1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十七日(木曜日)
午前十時十一分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 林田 正治君
理 事
小林 武治君
沢田 一精君
加瀬 完君
原田 立君
委 員
小柳 牧衞君
高橋文五郎君
竹中 恒夫君
津島 文治君
天坊 裕彦君
占部 秀男君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
松本 賢一君
市川 房枝君
国務大臣
国 務 大 臣 永山 忠則君
政府委員
警察庁長官 新井 裕君
警察庁保安局長 今竹 義一君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
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本日の会議に付した案件
○銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一
部を改正する法律案(内閣提出)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01019660317/0
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001・林田正治
○委員長(林田正治君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
提案理由の説明を願います。永山国務大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01019660317/1
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002・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) ただいま議題となりました銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概略を御説明いたします。
この法律案は、最近における銃砲による犯罪並びに事故の状況にかんがみ、猟銃及び空気銃の所持に関する講習会及び所持の許可の更新の制度を設けるとともに、銃砲の所持の許可についての基準を整備する等、その所持、使用及び保管に関する規制を強化するほか、猟銃等に使用される実包、空包等に関する取り締まりの実効を確保するため、その譲渡、譲り受け、輸入及び消費の許可に関する権限を都道府県知事から都道府県公安委員会に移管すること等をその内容とするものであります。
まず、猟銃及び空気銃の所持に関する法令及びその取り扱いについての講習会の開催並びにこれに関連して所持の許可の基準を整備することについて御説明いたします。
現行法においては、猟銃及び空気銃の所持の許可を受けた者の法令及びその取り扱いに関する安全準則等の知識については、これらの者が自主的に修得するものであるというたてまえをとっているのでありますが、最近猟銃及び空気銃を所持する者が増加していること等もあって、事件及び事故の中にはこれらの知識が不十分のために発生しているものもありますので、都道府県公安委員会は、猟銃または空気銃を所持しようとする者を受講者として銃砲の所持に関する法令及びその取り扱いについての講習を行なうものとし、この講習会の修了者または鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく狩猟者講習会の修了者等、これと同等以上の知識を有する者として政令で定める者でなければ、猟銃または空気銃の所持の許可をしてはならないことといたしたのであります。
次に、猟銃の所持の許可の制限年齢の引き上げについて御説明いたします。
銃砲刀剣類の所持の許可は、産業用銃砲の所持に対する考慮及び火薬類の取り扱いとの関連から、その制限年齢を、空気銃についての特例を除いては一律に十八歳と定めているのであります。しかし、猟銃はきわめて危険なものであり、昨年七月には神奈川県及び東京都において未成年者による猟銃乱射事件が発生しており、他方未成年者は鳥獣保護及狩猟法ニ関スル法律により狩猟を禁止されているところでもありますので、政令で定める射撃選手等を除いては、二十歳未満の者には、猟銃の所持の許可はしないこととしたのであります。
次に、猟銃及び空気銃の所持に関し更新制度を採用したことについて御説明いたします。
現行法においては、銃砲刀剣類の所持の許可は、拳銃の所持の許可の一部について期限を付することとされているほかは、永久許可制をとっているのでありますが、所持許可者の身体的条件等はもちろんのこと、銃砲の機能等も変化するものであり、他方猟銃及び空気銃は危険でありますので、その取り締まり密度を高めるため、猟銃及び空気銃の所持の許可については、五年ごとに更新を要することとしたのであります。
次に、銃砲の所持の許可対象たる用途に関する規定を整備したこと及びこれに関連して銃砲の使用に関する制限を明確にしたことについて御説明いたします。
現行法においては、銃砲の所持の許可対象たる用途に関する規定が明確でない点がありますので、この点を改め、用途と銃砲との関係を明確にするとともにこれに関連して銃砲は許可にかかる用途以外には使用してはならないこととしたのであります。
次に、許可をしてはならない銃砲の構造等の基準を政令で定めるとともに、所持許可を受けた者に対して、その基準を維持する義務及び危険な付属品を所持してはならない義務を課することとしたことについて御説明いたします。
所持が許可される銃砲は、その用途に応ずる機能構造を持てば足りるものであり、危害防止の観点からも悪用されやすい構造の銃砲は規制するのが至当と考えられますので、所持の許可をしてはならない銃砲の構造等の基準を政令で定めるとともに、許可された後においてもこの基準に適合するように銃砲を維持しなければならないこととし、これに関連して、猟銃等に装着できる消音器、一定数以上の多連装弾倉及び一定の長さ以下のかえ銃身を所持してはならないこととしたのであります。
次に、銃砲の適正保管義務の新設について御説明いたします。
現行法で銃砲の保管義務については一部の拳銃についてのみ規定され、他は所持者の良識に期待しているのでありますが、所持の許可を受けた銃砲について家族、友人等の持ち出しによる事件及び事故が多発していることにかんがみ、保管にあたっては実包等を装てんしないでみずから保管しなければならないこととしたのであります。
次に、猟銃等の所持許可の取り消し事由としてこれらの銃砲に使用される実包等に関する火薬類取締法の違反を加えることについて御説明いたします。
これは、次に御説明いたしますように、都道府県公安委員会が猟銃用の実包の譲り受け等を規制することに関連して、これらの実包等についての火薬類取締法違反については、銃砲刀剣類所持等取締法違反と同様に評価して、猟銃等の所持の許可の取り消し処分ができることとしたのであります。
次に、猟銃等に使用される実包、空包、銃用雷管及びこれらに用いる火薬の譲渡、譲り受け等の許可の権限を、都道府県知事から都道府県公安委員会に移管することとした火薬類取締法の改正について御説明いたします。
現行の火薬類取締法においては、猟銃等に使用される実包等の譲渡、譲り受け等の許可は、他の火薬類と同様、都道府県知事が行なうことになっておりますが、銃砲による危害を防止するためには、それに使用される実包等についても、都道府県公安委員会が一元的に規制する必要がありますので、これらの火薬類の譲渡、譲り受け、輸入及び消費の許可は、都道府県公安委員会が行なうこととするよう火薬熱取締法の一部を改正することとしたのであります。
最後に、これらの改正に関連して銃砲刀剣類所持等取締法に定める手数料徴収事項を追加する等、所要の改正をすることとしております。
以上がこの法律案の提出理由及びその内容の概略であります。何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同を賜わらんことをお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01019660317/2
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003・林田正治
○委員長(林田正治君) 次いで補足説明をお願いいたします。新井長官。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01019660317/3
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004・新井裕
○政府委員(新井裕君) 銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬額取締法の一部を改正する法律案の内容につきまして、逐条御説明申し上げます。
最初は、銃砲刀剣知所持等取締法の改正点について申し上げます。
第一は、銃砲の所持の一般禁止の例外について合理化するための第三条第一項の改正であります。
その一は、今回猟銃及び空気銃の取り扱いに関する講習会の規定を新たに設けることに関連するものでありまして、都道府県警察の警察職員は、この講習会の教材に供するため必要な猟銃及び空気銃を所持することができることとし、あわせて鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく講習会の講習に従事する都道府県の職員についても同様にその教材に供するため必要な猟銃及び空気銃を所持することができることといたしたことであります。
その二は、猟銃等販売事業者または捕鯨用標識銃等販売事業者が、没収その他の理由により国または地方公共団体に帰属した銃砲を競売等の方法により業務のため譲り受けた場合には、その所持について許可を要しないとしたことであります。現行法におきましては、このような場合におきましてもその所持について許可を受けなければならないのでありますが、これらの者は、すでに販売事業の許可または届出により十分な行政監督を受けておりますので、このような場合の所持については許可を要しないことといたしたのであります。
第二は、所持の許可の対象となる銃砲の種類とその用途との関係を明らかにするとともに、銃砲刀剣類の所持の許可はそれぞれの用途に供する者でなければ受けることができないものであることを明確にした第四条第一項の改正であります。
これは、現行法の用途に関する規定が明確でない点がありますので、これを改め、それぞれの用途ごとに許可される銃砲の種類を明記することとしたほか、最近においては指定射撃場における標的射撃は、狩猟のための射撃練習というのみでなく、それ自体が猟銃及び空気銃の用途とされておりますので、その用途として標的射撃を加えることといたしたのであります。
第三は、用途に比し必要以上に威力が強い銃砲、または悪用される危険性の高い構造の銃砲については、許可をしてはならないこととするための第五条第二項の改正であります。
これは、たとえば機関銃式の猟銃に、その用途に比して必要以上に威力の強いものであり、また消音器付きの猟銃は悪用の危険性の高いものであり、これらは危害防止上の観点から許可することが不適当でありますので、銃砲の用途ごとにその構造機能等について一定の基準を政令で定め、この基準に適合しない銃砲については許可をしてはならないことといたしたのであります。
第四は、猟銃及び空気銃の所持の許可の基準の特例を第五条の二として新設したことであります。
その一は、これらの猟銃及び空気銃については、あらかじめ都道府県公安委員会が行なう銃砲の取り扱いに関する講習を受け、その課程を修了した者または鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律に基づく講習を受け、その課程を修了した者等、これらと同等以上の知識を有する者として政令で定める者でなければ、許可をしてはならないこととしたことでありますが、これは、最近における猟銃または空気銃による事件及び事故にかんがみて、銃砲の所持等に関する法令並びにその取り扱いに関し、必要な知識を有することを許可の要件とするのが適当であるからであります。
その二は、猟銃の所持の許可の制限年令を二十歳に引き上げたことであります。これは、猟銃は所持の許可の対象となっている銃砲のうちでも威力が強く危険性も高いので、未成年者に所持させることは、最近における悪用事例にかんがみても適当でないと判断され、かつ、鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律における狩猟年齢も勘案して、その所持許可の制限年令を二十歳に引き上げることといたしたのであります。ただし、国民体育大会の選手または候補者として政令で定める者から推薦される者については、危害予防上も支障がないと認められますので、現行法どおり十八歳とするよう特例を設けることといたしたのであります。
第五は、猟銃及び空気銃の取り扱いに関する講習会の規定を第五条の三として新設したことであります。
これは、さきに述べた第五条の二第一項の規定と関連するものでありますが、都道府県公安委員会はその管轄区域内に住所を有する者で猟銃または空気銃の所持の許可を受けようとする者を受講者として、猟銃及び空気銃の所持に関する法令並びに猟銃及び空気銃の使用、保管等の取り扱いについて講習を行なうことといたしたのであります。講習の内容、方法または時間等につきましては政令で定めることといたしております。
なお、猟銃及び空気銃の取り扱いの技術的な面について、専門的立場から研究、指導をしている民間団体もありますので、これらの民間団体など政令で定める者に講習会の事務の一部を委任することができることといたしております。
第六は、猟銃及び空気銃の許可の更新の制度を第七条の二として新設したことであります。
現行法においては、国際的な規模で開催される拳銃射撃競技に参加する選手等が許可を受けて所持する拳銃などについては許可の有効期間を定めることとなっておりますが、その他の銃砲については永久許可制をとっており、許可された者の欠格事由の調査等については、検査の規定等を活用してその把握につとめているのであります。しかし、猟銃及び空気銃は他の銃砲に比し危険でありますので、その取り締まり密度を高めるとともに、その所持について継続所持の意思を確認する必要がありますので、猟銃及び空気銃については五年ごとに許可の更新を行なうものとし、更新を受けない場合は、その許可は期間の経過によって失効するものといたしたのであります。
第七は、銃砲または刀剣類の携帯、運搬及び銃砲の発射等に関する規定の整備並びに規制の強化をはかるための第十条の改正であります。
第十条の規定は、許可を受けて所持する銃砲または刀剣類の携帯、運搬並びに銃砲の発射に関する制限等を定めたものでありまして、危害予防上重要な規定でありますが、さきに御説明いたしましたとおり、第四条の許可にかかる用途を明確にいたしましたので、その規制の内容を一そう徹底させるため、規定を整備するとともに規制を強化いたしたのであります。第八は、許可を受けた銃砲の保管義務規定を第十条の三として新設したことであります。
現行法においては、国際的な規模で開催される拳銃射撃競技に参加する選手等が許可を受けて所持する拳銃については、使用する場合のほかは警察署長等に保管の委託をしなければならないこととなっておりますが、その他の銃砲については、保管についての規制がなく、所持者の良識に期待しているのであります。しかし、銃砲による事件及び事故の中には保管の方法が適切を欠くことに基因するものが多く見受けられますので、今回危害予防の観点から銃砲の所持の許可を受けた者は、銃砲をみずから保管するものとし、保管する場合には、実包、空包または金属性弾丸を装てんしてはならないことといたしたのであります。
第九は、許可を受けて所持する銃砲を政令で定める基準に適合するように維持すべき義務及びこれに関連して消音器等の付属品等を所持してはならない義務を課するため、第十条の二及び第十条の五を新設したことであります。
これは、さきに御説明いたしました第五条第二項の規定に関連する改正でありまして、許可を受けた銃砲を政令で定める構造等に適合するように維持しなければならないこととするとともに、このような構造等の変更を容易にすることのできる政令で定める消音器、一定数以上の多連装弾倉及び一定の長さ以下のかえ銃身は所持してはならないことといたしたのであります。
なお、試験または研究のためにはこれらの危険な付属品等を必要とする場合がありますので、特例を設けております。
第十は、拳銃等または猟銃の所持の許可を受けた者が、実包、空包等に関し火薬類取締法の規定に違反した場合は当該拳銃等または猟銃の所持の許可を取り消すことができることとするための第十一条第四項の改正であります。
これは、今回火薬類取締法の改正により実包、空包等の譲り渡し、譲り受け等の許可は都道府県公安委員会が行なうこととなりますので、これに関連して、これら実包等について火薬類取締法に違反したときはその者の所持する拳銃等または猟銃の所持の許可を取り消すことができることといたしたのであります。
第十一は、手数料の整備に関する第二十九条の改正であります。
これは、都道府県公安委員会の行なう猟銃及び空気銃の取り扱いに関する講習会の開催並びに猟銃及び空気銃の許可の更新に関する規定を新たに設けることに伴うものでありまして、都道府県は、講習会の開催については五百円、講習を修了した旨の証明書の再交付については百円、許可の更新については四百円をそれぞれ最高限として手数料を徴収することができることといたしたのであります。
次に、火薬類取締法の改正点について申し上げます。
今回の火薬類取締法の改正は、銃砲刀剣類所持等取締法の改正、特に猟銃に対する取り締り強化に関連するものでありまして、拳銃等または猟銃にもっぱら使用される実包または政令で定める火薬及び拳銃等、猟銃または古式銃砲に使用しまたは使用させることを目的とする空包、銃用雷管または政令で定める火薬の譲り渡し、譲り受け、輸入または消費の許可は、一定の場合を除き、都道府県公安委員会が行なうものとする旨の第五十条の二の規定を新設したことであります。
これは、銃砲のうち特に犯罪に悪用されやすく、かつ、危険性の高い挙銃等または猟銃については、その所持のみならず、これに用いられる実包等についても一元的に都道府県公安委員会が規制することが取り締まり上効果的であるので、今回これらの火薬類の譲り渡し、譲り受け、輸入及び消費の許可は都道府県公安委員会が行なうことといたしたのであります。ただ、製造業者、販売業者が行なう輸入等については、それが製造目的または販売目的等業務のための取り扱いでありますので、従来どおり都道府県知事の許可とし、また産業用銃砲に使用する目的で行なわれる空包等の譲り渡し、譲り受け等についても悪用される危険性が少ないことから従前どおりとしたのであります。
なお、このことに関連して、これらの火薬類について、災害の発生の防止または公共の安全の維持のため緊急の必要があると認められる場合には、必要な限度においてその消費につき、都道府県公安委員会が所要の権限を行使し得るよう第四十五条の規定を改めることといたしたのであります。
最後に、この法律は、昭和四十二年一月一日から施行することとし、また、現に所持の許可を受けている猟銃及び空気銃についてはこの法律施行後五年以内に更新を行なうものとする等、必要な経過措置を附則において規定いたしております。
以上が銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案のおもな内容であります。何とぞよろしく御審議をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01019660317/4
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005・林田正治
○委員長(林田正治君) 本案に対する質疑は後日に譲りたいと存じます。
次回は三月二十二日午前十時開会の予定でございます。
本日は、これにて散会いたします。
午前十時三十五分散会
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