1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年五月二十四日(火曜日)
午前十一時開会
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出席者は左のとおり。
委員長 和泉 覚君
理 事
木島 義夫君
松野 孝一君
稲葉 誠一君
委 員
斎藤 昇君
鈴木 万平君
中野 文門君
中山 福藏君
亀田 得治君
藤原 道子君
柳岡 秋夫君
野坂 参三君
政府委員
法務省民事局長 新谷 正夫君
法務省刑事局長 津田 實君
法務省人権擁護
局長 堀内 恒雄君
大蔵省証券局長 加治木俊道君
厚生省医務局長 若松 栄一君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
説明員
国税庁調査査察
部長 志場喜徳郎君
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本日の会議に付した案件
○検察及び裁判の運営等に関する調査
(近江絹絲事件に関する件)
(病院における患者及び看護婦の人権問題に関
する件)
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001・和泉覚
○委員長(和泉覚君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
本日は、まず、検察及び裁判の運営等に関する調査を議題とし、近江絹絲事件に関する件について調査を行ないます。亀田君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/1
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002・亀田得治
○亀田得治君 前回に引き続きまして、近江絹絲の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。
最初に、刑事局長にお尋ねをいたします。
先日、五月十二日だったと思いますが、刑事局長から、資料として「近江絹絲紡績株式会社の各期決算粉飾状況」、こういう一覧表を出していただきましたが、以下この表につきまして若干お聞きしたいと思うのですが、その前に、この表は、大阪地方検察庁で作成されたものそのままのものか、あるいは、大阪地検からの報告を受けてそうして法務省の刑事局で作成されたものか、そういう点についてちょっと確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/2
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003・津田實
○政府委員(津田實君) ただいま御指摘のありました亀田委員に御提出申し上げました「近江絹絲紡績株式会社の各期決算粉飾状況」の表でありますが、これは、記録に基づきまして大阪地方検察庁が取り調べました結果を報告を求めまして、それを刑事局におきまして取りまとめたものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/3
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004・亀田得治
○亀田得治君 そういたしますと、大阪地検からはもっと詳細な報告説明というものが来ておると、それをもとにして刑事局のほうでつくりあげたと、こう理解していいわけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/4
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005・津田實
○政府委員(津田實君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/5
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006・亀田得治
○亀田得治君 それからこの表では八十一期から八十七期までのものが出ておるわけですが、実は、私のほうの希望としては、八十八、八十九、九十の各期についても同じような表をつくっていただきますと、非常に問題点の論議に便宜なわけですが、この点は電話でもちょっとお聞きしたわけですが、このような表をつくりあげるだけの材料というものがないということになるのでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/6
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007・津田實
○政府委員(津田實君) 八十八期以後の分につきましては、その内容につきまして詳細の捜査をいたしておりませんので、かような形で結論を出すことができないわけでございます。その意味におきまして、八十八期以後における内容は一応確定できないという状況でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/7
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008・亀田得治
○亀田得治君 じゃ、まあそういう前提で以下若干お聞きしていくことにいたします。まず、第一の八十一期でございますが、これによりますと、粉飾額が九千八百万円となっております。そこで、お聞きしたいのは、この九千八百万円の粉飾はいかなる勘定項目で行なわれたものか、明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/8
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009・津田實
○政府委員(津田實君) 実は、これは結論だけしか書いてございません。八十一期から八十三期までは結論だけしか書いてないわけであります。これは一応八十四期以後を中心にして、八十四期以後につきましては粉飾のしかたについてある程度刑事局のほうでわかっておりますが、八十一から八十三期までは、ここに書いた結論以上のものはいまちょっとこまかくはわかっていないわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/9
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010・亀田得治
○亀田得治君 項目だけでもわからないわけでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/10
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011・津田實
○政府委員(津田實君) 項目もただいま手元ではわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/11
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012・亀田得治
○亀田得治君 これはお調べ願えればわかることだと思いますが、再調査していただきたいと思います。八十一、二、三まで同じようでございますが、その点をひとつ要請しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/12
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013・津田實
○政府委員(津田實君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/13
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014・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、次は八十四期ですが、八十四期の粉飾が二億四千五百万、こういう数字が出ておるわけですが、この粉飾項目は何でございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/14
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015・津田實
○政府委員(津田實君) この八十四期の決算に際しましては、同期の真実の損益は、当期損失金二億三千二百三万七千五百十五円……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/15
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016・亀田得治
○亀田得治君 七円ですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/16
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017・津田實
○政府委員(津田實君) 二億三千二百三万七千五百十五円のほかに……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/17
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018・亀田得治
○亀田得治君 この表が違いますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/18
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019・津田實
○政府委員(津田實君) 八十一期から八十三期までの間に計上して繰り越されていた架空利益合計三億三千八百万円を加えると、合計五億七千三万七千五百十七円の損失を生じていたのでありますが、右繰越架空利益を架空でないものとして、さらに買掛金勘定を架空に減額することによりまして二億四千五百万円の架空利益を計上し、当期純利益金として差引千二百九十六万二千四百八十三円があったようにし、これに前期繰越利益剰余金二千二百六十三万五千九百六十三円と配当引当準備金戻し入れ八千七百万円を加えて、合計一億二千二百五十九万八千四百四十六円を利益金とし、そのうちから法定利益準備金百万円、納税引当金四百万円、株主配当金九千万円、役員賞与金四百万円、後期繰越利益剰余金二千三百五十九万八千四百四十六円の利益処分をしているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/19
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020・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、二億四千五百万円というのは、買掛金の粉飾だけですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/20
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021・津田實
○政府委員(津田實君) これは全体としてただいま申し上げたようなかっこうになっているわけでありまして、まあ結果的にそういうことに言えるといえば言えるかもしれません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/21
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022・亀田得治
○亀田得治君 それから、先ほど、二億三千二百三万七千五百十七円を十五円と言われましたが、これは七と違いますか。私のほうのいただいた表は七となっておりますが。表のマルBですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/22
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023・津田實
○政府委員(津田實君) 二億三千二百三万七千五百十五円と申しましたのは、十七円の誤りでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/23
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024・亀田得治
○亀田得治君 八十五期ほどういうふうになるのでしょうか。ただいま八十四期について非常に内訳の詳しい御説明ございましたが、八十五期についてひとつ御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/24
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025・津田實
○政府委員(津田實君) 八十五期につきましては、同期の真実の損益は、当期損失金一億二千二百三十七万五千三百六十六円のほか、八十一期から八十四期までの間に計上して繰り越されていた架空利益合計五億八千三百万円を加えますと、合計七億五百三十七万五千三百六十六円の損失を生じていたのでありますが、右繰越の架空利益を架空でないものとし、さらに買掛金勘定を架空に減額する等の方法によって一億三千三百万円の架空利益を計上し、当期純益金として差引千六十二万四千六百三十四円が存したように装い、これに前期繰越利益剰余金二千三百五十九万八千四百四十六円と配当引当準備金戻し入れ四千万円を加え、合計七千四百二十二万三千八十円を利益金とし、そのうちから法定利益準備金百万円、納税引当金三百万円、株主配当金六千万円、後期繰越利益剰余金一千二十二万三千八十円の利益処分を行なっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/25
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026・亀田得治
○亀田得治君 この粉飾額の一億三千三百万と——表のマルBですね、書いてある点、ただいまの説明で買掛金等と言われたわけですが、この粉飾は数項目にわたっているのだと思いますが、その内訳がおわかりでしたら明らかにしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/26
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027・津田實
○政府委員(津田實君) これはただいままとめてきましたわけで、この内訳はただいまはちょっとわかっておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/27
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028・亀田得治
○亀田得治君 まあこれもずっと内訳があって出てきている数字ですから、次回までにちょっとお調べいただきたいと思います。
それから八十六期ですね、八十六期について御説明願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/28
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029・津田實
○政府委員(津田實君) 八十六期につきましては、真実の損益は、当期利益金一億三千八百七十四万七千三百二十四円をあげたのでありますが、そのほかに八十一期から八十五期までの間に計上して繰り越されていた架空利益合計七億一千六百万円が存在しますところ、差引五億七千二十五万二千六百七十六円の損失を生じていたのでありますが、右繰越の架空利益を架空でないものとし、単に前期架空利益を計上し、原料勘定五千百万円のみを消却し、当期純益金としては八千七百七十四万七千三百二十四円のみを計上し、これに前期繰越利益剰余金一千二十二万三千八十円を加え、合計九千七百九十七万四百四円を利益金として、このうちから法定利益準備金四百五十万円、納税引当金二千三百万円、株主配当金六千万円、後期繰越利益剰余金一千四十七万四百四円の利益処分を行なっておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/29
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030・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、この表を見ますると、八十六期としても、四期、五期と違って利益は出ておるけれども、繰越の粉飾がある関係で配当はできない状態であったということは言えますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/30
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031・津田實
○政府委員(津田實君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/31
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032・亀田得治
○亀田得治君 したがって、前回もこの点を少しお聞きしたはずなんですが、八十四期、八十五期と同様に、八十六期についてもいわゆるタコ配が行なわれたんだ、そしてその点については捜査当局もやはりはっきりした結論を出しておられるのだと思いますが、念のために確かめておきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/32
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033・津田實
○政府委員(津田實君) ただいま申し上げましたことによりましておわかりいただけると思うのですが、ただいま仰せのとおりになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/33
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034・亀田得治
○亀田得治君 そこで、以上で八十六期までの全貌がほぼ明らかになってきたわけですが、検察庁が八十四期から六期までのタコ配について起訴猶予にしたというこの理由ですね、この点についても前回だいぶお聞きしたわけですが、私たちが本件に関連した専門家からいろいろ聞くところによると、どうも三つの理由を捜査当局はあげておられるようです。その第一は、この近江絹絲に含み資産が相当あるということ、それからもう一つは、業績が若干、まあ十分とは言わぬが、いくらか好転しているのではないかといったようなこと、さらに第三として、まあそれが一番大きな理由かもしれませんが、八十七期において決算の状態を正常化した、こういったようなことを言われておるように聞くわけなんですが、それはそのとおりでございましょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/34
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035・津田實
○政府委員(津田實君) 大体そのとおりでございます。大体それが本件の起訴猶予にした理由であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/35
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036・亀田得治
○亀田得治君 ところが、その点について関係者が納得しないという点があるわけでして、私自身も中身をいろいろ検討してみてそのような気持ちになるわけです。したがって、そういう点について少し刑事局長の御意見も聞いておきたいと思います。
その第一は、検察庁は近江絹絲の含み資産ということ指摘されるわけですが、商法ではそういう含み資産を考慮するというふうな考え方は排斥しておるわけなんですね。近江絹絲の場合の含み資産の大部分というものは、どうも土地のようですね。そういう土地についての含み資産というのは、結局はこれは評価を高く見積もるということに帰するわけなんでして、企業を継続していくという前提に立てば、まあ極端な言い方をすれば、それはゼロに等しいわけなんです。解散をして売るという場合には値打ちが出てきても、企業継続という立場からはあくまでもそういう考え方を商法として排斥しておるわけなんですね、御存じのとおり。にもかかわらず、なぜそういうものを一つの処分の大きな根拠にされるのか、この点がどうも納得がいかない。無理やりにそのような理屈を一つ持ち出してきておるというふうに感ずるわけなんですが、どうなんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/36
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037・津田實
○政府委員(津田實君) ただいま御指摘の含み資産の問題につきましては、なるほど、商法の建前から論すれば、お話のようなことになると思います。しかしながら、やはり一般の会社の状態——この会社じゃありません、一般的に会社経理の状態というものを考えました場合に、この問題もやはり刑事処分をする場合においては考えなければならぬ問題でございます。世の中に、そういう起訴猶予というような事件につきましては、やはりそれなりに被疑者の側に三分の理というものがあるということを認めてやらなければならない場合もしばしばある。そういう意味の考え方において、この問題は、将来の会社経営——将来と申しますか、それまでの会社経営と将来の会社経営の見通しなどというものを起訴猶予の場合あるいは処分の場合に念頭に貫くというのがやはり刑事政策としては相当というふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/37
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038・亀田得治
○亀田得治君 しかし、商事取引なり商法の関係で罰則等を特につけたりいろいろしておるのは、あくまでも会社の健全経営という立場から出ておることなんですね。だから、一般の場合にほかの要素を考えるということと相当私はこの点は違うんじゃないかと思うのですね。そうしませんと、不動産等の値上がり等がずいぶん大きいわけですからね。大きな会社が、こういう含み資産、しかも不動産、そういうものを頭に入れて、何か粉飾をしたり筋の通らぬことをやるというようなことを助長するような結果になりはせぬか。刑事政策の面からしても、商事関係についていろいろな罰則をつけておる立場から言って、どうもふに落ちない点がある。まあこれだけが起訴猶予にされた理由ではないかもしれませんが、こういう考え方を捜査当局が持っておるとしたら、どうもその考えは古いのじゃないか。最近の健全経営というふうな考え方と少しこうズレがあるような感じがするんですがね。これは大事な点ですので、もう一度お伺いするわけですが、ことに近江絹絲の場合には、ほとんどが担保に入っておる不動産なんですね。そういうふうに聞いております。だから、その辺ともあわせ考えますと、重大な刑事処分を決定する理由としてははなはだ根拠が薄いように思いますが、どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/38
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039・津田實
○政府委員(津田實君) かような会社経理に関する犯罪につきましては、建前論としては御指摘のとおりであると私は思います。しかしながら、事件として具体的に処分する場合におきましては、やはり現在の一般会社状況というものをある程度頭に置かなければ、たまたまこれが見つかったものについて相当の処分をするというようなことになりますと、刑事政策的にそういう一罰百戒というような考え方ももちろんありますけれども、しかしながら、それをとるのが適当か、徐々にかような問題は適当な方向に向かうのが相当なのかという問題があるかと思います。で、刑罰のみをもってかような一般の経済界あるいは会社経理という面をすぐに正していこうという考え方は私はとれないと思うのでありまして、やはりこれは諸般の施策が徐々にその方向に向いていき、また、会社経営者がそういうふうな自覚に立っていくというふうになっていかなければならないのではないか。こういう問題に関する限りは、これを一罰百戒であるということは、当該会社その他関係株主に非常に大きな影響を与えると思いますので、そういう意味におきましては、いろいろな点がやはり考慮されなければならないという意味におきまして、この問題を起訴猶予にしたからそれじゃもうこういう程度のものはみな起訴猶予になるからいいのだというふうに考えているわけではもちろんございません。この会社がさらにそういうことを行なえばまた相当の処分を行なわなければならぬということは出てまいると思いますし、そういう意味におきまして、やはり起訴猶予ということは一つの意味があると私は考えておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/39
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040・亀田得治
○亀田得治君 なかなか検察庁のやった処分について本省の刑事局長が否定するようなことはこれはめったにおっしゃらぬことなんですが、担保にほとんどこれは入っているものなんでしょう。その点は事実なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/40
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041・津田實
○政府委員(津田實君) 八十七期に関連いたします不動産の売買の担保の関係については、ちょっといま資料がございませんからわかりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/41
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042・亀田得治
○亀田得治君 それはお調べ願いたいと思いますが、私たちはそういうふうに聞いているのです。含み資産とは言うけれども、その含み資産というものがほとんど担保に入っているんだというふうに聞いておるわけでありまして、その点もひとつあわせてお調べを願いたいと思います。担保にも入っておらぬきれいなものだということなら、まただいぶ考え方は違うと思いますね。お調べいただけますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/42
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043・津田實
○政府委員(津田實君) 調査いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/43
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044・亀田得治
○亀田得治君 それから業績の点ですが、これもわれわれなりに集めた資料もあるわけですが、売り上げなどはたいしてふえず、銀行からの借り入れなどもさほど減少しない、ずっとある。受取手形、売掛の関係などは若干はふえるといったような現象の中で、支払手形、買掛金ですね、これが非常にふえておるというふうに聞くわけですね。私のほうで調べた表がここにあるわけですが、これは昭和四十年には下期において四十六億三千万という数字にまでなっておるのですね。三十二、三年ごろには十億程度であったものが、非常にふえておる。こういう点等から見て、業績というものはそれほどよくなっておるというふうにはちょっとしろうと考えからしても思われぬわけなんですが、そういう点はどういうふうに検察庁は判断されておるのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/44
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045・津田實
○政府委員(津田實君) 八十八期以後の状況につきましては、おそらくわかっていないと思います。また、新しい事件のことは別といたしまして、それまでおそらく取り調べというふうなことができなかったのではないかと思っております。現に、これの関係の処分はその前に終わっております。そういう意味におきまして、ただいまの御質問の点は、調査いたしておらぬと私は思うのであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/45
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046・亀田得治
○亀田得治君 それは昭和四十年といえば調査の対象からはずれますが、借金というものはこれは徐々にふえていくのが普通でありまして、それは一年ごとにずっと検討すればもっとはっきりわかるわけですが、業績がよくなっておるというようなことは、私は起訴猶予処分にした当時においても断じてこれは言えぬように思うのですがね。借金の支払手形と買掛金の関係ですね、そういう点についてのずっと各年ごとの数字をとっていただければそれははっきりわかるわけですが、お調べ願えますか、その点もあわせて。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/46
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047・津田實
○政府委員(津田實君) 現在わかるものについては、調査をすればわかると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/47
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048・亀田得治
○亀田得治君 捜査の対象になった年度についてはずっとわかっているはずですね。九十期ぐらいまで、その程度はわかっているんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/48
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049・津田實
○政府委員(津田實君) それはわかっていないと思います。問題の期以外はわかっていないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/49
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050・亀田得治
○亀田得治君 それじゃ、八十七期まででもいいですから、その辺の状態、八十七期まではこれははっきりつかまれておると思いますから、明らかにしていただけますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/50
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051・津田實
○政府委員(津田實君) できるだけ調査の結果を明らかにいたしたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/51
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052・亀田得治
○亀田得治君 それじゃ、まあ次回までにその点を明らかにしていただきまして、さらに質問をしたいと思います。それから第三の、これがまあ一番大きな理由として聞くわけですが、八十七期以降において決算か正常化した、こういうことが言われておるわけですが、結局まあこの表からも推測ができるわけですが、前回も質問をいたしました土地を三筆処分をしたと称して、その関係の売買益というものを計上してきた。それによって前期までの累計の粉飾化なども一挙になくしていった、こういうことになるわけですね。この八十七期についての説明を、先ほど各期についてお願いしたと同じ程度にちょっとまず御説明を願いたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/52
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053・津田實
○政府委員(津田實君) 同期の真実の損益は、当期利益金七億六千八百九十万五千七百五円をあげたのでありますが、そのほかに八十一期から八十六期までの間に計上して繰り越された架空利益合計六億六千五百万が存するわけであります。これを全額消却しまして、当期純益金としては一億三百九十万五千七百五円のみを計上し、これに前期繰越利益剰余金千四十七万四百四円を加え、合計一億一千四百三十七万六千百九円を利益金として、このうちから法定利益準備金六百万円、納税引当金三千七百万円、株主配当金六千万円、後期繰越利益剰余金千百三十七万六千百九円の利益処分を行なっているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/53
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054・亀田得治
○亀田得治君 当期の利益をあげた一番の大きな問題は、三筆の土地を公正企業に対して三億八千八百万で売った、このことが一つの大きな柱になっておるわけですね。したがって、この公正企業との売買というものが、これは粉飾のためにやられたのであってそういうものは認められないんだと、こういうことになりますと、八十七期の配当自身も間違いだと、こういうことになりますね。これはまあ当然なことですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/54
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055・津田實
○政府委員(津田實君) そういう仮定の上に立てば、そういうことになります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/55
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056・亀田得治
○亀田得治君 したがって、八十七期以降について近江絹絲と公正企業との間の土地のやりとりというものが重要な意味を持ってくるわけでして、そういう立場から若干公正企業自体についてお尋ねをしたいと思うのです。その上でこの土地の売買の問題に入っていきたいと思いますが、公正企業の関係は証券局のほうがよりわかっておるかと思いますが、わかっている人からひとつ答えてもらいたいと思います。——一つずつ聞きますから、ちょっと待ってください。
これは、資本金は幾らの会社ですか。これは証券局でみんなそういうことはわかっているはずですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/56
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057・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 実は、証取法上の対象会社に、近江絹絲は対象会社になっておりますけれども、公正企業は対象会社になっておりませんので……発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/57
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058・亀田得治
○亀田得治君 わからぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/58
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059・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 近江絹絲からの報告によると、公正企業は、払込資本金は五億のようでございます、私のほうで直接確かめた数字でございませんが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/59
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060・亀田得治
○亀田得治君 近江絹絲は調査報告すべき義務のある会社ですね、これは。だけれども、公正企業はそうじゃないから、何かこう軽く考えているようないまお答えをしようとされたようですが、そうじゃないんですよ。近江絹絲に関しては、公正企業との関係が実は問題になっている。後ほどもお尋ねすればはっきりするように、これは大部分が近江絹絲が株を持っておるわけなんです。普通の親子会社といったって、それはもう密接というか、もう同一会社ですよ、言うてみれば。そういう疑いを持たれておる。そういうものについて、これは証券取引法の対象外の会社だからというふうなそんな考え方を出されるということは、これはもう間違いですよ。一体のものとしてそういう場合には検討してもらわなければ実体がわからぬじゃないですか。そういうあやふやな態度で、私はことばじりをとらえるわけじゃないですけれども、やはりこういう問題は姿勢が大事でしょう、本気に取り組む姿勢を持っているかどうかということが。さっきのあなたのお答えは私は非常に気に食わぬのですが、何であんなことをおっしゃるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/60
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061・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 近江絹絲の問題でもし調査しなければならないことがございまして、それに関連する限りにおいては、その相手会社との取引の内容を調べるのに必要な範囲内において取り調べるということはございますけれども、この場合、特に検査に入ったわけでございません。一応近江絹絲側の申し立によって、いまの土地の売買の問題が特に問題になるかと思いますが、われわれの心証の得られる限りのお話を聞いておるということはやっておりますが、特に公正企業の事案と関係ないところまで実体に入って調査するということは実はやっておりません。必要があれば当然やらなければならないと思いますが、そういう意味で、対象会社になっておればいろいろな報告書が参りますけれども、全貌を明らかにするだけの資料がわれわれの手元には参っていない、こういう意味でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/61
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062・亀田得治
○亀田得治君 近江絹絲の持ち株は幾らになっていますか、公正企業に対して。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/62
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063・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 近江絹絲の四十年四月の報告が一番新しい資料でございますが、この資料によりますと、公正企業に対する持ち株総数九十九万株——期末に九十九万株、所有資本額四億九千五百万円、こういうふうに報告されております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/63
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064・亀田得治
○亀田得治君 それは、公正企業の全体の株の中の何割になります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/64
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065・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 発行株式総数が百万株のようでございます。したがって、九九%ということになります、九十九万株でございますから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/65
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066・亀田得治
○亀田得治君 これは全く「九九%」ですな。そういう関係なんですよね、これは。あとの一万株というのはどこにあるんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/66
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067・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) ちょっと私のほうでいまその点はわかりかねております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/67
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068・亀田得治
○亀田得治君 それは御調査願えますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/68
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069・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 近江絹絲を通じて調べることは可能でございます。もし、ぜひその点を明らかにしろということでございますれば、調べて御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/69
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070・亀田得治
○亀田得治君 私の想像を申し上げては恐縮ですが、あとの一万株もほとんど近江絹絲の関係者の人が持っているのじゃないか。あんまり百万株全部近江絹絲が持っているというのじゃ、これは親子会社というよりも同一会社ですわね。経理をごまかす便宜としてやっているということがあまりにも形の上においてもはっきり出てくる。そういうことで、一万株だけこれはだれかに専門家から注意されてやっておるのだと思います。そういう実体を明らかにするために、ひとつ一万株はどこにあるのか、それを明らかにしてほしいと思います。
それから近江絹絲と公正企業の役員の関係ですね、これはおわかりでしょう。社長は兼務でありますが、その他の重役につきましてもどれだけの兼務があるのか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/70
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071・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 私のほうへの近江絹絲側からの報告によりますと、公正企業の関係の兼務役員、取締役四名、監査役一名、こういうことになっております。これがはたして公正企業の役員の全員であるのか、また、だれがどういう役職にあるのかということはちょっとわかりかねておりますが、そういう報告になっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/71
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072・亀田得治
○亀田得治君 その取締役四名というものの内訳を調べてほしいと思います。その中に社長が入っておるはずです。それ以外はどういう方なのか、調べたらおわかりでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/72
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073・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 三十八年の報告でございますと名前とその役職が出ておりますが、最近の内評はあとで調べまして御報告申し上げます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/73
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074・亀田得治
○亀田得治君 三十八年はどういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/74
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075・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 三十八年では、兼務役員だけが書いありますが、社長が兼務でございます、高見重雄。それから専務が兼務役員で鈴木脩蔵——専務は二人おりますが、鈴木及び夏川、この両名がいずれも専務で兼務になっております。それから取締役で比留間、斎藤、この両名が——比留間が両方の取締役、斎藤が近江絹絲の監査役で公正企業の取締役。それから「のぶまさ」と読むんでございましょうか、「しんしょう」と言うのでございますか、信正、松本両名が近江絹絲の取締役で公正企業の監査役、こういうふうになっておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/75
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076・亀田得治
○亀田得治君 現状は、お調べ願えると、若干また変更があるんじゃないかと思いますが、いま御指摘の年度だけを見ても、社長は同一、そうして取締役、監査役というものは交流しているわけですね。執行関係の者だけでなしに、監査役までもちゃんとあなた交流している関係ですよ。だから、普通のこの種の親子会社というものよりも非常に密接な関係です。
それからもう一つ聞きますが、公正企業の本社はどこにあるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/76
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077・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) これは報告書に記載されておりませんので、ちょっとわかりません。確かめておりませんが、どうも同じような場所にあるようなほかの資料があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/77
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078・亀田得治
○亀田得治君 近江絹絲と同じ場所にあるというのでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/78
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079・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) どうもあるようでございますが、確信を持ってお答えできかねるということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/79
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080・亀田得治
○亀田得治君 これは、じゃ、私のほうから教えてあげますが、近江絹絲の本社は、大阪の東区の淡路町四丁目二十五番地、埼玉ビルの中にあるんです。その近江絹絲の占めておるスペースの中の一部、すみっこにあるんですよ。そういう会社なんですね。そういうことを全然知らぬのですか。両者間の経理というものは非常に疑惑を持って見られておるわけですが、真剣に取り組むのであれば、当然これはそういう点等も突っ込んで調べなきゃ、判断する場合にはやっぱり非常に違ってくるのじゃないかと思いますが、全然そういうことは知らぬですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/80
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081・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 親子会社の関係にあるということ、しかもかなりの密接な関係にあるということは承知いたしております。事務所まで調べておりませんけれども、実質的にそういう関係にあるということをわれわれのほうでも調査の過程で十分認識いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/81
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082・亀田得治
○亀田得治君 十分認識と言うけれども、どうも認識が足らぬですね。
公正企業というのはどんな事業をしているんですか。私は実際を聞くのですよ、そんな定款事項に書いてあるとかそういうことでなしに。実際にどんな事業をしているか、それをおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/82
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083・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 近江絹絲の不動産の関係の別働隊、管理関係をやっているというふうに近江絹絲側からは聞いております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/83
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084・亀田得治
○亀田得治君 近江絹絲の不動産の別働隊というと、もう少し詳しくわかりやすく説明してください。どういう意味なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/84
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085・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) どこまでうまくお答えできるかどうかわかりませんが、どうも土地の売買関係をこの子会社である公正企業にやらしているようでございます。近江絹絲の所有不動産の全部——よくある例でありますが、自分の営業用に使っている不動産関係、その他、たとえば金融機関等ですと担保流れ不動産、こういったものを特別に納税のために別会社にやらしておりますが、はたしてそれほど手広くやっておりますのか、単純に土地会社だけをやっておりますのか、ちょっとその点は十分明らかにいたしておりませんけれども、土地の売買関係をやらしているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/85
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086・亀田得治
○亀田得治君 公正企業の経理の内容などはわかっておらぬのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/86
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087・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 私のほうでは、内容までは承知いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/87
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088・亀田得治
○亀田得治君 近江絹絲との債権債務の関係というものはわかっているでしょう。これは、当然、親会社、子会社の関係ですから、別に特別な報告が要るわけでしょう。それはどうなっていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/88
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089・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 先ほどの四十年四月の報告によりますと、持ち株関係、まあこれはさっき申し上げましたけれども、公正企業に対する貸付金の残高、四十年四月末でございますが、これが五億七千九百十四万八千円というふうになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/89
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090・亀田得治
○亀田得治君 たとえば八十七期の資料についてお尋ねしますが、これありますね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/90
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091・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) ございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/91
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092・亀田得治
○亀田得治君 公正企業との関係の貸付金明細表によりますと、当期の増加額、当期の減少額というものが、おのおの三億幾らずっと書かれているわけですが、この内容は一体どういうものなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/92
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093・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 仰せのとおり、若干差がありますけれども、ほとんど三億八千万前後の金額が当期中の増加額であると同時に減少額になっておりますが、この内容までは私のほうで調べておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/93
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094・亀田得治
○亀田得治君 これは調べることができるでしょう、あなたのほうの正規の報告の中の数字ですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/94
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095・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 近江絹絲を通じて事情を聴取することは可能でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/95
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096・亀田得治
○亀田得治君 当期減少額三億七千九百八十七万円、これは減少となっておるのですが、貸付金が減少したということですから、公正企業から近江絹絲にこれだけの金が入らなければならぬわけですね。そんなに金が一体入っているのかどうか、そういう点も調べてほしいのです。数字だけをこう並べているのでしょう、実際は、おそらくは。これは調べてもらいたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/96
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097・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 承知いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/97
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098・亀田得治
○亀田得治君 そこで、あなたのほうでは、公正企業というものは近江絹絲と同じようには取り扱いの対象にはならない、こう言われるのですが、近江絹絲自体の中身というものを検討していきますと、どうしても公正企業との関係というものを突っ込んで調べざるを得ないのですね。そういう立場から資料をお願いしますが、公正企業が設立された当初から今日まで、近江絹絲との間で債権債務の状態が発生しているわけですが、それを一覧表にして整理をしてほしいと思うのです。これは子会社に対する関係ですから、当然お調べが願える部分ですから。そうして、それに対するできるだけ詳細なあなたのほうで把握できる限りの説明を願いたいと思います。それが出てきますと、だいぶ両者の全体の関係というものが把握しやすくなる。これはできますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/98
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099・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) こちらに近江絹絲から報告されておる内容には公正企業の関係の数字が出ておりますので、この関連で聞くことはできると思います。はたしてどの程度のものを近江絹絲側から聴取できますか、できるだけわかりました限り御要望に沿うように整理いたしまして御報告申し上げたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/99
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100・亀田得治
○亀田得治君 その際に、こういう報告書の数字だけを取り出してただずっと並べてみるということじゃなしに、たとえば八十七期について私がちょっとお尋ねしたように、できるだけその中身というものがわかるようなふうにしていただきたいと思います。どうしてもわからぬところは、これまたいたし方がないと思いますが、よろしいな、それは。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/100
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101・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) できるだけ御要望に沿うように努力いたします。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/101
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102・亀田得治
○亀田得治君 それで、次に、いわゆる問題になっている近江絹絲から公正企業に売り渡した土地の問題ですね。前回にもこれは若干お尋ねしましたが、その問題に入っていきたいと思います。
この三筆の土地の所在ですね、これはどこなんでしょう、ある場所は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/102
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103・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 一筆は、大阪市東区内久宝寺町の宅地九百九十五坪、それから同じく東区瓦町の宅地百四十坪、それから東京の銀座三丁目の宅地五十三坪、こういうふうになっているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/103
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104・亀田得治
○亀田得治君 それは、現状は、どういうふうにだれが使っているんでしょうか、三つについて一つずつおっしゃってください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/104
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105・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) ちょっと詳細なことはいまわかりかねますが、あとで調べさせまして、よろしければ御報告さしたいと思いますが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/105
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106・亀田得治
○亀田得治君 それでは、これは調査の上で報告を願います。
八十七期以降も固定資産税は近江絹絲が払っていたとこの前私から指摘しましたが、それはあなたのほうでその後お調べ等でわかっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/106
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107・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) はっきり確認いたしておりませんが、移転登記を済ませるまでは近江絹絲側でどうも払っていたようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/107
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108・亀田得治
○亀田得治君 移転登記というのは、この前おっしゃったのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/108
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109・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 四十年の十二月六日に移転登記を済ましているようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/109
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110・亀田得治
○亀田得治君 地代もやはり近江絹絲が八十七期以降引き続いて徴収していたようですが、そのとおりですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/110
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111・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) そのようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/111
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112・亀田得治
○亀田得治君 それから、これも当然なことですが、三筆の土地の代金というものは、帳簿の操作は別として、現金を持って行って払ったということはないんでしょう。——貸付にしたとかどうとか、そういうことは説明なり文書でわかることですが、私の聞くのは、代金を三億八千幾ら、これを公正企業が近江絹絲に持って行ったという事実はないんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/112
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113・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 債権債務の発生関係は認めることはできますけれども、はたして現金授受が行なわれたかどうか確認いたしておりません。代金授受が行なわれたという事実は確認いたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/113
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114・亀田得治
○亀田得治君 この土地は、公正企業が買うと、どういう利益があるのでしょうか、会社として。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/114
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115・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 公正企業側がどういう動機、目的で買ったかということはつまびらかにいたしておりませんが、もしその後処分して譲受価額よりも高く売れれば利益が出る、当然のことでございますが、はたしてそういうことを意図してやったのか、ちょっとその土地のその後の管理なり使用状況等を見てみなければ、はたしてどういう利益というものを公正企業側が考えて売買いたしたか、確認はいたしておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/115
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116・亀田得治
○亀田得治君 詳細な資料は追って出していただくことになりましたが、公正企業というものは、これは毎期赤字のはずです。近江絹絲に対してはずっと相当額の負債がある会社なんです。資本金五億。一体、そういう会社でこういう土地を必要とするかどうか、そういうことは、報告書だけじゃなしに、もう少しはっきり判断ができるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/116
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117・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 当初申し上げましたように、近江絹絲の不動産関係の売買関係をやらせる目的でこしらえた子会社であるとしますと、近江絹絲自体の売買のかわりにその子会社である公正企業に売買をやらせるということでございますから、売却をすれば、近江絹絲にかわって売却することになりますので、売却代金が入ってくる。また、近江絹絲側としても、そういうことを意図して不動産の権利を子会社に移転しておいて、その後売買によって実現した入金をはかる、こういうことはある得る事態だと思うのであります。これは私の想定でございますが……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/117
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118・亀田得治
○亀田得治君 そうじゃなしに、近江絹絲が売ったこの三筆の土地は、ほかの人が使っておる土地なんですね。それを公正企業がばく大な金で買い取った、こうなっておるわけです、表面上は。しかし、それを買い取ったものをほかへ売るとしたって、あなた、そんなもの売れますか、この不景気なときに。第三者が使用しておる、上にちゃんと建物がある、そういう土地について。それは近江絹絲がどこか新しい工場敷地をほしい、そういう場合に近江絹絲にかわって土地を買い集めるといったようなことは、これはあるかもしれないが、本件については全然これはもうそういう実益といったようなものは一つも考えられないわけなんです。結局、やりとりすることによって評価益を出しているわけなんです、商法上禁止しておる。非常に不健全なことをやっておるわけなんです。そういう点をそんな表面上の名目だけで証券局が了承しておるようでは、これははなはだたよりないと思うんです。私は、最近の経済欄等をときどき見まして、ずいぶん粉飾問題については大蔵省も強い態度で取り組んでいるのだなということを感じまして、それは非常にいいことだというふうに考えていたわけですが、どうもこの近江絹絲の問題で具体的に少し検討をし、お尋ねしてみると、何かこうたよりないんですね。私が先ほどからずっと指摘した点、特にだれがどういうふうに使用しておるのかというそういう現実の事態というものもお調べ願って、もう一度これを考えてみてほしい。正しい報告書と大蔵省が理解するのかどうか。私が指摘したような事実があるにもかかわらず、なおかつそれを正しいものとしてこうしていくのだというふうな考えであれば、これはあなた経理関係の専門家がかかればいろいろなことができますよ、いろいろなことが。だから、そういう意味で、前回もだいぶん御研究を願ったわけですが、不明確ですね、不明確です。皆さんが近江絹絲からのこういう報告をもらって一応それを了承したようなかっこうになっているもんですから、その立場にとらわれておられるようですけれども、しかし、それはまあ十分な議論もしない過程において一々人のものを疑ってかかるわけにもいかぬ。また、大蔵省のほうの担当者の人数にも限界があるといったようなことで、一応のことはわれわれも理解できるわけですけれども、しかし、事問題になってきた場合には、もっと具体的な状態というものをつかまえて両者の関係というものにメスを入れてもらわなければ、これはほんとうのものかどうかということをはっきりしてもらわなければいかぬと思います。こんなことがまかり通るのなら、それはあなた評価益の計上なんというものはいくらでもやれますよ。そう思いますので、これは次回に私最終的にいろいろな法律問題をまとめてお聞きしたいと思っておりますので、その際までによく検討しておいてください。
それから証券のほうにもう一つ聞きますが、債権債務がずっと近江絹絲と公正企業との関係にあるわけですが、弁済期ですね、ずっと載っているんですが、それはどうなっているのか、そういう点をはっきりしてほしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/118
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119・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 返済期の明確な契約が行なわれていないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/119
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120・亀田得治
○亀田得治君 それで、ともかく、公正企業なんという会社は、何億という借金をしたって、それを払えるような状態ではないんです。そうすると、会計の原則からいっても、商法なり規則の立場からいったって、そんな債権は一体財産として計上できるかどうかが大きな問題なんです。いつまでたったって五億幾らという借金——私がもらった書類だけから見たって、少しずつ数字は違っているが、同じことなんだ。ずっと残っておるわけなんです。だから、その点についても、そういう落とさなければならぬものをことさらにいつまでも載せておくということになっておるんじゃないかとも思う。これは決算なり配当の関係に大きく響いてくるわけでしてね。これは直接近江との債権の関係ですから、一体どれほど確実性がある債権と見ておるのか、それも検討して報告してほしいと思います。よろしいな。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/120
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121・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 承知しました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/121
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122・亀田得治
○亀田得治君 国税庁に対して一点お聞きしますのは、「近江絹絲紡績(株)関係資料」というを国税当局から出してもらったんですが、その中の2ですね、「税務上の処理」というところにこういうことが書いてあるわけですが、ちょっと読んでみますと、「売買当事者である近江絹絲(株)と公正企業(株)が親子会社の関係にあること等から、売買契約の効力が発生しているかどうかについて会社側の説明を求めたうえ、八十七期において税務上の売却益なしとする会社申告を是認した。」と、こういうふうに結論的に書いてありますな。これからいきますと、八十七期の当時においては税務当局としては土地の売買というものを認めなかったというふうに理解したものと、当然これは判断すべきだと思うのですが、間違いありませんね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/122
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123・志場喜徳郎
○説明員(志場喜徳郎君) ここに書いてございますように、税務上不動産につきましていつ課税上の収益が帰属したと見るべきかということにつきましては、たとえば代金の完済でありますとか、あるいは所有権移転の登記でありますとか、そういうこととは一応関係なくて、売買契約がいつ効力を生じたかということによって統一的に取り扱っております。さような関係で、八十七期につきまして、会社側は、前のほうにも触れておりますように、公表面では不動産勘定は落としておりますけれども、税務申告にあたりましてそれを土地の評価益であるということで、自己否認と申しますか、減算をいたしまして申告しております。そういうふうな食い違いがあるものでございますから、しかも親子会社の関係でございますから、一体この契約が——当事者の意思表示によって効力は発生するのでありますけれども、効力を発生するかどうかということを当然調べたわけでございます。そういう調査の結果、会社の説明、その他の事情を見まして、税務上の実質的売買契約の効力の発生としては八十七期ではないんじゃないかという判断をして処理したものと考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/123
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124・亀田得治
○亀田得治君 もう一つ確かめておきますが、そうしますと、ただいま説明をお聞きしますと、漫然と近江絹絲の申告を是認したものではなく、実体に幾らか当たって調べて、その上で認めたものだ、こう理解していいですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/124
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125・志場喜徳郎
○説明員(志場喜徳郎君) 実地調査をしておりますから、お尋ねのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/125
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126・亀田得治
○亀田得治君 この点について現在会社が違った主張を修正申告という立場から税務署に出しておることは、せんだってもお答えいただいたとおりでありますが、この点は国税庁もよほど慎重に扱ってもらわんと困ると思うのです、この点はね。税務署としては何も漫然と認めたものではないわけです。むしろ証券局よりも実際に当たってこう認めた。そのことを、今度は会社側が、刑事事件等で都合が悪くなってきたからというので、また言い方を変えてくる。ああそうでしたか、国のほうに税金が入ることなら何でもいいというふうなことでは、私は全体の会社に対する国の行政の立場としてはあやまちをおかすと思うんですね。会社に振り回されているかっこうですよ悪く言ったら。だから、そういう点があるわけですから、まあ証券局関係はむしろ当時は書類だけを受け取ってそれほど検討しておらぬのですから、証券局こそもっと実体に入った検討をすべきなんです。実体の調査までやって結論を出した国税当局のほうは簡単に自分の判断というものを変えるべきものではないと思うのですが、修正申告に対してその後どういうふうな扱いになっておるんでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/126
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127・志場喜徳郎
○説明員(志場喜徳郎君) 修正申告が四十一年の四月に提出されまして、法人税も納付しておるようでございまするが、それに対する調査はまだいたしておりません。大阪国税局のほうにおきましてその他いろいろと調査計画がございますので、適切な博期を選んで調査計画を立てていると思いまするけれども、その際におきましては、いずれにしましても、先ほど申しましたように、当初の申告に対する実地調査をいたしております。そうして、もちろんいろいろの説明を求めたり、あるいは反面調査といたしまして公正企業との関係も調べたはずでございます。いずれにしましても、真実の姿をつかまえるということが税務調査の目的でありまして、しかも、真実は一つじゃないかとこういうふうに思うわけであります。したがいまして、はたして当初申告と修正申告のいずれが真実であるのかということが中心の調査になるわけでございまするけれども、その際には、この委員会等におきまするいろんな御議論等も十分参考にいたしまして、誤りのない処理をいたしたい、かように考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/127
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128・亀田得治
○亀田得治君 これは、関係者が非常に疑惑を抱いておるわけなんです。それで、一たん起訴猶予処分になったけれども、納得しない人がたくさんおるわけなんです。私もずっとこまかく資料に当たってみると、なるほどこれは疑惑を起こすほうがほんとうだと思って実はお聞きしておるわけでして、まあこういう点についての判断の誤り、これはもういろんなところに悪い影響が出てくると思うので、当局にひとつ十分これは慎重にやってもらうことを要望しておきます。
それで、証券局にもう一点お尋ねしますが、粉飾のあと始末ですね、これは会社の利益で埋めるということではほんとうのあと始末にならぬわけでしてね。粉飾の結果、不当な配当をやったということがあれは、役員の賞与なり、株主に対する配当なり、それらが会社の経理に返ってくる、こうならぬといかぬのでしょう、こういうふうにならんと。これがほんとうに正常化したということになるんだと思うし、現在新聞の経済欄等で皆さんが指導されておることを見ると、そういうふうに私も確信しているわけですが、その点はどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/128
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129・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 一たん粉飾操作をいたしたものを、その後利益その他によってこれを修正するということはあるのでございますが、その後修正したからといって粉飾の事実が消せるものではございません。当然その責任は別個に追及さるべきだと思います。ただし、配当なり賞与を返すか返さぬかということは、われわれの直接行政の目的からいってそこまで強制すべき立場にございません。ただ、刑事上の事犯になるわけでございます。われわれは会社の経理の粉飾一掃ということにいま力をそそいでおりますけれども、そういう事態に対して必要な制裁を——行政的な制裁もありますし、刑事上の制裁もあると思いますが、課するかどうかという判断をします場合に、現実に生きている企業の社会的影響等を考えまして、できるだけ粉飾そのものを実質的に整理する、これに重点を置いてやっております。その場合に、刑事上の責任もあるということを考えて、会社の経営者としては、配当なり賞与の措置については善処することが望ましい。しかし、一たん違法な配当なり賞与をかりにやった場合を想定いたしますと、それをあとから返したからといって刑事上の責任を免れるという性質のものではございませんけれども、その点は誠意をもって処置すべきものではないかということを申し上げておるのでありますが、これは、われわれの証取法上、強制しなければならない、あるいは強制し得る権限の範囲内のものではございません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/129
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130・亀田得治
○亀田得治君 それは行政上は強制はできない。したがって、たとえば商法等においても、それに対する返還の訴えを出すとか、そういう道があるわけでしてね。ただ、証券当局の指導方針としては、やはりその点が基礎なんでしょう。非常な不当な配当をやりながら、その後会社の利益があがったから埋めていくというのでは、これはほんとうの埋め方ではないですわね。したがって、会社から流れ出たそういう配当等は返せということは、最近は相当やっているんじゃないの。新聞を見ると予てこまでやっておるように私は感じたものだからこれは聞くのですがね。だから、そこまで大蔵当局がやっておれば、それはなるほど会社に対して非常にいいみせしめになると、こういうふうに私は賛成しているわけなんです。いま聞くと、どうもそれほど強いようでもないようなことを言われるわけですが、これはどうなんです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/130
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131・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) われわれの立場は、粉飾はいけないと、したがって、かりに赤字があれば赤字のような処理をすべきだというところまでがわれわれの本来の立場でございますが、先ほどから申し上げますような趣旨から、違法配当あるいは違法の利益処分があった場合に、これはあくまで経営者の責任において善処すべきだという意味でそういったことを言っておるのでございまして、あくまで大蔵省の行政権でもって処置し得るものではございませんので、指導的な立場を越ゆることはできないと思います。あくまでこれは経営者の責任において処理すべきことである、この責任の内容にこういったものがあるのではないかということでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/131
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132・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、望ましいあり方としては、そのような不当配当というものは会社に返すべきものだという立場で処対しておる、こう理解していいですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/132
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133・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) むずかしい問題でございますが、損失を処理すれば、あとで埋めればよいという問題でなく、損失があれば損失のままに経理を公開すべきだというのがわれわれの立場でございます。したがって、その事後的な処理という問題は、あくまでこれは刑事上の責任の問題との関連で経営者の責任においてそいつは処置すべきだ。事後的な、たとえば配当を返還する、あるいは損金を埋めるという処置をすれば瑕疵が治癒されるという性質のものではございませんので、おっしゃるような意味で明確にこれを処理しろというような形で臨むことはその辺にも若干問題がある。あくまで経営者の責任で善処すべきであるという言い方以上に出ますと、かりに事後的に治癒されればそれで責任がないのかと、こういうふうにとられるのもいささか行き過ぎになるのじゃないか、こういう問題もございますので、あくまで経営者の責任において善処すべきであるということを申し上げて、善処した内容において具体的にそういった問題を免除にすることもございますけれども、これは私が申し上げました域を出ないような性質のものでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/133
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134・亀田得治
○亀田得治君 ちょっと私の質問と食い違うのでありますが、穴埋めをすればそれで責任が解除されるという問題とは別だと言われるのは、これはまあ私はそのとおりだと思うのです。そことの関係を言うのじゃないんです。会社の健全な経理という立場から言うたら、不当な配当に対してはそれが会社に返されるのが本筋だという考えをもって行動しておるかどうかということなんです。あなたが先ほどからそれは会社の責任者の善処をまつというふうなことを言われますが、善処をまつと言う以上は、方針としてそういうものは返すのが筋だという立場がなければ、善処をまつのもおかしいじゃないですか。その点を聞いておる。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/134
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135・加治木俊道
○政府委員(加治木俊道君) 実は、その点は証券取引法のこの問題でないので、非常に事柄の扱いがむずかしくなるということでございます。むしろ商法上の責任の問題だと思うのであります。そういう意味で、経営者として当然その問題は善処すべきだということ以上をはっきり相手方に対して意思表示するのは、われわれの立場上どうかということでございますが、かりに証取法上の立場を離れて考えた場合に、そのほうが好ましいということは、これは言えます。しかし、それ以上のことをわれわれとしては申し上げられないということであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/135
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136・亀田得治
○亀田得治君 刑事局長にこの点を一点聞いておきますが、大阪地検において起訴猶予処分にしたその理由等を二、三われわれも漏れ聞いておるわけですが、その中に、不当配当についてこういうふうに善処したといったようなことが一つも載っておらぬわけなんですよ。だから、どうもそういう点について検察庁の見方というものが、商法なら商法の大事な点に触れておらぬように感ずるわけなんですがね。会社の利益でもって決算の状態をよくしたといったって、それはあたかも他人のふんどしで相撲をとっておるようなもので、おかしいのですがね。そういう点は全然素通りしておるような感じを受けるのですがね。それは刑事局長どうなんでしょうか。はなはだそういう点で私は不起訴の理由というものが突っ込みが足らぬように思うのですが、どうなんでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/136
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137・津田實
○政府委員(津田實君) この問題は、かりに不当配当があった、それの返還という問題なんですが、これは、ただいま大蔵省からもお話がありましたとおり、そういう形で返還が完全にされる形ができれば、それにこしたことはないことは、もうこれはだれしも怪しまぬところでございます。しかしながら、実際問題として、そういうことが、ことに公開されている大きな会社においてでき得るかということになると、しかもそれをするように検察権なり何なりによってある程度の強制をすることができるかというと、これはもう不可能なことだと私は思います。そういう意味におきまして、そういうことをしなければ起訴猶予にはならぬのだというふうに結論づけることは、これは私は不能をしいるものだというふうに考えるわけでございます。したがって、そういうふうになることが、よしまた会社の経理上そういうふうにすべきように会社の経営者がやるということは、もちろん私はけっこうなことであるし、そういうことであってほしいと思いますけれども、しかし、そうしなければだめなんだというふうに割り切ることは、私は必ずしも適当ではないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/137
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138・亀田得治
○亀田得治君 局長がそういう考えじゃ、ぐあいが悪いですな。不当配当を返還させるのは不能をしいることになりますか。ことに特定の重役等——まあわずかの株を持っている人全部について言うわけじゃない。特にそういうことをたくらんで実行したと、そういう中心的な人が、持ち株も多いし、配当もよけいとっているわけでしょう。それを返さすことが不能をしいるというふうな見解をここで聞きまして、私ちょっと奇異に感ずるんですが。どうなんでしょう、現に返しているのがあるんじゃないですか。返した人はばかを見ますよ、そんなことを取り締まり当局がおっしゃっては。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/138
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139・津田實
○政府委員(津田實君) それは、いま申し上げましたのは、株主一般の問題であります。特定の株主が悪かったということで返されることについて、なんにもそれは反対するわけはございませんが、株主すべて平等に返せといってもそれは不能ではないかということを私は申し上げたわけでございます。ですから、特定の会社に損をかけたと思う株主あるいはまた役員である者がそれを返還するということは、これは好ましいことであり、また、やらなければならぬことであると思います。しかし、それが絶対の条件になるかどうかはこれは別だというわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/139
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140・亀田得治
○亀田得治君 しかし、そういうことがなされておるかどうかということについて、私たちは全然説明を聞かされぬわけなんですね、大阪地検の処理について。その点の検討がなされておらぬわけなんです。そうして、ただ、八十七期において会社がこの土地を処分して粉飾を是正した、こういうことだけが大きく出ているだけで、論議の対象に初めからなっとらぬのですわ。素通りしてしまっている。それじゃほんとうに商法が要求しておる中身に沿わない考え方だと、最初に含み資産の問題についても申し上げた。どうも、そういう点で、会社というものはともかく特殊な利益を中心にしたそういう集まりであって、その諸君のやることについてはある程度大目に見ていったらいいんだというふうな考え方が基本的にあるんじゃないかと思うのですね。それは、確かにそういう考えは資本主義の初歩のころにはあるわけです。そんなのは古い、そんな考えは。今日ではもう株式会社といえども社会的な存在になっているわけです。そういうところから、会社の経理に対するきびしい要請というものは社会的にも起きている。いろいろなことでみんなの考え方が変わってきているときに、どうも私は検察庁自体が軽く見ておられるような感じがしてならないのですが、そんな考えはないのですか、どうでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/140
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141・津田實
○政府委員(津田實君) 商法に従って会社経理が適正に行なわれることは、これは望ましいことでございます。いまほど仰せのように順次そういうふうに向かっているということも私は認めます。しかしながら、それだからといって、いま直ちに全部会社の経理そのものが適法に行なわれているということは、私は保証できないと思います。そういう意味で全体を見ましたときに、この事件がどの地位にあるかということを考えて起訴・不起訴を決めるべきものだと思います。理論だけで起訴・不起訴を決するなら、それはすこぶる簡単であると思います。そういう意味において、検察庁の判断は、この事件の同種の会社等において占める地位を考えての結論であると私は思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/141
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142・亀田得治
○亀田得治君 その不起訴裁定書というものは、これは資料として出していただけませんか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/142
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143・津田實
○政府委員(津田實君) 裁定書そのものは、これはお出しすることはできません。けれども、裁定書の内容に盛られたことの要旨は従来も御説明していることがございますので、いままで御説明したことはそのとおりであると思いますが、その裁定書自体を検討いたしまして内容それ自体の要旨として趣旨が漏れておれば、追加いたしてもよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/143
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144・亀田得治
○亀田得治君 従来そういう扱いになっているものですから、それはしかたがないと思うんですが……。
それで、もう一点津田さんにお聞きしたいのは、いま問題になっている八十七期における土地の売買ですね、これは本人自身が証券局に出したのと税務署に出したのとは違ったことを言っているわけですが、これは人をばかにした話です。同じ国家機関に対して違ったことを出している。それで、検察当局は、そのうちこの会社に都合のいい立場というものを一応認めておられるわけですが、論議の結果、もし三筆の土地の売買というものの性格が、会社が現在主張するようなものとしては認められない、こういうことに発展した場合に、当然私は検察庁の処分というものは再検討なさってしかるべきものだと考えるのですが、ことに、その場合には、八十七期以降八十八、八十九、九十等につきましても、これはこまかい計算をしてみなければならないわけですが、行き過ぎた配当という問題が一緒に出てくるわけですね、それ以後の期についても。両方あわせて考えますと、当然これは再検討してしかるべきものだと私は考えるのですが、そういう点はどういうふうにお考えですか、まあ仮定が一つ入っておりますけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/144
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145・津田實
○政府委員(津田實君) 本件の売買につきましては、ただいま御指摘のような問題点があることは事実でございます。その問題点につきましては検察庁におきまして十分検討いたしておりまして、その結果、この売買は仮装にあらずという結論を出しておるわけでございます。現に、最終的にはもちろん登記もなされ、さらに税関係の申告においてもさように考えられておるわけですが、この土地の評価問題、その他当事者の問題、あるいはその債権関係となる代金債権についての利息の問題、それからこの地代の問題等につきましては、十分検察庁において検討いたした結果この結論を出しておるので、この結論が誤っておるという事態は起こらないというふうに判断いたしておりますから、したがいまして、まあ仮定のことになるわけですが、もし仮定でそうなれば、それはあとの期に響くことは当然だと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/145
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146・亀田得治
○亀田得治君 検察庁も、これだけいろいろ疑問点が出されておるわけですから、納得のいく説明がいくように、やはり再検討をするものはしたらいいと思うんですよ。だれが見たって納得できやせんのです、土地の売買というものは。国税当局は、その当時検討したが、どうもこれは認められぬという趣旨で対処しているわけですね。それがあなた国税当局であれば税金を取りたい立場にありながら、逆の立場で処理をされておる。私は、そういう一たんきめたからということであくまでも突っぱるというのは、どうも問題があると思う。だから、もう少しその辺について検討されることを——これは検察庁と国税庁と証券局と三つが合わないとおかしいことになるわけです、どっちにしたって。検察庁は私は検討したんだからもう変えない。同じことで税務署だって検討したんだからわしは変えぬ。これではどうなるんですか。証券局のほうは十分検討していなかったようですが、もしこの売買が認められぬということになったら二対一でしょう。あなたのほうは少なくなってしまう。あるいは、かりにまた皆さんがそうおっしゃっても、民事関係か何かほかの機関が最終的にむしろこまかく調べて、このような売買は認められぬということになるかもしれないんですよ。だから、こんな疑問の出ておるものを、そう会社の言い分を認めるような立場で突っぱるということは、私ははなはだ遺憾だと思う。
それで、きょうはこの程度にいたしますが、きょう御調査を願いました点、できるだけ事前に渡してほしいと思います。最終的にはいろいろな法律的な問題点にしぼって締めくくりの質問をしたいと思いますので、そのためにきょうは各種の問題になると思われる事実関係を明らかにしたいと思ってお尋ねしたわけですから、その点要望しておきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/146
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147・斎藤昇
○斎藤昇君 ちょっと関連して。
前回と今回と亀田君の質問を私も聞いておりまして、関係各省庁の御答弁を聞きますと、どうも何か不明朗な感じかして、役所としては、もう少しはっきりした事実と、それに対する法的な解釈、事実上の取り扱いというものをはっきりしていただかないと、何か不明朗なものがはだかっているような気がいたしますので、亀田君の言われるように、なるべく早く亀田君の要求される資料を出してやってもらいたいと思います。中央では。これから調査をしてみなければわからぬということもありましょう。しかし、亀田君の質問を聞いておりますと、この問題は地元では相当長い間の問題であって、地元の国税庁あるいは証券局の出先、あるいは地方の検察庁はよく実情を知っておるはずであり、また、知っておらなければならぬ問題だと思うわけです。いまから調べてみなければわからないというようなことでは怠慢なことではないだろうかと私は思うので、お調べも時日を要するかもしれぬけれども、地元がまだこれから調べるんだということであれば、非常に行政が怠慢であったんじゃないかというそしりを免れないんじゃないかという気が切に私もいたします。
それから八十七期の粉飾決算ですね、どうも、常識的に考えると、あの土地の売買は擬装売買だと、こう考えるのはあたりまえだと思うんですが、検察庁はそれは擬装でない、こういうふうに言われるが、おそらく起訴・不起訴を決められる際には相当事実については調べられたものだろうと思います。しかし、常識的には、亀田君の御質問、皆さんの答弁を聞いていると、どうしてもあれは擬装売買で粉飾決算を明瞭にやったものだ、こういうふうに思えるわけですから、そういうような疑問を長く残さないで、早く事実を明らかにして、そうしてこの委員会で早く結末のつくように私はお願いしたいと思います。検察庁は擬装売買だということを知りながら、できるだけ会社の経営を健全にするように努力をしているから一応不起訴にしたというようなことじゃないかという感じさえ持てるわけですから、そういう疑問のないような扱いをしてもらいたいと私からも注文いたしておきます。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/147
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148・和泉覚
○委員長(和泉覚君) それでは、次に、病院における患者及び看護婦の人権問題に関する件について調査を行ないます。稲葉君。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/148
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149・稲葉誠一
○稲葉誠一君 病院における患者及び看識婦の人権問題に関する件という形ですが、この病院というのはもちろん国立病院ですが、きょうの場合は療養所の問題を中心にしてお聞きをしたい、こういうふうに考えます。
厚生省では、療養所においてのベッドの数によって医師何名とか看護婦何名とかいうような、何といいますか、基本的な数というか、そういうものはきまっておるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/149
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150・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) きまっております。大体、医療法の基準によりまして、医師につきましては十六ベッドに一人、看護婦につきましては六ベッドに一人という割合で職員の配置をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/150
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151・稲葉誠一
○稲葉誠一君 四十床の場合に何人という形で医師、看護婦、保母、看護助手、それから理学療法士、労務職員、こういう形で何名というきめ方ではないのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/151
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152・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 定数をベッドあるいは患者数というようなものに比例してやっておりますのは、医師、看護婦だけでありまして、その他の職種につきましては、その病院の特殊性に応じて職員を配置いたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/152
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153・稲葉誠一
○稲葉誠一君 おおよその基準というのは、医師と看護婦は、いま言った基準が全国的な療養所の基準になっているわけですか。そのほかの人たちは、療養所の特殊性というか、それできめていると承ってよろしいわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/153
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154・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) そのとおりでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/154
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155・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その医療法による基準というものはどの程度守られているのか、守るのがあたりまえだと思うのですが、現在の療養所は日本全国で幾つくらいあって、そこでどういうふうになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/155
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156・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 療養所は百六十二カ所ございます。現在患者は五万八千四百七十三名が四十年度の一日平均の患者数でございます。
なお、それらの患者数等につきまして、定員がどの程度充足しているかということになりますと、本年の一月一日現在の医師の充足状況は、療養所におきましては九四・一%、看護婦は九四・七%でございます。なお、看護婦につきまして四十一年度四月一日では九六%に充足いたしております。しかし、これはどこまでも全国の総平均でございまして、個々の施設を見ますと、充足率のいいところ、あるいはオーバーしているところ、あるいは定員が著しく不足しているところもございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/156
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157・稲葉誠一
○稲葉誠一君 看護婦の人は、普通の正看護婦と准看護婦とあるわけでしょう。それはどういう割合になっているのですか。
〔委員長退席、理事木島義夫君着席〕
療養所では、正看護婦何名、准看護婦何名という割合できまっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/157
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158・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 個々の施設について正看何名、准看何名という規定はいたしておりません。すべて看護要員といたしまして、正看、准看込みにして計算しております。といいますのは、これは従来は正看護婦が非常に多くて、もちろん准看のできる前から看護婦がおります。それが、甲看あるいは正看と呼ばれておりますので、従来は正看あるいは甲看の比率が非常に高かった。近年に至りまして准看護婦の養成が活発になりまして、准看護婦の比率が非常に増してまいりました。近い将来にはむしろ逆転して準看護婦が多くなるような情勢でございます。したがって、古い療養所におきましては正看護婦が多く、新しい療養所におきましては准看護婦が多いのでございます。また、正看護婦の養成施設を持っておりますような施設では比較的正看護婦の残る率が多いし、准看護婦の養成施設を付属しておりますような施設ではどうしても准看の比率が多くなるという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/158
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159・稲葉誠一
○稲葉誠一君 厚生省では、精神病患者は六人について正看が一人、結核患者は五人について正看一人というきめ方をしているのではないでしょうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/159
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160・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 六ベッドに一人ということでございまして、准看、正看という区別はいたしておりません。しかし、たとえば六十人程度の療養所でありますと、看護婦は十人になります。その場合、正看三人、准看七人とか、あるいは場合によって正看五人、准看五人というふうに、いろいろ施設によって比率はまちまちでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/160
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161・稲葉誠一
○稲葉誠一君 療養所で、こういう医師、看護婦その他の職員といいますか、これがここ二、三年来減員になっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/161
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162・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 減員を少しずついたしております。といいますのは、療養所の建物それ自体は非常に古くからございますので、六万数千人の患者を収容する能力はございますけれども、患者数が年々減少いたしております。したがって、患者数に見合って少しずつ定員を減少さしているのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/162
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163・稲葉誠一
○稲葉誠一君 栃木県にある栃木療養所、これは通称岡本々々と言っているのですが、ここでも、あれですか、職員が減ったんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/163
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164・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 栃木療養所につきましては、昨年と本年は同じ定員でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/164
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165・稲葉誠一
○稲葉誠一君 昨年と本年は同じ定員だけれども、昨年と一昨年は違うわけでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/165
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166・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) いま数字を……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/166
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167・稲葉誠一
○稲葉誠一君 百四名が百名になったんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/167
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168・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 看護婦の定員につきましては、一昨年から昨年に百四名から百名に減をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/168
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169・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その理由はどういうところにあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/169
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170・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一昨年は栃木療養所の患者数の予定を六百四十名といたしておりましたが、昨年は五百三十八名に減らしておりますので、それに見合って若干減少さしたという実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/170
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171・稲葉誠一
○稲葉誠一君 二年ほど前に、ここで、大根田イチという女の患者ですが、この人が手術をしたわけですね。そうして、自分でよくなったというふうに判断したんでしょう、トイレに行った。そのトイレの中で喀血をして、そして亡くなってしまった。それがわからなくて、みんなさがして歩いてわからなくて、結局三時間ほどして亡くなっているのが発見されたと、こういうような事件があったと聞いているわけですが、これなどは、看護婦さんが非常に足りないものですから、看護婦さんに一緒に行ってもらえればよかったんでしょうけれども、そこへ行けなかったので、自分で無理して行ったんでしょう、それで倒れて亡くなったと、こういう事件があったように聞いているのですが、あなたのほうではこれについてどういうふうに調べがついているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/171
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172・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ただいまのお話の事実については、私ども調査をいたしまして、患者が病院の便所の中で喀血して、その後手当てを加えましたが、結局喀血による窒息死であったという事実がわかっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/172
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173・稲葉誠一
○稲葉誠一君 わかっておりますでなくて、これはどういうようなところに原因があってこの患者はトイレの中で倒れたんですか。倒れて、なにか三時間もそれがわからなかったと、こういうふうに聞いているんですけれども、その間の事情はどうなんですか。看護婦さんがいて、手術したあとなんで看護婦さんがそこまで連れて行ってくれるとか、まあそこまでなかなかできないかもしれませんけれども、こういうふうな事実関係はあなたのほうで調べたのか、どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/173
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174・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) この患者が手術いたしましたのは昭和三十三年でございまして、死亡いたしたのは三十九年の六月でございます。この患者は、その経過から見ましてもかなり重症の患者でございまして、三十一年ごろからすでに相当な菌を排出しておりまして療養を続けております。手術をいたしまして、その後もさらに再手術を医師の側からすすめられておりましたけれども、患者ががえんじなかったために手術ができなかった。その手術ができなかったということは、結局、左の胸の上のほうに非常に大きな、こぶし大にも近いような大きな空洞がございます。したがって、こういうような空洞のある部分を肺切除というような手術をして取っておけば、そういう喀血というような事態はあるいは起こらなかったかもしれません。まあそれは結果論でございますが、このような重症な、大きな空洞を持っております患者でございますので、喀血という偶発症が起こることはしばしば予想されるところでございます。しかし、空洞を持っておりましても、見かけ上非常に健康で普通に働いている患者もたくさんございます。また、空洞を持っていればすぐにも喀血が起こるというものではございません。空洞を持っておる患者は何万人とおりますので、そういうような患者が、もちろんいつ喀血が起こるかもわかりませんし、あるいは起こらずに済むかもしらぬ。また、空洞を持っておりまして喀血をする場合でも、寝床の中で喀血することもありますし、仕事で自転車に乗っている間に喀血するという例もございますし、もちろん便所の中で喀血するという例もありまして、喀血という事態がいつどういう場所でどういう機会に発生するかということはなかなか予測し得ないものでございまして、そういう意味で、この喀血が他人の目につく場所で起こればいち早く手当てができたかもしれませんけれども、残念なことに便所の中であった、しかも、女でございますので中から締めた便所でこの例が起こったというために発見がおくれたということは、非常にお気の毒であったと思います。もちろん、そういうような例を一々看護婦が付き添っていくという、ようなことができればそれにこしたことはないと思いますけれども、申し上げましたように、喀血というものは、いつどこでどういう形で起こるかということが全く予想できないものでございます。ちょうど、脳溢血の場合に、いつどこでどんな形で起こるかということが予想できないと同じように、喀血も、肺内の出血でございますので、なかなか予測は困難でございます。そういう意味で、比較的少ない看護婦の手でそこまで手が及ばなかったということは、まことに残念だと思う次第であります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/174
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175・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、トイレへ行くときに、自分では行けないんだけれども、看護婦さんが足りないし、来てくれないからというので非常に無理をしてトイレへ歩いて行った、その無理がある程度影響して喀血をしたんだと、こういうふうに考えられるんではないんですか。そこら辺の調べはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/175
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176・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 患者の症状によりまして、たとえば安静度一度というような患者ですと、これは食事から排便まで全部ベッドの上でやらせまして、そして全部看護婦がその世話をすることになります。安静度二度というような患者になりますと、その症状によって、大便だけは、これは本人の希望等もしばしばございますので、そういう意味で、大便だけは本人に一日一回程度でございますので自分でやらせる、あとはある程度めんどうを見る。三度以下になりますと、大体自分で用便等をさせるのが原則でございます。そういうような意味で、この患者が非常に無理をして便所へ行ったということではないと存じております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/176
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177・稲葉誠一
○稲葉誠一君 手術をして、これは別の人ですけれども、酸素吸入を受けていたというんですね。受けていたと。そうしたら、友だちがお見舞いに来たわけですね。見てみたら酸素が入っていなかったというんですね。それで、あわててお医者さんを呼んだというんですけれども、間に合わなくて患者がなくなったと。これは西三病棟の山中という人ですがね。こういうふうな事件が同じ療養所で起きているようなんですが、こういうことについては調べはある程度ついていますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/177
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178・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) そのような新聞記事等もございましたので、施設側に照会しまして調査いたしましたが、重症病棟には酸素は全部中央配管になっておりまして、中央に酸素ボンベがございまして、それが各病室に配管されております。したがって、これは通常なくなるというようなことはほとんどございません。そういう重症病棟でなくて、酸素吸入が急に必要になる場合に、ボンベを病室に持ち運んで行なう場合がございます。そのような場合に、中の最後のところの酸素の気圧のはかりようで、まだ大丈夫だと思っていたのが切れてしまったという事例はございます。しかし、酸素が切れたために死亡したという直接的な因果関係に結びつくような例は最近はなかったという施設側の調査でございました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/178
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179・稲葉誠一
○稲葉誠一君 酸素吸入を受けるときには、これは非常に重症なわけで、急を要することでやっているわけですから、だれか立ち会っているんじゃないですか。看護婦さんが立ち会えない場合には、付き添いの人とかが立ち会っていないとあぶないんではないですか。それはどういうふうになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/179
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180・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 酸素吸入というものは、非常に少量の酸素を持続的に長時間吸入させますので、その間全部看護婦が立ち会うというようなことは通常ございません。ときどき見回って病態と酸素の状況等も見て回るという程度で、常時の立ち会いはいたさないのがむしろ普通でござ
います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/180
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181・稲葉誠一
○稲葉誠一君 これは長い間やっているので、初めから終わりまで看護婦さんが立ち会っているということも事実上無理なことはわかるのですが、私どもの体験したときでも、必ず家族の者とか付添人がそこにいて、酸素を見ていてくれといって頼まれるんじゃないんですか。それでなかったら、酸素が切れちゃったら困るんじゃないですか。この場合などでも、酸素吸入措置を受けておったら酸素がなかったというんですね。あわててお医者さんを呼んだんけれども、間もなく亡くなっちゃったと、こういうんですが、あるいはそれがいわゆる通俗的なしろうとの判断であって——これはぼくは新聞記事だけでは正確を期せませんから、療養所の人にもいろいろ聞いてみたんですけれども、名前もわかったのですが、どうも事実はそうらしいんですがね。どういうことから酸素が入っていないようになってしまったのか、この点はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/181
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182・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) まず前段の説明から申し上げますが、結核の患者で酸素吸入をするというような場合、手術後の酸素吸入の場合は別でございますが、通常は、非常に重態で、もういわゆる末期の状態に酸素吸入等をやりまして、そうして生命をできるだけ延長し、家族等の面会に間に合わせるとかというようないろいろな事態が起こっているのが普通でございまして、そういう意味で、酸素吸入をしているというような場合にはしばしばもう末期でございますので、家族等も呼び寄せて、そうして家族に付き添ってもらうというような事態があることは事実であろうと思います。しかし、その際に、酸素が切れていて死亡したというお話でございますが、酸素が切れたことが直接的にすぐ死亡に結びついたものであるのか、あるいは、酸素が切れたということがなくてももうすでに末期であったのか、そこら辺の見当は、詳細には面接にみた医師でないとわかりかねますが、酸素が切れたということ自体は看護上の手落ちだろうと思います。しかし、それがほんとうに死因と直接的な結びつきがあったかどうかということについては、これはなかなか困難な判断を要する問題であろうと存じます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/182
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183・藤原道子
○藤原道子君 関連。ちょっと、医務局長の答弁をさっきから聞いていると、人ごとのような答弁なんですね。私は納得できません。それだけ死期が近づいている患者ならば、必要だから酸素吸入しているのでしょう。死期が近づいている患者に酸素吸入する場合に、看護婦もお医者さんも酸素が切れているのを知らなくて、それで見舞いに来た人が発見して大騒ぎになった、そんな不手ぎわは許されませんよ。何のために入院しているのか。何のために厚生省は命を守る立場の行政をやっていらっしゃるのか。政府の低医療費政策で看護婦が足りないんです。
もう一つ伺いたいのは、さっき、稲葉委員の質問に対して、正看、准看の規定はございません、こういう御答弁でございますが、いつからそういうふうに改正になったのですか。最初は五・三・二の比率でやっていたはずです。それからその後、正看が足りなくなって、四・四・二ですか、こういう規定に変えられたと聞いているのですが、それがいつからその制限を撤廃したのか。医療法で、正看のやる業務と准看のやる業務はそれぞれ差がついているじゃありませんか、准看がやってならない規定があるじゃないですか。それはいつ改正になったのですか、それもあわせてこの際伺いたい。率直に認めなければいけませんよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/183
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184・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 最初の御質問の、重症で死期も近づいているような患者に長時間であるがゆえに看護婦が付き添えないというのはおかしいじゃないかということ、ごもっともでございますが、要するに、相当長時間酸素吸入をするというような場合になりますと、それはすぐに症状が急変するというような状態が考えられない、まだかなりの余裕のあるような場合と、非常に切迫した状況と両方あるとする場合に、切迫したという状況におきましては、当然これはもう医師並びに看護婦が非常に濃厚なみとりをやらなければならないと思います。それは、そういう意味で、同じ酸素吸入をしている場合でも、端的に申しまして初期的な段階と後期的な段階とではそれぞれの扱いは違うという意味で、常時必ずしもついていないと申し上げたわけでございまして、当然末期的な段階では医師、看護婦が濃厚なみとりをしてやらなければならぬということは起こることと存じます。
第二段の、看護婦の内訳につきまして正看と准看の差はないということを申し上げましたが、これはいわゆる医療法の定数としては正看、准看の区別をしていないということを申し上げたのでございまして、保険の診療報酬の支払いという段階になりますと、診療報酬の支払いをする保険局の立場では、看護婦の内容を普通の場合は四・四・二でやるとかあるいは五・三・二でやるようなきめがございまして、看護婦の需給状態によってまたそれを逐次改めながら実施いたしております。そういう意味で、実際の運用上は、ただいまお話がありましたように、当初は、四・四・二という行き方をして、甲看を四、准看を四、看護助手を二というきめをいたしたこともございますし、また、甲表、乙表でもその扱いが保険の診療費の支払いの根拠としての指導方針はそれぞれあるわけでございます。そして、ときによってまた最近も逐次実情に合わせて変更を認めているというのが実情でございます。
〔理事木島義夫君退席、委員長着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/184
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185・藤原道子
○藤原道子君 だから、正看と准看との業務内容の規定があるでしょう。それは、もし正看が足りないから准看をふやしたとすれば、正看がやるべき業務を准看がかわってやっているわけでしょう。やらざるを得ないじゃありませんか、准看がふえているから。ということになると、その改正はできているんですかということを伺っているんです。業務内容の、やってはならぬというのがあるんですよ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/185
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186・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 甲看と准看とでは業務内容が違っておりまして、准看護婦は看護婦の指示を受けて業務に従事することになります。したがって、看護婦十名といいましても、准看だけが十名でチームをつくって看護することは、これはできないわけでございます。ただし、ある数の甲看あるいは正看というものが指導者になって准看に協力させながらチームをつくって看護をやっておるわけでございまして、これが甲看が何名なければいかぬ、准看が何名以下でなければならぬという厳密な区別は事実上なかなか困難でございます。といいますのは、なるほど甲看が比率として多ければいい看護ができることは確かでございますが、事実上看護婦と准看護婦の間の業務の内容というのはオーバーラップがございますので、そこで、さい然と全く甲看だけがやれることと、あるいは准看では絶対にしてはならぬことはございますが、甲看が准看の業務をやるというようなことは当然できることでございますので、その業務の配分というようなことは、甲看、准看の比率によってそれぞれチームとしてその主任看護婦が適切に配分し指導していくということになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/186
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187・藤原道子
○藤原道子君 私は納得できないんですけれども、実はほかの会合がございますので、この問題についてはあらためて私からも伺わせていただきます。稲葉先生たいへん失礼いたしました。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/187
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188・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの、酸素吸入措置を受けているのに、友だちが行ってみたら酸素が入っていなかった、そういう事実が一体あったのかないのかですね。そのことと、死に至る因果関係、これがあったかなかったかということは別個の問題ですが、酸素吸入なんかするときには、看護婦さんがいなければ、必ずだれかが立ち会ってやらせるというような形をとっているんじゃないですか。ぼくが事実を確かめた程度では、友だちがお見舞いに行ったら酸素が入っていなかった、だからあわててお医者さんを呼んだんだが、間もなく亡くなったんだ、こう聞いているわけですね。あなた方の調べたところでは、いずれにしても、酸素がなくなっていた、そこへ友だちが来てそれを発見した、こういう事実が一体あるのかないのかです一ね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/188
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189・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) そういう事実はあったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/189
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190・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、酸素は一体どの程度なら時間が——一つのボンベというか、との程度時間をもつかということはわかっているわけですね。ですから、何時から何時までと大体わかっているわけでしょう。大体その終わりごろはいつだかということがわかっておるわけですから、その時間の前には見回るとかいろいろな方法があると思うんですが——ばくはお医者さんとか看護婦さんの責任とか何とかを追及するという意味では決してないわけです。むしろ日本の医療制度が看護婦なり入院患者の犠牲の上に成り立っているというところに問題があるんで、厚生行政全体の問題だというとらえ方でやっておるわけですから、誤解をされるといけませんが、この場合は、あれですか、酸素の何か故障でもしたんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/190
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191・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) お話のありました点については、単なる故障でなしに、酸素自体の欠乏であったようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/191
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192・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その欠乏という意味は、どういう意味なのか。一つのボンベでしょう、あれが全部一終わっちゃったんですか。終わりになっちゃったから欠乏したという意味なんですか。酸素を吸入させておけば、ぼくも家族のときに立ち会ったことがありますが、ビニールか何かの中へ入っておって、酸素が漏れないようにして普通やるわけでしょう。必ずしもそうでないですか。いずれにしても、大体時間があって、その間に回って来て、それが欠乏してしまったということがわからなければならないんじゃないかと思うんですがね。どこかに問題点が伏在しているのではないかというふうに思うんですがね。個人だれだれの責任を追及するという意味じゃないのですが、どこかに問題点があるのじゃないんですか。やはり看護婦さんが足りないということが根本的な問題になっているのじゃないですかね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/192
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193・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 先ほど申し上げましたように、多くの療養所では、中央配管をとっておりますと、薬局の薬剤師が、現在中央のボンベでどのくらいの気圧の酸素があるということを常時監視いたしております。したがって、そのような個々の事例で酸素の欠乏を気づかないという事例はないのでございますが、そのような酸素の中央配管というものが全室に行き渡っておりませんので、先ほど申しましたように、配管設備のないところで酸素を使う場合には、ボンベを持ち運ぶわけでございます。したがって、その場合に、当然、酸素のボンベの気圧を見まして、どの程度もつということを予想していくわけでございます。もしも非常に少なければ、酸素ボンベを取りかえていくということになるわけでございますが、おそらく、ある程度どのくらいの時かやってどのときに切れたということは、私ははっきりおぼえておりませんが、ある程度の期間もつという想定でいっても予想外に早く切れたか、あるいは見回りがおくれたか、いずれにしろ不注意があったことは間違いないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/193
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194・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ほかにいろいろ聞きたいことがありますけれども、時間の関係もありますから、要点だけにしますけれども、いま、輸血ですね、手術の場合に輸血しなければならない。そうすると、そのときには、あれですか、輸血の血液が足りないからというので、手術する患者に何CCを集めて来い、こういうことを療養所では命令しているのですか。命令というとことばは悪いのですが、要求しているのですか、患者自身に集めて来いといって。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/194
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195・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 通常、患者自身に血液を集めて来いというようなことは、言い得るものではありませんし、患者ができるわけがありません。しかし、家族、親戚、知人等からある程度血液をひとつ供出いただきたいということは、現在、習慣的にしばしば行なわれていることでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/195
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196・稲葉誠一
○稲葉誠一君 手術するときに、本人に対して、血液を集めて来てくれ、どんな血液でもいいと言うんですね、血液型は。どんな血液でもいいから三千CCから五千CCくらい集めて来てくれ、これをバンクに届けてくれと言うんですね。それがないというと手術してくれないわけでもないでしょうけれども、病人としてはそう考えるわけですね。そうすると、身寄りがある人はいいわけですけれども、非常に気の毒な状況などで、ことに療養所へ入っている人は長い人があるから、女の人などは離婚問題などが起きているとかで単身になっている人なんかあるわけですね。そういう人がとほうにくれているんですね。どうしていいんだろうか、手術もできないんじゃないかということで泣いている人があるわけです。現実にぼくは名前もわかっておりますが、あるんですよ。四月二十七日に手術した人ですが、非常に困っているんですね。一体、厚生省としては、輸血の場合の血液は、今後どういうふうな方向で充足するということになっているわけなんですか。本人なら本人の家族に、おまえさんは自分のことだから見つけて来なさい、見つけて来なかったらやらない、こういう形なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/196
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197・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 輸血の血液問題は、直接的には薬務局で扱っている仕事でございますが、御承知のように、一昨年来、輸血による血清肝炎等の事故が非常に多発いたしまして、そういうような状況から、手術した、輸血はやったはいいけれども、肝炎を起こして致命的な状態になるというようなことがございまして、輸血制度を全面的に改善しようということから、いわゆる買う血、買血をできるだけ制限いたしまして、これを献血に切りかえようという方針をとったわけでございます。そのために、買血を押えて献血を奨励するという段階にギャップがございまして、買血はどんどん減少した、献血はそれほど伸びないという時期がございましたために、現在でもまだそういうギャップがございますが、そのために、全般的に血液不足という事態が起こってまいりまして、そのために、直接的に一次的に血液を集めております日赤の血液銀行等に対しましてできるだけ献血者のお世話をするということが血液の供給を円滑化するゆえんでもございまするので、そういう意味で、血液を実際に使う患者に、ある程度の献血を日赤のほうにやっていただく。そうすれば、ただいまお話がありましたように、違った型の血液を献血いたしましても、プールされまするので、患者の手術に患者に合った血液を日赤から供給を受けるということになるわけであります。そういう意味で、使うほうの患者さんに一番切実でございますので協力をお願いしておるというのが事実でございまして、これがなければ手術をしないとか血液を使わせないということでございません。したがって、身寄りがなければ、それは当然通常の血液銀行なり日赤から手配を受けて手術をするということでございます。ただそういうような全体の需給が困難でございますので、とかくそういう需給の円滑を欠くという事態があって迷惑をかけておる事実があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/197
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198・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、身寄りがないから、自分で三千CCなり幾ら見つけていらっしゃいと言われても、見つけて来られないから手術してくれないということでは、これは大きな人権問題ですから、いかに何でもそんなことはあり得ないと、こう思いますが、日赤の献血を療養所では買うことができるわけでしょう。ところが、日赤の献血というのは、これは医務局の管轄でないといまお聞きしたのですが、現実にはどの程度あって、将来どういうふうな方向でふえていって、療養所の患者の手術に——療養所の患者だけではないですけれども、間に合うような形で、日赤の献血というものを、何といいますか、充足をしていくというか、その計画というものは当然あるわけでしょう。日赤の献血だけで全部やっていこうということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/198
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199・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) できるだけ献血で間に合わせよう、基本的には献血だけでやっていこうという考え方で推進しております。しかし、現在の献血だけでは、現在三〇%、四〇%程度にしかあがっておりません。したがって、預血というような形をとりまして、事実上従来のいわゆる買血に非常に近いような形で血液の収集もやっております。しかし、純粋な買血というものは最近は非常に減ってまいりまして、ことに最大のメーカー——メーカと申しますか、供給者、こういう会社も最近買血を中止したのでありまして、したがって、現在は純粋の買血というものはほとんどなくなってまいっております。しかし、十分な供給が、全く自由な供給ができるかというと、現在まだかなりの不自由があります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/199
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200・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは薬務局の管轄だというふうに承りましたのであれですけれども、日赤の献血というのがほかへ国外へ流れて行くのですか。たとえばベトナムヘだいぶ行ったという話がありましたね。これは薬務局の管轄で、きょうは薬務局長は来ておりませんからあれですが、日本の病院の中で足りなくて患者の人が困っておるのに、それがベトナムのどこへ行くのか知りませんが、相当行っておるという話があるわけですね。これは具体的にどういうふうになっておるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/200
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201・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) いま私きわめて正確には存じておりません。しかし、これは、いわゆる血液関係の製剤をやっております業者が、生血ですと大体二週間程度の保存期間がありまして、その保存期間が過ぎますと廃棄しなければなりません。そこで、それを加工いたしまして、いわゆる乾燥血漿というような形で加工いたしました——廃棄すべき、生血としての使用はできないものを加工いたしましたものが海外に出ておるというのが事実のようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/201
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202・稲葉誠一
○稲葉誠一君 加工したものでは輸血はできないわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/202
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203・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 加工したものを、たとえば軍隊等では、ある程度の乾燥血漿を使うことがございます。しかし、通常の場合は、生血と乾燥血漿では成分が違いますので、生血いわゆる保存血が一番有効なわけでございますから、通常保存血が間に合えばそれで間に合わせるのが実態でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/203
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204・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いまの血液の問題で、厚生省のほうでは、本人なり本人の家族に見つけて来るように療養所のほうで言ったとしても、これは無理にそういうふうに言っているわけではないと、それから単身の人で身寄りのない人にそういうようなことを決して要求するわけではないというのは、筋はそうなんですが、あたりまえなんですけれども、言われた患者の人から見てみると、とてもそう客観的にものごとを見られないわけですね。特に神経も高ぶっているわけですし。神経が高ぶっているというとことばが悪いですけれども、考えがちです。ですから、私どもの聞いた範囲でも、気管支痩というのはどういう病気ですか知りませんけれども、前に手術をしてもらったことがあるけれども、今度また大きな手術をやらなければならない。ところが、血を集めなければならない。集めろと言われたわけですね。とても血液が集まらないといって困っている人がいるんですよ。なるほど、その場合に、無理に本人なり何なりからというふうな形で言っているのではないとしても、受けるほうではそういうふうにはとってないし、末端に行くと、どうもそこのところはお医者さんも忙しいからくわしく説明しないのかもわからんけれども、患者の人たちにはそういうふうにとれないで、非常に困っている人もあるわけですね。手術できないのじゃないかといって。こういう点が現実にあるわけです。これは決してオーバーではないように私は聞きますから、こういう点は十分厚生省から各施設に対してそういう意味を理解するようにお骨折りをお願いしたい、こういうふうに考えます。この点はどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/204
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205・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) こういう問題は、患者と医師の立場といいますか、その関係で、どうしても患者が弱い側に立つ、強いことは言えないというようなことは当然あり得る事実でございまして、それがやはり個人的に気の弱い方とかということになりますと、非常に強く感ずることと思います。このような点ももちろん考慮いたしまして、最近の血液不足の問題でいろいろ苦情なりトラブルが起こっておりますので、今般の所長会議等で血液問題全般を通じまして所長並びに薬剤課長に注意を与えておるのが実情でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/205
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206・稲葉誠一
○稲葉誠一君 輸血の場合に、針を刺すのは、医師でなくてはいけないのですか。あるいは、正看の看護婦さんならやれるのですか。そこはどういうふうになっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/206
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207・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 注射というものが医療行為であるか、あるいは医療行為の介助であるかというような点で、いろいろ問題になります。医療行為であれば、これは医師でなければできないわけでございますが、看護婦は医療の介助をすることができるという建前になっております。通常、注射というものは、これは医療行為である、したがって、医師のやるべき仕事であるというふうに考えております。しかし、現実には、たとえば皮下注射等の場合は、非常に技術も簡単でございますし、それによる危害等も通常ないということから、皮下注射等についてはおおむね指示を与えて看護婦にやらせる。これは、したがって、診療の介助というような建前で、あるいは医師の手足のかわりに使っていくという考え方でやらしております。しかし、特殊な静脈注射であるとか、輸血ということになりますと、これは万一の間違いが起こった場合に重大な問題になりますので、医師が行なうべきものだというふうに考えております。近年、いわゆる医療従事者といいますものの中に、医師、歯科医師、本来の医療の担当者のほかに、看護婦、あるいは衛生検査技師、あるいはエックス線技師、あるいは学理療法士、あるいは作業療法士、あるいは歯科衛生士、歯科技工士——昔は医師、歯科医師自身が行なっておりました分野を、それぞれ医療専門技術者にまかしておくというふうに進んできておるのが医療の世界における現実でございまして、だんだんそういうふうな軽易な医療行為は医療補助者にやらせていくという実情にございまして、現実の姿としましては、静脈注射、あるいは場合によっては医師の監督下に輸血の問題も、看護婦が一部分担をするというような事態が起こっておるのが、現実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/207
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208・稲葉誠一
○稲葉誠一君 医師の監督下にやるのが筋なんだけれども、お医者さんも忙しいしというようなことで看護婦さんがやって、もし問題が起こった場合にこれは看護婦に責任をとれと言われたんでは、看護婦さんは非常に気の毒なわけなんですよね。これは医師の数も少ないし忙しいしということもあるんでしょうけれども、やはりこれは再検討していかないと、何か事件が起きたときに大きな問題になってくるんじゃないかというふうに思うんですがね。
それから寝たっきりで食事ができない、体の動かせないような患者の方がいるわけですね。ぼくらよく療養所に行って見るわけですが、こういう人の食事なんかはどういうようにするんですか。動けないんですよ。体が動かせないので。だから、手鏡を使って食事をしているというんですがね。これはどういうのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/208
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209・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 全く重症で、自分ではどうにも食事ができないという者については、当然看護婦が介助して食事をさせます。しかし、ある程度のことができると、十分ではないけれどもある程度できるというような場合に、できるだけみずからの手で自分の身のまわりをまかなうというような習慣をつけさせるということも非常に大事なことでございまして、特に長期の療養の患者でございますと、何年あるいは十何年というふうに長い療養生活をやっている人もございます。そういう人たちがすべてを看護者にやってもらうというようなことが、かえって精神的な問題で悪影響がございます。いわゆるホスピタリスムスということばで呼んでおりますが、そういう精神的な悪影響もございますので、できるだけ生活に積極性を持たせるという意味から、ある程度能力のある人たちはできるだけくふうしてみずからの身のまわりをやるというふうにしつけ、あるいはそういう指示をしておるわけでございます。そういう意味で、一部の患者で手鏡を使ってまで、自分ではよく見えないわけで、手鏡を使って見ながら食事をさせるという指示を与えておる者もございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/209
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210・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、看護婦さんが食事の場合に介助しなければならないという人とそうでない人との限界はどこにあるわけなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/210
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211・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) これは、その能力、まあ残存能力と言ってはちょっとおかしいですが、残っておる能力である程度のくふうをすればできるという場合には、できるだけそういうふうにさせて、どうしても不可能な場合はこれは看護婦が全面的に介助しなければならぬということで、個々の例によって判断せざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/211
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212・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ところが、体の動かせない患者で、必然看護婦さんが介助しなければならないと、こういうふうな人まで手鏡を使ってやっている。もちろん、何でもかんでも人にたよるという行き方がいいか悪いか、これは非常に議論のあるところですから、それは私もよくわかりますが、患者のほうとしては、当然ある程度看護婦さんがそこで介抱してくれるというか、やってくれたほうが気丈夫でもあると思うんですが、そういうふうな者に看護婦さんが非常に足りないために、十分にそれが起き上がれないでやっておる。こういうのも相当あるように聞くわけなんです。
そこで、前に戻りますと、医療法では看護婦さん何人という形できまっていて、正看と准看と何人何人という割合のきめ方はないというふうに承ったんですけれども、あるたとえば県なら県では、あれじゃないですか、正看の数が非常に基準から不足しておって、不足している分を、准看が非常に多くなってきたので、推看で補っておる、こういうことを医務課あたりで言っているところもありますが、正看が非常に足りなくなってきたから、それを准看で補っておる、人数的にね、そういう傾向はあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/212
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213・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 先ほどもちょっと言及しましたが、いわゆる准看という制度がなかった時代には、甲看いわゆる看護婦でまかなっておった時代もございます。准看が非常な勢いでふえてまいりましたために、比率が刻々と変わってまいるわけでございます。したがって、現在でも、同じ国立の施設でも、国立病院は正看の占める割合が非常に多うございます。国立療養所では准看の占める割合が多くなっております。しかし、いずれにいたしましても、看護というものは、看護単位を一つのチームを編成して、チームで看護をいたすことになりますので、必ずそのチームの主任の看護婦あるいはその指導的な看護婦はいわゆる甲看で、その下に准看が配置されるということになるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/213
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214・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうして、その看護婦の人を減らして、それを重度心身障害児のほうに向けているのですか。そういう方法もとっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/214
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215・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 本年度から国立の療養所に重度心身障害児の収容施設を併置させようということで、十一カ所現在予定しております。これは来年の一月ごろから正式に業務を発足する予定でございまして、このためにいま設計を終わって建築を始めているところでございまして、このためには従来の療養所の職員と別個の定員を新たに配置する予定で現在計画をいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/215
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216・稲葉誠一
○稲葉誠一君 別個の定員であることは間違いないんですけれども、結核療養所の定員というものを百七十名ぐらいここ一、二年で減らしたわけですか。その人たちが大体こっちに回ることになるんですか。そうじゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/216
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217・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ここ数年来、結核療養所の患者が逐年減少しておりまして、それに見合いまして年々百数十名程度ですか、毎年々々定員の減をはかっております。その定員の減は定員の減として、結核の部門では定員の減、重症心身障害児の場合には新たに定員の増があるということになっております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/217
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218・稲葉誠一
○稲葉誠一君 結核患者が減ったからといって、看護婦さんを減らさなければならないというのはどうなんですかね。現実に何でもかんでも看護婦さんに頼っていけという行き方はぼくもそれは考えなければならないと思うんですけれども、現実問題として、手術したあとで看護婦さんが一回来てくれるよりは二回来てくれたほうが気強いですし、ことに精神的な問題でもあるし、いま言ったような重症の患者が手鏡で食事をしているとか、ブザーを鳴らしてもなかなか忙しいからすぐ来てくれなかったとか、いろいろあるわけですね。そういう関係があるわけですから、結核患者が減ったからといって、直ちに看護婦さんを減らすという行き方は、これはちょっとおかしいというように思うんですが、あれですか、いま言った医療法にある基準というものは、これは日本の基準は世界的に見てどういう状態にあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/218
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219・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 世界的に見まして、法律あるいは規則でこのような基準を定めるということは、各国にあまりないように存じております。しかし、現実には各国の統計をとってみますといろいろ国際比較ができるわけでございますが、日本の場合は世界的に見まして看護婦の数という点では大体中ぐらいでございまして、日本よりもいわゆる西欧の先進国でも看護婦の数が非常に少ないところ、また、けた違いに多いところもございます。しかし、その場合に、看護婦というものの定義が各国でそれぞれ若干違っております。日本の場合は、いわゆる正看、准看を言っておりますし、このほかにいわゆる看護助手と称しまして、実際に看護婦でなくてもいいような仕事がかなりあるわけでございますが、そういう看護助手というものも現実に使っております。世界の各国で統計をとります場合に、どこまで入れているかということは必ずしも明確でございません。したがって、純粋の意味の国際比較はいたしかねますが、まあ大体世界的に見てほぼ中くらいのところであろうと私ども考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/219
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220・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それは、資本主義国の比較でしょう。おもに資本主義国の比較ですわね。ですから、対外的な比較というのは、いま言ったようななかなか基準のとり方がむずかしいし、その国の歴史とかいろんな事情があるから言えないわけですけれども、社会主義国の療養所というか、そういうものと比べると、日本の医療制度というものが非常に落ちているということは、社会保障全体が落ちているわけですから、ことに医療制度の問題もいま言ったような点では落ちていると、こういうふうにぼくはまあ中国なり朝鮮を見た程度ですけれども感ずるんですけれども、それはまたあとの問題で、別の問題にしますが、いま言った重症心身障害児の問題で、これを結核療養所となぜ併設するのですか。どうして新設をしようとしないわけなんですか。結核療養所の患者がある程度減ったということで、そっちのほうを犠牲にして、今度は、何といいますか、一部をそっちへさくわけでしょう。そういう形をとっているわけですね、コロニーは別として。なぜ新しくつくろうとしないわけですか、重症心身障害児の施設を。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/220
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221・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 御承知のことと思いますけれども、重度心身障害児の施設は、現在、民間あるいは公立で数カ所できております。ところが、この要員が集まりにくくて、運営に非常に支障を来たしております。もちろん、専門の医師というようなものもなかなか得ることは困難でございます。もちろん、熟練した看護婦も非常に得ることが困難でございます。そういうことで、やはり何とかある程度大きなバックを持ったところでやってやったほうが何かにつけて便利であるということで、国立療養所ということが一つ考えられたわけでございますし、また、国立療養所は、御承知のように、大部分の施設が比較的へんぴな土地にございますために、非常に余裕の土地を持っております。したがって、新たに設置するためには土地を選定あるいは購入したりするという困難がなく、比較的スムーズにいく、しかも場合によっては医師その他の基幹の職員については兼務その他によっても補うことができるということで、国立の施設に併置するほうがあとの運営に対してある程度の保証が得られるということが国立を選定された大きな原因でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/221
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222・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この場合には、何ベットを何人の職員でやれと、こういうような一応の基準はできているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/222
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223・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 重症心身障害児の施設につきましては、大体四十ベッドをいま単位にいたしまして、それに職員数を三十名を基本にいたしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/223
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224・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ぼくの聞いたのと非常に違うのですがね。まあぼくの調べたのが間違いかもわかりませんけれども、たとえば栃木県の足利の療養所、あすこで今度重症心身障害児の施設ができるわけですね。八十ベッドを十八人の職員でやれと こういうようなことを言われているというんですよ。これは間違いですか。間違いならば間違いのほうがいいわけですけれども、どういうふうになっておりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/224
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225・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 四十ベッドについて三十人を基準に考えるということを申したわけでございまして、平常的な運営の始まるまでにはそこまで持っていきたいということでございますが、今年度設置いたしますものは、いま設計を完了して建築を始めております。そして一月を開設目標にいたしておりますけれども、直ちにたとえば四十名という患者をその日から入れるということは、これは事実上不可能でございます。といいますのは、こういう施設でございますので、職員がある程度訓練され、なれてこなければとても扱えるわけではございませんので、初めはごく少数入れて、そしてある程度訓練しながらなれさして、そしてむしろ明年度初めころに正規の定員である四十名なら四十名というものにまでこぎつけたい、その間は漸増という形でいきたいということで、実際問題としては、患者の数は初め五名なり六名なり入れていって、だんだんなれていって患者を増していくというつもりで、半数の職員をいま定員化しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/225
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226・稲葉誠一
○稲葉誠一君 一つの例で、いまの足利の療養所につくるものは、職員何人で始まる予定なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/226
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227・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 一応新規の定員としては三十六人をいま予定いたしております。ただし、私ども、いま申しましたように、初めはごくわずかの患者を入れて訓練していくつもりでございますが、状況によりまして相当急速に患者を入れなければならぬというような事態が起こる場合には、欠員というものが現在いわゆる欠員不補充ということで凍結されておりますので、そのような欠員の凍結解除というような措置をお願いしてでも臨時の措置を講じていくという心づもりで私どもはやっているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/227
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228・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ここのは、何ベッドで、あれですか、全体の建設計画というか予算なんかどういうふうになっているんですか。いま進捗状況はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/228
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229・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 重症心身障害児の施設につきましては、国立療養所に併設された分の運営費は、私どもの国立療養所の予算で計上いたしております。これは人件費その他を含めて、五千七百万円ほど計上いたしております。なお、建設費につきましては、これは児童局が全面的にこの施策の責任をとっておりますので、国の分あるいは地方自治体あるいは民間の施設がこれを設置する場合に補助金等も出しておりますので、一応建設費につきましては児童局が責任を持ち、国立の分はその分を医務局に移しかえをいたして現在建築を始めておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/229
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230・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そこで、ベッドの数はあるけれども職員が足りないというか、初めから集まらないということなんですか、こういう人たちの父兄の会がありますね。父兄の会の人を一人一人呼びつけたと言うと語弊がありますけれども、呼んで、昼夜分けてここへ来てサービスで勤務してくれと、こういうことを頼んでいるんですね。これは全国的にこういうことをやっているんですか。あるいは、そういうことをやっていないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/230
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231・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 御承知のように、秋津あるいは琵琶湖学園というようなところで看護職員がどうしても集まらないというので、秋田から若い娘さんたちが集団で来て手伝っていただいたような例もございますように、職員を集めることは非常に困難でございます。そういう意味で、万一職員の募集その他が非常に困難する場合に、ある程度父母の会というような方々にひとつ御協力いただきたいというようなお話を申し上げていることは事実でございます。しかし、職員の不足分を補うためにそれぞれ昼夜交代で来て働けというような言い方はいたしておるはずがないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/231
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232・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうですがね。父兄の会とか社会福祉協議会の人に、来て手伝ってもらいたいということで、何か一人一人当たっているようです。あんたいつ来られる、いつ来られると言って、昼と夜と分けて、一日三名くらい来てくれということをやっているんじゃないですか。足利の実情をよく調べてくれませんか。あるいは私の聞いているのは間違いかもわかりませんがね。ぼくらはそういうふうに聞いているんですが、そうすると、初めからもう職員が集まらないという前提で、そういう父兄とか社会福祉協議会の人たちを呼んで、やってくれという行き方は、これは非常に注意深く先を見越してやっているのかもしれませんけれども、少し本末転倒している、こう思うんですがね。それで、あれですか、こういうときには、職員を集めるための当然努力はしているわけなんでしょう。それから見ても、あれじゃないですかね、こういう人たちにも助けてもらう、手の足りないところをやってもらうということを前提にやっているというのは、筋がおかしいと思うのですがね。実情をよく調べてくれませんかね。私が聞いたのはそういうふうに聞いていますが、多少あるいはオーバーに聞いているかもわかりませんからね。
それから、この建設計画が明らかにされておらないというので、父母の会の人たちは、何ができるんだろう、どの程度のものができるんだろうといって、非常に困っているわけなんですね。ですから、この点なんかも、明らかに父母の会の人たちに、手伝ってくれ、手伝ってくれと言っているのに、内容はさっぱりわからないで手伝ってくれと言うから、わけがわからないと言うんですが、これなんかよく話し合ったらいいと、こう思うんですがね。
そこで、ぼくは療養所の患者の人権問題という形で取り上げてきたわけですが、最初に言った二つの例ですね、トイレに行って亡くなって三時間も発見されなかったというような例とか、酸素が切れてしまって亡くなったという例、こういう事実について、ことにあとの酸素の問題なんかについては、事実関係がまだ明らかでないから、もっと調べていただきたいと思うんですが、療養所はお医者さんの定員があるわけでしょう。それが極端に不足しているところがあるのではないですか。定員としては載っているのですね。載っているのだけれども、実際にはいないというのがあるんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/232
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233・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 療養所の医師の定員につきましては、一月一日現在で療養所の充足率が約九八%でございます。したがって、非常に充足率がいいように見えるわけでございますが、現実、個々の施設に当たってみますと、非常に充足率の悪い施設がございます。先般来国会でも問題になったことがございますが、所長が一人しかいないというような施設もございまして、八〇%以上充足しているものが七三%ございまして、逆に二七%は八割以下の充足率しかないというのが事実でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/233
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234・稲葉誠一
○稲葉誠一君 定員としては載っているんですよね。実際にはいないというのが多いんじゃないですか。たとえば足利の療養所は、定員六名でしょう。で、勤務しているのが三名しかいないというんですね。あとの三名は、失礼な話だけれども、一人の方は体が弱くて療養中だ、一人は茨城のほうへ転勤された、一人は医務課長さんが結核が再発して退職をしちゃったというんでしょう。三名しかいないでしょう。三名のうち、一名の方は女の方で、結核の回復者なんですね。そういう形で、半分しかいないわけなんです。だから、ここの患者たちは非常に不安を持っているわけですね。だから、外科手術なんか率直の話——とてもこんなことを言うのはあれですけれども、ことばを濁しますけれども、不安がっているわけですね。外科医をくれくれということを盛んに言っているわけですね。ここじゃ手術ができないということなんですね。だから、患者がここに入りたがらないということができてくるんじゃないですか。こんな例はほかにたくさんあるんですか、半分しかいないというところが。外科医がいないとうことと。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/234
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235・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) 御承知のように、だんだん結核療養所が患者が減ってまいっております。非常に急速に患者が減ってまいりましたために、結核医療というものに対する魅力といいますかあるいは将来性というものを見越して新たに結核をやろうという医師が非常に少なくなってきておることは確かでございます。そのために、療養所の医師の定数も逐次充足率が悪くなりつつあるというのもまた事実でございまして、現実に五〇%にも満たないというような施設が少数ではございますがあるわけでございます。まあ六〇%以下しかいないという施設が七施設もあるという事実がございまして、足利辺がちょうどその境目あたりに位置しているわけでございまして、そういう意味で、ある意味では結核療養所の機能的な再編成ということを考えなければならぬ段階でございます。たとえば高度の手術を要するような患者はできるだけ設備と職員のそろった療養所に送っていただくという形で、いわゆる基幹療養所というものを現在整備いたしておりまして、基幹療養所は、鉄筋コンクリートで高層建築で、一般の病院に決して劣らないものをすでに相当数設置いたしておりまして、将来はそういうふうな機能的な再編成をやって、すべての療養所、百ベッドの療養所も、三百ベッドの療養所も、五百ベッドの療養所も同じ機能ということではなしに、それぞれ施設の能力に応じた収容体系を整えていくということが必要であると考えるのであります。そのようにして施策を進めているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/235
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236・稲葉誠一
○稲葉誠一君 将来の施策は施策として十分考えていただかなきゃならないわけですが、現実にここでは六名のうち三名しか勤務しておられない、こういうことなんです。何かあった場合に外科手術はそこでできるということでやはり安心して入っていられるわけですよね。それが、外科のお医者さんがいないということになってくると、いるのかもわかりませんけれども、実際落ち着いて入っていられないわけですよね。こういうやっぱり精神的な不安というものがこういう結核患者には特に悪いわけですから、なくさなければいけないと思うんです。そこで、この療養所に対して、たとえば患者が外科医をよこしてくれ、こう言っているわけですから、それについてどういうふうな手当てを厚生省としてされたのか、これを承らしていただきたい、こう思んですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/236
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237・若松栄一
○政府委員(若松栄一君) ちょっと関連いたしますが、先ほど申しましたように、療養所の機能的再編成ということを考えなければならぬ。特に結核療養所における外科手術というものは、いわゆる救急的な外科手術ではございませんで、前から十分な検査をして、手術するかしないかということを非常に慎重にきめて手術をするものでございます。したがって、その施設で手術ができなければ、ほかの施設に移して手術をするということは当然可能なことでございまして、そういう方法も、むしろ将来はそういう方向に行くべきものと考えているわけでございます。
なお、足利療養所の場合は外科医が欠けておりまして、外科医を何とか補充しようということで努力をいたしておりますけれども、結核の外科医それ自体がだんだん少なくなってきております。したがって、新たに結核の外科医というものがほとんど出てまいりません。そういう意味で、むしろそういう結核の外科の専門家というものは基幹的な療養所にだんだん集まってくる、集めておかざるを得ないという事態が出てまいっております。そういう意味で、足利に専門の外科医を求めてもなかなか困難であるというのが実情でございまして、たとえば基幹療養所である東京療養所から派遣するかというような話もございますけれども、大きな手術になりますと、一人ではなかなかむずかしい。そうなりますと、やっぱり一人をそこに無理して派遣するよりも、むしろ適切な療養所に移してやるほうがいいということから、なかなか補充、充足がつかないのが現状でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/237
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238・稲葉誠一
○稲葉誠一君 現実に入っている患者としては、自分のところに外科医がおらない、しかもいい外科医がおらないということだと——それは急に手術になるのじゃなくて、長い間いろいろな診察をして手術になるというような状態かもわかりませんけれども、それは理屈であって、精神状態からいうと非常に不安な状態になってきて、それが病気に与える影響も大きいんではないか、こういうふうに考えるわけです。
きょう私がお聞きしたのは、お医者さんなり看護婦さんなりが足りないということなり、そういうようなことから来る、結核の患者が入院していて非常に不安な状態にある、患者の人権というものが十分に守られておらない状況が現実に医療制度の中にあらわれておると考えるので、その点について非常にきょう概括的なことですけれども聞いたわけです。厚生省当局の答弁というのは、それは厚生省側の立場というものをあらわしているのだと思いますけれども、結核がいわば斜陽というか減ってきたということで、ほかへ重点が移っている、だからというのでこの問題に対する取り組み方が足りないような印象を私は与えられるわけで、ぼくもこういう病院へよく行きますから、行って実情を調査します。その中でさらに問題点を出して、これは本来ならば厚生省関係ですから社労で聞くのが筋かもわかりませんけれども、いずれにいたしましても、社労なりあるいは個々の委員会なりでもう少し問題を掘り下げた形
で聞いていきたい、こういうふうに考えるわけです。
厚生省関係は一応これで終わりまして、法務省の人権擁護局に、これはきょうは内容を聞くのではなくて、資料として出していただきたいのは、人権擁護局が各地にありますが、そこで現在問題として取り扱われているのは具体的にどういうようなものがあるか、各地ごとにそのことについての一覧表みたいなものを出していただきたい、こういうふうに思います。これはすぐというわけにいきませんから、まあ二週間ぐらいかかるでしょうから、かかった後に資料として出していただいて、それに基づいて私は聞いてみたいと思います。同時に、非常におくれているのがあるわけですね。人権擁護局は権限を持っておりませんから、おくれるのはある程度やむを得ないのがありますが、非常におくれておるのがあります。いずれにいたしましてもそういう一覧表をぜひ出していただいて、それに基づいて聞いていきたいと思います。それから、その中で、一体人権擁護制度というものをどういうふうに改善していきたいとか、現在の人権擁護制度にどこにどういう欠陥なり何なりがあるかというふうな点についても、これはもう少し——局長さんは新しく来られたわけでしょうけれども、いずれにいたしましても、そういう点などをまとめた形でお答えを願えるように準備していただきたい、こういうふうに考えます。二週間もあればできますか。ちょっと短いですか。——各地においてどういうように取り扱っているかという大きなものです。こまかいものはいいですよ。おもなものではけっこうですから。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/238
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239・堀内恒雄
○政府委員(堀内恒雄君) ただいまの御質問の中で、各地とおっしゃるのは、全国という……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/239
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240・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ええ、日本のやつです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/240
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241・堀内恒雄
○政府委員(堀内恒雄君) それから現在の問題点とおっしゃるのは、医療関係だけでなく、取り扱っている人権擁護事件すべてですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/241
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242・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ええ。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/242
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243・堀内恒雄
○政府委員(堀内恒雄君) 大体二週間でできると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/243
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244・稲葉誠一
○稲葉誠一君 あまりこまかいのはいいですよ。たとえばここの法務局ではどういうのをおもに取り扱っているかという概括的な問題でいいと思います。それは人権擁護局だけで取り扱っている数字ですね。ところが、人権擁護委員会のほうで、局とは離れてやっているのがありますね。特殊にやっているのがあるわけです。そういうのも調べて一緒にしていただきたいと、こう思うわけです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/244
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245・和泉覚
○委員長(和泉覚君) ちょっと速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02019660524/245
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246・和泉覚
○委員長(和泉覚君) それでは速記をつけて。
本日はこれにて散会いたします。
午後二時二十分散会
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