1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月三十一日(火曜日)
午後一時三十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 岸田 幸雄君
理 事
小林 武治君
沢田 一精君
加瀬 完君
原田 立君
委 員
小柳 牧衞君
高橋文五郎君
津島 文治君
天坊 裕彦君
中村喜四郎君
鍋島 直紹君
林田悠紀夫君
占部 秀男君
鈴木 壽君
林 虎雄君
松澤 兼人君
二宮 文造君
山高しげり君
国務大臣
自 治 大 臣 永山 忠則君
国 務 大 臣 福田 篤泰君
政府委員
社会保険庁長官 山本 正淑君
自治省行政局長 佐久間 彊君
事務局側
常任委員会専門
員 鈴木 武君
説明員
行政管理庁行政
監察局監察審議
官 信原 明君
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本日の会議に付した案件
○地方行政の改革に関する調査
(地方事務官制度に関する件)
○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
律案(内閣提出)
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001・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
地方事務官制度に関する件を議題といたします。
質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/1
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002・占部秀男
○占部秀男君 きょうは福田大臣に来ていただいて、主として行政管理庁の立場から、この問題についての二、三お伺いしたいと思っておったのですが、二時までというようなお話でしたから、それではわれわれのほうもそれに協力しますので、急所の点だけお尋ねをしたいと思います。
去る二月二十四日の当委員会で、私が大臣に地方事務官制度の問題についてお尋ねをいたしたわけですが、そのとき大臣は、臨調の答申を尊重するたてまえで、何とか早目に解決するように努力したい、こういったことを言われたわけですが、それで問題が問題なので、実態調査をしている、その実態調査をいつごろどうなるかというお話をお聞きしたところが、少なくともまあ三月一ぱいくらいには終わって、そしていろいろその間の内容を分析をして、五月くらいまでには行政監理委員会ですか、委員会のほうへ報告したい、こういうようなお話であったのですが、その後の調査はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/2
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003・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 当時お答えした期限は少しずれましたが、大体四月の終わりごろまでに一応の調査は終わりました。一月以降約四カ月かかったわけです。相当細部にわたって具体的な資料が出そろいましたが、行政監理委員会にも五月に入って、今月に入って二回ほど議題として御相談を申し上げて、ただし、これは、理想的には運輸、厚生、労働三省ともに同時に解決いたしたいというねらいを持っておりましたが、なかなか各省ともそれぞれ事情がございまして、話し合いが円滑に進んでおりません。ただ、一応の調査ができましたので、運輸関係が相当具体的に裏づけができましたので、監理委員会に二度ほど御相談をし、あとの政治折衝につきましては一任を受けておるような形に相なっておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/3
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004・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、行管でいま検討中というのは、運輸関係の陸運関係の問題だけということですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/4
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005・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 関係のある三省いずれも並行的にいま御相談を進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/5
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006・占部秀男
○占部秀男君 そこで、これはもう長官も御存じのとおり、この臨調の答申というものは、三つのいま言った地方事務官制度の問題については、いわばワンセットで出ておるわけですね。何かこれはそういうことがなければいいのですが、私が仄聞するところによると、運輸関係だけこの問題を今度は決着をつけて、それから労働関係あるいは社会保険関係についてはあと回しにするのだ、こういうような作業を何か行管のほうで考えられておると、こういうことを私は聞くのですが、もしそういうことになると、これはたいへんなことなんで、あるいはいま大臣が言われたように、その点が相当はっきりしておるので、運輸の点についてだけ討議が進んでおるということを、そういうふうに間違えてキャッチしたのかもしれませんけれども、いずれにしてもこの問題は、そういう形があっちゃ困るので、そういう点についてはどういうふうにお考えになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/6
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007・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) この制度は御案内のとおり、昭和二十三年以来でき上がりまして、一万八千八百人、相当の数で、いずれも非常にはんぱな公的地位と申しますか、行政的な資格で、二十年近く何とか解決しなければならぬと、毎年努力はされておりましたが、いままで解決を見なかった。幸い裏づけの資料も整いましたし、また関係各省の三大臣とも、いずれも行政改革に対して非常な熱意を持っている、何とかして三者同時に解決いたしたい。もっと具体的に申しますと、来月、六月一ぱいには何とかめどをつけたい。幸い再度にわたりまして、各大臣とも非公式の話し合いを実は続けてきておりますが、最近では、ただ抽象的な臨調の結論だけをたてにとりますというと、どうしても平行線で解決しないということがはっきりわかりました。したがって、今年は理論的な面として、実務に即した面でこの際解決をはかろうではないかという姿勢を一応お互いに整えたわけであります。自治省とも御相談をし、そうして労働、厚生、運輸、それぞれ大体次官が中心になりまして、局長が補佐して、話し合いをずっと続けております。
ただ、理想的には来月中にまあ一緒に片づけたいのでありますが、何といっても、二十年間片づかない非常にむずかしい問題であります。場合によれば、片づいたものから覚え書き交換といったような形で取りきめをするようになるかもしれませんが、あくまでそれはやむを得ないことで、できれば三者とも同時に何とか解決いたしたい、多少の、ズレがあるかもしれないが。ただ、ここではっきり申し上げることは、幸い最近になりまして、中央で掌握する部分、それから地方へ委譲しておまかせする部分、あくまでも実務に即した具体的な話し合いを進めて、関係三省ともそれぞれ各大臣が、この際ぜひ地方事務官という制度だけはやめようじゃないか、そうしてだれが見ても合理的な、そうして客観的に見ても妥当性のある職務に準じた、また実務に即した形で、中央と地方にはっきり分けようという基本的な考えはいま統一いたしたわけであります。あとそれをどう裏づけするかという事務折衝を命じまして、連日実は折衝中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/7
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008・占部秀男
○占部秀男君 いまだいぶお話で具体的になったのですが、長官が考えられている六月一ぱいでめどをつけたいということは、一応六月一ぱいでこの事務官制度そのものを、いいか悪いか、そういう点についてはっきりとした政府の方針をきめたい、こういう意味に了解してよろしゅうございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/8
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009・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) これはもう委員が御存じのとおりで、権限だけ、たとえば地位が与えられて、実際は掌握していないとか、もう二十年間にわたりまして相当実際の面から見て矛盾が重なってきている。この際、先ほど申すとおり、地方事務官といったはんぱな制度は、これは整理しようじゃないかという点では一致した考えであります。ただどの部分を委譲し、どの部分を中央に入れるかという具体的な問題の最後の詰めができておらないわけであります。臨調ではほとんど全面的に地方委譲をうたってありますが、それではどうしても話し合いがつかない。ただ抽象的な原則的な話し合いではいつまでたっても平行線でございます。先ほど申し上げるとおり、実務に即した実際の面で整理をいたしてまいりたい、そう考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/9
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010・占部秀男
○占部秀男君 まあそうすると、内容的な問題としてちょっと心配になるのは、各省大臣とも、地方事務官制度そのものはやめようということは、これは一致した。ところが、事務に即してということになると、たとえば社会保険なら社会保険一つとってみても、横割り的な、たとえば都道府県の、東京都で言えば部長、府県で言えば課長、こういうふうに横割り的に国家公務員だけ残して、あとは地方事務官をやめて府県の職員にする、こういうような考え方なのか。それとも、その事務によって、たとえば何々の国民年金とか、あるいは政府管掌とか、こういうふうに事務別にこの問題を割っていくというような考え方を持っておられるのか、その点はどういうことなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/10
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011・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 政府委員からお答え申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/11
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012・信原明
○説明員(信原明君) ただいまの御指摘の点でございますが、長官がお答え申し上げましたように、いかにすれば現在やっております業務が合理的に処理されるかということをまず念頭に置きまして考えまするというと、やはり業務が主体になるのではないかというように考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/12
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013・占部秀男
○占部秀男君 ただそれだけ、それだけなら答弁をしてもらわなくても、いま長官が言われたことではっきりしているのですよ。
じゃ、今度は聞きますが、業務が主体になることは、事実それの方向もあるでしょう。あるでしょうが、結局いまの地方事務官制度がこういうような問題になっておるのは、知事の持っていない人事権と、それから監督権と、このズレが中心になっておるわけですね。
そこで、この人事権の問題と指揮監督権の問題をぴたっと一つにするところに、地方事務官制度のこれを廃止する一番重要なポイントがあるのですね。そういう点はもちろんはっきりとした見通しの上に立って、事実上の事務に即した面で解決をしよう、こういうことの考え方でやっておるわけですか、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/13
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014・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 御質問のとおりでございます。したがいまして、三省の関係する地方事務官の具体的なデータを使用する場合でも、個々的にやはり知事さんのお話でも伺ったり、あるいは組合の意向を聞きましたり、相当裏づけができております。ある仕事によりましては、いま具体的には申し上げませんが、これはどうも名前だけで、実際の人事権が非常に意味がない、むしろ中央へ譲りたいという方もあります。また、面によりましては、実質的にやはり県庁に移したほうが、中央に手を引いてもらったほうが能率が上がるのだといったものもできております。いま整理統合について話し合いを進めております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/14
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015・占部秀男
○占部秀男君 そうすると、いまの話し合い、整理統合の結果というか、ある程度コンクリートできた具体的なものはまとまるというような場合に、これは六月一ぱいということですから、今国会は二十七日まであるのですが、一ぺんその具体的な内容についてもお伺いできる機会があるわけでございますか、その点はどういう見通しになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/15
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016・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 最初お答えしました、できれば三省全部同時に解決したい。したがって、一つだけ片づいたものを出して国会に報告したほうが、あとの二省を片づけるのに都合いいかどうか、そういう点も出てまいります。その点は一ぺん研究さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/16
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017・占部秀男
○占部秀男君 そこで、時間の関係もあるから急所の点だけ申しますが、いま長官のお話では、覚え書き交換の取りきめを六月一ぱいにしたいというのですが、この場合、たとえば陸運関係だけ、あるいは社会保険関係だけ、あるいは労働関係だけの決着を最初につけるということは、われわれはどうも納得できないのです。まあそうなるかならないかは今後の問題ですけれども、やはりこの問題はワンセットの問題ですから、地方事務官制度そのものの問題ですから、したがって、かりにその中の三つのうちの一つなり二つなりが国のほうがいいのだ、一つは地方事務官制度がいいのだ、あるいは府県のほうがいいのだ、あるいはまた全部府県のほうへ渡すのだ、こういうようないろいろな経過はあると思うのですよ、経過は。しかしこの問題を、いずれにしても地方事務官制度を廃止して結着をつけることは、これは社会保険、労働、陸運ですね、これはやはりワンセットでやってもらわなくちゃならないと思うのです。
というのは、たとえばかりに陸運なら陸運が、そういうことはないと思いますが、陸運なら陸運だけを決着をつけることになると、この問題は率直に言って、保険庁の長官もおられるけれども、二十年間のこの動きを見ていると、まあやはり官庁には官庁のひとつのセクトというか、これは言い方悪いけれども、セクトというものがあって、やはり仕事はよそへやりたくはないという、こういう気持ちが、相当この問題の解決をおくらしているじゃないかと、われわれは率直に言えば考えているわけです。そこで陸運なら陸運の問題だけをやってしまうと、あとの社会保険あるいは労働の問題の決着は、ぼくは逆に長く延ばされる危険性が出てくるんじゃないか。逆に労働と保険のほうでは、いわゆる行管の解決を鈍らすような巻き返しが私は必ず起こってくるんじゃないか、こういうように思うんです。
そこで、やはり長官としては六月一ぱいでまあめどをつけると、私何も機械的に六月の三十日という意味を言っているわけじゃないんですが、そのめどを置いてもらったら、その時点においてこの三つの問題はワンセットの形で解決をしてもらう、決着をつけてもらう、こういうふうにしてもらいたいと思うんですが、この点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/17
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018・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 私どもの理想とし、また考えている方向はそのとおりでございます。できれば三つ同時に解決したいと、ただ率直に申しまして、労働、厚生のほうは相当やはり、二、三月あたりから大臣同士話し合っておるんですが、非常に態度が強いと申しますか、広域的な面を非常に力説されまして、臨調の出しました線についてはまっこうから平行線という形があったわけであります。最近になりましてある程度弾力性を持たれまして、この際やはり思い切って地方事務官制度を解決しようじゃないかという方向に向かっておるわけです。で、私のほうと自治省とは完全に意見が合っておりますので、ねらいと申しますか、基本的なよりどころは、臨調の精神尊重でございますので、それだけではいつまでたっても片づきませんので、実情に即して三省ともそれぞれ並行して、手分けをいたしまして話を進めておる。理想としてはあくまで一セットと申しますか、三本同時にまあ解決が望ましい。ただ場合によりましては、一つは早急にまとまると、他の省はもう少しこれは話し合いをしたいと、そこにまあ多少のズレなり時間的な整なわない面も出るかもしれません。いまからそういうことを申し上げるのは早いと思いますが、理想としては三者同時に解決したいという考えは変わっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/18
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019・占部秀男
○占部秀男君 大臣のお話でだいぶはっきりしてきたんですが、ことばのあやの問題にひっかかるわけではないんですけれども、大臣は理想としてはというふうにいま言われておるんですが、やはりこれは行政管理庁の立場から言えば、これはもうそのときの事情によっていろいろ問題が出てくると思います。幾らかの時間的なズレが出てくると思いますけれども、行政管理庁の立場としては、これはワンセットの問題として同時に解決をするんだと、そういう立場で大臣のほうは臨んでもらわないと、いまのように、それは理想ですけれどもというふうに言われると、われわれのほうとしても、何か勘ぐるわけじゃないんですけれども、結局いま伝えられているところをそのまま信用すれば、陸運だけは早く問題の決着をつけて、そして社会保険と労働はあとに延ばされるんだと、こういう危険性がわれわれに感じられるわけですよ。そこで、やはりこれはワンセットの問題として今後扱っていくんだと、そういう行管の立場だけは明確にしておいてもらいたいと思うんです。これが一つ、これはお答えを願いたいと思うんです。
それからもう一つは、かりに時間的な問題で多少ずれるとしても、それは時間的な問題の多少のズレであって、問題をあとに延ばすということにはならぬと思うんですがね。そういうような点について、長官の二つの点についてはっきりとひとつお答えしていただきたいと思うんです、ぼくはもう時間もあれですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/19
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020・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 三省同時に解決すべきであるというその考え方には全然同感でございます。それに向かって努力をいたします。
第二の点は、これからのやはり折衝過程を見ませんと、いまここではっきりお答えするのはむしろ時期が早過ぎると思います。大体御趣旨の線に沿って具体的な客観性のある結論を生み出すように今後も努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/20
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021・占部秀男
○占部秀男君 しつこいようですが、いま長官の御答弁の中で、各省大臣の中で、一応地方事務官制度はこの際やめようということはおおよそ大綱的にまとまったというのですから、したがって、それを基準にすれば、かりに三つの問題で幾らかのズレはあるとしても、その基本はまとまったのですからね。それがもう半年なり一年なり、二年なり延ばされることは、もう絶対にないと思うのですが、その点はいかがなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/21
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022・福田篤泰
○国務大臣(福田篤泰君) 二、三月ごろまではさっき申し上げたとおり、これはまあ正直に申し上げたのですが、全然平行線で話のきっかけもつくれなかったというのが労働、厚生に関する実際の話であります。それが幸い地方事務官制度を廃止しようじゃないか、しかし、どういう点を中央で掌握し、どういう点を地方に委譲すべきか、この具体案をそれじゃ基礎としてやろうという最近実は話になっております。運輸のほうは相当早くから具体的な話し合いで歩み寄りが早いわけでありますが、他の二省は遺憾ながらそこまで踏み切ったのはまあ最近であります。何とか歩調を合わしてやっておるわけでありますが、いまおっしゃいましたように一つだけ解決して、あとはそのまま未解決のまま置いてきぼりにするとか、あるいはずるずる一年なり二年なり延ばされるということは、私どもの責任から申しましてもしたくありませんし、またしないつもりであります。少なくとも方向、こまかい点はある場合にはたな上げになりますが、基本なり方向というものは、はっきりこの際しなければならない。これは自治省としても全然同感で、いろいろ連日話し合いを進めている次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/22
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023・占部秀男
○占部秀男君 念のために自治大臣にその点をお伺いしておきたいのですが、いま行管の長官のお話で、だいぶわれわれが聞いたところとは違って、やはりワンセットの問題として努力していただくと、こういうことで、非常によい方向であると思っておるのですけれども、少なくともこの問題は、例の自治法の附則に書いてありますように、これはたとえば社会保険あるいは労働あるいは陸運、こういうような事務については当分の間国家公務員、いわゆる地方事務官とすると、こういうような規定ではなくて、いわゆる三つの事務に従事する都道府県の職員については当分の間地方事務官にすると、そういうことになっているので、初めからこれは都道府県の職員でやるのがあたりまえだということは、これは附則のほうでもはっきりしているのですね。それをいまだにこういうことになっているというのは、一つは自治省の私は怠慢もあると思うのですが、まあ、なかなか各省間の問題ですから、そう外から見て、われわれが考えるほど簡単なものではないと思っておりますけれども。思っておりますが、いずれにしても、この機会にこの問題はワンセットの問題として、あくまでもこの機会に決着をうけてもらう。
いま福田長官の言われたように、この六月一ぱいということをいま一つのめどとしてやっておられるのですから、自治省としてもそのめどについては、これはまぎれもなく協力してつけてもらう、こういうようなことをやってもらわなければ困ると思うのですが、自治大臣としての覚悟と言っちゃ大げさなんですが、決意と言っても少し大げさですが、まあ考え方をひとつ知らしてもらいたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/23
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024・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 福田行管長官が申しましたとおりに、緊密なる連絡をとって、臨調の意見等聞きまして、お説のような方向でぜひ努力いたしたいと存じている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/24
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025・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) 本件に関する本日の調査は、この程度にいたします。
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026・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) 次に、地方公務員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
御質疑のおありの方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/26
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027・鈴木壽
○鈴木壽君 すでにこの委員会でもいろいろ指摘され、質疑が行なわれた問題ではございますが、なお少しくはっきりした政府の考え方について、若干お尋ねをいたしたいと思います。
大臣から主としてお答えをいただきたいと思うのでありますが、一つは、今回の法改正によって、年金のいわゆるスライド制というものができるようになったわけでありますが、しかし、この改正案によるそれは非常に抽象的であって、いわば一つの何か精神規定、訓示規定みたいなような、そういうのであって、具体的なものが一体どういうものであるかということにつきましてのそれは明らかになっておらないのであります。一体スライド制というものを制度としてどう立てていくか、スライドの方式を一体どういうふうなものを基準にしてスライドさせていくというのか、こういうことになりますと、この条文からは何も明らかになっておりませんし、また、質疑の段階におきましても、どうもはっきりしなかったように思うわけであります。
しかし、これはきわめて大事な問題で、年来、年金、恩給等のスライド制ということを叫ばれてき、それが今度の法改正で一つの規定となって出てきたものでございますから、いま少しくはっきり、具体的にどうスライドさせていくのか。たとえば経済生活の状況とか、国民生活の水準とか、あるいは公務員の給与がどうとかと、こういうようなことがあったりしても、一体それをスライドする場合にどうやるのか。しかも、それをだれがスライドするような、何といいますかね、たとえば公務員給与の際の人事院勧告というようなことでああいうふうなことが一つ行なわれるわけなんでありますが、そういう形になっていくのか、どうもそこら辺がはっきりしないんですがね。それについて、何か私のいま聞きたいことについての御検討がございましたら承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/27
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028・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) これは単なる訓示規定でなしに、今回、恩給関係におきましても調査会を設置して、この問題を具体的に検討するということになりまして、政府のほうにおいてもいまその委員を任命をいたしておることでございまして、新居善太郎さんが委員長になるのではないかというようなことを聞いておるのでありますが、この政府の設けます恩給制度調査会でどういうふうに取り扱うか、これらの関係をよく各省庁間の連絡をとりまして、十分ひとつ従来国会で論議をされております趣旨にも沿い、また、地方公務員共済組合審議会及び社会保障制度審議会における答申等もよく検討をいたしまして、具体的方法をつくり上げる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/28
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029・鈴木壽
○鈴木壽君 その恩給制度審議会ですか調査会ですか、何か正式の名称はどういうことでございますか。——まあいいですよ、名前のことですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/29
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030・松澤兼人
○松澤兼人君 返事をいま調べておる前に。……いま鈴木委員からお話がありましたことは、法律でそういうことをきめても、だれが経済事情の変化とか、あるいは地方公務員の給与の問題とか、生計費とかいうようなものが著しく高騰したという、そういう判断をするのか。その権限ある機関は一体だれだ。自治大臣なら自治大臣、あるいは恩給制度調査会ならそれでもよろしい。どこかによりどころがなければ、いわゆる空文になってしまうおそれもあるし、また、これが精神規定だ、訓示規定だということになってしまう。ですから、公務員の給与の問題については人事院が報告をし勧告をする。それから地方公務員の給与については、地方公共団体が責任を持つことによって、そうしてその権限ある機関というものは、大きな公共団体においては人事委員会というものがあり、そういったようによりどころがなければ、結局これは空文に終わってしまう。そこで、たとえば恩給制度調査会というものが恩給、年金について時々検討し、そうしてこれを内閣及び国会に対して報告するとか、あるいは内閣の諮問機関であるならば内閣に対して報告するとか、よりどころがないと困るというわけです。ですから、そういう権限のある機関はどこかということをひとつはっきりお示しを願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/30
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031・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) これは大臣もお述べになりましたように、地方公務員共済組合だけの問題でございませんで、恩給法による恩給もございまするし、それから国家公務員共済組合法による年金もございまするし、その他の共済組合法による年金もございまして、今回それぞれ関係法律を統一的に同様な趣旨の規定を設けることにいたした次第でございます。
そこで、恩給の関係につきましては、恩給審議会でございますか、そこの意見を聞くことになりまするし、地方公務員共済組合法による年金につきましては、これは自治大臣の法律に基づく諮問機関といたしまして、地方公務員共済組合審議会というものがございます。この意見を聞く。それから国家公務員につきましては、やはり同様な形のもので国家公務員共済組合審議会というものがございます。そこの意見を聞くということになるわけでございます。
ただ、関係省庁がばらばらにそれぞれ関係の諮問機関の御検討をわずらわすということでは適当ではございませんので、その前に、関係省庁間の年金問題についての連絡協議会が現在ございますので、その連絡協議会で関係省庁の間で事務的にある程度の検討をいたしました上で、それぞれの関係の審議会に諮問をし、その答申に基づいて、さらに政府部内で調整をした上で実行に移す、かような段取りに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/31
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032・松澤兼人
○松澤兼人君 心配することは、やはりそれぞれの共済年金というものがばらばらになるおそれがあるので、統一的にするということは非常にけっこうなんですけれども、結局そういう各種の審議会があって、その答申が、たいしたことないじゃないか、別に年金を改定する必要ないじゃないかということを出したが、他のほうは、これはたいへんだ、やはり年金受給者に対しては年金制度を改定しなければならぬ、こういうような答申の仕方をする。それを締めくくる最終的な権限のある機関というものがないわけです。
いま局長は逆に、諮問する前に各省の連絡会議で話をして、これは少し上げてやらなければいかぬということを話し合いをして、ばらばらにならぬようにということのようですけれども、それじゃ諮問機関というものをつくった意味が何もないということになる。そういう審議会があって、これはたいへんだ、改定しなければならぬという意見が委員会の内部から出てくるということなら、これはよくわかるんですけれども、いわゆる関係官僚と言っちゃ悪いですけれども、関係各省庁の役人の人たちが、たいしたことはないから別にそう改定する必要もないじゃないかということを先に協議してしまって、そして地方公務員の年金は改定する必要がありますかという諮問を出してみても、これは意味をなさないことになる。やはりそれには中央の官僚の押しつけで、当分の間改定は見合わせだということになってしまったら、こういう規定を置いた意味がさっぱり出てこぬと思う。それらの最終的な取りまとめというようなことをやる機関がないと、事務段階で上げる必要がないということを前提として諮問したって意味がないということですね、これはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/32
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033・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先生の御心配になりますような点につきましては、そのようなことのないように十分心がけて努力をいたすつもりでございますが、なお申し添えますと、地方公務員共済組合審議会にいたしましても、あるいは国家公務員共済組合審議会にいたしましても、諮問に応じて調査審議をいたしますほかに、それぞれ所管大臣に建議する権限もございまするので、実際の運用といたしましては、なるべく共済組合で十分御審議をいただきまして、その御意向を尊重する方向でもちろん運営をいたしてまいりたい、かように考えております次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/33
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034・鈴木壽
○鈴木壽君 いろいろお話承るんですが、たとえば恩給制度審議会、あるいは地方公務員共済組合の審議会、国家公務員のそれ、いろいろあるわけなんでありますから、それぞれの審議会の審議の結果、あるいは意見を述べる、その意見に基づいて行なう、こういうわけでありますが、いまのところ全部そういう審議会にまかせっきりというかっこうになりますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/34
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035・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 先般も申し上げましたように、この法律が成立いたしましたならば、さっそく関係省庁の連絡協議会を開くことにいたしたいと考えております。そこで、御指摘いただきましたように、何ぶんにも法律の字句は抽象的な、ごく考え方のよりどころを示しておりますわけでございまして、この規定を具体化するにつきまして、どういうような問題点があるか、その点につきまして、まず関係省庁間である程度の検討をいたしました上で、それぞれの審議会に御審議をいただく、かような段取りに考えております。
それで、最初一つのこれを具体化するルールと申しますか、そういうものができますれば、あとはそれぞれここに書いてございますような要素の変化に応じまして、だんだんと軌道に乗せていくということができようかと思いますが、最初はある程度関係省庁の間で検討をいたしまして、準備的な検討をして、それから審議会にお願いをする、こういうことがいいのじゃないかろうか、現在のところかような考え方をいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/35
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036・鈴木壽
○鈴木壽君 私は、政府は審議会の審議なり結論なりを期待する、そういうことは一応あってもいいと思いますが、その場合にやはり政府の考え方というものを出して、それをもとにしていいか悪いか、あるいは手直しするとかどうかというようなことをやることが、どうもいまのいろいろな審議会なり調査会の運営の仕方あるいは結論の出し方から見ておりますと、そうしなければどうもうまくないのじゃないかと思うのですよ。そういう意味で、政府が、たとえば国民生活の水準なり、地方公務員給与の状態なり、物価その他を勘案するという、一体ウエートをどこに置くのか。私は国民生活水準云々という、これなんかまことに抽象的な、言えば一つのことばにはなりますけれども、なかなかもってそれからどうだということはむずかしい問題だと思います。手っ取り早くまず一つのめどとして、スライドの基礎をどこに置くか、いかなる条件が出た場合にスライドするのかということは、やはりいまのところは物価の上昇等に勘案しての、公務員の給与がいろいろ変わってきますから、改定されていきますから、そういうところをひとつめどにして、どうスライドさせるのかというようなことでなければいけないと思うのですよ。そういうことを相当、関係省庁の連絡協議会ですか、こういうところで検討した上で、ひとつのやはり方向というものを出して、こういうことでどうなのかというような諮問の仕方なり、審議をしてもらうための基準にしていくということでないと、これはああでもない、こうでもないとやっておって、しかも最終的には政府の思うようなととろへいくかもしれませんけれども、何かこの問題についてのはっきりしたそれが出てこないのじゃないだろうかと思うわけです。しかもばらばらにされたのじゃこれは困る。
それはひとつ私の意見として要望申し上げておきますが、実際のやり方として、いままでの共済組合等の改正の問題なり手直しの問題は、恩給法のそれに基づいて、いわばそれに準じたような形で、それをこっちのほうへ移した形で何べんも行なわれてきていますね。おそらく、今後とも恩給法というものがひとつのよりどころのものとなって、恩給法の手直しが地方公務員共済組合法の手直しとなり、国家公務員共済組合法の手直しというようなことが私、事実として行なわれざるを得ないだろうと思う。だとすれば、一つの恩給制度調査会なり審議会なりというようなものに、これはうんと大きなウエートを置いてもらって、そこで十分スライド制度の問題を具体的な実効の上がるような、そういうことの一つの方向を出してもらう、こういうことが一番いいのじゃないかと思うのですが、そこら辺どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/36
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037・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) 公務員の年金が共済組合によって行なわれるようになりましたのは、御承知のように地方公務員の場合でございますと、昭和三十七年以降でございまして、まだ日が浅いわけでございまするから、当面問題になりまするのは、その以前に退職をいたしました者の年金のスライド制が一般の関心を持たれておるわけでございます。そういうことになりまするというと、恩給法による恩給についての改正の考え方は、大体共済組合による年金につきましても右へならえをするというかっこうをとることが当然でございまするので、これまでの共済組合法の改正におきましては、そういう場合が通常であったわけでございます。しかし、今後共済組合時代になりましてから以後の退職者もだんだんとふえてまいります。そういたしますと、恩給法のほうとは関係なしに、共済組合による年金として考えなければならない問題もだんだんと多くなってくるように思います。そこで、いずれにいたしましても、恩給法による改定と共済組合法による年金の改定とは、これは歩調を合わせて考えていかなければなりませんので、その点につきましては十分留意してまいるつもりでございます。
なお、先生のお尋ねの中で、改定をいたします場合に、公務員の給与というものにウエートを置いて考えていくべきではないかという御趣旨の御発言がございましたが、この点につきましては、私もそれが適当なことであろうというふうに考えております。なお、まだこの点については、政府関係省庁との間で連絡会議をいたしておりませんので、政府全体のまとまった考え方ということまで固まっておりませんけれども、私自身といたしましては、公務員の場合におきましては、ここに書いてありまするいろいろな要素の中で、やはり公務員の給与というもの、またこれに国民の生活水準なり、物価等の事情も織り込まれて決定がなされておるわけでございますから、相当これに大きいウエートを置いて勘案していくということになるべきものではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/37
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038・鈴木壽
○鈴木壽君 これあれですか、それぞれの、恩給関係では恩給のほうの審議会、あるいは地方公務員共済組合はそちらのほうの審議会、国家公務員のほうではそれぞれの審議会というふうに審議されるでしょうか、答えといいますか、答申をいつごろまでに期待して審議してもらうつもりなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/38
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039・佐久間彊
○政府委員(佐久間彊君) その点につきましては、実はまだ法律も成立いたしておりませんので、関係省庁とも打ち合わせをいたしておりませんので、現段階におきまして、はっきりしたことはお答え申し上げかねまするけれども、私一個の考えといたしますと、これは年金のスライド制の問題は、現在すでに各方面から指摘されている問題でございまするから、これはなるべく早く具体的な検討に取りかかるべきものである、したがいまして、その答申につきましても、なるべく早くいただくというような態度で臨むべきものであるというふうに考えておる次第でございます。
なお、先ほどのお尋ねの点の恩給に関する審議会の名称でございますが、これは恩給審議会でございまして、すでに設置法も成立いたしておりまして、第一回の会合が五月十一日に開かれたようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/39
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040・鈴木壽
○鈴木壽君 この問題二年も三年もと、のんびりかまえられては困ると思うのです。私は、せっかく今回の法改正によって、こういう制度についての一つの道ができたんですから、いま言ったような、のんびりかまえて慎重審議、これは慎重審議しなければいけぬけれども、期日の上においてのんびりかまえられては私困ると思うので、できれば次の通常国会あたりで、四十二年度あたりから一つの方向が具体的に出てくるというようなくらいまでやってもらわないといけないと思うのですが、ただそうでないと、ぬか喜びをさせるに終わってしまって、いつ具体的にやってくれるのだということになってくるんでありますし、問題が問題だけに、私は少しせっかちなような言い方をしますけれども、いま言ったような、四十二年度あたりからは何とかかっこうをつけてやれるのだというふうなところまでいってほしいと思うのですが、これはひとつ大臣どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/40
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041・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) スライド制の問題は、御存じのように、各派一致いたしまして早急に実現するようにということで、昨年の恩給法並びに共済年金法にも附帯決議になっておりまして、今回これを成文化、取り上げたわけでございますので、皆さん方の御意思を十分尊重いたしまして、早急にどういう方向で、どのような立場で進んでいくかという問題を検討をいたしまして、来年度予算編成までには少なくとも中間答申でも何でも得まして、やるように努力をすべきである、院議を尊重すべきであると考えておりますので、内部においても最善を尽くしてみたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/41
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042・鈴木壽
○鈴木壽君 その点は大臣のいまの御答弁に期待しておきたいと思います。
それから短期給付に関する国庫負担の導入の問題ですが、これも大臣御承知のように、前のほうの審議の際に、附帯決議が各党一致の附帯決議として出ておるのであります。今回の改正案には、そのことが全然出てきておらないと、われわれ非常に不満に思うのでありますが、この点についてはどうお考えになって、実現のためにどうなさるつもりであるのか、これをひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/42
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043・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) この問題は、他の健康保険、政府管掌等に関連をいたしておりますので、政府といたしましては、今回臨時医療保険審議会を設けまして、抜本的に対策を講じるということで審議をいまお願いをいたしておるような次第でございますので、他の関係と総合的に、この隘路打開に全力をあげる考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/43
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044・鈴木壽
○鈴木壽君 こういう問題も、いま大臣のお答えによりますと、医療保険審議会で検討してもらうのだと、こういうお話であります。私どもも、いま地方公務員共済組合の問題だけで、これだけでできる問題とも思っていません。したがって、他の共済等との関連において考えていかなきゃいけない問題だと思うし、しかし、その際に、やっぱりほかのほうもできないから、こっちもできないというような、どっかに責任をなすりつけたようなかっこうでなしに、やっぱり国庫負担の導入というようなことについての政府としての一貫した強い考え方がなければいかぬと思うのです。
これは繰り返して申し上げるようでありますけれども、附帯決議をつけた際に、大臣も趣旨を十分尊重してやっていくんだというお答え、これは永山さんの前の大臣のときでございましたけれども、しかし、これは大臣としておっしゃっているからには、人がかわってもそういうことは私変わらないことだと思いますから、これはほんとうに国庫負担の導入ということについて実現のためにおやりになる、こういう決意を持っておられると思いますが、その点あらためてひとつ決意のほどを伺わせていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/44
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045・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) この問題はぜひ解決しなければならぬ、社会保障の中核をなす問題でございますから、政府といたしましては、医療保険審議会をぜひ成立していただきまして、総合的に解決をいたしたい。しかも、じんぜん日を延ばすという意味でございません。すみやかに結論を得て、いま申したように、来年度の予算編成をめどに総合的に解決するように努力をいたしたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/45
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046・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣は衆議院のほうに行かれるそうでありますからいまひとつ……。市町村共済の掛け金が非常に高くなっているところがあることは、この委員会でも、大臣がおいでになったときと思いますが、あるいは他の場合でも、しばしば指摘されて、掛け金率の高いところをもっと押えて、組合員の負担の軽減ということで考えていく方法がないかということでいろいろ話があったんでございます。局長から具体的な考え方についても相当構想が述べられておりましたが、実は細部の点になりますと、そのままそっくり実施できるかというと、必ずしもそうでないような情勢でもある。しかし、何とかこれは掛け金の非常に高いところに対する手当てといいますか、それを考えていかなきゃいけないと思うのであります。調整資金というような——これはもちろん仮称でありますけれども、そういうものの設定というようなものも考えたようでございますから、そういうものを土台にして、この問題を、これは早急にひとつ解決をしていただきたいと思うのですが、大臣、それについて……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/46
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047・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 自治省といたしましては、短期給付の調整金等を設けて経過的に若干の財政援助もいたしたいという気持ちで、関係省とも連絡はとっておりますけれども、なお十分了解を得ていないことでございます。
この問題もやはり短期給付の問題に関連をいたすものでございますから、根本的には臨時医療保険審議会の審議にこれをかけまして、十分検討をいたしてもらって、これもぜひひとつ次の通常国会を目ざして結論を得るように最善を尽くしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/47
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048・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣ね、ざっくばらんなところを申し上げますが、医療保険審議会にかけて根本的に——これは私は簡単でないと思うのです、この問題はね。それじゃ、すぐ来年あたりうまい対策が生れるかというと、私は必ずしもそうじゃないと思うのです。そこで、いま申し上げた調整資金の問題というのは、その根本的な、抜本的な解決策といいますか、対策を立てるまでの期間ほうっておけない問題だからというので考えられたものだと思うし、私どもはそういう意味で、具体的なこまかい点になりますと、意見もありますけれども、その制度そのものは取り入れて考えていいんじゃないだろうか、こう思っているわけなんですから、いまのつなぎの問題——根本的な問題、たとえば短期についての国庫負担の導入、そういうものとからんで、これは一体組合員の負担をどうするのかというようないろいろな問題がありますが、そこまでの結論が出る前に、しかし、掛け金率があまり高いとか、現時点においてほうっておけないいろいろなこういう問題があって、組合員の負担を非常に大きくしている、こういう問題があるわけなんです。それを何とか救済できる方法として、いわば過渡的なといいますか、暫定的なものとして考えられてしかるべきじゃないだろうか、こういうことでございますから、ですから、一切そっちのほうでやっていくということじゃ、それじゃ私ちょっとおかしいのじゃないかと思うのですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/48
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049・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 先刻の答弁は十分ことばが足りておりませんでしたが、御説のとおりでございまして、やはり経過的に調整資金の構想をひとつ打ち立てていきたい。そうしてまた、基本的には臨時医療審議会で問題の審議を経てやらなければならぬと思うのでございますが、御説のように、調整資金の構想については、なるべく早く結論を出すようにいたしたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/49
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050・鈴木壽
○鈴木壽君 大臣はまじめな方でございますから、私も大臣のお話をほんとうにそのまま受け取って、まじめな御答弁として、誠意のある御答弁として聞いておきたいと思いますから、いまの短期給付に対する国庫負担の問題、あるいはスライド制の問題、それから市町村共済の掛け金の高いものに対する経過的なものとしての手当ての問題、そういう問題、ひとつここだけの答弁でなしに、ぜひひとつ早急に実現できるようにやっていただきたいと思いますし、できれば私ども、そういうことに対するこれからなお一そうの御努力を願う意味で、委員会としての附帯決議でもつけてもらえればありがたいと、こう思っておりますが、ぜひひとついまの御答弁を忠実にやっていただくように希望しておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/50
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051・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) 他に御質疑はありませんか。——他に御発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めまして、これより討論に入ります。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。なお、修正意見のおありの方は討論中にお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/51
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052・沢田一精
○沢田一精君 ただいま議題となっております地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対し、賛成の意を表するとともに、この際、私は、本案に対する修正案を提出いたしたいと存じます。
案文はお手元に配付いたしておりますので、朗読は省略させていただきます。
この法律案につきましては、今日まで当委員会で慎重に審議を重ねてまいりましたが、政府原案に掲げられておりますところの、地方公務員共済組合期間と地方団体関係団体職員共済組合期間との、いわゆる公庫・公団方式による通算の措置につきましては、団体職員の実態に照らして一応当を得たものと認められるのであります。しかしながら、団体職員のうちには、団体側からの要請もあって、地方公務員を退職していった方々が多数あることにかんがみ、それらの方々が、十年以上もの間、団体の業務に貢献され、しかも、地方公務員の在職期間と団体職員の在職期間を合算して二十年以上にもなるような場合でありながら、余儀ない事情により再び地方公務員に復帰することなく退職した場合において、退職一時金を支給されるだけで、年金を受給できないということは、いかにも酷ではないかと思われるのであります。
それゆえ、ここに、地方公務員の期間を、団体共済の退職年金の受給権を発生させる資格期間として認めるという、いわゆる資格期間方式を加味するよう政府原案に修正を加え、団体側の要望にこたえるとともに、団体職員が安んじて団体の業務に精励できるようにいたしたいのであります。
なお、最短年金年限未満の在職者にかかる廃疾年金についても最低保障額を引き上げる必要があると思います。
これがこの修正案を提出した理由であります。
次に、修正の内容について申し上げます。
地方団体関係団体の職員で、団体職員組合の組合員であった期間が十年以上二十年未満の者が退職した場合において、その者の団体共済組合員期間に常勤の公務員としての在職期間を合算するとすれば、その期間が二十年以上となるときは、恩給、退隠料及び共済年金を受けることができる場合を除き、その者に退職年金を支給することとしたものであります。
この場合に合算される公務員期間は、年金受給のための資格期間として取り扱うこととし、退職年金の額の算定にあたっては、団体共済組合員期間のみを基礎とすることとしております。また、最短年金年限未満のものにかかる廃疾年金につきましては、最低保障額六万円としようとするものであります。
以上がこの修正案の趣旨及びその概要であります。何とぞ皆さまの御賛成をお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/52
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053・加瀬完
○加瀬完君 私は、日本社会党を代表し、本案、修正案ともに賛成をいたします。ただし、両案を通し若干の希望条件を申し上げます。
その一つは、地方公務員共済制度の財政現状には相当のでこぼこがあり、さらにこれが是正を至急に考慮をすべき問題も含まれておるのでございます。これらの点の解決を望みたいのであります。
その二つは、各共済制度の間におきましての組合員の負担は、必ずしも合理的ではございません。この点の是正を望みたいのであります。
その三は、年金のスライド制等についての対策が急がれております。この点については、松澤、鈴木両委員の指摘もございましたとおり、これらを解決をする機関あるいはその方法、こういった点の具体化を運ばれたいのであります。
その四は、本法の目的を達成させるためには、本組合事務の担当者であります方々に人材を必要とすることは言を待ちません。この点修正案では一部問題の解決も運ばれておるわけではございますが、さらに人材導入のためには、待遇等の諸条件を整備する必要がいまだ残されておる面もございます。これらの解決を望みたいのであります。
以上の点の早期解決を期待いたしまして、賛成をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/53
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054・原田立
○原田立君 私は、今回提案された地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案並びに修正案につき、公明党を代表して賛成の意を表するものであります。
最近の社会保障制度全般をながめますと、それは名のみであります。たとえば、恩給、年金生活者の中には、それだけではとうてい生活でき得ない状態の人々が多いことと思われます。恩給年金の最低保障が六万円に引き上げられたことは半歩前進と言えましょうが、それで十分とはとうてい考えられないものであります。年金のスライド制についての内容は精神規定にすぎず、具体的措置はいまだきまっておりません。この条文が空文化することを最もおそれるものであり、早急に具体的措置をとることを要望したい。
また、医療費の増高は、短期給付に要する費用に赤字を生ぜしめ、累積する赤字額は、現状の方法では解決すべき道はないと思われます。組合員への掛け金の増大となってはね返るということは、医療社会保障の原則にもとるといわなければなりません。その掛け金率も、現状ですでに千分の百以上という高掛け金を徴収されておる組合も十指以上といわれている現在、さらに掛け金が増加するということは、共済組合の死活の問題となってくるのではないかと思われ、特に国庫負担の導入については十分な考慮を払われなければなりません。
今回の政府原案並びに修正案にあります年令受給権の発生期間の通算問題等も、現行に比べれば一歩前進といえましょうが、まだかなりの問題が残されていると思われます。よって、さらに改善すべく要望して、賛成の意見といたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/54
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055・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) ほかに御意見もないようでありますが、討論は終結したものと認め、これより採決をいたします。
まず、討論中に述べられました修正案を問題に供します。本修正案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/55
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056・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) 全会一致でございます。よって、本修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/56
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057・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) 全会一致でございます。よって、修正部分を除いた原案は可決され、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
次に、沢田君から、各派共同提出にかかる附帯決議案が提出されております。
沢田君の御説明を求めます。沢田一精君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/57
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058・沢田一精
○沢田一精君 私は、この際、ただいま可決されました地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案について、各派共同により附帯決議案を提出いたしたいと存じます。
ただいまから各位のお手元に配付してございます案文を朗読いたします。何とぞ各位の御賛成をお願いいたします。
地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議案
政府は、地方公務員等共済制度の現状にかんがみ、左記事項に検討を加え、これらの実現を図るべきである。
一、短期給付に要する費用の一部について国庫負担を導入することについては、医療保険制度の抜本的対策の際検討すること。
二、市町村共済における掛金の増高しつつある状況にかんがみ、調整資金制度等につき検討を加えるとともに、組合員の掛金率については、他の社会保険の保険料との均衡を考慮して過重とならないよう配意すること。
三、年金のスライド制の運用については、その実効ある措置が早急に講ぜられるよう適切な配慮をすること。
四、公務員期間と団体職員期間との通算措置については、完全通算につき今後さらに検討すること。
五、地方議会議員の在職期間については、都道府県、市及び町村間の相互通算制を検討すること。
右決議する。
以上であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/58
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059・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) ただいまの沢田君の提案による附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/59
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060・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) 全会一致でございます。よって、本附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し、永山自治大臣より発言を求められております。永山自治大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/60
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061・永山忠則
○国務大臣(永山忠則君) 御趣旨を体して善処いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114720X02519660531/61
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062・岸田幸雄
○委員長(岸田幸雄君) 本案の審査報告書につきましては、先例により、委員長に御一任を願いたいと存じます。
次回は、六月二日午前十時開会の予定でございます。
本日は、これにて散会いたします。
午後二時四十九分散会
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