1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月三十一日(火曜日)
午前十一時二十三分開会
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委員の異動
五月三十一日
辞任 補欠選任
北村 暢君 川村 清一君
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
園田 清充君
野知 浩之君
武内 五郎君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
小林 篤一君
櫻井 志郎君
田村 賢作君
高橋雄之助君
任田 新治君
仲原 善一君
八木 一郎君
川村 清一君
中村 波男君
村田 秀三君
森中 守義君
矢山 有作君
北條 雋八君
衆議院議員
農林水産委員長
代理理事 田口長治郎君
発 議 者 湯山 勇君
国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林省農政局長 和田 正明君
農林省農地局長 大和田啓気君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
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本日の会議に付した案件
○農地管理事業団法案(内閣提出、衆議院送付)
○農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
○農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
法律案(衆議院送付、予備審査)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/0
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
農地管理事業団法案、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案(閣法第一三八号)、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案(湯山勇君外十三名提出)
(衆第一二号)
以上、三法案を議題といたします。まず、農林大臣から、農地管理事業団法案、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案の提案理由説明を聴取いたします。坂田農林大臣。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/1
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002・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 農地管理事業団法案につきまして、その提案の理由及びおもな内容を御説明申し上げます。
農業生産を維持増大して国民食糧の安定的な供給を確保するとともに、農業と他産業との間における所得及び生活水準の格差の是正をはかることが、農政の基本であると考えます。そのためには、震細な兼業農家を含め、農家全体を対象として農業生産を振興し、その所得を高めることに努力いたすことはもとよりでありますが、最近における農業の動向からみますと、農業に専念し、農業所得によって生活することができる農家を相当数育成することがきわめて重要であろうと存じます。このような自立経営農家及びこれに準ずる協業経営が健全に育成されるためには、農業に専念する農家が漸進的に経営規模を拡大し、生産性の高い農業経営の基礎を確立することのできる条件がつくられることが必要であります。
最近における農家戸数の推移をみますと、昭和三十五年から四十年までの間に年平均約八万戸の減少を示しました。この間、都府県で一・五ヘクタール以上の農家が多少増加しておりますが、経営規模の拡大の傾向は必ずしも顕著とはいえない状況にあります。また、農地についての権利移動をみますと、自作地の売買等による有償移動の面積は、年々増加し、昭和三十九年には約七万五千ヘクタールとなっておりますが、その内容においては、自立経営をめざす農家の経営規模の拡大の方向に沿って行なわれているとは必ずしもいいがたいのであります。
そこで年々移動している七、八万ヘクタールの農地に着目し、地域の実情に応じ無理なく経営規模の拡大に資するよう方向づけることにより、農業によって自立しようとする農家及びこれに準ずる協業経営の規模拡大を促進することを目途として農地管理事業団を設立し、農地及び未墾地の取得についてのあっせん及び融資、農地の売買その他農地移動の円滑化に必要な業務を行なわせるため、この法律案を提出したのであります。
政府は、第四十八回通常国会に農地管理事業団法案を提出し、衆議院を通過し参議院において審議未了となっております。今回、その際の審議経過等を勘案し、農地管理事業団の業務の範囲に未墾地の取得についてのあっせん及び融資を加えるとともに、事業団の業務は、今後事業の実施状況を見、市町村の希望により農村らしい農村のすべてにおいて実施することを目途として、初年度四百市町村において行なうものとし、また農家に直接接触する事務は市町村及び系統農協に委託して処理することとする等構想を改め、所要の予算を計上するとともに、この法律案を提出した次第であります。
以上がこの法律案を提出する理由でありますが、以下法律案のおもな内容について御説明申し上げます。
第一に、農地管理事業団の目的は、農地等にかかる権利の取得が農業経営の規模の拡大、農地の集団化その他農地保有の合理化に資するよう適正円滑に行なわれることを促進するため、これに必要な事務を行なうことにより、農業構造の改善に寄与することと規定しております。
第二に、農地管理事業団の資本金は一億円とし、政府はその全額を出資し、必要に応じ追加出資をすることができることといたしますほか、役員の定数、任免その他事業団の組織につき所要の規定を設けております。
第三は、事業団の業務に関する規定であります。
まず、事業団の業務範囲といたしましては、農地、採草放牧地、未墾地またはこれらの付帯施設についての売買または交換のあっせん及びその取得に必要な資金の貸し付けと、農地、採草放牧地またはこれらにかかる付帯施設についての買い入れ、交換及び売り渡し、借り受け及び貸し付け並びに信託の引き受けを行なうこととしております。
次に、事業団は、農林大臣の指定する業務実施地域内にある農地等について業務を行なうものとしております。この指定は、都道府県知事が関係市町村と協議し、都道府県農業会議の意見を聞いて申し出た場合に、土地の農業上の利用の高度化をはかることが相当と認められる農業地域で、農業構造の改善をはかるため農地等の権利取得を適正円滑にすることが特に必要な地域について行なうこととしております。
さらに、事業団の業務執行の方針といたしましては、自立経営になることを目標として農業経営を改善しようとする農家及びこれに準ずる農業生産法人の農地等の取得または借り受けを促進するように、その業務を行なわなければならないものとしております。
また、事業団の貸し付け金及び売り渡し対価の償還条件は、年利三分、償還期間三十年以内の元利均等年賦償還とするほか、一定の場合における一時償還及び償還の猶予、売り渡した農地等の買い戻し、農地等の信託にかかる信託法の特例、地方公共団体及び信用農協連合会等に対する業務の委託について規定いたしております。
第四は、事業団の財務及び会計につきまして、予算、事業計画等についての農林大臣の認可、借り入れ金、交付金の交付等の規定を設け、また事業団は農林大臣が監督することとし、監督命令その他の規定を置いております。
以上のほか、事業団は、業務実施地域内の農地または採草放牧地の所有者がその農地等の所有権を移転し、または賃借権等を設定しようとするときは、あらかじめ通知を受け、必要と認めるときはあっせん、買い入れ等の申し出をすることとしております。
また、農地法の適用につきまして、事業団による農地等の買い入れ、売り渡し及び借り受け、貸し付けについては許可を要しないこととし、また、事業団が農地等を借り受け、これを貸し付けた場合は、小作地の所有制限は適用せず、更新拒否等についての許可を不要とする等の特例を設けることといたしております。
さらに、税制上の特例といたしましては、事業団のあっせん融資等によって土地を取得した者に対して不動産取得税を軽減することとしております。
また、別途租税特別措置法の一部改正によりまして、事業団のあっせん等により土地を譲り渡した者について譲渡所得に対する所得税を軽減し、また不動産取得税の場合と同様に、土地を取得した者について登録税を軽減することとしております。
以上がこの法律案の提案の理由及びおもな内容であります。
何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願いいたします。
次は、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
農林漁業団体職員共済組合法は、農林漁業団体の役職員の経済的保証を制度的に確立するため、昭和三十三年四月に制定されたものであります。
その後、昭和三十九年には、他の共済組合制度の給付内容の引き上げに見合う給付内容の改善を実現し、さらに昭和四十年には退職年金等の最低保障額を大幅に引き上げてまいったことは御承知のとおりであります。
しかしながら、本制度による給付の内容を国家公務員共済、地方公務員共済等他の共済組合制度の給付内容と比較いたしますと、なお、昭和三十九年における法改正前の組合員期間の取り扱い等において多少の格差が認められるのでありまして、これらの点につきましてはかねてから慎重に検討してまいったところでありますが、今般、これらにつき他の共済組合制度による給付内容に準じて改善いたしますとともに、本共済組合の給付に要する費用についての国の補助率を引き上げ、あわせてこの制度の円滑な運営をはかるため所要の規定の整備を行なうことにより、本共済組合制度設立の目的の実現に遺憾なきを期せんとするものであります。
次に、この法律案による制度改正の内容の概要について御説明申し上げます。
改正の第一点は、昭和三十九年の本法改正前の組合員期間にかかる給付額算定の基礎となる平均標準給与につきまして、その算定の基礎期間が従来五年でありましたのを三年に改め、これにより平均標準給与の額を引き上げることとするとともに、旧法組合員期間の平均標準給与の月額についての五万二千円という最高限度額を廃止することとすることであります。
改正の第二点は、すでに年金受給権者となっている者、いわゆる既裁定者に支給しております年金につきましても、昭和四十一年十月分以後、改正の第一点についてと同様な算定方法の改善を適用してその額を引き上げることとするとともに、厚生年金の被保険者であった期間について年金額の減額を受けている者についてはその減額を行なわないこととするよう改めることであります。
また、これらいわゆる既裁定者のうち組合員期間二十年以上の長期在職者の年金額であって特に低額のものについては、一定額まで引き上げを行なうこととすることとしております。
改正の第三点は、退職年金の受給権を有する者であっても、五十五歳に達するまでは年金の支給を停止することとなっておりますが、希望するものには退職年金にかえて、新たに減額退職年金を支給できることとすることであります。
改正の第四点は、標準給与の月額の改定であります。現行の標準給与の等級及び月額を定めた表は、昭和三十九年に改定したものでありますが、現在の農林漁業団体の役職員の給与の実態を勘案し、その最低額を六千円から八千円に引き上げ、標準給与と現実の給与との乖離の是正をはかったものであります。
改正の第五点は、農林漁業団体職員共済組合が年金及び一時金を支給するために要する費用に対する国庫補助の率を百分の十五から百分の十六に引き上げることとしたことであります。
以上の諸点のほか、業務の一部の委託に関する規定、監事の権限の拡大に関する規定等につきましても所要の整備をはかっております。
最後に、この法律の施行期日は、準備期間等を考慮して、昭和四十一年十月一日からとしております。
以上がこの法律案の提案理由とおもな内容であります。
何とぞ慎重御審議の上すみやかに御可決くださいますようお顔い申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/2
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003・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 次に、農地管理事業団法案に対する衆議院における修正点について、政府委員から説明を聴取いたします。大和田農地局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/3
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004・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 農地管理事業団法案につきましては、衆議院において修正を受けましたので、その内容を申し上げます。
本法案に事業団のあっせん及び融資または売り渡しにより農地、未墾地等を取得した場合に、不動産取得税を軽減する規定を置いておりますが、本国会において地方税法の一部を改正する法律案が農地管理事業団法案よりもおくれて国会に提出され、すでに成立いたしております関係上、所要の技術的修正を加えたものでございます。条文の番号の整理でございまして、内容には全く変化はございません。
以上のとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/4
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005・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 続いて、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案に対する衆議院における修正点について、衆議院農林水産委員長代理田口長治郎君より説明を聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/5
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006・田口長治郎
○衆議院議員(田口長治郎君) 農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案について、衆議院における修正の趣旨を簡単に御説明申し上げます。
修正の内容は二点であります。
すなわち、その第一点は、改正案では既裁定の障害年金について、二十年以上の組合員期間のある者に限り、六万円を保障することとしておりますが、障害年金については、在職期間の長短によって差をつくべきでないという観点に立って、この際二十年以上の制限を削除することといたしました。
第二の修正点は、農林漁業団体職員共済組合の組合員の標準給与は極端に低いにもかかわらず、その掛け金率が他の組合に比し高いという特殊性などにかんがみ、国は毎年の給付に要する費用の一六%を国庫補助するとともに、さらに財源調整のため必要があるときは毎年度予算の範囲内において、これに要する費用の一部を補助することができる道を開いた次第であります。
以上、簡単でございますが、修正の趣旨について申し上げました。
なお、この修正は自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三党共同提案によるものであります。何とぞ全員の御賛同をお願い申し上げます。
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007・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 続いて、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案の提案理由説明を、発議者衆議院議員湯山勇君より聴取いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/7
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008・湯山勇
○衆議院議員(湯山勇君) お手元に資料が届いていないかと思いますが、たいへん恐縮でございますが、後刻お届けすることにして、提案理由を御説明申し上げます。
私は提案者を代表して、ただいま議題となりました農林漁業団体共済組合法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明いたしたいと存じます。
農林漁業職員共済組合法は、農業漁業団体役職員の年金制度を確立することによって、そこに働く人々が、将来に明るい希望を持ち、安心して業務に専念できるようにするため、去る昭和三十三年四月に制定されました。次いで昭和三十九年六月に第一次の改正が行なわれましたが、当時新法適用を期待していた組合員を失望させるなどのほか、法の内容の不備もあり、本委員会及び本院は附帯決議によって制度の早急な改善を要望いたしました。
したがいまして本法の改正案は、当然政府から提案されるべきものと存じますが、いまだに改正案の提案がなされないことを遺憾に思う次第であります。
さらに、昨年厚生年金の給付水準も大幅に引き上げられたことでもありますので、この際三十九年改正当時の附帯決議の趣旨に基づき農林漁業団体職員共済組合法のすみやかな改正を行なわなければ、本制度設立の目的がそこなわれるおそれが強いといわなければなりません。農林漁業団体役職員が将来に希望を持って職務に専念し得るように、ここに改正案を提出する次第であります。
まず第一は、第一条目的の中に政令で指定する法人を加え、適用団体の範囲を拡大することにいたしました。
第二に、標準給与の引き上げを行なうこととし、標準給与の月額を最低六千円から八千円に引き上げるとともに、標準給与の等級を三十五等級から三十三等級に改めることにいたしました。
第三に、退職給付、障害給付、遺族給付の最低保障額の引き上げを行なうこととし、退職給付は年額八万四千円を九万六千円に、障害給付は廃疾の程度が一級のものについては十万三千二百円を十二万円に、二級のものについては八万四千円を九万六千円に、三級のものについては六万円を七万二千円に、遺族給付は年額六万七千二百円を七万六千八百円に改めることにいたしました。
第四に、減額退職年金制度を設け、退職年金を受ける権利を有する者が五十五才に達する前に年金給付を希望したときは、減額退職年金を支給するものとし、減額退職年金の年額は退職年金の年額から一年につき四%減額したものを支給することにいたしております。
第五に、農事組合法人等の特殊性を考慮に入れ、農事組合法人等の職員たる組合員にかかる退職年金の支給等に関する特例を設けました。これは、農事組合法人、漁業生産組合等においては高齢に達しても生産に従事する率が高いため、これらの組合員に限り六十五才に達したとき在職支給を行なって、かけ捨てにする不合理を解消することといたしました。
第六に、国の補助は給付に要する費用の百分の二十に相当する額に引き上げるとともに、掛け金の負担は、組合員及びその組合員を使用する農林漁業団体等が、四十五と五十五の割合で掛け金を負担することといたしました。
第七に、信用事業を行なっている農業協同組合連合会及び漁業協同組合連合会に対し、その業務の一部を委託することができることといたしました。
第八に、年金額のスライド制を設け、この法律の基礎になった当時の生計費または消費者物価の水準に比して百分の五以上上昇したときは、すみやかに年金額の改定の措置を講ずることといたしました。
第九に、昭和三十九年改正法の附則により、給付に関する経過措置の適用を受けている組合員を適用の対象から除外し、本改正案の規定による給付を適用することにいたしました。これによって、標準給与月額五万二千円頭打ちを解消し、退職年金の年額は標準給与月額の四カ月から、標準給与年額の四〇%となるなど、三十九年改正の際の不合理を解消することといたしました。
第十に、既裁定年金の改訂を行ない、すでにその額が計算された退職年金、障害年金または遺族年金を受ける権利を有する者に支給する給付については、昭和四十一年四月分以降、その額を新法第三章の規定により計算した額に改定することといたしました。
第十一に、以上の給付内容の改善にあわせて、従来不十分であった諸規定の整備を行なうことといたしました。
以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容の説明であります。何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御可決くださいますようお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/8
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009・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/9
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010・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午前十一時五十二分休憩
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午後三時十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/10
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011・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから委員会を再開いたします。
農地管理事業団法案について補足説明及び資料説明を聴取いたします。農地局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/11
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012・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 農地管理事業団法案につきまして、提案理由説明を補足して御説明申し上げます。
今回、再び本法案の御審議をわずらわしますのは、農業に専念し、農業によって生計を立てようとする熱意のある農家をできるだけ数多く育成するよう農地管理事業団が農地及び未墾地の取得のあっせん、融資等を行なうことによって地域の実情に応じ無理のない方法で農地等の移動を方向づけ、これらの農家が農地等の取得をより容易に行なえるような条件をつくろうとするものであります。
本法案を提出するにあたりましては、第四十八回通常国会における農地管理事業団法案の審議の際の御意見などを慎重に考慮いたしまして、次の諸点につき構想を改めました。
その第一点は、前回は、農地管理事業団は当面パイロット的に業務を行なうこととし、初年度は、百市町村で業務を開始することといたしておりましたが、今回は、今後の事業実施状況を見、市町村の希望により農村らしい農村のすべてにおいて事業を実施することを目途として、初年度四百市町村で業務を実施することといたしております。
第二点は、農地移動の円滑化とあわせて農用地の開発を促進するため、農地管理事業団は農地関係業務のほかに未墾地の取得についてのあっせん及び融資を行なうこととし、これに基づいて農地管理事業団法案の内容を改めております。
第三点は、農地管理事業団の業務実施地域には当面事業団の職員を設置せず、市町村及び系統農協に事務を委託し、市町村では農業委員会が事務処理に当たることとして、農家に直接接触する事務は事業団の指導のもとに地域の実情に精通した職員が処理することといたしたのであります。
第四点は、前回は農地管理事業団に農地を譲り渡した者に対してのみ譲渡所得にかかる所得税を軽減するものでありましたが、今回は事業団のあっせんにより農地及び未墾地を譲り渡した者についてもこれを行なうこととするとともに、事業団のあっせん及び融資を受けて農地の譲渡が行なわれた場合に登録税及び不動産取得税を軽減することといたしておりましたのを、今回はこれを未墾地に及ぼすことといたしました。
昭和四十一年度におきましては、農地管理事業団を発足させ、市町村の希望に基づき四百地域を逐次指定し、市町村段階の業務体制の整ったところから業務を開始することを予定しております。
予算措置といたしましては、農地管理事業団に対する出資金、交付金等合計五億円及び都道府県、市町村等による事業の普及推進に要する経費約五千五百万円を計上いたしておりますほか、農地等の取得に要する資金貸し付けの原資として資金運用部からの借り入れ金四十億円を予定いたしております。
以下、農地管理事業団法案の内容について補足して御説明申し上げます。
まず、農地管理事業団の組織につきましては、農地管理事業団の資本金は一億円とし、追加出資に関する規定を置きますほか、第九条以下におきまして、役員の定数は理事長一人、理事三人以内、監事一人とし、理事長及び監事は農林大臣が任命し、理事は理事長が農林大臣の認可を受けて任命することとし、いずれも任期は三年とするとともに、役員の職務及び権限、欠格条.項、解任等について規定しております。
次に、農地管理事業団の業務につきましては第三章で規定しております。
第二十条におきましては、農地管理事業団の業務の範囲を農地、未墾地、採草放牧地または付帯施設の売買または交換のあっせん、その取得に必要な資金の貸し付け、農地、採草放牧地または付帯施設の買い入れ、交換及び売り渡し、借り受け及び貸し付け並びに信託の引き受けとこれらに付帯する業務と定め、付帯施設については、農地、採草放牧地または未墾地について業務を行なう場合にあわせて業務を行なうものとしております。なお、本法案における農地等の定義につきましては、第二条で規定しております。
第二十一条から第二十五条までは、農地管理事業団の業務実施地域に関する規定であります。
都道府県知事は関係市町村と協議し、都道府県農業会議の意見を聞いて指定の申し出をすることとしており、地域の指定は国土資源の総合的な利用の見地からみて、土地の農業上の利用の高度化をはかることが相当と認められる農業地域で、農地保有の合理化等農業構造の改善をはかるため農地等についての権利の取得を適正円滑にすることが特に必要と認められる地域について行なうこととしております。なお、指定は告示ですることとし、区域の変更の手続は指定の手続に準ずることとしております。
第二十六条は、業務執行の方針でありまして、事業団は、農業を営む個人または農業生産法人で農業基本法第十五条で規定する自立経営またはこれに準ずる効率的な協業経営を目標として農業経営を改善しようとするものの農地等の取得または借り受けを促進するように業務を行なうものとしております。
次に第二十七条から三十条までにおきまして、貸し付け金及び売り渡し対価の償還条件は、年利三分、償還期間三十年以内の元利均等年賦償還とし、借り受け人等は繰り上げ償還をすることができるものとするほか、取得した農地等の耕作をやめた場合、一定限度以上経営規模を縮少した場合等の事由があるときは事業団は一時償還を請求することができるものとし、災害その他やむ得ない理由があるときは償還の猶予をすることができることといたしております。
第三十一条におきましては、事業団は農地等を売り渡した場合には一定の基準により買戻しの特約をつけなければならないものとし、右の一時償還とほぼ同様の事由があるときは買い戻しをすることといたしております。
以上のほか、事業団の業務運営方法につきましては、第三十二条から第三十五条までにおいて事業団の農地信託業務についてその性格上必要な信託法の特例を設け、第三十六条において資金の貸し付け及び対価の支払い徴収の業務の都道府県信用農協連合会等への委託及びその他の地方公共団体への委託について規定し、第三十七条に業務方法書についての規定を置いております。
次に、事業団の財務及び会計について第四章で規定しておりまして、事業計画、予算及び資金計画について農林大臣の認可を受けなければならないこととするほか、財務諸表の承認、損益の処理方法、借入金及び債券の発行、政府からの交付金の交付、余裕金の運用方法等について定めております。
第五章以下は、監督その他の規定であります。
第五十三条におきましては、業務実施地域内の農地または採草放牧地の所有者は、その農地等について所有権の移転または賃借権等の設定をしようとするときは、あらかじめ事業団に通知しなければならないものとし、事業団は必要があると認めるときは、譲り渡しのあっせんまたは買い受けもしくは借り受けをしたい旨を申し出ることを規定しております。
附則におきましては、事業団の設立手続を定め、所要の経過規定と関係法律の改正規定を設けております。
まず、農地法の特例といたしましては、第一に事業団が一方の当事者となっている農地等の権利移動については農地法第三条の許可を不要とし、第二に、事業団が借り受けている農地等及び事業団が所有する農地等については小作地の所有制限を適用しないこととし、第三に事業団が借り受けまたは信託を引き受けて貸し付けている農地等については、借り受け期間または信託期間の満了の際の更新拒否等は農地法第二十条の許可を受けることを要しないものとしております。
次に、税制上の特例といたしましては、本法案の附則による地方税法の一部改正によりまして、事業団のあっせん及び融資または売り渡しにより農地、未墾地等を取得した場合に不動産取得税を軽減するほか、別途租税特別措置法の一部改正により、農地、未墾地等を農地管理事業団に対して譲り渡しまたはそのあっせんにより譲渡した個人については、その譲渡所得に対する所得税を軽減することとし、また、不動産取得税の場合と同様に農地、未墾地等を取得した者について登録税を軽減することとしております。
以上をもちまして農地管理事業団法案についての補足説明を終わります。
次に、お手元に配付いたしております資料について説明をいたします。
まず、横の資料で「農地管理事業団法案関係参考統計資料」、これは最近における農地事業を要約いたしております。
まず一ページをごらんいただきたいと思います。農地面積、農家数と農地移動というところですが、右の欄で、農地法による農地移動等統制許可面積というところをごらんいただきますと、所有権移転で自作地の有償というところをごらんいただきますと、昭和三十年に自作地の有償移転が三万九千四百町歩でありましたものが逐次増加をいたしまして、三十九年では七万五千八百町歩というふうになっております。これはごく一部交換を含んでおりますが、大部分、ほとんど全部が売買による移動でございます。
その左に無償というのがございますが、これは生前贈与、分家等々無償贈与でございます。
それから小作地の小作人が小作地を地主から買うという形の移動でございますが、最近においてはやや少なくなりまして、一万町歩程度という状態でございます。
それから賃借権による農地の移動がありますのは、まず、賃借権の設定で新しく小作関係をつくるというものは、最近大体三千町歩程度、昭和三十八年に六千五百町歩の設定というものがございますが、近くの年と比べて相当多く動いておりますけれども、これはそのときにおける農業生産法人への賃借しが相当なウエートを持っております。
それから使用貸借による権利、これはただで倍す関係で、最近使用貸借による権利が三十八年に二千九百町歩、三十九年に四千六百町歩というふうに多少ふえておりますけれども、これも山形その他における農業生産法人の設立に関係するものであります。
それから賃貸借の解約等、これが大体四千町歩。転用、これは農地を他のものに変える、農地をつぶすための移動でございますが、逐年ふえて、昭和三十九年において二万九千七百町歩という状態でございます。これを通観いたしますと、ここには資料としては出ておりませんけれども、耕作目的の農地の移動は三十九年で件数にいたしまして五十九万件でございます。正確には五十八万九千九百件でございます。総面積で十一万四千八百町歩でございます。これは農家の数との比較におきましては、大体十軒に一軒の割で何らかの形で農地移動に関係をいたしておる。それから面積といたしましては、大約二%の農地が何らかの形で動いているということでございます。それで、農地の移動はいま申し上げましたように、主体はあくまで自作地の有償による所有権の移伝でございます。若干の例外はございますけれども、それがほとんど大部分であるばかりではなしに、最近における移動面積等々の増加は、自作地の有償移転の増加が大きな原因になっておるわけでございます。
それから、いま申し上げましたのは、全国の数字でございますが、面積で申し上げますと、自作地の有償移転が全体で七万五千八百町歩でございますが、これを内地と北海道とに分けますと、北海道が三万一千六百町歩、それから内地は四万四千二百町歩という状態でございます。さかのぼって、昭和三十五年で申し上げますと、全体の有償移動の自作地の面積のうちで北海道の占める割合が三一%でございましたけれども、三十九年においては、それが四二%に増大をしているという状態でございます。また、これは農地の移動の規模の相違もございまして、内地では有償移動の一件当たりの面積が約一反一畝でございますけれども、北海道ではそれが二町一反二畝というふうに、内地のほぼ二十倍くらいになっておるという状態でございます。
二ページにまいります。二ページでは、まず農家数の規模別の増減がございますが、その次に自作地の売買件数、最後に自作地の売買面積というのがございます。これは売買に限っての数字でございまして、規模別に、どういう農家からどういう農家に移っているかということでございます。たとえばお読みいただきますと、三反歩未満のところで、全体の面積の一四・一%のものが三反歩未満の農家によって売られ、また全体の売買面積の六・四%のものが三反未満の農家によって買われておるという、そういう状態でございます。都府県で北海道を除いた数字でございますけれども、この表を通覧されますと、内地で七反未満のところでは、売却が譲り受けよりも多いという状態であることがおわかりになるだろうと思います。七反以上において階層として見た場合、農地を売るよりも買うほうが多い、しかし、その差はそんなに多くないということが次に出てくるわけでございます。
四ページをお開き願いたいと思います。
四ページは、自作地の売買につきまして、階層別の分布状況を示したものでございます。三十八年と三十九年と多少の動きはございますけれども、三十九年でごらんいただきますと、譲り渡し人、譲り受け人、これは階層でございますが、三反未満のものの譲り渡しが面積で一四・三%、譲り受けの場合に三反未満のものが七・七%という状態でございます。そうして七反未満のところでは、譲り渡しのほうが譲り受けより多いということは、先ほども申し上げたとおりで、七反未満でこの面積を総計いたしますと、割合にして譲り渡しが四二・一%、譲り受けが三三・四%という状態でございます。そうして都府県の農家を、かりに小さいもの、中くらいなもの、比較的大きいものというふうに分けるといたしますと、七反未満、七反から一町五反、一町五反以上という分け方ができると思いますけれども、七反未満というのはいま申し上げましたように四二%を売って三三%を買うという状態でございます。一町五反のところで線を引きますと、これにもあらわれておりますように、三十九年で一町五反以上の農家が二〇・一%売って、二三・八%買うという状態でございます。
それを要約して申し上げますと、ラウンドナンバーにして申し上げますと、七反未満、七反から一町五反、一町五反以上というふうに、かりに小、中、大というふうな感じで申し上げますと、三十九年で全体の売られた農地のうち七反未満のものは、四二%売って三三%買う。七反から一町五反のいわば中位の農家は、三八%売って四三%買う。それから一町五反以上の農家というのは、二〇%売って二四%買うという状態でございます。しかし、全体が、ここにも書いてございますように、内地で売買が四万町歩とちょっとでございますから、いま申し上げましたような数字も、面積にいたしますとそれなに多くはございません。たとえば七反歩以下の層から七反歩以上の層に移ったものは八%ないし九%あるわけでございますが、面積にいたしますと大体三千町歩台でございます。それから一町五反以上になりますと、面積にして全体の三%ないし四%、割合にして三ないし四%、面積にして千町歩ないし千五百町歩という状態でございます。したがいまして、私どもは小さな農家が土地を買うということが農業生産から見て困るというふうには申し上げませんけれども、経営規模の拡大、あるいは農業で自立しようとする農家に向かって前進することを農政の一つの主題として考えますと、いまのように比較的規模の大きな農家に土地が移るということの傾向というのは、はなはだ微弱であろうというふうに思います。これが私どもが農地管理事業団の御審議をお願いいたす一番大きな理由でございます。
それから、六ページに参りますと、これはいま申し上げたような自作地売買がどういう理由で行なわれるかということの一つの考えのよりどころになるわけでございますが、内地と北海道と分けまして、自作地を売り渡す人の理由といたしまして、農業をやめる、あるいは兼業による経営規模を縮小する、労力不足で手放す、あるいは耕作不便、低生産地のために手放すという、そういう似たような一つのグループでそれをつくりまして、それからとにかく資金の必要だというものを第二のグループといたしまして、それからここにも書いてございますように、相手がぜひ欲しいというような事情の第三のグループをつくりますと、内地では第一のグループで農業をやめるとか労力不足でもうかなわぬという場合が約半分ございます。それから資金が必要なためというのが約三割、その他が二割という状態になっております。これに対しまして北海道のほうは、第一の理由が非常にふえまして、約八割でございます。金が必要だというのが約一五%、その他が、それ以外というのが大体七%ぐらいでございます。
それから八ページをちょっとごらんいただきます。これは自作地の有償所有権移転が全体で七万五、六千町歩あるわけですが、それは一体どういう地帯の農村で行なわれているか。農村の性格から見て、都市近郊とか平地農村、農山村、山村という区分けであるわけでございますけれども、どこが主体になって動いておるかということの一つの手がかりでございます。で、この表をお読みになります場合の御注意でございますが、そこの面積、その村の面積に対して、自作地が動く面積を分子としまして、全体の農村の耕地を分母にいたしましてそうして割合を出したものでございますが、〇・二%未満のほとんど動いていないものから、五%以上の相当の動き方をしているものまでずっと町村を並べてみたわけでございますが、農地の移動率というのは、先ほども簡単に触れましたが、北海道で三・三%、都府県で〇・九%でございます。こまかく言いますと、北海道で三・二八%、都府県で〇・八六%ということでございますから、この都府県で言いますと、ワクが上から四番目くらいのところに〇・六ないし〇・八%というのがございますから、〇・八%未満のところが平均よりも土地が動かないところというふうにお考え願ってよろしかろうと思います。そういたしますと都市近郊で、数でございますから、十八、四十三、六十一というのがございますが、これを移動が平均に至らないものの数といたしますと百四十町村になるわけでございます。百四十町村というのは全体の四百五十一町村の三一%にあたるわけでございます。そういうふうに平均に至らない村の全体の村数に対する割合を出しますと、都市近郊が三一%、平地農村が四六%、農山村が四二%、山村が四八%、全体が四三%というふうになるわけでございます。したがいまして、この数字が少ないところが土地がよく動いておるというところで、都市近郊の三一%というのが一番動いて、それから平地農村、農山村というのは都市近郊についで農山村、平地農村、山村という形で、三一%ないし四八%ですから、裏返しに申し上げると、大体平均よりも土地が動いているような町村は都市近郊で六九%、山村で五二%ということになるわけでございますから、大体山村、都市近郊が割合土地がよく動いておることは事実でございますけれども、平地農村なり農山村でも土地が動かないわけでもない。都市近郊なり山村なり平地農村たり農山村で、そんなに大きな違いはなさそうだというふうに考えられるわけでございます。これは農地管理事業団が仕事をする場合に、一体平地農村では全然土地が動かないではないかというふうに御批判をいただく場合が多いのでございますけれども、実際は動き方としてはそんなに大きくはありませんけれども、平地農村においても土地はある程度までは動いておるということの説明でございます。
それを九ページで、村別に私どもは実態調査をいたしたもので、ある意味では確かめておりますが、その説明は略さしていただきます。以下農地の転用でありますとか、いろいろ資料がございますが、それは省略をいたします。
一一ページに、農地の価格の動きがございますのでちょっとごらんいただきたいと思います。農地の動きで、昭和三十年に、田畑、普通のところをごらんいただきますと、田で、反当十一万六千円が、三十九年十九万八千円で、四十年二十万四千円というふうになっておるわけでございます。畑は、三十年に六万八千円のものが、三十九年十二万、四十年十二万三千円ということでございます。これを市街地の価格指数に比べますと、たとえば住宅地で昭和三十年に相場を一〇〇といたしますと、四十年で七〇七と七倍になっておりますから、大体農地は、純粋に耕作目的で売られる農地の価格は、昭和三十年と昭和四十年とを比べまして倍前後ということになるわけでございます。それでもたいへんな上がり方でございますけれども、この表をごらんになりましても、昭和三十五、六年くらいから農地の値上がり——転用目的のものば別でございますけれども、耕作目的のものの値上がりはある程度まで頭打ちをして、多少強含みで完全に落ち着いたわけでございませんけれども、そんなに大きな飛躍的な値上がりは最近なくなっている、こういうふうにお考えになってよろしかろうと思います。
一二ページは、それの地方別な数字がございます。普通の水田の反当にいたしまして、昭和三十九年度十九万八千円でございますが、その十九万八千円という数字は、最高は四国の二十三万九千円、それから最低は北海道の七万三千円というふうに相当な散らばりがございます。畑でいいますと、昭和三十九年で反当十二万円のものが、東海で十六万七千円、北海道は三万七千円というふうに散らばりがあるわけでございます。
一三ページ以下は、農地取得資金、公庫資金についての説明でございますが、これは省略さしていただきます。
それからもう少しお時間をいただきまして、「農地管理事業団運営の考え方」というのをちょっとごらんいただきたいと思います。これは昨年の夏以来、私たち農地局の者が農村に入りまして、農地管理事業団を動かす場合、一体どういう問題があるか、あるいはどういう点を顧慮しなければいけないのか、あるいは農地管理事業団というような構想がはたして村に根づくものであるかどうかということを勉強し直す意味で、数班に分かれまして村へ入って、いわば村の人になったつもりで農地管理事業団を具体的に村でどう動かしたらいいかということを検討いたしました結果でございます。農地管理事業団の法案が通りまして、事業団が設立された場合に、これですぐ全国一せいにやるという趣旨でもございませんけれども、大体の考え方をひとつお聞き取りいただきたいと思います。
農地管理事業団の第一ページの「基本的考え方」、それから三ページの「業務実施地域」というようなところは、提案理由の説明その他にございますから、これは省略さしていただきまして、八ページからときどき抜いて御説明をいたしますと、「事業実施体制」ということでございます。事業実施体制で「農地管理事業団の業務がその成果を挙げるためには、業務実施地域の農業事情に即応し、農民の意向を反映し、関係機関の協力によって業務が運営される体制を整えなければならない。」として、一番では「各地域における事業団の第一線の事務処理機関としては、市町村、具体的には農業委員会を活用することにする。」ということで、いろいろ現在農業委員会が農地関係でやっておりますことを足場にいたしまして、具体的に農地の売買のあっせんでありますとか、あるいは来年度以降農地の買い取り、売り渡しをいたすわけでございますから、そういう事務でありますとか、あるいは小作の、いわば事業団を媒介として小作を行なうとかいうようなことをいたすということもこまかく書いております。なお、このことは九ページにもございますが、実は北海道でさきに私が申し上げましたように、内地と違って北海道では相当農家戸数も減り、また、農地の移動も内地とは違う形で農業準位で動いている状態でございますから、昭和三十五年から道の指導で、農地管理事業団的なといいますか、そういう農地の移動と方向づけを相当な数の農業委員会がやっておるわけでございます。私ども農地管理事業団を構想するにつきましては、たとえばフランス、ドイツその他の外国の例も当然参考にいたしましたけれども、北海道において現にやっていることを一つの考え方の参考にいたしたわけでございます。
それから一〇ページでございますが、まあ農業委員会が実務をやるわけでございますが、農業委員会だけでものごとをきめるのではなくて、全体の村のまあ学識経験者といいますか、力のある人といいますか、一〇ページにも書いてございますが、農業委員会に農地管理協議会というものを設けて、市町村長、農業委員、農業団体の代表者、それからほんとうにそこですぐれた農業経営をやっている人というもので、これからの一体農地管理の方針をどうするか、そこでどういう農家をつくることを目標とするか、あるいはどういう段取りでやるか、どういう農家を中心にして、土地の移動のあっせんなり、売り渡しをするかというようなことをつくるということが書かれてあるわけでございます。
なお、一一ページには農協、あるいは一二、一三ページに、県とか農業会議とか、その他関係機関の役割りが詳しく書かれてございます。
一五ページは、農地管理の方針でございますが、農地管理の方針を農地管理協議会でつくるわけでございますから、私どもも大体の方針を示して、そうこまかい干渉はあまりいたさないつもりでございますが、この農地管理協議会でつくりますところの農地管理の方針の大体の内容を申し上げますが、まず第一に、この一五ページの第一にございますように具体的な村について、「農業によって自立しうる農業経営としてどのような農業経営をつくることが当面の目標であるか」を検討してきめるわけでございます。これは、自立経営というのは、私どもそう高望みをしてもなかなか実現の可能性もないわけでございますから、当面の目標としては、町村在住の勤労者の生活水準と同じような生活を農業所得によって実現可能な農家というふうに規定いたしておるわけでございますが、そういう農業をやって農業で生活できるだけの農家というのは、一体具体的にその村ではどういうものかという問い方をいたしますと、私どもの経験したどの村でも、村で大体の見当がついておるわけでございます。たとえば、米一本なら内地で二町五反から三町とか、米作にブタなどを加えれば水田一町程度、一八ページのはじめに書いてございますが、果樹地帯ならミカンで一町五反とかというふうに、理屈で割り出すことももちろん可能でありますけれども、村に入って、一体わが村で、自立経営というとやかましい問題になりますけれども、家族労力を減少して、そうして農業所得で生活のできる農家は一体どういうものかというのは、村では具体的には大体見当がついておるわけでございます。全国一律で、自立経営というのはどういう性格かという議論はなかなかやかましいことでございますけれども、村の現実の問題としては、村の人たちの知恵によって、それは私は現実的に解決をされておるというふうに考えるわけでございます。
それから一八ページは、農地管理事業団というものは自立経営の育成と同時に、協業の助長といいますか、自立経営に準ずるような協業経営なり、土地のあっせんなり売り渡しをいたすわけでございますから、そういう自立経営に準ずるような協業経営の内容というものが書かれておるわけでございます。
それから一九ページになりますと、農地管理の方針の一つの問題点でございますけれども、一体どういう段取りで自立経営といいますか、その村で育成することを目標とする農家をつくるかという段前りでございます。これは私ども、かりにその村では水田経営で二町五反なり三町なりないと農業所得で十分やっていけないということでありましても、いきなり初年度からそういう農家をつくるということはなかなか無理なことでございますから、一挙に目標の規模へ到達することを考える必要はなくて、要するに、段階的に望ましい経営規模に接近していくという考え方をこの方針の中で明らかにするというわけでございます。
二一ページ以下は、私どもが村に入って作業をいたした場合に、一体わが村で望ましい農家というものはどういうものかということが、北海道の畑作地帯、北陸の水田地帯あるいは中部の畑作地帯、東海の果樹地帯等々、そこで具体的に問題になりましたものがわが村ではどのくらいの農家かということが具体的に書かれておるわけでございます。
そこで、次の問題といたしましては、そういう望ましい農家といいますか、目標的な農家を設定したとして、一体どういうふうにそういう農家に候補者を選ぶかという問題でございます。これはまあ村の人たちの意見も十分聞いて考えますことは、基本的な問題といたしましては、二三ページの下の部分に書いてございますが、「将来とも農業に生活の本拠を置き他産業従事者に匹敵するような所得を挙げうるような農業経営をしようという農業従事者の意欲と能力」が根本でございます。「その意味では現在の経営規模や専業別などに必ずしもこだわることはない。」ということでございます。
それで、二四ページの三行目からでございますが、「最も重視しなければならないのは「人」の要素である」、「具体的には少なくとも経営主やあととりが農業に従事し、農業を一生の仕事と考え、しかもすぐれた農業経営をする能力をもっているかどうかの問題である。」ということでございます。
それから二五ページから、そういうものは一体どういうものであるか、もう少し具体的に考えますと、二五ページの終わりから四行目ぐらいでございますが、「青壮年男子を含む二人以上の家族労力が農業に専ら従事し、自立経営を目ざして経営を改善する意欲を有すること。」「農業経営主が農業におおむね専従しているか、経営主が高年齢に達しているときはそのような後継者が確実に得られること。」また、「経営主又は農業後継者が、農業経営について、自立経営を目標とするに十分な高度の技術や経営能力を有すること。」というようなことが考えられるわけでございます。
その次には、以上のような要件に該当する農家は複数あるわけでありましょうが、一体、具体的に農地を取得させるものをどうやって選ぶかという問題でございます。これは二六ページにもございますが、一体、非常に大きな農家をつくるのか、あるいは、とにかくある程度の農業所得でやっていける農家を第一につくるのかという問題でございますが、これも私はその地帯その地帯における農業の事情によって違うでありましょうから機械的に結論を出す必要はないと思いますが、大体私が感じた限りでは、この二六ページのまん中以下にございますが、「農家として他産業従事者なみの所得を挙げるための最低限の経営面積に到達するものを優先させ、次にその経営面積をこえて更に一そうの規模拡大を図るという方針をとることとする意見が多かった。」私はそれはそれでもよかろうと思います。「また、特定の農地の取得者をきめる場合には、その農地の位置、品位からみて、耕作の便や農地の集団化に最も利益を受ける者を優先させることが適当であるといわれた。」
二七ページは、農地管理の方針を出す場合に、地域内における農地移動の現状と見通し、あるいは土地利用の計画、農地の開発計画あるいは土地改良事業等々、十分連絡をはかって行なう必要があろうということが次に書かれてございます。
三四ページ以下は、実際の活動のしかたというようなことで、農業委員会はどういう点に気をつけて事業するかというようなことがこまかく書かれておるわけでございます。これは、私どもがこれでやれという、そういう厳格なものとは考えておりませんで、まあ私どもがただ、いわば霞ヶ関農政ということで机の上で考えたことではなくて、村に入って、どういう形で動かし、また動かすべきだということの一つの御参考としての資料でございます。
以上でございます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/12
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013・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 続いて、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案について補足説明及び資料説明を聴取いたします。和田農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/13
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014・和田正明
○政府委員(和田正明君) 最初に法律案の補足説明を申し上げます。
この法律案は、給付の内容を国家公務員共済組合、地方公務員共済組合等の他の共済組合制度に準じて改善するとともに、組合が給付を行なうように要する費用についての国の補助率を引き上げ、あわせてこの制度の円滑な運営をはかるための規定の整備を行なうことを内容とするものであります。
初めに、給付内容の改善に関する点につきまして御説明申し上げます。
まず第一条中の第三十七条の二におきまして、減額退職年金を新設することといたしております。この年金は、退職年金の受給権を充たしていても五十五歳に達するまでは支給を停止されることとなっている現行制度と関連するものでありまして、五十五歳未満でありましても特に希望する者につきましては、退職年金の額を一定率で割り引きした年金を支給することができるようにするものであります。割引率は退職した年令と五十五歳との差一年につき四%でありますが、この率は国家公務員共済組合制度等他の共済制度ですでに減額退職年金制度を設けているものにおける割引率と同率としております。
次に第二条中の附則第四条第四号の改正におきまして、昭和三十九年九月三十日以前の組合員期間、いわゆる旧法組合員期間にかかる平均標準給与の年額の計算方法を改めることとしております。平均標準給与の年額は、昭和三十九年の法改正前の組合員期間、いわゆる旧法組合員期間につきましては、従来、給付事由発生時点からさかのぼり五年間の平均となっておりましたが、今回、昭和三十九年改正後の本法における計算方法、すなわち給付事由発生時点からさかのぼり三年間の平均とすることとし、平均標準給与の年額の引き上げをはかることとしております。
また、旧法組合員期間にかかる平均標準給与につきましては、当時の標準給与表との関連で、最高額を五万二千円で押えることとされておりましたが、これを廃止して昭和三十九年法改正後と同様の取り扱いとすることとしております。
平均標準給与は、これに一定の給付率を乗じて給付額を算定する基礎となるものでありますから、これらの措置によって旧法組合員期間にかかる給付額が増額されることとなるわけであります。
次に、第二条中の附則第五条の二及び附則中の第五条におきまして、すでに年金受給権者となっている者の退職年金、障害年金または遺族年金の額を、四十一年十月分以後、引き上げることとしております。二カ条に分かれておりますのは、前の方は三十九年法改正前の既裁定年金にかかるものであり、後の方三十九年法改正後の既裁定年金にかかるものであります。
引き上げの内容は、第一に、旧法組合員期間にかかる平均標準給与の年額をただいま第四条第四号について申し上げましたと同様に、五年平均から三年平均に改めるとともに、五万二千円の最高制限を廃止すること、第二に、厚生年金保険の被保険者であった期間にかかる年金額の減額を受けていた者についてはこれを廃止すること、第三に、組合員期間が二十年以上であった者につきましては、以上の方法によりその額を改定した後に、なお退職年金、障害年金にあっては六万円、遺族年金にあっては三万円に達しない場合におきましては、それぞれその額を六万円又は三万円まで引き上げることとしております。
以上が給付内容の改善に関する改正点のおもな内容であります。
次に国庫補助率の引き上げに関する改正について申し上げます。
第一条中の第六十二条でございますが、従来、組合が毎年度給付を行なうのに要する費用のうち一五%を国が補助することといたしておりましたが、本改正法によりましてこれを一%引き上げて一六%を補助することとするものであります。これによりまして、今回の給付内容の改善に伴って必要となる財源増が相殺され、農林漁業団体及び組合員の掛金負担を増加することは回避できることとなります。
次に、その他の改正点につきまして御説明申し上げます。
その一は、第一条中の第十条の改正でございます。これは組合の監事が、監査の結果に基づいて、理事長または農林大臣に意見を提出することができる旨の規定を新設するものでありまして、他の各特殊法人と軌を一にする規定を設けるものであります。
その二は、第一条中の第二十条の標準給与表の改正であります。これにより標準給与の月額の最低を従来の六千円から八千円に引き上げることとするものであります。
その三は、第一条中第五十三条の二の新設及び第七十条以下の改正でありますが、これは組合の業務のうち福祉事業及び余裕金運用としての農林漁業団体への貸し付けにかかる事業を、農業協同組合連合会その他の一定の者に委託することができることとするとともに、受託する法人がそれぞれの根拠法律において他からの業務の受託能力につき制限を加えられている場合において、それらの根拠法律の規定にかかわらず組合の業務を受託し得ることとすること及びこれに関連する監督、罰則の規定の整備であります。これにより、農林漁業団体職員共済組合が、より円滑に福祉事業等の業務を行ない得るようにするものであります。
最後に、この法律の施行日は、準備期間等を考慮いたしまして、昭和四十一年十月一日といたしております。
以上がこの法律案の主要な内容であります。
続けて、お配りをしてございます資料についてごく概略を御説明申し上げます。
三種類お配りをしてあるのでございますが、そのうち一番厚い農林漁業団体職員共済組合等の一部を改正する法律案関係資料という厚い一冊の本のほうは、法案とそれから条文の新旧対照表、それから提案理由の説明、要綱等でございますので、御説明を省略させていただきます。
それから横とじで四角なワクをつけました四ページほどの資料がございます。これは各共済組合制度の給付内容の比較をいたしたものでございます。一ページから二ページにわたりまして各共済組合法におきます新法ベースの給付内容の比較をいたしてございます。一番左の縦に各共済組合法を並べまして、横のほうに給付基準、以下退職年金あるいは一時金、障害年金等給付の内容その他を横にとってございます。これは現行ベースでございますので、今回の改正法案の内容はこの対照表には織り込んでございません。一番上が国家公務員共済組合法でございまして、一番下にこれから御審議をいただきます農林漁業団体職員共済組合法が書いてございます。一番下をごらんいただきますと、ほぼ大体新法ベースでは国家公務員に同じというところが多いのでございますが、一番最初の給付基準のところで、国家公務員法では最終三年間の標準給与の平均ということになっておりますか、その次の退職年金のところの給付要件のところで、減額退職年金制度が現在は農林年金にはございませんで、それを先ほど補足説明等で申し上げましたように、今度の改正法案に織り込んであるわけでございます。
それから、右から二つ目の廃疾一時金のところに、若干、国家公務員に同じということではなく、別なことが書いてございますが、これは組合員期間が一年以上の場合に、国家公務員では、公務内の軽廃疾については、国家公務員の災害補償法が適用されまして、共済組合法が適用にならないわけでございます。農林年金の場合には、同様、職務上の軽廃疾につきましては、一般的には、労働災害保険法が、一般に言っております労災法が適用対象になるわけでございます。
ただ、この年金の組合員のごく一部には、労災法の適用対象にならない者がございますので、それをカバーをいたしますために、職務上の軽廃疾につきましても、若干の規定を設けておるわけでございます。
その二点以外は、現行法ベースでは、公務員共済と同一の事情になっております。
それから、次のページも比較表でございますが、掛金率及びその負担割合という、まん中より右寄りのところにございますが、そこのところが、国家公務員と農林年金とでは、公称貝の掛金率が千分の百五でございまして、そのうち、国が千分の八十一を、組合員が千分の四十四を負担いたしておりますが、農林年金では、掛金率が千分の九十六で、それを折半して、事業主千分の四十八、組合員が千分の四十八、負担をしておるという、負担制令がやや国家公務員とは違うのでございます。
それから三ページ以後に、農林年金の旧法組合員期間、昭和三十九年の法改正以前の組合員期間の取り扱いが、上段に書かれてございます。まん中からやや下宿りのところに、棒を引いてありますところより下が、今度の法改正が成立した以後の取り扱いの内容になるわけでございます。
給付基準につきましては、現行法では、最終五年間の標準給与の平均であり、月額では五万二千円の頭打ちでございますが、今度の改正法案が成立をいたしますと、最終三年間の標準給与の平均となり、頭打ち五万二千円が十一万円に改められるわけでございます。
それから、退職年金の額につきましては、特に既裁定年金について六万円以下のものが六万円というふうに、最低保障をいたしますことと、それから現行法では、厚生年金期間について二割の減額をいたしておりますが、それを廃止することに改められるわけでございます。
退職一時金の額には変更がございません。
それから障害年金につきましても、内容は変更がございませんが、既裁定年金につきまして、六万円未満のものは六万円まで引き上げられるということになるわけでございます。
障害一特金の額については変更がございません。
それから遺族年金の額につきましては、基本的には変更がございませんが、特に、本人が二十年以上の組合員期間の場合には、その遺族年金の最低を、三万円未満のものについては三万円まで引き上げるという点が、今回の改正法案の中に盛られておるわけでございます。
遺族一時金などについては変更がございません。
それから四ページの表は、各種の共済組合制度の現行法におきます取り扱いの類似点と、おもな相違点とを表にしたものでございます。
類似点は、そこに文章で書いてございますように、新法期間は新法で、旧法期間は旧法で計算をして、それを足したものとして支給をするというルールは同じでございますが、旧法期間の取り扱い等について、若干の差がございます。それがおもな相違点として掲げてある表でございます。
国家公務員共済と農林年金とについて比べて見ますと、給付基準の中で、給付の基礎給与となりますものが、国家公務員共済は、恩給法時代あるいは旧共済組合とも最終給与でございますのに、農林年金については、最終五年平均、今回の改正で三年平均というふうに改められますけれども、そこが違います。
それから給付の頭打ちにつきましては、恩給法にはございません。また、旧共済は、月額十一万円でございますが、農林年金は、現行法が月額五万二千円の頭打ちになっておりますのを、今回、十一万円というところまで改めるということになるわけでございます。
それから給付標準につきましては、いろいろな給付によっていろいろな違いがございますが、ここでは一番典型的でございます退職年金の給付標準を例示したわけでございます。恩給は、十七年の勤続年限で給付が開始されまして、その給付は、十七年につきまして百分の三十三・三、十七年をこえる場合には、その一年につき百五十分の一ずつ加算いたします。旧共済は、二十年で百分の三十三・三、二十年をこえる一年につき九十分の一ずつ加算されます。農林年金は、この旧共済と同様でございまして、二十年で給与年額の百分の三十三・三、二十年をこえることで九十分の一ずつ一年につき加算をされるような仕組みになっております。
なお、まん中のところにございます地方公務員等共済組合のところでは、カッコして、市町村職員共済というふうに書いてございますが、地方公務員の共済におきましては、旧恩給法から引き継がれましたもの、それから退職年金に関する各県の、あるいは各市町村の条例によりますもの、昭和十八年にできました町村吏員恩給組合、あるいは昭和三十年に厚生年金から分離をいたしました市町村職員共済組合等、各県各市町村によって旧法期間が非常に多彩でございましたので、市町村職員共済のみを例として掲げておりますので、御了承いただきたいと思います。
それからもう一つ、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案参考資料といたしました、数枚とじましたものをお配りしてございます。
これについて簡単に御説明を申し上げますと、第一ページのところに、現在の組合員の員数、それから加入しております団体の数、それから標準給与の平均金額、負担割合及び掛金率を表にして掲示をしてございます。組合員の数は、三十五万三千六百四十七人、団体の数が一万九千七百二十九、標準給与が二万一千四百七十八円、いずれも昭和四十年十月三十一日または四十年三月三十一日現在の数字でございます。
それから、二ページから三ページにかけましては、現行の農林年金が厚生年金から分離をいたしまして、その後行なわれましたところの改正点を列記をいたしております。三ページの左側にございますのが、三十九年までに行なわれました改正、それから右側に書いてございますのが、三十九年以後の改正でございますが、その内容については、特に御説明は省略をさせていただきます。
それから四ページで、給付に充てる資金の流れを図示してございます。これも別に御説明をすることはございません。
それから五ページに、給付経理の資産の運用状況を、昭和四十年三月までの現在で載せてございます。三百十六億七千六百万円の余裕金を預貯金に、あるいは他経理の長期貸し付け金、投資有価証券、信託、投資不動産等々、そこにございますように、運用いたしておりまして、それぞれの運用利回りは、そこにございますようなことで、平均八分になっております。それから、それぞれの運用の構成割合は、そこにございますような比率になるわけでございます。
なお、投資有価証券の内容について簡単に申し上げておきますと、大部分は農林中央金庫あるいは商工中央金庫、長期信用銀行、不動産銀行等の発行する金融債に投資をされておりまして、二百十五億五千万円のうち、百三十四億がそういう金融債でございます。それから四十七億六千万円ほどが電電公社、国有鉄道、東京都交通営団等の特殊法人債でございます。それから三十三億七千万円が東京電力、関西電力、中部電力等のいわゆる電力会社の社債でございます。残りの約千五百万円足らずが地方債ということになっておりまして、これは制度上も制限をいたしておりますが、しょっちゅう価格の変動をいたします株式等には投資をさせることを認めておらないわけでございます。
それから二番目にございます他経理長期貸し付け金と申しますのは、組合員に対する貸し付け、福祉事業としての貸し付け、それから福祉事業としての療養所でございますとか寮の設置とか、そういうことに向けられておる金額でございます。
それから六ページから七ページにわたりまして、この年金の給付状況を、昭和三十八年と三十九年と、四十年度はまだ最終決境が終わっておりませんので今年の二月までの実績の数字及び予算を、それぞれ給付の種類別に掲げてございます。
それから八ページから九ページにわたりまして、今回の改正に伴います財源率の試算をいたした表を載せてございます。新旧通算の関係で、先ほど来申し上げておりますように、平均標準給与の算定基礎期間を、現行五年から三年に改めますことで、所要財源率が千分の一・三八でございます。それから平均標準給与五万二千円の頭打ちを廃止いたしますことに伴います所要財源率はきわめて微々たるものでございまして、特に計上の必要がないような数守でございます。
それから、既裁定年金の引き上げのうち標準給与を五年から三年にいたしますことが千分の〇・〇八、それから厚生年金の減額廃止が千分の〇・〇四、それから最低保障で六万円、三万円という最低保障をつくりますことで千分の〇・〇三、それから減額退職年金制度の新設をいたしたわけでございますが、これは本人が希望を申し出ることによって、減額した退職年金を支払うことになりますので、今回、改正法施行後、どの程度の希望が出てくるかによって所要財源率に変更がございますが、とりあえずは所要財源を必要といたしませんので、今後の財源率再計算の機会に検討することにして、今回はその部分をはずしております。以上の合計で千分の一・五三の所要財源率を所要といたしますが、国庫補助率を一六%といたしました場合に、千分の一・四一が吸収をされますので、残りとして現行の掛け金率が九五・八五の財源率を九六というふうに切り上げてやっております結果、千分の〇・一五なお余裕がございましたので、それらを差し引きをいたしますと、この改正法を施行いたしました場合にも、国庫補助率が一六%である限り、とりあえずなお財源としては千分の〇・〇三だけ余裕があるということになるわけでございます。
それから一〇ページから一一ページにかけましては、本年度の予算と法改正後の関係を掲げてございます。十月一日からの施行を予定いたしておりますので、現行ベースの金額の半分と改定後の増加額の半分とにつきまして、それぞれ前半が一五%、後半が一六%で計算をいたしますと、三億六千二百七十万五千円の補助になるわけでございますが、これで予算書に計上してあります補助金と同額ということになるわけでございます。
以上、たいへん簡単でございますが、参考資料の説明を終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/14
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015・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 資料を要求します。
公的年金制度における既裁定年金の種類別、制度別、年次別平均年金額です。まず、第一表として提出をしてほしい。で、公的年金制度でありますが、国家公務員、地方公務員それぞれの共済組合、公共企業体共済組合、私学共済、厚生年金、農林年金、この六つについて、三十六年度から四十年度までの五カ年間の退職年金、障害年金、遺族生金について、それぞれ既裁定年金の平均年金額の一覧表をまず一表として資料を提出を求めます。
次は、スライド制に関係のあることでありますが、たしか厚生省所管の社会保険審議会で厚生年金部会が持たれ、その中にまた懇談会をもってスライド制の研究会を持っておるのですが、その懇談会には厚生省の原案とも思われるスライドに関する提案が出ておる。それを中心として、この懇談会の研究会でいままで検討したその検討の経過、それを具体的な資料として御提出を願いたい。
それから、これは総理府所管に属することでございますが、公務員年金制度連絡協議会で、このスライド制について検討をしておるわけです。この検討の経過等を具体的に資料として提出をしてほしいわけです。
それから、やはりスライド制に関係のある資料ですが、これは恩給と国家公務員、地方公務員、公共企業体等のそれぞれの共済組合における過去の既裁定退職年金の改定の具体例を示してほしいわけです。と言うのは、少し説明をしなければ私の要求する資料の意味が明らかではないと思いますが、たとえば公共企業体共済組合のワンメンバーである国鉄の場合、昭和十八年に退職したものが当時百七十円の年金額が決定しておるわけですが、最近これが二万七千円になっておる、これは一つの例ですが、これがこの例をあげた公共企業体共済組合の大体年金額のアップの平均値に近いものであればそういうもの、なるべくそういうものを具体的な例として、改定前を一〇〇としたその変化率等をつけ加えた既裁定退職年金の具体例を示したものがほしいわけです。それから、ただいまの資料説明にもありましたが、農林年金の平均給与額がありましたが、これを最近時の他の公的年金制度のそれと比較したもの、その公的年金制度は第一の資料にあげた種類にしぼっていいわけでありますが、その平均報酬額、掛け金率及び国庫負担、それの比較一覧できるものをひとつ表示をしてほしい。国家公務員等は当然追加費用として施行法五十五条にうたっておるわけでありますが、そういうものを当然比較できる形で整備をして出してほしいわけです。もとより、この場合は掛け金補助であって、農林年金は給付費の補助であって、あと払い、先払いという違いもあるはずであります。そういう点がまた比較検討できる意味で整理をして出してほしいわけです。
それから第四点は、昭和四十年度における退職一時金の請求者総数と、その中で通算退職年金の財源非控除を申し出た者が全体の何割になっておるか、これを資料としてお示しを願いたい。
それから、第五点は、諸外国の公的年金制度における掛け金率及び労使負担割合、これは掛け金のまた内訳として表示をしてほしいわけです。国庫負担及びスライド制が諸外国ではどういう実態であるかを明らかにした資料を提出してほしい。
それから、公的年金制度の最低保障額と生活保護基準額というものとの比較表を出してほしい。この資料の要求ということからも推測できるように、われわれもこれは審議の資料でありますから、以上の資料の提出を求めます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/15
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016・和田正明
○政府委員(和田正明君) ただいま御要求のございました資料のうち、二つ目に先生がおっしゃいました厚生年金部会の懇談会の検討経過、あるいは連絡協議会の検討経過については、それぞれ関係省と打ち合わせをして、みませんとはっきりいたしませんのでございますが、その他の部分につきましては、できるだけ早く資料を整えて提出いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/16
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017・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 厚生省と総理府所管のことですから、そちらから検討された経過の資料を出していただけばいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/17
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018・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 以上をもって、農地管理事業団法案、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案について、提案理由の説明、補足説明、資料説明は終了いたしました。
本日は、これをもって散会いたします。
午後四時三十六分散会
—————・—————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02819660531/18
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