1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年四月十四日(木曜日)
午後一時十九分開会
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
野知 浩之君
和田 鶴一君
武内 五郎君
渡辺 勘吉君
委 員
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
櫻井 志郎君
園田 清充君
任田 新治君
温水 三郎君
森部 隆輔君
八木 一郎君
川村 清一君
鶴園 哲夫君
中村 波男君
森中 守義君
矢山 有作君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林省畜産局長 桧垣徳太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、前回に引き続き質疑を行ないます。
質疑のある方は、御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/1
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002・北條雋八
○北條雋八君 私は土地の改造計画のことについて初めに伺いたいと思うのですが、四十年度を初年度とします土地改良計画、五十年を目標としまして四十万ヘクタールの草地の造成を予定されておりますけれども、この計画を含めまして肉用牛並びに乳用牛、この飼育のために、この目標年次までに一体どのくらいの草地が必要なのか、これを肉用牛と乳用牛と含めて、面積並びに頭数、これを伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/2
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003・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御質問にございましたように、農林省といたしましては、今後十年間、昭和五十年までに新たに改良草地四十万町歩の開発を土地改良長期計画の中で策定をいたしておるのでございます。
なお、別に、既耕地におきます飼料作物の作付面積を今後約六十万町歩程度伸ばす、昭和五十年には飼料作物の作付面積を百十二万町歩程度に増大をいたしたいという、粗飼料の供給計画と並んだそれぞれの目標を立てておるわけでございます。草地の改良につきましての四十万町歩というのは、主として草食性動物であります肉用牛並びに乳用牛の粗飼料給与をほぼ理想的な水準にまで高めることを目標といたしておるのでございます。その間に粗飼料供給量としては、乳用牛につきましては、全粗飼料の需要量を六百三万五千トン程度、そうしましてこの粗飼料は全量良質粗飼料、いわゆる耕地、集約牧野的な牧野から採草されます、あるいはそれを放牧によって食わせるということで全量を良質粗飼料で供給をするという考え方をとっております。一方、肉用牛につきましては、大体その時期におきまして三百三十五万トン程度の全粗飼料需要量がある。で、肉用牛は元来かなりの粗食に耐え、また、良質粗飼料ばかりではある程度問題があるわけでございまして、おおむね全粗飼料のうちの半量を良質粗飼料で与え、半分は低質粗飼料、野草等の低質粗飼料で給与するということにいたしておりますので、約百六十七万八千トン程度を改良牧野からの草でまかなうという考え方をとっているわけでございます。いま申し上げましたように、粗飼料の必要量とそれに対する需要の計画を一応持っておるわけでありますが、乳用牛で草地面積幾らを要するのであるか、肉用牛で幾らを要するのであるかというふうにはちょっと分け切れない点がございますけれども、ただいま申し上げました数字で申しますれば、良質粗飼料の給与の量が乳用牛四に対しておおむね肉用牛は一であるというような比率に相なっておりますので、かりに平均的な反当収量ということを前提にして考えますれば、おおむねそういうような比率で面積的にも見通しが立てられるんではないかというふうに考えられるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/3
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004・北條雋八
○北條雋八君 昭和五十年のときの乳牛と、それから肉用牛の頭数の割合はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/4
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005・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この粗飼料の需要量を推算をいたします前提となります乳用牛の飼養頭数は、五十年度の年間平均頭数として二百九十五万頭程度を前提といたし、また、肉用牛につきましては年間の平均飼養頭数を二百五十万頭というふうに見込んでおるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/5
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006・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、いまの草地の面積は、すでに草地になっている面積が十二万三千ヘクタールというのがあるわけですが、それに今度四十万ヘクタール新規に計画されますし、そのほか先ほどちょっと言われたようですが、百万町歩以上の草地の見込みを持っておられるようですが、全体としてこの四十万ヘクタールを含めて五十年にはどのくらい草地ができる見込みなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/6
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007・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 草地の面積は、ただいま先生からお話がありましたように、すでに開発されました面積と、今後開発を予定をいたしております四十万町歩を合わせて五十二万町歩ということに相なりますし、既耕地における飼料作物の作付面積は、先ほども申し上げましたように約百十万町歩程度を予定をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/7
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008・北條雋八
○北條雋八君 百十万ヘクタールのこの内訳というものはどういうものなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/8
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009・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 百十万町歩というのは、これは厳密に申せば周年飼料作物になる所と、裏作利用という形での飼料畑というものがあるわけでございます。実はそれをどういうふうに割り振っておるかということは、私どもも実はそこまで見通しをすること、あるいは十年先のそこまで見通すことはむしろ困難であるということでございますが、現在の畑並びに全裏作の作付の割合がほぼ同じ割合で伸びるのではないか、つまりヘクタール当たり収量として、現在の平均的な収量が、今後の技術改良によって伸び得る限度というものを平均的にとらえまして、所要の面積を目標として立てたということでございまして、なお今後検討を要する問題でございますが、百十万町歩の内訳ということは、現段階では実は詰まってないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/9
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010・北條雋八
○北條雋八君 御承知のように、昨今は水田の裏作というものが非常に放棄をされているわけでありまして、裏作として利用しているのは大体二五%ぐらい、あとの七五%は放棄されているということを聞きますが、そうなると非常に大きな面積があるわけじゃないかと思う。その面積をこの中にどのくらい見込んだかということなんだが、これは当然畜産局としても考えなければならないことじゃないかと思う。そういう点は、いまお話を伺うと、あまりはっきりしてないですか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/10
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011・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のように、現段階におきましても裏作がされておりません面積が相当大きい、あるいは百六十万町歩といい、あるいはそれ以上ともいわれておるのでございますが、当然私どもとしても既耕地の飼料作物の作付を強化をしてまいるという場合に、裏作利用という観点も念頭に置きまして、この百十万町歩の達成はそう困難ではないというふうに見込んだのでございますが、裏作をどれだけ飼料作物でカバーするかという問題は、実は今後の土地利用の問題として農林省内でも全面的に検討しなければならない分野でございまして、私ども今後六十万町歩に近い作付の伸びを考えていくということに相なりますれば、少なくともその半ば程度のものは、これは裏作の飼料作物として考えていくということは考えざるを得ないというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/11
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012・北條雋八
○北條雋八君 その畜産の振興には自給飼料の増産ということがこれはもう第一のかぎでありますから、当然いままでの裏作放棄を、何とかこれを機械化なり何なりによって利用していかなければならぬ、特に食肉の増産に対しては当然考えなければならないことだと思うのですが、いままで大型機械の導入とか近代化、機械化を提唱しておりますけれども、それは米だけについて機械化をやって、裏作までその機械を利用し、収入は少ないけれども、ともかく少しでもプラスにしていくということは非常に大事なことだと思うので、今度の土地改良計画にはぜひ土地の利用上からいって裏作の利用ということは大事なことだと思うので、もちろん畜産局としてもこの点が重点的に考えられておることだと思っておったのですが、この点につきまして、できるだけこういう土地を利用するということについて、なお一そう調査研究をしていただきたいと思います。それと同時に、ただいま入り会い林野の近代化整理ということも唱えられておるわけですが、この入り会い林野も二百三万ヘクタールあるわけですが、こういうものについては今度の肉用牛の飼育上に考えられておりますかどうか、その中に草地として現在利用している面積も相当ありましょうし、今後利用できる面積なんども調べられたならその点を伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/12
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013・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 裏作の促進をはかりますために機械化等合理化を進めるべきであるというお話でありまして、そのとおりであると私どもも存じております。現在、裏作の機械化の問題として取り上げておりますのは、農政局におきまして、麦作の高度生産モデル施設ということで、機械の導入をはかりまして機械化を行なっておりますのと、私どもも昭和三十九年から四十一年の間、緊急飼料作物の増産対策ということで、飼料作物の導入に必要な機械施設の助成をやっているわけでございます。四十二年度以降はまた想を新たにして、飼料作物の導入についての必要な施策を進めてまいりたい、ただいまの先生の御意見を十分体してまいりたいと思っております。それから、四十万町歩の開発を予定いたしております草地面積の素地でございますが、現在林野庁、農地局等と省内で協議をいたしました結果、草地改良の素地としては、四十万町歩のうち、約四八%程度を林地の開発をもって充て、あとの五二%を原野から充てるということに考えておるのでございますが、入り会い林野の整理といいますか、権利の近代化の問題につきましては、今回農林省が提案をいたしております法案が成立をいたしますれば、私どもいままでもほぼ同じような趣旨で入り会い権の整理について、関係者の合意を求めまして進めてまいりましたが、新しい法律に従って、秩序正しく進めるということで、法案が成立いたしました暁には、林野における扱い同様の考え方でとり進めてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/13
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014・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、入り会いの問題は、今後の問題でありますが、現在入り会い林野で畜産の飼育草地として使われている面積といいますか、どれくらいあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/14
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015・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 実は入り会い原野についての総体の統計はあるのでございますが、私どもが知り得る範囲では、実は入り会い原野の中でどれだけ放牧または採草ということで、畜産的利用をしているかという統計がないのでございます。原野、いわゆる採草放牧地の全体の畜産利用をされている面積が、全体で約八十六万町歩程度あるというふうに記憶しておりますが、その中で入り会い慣行のあるところがどれだけあるかということは、実は統計上明らかでないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/15
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016・北條雋八
○北條雋八君 そういう面積が先ほどの面積の中には入っておらないわけですね。ちょっと伺っておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/16
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017・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 先ほど申し上げました二十万町歩をこします原野からの草地開発という中には、私どもとしては当然入り会いの慣行のある土地も入ってくるだろうというふうには考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/17
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018・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、先ほどの面積は、今度計画にあります四十万ヘクタールと、すでに使われている十二万三千ヘクタール、合わせて五十三万、それと新たに百十万ヘクタール、で百六十二万ヘクタール、合計しますとそうなりますね。その中にはいまの入り会い林野の八十万ヘクタールというものが入っておるというのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/18
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019・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 草地の造成をしました場合の面積と、耕地の飼料作物の作付面積とを合計をいたしました場合の意味というのは、必ずしも同じようには扱えないと思うのでございますが、五十年にわれわれが目標といたしております粗飼料の生産の土地面積というのは、ただいま申し上げました合計の数字、百六十二万七千町歩というような数字に相なるわけでございますけれども、耕地の飼料作物の作付面積については、三十九年度すでに五十万九千町歩、約五十一万町歩ばかりが作付をされておりますので、今後の作付が増加いたします面積は六十万町歩程度ということになるわけでございます。
なお、多少、私御質問を正確に聞かなかったと思いますので、お答えにならないかとも思いますが、採算放牧のために約八十六万町歩ばかり現在使っておるというのでございますが、これは野草地利用の形で行なわれておるのでございまして、ここで申します百六十二万町歩という数字とは別のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/19
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020・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、いままで伺ったところでは、肉用牛が約二百五十万頭、それから乳牛が二百九十四万頭、あわせて五百三十五万頭になるわけです。それに要する面積が千六百二十七万町歩といいますと、一頭について約三反——〇・三ヘクタールということでありますが、そのくらいあれば十分足りるわけでありますかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/20
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021・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) いま先生のお話しの点でございますが、結論としては、仰せのとおりなんですが、千六百ではございません。百六十二万七千町歩、私どもこまかい数字で言うと、そういう数字がいわゆる良質粗飼料の供給面積でございまして、そのほかに、やはり肉牛については野草の利用ということを当然考えてまいらねばなりませんので、良質粗飼料を生産する面積のほかに、野草地の利用をこの目標では七十三万六千町歩程度、これを十年後、五十年になりましても野草地利用面積として残るという計算をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/21
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022・北條雋八
○北條雋八君 問題をまた変えて伺いますが、現在の食肉の需要がだんだんふえてきまして、そうして一人当たりの需要量もたいへんふえてきた。しかしながらこれを諸外国に比べればまだ微々たるもので、アメリカあたりの三十分の一、イギリスの十五分の一、一番はなはだしいのは、アルゼンチンなどの五十分の一と、非常に少ないのでございますが、将来これがどのくらい伸びていくものか、いままでは牛肉は一つの嗜好品、あるいはぜいたく品として少なかったのでありますが、この五十年に一体どのくらい一人当たりふえてくるか、そういう点をむろん見込まれたと思いますけれども、伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/22
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023・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 先日もお答えを申し上げたのでございますが、食肉の種類別の需要量を測定することはきわめて困難なことでございます。と申しますことは、供給側の事情が、当然需要量を支配いたしますし、また、所得の伸びなり、あるいは所得の伸びに応じた実質消費支出の水準がどうなるかというようなこと、それから食肉間の価格関係がどうなるかということでそれぞれ相当の代替が行なわれますので、私どもとしてもそれを食肉の種類別に長期に予測することは、非常にむずかしいというふうに考えているのでありますが、食肉全体で申しますと、昭和三十九年に全体で、これを鯨肉を除きますが、約八十二万トンの食肉消費をいたしているのでございます。それに対しまして、私ども前提になるような長期的な予見は得られないのでございますが、一応三十七年に発表いたしました農産物の需給と生産の、将来の長期見通しという路線を歩むんだというような考え方で、若干のモディファイした数字を用いておりますけれども、推測いたしますと、昭和五十年には大体二百万トンをこえる食肉を消費するようになるであろうという見通しを持っているのでございます。その際、一体牛肉をどのくらい消費するかという問題は、ただいま申し上げましたようなことでなかなか推測はむずかしいわけでございますけれども、世界の食肉構成の実情を見ますと、少なくとも先進諸国の事情等から判断いたしまして、常識的には全消費量の二割程度というものが供給されるということであるならば、需給の関係はあるバランスを保つのではないか、ただ、わが国の場合には、魚獲の問題等もございますので、はたしてそれだけの数量は絶対になければ需給がおさまらないのかどうかということは、一がいに言い切れないのでありますが、非常に大ざっぱに申しますと、五十年になりますれば、少なくとも三十五、六万トンから四十万トン程度の牛肉の消費というものを予定せざるを得ないのではないかというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/23
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024・北條雋八
○北條雋八君 そうすると、現在が二十三万トン、これは表で拝見すると、二十三万トンでありますから、五十年になっても倍にはならない、四十万トンとしてですね。しかし、一体そんな程度の伸びで済むかどうか、私は非常に疑問に思います。また、五十年以後の将来のことを考えると一体どうなるのかということで、むろんそういう見通しは立てられていると思うので伺うんですけれども、その程度で、それ以上は伸びない——特に日本が、魚介類の動物たん白質あるいは豆類とか植物性のたん白質をよけいとる国でありましょうけれども、全体の動物たん白質として各国の比較みたいなことをされたのがあれば、この際伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/24
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025・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) わが国と諸外国とは、非常に、食生活のパターンといいますか、形が違うのでございまして、わが国のたん白の摂取量は魚介類から最も多くとっておる。それはもう世界でも顕著な例でございまして、しかも米食であるというようなことから、諸外国のパターンをそのままとるわけには私はいかぬだろうというふうに思うわけでございます。で、諸外国の例では、これはまたその国の農畜産業の実態あるいは、広くもっと根本的に言えば、土地資源の関係等が支配をするかと思いますが、牛肉によるたん白摂取というものが、非常に高いところは七、八〇%牛肉でとるというような国もありますし、先進諸国では、低いところでもやはり三〇%程度の牛肉がウエートを持っておるのでございます。わが国の傾向は、先日もちょっと資料のところで申し上げましたが、かつて、食肉において牛肉の占める比率が約四五%程度を占めておった時期があるのでございますが、このシェアはだんだんと減少をしてまいりまして、昭和四十年度ではおおむね二〇%程度というところまで落ちておるのでございます。これは食肉における嗜好の問題というよりは、むしろ供給なり価格との関係におけるそういう代替性があらわれてきたものだというふうに思われますので、私はざっくばらんに申し上げまして、日本では諸外国のような高い牛肉のシェアを持たせて食肉全体の供給をはかるということはほとんど不可能ではないだろうかというふうに考えておりますが、ただ、先ほど申し上げましたように、十年後におきましても、少なくとも三十五、六万トンないし四十万トン程度の牛肉を供給しなければ、牛肉の価格というものが非常にアンバランスなかっこうになるのではないだろうかというふうに見通しをいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/25
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026・北條雋八
○北條雋八君 五十年後、遠い将来の見通しとして、ある程度、その限度が四、五十万トンになれば、あとはもうあまり伸びないというお見込みですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/26
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027・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 私が申し上げましたのは、昭和五十年度の見通しを申し上げておるのでございますが、なお、日本の経済も、五十年度後も成長をいたすでありましょうし、また、食生活の変化というものも引き続き行なわれると思われますので、五十年以後も、食肉全体の需要はさらに増大をいたす、また、牛肉の需要もさらに伸びてくるというふうに考えられるのでございますが、一応私ども五十年以降の問題になりますと、農産物の需要をはじきます諸種のデータというものはほとんど使えないほど先の話という感じがいたしまして、それまでの計算はいたしてないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/27
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028・北條雋八
○北條雋八君 私は今度食肉の増産につきましても、御承知のとおり、そう急にふやそうと思ってもなかなかふえませんし、また、ふやすのに——自給飼料がふえてきても、やはりある程度の土地というものが要ると思うのです。ですから、やはり常に遠い将来を見越して、計画するにも、大きい根本的の、恒久的の、目先のことだけでなしの計画をする必要があると思って伺ったわけなんであります。現在の状態では、あまりにも外国と比べて肉の需要というのが少ないです。私は、倍ぐらいでなしに、少なくとも三倍とか四倍とか、需要が伸びても大丈夫なような計画を今から立てておくということが必要だと思って伺ったわけなんですけれども、それはもうそう急に伸びるものでもありませんでしょうけれども、そういう意味で、倍では私は少し少ないんじゃないかというふうに思います、摂取量が。
その点はそれじゃその程度にとどめますが、面積的には、先ほどの一頭当たり、理想的にはどのくらいあれば大丈夫だと思っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/28
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029・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 乳用牛を例にとりますと、草地の場合、平均的な牧草の生産量を持っているところであれば、一頭につき五十アール、〇・五ヘクタールあれば十分、あるいは〇・四ヘクタールないし〇・五ヘクタールと見てよいと思います。それから既耕地であれば〇・三ヘクタールないし〇・三ヘクタール程度。それから野草地でございますと二ヘクータルないし二ヘクタールを要する。肉用牛の場合には、この面積は乳用牛の場合よりは少なくてよいわけでございますが、精密に、何といいますか、肉用牛についてのあれをやっておりませんが、大体肉用牛は乳用牛の六〇%程度の面積であれば私どもとしては大体いいのではないかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/29
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030・北條雋八
○北條雋八君 次に伺いたいのは、輸入を、今度肉についても事業団が扱うことになっておりますけれども、従来の輸入をしております会社は、この間伺いますと、十七社と伺いました。先だって渡辺委員のほうから資料の提出を要求されて、きょう配られたこれにあるのかと思いますけれども、現在、会社が輸入している実情と、それから具体的にどの程度やっているのか説明していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/30
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031・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 現在まで牛肉の輸入を取り扱いました商社はどういう商社であるかというのは、きょうお配りを申し上げました資料の一一ページにございますので、これは会社名はひとつ省略をさせていただきたいと思います。
それから、輸入牛肉をどういうふうにして入れておるかという経路図は一二ページに書いてございます。そこで、従来輸入をいたしてまいりました牛肉の数量は、当初法案とともにお配りを申し上げました資料にございますように、大体昭和三十五年ごろからは毎年五、六千トンの水準の輸入をいたしてまいったのでございますが、昭和四十年になりまして牛肉の不足が非常に顕著になりましたので、緊急輸入をはかりまして、合計約一万トンの牛肉輸入をいたしたのでございます。輸入の経路につきましては、一二ページの図をごらんいただきますと、多少ごたごた書いてございますが、年間の輸入の総ワクというものは、農林省で策定をいたすわけでございます。また、どういう時期に入れることが望ましいかということも、私どものほうで決定する。そして輸入の方式には、現在の外貨割当のもとでは二種類の扱いをいたしておるのでございまして、農林省と書いてあります側のほうは、これはいわゆる需要者割当方式の図でございます。そして右のほうの通産省と書いてあります側に掲げてあります図が、これは商社割当制の図でございます。農林省はまずそういう輸入の数量、時期の決定をいたしますと、需要者割当につきましては、需要者側に輸入発注限度内示書というものを発給いたすわけでございます。その発給を受けましたものが商社に対して牛肉輸入の注文を出すわけでございます。このときにこの内示書をもって通産省からの輸入割当を受ける。輸入割当を受けました商社が現物を輸出国から入れまして、需要者へ売り渡す。その以後はこの図にありますとおりでございます。一方、商社割当のほうは、農林省から商社割当の数量の決定を通産省に通知いたしますと、その数量の範囲内で輸入公表を通産省はするわけでございます。通産省は一定の輸入要件を備えた商社に対して輸入割当をいたしまして、輸入割当を受けました商社が輸出国から入れますと、それを、農林省の指導のもとに、流通経路を食肉の需給の安定に効果的にさせるという意味で、それぞれ市場の関係と、一般食肉業界の団体とに割り当てまして、それぞれその系統を通じて消費者まで流れていくという方式をとっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/31
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032・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、価格をきめたり、あるいは輸入する経路を、いろいろ関税の関係もありましょうし、そういう点を大体でいいですが、説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/32
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033・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 輸入の際におきます価格といいますか、あるいはコストの関係の一般的な現状を御説明するための資料として、きょうお配りした資料の一四ページに、商社渡し価格の内訳というのがございます。これは商社から需要者へ渡す場合の価格水準でございます。まず牛肉はC&F価格で、外国の輸入国の商社と仕切りますと、それに海上保険料がおおむね価格の〇・五五三%ということに相なっておりますので、これを含めたものがいわゆるCIF価格になるのでございます。それに関税が二五%かかりまして、さらに銀行の諸掛かりが一・二五%、金利がC&F価格の〇・九一九%、それから陸揚げをいたしまして通関するまでの諸掛かりが枝肉の場合はキログラム当たり、ここではパーセントでなくて従量定額になるわけですが十三円三銭、それから正肉の場合には八円三十三銭というようなものがかかりまして、これを全部合計をいたしましたものに商社の輸入手数料、この四%というものを加えたものが、これが実需者の手に渡る価格になるわけでございます。ここまで来ますと、大体C&F価格の普通の場合、三四、五%程度の諸掛かりがかかるということに相なります。
輸入価格につきましては、最初の法案とともにお配りしました資料にございます価格があるのでございますが、実は税額が非常にやっかいなんでございまして、肉の品質によってそれぞれ非常に違うわけでございます。いままで日本に入ってまいりましたものは、ブリスケットという肉の、胸の前にたれております部分がございますが、その部分の肉は外国人があまり好まないものですから、日本の加工原料用として入ってきておる。これは最近の価格水準は大体キログラム当たり二百七十円ぐらいの価格で入ってきております。漸次漸騰の傾向がございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/33
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034・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、今度商社が入れる場合に、現在やっている実績として五、六千トンはそのまま業者に従前どおりやらせる。それ以上こした場合には事業団がやるという二本立てになるようなわけですが、そのときにですね、どういう扱いになるのですか。その点を一応伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/34
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035・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) お話しにございましたように、今回の法案が成立をいたしますれば、事業団が、国内の市場における需給の調整をはかるために必要な部分は、事業団が買い入れ売り渡しをするということになりまして、一般的な流通にまかせて混乱がないという限度の数量は、従来どおり民間において行なわせるということにいたしたいと思っておるわけでございます。で、民間で扱いますやり方は、従来どおり、ただいま御説明を申し上げました従来どおりの方法をとりたいと思っておりますが、事業団が輸入牛肉の買い入れ、売り渡しをいたします場合の仕組みは、きょうお配りしました資料の一三ページに示してございまして、まず畜産振興事業団が牛肉の輸入をしようとする場合には、農林大臣の承認を要しますので、事業団から承認申請が出てまいります。で、それ以前に、農林省としては、輸入の数量なり、時期の決定というものは全体の需給調整の立場から決定をするわけでございまして、その決定に基づいて、農林省としては事業団に発注限度内示書の交付と、それから輸入の承認をいたすわけでございます。で、畜産振興事業団は、その内示書の交付承認を受けますと、商社に対して輸入の時期、数量、価格——時期、数量は、これは公表をいたしまして、価格は予定価格を設けて、商社に対して競争入札の形で輸入発注をするわけでございます。輸入発注の競争入札の結果、落札をいたしました商社に対して発注限度内示書の提示をいたしますから、それに基づいて商社は通産省から輸入割り当てを受けるわけでございます。で、受けた輸入商社は、輸出国から輸入をいたしまして、畜産振興事業団に売り渡すということになるわけでございます。で、畜産振興事業団は、原則として食肉中央卸売り市場でせり売りによって放出をするということに考えておりますので、食肉中央卸売り市場の荷受け会社に指し値をつけて委託の販売をするわけでございます。で、荷受け会社は委託を受けてせり売りをいたしまして、ここに書いてありますような加工業者、食肉の仲卸業者、小売り商等が売買参加者としてこれを買い取るということになって、以下、消費者の段階にいくわけでございます。
一方、卸売り市場での販売だけでは、需給調整上問題のある地区、あるいは需要者があり得ると考えられますので、たとえば遠隔地でございまして、中央卸売り市場の流通圏にないというようなところにも、やはり牛肉の需給上の問題が起こり得るわけでございますから、そういうところに対しましては、政府内部の了解を取りつけた上で、随意契約による販売の道を開いておきたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/35
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036・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、従来どおり、商社が扱いました場合の売買というものは、これは価格が自由価格になっておるわけですね。ですから、これは、事業団が今度は扱った肉の売買をするときに、非常に価格が混乱するというようなことはないでしょうか。私は、これは一元的に全部事業団にやらせたほうが、価格の安定から言いましても、また、流通の面からいきましても、いいように思うのですが、その点はどういうふうに考えられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/36
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037・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 肉の価格の問題は、一般論から申しますと、一元的な形でやることが最も安定的効果を生むということは、これはもう私どもも否定できない御意見であるというふうに思うわけです。ただ、私どもが考えております方法をとりましても、それぞれ輸入牛肉の品質に従いまして中央卸売り市場で売買をいたします限り、市場で認められておる価格水準というのはわかるわけでございます。そういう価格水準をもって商社——民間の扱いによります牛肉の流通についても価格上の指導はいたしたいというふうに考えておるわけでございまして、これはある程度まで、先日も申し上げましたように、全国の食肉の業界の団体も整備をされましたし、ある程度の指導効果は出るものと考えておるのでございます。
で、一元輸入のほうがよいのではないかというお話でございますが、政府内部でもいろいろその点は議論が戦わされたのでございますけれども、現在の日本の経済の実態ないし貿易の向かっている方向、さらに世界の動向から見ましても、政府ないし政府機関が貿易に関与します仕方としては、民間の自由な創意に基づく活動にまかしては特殊な障害があり得るという場合に、その限度においてのみ許されるということに実は理解をすべきであるという考え方に結論が相なりまして、私どもとしましても、したがって、そういう見地から、従来とも、民間輸入によってほとんど何らの障害のなかった分野まで政府ないし政府機関が乗り出す必要はないであろう、で、全体の牛肉の需給調整のために輸入牛肉を取り扱う必要のある部分については、これは畜産振興事業団が政府の意思のもとに需給の調整をするという必要があるということで、その分を扱わせるということにいたしたいというのが、この法案をつくりました趣旨でございます。
〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/37
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038・北條雋八
○北條雋八君 そうしますと、いまお話がありましたが、やはりガットの関係があるために、一元化というよりも、いままでやっていた業者の数量程度はそのままにやらせるというふうにきめられたので、特にそのほかに業者に従前どおりやらしたほうがいいのだという理由はないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/38
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039・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) たとえば、先国会において御審議をいただき、成立を見ました主要乳製品についての一元輸入の場合のごとく、国内における農産物の価格政策、それの具体的な仕組みというものが、輸入の一元化がなかりせばできないのだ、成り立たないのだという場合には、それはもう諸外国も容認をいたしたのでありまして、牛肉の場合につきまして、一元輸入ということを考えることは、ガット違反になるかどうか、私は直ちにガット違反であるとは思わないのでございます。ただ、ガットにおける、あるいはその他の国際諸機構におきます議論の中では、政府機構が自由な貿易の中に参画する、介入をするということは、最小限度の必要にとどめるべきであるという議論が一般的でありまして、そういう点は私どもとしても配慮をせざるを得ないのではないだろうかということが、一つの二元輸入の理由でもあったわけでございますが、なお、従来の商社の扱いというものを残すことの積極的な意味は、多少、牛肉のようなものにつきましては、一般的に需要と供給が——両存をいたしておりますと、相互の自由な意思で流れる場合のほうが円滑にいく。つまり、あらかじめどういう品物のどういう需要を自分が持っている、だからそういうものを入れてくれというようなことは、これはどうも事業団ではできないわけでございます。事業団としては、そういう特定の需要というものに対応するものじゃなくて、一般的に需給の不安定な状態に処して放出をしていくという形で足るわけでございますから、民間の輸入牛肉の取り扱いの分野が実害のない限りで残ることは、多少の積極的な意味もあるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/39
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040・北條雋八
○北條雋八君 食肉の価格というものは、まだ豚と違いまして非常に規格が複雑で、規格ができていない。そうしてその上、流通の合理化もはかられていない。非常に価格がまちまちだし、非常に変動が多いものでありますから、そういうものがきちんときまればいいと思いますけれども、その規格がきまらない、流通の合理化もされていないという点は、さしあたり少なくとも一元化していかないと、自由価格であって非常に変化が多いから、業者にそのまままかせるということは、価格を非常に混乱させるというふうに思うのです。まあ規格がきちんとでき、また、それに対する基準価格の設定もされるようなことでありますから、それを早くやればまだいいかと思いますが、そういう点はどうなんでしょうか。基準価格を豚肉みたいにきちんときめるというようなお見通しはないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/40
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041・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のように、牛肉というのは肉牛の種類からすでにもう市場価格が違っておりますし、同じ肉牛の肉でありましても、部分によってそれぞれ市場価値が違うということになっておりますから、豚と異なりまして非常に複雑でございます。新聞等をごらんになりましても、現段階におきましても、まだ枝肉一キロ二百円台の牛肉もございますれば、高いものはキロ千円に近いような高級肉の枝肉もあるわけでございます。そういう状態でございますから、牛肉の価格とは一体何を言うのかというのが非常にむずかしい。そういう点では北條先生のおっしゃるとおりでございます。ただ、肉の価格はある程度は一定の基準のものを、一定の指標的な銘柄のものを中心にして判断されることは可能でありまして、そういう意味で従来から枝肉の価格が上がったとか下がったとかということの指標としては、去勢牛の上肉というものを用いてきておるのでございます。私ども今後輸入牛肉の需給操作を畜産振興事業団にやらせるということに相なりますれば、去勢上の牛肉の価格水準がどういう水準になるかということをメルクマールとして操作をさせたい。で、その価格をどの程度にきめるべきであるかということは、これは非常に慎重を要する問題でございますが、
〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
国内における生産意欲、国内における流通の市場を混乱させることのないようにする必要がどうしてもあるというふうに思われますので、私ども現在考えておりますのは、去勢上が現段階におきまして五百八十円ないし五百九十円、一時六百円にいっておりますが、やや弱含みでございます——という価格水準でございますが、操作のメルクマール、指標になります価格水準は、去勢上でキログラム当たり五百五十円見当のところが適当ではないかというふうに考えておりますが、なお慎重に検討を要する必要はあると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/41
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042・北條雋八
○北條雋八君 この際についでに伺いたいのは、関税の差益金でありますけれども、これは現在一キロについて幾らということを言われておるんですけれども、一キロ幾らに押えておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/42
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043・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 昭和四十年度下期になりまして、国内の価格が非常に高騰をいたしましたので、それに対応するために民間の輸入量二千五百トンを緊急に入れることにいたしたわけでございます。ところが、国際的な価格水準は、先ほども触れましたように、徐々に上昇はいたしておりますけれども、国内の価格上昇が非常に著しかった、御説明に申し上げました中央卸売り市場の荷受け業者の団体に渡しましたものは、卸売り市場でせり売りをいたしたのでございますが、せりの結果出ました価格水準を見ますと、これは輸入牛肉価格水準とは相当の差がある、相当大きな差があるということが判明をいたしましたので、そのまま流通をいたさせますと、これは中間の扱い業者の利潤として残るだけであって、必ずしも消費者の利益にもならず終わるというふうに考えられましたので、私ども指導をいたしまして、日本食肉協議会を中心に自主的に協議をいたしました結果、ただいまの中央卸売り市場において形成された価格水準等を勘案をいたしまして、輸入単位キログラム当たり八十円の差益を食肉協議会に積み立てるということにいたしまして、そのうち三十円はそれぞれ食肉の流通します機構に交付をいたしまして、そうしてその団体の共同的な事業の財源と、畜産局長の承認する使途に充てる。五十円は食肉協議会が食肉協議会本来の各種の公共的、公益的な事業ないし畜産の振興に寄与する事業費として、その資金として使うということにいたしまして、合計八十円を保有させることにいたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/43
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044・北條雋八
○北條雋八君 私、食肉協議会という団体のことはよくわからないんでありますけれども、この食肉協議会というのはどういう機能を持っているのか、どういう機関であるのか、それをひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/44
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045・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) お配りいたしました資料の五ページに、社団法人日本食肉協議会の概要というのがございますが、社団法人としての性格を持っておる団体でまずあるわけです。それから、設立をされましたのは昭和三十三年。現在の代表者、会長は大石武一。所在地等は省略をいたしまして、定款によります目的は、「食肉の規格取引の推進、輸入の適正化並びにその生産、消費及び利用の増進を図ることにより、国民の食生活の改善と畜産業の発達に宿与することを目的とする。」という目的を掲げておるわけであります。定款によります事業内容は、「食肉の格付に関する事業、食肉格付員の養成に関する事業、食肉の規格取引の普及に関する事業、食肉の需給に関する調査及び市況の通報、食肉の生産、流通及び消費の改善合理化に関する調査並びに研究、食肉の輸入に関する情報の交換、食肉の生産及び流通の合理化並びに消費の増進に関する事業に対する助成、その他この会の目的を達成するために必要な事業」ということになっておりまして、会員の構成は一々あげませんが、畜産振興事業団も加わりまして全国のおも立った食肉関係の団体、それから中央卸売り市場の荷受け会社の関係、それから地方条例による卸売り市場の荷受け会社、それから全国的な畜産に関係あります農業団体が参加をいたしておりまして、そのほかに食肉の輸入をいたしております商社の協議会が賛助会員として参加をいたしておるということでございます。なお、役員構成は次の六ページにございますのでごらんをいただきたいと存じます。で、事業は、大体先ほど定款による事業内容を申し上げましたが、ほぼ定款の内容どおりの仕事をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/45
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046・中村波男
○中村波男君 ちょっと関連してお尋ねしたいと思うんですが、また私は私なりで機会を見ていろいろお尋ねをいたしますが、いま北條先生の質問を聞いておりまして、局長の御答弁は、今度の畜安法を改正して、牛肉の輸入を畜産振興事業団にやらせる、しかし、それは従来の日食協、商社等の輸入は何ら弊害がないし、支障がないから、従来ぐらいの実績はやらせるんだというお話であります。そこで、われわれが一時輸入をしたらどうかという考えを持ちますのは、流通の安定ということはどちらがやっても同じだと思うわけです。問題は価格安定をはかるという意味で、商社にまかせ、日食協のいままでのやり方を見ておると、これは不当な利益を得ておるんじゃないかという立場もあるわけです。そこで、いま説明のありました——大体従来相対取引がなされておったように思うのでありますが、これを卸売り市場でせりをかけたら予想外に高く買い手がついたと、したがって、不当な利益が上がるから八十円積み立てたんだと、こういう話でありますが、そこで、まことにおそれ入りますが、資料として、従来の輸入いたしました、まあ二年ぐらいでもよろしいのでありますが、大体、輸入した肉がいわゆる卸にされる場合にどれぐらいで売られておったか、その当時のいわゆる小売り価格というものが押さわっておるかどうか知りませんが、そういうものとの比較と、それから積み立てをしたという数量はどれだけなのか、いつからいつまでなんだ、そういう資料を出していただきたいと思いますのと、それからもう一つは、北條さんの質問で、輸入諸掛かりのこまかい御説明はありましたが、卸から小売りへ行く段階のいろいろなマージンといいますか、そういうものも一応の資料としてお出しいただけないか、そういうことであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/46
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047・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 牛肉の輸入に使います差益の資料は、三十八年度以降の資料は今回の資料の一〇ページに掲げておりますので、なおそれで不十分でございますれば提出いたしますが、大体の傾向は出ますわけですが、三十九年度は関税の引き上げで、当時の国内食肉の需給事情からいうと差益の出る余地があまりなかったものですから、とっておりません。四十年度の下期から差益を積み立てさせることにいたしたのでございます。それから輸入牛肉の各段階における手数料の問題でございますが、いままでは私ども実はそういうところの規制まではしてなかったわけで、自由にさしておったわけですが、先ほど申し上げました緊急輸入の二千五百トンからは、その問題にも触れる必要がある、一応差益の積み立てをさせるくらいでありますから、その問題にも触れる必要があるということで、一二ページの図をごらんいただきますと商社割り当てのところで、商社の手数料については先ほど御説明したとおりですが、食肉市場の共同株式会社、これは卸売り人の中央での共同仕入れのための会社でございますが、ここの段階では一・五%の手数料、それから市場でせり売りをいたします場合の市場手数料は、一般の食肉のせりと同じように三・五%、それから定価販売の場合も同様に三・五%、それから全国の食肉事業協同組合連合会の手数料は一・五%、県段階の協同組合の手数料も三・五%ということにして、末端の小売り段階まで供給していくということを指導をいたしているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/47
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048・中村波男
○中村波男君 そこで機構として、輸入された肉が小売り価格としてどのくらいで売られているかというような、そういう定例的に常時はいまの人員等から見てできぬと思いますが、そういういままで監視といいますか、流通機構の安定をはかるための措置、対策というふうなことが考えられておったかどうか、そういう点はどうなのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/48
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049・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 従来五、六千トンの食肉の牛肉の輸入でございましたし、昨年ふえたと申しても一万トンの輸入でございまして、しかもそのうち相当部分が加工向けの原料になるということでございまして、これが末端の小売り店までいきますと、わずかな数量になってしまうわけです。二十二、三万トンの中の五、六千トンとか、あるいは一万トンとかいうことでございますから、非常にわずかな数量になりまして、輸入牛肉のままで売っているのはほとんど私ども聞いてないのです。また事実私ども試食をしてみましたが、輸入牛肉だけでは、ざっくばらんにいって食うに耐えないものが多いのです。それで、たいていは聞くところによりますと国内牛肉の増量用に使う、つまりこの肉をスライスしたものをまぜて売るというのがどうも用途のようでございまして、その価格は幾らかということは把握できない。ただ、ごく一部のところで輸入牛肉だけを売っておった例があるそうですが、その例では、国内のこま切れよりやや高い程度というぐらいにしか売れないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/49
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050・中村波男
○中村波男君 局長、割り当ては七対三に割り当てしておられるのでしょう。五千トンやるということは、三千五百トン食肉用として売られているわけなんでしょう。これまた逆で、むしろ、加工用の食肉が精肉に回っているということは問題があると思うのですよ。したがって、いまおっしゃるような流通経路なり実態というものは、規制する法はないと思いますが、問題だと思うのですよ。これはやはり農林省としても、この流通の面に、大臣もいらっしゃいますが、ひとつ十分やっていただかぬというと、ただ、量における安定にはなるけれども、価格における安定の役割を全く果たしておらぬじゃないか。まずい肉が日本の牛肉に化けて売られているという実態をやはり何とか規制し、監督し、そういうことのないような措置をおとりいただかないと、これは重大問題だと思うのですが、私は関連でありますから、きょうはこの辺にして譲りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/50
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051・北條雋八
○北條雋八君 私もいまの問題については非常に疑問に思うのですが、この食肉協議会というものが非常に権限を持っておるわけです。それで価格なんぞもある程度ここでもって左右できるのじゃないか。それで、先ほどからも一元的に事業団でやったほうがいいのじゃないかということをお話ししたわけなんです。いま食肉のほうでは規格がまだきまっておりませんけれども、豚肉の場合を考えてみましても、やはりこの協議会というものが、そこの職員が比較検査までやっているというふうに聞いておりますけれども、こういうことは当然国がやることですね。そういうことまでここにやらせるということは間違っているんじゃないかというふうにも考えます。
それからもう一つは、関税に対する差益金でありますけれども、関税というものはもともと金額によって何%ときめているわけなんです。食肉なんぞは規格がありませんから、高いものもあるし、安いものもあるし、それを込みでキロ当たり八十円というきめ方もかなりラフなものじゃないかというふうに思うのです。むしろ、これは輸入の金額によってきめるべきじゃないかというふうに思います。そういう点につきまして大臣からお答えいただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/51
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052・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 私から事務的にお答えをいたしまして、大臣からは大局的なお答えをしていただきたいと思います。
関税につきましては、現在、価格に基づいた比率関税になっておるのであります。二五%の関税でございまして、昭和三十八年度までは一〇%関税であったのでございますが、価格差が非常にあるということで、当時の国内価格との実質差が一五%あるということで二五%に引き上げたのでございます。で、牛肉につきましては、お話しのように、非常に価格差があるのでございますが、いままで民間で輸入をいたしてまいりました牛肉の規格は、先ほどもちょっと触れましたが、ブリスケットというものばかり、ほとんどブリスケットばかりでございます。でございますので、輸入の場合に、何といいますか、多少の商社活動の差による価格差、あるいは多少の品質差というものは、たとえば貯蔵時期が違うとか、そういう差はございますが、たいした差はないわけでございます。でございますので、今回の差益の積み立ては八十円ということで、業界内部でも了承して、自主的に積み立てることになったのでございますが、今後国内の需給の調整をいたしますという見地から申しますと、ブリスケットのみではなくて、さらに、いわゆる外国産の牛肉の中でも比較的高級牛肉を輸入する必要があろうかと思うのでございますが、それらの取り扱いは原則的には畜産振興事業団にやらせたいというふうに思っておりまして、その際には、その差益の問題につきましては、国内の需給実勢による価格差を正しく反映して差益が出るなり、出ないなり、結果として出てくることに相なるかと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/52
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053・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) これは需給調整の基本となる部分を事業団で輸入をする、民間貿易はブリスケットなどを中心に、その他の部分を受け持つことといたしたい、こういうことであるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/53
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054・北條雋八
○北條雋八君 その差益金の取り方、キロ単位でやっておりますのを金額単位でするということはいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/54
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055・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この差益の積み立てのしかたでございますが、北條先生がおっしゃいましたように、価格に高低がある。そういうような事情が起こってまいりますところは、やはり現在の定量定額的な積み立て方式よりも価格によることが妥当であるという場合もあろうかと思います。今後検討したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/55
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056・北條雋八
○北條雋八君 特に、いま伺えば、民間で扱わせるのはブリスケットが大部分だと言われますが、これは非常に金額の高いものでありますから、なおさらその点はそういうふうに改められるのがいいんじゃないかというふうに思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/56
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057・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) ブリスケットというのは、まあ肉の中では非常によくない肉でございまして、まあ西欧人があまり好まれない部分なんです。でございますので、ブリスケットというものは価格も比較的移動がないのでございますが、今後ブリスケットとその他の肉というようなことになりますと相当価格差が開いてくる。したがって、重量当たり同一金額ということでは実情に合わないということも考えられますので、価格に対する比率で積み立てさせるということも検討をいたしたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/57
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058・北條雋八
○北條雋八君 大臣からお答えいただきませんけれども、いままでのいろいろお話を伺って、結局、価格の問題は非常に重大な問題だと思いますし、先ほども言いましたとおり、牛肉には規格がありませんし、自由価格で非常に上がり下がりが多いし、安定する必要があると思うので、それら規格ができ、流通が合理化されるまでは一元的にしたほうがいい、事業団で一元的にやったほうがいいということに対して、まだ大臣からお答えいただきませんが、大臣としてどういうふうにお考えになりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/58
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059・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 牛肉についての規格がまだうまくいっておりませんので、これらについては十分検討を加える必要があるのでありますが、それまでの間事業団で全部おやりになったらどうかという御質問でございますが、もちろんそれも一つの行き方である。むしろそれのほうがすっきりしてよろしいのじゃないかと思います。しかしながら、現在までのいろいろな関係もございまするし、そうしなくてもこれらの問題の処理ができまするので、やはり従来の商取引というものも若干尊重いたしまして、そして最小限度これらの事業団に委任しようということでやってみよう、こういうわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/59
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060・北條雋八
○北條雋八君 先ほど大臣がお見えになりませんでしたので、一点だけ伺いたいと思いますが、御承知のとおり、わが国は国土の六八%以上を山林が占めておりまして、耕地はわずかに一六・四%ということにすぎませんので、しかもその中に一億近い人をかかえております。こういう実情を考えますと、この食糧問題というものは非常に重大な問題であることは言うまでもない。現在政府が行なっております食糧を増産するための各種の土地の利用、この施策を見ますと、国土の有効利用ということが非常に欠けておるように思うのです。そういう点から、各省ばらばらでそういう国土の開発その他をやっておるために、また、極端なことを言えば、一つの省の中でもばらばらにいろいろ計画を立てるために、満度に狭い国土が利用されていないということが非常に遺憾に思います。現在審議しております肉牛の問題にいたしましても、見方によると、総合的の国土利用計画というものが欠けておるように思うのです。そういうものがしわ寄せになって、そうしてあわてて今度土地の利用計画をして、そうして草地を造成するようなことになっておるのです。国土の有効な開発をすれば、これは畜産のネックといわれる自給飼料の問題にいたしましてもまだまだ余地がありますし、解決できるものと私は思っております。この際政府がもっと遠大な構想のもとに、一丸となって、総合的な国土の高度の利用に一大計画を樹立する考えはないのかどうか、そういうことを農林大臣としては考えられていると思いますが、その抱負を聞かしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/60
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061・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) いま仰せられたことは、確かに私は重要な問題であると存じます。また、農地の利用面積からいいましてたったの一六%かそこらでございます。そういうところにおいて将来これは畜産の増産をやっていく、また、もちろん米の増産は自給に持っていかなければいかぬ、それから生鮮食料のごときは、これはどうしても自給せざるを得ない、そういう問題ございまするので、国土の利用という問題が非常に大切な問題であることはいうまでもございません。そこで、これらに対してもちろん国土利用計画その他調査等も行なわれてはおるのでございますけれども、進歩があまり早くありません。もっとも早くないということについてそれだけの理由もあると思いまするけれども、少なくとも農林省なら農林省内部においてこれらの問題を十分検討すべきものである、こう考えておる。たとえば、肉牛の問題にいたしましても、今度は土地改良計画というのが、草地を四十万町歩造成するという計画は御存じのとおりでございます。そのほか、裏作が、いわゆる畑地あるいは水田の裏作が利用されない、最近特にそれが目立つわけです。これらに対して主要作物等の植つけを十分進めていくことについての計画は一応立てて、これからさらに力を尽くしていきたいと、こう存じております。
それから山林の問題にいたしましても、これは現在造林をしながら肉牛をやったらどうかという問題で、現在実際やっておる、実例にしても十三カ所ばかり私の友人がよく見て歩く——これは非常に年をとった人ですが、青森の人でございます。ずっと一回りしてきてから、大臣に知らすからという非常に篤志家でございまして、これは林野を山林として利用しながら肉牛をやろう、自分がやっております、青森で。しかし、それは自分とほぼ同じというのが十三カ所ぐらいあるのです。そこを現地を見てくる、非常に元気のいい人で、これは一つの例でございます。そういうふうで、その報告をしたいと、こう言ってくるのであります。これらの問題を総合し、いろいろそのほか考えなければならぬ点がたくさんございまするので、私もまだまとまったここに計画はもちろん持っておりませんのでございますが、お話しのとおり、ほんとうに土地は少なくて人口の多い日本として、これまでの食糧の増産をやってきたことにおいて、私は非常に日本国民の努力に敬服しておるのでございまするので、とにかく十何%の農地でございます。そういう面に向かって、いまお話しのとおり、私どもはより以上の努力をはらってまいりたいと、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/61
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062・温水三郎
○温水三郎君 一点だけ質問したいのですけれども、重複を避けて、若干の質問をいたしたいと思いますが、まず、牛肉及び食肉の需給の見通しを簡単に御説明願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/62
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063・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 牛肉並びに食肉の需給見通しにつきましては、先ほども申し上げましたように、いろいろな見通しをする前の前提になります問題もございますし、また、肉相互間の代替の問題がございますので、牛肉とか、豚肉とか、鶏肉とか、それだけを取り上げてはっきり見通しすることは非常にむずかしいのでございます。ただ、従来、私どもが需要なり、生産の見通しを行なってまいりました手法を用いまして、将来の食肉の需要を測定しますと、食肉全体としては、昭和三十九年の消費量八十二万トンに対しまして、十年後の昭和五十年には約二百万トン程度、二百万トンをこす程度の需要量に相なるかと思うのでございます。したがって、現在のまあ大体二倍半程度の数字、三十九年の二倍半に近い需要量になるものと思われるのでございます。その際、私どもは、需要の測定の面でははっきりいたしませんが、今後主要な食肉のささえになるものは何だろうかということになりますと、やはり豚肉、鶏肉であろうかと思うのでございまして、昭和五十年ごろには、豚肉の供給可能量は大体八十万トン程度まで伸びるであろう。そうして、鶏肉の供給量は五十万トン、五十二、三万トン程度まで伸びるであろう。あと馬あるいは綿羊の供給量は、現状の一万トン程度をこさないであろうという程度のことが大体言えるのでございます。
牛肉の需要量は、先ほど申し上げましたように、最小限私どもは見積もりましても、昭和五十年度には三十五万トンないし四十万トン程度の牛肉の需要量は予定せざるを得ないだろうというふうに考えるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/63
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064・温水三郎
○温水三郎君 そうすると、輸入は何%必要であるというお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/64
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065・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) ただいま申し上げました数字は、豚、鶏については、ほぼわれわれとしてもだいじょうぶだとは思う供給量でございまして、合計百三十万トンをこえ、その他の肉を入れれば百三十五万トン程度のものが供給は十分である、十分に行なえる。それにさらに、牛肉が一体幾ら供給し得るかということでございますが、大体肉牛の供給量は、先ほどから申し上げました肉牛で二百九十五万頭という数字を前提にして、しかも将来の牛資源は増加をし得るという情勢のもとでの屠殺量というものを想定いたしますと、三十五、六万トン程度ということになりまして、国内の供給量百七十万トン程度までは、これは大体そう無理はない。あと、現在でも約十万トンの食肉牛の輸入が行なわれておるわけでございますが、それにしましても、輸入量はどうも五十年にはふえそうである。したがって、これを解消をいたしていきますためには、さらに鶏肉なり、あるいは豚肉というものに代替をする速度を早めるとか、また、肉牛の生産については、外国系のもっと産肉能力の高いものを用いるというようなことで、肉用牡犢の育成等も含めて、牛肉の供給量をもっとふやすということに努力をせざるを得ないというふうに思いますので、輸入量も、ざっくばらんに申せば、私はどうも十年後には現在の十万トンの輸入量が倍程度にはふえそうだ、したがって、国内の自給力としては変動はないが、輸入の比率というのはどうも現状程度は続けざるを得ないのではないだろうかというふうに見ております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/65
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066・温水三郎
○温水三郎君 そうすると、今度の外肉の輸入という問題は、これは牛肉の不足を解消するというのが主たる目的なのか、あるいは牛肉の値段の高騰を押えるというのが目的なのか、どっちなんですか。これは両方関連はするけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/66
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067・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) お話しのように、これは牛肉の不足を補うということと、価格の高騰を抑制をするということと相関連をいたすわけでございますが、私どもの考えといたしましては、われわれの少なくとも農林省の立場としては、食肉についてもできる限り国内自給をはかるのだということに政策の重点を置くべきであるが、それにいたしましても、大臣からのお話しにも出たようでございますが、肉牛の繁殖の生理的な限界と申しますか、そういうことの性質上、急速にはなかなか増産がむずかしいという事情のもとで、牛肉の異常な高騰ということは国民の消費生活の上にも問題がございますので、適切な妥当な価格水準に価格安定をさせたいということに主眼点があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/67
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068・温水三郎
○温水三郎君 私は、牛肉の生産は急速にはこれは伸びない、しかしながら、外肉の輸入を必要としないほど生産を伸ばすことが絶対に必要だと思う。その観点から考えてみるというと、外肉の輸入のこの法案を審議する途中で、もうすでに一つ問題になっておるのは、外肉が輸入されたならばこれを食肉にまぜて売るのじゃないか、そうすると牛肉がまずくなるのじゃないか。それから消費地、そういうものが外肉のまぜ方が、まぜないものを売らなければならぬ場合もあるし、多くまぜて売る場合もあるし、いろいろなそこに問題が生じてくる。これは外肉をまぜて売るというと、牛肉がまずくなっちゃうから牛肉の消費が減退する傾向を生じはしないか、当面の問題としては、肉が足りないのだからそれはけっこうなんだけれども、将来肉の生産を刺激して肉の生産が増大した場合に、この牛肉の消費が減退するという傾向を生じてくるというと、これはどうも子牛の生産等をやったが、やっと増産ができたときには、また今度は牛肉の値段が下がってきはしないかという心配があるので、不足解消か値段の抑制かという、どちらに主眼点を置くかという質問を行なったわけなんですが、私は流通面においてこのおそれをなくするためには、外肉は外肉の表示をして売るということはできないかということなんです。これをまぜないで、外肉は外肉として売るということはできないかということなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/68
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069・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 外肉といいますか、輸入肉につきまして、輸入肉は輸入肉として販売をするように指導するということは、私は必ずしも不可能ではない。肉の小売り業者の全国団体もできてまいりましたので、国内のいわゆる和牛を初めとする高級な肉というものは高級な肉としての市場価値を持たせるという観点から、温水先生の御示唆を私ども今後十分検討して、実現できる方向で努力したいと思います。
なお、余談に相なりまするが、プラスチック製のスライス肉の標本によって、小売り肉の規格というものを消費者にわからせるようなことをひとつ研究をしてみたいということで、現在具体的に検討に入っておりますので、そういうことともあわせ、外肉が国内肉の消費の増進に障害になるということは避けるように努力したいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/69
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070・温水三郎
○温水三郎君 外肉を輸入するのだけれども、その外肉の値段と国内産の牛肉の値段の比較ですね、これはできないか、これをお尋ねしたいのだが、外肉はまずいのだからしてその比較はむずかしいかもしれないけれども、そういった点を考慮して比較して、一体現在の国内の牛肉の値段と輸入された外肉の値段とどうなのか、どれほど安いのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/70
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071・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 国内、いわゆる国産の牛肉、特に和牛の肉というものは、これは世界的に最高級な品質を持っておるものでございまして、これに対して外国から輸入いたしますものは、かりに世界の肉牛として比較的高い品質を保持するといわれるアンガスにいたしましても、ヘレフォードにいたしましても、これは肉質が全く違うものでございます。でございますから、直接に比較することはほとんど不可能に近いのでございますが、昨年、畜産振興事業団が、豚肉が非常に高騰をしておるという事情のもとで、代替肉の輸入という規定を拝借をいたしまして試験輸入をわずかにいたしたのでございますが、その際の実績で見ますと、外国の比較的低質な肉というのは、輸入をいたしました場合に格差がかなり出る、そうして、高級な肉になればなるほど外国のものも高くて格差がない。キログラム当たり最も広いものは約二十円程度しか格差がない。うんと格差が出ましたものはキログラム当たり九十円、百円というような格差が出たということがありまして、一律に比較をいたしにくいのでありますが、簡単に申し上げまして、高級肉の買い付けをすればするほど価格差は接近をするという事情にあります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/71
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072・温水三郎
○温水三郎君 そうすると、外肉を輸入した場合に、高級肉に関しては現在の価格をあまり抑制する効果はないというのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/72
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073・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) お話しのように、うんと高級肉になりますと、日本の牛肉が外国へも輸出をされているというようなことがございますので、その辺になりますと嗜好の問題になってまいりまして、価格差はないという限界もあるわけでございます。ただ、そういう高級な肉というものは、外国は実はあまり量がないのです。ございませんので、入れようにも実はあまり入ってくる可能性も少ないわけでございまして、大体まあ日本の中肉程度のものが入ってくるのではなかろうか、需給の調整をいたしますにしても、大体中肉程度のものが主体をなすのではなかろうかというふうに思います。したがって、外国の高級肉というものを日本へ輸入をして、需給の調整あるいは価格の安定をはかるというようなことはあまり意味ないのではなかろうかというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/73
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074・温水三郎
○温水三郎君 子牛の値段は安くて生産費に合わないということで、農村において非常な問題を惹起したことは、これはもうわずか二年ぐらい前の話です。そこで、今日肉の価格が非常に高騰したためにようやく生産意欲が出てきている。ここで急速に肉の値段を押えるというような政策をとるならば、おそらくもう肉の生産は、牛の生産はこれをやめるというような風潮になることを私はおそれるので、やはり肉が不足する、やむを得ず輸入するということならわかるのだけれども、値段をあまり押えてもらいたくない、極端には……。そこで、一体農林省は、これも肉の種類はいろいろあるからわからないと思うのですけれども、現在の肉の価格から何パーセント程度押えるということを期待しておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/74
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075・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のとおり、昨年の初めころまでは子牛の価格は非常に低迷を続けておった、まあ一昨年の夏ごろまでが最も悪かったわけですが、その期間には子牛の値段は三万五千円ないし四万円というような状態であったのでございますが、最近は、先日申し上げましたように、おそらく平均をいたしましても六万円を突破をしておるだろうというふうに見られるのでございます。この子牛の価格が、一部もっと高い価格も出まして、やや異常と思われる部分もございますが、やはり六、七万円程度の子牛の価格は、私は存続を、維持をしなければ日本の肉牛の生産の拡大というのはできないのじゃないかというふうに考えておるのでございまして、したがって、それをまた昔の、以前のような子牛価格の低迷をきたすというような価格の水準に肉価格を落すことは、適当というより無謀であるというふうに思っております。最も牛肉の高かった時期の価格が、枝肉で約六百円という水準を呼んだのでございますが、現在は先ほど申し上げましたように大体五百八、九十円程度にやや弱含みになっております。私どもは、現在までの経過から考えまして、その他の事情も考えまして、枝肉上の価格の水準を五百五十円程度、最高の時期の一〇%程度押える、その水準以上には押えることは、これは国内の生産に悪影響があるのじゃないかというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/75
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076・温水三郎
○温水三郎君 大臣の時間がないようですから一点だけ質問をいたしますが、わずか二年前には、農村においてはもう子牛の生産者は非常な、何というか、悲観をして、子牛の生産は急速に減退した、これは私は政府の政策が非常に貧困であったと思うのですが、大臣はこれに対して責任をお感じになるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/76
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077・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) この肉牛が非常に減ることになりましたのでありますが、もっと早くこれらの問題に手を入れるべきであったと、率直に申し上げます。ただ乳牛の問題に非常に専心向かっておりましたような関係もありまして、まあ率直に申しますと、少し手おくれの感がないことはないと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/77
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078・温水三郎
○温水三郎君 そうすると、これの原因も把握されていると思うんですが、どういうふうにお考えになりますか、なぜ減ったかということ、それからどうすれば生産がふえるかということについて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/78
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079・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) この問題は、つまり肉の非常な需要がありまして、どんどん豚肉や、あるいは鶏肉がふえるにもかかわらず、特に牛の需要がうんといままでふえました、そういう関係からいたしまして、わりあい生殖のおそい牛でございます。そういう関係から、かつては労力役牛として御存じのとおりの需要がありましたが、そいつは非常に減ってきておるやさきでありまするので、むしろ食いつぶしの結果になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/79
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080・温水三郎
○温水三郎君 私が質問をいたしているのは、子牛の値段が二年前は非常に安かったということを少なくとも大臣はお認めになった、生産費を償わない価格であったということをお認めになったが、なぜそういうようなことが起こっておったかということ、それをどうすれば解消できるかという問題です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/80
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081・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 私から事務的に見ました見解を、御参考までにお答えをいたします。三十五年ごろから、御承知のように、急速に農業機械が導入をされまして、役畜の必要性が薄まったわけでございます。で、そのころからすでに牛肉の価格は、わずかではございますが堅調をたどったのでございまして、価格の相互関係から申せば、子牛の値段も堅調であってよかったはずでございますが、役畜の必要がございませんために、肥育牛を肉用に販売をいたしましても、あとの子牛を補充する必要がなかったわけでございます。でございますために、肉の値段も比較的いい、肥育牛の値段も、ややタイムラグを伴いながらも値段は上がっておるというにもかかわらず、子牛の需要が出ない。したがって、子牛の価格というものが三十五年から三十九年までは完全に停滞を続けた。この停滞の間に、子牛の生産農家としては、採算が合わないということで繁殖素牛まで肉用に売ってしまうという事態が、今日の事態を招いたのだと理解をいたしておるわけでございます。それから今後の、そういう基本的な生産の構造の変化というものに対応して進めます施策としては、やはり繁殖素牛からふやしていくということでなければ生産の増大はできない。当面の主要な課題は、繁殖素牛を増産をするということと、牛肉資源というもののできる限りの有効利用というものを、乳牛を含めて、はかっていくということが大事であるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/81
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082・温水三郎
○温水三郎君 だんだん質問しないとわからないと思うのですけれども、大臣は時間がないそうですから、そのものずばり質問いたしますが、私の考えでは、これは肉が高くなっても、なかなか繁殖の牛は高くならないし、子牛はどうしても値段がよくならない。一番最後に上がるのは子牛の値段だ。今度また肉が余ってきて、肉が下がるときには、一番先に値段が下がるのは子牛だ。そこで子牛の生産というものは常に脅威にさらされておる。これが私は子牛の生産を今日のような状態に追い込んだ最大の原因だと思う。だから政府はすみやかに、むずかしくても、何らかの手でもって子牛の生産費を補償するところの政策を打ち出すべきだと思う。これがなければ、いかに金利的、金融の優遇をしても、あるいは繁殖なんかのことについて指導しても、これはだめだと思う。だから、子牛の生産費を補償するような政策を打ち出す用意があるかどうか。少なくともその検討を早急にする用意があるかどうか。これを大臣にお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/82
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083・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 子牛の問題、もちろんいま仰せられたこの御意見はごもっともな点であると思うのです。したがいまして、子牛の価格の安定につきましては、繁殖食牛の導入につきまして助成をするほか、価格安定基金の点を考えてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/83
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084・温水三郎
○温水三郎君 子牛安定基金の問題は承知いたしておりますが、はしょって質問をいたしますと、私はそれだけでは十分でない。できれば豚肉の価格みたいに最高最低の価格をきめるということが最も効果的だと思うのだけれども、しかし、肉の種類が非常に多いからこれはきめられないという問題と、それからもう一つは、たとえば肉の値段は安定せしめても、子牛の価格の安定に直ちにはつながらないという問題と、この二つの問題があるので、私はむしろ直接に子牛の少なくとも生産費を補償するところの政策をそのものずばり打ち出すということが、肉の問題には一番大事だと思う。安定基金の問題だけで、あと何も考えることはないのか、検討の余地はないのか、その点を質問いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/84
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085・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) もちろんこの問題は非常に重要な問題でございまするので、一番大切なのは、豚肉のように最高最低をきめるのが、いま御意見のとおりに一番重要な問題であると思います。また、その次の、いわゆる子牛の値段の安定という問題もきわめて重要な事柄であると思うのでございます。これらにつきましては、いま問題が十分干されておらないのでありますが、しかし、でき得る限りそれらの問題を十分考えてまいりたい、かようにいま考えておるわけでございまして、畜産局長から御答弁させます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/85
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086・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 牛肉の価格を安定することを通じて子牛の価格の安定までやろうということは、これは抽象的には実は言える問題であると思います。ただ、温水先生お話しのように、一体牛肉の価格というのはどこで取るのだということになりますと、非常に区々でございまして、先ほど申し上げましたように、市況には、二百円台から千円近いところまで、おそらく精密に分ければ二十種類以上の価格があると思われるのでございます。そういうわけで、技術的に非常に問題がありますのと、これもまた温水先生からお話が出ましたように、牛肉の価格の安定をはかりましてもその安定効果が肥育牛に及ぶのに非常に時間がかかる。肥育牛の価格の安定が子牛の価格の安定に及びますのには相当の時間がかかる。これは豚肉の場合と全く違う価格現象でございます。したがいまして、私どももいままで相当の期間、肉牛の生産を振興するための価格対策が何が一体根本であるかということは勉強してきたつもりでございますが、全部しわは子牛の価格のところに寄るということでございますので、子牛の価格の安定、つまり子牛の生産の安定をはかり得るならば、牛肉、肥育牛の価格の安定も同時にはかり得るという意味では、これは豚とはコースが逆の結論に相なったのでございます。大臣からもお話が出ましたように、私とも少なくとも——少なくともといいますか、明年度までには子牛の価格安定措置について何らかの結論を出して実施をいたしたいというつもりでございます。これは現在どういうような方法がとり得るかということについては、各ブロックあるいは府県においても研究をしてもらっておるのでございますが、ある一定の水準で子牛の再生産を確保し得るために、下ささえの価格として必要な子牛価格水準——これ市場ごとに、銘柄ごとにみんな違うわけでございますので全国一律にまいりかねるという点があるわけでございますが、そういう水準だけは下ささえをするということのために子牛の安定基金を置きまして、一定水準以上の場合には一定額を積み立てる、ただいま申し上げました水準を下回る場合には、基金から生じます果実と積み立て額とをあわせ補てんをするというような方法をひとつ考えてみたい、それに対して国からの出資を考えていきたいというふうに思っておるのでございます。なおこの問題は検討すべき余地、また先生の御試算になりました点も検討に値する重要問題でございますので、引き続いて勉強さしていただきたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/86
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087・園田清充
○園田清充君 いいですか、関連で……。
ちょっと局長にお尋ねをいたしますが、いま温水先生の御質問に対してお聞きをいたしておりますと、いわゆる需給のアンバランスということと経済の動向、これだけが、もちろん本法に関連したことでこれだけが要因のような御答弁ですけれども、私どもからいたしますと、基本的にこの際お考えいただかなければならないのは、畜産行政に対する姿勢というものをお出しになる段階にきているのじゃないかという気がいたします。率直に申し上げて、大臣もまだおすわりでございますので、大臣にはお聞きはいたしませんけれども、大臣の理想とされるものはいわゆる明・豊・住と申しますか、明るく豊かな住みよい農村の建設ということがこれは坂田農政の理想だと思うのです。その中でいわゆる掲げられております三本の柱、自給食糧の確保、農家所得の向上、農家福祉行政の推進、この三つの中の第二点目の農家所得の向上という問題の中で、私どもは特に選択的拡大あるいは成長部門として果樹、畜産というもので特に力を入れた指導にあずかっているわけです、これは末端で。ところが、いま畜産関係でこうした法律案が出て五十年までのいろいろ展望というものをお聞きをいたしておりますと、必ずしも日本の畜産というものが楽観ができない。その楽観のできない原因がどこにあるかということは、ただ私は需給の問題あるいは経済の動向だけじゃないかと思う。というのは、軍馬飼育時代の考え方、指導、これ自体が今日依然として残っておる。だから畜産指導者に対する再教育というものが当面の私は課題じゃないかという気がいたします。だから、この再教育について局長はどうお考えになっておるのか。この点とあわせてもう一つ例としてお尋ねをいたしておきたいことは、たとえば輸入の肉とそれから和牛の肉との——嗜好にもよるとおっしゃったけれども、これは確かに和牛のうまいことはわかるのです。ところが、いま審査基準と申しますか、和牛登録、こういうのをお示しになっておるけれども、実際重量というものは事実審査の結果出てくるものの中には考察として含まれていない。それで、まあ品位、骨格といいますか、そういうのが大きく出て、昔戦争中に京美人というものが美人の対象にならなかった、生めよふやせよの女がいい女だといわれた時代の畜産に移ってこなければならない時代にきておると思う。私はそういうことも勘案して、技術者の再教育をなさる段階がきておると思うけれども、日本の畜産行政の最高の責任者である局長はどうお考えであるか、この点についてお伺いしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/87
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088・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のとおり、畜産というのは、今日になれば日本の農業の基幹部門として成長を期待をすべきものであると考えておる次第でございます。したがって、戦前のような役畜の思想でありますとか、あるいは一種の農場残菜なり、あるいは余剰労力燃焼の対象としての補充的部門というような考え方からは脱却しなければならない段階にあると思うのでございます。したがって、家畜の個体につきましても、経済動物としての性格を貫くように考え方を改めなければならないという点は、先生の御指摘のとおり私どもも考えておるのでございます。で、肉牛の改良の目標につきましても、昭和三十七年の秋発表いたしましたものもそういう方向を織り込んであるようでございますが、まだそういう新しい考え方にすべてのものが頭の切りかえができておるかというと、若干疑問がないでもないのでございます。特に経済動物としての目的を追求をしていくという方向がはっきりしないという点がなおあるようでございまして、この点は今後畜産関係の技術者の教育、訓練、研修等において私どももすみやかに考え方を改めるようにさせてまいりたい。また、畜産という問題が独立して経営の対象となっていく可能性があるわけでございますので、畜産経営の内容についても実は未開拓の分野が非常に多いわけでございますが、われわれは担当者ともどもに研究を深めていく必要があるというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/88
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089・温水三郎
○温水三郎君 子牛の価格の問題ですが、これについてはただいまも御答弁があったのですけれども、子牛安定基金といったような制度はまだまだ私は子牛の価格を補償することから見るというと非常に遠い感じがするので、これでは安心して子牛の生産をやるという意欲を起こすに足りないような感じがするのです。もっと強力なそのものずばり子牛生産を十分刺激するような政策を今後早急に御検討になっていただくように私要請いたしまして、この問題に関する質問は打ち切りますが、次に、この肉が暴騰したから事業団輸入をやって、そして肉の値段を押えなければならぬということは、こういう事態は非常に異常な状態だといわなければならぬと思います。だから、こういう異常な状態のときに、貿易業者やそれから業者等をもうけさせる必要はないのであって、もし外肉の輸入によって利益が出るとすれば、これのほとんど大部分を生産の刺激のために投入する時期ではないかと思う。それであるならば、事業団に一元化して輸入を行なうということが一番いいのじゃないかと思うのですが、なぜ事業団に一元化できないのか。また、できるけれどもやる意思はないのか、その点をひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/89
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090・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 畜産振興事業団で一元的に牛肉を輸入し需給調整をはかったらどうか、それはなぜできないのかというお話でございますが、畜産振興事業団で一元的に輸入をするということが制度上不可能な制度であると私ども考えたのではございません。ただ、現状におきまして他の経済諸活動が民間の自由な創意くふうにまかされることを原則としておるという事情のもとで、畜産振興事業団に輸入牛肉の取り扱いをさせることの必要性、その必要性は、年間を通じる牛肉の需給及び価格の安定のための調整をはかるということでございますから、その範囲内において最小限度必要なことは何であるかという結論として、国内における肉牛の生産なり、あるいは牛肉の需給価格の安定上支障のない範囲については国の機関の介入を控える、どうしても必要な基本的な需給調整に必要な量の操作は畜産振興事業団でやるということで制度の目的を達し得られるという判断から、二元輸入ということの結論を出したのでございまして、現実的にこういう状態がむしろ制度運営上円滑を期し得るのではなかろうかという判断に立っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/90
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091・温水三郎
○温水三郎君 それでは現在の政府の二元輸入でもって十分目的が達成できて、さらに生産の増強というものに対しても遺憶なくやることができるという自信があるのですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/91
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092・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) そういう制度の目標に沿うごとく勇気を持って当たりたいというふうに思っておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/92
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093・温水三郎
○温水三郎君 それはまああまり時間もないようですから突っ込まないことにしますが、最後に小さい問題、二点だけ質問しますけれども、多頭飼育ということを目標にしておられるようなんですけれども、一頭飼いというものも、これも農家の副業的な経済助長政策としては、これは非常に大事なことだと私は考えておるわけなんです。そういう場合に、山間地帯における国有林の活用という問題については積極的意思がおありかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/93
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094・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) お話しのように、山村地帯における子牛の生産の経営の態様としては、私どもとしても理想的といいますか、近代的な肉牛生産のタイプとしては、少なくとも四、五頭程度の繁殖牛を係養することが適当であると思っておりますけれども、そういうことはにわかに多くを望むわけにもまいりませんし、また、将来とも一頭飼い、二頭飼いという山村における余剰な労力なり、あるいは野草の利用なり、農場残菜なんかを価値化していく形の肉牛生産が残ることは必然だろうと思うのでございます。そういう場合に、国有林の草資源の利用という問題については、私どもも、土地自身は私どもの所管ではございませんが、できるだけ利用の門戸を広く開いてもらうように努力するつもりであります。また、そういうことについての基本的な考え方については、すでに林野庁とも意見を調整済みでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/94
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095・温水三郎
○温水三郎君 最後にもう一点質問しますが、飼料の問題に関して、草地造成等、非常に有効な政策を立案せられておるようでございまして、実行せんとしておられるようですから、この点はまことにけっこうなんですが、そのほかの濃厚飼料で、国産の原料で新しい飼料の開発ということが最近行なわれておるわけです。一例をあげると、でん粉汚水の中からたん白を取るというようなことも企業化しようといたしておる、こういうようなものに対しては農林省は奨励措置をおとりになる考えがあるかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/95
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096・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御承知のように、日本は国内におきましては、粗飼料資源はもとより、濃厚飼料につきましても自給力が非常に乏しいというような事情にございますので、国内における資源を有効利用できるようにするということは、これはわれわれのひとつの課題でなければならないわけでございまして、過去におきましてもパルプ廃液からの酵母菌によるたん白の有効利用というようなことも進めてまいった次第でございまして、ただいま先生からお話しの、でん粉等の処理廃液からの有効物質の抽出といいますか、固定というような問題も、やはり私どもとしては期待をかけるべき事柄であると思うのでございます。で、私どものできることにつきましては、さような研究開発についても支援をいたしたいと思いますが、具体的事例について検討さしていただきました上で、われわれの、ただいま申し上げましたような気持ちをどう実行するかということをきめさしていただきたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/96
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097・温水三郎
○温水三郎君 これで質問を打ち切りたいと思いますけれども、先ほどちょっと申し上げたような、外肉は外肉として表示をして売るということは、ぜひひとつ早急に御検討願いたいと思う。そうじゃないというと、これをまぜて売るということになると、消費者も知らないでまずい肉を食っているということになります。消費者のためにもよくない、またいろいろのところでいろいろの問題を生じておるので、これは詳しくは申し上げませんけれども、すでにそういう問題が起こりつつある。それから将来にわたって、やはり国内の肉は、これは国内で自給するところまで生産を拡大しなければならぬので、その際に、これは十年後か、あるいはもっと先になるかもしれぬけれども、その際に、せっかく増産したものが、今度は肉の嗜好が減退したために、消費が予定よりも少なくなる、したがって、ばかを見たということにならないように、これは考える必要があるので、この点は十分御留意を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/97
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098・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。
午後三時四十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X01719660414/98
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