常にむずかしい仕事をしております者が、この過当競争の状態におきますと、逐次経営すらも困難になってくるというようなことに立ち至ったわけでありまして、したがいまして、懇談会の内容におきましても、だんだんとそういう意味において過当競争を避け、正当な意味の自由競争をしながら、しかも各企業の自主性を尊重して、自動盤業界とユーザーの各位に対して、合理的な最も目的の合った機械を供給したいというような目的のもとに、この際気の合った六社が寄りましてグループをつくった次第でございます。しかも、この六社はほとんど中小企業よりむしろ小企業のほうが多いというような状態でございます。現在百五社の工作機械工業会のメンバーの中で、自動盤をつくっております会社が約十九社ございます。その中で棒材と申しまして、材料が棒状になっておりますものを自動的に加工いたします業者八社の中で、六社の者が今回自動盤のグループをつくったわけでございます。問題は、特に私どものつくっております自動盤のむずかしさと申しますことは、材料と非常に関係がございます。ことに最近では世界的にこの自動盤が要求されるような傾向にもありますし、またこの機械によって加工されましたものが時計になり、あるいはテレビになり、ラジオになって、海外に出てまいりますにつきましては、いろいろ国際的な基準とか、あるいは価格というようなものを慎重に考えなければならぬ。その意味において、いままでのような各社単に懇談会という形式でやっておったのではらちがあかない。むしろこの際グルループをつくって、お互いに規格を統一し、お互いに技術を開発し、そういうことによって日本の精密工業界に貢献するのみならず、いまスイス、ドイツその他が競争している中に立ち至った日本が自動盤を世界に広げるためには、どうしてもグループの力によって新しい技術を開発し、あるいはまた業務提携あるいは生産提携というようなことによって進めるほかないのじゃないかというようなことによりまして、つくられましたのが私どものグループでございます。その運営につきましては、技術、生産、販売、特に輸出の面におきまして、いろいろ小委員会をつくりまして、その小委員会におきまして、おのおのの目的に合ったような行動、運営をしていきたいということでございます。ことに同機種でございます関係上、いろいろ規格を統一いたしたりいたしますと、そこにさらに生産上にも合理性が出てまいります。あるいはユーザーにしましても、さらに便宜を与えられるというようなことが強く考えられますので、それらについて今後お互いに技術的研究をし、あるいはさらに生産量の問題でも、設備の共用あるいは鋳物の共同購入、あるいは材料の統一による共同購入、あるいは刃物の共同購入、こういうような問題についても進もうというふうに考えております。ただ、そういうような問題になりますと、どうしてもここに共同行為が出てまいります。いま申しましたとおり、この六社のグループは比較的小企業でございまして、非常に資金量に不足を来たしております。しかしながら、御承知のとおり世界の大勢はだんだん自動盤に移りつつあります。だんだんとそういうことによりまして、世界のこういう製品に対して競争するためには、非常に高級なものを出さねばならぬと同時に、非常に使いやすく、また統一することによって、ユーザーに便宜を与えるために、共同行為はどうしても必要である、いままでこういうことはやったことはございませんが、しかしここまでまいりますと、いま過当競争を避けておのおのの企業が安定していくためには、それよりほか道がないのじゃないかということで共同行為をとりたい。ことに国内において、相当今日においてはいろいろマーケットの奪い合いもございますが、それらを調整するとともに、むしろこの際海外に共同の開発をしたい。たとえば展示会を共同で催したい、あるいはカタログを共同でつくりたい、あるいは国内におきましても研究会を共同で開いて、ユーザーに対する啓発をしたい、そういうようなことを考えております。ことに海外の問題につきましては、最近非常にこの六社の間で海外の輸出がいまだんだん軌道に乗りかかっております。ことに自動盤というものは非常にアフターサービスが大事でございます。売ってしまったからそれでいいというものではございませんで、海外におきましてサービスが十分にできませんと、これはその後の信用を落とす。ことにこの問題については、一社ばらばらになっておったのではできない。そのためには共同歩調をとらなければならない。そのためには海外のサービスの工場も、サービスの人間も派遣したいというようなことで、そのグループの発展、進化をはかっております。
まだ、できて早々でありますので、今後こまかい問題については逐次具体的な問題に入っていくつもりでございますけれども、要は、てんでんばらばらにいまやっているよりは固まって、そうして国内、国外ともにユーザーに対するサービスにつとめたい。ことにいま申し上げましたスイス、ドイツその他の自動盤のメーカーと競争していくためには、ただいまここで踏み切ることが非常に大事だということを考えております。そういう意味におきまして、政府の御鞭撻なり御指示なり御協力を受けたいと、切に考えております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/15
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016・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 次に、坂上参考人にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/16
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017・坂上守
○参考人(坂上守君) 私富士機械の坂上でございます。
私はグループに参加していないメーカーの一人として、今回呼ばれたのではないかと思っておりますが、工作機械工業の体制整備について、グループ化の問題、工作機械工業の今後の見通し、国会、政府に対する要望、こういうことについて見解を述べさしていただきます。
先ほど一部お話がありましたのですが、グループ化についての意見を申し述べます前に、業界再編成問題の背景としての問題を概略申し述べさしていただきます。
国内産業界の設備抑制による絶対需要量の減退と業界の過剰設備による操業率の低下、操業度維持のための過当競争が企業体質を悪化し、業界内を弱体化して窮地に追いこまれていた。業界の特性として乱立群小メーカーが多機種少量生産を行なっているため、自主調整が困難である。軽工業のウエートを先進国並みに重工業へ転換していく。それには貿易構造変化に伴う戦略企業としての当業界の国際競争力の強化の必要性がある。以上のような背景があったと考えられます。
グループ化につきましては、出発の時点とその後と区分して考えられます。先発グループの結成は業界秩序回復に対する刺激剤となる、こう考えます。そうしてその後数多くグループができましたが、過当競争の是正、集中生産によるコストダウンという本来の目的からは大幅に後退しておるのではないかと考えておりますが、しかしながら、このようなグループ編成ムードは体制整備への布石になってきたのではないかと考えております
今後の課題といたしまして、業界の今後の体制整備の方向といたしましては、高度な技術開発を推進し得る企業基盤を有する総合機種メーカー、この特長は国際競争力、それぞれ独自な分野を受け持つ単一機種メーカー、これが特色ではないかと思いますが、整理統合されます総合機種メーカーに対しましては、国は技術開発資金援助、単一機種メーカーに対しましては、企業集中化のための体制金融等の措置をはかり、質量ともに前者に比肩し得る企業規模に育成すべきであると考えております。さらに将来においてはグループ相互間の技術の共用化を考えるべきであると考えております。業界といたしましては、この目標に向かって現在のグループを大幅に再編成していくことが望ましいと考えております。当面は、企業といたしましては、各メーカー間の生産機種の調整、現グループにおける共同活動の活発化、政府といたしましては、他業界よりの進出の規制、並びに技術提携の影響を検討、業界内の同一機種グループにおける共同技術開発に対する振興法の有効な適用を行なっていただきたいと思います。以上いずれも業界として反省努力いたしまして、また政府としても強力な指導をお願いしたいと思っている次第でございます。
最後に、これらの考えの上に立ちまして、当社の立場を説明さしていただきます。業界の秩序回復に関して、現在のグループは根本的な役割りを果たし得ないと考えておりまして、当社は独自な立場で適正取引を行なってまいりましたし、今後も行なっていくつもりでございます。私ども製品の開発研究、独自の輸出努力を重ねてまいりまして、この製品につきましては、製品が日本独得の独創から出発したということ、これが役立ちまして、ここ数年間膨張しました加工産業に対しまして、外国のこれらの機械の輸入を阻止した。過去五年間に約一万台の機械を生産しまして、国内の加工工場に送り込んだのでございますが、また独自に輸出努力をしてまいりまして、現在かなりの輸出可能な状態になってまいりました。現在のグループが業界の体制整備に対しまして、効果的な役割りを果たし、かつ当社としてメリットが期待できるならば、積極的にこれに参加していくという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/17
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018・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 以上で参考人の方々の御意見の開陳は終わりました。
それでは参考人の方々に対して質疑のおありの方は順次に御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/18
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019・近藤信一
○近藤信一君 参考人の方々からは、たいへん貴重な御意見を承ったわけでございますが、これから若干の質問をいたしたいと思いますが、その前に通産省に一、二点お尋ねしておきたいと思います。
ただいま参考人からいろいろグループ化の御意見がございまして、ちょうど十七日の日本工作機械自動盤協議会の結成によりまして、現在十グループが組織されております。これは先ほども参考人からも述べられておりましたが、業界全体を網羅したというわけでもなくて、やはり百五社のうち四十四社で、この十グループの工作機械業者のシェアは約五六%くらいであるとこう思うのです。そういたしますと、残り四十数%というものがグループを結成していないということに相なるわけでございます。そういたしますると、今後このグループ化の動きというものは一体どのような状態になっていくのか、通産省は十グループの編成ということを見まして、これで一応グループ化というものが終わったというふうに考えておられるのか、またそれとも今後さらに取り残された商社関係でこのグループというものができていくというふうに考えておられるのか、その点はどのように判断をしておられるのか。
さらにもう一つは、いま中企業の方々の御意見もございましたが、このグループ化は主として四社なり六社ということで、この第一グループ、また大阪第二グループといいますか、こういう関係はおおむね大企業の人が中心となってつくっておられる。工作機械業界では、小の工作機械業者というものももちろんあるわけでございますから、将来またこれらの点についてもいろいろと動きというものが出てくるのじゃないかと思うのですが、この点はどう判断しておられるのか、この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/19
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020・高島節男
○政府委員(高島節男君) ただいまの近藤先生の御質問にお答えいたします。
第一点の参考人各位から申し述べられましたグループ化の現在の段取りのお話がありましたように、大体五六%見当かと思いますが、その程度のところで十グループできておる。それからなおやっていく動きというものが続くのかどうかの判断、非常にこれはむずかしい判断を要しますし、私もまだ着任早々で、その実感は一〇〇%の確信はございませんが、大体大きいところが中心になる動き、全般に資本金その他から見て小さい業界ではございませんが、比較的に大きいところを中心としての動きは一段落の段階にきつつあるのではないかと思います。それからそちらのほうが一段落して、それからなお動きとして考えられますのは、中小を中心としましたグループ化と申しますか、何か仲間をつくっていこうという方向の動きというものは相当出てくるのではないか。その結果全体の一〇〇%になるかどうか、これにはたとえば兼業でやっております特殊のメーカーもございますし、いまるる御説明がありましたような特殊な注文生産体制をとっていく会社もございますから、全般がまとまるということには非常になりにくいとは思いますけれども、半分に満たないところでとどまるということはない。さらに中小企業を中心とした動きにはなお期待をかけていいのではないか、こういう私なりの判断を実はいたしております。
それから第二点でございますが、グループ化の内容が大体自然発生的と申しますか、地域的あるいは気の合った同士、あるいはまあ同機種、いろいろな動機がございましょうが、それを基礎にいたしまして集まってまいります関係上、比較的小さいほうにはそういった可能性が薄くなりはせぬか、あるいはこれからそういった可能性があるのか、第一の御質問にさらに突っ込んだポイントになるかと思いますが、その点は工作機械業界全体が、今度の不幸なことではありましたが、景気調整のためにいろいろな意味でつらい経験をされた過程を経てきておると思います。中にはもちろんこういう特殊な分野でございますから、一人一業で、おれのところは非常に特別の考えを持ってやっていくのだという考え方でやっていかれるところもございましょうし、またそれで競争力があるという分野もありましょうが、大勢としては、やはりいま乱れておる生産分野というものを究極において何らかの形で調整していって、少しでも大量生産、あるいは規格化という方向に向かっていかなければ、今後の経済成長の中でうまく伸びていく、さらにマーケットとして海外に期待をするということはできない情勢になってまいりました。いよいよ国際競争力、積極的に外へ出ていくという競争力をつけていくということには、そこまでやらなければいかぬということは業界の皆さんの気持ちにしみ通っているという感じがいたします。したがって今後の動きといたしましては、やはり大きいところだけの動きでなく、中小を中心にいたしました分野において相当いろいろな形をとって、あるいは提携という名でくることもありましょうし、あるいはグループ化という名でくることもありましょうが、いずれにしてもお互いに一緒になってやっていこうという気持ちは出てまいると思います。したがって、その動きには私としても相当大きく期待をかけていいのではないか。ただ、それに即応した全体の受け入れ態勢と申しますか、政府側のほうの態勢もそれに応じて機械工業振興法の体制確立をはじめ、整備していかなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/20
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021・近藤信一
○近藤信一君 もう一点お伺いするのですが、エコノミストの記事によりますると、中小企業の中では、グループをつくってどんな効果があるか、これは疑問ではあるけれども、何か取り残されるといけないというふうなことで、いわゆるほんとうの小のほうのグループの動きというものは出ておるやに私聞くわけなんです。それらはやはり今後一体何を目標とするのか、この点はそういう小企業の工作機械の業者自身も私ははっきりとわかっていないのじゃないかとこう思うのです。現にエコノミストによりますと、愛知県では、何か六十社くらいが団結してグループをつくるのだというふうなこともエコノミストに出ている。先ほどの参考人の御意見からいくと、いわゆるグループというものはそう数多くでグループをつくっても意味がないのだ。せいぜい六社までぐらいだというふうな御意見もあったわけなんですが、そういう御意見があるところに五十社も六十社も寄って小企業のグループというものができて、一体どのような意義があるか、こう私は思うのですが、その点はあなたのほうはどう判断をしておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/21
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022・高島節男
○政府委員(高島節男君) 御質問の点、まことに判断のむずかしいところであり、そこにこの業界の体制整備のむずかしさ、深刻さがまさに存在をいたしているかと思います。確かに先ほどおっしゃいましたように、少数であるほうがグループとしての体をなす、その結果、グループが次第に発展をいたしてまいりまして、将来生産分野の調整もできていく。機械工業振興法あたりが理想としております姿に近づいていきますとともに、その部分としてはそれが一つのねらいであり、手っとり早い方法である、これは非常に力といいますか、比較的足並みのそろった、よしあしをいっては恐縮でありますが、比較的うまくゆく分野でのお話として、まことにそうであろうと思います。そういう形の結合が出てまいったことは、私どもとしてはまことに喜ばしいと、こう思っておりますが、他方小さい業者としても、こういった苦しい経験をし、なるほど御指摘のように、一人一人としてはどういった認識をお持ちになるか、これは個人差がございますから、非常にむずかしいところで、副業等でやっておりますところや、特殊の品物をつくっているようなところは、一人一本で将来もいくのだという判断が当たっていることもございましょうが、大勢としては、一人でやっておったのでは、販売もよくないし、あるいは輸出なり何なりに食いつくこともできないし、技術も進歩しないということが大体の大勢観察であろうかと思います。これは机上の空論で申し上げてもしかたのないことでございますが、業界の一人一人がその意味である程度ここで体験をしてきておられるのが貴重なことではないかという感じがいたすわけでありますが、そういう情勢を踏まえまして考えてみますと、小さい方がかりに六十社、七十社という多数であっても、何かお互いに集まって話し合ってみようじゃないか、こういった機運は、大きな成果は、御指摘のように期待できないかもしれません。しかし、実態いかんによっては、機種も違い、立場も違い、互いの工場のあり場所も違っておっても、集まって話し合ってみる体制にいくということは、一がいに悪いことではないのではなかろうか。ただ、そういった形でまとまったものが、ほかのわりあいにすっきりできているグループとうまく将来マッチしていくのに問題を残すのではないかということは、抽象的には一応言えますが、工作機械業界の今日までの体制整備は、先般からの御指摘で明らかなように、非常に問題を残しつつ、十年間の機振法の運用期間を過ごしてきた業界でもございますので、これからいよいよ本番というところであります。したがって、グループ化というようなことが本番への一つの準備活動として歩まねばならぬ段階としてお考えになっていると思いますので、したがって、非常に多いのでお前らで集まってみてもむだだということは、私個人としての気持ちとしては言いにくい、言わないでいいことではないか。そういうことから何かの問題の解決の手がかりと、各企業者の問題の認識というものが深まってまいりますれば、これは一つの何ではないだろうか。したがって、それだけたくさん集まってなかなかうまくいかないであろうということは懸念しつつも、集まらないよりもひとつ前進ではないか、こういう判断をいたします。六十社の内容等につきまして、まだ具体的に私も詳細に分析をいたしておりませんので、十分の自信はございませんが、全体の方向といたしましては、集まる方向、話し合う方向というものは、これはけっこうなことではないだろうかというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/22
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023・近藤信一
○近藤信一君 それでは、まず市川参考人にちょっとお尋ねするわけでございますが、第一グループは比較的企業のしっかりしている会社のグループでございまするから、市川さんにお尋ねするわけですが、市川さんも先ほど言われましたように、二十人以上従業員を使っている工場は約三百社ある。特に工作工業会に入っているのは百五社で、そこで今度あなたのほうでは工作機械工業の体制整備ということで、まずこのグループ化の第一段階としておやりになられて、四社でしたか、五社がグループをおつくりになられた。そこでグループをつくられましたまずゆえんというものは、きょうまでに、あなたのほうが第一グループとしてできまして後、十グループができまして、これはやはり今後これが合同だとか合併だとか、こういう方向に向ってあなたのほうが将来編成していかれるようなお考えであるか、その第一段階としてこのグループ化によるまず共同行為をやっていこう、こういうふうなお考えか、いまも重工業局長が、そういうグループがよけいできることは好ましいことであると、こう言われておりましたが、グループが幾つもできていった結果、やはり何らかの目標というものが最後になければならぬ。しかし、考えてみますと、現に工業会というものがあって、百五社というものがこの工業会に加盟しておられる。そういう点から考えると、将来再編成のための大同団結への方向かどうか、そういう点どのようにあなたのほうはお考えになっておられるのか、この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/23
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024・市川政章
○参考人(市川政章君) お答え申し上げます。現在のグループというものは、にわかに企業合同というところまではいけないのじゃないかと思います。しかし、グループというものをだんだん固めてまいりまして、そうして工作機械というものは非常に種類が多いわけであります。いま私どものほうのグループというのは、異機種のものが大体まとまっておりますが、この異機種の中で、さらにこれにつながる同機種がグループ以外にまだあるわけであります。そういう方々と工業会を中心にして、いろいろな話し合いが今後なされていくと思います。そういう中でグループ活動をした結果、やはり企業合同あるいは異機種、同機種が一緒になって企業の運営をやったほうがいいのじゃないかというようなことに進んでいきますならば、私は日本の産業再編成のためには非常に好ましいことだ、こう思うのですけれども、現状ではなかなか企業の合併ということはむずかしいのじゃないか、かように考えております。なぜむずかしいかと申しますと、企業自体それぞれみんな事情が違うわけです。やっておる仕事もみんな違います。それぞれの特徴を持った製品をつくっておるわけです。同時に企業内容もそれぞれ変わっておるわけであります。あるいは企業系列、資本系列、商社系列、いろんな複雑な要素が企業の中に入っておりまして、現在の企業経営責任者の考えだけではいかない場合が多々ある、こう思うのです。そんな事情でございますので、にわかに企業の合同合併ということはむずかしいかもわからないけれども、やはり日本の産業の発展、あるいは企業の再編成のためにはそういう方向にだんだん固まっていくことを私どもは望ましいと、こう思っております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/24
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025・近藤信一
○近藤信一君 いま市川さんの御答弁にも、やはり将来すぐに合同合併ということは考えておらない、しかしお互いにグループをつくってそしていろんな調査等もやっていきたい、そういうことでございまして、きょうはグループの三人の方に来ていただいて、まだほかにもあるわけでございまするけれども、やはりお互いに違った生産をやっておられるとも私思うのです、各グループが。それで各グループのそれぞれのまた目標というものがあろうかと思うのですが、皆さん方がグループをつくっても、やはりいままでと違わないような過当競争が行なわれるのじゃないかということもまた一方考えられるわけでございますが、こういう点について、あなたのほうで機種やそれから生産の面、こういう面でお互いグループ同士が違った方向でグループをつくっておられると思うのですが、その点は三グループの方々が、大きな目標というものは生産調査をするとか、また販売の面だとか、技術の革新、これはお三方がそれぞれ御意見を述べておられるのですけれども、やはり将来お互いのグループの方向というものを持っておられると思うのですが、その点についてお三方からひとつそれぞれ御意見が聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/25
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026・市川政章
○参考人(市川政章君) 私から先に申し上げます。いまおっしゃいますように、大きな目的は大体似たり寄ったりだと、こう思うのですが、こまかい点につきましては、そのグループの運営いかんによる、またそのグループに参加した会社の意向が反映いたしましていろいろ内容を考えていくことがあろうかと思うのですが、大体私どもの考えておりますのは、まあ五社といってもいろいろ共通な面があるわけです。機械の部品にいたしましても共通な面がございます。それからユニットと申しまして、大事な部分が大体同じであるというようなこともあるわけでございます。そういうようなものをできるだけどこかの会社で——どこかというとおかしいですが、五社の中のA社ならA社でまとめてやる、要するに部分的にそれをまとめてやるというようなことも考えていきたいと思っております。そういうことによりまして非常にコストダウンになりますし、能率の向上にもなりますしいたしますので、そんなことを考えております。そしてダブっておるものはどこか一社にまとめてしまうというように生産分野というものをはっきりさせたい。お互いの専門分野で採算がとれるように、効率をあげるようにということをいまのところ考えております。一番大事なことは、先刻も触れたのですが、海外に輸出する場合には各社それぞれが人間を派遣したりサービスをしたり、あるいは連絡をとったり非常な費用がかかりますので、このグループ化によりまして、どこかの会社が代表して人を派遣すれば、グループ内の各社の意向を伝達もし、また各社の仕事の内容をよく勉強して、そうしてその在ですべてのサービスなり連絡なりというものを引き受けるようにしよう、こういうようなこと。それから共同展示といいますか、どこかの国に輸出ができそうだという場合に、そのグループを中心にして、もちろん一つのグループだけでなしに、いわゆる他のグループにも呼びかけて、そうして相手の国の必要とする機械をそこに陳列するというような共同行為があると思います。従来は輸出といいましても、各社がてんでんばらばらにやっておるわけです。もちろん商社も介在しておりますけれども、そういう状態では、結局商売でもうけても費用倒れという面が非常に多いわけです。そういう点は少なくとも輸出には非常に大事なことでありますし、非常に経費の節約もできる。せっかく輸出するわけですから、やはり日本の国の収益のためになるように、また企業としてもそれがプラスになるようにということにはかなり役立つんじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/26
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027・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 小山参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/27
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028・小山省三
○参考人(小山省三君) ただいま市川さんから御説明があったと同じような考え方でございますが、私ども関西側といたしましては、みな異機種グループでございますが、工作機械という一つの企業の形態からまいりますと、同一機種のグループであっても異機種グループであっても、私は少なくとも同じようないき方でいいんじゃないか、工作機械に限っては私はもう同じメリットは出てくるんじゃないか、かように考えております。同一機種の場合のグループは多少生産の調整というお互い同士の話し合いもできるかもしれませんけれども、異機種グループでありましても、やはりそういうことをお互いに持ち寄って話し合う、こういうことからいきますと、私はちっとも変わらぬと思うんです。そういうことだけで私は答弁とさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/28
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029・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 次に大里参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/29
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030・大里武雄
○参考人(大里武雄君) 私のほうは、先ほど申し上げました同機種のグループでございますが、同機種という関係上非常に機械が似ております。しかし、非常に主要なポイントとなりますと、そのメーカーメーカーの特殊の考案と特殊の技術が駆使されております。それを除きますと、比較的機械が似ておりますだけにダブっておる。パーツが相当ございます。そういうわけで、これはその会社自体でなければできないというもの以外のものはなるたけ共通にして、A社B社C社が共通というようになればユーザーのほうもいいし、メーカーのほうも、主要なポイントでこれがわが社の運命をきめるというようなもの以外は共通してもかまわないんだ、そういう点が多々ございますので、そういう方向に向かって進んでいきますことがだんだん品物もよくなりますし、ユーザーのほうへも便宜を与えるということが主眼になって今後運営されていくことになると思います。ただし、合同とか合併とかいうような問題は、いまのところ何も考えておりませんけれども、何かのきっかけでそういうことが出るかもしれませんけれども、現在のところそういうような状態ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/30
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031・近藤信一
○近藤信一君 いま御答弁願いますと、やはり目的は同じような目的を持っておられるわけなんですが、そういたしますと、先ほど私が申しましたように、いままでは各社がそれぞれ過当競争しておったのが、今度はグループ間の過当競争になるんじゃないかという心配が私は出てくるんじゃないかと思うので、そこで現在各グループが十できましたそのグループ間で、連絡なり協調なりというふうなことをやっておられるのかどうか、その点いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/31
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032・市川政章
○参考人(市川政章君) お答えいたします。
いまの問題につきましては、日本工作機械工業会という母体があるわけでございます。この母体の中にいろいろな部門があります。その中でグループ間の調整とでもいいますか話し合いといいますか、そういうことをやるというたてまえになっております。われわれグループをつくるときにも工業会というものを無視してとか、あるいはそのワクの外でやろうという考えでなしに、やはり日本の工作機械工業会というそういう中でグループをつくったわけですから、したがって、グループが幾つできようとも、その工業会という母体の中で横の連絡は十分していく。それからグループをつくりました主たる会社の責任者、こういう方々にも機会あるごとに横の連絡を十分とって、やはりグループをつくった以上は、グループとしてのいわゆる調整といいますか、協調といいますか、そういうものを十分やっていこうというたてまえになっております。ですからグループ間で現在以上、あるいはこれまで以上のばかな競争が起こるのじゃないかという御懸念については私はないと信じております。私どももないような努力を今後続けてまいりたいと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/32
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033・近藤信一
○近藤信一君 現在十グループの工作業界におけるところのシェアというものは五六%前後だといわれております。そういたしますると、まだ四〇数%というものが残されておるわけでございますし、そこで先ほど来言っておられるグループというものはあまり多くてはいけない、まあ六社ぐらいが最高だろうというような御説明もあったわけでございますが、残されておる方々がもしあなた方のグループに希望して、ぜひ加盟さしていただきたいと、こういうふうな申し入れがあった場合に、それに対してどのような扱いをするか、いわゆる門戸を開放しておるのか、もうグループは三なり四なりまた六でこれは結成しておるんだから、もうあとはお断わりだと、こういう方向になるのか、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/33
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034・市川政章
○参考人(市川政章君) 私ども第一グループの場合は、いま五社で結成しておりますが、その五社以外でも準会員というのが二社でございます。これは豊田工機の子会社で東洋歯車と豊興工業という会社がございます。これはいずれも工業会のメンバーでございます。ですから正会員が五社、準会員が二社と都合七社ということになっておりますが、準会員は表に立っておりませんけれども、この五社の中である程度このグループというものの目的を成就させなきゃいかんということを考えております。それができないで、やたらに門戸を開放してどしどし入ってもかまわないということでやりますと、ただ事務的に混乱もし、意見も非常に複雑になってまいりまして、このグループの運営がやりにくくなるのじゃないかというおそれを持っておるわけであります。しかしながら今後必要があれば、あるいは機種によってはグループに参加させるといいますか、参加していただくということがあり得ると思うのです。現状ではまだ私どもは基礎固めをするまでは、にわかにさらに会員をふやすんだとか、グループに入れるんだということは考えておりませんが、やはり長い目で見ますと、必要があればさらに他の異機種も入っていただきたい、こういうことも考えております。もちろん入っていただくにはそれぞれの条件があると私は思うのです。われわれの仲間としてやはり協力してくださるのか、あるいはまた企業内容としてもグループになったことが一つのプラスになるかどうかというふうな、いろんなあらゆる角度からの条件が私はなきやならんと思うのです。ただ入りたいから入れるんだということでは何の意味もないと思いますので、そういう条件次第によっては今後あり得るというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/34
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035・椿繁夫
○椿繁夫君 ちょっと党務のためにおくれて参りまして、皆さんの御意見を聞くことができなかったのですが、いまの近藤委員の御質問に関連して、各グループが共同活動をやられるわけですが、これを推進してまいりますための事務局といいますか、それは加盟の各社から職員を出してやっておられるのか。それから経費の分担は会社の規模別でやっておられるのか、資本金額によって負担されるのか、あるいは均一なのかどうかというふうなことを、それぞれ違うとは思いますけれども、共通して現状をひとつ伺いたいと思います。
それからもう一つは、これは重工業局長にお尋ねしたいのですが、このように業界ではグループ化を促進することによって過当競争を是正していこう、あるいは海外の輸出のために共同のPRをやったり、対外競争力を強めていこうということで努力をしておられるわけですが、工作機械の主要な原材料である鉄鋼の不況カルテル——あんまり設備、人、技術というものを一〇〇%に動かしていくと価格が下がるというようなことで、また生産調整を継続していこうというような動きがあるわけですが、公取はあんまりそういう傾向は好ましくないということを言っておられる。通産省はまだ態度を明確にしておられない。こういうグループができた場合、何か主要な原材料である鉄鋼価格などについて便宜をはかっていくようなつもりで、いまの鉄鋼の不況カルテルというふうなものはやはり見ていかなければならぬのじゃないかと、こう思うのですが、この点に対する政府の方針。
それからもう一つは、各グループが共同のPRをやって、そして海外輸出増加をはかっていく、競争力を強めていこうと努力しておられるのですが、鉄鋼の価格に、輸出をした分については国内価格とは違う鉄の価格を定めておる業種もあるのですが、こういうグループの結成が推進される場合、そういう輸出に対する原材料価格の特例というものを現に認めておられるのか。認めていないとすれば今後の方針はどうかというようなことをあわせて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/35
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036・小山省三
○参考人(小山省三君) ただいまお尋ねの会費を取るのかどうかという問題でございますが、私どもの二つの関西グループの問題は、これは小企業でございます。私の大阪グループの場合は中小企業でございますので、なるべく経費をかけないでやろうと、こういうふうなたてまえでございまして、事務局もございません。回り当番制にいたしております。それから会費といいますのはお茶菓子で、番茶とお茶菓子、こういうことで会費を月に千円取っております。それから事務所も部屋を借りますと経費がかかりますので、私の会社の一室をあけまして、そこを自由に使ってくださいと、こういうように提供いたしております。さような次第でございますので、これはもうどこまでも事業といいますか、商売というふうなことにつながりますので、実質本位に、形にとらわれずにやりたい。お互いに仲よくひとつ腹を割って相談していきたい。その前に私どもは月一回代表者、経営者、社長会をやりまして、それから同時に営業部会が一回、技術部会が一回、資材部会その他の部会が一回、こういうふうなことで、原則的といたしましては各部会が月一回会合する、こういうことで千円の会費でまかなうようにいたしております。ちょっと御参考までに……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/36
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037・高島節男
○政府委員(高島節男君) ただいま椿先生の御質問の原材料価格の点につきまして、特に鉄鋼という点でお答えを申し上げます。
機械業界は鉄の大きな需要者でございますが、先般ちょうど先生おいでの前にグループ化というものの中身の御説明が詳細にございました。端的に申しまして、グループ活動というものはきちっとした協調体制といいますか、それに行くまでの間にまだ前座といいますか、とにかく気の合った同士が集まって販売条件や、輸出条件や、生産条件や、そういうものが幾ぶんなりともお互いに協力することで合理的なものにならないものかということの協調の話し合いを初めたらどうかという段階に現在あるわけでございます。したがって機械工業振興法でねらっておりますところの将来の機械工業の姿というものには、はなはだ残念ながら十年間この法律を施行してきましたけれども、まだそれに十分乗り得る体制にまで移っていない。したがって業種別の合理化計画、この業界はこの辺にいくのだ、したがって政府はこの辺に援助をしていくということとはまだ結びつき得ない前の段階で工作機械は今日まできた。それは一時非常に好況で注文がよかったから、それにお互いに引っぱられまして、協調ということよりはまず進むという時代であった。今度は非常に不況になった。したがって現在その日のことに追われて先のことは考えられないという、まことにめぐり合わせの悪いことで今日まできておるのでありまして、今日までの体制は、機械工業はいまのところはグループをつくって、何かそこにお互いの協調の手がかりはないか、お互いに何かそこに協調のその手がかりの題材が、いま四人の方からいろいろお話がありましたような形のことが描かれて、これから進もうという段階にございます。したがってその中の一つにあります原材料の買い方という問題になってまいりますが、原材料の共同購入の体制をはっきりつくりまして、これによって生産のための、需要の鉄鋼のロットを大きくして、そうしてこういう形でまとめて買うからひとつ値段を引いてほしいといった体制に持ち込む合理的な基盤がまだほとんどできていない状態に現在のところございます。したがってそういう条件が今後整いますれば、原材料の共同購入ということは本法でできることになっておりますが、そこの体制がグループ化をきっかけにしてだんだんでき上がってまいりますれば、将来の合理化目標、本年度の合理化目標等を定めまして調整をやってまいりますると、それに基づいて原材料のメーカー、鉄に限らず、銅等もむずかしい問題もございますが、そういうふうにやっていくという体制になっていくのではないかと思います。
以上が現在の工作機械の段階でございますので、われわれとしてはもう一息この体制が進んでいく、ロットが大きくなった注文になっていく、そういう注文になっていくのを願っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/37
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038・椿繁夫
○椿繁夫君 重工業局からは、輸出の場合でも同じようなことなのかということが一つ。それから各グループも、小山参考人の大阪グループの場合には千円の会費でやっておるというお話でございましたが、大体同じような傾向でございましょうか。あわせてお尋ねをいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/38
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039・高島節男
○政府委員(高島節男君) 現在工作機械の輸出はまだまとまった大きなものが出ない段階にございます。兼業の大手筋では相当の輸出があるかと思いますが、現在非常に努力されて伸びる形にはございますが、大きくまとまった形にはなっていない。したがって輸出であるから特にまめとてロットが大きくなって原材料の注文が伸びていくという、こういう形にはなっておりません。したがって現在私も着任早々で、こまかい数字は詳細は存じておりません。おそらく一般の形での注文をなさっているものと思います。これも全体の体制がいま一息推進されていくという形になってきました機会に、これをうまく指導いたしまして、大きなロットで輸出用のものあるいは国内用も引っくるめて持っていくような体制に一日も早くしたいものだというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/39
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040・市川政章
○参考人(市川政章君) 先ほどのグループの事務所、あるいは経費をどうするかということでございますが、私どものグループでは各社から人間を派遣していただきまして、いまのところ四、五人でやっておるわけでございます。それは各社から派遣していただいて、その人件費は各社の負担ということでやっております。ですから経費だけになりますが、事務所も持っておりますが、これも私どものあいている部屋を一時提供しまして、そこを事務所としておるわけでありますが、割り振りは均等割りが四割、それから売り上げ高によって六割といったような経費のやり方でやっております。余ったら返すというふうにやっております。そんなふうにやっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/40
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041・大里武雄
○参考人(大里武雄君) 私のほうは今月できたばかりでございまして、まだ日が浅いのでございますけれども、大体事務所はある一カ所にまとめております。会費の点につきましては、いろいろ議論が出たのでございますが、やはり大体小企業でありますから、ただいま市川参考人からお話がございましたが、月に七千円で、余ったら返す。一応さしあたっては会員それぞれ七千円出そうじゃないかということで張り切っております。多いか少ないか運営してみまして、よくまた調整をとりたい、一応そういうことで事務所を一カ所、電話、女子一名、それから男の事務員を一人置きまして、それらを朝から晩までやることはできませんが、七千円でやろう、こういうことにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/41
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042・近藤信一
○近藤信一君 せっかくお越し願ったのだから、もっと私ゆっくり詳しくお尋ねしたいと思っていましたけれども、大臣が十二時ごろ来て別なことをやらなければなりませんので、簡単にあと二、三御質問をしたいと思うのですが、御承知のように協同組合は加入脱退の自由というものがあります。あなたのほうのグループは加入脱退ということについてどういうふうに取り扱っておられるか。たとえば最初はグループ化に賛成して入られた、ところが、一年なり二年なりやってみてどうもいかん、悪いということで今度脱退される、そういたしますと、グループをつくったという意義というものがなくなっていくのではないか、こういうことも一面考えられるわけでございまするから、この点をお尋ねしますと同時に、さらにグループに入っていないのはたくさんあるわけでございまするから、あなたのほうの今後の運営、グループをつくられて運営の面においていろいろと脱退されるものが多くなってくると、グループの運営について支障を来たすのじゃないか、こういうことも考えられるわけでございますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/42
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043・市川政章
○参考人(市川政章君) 私どものグループは法的な規制も何にもない任意団体でございますので、その点はある程度自由にまかしております。このグループをつくりましたのは、どこまでも会社の自主性といいますか、独自性といいますか、そういうものを尊重しているわけなんです。それを基盤にしてグループ化しているわけですから、その会社の都合によってグループから抜けたいということを言いますと、それを拒む理由もないし、これはその会社の自由にまかしております。残った会社だけで所期の目的を完遂する以外にないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/43
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044・近藤信一
○近藤信一君 第一グループ、それから大阪グループのほうは異機種メーカー、いわゆる機種の異ったメーカーの間でグループがつくられておる。そうして機種調整、専門生産体制の調整、こういうことが主にした目的であるわけでありますが、今後どういうふうにそれを扱っていかれるのか。さらにこの自動盤協議会のほうは、同機種メーカーによるグループでございますから、今後生産分野の調整という問題が出てくることは当然でございますから、これについて自動盤のグループのほうはどういうふうに進めていかれるのか、この点あわせてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/44
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045・小山省三
○参考人(小山省三君) お答えになるかどうかはしりませんけれども、御参考までに……。私どもは異機種メーカーでございますけれども、先ほど申し上げましたように、工作機械という一つの企業からながめますと、メリットは十分あると思うのでございます。そこでこの設備の現在あるところとないところがございますので、そういうものを相互にお互いに利用し合おうじゃないか、それから技術につきましてもお互いに共同でひとつ設計をやって、この部分は君のほうについているから、ぼくのほうへこれを分けてくれぬか、こういうことで、そういう一つの箱なら箱、ユニットというのがございますが、そういう点は十分相互に利用できる要素を持った点が多々ございますので、そういうものもひとつお互いに相互に利用したい。それから異機種メーカーでありましても、工作機械工業界という一つの母体がございますので、いろんな全体の声なり、また日本の国内の動き方、外国の動き方というものをお互いに持ち寄って研究して、ひとつ繁栄していこうじゃないか、こういうふうな考え方でございます。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/45
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046・大里武雄
○参考人(大里武雄君) ただいま近藤先生から御質問の、類似機種の生産調整ということは、これは非常にむずかしい問題でございまして、私どものほうの協議会の中でも、この問題をどうやるかということはまだ触れておりません。しかしこれはだんだん進んでまいりまして、たとえばそういう場合に、それじゃA社、B社、C社がやっていたものをA社だけに譲ってB社、C社がやめればいい、それを一体どういうふうに御相談が成立するのか、これは工作機械工業界の生産分野の問題でも非常に大きな問題でございます。私ども今後この問題に対しましていろいろ考えることがあると思いますが、いまこの席でどうするということを簡単に申し上げることはできません。考えられますことは、それによって何らかの意味においてA社だけに譲るんならば、B社C社がそれに対して何がしかの譲っただけの代償をもらうとか、何かそういうことの話がつけば、この問題は進展すると思いますけれども、これは相当むずかしい問題でございまして、まだそれに対する話し合いには入っておりませんけれども、しかしもしできるならということで、私ども実は事業の内容にそのことはうたってございますが、この問題は非常に私どもは今後重大な問題だと考えております。何かうまい方法がありますれば進めたいということしか、いまお答えできません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/46
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047・近藤信一
○近藤信一君 自動盤協議会では、特にこの技術の共同開発ということに力を入れていこうと、こういうことであるわけでございますが、今度の機振法の改正案では、期限の延長とあわせて技術開発ということを重点に置いておるわけでございます。したがいまして、あなたのほうの協議会で考えておられる技術の共同開発は、具体的にどういうふうなことを進めていかれようとしておられるのか、この点お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/47
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048・大里武雄
○参考人(大里武雄君) お答え申し上げます。実はこの自動盤と申しますのは、ほかの工作機より特に問題がございまして、使います材料、それから刃物、油、そういう問題の関連産業と非常に協力しなければできない製品であります。先ほど申し上げましたとおり、髪の毛の十分の一くらいの精度のものをつくらなきゃならぬ、しかもそれが生産性を上げなきゃならぬ。刃物は長く持たなきゃならぬ。材料は均一でなきゃならぬ。材料の物理的性質が世界的に競争ができるものでなければならない。そういう点においてまだまだこれから開発しなければならない問題がたくさんございます。最近アメリカからそういう点におきまして、いろいろな時計の部品とかその他の部品の輸入がございますが、これらに対しまして日本の現在の材質というもの、それらに対してまだまだ開発しなきゃならぬのであります。それを各個別にやっていてはどうにもならぬということでございまして、それらに対しまして共同研究するとともに、それらのメーカーに対して共同の条件を出しまして、その要件を満たしてもらうということがわれわれメーカーにとっても大事であるとともに、ユーザー並びにそれらの部品を海外に輸出する方方にとっても非常に大事な問題であります。さしあたりましてこの材質に対する物理的問題、並びに品質の国際的な問題に対しての開発、それから刃物の寿命に対する問題、それから使いました油によりまして生産性が非常に違ってまいります。最近やはり航空計器とか、計器類の中におきます特殊鋼、どういう問題についていろいろな問題がございまして、そういう問題については、われわれことに六社のグループは非常に資金的に弱いのでございまして、どうしてもこれは歩み寄って、共同で金を出して、またある方面においては政府のほうの援助を得まして開発しなければならぬ、これを何することが非常に大きな問題だと考えております。さしあたって、いま申しました材質、刃物、油、それから切削条件に対しますところのいろいろの刃物の切り込みとか、送りとか、そういう問題の共同的な問題についてかかっていきたいと、こういうように具体的に考えております。その場合によっては、あるいは工業試験所に依頼することもございましょうし、あるいは各社別に委員を出しまして、ある一社におきまして特定の費用を持ち寄りましてやることも出てくると思います。そういう点については非常に積極的にやりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/48
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049・近藤信一
○近藤信一君 第一グループは業界の大手でつくっておられるわけでございますが、大阪グループやいまの自動盤協議会のほうは、おおむね資本金五千万円以下の人が主となっておられるわけなんです。いわゆる中小企業の方が主体になっておられるわけでございます。そこで、現に出席しておられる大日金属の小山さんのところで四千五百万円、さらに島本鉄工所のほうは五千万円、一応中小企業の定義の中に含まれておるわけでございますが、そういたしますと、現在一方に協同組合というものが中小企業では組織することができるわけでございますが、グループと協同組合との相違点というものがあろうかと思うのであります。本来ならば協同組合でやっておれば、いろいろと共同行為のあるところは、協同組合でやれば政府資金の借り入れ等にも非常に便宜があるわけでありますが、グループの問題になりますると、そういう共同行為に対するところの政府の問題、先ほど答弁しておられたとおりでありますが、あなたのほうでグループと協同組合との相違しておる点、あなたのほうがグループをつくらなければならなかった意義、こういうものはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/49
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050・小山省三
○参考人(小山省三君) お答えいたします。いま御質問の協同組合とグループという問題でございますが、協同組合という場合はおおむね下請企業、部品加工する問題で集団をなして商工中金の金を使う、こういうふうなことがたてまえのように思います。工作機械のグループは、資本金が小さくても一応親会社だというふうな解釈ができると思うのでございます。したがいまして、多少そこに協同組合とのいき方が違う、かように私は考えておりますので、そんなら三十社も四十社もなるのかと、こういう集団的にやったらというふうなお尋ねのようにも受け取れますが、そういう場合には、やはりどうしても一つのグループへたくさんの数が入ってまいりますと、縦割りをして部会別にやるとかなんとかというふうなことで運用しなければいかぬのじゃないかと、かようなぐあいにも考えておりますので、協同組合のあり方とこのグループのあり方と多少私はニュアンスが違うように思いますので、御参考までに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/50
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051・近藤信一
○近藤信一君 最後に、富士機械の坂上さんにお尋ねするわけでありますが、あなたのほうはグループに入っておらない。先ほど入らない理由についても詳しくお述べになっておられるわけでありますが、将来だんだんグループがよけいできてまいりますと、あなたのほうもこれは何かグループに取り残されるんじゃないかということが起こってきて、あなたのほうとしては、あなたの関係しておる同士を糾合してグループをひとつつくろうというふうに考えておられるのか。それとも永久にグループに入らずにいくか。ここに書いてありますように、あなたのほうとして期待できるようなものであればまた参加したいというふうなこともお述べになっておられるわけでありまするが、あなたのほうが理想的に考えておられるグループというのはどのようなものであるか、ちょっとこの点御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/51
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052・坂上守
○参考人(坂上守君) 私どものグループに対する理想でございますが、非常にむずかしい問題もあると思いますが、先ほど一部申し上げましたが、大体現在の第一グループのような総合機種グループ、大手の技術、資本ともに力のある総合機種グループと私ども単一でやっておりますグループ——グループと申しますかメーカー、単一機種グループ、ここら辺の問題につきましては、二つに分けて考えていかないと少し無理があるのではないかというふうに考えております。現在までのグループにつきましては、気の合ったメーカーが一緒になったグループと、もう一つはグループをつくるためのグループ、こういうふうに二つになっていると思いますが、気の合ったグループというのは、気が合っているからどうやってもできることでございます。また、この辺の問題につきましては、相当意味があって、完了したことでございます。今後このグループをつくるためにつくったグループとそれ以外のグループを含めまして、ちょうど先般来グループの問題がいろいろ出まして、こういうグループができたということも、工業界全体としましても反省してやっていかなければならないという気風が出たのでございますから、全体としてもかなり積極的な話し合いがこれからはできてくるのではないかと考えております。ですからそういう意味でもって、むしろ部分的には地区別のような会合を持つ、そうしてやはり工作機械工業会を中心にした全部の話し合いの場に持っていってもらう、その一環としまして、地区別にいろいろ話し合うということができましたら、とりあえず幸いなんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/52
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053・村上春藏
○委員長(村上春藏君) ほかに御発言もなければ、参考人の方々に対する質疑はこの程度にいたします。
この際、参考人の方々に一言お礼を申し上げます。本日はお忙しいところを遠方から御出席をいただき、また長時間にわたりまして御意見の開陳、質疑に対するお答えをいただきまして、まことにありがとうございました。重ねて委員一同にかわって厚くお礼を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/53
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054・市川政章
○参考人(市川政章君) ちょっと一言。私ども業界の体制整備、それから過去の過当競争における苦い経験を持っておりますので、今後は日本産業の発展のために、また大事な工作機械工業発展のために大いに努力したいと思うんですが、いろいろグループとか、いろいろな体制整備の方法をいま講じつつあるわけですが、いずれにしましても、やはり国家のバック・アップがなければ、われわれだけが幾らじたばたしてもしようがないと思いますので、せめて今回上程された機械工業振興法案を早く通していただいて、そういうものと、われわれまた民間でいろいろ努力をして、官民あわせて企業の発展、あるいは日本産業の基盤となる工作機械工業の国内の有効需要の喚起、それから技術の開発、輸出の振興、こういったいろいろな面の結びつきを持たせていただくように、ぜひひとつ法案のすみやかなる通過に御尽力を願いますように、特にお願いしておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/54
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055・村上春藏
○委員長(村上春藏君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/55
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056・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 速記をつけて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/56
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057・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 次に、産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、日本万国博覧会に関する件の調査を行ないます。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/57
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058・椿繁夫
○椿繁夫君 この間、万国博覧会の開催予定地の視察などを行ないまして、その直後でしたが、パリで開催された博覧会国際事務局の理事会で、日本の万国博覧会の登録申請が満場一致で承認されたということは、皆さんとともにまことに喜ばしく思います。これでいよいよこの開催の準備に本格的に取り組まなければならなくなったわけでありますが、その開催までにこれは四年あるようですけれども、実際はもう三年十カ月そこそこしかございません。非常にあわただしい中で準備を、開催計画を促進してまいらなきゃならぬことになったわけであります。
そこで、大臣に第一にお伺いいたしたいことは、博覧会の性格についてであります。その条約上の性格がどうであるか、こうであるかというようなことはまあしばらくおくといたしましても、今回の申請が政府の手でなされたことについても、国はこの博覧会の開催について重大な責任を有すると思います。新聞などでも博覧会事務局、パリの事務局でも論議になったことでありますが、少し国が責任の所在というものをやはり明らかにする。逃げ腰でやっちゃ私はいかんと思うのです。そうすることが、せっかく満場一致できめてくれた各国の期待にもこたえるゆえんであると思います。政府の責任まことに重大だと思うのですが、担当大臣としての三木大臣からその所信のほどをまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/58
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059・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 椿さんの御指摘のとおり、これは運営は協会が当たるわけでありますけれども、国際条約により、しかも国が認めた公の団体、この成否というものは直ちに日本の国の信用、名声等にも非常に影響するわけでありますから、これは政府はむろん、地元の協力も得なければ成功しませんけれども、地元の協力のもとにやはり政府も全力を傾けなければならんと、かような覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/59
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060・椿繁夫
○椿繁夫君 もちろん私も、主催する万国博覧会協会並びに地元関係諸機関の責任も重大であると思います。この博覧会の開催を強く希望していたのは地元でありますし、博覧会が地元にもたらす効果も相当大きいだろうと思います。したがって、地元も博覧会のためにはできるだけの協力をすべきであると思っております。しかし地元には御承知のとおり能力の限界があります。一般住民の福祉に支障をきたすようなことがあっちゃならんと私は思うのであります。これは条約審議の際にも、外務委員会に出て私申し上げたんでありますが、ことにこの博覧会の効果が日本全体の産業、文化の向上に貢献し、貿易を促進し、広く世界に日本を宣伝し、国際親善に役立つということを考えますと、政府はこの際、全国的な視野に立って博覧会が運営され、地元財政に過重な負担などをかけないように、十分な配慮をすべきであると思うのですが、どういうふうにお考えになっておられましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/60
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061・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) この博覧会は御指摘のように全国民的なものであるし、その成果は国家としていろいろな意味において将来に利益するところが多いのでありますから、国ができる限り責任を持ってこれを成功に導かなければならぬわけであります。そういう意味において地元も協力してもらわなければなりませんが、地元には財政上にもいろいろなやはり限度もございますし、地方財政というものをそのことによって危殆に瀕さすようなことはすべきではない。したがって、国と地方公共団体とのいろいろな負担の区分については、十分に地方財政の状態等も勘案をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/61
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062・椿繁夫
○椿繁夫君 四十一年度の万国博覧会準備予算のうち、たしか国の負担分と同額のなにが大阪府市で負担されることになったと思います。これはまあ地方財政の現状からいいますと、負担割合が五対五というようなことは、とうていこの財政の現状からは考えられない。四十一年度の場合、全体が少額でございましたから、そういう点で了解されたと思うのですけれども、いよいよ本格的な計画促進というふうなことになってまいりますと、この負担割合は四十一年度と同じような五対五でいくというふうなことは、地方財政の現状からはとても重荷であるということを考えるのですが、どういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/62
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063・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ことしは五対五であったわけですが、この割合については地方財政の現状等も勘案をして、検討を加えて、来年度以降いま幾らというまだ結論には達しておりませんけれども、検討を加えたい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/63
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064・椿繁夫
○椿繁夫君 地方財政の現状、特に社会福祉あるいは都市計画などを財政的に圧迫することのない状態において、政府の検討される際の十分ひとつ資料にしていただきたいということを強く望んでおきます。
で、これはこの前も大臣にお尋ねしたことでありますが、この種国際的な、しかも国が責任を持って行なう行事でございますから、博覧会のテーマなどから考えましても、国の社会体制の相違などによって参加招請の区別をすべきではないということを申し上げ、大臣からも同感の旨お答えをいただいたのですが、その後伝えられるところによりますと、わが国と外交関係の樹立しておる国に対してまず招請を行ない、外交関係がいまだ樹立されていない国に対する働きかけは第二段として考えるというようなことが、断片的ではありますけれども報道されておるのですが、特にアジアの最近の政情などから考えまして、南北あるいは二つに同じ国でありながら割れておる、統治が別々に行なわれておるという国がアジアに特に多うございます。そういう際に、外交関係の樹立されておる国にまず招請を行ない、外交関係未成立のところを第二段として考えるということであっては、なかなか政治信条とか社会体制を問題にしないで万国博覧会を主催したいという国のお考えからいきまして、そういう二段がまえの招請ということについては、実際問題として何か考えておるような結果が生まれないようなことになりはしないかということを心配しております。一部伝えられるようなことが誤りであればそれでよろしいのですが、重ねて大臣の御見解を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/64
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065・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それは政治体制ということで区別をすべきではないのであります。ただ国交回復、これはどうしても外交機関を通じていろいろやるわけでありますから、国交を回復しておる国に対しては外交関係もあるし、これは手続として非常にスムーズにいくわけであります。その国交を回復しておる国の中には共産圏もたくさん入っておるわけです。すでにもう政治体制によって区別をしていないということはそれを見ても明らかであります。ただ、国交未回復か国交を回復しておる国かという区別は政治体制の区別と私は思わない、その区別は。そういう意味で、まず外交機関を使って国交回復しておる国に招請をして、それ以外の国に対して今後どういうふうにしていくかということは、しばらく情勢の推移を見たいと思っておるわけであります。一段は国交回復の国に出したい、そうしてその国交未回復の国に対しては、今後推移を見て、これはどうするかということをきめたいと考えております。いま私の考えは椿さん御指摘のように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/65
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066・椿繁夫
○椿繁夫君 具体的に申しますと、中国とは外交関係は樹立されていないけれども、幸いに高碕さん、また今回の松村さん等の御努力によって主として貿易の関係を扱っておるわけですが、LT貿易というものが行なわれて、こちらは北京に、中国は東京に事務所の設置が行なわれている。したがって、外交関係は樹立されていないけれども、そういう経済的な貿易面において互いにこちらの意思を伝える、向こうの意思を聞くということについてはこういう窓が開かれておるわけです。こういう国でありましても、一律に外交関係がまだ樹立されていないのだからあとじゃということでは、アジアにおいて初めて開催されるこのわが国の万国博覧会の意義というものが、かりに中国が第二義的に扱われた場合、アジアで開かれるという意味から考えましても私は非常に重要な影響があるように考えます。こういうところは特に考慮する必要があるんじゃないかという気がするのであります。というて、日韓基本条約が先般承認されたのだから、平壌を第二義的に扱っていいと、あるいはハノイを、アメリカがいま南ベトナムに行っているから第二義的に考えていいということではございませんが、具体的に北京政府との間にはLT貿易が開設されて、しかも互いに交換事務所が設置されておる、こういう場合、外交関係が確立されていないというので第二義的に考えるということは、私は日本としてとるべきではない。もし、政府としてどっかに気がねがあって困るというのであれば、万国博覧会協会が協会で博覧会本来の目的を達成するためにその努力をやっていいのじゃないかというようなことも考えられるのですが、重ねて大臣の所見を伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/66
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067・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは第二義的という椿さんの言うような意味ではないのです。どこの国でも外交関係で、まず国交を回復しておる国を、いろいろ招請状を出す場合でもそういう国に手始めに出すというようなことは国際的にも慣例になっております。二義的という何か軽んじておるという意味合いはないのです。こうして招請状を出して勧誘に行ったりするのは、外交関係があればちゃんとしたチャンネルがあるわけですから非常に簡単にいくわけです。外交関係がない国は一体そういうのをどういう手続でやるのかということも、これはこういう機関を使えばいいじゃないかというようなサゼスチョンがあるでしょうけれども、外交関係が回復しておる国のようにスムーズにはいかぬのです。ですから、何も軽んじておるという意味じゃないのですけれども、普通国際的な慣行としても、まずやはり外交官が行っておる国に、どうせこれは出先の日本の在外公館などを使わなければならぬわけでありますから、そういうことで最初にやるということが普通の例であります。しかし、こういうアジアで初めて開かれる博覧会でありますから、できるだけ多数の国が参加できるようにそういう配慮はしなければならぬと思っていますが、最初にはやはりそういう外交のチャンネルを持っている国のほうをやるということは、これはまああまりこれを意味を深く考えないで、自然やはり外交の手続としてはそういうものだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/67
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068・椿繁夫
○椿繁夫君 そういう大臣が言われるように、外交関係が樹立されておるかどうかということをそう重大に考えぬでもいいじゃないかということなんです。私もそういうふうに思います。たとえば博覧会条約というものを批准しておる国は三十三カ国しか現にございません。モントリオールの博覧会には百をこえる国の参加があるというのです。だから条約を批准している国といない国と一律に扱う、それから外交関係をまだ樹立されていないけれども、非常にこの国の参加をしてもらうことが重要な意味を持つというような場合であれば、まずその次というような招請のしかたというものは、特にメンツを重んずる国などに対しては特別の配慮が払われるべきではないかという気がするんです。ワシントンの最近のアジアの情勢に対する考え方の推移から見ましても、こういう際にひとつ踏み切っていくべきじゃないかということを思います。重ねて大臣の所見を伺います。
続いてお尋ねをいたしますが、過般、望んでおりました担当大臣が内閣でもおきめになって、責任の所在というものを明らかにしてこられたことに対しては敬意を表しますと同時に、この万国博覧会の準備計画がこう各省庁にまたがっておりますために、閣僚協議会というふうなものも設置されたやに聞きますが、担当大臣のお考えをほんとうに助けて推進をしていくという事務機構ですね、これが私は、事務機構というか行政機構といいますか、こういうものが確立されないといかぬのじゃないか。いままでのところ通産省の公営企業局がやっておられるようには思いますけれども、やはり企業局は企業局としての本来の何がございまして、ほかのところよりは関係がやや深そうだから、ここが担任するという程度にしかなっていない。そこで、担当大臣を設置されたのですから、この博覧会推進のための行政機構の整備統一ということが望まれるのでありますが、たとえば地方から参りましても、一体この話はどこへ持っていったらいいのだろうか、大臣に会うと言ったって、そう忙しい方に一々何するわけにまいりませんし、そういう意味から申しましても、担当大臣の手足となって働き、そこへ行けば何でも相談に乗ってもらえるという行政機構の整備ということが必要だと思いますが、どういうふうにお考えになっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/68
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069・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これはやはり博覧会の運営は博覧会の協会がやるわけですから、政府が関連をするのはむろんそれに対する政府の協力ということがあるわけですが、私は一番やはりこれはよほど連絡をよくしてやらなきゃならぬと思うのは、博覧会に関連する公共事業、これは相当時間のかかるものですから、これに対しては機構をつくりたいという考えであります。それは現地に、来月になったら大阪へ行きたい、現地にこの関連公共事業を推進をする機構をつくりたい。それからこっちのほうではまあ次官会議など、閣僚協議会の下に次官会議がありまして、現地ではやっぱり関係の地方公共団体や、建設省その他のやっぱり出先がありますから、それを一丸としまして、そうして公共事業を促進するようなやっぱり機構をつくりたい、まあそういうことで博覧会のいろいろな関連する事業を促進していきたいと思っておるのです。それでどうしてもいろいろな支障があるということなら、機構を考えなければならぬのですが、いまはそういうことでやっていけるのじゃないかということで、新しくいま言われるような意味において、地元では一つ機構をつくりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/69
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070・椿繁夫
○椿繁夫君 それは来月ごろ具体化すると承知してよろしいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/70
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071・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/71
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072・椿繁夫
○椿繁夫君 そうですか。それからこの間現地へまいりましたときに、あと地利用の問題で、まだ関係諸機関の間に意思統一がなされていないということを感じました。これはもう委員長はじめおいでになった皆さんそういうふうにお考えになったと思うのですが、そこで、すみやかに政府あるいは協会、それから地方の関係諸機関、地方団体、こういうところであと地利用の問題について意思統一をはかる必要がある。まだ用地買収が完了していないようですから、その事務を促進するために、あと地利用をいま明らかにすることはよくないというような配慮もあって不統一になっておるのではないかと思いますけれども、私ども考えますのに、今回のあれだけの土地、相当な公共投資も行なわなきゃならぬということになるわけでありますから、近畿圏の整備計画の一環としてやはり考えていく必要があるんじゃないか。あれをあとは公園みたいなものにして、住宅を建てるとか、中央市場をつくるとかというような、一部に計画が発表されておりますけれども、そういうことじゃなくて、西日本における文化あるいは科学というふうなもののセンターとして残していくというような大方針をやっぱり国としては持ち、そういう観点で指導を行なうべきではないかとこう思いますが、いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/72
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073・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 椿さんのお考え方もやっぱり一つの大きな方向だと思います。あれを何か部分的なものじゃなしに、一大教育、文化、科学、そういう経済問題というか、文化的な面におけるセンターとしてあれを利用するというのは、一つのやっぱり考え方の方向だと思いますが、これは地元のほうでもいま検討を加えておるようであります。政府のほうとしても閣僚協議会などにおいてこの問題を時期が来たら検討したい。そうしてわれわれとしても大事な問題ですから、関心を持ちまして、この用地の買収が目鼻がつけば、これがやっぱり構想が発表できるぐらいの速度でこの問題の一つの大きく方向をきめたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/73
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074・椿繁夫
○椿繁夫君 大臣の御答弁を聞いて安心をいたしましたが、一方万博協会で委嘱しております会場計画委員会等が、いまあと地利用の構想というものと関係のない絵をかいています。幾つか絵ができまして、それが既成事実になってしまうようなことではたいへんでありますので、大体国なり直接関係諸機関の意思統一がすみやかになされて、それに基づいて会場計画委員会というものがいろいろ作業を進めてもらう、こういう仕組みにならないと、先に出なけりゃならぬものがあとになり、あとでいいものが先に出てくるというようなことにならないように、十分配慮する必要があると思います。特に政府におかれてもそういう大きな西日本における文化、科学のセンターというふうな構想で進められることを強く望んでおきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/74
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075・赤間文三
○赤間文三君 通産大臣に御質問申し上げますが、今回の日本万国博覧会につきまして三木通産大臣が非常な御努力をいただきまして、着々と万国博覧会の準備が都合よく進んでいることは、非常にわれわれ感謝をいたしておる次第でございます。
私はここで一言お尋ねしたいことは、この日本の名誉にかけても成功させなければならぬ博覧会、しかもアジアで初めての博覧会につきましては、よほど博覧会の周知徹底と申しますか、気勢を上げなければこういう運動というものは成功をしにくい面があるのであります。考えてみますと、東京のオリンピック大会のときは官民が協力して大規模な国民運動を展開して、御承知のように非常にあれは成功をおさめたようであります。これはみなよく承知をしているところであります。今度の日本万国博覧会に際しましても、この機会に、たとえば国土を美しくする運動、あるいは交通道徳を高める運動、あるいは商業道徳をさらに高める運動、他人に対して親切にする運動、いろいろ重要なことを全国的な規模で展開をしていくということは、きわめてこれは博覧会を私は周知徹底させ、成功させる一つの大きな意義があると考えております。政府においてはこの国民運動の推進連絡機関をつくって、積極的な国民運動を行なって成功させようという御意思があるかないか、通産大臣にお尋ねを申し上げたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/75
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076・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) オリンピックのときにも赤間さん御指摘のように、国民運動推進連絡会議というようなものができて、単にオリンピックの宣伝ばかりでなしに、公衆道徳とか国土美化とか、いろんな目的を兼ねて国民運動を展開したわけです。今度の場合でもつくりたいと思っております。こういう万国博覧会国民運動推進協議会のようなものをつくって、そして国民に対する周知徹底と、これを機会にいろいろ公衆道徳その他の向上に資するような目的をもあわせて兼ねたこういう国民運動を展開するような仕組みをつくりたい考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/76
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077・赤間文三
○赤間文三君 次に、私希望を兼ねて申し上げたいのでありまするが、今度の博覧会を成功させますためには、どうしても関連する諸般の公共事業を積極的に推進していくということが、博覧会の成否に非常な私は関係があると思う。この間も現地を見、また大阪へたびたび参りますると、飛行場の例を見ましても、なかなかまだ土地の一部を占領せられたり、立ちのきとかいろんな関係で、工事が緒にはついておりますがなかなか容易でない。また大阪港からいろいろな荷物を揚げるにいたしましても、また港湾の施設等もまだ不十分な点がある。また道路の点もなかなか過密都市で困ったことであるというような点を考えますと、非常に公共施設が多種多様にわたり、これをできるだけ早く促進していかなければ今度の博覧会が成功がむずかしいのじゃないかとしみじみ感じる。しかも、わずかに三年九カ月から十カ月でございまして、いまから始めてもなかなか長期を要するものもございまするので、政府においてはこの際早急にひとつ総合的な計画をおまとめを願いまして、積極的に能率的に関連公共事業の推進をはかっていただきたい。中央ではもう関係閣僚協議会ができて、着々とやっていただき、また私本日ぜひお願いしようと思っておりましたが、現地で公共事業促進のための機関を設けられるということを聞いて、非常にお願いしようと思っておりましたら、もうすでに来月から出発するようなことで、私非常にありがたく存じているわけでありまするが、博覧会を成功させるために、ぜひとも今後ひとつこの関連公共事業を積極果敢に、総合的、能率的にしていただいて、少なくとも間に合わぬことのないようにやっていただきたい。なお、できればこの際ひとつ本土と四国の間とか、あるいは新幹線の問題とか、いろいろたくさんありますが、こういうものもひとつなるべくこれを機会に能率を上げていただくように、私はこれは希望を兼ねまして、大臣の所見を簡単にお伺いできれば非常にありがたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/77
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078・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私も赤間さんと一緒で、やはり公共事業というものは時間がかかりますから、関連公共事業は非常に心配している。そのためにいま椿さんにお答えしたのですが、来月は大阪に参りまして、こういう機関の第一回の会合ができるぐらいの仕組みでまいりたいと思っております。できれば毎月一回ぐらい大阪へ行って督励したい。それからいろいろな総合的な計画をして、閣僚協議会などで調整せんならぬ問題もできてくるでしょうから、そういうものは調整をして、総合計画というものを立てて、地元の意見も、大阪市、大阪府の意見も取り入れて、大阪市府ばかりでなしに、近畿全体の意向も反映しなければなりません。そういうことでそういう総合計画を立てる。しかも、これを推進する機関を地元につくって、担当大臣は一カ月に一ぺんぐらい大阪へ行って督励する。それくらいの意気込みでやらないと、かなりやはり時間が限られておりますから、突貫工事というわけにいかない。博覧会の会場は突貫工事がいけるかもしれませんけれども、関連公共事業というのはそういうわけにいかぬでしょうから、そういうこともございます。いまの四国と本土との連絡なども、万博までに間に合わせる、まことに私も同感でございます。それぐらいのことは今日の国力、今日の日本の技術からいって、万国博覧会が開催されるまでにそのぐらいの工事の、一部分は工事が完成しているぐらいのことをやってもいいのではないか。これはしかし博覧会との関連というわけでもないでしょうが、やはり一つの機会ということは大事ですから、博覧会までにという一つの目標があることは、工事を進捗さす上において必要ですから、全く同感であるという意を表しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/78
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079・藤田進
○藤田進君 地元出身の両委員から重要な点について御質疑になったわけでございますが、私どもといたしましても、この万博の成功ということについては特に意を用い、協力しなければならぬと思っております。ただ、オリンピックの例にみますように、また、大臣の御熱意はまことに敬服すべきものがありますが、結局内閣改造とか何とかいうようなことで、しょっちゅうおかわりになる。その辺が、これは委員長にお願いしておきたいのですが、万博関係法案も出ておりますから、ぜひ総理の出席を求めたいと思います。ここで三木さんに何年でおやりなさいといってみたところで、私に権限のない話で、総理にお願いしたいと思います。そこで二律背反の問題が出て、特にオリンピックでも問題になって、現在多くのものが残って、私は首都高速道路関係その他調査している最中なんですが、おっしゃるように、万博というものを大義名分、大きな圧力背景にして、しゃにむに促進をはかる。そうして、ことばの表現は悪いですが、火事どろ的に便乗をして、何もかもやってしまおうというようなきらいがある。促進はしなければならない。しかし、地元関係でみれば、万博というものを一つの契機ということもよくわかります。しかし、日本全体の国土総合開発等からみて、特定の地域にそういった催しものがあれば、予算が集中するという一つの問題が出てきます。それから促進をあまりにも強化されるために、地域の住民が公共施設、特に交通機関の設置等について、既成の施設というものが全然使えなくなるものもあえて押し切ってやる。これは具体的に出ております。きょう具体的な問題を出そうと思いませんが、こういう二律背反する問題について、きょう決議される予定の中にも私は一項起こしてもらっておりますが、おそらくあまり無理をなさると、学校であれば、学生団体等が万博の期間中すわり込みでも会場でやる、オリンピックでも一部そういう声があったのですが、これは良識によってとまったわけですけれども、あまり無理をなさると、押しかけていって、積極的に世界の人に訴えよう、万博は無理だといったようなことも出てきますので、これはやはり地元の非常にむずかしい問題ですが、調整を十分はかられていきませんと、出先の機関はとにかく大臣の号令一下、促進促進でいきますと、たいへんなことになることを憂えますので、その辺の公共施設等に関連する摩擦の起きないように、これは万般の配慮をやっていただかなければ、案外成功するかにみえて、問題を残す、こう思います。四国——本土の問題も御承知のように三つもあるわけで、この際ということも一つのあれで、御承知のように三つも大会がこの間持たれるというような、政治の面からみて、国民からみればまことにどうも見苦しいことが出ておりますから、これらはやはり冷静に、しかも精力的にやっていく必要があると思うので、包括的に私は地元御両者の御意見もっともではございますが、私の申し上げた点は、当然含まれていての促進論だと思いますので、この際これについてひとつ慎重面からの御答弁をいただいておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/79
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080・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それは当然のことでございまして、やはりあまり推進といっても、なかなかこれは調整が必要でしょうし、そういうものを抜きにして結論を急ぎ過ぎても結果は悪いと思いますので、十分な慎重さで、しかもやはり関西地方はいろいろな点でおくれていることは事実ですから、こういうふうな機会に地域的な開発ということも達成できるということは、これは非常に好ましいと思います。しかし、その間に慎重を期せという藤田氏の御意見は、私も十分今後拳々服膺をいたすことにいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/80
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081・赤間文三
○赤間文三君 万国博は遠い先のことのようでもございますが、きわめて切迫して、わずかに三年十カ月に迫りました。先般開催予定地を視察した結果を見ましても、また本日の質疑を通じましても、政府の措置に期待すべきものが多いのであります。
そこで、この際私は各位の御了承を得て、各党共同発議にかかる、日本万国博覧会開催計画促進に関する決議案を提出いたしたいと存じます。
案文を朗読いたします。
日本万国博覧会開催計画促進に関する決議
(案)
万国博覧会は世界各国がその産業文化全般を
誇示する一大デモンストレーションである。昭
和四十五年開催の日本万国博覧会は、主催国と
なった我が国にとり、日本産業文化の精髄を世
界に示すべき絶好の機会である。これを成功さ
せるためには国のあらゆる英知と機能を結集し
て円満なる推進をはからねばならない。よつて
政府は次の諸事項を速やかに実施するよう格段
の努力を傾注せられたい。
一、万国博覧会は各省庁に関連する事項多きを
もつて、その連絡調整に遺憾なきよう措置し、
責任をもつてその衝に当たる機構の整備強化
を図ること。
二、万国博覧会の開催準備、運営については関
係地方公共団体が一体となってこれが推進に
当るとともに、万国博覧会が世紀の大事業
なることにかんがみ、速かに遺憾なき資金
計画を確立し、これが経費並に関連公共事業
費について国の積極的な助成措置を講ずるこ
と
三、関連公共事業については、今後の地域開発
にも資するよう雄大なる構想をもつて計画
し、長期の建設期間を要する運輸交通等の施
設については早急に万遺憾なき計画を立てる
とともに、公害など地元民との摩擦を生ぜざ
るよう十分に配慮すること
これが実施を円滑にするため関係諸機関をも
つて構成する推進母体を現地につくること
四、跡地並に建設物の将来利用を考慮して会場
計画を決定することが望ましいので、早急に
関係方面の意思統一に努めること
五、企業をして博覧会への参加協力を積極的な
らしめるため、出品等のためにする準備金の
積立に関し税制上の優遇措置を考慮すること
右決議する
以上でございます。何とぞ御賛成をお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/81
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082・村上春藏
○委員長(村上春藏君) ただいまの各派共同提案にかかわります赤間委員提出の日本万国博覧会開催計画促進に関する決議案を議題といたします。
本決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/82
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083・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 全会一致と認めます。よって日本万国博覧会開催計画促進に関する決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、三木通産大臣から発言を求められましたので、この際これを許します。三木通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/83
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084・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ただいまの御決議の趣旨を尊重して、万遺憾なきを期したい所存でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/84
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085・村上春藏
○委員長(村上春藏君) 本件に関する調査は、本日のところこの程度にいたします。
本日これにて散会いたします。
午後一時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02519660526/85
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