1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二日(木曜日)
午前十時五十一分開会
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委員の異動
六月一日
辞任 補欠選任
吉武 恵市君 西川甚五郎君
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出席者は左のとおり。
理 事
赤間 文三君
豊田 雅孝君
柳田桃太郎君
近藤 信一君
委 員
井川 伊平君
大谷藤之助君
近藤英一郎君
宮崎 正雄君
小柳 勇君
椿 繁夫君
藤田 進君
鈴木 一弘君
向井 長年君
国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
政府委員
通商産業政務次
官 堀本 宜実君
中小企業庁長官 影山 衛司君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○官公需についての中小企業者の受注の確保に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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〔理事豊田雅孝君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/0
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001・豊田雅孝
○理事(豊田雅孝君) ただいまから商工委員会を開会いたします。
委員長所要のため、委託によりまして、私が委員長の職務を行ないます。
まず、理事会において協議いたしました事項について報告いたします。
本日は、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案の審査を行なうことにいたしました。
なお、本案については、衆議院において修正されておりますが、別に修正点の内容の説明を聴取する必要はないものと認めましたので、御了承願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/1
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002・豊田雅孝
○理事(豊田雅孝君) 次に、委員の変更について報告いたします。昨日、吉武恵市君が辞任され、その補欠として西川甚五郎君が選任されました。
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003・豊田雅孝
○理事(豊田雅孝君) 次に、衆議院送付の官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案(閣法第一四二号)を議題といたします。
先般、提案理由の説明を聴取いたしておりますので、本日はまず補足説明を聴取いたしたいと存じます。影山中小企業庁長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/3
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004・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 今回御審議を願います官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律案の趣旨説明を行ないます。
各条ごとに御説明を申し上げます。
まず「(目的)」、第一条でございますが、この目的に関連いたしまして、本法案を提出するに至りました趣旨等につきましても御説明いたしたいと思います。
御承知のように現在、昨年以来中小企業者を含めまして、日本経済全体が景気の低滞に悩んでおるわけでございますが、特に中小企業者に対して不況の影響は非常に強く、中小企業者の人たちの声を聞いてみますと、とにかく受注の減少に悩んでおるので、受注がほしいという声が非常に強いわけでございます。そういう意味におきまして、景気の回復をはかるということが政府に課せられました第一の任務でございますが、その際におきまして、政府といたしましては、従来の金融政策一本やりの方針から、財政支出の増大によりますところの有効需要の確保をはかっていくという方針を打ち立てて、推進をいたしておるわけでございますが、政府等がこの財政支出の増大によりまして有効需要の確保をはかる場合に、やはり中小企業者に対しましての分け前を増大してあげるということが必要でございまして、そういう意味合いから、第一にこの法案を提出する契機となったわけでございます。
第二番目に、長期的な観点から申しまして、現在不況の前途と申しますか、まあわずかに明るいきざしが見えてはきております。しかしながら、従来のような高度成長が続くわけでもございません。安定的成長のうちに、中小企業者といたしましては近代化、合理化をはかっていかなければいけないわけでございますが、その近代化、合理化をはかっていきます前提といたしまして、やはり需要の安定、受注の安定ということが先決問題でございます。そういう長期的な観点からも、この法律を提出するに至ったわけでございます。
第一条の目的でございますが、この目的は御承知のように、中小企業基本法第二十条を受けまして、その趣旨をふえんして書いておるわけでございますが、「国等が物件の買入れ等の契約を締結する場合における中小企業者の受注の機会を確保するための措置を講ずる」というふうに書いてございます。ここで問題になりますのは、この「受注の機会を確保する」という文言でございまして、これはどういう趣旨からこの「受注の機会を確保する」という文言にいたしまして、直接受注を確保するという文言にしなかったかと申しますと、これは基本法第二十条によりまして、中小企業者等に対して国からの受注機会を確保してやるための「必要な施策を講ずるものとする。」という文言を受けたわけでございますが、この基本法第二十条の趣旨といたしますところは、結局政府等が、発注官庁側としましては、この中小企業者に対しましてできるだけ受注機会の増大をしてあげる努力をする、中小企業者をして官公需の契約に参加をしやすくする努力をするということが一方において国等の義務でございますが、他方におきまして、中小企業者といたしましては、自主的な努力によりまして、できるだけ良質廉価なものを提供する努力をいたすことが必要でございまして、国等の努力及び中小企業者の努力と相まちまして、受注の確保あるいはここに書いてございます「需要の増進を図り」ということになるわけでございまして、そういう中小企業基本法の精神等も受けまして、ここでは「中小企業者の受注の機会を確保する」というふうに規定をいたしておるわけでございます。
第二条が「(定義)」でございますが、この第一項の中小企業者の定義は、これは基本法を受けまして、あるいは中小企業指導法等を受けまして書いておるわけでございまして、特別に御説明申し上げることはございません。第二項でございますが、この法律の対象となりますところの発注官庁を現定いたしておるわけでございまして、ここに「国等」という規定をいたしておるわけでございますが、この「国」の中には行政府でございますところの政府はもとより、参議院、衆議院、最高裁判所、会計検査院をも含めておるわけでございます。そういう「国」のほかに、公共企業体とそれから公社、公共企業体と公団、事業団等の政令で指定するものをこの法律の対象とするということになっておるわけでございます。
次に第三条でございますが、「(受注機会の増大の努力)」、その義務をこの第三条で国等に対しまして課しておるわけでございまして、これは第一点は、先ほど御説明申し上げましたように、中小企業基本法の趣旨を受けまして、国等は、「国等の契約」を締結するにあたりましては、「中小企業者の受注の機会の増大を図るように努めなければならない。」という努力義務を大原則として打ち出しておるというのが第一点でございます。それから第二点といたしましては、この場合において、協同組合等の「組合を国等の契約の相手方として活用するように配慮しなければならない。」という配慮規定があるわけでございますが、これは中小企業者個々の受注の機会の増大をはかるだけでなく、組合というものがそれに参加をするということになりますならば、個々の業者ではロットの小さいものしか受注ができないわけでございますけれども、組合単位になりますと、ロットの大きいものに対して受注ができるということにもなりますので、組合を積極的に活用していくという趣旨でございますが、一方において組合というものもいろいろございまして、やはり共同受注体制等が整っておる組合ということが必要でございますので、その面における指導というもの、国の指導というものも必要になってくるかと存ずるわけでございます。それから第三点でございますが、これは「予算の適正な使用に留意しつつ」という留意規定がここに規定をいたしてあるわけでございまして、政府原案といたしましては、「予算の公正かつ効率的な使用に留意しつつ」というふうに規定がしてあったわけでございますが、衆議院におきまして、この「公正かつ効率的な」というのを「適正な」というふうに修正をいたされたわけでございます。ここに留意規定を書きました趣旨でございますが、この法律全体のたてまえが、私どもといたしましては、中小企業者のために受注の機会を増大してあげるという大きな方針のもとにこれを推進していく体制を整えておるわけでございまして、たとえば第四条におきまして方針を作成し、第五条におきまして実績をチェックし、第六条におきまして、その間においてふぐあいな点がございますならば、強力に発注官庁に対して要請をするというふうな、相当この点におきましては前向きの体制をとって推進をするわけでございますので、その際におきまして、やはり足元を忘れてはいけないぞ、脚下を照顧しなければいけないというふうな意味におきまして、会計法の大原則でございますところの——やはり国民の血税を使いまして発注をいたすわけでございますので、できるだけ中小企業者からも良質廉価なものを、会計法の大原則に準拠いたしまして納入をさせなければいけないというふうな留意規定をここに規定をいたしたわけでございます。
ところで、この「予算の公正かつ効率的な使用」という文言でございますが、この文言につきまして、公正ということばは問題ございませんが、効率的ということばにつきまして、非常に強くこれが語感としましても響きまして、あくまで良質廉価のものを追求するんだというふうな意味が強くなりまして、これがかえって、留意規定であるのにかかわらず、調達官庁側から見ましての逃げ道になるというような誤解を与えるのではこれは困るという配慮から、衆議院におきまして予算の「適正」な使用に留意するという簡単な文言に修正をいたされたわけでございまして、根本的な思想といたしましては、そう変わっておるわけではございませんけれども、この修正されました「適正な使用に留意しつつ」ということばは、私どもといたしましても適切な修正ではなかったかというふうに考えておるわけでございます。で、この留意規定に基づきまして、会計法上許される限りの受注機会の増大の努力ということを国等といたしましては努力をしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
次に、第四条でございますが、「(中小企業者に関する国等の契約の方針の作成等)」でございます。これは第三条の受注機会の増大の努力義務、これを具体化する一つの方策でございまして、国は毎年度、国等の契約に関しまして、中小企業者の受注の機会の増大をはかるための方針を作成するということになっております。この方針の内容でございますが、これは二つございまして、第一は、国等の契約を行ないます場合に、中小企業者向けの発注機会を増大するためのその努力目標を第一に定めるわけでございまして、衆議院の附帯決議にもございますように、「中小企業者に関する官公需契約の方針を作成するにあたっては、官公需契約の総発注量に占める中小企業者の割合等を明示すること。」という附帯決議もございまして、そういうふうに努力目標を明示をいたしたというのが第一でございます。それから第二といたしましては、そういう努力目標を達成する場合の受注の機会の増大のための施策のいろいろな方向をこの方針の中に盛り込みまして、会計法の運用を緩和するというふうなものも含めまして、裏づけとなる施策の方針というものもこの方針の中にきめるということにいたしたいと思っておるわけでございます。この第二項、第三項はその手続的な規定でございまして、中小企業の所管大臣であるところの通商産業大臣があらかじめ各省各庁等の長に協議をいたしまして、その方針の案を作成して、閣議の決定を求めて内閣全体の方針といたしまして、これを決定するということにいたすわけでございますが、その決定をいたしました方針につきましては、通産大臣は遅滞なく方針の要旨を公表するということになっております。
それから第五条は、「(国等の契約の実績の概要の通知)」でございまして、各省各庁の長等は、毎会計年度あるいは事業年度の終了後、その国等の契約の実績の概要を通商産業大臣に通知をするという義務づけをされておるわけでございまして、この義務規定によりまして、各省各庁の長等は、毎年通産省に対して実績の通知をしなければいけないという義務を課せられておるわけでございます。
それから第六条の「(各省各庁の長等に対する要請)」でございますが、これは通商産業大臣及び中小企業者の行なう事業の主務大臣は、当該事業を行なう者を相手方とする国等の契約に関しまして、各省各庁の長等に対して必要があると認められる措置をとるべきことを要請するというふうに強い規定になっておりますが、通商産業大臣及び中小企業者の行なう事業の主務大臣と申しますのは、いわば受注業者であるところの中小企業者の代弁者である主務大臣等が発注官庁であるところの各省各庁の長等に対してもの申すという規定でございまして、方針の内容と第五条の実績等を照らし合わせまして、不十分な点がある場合、あるいは個々の問題につきまして苦情等が出てきました場合に、そういう具体的問題をも含めまして、各省各庁の長に対して実現方の要請をするという規定でございまして、方針実現の一つの担保措置であるというふうに私どもは考えて、第四条、第五条、第六条を合わせまして強力な推進体制をしいておるわけでございます。
それから次に第七条でございますが、「(地方公共団体の施策)」につきましては、御承知のように基本法の第四条にも、第三条の「(国の施策)」を受けまして、「地方公共団体は、国の施策に準じて施策を講ずるように努めなければならない。というふうな基本法の立て方をいたしておりまして、これは地方自治の精神を尊重いたしまして、地方公共団体は独自に国の施策に準じて以上のような措置を講ずるようにつとめなければならないというふうになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、もちろんこういう立て方でございますが、自治省を通じまして、各地方公共団体を強力に指導いたしまして、実績のチェック、方針の決定あるいは要請ということに努力していきたいというふうに考えておるわけでございます。
以上、補足説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/4
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005・豊田雅孝
○理事(豊田雅孝君) それではこれより質疑に入ります。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/5
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006・小柳勇
○小柳勇君 まず第一に、大臣に御質問いたします。
大臣は、この法律案の提出について非常に熱心で、事務当局を督励して、また関係各省庁を説いて提案に踏み切られたと聞いておりまして、その努力には敬意を表するものであります。しかし一面から言いますと、社会党は官公需の法案を提出したのは三十九年の三月であります。もう二年前にこの法律を出しておったのであります。したがって、その意味ではおそきに失するとも言えるし、ことに、ことしに入りまして、提出予定法案の一覧表の中にはこの法律は入っていなかった。それを取り急いでこの国会に提出し、成立間近になっておるということは、さすがに三木大臣であると感銘いたしておるのであります。
そこで、その提出された法案の内容を見ますと、ほうぼうからの圧力があったかもわかりませんが、非常に抽象的で具体性を欠いておる。それから関係各省庁、官庁の今後の努力にまたなければ、文章では書いてあるけれども、実現不可能な面も多々あるように見受けるわけであります。中小企業の主務大臣たる通産大臣の決意と努力によってこの法律が生きもし死にもする、今後のですね。そこで、非常な熱意を示された三木大臣の決意と方針が今後のこの法律を生かすか殺すかということになりますから、この法律を審議するにあたりまして、まず冒頭大臣の御決意のほどを聞いておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/6
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007・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは小柳さんの御指摘のとおり努力しなければならぬという精神規定みたいなものが多いことは事実であります。しかしながらこういう法律が成立をしたならば、国及び公社、公団等などが物資、役務の調達をする場合に、この法律があるわけですから、頭の中で一。へん考えて、中小企業の受注の機会の増大の余地はないかということを考えてみるということは相当な私は意義を持つ。政府が毎年やはり方針を立てて国会に報告の義務を持っておる、そういうことでございますので、これは画期的な意義を持っておる。これはただ法律をつくったということで、受注の確保がなかなか成績があがらないということになれば、国会の御批判もきびしくなるでしょうし、そういう意味において、規定は精神規定であるけれども、持っておる政治的な意義というものは非常に高いものが私はあると考えております。しかし、これは運用というものが非常に大事でありまして、運用いかんによってこの法律の精神をどこまで生かされるかという問題がかかっておりますので、いま言われたように、私はこういう不況の中にあって、中小企業の苦境の状態なども考えて、何とかしてこれを打開できないかという考え方で、この国会の途中からではございましたけれども、この法案を提出して御審議を願っておるわけでありますから、今後の運用にあたっては、十分に運用の面において法律の立法の精神が実現できるように最善の努力を払いたいという覚悟でございます。そういう前提でこの法案を提出したわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/7
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008・小柳勇
○小柳勇君 建設省は建設次官通達を出先機関に出しまして、昨年も官公需受注確保の手続をとっております。ところがその他の省庁、公団、公社などは、その種の書面などを、私不勉強で承知しておらぬのであります。この法律が出ますとあと、ことし続々そういう各省庁から通達などが出るものと理解いたしておりまするが、その点いかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/8
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009・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) そのように御理解願ってけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/9
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010・小柳勇
○小柳勇君 ただいまの大臣の御決意並びに今後の見通しについて私ども非常に明るいものを感じます。私どもも議員として今後のこの法律の行くえを見守ってまいります。
そこで、もう少し基本的な問題ですが、中小企業が官公需の発注を確保するということは、日本の全体の発注総量と大手企業と中小企業との比率がアンバランスであるから、せめて官公需を政府が規制することによって中小企業を生かそうとされておるのか、あるいは野放しに置けば、もう大手企業だけに官公需も民需も一切が片寄ってしまって、中小企業はますます格差がひどくなるからこういう法律をつくられるのか、その点どちらですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/10
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011・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは、もちろん官公需だけで中小企業の需要の拡大をはかるというそれだけのものではない。しかし国とかあるいは公社、公団とかいう国家的な機関は、これだけ中小企業の問題に対して政府は心を配っておるわけでありますから、したがって、これは中小企業の役務、物資というものが質が悪くて値段が高いという、そういう会計法上の特例を意味するものではないわけであります。そういうことによって中小企業自身も製品、役務などに対して今後くふうを加えられていくでしょうし、一方また国の機関としてこれだけ政府が力を入れている中小企業に対して、需要をできるだけ拡大していこうということは当然のことではないかということで、こればかりで中小企業の需要が確保されるというわけじゃなく、一般の面においても、一般の産業活動の分野において中小企業の需要を拡大していかなければならぬが、こういう一つの立法的な処置というものが中小企業の需要拡大に必ずある種のよい影響を与えるに違いない。進んで国の機関がこういう先べんをつけたい、この影響が産業界に拡大してほしいという、そういう希望的な意図もこの立法の背景の中にはあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/11
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012・小柳勇
○小柳勇君 原則論をいいますと、資本主義社会ですから自由競争ですね。だから、大企業が弱肉強食的に伸びていって、中小企業と聞いてまいるということは、組織的にもその力自体が違いますから、そうでしょう。特に私ども心配しておったのは、池田内閣の高度経済成長政策で設備投資がどんどん競争が激しくなりまして、大企業の設備投資、中小企業の設備投資、その比較及びその回低率、生産量から見まして格差が非常に激しくなった。したがって、民需とか官公需とかいわないで中小企業の生きる道がなくなりつつあったということは一つの事実ですね。だからそういうことですから、まずこれはもう官公需といわず民需といわず、全体の生産量なり仕事の量なり、購入量、その全部が均てんするように分ければ、特に官公需とか民需とかいわなくてもいいわけです。大企業はこういう分野だ、中小企業はこういう分野だ、こういうことを分けてやれば、何も民需、官公需といわなくてもいいわけです。たとえば小さい範囲ですけれども、国鉄の一つの工事入札経路を私知っておりますから例に申し上げますと、たとえばレールの継ぎ目板を製造する会社が四社ある。これは全国で四社しかない。だから全部の量を四社の能力に比例して年度いっぱい仕事をきめてしまう、いろいろデータを集めて経営実績をもって。そうしますと、その会社は安心して、一年間の仕事量はわかるのですから国鉄以外の施設の発注量をとる。そして来年度の設備投資をやる。あるいは利益をちゃんと予想しながら次に工場を拡大するというような計画的な生産ができるわけですね。通産大臣として、国全体の発注量なり国全体の購入量をちゃんと把握しておけば、大企業の分野と中小企業の分野と、官公需、民需を問わずちゃんともう規制しておけば、それ相応の一年間の計画が立ちますから、大企業は大企業、中小企業は中小企業、そうしますと、今度はそれによって努力しまして、余分に働いて設備投資をやるという計画的な生産ができるわけですね、その会社にとって。そういうような思想の一歩としてこの法律を書かれたのか。あとを追っかけて、このままほおっておけば、民需でも官公需でも倒れていくから、これをひとつ一木注射をさすのだと、そういう思想の法律であるのか、その大きなひとつ大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/12
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013・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私は民需にそういう規制を行なおうという意図はありません。それは自由経済の原則に反することでね。やはり官公需に対して、これは政府の意図というものがその需要確保に対してはある程度実行の場合に反映できるわけでありますから、官公需の需要確保についてできるだけそういうものの発注の場合に中小企業というものを頭の中に入れなければいかぬ。それは大企業のほうが製品にしても名前は通っています、役所の場合でも実際中小企業の場合よりも。中小企業のことを考えなければ簡単ですよ。大企業のものを買っておれば、名前も通っておるし、あといろいろ問題も起こらぬかもしれぬと、こういうふうなことになりがちでありますから、そういう意味で一ぺん頭の中で中小企業を考えてみて、もう一度同じようなものだったら中小企業を使えばいいではないか、こういう立法の精神が官公庁の物資、役務の調達の場合に、こういう法律があれば頭の中で考える。このことが需要拡大を促進するであろうということでこれを出したわけでございます。この考え方、これは民間もできるだけそうあってほしいけれども、これはいろいろ国会で報告したり、計画も立てなければならぬということで、相当これ自体が精神規定というようなものでありますけれども、これの需要の拡大に対しては相当国会に対してある責任を持っておるわけですから、こういう法律を出しておいても官公需要がだんだん減るということだったら、そういうことではまた政治的にも許されない。そういう意味で相当この政治的な意味を持っておるのですから、これを民間にまで拡大するという考えはない。官公需の拡大ということにこの法律というものが一つの大きなささえになってほしいというのが立法の精神でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/13
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014・小柳勇
○小柳勇君 そのままほおっておけば、小規模企業は注文を取る能力も持ちません。組織も非常に貧弱ですから、自然とこれは淘汰されていくのですね、自然淘汰される。そういう大きな中小企業育成策、保護政策というものはこの法律には考えてない。まずその次、第二義的に官公需だけでも政府が責任を持って中小企業に発注を確保させるのだと、こういうことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/14
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015・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) それはほかの中小企業対策の中で——中小企業が零細なものは自然に倒れていくという、そういうふうには私は見てない。中小企業は中小企業として生きていく分野というものはかなりある。これは永久に生きる。中小企業は規模が小さいということによって、かえっていろいろな経営の管理の面においても、大企業よりもすぐれておる面もありますから、中小企業の零細なものは必ずつぶれるのだという前提は、小柳さんのような考えではない。
〔理事豊田雅孝君退席、理事赤間文三君着席〕
これを生かすためには、こういう需要確保という面では、政府の影響力を持っている国及び公社、公団等にこの法律の適用を考えてこういう立法措置をしたが、民間のほうはもっとやはりそういう零細企業に対しては、中小企業対策という面でそういう人たちが今後安定していけるような政策を考えていきたい。これはあくまでも官公需の場合だけを対象にした法律であるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/15
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016・小柳勇
○小柳勇君 そういたしますと、官公需というものの中の分析が必要になってまいる。たとえば協同組合とか農協団体だとか、衆議院でも若干問題になっておるようでありますが、この官公需というそのことばの中に、この法律上出ているのは官公庁あるいは公社、公団と書いてある。その他組合ということばも入っておりますけれども、この官公需ということばの中にどういうところまで入っているのか。それから私は民需ということばを使っておりますけれども、民需にしたって相当大きなものもあります。組合とかあるいは何々協会だとかいいますと、民需のほうからも相当の量の発注があるはずですね。したがってそこの境目が若干論争しておかなければなりませんけれども、そういうものについてはいかが考えておられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/16
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017・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) その官公需の範囲でございますけれども、官と申しまするのは国でございます。それから公需でございますが、これは第二条の定義にございます。第二項の公共企業体、それから政令で指定いたしますところの公団、事業団を含みます。それからもう一つは地方公共団体でございますが、こういうふうな政令で指定いたします公社、公団、事業団につきましては、やはり国が出資をいたしておるというようなところを一つの限界にしておるわけでございまして、たとえば電力会社あるいはガス会社というようなものも、非常に公益的な色彩を持ってはおりますけれども、これは純然たる民間会社でございますので、それは対象にはいたさないというふうになっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/17
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018・小柳勇
○小柳勇君 そういたしますと、具体的な例で、たとえば農業協同組合とかそれからあるいは生活協同組合とか、こういうものはこの法律には入らない、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/18
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019・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) この第三条あたりにおきますと、組合を国等の契約の相手方として活用しなければならない。それから第三条の第一項の第四号におきまして、組合を政令で指定するということになっておりますが、これにおきましては、中小企業者の相互扶助的な、あるいは同士結合であるところの組合というものを考えておりまして、農業協同組合あるいは生活協同組合というものは考えていないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/19
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020・小柳勇
○小柳勇君 そこで、いわゆる官公需というのと民需というのが私の頭の中にありますが、何割、何割ぐらいに考えるかということは具体的に出てきませんけれども、その官公需を中小企業に発注するのだというこの政府の方針による各官庁の努力義務というものと、これから大きな団体に発表していくであろう民間団体の中小企業に対する発注確保というようなものは、中小企業基本法には一般的には書いてあります。全般としてはそういうものまで考えておきませんと、中小企業の大企業と同じ比率による成長発展というものはおぼつかないのじゃないかと思うのですが、将来でもいいですが、大臣のお考えを聞いておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/20
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021・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) こういう立法が出されたことが、そういう民間の会社などにおいてもこういう精神というものは、こういう法律ができますと、この精神というものはやはり取り入れられていくような傾向が私は生まれてくる。直接にこの法律がそれをカバーしているわけではないけれども、そういうような機運といいますか、そういう傾向というものはやはり生まれてくるということを期待いたしておるわけでございます。しかしこれを広く民需まで拡大するという考え方はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/21
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022・鈴木一弘
○鈴木一弘君 いまの問題でちょっと関連して大臣に伺っておきたいのですが、第二条の第二項には国及び公共企業体、公社というようなところも入ってくると思いますが、事業体はそれでも十二分にまだまだ官公需というものの確保がかなり政治的な意味では広がるけれども、不十分な意味に考えられる。そこで、国がかなり影響力を与えているようないわゆる補助金であるとか、助成金を出しているような団体というものがあります。たとえば私立学校の振興会のようなそういうようなものに対して、そういう官公需が不足しているというような考え方に立ったときには、まだまだ中小企業に力を入れたいというようなときには、ある程度サゼスチョンを与えるなりして、それを広げていくなりしていくというようなお考えはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/22
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023・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) この法律ではそこまで広げませんが、中小企業対策としては、当然、そういうふうに国もやらなければならぬと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/23
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024・小柳勇
○小柳勇君 いまの大臣のおことばですね。この法律は、官公需の発注を中小企業が確保するという法律であるけれども、これだけでは中小企業はまだ十分とは言えないと、そういうことを考えておられるのですね。それでわかりました、大体そういうことで。それがこの法律の大前提であるわけですから、質問してまいったわけです。
したがって、将来官公需だけではなくて、民需のほうでも、やはり大企業と比較をして、それだけ保護せよというわけにはいきませんけれども、大企業と比較をして保護されるべきである。しかる後において、またさらに具体的な方策というものを考えていかなければならぬと、こういうことで確認しておいていいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/24
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025・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは、立法措置は講じないけれども、常に中小企業のための受注確保の努力は、これはわれわれとしてやらなければならぬ。それは中小企業対策として、今後そういうことは推進していく考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/25
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026・小柳勇
○小柳勇君 わかりました。指導については、通産省も各方面にやっておりますからわかりますけれども、やはり立法措置でやりませんと具体化しないのですね、指導というものが。だからここに法律案が出ているわけでございましょうから。
そういうことで次の問題に進めてまいりますが、ほかに基本的なものもありますが、ここに衆議院の修正がなされた問題がありますから、これは大臣から御決意を聞いておきたいと思うのです。ただいま長官の補足説明の中で、ただいまの第三条の説明を長々とやられました。その中に、中小企業者の自主規制——自主的にみずから努力をして、みずからの製品をよくしていくんだ。——そういうものもそれはもちろん当然のことですけれども、この第三条の「受注機会の増大の努力」という、この第三条の中で、長官がはっきりそういうことを補足的に説明されますと、少しこの法律改正を拡大し過ぎはせぬかと思うのです。だから、さっきのところをもう一回、この第三条を補足説明してください。その上で質問しましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/26
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027・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 第三条の補足説明におきまして、「予算の適正な使用に留意し」という留意規定につきまして御説明いたしたわけでございますが、この留意規定は、先ほど申し上げましたように、第三条、第四条、第五条、第六条と相当積極的な体制を示しまして、受注機会の増大の努力を政府、国全体としてもやるわけでございますが、そういう際に従来も会計法の原則といたしまして、高くても悪くても、これをこの官公需の法律に従いまして、中小企業者に発注するというのではないというこの会計法上の大原則の留意規定をここに書いてあるわけでございまして、その際におきまして、会計法の大原則と申しますものは、やはり良質廉価なものをできるだけ発注をいたしておるという趣旨でございますから、それが「予算の適正な使用」ということになるわけでございます。そういう留意規定がここに書いてあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/27
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028・小柳勇
○小柳勇君 原稿を読んでおられると思ったのですが、原稿を見なかったのだけれども、あとでまた速記録を調べます。聞いておりましたら、この第三条の補足説明は、そのほうに三分の二くらいのウエートを置いて説明をされたようですから、ちょっと拡大解釈になるような気がしたのですが、これはあとで速記録を見てから質問します。
そこで、この衆議院の修正がなされておるわけです。で、この修正案の趣旨説明で板川正吾議員が、官公需の契約については、いずれも法令に基づいて運用されており、これら法令の基本的な考え方は予算の執行の適正を期することにある。この法案の第三条の「予算の公正かつ効率的な」という字句は、補助金等に係る予算の執行の適正化に関する法律に使用されているものであり、会計法などにおける予算執行の適正という基本的な考え方に当然含まれておるもので、したがって、あえて本法案において「公正かつ効率的」という字句を使用することは、かえって中小企業者への発注が制約されるように解釈されるおそれがありますので、「公正かつ効率的」を「適正」に改めることが妥当と思われる、と述べておるのであります。私どももこの修正は右のおそれを解消するものであると受け取っておるのであるが、この法律を運用する立場にある通商産業大臣として、この修正をいかに受け取り、どのような心がまえで運用しようとされるか、お聞きしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/28
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029・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これはまた「予算の公正かつ効率的」といって、あまり念が入り過ぎておりましたので、このことが会計法上の逃げ口上になっては、この立法の精神に合いませんので、修正の「適正」というほうがわれわれ考えて見てもそういう誤解を生ぜしめないためにも、そのほうが適当だというふうに考えて、われわれも賛成をいたしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/29
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030・小柳勇
○小柳勇君 そこで、大臣の考えはわかりましたから、さっきの長官の補足説明は、あとで速記録を見て、もう少し私はそれによって質問しておかぬと、中小企業者の自主的意欲の発展の方向に、これもうんと意欲が起こっておりませんと、いまのような少し今度は大臣の考えと逆になるのじゃないかと思いましたので、原稿があれば原稿を見ればいいのですが、原稿がないようだから、あとでこれはまた次の機会に質問します。
それで、この法律の中のほうに入っていく前に、もう一つは、こういう法律をつくったら、どのくらいしたら小さい企業者がこういう法律があるということがわかると理解しておられるか。現在の中小企業者などはもう仕事をとって、金繰りをして、それを完成することで精一ぱいで、なかなか国の政策で法律がここにできました、ひとつお役所に行って仕事をもらいなさいというわけにはまいらぬわけでしょう。こういう内容の法律ができたというととを中小企業者や小規模の事業者にわからして、そうして注文を受ける機会を確保するようにするには、政府のほうは出先機関にしゃべらせれば一応わかりますが、これはどういうふうにしてわからせようとしておるのか。しかも、それはいつごろになったらわかると理解をされておられるか、お聞きしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/30
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031・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これはやはりみな中小企業者というものは自分の商売で、需要の拡大というものには鋭敏ですから、案外こういうものというものは浸透するのではないでしょうか。お役所ばかりでなしに、商工会とか商工会議所、そういう民間の団体も使って、こういうことになっておるということで、やはりこれを受け入れるといいますか、自主的に受け入れ得るような体制を整備しなければいけませんから、そういう組合の結成などという問題もある。だから、できるだけそういうものを短期間の間にお役所ばかりではなしに、民間の協力も得て、こういう政府の施策の意図というものが浸透できるように努力をしたいと思っております。案外こういうものには自分の利害にも結びついていますから、そうこれは何年もかからなければわからぬというものではないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/31
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032・小柳勇
○小柳勇君 さきの閣議決定で、今年度の公共事業を上半期に六割ないし七割やりたいということをきめて、いまも各省庁は指導しておられるようでございますが、でき得ればこの法律が成立をしたらすぐ適用してもらって、すぐ各地方がその方向で動くことが望ましいわけです。この法律の第四条でも、ちゃんと契約の方針を作成すると書いてあるが、これは成立しましたらすぐ実施されるでしょうが、各省庁との連絡、お話し合いはどうなっておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/32
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033・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) この法律を早急に成立さしていただきまして、直ちに、内々はすでに連絡もいたしておりまするけれども、担当局長をもってする連絡会議を開いておる次第でありまして、方針を進めておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/33
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034・小柳勇
○小柳勇君 そうしますと、もうことしの上半期の公共事業からこの法律の趣旨は生かされてまいる、こういうことでいいですね。
そこで関連いたしまして、地方公共団体のほうも準じてということを書いてありますが、地方公共団体との話し合いはどういうふうに進んでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/34
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035・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) これは自治省を通じてお願いするわけでありますが、昨日も全国の都道府県商工部長会議を開いた席上におきまして、この法律の趣旨を説明いたしたわけでございますが、たとえば大阪府等につきましては、早急にこの体制を整えたいという積極的な発言もございましたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/35
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036・小柳勇
○小柳勇君 その中のいまの地方商工部長会議のときの御説明と、少し地方の意見などがあったんじゃないかと思いますが、私も実は先般五十名ぐらいの業者の集まりに行って、県からも市からも、建設省の出先機関からも見えておったのですが、まあ問題が相当ありました。協力する体制ももちろんありますが、まだ疑心暗鬼な点があったのですが、もう少し説明された内容なり、地方公共団体の受け取り方について御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/36
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037・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 御承知のように、官公需の発注の実績等を見ますというと、地方公共団体の実績が非常に過去においても比率が高いわけでございますから、それほど地方公共団体は地元の業務というものに発注をするということに努力をしておられるようでございます。そこでさらにその比率を高めていきたいという熱心な希望もあるわけでございまして、そういう点につきまして自治省を通じまして、今後方針の決定、あるいは実績の調査、そういうようなこともやっていきたいということを説明をいたしたわけでございまして、商工部長会議におきましても、全面的にこの方針を了承しておるように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/37
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038・小柳勇
○小柳勇君 この法律の基礎をなしておる発注の機会、これは機会均等と書いてありますから、これはわれわれは不満ですけれども、注文する割合など、ここ二、三年通産省としては実態は把握しておられるかどうか。及び把握しておられるとすれば、その調査の方法などを少し御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/38
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039・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 年度別の官公需の調査実績でございますが、これは大体三十八年度におきまして、基本法を制定いたしますのに関連いたしまして大々的な調査をいたしまして、それに引き続きまして三十九年度、四十年度というふうに実績の調査をいたしておるわけでございますが、一番地方を含めまして大幅に調査ができましたのが昭和三十八年度でございます。その実績は、中小企業向けが中央官庁及び地方公共団体を含めまして大体四三・八%ということになっておるわけでありますが、これはまだその当時はこういう法律もございませんので、連絡担当官会議を開きまして、実績の提出方を要請いたしたことがあったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/39
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040・小柳勇
○小柳勇君 この中小企業白書の四百八十八ページに「官公需受注機会の増大」として、三十八年から調査をしたように書いてあるわけです。この調査方法はどういうことになっているんでしょうか。担当官からその書類上のものを出してこれを統計をされるだけのものであるかどうか。もう少し実態把握の方法について御説明を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/40
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041・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 昭和三十八年度の例によりますと、国、公社、公団、公庫、事業団、都道府県、市、特別区というものを対象にいたしまして、個別に国につきましては各省、それから公社、公団、公庫、事業団等につきましてはそれを監督する主務大臣、それから都道府県、市、特別区につきましては自治省を通じまして実績の提出方をお願いいたしまして、非常に一生懸命協力をしていただきました。これは御承知のように調達あるいは会計担当官の帳簿の仕組みというものが、まだ中小企業、大企業というふうに別途に簡単に仕訳ができるような仕組みになっておりませんでしたわけでございますけれども、その当時といたしまして、たいへんな手数だったわけでございますが、積極的に協力していただきまして、これだけの実績の把握ができたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/41
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042・小柳勇
○小柳勇君 それで、これは資料要求ですがね、最近一番新しい資料で官公需の中の官とそれから公と、それから公社、公団など、それから地方公共団体、四つぐらいに分けて、大手企業と中小企業との仕事の割合を出していただきたいと思います。その上に立って、またこれは細部の問題は検討しなければならぬと思うんですが、その資料の提出についていかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/42
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043・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 早急に提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/43
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044・赤間文三
○理事(赤間文三君) 小柳先生、大臣に御質問があれば十二時までにやっていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/44
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045・小柳勇
○小柳勇君 それでは大臣のほうの質問をいたしますが、一つはアメリカなどでは早くから中小企業に対する官公需の発注の率などをきめて指導しておるようでありますが、諸外国でやっている施策についてのお話を聞きたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/45
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046・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 私が聞いていますのは、ヨーロッパではあまりこういう立法的な措置まで講じておるという話は聞いてないのですけれども、アメリカではこれは一九六一年から——ここに統計がございますが、アメリカで一九六四年が一八・四%、日本のは四三%というんですから、もう相当中小企業の需要という面では、その産業構造も違うという点もありましょう、こういう点で成績をあげておるようでありますが、しかし、これはまあ五〇%ぐらいには早く持っていかなければならぬと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/46
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047・小柳勇
○小柳勇君 いまの大臣の数字は、少し頭から消しておいてもらいませんと困るんです。アメリカでは一八ぐらいだけれども、日本では四三%というと、日本は二倍以上ですから、その数字が問題ですから資料提出を求めているわけです。官公需のとり方も違うでしょうし、大企業、中小企業の数字が日本のやつが確かでないから要求しているわけですから、いまの数字は頭から消しておいてもらわないと困るんです。
それから大臣もう一つ いままでたとえば通産省で官公需契約の手引きなどを作りまして指導して歩いている。その指導が、各省の担当連絡官の会議でやっているんですね、連絡し合いながらやっておられるけれども、拘束力が何にもないわわけです。ただ通産省が、こういうことですから頼みますというようなことで、拘束力がないものですかtら、非常に任意制——好意的にやっているようなものです。だからこれだけの法律ができますと、今後は法律的にもう少しがっちりした規制のある官公需発注を確保しなければならぬと思うんですね。こういうものについては、法律では、非常に抽象的なものですから、ひとつ大臣の今後の決意を聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/47
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048・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 毎年方針を策定した場合に、これは方針の中にかなり具体的な計画が盛り込まれなければならぬし、そういうことでいままでとは全然面目が変わるのじゃないでしょうか。いままでのは、やはりこういう手引きとか、いろいろなパンフレットなどで、そうしてできるだけ協力を要請した。これはいろいろ法律的な義務を伴っているわけですから、そういうことで国もあるいは公社、公団、地方公共団体も、従来とは違った恩義をこの法案が成立をいたしますれば持ってくるのじゃないでしょうか。われわれとしては、早くこれを実施に移したいのです。そういう点で、この法案の成立が一日でも早くできれば、すぐに取りかかれるということで、御協力をお願いしたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/48
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049・小柳勇
○小柳勇君 いまこれから発足する法律ですから、若干不備の点もありますが、一番基本的なものは抽象的なものを通産省の努力によって具体化するということでしょうね、今後。具体的に何%発注せいとは書いてないけれども、ちゃんと通産省が目標をつくって、年次目標をつくると書いてあるから目標つくって、それに各省庁、出先機関などが、あるいは地方公共団体などがその目標の数字に合わせるように努力してもらうという、それはもう通産省の今後の熱意、努力ですから、だから法律上にパーセントは書いてない、社会党のほうではちゃんと案があるんですね、何%という。政府のほうではないようですから、ない面は今後の大臣なり担当官の努力によって補ってもらわなければ困るのですから、その点はこの際大臣からはっきりいま御決意を聞きましたから、指導してもらいたいわけでございます。
それともう一つは、現状の把握というものが、衆議院の質問を見ましても若干何か薄いんじゃないかと思います。私どももまだ十分勉強足りませんけれども、現地の第二次、第三次下請ぐらいの土建業者などの話を聞いてみますと、なかなかそれは、この法律があるからこのとおり頼みますというわけにいかぬのですね。そういうふうな実態をもう少し把握しなければならぬから、あとで私は委員長に参考人の招致をお願いしたいと思っているのですけれども、中央、たとえば東京におるそういう業者は案外早いんですね。業者の中央会からすぐ指令が行きますし、そういう会合で勉強していますが、地方の業者などはほんとうに金繰りと仕事集めで精一ぱいで、そういう会合になかなか出たがらない、よほどの義理がないと出てこないという状態でありますから、したがって地方の業者の代表をここにひとつ参考人として来てもらって、それぞれ代表者の意見などをやはり速記録に載せておいて、そういうものをひとつ通産省としても指導の中に入れてもらう、声として聞いて。そういう点も私はあとで委員長にお願いしたいと思っておりますけれども、この法律をつくられるときに通産省としては現地のそういう声、あるいは九州とか北海道とか、あるいは中国でもいいですけれども、そういうふうな現地の業者の声をどういう会同なり機会に把握しておられるか、聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/49
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050・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) 中小企業庁といたしましては、現地の中小企業のなまの声を聞く機会をできるだけ多くするということをつとめておるわけでございますが、これは年二回程度やります、一日中小企業庁、それから今回も各通産局ごとにモニター会議を行ないまして、そこで中小企業者の声というものを聞いたわけでございまして、今回のモニター会議の際におきましても官公需、この法律に対する期待というものは非常に大きいようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/50
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051・小柳勇
○小柳勇君 それから建設法の二十二条に下請一括発注の禁止など、法律がございますけれども、こういうものも相当問題があるようですね、現地を聞いてみますというと。これは衆議院でも問題になっているようであります。したがって、具体的にもう少し検討しておきませんと、せっかく法律はできますけれども、この法律はほんとうの精神規定になってしまうというような気がいたしますから、具体的な数字を少しあとで集めまして、出してもらった参考資料を見ながら、もう少し具体的な討論をしていきたいと思います。
大臣にもう一つ、この聞これは石炭委員会に参考人に来てもらったとき問題になりました歩積み両建ての問題、それから手形が長過ぎるというような、これはここで官公需発注と直接関係ございませんけれども、仕事をするというのが目的でありますから、だけれども、注文だけ取ってもしようがないし、あとの金払いなどについても、いま一段の配慮をしていただきませんと、せっかく注文だけは取りましたけれども、仕事はできぬということになりはせぬかと思います。入札保証金などは百分の五のように書いてございますけれども、あるいは小規模事業では入札契約金すらくめんしていくようなものもありましょう。あとの支払いなどは十分配慮し、あるいは銀行からの金融なども、これと同時に配慮してもらわなければならんと思います。それについての大臣の見解を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/51
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052・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 支払いの点は官公需の場合は、これはもう促進をいたします。そうでなければ、せっかくこういう受注の機会を増大しようとしても、支払いの点で非常に支払いが遅延するということでは中小企業のためにというこの法律の精神に反するわけでございます。しかし、民間のほうは御指摘のように歩積み両建てなども、名前は変わったけれどもやはり行なわれているし、それから手形の期間も長いし、こういう面については今後中小企業の面においてこれはかなり重要な課題だと思いますので、従来もいろいろな方法を講じて、そういうことに対してメーカーなどに対しても、そういうことを支払い遅延防止法の精神に沿っていろいろやっておりますけれども、十分だとは私は思っていない。この点は今後何らかやはりもっとそういう問題については、できるだけそういうことが解消できるような方途というものは考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/52
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053・鈴木一弘
○鈴木一弘君 大臣、第二条のところの問題なんですが、第一号は製造業その他の関係だと思います。第二号は商業、サービス業が入っている。先ほど統計を出されて、アメリカは一八%、日本は四三%である。おそらく官公需が窓口になるのは商業等が多いだろう、こういうことになると思いますが、中小関係はそうなりますと、大企業製品を扱っていながら、実際は中小企業の統計に入ってきているということも考えられる。そこで商業のほうの窓口に買われる場合に、中小企業の製品というものに重点を置かれていくようにしていかないと、ほんとうの官公需の需要をせっかく確保いたしましても、内容としては大企業に片寄っていくという心配も出てくるわけです。その点についてのお考えを承っておきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/53
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054・影山衛司
○政府委員(影山衛司君) この法律の対象となります中小企業者は、商業の場合につきましては、中小企業商社というものを面接の対象にいたしておりまして、場合によりましてはその中小企業商社が扱っている部品が大企業製品であるということもあるわけでございます。これにつきましては、この法律の精神にのっとりまして、実績等をチェックする場合によく内容を検討いたしまして、できるだけ中小企業製品というものが受注をされるという方向に指導をしていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/54
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055・向井長年
○向井長年君 大臣、非常にいわゆる前向きの法律でけっこうだと思っているのですが、具体的な問題はいずれまた質問いたしますけれども、現状、この官公需に対しては、これは事務的にどのくらいの。パーセンテージがいま現状として発注されているのか、こういう問題をつかんでおりませんか。
それからもう一つは、一応官公需という立場からこの法律が出ているわけなんですが、公共企業がありますね。特に公益事業、こういう問題、これの範疇には入らないと思いますけれども、そういうものに対してもこういう方向で指導するのか、しないのか、この点ひとつお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/55
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056・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) 三十八年ですか、四三・八という中小企業のこれは、地方の公共団体を含んでいるわけでございまして、これは将来幾らといったパーセンテージをきめるわけにはいきませんので、計画を立てるとき、方針をきめるときには、毎年やっぱりどの程度まではこれを拡大したいという目標は掲げたいと思っております。
それからこの法律は官公需だけに限ってでありますので、この法律を少なくとも公営企業まで拡大しようという考えはありませんが、この法の精神に従って中小企業の需要を拡大できるような指導は行ないたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/56
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057・赤間文三
○理事(赤間文三君) それでは、本日はこの程度で散会することにいたします。
午後零時二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114461X02719660602/57
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