1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十二日(火曜日)
午前十時四十四分開会
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委員の異動
四月一日
辞任 補欠選任
伊藤 五郎君 大森 久司君
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出席者は左のとおり。
理 事
小林 武治君
沢田 一精君
加瀬 完君
原田 立君
委 員
小柳 牧衞君
高橋文五郎君
中村喜四郎君
占部 秀男君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
市川 房枝君
政府委員
警察庁長官 新井 裕君
警察庁長官官房
長 浜中 英二君
警察庁保安局長 今竹 義一君
厚生省公衆衛生
局長 中原龍之助君
労働省婦人少年
局長 高橋 展子君
自治省政務次官 大西 正男君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
自治省行政局公
務員課長 森 清君
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本日の会議に付した案件
○銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一
部を改正する法律案(内閣提出)
○地方行政の改革に関する調査
(地方公務員の定年に関する件)
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〔理事沢田一精君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/0
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001・沢田一精
○理事(沢田一精君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案を議題といたします。
質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/1
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002・鈴木壽
○鈴木壽君 厚生省の方、おいでになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/2
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003・沢田一精
○理事(沢田一精君) 公衆衛生局長が見えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/3
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004・鈴木壽
○鈴木壽君 銃砲刀剣の取り扱いで、私非常に心配なのは、一つは、こういうものが暴力団等によっていろいろ犯罪の用に供せられたり、事故を起こしたりなんかする、そういうこと。それから一つは、精神障害者がこういうものを持っていろんな問題を起こすという、こういうことだと思うんであります。いまのこの銃砲刀剣の法律の中に、精神病者等は銃砲刀剣を持てないことになって、所持の許可をしてはならぬということになっておるんでありますが、なかなかこれはまた精神障害者、異常者というものの診断といいますか、判断といいますか、むずかしい問題もあると思うんであります。医師の診断書、証明書等をもって異常者でないということが、許可を受ける場合に一つの条件になるわけなんでありますけれども、なかなかこれはいまの日本のこういう状態の中では、効果的なことができないんじゃないだろうかと思うのでありますが、それはともかくとして、現在の精神障害者あるいは異常者といわれるような者、そういう者が非常にたくさん日本にはおるんじゃないか。しかも、それがほとんど野放し状態に置かれてあるんだろうと思うんでありますが、こういうところに大きな問題が私あると思うんであります。
そこで、現在の日本における精神異常者、精神障害者、こういうものの現況といいますか、こういうものをひとつお話を聞き、さらにこれに対してどういう対策を現在とりつつあるのか、また将来どう対策を講じていくおつもりなのか、そういうことを最初にまず概括的にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/4
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005・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 精神障害者の概略についてお答え申し上げたいと思います。
精神障害者と申しますのは、精神衛生法によりますと、精神病者、それから精神薄弱者及び精神病質者、この三者をいっております。で、こういうようないわゆる精神傷害者というものが、では日本にどれだけいるのであろうかということにつきましては、実態調査をいたしたことがございます。これは昭和三十八年に最近ではいたしております。この実態調査は、サンプル調査をいたしまして、それをもとにいたしまして全国的に推計をいたしたわけでございまするので、全部が全部この患者数をつかんでおるというわけではございません。この推計によりますと、大体この精神障害者というものが全国推計で百二十四万人おるであろうというような推計になっております。で、その中で精神病は五十七万人、それから精神薄弱、これは白痴、痴愚だけでございますが、これが四十万人、その他が二十七万人、こういうふうに推計をしております。そしてこれの治療とかいう方面につきましては、収容して治療を要する者というのは約三十五万人、それから外来治療、指導、そういう者が四十八万人、それからその他の、まあ指導といいますのが四十一万人というふうに区別されておりますが、その中で、収容治療を要する者の三十五万人について見ますと、精神病院に収容を要する者というのが二十八万人と推計されております。それから精神病院以外の施設に収容を要する者というものが七万人、で、精神病院に入院を要する者の二十八万人に対しまして、さらにこれを区分いたしますと、精神病で二十一万人、精神薄弱で三万人、その他で四万人と、こういうような状況になっております。
それで、これに対する精神障害者の対策といたしまして現在とられておる状況、それから将来の方向につきまして概略的に御説明申し上げますと、精神障害者の対策といたしましては、主として精神衛生法に基づきまして、精神障害者をできるだけ把握し、そして自傷他書のおそれのある者——自分も傷つけ、あるいは他人を害するというようなおそれのある者につきましては、特にこれは措置入院という措置をとっておりまして、この措置入院等によりまして病院に収容し、そうして医療保護を加えていく。このほかに、昨年法律が改正されまして、保健所におきまして、精神衛生相談をやるというほかに、訪問指導といろものを行ないまして、精神障害者の発生予防と、それからおもに医療を通じての一極のアフターケアーといいますか、そういう措置を講じておるわけでございます。で、費用のほうにつきましても、昨年の六月の精神衛生法の一部改正によりまして、従来は通院者の、措置入院者につきまして公費の負担というものが認められておりますけれども、適正な医療を普及して、そうして通院をしても、なおし得るというようなことから、この通院医療に対する公費負担制度というものを創設にいたしました。それから、先ほど申しました保健所等のいわゆる訪問指導体制の整備のほかに、昨年度から精神衛生センターというものを各府県に設置していこう。そしてそれが訪問指導、その他のいろいろ中心の指導的の機関として全体のレベルアップをはかっていこうということでございます。これは主といたしまして、精神衛生センターは、保健所とそれから一般医師との連絡をとりまして、いわゆる在宅の精神障害者対策の充実を期するという趣旨から行なわれているのでございます。しかし全体から見ますと、精神障害者を収容すべき精神病床、及びアフターケアーのための施策というものについては、もちろん十分ではございません。今後とも精神病床の増床を計画的に促進するとともに、医療保護制度の拡充、在宅精神障害者に対する指導の強化、それから社会復帰のための施設の整備等につきまして、逐次対策を進めていきたい、こう考えているわけでございます。
なお参考までに、現在この精神病床というものがどれだけあるかということにつきまして御説明を申し上げますと、大体ベットは最近非常に伸びておりまして、年間一万数千から、昨年は約一万九千床と、年間の伸びを示しております。それで四十年の十二月末には約十七万二千八百床くらいになっております。措置入院患者数はしかし現在ともなお若干超過収容という形になっております。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/5
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006・鈴木壽
○鈴木壽君 入院を必要とする者三十五万とおっしゃった……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/6
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007・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 収容を要する者といたしまして、この三十五万と申し上げました。そのうち精神病院に入れる者というものが二十八万人でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/7
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008・鈴木壽
○鈴木壽君 精神病院に入れる者は二十八万人、それに対して全国のベッド数が十七万二千八百くらい、これは昨年の調査でございますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/8
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009・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) はい、十二月です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/9
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010・鈴木壽
○鈴木壽君 今後ふやしていくというお話でありますし、また、だんだんふえつつあるという状況のようでありますが、収容しなければならない者が、なおもう十万くらいはベッドが足りないということになりますでしょうか。そこら辺そういうふうに考えてよろしいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/10
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011・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 数字の上では確かにそのようになると思います。そうして先ほど申し上げましたとおり、この推定数は、一つのサンプル調査をもとにいたしまして推計をいたしております。全部が全部この二十八万人の患者を現在つかんでいるわけではございません。つかんであるものにつきましては、逐次心要な者は収容していくというたてまえをとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/11
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012・鈴木壽
○鈴木壽君 これはなかなか実態調査といっても、個々の一人一人まで実際にされるということについては、なかなかむずかしい問題だと思うのですが、それでサンプル調査の結果、いまお話しのように、二十八万人を病院に入れなければならない。これがあるのにもかかわらず、しかし実際のベット数は十七万くらいだと、こういうところに、いまの日本の精神障害者に対する対策の非常に手おくれな点があると思うのですが、それからもう一つ、いわゆる精神病を専門とする精神病関係のお医者さんですね。これは全国にどのくらいあるというふうにあなた方はつかんでおりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/12
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013・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) この精神科のお医者さんのつかみ方でございまして、これがなかなかつかみ方によりまして、多少の差異が出てくるのでありますけれども、現在単独の精神病院等でいろいろ精神病の治療に従事しているお医者さん等の数字を医療施設調査等でとってみますと、三十九年でこの従事者が、常勤、非常勤を合わせて三千六百五十名ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/13
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014・鈴木壽
○鈴木壽君 このあれですか、精神科のお医者さんですね。三千六百五十名、三十九年の調査でそういうふうになっておるということでありますが、日本各地の状況、配置といってもこちらで指図するわけではないが、いずれそれぞれのところにおると思うのでありますが、これはどういう状況になっているか。たとえば東京とか、大都会のところとか、あるいは中小の都市、農村について配置、分布——分布でもないでしょうが、これはちょっとことばが適当なことばが見つかりませんが、そういうようなところを調べたら、どういうような状況ですか、これは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/14
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015・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) まことに申しわけございませんですけれども、いまそこまでの資料を持ち合わせてはございませんですけれども、概括して言いますと、やはり医師一般のあれとしましては、都会地のほうに集中をしておるという状況で、辺地のほうに行けば行くほど医師がやはり充足していないということが言えると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/15
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016・鈴木壽
○鈴木壽君 とにかく精神科のお医者さんが足りないということだけは確かですね、いまの日本のそれからいって。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/16
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017・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 私も、この精神科の医師の数につきましては、不足であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/17
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018・鈴木壽
○鈴木壽君 一方に病院等に収容して治療をしなけりゃならぬというものが三十万近く、二十八万人もおる。ところが、ベットが足りなくて収容し切れない。したがって家庭等におって、あるいは病院に通ったりなんかもするんでしょうが、いずれ十分な目が届かないところにたくさんの精神障害者がおるという、こういう状況ですね、端的に言って。三十八年の調査のときには、推定——もちろん推定でしょうが、家庭で治療しなきゃならぬというようなものが五十数万人あるんじゃないかと、こういう数字が出ておったはずなんでございますが、それが今度家庭において治療し、あるいはいろんな方法でやっても、担当するお医者さんがいない、単に家族の者や周囲の者がそれを見ておるというような状態であるように、こういうお医者さんの数等からいって思われるわけなんですね。さっき私、野放しの状態だと、こう申し上げたのも、一つの根拠としてはそういうことから言えるんじゃないかと思うんですがんね。
そこで、私心配なのは、銃砲刀剣のこの法律によって、精神障害者、精神異常の者は持っちゃいかぬ、お医者さんに見てもらって証明書を持ってこなきゃだめだと、こういう法律になっておるのでありますが、一体だれがそういうものを見て的確に診断するのか、証明するのか、まことにた上りないと思うんですね。一々銃砲刀剣を所持しようとする者が、許可を受けようとする者が、まあこれはことばは少し悪いんですが、そこら辺の普通の内科とか何とかというお医者さんのところへ行って、専門医でない方から証明書を、あるいは診断書をもらっていくというかつこうがいまの実態ではないかと思うんですね。そこら辺、私非常に心配なんですがね。実際これは、あれですか、警察のほうにお聞きしますが、精神異常、障害者というようなものを、所持の許可を与える場合に的確につかんで、該当者は許可しないんだと、あるいは持ってくる証明書というものはもう間違いないんだというような自信がおありですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/18
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019・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 前に名古屋市の某という精神病の患者に猟銃の許可があったことがございますが、その際に、その某を診断しました三重県立大学の医学部教授、黒沢という先生の話を聞いたのでございますが、先生のことばによりますと、「私は精神神経科の医師として患者を診察もし、または大学教授として絶えず研究もしておりますが、某のような患者について毎日診察しているのでありますが、一度診察しただけで直ちに病名を確定することのできない場合があります。ましてや、常人が一見したり、少し話をしたぐらいでちょっと変わっているというようなことであれば、これが精神病者であることがわかるようなことはほとんどないと思います。、こうおっしゃって、さらに語を継いで、「今後法改正によって精神科医師が診断書を書かなければならないというようなことがあれば、これは非常に困難なことで、私は一度ぐらいの診察だけではなく、むしろその人物を絶えず見ている医師が書くことのほうがよくわかると思います」、こういうふうに専門家の立場からおっしゃっております。
私どももこの御意見を参考にいたしまして、一度ぐらいではなかなかむずかしかろうと、むしろもよりの、その人に常時接している一般の人のほうがよくわかるのではないか、かように考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/19
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020・鈴木壽
○鈴木壽君 中原局長、あれですか、いまのお話があったわけなんでありますが、さっき私が申し上げたようなこと、精神障害者等に対する銃砲刀剣の所持の許可あるいは不許可というような問題が、心配なく処理されているというふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/20
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021・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 銃砲刀剣についての、その問題としていまお答えを申し上げるとしますと、突然でございますので、ちょっと判断に迷うのでございますけれども、精神障害者の、いわゆる障害者であるという診断を下すということにつきましては、先ほど保安局長から申し上げたのは、やはりケース、ケースによりましては穏当であろうといろふうに考えております。と申しますのは、精神障害者につきましても、相当症状のはっきりしている者は、これは一回でもわかるかもしれません。そうでない者につきましては、何回か診察をし、経過を見て初めてそこで診断を下すというふうになるのがやはり普通であろうかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/21
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022・鈴木壽
○鈴木壽君 この精神障害の医師の診断とか証明とかという問題、これは銃砲刀剣の施行規則の中に規定がありますね。証明書を持って来なければならぬということですね。ですから、そういう意味では、法のたてまえからすればそれでいいと思うんですが、実際持ってくる証明書そのものについて、これはさっきも言ったように、失礼なことを言うようだが、ほんとうであるのかどうかというような心配、さらに、むしろこれは、法律にはそういうふうになっておっても、実際にはこれは行なわれていないんじゃないだろうかと思うのですが、そこら辺どうですか、警察のほうでは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/22
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023・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 精神病者であることを許可あるいは免許の欠格事由としております法律の例は、私どもの銃砲刀剣類所持等取締法のほかに、調理師法、理容師法、美容師法、栄養士法、麻薬取締法、毒物及び劇物取締法、あへん法、医師法、歯科医師法、歯科衛生士法、歯科技工法、あん摩マッサージ指圧師等に関する法律、薬事法、その他厚生省関係の獣医師法とか、いろいろあるわけでございます。それらはいずれも医師の診断書を添えるということを義務づけておりまして、精神衛生鑑定医というふうになっていないのでございます。そういうことも考えまして、医師の診断書と、こういうふうにいたしたわけでございます。この規定は順守されておると考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/23
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024・鈴木壽
○鈴木壽君 私、法律そのものがけしからんとか、診断書を持ってくるようにという、そういう規定がいかんとかいうことでなくて、それはまあそれでなきゃいかんと思いますが、実際、じゃどうなのか、こういう点について私ども非常に心配なわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/24
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025・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 精神病者であるかどうかという最終の判断は、許可をいたします公安委員会にあるわけでございますが、私どもはやはりそういう意味ではしろうとでございます。念には念を入れるという意味において医師の診断書を添えるほうが適切である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/25
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026・鈴木壽
○鈴木壽君 銃砲等による事故が精神障害者の手によって引き起こされているというような事例がたくさんあるわけですね、銃砲だけでもございませんけれども。たとえば去年——おととしですか、ライシャワー事件なんかもたしか精神異常者といいますか、障害者といいますか、そういうものであったと思うのですね。これは一つの例でありますが、そういうものがあちこちにあると思うのです。ですから医師の診断書、証明書を持ってこなきゃならんということを私否定しているのじゃなくて、なかなか現在の日本の精神科のお医者さんの数からいっても、いまの対策、いろんなことを考え合わせてみても、手の届かないところにたくさんの精神障害者、異常者があって、なかなか法律にはきめてあるけれども、きちっとそれで全部をとらまえることができるかというと、そうじゃないということを私心配するわけなんです。そういうことについてどうお考えになっておられるのかと、こういうことなんです、私お聞きしたいことはですね。法律に、医師の診断書を持たなきゃならんからという、それについていいとか悪いとかじゃなくて、それは当然でしょうから、それはかりに精神科の専門医師でなくとも、いまの日本の状態であればこれはやむを得ないと思います。ですから、それはそれとして、私問題だということでなしに、実態として法律のいろんな規定なりというものがあっても、的確に精神障害者、精神病者というものを、いま言ったようなことの所持の許可を与える場合にはじき出して持たせないということもできないし、というんじゃないだろうかという、私のそこら辺で何か考えるところはないかと、こういうことなんであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/26
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027・新井裕
○政府委員(新井裕君) 鈴木委員のおっしゃるとおりでございまして、私どもとして一〇〇%これを防止するということは、目下の医学水準かどうか知りませんが、与えられる条件のもとでは不可能だと思っておりますけれども、こういう制度をとることによりまして、九割五分以上の確率は保てるというふうに思います。さっきお医者さんのことばを引用いたしましたけれども、専門医になればなるほど、ほんとうに鑑定しようと思えば一カ月や二カ月の日にちを要する問題もあるようでございまして、短期間にそういうような繁雑な手続をするということもできかねますので、実行可能で、しかも最も確率の高い方法をとるというのがわれわれの立場でございまして、そういう意味で、先ほど来御質問のありました精神障害者に対する銃等の所持許可に対しての取り扱いを去年から変えたわけでございます。したがいまして、こういうような制度で一〇〇%ということはできかねるということを正直に申し上げたほうが誤解がないと思いますけれども、相当部分はこれによって防止できると思います。
なお、お尋ねの中にはございませんでしたけれども、私どももいま引例されましたライシャワーさんの事件以来、いろいろしろうとなりに研究をして、お医者さんの意見も聞いておりまして、精神障害者と言われるうちの精神病者というものについて、いま議論をなされましたけれども、それ以外の、その他とあります二十七万人のうち、どれくらいになるかわかりませんが、精神病質者——われわれが俗語で変質者と言っております者、これはどのお医者さんに聞きましても、なかなか診断はむずかしいと、何かそういう変わったことをして初めてそういう者であるという認定ができるということでございまして、そこいら考えますと、たいへんまあわれわれとしても亡羊の嘆にたえないところがございますけれども、最も実行可能で、最も確率の高い方法をとるということが必要なのじゃなかろうかということで考えておるわけであります。実はこの問題よりももっと大きな問題は、運転免許にございまして、この銃等の所持許可は、数から申しましても、運転免許に比べるとずっと少ないわけであります。運転免許についても、われわれとしては、ほんとうに真剣に考えなければならない問題が現にございまして、何とか比較的簡単で確実な判定方法がないものかというのがわれわれとしても大きく希望しておるところでございます。たいへんよけいなことを申し上げて申しわけございませんが、一応お答えをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/27
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028・鈴木壽
○鈴木壽君 いわゆる精神異常者と正常者、これはなかなか簡単には区別もできないと思いますし、精神障害者と言われる者の中でもまあいろいろな様相があって、これ自体でもちょっと見たところだけではつかめないという、こういう性質のものだろうと思います。ですから、どうもこの問題に対する対策というものは、いままで手おくれで、まあわれわれ自身の周囲を考えてみましても、もっとこういうことに本格的に取り組まなければならぬと思うような事例が幾つもあるわけなんでありますが、いま長官のおっしゃるように、私きょうは、この法律の改正案について主として銃砲刀剣の問題からお尋ねをしておるわけなんでありますが、お話のように、自動車の運転者等、こういうものの事故を起こす者の中に精神障害、精神異常の者がたくさんあるということも最近の統計でわかっておりますから、それはまあ非常にいまの日本の社会にとっても大きな問題だと思うわけですね。それに対して的確な対策を立てられなければならぬし、十分な措置がされなければならないと私は思うのですね。そういうことを前提にしながら、法律でさっきも言ったように、たとえば銃砲刀剣の所持の許可を受けようとする者は医師の診断書、証明書を必要とするんだと、証明書を。精神障害者じゃないという証明書がなければいけないということなんでありますが、実態はしかしなかなか効果が私あげ得られないんじゃないだろうか。長官は相当な効果があがると言っておりますが、私はこれだけのことで、そしていまの日本の精神障害者の数、あるいはお医者さんの数、こういう状況の中では、なかなか効果があがるというようなことにはいかないんじゃないだろうかという心配を、私依然として持ちますがね。もっとこれはほんとうに、気違いに刃物ということばが昔からあるわけなんでありますが、刃物どころでない。たま飛び出してとんでもないというようなことになる、そういう銃砲をも含めて、いま考えていかなければいけないところなんですから、それほどこれに対しては慎重に扱わないと、まあぼくらもこわくてしようがないというような感じしますね。やっぱりいまのままであれですか、銃砲刀剣の所持の許可の場合に、施行規則のその中にあるようなそういうことでおやりになりますか。もっと私申し上げたいことは、その証明書も、単にそこら辺の知り合いのお医者さんに行って、そうであるとか、そうでないとかいう程度でなしに、もうちょっと専門医なり、専門のそういう精神障害者の治療機関等からしっかりしたものを取ってもらうというようなことにまでいかなけりゃいけないんじゃないかと思うんですが、その点いかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/28
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029・新井裕
○政府委員(新井裕君) 実は、鈴木委員と同じ希望を私ら自身も持っておりまして、精神病の判定というものが、いまの医学の水準、あるいはお医者さんの分布等勘案した上で、もう少し的確な方法がないものかというふうに私自身も待望いたしております。これに満足することなく、そういうことができれば直ちにそれも取り入れるにやぶさかではございませんけれども、私は、やはりお医者さんとして証明書を書く以上、お医者さんとしても精神的な義務というものを感ずるわけでございますから、自信がないものをだれでもむやみに書くというふうには私ども必ずしも想像いたしません。したがいまして、その限度におきましては、相当良心的な証明書が相当の程度発行されるということを想定をしてやっております。まだ始めたばかりでございますから、どの程度実効があがりますか、判定はいたしがたいのでありますけれども、ことに今度銃刀法の改正案の御審議を願いまして、もしこれをお認めいただくといたしますと、五年ごとに許可を更新いたしますので、その際にまたわれわれとしてもチェックするチャンスもあると思いますので、そういうものと相まっていけば、いまわれわれの許された条件のもとでは、最も確実な方法で排除できるんじゃないかという一種の希望的な気持ちもありますが、そういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/29
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030・鈴木壽
○鈴木壽君 私これはあとでお聞きしようと思っておったんですがね。銃砲を所持しておる者、許可をされて持っておる者、銃砲の数及び人員、まあ猟銃についていえばですね、それぞれ相当な大きな数になっておるんでありますが、実際は狩猟等をやって免許を受けておる者の数とだいぶ違いますね、だいぶ数が違うんです。これは別の角度から私はあとでお聞きしたいと思っておったのですが、何のために銃砲の所持の許可を得たのかわからぬ、いまになってみればわからぬというようなものが相当数あるという、こういうことから私ちょっと心配になったのは、さっきからのお話で、こういうものの中にその精神障害者なんかがかなりおってですね、いつどこでどういうふうな使い方をされるかわからぬというような心配なきにしもあらずと思ったわけですね。これはあとで許可のことについてお聞きしますが、いま言ったようなことからいっても、何とかやっぱりこれに対して、精神障害者なり異常といわれる人たちに対する対策というものを、全般的な立場から講ずるとともに、さらにこの銃砲刀剣の所持なり、あるいは長官がお話しの逆転看のそういう人たちのチェックなりというものを的確にやらないと、非常に繰り返して申し上げますが、われわれ心配なわけなんですね。正常な人が狩猟のために持っておる、あるいは何らかの目的のために所持しておるという、これは何も心配する必要はないと思いますけれども、何をしでかすかわからぬというような人が、もしかりにそういうものを持っておるというようなことになると、これはまあたいへんなことだと思うので、そこら辺で何かやっぱりもう少しきちっとチェックできるようなそういうことを考えていかなければならないのじゃないだろうか、こういうふうに思うのです。
たとえば、さっき厚生省の局長さんから、今後、施設に収容されない精神異常、精神障害者の対策としてセンターをつくるとか、あるいは保健所に精神科のお医者さんをどうするとかいうようなお話があったと思いますが、いまの状態からしますとですね、それはまあいつかはそういうふうになるかもしれませんけれども、現状はまだまだわれわれが安心できるような状態でなくて、さっきも言いましたように野放しの者が五、六十万も六、七十万もおるのだと、こういうことでありますからね、依然として心配は絶えないわけなんですね。警察庁の長官ね、あなたも何か的確な方法がないかというふうに心配しておられるということなんですが、こうあってほしいというような何かこうお考え等ございませんか、チェックのしかたについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/30
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031・新井裕
○政府委員(新井裕君) ただいま申し上げましたとおり、私どももしろうとなりにいろいろ研究をいたしまして、一番ほんとうの問題は、ほんとうは精神病質者の問題でございますが、これはいまの医学的ないかなる方法を用いても、事前に判定することはたいへんむずかしいということでございます。そこで問題は精神病者にしぼられるわけでありまして、これにつきましては厚生省にも強くお願いをいたしまして、できるだけ精神病者というものを的確に把握をしていただきまして、それをわれわれのほうに必要があった場合には教えていただける方法、全部をこっちへ通報するということは、患者の秘密の問題もありますからできがたいようでございますが、必要がある場合にそれをチェックして教えてもらえる方法がないものかということでお願いをしておりますが、これはお医者さんに非常に強い反対があるのでございます。反対の点ももっともな点がございますので、われわれとしてもやや漸進的にやっていかなければならないと思っております。ただいまいろいろ御意見のありましたことは、われわれとしても将来の研究課題として十分にこれから検討を続けてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/31
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032・鈴木壽
○鈴木壽君 局長さん、市町村なり県の段階で、あるいは保健所等において、その地域等における精神病者はもちろん、精神障害、こういう人たちのまあリストと言っちゃおかしいが、何か実態をつかんでおるというようなことございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/32
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033・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) その全部の実態と申しますと、先ほど長官から申し上げましたとおりで、この精神障害者を警察のほうに通報するという問題につきましては、いろいろ論議がございまして、現在精神衛生審議会で検討中の課題になっておるのです。これは外国の制度その他をいま全部取り寄せて検討中でございます。ある程度の精神病院に入院した患者につきましては、たとえば措置入院者であれば、これは全部衛生関係でつかんでおります。同意の場合におきましても、入院をした場合についてはそれは届け出るようになっておりまして、ある程度のものはつかんでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/33
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034・鈴木壽
○鈴木壽君 保健所等でその区域の、これは一人一人全部というとあるいはむずかしいかもしれませんが、どこそこの何某というものはこうこういう程度のものだというようなこともまだつかんでいないわけなんですか。まあ警察に知らせるとか知らせないとかということは別にしてですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/34
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035・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 結局その問題でございますけれども、そういう問題につきましては、たとえば病院等と連絡をとりまして、退院者につきましては、その退院後、保健所が訪問指導したりなんかするような形で、いろいろ連絡を密にするというような形はとりつつございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/35
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036・鈴木壽
○鈴木壽君 これはなかなかむずかしい問題だし、またデリケートな点も出てくるわけなんでありますが、まあ入院等の、いわゆる治療施設のそういうところに入っている者、あるいはそこから出たというような者、これはすぐつかめるわけなんですけれども、その他の者について何か実態をつかむようなことがぜひ必要だと思うんですがね。これはさっきお話の何とか審議会というようなことで、いまそういうことを検討しているわけなんですか、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/36
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037・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 先ほど、警察等の通報の問題につきましては、検討をいたしていると……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 これはもちろんその家族の人たちの責任もありますし、したがって家族の人たち、あるいは親戚とか、そういう人たちとともに、これはまあ日常の生活をともにしておる者というような意味で、専門的なことはともかく、かなり正しい見方ができるんじゃないかと思うんですがね。まあそういうふうな人あるいはお医者さん、保健所、それから警察官の方々、こういうふうな総合的な点でお互いに十分連絡をしながら、やはり地域におけるこういうものを的確につかむ、そうして把握しておく。その入院させるとか、するとかということの前に、まずそういうようなことが必要だというふうに思うんですが、いま検討しておるその中には、私がいま申し上げたような事柄についての検討はありますか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/38
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039・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) いま先生の言われたそのものずばりというものになりますと、現在はまだございませんが、その地域の精神障害者をできるだけつかんでいくということにつきましては、保健所を中心にしていろいろ努力をしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 これはその保健所等の努力というのは、これはいま始めたばかりですか、これからやっていくというのですか、あるいはいままでやって、こういうふうにつかんでおるというような何か実績等がございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/40
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041・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) これが、保健所が積極的にそういうようなことにつきまして踏み切りましたのは、昨年法律を改正してからでございます。それまでというものは、事実上保健所というものは地域の保健全般についていろいろやるということでやってはおりましたけれども、実際上力を入れてほんとうに始めたのは昨年の法律改正からでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 松澤先生何か……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/42
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043・松澤兼人
○松澤兼人君 関連してちょっと聞きたい。いま鈴木委員からいろいろとまあ精神異常者といいますか、精神病者といいますか、そういう者と銃砲刀剣等による事故、その危険性ということについてお話があったのです。お話を聞いておりまして、ちょっとふしぎに思いますことは、まあ警察に御質問申し上げたいのですが、合法的に所持の許可を得ている者が、まあ精神異常者といいますか、あるいは精神病者であって事故を起こしたものの件数、それからその所持者は正常であるけれども、家族に精神異常者、精神病者があって、それがおやじか兄貴か知らないけれども、正常な所持者の銃砲刀剣を持ち出してまあ殺傷したと、事故を起こしたというもの、そうしてさらに、全く他人である者が、適法に所持を認められた者の銃砲刀剣を持ち出して事故を起こした。事故のほうから考えて、逆にこうルートを伝わっていきますと、まあ所持している人は正常な人であるけれども、まあ精神的な関係から事故が起こったという場合が考えられるのじゃないかと思うんです。そうすると、所持をする人に対して、あるいは講習会を受けさすとか、あるいは精神の証明書を持ってこさせるとかいうことだけでも、銃砲刀剣の事故というものを、完全にとはもちろん言えませんけれども、事故を防止するということが、非常にむずかしいのじゃないかと思いますけれども、そういう事故の、いま申しましたような内容的な調査というものはあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/43
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044・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) まず第一に、適法に銃砲刀剣類を持っておりまして、それが精神病者であるということが後になってわかったというものでございますが、これは昭和三十九年中に七件、昭和四十年の上半期中に三件でございます。それから、適法に持っておる者の家族が精神病患者であって、それで事故を起こした。あるいは適法に持っておる者と何ら関係のない第三者が精神病患者であって、それで事故を起こしたという数につきましては、ただいまのところ精神病者の数はキャッチいたしておりませんが、一般的に精神病以外の形で申し上げますと、まず、犯罪に供与されたもの、この供与犯罪の種別は、殺人、強盗殺人、強盗強姦、強盗傷害、強姦傷害、恐喝、これだけに限定いたしておりますが、昭和三十九年の場合七十四件でございまして、これは猟銃の数で申しますと、七十四件でございまして、無許可のものが二十一件、許可本人——所持許可を受けておる本人が犯罪しましたのが三十三件、家族、友人等は十一件、全くの第三者は九件となっておりますが、この十一件及び第三者の九件のうち、何人が精神病者であるかということはキャッチいたしておりません。それから、事故を起こしたもの、こういう犯罪に供与したものでなくて、事故を起こしたものでございますが、これも猟銃で申しますと、昭和三十九年の場合百八十三件、無許可のものが七件ございまして、許可本人のものが百三十九件、家族、友人が十六件、その他の第三者が二十一件でございまして、これも家族、友人のうち、及び第三者のうち何人が精神病患者であるかということは確認いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/44
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045・松澤兼人
○松澤兼人君 一々それを、内容を分析して統計をつくるということはむずかしいことかもしれませんけれども、しかし、大きな事件でしたら大体わかるのじゃないですか。たとえば渋谷の事件、あるいは京都の、警官から拳銃を奪ったとかいったようなことはわかるわけでしょう。そういうものは許可を受けて正当に所持しているものであっても、やはり犯罪を起こした直接の人たちは、どちらかというと正常者じゃない、あるいは精神興常といったようなことだと思うのですが、そういう大きな犯罪というようなものに見られる所持の何といいますか、性格、あるいは正当な所持をしておるものかどうかということはわかるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/45
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046・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 私の聞いております範囲では、いままで精神病患者で持っておって、事故あるいは事件を起こしたというのは全部所持許可本人でございます。精神病患者がその家族のもの、あるいは第三者のものを持ち出して、最近事件、事故を起こしたという例は聞いておりません。すべて所持許可本人の場合でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/46
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047・松澤兼人
○松澤兼人君 京都の場合なんかはどうなんですか、少年であったと思うのですけれども、精神鑑定のほうからいえば、多少常人ではないというふうには考えられないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/47
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048・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 京都の場合は、精神病質の少年であったと思いますが、これは警察官の挙銃を奪ってやったという例でございまして、当時の医師の診断によりますと、病名は精神病質爆発性抑鬱症、こういうことになっておりまして、いわゆる精神病者ではないということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/48
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049・松澤兼人
○松澤兼人君 やはり問題を煮詰めていきますと、精神病者あるいは精神異常者あるいは家族にそういう人がいるかどうかということの実情を的確に把握するということが第一番じゃないかと思うのです。許可を申請している本人は正常でありましても、家族にやはりそういう危険な人がある場合においては、よほど銃砲刀剣の所持保管ということを厳重にしなければ、いつどういう事故が起こるかもしれないということで、今度は保管の義務等につきましても改正が行なわれているようでありますけれども、五年目に一ぺんの更新の時期ももちろんチェックする一つの方法でありましょうけれども、そういう危険を犯す心配のある銃砲刀剣をある家庭に許可するということは、よほどその周囲を考えて許可しないといけないのじゃないかと思うのです。これはもちろん結論的にいって、だれが精神病者であるか、あるいはまた、その血統に精神病者があるかどうかということは、これは現在の医学ではとうてい困難なことかと思いますけれども、そういうところまで突き詰めていかなければ、先ほどお話のありましたやはり運転免許の問題も同様ですし、要は、これは警察の問題ではなくて、やはり厚生省の問題といいますか、そういう精神衛生の面における国の施策の貧弱というところからくるものだろうと思うのです。鈴木君の質問を途中あれしましたので、私は、ただもう少し、先ほどお聞きしました正当な所持者、そして家族の中の精神異常者と申しますか、そういうものの関係、あるいは盗まれた関係、そういうものに対して、もう少し詳しい資料をお願いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/49
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050・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 精神病者が所持許可を受けておりまして、事件、事故を起こしました例は、昭和三十九年及び四十年上半期の分はございます。あとで差し上げたいと思います。なお、家族等につきましては、具体的の事件をもう一度調査しないと、ちょっと時間がかかると思いますので、後ほどまた申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/50
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051・鈴木壽
○鈴木壽君 厚生省のほうへお伺いしますが、さっきからいろいろお話もありましたし、お尋ねもしましたが、いまの日本で精神障害者等に対する対策として、いわゆる精神病者、特に施設に収容して加療しなければならぬと、そういう必要とする者の対策が一つと、それからそうでない、いわば施設に収容されない者に対する対策と、おおまかに二つに分けて対策を立てなきゃならぬと思います。もう一つは医師の対策ですね、精神科専門の医師の対策、こういうものをやはり早急に手を打ってやっていかないと、単に、いまぼくらが審議しておるこの銃砲刀剣等の所持の問題だけでなしに、社会生活をやっていく上で、われわれがどうしてもそういうものの必要を力説したいわけなんですがね。そこで、たとえばベッド数をふやすというようなこと、これは国としてどういう対策を持っておられるのか。あるいは精神科のお医者さん、専門医を養成をし、あるいは各地に配置をするというような、こういうことについても国として何かやっぱりそれがなければならぬじゃないだろうか。単にお医者さんになる人の個人の自由な選択にまかしておくということ以外に、国としてこういうふうにしなければならぬというようなものがあってしかるべきだと思うのですがね。そこら辺について何かお考えがあっておやりになっていらっしゃるのですか、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/51
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052・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 精神衛生対策につきまして、結局施設に収容するのと、それから施設以外においていろいろの手を加えていくのと、そういう面二つがあるのじゃないかという仰せごもっともだと思います。私どもそういうふうに考えて施策をやっておるわけでございます。ベッドの問題につきましては、先ほども私申しましたけれども、現在なお超過収容の状態でありますし、ベッドがほしいということはわかっておりますので、そのベッドの増床対策といたしましては、補助といたしましては、いわゆる公的病院の補助というようなベッドに対する補助ということ。それから次に、公的以外のものにつきましては医療金融公庫を通じまして融資をして、ベッド増設をはかっていくというような対策を講じているわけでございます。そのほかに、いわゆる施設以外におきましては、最近、精神病の治療法というものが進歩してまいりまして、非常に昔ほどではなく、わりあいになおるというようなことになってまいりました。したがいまして、施設に全部収容するまでもなく、そういう外来でもなおるものは外来、通院医療をすると、そして治療を加えていく、保護観察を加えていくという制度がそこにとられたわけでございます。この制度を伸ばすために、そういう通院医療費については公費負担というものが法律の上でとられたわけでございます。そのほかにいろいろアフターケアの施設というものにつきまして、いろいろの方がいろいろのプランを持っておられるようでございますけれども、これの実現につきましては、どういうような方法がいいか、種々検討をして、できるものから実現をしていきたいという考え方でおります。
それから精神科の医師につきましては、これは最近はわりあいに医師が精神科のほうに——医学部の学生が精神科を志望する者がわりあいに多くなってきております。これは私ども学生の時代のように、精神科の医局員、せいぜい入って二、三人という状態ではなくて、一つの学年で相当数が入っていくというような状態になっておりますので、見込みとしては従来よりも明るい見込みを持っておる。しかしながら、これを配置する場合に、どういうふうな具体的な配置ができるかという問題になりますと、これは医師全般の問題といたしまして、精神病ばかりでなくてほかの医師も、いわゆる都市に集中してくるという傾向がございますので、これをいかにして、いわゆる適正な配置をするかということで、そういう全体の一環として、いろいろ努力しているわけでございますけれども、強制的にというわけにもなかなかまいらない面もございます。結局やはり、いわゆる辺地といいますか、あるいはいなかといいますか、そういう面においても勉強ができるようにというような面、あるいはまたそういうところの待遇の問題、いろいろの問題がからんで、むしろ強制的にやるということではなくて、そういう面からいろいろやはり考慮していかなければならないというような状態でございます。これは医師のほうのいわゆる全体の問題といたしまして、医務局とも相談をいたしましていろいろ考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/52
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053・鈴木壽
○鈴木壽君 いまの精神障害者、精神病者の公立の施設の状況と、それから今後そういうものを国の手で、単にベットの補助をしてやるとかあるいは融資のあっせんをやるとかいうことでなしに、国の施設としてこういうものの施設をつくっていくという、これからの計画なんかございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/53
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054・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 現在全体の精神病院のベット数から比べますと、確かに国の施設、都道府県立、市町村立という公的のものは少のうございまして、やはりそういう公的なものが十分にない県もございます。したがいまして、そういう県には優先的にひとつ補助していこうということで、大体年間二千三百床、去年が二千五百床——二千三百ないし二千五百床ずつ、まあ建設していくという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/54
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055・鈴木壽
○鈴木壽君 いまの二千三百ないし二千五百というのは、国の施設としてですか、それともあるいは公的の、県とかどこかの施設、あるいはそういうものに対する補助としてなのか、私お聞きしたいのは、国の施設としてやっていくという計画があるのかないのかと、こういうことをお聞きしたがったんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/55
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056・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) これはいま私申しましたのは補助でございますから、これは都道府県立、市町村立、こういう公的なものでございます。国の施設といたしましては、これは現在国立の療養所あるいは病院というものがございまして、一般のベッドも、徐々に国立としてもふえつつあるのでございますし、あるいは病院等で、一部転換を要するものはそういう精神障害者の病床に転換をしていくというような措置もとられつつございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/56
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057・鈴木壽
○鈴木壽君 国の施設の中にあるベッド数、どのくらいですか、現在。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/57
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058・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) これは四十年十二月末はわからないですが、四十年の六月末で、このときの総ベッド数が十六万三千九百十床、その中で国立のものは五千百九十三床、それから都道府県立が一万三千八百三十六床、その他市町村立、それから公的機関というものを入れますと、こういう公的のものは全体で二万七千七百六十床という状態になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/58
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059・鈴木壽
○鈴木壽君 国の施設としてのこれの増強策をいま考えていらっしゃいませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/59
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060・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) これは私のほうの所管と申しましては、どうも申しわけないのでございますが、所管でございませんで、医務局が国というものについてのあれは、国立の療養所として精神床を所管していて、その面でいろいろ考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/60
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061・鈴木壽
○鈴木壽君 これは直接の所管で——私は、実はこれは所管が違うので、そのあなたに対して何のかの言うのは少しぐあいが悪いのですが、政府として、直接担当している厚生省として、何かこういうことについて一つの方針なり対策をお持ちになっておるのじゃないかというふうに思って聞いたんですがね。しかし、あれですね、いまお聞きしますと、四十年の六月の段階で十六万余あるベットのうち国立のものは五千百九十三と、きわめて少ないというように思うのですがね。もっとこれの拡充策というものはおありだと思うので、それでこれからどういうふうにやっていくのかということをお聞きしたんです。そのことは、そうしますと医務局のほうでないとはっきりしませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/61
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062・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 結局この問題は医務局の、現在いろいろ療養所あたりで空穴があるというような問題があるわけであります。したがって、こいうものをどういうふうにして一体利用していくかというような問題にかかっていくわけであります。で、一部におきましては、もちろんこれは精神ベッドに転換をしていくということを考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/62
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063・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっと心細いですが、空床があるからこれをどうしたらいいかという観点に立って転換をも考えていくというようなお話ですが、直接の担当者でないから、私これ以上申し上げませんが、こういうものの対策を立てていく上に、これぐらいのベッドをふやさなければいかぬとか、これぐらいに施設を拡充していきたいという、そういうものがあって、その中で考えていく場合に、いま、からになっているベッドをどうするかということを考えていくのか、いわゆるこういうものに対する対策として考える場合には筋だと思うのですがね。どこかにあいているベッドがあるから、これを何とかしようじゃないか、これを精神のほうに回そうじゃないかというようなことでは対策として、(小林武治君「ある、ある」と述ぶ)それはあるでしょう。あるでしょうが、しかしあるというところを、たとえば国立のものは五千しかないのだ、いま。これを将来一万にする、一万五千にするというような計画でもあるのか、ないのかということを私はお聞きしたがったわけです。聞いてみるとどうもそういうものはありそうにない。(小林武治君「ある、ある」と述ぶ)小林前大臣から直接お答えをいただきましたから……。きょう私、何もあなた方を責める意味じゃございませんが、もっと私この問題に対して、国としては、単に銃砲刀剣に関係するだけじゃないのだから、大きな問題ですよ。私取り上げて積極的な対策を樹立されんことを望む立場からやはりいま聞いているんですよ、だから何かそういうものがおありだったら、こういうふうにやっていきたいというふうに考えているとか、あるいは四十一年度の予算にはこういうふうになっているというものが具体的にあれば聞かしてもらいたいと思っているのです。(小林武治君「あとで出せ、あるんだから」と述ぶ)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/63
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064・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) このベッドの問題でございますけれども、これは一応そこに、先ほどあげました急を要するもの二十八万という数字は出してあります。その数字が全部つかめているかというとつかめていない。結局問題は、実施率を実際に把握して、それを収容できるのがどのくらいあるかという問題のつかみ方に実際はなってくるわけでございます。当初は四十五年を目途といたしまして、全病床数として二十一万五千床を目標にして現在まで進んできておるのです。その後の問題についてどうするかにつきましては、これはまああらためて研究をしなければならない問題でございます。それがベッドの数になりますと、最近は一万五千から、去年は一万九千床もふえた、そうすると、現在十七万床くらい、そうしますと、四十五年までにはその目標はあるいは達成し得るのではないかということももちろん考えられておるわけです。そのほかに、いわゆる公的な病院、療養所と、それから公的以外のものをどうするかという問題がございます。公的なものにつきましては、一応それを国立でいくか、あるいは都道府県立でいくか、そういう問題はいろいろございますけれども、いずれにいたしましても、公的の病院はある程度やはり設置する、それが私立の病院でできないような分野は、やはり公的の病院でもってやるということが私は必要であろうということで、精神病院を持ってないような、あるいは公的なものが不足であるようなところに補助をしてやっていくという形をとっておるのでございます。
国立のものにつきましては、実際にこれは空床があると申しましたのは、これは精神病床に空床があるわけではなくて、問題は、いま現在結核の療養所というものが相当に空床があるわけです。それを空床なら空床のままとしておくかという問題がありますので、そういうところでいわゆる転換の条件がいろいろ種々整っていくという場合におきましては、これを精神病の療養所に転換をしていこうというような考え方をとっているわけでございます。それでまあ大体昭和四十一年度では六百床程度が転換できるのではないだろうかというようなことで、いわゆる国立の精神療養所として考えていく、これは種々の条件が整わなければなりませんので、そういう面から詰めていくということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/64
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065・鈴木壽
○鈴木壽君 まだわからないな、私ね、国として一体これ以上そういう施設を持つのか、持たないのか、おそらく持つだろうと思うから、何かないかとお聞きしているのですよ。公的のことじゃなくて、国として持つものは公的のものと関係がありますから、あるいは場合によっては私的なものと関係がありますから、そういうものを全体の上で国として一体どうするのか、現在の五千幾らというものをそのままにしておくのか、あるいは今度結核病棟のほうで空床ができたものを転換するものおよそ六百というふうに見当つけておられるようでありますが、そういうもので事足れりとするのか、国として一体どうなんだ、これです、端的にお聞きしているのは、あるのかないのかという、小林前大臣からするとあるような話ですから、あなたの話を聞くとさっぱりあるようでもないのですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/65
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066・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) まことにあれですけれども、先生の言われるように、国として一体何ベッドつくるかということになりますと、これは現在のところ何ベッドという数はないとお答え申し上げたほうが私は正直であろうと思います。しかし、国として現在の、いわゆる療養所なり、そういうもののあり方から考えて、現在、将来とも必要になるというものに、こういうものをもしも転換する条件が整うならば転換をしていくということは、当然考えていいことであろうということで進んでいるわけでございまして、根本はやはり、私の病院ばかりでなくて、公的な病院をつくっていくということで、国が何ベッド、それから都道府県が何ベッド、そこまではきめてない状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/66
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067・鈴木壽
○鈴木壽君 このことに対して、私、端的にもう一度お聞きするのだが、国自身が公的とか、都道府県にやらせるとかいうことでなしに、国としてやるという将来の計画というのはないということですね。私はそれではおかしいのじゃないかと思うのです。それ以上は私の議論になりますからやめますが、私は、もっとこういうことに対して、都道府県とか、あるいは私的なそういう施設にまかせておかないで、国としても、たとえば最近、重症の身体障害者に対する施設をあちこちつくる、こういうことをやっていると同じように、精神病者に対してもそういう施設をもっと拡充する必要があると私は思うので、そういう気持ちから何べんも繰り返して申し上げますが、何かこれからの拡充対策というものをお持ちであろう、いわけです。ベッドの転換とか、そういう程度しか考えておらぬということですね。どうなんですか、もう一度。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/67
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068・中原龍之助
○政府委員(中原龍之助君) 現在のところ転換できるベッドを転換をしていくという状態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/68
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069・鈴木壽
○鈴木壽君 私その問題については——厚生省どうもありがとうございました。これで終わりにします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/69
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070・市川房枝
○市川房枝君 時間がだいぶ進んでおりますので、簡単にお伺いしたいと思います。
今度の銃刀法の改正の一つとして、銃砲の所持の許可の年令を二十歳にお引き上げになっておりますけれども、それの理由ですね。それについて、どの程度の効果を期待しておられるのか、まず伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/70
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071・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 昨年来、神奈川県及び東京都の渋谷でライフル乱射事件という事件が発生いたしました。その被疑者の少年は満十八歳になったばかりで、猟銃を二丁許可を得て所持をしているという事件が発生したわけであります。その事件にかんがみまして、そういう心身の未熟な少年に猟銃というような強力なものを持たせることはいかがであろうかということを検討いたしまして、狩猟免許も二十歳というもとになっておりますので、それとの関連を考えて、二十歳ということにいたしたわけでございます。
その効果がどうであるかということでございますが、端的に申しまして、それによってもうだいじょうぶだということにはならないかと思いますが、少なくとも、二十歳未満というような少年の者に持さないというだけでも効果があろうかと、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/71
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072・市川房枝
○市川房枝君 引き上げたことは私はいいと思うのですけれども、ただ未成年者で猟銃を持っているのが、全体で約五十万丁くらい持っている人がいますね、その中でわずかに三百二十九丁にすぎない、それだけの人の禁止をするわけですね。それだけで一体効果があるかどうかといいますか、あのときの青年は精神異常者ではなかったということになりますか、あれは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/72
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073・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 精神異常者ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/73
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074・市川房枝
○市川房枝君 精神異常者でないということになりますと、私は、やはり火薬が自由に手に入るというか、ほかのケース、ほかの場合を考えると、これは先ほどから問題になっておりました精神異常者というものを何とか考えなければいけない。この二つの問題については、今度の改正では何も触れていないわけですね。その二つの点についてはどうお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/74
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075・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 火薬の点につきましては、今度の改正ではその許可の仕事を知事部局から公安委員会のほうに移管を受けまして、銃砲等を一元的に管理するように改正する案になってございます。もう一つの点はちょっと聞き取れなかったのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/75
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076・市川房枝
○市川房枝君 精神異常者に対しての銃刀法としてこれは何ら触れておいでにならない点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/76
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077・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 精神異常者のうち、いわゆる精神病者につきましては、現在の法律におきまして所持許可をしてはならないと、こういうことになっておるのでございます。それから精神障害者のうち、いわゆる精神薄弱者というのがございますが、これはこの法律の第五条第一項、第二号に、「心神耗弱者」というのがございまして、精神薄弱者についてはそれで措置をする。精神障害者のうち第三番目の概念として、精神病質者というのがあるのでございますが、これはいまさつき長官からも説明しましたように、たいへんにわかりにくい病気でございまして、起こってからわかるというようなものでございまして、他の法令でも精神病者というように規定してございますので、この点については現行法のままでいいのではないか、こういうふうに考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/77
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078・市川房枝
○市川房枝君 現行法でそういう人が許可を受けようとするときには、そういう精神病者でないという健康診断書をつけて出すのだということが、規定があるようですけれども、しかし申請する人が、自分が精神病者だというようなものをつけて出すはずがないのでありまして、これは一応法文としては整っていても、実際的にはこれは私はあまり役に立っていないのではないかという心配をするわけですが、精神病者の問題、先ほどからだいぶん議論になりましたので、その点は省きまして、火薬ですね、火薬は狩猟の許可を受けている人には、火薬取締法で、ずいぶん多いと思いますが、買うこどができるのですね。それが横流れをするという心配があるのですけれども、それはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/78
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079・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 狩猟法によります狩猟免許を持っております場合に、いま先生のおっしゃいました無許可譲り渡しということが認められております。その量は、実包、空包で千個、火薬で五キログラム、銃用雷管で二千個、こういうことになっておるのでございます。ただ従来、この規定はその範囲であれば狩猟免許の期間中何回でも買える、こういうことであったわけでございます。それではこういう規定がございましても有名無実で、何回でもいろいろな銃砲火薬店から買えるということでぐあいが悪いということで、通産省とも十分打ち合わせまして、この量は一狩猟期間を通じてこの量しか買えないんだと、こういうふうに昨年関係の通産省令を直していただいて、一狩猟期間についてこれだけのみを買える、こういうことにいたしたので、今後はそういうものの横流しというものはないと、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/79
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080・市川房枝
○市川房枝君 いまの規定は三十七条ですね。そのあとの四十九条で、この一律の規定がされているのですが、これも実際狩猟する人に聞いてみますと、ずいぶん一日に実包または空包二百個とあるのですが、せいぜい二、三十発ぐらいで、二百発というのは多過ぎるということも言っているのですが、この多いかということが私はいつも問題があるので、今度は触れていないとすれば、その点を考えていただきたいと思うのですが。
それから猟銃や空気銃を持っておる人のうちで、所持の許可を受けた中で狩猟の免許を持っている人の数が少ない。猟銃のほうは約六〇%、空気銃のほうは五%ぐらいしかないというが、そういうただ銃を持っているという人、こういう人は一体どういうために持っているのですか。狩猟する目的でなく、ただ銃だけを持っていると、そういうものの実態はどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/80
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081・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) これは全くの私どもの一応の推算でございますが、大体こういう実態でないかと考えております点を最初に申し上げますと、猟銃につきましては約四十九丁、五十万丁弱でございますが、五十万丁ございます。このうち狩猟に使われておる数は大体三十万丁ぐらいでないかと、こういうふうに考えております。
それから射撃のみをやっておる——狩猟をする人は射撃をやりますが、そうではなくて、射撃のみをやっておるという数が大体四万丁前後ではないかと、こういう推算をしまして、狩猟または射撃に使われておるのはまあ三十四、五万、残りの十五万丁ぐらいは狩猟にも射撃にも使われていない猟銃ではないかと、こう考えております。空気銃につきましては約三十九万丁あるわけでございますが、大体狩猟に二、三万、それから射撃に三、四万丁、大体そういう使われておるのは六万丁前後ではないか。残りの三十三万丁というのはそういうものに使われていない銃ではないかと、こう考えておるのであります。
そこで、こういう狩猟あるいは射撃に使われておるのは、所持目的がある何らかの有用性のあるものでございますが、その残りのものにつきましては眠り銃ではないか。この眠り銃が特にほかの有用に使われておる銃砲より危険であるとは思いませんが、何の目的もない銃であるだけに、なくてもいいものではないかと、こういうふうに考えておりまして、それの防止、減少ということでいわゆる更新の制度を採用いたしまして、継続所持の意思がないというものについては所持しないようにしてもらうと、こういうふうに考えておるわけでございます。特に空気銃にこの眠りが多い関係でございますが、実態を申しますと、むしろ空気銃にはなお、かなりの無許可の空気銃があると、こういうふうに考えております。この無許可の空気銃が許可手続を受けていわゆる顕在化したのがこの数でございます。さらにそのほかにかなりの無許可のものがあると推察されますのは、資料の第五表でございますが、空気銃のいわゆる発見拾得、これがかなり数が多いし、また事件、事故の押収という数はかなりある。これは全部いわゆる許可を受けていないもの。空気銃については、その更新によって所持許可継続の意思のない人に所持をやめてもらうほかに、こういう無許可のものを届け出でたりしてもらう、そのほうがさらに重要である、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/81
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082・市川房枝
○市川房枝君 五年ごとの更新の目的というのが、何を規定しているか伺おうと思ったのですが、いまそれはそういう眠っている銃をむしろ少なくする、こういう趣旨だということを伺って、それはけっこうだと思う。眠っているのは、私は火薬があれば、それを入れればさらに危険なもとになるのじゃないかと実は心配しているわけですから、できるだけそれを少なくしてください。
それから銃砲の用途に標的射撃、四条の第一項にお加えになりましたね。これは一体どういう目的といいますか、どういう必要でこれをお加えになりましたか、それを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/82
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083・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 従前の現行の規定は、その点について「狩猟、有害鳥獣駆除、」その他云云とございまして、「の用途に供すために必要な銃砲」と、かようになっておるのでございます。この規定の中にいわゆる標的射撃を加えていないのでございます。ところが猟銃、空気銃の中には標的射撃専用に行なわれておる。また標的射撃用の猟銃というのはおかしゅうございますが、標的射撃用の銃というものもございまして、オリンピック等でも競技が行なわれているわけで、こういう現行の規定でありますので、そういう実態上標的射撃がございますので、それを解釈によりまして、狩猟の用途に供するために必要な構造機能を持った銃砲という銃の特性としてそういうものである、こう解釈いたしまして、いわゆる標的射撃も認めているわけであります。そういうことでは規定があいまいでございますので、はっきりと狩猟、有害鳥獣駆除、標的射撃、こういう用途に供するために、用途を特定いたしまして、それに必要な猟銃を持とうというようにはっきりいたしました。と同時に、狩猟の用途に供するために許可を受けた者は狩猟しかできない、標的射撃の用途に供し使う者は標的射撃しかできない、両方の目的に供するということで許可を受けた者は両方の目的に使用できる、こういうふうにはっきりさせまして、この四条の許可の関係と、それから十条の使用の関係、これを明確にして、事故等が起こらないようにいたそう、さように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/83
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084・市川房枝
○市川房枝君 いまの標的射撃についてだけ火薬類取締法のほうで、これは一々許可を受けないと買えないようになっておりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/84
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085・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/85
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086・市川房枝
○市川房枝君 その理由は、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/86
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087・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 火薬類取締法のたてまえによりますと、すべて火薬の譲り受けについては、許可が要るというのがたてまえでございます。ただ狩猟の場合には、狩猟免許というものが別にございますので、狩猟免許があるということは、そういう狩猟を行なうということを予定いたしておりますので、狩猟の場合に一定の数量を限っての無許可ということが認められておると考えるのでございますが、私どもの銃砲の所持許可ということは、それによって標的射撃ということを認めたわけではなくて、そういう用途のための銃砲の所持許可を認めただけでございますので、やはり火薬類取締法の一般原則によって許可を得てもらうと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/87
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088・市川房枝
○市川房枝君 これはたいへんしろうとの質問ですけれども、火薬のことを扱うとき法文で譲渡ということばを使ってありますね。あれはまあ費うことなんですね、銃砲店から。銃砲火薬を売っている店があって、そこから買うわけですね。それを譲渡という、何といいますか、法律語といいますかをお使いになって、何か初めちょっとよくわからなかったんですが、それはどういう、別にたいしたこともないんですか、どういう意味ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/88
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089・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 譲渡はやはり、たとえば火薬商がお客さんに火薬を渡す場合が譲渡でございまして、お客さんが買う場合が譲り受けでございます。やはりこの点は、譲り渡し、譲り受け、火薬類取締法だけのことばでございませんので、私どもの剣砲刀剣類でもやはり譲り渡し、譲り受け、譲渡、譲り受けと、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/89
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090・市川房枝
○市川房枝君 まあ、そういうことになっていればやむを得ないかもしれませんけれども、ちょっとまあしろうとにはなかなかわかりにくいんですが、今度、いまもお話しになりましたけれども、銃砲の許可の用途をちゃんと限定をするとおっしゃいましたが、さらに構造、機能の基準もはっきり定めて、そして義務づけをなすっておるんですが、その許可証というものですね、許可証というものは写真ないそうですね。それはどうして——写真がないとほかの人が持ってきても通用する場合があるんじゃないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/90
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091・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 現在の許可は一たん許可を受けますと、ずっと終身持てる、こういうことになっておるのでございます。したがいまして、写真を貼付しましても、二十のころの写真でも四十歳であるというようなこともございまして、写真を貼付いたしておらないのでございますが、このたびお認めいただきますと、五年ごとに更新をするということになりますので、許可証に写真を貼付するようにいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/91
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092・市川房枝
○市川房枝君 銃砲の問題では、銃砲刀剣——銃刀法、それから火薬類取締法、狩猟法ですか、この三つあって、そうしてそれぞれで規定をされているんですが、みんな関連があって、そうして一つだけを見ていたんじゃ、わからないので、三つ見なければならないのですが、この三本立てになっておるのは、制度的に何とかまとめるといいましょうか、というようなことを警察当局としてはお考えになったことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/92
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093・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 戦前は狩猟法と銃砲火薬類取締法と二本の体系であったわけでございますが、戦後、いま御指摘のような銃砲と火薬とが分かれまして、三本の法体系になっております。それぞれ規制する目的が違いますので三本の体系でいいんではないかと思っておりますが、ただ、これを実施いたします場合の、私どもと通商産業省及び農林省、この三者の関係は、常時打ち合わせをいたしておりまして、その間の法相互間の行政的な連絡、及び法的な構成上の緊密な点についても十分の措置をとっておると、かように考えておりますので、現在のたてまえのままでいいんではないかと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/93
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094・市川房枝
○市川房枝君 もう一つ、空気銃が銃刀法で規制されるようになっておるのは三十年の改正からですけれども、その後全然改正が加えられていない。事故はまあ一ころよりは幾らか減りましたけれども、それでも空気銃もずいぶん事故の表を見ますると相当威力も大きくなったように思うのですが、だんだんこう都市が拡大して、市街化が進んでおりますし、人口も樹密になってきておるので、空気銃についても、あるいはその構造なり、あるいは機能の基準なりをあらためて再検討なさるおつもりはないんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/94
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095・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 空気銃につきましても、事故が最近むしろ減少いたしておりますのは、これはいまさっきも申し上げましたように、空気銃はかなり無許可の、まだわれわれの視線に出ていない空気銃がたくさんございまして、そういうものが乱用されて事故を起こしたという例が多かったわけでございます。それをだんだん許可手続、あるいは廃棄等いたしまして、それが減ったことによって事故等が減っているものと、かように考えております。
ただ、最近の空気銃におきましては、かなり威力の強いものもございますので、このたびの五条の二項でございますが、いわゆる一定の基準を定めまして、まあ通常の空気銃として必要な程度の限度にとどめまして、特に短い空気銃あるいは組み変え、分解等によって拳銃等に近いようなものになるような空気銃等、あるいは安全装置、引き金等の構造が不完全だというようなものにつきましては所持許可を与えないというように、その構造、機能によって限定をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/95
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096・沢田一精
○理事(沢田一精君) 午前中の審査はこの程度にいたし、午後一時三十分まで休憩いたします。
午後零時三十八分休憩
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午後一時五十二分開会
〔理事沢田一精君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/96
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097・沢田一精
○理事(沢田一精君) 休憩前に引き続き委員会を再開いたします。
地方公務員の定年に関する件を議題といたします。質疑のおありの方は順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/97
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098・占部秀男
○占部秀男君 定年に通ずる問題ですが、最近都道府県市町村の中で、給与や勤務条件の問題、あるいは服務のいろいろな条件について、男女間の差別が非常にひどくなってきておる。勧奨退職とか、いろいろな問題もあるんですが、条例等にもそういう点が明確に出されておるものが相当出てきておるわけです。これは、一つには地方財政が非常に苦しいというところから、何かこう婦人の地方公務員については、服務にも、あるいはまた給与、勤務条件も落とそうと、こういうような財政的な考え方もあるんじゃないかと思うんですが、いずれにしても、いまあちらこちらで問題となっておるわけです。
そこで、政務次官にお伺いをしたいんですけれども、三月二十六日の予算委員会で田中寿美子委員、また次の分科会では小柳委員から、そうした問題点について、行管の長官や労働大臣に対して質問があったわけです。これに対して、長官も労働大臣もともに、男女の平等の原則から考えてそういう扱い方は妥当ではないと、こういうようなことを言われておるんですが、これは働く婦人の権利の問題として非常に大きな問題になってくると思うんですけれども、自治省として、勤務しておる地方公務員の男女の間の問題ですね、そうした点について平等の原則をどういうように考えておるのかと、こういう点についてまず見解を承りたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/98
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099・大西正男
○政府委員(大西正男君) 具体的の事例についてでないとはっきりしたことは申し上げられませんが、一般的な御質問として承りますならば、男女に差別をいたしますことは、これはまあ生理的な問題とか、そういう人間としての自然的な条件に基づくことにつきましては別でございますけれども、そうでない限りにおきましては、憲法の保障いたしておりますとおりに、男女同等同権でございますから、そのような線に沿ってこの問題につきましても取り扱わなければならないものだと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/99
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100・占部秀男
○占部秀男君 そこで行政局長にお伺いしますが、地方公務員法の十三条には、職員に適用される基準の一般的な原則として「平等取扱の原則」があるわけです。「すべて国民は、この法律の適用について、平等に取り扱われなければならず、人種、信条、性別、社会的身分若しくは門地によって」云々とあって、「差別されてはならない。」と、こういうような条文があるわけですが、これは言うまでもなく、地公法に規定されておるところの職員の服務、給与、勤務条件の規定、こういう点にすべてこの原則が及ぶと私は考えておるんですが、その点はいかがでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/100
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101・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/101
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102・占部秀男
○占部秀男君 そこで高橋婦人少年局長に、労働省側にちょっとお伺いをしたいんですが、この男女のいま言った働く場合の平等の扱いの問題については、労働三法のうちの基本的な法の一つである労働基準法の三条と四条に、そういう点に関連を持った規定が行なわれていたと私は思うんです。三条は、これは言うまでもなく、使用者は、労働者の国籍、信条あるいは社会的身分を理由にして、賃金や労働条件その他の問題について差別待遇をしてはならないと、こういうことであるし、四条は、賃金の問題で、労働者が女子であることを理由として賃金について差別扱いをしてはならないと、こういうふうに規定されておるわけですね。そこで、何か賃金以外の労働条件については、基準法で性別の点が書かれてないから、これは男女間の差別をしてもいいんだというような話が一部にはあるそうでありますが、これはやはり性別ということばが抜けていても、この三条の規定というものは、賃金以外の労働条件についても女子の差別をしてはならないと、こういう規定であると、そういう解釈が大勢であるということを私は聞いておるんですが、労働省としては、こういう点についてはどういう見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/102
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103・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) 先生御指摘のように、労働基準法の第三条は、均等待遇を規定いたしておりますが、使用者が差別的取り扱いをしてはならないというその規定の中での要件といたしましては、「国籍、信条又は社会的身分を理由として、」とこのようになっておりまして、性別ということばがここに入っていないわけでございます。それからまた第四条のほうは、男女同一賃金の原則をうたっているわけでございますが、ここでは明瞭に、女子であることを理由として男子と差別的取り扱いをしてはならないといっておりますが、これは賃金にのみかかわるように表現されているわけでございます。このように第三条と第四条がそれぞれ異なる観点から男女の平等ということを取り扱っておりますために、しばしば先生御指摘のような議論も聞かれるように思うわけでございます。この点につきましては、このような形に基準法で第三条と第四条と設けましたにつきましては、いろいろと立法技術上の問題があって、このように定められたものと私どもは理解をしているわけでございますが、その精神といたしましては、決して賃金以外のことにおいては男女の差別があってもいいという意味ではなくて、男女の平等という精神はあくまでも基底になっていると考えられていると思います。ただ、取り扱いの問題といたしまして、実際問題といたしまして、女子に対しては特殊な保護などがございます。労働条件の上で特殊な保護規定などがございますので、第三条に性別を入れますと、その条項とのかかわりあいにおいて、一方の形式の上での問題が起きると、このようなことから性別ということばが入れられなかったというように理解いたしておりますし、またその法の扱いにつきましては、いま申したような趣旨で、労働条件につきましても、特殊な保護は別といたしまして、一般的な面におきましては、男女の平等ということを趣旨として行政の運用上進めておるものと理解いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/103
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104・占部秀男
○占部秀男君 そうしますと、この労基法の三条に性別が抜けておるということは、賃金以外の勤務条件について男女の差別をやってもいいということではなくて、それはいわゆる自然的な条件といいますか、いろいろ男女間の性の持っている特有の勤務上の自然的な条件の違いがあるわけですから、そうした点を機械的にあらわせないためにやっておるというようなことであると、こういうようなお話でございますね。そうすると、労働省としてこういう問題についての行政指導に、そういう立場から行なわれておると、かように私はいまの局長の御答弁から考えるのですが、それでよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/104
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105・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) こういう問題についての、とおっしゃった点がよくわからないのでございますが、このただいま問題になっております若年定年等についてのことでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/105
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106・占部秀男
○占部秀男君 それも含まれているわけですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/106
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107・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) お答えいたします。私どもがそのような問題を取り扱います際の基本的な姿勢といたしましては、先生御指摘のとおりでいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/107
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108・占部秀男
○占部秀男君 そこで佐久間局長にお伺いしたいのですが、この労働基準法、いわゆる労働者の労働関係の基本法の一つである労働基準法でも、賃金はもちろん、いろいろなこの給与、勤務条件の問題については、男女の差別はしてはいけないという、そういう基本的な考え方で労働省としては行政指導をしておるというのですが、その労基法の三条には、性別というものがいま言ったようにないわけです。ところが、この地方公務員法の十三条には、明らかに人種、性別、社会的身分若しくは門地によって、差別されてはならない。こういうふうに規定されておるわけですが、これはおそらく憲法の何条でしたか、あれを受けているのだろうと思いますが、こういうふうに労働基準法で書かれてないところまで地方公務員法で書いておるということは、男女間の給与、勤務条件についての差別という問題を、まず公務員の側において、公務員の関係において、率先して、民間よりもはっきりとそういう問題のないようにしていかなくちゃならぬ、こういうところにこの十三条の考え方の規定されておる内容の積極性があるように考えるのですが、そういう点はどういうふうにお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/108
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109・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 民間よりも公務員が率先してという趣旨が、この規定の立法精神かどうかということにつきましては、私もなおつまびらかにいたしておりませんけれども、本条が公務員の身分取り扱いのすべての面におきまして、私どもが守っていかなければならない原則であるというふうに心骨ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/109
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110・占部秀男
○占部秀男君 ところが、自治省の行政指導というか、考え方の中には、何か男女の平等の扱いを否定するということはないのでしょうが、軽くみるような考え方があるのじゃないかということを、私は非常に心配をしておるわけです。これはもう率直に具体的に申しますと、たとえば、公務員課長きておられますが、公務員課長が四月の六日の日に、これは私、人のまた聞きですから、そういうようなことを言われてなければそれでけっこうですが、女子の能率が悪いから能率の悪い人をやめさせるのはあたりまえだというようなことを、この自治体の婦人の労働者の代表の人と話をした、こういうようなことを私は聞いておるのですが、そういう事実があるかないか、それをひとつまず最初に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/110
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111・森清
○説明員(森清君) 私は四月六日に婦人の代表の方にお会いして申し上げましたことは、男女を不平等にしてはいけない。女子だから能率が悪くても男子と同じように扱ってくれという要求をするなら無理ですよ。男でも女でも同じ扱いをいたしますということを申し上げたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/111
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112・占部秀男
○占部秀男君 女子が能率が悪くても男と一緒の要求をしてはいけないというそういう言い方は、非常に持って回った言い方で、ぼくはどうも了解できないのですがね。一体、能率がいいか悪いかということは、これは個人の一人々々の問題であって、女性一般、男性一般という問題ではないわけです。地方公務員法で規定している給与、勤務条件あるいは服務の基準というものは、男でも女でも、男一般、女一般の問題になっておるわけです。そこで「差別されてはならない」という十三条があるわけです。したがって、婦人の職員の問題あるいは男の職員の問題とかりに問題を分けて問題にした場合に、個人々々の能率を男がいいか女が悪いかということを一体はかる基準だってたいへんな問題なんで、そういう持って回った言い方はぼくはおかしいと思う。それは婦人だから能率が悪い、男だから能率がいいのだ、こういうことはないのですよ。その点をはっきりしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/112
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113・森清
○説明員(森清君) 仰せのとおりでございまして、公務として人を使う場合に、能率のいい人を使うのはあたりまえの話であります。能率の悪い人を排除したりあるいは給与上の取り扱いにおいて差別をする、これはあたりまえの話である。それが能率が悪くても、仕事をしなくてもその人が女だからいい待遇をしてくれ、こういう要求をされるのであれば、それは行き過ぎであります。男でも女でもそういうことと関係なく、私はだから勤務評定をする場合は、男だから、女だからということをはずして、同じく勤務評定をして、仕事のできる人はそれだけの待遇を与え、仕事のできない人にはそれ相応の待遇を与えることは当然であって、女だからどうこうする、男だからどうこうするということがいけないことですと、こういうことを申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/113
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114・加瀬完
○加瀬完君 佐久間局長に伺いますが、いまの給与法は、いま課長さんの御説明のように、能率に従って給与の段階をつけていいという規定になっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/114
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115・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 現在、給与決定の基準につきましては、御承知のように、地方公務員法の第二十四条にございます。そこにおきましては、御承知のように、生計費並びに国及び地方公共団体の職員あるいは民間事業の従事者の給与その他の事情、ということが書いてございまするので、「その他の事情」の中に能率というものを考慮するということは含まれておると思いまするが、能率を大きなポイントとして差別をするという考え方ではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/115
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116・加瀬完
○加瀬完君 人事院規則には、給与と成績というものが規定されているはずですよね。成績良好なる者は昇給、昇格を当然するというたてまえをとっているわけですよね。その成績良好というのは。無断で長期間欠勤をするとか、過失によって処罰を受けるとか、そういうことのない限りは、成績良好とみなすということに規定されているわけですね。で、管理職の立場から見て、能率があがるからこれは特別昇給をさせるのだ、これは能率があがらないから昇給はさせないのだ、そういうことができないたてまえになっているわけですよね。これはこの委員会で勤務評定が問題になったとき、人事院の総裁が来て、はっきり証言をいたしておって、自明の問題ですよ。人事院規則によって成績良好というのは、普通勤務をしておればこれは成績良好とみなさなければならないという立場をとっているわけです。それをあたかもそれとは別に、特別な上役のおめがねにかなわなければ、能率があがるという上司の判定がされなければその者はとめておってもいい。逆に能率が非常に高いと上の者が認めた者は特別昇給をさせてもいい、こういうことはできないというたてまえをとっているわけですよ、人事院規則は。そうじゃないですか、課長のおっしゃることとは人事院規則は違いますよ。そうでございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/116
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117・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 昇給につきましては、良好なる成績をもってその期間を勤務した者ということについての解釈につきましては、ただいま先生のおっしゃったように私どもも心得ております。しかし、そのほかに特別昇給という制度がございますが、この特別昇給は、勤務評定によって特別に成績が優秀である者について特別にされるというものでございまするので、その場合におきましては、仕事の上の能率といったようなことも一つの要素として当然考慮されるというふうに解釈しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/117
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118・加瀬完
○加瀬完君 関連ですから、これでやめますけれども、勤務評定そのものも人事院規則からすれば問題になるという点も、この委員会で過去において指摘をされているわけです。普通に勤務している者は成績良好として当然昇給昇格をさせなければならない対象ということにきまっているなら、その者に段階をつけて、一方は上げる、一方はとめるということは、人事院規則からおかしいという問題も指摘をされているわけです。便法として何か色をつけようということで特別昇給というような方法で能率給的なものを加味しておりますけれども、それはいまの給与体系の大筋、基本的問題にされては困ることなんですね。あくまでも一般の勤務をいたしております者は条件が満たされれば昇給をし昇格をするということがたてまえなわけですね。そういうたてまえからすれば、男だから、能率が高いからこれは昇給をするのも当然であって、女が男と比べて能率が低いわけだから、仕事もできないのに同じような条件を、上げることを希望することはおかしいという考え方のほうがおかしいですよ、それは。それは訂正してください、先ほど課長のおっしゃったことを。ずいぶん、それは占部さんでなくても誤解じゃないですよ、そういう解釈をとっておったらおかしいですよ、人事院規則からいえば。そうじゃありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/118
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119・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 公務員課長の申し上げた点について、誤解を招くような点がございましたならば、その点は訂正をさせていただきたいと思いますが、公務員の給与の決定につきましての基本的な考え方は先生のおっしゃいますとおりでございます。
それから、その昇給昇格について、男女の性別の差というものを持ち込んで考えるということは、これは公務員法のたてまえではないということで、先ほど公務員課長もその性別の差というものを抜きにして勤務成績を考えるべきだと、かような趣旨で申し上げたと思いまするが、その点はただいま私の申し上げたようなことで私のほうは理解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/119
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120・占部秀男
○占部秀男君 いま局長から、悪いところは取り消すという、訂正するというお話があったので、あまり追及するような形になるのもいやなんですけれども、いま加瀬委員が言われたことは、これはもう給与、勤務条件の問題の基本点なんで、そういう点は明確にひとつ考慮して、行政指導なりあるいは地方公務員法の運営をしてもらいたいと思うのです。特にぼくは森誤長にもう一つそのことについてお伺いしたいのは、私の耳にはこういうことが入っておるわけであります。それは、勧奨退職の場合に男女の年令その他で差別をつける、こういう問題について話し合いがたぶん行なわれたと思うのですが、そういうような話し合いの中で、課長は一般的に女子は能率が悪いということは確信を持って番えるのだ、男女差ということはよくないけれども、能率の悪い者から首を切るというのは、やめてもらうというのは当然のことじゃないかと、こういうようなことをあなたは言われたということを聞いておるのです。もしも課長が——地方公務員法は、言うまでもなく、これは一つには地方公務員の保護の法律ですね、その適用に当たって、そういうようなことを言われたとなると、これは非常に大きな問題になるので、そういう点について明確にひとつしておいてもらいたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/120
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121・森清
○説明員(森清君) 私の申し上げましたことについて多少誤解が入って先生のお耳に入っているようでございますから、私が申し上げましたことを正確にここで申し上げておきたいと思います。
仕事の内容によりますと、男に非常に適して、男ならば非常に能率の高い職種もありましょう、仕事の内容によりましては、女の人に適して、女の方が非常に能率をあげる職種もあるし、あるいは仕事の内容によっては、男も女も同じような仕事の能率をあげるというものも、一般的にはあるだろうと思います。私の申し上げておりますのは一般論でありまして、特殊な婦人と特殊な男性を比べてどうこうと言っている問題ではありません。そのことは仕事の性質上男女の自然的な差異からくる当然の結果ではないか、このように思っておるのであります。そういうことは勤務評定その他科学的な管理の上であらわれてくるような、そのことの結果、結果としてある人が男性であり、ある人が女性であったがゆえに、勤務成績に上下の差があるならば、上下の差に扱われてもやむを得ないじゃないか、そういうふうに差があるにもかかわらず、女と男は同一でなければならぬから、仕事の能率が悪くても男と女を一緒にしろということは間違いです、このように申し上げたのが第一点でございます。
首を切るという問題でございますが、これはその前提があるのでございまして、たとえば、定数削減が法律なり条例で定まった、そういたしますと、何人かの人間、いわゆる過員を生じまして何人かの職員を分限処分をもってやめさせなければならない、こういうときに、どういう人を分限処分にかけて退職させるかというときには、能率の悪い人、あるいはその人がやめた後に生活ができるかどうかというふうなことを、あらゆる点を総合して考えてやるので、本人の家庭の事情等考えなければ、能率の悪い人からやめてもらうのがあたりまえ、そのときに能率が悪くても私は女だからやめさしてくれるなということを言っても、それは適用しない、能率が悪ければ男でも女でも同じような扱いでやめていただかなければならぬ、こう申し上げたのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/121
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122・占部秀男
○占部秀男君 第二の、分限処分の問題に、能率がいいとか悪いとか、あるいはその人の執務、勤務態勢がいいとか悪いとか、いろいろと管理者として考える条件といいますか、ファクターがあると思うのですね、しかし、婦人だからそうで、男だからそうだということはないわけで、何か婦人が分限処分に特になったような場合の問題の話し合いのときに、そういうような能率問題を出されるということは、これはもう非常に誤解を招くもとになると思うのですよ。一般的な労務管理の問題と、それからある特定の性別の者に向けられた、たとえば不利益の、たとえば首切りであるとか、あるいはまた給与問題であるとか、不利益の処分の問題について、それは質が違うのだから、その問題を女の問題にひっかけて、能率をひっかけてくると、これは非常に考え方によってはおかしな考え方に発展してくるので、そういう点は、私は気をつけてもらいたいと思うのですよ。だから、その第一に、あなた言われた、いま仕事の内容によって女子に向く場合と男子に向く場合とあると、これはもう労務管理の上から当然そういうことは考えて入れたり、採用したり何か事実上やっておるんであって、土方仕事を婦人職員にやらせようなんという、そういうばかな市町村長や知事はありゃしませんよ、率直に言って。だからそういう点については、何もことさらにそういう点に触れて能率問題を持ち出す必要はないんであって、どうもあなたの言われていることは、何か能率ということを第一に考えて、とにかくちょうど民間がやっているように、能率主義とかなんとか、それを第一に考えて全部を律しておるような気持ちがするんでね。これは、まあその点についてまたやると時間がありませんから、ぼくはこれ以上は深くは追及しません。先ほども局長の言われたように誤ったところは訂正してもらうということで、ぼくはまあいいと思いますけれども、この問題のあとでまたひとつ労務管理の問題点で別にやりたいと思いますから。いずれにしても男女間において能率を、一般的な問題として、男女の差というものを能率づけられるものじゃないんですからね、そういう点はあなたの答弁にもあったから明確にしておきたいと思います。
そこで、ところが最近男女差の問題をいろいろな形で府県や市町村であらわしておるのが多くなっているわけです。大別して私は資料として持っておるものを見ると、一つはいま勧奨退職があちらこちらで、優遇問題も含めて勧奨退職が行なわれておる。この勧奨退職に関連して男女の差別が行なわれておる事実が一つあります。それからもう一つは、女の人は採用しないんだと、不採用という形で、この男女差をやっておるのが二つ、それから三つは、各県市町村の条例の中に、昇給や昇格の問題で男女の差が行なわれておる扱いがあるということ、それから第四には、その他の給与、勤務条件の問題であるわけですけれども、いずれにしても、相当そういうような形で男女の差別が府県や市町村の場で行なわれておる。こういうことをわれわれは聞いておるんですが、そういう点については、何か自治省として調査したり、あるいはまた報告を受け取ったと、こういうような問題点は最近ありませんか。調査をしたこともありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/122
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123・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 勧奨退職の状況につきましては、私どものほうで例の定年制問題を研究する際の資料といたしまして、地方団体に照会をいたしたことがございます。そのほかの問題につきましては、あるいは先般予算委員会で御質問をいただきまして、私どものほうで府県のほうに事情を照会いたした事例が二、三ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/123
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124・占部秀男
○占部秀男君 私のほうから具体的に問題を出してお伺いをしたいと思うんですが、この勧奨退職の場合に、年令や勤続年数によって男女の差をつけているところが相当あるわけです。たとえば、鹿児島の県庁は、男は五十八歳で優遇退職の基準にしておるんですが、女は満三十歳以上で勤続年数十年以上の女子、これを基準にしておる。それから三重県では、これはもう男は五十五ですが、女の場合には三十歳、勤続年数十年、これを三十九年に一度この問題を出して組合の反対にあって撤回をしたんですが、再度条例化しようとしておる。それから富山の県庁でも男の問題については五十五歳以上ということになっておるんですが、女の場合は補助職員、三十五歳で十年以上勤続した者、普通吏員について、女の吏員については四十五歳、こういうようになっておる。また日野だとか、いろいろな市町村の場合がありますけれども、こういうような勧奨退職というのは自発退職というか、自発退職とは違うけれども、当人が自発的に勧奨の基準に従って申し出る退職のことだと思うのですが、こういう場合に、こういうような男女によって年令の差をつけるということは、これはもう明らかに地方公務員法の第十三条の「平等取扱の原則」に私は違反しているんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、この点どういうふうな見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/124
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125・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 勧奨退職は、御指摘もございましたように、本人の意思によってきまるわけでございまするので、そのどういう基準で勧奨をするかということは、いろいろなそのときどきの状況を勘案をいたしまして、当局と職員団体側とで話し合ってきめておるというのが実情でございます。いずれにいたしましても、これは事実上の問題でございまするから、そのときの職員団体側と当局との話し合いによって了解のもとに行なわれる場合におきましては、これはかりにこの中に男女差をつけるというような条項がございましても、労働慣行として私は差しつかえないじゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/125
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126・占部秀男
○占部秀男君 私がいまあげた例は、これは組合側と了解をつけてこういうことをやったのじゃなくて、組合側は反対なんだけれども、県なり何なりでこの基準の条例化、もしくは何というのですか、基準として発表して強行したと、こういうようなケースなんです。少なくともですね、この勧奨退職そのものは確かに本人が申し出るわけですから、本人の意思によるのですけれども、男女によって違った基準をつくるということ自体に、私は問題があると思うのです。男女同じような年令を、この勧奨の基準をつくって、それによって男なり女なりが申し出ると、これはまあ普通の一般的な問題としての扱い方、ところが基準が男と女によって違うと、こういうことは、この扱い方自体がもう勧奨退職であろうがなかろうが、この問題については差別待遇をしておると言われてもしかたがないのだと私は思うんですけれどもね。こういう点は局長としてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/126
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127・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 他の条件が同様であります場合におきましては、男女間同様な取り扱いをするのが御指摘のようにたてまえでなければならないと考えております。勧奨退職は先ほども申し上げましたように本人の意思によって、意思にかかわっておるわけでございまするから、事実上の問題といたしましてお互いの了解をつけてやる分には多少気になる条項があろうとも、これはやむを得ないじゃなかろうか、まあそのときそのときの事情を当局といたしましても組合側といたしましても、判断の上になさるわけでございますから、私はそこは差しつかえないことじゃなかろうかと考えておるわけでございます。むろん同様な条件のもとにことさら女だからということで差をつけるということが好ましいことだとは思っておりませんけれども、事実上の問題として、勧奨退職の場合についてはやむを得ないのじゃなかろうかと、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/127
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128・占部秀男
○占部秀男君 どうも局長の答弁は歯切れが悪いのですが、事実上の問題として、両方の意思が、両方が合意の上でやるのだからというのだけれども、事実上の問題としては、内面的に強制されて、肩をたたかれやめなければならぬように押し込められてやめるという実例のほうが、この勧奨退職の場合には相当あると思うのです。また、それをするために男女差の基準を管理者としてはつくるわけでしょう、率直に言えば。男が五十五、女は三十歳だという場合に、何も、その全然合意の問題だけでやるなら、男五十五歳以上ということでやっておったり、それから年令の基準をつけずに、やめたい者はやめろというふうに言ったっていいのです。ところが、男と女との間に基準の差をつけるということは、実はその裏で肩たたきが行なわれておるということと関連している事実なんですよ。それだから、われわれはこの基準をつけるということはけしからぬと言っているわけです。基準をつけること自体がけしからぬと言っているのです。これはいろんな問題点はありますよ。たとえば、給与の問題だとか、いろんな問題がありますよ。あるけれども、とにかく勧奨退職する場合に、男と女とで退職をさせる基準を違えるということ自体が、やはりこれは女にやめてもらおうという、一つの差別のこれはあらわれなんですよ、具体的に言って事実上。だから、したがって、どうも好ましくないことだぐらいでは、私はこの問題はほっておけない問題じゃないか。少なくとも、地方公務員を保護するところの自治省としては、男女の平等というものをこうあからさまに破られるようなことについては、これはもう法律に違反であるかどうかは、これから法律問題になると思うのですけれども、少なくとも十三条には妥当でないことは事実なんです。平等の扱い方に対しても妥当でないことは事実なんです、こういう基準を設けるということは。その点は明確に自治省としても考えてもらわなければならぬと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/128
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129・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 勧奨退職をいたします場合には、御承知のように、いろんな事情を総合勘案をいたしまして行なっておるのが実情でございます。むろんこの希望者がございますれば、まず希望者を優先的に対象にするということでございましょうし、希望者がそれほどない場合におきましては、他の行政組織上のいろいろな事情も考えましょうし、あるいはまた先ほどお話がございました勤務成績というようなものもありましょうし、また本人の経済的な状況等もございましょうし、これはまあいろいろな事情を総合勘案した上で、当局と職員団体と話し合いの上で、一つの基準というものをきめておるわけでございますが、まあこの基準もいわばお互いの内輪の事実上のものでございますので、私はまあ関係者の合意の上で行なわれる限りは、これは私どもとしてとやかく言うべき筋合いのものではないのじゃないか。ただ、まあ抽象的に申しまして、男女なるがゆえにことさらに差をつける、他に特別の合理的な理由がないのにことさらに差をつけることが、いいことかどうかというお尋ねでございますが、それはまあ好ましいことではないというふうに、私どもも考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/129
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130・占部秀男
○占部秀男君 組合と合意の上でそういうようなことを妥結してやったということになれば、これは組合がそれを認めたということで問題点として違ってきますけれども、組合が反対しておるのに、職員団体は反対しておるのに、結局は一方的にこういうような基準を設けたということは、これは合意の中に入らぬわけですね、率直に言って。合意の中に入らぬ問題になってきます。そこで、ぼくは高橋さんにちょっとお伺いしたいのですが、昭和四十年四月一日に広島の婦人少年室で、いま言ったような勧奨退職等についての女子の差別、これを若年定年といいますね、若年定年の問題で、これは明らかに労働基準法の規定の精神に反するから、憲法十四条の趣旨もあるので、これは好ましくないのだ、こういうことは改善されたいというような、どっかの照会で、回答かなにか出されたことは聞いておるのですが、こういう点はどういうような扱いをしておりますかお伺いしたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/130
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131・高橋展子
○政府委員(高橋展子君) お答えいたします。ただいまの広島からの問い合わせでございますが、これは広島の事案といいますのは、民間の企業の場合でございますので、自治体の場合とは多少趣が異なるかと思います。また、この場合はいわゆる若年定年の問題でございまして、退職勧奨ということともやや性格が違うわけでございますが、事案といたしましては、広島におきまして、ある大きな企業において、女子職員に対して二十五歳でもって定年とするということをきめたわけでございまして、その際もはやり会社側と労働組合との間の協約において、それをきめたものでございまして、これについて、妥当性についての問い合わせが私どもへ出先のほうから参りましたので、これへの回答といたしまして、このように女子のみに適用される若年定年制ということを設けられましたこと自体が基準法に直ちに違反するとは申し上げられないまでも、基準法の精神に反することは明らかである。また憲法の第十四条の趣旨にかんがみても好ましくない。さらにまた近次の社会経済的な観点からということにかんがみましても、労働力の中に占める女子の中高年者の比重が高まっております。この趨勢にかんがみましても、このように若い定年制を女子に設けるということは望ましくない。したがって、改善されることが望ましいという旨の回答をいたしまして、その線に沿って地方において行政指導を行なうようにと、このような通達をいたした次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/131
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132・占部秀男
○占部秀男君 女子のいま言った若年定年制の問題と勧奨退職における年令、その他の女子の差別の問題とは形は違うのですが、これは本質は同じ共通したものを持っていると私は思うのです。特にいま労働省側のお話によると、組合と会社との問に労働協約で行なわれた、この労働協約で行なわれたものについてさえ、これは好ましくないのだからという、改善してしかるべきだという意見を、これはどういうような行政指導をされたか知りませんが、発表されているわけですね。いわんや、私がいまあげた事例のようなものは、これは職員団体が反対しているわけです。反対しておるにもかかわらず、そういうような格差があるきめ方をして押しつけておる、こういうような事例なんです。これはもちろん民間でさえこうなんですから、いわんや法律を守るべき公務員の職場において、こういうような基準が行なわれておるということは、これは明らかに違反になるかどうかは別として、これが十三条に照らして妥当でないことは明らかなことだと思うのですけれども、その点局長はどうお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/132
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133・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私は制度上の定年制として男女差をつける問題と、事実上の勧奨退職において取り扱い上配慮するという問題とは、これは問題が違うのじゃなかろうか。私も、制度上の定年制を定めます場合において、男女の性別によって差をつけるということがございますれば、これは御指摘のように十三条の精神に反するというふうに率直に申し上げるわけでございます。ただ、先ほど来のお尋ねは、現在事実上の問題として行なわれております勧奨退職についてのことでございまするので、しかも、これは本人の承諾を条件としてのものでございまするので、これは話し合いの上でのことであるならば、多少こういうようなことが必要でやっておっても、これはやむを得ないことではないか。むろん男だからこう、女だからこう、それだけの条件でもって明確な差をつけて行なうということは、それは十三条の精神から見て望ましいことかどうかというお尋ねでございますれば、先ほどから申し上げておりますように、私どももそれは好ましいことだというふうには考えておらない次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/133
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134・占部秀男
○占部秀男君 これはいまぼくが、十三条に照らして妥当じゃないか、まあ法律違反になるかは別にして、妥当じゃないじゃないかと言ったときに、局長は好ましくないということばを使ったのですがね、これは好ましくないというようなことばだけでほうっておけない問題じゃないんですか。というのは、勧奨退職の場合に、そのところによっていろいろと実態が違ってくると思うのですよ。職員団体の非常に強いところは、これはあなたの言われたように、ほんとうに自発的に合意の上で、個々の人にとれば合意の上でその基準に従ってやっていける。ところが職員団体の弱いもしくは職員団体のないようなところは、これはもう勧奨退職ということは名ばかりだけれども、これは「かんしょう」の「かん」が違うのであって、勧めるほうじゃなくて、いわゆる干渉する退職になっているんですよ。その実態は、ぼくは局長としても御存じのところだと思うのですがね。そういうような実態がある中で、男女の年令についての基準を差別を設けるということ自体が、これは一つの好ましくないことだけではほうっておけない問題じゃないかと私は思う。むしろこういう法律に照らしても、これは違反は別にして、妥当でないので、こういうやり方はしないでもらいたいということを言うのが、ぼくは自治省としての当然のたてまえではないかと思うのですけれども、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/134
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135・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) まあ繰り返しになりまするけれども、本人の意思にかからしめておるわけでございまするから、そこで、これが違法だとかどうだとかいう法律上の問題は私は生じないと思うわけでございます。もちろん実際の運用の面におきまして、お話しのように、半ば強制にわたるようなやり方をしておるものがあるじゃないかというような御指摘でございますが、そういうやり方は、そのやり方自体として、これは避けるべきことであると思います。あくまでも勧奨退職は本人の自由意思によってきめるべきものでありまして、強制にわたるようなことは、これは私どもといたしましても避けるように当然指導すべきことだと考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/135
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136・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、勧奨退職の場合には、これはいま年令の上でいったのですが、たとえば、年令の問題だけじゃなくて、有夫の、共かせぎで、二児以上の子持ちの女子職員は、この勧奨退職の基準にするというような——まあこれは前橋の市ですけれども、そういうような事例がある。あるいはまたどこどこの県で、子供を有する有夫の女子は、その基準であるとかいうような、夫があるとか子供を持っておるとかいうことで差別をつける、男と違った差別をつける、こういうような場合も勧奨退職だからやむを得ないと、こういうように局長はお考えになるわけでありますな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/136
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137・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 有夫の婦だからということだけを取り出して行なうということがもしありますれば、そのやり方につきましては、私ども必ずしも当を得たやり方とは思いませんけれども、先ほど来申しておりますように、本人の承諾を条件といたしまして行なわれるわけでございまするから、法律的に見てそのことがいかぬということではないのじゃないか。そうしてなお私は、おそらく各団体におきましても、そのほかいろいろな事情を総合的に勘案をした上でやっておるのが普通じゃないか。特に性別だけを一つの基準としてやっておるということはないのじゃないかと思いまするけれども、まあかりにございましても、本人の承諾を条件として、しかも、そのやり方が強制にわたらない限りにおいては、これもやむを得ないことだと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/137
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138・占部秀男
○占部秀男君 じゃ私は、具体的な事例を一つ出して局長にお伺いしたいのですが、ことしの三月三十一日付で、新潟県の鹿瀬町というところで女子が退職をさせられたわけです。この退職をさした理由は、さっき課長が言われた問題に関連をするのですが、その町の人口が少なくなったので、したがって、職員の定数を減らさなければならぬ、こういうことで退職をさせる。こういうことで定職条例を改正して、そうしてやったわけですけれども、何でも六十人くらいの中で、十四人か十五人か定数を減らして、その定数を減らした該当者ですね、減らされてやめさせられた該当者になったのは女子職員ばかりだったのですね。しかも、その女子職員のうちで十人は一応やめたんだけれども、四人はやめなかったというので、その四人を首にしてしまった、こういう事件が起きているわけです。首になった人は裁判所に身分保全の仮処分の訴えを起こし、また公平委員会にいま提訴をしておるわけですけれども、こういう問題、予算委員会でもちょっと話が出たというのですが、自治省のほうとして調査か、何か報告を求めたことがありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/138
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139・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 予算委員会でお尊ねをいただきましたので、新潟県のほうに事情を報告を求めました。県からの概要報告をいただいております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/139
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140・占部秀男
○占部秀男君 それでは事情がよくわかっておるので、私も質問がしやすいわけですが、この七十名近い職員のうちで、女子職員十四人にだけ勧奨退職のあれをやったということは、これはさっき局長が言われた、女子にだけ特別に問題点としてやるような場合には、これはもうけしからぬと言われた中に該当するのじゃありませんか。その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/140
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141・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 報告によりますと、女子だからということではなくて、退職後の生活状態を配慮し、本人が退職しても生活に支障を来たさないと思われる人、こういう基準で行なったと、ただ結果的に見るというと女子になった、かようなことでございます。勧奨につきましては、先ほど申し上げましたように、強制にわたらないで、本人の意思によって行なわれるならば、これもやむを得ないことではなかろうかと、かように存じておるわけでございます。なお、その背景にどういう事情があったか、私ども一応書面で報告を受けましたので、承知をいたしませんが、聞きましたところでは、かようなことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/141
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142・占部秀男
○占部秀男君 退職後の生活に支障ないので、それが結果においては女子にばかり集まったんだと局長は言われるのですがね。これは明らかに有夫の人や女子の場合には、男よりはやめたってたいしたことはないだろうという考え方で女子をねらったことは、これは明らかだと私は思うのですよ。そのやられた人たちの、特に四人のいま提訴しておる人たちの証明書を見ても、全部とって見ておるのですけれども、家庭が生活の支障があるかないかということは、これは非常にあまり客観的には役所の場合、わからない問題じゃないんですか。事実、たとえばその中の一人のものを読んでみると、私の家庭は両親、子供がいて五人で、夫は病弱で定収入がなくて、私の収入で生活をしていた、それをいま解雇されては非常に困る。こういうようなことを言っておる人もあるし、それからもう一人は、これはやはり夫が遊んでいるので、自分の収入で暮らしておるのだ、しかも年金の受給もあと一年というのに首になってしまった、退職年金が、一年先には満二十年になってつくのですね。それを首になってしまったと、こういう例。それからもう一つは、主人も定年を迎えているし、それから自分もここでいまやられたのではどうにもならぬという証明、それからもう一人は、あと二年で年金がつくのだから、それまでは待ってもらいたいということをお願いしたのだが、聞き入れずに首にした。こういうような内容をずっと公平委員会ですか、どこかへ出しているのですね。こういうような無情なやり方がありますか、率直に言って。十九年も十八年もつとめて、もうあと一年で退職年金がつくというのですね、もう二年でつくというのですよ。それを首にしているのですよ。これは明らかに女子だけねらったという証拠じゃありませんかな。こういうものが一体好ましくないというだけでおいておける問題だと局長は思いますか。私はそうじゃないと思うのだが、こういうような問題こそ問題として取り上げて、公務員の生活問題について、これは男女を問わず、保護してあげるのが自治省としてのたてまえじゃないかと私は思うのだけれども、その点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/142
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143・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 私もいま個々の該当者の状況につきましては報告を受けておりませんですが、ただいま先生から御指摘になったような、あと一年、二年で年金がつくというような状況にあるということでございますれば、これは管理者といたしまして、何らかあたたかい配慮ができなかったかというように、まあお話を伺いまして、私も感ずる次第でございます。
なお、まあこの町の状況は、報告によりますと、人口も減るし、税収も減るしいたしますので、議会のほうからも職員を圧縮をするようにという要望もあったりいたしまして、町長が現員条例を改正するというような措置をとったように聞いておりますが、私はその限りにおきましては、これはやはり町として合理的な措置であったろうと思うのでございますが、それにいたしましても、それによる過員を生じました場合に、どういう者を対象として選定するかというやり方につきましては、これはいろいろとなお事態を検討いたしますると、反省すべき点はあるいはあったかと思いますが、その点につきましては、私ども詳しくまだ報告を受けておりませんので、何とも申し上げかねますが、先ほど先生の御指摘になったような点につきましては、ただいま申したような感想を私としても持つ次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/143
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144・占部秀男
○占部秀男君 時間が切られておりますから、ぼくも急所の点だけ言いますが、それじゃいまの鹿瀬町の問題についてもっと詳しい報告といいますか、調査といいますか、自治法の規定にもあるわけですから、地方自治体の執行運営の問題について、私は勧告だとかなんとか、そういうやかましいことじゃなくても、調査や報告を求めることはできるのですから、求めてもらって、そうしてそういうようなあまりひどい問題については、これは県のほうとしても、やはり市町村長に対する執行についての指導のあれがあるわけですから、ですからそういう点について、もっと生活が守れるような方向で私は処理してもらいたいのですけれども、一応詳しい報告書をとってもらいたいのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/144
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145・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 御指摘もいただきましたので、さらに詳しい状況を調査をしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/145
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146・占部秀男
○占部秀男君 その点は調査をしてもらって、あとの問題にしますけれども、いま言った勧奨退職の条例の中に、男女の年令あるいは有夫等のいろいろな形での差別を基準の中に設けるというようなことは、結局いまの鹿瀬のような問題を起こす一つの原因になっているわけですよ、これは率直に言って。したがって、私は法律違反であるとかなんとかということを言うのじゃない。また勧告を出すとか出さないとかということを言うのじゃないけれども、少なくとも、そういうような勧奨退職のような場合に、年令基準を男女で違えるとか、あるいは女だけの特有な条件をつけるとか、そういうようなことは妥当じゃないのだから、したがって、行政指導のほうでそういうことのないように、やはり自治省としては私はしてもらいたいと思う。
こういう点について、いま何といいますか、労働省のほうの見解を聞いていると、非常にその点が広く、しかも明るい答弁をされておるのだが、事実県市町村の場を持っておられる自治省としては、相当の苦しみが私は率直に言ってあると思うのだけれども、こういうことがどんどんふえてきているんですよ。これが一般化してしまうと、これは相当働く婦人としては困る問題になってくるわけです。したがって、行政指導の中で、そういうことは、誤解されるような形をとらないでもらいたいということを、もっと明瞭な形で勧奨退職ができるようにひとつ行政指導をしてもらいたいと思うのですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/146
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147・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 個々具体の団体につきましては、それぞれいろいろの事情があることだと思いますが、一般的なたてまえといたしまして、考え方といたしまして、勧奨退職の場合におきましても、他の事情に格別の理由のない限り、男女において、それのみによって差をつけるということが好ましいことでないことは、先ほど来申しておるところでございまするので、なお御指摘もいただきましたので、今後指導上その点につきましては留意してまいりたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/147
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148・占部秀男
○占部秀男君 留意したいということばなんですがね、これは非常にしつこいと思うんですが、留意をされただけでは困ると思うんですよ。やはり行政指導をしてもらいたいと思うのだ。それは文書による場合もあるし、地方課長を呼んで、こういうことを、男女差をつけるような、そういう誤解を招くことはやめてもらいたいといって訓示する場合もあるし、いろいろ方法はあると思うんです。ただ留意するだけでは困るので、自治省として何らかの形で、これはやはり行政指導ということばの中にぼくは含まれるかもしれないけれども、間違いのないように指導してもらいたいと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/148
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149・松澤兼人
○松澤兼人君 ちょっと。どう答弁があると思うんですけれども、勧奨退職の場合、女子に対して特に年令を低下していって勧奨するとか、あるいは子供があるのだから、あるいは御主人があるのだからというようなことで、女子だけを特に特別の待遇をするということ自体はもういかぬことなんです。それはもう原則的に自治省も同意されると思うんですが、そういうことは原則的におもしろくない、こういう行政指導をいたしますという答弁があれば占部君も納得するんじゃないですか。個個の場合は別ですよ、しかし原則的にいって——まあ今度定年制は取りやめになりました。だから実際上の問題としては、何とかしてその定年制を実際の団体の条例で生かしていきたいというようなことを考えるんじゃないかと思うんですが、今後もそういう問題が頻発してくるだろうと思うんです。それを自治省が考える場合に、やはり原則としてはこうだということを打ち出して、その原則を尊重してやってもらいたいという行政指導ならできると思うんですがね、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/149
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150・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) どうも勧奨退職の実情を私どもあちこちから聞いておりますというと、団体によりまして、あるいはまた職種によりまして、いろいろ事情が異なるように思うのでございます。そこで、やはりこの勧奨は、当局側と職員団体側とがよく話し合ってやっていくということがいいんじゃないかというのが、私ども基本的に考えておるわけでございます。しかし一般的な原則的な考え方として、男女について差をつけるということがいいか悪いかとおっしゃいますれば、それは先ほどから申し上げておりますように、それは決していいことじゃないと思っておりますし、そういう気持ちは十分持って指導に当たってまいりたい、かように存ずる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/150
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151・占部秀男
○占部秀男君 どうも歯切れが悪い。ちょこっとのところですがね。交渉で話し合ってやってもらうことが第一だ、これはわれわれもそうなんですね。交渉してやってもらうことが第一だ。その場合にも男女差というものがつけられるような、そういう誤解を招かないような方向でやってくれというくらいのことは、行政指導の中へつけ加えたって別に差しつかえないんじゃないでしょうが。もうほんのちょっとのところなんだが、何だかそこがふん切りがつかない。元来、進歩的な局長が、そんなことを言うようじゃどうにもならない。それはやはり個々によって違うのだから、その点はよく知っていますよ、実態は。ただ、いまのままで野放しされたのでは、好むと好まざるとにかかわらず、いま局長言われたような交渉で一致する前に、こういう問題でぷんと分かれてしまう。分かれてしまうやつを、強制的に一方的に県議会なり市町村議会なりで条例で出してやってくるケースが多くなってきている。だからわれわれが言っておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/151
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152・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) どうも繰り返し同じことを申し上げて恐縮でございますが、先生の御指摘になっております御趣旨はよく私も理解いたしているつもりでございまするので、そういう心組みで今後さらに努力してまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/152
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153・沢田一精
○理事(沢田一精君) 速記をとめて。
[速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/153
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154・沢田一精
○理事(沢田一精君) 速記をつけてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/154
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155・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) るる御指摘をいただきました点につきましては、私どもも原則的にはそういう方向で努力すべきものと考えておりますので、今後指導上努力をしてまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/155
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156・沢田一精
○理事(沢田一精君) 本件についての本日の調査はこの程度にいたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/156
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157・沢田一精
○理事(沢田一精君) 引き続き、銃砲刀剣類所持等取締法及び火薬類取締法の一部を改正する法律案を議題とし、午前に引き続き質疑を続けます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/157
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158・鈴木壽
○鈴木壽君 今度の改正によって猟銃の所持の許可を受けようとする者の年令を二十歳に引き上げる、こういうことになるわけでありますが、これについてのひとつ、引き上げをするという根拠ですね、こういうものについてお考えをお聞きしたいと思うのです。
というのは、現在までの統計を見ますと、十八歳から二十歳未満の猟銃等を持っておる者の数というものもきわめて少ない。それから特に事件、事故を起こした者のそれからしましても、これは三十九年に猟銃による十八歳以上二十歳未満の者によっての事故、事件、これは事件数にして一つ、事故数にして二つ、四十年の上半期では事故が一つ、こういうふうになっておりますね。まあ全然ないというわけじゃございませんから、一つ二つあったっていいじゃないかとは私言うのじゃありませんけれども、とにかく年令というものと対応して考えてみた場合に、ここで二十歳に引き上げたからといってどれほどの効果があるかというような感じもするわけなんでありますし、逆に二十歳以上二十五歳未満の者の起こしたものがかなりあるのですね。最近新聞なんかに報じられているころを見ましても、そういうのがあるのでありますが、この点ひとつどういう理由、どういう根拠で引き上げなければならないのか、引き上げたほうがいいのか、これをひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/158
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159・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 未成年者の昭和三十九年における猟銃の所持許可数は三百二十九丁であります。この未成年者が持っておる猟銃によりまして、所持許可を得ておる猟銃によりまして起こった事件は三件、事故は四件であります。これはその所持許可本人が起こしたのもありますし、また保管が悪くて他人が起こしたのもございますが、合わせて七件、こういうことになっております。つまり未成年者に所持許可を与えたために起こった事件でございます。これはわずかな数ではございますが、その所持銃砲等の率で申しますと二・一%ということでございまして、同年間における成年者の持っておる五十万丁ばかりの猟銃の起こした事件、事故は〇・〇四%ということで、やはり未成年者に所持許可を与えた場合、その猟銃が事件、事故を起こすという率は多いのでございます。三百二十九丁という数は現在においてはわずかでございますが、いろいろと射撃のブームのような問題もございますし、また先般のライフル少年事件、十八歳になったとたんに猟銃の所持許可を受けて二丁も持っておって、たいへんな事故を起こしたというような経験にもかんがみまして、かつまた狩猟免許の年令が二十歳でございますので、特に威力の強い猟銃については、心身の発達の未成熟な二十歳未満の者には所持許可をしないほうがいいのではないか、かように考えた次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/159
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160・鈴木壽
○鈴木壽君 十八歳から二十歳未満までのここ数年間の猟銃の所持の許可を受けておるものの数の動きですね。これどうですか。だんだんふえてきておるのか、あるいは横ばいになっているのか、逆に減っているのか、そこら辺どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/160
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161・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) どういう状況になっておるかの資料は持っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/161
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162・鈴木壽
○鈴木壽君 さっき局長が述べられたことの中に、だんだん未成年者がそういうものを持ってくるというふうに聞き取れるようなことばがありましたからね、もしそういう傾向だと、現在はわずか三百二十九、これは昭和三十九年の段階ですね。四十年の上半期でもそうですね。ふえていませんわな。下半期はどういうふうになっておるかわかりませんが。そこで、もしふえておるとすれば、そうしてだんだんふえる傾向にあるというふうなのがはっきりしますと、やはり現在の事故の数はさして多いとは言えない状況ですけれども、将来また事故が起こり穫るという、そういう可能性もあるでしょうから、やはり許可年令の引き上げをしなければならぬということにもなると思いますので、そこら辺の趨勢をどうだろうかと、こうお聞きしたのですが、その点はいいです。私も感じとしては、やはりあぶなっかしいというふうな感じは持ちます。ですから引き上げることもいいとは思いますが、たださっきも言ったように持っておる者の数、あるいは起こした事故、私の持っているものは、さっきあなたが事故が三つ、事件数にして幾らと言いました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/162
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163・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 事件が三つ、事故が四つです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/163
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164・鈴木壽
○鈴木壽君 事件が三つ、事故が四つですね。私が持っている数字からしますと、事件が一つ、事故が二つ、昭和四十年度の上半期では事故が一つ、こうなっている。そこを見たものですから。それは全然ないほうがいいにきまっておりますけれども。そう、また一般に年少者があぶないとか、心配だとかいうふうに言われておるほど、事件、事故の数が多く発生しておらぬじゃないかと、こう見たわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/164
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165・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 先生のおっしゃる数字は、猟銃の所持許可を受けておる未成年者が起こした事件、事故だと思います。私ども申し上げたのは、猟銃の所持許可を受けておる者が起こしたものと、その者の猟銃等を使ってほかの者が起こした、この両方合わしたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/165
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166・鈴木壽
○鈴木壽君 ひとついまの猟銃等を所持しておる者についてでありますが、所持の許可は、これはそれぞれの用途、使用目的によって許可をとるわけですから、許可するわけなんですね。そこで、ひとつお聞きしたいのは、これはさっき市川さんからもちょっと触れられておったんでありますが、四十年の七月、八月ごろですか、統計ではこれは五十万——七月末において猟銃五十万一千四百一という数がありますね。そこで、このような所持の許可を得ておる者があるのに、狩猟免許数はずっと少ないですね。昭和四十年の三月末で二十八万九千ぐらいしかないと、そうすると、これからだけではちょっとわかりませんが、持っておっても許可されて持っておるんだが、しかし許可を受ける際のいわゆる使用目的、用途と言いますか、そういうものをもうすでになくしてしまって、ただ持っておるという者がずいぶんあるのではないかと思う。狩猟のためにも使わない、あとそれ以外に猟銃を持つというのはあまりないんですね。許可の条件にも基準にも、見ましてもあんまりないんですから。そうしますと、とにかく約十万以上のものが何らの使用目的、用途を考えないでただ持っておるというふうに、この数字からまず言えますわね。事実どうなんでしょうか、そこら辺。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/166
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167・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 午前中も申しましたように約五十万丁で、まあ狩猟に使われておる数が大体三十万丁前後ではないかと思っております。あるいはもうちょっと少ないかもしれません。農林省の統計によりますと、狩猟免許を受けておる人間が二十五万人と、こう言っております。それの一人平均一二倍ぐらいの、一丁持ったりあるいは二丁持ったりしておりますので、平均一・一倍と踏みまして、二十七万五千丁というような数になりますが、大体その前後ではないか。それから射撃のみをする人口というのがまた非常につかみにくいのでございますが、大体四万丁か五万丁ではないかと考えますと狩猟、有害鳥獣駆除、射撃という用途に使われておるのは三十四、五万丁で、全体の七〇%程度、あとの三〇%の十五万丁ぐらいは、現にそういう狩猟あるいは射撃等に使われていないというものでございます。これはもともとそういう何の目的もなく持ったとは実は考えないのでございますが、大体は狩猟しようとか、あるいは射撃しようという目的で所持許可をしたのだろうと思うんですが、現在永久許可制になっておりますので、一たん所持許可を得た上は、その後狩猟をしなくなったというようなことで何にも使われていない、いわゆる眠り銃の形で残っておるのじゃないか、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/167
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168・鈴木壽
○鈴木壽君 そうしますと、その猟銃の所持許可を受けておる者で、持っておる者のうち、これは大体五十万と、こうありますから、二十七、八方、三十万、まあ大ざっぱに言って三十万ぐらいは、いわゆる狩猟の免許を受けて持っておる猟銃の数だと、こうします。あと射撃とかいっても、日本ではあまり射撃なんていうことをやりませんわね。たまにはどこかへ行くかもしらんけれども、かりにそのために持つ者がさっきお話しのように四、五方だとすると、やはり残りの十万丁以上、十四、五万のそれは何のために持っているかわからないかっこうでいま持っているわけですね。これの何と言いますか、いろいろな事故が何か起こったりなんかするものの中に、いま私が言った眠り銃と言われる、そういう、ただうちにあるんだというような、そういうことによって起こった事故というものはどのくらいございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/168
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169・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 昭和三十九年の場合で申しますと、過去において、これは犯罪に供されたものでございまして、その犯罪は殺人、強盗殺人、強盗傷害、強盗傷人、普通強盗、強姦、傷害、恐喝、これだけに限定しておりますが、五十三件が、そういう猟銃がそういうものに供されまして、そのうち過去に三回以上狩猟免許を取っておったものが七件、二回以上取っておったものが十二件、一回以上が十件でございまして、そういうことで、ともかく狩猟免許を取っておった。たぶん狩猟に使っておったんだろうと思われるのが三十九件でございます。残り十四件はそういう狩猟免許を取っていない、また指定射撃場で射撃をしておったかという点については、射撃をしていないというものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/169
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170・鈴木壽
○鈴木壽君 過去に免許を受けておったもの、これは合わせて三十九と申しましたね。しかしそれは、その時点では、犯罪なり事故等の起こったその時点では、その目的のためには実はほんとうは使っておらなかったと、こういうことじゃないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/170
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171・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) ちょっと説明がまずかったと思いますが、そういう意味の過去でございませんで、まあその時点において大体使っておった、あるいは何らかの都合でそのときは狩猟免許を持っていなかったけれども、その前年には狩猟免許を持っておった、こういうような意味で大体使っておったと考えられるものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/171
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172・鈴木壽
○鈴木壽君 この残りの十四件というのは、そういうこともなくて、ただ持っておったものについてのそれだと、こういうことですか、さっきの御説明は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/172
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173・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) さようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/173
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174・鈴木壽
○鈴木壽君 これは考えてみると、やっぱりいままでの所持に対して許可を与える、そのときの一つの、何といいますかね、ミスがあったのではないかと思うのですがね。はっきり使用目的といいますか、用途といいますか、そういうものによって今度は所持の許可を与えなければなりませんからね。その目的なり用途というものがなくなった場合に、一体どうするかと、これはやっぱり考えてもらわなければいけませんね。何年か前に許可を取ったと、そしてそのときにあるいは一ぺんか二へんか、いずれにしても狩猟にも出かけた。しかしその後全然そういうことのためにも使っておらないが、銃だけは所持の許可を得たものですから、それは持っているのだと、こういう例が私非常に多いと思いますね。ですから、そこら辺は一体そういうかっこうにしておいていいのかどうか。今度許可の更新が五年ごとに行なわれるというようなことがありますが、これはさっきのお話では、何かいま私が言ったようなことも考えるのだと、こういうようなことだったようでありますけれどもね。端的に言ってあれですか、使用目的、用途というものがなくなった場合には持てないというふうにきちんとすべきじゃないかと思うのですが、どうです、その点は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/174
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175・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 使用目的、用途がなくなった場合には持てないようにするということも、いろいろ検討してみたんでございますが、やはりあるいはまたその後になって狩猟をやりたい、あるいは射撃をしたいというようなことで使うこともあろうかと、こう考えまして、そうして五年ごとの更新の制度によりまして、この更新は、銃砲の変化がないか、あるいは本人の身体状況に変化がないか等を十分に見るわけでございますが、あわせて継続して持つ意思があるかどうかということの確認を行ないまして、できる限りこういう眠り銃を減少させたい、こういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/175
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176・鈴木壽
○鈴木壽君 ちょっとこれは微妙なところでありますから、これは私が言ったような、なかなか簡単なことでもいけないと思うのですが、しかしこの法律の第四条によって許可をする場合に、それぞれの用途というものがきちっときめられておりますから、これ以外は持てません、許可されません。しかし実際は、かつて何年か前に、使用目的にかなったというので、持ったかもしれませんが、持っているものは野放しということですよ。まず端的にいえば、やはり許可する場合にこういう条件をつけるならば、その条件がなくなったという場合には、これは、何とかの方法でその人から取り上げておくか、手放させるか、いろいろこれはあると思いますが、何かしないと、やはりこれはあぶないものだという前提に立ってこういう許可条件をつけておりますから、使用目的なり用途なりというものをちゃんと立てておりますから、何かあと始末みたいな、眠り銃のそれについて考えないと、これは私はちょっと心配だと思いますね。
許可の更新を五年ごとにやる、五年では私は長いと思う。いま現実にたくさん持っているのですよ。十何万、十四、五万の銃が何らの使用目的を持たないで、用途についても考えなしに、ただ持っている。そういうときですから、これからまた五年もこのままずっとそういう状態を続ける、あるいはまた五年の更新のときに、いや、私はそのうちまたやりたいからと言えば、これはやはり許可してやらなければならないのですよ。やりたいという、かりに所持の願いが出てきたときには、更新してくれという、そういうものが出た場合には、これはやらなければいけませんね。しかし実際には、はたしてその人がやるかやらないかわからない。長いこと、あぶなっかしいものを、眠り銃は眠り銃で眠ってだけおればいいけれども、ときには目をさまさせられるようなことが出てきますから、これは何かやはり考えなくちゃならないんじゃないか、その点いかがでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/176
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177・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 眠り銃が一般の銃砲より特に危険なことはないと思います。ただ一般の使われておる銃砲は、使われておるだけで何らかの有用性があるのに、眠り銃は何らそういう有用性がなくて、そうして一般の銃砲と同じようにそれがあるために危険だ、こういうものだと存じます。その点についてはいろいろと検討いたしたのでございますが、たとえば狩猟免許を持っておるというようなことも考えたんでございますが、狩猟免許も御承知のとおり十月から三月までしか有効でないというようなことで、年中狩猟免許があるわけでもございません。また指定射撃場で射撃をするということにつきましても、現実に一つ一つの射撃を見るわけにもまいりません。会員その他のことも考えたんでございますが、結局は、これを担保する手段がないので、やはりそういう点については、本人の申告、これを尊重して、これを信頼してやっていく、本人がもう更新になりましたから、私は要りません、こういうことになりますと、そこで失効という扱いがたいへんいいのではないか、こう考えたのでございます。ただ本人の言うところを信頼することにはなりますが、たとえばの例で申し上げますと、めくらになった、なお私は指定射撃場で射撃をやりたいというようなことを言いましても、これはもうめくらであるというようなことで、とても射撃の目的とは客観的に見ても考えられないというようなことで、更新の際失効、こういうことになると考えております。
なお、五年が長いではないか、こういう点でございますが、更新に三年のもの、五年のもの、いろいろございますが、この銃砲につきましては、その間における所持者の身体的条件、その他及びその間における銃砲の変化等を見てまいるという点があり、かつ、そういう継続所持の意思を確認するということもございますし、また現に猟銃、空気銃、合わせて八十八万丁でございまして、これをこの法律をお認めいただきますと、四十一年から五年間で全部更新するということになりますと、大体平均で十七万六千丁というようなことにもなりまして、しかも、それが年中ばらばらということにもまいりませんで、四月、十月というある月にかたまってまいるというようなこともございますので、所持者の便宜、及び行政のいろいろな処置、都合等も考えまして、五年が最も適当である、かように考えた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/177
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178・鈴木壽
○鈴木壽君 これは、銃砲刀剣の法律は、とにかく銃砲等を野放しにしておいてはあぶないということを前提にしていろいろな規定、そういうものが組み立てられておるわけですね。一たん許可を受けたのだから、これは野放しでないと言えばそれまでですが、実際は野放し、使用目的がないし、事実上用途についてのそれがないということは。だったらやっぱり使用目的なり用途なりというものを実質的にそれを聞いた場合に何かやっぱりこれは考えないと、許可するときはいろいろのことを言っておるけれども、一たん持ってしまえば、どうなってもそれは所持者を信用するしかない、こうなってしまうわけですね。事故を防ぐというたてまえからしますと、これは片手落ちだということになりますね。一方、ただ持っているやつを捨ててしまえとか、売り払ってしまえとかというと、ひとつの個人の所有権にも触れてくるような問題が心配されますがね。しかし、そもそも今言ったようなたてまえで持つことが許可されており、その条件のもとに持てるのだということになっておる以上、これはやっぱり何か考えないといけないと思うんですね。これはお聞きしたように、事故なり事件の件数は少いかもしれません。しかし、そういう問題は私一つあってもやっぱりうまくないことだと思いますね、一つあっても。
それから許可の更新なんかも、それは全国で八十万丁もある。それを五年間でやるとすれば、十五、六万ですかの、それを一年に処理しなければいかん、これはなかなかたいへんだと思いますが、しかし、これも一カ所でやるのではなく、各都道府県に分かれてやるのだから、やればそんなにむずかしいめんどうなことでもないと思うんですね。だからこれはひとつ近い将来において眠り銃をなくすというような意味を含めての許可の更新をやるべきではないだろうかと思うんですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/178
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179・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 現在の法律の規定は、御承知のとおり、狩猟の用途に供するため必要な銃砲を所持しようとする者、こうございまして、この規定は、狩猟の目的のために猟銃を所持しようとするのかどうかという点、つまり目的と持つべき銃の性質とを両方ともはっきり言うものであるのかどうかということについて、かなり疑義がございますので、新しい規定では、そういう猟銃というものは、「狩猟、有害鳥獣駆除又は標的射撃の用途に供するため、」という目的の規定を明確にしまして、そういう目的でなければ、猟銃は持てないんだということを明確にいたしたんでございます。
ただ、それにしましても、いま先生のおっしゃるように、持つ場合にそう言えば、それを信ずる以外にはないというようなことでは心もとないではないか、こういう御指摘でございますが、やはり所持許可者が、持ちたいという場合に、本人が狩猟のために持ちますと、しかもどう見ても狩猟しそうだということであれば、所持許可を与えなければならな、こう考えます。ただできるだけそういう場合における——この前のライフル少年の姉が狩猟の目的で猟銃を持っておったんでございますが、そういうことを防止いたしますこともかねまして、講習制度という、銃砲を持つについての一定の知識、技能というものを講習いたしまして、できるだけそういう無用の者が持つ面も、これは副産物でございますが、防止いたしたい、かように考えておるわけでございます。また更新の際も、できるだけ御指摘のような点、つまり狩猟に使っておるか、あるいは標的射撃に使っておるかというような点も、できるだけ本人に確めまして、眠り銃というものをなくしていくというような行政指貫を講じてまいる、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/179
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180・鈴木壽
○鈴木壽君 許可の失効の場合ですね、これは今回の法律改正に関したことじゃないんですが、たとえば許可を受けて所持しておった者が死亡したとか、あるいはあと持つ意思がないというようなことがはっきりした場合に、いわゆる許可のそれは効力を失うことになりますね。失った場合のその銃砲等、それはどうなっているかということについての的確なつかみ方をいままでやっておりますか。たとえば、もっと具体的に言いますと、ぼくならぼくが許可を受けて持っておったと、その私が死んだと、せがれが猟をやる意思もなければ、射撃をやる意思もなくておったと、そういう場合もありますね。その場合に、私が死んだために許可が効力を失っているんだから、それをどう処分するかというようなことを個々についてちゃんと見届けておりますか、これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/180
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181・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) すべて見届けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/181
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182・鈴木壽
○鈴木壽君 効力を失う場合に、「その他自己の意思に基いて所持しないこととなった場合」と、これは手放してしまってからのことなんですか、それは手放そうと決意をした時点ですか、これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/182
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183・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) この八条の規定は、手放そうとする具体的な場合にはいろいろなケースがあると思いますが、いま見届けておりますと言いましたことについて補足させていただきますと、昭和三十九年中の場合、散弾銃で申しますが、死亡によって失効しましたものが六百四十件、盗難八十一件、譲渡、贈与、これはいろいろな業者に売った数もございますが、三万二千七百九十九件、滅失、廃棄五千六百四件というように確実に見届けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/183
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184・鈴木壽
○鈴木壽君 そこでもう一度許可のそれに返りますが、狩猟、有害鳥獣駆除、標的射撃の用途に供するために猟銃等を所持しようとする者は許可を受けるんだが、それは許可を受ける場合のことについては、これは一々将来やりたいというのですから確かめる方法はない——確かめる方法と言っていいか、将来のことですから、ここで何のかんの言ったってしようがありませんが、しかしその後一体どうしておるかということについては、これはある程度外からも確かめられますね。しかも、それが一年や二年ではなくて、あの人が銃を持っておるのだが、何年も猟に出かけたこともなければ、有害鳥獣の駆除に使用したこともなければ、もちろん標的射撃に行ったこともない、これはざらにありますわな。うちに行くと鉄砲を飾ってあるけれども、何にもしていないというのはこれはありますよ。私の友人の中にも一人おる。しかし、そういうふうにはっきり何年もそういうふうになったものに対しては、やはり何かの方法を考えて、何といいますか、譲り渡すなり、廃棄をするなり、あるいはどこかで預かっておくようなところでも考えて、何かそういうことをしたほうが私はいいと思うんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/184
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185・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 実はその点もいろいろと検討したのでございます。たとえば狩猟したということについては、狩猟免許というものがなければだめだとか、過去五年内に狩猟免許をとったことがなければだめだとか、あるいは射撃をしたということについては指定射撃場の会員であるとか、あるいは銃砲店で銃砲を買った、あるいは火薬の許可を受けたというような証明雷をつけさすというような、いろいろなことを考えたのでございますが、どんなことをしましても、結局、たとえば、たまを買ったというようなことは、許可申請がありまして、許可を得ればまあたまを費えるわけでございますので、そういうのをなにしてくるというようなことで、何らかの方法によって措置して完全に規制するということは技術的に非常にむずかしいんではないか。そこで当人のやはり言うところを信頼しまして、ただ当人が、たとえて申しますと、その間めくらになった、あるいは、変なたとえでございますが、八十のおばあさんになったというようなときには、いかに何でも狩猟あるいは標的射撃ということではむずかしいというようなことで、更新の際に所持をしないようにしてもらう、こういうことになろうと、こういうことで考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/185
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186・鈴木壽
○鈴木壽君 これはいまの許可は、一度許可をされて、まあ第一年目には狩猟の免許をとったのだと、こうなると、二年目からは何もしなくても持てるでしょう。持っておりますね。事実そうですよ。だから、さっき私言ったように、許可の更新を早目にやって、そういう川もないのに持っているものについてのチェックをしなきゃいけないのじゃないかと、こういうことなんですがね、まあ言いたいことは、取りあえずやらなければいけないことは——と思うのですよ、私。でないと、これは手のつけようがないのですね。さっきも言ったように、これから五年ごとに更新を受けると、たとえば、ことしやると五年後でなければ更新できませんよね。五年間の何といいますか、それがやはり私は問題だと思うわけですよね。しかも、いま言ったように、現在もう眠っているというか、何も使用目的がなくて、用途がなくてもただ持っているというものの危険性というものを考えた場合に、これはぶつぶつ言えませんから、そういうものについての対策という点からいっても、ここ一両年中にひとつ一ぺんきれいに洗うというようなことが私必要ではないかと、こう思うのですがね。どうです、これは。これはまあこの法律とは違ってきたことになりますがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/186
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187・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 昭和二十一年以降、昔のポツダム勅令以来二十年間経過しました。その間たてまえとして永久許可というたてまえをとってまいった。で、それに更新制をかける、つまり更新の手続をとらなければ許可が効力を失う、こういうことになるわけでございまして、三年、五年、いろいろと検討したのでございますが、さき申しましたように、国民の何と申しますか、その権利の制限及び銃等の更新の持つ性質、つまりその人が継続所持の意思を持つのかどうか、及びその人の身体的欠格条件、あるいは銃砲そのものがいろいろと変更されておるというような、銃砲の更新としては五年の制度が最も適当であろうと、こう考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/187
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188・小林武治
○小林武治君 いまのこの問題でございますが、五年の始期はいつですか、始まるのは。いつから五年計算するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/188
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189・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 原則としましては許可のときから五年でございますが、経過規定の五項によりまして、現に所持いたしております八十万丁の猟銃及び究気銃につきましては、古いものから順番に、この法案を認めていただければ、昭和四十二年、つまり来年から五年間で更新をしまして、その更新が五年間で終わりまして、そうしてその終わったときにちようど昭和四十二年の初めに銃砲の新たな改正法案による許可を得た人が更新を受けると、こういうようなかっこうと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/189
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190・小林武治
○小林武治君 いまの更新はいいんだが、古いものからということがいま法律で書いてあるのか、古いものから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/190
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191・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) たとえば昭和二十一年から昭和二十九年までの間に許可を得たもの、これが約六万二千丁ぐらいでございます。これは昭和四十二年の四月三十日までに更新を受けなければ失効する、こういうふうに附則の五項に書いてあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/191
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192・小林武治
○小林武治君 更新を受けないものはそれで無効になる、無効になるということは、もう所持ができない。したがって、不法所持にいつからなりますか、不法所持ということに。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/192
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193・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 法律的に申しますと、更新を受けるべき期日までに受けなければ不法所持になります。ただ、直ちに不法所持として措置するかどうかについては問題がございまして、やはりつい忘れたというような場合もあるだろうと思いますので、そういうつい忘れたでは困るんですが、何かの事情があって非常にやむを得ないというような場合には、あらためて許可をとってもらうということによって措置する場合もあろうかと思います。また、そういうあらためて許可をとらないというような場合には、二十七条で失効の手続きを課しまして、そして措置していく、こういうことになると、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/193
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194・小林武治
○小林武治君 失効した場合はどうなんですか。不法所持ということによると、それは没収するとか、それはどうやるんです。さっきから鈴木さんが心配した、失効したらどういう手続をとるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/194
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195・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 現行法の二十七条でございますが、ここに提出命令の規定がございまして、いろいろそういう失効したもの、不法所持にかかるもの等について都道府県公安委員会が提出を命ずるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/195
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196・小林武治
○小林武治君 提出しなければどうします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/196
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197・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 当然不法所持として措置すると、こういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/197
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198・小林武治
○小林武治君 不法所持すると、没収でもできるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/198
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199・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 提出命令によりまして、物そのものを提出させるわけでございます。しかし、それに応じない場合は不法所持ということになりまして、裁判の結果、没収ということになると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/199
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200・小林武治
○小林武治君 私は鈴木さんが心配なさることは無理はないと思うのですけれども、あなた方ピストルなんかばかに大騒ぎするが、それと同じような公安上の心配のある猟銃その他をほとんど野放しにしている、こういうことになっているし、今度はとにかく八十万丁もあるというので、更新の制度によって無効になるのは非常にたくさんある。こういう場合に、いまのような手ぬるいやり方をしておって、そして銃砲の心配がなくなるとは思わないが、何かどうもあなた方の考え方が非常に寛大過ぎる、こういうふうに思うんだが、とにかく相当な失効のあれが出ると思うし、また提出しろと言ったってしない人があると思うんだが、それを訴訟するとか何とか言ったって、それはたいへんなことだ。実際の行政措置として、取り締まりの措置としてどういうふうにやりますか。どうもいまの話を聞いているとあやふやなんだ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/200
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201・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) ちょっと説明がまずかったと思いますが、更新を受けなくて所持許可が失効した場合には、当然不法所持罪が直ちに成立するわけでございますが、ただ、その場合に直ちに不法所持罪として、これを問擬するかどうかということにつきまして、やはり更新なりに何らかやむを得ない事情のある場合もありましょうから、そういうやむを得ない事情があれば新たな許可申請をして、許可が認められる場合は許可の措置をする。またそれ以外の場合でも、もちろん直ちに不法所持の間擬をする場合もあると思いますが、何らかの事情がある場合には、二十七条の提出命令によりまして、物そのものを提出させる。さらにこれに従わないような悪質なものにつきましては、当然不法所持として、不法所持罪を適用して刑事手続により没収するということになりますが、大体の場合は二十七条の提出命令により物そのものを提出させることができると、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/201
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202・小林武治
○小林武治君 私がいま聞いているのは、いつ不法所持になるのか、直ちにならぬというならいつなるのか、あなたのほうで提出命令を出すとか、そういう警告をして、それを聞かなければ不法所持になる、こういうなら一つのやり方だし、そうでなくて、かまわぬでおいて——いつなるのか。必ずあなた方が提出命令を出しますか、それならそれでいいのだ。提出命令を出して、それに従わぬような場合には不法所持だ、こういうことで、不法所持になるならいつなるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/202
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203・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 法律的な不法所持罪は、直ちに更新手続をとらないで、更新の期限がきますと、法律的には不法所持罪、ただそれを直ちに不法所持罪として刑事手続を進めるかどうかという点については問題がある場合が多いと思いますので、提出命令をかけまして、なお従わない場合に不法所持罪として刑事手続になっていく、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/203
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204・小林武治
○小林武治君 もう一ぺんくどいようだが、聞いておきますが、一体五年間で失効したかどうか、本人の不注意もあるだろうし、あなたのほうで必ず注意しますか。そういう要するに行政措置でもとるかどうかということなんだ。漫然とかまわぬでおいておくかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/204
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205・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) やはり原則的には御当人が一番注意していただかなければならないのでございますが、私どもとしましても、まず許可証に更新の期限を明記しておくことによって忘れないようにしてもらう、あるいは更新の日が近くなった際に何らか猟友会あるいは防犯協会等の団体の協力を求めまして、事前にそういう点についての注意をする、こういう扱いをいたしたい、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/205
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206・小林武治
○小林武治君 これから許可するものは書くかもしれないが、過去のものはどうしますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/206
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207・今竹義一
○政府委員(今竹義一君) 経過措置によりますものにつきましては、この法改正の趣旨を十分に徹底することと同時に、猟友会その他の団体を通じまして、やはり同様の注意を事前にしたい、こう考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/207
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208・小林武治
○小林武治君 はっきりした、こういうふうにいたしますということをね。たとえばあなた方が通知を出しましても、猟友会なら猟友会に入っていない人なんか幾らでもいるんですよ。団体に入っている人は問題ないですが、入っておらぬ人が相当いる。いまあなたのおっしゃるようなことじゃ徹底しない。法律なんかだれも読みませんよ。第一秘蔵している人は、こんな法律なんか関心がない、そういうようなものについては一々チェックして、そうして何か公安委員会で注意をして、不法所持をさせないように、いかにもどうも投げやりのように思われるのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/208
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209・新井裕
○政府委員(新井裕君) どうも保安局長がたいへん民主的に手続をしようということだけを強調しようとして歯切れが悪くておわかりにくかったと思いますけれども、御指摘のように、失効いたしますれば不法所持になります。更新制をとる以上、更新のたび許可を受けない者は厳重に処分するのは当然でございまして、そのために注意を喚起いたします。もしこの法律が通りますれば、来年から適用するわけであります。その間に、所持者は各署別に一応わかっておりますから、これを通じまして十分に徹底させます。あなたはいつ受けなければなりませんということを徹底させます。また、今後更新のたびごとにもそういう点は徹底をさせるようにいたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/209
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210・鈴木壽
○鈴木壽君 経過規定の5には、昭和二十一年から二十九年まで許可証の交付を受けた者は昭和四十二年の四月三十日で失効するのだという、こういうたくさん並べてありますね。これを見ておると、さっきから私言っているが、まだるっこいんだな、これでは。三十六年に受けた者は四十四年まで、三十八年に受けた者は四十五年の四月三十日までと、こういうふうになっている。もう五年も六年も前に受けた者が、これからまた四、五年たたなければ、その問いまさつき指摘したようなものはとにかく目の届かないところにやっておるのだと、こういうことでは、あぶないものの処理としては少しまだるっこいような感じするわけですね。どうです。私自身は、あとたいしたことはありません、この改正案についてもう一、二で、今度やればその一、二の点をお聞きして私は終わりたいと思っておりますが、いまの問題について、これは法律でこういうふうに原案ができておるので、なかなかこれはいまこれを変えるというようなことも容易でないとは思いますけれども、何かこれはやっぱりひとつ考えないと、私は非常に心配な気がするのですがね。その点どうです。何かまたほっておけない気がしますものですから、これはむずかしい問題であります。個人の所有権とかいろいろな問題がありますから、しかも、許可を受けたときには永久に持っておってもいいという許可を受けているのですから、一つの既得権みたいなものもありますから、簡単には取り上げようとか、あっちへやっちゃえというふうにも言えない問題ですけれども、しかしまた、これを野放しにしておくというようなことはいろいろな面からいってこれは困る問題だし、こういう法律があって、さらに法律の改正をやるという時期ですから、やはり何かもっと安心できるようなそういうものがあってしかるべきだと思いますが、そこで、きょうは私これでやめさしてもらって、次回にひとつすることにして、ちょっと皆さんのお考えを聞きながらやりたいと思いますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/210
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211・新井裕
○政府委員(新井裕君) ちょっと一言だけ。手ぬるいとおゃしゃられれば、確かに五年間のあれですから手ぬるい。一番手ぬるくなくやろうと思えば、パチンコ屋みたいに二カ月、三カ月ごとに許可すると一番厳重かもしれませんが、いま鈴木委員御指摘のように、いままで永久許可でやっておったものを今度許可の更新にいたしますので、ある意味では相当根本的な改革でございます。銃刀法は何回も改正をいたしておりますが、大体刃物の関係の改正がおもでありまして、銃について根本的に改正するのは今度が初めてでございます。そこで、われわれとしては趣旨を十分徹底させなければなりませんし、今度の許可申請は、前と法律上は同じかもしれませんが、ただいままで保安局長から御説明いたしましたように、実態に合うように、ことにいままでの規定では必ずしも用途と機能というものを有機的に結びつけておらなかったのでありますけれども、今度は射的というものも公認することによって用途というものをはっきりきめて、そういうことで許可というものをある程度実質的にしぼっていこう。先ほど御質問がありましたように、写真も張って許可証をきちんと本人と結びつけるようにしよう、こういうふうにいたしました。そういうことで三年という案、五年という案を検討いたしました結果、われわれの保安係の人数その他から申しまして、十分に事務処理ができるという見通しをつけた上でやるのが実際的である。これを改正したためにまた人がよけい要るということでは能率的でありませんので、そこいらも考え、また、実際の状態からして、十三条に検査ということがありまして、われわれがある程度具体的に考えて、必要があると思えば、許可の更新のほかに随時署にものを持って来させて検査をするという方法が認められておりまして、現実にこれをやっております。これと許可の更新とを合わせてやれば、最も実際的に取り締まりができるという観点からやったわけでございます。したがいまして、少なくともいま許可を受けている者は、五年といわず二、三年で片づけたらどうかという疑問も次に出るかと思いますけれども、そこいらも、いま申しましたような観点から、最も実際的な見地でやっていきたい。もし、いま申しましたように、具体的に危険性があるとか必要があるというときには、十三条の検査を、いまでもやっておりますけれども、これをある程度活用することによって、相手方の利便をも考慮しつつ、最も目的を達成することができるということできめましたので、その点お含みおきの上お考えを願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X01619660412/211
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212・沢田一精
○理事(沢田一精君) 本案に対する本日の審査はこの程度にいたします。
次回は、四月十四日午前十時開会の予定でございます。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時十七分散会
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