1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月二十六日(木曜日)
午前十時二十三分開会
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委員の異動
五月二十六日
辞任 補欠選任
森中 守義君 竹田 現照君
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
野知 浩之君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
小林 篤一君
櫻井 志郎君
園田 清充君
田村 賢作君
高橋雄之助君
任田 新治君
仲原 善一君
温水 三郎君
森部 隆輔君
八木 一郎君
大河原一次君
川村 清一君
竹田 現照君
中村 波男君
村田 秀三君
矢山 有作君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
国 務 大 臣 藤山愛一郎君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林省畜産局長 桧垣徳太郎君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正
する法律案(内閣提出)
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから委員会を開会いたします。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/1
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002・中村波男
○中村波男君 畜安法の一部改正法律案の主要な内容の第一といたしましては、畜産振興事業団に輸入牛肉の買い入れ、売り渡しの業務を行なわせることにあると思うのであります。しかし、御説明を聞いてまいりますと、従来の実績どおりで、いわゆる日本食肉協議会に取り扱わせる、その残余の業務を畜産振興事業団に行なわせるということでありまして、法案にはそれらのことは何も記されておりませんけれども、運用の考え方としてはそういう方針のように承ったのであります。したがって、二元輸入、二元販売、二元売り渡しでありますが、本問題につきましては、先般の委員会において与党の温水議員からも、なぜ一元輸入をやらないのかという御質問があったのでありますが、それに対しまして畜産局長から御説明がありましたけれども、その御説明では残念ながら私は納得がいかないのでありますが、幸い最高の責任者である大臣に御出席をいただいておりますから、なぜ一元輸入をされないのか、この問題について具体的にひとつお考えを明らかにまずしていただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/2
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003・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 全体といたしまして、経済の運営に当たりましては、特別の事情がない限り民間の自由な活動に期待していくのが基本でありますが、これに対する制約は最小限度の範囲に限ることにいたして、牛肉輸入に関する措置も、国内における牛肉の需給及び価格の安定のために、必要かつ十分な範囲に限るものと考えておるわけでございます。民間の創意くふうによる経済活動を尊重して、需給に即した品質、数量の牛肉が円滑に輸入されるよう考慮されねばなりませんし、さらには、一元輸入に対する国際的批判にも留意する必要がございます。これらの点にかんがみまして、需給調整を効果的に行なうために、必要とされる基本的な部分は事業団に取り扱わせることとし、従来の経験的判断と見通しから、弊害が発生しないと思われる程度のものについて民間貿易にゆだねることにいたしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/3
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004・中村波男
○中村波男君 申し上げるまでもなく、法の改正をされます趣旨というものは、需要供給の安定をはかりますと同時に、この牛肉不足に伴いますところの異常な価格の暴騰を抑制するところにあったと思うわけでございます。そこで、いま大臣の説明では、できるだけ民間企業というものを圧迫しないという前提があると思います。また、先般畜産局長のたしか北條委員の質問に対する御答弁の中にあったと思うのでありますが、従来民間輸入で何ら支障がなかった、弊害がなかったという意味の御答弁もあったと思うのであります。
そこで私は、さらにお尋ねをしたいのは、今日まで日食協を窓口といたしまして輸入さらに配分権をまかせてきたのでありますが、それでほんとうに価格の安定というところに支障がなかったかどうか、こういう問題についていま少し具体的にお尋ねをしてみたいと思うわけであります。申し上げるまでもなく、牛肉を輸入いたしました今日までの経過をみてみますと、輸入牛肉の外貨割り当て制をしいた際に、輸入に関する協議の場が必要になりまして、関係商社と食肉業者の間で日本食肉輸入協議会がつくられたと思うのであります。そして三十六年の畜安法の制定によりまして食肉の格づけ、検定を目的とする組織として日本食肉輸入協議会、全販連、全畜連などの全国生産者団体がこれに加わりまして、さらに畜産振興事業団も加入をして、日本食肉協議会に改組をいたしたいというふうに考えるのであります。したがって、食肉の規格取引を指導する組織として発足したのでありまして、今日この日食協に輸入を全面的にまかせ、また配分権を与えたということは、これは私は、何といいましても、いわゆる役所の便宜主義、それから日食協が、いま申し上げたように、食肉輸入業者を中心にした団体でありまするから、もちろん食肉輸入をこの日食協がやろうとする、また、やらしてもらいたいという働きかけも強かったことは当然でありまして、そういう結果から今日の日食協の実態というものがつくられておるというふうに考えるのであります。したがって、日食協の定款には、輸入牛肉の配分や輸入差益金を積み立てるというような事業は明記されておらないのじゃないか、こういうふうに考えるのであります。
以上の経過と成立に徴しましても、法に基づかない、調整保管施設も特に持っておらない日食協に、配分はもとより牛肉輸入の独占団体としての全権をゆだねたことによって弊害が起きることは当然でありまして、今日の輸入牛肉の実態は、本来の需給の調整の機能を果たしていないばかりか、むしろ独占輸入なり流通の高マージンなど、大きな疑惑を生じておるというふうに考えるのであります。したがいまして、これから具体的にそれらの実態について御質問を申し上げたいというふうに思うわけであります。
そこで、まず第一にお尋ねをいたしたいと思いますのは、今度の法案が可決成をいたしました場合に、局長の話では、四十一年度としては二万五千トンあるいは三万トン程度輸入をすることになるのじゃないかということでありますが、したがって、日食協には具体的にどの程度扱わせて、その残りを畜産振興事業団が扱うのかということをまず明らかにしていただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/4
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005・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御質問の四十一年度の牛肉輸入の数量の見込みでございますが、需給の関係から私ども推算をいたします限りでは、大体四十一年度の牛肉の需給関係を調整するための必要な数量は二万トンないし三万トン程度というふうに推算をするのであります。ただ、かねて申し上げておりますように、海外の牛肉輸出の余力というものもそう大きくないという事情もございますので、海外事情を考慮して考える必要があるというふうに思っておりますので、当面四十一年度の輸入の量はおおむね二万トン程度というふうに考えておるのでございます。で、そのうち約一万トン程度は畜産振興事業団に需給の調整上どうしても持たせる必要があるというふうに考えておりますので、まず事業団が一万トン程度のものを需給操作用として握る。過去におきまして民間輸入が五、六千トンないし一万トンという経験がございますので、民間輸入のワクはおおむね従来の実績の範囲内にとどめてまいりたい。輸入ワクをさらに増大する必要がある、また増大させることが可能であるということになりますれば、増大の量はすべて事業団で調整用に扱わせるようにいたしたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/5
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006・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 どうもいまの答弁では非常にあいまいに受け取れるのですが、従来の既存の業者がやっていたその実績が五、六千トンないし一万トン、そういう実績の範囲ということだが、それは五千トンでも実績というふうにもとれるし、一万トンでも実績というふうにとれる。一体どっちを既存の実績として考えているのかということですね。この問題の前に、いま中村委員も指摘したように、非自由化品目である牛肉の輸入ということ、そういうものが果たす役割りというのは、当然そのことによって、輸入した場合に、国内価格にかなりの影響を与えて消費者価格の高騰を規制するという意図があるはずであるのに、従来の実績と称する流通の機能の中にはそういう経過が反映してない。野放図である、極端に言えば。そういう実態の中に需給調整という大きな国家的機能を果たさんとするこの問題の中に、私はこれこそ政府の勇断をもって、いろいろの経過もあるでしょうが、やらせるならば畜産振興事業団一本でやらせて、これは何ら理論的にも実際的にも、またその果たす政策効果から言っても異論のないところではないか。これは単にわれわれは野党の立場とかそういうことではなしに、いままで慎重に審議をした経過の中で、これは全体の総意として、この委員会の審議に反映しているはずです。それをくつがえすに足るだけの理由は非常に薄弱である。日食協の機能というものは、いまも中村委員が指摘したように、格づけの機能とか、そういうものに大きなウエートを持って発足したものであるにもかかわらず、非常によけいな仕事が実は主流をなしている。こういう従来の経過というものをやはり断ち切って、そういう大きな国内の牛肉の不足に対応するために畜産振興事業団にやらせるという立場をとる、この段階においては何としてもこの事業団に一元化して、私たちは事業団こそが最も適当な機関であると理解するがゆえに、この畜産振興事業団に一元化させて何ら不都合はないのではないか。こういうことについても、御答弁ははなはだ納得できないのですが、どうなんでしょうか。基本的なそういう問題と、従来の実績を一体何トンで押える気なのか、かりに政府の構想どおり、従来の商権をこの際前提としてやらせるというなら、五千トンを限度にするのか、何トンを一体押えて、それを上回るものは全部振興事業団にやらせるのか、その辺は一体どこにあるのか、基本的な点と、そういう、これから二元でやらせる、二元でまた国内に配給するという場合に、一体どこに一つの線を引いて二元の運営をやらせようとするのか。その二元の上に立って政府はどうそれを客観的に、またより高い次元でその機能を総合的に発揮させようとするのか、その辺はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/6
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007・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) まず、なぜ二元輸入を考えるかという御質問でございますが、この点については、先ほど農林大臣からもお答えがあったところでございますが、純然たる牛肉の需給調整という点を強調いたしますと、渡辺委員から御意見もございましたように、一元輸入ではだめなんだという理由は私はないと思います。ただ、大臣のお答えのございましたように、一つの制度がねらっております制度上の効果というものを確保し得る限度に、自由な民間活動というものに干渉といいますか、規制をいたし、関与をするということを最小限の限度にとどめるという考え方を経済一般の運営のルールとして認めている、そういう面から考えますと、およそ民間輸入というものを認めないということの論理が出てまいらないのでございます。で、政府内部にもいろいろ議論はあったのでございますが、一般的に現在通商貿易の原則は自由な民間輸入による取引というものを前提に組み立てられておりますので、わが国の牛肉の特殊な需給事情のもとで、需給調整上政府機関である畜産振興事業団が需給調整のために輸入牛肉の取り扱いをする必要があるということであれば、その取り扱いの必要のある数量の限度でとどめるべきではないかという結論に相なったわけでございます。この点はいわば需給調整上の制度としての要求と、それから通商貿易上の民間の自由な活動を原則とするという立場との調和の問題として結論を得たわけでございます。でございますので、私ども民間輸入の二元実施ということから、将来において運営上価格の安定なり、あるいは需給の調整について問題があるということでございますれば、申し上げるまでもなく非自由化物資でございますので、外貨の割り当ての方法によってこれは実際上調整が可能なわけでございます。
〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
次に、当面の民間輸入にゆだねる数量の限度でございますが、限度という言い方からすれば、私は、過去といいましても昭和四十年度の民間輸入の数量、一万トンを限度とする。ただ、一万トンが、必ず民間輸入にゆだねるという言い方が私としてはこの席では妥当でないというふうに思いますので、過去において通常年の輸入実績が大体五、六千トン程度が恒常的に輸入されておりましたので、それを下限とし、一万トンを上限とする範囲内で民間輸入の量を、具体的に輸入総ワクを決定いたします際に考えてまいりたい、そういうふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/7
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008・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 もう一つ。
従来の実績の上に検討するというのですが、それはまあ検討するで、一つの腹案があると思うのですが、こういう際に発言ができなければ、むりにこれは答弁を求めるのもいかがかと思います。ただいま局長の答弁の中に、需給調整という機能と通商民間貿易という機能を尊重するという二つの要素から二元ということを考えるという意味のお話なんですけれども、それならば通商上そういう民間の取り扱いというものも従来の実績に徴して尊重するというたてまえからいきますならば、従来輸入業者は九十何社であったものが十七社になっておる。そういう商社を規制すること自体がいまの局長の答弁とはまた違うのじゃないか。そういうワクはそれではさらに拡大して、そういう通商上の商社の機能というものを一そう発揮させるような構想でもあるのか、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/8
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009・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 民間輸入を認めております際に、外貨の割り当て、輸入許可を与えます扱い商社をどうするかという問題は、ひとり牛肉の場合だけの問題でなく常に問題とされるところでありますが、自由な貿易活動ということを徹底をいたしますればおよそ希望のあるものにはすべて輸入を認めるというようなことに相なろうかと思いますが、実際問題としてそれは非常な弊害を生むわけでございます。ことに牛肉につきましては先ほど来も申し上げておりますように、輸出総数におきましていわば自由な買い付けが常にできるというような条件ではございませんし、また輸出先も限定をされた地域でございます。でございますので、日本の貿易上の利益という観点からいたしますと、過当な買い付け競争が行なわれますことは非常に好ましくないのでございます。また、特殊な商品でもございますので、輸入についての経験といいますか、そういうことも必要とされるわけでございます。過去におきましては、実は九十社にのぼる輸入商社が輸入をいたしたことがあるのでございまして、昭和三十二年でございましたか、牛肉が自由化をされまして、その際一挙に二万五千トンの牛肉をわが国に輸入をするということで、再び国内の肉牛の生産流通に支障があるということで非自由化物資に戻したのでございます。その際、九十何社というようなものがわずかの牛肉を扱うことについては問題でございますので、これを一定の扱い実績の水準で線を引きましたり、あるいは自発的に輸入を取りやめるとか、あるいは実績を持ち寄りまして代表商社的なものが割り当てを受けるというような整理を進めまして、現在の十七社に相なっておるわけでございます。私は今後牛肉の輸入の数量がふえていくというようなことに相なりますれば、現在の十七社で十分であるかどうかということは検討を要すると思いますけれども、無制限に商社の数を増大することは適切ではない、そのことはむしろ国益に反するというふうに考えておりますので、事態に即しまして輸入商社をどういうふうに取り上げていくかということを慎重に検討をしてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/9
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010・中村波男
○中村波男君 提案説明で、前段に、牛肉需給の逼迫と価格の高騰は国民の食生活に重要な影響を与えるという、こういう前提に立ちまして、そして、「国際市場の動向に即応した牛肉輸入の計画的実施をはかるとともに、牛肉輸入の増加が国内生産の維持拡大に悪影響を及ぼさないよう、国内需給の動向に十分配慮しつつ、輸入牛肉の国内放出を行なうことが必要となってまいりますが」と、こうあって、この一連の業務を畜産振興事業団に行なわせるんだと、こういうことが書いてあるわけです。したがって、この説明なり構文から見ると、一元輸入のような書き方がなされておるわけであります。そこで、畜産局長は、民間企業の活動を規制することは自由経済の中で避けるべきだ、そのことは私もわかります。しかし、いま申し上げました目的を達成するために畜産振興事業団に輸入をやらせるんだ、こういうことが法案の改正の趣旨だと思うわけでありますが、いまおっしゃるように、いままでの、まあわずかであったと言えば言えるかもわかりませんが、一万トンの輸入をいわゆる日食協にやらせてきて、その弊害がなかったならばなにも今度こういう法案を出して改正する必要がないんじゃないか。したがって、そのことは、弊害があるから畜産事業団にやらせなきゃならないと。
そこで、もう一つお聞きしたいのは、いま局長の御説明だと、大体五千トンを下限にして一万トンを上限にして今後考えていくんだという話でありますが、ついででありますからはっきり確認をしておきたいと思いますのは、四月十二日の委員会では局長はこういうふうに答弁をしておられる。「輸入量は二万トンは少なくとも必要である。あるいは三万トン、二万トンないし三万トンというふうな数字になるのではないかというふうに考えております」、私の質問にこう答えておる。きょうは、大体四十一年度は二万トンだというふうにさっき御答弁があったと思うのでありますが、ひとつ、もう四十一年といいましてもすでに五月が終わろうとしておるのでありますから、はっきりとして、ことしの輸入計画は二万トンだ、二万五千トンだというものがあると思いますので、この際はっきりしてもらいたいということと、それから渡辺先輩の関連質問に関連いたしまして、下限に五千トンにし上限を一万トンにするというような、そういう方針の中でこれを審議することは私はどうかと思うんです。したがって、これは日食協に、従来の実績——まあ程度というような抽象的なことでなしに、どれだけは日食協にやらせるんだ、その残余は畜産振興事業団にやらせるんだ、あるいは全体の中の何割は大体日食協にやらせるんだというような方針を明らかにするべきじゃないか、そうならぬと法案の審議というものが具体的になってこないんじゃないかというふうに私思うわけです。その点、まず御答弁をいただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/10
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011・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) まず本年度の牛肉輸入の数量でございますが、先ほども申し上げましたように、私ども需給の推算上は二万トンないし三万トン程度の輸入を必要とするというふうに考えられる。ただ海外の事情等を考えますと、外貨輸入の予定数量が海外の市況、市場の模様に対して過大な数量を開きますと、これまたいろいろな害が起きるわけでございますので、それらを勘案をいたしますと、今年度の輸入量は二万トン程度、二万トンとして考えてまいりたいというふうに思っております。
それから民間輸入のワクでございますが、これは私どもの実は輸入の実際に計画をいたします場合に、たとえば主として加工向けに適するような質のものがどの程度入るだろうかというようなことを民間輸入のワクを考えます場合に考慮しなければならないのでございます。で、公開の席で、民間輸入のワクをこういうことにしたいと、はっきりした数字をここで言うのは、私はどうも適当でないというふうに考えますので、従来の最高実績が一万トンであるからそれをこすような割り当てをする考えはない。また最小のといいますか、通常年の輸入額が五、六千トン程度でずっと推移をいたしてまいりましたので、それを割るような数字は考えていないということでございますので、今日この席で何トンを民間輸入するかということを明らかにする点だけはお許しをいただきたいというふうに考えるのでございます。
で、なお提案理由等におきまして、一元輸入を行なうかのごとき表現がございますれば、それは私どもの表現のまずさでございまして、この制度自体明らかに、民間輸入も認めつつ、全体としての牛肉の需給調整の機能を果たすために、畜産振興事業団に輸入牛肉の買い入れ、売り渡しのできる機能を付与する、またそれに伴った各種の制度を整備しようとするものでございますので、その点はお断わりを申し上げておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/11
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012・中村波男
○中村波男君 いまの御答弁、まだ納得いきませんが、現実に日食協が今日までとってまいりました業務について御質問をいたしまして、その中からひとつ、日食協と、あるいは一元輸入、二元輸入の問題について御意見をさらにお伺いしたいというふうに思うわけでございます。私は今日までの牛肉輸入の実態というのが、なるほど牛肉が不足いたしまして、輸入しなければ需要に大きく離れたものであったということからの一つの輸入というものがあったと思いますし、さっきも述べましたように、異常な高騰を押えるという意味で輸入というものの役割りがあったと思うわけでありますが、そこで、今日まで輸入されておりました肉の主流はブリスケット、胸肉でありまして、これは多少輸入価格の変動はあったと思うのでありますが、私が調べたところによりますと、約二百二十円で沖合い価格で入ったものが、商社の手を離れるときには三百二十円、さらに最近になりますと、サルモネラ菌負担金等や輸入差益金が積み立てられまして、食肉市場で取引をされるときには三百六十円、それを小売り店が仕入れまして、小売り店の仕入れ価格というのは五百二十円ぐらい、したがって、末端の消費者の食卓にのぼるときには六百五十円ぐらいになっておったのじゃないかというふうに思うわけであります。これは畜産局としても実態調査がなされておらないようでありますから、実際の小売り価格を掌握されておらないのは遺憾でありますが、また語るに落ちるでありまして、先般局長は、輸入牛肉として売られるのは全くまれだというか少ないのじゃないか、国内の牛肉にまぜてこれが売られておる、まぜて売られておるということは、外国の肉が入っているからそれだけ単価が下げて売られておるかというと、そうではなかったのではないか、したがって、七百円、八百円、九百円という肉の中に、安い外国輸入肉が入っておったということになるならば、小売り店等の利益というものは膨大なものになるであろうと思いまするけれども、いわゆる価格を抑制するという役割りというのは大きく果たしておらないのじゃないか、こういうふうに考えるわけであります。したがって、先般要求いたしました資料の中で、いわゆる「輸入牛肉の流通経路図」をいただきまして、大体内容はわかるわけでありますが、私、いま指摘したような具体的に金額であらわしますと、そういう結果になっておったのじゃないかということについて、畜産局としての御調査もあろうと思いますので、そういうことにはなっておらぬのだということになるならば、あらためてひとつ資料を御提出いただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/12
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013・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) ブリスケットの輸入価格につきましては、これは最近の傾向といたしまして、大体CIFで二百四、五十円にいまはなっておるはずでございます。
〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
四十年の下期の平均のCIF価格は二百五十四円ということでございます。これに海上保険料が〇・五五三%、関税が二五%、銀行諸掛かりが一・二五%、金利が〇・九一九%、枝肉の通関諸掛かりが枝肉ではキログラム当たり十三円三銭、精肉では八円三十三銭というようなものが加算をされてまいりまして、結局商社の売り渡し価格が三百三十五円というような数字になっておるわけでございます。それにさらに約八十円の輸入差益を加えまして、四百六十円前後の価格に相なっておるのでございます。で、この諸経費についてはもう避けがたい性質のものであって、また輸入牛肉を中央卸売り市場で公開のせりで販売をいたしました場合には、需給の関係を反映する適正な価格が形成されるのでございまして、その価格形成の水準はただいま申し上げたような水準に相なるわけでございます。これが末端へ参りましてどうなっておるかということは、先生も御指摘のように、私ども追跡をいたしておりません。またそれを追跡することはほとんど不可能でございます。で、事実、一万トン程度のものが一部は加工用に回り、一部が精肉として末端の消費者に渡るわけでございますが、全国といいますか、全国一円ではございませんが、大消費地域において末端小売り店までいきますと、一店舗当たりの外国輸入牛肉の数量はわずかなものに相なりまして、結局語るに落ちたという御指摘でございますが、輸入牛肉だけで売っておる例はほとんどないということで、国産牛肉とまぜて売っておるというのが実際の姿でございます。で、これは輸入牛肉が国内価格の高騰抑制になりますのは、私はやっぱり数量的調整を通して初めてできることでございまして、輸入価格、輸入牛肉についての価格規制というようなことは事実上できるものでもございませんし、また輸入牛肉にのみ価格規制をするというのも実効が伴わない問題であろうというふうに思うのでございます。で、要は、需給の関係から不足とされる数量を、適時適切に市場に出していくということが価格の異常な高騰を抑圧するのに効果があるのであるというふうに思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/13
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014・中村波男
○中村波男君 ちょっといま局長の答弁で、さらにお尋ねをしなきゃならぬと思いますのは、実際問題として価格の抑制なり規制なりは輸入牛肉でできないのだ、こういう御答弁でございます。そこで、先般の委員会で温水議員が御指摘になりまして、今後輸入牛肉については表示等をさせて、そうしてそういうことのないように考えたいという御答弁があったんでありますが、いまのお話でありますと実際は不可能なんだ、そういうことになるといたしますならば、先般の御答弁というのは場当たりの御答弁であったのかどうか、その点まず明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/14
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015・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) ただいま私がお答えいたしましたのは、過去五千トンなり一万トン程度の輸入で、しかも一定量だけは加工用に回った残りのものが精肉に出回るという形では、実際問題として、輸入牛肉のみの販売ということはあり得なかったということを申し上げたのでございます。今後輸入牛肉の数量がふえてまいりまして、一店舗において輸入牛肉のみを販売し得るような数量に相なる、あるいはそういう扱いをし得る店舗が出る、たとえばスーパーマーケットでありますとか、あるいはデパートでありますとか、そういうところにおきまして、私ども指導として、輸入牛肉の表示をした上で販売をさせるということも指導をしたいという考えは持っておるのでございます。今後の問題としては、先日お答えをしましたようなことを考えてまいりたいというふうに思っておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/15
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016・中村波男
○中村波男君 いままではまあ数量が少なかったからやむを得なかった、今度は二万トンになるから、肉がふえるからそういう措置をとりたいし、規制もできるのじゃないかというのはおかしいと思うのです。大体二万トン輸入されましても、全体の食肉需要からいうならば、一割に満たないような数量で、二万トンにふえるということは、おそらく加工用に回される分もふやされる計画があるんじゃないかと思うのでありますが、そういうことからいえば、全体の量からいえば一万トンが二万トンにふえるということでありまして、したがって、今度ふえるからやれるが、少ないからやれなかったということにはならないのであって、いままでおやりにならなかったことを責めてもせんないことでありますが、今後二万トンを輸入をするということを契機に、また畜産振興事業団が輸入するということを契機にして、やはりもう少し輸入牛肉が安く入るのでありますから、それがいわゆる中間経由の増高という形において、消費者がまずい肉を高く買わわばならぬというような流通過程というものを改善するために、真剣な対策というものを立てていただかなきゃなりませんし、そういう面の配慮というものがないと、先般の温水議員の御指摘になったように、日本の牛肉はまずいんだということで嗜好的な減退というものを来たしまして、したがって、間接的に国内の肉牛生産に悪い影響を与えるということを、私は憂慮するのであります。そういう点はひとつ十分御配慮をいただきたいと思いますし、本来ならばこの法案を提案される前にそういう対策がやはり検討されて、提案をされてしかるべきじゃないかというふうに私は思うわけであります。
そこで、差益金の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、最初はまあキロ十円差益金が積み立てられておったんじゃないかと思うのであります。四十年度の上半期から十五円、そしてまあ追加輸入では二十円、たしか私は緊急輸入分から八十円になったと思うのでありますが、その八十円も、日食協が五十円、需要者団体が三十円、あわせて八十円だというふうに承知をしておるのでありますが、そこで差益金というのは、いわゆる商社から日食協が受け入れまして、それを今度はいわゆるせりなり相対取引なりいたしまして、その価格との差を積むのが差益金だというふうに考えたわけであります。そうでしょうな。そうなりますと、八十円にふやしたんだということで、盛んにまあ宣伝をされまするけれども、当然高く売れておるのでありますから、差益金というものはふえるのは普通なことでありまして、行政措置としてりっぱだというふうに私は考えないわけでございます。そこで、差益金を八十円にするとか、あるいは五十円にするとか、百円にするとかいうことを、どこで押さえていかれるのか、そういう点をひとつ具体的に説明をしていただきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/16
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017・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 差益金を八十円にいたしましたのは、これはもともと何らの措置を講じませんならば、商社渡しの価格と市場流通の価格との間に大きな利益が生じまして、それが流通のどこかの段階に吸収されてしまう、必らずしも消費者の利益につながらないという危険を配慮をいたしまして、自主的に差益の積み立てをするということにいたしておりますたてまえから、現実にはどういう計算でどうなったということよりも、結果として業者の話し合いによって、業界の話し合いによってきまったものであるというふうに御理解をいただきたいのであります。ただ、適当な差益額を積み立てるということでございませんとその趣旨が一貫いたしませんので、私どもその差益額が適切であるかどうかという検討並びにその指導には当たったのであります。で、私ども大体八十円が適当であろうというふうに考えましたのは、国内における芝浦屠場の当時の建値が約四百九十六円であったのでございます。これに対しまして、輸入牛肉は冷凍品でございますので、冷凍の格差が五%程度、それから輸入牛肉の品質上の格差が取引上約三%程度というふうに考えられておりますので、合計品質格差が八%で、それを前提といたしまして、輸入牛肉の、当時のCIF価格は二百四十七円七十一銭ということでございまして、これに商社の諸掛かりを加えますと三百六十九円五十九銭という数字が出るわけでございます。そこで、四百九十六円という芝浦の屠場の建値も常に一定をしているわけではございませんで、変動幅があるわけでございます。そういう変動を八%見込みまして、四百九十六円に九二%をかけるということにいたしますと四百五十七円という数字になるわけでございます。失礼しました。ただいまの九二%は、先ほど申し上げました品質格差を考慮いたしました九二%でございまして、これをかけますと四百五十七円十銭、それから先ほど申し上げました輸入牛肉のコスト三百六十九円六十銭を引きますと八十七円五十銭という数字が出るわけでございます。八十七円五十銭という数字が出ますが、これは先ほどちょっと触れました建値の変動幅がございますので、七円五十銭程度の変動幅は考慮をする必要があるということを考えまして、八十円という差益積み立てがほぼ妥当な数字であろうということで了承いたしたのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/17
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018・中村波男
○中村波男君 よくわかりました。その限りにおいては妥当だと思うのでありますが、原則的にはいわゆる商社から売り渡された価格と市場価格との差というものを、これはすでに価格というものは多少の変動があると思いますので、その差益というものを全額積むというのを原則として今後も運営をされるべきであろう、それがほんとうの差益ではないかというふうにも思うわけでありますが、そういう点はどうなんですか。一定期間画一的に金額をきめてやる、まあ七円何ぼのいわゆる幅が持たしてありますから、安くなってもそれで埋めていくんだという考え方だと思うんでありますが、そうではなしに、差益というのは全くの差益全額を積んでいくということが、運用上も簡単でありますし、それが正しいんじゃないか。牛肉輸入という本来の機能からいっても、性質からいってもそうさせるべきじゃないか。その使い方についてはまた意見を申し上げますが、そういうことはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/18
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019・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 実は四十年下期の差益の額キロ当たり八十円というのも、大宮市場で輸入牛肉を公開のせりに付しました際の差額もほぼ——日によって違うわけでありますが、ほぼそういう水準であります。今後私ども、ただいま申し上げましたような国内牛肉との対比の関係で計算をして検証するという方向と、それから中央卸売り市場におけるせり価格というものとの差額というものを勘案してきめてまいりたい。これは価格の実勢に基づいてきめませんと、およそ輸入牛肉については今後もキログラム当たり八十円であるというような固定的な考え方をとるわけにはまいらないというふうに考えているのでありまして、実質的に中間段階のマージンとして吸収されるべきではない、また、それが消費者段階につながる性質を持たないというような差益は引き続き積み立てをさせて、これを公共的な目的に使用するように指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/19
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020・中村波男
○中村波男君 そこで、日食協が差益金をずっと長く積んでこられたのでありますが、この何といいますか、運用ですね、どういうふうにいまなっておるかというのをひとつ御報告いただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/20
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021・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のように、輸入牛肉の調整積み立て金は昭和三十六年度の下期からこの措置をとってまいったのでございますが、この措置をとるにあたりましては政府内部でもいろいろ検討いたしたのでございますが、元来の性質から申しますと、この差益というのはいわゆる何びとかの所得に属するものでございます。ところが、この差益を積み立てるということになれば、特定の団体なり特定の個人の利益、所得という観念を持たせることは適当でないということで、公的な使途に充てるために積み立てる性質の金であるということで、税法上もこの金額については収益、利益として計上しないということを認められたのでございます。そういう特殊の性格を持たしておりますので、この積み立て金は食肉の輸入、流通、消費等の改善、価格の安定等に寄与する公的な出費に充てるという使途を制限をいたしまして、そうしてこの金を使用いたしますについては、畜産局長の承認を受けてはじめて使用ができるということに制限を加えてまいっているのでございます。そういう意味で、私どももこの金の使途については厳重に監督をしてまいっておるつもりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/21
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022・中村波男
○中村波男君 いや、厳重に監督をやっていることについては疑っておりませんが、いまおっしゃったように、昭和三十六年から積み立ててきて相当な額にのぼっておると思うのでありますが、積みっぱなしにはなっておらないようにも聞いておるわけでありますが、その具体的な数字を御報告いただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/22
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023・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 調整積み立て金の金額は、三十六年度の下期がキログラム当たり三十五円でございまして、数量が四千五百トン、したがいまして、積み立てられた額は約一億五千五百万円でございます。次に、三十七年度の下期にキログラム当たり三十円で、数量三千トン、この際の積み立て額は、多少これは実際の実行ででこぼくが出るのでございますが、約九千五百万円でございます。三十八年度の下期が単価三十円、数量三千五百トンで約一億三千万円であります。これは一部まだ未整理の部分がございます。それから四十年度下期は現在積み立て実行中でございまして、単価八十円で二千五百トンということで約二億円を予定をいたしております。これはまだ数量、金額が確定をいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/23
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024・中村波男
○中村波男君 三十九年はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/24
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025・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 三十九年の上期から関税を一五%引き上げまして二五%にしたということで、三十九年上期は徴収をいたしておりません。積み立てをいたしておりません。なお、三十九年の下期も日食協には積み立てをいたしませんで、当時輸入豚肉の処理のためにかなり大きな欠損が輸入受注者団体に出ることに相なりましたために、自主的にその欠損の一部を補てんするために、業界内部で差益による利害調整をはかったということはあるようでございますが、日食協との関係では積み立てをいたしておりません。
次に、調整積み立て金のおもな使途別の金額でございますが、昭和三十六年度分のうち、約一億五千百万円が畜産振興事業団に納付をいたしまして、残余はこの日食協の事務経費に充当をいたしております。この一億五千一百万円という金は、これは後に畜産振興事業団がさらに政府からの交付金一億を加えまして、日食協の食肉の規格による取引を進めるための格付事業の基金として出資をいたしたのでございます。それから三十七年度分につきましては、三十八年度上期に輸入いたしました豚肉千五百六十六トンの価格差補てんに約六千五百万円を使い、三十八年度下期の輸入豚肉三千六百七十七トンの保管経費として九百五十万円、それから食肉格付体制の整備普及の事業の関係で約六百万円、それから食肉販売業の経営技術講習会の開催経費として約二百三十万円、食肉の海外事情調査団の派遣経費として約四百二十万円を使っております。三十八年度分は、三十八年度下期に輸入をいたしました豚肉三千六百七十七トンの保管経費等として約一億円、食肉の小売り品質基準の検討作定、消費宣伝等の経費といたしまして約九百三十八万円、食肉の格付事業に約七百十万円、食肉の流通事情調査経費として四百七十八万円を使用をいたしておりますが、なお、この中にはまだ現実の支出を終えていない使用予定のものも含まれております。四十年度分は現在まだ積み立て中でございまして、決定をいたしておらないわけでございますが、先ほど中村先生もお触れになりましたように、八十円のうち五十円の部分は、これは日食協としての事業に充当するというつもりで積み立てをさしておりまして、そのうち八千百万円は外国種牛の導入事業に使いたい。また、食肉の流通合理化のための調査、それから格づけ事業等に要する経費に二千五百五十万円程度を使いたい。それから先ほどから出てまいります三十八年度の下期は、輸入豚肉の価格差補てんで、まだ未完了部分一千九百万円が残っておりますので、これを清算をいたしたいというふうに考えております。あと三十円部分につきましては、今回全国の食肉販売業者の全国連合会、中小企業の全国連合会が結成されました事情も考えまして、それぞれ元請団体に還元をいたしまして、当該団体の設立目的に即した公共的事業に使用されたい。たとえば最近非常に食肉販売のための技術者といいますか、技能者の不足がはなはだしいのでございますので、そういうものの技術講習等の事業をさせたいというふうに考えておるのでござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/25
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026・中村波男
○中村波男君 大体内容は詳細に御報告いただきまして知ることができたのでありますが、今後この差益金というのをどういうふうに指導、監督をしていかれるのかということでありますが、関連いたしまして、畜産振興事業団も、もちろん差益金というものを積み立てるということになっておりますが、それは一部は赤字補てん等に備えて積み立てさして、あとは畜産振興のために使うということでありますが、そこでこの差益金は、日食協がやってきたように、畜産事業団についても、豚と牛とどんぶり勘定にして運用されるのか。牛は牛として差益金というものは運用されるのか、この点ひとつ明らかにしていただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/26
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027・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 法案の中でも明らかにいたしておりますように、畜産振興事業団が輸入牛肉を取り扱いました場合に、通常の状態のもとでは差益金が出ることが予想されるわけでございます。でございますので、輸入牛肉の取り扱いに関しましては、特別の勘定を設けまして、発生しました益金のうち二〇%程度は将来の損失補てんの準備金として積み立てる。あとの八〇%程度は、これは肉牛の生産増強対策等の助成の資金として使用することができるということにいたしておるのでございます。で、豚肉につきましては、これは勘定が別でございまして、一般勘定の中で経理をいたしますので、牛肉の差益と、豚肉の買い入れ、売り渡しに関する経理とはどんぶり勘定ではございません。別途に経理することにいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/27
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028・川村清一
○川村清一君 ただいまの御答弁について、関連して私からお尋ねしたいのですが、ただいまの中村委員の御質問に対する局長の御答弁を、先日いただいたこの資料の中にあるわけですが、そのうちの一〇ページに、差益金の積立金勘定細目という資料があります。これは三十八年からの予算、決算のあれが出ておりまして三十六年、三十七年はないわけでございますので、いずれ三十六年、三十七年、これはただいま御答弁がありましたので、その分につきましてはあとで資料として提出していただきたいと思うわけであります。私のわからないのは、三十八年につきましては、ただいま御答弁ありましたとおりこの資料の中にあるわけです。三十九年度につきましては予算も決算も何もない。空欄になっておるわけです。そして四十年度に至りましては、一応予算は、概算でありますが、ある。決算はない。ないわけは、これはいいんですが、私のふに落ちないのは、三十九年度分につきましては予算も空欄である。四十年度分につきましては予算のほうは書いてある。そこで、積み立て金勘定につきましては、予算というのは、一体いつ立てるのかという問題ですね。これは普通常識で言うと、年間のやはり収入というものを見積もって、その年間に行なう事業予算というものを立ててあると思う。しかしながらその事業予算どおり収入が行なわれなければ、予算は当然そこで更正されなければならないわけでありますが、四十年度においては、予算は概算ながらあるわけです。三十九年度につきましては予算も全然ないわけです。これは一体どういうことになっておるのか、その点明らかにしていただきたいわけであります。
それから三十六年度、三十七年度はございませんけれども、御答弁によれば、その収入の分につきましては全部支出したように受け取られる。それは三十八年度分の決算を見ましても、この収入の部の一億二千八百八十四万円というものは、そのまま支出の部において一億二千八百八十四万円と出ておりますので、ここでは残額がない。収支ぴたりということになっておるわけです。そうしますと一体これは予算と決算との関係でどういうことになるのか、三十九年度は全然ないのはどういうわけなのか。この点をひとつ明らかにしていただかなければ、ただいまの局長の答弁は納得できないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/28
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029・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) まず三十九年度割り当て分が空欄になっておりますのは、先ほどお答えの中でも触れましたように、三十八年度までは牛肉の輸入関税は一〇%だったのでございます。当時の海外市況それから国内市況を考えますと、この低関税のために起こる差益というものを、こういう形で積み立てるということは必ずしも適当でない。
将来日本国内における肉牛生産の立場を考え、また国際的な関税率等を考慮いたしますと、一〇%は低関税に過ぎるということで、まあ政府の中では相当議論もあったのでございますが、関税率を変更いたしまして、当時の価格差相当分の一五%を関税率を変更して上げたのであります。二五%とした。したがって、私どもとしても、また実際の市況としても、関税率変更のために、差益の発生は考えられないという事情になりましたので、差益の積み立てを予定をしなかった。ただ、下期において若干国内市況が堅調になりました関係で、業界内部で輸入豚肉の欠損のための利害調整のために、若干の拠出をしたという事実があるようでございます。したがって、日食協については、三十九年度割り当て分については、積み立てば行なわれなかったということでございます。
それから各年度の予算決算の関係でございますが、予算を組みますのは、牛肉の割り当てを終えまして、そうして海外市況というものがほぼ確実になり、国内における市況もほぼ見通しがつくという段階において、何年度の割り当て分についてはどれだけの差益を積み立てるということをきめまして、予算として計上をすることにいたしております。で、普通の事業予算と異なりますのは、外貨の割り当てについては十カ月の余裕があるわけでございます。したがいまして、通常予算、決算の締め切りをいたします会計年度とは非常にズレた期間に相なりますので、この関係は特別の勘定を設けさしておりますので、年度勘定ではなく、何年度割り当て分の勘定という予算もしくは決算ということで整理をいたしておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/29
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030・川村清一
○川村清一君 もう一つ。そうしますと、私はいただいた資料に基づいてお話をしているのですが、この「社団法人日本食肉協議会の概要」というところに、食肉協の「事業内容」というのが1から8まであるわけですね。「食肉の格付に関する事業」であるとか、「食肉格付員の養成に関する事業」であるとか、こういう事業があるわけです。この事業は何によって行なうかといえば、要すれば、その差益金と積み立てだ、このことによって事業を行なっておるのではないかと、私はそう判断をするわけであります。と申しますのは、この昭和三十八年の支出の部を見ますというと、そういう事業費が決算のところに出ておるわけです。そこで、ただいまの局長の御答弁によりますと、三十九年度分は、三十八年度に比して関税を一五%引き上げた、二五%に上げた、したがって、差益金はないだろう、こういうようなことに相なった、結局この三十九年度の予算、私は予算の金額を言うよりもその事業を言っているのであって、そうしますと、もう差益金はないだろうという、そういう見通しに立ったとするならば、その時点において、すなわち昭和三十九年度においては、すでにこの事業ができないということになるのではないのですか。そうしますと、この事業がもはや差益金がちょっと見通しが立たないので、事業が相当できない、後退するということになれば、その時点において食肉協というこの組織のいわゆる存在価値が、こういう事業ができないのですから、存在価値がなくなったのではないか、三十九年度の時点において、存在価値がなくなったのではないか、この事業ができないのですから。こういうことになるのではないですか。この食肉協の定款に書かれておるこの事業は、何を財源にしてこの事業をなされるのですか。この設立の、このいわゆる目的といいますか、設立の当時においてこういう事業をするのだ、この事業は何を財源にして一体この事業をやるのだという、どういう計画でこの食肉協というものが設立されたのか、その点を明らかにしてもらわなければならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/30
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031・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この日食協自体の財務の関係におきましては、一般勘定とそれから枝肉の格付事業をいたします格付資金勘定と、それから積み立て金勘定と三つの勘定があるわけでございます。ただいま御質問がございましたのは、積み立て金勘定に関する部分でございまして、一般の事業を実施いたしますためには、一般勘定におきまして、それぞれ予算を組み、また決算もその中で処理をいたしておるのでございますが、この協議会が社団でございまして、社団の構成員からの会費、拠出金によって運営をするというたてまえにいたしておるのであります。かりに積立金勘定において、当該年度に収支ゼロというような事態でございましても、協議会自身の運営はそれ自身として全く不可能になるということではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/31
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032・川村清一
○川村清一君 はなはだ関連で恐縮なんですが、どうもふに落ちないので、あらためてまたもう一回聞かしていただきますが、私はいまの局長の御答弁は全部承知してお尋ねしているつもりなんです。この勘定はちゃんと資料にあって、一般勘定細目それから格付基金勘定細目、それからこの積立金勘定細目と、この三つの勘定がありまして、これを三つ私読んで、それを理解した上に立ってお尋ねをしているつもりなんです。もちろん一般勘定のところにも、あるいは格付基金勘定のところにもありますが、これは言わしていただけば、おもに人件費とか事務費なんですね、見ますというと。そうじゃないですか、一般勘定なんか見ましても、支出の部は人件費、事務費、事業費としまして食肉流通調査三百六十万、決算で三百八十四万、それから会議費でもって六十二万、それから試験研究でもって七万七千、全く事業と言えない。いわゆる人件費と事務費ですね、一般勘定のほうは。それから格付基金勘定のほうを見ましても、支出のほうを見ますというと、事務人件費、それから事務費、事業費といたしましてもこれは人件費、事務費、会議費、旅費、普及推進費でございますね。これはやっぱり事務費じゃございませんか。そうしますと、この定款に書かれておる事業なるものの財源というものは積立金勘定、この積立金勘定のところの決算を見ますというと、三十八年度におきましては、支出の部で、食肉格付基金であるとか、輸入豚肉価格差補てんであるとか、それから保管の補助であるとか、食肉格付事業、食肉規格設定事業、食肉流通改善調査、消費増進対策、肉畜食肉振興対策、海外食肉事情調査、技術経営講習会費、その他調査研究費、一般事務費、肉牛生産対策と、こういうふうなところがありまして、この総計が一億二千八百八十四万という支出がなされておるわけであります。これを見て、結局組織の、定款できめられておる事業をなすところのその財源というものは、おもにこの積立金勘定から出ておると私は了解したわけです、これを見て。そうしますと、三十九年度において関税を二五%に引き上げたためにもはや差益金の見通しは立たないのだ、したがって、予算、決算額は空欄になっておるのだということでありますれば、その三十九年度の時点において、すでにこの日食協というものの存在価値はなくなったんじゃないか、ただ事務をやっておる人に人件費と事務費を出すというだけであって、事業はちっともやらない団体になってしまったんではないか、こう私は理解せざるを得ないのです。ですから、この時点においてこの組織の存在価値はなくなったんではないか。ですから、こういう観点に立って考えてみれば、いま中村委員が指摘されておりますように、いまのこの牛肉の輸入というものは、もはや何も日食協を助けるようなこういうために割り当て量の約半分を扱わせるよりも、畜産事業団といういわゆる法律できめられたきちっとした、いわゆる国の、何と言いますか、手の入れるそういう機関があるわけでございますから、そういう機関に一元的に扱わせることが、ほんとうにいまこの法案を出されておる政府当局の意に沿ういわゆる行政が行なわれるのではないかというふうに結びつくわけでございまして、恐縮でございますがもう一度わかるようにお話をしていただきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/32
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033・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のように、三十八年度におきましては積立金勘定から、先ほどお答え申し上げましたように、公的な、公益的な事業というものにこの積み立て金を使用するという性格を持たせておりますので、それぞれこの資料にございますような事業予算を組んだのでございますが、お話しのように、三十九年度の割り当て分につていは歳入がない、この積立金勘定としては歳入がないわけでございますので、予算を組んでない。したがって、お話しのように、差益金の積み立てがないという状態になりますと、日食協の事業の範囲が縮まるということは私も認めざるを得ないと思います。ただ、日食協は別に重要な仕事として、食肉の格付事業を中央卸売り市場並びに条例市場で行なっておるのでございまして、そのほか会費等の収入によります予算の範囲内で、定款で定めております事業をやっていくということはあるわけでございまして、積立金勘定の歳入がなくなれば日食協の存在価値がなくなるというふうには私どもは考えないのでございます。なお日食協は、それ自身が食肉の輸入もしくは買い入れ、売り渡し等をやる機構ではございませんで、輸入牛肉に関します限りにおきましては、輸入の引き合いに関しまして、関係輸入商社等がどれだけの輸入をどういう時期にやるかというようなことの話し合いの場を提供するという機能は果たしておりますけれども、それ自身は輸入を担当するものではございません。
なお、一元輸入の問題に関しましては、先ほども申し上げたとおりでございまして、現在の通商貿易の体制との調和におきまして、必要な需給調整の機能、価格安定の機能を果たすに足るだけのことを事業団の権能として持てばいいという考え方で二元の流通を考えておるのでございまして、これはもう先ほど申し上げたとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/33
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034・中村波男
○中村波男君 そこで、日食協の最近の資料について、まあ豚肉の緊急輸入の赤字補てんに相当額が使われておるわけですが、局長の御答弁によりますと、関税の二五%への引き上げによって三十九年は差益金は取らなかった、いまの御報告を見ますと、四十年の約一万トン輸入している中で二千五百トンの緊急輸入だけ差益金を積み立てておるわけでありますから、一般輸入の差益金を積み立てておらなかったと思うのでありますが、関税が上ったから差益金は積み立てなかったということは、今日八十円の差益金を積まれるのは、関税が下ったんじゃないのでありまして、どうも理論的におかしいのでありますが、それはそれとして、豚肉の赤字は総額でどれだけあって、ことしの緊急輸入分の差益金で埋まってしまうということでありますが、ついででありますから御報告をいただきたいと思うのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/34
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035・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 三十八年度上期と三十八年度の下期に豚肉の異常な高騰がございまして、アメリカからの緊性輸入を政府の強い指導によって実施をいたしたのでございます。ところが三十八年度上期分及び三十八年の下期分で年内に入りましたものは、市場の過熱を防ぐために放出をいたしたのでございますが、輸入価格が国内価格よりも高いという事情等ございまして差損が出たわけでございます。さらに三十八年下期に輸入を公表をいたしまして、三十九年の一月以降入ってまいりましたものが、当時思いがけないような豚肉の価格下落でありまして、その状態で三千数百トンの豚肉を放出いたしますことは、非常な市場攪乱になるということで、政府の指示によって売り渡しをとめさせたのでございます。で、三十九年の七月に至りますまで国内の市況の回復がないということで、その間、日食協に調整保管の事業をさせたわけでございます。その分につきましては、価格差の差損と、それから保管経費、金利、倉敷等の諸経費が非常に金額がかさみまして、大きな負担が日食協ないし輸入商社に生ずることに相なりましたので、それを牛肉の輸入差益金によって補てんをする。一部は輸入商社の損失として負担させるというような措置をとったのでございます。金額は先ほど申し上げました金額の累計でございますが、価格の差損としては総計二億一千万円でございます。それから保管経費として八千五百万円の金額が必要になったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/35
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036・中村波男
○中村波男君 そうしますと、二億九千万円。そうすると三十九年の差益金も取らずに、豚肉の赤字補てんをしたというのはどうなんですか。数字が合わぬのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/36
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037・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、三十九年は積み立てをいたしませんでしたので、三十九年の末では差損ないしは保管経費の補てんはされなかったのでございます。それで四十年下期の差益の積み立て金の中から、最後の不足部分、たしか千九百万円であったかと思いますが、これを補てんすることによりまして、豚肉の差損関係が清算されることに相なっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/37
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038・中村波男
○中村波男君 豚肉の損失二億九千万円の償還計画をお聞きしたのですが、そうしますと、さっき局長が税関の値上げといいますか、二五%になったことによって、三十九年度は差益金を取らなかった、しかし、日食協は豚の赤字補てんにしたのだということは、間違いですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/38
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039・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 三十九年度におきましては、日食協に差益の積み立てがございませんから、三十九年度割り当て分の積み立て金で豚の差損の補てんをしたということはございません。ただ業界内部が、これは牛肉の輸入商社も豚肉の輸入商社も大体同じメンバーでございまして、業界内部で三十九年度におきましても、牛肉のトン当たり幾らというような金を出し合って、過去の豚肉の差損の一部に充てていったという事実があったということを申し上げたのであります。日食協としてはその問題に触れてないのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/39
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040・中村波男
○中村波男君 今後はこういう問題は起きないのじゃないかと思いますが、日食協にあってもやはり豚は豚、牛は牛で独立した会計にして、どんぶり勘定にして差益を操作するというようなことは避けるべきではないか、もっとも豚肉の赤字なんていうものは、要するに豚肉需要の増高に基づく価格抑制、需要増大に伴う輸入であって、そういうものが赤字が出た場合には、やはり政府が責任を持って補てんをすべきであって、したがって、私が一番おそれますのは、安易な牛肉輸入の道を開きますと、国内生産の維持拡大の足を引っぱりまして、これは生産意欲がわいてこぬのじゃないかと思うのです。したがって、差益金等については、これはもう厳重にひとつ畜産局も監督をされまして、国内の生産維持の拡大に有効に使うような方向を考えていただかなければならぬのじゃないかと思うわけです。これは広義に見ていけば、いま日食協が使っておる使い方も、流通の改善に、あるいは国内の供給の、生産増大に役立っておると言えますけれども、もう少しはっきりとした使途を目ざして、そうしてそれがフルに国内の生産の維持拡大に役立つような方向に使うような今後運用を考えていただきたい。そういう点について、局長のひとつ御決意を承っておきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/40
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041・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) まず豚肉の差損の問題でございますが、中村先生も御承知のように、牛肉自身も国際貿易商品としては非常に性格の薄いものでございます。豚肉については、およそ国際商品としての性格を持たない。でございますので、わが国の豚肉が非常に高騰をした際に、外国から輸入をするといたしましても、過去の経験が如実に物語っておりますように、実は民間輸入の形では成り立たないものでございます。で、三十八年の緊急輸入につきましては、私も非常に責任があるわけでございますが、タイミングを合わせるために民間輸入の形をとって私は失敗をしたと思っております。今後かりに国内の豚肉の価格抑制のための輸入を必要とするという場合には、畜産振興事業団で輸入をする。これは現在の畜安法の規定にございますので、そういうふうにいたしたい。この点は衆参両院の農林水産委員会からも、当時強く農林大臣に御示唆があった点でございますので、今後はそういうことで民間における過去のような差損の問題というものが発生することのないようにしたいというふうに思っております。
したがいまして、今後牛肉の差益を日食協に積み立てを行なうということになりました場合に、その使途につきましては、元来この利益は、長い目で見れば消費者にとって消費者のためになるという使い方をすべきであるというふうに考えますので、国内の牛肉生産の振興、牛肉供給の拡大に役立つ方向で、有効に使用するということにいたしたいと思っております。御指摘の点につきましては、私ども十分考えてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/41
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042・中村波男
○中村波男君 続いて、いわゆる需割りですね。輸入牛肉の加工用に仕向けておられる割合ですが、これは六、四になったり六・五、三・五になったり、七、三になったりしておりますが、この需割りの基準といいますか、根拠というものをどこに求めてそういうふうに操作をしておいでになるのか。今後はどういうふうにお考えになっておるのか。この点ひとつお聞きしておきたいと思うのですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/42
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043・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 牛肉輸入、いわゆる民間輸入の場合の需割りと加工牛との割合でございますが、経過的に申し上げますと、牛肉を輸入をいたしましても、だれが需要者としてあらわられるか、あるいはまた需要者がどれだけの数量を希望しておるかということは、これは一がいにきめ切れないのでございます。三十三年からの経過におきまして、業界の話し合いによりまして、基準としては、加工三割、一般精肉用七割というのが話し合いのラインになっているわけでございます。ただ加工がどれだけ必要とするかは、そのときどきの他の精肉の手当てによって変わってくるので、たとえば、これはいわゆるプレスハムあるいはソーセージ等の材料に使われるわけでございますが、これと競合いたします食肉は、マトンでありますとか、あるいは馬肉でございます。でございますので、それらの肉の手当てによって加工がどれだけどうしても必要であるということによって変わってくるわけでございまして、私は今後の方向としては、加工用は三割をこえることのないようにして、重点は、精肉流通の方向で供給をはかるように、民間輸入の分につきましても指導してまいりたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/43
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044・中村波男
○中村波男君 三割というのは、輸入全量に対する三割であって、畜産振興事業団の輸入の分についてもそういうお考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/44
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045・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) ただいま三割と申し上げましたのは、民間輸入の中の加工分のシェアを申し上げたわけでございまして、畜産振興事業団の輸入の分につきましては、そういう加工向けとか、あるいは精肉向けとかいうシェアは考えないというふうに考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/45
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046・中村波男
○中村波男君 私のところへもそういう何といいますか、業者からお話が来ておるわけでございますが、従来の需割りの使途がまことに不明朗だという点であります。と申しますのは、ハムソーセージ組合やかん詰協会が加工用として配給を受けて、それを傘下の組合なり団体に加工用として配分をせずに、精肉が高く売れますから、精肉用として流している。だから実際にほしい加工業者というのはもらえないから、やはり食肉市場でこれを買わなければ肉は手に入らない。輸入肉を需割りで配給を受ければ安く配給が受けられるわけでございますが、市場で買い入れれば高くなるという、こういうことが実態としてあるようであります。畜産局としてこのような事実はないということが断言できるかどうか、調査されたことがあるかどうか、まことに不明朗なものがあって、これは大問題だと思うわけですが、どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/46
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047・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 加工向けは、御指摘のように、中央のそれぞれ団体でありますハムソーセージ加工協同組合、それからかん詰協会であったかと思いますが、その二つの団体に需割りとして渡しているわけでございます。これは中央団体からそれぞれのメーカーへは確実に届けられているのであります。その点は間違いはございません。ただ、末端の業者がそれを加工用に使わないで精肉として売ったというような事例があるのではないかというお話でございますが、通常の形では輸入牛肉を原材料に使うことは、その加工業者の加工業界におけるシェアの問題、市場シェアの問題にもかかわるわけでございますから、私は、通常はいわゆる横流れ等はなかっただろうというふうに思いますけれども、全くそういう事例がないかということについては自信がございません。またそれを完全にトレースして調査をしたということもございませんので、今後もそういう加工用に割り当てられながら本来の目的に使わないというような事例がございますれば、外貨の割り当ての面、指導の面で私ども適切な措置をとるというふうにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/47
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048・中村波男
○中村波男君 これは私が実際調査したのでありませんから断定はできませんけれども、相当業界でも非難攻撃があるようであります。したがって、需割りで配給を受けながら、ぬれ手でアワのつかみ取りとはいかないにしても、ぼろもうけをしておるということは、需割り本来の目的にかなっておらぬという点もありますので、今後十分そういう点は注意をされますと同時に、私は需割りなんていうような特別な割り当てをしなくても、原則的に公開せり市にいたしまして、必要な人はそこから買えということでいいんじゃないかというように考えるのでありますが、この辺のお考えもあわせてお伺いをいたしたいと思いますし、それから従来相対取引を原則としてやってきたように思うわけであります。牛肉の高騰に伴って農林省としても指導をされたようでありますが、その具体的な例として、三百六十円前後で相対取引で取引されておったものが、大宮市場ですか、せり市をやったところが四百五十円に始まって五百円ぐらいに売れた。こういうことがはっきり出ておるわけでありまして、したがって、これは畜産振興事業団は法文にも、公開せり市を原則にする、という規定がありますし、日食協を窓口とするものについても、公開せり市なり、あるいは競争入札等の公正な方法によって取引を行なわせて、それによって生ずる差益金というものを今度は厳重に農林省として監督を願って、有効適切に使うということをされないと、私は賛成しかねるのであります。時間もありませんから、まだいろいろ従来の日食協の輸入の問題、配分の問題について、不合理な点あるいは不当な利益を占めておるというような懸念が多分にあります問題については、これ以上質問をいたしませんけれども、われわれが一元輸入を主張しますのは、いまいろいろと短かい時間でありますけれども、質問をし指摘をいたしましたような問題点をたくさんかかえておりますから、したがって、今回の法案の趣旨を考えましても、二元輸入をやることは、私は賛成しかねるのであります。したがって、いま申し上げましたように、日食協を通じて輸入し配分するものについては、公開せり市を原則にする、こういうことにならないかどうか、こういう点お聞きをしておきたい、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/48
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049・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 御指摘のように、中央卸売り市場における公開取引というものが最も公正な価格形成がされ、かつまたガラス張りの価格形成であるということであろうと思います。その点は先生御指摘のとおりでございますが、ただ、御承知のように、中央卸売り市場は全国に六カ所しかない、いわば偏在をいたしているのでございます。そういう事情もございますので、一部市場関係のものについては、これは公開取引でやらせるということは今後もやっていきたい。それでそれぞれの肉の形態、品質によって市場価格というものが適切につかめると思うわけでございます。したがって、需割りなり、あるいは相対取引なりをいたしましても、その市場において形成された価格を基準にして差益等の問題を処理をしていくことにいたしたい。さらに市場を通します場合に、若干の難点がございますのは荷口を相当にまとまったものをやらなければならないわけでございます。ところが冷凍牛肉でございますために、まとまった荷口のものを解凍する、とかす、戻すという作業を必要とするわけでございますが、その施設を持たないために、市場に出しますと、中小といいますか、小さな事業者のところに回らないという事情があるわけでございます。そういう事情がございますので、私はやはりすべてを中央卸売り市場における取引にゆだねるというわけにはまいらないと思いますが、お話しのように、公開市場で形成された価格というものを公正なものとしてそれに準拠した行政を進めてまいりたいというふうに思っております。
なお、畜産振興事業団の輸入にかかりますものについては、原則的に中央卸売り市場における公開取引によって放出するという仕組みにいたしたい。ただ、市場の偏在のために、輸入牛肉による調整機能が及ばない地域が出るというおそれもございますので、そういう事態に対しましては、例外的に随意契約等も考えざるを得ないというふうに考えているのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/49
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050・中村波男
○中村波男君 いまの御答弁の中に、解凍施設等がないからうまくいかない面あるものだというお話がありましたが、これは輸入牛肉はことし来年限りで終わらないと考えられるのでありまして、少なくとも十年以上はいまの二万トン以上の食肉輸入が続けられるのではないかと考えます。やはり差益等の転用とか、あるいは国が金を出してもそういう市場整備というものを考えて食肉輸入の流通合理化をはかるということも、これは一方では御配慮いただく必要があるのではないか、こういうことを考えますし、また、中央卸売り市場が全国に六カ所で数が少ないから、原則的に中央卸売り市場を通じてこれを配分するといいましても、畜産振興事業団の分についていろいろな隘路があると思いますので、そういう点を今後の問題としてあわせて市場整備の問題も御検討いただきたいということを付け加えまして、午前中の質問をこれで一応終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/50
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051・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/51
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052・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午後零時十九分休憩
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午後一時五十二分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/52
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053・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。
まず委員の異動について報告いたします。
本日、森中守義君が委員を辞任され、その補欠として竹田現照君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/53
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054・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 休憩前に引き続き質疑を行ないます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/54
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055・中村波男
○中村波男君 差益金問題についてもう一、二お尋ねをいたしておきたいと思うわけでありますが、三十六年の差益金の中から一億五千百五十万円を畜産振興事業団に日食協が納付した。その金に一億畜産振興事業団が加えまして、二億五千万円を食肉格付基金として積み立てまして、その利息等で、今日の格づけの資金といいますか、予算が運用されておるというふうに承知をいたしておるのでありますが、全くその食肉格づけというものが民間にゆだねられ、さらに人員、機構等においてもはなはだ不十分であるわけでありまして、こういう事業というのは、やはり政府の、すなわち畜産局の責任において行なうような体制を早急に整備する必要があるのじゃないか。こういうふうに考えるわけでありますが、この間の実情といいますか実態を御報告いただきますと同時に、食肉格づけに対する畜産局としての今後の方針についてこの機会に伺っておきたいと、こう思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/55
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056・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) わが国の食肉の取引につきましては、古くから、慣行的な銘柄によって取引をするというようなしきたりがあったわけでございますが、取引の公正と近代化をはかりますためには、食肉につきましても一定の規格に従って取引することが必要であるという考え方で、農林省といたしましても、関係業界その他学識経験者等の協力を得まして、食肉についての規格、つまり豚枝肉の規格について検討をしてまいったのでございますが、これを実施することにつきましては、公的な機関で格づけをするということも一つの考え方ではあるわけでございます。ただ食肉の規格取引という問題は、取引相互間の理解と承認の上に成り立たなければならない性質のものであることは言うまでもないのでございます。また御承知のように、食肉の取引、枝肉の取引というものが屠場を併設されております卸売り市場、あるいは屠場の現場で取引されるという特殊な環境のもとで行なわれるものでございますので、むしろ公的な、つまり地方公務員でありますとか、あるいは国家公務員の身分を持ってこの格づけに当たるということは、実際問題として適切でないというふうな判断をいたしまして、公益法人でございます日本食肉協議会に格づけの事業を担当をさせるということにいたしたわけでございます。で、その際、継続的に事業を行ないますものについて助成、あるいは負担金という形で行ないますについては、財政的な基礎が変動をするおそれもございますので、一定の基金をもちまして、その基金の運用益を中心にこの事業を進めていくということが、安定的に事業を推進することができるという考え方で、昭和三十六年度割り当て分の輸入牛肉の差益一億五千一百万円を一度畜産振興事業団に納付をさせまして、これに政府からの交付金一億を加えた二億五千万円を、事業団出資の形で公益法人であります日本食肉協議会に基金として積み立てさせることにいたしたわけでございます。その後、格付員の養成等もはかってまいりまして、現在二十六名の格付担当員によりまして、六中央卸売り市場並びに三条例市場におきまして食肉の格づけを行なっておるのでございます。で、わが国の長い枝肉取引の慣行の中で、新しく規格取引を始めるということにいたしたものでございますから、必ずしも規格取引というものに当初からなじむということはむずかしい問題だったのでございますが、その後、市場における規格の格づけ並びに格づけに基づいた規格の取引も漸次軌道に乗ってまいりましたし、特に畜産振興事業団の畜安法に基づく買い上げにあたりましては、この規格をもって買い上げの基準とするということにいたしてまいりました結果、現段階におきましては、格づけ並びに規格の取引は軌道にようやく乗るという段階に達したものというふうに、私どもは見ておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/56
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057・中村波男
○中村波男君 まあ規格格づけ等が公務員では適当でないということについては異論がありますが、それはそれとして、必要であることはみずからお認めになり、今後推進される方針でありますが、そこで、もうちょっと私はお聞きしておきたいと思いますのは、今日豚と牛肉とが行なわれておると思うんでありますが、少なくとも畜産振興事業団が発足をして、そして事業等もさらに膨大な量に達しておるのでありますから、公益法人とは言え、無秩序に委託をするという形をとらず、一挙にいわゆる国の機関として設置をすることがむずかしいのであるならば、畜産振興事業団に公的な性格が強いのでありまするから、この事業としてやらせるという方向が一歩前進させた措置ではないかというふうに思うわけでございます。わざわざ畜産振興事業団に国が一億補助を出して、それをまた今度は出資の形で日食協に交付をして、そして日食協で運営させるという、そういうやり方は改めるべきではないかと思いますが、私のこの考えについて異論があると思いますので、お聞かせをいただきたいと思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/57
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058・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 畜産振興事業団に食肉の規格格づけの事業をやらせたらどうかというお話、実はただいま初めてお伺いしまして、私どももその点についての検討をいたしておりませんので、明快にお答えをいたしかねるのでございますが、先ほどもちょっと触れましたが、格づけの事務がすこぶる勤務の態様といたしましても、あるいは勤務の環境といたしましても非常に特殊な形態のものでございます。でございますし、またその技能が一般的な、何といいますか、政府職員あるいは地方公共団体職員あるいは政府機関の職員の資格要件等となじむかどうか、一つ問題であろうかと思うのでございます。御指摘の、事業団がそういう格づけの事業の責任主体になることについては、私ども今後検討してまいりたいと思いますが、いずれにしましても、法律上の事業団の機能の問題にもわたりますので、格づけ事業の性格そのものとの調和がどうしてはかれるかという点もあわせ検討を進めてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/58
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059・中村波男
○中村波男君 くどくど申し上げませんけれども、格づけのむずかしさ、また勤務態様の複雑さというのはよくわかりますが、それだけにやはり公的な機関でやりませんと、公正な規格検査というものが行なわれにくいんじゃないか。問題はあると思いまするけれども、それをやはり公正な規格を行なうためには、民間にゆだねるということについての弊害がいろいろ出ておるということは、局長もよもや御存じないことはないというふうに私は思うわけでございます。したがってですね、一きょにそこまでいけなければ、畜産振興事業団でこれを行なうような前向きの姿勢でひとつ御検討をいただき、その御検討の結果出てくる結論というものを適当な機会にお聞かせをいただきたいというふうに思うわけであります。
最後に、差益金の質問の締めくくりとして、輸入差益金は、普通の税法で言うならば五〇%、七〇%のいわゆる税法上の対象になるわけでありますが、農林省と国税庁との話し合いによりまして免税措置がとられておる、しかし、無条件に免税措置がとられたのではないのであって、輸入差益金の税法上の取り扱いについては、従来の方針によれば、その五〇、七〇%が所得税及び法人税として課税されることになっておったのを免税になったのでありますが、したがって、外貨割り当ての前にあらかじめ差益金の徴収をする旨の行政指導が行なわれている、こういう前提があるわけであります。したがって、そういうものが前提になって差益金が徴収される。したがって、取られた差益金についての行政指導というのは厳に行なわれなければならないというふうに思うわけであります。そういう点に欠けるものがあったのじゃないか、そういうように私は考えるのであります。
それからもう一つ、需要者団体が三十円差益金を取っておりますが、その運用が適切であるかどうかということについては、厳密にこの税法上のいろいろな要件から言えば問題が出るのじゃないかと思われる。したがって、それらの、問題が出そうなものが幾つかありますが、私はここでは指摘いたしません。
そこで、今後の差益金という問題も、日食協が差益金を積み立ててこれを運用するのでなしに、畜産振興事業団に日食協関係の差益金も納付させて、そして畜産振興事業団の差益金と一緒にしてこれを運用し、これを使用するというような、そういうことが法的に問題があるかどうか、また、そういうことは適切であるのかないのか、この点に対する見解を承っておきたいと思うわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/59
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060・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 差益金を日食協に積み立てをさせまして管理をいたしておりますのは、お話しのとおりでございます。で、どういう機関に積み立てをさせ、それを管理をさせるかということについては、実は政府内部でもいろいろ検討をいたしたのでございます。で、畜産振興事業団に積み立てさせるということも、これは考え方としては私はあり得ると思います。あり得るのでございますが、現在の畜産振興事業団の法制制度のもとでは、積み立て金の受け入れをいたします制度的な用意がされてないということでございますし、また、結局積み立てました金が日食協にございましても、日食協は端的に申せば資金の管理の責任を持っておるという性格が強いわけでございまして、使途については、先ほども申し添えましたように、畜産局長の承認なくしては支出ができないという、厳重に監督をいたしておるのでございますので、政府内部の検討結果としまして、公益法人である日食協に積み立てさせることが具体的に適当であろうという結論になったわけでございます。で、畜産振興事業団に積み立てをいたしましても、やはりその間の関係は同じであろうと思うのでございますが、それと、いま一つは、やはり業界の協力のもとに行なわれる積み立てでございますので、政府機関に積み立てられまして、政府機関の財務の規制のもとで資金の運営をいたします場合よりは、それぞれの事態に応じた、公的な事業というものに対する支出も円滑に行なわれるのではないかというような点も若干配慮をいたしたのでございます。畜産振興事業団に積み立てては絶対にいけないという性質のものとは思っておりませんが、経緯から申しますと以上のようなことであったわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/60
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061・中村波男
○中村波男君 ここでちょっと局長にお伺いしますが、いまの御答弁の中に、協力なくしては差益金は取れないのだというお話がありますが、私は輸入の公的な立場からいいまして、差益金というのはもう少し政府の行政——ことばは指導でありましょうが、強制的な意味のあるものであって、協力しないと拒否すれば差益金は取れないのか、こういう点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/61
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062・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 先ほどのお話もございましたように、輸入の許可にあたりまして条件を付してございますから、そういう意味では業界は積み立てをすべき行政上の義務を負っておるということでございますけれども、法律上の請求権を、それでは積み立てをさせるという請求権を持っておるかどうかは私は若干疑問があるのではないだろうかというふうに思うのでございまして、やはり一つの金額を定められたとおり積み立てをしていくということについては業界の協力を必要とするというふうに申し上げた次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/62
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063・中村波男
○中村波男君 そういういろいろな問題点がありますから、この際、民間輸入をやめて一元輸入にすべきであるという私たちは主張に立つわけなんです。たとえて言うならば、差益金の使途については、畜産局長の許可がなければ使えないのだというお話、そのとおりであります。しかし、豚の赤字補てんに大半が使われておるというようなことがこの税法上の特典からいって適当であったかどうかということについては私は疑義を持つのであります。したがって、ほんとうに差益金というのはいわゆる生産の合理化なり消費の増大なり、あるいは流通の合理化等々に有効適切に使われておるかどうか、有効適切で全然ないとは言いませんけれども、さらに有効適切な使い方があるのじゃないかという点については、いままでのやり方を見ておりますと多くの批判を私たちは持つものであります。そういう点からいいまして、同じ金を使うにしても、今度は畜産振興事業団も差益金を積みまして、その一部はいわゆる差損金といいますか、それに充当するために積み立てて、あとは所期の目的のために使うということが明らかになっておるのでありますから、それを一緒にして合理的に使うことのほうが金の使い方としては有効適切ではないか、こういう立場を私たちはとるものであります。したがって、まあ時間がありませんから、この点についてはひとつ意見は意見として聞いていただいて御検討をいただきたい、こういうふうに思うわけであります。
次に質問をいたしたいと思っておりますのは、提案説明その他によりますと、売り渡しのめどといいますか、それについてこういう用語を使って表現がされておるのであります。「国内生産の維持拡大に悪影響を及ぼすことを防止する観点から、肉用牛及び牛肉の生産条件及び需給事情その他の経済事情を考慮し、肉用牛の生産と牛肉の消費の安定をはかることを旨として農林大臣が方針を指示することといたし」云々とあります。読めば内容はわかります。しかし、具体的にどういうときに輸入牛肉を放出するのか、これはそういう客観的な経済情勢等で表現されましてもぴんとこないわけであります。私は、そういう条件の中ではっきりとしためどをつけておいたらどうなんだろうか、そういうことをいま考えるのであります。したがって、そのめどとしては、やはり牛肉にも安定価格を設定をいたしまして、安定上位価格をこえて騰貴し、または騰貴するおそれのある場合に限って豚肉等の価格を考慮した上で輸入をし放出をする、そのためにはやはり牛肉についても安定価格というものを設ける必要があるのではないか、豚肉のように、そう思うのでありますが、それをやろうとされないのはどういう理由があるのか、実際の運用についてはどこにめどを置いておやりになるのか、全く農林大臣の判断でおきめになることと思うのでありますが、そういうことは問題があるのではないかと思いますのでお尋ねをいたすわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/63
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064・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 提案理由でも申し述べておりますように、牛肉輸入、牛肉放出ということは、国内における牛肉の需給並びに価格の安定を目的として行なうものでございますが、その根底には需要者の立場からする価格安定の問題と同時に、国内における肉牛の生産の維持拡大をはかっていくという政策的要請との調和を前提といたしておるわけでございます。でございますから、提案理由で抽象的に申しております畜産振興事業団による牛肉の放出のめどといたしましては、
〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
わが国の牛肉の価格の上下を判断をする、相場の動向を判断する、銘柄として去勢上の肉価格を用いている慣行があるわけでございまして、私どもその価格の水準をめどにいたしたい、いままでもお答えを申し上げた記憶があるのでございますが、私どもの考えとしては去勢上の枝肉価格一キロ当たり大体五百五十円程度を市況が上回っているときに放出する、五百五十円程度の水準を下回る条件になれば放出をしない、また豚肉が安定下位価格を割っておるというような需給事情のときにも牛肉の放出はさせないという方針でいきたいと思っておるのでございます。
加えての御質問に、牛肉について豚肉同様に安定上位価格、安定下位価格をなぜきめないのかというお話でございますが、これは一つは、牛肉についての法律上の上位価格、あるいは法律上の基準価格というものをきめますことの技術的な困難さが非常に大きいのでございます。御承知のように、一口に牛肉と申しましても肉牛の種類、それから品質というものが非常に区々にわたっておるのでございまして、現実に今日の段階におきましても枝肉で安いものは二百七、八十円台のものから、高いものは八百円に近いようなものがそれぞれあるわけでございまして、極端にいえば同じ種類の肉にいたしましても一頭一頭価格差があるという、いわば規格化がされていないというところに問題があるわけでございます。でございますから一体何を上位価格としてきめるかということが非常に技術的に困難である。
それからいま一つは、安定基準価格、安定上位価格をきめることの行政上の必要性の問題でございますが、過去の経験に見ましても、牛肉の価格は三十九年の後半から高騰に転じましたが、ずっと微騰を続けながら非常に安定的でございます。したがって、豚の枝肉のごとく一定のサイクルを描いて高騰の時期を示し、あるいは下落の時期を示すというような性格を持っておらないのでございます。でございますから、牛肉の基準価格を定めて政府機関、畜産振興事業団による買い出動の必要性ということは少なくとも現段階あるいは過去の経験においてなかったのでございます。そういう意味で、私は現段階において牛肉の安定基準価格をきめる、あるいは上位価格を定めることは技術的にきわめて困難であると同時に、またその行政上の必要性も豚肉とは著しく違ったものであるというふうに考えております。現段階におきまして、法律に基づく上位価格、基準価格を定めるという考え方は持っておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/64
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065・中村波男
○中村波男君 そうしますと、去勢牛で五百五十円というのをめどにして操作するのだということでありますが、その五百五十円の根拠でありますが、五百五十円ということは、国内のいわゆる和牛役畜牛の、いわゆる生産費保証方式をおとりになってはおらぬと思いますが、肉牛増産対策として、大体それならば、いわゆる採算が合うんだ、そういうものは基礎にされておるのか、従来のいわゆる牛肉の市価等から勘案した客観的な判断からくる価格であるのか、そういう点お聞かせいただきたい、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/65
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066・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 五百五十円というのはどういう計算根拠に基づくのかということでございますが、実は牛肉、去勢上の枝肉の価格が幾らであれば肥育牛の生産費とどういう関係になるか、あるいは肥育牛の素牛価格とどういう関係になるかは計算が至ってむずかしいのでございます。で、それを精密に計算するようなデータが残念ながら現在ないのでございますが、過去の価格動向というものがそれぞれ肉価格に再現され、あるいは肥育牛の生体価格に反映をされるという前提に立って考えますと、大体去勢牛の枝肉五百五十円というのは肥育牛の生体キログラム当たり二百八十円前後の、二百七十円ないし二百八十円程度の価格になるかと思われるのでございます。これを従来の農林省の生産費調査なり、あるいは私どもの若干独断もございますが、新しいといいますか、標準的な肥育牛経営というものを想定をいたしまして、所要の生産要素を評価をして積算をいたしましたものと大体同じ水準になる、その際の小牛価格は七万五千円程度ということが想定をされる。そういたしますと、あとは子牛の価格の安定制度というものを将来検討をいたしてまいります場合に、子牛価格の価格安定水準が七万五千円程度で安定をし得るということに相なりますると、この三つの価格関係が大体落ちつくということに相なるのであります。そういう考え方で実は私ども大体当面五百五十円程度の水準で去勢上の枝肉価格を安定させることが消費者価格にはやや高いかと思われますが、国内生産からにらみ合わせますと、妥当な水準ではなかろうかと判断いたしておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/66
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067・中村波男
○中村波男君 この基準価格については、私は私なりに意見を持っておりますし、いまの説明で、はたして生産農家の所得に見合う価格であるかどうかということについては問題があると思うのでありますが、時間もありませんから、またこの問題は適当な機会にお尋ねをすることにいたしまして、この機会にお尋ねをしておきたいと思っておりますことは、去る四月十二日の当委員会で、私が牛肉輸入を中華人民共和国に求めたらどうかという御質問を申し上げたのに対しまして、局長は、畜産振興事業団の田中副理事長を派遣させ、過日帰国をいたしたが、まだ報告書の提出を受けておらないから、提出されたならば最終的判断の資料として検討する、こういう御答弁があったのでありますが、それから相当の日にちが経過いたしておりまして、帰国報告書が提出されたかどうか、提出されたといたしましたならば、御検討されて何らかの結論なり方向というものがあるのかどうか、この際承っておきたいと、こう思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/67
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068・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 四月十二日の当委員会におきまして、中華人民共和国からの偶蹄類の食肉輸入について、現在行なっております口蹄疫の危険からの観点で、輸入規制、輸入の禁止をやっておるわけでありますが、その措置についてどういうふうに考えておるかということについてのお答えは、ただいま中村委員からのお話しのとおり申し上げたのでございます。で、中華人民共和国では、戦前からかなりの口蹄疫の発生の事例があったのでございますが、戦後わが国との間の家畜の疾病に関する情報の交換等が行なわれておりませんし、また同国は国際獣疫協定にも入っていないというような事情がございまして、わが国としては慎重な態度をとってまいったのでございますが、昭和三十一年に日本生物科学研究所の学術部長の高橋博士が、まず現地の家畜衛生に関する調査に出向いたのでございます。当時はまだ口蹄疫について、の情報が明確に確認できないという結論であったわけでございます。で、その後中国へこの種の調査のための人の派遣がなかったのでございますが、四十年の八月から九月にかけて麻布獣医大の入江教授、東京大学の石田助教授、二人の方が親善ミッションと同行いたしまして、口蹄疫に関する事情の調査、視察をしてみえたのでございます。で、その限りにおきましては、ここ数年中国には口蹄疫の発生はなくなったという報告がございまして、それ自身は相当信頼してよいのではないかという意味の報告を受けたのでございます。ただ私どもも、この病気だけは世界で最も危険な伝染性の病気でございますので、さらに慎重を期する必要がありまするのと、単に学術的な問題のほかに、口蹄疫が絶滅をしたということの行政的な手順がはたしてどういうふうにとられたのであるかということを確認する必要がございましたので、田中畜産振興事業団副理事長を本年の三月から四月にかけて派遣をいたしまして、その報告を求めることにいたしたのでございます。で、田中副理事長は帰国後、口頭で私どもに若干の報告をいたしておりますが、正式には文書をもって報告をいたしますということで、現在報告を取りまとめられておるのでございますが、ちょうどパリで国際獣疫会議がございまして、田中副理事長は国際獣疫会議の議長をつとめておるものですから、そちらにただいま行っておりまして、正式の提出は帰国後にさしてほしいということでございますので、大体報告書ができ上がっておるのではないかと思いますが、私どもの手元にまだまいっておらないのでございます。この報告書に基づきまして最終的に行政上の判断を加え、この問題に対する措置をどうするか明確にいたしたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/68
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069・中村波男
○中村波男君 それではサルモネラ菌の問題について、これまた先般の委員会で御質問を申し上げ、局長はよく調査をして報告をすると、この問題については私だけでなしに、関連質問を渡辺先輩からもなされたのでありますが、調査をされました結果、どういう実態になったか、この機会に御報告をいただきたいと、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/69
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070・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 商社が牛肉輸入をいたしますについて、サルモネラ危険負担金を加算しておるということであるが、どういうことであるかということで、調査の上御返事を申し上げますと申し上げたのですが、サルモネラ危険負担金といわれますものは、実は正確にはサルモネラ菌に汚染された牛肉あるいはその他の肉類を輸入をいたしました場合、損失をてん補するための積み荷保険料の一部でございます。保険料としましては、CIF価格に対しまして海上保険料を含めまして三・二三七五%が支払われておるのでございます。そのうち通常の海上保険料が〇・五五三%というふうに見込まれますので、それを差し引いたものが実質的なサルモネラ保険に相当するというふうに推定をされるのでございますので、計算上は二・六八四五%というサルモネラ保険料を支払っておるということに相なるわけでございます。この保険料が高いか安いかの問題は、これは私どもがいま簡単に結論が出せる問題ではございませんで、海上保険の料率のきめ方の問題だと思われるのでございます。また、そのような保険に付すことが輸入業者として安全であるか、有利であるか、あるいは不利であるかは、これはどうも輸入業者の判断にまかせざるを得ないということでございまして、私どもではこれが妥当な保険料であるのかどうかはにわかに判断がいたしにくいということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/70
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071・中村波男
○中村波男君 いまの御説明でありますと、サルモネラ菌の危険負担金ではなくて、積み荷保険料であるというお話でありますが、その積み荷保険料というのは、たとえていうなら、サルモネラ菌が発生をして廃棄をしなければならなくなったようなときには、その積み荷保険料というので、補てんをしてくれると、そういうものを含まれておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/71
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072・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) まさにただいま仰せのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/72
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073・中村波男
○中村波男君 それで私は名前はともかくとして、サルモネラ菌保険というようなものはないじゃないかと思うのですが、ないから積み荷保険料というのに加入したというか、掛け金をかけただろうと思うのでありますが、いままでそういうものがなくて、最近そういうものをかけだしたということはどうもおかしいのであって、それは保険の名前はそうであっても名目としてサルモネラの保険だというふうに理解していいじゃないかと思われるわけです。そういうものをかけることが妥当であるか妥当でないか、かりに妥当でなくともそれを規制することはこれはむずかしいことだと思うのであります。しかし、これはいわゆる行政指導として、必要のないものに保険をかけさせるということは、結局は消費者の負担にかぶさってくる問題でありますから、これはひとつ御検討をいただきたいと思うわけでありますが、いまの御答弁から答えとして出るのは、サルモネラ菌のために積んでおるんじゃないといういいわけが成り立つのでありますが、これ以上この問題を追及してもむだじゃないかと思いますが、サルモネラ菌というのは、私は先般厚生省に問い合わせましたところで、ニュージーランド、豪州産については過去に検査をした結果たいへんな好成績であるから、今日では全く検査を行なっておらないと、こういう回答が寄せられておるのでありまして、したがって、そういう名目でいわゆる保険にかけずに金が積まれておるとするならば、これは重大な問題だと思われるのですが、商社であるから、輸入業者であるから、そこまで立ち入って調べるわけにはいかぬということだろうと思いますけれども、
〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
これは関連のある問題でありますから、十分ひとつ調査をして、そういう名目でいわゆる利益の上積みをするような手段として行なわれておるとするならば、規制を願わなくちゃならぬのではないかと思いまして、質問いたすわけであります。
そこで、まあ大臣に御出席をいただきましたので、最終的に質問をいたしまして、私の質問を終わりたいと思うのでありますが、先般の委員会でも御指摘をいたしましたように、素牛の繁殖センターの補助が大蔵省の査定の段階で切られまして、そのしわ寄せがいわゆる府県にしわ寄せせられたというのは事実でありますが、それはそれとして、畜産局で試算をされたのを見まして、いろいろ私は私なりに検討をしたのでありますが、地方競馬全国協会から一万円ずつ一頭に対して助成をとったといたしましても、四年目に十万六千円のいわゆる黒字になるんだ。五年目では三十五万四千円の黒字になるんだ。六年目が十六万五千六百円の黒字になるのだ。こういう試算が出されておりますが、ここで問題になりますのは、第一年度は七十九万二千円、第二年度には百九十四万八千円、さらに三年度は二百三十四万円、合計いたしまして五百八万円という赤字が出る。厳密に言うならば、この中に五十万四千円の償還費が引かれておりますから、差し引きずると実質の赤字は四百五十七万六千円になると思うのでございますが、これは全然たな上げしておいて、そうして単年度計算で四年度から黒字になるんだということでは、これは実際の経理ではないと思うわけであります。したがって、この赤字に対する利息の補てん、あるいは借り入れ金に対する償還等をずっと考えていきますと、少なくとも十年や十二年では黒字経営にはならない、こういうことが言えると思うのであります。黒字経営にならぬ部分はどこが負担するかというならば、おそらく農協が経営主体であろうと思いますので、農協のいわゆる経費の中からこれを補てんしていく結果になるんではないかと思うわけであります。こういう一例を見ましても、素牛生産というものが、いかに引き合わないかということが言えるのではないかというふうに思うわけであります。そういう点を考えますならば、今年はやむを得ぬといたしましても、来年度からさらに素牛生産に対する国の助成、指導、協力というものがなされないと、結局始めたけれども、途中で解散をせざるを得なくなる。こういうところに追い込まれる。いままでの事例がそれを物語っておるのでありますが、そういう点があるのではないかというふうに思うわけであります。したがって、せっかく発足をいたします国内における役肉用牛の増産対策をさらに進展させるためには、来年度からもいろいろな面における助成というものが考えられなければなりませんし、また先般の委員会で私が指摘いたしましたように、いろいろな素牛等の補助金等に対する単価は、実態はまことに低いものでありますから、来年の予算につきましては、こういう点はひとつ実態に合いますところの助成をするような予算措置を考えていただかなけりゃならぬと思いますが、このような点について、農林大臣の御所見を承りまして、私の質問を終わりたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/73
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074・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの御質問でございまするが、肉用牛に対する助成として、本年特に力を入れることに相なったわけでございますが、なお、きわめて不十分であることは私もそう存じております。したがいまして、今度の場合におきましては、さらに一段とこの問題については努力を払ってまいりたいと、かように存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/74
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075・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 現在、食肉の世界の生産量は約三千万トンと称されておりますが、そのうち貿易可能量は全体の五%前後、したがって、百五十万トン前後と称されておるようであります。しかし、最近における世界各国、ことに東南アジア等の、あるいはアフリカの食肉の全体的な伸び——日本自体でもかなり食肉の需要が幾何級数的に増大をしておる。こういう段階に——肉用牛というものに対する国の施策というものは、従来のマンネリズムを脱却して抜本的な施策を講じなければならない緊急の政策課題に当面していると思うのです。先般出された資料によりましても、昭和三十一年には肉用牛の飼育農家戸数が約二百三十二万戸で、その飼養頭数が二百七十一万八千頭。これがピークになって、自後、なしくずしに飼養農家あるいは肉用牛の飼養頭数が低下をしておる。おそらく最近ではこの国内の肉用牛は百六十万頭台を割って百五十万頭台になっている。これは過般の局長の答弁にもそういう数字が紹介されておるわけであります。したがって、相当思い切って、これは従来の役肉用牛であったものを肉用牛にはっきりとその目的を置きかえた抜本的な国内の肉用資源の増殖対策が講ぜられなければならないということを、この委員会で大臣もその抱負の一端を述べられたことによって、基本的な姿勢は一応抽象的には理解をいたしておるつもりでありますけれども、しかし、いろいろ具体的な内容にわたって同僚委員等が質疑をかわしている中で、はなはだ心もとなさを感じるのであります。政府は、今後十年の展望によって二百五十万頭、昭和四十五年には二百万頭を目途として、飛躍的な肉用牛の増殖計画を、意欲的にその方向を示してはおりますけれども、何しろそれに対応する施策はきわめて不十分であり不徹底であるというふうに考えます。それを具体的な問題にしぼって、従来の質疑と重複を極力避けてお尋ねをいたしたいと思いますので、大臣の見解をその問題別に逐次伺いたいのであります。肉用牛をこれから積極的に増殖をしていく、増産をしていくということでありますが、これは申し上げるまでもなく、従来は役肉用牛でやってきた。これは明治以降のことでありましょう。したがって、特にアングロサクソン系のショートホーン種なり、エアシャー種なり、またアバーデンアンガス種、あるいはヘレフォード種というものを導入をして、明治以来そうして在来牛と幾多の交配をして、現在では、政府の資料によりますと黒毛和種が和牛の八〇%を占めており、褐毛和種が一八・二%、大体岩手が中心でありますが、日本短角種ショートホーンが一・一%、無角和種が〇・四%という一つの成果を得ておる。しかし、これはあくまで役肉用牛としての育成でありましたために、いずれも役用に向くように力が強くて働く牛をつくってきた。したがって、後躯の発達が非常に落ちておる。乳房も小さい。その結果五、六年もこれは肥育しないと上質の肉がつかないという肉用向けの牛になっていないわけであります。これをもっと短期間に大量にしかも良質の日本人の嗜好に合った、いわゆる純粋の肉用牛にしていくためには、相当これは思いきった品種の問題から基本的に取っ組んでいかなければならない大きな問題だと思うのです。一体政府は今後十カ年の展望で、現在百五十万頭まで落ちるにまかせてきたこの政策不在の肉用牛に対して、これをさらに十年間に百万頭ふやすという場合にどういう品種を中心にして改良増殖をしていこうとしておるのか、その点をまず伺いたいのであります。申し上げるまでもなく、従来導入してきたこれらのショートホーン種なり、あるいはヘレフォード種なり、あるいはアンガス種なんていうものは、共通している点は、気象条件の変化にはきわめて抵抗が弱い。また良質なえさでなければこれは飽食をしない。泌乳量も少ないから、したがって犢を育成する能力も薄い。病気の抵抗力も弱い。これが一般に言われておる学説であります。これからこれらの欠陥を補っていくためには、世界的にどういう、日本の立地条件に適応し、日本人の嗜好に適した肉用牛をつくろうとするのか、その品種の中心をどこに置いてF1をつくり、そうして肉用牛の将来の展望に備えていくかということについて、まず見解を伺いたいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/75
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076・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) わが国の肉用牛は、御指摘のとおり、明治以来役肉用牛として飼養をされてまいったものでございます。で、そのために肉牛としての素質には欠けるところがかなりあるわけでございまして、今後和牛の改良の方向は、従来欠陥とされておりました後躯の欠陥を是正をする、また体高も必ずしも高いものを求めない、また産肉能力の高いものにかえていくということを和牛の改良の方向として、私ども改良事業を進めていくつもりでおるわけでございます。で、日本の和牛の大部分は黒毛和種でございまして、近畿、中国、四国等を中心にその生産地帯が形成をされております。これが素牛として全国に供給をされてきたわけであります。ショートホーンは岩手県を中心に飼養をされてきた。褐毛は高知それから九州というところで飼われておりますし、日本無角種は山口県で一部分飼われておるということで、種類は世界の各国に比べますと少ないほうでございます。で、いずれも役肉牛としての改良の結果創出されたものでございまして、どの品種も今後肉牛としての改良目標を立てて改良を重ねていかなければならないというふうに思っておるのでございます。で、私ども今後肉牛の増殖をはかっていきますためには、やはり基礎牛としてはそれぞれの地域に適しております和牛を基礎牛として使わざるを得ないというふうに考えておりますので、和牛の改良並びに増殖は従来以上に一段と力を入れる必要があるというふうに思っておるのでございます。ただ、和牛の改良ということでは産肉能力の高い肉牛としての素質を急速に上げるというわけにはまいりませんので、ここにわれわれとしてはやはり外国種の産肉能力の高い系統を導入をいたしまして、和牛あるいはホルスタイン等の牝牛に対して外国種のたとえばアバーデンアンガスでありますとか、あるいはヘレフォードでありますとか、あるいはシャロレーでございますとか、そういう牡牛の種付けをいたしましてF1の増殖をしていくということを考えざるを得ないと思っておるのでございます。もっともF1の増殖をいたしましても、それは系統を確立するための方策としては問題が非常に多いわけでございまして、考え方としてはコマーシャルの牛というふうに考えざるを得ないわけでございますから、一面において基礎牛となる和牛の改良増殖を進めつつ、優良な外国種牛の導入による雑種生産ということを考えてまいるほかはなかろうというふうに思っておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/76
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077・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 基礎牛として和牛の品種改良をするということは、これはまあ基本であって、もとより異論のあろうはずはないわけです。それにかけ合わせるいわゆる優良種牡牛というものの選び方を私は伺っておる。従来のとおり、アンガスなり、あるいはヘレフォードなりというものと、局長も触れましたように、フランスのシャロレ一種というものですね、これは少し独断かもしれませんけれども、このシャロレ一種は後躯の発達も非常にすばらしい。短期肥育の増大も別してすばらしい成績を持っておる。牡の平均が千五百キログラムであり、牝の平均が九百キログラムを統計上あらわしておる。だから短期肥育をしても、優に五百ないし六百キログラムの増体量を示しておるのが、これはフランス政府当局の発表した資料によっても明らかなわけであります。なお、いろいろ資料を見ますと、えさの食いつきも、いわゆる野草、牧草等についても、どんなものでも飽食するという特性を持っておる。そうして非常に性質が温順で、病気の抵抗力も非常に強い。暑さ寒さにも強い。乳房がシャロレー種はヘレフォードに比べても非常に大きくて、したがって、子を育てるにも非常に適しておる。繁殖成績も非常によろしい。こういうことが資料に出ておるわけであります。たとえばホルスタインの精液は七・五ccであるのに、シャロレー種はその倍近い十三ないし十五ccである。この資料を私は引用しますから間違っておればこれは訂正していただきたいのであります。しかも精液単位は一cc中にシャロレー種は十三億の精子を持っておる。こういうすぐれたものを私はむしろ基礎牛にかけ合わせてF1をつくるという、いわゆる肉用牛の将来の展望に立った品種の選定というものが技術的に、実証的にこれは中心をなして、F1の一代雑種をつくるということこそが国内の肉用牛を今後発展させる基本的な方向ではなかろうか、こう思うのですが、その点の技術的な検討された経過、並びにこれからF1をつくっていくにあたっての政府の品種の方向というものは野辺にあるかを明確にひとつこの際、明らかにしてほしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/77
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078・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 外国の肉用種にはそれぞれすぐれた種類があるわけでございまして、私どもF1の生産普及という点からは多少基礎牛との相性の問題もあるようでありまして、黒毛和種に対しましては比較的短角種が相性がよさそうであるということでございまして、これの実験は農林省の種畜牧場で現在実行中でございます。ヘレフォードに対しましては、日本の基礎牛としては赤毛和種もしくはショートホーンが相性がいいようであるということが大体わかっております。ただ、シャロレー種につきましては私どもといたしまして、農林省としてもやや不勉強であるといいますか、気づくことがおそかったのでございまして、現在のところ、国の種畜牧場にはシャロレー種が入っておりません。フランス産のシャロレー種が現在係養されておりますのは、北海道の民間牧場に一カ所ございます。その成績等を見ますと、その特徴は、ただいま渡辺委員からお話がありましたように、非常にすぐれた点があるということでございまして、ホルスタインあるいはショートホーン、それから赤毛和種等とのF1は確かに肉牛としてのすぐれた特徴を示しておるのでございます。ただ、シャロレー種がすぐれております点を認めるのでございますけれども、この純粋種ないしはF1は、やはり相当草資源の多い地帯でなければその特徴が発揮できないのではないかというふうに見られますので、そういう地域的に適合した地帯にシャロレー種のF1を生産させるということを進めてまいりたい。そこで私ども先ほどちょっと申し上げましたが、日食協の輸入差益金の中から八千百万円の外国種牡牛を購入して、日本の肉牛生産に寄与させたいということを考えておるということを申し上げたのでありますが、その中で六頭のシャロレー種の牡牛を買いつけまして、希望の出ております道県の畜産試験場に係養し、もしくは適当な民間牧場に係養をいたしまして、その精液を人工授精の方式で、先ほど申し上げましたように、ホルスタインなり、あるいはショートホーンなり、あるいは赤毛の和種なりに交配をするように進めていきたい。なお、黒毛和種に対しましては、これもわずかな実例があるのでございますが、なお検討を要する点があるのではないかというふうに思われますがこれも効果がはっきりいたしますれば黒毛和種に対する交配も考えてまいりたい。そのために、昨年私どものほうで指導をいたしまして、社団法人家畜改良事業団がいわゆる精液銀行の機能を果たすことになっておりますので、これらの機能と種畜場ないし牧場とをつなぎまして、一般への精液供給の円滑をはかりたいというふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/78
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079・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 国あるいは県の種畜牧場等にはこのシャロレー種は一頭も入っていない、まだ試験の段階でもないということでありますけれども、しかし、私も北海道の民間のシャロレー牧場の資料をかなり見た上でお尋ねをしておるわけで、当然これは人工授精をすることでもありますし、ベレフォードのほうがショートホーンとしても受け入れがいいとか悪いとかいうことも私はどうもその点がわからぬのですが、普通向けにいうならば、切り口がすぐ黒くなるような、このシャロレー種の場合にはオリーブ色の脂肪があって、それが切り出せばすぐにじみ出て表皮をおおっていつまでも新鮮な切り口の状態を示しておるということが実際出ておるわけですね、データには。そうして最初から日本人に適するような霜降りの肉にできておる。一方、従来もヘレフォードその他は肉とあぶらが分離しておって、その霜降り状態まで肥育するには、さらに肥育の年数を要する、そういうマイナス条件が、これは比較試験でもうすでに出て、その試験の段階から最も優れた、もとよりこれは日本国土全部に適応する品種であるかどうかは私ももとよりわからぬのでありますけれども、東北あるいは北海道方面の寒冷地帯の草地の非常に適しておる地帯では、私はこれらの民間の一つのデータをもとにして、政府としてもこのシャロレー種を中心として改良された和半、基礎牛との一代雑種を造成していくということが基本になってもいいのじゃないかということを気持において持ってお尋ねしておるわけです。この点はこれ以上お尋ねいたしませんけれども、政府が出された資料にもありますけれども、たとえば現在乳牛は四十年には百二十八万頭という統計が出ておりますが、この乳牛の大体二割程度が、搾乳牛としての段階を経た老廃乳牛がまあ全体の二割と見て当たるとも遠からざる割合だと思うのでありますが、これにいま言ったシャロレー種を交配する、それだけでも二十万頭の肉牛の増殖が可能なはずであります。いわゆる乳牛としての七、八年の寿命が終わって、これをスクラップ化する場合の、いわゆる乳牛の老廃牛についても、なお十五、六才までの繁殖能力があるのだから、これをやはり有効に活用していく、そう私も考えたい。中心であるシャロレー種をかけて出していっただけでも、従来スクラップ化された牛の活用によって、今後これらのスクラップ化される老廃乳牛については、なお七、八頭の肉牛を生産する能力を持っておるのだが、これがなかなかそういうようにいかぬのは、やはり経済採算その他から言って、こういうような肉牛が高い相場を示している今日は、そういうゆうちょな、肉用牛の素牛にするということをやめさせて、これを屠場に送り込むということになっておると思うので、この一つの問題を取って考えても、今後十年間に百万頭を増殖していくというためには、かなり背景となるいろいろなきめのこまかい政策がなければ、私の提案したことも経済性の中からくずれていくような点もあろうかと思うのでありますが、政府の今後十年間に二百五十万頭に増殖するという計画の中に、いま一例を申しました乳用牛のこの活用というものがどの程度考えられておるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/79
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080・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 廃用乳牛にシャロレー種を交配いたしまして、肉用牛としての一代雑種を取るということは、これは非常に進んだ考え方でございまして、私どもも一般の廃用牛ないし子牛を再び乳用牛として育成をする慣行のない、いわゆる一腹搾り地域というようなところの乳用牛について、シャロレー種との交配による肉用子牛の生産をするということを奨励、推進をしてまいりたいと考えております。ただ、この考え方は、ごく最近になって私どもも実は民間からその方途を教わった段階でございまして、これをどの程度まで伸ばすことができるか、可能性の限度としては渡辺委員もお話になりましたように百三十万頭近い乳牛の大体一五、六%というものは更新をされていくわけでございますので、お話しのように、二十万頭近い生産の基礎牝牛が要るということになるわけでございます。十年後に二百五十万頭の肉牛飼養を実現したいという考え方のもとでは、実は乳用牛を基礎としてF1をつくるというような考え方を織り込んで考えてないのでございます。でございますので、この問題は御指摘のように、私どもも真剣に検討をいたし、またこの方向を推進する何らかの有効な方策を講ずることによって将来の日本の肉用子牛というものの生産の増強に役立たせたいというふうに考えております。この問題につきましては、実は私どももただいま申し上げましたように今後の問題であり、また当面の問題でもあるわけでございますが、さらに検討を深めたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/80
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081・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 次に、もっとこまかいことを伺いたいのでありますが、肉用牛の繁殖育成センターについてであります。これはただいまも中村君が大臣にお尋ねしたことでありますけれども、どうもこの経営収支試算というものを見ましても、これをそのまま数字づらを見まけと、初年度では百十九万二千円の赤字だ、二年度では二百七十四万八千円ですか、三年度では三百十四万の赤字だ、こういうものが出ておる。四年になってこれは生産が出ますから黒字に転化する。この三年間の赤字というものは地方競馬全国協会から初年度は運営費補助として四十万、二年度、三年度にそれぞれ八十万が出て、これだけ赤字が多少減るという数字であります。各都道府県からこのセンターの設置希望が二十九カ所もきておる。予算面では二十カ所少ししかない。まあ選定に苦労されているようでありますけれども、しかし、はたしてこのセンターに寄せる期待を内容まで十分地方自治体が理解をして出しておるのかどうか。私は非常に問題を感ずるわけです。それは確かに大義名分からいって各県に繁殖育成センターを設置することは、われわれの乳用牛の基礎的な問題として大いに推進しなきゃならない。その方向としてはこれはいささかの異論もないものでありますけれども、しかし、その内容が一体それを実施する主体に迷惑のかかるようなことでは、そうでなくても地方自治は憲法でうたわれているような方向とは逆行して、一割あるいは三割自治と称されておる。そういうところにもってきて、国の補助で足りないのは県で出せ、そういうことでこれを押しつける。まあ押しつけるというよりは、地方から希望があるから地方に一緒にやってもらうということでありましょうが、この数字が内容的に問題がないといたしましても、私は初年度、二年度、三年度で百万、二百万、三百万という赤字を出さして、それでいいというようなことではいかぬと思う。少なくともわが国の肉用牛を今後大いに積極的にやっていこうというならば、これをやるところの実際の受け入れ主体が喜んでやれるようなそういう一つの親心というものを政府が持たなければ、私はこの実態が逐次実践を通じて明らかになることにつれてマイナス作用が出ることを心配するわけであります。したがって、大所高所からみますならば、この収支計算にして誤りがなければ、三年間それぞれに生ずる赤字くらいは、これは地方競馬全国協会からその分の助成をさせるとか、政府にそれだけの財政的な用意がなければ、これはまあ法律によって、多少利益は大蔵省に吸い上げられる。しかし、それは畜産振興に使う筋合いの金でありますから、十分それが畜産振興に、予算が全面的に使われておったとしても、なおかつ、こういう肉用牛の基本的な繁殖育成センターに対してはもっとこれは助成を高めて、財政的な負担をこれ以上地方にはかけないでやらせるということは、大臣、これは大臣の立場から、積極的な姿勢を持って臨むことでなければ、あなたがさっき中村君に答弁した内容に、これはなってこない。その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/81
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082・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 最もこの肉用牛の問題は、きわめて大切なことでございまするし、われわれとしては、このF1をつくるにいたしましても、なおこれらの諸国の実態をもう少し調べ上げていきたい、こういうことも考えます。その上で、これらの施策が十分徹底できるようにもちろん考えていく、かように進めなければならぬと思っております。なお詳細は、畜産局長からお答え申します。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/82
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083・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 詳細は要らないですよ。きわめてこれは初歩的な質問をしている。少なくとも、繁殖畜産センターというものを、ことしは二十カ所をやるんだ。三年間に百カ所をやるんだ。これが和牛の繁殖育成のセンターでしょう、日本の。そういう先駆的な機能をやらせるものに、三年間で累増赤字が五百万をこえるというようなことでいいのですか。これを直接、政府の一般会計で負担することができなければ、地方競馬であがった益金を充当して何らさしつかえないのじゃないですか。そういう点の、大所高所からの大臣の見解はどうですかと聞いている。基本的なことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/83
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084・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 申し上げることが、ちょっと足らなかったかもしれませんが、もちろんこの問題は一番重要でございまするので、もちろん予算等についても十分これからは考えてまいりたいということを先ほど申したのでございます。
なお、このF1の問題につきましても、もっと各国の実態を十分見届けまして、さらに肉牛についての一段と改良に要するそれらの問題を調査させたい、こういうこともあわせて申し上げたのでございまして、あるいは赤字が出て、それでよいといったような考えを持っておりません。さようなことでありまして、十分にひとつこれらの問題については努力を払ってまいりたい、こう考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/84
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085・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 ことしは、もう団体の予算がはっきり制約されているのかもしれない、地方競馬の協会ですね。あるいは政府の予算をここでこのためにどうこう言っても、これはちょっと不可能に近いことを私は言うつもりはないのですが、今後この三年間の展望で、こういうセンターを百カ所つくるのだという場合には、こういうことでは私はいかんと思う。だから、大臣もいま答弁になったように、今後は十分そういう点も考慮するということでありますから、それが十分私の言うとおり考慮されたならば、初年度の分までこれは遡及して——やはり予算的な、経済的な効果を遡及しなければ、先にやったところが損をするということになっては、これは政府に対する不信感を植えつけるだけだと思う。岩手県から申請をしている、これは下閉伊郡の川井村の門馬農業協同組合が経営主体になっている。これは、門馬の農業協同組合というのは、あの辺でも非常に経営能力も低い、また村がかぶるとして、村の財政もきわめて貧弱な村行政、そういうところに全部しわが寄るのでは、岩手県の一角にそういうものが出れば、あとのところはやる意欲を失うということを、私は心配するわけです。喜んで、なにももうける必要はないが、十分やって採算がとれる、不足な分は政府がカバーしてくれるのだというような、一つの経営上の安心感を持って、このセンターの、肉用牛の繁殖育成の基本的なものに取っ組ませるだけの条件というものが、もっと政府としてもあってしかるべきだと思う。
本来ならば、ここへ大蔵大臣も呼んで、十分この国民の声というものを聞かしてやりたかったのでありますが、あまりどうもそういうことに時間をとることもどうかと思って、閣僚として、ひとつ坂田さんにこれは強く要求しておきます。
ところが、この経営書の内容が、結果的には、赤字という数字を言いましたけれども、その内容がまたきわめてどうも実際に適用した場合に問題があり過ぎるわけです。たとえば四十ヘクタールを一つの団地としてセンターが運営される。成牛が八十頭、育成牛が十一頭、子牛が六十二頭、こういう一つの家畜を擁して、これを担当していく人はたった一人。人件費から見れば三万円。これらの重要な仕事をやっていくには、かなり達識のある獣医師が担当しなければこれはやっていけない。三万円でできますか、きょう日の相場で。大学出た、そういう連中では、こういう大きな仕事を預けるわけにはいかぬでしょう。それが、たった月三万円。そうしてなおおかしいことには、これが二年度も三年度も、五年度も六年度も同じ三万円単価だ。ベースアップは一文もない。こういう不当な賃金の中でやれると思いますか、一体。しかも、こういう百頭をこえる大きなセンターで、夜、分べんにあうこともあるでしょう。牛の病気もときどきある。そういう飼養管理というものは、絶えずこれらの家畜と起居をともにしなければ、十分な管理ができないものである。それらの人間の管理は、宿舎というものも何もない。毎日、これは自転車でかよえというのですか。夜から朝までは家畜が病気しようが、分べんしようが、何ともしようがない。こんなことでセンターといえますか。それらの要素をみてもなおこういう赤字があるという。もう少しやる者の身になって、これは考えてくれなければ困る。ずいぶんこまかいことを私は言うようでありますが、しかし、問題は決してこまかいことではない。センターですよ、これは。繁殖育成のセンター。何年も何年も、月三万円で、年にそれに対して三カ月の賞与を見ているだけ。初年度の事務費は何ぼですか。五千円しか見ておらないでしょう。打ち合わせに出かけるったって、みんな自分でこれは汽車賃を払わなければならない。人が来ても、お茶の葉っぱは一かけらも買えない。そんなことでいいですか。少なくとも最小限これらのセンターを運営するに要する経常費というものは、これは経費として計上すべきものじゃないですか。そういう点は全然なくして、たとえば投下した資本の権利も見ていない。私は、こういうものを、実際政府がやれるし、われわれも、何々県としてはこういう和牛の繁殖育成には積極的に、国の政策が最も妥当であるからやらにゃならぬとして意欲的に取っ組んだ連中が、一体どう受けとめますか、こういう具体的な内容を押しつけられた場合に。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/85
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086・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 肉用牛の繁殖育成センターの経営収支の試算、御指摘のように、私もまあ問題はあると考えております。考えておりますが、当面の考え方としては、こういう形で何とかやれるのではなかろうか。で、赤字の問題も繁殖育成センターのことでございますから、三年間程度は、繁殖をしていきます牛が大きくなるばかりでございまして、現金化をいたしませんので、資金の回転としては赤字の形で出るわけでございます。で、厳密な意味の赤字かどうかは、家畜が成長をいたしております付加価値部分がどういうことになるかということまで計算をしなければ厳密な赤字かどうかということは言えないわけでありますが、その点はなおこの経営試算の中に抜けておるのでございます。それから、全体といたしまして、この肉用牛の繁殖育成センターが独立の機構として成り立つものとしては、この試算では私は相当無理であるというふうに思うのでございますが、農協なり市町村なりというところの全体の機構の中でやっていく場合には、ただいまの人件費の問題にいたしましても別途賃金を見込んでおるのでございますが、これはまあ十分かどうかは議論もございましょうけれども、大体この程度の人件費でやれるのじゃなかろうかという試算をいたしたわけでございます。端的に申し上げまして、この企業が公的な性格を多分に持っておりますので、農協なり市町村なりが、この事業が純然とした採算事業という観点以上のお考えを持って臨んでもらわなければ、むずかしい問題が出るだろうというふうに思っておるわけでございます。なお将来予算措置等の改善によりまして、初年度事業が不利におちいるというようなことは、何らかの形で除去するように努力をいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/86
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087・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 とにかくその付加価値資産の計上その他が起きておることも承知しておるのですが、何しろあなたのほうで出したのになくて、あとからそう説明をされるから話があと先をするので、そういうしろうとが迷わないように、もう少し、全部出せるものなら出した上で私が資料を理解すれば、もう少しこれは明るい展望もあり得る。ただ結論としては、初年度、二年度、三年度まあ累計して五百万以上も赤字が出ることに対しては、何らかの措置を講じなければならぬといういまの畜産局長の答弁を私は信頼します。そうしてそれらの措置を万全に講じて、これらの繁殖育成センターが初めてスタートするのですから、それで担当者に意気阻喪させ、関係者にそれに取っ組む意欲を失わせないようなことは、ぜひともやってほしいと思います。
その他、この内容には、たとえば家畜共済の費用も計上していない。今度政府が家畜共済の法律改正を出しているでしょう。同じ農林省の中で出しているのに、そういうものに対する一つの共済的な要素も費用として見ていない。センターは、家畜共済というものは、そんなものは無視していいのだというようなわけにはいかぬのですよ。これはこまかい話だけれども、そこはやっぱりつまらないことを私に言わせないように、ひとつセンターの運営には万全を期した指導をしてほしいと思います。
それから、これ局長に伺いますが、和牛の繁殖の可能率といいますか、それは従来の実績では何%になっているのですか、和牛の繁殖の可能パーセンテージは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/87
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088・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 従来のマクロで見ました数字で申し上げますと、大体繁殖牝牛八十万頭から五十万頭程度の子牛が出ているというのが実績でございます。私どもいま長期の計画で見ておりますのは、繁殖率六七・幾つ、約六八%ぐらいの繁殖率を見ております。過去の実績から見ますと、六五%ぐらいということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/88
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089・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 ところがですね、この畜産センターの繁殖可能率というものを見ますと、八〇%に見ておる。従来の実績が六七%、あるいは六五%というものに対して、これが八〇%という架空な率を出して、そして子牛の生産に期待をしている。ここにもいわゆる生産販売の収入に過大な見積りがあるわけです。どこを考えてみてもこのセンターの計画というものは非常につま立ちをした、従来の実績とはあまりにかけ離れた、収入はよけい見て支出は低く見て、なおかつ、さっき言ったように非常に大きな赤字が三年度まで続く。どういうわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/89
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090・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この繁殖育成センターは、優良子牛の繁殖をもっぱら目的とする施設でございまして、通常技術的な標準の水準になりますと、受胎率がおおむね八五%ぐらい、生産率は八〇%ぐらいというのは必ずしも困離な水準ではないのでございまして、私が先ほど申し上げましたのは、現実にマクロで見ました場合の繁殖牝牛に対する生産の率がどうなっておるかということを申し上げましたので、この施設で八〇%の生産率を見ますことはそう過当な見込みではないというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/90
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091・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 きょう私もこれ以上センターのことで伺う気持ちもありませんが、まあそういうことを私も期待をしましょう。しかし、これを期待するには、さっき言ったように、その飼育関係の運営にあたる人によろしきを得るかどうか、また、これは人の運営にもかかるわけで、その人間を雇うのに、いま言ったような何といいますか、三万円でさあ来いと言ったところで、大体政府は畜産技術者というものをどう見ていくか、こういうことまで実は私はただしたくなる。家畜に、生めよふやせよと言う前に、その家畜を育てて、自分のこどものようにいつくしむそういう担当者にもう少し光を与えることが先じゃないですか。そういう大事な人を、こともあろうに三万円ぐらいでこれはやれるか。たった一人ですよ。あと人夫を一人見ておりますね。それはまあ草づくりの人夫だ。ただ、草づくりの人夫一日日当八百円ですか、あとこの一人だけですよ。それであなた百頭以上のセンターの牛を飼育管理できますか。そうして生きた家畜の健康管理が常時周到にできますか。それで八〇%の繁殖が可能だと言えますか。こういう点をもう少し私は、やる場合にはやる者の立場に立って考えてもらわぬといかぬと言うのです。まあきょうはこの程度にしますけれども、実際これから、さらにこれが百カ所にふえるのですから、なるほどこれはよろしいと、地方でもこれは張り切ってやれるわけです。それで希望者がたくさん出る。われこそは行ってセンターのひとつ中心の技術者で大いに国策へ貢献しようというぐらいな前向きな意欲を持たせるには、あまりに並べた要素が現実離れがしている。それでは困る。私は単にこれを批判するために批判しているつもりは毛頭ありません。受け入れる地方の気持ちもやはり十分尊重して、政府の政策が水の高いところから低いところに流れるように、無理なくセンターの機能が発揮できるような、いろいろ、いま二、三あげましたような、これは私はしろうとでまだまだいろいろ問題があるようでありますけれども、たとえば、そういう問題点を少なくとも克服をして、予算に制約される結果であれば、これは大臣が言ったように、来年からは大幅なセンターを補強する予算を確保して、そうして国をあげてこの肉用牛の繁殖育成センターが基礎的なものになって拡大していくというようなひとつ内容になっていかなければならぬというふうに考えるわけであります。
それから、この需給の問題でありますけれども、肉食牛の問題等は、先般来、中村君からあらゆる角度から取り上げましたので、私はもうそういう点には触れませんけれども、どうしても輸入しなければ国民の消費にこたえられない、積極的に国内の生産を増強することが基本的な政策課題であるけれども、これは急速に来年からそれでは国内の需要に見合うだけの生産が突如として実現できる筋合いのものでもない、長年月を要するこれは精力的な問題であるわけでありますから、その間にどうしてもこれは輸入に依存しなければならないということも当然出てくる。そこで、そういう需要供給の逼迫に対して、政府では、来年はまあマキシマムの数字だと思うが、二万トンはこれは輸入しなければならない、こういうことを需給関係から言っているわけでありますけれども、需給の関係でそれらの輸入量を規制するということのほかに、私は私なりに、やはり先ほど中村委員が指摘をいたしましたように、この牛肉の計画的輸入を政府がこれから積極的にはかっていかれるにしましても、何としても牛肉の安定価格というものを設定して、市況が安定上位価格を越えて騰貴し、あるいは騰貴するおそれのある場合には、豚肉等の価格を十分考慮した上で牛肉の輸入をする、そういう価格のめどがなければ国内の生産意欲というものがまた相対的に規制をされる、こういうことになると思うのであります。また価格が安定基準価格を下回り、また下回るおそれがあるときに買い入れをするのだという歯どめが私は価格政策として必要だと思います。これは国内の肉用牛の増殖をやはり大きな前提として考えれば、どうしてもそういうものが考えられてしかるべきものじゃないか、ところが、先ほどの中村君に対する局長の答弁を伺いますと、なかなかこれを設定することは困難である、またこれらの価格を設定する必要を感じない、必要を認めない、そういう二つの理由からこの安定基準価格の設定については消極的であり、むしろネガチブである。容易であるか困難であるかは別としまして、私はそういう一つの需給の問題並びに価格の一定の水準と言いますか、上位価格、下位価格というものを基準価格というもの、そういうもので一つの輸入のめどをつけるという価格政策も、これは相並列して初めて国内の需要にもこたえ得るし、国内の肉用牛の生産にもいささかもこれは規制にならないという措置が講ぜられるものと思うのであります。困難であるが、これは不可能じゃないでしょう。私は私なりにこういう問題を提起した限りは、一つの試算があります。政府が調査した生産費調査、三十八年の去勢牛のそういうものから豚肉一キログムウを計算し、中間マージンを見、そうして出てきた一つの安定基準価格、中心になる価格、上位安定価格という一つの試算もある、これは政府の調査をした去勢肥育牛の資料をもとにして出したものがあるわけです。やる気さえすればできるはずです。やる気がない政府に聞いてもしようないかもしれません。やはり肉用牛生産農家の立場、また一般に消費の需給の調整をはかるという立場からいって、これらの価格政策というものが並行してこれは取り上げられて初めて全きを期すると思うのです。そういう認識がないのか。かりにないとしても、試算をすれば上位安定価格はどういうふうになるのか、基準価格はどういうふうになるのかということを政府みずから試算したことがおありなのか。あるとすればどういう一つの、去勢牛についてであります、計算がなされておるか。この際その内容を明らかにしてほしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/91
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092・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 国内の肉牛の生産を安定的に発展をさせていくために、価格関係における安定措置を必要とするという御趣旨につきましては、私どもも異存のないところでございます。ただ畜安法に基づきます安定基準価格安定上位価格を設定することについては、これはその価格の水準はそれぞれきめられた指定食肉についての行政発動の水準になるものでございますから、牛肉の価格全体を一定の均衡状態において支えていくことが必要であるということになるわけでございます。その場合に、先ほど申し上げましたように、非常に牛の種類それから肥育の方法また個体差というようなもので市場価値というものに変動が大きい。安い牛肉は現在でも枝肉が二百六、七十円というものがあります。高いものは八百円こえるというようなものがある。したがって、一体どういう肉についてどういう価格をきめるかというのは非常にむずかしい。生産費から逆算といいますか、積み上げ計算をいたしまして安定価格あるいは上位価格をきめることは必ずしも不可能ではございませんけれども、一体生産費にあらわれました牛がいかなる銘柄というか、いかなる品質の枝肉になるかということは、これは私どもの持っている知恵と資料ではとうていトレースができないのでございます。私の考え方では、肉牛の生産、したがって、牛肉の供給の増大をはかるための価格安定の焦点は子牛の価格の安定にあるのではなかろうか。と申しますことは、かりに、牛肉の価格安定ということも必要でございますが、これを安定をしようといたしますと、それが肥育牛に価格現象を及ぼしますのには相当のタイムラグが出てくる。また、そのあらわれ方は必ずしも肉の価格の上下とパラレルではない。いわんやそれが子牛の価格に及ぼします価格影響は、タイムラグは非常に大きい。かつまた、これの変動幅はさらに大きくなってあらわれるということでございますので、当面私どもが今後検討し実現をはかるべきであるというふうに考えますのは、子牛の生産を継続し得る価格安定措置をとることが先決ではなかろうか。肉の値段がかりに安くなりますれば肥育牛の価格が下がり、肥育牛の価格が下がれば子牛の価格が下がるわけでございます。価格現象のしわは常に子牛価格のところへ寄るわけでございますので、私どもとしては、肉の価格安定についても御指摘の御趣旨もよくわかりますので検討を加えたいと存じますけれども、当面やるべきことは子牛価格の安定措置を考えてまいりたい。それを昭和四十二年度の施策の一環として考えてまいりたい。もっとも予算の伴うことでございますので、私どもの施策目標ではございますが、その点を整備をしていきたいというのが現在の気持ちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/92
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093・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 私が牛肉の安定上位価格というもの、基準価格というものを設定してほしいというのは、それなりの理由があってお尋ねをしておるわけで、もとより局長が言うように、子牛の一つの採算価格というものを保証するということは、これは私も異論はありません。しかしながら、この事業団が新たに牛肉の買い入れ、売り渡しをやるわけであります。そういう場合に、私が言うような安定上位価格というものを越えた場合、そういう場合に豚肉の相場というものを十分勘案して中央卸売り市場とか、あるいは豚肉の指定買い入れ場所における指定売り渡し人によって全量公開制取引とか、あるいは競争入札というような公正な方法でこれを処分する、そういうめどからいっても、安定上位価格の設定というものが一つの売り渡しのめどになる、こう思うのであります。そういう点はどういう場合に、これらがない段階において売り渡しというようなものがなされるか、上位安定価格というものがない、いまのところは考えてない。畜産振興事業団がみずから持っておる牛肉を市場に放出する、どういうめどでそれは放出をさせるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/93
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094・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 事業団が牛肉の需給なり価格の安定を目標として輸入牛肉の売り渡しをする、そのためには何らかの牛肉の価格について需給操作の基準となるべき価格水準を求めなければならないという点については、先ほども中村委員の御質問にお答えをいたしたところでございますが、渡辺委員のお説と私も同感でございます。ただ、それは法律上の安定上位価格という性格のものではなくて、需給操作のめどとなるべき指標の価格を私は持たなければならないというふうに考えておるのでございます。その指標となるべき価格は、先ほども触れましたように、わが国の牛肉価格の騰落を判断をいたしますメルクマールとして従来からとられております去勢牛の上の枝肉価格というものを指標価格の銘柄として取り上げたい。その価格の水準は現在私どもが考えておりますのはおおむねキログラム当たり五百五十円程度の水準を操作の基準にいたしたい、その水準を下回る市況の場合には放出はいたさない、それを上回った場合に限るということを、農林大臣から畜産振興事業団に対する指示として与えておきたい。なおそれに加えて、豚肉が安定基準価格を割っておる、あるいは安定基準価格を割ろうとするという情勢の場合には、これもまた放出はさせないというふうに運営いたしたいというふうに考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/94
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095・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 次に、輸入の実態について少しく伺いたいのでありますが、先ほどの質疑の中で一応明らかになった点は、日食協扱いの場合はブリスケットですが、三割は加工用に回す、これを上回らせない。したがって、七割は精肉としてこれを市場に回す。畜産振興事業団については、別にそういう規制は加えないというんだが、その点は一体どういうふうに理解すればいいんでしょうか。畜産振興事業団の放出する輸入牛肉の胸肉はこれは精肉として全部末端まで、消費まで届けるということに理解していいんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/95
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096・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 畜産振興事業団の操作いたします牛肉は、牛肉一般の価格あるいは需給の安定を目的とするものでございますので、原則としては精肉として消費者にわたる経路のものを対象として売り渡しをするという考え方をとりたいと思います。ただ売り渡しの方法として、原則的には中央卸売り市場における公開せりによって売り渡しをしたいというふうに考えておりますので、その際の買参の中に加工業者を一切入れないというふうにするかどうか、なおその点は検討を要する問題が残っておるわけでございます。それと、私どもの現在の考え方としては、民間輸入の数量は、これは当分の間増大をしないという考え方でいきたいということを考えておりますので、加工用の他の肉の手当て等の関係で、どうしても加工用の牛肉が民間輸入で入ったもので間に合わないというような場合には、そういう特殊な事情ができた場合に、加工用に用途を指定をして売り渡すという場合もあり得ると思いますが、原則としては精肉市況の安定ということを中心にして操作をしていきたいというふうに私は考えておるのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/96
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097・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 そういう基本的な方向としては、私はこれは賛成するにやぶさかじゃないわけです。であるとすれば、それだけに、いわゆる加工業者がこれを横流しをするということも従来以上にこれは懸念がある。これは懸念であるから、実際は杞憂であればけっこうであります。それで、この懸念をさらに完全に払拭するためには、従来加工業者が中心の材料としておった、たとえばマトンを一つの例にとってみると、これがニュージーランドあるいはオーストラリアからのほとんど輸入に仰いでおる。これを他の国にもひとつ輸入の方向というものを拡大して、加工用は加工用で、こういう牛肉を精肉として消費者に届けることを妨げないような措置もこれは当然考えてしかるべきものじゃないだろうかというふうに考えるのであります。で、このマトンの点一つをとってみましても、かなり最近は日本の需要の足元を見て、年々買い付け価格が騰貴しておる。数量も逐年増加の一途をたどっておる。三十三年までは大体百トン程度しか入っていなかったマトンが、三十六年には二万二千トンになり、四十年には五万三千トンにはね上がっておる、マトンの輸入が。これはニュージーランド、オーストラリアの大得意です。その輸入価格も豚肉と精肉を込みで一応政府が出した資料を見ますと、昭和三十六年は一キログラム当たり九十六円九十六銭であったものが、昭和四十年には百四十七円三十七銭、大蔵省の日本外国貿易月報にそういう数字が出ておる。これはまさに日本の買い付けの強気相場を反映して足元を見た一つの相場の高騰である。なお、需要が増大する。政府としてはブリスケットは加工用に回わさないように行政指導を十分やるとしても、これらのやはり加工業者のマトンの需要というものをニュージーランドあるいはオーストラリア以外からも市場を広く拡大する必要に迫られているのじゃないかというふうに考えるわけであります。したがって、ここでもう少し明確にお尋ねをしたいのは、いわゆる家畜伝染病の中でも最もおそれられている口蹄、これはわが国では明治四十二年に終えんして五十年の長い間完全にこれは国内には出ていない。そういう清純な日本でありますから、諸外国からこれらの肉類を輸入する場合にあたっては病的なほど神経質なことはわかります。わかりますけれども、一たんそれが何ら心配するに足らないという結論が出たならば、これはまず中心をなすところの政府の決断によって、これはまあ大臣が決断する前に担当局長が決断をもってこの道を開く、国内の市況を冷やす、消費者物価の高騰を規制するという措置が必要な段階になってきておると思うのです。特にこの点については、船賃も安い中国物というものが売り手に立っておるわけでありますから、この点を一体局長は、まあ私が伺ったところによれば、畜産振興事業団の田中副理事長はこの道の世界的な権威者なそうであります。形式的な書面による復命以上は詳細に口頭で復命をしているでしょう。書面にあらわしかねる中国要人の名前等は出せないでしょう、表向きに。そういう底の底まで斯界の権威者が中国の実態を見たものを局長はどう理解し、どうこの中共の食肉の輸入に対して方向づけを決意されておるのか。その点をもう少しわかりやすくひとつ腹のうちを明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/97
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098・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この問題は御指摘の中にもあらわれておりますように、純然たる技術上の問題でございます。で、午前中にも御説明を申し上げましたとおり、わが国としては家畜衛生に関する権威者が三回にわたって中国の実情の調査あるいは防疫行政の実施のしかた等についての視察調査に参っておるのでございます。で、午前中申し上げましたように、田中副理事長の書面による報告は出ておらないのでございますが、お話しのように、口頭による一応の報告も受けております。私としましては責任のある行政措置をとるためには、やはり書面による報告を求めざるを得ないというふうに考えておりますが、今日までの調査の結果から私の判断いたしますところでは、これ以上調査すべき問題は残っていないというふうに考えておりますので、正式に田中副理事長の報告書が出ましたならば、この問題の前向きの解決をはかりたいという気持ちでございますので、理由を明らかにいたしました上で上司の裁断を仰ぎたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/98
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099・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 大臣にお尋ねしますが、いま畜産局長の答弁がありましたように、役所のことでありますから正式な書面による復命書がなければ、最後の断を下しかねる。しかし、口頭の復命を受けた内容からいけば、いずれそういう正式な手続が終了し次第、前向きに一つの決断を下すべく上司に相談を仰ぐ、こういうことでありますが、内々の復命もあろうかと思いますし、正式にそういう担当局長からの問題の提起があった場合に、最後決定するのは主管大臣でありますが、主管大臣はそれを受けて直ちにこの中国からの食肉の輸入に踏み切る、その場合はそういう決意があるというふうに理解していいのかどうか、この点を明らかにしてほしいのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/99
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100・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいま畜産局長から申し上げたとおりでありまするが、この口蹄疫は、言うまでもなく、非常に慎重に私ども考えておる問題でございまして、先ほど申しましたとおりに、最後に田中副理事長が参りまして、畜産局長がいま申しましたように、書面による報告を受けて、ただ問題は、どうしてなくしたかということについて、おそらくこれらの点についても十分検討してまいったはずでございまするから、その点を特別によく調べ、報告をよく聞いて、もうこれでだいじょうぶということであれば、先ほど申しましたように、全くの技術問題でございまするので、畜産局長の申したとおりに、私といたしましても輸入をいたしていくように決したい、かように考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/100
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101・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 藤山経企長官御出席でありますからすぐお尋ねをいたしますが、実はただいままで中国の食肉の輸入について、家畜伝染病の問題点が一体どう究明されておるか、その斯界の権威者が現地におもむいたその経過等をお尋ねいたしておったのであります。いままで質疑を通じて明らかになった点は、口頭で復命を受けたが、正式な文書による復命はないので、ここで最後の意思表示をするわけにはいかぬけれども、少なくとも口頭で受けた限りにおいては、特に口蹄疫については一九六一年を境として中国においては根絶されておるというような理解をしておられるわけであります。いずれ近くこれは畜産振興事業団の田中副理事長その人でありますが、正式な復命があれば、どういう経過を経て根絶したかをなお大臣としても確認をした上で、それを前向きに結論をつけたい、こういうところまでが明らかになったわけであります。私がこの問題を特にこの機会に取り上げますゆえんは、特にわが国における消費経済構造の変貌、食生活の向上等々によって食肉の依存度が急激に高まってきている、しかも国内の生産がこれに追いつかないために、消費者価格はとどまるところを知らない、上昇傾向をたどる一方である。そういう段階において、消費者をこれらの消費物価の高騰から守る主管大臣である経済企画庁長官は、この食肉を取り扱う主管大臣がそういう一つの口蹄疫——家畜伝染病等について心配がないという断を下したら、中国からそれらの、消費価格行政に資する点もあり、それを輸入に踏み切る場合には、長官としてそれに対応する御所見はどうでしょう。長官は、伺うところによれば、中国との貿易については非常に熱心な長官であるはずであります。友好貿易よりはLT貿易のほうがベターであるという長官の意思表示も伺っております。この際それらをあわせて、長官の所見を伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/101
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102・藤山愛一郎
○国務大臣(藤山愛一郎君) 日本の今日の物価題問を解決する中で、構造上から来ておりませんで需給の関係から来ておる問題の一つとして、食肉が取り上げられると思います。したがいまして、食肉の輸入ということは、今日生活程度が向上して来まして肉の需要がふえ、しかも日本における頭数がだんだん減っているという現状から見れば、外国に仰がざるを得ない、そうして需給の調整をするのが望ましいことだと思います。そういう意味から申しまして、日本の農村に影響を与えるということは考えられないのではないかという前提に立ちまして、私としては防疫上の問題さえ解決いたすならば、中共から食肉を輸入してまいりますことは、防疫上の問題も同時にあわせ考えまして、日本の物価問題の対策に非常に大きな寄与をする問題だと思いますので、私はそういう防疫上の問題が解決されて、輸入がされることを望んでいるものでございます。したがいまして、こうした問題については防疫上の問題——衛生上の問題でございますから、十分に農林大臣がその方面に御注意をして、差しつかえないということであれば輸入していただきたいと、こう考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/102
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103・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 それでは、少しこれとは趣を変えた点を農林大臣にお尋ねをいたしたいのであります。
先ほども中村委員が尋ねましたように、輸入差益八十円というものをもしも徴収させないということになれば、流通マージンの中にこれが吸収されてしまう、末端の小売り価格にはそれが反映しないという意味の答弁があったのであります。どうもそういうきわめて弱腰の姿勢では私ははなはだこれはいかぬ。しかし、これはいかぬと言うても、なかなかそういうふうな理解の政府にどうこう言うわけにも、これ以上言うてもぬかにくぎだと思うのであります。私はこの機会に、やはりこれを規制するために、たとえば精肉として輸入し、これは枝肉として入ったものでないから、精肉として入ればいわゆる解凍し、さらに骨を抜き、筋を引いて、チェーンストアーを通じて末端に精肉として配給する。これを既存の業者だけではなしに、全国の消費人口の三割以上を占める農村の農民、これも従来はみずからの体質を消耗しておったんでありますが、しかしながら、できるだけこれらの安い輸入肉を食わせて、そうしてその体力の消耗を防ぐということをはかる必要がある。現に生産地帯では食肉バンク等をやって、農協の組織でこれを運営しておる幾多のこれは共通的な事例があるわけでありますが、大部分はやはりそういう肉食の生産者ではない消費者であるという立場からいって、これらの農村の消費人口に対して従来の既存の流通経路とは別個に、これは村の農業協同組合を通じて、この輸入肉を配給させる、県段階では県の経済連が扱う、系統組織としては全購連がこれを畜産振興事業団から借り入れをして配給をするという一つの筋をここに通すことによって、私は総体的に既存業者のこの壟断したとかくうわさのある取引を規制するためにも大いに効果があると思うのでありますが、この扱いについてこの機会に大臣はどういう見解を持っておられますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/103
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104・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) この輸入の牛肉を供給するために、系統農協に売り渡すということについては十分考慮してまいりたいと、こういうことでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/104
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105・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 もう一度、もう少しはっきりひとつ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/105
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106・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 輸入の牛肉を農家のほうへ供給することにつきまして、系統農協への売り渡しについてこれは十分考慮してまいりたいと、こういうふうに申しましたわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/106
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107・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 十分検討して考慮するということでありますが、これは局長に伺いますが、具体的にはどういうことになるのでしょうか、扱いとして。たとえばこれは事業団と随意契約をさしてやるのかどういうのか。その方法等に腹案があったらその点をお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/107
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108・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) 農家へ輸入の肉の供給をするということにいたしますと、事業団が原則的に放出をいたす形態としての中央卸売り市場での売買ということでは、午前中も御説明を申し上げましたように、市場の偏在の問題もございまして適当でなかろうと思いますので、全国系統団体を対象にいたしまして農家配給ということに限定をした上で随意契約による売り渡しの考慮をいたしたい。この点につきましては政府内部、会計検査院等との了承をとる必要もございますが、その方向で考えてまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/108
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109・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 この改正法律案の中に……。ちょっと話が飛躍してこういろいろ変わりますからあしからず聞いていただきたいのですが、いままでの役員の欠格条項には、「国会議員、国家公務員、地方公共団体の議会の議員又は地方公共団体の長若しくは常勤の職員は、役員となることができない。」とあったのですが、今回は欠格条項としては、「政府又は地方公共団体の職員は、役員となることができない。」したがって、旧法と対比をしますと、国会議員なりその他常勤の地方公共団体の首長というようなものがなれるという改正案です。これはどういうふうに改正案を理解したらいいのか、その点をひとつわかりやすく説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/109
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110・桧垣徳太郎
○政府委員(桧垣徳太郎君) この条項の改正につきましては、実は昭和四十年の二月十九日に自民党総務会長、政調会長と内閣法制局との間で協議が行なわれまして、その結果、国会議員及び地方公共団体の議会の議員は特別の理由がある場合を除き特殊法人の欠格条項中には掲げない。つまり欠格者としないということに決定をされまして、既往の法律につきましては、すでに施行されております法律につきましては、最近の改正の機会に該当条項を一般的に改めるということにされたのでございます。本条の改正もこの法制局の決定に従ったものでございます。なお、国務大臣及び地方公共団体の長は「政府又は地方公共団体の職員」という中に含まれますので欠格条項に入るわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/110
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111・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記をとめて、
〔午後四時二十八分速記中止〕
〔午後四時四十五分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/111
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112・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こしてください。
他に御発言もなければ、質疑は尽きたものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/112
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113・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認めます。
それではこれより討論に入ります。
御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論はないものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/113
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114・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認めます。
それではこれより採決に入ります。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/114
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115・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
矢山有作君から発言を求められておりますので、これを許します。矢山君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/115
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116・矢山有作
○矢山有作君 ただいま可決されました畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案について、自由民主党、日本社会党、公明党の三党共同による附帯決議案を提出いたしますので、御賛同を願います。
案文を朗読いたします。
畜産物の価格安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議
政府は本法律の施行に当り左記事項について万全の措置を講ずべきである。
記
一、わが国における肉用牛飼養及び牛肉需要の動向からみて、肉用牛生産の維持・増強は喫緊の用務である。したがって政府は、肉用牛の改良・増殖等の生産対策の積極的推進を図るとともに、国及び地方公共団体の試験研究体制の整備・拡充に万全を期すべきである。
二、本法の運用にあたっては、国内肉用牛の生産の増強及び牛肉の消費の安定を図ることを本旨として、海外における牛肉の需給事情及び価格の動向を充分に把握して、牛肉輸入の適正を期するとともに輸入牛肉の売渡しは、肉用牛資源の維持拡大を阻害することのないよう充分留意して、今後生産者価格の安定のため、現行価格安定制度の対象品目とするよう鋭意検討すること。
三、輸入牛肉によって生ずる差益金は、日本食肉協議会に積立てられているが、その算定基礎については、差益金が流通段階において不当に吸収されることのないよう厳重に処置し、その積立金は国内食肉生産の増大、流通合理化等のため使用するよう措置するとともに、これが積立は畜産振興事業団に一括して行なうようすみやかに検討すること。
四、本法施行後の牛肉輸入については、すみやかに、これを事業団に一元化するよう検討すること。
右決議する。
以上でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/116
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117・山崎斉
○委員長(山崎斉君) おはかりいたします。
矢山君提出の附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/117
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118・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 全会一致でございます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
農林大臣から発言を求められておりますので、これは許します。坂田農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/118
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119・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの御決議につき、その御趣旨を尊重いたしまして、遺憾のないよう善処いたしたいと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/119
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120・山崎斉
○委員長(山崎斉君) なお、本院規則第七十二条により議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02619660526/120
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121・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
本日はこれをもって散会いたします。
午後四時四十九分散会
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