1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年二月二十四日(木曜日)
午前十時十八分開会
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委員の異動
二月二十一日
辞任 補欠選任
天坊 裕彦君 堀本 宜実君
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出席者は左のとおり。
委員長 林田 正治君
理 事
沢田 一精君
原田 立君
委 員
小柳 牧衞君
高橋文五郎君
津島 文治君
占部 秀男君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
松本 賢一君
市川 房枝君
国務大臣
国 務 大 臣 福田 篤泰君
政府委員
行政管理庁行政
管理局長 井原 敏之君
行政管理庁統計
基準局長 後藤 正夫君
行政管理庁行政
監察局長 稲木 進君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
(地方事務官制度に関する件)
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001・林田正治
○委員長(林田正治君) ただいまより地方行政委員会を開会いたします。
地方事務官制度に関する件を議題といたします。
御質疑の方は順次発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/1
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002・占部秀男
○占部秀男君 前回の委員会で事務、事業の再配分の問題に関連をして、臨時行政調査会の答申についての問題、特にもうここ十数年来の引き続いて問題になっておりますいわゆる地方事務官制度に関する問題点についてお伺いしたわけでありますが、きょうは自治省のほうは、大臣のほうも、行政局長のほうも、その御意見がはっきりあのときにはされていただきましたので、主として行政管理庁関係、特に長官のほうに御意見を承りたいと思うわけでありますが、もちろんこの問題は、総理も私のせんだっての施政方針に対する代表質問の中で、臨調の答申については、これはもう尊重して、自分在任中でもひとつできるだけやれるものはやるのだ、こういうお話であったのですが、特にその中のいわゆる国費職員の身分移管の問題については、これはもう言うまでもない長い間の懸案でありますが、こうした点について、一応臨調の答申というものを尊重して、長官にはひとつ努力してもらわなければならぬじゃないかと、こういうように思うのですが、まあ御意見というか、お考えをちょっと承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/2
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003・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 地方事務官の問題は、御指摘のとおり、ずいぶん長い間の未解決の問題でございます。臨時行政調査会も、地方事務官制度はこれは廃止することは当然だ。さらにまた、地方制度調査会でも昨年同じような答申を出しております。政府といたしましては、こういう調査会あるいは臨調という答申を尊重するというのがたてまえでございます。尊重するたてまえで、何とか早目に解決する努力をいたしたいと、目下検討し、またいろいろ努力中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/3
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004・占部秀男
○占部秀男君 そこで、長官のほうから何とか早く解決したい、そして努力中である、こういうような御答弁があったわけでありますが、これは事がもう臨調の答申の問題、しかもそれに沿って、いま御案内のように、これは長官のほうで各実態調査に入っておるという段階ですから、非常にしつこいようでありますが、少しこの際問題点の基本的な点も明らかにしておいて、将来この問題を扱う場合に、われわれがやりやすいようにひとつしてもらいたいと思いますので、少し初歩的な問題についてもお尋ねをするかもしれませんけれども、お願いをしたいと思います。
というのは、この事務は、言うまでもなく、いまの地方団体にとっては機関委任の問題になっておるわけです。そこで、団体委任の事務、事業なら、これは当然固有事務と同じ都道府県、市町村のいわゆる事務と、こういう形になりますから問題はございませんけれども、機関委任であるところから今日まで延びておる。一つの何というか、要素というか、そういうものが、それ以外のものも大きな問題はあるわけですけれども、やはり一つあるわけであります。その点について私は明確にしておきたいと思うのですが、少なくとも国の事務であるという性質は、これはもうもちろん機関委任の場合でも明らかに持っておるわけですけれども、委託、委任された長が、これはもう国の機関としての立場からその事務の処理を一応しておるわけですから、したがって、委任された事務、事業の管理・執行の責任は、これは全面的に知事なりあるいは市町村長、特に私は限定して労働関係と厚生関係ですね、保険、職安、その他のいわゆる地方事務官制度のこれに限定して申し上げるのですが、その場合に、知事が管理・執行の直接の責任を全面的に持っておる、かように私は考えるのですが、その点は長官としてどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/4
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005・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 御指摘のとおり、機関委任でありますから、本来知事なり委任された者がいろいろ執行上につきましての力を持つべきでありますが、御案内のとおり、人事権は本省が握っておるという実態でございます。
なお、大体一万八千人以上にのぼる地方事務官制度自体も、主務官庁がそれぞれ御承知のとおり反対の意向を持っておる。なかなか職域の問題、それから本省との関係、それから委任された側の立場におけるこれら非常に複雑な問題が残っております。したがって、あらゆる具体的な問題についての掘り下げをして、実態調査をしているのが現状でございます。筋から申すならば、やはり答申のとおり、機関委任である以上は、人事権を握っておるということは不合理ではないかという感覚を私どもも持っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/5
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006・占部秀男
○占部秀男君 いま大臣の言われたように、現在の地方事務官制度そのものが、現実に照らして不合理ではないか、こういうようなお話で結論的には尽きるのですけれども、やはり問題は、ここで結論的にそれで尽きるといっても、これは国会上の問題になると、厚生省、労働省いろいろの関係がありますから、したがって、私はその内容の点についても、どうもしつこいようですが、明確にしておきたいと思うのです。というのは、そういうような状態にありながら、今日のままに置かれておるということの一つには、やはり機関委任であるというところから、国が指揮監督といいますか、監督権を持っておるというところにまた一つの問題が私はあるように思うのです。というのは、その監督権の内容の問題についてある程度渡さないというような事態を厚生省なり、あるいは労働省なりで考えておる、一つのファクトになっておるのじゃないかという感じがするのです。そこで、この監督権の問題を明らかにまずしておきたいと思うのですが、少なくとも、この機関委任の場合の国の監督権というのは、いわば一口に言えば、一般的な意味の監督権というか、最終の責任は国にあるのだという、そうした意味の監督権であるというふうに私は考えるのです。というのは、なぜまあそういうことを考えるかというと、一体、現実に行なわれておる監督の実態というものを、幾らか私も調べてみたのですけれども、主としていま行なわれておる国の機関委任の事務に対する指導監督の方法は、いわば事務処理の状況を知るために報告を徴するとか、あるいはまた事務、事業のその問題についての書類の点検といいますか、検閲といいますか、それをするとか、あるいは実地に事務を視察したり、そういうような、あるいは許認可、こういうような点が中心になっておる。そういう意味では、直接の管理執行という問題については、いわば何といいますか、上級官庁が下級官庁に対する監督のような、何というのですか、一般的な意味の、どうも言い方がぼくは法律的にはあまり訓練されていないのであれなんですが、いわゆる最終的な責任は包括的には国にあるのだという程度の実際の監督権の内容ではないかと、こういうように思うのですが、その点、まあ管理局長でも大臣でもけっこうでありますけれども、お願いしたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/6
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007・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 私の承知いたしておりますところでは、国の機関委任事務に関しましては、都道府県知事あるいは市町村長が国の行政機関の立場に立つと思います。その場合におきましては、現在の制度上は国家行政組織法たり地方自治法によって主務大臣は指揮監督することができるというふうになっております。ただ、御承知のように、地方自治法の百四十六条でも、業務執行命令のやり方等につきましては、普通の国の直轄の出先機関を指揮するようにはまいらない、非常にまあきびしい、いわゆるマンデマス・プロシーディングといいますか、高等裁判所にかけてやるというか、非常に地方自治を尊重する趣旨から出た制度が加わっておりますけれども、少なくとも国の機関としてやる面につきましては、指揮監督をするというのは、国家行政組織法なり地方自治法のたてまえであるように私は存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/7
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008・占部秀男
○占部秀男君 そこで、いまの局長のお話は、それなりに私も正しいと思うのですが、それだけでは、まだこの問題の、いま長く長引いておるという問題を解決する場合に足りないのではないかと思うのですよ。という意味で私はお伺いをしたいのですが、行政組織法の十五条の中に、これは私言うまでもない字句があるわけですね。また、それを受けて、地方自治法では、国の機関として地方に対する監督権の問題で百四十六条にあるわけですけれども、たとえば知事のやり方が誤っておる、あるいはまた知事のやり方が国の委託した方向についてなまけておる、こういう場合には、直接国の機関である大臣なり、またはその他の国の機関が、おまえはやめろ、おれがかわって執行する、こういうわけには直接はいかないわけでありますね。やはり裁判上の問題であるとか、いろいろその間には、これは私が言うまでもないことだからあれですが、手続上の、法令上の問題であるとか、裁判上の問題であるとか、そういった問題があるわけですね。したがって、直接の執行管理の全責任というものは、そうした意味でこれはあくまで知事にあるのだと、知事なんだと、現場の。そういう点が明確に言えるのじゃないかと思うのです。国がやはり、かりに知事の現場の管理執行をやめさせよう、あるいはこれをかえさせようという場合には、国の機関の立場におまえはあるのだから、すぐやめろというふうにできないことになっておりますので、それだけに知事の管理執行という現場の責任というものは、いわゆる全責任を知事が負っている、それは国の機関としての立場かもしれませんけれども、負っていると、こういう点だけは私は明確に規定づけられておるのじゃないかと思うのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/8
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009・井原敏之
○政府委員(井原敏之君) 地方自治法の解釈につきましては、私が申すのはどうかと思いますが、自治省当局が見えておりますので……。私どもの理解では、地方自治法百四十六条がああいうきびしい条件をつけております趣旨からいいましても、いま占部委員のおっしゃったように、国の直轄の出先機関を指揮し監督するということとは、非常に別な配慮をしておるということは、法令上でも読み取れると、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/9
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010・占部秀男
○占部秀男君 その点についての佐久間行政局長の意見を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/10
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011・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 国の機関委任事務につきましては、知事の場合でございますれば、知事がその管理執行について責任を持ってやっていくのだ、団体の事務と同様に管理執行については責任を持ってやっていくのだということは、私も先生のおっしゃるとおりだと思います。その長に対しまして、国としてどういうコントロールができるかということにつきましては、一般的な規定といたしましては、先ほど御指摘のありましたような国家行政組織法あるいは地方自治法の規定がございます。なお、それぞれの法律に格別の規定がある場合もあろうかと思いますが、ございませんければ、ただいま申しましたような規定でございます。私の関係では地方自治法の百五十条という規定でございますが、これは主務大臣が指揮監督をするという規定がございます。この指揮監督の中身といたしましては、先ほどおあげになりましたように、報告を徴するとか、指示をするとか、検閲をするとかいうようなことが含まれておるものと解釈いたしますし、なお、さらに代執行をさせます場合には百四十六条のいわゆるマンデマスがあると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/11
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012・占部秀男
○占部秀男君 佐久間さんね、したがって、現場における機関委任された、具体的にいえば労働あるいは保険、これの現場における管理執行の全責任は、第一段としてはあくまで知事にあるのだ、こういう点をぼくは考えておるのですが、その点を明確にひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/12
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013・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのとおりと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/13
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014・占部秀男
○占部秀男君 そこで大臣にお伺いしたいのですが、それほどの全面的な責任を持たなければならない知事、その知事のもとで行なわれておる今日のこの二つの労働あるいは社会保険関係についての仕事が、現在の地方事務官制度のもとでは知事が全面的に責任をとれるような状態になっているかどうか、こういう点について御意見を私は伺いたい。というのは、人事の問題、予算権の問題、服務紀律の問題、あるいは勤務条件の問題、いろいろと問題が職員の中にあるわけですね。そういうような現状で、一体知事が責任を持てるような事態にあるのかどうか、地方事務官制度そのものが。そういう点についてひとつ御見解を承りたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/14
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015・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 現在具体的にいろんな方面につきまして、掘り下げて実態調査をいたしておりますが、そのうちはっきり結論が出ると思いますから、いまの段階で申し上げられることは、人事権の問題あるいは特別会計の問題、その他、完全に知事が責任を負えるような体制ではないのじゃないか、いろんな矛盾が残されておる、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/15
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016・占部秀男
○占部秀男君 この点については、私は前回のこの委員会でこまかく人事問題給与問題、それから服務紀律の問題やその他の問題をやりましたんで、きょうはこの問題はまた二度はいたしません。いたしませんけれども、一つだけ、私は一番、特に長官にこの問題で御意見というか、考えていただきたいと思うことは、この職員の人事交流の問題、任免権の問題等で、いろいろと知事の思うようにいかないというような問題や給与差の問題、そういった問題は別にしても、県民の側から見れば、いわゆる国民の側から見れば、この仕事についての全責任は一応知事にある、こういうふうにみな思っておるわけですね。ところが、たとえばこの問題について仕事上の大きなトラブルが起きた、あるいはまたこの仕事に関連をして、これはもうときどき例があるんですが、たとえば東京都の場合、四、五年前ですか、林君という、私も知っておりますが、当時の保険課長ですね、それがリベートを取った問題で、大きな問題になって新聞でもたたかれた。一体知事は何しているんだといって、都議会でうんと追及されたけれども、実際の任免権もないし、これどうも知事としては申しわけがないというだけの話であって、どうにもならない、こういう事態があったわけですが、この例は単に東京都だけの例じゃなくて、大なり小なり全国的に私はあるということを聞いております。京都の場合も福岡にもそういうことがあったということも聞いております。いずれにしてもこういうことは、私はこれは好ましくないことであるということは言えるのでありますが、国民に対してこの事務、事業についての責任を持つ政府の行政のあり方としては、非常に遺憾である、かように私は考えるんですけれども、大臣の御意見はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/16
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017・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 先ほど申し上げた臨調の答申、または地方制度調査会の結論、こういう点から照らしましても、理論的には私は通ると思います。いろいろ解決すべき点がそのまま残されておるということは、遺憾ながら認められると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/17
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018・占部秀男
○占部秀男君 そこで、一体知事会はいまこの問題についてどういう動向にあるのか、これはむしろ佐久間さんに聞いたほうがいいかもしれませんけれども、行政管理庁のほうにも知事会のほうから何かそういう点について、申し入れというのはおかしいんですが、何というのですか、お願いとか、そのあれとか、そういう問題がありますか。まず自治省のほうも、佐久間さんに聞きたいと思うんですが、知事会の動向も聞きたいと思うんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/18
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019・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 最近のことといたしましては、地方制度調査会で事務配分の審議をされております時期におきまして、知事会から事務配分に関する意見が提出されまして、その中に地方事務官制の廃止について要望がなされたように伺っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/19
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020・占部秀男
○占部秀男君 それで知事会と言わずに、個人と言っちゃおかしいのですがね、知事の中には、この身分移管の問題について反対の意思表示もしくば反対であるという意見を出されておるところがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/20
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021・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 個人的にはどういうお考えを持っておられるか、これは別段の御意見の方もあろうかと思いますが、公式に発表されたものにつきましては、地方事務官の移管の問題につきまして、反対だということは聞いたことはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/21
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022・占部秀男
○占部秀男君 地方議会、特にこの問題は県議会ですがね、都道府県議会ですが、都道府県議会の中には、積極的に移管をしろという決議を行なって、そうして政府のほうへそれを上申というか何というか、申し入れというか、した例が相当最近にはあるということを聞いておるのです。福岡でこの間もやったとか、あるいは都議会がずっと、二、三年前にやったとか、そういうことを聞いておるのですが、地方議会の動向はどうでありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/22
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023・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 個々の議会の件につきましては、私ただいま正確に記憶をいたしておりませんが、先ほど知事会について申し上げましたように、地方制度調査会の審議の段階におきまして、都道府県議長会からも同様な意見が出されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/23
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024・占部秀男
○占部秀男君 そこで私管理庁長官にお伺いしたいのですがね、地方事務官制度そのもののあり方についても、いま長官からそういう話があったと、それで当該の知事会からも、あるいは議決機関である地方議会ですね、県議会はそれに対する要望をいましておる、非常にそれが熾烈になってきておる。私の調査では、具体的に言えば、時間がございませんから、もうそういう点は省きますが、県の名前をあげてずっとやっていってもいいのですが、いま知っておるのを……。こういう中で、私は管理庁には、これはぼくの勉強不足かもしれないのですけれども、行管の長官の権限などを見ると、「行政機関の機構、定員及び運営に関する調査、企画、立案及び勧告を行うこと。」ということになっておるのですね。こういう点については、むしろ長官の自主的な立場から、各省との話し合い、あるいはまた勧告という字はどういうふうなときに使うかわかりませんが、できればそうすべきであるという勧告ですがね、そういうものを積極的に行なうべきではないかと思うのですが、長官はそういうことをやったことがございますか、あるいはまた今後そういう問題についてやろうという意思があるかないか、お伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/24
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025・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 関係の三省の主務官庁との間で——運輸大臣あるいは厚生大臣、労働大臣と、実は昨年来二、三回でありますが、非公式に、率直に、どういうところに反対するか、われわれも全国の組織をいま動員して調べておりますが、反対の根拠、それから具体的な事例、そういうものにつきまして話し合いを進めております。ただ、先ほど申すとおり、なかなか反対の態度が強うございます。もし実施した場合にどういう具体的な混乱が起こるか、やはり主務官庁と話し合いを円満につけまして、合理的な線を見出す努力は続けておりますが、裏づけの資料がまだ完全に整っておりません。ただ御指摘のとおり、やはりずいぶん前から当分の間という暫定的な措置としてこしらえたことでありますので、もう早くそろそろ結論を見出しまして、すっきりした線で勧告いたしたいと念願いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/25
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026・占部秀男
○占部秀男君 いま長官からまたさらに加えて、附則第八条の問題が断定的な処置であるという意味のお話があったので、非常に私の話がスムースに質問がいけるわけなんですが、そこまで長官もきておるし、いま言ったように、知事会その他の条件も整っておる。その中でなぜこの問題が厚生省なりあるいは労働省なりの反対でこれが実現できないかというところに、私たちは非常に国政の上から大きな疑問を持たざるを得ないんですね。それで、一体その臨調の今度の答申の内容は、これはもう私が言うまでもないんですが、この内容によると、こう書いてあるんですね。「都道府県に機関委任されているが、」、この地方事務官の問題が、「人事権が今なお本省に属していることは、地方事務官を「当分の間」存置するという昭和二十二年制定の附則第八条の規定の趣旨に反し」ておると、こういうふうに、もう明確にこれは言っておるんですね。しかも、こんなにまでひどく言われておりながら、その問題が前進をしないということは、これは非常な私は問題であると思うんですね。これは厚生大臣と労働大臣に来ていただかなくちゃならぬ問題に将来なってくると思うんですが、これほどまで言われておる問題が、それができないという中には、私はまあ率直に言えば、身分移管をすることは正しいんですけれども、官庁間のなわ張りで、自分たちのなわ張りをいわば狭めるのがいやだと、そこでこういう問題についてはごね得なんでごねておると、こういうふうにしか私たちには考えられない。つまり、国の国民のための事務、事業、国民の公共の利益を守るための事務、事業というよりも、自分たちのなわ張りの確保をするための、自分たちの利益を守るための行動と、こういうふうにわれわれはどうしても考えざるを得ないんです。というのは、たとえばいま地方のほうへこれが身分移管されてしまうと、本省関係から各府県の保険なりあるいは労働関係なりの官署に行くような交流が非常に閉ざされるんじゃないかとか、まあいろんな問題があるでしょう。とにかくそういうふうな感じがしてならないのですが、一体、そういうふうな厚生省なりなんなりが反対しておるというその理由のポイントは一体どこにあるんですか。長官ないし局長でもけっこうですが、どういうふうにそういう点はお聞きになっておられますか。もしよかったらひとつ話していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/26
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027・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 実は私も、就任以来行政改革の一つの問題として、この問題についてはずいぶん長い間、なぜ解決しなかったか疑問を、率直に申し上げて、持ったわけであります。そこでいろいろいままで記録を調べたのでありますが、ほとんど反対というものが抽象的でありまして、つかみにくいのであります。そこで実はいま権限移譲に関連した許認可事項の整理をやっておりますが、大体三百七十九のうち五三%ぐらい本年度内に整理できます。そういう裏づけの方面の資料がためを行なうと同時に、もう少し具体的な、反対する場合の根拠なり、それにいろいろそれから起こる働く立場における気持ちなりそれから理由というものを、もう少し掘り下げて裏づけをしたいというわけで、先ほど申したように、実態調査を急がしておるわけであります。いまのところ、遺憾ながら各主務の官庁からまだ私どもの納得のいけるようなものは出ておりません。しかし、なるべく早く急いで、この際だれが見ても合理的な、またうなずける、反対すべきは反対、また尊重すべき反対なら当然われわれもまた尊重しなければならぬ。基本線はきまっておるわけであります。ただ、それを実行する場合に、ただ答申を尊重というだけで押し切るにはまだ早過ぎます。裏づけを急いでおるというわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/27
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028・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、いまの調査はこの長官のいま言われたような意味での調査でありますから、したがって、臨調の答申を受けて、まあいわば身分移管の問題の方向で調査を行なっておると、こういうふうに考えてもよろしゅうございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/28
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029・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) これは実態調査の、何と申しますか、臨調の精神に照らしてやっておるわけでありますから、まず第一に、先ほど申したように、主務官庁の反対の根拠をもっと具体的に整理する、それから、運営の場合の問題につきましてもいろいろな問題が残っておるという点について、いまこまかくいろいろ範疇を分けまして検討中でございます。対象も地方自治法の施行規程の、御承知の第六十九条、これに関連した問題と、それからさらに、まあ労働事務官ですか、そういう点も合わせて、含めて調査対象といたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/29
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030・占部秀男
○占部秀男君 いまの大胆のことばの中にちょっと出たので、これは念のために言っておきますが、今度の地方事務官制度ですね、この問題点には、もちろん地方の事務官というか、いわゆる労働事務官という名前のものがありますね、これも全部含めての問題点であると、かようにいま大臣からはっきりと確認していただいていいわけでありますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/30
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031・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) これは臨調でもその点指摘していますが、最近のまあ需要状況、労働需要の観点からいって、広域的な立場から監察しろという方針が出ております。私ども正しいと思います。したがって、まあ厳格に言えば、県庁内にあるいわば地方事務官でありますから、労働事務官もやはり含めて、関連したものとして調査をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/31
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032・占部秀男
○占部秀男君 そこで、いま長官の言われたように、従来両省の反対というものが抽象的なものであったと、そうして、この調査でその裏づけをしなきゃならぬほどそれはまあ抽象的なものであったと、いままでの調査ではどうも反対の、まだ納得のいけるほどの事実的なものはまだ出てきていないようだと、こういうまあお話です。そこで、この納得のいけないという調査の結果がですね、これはまあ仮定の問題ですから少し言いにくいと思うのですけれども、ぼくはまあ長官の立場をあまり若しめたくはないわけですから、これはあれですが、納得のいくようなこの裏づけの事実がないということになれば、これはもう早急にこの問題については法律改正に踏み切ってもらわなくちゃならぬと、こういうふうに思うのですが、長官の御意見はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/32
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033・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) これは先ほど来申し上げますとおり、何とかしてそろそろもう解決する段階であると考えております。ただ、やはり反対する側に相当強い反対が引き続き表明されておりますので、やはり政府部内といたしましては、納得いく一つの根拠がなければ、私ども直ちに結論を急ぐこともどうかと思います。したがって、いま慎重にやっておりますが、結論が出次第われわれの考え方をまとめて発表いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/33
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034・占部秀男
○占部秀男君 そのね、結論が出次第ということは、まあ要するに、出なきゃいかぬと思うのですけれども、この調査自体がね、この調査に基づいて移管するか移管しないかという調査では私はないと思うのですよ。なぜならば、臨調の結論はもう出ているのですね。で、総理もこれを尊重すると言っておるのですね、本会議で。まあ自治大臣はもちろんですよ、これはもう尊重してやっていかなくちゃいかぬ、むしろできるならば、自治省だけでも立法化を早く出したいのだと、ところが、両省間がなかなか問題があるので出せないでいるのだという実態なんですね。したがってですよ、これはもう結局、いまやっているのは、反対をしておるその反対についてですね、反対はできないようにするための私は調査じゃないかと、まあ実際結論的に言えば。両省間の反対ができないようにするための調査ではないか。ということはですね、ただ単にその臨調のあれが出たからといって、すぐにそのまま法律改正だというわけにも、両省の反対もあって、いかぬだろうから、したがって、その内容を見て、ある程度それを押えるための一つのテクニックというか、一つの、何といいますか、それが政治ですかもしれませんけれども、そういうような意味合いの調査であって、この調査の結果によって地方事務官制度の身分移管をするかしないかをきめるんだというのでは、臨調の答申なんというものは、こんなものは必要ないわけですから。そうでしょう。臨調の答申なんか必要ないでしょう。臨調の答申を尊重するということば自体がおかしいんじゃないかと私は思うのですが、そういう点はどうですか。もう一歩はっきりと言ってもらえませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/34
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035・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) いま具体的にあらゆる項目をつかまえまして全国的に調査中でございます。先ほど来申し上げているとおり、調査の方針と申しますか、あり方については、臨調の答申を尊重いたしております。この点を大体御了解いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/35
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036・占部秀男
○占部秀男君 まあこの問題は、結局は、厚生省とそれから労働省と自治省との中に関連した問題であるので、おそらく行管の長官としては、私のほうだけでやりますと言うわけにはいかぬ問題であるということは万々私も承知しておりますから、結局、問題の最後は総理の断になってくると私は思うのですよ。そこで、きょうの質問は、長官もだいぶはっきりと言っていただいたので、私はこれで打ち切りたいと思うのですが、ただあとで加瀬理事が来たときに、委員長のほうにお願いしたいのですが、結局、こういうふうに長引いておるということの原因、その原因をやはり究明するためには、労働大臣とそれから厚生大臣にやはり来てもらって話をしてもらわなくちゃならぬと思うのですね。そういう機会を、この次すぐとは言いませんけれども、ひとつつくっていただきたいと思います。その点だけはひとつお願いをしたいと思うのですが、それできょうのそれじゃ長官に対する質問はこれで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/36
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037・林田正治
○委員長(林田正治君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。
なお、次回は三月一日午前十時開会の予定でございます。
本日は、これにて散会いたします。
午前十一時四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X00819660224/37
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