1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年一月十七日(月曜日)
午前十時十八分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 西田 信一君
理 事
青柳 秀夫君
植木 光教君
日高 広為君
成瀬 幡治君
中尾 辰義君
委 員
青木 一男君
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
栗原 祐幸君
木暮武太夫君
西郷吉之助君
西川甚五郎君
林屋亀次郎君
藤田 正明君
木村禧八郎君
柴谷 要君
田中 寿美君
戸田 菊雄君
瓜生 清君
須藤 五郎君
国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
自 治 大 臣 永山 忠則君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
政府委員
経済企画庁調整
局長 宮沢 鉄蔵君
経済企画庁国民
生活局長 中西 一郎君
経済企画庁綜合
計画局長 向坂 正男君
大蔵政務次官 竹中 恒夫君
大蔵省主計局次
長 鳩山威一郎君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省理財局長 中尾 博之君
大蔵省証券局長 松井 直行君
大蔵省銀行局長 佐竹 浩君
自治省財政局長 柴田 護君
自治省税務局長 細郷 道一君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
参考人
成城大学教授 有井 治君
全国銀行協会連
合会会長 岩佐 凱実君
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本日の会議に付した案件
○昭和四十年度における財政処理の特別措置に関
する法律案(内閣提出、衆議院送付)
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001・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
それでは、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
本日は、まず参考人より御意見を聴取いたすことになっております。御出席をいただいております参考人の方は、成城大学教授有井治君及び全国銀行協会連合会会長岩佐凱実君でございます。
この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。
本日は御多用中のところを御出席をいただき、まことにありがとうございます。御存じのとおり、ただいま議題となっておりまする法案は非常に重要な案件であると存ぜられまするので、ここに学識経験を有せられまする御両氏に参考人として御出席を願い、本案についての御意見を拝聴いたし、もって本案の審査に資する所存でございますので、つきましては、本案に対しましてひとつ忌憚のない御意見をお述べくださいまするようお願いいたします。
なお、議事の進め方でございますが、初めに各二十分程度御両氏から御意見の開陳をお願いいたし、それが終わりました後、委員各位の質疑に移りたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
それでは、まず有井参考人にお願いいたします。有井参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/1
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002・有井治
○参考人(有井治君) 私は、補整的予算政策、このせいは整えると申しますか、あるいはもう少し広い意味でフィスカル・ポリシーの立場からこの法案に賛成いたすだけでなく、進んで、あるいは財政法第四条にいわゆる赤字公債を発行し得るという規定を入れられたほうがよいのじゃないか、そういう立場から申し上げたいと思っております。
最初に、補正のことばでございますが、私はいままで、補正予算——正すほうでございます。この正すほうの予算ということばは正しい使い方じゃないんじゃないか……(「ちょっと、委員長、休憩」「ちょっと、先生、声が低いんですわ」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/2
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003・西田信一
○委員長(西田信一君) 恐縮でございますが、少々御高声にお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/3
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004・有井治
○参考人(有井治君) 私の申し上げます補整——整えるほうでございますが、このことばは、私は昭和十六年から使用しておるんです。で、補正——正すほうの予算は、財政法にそういうことばがないので、これは正しい使い方じゃない、そこで追加予算と申し上げます。
その立場を一応申し上げますが、経済が進展し、財政が大きくなりまして、数字で申し上げますと、昭和三十一年度に御承知のように一兆予算となりまして、巷間伝えられておるところによりますと、来年度は四兆、大体十年間に四倍になっているというふうに、いわゆるパブリック・セクターがプライベート・セクターを縮めていっている状態でございまして、そのために財政がいかに動くかということは国民経済の動き方に大きな影響を持つ。そこで、私経済のプライベート・セクターの動き方の反対にパブリック・セクターを動かすというのが、補整的——整えるほうでございますが、その予算政策の基でございます。十六年に申しましたときには、ほとんど注目を引きませんでした。しかし、一部の専門家の方には注目された問題でございます。戦後には、これを基礎といたしましてフィスカル・ポリシーというものが唱道されるようになりましたことは、皆さま御承知のことと思います。
この点から申しますと、この前にいただきました四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案、そこの第二条の中に、四十年度の一般会計補正予算(第3号)というのがあります。これは、私は追加予算という名前を使っていいのじゃないかと思うのでありますが、これはやめまして、そういう立場から申しますと、現在御承知の不況の状態です。そこで、これをカバーする意味において、いわゆる赤字公債を出される。これはそのままでいいのじゃないか。さらに、その条件といたしまして、民間資金が現在相当だぶついておる。だから、これを吸収することは差しつかえはない。原理的に申し上げますと、ただいま申し上げましたように、補整的——コンペンセートリ・バジェット・ポリシーの立場から申しますならば、公債は事業債、貸し付け金、出資金等に限らず、赤字でもいいじゃないかと、こういうことでございます。したがって、そういう意味におきまして、四十年度だけでなく、さらに進んで財政法四条を改定してもいいのじゃないか。ただし、それは原理の問題でございまして、その実行に際しましては、政治の合理化という条件が要ると思うのであります。
御承知の財政法のできました昭和二十二年は、日本のインフレの最中でございますので、おそらくそれを懸念して、あるいは私の申します補整的予算政策をお考えにならずに第四条はきまったかと存じます。しかし、理論的に申しますならば、第四条には当然そういった規定があっていいと思うのであります。四十年度におきまするいわゆる赤字公債の発行は、いま申しましたプリンシプルから申しまして、当然のことである。ただ、次年度以降におきましては、いま申します条件が満たされるかどうか、こういう点において懸念を持つのであります。と申しますのは、現在公債を発行したならばインフレーションになるとかならないとかいう議論がございますが、私は現在日本の経済はインフレーションであると思います。
インフレーションと申しますのは、単なる物価騰貴ではないのでありまして、私の考えるところでは、人々の現在価値と将来価値との選好度は利子率となってあらわれる。だから、その利子率をこえます物価水準の騰貴は、これはインフレーションであります。そのこえ方が算術級数的にいきますと、私はこれをクリーピングと名づけております。これが幾何級数的に進んでいきますと、たとえば昭和二十一年、二十二年、二十三年、これは大体年率にして倍になっております。これをハイパー・インフレーションといいます。外国人の区別によりますと、クリーピングとトロッティングとギャロッピングとロケッティング、この四つに現在分けておりますが、そろそろクリーピングからトロッティングに入りつつあるのじゃないか、こういうふうに思うのであります。
したがって、不況克服のネガティブな意味における国債の発行は認められていい、また民間に資金がだぶついておることを条件にして発行されていい、こう存じますけれども、もし民間の資金が枯渇し、もしくはこれを大きく圧迫する、もしくは不況が克服されて景気が上向きになるというときになりますと、これは慎重に考えていただきたい、こういう考え方でございます。
それで、現在のインフレーションの形が、いま申しましたように不況下の物価騰貴というような形で、一部の人たちには妙に思われておりますが、私自身は当然の現象だと思っております。御承知のように、古い経済学によりますと、物価が上がれば需要は減る、供給がふえる、だから物価が下がる、いわゆるフィードバックの思想が根本になっております。その根本の思想は自由な競争ということを前提にしております。ところが、第一次、第二次の世界大戦を経まして、世界の先進国の経済は、私の見るところでは自由競争はない、いわゆる独占競争だ。ただし、マルクスが申しましたように、資本家側、使用者側、もしくは企業者側だけが独占状態、もしくはいまはやりのことばで申しますと寡占状態に入っておるのではなくして、労働側がマルクスが予見しなかったように独占状態に入っている。わが国で申しますと、総評、総同盟——昔陸軍いま何とかというようなことばがありますが……。したがって、現在できております価格、労賃を含めまして諸価格は、上には上がりますけれども、下には下がりません。これを普通のことばで下方硬直性といっておりますが、実はこの中に先ほど申しました財政も入るわけであります。もし来年度の一般会計予算を四兆円といたしますと、大体一般会計だけでGNPの約四分の一を占める。三十年、三十一年度は七分の一でありました。つまり一兆円予算から四兆円予算になりますと、七分の一から四分の一に進んできております。これもおそらく収縮することはむずかしいでありましょう。パブリック・セクターの需要が増してくる。民間では諸価格(労賃を含めまして)が上がるけれども、下がらない。これを前の一九三〇年代の世界恐慌のときにあらわれました第二次不況の理論から申しますと、エントロピーという物理学のことばをかりております。現在の先進諸国の経済はエントロピーである。日本でも関西方面の学者の中に、そういった研究が一昨年あたりから二、三発表されるようになりました。関東では、まだあまり出ていないようであります。
こういう立場から申しますと、不景気といいながら物価が上がっておる。したがって、いま日本で一番必要なことは物価を安定さすということであります。安定成長ということばでよく使われておりますが、実は私、安定成長の意味を知らないのであります。おそらくこれは政治用語でありまして、均衡成長ということばは西洋で使われておりますが、安定成長ということは西洋では見ない。そこで、安定成長と申しますのは、私の考えでは物価水準が安定しておるということではないかと思う。物価は変動いたします。人々の消費の趣味、嗜好、流行等によりまして諸物価は変わらなきゃなりません。しかし、それを総合し平均した物価水準は変わってはならない。これが貨幣を製造し発行する権利を持っておる国家が、その反面に持つ義務じゃないかと思っておるのであります。
また、インフレが進行するということは、よくいわれますように、インフレーションは課税の代用物である。国会の審議を経ずして課税することである。財産を没収することである。実践的に申しますと、これも御承知と存じますが、イギリスの所得政策の中心目標は所得を安定さすということではなくして、実は貨幣の購買力を一定にする、すなわち物価水準を一定に保つということを主目標にしておるようであります。わが国でも最近その問題が討議されるようになりましたんですけれども、こういう点からまいりますと、日本で現在最も必要なことは物価水準を安定さすということであります。
使用者側の意見は、労賃が上がるからコストが上がる、労働者側の言い分は、諸物価が上がるから労賃を上げてもらわなきゃ困ると、双方独占に至りまして、両方がこのかけ合いをやります。また、生産者の側、企業者の側から申しますと、寡占的な場合におきましては、労賃が上がっただけ、あるいはコストが上がっただけ、価格を上げる。諸価格が上がりますと、労賃を引き上げる。この悪循環が続いておる。これを最初に見つけましたのはイギリスのエコノミスト誌で、私の知る限り、一九五〇年で、したがって、イギリスでは、これに対しまして、労賃、公債利子、あるいは公債、恩給、課税、その他すべていわゆるエスカレーター・クローズをやり、物価水準が騰貴しただけ、たとえば税で申しますと免税点を引き上げる、累進税率を軽くする等々の規定を置くべきだというような説まで行なわれております。
こういう観点からいたしまして、原理的には公債の発行は認められるべきで、また規定としてはあるべきだ。しかし、実際に発行する場合におきましては、よほど慎重に合理的に考えていただきませんと、クリーピング・インフレがトロッティングになりまして、不兄がますます深刻になるのではないかという考えを持っておるのでございます。
したがいまして、一応はこの案に賛成いたしながら、四十年度きりといたしますと問題がございませんが、引き続いて、それが単にいわゆる赤字公債だけでなく、財政法の第四条にいいます事業債、貸し付け金その他につきましての公債発行につきましては、合理的な、皆さまの良識にまって十分に戒心をしていただきたいと、そういう意味におきましてこの四十年度の財政処理の特別措置に関する法律案というものにはそのまま賛成いたします。これは理論的にも実践的にも賛成いたします。ただし、いま申しましたような理由から、今後における公債の発行には十分注意をしていただきたい。
要点ばかり述べましたが、詳しい数字その他につきましては、また御質問がございましたらお答えいたしたいと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/4
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005・西田信一
○委員長(西田信一君) ありがとうございました。
次に、岩佐参考人にお願いいたします。岩佐参考人。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/5
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006・岩佐凱実
○参考人(岩佐凱実君) 昭和四十年度における国債発行の問題に関して意見を述べるようお話をいただいておりますので、これについての基本的な考え方と当面の具体的な問題について、若干申し上げたいと思います。
公債発行につきましては、基本的な問題を三つの側面から考える必要があると存ぜられます。一つは国民経済全般から見た問題であり、他は財政的側面及び金融的側面に関する問題であります。
まず、国民経済的に見た問題でありますが、国債発行が国民経済全般から見て好ましいものであるかどうかということであります。
わが国経済の当面の課題は、不況を克服し、またいわゆる高度成長下に生じたひずみといわれる構造的な問題点を解決しながら、経済を安定的軌道に乗せるということであります。不況の克服については、昨年は年初来公定歩合が三回にわたって引き下げられ、金融緩和政策が積極的に進められたのでありますが、かつての高度成長の時代のように民間企業活動の急速な上昇は期待できなかったのであります。一般的にいって、金融政策は金融を引き締めて企業活動を抑制する場合には比較的有効でありますが、金融を緩和するということによって企業活動を刺激するという面では、今日のように企業自体の投資意欲が強くないときには、金融政策の効果は必ずしも大きくないのであります。そこで、昨今のような状況においては、景気対策の重点は金融政策から財政政策に移り、財政政策による有効需要の増大に対する期待が大きくなっている次第であります。企業の投資意欲が沈滞し、金融緩和が景気上昇に直結しない背景としては、従来の需要超過の経済から供給超過の経済へと移りつつある傾向が指摘されます。
このような状況のもとで国債の発行が具体的な問題となっているわけでありまして、国債発行の問題は、このようなわが国経済の体質、構造を考慮しつつ検討されねばならぬ問題であります。すなわち、経済をいわゆる安定成長の軌道に乗せていくための財政の役割り、適正な財政規模の問題を前提とし、さらにその財源調達のあり方を租税負担や経済金融面に与える影響を考慮しつつ検討していくべきものであります。国債の発行がこのような観点から適正に判断され、その運営よろしきを得るならば、一部に懸念されておるように、国債の発行によりいわゆるインフレを引き起こす懸念もなく、むしろ経済の安定成長に役立ち得るものと考えられます。
しかしながら、長年いわゆる均衡財政を原則としてきたわが国財政が国債の発行を行なうにあたっては、その具体的運営については十分慎重な態が望まれます。国債発行については、これが行き過ぎることのないよう、いわゆる歯どめの問題が重要であります。国債の歯どめの問題の基本は、経済の安定成長と健全財政を維持するための関係者の決意と協力にかかっているものと考えます。すなわち、いろいろな仕組みを考えても、結局はこれを運営する人々の心がまえであり、さらには、その背景にある国民世論の支持ということが肝要なことであると考えられます。しかし、同時に、財政自体のあり方としても、国債の発行が安易に流れないよう歯どめを設けることが望ましいと考えられますし、さらに、これと並行して金融面においても、市中消化を原則として国債発行が金融市場の実勢を十分配慮しつつ行なわれることが、その行き過ぎを防止する有効な歯どめになるものと考えられます。
国債の発行に伴って、財政政策と金融政策とは従来以上に緊密に関連し合い、相互の調和がますます必要となってまいります。しかも、その調和の問題は必ずしも簡単ではないと考えられるのでありまして、その適正な運営について関係当局におかれて十分配慮を加えていくことが望まれるのであります。
次に、財政面から見た問題でありますが、従来はいわゆる均衡財政が原則とされていたわけでありますが、国債の発行が行なわれたからといって、必ずしも財政が健全性を失うということではないと考えます。しかし、わが国の現状では、財政に対しては各方面からの膨大な要求があり、また毎年の当然増的な膨張もあって、運用上の弾力性に乏しく、とかく財政膨張の圧力が強くなりがちであります。従来のように均衡財政の原則がとられておりますと、膨張の圧力が強くても、そこにおのずから限界があるわけでありますが、国債の発行が行なわれるようになりますと、このような意味での限界がなくなりますので、財政の運営については従来以上に慎重な態度が望まれるのであります。すなわち、財政支出の合理化、効率化に留意し、財政規模の適正化に十分配慮するとともに、国債の発行については建設公債の原則を尊重して行なわれることが望ましいと考えます。
なお、財政の持つ景気調整機能が重視されるようになりますと、財政の運営にあたっては景気動向に十分留意し、極力弾力的な運営をはかることが必要であります。財政政策は、その性格上金融政策に比べてある程度硬直的であることは免れないのでありますが、今後財政が景気動向に及ぼす影響がますます大きくなることにかんがみ、景気動向に応じて政府支出を弾力的に調整し得るようなくふうが行なわれることが望ましいことであります。また、国債の発行についても、景気の動向、税収の状況等に見合って弾力的に運営するよう慎重な配慮を加えていくべきものであると考えます。
次に、金融面から見た国債発行上考慮すべき問題について若干申し上げます。
国債の発行は金融市場と密接な関係を持っており、国債のあり方いかんが金融市場に与える影響はきわめて大きいものがありますので、私ども金融に関係するものとして国債の発行については深甚な関心を払っている次第であります。国債発行の歯どめの一つとして、市中消化の原則ということが取り上げられておりますが、このためには国債が市中で無理なく消化されるよう、国債の発行条件、発行規模等について金融市場の実勢というものが尊重されることが必要であります。そのことによって金融市場において国債消化と民間資金需要との調節も円滑に行なわれ、金融経済の情勢に応じて国債の発行自体が行き過ぎることのないよう市場における調節機能も働き得るわけであります。
国債の発行にあたり金融市場の実勢が無視されますと、国債の消化が困難となるのみならず、国債の流通市場の育成も困難となり、ひいて金融政策の運営上も問題を生じてきます。最近の金融緩和に伴って、従来金融正常化の上の問題点であったコールレートの異常高の問題も大幅に改善され、これと並行して公社債流通市場もようやく形成されるきざしが見えてきております。国債発行はこのような金融市場の現状に大きな影響を及ぼすものであって、そのあり方いかんによって金融の正常化を助長する反面、市場の実勢を離れて国債の発行が行なわれますと、せっかくきざしの見えてきた公社債流通市場の形成も後退し、短期金融市場にも悪影響を及ぼし、金融の正常化の上で問題を生ずる懸念なしとしないのであります。
国債の発行にあたっては、むしろ国債の発行が金融の正常化を助長し得るよう配慮されることが望ましいのであります。金融の正常化を進めるためには、金利機能の活用、市場原理の尊重ということが重要であります。国債の発行条件については、市場の実勢が尊重され、これに伴い国債の流通市場が育成され、国債の流動化が高められていくことが望ましい方向であります。また、国債の発行に伴って、弾力的な金利政策の運用に関して問題を生じないよう配慮することも必要であります。あるいは国債の市中消化に際して短期金融市場に無用の摩擦を生じないよう信用調節の面での配慮が望まれます。また、民間資金需要との競合の調整についても、市場機能を通じて円滑に調整され、民間資金が不当に圧迫されないよう考慮されるべきであります。
国債発行の問題を金融的側面から考えますと、結局金融政策と財政政策との調和の問題が重要でありまして、この点での政策当局の慎重な配慮を特にお願いしたいと考えております。
次に、当面の具体的な問題について若干申し上げたいと考えます。
昭和四十年度の国債発行の問題は、本年度の当初予算の編成当時には見込まれておらず、その後景気の低迷が予想以上に長引くにつれて税収不足が生じ、応急的対策が必要とされるに至ったのであります。そこで、本来ならば極力歳出の削減をはかり、財政収支の均衡に努力すべきものでありますが、昨今の景気低迷の状況においては、むしろ財政による景気刺激策が必要とされており、財政支出の大幅削減はかえって問題を困難ならしめるおそれがあります。したがって、本年度の歳入欠陥補てんのため国債発行に依存することはやむを得ないものがあると考えられるのであります。ただ、本年度の国債発行は、いわば事後的な応急措置でありますから、まず政府部内において極力不足資金の調達をはかるというたてまえに立って、国債の消化にあたっては極力資金運用部資金等の活用をはかることが望ましいわけであります。これは金融市場に急激な影響を与えないためにも望ましいことであります。
次に、本年度の国債発行については、来年度以降の国債とはこれを切り離して取り扱うことが望ましいのであります。すなわち、来年度以降の国債発行の問題は、やや長期的な立場から経済の安定成長をはかるため、減税や社会資本の充実等の問題と関連して前向きに考えられているものであります。これに対して本年度の国債発行の問題は、いわば事後的に応急対策として出てきたものでありますから、そういう臨時的な性格を明らかにして、来年度以降の国債とは切り離した取り扱いにすることがよいと考えられます。
次に、国債の消化の問題でありますが、国債の発行については市中消化を原則とすることが望ましいわけでありますが、市中消化を確保するためには、民間の引き受けシンジケートを組成することが便宜なわけでありまして、関係の方々の御協力によってようやく準備を完了いたしました。
わが国の現状におきましては、国債が発行された場合、その大部分は金融機関等の消化にまたざるを得ないと考えられるのでありますが、現在資金余裕のある金融機関は資金コストの面の制約があり、他面、資金コストの安い都市銀行の場合には相当の外部負債をかかえている状況で、国債消化を円滑に行なうための問題点も多いわけであります。さらに多額の国債を消化するについては、国債の流通市場が形成され、国債に流動性が付与されるということが重要な問題であります。これらの点を十分考慮してまいりませんと、今後多額の発行が予想される国債の消化について必ずしも円滑にいかないおそれがあります。もちろん、国債消化の問題は、広く国民経済的観点に立って考えねばならない問題であって、金融機関としても当面種々問題点があるとしても、極力その解決をはかりながら国債の消化に協力してまいりたいと考えております。
しかしながら、政策当局においても、国債の円滑な市中消化をはかるため、財政政策、金融政策の運営の上で十分考慮をはらっていただきたいと考えております。また、国債の発行規模、条件等の問題については、民間の意見を十分聴取し、シンジケート団とも十分話し合いを行なっていくべきことを望んでいるわけであります。
国債発行の問題は新しい問題でありまして、あらかじめ十分予測し得ない点も多いわけでございますが、以上をもって、簡単でございますが、概略の御説明を終わらせていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/6
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007・西田信一
○委員長(西田信一君) ありがとうございました。
これより質疑に入ります。両参考人に対して質問のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/7
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008・大竹平八郎
○大竹平八郎君 ごく簡単に一、二点お尋ねいたしたいのですが、まず有井教授にお尋ねいたしたいのですが、お話の中に利子率の問題が出たんでございますが、この点について伺いたいのは、公債の利率をきめる金利体系でございますが、これまで金利水準あるいは金利体系というものの日本の現状は、御承知のとおり公定利率が中心になっていったわけでございますが、しかし、戦前の公債を発行していた当時の経済状態からいいますと、公債金利というものが中心になっていったように思うのでありますが、これからどんどん公債が発行されていく、累積されていくというと、勢いこの公債金利というものが金利体系の中心になっていくのではないかと思うのでありますが、この点についてもひとつ御意見を伺いたい。
それから、いま一つでございますが、巷間説をなす者は、大蔵省の指定金利の率でございますね、こういうものはむしろやらないほうがいいんじゃないか、自然のままに金融状況、金融環境にまかしたほうがいいんじゃないか、こういう議論をなす者があるのでありますが、この二つの点について伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/8
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009・有井治
○参考人(有井治君) 理論的には、資金に対する需要できまるとかあるいは流動性選好できまるとか、こういう理論がございます。しかし、先日も実は学生のインターカレッジのゼミで金利の自由化という問題が出ましたが、私は、自由化金利なんというのが実際にあったのか、したがって金利の自由化というのは問題にならない、そのこと自体が問題じゃないか、こういう立場でおりますので、結局金利は公債または地方銀行の割引利子率によって統制されておると思います。これが第一点でございます。どうでございましょうか。
それから、第二問の、この関係からなるべく干渉しないほうがいいのでございますけれども、実はそういう金利は実際にはない。へ理屈をいうと、そういうものは考えられますけれども、現実にはない。そういう立場からいきますと、いまのお答えにそのままなるかと思いますが、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/9
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010・大竹平八郎
○大竹平八郎君 ありがとうございました。
岩佐参考人にひとつお尋ねしたいのでございますが、この公債発行の限度でございますね、これは日本の経済、金融状態とにらみ合わしてやらなければならないと思うのでありますが、イギリスの例あたりから見ても、国民所得の精一ぱい、それからアメリカあたりも四〇%ぐらいいっておる。このいま政府で発行を予定されておるものは、日本のいまの国民所得等から考えてみますならば、問題ない金額と思うのでありますが、一説には、おそらく国民所得の三分の一くらいはそう経済、金融に影響はないんじゃないかというような説をなす者があるのでありますが、こういう点につきまして、その公債発行の限度でございますが、これは四十一年度の公債は、これは額はしれているのでありますが、しかし、今後当然累積されると思うのでありますが、この公債発行の限度と国民所得の関係でございますね、これについて御意見がございましたら、ひとつ伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/10
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011・岩佐凱実
○参考人(岩佐凱実君) よくアメリカとかあるいは西欧諸国の国債の発行額と国民所得との数字をあげていろいろ議論されているのでありますが、この両者の関係については格別に一定の方程式的なものというのは私はないのではないかと思います。問題は、公債の発行によりまして、そうして国民経済全体としていわゆる安定的な経済の成長がとめられていくかどうかということが問題点なんであろうかと思うのでありますので、経済が、民間経済が不況なときにおきましては、これを刺激するために財政のほうで公債の発行をやって、そして刺激を与えるということも必要てございますし、同時に、民間の経済が活気を取り戻してまいりました場合においては、それに伴っての民間資金需要というものとにらみ合わせながら公債の発行をどう考えていくかということが非常に必要なことであろうと思うのであります。この両者がまた並行的に走り出し過ぎますと、そこに行き過ぎた経済の成長というようなことも起こりかねない、そうすればまたその反動が起こるというようなことにもなりかねないので、要するに、その全体としての経済情勢、金融情勢というものを考えながら、財政政策、金融政策打って一丸と考えて、そうしてそのときどきの情勢に応じまして、どの程度の公債発行を考えていったらいいかということをきめていくのが必要なことではないでしょうかと、私はこう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/11
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012・木村禧八郎
○木村禧八郎君 有井教授にまずお伺いしたいのですが、いろいろ貴重な御高見を承ったのですが、結論として、いま議題になっております財政処理特別措置法に対して、この公債発行は原則から賛成である、こういうお話であったわけですね。ところが、政府自体が、これは財政法第四条に違反すると。二千五百九十億の赤字が出たわけです、御承知のように。四十年度はこの補正で、この財政法そのままでやると財政法に違反するから、そこで政府はこの特例法というものを出してきたわけですね。ですから、政府自体が、やはり四十年度の補正を赤字の公債でまかなうということは財政法違反になるというので、これを出してきたわけです。
そこで、私は問題が二つあると思う。一つは、二千五百九十億の赤字を生ぜしめた原因について、もっとこれはきびしく検討しなければならなかったのじゃないかと思います。それは教授も十分御承知だと思う。日本の経済はもう昭和三十九年の下期からはっきり変わってしまっておる。昭和三十九年ではすでに八百億の歳入不足を生じたんです。三十九年にすでにそうなんです。ですから、あのときもうすでに日本の財政経済はここで大きく転換をして、そうして過去のような高度成長の段階は終わって、そうして成長率も非常に下がってきておる。それで、前のような自然増収は毎年期待できなくなってきておる。ところが、歳出のほうは、高度成長がかなり長期に続くだろうという前提で、たとえば道路五カ年計画でも、治水計画でも、国鉄の計画でも、みんな経済は相当高度成長が続くという前提で予算が組まれたのです。ところが、財政は、歳入は自然増収が期待できなくなって、はっきり歳入と歳出に大きくギャップが生じたのは、三十九年にすでにもうあらわれたんです。それで八百億の歳入不足を生じた。ですから、四十年度予算編成のときにはその前提で組まなければならなかった。何回もわれわれは田中大蔵大臣にその点を指摘した。四十年の歳入見積もりは過大である、過大だ、だからこれに対してもっと歳入歳出面からも詰めを行なって、そうして赤字を生ぜしめないようにしなければならないと言ったのに、非常におおばんぶるまいを行なって、歳入を過大に見積もったんです。ですから、そこに一つ問題があるということ。
それから、財政法四条は、だから、そういう赤字は公債発行で埋めてはいけないという原則になっていて、これを守らなければいけない。私は、したがって財政法四条に違反するんだから、特例措置を設けてもその精神に反するんだ。ですから、これに原則的に私は賛成と言われた教授のお考えについてどうも賛成できないんですが。また、四十一年度の公債発行については、一応これはわれわれは賛成じゃないんですけれども、議論があるとしまして、少なくとも特例法についてはこういうことはすべきではないという御意見を承れると思ったんです、こういうことはやるべきじゃないと。ただ問題は、岩佐参考人からは、ただそれをやると、いま不景気だから、この不景気の際にそういう公債発行以外の方法でやると、一そう景気をひどくするから好ましくないという御意見だったんです。しかし、景気に悪影響を及ぼさないような方法を講ずるならば、この赤字を公債発行によってまかなうべきじゃないと私は思うんです。社会党はそういう立場に立って、百歩譲って、景気に悪い影響を及ぼすというなら、少なくとも大蔵省証券を発行してしのぐべきだ、そうして四十一年度ではっきりした処理をすべきだ。で、私は、大蔵省証券発行は一時社会党でも考えたんでありますが、どうしても実際問題としてもしようがなければ、大蔵省証券ででも泳ぐと。しかし、大蔵省証券で泳ぐことも社会党としてはよくないということで、景気に悪い影響を及ぼさない方法で処理できるという立場で反対したわけなんです。ところが、先生は賛成されておりますので、その点ですね、どうも少し不満なんですが、この点承りたい。
もう一つは、これはだいぶ問題になったんですが、特例措置の二条の二項の公債の償還計画の問題なんです。これにつきましては、政府のほうは、二条では公債の償還計画——赤字公債についても償還計画をつくって国会に出さなければならぬということになっているんです。政府の説明によると、予算参照書に一行だけ、昭和四十七年に二千五百九十億償還するということだけが書いてあるんですね。それだけが書いてある。それを償還計画と政府はみなしているわけなんですよ。われわれは、そんなものは償還計画ではないと、だから償還計画をつくって出せ、こういうふうに要求しているんです。ところが、政府は、そういうものを出すことになると、全体の財政計画を長期にわたってつくらなければならぬので、そういうことは実際問題として困難だ、できないと言うんですよ。しかし、法律的には、なるほどこの二条の二項はこの赤字公債についての償還計画を出すべきものというふうに政府も解釈しているんです。ですから、償還計画を出さなければならないんですけれども、実際問題として困難だ、そういうことを言われているんですが、この点について御意見を承りたいわけであります。
それから、岩佐参考人に二点お伺いしたい。一つは、実際問題として今度の公債の利払いですね、約六分八厘でありますが、これはいろいろ議論があるところと思いますが、景気対策としても、いまの不況の一つの大きな原因として資本費が非常にかさんでいる。金利負担が高いということと、減価償却が非常に大きいんですね。ですから、金利負担を軽くするということ、低金利に持っていくということが不況対策の一つの重要な政策と思うんです。ところが、公債の利回りを、市中消化に重点を置くために、約六分八厘にしたわけですね。そうすると、いまの高金利を固定化させるということにならないかどうか、長期にわたっていまの高いこの金利を。もっと金利は下げていくべきものと思うんですね。前には政府は長期的な低金利政策をとっておったんです。そういう金利政策の面からどうも、市中消化というものも、非常にこれも大切でしょう、歯どめとして。しかし、その面から私は六分七厘というのは少し高いんじゃないか、もう少し低くすべきではなかったか。これは政策的にそういう指導をしていかなければならぬと思うのです。それから、たとえば高いために、定期預金の一年ものは五分五厘でしたね、その五分五厘とこの六分七厘との間にかなり開きがある。そういう面からいって、今後金融界としても非常に問題が起こってくるんじゃないか。預金がどんどん引き出されて公債を持つということになると、銀行など資金の蓄積に支障が出るんじゃないか、そういう点も問題があるんじゃないかと思うのです。
それから、二番目は、公債発行によって有効需要をふやしてこの不況を越すと言いますけれども、それが物価値上がり、インフレにつながっては正しい意味での不況対策にならぬと思うのです。一番望ましい形は、岩佐参考人も一番よく御存じだと思うのですが、昭和三十年ごろの日本の経済ですね、いわゆる数量景気といわれた時代がありましたですね。物価が上がらないで、輸出はどんどんふえていく、国内の生産も非常にふえたんですね。そうして生産がふえ、十分売れながら物価は上がらなかったんです。あの当時は数量景気といいました。なぜそういう数量景気が可能であったかは、前に一兆円デフレ政策ですか、ああいうことで引き締め政策をとって、設備に余裕があった。今度も非常な設備過剰なんです。設備に余裕があるんですから、そういう場合に公債発行をして有効需要をつけ、需要が起こってくるときにどんどん企業が操短を緩和してくれればいいんですよね。どんどん緩和してくれば、数量景気になるのですよ。ところが、操短を緩和しないような場合、物価がどんどん上がってしまうんですね。結局そのほうの可能性が私は大きいんじゃないかと思うんです。インフレになっていく可能性が非常に大きい。その辺の指導が非常に重要だと思うんですね。有効需要をつけながら、いま非常に高度に操短が行なわれて、その操短がどんどんそれに応じて緩和をしなければならないのに、独占が強化されて緩和されないとなると、私は、むしろインフレになってしまう、そういうほうの危険のほうが大きいんではないかと思うのですが、この二点についてお教えを賜わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/12
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013・有井治
○参考人(有井治君) お答えいたします。
私は、原則的にと申さずに、原理的にと申しました。木村さんのおっしゃる物価対策と申しますか、物価安定策が第一だということには全面的に賛成をしておるのであります。いまおっしゃいましたことは、私は経済をやっている者でございまして、法律のほうの解釈論をやったのではございません。したがって、償還計画が財政法四条に違反するか、もしくは特例法の第二条第二項があなたのおっしゃるようなものになるのか、これは法律の専門家に聞いていただきたいと思うのです。
そこで、私、質問してようございますか。——いま自然増収の問題をおっしゃいました。あなたの立場と私の立場と経済のほうは同じだと思うのでございますが、自然増収というのは名目的に上がった所得に高い限界税率をかける、すなわち累進税をかける。御承知のごく大ざっぱな計算でいきますと、GNPに対する国税の弾力値は大体一・五ということであります。物価は上がる、片方で名目的に所得がふえると高い税率が課せられる、そうして出てきたものが自然増収だと思います。これは実質的な強制公債、すなわちインフレだと私は考えておるのであります。それが財政制度に違反するかどうかという問題は、法律的に見るか経済的に見るかによって意味が違う。したがって、物価の安定を問題にしますときには、自然増収の問題、剰余金、前々年度の剰余金を繰り入れて使われるという問題、ここにも一つ問題があると思うのでございますが、それらに対します私の意見は申し上げません。が、ただそこに問題があるということだけ御参考に申し上げます。以上でよろしゅうございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/13
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014・岩佐凱実
○参考人(岩佐凱実君) いまのお尋ねの第一点の国債の利回りの問題でございますが、これはいまもお話がございましたように、国債を発行するにあたりましては、これが市中消化の原則を貫きまして、市中消化が円滑に行なわれる必要が、ぜひともそうでなければならないと思うのでございますが、そういう点から申しますと、従来出ております政保債等の利回りとあまりかけ離れない利回りでもって出されるということがその面からはぜひとも必要なことじゃないかと思います。そうでございませんと、とかく強制割り当て的なものになりかねないということにも相なりますし、そうするといわゆるそこに公債消化の市場原理というものが働かないことになりまして、その面からのいろいろな弊害も出てきかねないということが言えると思うのでございます。したがいまして、現在の市場の金利水準というものをひとつ大きな要素として考えざるを得ないのじゃないかと思います。
で、もう一面、お話のございましたように、現在企業は資本費の負担が非常に多くて、かつその中におけるいわゆる金融市場というものが相当な重さを占めておるということはもう御指摘のとおりだと思います。しかし、これは何も金利だけの問題じゃございませんで、日本経済がここまで成長してまいります過程において、事業会社は相当多額の外部負債に依存してここまで発展してきたのでございまして、そのよしあしの議論はしばらく別といたしまして、現実にそういうことであるがゆえにこれだけの経済の成長を遂げたという事実があると思うのですが、それで、そのために外部からの借入れ金が多い。これは借り入れ金、社債等すべてを含めましての話ですが、それからあるいは資本に伴っての配当率の問題等も込めまして、そういうものの水準が高いというのは、これは要するに戦争によって資本を根こそぎ失って、そこから出発してきた。そうして経済の成長がすみやかに行なわれたということから来ております。その絶対的な資金の不足状態が、つまり経済の成長と相伴わない絶対的なやはり資本の不足状態があるというところから来ておる一つの現象でありまして、これを是正していくには、税制の面から内部留保をいろいろ、つまり金利のかからない内部留保をふやしていくというような措置も同時にとられていかなきゃなりませんが、いずれにいたしましても、短時日の間にその企業が資本費の負担を軽減していく、急速に軽減するということは困難ではなかろうかと思います。やはり相当な時日をかけなければいけない問題ではなかろうかと思うのであります。
今後それじゃなるべくそういうことで金利負担を低くしていくために政策的に低金利を推し進めていったらどうかというようなお話かとも思いますが、これは私からこんな講釈を申し上げるまでもなく、御存じのように、金利は本来自然に下がるべき環境をいろいろつくっていって、そして下がっていくということが望ましいことでありまして、これを人為的に、強制的に無理に金利を下げていくということになりますと、そこにいろいろなまた問題が生じてくる、摩擦が生じてくるということにも相なるわけでありまして、そういうことでなしに、だんだん周囲のいろいろな環境なり条件が整備されてきて下がっていくということになるのではなかろうかと思います。これは最近むしろヨーロッパ、アメリカ等においても、やはりいろいろな周囲の条件は金利が逆に上昇ぎみであることは御承知のとおりでありまして、日本も開放経済体制に入りまして、そしてそういう欧米先進諸国と同じ経済サークルと申しますか、そういう中にありますので、そういったような国際的な金融情勢、金利情勢というものもにらみ合わせながらやはり日本の金利政策というものも考えていかなければならぬわけでありますので、欧米諸国がそういう情勢にありますときに、日本だけがまたそれとあまり逆行するような行き方をとっていいかどうか、その面からも一つの疑問があるのではなかろうかと、私はそう考えております。
それから、同時に、お話のございました定期預金の金利と公債の金利との差でございますが、これは欧米諸国等においても国債の金利と預金金利という中に一定の格差と申しますか、あるいは比例的な差と申しますか、そういうようなものは必ずしもないようでございます。要するに国債を買いあるいは定期預金をする人たちのそれに対する信用度というか、あるいはそれに対するなれと申しますか、なじみと申しますか、そういうような点もございますし、あるいは換金性、つまり国債の場合ですと非常に流動性が円滑であればそこですみやかに換金できるわけですが、そういう点がどうであろうかとか、いろいろなそこに要素がございまして、そういうような要素がいろいろからみ合って公債を買いあるいは定期預金をしていくというようなことになるわけなのでありまして、一がいにその差がこの程度だからどうだとかこうだとかいうことは私は言い得ないことであろうかと思います。しかし、将来国債の市場というものが十分形成されてまいって、国債の流動性、換金性というものがすみやかに高まり、かつ国債の価格というものがあまりに動くというようなことなしに、そういう面からの国債の信用度というものがはっきりいたしてまいりました暁においては、定期預金の金利との関係をどの程度どうしたらいいかということは、将来の問題としてはいま一段考えてしかるべき時期が来るのではないかというふうに私は考えております。
それから、第二番目の御質問のインフレにつながるかどうかという問題でございますが、これはさっき有井さんもいろいろお話がございましたが、インフレということばの定義が皆さんいろいろな方が議論される中において必ずしも一定していないような私は感じがいたすので、おっしゃっている方それぞれ自分で定義づけて、そうしてものをおっしゃっているというような面がないでもないと思うのでございますが、私は公債発行がいわゆるインフレにつながるとは考えておりません。公債が発行されましても、財政の節度が守られ、そしてそれがいたずらに放漫に流れるというようなことがないようなことであり、それから民間の経済活動との間に調整、調和を保ちながら適正な金融政策がそこに行なわれていくということになれば、おのずから公債発行の歯どめというものも生じてまいるわけでございまして、そういうようにとにかく政府当局者、金融当局あるいは経済界その他一般がそういうようなことにならないような努力、協力をしていく心がまえを持つということが非常に大事なことじゃないかと思うのであります。
そしていま御指摘のございました公債が発行されて、そして景気の刺激的なことが行なわれるにかかわらず、そこで依然として企業が操短をやって価格のつり上げをはかるというようなこと、こういうようなことが行なわれるということになれば、これは公債発行であろうとなかろうと、景気がよくなった場合において操短を緩和しないで価格のつり上げをはかるというようなことは好ましくないことであろうと思いますので、公債発行下における今後においては一そう、やはり物価の問題、これは卸売り物価、消費者物価を通じてでございますが、物価の問題とか、あるいはさらにもう少し進めればいわゆる所得放棄といったようなこと、こういうような点が政府あるいは政策をお考えになる御当局の方々にとって重要な問題であろう。同時に、われわれ民間の経済人としてもこういう問題を今後十分関心を持って考えていかなければならないことである、こういうように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/14
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015・戸田菊雄
○戸田菊雄君 有井先生に二点ほど、質問したいんですが、第一点は、いま木村先生がおっしゃられたわけですが、少ししつこいようでありますが、教えてもらいたいんですが、この財政法の四条は純粋な経済理論からそういうことを申し上げたのでわからないと、こういうことでありますが、第四条のおい立ちそれ自体が私は政治経済の、ことに第四条というものは戦争防止、あるいは特定階級の支配、こういったものを防止する、あるいはまたインフレあるいは通貨膨張、こういうものを防止する、言ってみればそういう経済原則と思われるようなものを背景にして私は生まれてきたのじゃないかと思う。ですから、これらに対する見解というものは、有井先生の持論からいっても何らかの見解が示されるのが当然ではないかと思うんですが、その辺が一つ、もしそういう見解が申し上げられるとするならば、この第四条では歳入欠陥の補てんのためには公債というものを発行しない、こういうことをおっしゃる。言及しておられる。同時に、まあそういう解釈が成り立つとすれば、先生の前に申された理論でいけば、第四条というものは妥当であるかどうか、あるいは先生の理論でいった場合に、それをさらに改正の必要があるのかどうか、あるいはいま政府がやっている特例法というものは一体妥当なのかどうか、この辺の問題についてもう一度ひとつ伺いたいというふうに考えるわけです。
第二点の問題は、実践的にも賛成だと、こうおっしゃられたのでありますが、実践ということになりますと、私は過去の歴史というものを相当教訓としてくみ取っていかなければならないと考えるんです。そこで、昭和四年ないし六年の大恐慌の時代に、当時の軍閥や財閥はそういうものを外に目をそらすために、言ってみれば、昭和六年に満州事変を惹起した、あるいはさらに支那事変、大東亜戦争、こういうぐあいに発展していったわけでありますが、そういった戦争時代における戦費調達はすべて公債にたよっておった。当時で約一千七百三十六億というぼう大な金額であります。総体の八二・六%ぐらい大体とっているわけです。こういうことになってまいりますと、いま政府が計画をしておる防衛整備第三次計画というものがありますが、この計画でまいりますと、現行の三千十四億の防衛費予算というものは、おおむね四十五ないし六年度には七千億ないし八千億ということになっていく。そうしてなおかつ通常予算において歳入欠陥というものが出てくるわけでありまするし、これが翌年度に持ち越されていく、こういうことで追われてきますと、どうしても過去歩んできた歴史のように、日本のいまの公債発行というものがなっていくんではないか、こういう心配が実はあるわけでありますが、その辺の、実践的という、この辺から来る歴史的な事実を比較照合をいたしまして、いまの公債発行というものが一体実践的にもいいのかどうかということについて、もう一度先生にお伺いをしたい。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/15
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016・有井治
○参考人(有井治君) お答えいたします。
第一点でございますが、第四条のできました背景でございますが、先ほど申し上げましたように、二十一年にできて二十二年に国会を通過した。これはちょうど戦後のインフレの最中でございまして、デフレーション対策としてよりもインフレーション対策として非常に重要視したんではないか。ですから、先ほど申し上げました補整的予算政策からいきますと、当然赤字公債を発行してもいいという規定がなければならないというのが私の経済的な原理的な考え方でございます。問題は、それを実際に運用して、あるいは適用して赤字公債発行をするかいなかは国会できめていただくことじゃないかと、こう思っておりますが、したがって、経済原理的にいきますと、私自身は第四条は不備だと思っております。それは先ほど申しました問題で恐縮でございますが、二十九条でございますか、補正予算という、これは新しいものですか、ことばがない。修正予算、追加予算になっておる。それを補正予算ということばを使っていいかどうか、この点もやはり変える必要があるんじゃないかと、私は経済のほうから申す理論であります。
それから、第二点でございますが、これは先ほどの木村さんの御質問の関係があると思いますが、インフレーションと申しますのは、結局のところ所得財産の課徴もしくは没収である。と同時に、多く出されました紙幣というものが強制公債という性質を持っている。したがって、日本の所得培増ですか、高度成長政策ですか、これは一部分インフレでまかなわれているということは、すでにそういう意味におきまして強制公債が発行されておる。御承知のように、日銀券の発行限度だけで見てみますと、最近五カ年に二・三倍になっている。これは発行限度だけで、ほとんど最近では毎年六、七月に変わっております。この分でいくと、六、七月にまた変わるのじゃないか。したがって、木村さんが国会でおっしゃいましたように、まず物価の安定、物価水準の安定が第一だ。そうすると、公債という形で発行するか、インフレという形で課徴するか、没収するか、もしくは強制公債という形の紙幣で持たすか、経済的には結果的には同じことだと思うのでございます。問題はそこにある。そういう意味において物価をあるいは物価水準を安定していくことが必要じゃないか。それにはどういうことをやるかということは、いまの問題じゃございませんので、私自身意見を持っておりますが、これは申し上げません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/16
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017・須藤五郎
○須藤五郎君 いまお二人とも公債発行には大体賛成の立場をとっておられるように思います。私たちは反対の立場をとっておりますから、いろいろ意見の相違があって議論をする点はたくさんあるわけです。しかし、きょうは参考人としておいで願っているので、議論をする立場じゃないと思いますが、議論は政府当局と私としようと思いますから、ちょっとお聞きだけしておきたいんですが、有井先生は、先ほど物価が上がっただけ免税点を引き上げるべきだ、こういうふうにおっしゃいました。いかにも物価と減税とがバランスのとれた関係のように一見見えますが、今度三千億の減税をやると政府は言っております。ところが、今度公共料金が相当引き上げられます。そうして公共料金が引き上げられれば諸物価の引き上げになるだろうと思いますが、どういうふうな計算をしていらっしゃいますか。三千億の減税をされたが、公共料金の引き上げもしくは諸物価の引き上げでどれだけの金額がわれわれから収奪されていくのかという点、教授のお考えがあったら、伺っておきたいということ。
それから、もう一つは、ほんとうに子供らしい幼稚な質問ですが、需要供給の形で、過剰生産になれば自然と物価は下がるのが、これが原則だと思うんですね。ところが、最近はそうじゃなくて、過剰生産で物価が上がって、値段が下がらない。値段はますます高くなっていくというような傾向にある。これは一体どうしたことか、その点を有井先生に、私はしろうとくさい質問ですが、具体的にいろいろ説明をしていただきたいと思う点です。
それから、岩佐さんにお尋ねしたいが、今度の二千五百九十億の公債を、これは市中銀行に持たすと言っておりますが、大体今日の市中銀行が公債を消化する能力がどれだけあるのか、その点をちょっと伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/17
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018・有井治
○参考人(有井治君) お答えいたします。
私、まだその点の計算をしておりません。第一点でございますが、しかし、これは税制調査会の友だちによく言うのでございますが、大体国民所得の二〇%をこえると、企業者は企業意欲を失う、労働者は労働意欲を失う、こういうことをオーストリー生まれのイギリスの経済学者コーリン・クラークは書いているのでございます。これは昔書いているのでございます。ところが、私の知ります範囲では、ほとんど日本の財政学者はやっていない。ただいまのところ二〇%少しこえておりますが、実はこのほかに組合の掛け金その他ございますね。寄せますと、おそらく二五%から二六%をこすのじゃないかと思います。そういう点からいきますと、かりに年収六十万円と仮定いたしますと、その免税点の引き上げ分が、物価水準の引き上げ分だけ当然つり上げるように、そういう税制をとる、これがイギリスのクリーピング・インフレに対する考え方であります。第一点はそれでよろしゅうございましょうか、詳しい計算はまだしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/18
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019・須藤五郎
○須藤五郎君 ちょっと補足しますが、この間ある機会に、政府当局はこういうことを言っておるのですよ。三千億減税すると、今度の公共料金の値上げで、いろいろな物価の値上げで、一体国民はたくさんの金を支払わなければならぬのかといったら、大体三千億以上、免税点、減税点より今度の諸物価の上がり方によってわれわれのふところから出る金のほうが多いのですよ。一度、あなた計算なすっていらっしゃるだろうと思って、私ちょっと伺ってみたんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/19
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020・有井治
○参考人(有井治君) まだ計算しておりませんのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/20
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021・須藤五郎
○須藤五郎君 大体、この間の政府の答弁では、そのほうがたくさんになっているんですよ。そうすると、あなたのおっしゃるバランスがとれなくなってくるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/21
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022・有井治
○参考人(有井治君) 私は、そういう計算は調査マンのやることだと。私ら自身はその調査マンがやられる方法論につきまして、妥当かいなかということをやるのが、学問を、研究をやっている者の仕事じゃないか。最近ではそういう計算が非常にはやっておりますが、私はそういう意味で、へ理屈を申し上げるようでまことに恐縮なんですが、結局物価高騰、たとえばことしの七・二%というような計算を入れますと、取られるほうが累進しているし、そして物価が上がってくるし、はさみ打ちになってくる。今度の三千億の減税では若干税率の訂正があるようでございますが、結果論的に、先ほどの高度成長過程から見ていきますと、つまりインフレ過程があるということから、物価水準の騰貴があったということから見ていきますと、その分だけ高額所得者は実質的に減税になっていると私は思っております。つまり、先ほど木村さんのお答えに申し上げました自然増収を使うという分だけは税が増徴になっていくと思っております。よろしゅうございましょうか。計算しておりませんので、まことに恐縮でございますが。
第二点のほうは、先ほどちょっと申しましたが、それをエントロピー現象といいまして、前の一九三〇年代の世界不況におきましては、物価が下がる一方で上がらない。これをエントロピー。したがって、第二次不況に入る。今度の日本の場合は、上がる一方で下がらない。それは一方におきまして寡占状態がある。先日の、きのうかおととい、十四日でございましたか、公正取引委員会の報告によりますと、大体保険、金融を除きまして、三十八年度末で、資本金から見て上位百社、これが大体全資本量の三九・四%、その合計を入れましても五三・二%、これらはいわゆる寡占価格になりまして、一種の独占価格でございますが、かりに生産費が安くなっても、もしくはストックができましても、引き下がらない。それが下方硬直性といいますか、それが問題になる。そこで、それをどういうふうに引き下げていくか、実際的に。それしないと物価は安定しない。だから、物価安定が第一だという木村さんのお話になるのですが、私もそう考えております。
問題は、だから、この間も物価懇談会で、新聞の報道によりますと、寡占価格を考えろということを提案になっているようであります。これはそれを何らかすることによって物価が下がるほうへの硬直性をゆるめることができるのではないか。ところが、最近の傾向では、さらに合併ということが多くなっているようであります。その対策をまたお考え願いまして、私は、下がらぬ現象がいまの問題だ。下がるということを考えておったことが昔の経済の考え方、昔の実情です。現在では下がらぬ。おそらく今後そういう理論も実践も出てくると思います。そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/22
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023・須藤五郎
○須藤五郎君 岩佐さんの答弁を聞く前に、もう一点聞きたいのですが、先ほど先生の話を聞いていると、物価が上がっただけ免税点を引き上げるのだとおっしゃいますと、物価が上がっただけ免税点を引き上げることによって、国民の生活は何ら被害を受けないような響きがしたわけです。それで、政府もそういうふうに三千億減税を看板に掲げて堂々とやっておるわけです。いかにも国民が三千億減税によって潤うごとく言っておるのです。ところが、三千億減税をしても、物価がそれ以上上がってくるから、われわれの生活はだんだん苦しくなるのです。三千億減税なんて大きな看板を掲げるべき筋合いのものではないのではないかというのが私たちの考えです。それをいかにも先生が、物価が上がったから、それだけ免税点を引き上げるのだということでバランスをとっていくんだというふうにおっしゃったように私は響いたですから、そこの点、一体どうなんだと。物価が上がっただけ免税点を引き上げるなら、もっと減税をしなければだめじゃないか、今日の減税でバランスがとれるかどうかという点を、私はあなたにちょっとお聞きをしたことです。
それから、過剰生産で物価は下がらない。これは実に不思議な現象。これまでの需要供給の原則から見れば、非常に不思議な現象があらわれておる。一体これはいつなくなるのか、どうしたらなくなるのかということを、具体的にちょっと伺っておきたいと思ったのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/23
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024・有井治
○参考人(有井治君) 第一点の御質問を誤解しておりました。と申しますのは、先ほど申しましたエスカレーター・クローズというのは、法律にするから、そして毎年、たとえば総理府統計局で消費者物価を立てて、それが二%上がっておれば免税点を二%上げる、それから初めて税率の累進を行なう、これは当然行なわれるべきものです。そういう政策なり、そして来年度三千億減税するから、おまえたちはいいんだと、そのことを問題にしたわけではございません。ですから、いまのエスカレーター・クローズということは、労賃も上がります。したがって、免税点も上がる。
結局、もしそういうことばを使い得るならば、ユークリッドに対する非ユークリッドのような考え方、新しい会計法の考え方、そういうものを入れたらどうかという提案がございます。実際にはまだ出ておりません、イギリスも。しかし、もしそういう法律ができておりましたら、毎年御審議願わなくても、当然法律の適用によって二割なら二割、五分なら五分免税点を上げる、こういう約款と申しますか、規程と申しますか、法律などをつくっていく。
第二の問題でございますが、独占もしくは寡占をいかにして破るか、それがいわゆる独占禁止法ではないだろうかと私は思っております。私自身経験いたしましたところでは、アメリカでルーズベルトが、あるカルテルを破るために、最高裁判所の判事を審査員にしておるのでございますが、私おりましたときに、そのカルテルを破るのに、不賛成の人をやめさして、賛成の人を入れたことを知っております。したがって、公正取引委員会というものこそ公正にやっていただきますならば、ある程度これは防御できるのではないか。つまり、私から申しますと、組合が強力な体制をとらなければならぬことも、マルクス的に申しますならば、独占資本主義に対抗する手段であると、こう考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/24
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025・岩佐凱実
○参考人(岩佐凱実君) ただいまの御質問でございますけれども、四十年度に関しましては、市中消化の金額は大体千二百億円を予定されております。それで、そのうちの一〇%は証券会社が、いわゆる大衆消化をはかりますことになっておりますけれども、それ以外の九〇%が金融機関が消化する分でございます。
それで、金融機関のうち、相互銀行、あるいは信用金庫、あるいは生命保険というようなところは、この利回りの点から考えまして、コスト計算で申しますと、コスト的にはやや不利であるわけであります。で、そういう面から、この消化についての若干の制約を受ける点がございますけれども、しかしまた一面、資産の保有の、いろいろ、貸し出しとか、あるいはその他の債券を持つとか、いろいろな資産の運用の方法がございますけれども、その中において、今回程度のものを消化していく、あるいはそれを保有していくということは問題もございませんし、また、ある意味においては、その程度は保有していくほうが資産の運用上もいいんではないかというようなことでございまして、この点はそういう点からも問題ないと思います。
それから、地方銀行のほうは、資金の量的、あるいはいまの利回りの点、いずれから申しましても、問題はないのではなかろうかと思います。
で、いまのお尋ねの点は都市銀行の点についてのお尋ねかと思いますけれども、都市銀行の点につきましては、利回りの点からはもうこれは言うまでもなく問題ございません。量的の問題でございますが、これは最近不況の影響もございまして、民間資金の需要が非常に鎮静しております。この数カ月間、都市銀行の預金と貸し出しの割合を見ますと、預金の増加のほうが貸し出しの増加を上回っております。したがって、そこにある程度の資金の余裕があるわけでございます。したがって、その面から考えれば、この四十年度の分について都市銀行の消化の比率は大体六百億円余、六百億円をちょっとこえる金額になるわけでございますけれども、この程度のものは、大体、そういう点から申しましても十分消化される金額でございますし、まあ御承知のように都市銀行が相当な外部負債というものを依然として保有しているということはございますけれども、今年度に関します限りは、そういう点、いま申し上げているようないろいろな点から考えまして、消化の点には問題はないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/25
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026・須藤五郎
○須藤五郎君 岩佐さんにもう一点お尋ねします。市中銀行が買った公債をいつまでも市中銀行の金庫の中に保有しておく能力があるかどうか、やはりこいつは日本銀行に持っていって売り渡さない限り、市中銀行はやっていけないんじゃないだろうか。そういう点をちょっと聞いておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/26
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027・瓜生清
○瓜生清君 ちょっとそれに関連して。須藤委員の質問に若干関連するんですが、岩佐さんにお伺いしたいと思いますのは、先ほどのお話の中で、健全な公社債市場というものを育成をして、そして公債の市中消化をはかるということを原則にして、それを歯どめにすると、こういうお話があったんですが、確かに財特法による二千五百九十億円何がしの公債に限っては、ただいまお答えになりましたように、健全な形で消化がされるかもわかりませんけれども、これから先、昭和四十一年、四十二年というふうに、政府が相当多額の公債を出していくわけですけれども、その場合、私どもの受ける印象では、いわゆる公社債市場というものを育成していくというそのテンポと、政府が発行する公債の悪いことばでいえば押しつけ方、そういうものの間にギャップが出てきまして、結局は市中消化というものが健全な形で行なわれずに、金融機関の民間の資金を圧迫して、それが日銀引き受けという形にならざるを得ない、そういうふうなことが起こりそうな気がするのですけれども、そういう点についてどうお考えになるか、お伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/27
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028・岩佐凱実
○参考人(岩佐凱実君) いまの須藤委員の御質問でございますけれども、銀行がいろいろな形態においての資金の運用をやっておりますし、最近もいろいろな債券の保有をいたしております。そうして銀行の資金はまあ時々刻々異動しておりますので、したがって、そのときどきの資金の需給関係、金融市場の状況に応じまして、不足資金はあるいはコール市場でとったり、あるいは場合によると日銀の貸し出しを仰いだり、あるいはそのときどきの日銀がその金融政策上、オペレーション、市中の持っております債券類を買い上げるというような政策もとられておりますが、そういうことで行なわれておるわけでございまして、さしあたってのところでは、新しく発行されます公債をもって都市銀行が日銀から金融を受ける必要というものは感ぜられないと思います。いろいろなほかの形においてのあるいはコールをとるとか、あるいは場合によっては日銀がオペレーションをやった場合においても、オペレーションを通して保有しておる債券を買ってもらうというようなことは起こると思いますけれども、しかし、その場合においても日本銀行としては、現在のところ、一年以上たった債券でなければ買い上げの対象にはいたしておらないわけでございます。この原則は大体貫くと日銀当局も言っておりますのですから、そうであろうと思うのですが、そういうことでありましても、市中銀行としてはほかに多数の債券の手持ちがございますから、それによって資金の調達は行なわれ得るわけでございます。
それから、瓜生委員の御質問の点でございますけれども、さしあたってのところは、いまお話ししたところでおわかりいただいていると思いますけれども、四十一年度以降の問題になりますと、これは民間の景気動向がどうなりますか、それに伴っての民間資金の需要というものがどうなってまいりますか、いま必ずしも予測できない面がございますので、かりにお話のように、民間の資金の需要が非常に旺盛になってまいりましたときには、要するに公債は発行されたときには、金融市場から金が引き上げられるわけですけれども、公債はいずれにしても、それは今度財政の支出として民間に散布されるわけなんでございまして、したがって、まあ極端なことをいいますと、それで引き上げたものと払い出されるものは結果的には同じになるということでもあるのかと思いますけれども、しかし、その間において相当な時間的なズレというものもあるわけでございますので、その時間的なズレの間をどういうふうにやっていくかということが金融政策として非常に重要なことであるわけなんで、この金融政策が適正に行なわれませんと、そこにいろいろな問題も生ずるし、御指摘のような点も起こる懸念もあると思います。
それから、民間の公債の市場づくりでございますが、公社債市場の育成というものは、いままでいろいろいわれておりましたが、なかなか実際問題として育成できないで今日に至っておるのですが、ようやく去年の秋ぐらいから幾らかずつ公社債市場というものができ上がりつつあるわけなんであります。それで、これを育成していくについては、関係当局あるいは金融機関等も育成に努力していかなければならないと思いますのですが、それが公債の発行のテンポとどういう関係になるかということになりますと、いまもお話ししているように、これは民間の経済の動きとも関連がございますし、それに伴っての金融市場全体の動きとも関連がございますので、ほんとうにちゃんとバランスをとってそういうふうにいくかどうかということについては、私は必ずしもそういきますということも申し上げられないのですけれども、しかし、とにかく努力をしてそういう市場をつくり、国債の市中消化、あるいは国債の流動化ということが円滑に行なわれるようにしていかなければいけない問題であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/28
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029・中尾辰義
○中尾辰義君 最後に一点だけ岩佐さんにお伺いしますが、いまの市中消化の問題につきまして、関連をいたしましてお伺いいたしますが、先ほどのお話によりますと、本年度の二千五百九十億円の公債発行は、政府が経済の見通しを間違って、その結果税収不足から来るところの赤字公債である。しかし、これはまあ諸経費等を節約をしてまかなうということもいいけれども、それでは景気がかえって萎縮するので、この際は公債を発行したほうがいいじゃないか。しかも、その原則はどこまでも市中消化である、こういうことにお伺いしたのでありますが、ただいまも市中消化の話がございましたけれども、ことしは二千五百九十億円でございまするが、来年度はまた膨大な七千三百億の建設公債、それに政府保証債が四千億、そのほか金融債、事業債を入れますと、大体二兆円近くの公社債が待っておる。この場合に、市中消化といいましても、先ほどの議論によりますと、景気を刺激するためにはどうしても財政が経済に出動しなければならない、これは大蔵大臣のことばでありますけれども、そうしますと、やはり民間の金を、今度は公債発行して政府がそれを吸い上げて、そうして仕事をするということでは、はたしてそれが景気の刺激になるのかどうか、やはり結局は日銀のほうにしりぬぐいがいくのじゃないか、このように私は考えるわけですが、この点をもう少し明瞭にお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/29
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030・岩佐凱実
○参考人(岩佐凱実君) その点でございますけれども、経済成長に伴って、経済成長のための成長通貨というものは常にそれだけふえていかざるを得ない。経済の規模がそれだけ拡大していくわけでございますから、どうしてもそういうことに当然なるわけでございます。ですから、いまのお話のように、公債を発行した分だけの財政の支出が行なわれるような——財政の面から見ればそれだけでございますけれども、経済の全体の動きから見ますれば、それにプラス・アルファがあるわけでございます。そうでなければ経済の成長はあり得ないわけでございますから、そういう面においてどうしても成長通貨の増加ということは当然行なわれることであるのでありまして、しかし、それが、さっきからいろいろお話も出ておりますように、物価の騰貴とか、あるいはいわゆるインフレとかというようなことにならないように、適正に行なわれるということが非常に重要なポイントであろうと思うのでありまして、したがって、やはり経済の安定的成長をはかっていくことが一番の根本の問題であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/30
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031・木村禧八郎
○木村禧八郎君 有井教授にちょっとただしておきたいことがあるんです、一点だけ。先ほど財政法に補正予算ということばがないということをおっしゃったのですが、前にはなかったのです。ところが、財政法二十九条を改正しまして、それで、補正予算ということばがはっきりあるんです。その点、私の聞き違いかどうか知りませんが、さっき、もしないとおっしゃったとすると、事実とちょっと違ってくると思いますので……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/31
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032・有井治
○参考人(有井治君) お教えありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/32
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033・成瀬幡治
○成瀬幡治君 有井参考人に一つだけお伺いいたします。公債は原則、原理的に賛成だと。それは景気調整、景気変動というものには全然無関係に、財政需要の緊急性と申しますが、そういうような名目でも公債というものは出してもいいんだ、こういうことなんですが。まあいわば。プレッシュアー団体がおって、出せ出せと突っついてまいりますから出されるというのが、かつての過去の例なんですね。だから、あなたが原則的に賛成だ、賛成だとおっしゃられると、どういう場合でもいいように受け取られるのですが、そうじゃなくて、一定の条件があるのだ、こういう場合だということを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/33
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034・有井治
○参考人(有井治君) ただいまおっしゃいましたこと、私のしゃべり方がまずくて誤解を招いたかと存じますが、景気調整のためのみでございます。したがって、政治が合理的に行なわれ、プレッシュアー団体に影響されない、経済の発展、もしくは安定のためにこれが必要であるといわれたときだけに行なわれるのでありまして、ある団体に出すために、歳入が不足するから公債を出すという意味ではございません。しかし、それが合理的にそういう政策を必要とするためには赤字公債も辞さない、その主眼点は景気の変動を調整する、こういうことだけでございます。他の目標は入りません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/34
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035・西田信一
○委員長(西田信一君) 他に御質疑のおありの方はございませんか。——他に御質疑がなければ、参考人の意見聴取はこれをもって終了いたしたいと思います。御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/35
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036・西田信一
○委員長(西田信一君) 参考人各位におかれましては、本日は御多用中のところ、長時間にわたりまして、本委員会のために貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。委員会を代表してこれに厚くお礼を申し上げます。
午後は一時より委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。
午後零時八分休憩
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午後一時二十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/36
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037・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
午前に引き続き、昭和四十年度における財政処理の特別措置に関する法律案を議題とし、審査を進めます。
質疑のおありの方は、順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/37
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038・成瀬幡治
○成瀬幡治君 最初に大蔵大臣にお尋ねしたいと思いますが、その前に、資料要求をしたいと思います。
これは特に銀行局のほうにお願いしたいと思いますが、御案内のとおり、日産とプリンスの合併問題がございまして、いろいろなことを聞いておりますと、若干そこには労働組合関係で不当労働行為があるやに承っております。大体四十億の開銀融資が予定されておる。内訳は三十二億と八億のようでありますが、通産省と申しましょうか、あるいは日産を通して、そういうものに対して計画書が出てくると思うのです。それで、開銀にはもうそのものが出てきておるだろうと思いますから、どんなふうにそれが使われていくものか、そういう計画書についての資料がいただきたいと思います。そういうことについて、できたらあすその資料をいただいて、そしてその問題について若干質問がしたいと思っておりますから、ぜひひとつあす出るものなら出していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/38
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039・西田信一
○委員長(西田信一君) ただいま要求の資料は準備していただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/39
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040・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) いまの開銀融資についてのお話し合いをいたしたいという申し入れがございます。それについて、まだ大蔵省といたしましては内容を見ておりません。しかし、いまお話しのようなことでございますから、開銀のほうでもって見ておられるものがあると思います。実は私のほうは見ておりません、まだ。したがいまして、中身についてどの程度のものがあるか、この場で申し上げられません。さらに成瀬委員の御趣旨に沿える範囲におきまして取り寄せたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/40
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041・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大蔵大臣にお尋ねしますが、この前本会議でいろいろな点を質問をいたしましたから、そういう点で若干ダブる点があると思いますが、その点はお許し願いたいと思います。
まず最初に伺いたい点は、佐藤総理は今後赤字公債は出さないということを言われております。しかし、片一方では国債の、いままですでに発行されておる国債の借りかえというものは行なわれると思う。そのときの利率をどうするのだというようなことについて、大体今回発行を見ておる利率に引き上げるというふうに承知しているわけです。これがもし違うなら、そうじゃないというふうに訂正がしていただきたい。その場合、たとえば五分五厘の表面利率を一分上げますね。一分上げますと、かりに一千億あれば、利子だけがそこで十億ふえるということになる。十億は完全な、私の考えでいえば赤字になってくるわけです。これは赤字公債という公債がふえたことになる。だから、形式的でなくて、実質的に赤字公債がふえた、いままでは一千億だったものが今度は一千十億ということになるのではないか。これは赤字公債ではないかと、こういう疑問に対してはどういうふうにお考えになっておるか、まずお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/41
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042・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国債の償還期が来て、それをどういうふうにするか。既存の国債につきましては、これを借りかえるという場合も考えておるわけです。その際の利率をどうするかということにつきましては、今度国債政策はいままでと全部変わって本格的な国債発行政策を取り入れるということにもなりますので、まあただいまのところはその借りかえの利息につきましては、これを改定する必要があるのではないか、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/42
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043・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いや、だから、改定をいたしますね。これはふやすということでしょう。下げるということじゃないでしょう。そうすると、結局公債がかつて千億あったものが、かりに一分上げるということになれば、千十億にふえるじゃないか。公債がふえたことになる。その十億というような説明は、どういうふうに御説明になるのかと。それは結局公債がふえたということになる、それは赤字公債じゃないですかと、こう言いたいわけですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/43
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044・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 赤字公債ということばは私は使っておりません。これは木村議員との応答でもはっきりそう申し上げておるわけです。
私が申し上げておりますのは、今後発行する公債につきましては、その対象として公共的事業のみにこれを限定する、一般の経常費の財源としてはこれを使わない、こういうことを申し上げておるわけです。
既発の公債の処理、これをどういうふうにするか。その場合に、借りかえを行なうという場合のことは申し上げておるわけではないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/44
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045・成瀬幡治
○成瀬幡治君 財政法の四条からいえば、私は大臣の答弁は当然だと思うのです。しかし、実際問題として借りかえはもうせなくちゃならぬわけでしょう。だから、その場合には、今度の表面利率六分五厘のに合わせるというふうに承っておるわけです。だから、現に一分上げることになるということになれば、公債はふえたんだと、公債はそれだけ発行したことになるんじゃないですかと、こう言いたいわけですが、どうですかと、こう言っているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/45
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046・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) その考え方に対して答弁をいたしますが、それは金利が、公債の利回りが、あるいは金利がどうなろうかという問題じゃないと思うのです。その金利を改定する基準は、そのときの金融情勢等に従ってきめるべきものであって、利息が違っからこれがあなたのいわゆる赤字公債であり、利息が前と同じであればこれは赤字公債じゃないんだと、そういうふうな考え方は私は妥当じゃないんじゃないか、そんなふうな感じがいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/46
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047・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まあ当然私は借りかえ債というものも実質的な公債発行であり、そして償還が来ておれば、ふえた分じゃなくて、もう借りかえをされるということが私は公債発行だと思うのです。それはしかも赤字公債ではないかという疑いがあるということだけこの際ここで申し上げておいて、次の質問に進みたいと思います。
今回の提案によりますと、まあ二千五百九十億の穴があいたから、その税の収入減はかくかくであるというようなことも一応資料で私たちは承知しておるわけですが、このことも、この前に木村議員も指摘されておりますけれども、すでに何も四十年度でどうこうというんではなくて、三十九年度のときにすでに予測されたんじゃないか、されておったんではないか。こういうことに対して、いや、そのときには確かにそうなっておったんだ。したがって、四十年度予算編成のときにあたってもかくかくであるから、こういうふうにせなくちゃならぬじゃないかという心がまえがあってもいいじゃないかと思ったのです。それが、いや、あのときはそうであったけれども、大体こういうふうな予算編成で、運営をうまくやっていきさえすれば、赤字は出ずに、見積もったとおり狂わずにやっていけるという自信があっておやりになったとするなら、どこで一番狂いが来たのか。どこが一番狂っちゃったからこういうふうになったのか。そのよってくる原因と申しますか、そういうことについて一応お話を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/47
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048・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 根本的には昭和四十年度経済見通しに基づきまして税収はきめられているわけなんでありますが、その税の見積もりのもとになる経済見通しが全くそのとおりにいかない、こういうまあ事態になりましたのが根本的な原因というふうに思うのであります。その根本的な原因に基づきまして租税収入が減ってくる。しかも、その減り方が非常に激しい勢いである、こういうことにまあ原因があるように思うのであります。四十年度の予算を執行するその当初におきましても、あるいは幾らか税収が減りはしないかというようなおそれがあったようであります。したがいまして、それに対処するために歳出の一割留保というようなことも考えられたのでありますが、とうていそれで処弁できるような状態ではないというふうになって、ただいま御審議をお願いしているような状態になったわけなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/48
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049・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ぼくは、政府は相当な資料を持たれ、長期的な展望を持たれて四十年度の予算編成もおやりになった。そうしてしかも、そういう中でどうも不況というものがぬぐわれない。そこでてこ入れをしなくちゃならないというので、公定歩合の引き下げもおやりになりました。七月のときには前のときには、節約をおやりになったのが、今度はそうじゃなくて使うようなふうに、もうくるっと百八十度の転回もされたわけであります。それだのに、結論的にいえば、締めくってみたら二千六百億の赤字公債を出さなければならない、そういう段階に来たわけですが、そのどういうところでほんとうに狂っちゃったのか。全然予測をされなかったものなのか。あのときには公定歩合を下げていきさえすれば、そういうことはないだろう。そうして一千億の節減のほうでよかった。今度はそうでなくて、使うほうに今度は回さなくちゃならなくなってきたというような、どうも変わり方が激し過ぎるのですが、どういう資料に基づいたのか、どういう見通しを立てておられたのか、だれが一体そういうときの責任者になるのか、その辺のところよくわからないわけですが、どこが狂っちゃったのですか。あなた自身のものが狂っておったのか、資料が狂っておったのか、どこが狂ってきたのですか。あなたのほうのあるものはよかったのですけれども、対外的に財界等の協力というものが得られなくなって狂ってきたのか、それともどこがいけなくなったのか。ほんとうに何ともしようがないというのなら知恵のない話で、それだけでも私は責任というものをどこかでしょってもらわなくちゃならぬと思っているわけです。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/49
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050・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これは経済見通しが狂ったという一点に尽きると思うんです。しかも、その経済見通しの中で民間設備投資が当初思ったよりは数千億円落ち込んだ、そこに原因があるのでございます。それに対しまして、政府は金融上、財政上——特に財政上ですね、需要の追加等の努力をいたしてみたのでありますが、それでもなお経済の落ち込みを救うことができなかった、こういうことが租税収入が減ってきた根本的な原因だと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/50
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051・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは大蔵省というのですか、その大蔵省にある財政審議会ですか、大蔵大臣がおやりになる、ここで大体そのいろいろなことをやられるのか、それともその経審を含めていろいろなことで見通しをお立てになったのか、それとも閣議でいろいろなことを——形式的には、私は最終的には閣議になると思う。ほんとうのもとをつくってお出しになるところはどこなんですか。政策の原案を立てられるもとのところはどこになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/51
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052・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 経済見通しは、もとよりこれは経済企画庁が中心になって立案し、最終的には閣議でこれを承認する、そういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/52
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053・成瀬幡治
○成瀬幡治君 藤山長官にお尋ねいたしますが、長官は高度成長には若干というか批判的で、十分こういうようにしなければまずいじゃないかということをしばしば指摘されております。私たちもその点について同感でございます。あなたがそういう立場に立っておみえになりますから、私はいろいろな点については万々遺漏のない手をお打ちになって、大体ここまで追い込まれる前に手を打たれてしかるべきであったし、また打ったつもりだったと思うわけです。それがどうにもあなたの思うようにならなかった。そこで、そのよってくる原因がどこにあったかということについて反省をしておいでにならなければならぬし、当然検討をされておいでになったはずだと思う。そういうような点について………。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/53
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054・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 四十年度の経済見通しが著しく狂った一番大きなところは、いま大蔵大臣が言われましたように、民間設備投資が四兆九千億というのが、四十年度になりますと、実績からいうと、四兆五千億程度に民間設備投資が落ちたわけでございます。そこで、この四十年度の経済見通しをつくります際、おそらく経済企画庁としても、三十六年以来貿易収入が非常にアンバランスになった。したがって、金融引き締め政策その他で貿易バランスの回復をはかった。過去において二回ほどそういうことが行なわれましたときには、貿易バランスが、金融引き締めでもって、そして輸出圧力がかかりますと、直ってきた。そうなってきて。したがって、公定歩合を下げたりいたしまして平常に戻していこうという操作をやったのですが、その過去における操作の実績から見まして、おそらく三十九年度の貿易バランスの失調、三十八年度末からの失調、それに対して金融引き締めをやった。そして三十九年度の中ごろになりましてそれが回復してきましたから、今度は景気対策として金融をゆるめてくる。公定歩合を下げる、窓口規制をやめるとか、その他の処置をとってきたのであります。おそらく過去のトレッドと同じような上昇を続けるのじゃないか、こういうところに判断の若干の狂いがあったのじゃないかと思います。御承知のように、三十六年以来今回で、こういう操作をしたのは三回目、日本の高度成長でできましたゆがみやひずみがそのたびに原因となって貿易バランスの失調ができたが、またそれをゆるめて直していった。そのうちにだんだん傷が深く入っていったんじゃないか。そして過去の数字上のトレッドどおりにはなかなかいかなかったし、そのために民間の方々の持っております感じというものが数字の上に必ずしも十分反映していなかった。それがこの経済見通しを誤ったと申しますか、経済見通しの作成について十分な注意が届かなかった、こういうことじゃないかと思います。
したがって、おそらく四十年度の経済見通しをつくられました三十九年度の終わり、予算編成のときにおいては、もう公定歩合も下げていく、あるいは窓口規制もやめていくというような状態になってきましたから、過去のとおりにのぼっていくのじゃないか、こういって四十年度の経済見通しをつくったわけであります。それがやはりいま申し上げたようなことからして経済見通しの誤りに出てきたのじゃないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/54
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055・成瀬幡治
○成瀬幡治君 計画経済をやるのじゃない、自由経済だから誤るのはあたりまえだ、そうそうはありがちだというふうに大体佐藤総理の御答弁もいただいております。まあ藤山さんは財界出身ですが、ともかく表面は設備投資のほうで四千億の有効需要というものが減ったんだ。しかし、一応の銀行などを通してそういう資料が出てきておわるけですね。ですから、この四兆九千億を想定されたのは、そういう要求の資料の積み重ねを一応はじかれたものだったのか、そういうのはどういう数字をもとにして四兆九千億という数字をはじかれたのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/55
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056・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 経済見通しをつくります場合に、むろん各種の材料を集めまして、そうしてそれをもとにして判断していくことは当然のことでございまして、がしかし、同時に、この表にあらわしてまいります上においては、過去の景気の上昇あるいは下降、そういうようなときにおきますトレッドというものを相当に尊重して、このくらいな状況に変わってくれば、このくらいな過去における例があるのだから、その基準をとってもある程度さしつかえないじゃないか、こういうような取り方をいたすのでございます。ですから、全然この積み重ねたものでないということは申し上げかねますけれども、同時に、全然積み重ねたものだけでなしに、そこには過去の経済推移の判断がやっぱし入ってくる。それの判断というものはしかし個人的な感触の上の判断ではなくて、過去のそういう時期における数字的基礎の上に立った判断が入ってくる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/56
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057・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まあここは予算委員会でもないし何ですから、私は最後に——最後というわけではないですが、大事な点をひとつお尋ねしておきたいと思いますが、一体あなたのお立てになった経済見通しというものがほんとうに尊重されて予算編成というものが行なわれておるのか。どうもそうではなくて、その年度年度の——大体大蔵省のほうの予算編成はですよ、圧力団体等に屈してみたり、そういうことをやって、なるほどそれは五カ年計画とか六カ年計画とか七カ年計画というものがあって、これは組み込まざるを得ないと思うのです。ですから、どうも悪いことばでいえば、大蔵省のほうの予算編成は場当たり的のように思えるわけです。ほんとうに経済企画庁が立てたところの経済、たとえば中期経済計画とそういうような長期的な見通しというものが、ほんとうに尊重されて、予算編成が行なわれておるんですか、どうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/57
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058・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 少なくとも、過去のことは私は関係しておりませんのでありますが、四十一年度の予算編成にあたりましてはですね、ある程度企画庁が立てました大ワクの中で、むろん大蔵大臣がそのワクの中でどういうふうに処置していくかということは当然でございますが、そのワクを相当大蔵大臣としては尊重されて、そうしてその線に沿って予算編成をされたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/58
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059・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そういうふうに隣にお見えになるので、ある程度とおっしゃるけれども、私はどうもそういようには思えないわけですよ。たとえば物価一つを問題にとりましても、とてもだと思うのですよ。いわゆる米の値段から公共料金、独占物価の値上げというものは、とんでもないことになっておる。あなたのほうは来年の物価の上昇は五・五%と言っておりますが、これはどうにも通用しない数字だ。いまからわかっておる。ですから、どうもせっかく経済企画庁というりっぱなお役所があり、そうしてそこの中ではなるほど自由経済の中においても、しかも今度は金融政策じゃなくて、財政を中心として景気調整をやっていこうというのなら、当然私は経済企画庁のものが尊重されなくちゃいかぬ。ある程度ぐらいじゃなくて、相当なウエートを占めていかなくちゃならぬ。ですけれども、どうもそういうような気がしない。大体今度の予算の総額にしましても、大体一八%ふくらんでおりますけれども、こんなにふくらんでいいものですか。まあ福田大蔵大臣は何か予算の数字は縁起をかつがなきゃいかぬだろうといって、なかなか数字を合わせられるのにいろいろと努力をされたようですが、あれはしかし読み方によると、四三一ですから、「予算で人が」、四二と続くから「死に」と、こうなる。そうして七〇〇と続くから、「なくなる」ということになっちゃうという読み方もあるぐらいなんですから。まあこういう予算規模がどうだというようなことについて、長官、ほんとうに私は率直にお聞かせ願えないと、あなたは何をやっておみえになるのか、わけのわからぬようなことになりはしないか。私はほんとうにいまこそ経済企画庁の存在というものがこんなに大切なときはないと思っておるわけです。まじめに私たちは尊重されてしかるべきじゃないかというふうに考えておるのが、どうもいろんな圧力団体にやられちゃって食い違いが起こっておる。どうもほんとうに本意じゃないんじゃないか、閣内不統一になっちゃいかぬというので、ある程度とか、あるいは外交辞令というのじゃなくて、言うときには私はぴしっと言っておいて、そしてやっていくのが、それが政治の姿勢じゃないか。
あとで私はインフレの歯どめの問題について聞きたいのですが、結局いろんなことをおっしゃっておったんですけれども、要するところは運営の問題である、ということは人の問題だということです。結局人の問題に落ちつくんじゃないかと思うのです。ですから、結局人がいいというのですか、円満にやっていこうという……。あまり円満居士になり過ぎると、ほんとうにこれは藤山さんどうかなっちまって、身上をなくして、三代でつぶれたということになるんですよ。個人ならそれはいいでしょうけれども、国家がそういうことになっちゃ私は国民が苦しむことになるから、私はそういう点について少し真剣に——真剣に答弁をしておるとおっしゃられればそれまででございますけれども、重ねてそういうことに対する意見をお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/59
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060・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 成瀬委員のお話のように、いまこそ経済企画庁は非常に重要な立場にいると、私もそう信じておりますので、私といたしましてはできる限りの力でもって経済運営の上に寄与してまいりたいと、こう考えております。
そこで、たとえば今回の予算は、御承知のとおり、景気回復ということと、物価の安定ということを二本立てにして、そして大きな柱でもって編成してもらわなければ困るということは、私どもの大蔵大臣に対する切なる要望でございます。同時に、それが予算編成の上の大きな柱になってきたということは申すまでもございません。
そこで、いまお話のように、五・五%の四十一年度の物価はとうていそこにおさまるまいというお話、私どもも、これはただ単に手をこまねいておりましたなら、五・五%にはおさまらないような気がいたします。普通にやってまいりますと、まあ六%前後じゃないかと、こう考えられるわけでございますが、少なくもこういう場合にわれわれは五・五%の指標を立てて、そこにできるだけ落ちつけるようにあらゆる施策を集中していただきたい、こういうのが私どもの念願でございまして、したがって、五・五%という指標を出して、そしてそこにすべての努力を集中していく。安易に五・五%はそのままでいくと、こう思っておるわけではございません。
したがって、そういう面からいって、大蔵大臣の御協力をいただき、また予算編成にあたって予算における物価関係等の問題につきましては私からも再々お話を申し上げ、また協議の上で、今回の予算編成には大きな面における物価に影響するもの、また端的に直接物価にすぐ影響していくような施策、この両面について大型予算の中で従来よりも相当進んだ予算をつけていただいたということになっておりますので、私どももそうした大蔵大臣の努力に対してバックをしてきたかいがあったと、こう存じておるのでございます。
ただ、お話のように、物価問題にいたしましても、景気回復にいたしましても、いまちょうど成瀬委員がお話しのように、予算ができた、これが直ちに実行に移さなければならぬ、それがなければ容易にいかぬのでございますから、先般の閣議でもそういう話を私から申しまして、少なくも予算が衆参両院を通過したらば、その翌日からでも予算の実行に移れるように各省が準備をしなければならぬじゃないか。また、特に物価対策費等については、あらかじめ準備をしておいてそういうことに努力をしてもらわなければ困ると、そうして一日も早く予算が現実に施策の上にあらわれてきて、そうして一日も早く効果が出てくるようにしなければならぬじゃないかということを強く主張いたし、また各閣僚間におきましてもそのつもりで今後は各省の運営をされるという方針で進んでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/60
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061・成瀬幡治
○成瀬幡治君 もう一つお尋ねしますが、確かに貿易は順調だといえば順調ですが、しかし、これだけ国内で物価がどんどんどん上がってきますと、私はことしは、たとえばこれを一ドルでアメリカに輸出すると——ドルじゃなくて、まあ三百六十円なら三百六十円で。それで利潤が若干あったと思いますが、ところが、国内で物価が上がってまいりますと、来年になりますと、ことしは利潤があったが来年はゼロになってくると思うのです。そして再来年になるとその輸出の単価をそう簡単に上げるわけにはまいりませんから、赤字というかっこうで、出血ということになります。そうすると、貿易はとまってしまうことになって、あるいはやればやるほど赤字ということになってしまうわけです。そういうようなことについては、物価の上昇というようなこととともに、国際収支の面でそういうものを保護をしていく考え方と申しましょうか、そういうようなことについてはどういうようなお考え方をしておみえになるのか。あるいは施策として、来年度といいますか、今年度、こんなことをやったのだ——やろうとしておるというような点について、お答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/61
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062・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 御指摘のように、輸出が好調であることがいま非常に日本経済をささえておる。ただ、輸出が好調でありながら、それが黒字輸出じゃなくて赤字輸出であるということであれば、これは輸出そのものが伸びておっても、やはり日本経済に影響するのですから、その点われわれは非常な注意をしてまいらなければならぬと思います。御指摘のように、物価が上がるということが、単に家庭の主婦の方々の問題だけでなく、日本経済の大きな問題であるということは、いま御指摘のような立場に立って私どもは、輸出が伸びない、それが国内物価高のために起きてくるのだということであれば、これは非常に大きなわが国経済の問題だと思います。輸出によってのみ今日の日本の経済は成り立っているということも言えるわけです。幸いにして、まあ国外におきます経済状況と申しますものは必ずしも本年度悪いとは予測されません。むろんアメリカのような五十カ月も非常に景気が上昇してきた、それに対してマーチン連邦準備銀行の総裁が、警戒警報として公定歩合の引き上げをやったと。これがむろんデフレにいくのじゃなくて、景気を過熱させないで永続させようという立場に立ってあの処置をとられたのだと思います。ですから、ヨーロッパの事情を考えてみましても、アメリカの事情を考えてみましても、輸出はそう来年度、四十一年度におきまして、四十年度ほど好調ではない、伸びが悪いかもしれませんけれども、しかしそれじゃ輸出そのものが悪くなるかということは、私ども考えられないわけでございます。
そういう状況にありまして輸出のコストを下げていくということは、一面からいえば、国内景気の回復をはかりまして、財政投融資その他を今回の四十一年度予算ではやっていくわけでございます。要するに、今日の事情から申しますと、中小企業以下農業その他に構造上の問題があると同時に、将来卸売り物価がもし上がっていく、コスト高になっていくということであれば、そのこと自体は私はやはり設備に対する稼働率が落ちているということから輸出の問題が起こってくる。ですから、景気回復のために国内需要も喚起されて、そうして産業における稼働率、各種事業における稼働率が上がってまいりますれば、これはやはりコストダウンに影響してまいることでございますから、したがって、その面から見て輸出コストがそう上がろうとは私、思いません。したがって、この景気を刺激していく大型予算というものが、その使途がいま申し上げたように集中的に過去のひずみに持っていくと同時に、景気の刺激になってまいりますれば、一般需要がふえて、いま四〇%だ、五〇%だという稼働率が、六〇%、七〇%になってまいりますれば、それだけコストには影響してまいりますから、したがって、今度の大型予算におきましても、その面においてはむしろこの四十年度初期におきまするような国内不況のための金融圧迫による輸出が赤字であったという状態からはある程度脱却できるのじゃないかというふうに考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/62
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063・成瀬幡治
○成瀬幡治君 その操短ですがね、稼働率から来ている構造的な問題ももちろんございますけれども、操短による不況が有効需要を縮めているということについて、私は、相当なものであって、ウエートを占めているということはわかるわけです。だから、有効需要を起こすのだ、だから公債を出せばいいのだというだけくらいでは、私は輸出は、去年はよかったですが、私はことしも心配しているのです。もちろん、来年になればなお心配をしているわけです。そうではなくて、輸出振興の面についてもこういうような振興策というものが必要じゃないかというようなことについて、企画庁としてはお考えになっていやしないかということですね。ただ単に稼働率を増せばいいのだ、操短を減らせばいいじゃないか、その点は私も同感です。同感ですけれども、それだけのことばだけではなくて、政策として何かおやりになることを考えている面がありませんか。あるいは四十一年度でこういうことをやるのだということはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/63
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064・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 貿易を振興させていきますことは、第一は、何と申してもやはり貿易分野の何と申しますか、拡大だと思います。したがいまして、輸出先等を拡大していくということが必要でございまして、輸出先その他を十分に調査をし検討をするということが必要だと思います。
それから、政府として輸出の金融の上その他について格段の措置をとっていくということも必要でございます。そういう意味において政府のとるべき政策というものはたくさんあるのでありまして、それぞれ輸出関係の各省において大蔵省と御相談の上、今回の予算措置等も行なわれたのでございまして、私どもとしては比較的その面に力が入っていると、こう考えております。
なお、輸出を促進する上において、輸出を増大する上において必要なことは、私は、一つは、やはり民間の過当競争をやめさせるということではないかと思います。数量の伸びもさることながら、価格を低くして出すということ自体が、必ずしも好調ではなくて、それが民間の過当競争の上に著しいものがあるのであります。それで輸入国自体の経済状況を混乱させ、そのために日本品をシャットアウトしようという空気も出ないとは申せません。
それから、もう一つは、今日以後輸出を伸ばしてまいりますためには、第一次産品の買い付けというものを、後進国、低開発国の輸出を盛んにするためには第一次産品の買い入れというような問題もさらに検討していく。また、そういうことのために必要な経済協力を盛んにして、そうして日本が買い得るような品物を経済協力によって低開発国の方々につくってもらうというようなことも必要だと思うのでありまして、たとえばアメリカから入っておりました飼料等について、タイ等に転換した、大部分が転換されつつありますが、そういうような技術指導、経済協力、こういうものも非常に大きな線でなければならぬと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/64
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065・成瀬幡治
○成瀬幡治君 数量輸出か質的輸出かということについてのいろいろ議論があったのですが、これはあまり——予算委員会等の問題になっておりますから、以上でもって長官に対する質問は、あればまた……。
大蔵大臣のほうに伺いますが、インフレの歯どめというのが非常に問題になり、先ほど参考人で岩佐全銀協の会長ですか、富士銀行の頭取さんが、結局運営の問題だ、人の問題だ、決意の問題だ、こういうのに尽きると言われております。このくらいまた心配なことはないわけであります。そこで、大臣は、そうは言うけれども、政策的にはインフレの歯どめとしてはこういうようなことを考えておるという点をお聞かせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/65
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066・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) インフレの歯どめといたしましては、私は一番大事な問題は、広い意味の財政ですね、つまり財政投融資、あるいは政府特別会計、地方団体、そういうものを含めての意味でございまするが、この財政の規模が民間の経済情勢と見合って適正な規模である、これが私はインフレの最大の歯どめである、こういうふうに考えております。つまり、政府の財政によって民間も含めた国の経済全体における物資、資金、労務、さらに国際収支、そういうものに不均衡を起こさない規模であるということが一番大きなインフレへの歯どめである、こういうふうに考えております。
したがいまして、ただいま企画庁長官から来年度の経済見通しという問題に触れられましたが、企画庁長官が経済見通しについてこの程度の、国全体の経済規模ということを考えられておるということを前提といたしまして、この中における財政の規模はいかにあるべきかということを現実の問題としては考えるわけであります。そういう科学的な基礎に立ちまして算定した財政の規模、これはおのずから結論が出てくるわけでありまするが、その規模を一たび算定した以上は、これをみだりには変更しない、こういうことを予算編成の根本的な姿勢といたしておるわけであります。いろいろな事情がありまして、いろゆる大蔵原案の内示というものがあり、最終的にきめられるものは、内容は非常に入りぐりはありますけれども、おのずからその規模は最後まで変えなかったということは、その点に特に留意をしておるわけであります。
それから、第二の歯どめは、その規模の財源として発行いたしまする公債が市中において消化されなければならない。つまりこれは、日本銀行の通貨許容量が、これが経済成長の規模をこえて行なわれるということをなくするためであります。
それから、第三の原則は、この公債は、いやしくも国の経常支出の財源としては使わない。すべてあとへ見合いが残る性格の経費の財源としてのみこれを使う、こういうことでございます。
そういう三つのかたい原則を堅持し、これを運営していくわけでありますが、お話のように、これの運営を、ほんとうに方針によって実をあげ得るかどうかということが、実は非常に大事な問題であります。私どもとしては全力をあげてこれを貫き通し、国民に御心配をかけないようにいたしたい、かように考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/66
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067・成瀬幡治
○成瀬幡治君 せっかく広い意味の財政規模が適正かどうかということについて、その数字を、中央はこのくらい、地方はこのくらいで、トータルはこれくらいだというのを、たとえばそれは国民総生産に対して何%になるかというような点で、ちょっと数字をお知らせ願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/67
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068・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 地方財政につきましては、国会で権威をもって御説明するまでに固まっておりません、こまかいところが。しかし、大数はつかんでおるわけであります、四兆一千億程度というふうに。しかし、一般会計におきましては四兆三千億、財政投融資が二兆という数字になっております。その数値は、一体どんなものであるかというと、これは申し上げるまでもないのですが、一般会計のほうは、前年度に比べまして一七・九%の増加になっております。それから、財政投融資のほうは、前年度に比べまして二五%の増加になるわけであります。いずれもこの数カ年間における最高の伸び率に相なっておるわけであり、伸び率の基本になる数字自体が大きいものですから、額にするとたいへんな額になるわけであります。また、これが国民総生産全体の中に占めるウエートは三二%になるわけであります。これは戦後最大のシェアになるわけであります。
そういう予算をなぜ組んだかと、こういうことにつきましては、申し上げるまでもないのですが、昭和四十一年度におきましては、企画庁の見方によりますると、依然として民間設備投資が非常に停滞ぎみである、おおむね横ばいであるというような観察であります。それを補って、しかも適正な経済成長規模と申しますか、七・五%の成長を遂げる。それには財政が相当大きな役割りを占めなければならぬというようなことになりまする結果、ただいま申し上げたような大幅な予算を計上するということに相なった次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/68
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069・成瀬幡治
○成瀬幡治君 四十年度の成長というのは、二・五%くらいですか、それとも三%くらいになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/69
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070・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) まだ最終的に、三月になりませんと、物価等の関係もありますが、まず実質いままでの予定では二・七%でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/70
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071・成瀬幡治
○成瀬幡治君 物価はどれくらい上がっておりますか、失礼ですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/71
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072・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価は、いまの予想では七・七%前後じゃないかと、対前年度。しかし、これは十二月、十一月がわりあいに野菜が低かったものですから、割合に対前年度比は下がっております。それを横ばいにするわけにはまいりませんけれども、情勢を見てその程度で落ちつくのじゃないかと、こう見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/72
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073・成瀬幡治
○成瀬幡治君 抽象的な三つの歯どめのことをおっしゃいましたですが、この点もわかりますが、もう一つは、日銀引き受けの問題が非常に議論されるわけですが、大臣は担保貸し付けは絶対やらせない、オペレーションでこれをやるのだと、こういうお話ですが、これ実際どういうことになるのかよくわからないのは、日銀が買うほうが多くて売るほうが少なくなっちまって、結局、日銀が引き受けたという形になりはしないだろうかということを懸念するわけですが、そう辺のところをもう少し運用のこまかい何か規定とかなんとかと、そういうようなことをどこでおきめになって、だれが守っていくようなふうにされるのか。民間のもし資金需要が旺盛になってまいりますと、市中銀行はすぐ日銀に持ってもらいたいと、そうでなければ貸せませんよと、こうなったときに、担保貸し付けというのはやらせられないですから、日銀は出しませんよと、こう言うでしょう。ただそんなことで済まされるのかどうか。いまでもオーバーローンの問題がありますから、どういうふうになるのか、その辺のところを御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/73
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074・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 国債を発行すると市中金融が梗塞するじゃないか、こういうようなことを言う人があります。しかし、これは私は間違った見方だというふうに思うのであります。つまり租税で取りましても同じなんでありまするが、結局それは租税で租税収入として集まってきた金を政府が使う。公債でも同じなんです。民間消化というたてまえで金が政府に集まる。その金を結局また使うのでありまするから、これは金の総量において租税によって運営していく場合と少しも変わりはない。ただ、時期的に見まして、公債を出す、そして市中から金を吸い上げる、その金を政府は使うわけです。でありまするから、その経過期間におきまして若干の梗塞が起こり得ると、こういうふうに思います。
それに対しまして、そういうことがあっちゃならぬと。私どもはもう金融は、国債政策をとりまする以上、これはもう終始緩和基調で持っていくと、こういうふうに考えておるわけでありまするが、そういう政策の前に、一時的にせよ梗塞状態が起きて困ると、こういうふうに考えますので、その間の調節をどうするか。これは日本銀行の貸し出しという方法もあります。また、日本銀行の金融オペレーションという方法もありますが、今度は大蔵省証券を相当限度を拡大しておきたいと思っておるのであります。まあいま五千億というふうに考えておりますが、これを大蔵省証券をまず発行するということが考えられると思っておるのであります。そして市中に通貨が出回ったその状況を見まして、金融緩和基調を害さないように、そのタイミングを見ては国債に置きかえていくということを考えておるわけであります。まあ日本銀行の機能、また大蔵省証券の発行というようなものをかみ合わせまして、弾力的に運営していく限りにおきましては、金融基調には変化は私はあり得ないと、こういうふうに考えておる次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/74
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075・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、私は国債というものは最優先な担保力があるもんだと思っておるわけですね。それが日銀担保貸し付けにならないと、それだけでも制限されるということになりはしないか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/75
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076・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、日本銀行が制度として国債の担保貸しをいたさないということを申し上げておるわけではないのです。運用として、なるべくこの買い入れ、つまりオペレーションでいくがいい、こういうふうに考えておるのであります。そのときの状況、また銀行の手持ちの資金ポジションというようなものを考えまして、貸し出しという方法がいいという場合もあり得るとは考えております。なるべくオペレーションの方向でいきたいということを申し上げておるのですが、いずれにしても、通貨を民間に供給するという点におきましては、間違いはないのであります。日銀の操作はオペレーションという場合が多かろうが、貸し出しということを絶対にこれを避けようという、そういう趣旨じゃないのです。なるべくオペレーションの方向へいこういこういうことを考えておるということを申し上げておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/76
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077・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、どうもわからなくなってきたのは、オペレーションも貸し出しも、私は実は内容は同じだと思うのですがね。結局そうしますと、いろいろなことを言うけれども、日銀が買うほうが多くて売るほうが少なくなっていって、日銀が公債も持つことになる結果になるのじゃないでしょうかと、こう言っておるのです。そういうことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/77
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078・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これは先ほど申し上げましたように、公債を発行します。発行いたしますが、これはもう租税の場合とそう変わりはないのです。つまり、発行した金はかん詰めにしておくわけじゃないのであります。これを政府の支出を通じまして民間に通貨が供給されます、それが市中銀行に預託をされてくる、こういうようなことを通じまして、資金はまたおのずから日本銀行に還流していく、こういう形になりますので、私どもは経済成長に見合った通貨の増発ということは、これは防ぎとめるような考えは持っておりません。しかしながら、それをこえて通貨が供給されるということはない、またないように運営していかなければならぬ、そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/78
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079・成瀬幡治
○成瀬幡治君 通貨の最高発行限度額、日銀との関係のことはちょっと除いて、資金運用部が今度の問題について約半分引き受けるのですね。そうすると、資金運用部資金の内訳によりますと、どこで大体買うことになるわけですか。予定はどこにしておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/79
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080・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは約二千五百九十億円の約半額を、これを資金運用部が引き受けます、資金運用部自身が。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/80
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081・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いや、そのことはわかるのですが、その中でどこでやるのですか。金融債の中に入るのですか、その辺が、私わかりかねますが…。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/81
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082・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) これからの資金繰りでございますが、たまたま公債を発行いたしますので、運用部でも余裕があればこれを持つということになると思います。一方で、現在資金運用部が資金の運用といたしまして金融債を持っております。これを日本銀行におきましてオペレーションの手段としてこれがほしい、こういうお話がございました。ちょうど話がありましたので、そういうことにいたしたい、こう考えております。金融債をオペレーションの手段に使うということで、その関係で資金運用部のほうに長期資金のまた新しい運用を必要といたすことになります。それにちょうど国債が使える、こういう段取りになるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/82
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083・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、簡単にいいますと、これはどこから出た資料かわかりませんが、私ども調査室からもらった資料ですが、金融債は二千二百二十五億九千八百万、これを今度出る二千六百億の半分ですから、千三百億ですか、千三百億、それに振りかえられる、こう簡単に考えてよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/83
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084・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) ただいま申し上げましたように、日本銀行のほうで国家のために必要であるということでお引き取りになり、また資金運用部といたしましてそれとの関連を考えまして国債を引き受けたという暁におきましては、いまお話しのようなことに相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/84
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085・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、これまたオペレーションの対象になるわけですね。それとも担保に持っていかれるのか、そこら辺のことを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/85
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086・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) これは日本銀行がオペレーションにお使いになる、その材料に持っていかれるものでございます。運用部は金を拝借するという制度はございませんから、担保に用いるということはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/86
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087・成瀬幡治
○成瀬幡治君 先ほど、通貨というものはある程度ふえることはやむを得ぬじゃないか、こういうお話でございます。これもわかりますが、この前、衆議院でどなたか日銀法の改正の問題について質問をしておられましたが、いろいろな点があると思いますが、その中には、一つ、最高発行限度額というものは意味がないのだ、だからこういうものははずしてもいいというような意見もあるわけですが、そういうものを含めて、日銀法の改正ということをここ一カ年ぐらいの間におやりになるような用意があるのか。もうすでに答申が出、そうしてこれは何年たちますか、五、六年というとちょっと大げさになるか知らないが、四、五年しておるわけであります。どんなお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/87
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088・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 日銀法の改正案は、一応金融制度調査会で結論が出まして、前の国会ですね、通常国会に提案しようかどうかという段階まで来たことは御承知のとおりであります。それで、私は、今度の国会に出すかということを人にも聞かれるのですが、私は、その金融制度調査会が答申を出した時点と今日とでは、金融政策のあり方というものが相当条件を異にしてきておる、そういうふうに思うのです。ことに一番の大きな問題は、何といっても公債政策を取り入れる、公債政策下における金融政策はどういうふうにあるべきか、この問題があるわけでありまして、日銀法の改正というものはそれと大きな関係を持つであろう、そういうようなことで、日銀法の改正案というものは一応まとまったものはありまするが、それをひとつ根本的に見直してみたい、そういう考え方を持っておるのであります。したがって、この通常国会に日銀法の改正は提案する考え方はないということを衆議院の予算委員会で申し上げたことがあるのでありまするが、まあ公債を発行したあとにおける金融政策が一体どういうふうになるか、またその運営の中心になるべき日本銀行がどういう立場にあるのかということは、公債を少し出してみて、そうしてその実績等もよくにらんで、そうして日銀法問題というものも結論を出したい、そういう考え方をいたしておるわけでありまして、まあ予算が一応めどがつくという段階から、また公債がそれに基づいて出ていくというような時期を見計らいまして、私自身根本的な検討をいたしてみたい、そういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/88
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089・成瀬幡治
○成瀬幡治君 最高発行限度額の問題については、どんなふうな考え方を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/89
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090・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は、最高発行限度額というものをきめておくということは、そう大きな意味が今日なくなってきておるんじゃあるまいか。いろいろな基準も設けて発行限度を規制しようというような考え方もございまするが、私はあくまでも経済成長と見合った通貨量を確保するということを基本にいたしまして通貨政策が行なわれるということを期待しながら、制度改正全般に臨んでみたい、そういう考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/90
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091・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうしますと、いま一ぺんあらためて審議会に何と申しますか、諮問をされるというふうに私たちは考えていてよろしゅうございましょうか。それとも、もう出てしまったのだから、今度は大臣の責任において提案されるということになりましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/91
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092・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私が検討いたしました結果、金融制度調査会と重要な点で意見の違いがあるということでありますれば、あらためて金融制度調査会におはかりいたしたい、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/92
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093・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、もう少し推移を見なければ、先どうなるかちょっとわれわれもここでどうだということはお尋ねできないと思いますから、それはそれといたしまして、次にシンジケートの問題ですが、逆ざやになるところは確かですね。それで、参考人にどなたかが御質問になりましたが、公債を持つことは資産内容をよくするというような意味でというようなことで、若干ことばを濁しておみえになったのですが、実際問題として逆ざやになるところは私はたいへんだと実は思っております。大臣はこういうようなことに対してどういうふうにしようと考えておみえになるのか、これでいいのだというふうにお考えでしょうか、将来の問題もあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/93
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094・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま市中銀行におきましては逆ざやにはなりません。若干順ざやになりまして、それから地方銀行が一部逆ざやになるものもあり、一部は黒になるというような状況かと思います。逆ざやになります特に顕著なものは相互、信金ですね。こっちのほう、相互銀行、信用金庫。
私は、ただいまおことばもありましたが、大体において国債というものは現金みたいなものです。そういうような意味におきまして、金融機関が多少の逆ざやでありましても、保有するということは、大きな意味が金融機関にとってあるんだというふうに考えております。日本銀行なんかへ準備預金として持ってくれば、これは利息もつかないというのが、今度は六分七厘九毛五糸の利回りになるわけですから。
それから、もう一つの問題は、金融機関の投資というものは決して利回りの高い運用というばかりじゃないのであります。利回りの高いそういう場合には、えてして不健全なものがあるわけでございまするが、そういう金融もある。が同時に、利回りは低いけれども、しかし確実な、しかもいつも換金し得るというようなものも、これも歓迎される性格を持っておるのであります。問題は、その利回りの低い、安いものが全体として金融機関に対して損益上どういう影響を及ぼすかというところにあるわけであります。まあ私としてはできる限り、金融機関全般を通じて合理化、近代化をしてもらい、コストを下げて、そうして余裕のあるところはそれだけ貸し出し金利を下げるというようにするし、また、余裕がなくて逆ざやになる部門につきましては、その逆ざやがなるべく小さくなるというような状態が出てくるようにできる限りの行政指導をしてまいりたい、そういう考えでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/94
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095・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大臣、近々のうちに金利体系全体について、何かどこかに相談をかけられるという、そういうことはお考えになっておりますか。全然当分このままいって、その中で自然に大体の結論が出されるものと、こういうふうに期待しておみえになるか、どうでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/95
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096・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま積極的にどうこうしようという考え方は持っておりません。ただ、金利水準というものは、特に貸し出し金利というものは、なるべく低いがよろしいというようなことの考え方から、いま申し上げましたような資金コストをなるべく安く上がるようにしたいという金融指導はねばり強く続けていきたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/96
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097・成瀬幡治
○成瀬幡治君 行政指導でこういうことがなかなか容易じゃなくて、たとえば郵便の問題もございますですね。ただ単なる民間だけの問題でなくて、郵便貯金という問題もありますね。ですから、そういうようなことも関係がありますから、私はどこかでこのくらいの、たとえば預金はこのくらいだよということが先にきまってこないと、貸し出し金利というものはなかなか容易じゃないと思っておりますが、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/97
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098・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まあこういう公債政策をとるときでありますので、預金金利というものは非常に重要な意味を持つのです。つまり、これは貯蓄の増強にもつながってくるのです。したがって、国債の消化にも大いに関係してくる問題です。預金の金利水準を動かすということは、それ自体なかなか重大な問題でございます。そういうようなことから、ただいま積極的に私は預金金利を改定するというようなことは考えていない、そういうことを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/98
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099・成瀬幡治
○成瀬幡治君 次に、これは来年度——この法律案と関係がございませんが、来年度七千三百億お出しになるわけですね。これは大体どこがどのくらい引き受けることになるか、まだきまっておりませんですか。大体腰だめはできておりますですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/99
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100・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 七千億もの公債を市中で引き受け消化するということは、これはなかなかそれ自体重大な問題です。同時に、私どもは、市中の消化といいましても、七千億だけをきめているのじゃない。政府保証債を四千億出すわけであります。そのほかに地方債が出るわけであります。さらに事業債も出る。そういうものを全体としてこれが消化されていくという状態でなければならぬわけでございます。そういうようなことで、私はこの七千億円というものを考える場合には、常にそういうこれと一連の関係のあるものを加えて考えてきておるわけでありまするが、大体その一環としての七千億、これは金融界の代表とも懇談をしております。大体まあこの辺がいいところであろうという見当をつけて、予算の財源としてこれを使うという結論にいたしたわけなんでありまするが、その割り当てにつきましては、まだ具体的な交渉に入っておりません。これは国会で御承認を得、または得る見通しが固まるに従いまして、内部消化の配分というものを逐次相談していきたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/100
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101・成瀬幡治
○成瀬幡治君 民間関係はどのくらい踏んでおみえになりますか。普通私たちが聞いておるところでは、政保債四千億、地方債三千億、これだけ寄せますと一兆四千億ほどになるわけですね。それに対して民間の場合はどのくらい予定しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/101
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102・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 大体、まだこれは見当ですよ、荒見当で話をしているのですが、四千億見当になろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/102
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103・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これが市中消化ということに——今度は資金運用部ではやらないわけでしょう。これまたやることになっているわけですか。いま見当、見当とおっしゃいますが、それだけでは話が前へ進みませんが、資金運用部資金でおやりになりますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/103
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104・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 七千三百億円の中で三百億円、資金運用部でお引き受けする、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/104
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105・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、結局、前にやるように、共同引き受け団が残額を都市銀行を中心として引き受けることになる。これはなかなかたいへんなことだと思いますが、それはそれとして、証券界で個人消化ということになりますが、証券界を通してどのくらい予定をしておみえになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/105
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106・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) これもぼちぼちと話を始める段階でありまして、まだこれはシンジケートとの契約ですね、この段階には、ここ一、二カ月、予算が通過するまではいかないわけですから、御了承願えると思うんですが、証券界のほうでは一割ぐらいを見当に消化いたしたい、こういうことを申しておるわけであります。はたしてそこまでできますかどうか。できれば非常にけっこうなことだというふうに思いますが、これからよく証券界の四十年度国債なんかの消化のしぶり等を見まして、きめていきたい、こういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/106
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107・成瀬幡治
○成瀬幡治君 この引き受け団の中に、野村は、私は昨年も、あるいはおととしも、大体黒字だったというふうに聞いておるわけですが、四大証券のうち、他の三つはもちろん赤字だと思うんです、ことし。——ことしじゃなくて、昨年は黒字になっているか。その点もよくわかりかねるんですが、大体いまどんなふうになっているのか。四大証券の決算はどんなふうになっておりますか。これは一年二期でしょう。一期ですか。ちょっと御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/107
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108・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 証券局長から……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/108
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109・松井直行
○政府委員(松井直行君) 数字に関係いたしますので、私からお答え申し上げておきます。
まだ全部の集計は集まっておりませんが、概数だけは皆さんのお手元にあるかと思いますが、いまのお尋ねは引き受けに関連いたしましての御質問だろうと思います。御存じのとおり、四大証券のうち三つにつきましては、全然心配のないところまで回復いたしておることはもう御承知のとおりであろうと思うんです。昨年再建策を発表いたしました山一証券につきましてまだ問題が残っておりますことは、皆さん御承知のとおりであろうと思います。その後、経費全般につきまして極力合理化を進めてまいりました。もう昨年のような一般投資家に迷惑を及ぼすということは絶対にないようにということで極力進めてまいりまして、予定どおり山一につきましては経営の合理化が進んでおります。店舗につきましては、三十九年、これは年一回の決算でございますが、三十九年の九月期におきまして店舗が百九ございましたが、四十年の九月におきましては七十七。それから、人員につきましては、三十九年の九月末に七千九百人おりましたのが、二千人減ってまいりまして、五千九百人というふうに相なっております。なお、山一につきまして、四十年九月に終わる会計年度とその前三十九年九月に終わります一年とを結んでみましても、いま申します合理化が非常に進んでおるわけでありまして、経常収支におきましては、この二年間を比べてみますと格段の改善が見られております。なお、その後ですね、再建の過程で申し上げました線よりも山一が非常に進んできたという例といたしまして、新しい事業年度、ことしの十、十一、十二です。この三カ月におきまして、山一証券、これもまだ概数でございますが、こまい数字は別といたしまして、基本になる数字を申し上げますと、経常収支で十、十一、十二月で十四億に及ぶ利益をあげておるという状況でございまして、先ほど申し上げたとおり、合理化も非常に進んできておりますし、前向きに経常収支等は著しく改善している状況にある。ほかの三社は申すに及びません。そういう状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/109
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110・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あのね、ぼくはどっかでちょっと資料を見たわけですが、三十九年度は野村は黒字であるけれども、他は全部赤字と思っておるわけです。違いましょうか。四十年度に入りますと、この四大証券は大体黒字になっておるというふうに記憶しておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/110
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111・松井直行
○政府委員(松井直行君) おっしゃるとおりでありまして、三十九年度はおっしゃるとおり野村だけが黒字で、あとは赤字でございますが、四十年、結局去年の九月に終わります事業年度、これは山一だけが赤字でございまして、あとは黒字で決算を出しております。しかし、配当はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/111
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112・成瀬幡治
○成瀬幡治君 一体、証券法が改正されてからいろいろな問題があるわけですが、ほかの点にもいろいろなことをただしたいわけですが、山一は、あの証券法改正に基づいて、いやいや、もうとてもやっていけないのだから、新しい会社をつくって、旧山一はこの負債を整理するだけの会社にしたいというようなこともどこかで聞いたといいますか、読んだ記憶があるわけですが、山一は一体どんなふうになっておるのかですね。あるいは大蔵省としてはどうしようとしておられるかですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/112
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113・松井直行
○政府委員(松井直行君) 三年になんなんといたします不況の結果、各証券業者が受けました爪あとは非常に大きなものがございます。しかしながら、昨年七月の景気回復策を閣議で決定されまして以来、最近の証券市場の回復ぶりというものは、目に見えて非常に顕著なものがございまして、各証券業者とも前向きに経常収支が十分合うところまで、みずからの合理化を通して着々実績をあげている状況でございます。したがいまして、再建ということばがいいかどうか問題でございますが、われわれといたしましては、個別企業としての証券業者の経営の合理化を一そう徹底して進めるということとあわせて、新聞等についてよく再建整備とかということばが使われて、われわれはあまり使いたくないことばでございますが、業界全体としての態勢整備もあわせて、こういう時期でございますので、一そう徹底してきびしく思い切ってやらねばならない状況であると考えておりますし、業界自身もそういう自覚を十分に持っております。御存じのとおり、免許制の申請は来年の九月でございます。来年の九月までに免許になるような状況を獲得すればいいわいと思っておるような、そういう甘っちょろい考え方の業者は一人もおらないと私信じております。少なくとも、ことしの九月、第一年目ぐらいまでにこの結着をつける必要があるとわれわれは考えております。
で、数多くのあります証券業者のうち、非常に傷の大きなものがございますが、先ほど申し上げましたとおり、前向きに非常に力を発揮しておる状況でありますので、前向きに脱皮策も考えるということも十分可能になってきた状況であります。で、これにつきましては、大蔵省は個別企業のこれは経営者の責任の問題でありますので、あれこれ大蔵省で案を考え、どこへ引っぱっていくという性質のものではないと思います。どこまでも経営者が自己責任でさらに一そう徹底した合理化なりあるいは脱皮を考えるということであろうと思いますが、いまおっしゃった山一の件につきましては、大債権者なりあるいは大株主、それらが中心になりまして、去年の五月以来いろいろ案を練ってきたところでございますが、ようやくそういう方向でもっていこうかということの機が熟してきたというふうにわれわれは見ております。まだ具体案はわれわれのところへ来ておりません。必要に応じまして、各社の間の調整あるいは関係者の間の調整だとか、その他につきまして、われわれ財政当局として援助あるいは協力申し上げる点がありとすれば、できるだけ力をお貸ししたいと思っておるところでありまして、来年の九月までというふうに待つまでもなく、待たずに、できるだけ早い機会に脱皮——新しい意味における脱皮を考えるべき時期に来ております。その責任はどこまでも個々の経営者の問題であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/113
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114・成瀬幡治
○成瀬幡治君 政府からいろいろの資金が出たり、あるいは日銀がめんどうを見るわけですが、一体山一と大井はいま、現に負債はどのくらいありますか。できたら日銀から例の無制限、無担保の額とほかの銀行との借り入れを分けてやってもらいたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/114
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115・松井直行
○政府委員(松井直行君) 日銀を通じます特別融資だけ、いま数字を持っておりますが、山一が二百八十二億でございます。それから、大井が五十三億でございます。その他の借り入れ金等につきましては、日計表がここにあれば集計して、後刻お答え申し上げることができると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/115
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116・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これはまたどうせ別な機会にいろいろな点でお尋ねしなくちゃならないと思いますが、私は相当な負債があると思うが、一つの免許申請をされる場合の基準というものがあるわけですね。それは企業の自主性といいますか、努力にまつといわれるが、それは基準にもし合わなければ、これは全部遠慮なくやるんでしょう。その方針だけ明らかにしておいてもらいたいのです。いや、そうじゃなくて、これはいろいろな面から見て、なるほどいまはこれだけの負債額もあるけれども、基準に照らせばなるほどいかぬけれども、これはどうも立ち直る情勢であるのと、倒産の場合、バックアップというものも期待されておるんだから、客観的情勢はこうだけれども、いろいろな面でよさそうなんだ、そういうことをやりますか。免許申請が出された場合に、基準どおり、どんぴしゃりやりますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/116
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117・松井直行
○政府委員(松井直行君) 免許基準のこまかいところまではまだ策定いたしておりませんが、法律が要求しております諸条件はできるだけ厳格に執行するのが、二十年、五十年先の証券界の将来のことを考えますときに、あるいは一般投資家の保護ということを考えますときには、当然そうあるべきだろうと思います。いま現実に存在しております証券業者につきましては、もう自己責任だからほうっておくということじゃなしに、新しい証取法の中に、ここで御審議いただき、御承認いただきました新証取法の中にもございますとおり、あらかじめ指導をするとか、あるいは業務命令を出すという規定もあるわけでございまして、できるだけ業者の自主的な努力にまつことが基本ではありますけれども、早目に回復する力があるものにつきましては、厳格にこれを指導し、早目にいい態勢に持っていくというふうに、これは大蔵省も力を合わせる必要があろうと思いますし、もう見込みのないものは、早いうちに合併なりその他の方法を考えるべく、この免許制に移行するまでの検査の密度とか深さ等につきまして、従来と違った方法で、一そう現状把握に精を出す、そして必要な指導は加えていくということでもって、ことしの九月ごろまでにある程度大まかな見通しといいますかをつけるというテンポで行政はする必要があるのじゃなかろうかと、いま考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/117
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118・成瀬幡治
○成瀬幡治君 これは証券業界に大蔵省が行政指導をしていくということはなかなかのことだと思うのですがね。たいへんなことだと思うのです。たいへんというか、意味は非常に重大だと思う。証券局長、いまお聞きしますと、片一方では自主性にまつというようなお話もあったんですが、片一方のほうじゃ今年九月というものをめどにして思い切った行政指導をやっていかないと立ち直れない会社もあるというふうに私らも思うわけです。だから、あなた、どっちをやるというのか。思い切った行政指導をやるのですか。証券界に大蔵省が干渉していくというのは、意味が大きいわけです。いわゆる金融、資本主義経済の中におけるメッカに相当な圧力をかけることになるのですが、腹づもりとしてどういうつもりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/118
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119・松井直行
○政府委員(松井直行君) 先ほども申し上げましたとおり、来年九月免許制の申請が参りまして、再来年の三月に新しい体制で出発しますときに、だらしない形で出発するということはいけないと思います。それまでできるだけ残れる力のあるものについては力を貸すし、いまから収益力もないし、あるいはどこかとつけたほうがいいというようなもの、あるいはまた自廃したほうがいいというものにつきましては、早目に振り分けといいますかの指導をやっていくということでもって、五十年、百年先に悔いを残さない行政をやるのが投資大衆を保護するゆえんであろうと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/119
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120・成瀬幡治
○成瀬幡治君 それは思い切った行政指導で、合併もこことここをやれ、こことここはどうだということまでやることになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/120
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121・松井直行
○政府委員(松井直行君) お答え申し上げます。そこが非常にむずかしいところでございまして、損益の責任を一身に背負っております経営者の責任を除外して、大蔵省があれこれ鉛筆をなめまして、これとこれとくっつけるとかなんとかいうことは私は不適当だと思います。その点、どこまでも経営者の自発的な判断と努力と責任というものを尊重していくべきでありまして、そのときには、うしろにおります大債権者なりあるいは大株主の意向というものが十分反映することになっていこうと思いますが、その間いろいろ関係者の間で調整をする必要があるというようなことで、企業側から協力してほしいという要請があれば、干渉にわたらない範囲内で大いに誘導的な、あるいは指導的な行政をやる、そういう運用の妙味——妙味といいますか、非常にむずかしいところでございますが、妙味を発揮しながら、免許制の関門を通るときに、もう去勢されてしまった証券業者ばかり残るということがあってはいけないというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/121
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122・成瀬幡治
○成瀬幡治君 またの機会に伺うことにして、ただ一つ、今度の国債発行手数料というものは、これは証券会社で取り扱った分だけ手数料は出るのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/122
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123・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 発行手数料と申しますのは、シ団と国の間におきましてシ団契約を結びます。発行に関係いたしまして募集引き受けという業務をお願いするわけです。それに対しまして手数料を払うのでございます。シ団に対して払います。シ団のほうでは、その内部におきましてこれをそれぞれそのメンバーにお分けになるということでございます。その分け方につきましては、その内部の問題でございます。国といたしましてはシ団にお払いをする、こういうことになります。シ団のメンバーはシ団というものと一体になりまして、国に対して契約上の責任を負われます。一本でこれをお払いをするということになっております。もちろんこの辺の関係は事実上そういうふうに進んでおるということでありまして、御審議願っております法律が通りました暁に、正式にそういうところに落ちつくと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/123
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124・成瀬幡治
○成瀬幡治君 都市銀行が、たとえば富士銀行なら富士銀行が百億引き受けますね。そうすると、百億はその富士銀行がまずそれに対する手数料をもらって、銀行自身が引き受けるか、あるいは銀行から個人に買ってもらうか、そういうことは別として、それは個人にも買ってもらうのですか、その辺のところ。あなたは発行シ団とおっしゃるが、証券業界だけが五十銭のものを取るのか、百円に対して。都市銀行でもみんなもらえるのかどうか。もう少しわかるように説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/124
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125・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) ただいまも申し上げましたように、シ団が一本になられますときに契約を結びますので、国といたしましてはこれを一本に考えておるわけでございます。したがって、そのメンバーはいろいろな方がおられまして、金融機関もおられますし、証券業界の方もおられるわけですが、それに対しては差別はいたさないわけであります。しかし、シ団の内部におきましては、金融機関でこれを運用上お持ちになるという事情もございます。それから、いわゆる個人消化という分で消化される分もあるわけですが、いずれにいたしましても、総量はシ団のほうでいろいろ見当をおつけになります。そして個人の消化につきましては、どなたが当たるかということにつきましては、全員でお当たりになるというお考えもございましょうが、いまのところ、先ほど来大臣からも御説明がございましたように、まだいわゆる個人消化という部分の割合がそう多くございませんので、その全員がお当たりになるということでなくて、証券業界のほうの方がそれをまとめてお引き受けになるというような形になる動きになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/125
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126・成瀬幡治
○成瀬幡治君 そうすると、手数料が二千六百億に対して、百円に対しての五十銭の割合で一括して手数料というのは入っちゃうのですね。どれだけになります、この手数料は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/126
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127・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) ただいまのところは、大体半分見当が市中の消化ということになっております。で、百円につき五十銭ということで話が進んでおります。六億余りになると思います。それがシ団の手数料ということで国から支払われるわけであります。それにその手数料を、ただいま私が申しましたように、その内部におきまして募集あるいは販売、これをおやりになるところもありますし、あるいは消化の、あるいは引き受けのいろいろな取り扱いをされる、あるいはその取り次ぎをされるいろいろなメンバーができるわけであります。それぞれによりまして内部でもってこれをお分けになる。そのときには一律でございません。それぞれのファンクションに従って差等をつけてお引き受けになるということで話が進められております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/127
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128・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ぼくは個人消化に対して大体手数料が支払われると、こう実は思っておったのです。いまお聞きしますと、そうじゃなくて、そのシンジケート全体が手数料を引き取るということになれば、これは表面利回りは幾らになりますか。これ全部入っちゃうのですから、それは配分は百円に対して五十銭じゃなくて、八十銭もらうところもあるかもしれないということになるわけです。ですから、突っみしますと、表面利回りはどのくらいになるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/128
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129・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) ただいまお話がございましたような八十銭というようなお話がございましたが、その点につきましては、シ団の内部のことでございますから、いまお話し合いは内部でもって行なわれておるわけでございます。したがいまして、その分を別にいたしますと、国から五十銭払うということになります。この五十銭は発行者にとりましてはコストになります。そのコストは大体一厘余りになると存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/129
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130・成瀬幡治
○成瀬幡治君 あなたは、全然その配分のことについては大蔵省は知らぬ顔ですか。それで、ちょっと私らが納得しかねるところは、たとえば富士なり第一なりが、たとえば五十億引き受けた。個人じゃなくて、それは銀行でやったのだ。それでも、手数料五十銭とは言わないけれども、二十銭か三十銭もらうわけですが、そういうことがあることを予期しておられるわけですね。そしてあなたのほうは何にも干渉せずに、それは引き受け団がそのことをやるのだ、こういうふうに解釈してよろしいのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/130
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131・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) シ団の内部におきましては、それぞれただいま申し上げましたように各業界を代表しましてメンバーが入ってこられまして、業界にそれぞれ募集、引き受けを行なうわけです。それから、個人の分につきましては、これは証券業界だけが当分おやりになり、金融機関のほうはまださしあたりはおやりにならぬというような意向になっておるわけでございます。それのファンクションの相違によりまして、一率五十銭という手数料をどういうふうに分けるかという点につきましては、それぞれ各業界内部並びにその業界間におきましてシンジケート内部でもってただいまお話し合いがございます。これにつきましては全然承知しておらぬかということでございますが、業界それぞれのお話し合いによっていま進んでおる次第でございまして、私どももまるきりその話を承っておらないということではございませんが、それぞれの御意向をもっていまお話が進んでおるというふうに承知をいたしておるという段階ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/131
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132・成瀬幡治
○成瀬幡治君 実はぼくは発行手数料というものは証券会社だけがもらう、すなわち個人消化だけだと思っていたから、あまり問題に実は考えていなかったのですけれども、いまお聞きしますと、いや、引き受け団が全部もらって、そうしてその内部でやるのだということになると、たとえばそれは資金コストの問題もあるでしょうし、そんなことを考えてやられるのか。どんなことが、基準かなんか議論されておりますか。全然まだ緒についていないわけですか、いまどんな数字が出てきているわけですか。たとえば個人消化の場合は百円について五十銭じゃなく八十銭にするのだよ、都市銀行のほうは一括して引き受ける、大きいところはぽんと引き受けるから、百円について十銭くらいにつけるとか、何か話が出ているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/132
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133・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) お話のようなやり方でいまお話し合いをしておられるところでございまして、どういうところに落ちつきますか、実は私自身もまだ確たるところ承知いたしておりません。ただ、そういうような分け方並びにファンクションの配分によりまして、それで引き受ける公債の募集、販売、引き受けという業務を引き受けるというたてまえで、シ団の世話人会におきまして話し合いがあり、それと政府との間で話が進んでおりまして、そういう前提で先ほどの五十銭の話も実は内々の話としてはきまっておるわけであります。したがって、その内部におきましてそれぞれのお話し合いによってこれは落ちつくものであろう、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/133
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134・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大蔵大臣に一つ。国債は当然償還ということが考えられなくちゃならぬわけです。償還というようなことについてどういうふうにお考えになっておられますか。まあそのうちに景気が回復して、そこでゆっくり考えようというようなお考えでしょうか、あるいはそのときにはこういう姿でなくちゃならぬじゃないかというようなことをお考えになっておりますか。いままで私たちは償還計画というものを、いろいろここにももらっておるわけですけれども、基本的なお考えはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/134
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135・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 今回発行いたします二千五百九十億円の国債につきましては、償還期限である七年後にはこの償還を実行する考えでございます。その予備的な手段といたしまして、減債基金ですね、法によってきめられております剰余金の二分の一というのを特例としてただいまは五分の一になっておりますが、まあその期限が来年は来ますので、これを改定するかどうか、これは考えなければなりませんけれども、とにかくその積み立てに要する財源として、また不足いたしますれば一般財源を繰り入れまして、これを償還するということを考えておるわけでございます。しかし、昭和四十一年度以降になりますと、別に相当額の国債が発行される。それに対しましては、国債償還のための何らかの考え方をきめておかなければならぬ、こういうように考えるわけです。
で、国債の償還につきましては、減債基金制度を持つべきであるという議論が昔は非常に常識化しておるくらい強かった。今日は、国際的に見ましても、この減債基金制度をとっておる国というものは少なくなってきております。どういうことかというと、やはりそのときの財政状況を見て、そうして流動的にこの償還問題というものを解決したらいいじゃないかというような考え方のようであります。しかし、一面において、国債発行をする以上、安定的な財源を積み立てて、そうして計画的にこれを償還していくということを前もってきめておいたほうがいいのではないかというような意見もあるわけであります。そういうようなことを考えまして、四十一年度以降発行する公債につきまして、減債基金的な考え方を取り入れますか、あるいは先進諸外国でやっておるように、財政状況によって財政から余剰資金を繰り入れる、弾力的にこれを運営していくというような考え方がいいか、そういう点を含めまして、財政制度審議会なんかでことしはよく検討いたしまして、根本的な恒久的な考え方をきめていきたい、こういう基本的な考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/135
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136・成瀬幡治
○成瀬幡治君 また、あすにでも、大臣にはお伺いしたいと思います。
次に、藤山長官に伺っておきますが、これは何としても中期計画はこわれたことになる。そこで四十一年度のことにつきましては、大体お話は、大づかみのお話は伺いました。しかし、大体、私たちの想像するのに、積み上げた数字よりも、上から与えられた数字のようにどう見ても思えるのです。実際そうだろうと思うのですが、そこで、この中期計画を修正される。公債を発行するという大きな問題が出てまいりますと、当然検討されなければならないと思いますが、そういうようなことについては、どういうようにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/136
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137・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 中期経済計画は今日、現状から見て著しく計画内容と食い違っておるということは、これはどなたも御存じのとおりです。したがいまして、これを内容的に改定するか、あるいはこれを別個にして、新しい計画の必要があればつくるかという問題につきましては、せっかく私どもいま検討しておりますけれども、現在の中期計画そのものを手直しするということは非常に困難なことじゃないか、こう思います。したがって、将来もし長期の計画をつくるとすれば、経済がいま少しく安定した上で別個の計画を考えてみたら、そのほうがかえって適応するような計画ができ上がるのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございまして、公債発行その他格段の事情がありますときににわかにこれをつくりますことは、私は適当だとは思っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/137
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138・成瀬幡治
○成瀬幡治君 意見はあるわけですけれども、まあこれは別にいたします。
次に、時間がございませんですから、永山自治大臣にお尋ねしますが、交付税率を引き上げられて、勇ましい話は新聞を通して聞きました。私らが必配することは、政府がこういう公共投資をこれからどんどんやって有効需要をふやそうとするわけですが、これは非常にいいことだといえばいいことなんです。しかし、地方自治体のほうは幾らか負担分があるわけですね。ですから、やれるところとやれないところの差が出てくるのじゃないかということを非常に心配するわけです。そういうようなことについて大臣はどんなふうにお考えになっているか、まずお伺いしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/138
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139・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) やはり地方交付税率をアップすることによりまして、やはり貧弱町村への配分率等が多くなりますので、大体消化は十分できるものであるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/139
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140・成瀬幡治
○成瀬幡治君 大臣、実際にそんなふうに、あなたがおっしゃるように、私も交付税率がふえたということは非常にうれしいことで、あなたとともに喜ばしいことだと思っておりますよ。しかし、ふえたから、これで公共投資を国が進めていった場合に、地方負担でやれるところとやれないところが現実にあるでしょう。今度出てこないということですか。出てこやしないと。そうすると、やれるところとやれないところの格差というものが拡大してきやしないかということを非常に心配しているわけです。大臣はそういう心配はないとおっしゃるのか、心配しているからこういう手を打っているのだということなのか、その点があればお聞かせ願いたいと思いまして、実は御質問申し上げたわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/140
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141・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 地方交付税率をアップいたしますとともに、やはり臨時特例交付金を百八十億円ばかりふやしましたので、そういうふうな分も、やはり交付税の配分方式によって貧弱町村へ重点的に配分をいたしますし、また地方債の増発が千二百八十億ございまするので、そういうような点でやはり配分を十分考慮いたしたいと考えておりますし、さらにまた、辺地債等の関係もまたこういうふうな特別債のほうの関係もございますから、そういうものを案分いたしまして、消化を十分できるように配慮いたしたいと考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/141
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142・成瀬幡治
○成瀬幡治君 まあ構造的な問題は、産業構造ばかりでなくて地域構造における格差というものが非常に目に余るものが私は出てきたと思うのですよ。たとえば国勢調査によって人口の増というところと人口が減っているところがありますね。全部ふえているところは、いわゆる太平洋ベルト地帯でしょう。減っているところは、何というか、日本海に面した悪いところ。そんなことはいままでなかったことですよ。人口の自然増で大体いくというのが、普通だったのが、異動増のほうが上回っちゃったわけですね。これは一つは政治のゆがみといえば言えるかもしれませんが、いわゆる後進地域が出てしまったから、たいへんなことになってしまったと思うのです。こういうような点について、自治大臣としては私は相当な決意をもって、これでいいということじゃないと思うのですが、そこで、今回の公共投資等の問題は十分活用されなくちゃならぬと思うのですね。その場合に、いわゆる貧弱町村は地元負担ができませんから、なお取り残されてしまいはしないか、ますます後進性を発揮することになりはしないかという点を心配しておるわけです。それに対して、あなたはいやいや、辺地のほうにも起債をもらうことになる、地方債等も有効に活用する、交付税の総ワクもふえたんだから、配分でこれはやっていけるんだ、こういうことですが、ほんとうにそれだけでやっていけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/142
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143・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 大体今回の財政処置でお説のような点を考慮して、一般財源で一千億、地方債で千二百八十億というようなものを増発いたしましたので、内容的にはお話しいたしましたような諸点を十分考慮して消化ができるようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/143
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144・柴田護
○政府委員(柴田護君) 多分に技術的な問題でございますので、私からお答え申し上げます。
お話のように、人口が非常に減りますので、そういう部分につきましては、交付税の算定上人口が新しくなります結果、交付税が激減いたします。これをどのようにして始末をするかという問題が一つ。もう一つは、かりに経過的に何か措置をいたしましても、そういう団体に対して恒久的に財源を与えていくのにはどうするか、これが交付税の算定上の大事な問題でございます。これをやはり低位団体に対します補正方法等について恒久的な配慮をはかっていかなきゃならぬだろうというふうに私どもは考えておるわけでございます。
それから、地方債が非常にふえましたので、その結果公共事業の消化等について不安があるではないかというおことばでございますが、一般会計につきましても、国の財政の変化にある程度順応いたしまして、どうしても一般会計に地方債というものをある程度持っていかざるを得なかった。したがって、その配分にあたりましでも、やはり相当来年度は思い切った考え方をとっていかなきゃならぬだろうと思うわけでございます。もっとも、一般会計の資金の中身でも政府債もありますが、公募債もあります。政府債の場合を考えますれば、将来の償還財源というものを配慮いたしてまいりますれば、当面の消化にはまず心配はない。公募債の場合には、その団体の公募債と申しますか、縁故債、その募債能力というものを頭に置いて考えてまいらねばならぬ。したがって、地方債を配分いたします場合にも、その辺のところの配慮は十分考えてまいらねばならぬ。ただ画一的に、何らかの算定基準で画一的に割ってしまうということだけでは不安ではなかろうか。やはり貧弱団体には政府債を中心とし、ある程度起債能力のある団体につきましては縁故債というものをある程度取り入れて、そして消化について、やはり私どもといたしましても、一般会計、特に一般会計債につきましては、きめのこまかい配慮と思いやりと申しますか、そういうことを加えてやっていかなきゃならぬというように思うわけでございます。従来は一般会計債はとにかく配分いたしまして、あとは適当にというやり方でありましたが、今度はそういうわけにいかぬだろう。起債の消化状況といったようなものも、国債その他の市場の状況等もございますし、総合的ににらみ合わせながら考えていかなきゃならぬだろう、かように考えておるわけでございますが、現在の程度でありますれば、私はこれは公共事業の消化にこと欠くような事態というものが起こるというふうには考えておらないわけでございます。何とか先般の措置でやっていけるのだろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/144
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145・成瀬幡治
○成瀬幡治君 いま柴田さんから承ったことは非常にいいことだと思います。
そうすると、もう少し具体的にいいますと、交付税の算定基準で人口というものは一番大きな柱になっていくのだということと、もう一つは、それだからそのところの若干の補正を考えていかなければならぬ。ただ、いままでは、昔は地域給——いま地域給というものはなくなりましたけれども、給与関係でいく場合には地域給ということがついておって、たとえば大阪と東京と同じであっても、郡部へ行けば違って、交付税の算定基準というのは大きな柱になるのですが、こういうふうなものは逆にいかなければならぬのですね。そういうものも直されるのだ。とにかく交付税の配分基準というのは別として、補正というようなことを重点的に今後考えておやりになるというふうに了解していいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/145
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146・柴田護
○政府委員(柴田護君) 基本的には、おっしゃるように相当大幅な変革を考えなければならぬというように思うのでございます。ただ、一ぺんにやりますと、かえって逆に、今度は激変が起こる。激変が起こるのは、財政が豊かな時代におきましては、少々の激変が起こりましても、あまり気にすることはありません。来年度のように国も地方も非常に苦しいという状態におきましては、あまり大きな変化が起こることを避けながら、本来の基本的な改革と申しますか、改善と申しますか、そういう方向に向かって、やはり何らかの措置をとる必要がある、こういう考え方で現在いろいろ作業をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/146
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147・成瀬幡治
○成瀬幡治君 ワクはこれだけあったものをAのやつを削ってBのほうに持っていくということなら、そういうことになるかもしれません。交付税を引き上げて三税の伸びがどうなるかということは大きな問題があるし、非常に後進地域の問題については、これはお互いに心配をしなくちゃならない点ですから、やるのですかと聞くと、いや、あまり急激なことをやっちゃいかぬと、今度はやらぬように聞えるのです。ですから、私は相当なことをやっていただかないといけないのじゃないか。特に起債の問題でもそうですね。都市は金利が安い。縁故債など、辺地では一割何分ということはやるわけです。高い金利です。これではたいへんです。だから、そういうことについても考えていこうじゃないか。方針は非常にいいわけです。だけれども、あなたのそういう方針ですと、ただし急激なことをやるとたいへんなことになるから、やりませんよというふうにも聞こえるわけです。そこら辺のところは、もう少し割り切った話はできませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/147
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148・柴田護
○政府委員(柴田護君) 金がうんとあれば割り切った話ができるのであります。しかし、苦しいのでございますので、そういう方向でいたしますけれども、一ぺんにはできません。できる限り考えますと、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/148
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149・成瀬幡治
○成瀬幡治君 地方債の苦しい点は別にして、実はなぜそういうことを伺わなくちゃならないかというと、今度の三百億ベースアップの問題については、借り入れ金だけでもめんどうを見られるわけです。これもいいことだと思うのです。これでも市町村の役場に働いている人たちは、地方自治体で地方公務員という名で働いている人たちに、あまりにも私は俸給で差があり過ぎると思う。こういうものを直していただくには、いまおっしゃるような抜本的な問題に触れて解決していかないと、なかなか変わらないわけです。ですから、三百億借り入れした、だからこれで事が解決したというようなことでは——非常にみんなが悲しんでおるのです。ですから、そういうようなことについて、大臣は、いま柴田財政局長からお話を承りましたが、しかし、いま申しましたように、実際辺地の市町村の吏員の人たちは非常に低い名誉職というような昔のかっこうで働いているのですよ。そういう人たちは事務能率は、じゃどうなっているのかというと、なかなか思わしくないものがあると思うのです。ですから、相当な行政水準を上げるということとともに、給与等を上げていかなくちゃならぬと思う。そういうことについてはどういうふうにお考えになっておるわけですか。まあやむを得ぬ、徐々にいくんだと、こういうようにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/149
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150・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 御説明のようでございますので、できる限りひとつ行政水準を上げるような方途で努力をいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/150
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151・中尾辰義
○中尾辰義君 議論は多少繰り返す点があるかと思いますけれども、大臣は、今回の公債発行は戦後十八年間初めてのことでありまして、財政的にも一大方向転換でございますし、また非常に国民注目のまとになっておるので、まあ商売人ないし事業家の方はある程度、インフレになっても、むしろ公債発行して景気をつけてもらったほうがいい面もあると思う。しかし、また、家庭を守る者は、こんなにどんどん物価が上がったんじゃどうしようもないじゃないか。給料は上がらないし、税金は高い。米代からバス代から、国鉄から上がって、これでは、今度の公債発行によって被害をこうむるのはわれわれである。いろいろな観点が違いまして、批判もございますが、終局私どもが一番今度の公債発行の問題で心配いたしておりますのは、インフレになるかならないか、この問題だろうと思います。
で、大蔵大臣は、今回の二千五百九十億円というものは、これは来年度の七千三百億円とは全然質が違うのであって、今回はどこまでも税収不足を補うための歳入欠陥の補てん債である、来年度は来年度でまた長期的見通しに立って発行する、こういうことでございますけれども、これは両方切り離して論ずることはできないんじゃないかと私ども思うのであります。そこで、まあことしは約二千六百億円でございますが、来年度は七千三百億、こういうふうになっているわけです。そうすると、再来年はどうなるんだろうか、こういうような考え方が予想されるんですね。じゃ、その次の年はどうなるんだ。こんな調子でどんどんと公債発行というものが雪だるま式になっていったんでは、終局は損をするのは低位の国民の層である、低所得者層である、こういうことになるわけであります。ですから、今後の公債発行の見通しといいますか、まあ来年度は大体見当はついておりますが、どういうような方法で償還していくのか。こまかい点はまだ何んでありましょうけれども、大まかなところでも説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/151
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152・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 公債発行はいろんな意味を持つのですが、一つ大きな意味は、いま国民も資産を持たない。また、企業においても蓄積、自己資本が足りない。こういうことを考えてみますると、わが国においても先進諸外国と同様に、政府が若干借金をするということをいたしましても、もうそう政府の信用に変わりのあるような状態ではない。むしろ逆に、国民には減税をし、また国民のためのいろんなサービスをする。そのために政府が、政府をささえるところの、国をささえるところの企業と国民の借金をしょって立つ、こういう考えに基づくわけであります。まあ私は、公債を出しましてインフレになるんじゃないかというような見方をする人もありますが、なぜインフレになるのかといえば、公債を出して、それを使って政府がまた仕事をするわけです。その終果、国の物資、資金、労務、そういう点について不均衡を来たすというときにおいてのみ、インフレの問題が起こり得るわけでございます。したがいまして、私は、そういう考え方に基づいて公債政策を運用する。運用する場合の公債の発行額というのは、厳密にこれは予算の規模と密着をさせなければならぬ。予算の規模を民間経済活動と見合って、民間経済活動と政府の財政活動との総和が、これがそうでこぼこでない、物資、資金、労務、国際収支、それらの経済諸要因に対しまして、不均衡を来たすものでないということを配意しながら、その総ワクというものをきめていく、こういう基本的な取り組み方をいたしてまいりたいというふうに考えております。
そういう考え方に基づいて、今後の経済を展望してみますと、昭和四十一年は、どうしても民間の活動が低調である、ことに設備投資が低調であるというふうに考えております。ですから、私の考えにしたがいますれば、これは財政が大いに積極的に活動をして何らの支障はない年である。それから、いま経済は普通の景気循環というような状態ではなくして、構造的な不況要因をはらんでいるというように思うのです。これを解決し、打開し、ほんとうに日本の経済を正常化させるには、私は時間はかかると思います。そういうような、少し長い目の展望をしてみますと、やはり四十二年も、あるいは四十三年までぐらいは、これは民間の経済活動が弱い時期じゃないか。そういうことを考えてみますると、やはり四十二年度も相当の公債を出さなければいかぬ。あるいは四十三年度もそんな情勢になりそうである。しかし、だんだんと経済が正常化し、国をささえるところの企業活動が活発になっていきますれば、租税収入もしたがってふえてまいるわけであります。そういうことにつれて、公債政策はこれを縮小していく、こういう段階に入るのかと思いますが、まあとにかく基本的には民間経済が活発でない際には、公債を財源として政府財政を拡大しても、それが物の需給やあるいは資金の需給、あるいは労働力の需給に不均衡を来たさない限りにおいては、インフレの心配というものは絶対にあり得ない、こういう考え方に基づいているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/152
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153・中尾辰義
○中尾辰義君 結局、いまの答弁によりますと、来年度は大体きまっておりますから……。四十二年度もまあかなりの公債を発行しなければならない。四十三年度も、いまの経済状態から見て見通しをしてみても、まあ相当な額を出さなければならぬのじゃないか。そうこうしているうちに経済活動も活発になって、租税収入もふえていくから、そういうことで税金もふえる。自然的に償還をしていこうというようなお考えのようでありますけれども、そこがこれは問題でありまして、あなたのおっしゃるとおりいけばよろしい。けれども、昭和四十年度の経済見通しにしても、すでにこれは見通しを誤っている、政府としてはですね。三年先はまたどうなるか。これまたあなたの答弁のようにいくかどうか、これまた問題です。しかも、自然増がふえましても、いまの大予算の内容から見てみましても、社会保障その他をはじめ、いわゆる当然増経費というものが毎年毎年四、五千億から五、六千億というものはふえております。そこから、予算の弾力性がなく、非常に硬直性がある、このようにもいわれているわけであります。そうしますと、少々自然増が出てまいりましても、そういうような当然増経費に食われちゃって、どうしてもこれからまた新規な事業を起こそうという場合、税金だけでは足らないのだから、また公債というものを発行していかなければならない、こういうことも考えられるわけです。しかも、物価等におきましても、労働力の需給のアンバランスというものもありまして、まただんだんと物価も上がっていくでしょうし、どうしても私は、あなたがおっしゃるように、はたしてインフレにならないとおっしゃっても信じ切れない点もあるわけです。その点はどうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/153
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154・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、賃金やあるいは賃金のもとになる労力の需給状態ですね、また物の需給状態、また資金の需給あるいは国際収支、そういう問題について国の財政が不均衡を来たすというような要因さえなければ、これは私はインフレになるという心配はないと思います。そういう要因を検討してみますると、いま私は物の面では、とにかく設備が三割近く遊んでおる、こういう状態ですから、これは心配はない。また、資金の面におきましても、民間設備活動が非常に低調であります、そういうようなことから、これも私は心配はないと思います。それから、国際収支も、多少頭打ちのようなところはありますが、これを一〇%そこそこの伸びと見るということにおきまして、これも心配は私はないと思います。ただ、労務需給の問題ですね、これはよほど注意をしなければならぬ。労務の流動化政策を強く進めなければならぬというふうに考えておるわけでございますが、ともかくその点さえ気をつけ、他の運営よろしきを得ますれば、私はこの問題がインフレにつながるというようなことはもう毛頭あり得ないというふうに考えておるのです。
いまインフレとおっしゃいますが、現にことしあたりも物価が上がっておる。物価は何だといえば、消費者物価です。消費者物価のどこが上がるのだといいますれば、これは大体その引き上げ要因というものは生鮮食料品に七割ぐらいのウエートがあるわけであります。この問題は、これはいまの財政を拡大するという問題とはそう直接的な大きな関係はないわけであります。で、企画庁を中心にして、こういう問題は農林省あるいは通産省、そういう方面でいろいろな考案をいたしておりますので、これは私は企画庁が言われるように五・五%という程度の安定感を持ち得ることがことしは可能になるのじゃないかと考えておる次第でございます。公債を出したから、これがインフレのほうに、あるいはその物価引き上げ要因になるのだというふうな考え方は全然いたしておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/154
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155・中尾辰義
○中尾辰義君 まあ大蔵大臣はそうおっしゃいますけれども、なかなかあなたのおっしゃるとおりにばかり経済が動いてくれればよろしいけれども、そうもいかないと思う。それで、あなたの予想に基づきましてここ二、三年公債を発行いたしまして景気が非常に過熱した場合に、今度はどうなるかといいますと、やはり国際収支という面もやはり赤信号が出てくる。その面からまた金融調整をやっていかなければならない。金融調整をやっていきますと、また昨年みたいな中小企業のああいったような悲惨な状況が出てこないとも限らない。そうしますと、今度の不況というものは、経済を拡大すれば拡大するほど反動というもの、不況というものが、もう少しさらに谷が大きいのではないか、もっとものすごい不況が来るのではないかということも考えられるのですが、そういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/155
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156・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それはそのとおりに私も考えております。ここでやりそこなって過熱したら、これは私は救いがたい大デフレーションということにもなってくるのじゃないかということをおそれております。ですから、一方において、国債を発行する以上一兆円ぐらいは発行せい、そういうような勇ましい議論もあります。ありますが、私は、そういう手段をとった場合、つまり民間の経済活動と政府の財政活動とを合わせた総和が需給のアンバランスを満たすような急激な発展、繁栄をやったら、これはお話のような事態にもなるだろう。そこで私どもは経済諸要因にアンバランスを生じない限度において、しかもその景気の回復に役立つようにというための規模において予算というものを考えておるわけであります。ここで何でもいいから景気だというのでめちゃくちゃなことをすれば、景気は一時は出ます。出ますけれども、あとがたいへんなんだと。その点は十分に警戒しながら財政政策をとっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/156
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157・中尾辰義
○中尾辰義君 いま何回も私は答弁を聞いておりますけれどもね、いまあなたはその歯どめということで公債発行というものは市中消化でやると、しかも公共事業の範囲でやる、それから先ほどの答弁によりますと、民間経済と財政規模が適切であるかどうか、この点も考慮して慎重なかまえでやると、このようにおっしゃるわけでありますがね。この市中消化という問題が先ほど来問題になっておりますが、結局、今年度の二千六百億というものも、本来は経費の節約等によって財政のつじつまを合わせていけば、やれないこともないかもしれないけれども、それでは景気がかえって後退するので、公債を発行するのだと。これならば、私は民間の金を市中消化によって政府がまき上げて、これをまた政府が民間に投資をして景気を刺激していく、それは金が民間にだぶついている場合はいいかもしれませんが、今度は来年度を考えた場合に来年は七千三百億、それに政府保証債が四千億、まあそのほか金融債、事業債等も合わせまして、大体二兆円くらいは出るんじゃないか、このようなことも報じられておるわけであります。そうしますと、やはりこういう大量な債券を発行しますというと、金融が圧迫されて、結局は日銀に行くんじゃないか。また、民間の金を吸い上げてこれを政府が使うだけであれば、これは景気の刺激になるかどうか、この点も考えるわけです。景気刺激をやるにはどうしても民間の金だけではいけないじゃないか。結局は日本銀行のほうにしりぬぐいがいくんじゃないか、まあこういうことも考えるわけでありますが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/157
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158・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) まあいわゆる振りかえ的な性格の費用として使われる金の景気刺激効果というものは非常に少ないわけであります。それで、政府の財政規模が拡大したが、その中でも人件費のごときは景気効率の非常に少ないものだと、こういうふうに一般にいわれておるわけであります。同様に、民間の消費ですね、一般の消費もそういう性格を持つものだろうと思います。で、貯蓄が行なわれる、民間の貯蓄が行なわれます、そういうところがまあ公債を消化する力になるわけでありまするが、それが政府が公債を発行することによって公共事業等に振りかわるわけです。特に住宅、道路、そういうようなものに振りかわっていきます。この景気に対する影響力というものは、いろいろ説はありまするけれども、振りかえ支出程度のものに比べると、相当高い効率を持つわけなんです。私どもは、一面において、この予算を通じて社会保障の充実ということを考えておりますが、同時に、この予算を通じて景気を刺激し、景気回復の動因としたい、こういうことに考えておりますので、ただいまお話しのような過程を通じまして、まあ相当考え方というものが貫かれていくと、こういう見通しに立っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/158
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159・中尾辰義
○中尾辰義君 私が聞きたいのは、まあ政府が民間の金を使って事業をすると、こういうことが、それは民間に金が余っておるときはよろしい。足らなくなったら、結局はまあ市中消化といっても、しりねぐいが日本銀行のほうにいくのじゃないか。そうしなければ景気の刺激にはならねじゃないか、こういうことなんだがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/159
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160・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) その点は先ほども申し上げているのですが、民間の経済活動、特に設備投資は、これはまあ大きな要因かもしれませんが、設備投資が旺盛でない、つまり四十年度はそうです。四十一年度の見通しもそうなんです。そういう際には、政府がかわって投資をする、そういうことによって景気の成長をささえるということなんですが、民間の設備投資が少ないときには、それだけ金が余るわけなんです。それを政府が使うというのは、一向資金にアンバランスを生ずるということにはならない。また物の面でも、設備が余っておる。それを政府の財政の力によって、これは全部満たすということはとうてい困難ですが、ある程度満たしてやろう、こういうことでありまして、したがって、政府財政が膨張したということがありましても、インフレヘの要因とはならない、そういうふうに考えておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/160
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161・中尾辰義
○中尾辰義君 ですから、私が申し上げるように、あなたがおっしゃるように、それはいま民間の企業は操業率も六〇%、七〇%でありますからね、よろしいと。しかし、いよいよ景気が多少は刺激をされて、活動が旺盛になった場合に、民間資金の需要というものが激しくなってくると。しかも、来年度は約二兆円近い債券を控えておる。うその場合に、日銀のほうにいくのじゃないかと、こ思うわけです。二千六百億円だけならば、まあその半分が運用資金がこれを引き受けるわけですからね、あとまあ千三百億ですか、その程度でありますけれども、来年度の問題もこれはかかえておるわけですから、ですから、聞いておるわけですよ。その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/161
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162・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 来年も大体設備投資活動というものは非常に低調である。横ばいぐらいに見ております。つまり、いままあこれはどのくらいの程度のものかわからないですが、おも立った企業を調べてみましたところでは、三割は休んでおると、こういうのが通説でございます。その状態が四十一年度におきましても続くであろう。この民間設備投資額としても、まあ大体横ばいという程度であろう。そうしますと、この日本経済を押し上げる非常に大きな要因を構成してきました設備投資には、景気を押し上げる力というものがないわけなんです。それを政府の財政活動でかわってやってやろう。それだけ金が浮くわけなんです。それから、それだけ物も浮くわけなんです。また、それだけ労働需要というものも少ないわけです。それを政府が充足してやっていこうと、こういうための財政拡大でありますので、しかも、その充足が、かわって充足するというが、なかなかわって全部が充足し得るというような状態じゃございません。そういうことを考えますときに、この財政がインフレ的要因になるなどということは、とうてい考えられない、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/162
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163・中尾辰義
○中尾辰義君 まああなたのお話もよくわかるのですがね。それは現状においては、あなたのおっしゃるとおり、いいかもしれませんが、私は今後のことも言っておるわけです。経済活動が盛んになった場合に、どうしても金が足らなくなる。そうした場合に、日本銀行の引き受けということが起こってくるんじゃないかということを心配しておるわけです。
それで、話を変えまして、今度の公債発行というものは、一番景気を刺激するためにとった、したのだと。そこでですね、まあ私は、この景気刺激の面ならば、その減税という面も多少は考えてはいらっしゃをでしょうが、来年度の減税の面を見て、国税で三千億ですか、三千億とよく宣伝をなさっていらっしゃるわけですがね。財政規模からいいますと、約八%近い程度のものであって、まあかつては一兆円予算で一千億減税ということもあった。そういう点から見ると、そう大幅の減税とも言えないじゃないか。そのうちで所得税というものは一千四百億ですか。しかも、その中で初年度は何か一千二百億ぐらい。それが五人標準家族で見た場合には、課税最低限がまあ六十一万ですか、その程度になるわけですがね。この減税ということで、はたして景気の刺激というものがどの程度効果があるか。これも非常に、たいして効果がないように私も思うわけですがね。この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/163
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164・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 減税は、お話のように、これが一〇〇%景気対策につながるというふうには考えておりません。減税によって景気刺激的な要因もあります。特に物品税というようなことになりますと、当面すぐきいてくる問題でありますが、減税の私どものねらいの第一とするところは、個人、あるいは企業を通じまして、これに蓄積の余地を与える。もし減税がなかりせば、とにかく中央、地方を通じまして三千六百億円の減税になるわけですが、それだけ蓄積が国に徴収をされるわけなんです。そういうのでなくて、先ほどもるる申し上げましたけれども、政府が借金をしても、国をささえる企業と個人に蓄積の余地を与えたい。また、特に企業につきましては、こういう不兄であるこの際に、体質改善ということを実現してもらいたいというような意味をまあ持っておるわけなんであります。減税がそのまま歳出、特に物に密接いたしました支出ですね、それと同じ効果を一〇〇%あげるかというと、そういうわけにはまいらぬ、かように考えているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/164
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165・中尾辰義
○中尾辰義君 減税においてはたいして景気刺激にはならぬということでありますが、それならば、今度は角度を変えてみまして、物価と減税の問題でありますが、これは藤山さんに私はお伺いしたい。
この前、大蔵大臣は、これは本会議で私は聞いたのでありますが、この物価の値上げになる要因というものは、景気問題、景気の対策とは少し矛盾があると、このように大蔵大臣はおっしゃったわけなんでありますが、藤山さんは、これはそうじゃありません、まあこういうことの表明があったのですが、ただいまの減税でありますけれども、まあ私は物価が七%なり八%昨年は上がったのですね。そうすると、今度は御承知のとおりに、お米の値上げが正月早々から上がって、それに公共料金が次々と上がっておりまして、ただいま減税の問題と物価の値上げと比較した場合に、はたして減税になるのかどうかですね。結局物価が値上げになった分だけを税金で多少調整をするということでありまして、実質的にはあまり減税になっていないじゃないか。物価が上がらなければ減税になるのですが、物価がそれだけ上がっておるのですから。減税というよりか、物価の値上げ分だけを多少税金で調整したということでありまして、実際の家庭生活に及ぼすところのありがたみというのは全然ないように思うのですな。この点につきまして、まああなたの物価対策の答弁もちょいちょいお伺いしておりますけれども、非常に抽象論でありまして、しかも何々の物価懇談会をやったとか、結局具体的にはどうなっておるのか。そういう点をこの際に、まあこの程度まで進んでおる、こういうものはこういうふうに手を打っておるというような点について説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/165
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166・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 物価は、御承知のとおり、まあ来年度もわれわれの目標として五・五%ぐらいに押えたい。見方によってはもう少し、六%ぐらいいくのではないかという見方もございますが、われわれとしては最大限押えていく。これはかねて私が申しておりますように、今日の物価は必ずしも単純な需給関係から来たものだけでない。需給関係から来たものであれば、供給をふやすというような措置によって、たとえば足りないものは緊急輸入するというような形においても調整できますけれども、今日のような状況ですと、必ずしもそうでない。したがって、若干の時間がかからざるを得ないというのが基本的には私の考えておるところでございます。したがって、そういう期間においては、減税等によりまして国民の実質的な収入を補完していく、こういうことが考えられなければならぬわけです。
したがって、減税というものがそれ以上に出ないじゃないかという御議論は、先般の物価問題懇談会でもございました。しかし、むろん積極的にさらに余裕が出て減税が行われることは、これはもう望ましいことでございますし、それによって将来、大蔵大臣が言われますように、個人における蓄積、会社における蓄積、そういうものがふえていくことも当然望まれいことでございますから、そうなければなりませんが、当面の場合ある程度そういうようなところまで必ずしも全部いけないというのも、私はやむを得ぬ。しかし、だからといって減税が必要ないということは私は言えないと思うのでありまして、やはり相当大幅な減税をしていただくことが必要であろうと思います。そういう意味からいいまして、当面の対策としてわれわれそういう意味で減税も考え、あるいは当面可能でありまするたとえば物品税等の減税というような問題も考えておるのでございます。
そこで、基本的にいろいろな問題を解決していくという問題になりますと、やはり一番いま物価に影響しておりますものは、やはり合理化が進んでおらぬ、生産性が向上しておらぬ。これは生産面においても、流通過程においても言えることだと思います。したがって、そういう面について十分な配慮を加えまして、そうしてそれらのものは高度成長の陰において合理化あるいは生産性の向上が進んでおらないという面について、今日急速に施策を進めてまいってそうして、それらのものを改善するということによって、私はその問題を解決していかなければならぬということが基本的な立場だと思います。
なお、物価を構成しておりますものについては、物価が経済活動のあらゆる面に関係をいたしておりますので、先ほど大蔵大臣の言われましたように、労働力の流動性とかそういうことのためには、住宅問題という問題の解決もはかってまいらなければ、労働の流動性というのは単に技術訓練というだけではなかなか私は進み得ないものではないかと思います。そういう点、あわせて考えていかなければならぬのでございまして、そうした問題について、これから四十一年度の予算を通じても、あるいは今後の政府の施策を通じても、そういう面について一そうの力を入れて、そうして物価が安定してまいるように努力をしてまいりたい、こういうことが私の考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/166
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167・中尾辰義
○中尾辰義君 ですからね、その答弁は私は何べんも聞いておる。だから、四十一年度予算であなたは具体的にどういう手をお打ちになったか、それを聞きたいわけですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/167
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168・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 四十一年度の物価関係でもってどういう問題を取り上げているかということにつきましては、事務当局から詳しく御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/168
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169・中西一郎
○政府委員(中西一郎君) 物価問題、先ほどからいろいろお話がございましたが、何といいますか、非常に広範な問題であり、かつ構造的な要因を含んでいるわけで、したがって、予算の面で措置いたしたことだけで尽きるとも考えられませんが、とりあえず当面の問題で予算上措置し得るものについて、それぞれ関係各省で予算の実現に当たったものがございます。
一つ、二つ例を申し上げますと、一つは、先ほどもお話出ましたが、生鮮食料品対策、これはかねてからやっております指定産地制度の質的並びに量的といいますか、指定産地の中の充実とその数の増加というような点で、相当大幅な予算の増額をはかることに相なっております。それからさらに、よく話が出ますが、野菜が暴落いたしますと、次に作付を手控える、それが再来の野菜の暴騰の原因になるというようなことがよくいわれます。それに関連しまして、生産安定基金というものを設けようということで、それに対する政府の出資あるいは交付金というような予算的な配慮もいたしたのでございます。そのほか畜産物の関係等では、たん白質食糧の供給が非常に減少する傾向にある。その辺の生産のてこ入れもしなければならない。さらに、水産物関係でも、流通関係を合理化するという意味合いで、中央市場等のほかに、いわゆるコールドチェーンといわれておりますけれども、冷凍の生鮮食料品の流通、特に魚介類の流通について新しい柱が立ったということを申し添えていいかと思います。
そのほかに通産省の関係では、ボランタリーチェーン、レギュラーチェーンに対しまして、それぞれ小売り店が独立した形でチェーン組織をやっておるものでございますが、それに関係した倉庫その他の施設についての投融資ができるようにする。そのほか流通センターの整備等についても新しい柱が立つというようなことでございます。そのほか一貫パレティゼーションというようなことで、関係各省いろいろ広くわたるんでございますけれども、それぞれの産業界でパレットをプールして規格を統一して経費の節減に資するというねらいでの柱も、調査の段階でございますけれども、新しく目を出した。そういうようなことで、そのほかにもございましょうが、予算上いろいろと配慮を関係各省でなさっております。
それらの問題のほかに、何といいますか、いろいろ構造上の問題を根本的に取り組むこともございます。それぞれ近代化計画等におきまして配慮されてきていると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/169
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170・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣の皆さん、私少し足が痛いものですから、立たないでこのままで質問さしていただきますから、皆さんもどうぞかけたままでお答えくださってけっこうです。
まず、大蔵大臣にお尋ねするわけですが、政府は今回の二千五百九十億円公債発行は不況による歳入欠陥を補てんするものだと、こう言っていらっしゃるわけです。単にそれだけの目的なれば、私はほかにとる方法がまだたくさんあるんではないかと思うのです。たとえましたならば、いわゆる租税特別措置法の廃止、それから農地報償法千五百億のこの間やったあれの打ち切り、それから利子配当分離課税の廃止、それからもう一つ、この間国会を強引に押し通しましたところの日韓条約による日韓無償援助の廃止、こういう問題たくさんあると思うのです。これをやめたら、財政法四条を踏みにじってまでやろうとするこういう公債発行はやらなくても済む、幾らでもやるべき方法はあると思うのです。それをやらないで、財政法四条を踏みにじって赤字公債を発行しようとするのは、今後ますます膨大するであろうところの軍事予算をまかない、また不況対策という名目でいつでも軍需産業になり得る鉄鉱、石油、造船、化学、電力などのいわゆる戦略産業を強化する、これがこの公債発行の主たる目的ではないだろうか、こういうふうに私は考えるのですが、大蔵大臣はどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/170
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171・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま政府が当面している問題は、とにかく不況克服、それから同時に、不況克服したそのあとが安定成長経済になるようにという、この二つの問題なんです、経済的の局面からは。そこで、そういう局面にあたって財源欠陥という問題が起こってきました。それが四千億ぐらいな規模でございます。一体これをどういうふうに処置するかということを考えたのですが、千四百億円ばかり、既定経費の節約でありますとか、予備費を使用いたしますとか、その他細工をいたしまして調達できたのですが、どうしても二千六百億円程度のものは手当てがつかぬと。さてそこで増税をするか、あるいは公共事業、そういうようなものを切るかと、こういうところに当面するわけでございますが、ただいま申し上げましたような経済情勢に対する政府の取り上げておる問題ですね、これを考えるときに、どうしても増税をしたらまたたいへんなことになる。特別措置法を修正して増税というが、とても年度途中で改正いたしましてもそういう財源になるものじゃございません。また、それぞれの意味を持ってやっておる特別措置でございます。これを変更するというようなことになったら、逆に景気にマイナスな面も出てくる。こういうような配慮から、まあ増税することはできない。逆にそれでは歳出を切れるかというと、そう影響のないものは整理はいたしたのですが、それ以上公共事業あるいは社会保障、そういうものに手をつけなければならない。これは当面の経済情勢また政治情勢からもどうしてもできない、こういう判断に立ちまして、これだけはまあ公債を発行してこの事態をしのごうと、こういう結論になったわけです。
いま軍需産業を培養する趣旨とかいうようなお話がございましたが、そういう点は毛頭考えていないのです。これはもう全然そういう配慮から出たやり方じゃないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/171
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172・須藤五郎
○須藤五郎君 二千五百九十億の赤字が出るということがわかったのは、一体いつなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/172
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173・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私は昨年の六月に大蔵大臣になったわけですけれども、そのときは千億足らずというような見当だったのです。それで、それまでの考え方は、まあ千億程度何か財源をひねり出して、収支バランスをとろうというような考え方のようだったわけです。ところが、一カ月たつ、二カ月たつ、三カ月たつ間に、税の落ち込みというものが非常にひどいというようなことがわかるようになってきまして、特に九月期に決算をする会社が多いのです、その九月期の決算が非常に悪い。そこで法人税の落ち込みが予想と非常にかけ離れたものになり、また一般の購買力はなくなったというような関係から消費税が減ってくるという傾向になりまして、十一月ごろになりますと、二千五百九十億円という見積もりになってきたわけなんです。初めのうちはそうでもなかったのですが、とにかく異様の経済状態の変化だった、こういうことが財源欠陥のもとになったわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/173
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174・須藤五郎
○須藤五郎君 これは小さいことですが、すでに一千億の赤字が出る見通しが立っておったのでしょう、あなたが大蔵大臣になられたときには。それに何で無理をして農地報償法のようなああいう金を出されたのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/174
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175・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 農地報償は交付公債でやっておりますので、この予算の面としては、それに対する利息だけの話でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/175
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176・須藤五郎
○須藤五郎君 それじゃお尋ねしますが、昨年十二月二十七日の衆議院の大蔵委員会で、社会党の平岡委員があなたにこういう質問をしているのですね。「この公債政策が軍事公債政策に発展することがないのであるのかどうか、もしないとすれば、いつの時限でこの発行を停止し、終結せしめるつもりであるのか」、こういう質問をしました。それに対しまして大蔵大臣は、「公債の発行をいつ停止するか、私は公債発行の額を調節するという考え方で、停止するという考え方をとっておりません。」、こうお答えになっているわけなんです。それでは公債発行停止のめどは全然ないというのか、その理由はなぜかという点ですね。私は、これを質問しますのは、国会では大きな問題にはこの点なっていないように思いますけれども、よく考えてみますると、停止の意思がないという蔵相の答弁は非常に重要な問題だと思うのです。今後大きな問題になる可能性があると思いますので、質問をするわけですが、あなたは公債は停止しない、調節弁としていくと言われますが、今後ずっと続けていかれる公債発行は、主としてどの部面に使うお気持ちですか、公共事業費の公債として使われるのですかどうであるかという点を、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/176
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177・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 公債発行をどういうふうに長期的に考えるかという点につきましては、ただいまお話がありました平岡委員に対してお答えしたとおりであります。つまり、これは国債は私は悪だというふうには考えておりません。景気が非常に悪いときには、公債まで出して政府財政が活躍したほうがよろしい。しかし、景気が非常によくて、民間で労働力も要りますし、あるいは資金も要りますという際には、政府財政は引っ込めて、それが公債なしで自然増収だけでいけるという場合には公債は発行いたしませんが、これはあくまでもそれで、公債は悪だからやめちゃうという考え方ではないのです。つまり民間経済と見合って適正な財政規模と言い得るに足る公債というならば出してもよろしい、こういう考え方です。ただ、その発行の対象が厳格に規定されておったほうが国民に安心を与えるという見地から、これは公共事業の財源としてこれを使うというふうな考え方をいたしておるわけであります。これを軍事的目的に使うという考えは全然持っていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/177
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178・須藤五郎
○須藤五郎君 私は、いかなる目的であろうと、公債発行には反対するのです。四条を無視して公債を発行すること自体けしからぬことだと思うわけですが、あなたのねらいにはもう一つのほかのねらいが私はあると思うのです。それはひた隠しに隠されるけれども、確かにもう一つのねらいがあるのです。現在一二%増となっておるところの防衛関係費、これを今後一貫して増加させよう、そのためには公債発行の停止の言質を与えないようにすべきだ、こういう考えがあなたにはあるのではないかということです。戦前だって、報国のための公債発行という名目で公債発行されました。それがいつしか軍事公債へと発展してしまう。こういうふうに思います。
あなたは馬場財政の流れをくまれる方だと思うわけですが、昭和財政史、これに馬場さんはこういうことを言っておるわけですね。「要するに財政の健否は単に歳計の数字に依りて別つべきものではなく、国民経済力に対する均衡如何と、財政支出の経済的成果如何とにあるのでありまして、私は今日の我が経済界は既にこの方針の実施に堪え得る程度に達して居り……私は国防費に対して不生産的経費といふ言葉は使わない。唯直接生産的、再生産的効果のないものは多いが、併し国防費は不生産的だといふことは余程慎まなければならぬ。若し国防費が不生産的だと云ふならば、教育費なども場合に依ると不生産的だと言う虞もある。国旗の翻る所即ち我が商権の進出する所、或は民族の進出する所だと考えていけば、寧ろ生産的だと言った方が宜いぢゃないか。」と、こういうようなことを馬場さんが言っていらっしゃいます。あなたの考えもこの考えに似ておるのじゃないですか。同じじゃないのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/178
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179・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 馬場さんは、高橋さんが二・二六でなくなられたあとを継いで蔵相になられたのです。私はどっちかといえば高橋さんの考え方をずっと支持しておったわけなんですけれども、馬場さんの考え方にはむしろ批判的な立場をとっておったわけなんです。これははっきり言えます。予算を拡大いたしましても、物資、労務、資金、国際収支、そういう点にアンバランスを生じなければ、これはもう心配することはないわけなんであります。高橋さんもそういう見地から公債を発行し、しかも、今日と違って日本銀行引き受けでこれを発行するということをされたのですが、大事な財政の規模、つまり財政が民間の資金、労務を圧迫しないかという点につきましては、非常に苦心をされたわけであります。その苦心は軍事費の膨張を抑制するという点で非常に御苦労だったと思うのですけれども、まあ二・二六事件の起こった一つの原因は、高橋さんが軍事費を押えた、それに対する反動なんかが大きな原因だったというふうに思いますが、高橋さんがなくなられてから馬場さんがかわられて、軍事費に相当のウェートをかけるようになってきた。私はむしろ、どっちかといえば高橋さんのほうの考え方をずっと支持してまいったんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/179
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180・須藤五郎
○須藤五郎君 ここにいらっしゃる青木さんなんか高橋さんの流れをくむものだと私は聞いておりましたが、そうでしょう。あなたは馬場さんの流れをくむんだというふうに私は理解しておりました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/180
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181・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いや、私はまだ青木先生に比べますと、師事するとか師事しないとか、そんな存在じゃないんです。まあ青木先生の師事について、私はそういう高橋財政擁護のために飛び回っていた足軽であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/181
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182・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、財政法の四条の言うとおりの公債が軍事公債に発展しないという保証はないわけですね。四条を廃止して、この四条を踏みにじって、今度のこの法律をつくって、そうして公債発行に乗り出す、こういうことになれば、そのようにしてつくった公債が軍事費に使えないという保証はここに何もないんです。だから、この間木村禧八郎さんが十二月二十九日の当委員会におきましてその点を質問していらっしゃる。それはまあ大臣もよく御存じのとおり、ああいう意見が成り立つわけです。どこにその保証があるのです。保証は全然ないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/182
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183・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それじゃ、公債を発行しないで税金でまかなう、均衡財政でいくという際に、軍事費がふえないという保証がどこにありますかと、こういう議論とちっとも違わないんです、あなたのお話は。公債によろうがあるいは税によろうが、これは政府が軍事費を増強するんだという考えをとりますれば、これは同じことなんですよ。公債政策をとるから軍事費につながっていくのだという考え方は成り立たない議論である、私はそういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/183
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184・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、一般会計では軍事費をそう無制限にふやすということはなかなかむずかしいんですね。不可能ですよ。だから、公債政策をとられるんだと思うのですよ。しかし、公債で集めた金を直接軍事費だといって使わないでも、一般会計から軍事費のほうにたくさん金を出して、その金のなくなった点を、一般会計の不足分を公債で補うということ、これすらもできるでしょう。これは回りくどい形になっているけれども、しかし、結局公債で集めた金が軍事費に回っていくという意味だと思うのですよ。要するに、一般会計から軍事費に直接回す金を、それじゃまずいから、まあ軍事費には一般会計から回しておいて、その補てんを公債でやっていこうということは、公債でやっぱり軍事費をまかなうということになるんじゃないですか。そういう理屈が成り立ちゃしませんか、あなた方は建設公債という名目で、これからどんどん公債を発行していこうというわけですが、これは名目はともかく、実質的には軍事公債を今後ずっととめどなく発行しよう、こういう考え方だ。だから、あなたは本会議なり委員会において公債を停止しない、停止する考えはないのだ、こういうことを言っているのは、そういう心があるから、そういうふうに言っているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/184
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185・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) それは根本的に見解が違うんですが、公債であろうが税であろうが、これはひとつ軍事力を増強しよう、防衛力をふやそう、そういう考えをとれば、これはもう税によってもそういうことはできるわけなんであります。これは公債によるという趣旨は、それはなくて、税によると国民の生活を、あるいは特に蓄積を圧迫するおそれがある、政府が国民にかわって借金をしてやろう、こういう考え方に基づくものであって、公債を出したから軍事費につながる、そういうものじゃないと思います。税によってもそれは同じです。政府が軍事費を増強しようと思えば同じ結果になるのでありまして、それが財源の手段として税が用いられるか、あるいは公債が用いられるか、これは全く防衛問題とは関係のない角度からきめられている問題であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/185
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186・須藤五郎
○須藤五郎君 それは私がさっき言ったとおりなんであります。ところが、この間のジョンソンの教書を見ましても、アメリカも軍事費をどんどん組んでいく。増額してくる。おそらくそれは日本の軍事費も増加の道をたどるようになってくるであろう。南ベトナムの戦争もなかなかやみそうにない。日本の援助もどんどんと増加してくる。それから、第三次防備計画、三次防、これは五年間に三兆円の費用を組んでいるでしょう。五年間に三兆といえば、一年に六千億じゃないですか。六千億の防衛費の増加を見込んでおる。こういうばく大な金をあなたは税金でまかなおうが公債でまかなおうが同じじゃないかと言う。それを税金でまかなえば、国民は黙ってはいませんよ。たいへんなことになってくる。だから、これは……。そしてまた一般会計に穴があいてくる。そういうことじゃ困るから、公債を停止しないで、いつでも公債を発行できるような形にしておいて、そういう金をやはり公債でまかなっていこうというのがあなたの考え方じゃないですか。それは税金でまかなおうと公債でまかなおうと同じ金だといえば、金に色目はないのだから、同じ金だということを木村君に言っておる。しかし、そういうねらいがあるから、あなたは公債停止はしないのだ、いつでも発行できるようにしておくのだというのが、それがあなたの考え方ではないのか。どうですか、そうなんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/186
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187・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) さような考えは毛頭持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/187
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188・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは、公債から募集した金は一切軍事費には使わないとはっきり言い切ることができますか。また、明示することができますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/188
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189・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 軍事費の財源として公債を発行することはいたしません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/189
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190・須藤五郎
○須藤五郎君 水かけ論になるかわからぬが、幾らそう言ったって、回り回って公債で発行した金が結局は軍事費になっていくのだ。だから、公債は発行しちゃいけない。それが第四条の精神なんじゃないですか、財政法の。それを踏みにじるのが今度の財特法の考え方じゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/190
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191・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私が申し上げておりますのは、公債と軍事費は、言われるような関連はあるものではないということなんです。つまり、いやしくも政府が軍事費を増強しようと思いますれば、そのための財源としてどういうことをするかということは、いろいろ、手段があるわけであります。これは税によってもできるのです。公債による場合ももちろんそれはありましょう。ありましょうが、税による場合もあるのです。公債政策をとれば、それが軍事費にすぐ直結していくというのじゃなくて、その軍事費を起こすか起こさないかということは、政府がそういう方針をとるかどうかというところにあるのでありまして、もしそういう方針を政府がとるならば、ひとつ軍事増税……。昔、明治のころ、何個師団ふやす増税をしたこともあるわけです。そういう方法もあるわけでありまして、公債を発行する即軍事費であるというのは、ちょっと思い過ぎじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/191
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192・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、私たちは、まあ大臣が幾ら答弁しようと、過去の歴史が示しているごとく、これまでもそういうふうに建設的な面に使うのだといって募集された公債が軍事面に使われたということは、ずっと先例がたくさんあるわけです。だから、そういうふうに悪用されるような公債政策というものは、これはやめたほうがいいのではないか、やめるべきではないか、こう私は考えるわけです。だが、この議論は戦わしてもやはりあなたの考え方とぼくの考え方とは非常な差異がありまして、なかなかまあむずかしいだろうと思います。私はあなたのそれでは納得できない面があるということを申しておきますし、おそらく今後そういう事態が生ずるおそれが十分あるということを私はこの際申し上げておきたいと思うのです。
それから、小さい問題ですが、さっき今度の公債は預金部資金で買うというお話がちょっと出たと思うのですが、一体いま預金部資金にそういう金があるのですかどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/192
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193・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 預金部資金は非常に窮乏してきたのですが、幸いに金融債を持っておるのです。それを売り払いまして資金をつくりまして国債を持とう。で、そのぎりぎりのところが千三百億程度であります。まあ発行する額の半分ぐらい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/193
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194・須藤五郎
○須藤五郎君 千三百億……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/194
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195・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) そうであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/195
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196・須藤五郎
○須藤五郎君 それじゃ、残りは市中銀行に買わすのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/196
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197・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/197
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198・須藤五郎
○須藤五郎君 市中銀行のいま手持ち資金というものは一体どのぐらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/198
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199・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) 数字の点でございますので、私からお答え申し上げます。
ただいまの御質問は、この一——三月の間に約千二、三百億円の国債市中消化を行なうにあたってそれだけの余力が市中の金融機関等にあるか、こういうお尋ねかと思います。この点につきましては、実は御承知のように昨年の秋ごろから非常にまあ民間の資金需要が停滞をいたしております。一方、預金の増加がきわめて順調でございます。大体この十月に始まります下期の決算の予想をいたしましても、相当まあ預金の順調な伸びと、片方貸し出しの比較的弱含みというようなことから、相当な余裕を生ずる状況でございまして、いわゆるよく国会論議でも問題になります預貸率と申しますか、預金、貸し出しの比率等もここへ来まして著しく改善を見るという状況でございます。したがいまして、この千二、三百億円程度のもの、ただしそのうち約一割見当は、先ほど大蔵大臣からお答えもございましたように、証券会社を通ずる個人消化ということでございますので、大体市中金融関係ではその約九割と申しますか、千億程度、大体その程度はほぼ支障なく消化し得る見込みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/199
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200・須藤五郎
○須藤五郎君 その九割程度の公債を銀行は引き受けて、それを日銀に売らなくてずっともちこたえることができるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/200
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201・佐竹浩
○政府委員(佐竹浩君) ただいま申しておりますように、大体昨今の資金需給の情勢から見まして、特にこれを日銀に持っていかなければ金繰りに困るという状況ではないわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/201
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202・須藤五郎
○須藤五郎君 戦時中、前の戦争のとき、あのとき公債が発行されたのですが、その総額はどのくらいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/202
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203・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) 大体千二百億円余りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/203
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204・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、千二百億という金は、いまの金に換算したらどのくらいの金になるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/204
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205・中尾博之
○政府委員(中尾博之君) ちょっと正確なあれができませんので、前提を申し上げまして、昭和十二年から二十年の終わりごろまでの間に発行いたしたものでございますから、かりに四百倍と見ますと、五十兆。ただし、手元に資料がございませんから、腰だめの数字でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/205
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206・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣は、公債発行の目的は企業と家庭を富ますためのものだ、こういうふうに言っていらっしゃるわけです。そのためには国が犠牲になるべきだ、こういうふうなことを言っていらっしゃいますが、その根拠はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/206
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207・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま経済は非常にスケールとしては大きくなってきております。ことに民間の施設は相当発展をしたわけですが、ところが、企業体質というものが非常に日本では悪いわけですね。先進諸外国では、六、四で六が自己資本だ、あるいは七、三で七が自己資本だというような大体趨勢でございますが、わが日本におきましては、二が自己資本で八が借り入れ資本だ、こういうような状態です。ですから、景気変動があると、今回なんか非常にひどいんですが、景気が循環して不況期になるというと、そのもちこたえができない、こういうことにもなるわけです。それから、個人につきましても、戦争中相当資産を失っているわけです。戦後その取り戻しというものが十分にまだいっていない。ことに住宅なんかにすれば、これは一番大切な資産ですが、そういう住宅がまだ何百万戸も、一そろえするのでも不足しておる、こういう状態です。
そういうようなことを考えるときに、ほんとうの経済の安定ということは、これは国民個々の家庭の安定、また企業の自己資本の充実、すなわち企業の基礎固め、こういうことにあるのであって、ただ単に財政がつじつまを合わしておるということが安定ではない、こういう考え方であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/207
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208・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、ぼくは、公債は決して国民を富ますためのものではないと思うのですよ。もしも富ますものがあるとすれば、それはいわゆる大企業、独占を富ますものであって、国民は決して富ますものではない。これまで公債で国民が富んだという例は一つもない。私もここに戦時中発行された公債を持っています。これはわずか十円の公債二枚ですけれども、いま十円といったら幾らの価値があるのですか。昔の十円ならば、ちょっとしたものが買えた。いまこんなものは紙くずですよ。こういうふうに、かつてわれわれは公債で潤ったということが一つもないわけです。今度だってそのとおりだと思うのです。
この公債が発行されて、それで特に、大臣、そうじゃないですか、公債は税金の先取りじゃないですか。今度二千五百九十億も公債発行する。しかし、それは一体だれが返すのか。これは国民から集めた税金で返す。税金しかこれを返すものは、七年間に返すと言っているが、これを返す方法は税金しかないじゃないですか。全部国民からの税金で返すということは、国民の税金を先取りしていることじゃないですか。だから、国民を潤すなんていうのはとんでもないことばだと思う。全部国民の犠牲によってこの公債政策はやられている。
そうして何回も言うようでくどいようですけれども、これから建設公債の名によって七千何百億という金を今年やっていく。それが毎年ずっとどんどんどんどんふえていく。それから来年は、あらゆる地方債や事業債、いろいろなものを入れると二兆円、そういう金がどんどんと日銀の窓口をどうせ通って市中にあふれ出てくることだろう。これは必ずインフレーションを起こす原因になってくると思うのです。これはすべてみな国民の収奪になるのじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/208
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209・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 公債を発行いたしまして、それでただ単に金をかん詰めしておくわけではないのです。これを国民に返していくわけです。そういう過程を通じまして国民全体を豊かに、また国民全体の利便をはかろう、こういうことになるわけです。お話のように、そういう手段として公債を発行します。この公債は将来の国民の税によってこれをお返しするわけです。確かに先取りです。でありまするが、いまその将来の国民の税負担を、ここで政府が借金して培養しておこう、つまり卵を幾らでも産めるように今日鶏を太らせる政策を公債によってとろう、こういう考え方です。しかも、将来取る税というものはどういう取り方であるか。今日の税制度がそのままでありますれば、大体所得に応じてこれを徴収しているわけです。この公債政策を通じても所得の再配分に非常に大きく貢献するわけでありまして、決して大企業のためのものでもなければ軍事費のためのものでもない、きわめて適切なものである、こういうふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/209
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210・須藤五郎
○須藤五郎君 これは、私の言わんとするところは、公債発行によってインフレーションが起こる。インフレというものは、やっぱりインフレーションの形によってもうけるのは独占だけであって、インフレによってしぼり取られるのは人民大衆だと思うのです。だから、今回の公債政策を歓迎しているのは、日本の独占資本が非常な歓迎をしているように思うのです。独占の希望によって政府は公債発行に踏み切ったのではないだろうか、そうも考えられるわけです。だから、あなた幾ら国民のためだと言っても、国民は公債で利益を得たという経験はいまだかつて一ぺんも持っていない。いま申しますように、公債なんというものは、ばかげたものです。いつでも国民はしぼられる立場にあるのです。
藤山さん、いま日本の企業全体というものを見まして、大体借金ですね、それはどのくらいあるのですか、総額。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/210
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211・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) いままあ総額幾らあるかということは非常にむずかしい問題だと思いますが、いまいわれているように、企業間信用というのは二十兆あるわけです。これだけがいわゆる全部の借金というわけでもないと思いますから……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/211
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212・須藤五郎
○須藤五郎君 ちょっと、もう一ぺん言ってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/212
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213・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 企業間信用というのは二十兆。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/213
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214・須藤五郎
○須藤五郎君 その二十兆の金が、今後インフレーションが起こることによってそれが半減される、価値が。半減されるか四分の一になってしまうかということが今後起こり得ると思うのです。そうすれば、この企業を助ける結果になるのじゃないですか。零細な金を持っている国民の金の価値はどんどん下落さして、そうしてたくさんの借金をかかえている企業がインフレーションによって大きな利益を受ける。今日の貨幣価値からいったら四分の一、五分の一ぐらいの価値で、そのばく大なる借財を返すことができる、こういうことになるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/214
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215・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 須藤さんは公債発行すなわちインフレであると、こういう前提でもって話しておるものですから、どこまで行っても追いつきませんが、私どもはインフレにする考え方は絶対持っていないのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/215
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216・須藤五郎
○須藤五郎君 大臣はインフレにする考えは持っていなくても、必ずインフレになりますよ。インフレにならないという理由がどこにあるのです。それを聞かしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/216
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217・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどからるる申し上げておるとおり、公債を発行すると財政の規模がそれだけ拡大するわけですね。その拡大した結果、日本経済の各要素、要因、これにアンバランスを生ずるということにならない限り、インフレになることは絶対にありません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/217
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218・須藤五郎
○須藤五郎君 アンバランスになりますよ。金本位制なら、外へ出た札束がもう一ぺん日本銀行の金庫の中に戻ってくるかもしれませんよ、それはあなたのおっしゃるように。しかし、いま金本位制じゃないでしょう。兌換紙幣じゃないでしょう。不換紙幣でしょう。そんな信用のないものがどうして全部出た金が日本銀行の金庫にもう一ぺん回収されるということがあり得ますか。あるものではない。そんなことありませんよ。だから、今日どんどんインフレーションになっているじゃありませんか。あなたたちは景気を回復するためだと言っておりますけれども、すなわちそれはインフレーションですよ。インフレ景気ですよ。インフレ景気でだれが一体もうけるか。これは物をたくさん持っている資本家がもうけるのであって、国民はインフレですっからかんにされてしまうのです。それはこれまでのわれわれの経験で全部知っているわけです。だから、国民は公債政策に対して非常な不安を持っている。だれ一人賛成していないですよ。みんな反対ですよ。大蔵大臣一人だけ自画自賛しておるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/218
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219・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) いま景気が非常なむずかしいところに来ている。これは一体、破産寸前のような経済をほうっておいたらどうなりますか。これは全国の勤労者に非常な影響があるわけですね。そういうようなことを考えるときに、もう私はいまとるべき道というものは、政府が購買力を注入して、そうしてこの経済界の再建の誘因にするというほかないと思います。何か奇策名案でもありますれば……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/219
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220・須藤五郎
○須藤五郎君 ありますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/220
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221・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 伺いたいところです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/221
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222・須藤五郎
○須藤五郎君 それは社会主義経済によってそうしなければ、これは切り抜けることはできないですよ。だんだんあなたたちの経済政策では深みに落ち込んでいく。どうにもならない。自分で首を締めるような結果にだんだんなっていく。それはあなたが首を締めることはかまいませんよ、幾ら首を締めたって。あなたが首を締めるだけではない、国民の首を締められる結果になってくる。だから、そういうことはやめなさいと言っているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/222
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223・西田信一
○委員長(西田信一君) だいぶ議論にわたりますから、御質疑をお続けください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/223
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224・須藤五郎
○須藤五郎君 わかりました。
昨年大企業が一年間に使った遊興飲食税は五千何百億でしょう。何でそんなところから金を取ってこないのですか、何でそんな飲み食いを許しておくのですか、大蔵省ともあろうものが。そういう金を取ってきたら、この二千五百九十億くらいの金はまかなえるじゃないですか。なぜ、そういうことをしないで、国民を困らせるような公債政策をとるのか。けしからぬじゃないですか。しかも、その公債たるや、将来必ず軍事費に使われますよ。ぼくは太鼓判を押しておきますよ。あんた、そんな大きなことを言うけれども、どうです。
時間が来ましたから、私は質問をこの程度にとどめますけれども、そういう性格のものだと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/224
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225・西田信一
○委員長(西田信一君) 他に御質疑のおありの方はございませんか。——他に御質疑がなければ、本日の審査はこの程度にとどめたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/225
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226・西田信一
○委員長(西田信一君) 御異議ないと認め、次回は明十八日午前十時より開会することにし、本日はこれにて散会いたします。
午後四時五十七分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X00319660117/226
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