1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月三十日(水曜日)
午後一時十七分開会
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委員の異動
三月三十日
辞任 補欠選任
宮崎 正義君 小平 芳平君
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出席者は左のとおり。
委員長 大河原一次君
理 事
剱木 亨弘君
小林 篤一君
小野 明君
委 員
亀井 光君
沢田 一精君
高橋雄之助君
豊田 雅孝君
吉武 恵市君
阿部 竹松君
小柳 勇君
小平 芳平君
片山 武夫君
国務大臣
労 働 大 臣 小平 久雄君
政府委員
労働省職業安定
局長 有馬 元治君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
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本日の会議に付した案件
○炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案
(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/0
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001・大河原一次
○委員長(大河原一次君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
委員の異動についてお知らせいたします。本日、宮崎正義君が委員を辞任され、その補欠として小平芳平君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/1
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002・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
昨日に引き続き、質疑を行ないます。質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/2
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003・小平芳平
○小平芳平君 炭鉱離職者の方々のいろいろな問題点について、すでにもう質疑があったようでありますので、重複を避けまして、私として一点だけお尋ねしたい点は、この事業団の住宅についてですが、事業団住宅と、それから就職後の状況についてですが、非常に今後改正になりましても手当そのものも少ないわけですが、五百七十円では非常に少ないという点もしばしば問題にされてきたようでありますが、さて、今度就職した人は、ある程度職業が安定して、また、生活が安定しておられるかどうかという点について労働省として配慮していらっしゃるかどうか。特に私の聞いた範囲では、非常に低い賃金で、職場環境としても、名古屋の例でありましたが、せっかく入った住宅がごみ焼却場の煙突の下でしばらく生活をせざるを得なかったとか、それから、また、住宅に入っても一年間契約で出ていかなければならないという契約であったり、そういう点について不安定な状況があるのじゃないか、その点についてまずお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/3
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004・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 炭鉱離職者の再就職後のさらに離職状況がどうなっているかという点でございますが、これは私どもも非常に重視をいたしまして、三十九年の四月から四十年の三月までの一年間の調査をいたしたのでございますが、その結果によりますと、離職率が八%という率が出ております。一年間に再離職をするものがゼロになるように私どもも積極的に指導をしておるわけでありますが、残念ながらこの程度の再離職者が出ておるという状況でございます。
それから、移転就職をした場合の宿舎の問題でございますが、これは炭鉱離職者を優先的に移転宿舎に収容して再就職をはかっておるわけでございまするけれども、大体入居の条件といたしましては、一年たったら他に移ってもらうという原則は最初に打ち立てておりまするが、住居の問題でございますので、そう簡単に社宅あるいは公営住宅にスムーズに移転ができないという場合が相当多いわけでございまして、これらについては、さらに一年間余裕を持たせる。二年たってもなおかつ社宅等に、あるいは公営住宅に移れない場合においても、本人の希望に反して追い立てるというようなことは私どもは絶対にいたさないつもりでございますので、移転宿舎なるがゆえに住居が不安定で落ち着かないということのないように措置をいたしておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/4
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005・小平芳平
○小平芳平君 その一年間の離職率が八%で少ないというふうに言われますけれども、実際問題として一年以内に就職したところをやめますと、結局住宅に困るわけです。ですから、いままで炭鉱で働いていた人たちが、たとえば船内荷役というような、非常になれない、重労働で困難な仕事で、もうほんとうに耐えられないというような職場環境にありながらも、やはり会社をやめたらもう出なきゃならない、さしあたって住宅に困るということで、無理して働いておるのが実情じゃありませんか。また、もう一つは、どの程度の賃金で働いていらっしゃるか、そういう点についての調査はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/5
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006・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 炭鉱離職者がまとまって港湾関係、特に船内労働者として就労しておる場所は名古屋が一番多いわけでございますが、名古屋地区について、私も港湾労働の立場からいろいろ実情を聞いておるのですが、いま御指摘のような船内労働に耐えられなくて、よそへ転職したいのだけれども、宿舎の関係で移れないというような実例を私はまだ聞いていないのでございますけれども、宿舎が転職を逆に拘束しておるというふうな結果になりますと、これもまたゆゆしい問題でございますので、その辺は就職、再就職後のアフターケアを相当積極的にやらしておりまするので、もしそういった希望がありますれば、私どもも移転宿舎に収容している関係で、さらに再就職をお世話するということも可能でございます。具体的にそういう不ぐあいなケースがあれば積極的に御相談にのりたいと思っておりますので、よろしくお願いいたしたいと思います。
それから、賃金の問題でございますが、昨年の四月から六月の間に再就職をいたしました平均賃金の状況でございますが、産炭地におきましては平均で二万四千二百六十三円、それから、受け入れ県といいますか、それは大阪、名古屋等でございますが、この場合には二万九千二十二円、こういう実績が出ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/6
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007・小平芳平
○小平芳平君 それは産炭地の二万四千円では非常に苦しい生活だと思いますが、また、名古屋の二万九千円では非常に低いと思うのです。まあこれは労働市場等の関係もありましょうけれども、これでは安心して生活できるというところへいかないわけです。
それから、実際問題として、局長、会社をやめても住宅におれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/7
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008・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 私のほうの移転就職者用の宿舎は、Aの工場をやめてBの工場へ行った場合でも、そのために宿舎を追い出すというようなことは絶対にいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/8
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009・小平芳平
○小平芳平君 そういうふうになりますか、実際問題として。それはどこどこの会社へ就職するということを前提にその宿舎へ入るのではないですか。そうした場合に、その会社をやめても、極端に言えば、会社をやめて自分が商売を始めたというような場合でも宿舎におれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/9
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010・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) これは会社に貸しておるわけではなくて、個人に貸しておりますので、その辺は会社の拘束は受けないことになっております。それから、自営業等で自己就職した場合には、これも私どもとしては、雇用関係でないから宿舎から追い出すということはいたしておりませんので、りっぱに自営を遂げたならば——もともとこの宿舎は建坪が十坪ちょっとでございますので、狭いものでございますので、大体自分で宿舎といいますか、住宅を見つけて出ていく場合が多いのでございますので、決して無理をして追い出すということはいたさないつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/10
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011・小平芳平
○小平芳平君 その点は以上にしまして、今度は、宿舎を建てる場所が、たとえば名古屋市なら相当よさそうに思えるのですが、やはりその名古屋市でも一番その条件の悪いところへ建てがちですが、実際通うにも職場からも遠いし、また、交通も不便なところ、名古屋市全体として見た場合も、そういう場所に非常に多くあるように思いますのと、それから、また、たとえば埼玉県野上町というところにありますが、これなんか埼玉県秩父郡野上町というところに住宅ができているのですが、これでは産業のないところへそういう住宅を建てて、はたしてそこへ離職者の人が安住できるかどうか、まずそこに産業があり、働く場所があってこそ初めて離職者の住宅が生きるのであって、そういう点についての検討をする必要はございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/11
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012・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) 宿舎の立地条件というのは非常に重要な問題でございますが、私どもも土地の購入の関係は、平均して一万円の土地代しか認められておりませんので、若干その辺、実際に土地を購入する場合には理想的な場所でないところも若干ございまするが、受け入れの状態としましては多少不便でも、その土地が通勤に支障がないというふうな範囲で物色をいたしております。しかし、御指摘のように、ちょっとぐあいが悪いようなところもございまして、必ずそういうところは入居率が悪いというふうな状態が出てきておりますので、多少入居要件をほかと比較して緩和しながら入居を促進をしておるというところもございます。
それから、最後には、御指摘のありました埼玉県の野上の宿舎、これは最初その地区に工場団地が進出してくるという前提があったわけですが、これが都合によって取りやめになっておる状態でございまして、したがって、その工場団地目当ての労働者というものがなくなりましたので、事業地まで通勤に時間がかかるという不便がございますけれども、こういった特殊事情があって、野上町の場合には、何といいますか、不平が出ておるという一面があるのじゃないかと思います。なお、こういったそごのないように、今後十分注意してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/12
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013・小平芳平
○小平芳平君 実際問題としてだいぶ部屋があいているようですね。ですから、片方ではその住宅がなくて就職に困難している人もあると思えば、片方では、せっかく建てた住宅が四分の一くらいあいているというような結果になっているように聞いているんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/13
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014・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) これは入居率の状況から見ますと、大体できて入れるような状態になりましてからの分を計算いたしますと、入居率が全国で八六%でございます。できたてのところは、御指摘のように、四分の一、二〇%しか入っていないというような状態が二、三カ月続くところがございますけれども、これは宿舎の性格上、地元の住民を優先的に入れるというわけじゃございませんで、遠隔の地から家族を引き連れて引っ越してくるわけでございますから、どうしても入居は時間がかかる、できて半年くらいの間は地元からも非常に非難が出るくらいにぽつぽつ入ってくるわけでございますが、大体六カ月くらいの間に八〇何%というところへ持っていく、宿舎の性格上、一割くらいはスペースを必ず持っておる。それで、いろいろな事情により、何といいますか、入居者を随時収容しているというふうな指導方針をいたしておりますので、一〇〇%を初めから目標にしていない、一割ぐらいはスペースを持って対処していこう、こういうような考え方で指導いたしておりますので、その点もお含みおき願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/14
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015・小平芳平
○小平芳平君 いま私のお尋ねしている点と局長の答弁とちょっと食い違っているようですけれども、それは一割程度のスペースを必要とする、あるいは新しいうちは満員にはならないという点もありましょうけれども、私の指摘している点は、立地条件について、それでは全国どこの住宅も同じような。パーセントでいっておりますか。やはり立地条件というものを考えないと、やむを得ず埼玉県の秩父の不便なところに住む人もできるでしょうけれども、やはり産業が伴ってないとせっかくの住宅もあまり利用されない、そういう結果になっておりませんか、実情としては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/15
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016・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) やはり不便なところは半年たっても入居率が悪いというところが率直にいってございます。なお、先ほどの野上の場合は工場団地の計画に見込み違いがございましたけれども、ここには八六%現在入っております。そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/16
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017・小平芳平
○小平芳平君 それで、大臣に一つお伺いしたい点は、いま申し上げたように、炭鉱離職者の人たちが非常に不安定な状況にあるということはいなめないと思うのです。やはりなれない土地で、なれない都会でなれない仕事で生活しなければならない。そこでもって、確かに離職者手帳、あるいはこうした手当もありますけれども、政府としてはいろいろ制度をつくって運営していらっしゃることになっているのですが、それにもかかわらず、非常に不安定な状況にあるという点が一つと、それから、もう一つは、いま申し上げました住宅についてですが、これは建設省の住宅との関係もありますが、今後の持って行き方をどうなさるおつもりか。住宅も普通の公営住宅と同じように、ずっとそこで住んでいくというわけにもいかないでしょうし、かといって、事業団住宅というものが将来とも何十年ずっと続けられるものか、その点についてのお考え、あるいは見通しについて最後にお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/17
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018・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) 炭鉱離職者の方が不安定な状況にいまだあるということはいなめない事実だろうと思います。御指摘のとおり、政府といたしましてもいろいろやってはおりますが、まだまだ現に定職を得られないという方も相当あるようでありますが、そういう意味において、あるいは、また、せっかく再就職をしましても、必ずしも定職を得て安定した生活ができるだけの収入もないとか、あるいは住宅の問題であるとか、いろいろそういった点で政府の施策も必ずしも十分とは言いかねる、こういう現状にあると思いますが、まあ労働者といたしましては、従来ありまするいろいろの制度というものを逐次拡充いたしていくということ、それが何といっても一番重点だろうと思いますが、そのことによって極力安定した職を得、生活ができるように、今後とも十分われわれとしては意を用いて努力をいたしてまいりたいと、かように考えます。
なお、特に住宅と申しますか、就職者用の住居の問題でございますが、これも先生もすでに御承知と思いますが、従来つくりましたものがみんなで二万三百九十八戸完成をいたしておるわけでございます。四十一年度におきましてもさらに一万戸の予算を御審議いただいておるわけでございますが、これも率直に申しまして、もう名の示すごとく、住宅というよりも、臨時的な住居ということで、建設省との関係等もございまして、従来そういう立場でやってまいっておるということで、
私のこれは個人的な見解を言うのははなはだ失礼かもしれませんが、私は、できることならば、住居だなんてこういう中途はんぱなものでなくやることが最も望ましいと思います。何ぶんにも役所がやる仕事でありまして、それぞれ所管省もあることでございますのでやむを得ぬと思いますが、それにいたしましても、今後さらに石炭鉱業自体の合理化という問題もまだまだあることだと思いますし、現にまだ産炭地に滞留している人、あるいは今後合理化等によって離職を余儀なくされる人、それぞれあると思いますから、少なくとも、従来のたてまえによるにいたしましても、今後さらに引き続いて、この住居の建設ということはぜひ続けてやってまいりたい、かように私は考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/18
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019・小平芳平
○小平芳平君 それで、事業団の住宅ができました場合、大体一年間で出るのがたてまえになっておりますが、そうすると、将来どうなるかということについてはどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/19
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020・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) 先ほど局長からも御説明申し上げましたが、一年ということがたてまえと、こういうことで、確かに一年がたてまえということではありますが、どうしても一年たっても公営なりあるいは会社の寮なり、住宅に移れないという場合、さらに引き続いて入っておる方にすぐ出てもらうということは現にやっておらないわけでございますが、それにしても、初めから一年ということで入ること自体、確かにこれは不安があるだろうと思うのです。そういう面から考えましても、これは今後このアパートがさらに数が増してまいって、相当余裕も考えられるというようなことになれば、その辺の最初から一年を原則とするというようなことも、私は、将来の問題としては、できる限りそういう期限を、一挙にいかぬにしても、むしろ一年というものは二年にするとか、あるいは三年にするとか、だんだんそういうふうにすることによって、より安定した生活ができるようにすることが望ましいのではなかろうか、ぜひそうしたいものだと私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/20
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021・阿部竹松
○阿部竹松君 きのう当委員会において、天野次官、あるいは有馬安定局長から、るると法案の内容について説明を受けたので、あまりしつこくお尋ねいたしませんが、ただ、法の改正は四百五十円を五百七十円にするという簡単な改正でございまするけれども、きのうもいろいろお尋ねしたように、家族をかかえての一万人の炭鉱離職者の生活にかかってくるものですから、お願いやら要請やらお尋ねをしたわけです。
そこで、大臣に、再度、きのう欠席されておりましたのでお願いしてみたいことは、今回生活保護者等のベースが若干上がりまして、場所によって違いますけれども、一万八千円、あるいは一万六千円ということで、本法と照らして、本法で政府のお世話を受ける人より生活保護者のほうが高い場合があり得る。ですから、生活保護者であるとか、あるいはこの促進手当によって手当を受けても差別はなかろうと思いますけれども、これは言うならば産業予備軍的なものであるから、もう若干めんどうをみてくれませんかというお話をきのうしたわけです。安定局長、あるいは政務次官よりは、個人的には努力してみましょう、しかし、なかなか容易な問題でございませんというような御答弁をいただきました。そこで、私は、なるほど予算化された今日、いよいよ明日、明後日予算が通るわけですから、これをきょう直ちに修正というわけにはまいらぬだろう。しかし、聞くところによると、六月に有沢答申というものが出て、石炭産業全般に対してメスを入れる最終答申が出される、こういうことを承っておりますので、その場合に、この種の離職者に対してあたたかい保護が何とか処置として講ぜられないものかという話をきのういろいろしてみました。したがいまして、その点について、だめ押しではございませんけれども、大臣の御見解を承っておきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/21
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022・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) まず、この生活保護世帯との権衡と申しますか、比較の問題でございますが、阿部先生御指摘のように、見ようによると、生活保護と比べて今回の手当の増額というものは低きに失するのではないかという見方も私も確かに出てまいるかと思います。ただ、もうこれはあらためて申し上げるまでもなく、生活保護の立場というものとこの手当の立場というものは、それぞれ立場を異にいたしておるということ、そういう点から、今回の手当の増額というものは、大体炭鉱における賃金のアップ率等を考慮いたしまして、大体それにならって今回も手当を増額する、こういうことにいたしたような次第でございますので、その点は御了解をいただきたいと思うわけでございます。
なお、有沢調査団というか、審議会ですか、その答申が近くこれは石炭全般について出る、こういうようでございます。その際においてこの手当に関すること等についても何らかの答申が出ますならば、今回のは石炭鉱業全般について御検討をいただいておるように聞いておりますので、そういう際におきましても、もちろん答申が出ますならばそれらを尊重いたしまして、労働省関係においても、この手当の問題も含めまして、その他の関係においてもできるだけひとつ努力をいたしてまいりたいと、目下さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/22
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023・阿部竹松
○阿部竹松君 きのうもいろいろと要請を申し上げたわけですが、有沢調査団の答申が出てからではもうすでに時おそいので、この種のお世話を願っている労働省の大臣以下、皆さんにお願いするのはたいへん恐縮ですが、答申が出る前に、何とか一番実情を御了承おきの労働省の大臣以下、皆さん方に、この種の運動というか、要請というか、こういうことを調査団に対してできぬものか、あるいはやっていただけぬかということでお願いをしましたので、その点ひとつ大臣にお願いしたいと思います。
その次にお尋ねですが、これはちょっと小さい問題ですが、これに付随して養護手当というのが付加されているわけです。妻あるいは第一子、第二子、これは金額の差がありますし、微々たる金額であります。しかし、五百七十円のほうの金額をふやすことができないということが明確になれば、わずかの金額でも、ほかのほうとの関係があるかもしれませんけれども、加算分の養護手当を何とかめんどうをみていただくわけにいかないかということを一つお尋ねしてみたいわけです。私は東京都の北区滝野川でもPTAの関係の世話をしたことがありますが、東京の小中学校では、外車に乗って通学している児童と、三十円のPTAの会費を出すことのできない児童もおるわけです。学校の教師は、まず、ものの教え方、あるいはきょうは数学、国語、こういうものを生徒に教える以前に、生徒に貧富の差があってもいかに子供がいじけないかという教育で東京都の教師はたいへん苦労しているわけです。したがって、この種の五百七十円というものがとうてい不可能だということであれば、この養護手当のほうで何とかめんどうをみていただけぬか、こういうことをひとつお願いしたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/23
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024・有馬元治
○政府委員(有馬元治君) この扶養加算の問題は非常にやっかいな問題なんですが、これは失業保険制度が現在二十円、十円という加算制度をとっておりますので、それをそのまま促進手当制度にも踏襲しているわけです。したがいまして、こいつだけをここでいじるというわけにもいきませんので、そういう全般の扶養加算制度との関連においてできるだけ今後改善を加えていきたいと、かように思っておりますが、今日の場合、この十円、二十円をすぐいじくるというのは、非常にほかの方面にも影響がありますので、当面は、ひとつこの本来の四百五十円を五百七十円に引き上げる、まあここで御了承をお願いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/24
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025・阿部竹松
○阿部竹松君 これはとても了承するわけにはいかないので、大臣のさいぜんの答弁にこたえて、その調査団の結論待ちということで、やはり事務的には有馬安定局長にやっていただくことになりましょうが、大臣にも格段の御努力を願いたいと思うわけです。
次に、衆議院の石炭委員会で三つの附帯決議が出ている。おそらくこれに対して、私承知しておりませんけれども、大臣は、ただいまの決議はもっともでございまして、私といたしましても善処しますというような答弁をなされていると思います。なさっておらぬかもしれませんけれども。しかし、この三つをこう熟読をしてみますと、本法の相当根本問題をゆすぶるというのはちょっとことばは悪いわけですけれども、いまの修正と違って大改正になるわけですね。そこで、私どもの委員長理事打合会等においても、これは当然のことであるけれども、衆議院で明確になったんだから、参議院はこの場でいろいろと意見なりあるいは問題点を出して決議案はつけまいというようなことを委員長理事打合会で決定したようですから、この点について大臣としてはどう取り計らうかということをお尋ねしたいわけですが、第一点のこれはなかなか問題だと思うわけですが、これはすでに三年間経過しておるわけです。あと二年後においても存続するように検討すること、これはもっともなことであって、三十五年、四十年ぐらいまでの人はおそらく就職されて他産業におられることだと思うわけですが、四十五年、五十年になったらなかなか再就職できぬわけです。これはもうこういう条文がなくて国のお世話にもならぬということは国のためにもけっこうですし、一万六千円ぐらいで生活するわけですから、御本人のためにもけっこうですが、しかし、落ちこぼれた気の毒な人を救えという意味だと私は解釈するのですが、これをひとつ大臣何とかならないものですか。二年後の話でございますから、いまやらなくてもいいじゃないかと言うと思いますが、御見解を承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/25
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026・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) 前提といたしまして、ただいま御指摘のとおり、衆議院の石炭対策特別委員会においてこのような附帯決議をいたされましたので、私といたしましてはこの趣旨を尊重いたしまして、できる限り努力をいたしましょうと、こういう御約束をいたしたのでございます。そこで、まず第一項の、炭鉱離職者臨時措置法が四十三年の三月末までと、こういう時限立法に相なっておりますことについて、これをさらに延長するようにまた検討せよと、しかも、それがこの石炭鉱業の合理化の進行状況を勘案してと、こういうことでございます。このことはごもっともなことでございますので、私がもう四十三年度以降も存続しますと言い切り得る立場にあればよろしゅうございますが、今日の時点において私がそこまで言い切るわけにも現実の問題としていきません。そこで、これは四十三年度の予算編成等とも関連をして、当然これは政府としても検討をしなければならない問題でございましょう。したがって、そういう政府としての検討につきましては、これは十分今後努力をいたしてまいるでありましょう、こういう趣旨で、冒頭申し上げましたような全般としての私の考えを御答弁申し上げておったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/26
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027・阿部竹松
○阿部竹松君 次に、緊急就労の対象者ですが、決議文ですから基本権にしか触れておらぬようですが、中味は相当ふえている、対象人員が。しかし、いよいよここにのぼってくる人はほんとうにお気の毒で、これ以外に職についていくことができないのだろうと思う。特に佐賀あるいは長崎、こういう地帯に大勢いるのではないかと考えるわけですが、この点の見解はいかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/27
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028・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) 第二項の関係でございますが、緊急就労対策事業の関係でございますが、これはあるいは昨日あたり御説明申し上げたかもしれませんが、この人員は五千四百ほど現在あるわけでございます。これは先生御承知のとおり、三十九年十二月十八日以降は、閣議決定で、予算措置で緊急就労対策三年間ということでやっていく。これも、また、したがって、四十五年度末で一応閣議決定期限がくる、こういう関係にございます。そこで、四十三年度以降はどうするのか、こういう御質疑等もございました。これについても、引き続いて緊急就労対策事業を実施すべきである、こういう御主張もございましたが、これにつきましても第一項と同じような大体事情がございまして、これまた現実にその時点に立ち至って、どうしても就労人員がまだまだ相当ある、こういう現実の姿がありますならば緊就事業をやめる、こういうわけには実際問題としていかぬと思いますが、しかし、これまた今日の時点において四十三年度以降も必ず続き得ると私が言い切るわけにもいきませんので、ここに書いてありますとおり、実情に即するように事業自体の、何と申しますか、規模を確保する、あるいは事業を継続するというようなことについて、その当時における、その時点における離職者の状況などを十分考慮した上でこの事業計画について善処いたしましょう、こういう決議でございますので、その趣旨を十分尊重してまいりたい、これまた御答弁いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/28
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029・阿部竹松
○阿部竹松君 次に、炭鉱離職者求職手帳ですが、これは俗にいう黒い手帳ということでございますが、もうすでに失効する人が出てきている。したがって、手帳は失効したが、就職はできないという方々が続々と出てきたわけです。これに対して万全なる就職ができれば問題がありませんけれども、こういう点についても御見解はいかがでありましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/29
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030・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) この手帳が失効される方でございますが、これもあるいは御説明になったかと思いますが、四十年の十二月末までのこの手帳の失効者の数が九百二十人、それから、四十一年度中の手帳失効者数の見通しが千二百三十人、四十一年度中の手帳失効者数の見込みが千四百六十人と、こういう一応見通しでございます。そこで、一体この期間満了後、すなわち、手帳の失効後、どんな状況にあるだろうかということを、これはまあ福岡県の六百十五人の方について調査をいたしたのであります。その結果というものは、自己就職または自営した者が百九十五人で三一・九%、それから、家事に従事をいたした者が百五十人で二四・六%、それから、生活保護を受けておる者がちょうど百人でありまして一六・一%、それから、就職対策を必要と考えられる者が百七十人で二七・六%と、こういう結果になったわけであります。でありますので、この手帳の失効後、就職対策をなお必要とする者は百七十人で、全体の二七・六%と、こういうことでございます。これに対して、労働省といたしましては、この公共事業、あるいは鉱害復旧事業、こういう方面にワクを確保しまして、そこに就職の紹介をする、こういう手だてをいたしておるわけでございますが、しかし、必ずしもそれが全部の人が、これはワクは十分あるのでありますが、現在まだ就職実績は、ワクが、三百七十四人の公共事業等のワクに対して、就労実績は七十八名と、こういうことになっておるようであります。で、そんな結果で、必ずしも全部の方が就労に至っていない、こういうことでございます。そこで、こういう方々について、今後もちろんこれはできるだけごめんどうをみていかなければならないわけでございますが、どういう理由で一体この就労ができないのかという点が一番まあ問題であろうと思います。これはいろいろ事情もあると思いますが、大体もう年配の方が非常に多い。これも福岡県の場合でございますが、五十歳以上の方がもう七二・七%以上占めておるということでございますので、必ずしもこの適職が得られない、こういう場合もあると思います。そこで、私は、先般衆議院でも申し上げたのでありますが、まあ就職なさる向きにおいて多少の意に満たないところがあっても、やはり就労をしていただく、そういうお考えになってもらうこともやはり私は必要であろうし、いたしますが、しかし、実際問題としては、一人一人についてこれは私はよく事情を調べなければ、なぜせっかくワクをつくって用意しながら就労できないかということはわからぬのじゃないか、ですから、安定機関等を通じて一人一人についての就職できない事情というものをよく調べた上で、本人の希望にもできるだけ沿うような職業紹介をする、いわゆる地についたこのあっせんをぜひするように私は労働省としてもつとめましょう、こういうことを申し上げたのであります。そこで、今後も、先ほど申しましたように、相当の手帳失効の方も出てまいるわけですから、まず、第一段階としては、やはり公共事業等にできるだけお世話をする、こういう方向でまいりたい、さように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/30
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031・阿部竹松
○阿部竹松君 私に与えられた時間が参ったようですから、私はこれで質問を終わりますが、日本のあらゆる産業が不振でございますから、あらゆる産業に従事する労働者が苦労なさっておる。ですから、炭鉱に働いたというだけであまり国が国がということで甘えることはいかぬというように考えるわけです。ただ、ほかの産業と違うという点は、一カ所で山の中で何百名、何千名という労働者が離職するということ、これが一番大問題なんです。かつては総理大臣が三井鉱山の田川炭鉱というところへ行かれて、当時の社長の栗木幹さんが総理大臣にいわく、日本のあらゆる産業がつぶれても、この田川炭鉱はつぶしません、こういうように言われておった田川炭鉱が、数千名の離職者を出して閉鎖してしまった。北海道の美唄炭鉱にしてもしかり。百や五百の、こういう百単位の問題ではないわけです。ですから、諸外国においては、石炭産業は日本と過程は違っても、油に押されてやっぱり非常に不振をきわめておるわけです。しかし、外国の政府は、国情も違いましょうけれども、一人の離職者が出れば政府が責任を持って就職あっせんをする。日本は諸外国並みにやれといってもむずかしいでしょう。オランダ、ベルギー、フランス、こういうところで見ても、かゆいところへ手が届くようにやっておるわけです。ですから、法が十分でなくても、労働省の大臣以下、皆さん方のお力によって、法の不備な点、あるいは金額の安かった点は運用においてひとつがんばっていただきたいということを特にお願いして質問を終わるわけですが、最後に、炭鉱の諸君、中小炭鉱は特にそうですが、年金制度というものは全然ないわけです、転々として歩いているものですから。そこで、何とか労働省がてこ入れをして年金制度をつくってくださいませんかという真摯な要望がきわめて強いわけです。ですから、きょう直ちにそれを法文化し、行政措置としてやるということはこれまた不可能でしょうけれども、一年かかるか一年半かかるかは別として、そういう方向へ進んでいただきたいということを強く御要請申し上げると同時に、もし御見解があれば最後に承っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/31
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032・小平久雄
○国務大臣(小平久雄君) 炭鉱離職者について、政府、特に労働省が、いわゆるきめのこまかい、また、愛情のこもった施策を進めていかなければならぬという点は、もう先生のお話のとおりと私どもも心得ております。法は法として、なかなか法の改正ということが容易でない場合も現実の問題としてはあるわけでございますので、法の許す範囲において最大限に努力をいたして運営していく、こういう必がけで今後もまいりたいと思います。
なお特別年金のお話がございましたが、このことにつきましても、労働省といたしましては、かねがねぜひこういうことをやってほしいと、まあ炭鉱といったような恵まれないむしろ労働環境のもとでの労働でございますから、この労働力を確保するという意味から申しても、他の職場にないようなやはり何らかの魅力というものもぜひほしいと、そういう見地に立ちまして、従来から厚生省なりあるいは通産省なりと協議をいたして、これが推進に当たってきたわけでございますが、御承知のとおり、四十一年度の予算ではそれに対する調査費も通産省の予算についたのであります。通産省側も非常に積極的に考えておられるようでありまして、でき得れば四十二年度からでも実施できるように、ぜひすみやかに関係各省と協議を遂げて立案をしたいと、こういう考えにいま通産省でもなっているように、先般も同席の委員会でそういう意味のお話もございました。これは私どものほうとしては願ってもないことでございますから、歩調を合わせまして、できるだけすみやかにこれが実現するように、今後ともこれまた引き続いて努力いたしたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/32
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033・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/33
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034・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願いたいと思います。−別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/34
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035・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
炭鉱離職者臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/35
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036・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/36
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037・大河原一次
○委員長(大河原一次君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X00919660330/37
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