1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二日(木曜日)
午前十一時十五分開会
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委員の異動
六月二日
辞任 補欠選任
大河原一次君 山本伊三郎君
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出席者は左のとおり。
委員長 山崎 斉君
理 事
園田 清充君
野知 浩之君
武内 五郎君
渡辺 勘吉君
宮崎 正義君
委 員
青田源太郎君
梶原 茂嘉君
小林 篤一君
櫻井 志郎君
田村 賢作君
高橋雄之助君
任田 新治君
仲原 善一君
温水 三郎君
森部 隆輔君
八木 一郎君
川村 清一君
中村 波男君
村田 秀三君
森中 守義君
矢山 有作君
山本伊三郎君
北條 雋八君
国務大臣
農 林 大 臣 坂田 英一君
政府委員
農林政務次官 後藤 義隆君
農林省農政局長 和田 正明君
農林省農地局長 大和田啓気君
事務局側
常任委員会専門
員 宮出 秀雄君
説明員
大蔵省主計局主
計官 平井 廸郎君
農林省農政局参
事官 横尾 正之君
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本日の会議に付した案件
○農地管理事業団法案(内閣提出、衆議院送付)
○農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す
る法律案(内閣提出、衆議院送付)
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/0
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001・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ただいまから委員会を開会いたします。
まず、委員の異動について報告いたします。
本日、大河原一次君が委員を辞任され、その補欠として山本伊三郎君が選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/1
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002・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 農地管理事業団法案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/2
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003・櫻井志郎
○櫻井志郎君 あまり時間もないようですから、簡潔にお尋ねいたしますし、答えもひとつ簡潔にお願いしたいのです。大臣にお尋ねしたいこと等もありましたが、大臣の都合が悪いようですから局長からお答え願いたいのですが、第一番に、この法案はまことに私は基本的にはけっこうだと思っておるのですが、中身に入りましていろいろ考えさせられる点もありますし、わからない点もあるのですが、これと関連いたしまして、いわゆる離農対策について農林省としてはどういうふうに考えておられるのか。これは先国会でありましたか、本会議で質問した際も、農政問題として離農対策についてもっと政府が積極的に考える必要があるのではないかということを私お尋ねしたんですが、そのときでありましたかはっきり覚えておりませんが、赤城前農林大臣は、この問題については積極的考慮をいたしたいということを答弁しておられること等もあるんですが、現段階において農林省はどういうふうに考えているか、どういうふうに具体的にあるいは法案なり措置として考えているか、それをひとつ劈頭にお願いします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/3
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004・横尾正之
○説明員(横尾正之君) 御承知のように、先般行なわれましたセンサス等の結果等によって見ますると、農家の離農する率は相当程度進行しておる状況にあるわけでございます。もとより地域、地帯によりましてその状況には差異がございますが、全般的にはこの五カ年間におきます離農の進捗状況は、その前の五カ年間と比較をいたしまして相当進んでいる、こういう実態にあるかと存じます。
そこで農林省といたしましては、このような農家が離農するにあたりまして、できるだけ困らないようにするというような観点から、一つの問題といたしましては、これらの離農する方々が離農先で就業の問題についていろいろな条件下で可及的に安定した職場を得られるというようなことも必要でございますので、農林省内部といたしましては、農業委員会を中心にして行なっておりますところの農家労働力対策事業を活用し、労働省で行なっております各種の雇用対策方面と連絡をとりつつ、できるだけ円滑な離農が行ない得るように配慮いたしておるわけでございます。
なお、一方離農にあたりましては、農地、宅地等も手離すことになりますので、これにつきましては既存の金融制度等も活用いたしまして、その方面につきまして現在の条件下で恒久的に配慮するようつとめておるわけであります。しかしながら、先ほど申しましたように、離農が相当進捗してまいっておるという実態に即しまして、今後の施策につきましてはさらに検討を深める必要があるというようなことからいたしまして、そのためには、まず離農の実態をつぶさに調査をいたしまして、離農に際しましてどのような点についてさらに配慮する必要があるかということを十分に調べた上で、そのような調査の上に乗りまして今後検討を深めてまいりたいということで、四十一年度におきましては、金額は約五百五十八万円でございますが、予算を計上いたしまして、先ほど申しましたような調査を実施いたしました。その調査と関連をいたしまして、離農に関しまする農村におきます各種リーダーの意向のアンケート調査をあわせてするというようなことによりまして、そのような準備の上で今後さらに検討を深め措置をするようにつとめてまいる、こういうふうに考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/4
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005・櫻井志郎
○櫻井志郎君 どうも結論は一向に対策が進捗しておらないということにとれるのですが、もっと農林省は本腰を入れて離農対策を考えてくれないと、ことばだけで、やっております、やっておりますということでは、これはたいへんまずいと思う。ほんとうに本腰を入れて、ひとつ早念に対策を立てるようこれは注文をつけておきます。
それから自立経営農家の育成ということが、基本法の中心とも言いかねますけれども、まあ大きな目標の一つでもありましょうし、今度の法案においても、基本法の十五条にいっておるこの問題に関連して、二十六条に触れておるのですが、自立経営農家という、ことばとしては、観念としてはよくわかるのですが、どうも具体的にあまり明確でない。もちろんこの法案の説明の考え方の中に、農林省としてはこの問題に触れておられますけれども、どうも私はあまり明確につかみ得ないのです。何か局長のほうから、もう少し簡潔明細な考え方が聞けるならひとつお答え願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/5
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006・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 御指摘のように、自立経営の観念は、基本法の十五条で抽象的な規定をいたしております。これを私ども端的に申しますと、家族経営農業に専念して農業所得によって相当な生活程度が上げられるような農家というふうに規定いたすことが一番具体的ではないかと思います。しかし、それだけではなお政策目標とするのにいささかばく然としておりますので、やや具体的に申し上げますと、これは経済中期計画のときにもそういう考え方を出したわけでございますが、農家で地元の農村にいる勤労者の生活程度と同じような生活程度を農業所得によって上げることのできるような家族農家、そういうふうな規定のしかたが現在の段階で一番適当ではないか。それはただいまの経済調査その他の資料によりますと、大体農業所得だけで年間七十万円程度を上げる農家であれば、私がいま申し上げたような農家と言えるのではないか。ただ、これはあくまで発展的な観念といいますか、勤労者との比較においてきめられるものでございますから、勤労者の所得なり生活水準が年々上がってまいるわけでございますから、自立経営農家の農業所得もおのずと年々上がっていくというそういう弾力的な観念であろうと考えます。
〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/6
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007・櫻井志郎
○櫻井志郎君 この事業団構想を実施していくことは、これは農政の基本政策として当然必要だと思うのですが、ただ、同時に数多く存在しておる兼業農家、零細農家、こうしたものの対策をどういうふうに農林省が考えておるか。それからあわせて、私はかねてから主張しているのですが、農林省の例の専業、兼業の区別というものを、これは解釈を変えなければ大体いかぬじゃないか。世帯主とか、あと取りとかいう人が農業に専念しているのが専業農家と考えていいはずなんです。すぐお嫁にいく娘さんか何かが会社に勤めているとか、次男、三男の人が月給取りをしているとか、そういうのもいまの農林省の定義では兼業農家という。この考え方はたいへん間違った——間違ったと言ってはおかしいのですが、こういう定義をつけたのは、あるいは明治時代、大正の初期にその定義をつけたときの社会環境というものを、いまでもそうであるような錯覚のままにその定義をそのままにしているという考え方であると思うのですが、農林省はこの点を改めると同時に、いま私が疑問にしている兼業農家、零細農家に対する対策というものをどう考えておるか、それをひとつお示し願いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/7
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008・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 御指摘の二点、私はまさにその通りであろうと思います。第一の兼業農家あるいは零細農家に対して農林省はどういうふうに考えるかということでございますが、私ども農政の立場として考えまして、特殊の農家あるいは特別といいますか、少数の農地に専業的な農家だけがうまくいけば農政はそれでいいというふうには毛頭考えておりません。農業生産を高めるためにも、あるいは農家の所得なり生活水準を上げるためにも、そういう一部の農家だけでなくて、全体の農家、兼業農家なり、あるいは零細農家なりを含めて、全体の農家の農業生産を高める、あるいは所得を上げることが私は農政の大きな筋道であろうと思っております。しかし、それと同時に、今回農地管理事業団を出すに至りました経過を申し上げますと、農政の一つの基本的な立場としては私が申し上げたとおりでございますけれども、最近のように兼業農家がこれだけ進み、農家らしい農家といいますか、先ほど私が申し上げましたように、農業に専念して農業所得でやっていけるような農家というものをほんとうに相当の数をつくっていかないと、日本の農業の生産力というものは決して上がらない。また都市と農村との生活水準なり所得の格差の是正ということができないというわけでございますから、全体の農家を対象として農政を進めながら、やはりそれと同時に農業で自立できる農家を相当程度育成することに私は力を注ぐべきだという立場に立っておるわけでございます。
ただ、兼業農家なり、零細農家なりに対してどういう対策があるかということでございますが、実は私から申し上げるまでもなく、農家の階層の分化といいますか、戦前のような農家一本で同質、質の同じものでございませんで、きわめて農業を片手間にして農業を副業と考える農家から、農業でほんとうに生活する農家まで、農村において農家の階層分化というものはきわめて著しいわけでございます。また、戦前では小さな農家イコール貧農でございましたけれども、最近における兼業化の進みぐあいを見ますと、むしろ三ちゃん農家でどっかに勤めているという農家の生活水準は専業的な農家よりも高いということが普通見られるわけでございまして、兼業農家なり、あるいは零細農家に対しましてそう一がいに問題の定義ができないというふうに思います。そうして農業所得だけではとても生活することのできないような農家に対しましては、地域開発、工場分散あるいは雇用の促進あるいは社会保障ということが私はやはり農政としても考えなければならないことであろうと思います。先ほど離農対策についてお触れになりましたけれども、離農対策という問題と同時に、私は零細農家対策なり兼業農家対策なり何なりとして社会保障の問題が今後の農政として大きくとりあげられるべきものであろうと思います。それと同時に、そういう兼業農家なり、あるいは零細農家が農業にだんだん関心を失ってきておりますことも事実でありますし、またその人たちは、主人公は工場や、あるいは会社に勤めに出て、主婦や、あるいは老人が農業をやって非常に過労に陥っていることも事実でございますから、私はそういう面に、農業生産なり、あるいは農家対策としては、やはり大きな機械を中心とした共同化を農林省として本格的に進めるべき時期にすでにきている。これは構造改善事業その他でここ数年農林省として相当力を尽してやっておるわけでございますけれども、その点についての今後の努力は私はますますやらなければならないというふうに思っております。
さらに、兼業農家と専業農家の定義についての御意見がございましたが、まさにそのとおりで、私もときどき農村に行って兼業農家というものをずっとたぐっていきますと、農林省の統計調査の分類によりますと、三町歩の水田の農家で娘が一人、学校の先生をしたり郵便局に勤めたり、第一種兼業農家ということでございますから、その娘が嫁に行けばまた専業農家になるということでございますから、これは私どもが農政を考える場合の統計の取り扱いとして、いまの専業、兼業農家というものは実情に沿わないものがあろうかと思っております。そういうことで実は統計調査部でも最近兼業、専業の区別を、経営主なり、あるいはそのあと取りの就業の実態についてやるように統計を変えております。一種兼業、二種兼業、専業という区別もこれはいままでの連続の中で統計を見る必要上、一がいに捨てるわけにはいきませんので、一種兼業、二種兼業というようなことで統計もとっておりますけれども、それはあくまで過渡的なことで、大体いま御意見がございましたように、経営主なり、あるいはあと取りなりの農業就業の実態に即して兼業農家と専業農家と区別するという方向で統計の整理をしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/8
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009・櫻井志郎
○櫻井志郎君 いまの統計問題は、私はこの前の本会議で強く主張したところですが、だんだんそれを取り入れかかっておるという話も聞いて、改善の方向に進んでいるということを考えるのですが、いまの局長の答弁としては私は満足します。しかし、そのことばをやはりほんとうに実行していっていただくということを守っていただきたいと思います。
それから、ちょっと与党としては少し言いにくいことですが、当初管理事業団の問題を考えたときに、たしか農林省は二重価格制度の中で考えておるんじゃなかったか、あるいは私の記憶違いかもしれませんが、二重価格制度を考えておった。それから融資利率もたしか二分ですか、農林省は考えておる。ところが折衝の過程において、それがいよいよになると吹っ飛んでしまう。法律が成立しましても、将来そうした最初の方向に改善していくというような考え方をいまも持っておられるかどうか、その点ひとつお答えいただきたいと思います。
〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/9
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010・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 農地管理事業団の仕事をしていく過程で、農家らしい農家といいますか、農業を一生懸命でやって農業で生活する農家の土地が少しずつふえていくということで、その土地価格の負担が農家にとって非常に大きいものになりますと、かえって農業経営を阻害するということにもなりかねませんので、農家負担の適正化につきましては、私どもこの問題の当初から非常に大きな関心を持っておったことでございます。それで省内の討議の過程におきましていまお話に出ましたような二重価格を議論したことがございます。これは省内の議論の中で、やはり二重価格でございますと、事業団がかりに農地を買って売る場合でも、買う値は時価で売る値は何か特別な価格を設定するということは、農家負担の軽減という立場からはプラスであるけれども、場合によりましては農地価格を高める必要が一方では出てくるかもしれませんし、さらには事業団が幾らで農家に土地を売るかということは、これはなかなか計算上むずかしい問題がございます。単に財政負担が非常に大きくなるだろうということだけでなくて、価格算定についてもむずかしい問題がございますので、部内の検討の過程で二重価格論は捨てて時価でやる、そのかわり長期、低利の融資をつけるというふうに結論をつけたわけであります。それから、長期、低利と申しましても、願わくば二分、四十年ということで、これは大蔵省との折衝に持ち出した問題で、折衝の過程において二分、四十年というのは現在の金融事情からいってあまり低過ぎるので、三分、三十年ということに結論として落ち着いたわけであります。三分、三十年で計算いたしますと、一反歩二十万円の農地で年の償還金は一万二千円だったと思います。これは私どもいろいろな計算をいたしましても大体農家としてやっていけるというふうに考えております。まあ各国の事例を見ましても大体三分、三十年くらいでこういう問題を処理しているところもございますが、もし少し低い利子で長い年限の償還をやっているところもございますが、三分、三十年ということは、ただいまのところではこれで落ち着いて動かすわけにはまいりませんが、農地事業団の今後の活動の過程においてさらに再検討したらどうかというふうに現在考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/10
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011・櫻井志郎
○櫻井志郎君 いろいろお尋ねしたいこともあるのですが、時間がありませんから、少し急ぎますが、この事業団構想で土地の所有形態が変わってきても、物理的な土地の持っている諸条件ですね。簡単に言えば圃場整備が必要であるとか、あるいはかんがい排水設備をよくしなければならぬとか、農道を改善していかなければならぬとか、そういう具体的な農業の近代的生産条件を具備する物理的な問題と、この管理事業団の構想の中に含まれている問題とをどういうふうに現実には組み合わせしていこうという考えでございますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/11
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012・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 私ども経営改善なり、あるいは農業生産性を高める立場に立って、耕作規模を拡大することが第一の鍵であると思って、農地管理事業団法案の御審議をわずらわしている次第であります。土地の規模が大きくなればそれで農業経営の改善が行なわれるとか、生産性が一ぺんに上がるとは考えておりません。そのためには土地の基盤整備、これはかんがい排水、暗渠排水等々のいわゆる基盤整備の事業を進めること、さらに農業金融について整備を加えること、あるいは技術指導をすること等々、私は農地管理事業団が設置されて活動をいたします場合に、土地改良その他一切の農業施策がそれに伴ってさらに充実されなければ、この法案がねらっておるような農業生産力の向上とか、あるいは自立経営の育成とか、あるいは協業の助長ということが不可能である。農地管理事業団だけが単騎出馬してうまくいくというふうには考えておらないわけでございます。しかし、耕作規模の拡大ということをめぐって、その道を迂回して、それ以外の施策を一生懸命やっても、これもまた限界がある。やっぱりこれは農業政策の一つの基礎であって、これを固めると同時に、その他の施設をあわせて勇敢にやらなければいかぬというふうに考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/12
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013・櫻井志郎
○櫻井志郎君 ちょっとぼくの質問が、言い方が悪かったか取り方が悪かったか、聞いたことと答えとちょっと違うんですが、あなたの答えられた必要であるその必要性の問題、抽象論をぼくは言っているんじゃないんだ、実際の行政として管理事業団の経営面積拡大のこの手段と、実際に近代的生産に合致するような土地の条件を整備していくこととの組み合わせの時点というものを、どういうふうに行政上運んでいかれる考えでしょうかということが質問の中心だったんですけれども、そういうことは別にして、時点も考えずに可能なものからやっていくんだということなのか、何か計画性を持って考えておられるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/13
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014・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) あるいは私のお答えがまだ足らないのかわかりませんが、農地管理事業団のような構想は、たとえばフランスにおいてあるわけです。フランスの例などは、単に農地管理事業団的なものが土地を買って売るばかりではなしに、未墾地等を含めて開発あるいは基盤整備をやって、これを自立経営となるような農家に売り渡すということをやっております。私ども事業団法案を検討いたします場合に、今度新しく未墾地のほうをつけ加えたわけですが、基盤整備的な仕事を事業団にやらせることはどうかということについてはだいぶ検討いたしましたけれども、とにかく日本では耕地整理法以来数十年の土地改良制度の伝統がございますから、またそれにつけ加て農地管理事業団がそういう実務をすることは、いまの段階では適当ではあるまいというふうにいたしたわけでございます。しかし、お手元に差し上げました「農地管理事業団の運営の考え方」でもお示しいたしておりますように、農地管理事業団の事業というのは土地改良、換地処分あるいは農用地の開発造成ということと連絡をとってやらなければ、ただある農地を売ったり買ったりするということだけでは十分でございませんから、農地管理事業を村で実行いたします場合に、その基準となる農地管理の方針を作成いたします場合、あるいは農地管理事業団が実際仕事をいたします場合に、私は市町村当局なり、あるいは土地改良区等々と十分連絡をとって、そういう機関の仕事と農地管理事業団の仕事とを十分かみ合わせていくように指導をいたしたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/14
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015・櫻井志郎
○櫻井志郎君 私はそのフランスの実例を知っているがゆえにお尋ねしたのだが、そのことを検討された上で、さしあたってはいまの姿でいきたいというお考えなら、それはそれで別に私は異議があるわけじゃないのだけれども、それはやはり一応考えてみる必要はあるのじゃないかということだけ申し上げておきます。
そこで、未墾地の問題に局長が触れられたので、私も未墾地についてちょっとお尋ねいたしますが、これは先般提案したときは未墾地は入っていませんでしたね。今度新しくこの問題を加えた。この加えることによって、端的に言って、農地造成事業を促進していく上において、行政上非常に効果があるというような判定の上に立って新しく法案にこれを加えてこられたのかどうか、その考えを伺いたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/15
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016・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 私は農家の経営改善なり、あるいは規模拡大に、農用地の造成ということが今後非常に意味を持つであろうというふうに考えておりますが、現在の開拓方式は、これはよく先生御承知のとおり、いわゆる開拓パイロット方式ということで、未墾地についての権利が得られたところで、国営なり県営なり、あるいは団体営なり、それぞれ事業規模に従って開拓をやっていくというシステムをとっているわけでございます。これは農地法で実は未墾地の強制買収の規定があるわけでありますけれども、戦後のいろいろな経済、社会事情の変化によりまして、強制買収という形で未墾地の処理がなかなか困難になってまいりましたので、昭和三十六年に開拓の方式を変えて今日に至っているわけでございます。ところで、相対売買あるいは相対で借りるということで現在やっておりますけれども、農村なり農山村の実情からいたしますと、ただ相対で話をつけるということがなかなかむずかしい場合が多いわけでございます。したがって、開拓適地である、あるいはそこで草地造成することがきわめて望ましいところでも、なかなか所有者と従事者との交渉がうまくいかないで、開拓なり、あるいは草地造成の仕事が流れるということはよくあることでございます。農地管理事業団は、決して強制力を用いるわけではございませんけれども、とにかく農地管理事業団といういわば公的な機関があっせんの役を買って出て、熱心に未墾地についての権利の取得等々に努力をすれば、私は日本においてまだまだ開拓なり、あるいは草地の造成なりが相当進むというように考えております。したがいまして、開拓なり、あるいは草地の造成を進めるという立場で、私は農地管理事業団に未墾地の問題を入れたことが、今後相当な意味を持ってくるというふうに信じているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/16
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017・櫻井志郎
○櫻井志郎君 この法案でいくと、この地域の指定ですね、一応は考え方に書いているようですが、これももうちょっと具体的に説明してもらえないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/17
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018・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 私どもこの農地管理事業団を動かす場合に、役所の立場で網をかぶせるように地域を割り当てするというふうには全然考えておりません。それから、かりにそこの農家が望んでも、たとえば、もうすでに都市化されている地帯あるいは都市近郊で長く農村地域としてとどまらないようなところでは、私は地価が高いということもございますし、農地管理事業団を動かすことが適当でないだろうと思います。したがいまして、俗にいえば農村らしい農村と、長く今後農業地帯としてとどまるようなところで、まあ村の人たちがやろう——これは市町村長が都道府県知事に頼むという形で出てくるわけでございますが、そのときに知事は都道府県農業会議に意見を聞いて農林大臣に申し出ると、そういうふうにまずその農村の地帯が今後農業地帯としてとどまるであろうということと、それからさらに市町村当局あるいは農家なりがそれを現実に望むと、いわば下のほうから指定をしてくれということを待って、農林大臣としてこれを指定してやると、そういうふうに考えているわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/18
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019・櫻井志郎
○櫻井志郎君 その場合にその地域の構成ですね、自立経営農家になる見込みの農家がどの程度以上なければいかんとかなんとか、そういう考え方を現在持っておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/19
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020・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 私ども考えております条件としては、今後長く農業地帯としてとどまるし、また農業構造の改善ということに熱烈な関心を持っておる村というふうに考えておりますけれども、何割以上自立経営農家が育成されるといえふうにかたくは条件として考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/20
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021・櫻井志郎
○櫻井志郎君 農地法の改正問題ですが、農地法の改正はやらなければいけないというような意見は、これは私のみならず各方面からそういう意見が相当出ておりますし、これも昨年の本会議のときに質問したとき、赤城大臣は、たしか検討中という答えだったと思うんだが、現在、検討がどの程度進んでおるのか。まあ全般的にいってその問題が一つ。
それから農地制度の再検討、農地法の改正問題とこの法案の問題との関連ということをどういうふうに考えておられるか、どういうふうに考えて現在検討を続けておられるのか、その点ちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/21
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022・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 前の国会で赤城農林大臣から、農地法の改正について前向きに検討をさせるというお話がございまして、私どもも実は昭和三十七年の秋以来、農地制度研究会というものを省内に置いて、学者あるいは学識経験者等を入れて相当熱心にまた詳細に農地制度を検討いたしております。私どもといいますか、農地局では、その研究会と並行して、農地法を改正すべきとすればどこの点が問題であるかということを相当詳細に検討しておるわけでございます。時間がございますれば若干の論点御披露もいたしたいと思いますけれども、ただ、結論的に大まかに申し上げますと、私ども昭和二十七年に農地改革のあとを受けて農地法を制定いたしまして、現在の農地法の骨格は、戦後二十年長く維持されておったわけで、耕作者の地位を守るといいますか、土地所有によって、耕作者の犠牲において土地所有者が利益を得るようなことは、農地制度については避けなければならないという根本方針、あるいは農地制度が農業生産力を高める方向に運用さるべきだという、そういう根本的な精神においては、私は、農地法は現在でもなお十分その生命を持っておると思います。
しかし、一つだけ申し上げますならば、農地法の中で一番大きな問題は、やはり私は、小作制度についての法律の規定なりその運用であろうと思います。やや具体的に申し上げますと、先ほどもお話に出ましたけれども、二種兼業農家といいますか、農業所得よりも他の所得が多い、いわば農業を片手間としておるような農家が現在四割二分ほどございます。そしてその人たちが耕しておる土地が全体の農地の約二割二分程度でございます。しかし、この人たちは先ほど申し上げましたように、非常に複雑な内容を持っておりますけれども、相当多数の人が、主人公が工場につとめたり、あるいは会社につとめたりして、いままでのように五反歩なら五反歩あるいは六反歩なら六反歩という農地を全部耕す必要がないような経済条件になっておる者が相当あろうと思います。まあ、飯米は必要でございますから、二反なり三反なりはまず当分は耕すにしろ、とにかく、いま耕している五反なり六反なりは、全部はその耕作を継続する必要がないというふうに判断をし、また御当人たち毛そう考える人が私は数多くあろうと思います。しかし、小作料の統制額というものは、これは昭和三十年にきめましてから、水田で中田で反当にして千百円でございます。それから耕作権の確立ということで、これは日本の農地制度として非常に長い伝統で、先輩たちが非常な努力で築き上げてきたものでございますけれども、とにかく一たん貸せば、借り手が承知しない限りは土地が戻らないというふうに現実においてなっておるわけでございますから、五反歩、六反歩耕しておる人が、土地を売るつもりはないけれども貸してもいいという人たちが相当いても、うっかり貸すとあぶないということで貸さない、この人たちはほうっておいて荒らしづくりをして生産力を非常に落とすか、あるいは通常請負耕作といわれるように、やみ小作の形で人に耕させる、この場合の小作料というものは、地域によって違いますけれども、反にして一万円とか一万五千円とかいうのが決して珍しくございません。また、耕作者のほうからいいましても、ことしは耕すけれども、来年は耕すようになるかどうかという耕作権の保障は全然ございません。したがいまして、小作料を非常に低く押え、また耕作権を非常に強くすることが耕作者のためであることは間違いないけれども、同時にまた、新しく土地を借りてもう少し経営を伸ばそうという立場からいえば、それが大きな桎梏になって、小作料の水準というものは千百円ですけれども、現実に払う小作料は一万円とか一万五千円、法律上は耕作権は非常に強くなっておるけれども、事実上は請負耕作の形で、来年は耕すことができるかどうかという保障がない。そういう状態になっておることは、やはり小作制度の問題あるいは小作料の問題として当然正当に評価すべき時期に来ておるというふうに思います。ただ、先生も御承知のように、農地制度というものは、何といっても農業構造の基礎でございますし、小作料を動かすということも、いろいろ税制なり、あるいは米価等々にも影響があるところでございますから、私どももそういう問題意識を持ちながら、やはり取り扱いとしては十分慎重にやらなければならない、小作制度ばかりでなしに、農地法全体を通じて私は相当直すことが日本の農業にとってもう必要な段階に来ておるけれども、その取り扱いについては私どもの検討も深めると同時に、関係方面といいますか、いろいろな立場の人たちの意見も十分伺って処理すべきものだというふうに考えております。まあ、先生おっしゃるように、農地法の改正法案の提出ということはそう簡単にはできないでおるわけでございますけれども、農林省の中では、十分私が申し上げましたような角度から真剣に取り組んで検討をいたしておるわけでございます。
なお、農地管理事業団につきましては、この法律にもございますように、農地管理事業団が活動をしやすいように農地法の特例をある程度まで定めております。農地管理事業団が相手方になるような売買貸借は農地法の許可が要らない、あるいは農地管理事業団に土地を貸して、農地管理事業団がまただれかに土地を貸すというような場合は、耕作権の規定を除外する、また、十年なら十年ということで貸借をいたしますと、十年たって返してくれといえば返すことになるようなふうになっておるわけであります。また、農地管理事業団に土地を貸してまた貸しをしてもらう場合でも、不在地主の規定は除くと、あるいは一町歩の保有面積の例外は除くというような形で、農地管理事業団自身が活動をしやすいようには農地法についての特例の手当てをいたしておるわけでございます。
また、まあ第三の問題として、農地法を改正すればもう農地管理事業団なんかなくても農地の流動化が行なわれるという御議論もあるわけでございますが、私はそれは絶対そうではないというふうに思います。これは一つの例を申し上げましても、ドイツ、フランス等々において、農地法の規制というものは決して日本のようなきびしいものではございませんけれども、農地管理事業団類似の国家的な機関を置いて、そこで経営規模の拡大のために大いに苦心し、努力しておるわけでございますから、農地法さえ直せば、あるいは極端な議論として、農地法さえ撤廃すれば農地の流動化がいいような方向に向かうというふうに私は絶対考えておらないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/22
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023・櫻井志郎
○櫻井志郎君 局長のいまのお答えの中で、小作制度、小作料、それから請負耕作の問題にも触れられたのですが、私はいつだったか忘れたのだけれども、日本経済新聞に請負耕作制度は合法化される、請負耕作でも、現在の農地法からいっても合法的なやり方もあれば、完全に法律に引っかかるという、大別して請負耕作の内容を二つに分けられると思うのですが、その請負耕作制度を合法化できるように農林省が考えておるというのではなしに、もっと突き進んだ、あたかも実施できるようなことを農林省が近くやるというような記事が、いまちょっと私、記事を持っていないのでこういうふうに書いてあったということは言えないのだけれども、その請負耕作問題が日経に出ておった。そうすると、そういうことが可能になってくると、先ほど私が質問しようかどうしようかなあと思った問題ですが、三分、三十年償還という問題とからみ合わせて、請負耕作制度のある程度の解決がつけば、この事業団法がもくろんでおる問題とどう関連してくるか、極端なことをあげていえば、いま局長も触れられたけれども、一部の議論としては、この法案が必要ではないのではないか、なくとも農地法あるいは改正するとか、いま私が言う請負耕作の問題を解決していくことによって、ある程度その必要性というものはなくなるんじゃないかというふうにも考えられぬでもないのですが、その点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/23
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024・大和田啓気
○政府委員(大和田啓気君) 日経の請負耕作に関する記事は私も見ました。多少新聞記事には誤解といいますか、書き足らない点がございます。と申しますのは、請負耕作と一口に言いますけれども、その中には全然内容が違うと言ってもいいような二種類のものが入っておるわけでございます。一つは、私が申し上げましたように、実際のやみ小作で、相対で小作料を一万円なり一万五千円なり、あるいは耕作権が全然確立されていないものを請負耕作という形で農地法の脱法としてやっているのが一つございます。それからもう一つは、請負耕作という名前を使いながら、たとえば農事実行組合でありますとか農協でありますとか、そういうものが集団栽培あるいは技術信託というような名前で農作業を小さい農家にかわってやる。それを請負耕作という形で表現している場合があるわけであります。私がその日経の記事を考えますと、日経の記事で請負耕作を農林省が認めるというふうに書いたのは、請負耕作の第二の範疇のもので、相対のやみ小作を合法化するということではございませんで、農協なり、あるいは農事実行組合なり、その他の農業生産法人が作業の請け負いをやるというものを、農林省としてはあまり農地法に触れるというようなことをやかましく言わないで、そういうものは私が先ほど申し上げましたように兼業農家対策なり、あるいは零細農家対策として今後進めるべき一つの道でございますから、その点についてはあまり農地法をたてにとってやかましく言わない、請負耕作の中には筋のいいものと筋の悪いものがあるというふうに申し上げたらいいかもわかりませんが、やみ小作の問題についてはこれはやっぱり農地法の問題として、これは農地小作制度なり、あるいは小作料改定の問題として正面から扱わないと、これをやみくもに認めるということは私は適当でないというふうに考えます。しかし、片方の技術信託だとか、あるいは集団栽培というような形で、放っておけば生産が落ちるような農家をできるだけ組織化して生産力を上げる。あるいはその人たちの所得を少しでも上げるという方向では私はあまり農地法をやかましく言わないで、現在の法制のもとでもある程度まで自由にそういうものができるようにすべきではないかという、そういうふうに考えるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/24
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025・山崎斉
○委員長(山崎斉君) ちょっと速記とめて
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/25
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026・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。
暫時休憩いたします。
午後零時七分休憩
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午後一時四十四分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/26
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027・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 委員会を再時いたします。
農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は、順次御発言を額います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/27
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028・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それでは、農水委員会で差しかえで私が御質問申し上げます。
農林漁業団体職員共済年金、略して農林年金と称しておりますが、この農林年金についてわが党はわが党の対案と申しますか、考え方をもうすでに示しております。衆議院において相当長期にわたって審議をされたようでありますが、どうもわれわれの考え方からすると、今度の法律案については、農林漁業団体に対する優遇措置として厚生年金から昭和三十三年に移行したのでありますけれども、どうもわれわれとしては納得できない点が多々ありますので、次第にそれを明らかにしつつ、政府の見解をただしたいと思っております。
まず、その前提といたしまして、衆議院で若干修正をされたようでありまするが、その修正された個所とその理由、それについて政府のほうからひとつ説明を額いたい、かように思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/28
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029・和田正明
○政府委員(和田正明君) 衆議院で自民党、社会党、民社党三党の共同の御提案で修正になりました点は二点でございます。第一点は、政府の原案では、既裁定の年金につきましては、退職年金、障害年金を六万円、遺族年金を三万円というふうに最低額を上げまして、その場合に組合員期間がいずれも二十年以上に限るということにしてあったわけでございますが、そのうち障害年金につきましては二十年という組合員期間を必要としないというふうに修正をされたわけでございます。修正の御趣旨は、障害年金は組合員期間の長短と関係なく支払わるべき性質のものだという御趣旨であったかと理解をいたしております。
それから第二点は、現在法律の六十二条で、国庫は毎年度予算の範囲内におきまして農林年金が毎年度給付に要します費用の一六%の補助をすることができるというふうに今回の提案ではなっておるわけでございますが、その六十二条にさらに一項を加えられまして、第二項として、政府は毎年度予算の範囲内におきまして財源調整上必要があると認めるときは前項の補助のほかに補助をすることができるという趣旨の規定を挿入をされたわけでございます。改正の御趣旨は、すでに先般修正点についての提案理由の御説明にもございましたように、今後農林年金の組合員の給与が低いということ、それからそれと対応して掛け金がやや高いということ、それらの点を十分考慮して、財源調整上必要があるときには一六%という定額の補助のほかに必要な費用を国が補助することが適当であるという御趣旨であったかと了解をいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/29
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030・山本伊三郎
○山本伊三郎君 問題は第三点が問題だと思うのですが、一六%、一%国庫負担をふやしておる。まあしかし、それでは不満であるから必要があるときに国が負担をする。必要であるという限界は非常にこれは問題になると思うのですね。抽象的に必要であるということが、それがどういう働きをするのか、そこが私は理解ができないし、政府といたしましてどういうぐあいにそれを取り扱うか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/30
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031・和田正明
○政府委員(和田正明君) 御承知のように、六十二条で毎年度の給付に要する経費の百分の十六の補助をするという規定がやはり給付費の補助としては原則的な規定でございまして、給付費に対する補助がこの規定によりまして一六%の範囲内では、たとえば整理資源に関する補助というようなものも一六%の範囲で補助をいたしておるわけでございますが、こういう一般的な原則規定のほかに、財源の調整のために別途の補助を行なう必要があるというような特殊な事情を想定されて第二項の修正が入ったと思うのでございます。そこで「財源調整のため必要があるときは、」というのはどういうことかというふうに申しますと、いろいろな場合が考えられると思いますが、たとえば、今後他の共済制度とのバランス等と見合いながら給付の内容の改善を今後考えていくというようなことも当然起こり得ることだと思いますが、そのような場合に当然追加費用としての財源が必要でございますが、その財源を組合員の負担として掛け金を上げていくという方法もございましょうが、そういうことをしないために将来の給付改善に備えて積み立てをしておくというようなことも財源調整上必要があるという場合の一つの例として考えられるのではないかと思います。そういうようないろいろな事情を勘案しながら、国の予算の範囲内で一般的な給付補助の原則規定のほかにこの二項を今後運用していくことになろうかと考えるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/31
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032・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それが了解が実はできないのです。御存じのように、この年金制度、これはこの農林年金だけではございません。厚生年金、船員年金あるいはまた国民年金、その他共済グループでは企業体年金、国家公務員、地方公務員年金、農林あるいはまた私学等々ありますが、それらの年金の財源はあいまいに割り出していないのですね。いま農政局長が言われたように、将来改善をするというのは給付の改善だと思うのです。給付の改善をした場合には今後どういう改善をされるか、一番いま現実の問題はスライド制だと思います。それ以外に、たとえば二十年の最短年限をこれを十五年にするとか、年金開始年限はいま農林は五十五歳、厚生は六十歳になっているが、これを変更するということになるとその国庫負担というものはばく大な費用になってくるのですね。そういうものが包括的な、今後必要が生じた場合にそれを認めるというような意味がそこに盛られてあるならばこれは別の考えが出るでしょう。農林年金の場合そういう給付の改善を、農林の給付の改善が行なわれたときにはいわゆる掛け金なんかは上げずに、いわゆる必要な経費として国が負担するという理解をしていいかどうか、ここがひとつ要点だと思いますね。衆議院の審議に参加しておりません、これに参加していないが、聞いたときに、これは大きな問題だ、それをまず最初に明らかにしておかなければ今後混乱を起こす、政府の理解は給付の改善と言われますが、給付の改善ならいろいろありますよ、そのすべてのものが含むという理解であればこれは別です。その点は明らかにしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/32
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033・和田正明
○政府委員(和田正明君) 御承知のように、今回政府が提案をして御審議をいただいております農林年金及び私学の共済につきまして共通の改正事項としては、基本的なと申しますか、原則的な補助率を毎年の給付に要します費用の一六%ということによりまして、そのほかに特殊な事情を考慮して財源調整上必要があるときはこれを補助することができるという旨の規定が修正されたわけでありますから、先ほど申し上げましたのは、一つの運用上の例としてこういうことがあるだろうということを申し上げたわけでございます。今後どのような改正をするかというようなことになりますと、具体的にいま先生がおっしゃいましたように、給付の開始年限を引き下げるとか、あるいは最低の組合員期間を短くするとか、そういうこともございましょうけれども、もし具体的に今後検討いたしまして、そういうことが問題にされてくるということが、そういう範囲も当然この規定の解釈上は入ってくるかと思いますが、いずれにいたしましても、今回の衆議院での修正の御趣旨は、先ほどもちょっと申し述べましたように、また、先日この委員会の席上で修正の御提案者の代表から御説明がございましたように、農林年金の給与が一般的に水準として低いこと、それから他の共済制度に比べまして掛け金率がやや割り高になっている、それらの事情を考慮してこの第二項の規定を設けられたというふうに了解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/33
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034・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは将来私は必ず問題になってくる、これは先ほど申しましたように各種年金に大きい影響を与える問題です。したがって、これは修正された、修正三党の代表の意向と政府の意向は合致しているかどうかということが問題なんです。いま言われた農林年金が他の年金に対して不利な点はあとで指摘いたしますが、おそらく私は政府としては確固たる問題の把握がなくして、とにかくこれを国会、衆議院を通過さすというものに一つの重点を置いて私はやられたと思う。したがって、もしそういう必要な財源は見るということになれば、あとから具体的に申しますけれども、なぜ厚生年金と同様にこの際二〇%に踏み切って、そうしていま言われた農林年金のいわゆるこの不利な点を改めて出さなかったかということなんです。したがって、農林当局以外に、きょうは大蔵当局が来ていますから、これは大蔵省が将来問題にする問題だと思いますから、大蔵当局のこれに対する見解、もう一ぺん言いますよ、将来給付に要する財源が不足をした場合に、それは現行のやつは現行では不足することになっているのです。財源に計算しているのではないのです。将来給付の改善をした場合に、不足をした場合に、いわゆる政府は必要な限度は言っておらない、だから幾ら要っても政府が負担するのだ、こういう趣旨の修正を政府が承認したのだ、これをまず確認していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/34
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035・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) この条文の意味でございますが、議員修正でございますので、議院における考え方というのは、私どもとしては仄聞いたしておる範囲でございまして、少なくともそれとは一致するかどうかはわかりませんが、政府としての考え方ということでお答えを申し上げたいと思います。
財源調整のため必要があるときと申しますのは、たとえば例にいたしますと、今回の一六%を法律上明定する前の国の考え方というものがその例に当たるのではないかと私どもは考えております。つまり農林年金なり、あるいは私学共済年金につきましては、他の共済制度と比べて原則的には給付の面においてひとしいとしても、具体的にはかなり径庭がある、こういう問題がございまして、その場合におきましてその具体的な給付の内容をどのようにするか、あるいはどの程度改善するかという点について必ずしも意見の一致を見なかったのでございますが、将来においてそういった点について改正を加える必要がある、この点については意見が一致いたしまして、ただその場合に、農林年金等の掛け金の状況が、給与水準もかなり低く、しかも掛け金率において高いというような状況がございましたので、掛け金負担によってこれをまかなうということは酷であるというような面も見られたわけでございます。そこで予算編成当時の考え方といたしまして、当分の間国が予算上一定率、当時一%と考えておったわけでございますが、一%の補助を行なっていく。それによって財源状態も全般的に改善さるべきであろう。かたがた給付の状況その他も将来においてだんだんと農林年金の支給の本格化あるいは給与ペースの変遷あるいは人員構成の変遷等によって固まってくるであろう。その段階において給付の改善が行なわれることが望ましい、こういう考え方で、予算編成当時、予算補助として一%をつけるということをいたしたわけでございます。そこで、当時考えていました考え方は、一応そういう予算補助をつけてはいけないということで、とりあえず一%分法定補助をふやしまして、その一%に見合う給付内容の改善を行なったわけでございます。ただ将来の問題といたしまして、各種の年金の進展の状況は必ずしも同一歩調ですべて進めるというわけでもございませんし、また農林年金等についてはなお問題があるというふうにお考えになる向きもあるわけでございます。したがいまして、将来においてそのような各種の長期給付の間のバランスの面から見て、農林年金等についてなお改善を要する、こういった場合におきまして、その当時においてなお財源率の関係、ひいては掛け金等が酷である、酷と申しますと極端でございますが、掛け金によってそういった給付改善をまかなうことが酷であるというふうに認められるような場合におきましては、国は当分の間予算上の援助を行なう、こういうことを考えておるわけでございます。したがいまして、今後およそ農林年金の給付改善に必要な原資については、それが一般的に他の給付の中においてそれぞれ掛け金でまかなうものであろうとも、こちらは必ず国が援助する、そういう趣旨のものとはわれわれは理解いたしておらないわけでございます。あくまで前提として他の長期給付とのバランスというものを考えた上で、財源調整の必要があると認められる場合においてこの規定が発動するものであろうというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/35
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036・山本伊三郎
○山本伊三郎君 政府の説明した資料で、今度の改善で五年平均を三年平均にするとか、あるいは最低保障を六万円を三万円にするとかいうことについては、もうすでに掛け金率の計算によって問題は済んでおるわけですよ。いま言われるように、掛け金の高いということは現実に高いのですよ。いまあなたのほうから白状されましたが、私は追及しようと思ったんだが、他の年金制度から見ると高くなっておるんですよ。それならば、何もこの法律をつくるときに大蔵省なり農林省がそういう事実を認めておるならば、いわゆるこの掛け金率を下げて、そうして国庫負担を二〇%にする説をとらなかったのですか。そういうことをせずに、将来そういうことがあった場合、他の年金制度との均衡を見てやるというのは、他のほうとは厚生年金がまた改正される。改正された場合に、どう改正されるかわかりません、スライド制にするかどうかわかりませんが、そのときには当然厚生年金が財源率の再計算するのですよ。それで料率上げますよ。その場合でも農林年金の場合は国庫負担でやるんだ、こういうことをさしておるのかどうか。先ほど平井主計官が言われた、院で修正された趣旨は別として、政府の考え方はこうですが、とは一体何ごとですか。法律が院で修正されようと原案がそのまま通ろうとも、法律になった場合には、政府の考え方は覊束されるのです。院の考え方はこうだが、わしの考え方は別だ、そんなかってな法律解釈は許しませんよ、少なくとも法治国においては許せないですね。ぼくは平井主計官の言われることは納得できない。そういう修正をされたときには、政府はこういう考え方であるということを納得した上で修正されるということでしょう。しかし、政府は納得しなくても院議でもって決定したならば、それに従うのがいまの法治国でしょう。法律ができたけれども、政府の解釈は別だ、こういうような考え方であれば、一体国会というのはどうなるのですか。私の言った趣旨で言われたなら取り消してもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/36
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037・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) 私の申し上げ方が悪いために非常に御迷惑をかけましたが、私が申し上げた趣旨は、この修正案の作成にあたりまして、私その場におりませんでしたので、その際において明確に院の考え方というものをはっきり把握したということは言い切れなかったものでございますから、そう申し上げたわけでございまして、私どもがその後において農林省の方々なり皆さん方とお話し合いを申し上げたときに、こういうふうに理解をしておるというふうに承っておりまして、その場合において院の考え方と差があるかどうかということは私が明確に確認しておりませんでしたので、そういうふうに申し上げたのでありまして、決して院の考え方に反した考え方を国としてとるということを申し上げたのではありません。おわび申し上げておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/37
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038・山本伊三郎
○山本伊三郎君 ぼくは、この問題は将来非常に重要で、他の年金に影響するので、時間をかけておるのですが、私の時間も少ないので、このような問題はあとにいたします。農林当局もこの点ははっきり自覚してもらわないと困りますよ。これはほかの給付とかそういうものと違って、もう現在の法律で給付するというものは、今回の改正による、いわゆる財源率できちっとやれるようになっておるのですよ。国が将来いまの制度のままで不足するというようなことにならないようになっておるのですね。ないですよ。その場合どうしても必要な財源を国が持つとなれば、法改正による給付の改善があった際に、必要なものが生じてくるという以外にないのですよ。その場合に出すのかどうか、それをはっきりここで約束すればこの問題は済むのですよ。これは言明できるかどうかという問題ですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/38
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039・和田正明
○政府委員(和田正明君) 補助率二〇%云々ということを山本先生が先ほどから言われておるのでありますが、御承知のように、農林省といたしましては、農林年金の組合員の給与水準が低いから、したがって、先生御承知のように、数理的な掛け金率、保険料率をはじきます場合に、分母が低うございますので、そのことに見合いまして掛け金率がやや高まってまいります。
それから、さらにたびたびの制度改正に伴いまする給付の改善で、過去における掛け金の支払いの不足分等もございまして、農林年金におきます掛け金率が他の共済制度に比較して高いことは事実でございますので、本年度の予算編成にあたりましても、私どもはそこのところのバランスを、せめて国家公務員並みまで上げるという考え方で補助率二〇%という形で予算要求を提出をいたしたわけでございますが、御承知のように、諸般の事情がございまして、私どもの期待をするような予算編成の数字にならなかったわけでございます。で、この規定の解釈といたしましては、先ほど一例として今後の制度改善、それに伴う給付内容の改善の場合にも、当然この規定が働くであろうということを一例として申し上げたのであります。そのほかにも法律の解釈上はいろいろな理解ができるわけでございます。たとえば財源の再計算を一定の期間の間にいたさなければなりませんが、その場合に、さらに所要の財源が再計算の結果出てくるというようなことがございますれば、それを掛け金負担を上げて国の補助でカバーするそういうような問題もありましょうし、また給付の内容の改善をいたしませんでも、あるいはまた、いま申しましたような財源上の再計算の結果を見ませんでも、本年度の当初予算の要求で、私どもが考えましたような掛け金率を下げて負担を軽減するというようなことのために補助を要求するということもあるわけでございますから、私ども農林省の当局としては、できるだけ今後とも何らかの方法で掛け金が上がらないようなことを考えていく、さらに上がらないばかりでなく、できれば掛け金を下げる方向で組合員負担の軽減をはかりたいということは、私どもとしての基本的な考え方であるわけであります。ただ、もちろんそのことは国全体の財政の勘案をする必要がございますから、私どもだけの希望のとおりにいくかどうかということはまた別個の問題だと思いますが、私どもとしては、いま言いましたようないろいろな場合を想定しながら、できるだけ今後給付改善がありましても掛け金が上がらないように、また給付改善のない場合にもできるだけ掛け金負担が下がりますような方向での努力をいたしたい。それらのことを頭におきながら衆議院で御修正になりましたこの第二項の規定の運用をできるだけはかってまいりたいというふうに、農林省当局としては基本的に考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/39
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040・山本伊三郎
○山本伊三郎君 私は納得ができない。納得できないというよりも、私は善意に解釈すればこれは非常ないい修正だと思っているのです。いま例をあげられましたけれども、地方公務員共済組合は、昭和三十七年ですか、八年ですか、これは平井主計官が給与課長のときだと思いますが、そのとき池田総理をこの場所に呼んで、そうしてとにかく保険料は高いから下げる方向にいきますということを、もう速記録にはっきり答弁しておられる。ところが五年たって再計算、これは地方公務員の場合は来年になるわけでありますけれども、せざるを得ないような状態になってきている。これは国家公務員の場合すでに一ぺん上がってしまったので、これを国庫負担一五%が二〇%に上がったために、それを相殺していわゆる保険料率は上げないような計算になったのですね。したがって、ぼくらも何回か経験があるから、ほかのと違って年金制度というものは財源率はもうちゃんと計算が出てくるのです。それを何かほかの補助金のように、一応できたから出すんだというような形ではこれはできない仕組みになっているのですね。だから私は言うのですよ、はっきりと。将来厚生年金でも、他の共済年金の改正があった場合でも、農林年金はそういう条項があるから料率は上げずにこれでやるんだという、その言質を得たかったのですが、私はそう解釈しておりますよ。将来問題があっても許しませんよ、農林大臣、その点はいいですね。農林大臣はおそらくそう詳しくないと思いますけれども、それをあなたそばで聞いているのだから、あなたは責任あるのですから、今度は逃がしませんから、私の言ったとおりでありますという答弁でけっこうですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/40
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041・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 私のほうとしましては、できるだけ多くの補助金を出して掛け金を上がらないようなこと、ないしは掛け金を下げる措置をとりたいと、かように存じておるわけでございます。もちろん国の財政全体を勘案する必要があることは、これはいうまでもないわけで、さような方向で努力いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/41
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042・山本伊三郎
○山本伊三郎君 あなたは得な人で、あなたの答弁はほんとうに何を言っているのかさっぱりわからないのですが、国の財源、それは何の場合であっても抑制は受けますが、私の言った趣旨はおそらくなかなか理解できないと思います。私はそんな意地の悪いことを言いませんが、しかし、私の言ったことは議事録に残っておると思いますが、したがって、大蔵省の主計官あるいは農政局長以下説明されたのは、私は将来その理解でこの年金を見守っていきたいと思います、これからまたしばらくの間。農林年金が他のほうと比べて、非常にあなたのほうで言われておりますが、現実に不利な点というのは明らかになっている。現在農林団体あるいは漁業団体の職員の給与が低い、待遇が悪い。それで年金制度でもやはり優遇といいますか、そういう措置をとってあげなくちゃならぬ問題です。農政の第一線で働いている方々、そういう方々に対しまして、政府は厚生年金で二〇%も負担しているのにそれを一六、七%程度に押えてしまう、しかも掛け金が割り高になっておるということを認めながら、これを政府が措置をとらないということは、今日農業、漁業に対して政府がきわめてあたたかい考えを持っておるということを、総理並びに農林大臣はいつも本会議なり委員会で言われておるけれども、少なくともその点において冷淡な態度しかとっておらない。現実の問題としてそう解釈をいたします。まあ時間がないので次に進みますが、これは私はひとつ科学的というようなむずかしいことは申しませんが、抽象的では大臣わからぬと思うのですよ。悪い点は明らかにやはり数理で計算をしなければわからぬと思うのです。私はここで資料を求めておったんですが、簡単な資料、これは私は簡単な資料でいいと言ったんですから文句は言いません。私学年金の場合でも、この年金計算の基礎になる統計数字が全部出されておりますが、農林年金の場合はできないというので待ってくださいということですから、それはそれでよろしい。私はここに三十九年の資料があるのですから、だいぶん変わっておると思いますが、それに基づいて私は現実に悪い点を指摘したいと思います。したがって、最初にいろいろ言っておると時間がございませんので、年金制度の一番財源率の多い退職年金だけを一つ取り出して、あとの遺族年金とか傷害年金は、各位に資料がいっていると思いますので省きます。この計算数字が現行法律改正の数字だけ出ておると思いますが、退職年金の支出原価が四二四四八・〇一、これに要する財源率は三九・三〇、これは千分比で出ておりますが、これの計算式は資料がありませんので、私はまずその計算式の確認をしておきます。主計官もおられますからよく御存じだと思いますが、これは同じ国家公務員にやった計算式ですが、これがとられてやったかどうかということだけ言ってもらったらけっこうだと思うのです。
これは退職年金のこの資料の数字にある支給現価ですね。分母はいわゆる給与現価ですね。ちょっと見えませんか。減額年金制度を加えられましたね、それも含めたいわゆる退職年金の財源率の計算ですね、これがあなた方の表では四万二千四百四十八・〇一、こうなっていると思いますが、こういう計算がやられているのですか、どういうことですか。減額退職年金の財源率に入れているかどうか。近くに来て見てくださいよ、間違ってはいけませんから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/42
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043・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/43
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044・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 速記を起こして。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/44
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045・和田正明
○政府委員(和田正明君) 退職年金の支出原価の計算の方式につきましては、国家公務員の共済で採用しておるのと同じ方式を採用いたしておるわけでございますが、そこで、いま山本先生がお書きになりました数式では、減額退職年金の制度のものが加味をされておるわけでございます。別に一昨日お配りをいたしましたこの法案関係の資料に簡単な財源率を試算したものをお配りをしてあるわけでございますが、実は減額退職年金制度につきましては、今年十月から創設するにつきましてどのような財源率を加味して考えるかということにつきましては、いろいろの議論をいたしたのでございますが、たとえば有資格者の減額退職年金の制度によって減額退職年金の支払いを希望し得る人の半分がもしそれを申し出るといたしますれば、一応千分の〇・七八という財源率が必要になるわけでありますが、すでにこの制度が古くから創設をされております私学共済等におきましては、実際にはこの制度がありながら、減額退職年金の支給を希望する者がおりません。あるいは国家公務員共済につきましても、有資格者のうち一割程度の者が給付を希望をいたしまするとかというふうに、他と比較をいたしました場合に、組合の質なりその他いろいろ違いがございますから、必ずしも同じようには考えられないことでございますが、今年度の原価を農林年金について考えます場合には、在職退職年金制度につきましては半年分のことでもございますので、その制度を創設いたしました上で今後の実際の在職退職年金法を希望する人の申し入れの実情等を勘案しながら、近い将来における財源率の再計算の場合に考慮するという前提で、在職退職年金の財源率は一応計算に入れないで、今回の改正法案の財源率を調整いたしておりますので、その点だけがその計算上の数式と違っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/45
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046・山本伊三郎
○山本伊三郎君 一応法律上は減額退職年金制度を入れたが、これはもちろん給付について選択されると思いますね。しかし、財源率の計算についてはそれを入れなかった。しかし、これは再計算すれば——法律で五年後にやるということですね、そうすると、いまのこの財源率ではそれが入っておらない。いま大体計算されると〇・七%の財源率が要るということが明らかになったんですね。したがって、先ほど言われましたが、必要な財源には再計算されたことは必ず出てくるのです。そういう場合にはこれもその中に入るという理解で私はおります。
ただ、問題は、減額年金制度をしかれました、しかしこれは五十五歳より一年早くもらうことに、四%の減額ですから、国家公務員、地方公務員の実情をも選択するのは実はやらない人が多いです。しかし、財源率の計算においては選択権があるのだから、二分の一はとにかく選択するだろうということで、おのおの年金制度は二で割って二つをやっている。したがって、私はそういうものが抜けているということを言われましたが、これは正確にやればそういうものを考えてやっておかなければ、実は財源率は不足してくるのですね、何年か後に。しかし、そういうものも、合わせて考えているのだ、将来こういうことがあっても微々たるものだから、一応この種の財源で計算しても、こういうものは財源には入れない、言いかえれば掛け金を上げる要素にしない、こういう趣旨ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/46
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047・和田正明
○政府委員(和田正明君) 理論的に計算をいたします場合には、山本委員御指摘のように、有資格者の半分はそれを選択するという前提で計算をいたさなければなりませんし、またそのような試算をいたしました結果は、千分の〇・七八だけ掛け金率を上げる要素になるということも私ども承知をいたしておるわけでありまして、これが微々たるものであるから、今回の改正法案に伴います財源率を試算をいたします場合に計上いたさなかったということではなくて、先ほどもちょっと申しましたように、私学共済における選択の実情がほとんどゼロに近い、あるいは国家公務員でも一応二分の一で財源率をはじきましたけれども、実際に選択をした人は有資格者の一割前後の数字である。
それからまた今回の改正法案を提案をいたしますいきさつの過程は、先生御承知のように、あらかじめ予算がきまりましてからのことでもございまして、本年は十月一日から実施をするというような事情もあって、今回の財源率計算には入れなかったわけでございますが、一、二年の実際の実施経過で、希望者の実態を勘案しながら当然に再計算をいたすべきものであると考えておりますし、また、先ほど来御指摘のございました衆議院の修正点でございます第二項の規定なども、そのような場合にもし財源率が必要であり、それが掛け金率の上昇にはね上がるとするならば、その分の国庫助成ということについても私どもは適用されるものと理解をして努力をしたいというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/47
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048・山本伊三郎
○山本伊三郎君 努力というようなことを言わんといてください。やるということで私はいいと思う。努力をすると言えば、努力をしてもできなかったという意味も含まれておる。政府の答弁は何でもそうです。努力と言うのはやめてください。それはまあ一応そういうことで理解をします。
そこで、昭和三十三年の農林年金のいわゆる国会上程の趣旨としては、農林団体の職員については年金制度を改善するのだ、優遇をするのだという趣旨でやられたと私は理解をしている。ところが厚生年金が昨年の国会で修正されて、定額部分が六万円に引き上げられた。しかもそれが三十年までに加算されることになって非常に厚生年金は改善された。その現実から見ると、二十年の最短年限で当時やめた人については、厚生年金のほうが給付が上になっております。そういう結果があなたのほうでわかっておるかどうか。わからなければまた黒板に書きますが、あまり黒板に書くのは私好まぬのです。二十年で大体二万円の給与として、厚生年金と農林年金の場合は算定する基準報酬が変わってきます。厚生年金のほうは平均標準報酬ですから入っている、二十年間の平均をとります。農林年金のほうは、今度は三年平均に変えられましたから、その場合は約七〇%とすればこの計算が出ると思う。計算機で計算すれば大体その程度です。そうすると、それを計算すると、あとで書いてもいいんですが、あなた書かれてもいいんですが、現在の計算でいくと厚生年金のほうが有利になるんですよ。ここに書いてみますけれども。これは厚生年金のほうはどういう計算になるかというと、二十年の、最短二十年つとめぬと年金もらえぬですからね、厚生年金の場合。その場合の農林年金の標準給与を二万円とすると、その七〇%にしか相当していないので、厚生年金の場合は一万四千円。二十年の場合、最短年限二十年としていますが、定額部分が六万円です。それから報酬比例部分が一万四千二百円。農林年金が三年平均が二万円として七〇%として一万四千二百円、これをここで勘案して千分の十に上げているでしょう、二百四十カ月掛けて。そうするとこれが三万四千八十円です。それから家内が一人あるということですね。配偶者一人ということ。これは大体原則としてあるから、それの加給金が四千八百円、これを足すと九万八千八百八十円ですか。それから農林年金、これも式を書きます。これは簡単ですが、二万円掛ける千分の四十掛ける十二ですね。こういう計算になるんですがね。農林年金の場合は、算定基準の給与をやめたときから三年平均として二万円、そのかわりに、厚生年金はそれを落としておりますから同じ比較になると、そうすると厚生年金の場合は九万八千八百八十円、農林年金は九万六千円、二千八百八十円ほど低くなるです、ぼくの計算ですね。あなたのほうではどうなりますか、そこで計算すればわかる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/48
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049・和田正明
○政府委員(和田正明君) 私どもの試算は、実はいま先生がそこへお書きになりましたような形で、たとえば厚生年金のほうは初任給から最終給与までの平均でございます。農林年金はやめます年の直前三年間の平均でございますから、もし、たとえば同じ二万円ということを考えますとすれば、厚生年金において初任給からやめるまでの平均が二万円であるということは、やめる段階では非常に高い給与になっておらなければ二万円という平均ができませんし、またそれに見合いまして当然実質に負担をいたしました掛け金が多くなるわけでございます。それからもう一つは、給付の開始年月日が先生も御承知のように昭和六十年であるというようなこともありますので、むしろ私どもとしては一応初任給が同じ出発点である場合に、昇給の、給与の指数等で昇給の数字を頭におきまして、それでの絶対額の比較をする試算はいろいろといたしてみたわけでございますが、いまお示しのような形で同じ二万円ということではちょっと比較が適当ではないのではないかという感じも実はいままでしておりましたので、そういう試算をやっておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/49
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050・山本伊三郎
○山本伊三郎君 あなた、わからぬからもう少しうまく教えてやりなさい。同じ俸給指数を厚生年金の方式で平均標準報酬を出すのと、それからやめたときから三年平均で出すのと、二十年の限界では約七〇%に相当する。これは俸給指数をずっと計算してみなさい。三十年になると六五%とまた減ってくる。大体これは私は計算機に出さない、商売人に頼んで計算してもらったのですが、七一・六五三ぐらいに出てくるのですね。そして勘定ややこしいから、まだ七〇%、有利にしたのですね。厚生年金のほうがまだいいように計算をしてこういうものが出てきた。同じ二万円にしていないのですよ。そういうものを勘案をして出した。開始年限の五十五歳、六十歳、これはあとで言います。これは同じ二十年でやめた場合にはこれだけの比較しか出てこない計算になるのですね。これはどうですか、農政局長。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/50
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051・和田正明
○政府委員(和田正明君) いま先生がそこへお書きになりました計算方式は異論があると、そういうことを申し上げておるわけではございませんで、私のほうとしてはそういう計算は実は試算をいたしておらない。その理由としては、先ほども申し上げましたように、むしろ両方比較いたします場合に、初任給が同じで出発した人が最終でどういう給与の給付内容の比較になるかという試算をいたした、こういうことを申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/51
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052・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それを言ってください。あなたの試算したやつを言ってください。例示して僕と同じ条件にせぬと合わぬですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/52
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053・和田正明
○政府委員(和田正明君) 初任給が二万円という人を想定をいたしまして、その場合に……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/53
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054・渡辺勘吉
○渡辺勘吉君 最初の三年を遡及した平均が二万円と見た場合を前提として言っておるのですから、その場合に、二十年間の通算が七一・六五三%に当たると、そういう指数で、これは七割にかけて出したのだが、そういう場合を想定して農林省はどう計算したかと質問しているのです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/54
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055・山本伊三郎
○山本伊三郎君 こういうことなんですよ。計算の基礎、基準というものは三年平均と全期間の平均と変わることはわかっておるのです。それは三年平均にした俸給試算ですね、先ほど立てましたbtの三ですね、これと厚生年金のbtの二十年とを比較すると、厚生年金のほうが七〇%に相当することの指数になるというのですね、したがって、計算の基礎は農林年金の基礎を二万円にし、厚生年金のほうは一万四千二百円にすれば、同じ基礎に立った計算ができる。そうして出したやつが二千八百幾らというのが農林年金のほうが低いのですよ。同じ条件でそうなっておるのですが、その点についても異議があるかどうかということです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/55
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056・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほどから申し上げておりますように、先生がそこにお書きになりました数字に私ども別に異議はございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/56
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057・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そういうことですね。厚生年金よりも有利だから農林年金をつくってやったということが非常にいわれておる。それがために厚生年金は国庫負担が二〇%になっても、非常に有利な年金制度であるから一五%でいいじゃないかということで据え置かれて、ようやく一%上げるということですね。そういうことは計算上成り立たぬのじゃないか。ただし私が言いますように、皆さん方専門家がいるから言うが、開始年限が五年早まることによって保険料率が上がります。それを皆さん計算しておるかどうか知りませんが、厚生年金を六十才を五十五才にした場合にどれだけ上がるかというと、厚生年金は第一種の場合農林年金と同じレベルにして比較すると、厚生年金は千分の五十五です。農林年金は千分の九十六です。しかし、五年開始年限を早めるという改善措置を厚生年金でかりにとったとしてもそれは八十六、三一%程度上がることは事実です。その財源率は計算しております。それにしても八十六と九十六で、まだ一〇%農林年金のほうが掛け金が高い。なおこれは国会の審議の中で厚生年金改正のときには、段階的保険料方式ということで五年ごとに計算しましょう、定額部分をあまり多く上げたので、保険料については不足で、五年のうちにまた上げる措置をとりたいという説明があったけれども、法律には入っておらない。政府の希望として厚生年金の改正案の時期も言われたけれども、ところが、五年後にやるということは、農林年金でも国家公務員の年金でも五年ごとに再計算するのですから、それも同じ条件だ、だから厚生年金の六十才を五十五才にして、しかも年金の内容を上げて農林年金と比較しても、なおかつ厚生年金のほうがいいという結果が出るのです。それなのに政府がなぜ農林年金だけ厚生年金と差別して一六%に国庫負担を押え、しかも高い掛け金率をとっておるかということについて私は疑義があるというのが私の争点です。時間がないから十分説明ができないから皆さん方わかっておるかどうか知りませんが、それでも少なくともそのくらいのことは……。農林大臣、あなた何を読んでいるか知りませんが、これは常識上の問題ですからわかると思います。ただ言っておきますが、将来三十年で計算したときには、その係数はかわってきます。農林年金のほうが二万円か三万円ほど有利になります。しかし、三十年という場合は現在そういう該当者はおらない。厚生年金でも、あの法が施行されたのは労働者年金保険だったと思いますが、昭和十七年から実施されたのですから、三十七年で、まあ該当した人はおりますけれども、まだ二十二、三年ですから、したがって、三十年になった場合には、いまそんな該当者はいない。そういう人については有利になるかわからぬが、将来を展望していまから掛け金を高くとるという必要はない。しかも農林漁業団体の職員の給与は低い、そういう方々に対して私は酷だというのです。一般労働者に対する年金制度の内容と比較して農林の関係の職員には優遇するのだという趣旨でやられたのが、そうじゃないのだ、からくりはこういうことだということを私はここではっきり言うてみたい。大蔵当局もおられると思いますけれども、なぜ農林省が二〇%の国庫負担を予算編成に要求したけれども、農林年金のほうが有利だといってこれを一六%になぜ押えなければならないか、その理由はどこにあるかということをここで強調したいのですが、大蔵当局はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/57
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058・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) いろいろ説明によりまして、確かに先生のおっしゃるような係数のあることも私ども承知をいたしております。ただ、農林省の考え方なり何なりからしまして、現実の問題としてどうなるかという問題、保険数理の面から見れば、先生のおっしゃるとおりでございますが、ベースアップ等の要素を考え、その他を考えました場合において、実際に農林年金のほうが不利になるかどうか。この辺のところは若干議論のあるところじゃないかと思っております。したがいまして、私ども個々のポイントをとって見れば、確かにすべての面において農林年金が厚生年金にまさっておるというふうにも私ども考えておりません。ただ、全体として見た場合においてはやはり制度的に有利なものであるということは言わざるを得ないわけでございまして、この意味におきまして国庫負担をどの程度にするか、それらの点については、なお、先生のおっしゃるように、直ちに二〇%にすべきであるという結論には到達いたさなかったわけでございまして、なお今後の問題として、確かに御議論のような点もあることを存じておりますし、いろいろ給付の改善あるいは他の年金とのバランス、今後における改正の問題等に関連して、今後ともさらに検討していくことになろうかと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/58
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059・山本伊三郎
○山本伊三郎君 そんなことを言うとおこりますよ。農林年金のほうが厚生年金よりまさっておるということはどういうことですか。具体的に示してください。私が先ほど、三十年たてばこうなるということを言っておるし、開始年限もこうして一致さしたらこうだと言っておるのです。それはいろいろと、退職一時金は六カ月から支給されることになっておりますね、農林年金は。国家公務員の場合、地方公務員の場合は、この場合は一年まではむだです、六カ月半……。そのかわり遺族年金については、厚生年金の場合は六カ月たてば遺族年金の資格は出る。こちらのほうは十年か、十五年になっておるのですね。いい悪いのことはあるのです。アンバランスはあるけれども、総体としては農林年金のほうが悪いときめつけておるのです。現時点においてですよ。いい点を並べればいい点もある。厚生年金のいい点もある、農林年金のいい点も若干あるが、総合したら、九六%の高い掛け金率、保険料を取りながら、それを勘案するといいところがないというのです。あるなら具体的に言ってくださいよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/59
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060・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) 総合してという話でございますが、どういうふうに全体として優劣を考えるかということになろうかと思います。私どもとしては、現在の段階では、確かに先生のおっしゃるような不利の点もありますけれども、五十五歳支給とか、そういった点を含めまして、いまの制度としてこれを受ける個々の人の立場から見れば、必ずしも不利ではないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/60
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061・山本伊三郎
○山本伊三郎君 あなたはそれはごまかそうと思っても、それは知らぬからごまかすよりしようがないのだが、これは国家公務員、地方公務員の場合は事業主の負担も国庫負担も一緒だから、しかも積み立て資金の中で資金が、国家から金が出るのですよ。農林年金の場合は厚生年金と条件がほとんど一緒です。要するに国庫負担を給付時に負担するだけなんです。いま負担をしていない。積み立て金は全部掛け金によって、三百二十何億ためておるのですよ。国家公務員、地方公務員の場合は給付が出るだろうという予定のもとに政府が負担しておるのですよ。私はいま地方公務員、国家公務員、これは申しません。若干恩給から転嫁した事情があるから、別に取り扱っていることはわかるけれども、厚生年金と比較して総合的にいいというところは出ない。しかもですよ。国庫負担一五%以外に整理資金を全部組合員が負担をして、整理資金の掛け金をかけておるのですよ。厚生年金はその点同様なんだが、整理資金として政府は出さないですよ。国家公務員の場合は、恩給時のときは整理資金として国が出すことになっているのですよ。農林年金の場合においては一銭も出さない。全部組合員なり事業主が負担するように計算されておる。この計算が間違いならいい。国は何も負担しないですよ。それなのにいいということは言えますか。国の負担を多くして初めて有利だということが言える。全部組合員なり事業主が負担をしておって、自分らの金でやっておるものを、総合していいから一五%負担でいいのだということはとうてい言えない。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/61
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062・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) 先ほども申し上げましたように、全体として見た場合に、給付を受ける各人の立場から見れば、私どもとしては制度的に劣っているものではないということを申し上げているわけでございまして、ただそれに対する総体的財源として、これをどのように出すかということは、確かに先生おっしゃるように、国家公務員等の場合におきましては完全積み立て方式をとり、しかもそれに見合う事業主の負担なり、あるいは国庫負担をそれぞれの給付時においてでなしに、積み立て時において積み立てておるという点において差があることも存じております。したがいまして、そういった共済組合制度としての中のバランスというような点を考えまして、今回のこういった給付の改善のための経費というものを一%計上したわけでございまして、全体的にすべての点において同じだということは私ども申し上げているわけではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/62
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063・山本伊三郎
○山本伊三郎君 総体的にも個別的にも、これは私が判断すれば、厚生年金に比較して私はいいところはない。ただ給付率の高い安いは自前で金を出してやっておるのだから、政府が何も金を出しているのではないですよ。事業団体とそれから本人が金を出してそれだけもらっているのだから、厚生年金も、事業主が調整年金で積みましたけれども、この農林年金ほどの金を負担するのだということで同調して、総評も賛成をして、農林年金を上げて、国家公務員と同じようなやつに上げてもいいと言うけれども、事業主が反対してこれは上げられない。農林年金のほうは、すでに事業主が負担してしまっている。それでよくやっているのだから、政府は何も見ているところはないですよ。それを政府がおこがましくも内容がいいから、負担は一六%にしてもいいという理由はどこにあるか、よくやっておるならいいですよ。全部自前でやっておる。自分が出して多くもらっておるのだから、政府が何もやっているわけではないのだから、そういう内容がいいから国庫負担は一六%でいいのですと、こういう言い方は、これは常識としても三歳の子供でも理解できると思うのですよ。その点私は理解できぬ。きょうはこの点についての認識をしてもらわないと因る。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/63
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064・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほど来山本委員の御指摘のように、厚生年金と比較をいたしました場合に、同じ給与を、標準給与を元にいたしましても、そこにお書きになりましたように、また給付開始の日が五年間早いおそいの差を割り引いて計算いたしましても、掛け金率が約一〇%高いというような不利な点があるではないかということは、山木委員御指摘のとおりだと私ども思います。で、先ほども申しましたように、有利であるから二〇%の補助を出さなかったというふうには私どもも農林省当局としては理解をいたしておるわけではございませんで、先ほど申しましたように、二〇%の補助ということで私どもとしては掛け金は引き下げの方向で努力をしてまいりましたわけでございますが、厚生年金から離れて共済制度として独立をいたしましたこの農林年金を、他の国家の各種の公的年金制度と比較をいたします場合に、国家公務員の共済なり、あるいは私学の共済なり、その他いわゆる共済グループのいろいろな制度と比較し、その間のバランスをとるということも政府としてはやむを得ない事情等もございまして、そういうようなこともあり、さらにまた、大臣も先ほど申されましたような財政全体の事情もあり、そういうような主としてバランス論等で一六%という補助率に一応本年はなっておるわけでございます。有利であるから補助率が上がらなかったというふうな理解を私はしておらない。私どもとしては、先ほど大臣もお答えになりましたように、今後とも他の公的年金制度とのバランスということはやはり政府としては考えなければいけませんし、また全体の国の財政事情等についても十分配慮をいたすことは当然だと思いますが、できる限り御指摘のような点の不利な掛け金率は引き下げるような方向に将来はもっていかるべきものだというふうに私どもは考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/64
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065・山本伊三郎
○山本伊三郎君 いいから、何と言いますか、国庫負担は少なかったということではない、これは別の意味だと言われますが、農林当局は、大蔵当局が言うのなら同じ政府の部内だから、財源がないから何とか押さえようというのでありましょうが、少なくとも農政を担当する農林当局はそういう内容においても総合的に見てもらっておらない。しかも掛け金は非常に高いというものを認めながら厚生年金よりも国家負担は低かってもいいということを承認されるという農林当局の考え方は私はちょっとどうかと思う。当然こういうものを主張してやったのじゃないと思う。大蔵当局は、これはずいぶん私は論議しているがわからぬ。農林統計は私がいま説明しましたような理由でやられたり、大蔵省もこれは否定できないですよ、何で農林の諸君に……、それじゃ厚生年金に変えたらどうですか。掛け金率はずっと下がりますよ。それでもらうものはあまり変わらない。そういうことを農林職員団体が知ったときどうなるか。あなたはいいいいというけれども、この財源は出ておりますけれども、せめては整理資金に対して国庫負担を考えなければならないけれども、新しい計算では整理資金は千分の四・二と出ている。これは全部被保険者いわゆる組合員と事業団体、農業協同組合なり何なりが全部負担しているのですよ。国家公務員の場合は整理資金は何千億になるかしらぬけれども、これは政府が負担しますということで、毎年予算に、ことしは六十億か何か載っているのですよ。農林関係はそういうものは一つもやらない。そして全部本人に負担さしている。したがって、いい悪いは、本人が金を出してやっているのですよ。国庫負担とは全然別ですよ。それを厚生年金二〇%、農林年金一六%でいいということを農林当局が受けるならば、私はいまの農林当局を信用しませんよ。幾ら施政演説でいいことを言われても、それは補助金を幾らにするという抽象的な問題ではない。数字ではっきり出てくるものをつきつけて総理大臣なり大蔵大臣に交渉すれば、おそらく私は総理大臣でも否定しないと思う。私はこの前池田総理とやったけれども、佐藤総理は出てこない。もう一ぺんやってもいいと思うのですよ。それほど農林団体の職員を差別していいのかどうか。むしろ元の厚生年金に返しなさい。もっと掛け金は下がりますよ。内審は変わらない。これはこの前の厚生年金の改正がされたときに当然論議さるべきですよ。それを今日これを改正する、非常にいいものになったと説明されている。お前の整理資金については五年平均のやつを三年にして非常によくなったのだと説明されている。そんなものうそ八百だ、数字から見れば。うそ八百だということは非常に低い。われわれから言ったらごまかしだ。よくなっているのは、悪いから若干前進したけれども、もとがもっと悪いのですよ。それをなぜそこまで引き下げるか。給与も低く、掛け金を多く出している、こういう事実から見ても私は承服できない。農林大臣どうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/65
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066・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) 御指摘のとおり掛け金率が高いことは事実でございます。農林省といたしましては、本年もその引き下げには努力はいたしましたが、いろいろのことで、事情もあって十分な満足を得られなかったのでございます。今後ともこの問題は努力をいたしたいと、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/66
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067・山本伊三郎
○山本伊三郎君 今後ということについては、これは問題は別ですよ。現在の制度の改正された問題を時点に取り上げているのですから、今度と言ったって次の国会というわけじゃないでしょう。私の言ったことを次の国会に提出しますか、これが確認できればいいですよ。これは相当な問題を含んでいる。私は前から各種共済年金についていろいろと考えた場合に、農林団体、私学、私学の場合ちょっと若干別な意味がありますが、農林は一番しいたげられるというとことばは悪いけれども、冷遇されています、少なくとも年金制度においては。そういう実態を農林当局は知りながらこの改正案出して、いかにも優遇して国庫補助率を一%上げたんだからと恩に着せたような説明をして国会を通そうという、その魂胆に問題がある。率直にそういうものを認めて、先ほど言われたように、保険料率も高い、掛け金率も高い、これをこう下げたい、こういう実情を明らかにして言われたかどうか。それは言うてないでしょう。よくなるんだという、でないと改正案にはならぬでしょう。こういう事実を農林当局が知りながら、こういう改正案を出して、しかもこれは衆議院の事情でありますけれども、こういうぐあいに修正したから農地管理事業団をも通すべきである、ここにくくりつけて言う必要は私はないと思うけれども、そういうことは私は承服できない。一体この措置についてどう思いますか。
それから、あまり追い詰めても気の毒に思うのですが、農林大臣の顔見ていると。ぼくは言うだけは言ってしまわぬとしかたがないと思いますが、これは時間があれば計算式出してやればいいが、現在一体農林の三百二十億ですか、積み立て金があるらしいんですが、その運用は八分二厘にしておるようでありますけれども、この計算の基礎は予定利率五分五厘でやっているんでしょう。それを六分にすれば財源率は一〇%下がる。いまかりに七分とすれば一分五厘高いのですから、三〇%財源率は下がる計算になるでしょう。これは厚生年金も全部一緒だ。私は佐藤さんが大蔵大臣のときに相当内閣委員会で追及したのですが、そのときは日本の金利は高い。したがって、ここでは国際金利にさや寄せして低くなるとして五分五厘になる。そのときに計算し直したらどうですか。現在七分、八分に運用しているが、この予定利率だけ計算方式を変えれば農林の九十六が五十か、あるいは六十幾つかでおさまる。そうすると、それだけでも下がってくる。年金のからくりはそこにあるのです。しかも出た三百何十億というのはどういうふうに利用されているか知りませんけれども、そういう安い値段で出して、その計算に基づく給付を出しておいて、それでその年金制度はいいのでございますということは私は言えないと思います。農林大臣はそこまで知っておらなかったと思います。そういうからくりなんですね、この年金制度というのは。余裕をうんと見ておる。そういうものを私は了解は絶対にできない。特に今度の場合国庫補助を二〇%に上げて出してくるならわかるけれども、とにかくいいということで言っておることはわからぬ。そういう点についての見解について、農林大臣も含めて農政局長どう思いますか。私の言うことに間違いがあるかどうか指摘してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/67
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068・和田正明
○政府委員(和田正明君) どうも私どもが非常に鬼の首でも取ったようなりっぱな改正案を出して恩に着せておるのではないかという御趣旨のおしかりをいただいたのでありますが、私も先ほど来先生御指摘のもの以外にも、やはりこの制度についていろいろと社会保障制度全体との関連の中でも、なお多く検討し、今後改善すべき点があることは十分承知をしておりますので、衆議院での審議の過程におきましても、やはりそういう私自身が持っております問題意識については率直にお答えをして、今後できるだけ改善をしていきたいというふうにお答えを申し上げ、私自身も今後真剣に取り組んでいきたいというふうに思っておるわけでございます。具体的に一つの問題点として、予定利率五分五厘云々というお話がございました。これは先生がただいまおあげになりましたように、予定利率を一%上げますと、数理的保険料率は二〇%程度下がることは事実でございます。それとともに、また他面この農林年金の場合のように、相当大きな数値の整理資源率をかかえております場合に、その整理資源率のほうは逆はレートが上がります関係でもう少しふくらまして考えなければならない面がございまして、これは専門家にもいろいろと検討させましたけれども、必ずしも十分明快な数値はまだ出てまいらないわけでございます。ただ、この農林年金の場合は、私学等と違いまして、予定利率と実際の運用の利回り差というものが実際上は事務費等に振り当てられまして、事務費、掛け金等を徴収しておらないような現実もありますが、五分五厘というのが先生も御指摘のように、一応国債の公称利率ということで長期的な視野で計算をしておりますが、理論的には先生おっしゃるように、そのつど財源率を計算し直すべきではないかということももちろんあろうかと思います。そういう点を含めまして、冒頭申し上げておりますように、こういう社会保障制度は、やはり時代の進展に対応しつつ、給付の内容がよくなり、組合員の実際の負担が減ることが本来の理想でございますから、いろいろ御指摘になりました問題点につきまして、私自身の持っております問題意識も含めて、今後前向きに検討してまいりたいというふうに思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/68
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069・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まだ言いたいことはたくさんあるのです。今後そういうことを踏んまえてやるというけれども、私はとらえておる時点が、厚生年金が改正になったというのは社会保障制度の前進ということで、相当思い切ってやったということで出された、その点を私言いました。既裁定者の定額を六万円に引き上げたと、私見ると、現在も全部被保険者なり事業主へ転嫁して、政府の財源で既裁定者の額を上げたのではない。農林年金もそのとおりだ。国家公務員、地方公務員、あの場合は恩給制度という特権的なものの考え方から、整理資源というものは国は無制限——無制限というとおかしいが、出すということになっておる。したがって、社会保障制度の一番普遍的な厚生年金を基準にしていま論駁したのですよ。それがそうなっておるのに、なぜ農林年金だけそうしないのか。上がってくるのが当然ですよ。これは各年金制度そうなっておるのです。そういうものをとらえておるのじゃないのです。厚生年金は昨年の国会でももめましたけれども、いろいろ掛け金を下げよう、給付内容を上げようということで二〇%を国庫が負担したのに、農林年金については、一年待ってことしも改正案には出てこないという、この事実は大蔵省の責任かどうか知らぬが、農林当局の責任は重大だと思う。そういう点については、今後やります、今後やりますと言う。それはどの答弁もそうなっている。しかし、そう言うが、ほんとうに農林当局は今後——今後というのは、来年の国会にも私の言い方なり趣旨を入れたようなものを出してきますか。それが約束できればそれでいいですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/69
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070・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) もちろん、この点については私ども前向きに極力進めてまいりたいと存じております。
ただ、来年必ずということについては、なお十分前向きでさような点については努力はいたしたいということでございまして、その点御了承願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/70
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071・山本伊三郎
○山本伊三郎君 もう疑点は明らかになったということは認めるでしょう。認めませんか。厚生年金との比較において掛け金率が高いということはわかったでしょう。そういう事実が明らかになってきた。私、抽象的に一つも言っていない。それで黒板まで持ち出して、もっと詳しいことを書きたいのですが、省略しておるのですよ。まだまだあるんですよ。
一つの例を言えば、国家公務員、他の厚生年金なんかを比較して、古い計算の資料ですが、脱退残存率をみましても、年金のつく二十年おるという人は微々たるものですよ、最初の計算でいくと。一一・五%くらいしかおらない。百人おれば、十一人しか年金がつかないのです。しかも、この規定による退職一時金を、十九年までにやめた人は自分のかけた掛け金に複利で利子を計算した、そのものを返してもらうというにすぎない。貯金したものを返してもらうだけです。二十年たって初めて事業主から出す分と政府の補助金が出てきて、そうして年金になって、これが一つの年金、社会保障制度としての価値が発現されて出てくる。それが農林大臣、一一%で、今度の計算で一四%くらいに上がっているということを言っておられましたが、一四%に上がったとしても、百人のうち十四人しか年金をもらえないですよ。国家公務員の場合には、百人について約四十一人、厚生年金の場合はずっと期間が長いですから、転職しても被保険者の資格を取れるから相当高いが、それでも五〇%になっておらない。いまのところですよ。
しかも農林年金の場合には、百人について十一人くらいです。そういう内容のものが、どれからいっても私は承知できない。しかも、女子の数が非常に多いというわけなんです。おそらく女子職員において年金のつくまで、二十年間在職しておる——調査されていますか。その数字があればひとつ知らしてもらいたい。女子のほうはほとんど該当はしておらないと思います。現状においてはどうですか。数字があれば説明してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/71
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072・和田正明
○政府委員(和田正明君) ある程度、二十年以上勤続しておる女子職員もございますが、いま手もとに数字を持ち合わせておりませんので、後刻お答えをします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/72
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073・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあ、これは私のほうに政府の委員の方が来られて、説明を聞いたのですが、この点は早く資料を出していただきたい。
女子の場合は、厚生年金の場合は比較的調査もしております。厚生年金の場合は御存じのように、女子の場合は三十五歳以上に入れば、十五年で年金をつけるという一つの特例を開いたのですね。共済グループではそういう優遇措置はないのです。
そういういろいろなものを勘案すると、一体いいところはどこにあるのですか。しかも、女子も含めて残る人は一一%——まあ、一四%くらいになっているということですが、資料がないからよくわかりませんが、百人につき十一人くらいが年金をもらえるという、この数字を見ると、一五%の国庫負担、給付に対する一五%を負担している、一六%を負担しているというけれども、これは問題にならぬと思う。しかも、先ほど申しましたように、この厚生年金、農林年金、私学年金の場合は、給付時の負担なんです。給付が出てくるまで国はひとつも出さない。そういうことでわれわれ考えますと、もうこの農林漁業団体職員共済組合のいわゆる年金制度というものは、どういうつもりで運用されているのか、私には解せない。
こういうことをずっと考えてみると、私が言っているのは、あなたのほうから出した数字を基礎にしているのです。私は、こんなものは調査できない。あなたのほうの数字を基礎にして言っているのがそれなんです。それに対して反論があれば反論してください。議員だから遠慮して、この程度におさめておくというのは、私はきらいです。間違いがあれば、山本間違いだ、こういう点を明らかにしてもらいたい。そうせぬと、聞いておられる議員の方々も判断ができない。遠慮される必要はないですから、堂々とやってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/73
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074・和田正明
○政府委員(和田正明君) 別に国会だから御遠慮申し上げているわけではございませんで、掛け金が高いということは、御指摘のとおり事実であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/74
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075・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これは議事録をあとでよく続んでもらいたい。大臣は忙しいから、この年金というようなものについては、まあどうかと思いますが、私は、国会でも抽象的な論議はしたくないのです。事実に基づいてこれは論議しなければならんというので、資料を多く求めます。したがって、私は抽象的でないのです。明らかになっていると思うのです。あとで調べたらわかると思う。したがって、農林年度が非常に何か優遇された措置であるという考え方をみな持たれておりますけれども、ほかのものと比較いたしまして、これはほんとうにありがたみがどういうところにあるか。女子の方々は調査をされていないというけれども、地方公務員の場合でも二〇%、そのくらいが女子職員です。まあ二五%ぐらいになっているかわかりませんが、その中で年金の二十年に相当するまでいくというのはわずかに二%か三%くらいしかない。いまの数字は知りません。これは、かつて日本の家族制度というのが、家庭生活実態がそうでありますが、なかなか女子は二十年というのはつとめにくいという現状があります。まあ独身の看護婦さんとか、特殊な職業に従事している人はあるかもしれないですが、しかも、その女子職員には、厚生年金ではいわゆる掛け金率を低くしている。そういうことも考えて低くしている。農林年金では、これは他の共済もそうでありますけれども、女子も一緒に、掛け金も同じです。そういうことですから、もう少しそういう点は十分勘案をして、農林年金を改正してもらわぬと困る。私は事実を言っているのですから、女子の場合はほとんどありがたみはないですよ。しかも、かけた掛け金は、それはいわゆる凍結をして——まだ暫定措置があるから、一時金は全部もらえますけれども、通算退職年金法ができたので、大部分は凍結されてしまう。六十歳までそれがもらえないのです。その金の運用は一体だれがしているか。厚生年金の場合は——農林年金は私はまだ尋ねておりませんけれども、厚生年金は、大部分は政府の財政投融資です。そういうことで巻き上げた金を全部、これは財政投融資、還元融資は二五%しか厚生年金はやっておらない。農林年金の場合は、もっと還元融資はやっていますけれども、そういう酷な扱いをしている。ひとの金を掛け金で集めておいて、政府が勝手に使って、しかも一五%、二〇%補助金を出しているというけれども、普通の銀行が扱う場合には、一六%ぐらい給付に出すということであれば、それだけの何百億という、厚生年金では一兆三千億になっていますね。そういう金を扱わしてくれれば、そのくらいの金利は負担しますよ。しかも長期ですよ。何十年というあれで、これは使えるのです。そういうからくりをしているというのが現状です。
これに対して農林大臣はどう思うか。私の言ったことに対してどう思うか、ちょっと見解といいますか、所懐の一端を述べてもらいたい。答弁でなくてもいいです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/75
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076・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) もちろん、これらの資金については、いろいろまた運用されていることは御承知のとおりでございます。私ども、そういう意味合いからいたしまして、農林年金のこの制度そのものについても、でき得る限りの改善を加えたいというのでいろいろ努力はいたしておりますが、なお十分でない。また衆議院におきましても相当の修正等についても協力を願ったわけでございまして、でき得る限りその方向に向かって進み、この改善を進めてまいりたいという念願を持って進めておる次第でございます。
ただいまお説の点については、前向きをもってさらに一そうの努力をはかりたい、かように存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/76
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077・山本伊三郎
○山本伊三郎君 農林大臣、ぼくのいう点を覚えてください。きついことを言うようですが、私は誠意をもって言っているのです。前向きでやるということは私はほんとうに信じますよ。だから、大臣はいずれかわられるのだからどうなるかしりませんけれども、少なくとも国会で論議したということは、現職における大臣として十分考えてもらいたい。
それで、最後になりますが、時間もないのでありますが、現在資産としの積みて立て金が幾らあるか、その運用はどうしているか、これをちょっと知らしていただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/77
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078・和田正明
○政府委員(和田正明君) 四十年の三月三十一日現在でございますが、三百十六億七千六百万円でございます。その運用の先は、預貯金が七億六千二百万円、それから組合員への還元貸し付けないしは療養所その他の各種の施設等への長期貸し付け金が十億二千四百万円、それから有価証券投資が二百十五億五千万円、それから信託が五十二億一千四百万円、投資不動産が十三億六千六百万円、それから未収利益等が十七億六千万円、運用利回りの総平均がちょうど八分というぐあいになっおります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/78
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079・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これはまたあとでひとつ資料として出してください。いま大体の数字をお聞きしたのですが、三百十六億七千六百万円ですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/79
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080・和田正明
○政府委員(和田正明君) 三百十六億七千六百万円。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/80
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081・山本伊三郎
○山本伊三郎君 三百十六億七千六百万円ですね。そのうち還元融資としてやられておるのは、組合員の福祉施設が十億と聞いたのですが、これはけたが違うじゃないですか、十億二千四百万円と聞いたのですが、これは間違いないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/81
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082・和田正明
○政府委員(和田正明君) 十億二千四百万円、四十年三月末でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/82
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083・山本伊三郎
○山本伊三郎君 それは私また何か文句を言う一つの種ができたですね。一体三百十六億もあるのに十億しか組合員に福祉還元融資しておらない。厚生年金でも二五%やっている。国家公務員の場合は三〇%還元融資をやっている。それからいうと三十幾分の幾つですか、問題にならぬほど少ないと思うのですが、それに引きかえて有価証券が二百十五億ですか、これはどういう有価証券なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/83
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084・和田正明
○政府委員(和田正明君) この年金の福祉事業への貸し付けにつきましては、制度が三十三年から発足をいたしたわけでございますが、この制度は実際に貸し付けを開始いたしましたのは三十六年度以降でございまして、前回のこの法律の改正法案の御審議の際にも、たしかこの委員会でももう少し積極的に福祉貸し付けをするようにという附帯決議の御趣旨もございまして、最近その点につきましても十分思量をし、またこの改正法案の中でも、そういう貸し付けの手続等は、年金が自分自身で手足を持ちませんので、農協の連合会等へ委託して貸し付け事務ができますようなそういう農業協同組合の権原規定等もこの改正案に入れておるわけでございますが、そういうことでこの改正法案が成立をいたしますれば、農林年金が実際上委託という形で各地にございます農協の連合会を手足として使いながら、福祉上の事業の貸し付けがしていかれるような仕組みになるわけでございます。そういう改正規定の成立とも相まちまして、今後そういう方向の貸し付けの伸張と申しますか、そういうふうな努力をしたいというふうに年金の当事者も考えておるし、私どももそういう方向で今後進めてまいりたいという方針でおるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/84
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085・山本伊三郎
○山本伊三郎君 有価証券はどういうふうに運用しておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/85
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086・和田正明
○政府委員(和田正明君) 有価証券はほとんどが農林中央金庫、それから商工中央金庫、長期信用銀行それから不動産銀行等の発行いたしますいわゆる金融債、それから一部地方債等にも出ておりますが、数字的に申しますと、そういう金融債の合計が百三十四億、それから電力会社の社債が三十三億七千万、それからいわゆる特殊法人債と申しますか、電電公社とか、あるいは国有鉄道とか、そういう特殊法人が四十七億六千万円、大体そういう割り振りでございまして、全部をそういう金融債あるいは特殊法人債等の有価証券に運用をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/86
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087・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあ有価証券といわれますけれども、貸し付け先は商工中金ですか、それから農林中金、そういうところに融資されておるのですね。もう一ぺんちょっと……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/87
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088・和田正明
○政府委員(和田正明君) 農林中央金庫が農林債券というのを発行いたしておりますが、それが割引債、利付き債両方で十二億ほど。それから同じように金融機関の発行する債券として商工中央金庫、それから長期信用銀行、不動産銀行、興業銀行等の発行しているものがございますが、それらを合わせまして百二十四億というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/88
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089・山本伊三郎
○山本伊三郎君 まあこれは大体厚生年金その他から見て政府の資金運用部資金には入れていないことは明らかでありますが、結局この資金というものは農政上の必要な部分に多くを出されておるということですね。国家で、いろいろ商工中金とか、あるいは農林中央金庫、長期信用銀行なんかの融資については非常に国がめんどうをみておるようでございますけれども、そういう原資というのはこういうところから出ておるのですね。これは三百二十億ですから、厚生年金からみると非常にけたは少ないのですけれども、それだけに数の少ない組合員から調達をしておるわけですね。私はこれは農林中金の連合会の方々がどういう運用をされておるか知りませんが、こういう金利をあさるためにやっておらないと私は見ておる。先ほど言ったように、予定利率五分五厘さえ確保すれば、そのほかにちょっと若干のものを入れれば、ほんの五分五厘、五分六厘くらいにすれば十分これはまかなえる。だからこういう年金の資金というものは、農林団体の職員の福祉に重点を置いて運用しなければいけない。私は、ほかの厚生年金とか、あるいは国家公務員、地方公務員、公共企業体のことは言いませんが、相当やっていますよ。現在農村に働くこういう方々の福祉施設というものは、これこそほんとうに大きい格差がある状態ですね。そういう金を持ちながら、もっと積極的にそういうものを農村の青年に対して福祉施設をやるというような意欲はないのですか。金がなければできない。いまのこの資金でも相当ある。しかも有価証券について言われたものは、農林中金あるいは商工中金、長信あたりに融資されておるのが百二十四億、しかも還元融資、福祉に対しては十億、そういう運用で農林省はいいと思っておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/89
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090・和田正明
○政府委員(和田正明君) お答えを申し上げます前に、先ほど農林中金債を確か十二億と申し上げましたが、百二十億の間違いでございまして、金融債のうち農林中金関係が一番多いということでございますので、訂正をいたします。
それから、先ほども申し上げましたように、現状の福祉貸し付け、あるいは療養所その他の施設の給付経理から他経理への貸し付けの数字が十億程度では少ないではないかということは御指摘のとおりでございまして、先ほども申しましたように、この改正法案の中にも、今後福祉貸し付け等が円滑に進みますような改正規定を置きました次第でございますし、それぞれ年次を追いまして現在でも、対象の、福祉事業への貸し付けの金額は増加をいたしておりますし、今後ともその点については、団体側も私どもも積極的な姿勢で取り組みたいと思っております。ただ金利をあさるということではなくて、農林中金等の資金源を供給するために金融債をたくさん取得をしておるのではないかというようなお話もございましたけれども、なるほど一面では農林中央金庫等の資金繰りに何がしかの貢献をいたしておることは事実でございます。一つには事務費部分の付加掛け金を取っておりませんことと、それから先ほど来先生がいろいろと数字をあげて御指摘がございましたように、この年金では整理資源の部分が相当実際には掛け不足と申しますか、そういう部分もございますので、この予定利率と実際の運用利率との利幅が事務費部分にも回り、またそれを積み立てに回しまして、そういうことで全体の経理をまかなっておるというのが実は現状でございますが、いずれにいたしましても、繰り返し申し上げますように、福祉貸し付けにつきましては、今後なお特段の努力が必要であることは御指摘のとおりでございます。この制度を、改正法案の成立後手続等が十分万全のシステムが整いました上では、一そうの努力をして指導いたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/90
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091・山本伊三郎
○山本伊三郎君 冒頭に申しましたように、つついていけば幾らでもあると思います。しかし、大体大まかのところはいま指摘したと思う。で、これは大臣、よう聞いておいてください、あなたは閣僚の一人ですから。総理大臣おらぬから、あなた聞いておいてくださいよ。いまの資本主義、自由主義と申しますか、その制度のもとにおけるこの制度というものは、社会保障だと言っているけれども、ほんとうに社会保険システムの上に立っての社会保障制度ではないのです。わずか一五%ぐらい国庫の負担をして、しかもそれは給付時における負担をして、これは何が社会保障ですか、それも蓄積された資金の運用のほうが有利ですよ。これはここの問題ではありませんが、生命保険なんかをかなり分析すると、いまの金融制度における生命保険の、一般の民間の保険から見ましても、これは全く、こう言うとおこられるかしりませんけれども、収奪された金の蓄積ですよ。だからこそ一流はもちろん二流でも生命保険ではつぶれた例がない。火災保険とかそういうものについては若干問題があるところはありますけれども、そういう保険数理の計算によってすべて収奪——収奪と言うことばがいかぬければ直しますけれども、蓄積されたものによってあの高層ビルができている。生命保険というものは物をつくっておらない。物をつくって初めてその利潤というものは出てくる。ところが、いまの日本の政府における資本主義と申しますか自由主義と申しますか、そういう機構、からくりというものはそういうものですよ。そうしていかにも優遇しているとか何とかいうことで社会保障制度とか言っているけれども、その実態はそうではない。したがって、せめては政府が管掌するところの農林とか、あるいはその他の共済年金、厚生年金、あるいは国民年金の運用だけは、社会保障の精神を踏んまえて、現実にはそういうことをいまの政府やれと言ったってやらぬでしょうが、踏んまえてやっぱり運用すべきだ。民間の保険会社についてわれわれは干渉する権限はありません。われわれは批判はしております。けれども、いま一番金融機関で、大御所としていわゆる日本のすべての経済を動かしているのは、金融機関のうちの生命保険ですよ。ばく大な資金を持っている。一体その資金はだれが与えたか。資本金はほんのわずか、それでもあれだけの運用ができるということが現在の機構なんです。そういうことを農水の委員会で言ってもしかたがないから言いませんけれども、そういう考え方でやっておられるのが年金制度です。一兆三千億、二兆ぐらいの積み立て金で出てきている。七十年八十年ぐらいにはパーではなしに均衡して、それから積み立て金が横ばいするだろうと言っているけれども、そのときには世の中は変わっておりますよ。そのほとんどが財政投融資。労働者から巻き上げたと言っておかしければ掛け金。その掛け金というものでもちろん事業をやっている。そういうものは全部政府が運用する。還元わずか二五%。農林においてはわずか十億、三百億のうち十億でやっている。こういう現状を踏んまえたときに、われわれは黙っておられない。社会主義とかそういうものはどけましょう。現実の姿を見てもそんなものはいいとは言えませんよ。そこにわれわれが主張する社会保障を、軌道に乗せてもらいたい。それで初めて社会保障制度と言ってもらいたい。これは商売ですよ。もうけますよ。これらの金を運用すればもうけている。現実の保険料率は予定どおり五分五厘、五・五%でかけて、運用は七分なり八分、その利ざやはもうけているのですよ。これは還元されない、いまの法律でいって。それだけ浮いている。それが全部蓄積されている。そういうからくりの中でこれを運用されている実態は、われわれは絶対承服はできない。修正されたからこれは賛成して通されたかどうかしりません。またわかったと言いません。そういうからくりがあるものを前提として修正をしてよくなったんだというようなことを、よそで言ってもよろしいけれども、少なくとも参議院の農水委員会では通用しませんから、今後一切まかりならぬですよ。今後私は何回出てくるかしりませんけれども、それを私は最後にきめつけるというわけではないが、そういうことを主張して、最後に私の言ったことについて、異論があるなら異論がありますと、なければありませんと、この答弁だけで私はきょうは終わります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/91
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092・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまいろいろお話を承りましたのでございますが、もちろんこの資金の運用についてはこれだけではなしに、全般を通じていろいろ運用されておることでございますから、農業方面にもまたさような意味における資金の運用は、これは申しますと長くなりまするが、いろいろとその地帯の方面に向かって十分の努力は払いつつはあるわけでございます。もちろん、いま山本委員の御指摘の点については、十分私どもとしては、また農民の方面のいろいろの改善について十分努力を進めてまいるという方向に、この資金についてもさような方向に努力いたしたいということは、これは言うまでもございません。全般についてのいろいろの問題については、また申し上げたい点もありますが、長くなりますから、御了承いただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/92
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093・山本伊三郎
○山本伊三郎君 これで終わりますが、そんな答弁じゃ納得しない。長くなりますからと、何時間になるか知りませんが、聞きたいですけれども、長くなると——聞いても結論は、あなたの言われることは一つだと思うのだね。しかし、私はそれは幾ら説明されても、具体的に数字を示し、また実体的な数字を示してこの問題は説明しなければ、ほかの農政の問題じゃないのですから、そう簡単にいかないということは認識してもらいたい。幾らあなたに答弁求めても、そのぐらいの答弁しか出さないと思うから、それを言ってももうむだですから、それだけ言っておいて、私は質問を終わります。
〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/93
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094・宮崎正義
○宮崎正義君 最初に、厚生年金から農林年金に分離した基本的な考え方といいますか、その理由といいますか、そういうことから伺いたいと思います。大臣ひとつお願いいたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/94
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095・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) これはちょうど昭和三十三年に分離したかと思うのでございますが、これはその当時の事情から申しまして、国家公務員のほかにそれぞれ、たとえば市町村なら市町村の吏員としてのまた構成がありまするのでございまして、さような関係から、農林関係の団体関係の共済として独立したほうがよろしいという点を、団体側の意向等をも十分しんしゃくいたしまして、かようなことに相なったのだと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/95
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096・宮崎正義
○宮崎正義君 農林関係の人たちのためにやったほうがいいという、いまそのために分離したというようなお話ですが、先ほど来から論議されておりますように、私が皆さんに申し上げることもありませんけれども、わが国の農林漁業が国民経済の全体の中でこれは大きな役割りをしているということは、もういまさら言うまでもありませんが、言うならば、その最先端に立って働いている農業共済組合の方々というものは、他の組合員より極端に劣った条件の中で、しかも低賃金の中でその責務をになって日夜苦慮しておるのです。これらの組合員の方々に報いられるというので、いま大臣から言われたような観点から農林年金ができたという、そういう観点で今日まで論議されてきておるのですから。第四十六回の参議院の農林水産委員会における農林年金法一部改正に対する附帯決議、これが八項目にわたってなされております。その中に、物価変動等に対する年金額のスライド制を採用するということになっておりますが、厚生年金法の第一条の二及び船員保険法の第二条の二、国家公務員法第百七条第二項、地方公務員法第四十三条第三項、国民年金法第四条と、昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律で明らかなように、国民生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合、変動の諸事情に応ずるための改正措置が講じられるべきで、いわゆる年金スライド原則規定によってすでに措置されていなければならないはずなんですが、この附帯決議をされていることについてどういうふうに考えてきたのか、また今後考えられていこうとするのか伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/96
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097・和田正明
○政府委員(和田正明君) 農林年金の法律には、ただいま先生がおあげになりましたような、ほかの公的年金制度にございますような年金のいわゆるスライドに関する原則規定が今日までございませんでした関係もございまして、四十六国会の参議院での農林水産委員会のこの修正法案に対する附帯決議の際の第二項にその旨を決議をなされたわけでございますが、これは去る二月十八日に政府が提案をいたしまして、現在御審議をいただいております旧令共済組合の関係の法律案の中で、一条の二として農林年金にも同趣旨の規定を入れるような改正法案が提出をされておるわけでございます。とろで、いま先生のお尋ねは、そういう規定が実現をした場合に、今後どのように具体的に運用をしていくのかということについてのお尋ねであろうかと思うのでございますが、今回御審議をいただいております法案でも、農林年金に入ります年金スライドの規定が、厚生年金その他の法律にすでにございます規定と同趣旨または同文なものでございまして、原則的に給付の額がいろいろな諸事情の変化に対応しながらも改正措置を講じなければならないということだけを思想としてと申しますか、抽象的に規定をしておるだけで、具体的な、たとえば物価が何%上がったらどうするのだとか、そういうようなところまでは明確にいたしておらないわけでございます。もちろん、今後私どもがこの改正法律が施行になりまして、以後具体的にこの規定に基づいていかなる処置をとっていくかということになりますると、各種の公的な年金制度全体を通しての共通な運用を当然国としては必要といたすわけでございますので、関係各省との間に十分横の連絡をとりながら、具体的な基準を統一をとって国として処置をしていなければならないのは当然でございまして、現在関係各省等におきましてそれぞれいろいろな諸外国の例等も検討をいたしておるわけでございます。私どももこれらの関係各省と十分検討を重ね、協議をいたしまして、できるだけ早く具体的なこの規定による措置の方法等を検討いたしてまいりたいと思っております。現段階におきましては、私の口からいつごろまでにできるとか、あるいは大体こんなことを考えているとかいうふうに、政府としての統一見解を申し上げ得る段階には至っておりませんので、できるだけ早い機会にそういう基準を設定をして、それに応じた具体的な措置がとれますように現在せっかく検討いたしておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/97
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098・宮崎正義
○宮崎正義君 現段階ではまだできないというふうにお話しなんですが、当然この法案を提案されるときには、それらのことが含まれた上の提案じゃなければならないと思うんですが、衆議院のときにもお答えになっているようですが、この第一点のスライド制の原則は、この法案ではなしに、昭和四十年度における旧令による共済組合等からの年金受給者のための特別措置法等の規定による年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案で、すでに二月十八日、いまおっしゃられた政府が提案をしておりますが、この法案の中で、この法律の中の一条に加えるように提案しているのでございます、こういうふうにやはりいまおっしゃっておられるんですが、これはこちらの法案の三条の二というんではないんでしょうかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/98
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099・和田正明
○政府委員(和田正明君) たいへん長い法律の名前でございますので、正式な法律の名前を申し上げることは省略をさせていただきますが、ただいま先生がおっしゃいました法律の附則第九条で、農林年金の法律の第一条の次に第一条の二という規定を設けまして、他の公的年金制度にございますのとほぼ同趣旨の内容の規定を追加するということにいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/99
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100・宮崎正義
○宮崎正義君 それだったらば、当然考えて踏み切っていいというわけにはいかないんですか。いまの御答弁からによりますというとですね、この点。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/100
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101・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほどもお話がございましたように、本法案を提案する段階で、具体的な基準がおよそ想定されずに法律案を出したのではないかという御意見であろうかと思うのでございますが、理想的に申し上げれば、御指摘のように、やはり法律案を国会に提出し、御審議をいただます段階では、ほぼそういうような具体的な行政措置の考え方がきまっておるべきものだと思いますが、この点につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたように、各種の公的年金制度にほぼ共通の趣旨の規定がございまして、それらの規定、全体のバランスをとりながら、国として運営をいたさなければならない性質のものでございまして、いろいろとむずかしい問題もございますので、現段階におきましてはなお検討をしておりまして、政府側としてまだ最終的にかくかくというふうに具体的に申し上げ得る段階にはなっておらないのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/101
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102・宮崎正義
○宮崎正義君 それじゃこの問題はこのままにしておきますが、つけ加えて申し上げたいことは、先ほどの、この厚生年金から農林年金へと分離したその考え方から言って、どれよりもかれよりも先に、このスライド制という考え方、行き方というものを用いなければならないのじゃないかということを申し上げて、次へ進んでいきたいと思います。
先ほど山本委員のほうから計数をあげられてこまかくお話がありましたけれども、むずかしい計算は別としまして、純理論的といいますか、率直な考え方を言わしていただきまして、この年金法の、早く言えば生みの親であるところの厚生年金、これは昨年の、先ほどお話があった法改正で、千分の二十の補助率を見ている。ところが、論議されておりますように、この年金法はなぜ千分の二十に補助率が引き上げられないのか。船員保険においても五%の引き上げを行なって二五%になっている。また、他の共済制度との均衡の面からいきましても、先ほど来のお話があるように、農林関係者のまことに零細な生活を営んでいる中でとうとい仕事をやっている面から考えても、そういう面からいきましても、国家公務員の共済は、給付に要する費用の一五%のほかに、政府負担分として二百三十八万円を国が負担している。したがって、率に直しますと千分の二一・七三%ですか、こうなってきておりますが、農林年金よりも実質的な負担がこの分だけ少なくなっているというふうに言えるわけなんです。こういうバランスの問題についてでも、先ほどから論議されておるのですが、この点について当然、俗なことばで言えば、育てた親、親が子供を育てるのは当然の理であって、貧しい組合員の掛け金の負担の軽減をはかることが、そもそものこの法の目的であるという点から、この掛け金の負担の軽減ということをもう一回確認の意味で私も伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/102
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103・和田正明
○政府委員(和田正明君) 先ほど山本委員の御質問の際にもお答えを申し上げましたように、確かに掛け金が他の共済に比較して、この年金では高いことは事実でございます。私どもとしてはそのことについては十分承知をいたしまして、いろいろな努力をいたしてまいりましたわけでございまして、先生が、ただいま国家公務員について若干お話がございましたように、金額は幾らであったかは別といたしまして、国家公務員については、法律の規定で、給付内容の改善に伴いまして、過去において掛け金の支払い不足部分を国が負担して、追加費用を埋めました結果、ある程度整理資源率というものが農林年金に比較しては低くなっておることは事実でございますが、それは国と民間団体というものとの間で、補助という考え方ではなくて、国家公務員の場合にはやはり雇い主としての国という立場でその部分を見たというふうに、いままで政府としては理解をし、またそういう考え方をとっておるわけでございます。まあそうういことが、国家公務員にどのような考え方をとったにせよ、確かに掛け金率を下げる経済的な役割りを果たしたことは事実でございますので、先ほど来大臣がお答えを申し上げておりますように、また私もいろいろとお答えを申し上げておりますように、今後とも国の補助なり、その他いろいろな面で十分勘案をいたしまして、掛け金の本人負担の軽減がはかられますような方向で努力をいたしたいというようなふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/103
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104・宮崎正義
○宮崎正義君 その問題については先ほどから数字を合わしてこまかく討論されておりましたので私はこれ以上申し上げませんけれども、整理資源については国家公務員共済組合と同じように考えていかなければいけないのじゃないか、こう思うわけなんですが、先ほどちょっと話が出たようですが、衆議院における修正の趣旨説明の中にも、財源調整のために必要があるときは毎年予算の範囲内においてこれに要する費用の一部を補助することができる道を開いたと言われていた、この必要ということについてはお聞きになったようでございますので、私の質問したいことはそうではなくて、この具体的な整理資源の補助率をどう示されていくのか、この点が一つ、そしてまた毎年どうするかということについては、四十一年度の処置をどう考えておられるのか、この点についてお伺いいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/104
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105・和田正明
○政府委員(和田正明君) この衆議院における修正規定が、今後参議院でも御可決になりまして法律が施行されました場合に、四十二年度の予算編成以降においてどのように対処しようとするのか、特にそれが整理資源率、したがって、掛け虚の低減との関係においてはどのような具体的なことを考えておるのかというお尋ねの御趣旨かと思うのでございますが、先ほど山本委員の御質問に対しまして、この修正点の趣旨なり、あるいは解釈上の一、二の例を申し上げたわけでございますが、法律の成立の上での法文上の解釈としては、給付内容の改善をいたしませんでも、あるいは再計算によって新たな財源の措置が必要であるというような事態が生じませんでも、単に掛け金を下げるということのためだけにこの規定を運用するということは、法律の解釈としては可能ではあると思いますが、国という立場で考えますと、他の制度とのいろいろなバランスの問題、国の財政の事情とかいろいろなことがございますので、いまここでそれほど具体的確たることを申し上げるわけにはまいらないのでございますが、農林省当局としましては、先ほど来お答え申し上げておりますように、掛け金率を引き下げて組合員の負担をできるだけ軽減していくという方向を当然の前提として考えて努力を進めたいというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/105
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106・宮崎正義
○宮崎正義君 大蔵省のほうの考え方は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/106
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107・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) 国家公務員共済組合の整理資源を国が負担するという趣旨につきましては、先ほど農政局長から御説明申し上げましたようでございますが、若干補足して申し上げたいと思うのでございます。使用主としての立場において国が整理資源を負担するという説明でございましたが、この使用主という立場をさらに分析して考えなければならぬと思うのでございまして、御承知のように、現在の国家公務員共済組合法が成立する以前におきましては、官吏について恩給法、それから雇用人について旧共済組合法が適用されておったわけでございます。恩給につきましては、すでに私が申し上げる必要もないと思いますが、国が一方的な責任において、官吏としてふさわしい老後の生活を保障するというたてまえにおいて一方的給付を行なっておったわけでございます。また雇用人の共済組合につきましても、形の上におきましては共済組合という名称を用い、現在の共済組合法と形式的には類似いたしておりますけれども、その運用の実態を見ますると、必ずしも保険数理に基づいて運用されたものではなく、むしろ恩給等が引き上げられれば当然これに従って給付内容の改善を行なうというようなことをやっておりまして、いわば恩給法に代替する措置というふうに考えておったわけでございます。したがいいまして、その運営の責任は保険数理に基づかずして国が最終的な責任を負担する、こういうやり方をいたしておりました。経過的に申し上げますならば、このような二つの制度が現在の国家公務員共済組合法の中に発展的に解消したわけでございますが、この考え方の基礎としては、少なくとも将来に向かっては国家公務員の退職保障というものもやはり社会保険の体系の中で処理していきたい、こういう考え方に立ちました。したがいまして、将来に向かっての負担はあくまでも使用主としての国と、それから公務員とが折半負担をし、ただ全体の給付に対して一五%、当初は一〇%でございましたが、引き上げられて一五%の国庫負担をする、こういう形になっておるわけでございます。ただ、御承知のように、かりに恩給法が継続適用されておったであろうとすれば、まあ三十四年の十月の現制度への切りかえ以前にすでに就職しておりました国家公務員については、当然国が一方的に退職後の給与を保障するという形をとっておったわけでございます。したがいまして、そういった既得権と申しますか、期待権と申しますか、こういったものを保障する意味において、今後において給付が、現実の退職が行なわれて給付が発生いたします場合に、当然三十四年十月以前の部分については国がこれを負担する、これがいわば整理資源という意味で言われておるわけでございます。したがいまして、社会保険の体系の中において、当然国が整理資源を負担するという考え方をとっておるわけではございませんので、むしろ旧制度のいわば残存物という形において恩給法上の義務の継続という形において整理資源を負担しておるわけでございます。こういった点から考えますると、現在の農林年金なり、あるいは私学年金について整理資源を当然国が負担すべきであるかどうか、これは必ずしも一がいに是とするわけにはいかないのではないかとわれわれは考えております。ただ、全体としての制度を考えまして、こういった現在の社会保険の中には当然厚生年金をも含めまして将来の三者負担において整理資源の分担が行なわれていくわけでございます。全体的に見ましてこういった掛け金なり、あるいは財源率がきわめて高い、その結果として非常に給与の低いような場合において気の毒な場合が出てくる、こういうこともあり得るわけでございます。そういった場合に他制度とのバランス上、これを全体として国の補助を予算的に行なうかどうかという問題は別途考えることは可能ではございます。ただ、特に整理資源を取り上げて、その整理資源のために負担すべきかどうかという点については、私どもとしては必ずしもこれをとるべきではないというふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/107
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108・宮崎正義
○宮崎正義君 整理資源のバランスの意味において大体今後の、早くいえば四十一年度、四十二年度の予算の処置はどの程度に考えられておるか、伺っておきたいと思うのですが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/108
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109・和田正明
○政府委員(和田正明君) 改正法律案では毎年の給付に要する費用の一六%の補助をいたすことになっておりますが、その一六%は整理資源の部分にもかかるわけでございますから、本年度の予算では一六%が国の対象になると、こういうふうに御理解いただければよろしいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/109
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110・宮崎正義
○宮崎正義君 この一六%の点で先ほど来論議されてきておったのでありますので、これは言うならばもっと補助率を引き上げて、そうしてバランスの面に沿うようにすることがバランスに沿うということではないかと私は思うわけですが、大蔵省の当局のお話を伺ってみると、旧法の性格の義務負担みたいな形でこれができているんだというように承ったのですが、そうじゃなくて、弔う少し一歩考えを前向きに進めた行き方で補助率を上げていくかどうかということについて、くどいようですが、伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/110
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111・平井廸郎
○説明員(平井廸郎君) 社会保険に必要な経費の中の整理資源と申しますか、たとえばベースアップが行なわれた場合における必要な経費をすべて国で持つかどうか、こういった点については、これは社会保険全体に通ずる大問題でございまして、ただに農林年金のみについて、そういうものを国が当然持つんだという考え方は出てこないだろうと私どもは考えております。ただ、御承知のように、農林年金は、あるいは厚生年金等の財源率の計算の中には、おのずからそうういものも含まれておりますから、その限りにおいて、私どもは整理資源を国が負担するということは、社会保険全体としてはある。特にこれだけを取り上げて特別の負担をするということは現在のところでは考えておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/111
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112・宮崎正義
○宮崎正義君 バランスの面からいきましても、農水関係の業務に携わっておる人たちは低賃金なんですから、補助率等を上げることによってバランスがとれるんだというふうに私は思うわけですが、そういうことをひとつお考えになって予算措置等の補助率等の考え方を私はしていただきたいというふうに思うわけであります。
次に、余裕金を組合員の福祉向上のためにどのように使っていられるかということですが、余裕金の使途について具体的に示していただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/112
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113・和田正明
○政府委員(和田正明君) 余裕金の全体の貸し付けの内容につきましては、先日お配りを申し上げました資料の五ページにもございますし、また先ほどそれぞれ費目ごとの数字を申し上げましたので、省略いたしますが、お尋ねの御趣旨は福祉事業としてどのような貸し付けが行なわれているかということであろうかと思いますので、その点について若干申し上げますと、福祉貸し付けとしては一般貸し付けと住宅貸し付け、それから災害貸し付けという三つの貸し付けをいたしております。で、本年の一月三十一日末におきます数字としては、一般貸し付けが百七十件の貸し付け希望に対しまして、百四十七件の貸し付けをいたしました。そのほかに二月二十一日現在でなお審査中のものが八件でございます。それから住宅貸し付けが千三百十三件の希望に対して、一月末日までに千百十五件の貸し付けを決定をいたしました。その貸し付け額が三億三千三十五万円、百五十一件が二月二十一日現在においてなお審査中でございます。それから災害に対する貸し付けとして二十二件の申請がございました。そのうちの二十一件の貸し付けがその日までに終わりまして、これが百八万円で、二月一日現在で三億三千九百九十二万円を貸し付けをした、これはもちろん本年度と申しますか、四十年度中の二月一日現在における申請に対する貸し付け内容でございますから、そういうものが毎年累積いたしまして、先ほど申しましたように、四十年末での十億というふうに積み重ねられてまいっておるという事情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/113
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114・宮崎正義
○宮崎正義君 先ほども十億の問題等については還元することが優先でなければならないというお話がありました。私も同感であります。累積されていく余裕金は、全部組合員から出された組合費であり、当然組合員のほうの賃金を上げていくとか、あるいは臨時の賞与を出していくとか、待遇改善をするとか、そういうところにまず重点を置かなければならないのじゃないか、こういうふうに私は思うわけです。そこで山本委員も質問しておりましたようですが、年金の給付率が最高百分の七十といって頭打ちになっていますが、この給付率なんかも、いまの私の申し上げた考え方からいけば、病気をしない者、あるいは貸し付けを受けていない者、ただ積み上げていって銀行利子にもならないというようなことではならぬ、そういう人たちのためにも考えられることは、給付率を少なくとも百分の百以上上げるような考え方をしてこそ、初めて組合の共済制度の精神じゃなかろうか、こういうふうに極端な——極端というのか、あたりまえのことだと思うのですが、こういうふうに考えているのですが、この年金の満期に対する年金の給付率と、こういう点についてどういうふうに将来はお考えになっていこうとしておられるか、この点も伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/114
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115・和田正明
○政府委員(和田正明君) 御指摘のように、最高二十年以上つとめました場合は百分の四十というのが給付率でございますが、最高百分の七十で押えておるわけでございます。これは一応試算をしてみますと、七十五までつとめた場合とほぼ同じ数字になるわけでございますが、それ以上の勤務者の数というのは御承知のようにそれほど多いものではないわけでございます。ただ、もちろんいまのような頭打ちの問題は、日本の各種の公的年金制度全体を通しての一つの基本的な制度論でございますので、この農林年金だけでどうということには相ならない問題ではないかと思いますが、御示唆の点もいろいろございましょうが、そういうバランスなり、あるいは全体の公的年金制度のあり方の問題として考えていかなければならない、こういう性質のものではないかというふうに存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/115
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116・宮崎正義
○宮崎正義君 ですから、これは特に考えていかなければいけないのじゃないか、こう思うわけなんです。したがいまして、ほかの年金制度の面よりも農林年金においては特に先達をしていくようでなければならないのじゃないか、こう私は言いたいのですが、こういう点についてお考えを伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/116
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117・和田正明
○政府委員(和田正明君) 今後検討いたします際に貴重な御意見として十分参考にさしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/117
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118・宮崎正義
○宮崎正義君 掛け金の運営使途についても先ほどちょっと触れられたようですが、この点につきましても具体的に指示していただきたいと思うのです。その内容となる掛け金の運用状態によって組合員が納得されていくものでなければならない。こういう点からも掛け金の運営についての基本的な考え方をこの際お伺いしておきたいと思う。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/118
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119・和田正明
○政府委員(和田正明君) 余裕金の運用につきましては、十分組合員の意思を反映するような方向で指導すべきではないかという御趣旨であろうかと思いますが、実は先般、昨年でございましたか、年金の、組合で組合員に対するアンケート調査等もいたしまして、福祉事業としての組合員の希望等もとりました資料もございますので、そういうような資料を勘案をいたしながら、十分組合員が希望しているような方向に、たとえば福祉事業としての貸し付け、その他が運用できますようにしてまいりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/119
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120・宮崎正義
○宮崎正義君 いまお話ありましたアンケート等も非常に参考になるんじゃないかと思いますので、あとでまた提出をしていただければ幸いだと思いますが、先ほどちょっとお話が出ましたようですが、有価証券の点について、これは財界の変動等によってそのしわ寄せ等があるんじゃなかろうかと、こう危惧されるわけですが、この点についても御説明を願いたいと思うのです。
なお、省令規定で有価証券はどう規定されているのか、この点についても伺っておきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/120
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121・和田正明
○政府委員(和田正明君) 金融債等への余裕金の運用につきましては、御指摘のように、いろいろな経済上の変動で、現在の運用利回りが確保できるかどうかということはもちろん予測もできませんが、もちろん問題として考えておかなければならない点であろうと思います。そういう意味も含めまして、長期的な視野では予定利率を五分五厘というふうにいたしておりますわけでございますが、現在の利ざや等につきましてはそれを使い切ってしまうというような、そういう形ではなくして、極力それを大部分は積み立てていくような方向で将来のそういう変動にも対応し得るようなことも考えておるわけでございます。
なお、有価証券として余裕金運用の対象たり得ますものにつきましては、農林省令でその対象を定めておるのでございますが、四つございまして、一つは、特別の法律により設立された法人の発行する債券ということでございます。国有鉄道とか電電公社、そういうもの。第二が、金融機関の発行する債券ということで、商工中金、農林中金、不動産銀行、興業銀行等の発行するいわゆる金融債でございます。それから第三が、物上担保付き、または一般担保付きの社債券ということでございます。第四が、貸付信託の受益証券、この範囲が有価証券としての対象範囲というふうに省令で規定をいたしておるのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/121
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122・宮崎正義
○宮崎正義君 いま、ちょっとお話がありました予定利率の年五分五厘の点につきまして、組合員がこれを借りようとした場合、どのぐらいの利子で組合員に貸しておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/122
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123・和田正明
○政府委員(和田正明君) 一般貸し付けが年六分、それから住宅貸し付けが年六分、災害の場合には五分五厘。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/123
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124・宮崎正義
○宮崎正義君 これは私が申し上げるまでもなく、当然組合員に優先すべきだと私は思うのです。それで、予定利率を年五分五厘、それ以上で組合員に貸し付けているということは私はどうかと思うのですが、これは住宅の問題にしてもやはり同じだと思うのです。これは具体的なものでもありましたら説明を願いたいと思いますが、考え方としても伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/124
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125・和田正明
○政府委員(和田正明君) 貸し付け希望者につきまして、いろいろ具体的に審査等をいたしますための経費として、五厘を加算をして六分ということにいたしておるのでございますが、災害貸し付けにつきましては、その部分を災害という特殊事情でもございますので予定利回りでそのままで貸し付けをしておるわけでございまして、五厘に相当する部分は事務費部分として使用しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/125
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126・宮崎正義
○宮崎正義君 事務費とか調査とかいうのは当然余裕金の中から十分やれるんじゃないか、こういうふうに思うわけであります。そういう面からいきましても、三分ぐらいに貸し付けてあげて、そして組合員の人たちに自分のかけたものがそのまま喜んで利用できるというような行き方をするのが私は至当じゃなかろうかと思うのですが、こういう点どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/126
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127・和田正明
○政府委員(和田正明君) まあ極端な言い方をいたしますれば、金には色分けがございませんので、安いことが理想ではございますけれども、他へ悪用されるということもなきにしもあらずということもございましょうし、また先ほど申し上げましたように、何と申しますか、調査、審査その他若干の事務費部分も必要でございまするので、現在はこの程度で貸し付けをいたしておるわけでございますが、全体の金利事情等も勘案し、またお話しのように、なるべく安く貸すことが望ましいのではないかという御意見も十分承りまして、今後そういうことも参考にしながらなお検討いたしてまいりたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/127
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128・宮崎正義
○宮崎正義君 他に悪用されて困るような問題が起きては困るという全体的な考え方からそうしているんだとおっしゃると思いますが、そのための調査であり、
〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
そしてまた組合員から積み立てられた性格の上からいっても、将来はもっと利率を下げてやってあげるべきだと思うのです。
次に、福祉厚生事業としていろいろ事業を今日までしてこられまして、すでにあっちこっち発足されております保養所等の一部——私は一部しか聞いていないわけでありますが、その保養所を利用するのに、肝心な組合員が利用するときに、組合員でない人たちが利用していて利用できないということをちょっと聞いたことがあるのですが、こういう保養所等の監督指導というものをどういうふうにしておられるのか。宿泊料等もどういうふうに設けられておるのか、この二点伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/128
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129・和田正明
○政府委員(和田正明君) 各種の宿泊施設、保養施設等につきましては、年金福祉事業団という別個の法人をつくりまして、そこの管理という形で委託をして、現在運営をいたしておるようでございます。ただ、いま御指摘のように、一部の施設につきまして組合員の不便を感じているような事実があるということを私どもも耳にいたしております。今後、組合が事業団に委託をいたします契約内容その他につきましても十分監督を厳重にいたしまして、そういう不服が組合員全体の中から起こりませんように万全の指導をしてまいりたいと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/129
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130・宮崎正義
○宮崎正義君 宿泊料等は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/130
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131・和田正明
○政府委員(和田正明君) いま個々の宿泊施設等の宿泊料がどのくらいの水準になっているかということは、私ちょっと手元に資料持っておりませんし、また場所ごとにある程度違うようでございますが、償却費あるいは収容人員その他から考えまして、ある程度のコストもございます。現在私が承知しております限りでは、一部につきましては必ずしも収支採算うまくいっていないような面もございますので、昨年来そういう施設については具体的に今後の管理運営についての指導等もいたしておるわけでございますが、まあなるべく安いことが望ましいことは当然でございますが、やはり収支バランスから考えまして、コストを無視した宿泊料というわけにもまいらないと思います。もちろんもうける必要のない性質の事業でございますので、最低限のコストをカバーできるような範囲内でこういうような事業ができるようにしたいものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/131
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132・宮崎正義
○宮崎正義君 こまかくなって、まことに何とも言えないのでありますけれども、組合員がやはり保養していくという立場の上に立って、これはいまお話がありましたように安くしていく、コストの面からいって最低の料金にするということはこれは当然でありますが、当然どこの保養所が宿泊料が幾らで、そして組合員が幾らで、組合員でない人たちが来た場合には幾らになるんだ、そしてまたその地方にある旅館等との差がどの程度になっていてこうなんだということを、先ほどお話しになりましたアンケート等でも出てくるのではないかと、こう思うわけですが、そういう点も明らかにして知っておられませんと、監督指導ということも私はできないんだと思うのです。したがいまして、この機会を利用いたしまして要望しておきたいのは、そういう何というか、事業の先を知ることがやはり大きな運営をしていく基盤になるので、こういう観点から伺っているわけであります。したがいまして、この問題につきましても、今後の指導監督等を十分にしていただくように要望をしておきます。
〔委員長退席、理事野知浩之君着席〕
時間もだいぶまいりましたので、あと二つぐらいできようはやめておきたいと思いますが、組合員としての資格がなくて、早く言えば臨時雇用の対策、臨時に雇用されていて働いている人たちの対策、そういったようなことがどういうふうに取り扱われているのか、あるいは臨時雇用という名前で切りかえ切りかえ長い間勤務をしている姿があっちこっちに見受けられるように思うわけですが、これらの方々に対する待遇等をどう考えておられるのか、将来、こうした現実の変則的ないき方をどう改めようとされるのか、この点について伺っておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/132
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133・和田正明
○政府委員(和田正明君) 法律の第十四条に、「次に掲げる者を除く。」ということで、「常時勤務に服しない者」、あるいはただいまお話のございましたような「臨時に使用される者」については組合員とできないということになっておりますが、その二号のほうのただし書きで、日々雇い入れられる者であっても、それが切りかえて一カ月をこえる場合、それから二カ月以内の期間を定めて使用される者を、二カ月の経過後さらに引き続き雇用される場合には、組合員として取り扱うということになっておりますので、私の承知しております限りでは、日々雇い入れ、あるいは期限を限った雇用者でありましても、それが雇用契約上、切りかえ切りかえいたしまして継続しております場合には、この制度の対象者として取り扱っているものということに了解をいたしておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/133
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134・宮崎正義
○宮崎正義君 累計してよろしいですか、日数等は。切りかえ切りかえですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/134
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135・和田正明
○政府委員(和田正明君) 毎日雇い入れられる人が、一カ月以上毎日続いて雇い入れられる、そういう場合には……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/135
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136・宮崎正義
○宮崎正義君 また翌月に切りかわっていく、それが全部累計されるわけですね。
共済組合の対象団体の範囲を拡大していくという考え方、それについて伺っておきたいと思うんですが、たとえば「家の光」とか全国農業共済協会等に類する団体が三百団体以上あるように思っておるのですが、その中の加入可能な団体を加入させて、そうして組合の拡充策としていくような考えがあるかどうか。民法法人についての加入の問題についてどうお考えか。またその加入の基準等をきめられていくお考えがあるのかどうかということも聞いておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/136
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137・和田正明
○政府委員(和田正明君) 御承知のように、この年金では、法律で限定を入れるときに、特別の法律によって設立をされる法人で、しかもその設立が関係者の任意の意思に基づいて設立された団体に限るという、そういう思想で整理をされております関係で、きわめて限定的なわけでございまして、したがいまして、同じようなもの、たとえば農林中央金庫でございますとかいうように、特別の法律で設立された法人ではございますけれども、設立自身が必ずしも任意でないようなものは、現在もこの法律の対象団体として包括をいたしておらないわけでございます。
そこで、やはり任意の設立ではあるけれども、特別法律によらないで、民法の一般原則によって設立された団体が、この農林年金に加入したいという希望は数年前からございまして、いま私どもの手元には、昨年の三月末の調べで二百三十一の組合の団体、その団体の職員が千八百八十四名ほどの者がこの年金に加入をしたいという希望の申し入れを受けておるわけでございます。
〔理事野知浩之君退席、委員長着席〕
これらの諸団体は大部分が当然に厚生年金法の適用対象者であろうかと思うのでございますが、これらの中には、実際に職員の数と比べて見ますと、一団体としてもきわめて数の少ないものとか、あるいは職員の交代が常ならざるものとかいろいろございます。考え方として、希望のあるものは全部入れるということになりますと、また掛け金の徴収等につきましても、農林年金の事務当局としても問題がございましょうし、また農林水産業に関係のあるものは皆入れてもよいということも、全体の公的年金制度全体のバランスから考えていかがかというようないろいろな問題もあるわけでございます。そこで、先年来、農林省の内部におきまして、もし現在法律で制限列挙してあるもの以外に、民法法人をもし加入をさせるとするならば、どのような基準でどのような限界までを認めるのか、どの辺が適当であるかどうかということについて、いろいろな基準を考えてみたわけでございますが、いずれの基準も、帯に短かしたすきに長しと申しますか一利一害ございまして、万全なと申しますか、十分納得を得るような基準がいまだできておらないわけでございます。この委員会での先回の関係法案の御審議の際の附帯決議にも、たしかこの問題について御決議があったかと思うのでございます。あまりいつまでも延引をいたすのは適当でないと考えておりますので、私どもとしてはおそくとも本年度中に何らかの基準を考える。たとえ、だめというようなことであるにしても、もちろんだめという方向で検討するつもりはございませんが、いずれにしても何らかの結論を少なくとも本年度中には出しまして、この問題に終止符を打ちたいという考え方で、現在いろいろ検討を進めておる段階でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/137
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138・宮崎正義
○宮崎正義君 時間もだいぶんおそくなりましたので、きょうはこの程度でとどめておきたいと思いますが、減額給付についてきょうも深くお伺いしたいと思ったんですが、次に譲りましてきょうは質問を終わりますが、いまもお話ありましたように、この法案自体の内容についても満足できないものがあると同じように、民法法人を加入させていくというその基準をきめていくのにも満足のいくものがないというのは、やはりこうした審議を公けにした上の中からすべてができ上がっていくのだという観点に立って、いま申し上げましたことについても極力実施を早めていただきたいということを申し上げて終わりといたしたいと思います。このことについて大臣から一言……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/138
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139・坂田英一
○国務大臣(坂田英一君) ただいまの団体についての加入問題については、できる限り早く結論を出したいと存じますから、御了承願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/139
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140・山崎斉
○委員長(山崎斉君) 本件についての質疑は、本日はこの程度にとどめ、散会いたします。
午後四時四十四分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115007X02919660602/140
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