1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二十七日(月曜日)
午前十一時二十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 大矢 正君
理 事
剱木 亨弘君
小林 篤一君
小野 明君
鬼木 勝利君
委 員
石原幹市郎君
亀井 光君
久保 勘一君
高橋雄之助君
豊田 雅孝君
二木 謙吾君
吉武 恵市君
阿部 竹松君
大河原一次君
小柳 勇君
片山 武夫君
国務大臣
通商産業大臣 三木 武夫君
政府委員
通商産業政務次
官 堀本 宜実君
通商産業省石炭
局長 井上 亮君
事務局側
常任委員会専門
員 小田橋貞壽君
参考人
産炭地域振興事
業団理事 堀坂政太郎君
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本日の会議に付した案件
○特別委員長辞任の件
○特別委員長の補欠互選の件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○参考人の出席要求に関する件
○産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律
案(内閣提出、衆議院送付)
○当面の石炭対策樹立に関する調査
(石炭対策確立に関する決議案に関する件)
○福岡県三菱新入炭鉱の石炭採掘とこれが地表に
及ぼす影響の調査並びに復旧に関する請願(第
三八七号)
○石炭産業振興総合対策等に関する請願(第一八
八一号)
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
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〔理事剱木亨弘君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/0
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001・剱木亨弘
○理事(剱木亨弘君) ただいまから石炭対策特別委員会を開会いたします。
大河原委員長から、委員長の辞任願が提出されましたので、私が委員長の職務を行ないます。
まず、委員長辞任の件をおはかりいたします。
大河原一次君から委員長辞任願が提出されております。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/1
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002・剱木亨弘
○理事(剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。よって、辞任を許可することに決定いたしました。
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003・剱木亨弘
○理事(剱木亨弘君) 引き続きまして、委員長の補欠互選を行ないます。
つきましては、互選の方法はいかがいたしましょうか。おはかりいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/3
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004・鬼木勝利
○鬼木勝利君 委員長の互選につきましては、投票の方法によらないで、大矢正君を推選することの動議を提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/4
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005・小林篤一
○小林篤一君 私は、ただいまの鬼木委員の動議に賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/5
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006・剱木亨弘
○理事(剱木亨弘君) ただいまの鬼木君の動議に御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/6
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007・剱木亨弘
○理事(剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。よって、委員長に大矢正君が当選されました。
それでは、前委員長大河原君のごあいさつをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/7
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008・大河原一次
○大河原一次君 長い間たいへん恐縮でございます。委員長在任期間におきましては、何かと御配慮を賜わり、御鞭撻を賜わりまして、ほんとうにありがとうございました。非常に微力であっただけに、何かと不手ぎわの点もございまして、皆さんにいろいろと御迷惑をかけたこともあるかと思いますが、お許しを願いたいと思います。今後さらに重要な石炭対策に対処しなければならぬと思いますので、今後とも委員会にとどめさしていただきまして、懸命に皆さんと力を合わせまして石炭抜本対策に対して取り組んでいきたいと思います。どうも長々とありがとうございました。(拍手)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/8
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009・剱木亨弘
○理事(剱木亨弘君) 次に、新委員長を御紹介申し上げます。
大矢正君(拍手)
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〔大矢正君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/9
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010・大矢正
○委員長(大矢正君) この際、一言ごあいさつを申し上げます。
前大河原委員長のあとを受けまして、私が委員長に指名をせられましたが、多難な石炭対策樹立のために、皆さんの驥尾に付して一そう努力をいたしたいと存じております。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/10
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011・大矢正
○委員長(大矢正君) 速記をつけて。
暫時休憩いたします。
午前十一時二十四分休憩
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午後一時五十分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/11
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012・大矢正
○委員長(大矢正君) ただいまから石炭対策特別委員会を再開いたします。
まず、小柳勇君から、都合により、理事を辞任したい旨の申し出がございましたが、これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/12
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013・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/13
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014・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に小野明君を指名いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/14
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015・大矢正
○委員長(大矢正君) 産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/15
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016・阿部竹松
○阿部竹松君 ただいま委員長から提示ございました本法の内容を質問するにあたりまして、その前に、若干石炭政策について通産大臣にお尋ねいたします。
まず、第一点は、まあ今後の石炭政策のあり方については、審議会で審議をし、答弁をして抜本対策を立てるというのが従前から通産大臣の御答弁ですから、その点はその後に待つとして、さしあたりお尋ねしたいことは新鉱開発についてですが、昨年、一昨年と新鉱開発について、九州、北海道にすでに予算措置を講ずるとともに、大体北海道においては夕張とか、あるいは九州においては有明とか、何カ所か通産当局でもお考えになって予算措置を講じられておるように承っておるわけですが、予算は一昨年、昨年と、いま申し上げるとおり、ついておるんだが、その後全然行動の面にあらわれてないが、どういうことになっておるか。将来の問題については抜本対策に待つといたしましても、すでに数年前から決定した点をなぜ実行に移さないかという点をまずお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/16
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017・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) これは石炭の位置づけなんかの問題なんかがあっておくれておったわけでありますが、予算もあることでございますからこれは早急に実行に移すようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/17
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018・阿部竹松
○阿部竹松君 これは大臣、答申とまあ若干の関係があるかもしれませんけれども、すでに一昨年から、これはくどいようですが、申し上げますと、決定し、予算も組んであるわけなんです。私どもが予算措置について論議したときの推移からみると、すでに開鉱の運びに至っておらなければならぬものであると私は判断する。ところが、二年たった今日、まだ開鉱に至らぬということについては、きわめて遺憾に思っておるわけですが、もう少し具体的にその理由を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/18
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019・井上亮
○政府委員(井上亮君) ただいま大臣が御答弁されましたように、新鉱開発、特に原料炭の開発につきましては、九州に有明炭鉱、北海道におきましては南大夕張の新鉱につきまして、御指摘のように、昭和四十年度予算当初からそういう計画について検討を加えてまいりました。予算もついておったわけでございますが、御承知のように、抜本策の検討を審議会が現在やっておるわけでございます。この過程で、やはり需要確保、位置づけ等との関連がありまして、しばらくやはり問題があるというようなことのためにいま実施がおくれておるのが実情でございます。近く答申もあることでございますし、位置づけについても、政府も、近い将来、一つのはっきりした線が出されるのではないかと思いますので、それ次第実行に移りたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/19
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020・阿部竹松
○阿部竹松君 私は、決して大臣なり、あるいは石炭局長のことばじりをとらえてお尋ねしようとは思っておりません。ただ、抜本対策と関係なしとはしないでしょうけれども、この件を論議するとき、すでにそういうお話は少しでもなされておれば、これは別問題ですが、全然なされておらぬ。それから、仄聞するところによると、審議会等においても五千三百万トンの石炭を確保するとおっしゃるか、五千五百万トン確保するとおっしゃるか、これは私わかりません。しかし、いずれの数字で出てまいっても、現有勢力の山で五千三百万トンなり五千五百万トン出すという結論は出てこないはずである。山が変わったり、あるいは場所が変わったりして、同じ会社であっても、鉱業所別に変わってまいるかもしれぬ。そうしますと、これは石炭局長に申し上げたいわけですが、普通の町工場ですと、工場が建って半年以後には小さい工場ですと製品が市販される、こういうことがあるわけですが、石炭山は、御承知のとおり、少なくとも四年半ないし五年かかるわけです。特に政府がてこ入れしてやる山ですから、三十万トンや四十万トンの山でない、あるいは規模でない、こういうことが大体察知される。そうしますと、三年前の計画が、今日たまたまその石炭審議会の答申が出ないからという理由でいままでの計画を変えるということをお考えになっているといいます点、どうもその御答弁、あるいは通産当局のお考えが一致しないのではないかという点を疑問に思っているがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/20
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021・井上亮
○政府委員(井上亮君) ただいま新鉱開発、これは阿部先生も問題にしておられますのは、小さい新鉱開発じゃなくて、いわゆる原料炭の大規模な開発をいま計画いたしております。九州の有明、北海道の南大夕張という、この二つの相当大規模な原料炭の開発についてのお話であろうと思いますが、そのうち、有明の開発につきましては、これはもう阿部先生も御承知のように、日鉄鉱業がもう五、六年前から――もっと前からすでに計画も終わり、着工いたしているわけであります。相当程度もう工事も進行しているわけであります。これをいまさらやめるなんということは、かえって非経済、非能率なことになります。会社自体の計画にも重大な悪影響があるわけでございます。しかも、この有明の開発につきましては、八幡製鉄がこれはもう全面的に一体になって推進している関係もありまして、これをいまさらやめるということはきわめて非合理なものであるというふうに私は考えます。
なお、北海道の南大夕張の三菱の開発につきましては、これはまだこれから着工するいま計画の段階であります。これにつきまして、まあ予算の措置としては一応初年度の予算をつけて、この点については大蔵省も一ぺん賛成しているわけであります。私ども、この計画につきまして結論申し上げれば、いわゆる原料炭の開発は、今日これからスタートいたしましても、実際に採炭可能になりますのが五年後になりますので、やはり将来のスクラップ・アンド・ビルド政策の遂行ということを考えますと、古い山はやはり整理され、新しい山が開発されていくということを考えていきますと、炭量、炭質等、ともに非常に有望な鉱区につきましては、初めからこれは新鉱開発しても非能率で、非常に採算的にも問題だというならば別ですけれども、他の山よりもはるかに炭量、炭質ともにすぐれた山については、やはり進めていっていいのじゃないかというふうに考えておりまして、北海道についても、今日、私個人の意見としては、やるべきじゃないかというふうに考えているわけでありますが、しかし、この点につきましては、単に審議会の意見だけじゃなしに、関係金融機関等、やはり将来、何と申しますか、採算ベースとか、会社のこれを維持していくということについてもう少し検討したいというような関係金融機関の意見等もあっておくれているのが実情でございます。その点につきまして、私どもまだ説得力の弱い点は、率直に言いまして、認めるわけでありますが、何とか今度答申を得ました暁におきまして、これを推進していくように努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/21
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022・阿部竹松
○阿部竹松君 国の大事な税金の中からの金をもって応援するわけですから、十分検討しなければならぬということもわかりますし、慎重な態度をおとりになるということも十分わかります。ただ、二年も三年も前から計画をして、そのとき話が出なかったんだが、急にその答申待ちだということになっては、いままでそれぞれ地方自治団体なり、やらんとする当該経営者なり、これはちょっと迷うのではないかという懸念があるわけで、したがって、検討ということになると、いろいろ検討してみたけれども計画どおり進行できぬからやめましたということも検討、あるいは、いまより一そう拍車をかけなければならぬというのも検討のうちに入るでしょう。しかし、大体通産当局のお見込みはどうなんですか、いずれをおとりになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/22
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023・井上亮
○政府委員(井上亮君) 先ほど申しましたように、日鉄有明の開発は、これは実はいいも悪いもないので、もはや着工して五年以上たって、相当な自己資金も投じて、これは日鉄は非常に殊勝な企業でございまして、非常に危険を伴う海底炭鉱の開発でございますので、いままで百億に近い資金を自己資金をもってまかなってきたというような経緯もあるわけでございまして、先ほど来言いましたように、相当程度もう進行いたしておる、いまさらこれをやめるということはきわめて不適当だ、しかも、需要につきましては八幡製鉄との関連も明確にありまして、やめることはきわめて現実離れした考え方であるというふうに考えておるわけですが、南大夕張のほうにつきましては、まだこれから着工でございますが、しかし、私の考えとしましては、これが完成されました暁、つまり五、六年たちました後におきまして、やはり現在の原料炭のビルド炭鉱と、この開発されましたあとのこの南大夕張の鉱区を見ましたときに、相当すぐれた炭量、炭質、それからコスト条件も相当すぐれた地位にあると私どもは考えております。そういった意味では、将来この石炭の山につきましては、やはり老朽化していけば閉山しなければいかぬという宿命もあるわけでございます。そういった意味合いで、特に原料炭につきましてはエネルギー革命の影響は受けていないわけであります。やはり国内に必要な炭でもございます。特に南大夕張につきましては、同じくやはり鉄鉱業界から要望もある山でございますので、そういった点を考慮して、極力実施に踏み切れるように関係金融機関を説得する努力をいたしたいというふうに考えております。なお、南大夕張につきましては、もう準備は全部完了できておるわけでございます。極力ただいま言いましたような方針で努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/23
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024・阿部竹松
○阿部竹松君 通産大臣にお尋ねしますが、いまの井上局長のようなお話であると、大蔵省はよくことし四億円ですが、四億円の金をつけてくれたなと思うのです。もしそういうようなお話であれば、よし、わかりましたとは言うでしょうけれども、金に渋い大蔵省ですから、これからやるかどうかわからぬのに四億の予算をつけるはずがない、おそらく大蔵省と交渉するときはいろいろ裏があることでしょう、あっても、そういう話がなくて、幾分早く古い山を捨てるか知らぬけれども、新鉱開発をして、いい石炭をコストを安く出すんだというようなことで大蔵省と折衝していると思う。いまの石炭局長のようなお話を大蔵省が聞いたらびっくりしてしまうのではなかろうかと思うのですが、この点は一体どういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/24
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025・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ちょうど石炭の抜本策というものを検討しているときですから、開銀などが少し慎重になったような関係もあったことでこの着手がおくれているわけでございますが、阿部さん御指摘のように、なかなか金にからい大蔵省が四億円もつけてあるわけですから、これはできるだけ早い機会に――関連はあるわけですからね、抜本策としては。しかし、これは予算としては、本年度の予算にはそれ自体は切り離してついているわけでありますので、できるだけこの予算が執行できるように私も努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/25
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026・阿部竹松
○阿部竹松君 具体的な話になって恐縮ですが、どういうわけで足踏みしているかという理由ですね、抜本策というものを出して閣議決定して、立法するものは立法する、行政措置を講ずるものは行政措置を講ずるのだ、それ以後でなければならぬというのもわかるような気がするのですが、その理由は何ですか。たとえば貯炭が多い、あるいはこれからやってみても、石炭の価格がなかなか経済ベースに合わぬとか、あるいは将来の見通しとして外国炭が安く入るとか、こういういろいろの要素がありましょう。したがって、最も足踏みしなければならぬ理由は何ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/26
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027・井上亮
○政府委員(井上亮君) 一言で申し上げますと、やはり開発されました後における南大夕張の採算ベースといいますか、コスト条件が、現行炭価水準が横ばいだということを前提といたしましたときにやはり苦しい面があるということが一番大きな理由だと思います。相当程度国の資金も設備資金も投じまして建設していくわけでございます。現在の予算は、たしか五割程度でございます。五割程度の融資をしていく、あとは自己調達という前提になっております。これでやりましたときには相当いいところまで採算ベース近くまでいくわけでございます、私どもの計算見通しによりますと。ですから、私は踏み切っていいというふうに個人的には考えているわけですが、これはやはりこれを最終的に決定をしますには、政府の金融機関をはじめ、関係金融機関が協議をしてきめませんと最終結論が出ないわけで、そういうような点に難点がある。ただ、しかし、採算ベースに近づくことは近づくのですが、やはり計算上赤字が残る、五年以降ですね。五年では当然無理だと思います。これは開発直後ですから、計算上赤字が出るのは当然ですが、七、八年後ですね、あるいは十年後を想定して、やはり少し苦しい点もあるというのがひっかかった大きな点でございます。しかし、それはじゃあその時点の他の原料炭のビルド山の状態はどうかといいますと、他の原料炭のビルド山と比べれば、私は非常にこちらの山のほうがそういった経理採算状況はいいという見通しはあるわけでございまして、石炭産業については、現在のままで助成なしにいくということは、これはとてもどの山でもできないわけでありまして、そういった点を考慮すれば、私は将来有望な山ではないかというふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/27
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028・阿部竹松
○阿部竹松君 石炭局長は、一口に言うとというようなおことばでただいまの御答弁をなさったわけですが、一口に言うと、私の仄聞するところによると、昨年の暮れに通産省が石炭経営者を全部集めて、現在わが国で石炭が足らぬ、炭鉱経営者は石炭を増産せい、増産せぬような経営者は通産当局としては応援せぬぞといって、通産当局は石炭経営者を全部集めておしかりになって、石炭経営者はしょぼしょぼしているものですから、びっくりして、通産省に見捨てられてはたまらぬということで大増産をやって、その結果、半年たった今日、一千万トンの貯炭がある、また今度は逆にびっくりして、一千万トンの貯炭があるのに、新鉱開発をやるなどと国から金を持ち出すことはまかりならぬということでストップになっているというふうに承っている。そうすると、どうも通産省は叱咜激励されるのはけっこうだが、回り回って苦しみを一般に与えておるということになりはせぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/28
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029・井上亮
○政府委員(井上亮君) おことばのとおりでございますが、実情を少しふえんして申し上げたいと思います。昨年の八月の終わり、ないしは九月の初めに、ただいま先生おっしゃいましたように、石炭産業にもう少し生産の努力をするように申し上げたことは事実であります。しかし、それは御承知のように、ことしの上期におきまして需給はきわめてアンバランスでありました。せっかく電力業界、鉄鋼業界に供給するという約束をしましたものの、はるかに数量が足らない、計画よりも上期だけで百四、五十万トンの減産であったと思います。そういう状態をそのまま下期も続けていきますと、せっかく電力につきまして千九百万トン引き取ってもらう約束をしても、鉄鋼業界に対して八百五十万トン引き取りを約束しましても、その約束を励行しなければ、次の年次に石炭産業が幾ら増産をしても引き取ってもらえないというような事情もあるわけで、やはり約束した数字は供給をする必要があるのじゃないかというようなことで、上期百四、五十万トンの減産に対して、少なくとも計画程度の線まで増産するように要請したことは事実であります。やはりその努力なくして、ただ減産したから資金繰りが苦しくなった、コストが悪くなった、国に助成をしてくれでは通りませんので、少なくとも電力、鉄鋼業界が引き取ろうと約束した需要を確保するまでは増産をしてもらいたいということを申し上げたわけでございまして、その点は誤解のないようにお願いいたします。
それから、もう一つ、今日貯炭が非常にふえていることは御指摘のとおりであります。それは主としての大きな原因は、やはり鉄のほうはほぼ昨年は計画どおり取ってもらったわけですが、電力についての引き取りは、引き取りの数字は同じでございますが、消費が百万トン減ったわけでございます。電力業界に貯炭が非常に多いということから、本年度の引き取りについてはまだ話がきまっていない。話がきまっておりませんので、電力業界の引き取りは昨年と同様のレベル、あるいはそれ以下になっておる。そういった点が今日貯炭が非常にふえている大きな原因でありまして、私ども、いま電力業界、鉄鋼業界とも話し合いまして、昨年よりも相当大幅に、相当大きく引き取り増をいまお願いいたしている次第でございまして、近く何とかこれを実現したいというふうに努力いたしております。
なお、それが原料炭の開発に直接支障があるわけじゃありませんが、間接的にはそういう気持ちがあろうと思うのです、関係金融機関の頭の中に。間接的にはそういうことも考慮しておられると思いますが、直接的には、やはり五年後ないし七年後、八年後、十年後の山の開発されたあとの姿が収支採算が少しむずかしい点があるのではないかという点が問題になってくるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/29
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030・阿部竹松
○阿部竹松君 ただいまの御答弁を聞いておりましても一千万トンの貯炭がある。局長の御説明ではいろいろ原因をお話しなさっておるが、たとえば百万トンの差ができた、原料炭ですね、これを差し引きましてもなお一千万トン貯炭があっても、操作炭等がございまして、純然たる貯炭は一千万トンではないでしょう。それにしても数字的に合わぬですね。しかし、それをここで論争しても貯炭は減りませんから、これ以上論争しませんけれども、しからば、これ専売品じゃございませんので、通産省がどうするというわけにはいかぬでしょうけれども、しかし、それをあずかって行政指導なさっているわけですから、その処置としてさしあたりどういうことをお考えになっておるか。たとえば新聞に出ておりました二十五億円融資するとか、いろいろなことが出ておりましたが、これ焼け石に水でしょう。したがって、現況をしのぐためにどういう行政指導をなさるのか、お尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/30
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031・井上亮
○政府委員(井上亮君) やはり第一の問題は、需要確保の話し合いをやはり早急にまとめる必要があると思います。つまり電力に対しましては、昨年の引き取りが千九百万トン、消費が千八百万トンでございますから、引き取りは千九百万トンお願いしました。本年度はやはり二千万トン以上の相当な量を引き取っていただく必要があるのじゃないかということで、ただいま電力業界と話し合い中でございます。それにしましても、もし出炭が昨年の下期同様の好調であれば相当程度の貯炭がなおかつふえる。したがいまして、それにつきましては、やはり貯炭対策も並行して進めなければいかん。しかし、第一には、引き取ってもらう努力、政策需要でございますから、これを最大限に努力する。しかし、相手にもやはり限界がありましょうから、電力業界に、その場合には本年度の出炭計画につきまして、貯炭の対策で考慮していく以外にないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/31
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032・阿部竹松
○阿部竹松君 そうしますと、石炭の操短といいますか、生産制限といいますか、そういうことは必要ないわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/32
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033・井上亮
○政府委員(井上亮君) 生産制限ということは、炭鉱につきましては、他の鉄工業とか機械工業と違いまして、装置産業と違いまして、人間の働くのを手控えなさいということになりますので、これは非常にいろいろな問題に波及して悪い問題が出てまいりますので、操短ということは、私は基本的には石炭産業の場合にはできにくいのじゃないかというふうに考えております。むしろ、もしやるんならば、やはり非能率炭鉱の閉山を促進する。と申しますのは、非能率炭鉱につきましては、今日まで事業団の申し込みが激減いたしております。この理由は、買い上げ単価が上がるのではないかということで、ぴたりと閉山申し込みがなくなっておるわけであります。したがいまして、それがまた増産のテンポに拍車をかけているというような事情もございますので、今度抜本策が出ますると、閉山買い上げについての交付金の単価といいますか、こういった点もおおむね見当がつく。これが明らかになれば申し込みがどっと出るんじゃないかというふうに考えますので、それらの点も、何も政府がつぶすわけじゃありません。いまそういうことのために閉山する決意を持った方が閉山の申し込みをされていないというような事情もございますので、やはり抜本策が明らかになればこういった点がまたスムーズに行なわれて、非能率炭鉱の閉山の促進も行なわれるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/33
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034・阿部竹松
○阿部竹松君 なるほどそういう現象はあるでしょう。しかし、高くなる高くなるといって宣伝しておるのは石炭局長あなた御自身じゃないですか。したがって、あなたのほうの口から漏れなければ、だれも有沢先生がそうおっしゃるとも土屋清先生がそうおっしゃるとも思われないのです。石炭局長がおっしゃったと断言するとたいへん失礼ですから、そういうことは言いませんけれども、その辺から漏れて逆にお困りになっておるのじゃないかと思うのですが、そういうことはさておいて、たとえば本年度今日まで買ってきたようなことで合理化事業団が買い上げしようという節がありますね、三十何億か。それと、いま局長がおっしゃった答申案で二倍にせいとか五倍にせいとか、いまと同じである。まあ結論はわかりませんけれども、しかし、十月一日なら十月一日以後買い上げる山に該当するとかしないとかいうことになるでしょう。しかし、その場合、今日までやったような、同じルートで予算をとってある分と、新しく今度の答申に基づいてのほうによって買い上げる山との差額はどうなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/34
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035・井上亮
○政府委員(井上亮君) ただいま閉山の申し込みは、前年以来のずれております山はそれはもちろんございますけれども、新しい本年度閉山予定の申し込み、これはまあ、二、三の炭鉱を除いては、ほとんどいま模様待ちということのようでございまして、ほとんどそういったものは進んでいない。それから、買い上げ単価を上げるというのは、こっちはそう宣伝しているわけじゃありませんので、ただ、審議会の討論の中で、やはり閉山の社会的影響というような点を考えまして、やはり現行の買い上げ単価ではあまりにも悲惨な姿であるから、たとえば閉山費用が大体トン当たり一万円程度にのぼっております。中小炭鉱でも五千円程度かかるというのに対して、買い上げ単価はいま千二百円程度であります。これではやはり離職されます労働者の立場、あるいは地元の鉱害被害者、あるいは地元の中小商工業者に対して甚大な影響を与えますので、やはりこれの改定が必要ではないかという意見が出ております。しかし、まだどの程度が妥当だという結論は出ておりません。おりませんが、そういう空気が非常に強いものですから、いま閉山を予定し、かつ、希望しておられるところの非能率炭鉱の山でも、いま模様待ちというのが実情でございまして、抜本策が出ましたならば、政府としてはこういったことについてのはっきりした方針を打ち出したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/35
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036・阿部竹松
○阿部竹松君 私の質問の中身がよく理解できなかったようで、もう一度お尋ねしますが、私のお尋ねしていることはこういうことなんです。たとえば今年度の当初予算で、本年度の買い上げ分が三十七億なら三十七億に予定した、しかし、いま局長のおっしゃったとおり、六月閉山するのと十月閉山するのとは、その石炭コスト、トン当たり千二百円が三千円になったと、あるいはなると、こういうことですと、もう三カ月しんぼうせいということで、これはがんばりますわね。したがって、最初予定しておったのは三十七億なら三十七億であるけれども、しかし、それが実際七億しか使っておらぬ、三十億は残る。そうすると、十月一日になったらその三十億も含めて三倍になるのか、三倍なら三倍、これは例ですよ。あるいは全部対象になるのか、あるいは前に計画された分は前の従前どおりということでいくのか、そこをお尋ねしているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/36
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037・井上亮
○政府委員(井上亮君) これはまだこれから具体的に大蔵当局とも予算の折衝をしなければいかんわけですから、いま明確な答弁はできないわけでございますが、私の気持ちといたしましては、やはり抜本策が出ました場合には、できるだけ次の年度から新しい方式を採用するということでは、来年まで閉山が一トンもないということになりまして非常におかしな姿にもなりますし、その間、やはり非能率な山で持ちこたえができないのに無理に持ちこたえる努力をいたしますと、その間、労働者にいろいろなしわを寄せたりいろいろして持ちこたえの努力をするということになって、弊害も起こります。その結果、また保安にも悪い影響を与えるというようなことも考えられますので、できるだけ本年度中にそういった答申ができ、答申が出され、政府がそれに基づいて政策を早急にきめると思いますから、きめました場合には、その線に沿ってできるだけ本年度からその線で実施するように努力してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/37
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038・阿部竹松
○阿部竹松君 そういう配慮が石炭局にあるのであれば、なぜ今日からもう単価を上げないのですか。いままで安いのは大体八百から九百円ぐらい、中小のカロリーの低い山で。あるいは高いところでは千四百円から千五百円。これは今度高く買うのでなくて、いままでが安かった。しかし、いままでのことは別として、そういうことであれば、石炭の価格はいままで千百四十円か、いま千二百円平均ぐらいでしょう。それを今度高くするといっても、これは法改正は必要がない。したがって、そういう措置を講ずるということになれば、一カ年で八百万トン整理するいうことはないわけですから、今日すでにぼつぼつ始めていいものをお始めになったらどうでしょうか。あるいは幾多の難関があるというのであれば別問題でありますけれども、それがいいことであるとお考えになっており、審議会の答申も出てくるということなんですから、すでにお始めになれば、無理によろよろしたものをカンフル注射で持たして、そうして最後はということでなしにできそうなものであると判断しますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/38
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039・井上亮
○政府委員(井上亮君) 買い上げ単価をどの程度にするのが妥当かというような線はまだきまっておらないわけでございまして、これは答申が出まして、その直後に政府部内でこれを受けた政府の態度を明らかにいたしますときには大体の見通しはつこうかと思っております。しかし、これは予算問題でございますから、現在の予算では千二百円単価で予算を計上しておりますので、これだけでは、かりに当初に予定しました閉山計画そのままといたしましても、閉山計画のほうはそのままといたしましても、単価が変わりますと、やはり追加予算を要求しなければならないというようなこともございますので、やはり臨時国会あたりで御審議いただいて御承認いただかないと実施はむずかしいのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/39
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040・阿部竹松
○阿部竹松君 今日すら余っておるというのに、追加予算どころか、予算を返上しなければならぬという結論に、さいぜんからの御答弁ですと、なるじゃありませんか、どこも申し込んでこないわけですから。もし単価が上がらないということになると、怒濤のように申し込むところがふえてくるというのですから、そこらあたりがよくわからぬわけですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/40
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041・井上亮
○政府委員(井上亮君) まあこの交付金の単価を変えるということは、内容によりましては、要すればこの法律改正の問題になる可能性もございます。したがいまして、これはさっき予算と申しましたが、予算の問題もありますし、内容いかんによりましては法改正、これをお願いしなければならぬ事態も予想されますので、やはり実施に移りますのは、どんなに急ぎましても臨時国会以後になるのじゃないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/41
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042・阿部竹松
○阿部竹松君 抜本的対策が答申され、閣議決定し、国会にはかることですから、その結果も待たないで論議するということは不見識かもしれません。ただ、したがって、伺っておきたいことは、筑豊等において何百万トンの山が休閉山、あるいは合理化事業団によって買山になるかわかりませんけれども、あの鉱害は一体どういうことになりますか。炭鉱の陥没地帯、クリーク地帯、あれまで該当するだけの金額を出すわけですか。ですから、石炭の商品というものは、陸上に出てきて初めて何カロリーの石炭は何円というおよその相場はありますが、地底に埋もれている石炭ですから、なかなか価格の判断ということは困難でしょう。したがって、商品価値があるようでゼロにひとしいものに価格をつけるわけですからね。そうして閉山の処理に必要な金額を出す大体ものさしの一部にするのではないかということも政治的に判断される、こういう点はいかがですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/42
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043・井上亮
○政府委員(井上亮君) 鉱山の問題は、この閉山につきましては、特にこの閉山単価には大きな影響はございません。そうでない鉱害の問題につきましては、むしろ閉山いたしますと、中小炭鉱の場合でありますと、大体無資力に認定されるケースが非常に多いわけでありまして、無資力炭鉱については国と地方公共団体のみで計画的に処理するという方針を立てておりますので、そう大した大きな問題はないわけであります。ただいま私どもこの単価の問題で問題にいたしましておりますのは、本日、衆議院でも決議されましたけれども、やはり閉山に伴って一番困るのは退職者、離職者、これが非常に悲惨な姿におるわけでございますので、これに対してもう少し閉山交付金を手厚くすることによってもうちょっと現実に合う政策是正ができないかというような点が大きな点だと思います。
それから、なお、これは衆議院では、衆議院の与野党の決議では触れておりませんけれども、やはり一般の債権者等につきましてももう少し配慮をする必要があるのではないかというふうに考えておるわけでございます。鉱害は、むしろ鉱害対策のほうでしっかりやっていきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/43
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044・阿部竹松
○阿部竹松君 その鉱害対策しっかりでなくして、その鉱害が問題なんです、買山に関係してね。たとえば一億円なら一億円で買山していただいて、そのうち二〇%なら二〇%労務費だと、残りの五〇%はいきなり鉱害に持っていく、経営者はもう五〇%なら五〇%を交付金から天引きされて万事終われりと、あとは無資力ですから、一切政府にお願いします、それでいいかもしれません。その鉱害のあり方については、これは労務者は、いま局長おっしゃったように、影響しますよ。ですから、鉱害とやめて行かれる労務者は関係ないということは絶対ないわけです。鉱害の措置をどうするか、経営者はもうそれでいいわけでしょう、あと無資力によって国でやってくださるから。しかし、労務者のほうは百分の何がししか当たらぬままに、それはそのまま無資力だといって国でみてくれないでしょう。ですから、私はその点が心配ですね。鉱害は一切交付金からいかないで、全部労務者にやるというような法律が出てきますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/44
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045・井上亮
○政府委員(井上亮君) 鉱害には全然やらないでということにはなりません。鉱害は、少なくとも従来めんどうをみました程度、従来確保された程度のものは私は少なくとも必要であるというふうに考えておりますが、しかし、労務者のほうは非常に従来総体的に手簿かったということ、鉱害のほうは単に交付金だけで勝負するわけじゃありません。やはり鉱害復旧事業団等を通じて計画的に復旧していくというような形で、別途鉱害対策で処理される面もあるわけでございます。だから、特にことしの予算からは、先生も御承知のように、無資力の年々賠償につきましては国が予算でめんどうをみるというような制度もできたわけでございます。したがいまして、鉱害につきましてはそういった制度で考える。
それから、特に離職者については、山が閉山いたしまして無資力になりますとめんどうをみるところが一つもないわけでございます。鉱害はまだ国や地方公共団体が計画的に責任を持って処理していくというような体制があるわけでございますが、離職者にとってはそういう対策は全然ございません。したがいまして、そういうような意味合いから退職者に少し重点を置いた政策を考慮してまいりたい、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/45
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046・阿部竹松
○阿部竹松君 こういう抜本策が出るであろうかというような疑心暗鬼でお尋ねしていたわけですから、話が飛び飛びになってたいへん恐縮です。ただ、そういう点を非常に懸念するのと、よその会社の例をとって委員会で論議するのはどうかと思いますが、具体的にひとつ申し上げてみますと、この前石炭委員会で九州に参りまして、貝島炭礦というところにおじゃましました。いろいろ会社側から説明を承っておりますと、鉱害だけでも五十数億、六十億近い金がなければ復旧できません。そうしますと、鉱害だけでいま申し上げた金額があるわけですから、年五分の金利がかかったとしても、金利だけでも数億かかる。そうすると金利を含めてそれだけ貝島炭礦が今後五年、十年後に働けるかといったら、そういうわけにはいかぬ。そうすると、これをどうするかという問題になる。さしあたり心配なのは、貝島炭礦がもしなくなったとすると、これは無資力だといっても六十億全部ではないでしょう、交付金のうちから入ってくるから全額ではないけれども、とにかくほとんどの金額は国のお世話にならなければならない。ほうり出された労務者は一体どうなるかという心配があるわのです。したがって、抜本対策の中でそういう点は十分論議していただけると思いますので、鉱害についてはこれ以上お尋ねいたしませんけれども、この措置について石炭当局はどう考えるのか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/46
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047・井上亮
○政府委員(井上亮君) 鉱害につきましては、今度抜本策の中でも円城寺さんが部会長になった鉱害部会でいま鋭意しっかりした対策を練ろうということで、精力的に検討しておられまして、今日までのいろいろ審議の経過を見ますと、相当画期的な対策が出るのじゃないか。たとえば具体的に申しますと、残存鉱害については、やはり無資力鉱害を中心にしまして総合的、計画的に処理するというような線が相当強く打ち出されるのではないか。それで、総合的と申しますのは、やはり相当国も中に入って、単に断片的に鉱害処理というのじゃなくて、地域的に見まして総合計画のもとに処理するというような感覚が入った処理方針がきめられていくのじゃないか。それから、なお、十年後に復旧ができるのか、二十年たったら復旧が全部終わるのか、非常に現状においては不安定だという声もありますので、これらにつきましてもできるだけ計画的に処理されるような方針が打ち出されるのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/47
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048・阿部竹松
○阿部竹松君 次に、産炭地事業団についてですが、政府当局のお考えでは、数年来から、公社、こういうものをおつくりにならぬという方針のようですが、公社と公団、事業団と、それぞれ性格が違っておるわけですが、事業団が本年もこれは農林省関係にできる。ところが、事業団というのは出発当初はきわめてスケールが小さいし、幅がない、一年ごとにだんだん仕事をやっていくたびに必要に応じて幅がふえていく、石炭合理化臨時措置法によるところの合理化事業団にしても、初めの出発当初より相当幅が広く、仕事の中身もふえていく、産炭地事業団にしてもしかり。ところが、産炭地事業団で工場用地の造成をなさったり、あるいは住宅用地の造成をなさる。したがって、石炭の山のあとだけ買うならそれはけっこうでしょうけれども、その石炭山の付近にぼつぼつと民有地があったりする一画を全部造成しなければならぬわけですから、一万坪のところに三百坪ほどの離れ小島があってはたいへんぐあいが悪いから、公団としてはその土地を買収しなければならぬ。そうしますと、これは一例ですが、住宅公団が買収した場合には公益事業ですから税金がかからぬ。産炭地事業団で買収した場合には、これは公益事業でないから税金がかかる。同じ反三百円なり五百円であっても、税金がかかるのとかからないのとでは、売ったほうでは手に入る金額が膨大に違うわけですから、なかなか産炭地事業のほうでは遅々として仕事が進まない。工場地域の造成にしても住宅地域の造成にしても。ですから、産炭地域振興事業団が公益的性格がないといってしまえばそれまででしょう。しかし、しからば住宅公団はどうかというと、なさっておる仕事はあまり違わぬ。やはりその土地を造成して家を建てて、貸すところもあるけれども、売っているところもある。それと同じように、平等に税金その他の処置についても取り扱わなければならぬにもかかわらず、産炭地事業団と公団とが差がついているということは一体どういうことか、通産当局としても支障を来たすのじゃないですか。住宅公団のほうは建設省、産炭地事業団のほうは通産省関係ですが、そうすると、その差をなぜつけなければならなかったかという理由をお尋ねしたい。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/48
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049・大矢正
○委員長(大矢正君) この際、参考人の出席要求に関する件をおはかりいたします。
産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日、産炭地域振興事業団の理事堀坂政太郎君に参考人として出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/49
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050・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/50
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051・井上亮
○政府委員(井上亮君) 産炭地域振興事業団が取得します土地について課税されるという点につきましては、できるだけ合理的な形にしてもらうように、特に課税につきましては、何らかこれについて軽減措置をやはり考えてもらうように検討し、また、関係方面にも話し合いを進めて努力してまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/51
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052・阿部竹松
○阿部竹松君 検討せいというのじゃない、どういうわけで差をつけておるかということをお聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/52
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053・井上亮
○政府委員(井上亮君) 産炭地事業団に関します限り、やはり取得しました土地を売る行為をするわけでございます。そこにやはり所得ありというふうに税務当局から考えられておるわけだと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/53
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054・阿部竹松
○阿部竹松君 木で鼻をくくった答弁というとはなはだ恐縮ですが、そういうことですね。しかし、住宅公団だって売る行為をやっておりますよ、家を建てて。それと同じじゃないですか。それは面積の広さや狭さはあるでしょうけれども、売る行為はお互いにやっておるんです。これは通産大臣どうですか。土地収用法というものが産炭地事業団にはない、公益事業という住宅公団にはある。したがって、差がついているということになるわけですが、しかし、実際といたしましては同じような性質の仕事をなさっておるわけですから、政府当局としても同じ取り扱いをしなければぐあいが悪い、こういう問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/54
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055・井上亮
○政府委員(井上亮君) この答弁をしてもなかなか御納得いただけないだろうと思いますから、私は先を越しまして、なお努力するという話を申し上げたわけでございますが、実情は、これは私の意見でありません、税務当局の考え方でございますが、住宅につきましては、不特定多数のものに対しまして、特に都市計画に沿ってやるというところにメリットを与えているようでございます。わがほうの産炭地につきましては、特定の少数であるというような理由のために差別をつけられているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/55
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056・阿部竹松
○阿部竹松君 私のほうの関係ありませんとおっしるけれども、確かに関係ありますよ。産炭地事業団はあなたのほうの関係ですよ。そうすると、自分の所管しておるところの事業団が差別待遇をされていて、あんたおこらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/56
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057・井上亮
○政府委員(井上亮君) おこっておりますから、先ほど申しましたように、経減するように努力することを約束いたしております。ただいま申しますのは私の意見でありません。税務当局はこういう見方をしておるということを申し上げました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/57
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058・阿部竹松
○阿部竹松君 いま委員長の報告で、事業団の堀坂理事が出席しているそうですから、その中身を、堀坂理事、恐縮ですが、ちょっと御説明願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/58
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059・堀坂政太郎
○参考人(堀坂政太郎君) 事業団の取得します土地に対する問題につきましていろいろな面があるわけでございますが、事業団が工業団地をつくりますのは、法律に基づきまして計画的に工業団地になるようなところをつくれということになっておる。したがいまして、事業団が工業用地を取得いたします場合におきましては、地元の県、あるいは市町村からの要請、あるいは炭鉱が閉山をしたという状況等にかんがみまして、これを工業用地として適当であろうと思う所を選定するわけでございますが、その場合におきまして、いま御指摘のように、何万坪かの土地を取得して造成いたそうといたしました場合におきましても、所有権者は相当あるわけでございますが、その所有権者の方がすべて同じようなお気持ちで土地を提供していただきますと事は非常に簡単でございますけれども、実際には数百人の中で、九〇%までは同意していただけたが、その中の残りの人が同意をしていただけないというようなことがございまして、計画的な土地造成に非常に困難を来たしておるわけであります。そのときに、これは売りたいとか売りたくないという問題は、これは個人の所有者の自由意思に基づくものでございまして、今日の状態におきましては、私どもはこれを強制するわけにはいかないので、いろいろお願いをして歩く状況であります。
もう一つ、その問題については、御指摘のございましたように、土地を売ります場合において、産炭地域振興事業団に売った土地については課税上の特権がないということが非常に大きな障害になっていることは事実でございまして、その点を直していただきますように、政府関係者にいままでお願いをしてきておるところでございます。今後ともそのような状態を改善していただきたい、こう思っておるのでございます。これは直接土地収用という問題にも引っかかろうかと思うのですが、税法上の問題といたしまして、何とかその辺を改善していただきませんと計画的な土地造成が困難であろうという状態であることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/59
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060・阿部竹松
○阿部竹松君 これは通産大臣に申し上げますが、内閣改造で大臣がいろいろおわかりになるようですが、通産大臣は留任されるそうですから、ひとつ、いまのような事情なんで、私は、産炭地域振興事業団に応援するのではありませんけれども、産炭地域が一日も早く土地の造成とか、あるいは工場誘致、こういうものが進行すればいいと思う。そのためには、いまのようなじゃまがあるので、どの法律のどの条項をどう修正すればよろしいということはわかりませんけれども、少なくとも、一方の公団では住宅をやっぱり同じく売っているわけです。利潤は取らぬでも、手数料くらい取っているんでしょう、売っているんですから。しかも、産炭地域振興事業団も利潤を取っているわけじゃないのですから、やっぱり濃度の差があっても、国の機関ですから、この次の国会までには、ひとつ法律を修正できるものであれば法律の修正を行なって、その産炭地域の発展に寄与するようにひとつお願いしたいと思うわけです。
その次に、ついでに申し上げて恐縮ですが、堀坂さんにお尋ねしますが、あなたはヨーロッパを回られてお帰りになって、外国の、特に同じようなエネルギー政策で非常に苦労なすっておるイギリス等を見学されてお帰りになったそうですが、堀坂さんは衆議院の委員会にも出席されて外国の事情の説明をなさっておりますね。相当な時間を使ってやったようで、私全部読ませていただいたわけですが、理解できないところがある。産炭地事業団、外国にこういう名称のものはないでしよう。イギリスは国営ですから、おのずから日本と形式が違うでしょうが、向こうのよかった点を、きようは時間もありませんけれども、ひとつ聞かせていただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/60
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061・堀坂政太郎
○参考人(堀坂政太郎君) お答えを申し上げます。
ただいまおっしゃいましたように、欧州におきましては産炭地域振興事業団というような、こういう特別に産炭地問題を扱うような組織をつくった国はないのでございますが、全般問題といたしましては、欧州の石炭及び鉄鋼共同体が、数年前から、合理化に対しますところの産炭地問題、雇用問題についてはいろいろ制度的に各国を援助し、また、資金的にこれを援助するということをやっておるのでございます。英国の産炭地問題に対するやり方といたしまして非常に感心いたしましたのは、産炭地のビルド地帯を除きました、いわゆる疲弊する産炭地に相当するところはほとんどが入っておるのでございますが、いわゆる開発地域ということに指定をいたしまして、この開発地域に対する企業誘致をするための制度と、それから、過大都市におけるところの工業の集中というものを防止する、この二つの線というものを密着させながら運営をしておるということでございまして、その根本といたしましては、英国のいかなる土地におきましても、三十坪以上の工場の設置と、八十三坪以上の事務所の開設ということについては、商務省の認可制度をとりますと同時に、開発地域、すなわち、開発地域というのは、疲弊した開発地域と申したほうがよろしいかと思いますが、この開発地域に参ります場合には、これに対しまして、企業がそこに行って事業をやったほうが他の地域でやるよりもより有利であるというような補助金制度、あるいは償却制度というようなものをもって運用しておるのであります。すなわち、過密地帯に産業を持っていくよりも開発地域に持っていくことが国の利益でもあるし、また、個人企業の利益にもなり得るというような制度を運用しておるということであります。また、そのような地域に対します開発の対策といたしましては、かつてそのような産炭地が産業革命以来の産業の中心地として発展したところでございますので、そういうようなところの公共投資というものをできるだけ生かすようにということに十分な配慮をいたしまして、そのような地域の工業団地等の制定等につきましては、全国的に三つの工業団地管理公社を持ちまして造成をいたしまして、この土地は九十九年間賃貸借する、工場等についても企業者の希望に応じまして、その工業団地管理公社で建てて貸すこともできるし、あるいは売ることもできるというようなことでやっておるのでございます。特に昨年のナショナル・プランによりまして炭鉱の閉山が行なわれました地域につきましては、その新たな閉山地域はすぐ開発地域に指定をいたしまして、そこにアドバンス・ファクトリー、先行投資的に工場を立てまして、いつでも企業者が来たら貸せるような工場を準備をしているということで、炭鉱の閉山対策と産炭地対策が密着しているという点は非常に参考になるのではないかというふうに思っているのであります。また、環境整備というものがこういう合理化対策の一環として非常に重要視されているということで、見捨てられたいわゆる鉱害地、ボタ山というものが他の用途、これは単なる工場だけに限らずに、広く使えるようにしているというような点も大いに参考になろうと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/61
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062・阿部竹松
○阿部竹松君 いまお聞きしたわけですが、イギリスとわが国とでは国情も違いますし、石炭産業の国営ということで、イギリスも日本と同じで苦労しておるようですが、これは通産大臣にお尋ねしたいわけですが、イギリスは九千万ポンドというから、日本の金にして九百億円ですね、そのうち動力省から石炭庁に四千万ポンド国が出しててこ入れしているわけですね。私はイギリスのようになかなか日本の国はできなかろうということは理解できますが、もう少し抜本対策抜本対策とばかり言っておらぬで、やはり政府みずからが陣頭に立ってやっていただきたいという気持ちでありますが、それを大臣にお尋ねするのと、もう一つ、石炭産業の安定と産炭地域の安定と違うわけですね。石炭産業が安定したといっても産炭地域が安定するとは限っておりません。夕張市とか美唄市とか三笠市とか、石炭産業の安定することによって、産炭地域でございますから、安定するかもしれませんけれども、昨年までは炭鉱がたくさんあったけれども、ことしはもう一つも石炭が出ないというような地方自治体にとって、石炭産業が安定しても産炭地域が安定しません。ですから、石炭産業にてこ入れをしていただくことは当然ですけれども、もう一つの産炭地域の安定というものと石炭産業の安定とは違うのだということで、もう少し力を入れていただく方法がないものか。もちろん今度の答申には産炭地域の安定という中身はおそらくなかろうと思うわけでありますが、将来の石炭産業をエネルギーの中でどういうふうにてこ入れをしていくかということになろうかと思うので、いまの話を聞きましたから、それはイギリスよろしいな、日本もそうせいというふうなことは言いませんけれども、産炭地域をどうしてこれから盛り立てていくのかということを、大臣ひとつお心がまえでもあれば御開陳願いたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/62
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063・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) イギリスはなかなか思い切ったことをする国ですから、そういう点でわれわれ非常に参考になる点が多いと思います。今度の石炭の抜本策といわれることは、相当国として財政的な資金もつぎ込まなければならぬ。イギリスのようなわけにはいろいろいきませんけれども、相当腹をきめた対策を立てたいと考えております。阿部さんの言われるように、どうもいままでの産炭地は景気が悪かったということも、まあ去年、今年とそういうこともあるわけでありますが、それにしても、もう少しくふうが要るのではないか。産炭地振興についてそういうことで、これは諸外国のいまのお話にもいろいろ参考になる点も多々あるわけでありますから、産炭地振興については従来の行き方、この行き方を踏襲するということよりは、もう少し積極的な態度で再検討いたしたいという考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/63
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064・阿部竹松
○阿部竹松君 産炭地域振興ということを過去数年間ここで論議したわけでありますが、石炭局長にお尋ねしますが、大体いままでに産炭地域に国がてこ入れしたり、地方自治体が努力して、大体幾らくらい工場なり仕事をなさったか、具体的にひとつお聞きしたいものですがね。口では産炭地振興は言いやすいけれども、なかなかやっておらないので、したがって、どのくらいの土地が造成され、どのくらいの住宅が建設され、どのくらいの仕事をなさっておるか、お尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/64
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065・井上亮
○政府委員(井上亮君) 阿部先生も御承知のように、産炭地域振興事業団ができましたのは三十七年度からでございますが、御承知のように、この事業団の主たる業務は、今日まで産炭地に企業を誘致して、その誘致企業に対して融資をするということ。それから、同時に、同じく疲弊した産炭地域を将来の大きな基盤といたしますために、道路の建設等と並行いたしまして土地造成をするという、融資業務と土地造成業務というのが今日までの大きな業務であったわけでございます。なお、ことしからは、先般事業団法の改正をお願いいたしまして、今度は水資源、工業用水の建設業務、あるいは出資業務、あるいは運転資金の融資業務というものを追加させていただいたわけでございますが、今日までの融資とか、あるいは土地造成の状況について簡単に申し上げますと、昭和三十七年度からこの融資業務を開始いたしまして、昭和四十年度までに二百八十七件融資いたしまして、金額にいたしましては、融資実績といたしまして六十三億三千九百万円ほどの融資をいたしております。それから、融資業務に当たりましては、これまた先生御承知のように、できるだけこれは炭鉱の離職者並びにその子弟をある程度採用してもらう、三割程度採用してもらうというようなことを条件に誘致企業に対して融資してまいっております。いままでそういうことで雇い入れました炭鉱関係の本人は五千四百名、子弟は約五千名、合わせまして約一万名程度の炭鉱関係者をこの誘致企業の中で雇用いたしておる次第でございます。
それから、次に、土地造成の状況でございますが、これも昭和四十年度の造成計画としましては五十二団地、それから六百四十二万平方メートル、この程度を計画いたしておりまして、四十一年三月末現在で三十団地、三百万平方メートルが完成いたしております。
大体今日までの業務の大要を申しますと、以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/65
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066・阿部竹松
○阿部竹松君 造成した土地がなかなか売れないという話も聞いたり、あるいは融資はしておるのだけれども金が余る、金が要らなくて余るのでなくて、なかなか手続がむずかしくて、申し入れてからでも半年もかからなければ融資を受けられない。北海道に一人しかおらぬので、国会で騒いで機構がふえた、たまたま見学と国会で論議したのと時期が一緒になったのかもしれませんけれども。ですから、もう少しいただいた書類も、今度はだいぶん幅を広げてゆるめてお世話していただくように出ておりますが、もう少し簡潔にして融資をするとか、そういうような金が余るというのは、これは私は聞いただけで、正確にわかりませんけれども、そういうようなネックを、この前の委員会でも論議があったようですが、もう少し便法を講じていただくような方法をとっていただきたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/66
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067・井上亮
○政府委員(井上亮君) 先生の御趣旨を体しまして、そのような方針でやってまいりたい。すでに私どもも産炭地域振興事業団に対しまして、やはりできるだけ金額の少ない融資につきましては、現地の支部におきまして本部への連絡を待たずに、決定する権限を与えるようにというようなことで、現在事業団とも打ち合わせをし、近く実施させたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/67
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068・大矢正
○委員長(大矢正君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/68
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069・大矢正
○委員長(大矢正君) それでは速記を起こしてください。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/69
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070・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。――別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/70
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071・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
産炭地域振興臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。
本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/71
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072・大矢正
○委員長(大矢正君) 全会一致と認めます。よって本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、本院規則第七十二条により、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/72
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073・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/73
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074・大矢正
○委員長(大矢正君) この際、便宜、私から、石炭対策確立に関する決議案を提案いたします。
ただいま委員各位の御了承を得ました本決議案を議題といたします。まず、その案文を朗読いたします。
石炭対策確立に関する決議案
政府は、石炭対策の確立のため、次の諸点につき、強力かつ適切な措置を講ぜられたい。
一、五、五〇〇万トンの生産規模を目標とし、昭和四十五年度までに、五、二〇〇万トン程度の需要を確保するため電力、鉄鋼等関連業界のより積極的な協力を求めるとともに、電発における石炭火力の増設を配慮すること。
二、当面、貯炭増加の傾向にかんがみ、これが消化を含めて、その対策を速やかに検討樹立すること。
三、石炭の安定供給のために、炭量、炭質ともに有望な鉱区について積極的に新鉱開発を行なうこと。
四、保安の確保は、石炭鉱業再建の基礎である点にかんがみ保安対策に万全を期すること。
五、保安上からも組夫使用の規制を強化すること。
以上であります。
それでは提案いたしました石炭対策確立に関する決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/74
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075・大矢正
○委員長(大矢正君) 全会一致と認めます。よって、石炭対策確立に関する決議案は、全会一致をもって、本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、三木通産大臣から発言を求められておりますので、この際、発言を許します。三木通産大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/75
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076・三木武夫
○国務大臣(三木武夫君) ただいまの御決議の内容には検討をいたさなければならない点も多々ありますが、極力御趣旨に沿うように努力をいたしたいと存じます。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/76
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077・大矢正
○委員長(大矢正君) 次に、請願第三八七号及び第一八八一号を議題といたします。
右二件の請願は、便宜、委員長及び理事打合会においてあらかじめ慎重に検討いたしました結果、第一八八一号は議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付することを要するものとし、第三八七号は留保すべきものと協議決定いたしました。
この際、おはかりいたします。ただいまの請願第一八八一号は採択いたすことに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/77
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078・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、報告書の作成等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/78
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079・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/79
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080・大矢正
○委員長(大矢正君) 継続調査の要求についておはかりいたします。
当面の石炭対策樹立に関する調査につきましては、なお閉会中も調査を継続することとし、本院規則第五十三条により、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/80
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081・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、要求書の作成等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/81
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082・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
―――――――――――――発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/82
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083・大矢正
○委員長(大矢正君) 次に、委員派遣承認要求書に関する件についておはかりいたします。
閉会中、当面の石炭対策樹立に関する調査のため委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/83
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084・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認めます。
つきましては、委員派遣の人選、派遣地、派遣期間等は、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/84
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085・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、本院規則第百八十条の二により、議長に提出する委員派遣承認要求書の作成等も、便宜、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/85
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086・大矢正
○委員長(大矢正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後三時十二分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114589X01819660627/86
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