1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年三月二十四日(木曜日)
午前十時十九分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
野知 浩之君
和田 鶴一君
武内 五郎君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
小林 篤一君
櫻井 志郎君
田村 賢作君
高橋雄之助君
任田 新治君
仲原 善一君
温水 三郎君
森部 隆輔君
大河原一次君
川村 清一君
鶴園 哲夫君
中村 波男君
森中 守義君
北條 雋八君
国務大臣
農林大臣 坂田 英一君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林省農林経済
局長 森本 修君
農林省農政局長 和田 正明君
水産庁長官 丹羽雅次郎君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
農林省畜産局参
事官 太田 康二君
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本日の会議に付した案件
○漁船損害補償法の一部を改正する法律案(内閣
提出、衆議院送付)
○北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法
の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/0
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
漁船損害補償法の一部を改正する法律案について質疑を行ないます。
質疑のある方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/1
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002・和田鶴一
○和田鶴一君 漁船損害補償法の一部を改正する法律案を審議するにあたりまして、水産行政全般の問題についていろいろとお尋ねをいたしたいのでございますが、時間の関係でその問題は次回に譲りまして、限られた時間の許す範囲内で、保険に集約してお伺いをいたしたいと思います。
このたび提案されました漁船損害補償法の一部を改正する法律案のおもなる点は、満期保険制度の充実をはかること、それから漁船保険中央会に交付金を交付して、それに伴う所要の改正を行なうことが中心だと思うのでありますが、以下これらに対して二、三お伺いをいたしたいと思います。
まず第一点といたしまして、水産行政の中において漁船保険行政の占める地位といいますか、その問題に関する水産庁長官の考え方をお伺いしたいと思うのであります。わが国の漁業の形態をいろんな角度から類型を形づくることもできると思うのでありますけれども、何といいましても、漁船漁業がその中心をなすということは申すまでもないことであります。このことはまた、どんな小さな漁業を行なう場合におきましても相当な資本を要するということでございます。このことからして、漁業経営ということ、経営という形の漁業へ取り組むというそのことがきわめて重要であるということであります。わかり切ったことを言うのでありますが、従来行なわれておる漁業を見てまいりますと、漁民が非常な苦労をして水揚げをしたところの魚が一キロ当たりどれくらいにつくのかというようなコストの計算をやるような沿岸漁業者は見当たらない。これは農業にも通ずることかと思いますけれども、このことはまた農業、漁業の生産物の流通機構にも起因していると言えると思うのでございます。漁民自体の考え方にも私は大きな問題があると思うのであります。こういうようないろんな角度から漁業の実態、形態が考えられてまいります。それからまた、昨日の会議で、農林大臣の漁業報告に対する同僚川村議員の質問に対しまして、いろいろとあったことでございますが、最近特に国際漁業がやかましく言われてまいりました。また、一方、漁業の近代化、合理化が推進されておるのでありますけれども、構造改善事業と政府の施策を通じ、また、漁業の実態からされる要請に基づいて、近代化あるいは合理化が漁船の動力化、大型化という形態でどんどん進められていく現状であります。また、別の角度から考えて見ますると、過去の農林行政、これは当然のことだと思いますけれども、主食を中心とした、米を中心とした行政が長く行なわれてまいりました。このような政策を遂行する形として、農地等農民個々の所有に対しても、国からの助成措置というようなものが大幅に講じられてまいっておるのであります。ところが、同じような状態にある漁業に関しては、個々の漁民に対するそうした措置はただ一つなくて、漁船保険が再保険という形、あるいは義務加入に対する保険料の一部を国が負担をするという、そうした形だけでつながっておる、こういうことであります。このようないま申し上げましたさまざまな角度から、こういう漁業環境の中での漁船保険行政というものの位置づけ、また、それに対する基本的な考え方を長官にお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/2
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003・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) いま御指摘のとおり、漁業の中で、沿岸漁業におきましても、漁船漁業のウエートが非常に高い。いわんや中小沿洋になれば、漁船のウエートが、漁業経営におきます漁船の持つ意味、生産手段としての持つ意味が高いことは、全く御指摘のとおりでございます。そこで、漁船漁業におきます一番大きな生産手段としての漁船に対します国のあり方の問題だと存じます。御承知のとおり、漁船に関しましては、金融制度といたしまして、漁船を建造いたします際の制度金融の道が開かれておるわけでございます。制度金融でございますから、総体的に金利を安くする。非常に大きな資本漁業に相なりますと、開銀その他の制度もございますし、さらに一般市中金融によりましてこれを行なうということが体系的にでき上がっておるわけでございます。ただ、不幸にして災害等が起こりました場合に、いわゆる金融ベースで船を建造して再出発をするということだけではやはり制度として不完全であろう。そういう立場からこの漁船保険制度ができているものと私ども理解をいたしておるわけでございます。そうして、漁船保険制度におきましては、相互保険によりまして不慮の事故が起きました際の漁船の再建造を容易ならしめる。さらに、その際に、比較的零細な方々はただ相互保険だけでは不十分である、そういう立場で掛金に対します国庫負担、こういう道を開いておるのが全体の体系でございます。
そこで、いま先生の御指摘の、水産行政の中で保険制度をどういうふうに位置づけておるかということの御質問に対しましては、以上のような考え方で私どもおるわけでございまして、今後とも零細な方々のこうした不慮の事故による漁船の再建造という問題に対しては、この制度の充実をもって対処いたしたい。さらに、保険によらないで、金融ベースによりまして漁船を建造していく面につきましては、制度金融の充実、こういう立場で対処いたしていきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/3
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004・和田鶴一
○和田鶴一君 制度的にいまの漁船保険制度の仕組みというようなものの御説明を伺ったような感じがいたします。もっとつっ込んで、漁船保険制度というものが、漁船保険行政というものが漁業の経営の根幹をなすのだといったような把握の仕方をしていないかどうかという点ですが、この点についてお伺いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/4
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005・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 漁業でございますから、漁船が最大の生産手段だ、かように考えます。最近におきまして、先生十分御承知のとおり、生産手段としての、及び生産手段に結びつく労働力の問題が非常に大きなウエートを持ってまいってきておりますが、本質的に考えまして、漁業におきまして、やはり最大の生産手段として漁船のウエートというものが圧倒的に重い。この生産手段を使いまして漁業を営む場合の労働力の問題、これが最近の労働力の減少傾向におきまして非常にウエートを持ってきつつあります。なお、今日まで、あるいは現在の段階におきまして、やはり船を使いまして魚を取る業でございますので、圧倒的に漁船の建造及び再生産ということに対しては漁業におきまする最大の問題である、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/5
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006・和田鶴一
○和田鶴一君 ただいま長官の答弁にもございましたが、漁船に対する制度金融の問題でございます、また、労働力の問題そうしたものから関連をいたしまして、最近は特にいわゆる合理化、機械化、省力化、そういうようなことに漁業者自身も真剣に取り組んでいるわけです。また、一方、遠洋漁業等におきましては漁場がきわめて遠くなっておるというようなことで、底びき漁業等におきましてもきわめて大型化が進められておるというような状態、こういうような点に関しまして農林金融公庫等の融資につきましても、その融資のいわゆる限度額とか、あるいは制限トン数というようなものに対する改正を希望する声もあちこちで聞かれておるわけでありますが、そういうような趨勢の中にあって、漁船保険の場合に引き受け限度として一千トンという限度を設けておりますけれども、これの引き上げを考えるような意思があるかないか。これはその引き受ける組合の内容、力関係、そういうことにもよることはもちろんでありますけれども、そういうような希望に対して、限度額を引き上げて受け入れ体制を準備するというような考え方はないかどうか。まあ隻数にいたしましてもごく限られた数かと思いますけれども、そういう積極的な希望に対するひとつ意見をお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/6
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007・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) お答え申し上げます。
千トン以上の漁船保険の加入の問題でございますが、三十九年度末で百四十八隻ということで、御指摘のとおり非常に加入は少ないのでございます。
それから一方、千トン未満につきましてさらに分解をいたしてみますと、千トンから五百トンまでの間が大体三割、それから五百トンから二百トンの間が七六%、それから二百トンから百トンの間が八五%、その階層の中での加入率でございます、ということで、御指摘のとおり小さい下のほうほど加入率が現制度では高いのでございます。同時に千トン以上は加入率が非常に少ないわけでございまして——千トン以上と、いま私、当初説明間違えましたが、千トン以上は加入しておらないわけでございますが、千トン以上をもう少し加入するようにしたらどうかというお話でございますが、トン三十万と考えまして三億、三十万から四十万に相なるかと思いますが、三億ないし四億の保険に相なるわけでございます。元請が御承知のとおり一割でございますから、一組合といたしまして三千万から四千万、一ぱい船が事故を起こしますと、元請組合としてはそれだけの負担を負う、こういう実態にあるわけでございまして、したがいまして、相互保険でございますので、なかなかこの元請組合におきまして、一事故発生いたします場合の大きな保険というものを引き受けさせることが適当であるかどうか、こういうものは大きな民間保険にゆだねるほうが適当であるかどうか、かような問題もあろうと存じます。
それから、制度的には、どちらかと言いますと、零細な漁民の相互保険でございますので、いろいろの御意見を承ってなお検討いたしたい点とは存じますけれども、私どもただいまの気持ちといたしましては、なるべく、総体的に低い階層について、この制度にできるだけ取り組みまして、そしてできるだけ国としてもその援助を厚くする、そして千トンとか二千トンとか、比較的大きな経営体は、いわばコマーシャル・ベースで、要すれば民間保険等でこれに対処するというのも一つの考え方かと私どもは考えておるわけでございますが、いろいろの御意見もございますので、もっと大きいものをこの保険の対象に取り込むかということにつきましては、いまのところ、先ほども申したような考え方を持っておるのですけれども、各方面の御意見を聞いて十分研究いたしたいと、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/7
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008・和田鶴一
○和田鶴一君 次に、再保険特別会計におきまして、数年来多額の利益を生じておるわけでありますが、配付された資料を見ましても、三十四年度は十億九千四百万余り、三十五年は十三億五千三百万余り、三十六年は十六億二百万余り、この間に二億五千万程度の累増がございます。三十七年度二十億四千三百万余り、この間四億。三十八年度二十七億二千五百万余り、この間に約七億。三十九年度三十二億五千三百万余りで、この間、約前年度に比して五億の累増を示しておりますが、そのような利益を生むに至りました経過といいますか、理由といいますか、それを御説明いただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/8
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009・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 前回お配りいたしました参考資料の二一ページに、和田先生御指摘の点が書いてあるわけでございますが、いま御指摘のとおり、三十五年度でその一年間の当期損益で、益が二億五千万、三十六年がやはり二億五千万、三十七年が四億四千万、三十八年が六億八千万、三十九年が五億二千万、これらが累積いたしまして、三十九年度末に三十二億五千万の繰り越し益を本特別会計は持っておるわけでございます。これは申すまでもなく、このバランス・シートが示しますように、損失といたしましての再保険金の支払いその他の事務費の支払いに対しまして、利益としての再保険料その他の雑収入とのバランスから益が出る計算でありまして、結局再保険料、基本的には再保険料収入と再保険金支出との間の差が益となっておるわけであります。再保険料収入は再保険料率によって申すまでもなく入ってまいるわけでございます。そこで、その原因いかんといえば、再保険料が事故に対しまして総体的に高かったということでございます。そこで、再保険料率というものは過去の災害の事故率から算定されるわけでございます。漁船の加入がふえましたことと、それから漁船の装備なり建造が近代化いたしまして事故が総体的に減ったと。したがって、過去十年の事故率をもとにいたします保険設計が実態に比べますと事故率を高く見ておった、こういうことに相なろうかと思います。そこで、この利益の原因は、保険会計におきまして保険事故率の見方が高かったということでございます。そこで、これを実態に合わせるためには再保険料率を下げる、あるいは事故率の見方を改めるということでございます。そこで、四十一年度の本特別会計におきましては、あるいはこの保険設計におきましては、再保険料率を通常保険部分におきまして四・六%引き下げることにいたしましたので、今後の問題といたしましては、再保険料は過去の保険設計による保険料率より減りますから、収入はそれだけ減になり、事故の発生が在来の形をとればバランスをする、こういう形になろうかと、まあ一言で申せば、要するに保険料が高かったから四十一年度以降前向きにはそれを引き下げよう、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/9
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010・和田鶴一
○和田鶴一君 長い間漁業者の間でこの問題を取り上げて、保険料率の改定、引き下げ、そういう問題を熱心に当局と議論していたわけでございますが、このたび、その利益の一部十二億円を漁船保険中央会に対して交付するという予定で、ただいま長官の御説明で、大体再保険料率の引き下げで将来はバランスをするというその見込みをお聞かせいただきましたが、かりに、また、要するに漁船の近代化、合理化というようなものが進みまして、さらに利益を生むというようなことが予想されないとも限りませんが、そのような場合には一体どう措置するか。今回の場合、四十一年度に限って十二億円を中央会に交付するということのようでございますけれども、そういうような場合にはどういうふうな措置を考えられておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/10
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011・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 御指摘のとおり三十九年度末で三十二億の益が出る。それから、その前から益が相当出ておりますことが、御指摘を受けまして、この益をどう処分するか、いろいろの考え方がございまして、返せばいいじゃないかと、個々の方々に返すか、あるいは何と申しますか、それを返すかわりに有効に使ったらいいじゃないかという議論もございました。そこで私どもといたしましては、この関係の方々、それから学識経験者等によりまして、漁船再保険のこの問題に関しまする研究会を組織して御検討願ったわけでございます。それで、ただ返すということに相なりますと、零細な金を個々にばらばらに返していくことにもなるということで、もっと有益に使ったらいいんじゃないかという御意見がございまして、最終的には、今回御審議願っていますように、三十二億のうちで、今後の、まあ保険でございますから、年々の、長期均衡はいたしますけれども、年々には、いろんな事故があり得るわけでございます。そこで、それに対する準備金として二十億を保留いたしておきまして、十二億を、この際、この加入者が組織いたしますところの、組合が組織いたしますところの中央会に、まあ一種の寄託をいたしました。そうしてその果実をもちまして、有益に漁船の保険事業に役立つように使おう。それからどの程度のものを保留すべきかという問題も保険理論の上でいろいろ御検討願いまして、数字の御算定を願って保留をいたしまして、十二億を、今回御説明いたしておりますように漁船保険中央会に交付いたしました。
いま御質問は、今後も出たらどうするかということでございます。その問題につきましては、むしろ保険でございますから、利益を生むことが必ずしも目的でございませんので、保険料率を引き下げてバランスさせる、これが理想でございまして、一応先ほど申しましたとおり、通常四・六%の引き下げをやって、いまのわれわれの理論の上からいえば、これで均衡する、かように考えておりますけれども、それでも、いま御指摘のようにさらに漁船の安全性等が高まって利益を生んだらどうするかということでございますが、この場合におきましては、私どもといたしましては、もしかりにそういう事態がありますれば、今回のように、各方面の御意見を承りまして、一番妥当な方法で処理をいたしたい、かように存じます。いろいろの考え方があろうと思いますけれども、考え方といたしましては、十分御審議願いましたわけでございまするが、今回のような点が、やはり一つの方法であろうと思いますけれどもさらに今後生みました場合については、あらためて各界の関係の方々の御意見を十分承って対処いたしたい、かように思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/11
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012・和田鶴一
○和田鶴一君 伺いますと、大蔵省で他の民間保険とのつり合い上、なかなかその保険料率を思い切って下げさせないというようなことを聞くわけでございますが、そういうことはございませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/12
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013・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 民間保険との均衡上、たとえば今回再保険料率等を引き下げましたし、さらに、御審議願っていますように、満期保険等におきましては、料率の調整をやりまして、結果的には一部下がっておるわけでございますが、具体的なケースについて、大蔵省がとやかく言うことはございません。ただ、基本的にはやはり民間保険と、制度保険でございますから、制度保険で、何と申しますか、極端にというか、著しく料率をもしかりに下げるといたしますれば、やはり民間保険との調整の問題はやはり大蔵省、保険行政やっております大蔵省としてはあり得ると存じますが、今回につきましては、具体的にはございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/13
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014・和田鶴一
○和田鶴一君 このたびこの改正で漁業者の負担の軽減された面は、大体どれくらいになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/14
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015・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 先ほど再保険料率を四・六%引き下げたこともございまして、これが大体一億八千万円に相当いたします。これは普通損害保険でございます。それはとりもなおさずそのまま原則的には漁民負担の軽減に相なります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/15
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016・和田鶴一
○和田鶴一君 そういたしますと、過去の累計をずっと見ると、まだ幾らか余裕が残るような感じがしますね。けっこうです。
それから中央会に対して十二億円を交付いたしまして、その中央会に対する事業の内容等について改正を加えておりますが、大体どのような事業を計画されておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/16
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017・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 衆議院でも決議として御要望をいただきましたし、私どももさように考えておりますが、先ほど申し上げましたとおり、十二億円は皆さんの、国の負担もございますけれども、そういうことを申さず、ともかく漁民の団体に渡そうということにきめたわけでございますので、これを食ってしまうということはなるべく避けまして、それを元本として残しておきまして、その元本が生みますところの果実、つまり利子収入でございますが、これを毎年できるだけ有効に使ってまいりたいという立場で考えますと、平年度ベースで大体八千五百万円くらいの果実といいますか、利子を生むわけでございます。
で、これをどう使うかという問題でございますが、基本的には中央会の総会でおきめ願うことでございます。国のあり方としては、予算、決算の承認という立場におきましてこれに対処するわけでございます。で、行政指導の立場として、あるいは現在中央会等といろいろお話をいたしております問題といたしましては、やはり海難防止事業にこれはぜひひとつ考えてもらいたい。たとえば救命ブイという、御承知のとおり最近漁船の災害がいろいろございまして、御指摘をいろいろいただいておるわけでございますが、救命ラジオブイを備えるということはいいことであり、かつ二十トン以上はいずれ来年から法令上の義務にすることに相なっておりますが、かりにラジオブイをつけましても、受信施設がなければ意味をなさぬわけでございますので、漁業無線局等で受信装置のないような漁業無線局にはこれを補助しましてつくらせる。それから、いろいろ漁船の事故が非常に多いのでございますが、助けに行きまして、船が助かった場合には、その船主なり、あるいはこの保険制度におきましても報償があるわけでございますが、どうしても見つからぬという場合には、ただ働きになるのがいまの、何といいますか、制度的にはまずい点でございます。この、ただ働きになってもこれから報償を出すということは、とりもなおさず積極的に僚船なり近くの港から船の遭難の際に積極的に助けに行ってもらう。つまり救難作業報償事業。それから、無事故が理想でございまして、結局これはとりもなおさず関係の船の方々がその気持ちを持つということも非常に大事でございますが、無事故の漁船に対します報償事業、海難防止に関しますいろいろの委託調査、試験研究機関への研究委託、それから通信、操舵その他に関する乗り組み員の教育、訓練、講習の問題、あるいは漁協にいろいろこの事業をお願いいたしておる漁船保険の推進のための協力に対します奨励金、こういうようなことにはぜひ使ってもらいたいという立場で現在行政指導をいたしております。相手方でございます中央会等も、趣旨はけっこうであるからそういう方向で考えてまいりたいということで、現在この法案が通りますれば、法の定める手続によりまして事業計画をつくって提出し、承認を受ける、こういう段取りになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/17
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018・和田鶴一
○和田鶴一君 ただいま長官から十二億円の運用方法について御説明があったわけでありますが、平年度八千五百万円ということでございますと、大体年七%程度の利息を計算をしておる。これは金銭信託等にいたしますれば十分考えられる数字だと思うのでありますが、この点に関して私はこういう考え方をいたしたのでございますけれども、それは、漁船保険というこの事業を、沿岸の単協等を通じてむしろ事務費の補助もするし、また、漁船保険事業に対する推進あるいはまた保険思想というものを徹底させるというようなことで、系統をあげての仕事をさすためには、この十二億の運用について県の漁信連に幾ばくかの預託というようなことも考えて協力をさせたらというようなことも考えたわけでありますけれども、最近の金利体系というものが非常に低下してまいりまして、農協等において、経済局長の話を伺いますと、余談になるかもわかりませんが、大体一農協、信用部門に依存する面が四百五十万黒字、購買販売は全部赤字、共済事業による収益が約十二万五千円程度、これをバランスすると百二十万ないし百三十万程度の黒字ということで、信用部門に対して約三百数十万円の依存をしておる。ところが、最近の公定歩合の引き下げ、その他金利体系が下って、まいりました。この点から考えて、今後の農協あるいは農信連の運営というものが非常にむずかしい問題が出てくるのではないかというように思います。そういうような状況を考えまして——ただ農協に対して、漁協の場合は組合経営の財源を魚の共同販売事業の手数料というものにまだ多く依存をしておるという点で、そういう点からも、影響の波を受けるのにやや余裕があるというようなことでございますけれども、やはりやがてはそういう影響を受けるということを考えると、私の当初申し上げたような考え方を七%の運用という点で、できるだけ事業費をかせぐという立場になると、これは無理に申し上げるわけにはいかんなというふうに現在は考えておるのでございますが、そういう運用の方法について、系統をあげてこの保険事業に協力できるような態勢というものも、見通しの問題にもなりますけれども、一応は考えてみてはどうかということを考えたわけでありますが、いま申上げたようなことで、強くこれは私は固執はいたしません。
それから、いろいろ事業の概要をお聞かせいただいたのでございますけれども、海難防止ということについて、救命ブイ、まことにこれはけっこうだと思います。遠洋漁船が船を乗っけて——伝馬船ですね、ボートを乗っけていくということは義務化されておるんですけれども、これを積むとどうも作業がきわめて困難なものですから、持っていかないのは常識でありますね。そういう点で、この救命ブイを持たせるということは私は非常に大事だと思うのでありますが、それに関連してですが、沿岸漁船で最近はトランシーバーを持たない船は一隻もない。そうして、これがもう非常に安全操業ということ、あるいはまた、その他漁獲状況の報告とかいうことで、流通面に対してでも非常にプラスになっている。ところが、よくわからないんですけれども、登山をしたり、あるいは魚を釣りに行ったりする連中が、たとえば、紀伊水道をはさんで室戸岬で友だちが魚釣りをやって、一方は潮岬の灯台の下で魚釣りをやっておる、それがお互いにどうだ釣れるかというやりとりが自由にできる。ところが、沿岸で命がけで商売をやっている船がトランシーバーを持つと、きわめて強い電波の干渉を受ける、制限を受けるということなんです。物見遊山、遊びの人間にはもう何ら干渉、制限はなくて、安全操業にきわめて役立ち、また、この漁船保険制度からしても政府の財政にもプラスになっておるそういうものに対してきわめて過酷な電波法上の制限が加わっておるというこの実態、御存じですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/18
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019・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) まず結論から申しますと、まことに申しわけございませんが存じません。ただ、最近、電波の監理の立場から、漁船無線局——無線のほうでごさいます——について、あるいは電波の私設の無線に対しまして、取り締まりを強化したいという話がございますが、私ども現在いろいろ話し合いをしておりますが、漁船の無線電波について絶対そういう強化の対象にしてもらいたくない、われわれはむしろこれを充実したいという立場にあるんだということを強くいま申し入れをいたしておるわけでございます。考え方といたしましては、漁船の無線、あるいは無線電話を含めまして充実をしたい、こういう立場で強く考えておる次第でございます。
それから、私先ほどことばが間違いましたかもしれませんが、本事業でやりますのはラジオブイの受信施設でございます。救命ブイ、救命いかだの問題につきましては、公庫を通じましてこれを極力推進をいたしたい、金融を通じましてやる、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/19
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020・和田鶴一
○和田鶴一君 無事故報奨その他に関連してでございますが、この配られた資料を見ますと、普通損害保険の加入状況でございますけれども、三十七年度は十二万二千七百九十隻で、在籍隻数に比べて三一・五三%、三十八年度は十二万八千九百七十八隻で三三・六〇%、三十九年度は十三万三千四百一隻で三五・三四%ということでありまして、いずれも在籍漁船の隻数に対して加入隻数のパーセンテージは大体三分の一ということであります。最初に申し上げましたとおり漁業の実態あるいは経営指導という面から考えてまいりますと、この状況は決していい状態であるとは言えない。もっともっと大いに保険思想を普及徹底させて加入者をふやしていかなければならぬと思うのでございます。こういう意味において、中央会でいろいろ事業の計画をするわけでございますけれども、無事故報奨というようなことは、私は漁船保険事業の推進にきわめて役立つ事業だと思います。漁船保険事業の進展ということは、私は当初申し上げましたように、漁業そのものの進展に通ずるといっても言い過ぎでないぐらいに考えるべき問題でございますので、そういう漁業行政の基本という立場から、できるだけ効果的な事業計画をひとつやっていただいて、十二億の効果が、今後どんどんと漁船保険の事業に具体的に効果があらわれるように十分な行政指導なり監督をされたいと思います。
次に、満期保険についてちょっと伺いたいと思いますが、普通損害保険に加入をしておる、三十九年度のこの資料によりますと、ただいまも申し上げましたように、十三万何がしでございまして、満期保険の加入は、それに比べまして三千七十隻、三十九年度単年度で六百八十七隻というきわめて微々たる状況でありまして、この状態が今回の改正を必要とすることになったと思うのでありますが、その伸び悩んだ理由、提出された資料によりますと、よくわかりにくい点がありますので、この点について具体的にひとつ御説明をいただきたいのと、このたびの改正によって満期保険が将来どれぐらいの伸びが見込まれるか、その見通しをひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/20
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021・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 初めに、いまの加入率の問題でございますが、先回も御説明いたしましたとおり在籍船のうち三五%未満。ただ、三十七万隻のうち十七万隻が無動力船でございます。無動力船はこの表にも書いてございますが、加入率が七%で、動力船全体では約六割程度になっております。もちろん御指摘のとおりこれで十分とは存じませんが、動力船については非常に大きな生産手段でございますので、加入の推進については全力をあげてまいりたいとは存じております。
次に、満期保険でございますが、満期保険は御承知のとおり厚生といいますか、養老保険のような性格でございまして、途中で事故があれば損害がもらえる、無事故に終わればその無事故であった場合に積み立てしておいた分が戻ってまいるという趣旨の保険でございます。そこで、保険設計上は当然事故率と満期生き残り率とから組み立てられておるわけでございますが、全損以外の場合におきまして積み立て部分が掛け捨てになる。これが、やはり何といいますか、実際に保険を掛けておられる方々の心境としては、何となく損したような気持ちにもなるという面があったわけでございます。そこで一今回御審議願っておりますように、保険設計のうちで積み立て部分は返すという思想をやはり入れる必要がある。たとえば、今回考えております問題で、六年間の満期保険を考えますと、今回考えておりますのでは、積み立て保険料の払い戻しは、一年目に事故が起こった場合には九八%、二年目は五八%、三年目は四八%、六年目で四四%と、まあ半分くらいのものは返してもらう、こういう設計に改めましたので、何と申しますか、よくお話し合いの上では、相当御理解をいただいて、伸びるんではないかと、かように考えております。
それで、まあこれでどこまで伸びるかという問題でございますけれども、ちょっと計数的には、何ともまだいまの段階で測定をいたしかねるわけでございますけれども、まあ船を、先ほど冒頭に申し上げましたとおり、金を借りてつくればいいという問題もございますけれども、借りるということは将来に向かって債務負担を負うわけでございますから、できれば自己資金でつくるほうがべターでございますので、私どもとしては、今回の改正を機会によくお話し合いをいたしまして、できるだけこの加入の促進をいたしたい、数字的にどこまで伸びると、私、ここで申し上げてみても、見込みでございますので差し控えたいと、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/21
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022・和田鶴一
○和田鶴一君 普通損害保険の一〇%くらいのものは見込まれないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/22
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023・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 関係の者は、現在、二・二%のものを一〇%くらいまでに持っていくようにつとめたいというふうに考えて仕事をいたしております。見込みでございますので、私、差し控えたような次第でございます。努力目標としては最小限このくらいのところに置いているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/23
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024・和田鶴一
○和田鶴一君 この漁船保険も発足当時は、どこの漁船保険組合におきましても、組合の事務を担当しておる者が沿岸、津々浦々を歩き回って、そうして簡易保険の集金人みたいなかっこうで、各漁民の一戸一戸を歩いて努力したもんです。それが今日まで積み重ねられて非常に大きな成果をあげたということで、今回のこの満期保険の制度改正でも、もちろん、その各地域の漁船保険組合員の努力にもよりますけれども、まあこうして議論をしたあげくに、せめて一〇%くらいの見込みぐらいつけなければ、骨を折って制度改正までやった成果がないというか、まあそれくらいの御努力はひとつお願いしたいと思います。
さらに、いまの割り戻しですけれども、三年目か、六年目か、どこかひとつとらまえて、数学的にちょっと説明していただけないですか。金額で。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/24
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025・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 一つの例といたしまして、五トン未満の動力船で十万円加入をしたといたしますと、年々の保険料は一万三千四百円になります。この払い戻しの額でございますが、一年目は一万三千百三十二円、二年目が一万五千五百四十四円、三年目が一万九千二百九十六円、四年目が二万四千百二十円、五年目が二万九千四百八十円、六年目が三万五千三百七十六円、こういう形に相なります。払い込みました保険料に対しましての割合は、先ほど申したとおり、絶対額で申しますと、いまのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/25
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026・和田鶴一
○和田鶴一君 大体、提案された問題についての要点の御説明をいただいたわけでございますが、この機会に一、二関連してお伺いいたしたいと思います。
従来ともソ連の関係、それから朝鮮海峡の関係で特殊保険というものがあります。日韓条約が批准されてから、そういう特殊保険のお世話になるような事態が考えられなくなるかと思ったら、実はこの間、そういう問題が起こりまして、川村議員からも強くその点指摘されておるわけでございますが、将来ともやはり、朝鮮海峡におきましてはそういう状況になりましたが、やはり特殊保険というものについての考え方といいますか、その点についてひとつお聞かせいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/26
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027・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 特殊保険は、不慮の拿捕その他の場合の保険でございますが、私どもといたしましては、万々一の問題として、保険の面では極力入ることを勧奨いたしております。それで今後、どう考えるかということでございますが、中共等の間におきましてもやっぱり、民間協定でございますが、取りきめがございまして、やはり違犯が生じますと、拿捕等の問題も起こり得るわけでございます。北鮮との関係等もございますし、基本的には、全体的にはやはり、特殊保険は極力入っていただくという立場で現在、指導をいたしておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/27
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028・和田鶴一
○和田鶴一君 この間の問題は、この前、委員会で長官から詳細伺っておるわけでありますけれども、やはり、類似の問題が引き続いて起こり得る可能性が十分ある。専管水域に近づくほど魚が多いと考えられますから、その周辺で、共同規制水域の、その専管水域との境目あたりできわめて何といいますか、危険な状態で操業をする者も多いと思う。ところが、この間の問題なんかは、考えようによると、こちらはちゃんと計器を装備しておる。向こうは全然それを持っていない。ところが、威嚇射撃その他というようなことで船に乗り込んできて、そうしてサインをさせられるというようなことがままあり得ると思いますが、そういう点に関しまして、この海域に出漁して、特にそういう水域において漁業をする船長とか漁労長とか、そういう者にいろんな面で注意を喚起する必要があると思いますが、これはもちろん保険事故にも通ずることです。そういう点で長官のお考えを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/28
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029・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 今回の事件のようなものがままあってはいけないという立場で、私ども今後対処いたしたいと思っております。
それから、私ども日韓協定が始まりまして以来、あらゆる機会をとらえまして、少なくとも日本の漁民、漁業の方々に対しましては十分な御理解を願っておると信じております。今後ともその専管ラインの問題あるいは底びき禁止ラインの問題についての理解は十分深め、十分やってまいったつもりでございますが、今後ともつとめたいと思います。
で、今回の事件にかんがみまして、現在のところ焦点を釈放にしぼっておりますけれども、あの水域におきます操業上の位置測定の問題、記録の問題、これらにつきましては、私どもは内部でいまいろいろ研究いたしておりますけれども、なお海上保安庁等とも十分相談をいたしまして、はっきりさせる方途をぜひ講じたい、かように思っております。そういう意味におきまして、船長あるいは通信長あるいは航海長あたりに、何といいますか、全体の理解あるいは操舵上の問題あるいはレーダー、ロランの記録の問題、こういうものにつきまして徹底をはかりたい。目下のところ、具体的に発生いたしました事件につきましては、これはまず先決問題といたしまして釈放問題に焦点を合わせてやっておる次第でございます。これに引き続きまして、いま御指摘のような点は十分考えてまいりたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/29
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030・和田鶴一
○和田鶴一君 いま一つ、直接関係ございませんが、この義務加入の問題で、その地域指定に都道府県知事が協同組合の範囲内でやることになっておりますが、最近どこでも組合の合併をどんどん進めておるわけですが、各地域においては、大体農協等においても一市町村一組合というような目標を立てておるのが大体の状態でございますけれども、そういう組合合併ということで地域がきわめて拡大される、また、漁業の形態がそれに伴いましてさまざまなものが入ってくるといったような場合に、義務加入の地域指定というような問題、こうした組合合併というものについて、非常にむずかしい問題が起こらないかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/30
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031・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 義務加入の都道府県知事の地域指定は、現在原則として漁港の区域ということでやっておりますので、御指摘のとおり、組合が合併いたしまして大きくなると御指摘のような問題も——ただ、これは法律的には漁港の区域というふうにきめられているわけではございませんで、知事が指定する区域でございます。問題はむしろ保険運営の立場から、適当なユニットであればそのユニットを地域として指定するという立場で運用は可能でございます。むしろ保険の立場でどの単位で押えるのがいいか。ただ、逆にいいますと、加入の問題、事務の問題等、いろいろ漁協にお願いしておる面もございます。やはり地域の実態に応じてやる必要があろうと存じますけれども、何が何でも漁港が単位だから合併して大きくなったら義務加入はそれに付帯して運用するというぐあいにはわれわれは考えないでやってまいりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/31
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032・和田鶴一
○和田鶴一君 大体私のお尋ねいたしたいことは以上でございますが、さっきも申しましたように、要するに漁船漁業が中心の漁業の実態で、しかも生産手段の根幹をなす漁船、その漁業の経営にあたりましては、要するに漁師は船が一番の宝である、財産だ、これはすべての経営の母体になる。あるいは必要な資金を借り入れる場合におきましても、何を担保に取るかというと漁船を担保に取る。その場合に海に浮いておるものですから、担保力というものは、担保価値というものは保険に加入することによって初めて生まれてくるということで、漁船保険に加入するということは、漁業経営の基本をなすことであると思います。これはただ単に漁業をするというばかりじゃなしに、漁業の経営一切がそうであります。そういう意味におきまして、今回の中央会に対する十二億円の交付、これはまあ画期的なことでございますが、これを機会に漁船保険事業が大いに推進されるという、そのことが要するに漁業の振興ということに直接通ずるというきわめて基本的な事業でありますので、せっかくのこの事業が将来きわめて具体的に大きな成果が得られますように、格段の指導監督をしていただきまして、勢いこのことが沿岸の漁民に大きな幸福をもたらすことでありますから、この点十分御留意を願いたいと思います。私の質問はこれで終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/32
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033・後藤義隆
○政府委員(後藤義隆君) いま御注意がございました御趣旨に沿うように努力をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/33
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034・和田鶴一
○和田鶴一君 ありがとうございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/34
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035・川村清一
○川村清一君 資料要求をしたいと思います。それは、この問題の質疑の中でもあるいは発展して関連するかと思いますが、実は昨日私が本会議で質問したわけでありますが、その場合、佐藤総理の御答弁と私の質問とが食い違っております。総理の答弁メモは当然水産庁でつくられたと思いますので、この席を借りまして長官にひとつ資料を……。
その第一は——私は領海三海里の問題で質問したわけです。私の調べでは、領海三海里を主張しておる国は世界ではだいぶ少なくなってきておる、こういうことを聞いたのですが、総理は、世界のほとんど大半の国が三海里を主張しておると、こういう御答弁だった。そこで、三海里を主張しておる国はどこであるか、六海里を主張しておる国はどこであるか、十二海里を主張しておる国はどこであるか、その他沿岸国、後進国ではもっともっと遠くを主張しておる国がありますので、そういうようなその他を主張しておる国はどこであるか、こういうことを明らかにするような資料をいただきたいと思うわけであります。領海問題というのは、ただいまの質問にもありましたように、やはり漁船の拿捕とかいろいろな問題で特殊保険に関連してまいる事項でございますので、これはぜひお願いいたしたいと思います。
もう一点は、ジュネーブの海洋法国際会議においてきめられた条約案件でございますが、四つのうち、領海及び接続水域に関する条約と、それから公海に関する条約と大陸だなに関する条約と、これは発効しておるということは総理も認められておりましたが、これは二十二カ国が批准をしなければ発効しないことになっています。発効したということを認めたということは、二十二カ国すでに批准を完了したということです。それで、世界のおもな一流漁業国、いままでは世界一を誇っておった日本がこの国際条約を批准しないということは了解に苦しむわけであります。日本の現在の政府の大好きなアメリカの、アメリカの言うことなら何でも聞くと、アメリカのまねなら何でもするという日本が、アメリカは批准しておるのですが、イギリスも批准しておるのですが、日本はなぜ批准しないのか。領海及び接続水域に関する条約というこの条約は、これをもっと突っ込んでいくと、当然いまの日韓漁業協定の中にある専管水域という問題と関連してくるわけです。条約の中に専管水域ということばは使ってないわけです。海洋法を見たって専管水域というそんなことばはないわけですから、これは領海及び接続水域に関する条約、で、領海は何海里、接続水域は何海里だ、これを称していわゆる排他的漁業を行なう水域となっておる。日本は日韓漁業協定で、専管水域ということばでこれをやっておる。ですから、私は問題は専管水域であると、しかしながら、大体において無害通航権なんというものを認めるわけでしょう。無害通航権なんという概念は、これは領海の中にあるわけです。ところが、済州島の西側から済州島の東側に当然漁船は漁場を移動しなければならない。その移動するときに、専管水域を移動する場合においては、漁具、漁網を格納しなければならぬという規定があるでしょう。それは無害通航権である、無害通航権というものは領海の中にあるこれは規定なんです。だから、実質的にこれは領海を認めておるのじゃないかということを私は議論したのです。ところが、総理は、そうでないという御答弁をされておりますので、そこで、一体この条約を、それぞれいま三つの条約をあげましたが、この条約を批准している国はどの国であるか、それを明らかにするような資料をいただきたい、こう思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/35
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036・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 結論といたしまして、資料は提出いたします。ただ、本会議の答弁と関係があるようでございますので、領海の問題は外務省と打ち合せの上提出をいたしたいと思います。その点、お含みおきを願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/36
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037・川村清一
○川村清一君 打ち合わせすることはけっこうでございますけれども、これは明らかな問題でありますから、私はその理由や何かを聞いているのでなくて、私は批准している国はどの国とどの国ですかということを聞いておるわけですから、そういう資料は私も持っておりますけれども、政府の出されたものと合わせてみなければ、私の持っている資料の信憑性が明らかにならないので、どうぞ出していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/37
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038・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 これは来週火曜日までに出していただけるかな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/38
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039・丹羽雅次郎
○政府委員(丹羽雅次郎君) 来週火曜日までに提出いたします。以前に提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/39
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040・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 本案についての審議は、本日はこの程度にとどめます。
速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/40
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041・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午前十一時三十五分休憩
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午後二時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/41
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042・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を再開いたします。
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について、質疑を行ないます。
質疑のおありの方は、御発言願います。鶴園君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/42
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043・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 前回も川村委員その他から質問があったわけですが、特にこのマル寒の実績ですね、等の問題についてあったんですが、ぼくもこの問題につきましてお伺いをしたいと思うのです。
実は当初の計画では、五ヵ年計画で、三十九年の三月に終わることになっていた。で、二万八千戸という希望農家がある、に対しまして五年間で六千七百戸に貸し付けた。これでいいますと二四%の実績であります。はなはだしく低い。で、三十九年の三月にこれを二ヵ年延長をした。そのときの希望農家というのは五千戸だということになっている。二万八千戸から、五ヵ年間で貸し付けた六千七百戸を引きますと二万一千戸残りそうなものですけれども、二万一千戸じゃなくて、これがわずかに五千戸だということになる。で、この五千戸に対して二ヵ年延長して実施した結果は、三十九年が四百二十一戸四十年が二百五十戸ぐらい。足しまして二ヵ年で六百七十一戸五千戸に対しまして六百七十一戸ですから実績は一三%ぐらい。これまたおそろしく低い。話にならないです。この五千戸の中で六百七十一戸貸し付けたわけですが、あと四千三百残るわけなんですけれども、今度二ヵ年延長するにあたっては、さらに大幅に減少して、希望農家は三千一百戸だと、こういうわけですね。ですからこういう事実を基礎にいたしまして、若干伺いたいわけなんです。
一つは、この四十一年の貸し付けワクは十億円だというのですが、この四十年、三十九年、三十八年の貸し付けワクというのは、どの程度になっているのか、その消化率はどういうふうになっているのか、これを伺いたいのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/43
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044・和田正明
○政府委員(和田正明君) 年次別に申し上げますと、昭和三十三年が七億円でございましたが、このときはまだ法律ができておりません段階で、すでにお配りしてございます資料のように、三千七百万円の消化、率に直しまして五・二%、三十四年度が十二億円、それに対して二億三千六百万の消化実績で、比率にして二〇%、それから以下、三十五年、三十六年の予定ワクは、ずっと三ヵ年間十二億のままでございますが、三十五年が融資ワクが四億七百万円で三四%、三十六年が七億二千八百万で六一%、それから三十七年は十億円、三十八年十億円、三十九年十億円でございます。三十七年は十億円のワクに対して貸し付け実績が九億二千八百万で九三%、三十八年がやはり十億のワクに対して九億二千百万で、比率にして九二・一%、三十九年が十億円のワクに対して四億五千九百万円で四六%、合計をいたしまして七十三億のワクに対して三十七億一千六百万円、五一%ということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/44
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045・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 三十三年、三十四年に貸し付けた分がいま償還期に入っているわけですが、その延滞の状況はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/45
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046・和田正明
○政府委員(和田正明君) 四十年九月末の調査でございますが、元金の延滞をいたしておりますのが五戸、金額で十三万七千二百五十円。それから利息の延滞をしておりますのが五十七戸、百五十五万四千八百八十余円でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/46
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047・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 まだこの償還期に入って、わずか非常に短い期間ですから、延滞の状況がはっきりつかめないんですが、次にお伺いをしたいのは、いま貸し付けワクと、それから消化率との関係について局長から説明があったんですが、三十七年を大体境にして、ワクと貸し付けの消化率との関係は非常によくなってきておりますですね。ですが、これは先ほど私が事実として申し上げたところから察知しますと、だんだん貸し付けの対象農家の選定というものが、変わってきたのではないかという印象を非常に強く受けるわけですが、それは一応別にして、私が先ほど事実として申し上げた実積がはなはだしく低い。つまり当初の五ヵ年計画で終わる場合の予定の実積が二四%程度、それで二ヵ年延長をしての場合の実積が大体一三%程度だ。しかも当初出発にあたっては、二万八千戸というふうに予定しておったものが、いつのまにかだんだん少なくなって、一万七千戸ぐらいはどっか行っちまっているという状況ですね。今度二年延長をして三千百戸希望農家があるんですが、それを含めた場合に大体一万戸ぐらいのものが借りられる。そして一万八千戸——一万七千戸以上のものはどっかになくなったというような形になるわけですね。こういう状況に至った根本的な理由は一体何にあるのかという点をお伺いしたいわけなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/47
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048・和田正明
○政府委員(和田正明君) 鶴園委員がただいまお尋ねになりました点は、最初の二万八千戸というのは、三十一年と二年に北海道の実情の調査をいたし、この制度を仕組みました段階でのいろいろな指標を使ってやりました調査の結果が二万八千戸ということであったわけでございます。で、まずもってお配りをしてございます実績表をごらんいただきましてもおわかりになりますように、実は、当初あまり三十四年の戸数を除いては伸びがございませんでしたのは、計画のつくり方あるいは貸し付けの認定のしかた等がはなはだ複雑であるということで、非常に受けが悪いという御批判がございましたので、三十六年にいろいろそれらの手続を手直しをいたしまして、そのころから実績も急速に上がり、融資の比率も、先ほど申し上げましたような数字に上昇をいたしてまいりましたのでございます。三十八年の秋に道庁をしてさらに希望農家の調査をさせましたところが、約五千戸ということであったわけでございますが、これはこの法律を制定いたしましてから以後、御承知のように農業構造改善事業あるいは家畜の導入のための公庫資金あるいは近代化資金というような、新しい制度が逐次組み立てられましたために、これらの資金制度によって当該農家が問題のカバーができましたものも相当多数あるようでございまして、たとえばこの地域指定の対象になりました地区の構造改善事業の、事業を実施をいたしました地区の農家の戸数を調べてみましても、六千戸を上回るものが構造改善事業の事業対象としてなっております。それからさらに、御承知のように北海道では、内地と違いまして兼業というような形はなかなかできにくいこともありまして、離農いたします農家も相当数ございます。これは統計的にこの地区への離農戸数ということがはっきりいたしませんので、二万八千戸からきれいに差し引いて云々というふうな計算はできませんけれども、やはり一部には離農をするような農家もあり、また、みずから経営の構造改善をやって、農業としての振興をはかるという形ではないような考え方に変わった農家もあるものと思われるわけでございます。
そういうことがございまして、全く新しい観点で道庁が調査をいたしましたのが約五千というのが三十八年の秋の数字でございます。それで、その五千戸を対象として三十九年、四十年と、二ヵ年延長をいたしたわけでございますが、前回もお答えを申し上げましたように、ちょうど三十九年度が全道的な大冷害でございまして、農家が当面の経済再建に追われましたために、長期的な視野で営農改善計画を考えるいとまがなかったことが大きな原因であろうと思います。特に四十年度につきましては、年度の当初から道庁等を中心に、北海道の寒冷地畑作営農改善資金融通制度について、いろいろと手直しの要望等もございましたから、道庁側も、また借り受けいたします農家側も、制度の改正があるならばというようなことで見送りになっておりましたことが、四十年度における実績を減らした原因だろうというふうに考えております。
いずれにいたしましても、御指摘のように、当初の計画に比べて貸し付け対象となりました農家戸数が少なかったことは事実でございますが、それらの減りました基本的な理由は、いま申し上げましたような幾つかの理由によるものというふうに私どもは考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/48
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049・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま局長の答弁の中に、二万八千戸というのは三十一年、三十二年、北海道庁がいろいろ調査したその結果、二万八千戸程度という数字を出したのだということなんですが、この法律が制定されて発足するときには、どの程度の農家として出られたのか。いま二ヵ年延長する場合においては五千戸、さらに今度二ヵ年延長する場合には三千百戸という予定の数字が出ているわけですね。ですから、この法律が制定されて発足をするときの戸数というものは、どの程度のものが出ておったのか。その中からいまお話しのようなものも当然ある。七年、八年たったわけですから、あるいは九年たったわけですから、いろいろな状況はあると思うのです。ですが、どの程度のものであったのか、それを伺います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/49
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050・和田正明
○政府委員(和田正明君) この法律を制定をいたしましたときの当初の計画は二ヵ年の調査に基づきまして、対象農家戸数は二万八千戸ということで出発をいたしたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/50
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051・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 先ほどの局長の答弁だと、何か計画のときの数字じゃなくて、何か三十一年、三十二年当時の数字のような印象を受けたものだからぼくはお伺いしたわけなんです。ですから、やはりぼくが当初伺ったように、この法律が制定されて発足するにあたっての数字というのは二万八千戸という数字は確実だ、こうなるわけですね。
そこで、さらにこの問題についてお伺いしたいのは、私はこの計画を見まして、北海道の寒冷地畑作営農改善、こういう計画ですね、これはまあ五年の計画でやった。しかし、だめであって、さらに二年延長をした。七年たった。さらにまた二年延長した。九年になるわけですね。そして実績は、私が先ほども申し上げたように著しく低い。そこで考えなければならぬのは、これは一体北海道の条件の非常にきびしい寒冷地の畑作営農の改善について、この計画は失敗だったと言っていいのかという問題なんですよ。それとも、農林省なり、あるいは北海道庁がこの政策の遂行にあたって怠慢であったのか。まあ怠慢であったとは思わない、ぼくは。やはり問題があるのじゃないか。私はこれはやっぱり失敗だと思うのです。二万八千戸のものがこういう状態になってきたということは。しかも年限を二年、二年と延長して九年にするという状況等から見て、これは失敗であったと言っていいのではないか、過言ではないのじゃないか、こう思うのですけれども、局長はどういうふうに考えられるか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/51
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052・和田正明
○政府委員(和田正明君) 鶴園委員御指摘のように、当初の計画に比べますと、貸し付け対象農家の戸数が少なかったことは事実でございます。また、減りました理由については、先ほど幾多申し上げたようなことだというふうに考えています。まあ当初の計画どおり必ずしも進捗はいたしませんでしたけれども、私どもとしてはこの制度の行政効果が上がらなかったというふうには断定できにくいのではないかと考えております。で、たとえば、きょうお手元にお配りをあるいはしてあるかとも思いますが、昭和三十六年、三十七年、三十八年の三年間にわたりまして、この資金の貸し付けを受けました農家のその後の経営の実情について、北海道庁の調査をいたしたところによりますれば、二戸当たりの農業所得はこの資金導入前に三十六万六千円でございましたものが、三十九年度には五十四万七千円になり、特に三十九年度の大冷害の中にもかかわりませず、全北海道農家の平均農業所得よりもこの対象農家の所得が上回っておりまして、伸び率としては約一四九%を示しております。それから経営の指標の一つでございます土地利用の状況を見ますと、導入開始前に経営規模が八・七ヘクタール平均でございましたものが、三十九年には一一・一ヘクタールの平均になっており、飼料作物の作付割合は、導入開始前の四〇%が六五%というふうに経営の内容にも改善が見られ、乳牛の頭数にしても二・九頭から七・三頭というふうに上昇をしておるわけでございます。これはもちろん全農家の悉皆調査ではございませんので、全部が全部このようになっておるとは言いかねるかもしれませんけれども、必ずしもおっしゃるように失敗であったというふうには言い切れない一つの統計資料であろうかと考えております。ただ、本年度五百八十万円ほどの予算を計上をいたしまして、このような資金制度によりました行政効果をさらに実態について調査をし、今後の制度の重点施策をどこに置くべきかというようなことを見い出してまいりたいというふうに考えまして、今後一そう前進的な対策を組みたいとは考えておりますが、御指摘のように失敗であったというふうに言うのは早計ではないかというふうに私どもは思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/52
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053・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま局長のほうから、失敗であったとは言い切れないというお話があったのですが、その証拠の一つとして、手元にこういうものを配っていただいておるのですが、これは悉皆調査じゃない。一体融質をやったからどういうような形で効果が出てきたかという具体的な判断にはこれは全くならないというふうに思う。もっともこれについての原簿があるのでしょうから、そういうものを分析すれば、あるいはいま局長のおっしゃったような話も幾らか出てくるのかもしれません。しかし、こういうものでは判断できないというように思うのです。かりに局長が言うように、これで判断してくれということであればそれでもいいと思うのです。それは貸し付けた農家についてはあるいはあったかもしらぬ。しかし、北海道の寒冷地の営農対策を振興するのだという法律、あるいはその融資全体の政策として見た場合には、これは失敗であったと言わなきゃならない。この二万八千戸のものが、せいぜいいって一五、六%の貸し付け率になる。一体その程度になったというのはどういうわけでそういうふうになったのかという点を考えなければならぬと思う。少なくとも金融というものによって農政を遂行するという場合には、そこのところを考えなければ、借りた農家が自然にそういう力を持っているかもしれない。上層農家であって、金をくれればどんどん上がっていくという、そういう農家もあるのです。しかし、金融農政を通じて、零細な北海道のこの寒冷地の畑作を振興しようという場合にはそれなりの考え方がなければならない。全体としてこの法律に基づく金融農政というものは、これはやはり失敗であったというふうに言って私は過言ではない、こう思っているわけです。
そこで、もう少し内容に入って伺いますが、一体この貸し付けは、広く言えば金融農政となるんですが、したがいまして、マル寒のほうの貸し付け、これは金融ベースに乗り得る農家に貸すのでしょう。大体、ここで言えば低利金融ですね、低利金融に乗り得るそういう農家がほとんど対象になるというふうに言っていいんじゃないかと思うのです。まさか金融農政をやる場合に、乗らぬようなものをやるということはないでしょう、乗り得るものを対象にしてやっておられるに違いないと思う。これは北海道の農協が調査をしているのですが、十の農協が、一体自分の村でどの程度の農家が金融ベースに乗り得るかという点で、農協のブラックリストというのがあるのだそうですが、農協のブラックリスト——面積規模、所得規模、経営者能力というような、三つの要素を立てて詳細に調査を行なった結果、金融ベースに乗り得る農家というのはほぼ一割だ、あとの一割は低金利の農政融資には何とか乗り得る、あとの三割の農家は融資を補助金と抱き合わせてやっと乗り得るという状況だ、あとの五割は何ともならぬ、こういう数字が出ているのですね。これは北海道です。ですから、私はこれもあたりまえだと思うのですよ。少なくとも農政に従事している者とすれば、こういう数字は当然だと思う、常識ですよ。ですから、マル寒の貸し付け対象というのは、金融ベースに乗り得る農家を選定してあるというふうに見なければならない。ごく限られたものです。ほんの一部ですよ。それはどうです。これは質問するまでもないと思うんですが、念のために聞いておくんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/53
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054・和田正明
○政府委員(和田正明君) この制度の基本的な考え方は、御承知のように北海道の非常に苛酷な気象条件のもとでの畑作農家の、今後の営農改善のための基礎条件をつくってやるというところにねらいがありましたことは御案内のとおりでございまして、いま若干の数字のお示しがございましたが、当初からいわゆる上層農家三割というものはこの制度の対象から除外をいたしておるわけでございます。したがいまして、出発の当初から一、二度、経済上の変化等に対応いたして修正はいたしましたが、今後の二年間の貸し付けにあたりましても、農業所得が六十万円以下の農家を対象とする、こういうわけでございまして、お話しのように上層農家だけを対象にしておるという事実はないわけで一むしろ中庸の農家を対象にしておるわけでございます。さらにその営農改善計画で、いままでは七年から十年の間に一応の所得目標に到達する。そこで借りた金が返せるような条件ができるという前提でございますから、現に金融ベースに乗るか乗らないかということではなくて、その技術指導なり、それからもちろん別途に、補助整備事業等の基盤整備のための助成を行なっているわけでございますから、それらの制度とかみ合いながら、営農の改善をはかって所得の上昇が期待される、こういうことでございますから、現段階で金融ベースに乗るとか乗らないとかいうことよりは、さらに前進したかまえでものを考えてきておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/54
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055・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 局長の答弁としてはそれでけっこうだと思うんですよ。ですが、いま私が申し上げた、一割は金融ベースに乗る、この金融ベ−スというのは普通の金融ベースでしょう。低金利のベースに乗るものが一割程度、あと三割程度は補助金と融資と抱き合わせなければ何としてもベースに乗らない。しかし、これは常識ですよ。少なくとも農政を取り扱う者は。ですから、局長はそういう方針なんだが、しかし、県を通じ、あるいは市町村を通じて計画ができ上がるときには、これはむろん言うまでもなく今後の努力目標を含めてやはり金融ベースですよ。いま乗るとかという問題じゃないと思うんです。これから乗り得るか乗り得ないかという努力も入れて乗り得るか乗り得ないか。だから経営規模、経営能力も含めて調査したと思うんですよ。ですから、私は、いま局長の言うのは表向きの理屈であって、答弁としてはけっこうだと思うんですよ。しかし実際はそうはなっていないというふうに見なければならぬのじゃないかと思うんですがね。ですが、そこのところはそれでいいとしておきます。
そこで、今度改正をされるわけですね。二十年を二十五年にする。あるいは五年の据え置きを六年にする。さらに対象を拡大をするというような改正をせられるわけですが、そういう中で、いま局長が答弁になったようなものが、局長の答弁したようなことが一体解決していくのかどうかという点を伺いたいわけですよ。あなたはいい答弁をしたんです、さっき。それはいくのかどうか。中庸農家を相手にするということなんだけれども、そうすると、少なくともまあ半数以上という程度の農家を対象にするということになるのだから、どういうものがこの三つの改善で前進していくのか、前進していくというのは、要するに金融農政を考えた場合にそれが消化できていくのか、それが第一ですよ。金融農政としては消化できるかできないかという点ですね。あるいは三千百戸というのが達成できるのかどうか、二年間で。そういう点についてのひとつ局長の見通しを聞きたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/55
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056・和田正明
○政府委員(和田正明君) 所得として一戸当たり六十万円以下の農家を対象にいたしまして、それの農家を所得年間八十万円の農家になるような営農改善計画を立てるという考え方でおるわけでございますが、三千百戸が消化ができるのか、こういうお尋ねでございますが、私としては当然そういう数字を前提において二年間延長しておるわけでございますから、達成できるというふうに申し上げるのが適当であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/56
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057・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私はこの七年間の経緯から考えて、また、全体的にいま農林省が行なっている融資農政が非常に大きなウエートを占めてきている。圧倒的ウエートといってもいいのですが、占めてきている。融資農政というような状況についての判断はほぼ行なわれておるわけですが、そういう立場から考えますに、どうもだんだん、だんだん中庸程度からぐんぐん上がってきているのじゃないかと、対象が上がってきているのじゃないか。今回貸し付け限度の、最高限度を百万としているのですね、最高限度を百万。それが一挙に二倍半の二百五十万にふくれ上がったわけです。で、二百五十万の最高限の貸し付けと、百万が二百五十万になったという一事を見ても、これはやはりだんだん中庸程度を目標にしておられるのでしょうが、実際はずっと上のものに狭められている、あるいはそういうものが飛び込んでくるということになるのでしょうけれども、ますますこれはもう狭い範囲に限られることになる。さらに、今度法案も出ておりますが、近代化資金ですね、これなんかもやはりまあ金利を六分五厘を六分に下げられるそうですが、そういうようなつまり近代化資金も、御承知のように、非常に延滞がふえてしまって一割を越すと、不消化率が上がっちゃって、七百億円に対して百億円ぐらいの未消化率が残るという状況になっておるわけなんですが、まあそういう中で、いま利子の六分五厘を六分に下げるというようなことがとられて、さらにまあ果樹とか、酪農関係の運転資金というほうまでワクを拡大をするということは、これは本来金融農政が発足したときからいえば、農政として大幅な後退だというふうに言わなきゃならぬのじゃないか、金融農政の金融だけは救える、それで消化もできるでしょう。だから、金融農政の中の金融そのものについて、金融面からいえばこれは若干救われていくでしょうけれども、しかし、農政の立場からいった場合は、これはやはり根本的に考えなきゃならぬのじゃないかというふうに私は思うのです。そこら辺について局長、どういうふうに見ているのか、もし大臣もお考えがありましたら若干大臣の見解もお伺いをしたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/57
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058・和田正明
○政府委員(和田正明君) 二つの点で御指摘があったかと思いますが、一つは、今回の改正を機会に、融資限度を二百五十万に引き上げるということが施策の対象農家を上層のほうへ移すことになるのではないかということであったかと思います。その点につきましては、実は御承知のようにこの制度ができましたとき以後、いろいろな公庫融資の新しい制度融資ができてまいりましたわけでございますが、それらの融資限度も、たとえば家畜の導入資金でございますか、二百五十万とか、そういう形で、従前からございました融資ワクもいろいろな最近の経済事情や、それからその他の点からの所要資金の増加との見合いで引き上げられまして、いろいろな制度が二百万あるいは二百五十万というようなことに相なっておることは、先生先刻御案内のとおりでございまして、それらとの比較において、この制度を二百五十万に引き上げまして、土地基盤整備なり、あるいは資本装備の充実という点から考えまする施設の導入なりの所要資金の増加に見合って、二百五十万というふうに貸し付け限度を広げたわけでございます。本来、この制度の対象といたしますのは、貸し付け限度が広がりましても、農業所得六十万円程度以下の農業者ということでございまして、北海道庁が調査いたしましたサンプル調査によれば、この地帯における農家の農業所得六十万円程度以下というのは、農家のカバー率としては六七、八%ぐらいになるわけでございまして、それ以上の上層農家三十数%は、最初から対象の外にいたしておるわけでございますから、御懸念のように、融資ワクを広げたことに伴って、施策の対象が上層のほうに移るというようなことはあり得ないというふうに考えております。
それから、第二の点は、基本的に、農政上、金融制度のあり方についての御意見であったかと思うのでございますが、御承知のように、営農を改善いたしまして農家の所得を上昇をさせていきますためにはいろいろな施策が必要でございます。やはり何と申しましても、農地あるいは採草地等の土地基盤の整備をはかりますことが第一の問題。それから、さらに進みましては、やはりそういう基盤整備のできました上において、農家の農機具でございますとか、その他のいわゆる資本装備を充実してまいりませんことには、やはり農業の経営の振興ははかれないと思います。それから、三番目には、やはり新しい技術を含めての技術の普及指導、さらに当該経営者自身の経営に対する能力等の資質の向上というふうなことがそれぞれ相待ちますことによって、経営の改善がはかられ、農家所得も向上してまいるものだというふうに考えておるわけでございます。そのうち、やはり個々人の個別農家の資本装備を充実をいたしてまいりまするためには、金融制度の果たしております役割りというのは非常に重大なものでございますので、今後とも土地基盤の整備等を国の事業として進めますこととあわせ、また、技術指導を進めますこととあわせまして金融制度等を拡充をいたしまして、やはり個々の農家の資本装備を充実をさせるということは、今後の農政上も非常に必要なものだというふうに私は考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/58
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059・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 マル寒について、貸し付けの最高限度額を百万円から一挙に二百五十万円にしたと。それはその他の制度金融の場合においても二百五十万になってきているのでというお話ですが、それはまた金融農政全体の問題として、そういう方向に動いてきている、それにマル寒が今回乗っかったということだろうと思うのです。ですから、あなたの理由の根拠になっている、前のことを批判している、これも批判しているのだが、その前を批判している。それがそうなったからこれがこうなったという理屈ではまずいわけでありますが、また局長がたびたび六十万、六十万というお話なんですがね。それは数字ははっきりしてますよ。書いてあるから、六十万とね。ですが、私は先ほど北海道の十の農協が調査をした数字等もあげてあるのだから、あまりこの——何といいますか、紙に書いてある数字にとらわれて答弁されては、私の意に沿わない、質問の趣旨に沿わないことになると私は思っているのです。そこで、マル寒の場合はさらに一そうそうじゃないのですか。地域の指定を見ますというと、北海道でもさらに一そう自然条件がきびしいところですから、一般の北海道農家なり等に比べた場合に、一そうきびしい条件なんですから、そういう中でこういうふうに一挙に上げていくというのは、上のほうをやはりどうしても上げよう、これはまあ金融農政全体がそうなっていると私は見ているのですよ。これは別に近代化資金のときにひとついろいろお伺いすることにします。
そこで、この金融農政の、あるいは融資農政の大きな方向について伺いたいのですけれども、これは制度金融のワクの拡大をするとか、あるいは長期化、低利化の問題、それから融資の円滑化等の改善、こういうことで金融制度の改正を強力にはかっていくべきだという方向にあるのだろうと思うのです、大きな方向としては。そこで、今回この長期化について、二十年を二十五年にする、あるいは据え置き期間の五年を六年にする、あるいは若干の融資の対象を拡大をするということが行なわれたわけなんです。で、この金利について検討が加えられなかったのかどうか。マル寒も、ほかの金融について歩くのじゃなくて、非常に小ちゃな対象なんですから、やはり金利を検討して、もう少し前進をはかるべきじゃないかと私は思うのです。その点についてはどうですか、金利の問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/59
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060・森本修
○政府委員(森本修君) 金融の条件の問題でございますので、私からお答えをさせていただきたいのですが、マル寒資金の金利は、御案内のように現行法におきましても施設関係は通常の公庫資金よりも若干低率になっておる。それから償還期限等の条件におきましても、かなり一般のものよりは年限を延長しておる。こういったことで運用してきておるわけでございますが、あるいはすでに御説明を申し上げておるかと思うのですが、北海道なり、あるいは南九州につきまして、畑作営農の改善のための基本的な調査を四十一年度から実施をするというふうなことになっておりまして、その調査の結果を待って、そういった地域についての、特に畑作振興の対策を樹立していきたい、こういうことになっております。で、金融条件として最も基本的な条件であります金利等は、そういった畑作改善の諸施策といったようなものとの関連において、将来十分検討さるべき問題だということで、今回は一応現状どおりでもって、とりあえず実施していきたい、そういう考え方でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/60
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061・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 その問題について私二つほど申し上げたいのですが、一つは、これは九年前にこういう金利がきまったわけですがね。九年前ですね。その間において、実際マル寒を農政局のほうで実施してきてみて、実情はこの数字に明らかなとおりなんです。これからという場合に期限の問題なり、あるいは手続その他の円滑化等の問題について検討されたというんですが、金利だけについて検討しなかった。いままで九年間実施についての検討というものの上に立って考えてもいいんじゃないかというのが一つ。
それからもう一つは、近代化資金について、今回六分五厘を六分に下げるということになるんだそうですが、これは農協の基準利率というやつを九分五厘から九分に下げた。そのために、下げさして……。下げたということですな、五厘下げた。政府の腹は全然痛まぬから五厘下げたんだ、こういうことになる。マル寒のほうは政府の腹が痛むということになるでしょう。そうじゃないですか。マル寒のほうは下げない、下げていいんじゃないですか。それでなければますます金融農政というのはだめになってしまうじゃないですか。これは近代化資金のところでやりたいと思うんですけれども、もう転換期にきておるんじゃないですか。延滞の問題から言ったって、あるいは未償還の問題から言ったって、金融独走ですよ。農政の独走じゃなくて金融独走ですよ。農政なんかついていない、消えちゃっているんですよ。金融だけが動いている状態です。農政が動いていないという感じを非常に強く受けているわけです。ですから、この五分五厘についてもマル寒という特殊な条件を考えた場合に、九年間続けてきたんですから、ここで二年延長する際に思い切って処置すべきだったと思うんですが、すみやかにこの金利について措置してしかるべきものではないかと私は思うんです。いかがでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/61
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062・森本修
○政府委員(森本修君) 先ほども申し上げましたように、今回のマル寒法の延長は、三十九年度に冷害等がございましたとき、その他四十年度末までに認定を予定しておりました農家が、いろいろなそういう事情によって十分期限内の認定ができないといったような関係もございまして、とりあえず二年間延長して、そういった関係を収拾したい。で、先ほど申し上げましたように、四十一年度から畑作振興についての基本的な調査をして、別途所要の対策を講じたい、こういうふうな考えで延長しておるわけです。金利につきましても、当然今回の延長に際しましてのあるいは検討を要する事項であるかと思うんですが、いま言いましたような経過的な延長の措置でございますので、調査の結果を待ってそういった問題は最終的にひとつ十分検討さしていただきたいということで、とりあえず現行の方式でいきたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/62
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063・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 金利の問題は、鶴園委員のお考えにもごもっともな点がありますが、いま経済局長から申し上げましたような事情等がありますので、金利は今回は下げないことで、現状どおりいっておりますが、なお、畑作地帯の問題については、北海道のほかに、さらに南九州等の畑作農業の問題についても十分の検討を加えたい。そしてそれについての調査費も本年とっております。予算に計上しておるような次第でございますので、農政局部内において十分それらを検討を加えて、そして今後特に調査した上で十分検討してまいりたいと、かような考えでおりますから、御了承を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/63
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064・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 もう一つ経済局長にちょっと。これまた近代化資金のところでやりたいと思うのですけれども、こういう融資農政というのは岐路に立っておると思うのです。その場合に一つの方法は、私は先ほど申し上げたように、金融ベースに乗り得る、そういうところに上げていくというやり方、もう一つは金利を思い切って下げて、それで融資農政が発足当時まず想定したような考え方を守っていくかどうか、貸し付け対象農家についてはいろいろ問題がありますが、現実の。ですが、金利を思い切って下げて、そうして発足当時の、十年ほど前の融資農政がはなやかになるあの当時の考え方にやはり返っていくべきじゃないかと思います。それには思い切って金利を下げるということが大前提であり、そのことをすべしと私は思うのです。経済局長は金融ベースだけで考えてはだめですよ。金融独走といわれるのです。農政をほったらかしておいて金融ばかり考えてはだめなんです。農政ですから農政のほうに重点があるのです。どうも最近見ていると、農政がなくて、金融のほうに重点があって、農政のほうはだんだん消えてなくなってしまっておるのです。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/64
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065・森本修
○政府委員(森本修君) 農政といいますか、農業経営の近代化といいますか、そういうふうなことを遂行していきますためには、もちろん各種各様の手段を総合的に講じていかなければならない。単に金融の手段のみでこれが達成されるわけでもないと思います。したがって金融独走といいますか、金融農政というふうなこと一本で農業の近代化なり経営の改善が果たされるというふうにも私どもは思っておりません。しかし、そういった目標に達するためには、金融の手段もきわめて重要な手段でありますことは御指摘のとおりでございます。したがって、金融の諸種の条件といったようなことも、そういった目的に即応するように編成をしていかなければならぬということもまた当然のことでございます。で、従来からもそういう点からいきますと、公庫資金につきましても、二、三年来いろいろな資金の種類をふやし、また、融資条件を改善してきたというふうなこともございます。もちろんそういった改善の実績はあるいはまだまだ不十分だという御気分があろうかと思いますけれども、いろいろな事情からいきまして、われわれとしてもできるだけ勉強しておるつもりでございます。将来におきましてもそういう方向でなお十分検討していく、そういう考えでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/65
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066・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この問題の論議は、近代化資金のときにもう一ぺん突っ込んで繰り返してやることにいたします。
次に、マル寒と密接な関係にあります南九州防災営農の問題について若干伺いたいのですが、三十六年から始まって、三十六年三十七年両年は、融資と補助事業とかみ合わした形で行なわれてきたわけです。そうして補助金がついているということで、金利は六分ということになって動いてきたのですが、三十八年から構造改善事業が始まるということで、そこに補助金の分は吸収をして融資だけの事業になってきた。金利は依然として六分ということなんですが、これにはいろいろ問題がありますけれども、ただ、この金利六分というのは、これはなぜ下げないのですかね、局長どうですか、下げなさい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/66
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067・森本修
○政府委員(森本修君) この点につきましても、先ほど来申し上げましたマル寒資金の金利の取り扱いとほぼ同様な考え方をいたしております。北海道並びに南九州の畑作営農につきましては、四十一年度から同様に調査を基本的にやりまして、その調査の結果を待って十分畑作振興の対策を立てたい、こういうふうに思っておりますので、そのときの検討の一環として十分考えさせていただきたい、こういうふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/67
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068・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この鹿児島、宮崎両県にまたがっております、非常に広大な範囲にわたりますが、この防災営農というのはまことにお恥ずかしい農政ですな。これはもっと考えなければまことにお恥ずかしい、融資ワク一億です、農政というには、いささか。南九州の畑作農業を振興させていこうというにはまことに恥ずかしい、一億の融資です。これはもっと考えなければいけないと思うのですがね。マル寒にしても、それから南九州の防災営農の問題にいたしましても、畑作の問題にいたしましても、本来、これはいまある金融農政というのですか、これには非常に乗りがたいやつですよ、これ。一般農家だって乗らないのですから。ほんとうに乗らない。まして北海道の寒冷地のきびしい自然条件、あるいは南九州の台風の非常に多い、土壌の悪い、そういうしかも広大な畑作、これは金融農政には乗らないというふうに言っているぐらいなものですよ。ですからマル寒にしても実績は御承知のとおりなんです。やったのかやらないのかわからぬような農政になってしまう。それから南九州の場合だってわずかに一億です。それしか借り手がないというのです、六分じゃ。もっとこれは金利を下げて、この畑作、こういうきびしい自然条件における畑作振興というものをはかっていくべきだと思うのです。その点については、いま、先ほど大臣もそれから経済局長も繰り返しお話があったのですけれども、これ、ほんとうのところを聞きたいのだけれども、マル寒なり南九州のこういう畑作農業を振興させるのに一体六分なり五分五厘なんという金利で政策としてやれるのか、やれないのか、私はやれないと思う。もっと金利を三分五厘ぐらいに下げるか、あるいは補助金と並行してやるか、どっちかの政策をとらなければ乗らないです。そういう点についてちょっと聞いておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/68
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069・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 関連して一つ大臣に伺いますが、これは政府委員の答弁では、調査をしてそのデータによって融資条件も前向きに考えるという意味のうまい答弁なんですけれども、きのうも後藤政務次官が答弁されたように、私はもうそういう調査の段階ではないと思う。というのは、内閣におけるところの経済審議会で三十九年に答申している中にも、同じ農業でも劣悪な立地条件にある地帯に対しては融資の率、あるいは償還期限の延長等は地域の実態を踏まえて特別に考慮しなければならぬということが答申してあるわけです。これは大きなやはり日本農政の政策課題であると思う。だからそういう、いま鶴園委員も質問しているのは、そういう事務の調査もさることながら、そういう期限延長をしなければならないという一つの、従来やってきた反省の上に立つならば、少なくとも相当のこれは金利を引き下げ、あるいはその他の融資条件を緩和して、それらの恵まれない、同じ農業の中でも劣悪な条件の中にある大きな区域の融資というものは考えなければならないことは、そういう審議会の答申にも出ている。
大臣は、鶴園委員の趣旨はもっともな点もあるが、という先ほどの答弁ですが、後藤政務次官はもっとすなおに、もっともであるというような答弁、大臣のニュアンスは多少退却しているように受け取れる。愛情をもって看板とする坂田農林大臣はもっと後藤政務次官を上回る、ひとつ期待の持てる答弁をしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/69
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070・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 私もあまり答弁がじょうずでないほうで、やり過ぎると長くなるのでたいへん簡単に申し上げているような点がございますが、私はこの畑作という問題については、いま特に問題になっておりまするのは、北海道と南九州であることは、これは言うまでもございません。しかし、この北海道と南九州以外の畑作についても、東北地帯、その他についても畑作という問題についての研究なり調査なり、ほんとうに政策なり、非常に最近はよく力強く農林省その他の官庁でも関連をして、これらについての調査検討を加えてはおり、また、実行の上においても最近相当強く進めてきておるのでございますが、何にしてもこれは水田なんかに比較しますと非常におくれておるものである、こう思います。それから、一般にいろいろ調査されたり論じられる場合におきましても、畑作というものと水田というものについてしっかり区別をせずにいろいろな議論が行なわれておって、その間において非常な間違いが起こるようなことも往々にしてあるようにも思われるということもあり、いろいろ申し上げますと長くなりますけれども、結論としては、私は畑作というものについてもっと力を入れていくべきものであるということを念頭に強く持っておる一人でございます。いま問題になっておりまする北海道、それから南九州の防災の資金という問題になりますと、特にさようなことでありまするので、この問題については特に本年、四十一年度において五百八十万円のその調査費をとりまして真剣にこれらと取り組んでいこう、こういう考え方でもって進んでおるわけでございます。したがいまして、この問題については単に金融だけでなしに、もっと広くそういう農政全般について考えていきたいということを現在抱いておるようなわけでございます。それから、先ほど鶴園委員からお話がありましたのをお聞きしておって、ちょっとわかりにくい点がありましたのは、マル寒資金にしても、それだけ離れて農政を、もちろんこれで十分だという考えでないのであって、これはまあそのとおりですが、いろいろの施策と合わせながら金融の道を講じておるということであって、これだけでもちろん農政をやるものではない、こう思うのでございますが、その点は私が聞き違いの点であるのか、そこはわかりませんが、いずれにしても金融だけで農政をやるべきでない。すべての農業政策全部合わせて、そうして行なわれていくということは、これは言うまでもないと思います。さような関係からいたしまして、金利の問題にいたしましても、さような点について、さらにそういう全体を検討いたしまして、そうして前向きにこれを改善していこうという熱意を持っておるということで御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/70
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071・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 もう一つ。いまの大臣の答弁と関連するのですが、いま渡辺委員の御質問と関連するのですが、マル寒については九年やってきたわけです。それから防災につきましても五年になりますか、いまさら二年間調査をしてどうこうということではないのじゃないか、農林省も、先ほどのような答弁のように一生懸命やってこられたわけですから、九年、防災は五年、その中で北海道の寒冷地資金はどう、南九州の防災はどうということは、もう百も御承知だと思うのですよ。ですが、念のために調査をやられるわけでしょう。二年ということをおっしゃっても、二年たってしまえば局長はいないですよ。そういう話じゃだめですよ。それは御承知のとおり、勝負は一年一年やっていかなければならない。二年ということを先におっしゃらないで、一年で調査をやって立てるというくらいのスピードでやらないと、いまの一年は昔の十年に当たるとよく言われるわけですから、明治時代のものになってしまいますから、ですからまあ一年で立てるということで検討しなさい。それくらいでなければだめです、うしろに押しやったのじゃ。
それから金利の問題についても、経済局長は、どうも日銀総裁みたいなことを言わないで、これは考えなければいけないですよ。そういうことで善処方を強力に要望いたしまして、私の質問を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/71
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072・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ほかに御発言もなければ、これにて質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/72
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073・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認めます。
それでは北海道寒地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について、討論に入ります。
御意見のおありの方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もなければ、これにて討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/73
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074・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/74
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075・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
川村君から発言を求められております。これを許します。川村君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/75
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076・川村清一
○川村清一君 ただいま可決されました北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案について、附帯決議案を提出いたしたいと思いますので、御賛同を願いたいと思います。
案文を朗読いたします。
「北海道寒冷地畑作営農改善資金融通臨時措置法の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)
政府は、本法制定の趣旨にかんがみ、左記各頂に留意して、畑作農業の振興のため、畑作振興対策室を設け、北海道、南九州の畑作地域の調査を急速に行ない、長期かつ抜本的な総合具体策を実施するよう措置すべきである。
記
一、経営改善対象農家の範囲の拡大に伴い、過去の実績を反省し、営農改善計画の認定が計画通り実施されるよう、手続の簡素化を図り、指導体制の強化に万全を期すること。
二、融資方法については、畜産経営拡大資金・土地取得金等を加えて一括貸付を行なう方途を講ずるとともに、自作農維持資金の活用を強化し、営農改善資金の貸付金利の軽減につとめること。
三、既貸付者についても、必要に応じ、所要資金の追加貸付ができるよう措置すること。
右決議する。
以上です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/76
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077・山崎斉
○委員長(山崎斉君) おはかりいたします。
川村君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/77
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078・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
ただいまの決議に対し農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/78
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079・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの附帯決議について、御趣旨を尊重して努力いたしたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/79
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080・山崎斉
○委員長(山崎斉君) それではただいま可決されました法律案についての諸般の手続につきましては、先例により、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/80
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081・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたしました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/81
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082・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 渡辺君から資料要求の発言を求められておりますので、これを許します。渡辺君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/82
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083・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私は、あす大臣を中心にお尋ねするにあたりまして、前もってきょう政府から資料を準備してあす提出してもらいたいので、以下その提出資料を要求いたします。
第一は、乳用牛頭数の規模別農家数と頭数であります。したがって、これには全体として平均一戸当たり頭数も出して、明らかな表を提出願いたい。
第二は、なま乳の生産量。いま第一に申しましたのも三十八、三十九、四十の三年ぐらいでけっこうです。以下みな最近の三年を限って出してもらいたいのです。なま乳の生産量。これも内訳をつけて出していただきます、その用途別に。
それから乳製品の生産量。これも銘柄別に三年にわたって、それぞれの年間の乳製品の生産量を出してもらう。
それから、この乳製品の小売り価格。三十八、三十九、四十の三年間。
それから、一般家庭用乳製品生産販売価格。
次は、大口需要者受け取り価格。
それから、乳製品の輸入量とその金額。したがって、この乳製品の輸入量と金額と、その前に出るであろうところの資料の、乳製品の生産量とをもってこの乳製品の自給度を、品目別には数量で、総体では金額で明示したものを提出を願います。
それから、農林省の統計調査部で出しております三十八年十月から三十九年九月までの牛乳の生産費調査資料があるはずでありますから、牛乳に限っての関係する資料と、四十年の同じく牛乳の生産費調査、これは三十九年七月から四十年六月のもの、これを比較してあすいろいろお尋ねをいたしたいので、この生産費調査の資料。
それから、大きい第三点としては、指定乳製品の安定基準価格をいろいろお尋ねをするために、求める価格に対して、いま要求しました大口需要者の受け取り価格、過去三年の平均価格で。それに日銀調査の過去三年の平均卸売り物価指数を出して、それに四十一年の、おそらく二月の卸売り物価指数が出ていると思いますから、出ておるなら二月、なければ一月の卸売り物価指数の比率を出して、それと指定乳製品の価格変動係数を出していただく。これを一つの算式にして示せば、求める価格はこのPoにIを掛けた平均卸売り価格指数を掛けたものと一プラス、マイナスのこの価格変動係数を乗じたもので算出すれば、安定指標価格はどうなるかという試算をひとつ出していただきたい。わかりますね。
それから、加工原料乳の基準取引価格を算出するための一つの方式として、あるいは政府ではそういうものがあればすぐ出していただけるでしょうし、なければあすまでに計算をして出していただきたいのは、いま出した安定指標価格から、去年畜産物価格審議会に提出されました指定乳製品の輸送及び保管料、それと指定乳製品の製造に要する原料乳、こういうデータを出していただきまして、結局PイコールQ分の、いわゆる指定乳製品の製造に要する原料乳を分母として、安定価格から製造経費と輸送、保管料を引いたものを除したものが基準取引価格としてはどうなるかという試算をしたものを御提出を願いたい。
その上に、さらに脱粉なり脱練はバターをつくる際に、これは当然出てくる製品という理解のもとに、四十年に、去年政府が畜産物価格審議会に提出した資料によってバターと脱粉、バターと練乳をつくった際の製造割合によってなま乳の価格を算出し、その次に、この両者を過去三ヵ年の平均生産費によって加重平均をする、そうしてバター、脱粉、脱練を生産した場合の原乳価格を出して、その結果を全練との比率で算出して求める基準取引価格というものを出せば一体どうなるかという試算の表を御提出願いたいと思います。
それから最後に、畜産振興事業団が扱った輸入乳製品の年次別実績を——脱粉とバターでありましょうが、それの年次別の銘柄別になるわけでありますが、事業団が受け入れた価格、これが最高あり最低ありでありましょう。そういう年間の最高と最低、それから年間を平均した受け入れ価格、放出価格の際における、年間の最高で放出した場合と最低と、年間平均した場合の放出価格というものをひとつ一覧表として出していただきたいわけであります。
なお、明日はこの点をさらに一つの事例でお尋ねをいたしますので、畜産振興事業団の理事長にも参考人として出てもらいまして、私が特にその振興事業団の責任者から承りたいのは、具体的にきょう脱粉千トンの放出をしているはずであります。したがって、この千トンが一体どういうふうに落札をしたのか、この落札の対象の脱粉がいつどういう条件で入ったのか、この点については特に商社マージンなり、あるいは関税なり、運賃なり、あるいは金利、倉敷なり、そういうものを、これに原価計算した場合に、この買い入れ価格と放出価格と一体どういう価格の開きになるかということは、振興事業団の責任者から、この今日放出した具体的な事例に基づいてお伺いをいたしたいわけであります。
以上であります。説明員(太田康二君) 私ども明日の畜産物価格審議会を控えまして、いろいろ資料の準備もいたしております。ただいま渡辺先生から御要求のございました資料につきまして、すでに調製済みのものもあります。調製を今後しなければならぬというものもございますので、できますものはできるだけ早くお出しするということにお願いをいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/83
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084・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 できますものは逐次ということもわかりますけれども、あすの昼までに全部出していただきたいのですがね。そこできょうお願いしているのです。およそあなた方全部計算済みの資料ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/84
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085・太田康二
○説明員(太田康二君) できる限り努力いたしまして、あすじゅうに出すようにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/85
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086・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 本日はこれをもって散会いたします。
午後三時三十八分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01119660324/86
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