1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月十日(火曜日)
午後一時二十五分開会
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委員の異動
五月九日
辞任 補欠選任
鈴木 強君 森中 守義君
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
野知 浩之君
武内 五郎君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
小林 篤一君
櫻井 志郎君
園田 清充君
田村 賢作君
高橋雄之助君
任田 新治君
仲原 善一君
温水 三郎君
八木 一郎君
川村 清一君
鶴園 哲夫君
中村 波男君
森中 守義君
矢山 有作君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林省畜産局長 桧垣徳太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○理事の辞任及び補欠互選の件
○畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
まず、理事の辞任及び補欠互選の件についておはかりいたします。
矢山君から、都合により理事を辞任したい旨の申し出がありました。これを許可することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/1
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002・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
つきましては、直ちにその補欠互選を行ないたいと存じます。互選は、投票の方法によらないで、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/2
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003・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認めます。
それでは理事に武内五郎君を指名いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/3
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004・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 次に、畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行なうことといたします。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/4
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005・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 まず、お伺いをいたしたいのは、役肉牛の増殖見通し、これにつきまして、先般この委員会で畜産局長は、四十六年に二百万頭にするのだという期待を持っている、こういう答弁があったのです。が、しかし、御承知のように、農基法の第八条に基づいて農産物の需要と長期見通し、これが公表されておるわけですが、これによりますと、四十六年長期見通しの、四十六年に二百二十二万頭ということになっておりますが、同じ年に公表されました家畜改良増殖法第三条に基づいて公表した家畜改良増殖目標、これによりますと四十六年に二百五十万頭ということになっておるわけですが、この三つ、二百二十二万頭、二百五十万頭、さらに二百万頭、この三つがあるわけなんですが、この食い違いについて簡単に御説明を願いたいわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/5
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006・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のように、肉用牛の飼育頭数の見通しにつきましては、昭和三十七年に公表されました農産物の需要と生産の長期見通しにおきまして、肉用牛は二百二十二万頭程度四十六年に飼育されるであろうという見通しを公表いたしたのでございますが、同年に、私ども畜産局として家畜の改良目標を定めますと同時に、増殖の目標として将来の牛肉の需要というものを予想をいたしまして、できる限り国内において自給するという考え方で、増殖の努力目標というものを掲げる必要があるということで、その際、二百五十二万頭という数字を公表をいたしたのでございます。ところが、これは牛肉の需要の動向というものそれ自身も非常に流動的な段階で行なったものでございまして、また、根本的には食肉の需要は、それぞれ畜種別の肉の需要の見通しというものは、実は非常に困難なものなのでございます。で、食肉全体としての需要の動向なり、あるいは供給動向というのは、実は長期見通しとそれほど狂っておるのではございませんが、事牛肉及び肉牛の生産、飼育の状態は、昭和三十八年度を一つの転機にいたしまして、需要は急速に伸びる一方、子牛の生産は、子牛の需要というものが伴いませんために価格も低迷をし、かつ生産も減退をしておるということで、需要の伸びに対して生産が追いつかない、いわば再生産の子牛の頭数以上の屠殺が行なわれるということで、飼養頭数が激減をいたしたのでございます。で、御承知のように、昭和四十年の二月一日には、当時二百三十万頭程度の肉牛が飼われておったのでございますが、百八十八万六千頭というふうな数字に減少いたしたのでございます。その減少傾向はその後も継続をしておるというふうにうかがわれますので、おそらく現段階におきましては肉牛の飼養頭数は百六十万頭を割っておるのではないかという状況でございます。そういう現在の飼養頭数、したがって、子牛生産の何と言いますか、生理的な限界というものを考えますとき、私どもとしては従来の見通しの誤りと言いますか、推移というものがわれわれの見通しのごとく推移しなかったという事実を認めざるを得ず、また、現在の事実に立って四十六年度の努力目標を考えますならば、四十六年には二百万頭程度の増殖の目標を掲げることが現実的であるというふうに私としては考えておるのでございます。経過を御説明申し上げますと以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/6
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007・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この農業基本法の八条に基づいて公表されている四十六年度の二百二十二万頭、それから同じ年に出ました、家畜改良増殖法の第三条に基づいての長期見通し二百五十万頭、これも法律に基づいて公表しておるわけですが、これは公表する目的としてはもう御承知のとおりですが、畜産関係については、これは役肉牛だけではなくて、飼料の点についても、あるいは乳牛の点についても、豚や鶏の点についても、畜産全体として非常に大きな食い違いが生じているわけなんですが、いま局長の答弁された四十六年に二百万頭を目標にするんだという、それは一体どういう意味なんですか。前二者は法律に基づいて公表したもの。で、いま四十六年二百万頭とおっしゃるのは、これはどういう意味合いのものなのか。なお、この長期目標を変える考えがあるのかどうか。これはやはり四十六年こういう目標で——二百五十万頭なり二百二十二万頭なりという目標を立てて、農業団体なり農民なり国民にこれを公表して進めておられたわけだと思う。団体としても農民としてもまたそういう目標を持って努力すべきものだと思うんですが、変える意思があるのかどうか、それともこのままずっとやっていかれるつもりかという点ですね。
それからもう一つ伺いたいのは、この農業基本法に基づいて長期目標で四十六年に二百二十二万頭という目標を立てておるにかかわらず、同じ年に家畜改良増殖法に基づいて二百五十万頭という数字を出した、これは一体どういうわけなのか。同じ年にですね、一方においては二百二十二万頭と公表し、一方においては法律に基づいて二百五十万頭と公表する。その考え方は一体どこにあるのか。どういうわけですかという点を聞きたい。二点です。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/7
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008・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 現在公表をされております農産物の需要と生産の長期見通しについて役肉牛に関する限り、明らかに二百二十二万頭の見通しというものは、どうも現実的でなくなってきている。また、努力目標としての二百五十二万頭という家畜改良増殖法に基づきます増殖目標というものも、ほとんど不可能に近い数字になっているということは、私どもも認めざるを得ないのでありまして、その限りにおきましては、まず、家畜改良増殖法の数字については、その他の畜種に関します増殖目標もいろいろの角度から検討いたしておりまして、時期を見て改定をいたしたいというふうに考えております。農産物の需要と生産の長期見通しにつきましては、本来、単純見通し——当時、見通し作業をいたしました時点における条件というものが、経済の成長を七・〇ないし七・八%の上昇比率を前提にして、どう推移するかということを単純に見通したものでございますが、これは他の全体の見通しをどういうふうにさらに見直すかという問題もございますので、おのずからこれを改定をするというふうには申し上げるわけにいきかねるのであります。なお、確かに見通しの前提として、前提と言いますか、基礎として、二百二十二万頭程度の肉牛の飼育を考えているということが発表されておりますが、長期見通しそれ自身は、食肉全体として四十六年における需要量というものを見通しをいたしますと同時に、生産の関係で食肉全体の供給量というものを見通しをいたしているというやり方をいたしているのでございます。もちろん二百二十二万頭という数字が、これから一般農家、農業団体に対して一つの指標、見通しとしての指標であるという意味は、私も何も否定をいたすものではございません。農業基本法第八条三項の規定に基づいて長期見通しをいたしながら、その年に家畜改良増殖法で異なった飼養頭数の目標を出したのはどういうわけかということでございますが、ただいまも触れましたように、農業基本法に基づきます長期見通しは、需要及び生産の単純な見通しをいたしまして、現状で推移するならば四十六年度にどういう姿になるであろうという作業結果なのでございます。それに対しまして畜産行政の立場からは、可能な限り需要を十分に充足するような国内自給力を持たせたいという意欲を持った目標を掲げることに当時いたしたのでございまして、そこに単純見通しと意欲目標というものの間に違いがあり、また、その違いはそういう数字の性格的違いとして認められ、将来もまあ認められた経緯であるわけでございます。ただ、これが御指摘もございましたように、現状においては相当見通しとしても狂いを生じ、かつ努力目標としても事実上不可能に近い数字になっているということは、私どもも今後この数字の措置について考えざるを得ない事情にあるというように考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/8
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009・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま局長が答弁になったんですが、この長期目標の農基法に基づくものは単純見通しだと、家畜改良法に基づく二百五十万頭というのは意欲目標だというお話なんでありますが、私はこういう目標の立て方について非常にずさんだというんですか、何かたよりにならないものを非常に感ずるわけですね。あの長期目標が非常に狂ったということについてはこれだけにいたしますが、しからば、その短期の見通しはどうなんだと、長期の目標はだいぶ狂ったが、それじゃ短期の見通しは狂っていないのかということになりますと、短期の見通しはまたえらく狂っちゃったですね、私はどういうわけでこういう食い違いを生ずるのかという点を少しお尋ねをしたいわけなんです。それで、短期の見通しは、四十年の飼料需給計画によりますというと、役肉牛については、四十年の二月に二百三十九万頭、そして四十一年の二月一日には二百四十一万頭と、こういうことになっておるわけなんですね。これは先ほどの農基法に基づく長期見通しの一環なのか、家畜改良の意欲目標の一環なのかよくわかりませんが、ともかくこの需給計画によるというと、四十年の二月一日には二百三十九万頭というふうにしておるわけですね、それが実際は百八十八万頭ということになったわけですね、その間わずかに三カ月か四カ月ですよ、この数字が出たのはおそらく昨年の二月か三月でしょう、それから三カ月か二カ月後の五月には、すでに百八十八万頭という数字が出ている、そうしますと五十一万頭狂うんです、それはもうたいへんな狂いなんですよ。だから、十年後の長期目標が狂ったというだけではなくて、いま踏まえている現実のたった五、六カ月の間に見通しが五十万頭も狂うと、これでは役肉牛の政策はできないですよ。たった四、五カ月で五十万頭も狂っちゃう、たいへんな狂いですよ、これはどういうわけでこういう狂いを生ずるのか。それで、四十一年の二月一日には二百四十一万頭と、こうなっていたわけですが、ことしの、四十一年の二月一日は幾らぐらいになったでしょう。百五十万頭ちょっとでしょう。九十万頭狂うですよ、たった一年の間に。こんなばかな政策というものがあったものじゃないと私は思うのです。だから、どういうわけでこんなに狂うのか、それをお聞きしたい、これはむちゃくちゃですよ、こんなに狂ってしまったんじゃ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/9
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010・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のように、四十年の飼料需給計画の需要量算定の基礎として求めました四十年二月一日の、肉牛の生産頭数二百三十九万四千頭という数字を用いたのでございますが、実はこの狂いの根本は、先ほどもちょっと融れましたが、三十八年以降三十九年に入りましてからの急激な過剰屠殺という問題によって、見通し、あるいは目標がいずれも現実と合わなくなってきたということにあるのでございまして、四十年の飼料需給計画の算定基礎に基づきました頭数は、実は中期経済計画の見通し数字を用いたのでございます。経済見通し計画は三十七年の事情、現実に立ちまして三十八年以降の数字を見通しをいたしたのでございますが、その際、三十七年二月には二百三十三万二千頭いたのでございます。これは私どももちょっと理解しにくい点があるのでございますが、振り返りますと、三十六年から三十七年にかけてはわずかに飼養頭数が微増いたしておる珍しい年なのでございます。そこで、そういう微増傾向というものを考慮いたしまして肉牛についての中期経済計画の数字を策定をいたしたのでございますが、三十八年の数字を二百三十三万七千頭というふうに置きまして、そうして四十年の二月一日を二百三十九万四千頭というふうにやや機械的な算定をいたしたことが、その後の現実の推移というものが非常に狂ってまいりましたので、御指摘のように、飼料需給計画上の数字といたしましても過大な頭数をあげておる。ただ、私どもも多少、横着といえば横着であったのでございますが、えさの計画については、頭数の規模については過小見積もりにおちいることは全体として避けるという気持ちがございましたので、四十年については中期経済計画の数字を用いたということでございます。根本は、先ほど申し上げましたように、現実の姿が、三十八年の二百三十三万頭が三十九年には二百二十万頭に落ち、四十年の二月には急激に百八十八万六千頭に落ちたという事実が全体の数字と乖離をしていくという原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/10
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011・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 局長は、四十年の需給計画については、中期経済計画に基づいて肉牛あるいは役肉牛の見通しを立てたと、しかし、四十一年度の飼料需給計画ではわりあいと着実な計画になっている。ですから、何か私は非常にあいまいな態度じゃないかというふうに思うんですがね、わずか四カ月ぐらいの間に五十万頭も狂っちゃう、一年の間に九十万頭も狂うというこの考え方ですね、一体、畜産局というのは、経済的な感覚があるのかという気がするわけです。本年はわりあい正確に数字をつかんでおられる。百五十万頭ちょっとこえる、一生懸命やっておられる。去年もやられ、おととしもやられておるが、そういうことをことしは一生懸命あちこちの県あたりから報告を徴しておる。数字はまとまって、まだ公表していないが、百五十万頭くらいのものでしょう、あるいはそれを割るかもしれない。去年の計画なんかもう一年の間に九十万頭も少なくなるというばかな計画はあったものじゃないと思う。そういう前提で需給計画を立てたり、役肉牛に対する政策を立てられるということは、それはどだい政策がなっていないじゃないかと私は思うわけです。ですから、役肉牛のこの問題については、長期についても非常に狂いを生じたが、短期についてはそれ以上の大きな狂いを生じた。この一年の間にたいへんな狂い、それについてどういう反省をしておられるか、これはその反省がない限りにおいては、役肉に対する対策というものは軌道に乗らない、もっというならば畜産行政は軌道に乗らないと私は思う。私は、役肉牛というものはこういう感じを持っているが、決してこれは特殊な部門ではない、日本の畜産における代表的な部門だ。それは零細な経営である、土地問題とぶつかっておるとか、さらには畜産の流通過程における非常な非合理性、そういったものの集中的なあらわれがこの役肉牛だと私は思う。だから、この問題について十分な反省がない限りにおいては、これは役肉牛対策というものも、あるいは酪農対策というものも軌道に乗らないと私は感ずるわけです。その点について大臣は一体どういうふうに考えておられるか伺いたいんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/11
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012・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいま畜産局長からお答えを申したとおりでございまするが、この肉牛の非常に減ることを昨年早々強く反省いたしたわけであります。したがいまして、肉牛についての非常な努力を重ねておったときでありまするので、また、それらの施策というものは非常に及びにくかったと思うんです。これは実態としてですが、この肉牛の問題としては当然さような問題でありまして、いわゆる役肉牛という部門において、役のほうはこれは要らぬ、最近は非常に減ってきておる、肉牛のほうに大きなそこに転換があるわけです。そうしていろいろの実態から見まして、肉牛問題が非常に大きくて、これらの問題を専心やっていかなければならぬという問題もございますし、最近の肉の需要が非常にふえてきておる、そういうわけで豚もふえ、あるいは鶏肉もふえるという状態であって、なおかつ肉牛が非常にふえる、こういう実態でございまするので、これはどうしても肉牛の増殖という問題に力を入れなければならぬことは、従来もさようでありますが、特にさように考えたわけでございまして、したがって、昨年以来この肉牛の増殖という問題については特別に力を注ごうということに相なったわけであります。ただ、いま申しましたように、さような関係で肉牛は、肉の需要はふえるし、なかなか役のほうの用途は減っておる、さような問題からして、予想以上に減っておることは御存じのとおり。何もそこに怠けたとか何とかという問題でなしに、事実そういう転換期の一番大きなところへ来ておるわけでございます。したがいまして、昨年以来非常な力をそこへ注ごうというので、畜産局においても肉牛の問題にうんと努力を払う。もちろんそういたしましても、増殖だけでは減少することを防ぐことはできないから、それはやはり肉の輸入という問題を一定年数考えていく必要があろう。それと相待って肉牛の増殖をはかっていこう、こういうふうで真剣にいまやっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/12
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013・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大臣、そんな話じゃさっぱりだめなんですね、何かこう気合いが落ちていて、それじゃだめですよ。よく畜産局は馬から牛に乗りかえた、その牛は酪農だったわけです。畜産局は酪農中心の局だと、よくこう言われる。役肉牛なんというのはつけたりで、鶏や豚は、これは畜産とは考えていないでしょう、畜産局は。だからそこら辺に問題があると私は思うんです。問題の一点があると思うんです。本命は酪農だと、こう言う。それじゃ酪農について聞きます。御承知のように、畜産局は酪農中心の局だそうですから。酪農については、酪農中心についてその見通し、これまたまっ暗。四十年の飼料需給計画では、四十一年、ことしの二月一日、乳牛は百六十万頭になる、そういう見通しだった。ところが、四十一年二月一日には幾らだ、四十一年二月一日は、今度の四十一年度の飼料需給計画によるというと、百三十一万頭になっておる。三十万頭食い違う。まあ相当なもんですね。こうなると、何を考えておるのかわからないというふうに言わなければならぬと私は思うんです。これは長期計画によるというと、先ほど申し上げた農業基本法に基づく長期目標は、四十六年には二百三十六万頭になることになっておる。そうして家畜改良増殖目標は二百九十万頭、この二つは同じ年に発表したやつ。一方は長期目標で二百三十六万頭にして、一方は同じ年に発表したにかかわらず二百九十万頭。局長の答弁だと、これもおそらく二百二十六万頭は単純見通しであって、二百九十万は、これは意欲目標だと言われると思う。だから同じ法律に基づいて同じ年に発表したものが六十万頭近く違う。これは長期目標にならない。六十万頭も違うようなものを発表するに至ってはどうにもならない。現実にいま一体酪農は日本で二百万頭になれるかどうかということすら言われている。現実に長期目標がたいへんに食い違っているだけでなくて、酪農は一年の間にべららぼうに違ってはどうにもならない。たったわずか一年の間に三十万頭食い違っている。これは酪農中心の畜産局としては役肉牛と全く同じですよ、酪農についてもむちゃくちゃだと私は思うのです。重ねて私は、畜産局は一体こういう経済的な感覚というのがあるのかどうか。簡単なことですよ。こんなに食い違ったりする。だから、大臣、これは先ほどの役肉牛だけじゃないのですよ。こんなに食い違ったら話にならないです、わずか一年の間に。もっと正確に言えば、六カ月、三カ月前ですよ、こんなべらぼうな話がありますかね。大臣、もう一ぺん、もうちょっと気のきいた答弁をしなければだめですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/13
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014・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) ただいま御指摘になりました数字は、まさに鶴園先生のおっしゃるとおりでございまして、これは私どもからは返すことばもない点でございます。乳牛につきましても四十年の飼養の需給計画の前提数字として、中期経済計画の見通し数字を用いたのでございます。で、お触れになりました乳牛の四十六年の長期見通しが二百三十万頭、それから改良増殖目標が二百九十万頭というふうになっておりますのは、その性格は少し申し上げたので繰り返しませんが、牛乳の需要の長期見通し自身が非常に幅を持って見通されておりまして、七百六十五万トンないし九百五十九万トン、約九百六十万トンという幅で見通しをいたしておるのでございます。で、大体この需要の中間値が現実の数字になるのではないかという前提から、改良増殖目標ではそれをまかなうに足る頭数だけは増殖をしていこうということで目標として掲げた経緯があるわけでございます。ただ、これはその後の牛乳及び乳製品全体の需要の伸びを見てまいりますと、飲用乳については需要の見通しにそれほど大きな狂いはないのでございますが、乳製品の需要動向は、これはそもそも見通し作業をいたしますためのデータそれ自身が非常につかみにくい数字の動きをしますために、一定の推測計数の出し方が困難なものがあるものですから、若干こういう大きな幅で見通しをいたしましたものを、その後の推移で検証いたしますと、長期見通しの中間的数字というのは過大であるということが最近になりましてほぼ明確になってまいったのでございます。四十年の飼養需給計画の基礎数字として用いましたものが、御指摘のように、四十年一月が百四十万頭、それから四十一年の二月一日が百六十万頭という数字を用いておるのでございますが、まだ四十一年の二月一日の飼養頭数の全体は公表をされておりませんのでございますが、私どもその中間における調査のデータから推測をいたしまして、四十一年度からは現実に即した頭数と現実に即する需給計画にすべきであるということで、百三十一万六千頭という数字を、これは確定的な数字ではございませんが、われわれの推定を加えまして掲げることにいたしたのでございます。なお、御指摘のように、畜産物の需要自身の総計が相当困難なものであって、これは年率一〇%とか一二%とかいうような伸び方をいたしますのは、必ずしも規則的なものであるかどうかの検証がむずかしいのでございます。しかしながら、一定の前提を置いて推測せざるを得ないということと、生産の伸びにつきましても、肉類については鶏肉、豚肉牛肉という間に代替関係がある程度あって、しかもそれは価格との相関関係によって動いていくというような事情がありますために、非常につかみにくいのであります。で、乳牛について予想が長期見通しのように必ずしもまいりません事情については、これは農業一般の条件の変化というものが反映をいたしておりますことと、私ども、そういうことを言っていいかどうかと思いますけれども、牛肉の不足の事情が、この三十九年の後半から四十年にかけて、老廃牛等を中心にする乳牛の屠殺頭数の増大という形で、われわれの見通しを狂わした点があるのでございます。そういうような諸点につきましては、私どもとしても、畜産行政というものが、将来の日本の経済の全体の動き、あるいはそれに伴う需要の動き、それから農業内部における条件の変化というようなものを考慮に入れつつ、現実的な見通し、現実的な数字というものを検証をしつつ行政を進めるべきであるという点については、われわれ事務当局といたしまして深く反省をいたしているつもりでございます。ざっくばらんに申し上げまして、過去の段階におきましては、畜産の行政の計画的な展開という点については、遺憾ながら十分でなかった、あるいは現在でも十分でないかもしれませんが、私どもは御指摘の点を深く反省をいたしまして、現実的な計画的な行政の展開をはかるべきであるというふうに反省をいたしている次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/14
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015・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいま畜産局長からお答えしたとおりでありまするので、これらの統計その他についても、ますますこれはよく検討を加えていかなければならぬということは言うまでもないと存じます。現在の状況というのはいま畜産局長からお答えしたとおりであります。ただ、私が考えまする点は、この小農経営におけるいろいろの統計というものが非常にむずかしいということ、これはもうあまりそのとおりに数字がいくように思われると、転換期においては非常に間違いが起こってくると思います。私どもはそういう点も十分注意をいたしまして、統計その他についても今日以上に特別にひとつ努力を払ってまいりたいと、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/15
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016・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 私は何も数字をきめたそのとおりいかないからどうだということを言っているのじゃないのです。同じ年に同じ法律に基づいて長期目標をきめて、それが六十万頭も違ったものを平気で出すということ、その頭ですよ。これは何といっても私はおかしいと思う。長期目標はいま申し上げたとおり。それでは短期はそんなに狂ってないかというと、短期はまた三十万頭も違う。五、六カ月の間に三十万頭も違うというに至っては、何を基礎にして飼料計画を立てているか。あるいは畜産政策を立てているのか。一万頭違ったから、五万頭違ったからというようなことを言っているのじゃないのです。わずか五、六カ月の間に三十万頭も違うようなずさんな現状把握の上にできるものじゃないでしょう。何でこんなに違うのか。酪農ひとつとって考えてみた場合に、何で三十万頭も違ったのか、この五、六カ月の間に、という深刻な反省がないじゃないですか。去年の二月一日百二十八万頭、乳牛は、本年の二月一日ほとんどふえてないでしょう。全く同じといっていいくらいの数字だと思うのです、一年たって。これが百六十万頭になることになっている。一体酪農というのは何を考えているのかと私は言いたい。だから、それらの点についての根本的な反省というものがなければ、繰り返し私が言うように、酪農政策というものはこれは軌道に乗らないと私は思うのです。
あともう少し突っ込んで申し上げますよ。同じようなことで恐縮なんですけれども、飼料ですね。毎年毎年飼料需給計画を立てるでしょう。この飼料需給計画またこれ全然なっておらぬのですよ。何を一体やっておるのか。飼料の長期見通し、これを見ますというと、これは農業基本法の八条に基づく長期見通し、四十六年に輸入はTDNで四百万トン、三十九年に四百万トンこしているじゃないですか。私が申し上げた酪農にしても、役肉牛にしても、これは大きく減少する方向にたいへんな狂いを生じたわけです。足元がまっ暗になるような狂いを生じたわけです。この飼料の輸入については、大きく増加する方向、たいへんな増大する方向で狂ってしまった。そのことは、これは飼料政策が失敗したというよりも、飼料政策がなかったというところにその原因があるのじゃないかと思うのですが、これから逐次それを聞いていく。ですから、飼料についてもたいへんな狂いを生じた。これは子供でもできない、こんな狂いのしかたは。これも聞きましょう。何でこんなに狂ったのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/16
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017・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 飼料の需給見通しにつきましても、三十七年に公表されました長期見通しでは、四十六年の要輸入量がTDNで約四百万トンということでございましたが、その後の需給の推移を見ますと、一つは、濃厚飼料の給与を必要とする鶏の飼養頭数が予想以上に急激に増大をいたした。また、豚につきましても年々の変動がございますが、急激に増大をしておる。一方、国内におきます国内産の濃厚飼料でありますところの麦類なり、あるいはイモ類というものの生産が停滞ないし減少を続けまして、国内の供給期待量というものが見通しのとおりいかなかったという結果として、輸入量の増大ということに相なりまして、御指摘のように、三十九年度の輸入量は、すでに四十六年の見通しの要輸入量の数量と同じ程度のものが輸入されるという結果に相なったのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/17
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018・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 続いて、飼料政策について伺いますが、国内の飼料供給量はほとんど増加していない。粗飼料の増産はかけ声ばかりで遅々として進んでいない。これはいまや評価です。だれがどう言おうと評価です。そこでもう少しこの中に入って、昭和二十八年から四十一年、十二、三年の間の飼料政策を見てみるというと、総供給量に占める粗飼料の割合、これは可消化粗たん白で見ますというと、占めている割合はどんどん減ってきた。可消化養分総量の占める割合もどんどん低下してきた。これは輸入飼料が増加するからでしょう。たいへんな勢いで増加するということが大きな原因でしょう、しかし、相対量じゃなくて絶対量を見た場合に、この粗飼料の可消化粗たん白を見ますというと、昭和二十八年は五十九万三千トン、十一年たった三十九年には五十六万九千トンと減っている。粗飼料は十一年の間に逆に減っている。さらに可消化養分総量で計算してみても、昭和二十八年と三十九年と比較すると、これはもうほとんど同じ。若干伸びているけれども同じ。だから、絶対量を見た場合にですね、これは相対的に言ってじゃなくて、絶対的に言った場合に、飼料政策というものは一体結論が出ているじゃないですか。何もふえやしない。絶対的にふえてないんじゃないですか。むしろこの粗たん白の場合は減っているじゃないですか。これはどうです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/18
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019・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) お手元におそらくお持ちの資料、私たちがいま見ておりますものと同じと思いますが、この飼料に関します限り、鶴園先生のおっしゃるとおりの数字になっておるのでございます。ただ、これは行政庁としてははなはだ不名誉なことでございますが、二十八年当時にはまだ畜産飼料作物ないし牧草類の可消化粗たん白の含有量というものの調査研究が不十分でございまして、分析事例もきわめて少なかったものでございますので、当時の資料に基づいて可消化粗たん白質の総量をはじき、また、可消化養分総量については、当時はでん粉価によって飼料価値を表示をいたしておったのでございます。で、三十五年に相なりまして、それらの調査研究が進みましたことと、いま一つは、飼料の実質的な総量を示すものとしては、可消化養分総量をもって表示することが適切であるということで、表示の方法それから含有比率の訂正を行なったのでございます。で、三十五年にがくっとこの数字が落ちておるのでございますが、三十五年以降は同じ数字を用いまして表示をいたしてございまして、おそらくお手元の資料にも明らかと存じますが、可消化たん白量、それから可消化養分総量ともに着実に伸長をしておるのでございます。そういうやや技術的な問題の甘い点がございましたのを、過去の過程において訂正をいたしたということが、この数字を御理解いただく上に御説明を要する点であろうかと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/19
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020・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いま局長が、手元にある資料というのは、手元にきているのは畜産関係の資料という厚いのがきているのですが、その中に、三十八年当時と三十五年当時とその計算のしかたが若干変わったんだというようなお話なんですが、それにしても粗雑なものですね。こんな大切な資料を説明も加えないで公表するにいたっては、畜産局の頭の程度がわかるし、だめですよ、これじゃむちゃくちゃですよ。
それじゃ、こういうことを聞きましょう。三十年のセンサス、それから四十年のセンサス、この二つを比べて見た場合に、これは畜産局にも統計で資料が出ておるわけですからはっきりしておるわけですが、農家の経営は種類別土地面積、三十年の二月一日のセンサス、十年後の四十年二月一日のセンサス、これは採草放牧地四十八万町歩が二十一万町歩、これは二分の一以下に減っております。だから二十七万町歩減っておることになるわけです。それから、山林のうち採草放牧地二十八万町歩が十七万町歩に減っております。これは十一万町歩減ったことになる。——十年の間に、農業センサスによりますというとたいへんな減り方をしている、二分の一以下に減っちゃっている。これは労働力が不足するという点が大きいんでしょう。だからとてもそこまで行って刈るというわけにいかないんでしょう。ですから二分の一以下に減ってしまうということじゃないでしょうか。確かにこの世界センサス、農業センサスは具体的に正確に数字を示しているとは言えない。ですが、相対的な関係は言える。それから言うと、三十年と四十年分間に採草地のごとき牧草地のごとき面積が半分以下に減ったという点について、どういう考え方を持っているのか、これをお尋ねをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/20
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021・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この点も、農林省の統計調査部の公表のとおり、また、先生の御指摘のとおりでございます。一九六一年のセンサスにおきましては、従来は採草地と放牧地を別個に調査をいたしておったのでございますが、六五年センサスでは採草放牧として一本で調査することに改めておるのでございます。で、その面積については、御指摘のように、前回のセンサスの場合に三十五万六千ヘクタールでございましたのが二十一万四千ヘクタールということで、相当の面積が減少をしておるということになっておるのであります。これは絶対的面積ということでは信憑度はそれほどございませんけれども、傾向として方向を示すものとしてはお話しのとおりであると私も思っております。これにつきましては、十年以前には、なお採草放牧地の中には、従来農家が自給肥料用として刈り敷き等に利用をいたしておりましたものが含まれておったのでございますが、これが最近の労働事情等によって減少をしたということ、それから、これも労力事情でございますが、農耕用の牛馬の減少がございますので、朝草刈りの慣行というものがなくなってきたというようなこと、それから草地の改良事業は従来の採草放牧地が牧草地に転換をしてきたということが、こういう数字の傾向の中の原因になっているのではなかろうかというふうに私どもは見ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/21
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022・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 繰り返し申し上げるように、この三十年と四十年の間にこんな大きな食い違いが出てくるといいますか、半分に面積が減ってしまうということは、これは相当考えなければならない。粗飼料を増産しようというなら、ここが一番重要なところでしょう。これを一生懸命やらなければならぬところが、逆に十年に面積が半分に減ってしまうというようでは、これは粗飼料の自給生産なんてかけ声ばっかりということにならざるを得ないと私は思うのです。
それじゃもう一つお尋ねしたいのですが、畜産局は非常に大きな金を投じて草地造成をやっておる。これは十年くらいの間に十四万町歩くらいやっておる。たいへん金をかけてやっているのに、この十四万町歩というのは、現状はどうなっているかという点について、畜産局として把握しておられるのか。やりっぱなしじゃないですか。せっかく草地造成をしてみたが、あとは放ったらかしという所が非常に多いのではないですか。十四万町歩せっかく十年間に草地造成をやったわけですけれども、現状をどう把握しているかどうか、この中の壊廃面積がどれくらいあるかという点を伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/22
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023・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 過去におきまして、いまお話しのように、私どものほうで昭和四十年までに大体約十二万町歩の草地の造成を行政対象としてはやってまいったということに相なっておるわけでございますが、そのほかにも、みずから草地の造成をした面積もあろうかと存じます。この草地の利用状況でございますが、全国の非常に広範な地域にわたっておりまして、たいへん申しわけない次第ですが、私どもの手元で現在利用状況を明確に把握をいたしておらないのでございます。昨年度から都道府県におきまして、飼料の自給の関係、それから自給飼料の生産の関係についての調査をいたさせることにいたしております。引き続いて本年も実施をいたすことにしております。その結果によりましては、ほぼ概要がわかるかと存じますが、現段階では把握をいたしておりません。一部には、せっかく改良いたしました、造成をいたしました草地が利用度の低い状態で放置をされておるという事実を私どもも承知をいたしておりますが、明らかに壊廃をいたしたという事例は旧酪農振興法の規定による届け出が一件あるだけでございまして、明らかに壊廃をしたという面積は私はそれほど多くはないであろうというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/23
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024・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 ちょっと大臣抜けられるようですが、またおいでになるそうですけれども、いまの自給飼料の立場から非常に重要視しなきゃならぬ、これからまた積極的にやっていかなければならない採草放牧地あるいは山林の中における採草地、こういう面積は十年の間に半分に減ってしまったという点についての大臣の考え方、それから、せっかくたいへんな金を使って畜産局としては公共事業として草地改良をやっておるわけですが、それでいま十二万町歩というふうになってきておるわけですが、その実情がよくわからない、どうなっているのか。事例的にいいますと、あちこちで崩壊をしている、壊滅をしている。これは有名ですよ。長野の問題にいたしましても箱根の問題にいたしましても有名な事例はたくさん出ている。せっかく金をかけるにもかかわらずこの重要な草地改良の面積の把握ができてない。昨年から調査に入っておられるようですが、こういうことでは自給飼料増産だ、増産だといってみても、これはもうかけ声ばっかりということになりませんですか。自給飼料一本やりですよ、ということにならないのかどうか、大臣の答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/24
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025・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 草地のほうはどうしても自給で進まなきゃならぬと思います。したがって、草地造成ということについては特別の努力を払わざるを得ないし、また払っていきたいということを念願しておるわけでございます。ただ、草以外の飼料については、これは全部日本の国内で自給するということができりゃそれに越したことはないが、私はそれは無理だと思う。人口も一億に近くなっておるその際において、たとえば米のごときものは二千万石以上の増産をいたしておるという、相当の大きな力を発揮しておるのであり、また蔬菜その他も国内で自給しなければならぬものも非常に多いわけです。濃厚飼料というものを国内で全部自給するということができ得る、できるならばいいが、それは無理だ、私はこれははっきり考えておる。しかし、草資源はこれは自給に進まなきゃならぬことは言うまでもございませんので、この点については特段の努力を払ってまいりたい、こう考えております。過去においていろいろ問題はあるようでもありますし、先ほどその点については畜産局長からもお答え申したようなことでございまするので、これらについてはさらに一段の努力を払ってまいりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/25
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026・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 大臣、私は何も濃厚飼料を自給せいなんということを言っているんじゃないですよ。いま言っているのは、大臣が答弁された草飼料のことを言っている。あるいは粗飼料のことを言っている。大臣は、何か農業は二十年、三十年動かないような感じの頭で、最も激しく揺れ動いているこの畜産関係について何かちょっとズレたような答弁では、これは審議できないですね。もうちょいとばかりしっかりやってもらわないと困りますよ、私は濃厚飼料なんか言ってないんですから、粗飼料を言っているんですから。あとでなお、私は続いて問題点で——大臣は何か出られるそうですから……。
ですから、私がもう少し詳細に論証していくといいのですが、私のいま二点あげた点から言えることは、飼料自給という政策がこれはどうにもなっていない、政策としては。政策じゃないのですね、飼料政策というのはおそらく……。飼料政策といいますか、自給飼料政策というものは政策でなくて——だろうと思うのですが、いずれにいたしましても、非常に弱いのですね。そう私は思うのですがね。何かの対策をとらない以上は、これはどうにもならないと思う、という感じを私は持つわけですが、もう少し中に入りましてお伺いをいたします。
次にお伺いをしたいのは、この草地造成のこの七、八年の傾向、それから飼料作物栽培面積の七、八年の動向というのを見ますと、これは明らかに行き詰まっているということになるのではないでしょうか。何らかの政策を立てない以上、行き詰まったという感じを受けるのですがね。草地造成面積にいたしましても、伸び率は急速に低下してきておりますね。非常な低下をしている。それから飼料作物栽培面積にいたしましても、三十七年以降は伸び率が非常な勢いで落ちてきている。ことに内地においては停滞しているという状況ですね。ですから、これは何らかの政策を立てない以上どうにもならないという私は結論なんですけれども、単にいまみたいに若干の補助金をふやすとかいうような程度のものでは解決しないというふうに思うのですけれども、その点について局長のお考えを承りたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/26
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027・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 今後の日本の畜産を伸ばしていく、なかんずく草食性動物であります肉牛及び乳牛の生産を伸ばす、畜産物の増産をはかるということにいたしますならば、自給飼料、粗飼料の供給を潤沢にするような政策をとらざるを得ないわけでございます。で、草地の改良造成の事業につきましては、過去昭和二十八年から助成の方式をとっておりますが、その間にも制度がいろいろ変転をしてまいったのでございまして、公共事業として取り上げましたのが、これは予算上の問題でございますが、取り上げましたのは三十九年からでございます。昨年昭和四十年の第四十八国会で初めて土地改良法の法律改定に草地改良事業が取り上げられまして、御審議の結果、法律の改正を通していただいたような次第でございます。で、法律上の制度といたしましても、やっと改定ができ上がったばかりでございまして、私どもの過去の草地改良の行政体制というものがはなはだ微弱であったということは、ただいま御説明申し上げました点から見ても認めざるを得ないと思うのでございます。今後草地の改良、造成を進めてまいりますについては、助成内容の充実をはかり、また採択基準等についても例年改善をはかってまいっておるのでございますが、そのことのほかに、これは外国の専門家からのアドバイスもあったのでございますけれども、草地の改良と家畜の導入とが合っていないということが一つの日本の草地の改良、草地畜産というものの進め方に特異な欠陥であるというふうに私どもも認めておるのでございまして、今後は草地の改良、造成と家畜の導入とを結ぶということがまずもって大事であろうというふうに考えておるのでございます。なお、草地の改良につきましては、土地改良長期計画によりまして、昭和四十年以降五十年度までに四十万町歩の草地改良を計画的に行なうということにいたしまして、先般その旨の公表をいたした次第でございます。
なお、草地のほかに、粗飼料給源としては、既耕地における飼料作物が重要な問題でございます。飼料作物の作付の状況は、御指摘のありましたように、昭和二十八年度約十一万町歩程度から昭和四十年の五十二万町歩程度まで着実に伸びてはきておるのでございますけれども、昭和三十八年度以降やや伸びに停滞の傾向がございまして、私どもも三十九年以降飼料作物の緊急増産対策ということで、飼料作物の導入に必要な機械、器具、施設の助成をはかってまいっておるのでございますが、これらのこともさらに将来にわたって拡充強化をいたしてまいりたい。また、事例的には——事例的にはと申しますか、最近の飼料作物の伸びの停滞の一つの原因は、水田裏作の紫雲英のまきつけが、年々、相当量減退をしておるということに大きな理由があるようでございます。でございますので、本年度、でき得れば希望のある地域において集団的な紫雲英の作付という問題の推進を実験的にやってみたいという考え方を持っておるのでございます。
いずれにいたしましても、お話しのように、草地の改良、造成を進め、飼料作物の作付の拡大をはかってまいりますためには、私どももいろいろな検討をいたしました上で可能な政策を実現してまいるということが必要であるというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/27
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028・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 いままでの飼料の輸入政策、これは輸入政策と言っていいと思うんですが、輸入政策、それに基づきます政府の飼料管理、この中で飼料自給を叫んでみてもどうにもならぬのじゃないかという私は感じがするのですがね、どうでしょう、局長。この中で飼料自給を叫んでみてもこれはどうにもならぬという感じがしますね。たとえばこれは飼料作物栽培面積は若干ずつふえてきているというお話、あるいは草地造成、これをやるというお話なんですが、これはどうもいまの飼料の管理政策からいえば、いまみたいな飼料の管理政策をやる限りにおいては、なかなか言ってみても軌道に乗らないのじゃないか。言うならば、私はもう少し抜本的に考えなければならないんじゃないかという気がするのですがね。飼料管理政策によって頭を打っていくということになるので、どうにもならぬという感じがするのです。
これらはここでどうこう言うことはよしまして、続いて今度は、飼料対策の中で最も中心的な役割りを果たしますところの飼料需給安定法ですね、これについて若干伺いたいのですが、これを見ますというと、第一に、ふすまについては、政府の手持ち量は、三十六年からだんだんとふえてきていますね。逆にふすまの流通量は低下してきている。したがって、流通量に占めている政府の手持ちの比率は非常にふえてきたということが言えるのではないかと思うのです。三十六年当時は、ふすまの流通量に対して政府の手持ちは一四%、四十一年は二三%と、こうなっておりますが、ふすまだけをとって言えば、半分近いものが政府の手持ちということになっているわけです。ところが、飼料は、だんだんだんだんふすまからコウリャン、トウモロコシ、配合飼料に大きく変わってきているわけです。ですから、王座を占めているのは、いまやもうふすまではなくてコウリャン、トウモロコシという形になっているわけです。ところが、コウリャン、トウモロコシに対する政府の手持ち、これはわずかに三%、ふすまについては、先ほど申し上げましたように流通量の二三%持っているのだが、コウリャン、トウモロコシについては三%、十五日分持っているということです。そういうものによって一体飼料の価格安定に寄与できるのかどうか。特にコウリャン、トウモロコシは近年値上がりの傾向がはっきりしてきております。余剰農産物的な性格から変わってきて、上がってくるという状況がはっきりしている場合に、わずか三%程度のものをにぎって価格安定に寄与するという考え方のようですが、ふすまについては、これは相当のものをにぎっているから、価格安定ということについて、私どももできるだろうという感じを持つ。ところが、コウリャン、トウモロコシについては、何か異常な事態が生じたときに何とかしょうという考え方じゃないかと思う。そうしますと、この七、八年の間に飼料の関係は大きく変わってきている。つまりふすまが停滞し、衰退してきて、王座を占めたのははっきりコウリャン、トウモロコシです。それに対する飼料政策というのはないのじゃないかという考え方ですね。これはどういうわけですか。この三%しかにぎってないというのは、保管の問題もあるかと思いますけれども、あまりにも私は形式的という感じを受けるのです。その点についてお尋ねします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/28
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029・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 飼料需給安定法に基づきます輸入飼料の需給の操作の品目別の数量を見ますと、お話しのように、ふすまにつきましては全流通量の約半量を政府が操作をいたしておるのでございます。なぜそういう必要があるかと申しますと、国内で民間流通をいたしますふすまの量は、製粉の総量に比例をするわけでございます。したがって、人間の食用に供される粉の量でふすまの量が規制をされるということに相なるわけでございます。ところが、日本の畜産、特に酪農につきましては、ふすまが従来から非常に使用慣行の高い飼料でございまして、また、それにはそれなりの理由があるのでございます。草地自給飼料の多給をいたします諸国におきましては、ふすま依存の牛の飼料という慣行はないのでございます。牧草を多給をいたしますれば、ふすまと併用すれば過たん白——たん白過剰になるわけでございまして、むしろ、でん粉質のカロリー飼料の給与量を必要とするという形になるわけでございます。ところが、日本の乳牛ないし肉牛の飼料等につきましては、粗飼料の理想給与量がなされておりませんために、糟糠類でありますふすまの需要が強いのはそれないの理由があるわけでございます。で、人間の食用に供されます粉によって流通量が規制されるふすまの類を、政府が需給の操作をいたしませんと、季節的の価格の変動が非常に著しく、また全体の需給事情ないし価格の条件を悪化させることになるわけでございます。そのために政府は外国からのふすまの輸入——これも市場は非常に狭隘でございまして、大量のふすまの買い付けばできないのでございますが、そのほかに、特にふすま歩どまりの非常に高い小麦の加工を政策的にやらすということをやっておるわけでございます。これがいわゆる専増産ふすまの生産でございます。で、麦類はまだ自由化をいたしておりませんので、当然食糧管理法のワク内で需給の操作をせざるを得ないということから、専増産ふすまの生産について政府が介入せざるを得ないという事情があるわけでございます。
次に、この糟糠類依存の飼料慣行というのは、これはやがて行き詰まる運命を持っておるわけでございますので、私どもも粒飼料、穀粒飼料への転換を誘導をしてまいったつもりでございますが、他の事情もございまして、お話しのように、現在の輸入飼料の大宗はトウモロコシ及びコウリャンでございます。トウモロコシ及びコウリャン、これがすでに輸入の自由化が行なわれておるのでございまして、民間によって、必要なだけ、適当な条件のいい地域から輸入がされておるのでございます。トウモロコシ及びコウリャンについては、かつての過剰農産物的な傾向はほとんどなくなりまして、そういう過剰農産物としての低価格というものは、今日期待できない事情になっておることは御指摘のとおりでございます。しかしながら、当面といいますか、ここ数年ないしは十年以内くらいの間は、トウモロコシ及びコウリャンの輸入総数というものはなお潤沢でございまして、特殊の事情がない限り需給の混乱を予想することはないのであります。ただ、私ども過去のトウモロコシ、コウリャンの輸入の事態の推移を見ますと、非常に特異な事態が生じた場合、たとえばアメリカのガルフ及び東海岸における海員ストライキ、メキシコ湾におけるハリケーンあるいはタイ国における洪水というような問題が起こりますと、ごく短期間の問題でございますが、一部のトウモロコシ及びコウリャンの需要向き、つまり配合工場に原料不足という問題が起こりまして、動物のえさでございますので、そういう特異の事態が全体の価格、流通を乱すということがあったのでございます。それに備えますために、昭和四十年度からおおむね半月程度のトウモロコシ及びコウリャンを調整保管をして、異常事態の際に放出するという用意をすることにいたしたのでございます。でございますので、トウモロコシ、コウリャンの価格の動向が国際価格の動向に従わざるを得ないのでございますが、それ以外の需給の要因による価格変動、価格の暴騰というものは、私は現在の十五万トン程度の操作量で十分に調整できる。なお、これはほとんど全量が配合原料になるのでございまして、配合工場というクッションを持ち、それ自身ある程度の調整能力を持っておるのでございます。今後需給の調整の運営の経験にかんがみまして、あるいはこの数量が過少であるということならば検討いたしたいと思いますけれども、当面私どもとしては、十五万トンの数量があれば十分であろう。また、乾燥穀物ではございますけれども、やはり保管に相当問題がございまして、長期保管というのはわが国では経験が全くないのでございまして、それらのことも十分慎重に考えてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/29
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030・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 トウモロコシ、コウリャンが年間五百万トン近い輸入になってきておる。それで、一昨年ごろまでの余剰農産物的な性格から変わってきておる。世界的にこのコウリャン、トウコロシに対する需要というものは増大しておる。その関係からいって需給関係が不安定になっておる。局長は十年間のんびりしていていいような話をしておる。ですが、食糧管理月報、それから飼料月報、畜産局でいろいろ書いた資料を見ますと、局長みたいなことを言わない。十年間は安定したというようなことはだれも言っていない。それはだれかそういう教え方をしたか、局長の感じですか。十年間は潤沢にあるというような言い方はだれもしていない。不安定であるというようなことを言っておるのですがね。局長の感じですか、だいじょうぶですか。だから、どうも私はそれはそうじゃないですよと言っておる。どうも十年のんびりしたようなことを言っておる。これじゃいけないですよ。配合飼料だって最近数度にわたって値上がりしたでしょう。コウリャン、トウモロコシも上がってきておる。そのことが飼料全体にわたって値上げを誘発しておるということは、いまやだれでも知っておることじゃないですか。それを五百万トン輸入するから、ストライキがあった場合これはたいへんでしょう。五百万トンだから、船の関係でね。それだけの対応策で飼料の需給安定策なんというようなことは、私は言えないと思う。それがきっかけになってコウリャン、トウモロコシに対して政府の手が入っていく。これはいいですよ。契機になってですね。しかし、もっと飼料需給の安定の立場からすれば、私は、五百万トンも入ってきて、今日輸入飼料の七〇%をこそうという、しかもこれが不安定になってきておるという認識の上に立つべきじゃないかと思うけれども、局長は十年間のんびりしてよろしい、潤沢にあるんだ、どこからきてもいいということですね。どうもそれは三、四年前の話だ。どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/30
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031・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 私は、ここ十年くらいの間は、トウモロコシ、コウリャンについての国産需給事情はそれほど窮迫することはないであろうということは、FAOの担当機構が、世界の一九七〇年の農産物の需給見通しというものを公表いたしておるのがあるのでございますが、その中で、トウモロコシ、コウリャン等の飼料部門については、なお生産、作付の増大の可能性と反収の増大の可能性があるので心配はないということをいっておりますので、それをやや受け売りの形で申し上げたのでございます。ただし、私もただのんびりしておっていいということを考えておるのではございませんが、わが国がそれだけの大量輸入をするようになってまいりますと、市場の集中化ということは購買、買い付けの条件としても適当でなく、また、需給の調整の点でも硬直的になるおそれがありますから、トウモロコシ、コウリャン等の生産の可能性のある新しい地域の開発等には協力をし、われわれ日本としても輸入市場というものの開発をする必要があるというふうには考えておるのでございますけれども、いまの需給が非常に困難になるというような見通しは少なくとも十年間ぐらいはないというふうに申し上げたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/31
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032・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 酪農見通しと同じようなことで、輸入需要の見通しと同じようなことで、足元から大きくくずれますよ。そんなことを言ってないですよ、あなたの部下は。忠良なる部下はですね。局長だけですよ、売るほうのFAOの話だけ聞いておるのは。調子のいいことだけ言っているとだめだと私は思うのですよ。ですから、これは私はもっと本格的に考える必要があるというふうに思いますがね。後ほど資料が整ったら、そこでひとつ答弁をいただくことにしまして、次に移りますと、ついでに言っておきますと、コウリャン、トウモロコシ、この価格の変動、価格の値上がりが一番やっぱりあるのは動物たん白質飼料ですね。それから植物のたん白質飼料。それが非常に値上がりしてきている。それともう一つは、コウリャン並びにトウモロコシですね、だと思うのですよ。コウリャンについては、局長は、十年間はのんびりしておっていいような話ですが、それは潤沢で不安定はないというようなお話でしたけれども、さっき言ったように、酪農見通し、乳牛と同じように見通しを誤らないようにもう少し正確に御答弁を願うということにして、次に伺いたいのは、会計検査院が三十九年の決算検査報告を昨年の年末出しましたですが、この三十九年度の決算検査報告によりますと、その二二〇ページから一三三ページにかけまして輸入飼料の売り渡しについて改善の意見を昨年の十一月二十六日農林大臣あてに出しておりますが、それは局長もすでにごらんになって、それぞれ検討を加えて検査院と協議をしておられる段階だと思うのですが、これはむちゃくちゃですね、局長。この検査院の資料によりますと、こまかくここで余裕はないのですが、ともかく三十九年度のこの検査院の報告によりますというと、輸入飼料勘定で、小麦類、ふすま関係ですね、二十七億の財政負担をしておるわけですね。ところが、この売り渡しがはなはだしく混乱をきわめておりますですね。こまかく言えないのですが、ただ、ここで中央団体六団体、その取り扱い量は四十九万トン。この六団体の検査したところが全畜連をはじめとして二中央団体。ですから、六団体の中の三団体、半分の団体で、その三団体取り扱い量二十三万トン。その二十三万トンの中の七八%に該当する十八万トン、これについて所定の手数料のほかに調整金という名目で一袋当たり二円から十円、総額約四千万円の買い入れ価格に加算をして売り渡ししている、やめなさい、こういうことを言っていますね。これは六団体のうちの三団体がその取り扱い量の七八%を政府の制約と違った金をぶっかけて売り渡しておる。それから県の段階の状況ですね、県連、これも相当なものですね。手数料に付加してまた手数料をとって、自分の団体のための手数料ですね、しかも横流しまでやっている。その横流しも相当なものですよ。それから、問題の、今度は市町村の段階、これはもうだめですよ。全然これじゃもうだめですね。五十一の団体を調べた市町村の段階で、そうしてその中の三四%という団体がやっておるわけですね、三四%の団体が。しかも、その取り扱い数量の六割というものはぶっかけている。一%から一六%というぶっかけをやって売り渡しておる。一体政府は二十七億円という財政負担をしながら、できるだけ安く飼料の需給を実需者に与えようとしているのだが、その効果が減殺されているという言い方、減殺というていねいな言い方、私に言わせますと大きく減殺されている、何のためにやっているかわからないというようなくらいの言い方をしたいわけです。これはどうですか。どういうふうに改めるつもりですか。これは改まらぬのじゃないかと思うのですがね、どうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/32
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033・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 政府操作飼料の売り渡し、流通の適正化については、私どもも従来からかなり細心に指導してきたつもりでございますが、また、われわれ自身も監査をわれわれの力の範囲内でやったこともあるわけでございます。会計検査院の検査にあたりまして、非違事項ではございませんが、改善意見として私どもに相当詳細なデータに基づく意見が出されたのでございます。私どももこの会計検査院の意見には率直にその事実を認め、また、改善のための努力をすることを回答いたしておるのでございます。
まず、中央団体の調整金でございますが、これは、六団体のうち三団体が、政府操作の飼料は市中流通の同種の飼料に比べまして相当安い価格で出ておるわけでございます。で、団体といたしましては、市中流通の飼料とそれから政府操作の飼料と両方を扱っておるものでございますから、全部に公平に数量を配分することができなかった場合に、市中流通の価格の軽減をはかるために調整金というようなものをとっておったようでございます。これは必ずしも団体だけに手落ちがあったのではございませんで、そういうやり方もやむを得ないのではないかということを、過去の畜産局の責任者が言った事実があるようでございます。そのためにこの三団体は、堂々と調整金を政府操作飼料の価格に上積みをして配分をするというやり方をやっておったのでございます。これは検査院指摘のとおり非常に間違いを起こすもとでございますので、市中流通市場の価格の調整は別途行なうべきであって、政府操作飼料の価格に加算して徴収するという形は、これは適切でないという私どもの判断に立ちまして、直ちに当該団体にそのようなやり方は停止をするように指示をいたしたのでございまして、一団体は本年の三月末、それから他の団体は順次停止をいたしまして、五月末以降全部調整金の加算ということは取りやめることにいたしたのでございます。
それから県段階、市町村段階におきます団体は、われわれの指導手数料、つまり中央段階一%、県段階二%、単協段階四%という指導手数料の比率もきめておるのでありますが、それに従がわないで、過当な手数料を徴収をいたしておるものにつきましては、その手数料を返却をさせる、もしくは今後の手数料を取らないで適正化をするということを指示をいたしまして、現在各団体において是正の措置をとっておる次第でございます。横流しをいたしましたもので承認系統のものにつきましては配分を停止をいたしております。農業団体については、配分の停止ということもできかねますので、農業団体内部について業務の責任者が自主的に責任を負うということによって誠意を示してもらいたい。なお、将来は農業団体といえども、横流しの場合は配分の停止をすることもあるということを指導をいたしておるのでございます。なお、全国津々浦々に至る団体を、中央のみで指導監督することも困難でございますので、四十一年度からは政府操作飼料の流通関係の指導については、都道府県や食糧事務所等の農林省出先もこの指導監督にあたるように協力を求めるということにいたしまして、現在協議を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/33
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034・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これはいま局長の答弁になりました、中央団体が過去に畜産局のほうでやむを得ないのではないかというような発言もあったために、堂々とこういうような調整金という名儀で一袋二円から十円というものの加算費を、売り払っておるということなんですが、これはどうもいまの局長の答弁のように適当でない。そういうことですから、県連がまた県段階がそうなってくる。さらに市町村の段階になりますというと、これはもうなんですね、半分がこういうことをやっておるということですね、市町村の段階になりますと。調査した中の三四%がやっておるという。取り扱い数量でいうと六割がぶっかけておる。一%から一六%ぶっかけて売っておる。一体政府が二十七億の財政資金をかけて、できるだけ安く実需者に渡そうとするんですが、どうやら中央から県から市町村の段階から、どうもこれに食らいついているという感じがする。私はもう一つ、これは大きな理由があるのは、大麦については四十八万トン。四十一年度の飼料需給計画によりますというと、四十三億の財政負担をすることになっているんですが、その中の王座を占めておるのが大麦ですね。いまやふすまとか専増産小麦、そういうものは落ちてきて、一番大きな王座を占めているのは二十億の大麦です。ところが、この大麦については中央段階まで政府が売り渡す。中央段階までは政府の指定価格がきまっておる。中央段階を出たら県の段階、市町村の段階、それぞれ自由になっておる、きめてないわけです。自由にされておる。ですから、これだけの二十億の金をかけて財政負担をして、指定団体までは、中央の指定団体は十あります。もっとも十の団体の選び方も問題だと思いますが、十の団体に出すまでは価格がきまって、あとは自由に売れ。これは何のために管理しているんですか大麦を、わからないんですよ。それは説明できますか。一方小麦も出てくるんです。大麦のほうは自由に売っている。政府が管理しているんですけれども、自由に売っている。こっちのほうはちゃんと手数料がきまっておる。県の段階二%、市町村の段階において四%というふうにちゃんと率がきまっているから……。ところが、大麦のほうは率をきめていないから自由に売りなさい、こういうのですから、そんなものは小麦だってだらしなくなってしまうですね。何で大麦を中央団体まで値段をきめてあとはほったらかしておるのですか、これがわからない。それをやっている限りにおいては、これはどうも締まらない。また、一方何のために二十億の金をかけて大麦をこんな形にしているのか、やるのなら市町村の段階まで手数料をきちっときめて安くて入るような配慮を払われたらどうかと私は思うのですけれども、その点について……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/34
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035・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 実は大麦を政府操作をいたすように相なりましたのは、昭和三十八年の長雨で国内の麦の大減産がありましたときに、畜産局としてはこの事態に対処をいたしますために、大麦の緊急輸入をいたしまして飼料事情の改善のために利用をいたしたのでございます。で、当時大麦の国際価格は比較的低位でございまして、トウモロコシ及び大豆かすの蛋白及びでん粉化飼料との均衡飼料価格というものをはじいて放出をいたしますと赤字が出なかったのでございます。全く赤字はないという状態でございまして、ただいま申し上げましたような価格をもって放出をいたします限りにおいては、トウモロコシ、大豆かすという代表的な飼料価格と均衡をいたしておりますから、流通段階でふすまのごとく、国内ふすまとの落差ということで二重価格が出る可能性はほとんどないということで、大麦の粉砕、挽砕の加工業者に売り渡しまして、それ以後は自由にまかしたのでございます。ところが、最近になってまいりますと、大麦の飼料価値というものが初めて日本の畜産農家にも認識をされて評価されるようになってまいったのでございます。特に肉畜の飼料としては他の飼料にない利点を持っておるのでございまして、需要が増進をしてまいったのでございます。三十八年、緊急輸入をいたしましたのが十二万トンと記憶をいたしておりますが、四十一年には四十八万トンというような数字になり、かつわが国のみならず、世界的にも大麦の飼料需要というものがふえてまいりまして、生産は必ずしもこれはふえにくい事情がございまして、国際価格が上がるということから、四十一年の食管特別会計出先飼料勘定の赤字の過半を、約半分を大麦が負うという形になったのでございます。ここまでまいりますと、御指摘のように、加工業界に売り渡してあとは自由というわけにはどうもまいらない。また、会計検査院の改善意見にもそういう点が示唆をされておりますので、ただいま検討を加えておるのでございますが、大麦の払い下げは、加工業界の団体に一括払い下げをするが、加工後の品物は加工業者から実需者団体にそれぞれのシェアに従って引き渡しをさせる。したがって、その間の価格は適正加工料にとどめるということにいたしまして、それぞれふすまの場合と同様に中央階段、県段階、市町村段階の適正手数料の範囲内で配分をしていくという方向に改めたいということで、目下具体案を練っておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/35
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036・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 もう一つ、同じ会計検査院が去年改善を指摘した中に、飼料用の外国産小麦、これが横流しにならないように、魚油を注入する、つまり穀検が、穀物検定協会が、横流ししないように、魚油を注入して、これを中央団体に払い下げるということをやっておられたようですが、にかかわらず転売が行なわれているという指摘をしておりますですね。それで、一体魚油をどんな形で入れるのかと聞いたら、魚油はトン当たりに三百六十円入れるというんですね。手数料やなんか含めてトン当たり三百六十円だというのですよ。それはまたでっかいトン当たりの中に何かちょびっと入れるようなものじゃないかと。それじゃ横流しにならないのかと言ったら、横流しになると言うのですね。いまや何か特殊な薬もできて、簡単に油は抜けるらしいのですね。ですからね、形式的にただちょびっと油をぶち込んで、それで転売しないようにしているんだというのは、理屈にすぎないんじゃないですか、単なるですね。これはやっぱりもっと何かいい方法はないかと私は思うんですがね。トン当たり、手数料なんか入れて三百六十円の油じゃ、それはまるで大海にしずくみたいなもので、どうにもならないですね。どうですか、これ、やめたら。この油なんというのはね。みっともないですね、油まで入れて、転売なんというのはね。しかも、国庫に納まってないようですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/36
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037・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 粒用小麦の売り渡しにつきましては、これはえさ価値というものを基準にして価格をきめております関係上、ともすれば横流れの危険が大きいのでございます。過去におきましても、いろいろない知恵をしぼってくふうをいたし、最初はカーボンブラックをまぜたのでございますが、これもやはり横流しをしようとするもののほうが知恵がありまして、だめだということがわかりまして、魚油ならだいじょうぶだろうということでやりましたら、これもどうも効果的でないということがわかりましたので、昨年の十月から実は粒用小麦の売り渡しを停止をいたしておるのでございます。と同時に、横流しをしました事例の工場については、政府操作飼料の売り渡しを停止するという措置をとっておりまして、その後検討をいたしておりましたところへ、会計検査院からも改善の意見が寄せられましたので、今後は魚油注入というようなことをやめて、粒用小麦はすべて配合用原料に供する、配合用原料としては入庫、材料の使用、それから出庫についてそれぞれ工場ごとに、穀物検定協会が十日に一回ずつ検査をする。いま大麦の加工方式をそういう方法をとっておるわけでございます。で、この穀物検定協会の工場検査については、組合員も相当の権威を認めておるのでございまして、今後はそういう形で、五万トン程度の数量でございますが、小麦の横流れを防止するという方法をとってみたい。なお、そういう方法で事態を十分に観察をいたしました上で、恒久的な方途を講じてまいりたいというふうに思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/37
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038・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これは三十六年、三十七年、会計検査院が二年にわたりまして指摘をしたわけですが、それは大麦を飼料用大麦として精麦会社に払い下げたものを、違約をいたしましてそれに使わない。そしてこれを食用に回してしまったという事例が非常にたくさん指摘されまして、三十六年、三十七年、二年にわたって指摘を受けたわけですよ。それで、非常にもうなっていないのですよ。これは払い下げてみたけれどもですね、むちゃですよね。払い下げてみたけれども、みな食用に渡っちゃう。しかも、それが非常に率が高いわけですよ。それで、見るに見かねたというわけでしょう。会計検査院が二年にわたって指摘をした。これはもうそういうことはないんでしょうね。それから検査院に聞いてみたら、検査してないというのですよ。どうですか、あるかないか、どう思うかと言ったら、どうでしょうねと言う。どうもこれは大麦についてもやはり相当なものじゃないかと私は思うのですけれどもね。ないのですか、そういうことは。何なら検査院に注文つけて、もう一ぺんやらしてみたらどうかと私は思う。どうですか、ありませんですか。
で、総体としまして、もう一点私は伺いたいのは、でん粉質の飼料と並んで、重要なたん白質飼料ですね。魚かす、それから植物油の大豆かすが代表的でしょうが、こういうものが国際的に不安定になってきていますですね。これはそうでしょう。飼料の立場から言うと国際的に不安定になっている。で、いまこの四十一年度の飼料需給計画によりますと、動物油かす、この流通量は五十五万トンぐらいですね。その中で政府の手持ちが三万三千トンですね。それから植物油かす、これは百二十五万トンの流通、それに対しまして政府の手持ち操作量は四万トンなんですがね。非常に少ないのですよね。パーセントからいいましても極端にこれは少ないのですがね。しかし、にかかわらず、このたん白質飼料としての魚かすにいたしましても、植物油かすにいたしましても、国際的に非常に不安定になって、これが騰貴しつつある、こういう状況ですね。これに対して、これっぽっちのもので操作しようという考えなのか。すみやかにこれは検討を加えて、もう少し多量のものを保有をして価格安定に資していくという考え方はないものかどうかですね、この点も伺いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/38
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039・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 最初の御質問にございました大麦の横流しの問題でございますが、三十六、七年であったかと思いますが、食糧庁が内麦の在庫大麦を飼料用に払い下げたことがあるのでございますか、それが売り渡し条件に違反して横流れをしたという事例があったのでございます。それは臨時的措置でございましたので、ただいま私どもがとっておりますような工場検査というような問題を伴ってなかったということで、現在のやり方につきましては当時のような事態はないと思います。しかし、これも絶無というだけの、われわれも事態を心得ておるわけではございませんので、先ほど申し上げましたように、加工業者は加工の段階までということであって、工場への入庫量と、それから団体は、各工場ごとに引き取るべき加工後の大麦飼料というものの量がわかって、両側から詰めれば横流れ等の問題の防止にも役立つだろうということで、新しい方式をとりたいというのが、一つはそういう理由もあるわけでございます。
それから大豆かす及び魚粉、魚かすのような、植物たん白ないし動物たん白飼料の問題でございますが、大豆かすにつきましては、現在のところ、国際市況も、国内市況も比較的安定化しつつあるわけでございますが、長期に見ればこれもやはり農産物一般の事例に漏れず微動するであろうと私も思います。で、これについては、やはり油の使用量以上のかすは出ないわけでございますので、事態の推移によっては丸大豆の利用ということを考える必要がございまして、現在技術的な研究を続行中でございます。
それから魚粉、魚かすにつきましては、何しろ水産資源で制約を受けるものがございまして、しかも世界的に需要の増大が大きいということから、非常に魚かすの価格の高騰が著しいのでございます。で、主たる生産諸国におきましても、なかなか生産の増大というものがむずかしいような事情にございますので、いずれは資源的に限度にくると思われるのでござまいす。この問題の基本的な解決としては、必須アミノ酸の供給源として、合成メチオニンと植物たん白との添加供給をするということにいずれはならざるを得ないということで、現在相当程度まで研究が進んでおるのでございますが、工場化の方向を農業団体も協力をいたしまして、現在準備を進めておるという段階でございます。
で、政府の操作の関係では、大豆かすは現在二万五千トンの手持ちを持っておりまして、これが国内の大豆かすの価格の高騰を牽制する役割りを果たしておるのでございます。これは大体の搾油の計画が月ごとにきまっておるわけでございまして、油をしぼれば必ずかすが出るわけでございます。その間の需要と供給とのズレが出ました場合に、政府の操作、大豆かすを放出をするということで、計画数量の四万五千トンも持っておれば十分であると私どもは思っております。なお、魚かすにつきましては、過去にも若干操作をしたことがあるのでございますが、国内の魚かすの買い付けば非常にむずかしい事情がある。ほとんど需要者と生産者の側が直結をいたしておる事情もありまして、政府が介入することはむしろマイナスの要因があるわけでございます。輸入の魚粉、魚かすにつきましても、ほとんど、何といいますか、長期契約的な形で取引がされておりまして、政府の介入余地は実は非常に少ないのでございます。それと魚粉という特殊な商品でございますので、長期の保管がきかないという事情があるのでございまして、私ども魚粉、魚かすについての異常な需給のアンバランスなり、あるいは価格の暴騰といいますか、変動幅が非常に大きいという事態が考えられます場合に備えて、そういう事態の場合に用意をする程度の計画を持っておれば十分ではなかろうかというふうに思っております。ただ、ざっくばらんに申し上げまして、魚粉、魚かすの政府による需給調整は非常に困難な問題であるということは、これはどうも避けがたい事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/39
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040・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 魚粉の問題については、いま局長の答弁にありましたように、確かに値上がりが相当激しいですね。大豆油かすは安定しているというお話ですが、お宅の飼料月報のことしの三月号によると、これまた魚粉も同じように、国際的にいいますというと、大豆油かすというのは魚粉と劣らず、やはり相当な激しい値上がり傾向にあるということが言えるわけですね。トウモロコシ、コウリャンについても、局長が非常に安定しているんだというお話ですけれども、輸入飼料として値上がりの双壁をなすのはやっぱりこの大豆かす、魚粉と並んでトウモロコシ、コウリャンというものをあげなければならぬと思うのです。そういう点について、何か少しあいまいな感じを私は受けるわけなんですが、ただ、ここで総体としまして、いままで飼料政策の中の一つの大きな中心をなす飼料需給安定制度についていろいろ伺ってきたわけなんですが、二十八年に安定法ができて、安定制度ができて、今日までの動きを見た場合に、当初からふすまについて相当突っ込んだわけですが、ふすまについては、これは価格安定という制度が維持されているというふうに言っていいんじゃないかと思うのですよ、ところが、いまやふすまは斜陽の飼料になっちゃって、年々需給量も低下するという状況の中で、コウリャン、トウモロコシがたいへんな勢いでふえていく、王座を占めているという、それらに対する安定政策というのがほとんどない。万一の場合に備えた十五万トンというのがあるというような状況ですね。大麦については先ほどお話しのように四十八万トンだが、これらについては今後すみやかな機会に、県の段階、あるいは市町村の段階で手数料をきめて安定させたいという考え方のようですね。それ以外の飼料についてはどうという考えはないようですが、全体として見ますというと、飼料需給安定制度というのはだんだんだんだん骨抜きになっちゃっているんじゃないかという、非常な骨抜きの形になっているんじゃないか。むしろ統制といういろいろな形で、国内における統制、小麦にしろ大麦にしろ統制をくっている、それを需給安定法という方法をくぐることによって配合飼料にぶち込んじゃって適当にやられているんじゃないかという感じがしてならないのですがね。もう一ぺふんどしを締め直す必要があるのですね、需給飼料安定法は。そういう気がいたしますが、局長はいかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/40
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041・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 飼料需給安定制度は、私から申し上げるまでもないと思いますが、国内の飼料の需給なり、あるいは価格なりの安定を目標といたしまして、政府が輸入飼料について量的な操作をすることによって全体の安定化をはかろうという趣旨のものであります。でございますので、私どもも飼料需給安定制度が効果的でありますためには、ある程度の、総体のえさの量の中のウエートを持っておる必要があるということで、原料形態として全体の輸入飼料の二〇%以上の量は持っている必要があるというふうに、あまりはっきりした根拠があるわけではございませんが、その程度のウエートは持っておる必要があるということで、輸入量の総体に応じて操作量もふやしてまいってきておるのでございます。で、ふすまについては、もともとこの制度が、ふすまが季節別に非常に変動を昔はいたしたものでございまして、それを防止することがまずもって大きな目標として発足をいたしておったのでございますが、粒用の飼料に転換をする、また配合飼料が飼料流通量の大半を占めるような形になってまいりますと、ふすまの価格安定、需給調整だけでは不十分であるということで、先ほどもちょっと触れましたが、粒用大麦の輸入ということを考えてまいりましたし、それからトウモロコシ、マイロについては、鶴園先生からは、量が少ないじゃないかというお話でありますが、四十年度からトウモロコシ、マイロの調整保管を始めるということで、私はこの制度はこの制度なりに効果をあげておると思うのでございますけれども、現在の制度によって国際価格の変動を防止するような威力はとうてい発揮することはできない、それだけはとてもいまの制度ではやっていくことはできない。で、私見でございますけれども、トウモロコシ、マイロのような、国際商品として世界どの国も同じ価格現象が及ぶという商品については国際価格の水準で消費をしていく、それを飼料として利用するということは、これはもうやむを得ないのではないだろうかというふうに考えるのでございまして、日本の国内における需給事情に基づく特殊な価格の暴騰、あるいは需給の緊迫という問題を避けることをはかれば、この制度としてはその任務を果たせるのではなかろうかというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/41
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042・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 この飼料需給安定審議会というのですか、審議会がありますね、畜産局には似たような審議会が幾つもありますね、家畜改良増殖審議会、畜産物価格審議会、酪農審議会、似たやつが四つぐらいあるのですが、この飼料需給安定審議会というのは一年に一回開くだけですか。一年に一日、二日ですか、いかがですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/42
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043・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 正式の審議会といたしましては、最近の例では年一回でございますが、飼料の需給計画の策定ということは予算の編成と直接に関係をいたしますので、予算概算要求の前後におきまして飼料需給安定審議会の委員懇談会を例年持つようにして御意見を伺うようにいたしております。大体懇談会を年に一、二回、正式の審議会を一回というのが最近の例でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/43
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044・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 これ見ておりますと、この飼料需給安定審議会、それから畜産物価格審議会、家畜改良増殖審議会、酪農審議会、これはいずれも密接不可分な関係にあるわけですね。ですからもし一年中スリーピングしていて一年に一日ぐらい目をさまして話をする程度の審議会なら、これは考え直して三つぐらいのものは一緒にして、そうして相互密接な関連の中で審議をして貴重な意見を聞く、答申を聞くというようなやり方をしたほうがいいように思うのですね。そうでないとばらばらにされてしまって、飼料は飼料じゃ、酪農は酪農じゃ、畜産の価格は価格じゃとばらばらにされてしまって、どういうわけでこういうふうな審議会が持たれているのか、そしてスリーピング審議会だ、典型的な廃止になる審議会ですね、これは。ですからこれは何かもう少し私は最も密接な関係のある、そういった関連の非常に深い審議会なんだから、こういうものは合わせて、人数は多くてもいいから合わせて、年じゅう眠らせておかないで、相当活発に持ってもいいのじゃないか、この点が一つですね。
それから飼料需給安定審議会というのは会長は大臣なんだそうですね、ほかのものは私は知らないのですが、畜産物価格審議会というのが会長は大臣ですか、これは知らないのですけれども、何か飼料需給安定審議会というのは会長は大臣だというのですが、大臣が諮問して大臣が答申するというのは、これは形式的過ぎるね、これはベターじゃないですよ、悪いとは言わない、みっともないですね、これはかっての畜産局の空気があると思うのですね、いまは時代が変わっているのだから、こういうものは会長は別に置いて、大臣が会長に諮問する、それで大臣が答申を受けるということにしないとみっともないですよ。その二つについて大臣に答弁を願う。
もう一つ、時間がなくなりましたので関連して。こういう審議会は減らしてもいいが、畜産局の人間ふえていませんね、三十年から減っていますよ。これどういうわけですか。選択的拡大という偉大なる局ですよ。それが三十年から比べて人間が減ってしまっている、だんだん減ってしまっている、人間は。だから、わけのわからない——わけのわからないといっては恐縮ですが、足元からくずれるような計画ができてみたり、これ全部そうなんですよ。飼料も役牛も乳牛もみなそうですよ。畜産局は土地に結びついていない鶏とか養豚だけがばかにはね上がって出てきておるのですが、そういう意味でもっと人材を配置して、畜産局も少しばちっとしたらどうですか。私は、この選択的拡大という立場からいえば、畜産局が中心になって農林省を負うくらいに……。いま食糧管理制度の中にびしゃっと押しつけられてしまって、その中でもたもたしている、そして土地管理制度の中でまたもたもたしているというのが畜産局の現実ですね、ノン・ポリシィですよ、何にも政策がない。だからもっと畜産局の人間減らさないで、三十年当時までもうちょっと人間をふやして、そうして飼料部くらいつくったらどうですか、だれも文句を言わないですよ。畜産局に飼料部くらい置いてやったらどうかと思うのだが、だらしがないな、少し。そんな人間要るわけじゃないのですから。これは三十年当時は二百六十一人いたんですよ。それが二百三十人ま減って、若干最近ふえていますがね。これはみっともないですね。何が選択的拡大ですか、もっと人間をふやして有能な人間を配置して、ばちっとやってはどうですか、大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/44
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045・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) いま鶴園委員の言われましたとおり、畜産局の審議会がいま申されたとおり五つばかりあるわけです。これを一つにいたしまして、そうして一年に一ぺんとか二へんとかいうのじゃなしに、また関連したことを十分に審議できる、そういうことにいたしたいと存じておるわけでございます。
なお、そのときに結局大臣の会長という問題も同時にそれが解消することにいたしたい、これは意見の一致でございます。
それから、ぱちっとやるために優秀な職員を畜産局にそろえたいという熱烈な希望を持っておるということを申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/45
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046・矢山有作
○矢山有作君 ちょっと関連の時期を失したのですが、一つだけお尋ねしたいのですけれども、先ほど鶴園委員の質問に対して、そばで聞いておりますというと、答弁のほうが、濃厚飼料の問題についてはとにかく輸入をすることだけを局長は中心に置いて話をされおったようですが、私は濃厚飼料について国内で何とか生産増加の方法はないかということを考えておるのですが、国内でつくった小麦や大麦、あるいは大豆というものは濃厚飼料に向かないのですか。それとも小麦あるいは大麦、大豆を輸入にたよらないでも、国内でつくったもので濃厚飼料に向くとするならば、それの増産というものはやはり考える必要があるのではないかと思うのですが、その点どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/46
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047・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) いまお説のとおり、それは国内で増産できるものについてはやはり考えていかなければならぬことは当然でございまするが、先ほど私もお答えした意味合いは、濃厚飼料を全部自給するということは困難だ、そこで、その面はやはりできるところから自由に輸入するということも考えていかなければならない、こう申し上げておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/47
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048・矢山有作
○矢山有作君 私もまんざらその濃厚飼料を全部国内で自給しなさいというべらぼうなことをいま注文を出しているわけではないので、問題は濃厚飼料を国内で自給をするどころではない、大麦にしても小麦にしても大豆にしても、全く国内生産というのは荒廃をしていると言ってもいい状態でしょう。そういう中で、私は不思議でしようがないのは、食糧管理特別会計によって、外国の農産物を飼料として輸入をして、国内の畜産農民に使わせるのに、国がことしはたしか四十三億ですね、損失の補てんをやる。昨年度は四十一億やっておったと思うのですがね。これは私はちょっとおかしいと思うのですよ。外国の安い農産物を輸入して、それでそれに国が補助金まで出して、さらに安い値段で国内で売るというようなことをやっておいて、国内の小麦や大麦や大豆の生産は、先ほど言ったように荒廃の状態にある。これをそのままにして、てんとながめているというのはどういう考え方であるのか、ふしぎでしょうがない。この点大臣、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/48
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049・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) これは別にながめているわけでもない。やはり国民の問題、その他全部これは努力はしているわけです。ただ、それが十分なことにいかないということで、いわゆる二毛作で、あるいは畑作でもそのほうが非常に減ってくるという実情にありますけれども、別にながめているわけではありません。
それから輸入の面につきまして、やはり畜産の関係、全体の面を見てどれくらいのものを、やはりよく考えて補給していかないと、暫定的にはやはりむずかしい、こう考えておりますので、それらの点を補給しておるということなんでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/49
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050・矢山有作
○矢山有作君 私は、てんとながめておると言ったのは、たとえば大豆の油かすにしても、小麦にしても大麦にしても、その他輸入しておる農産物というのは、ほとんど無税でしょう。現在関税なしで輸入しておるわけです。そういう形で輸入し、さらに輸入したものに国が補助金をつける形でどんどん国内に入れているのじゃ、これは国内の小麦や大麦、大豆の現在の収益性から見て、これが増産できるわけはないでしょう。その辺を私は言っているわけです。たとえばここにエコノミストの四十年七月二十日号がありますが、これを見ますと、諸外国の農産物の輸入は、日本のように無税で輸入して、おまけに補助金まで出して輸入している国はないようですね。たとえば西ドイツでも普通小麦の輸入に対しても一〇二%、大麦八九%、トウモロコシが一〇七%、これがフランスの場合、普通小麦が六一%、大麦が七四%、トウモロコシが同じく七四%、こういう関税をかけているわけです。それで外国からこうしたものの何というのですか、ものすごい流入を阻止しながら、これらの国内での増産というものをはかっていっているわけです。この点をどうしてお考えにならないのですか。もちろんそうすると関税を払った分だけ、そのえさで畜産をやらかすとすれば、それだけ経費が高くつくという問題が起こってきます。その場合畜産農民のほうの負担が増大するという問題が起こりますけれども、その前にはやはり畜産物に対する価格政策ということで、いわゆる価格の補助をするという形をとる余地があるんじゃないか、こうすれば貴重な外貨をたくさん使って、外国の農産物をどんどん入れないで済むし、そのことは国際収支の面で相当助かるだろうし、それから国内においては裏作放棄の増大が続出して、先ほど来言っているように小麦、大麦、大豆が壊滅的な状態になっているのに対して、こういう生産が上がってくるということは土地の利用の上からみてもこれは利用度が高まってくることなので、私はこういうことをぼつぼつ検討しなければいけないのじゃないか。日本でつくった小麦や大麦や大豆は絶対にえさに向かないのだということになれば別ですよ。その辺のことをもう少し大臣真剣に私は考えてほしいと思うのですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/50
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051・鶴園哲夫
○鶴園哲夫君 関連質問。いまの矢山委員の発言に関連いたしまして、どうも大臣、先ほどながめているわけではないとおっしゃったのですが、実際はながめていると同じことになっているわけです。ですから輸入飼料がこれで五億ドルになるのですが、もうここ二、三年、四年のうちに七億ドルになるでしょう。二〇%の関税をかけるとすれば三百億、四百億、五百億という税金とれるわけですね。それを畜産のあと払い制度に回すというような制度だって考えられる。そうすれば国内におけるところの飼料、自給濃厚飼料の問題、あるいはえさ、粗飼料の問題、こういう問題も漸進的に解決できていくのじゃないかという私は感じがするわけです。ですからいまの矢山委員の発言に対しましてぜひひとつうまい答弁をしてもらいたいと思うのですがね。私はいまやっぱり日本の農業の最も悪い点のしわを受けておるのは畜産だと思うのですよ。その畜産がこれが新しい力で発展するわけですよ。発展しなければならぬわけですがね。全部これは軒並み頭を打っている。これは何としてもはねのけて発展するでしょう。その力が農地の管理制度についても、あるいはいまの麦対策あるいは大豆対策についても、これはやはり畜産という立場から抜本的に考え直していくというぐらいの気概がなければ選択的拡大なんてやめたほうがいいと私は思うのですよ。どうもその辺の気概が足りないのですね。何かあまり変わってないですよ、昔の畜産局と。馬を牛に乗りかえたぐらいのところでさっぱり乗りかえやしない。大臣、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/51
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052・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) いま関税の問題をぶっかけてそれを擁護していくという問題については、新たに関税をはずす問題については十分もちろん努力はいたしておるわけでありますが、そうでなしに、すでに関税をはずしたものについて再びそれを関税をかけていくということは目下のところ非常に困難でございます。したがいまして、現在これらの点については、飼料の問題、いわゆる麦の増産とかという問題についての国内的な措置について十分いける方法についてはいま検討中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/52
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053・矢山有作
○矢山有作君 関連質問だからこれでやめますがね。何も関税を一たんはずしたからみすみす国内のそういった麦作、大豆作が崩壊状態になっているのを、それでしかも濃厚飼料が国内で自給度がだんだん減って、大半を輸入に仰がなければならぬ、いわば日本の畜産は外国の飼料、外国のえさの加工産業のような状態になっているのに、その状態を放棄して、関税を一たんはずしたからもうどうにもならぬのだという考え方が少しおかしいのでね。やはり農林省なら農林省らしく、農林大臣なら農林大臣らしく、日本の農業の実態というものをながめて、そしてやはり国内におけるこうした濃厚飼料の生産の増強というものを考えるべきじゃないですか。まあその点を特によく考えてください。あなた農林大臣をやっておるが、あるいは農林大臣をやめようが、与党の中の有力なる農林関係の議員でしょうから、投げやりなことを言わないで、そういう点はよく考えるべきだと思うのですよ。何だったら参考にエコミストの四十年の七月二十日号、これくらいのものは少し読まれて外国の状態と国内の状態と少し比較検討して、あまりふんどしをはずした農政をやらないでほしいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/53
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054・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私も一つ審議会について大臣にお尋ねしますがね。畜産局関係の審議会を一本にする、大臣としては近来珍しいはっきりした答弁をしている。私はその四つを一つにするとか、そういうことではなしに、この審議会の従来の政府の持ち方というものを基本的に反省して、顔を洗って出直すべきだということを中心として、大臣にお尋ねをしたい。鶴園委員も言ったように——これは何も鶴園委員も四本を一本に必ずしもせよというのじゃなしに、たとえば、いま具体的に問題の出ておる飼料の審議会にしても、会長が農林大臣だなんという、全くどうもあいまいな審議会の性格からして問題なわけで、要するに、審議会というものの性格は、行政庁の独断専行を規制するためにこれはあるはずです。しかるに現実は、例外もあるかもしらぬが、私の知っている限りでは、行政庁の一つの隠れみのに悪用しておる。そうしてこの審議会の持ち方というのは、えさの審議会の報告にもあったように、予算に関係のある需給の計画等は懇談会でお茶を濁し、正式な審議会は年に一ぺんやるだけ、そうして審議会を通したと称して政府の思うのとおりな行政につないでおる、こういうことはやはり私はきわめて重大な従来の政府の態度だと思う。で、ほんとうにその審議会というものを国民の期待するように政府が持つとするならば、えさの問題にしても、もっとこれは前広く審議会を開いて、時間をかけて、そうして十分な意見を聴取する、重要な意見としてそれを尊重するということがなければならぬはずなのに、形式的にごく短時間だけでこれを終了するような慣習の上にマンネリズム化しておる。私はこれでは、いま指摘したようないろいろな飼料の問題に限ってみても、あるいは畜産局の所管の畜産物の価格のきめ方に対する審議会の運営にしても、非常に独断専行を規制するはずの審議会が形式的に運営されておる、この態度が改まらぬ限りは、私は基本的な問題の解決にはならぬ。それは大臣は尊重すると言うでしょう。ありきたりのそういう答弁をするでしょう。現実はどうもほんとうに審議会というものを尊重した姿勢で立ち向かっていない、従来の経過は。うるさい存在であるというようなことを腹に持っておらぬとは思うけれども、われわれの受ける印象はそういうふうにしか受け取れない。いいですか、ほんとうに審議会を、あなた方行政府が独断におちいりやすいものを審議会の意見を十分尊重するという態度になっていない。この形が今後も持続する限りにおいては、四本を一本にすればなおさらそういうような傾向が一そう拍車をかけられるでしょう。そういうことはどういうことになるかといえば、非常にマイナスの面が、あなた方が意識するとせざるとにかかわらず出てくる、そういう現実が行政面に出ているでしょう。そういう具体的な問題が今日のえさの問題についても幾多指摘されておるはずです。なぜそのくらいの問題を審議会でも十分意見を聞くような機会を持たないのか。審議会の委員を見なさい、大体政府の息のかかった連中が学識経験者として、これは大臣の任命だから、毎年毎年同じようなメンバーが審議会委員として出席して、マンネリズムの中にお座なりな審議をしているに過ぎない。苦言を聞くだけのやはり雅量を持って審議会というものに活を入れる。これがない限りは、あなたの持っておる審議会の数をふやそうが、あるいは減らそうが、本質にはこれは何ら基本的な新風が吹き込まれないと思う。具体的な点はありますけれども、いずれそれはその審議会等で私もたくさんだまっておる意見を言うはずですけれども、そういう点は、一体坂田農林大臣はどう考えておるのか。単に四つの畜産局所管を一本にするというのじゃなくて、総合的な観点から、客観的な問題を審議会におろすということが必要だということを、これは鶴園委員が内容的に指摘されておるのですよ。決して四本を一本にせいという、そういう形式的なことを言うておるはずじゃない。問題は審議会の持ち方を、ほんとうに政府はえりを正して聞かれるかどうか、お座なりな答弁じゃなくて、私のいま言うた意見を十分尊重したような立場で御答弁を願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/54
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055・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの御説のとおりでありまして、私もそういう意味合いから、畜産のいわゆる飼料の問題にしても、すべてきわめて強い関連を持っておるのでありますから、それが一本の委員会になりまして、そうして忌憚なき御意見を拝聴いたしまして、そうしてほんとうに畜産の振興をはかる方向に十全の努力を払いたいという気持ちでございます。その点は御了承を願いたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/55
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056・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめ散会いたします。
午後四時八分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02319660510/56
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