1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十二日(火曜日)
午前十時五十五分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 熊谷太三郎君
理 事
八田 一朗君
伊藤 顕道君
北村 暢君
委 員
源田 実君
船田 譲君
三木與吉郎君
森 八三一君
山本茂一郎君
中村 英男君
多田 省吾君
中沢伊登子君
国務大臣
国 務 大 臣 上原 正吉君
政府委員
科学技術庁長官
官房長 小林 貞雄君
科学技術庁計画
局長 梅澤 邦臣君
科学技術庁研究
調整局長 高橋 正春君
科学技術庁振興
局長 谷敷 寛君
科学技術庁原子
力局長 村田 浩君
科学技術庁資源
局長 橘 恭一君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
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本日の会議に付した案件
○科学技術庁設置法の一部を改正する法律案(内
閣提出、衆議院送付)
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001・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について報告いたします。
去る十七日、鬼木勝利君が辞任せられ、その補決として柏原ヤス君が選任されました。
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002・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 科学技術庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は、去る十七日衆議院から送付せられ、本委員会に付託されました。なお、本案の提案理由の説明は二月十七日に聴取いたしております。
それでは、これより本案の質疑に入ります。なお、関係当局の御出席は、上原科学技術庁長官、小林科学技術庁長官官房長、梅澤同計画局長、高橋同研究調整局長、谷敷同振興局長、村田同原子力局長、橘同資源局長、以上の方々でございます。御質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/2
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003・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この法案に関連して二、三お伺いしたいと思います。まず順序としてお伺いしたいのは、この法案自体によりまして無機材質研究所の設置について、こういう点にしぼってまずお伺いしたい。今回の改正案によりますと、非金属無機材質なるものの創製に関する研究を行なうために科学技術庁の附属機関としての無機材質研究所を新設すると、そういう趣旨のようでありまするので、そのことについてお伺いするわけですが、無機材質の研究については、従来から東京大学の物性研究所においても研究を続けておったというふうに聞いておるわけですが、今回設置法を改正して、特に科学技術庁の附属機関として新たに研究所を設置しなければならない理由は一体那辺にあるのか、この点について御説明をいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/3
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004・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 無機材質研究の必要性は、前から相当に学会で唱えられておったのでございます。東大の物性研究所でも似たようなことをやっておりますけれども、すっかり同じではないわけでありまして、無機材質というものが金属以上に熱に耐え、それから衝撃に耐える、こういうふうな性質が発見されまして、これがなければあらゆる科学技術が実効をあげる機器をつくり出すことがむずかしい、ことにエレクトロニクスやなんかの分野でも非常に大切であるし、それから高熱、高圧に耐えるということも必要なことで、これだけを特別に研究していかなければならない、こういう要請で生まれたわけでございます。東大物性研究所との相違点など詳しいことは局長に説明させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/4
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005・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 現在まで無機材質の研究を日本でやっておりますところは、東大の物性研究所、それから東京工業大の研究所、それから大阪の工業技術院の工業技術試験所と、名古屋の工業技術試験所、四カ所が一部やっております。ただこのやり方は用途、それから現在使われそうなもの、そういうものの用途、それから東大の物性研等では結晶性の問題とか、そういう物性の理論的研究をやっております。現在しかし、これでいった場合に一番問題になりますのは、やはりこういう新しい無機材質の問題が、高純度のものを合成してつくるということが一番問題でございまして、したがいまして、そういう先生方にこの二年間検討をしていただきまして、この研究所であらためてそういうところと共同制を結びまして、そうして新しい日本独創の技術が生まれる高純度の物質の合成を重点としていこう。したがいまして、この研究ではグループ研究を進めてまいりまして、その一部には東大の物理、物性をやっておられる方の一部が関係いたします。それから、そういうところの共同体制を結んで、この研究で新しい物を創製していくという分野をやりまして、創製した物がある用途——いろいろな用途にやりますが、その用途をやる場合にはいまの大阪の試験所とか、あるいは名古屋の試験所でその用途分野を結んでおる共同体制ということを結びつけてこの研究所を、科学技術庁の研究所に高純度の物質を合成する分野を受け持った研究所として設立することにしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/5
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006・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そこで、さらに伺いますが、この研究所は法案が通ると発足するわけですが、無機材質の中で特に炭化珪素を研究の対象としておるようですが、特に無機材質の炭化珪素を選ばれた理由ですね。これは一体どういうことなのか、これを説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/6
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007・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 無機材質の問題としましては、先生のおっしゃるとおり、たくさんの物質がございます。その中で一番日本の工業に広くまず役立つものは何かということを考えまして、そこからいきますと、やはり炭化珪素が非常に高純度になりますと、非常に高い温度に耐える、高熱工業に役立つということが一つでございます。そうしますと、MHD発電等の材料に非常にいいのではないか。それから一方、これは電気的特性を持っておりまして、電子技術の高温半導体、こういう電子技術分野でも非常に役立つ、いまやりますと、産業界に非常に役立つのが早いんではないかというところで、さしあたりこの問題にとりかかったわけでございます。したがいまして、この研究所で今後大体こういう課題を十五くらい毎年やりながら、新しい物質を創製していくという考え方で、まず最初に産業に一番役立ちやすいもの、広く効果のあるものということで、先生方の検討で炭化珪素をまず取り上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/7
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008・伊藤顕道
○伊藤顕道君 炭化珪素を当面取り上げた理由についてはよくわかりましたが、そこでさらにお伺いしたいのは、この炭化珪素の研究がある程度進んで成果をおさめた暁には、また炭化珪素だけが研究の対象ではないと思う。やはりその次には、一体無機材質の中で何を選ばれるのか、そこまで計画の中に選定されておられるのか。いや炭化珪素の研究が終わった後に、その段階で考えるのか——おそらくそういうことではなかろうと思うのです。やはりちゃんと計画があろうかと思う。そういうことについての計画がおありでしたらひとつこの際お聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/8
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009・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほど申し上げましたように、大体五年間の間に十八品目くらいやりまして、その後この研究所は大体十五グループくらいずつ進めていくという予定を立てまして、それで大体一つのテーマが、いまの炭化珪素の一応予定といたしましては、三年で何とか高純度材質の合成をしようという考えでございます。したがいまして、そのあとどういうテーマをやるかということで、酸化物関係のことにつきましては相当ある程度海外その他でやっております。しかし、一番やはりこれから先必要と思われるものは、弗化物、炭化物、それが一番今後の問題としてはあるのではないかということで、弗化物系統、そういうものを次の年度には取り上げていきたいという考え方でございまして、そのテーマにつきましてはもうすでに相当あげられております。しかし、研究者のあり方、体制がございまして、これからこの研究所が始まりますと、この研究所の中に運営会議というものが設けられます。そこでもって、どういう研究グループでこれがいったらいいかということで、現在出ておりますテーマの中から、それを実際的に持っていくテーマは、その運営会議で選んで進めていくという大体考え方になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/9
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010・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この炭化珪素の用途としては、いわゆる高性能の耐火材として、あるいはロケット用のノズル等、こういう点があげられていると思うのですが、そこでこういう研究が完成した暁、ここで特にお伺いしておきたいのは、この材質が、ロケットとか、ミサイルとかの軍事的に使用されることも、一応も二応も考えられるわけです、考えとしては。そこでこの点についてはどのようにお考えになっておるか、これはきわめて基本的な、大事な問題であるので、長官の御見解をこの際承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/10
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011・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) おっしゃるように、ロケットにも使われると思います。しかし、局長が申し上げますように、いろいろな分野で、ぜひともこれから先の化学工業にはなければならないのでございます。また、ロケットに使いましても、科学技術庁も実用衛星を打ち上げようということで努力を重ねておりますから、この開発にも必要かと思うのでございますけれども、わが国の科学技術の研究は、平和利用を徹底的に目ざしておる。でどこの他省庁の設置法にも、軍事に用いるということは書いてなければ、またやるつもりもない、やる準備もない、こういうことでございまして、どこまでもロケットそのものは平和利用専門でございますから、軍事的に利用されるというふうなことは絶対にないと申し上げて過言でなかろうと思う次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/11
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012・伊藤顕道
○伊藤顕道君 長官がそういうように明確におっしゃっておりますから、これ以上この問題はお伺いしないことにしますが、この提案理由を見ますと、非金属無機材質に関する研究については、欧米先進諸国においても積極的に推進されておるというふうにあげられておるわけですが、この発展状況、開発状況について、この際ひとつおも立った国のそれについて、簡明にお聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/12
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013・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) アメリカにおきましては、第二次大戦前に、アメリカのカーネギー研究所というところが手をつけました。しかし、そのときはほんの小規模でございまして、つい数年前には、マテリアル・サイエンス・ラボラトリーと、一種の材質研究機構といいますか、そういう機構をつくりまして、主として向こうでは、大学の中にそのグループを設けて研究を進める体制をとっております。英国におきましては、国立の物理研究所というのがございます。そこがこの研究を進めております。それからフランスにおきましては、フランスの科学研究本部というのがございます。そこで進めております。それから西ドイツにおきましては、マックス・プランク協会の中に珪酸塩研究所というのがございます。そこがこの研究を進めております。この研究と私どものほうの違いと申しますか、その点、この研究は非常に機械だとか、電気化学、各分野の専門的なグループでやらなければなかなか進まない研究でございます。したがいまして、私たちのほうは創製するところの分野を受け持ちまして、あとの分野を、先ほどのようにグループ研究でいくという体制を設けましたのも、各国もそういう一つの研究所でかたまってやっておりますが、そこにグループ体制で他の研究所が入る体制をとっておりますので、それと同じような形になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/13
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014・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御説明のあったように、先進諸国の研究は相当進んでおろうかと思います。そこでだいぶ日本の研究は立ちおくれがあろうかと思うのですが、これはまあいずれは追いつけるでしょうが、大体いま科学技術庁として想定しておるのは、何年ぐらい研究を続けたら、先進諸国のそれに追いつけるのか、そういう一応のめどはございますか、もしあればこの際承っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/14
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015・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) この研究所をつくります検討会におきましてだいぶその点を検討いたしまして、約五年間の間に外国の研究と匹敵するところまで持っていきたいという形をとりまして、今後約五年間の計画を立てました。そのときには一応これから運営会議でもう一度やり直すことになっておりますが、現在のところ大体四百人、それからそれのほかに先ほどの各研究所から共同で五十名、四百五十名くらいの陣容で、それで五十八億くらいの費用が要るのではないか。そこまで持っていきますと、大体海外と匹敵した研究がその後続けていけるのではないかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/15
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016・伊藤顕道
○伊藤顕道君 無機材質研究所のまず四十一年度の予算を見ますると、約六千六百万くらいになっておる。人員二十一人のようですが、この点で発足するようですけれども、研究所の機構とか人員、それから予算について何か年次計画は当然あろうかと思いますね。それは年次計画ですから膨大なものになるのですが、要点だけをひとつかいつまんで御説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/16
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017・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 先ほどちょっと答弁してしまいましたが、五年間の年次計画をつくりました。そのときには初年度、こういう団地化の問題が大体うまくいくのではないかという考え方で、初年度から研究体制をもっと大きいものでいく形を考えておりましたので、計画を変更いたさざるを得ないわけでございますが、現在、先ほど申し上げましたように、四百人の約五十八億という研究設備並びに研究陣容が五ヵ年計画でできております。ただこれはちょっといまの問題がございまして、もう一度、今度の研究所ができましたら、その中で運営会議におきまして再検討して、今度の予算のときにははっきりその五ヵ年計画をお示しいたしたいという形をとっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/17
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018・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御指摘のあった研究所ですが、その場所についても大きな問題になろうかと思うのです。将来、筑波研究学園都市、ここに本庁舎を建設する予定とのことでありますが、これは可能性があるのかないのか、そして科学技術庁においては、研究学園都市の建設とかあるいは調査、相当進めておられるやに聞いておるわけです。そうしますと、これが実現してそこに移転なさる時期は一体いつごろを目途としておられるのか、こういう点について一応お聞かせをいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/18
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019・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 本年度の四十一年度は、とりあえず機械技術協会の技術研究所というのが西武線の井萩の土地にございます。そこを一部借りましてその研究所が発足いたしますが、これを借りますのが最高二年ということでいま借りております。と申しますのは、できましたならば来年の予算からうまくいけば団地化のほうの土地を借りまして建てられるんじゃないかと思いますが、もしおくれましても、二年の間には向こうの一番最初の団地化ができる研究所として考えておりますので、進めていきたいという考え方で進んでおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 大体この材質研究所については大要がわかりましたので、次に定員増について具体的にお伺いしたいと思います。
今回の改正案によりますと、科学技術庁の定員を四十五人を増員して千九百五人、こういうふうでありますが、それだけではどうも全貌がはっきりしないのですが、その点についてひとつ概略御説明を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/20
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021・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) 御指摘の定員の問題につきましては、以下のような状況でございます。
定員増といたしましては、設置法に出てまいります四十五名でございますが、御存じのように、三十九年の九月の閣議決定でいわゆる凍結人員というのがございます。当庁につきましては現在十四名の人員が凍結されております。したがって、十四名の人間が凍結されております。この十四名の人間の凍結を今回全部解除してもらうというようなことになりまして、したがって、十四名プラス四十五名、合計五十九名が私どものほうの実質的な意味の定員増ということになるわけであります。この五十九名の人間を研究所を中心にいたしましてそれぞれ増加させていこう、こういうようなことであります。
多少詳しくなりますが、内容的に申しますと、航空宇宙技術研究所に十一名、金属材料技術研究所に二十名、放射線医学総合研究所に五名、防災科学技術センターに十名、宇宙開発推進本部に二名、それから無機材質総合研究所、これは十八名。それからそのほか水戸の原子力事務所に一名、合計五十九名がそれぞれ異動になるということになっております。
なお、若干御説明を加えさせていただきますと、無機材質総合研究所十八名と申し上げましたが、別の機会に御説明申し上げております二十一名の差額三名というのは、金属材料技術研究所の人間がそちらに振りかわるということになっておりまして、十八プラス三の二十一ということになるわけであります。
以上、申し上げましたことが現在の私どもの定員増の概略であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 そうしますと、技術庁は、実際の法律定員は四十五人増であって、四十一年度に凍結人員十四名だけが復活したわけですか。これは何名中十四名が補充されたのか、これはいまちょっと聞き損じたのですが、何名ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/22
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023・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) 先ほど説明が足りなかったのでありますが、私どものほうの現在凍結されております人間が十四名でございます。それが全部解除されたということなのであります。
なお、先ほどちょっと申し間違いましたので訂正させていただきますが、無機材質総合研究所と申しましたが、総合という字は要らないわけであります。間違いましたので、訂正させていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでわかりました。
次に、いま御指摘のあった航空宇宙技術研究所の増員十一人のうちで三名は、昨年垂直離着陸機ですね、に関する実験として設置されました。これはその場合の増ですか、角田支所ですね。この角田支所の分であるようですが、二年目に入る同所の定員は何人になるのか、この点をあわせてお聞かせいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/24
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025・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 角田支所は昨年の七月に開設されまして、四名の定員がついておりますが、四十一年度にいま御指摘のように三名増員になる予定でありますので、四十一年度には七名になる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/25
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026・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この角田支所は四十五年度までに四部、二百五十人の計画で進められているということのようですが、現在までの建設状況とか実験状況、こういうものについてその概要を御説明願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/26
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027・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 角田支所の将来の計画につきましては、ただいま先生が御指摘になりましたような詳細な計画はまだ実はできていないわけであります。現在までの状況を申し上げますと、昭和四十年度には、垂直または短距離離着陸飛行機の研究関係といたしまして、高度制御試験設備、フライング・テスト・ベッドというようなものを中心に約二億円の予算がついております。四十一年度にはさらに四億円ばかりこの関係の予算がついて研究が進められるという状況になっております。ロケット関係は四十一年度から研究を始めることになっておりまして、約六千万円の予算でロケットの誘導試験設備等をつくることになっております。将来の計画につきましては、先ほど申し上げましたように、まだこまかい計画はできておりませんが、大体の予定といたしましては、垂直または短距離離着陸機の研究関係では総計十億円程度を投じまして、先ほど申し上げました高度制御試験設備、フライング・テスト・ベッドというような研究をやる予定でございます。また、ロケット関係につきましては大体四十一年度を初年度といたしまして、五ヵ年くらいの計画で三十億円程度の資金を投じまして、ロケットの誘導試験設備、環境試験設備、テスト・スタンドというようなものを整備いたしまして、わが国におけるロケットの地上試験センターというような役割りを果たしてもらう予定でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/27
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028・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますのは、国立防災科学技術センターに関連してですが、この国立防災科学技術センターは防災科学に関する試験研究をやるために三十八年に設置されたものであって、その成果は大いに期待されておるわけです。ところが、その実態を見ますると、他の試験研究機関もそうでありますが、整備計画は非常におくれておるようですね。四十年度までに百七十三人となる予定が、現状は今度改正の十名を入れてもなおかつ七十三人となって百人不足しておるということです。わずか百人の不足というふうにはとれないわけです。百七十三人のうち百人が不足しておるということは不足のほうが多いというのが実態ですね。こういう状態で当初予定どおりの防災研究が進められるものかどうか、大いに疑問を持たざるを得ないわけですね。この点は一体どうなっておるのか。そうしてこの立ちおくれをどのように取り戻そうとの計画がおありなのかどうか、こういう点について具体的にお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/28
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029・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) お答え申し上げます。防災科学技術センターが行ないます業務を大きく分けますると五つになるわけでございます。
まず第一は、伊藤先生から御指摘のございました多額の経費を要しまするところの試験研究の施設設備を設置いたしまして関係の各省庁の共用に供する。これは三カ年計画でやっておりますのですが、三十九年以降研究庁舎あるいは各省庁の外来の研究者のための宿泊施設というようなもの、それ以外に研究設備といたしましては、雪害実験研究所におきますところの気象観測設備あるいは積雪関係の種々の設備、これは大体のところ四十一年度までに完成をいたしまして、大体所期の目的を達するだけの施設は充足いたしたと思っております。
次に第二番目は、波浪等観測塔でございますが、これも沿岸災害をもたらしますところのいろいろな自然的な要因でありますところの海象や気象のいろいろな要素を観測するためでございますが、これも三十九年から平塚の海岸沖に建設を開始しまして、大体四十一年度の予算をもちまして必要な十八ほどの個所を調査いたします計器類の取りつけが完了いたしました。かついろいろなデータを処理いたしまして、これを平塚から東京に電送処理いたしますところの装置等もできまして、新たにここに分室を設けまして、四十一年度から定員を三名でございますが、張りつけますところの宿舎等も完成いたしましたので、大体四十年の八月ごろから一部の観測は開始いたしておりますが、本年の十二月から本格的な観測を開始する予定になっております。
それから共用施設の三番目に、大型の耐震実験装置でございますが、これは非常に実物に近いところの模型をつくりまして、地震を実験的に起こしまして、建築物でございますとか、その他の構築物の耐震性の研究のもとに、さらに地盤と構築物を同時に動かすというような新しい手法によりまして耐震性能を向上させることを目的といたしておるわけでございますが、昭和四十年度から委員会を設けまして、関係各省庁の研究者にお集まりいただきまして、この装置のどのような条件のものが必要であるかということを御検討願いまして、四十一年度にはこの装置の主要な部分でございますところの加振機の試作に五千万円ほどの予算がつきました。これは単年度でございますけれども、引き続きまして四十二年以降予算を要求いたしまして、四十三年度にはこの大型の耐震実験装置を完成をいたすという予定にいたしております。
それから防災センターの第二番目の業務でございますいわゆる職員を関係の各省の研究機関に派遣いたしましていろいろな試験研究に協力せしめることでございますが、これも流動研究官制度を活用いたしまして通産省あるいは農林省関係の研究所へ派遣をいたしております。
それから多数部門の協力を要しますところの総合的な試験研究につきまして、各省庁が行なっておりますところの研究を総合的に推進するための連絡的な役あるいはみずからその一部を分担いたしまして試験研究を行なうということでございますが、この事項につきましては四十一年度まででございますけれども、特別研究促進調整費二億五千万ほどを支出いたしまして、風水害、沿岸防災、その他七項目にわたりますところの多数部門の協力を要しますところの試験研究を実施いたしております。
それから各種の研究に共通いたしますところの基礎的な研究試験、これもまあ特別研究ということでやっておりますけれども、電子計算機によりましていろいろな、降雨と洪水量の関係を求めますためのプログラムを作成いたしますところのプロセスモデルの研究でございますとか、あるいは災害の統計分析の研究あるいは雪害関係の雪質やなだれの分類の調査、こういうものを昭和三十九年ないし四十年度から実施いたしております。
そのほかに五番目の業務といたしまして、防災資料の収集整理、保管、提供というようなものを行なっております。
以上が現状でございまして、今後どういたしますかということは、ただいま長期の計画をいかにいたすかということを検討をいたしておりますが、なお雪害実験研究所に風洞でございますとか、降雪の実験施設というようなものを設備いたす、あるいは波浪等観測塔につきましてもブイ・ロボットその他の観測計器をさらに追加いたし、先ほど申し上げました大型の耐震実験装置につきましては四十三年度までに完成をはかりたい。以上今後の大体の見通しを御説明申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/29
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030・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしたいのは、水戸原子力事務所の定員についてですが、これは今回一人増で九人になるようですが、この九人の陣容で、所員は原子力施設の検査をやったり、あるいは監督をやったり、周辺地帯の放射能の監視をやったり、なかなか大事な多くの仕事が控えておるわけですが、この程度の陣容で十分使命を果たし得るものかどうか、危惧の念を持たざるを得ないのですが、その点はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/30
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031・村田浩
○政府委員(村田浩君) 水戸原子力事務所につきましては、ただいま定員八名、四十一年度につきまして一名増員していただきまして九名になる予定でございますが、御案内のように、水戸原子力事務所を設けましたのは、茨城県下にたくさんの原子力施設があり、ここに集中した形になっておりますので、いわゆるこれの原子炉等規制法によります事務あるいは障害防止法によります事務等が相当ございますので、一々中央から検査官を派遣し、立ち入り検査等を行なうというようなことをやっておりますと非常に能率がよくないということ、並びにいまお話にございましたような水戸の原子力センター周辺の放射能監視というような仕事もございますので、設置していただいたわけでありますが、もちろんその業務内容から見まして、所員は多ければ多いほど手さばきはそれだけ的確にできるということは言えるわけでございましょうけれども、私ども現在水戸事務所の業務量等を査定いたしまして、本庁における原子力局の業務量等も勘案して、ただいまの人員、つまり四十一年度におきまして九名ということで、設置法に定められました事務所の仕事を、一応滞りなくやっていけるものと、このように判断をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/31
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032・伊藤顕道
○伊藤顕道君 多ければ多いほど目が届くと、そういうことをお伺いしているんでなく、この九人の陣容で、必要にして十分な使命が達し得るのかどうか、こういうことを伺っておるわけです。多ければ多いほど目が届くでしょう。そうではなくして、予算の関係がありますから、これだけはぜひ必要なんだ、それで必要にしてかつ十分だという限度が必要であろうと思うのですね。その点についてはいかがかと、お伺いしているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/32
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033・村田浩
○政府委員(村田浩君) 水戸事務所が行ないますまず原子炉の検査等の業務ですが、これは分掌規程によりまして、炉の熱出力が一万キロワット以下、小型のものに限られておりまして、大型のものは直接原子力局のほうから検査官等を派遣して監督いたしております。したがいまして、現在東海方面にはたくさん原子炉がございますけれども、一万キロワット以下となりますと二基しかございません。他のものはみな一万キロワット以上でございまして、これらは東京のほうから実際に監督業務をやっております。それからもう一つの業務でありますアイソトープ等を使います事業所の監督でございますが、これは茨城県下に、正確な数をちょっと覚えておりませんが、五十カ所ぐらいございます。しかしながら、これは全国的には現在千三百カ所くらいございまして、茨城県を除きます他のものは、全部東京の原子力局のほうで事務をいたしております。こういう点から勘案しまして、これらの業務はほぼ現在の陣容で、十分にして適切なる業務ができるものと判断いたしております。一つ放射線監視の仕事がございますが、この点は何といいましても現地の問題でございますので、この点につきましては、特に人員の配置についても特段の配慮をいたしております。今回一名増員いただきますのも、それに関連しましての無線係の技術者を一人増員いたしまして、周辺放射能監視の業務の徹底をはかる、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/33
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034・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いしたいのは、宇宙開発推進本部がございますが、これの関連で、この宇宙開発推進本部は、宇宙開発の中核的推進機関として、三十九年に二十三人で発足したということですが、今回二名の増員があるわけです。それを加えて三十三人となるようですが、そこでお伺いしたいのは、四十五年までに人工衛星を打ち上げるという科学技術庁の計画を実現するために、この陣容で十分なのかどうか、先ほどもお伺いしたように、この陣容で必要にしてかつ十分なのかどうか、こういうことをお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/34
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035・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 伊藤先生のお示しのとおり、四十五年に一応人工衛星を打ち上げることになっておりますが、現時点におきまして、計画の過程といたしましては、たとえば四十五年の衛星を打ち上げます場合に、どのような衛星を打ち上げるかどうかということにつきましては四十二年度中に決定をする。したがいまして、現時点におきましては、衛星自体につきましては、基礎的、共通的な事項の開発を行なうということになっております。それから打ち上げ用のロケットにつきましては、一、二段固体、三段目が液体、四段目が固体の四段ロケットを考えておりますけれども、そのうち一、二段につきましては、これは現在東大のほうで開発をされておりますところのミューの開発の状況を見まして、これの技術を基礎といたしまして、多少の改良を加えて打ち上げたい、このように思っております。したがいまして、現時点におきましては、衛星の開発並びにロケットの開発につきましては、申しおくれましたが、ロケットは、したがいまして三段目の液体燃料のロケットと、それから四段目の固体ロケットの開発を科学技術庁の手で行なうわけでございますが、それらを開発いたします段階におきましては、一応現時点の陣容をもちましてもこと足りると思っておりますが、実質的には、なお技術的な能力を付加いたしますために、航空宇宙技術研究所から十一名の方の併任をお願い申し上げております。さらに東大の教授五名の方々に、これは所長の私的な諮問的な機関でございますが、技術委員会というものを中につくりまして、東大側の技術的な御協力もその場で得ていこう。なお今後、申し上げますように、一、二段の固体ロケットにつきましても、東大の技術を基礎といたしまして開発いたしますこと並びに今後問題でございますところの、衛星を打ち上げます場合の追跡でございますとかあるいはデータの取得というようなことに相なりますると、現人員におきましてはとうてい足らぬだろうと思っております。今後につきましては、人員的な増強もはかりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/35
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036・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、宇宙開発関係についてお伺いしたいと思いますが、この四十一年度の宇宙開発関係の予算の総額を見ると、四十億になっておるわけです。その大部分は、まず東大宇宙航空研究所の二十七億九千万円、それから科学技術庁関係の七億九千万円、これでまあ大部分は占められておるわけです。そこで、東大は四十二年に、科学技術は先ほど御説明のあったような構想によって四十五年に、それぞれ人工衛星を打ち上げる目途をもってロケットの開発を現在急いでおる、こういう実情であろうと思います。
そこで、いま一部御説明があったわけですけれども、その両者のロケット開発における技術面の協力ですね、東大教授陣の応援を得てというような意味の御説明があったわけですけれども、こういう点で両者同じ目標の研究を進めておるわけで、明らかに東大のほうが一歩前進しているように思うんですが、このお互いの技術面の協力体制は、非常に緊密に行なわれてしかるべきであると思うんです。で、ここでお伺いしたいのは、このまず予算についてですが、こういう予算は、先ほどのお伺いした要領でお伺いすると、まあこの程度で、必要でありかつ十分だというのか、まだまだこれは不十分だというのか、予算の面について——。それから協力体制について、東大は進んでいるから、たとえば東大の教授陣の応援を得ておると、そのほかに、何か具体的には協力体制を進めておるのが、ほかにもあるのかないのか、こういう具体的な問題についてさらにお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/36
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037・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 予算の面につきましては、一応四十五年度までのスケジュールを見ますと、四十一年度におきましてお願い申し上げます予算につきまして大体考えました進度と一致しておると思います。ただ、実は四十年度の試験研究が多少遅延いたしましたために、本年の六月に多少流れ込んでおるものがございます。そういう点で、液体ロケットの試作等につきまして一部おくれているところがございますけれども、これも今後努力いたしますれば間に合うと思っております。
なお、申し落としましたけれども、今後の長期計画自体は、昨年度におきまして宇宙開発審議会におきまして各省庁の長期計画とあわせ御審議をいただいたわけでございますけれども、なお不備なところがあるという理由で、長期計画自体の先行きまでは、内容はまだ審議会としてもお認めいただけなかったわけでございます。本年の六月までに御審議を終了していただくと思いますので、その段階になりましてさらに見直し等をする必要があろうかとも存じます。
それから後段の、東大との関連の問題でございますけれども、現時点におきまして東大との関連は、三号諮問によります大筋によっておるわけでございますが、御存じおきのとおり、三号諮問では、一応二元化と申しまするか、東大と科学技術庁が将来は一本化することが理想であるけれども、従来の経緯もあるので、暫定的に二本立てでいく、そうして両者の実質的な調整につきましては、宇宙開発審議会の場を利用するというお示しになっております。したがいまして、先ほど申し上げました両者の長期計画、これはさらに、関係各省の長期計画もすべてでございますけれども、これを昨年の六月以降、宇宙開発審議会を約十回ほどお開きいただきまして、計画の調整をおはかり願っておる次第でございます。
なお、そのほかの実質的な協力といたしましては、先ほど申し上げましたように、本部の中に技術委員会というものをやはり昨年の六月に設置いたしまして、東大の教授五名、それから当方の航空宇宙技術研究所から四名、本部から二名、計十一名の研究者をもちまして本部の計画自体に対しまするところの御審議をわずらわしております。さらに、東大を入れましての各省との関連につきましては、本部の中に運営委員会というものがございますので、これにおはかりを申し上げ、さらに具体的な打ち上げ計画等につきましては、そのほかに各省連絡会というものを持ちまして内容の御審議をわずらわしておるわけでございます。
それから現実に、ただいま研究開発の上での具体的な問題につきましては、一つは、先ほど申しましたような長期計画におきましての衛星打ち上げ用のロケットにつきましては、第一及び第二段は、東大の大型ロケットであるところのM4Sというものの計画を開発を待ちまして、これが完成いたしました後に、技術的な改良を加えて用いるということで、したがいまして四十一年度につきましては、第一段、第二段のロケットの開発に要しますところの経費は、科学技術庁からは要求いたしておりません。
さらに、もう一つ、これは東大が四十二年度に打ち上げます場合並びに私どもが四十五年に打ち上げます実用衛星、両者に必要ないわゆる軌道の要素を把握いたしますための追跡あるいはデータの処理等につきましては、これはきわめて重要な事項になるわけでございますが、まだ正式には決定をいたしておりませんで、これは将来の一元化問題にも連なると思いますけれども、現実には宇宙開発推進本部が中心になりまして、東大のものも含めて、ひとつトラックにつきましては勉強をしようじゃないかということで、近々、本部のほうへ郵政省、NHKその他追跡関係の研究者にお集まりいただきまして勉強を開始する、もちろん、その中には、東大の方もお入りになるわけでございます。これによりまして、東大と、それから私のほうの実用衛星と両者につきましての追跡問題につきましては、協力をしてやっていく、こういうことになっております。概要そのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/37
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038・伊藤顕道
○伊藤顕道君 なお、宇宙開発審議会の三号答申なるものが、三十九年の二月三日ですか、出されておるわけです。この内容を見ますと、重点開発事項として六項目あげておるわけですね。人工衛星の開発製作。気象等実用化ロケットの早期開発。ロケット能力の涵養。他国の衛星による宇宙の利用技術の開発。観測ロケットによる宇宙科学研究。各種観測、計測機器の開発。こういう六項目をあげて設定しておるわけですが、ここでお伺いしたいのは、国産の人工衛星を打ち上げるというのは間近いわけですが、そういう現在、これらの項目は、それぞれどのような機関で分担研究されておるかということが一点。
それから、現在の開発状況は、一体どうなのか。これは膨大なものになりますから、その要点だけをかいつまんで御説明いただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/38
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039・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) お示しのございました六つの開発目標につきまして、担当の省庁と現在までにおきまするところの開発の状況を簡単に申し上げたいと思います。
まず、最初は、人工衛星の開発製作でございますが、これは先ほど申しましたように、科学技術庁が担当いたしまして、昭和四十五年の実用衛星の打ち上げを目途といたしまして、基礎的、共通的な事項につきまして開発を進めております。
なお、昭和四十二年度中に具体的な衛星の種目がきまりました場合におきましては、それに必要な開発をさらに進める所存でございます。
第二番目、気象等実用化ロケットの早期開発につきましては、これはやはり科学技術庁の宇宙開発推進本部におきまして、気象等の実用化ロケットの簡易化、低廉化、安全性の確保を目途といたしまして、特にプラスチック性の気体のロケットの開発を行ないまして、現在までに十八基打ち上げております。
それから、三番目のロケット能力の涵養、要するに、衛星を打ち上げますための大型のロケットの開発でございますが、これは先ほど申しました科学技術庁の四十五年度の実用衛星を——百五十キログラム程度のものでございましょうか、それを千キロメートルの軌道に打ち上げますために必要なロケットの開発を行なっております。しかし、先ほど申し上げましたように、第一及び第二段のロケットにつきましては、東大のミューのロケットの開発を待ちましてこれに技術的な改良を加える。したがいまして、科学技術庁といたしましては三段目に使いますところの液体ロケットと、それから四段目のプラスチック製の液体のロケットを中心といたしまして開発を進めております。なお、先ほど振興局長から御説明があったと思いますけれども、これらのロケットの能力のさらに性能を上げますための基本的な、基礎的な研究を航技研におきまして行なっております。
四番目の他国の衛星による宇宙の利用技術の開発でございますが、まず通信衛星につきましては、郵政省が昭和三十二年以降、アメリカの衛星を利用いたしまして宇宙通信の基礎的な研究を進めております。オリンピックの中継等も行なったわけでございますが、四十一年度からは米国のATSと申します大きな衛星でございますけれども、これを用いましての宇宙通信の実験を行なうことになっております。さらに国際電信電話株式会社におきましては、アメリカのいわゆる商業通信衛星会社がことしの十一月でございますか、打ち上げる予定になっておりますところの通信衛星を利用いたしまして、宇宙通信をやろうという計画を立てております。それから気象衛星につきましては、運輸省の気象研究所が気象衛星のタイロスから雲の写真を従来とっておったわけでございますけれども、今度いわゆる世界タイロス通信衛星計画によりまして、エッサ2号というような局地的な気象衛星が打ち上げられることになります。で、これの場合に特に従来と違いまして、雲の写真をそのままとりましたものを直接に受画するということが行なわれるわけでございますが、いわゆるAPT受信装置というものを科学技術庁のほうの特別研究促進調整費によりまして開発いたしまして、過日、新聞紙上にも出ておりましたが、これによりまして気象予防の一歩前進を期しているわけでございます。航行衛星につきましては、これは運輸省が担当いたしておりますけれども、これは端的に申しまして現在、基礎研究を開始した段階でございまして、今後、航行衛星によりますところの航行援助でございますとか、管制方式の研究というものを四十七年でございますか、までに検討するという段階になっております。測地につきましては海上保安庁、国土地理院、それから東京天文台、この三者が協力いたしまして、昭和三十七年からアメリカのアンナという衛星を用いましていわゆる離島の位置等の決定を行なっているわけでございます。八丈島、鳥島等の測地を終わりまして、四十年度は伊豆諸島の測地を行ない、今後は南西諸島あるいは東南アジアの測地網との連携等をはかることになっております。
次に五番目に、観測ロケットによる宇宙科学の研究でございますが、これも御存じおきのとおり、東大が中心になりまして、従来カッパー、ラムダというようなものを打ち上げまして、宇宙の科学の観測を行なっておるわけでございますが、さらに現在開発しておりますところのミュー・ロケットによりまして一万五千キロメートル程度の上空の科学的な観測を行なうということになっております。なお、このミュー・ロケットは観測ロケット以外に、さきにちょっと触れました昭和四十二年度の人工衛星の打ち上げ用のロケットにも用いられるわけでございます。
それから最後の各種の観測、計測機器の開発につきましては、科学技術庁におきまして、四十五年度の衛星打ち上げに必要なところの種々の測器あるいは計器等を開発をいたしておりますほかに、通産省が鉱工業試験研究補助金を民間の研究機関に交付いたしまして、関連の技術の開発を行ない、さらに機械試験所、電気試験所等の傘下の研究所に対しまして宇宙関連特別研究というものをプロジェクトいたしまして開発を行なっております。
なお、六項目ちょっとはずれますですけれども、気象庁におきまして、このほかにロケットによりまして六十キロメートルから百二十キロメートルぐらいの高層の気象の観測を行なっております。なお予算的に申しますと、一の人工衛星の開発製作に要しました予算四十年度三千万円、それから気象衛星実用化等の早期開発につきましては約五千万円、ロケット能力の涵養につきましては五億四千万円、他国の衛星によります宇宙利用の技術の開発につきましては一億三千万円、観測ロケットによる宇宙科学の研究に二十五億一千万円、各種観測、計測機器等の開発につきましては一億四千万円、そのほかに最後の気象庁の観測業務に約二千万円を要しております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/39
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040・伊藤顕道
○伊藤顕道君 それでは、時間の関係もございますから、最後に一点だけお伺いして、本法案に対する本日のところ、私の質問を終わりとしておきたいと思います。
最後にお伺いしたいのは、宇宙開発審議会についてですが、この審議会は聞くところによりますと、各省庁の宇宙開発のプランについてこれを取りまとめて宇宙開発長期計画、これを検討中だというふうに承っておるわけです。特に昨年暮れには答申を出されるという予定のように承っておったわけですが、その後この長期計画についてはどのようになっておられるのか、順調に進んでおられるのか、まあそういう具体的なことについて要点をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/40
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041・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 昨年の六月二十九日を初めといたしまして、宇宙審議会は総会二回、技術部会六回、総合部会三回を開催していただきまして、各省庁から出されましたところの長期計画について御審議を願っておりますが、最終の段階におきましての御決定はトラッキング——追跡その他につきましての計画がまだ十分でない。したがいまして、これは引き続き宇宙審議会において御審議をわずらわす。ただし、昭和四十一年度の予算につきましては、基礎的な段階と申しましょうか、基盤的なものとして至当であるということをお認めいただきました。したがいまして、その後審議を御継続いただくわけでございますけれども、現時点におきましての動きは、まず第一には技術問題につきましては、ただいま繰り返し申しました追跡の問題が非常に大きな問題でございまして、四十二年度の東大の科学衛星を打ち上げますための正確な軌道を通りますために、国内及び国外に三、四カ所のトラッキング・ステーションを設けなければならない。これにつきまして実はまだ少し作業がおくれておるわけでございますが、これをできるだけ早くドラフトをつくり上げよう、東大のほうで素案をお出しいただきまして、これを宇宙開発審議会におきまして技術部会の中に特別な一つの部会をつくりまして御検討をいただくということになっておりますが、さらにそれの前段階といたしまして、宇宙開発推進本部におきまして、素案と申しまするか、これをつくるために、いま先ほども申しましたように、関係各省の適任者を出していただきまして検討を開始するという段階でございます。それからもう一つは体制の問題でございますけれども、結局一元化することが理想であるということになっておりますけれども、どのような機構にするのか、あるいは時期の問題等が非常に問題でございまして、体制総合部会におきまして三回にわたりまして御論議をいただいたわけでございますけれども、一元化を将来実現しようという点につきましては各委員の御意見は一致しておりますけれども、いま申し上げましたどういう形にするかということ、あるいはどういう時期からやるかということにつきましての御決定を得られませんでした。で、この部会の御決定に従いまして体制の小委員会というものをつくりまして、ここにおきまして素案を検討しておる。これを現在まで三回開いております。なかなか基本的な問題ではっきりいたしませんで難航いたしておりますが、先ほど申しました追跡ということにつきましての体制をどうするかというようなところから入っていこうということになっております現状であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/41
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042・多田省吾
○多田省吾君 私はこういう専門的なことは初めてでございますので、ごく常識的な点だけお伺いしたいのでございますが、最初に科学技術基本法は上程の寸前に混乱を来たして、今国会に上程し得る見込みも立たないというようなお話を聞いておりますけれども、その間の事情を御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/42
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043・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) 科学技術基本法はきわめて順調に政府部内の作業は進んでまいったのでございましたけれども、取りまとめましたものをただいま自民党の政策審議会で検討いたしておりまして、そこでちょっと差しつかえができております。つまり意見が一致しない面がある、こういうことなのでございます。そこで、この国会にはぜひ提出いたしたいと思うわけなのでございます。と申しますのは、この科学技術庁が科学技術会議で各方面——大学、学術会議その他の方面とよく打ち合わせまして、また社会党の皆さんとも打ち合わせまして、素案をまとめたわけでございまして、これはその提出さえできれば、ごく短期間の審議で通過させていただけると、こういう見込みがあるものですから、ただいま熱心に促進方を努力中なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/43
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044・多田省吾
○多田省吾君 新聞にはいろいろ難航の理由について書いてありますけれども、自民党の内部でどういうわけでそういう難航しておられるわけでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/44
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045・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) この基本法につきましては、約五年にわたりまして問題がございました。この点は一つは、科学の研究の問題と、それから技術を発展する問題と、一本にして基本法になるかどうかというのがあるわけでありまして、そういう一本にいたしました場合には人文関係も含めるべきであるかどうかということでございます。その点につきまして私たちは学術会議その他学者、そういう皆さま方と御相談申し上げまして、やはり人文科学も含めて一本の法律でいけるのではないかということが去年の一月にきまったわけでございます。そこで法案作成に関しましての答申を得るために、科学技術会議のほうの答申をお願いしたわけでございます。その関係で去年の十二月一日にその答申が出ました。ところが、やはりわれわれずっと問題にしておりました点の人文を入れるか入れないかという点がやはり現在でも問題でございまして、その点のことの調整がまだとれておりません。その関係で提出がおくれておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/45
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046・多田省吾
○多田省吾君 これはお願いなのでございますけれども、科学技術基本法の早期成立というものは国民全体が望んでいることだと思います。そうして少なくとも人文社会科学を入れる入れないというような問題は、昨年の法案大綱の発表のときにすでに論議されていなければならない問題であって、いまさら国会提出寸前のような状態のときに、そういう異変が起こるということは非常に残念なことだと思うのです。それからもう一つ、大学の自主性がそこなわれないかというような懸念があって難航しているということも、ちょっと聞き及んでおりますけれども、その点はいかがでございましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/46
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047・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 国立大学協会というのがございますが、そこのほうからこの基本法をつくります内容として一番大切なところが基本計画——今後の見通しを立てます基本計画の第七条でございますが、その関係から国大協のほうの意見がどういうふうに入るのかということが非常に問題でございます。そのときによそからの意見を聞いて大学の自治の問題について、あまり統制をとるようなそういう関係があってはいけないという御希望がございまして、その点につきましては前の答申を出すときから、その大学に関する自主性については十分守っていくということで、これは法律の内容よりも、そのあとの運営手続の点に問題がいろいろございまして、その点を明快にして、大学の先生方とはその点は明らかにしてまいりたい、そういう点につきましては、大体先生方の御納得をほぼいただいているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/47
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048・多田省吾
○多田省吾君 この問題につきましては、何ですか、新聞によりますと、人文あるいは社会科学を入れると、左翼の学者が入ってくるのがまずいとか、あるいは科学技術庁に科学技術会議の事務局が独占されるのじゃないかという文部省の抵抗じゃないかとか、いろいろ言われておるわけでございますが、そういうもしイデオロギーやあるいはそういうなわ張り争いのような姿で、もし科学技術基本法の提出がおくれて、成立も遅延するということになりますと、日本全体の科学技術の進歩がなお一そうおくれて、ゆゆしい一大事だと思いますので、科学技術庁の方々にもお願いしまして、ひとつ早期提出、また成立がはかられるようにぜひお願いしたいと思いますが、最後に長官の御意見を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/48
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049・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) おっしゃるとおり、科学技術基本法の成立は、多方面の方々が鶴首して願っていることなので、ぜひこの国会に提出して通過さしていただきたいと念願している次第でございまして、ただいま局長が申し上げました私のほうの党内での意見と申しますものも、われわれはそう深刻な反対ではないと思っているわけなのでございます。と申しますのは、局長が申し上げましたように、大学協会の申し出もほとんどそのとおり御採用申し上げておるし、学術会議の申し出もそのとおり取り入れてあるし、その点は心配ないと思うのでございますが、ただ党内の異論は局長が申し上げましたように、人文、社会科学を入れるのはおかしいじゃないかということなのでございまして、具体的に申し上げますと、哲学だとか美学だとか、そういう学問の長期計画を立てるとはどういうことだなんということになりますと、実際純理論的なお話なのでございます。そうして、そういう点は先ほど局長が申し上げましたように、数年の間論議されまして、各方面からこれでいいじゃないかということで、まとまったことなのでございますが、私どもの党内でもこの点はこれでいいじゃないかということにまとまるだろう、まとめなければならぬ、こういうつもりで努力いたしておるわけでございまして、まとめるつもりで努力を重ねてまいるつもりでございますし、また先ほど申し上げましたように、幸いに提出ができますれば、何日間もかからずに両院を通していただける、こういう見込みでございますので、怠らず努力を続けてまいる、こういう覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/49
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050・多田省吾
○多田省吾君 ことしの五月にパリでOECD——経済協力開発機構ですか、その対日科学審査があって、去年から調査が行なわれるということを聞いておりますけれども、去年から調査に来ておられる方が、どうも日本の科学技術は官僚統制のにおいが強いのじゃないかということもおっしゃっているそうでございますが、このOECDの問題に関して御説明をお額いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/50
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051・小林貞雄
○政府委員(小林貞雄君) 御指摘のように、OECDに日本が加盟しましてから、科学技術に関する一つのグループがございまして、そこで日本の戦後の経済成長の著しい一つの大きな理由の中に、科学技術振興が大いにはかられたととろにあるのじゃないかというような議論が寄り寄りございまして、日本の科学技術政策についていろいろ調査をし、これをOECDの場で議論をしてみようじゃないか。何かコンフロンテーションということばで呼んでおりますが、そんなようなことがございます。それを受けまして、昨年長い間の期間、約十カ月でございましたか、向こうから一人の人がコンサルタントという形で日本の科学技術行政状況、これを経済政策との関係でどう見るかというような問題等々を調査してまいりました。さらに三人の、エグザミナーと称しておりますけれども、それぞれの科学技術あるいは経済の専門家で構成されておるわけでございますが、これによりまして、約二週間ほど日本に滞在いたしまして、日本の状況を調べてまいったわけでございます。それらの結論なり日本の報告を持ち寄りまして、本年の六月にパリで、先ほど申し上げました最終的なコンフロンテーションがなされるわけでございますが、いま御指摘の、日本の科学技術というものが非常に官僚的ではないかというのは、たまたまその三人のエグザミナーが参りましたときに、一応調査が一段落をいたしましたところで、新聞記者会見をしました。そのときにそういう話が出たわけでございます。何をもって官僚的と言うかというところでございますが、これは二つほどの中身を言っておられるようでございます。一つは、非常に画一的であるというようなことを言っておられました。例にあげておりましたのが、大学で講座ができましたときに、一名の教授と二名の助教授というように、その学問のいろいろな相違等を一切無視いたしまして、非常に形式的にやっているのじゃないかというような点だとか、あるいはもう一つは、予算の問題、つまり研究費の問題でございますが、それにつきまして財政当局がいろいろとかく容喙しがちじゃないか、諸外国の例では、あまり財政当局がうるさく言わないというようなことを例にあげまして、との二つをもって官僚的である、こういうふうに言っていたわけでございます。したがって、官僚的という意味はさような意味でございますので、ことばから受ける印象と若干違うわけでございますけれども、いずれにしましても、これはエグザミナーが単なる私見として記者会見のところで言ったにとどまるわけでございます。OECD全体といたしましては、その三人の人、あるいはコンサルタントの人一人の長期にわたる調査、その他日本の報告等をもとといたしまして、この六月に最終的な議論がなされるような次第でございますので、私どもとしてはその六月の場でいろいろ議論を尽くして日本の立場も明らかにしますし、またいろいろOECDの関係者の知恵のあるところも利用してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/51
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052・多田省吾
○多田省吾君 いま科学技術の問題で非常に問題になっておりますのは、外国からの技術導入の金額が非常にかさんでいるのに対して、わが国の技術輸出の金額は非常に少ない。一番新しいデータで、大体外国からの技術輸入の金額またわが国の技術輸出の金額、おわかりになりましたらお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/52
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053・谷敷寛
○政府委員(谷敷寛君) 昭和四十年の一−十二月の統計によりますと、外国からの技術導入は件数で九百八十三件、対価の支払い額が円で五百九十億円でございます。これに対しまして技術輸出のほうは、四十年には四十五億二千万円ということでございまして、比率から申しますと八%強、輸出のほうの金額が輸入の八%強ということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/53
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054・多田省吾
○多田省吾君 たしか昭和三十九年度は大体五%と聞いておりましたから、八%と申しますと、伸びておることは伸びておると思いますけれども、外国の例等に比べると非常に少ない。アメリカあたりでは技術導入よりも輸出のほうが十倍に及んでおるというような話も聞いております。それに反しまして、今年度の科学技術振興費というのは非常に外国と比べて少ないわけでございますが、大体どの程度になっておりますか、おわかりになりましたら。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/54
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055・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) わが国の研究費の現状は、三十九年度の統計によりますと、国の研究費の総額が三千八百十八億円、約四千億円でございまして、前年に比べますと一九%増加しております。しかし、このうちのわずか三〇%が国の支出で、七〇%が民間研究機関、民間会社のもの、こういうことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/55
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056・多田省吾
○多田省吾君 たしか四十一年度の科学技術振興費は、狭い見方で言いますと、五百三十二億四千万円というのはデータが載っておりますけれども、一般会計予算から見ますと、わずか一・二%である。文教予算等に含まれている国立大学の研究費などを含めれば、それはもう少し多くなると思いますけれども、それにしても非常に少ない。で、各国の科学技術振興予算を見ますと、アメリカが五兆五千億円、ソ連で二兆二千億円というようなばく大な科学技術振興費を使っているようでございます。国民所得から見ましても、日本の場合はわずか一・八%である。まあ二%以上なければ先進国とは言えないだろう。アメリカは三・六%ですか、そういう数字が出ておるわけでございます。またいま長官がおっしゃったように、政府負担率が非常に少なくて、わずか三〇%にすぎない。まあ今年度の予算を見ましても、科学技術振興費が一般にこのように少ないわけでございますが、このままいきますと、ますます技術格差が広がる一方で、それで技術導入の金なんかも非常にばく大に及ぶのではないか。いまのお話によりますと、昭和四十年度で技術導入が五百九十億円、狭い意味の科学技術振興費は四十一年度予算で五百三十二億円。非常に技術導入の金額よりも下回っているような状態でございます。こういった面に関しまして、今後の科学技術振興のために、ひとつ特に科学技術庁の方々にがんばってもらいたいわけでありますけれども、長官からひとつ御決意といったようなものをお聞きしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/56
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057・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) この科学技術会議の御答申ですと、国民総所得の二%くらいなものを、多田先生のおっしゃるように、研究費として投入しなければならないということなんでございましたが、四十年度の国全体の研究投資は一・九%内外と思っておりますから、その第一次の目標には近づいたと、こう思っております。しかし、お示しのように、米国やその他の先進国の研究費の比率とはだいぶ隔たりがございますので、今後とも一そうの努力を重ねてまいって、早く戦中戦後の約二十年に近い科学技術の進歩のおくれを取り戻さなければならぬと、かように考えております。一そうの努力を続けてまいる覚悟でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/57
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058・多田省吾
○多田省吾君 それから、この前の予算委員会でもお尋ねをしたのでございますが、非常にわが国の頭脳流出が多くて、わが国自体の研究部門がそのために非常に立ちおくれを来たしている。非常に由々しい問題だと言われております。特に、去年出されたこの科学技術白書におきましても、六カ月以上の長期間にわたる海外渡航研究者が五年間で四千七百二十五人にも及んでいる。最近は、毎年千名以上の科学技術者が長期海外渡航をしているというようなことをお聞きしております。これは、やはり日本の科学技術者、また学者等の待遇が非常に悪いからじゃないか。イギリス等におきましても、二、三十年前にこういう頭脳流出が問題になりましたときに、いまのウィルソン首相がそれを嘆いて、祖国に学者はとどまるべきであるというような演説をして、そして非常に科学技術に対する政府の分担率というものも予算において高めて、非常に効果をあげているというようなことも開いております。で、いま、大学の教授級で給料を見ますと、五万円、六万円、多くて十万円。それで税金が非常に差し引かれる。そういった面から、そういう科学技術者、あるいは大学教授の、国立大学の教授の給料を上げるためにも、まあこれは大蔵省にお願いしなくちゃいけないでしょうけれども、研究費の所得控除を大幅に認めるとか、あるいはもっと給料を上げるとか、そういった面で待遇をよくして、この頭脳流出というような問題は解決していかなければならない、具体的に前向きに進んでいかなければならないと思いますけれども、その点に関してはいかがでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/58
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059・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) いまの頭脳流出の問題でございますが、先ほど、年に千人——確かにそうでございますが、われわれが三十八年度に特別に調査いたしましたときに、大体六カ月以上で行っておる数が多うございますが、そのうちの大部分がおそくも四ヵ年で帰って来ております。それで、ただ、大学の先生方の中で約百二十名内外が四カ年以上行っていられて、それで向こうで就職した方とかいらっしゃいますが、比較的、わが国の研究者の方々は、長くても四カ年くらいで戻って来てくださって研究を進めておる。しかし、やはり一番の問題は、待遇の問題と、それから研究環境の問題でございます。向こうに行きますと、非常に研究設備もいいし、研究のやり方も非常に自由にできる、機械も自由に使えるというような感覚でおいでになっている方々の御意見もございます。したがいまして、われわれのほうも、研究機関の設備を整備すると同時に、待遇の改善をする。待遇の改善につきましては、人事院に、満足ではございませんが、お願いをいたしまして、いつも大体、ほかの一般公務員よりも、若干、率をよく上げていただいております。それから問題は、研究所の格上げと申しますか、所長の待遇をよくすれば、それに従って下の待遇もよくなります。したがいまして、現在は、所長の、指定職のほうをふやすこと、それに伴いまして一等職、二等職の格上げをする。そうしますと、ピラミッド型で、下のほうの人が順次上に早く上がるという体制で、級別定数の格上げを非常にいまお願いをしているわけでございます。そういうところと、こまかい点でも何とか研究者が研究しやすくいけるようにという努力は払っております。ただし、これにつきましては、まだ相当問題がございますので、現在、科学技術会議の中に第三部会というのがございますが、そこでもって研究者の待遇の問題についての検討をしていただいております。間もなく、それからいろいろ御意見が出るんじゃないかと思いますが、もしその御意見をいただきましたら、それに基づきまして、またわれわれもなお一そうの努力をしたいということを考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/59
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060・多田省吾
○多田省吾君 それから次に、宇宙開発の現状についてお尋ねしたいのでありますが、いまも伊藤委員から詳しくお尋ねがございまして、大体納得できたのでございますが、一、二点お伺いしたいと思います。
一つは、宇宙開発の一元化、将来、一元化しなければならない。四十一年度予算においてはいままでの行きがかり上やむを得ないという線をとっておられるようでありますが、しかし、来年からは、また予算がだんだんふえてまいりますと、ますます調整、一元化が困難になる、このようにも考えられます。それで大体、具体的に文部省あるいは東大とが一元化する時期はいつごろとお考えになっておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/60
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061・上原正吉
○国務大臣(上原正吉君) ただいま宇宙開発審議会で御検討をいただいておりまして、その中で一元化するための目的で小委員会も設けられておりまして、御検討をいただいておるわけでございます。まだ、いつ結論を出していただけるかということは見当がつきませんけれども、あまり遠い将来ではなかろうと思いまするし、おっしゃるように、年々歳々これはだんだんと金がかかってまいるわけでございます。やりまするからには、日本でも、日本のロケットも月まで行かなければなりませんし、金星まで行かなければなりますまい。そうなりますと、なまやさしい予算ではできませんことで、むしろ、先生おっしゃるように、ますます統一が困難、一本化が困難になるというのではなく、そうなれば、乏しい国力の日本で宇宙開発をいたしまするためには、一本化するより道がなくなる、私はこう思っているわけでございます。そうして、それもだんだんと日本の国力回復の、国力振興のスピードが上がっておりますから、予算の膨大化しますることも加速度的にふえてまいると思うわけでありまして、そんなに遠い将来ではなく一本化される、かように思っております。とにかく二カ所でやっておりますということは、いまのところは分担しておりますから、私はたいしてロスはないと思っておりまするけれども、大規模になってまいりますと、たとえば一カ所の衛星は金星を目ざす、一ヵ所の衛星は月を目ざすということになりますと、これはたいへんなロスになると思います。そうなれば、まあ俗なことばで言えば、大学の手にも負えなくなる、あるいは科学技術庁の手にも負えなくなる、こうなるのではないかと思います。そうして、完全な一本化が行なわれて最も能率的な宇宙開発が行なわれる、そういうことのためにわれわれはその素地をつくり、その準備を完成するために努力してまいる、これがほんとうの姿ではないかと思っておるわけでございまして、あまり御心配をおかけすることなく一本化されると、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/61
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062・多田省吾
○多田省吾君 科学技術庁の宇宙開発推進本部では、ただいまお聞きしておりますと、四十五年までに実用衛星を上げたいとおっしゃっておられる。一段、二段、四段が固体燃料で、三段目だけが液体燃料であるというお話なんでありますが、どうもアメリカのミニットマンなど見ましても、固体燃料だけ使って目的を達成しているように考えておりますが、どうして三段目だけ液体燃料を使われるのか、その理由をお尋ねしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/62
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063・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 現在私どもが考えております三段目に液体ロケットを用います点は、東大と違いまして実用衛星でございますので、非常に正確な軌道を描くことが必要である。このためには三段目におきまして正確な誘導制御ができます液体ロケットを使うということと、それから昭和三十五年以降、本部のほうでは一応液体ロケットの開発に関しましての研究的な蓄積もございますので、その実現が可能であろうと、この両者の理由によるものであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/63
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064・多田省吾
○多田省吾君 私は浅学でございますから詳しいことはわかりませんけれども、どうも液体燃料というのは不安定な面もあるし、また特に実用衛星ともなれば、液体燃料を使う場合に非常に時間もかかるということも聞いておるわけです。まあ日本の液体燃料に関する技術が非常にまだ低い、はたして昭和四十五年までにりっぱな液体燃料が開発されるかどうかというふうな懸念もあるのですが、その点に関してはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/64
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065・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 端的に申しまして、液体燃料がよろしいか固体燃料がよろしいかということにつきましては、研究者の間にも論議があります。私は専門ではございませんが、しかし、大体のところは、やはりその国の従来の開発的な歴史によるものであるということが実情のようでございます。お示しのとおり、液体燃料につきましては、固体燃料に比べまして構造も非常に複雑でございますし、開発につきましていろいろ問題点もあると申しますか、困難な点もあるわけでございますが、しかし、先ほど申しましたように、任意の時間で燃焼を打ち切るという、高い精度で誘導が行なわれるということが、これはやはり実用衛星の一番本命であろうとこういうふうに考えております。それで科学技術庁におきましては、本部ができます前は研究調整局自体におきましても開発をいたしてまいったわけでございますけれども、LSAと申しまして、これは一段目が固体でそうして二番目が液体の二段ロケットでございますが、これを従来三十七年から開発をいたしておりまして、初めはこれは中型の気象観測用ロケットを目標にいたしまして開発を進めてまいったわけでございますが、これを三十八年から三十九年、四十年にかけまして、六基でございましょうか、その程度打ち上げをいたしまして、大体のめどがつきましたので、その第二段目でございますいわゆるサステーナーの部分の液体ロケットの部分の開発につきましては従来蓄積があるわけであります。ただし、この場合におきましては推薬は硝酸ケロシンを使っておりますけれども、これを工業的、技術的には硝酸——ヒドラジン系の液体燃料を使いましてさらに発展することができるということで、後半からはむしろ中型の気象ロケットというよりも、二段目の液体ロケットを実用衛星用のロケットの三段目に該当させるということで開発を進めておりますので、大体所期の目的は到達できるであろう、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/65
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066・多田省吾
○多田省吾君 大体日本のそういう宇宙開発技術、特に人工衛星等の研究に関しましては、大体世界で何番目くらいの研究体制が整っているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/66
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067・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 必ずしもその第何番目と申し上げることはむずかしいかと思いますけれども、御存じおきのとおり、米ソがはなはだしくリードをしておるということだと思います。それからお知りおきのとおり、この間フランスがディアマン・ロケットで初めて自分のところのロケットで衛星を打ち上げましたのですが、そのほかカナダとかあるいはイギリスあるいはドイツ等におきましては、いわゆる国際協力のもとにロケット自体も分担して研究をいたし、あるいは衛星自体は自国で開発いたしまして、これをアメリカのNASA等にありますところのロケットで打ち上げたということが現状でございます。そういう点につきまして、日本といたしましてはまだ衛星自体打ち上げておりませんので、順序からいいますと、やはりBクラスの何番目かということになりますけれども、ただそれだけでは宇宙開発におきますところの段階はきめられないと思いますが、打ち上げ技術あるいは燃料の開発というようなことにつきましては、これは日本はかなり進んでおると思いますけれども、先ほど申しましたところの追跡技術のようなものにつきましては、これははるかに劣っておるということが一番問題だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/67
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068・多田省吾
○多田省吾君 まあ宇宙開発を側面から支援するものとして、今度無機材質研究所が建設される予定でありますが、いま無機材質、炭化珪素につきましては詳しく御説明がありましたので、この点は省きまして、さしあたり杉並の機械工業振興会というのですかの一部を借りて発足する、そうして将来は筑波の研究学園都市に本庁舎を建設する予定であると申されておりますけれども、研究学園都市に着工するのは初めてだと思いますけれども、大体どのような予定で、また特別にほかの研究所の施設等と変わった点とか今後の見通しとかそういった点についてお尋ねしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/68
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069・梅澤邦臣
○政府委員(梅澤邦臣君) 大体本年には六千六百三十五万円の二十一名で発足いたしますが、これはおっしゃるとおり、これは機械技術振興協会の仮庁舎でありまして、仮庁舎も約二年借りる、マキシマム二年ということであります。そうして団地のほうへできましたら、もう来年から土地を借りても建物を建てていくという交渉をすでに住宅公団等にいたしておりますが、それがもしおくれましても、二年目にはやっていきたい。そうしますと一番最初の研究所になりますが、いまの団地化のほうの予定でまいりますと、ほかの研究所は大体やはり初めが早くて四十三年度からという考え方でございまして、これが一番最初に形として考えております。それから設備その他につきましては、一番ここの研究所で大切なものは、やはり超高圧装置等でございます。と申しますのは、新しい純物質を創製するという形になりますと、やはりその合成装置として超高圧のものを必要といたします。まあこういう設備を早急につくるということの考え方からも、どうしても二年後までにはそれが必要となりますので、二年以内には団地化のところへそういう設備ができる態勢を考えて計画を立てていきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/69
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070・多田省吾
○多田省吾君 次に原子力の問題でお尋ねしたいのでございますが、東海村の原子力発電所の現状はいかがでございますか、簡単に御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/70
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071・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子力発電株式会社の東海発電所は昨年の五月四日に燃料装荷を終わりまして、われわれのことばで臨界に達したという表現を使っておりますが、一応原子炉としての機能を発揮する状況になったわけでございます。その後半年——約六ヵ月くらいの期間に徐々に出力を上げて——臨界に到達しましてもまだ出力はありませんので、徐々に出力を上げていく、こういうプログラムをつくりましてやってまいったわけであります。したがいまして、当初の予定では大体十二月中くらいには一応営業運転に入れるのじゃなかろうか、こういう予定であったわけでございます。しかるところ、その後出力上昇運転の途中において二、三、あまり大きなものではございませんが、故障が出てまいりまして、それらの原因究明並びに復旧に若干の時間を要しまして、最終的な出力上昇試験がことしに入ってから——一月の上旬だったと思いますが——から実施いたしまして、大体八万キロワットの出力まで到達をしたわけであります。計画では十二万五千キロワットに達しましたところで営業運転に入る、こういう予定であったのでございまして、そのうちの八万キロワットまで達したわけでございます。八万キロワットになりまして数日間運転を続けておりましたところ、原子炉自体ではございませんが、原子炉から出てまいりました高温の炭酸ガスをもって蒸気を発生させますいわばボイラーでございますが、そのボイラー部分におきまして蒸気の漏洩が見出された。その漏洩個所が——四つボイラーがついておるわけでございますが、その四つのボイラーのいずれにも同じような場所で出てまいりました。これは何らか相当複雑な原因があるのではないかということで、電気の生産をとめまして、そうして一月の下旬以来今日まで専門家を集めまして原因の究明並びにその復旧工事のやり方について相談をしてきておるわけでございます。この間、問題が問題でございますし、御承知のとおり、この原子炉の設計者はイギリスの会社でございますので、イギリスのほうからもその会社の専門家並びにイギリスの原子力研究開発を一手にほとんど握っております原子力公社のほうからも専門の方々が先月見えまして、自来、日本側の専門家とも意見を交換し、研究調査しましまして、私の聞いておりますところでは、現在ほぼその原因が確かめられた。したがいまして、これからそれに対応した復旧工事の方法を検討しまして、その線に沿ってできるだけ早く工事を行ないまして予定の営業運転に入るようにしたい、こういう状況と承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/71
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072・多田省吾
○多田省吾君 まあ国産一号炉、二号炉、三号炉に続いて動力試験炉ですか、JPDRがきのう「通算五千万キロワット時の発電を記録した。」ということが新聞にきょう出ておりますけれども、それは具体的にどういうことなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/72
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073・村田浩
○政府委員(村田浩君) 原子力研究所にございますJPDRは、私ども動力試験炉と呼んでおるものでございますが、この原子炉自身は、いわば動力生産の技術を開発していく上の試験の目的でつくられたものでございます。したがいまして、この電気出力も、ただいまお話し申し上げました原子力発電株式会社の原子炉の場合と違いまして、最大の出力で一万二千キロワットという小型の動力炉でございます。昭和三十八年に一応完成しまして、その後いろいろと出力試験あるいはこういう動力炉の運転につきましての訓練、さらには現在主として行なっておりますのは、これはアメリカで設計された原子炉でございますが、その燃料を国産技術でつくりまして、それを装荷して、はたして国産の燃料が十分な機能を発揮するかどうかというようなことを実際の運転状況において調査研究すると、こういうような目的に使ってきております。したがいまして、その研究のプログラムと関連して常時一万二千キロワットを続けて出しておるわけではございません。ある期間運転しますととめまして、そして燃料を入れかえるとか、あるいは運転状況を変えてやってみる、こういうことでやってきておるわけでございますが、電力を生産しておりますときにはその大部分を所内用の電源として使用し、余剰のものは東京電力のグリッドに送り込む、こういう方法をとってきております。大体所内用としては、一万二千キロワットのうち約半分の六千キロワットぐらいを使用しております。このような形で、今日まで約二年ばかり使ってまいりまして、その電力生産の累計が五千万キロワット時に到達した、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/73
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074・多田省吾
○多田省吾君 いま国産一号炉、二号炉、三号炉、まあ一号炉はいまお聞きしましたけれども、たしか二号炉は濃縮ウランをアメリカから買って使っておると聞きましたが、その一号炉、二号炉、三号炉の違いと、それからコスト的にはどうなのか、それから今後の技術的な面においてはどうなのか、そういった面について簡単にお聞きしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/74
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075・村田浩
○政府委員(村田浩君) 御質問は電力生産用の動力炉についてと思いますが、東海村にございます一号炉は最大出力十六万六千キロワット、これの建設費は現在のところで約四百五十億円、したがいまして、その電力生産のコストは、正確なところは今後の復旧工事等の見通しによって違ってまいりますが、二十年間を平均しまして四円九十銭程度と見られております。それから二番目の動力炉は、ごく最近原子力委員会の安全専門審査会で設置の許可についての安全審査が完了いたしまして、近く設置許可が正式に総理大臣から出ると思いますが、これは敦賀に——敦賀半島の先端でございますが、ここに原子力発電株式会社が建設することになっております。この原子炉は、電気出力で三十二万五千キロワットでありまして、設計はアメリカのGE社の設計によりまして、型式としては軽水型の中の沸騰水型と私ども呼んでおるものでございます。申し落としましたが、東海村にございます第一号の発電所は、イギリスのジェネラル・エレクトリック社の設計でございまして、天然ウラン黒鉛減速炭酸ガス冷却型と呼ばれているものでございます。あるいは通称コールダーホール改良型などと呼ばれておるものでございます。したがいまして、一号炉と二号炉では全然型式が違うわけでございますが、原子力委員会の長期計画におき接しても、当面はこの二つの型式の原子炉での原子力発電を進めることを予定いたしております。その線に沿いまして第三番目の原子力発電所としましては、——これはどちらが第三番目、第四番目になるかわかりませんが、三、四番目一緒に申し上げたほうがよろしいかと思いますが、関西電力が同じ敦賀半島の先端に、これもアメリカ型の軽水型原子炉を設置する計画を持っております。それから東京電力が福島県の大熊町に同じく軽水型の原子力発電所を建設する計画を持っております。この二つの建設計画は、私どもの承知するところでは、近く政府のほうへ設置についての申請をしてまいるということでございますが、したがって、正確な出力等はまだはっきりいたしませんが、一応関西電力のものは大体三十二万五千キロワット、それから東京電力のものは約四十万キロワットと承知しております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/75
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076・多田省吾
○多田省吾君 三十九年度予算で債務負担行為として三十六億円認められていたあの原子力船の開発の問題でございますが、まあいろいろ折り合いがつかないでまだ難航を続けているということでございますが、どういうわけで原子力船の開発がおくれているのでございましょうか。簡単でけっこうでございますから……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/76
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077・村田浩
○政府委員(村田浩君) ただいま御指摘ございましたように、わが国の最初の原子力船の計画といたしまして、昭和三十八年に原子力船開発事業団をつくり、ここに海洋観測の目的の総トン数約六千トンの原子力船をつくる計画をスタートしたわけであります。その間、この船の建造費としましては、一応原子力委員会に専門部会を置きまして、おおよそ見当をつけていただきましたところに従って、三十六億円という予算船価をいただいたわけでありますが、昨年二月に原子力船開発事業団が造船七社に対して建造の見積もり提出の要請を行なったところ、いずれもこれを辞退されまして、三月に入りまして造船工業会のあっせんにより石川島播磨造船会社を随意契約の相手として、原子力船事業団と折衝を開始されたわけであります。もちろん原子力船でありますから、船体はともかくとしまして、動力機関は原子炉を使用いたしますので、この原子炉につきましては、従来の研究開発をやってきました担当から三菱原子力工業がこれを受け持つということで、船体は石川島播磨、原子炉は三菱重工業と、こういうことで見積もりを出していただいたわけでありますが、昨年の七月の末に出てまいりました船価は約六十億円、うち原子炉部分が約三十一億円、船体部分が約二十九億円、合わせて約六十億円という船価見積もりが出てまいったわけであります。これは予算船価の三十六億に比べまして非常に大幅に上回っているわけでありますが、同時に、その内容を見てみますと、いろいろ確定しておらない問題がある。特に技術的な問題点、そういう点も幾つかございましたので、原子力委員会にはかりまして、原子力委員会に原子力船懇談会というものを昨年の八月設けていただきまして、現在この原子力船懇談会で原子力舶計画を一刻も早く軌道に乗せるための方策を検討していただいているわけであります。この懇談会におきましては大体三つの項目を検討しておりますが、その第一は、予算船価三十六億円から見積もり船価六十億円までに非常に大幅に上昇しました原因の究明と、それから、先ほど申しましたいろいろ不確定な問題が付随している、特に技術的な問題についての究明、さらに、今後具体的に計画を進めるにあたりましての問題点の究明、方策を含めまして問題点の究明、この三つのテーマを課題として現在せっかく懇談会で御検討をいただいているわけであります。私どもの見通しとしましては、本年の六月末、おそくも七月には結論を出していただきまして、その線に沿って原子力船計画を早く再スタートするよう、四十二年度予算の中に必要なものが組み入れられるように見通しをつけてまいりたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/77
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078・多田省吾
○多田省吾君 原子力船につきましてはソ連、アメリカ、西ドイツに次いで日本が原子力船保有国となる日も近いのじゃないかという期待を持たれているのでございますので、この推進方をよろしくお願いしたいと思いますけれども、次に、原力力あるいはアイソトープ等の利用につきましては、あくまでも平和利用に徹して安全性を考えていかなければならないというととは当然でございますが、この前も水爆を積んだB−52がスペインで衝突事故を起こしまして、やっと四つ目の水爆を回収しつつあるとか、そういう話も聞いておりますし、また、原子力潜水艦の入港問題でも、安全性ということが強く言われているわけです。また、東海村の原子力発電所におきましても二、三事故が続いておりますし、この前、去年の七月二十七日ですか、東芝中央研究所で六弗化ウランが漏洩したという事故が起こったそうでございますが、それは一体どういう事故だったのでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/78
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079・村田浩
○政府委員(村田浩君) 東芝におきます六弗化ウランの漏洩につきましてですが、これは昨年の七月二十七日の早朝に発生いたしました。私ども報告を受けまして、さっそく現地に調査官を派遣し、いろいろその原因並びに対策の調査検討を行なったわけであります。漏洩の事故の状況は、この七月二十七日の朝早く、午前四時ごろと聞いておりますが、六弗化ウランを分解変換いたします作業、つまり酸化ウランに変えていきます作業を東芝中央研究所の原子力研究部核燃料建屋の中で行なっておったところ、同日七時半から八時ごろにかけまして、六弗化ウラン約百キロを入れましたボンベの口金のところがらガスが漏っているということを、この燃料室の外から監視人が発見しまして、直ちにこの作業を停止いたしました。同時に、この燃料建屋の周辺をすべて検査いたしました。放射能の漏洩があったかどうかをチェックしたわけであります。幸いにして管理室の中から六弗化ウランが漏洩するようなことがないようにかねがね施設してあるわけですが、その機能が十分に働いておりまして、管理区域の外に六弗化ウランが漏れたという証拠はございませんでしたので、この管理室内を密封いたしまして、関係者が寄って、漏洩の原因の探求並びに漏洩しました六弗化ウランの回収作業のやり方等についての検討を進め、さらには特に原子力研究所、原子燃料公社並びに日本原子力船開発事業団の専門家をお願いして、復旧の作業の方法等について専門的ないろいろと指導をいただいたわけであります。事故の原因は、調査の結果によりますと、六弗化ウランを入れましたボンベの口金のところに、これをあたためましてガス化するための加熱装置がございます。これは電熱装置でございますが、この電熱装置は大体摂氏の七十度から七十五度で作動いたしますように自動調整装置がつけてございます。かつまた、ボンベ内のガスの圧力が高くなりますときには自動的に電源が切れるような、そういう自動調整装置がついておったわけでございますが、たまたまこの事故発生の際には、その温度制御計器の故障があったようでございまして、このためボンベが予定の七十度ないし七十五度より高い温度に熟せられた模様でございまして、そのために、ボンベの口金の一部のところに亀裂を生じた、その亀裂からガスが漏洩した、こういうことであることが判明いたしております。先ほど申しましたように、漏洩しました六弗化ウランは、空気中に出ますと、直ちに白色のウラニルの形になりまして、ガスダクトなどに付着いたしておりましたので、その後慎重な作業要領に従いまして、数週間を費やし、これらの付着しましたウラニルを回収し、そうして、あと所要の除染掃除を行ないました。作業その他全般の業務は、大体昨年の暮れで一応完了いたしたわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/79
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080・多田省吾
○多田省吾君 いまお聞きしましたように、アイソトープとか、あるいは原子力発電所関係の事故というものがこれからますます核燃料の開発とともに、また、利用度の増大とともに、災害予防体制というものをしっかりはかっていかなければならないのじゃないかと思いますけれども、現在そういう災害予防体制というものが確立されているかどうか、また、あまり確立してなかったならば、確立する必要性がないかどうか、特に放射性の廃棄物の化学処理工場の建設とか、そういったものがはかられていかなければならないと思いますけれども、また、アイソトープにおきましても、ますます医療とかあるいは農業、工業方面に多角的に使われていくわけでございますが、そういった災害予防体制あるいは補償制度といったようなことが現在どのようになっているか、今後どのようになされるつもりかどうか、お聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/80
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081・村田浩
○政府委員(村田浩君) 御質問のとおり、原子力の開発利用を進めるにあたりまして、最も私ども関心を払わねばならないのは安全性の確保でございます。この点につきましては、一般的に申しまして、原子力施設を設けました場合、まず第一に、取り扱い者の訓練の問題でございます。いかなる事故も究極にはそれを取り扱う人の問題に帰しますので、取り扱う人たちの訓練ということにつきまして、私どもとしましても、いろいろの施設を設けて、関係の技術者の訓練に十分なる意を尽すようにいたしております。それから同時に、原子力施設を設けます場合には、それがアイソトープの事業所でございましても、原子力施設でございましても、その運転の許可をいたします前に、必ず保安規程の認可を行なっております。つまり、それら事業所におきまして安全に管理しつつ作業を進めるために必要な保安規程をつくらせまして、その保安規程を提出させて、それで必要にして十分な安全管理ができるかどうか私どものほうでチェックして、初めて運転を行なわせるという措置をとっております。さらに、そのような安全管理が事実十分行なわれているかどうかという点につきましては、私ども原子力局の中に検査官を置きまして、検査官が定期的にそれら施設の安全管理の状況をチェックするという制度をとっております。さらに、事業者側におきましては、このような十分な安全管理体制をとりましても、万々一先ほどのような漏洩事故が起こるとか、その他の災害が発生することも絶対にないとは申せないわけでありますので、そのような場合に備えて、それぞれ必要な防護体制をとってもらっております。防護の際に必要な種々の器具等もそろえさせるようにいたしております。また、私どものほうとしましても、問題が火災等と関連して起こる場合も大いにあり得ますので、消防庁に対しまして必要な訓練並びに器具をそろえるような指導を行なっております。このように、いろいろ措置しておりますので、事業所内におきます原子力災害が所外まで及ぶということはまずないのではないか、このように思っておりますが、しかし、これもまた、絶対にないということを言い切るわけにもまいりません。したがいまして、所外にこれが及びました際の措置につきましては、災害対策基本法に基づきまして防災計画をつくり、その防災計画に従って、万々一の際は地方自治団体の長が本部長となって措置できるようなシステムを研究し、それに必要な指導を行なっているわけであります。
それから最後に、このようないろいろな、何重にもわたる安全対策を施しましても、なおかつ、万々一災害が起こりまして、原子力施設周辺の住民の方々にその災害が及びましたときのことを考慮し、いわゆる原子力損害賠償法というものを、昭和三十六年でございましたか、制定していただきまして、現在あらゆる原子炉設置者は、あるいは燃料の使用者は、この法律に基づいて必要な災害保険をかけなければならないということを義務づけております。さらに、この保険の実施について国がこれを保証する。そのための保証契約を国とも結ばせるというような措置をとりまして、万々一の際にも備えているというのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/81
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082・多田省吾
○多田省吾君 核エネルギーのことにつきまして、最後に二点、日本の国内エネルギーの開発、核エネルギー資源の開発について、どの程度科学技術、あるいは予算的に集中しておられるか、またもう一つは、核融合反応の研究についてどの程度進んでおりますかどうか、簡単にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/82
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083・村田浩
○政府委員(村田浩君) 国内における核資源の開発につきましては、御案内のとおり、まず第一に工業技術院の地質調査所における全国にわたる概査——概査と申しますのは、車に測定機を積んで回るとかいうようなことで調べるわけでございますが、これを行ないます。すでに過去十年において全国二十万平方キロ、カバーいたしております。二十万平方キロを概査しました結果、大体このウラン鉱石等があると思われる、有望と見られる地区が約一万六千平方キロばかり発見されております。この有望地域に対しましては、原子燃料公社を中心としまして、ここに予算を出しまして、そして人形峠地区あるいは東濃地区等々におきまして集中的に精査——精密なる調査でありますが、精査を進めておるところであります。その結果、今日までおよそ見通しを得られましたところでは、鉱石量にしまして約八百万トン、ただし品位が〇・〇五%ぐらいでございますので、ウランに換算しますと約四千トン程度が一応見込まれております。これまでに投入しました探鉱費は、合計しますと約三十億円にのぼっております。今後この見通しとしましては、さらに約十年をかけまして、残る有望地域の精査を進めることにいたしておりまして、その結果、十年後にはさらにウランに換算しまして二万トン程度の鉱量を確保いたしたい、このように考えて目下計画を検討いたしておるところであります。
それから次に、核融合につきましては、将来のエネルギー源として各国とも非常に力を入れて研究、開発をいたしておるところでございますけれども、昨年の十月にイギリスのカラムで国際核融合会議がございました。ここにわが国からも十数名の研究者が参りましたが、各国の状況を聞いてみますと、なおまだ相当基礎的段階にあるようでございまして、各国それぞれの研究から基礎的分野の究明を進め、そしてやがて核融合発電というものへ取り組みたいという非常に超長期の研究開発計画を持って進めておるようであります。わが国におきましても、まず第一には基礎的研究を充実させるべきだということから、先般来名古屋大学にプラズマ研究所を附置いたしまして、ここが中心となって核融合の基礎的研究をやっていただいております。さらに、核融合というのは非常に高温のプラズマを使用いたしますので、その際の測定技術の問題、あるいは高温の発生装置、そういったようなことの開発が非常に重要でございますので、国といたしましては、原子力研究所、電気試験所、理化学研究所等にお願いしまして、若干の技術開発を行なっております。民間におきましても東芝、三菱等におきまして技術的な勉強を進めております。このような状況で、現在のところ、基礎研究を別としまして、技術開発に使っております予算は年間で一千万円余りでございますが、これは超長期のプログラムとなりますので、これらの基礎的な研究あるいは技術開発の進展を見まして、そうして徐々にそのスピードを上げていく。もちろん、海外における研究開発の状況も十分摂取いたしまして、有効な研究開発を進めていく、こういうような考え方で現在やっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/83
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084・多田省吾
○多田省吾君 最後に、まあいま消費者物価の問題で重要になっておりますコールド・チェーンの調査実験費が今度二億円あるそうでございますが、本年度はどういう実験をやられるのか。それからもう一つは、ついでにいま産業公害等が非常に問題になっております。で、まあ厚生省等と調整を取り合ってやっておられると思いますが、科学技術庁として大体どういう対策で臨んでおられるか。その二点をお聞きしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/84
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085・橘恭一
○政府委員(橘恭一君) 最初のコールド・チェーンの件でございますが、昭和四十一年度はコールド・チェーンの事例的実験を計画して、コールド・チェーンの事例的実験は、野菜、果物、食肉等につきまして、現実に相当の規模のもとに低温下で加工、輸送、貯蔵等の一連の実験を行なって、実用化のための技術的な見通しをつけるということでございます。それにあたっては関係の省庁と十分協議しながら行なっていく予定であります。なお、事例的実験のほかに、特別研究促進調整費によって、すでに昭和四十年度からコールド・チェーンの発展のための必要な研究を各省の総合研究として行なう。その内容は、品質の維持あるいは包装、規格あるいは生鮮食料品の検査、そういうものがねらいでございます。
それから、第二の公害の問題でございますが、概括を申し上げますと、公害は御案内のとおり、大気汚染、それから水質汚濁、あるいはその他騒音、振動あるいは悪臭、まあそのようなものでございます。主として目下問題になっております大きなものは大気汚染、それから水質汚濁の問題。大気汚染につきましては、中でもばいじん、いわゆるすすの問題、それから亜硫酸ガス、それから自動車の排気ガス等の一酸化炭素によるもの、そういうものでございます。水質汚濁につきましては、やっぱり工場の排水等による水質の汚濁、それから家庭の洗剤等による汚濁、そういうものが目下問題であります。それにつきましてはそれぞれ必要な研究調整が行なわれております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/85
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086・高橋正春
○政府委員(高橋正春君) 科学技術庁がやっております公害行政につきまして簡単に御説明申し上げます。
まず第一は、公害に関しますところの研究を総合的かつ効率的に行ないますために、各省庁の研究の情報の交換と、その方針を検討いたしますために、三十九年以来当庁に大気汚染防止研究合同促進連絡会議というものを設けまして、各省庁の関係の方々、さらに発生源、拡散、人体影響の三部会にこれを分かちまして、研究者の方々にお集まりいただきまして連絡調整をとっております。
第二番目は、関係各省庁の試験研究の予算につきましては、当庁の設置法に基づきまして見積もり方針の調整を行なうことになっておりますので、これを実施いたしております。
三番目は、特別研究促進調整費によりまして、各省庁の研究を総合的に推進いたしますためにこれを設置いたしておりますが、その中でも大気汚染その他の公害関係は、重要研究といたしまして予算の配賦その他を行なっております。
最後に、やはり設置法に基づきまして、民間の研究機関に対しまして、基礎的な、共通的な問題につきましては助成を行なっております。
なお、予算を申し上げますると、特別研究促進調整費は、公害関係昭和四十年度六千二百万円、昭和四十一年度には、これは今後協議いたしますが、四千七百万円程度のものを支出することになっております。そのほかに、試験研究の助成といたしまして、水質汚濁に関しますところの基礎的な研究に、四十年度並びに四十一年度おのおの五百万円程度支出あるいは予定をいたしております。以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/86
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087・多田省吾
○多田省吾君 どうも長い間ありがとうございました。これで終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/87
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088・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) ほかに御発言ございませんか。——ほかに御発言もないようでございますから、本案につきましては、本日はこの程度にいたします。
本日はこれをもちまして散会いたします。
午後一時二十一分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01319660322/88
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