1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月三十一日(木曜日)
午後一時二十分開会
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委員の異動
三月三十一日
辞任 補欠選任
大谷 贇雄君 内藤誉三郎君
渋谷 邦彦君 多田 省吾君
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出席者は左のとおり。
委員長 熊谷太三郎君
理 事
柴田 栄君
八田 一朗君
伊藤 顕道君
北村 暢君
委 員
石原幹市郎君
源田 実君
内藤誉三郎君
船田 譲君
三木與吉郎君
森 八三一君
山本茂一郎君
中村 英男君
山本伊三郎君
鬼木 勝利君
中沢伊登子君
国務大臣
文部大臣 中村 梅吉君
政府委員
文部政務次官 中野 文門君
文部大臣官房長 安嶋 彌君
文化財保護委員
会事務局長 村山 松雄君
事務局側
常任委員会専門
員 伊藤 清君
説明員
文部省大学学術
局審議官 木田 宏君
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本日の会議に付した案件
○文部省設置法の一部を改正する法律案(内閣提
出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/0
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001・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、渋谷邦彦君が辞任せられ、その補欠として多田省吾君が選任せられました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/1
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002・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 文部省設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
本案は、去る二十九日、衆議院から送付され、本委員会に付託されました。
なお、本案の提案理由の説明は二月十五日に聴取いたしました。
それでは、これより本案の質疑に入ります。
なお、関係当局の御出席は、中村文部大臣、中野文部政務次官、安嶋官房長、以上の方々でございます。
御質疑のおありになる方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/2
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003・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この法案に関して、二、三お伺いいたしますが、まず順序として、この提案理由にもございます調査局の廃止、文化局の設置、このことについてお伺いいたしますが、その前に、大臣の御都合ですが、文教委員会でも大臣の出席を求めておって、両方で取り合いのような形になりますから、なるべく問題をしぼって、まず大臣にお伺いし、同僚の山本君も大臣に質問を要望しておりますから、なるべくしぼってやりますから、ひとつ御答弁も前向きの姿勢で、思い切ってちゅうちょされることなく、英断をもってお答えいただきたいと思います。そういうことを冒頭にお願いして、質問に入りたいと思います。
この文化行政に関する機構の整備をはかるために、今度文化局を設置する。そこで、行管のほうから部局の新設は一切認めないと、きついお達しがあったので、そこで新設する場合には、既定のものを廃止するようにと、そういう趣旨に沿うて調査局を廃止し、文化局を設置する、こういうことになったんではなかろうかと思うわけですが、そこでお伺いいたしますが、従来この文化局という文化行政の面はとかく比重が軽かったように見受けられるわけです。そこで、今回これをさらに文化行政として推進するためには、予算面とかあるいは政策面でも、従来のそれと変わった抜本的な施策があってしかるべきだと思うのですね。新たに文化行政を推進すると、そういうことで文化局を新たに新設したわけですから、こういうことに対するひとつ大臣の基本的なお考え方をまずお伺いしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/3
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004・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 御承知のとおり、従来調査局というのがありましたが、調査局の内容は、芸術文化の振興あるいは普及、国際交流、著作権とか、宗教、宗務課というような文化的な面が多うございまして、そのほかに調査、企画、統計というような本来官房に属すべきような事務が入りまして、名称は調査局になっておったわけでございます。しかし、時代の趨勢にかんがみ、また、文部省は教育学術と同時に文化の振興ということが大きな役目でございますから、このたび企画、調査等を官房に移しまして、そうして文化系統の業務を集結して、文化局を設置することになったわけでありますが、これについては、本年もこの文化関係の予算につきましては、極力その増強につとめた次第でございますが、年次の成長率といいますか、伸び率の関係もございまして、思うようには、いっておりませんが、この文化局の創設を契機として、大いに文化行政の振興については予算の上でも十分な措置のできるように最善を尽くしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/4
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005・伊藤顕道
○伊藤顕道君 臨時行政調査会が行政機構の統廃合に関する意見を出しておりますが、その中に、調査局、部局編成の不合理性についてこれを特に指摘しているわけです。したがって、そういうことにも文化局設置の一つの原因があったやに見受けられるわけですが、この点を明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/5
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006・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 臨時行政調査会の御趣旨等にも沿いたいというつもりで、御指摘のとおり考えたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/6
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007・伊藤顕道
○伊藤顕道君 この臨調が不合理性を指摘したのは、ただ単に調査局だけではなくして、あるいは体育局、管理局、これらの再編成についても検討をする必要があるのではないかと思うのです。なぜならば、臨調がこの調査局と同じようにその不合理性を臨調が指摘しておりますから、当然これは検討の対象となろうと思う。こういう体育局、管理局の再編成についてはどのように取り組んでおられるか、このことについてお伺いしたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/7
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008・安嶋彌
○政府委員(安嶋彌君) ただいま御指摘のとおり、臨調の意見の内容といたしましては、調査局の問題のほかに、体育局の問題と管理局の問題があるわけでございます。体育局に関する意見の内容といたしましては、国民体力に関する行政を推進するということが一つの内容になっております。この点につきましては、私どもそういう方向で今後さらに努力を続けていきたいというふうに考えております。
それから管理局の扱いでございますが、御承知のとおり、管理局における行政は、これは、大学学術局の行政、それから初中局の行政、両面にわたっておりまして、管理局の機構の改廃に手をつけますことは、大学学術局あるいは初等中等教育局の機構に手をつけるということになるわけでございます。ところが、文部省機構の全体をごらんいただきますと、おわかりいただけまするように、大学学術局、初等中等教育局というのは、文部省の機構の非常に大きな部門を占めておりまして、管理局に手をつけるということは、その大きな部門の全体の構想が固まらないと、にわかに手をつけかねるというような状況にございます。さらに慎重に検討をいたしました上で、その取り扱いをきめたいというふうに、考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/8
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009・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次には定員増、このことに関連してお伺いいたしますが、なお、大臣には基本的なことだけお伺いして、後ほど政府委員に詳細具体的にお伺いしたいと思いますが、まず一点だけ大臣にお伺いしておきたい。その問題は、今度改正案が通ると、職員の法律定数は、三千九百十五人増員されることになろうかと思います。ところが、この法律に出てこない凍結の欠員があるわけですね。これの補充については、四十一年度ではどうなっているか、このことだけお伺いしておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/9
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010・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 文部省は御承知のとおり、非常なぎりぎりの状態になっておりますので、凍結人員は何人か残して——一部分を残しまして、大部分は、凍結を解除して補充させていただくようなことになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/10
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011・伊藤顕道
○伊藤顕道君 その詳細は後ほどお伺いすることにして、次に、問題を飛ばしてお伺いいたしますが、特にこの定員の中で大学附属病院について定員増、それからいまの欠員補充、これで合計四百五十九人の増員となる、こういうことでございますけれども、従来から問題の多かった無給医局員の定員化分はこのうちに何人含まれておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/11
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012・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) これは私どもとしましては、無給医局員というのは、非常に問題が多いし、内容も御承知のとおり複雑でございますが、今後の検討課題として研究はいたしたいと思いますが、さしあたりできるだけこういう方々を助手なり助教授なり講師なりに相当熟練した人は格上げをいたしまして、そして打開に着手をしたいということでおるわけで、できるだけ多くを希望しておったわけでございますが、昭和四十一年度といたしましては、病院の教官という形で六十七名の増員、それから診療課の新設等によりまして八十七名の増員、合計百五十四名を増員することで、予算は、いろいろ努力をしましたが、そういうところに落ちついた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/12
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013・伊藤顕道
○伊藤顕道君 次にお伺いいたしますが、大学の附属病院の有給助手というのがありますが、この有給助手の定員について承っておきたいと思います。これは後の質問にも関連がありますから、少し具体的になりますけれども、基本の数になりますからお伺いいたしますが、四十年度の定員が何名かということと、現在の欠員は何名かということ、それから四十一年度の要求増加数は何名か、それと決定した数は何名か、こういうことが基本的な数字になりますので、冒頭お伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/13
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014・木田宏
○説明員(木田宏君) 病院の四十年度現在の段階におきます助手の定員は千八百八名でございます。そのほか、講師としての身分を持っております者が六百七十七名でございます。今回増加いたしました定員は、講師につきまして三十名、助手につきまして百二十八名でございます。要求いたしました人員につきましては、ちょっと後刻御返答さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/14
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015・伊藤顕道
○伊藤顕道君 昨年の十月現在で、ある大学の附属病院の実態を私調査してみたわけです、実地について。その附属病院で、診療、研究に従事している医師は二百三十名です。このうち有給医師ですね、いわゆる定員助手を含めて、これが百名で、それからあとの残りの百三十名は、無給副手が六十名で、大学院の学生が約七十名、それで計百三十名、大体こういう概数が出てきたわけです。で、この二百三十名の医師によって、その病院では五百九十のベッドの入院患者を扱っておるわけです。それと一日約五百名の外来患者の診療が行なわれておると、こういうことになるわけです。これはありのままの実態ですが、こういう実情を見られて、大臣としては一体どのようにお考えになるか、お伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/15
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016・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) この点は御承知のとおり、非常に複雑でございまして、確かに有給の医師をもっと充実すべきであると思いますが、御承知のとおり、大学病院には、学位の取得のためとか、あるいは新しい医学医術を研究を進めたい、あるいは自分の各専門科目の専攻をいたしたいというようなことで、希望をして無給医局員になっておる者が相当あるわけでございます。これらにつきましては、厚生省としても、厚生省関係の国立病院でも問題にいたしておりますが、われわれとしましても、将来根本的に研究をせねばならない問題点である。その問題をかかえつつ、できるだけ有給の助手とか、講師、助教授等正規の職員もふやしてまいりたいというような、並行した考え方で目下努力をしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/16
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017・伊藤顕道
○伊藤顕道君 こういう無給医局員などという名を冠せられて、全然一人前の医師としての取り扱いを受けていないわけですね。したがって、医師としての資格がないなら話は別ですけれども、りっぱに医師の資格を持っておるわけです。大学の教養学部で二年、医学部で四年、インターンで一年、計七年ですね。そうして主として大学院学生が病院で診療に従事している。そうすると、七年に四年加えて十一年。この医師の資格をとらない者は大学院に入れないわけです。だから、当然に資格はそのまま大学院におっても存置されておるわけですね。したがって、大学を出て資格をとって、その上さらに四年の課程を経るわけですから、計十一年、最短で十一年、さらに大学院出て博士号とって、何年たってもまだまだ無給医局員、これが実態なんです。そういうことになりますと、これはもう人道上の問題になろうかと思うんです。たとえば、近い、ほんとうの実例があったわけです。これは別の、科学技術の振興の面にも関連してこの間、科学技術庁長官にもお伺いいたしましたが、ゆゆしい問題なんです。と申しますのは、大学の附属病院で、大学院のいわゆる無給医局員がその患者を担当して療養につとめたわけです。ところが、不幸にしてその患者はなくなってしまった。さてそこで、その患者の遺族がその担当の無給医局員に対して、当然なことですが、死亡診断書をお願いしたわけです。ところが、その無給医局員は、給料もただだが資格もないわけですね。全然資格がない。したがって、医師の資格は持っておる、厚生省発行の医師の資格は持っておるけれども、大学附属病院というところに限定されると国家公務員ではない。他の人は全部国家公務員だが、国家公務員という資格もない。当然国家公務員の資格がないんだから医局員ではないのです。無給医局員というワクで除外されておるから、死亡診断書が書けない。いわゆる国家公務員であるほかのお医者さんの名前を借りて死亡診断書を書いた。そこで遺族の方々が、当然のことながら、こういう無給医局員の制度ということをよく患者は存じませんから、うちの子供は不幸にして死んだと、あれは医者の資格のない人にみてもらったんだから、これはもう死んでもやむを得ないというあきらめがある反面、そんなばかなことがあるかと、大学附属病院ともあろうところで資格のない医者に患者を担当させるなどはもってのほかだと、これはもっと資格のあるお医者さんにみてもらえばよかったと、資格のないお医者さんにみてもらったのでうちの子供は死んでしまったと、非常にこれが問題化したという現実の問題があるわけです。これは一つの例ですが、それに似たような問題がたくさんあるわけです。医者の資格を持って、先ほど言ったような課程を経て、最低十一年、十三年、十五年もやった人が、みな無給医局員で同じように患者を担当させられておりますけれども、国家公務員である他の医局員と同様に患者を担当させられておるけれども、さて死亡診断書あるいは他の診断書ということになると、資格がない、しかも収入は全然ないということになると、これは大学附属病院の使命とか、あるいはそういう目的に反するはなはだしいものではないか、こういうふうに考える。ここに大学病院の運営要綱がございます。その註にこういうことがあるのです。「大学病院は、一般病院と異り、教育研究の使命をもっているので、施設の面からも管理運営の面からも一般病院との相違を明確にして、大学病院の使命遂行の完ぺきを期するようにしなければならない。」これは明確に大学病院運営要綱に出ているわけですね。それとこれと相照らして、患者にそういう不安感を与えるようなことでは、大学病院使命完遂のために、きわめて遺憾ではないか、こういう問題が出てくるわけですね。この点は大臣としてはどのようにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/17
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018・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) インターンを終わりまして、無給医局員になっておりますのは、大学によりまして、大学が自主的に規則をつくってやっておりますので、研究生とか、専攻生とか、副手という名前を使っているところもあるようであります。いろいろなそういう名称でありますが、この人たちは先ほども申し上げましたように、専門部門についての医療の勉強でありますが、同時に担当教官の指揮指導のもとに、そうした診療にも携わっておりまするわけでございますから、最終的には、責任はこの指導の任に当たっている教官の責任でございますが、こうしたあり方というものが、いろいろ研究すべき課題があると思うのであります。中には、単に、技術、医療の勉強修得をさらに積みたいというのもありますし、中には学位取得のために見識のある教官について、そして医局員として出入りをし、診療にも携わって、その教授の指導を受けながら学位を取ろう、こういうのもありまして、種類はいろいろ大別して、三種類くらいになるようであります。そこで、この問題を何とか無給なんということでなしに解決すべきではないかという世論もございますが、なかなか一様にはこれはさばけない問題でございますから、私ども厚生省当局ととくと相談をいたしまして、目下検討を続けている段階でございます。いずれにしましても、いま御指摘がありましたように、そういう診断書も出せない、こういうようなことでは非常に困るわけで、単なる無給医局員でなしに、何か医師の資格はあるのですから、教授に付随した何かの地位が確定できれば、そういうことがなくなると思うのでありまして、こういう点については、専門の当局を督励しまして、十分に急速な検討を進めてまいりたいと私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/18
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019・木田宏
○説明員(木田宏君) ちょっと補足をさせていただきたいと思いますが、無給の医局員でございましても、医師としての資格を持っております者につきましては、保険医としての登録をいたしまして、その医師としての責任ある行為が取れるようになっているものというふうに私ども考えているわけでございまして、全く医師としての資格のない者でございますれば、証明書、診断書等のことは実はできないかとも思いますけれども、医師としての資格を持ってその病院に保険医としての登録のあります者につきましては、その本人の名前によって、死亡診断書等、責任ある行為がとれるものと、このように思っておるわけでございます。あるいは事実と違うような点等ありましたならば、私ども、なお調べまして、よく研究してみたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/19
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020・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま大臣から御答弁ございましたけれども、将来の重要な問題として十分検討いたしますと、この国会で初めて実はお伺いするわけじゃない。本問題については、歴代の文部大臣に、こう繰り返し繰り返しお伺いしておる。そのお答えは、いま中村文部大臣がお答えになったと同様、大事な問題だから検討いたします、そうしてここ数年たってしまったわけですね。何ら解決に向かっていない。遅々として進まない。それから、これはお伺いをするまでもなく、こういう制度はあまり名誉にならない、こういう、普通一般の人はこんなばかなことがあるものかと言ってほんとうにしない。国会議員の中でも、おそらくこういう問題は初めてだという方が相当あった、前の当委員会でも。ことほどさように、そういうばかげたことが平然として行なわれておる。いまだかつて外国には全くその事例を見ない例であろうと思うのです。それはもう日本は先進国だと言い得ないですね、こういう面からも。それでしかも佐藤内閣の基本的な政治の姿勢は、人命尊重ということを非常に強調しておるわけです。人命尊重がどういう具体的な面にあらわれておるかということになると、たとえばいまこの無給医局員なんか人命無視のはなはだしいものだと思うのですね。医療なんかは一もちろん技術、医薬、あらゆるものが総合して力になるわけですけれども、患者に不信感を与えたら、これは医療上非常にマイナスになると思うのですね。患者は非常に弱い立場にある。患者は私の担当のお医者さんが資格のない先生が担当しているのだというようなことになると、これはもう非常に療養上かんばしからざる結果を招来すると思うのですね。そういう点から、しかも、たとえば大学院の無給医局員、これはもう研究のために残っておるのだから無給だっていいじゃないかという考え方もございまけれども、他の国家公務員と全く同様の負担を持って、患者を朝から夜おそくまでほとんどむだなく——私も実際について、実地についてそういうことを何回か行って確認してきたわけです。ほとんど変わらない勤務状態を持っておるわけです。にもかかわらず、これはもう要約すれば定員関係です。定員が足りないので、結局無給医局員という者を置いておる。しかもその無給医局員のほうが国家公務員である有資格者より多いのです、どこの病院でも。したがって、その無給医局員が引き揚げてしまうと、その病院は麻痺状態になる。これはもう明らかである。上のほうの学長とかあるいは学部長とかあるいは病院長とか副院長とか各医長とか、そういう方々だけでは病院は運営されないと思うのですね。実際に患者を何人か担当して、それぞれ療養に当たっておる、たとえばさっき言った二百三十名の方のうちで百名は資格がある、百三十名は無資格者、無給、こういう無給の百三十名の方が引き揚げると、その病院はその日から麻痺状態になる。これはもう明らかである。こういうことで、しかもこんな制度は世界じゅうどこにもないわけです。ところが、だんだんこれが前向きの姿勢で年々改まっておる。たとえば一カ年間でこれを解決するというようなことをこちらも期待しておりませんし、大体、五カ年計画とか六カ年計画とか年次計画を立てて、ひとつ年々前向きの姿勢でやる。いわゆる無給医局員の数がなくなっておるということであれば了解できるけれども、どうも相当全国的に万余にわたる無給医局員を一挙に解決するということは、これは至難でしょう、望むほうが無理です。しかし、年次計画を立てて、毎年たとえば二千なら二千、そうすると五カ年計画で一万名の無給医局員がなくなるわけですね。そういう思い切った抜本的な、いわゆる対策を講じない限り、なかなかこの問題は解決しないと思うのです。そこで国会でこのことをお伺いすると、検討いたしますということでおざなりに終わってしまう。これがいままでの経緯であったわけです。それではならぬと思うのですね。ほんとうにこの無給医局員をなくそうというなら、五カ年なら五カ年年次計画を立てて、的確にその数を積み重ねて初めて解決できるわけであって、先ほどもお伺いしたように、ほんの微々たる数字が先ほど示されたわけです。こういうことではなかなかもって全国に行き渡らない。先ほど言った無給医局員補充の対策の定員が一つの病院に全部割り当てられてもまだ足りないくらいである。それが全国にばらまかれるわけですから、もうほんとうに焼け石に水という以外にはないわけですね。これはもちろん中村大臣の全責任だとは私申し上げない。中村大臣のときに初めて無給医局員の制度ができたわけじゃないですから、中村文部大臣の責任だとは決して申し上げませんけれども、歴代の文部大臣はまだまだ誠意が足りなかったんではないか、努力が足りなかったということを指摘せざるを得ないわけですね。その積み重ねがこういう現在のようなまことに奇々怪々の制度として現にこれが存置されておるわけです。したがって、長年にわたって積み重ねられてきたものを改革するには、よほど抜本的にやらないとなかなか救済はむずかしかろうと思うのですね。したがって、過去はともあれ、現実はすでに私はるる申し上げているような現状に置かれておりますから、これを一体どういう方向で、どういう態度で、どういう腹で解決しようとするか、ただ単なる検討いたしますだけでは納得しがたいです。この点、大臣のこれに対する決意のほどをひとつ思い切って示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/20
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021・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 実は伊藤先生も非常に従来からこの点は御熱心に憂慮されていらっしゃることをよく承知いたしておりますので、私ども全く同感で、これをどう解決すべきか苦慮いたしておるわけでございますが、そこで実態なども必要でございますので、国立大学病院に勤務いたしておりまする無給医局員と申しますか、これは先ほど申し上げたように、その医局に入って医療の研究をしたいという志願がありまして、その志願者について医局で教授が中心になって、だれそれはよかろうという許可をして医局員になるわけであります。しかし、かってに医局に出入りされても困りますから、医局では相当厳重に許否を決定して許可をしておるようでありますが、国立大学、病院関係全部で、医局員としてそういう正式の許可をしております者が約八千人おるのであります。八千人について、しからばどういう実態にあるかということを、これは長期にわたってまだ調べてないのですが、一週間の一定の期間を区切りまして調査をいたしましたところ、三日以上医局に出勤をしておる者が約四千人、それから一日ないし二日という者が七百四十三人、それからその調査をしました一週間のうちに一回も出席をしなかった人が三千三百人、正確には三千三百八十九人であります。こういうような数字になっておりますので、一律にこれをどういうふうに有給にするかということは非常にむずかしい問題でございます。そこで専門家にいろいろ研究をしていただきますと、この中で熱心に研究のために医局に来ておる人大体千人について、助手とか助教授とか講師とかいう正規の資格を与えて有給の者に切りかえれば、大体熱心に出てきておる人は解決するだろうという見当がいまのところ出ております。そこで私どもとしましては、いま年次計画というお話もございましたが、本来ならば年次計画を立てて、何年以内にこれは千人は全部解決するのだということになればよろしいのでありますが、まあそこまで実は達成ができませんで、さしあたり昭和四十一年は百数十名の人を定員増をいたしまして、そういう立場に地位を与え、また有給化して、そして解決に一歩踏み出していこうという方向に現在のところあるわけで、全体について有給の方法をとるかとらないかということは、この医局員に登録はされたけれども、出てくる日数とか熱意とか、そういうものとの関係もあり、また、医局員になる人の目的がみんな違うわけで、自分の専門科目をもっと掘り下げて勉強したいという人とかあるいは学位を取りたいという人とか、いろいろ差がありますから、これらについてはよほどまだ、いつまでも研究研究では申しわけないのでありますが、もう一段と掘り下げた研究を遂げて、何とかこういう欠陥のないようにいたしたいというつもりでおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/21
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022・伊藤顕道
○伊藤顕道君 いま御指摘になったような点もちろんけっこうでございますけれども、ほんとうに前向きの姿勢でこれを解決するためには年次計画を立てざるを得ないかと思うのです、大きな問題だから。小さな問題なら一年、二年で解決するでしょうけれども、これは長年にわたってこういう制度が行なわれてきたので、やはり抜本的に改めるには年次計画でやる以外にはないと思うわけですけれども、そこでお伺いしたわけですけれども、なかなか初めから年次計画を立てる段階までまだいってないということならばまことに心細いと思うのですね。ひとつぜひその不合理性を、そしてまた、その矛盾をほんとうに感じられるならば、そしてこれを前向きに解決しようとおっしゃるならば、やはり具体的に年次計画を立ててやるのが至当であろうと思うのですね。そこであえて重ねてお伺いするわけですが、ひとつこの年次計画を立てて前向きの姿勢で解決すると、そういう心がまえにはまだまだなり切れぬという程度であるのか。ひとつぜひ年次計画を立てて前向きの姿勢で解決しようと、そういう決意はおありなのか。この点をはっきりさしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/22
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023・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 先ほども申し上げましたように、総数としては相当の人数にのぼっておりますが、実際に連日のように来て医療の勉強と診療の手伝いをしております医師というのは、数が先ほど申し上げたような数になってくるようでありますから、私どもとしましては、せめてこの熱心に、常時出てくるような無給の医師に対しては年次計画を立てて、そして一定の期間内にこれを正規の助手または講師、助教授等の資格を与えられる者から与えて、そして解決をはかりたいというつもりでおりますから、年次計画については、ひとつ次の年度の予算編成との関係がありますので、ほんとうに前向きで、私どもそのつもりで検討いたしたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/23
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024・伊藤顕道
○伊藤顕道君 これはもう私が言うまでもないことですが、この無給医局員の各大学の関係者が文部省はじめ関係方面にいろいろ要請しておる。ただ人間を、大事な患者を預かった、そういう医師の立場でなかなか直接行動などはしておりませんけれども、これはやはり人命尊重という常識の上に立ってやっておる。したがって、そう過激なことは一切やっていないわけですが、それだけに内心に非常にふんまんを持って強い要望を出しておるわけです。たとえば無給副手の定員化の問題とか、あるいは身分の保障、あるいは大学院学生に対する教育の充実とか、あるいは奨学金の問題、さては大学卒業後の、せめて卒業したらひとつ即時に定員に入れてもらいたい、大学院を出てもなかなか定員化にはならない、何年もそのままの無給医局員、これが現状なんですね。こういう幾つかのいわゆる切実な要望が出ているのです。大臣にもそういうものが出ておると思うのです。こういうこともあわせ考えられて、ひとついまの年次計画を立てて早急に解決する方向でやっていただきたいと思うわけですが、繰り返し申し上げるように、先ほどの定員の補充ではほんとうに焼け石に水で、一つの大学にそれだけことし定員の者をあてがえば、大体その大学は、地方の大学なら解決すると思うのですが、東大などの大きなところではなかなか容易ではない、そういう程度なんですね、その数を全国の附属病院に分散してしまうわけですから。中には有給になったけれども、無給医局員から、ことしわずかではあるが有給医局員になった人がおるわけです。そういう人も医師の定員の数に制約があるので技術者としての俸給をもらう。これは医療職の表を見ればわかるように、一表、二表で相当開きがある。同じ医者で同じ資格があって、せっかく有給医局員として国家公務員にはなったけれども、医者でありながら医者としての俸給を受けられない、技術者としての俸給を受けている。こういうのもまた出てくるわけです。しかし、こんなのはいいほうなんです。幸いに救われたほうです。医者でありながら、医者の俸給を受けないで、それより下の技術者の俸給を受けている、これだって問題にすれば非常に大きな問題である。しかし、こうやって引き上げられた人たちはほんのわずかであって、しかも他の無給医局員にしてみると非常に救われたということになるわけですね。こういう実態でありますので、これは同じことを繰り返しお伺いしてきたわけですけれども、なかなか具体的に実現してこないということになるわけです。先ほどお伺いいたしました大学病院の運営要綱ですね、これはいろいろ大事なことがここにあるわけですけれども、なかなか大学に行っても研究の機関がない、不十分だ。ここにもあるわけですが、大学病院はその目的、使命が十分に遂行されるような組織をもって運営されなければならない、こういう大事な問題がここにたくさん掲げられておるわけです。特に教育、研究の面については、大学病院は従来は医学の教育研究面に重点を置きその実習についての役割りを果たしてきたが、その模範的診療機関としての活動はとかく閑却されがちであったので、この点を改善し、本来の使命を果たすようにする必要がある、いろいろこの要綱でそういう大事な点は指摘してあるわけでございますね。これが空文化しないように、十分今後一段と具体的な解決策を講じてもらうほかは対策はないわけでございますから、ひとつこの点を強く要望申し上げておきたいと思うのです。
時間がもうございませんから、あとの問題は別途お伺いすることとして、とりあえず大臣にこの際お伺いすることはこの程度にとどめておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/24
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025・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 速記をやめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/25
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026・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/26
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027・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ大臣に、特に御意見を聞いておきたいことだけにしぼって一応質問いたします。
実は学校教育のいろいろな部面がありますが、商船学校の教育についてひとつ伺っておきたいのですが、これは大臣も御承知のように、戦後わが国の海運は非常に落ち込んできた。これは教育の部面だけではございませんがあらゆる面に要素がありますが、教育の部面について、文部大臣は商船学校についての学術、教育の面についてどう考えるか、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/27
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028・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) これは前の愛知大臣のころから、全国に五校ございます商船高校を商船高等専門学校にしたい、こういう希望があったのでございます。私どもも現状から見まして、単なる高等学校でなしに、高専に格上げして船員の養成をしたほうがいい、こう思ってその方向で検討いたしておる次第でございますが、問題点が二、三、ございます。
一つは、現在の工業高専の制度は工業だけに限っておりますので、この制度を改正して商船も含められるという改正が必要でありますのと、そこに持ち込みますのには高専としての教育課程をどうするか、あるいは設備基準をどうするかというようなことを綿密にやはり専門家の意見を聞いて確立をいたしませんと、法律改正まで踏み込めないわけでございますので、目下そういうような問題につきまして、愛知大臣の当時考えられた方向の線に沿って研究を重ねておるというのが現段階で、そういうような準備が済みましたら私どもも実行するようにいたしたい、こう思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/28
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029・山本伊三郎
○山本伊三郎君 この商船学校系統でですね、いま高等学校レベルの学校が五校あるということですが、それは、それ以上に航海術も私は相当変わってきておると思いますが、それ以上の学術はどの部面で教育されておるのですか、これはどういうことになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/29
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030・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 高級船員の場合は、私も見学に参りましたが、神戸の商船大学と東京の商船大学とこの二カ所で受け持っておりますわけで、これらにつきましても問題点がございますので、さらに設備の拡充等の必要がありますので、神戸商船大学のほうも新しい敷地を入手いたしまして、さらに施設の増強をいたしたいということでいま進んでいるわけで、この二校が高級船員養成の機関であると思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/30
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031・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これらの問題については、本委員会で相当論議もされておると思いますが、今度の設置法に関係して聞いておきたいのですが、大学については二校で、これは昔の高等商船学校が昇格したと思っております。しかし、この前、工業部面の専門学校設置で相当問題があったことは御存じのとおりです。その当時専門学校の問題でありますから、われわれはあまり商船学校について主張をしておらなかったのですが、少なくともいまの日本の経済政策の推進が工業中心に重点を置かれておる。これはここで論議する必要はないのですが、また別の機会にやりますが、そういう経済政策、広く経済政策から見ても偏重しておる。それに乗って、いわゆる教育制度においても、工業部面については専門学校——専門学校がいいか悪いかは別として、そういうことでいろいろ検討されて、これがすでに踏み切られておる。商船学校については高等学校から大学というような——私としては、その学校の内容その他も視察しておりませんから、わからないけれども、神戸にしても広島の高等学校の商船、高等商船学校ですかを見ましても、内容なりその設備その他を見ましても、いまの日本の海運をやかましく言う上においては教育がそれに沿うておらない、こう私は痛感しておるわけなんです。いま大臣は工業部面の専門学校との関係もあり、まだ踏み切ることができない。そういうもう時代じゃないのじゃないか、日本の海運の実情を見ても。その点どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/31
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032・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) お説のとおり、日本が海運国であること、並びに造船力その他から見まして、海員の養成ということは非常に重要であると思います。ただそこで工業高専との関係と申し上げましたのは、いまの法律が専門学校は工業だけという法律になっておりますので、法律改正をしなければ実行できないという一つの関門があるわけであります。この法律改正に踏み切りますのには、その前提である設備あるいは教育課程、こういうものについてまず下ごしらえができておりませんと、改正法案を立案してこの関門を突破するというまでにいかないものですから、その準備を進めておるわけでございます。熱意としましては、また気持ちとしましては、いま山本さんの御指摘の点は私ども全く同感に存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/32
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033・山本伊三郎
○山本伊三郎君 熱意とかそういう問題でなくて、私は当然文部当局では、日本の海運の実情から、工業部面のそういう専門学校の話が出たときに、これは当然私は並行して出てくるものだと思っておるのです。文部省当局の教育制度全般から見て、私は批判するわけじゃないが、どうもそういう点が、文部省としては熱意はあるけれどもなかなかやれない。前の愛知文部大臣のときからそういう問題をやっておるということですが、なぜこの問題が——法律改正というのは、政府が出せばできるのです。設備の問題にいたしましても、私はそういう必要な部面に出すということであれば、国会も私は承認すると思うんですね。設備は金があればできることだと思うんですが、いままでできなかった理由が私は納得できないのです。戦後これだけ長い間きておる。学校制度も相当変わっております。それが、なぜ今日までこれが放置されて、まだ熱意を持って検討しておるという段階であるのか。いまの日本の海運の実情というものは、実は将来の国際路線にいたしましても相当大きい問題がある。そういうように、油造船でも相当近代化してきておると思うんです。そういう点から考えて、私は文部当局がこの問題について熱意を持って考えておるというが、少なくとも今国会あたりにはそういうものが出てくるのではないかということを私は希望しておったのですが、出てこない。そういう点に、私はどうも、これは文部当局だけじゃなく政府自体に対して、その考え方については不満ですが、いろいろ論議しておるとしかたないのですが、文部当局としては、一体次にはこういう商船学校の問題について、そういうものを出してくるという用意があるのか、端的にひとつ聞いておきましょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/33
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034・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) 工業高専ができましたときには、所得倍増政策に伴いまして、中級技術者を急速に養成する必要があるというようなことで、急逝国会と政府とが相一致しまして、その制度ができたわけでございまして、その当時から、おそらく商船につきましても問題には考えておったと思うのです。で、先ほど申し上げました問題点のほかに、現在商船高等学校の生徒は、運輸省の航海訓練所で一年訓練をすることに一御承知のとおりなっております。したがって、文部省所管と運輸省所管にまたをかけているわけで、これを高専にする場合にはどういうふうに一本化するかという問題がございまして、これは運輸省のほうの海運審議会というのがありまして、そこでも御審議をいまいただいている段階で、これも一つ解決、さばきませんと、完成ができないといういろいろな行き道があるわけでございますが、私どもとしましては、御指摘のように、工業について高専ができておるのでありますから、商船高校につきましても、これを専門学校に格上げをしまして、施設、設備も充実し、教養も高めまして、りっぱな船員の養成ができるような方途を講じたいという熱意でおりますわけでございますから、こういうような問題点をできるだけ早くさばきまして、実施に移りたいと考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/34
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035・山本伊三郎
○山本伊三郎君 運輸省航海訓練所の問題も出されましたが、海運審議会の、私はその資料をいま持っていないので、私の記憶だが、この審議会で問題になったときのことを考えますと、教育部面も含まれているけれども、日本の海運自体に対する施策から出てきていると思うのです。どういうぐあいでこれが競合するのですか。航海訓練所との関係が解決しなければ商船学校を昇格できないというのは、どういう関係があるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/35
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036・木田宏
○説明員(木田宏君) いま、商船高専というのをどういう位置づけでつくるかにつきまして、大臣からお答え申し上げましたように、関係の御専門の方々に御審議をわずらわしております。御案内のように、工業の高等専門学校は五カ年間の授業課程を踏んで、かなり時間日数も盛りだくさんに、五カ年間で大学の相当程度のところまでの教育内容ということをねらいながらやっておるわけでございます。高等専門学校の制度ということを工業以外の分野で考えます場合に、できるだけ充実した教育内容で、同じ高等専門学校と言います以上は、専門が違いましても、その内容について同じ程度まで持っていきたいと思うわけでございます。ところが、簡単にその同じ程度で考えますならば、商船の高等専門学校も、五カ年間であって、それにプラスして一年の航海訓練ということが考えられる。しかし、それではまた、現実に学生の側の負担も過ぎるという問題もございますから、一年間の航海訓練所の訓練期間におきます実習、あるいはそこで行なわれます何らかの教育というものと、通常ならば五カ年間の高等専門学校として教育すべき内容とをどのように調節したらいいか。商船を主とする高等専門学校の教育内容、教育時間数、各科目別の配分、実習の大きさ、そういう点をどのようにすればいいか、それに伴って必要な教官数、施設、設備をどうすればいいか、こういうことにつきましては、一から組み立ててまいらなければなりません。昨年の夏以来、多いときには月に何回となく関係の方々にお集まりをいただきまして、高等専門学校としての位置づけとともに、その中に盛り込まれます商船としての必要な教育内容、航海と機関と両方に分けて検討を急いでおるところでございます。そのような新しい制度をつくるということから関係者が慎重に御研究くださっておりますので、現在ほぼ教育内容の点につきましては、ある程度御意見のまとまったところまで伺っておりますが、さらに今後それに伴います必要な教官の数、あるいは施設、設備の基準、こういうことを検討いたしまして、制度としての可否を最終的にきめたい、このように考えておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/36
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037・山本伊三郎
○山本伊三郎君 大臣が忙しいなら大臣だけに聞くようなものを質問しますが、私が見たのは、広島の商船高等学校だけです。だから、あと四校はわかりませんから、非常に知識がないので、私は決定的なことを言えないかもわかりませんが、しかし、一カ所見れば大体日本の商船教育の状態わかると思うのです。現場の校長なり、関係の人々に聞くと、皆さん言っているような余裕のあるような問題じゃないですよ。したがって、この問題はもうすでに数年、約七、八年も要望しておるということを聞いておるのですよ、戦後。それでも文部当局は、ほかのほうには力を注いでいるが、商船にはひとつも力を注いでくれないという不満もある。その不満は、単に個人的な不満じゃないのですね。日本の航海、商船に対する認識の度合いを一体どう考えておるのだというところまできていると思うのです。したがって、具体的にいま言われた審議会の結論が出なければ、皆さん方のほうでだれも手をつけられない、結論としてそういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/37
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038・木田宏
○説明員(木田宏君) やはり、初めての学校ということになりますので、どういう内容の設備、どういう内容の教育、それに応じました教官、教官の基準、高等専門学校としてどのようなあり方のものを考えなければばならぬかという基準を考えた上で、制度化の実施に進んでまいらなければならぬと思っておるわけでございます。その教育内容、教育設備、施設、教官の資格等につきましての基準につきましては、やはり関係の方面の、御専門の方々に御意見をまとめていただく必要がありますので、何回となくこれまでも会合をもっていただいて、審議を急いでいただいておるような次第で、ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/38
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039・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それなら、いま聞きますと、昇格をさすという趣旨で文部省は審議会に諮問されているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/39
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040・木田宏
○説明員(木田宏君) 山本委員から御指摘がございましたように、船舶職員につきまして、現在の高等学校としての商船教育だけで、それと大学だけでいいかどうかという御意見がございまして、高等専門学校としての教育ということを海運関係の職員に必要だといわれておりますので、そういう新しい学校制度としてどのような位置づけのものを考えられるかということで、いま進めているわけでございます。個々の学校をどうするかということは、追って制度がきまりまして、次の段階と考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/40
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041・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は時間がないから率直に聞いているのだが、いま審議会に諮問されているというか、審議会に諮問するというのも、要綱を示して諮問すると思う。どの審議会でも。私の言っているのは、商船高等学校を昇格さすということについて、この点はどうするのかというような諮問をしているのかどうか、この点を尋ねているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/41
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042・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) いまも木田審議官からお答え申し上げましたように、実際毎週とか毎旬とか、非常に激しく実は会合をいたしまして、諸般の準備を進めております。そこで、いろいろ先ほど来申し上げるような海運審議会の、航海訓練所との関係もあり、その他の問題もありますから、いま申し上げるのはどうかと思いますが、私どもとしましては、何とか昭和四十二年には実現をはかりたい、こういう熱意を傾けて、いろいろないま作業をやっているというのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/42
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043・山本伊三郎
○山本伊三郎君 はっきりしてきました。それはいろいろの関係がありますから、昭和四十二年に国会に出すということはあり得ないけれども、文部当局としては、四十二年度には、実現するように、ひとつ案を考えているということに了解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/43
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044・中村梅吉
○国務大臣(中村梅吉君) はい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/44
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045・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/45
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046・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/46
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047・山本伊三郎
○山本伊三郎君 商船学校の問題は、大体大臣の答弁で了解いしましたから、事務当局もひとつ大臣の答弁の線に従って、われわれを悲観させないような方向に出てくるように努力していただきたいと思います。
それで先ほど言われました設備あるいはその他については、相当問題があると言われましたが、いま皆さん方が、正確な数字は出ないと思いますが、一校について、昇格さすための設備その他でどれぐらいの経費が要る見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/47
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048・木田宏
○説明員(木田宏君) 現在の段階で、教育すべき学生の数、航海、機関それぞれ八十名見当というふうに考えておりますが、実は八十名がいいかどうかから御議論が出ておりまして、まだ八十名を単位とするかどうかについてもきまっておりません。航海訓練との関係もございまして、そういう学生の定員の大きさそのものがまだ終着点に達しておらない状況でございます。したがいまして、経費もどれだけ、何校というようなところまでのお話に入っておりませんで、いま御検討いただいておりますのは、教育の内容をどのようにして確定するかということでございます。やがてそれがきまりましたならば、その教育課程に必要な各科ことの設備を出していただきまして、それで商船の高算専門学校としての設備基準をきめたいと思っております。ですから、個々の学校との結びつきという問題は、現在の段階ではまだ考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/48
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049・山本伊三郎
○山本伊三郎君 しかし、いまわが国で五校の高等程度の商船学校があるのですが、それらは、実態から見て、おのおのやはり昇格さすという考え方で審議会に諮問されているのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/49
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050・木田宏
○説明員(木田宏君) 現在御審議をいただいておりますのは、商船高等学校として、工業高専と並ぶ、あるべき一つの基準ということの御検討を急いでいただいているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/50
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051・山本伊三郎
○山本伊三郎君 だから言いかえれば、制度として検討しているけれども、それが法律にするときに、またそれを具体的にどの学校を昇格さすかということは別問題だと、こういう意味すか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/51
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052・木田宏
○説明員(木田宏君) 船舶職員の養成につきまして、高等学校レベルの養成ということがどの程度必要かという将来の規模の問題もあろうかと思います。したがいまして、将来の問題を考えます場合には、大学程度の養成の大きさ、高等専門学校というものが考え得るとしますならば、その養成の大きさ、そしてまた、商船高校レベルの養成の大きさ、そういうものの全体をにらみ合わせまして、高専を幾つといったような問題が次に起こってくるかと思います。しかし、現在御検討いただいております段階では、まだそこまで至っておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/52
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053・山本伊三郎
○山本伊三郎君 どうも事務当局の話を聞いていると、何か大臣は先ほど来年度ですか、四十二年度からそれは実現するように、そういうたてまえでやろうと言っておられるのですが、どうもいま事務当局の話を聞くとだいぶ心細くなってきたんですがね。そういうテンポで実際実現する可能性は事務当局として持てますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/53
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054・木田宏
○説明員(木田宏君) 一応の手順といたしまして、この夏ぐらいまでには高等専門学校としてあるべき基準を全部確定していっていただきたいという気持ちで関係の専門家の方々に御相談を申し上げておるところでございます。それがきまりました段階で、どのように現在の学校制度の中に位置づけあるいは具体的にどの学校をどうするかという次の過程に入っていきたい、このように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/54
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055・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は実は国会にいてまず考えるのは、実現性の問題についてはやはり費用の、予算の関係がいつもわれわれ頭にくるのですよ。したがって、これを昇格することについて一番金の要るのは、学校の校舎とかそういうものもあるけれども、また、教官の問題もあることは当然ですが、練習船とかそういう付属的な設備というものは相当大きい金がかかるのじゃないかと私は思っているのです。したがって、膨大な金になるといかに大臣が言っても、これは予算査定でだいぶ削られてしまう。そうなると五校のうちの一校くらいしかできないのじゃないか、こういう問題も私は文部省で出てくると思うのです。審議会では一応全部上げてもいいという結論が出ても、実際これを運用するときには五校のうち一校だけにしたらどうかという意見が出てくると思います。そういう意味において尋ねたのです。したがって、そういう点で五校のうち文部省としてはどの程度いまの日本の海運の状況から見て昇格するという必要があり、そういう教育しなければならぬと、文部当局としてはどういう推測を持たれますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/55
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056・木田宏
○説明員(木田宏君) 先ほど来申し上げましたように、現在私どもといたしましては、新たな学校制度として商船の高等専門学校というものをイメージに描き、これをどうやって実現するかということを考えておるわけでございますから、そのあるべきイメージというものをまず固めまして、それを施設、設備の基準あるいは教官の必要定員の基準というものに具体化いたしまして、そこで必要な経費をはじいていくという作業に進んでまいらなければならぬと思っておる次第でございます。今後どれだけの規模の学生を海運関係の職員として養成しなければならないか、これは文部省だけでは幾つと数字をはじきかねるのでございますが、海技審議会でいろいろ御検討くださっておるところを仄聞するところによりますと、四、五年の間に現在の約五割くらいの増の人員を船舶職員として必要とするというような御意見も出ておるようでございます。学校制度をほんとうに固めます場合には、望むらくはもう少し先の規模まで教えていただきたいと思うわけでございますが、海技審議会等の御意見によりまして必要な規模が定まってまいりましたならば、それに対応するように文部省としては、学校数その他を考えてまいらなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/56
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057・山本伊三郎
○山本伊三郎君 じゃあちょっと角度を変えて聞いていきますが、現在この商船学校を志望するという生徒学生はどういう傾向にありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/57
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058・木田宏
○説明員(木田宏君) 現在の商船高等学校につきましては初等中等局の担当でございますので、私直接その実情を明らかに把握しておるわけでございませんが、聞くところによりますと、全国からやはりことしも大体五倍程度の学生が来ておるようでございまして、かなり質としてはいい学生が来ておるというふうに聞かされておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/58
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059・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それはまた機会があれば、はっきりしたデータをいただきたいと思うのですが、私は五倍の競争率ということについては、日本の国民のまだ海運に対する意欲がすたっていないということがわかるのです。しかし、海運界がいまの現状であるとどうしてもそういう方向に進む人が他の教育分野より落ちておるのじゃないかと思ったのですが、五倍ということになれば、他の学校の競争率から見ても、まあいいとは言わないけれども、そう落ちておらないと思います。それにしてもこれを早く急がなければ、私はますます日本の商船航海技術その他の問題について低下してくるのじゃないかという心配があるのです。
そこでもう一問だけ聞いておきます。われわれの希望としては、大学はいま二校だが、大学の校数ももっとふやす必要がある。専門学校よりもむしろ大学のほうに移行するという方向に進むほうがいいのじゃないかと思うのですが、 いまおっしゃるように、専門学校程度のものに、中間的なものに置くという考え方はどういうところからきておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/59
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060・木田宏
○説明員(木田宏君) いま山本委員御指摘のように、高等専門学校というのが海員の養成のあり方としてどうであるかという根本の御議論がやはり残っておろうかと思います。私どもこの問題の発端として伺っておりますところは、現在の商船高校の卒業生が主として外航船の乗り組み員になっておるということ、その主として外航船の乗り組み員としての教育を考えました場合に、現在の高等学校程度では教育の中身が足らぬのではないか、もう少し内容を高める必要があろうということから、当初工業で発足いたしました工業の高等専門学校のようなものという御発想になったものかと推測いたしておるのであります。しかし、いま私どもとしてこれまた考えます場合に、現在ございます商船大学の規模、それから外航船の職員の養成だけでなくて、内航船の職員の養成という問題もやはりあろうかと思いますので、そうした全般の養成の将来図というものにどのような学校制度を位置づけていったらいいかということから、やはり私どもも得心できるように勉強したいということでいませっかく努力をしておるところでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/60
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061・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それじゃ私の質問は一応終えて中断いたしますが、大臣の言われたように、昭和四十二年度からこれが実現するようなことを、事務当局にこれは特にお願いしておきますが、大臣が言っても、また大臣が六月の内閣改造でいつかわるかわからない、しかし、言明したことは残っておりますし、皆さんが実質的にやるんです。ですから、ぜひ事務当局もその意向を受けて、諸般の準備を急いでいただきたいと思います。これは私の希望ですが、それについてあなたの所見だけ聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/61
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062・木田宏
○説明員(木田宏君) この問題につきましては、昨年来多くの委員の方々から御鞭撻もいただいており、御指摘もいただいております。できるだけの努力を払いたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/62
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063・中沢伊登子
○中沢伊登子君 高等学校の生徒がピークを一応過ぎてだんだん減っていきますね、漸減していきます。この間定員を大体五十名に下げまして先生の首を切らないというふうなことになりましたけれども、将来私はやっぱり高等学校の生徒というものは、昔の高等学校の生徒と違ってずいぶん体格もよくなってきているし、定員を五十名からもっと四十五名くらいに下げてほしい、こういう考えを持っておるんですが、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/63
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064・木田宏
○説明員(木田宏君) 高等学校の学級の編制の問題でございますが、御承知のとおり、基準といたしましては、現在二つございまして、一つは文部省令の高等学校設置基準でございます。この中には甲号基準と乙号基準がございまして、甲号基準におきましては、一学級が四十人というふうになっておりまして、乙号基準におきましては、一学級が五十人ということになっております。で、現在は乙号基準で運用されておるわけでございます。このほかに実は公立高等学校の設置、適正配置及び教職員定数に関する標準法というものが別にございまして、この法律におきましては急増期間に限りまして一学級の定数を五十五人にしてよろしいという経過規定がついておるわけでございます。御承知のとおり、高等学校の急増期は大体山を越したわけでございまして、これから漸減するわけでございますが、今般国会にも法律の改正をお願いいたしておりますように、五十五人の経過措置を逐次切り下げてまいりまして、五十人というところへなるべく早く持っていきたいというふうに考えております。それは現在進行中でございます。したがいまして、その五十人となりました段階におきまして、さらにその先どこへ持っていくかということでございますが、先ほど申し上げましたように、四十人という基準が一応立っておるわけでございますから、そういう方向で努力をするということかと思います。ただしかし、学級の規模を小さくすると申しますことは、これは教員の数をふやすということになるわけでございますが、教員の数をふやします場合に考え方が二つございまして、一学級当たりの生徒の数を減らして、そのことによって教員の数をふやすということと、一学級の規模はさほど減らさないでおいて学級当たりの教員をさらにふやして、まあ何と申しますか、教員配置の厚みを増すと申しますか、そういう方法をとることと二つの行き方があるわけでございます。したがいまして、学級規模を縮小する方向でいくということと、これは大勢としてはそうだと思いますけれども、そういう方向にいくということと、教員配置の厚みを増すということ、そのいずれに重点を置いていくかということが今後の課題であろうかと思います。大勢といたしましては、おっしゃる方向は一つの重要な方向であろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/64
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065・中沢伊登子
○中沢伊登子君 その教員の厚みを増すというのは、それはやっぱり相当教員が足りないんですか、厚みが薄いということですか、いまの段階で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/65
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066・安嶋彌
○政府委員(安嶋彌君) 現在高等学校の教官の一学級の担当時数は大体十八時間というふうに考えておるわけでございますが、考え方によりましては、これをさらに減少をいたしまして、先生方がさらに勉強なり準備ができるような余地をつくるべきではないかといったような点もございます。授業時数を減らすことによりまして、その他の部分におきまする指導をさらに充実していくということもございます。それから養護担当の職員のような方を、現在はいるだけ置くというたてまえでございますが、そういったものはさらに必置制にするなり、数をふやすなりというような方向をとりますとか、いろいろ残された問題があるわけでございまして、そういった問題と学級規模を小さくするという二つを見合わせながら今後処理をしていきたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/66
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067・中沢伊登子
○中沢伊登子君 時間もあまりないようでございますから、もう二つだけ質問させていただきたいのは、国立国語研究所というのが所管の中に入っておりますね、あれで言語計量調査室ですか、それは一体どういうことをやられるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/67
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068・安嶋彌
○政府委員(安嶋彌君) 国語の改善ということを検討いたしておるわけでございますが、その改善の基礎になります事柄は、国語の現状を把握するということが前提になるわけであります。したがいまして、現在のたとえば新聞でございますとかあるいは一般の雑誌等におきまして、どういうことばがどれくらい使われているかといったようなことを、昨年電子計算機を導入いたしたわけでございますが、そういったような機械設備を利用しながら、計量と申しますか、数量的に大勢を把握をいたしまして、国語の使用の現状を分析をいたしまして、それをもとにいたしまして国語の正しいあり方と申しますか、そういったものを研究してまいりたいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/68
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069・中沢伊登子
○中沢伊登子君 日本のことばがだんだん何か英語とチャンポンになりつつあるのでございますね。文部省のほうではそれをどういうふうにごらんになっていらっしゃいますか。将来ますます英語みたいなものが普通の日本語として入って、それがふだん使われるようになる傾向をどういうふうに考えていらっしゃいますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/69
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070・安嶋彌
○政府委員(安嶋彌君) 非常にむずかしいお尋ねでございまして、文部省といたしましては、これはやはり正しい日本語が使われ、普及されるということを願っておるわけでございまして、小中高等学校等の指導要領は、そういった観点から編成され、教科書もそういう趣旨に従って編成されておるわけであります。これは学校教育の面でございますが、社会教育その他の面におきましても、そういった方向でいろいろな機会を利用いたしまして、そういう考え方なり思想なりの普及につとめてまいりたいというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/70
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071・中沢伊登子
○中沢伊登子君 そうすると、これは広告なんかのほうからも少しつっついてもらわなければいけない問題だと思いますが、とても私たちでも理解できないようなことばが、どんどんふだん使われて、頭の中が混乱しそうになってくる。これは一ぺん厚生省のほうとも話し合いはしてみますけれども、もう一つだけ質問させていただいて終わりたいと思いますが、文化財保護委員会の方、いまいらっしゃいませんか。……そうですが、ではまたこの次にいたしましょう。それでは私の質問は終わらしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/71
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072・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) それでは暫時休憩いたします。
午後二時四十八分休憩
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午後十一時二十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/72
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073・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。本日、大谷贇雄君が委員を辞任され、その補欠として内藤誉三郎君が選任されました。
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074・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 休憩前に引き続き、文部省設置法の一部を改正する法律案を議題とし、本案に対する質疑を続行いたします。関係当局の御出席は、中村文部大臣、中野文部政務次官、安嶋官房長、木田審議官、以上の方々でございます。それでは御質疑のおありの方は順次御発言を願います。——ほかに御発言もないようでございますから、質疑は尽きたものと認めます。
それでは、これより討論に入ります。御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/74
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075・八田一朗
○八田一朗君 私は民主自由党を代表して、ただいま議題となりました文部省設置法の一部を改正する法律案について、次の修正案を提出いたしたいと存じます。修正案の内容はお手元にお配りいたしました印刷物で御承知願うこととし、朗読は省略させていただきます。
修正の趣旨は、本法律案の定員に関する改正規定の施行期日は四月一日となっているのでありますが、同日までに本法律案が成立する見込みがなくなりましたので、これを公布の日からとするとともに、四月一日に遡及して適用することにしようとするものであります。
右修正部分を除く原案に対しまして賛成いたしまして、私の討論を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/75
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076・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) ほかに御意見もないようでございますから、討論は終局したものと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
まず、討論中にございました八田君提出の修正案を問題に供します。八田君提出の修正案に賛成の方の挙手をお願いいたします。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/76
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077・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 全会一致と認めます。よって八田君提出の修正案は可決されました。
次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/77
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078・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 全会一致と認めます。よって修正部分を除いた原案は全会一致をもって可決されました。以上の結果、本案は全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/78
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079・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 御異議なしと認め、さように決定いたします。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105114889X01719660331/79
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080・熊谷太三郎
○委員長(熊谷太三郎君) 速記を起こして。
それでは、本日はこれをもって散会いたします。
午後十一時三十分散会
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