1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十二日(火曜日)
午前十時五十三分開会
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委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
松野 孝一君 林屋亀次郎君
高山 恒雄君 瓜生 清君
須藤 五郎君 野坂 参三君
四月一日
辞任 補欠選任
野坂 参三君 須藤 五郎君
四月十一日
辞任 補欠選任
塩見 俊二君 大谷 贇雄君
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出席者は左のとおり。
委員長 徳永 正利君
理 事
青柳 秀夫君
藤田 正明君
中尾 辰義君
委 員
伊藤 五郎君
大竹平八郎君
大谷 贇雄君
栗原 祐幸君
西郷吉之助君
西川甚五郎君
西田 信一君
柴谷 要君
田中寿美子君
戸田 菊雄君
野溝 勝君
北條 浩君
須藤 五郎君
小林 章君
国務大臣
大 蔵 大 臣 福田 赳夫君
政府委員
大蔵政務次官 竹中 恒夫君
大蔵大臣官房財
務調査官 川村博太郎君
大蔵省主計局次
長 岩尾 一君
大蔵省主税局長 塩崎 潤君
大蔵省証券局長 松井 直行君
大蔵省銀行局長 佐竹 浩君
建設省都市局長 竹内 藤男君
事務局側
常任委員会専門
員 坂入長太郎君
説明員
農林大臣官房参
事官 来正 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○理事の補欠互選の件
○公認会計士法の一部を改正する法律案(内閣送
付、予備審査)
○都市開発資金融通特別会計法案(内閣提出、衆
議院送付)
○災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に
関する法律の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/0
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001・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について御報告いたします。
去る三月三十一日、松野孝一君及び高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として林屋亀次郎君及び瓜生清君が選任されました。また、四月十一日、塩見俊二君が委員を辞任され、その補欠として大谷贇雄君が選任されました。
以上御報告申し上げます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/1
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002・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 次に、委員の異動に伴いまして、現在当委員会の理事が一名欠員となっておりますので、その補欠互選を行ないたいと存じます。
互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/2
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003・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
それでは、理事に日高広為君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/3
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004・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 次に、公認会計士法の一部を改正する法律案を議題とし、政府より提案理由の説明を聴取いたします。竹中大蔵政務次官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/4
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005・竹中恒夫
○政府委員(竹中恒夫君) ただいま議題となりました公認会計士法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその概要を御説明申し上げます。
公認会計士は、企業の公表する財務書類について、独立の立場から監査証明を行なうことを業とするものでありまして、投資者に対し企業の内容について正しい資料を提供し、投資者の保護に資することを目的とする有価証券届け出制度のもとにおいて、きわめて重要な役割りを果たしております。
特に最近における企業規模の拡大と経営の多角化等に対応して、公認会計士による監査を充実し、企業経理の適正化を期することが一そう必要となっております。このような事情にかんがみ、公認会計士の業務の改善進歩と地位の向上をはかり、その監査体制を充実するため、ここに公認会計士法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
以下、法律案の内容につきまして、その概要を御説明申し上げます。
まず第一に、公認会計士の自主責任体制を通じてその資質の向上及び業務の改善進歩をはかるため、すべての公認会計士を会員とする特殊法人日本公認会計士協会を設立することとしております。現在、公認会計士の団体としては、民法に基づいて設立された社団法人日本公認会計士協会がありますが、任意加入制のため、未加入の公認会計士に対して同協会の監督及び事業の効果が及ばない点において制度的に不十分でありますので、これを公認会計士法上の特殊法人とし、すべての公認会計士をその会員とすることにより、公認会計士の自主責任体制を確立しようとするものであります。
この協会は、会員の指導、連絡及び監督に関する事項並びに公認会計士等の登録に関する事務を行なうことを目的としております。協会の運営等につきましては、おおむね弁護士会、税理士会等すでに特殊法人化が行なわれている職業団体の例と同様でありまして、監査証明業務に関する紛議の調停、公認会計士制度に関する建議、答申等を行なうことができることとしております。
第二は、企業の経営規模の拡大及び経営の多角化に対応して、公認会計士の側においても、複数の公認会計士による組織的な監査を推進するため、監査法人の制度を設けることとしております。
監査法人は、監査証明業務を組織的に行なうことを目的とする公認会計士の協同組織体でありますが、アメリカ、西ドイツ等の諸国においても、このような公認会計士の協同組織体の制度は、今日大きな発展を見ているところであります。このような状況にかんがみ、わが国においても、この際、公認会計士が共同して組織的な監査を行ない得ることとし、これにより監査の充実、適正化をはかろうとするものであります。
また、監査法人は、五人以上の公認会計士を社員とする等一定の要件を備えることを要し、その設立にあたっては、大蔵大臣の認可を受けることとしておりますが、このような制度を設けることにより、監査業務の内容の充実と独立性の維持の面で大きな効果がもたらされるものと期待されます。
以上が、この法律案を提案いたしました理由及びその概要であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいまするようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/5
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006・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 引き続いて、補足説明を聴取いたします。松井証券局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/6
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007・松井直行
○政府委員(松井直行君) 政務次官から提案の理由の説明がございましたが、補足して御説明申し上げます。
今回の公認会計士法の改正は、公認会計士の監査体制を強化するための施策の一環として提案をするものでございます。最近におきます公認会計士監査の実情にかんがみまして、公認会計士の監査体制を充実強化することが緊要のことと考えられます。
すでに監査の実施の面におきまして、企業会計審議会におきまして検討を行ないまして、さきに監査実施準則を改正いたしまして、本年三月より実施しておりますが、さらに引き続きまして、監査報告準則、連結貸借対照表等につきましても、いま検討を続けておるところでございます。
これに対しまして、公認会計士制度の面では、日本公認会計士協会の特殊法人化及び公認会計士の協同組織体の推進が必要と考え、昨年五月公認会計士審査会にその具体的な措置につきまして検討を依頼しましたが、六カ月余にわたりまして慎重審議の結果、昨年十一月に答申を得ております。今回の改正法案はこの答申をもとにして法制化をはかろうとするものでございます。
まず、日本公認会計士協会の特殊法人化について御説明申し上げます。
日本公認会計士協会の特殊法人化は、公認会計士の徹底した自主責任体制を確立し、その自治機能を高めることをそのねらいといたしております。公認会計士のように個人の人格及び識見に基づく業務に従事する者については、その自治機能を通じて資質の向上及び業務の進歩改善をはかるのが最も適当した姿であると考えております。
現在、公認会計士の全国的組織といたしまして、社団法人日本公認会計士協会がございますが、同協会は、昭和二十八年四月一日に設立されまして十三年余りの歴史を持っておりまして、その会員も現在公認会計士の約七七%を擁しておりまして、目的達成のために相当の成果をあげておるところでございますが、未加入の公認会計士に対しましては、その事業の効果が及びません。ひいては、入会している公認会計士に対する指導、監督の効果を弱めている等、事業活動に限界があると指摘されております。そこで、すべての公認会計士がその会員になることとし、さらに協会に必要な権限を与える等の措置を講じまして、公認会計士の自治統制機能が十分に発揮し得るような基盤を整備することといたしたのでございます。
弁護士、税理士等類似の職業団体につきましては、すでに特殊法人化の措置がとれらておるところでございます。
協会の目的は、公認会計士の品位を保持し、監査証明業務の改善進歩をはかるために、会員の指導、連絡及び監督に関する事務並びに公認会計士、外国公認会計士及び会計士補の登録に関する事務を行なうことといたしております。登録に関する事務は、協会ができましたあと一定の準備期間を置きまして、協会に委譲するということにいたしております。
協会は、全国を通じて一個の単一会といたしました。しかし、公認会計士の全国的分布の状況から、地縁的集団を活用する便宜も考慮いたしまして、内部の規定で支部を設けることができるというふうにいたしております。
協会の運営につきましては、総会の開催の規定及び総会の決議を必要とする事項をきめたほかは、大幅に会則に委譲いたしております。なお、会則は大蔵大臣の認可事項でございます。
次に、監査法人について御説明申し上げます。
監査法人は、複数の公認会計士による組織的な監査を推進するための協同組織体として設けたものでございます。現行の公認会計士法では、自然人であります公認会計士のみが監査証明の業務を行なうことをたてまえといたしておりますが、最近におきます企業規模の拡大並びに経営の多角化等に伴いまして、監査証明業務についてもその業務量は非常にふえており、かつ複雑化しておりますので、一人一人の公認会計士の監査によっては適正な監査を期待し得ない状況でございます。このような事情に即応いたしまして、公認会計士の側においても複数の公認会計士による組織的な監査を推進する必要があるのであります。従来も共同監査という形で公認会計士の共同作業が行なわれている例もございますが、これは法制上の組織体として認められたものでない点におきまして、公認会計士の緊密かつ継続的な共同作業を推進するための方法としては必ずしも十分なものとは考えられません。公認会計士の協同組織体のための法制を設けることがこの際必要であると考えられます。米国におきます。パートナーシップ、それから西ドイツにおきます会計士会社のごとく、諸外国においてはすでに公認会計士の協同組織体の制度が大きな発展を見ておるところでありまして、監査法人についてはこれらの制度をも参考といたしております。
なお、この制度は、公認会計士の経済的な基盤を強化することによって監査の独立性を自然に確保するという効果をも期待され、また、若手の公認会計士を監査法人の職員として監査実務に従事させることによりまして、これらの者に実務経験を豊富にさせるという面でも役立つものと考えております。
監査法人を設立するにつきましては、社員を公認会計士に限定いたしまして、その数を五人以上とする等一定の要件を設けております。かつまた、大蔵大臣の認可を要するということにいたしております。
監査法人は、構成員相互の人的信頼関係に基づきまして設立される点におきまして、商法の合名会社に類似しておりますので、商法の合名会社の規定を大幅に準用することとしております。特に監査法人の社員は、合名会社の社員と同様に、法人の債務につきまして無限連帯の責任を負うということにいたしております。
監査法人の社員については、社員相互の緊密な協力関係を維持し、監査法人制度の健全な発展をはかるため、監査法人の業務と競合する業務を行なうことを禁止するということにいたしております。
以上、この法案の提案理由につきまして、補足的に説明を申し上げました。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/7
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008・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 本案につきましては、本日はこの程度にとどめます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/8
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009・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 次に、都市開発資金融通特別会計法案及び災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、審査を行ないます。
この際、両案に対する衆議院における修正点について、竹中大蔵政務次官の説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/9
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010・竹中恒夫
○政府委員(竹中恒夫君) 都市開発資金融通特別会計法案外一法律案につきましては、衆議院においてこれら法律の施行日について修正が行なわれましたので、順次その内容について御説明申し上げます。
初めに都市開発資金融通特別会計法案について申し上げます。
すなわち、同法案の附則第一項に規定しております施行期日につきましては、原案では「昭和四十一年四月一日から施行する。」となっていたのでありますが、衆議院において「公布の日から施行し、昭和四十一年度の予算から適用する。」と修正されたのであります。これはこの法律案を昭和四十一年四月一日から施行することが審議の都合上困難となったためでございます。
次に、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
すなわち、同法案の附則第一項に規定しております施行期日につきましては、原案では「昭和四十一年四月一日」となっていたのでありますが、衆議院において、「公布の日」と修正されたのであります。これはこの法律案を昭和四十一年三月三十一日に公布することが審議の都合上困難となったためでございます。
以上が都市開発資金融通特別会計法案外一法律案についての衆議院における修正の内容であります。何とぞ御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようにお願い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/10
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011・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/11
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012・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/12
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013・柴谷要
○柴谷要君 まず、建設省に伺いたいのでありますが、都市開発という非常に大きな構想が立てられ、そのために特別会計を必要とするということで特別会計の措置が行なわれたのでありますが、資金がわずかに十五億。ところが、建設省が都市開発のために必要とする資金は、大蔵省に要求した額は二百三十億と承知をしておる。それで特別会計をつくって目的を達しようと、こういうふうに考えられたのが建設省の方針であった。それが十五億の特別会計になってしまった。一体これで何ができるのか、その説明をひとつわかるようにしてもらいたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/13
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014・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 都市開発資金の本年度の予算は、御指摘のごとく十五億でございます。今年度この資金をもちまして事業を行ないたいと思っておりますのは、十五億のうちの十三億で工場等の移転に伴います敷地のあと地を買い上げるための貸し付けを行ないます。残りの二億によりまして、都市の公共施設の先行取得のための貸し付け資金に充てたい、こういうふうに考えております。
この種の資金につきましては、従来東京都のみが三十九年度におきまして資金十億をもちまして、これは起債によってやったわけでございますが、工場あと地の買い上げをやっているのみでございまして、新しい制度でございますので、今年度は十五億の資金で、工場敷地の移転あと地の買い上げというものは十三億の資金をもちまして、これを低利資金によりましてやっていく。それから、もう一つの都市計画施設の先行取得は前例がございませんので、二億という資金をもってやっていく。将来この資金につきまして、相当都市計画上有効に働いてくれると思われますので、将来必要に応じて私どもといたしましては拡充をしてまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/14
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015・柴谷要
○柴谷要君 私の聞いておるのは、その十五億の内容を聞いておるのももちろんのことなんですが、建設省が都市開発資金融通特別会計法をつくって、そうして都市の開発をしようとするために、資金の要求を二百三十億大蔵省にした、これは事実なんです。それが十五億に減らされてこの法律案になってきた理由というものを聞かしてほしい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/15
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016・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもといたしましては、予算要求の段階におきまして、工場敷地の移転あと地、都市計画上先行取得といたしまして、二百三十億の要求を出したのは事実でございますが、いままでやっていない仕事でございますので、新しく始めるという意味で、十五億の資金でも相当有効に働くのじゃないかということで、しかも、初年度の事業でございますから、そういうことで十五億の資金でこの都市開発資金を設けていただきたい、将来は必要に応じて拡充をしてまいりたい、こういう趣旨でお願いいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/16
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017・柴谷要
○柴谷要君 建設省というところは非常に謙虚な省であるということがわかるが、二百三十億も必要で要求をしておきながら十五億で妥結するなんていうのは、全くナンセンスだね。それは三十億とか四十億程度の要求で十五億に落ちついたというなら、これはまだ世間相場ともいわれて通ると思う。が、二百三十億の一割にも満たない十五億で妥結をしていくなんていうことは、大蔵省に全く壟断されているというか、ほかにことばがないね。大蔵省はどうなんです、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/17
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018・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 二百三十億の御要求がありましたけれども、まあ建設省としては、大きな将来の希望を持って、仕事についても拡大的にやることでお考えになったわけでございます。私のほうとしましては、先ほど都市局長からも話がありましたように、いわゆる工場あと地の買い上げについての実績というものをよく見てまいりますと、三十九年度東京都で十億の予算をもちまして実行五件ということでございます。それから、四十年度は東京都は二十億の予算計上をしておりますが、その実行状態はまだよくはっきりしないような状況でございます。そういったことから考えまして、特にこの仕事が工場のあと地を買い上げるというわけでございますから、買い上げるための地方公共団体の金の資金繰りを国のほうで見てあげようという措置でございます。したがって、実際に工場が自分はもう外に出ていくという、買い上げ請求ですね、買い取り請求と見合わないと金が出ていかない問題でございます。したがって、実際上は東京都内におきましても、ぜひこの家を動かしたい、この工場を動かしたいというところはたくさんありましても、実際にその工場が自分がここを出ていくと、ついては土地を買ってくれという話と引き合わないと成立をしない問題でございます。そういう趣旨からいいましても、なかなか、たくさんの金をつけましても、それがそのまま消化できるかどうかということは疑問でございますので、十五億、初年度でもございますので十五億ということでお話し合いをしたわけでございます。
なお、特別会計にいたしましたわけは、いま申しましたような最初十五億で出発いたしますけれども、将来の償還金その他が入ってまいりますと、それを当分運用いたしまして拡大をしていくという趣旨で、最初の金目は少のうございますけれども、特別会計を設置していけばこの事業主体の拡大には十分お役に立つのではないかという趣旨で設置をした次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/18
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019・柴谷要
○柴谷要君 十五億という金額の中で、先ほどの説明では十三億と二億と、こう二つに分けた。十三億というのは東京、大阪の地域で使われる、その他一億、こういうふうにぼくは理解をしておるのですがね。そういうふうな金額の使途について、まあいわゆる東京の実情からいえば私は金があればできるのじゃないか。新宿副都心部なんか見ましても、いま金がなくて買い手がない、こういう現状なんだね。だから、金があって政府がそれをやる気のある施策をするというのなら、こういう金をもっとふやしてやることによって私はできると思う。建設省も非常にいいことを計画されたことだから、あんまり大蔵省に言われたからといって、すんなり下がってしまって、一割にも満たない金でありがとうございましたというような引き下がり方じゃだめじゃないか、建設省はもう少ししっかりしなければ。
まあとにかく特別会計の数は四十五もありますな。これも少し多過ぎると思う。ですから、特別会計をつくらなくても、建設省の都市施設整備予算というやつを見ると、大体百七十八億五千九百万円ばかりある。その中で公園関係は十億で、ほかは下水道関係で金が出る。その中の金をふやしてやられたっていいのじゃないですか。この点はどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/19
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020・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) この開発資金は貸し付け資金でございますので、その原資は財政投融資のほうから仰いでいるわけでございます。もちろん、一般会計からの繰り入れ金もございます。そういうような意味合いにおきまして、一般会計のほうの予算とは資金の性格が違いますので、別途特別会計ということでお願いしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/20
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021・柴谷要
○柴谷要君 一体特別会計というものにするから、一号のほうは利子を五分五厘で十年償還、それで据え置きが一号は三年で二号については四年、二号のほうの利子は六分五厘で十年で償還、こういうふうになっていますね。これは特別会計にするから、そうせざるを得なくなってくるわけです。そのことよりも、建設省の予算をふやして、その建設省自体でやる仕事に変えられたほうが私はむしろ国策として正しいのじゃないか、こう思うのだけれども、建設省と大蔵省の見解をひとつ聞かせてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/21
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022・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) この資金の貸し付けの趣旨は、将来都市計画の施設なりあるいは住宅とかあるいは労務施設とか、将来事業化する必要がある土地につきましてあらかじめ先行的にその土地を確保しておこう、こういうような制度でございます。したがいまして、事業資金そのものというよりは、むしろあらかじめそういう土地を確保しておこうという資金でございますので、そういう資金を公共団体に貸しておけば、ある程度その資金を回転させることによってこういうような用地の確保が順次はかれるのじゃないか。したがいまして、実際に事業化いたします場合には、これは事業資金をもって、その事業資金の中には用地費も入っておりますので、そういうような事業資金をもってこの資金の償還を公共団体がはかれるという形でこの回転がはかれる。事業資金そのものとはこの資金は別の考え方で構成していってもいいのじゃないかということで、このような特別会計をつくったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/22
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023・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) ただいまお話がございましたが、先ほど来お話しいたしましたように、実際上の工場あと地を国が買う金ではないのでございまして、実際に工場あと地を公共団体が買う場合に、いま御説明がありましたように、これは寝る金でございますから、かなり寝るので、それでは公共団体の財政負担が非常につらかろうという意味で、資金繰りを国のほうでつけようということで、資金運用部からの借り入れ金を主体といたしまして、一般会計の繰り入れもございますが、これによって公共団体の資金負担というものを軽くするという趣旨でやっておる仕事でございます。
したがいまして、先生お話しになりましたように、特別会計の設置ということはわれわれとしては、極力避けたいということでやっておるわけでございますが、現在の財政法にもございますように、特別の事業を行なう場合、あるいは特別の資金を運用するような場合、あるいは特定の歳入をもって特定の歳出に充てるような場合は、特別会計をつくれという規定がございますし、現在のこの仕事はいわばこの特別の事業に該当するものでございます。そういう趣旨で、特に特別会計をつくりたい。さらに、先ほども触れましたけれども、これはそういう意味で運用部からの金を借りて、さらにまた公共団体に貸す。そうすると、その公共団体からまた金が返ってくるということで、返ってきた金はその特別会計でまた回すというようなことになりますので、そういう趣旨からいいましても、やはり特別会計を設置したほうがいいのではないかということで設置いたしたような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/23
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024・柴谷要
○柴谷要君 これはわが党も賛成の法律なんです。賛成であるけれども、もっといいものにしたいというのがわれわれの考え方なんです。それで、確かに、買い取らしておくんだから、多少遊びですね。遊びの期間がある。そういう面があるから、地方公共団体等に負担をかけさせないような方法として考えられているというなら、もっと利子を安くしたらどうかと思うのですが、これは安くなりませんか、五分五厘と六分五厘を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/24
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025・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) ただいまのおっしゃる意味から申しますと、安ければ安いほどいいわけでございますが、資金運用部の貸し出し金利というものの六分五厘と申すのは最低でございます。一番低いところへ持っていったということで、これ以上になりますと、資金運用部自体の金利体系というものがくずれてまいるわけでもございますし、そういう趣旨で、今度はその金を運用するわけでございますから、そう赤字になるわけにはいかないので、特に工場あと地につきましては、その利子よりもさらに低い五分五厘ということにいたしましたけれども、これは一般会計からの繰り入れ等もございますし、そういう資金によってその金利差を補てんしようということで、われわれとしては最低限の安い利子をもって扱っておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/25
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026・柴谷要
○柴谷要君 第一号として、東京、大阪を主体にしておるのだが、これ以外の場所でも、非常な強い要請のあった場所はありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/26
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027・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 本件は、先生も御承知のように、二つに分かれておりまして、一つは、いわゆる近畿圏、首都圏におきます整備地域内の工場あと地の買い上げという問題でございます。第二が、大きな都市におきます都市計画上、及び取得が必要な公共施設を買い取る場合の公共団体への資金繰り、こういう二つになっております。
そこで、第一の問題は、これは現在の首都圏なり近畿圏の法律によりまして、実際上ある程度の制限が加えられております。先生のおっしゃいましたように、非常に都心で、しかも騒音が激しいというようなところには、ある一定規模以上の工場をつくっちゃいかぬという、もう現に制限がございます。そういう制限のあるところについて、さらに、この制限があるために、一方首都圏、近畿圏の法律では、この工場が外へ出ていく場合について、工場団地造成事業について優遇する、あるいは中小企業の高度化資金につきまして優先して貸し付けるというような特典があるわけでございます。したがって、工場あと地の買い上げ促進ということからいえば、現在首都圏なり近畿圏の法律があってそういう規制を受け、さらに優遇を受けているところを、優先的にやっていくというのが第一ではないかということで、この第一につきましては、いまのようなテンポで考えられているわけでございます。
それから、第二の公共施設、一般的な大都市におきまして、都市計画上必要な公共施設を買い上げるという問題は、これは都市計画がはっきりし、しかも、全体としての都市のそういった狭隘といいますか、困難さというものがあるところを優先的にやるべきであるということで、とりあえず大体七大都市というものを重点的に考えるということでございます。
したがいまして、先生おっしゃいましたように、第一の点については、近畿圏、首都圏の法律にあるようなそういうような制限が加えられ、また別途優遇措置も講じられるというところが出てまいりましたならば、当然適用対象に加えていいかと思います。それから、第二の公共施設につきましては、いま申しましたような都市開発についての困難さというものが著しいものが七大都市以外に出てまいりましたならば、これはやはり当然加えていいのではないか、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/27
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028・柴谷要
○柴谷要君 私は、この法律案を審議するにあたって、ちょっと聞いた話なんですが、首都圏、近畿圏が第一条第一号に該当する一号資金でまかなわれる。ところが、この地域よりももっと地方自治体として、ことに首都圏整備のために努力してきた地域、つまり中部圏ですね、中部圏あたりは、この第一条第一号のほうに該当しておらぬ。どうしても第一条第一号のほうに、考えを新たにして直してくれぬかという強い要請があったと聞いているのです。この点をどうお考えになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/28
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029・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 中部圏につきましては、さような強い御要求が確かにございました。しかし、いま申しましたように、この第一の工場あと地についての採用いたしました理由は、まず制限区域ということで、現にある坪数以上の工場等が建つことを制限しているようなところ、しかも、工場あと地を買い取るについては、その工場が郊外に出ていく点について、行きやすくなっているようなところということで採用いたしましたので、首都圏と近畿圏はそういう意味で該当するわけでございますが、中部圏は、現在中部圏の開発法案というものをいろいろと御審議をされておりますけれども、現状におきましては、中部圏の近畿圏に類するような開発法案はできておりませんので、ちょっと採用をいたしかねるということで、首都圏と近畿圏に区切ったような次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/29
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030・柴谷要
○柴谷要君 私は、賛成の法律案で非常にいいと思っておりますから、深く追及はしていきませんが、ただし、何といっても初年度十五億というふうなこんなはした金でできるわけがない。逐年増加させていくのだ、こういうお気持ちがあるかどうか、その点をひとつ建設省も大蔵省も聞かしておいてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/30
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031・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもといたしましては、こういう資金が、非常に都市計画の実行上有効に働く制度だと思いますので、われわれといたしましては、できる限りこれを拡大していきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/31
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032・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 先生のお説はまことにごもっともでございまして、われわれといたしましても、本年度の実行状態をよく検討いたしまして、実行に見合ったような意味でできるだけ前進をさせたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/32
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033・須藤五郎
○須藤五郎君 第一に質問したいのは、この工場あと地売却希望数は、とにかく今日現在何件あるか、どのくらいの金額になるかということを尋ねたい。ということは、いま柴谷さんが質問なすったように、わずか十五億や十三億の金で一体処理できるか、これは私も同じ気持ちを持つわけです。それで、その点をまず第一に聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/33
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034・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、東京都におきましては、三十九年度に申し込みが二十九件ございまして、七万坪でございました。しかし、実際上成約できましたのは五件でございまして、一万坪でございます。これが過去の三十九年の状況でございます。それから、四十年度の状況でございますが、八月一日におきまして、東京が七十九件の申し込みがございます。東京都としては二十億の予算を要求したわけでございます。大阪が十件で、東京と合わせて八十九件というような状況でございます。これも私のほうの資料でございますので、建設省のほうでまた間違いがあれば御訂正を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/34
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035・須藤五郎
○須藤五郎君 いまのお話で、四十年度が東京が七十九件、それから大阪が十件、金額でいうて、東京が七十九件で二百九十億、間違いないね。大阪が十件で百六十億。そうすると、八十九件で四百五十億という金です。こういうことを見ても、こんな十三億や十五億で何ほどのことができるかということだと思うのですよ。だから、これをぼくが読んだとたんに感じたことは、これはそういう実際は非常に消極的な考え方で、これは利子補給に類する金じゃないかということを感じたわけですよ。実際はそういうことではないですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/35
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036・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 御指摘ごもっともだと思いますが、三十九年度の実績でも、二十九件で、成約できましたのは五件でございます。結局六分の一しかまとまらないということです、ほんとうの話は。したがいまして、坪数も、当時七万坪というのが、実際できた坪数は一万坪でございます。したがって、これはわれわれのほうで、あるいは公共団体のほうで、どうしてもここを取りたいというところがそのまま取れるならば、それはいいのでございますけれども、これはやはり実際上の成約をやる場合は、その工場が外へ出ていくような話がちゃんと成立していませんと工場も出ていきませんので、そういう意味で、申し込みがたくさんございましても、実際の成約、話し合いの成立という点になりますものはかなり数が減ってくるかと考えられますが、もちろん私ども多い額とは存じませんけれども、十五億で出発して十分まかなえるんじゃないかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/36
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037・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、いま伺った四十年度の七十九件二百九十億、十件百六十億というのは、これは何ですか、これは実際実施された問題とは違って、こういう希望が出たということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/37
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038・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) はい、そうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/38
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039・須藤五郎
○須藤五郎君 それでは、一応資料要求をしたいと思うのですがね。この工場等移転あと地売却希望調査、これを出してもらいたいのですね。それから、工場等移転あと地買い上げ計画調査、この両方を資料として出してもらいたい。そうでないと、私たちには実態がわからないと思うのですね。これは資料を出してください。出ますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/39
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040・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/40
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041・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/41
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042・須藤五郎
○須藤五郎君 工場が移転を希望してくる理由ですね、これは一体何なんですか。その敷地が小さくなったからというようなこと、それから集中、合理化のために、要するに大企業に吸収されてしまうというようなこと、そういう集中、合理化のためであるか、それからいまいう公害の問題ですね。公害で、都市のまん中で煙突から煙を吐いては困るというようなことでこういうことになってくるのか。それから、あるいは立地条件の悪化という問題がこれからだんだんと起こってくると思うのですね。それから、工業用水の規制という問題がありますね。そのために工場をやっていけないということ、それから労働力の数といいますか、労働力の多いところへ工場を移す、こういうような問題なんですか。これが全部とは私は言いませんけれどもね。私たちが想像するところでは、大体こういう問題で工場移転の希望という問題が起こってきて、買い上げを頼みにくるんじゃないかと思うのですが、どうなんですか、あなたのほうは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/42
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043・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) ただいまお話しになりましたような要求もございますし、これは工場側の立場でございますが。さらに、付近の人が、非常にその工場の騒音がうるさいので早く出ていってくれというようなことを周囲に言われる、おりづらいというので出ていきたいというような場合もございます。そこで、実際上のこの買い取りについては、そういった工場側の事情だけではなくて、今度は公共団体のほうで、ここはもうこういう工場は置かないで、何かもっと住宅地にしたほうがいいとか、そういう気持ち、計画上のそういう気持ちがあるわけでございます。それとマッチをしないとなかなか動いていかない、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/43
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044・須藤五郎
○須藤五郎君 それで、こういう希望件数というのは毎年ふえてくるのですか。毎年増加してくる傾向ですか、減少の傾向ですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/44
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045・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) やはりふえてくる傾向だと思います、都市の稠密化がだんだんひどくなりますので。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/45
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046・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、現在売却を希望していない工場でも、将来やはり売却を希望するというケースが出てくる、こういうことなんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/46
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047・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) そうだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/47
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048・須藤五郎
○須藤五郎君 そうすると、だんだん希望者がふえてくるといえば、先ほども柴谷さんが問題にしたが、この予算ですね、これはだんだんふやしていかないと、だんだんふえてくるものに対して希望に沿うということはできないと思うのですがね。で、それにしては、いまの十五億という金は、何回も言うようですが、あんまり買い上げ予算として少な過ぎると思うんですね。こんなことではたして目的は達成できるのかどうか、今後の買い上げ予算は一体どういうふうにしていくつもりであるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/48
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049・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 先ほど申し上げましたように、いま先生のおっしゃいましたのは、工場側のほうの動きたいという希望でございます。それから、公共団体が公共的立場に立って、ここは、この騒音の出る工場は移したほうがいい、あるいは都市の稠密化を避けるために、ここには工場はのけて住宅をつくったほうがいいというような、都市計画といいますか、都市の稠密化を避けるための計画というものがあるわけでございます。それとマッチをいたしまして、工場でも移りたいと言っている、東京都のほうもことは住宅地にしたらいいのだ、だからこの工場は出したい、それがマッチして初めて計画が成り立つわけでございます。したがいまして、工場側に希望がどんどんふえるということは、これは現在の都市の稠密化の傾向からいいましてあると思いますけれども、そういう意味で両方の意見が合致をして、ほんとうに買い取りをして移すというようなことになるようなものは、いまの数字よりかはるかに少ない数字になる。そういう意味で、実行上も、先ほど三十九年度を申し上げましたように、二十九件の申し込みがございましたけれども、実際にできたのは五件であるということでございまして、その辺を今後の問題としてよく検討いたしまして、できるだけ効果のあるあと地の買い上げということをいたしたいと、かように思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/49
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050・須藤五郎
○須藤五郎君 表面は両方の利益が合致しないとやらないということが理由になってくるよね。実際何十件かあるものが、わずか去年話がついたのは五件だというのは、結局、資金がないから五件しか解決できなかったということで、言いかえると、予算があればもっとうんと解決できるのじゃないですか。どうですか、そこは。金で縛られているから、何十件という希望があっても、それを満たせないということじゃないのですか。金があってもそれだけしか買うような価値のある所はないということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/50
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051・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 必ずしも金があるからたくさん買えるというわけでもないかと思いますが、やはり公共団体としての金というものは限度がございますの、なかなかやれないわけでございます。それを今度は国のほうでその金のめんどうは見るということにいたしたわけでございますから、そういう趣旨でいいますならば、従来よりも大きな前進になったわけであります。その意味で、今回の十五億というのは、見たところは少のうございますけれども、実績から見ますると大きな前進をしたということになるのではないか、かように私は考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/51
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052・須藤五郎
○須藤五郎君 どうも話聞いていますと、しっかりとした見通しを立てて、計画を立てて、そしてそれに予算を立てたというふうにちょっと受け取れぬような感じがするのですね。まあこれだけの金を出しておいて、そしてこの金でできる範囲でものを処理していこうというような、そういう消極的な安易なものの考え方のようにわれわれは受け取れるわけですね。ですから、その計画性が、計画がずさんな感じがして、何だか心もとない気持ちがするわけなんだね。まあこれはぼくらが受ける印象はそういう印象を受けるわけなんですね。
その予算に限界があるわけでしょう、予算には。そうしたら、必ずしも将来買い上げ敷地を公園や児童のために使われるということだけではなく、それを収益を生むように民間企業に利用される、そういうことになるおそれはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/52
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053・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) この法案において考えておりますものは、民間施設等に利用をされるというようなケースは考えておりません。これは貸し付けの、実際に特別会計から公共団体に貸し付けをいたします際に、相手の公共団体と誓約をいたしまして、その貸し付け条件の中に、実際上公共施設に使うというものしか使ってはいけないという条件をつけるつもりでおります。それによって規制をするということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/53
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054・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、私の聞くところによると、買い上げ敷地を転売することも可能だし、払い下げすることも可能だ。それはこの法律に、この買い上げた土地を転売してはならぬ、払い下げをしてはならないという条項がどこかにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/54
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055・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) いまのような、一度買い上げたものをまた転売するという場合でございますね、この場合も、実際上の条件といたしましては、たとえば住宅公団が東京都から買うというような場合でございますと、これは実際上の公共目的に合致しておるわけでございますから、そういう場合のかえ地に使うような場合には貸し付けることもあり得るわけでございます。しかし、それ以外のほんとうの純営利的な、あるいはそういう民間のものに転売あるいは出すということは、これは避けるようにいたしたいとわれわれは考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/55
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056・須藤五郎
○須藤五郎君 ただ避けるようにするというだけで、それは絶対してはならぬという法文がありますか。事実、民間のビルを建設するために払い下げたり、それから駐車場にそれを払い下げたりしている例があるじゃないですか。絶対できないという条項がありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/56
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057・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) この特別会計の母法でございます貸し付けに関する法律がございます。その法律にその貸し付けの趣旨を規定しておるわけでございますが、その第一条に、現在申しましたような施設につきましては、「都市の機能を維持し、及び増進するため計画的に整備改善を図る必要がある重要な市街地」と、こういうふうに表現をいたしておりますので、いまのような意味で、都市の機能を維持し増進するという意味で、さらに計画的に整備改善が必要だというものに合致をすればやれるわけでございますが、その分については現在の貸し付けの際の契約条項で縛りたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/57
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058・須藤五郎
○須藤五郎君 だから、やはり転売も可能なんでしょう。転売は禁止してないでしょう。条項に合えば転売させるというのでしょう。そうでしょう。それから、払い下げもさせるという意味でしょう。そうでしょう。その条項に合うというところが問題になってくるわけですよ。民間ビルを建てる、それがあなたたちの考えで条項に当てはまるといえば、その理屈も成り立つかわからぬ。それから、自動車の駐車場、それをつくるということもあなたたちのそういう条項に合うかわからぬ。しかし、そういう条項に合うということをもとにして、やっぱり転売、払い下げがされるということ自体に問題があると思うのですよ。転売や払い下げがなされるということは、やはり問題が起こってくるもとだと思うのですよ。やはり不正、腐敗、汚職が起こってくる原因がここにある。いわゆる政府の金でこれを買った、その買った地方公共団体がほかに転売してもうけるとか、払い下げて——払い下げるということはやはり利害関係が起こってきますよ。要するに県会議員や区会議員や都会議員が中間に入ってそういうことをやるとか、そういうことが国の財産でも起こるのですから、もっと起こりやすい条件があると思うのです。
で、そういうことが起こってくる。これが、国の金で売買されたものがそういうことに使われるということは、私たちやっぱりちょっと問題があると思うのです。だから、地方公共団体が必要だと言って、あなたたちがよく検討して、これはぜひとも必要だというものが、先ほども言ったように、何十件かある中で、お互いの利益が一致するということでせっかく買ったものを他に転売したり払い下げしたりするということは、これはちょっと納得いかぬじゃないですか。そこに私は不正の起こる原因があるというように思う。どうですか、そういうことは絶対にありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/58
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059・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 転売を行ないました場合に、いま先生のおっしゃいますような不正が起きるような危険もございます。しかし、また、かえ地等にいたした場合に、それによって、先ほど私が例を引きましたような住宅公団に払い下げることによって、かえって都市機能が増進するという場合もございます。そこで、転売その他かえ地のために取得することを禁止はしておりませんけれども、先ほど申し上げたような条項に合致するものについては、公共団体の知事さんと話をするときに条件としてはっきりその点をきめたい。なお、都市開発につきましては、各公共団体が払い下げ等を行ないます場合には、建設大臣の承認を得ることになっておりますので、そういう承認を得る場合にケース・バイ・ケースでよく検討をして、そういった貸し付けの条件の際にその点を縛って、先生のおっしゃるような変な事態にならないように十分注意をしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/59
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060・須藤五郎
○須藤五郎君 最初にこの法案の中にうたわれているのは、公共性というのが一番大きくうたわれているわけですよ。それで、あなたたちもそれを言っているわけですよ。それならば、あくまでも公共性を守るべきで、せっかく公共性に基づいて取得した土地、建物を、それを一般民間に払い下げるということ、売り渡すというようなこと、これはやはり公共性を無視し破壊しているということに私はなると思うのです。こういうことじゃ国の資金をむだ使いすると言われてもしかたがないことが起こってくるのじゃないか。そういう不正、腐敗が起こらないように十分注意しますと言うけれども、やはりこういう道が開かれている限りやっぱり起こってくる。私はそういうふうに思う。そんなら、そういう民間のビルを建てるためや、そのために転売や払い下げをするならば、いっそのこと最初からその工場からそういう民間人に売り渡すようにあなたたちがあっせんしたらいいことで、そういうことをまかしておいたらいいことで、しいて国の金を使ってまでそういうことにあなた方はタッチする必要ないじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/60
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061・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) この資金は、先ほど説明がありましたように、都市計画的に考えまして、その地域の都市機能を増進するということが目的でございます。したがいまして、これは一ぺん公共団体が工場あと地を買い上げまして、そうして確かに民間に払い下げる場合も出てくると思いますが、それはあくまでもその都市計画的な観点からこういうようなものにしなければならぬというきびしい都市計画上の制限を付して、そして払い下げる。現在の都市計画法でございますと、同法上の制限だけではなかなかこまかい規制というものはできません。そこで、一。へん公共団体の用地にいたしまして、そしてそれを払い下げる場合にきびしい都市計画制限をかけていく、こういう考え方でおるわけでございます。もちろん、払い下げる場合というのは、非常に枢要な地区で、たとえば防火帯をそこにつくらなければいかぬというような場合でございますとか、あるいはそこの市街地の全体の構成からいいまして、ぜひ必要な機能の施設をつくらなければならないというような場合に、この払い下げが行なわれる。
それから、御心配のもう一つの、払い下げのときにいろいろ問題が起こるんじゃないかという点につきましては、実は債権管理法という法律がございます。それのほうで貸し付け金にかかるいろいろな制限がつけられるようになっております。したがいまして、この法律ではそれを書かなかったわけでございますが、債権管理法の規定によりますと、非常にきびしい条件が貸し付け契約の中でつけられるようになっております。こういうような条件を、この都市開発資金を公共団体に貸します場合の貸し付け契約の中で、われわれといたしましては当然きびしい条件をつけていく。さらに、これは別のことでございますが、公共団体にはさらに公共団体の中で特別会計をつくるように私どもは指導したいと思っております。そういうことによりまして、ほかの会計の財産と財産の管理を区分して経理するというようにいたしたいということで、そういうような問題が起こることを防いでまいりたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/61
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062・須藤五郎
○須藤五郎君 私がなぜこういうことを問題にするかというと、一つの例があるわけです。あなた、新宿淀橋の小西六の移転問題について、東京都議会で問題になったことを知っていますか。——知らない。それはあなた不勉強だよ。小西六の問題はこういうことがあるわけです。小西六淀橋工場移転に伴う買収補償が小西六に対し不当に有利に行なわれておるということが。使いものにならないリレー式計算機を都が一千万円で買い取ったわけですよ。それでスクラップにしても約八万円で、使いものにならないリレー式計算機を一千万円で買うて、スクラップにして約八万円で売っているわけですね。これは明らかに都に対して損害をかけている。都民の利益に合致しない。公共的な立場といえないようなことが起こっている。この問題。それで東京都で問題が起こった。これは非常に露骨な例ですね。結局、総額三十億五千万円で土地、建物その他一切を買収して、それで移転費を払い、しかもこの移転費、買収費は時価の約二倍に当たるといわれておるのですね。これで東京都議会で問題になったんです。あなた、知らないか、そういうこと。工場に古いボイラーがあるでしょう。ボイラーがある。そうすると、それをみな買うわけですよ。使いものにならないボイラー。そのボイラーは使いものにならないですから、そうすると、その売った会社は新しいボイラーを買わなければならないでしょう。そうすると、新しいボイラーを買うと、そのボイラーの移転費をやっぱり買うたほうが持つらしいね。このいまのスクラップにしなければならぬ電子計算機なんか、この露骨な例だと思うのです。こういうことが起こってくるんですね。だから、あなた、幾ら絶対にそんなことは起こらぬようにすると言うても、こういう問題がすでに起こっているんですよ。だから、転売するとか、払い下げるとか、そういうことができるというふうなこういう抜け道があるならば、必ず将来起こりますよ。私はもうはっきり言っておきますよ。
国の財産ですら、いわゆる払い下げで変な問題が起こって、国会の決算委員会で問題になるようなことが起こる。ましてや、地方公共団体でそんなことが起こらぬということは絶対ないですよ。だから、国の金を出して公共のために買い取ったものをまた転売する、こういうことはおもしろくないですよ。私は小西六の問題を一例として取り上げましたけれども、あなたたちもそういう点よく知らなければいけないと思う。そういうことがないように気をつけなければならない。やはり法的にもぼくははっきりしたものをきちんとつくっておく必要があるのじゃないかと思いますが、どうですか。いまのようなずさんなことじゃ、そういうことは今後ずっと起こりますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/62
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063・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) 東京都の事例は私よく存じておりませんが、いまの買い取り価格と、それからその買い取ったものを今度は売却する場合の売却価格とは、差があるというのは、これはあり得ることだと思います。決してこの例がいいというわけではございませんが、それはやはり買い取る場合には、その工場の移転その他をやって、そうしてちゃんといけるようにするということが買い取りのための一つのめどになるわけでございます。したがって、それはそのまま今度はほかのものに売る場合の価格とは必ずしも一致をしない場合が多いと思います。
ただ、今後の実行といたしましては、先ほど都市局長からもお話がございましたように、われわれといたしましては、いま申し上げましたように、実際に公共団体に金を貸す場合の貸し付け条件におきまして、そのあと地が公共的に利用できるという保障がないものには貸さないということで制限はしっかりいくようになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/63
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064・須藤五郎
○須藤五郎君 小西六の場合、あなたどういうふうに考えられますか。こういうことが実際に行なわれて東京都議会で問題になったのですが、これはこの法律ができる前の問題ですよ。しかし、今後も、この法律ができても、この法律の中にそういうことを防ぐ条項というものがないわけですよ。だから、私、最初、転売もできるだろう、払い下げもできるだろうと言ったら、できますと言っておるのです。そういう転売も払い下げもできる状態のもとで、そういうことが起こらないという保障は成り立たぬと思うのですよ。小西六のようなことが起こったらよくないでしょう。どうですか。実際の時価の二倍も三倍もするような金で買い入れるとか、せっかく一千万円で買うたものがスクラップされて八万円で売られてしまうというようなこと、これは好ましいことじゃないでしょう。そういうことが起こる道をどうしたら防ぐことができるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/64
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065・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 詳しい規定がございますので、先ほど概略的に申し上げたわけでございますが、実はこの法律にそういうことを書きたいと思ったわけでございますが、債権管理法の中で、国の貸し付け金に関するものにつきましては、三十六条という規定で非常にこまかい制限が契約上できるという規定がございますので、重複いたしますので、これに書かなかったわけでございます。
それから、ただいまの土地の買い上げの価格の問題につきましては、われわれといたしましては、審査をいたします場合に、その買収価格の基準、算定基準というようなものを設けまして、そうしてそれによって個々の貸し付け計画を審査いたしまして、そうして貸し付け決定をしていくというように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/65
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066・須藤五郎
○須藤五郎君 それならば、東京都が小西六を買い取ったことについて、東京都で一千万円で買うた計算機を八万円で売ったということは、この法律に違反ですね。それには違反するということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/66
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067・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) それは国の貸し付け金の場合の法律でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/67
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068・須藤五郎
○須藤五郎君 しかし、この貸し付け金が動いて、そしてそういうことが行なわれたとするならば、それは違法ということになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/68
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069・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 私どもで審査いたしました結果それがおかしいというのにもかかわらず東京都がやれば、それは契約に違反する。さらにには、違法ということにもなります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/69
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070・須藤五郎
○須藤五郎君 国が貸した金でやるやらぬは別としても、この法律ができる前の問題としても、こういうことはおかしいことでしょう。実際公共団体がやったこととするならば、おかしいことでしょう。小西六で起こったような問題が今後起こるとするならば、それは許されないことでしょう。しかし、私の心配するのは、そういう許されないことが今後も起こる可能性が非常にあるということを私は指摘しているんですよ。それをはっきり起こらぬというふうにきめることは、いまのこれだけのことではできないのじゃないかと私は思うんですよ。そういうことは起こりがちじゃないんですか。やはり払い下げや転売が認められるということになると、そういうことが起こりがちじゃないですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/70
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071・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 先ほど主計局次長から答えたように、起こる可能性は十分あると思います。われわれといたしましては、できる限りこの三十六条の規定を運用いたしまして、できる限りそういうことがないように努力したいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/71
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072・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/72
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073・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記を始めて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/73
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074・中尾辰義
○中尾辰義君 いまの須藤さんの質問に関連して聞きますけれども、要するに今度の法案が、東京都の首都圏の場合と近畿圏の場合、それに都市計画に基づいて工場制限区域内あるいは都市計画に基づく工場あとの買い上げ、こうなるわけですね。その買い上げする場合にこの資金を利用する。ところが、いま須藤さんの質問は、この法案に当たらない工場制限区域外の工場あるいは会社、そういうものを地方公共団体が買い上げる場合に、それは東京都あるいは大阪市の地方団体の自由ですか、買い上げる場合は。何ら制限はないのか、それはどうなんですか。買い上げに対するところのいろいろな制限……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/74
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075・竹内藤男
○政府委員(竹内藤男君) 工場制限区域外で公共団体が工場あと地を買うという場合には、別に国の法律では制限はないと思います。もちろん、それは公共団体の条例その他の制限はかかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/75
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076・須藤五郎
○須藤五郎君 この法案、災害被害者に対する租税の減免の問題でちょっとお尋ねしたいんですが、個人住宅または家財について、震災、風水害、落雷、火災等によって被害を受けた場合というふうになっていますが、この場合、住宅、家財の中に、農民の持っておる田畑、山林、それから農作物、それから漁場、それから漁業の施設、例をあげれば東京湾におけるノリ栽培者のあのそだですね、こういうものは一体この家財の中に入るのか入らないのかということをお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/76
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077・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 事業用資産について災害が起こった場合にどうなるか、この災害減免法では住宅、家財という表現が用いられているから、事業用固定資産に生じました災害はどうなるかという御質問だと思います。災害減免法は、これは住宅、家財について損失があった場合には特別に考慮するという考え方でございます。事業用固定資産は当然事業用の損益に反映いたしますので、この災害減免法なくしてもその損失は控除される、法律は当然そういう特別な法律なくしても事業用の損益に反映されまして計算される、そういう特別の法律なくして災害は災害損失として控除される、こういう考え方があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/77
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078・須藤五郎
○須藤五郎君 もうちょっと聞いておきたいのですが、こういう漁業施設とかなんとかいうものは家財とは認めないのですか、認めるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/78
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079・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 家財ではございません。事業用資産でございます。住宅、家財はもう生活用のものでございますから、こういう特別法律がなければ損失を特に計算することができない。そんなような意味で、家財に被害を受けたものについてこれを適用する、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/79
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080・須藤五郎
○須藤五郎君 ここにその価額の半額以上の損害を受け、しかもその年分の合計所得金額が百二十万円以下であるものについてと、こういうふうになっていますが、その被害額が価額の半額以上という規定をしたのですが、この規定の根拠、半額以下であったらどういうふうになるのかという点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/80
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081・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 須藤さん御存じのように、所得税法にすでに雑損控除の制度がございまして、災害につきましては雑損控除についてより完全な形で救済される。この制度は、御存じのように、所得の一割をこえる災害損失がございますれば、そのこえる分については所得から控除する、こういうことになります。したがいまして、ただいま御指摘の半分以下の損失のような場合には、それがもちろん所得の一割をこえます場合に雑損控除のほうで救われます。もちろん、半分をこえましても雑損控除の適用を受けたほうが得な方も多いわけでございますが、そのほうで救済される、こういうことになっております。
この災害減免法は、御存じのように古い法律でございまして、昭和二十四年にいま申しました雑損控除ができる前にあった法律でございます。本来、雑損控除ができました際に、これはなくても雑損控除の制度によりまして所得税法の基本法で救済されるわけでございますが、この災害減免法はより簡易な、少しラフでございまするけれども、簡便な認定で、所得のあるいは百万円までならば全免、百五十万円までならば二分の一、二百万円までならば四分の一というふうに、所得から控除するということでなくて、税金をラフにまけてしまうというやり方で、簡単に救済していく、こういった制度でございます。二分の一は、そういった意味で根拠は少し粗雑でございますが、住宅、家財について半分以上の損害があったならばこの災害減免法で簡単な形で減免していく、こういう趣旨でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/81
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082・須藤五郎
○須藤五郎君 これは所得税を納めている人の問題だと思うんですがね。非納税者というのがありますね。所得税を納めない人、その人たちが災害受けた場合は、これはどういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/82
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083・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 御指摘の非納税者につきましては、税の救済は与えられませんので、別途の地方団体の救済その他の救済が差し伸べられることになろうかと思います。税ではいかんともいたしかたがございません。別な形での救済が行なわれる、こういうことだと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/83
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084・徳永正利
○委員長(徳永正利君) ちょっと速記とめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/84
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085・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 速記起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/85
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086・須藤五郎
○須藤五郎君 しいて大臣に質問しなければならぬような、そういうことがないと思うんですよ。だから、いま質問を二、三点続けて終わりますから、せっかく大臣がお見えになったけれども。
そうすると、そういう非納税者ですね、非納税者はどういうことで見られるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/86
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087・来正秀雄
○説明員(来正秀雄君) 全部カバーすることになりませんが、農林関係で申しますと、新しい仕事を継続していかなきゃならぬわけでございますから、たとえば天災融資法の達用というようなことで金融面から援助する。この場合は、低利資金で事業者が非常に事業がうまく継続できるというふうな形で補助する、融資をすることができる、あるいは農地の災害のような場合には補助金を出す、最高九割くらいまで出す、そういうふうな形で事業者を優遇しておる、こういうかっこうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/87
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088・須藤五郎
○須藤五郎君 これだと、百万円以下は全免というような、そういう一つの処置がとられる。ところが、非納税者はそういう処置受けられないわけですね、納税の面で。ところが、いま低利資金、低利で金を貸すという。低利で金を貸すと言ったって、やっぱり金を返さなきゃならぬでしょう。だから、何だかそこのバランスがとれないような感じがするわけですよね。百万円以下の収入のある人が、とにかく全額が税が免除されてしまう。ところが、税金を納める資格のないもっともっと下の貧乏人は、そういう場合に何にも援助されなくて、ただ金を貸してもらう。低利というが、低利は幾らか存じませんが、あとで聞きたいと思うのですが、やっぱり返さなくちゃならぬということで、無利子の金というのは援助されないのでしょう。そこらにちょっと不合理な点があるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/88
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089・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) この所得税が全免されるというのは、恩恵的に見られますと、そんなようなお考えができるかもしれません。しかしながら、住宅、家財の半分以上が損失を受けたということは、やはりこれは一つの支払い能力がなくなったということを考えますと、その点で税金を支払わなくてもいいということだといたしますと、私はいま農林省の方が申されました天災融資法その他に基づきますところの金融措置、これが納税者、非納税者変わらず援助の手が伸べられると思いますが、それとのバランスが特に失しておるというふうな気持ちは持ちません。所得税は所得、自分の生み出した所得のうちから払っていただくものであり、それがまた支払い能力によって払っていただくものでございます。支払い能力がなくなったということで考えますと、その点が特にバランスが失したというふうに考えなくてもいいのではないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/89
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090・須藤五郎
○須藤五郎君 私はこの法案に賛成なんです。だから、反対の立場で質問しておるわけじゃないのです。ただ、納税資格のある人が、いま恩恵だというようなことをぼくは考えていない。そういうことは何も反対するわけじゃない、当然だと思うのです。ところが、もっと下層な収入のない、低収入の人たちに対する手当てというものがなされていないという点を私は言っておるわけです。それをもっとなすべきだと。それで、ただ金を貸して利子を取るのじゃなしに、もっと国が、百万円以下の収入のある人に税金でこういうふうな手当てをするならば、税金を払うことができない人でも、家が破れるときは破れるわけですね。全壊をする場合もあるし、半分破れる場合もある。そのときに何か国が手当てをすべきじゃないかという点を私は言っておる。一体、利子は幾ら取るのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/90
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091・来正秀雄
○説明員(来正秀雄君) 私のほうで最低の場合は三分の金利を取ります、天災融資法では。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/91
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092・須藤五郎
○須藤五郎君 最高は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/92
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093・来正秀雄
○説明員(来正秀雄君) 最高は六分五厘となっております。それは被害の程度において……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/93
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094・須藤五郎
○須藤五郎君 これでやめますが、最高六分五厘というのは、やっぱり高いですよ。ほんとうは無利子で融通するとかなんとか、そういう手段をとらなければいかぬ。
大蔵大臣、寝ていないで、よく聞いておいてくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/94
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095・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 傾聴していますよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/95
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096・須藤五郎
○須藤五郎君 ぼくは、大蔵大臣に政治的に考えてもらわなければならぬ問題だと思うのですよ。この法案が私はいかぬというわけじゃないのです。不十分だということは言えますが、この法案にひっかからないようなもっと低所得者に対する手当てを国がすべきじゃないか、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/96
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097・岩尾一
○政府委員(岩尾一君) ただいまのお話でございますが、先ほど主税局長の申しましたように、災害減免を納税者にはやっておることと非納税者に対しては何もしていないということのバランスという問題については、先ほど御説明のございましたように、税金を本来納めるべきものが担税力がなくなるためにそれを免除しておるということでありまして、現在の被害を受けたものを補てんしていこうというわけではないわけでありますから、したがって、その意味でバランスは決しておかしくないのじゃないか。
そこで、今度は別途の観点から、そういう税金の全然かからない非納税者に対してもう少し政府としては手を打ったほうがいいのじゃないかという御主張であったと存じます。これにつきましては、現在までの法制では、たとえば先ほどお話のありました農地については天災融資法、あるいは住宅につきましては住宅金融公庫の特別貸し付け、あるいは非常に所得の低い方につきましては所帯更生資金の貸し付け、あるいは母子福祉資金の貸し付け、さらには全体として災害救助法の発動によって、できるだけ災害についての手当てをしていくというような法律をそれぞれ使いまして、できるだけ御迷惑のかからないようにそういった被害額自体の補てんという面についての処置を講じておる、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/97
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098・中尾辰義
○中尾辰義君 ちょっと、いまのに関連して。大蔵大臣にお伺いしますけれども、災害があった場合は、いまお話がありましたように、税制の面、金融面においては措置が講じられておりますけれども、低所得者の場合、金融面において生活資金あるいは商売上のいろいろな資金を借りても、その返済が非常に不安であるというようなこともあるだろうし、ですから、災害というものは、これは天災ですね。ですから、一定限度のところあたりまでは、その災害を受けた人に対して国家が補償をする、こういう意見に対しては大蔵大臣はどのようにお考えになっていらっしゃるのか、その点をひとつ聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/98
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099・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 災害の面におきましては、財政の支出ですね、あるいは国家資金の融資、そういうことで非常に手厚い対策が行なわれておるわけです。それに加えて税の減免措置、こういうこともあるわけであります。特に災害対策として重きを置かれておりますのは、これは歳出を国家融資、この二つの面だろうと思う。これは非常に行き届いたものでありまして、現に伊勢湾台風を経験したあの伊勢湾地域の人が、国の災害対策に対してどういう感触を持っておるか。これはもうたいへん、災害があったけれども、災いを転じて幸いとすることができたというような一般的な感想を持っておると私は思っております。あるいは山梨県がどうした、長野県がどうした。これも非常に満足をいたしておるわけです。その考え方は、やはり公共施設、これを中心にやっているわけです。公共施設というのは、これはわれわれの共同の施設でありますから、やはりこれは個人の問題にはね返ってくる。ところが、一つ一つの個人をとって、それの対策ということになりますると、いろいろむずかしい問題がありますので、国が関与するのは、主としてこれは公共施設、つまり個人個人の共同の施設ということを対象にいたしまして、これが復旧に協力をするという考え方に相なるわけであります。個人の問題につきましては、まあ個人それぞれの事情がある。特別の計らいをする場面もありまするが、私は大体において、公共の施設において完ぺきを期す、こういうことが国としてなすべきことである、かような考えであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/99
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100・中尾辰義
○中尾辰義君 公共のことは、大蔵大臣がおっしゃるまでもなく、当然公共施設は地方団体や国がやるべきものでありますけれども、至れり尽くせりとおっしゃっていますけれども、実際はやはり、金融の面においてもある程度の、額等におきましても制限があるし、そうふんだんにできるわけじゃない。私が聞いているのは、全額国家補償ということもたいへんでしょうし、ある一定の限度くらいまでは国家が補償する、この見解に対してはどうか。大臣の意見を聞いているのだから、参考に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/100
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101・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) ですから、それにお答えしているのですが、個人個人の財産なり所得のほうは、これは非常に例外的に考えるべきである。どこまでも、個人個人の共同の施設に対しまして完ぺきになるような施策をとるべきである、こういう考えであります。
ただ、たとえば、これが災害直後、救恤というか、あるいは罹災救助といいますか、そういうような意味合いで、直接個人に援助する、こういうことはもちろんあり得るわけでありまするが、これは例外なんです。どこまでも共同施設を、国がそれに対して協力する。それはもちろん、個人にいかないものじゃない。これは共同の施設を通じて個人に還元されていく、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/101
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102・田中寿美子
○田中寿美子君 この前も大蔵委員会で、大臣は、免税点、課税最低限を八十万円くらいにするのは妥当だと思う、しかもそれはいまの物価においてそうだと思う、というふうにお答えになりましたし、それから税制調査会でもそのような答申が出そうな報道がされているのですけれども、今度の災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予——もちろん私どもはこの法律には賛成なんですけれども、今回の改正は、免税点六十三万円を基礎にして、初年度六十一万円、これを基礎にしての改正なんですけれども、もしもそれを、かりに年度半ばにでも八十万円というようなものを実現なさるお気持ちがあるのか、そういうことになったら、また減免も拡大をする、こういうお考えなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/102
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103・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 最低限が六十三万円からさらに引き上げになるという際には、当然この災害措置の面でもこれに連動をするわけであります。しかし、いま八十万円が年度半ばにも実現するかもしれないような御期待の御発言でございましたが、これはなかなかむずかしいです。私どもはそれに向かって粘り強く努力していきたい、こういうことを考えているわけでありまして、これが年度半ばに実現されるとか、そういうような状態ではないのであります。まことに残念でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/103
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104・田中寿美子
○田中寿美子君 この前、八十万円ということは、長い二、三年先の八十万円というのは意味がないと申しましたときに、大蔵大臣は、現時点においての八十万円という意味であるというふうにおっしゃいましたので、その比率で上げていくということを期待したいと思っているわけです。なるべく早くそれを実現していただきたいと思っております。
ところで、お急ぎのようですから、ほんの二、三点だけにいたしますけれども、源泉徴収所得税の場合には、徴収猶予なんですね。これは減免ということをしないのですか。そうして、それはなぜですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/104
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105・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 源泉徴収は、毎月毎月行なうわけでございます。災害減免法は、年間の所得を中心として考えております。したがいまして、百万円までは全免、百五十万円までは半分、二百万円まで四分の一ということになりますが、源泉徴収は毎月取っておりますので、その金額がその月では必ずしも確定しない。ただ、百万円がはっきりと見通せる場合にはその月から免除していく、こういうととができます。そういったことが予想されない場合には、徴収猶予というような形でまいりまして、最後の年末調整の際にこれを確定する、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/105
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106・田中寿美子
○田中寿美子君 そうすると、猶予というのは、免除されてしまうということはないわけですね。幾らかは取られるという……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/106
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107・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 災害減免法で規定されますところの、所得限度による免除のしかたの一つの過程でございます。免除されることもございますし、半分免除されることもございます。四分の一免除されることもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/107
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108・田中寿美子
○田中寿美子君 先ほど須藤委員から御質問あったのですけれども、住宅、家財について甚大な被害があった場合というのの中に、さっきは農民の田地田畑の話が出ましたけれども、たとえば商店の場合ですね、その場合、商品なんかが家財の中に含まれるのでしょうか。もし商品が全部流れるというようなとき、それをどのように見積もられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/108
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109・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 須藤委員にお答え申し上げましたように、固定資産、たなおろし資産等の事業用資産は、所得税法におきまして、もう当然事業損失として計算されます。したがいまして、御指摘の家財にあらざる商品が災害によって流失したような場合には、その仕入れ価格であります原価が損失に計上されまして、所得が計算される、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/109
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110・田中寿美子
○田中寿美子君 家財の判定ですけれども、その損失の判定というのはどういうふうになさいますか。それがあやまちがあったり不公平があったりするということがあり得るのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/110
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111・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 確かに価額につきまして認定のむずかしい場合もございましょうが、私どもは、税面におきまして、大ざっぱな時価を基準といたしまして、その半分が損失になったかどうかを判定しております。いままで、私どもが災害の際に、その価額の認定の際に、税務署との間にトラブルが非常にあったということは聞いておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/111
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112・田中寿美子
○田中寿美子君 いままでの災害免除法適用状況という資料をいただいたのですけれども、非常に金額としては小さなものでございますね。四十一年度に適用されるのは、昨年度の二十三号、二十四号台風なんかに関係したものが多いだろうと思うのですけれども、それを免税額ですね、どのくらいに見積もっておいでになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/112
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113・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 御指摘のように、災害減免法の適用金額はわずかでございます。これはもう所得税法の雑損控除によってより完全な形で救済される結果、災害減免法による適用は非常に少ない。しかし、先ほども申し上げましたように、これは大ざっぱに簡単に減免する方法でございますので、両者相まちまして、災害を受けた方の救済方法になっております。金額はもう幾らにも四十一年度もならないと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/113
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114・田中寿美子
○田中寿美子君 私は要望をして終わりたいと思いますけれども、私たち減税法案に対しては非常に不満だということで反対したわけなんです。で、そういう意味で、しばしば大蔵大臣もおっしゃっているような、現時点における八十万円までの課税最低限度引き上げというようなその考え方を、できるだけ早急に実現してくださいますようにお願いしたいと思いますけれども、大蔵大臣、いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/114
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115・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) なかなか一挙にはまいらぬ問題でございます。粘り強く努力をいたしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/115
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116・柴谷要
○柴谷要君 最後の質問ですが、いよいよ採決しなければならぬ。粘るつもりであれば幾らでも粘れますが、大臣の顔を見たらそうも粘れない。いま、うちの田中先生からいろいろ質問がもりましたけれども、大体これは保険に入って保険の支払いを受ければ、ほとんどこれは効果がないですね。そうでしょう。そうすると、一部分の人が救済されるだけなんです、保険なんかに入らないような人が。だから、災害が起きた場合には、一体この法律によって救済されているのは何%ぐらいですか、それをちょっと聞かしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/116
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117・塩崎潤
○政府委員(塩崎潤君) 御指摘のように、災害金額のうちから保険で受け取りました金額は控除されるわけでございます。先ほども何回も申し上げましたが、わが国は災害の多いほうでございまして、災害者に対しまして税法上救済される数は相当あるわけでございます。しかし、これは雑損控除の適用を受ける方、災害減免の適用を受ける方、二つございます。雑損控除の適用を受ける方は三十九年度の実績では六千八百六十三人、それから災害減免法の適用を受ける方は、申告所得税で五百六十九人、源泉所得税で六千百七十八人、こんなような結果でございます。納税者二千万をこえておりますが、その納税者のうちでは、きわめてわずかでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/117
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118・柴谷要
○柴谷要君 わずかな人でも救われることについては非常にけっこうなことであるから、この法律案には賛成である。
次は、私は都市開発資金の問題で先ほど質問したのですが、これは大臣に一言ぜひ頼んでおきたいと思いますが、建設省が二百三十億を四十一年度の予算に要求をしたのですけれども、それの一割にも満たない十五億しか大蔵省の査定がされなかった。これで都市開発資金融通特別会計法なんてれっきとした法律をつくって、それで国民の前に都市の開発をやるのだと大みえを切ったって、これはどうも内容を知ってみると、なかなか承知ができない問題なんですよ。しかし、もう答弁の中で、逐次いいことであるから増加をするように努力をしていきたいというなかなか熱意のある答弁がありましたが、大臣もそういうお考えでございますか、そのお答えを願っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/118
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119・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 私もそのとおり考えます。これはですね、都市内に介在する土地を買い上げる。工場の敷地になっているようなところ、そういうところが多かろうと思う。そうすると、これは具体的な計画——計画というか、そういう対象物でもあって、そうして買うということでないと、これは相当いろいろな影響が出てくると思うのです。つまり、政府のほうで買いなさいというようなことになったら、地価の高騰とか、いろいろ影響が出てくると思う。それで、大体昭和四十一年度では見当をつけまして、あれなら大体適正な値段で買えると、こういうことから、十五億ということになってきておるわけでございまするが、これは公害対策というような見地から特に重大な問題であります。また、広くは過密都市というようなことにも貢献できると思う。その行き過ぎにならないように配意しながら、極力この施策は進めていきたい、こういうふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/119
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120・柴谷要
○柴谷要君 最後に、一問。これはこの法律案とは関連がございませんが、前任者の田中大蔵大臣がかつてこういうことを言われた。東京大学の移転をひとつ考えている、こういうことを大蔵委員会で言われたのですが、福田大臣はやはりそのようなことをお考えになっておりますかどうか、それをちょっとお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/120
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121・福田赳夫
○国務大臣(福田赳夫君) 東京大学が移転する、これは一つの考え方と思います。しかし、それはタイミングの問題だと思います。いま東京大学を移転したらいいか——これはずいぶん金がかかると思います。それだけの金があれば住宅を建てればいいと、こういうような問題がいろいろあると思います。そういうような問題ともかみ合わせて、少し余裕が財政上できてきたときの問題かと思うのでございます。趣旨は私は賛成でございますから、その時期というものはよほど考えてみなければならぬと、かように考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/121
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122・柴谷要
○柴谷要君 終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/122
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123・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 他に御発言もなければ、両案につきましては質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/123
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124・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
それでは、まず、都市開発資金融通特別会計法案の討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/124
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125・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。都市開発資金融通特別会計法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を求めます。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/125
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126・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
次に、災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして討論に入ります。御意見のおありの方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますから、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/126
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127・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/127
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128・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、これら両案につきまして議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/128
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129・徳永正利
○委員長(徳永正利君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後零時三十九分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114629X01719660412/129
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