1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月十七日(木曜日)
午後零時三十八分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
野知 浩之君
和田 鶴一君
武内 五郎君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
小林 篤一君
櫻井 志郎君
園田 清充君
田村 賢作君
高橋雄之助君
任田 新治君
森部 隆輔君
八木 一郎君
川村 清一君
鶴園 哲夫君
中村 波男君
森中 守義君
矢山 有作君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林大臣官房長 大口 駿一君
農林省農政局長 和田 正明君
農林省畜産局長 桧垣徳太郎君
農林水産技術会
議事務局長 久宗 高君
林野庁長官 田中 重五君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○農林水産政策に関する調査
(昭和四十一年度農林省関係の施策及び予算に
関する件)
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
昭和四十一年度農林省関係の施策及び予算に関する件を議題とし、前回に引き続いて、本件についての質疑を行なうことといたします。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/1
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002・北條雋八
○北條雋八君 私は、この前の委員会のときに農薬の問題で途中まで伺ったのでありますが、農薬の問題につきましては、昨日予算委員会で同僚の宮崎委員がやりましたので、大体それに尽きておりますが、なお二、三伺いたいと思います。
この前の委員会のときに、和田農政局長から、人に害毒を及ぼす農薬の毒性試験につきまして、昨年の秋から厚生省と協力してその残留性の調査を始めたというお答えがあったのですけれども、これはもっと前に農林省でやっていたんじゃないか、これが初めてじゃなかったと思うのですが、大体水銀の農薬を使い始めたのはいつごろか、また、その害を知って調査をし始めたのはいつごろなのか、そのいきさつについて伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/2
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003・和田正明
○政府委員(和田正明君) 水銀剤の食品に残ります残留毒性の問題につきましては、農林省ももちろん関心を持たなければいけないことでございますけれども、本来、食品衛生という立場で処置されることになるわけでございますので、主として厚生省のほうでその検討を進めてもらい、私どもはこれに協力をするという立場に立っております。したがいまして、先回もお答えいたしましたように、具体的には厚生省にございます食品衛生のための審議会に、農薬の残留の毒性の基準をきめます部会ができまして、そこで現在作業をいたしておる、そういう状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/3
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004・北條雋八
○北條雋八君 一体この水銀の農薬を使い始めたのはいつごろか。
それから、その毒性についての試験を一番初めにやったのはいつごろか。昨年の秋じゃないと思います、もっと前からやっているはずなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/4
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005・和田正明
○政府委員(和田正明君) 水銀剤を、主としていもち病の防除に利用開始をいたしましたのは昭和二十七年でございます。
それから、水銀の毒性の問題等についていろいろ検討を手がけ始めましたのは三十一年ごろからでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/5
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006・北條雋八
○北條雋八君 私の聞いている範囲では、三十一年の十二月ですか、西ケ原の試験場でこの毒性の調査試験をやりまして、確かに有毒だ、毒が残っておる、非常に問題になったということを聞いておりますが、そういう試験結果は残っておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/6
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007・久宗高
○政府委員(久宗高君) ただいま御質問のございました毒性がどう残留するかという試験でございますが、ただいま農政局長からお話もございましたように、いもち病との関連におきまして、この種の薬が使われ出しまして、その収穫物に移行するかどうかということが非常に問題になったのでございます。その関係で、西ケ原の病理研究部でこの問題を検討したわけでございます。昭和三十一年に、先ほど農政局長から申しましたようなことで、残留するという事実が一応証明されたわけでございます。ただ、あとでも申し上げますが、この場合におきまして、検出する方法につきましてまだ問題があったわけでございます。そこで、翌年になりまして、日本植物病理学会におきまして、有機水銀剤に関しますシンポジウムを開催いたしまして、有機水銀剤の効果及びその行動の研究を明らかにすることになったわけでございますが、そのために、特に水銀問題の対策委員会が設けられまして、その研究を吟味していったわけでございます。ただ、その当時におきましては、まだ微量なものにつきましての検出方法に問題がございまして、技術会議におきましては、その問題につきまして特に東北大学の理学部に研究を委嘱いたしまして、検出方法からさらに吟味いたしまして、当初の残留するという問題の究明をさらに強めていったわけでございます。その関係の資料が交換されましたのがつい最近でございます。資料を集めたという経過でございます。
なお、念のために申し上げますと、検出方法が非常に進歩してまいりますに従いまして、ゼロ以下の数字につきましての吟味がさらに問題になるわけでございます。一応現在まで、たとえばアメリカで使っておりましたような検出方法ADAC法といったようなものによりましては、ゼロというような数字が出るわけでございます。さらにそれをもっと微細に分析すべく検出方法が進むに従いまして、その毒性の吟味がさらに詳細な研究を要求されてきているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/7
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008・北條雋八
○北條雋八君 そうすると、その農薬を発売する当時、むろん人体に非常に有毒だということがわかり、かつまた、農産物の中にも毒性が残留するということがわかっておったはずだと思うんですが、その当時厚生省のほうでは非常に反対したんだ、それを強引に販売許可をしたというようなことを聞いたんですが、そういうことはありませんでしたか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/8
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009・和田正明
○政府委員(和田正明君) 厚生省から反対があったではないかというお尋ねでございますが、当時の関係者等に問い合わせてみても、私どものほうでは、そういう事実はなかったというふうに報告を受けております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/9
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010・北條雋八
○北條雋八君 厚生省の関係の方おられませんか——いずれにしてもその当時から相当有毒であるということはわかっておったはずなんですけれども、いままであまりにも軽視をしていたというふうに私どもは思うのですが、いまお話を伺った程度の調査では、非常にやはり何といいますか、なわ張りといいますか、セクショナリズムといいますか、責任を転嫁して、あまりこういうことに対して熱意がなかったように私は思うんですけれども、その点につきまして大臣からお答え願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/10
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011・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 私も、農薬の当初の発売等のことについてはあまり詳しく存じておりませんのでございますが、とにかく、非常に人口がふえるし、食糧は非常に窮迫であった、そういうときに二化メイ虫の問題なり、あるいはいもちの被害という問題が非常に大きいのでありますが、これらに対する方策としては、ほとんど手がなかったわけでございます。若干の問題はありました。そういうようなことからいたしまして、そのかわりこれらの使用方法については、遺憾なき使用方法についての検討を加え、かようにして使っていく場合は被害はないというような意味で使用方法について十分の検討を加えさせる、そういうことであります。
それから、なまものについては、やはり収穫前について、あまり収穫期に近づいてこれを使わないといったことについての方策を立てるというようなこと、それらの問題について十分検討を加えつつ、これらの薬品の問題でもって、例の、一方は二化メイ虫、一方はいもちの対策としていこうというようなことであったと記憶しておるのであります。その結果としては、御存じのとおりに、終戦直後四千何百万石程度のものであった、終戦直後の年であります。その後若干ふえましたといえども、六千三百万石程度であったのでありますが、もちろん農薬ばかりではございませんけれども、一方、人口は非常にふえている、それに対応して生産が、これらの対策、一般の対策も加わりまして、現在八千四百万石というのが大体平年作になっている。約二千万石程度平年作を引き上げたということが、もちろんこれは農薬だけによるわけではございませんけれども、その間において、非常な問題として、その点の功績を加えていった、そういう事柄であります。しかし、こういう毒性の多いものについては、その後、使用方法その他については、さらに一そう厳重にこれを取り締まることにし、それからいま農政局長がお答え申しましたように、衛生の問題としてきわめて重要な問題であることは言うまでもございませんので、厚生省と共同と申しますか、協力いたしましてこれらの問題を検討し、それからまた、これを使う点についても、それからまた、その他の点についてそれぞれ通達をいたして、遺憾なきを期するようにする、こういう一面方策をとっている。あわせて、低毒性の薬品の研究ということに、強くこれらの問題をわれわれとしても推進いたしておるわけでございますが、幸いにして最近低毒性のものが七〇%程度に普及することに相なりましたようなわけで、さらに一そうこの点も注意いたしてまいりたい、こう考えております。
それから毒性の問題について、いまもちろん厚生省農林省ともどもに検討を加え、また、その他研究機関においても、それぞれ協力して検討を加えておりまするわけでございますが、その水銀については、なるほど水銀剤を使う日本人の中に水銀が相当たまっている、いわゆるあるという問題でございます。その試験としていろいろ精密な試験がされているということを聞いておりまするが、毛髪に非常に多いという問題までは意見が一致しているようであります。日本人の毛髪に非常に多いという問題が、発散するためであるか、蓄積の結果かというような問題等も、あまりまだ十分結論がついてないということを聞いておるわけでございまするが、そういういろいろなこともございます。しかし、これはいままで起こったことについて、私も非常に関心を持っておりまするし、いろいろと聞き合わせて、あるいは教わったりしているところでございまするが、要するに問題は、でき得る限りこれは早急に低毒性の農薬を早く研究して、それを普及していくということでいかなければならぬというふうに私は存じておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/11
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012・北條雋八
○北條雋八君 その低毒性の開発は、これはもうぜひ必要だと思いまするが、いかにもいままでが試験研究に非常に予算が少ないし、熱意がなかった。現在では、先ほど伺ったとおり、農林省と厚生省お互いに協力して、いま残留毒性の調査をしているというお話でありますが、これは現在までの結果として、許容量であるとか、あるいは何か結果が出たのではないかと思うのですが、その結果についてどの程度までの結果が出たのか、おわかりなら知らしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/12
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013・久宗高
○政府委員(久宗高君) こまかい数字をあげましてもいかがかと思いますので、大要だけ申し上げたいと思います。
先ほど申しましたように、実は私もこの担当いたしますまで、あれだけ問題になっておって少しテンポがおそいのじゃないかという感じで、少し突っ込んで今日までの経過を調べてみた結果、結局突き詰めて申しますと、検定する方法にかかるわけでございます。先ほど申し上げましたように、現在一応オーソライズされておりますADAC法——アメリカで使っております方法では、一応ゼロと出るわけでございます。しかし、何がしか微量でも残留するということがかりに証明されるといたしますると、それの毒性いかんということが問題になるわけでございますので、検出方法が発達すればするほど、その微量が問題になりまして、その追及をいたしておるわけでございます。ただ、これが直ちに、どこからが有害でどこからが無害であるかという断定は、非常に微量なものでございますだけに、非常にむずかしいということと、もう一つやっかいな問題は、水銀なるものが他の何と化合した形であるかということによりまして毒性が違うようでございます。相手を見出すことが、また、相手との関連を分析いたしますのに相当突っ込んだ吟味が要るということでございまして、今日の段階では微量分析法をさらに詳細に確立することと、もう一つは、農薬を散布いたしましたあとにおきましての損失、変質、分解といったものに関しまする知見を蓄積してそれをきめませんと、厳密な意味の基準というものが出にくいということだと思います。そういうような意味におきまして、検出方法そのものが問題になりますので、今日まで相当時間がかかっておるわけでございますが、試験研究のたどってまいります段階を見ますと、やはりどうしても踏まなければならない段階というふうに考えられまして、それを行政的な何かの基準にいたしまするとすれば、さらに厳密な吟味が要るということだと考えております。なお、大臣から申しましたように、私どもは非常にこれを重視して考えておりまするので、決して簡単な問題ということでやっておるわけではございませんので、厚生省とも相当突っ込んだ御相談をしながら吟味をしておるのでございますので、御了解いただきたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/13
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014・北條雋八
○北條雋八君 何ぶん昭和三十一年に農業技術の研究所で、確かに稲に散布された水銀が最終的には穀粒の中にかなり集積するというその試験結果が出ているのですから、十年も前にわかっているものがいまだに結論が得られないということは非常に私は怠慢ではないかというふうに思います。それならことしのこの農薬の試験に使われる予算はどのくらいあるのでありましょうか。これは外国、特にアメリカあたりではこういう費用に非常にばく大な経費を使って試験研究をやっているのです。最近、昨年あたりはアメリカでも二十一億六千万円程度の費用を使っているということを聞きましたが、ことし、それじゃこの農薬試験に使われる予算としてはどのくらい取っておられるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/14
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015・久宗高
○政府委員(久宗高君) これは、私どもでやりますものと、県でいたしますもの、あるいは科学技術庁との関連でやりますもの、いろいろ分かれておりますので、全部を総合して申し上げかねるわけでありますが、私のほうでいわば経常研究としてやっておりますものが百十三万五千円ございまして、そのほかに、特別にやっておりますものが四百四十万円計上しているわけでございます。
なおそのほかに、これは一人の人間にどれくらいの金がつくということで、テーマとしてはこの問題を追っかけているということでございますので、予算の額で申し上げかねるわけでございますが、いまの人との関連で申し上げますと、この農薬の応用に関する研究ということで四名の人間をそれに張りつけまして、御承知のとおり、西ケ原には農薬の残留の特別研究室を設けまして昨年からやっているわけでありますが、今年さらに試験研究室をふやそうといたしまして、これが必ずしも実現しなかったわけでございますが、それにもかかわらず、それだけの人はそちらに回しまして追及していると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/15
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016・北條雋八
○北條雋八君 いずれにしても非常に微々たるものでありますが、どうぞこの点につきましては抜本的の研究をひとつ一刻も早くやっていただきたいというふうに思います。
なお、試験研究機関が必要なら科学技術庁も加えて、そうして強力な機関をつくって速急に解決の道を開いていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/16
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017・宮崎正義
○宮崎正義君 関連。いま北條委員の点をちょっと補足さしていただきたいと思うのですが、総合研究所というのをつくられて、そしてあらゆる、厚生省なり、あるいは科学技術庁なり、農林省なりの総合研究所というものをつくって、そして農薬全般にわたるところの研究、そういうことをする段階がもうとっくにきているのじゃないか、このように思うわけなんですが、そういうような総合研究所というのは、立場の上から今後の農薬というものに対する政府の取っ組み方といいますか、そういうことについて大臣からお考えをお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/17
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018・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) いま御指摘のこの問題でございますが、水銀農薬の残留毒性防除対策の推進というので、もちろん科学技術庁が中心になり、それから実質は農林省、厚生省が強く呼びかけまして、そしてこれらの問題についての検討を現に加えておるわけでございます。
なお、その詳細は農政局長からお話申し上げまするが、そういうことでこの問題は非常に重視してやっておるということだけを私から申し上げます。
なお、研究問題につきましてはでき得る限り私ども総合研究というのがいいか、その点は検討を加えていきたいと思いまするが、なお、民間におきましても、たとえば住友のほうでは、これは低毒性のものを非常に多くつくっておりまするのでございます。これがずっと多くなってまいりますると、値段が少しぐらい高いという点もありましょうし、とにかく非常にそのほうがいま生産されるように相なっておるわけでございます。要するに、さらに一そう検討を加えて、御趣旨の線を十分心にとめて進めていきたいと思います。
なお、先ほど申しました科学技術庁の資源局を中心に各省で協力してやっておりまする点について、農政局長からお話を申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/18
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019・和田正明
○政府委員(和田正明君) 農薬、特に先ほど来問題になっております有機水銀の問題につきましては、先ほども技術会議の事務局長さんからお答えを申し上げましたように、微量分析の技術とか、あるいはそれがほかのものと結びつきます場合の毒性とか、いろいろきめ手となる問題がいろいろなお解明されておらぬ点もございまするので、科学技術庁、農林省、厚生省でそれぞれ研究テーマを分担し合いまして、そしてそれらの結果を持ち寄って基本的な総合対策を詰めていきますように、会合等を持ちまして進めておるわけでございます。
なお、ちょっとふえんさせていただきますと、有機水銀剤が特にいもち対策としては非常にすぐれた薬効を持っておりまして、昭和二十七年に使用を開始いたしましてからも米の増産ということに大きな貢献をいたしてまいりました。現在でもいもち用の農薬の約九〇%は有機水銀剤が使用されておる状況でございます。ただ、先ほど来申し上げておりますように、最近、数種の有機水銀を使用いたしません農薬の開発も進んでまいりましたので、いままでのようなテンポでなく、こういう低毒性の、つまり有機水銀でない農薬の使用の促進をいたします意味で、昨日も農薬関係のメーカー等も集めたりいたしまして、新しい農薬の生産の計画等についてもいろいろ詰めたり、農協の関係団体等とも打ち合わせをいたしまして、今年度におきましては少なくとも、でき得れば葉いもち等の段階ではある程度水銀剤を使うにしても、最終段階であります穂首いもち病のような場合には、水銀剤でない農薬を使うというような基本的な方向で関係者の協力を得まして、できるだけほかの農薬に切りかえるように、そのスピードを上げていくような行政指導を極力いたしたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/19
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020・北條雋八
○北條雋八君 いまいろいろ伺いましたけれども、いずれにしても、人間尊重を唱えておられる内閣でありますから、そういう意味からいっても、ぜひそういうような総合研究所をつくられて、一刻も早く解決していただきたい。それについては、やはり何といっても、農産物をつくるのは農林省でありますし、また、それを使うのは農民でありますから、三者協力してやるにしても、主導権は農林省がとって、この責任も農林省が持って、セクショナリズムにならないように、お互いに責任を持った総合調査をやっていただきたいということをお願いしておきます。
なお、時間がございませんから次に移りますが、大臣は、所信表明で三つの柱をあげておられます。一つは、食糧の安定的な供給、二つは、生産性と農民所得の増大、それから三番目には、農民福祉の向上、これらいずれを見ましても、要するに、今後、一そう積極的に農業生産力の増強に取り組むという気がまえを示されたものだと思います。
で、また、この間の当委員会におきましても、農産物の自給率につきまして、渡辺委員の質問に答えられて、大臣が生産性の向上をはかる手だてについていろいろと抱負を述べられました。で、その中で大臣の言われるのに、構造改善や機械化による農業労働力の労働生産性の向上、これをはかることは特に大切であるけれども、なお、土地の生産性の向上にもっと強力に力を入れなければいかぬと言われました。この点につきましては、私も常々そういうふうに思って、非常に同感であります。特に今後の農業総生産を増大していくためには、生産の母体であります土壌をよくするということが最も肝心だと思うのであります。土壌をよくすることがかぎだというふうにも考えておりますが、農林省は肥料の調査その他はずいぶんいろいろ試験をされて研究されておりますが、この土壌の調査ということに対していままでどういうような試験、研究をやってこられたか、その点をまず伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/20
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021・和田正明
○政府委員(和田正明君) 御承知のように、昭和二十七年でございましたか、耕土培養法という法律ができまして、それに基づきまして秋落ち水田、酸性土壌の畑、特殊土壌地帯等につきまして、いかなる耕土の培養を実施をすることがよろしいかという対策を立てますための調査を実施いたしてまいりました。
秋落ち水田の計画調査対策をいたします予定面積が全国で四十九万五千町歩ございまして、四十年度までに約三十三万町歩ほどの調査対策を終わりました。酸性土壌の畑につきましては、二十七年から三十五年までに十九万八千町歩の調査を完了いたし、また特殊土壌地帯につきましては、二十七年から三十九年までに六万町歩の土壌の改良をいたしておるわけでございます。と同時に、二十七年から昭和三十年にかけまして、その調査の結果に基づきまして、各種の土壌改良資材を投入をいたしますための補助金を三億七千万ほど三カ年間で計上いたして、六万六千町歩について土壌改良をいたしたわけでございますが、三十一年から以後は、改良資金助成法によりまして、先ほど申し上げました対策調査をいたしました土地についての土壌改良事業の推進を指導してまいりまして、三十年から三十九年までに十一万一千町歩、貸し付け金額で十六億九千七百万円ほどの改良資金の貸し付けによる事業が行なわれたわけでございます。
なお、最近の毎年の事業の実績は、七千町歩程度に対して改良資金が約一億円ほどの貸し付けで土壌改良事業を進めております。
大体、今日までの土壌改良のためにいたしました調査事業あるいはそれに件います事業の内容は以上のような状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/21
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022・北條雋八
○北條雋八君 農林省のほうで出しているこの「肥料要覧」これにもありますけれども、この本邦土壌の地質系統別面積比率、この中にいろいろ酸性土土壌がどのくらい、それから重粘土がどのくらい、またマンガン硼素その他欠乏土壌がどれくらいというのがございますけれども、この酸性土の中にあるマナガン硼素の欠乏というのは、酸性土の中に入ると思うのです。だから、これはダブってありますし、大体、この数字が古い「肥料要覧」とそっくり同じなんです。二、三年たっても毎年これは同じプリントになっている。ですから、一向こういうものの試験やまた調査をやっていないのだという証拠だろうと思うのですけれども、いずれにしても、きょうは時間がきたそうでありますが、私は、この肥料の三要素以外に、土壌というものは無機原素が植物としても栄養剤として非常に必要なものでありますし、やたらに肥料をよけいやるために、かえって、それが奪取されたり、あるいはまた、それが亡失してしまったり、バランスを欠いている土壌が非常に多いように思います。それで、肥料要素の研究もされておるようでありまするから、その点につきまして伺いたいと思ったのでありますけれども、約束の時間がきましたので、ただ、微量要素の研究をいつごろからやっておられて、現在どういう点まで調査研究を進めておるのか、その点を一応伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/22
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023・久宗高
○政府委員(久宗高君) 微量要素のお話が出ましたので、これは前々から相当突っ込んだ研究をいたしておるわけでございますが、いまのお尋ねの、統計のほうにどういうかっこうであらわれたかというつながりにつきましては、若干数字をもって準備をしなければならぬかと思います。ただ、お尋ねの、微量要素そのものの研究につきましては、御承知のとおり、これは欠乏と過剰の両面があるわけでございます。私どもで、いますでに確実につかんでおるものといたしましては、柑橘の異常落葉の関係、桑の黄花落葉の関係、茶の黄化現象といったような種々の障害につきましてのめどを一応つけておるつもりでございます。現在までに微量欠乏の土壌の発見法が確立されまして、また、作物の欠乏症の診断法、こういったものが徐々に確立されているわけでございます。扱っておりますのは西ケ原の園芸試験場、蚕業試験場、また、農事におきましてもこれをやっておりまして、基礎研究としてこれを進めているわけでございます。
四十一年度からの問題といたしましては、特別研究といたしまして永年作物に関します微量金属元素の異常吸収に関する研究というものを進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
なお、それはもちろん都道府県におきましても、試験研究機関におきまして、それぞれの地帯の特殊な問題といたしまして続けてこの微量要素の追及はいたしておるわけでございます。
なお、水田の老化現象の問題につきましては、先ほど農政局長が触れましたので省略いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/23
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024・北條雋八
○北條雋八君 一言伺っておきたいのですけれども、いままでそういう調査研究をやっておられるとすれば、土壌の分析をして、そして欠乏している要素、これを補給しまして、そして植物の成長試験をするとか、そういう試験はやっておられないのですか。つまり土壌を分析しまして、こういうミネラルといいますか、微量要素が欠けている土壌がありますね、そういう土壌に無機原素を補って、そしてこれを補ったところと補わないところと植物の成長試験をやるというような試験はやっておられるのですか、そういう調査を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/24
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025・久宗高
○政府委員(久宗高君) 微量要素の試験をいたします場合に、当然対象物とそうでないものとの比較でやってまいりますので、御指摘のような、それを使った場合、使わない場合というのは研究の出発点でございますので、研究の段階ではもちろんやっておるわけでございます。なお、それに伴います具体的な措置は、耕土培養法のほうの行政として処理をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/25
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026・北條雋八
○北條雋八君 それではお約束の時間がきましたから、なおこの点、次まで保留して私の質問をやめます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/26
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027・中村波男
○中村波男君 私は林業と畜産について御質問申し上げたいと思っておるのでありますが、最初に林業問題について御質問を申し上げます。
林業白書の概説で、「林業は、国民経済の諸要請にこたえ、木材その他の林産物を安定的に供給するという経済的使命を有している。」、さらに森林は「林業の生産基盤であるに止まらず、国土の保全、保健休養等の公益的な機能を保有している。森林のこれらの機能の確保を図ることは国の任務である」と規定をいたしまして、さらに「林業経営の観点からも、この側面に十分考慮をはらうことが必要である。」と前置きをし、林業の動向とその問題点に入っておるのでありますが、その中で、「わが国の林業は重大な転換期に当面し」「最近における林業の動向をみると、一方には代替財の進出、薪炭需要の減少等の需要構造の変化や一般経済の停滞、外材輸入の増大等に伴う木材価格の伸びなやみの傾向、他方には労働力の流出に伴う林業労賃の上昇という経済的諸条件を反映して、林業生産は停滞の傾向にある。」と述べ、「わが国林業の発展を期するためには、予想される木材需要に対応して、林業総生産の増大およびその生産性の向上を図るとともに、あわせて林業従事者の所得の向上に資するよう、諸般の施策を綜合的に推進する必要がある。」と結んでいるのでありますが、さてこれを政策としてどのように取り上げておるか。白書及び今年度の農林予算を検討してみますときに、全く私は作文に終わっておるのではないかと思うのであります。したがいまして、ただいまからいろいろと質問を申し上げるのでありますが、作文ではないのだ、これはこのように解決していくのだと、ひとつしろうとにわかりますように親切に御答弁を大臣以下いただきたいと、最初にお願いをいたしまして、質問に入るわけであります。
最初にお聞きしておきたいのは、先般の本会議で、農林白書に対する先輩鶴園議員の質問に、大臣は故意に答弁を漏らされたとは思いませんけれども、お答えにならなかったのでありますから重ねてお尋ねをいたしておきたいと思うのでありますが、林業基本法第十条に「政府は、森林資源に関する基本計画並びに重要な林産物の需要及び供給に関する長期見通しをたて、これを公表しなければならない。」と規定しておることは御承知のとおりだと思うのであります。しかし、今日なお公表されておらない、これはどういうわけか。作業状況等をあわせてこの機会にお聞かせいただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/27
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028・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) この見通しにつきましては、近くこれを林政審議会にかけまして、そうして公表する予定でございます。これは今年じゅうに、近くこれは林政審議会にかけて、これをすぐ公表するという手はずでいまやっておりますので、御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/28
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029・中村波男
○中村波男君 ばく然でありますが、近くといってもはっきりわからないのでありますが、いつごろの予定でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/29
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030・田中重五
○政府委員(田中重五君) 大体この三月末前後には公表できるかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/30
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031・中村波男
○中村波男君 そこで、いまさら責めても始まらないのでありますが、農業基本法の公表は三十六年六月十二日で、長期見通しの公表は翌年の五月十一日に公表されたのでありますが、それと比較いたしましても、三月まで公表できなかったということは、いろいろ事情はあったと思いますが、私は怠慢ではないかと思うわけであります。従来の日本の農政の一番盲点というのは、長期見通し、長期計画等が策定されずに、その場当たりの農政が行なわれたところに、今日の特に農業の大転換を求められるような事態を引き起こしたのではないかというふうに思うわけであります。したがって、この機会にお尋ねしておきたいのでありますが、わが国の林業が、高度経済成長政策の大きなしわ寄せを受けまして動きがとれぬところへ追い込まれている。その結果、三十七年に公表しております林産物の需要等に関する長期見通しに大きな狂いが出てきておるのではないかというふうに思うわけであります。したがって、もう三月、審議会におかけになって公表ができるということでありますので、長官として今度の見通しの大体の数字なり特徴なりが御承知だと思いますので、この機会にひとつ具体的に御説明がいただきたいと思うわけであります。
そこで、私の不勉強で思い違いかもわかりませんけれども、さらに尋ねておきたいと思いますのは、長期見通しによりますと、わが国の森林総面積は二千四百六十五万ヘクタールと書いてあるのでありますが、今度の林業白書には二千五百十万ヘクタールと、三年間に山の面積が四十五万ヘクタールふえたことになっておるのでありますが、これが事実だとすれば、どういうわけでそれだけ山がふえたか、山林がふえたか、そのことをひとつ御説明をいただきたいのと、それから立木の総蓄積についても、長期見通しにおいても約十九億立方メーター、林業白書においても十九億立米と、同じ数字になっておるのでありますが、約四年間のうちに蓄積というものが変わらなかったということは、成長率だけ切ったという、そういう計算にもなるのでありますが、そういうことと解釈してよろしいものかどうか、あわせてお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/31
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032・田中重五
○政府委員(田中重五君) 面積につきましては、特に原野の扱い等につきまして、その調査の時点で造林の対象地として見るか見ないかというような扱いの上から、林地の面積に移動を生じる場合がございます。それで、今回の白書におきましては、放牧地等で、原野ではあるが、造林の対象地として考え得るものを取り入れた結果、面積においていまお話しの数字になったわけでございます。それから蓄積の面におきましては、これは十九億立方メーター、ほぼ移動がございません。それで三十七年の場合の調査等を今回の調査ではそのまま踏襲しておるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/32
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033・中村波男
○中村波男君 そうしますと、四十五万ヘクタールの食い違いというのは、長期見通しでは原野をはずしたけれども、今度は原野を加えたんだと、こういうことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/33
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034・田中重五
○政府委員(田中重五君) そういうふうに御理解いただいてけっこうでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/34
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035・中村波男
○中村波男君 そこで、今度は大臣にお尋ねいたしますが、この四十五万町歩が三十七年には山として、森林として見なされなかったということは、いわゆる原野として、特に家畜の飼料の自給対策というのが、またあとから具体的にお尋ねいたしますが、相当重視をしておいでになる。そこで、同じ農林省の中で、こういう面積が、これを今度は山としていわゆる繰り入れられたということについては、その原野が、いわゆる放牧地域というものとの関係においてどうも理解をすることができないのでありますが、畜産との関係において、こういういわゆる原野を、林野、森林としてみなすというこの出し方について、私は大きな疑問を持ちますが、農林大臣はこれについてどうお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/35
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036・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 大臣からお答えをいたします前に、林野の面積と草地の面積、草地の造成に要する土地基盤との関係についての、事務当局で意見調整をいたしました基本的な考え方を申し上げます。私ども畜産行政の立場からは、昭和五十年度までに、すでに実施いたしました草地の改良事業を含めまして、約五十一万二千町歩程度の草地の造成を必要とするということでございまして、現段階から申せば、今後十年間に約四十万町歩の土地の取得を要する、土地の用意を要するわけでございます。この四十万町歩は、一部は、すでに山林となっております部分からも期待をいたしますが、同時に、約二百万町歩程度ございます原野、山林地目として扱われておりません原野の中からも取得をするということに相なりまして、したがって、ただいま林野庁長官からお答えいたしました林野の面積は、逆に、一部草地の土地基盤として提供すると同時に、一部は原野を森林化するということで、現状におきましては、森林の山林面積に大きな変動はないということが実際現実的であるということで、農林省内では意見調整をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/36
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037・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 ちょっと関連して大臣に伺いますが、いまの林野庁長官の御答弁によりますと、従来原野であったものが山林に変わっている。また、畜産局長の答弁の中には、山林であったものが放牧適地として、これはまたそういう理解のしかたがあるということでありますが、聞いておると、それなりにわかる気はいたすのでありますが、そういうふうに基本的に地目が変換されたのですか。
それから、私は大臣にもしばしばお伺いしておるのでありますが、こういうことも間々あり得るので、もっとこれは、単に農林大臣というようなことではなしに、閣僚の一員としてお尋ねしたいのは、国土を高度に利用するというために、もっと調査費を投入して、国土の精密な実態調査をして、その実態調査に基づいてそれぞれの利用区分を設定する、これが日本の大きな政策課題である。そういうことは従来企画庁に多少まかされておる経過はあるけれども、いまの問題にもあらわれているように、そういう基本的な、科学的な、客観的なデータがないままに、それぞれの部門でいろいろ便宜主義的にこの土地の利用というものが変貌するということは、これは逆からいえばきわめて主観的であり非科学的である。まあ地目変換等は、これは政府委員からお答えを願うとして、そういう基本的なその取っ組み方というものがこういう問題に関しても私は痛感するのでありますが、大臣はそれをどのように理解されてどういうふうに納得のできるような国土の高度利用というものに対する基本的な施策を講じられようとするのか、これはいろいろな問題にあるわけです。たとえば第二空港の設置についての優等農地の壊廃の問題あるいは国土縦貫道その他の道路開発あるいは整備に基づく優等農地の壊廃、すべてこれは役所のセクショナリズムで、それぞれの立場で新しい路線を白い地図に書き込みますけれども、私たち農林政策の部門を担当する面から見ても非常にこれはゆゆしい問題があらゆる面において提起されておる。そこで私は、この国土を高度に利用するという、より客観的な立場がいままで政府になかったために、こういういろいろな現実の混乱が起きておる、そういう事実はいまの答弁でも明らかでありますが、それに対して一体どういうふうに佐藤内閣としてはこれに対処されようとするのか。これはいま私は問題を提起したことではなしに、何年にもわたってこの問題をあるいは予算委員会等でも取り上げてお尋ねをしておるのでありますが、納得するような答弁が出ない。大臣、そういう点のお考えをひとつ閣僚の立場で明確にひとつ御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/37
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038・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 もう一つ関連して。いまの問題と関連しまして、大臣なり林野庁長官にお尋ねをしたいのですが、この間本会議で若干伺ったのです。ところが、メモに書いたものを読むだけで、どうも大臣としての頭が働いていないのじゃないかと私は思うのですよ。質問したことをやはり頭に入れて答弁してもらわなければいかぬというふうに思いますけれども、その一つに、いま出ているこの林野の統計関係ですね、これはきわめてあいまいです。この間も質問しましたように、ずっとこの間までは林野庁は、山林の所有者というのは五百七十万もあるのだ、その面積は千百二十万町歩だと、こう言ってきたのですよ。それがこの間の三十五年の世界農林業センサスで、山を持っておる戸数というのは二百六十五万戸だ、約三百万戸減ったのです。そこへもってきて面積が半分の六百二十八万ヘクタール、こういう数字が出ておるのですね。一体、その行政の対象である農家をつかまないでおいて、林家をつかまないでおいて林政ができるという考え方には私は問題があると思うのですよ。あいまいな答弁をしないではっきり答弁してもらう。不備なら不備という答弁をしてもらわなければ解決しないですよ、これは。なお、この統計については私内容を知っております。農林統計調査部を見ますと農林統計課というのがあります。ただ一つある。林が入っているから林業をやる。班が七つか八つある。その中に林業調査班が一班ある。十二人でやっておる。そのあとには水産統計課というのがある。はっきりした陣容を持って統許をやっておる。こんな内容の統計で、行政の対象である林家をつかんでないこんなやり方で林政ができるというふうに考えておられるのか、この点をはっきりしてもらいたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/38
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039・田中重五
○政府委員(田中重五君) この林業関係の統計につきましては、お話しのとおりに確かに十分ではございません。不備な点は多々あるわけでございまして、今後この統計の不備につきましては、組織と予算の面で十分にその充実をはかってまいるように努力をいたしたいと、こう考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/39
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040・坂田英一
○国務大震(坂田英一君) いろいろ御質問もありますが、この統計の問題についてどうかという点については、山のようなものの統計については確かに不備な点があろうかと思います。これはしかし、それでよろしいという意味じゃございません。やはり統計の整備をしていかなければならぬことは言うまでもないことと存じまするので、統計の不備はできるだけこれは是正してまいるということで進みたいと存じます。
それからなお、これに関連されまして渡辺委員からの御質問は、元来が土地、国土を有効に使うという意味において国土計画をはっきり立てぬからだという御質問であったように思うのでございます。違いましたらまた後ほど申し上げたいと思うけれども、そのとおりであると思います。この国土計画が十分にできて、そしていきたいということでありまするけれども、これはやはりなかなか現在もやっぱり全国の国土計画を立てまして、そして計画を立て、また各地域ごとに計画を立て、それからそのほかにまた部分的に、あるいはまた局部的に詳細ないわゆる土地、地力その他風土なんかをよく見て、非常に科学的によくこれを調べ上げて詳細な調査もできておるのでございます。しかし、なかなかこれは経済の変転も多いことでありまするし、実際の問題としてもなかなか容易ならぬ問題でありまするので、それが完全なものがもちろんでき上がっていないわけであります。しかし、これは行き方によって非常に統制的に、統制経済的にやる場合は間違っておってもやっちまうのですね。たとえばソ連のごときは、あるいはその他において相当強い計画を立てておって、そしてそれが計画から見るとりっぱにできておるが、あとから食糧が非常に欠乏したりいろいろな問題があったりするということもまああり得ることでございまするが、そういうので計画経済と自由経済の上においていろいろのまた違った味がそれぞれについてあると思う。そういう点もありまするから、一がいにこれはいえませんけれども、できることならば国土計画が適地に即応してでき上がるということが——その程度というものはそれぞれの味によって、いわゆる統制経済でいく場合と自由経済でいく場合との味わいというものがそこにあらわれてくるとは思うけれども、いずれにしても、どちらの味わいであろうと、その味わいに応じてのものができ上がることがやはり本当だと、私もそれは思うんです。そして、その方向に向かって努力はいたしておる、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/40
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041・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大臣、その味わいとかなんとかはいいですよ、そんなものは。さっき言っているように、この林野庁の調査というのは林家をつかまえてないですよ。明治時代並みですよ。そんなことで林政がいくと思ってるんですか。たいへんな数字が食い違っているじゃないですか、千百万町歩と、一方、六百七十万町歩だという。つかんでないんですよ。それからね、大臣も御承知だと思う、農家経済調査というのがありますね。これは大臣が農林省に入られたときからあるんですよ。林家経済調査というのはいつつくったんですか。三十八年に初めてつくったんですよ。しかも二百七十万戸の林家の中の五十戸をとらえてる。そんなもので林家の経済がわかりますか。そういうもので一体林政というのはやれるのかどうか。だからだめなんですよ。造林にしろ素材生産にしろ、政策が立たない。そこを言ってるんですよ。だから、統計がちょっと不備だと、これから努力しますというようななまはんかなものじゃないです。もっと腹をすえて考えてもらいたい。だめです、そんないいかげんな話じゃ。もう一ぺん答弁。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/41
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042・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) これはいろいろ関連御質問がありまして、それぞれについていまお答えをしたわけでありますが、いまの、統計の非常に不備な問題についてどうだと、いまおしかりを受けておる、そのとおりであります。非常に林野の統計は、普通の面積とは違って、非常にその点が大きな違いがある。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/42
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043・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私の質問にもさっぱり答えてくれないんですが、関連だからあんまりお尋ねは遠慮しますけれども、大臣の答弁ではほんとうに、答弁をただここで適当にやって、まあ次々と進もうというようなことでは私はいかぬと思うんですよ。現実に現地では混乱しているわけですよ。
それで、まあこれは大臣じゃなくて、局長でも長官でもいいからお尋ねしたいのは、たとえば山林面積が非常に変わる、原野が山林になったり、あるいは山林が原野になったりしておる。登記された山林というものと原野というものと実態はどういうふうにそこは違ってきてるんですか、その内容は。かなりの大きい数字の変化がある。で、台帳では山林面積は幾らである、しかし、実態は、そのうちこの部分は原野である、台帳では原野ではあるが、実態は山林に変貌しておる、そういう実態を踏まえて答弁されていると思うのですが、その内容を私はさっき伺っているわけです。これは大臣から聞いているわけじゃないのです。その点を明らかにひとつ答弁していただきたい。
それから、大臣に私は国土の計画というものについてお尋ねをしたが、味という話ですが、答弁の内容はおよそあじけない内容である。私は、これはまあ総理その他から聞くよりほかはないと思うから、もうこれ以上伺いませんが、その地目の点は一体どうなっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/43
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044・田中重五
○政府委員(田中重五君) その森林の面積の調査につきましては、これはまず航空測量等の資料も持ち、それからそれぞれ標準地を抽出をいたしまして、そして面積を積み上げるわけでございます。それで、それのこまかい内容につきましては、あとで資料として提出をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/44
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045・中村波男
○中村波男君 いま資料として提出をするということでありますから、くどい質問を申し上げるのもどうかと思うのでありますけれども、これは私重大だと思うのです。四年間に二町歩や三町歩の違いなら別にいたしまして、四十五万町歩ふえた。長官は、前は原野を入れていなかったが、今度は入れるのだと、こうおっしゃるのですから、いま渡辺先輩の質問に対して資料を出すとおっしゃいますから、ひとつその内訳を具体的にお出しいただきたい。これはさっき畜産局長のお話になった十年間に四十万町歩の採草地を造成するということにも関連いたしまして、われわれぜひ調査をしておきたいと思う事柄でありますから、お願いをしたいと思うのであります。私はどう考えましても、日本の土地台帳は山林と原野を区別しているのでありまして、そこで、その原野を山林に入れられたということは、少なくともここ一、二年に、その原野に木を植えるという前提があって森林に組み入れられたということならば話はわかりますけれども、それらの理由もなくて、四十五万町歩が突然ふえてくるということは、これはさっき鶴園委員からも御指摘がございましたように、統計のずさんさと申しますか、調査の不正確と申しまするか、また、この林業白書なり経済見通しにはっきりとわが国の森林の総面積数は、約と、こういうことばで言っているのでありまするから、こういう権威のないものを出されるということについては、これはどこまでわれわれはこれをもとにして農政を考えたらいいかということにも、農政の基本にも関係する問題でありますので、くどくひとつ重ねて御質問いたすわけでありまするし、さらにもう一つ確認をしておきたいのは、立木の蓄積でありまするが、四年前も今日も十九億立米だということは、この四年間に成長率だけいわゆる伐採をした、こういうことでありますか、どうですか。これもまあ統計がずさんだから全く概算だというふうにお答えいただければ、あえてこの問題については追及をする必要はないのでありまするが、そういうことになりますると、林業白書なり従来の出された統計というものに大きな間違いがある、でたらめである、こういうことに連なっていきますので、重ねて御質問をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/45
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046・田中重五
○政府委員(田中重五君) この統計にあげております数字は、白書の作成の段階ではあらためてその蓄積調査をいたしたわけではございませんので、その時点で一番新しい資料によったものであるというふうに御了承いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/46
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047・中村波男
○中村波男君 さっき私が、長期見通しを三月中に公表するというお話でありましたから、それについて概略御説明いただきたいと御質問申し上げたわけでありますが、お触れになりませんので、続いて次の質問の中で、この問題をあわせてひとつお答えをいただきたいと、こう思うわけであります。
今日の日本の林政を考えます場合に、外材の輸入を度外視することは私はできない段階にきているのではないかというふうに見るわけであります。したがって、いま日本の林業界のまん中にどっかと外材が腰を据えて、したがって、日本の林業は外材を中心軸に構造的な変化を引き起こしつつあるといってもいいと思うのであります。そこで、私が問題だと思いますのは、林業白書にも指摘しておりますように、国産材と外材との競合性についてという一項を設けまして、これに触れておるのでありますが、それによりますと、「国産材と外材はいろいろの側面において競合関係に立つが、その内容はかなり多様である。外材のすべてが国産材と競合するわけではないが、」云々と述べましたあとで、わが国の針葉樹のほとんどが外材と競合することになるので、競合の程度いかんによっては、外材輸入の適正化を考慮する必要があるであろうと、人ごとのような言い方をいたしておるのでありまして、これに対する今後の対策については一言も林業白書は触れていないのであります。ここでお尋ねしたいのは、外材輸入問題に対するわれわれと政府の認識に大きな隔たりがあるのでありますが、したがって、われわれの意見をあえてここで申し上げようとは思いませんが、第一番としては、長期見通しでは、四十七年度の木材需要が約八千五百万立米と見込み、約千七百万立米の外材輸入が確保できれば木材の需給は確保できるとしておるのであります。四十七年度の見通しであります。ところが、三十九年度の実績はどうかといいますと、総需要七千百三十万立米に対しまして、外材は千九百十七万立米、長期見通しの四十七年よりも二百十七万立米をすでに六年前の今日こえておるということであります。四十七年の千七百万立米をすでに二百十七万立米こえておるということであります。これは大きな私は問題だと思うのでありますが、したがって、林業生産の停滞の大きな原因として、外材輸入の増大をあげておられるのでありますし、外材輸入の道を開いたのは貿易の自由化であります。その自由化をだれが行なったかということをいえば、これは自民党政府である。しかし、幾ら貿易が自由化されても、特殊材は別にいたしまして、国内材より高ければ輸入するものがないことは子供でもわかる経済のイロハであります。したがって、これらに対して早く見通しを立て、対策を立てるべきであったと思うのでありますが、それらに何らの手も触れずに、今日まできまして、そして今日あわてていることは、これはまことに私は問題だというふうに考えるのでありまして、このような立場からさらに具体的な質問をいたしたいと思うのでありますが、増大する需要に対応するために外材の輸入が増大したことは当然であり、白書にも、需給と価格安定に役立ったといっているのでありますが、私も、需給関係から見る限りでは、そのとおりだと思うのであります。しかし、私がいまさら申し上げますまでもなく、貿易の自由化は昭和二十六年のラワン丸太を皮切りに、どんどんと進められまして、三十九年にはほとんどの林産物の自由化を完了している。その結果として、外材は三十五年以降三百万立米前後毎年増加を続けてきていることは前にも指摘したとおりでありますが、千九百十七万立米となった今日、外貨が千五百七十億円という問題を考えますときに、これはただ林業問題として考えると同時に、外貨の問題、日本の輸入貿易の構造上の問題として真剣にこれは取り組まなければならない問題ではないかというふうに思うわけであります。この問題について大臣はどうお考えになっているか、まずお伺いをいたしましてから、さらに質問を進めたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/47
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048・田中重五
○政府委員(田中重五君) お話しのとおりに、外材が大幅に輸入をされているのは事実でございますが、いままでの見通しとしての需要量が、やはり高度成長の結果といたしまして、さらに伸びたために、国産材の供給ではそれが間に合わず木材価格の急上昇を招いたというようなことから、さらに外材の輸入がふえたわけでございます。そういう意味からいいますと、木材を消費するという面からいいまして、木材価格の異常な高騰を外材を補完的に入れることによって、安定的に保ち得たというふうに考えることはできると思うのでございます。林業経営者の立場から申しますれば、商品としての木材が高い水準で取引されること自体は好ましいことであるかもしれませんけれども、半面また、木材を消費する側からいいまして、他の商品との著しい不均衡をもって取引されることは、これは好ましくないことでございますし、一方また、いまの国際貿易経済の状況からいいましても、外材の輸入を、簡単にこれを規制するということについては、大きな問題があろうかと思います。私どもの考え方といたしましては、やはり外材の輸入に対処して、国産材の供給力をあげていくためには、林業経営の生産性をできるだけ高めることによって、その総生産を増大させていくということがまず第一でありましょうし、また、林業経営者の経営のしかたを計画的な植栽、計画的な伐採というあり方に指導していくということも必要であろうかと思います。その上でまた、外材の適正、円滑な輸入に対する措置も講ずべきである。こういうふうに考えまして、そこで、林業基本法の趣旨にも基づいて、この林業従事者がその経営について合理的な方向で行なうように、今後行政を進めてまいりたいと考えておりますし、一方、外材の適正な輸入につきましては、現在のところでは外材を輸入し、また、これを消費する業界に対する業界の自主的な規制を期待することにいたしまして、そういう方向で行政指導を進めているというのが現在の状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/48
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049・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ちょっと速記をとめてください。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/49
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050・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午後二時十一分休憩
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午後三時二十六分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/50
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051・山崎斉
○委員長(山崎斉君) これより農林水産委員会を再開いたします。
休憩前に引き続いて質疑を行なうことといたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/51
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052・中村波男
○中村波男君 さいぜん、外材の輸入に伴って国内林業への影響、圧迫についてお尋ねしたのに対して長官は、まあ長期的には、おっしゃるとおりに森林資源の維持培養につとめて日本の国内産材を外国価格に見合うようにするということでありますが、短期的な対策としていまのままでいいのかどうかという点についてお尋ねを申し上げたつもりでおるわけです。それについて長官は、昭和三十六年ごろの木材が高騰したときには、外材輸入というものは、これは大きな役割りを果たしたと思うのです、しかし、今日ではだれが何と言いましても、約三分の一の外材が輸入されておるという現実から見て、林業白書あるいは農林大臣の説明等でも、外材の輸入というのは国内林業の停滞をもたらした大きな理由にあげておられる。そこで、外材輸入の適正、円滑化、こういう表現がされておりますが、さいぜんの御答弁では、まあ業者の自主規制に大きく期待をして、そして見守っていくのだという表現であったと思いますが、これではもう手放しで、適正、円滑化のために何らの手も打たれておりませんし、効果もあがらないのではないかというふうに私は考えるわけです。したがって、いまおっしゃる適正円滑化というのは全く中身のない、いわゆる自由経済で、安ければどんどん入ってくる、手放しでこれを政府は見ているのだ、したがって、そのために国内林業は圧迫を受けて植林も進まないし、また、適齢林が切り出されないのを見ておるのだ、こういうことになりかねないと思うのでありますが、さらにこの問題について何らかの道を講じないとたいへんなことになるんじゃないかというふうに考えて、私たちの意見についてはあとから述べることにいたしまして、ただ、文字の上で適正円滑化と書いておるだけなのか、その他何かお考えになっているのか、さらに具体的にひとつお聞かせをいただきたいし、この問題は、農林大臣としての、省の最高責任者としても私は重大な問題だと思いますので、農林大臣からも所信をひとつこの際承っておきたい、こう考えるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/52
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053・田中重五
○政府委員(田中重五君) それで、現在何にもしないでいるのではないかというお話でございますけれども、それに対しまして先ほど輸入業者あるいはこれの加工業者の自主規制に待つことにして、それを見守るのでなく、自主規制ができるように行政指導をしてまいりたいと、こういうふうに申し上げたわけでございますが、それの具体的な面といたしましては、その年あるいは翌年度の木材の需給と、それから輸入の適正量、これを公表をいたしまして、それに基づいてその外材の必要量というものを示しまして、そうしてそれに基づいて輸入されるようにしていく、不当に多く輸入されないような方向へ指導するというふうにいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/53
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054・中村波男
○中村波男君 はたして行政指導で長官が意図されておるような実効が上がるかどうかということについては、私たちは全く大きな疑いを持ちますし、実効が上がらないと断言してもいいんでありますが、その問題はあとに回しまして、もう一つこの機会にお尋ねをしておきたいと思いますのは、林業白書の中で「開放経済体制の進行と林業」の項で書いておるのでありますが、「国産材との競合関係が問題とされるようになった。」と、これまた、よその国のできごとのような言い方をしておりまして、続いてケネディ・ラウンドによって外材製品の輸入が増大することになれば、直接的にはほとんど中小企業である木材関連産業に、間接的には林業経営にとってかなりの影響が出てくることも考えられると述べまして、第二の問題としては、国連貿易開発会議機構における低開発問題を取り上げ、その対策の内容といたしましては、わが国の林業や木材関連産業に少なからざる影響を与えるおそれがあるであろうと、これまた、どこかの林業白書のような言い方がされておるのでありますが、そこで、これらの二つの開放経済下の新たな問題について、さらにこの機会にその見通しと、これもまた外材輸入と同じでありまして、そのときになってあわてふためいたところで、特に中小企業関係の林業者がうき目を見る結果になるのでありまするから、それらの対策もあらかじめ見通して立てておく必要があるのではないかというふうに私は思いますので、この対策について何か具体案があるのかどうか、ただ、これは問題点として提起したにすぎないのかどうかお尋ねいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/54
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055・田中重五
○政府委員(田中重五君) その国産材と競合する外材と言っております意味は、外材全部が競合するということではなくて、日本のある特定の樹種に対する特定の産地の外材が競合するというようなことを取り上げて言っているわけでございますが、まあ具体的に言いますと、日本の杉と、それから米材のうちの米ツガ、こういうものはその用途において非常に似ているし、したがって、これが相当大量に入ることは、競合する結果、杉の造林その他販売等に影響する度合いが大きいというようなことを言っているわけでございます。それで、現在はそういうものに対しまして特に関税等でこれを押えるというふうにはいたしておりませんけれども、これは製材のことでもございますので、そこで、その必要が生じた場合には、関税等の施策も講じなければならないということで、関税問題についてもバインドしないという態度をとっております。
それから、低開発国の開発、援助の問題につきましては、これは台湾、韓国その他フィリピンはもうすでに相当な近代化されておりますけれども、その他の東南アジアの国々が相当森林を豊富に持っており、それが現在は丸太で日本へ輸入されているけれども、将来においては、それがそういう原料で出すことをせずに、加工をして、そうして付加価値を高めて輸出するようになるだろう。そうしてまた、そういうふうに技術援助、プラント輸出、そういうことをすることが国際協力たるゆえんではないかという立場にあるわけであります。そういう場合に、それがたいへん発達してまいりますと、わが国の合板なり、その他の製品に脅威を及ぼすことになりかねないということを心配しているという意味でございますが、そういう点につきましては、やはりその段階で何らかの具体的施策が必要でありましょうけれども、一方、国内における各工場の生産性の向上等でやはりそれに競争し得る体質というものを培養していく必要があるということを言っているわけでございます。白書で言っている意味は そういうようなことを言っているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/55
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056・中村波男
○中村波男君 いろいろ御答弁をいただいたわけでありますが、そういう新しい二つの行政を踏まえて、それにどう対処するかということについて、日本の零細企業を中心にする林業者の、あるいは林業を中心にする木工業者等の体質を改善するような政策を進めるのだとおっしゃいますが、しかし、予算の中にはそれらしいものがあまり出ておらないのではないかというふうに感ずるわけであります。時間がありませんから、さらにこのことを深く御質問を申し上げませんけれども、もうひとつ私は外材輸入との関係で念を押しておきたいと思いますのは、御承知のように洋材の動向が三十九年度は前年度の四%の需要が伸びておる。しかし、国内の洋材生産というのは、一%と伸び悩んでおる。こういう結果として、前にも指摘いたしましたとおり不足分は外材で補っていくというのが、現在の流通機構であり、そのことがいわゆる需給と価格の安定をもたらしていると思うのでありますが、そこで、国内の洋材生産を圧迫していることは、白書にも指摘しておるとおり事実だと思います。
そこで、さらにお伺いをしたいのは、洋材が伸び悩むばかりではなくて、木材価格の先行き不安と、日本経済の高度成長に伴って労働力の流出、労賃上昇、造林意欲はますます減退をして、これがやがて森林の荒廃と零細林家の生活脅威に私はつながっておるというふうにまあ判断をするわけであります。この悪循環をどうして断ち切るか、これが今日的な日本の林業の課題だろうというふうに私は判断をし、認識をするわけなんです。この今日的な課題に対してさいぜんから農林大臣に答弁を求めておるのでありまするが、お答えをいただけませんが、ひとつこの問題について農林大臣の所信をぜひお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
さらにお聞きしておきたいのは、日本の林業の自給度の目標をどこに置いておられるのか。
第二は、外材輸入を一括、政府が行ないまして、需給操作をやるようなことを検討する用意があるのかないのか、この二つをあわせて御質問申し上げまして、次に移りたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/56
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057・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの御質疑に対してお答えするのでありますが、あるいはまた的はずれにならぬように注意いたしたいと思います。
一つは、外材とあわせて自給度の目標をひとつ置いてやったらどうかと、こういうことが御質問であったように思うのですが、それは大体いまいろいろ御指摘のとおりに、二七%ぐらいの輸入をする、そして現在の需給関係は一応この輸入材のそれだけの輸入ということと、それから国内造林においても若干の増加がありまするので、まず需要を満たしておることが一つと、一つは、価格にいたしましても、三十六年度には非常な暴騰を見ましたけれども、その後は大体横ばいの傾向にあるように思われる。しかし、ほかの物資の価格と比較して、そう著しく安いと、こういうふうには思われないのでございます。その間について、いろいろいわゆる林家のほうからいうと不安も、いろいろの取り越し苦労もあろうし、また、いろいろございましょうけれども、私どもとしてはこういう関係において、いわゆる国内産のものを減らすということなく、相当これを増大していく。したがって、つまり資源をうんと蓄積し、増大していく、こういうことが大きなねらいでありまするので、一つは造林をどんどん——どんどんといってもあれでございますけれども、でき得る限り造林のほうに力を注いでいこうということ、それから造林に力を入れるということになりますというと、一つはやはり林道の問題がございます。したがって、林道や、それから輸送関係という面について力を入れなければならない。それから単に林道だけでなしに、今度は造林の問題となりますというと、御存じのとおり非常に最近は労働力が民有林においては欠乏しておるように思われる。これが非常に流れて出ていきますような関係から、そこで、労働力というものをどうするかという問題が非常に大きな問題でございます。これはもう地帯によってはそうでもないところもあるでしょうけれども、地帯によっては非常に大きな問題でございます。こういう点については、森林いわゆる林業というだけからこれはなかなかむずかしいのでありまするので、これはどうしても山村振興という問題を、やはり横のほうからこれを助け出すかしらぬが——いわゆるどちらが本質かしらぬが、山村振興というものをやはりやる必要があるというので、山村振興法をこれはこの前皆さんの御援助によって通過いたしたわけでございますが、これらによって山村の振興を徹底するということでございます。もちろんそればかりでなしに、現実問題としては、やはり造林の単価が非常に低いので、助成をする場合においても単価が低いからして、造林の単価は、少なくとも、非常にほかの面についてはかなりいろいろの問題がありましたが、本年も十分ではないけれども造林に関する単価を上げるという問題をやっておるようなわけであります。
なお、そのほか機械の問題いわゆる近代化の問題その他を進めてまいるのでございまして、そういうことで極力造林を進めてまいると、こういうことでございます。したがって、目標は別に置いてきめてはおりませんけれども、十分その点については、造林という問題については非常な力を今度持っていこうというわけでございます。したがって、森林計画のごときも、その点について十分の努力を払おうということでございます。先ほど面積の問題等についていろいろありましたが、原野についての面積の統計等は、これは先ほど申したとおりに、ほんとうにいろいろの点について、私どももあまりこれはきちっとした統計だというととができないことは残念でございまするが、しかし、造林の面からいって、やはり造林面積をふやすという熱意を持って進めておる、こういうことでございます。
なお、御質問にあるいはそれた点もあろうかと思いますが、大体そんなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/57
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058・川村清一
○川村清一君 関連。外材の輸入の問題が出ておりますので、これに関連してちょっとお聞きしたいのですが、ソ連材の輸入の動向ですが、これがふえているというような状態になってきておるのかどうかということと、それからこのソ連材の輸送の問題ですが、これはどういうような方法によって輸送しておるか、これをひとつお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/58
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059・田中重五
○政府委員(田中重五君) ソ連材の輸入につきましては、一応政府間交渉におきまして、四十一年においては三百六十万立方メートルということに相なっております。この数字は、一応ソ連といたしましては、交渉の過程において商社がソ連にオファーをした数字の積み重ね、それの数字でございます。それで、それだけ入るかどうかは別の問題として、そういうことになっております。
それから輸送のほうは、一部いかだ輸送がございましたけれども、四十二年からは全部船積みで輸送をするということに、これは日ソ間の約束できめております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/59
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060・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 どうも大臣の答弁を伺っていると、午前もそうですが、さっぱりどうも中村君の質問にまともに答弁していないですよ。いま冒頭に伺っているのは、第一は、自給度を一体どうするかということを聞いている。その背景になるいろいろな政策を抽象的に述べることはいいですよ。しからば四十五年のもうごく短期間にこれを限定しましょう。四十五年度を目途としてどういう一つの林業政策の方向というものを自給度で描いておるか、なければないと言ってください。あるならばそれを明確に答弁してくだざい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/60
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061・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 先ほど申したとおりに、自給度として別にきめておりませんことは先ほども申し上げたのでございます。自給度はいろいろの関係で持っております。ただ、森林計画というものを設定いたしまして、森林いわゆる造林という問題についてその計画に向かって努力をしておるということでございます。それは自給度というわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/61
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062・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大臣、そういうおかしなことはありますか。新たに需給計画を立てるでしょう。需給計画を四十五年なら四十五年の需給計画を立てる。その場合に自給度は幾らかということは出るでしょう、出ないですか。そんなおかしな需給計画はありますか。いいかげんな答弁をしてはだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/62
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063・田中重五
○政府委員(田中重五君) 先ほど大臣からお答え申し上げましたように、国内生産材をできるだけふやして、そうして国内の需要に充ててまいりたいという考えでございますが、そこで、そのためには林道の開設、それから造林の推進、これを極力はかってまいりたい。そこで、その造林を推進した結果、その林地で生産される木材を推定したときに、国内の需要に対してこの程度の自給度になるということでございまして、自給度というものをきめてかかっていないという大臣の話は、まず自給度をきめて、そうしてその上で国内の生産数量をきめていくというふうにはやっていない、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/63
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064・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いや、いままでの林政というのが物動計画的な面を非常に持っているんです。山を見て、木を見て仕事をしてきたわけですよ。ですから、森林法においても法律に基づいて需給計画を打ち立てるようになっている。今度の林業基本法でもはっきり需給計画、需給の見通しというものを出すことになっている。そういう林政というのは物動的な面を非常に強く持っているんだから、昭和四十五年なら四十五年の需給見通しがはっきりすれば、自給度は幾らになるかということははっきりするんじゃないですか。いま長官の答弁の中に、自給度はきめていないんだというお話だ。しかし、需給の見通しを立てるという場合に、自給度というものが確定しなければどうにもならぬのじゃないですか。いま盛んに造林をやる、しかし、五年後には、あるいは三年後には、また六年後にはどんどん外材が入ってくるということになれば、せっかくそういうことを国が出してみても、そんなものはむだになる可能性だって十分にある。昨年の外材が入ったころは、輸入商社の連中に会いますると、日本の木材は切らないでよろしい、立ちっぱなしでよろしい、こういうことを公然と言っておった。そういう方向に動いておるんですよ。はっきりしてください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/64
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065・田中重五
○政府委員(田中重五君) 木材の需給につきましては、もちろん言うまでもなく長期の見通しを立てることになっておりまして、これは午前も申し上げました林産物の長期見通しの中でこれを明らかにしたい、こういうふうに考えているわけでございます。ところでこの場合に、需要の見通しがあり、それから国内生産力から見た供給の見通しがある。その結果として自給度というものが計算すれば出てくる。そういう意味で言っているわけでございます。それで、造林というのは、これは生き物を相手にするわけでございまして、そこでそれぞれ適地適木というものがあるし、技術で克服できない面がある。そこで、一応技術的に造林の可能な地帯、これを描きつつ造林が推進をされている。もちろんそれには必要な財政投融資も、また、個人の経済力も必要でございますが、そういうものが考えられながらこの造林面積の拡大をはかった結果、そこから生産される木材の生産量が、需要に対して自給度というものを測定できることになるということを申し上げているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/65
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066・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それじゃちょっと角度を変えてお伺いしたいと思いますが、森林法に基づく需給計画はできておりますね、需給見通しは、これはいま生きているわけです。それによりますと、一番食い違ったのは何かというと外材の輸入です。外材の輸入は昭和四十七年に千七百万立方メートル、これだけ輸入することになっている、昭和四十七年です。それで五十七年には二千万立方メートル、いまからちょっと二十年先ですね。ところが三十九年にもう二千万立方メートルに近いんですね、こんなばかげた……、これはどういうわけですか。何のために需給見通しを立てているのか。これが二十年後の外材の輸入量と三十九年の外材の輸入量がほぼ同じだ、そんなばかな……。なぜこんな需給見通しを立てるのか、それを明らかにしてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/66
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067・田中重五
○政府委員(田中重五君) その計画策定の時点における経済成長に対して、現実の経済成長が著しく伸びた結果だというふうに考えざるを得ないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/67
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068・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 それはわからぬ、そんなばかな話はない。この需給見通しというのは三十七年の十月です。成長率というものはわかっている、三十七年の十月つくったものです。それが二年後にすでにもう二十年後の見通しを上回っている、近くなっている、そんなばかな話はない。なぜ法律に基づいて需給見通しを立てられるのか、もっとしっかりしてもらわないと困る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/68
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069・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 需給見通しを林業基本法に基づいて発表することは、林政審議会を経て近く発表するということは、これは申し上げている。私の申すのは、自給度とかいうものをかっちりきめることによって輸入のほうをどうとかかんとかという、そこの自給度というものを、それをきめるとか計画をするとかということではないので、需給見通しをつけるということについては、もう午前中のみならず、ずっと以前からお答えをし、この前もお答えをしているのであって、それはこの前白書のときにも御質問に対してお答えしているのであって、需給見通しは早く林政審議会にかけて発表いたしたい、その時期はできるだけ早くいたしたい、今月中にでもいたしたいということをきょうも申しておるようなわけで、その問題ではないのであって、そこは御質問との間に食い違いが起こるといかぬからと申しておるのであって、私のは、自給度とかといってどう申すか、その計画性、計画ではないからという意味のことでそれで申しておるのでありまするから、その点をどうぞ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/69
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070・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 そんなおかしいことがありますか。もっと森林法に基づいて、法律に基づいて、いま需給見通しは生きているんですよ、あるんですよ。林業基本法に基づく需給見通しができると思います。要は、森林法に基づく需給見通しとみなすとなっておる。それによると、三十七年にできたものと二年たった今日、たいへんな食い違いがあるじゃないか、ばかみたいな食い違いがあるじゃないか。そのことは、そういう需給見通しに基づいて林道計画を立てられるでしょう、造林計画も立てられているでしょう、そうでしょう。それがこんなに食い違いがあるようじゃ、どうにもならぬじゃないかということを言っている。べらぼうです、べらぼうな騒ぎどころじゃなくて、これは天地がひっくり返ったような話です。いいかげんにしてもらっては困るのですよ。はっきりしてもらいたい、これは。いいかげんな話です。何も需給見通しに基づいて林道なり何なりというものができていなければいいのですよ、それに基づいて林道なり林政というものが進んでいるでしょう。それがこんなに食い違っては、自給度がどうなるという話じゃないんですよ。いま言っているのはそんなべらぼうな話じゃない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/70
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071・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 関連。需給計画があるなら自給度は出ないというなら、それはその割合をつくれば出るから、そこでその割合をはっきり出してもらいたい。四十五年をはっきりしてもらいたいということを私は大臣に答弁を求めていますから、その需給計画をどう見て、その結果自給度は何%になる、それすらもなければないと単純に答えて下さい。
それから、私は大臣の言うことに引っかかるのは、林政審議会にかけるかけると言うが、これは法律によって林政審議会にかけなければいかぬ。しかし私たちは審議会とは別に、国民を代表してここで審議をしているんですから、その審議会に対する政府の態度も問題が私は一、二ならずありますけれども、それはさておいて、林政審議会にかけるくらいなものは、こういう一般質問をする機会には質問をしているんですから、その内容を明らかにして、われわれの向うべき林業の目標というものは、四十五年度はかくかくである、四十七年度はこうである、そのためには各般の施策を盛り込んでおるのだ、これは一つの政府、自民党の最高方針によって、これは描かれる方向づけであります。したがって、これは長官や何かの答弁する問題じゃなくて、あくまでも最高責任者である農林大臣の答弁によって、これは明確にしてもらう責任があるわけです。大臣ひとつ明確に答弁して下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/71
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072・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 先ほどから申しておるとおりでありまして、私の言うことと本質的には違わぬように思うのですがね。日本は別に計画経済で進んでおるわけではありません。しかし、この農業計画であっても何でもいろいろな問題のときに、やはり見通しという程度でいくわけです。だから農業基本法のときでも、計画にしてほしいという主張は確かに社会党その他のほうからもありました。しかし、それは計画というわけにはいかない、自由経済だから。しかし、見通しはつくる必要はあるというので、それぞれ各基本法においてはすべて見通しでいっておるはずでございます。でありますから私の申し上げますることは、ここまで別に何にもかどを立てて言う必要はないんで、ほんとうは見通しは、これはもう立てることをはっきりさせておりますから、その点については疑問がないとこう思っておりまするので、かどを立てたようなことを申しておるわけでございまして、この点はあしからず御了承願いたいと思うのです。
それから今度の見通しにつきましては、近く審議会にこれをかけて発表するのでありますから、いま手元に一応その要綱が、大体の見当はこうだという点について長官からお答えいたさせます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/72
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073・田中重五
○政府委員(田中重五君) ただいま渡辺先生から、四十五年度はどうかというお話がございましたが、そこで、いま大臣から申し上げました森林資源の基本計画、それから林産物の需要及び供給に関する見通しについては、三月末前後に公表をしたい、その中で示したいというふうに申し上げておりますので、そこで、その内容としては、大体これから五十年後の森林資源の実態を目標にしておるわけでございまして、そこで一応、それを十年ごとに区切った計画は一応立てているわけでございます。で、その中で、いまお話しの四十五年はどうかということについては、後ほど計算をして提出をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/73
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074・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 関連。私はその五十年後は林政の情勢から言ってわかるのです、順序を区切ったやつはわかるのです。四十五年と私が限定したから、それをまた四十五年の時期区分をしなければできないでしょうが、そういうものは一体どうなのか。これは確かに林業基本法の中に森林資源に関する基本計画というものを明らかにする責任がある、その森林資源の基本計画のほかに、大臣が言うように長期見通しを立てる責任を持っておる、それはことばは長期見通しでけっこうです、われわれが成立した林業基本法ですから、その長期見通しの中で一体、四十五年がむずかしければ十年を一期として立てるならば、その第一期の十年後の長期見通しはどうなのか、需給計画が一体どういう内容になっているのか。まあ計画と言えば、大臣が見通しというならあえて見通しと訂正しましょう。十年後の長時見通しはどうなのか、その長期見通しは自給率に直したら一体どうなのか、これは明らかにする責任があるでしょう。これは林業基本法に、審議会に出す責任があるとともに、われわれがここでその内容を明らかにする質問があったら、これは答える責任があるでしょう、それを明らかにして下さい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/74
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075・田中重五
○政府委員(田中重五君) いまのお話に基づきまして申し上げますと、この見通しではこういうふうにいたしております。三十七年ないし三十九年の実績でございますが、これが需要量が六千六百五十万石ということに相なっております。これが昭和五十年におきましてはちょうど一億立米という計算をいたしております。これに対してこの国内の供給でございますが、この実績からいいますと五千百万立方メーター、そこでこの自給率は七七%ということに相なります。それに対して五十年におきましては一億の木材需要に対して七千六十万立米。で、自給率がこの段階ではさらに落ちまして七一%ということに相なっております。で、その後国内の供給量が漸次伸びてまいりまして、そうして将来この目標の地点では大体需要を一億四千六百万立米というように推定をいたしまして、それに対する国内生産一億三千二百、自給率は九割というような計算をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/75
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076・中村波男
○中村波男君 大臣があまりにも何といいますか、自給度ということばにこだわられまして、計画経済でないからとあなたはそうおっしゃいますけれども、先般のあの所信表明で、食糧や農産物の自給度はこれだけにするのだということをおっしゃったのですから、いま長官のいわれるとおり、自給度というのは、需要に対して国内の供給がどれだけあるかということが一口に言えば自給度でありまして、そういう論弁をもって答弁をされようとするから、長官が答弁を早くされれば一分か二分で終わることを、先輩諸氏の御助力を仰がなければならないというような結果になりますので、ひとつすなおに答えていただきたいと思うわけです。
そこで、さらに私は外材輸入に関連してお尋ねをしておきたいと思いますのは、国内における用材生産の停滞について、政府は重大な問題を見落としておるのではないかというふうに私は考えるのであります。どこを向いて進むかというならば、停滞の理由として、価格の横ばいや労賃の上昇のみに私は起用しておらない。御承知のように、民有林というのは、一般的に財産保持の性格が強いところへ、日本の林家の特徴としては、いわゆる五ヘクタール、五町歩以下の林家が九一%を占めておるという実態から見まして、いかに経営規模というのが大山林地主を中心に行なわれているということが言えるかと私は思うわけであります。そこで、大臣はさっき、ことしは植林の単価を上げたというふうにおっしゃいますし、また、需給関係を調整するために林道を今後つけるとおっしゃいますし、いままでも不十分でありましたけれども、林道等に相当な投資を政府はしてきたというふうに私は思うわけです。しかし、そういう投資が行なわれたけれども、林道はついたけれども、植林がはたしてそれに即応するように行なわれておるかどうか。林道はついたけれども、老熟林が切られておるかどうか、こういうことを考えますならば、私はやはり金にことを欠かない山林地主というのは、なかなか私は木を切らないのではないかというふうに思うわけです。この点のいわゆる情勢判断、分析をどう政府はしておられるのか。したがって、まだまだ適期の伐採樹齢の木はたくさんあるはずでありますから、これをどうして切り出すかということが、私はこれは需要供給のバランスを、いわゆる自給度を高める上において重大な施策とならなければならぬというふうに思うわけであります。これについてどう認識をしておられるか、お伺いをいたしておきまして、続いて質問したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/76
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077・田中重五
○政府委員(田中重五君) いま造林の停滞について最初お話がございましたので、ちょっとそれに触れながら申し上げますと、造林の停滞の大きな理由としては、いわゆる拡大造林というところの広範な薪炭林該当林において、これの薪炭に対する需要が急減をいたしておるために、地上の立木がのかない、そこで造林が進まないという問題点が一つございます。そこで、薪炭該当木を用途転換をいたしまして、パルプあるいは繊維、その他のものに使うにいたしましても、林道が十分についていない。そこで、先ほど来大臣からも申しておりますように、林道の拡大、拡充ということが緊急を要する問題であるという問題が一つございます。
それからその次は、林道がついても、今度は切り出さないではないかというような問題ということに相なってまいりまするが、確かに山林所有者の性向といたしまして、自分の家計に応じて切るとか、都合のいい、必要なときだけ切るとかいう状態がございます。そこで、現在といたしましては、そういう切り惜しみもないとは言いませんけれども、現在の国内生産の状態といたしましては、天然林も人工林も二十年生以下の林分がその面積において過半を占めておるというような状況でございます。そこで、まあおおむね国内の生産は、いま申し上げましたような意味において、切るべきものは切られておる。それから、一方、先ほどの用途の転換をしなければ切れないというものがある、こういうふうに御理解をいただきたいと思うんでございますが、そこで、林道がついても切らないもの、あるいはまた計画的に切っていくような方向へ持っていくのにはどうしたらいいか、そこで、私ども現在考えておりますのは、やはり林業経営に計画性を持たせる。で、家計の必要に応じてしか切らないというような性向を脱して、計画的に植え計画的に切るというふうに、個別的に経営計画を林業経営者に樹立するように指導をしまして、そしてその計画に従って経営を行なっていくような方向へもってまいることによって、林道がついて、その沿線に切るべきものが存在する場合には計画的にこれを切っていくようにもってまいりたいと、そのためには、また税制その他の面で国の助成措置があわせて必要になると思いますけれども、そういうことがこの造林、林道の推進拡大に伴って必要であろうというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/77
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078・中村波男
○中村波男君 いま長官のお話を承りますと、切り惜しみが全然ないとは言わないけれども、大体切るものは切っておるんだというお話でありますが、それなら林業白書に、用材の生産の停滞といって、幾つかの理由を挙げて、白書でそれを示す必要がないんじゃないかと思うのですよ。長官の言われるのは、私は実際の実態と内容がだいぶん違うんじゃないか、こういうふうに判断をするわけなんです。この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/78
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079・田中重五
○政府委員(田中重五君) 白書で申しております面も、これはもちろんあるわけでございますが、さらに薪炭林該当木の問題があったり、それから大体全国的な視野から見ますと、終戦前後に植栽された林分が多いということから、国内の生産力は必ずしも十分ではないんだということを申し上げたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/79
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080・中村波男
○中村波男君 これは水かけ論になりますから、次に移りたいと思うんでありますが、そこで、私がさらに指摘をいたしたいと思いますのは、森林法に基づいて施業の勧告及び民有林材の供給確保を指導することができるという規定があると思うわけでありますが、これが実態としてどのように実施されているかということについて、私の見聞の範囲では、これは条文としては生きておるけれども、実態としては実施されておらないのじゃないかと思いますが、この点どう林野庁は把握しておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/80
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081・田中重五
○政府委員(田中重五君) ちょっとすみませんが、初めのおことばを……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/81
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082・中村波男
○中村波男君 森林法による施業の勧告ですね、それから、さらに民有林材の供給確保を指導するという規定があると私は思うのでありますが、そういうものが実際に実態として行なわれておらないというふうに考えますので、その点どう林野庁は把握しておられるかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/82
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083・田中重五
○政府委員(田中重五君) いまお話しの点は、森林法で全国森林計画と、それからそれに基づいて県ごとの地域森林計画を立てることになっております。で、各森林所有者はこの地域森林計画の計画事項に基づいて施業をするようにという勧告の意味だと、こういうふうに考えます。それは確かに、お説のとおりに、必ずしも十分にこの運用をされているというふうには申し上げかねる次第でございますが、そこで、先ほど私が申し上げましたように、その地域森林計画のさらに下位における計画事項として林業経営者の個別の計画を立てて、それに従って仕事をしていくようなふうに将来持っていきたいということで考えている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/83
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084・中村波男
○中村波男君 これはまあ大山林地主等の切り惜しみとの関連においても、それから今後の造林事業の面からも、これはやはり森林法の規定を十分活用して、林野庁としてのいわゆる地方官庁に対する行政指導をもっと厳密にやっていただきたいということを思うわけです。
そこで、さらに意見を申し上げて、私の意見に対して大臣の御意見なり長官の御意見を承っておきたいと思うのでありますが、大山林地主が切り惜しみをやっておるという問題の規制措置として、今日はまあ五分五乗方式によって税金を優遇しておる、これをいわゆる切り惜しみなり造林なりをさせる意欲をつくらせる、こういう措置がとられておりますが、私はこれは逆であって、やはりもう少し強い規制をやらないとなかなか切り惜しみをやめさせることはできないのではないかと思うわけです。なるほどさっき長官が言われたように、二十年生以下のいわゆる若い樹林というのが半分くらい占めておるとおっしゃいますが、過熟林と申しますか、もう切らなければならぬという民有地における樹林というのも相当あるわけなんでありまして、それでは、私の意見でありますが、木を切って一定年限を植林をしないような場合には、これはやっぱり分収造林といいますか、そういう制度を法的に確立をして、自分が植えなければやはり国が責任を持って植えるのだ、あるいは公共団体が植えるのだというような、そういう措置をひとつ考えてみたらどうだろう、それから一定年限を経過したいわゆる熟林と申しますか、三十年、四十年たった木材については、需給の関係等からやはり切らせるような措置をとる、その措置をとってもがえんじないような場合には逆に税金をかけていくというふうな、そういう対策というものは考えられないものかどうか、こういうことを考えておるわけでありますが、その他のいろいろありまするけれども、時間の関係で省略をいたしますが、何らかの規制措置をとらないと、これではなかなか、金をかけて林道をつけられても、あるいは植林を奨励されても、実効というものが、いわゆる山の大部分、民有林の大部分を占めているのが二十、三十、五十町歩以上という大山林地主でありますから、これに何らかの手を加えない限りは、里山の二〇アールや三ヘクタールを持っておる人たちを対象にしても根本的な解決にはならないのではないか、こう考えてあえて意見を申し上げたわけでありますが、それに対するお考えをお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/84
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085・田中重五
○政府委員(田中重五君) 非常にむずかしい問題だと思いますが、よく検討をいたしたいと思います。ただ、この材木というものは農産物と違いまして切る時期が非常に幅の広いものでございます。そこで、この時期に切らなければというその時点の把握も困難であるほか規制には非常にいろいろむずかしい問題がございます。よく検討をいたしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/85
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086・中村波男
○中村波男君 それでは続きまして、国有林の関係について質問を進めてまいりたいと思うわけでありますが、林業白書も言っておりますように、最近に至って国有林野事業の財務が逼迫して非常な事態に当面をしておる、こう書いておるのでありますが、そこで、まず第一問としてお聞きしたいのは、四十年度の収支の見込み、損益勘定の見込みはどの程度かということから聞いていきたいと思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/86
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087・田中重五
○政府委員(田中重五君) その資料は後ほどお届けいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/87
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088・中村波男
○中村波男君 しかし、長官がそのようなことを御存じないということはどうも解せないわけでありますし、それをお聞かせいただかぬと次の質問に入れないわけでありますが、わかりませんか。(「資料提出はあとでいいから口頭で答弁してくれ」、「この間も答弁しなかった、けしからぬ」、「ちっとも満足な答弁できないじゃないか」と呼ぶ者あり)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/88
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089・田中重五
○政府委員(田中重五君) いま手元にありますのは三十九年度まででございますが、四十年度の予定について申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/89
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090・中村波男
○中村波男君 もちろん予定をお聞きしたのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/90
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091・田中重五
○政府委員(田中重五君) それで予定で申し上げますと、歳入歳出ともに千六百十二億ということに予定としてはなっております。それから損益決算の見通しといたしましては、予定として四十五億円の利益が予定されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/91
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092・中村波男
○中村波男君 私、いまの御報告を受けましてちょっとほっとした感じでありますが、いままで林野庁はいわゆる答申以来、また答申前から財政がものすごく悪化して、このまま続くならば赤字が累積をして何ともならないと、こういうふうにおっしゃっておりましたし、四十年度におきましても相当の赤字を予想されておったと思うのであります。私の聞くところでは、七十九億ぐらい赤字が出るということがいままで公然と言われてきたと思うわけであります。それに比べますならば、益が四十五億出るということでありますので、御努力のほどに敬意を表するわけであります。
さて、次の質問に移りたいと思いますが、国有林野事業の果たすべき役割りと経営のあり方に関しまして中央森林審議会に諮問をし、それに対する答申が昨年三月に出ました。聞くところによりますと、この答申の具体化のために林野庁の中に国有林野対策本部が設けられて、鋭意検討が続けられておると聞くのであります。その中で可能なもの、緊急を要するものから逐次実施に移す方針のようでありますが、この可能なもの、緊急を要するものを実施するということについて、もう今日決定したものがあるならばこの機会にひとつ承っておきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/92
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093・田中重五
○政府委員(田中重五君) 可能なものとして四十一年度予算で取り上げましたものは、国有林野治山事業のうちで、非常に公共性が強くて、そして一般会計の負担にするということが正しいと考えられるもの、これはいまの答申の中にもあるわけでございますが、それを一般会計から十六億円繰り入れたということがございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/93
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094・中村波男
○中村波男君 まだいろいろほかにあるように承っておるのでありますが、時間もありませんからもう一つだけお聞きしておきますが、職員については、機構改革とは関係なく四十一年度から四十五年度までに五千名整理する、さらに新規採用毎年二百五十名程度あるようでありますが、これはもうやらない、こういうことがきまったと聞いておるのであります。したがって、実質的に六千二百五十名が整理される、こういうふうに全林野労働組合も情報をキャッチして、何とか生活を守るためにという運動が展開されておることはお耳に入っておると思います。そういうことはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/94
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095・田中重五
○政府委員(田中重五君) その五千名と申しますのは、決して計画ではございません。それで、現在のところ年々千名程度の退職者がある、そこで五年たつと五千名になるというだけのことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/95
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096・中村波男
○中村波男君 私はいまのことを全く根拠なしに質問したんでなしに、先般全林野の労働組合へいわゆる公社化その他の問題も含めて事前説明をされたときに、責任のある人から、いわゆるこういうことが林野の労働組合の代表に言われたということで御質問をしたのでありますが、それは全く計画にありませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/96
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097・田中重五
○政府委員(田中重五君) 計画としてはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/97
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098・中村波男
○中村波男君 計画としてはないということは、現時点ではそういう計画として決定はしておらぬけれども、そういう構想はありますか、そういうおそれはありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/98
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099・田中重五
○政府委員(田中重五君) 現に年に千名くらいの退職者がございます。で、それが五ヵ年たてば五千名になると、いま申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/99
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100・中村波男
○中村波男君 すると、退職者を補充しないし、新規採用はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/100
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101・田中重五
○政府委員(田中重五君) 全然補充しないということはございませんので、四十一年度におきましても新規採用はございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/101
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102・中村波男
○中村波男君 そうしますと、その千名ずつ退職者が大体あるから五年たてば五千名になる。そこで新規採用は従来のようにおやりになるということか、あるいはその中の半分くらいは新規採用するということか。五千名と新規採用の関係、ひとつ頭が悪うございますから、もう少し詳しく御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/102
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103・田中重五
○政府委員(田中重五君) 退職者は年に千名ほどあるということでございます。それから新規採用は、これは抑制はいたしております。しかし、やらないというのではなく、いまも申し上げましたように新規採用はあるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/103
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104・中村波男
○中村波男君 と申しますと、その退職者千名を補充する方針だということになりますと、現在の機構、制度からすれば、それだけの人員を減らして、なお予想される増大する事業量をこなしていくということはできぬと思いますが、これは公社化を前提とした構想でありますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/104
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105・田中重五
○政府委員(田中重五君) それは公社化を前提としたものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/105
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106・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私も全然その数字にはうといから伺うのですが、従来、毎年平均して一千名の自然退職がある、それでは従来、補充する員数はどの程度の実績を持ってきたんですか。そうしてまたそれを踏まえて、四十一年度から五ヵ年は五千名の自然退職を予想して何名の補充を予定しておるか。そういう点をひとつ数字をあげて説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/106
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107・田中重五
○政府委員(田中重五君) 退職者の数は、これはあくまでも実績を申し上げておるわけでございます。
それから新規採用につきましては、たとえば高校卒程度の人につきましては大体営林署の数くらいは採用いたしておりましたけれども、それが若干減っておることは事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/107
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108・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 長官、そういう数字までは御存じないと思うのですが、約一千名の自然退職、これはまあ約でしょう。一千名を割るかしらぬし、一千名を多少こえるかもしらぬが、そういう認識を持っておられると同様に、新規採用は大体何名ずつを補充しておられたかというおおよその点を実績としてお伺いしたいというのですよ。そうしてそのおおよその実績を踏まえて、今後五ヵ年の自然退職に見合うものとしては大体どの程度腹づもりとして持っておられるだろうか、こういうことを伺っておるわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/108
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109・田中重五
○政府委員(田中重五君) 新規採用のほうはちょっといま数字を用意をいたしておりませんので、総数としましては用意をいたしておりませんので、後ほど、この四十一年度については調べて提出をいたしたいと、こう思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/109
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110・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 やめるほうの数字はある程度、ラフですがおわかりになる、採用のほうは全然わからぬということは、何かどうもすっきりしないような、勘ぐりたくなるようなことにもなるので、そうじゃないのだ、実際はこうで、林業の重大性にかんがみて、むしろ今後は大いにその従業員を拡大するならするとか、そういう前向きな明るいことを期待をして伺っているのですよ。それにこたえるようなものはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/110
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111・田中重五
○政府委員(田中重五君) 退職者のほうは、これは人事の刷新、人事の若返り、そういう要望が職員内からも非常に強く出ておりまして、そういうような要望にこたえる意味においても、その程度の退職者が出ているということでございまして、一方、新規採用については、これはいまも申し上げましたように、前に比べまして若干採用数は減っているのでありますが、その数字についてはちょっと用意をしておりませんので、後ほどお答えしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/111
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112・矢山有作
○矢山有作君 先ほど営林署の数ほど採用予定であると言われたのですが、営林署の数は何ぼあるのですか。ちょっと知らないのでお知らせ願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/112
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113・田中重五
○政府委員(田中重五君) それは先ほども申しましたように、高校卒程度の人のことを例として申し上げたわけでございますが、営林署の数はただいま三百五十ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/113
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114・矢山有作
○矢山有作君 営林署の数はわかりましたが、退職者が年に千人くらいあって、五年間に五千人やめるのだというのに、大体新規の採用の計画というものが全然なしで、今後のあなたの運営ができるのですか。それはできないでしょう。おそらく退職者がこれだけあればあなたのほうの仕事量としてはこうなるのだから、この程度は補充するのだとか、補充しない場合にはどうするのだという何かがありますよ。それなしに、ただ、退職者の数だけ言ったって、それは中村さん、渡辺さんの質問に答えることになりませんよ。計画がないというような、そんな野方図なばかな話はないでしょう。それはあるはずだ。それをはっきり言わなければ次に質問進めないじゃないの。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/114
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115・田中重五
○政府委員(田中重五君) それは、千名という話は質問から出たわけでございます。それから、これは大体そのとおりだというふうに私もいま記憶しておりますので、お答えしたわけでございます。対応する新規採用の頭数は、いま記憶をいたしておりませんので、後ほどお答えいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/115
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116・矢山有作
○矢山有作君 あなたが覚えてないのだったら、補佐官がいるでしょう。やめる者が五千人いるのに、それに対して対応する補充がどうなるかということはちょっとわからぬというような、こんな無策な答弁はないよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/116
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117・森中守義
○森中守義君 同じようなことですがね。長官は予算の編成には関係してるんですか。つまりね、予算定員が幾ら、実行定員が幾ら、退職者が幾ら、それで金高が出るんですよ。それを、質問から出たことだなんて、そんなばかなことないですよ。何年役人やってますか。私はね、先ほどからずっと話を聞いてると、どこの委員会に行ってもこういうくだらぬ答弁聞いたことない。私も長年こんなことやってるけれども、そういうこと聞いたことありません、見たことない。大体、農林省というのは国会をどう思ってる。この前から問題になりましたように附帯決議の取り扱い、その問題もこの前の委員会から問題にしております。しかも三月の八日、衆議院でも問題がありますね。仮谷という政務次官が定刻に到着をして、他の政府委員及び大臣は遅刻して来ておる。ずいぶん激しく衆議院でも問責を受けてるじゃないですか。私は先ほどから中村委員の質問聞いていて、特別に意地の悪い質問でもありませんよ。特別にむずかしい質問でもない。それに対する答弁は全く誠意を持ってない。前の日に、どうですか、質問の通告があれば、大体要旨を聞いて回るというのが慣例ですよ。しかも、重要な問題等については省議を開いて意見の統一を見て、答弁は各省庁やっております。少なくとも農林省においても官房長中心に、かくかくの質問に対してはかくかくの答弁をする、こういうことが私はとられていると思う。もしとられていてやっていないというならば、国会をなめてる。まことに穏当でありませんよ。しかも、先ほど話の中に、この場では数字が出せない、しかも林政審議会にかけるという。国会と林政審議会、どっちが優位ですか。国会のところを読んでごらんなさい。行政に対する責任を国会に負わねばならぬといっておる。何の審議会だ。適当でありませんよ、農林省のものの考えは。私は農林省一体の責任において、国会に対してはもう少し忠実であってもらいたい。大臣いいですか。それで長官、私はね、当然、予算の編成の際に、たとえそれが特別会計であろうと、あるいは独立採算であろうと、予算定員が幾ら、実行定員が幾ら、その中には人事をどうするこうする、しかも退職者に対しては退職金こうとうという積算をやって大蔵省と予算折衝するんでしょう。こんなこと、この揚で答弁できないばかな話ありますか。そうじゃないですか。いやしくも林野庁の長官が、農林省の定員が幾らであり、臨時者が幾らであり、退職者がどの程度予想される、想定される、その補充はこうこうするぐらいのことは、宙にでも覚えておってしかるべきですよ。今日、人事問題、要員問題が異常なむずかしい時代であるだけに、そのくらいのことはちゃんと答えなさい、ここで。けしからんですよ。とにかく農林省の国会に対する私は姿勢というものは適当でない、そう思います。もう少し忠実に、よく用意をして、きちんと答弁をしてもらいたい。質問者のほうも決して意地悪い質問しておりませんよ。むしろ激励をするような、農林省の仕事がやりやすくなるような、そういう前向きの質問をしてるはずですよ。やりよう次第ではそれはどうにでもいじめることはできますよ。そういう意地の悪い質問じゃないじゃないですか。それに何です、終始一貫のらりくらりして。まあそういう意味で、特に私は国会の答弁等については細心の注意を払い、しかも忠実な答弁を私はされるように警告をしておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/117
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118・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 関連。いま森中君からも出ましたが、私は、この林業基本法に林政審議会にはかるということはうたっておるから、それをたてにとって大臣はこの長期見通しについては、この国会で具体的な審議をしようというわれわれの前向きのかまえ方に対して、そらそうとする。一体、そういう審議会というものと国会の審議というものとを考えた場合に、当然これはわれわれのこの審議には十分答えるだけの万般の準備をして大臣以下臨むべきだ。そういう国会の審議を軽視するようなことでは、私は理事としてもこれ以上この審議は続けることはできないと思う。もう少しその点について十分資料を整え、具体的な答弁のできる勉強をして、あすならあす、これやるなり、いま納得のできる答弁ができるならいま答えるなり、要求する資料がすぐ出るなら出すなり、資料の準備もありましょうから、きょうはとてもこういう状態では、委員会の審議は、続行がこれは不可能です。国会の審議というものをもっとまじめに考えて、大臣も、要求されなくても当然審議には臨んで、陣頭に立ってみずから責任ある答弁をすべきなんです。政府委員はこまかい補足的な場合に、これは答弁すればいいんです。それを政府委員が答弁している間に居眠りするとか、そういう不まじめなことは、私は許せないことである、基本的な問題だと思うのです。一千名自然退職があるからそれに相当するものは充足するということは、これは常識じゃないですか。その数字すら出せないというから、私はそれにひっかかりがある。もっと具体的な、一千名が何人なのか、過去の具体的な実績と、それを補充した実績と、四十一年度の具体的な員数、そういう異動に対する見通しを準備をして中村委員の質問に答えてください。きょうはもうだめです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/118
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119・田中重五
○政府委員(田中重五君) 四十一年度の採用予定者数につきましてほ、いまちょっと調べておりますので、ちょっとお待ちをいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X00819660317/119
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120・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめたいと思います。政府委員のほうでも十二分にひとつ資料等も準備をして、そうして後日の質疑に臨んでいただきたいと思います。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時五十三分散会
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