1. 会議録本文
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000・会議録情報
昭和四十一年六月二十五日(土曜日)
午後一時四十五分開会
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委員の異動
六月二十五日
辞任 補欠選任
安井 謙君 田村 賢作君
岡村文四郎君 中村喜四郎君
鈴木 万平君 任田 新治君
鶴園 哲夫君 亀田 得治君
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出席者は左のとおり。
委員長 和泉 覚君
理 事
松野 孝一君
稲葉 誠一君
山田 徹一君
委 員
後藤 義隆君
斎藤 昇君
田村 賢作君
任田 新治君
中野 文門君
中村喜四郎君
中山 福藏君
大森 創造君
亀田 得治君
柳岡 秋夫君
野坂 参三君
国務大臣
法 務 大 臣 石井光次郎君
政府委員
法務大臣官房司
法法制調査部長 塩野 宜慶君
法務省民事局長 新谷 正夫君
最高裁判所長官代理者
最高裁判所事務
総長 岸 盛一君
最高裁判所事務
総局民事局長 菅野 啓蔵君
事務局側
常任委員会専門
員 増本 甲吉君
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本日の会議に付した案件
○仙台法務局築館出張所の支局昇格に関する請願
(第一五八号)
○戦争犯罪裁判関係者に対する補償に関する請願
(第八一六号)(第八一七号)(第八二六号)
(第八四一号)(第八四六号)(第八九五号)
(第九六〇号)(第一一五一号)(第一一九三
号)(第一八五四号)(第二〇八八号)
○福岡市所在の刑務所跡地引渡し遅滞による損害
補償に関する請願(第一四五四号)
○地方法務局の機構整備拡充に関する請願(第一
六〇三号)
○群馬県前橋市内の法務省所有地の所管替えに関
する請願(第二〇〇九号)
○印章に関する法律制定に関する請願(第二〇六
二号)(第二〇六三号)(第二六四八号)(第
二六八○号)
○鹿児島地方法務局蒲生出張所存続に関する請願
(第二一一七号)
○商法の一部を改正する法律案の一部修正に関す
る請願(第二一六三号)
○神戸拘置所尼崎支所を田近野に移転設置反対の
請願(第二二九九号)
○ベトナム中央歌舞団の日本公演のための申請中
の手続きに対する公正裁決促進に関する請願
(第二六三九号)(第二六四〇号)(第二六四
一号)(第二八一二号)(第二八一三号)(第
二八一四号)(第二八一五号)
○借地法等の一部を改正する法律案反対に関する
請願(第二六八一号)(第三一五一号)(第三
一五二号)(第三一五三号)
○借地法等の一部を改正する法律案に関する請願
(第二七七二号)
○借地法等の一部を改正する法律案(内閣提出、
衆議院送付)
○執行官法案(内閣提出、衆議院送付)
○継続審査要求に関する件
○継続調査要求に関する件
○委員派遣承認要求に関する件
〔理事山田徹一君委員長席に着く〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/0
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001・山田徹一
○理事(山田徹一君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
まず、請願第一五八号外三十三件の請願を議題といたします。
便宜、速記を中止して審議を行ないます。速記をとめて。
〔午後一時四十六分速記中止〕
〔午後二時十六分速記開始〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/1
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002・山田徹一
○理事(山田徹一君) 速記をつけて。
ただいま速記を中止して協議いたしましたとおり、
一、仙台法務局築館出張所の支局昇格に関する請願、
一、福岡市所在の刑務所跡地引渡し遅滞による損害補償に関する請願、
一、地方法務局の機構整備拡充に関する請願、
一、群馬県前橋市内の法務省所有地の所管替えに関する請願、
一、鹿児島県地方法務局蒲生出張所存続に関する請願、
一、神戸拘置所尼崎支所を田近野に移転設置反対の請願、
以上の請願は、議院の会議に付し、内閣に送付するを要するものと決定することに御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/2
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003・山田徹一
○理事(山田徹一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
なお、報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/3
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004・山田徹一
○理事(山田徹一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/4
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005・山田徹一
○理事(山田徹一君) 次に、借地法等の一部を改正する法律案及び執行官法案を便宜一括議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言願います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/5
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006・稲葉誠一
○稲葉誠一君 法務省にお尋ねするのですが、借地権の価額を算定するときに、どういうふうな事柄を参考にして算定するということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/6
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007・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 借地権の価額でございますが、これは非常にその評価がむずかしいわけでございます。その土地そのものの時価というものがもちろん重要な要素であることは、申すまでもないわけであります。そのほかに、その土地を借地して利用することによって生ずる利益、あるいは逆にそれによって生ずる不利益というふうなことも考えられます。そういったことも考慮に入れ、さらに、一般の時価あるいは借地権の価額というふうなことも考慮に入れまして、それぞれ個別的にきめられるべきものと考えております。
〔理事山田徹一君退席、理事松野孝一君着席〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/7
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008・稲葉誠一
○稲葉誠一君 具体的なことを聞かないとこれは答えにくいんで、よくわかりますが、たとえば、土地を借りて建物を建てている。そこで借地権がある。その場合に、地主との間で売買の話が持ち上がる。その場合に、普通の土地の所有権の売買の値段が坪幾らなら幾らと大体世間相場があるわけですね。そうすると、借地権の価額をどの程度に見てというふうなことは、ある程度慣習的なり何なりで——場所によるかもわかりませんけれども、きまっておるのですか。地価との関係において借地権の価額をどの程度に見るかということですね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/8
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009・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) これは、具体的に借地権の価額を算出いたします基準というふうなものがもちろん一定不動のものがあるわけではございません。いろいろの取引の実情によって、また、その場所によって、非常な差異が出てまいるわけでございます。したがいまして、参考になりますのは、現在実際取引においてどの程度に定められておるかということであろうかと思うわけでございます。理論的にこうでなければならないという理屈もないわけでございます。地価そのものを算出することがそもそもむずかしいのでありまして、借地権の価額ということになりますとなおさら困難が伴うわけでございます。しかし、大体、ある地区でどの程度に借地権の価額が定められておるかという一般的な調査と申しますか、そういうことは、それぞれの関係の方面で行なわれておるようでございます。
その一例を申し上げますと、借地権の価額は、同じ地区におきましてもいろいろと違うわけでございます。たとえば、第一級の商業地であるとか、あるいは普通の商業地であるとか、あるいは一般の住宅地であるとかいうことでこれは変わってまいるわけでございます。また、東京とか大阪のような大都市の場合、さらに地方都市によっても、これがまたかなりの差異があります。三井不動産株式会社で調べた例がございますが、これによりますと、東京、大阪等の大都市において大体どのくらいになっておるかということでございます。それから地方都市がどうなっておるかというおおよその見当でございますが、それを申し上げますと、借地権の価額は、一等商業地につきましては、東京、大阪等の大都市におきましてはさら地の価額の八五%ないし九〇%、地方都市におきましては七〇%ないし七五%ということでございます。さらに、普通の商業地におきましては、東京、大阪等の大都市におきましては八〇%ないし八五%、地方都市におきましては六五%ないし七〇%、また、一般の住宅地につきましては、大都市におきましては七〇%から七五%くらい、地方都市におきましては五〇%から六〇%くらい、これはいろいろの実際のケースにつきまして調べた結果を集計したもののようでございますが、おおよそそういうことが言えるだろうということはうかがえるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/9
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010・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、借地権の存続しているという前提ですね、それはもちろん。地主から土地を借りて建物を建てている。借地権があると。それを何らかの理由によって裁判所が中へ入って売買値段をあっせんする——あっせんと言うと語弊がありますけれども、あっせんを業としてやるわけじゃないですけれども、そういうときに、坪十万円だ、八割が借地権の価額だとなると、二万円を地主に払えばいい、そういう計算になるわけですか。これは当然だと思いますけれども、そういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/10
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011・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 今度の借地法の改正案の第九条ノ二の借地権の譲渡の場合でございますと、単純にそういった計算によってその差額だけ払うという趣旨ではございません。もちろんその差額も一つの大きな要素にはなるかもしれませんけれども、これは借り主と貸し主との間の利害の公平をはかるという趣旨でございますので、借地権が将来どの程度さらに存続していくことになるのか、あるいは地代がどの程度にきめられるのか、そういったいろいろの要素をきめて、裁判所におきまして最もこれが公平妥当であるというところをきめていただくことに考えておるわけでございます。算術計算的に土地の価額と借地権の価額の差額だけで清算するということには必ずしもならないだろうと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/11
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012・稲葉誠一
○稲葉誠一君 建物収去、土地明け渡しの訴えを起こしてそれが和解になるという場合が非常に多いわけですが、そういう場合に、建物を持っている人が土地を買うわけですね、和解の中で。そういうことがよくあるわけですが、さら地と違うのだから、さら地の値段でもって買うわけじゃもちろんないわけですが、建物が建っているのだからといって、借地権があるということを前提とするわけですが、ただ、そういうような訴えであれが起きているときは、借地権があるかないか争いになっている場合ですから、前に言った例がそのまま当てはまるのでなくて、事案が違うのであれですけれども、その場合、借地権の価額を三割くらいに裁判所がよく見るんです。それで、坪十万円だと、七万円くらいで買うようなことをよくすすめるんですがね。これは前の正式に借地権がある場合は逆ですわね。借地権がある場合には、七割くらいを借地権の価額と見て、三割くらい払えばいいということになるのだけれども、借地権の有無が争いになっている場合で訴えが起きてくると、三割くらいを借地権の価額と見て、その程度のものを引いて土地の値段をきめて土地を買ったらいいじゃないかということをすすめる場合が相当あるわけですが、これはどこに根拠があるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/12
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013・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) おそらく、そのような係争半案におきましては、賃貸借契約が解除されておるとか、あるいはそうでないという点が一つの論点になっておると思います。したがいましても裁判所といたしましても、賃貸借契約が解除されておるという前提に立っておるか、あるいはそうでないというふうに前提されているか、あるいはその点は考慮しないで、要するに和解で解決するのでございますから、当事者の話し合いでまん中をとって公平な妥当なところで話し合いをつけたらというふうな配慮をなされることもあろうと思うわけでございます。したがいまして、借地権の価額が三〇%ぐらいというふうな場合も事案によっては起きるかもしれません。しかし、そのことによりまして当然にその土地の借地権の価額が三〇%であるということではなかろうかと思うわけでございます。それぞれの事情に応じまして和解の条件としてその金額が定められるわけでございますので、一律にこうだというふうな裁判所の方針があるわけでもなかろうと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/13
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014・稲葉誠一
○稲葉誠一君 賃貸借契約が解除になったかならないか争いがあるわけですね、当然。その点ははっきりさせないで和解するわけですからね。はっきりさせたんじゃ片方が和解に応じませんから、その点はぼかすのですが、何か二割くらいが借地権の価額だというので、それを引いて、十かなら七万くらいで売買されるのが一つの慣習だというようなことをよく言うんですね。東京なんかでも高裁でよくそういうのにあうんですがね。借地権がある場合には逆だと。いまお話を聞くと、七割から八割が借地権の価額だというふうなお話のように聞こえるんですけれどもね。借地権の有無がはっきりしないようなことになってくると、三割くらいが借地権の価額で、七割くらいの価額で売るのが一種の慣習みたいなことになっているという話で、それで和解がよくすすめられるんですよね。まあそれは事案によりますから、一がいに言えないかもしれませんが、別に東京ではそういうときにそういう一つの慣習みたいなものがあるというほどのものではないんですか。借地権があるかないかはっきりしない、争いになっている場合、それは借地権がある場合の大体半分なんだ、こういうような見通しでいっているのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/14
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015・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 裁判所の運用の問題になりますので、私のほうから正確にお答えいたし一かねますけれども、先ほども申し上げましたように、双方にそれぞれの言い分があるという前提に立ちました和解でございますので、たとえば借地権の価額が七〇%くらいだというふうに見られる場合におきましても、話し合いによりましてその中をとってというふうなことを考えられる場合もあろうかと思うのでございます。裁判所の運用上、そういう慣習に基づいて一律に三〇%というふうに見ておられるのではあるまいというふうに考えます。それぞれの具体的な事案によりましてその差異は当然あり得ることと思うわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/15
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016・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、段階がいろいろあるわけですね。借地権がある場合の借地権の価額と、借地権の有無がどうもはっきりしない場合の借地権の価額、これは正式に借地権の価額と言えるかどうかわからないけれども、そこら辺のところは運用でやっている場合と、それから買取請求権を行使する場合は借地法によって二つの場合が考えられるわけですね、現行法では。その場合は、借地権の価額は法律的には全然含まない、土地の利用の、何というんですか、場所的利用の権利というのか、対価というのか、それが含まれる、こういうふうな意味にもとれるのですが、そうすると、借地法できめられておる買取請求権の場合が二つあるわけですが、その二つの場合は、借地権の評価の場合が違うのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/16
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017・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 借地法で定められております場合は、借地権が消滅する場合、あるいはまた、借地権をもって対抗できないような場合でございます。したがいまして、その建物を買い取るにつきましても、借地権の存否ということは一応理論的には除外して考えてよろしいわけでございます。したがって、最高裁判所が判決で、示しておりますように、その買取価格の中に借地権の価額は含まないと言っておりますのも、そういった法律上の根拠から、根拠と申しますか、理論上の問題からそういう結論になっておるというふうに理解しておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/17
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018・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、買取請求権を行使しておるときには、意思表示が相手方に到達したときに形成権だから効力が発生するのでしょう。そのときには借地権はなくなったんですか。観念的に言うと、なくなってから買取請求権の行使になるのですか。あるいは、まだ残っておるけれども、それは理論的にはなくなる可能性があるんだという段階での買取請求権ということになるのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/18
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019・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 借地法の四条の場合におきましては、借地権が消滅しているわけでございます。契約の更新がない場合に買取請求権が行使されるわけでございます。したがいまして、その段階におきましては借地権は消滅いたしておるわけでございます。
それから十条の買収請求権の場合におきましては、賃貸人の承諾なくして譲渡、転貸が行なわれまして、したがって、新しく賃借権を譲り受けたり転貸を受けた者から地主に対しては借地権をもって対抗できない状態にあるわけでございます。したがいまして、その者と地主との関係におきましては借地権はないというのと同じでございます。そういう前提で買取請求権が行使されるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/19
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020・稲葉誠一
○稲葉誠一君 あとの場合は、地主から契約解除があってはじめて対抗できないという問題が起きてくるのですか。借地権が消滅するのですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/20
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021・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) それは、もとの賃借人と地主の関係におきましては、無断で譲渡あるいは無断で賃貸いたしました場合に、本来の賃借人に対する関係では地主が解除権を行使できるということでございます。その賃借人からさらに転貸を受けたり賃借権の譲渡を受けた者は、その当事者の間の契約はこれは有効でありますけれども、地主との関係は何らの関係もないわけであります。したがいまして、地主は、その賃借権の譲り受け人等に対しましては、当然に不法占拠、不法占有という主張をし得るわけであります。本来の賃借人との関係じゃございませんで、純然たる第三者がその土地を使用しているのと全く同様の関係に立つわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/21
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022・稲葉誠一
○稲葉誠一君 造作の買取請求権の場合もやはり同じことですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/22
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023・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 造作の場合にも四条第二項の規定によって買取請求権を行使するわけでございます。自分が造作を取りつけた借り主が貸し主に対しましてそれを買ってくれと、こういう意思表示をした。しかも、その場合には契約の更新がない場合でございますので、先ほどの建物の場合と同じになるというふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/23
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024・稲葉誠一
○稲葉誠一君 不動産鑑定士というのは、いま全国ではどの程度の人がおるわけですか。大ざっぱでけっこうですけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/24
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025・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) いままで不動産鑑定士の試験が二度ほどございまして、毎年三百人ほど合格しておるようでございます。ただいま六百何名かであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/25
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026・稲葉誠一
○稲葉誠一君 それが、都市に——都市といっても、東京とか大阪とか、そういうところに集中しておるわけですか。各地方都市で普通の地方裁判所の所在地には、あまり不動産鑑定士というのはいないところもあるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/26
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027・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) やはり大都市に偏在しておりまして、中小都市には鑑定士の数は少ないようでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/27
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028・稲葉誠一
○稲葉誠一君 不動産鑑定士は、土地家屋調査士とかそういうものが兼ねている場合もあるわけですか、全然別なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/28
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029・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) その点はまだ調査しておりません。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/29
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030・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、不動産鑑定士は、鑑定委員会の中に、三名ですから、一名入れるとかという話もありましたけれども、今度この法案の中の鑑定委員会というものは、必ずしも不動産鑑定士の業務とは関係ないのじゃないですか。そこのところはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/30
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031・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) さようでございます。直接には関係はございません。鑑定士の知識というものが今度の事件において役に立つであろうということは言えますけれども、しかし、鑑定そのものがすぐ今度の事件の意見となるというわけではないわけでございますが、直接に関係があるということは言えないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/31
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032・稲葉誠一
○稲葉誠一君 不動産鑑定士を三名の中へ一名入れたいというのがこの前の話だったんですが、この法案での鑑定委員会というものは、不動産鑑定士の仕事としている鑑定とは性質が違うように聞こえるわけですがね。不動産鑑定士の鑑定というのは土地の時価とかいろいろのものがあるでしょうが、今度の場合に鑑定として正式に鑑定人として証人宣誓してやるような場合には必要になってくることがあると思うんですけれども、鑑定委員会で狭い意味の鑑定ではなくて広い意味の鑑定になるんだというこの前のお話でしたが、建物の時価だとか土地の時価ですね、こんなことがこの鑑定委員会の中で問題になるようなことも場合によってはあるわけですか。全然ないとは言えないかもわかりませんがね。おもにこの鑑定委員会が取り扱ういわゆる鑑定の仕事というのはどういうふうなことが多いですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/32
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033・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) ここで鑑定委員会というふうな名称が使ってございますけれども、お説のように、証拠調べにおいて行なわれます鑑定とは性質が違います。これらの借地借家事件につきまして特別の知識経験ある人、その他適当な人、そういう人たちの中からあらかじめ選任しておきまして、事案ごとに三名以上の委員を定めまして裁判所の諮問に答えるという形になっておるわけでございます。したがいまして、本来の鑑定士の行なう鑑定というものとは若干性質が違うわけでございます。厳密な意味での不動産の時価を鑑定するという必要がございますれば、その必要に応じまして証拠調べとしまして鑑定を命じて、正規の手続でその鑑定の結果を出していただくことになるわけでありますけれども、鑑定委員会と申しますのは、そういった不動産の時価のみではございませんで、その地方々々における取引の実情がどうなっておるか、あるいは慣行があるとすればどういう慣行があるかとかというふうなことで借地借家関係についてのいろいろな事情に通じた人に専門の立場から御意見を出していただく、それを参考にして裁判所が判断をする、こういう考えでございます。したがいまして、本来の意味の鑑定とか鑑定士の業務と全く同一というわけにはまいらないわけでございます。
そうは申しましても、事柄が土地の価格あるいは建物の価格等にも関係いたしてまいります問題でございますので、やはりある程度のそういった専門的知識が鑑定委員会を通じて活用できますならば裁判所も非常に裨益するわけでございますので、鑑定委員会の構成員といたしましてはただいまの鑑定士のような専門の方も入っていただいて、そういった方たちの御意見を十分に伺いながらとの裁判をしていただく、こういうふうに考えているわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/33
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034・稲葉誠一
○稲葉誠一君 鑑定委員会の実施は、これは七月一日からではないわけですか。そうすると、予算関係はどういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/34
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035・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 鑑定委員会の発足いたしますのは七月一日ではございません。この法律案の中におきまして七月一日から実施されますのは、地代、借賃の増減請求に関する規定、それから相続の特例に関する民法の規定、それから地下、空間の特定の範囲の地上権設定に関する規定、それから建物保護法に関する規定、これだけが七月一日からでございます。あとの裁判手続に関しますものは、裁判所のほうにおかれましてさらにいろいろの準備態勢も必要でございますし、そういう関係で、これは七月一日ではなくて、この法律の公布の日から起算して一年をこえない範囲内におきまして政令で定める日から施行する、こういうふうにしております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/35
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036・稲葉誠一
○稲葉誠一君 七月一日から施行でないほうの部分は、政令で定める日から施行するといっても、予算関係がはっきりしなければ、通っていなければ、施行できないわけでしょう。その点は最高裁のほうとしてはどういうふうに考えて準備されているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/36
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037・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 仰せのとおり、予算が伴いませねば、この法律は施行できないわけでございます。本年度この借地法の関係で入っております予算は、会同関係の費用だけでございます。したがいまして、この法律が一番早く施行されるといたしましても、明年の四月以降になりませんと予算的な手当てができておらないことになります。
そこで、どういう予算的な措置が必要かという点につきまして、先般、増員の関係は申し上げました。それから必要な費用は、鑑定委員の日当関係、その他こまかい費用が必要なわけでございますが、八月の大蔵省との第一回の折衝をするにあたりましての予算的な措置につきましては、いま積算中でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/37
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038・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この機会にお聞きしておきたいんですけれども、裁判所で土地の明け渡しなり家屋の明け渡しの和解なり調停なりが成立するときに、たとえば二年後に明け渡すとか三年後に明け渡す、こういうふうなことが調停なり和解なりできまった場合に、その賃貸借は一時の賃貸借になるんですか。そういう考え方は理論的におかしいと思うんですが、何かその辺のところはあいまいのように考えるんですがね。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/38
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039・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) これは和解の内容にもよると思いますけれども、一年先に明け渡すというふうに定めましても、一応賃貸借は終了したという前提に立っておりますと、これは猶予期間であろうと思います。さらに、賃貸借は終了していないけれどもさらに期間を一年だけ延長しようということもあり得ると思いますが、多くの場合は、一応賃貸借は解消して、一年の後にそれを明け渡すという猶予期間を定めたものではあるまいかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/39
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040・稲葉誠一
○稲葉誠一君 その場合は、ちゃんと賃貸借が合意解約されたと、それで明け渡しの猶予期間を本日から何年間なら何年間認めるという形の調書なら、それははっきり出ているわけですけれども、そうでなくて、いつ何日まで賃貸借が継続するといよう書き方の場合があるわけですね。そうすると、あらためて半年ないし一年前に更新拒絶の通知をしないと、賃貸借は更新されるんですか。これはどういうふうになっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/40
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041・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 和解の場合でございますと、確定判決と同一の効力を生じておりまして、その時点に参りますれば当然それによって強制執行できるわけでございます。したがって、一般の私法上の契約と同じように更新の問題は起きないのではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/41
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042・稲葉誠一
○稲葉誠一君 いや、調停にしろ和解にしろ、それは確定判決と同一の効力を持ちますけれども、しかし、それは訴訟法上の和解であると同時に一般私法上の和解であるから、訴訟法上の和解としての条件を備えておらなければならないのじゃないですか。そこに瑕疵があればまた変わってくるという解釈をとっているわけですね。それが一つと、それからいつ幾日までに明け渡すという契約は、調停なり和解なりでやった場合にはもちろん確定判決と同一の効力を有するけれども、これは判決の効力の問題であって、その場合でもやはり借地法なり借家法の適用を受けて、ちゃんと更新拒絶の通知なり何なりしなくちゃいけないという考え方なんですか。そこはまちまちなんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/42
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043・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 裁判上の和解が何らかの瑕疵がございますと、これの無効という問題も起きてまいりますけれども、それは別問題といたしまして、一応和解が成立して、これが確定判決と同一の効力を持っておるという前提に立ちますと、先ほど申し上げましたように、その時点において強制執行できるという趣旨の債務名義になるわけでございます。したがいまして、更新の請求がなければならないとか、あるいは一定の期間を定めてさらに解約の通知をしなければならないという問題はその場合には出てこないというふうに考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/43
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044・稲葉誠一
○稲葉誠一君 強制執行できるということは、それはもちろんですよ。そのことは借地法の適用なり借家法の適用も受けなくなっちゃうのですか。それとは別個の問題じゃないんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/44
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045・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) これは、判決によって明け渡せということと同じ結果になるわけでございます。ただその時点を先に置いてあるというだけでございまして、一般の私法上の契約とはそこは差異があろうと思います。訴訟法上与えられる効果というものは、その裁判上の和解につきまして発生いたしておるわけでございますから、少なくともその和解が調書に記載されて債務名義ができ上っておりますと、その時点においての強制執行はこれは可能であるというふうに考えます発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/45
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046・稲葉誠一
○稲葉誠一君 強制執行が可能なことはわかるんです。これは判決と同じ効力を持つんですから。だから、賃貸借が終了してしまったと、そして明け渡しの猶予期間を二年なら二年、三年なら三年延ばしたということなら、そういう意思がはっきりしているのなら、それはもうそのとおりなんですね。だけれども、ただ三年後に明け渡すということになれば、三年後まで賃貸借は継続しているのじゃないですか、普通の場合は。そうなれば、当然借地法なり借家法の適用を受けてきて、更新拒絶の通知なり何なりが必要なんだということになってくるのじゃないですか。そこのところは判決の効力の問題とは別ですよね。それはどういうふうにやるんですか。そこら辺は裁判所は非常にまちまちなんじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/46
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047・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 借地借家に関する紛争を終局的に解決する意味で、本来ならば判決が行なわれるわけでございます。その判決にかえまして和解という形式で訴訟が終了したわけでございます。そういたしますと、実体法上の契約ももちろん中に含まれておりますけれども、裁判上の和解という形式をとりまして和解が成立いたしました以上、これは訴訟法上の効果は当然それに伴ってくるのはあたりまえのことでございます。裁判上の和解という形式をとりました以上は、特に解約の申し入れをしなくても、それ自体を債務名義として強制執行ができる、こういうふうに解さざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/47
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048・稲葉誠一
○稲葉誠一君 債務名義になって強制執行できるということわかっているんです。それはあたりまえの話じゃないんですか。私の聞くのは、そうではなくて、三年後に建物を収去して明け渡すという和解なりあるいは調停なりが成立したとすれば、三年後まで賃貸借は継続しているのですかと、こういうことです。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/48
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049・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 和解の場合におきましては、その賃借権があるかないかということがまず問題になっているはずでございます。明け渡し義務をまず認めまして、明け渡し義務を認めた上でその明け渡しの時期をいつにするかというふうにその和解調書にはうたわれているはずでございます。したがいまして、賃貸借契約がそれまで続いているという趣旨ではなかろうと思うわけでございます。一応明け渡すことを認める。しかしその時期はいついつと、こういうふうになるわけでございます。したがいまして、実体法上の賃貸借契約というものは一応終了して、その明け渡しの時点が一年なら一年先になる、これだけのことではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/49
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050・稲葉誠一
○稲葉誠一君 調停なり和解なりできまった場合は、すべてそういうふうに考えていいわけですか。そうではないんじゃないですか。それは、明け渡し義務は本日なら本日あるということを認めて、その明け渡し期間を猶予する、いつ幾日まで和解なら和解、調停なら調停が終了期間を猶予するという書き方なら、そういうようにとれると思うんです。あるいは、合意解約してしまったということなら、それでいいわけでしょう。そうすれば、あとは、地代なり家賃じゃない、損得金になってくる。そういう形になるでしょう、法律的には。そうでなくて、いつ幾日までに明け渡すと、そういうことになれば、それまで賃貸借は続続しているんじゃないですか。その間の地代は幾ら払うという、こういうきめ方をするのが多いのじゃないですか。そこで、借地法なり借家法の適用との関係の問題になってくるんじゃないですか。和解なり調停できまったときには借地法なり借家法の適用は排除するんだというふうに全面的に言えないことができてくるのじゃないですか。そこはどうですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/50
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051・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) かりに、いまおっしゃいますように一年先に明け渡すという単純な和解条項だといたしますと、その間に契約があるというふうにもとれるだろうと思います。普通の場合には、相手方は明け渡し義務のあることを認めて、いついつ明け渡すというふうに和解調書に書かれるのが普通なんでありますが、そうでなしに、おっしゃいますように、単純に一年先に明け渡す、こういうふうに書かれますと、この場合には明け渡し猶予かどうかということは必ずしも明確でございません。したがいまして、その場合に契約がその時点まで続いているというふうにも見れるだろうと思います。しかし、それは一年先まで契約は続くといたしましても、判決によってその時点まで続くということが定められたと同じ効果が発生するわけでございます。それが確定判決と同じ効力を持つといたしますと、当事者はそれについての反対の主張はできなくなるということになります。これは実体法上の和解契約でございますと、必ずしもそうは言えないわけでございますけれども、少なくとも裁判上の和解でこれが行なわれますと、訴訟法上の効果は当然それに伴うわけでございまして、したがいまして、実質的には一年先まで賃貸借契約が延びるといたしましても、その時点において契約は当然終了するということになって、それに反する主張はできなくなる、こういうことになると思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/51
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052・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ちょっと質問と答えとがなかなか合わないんですが、結論的に言うと、それでは、裁判上の和解なり調停できまれば、借地法なり借家法の適用を全面的に排除するんだということになるわけですか。排除する場合もあるし、しない場合もある、こういうことになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/52
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053・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 和解の内審によってこれは違います。和解の内容によって違いますので、全部を排除するとは実は言い切れないかもしれません。全くそういうことに関係なしに和解が定められたこともございましょうし、また、明け渡しを明定いたしておりますと、その時点についての争いはもうできないわけでございます。これは訴訟法上の効果として当然にその時点において終了するというふうに解せざるを得ないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/53
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054・亀田得治
○亀田得治君 ちょっと関連して。それは期限の部分については借地借家法を排除する、そういう意味なんですか、少なくとも。期限の部分についても排除されないものもあるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/54
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055・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) これは、期間に限りません。和解の内容に盛られました条項につきましてはすべて同じ問題が起きるわけでございます。たとえば、その期間一定の地代を払うという約束がございます場合には、これは増減請求もできなくなるだろうと思います。したがいまして、和解の内容に応じてそれぞれまたいろいろな差異が出てくると思いますが、裁判上の和解であります限りは、それはもう確定不動のものになってしまいますので、あとでそれを争うということ、あるいは反対の主張をするということ、これはできないわけでございます。そのために裁判上の和解制度というものがあるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/55
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056・亀田得治
○亀田得治君 そうすると、そういう和解ができるまでの状態とその後の状態の継続性の問題といったような問題はあると思いますが、結果としては排除されるということになるのですか、借地借家法の関係は。そこに書いてあるとおりだという理解になってしまうわけですね。もちろん、基本的な契約という概念そのものについては、それは適用があるといえばあるかもしれませんが、問題点については、結論としては、これは排除をされるので、書いてあるとおりなんだと、そういう意味ですか。そこがはっきりしないんですが。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/56
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057・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 排除されるというふうに申し上げてよろしいかどうか疑問でございまナけれども、実体上の契約でございますれば、これは当然借地借家法の適用がその後もあるわけでございます。しかし、裁判上の和解という形式をとりました以上は、これはそれによって当事者間の法律関係は確定してしまうわけでございます。したがって、その和解内容に反するような主張は当事者としてはできないわけでございますので、訴訟法上与えられた効果を受けるという意味におきましてはあらためて借地借家法の問題にはならないということでございます。それを借地借家法を排除するというふうに表現してよろしいかどうか、これはまたそのことばの問題でございますけれども要するに、裁判上の和解によってそういう法科関係が新しくできたと申しますか、形成されますと、それに対して判決と同じ効力を生じますために、当事者としてはそれに反する主張ができなくなるという訴訟法上の効果が付与されますために、借地借家法の適用がその後問題になってくることはない、こういう趣旨で申し上げておるわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/57
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058・亀田得治
○亀田得治君 関連だから、もう一点だけ。たとえば、そう長いものはないかもしれませんが、向こう十年間ぐらいのことをきめる和解が成立したとする。損害金になるか、賃料になるか、それも書いてある。しかし、情勢が非常に変わるというような場合でも、借地借家法によってその問題を提起するということはできないという理解なんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/58
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059・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) ただいまの借地権の存続期間をこれから先十年にする、あるいは二十年一にするというふうに定めます場合には、これは借地権と申しますか賃貸借契約そのものをあらためてそこで締結した、こういうことになるだろうと思うわけでございます。その場合に、まあ内容的に確定判決と同じ効力を持つわけでありますので、それに反する主張はこれはできないということには当然なろうかと思うわけでございます。もしもその十年の期間を経過いたしましてさらにその先をどうするかということになってまいりますと、また当事者の間でいろいろの話し合いもそこで出てくるだろうと思うわけでございますが、給付を命ずる内容ではなくて、ただ単にその内容が一応そういう契約内容になるということをその和解によってきめたというだけのものではないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/59
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060・稲葉誠一
○稲葉誠一君 裁判所の調停なり和解なりがあとで非常に問題になってくる場合が多いわけですね。それで、いつ幾日に建物を明け渡すということは、いつ幾日までは賃貸借契約が継続しているんだという見方と、あるいは、そうじゃないんだ、最初の時点においてもうすでに解約になるんだという見方と、中間的に、いや、どうもその点ははっきりしなくて、裁判所でそういう和解ができれば一時の賃貸借みたいになるんだから、借地法なり借家法の適用は排除されるんだというような意味のことを言っているのも一つありますね。まあ内容によるかもしれませんね。そこで、基本的には裁判所で和解なり調停なりできまったからそれが執行力があるということは別個の問題ですが、それがきまった時点において賃貸借が終了してしまうんだという解釈は、これは無理じゃないかと思うんですがね。実務上はどういう取り扱いをしているんですか。調停調書や和解調書をつくるときにはいろいろな書き方がありますね。これはまた判事によっていろいろ違いますね。そこはどうなっているんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/60
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061・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 土地の明け渡しにつきまして和解される場合に、おっしゃいますようにいろいろな形がございます。一つの片方の端は、いわゆる猶予期間を設けたにすぎないという和解でございます。でございますから、いついつ明け渡す、それまで賃料相当の損害金として毎月幾ら払うという形になっておりますと、これはその間すでに賃貸借契約はなくなっておるので、ただ明け渡しの時期を猶予しておるということが明らかであります。それからもう一つの端のほうではっきりしておりますのは、従前の関係はどうあったにしても、ここで新しく賃貸借契約を結ぶんだという趣旨の和解でございます。そういう場合には、借地法が全面的に適用されて、更新の問題も起こりましょう。ところが、和解の形といたしましてその中間的なものがあるわけでございます。それをどういうふうに解釈すべきかということにつきまして問題になることがございます。
ごく端的な和解で悪い例を申しますと、本日この土地を幾ら幾らで貸すと、こうしておきながら、明け渡しの期間をいつというふうにきめておるわけであります。そうしますと、一体これで賃貸借契約が結ばれたという和解になるのか、あるいは、単に明け渡しの期間の猶予をした規定になるのか。すなわち、いつ明け渡すという約束とそれから一番先に書かれているいつ貸したという条項とが矛盾するのじゃなかろうか。そこで、よく争いになりまするのは、債権者のほうでは、いつ明け渡すという条項で執行文を付与してくれ。ところが、それに対して、債務者のほうでは、いや、貸すという賃貸借契約が結ばれたというふうに最初に書いてあるのだから、いつ明け渡すという条項は無効なんだ、だからこれは十年の期限ということについて拘束をされないのだという主張があるわけであります。結局、その場合に裁判になりますれば、その和解が結ばれたときの状況を取り調べまして、賃貸借を新しく結ぶというふうなことがほんとうの趣旨であったのか、あるいは猶予期間を定めたにすぎなかったのかという点を裁判所で決定判決しなければならないということになるわけでございまして、私ども、調停調書あるいは和解調書を書くときには、一体どういう趣旨になっておるのか、後に誤解を招かないように常に気をつけておるわけでございます。
それが一つの例でございますが、またこういうのもあるわけでございます。何年か先に合意解約をするというような趣旨のものもございます。その書き方が、合意解約をするが、三年先に解除されたものとするとか、あるいはまた、残存期間をお互いに認め合う。賃貸借の残存期間が問題になって、明け渡すか明け渡さないかというような問題になったときに、結局、残存期間が三年だ、三年たって明け渡す、こういうような和解の場合もあるわけであります。明け渡しについての和解はいろいろの書き方があるかと思いますけれども、結局、その趣旨が借地法に違反しないように、そしてあとから解釈上の疑問を生じないように書かなければならないと思っておりますが、往々にしてやはりそこに疑問を生ずる和解の調書ができておるという場合があるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/61
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062・稲葉誠一
○稲葉誠一君 疑問を生じたほうが場合によってはいい場合もあるんで、きちんと書かれては困る場合もありますから、あまり質問しないんですけれども……。(笑声)
そこで、いま最初に言った、きょうから三年間なら三年間の建物所有を目的とする賃貸借が成立するというようなことを和解調書なり調停調書に書いた場合に、それは借地人に不利な契約で、十一条で強行法規で、しなかったものとみなされるのですか。そこはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/62
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063・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) そこで、その条項を、お説のように、契約は結ばれたのだけれども、期間は三年というようなことでありますると、これは借地法違反になりますから、契約と見ることは無理なんじゃないかと思います。ですから、最初に賃貸借契約を結んだというその条項が、あとの三年で明け渡すという条項と矛盾するわけであります。矛盾して、結局これは猶予期間を定めたにすぎないのだというふうに解釈すべきものじゃないかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/63
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064・稲葉誠一
○稲葉誠一君 猶予期間を定めたというふうに解釈される場合もあるわけですけれども、本日からあらためて賃貸借契約を結ぶ、その期間は三年とするというようなことであれば、十一条違反になるのじゃないですか。だから、そういう契約はしなかったことになって、普通の建物なら三十年間の借地権がそこで成立しているんだということになってくるのじゃないかと、こう思うんですが、その和解契約なり調停が——調停だって、調停の基本は民法上の和解契約なわけでしょう。ですから、その和解契約が、かりに裁判所が中に入ったところで、借地法という強行法規に違反していいわけがないわけですから、結局、そんな書き方は、十一条になかったことにみなされて、非堅固な建物なら三十年間の借地権が成立していると、こういうことになるのじゃないですか。そこら辺のことはよくごたごたしているんですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/64
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065・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) その辺がむずかしいところでございまして、つまり矛盾した条項が二つ入っているわけでございますけれども、どちらかが有効、どちらかが無効ということになります。それは、どういう趣旨で和解ができたかということに重点を置きまして、どちらの条項が本来の趣旨であるかということをきめることによって、もしもそれが賃貸借契約をほんとうに結ぶ趣旨の和解契約であれば、期間のほうは無効になります。ですから、三十年の賃貸借契約が結ばれたのだ、和解条項にかかわらず、ということになるでしょうし、それからもしも賃貸借契約を結ぶなどということが書いてあっても、実はそれはうっかりそう書いたので、本来は三年の猶予期間を定めたにすぎないのだ、そういう趣旨でできた和解であるというふうに認定されますれば、期間が借地法によって三十年というようなことにはならないと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/65
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066・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ここら辺はあまりはっきりさせないほうが有利な場合がだいぶありますから、あまりはっきりさせないんですがね。
それからまた問題となるのは、二カ月以上地代を延滞したときは契約は催告を要しないで効力を失うとかという書き方と、引き続き二カ月以上地代を延滞したときはとかいう書き方がありますね。それはどういうふうに解釈しますか。違うんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/66
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067・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 二カ月分以上地代を延滞したということになりますと、とにかく累計いたしまして二カ月分の地代を延滞した場合にはその条項に当てはまるということになるわけであります。引き続き二カ月以上ということになりますと、一カ月延滞しまして、次からまた正規に支払われて、また一カ月延滞して、またその次に支払われたという状態でございますと、これは引き続いて一カ月延滞したということにはなりませんので、これは解除権は発生いたしません。二カ月ともかく連続して支払いを怠ったという場合であろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/67
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068・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ですけれども、二カ月以上延滞したときはという意味は、引き続いて二カ月以上という意味の場合が普通じゃないんですか。それを書くときにそこまで十分気がつかなかったというか、何といいますか、その程度に書いておくというのが普通なんで、形式論議でいえばいま言われたとおりだと思うんですけれども、意味の解釈からいけば両方とも同じだという場合が普通ではないかと、こう思うんですけれども、それは解釈の点ですから別にどうということはないんですけれども、それがまたよくごたごたするんですね。ごたごたしたほうがいい場合もありますからね。特にぼくら頼まれる場合にはそういうほうがあれですからあれですけれどもね。
そこで、続きですが、一時の賃貸借の場合にはもちろん適用が排除されるわけですね。そこで、和解契約で、きょうから賃貸借が成立するけれども二年間にするとか、そういうような場合には、十一条との関係を避けるために、裁判所が中に入ってやった場合には、これは一時の賃貸借の意味なんだというような擬制をする場合がずいぶんにはあったらしいですけれども、今はあまりそういうのはないですか。それは理論的にはおかしいと思うんですけれども そんな考え方もあるんですか。下級審にはそういうような考え方もあったように思いますけれども……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/68
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069・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) それは、その和解をずっと初めの条項から読んでみまして、期間の点ではなるほど借地法に違反するけれども、結局は一時の使用の目的のための賃貸借である、そういう目的で結ばれた契約であるということであれば、その契約自身、和解自身、有効であるということになろうかと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/69
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070・亀田得治
○亀田得治君 それでは、私は、一つだけ確かめておきたいと思います。
それは、今度の改正案の中で、七条ノ二ですか、「居住ノ用ニ供スル建物ノ賃借人」が死んだ場合には救済規定が新しく設けられたわけですね。これは、従来、判例が二様に分かれたりしていたわけでして、社会的にはできるだけあとに残った者を救い上げたい、こういう要望が強かったわけですが、そういう点を立法によって明確にされたということで、これは非常に価値のある改正だとわれわれ思っております。ただ、どうせこういうふうに明確にされるのであれば、もう少し広めていいのではないかという気がいたしておるわけです。その一つは、「居住ノ用ニ供スル建物」と、こういうふうに書かれておるわけですが、たとえば、店舗も同時についておる、そういう家などはずぶんあるわけですね、よく問題が起こるのは、そういうふうな家にむしろ多いかもしれない。だから、そういう場合には店舗も含めて「居住ノ用ニ供スル建物」、こういうふうに理解できるのかどうか。これは、あるいは私きょう初めていろんな都合で出て来たものですからすでに質問があったのかもしれませんが、念のためもう一度お聞きしてみたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/70
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071・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 今回の借家法の第七条ノ二の新設規定でございますが、これは相続人がなくして死亡いたしました場合に、その賃借人と同居しております人たちをできるだけ救済しようという趣旨から、相続人に関する一種の特例をここで設けようというわけでございます。もちろん、居住権を確保するのがその目的でございますので、そういう趣旨にこの規定は解釈運用されるべきものと考えるわけであります。
お尋ねの、店舗を同時にその賃借地上に所有しておるというような場合に、店舗と住宅部分が同時にありまして、あるいはまた、店舗だけであってもそこに事実上居住しておるというふうな関係でございますれば、この規定の趣旨から申しまして当然にそういうものも救済される、こういうふうに考えておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/71
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072・亀田得治
○亀田得治君 今のお答えからいきますと、店舗が同時にあるという場合には店舗も含めて救済されるということで、その点は了解できますが、店舗だけ、あるいは事務所、職場、こういう場合にはこれに該当しないということになるやに思われるのですが、そういう場合に排除するということは必要ないのじゃないかと私は思うんです。どこかで同居しておる、隣なら隣、そういう事実があれば、その延長ですからね、店舗というのは。その店舗を一緒に夫婦でやっている、まあ事実上の夫婦で。だから、先ほどの説明ですと、店舗と住居が一緒であれば救われるが、これが割れておると救われないというふうな感じがするわけですが、それは不合理じゃないですか。住居と店舗が一緒になって一つのそういう社会的な存在というものになるわけです。だから、そういう点についてそこまではいかないんだということであれば、この改正では実際の必要に応ずるという点についてはやはり欠けるのじゃないかと思うのですが、どうなんですか、そういう点は議論になったのかどうか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/72
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073・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 単に事務所あるいは店舗と申しましても、事務所、店舗と称されるものであってもやはり居住の用に供しておるものもあると思うのでございます。したがいまして、ただ事務所、店舗であるというだけの理由ではこの規定が排除されるかどうかということは必ずしも判断できないと思います。やはりその利用の実態によりましてそれが事実上居住の用に供されておるものでございますれば、当然この規定の適用を受けるだろうと思うわけでありますが、毎日その事務所に通勤しておって居住用には使っていないというふうな場合でございますと、この規定には該当しないわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/73
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074・亀田得治
○亀田得治君 事務所、店舗に簡単な、宿泊用の施設をしてあるというのはどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/74
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075・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) それが居住の用に供されておると認められるものでございますれば、それはこの規定の適用があるものと見てよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/75
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076・亀田得治
○亀田得治君 二軒建物がありまして、一方のほうが事務所、店舗、隣のほうに事実上の夫婦が住んでいる。これが亡くなったわけです。その隣の家のほうから通う、といってもすぐ隣なんですが、そこに行って仕事をしている、こういう場合にはどうなりますか。そういうようなものも救うためには、この七条ノ二のような書き方ではどうも足らぬように思うのですけれども。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/76
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077・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) そういう場合におきまして、居住部分とそれから事務室部分というものが一応分かれておりましても、実際の利用上はこれが一体として利用されておるというふうに見られる場合があろうと思うわけであります。そういう場合には、当然この規定の趣旨から申しまして中に入って、この規定の適用を受けるというふうに解釈してよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/77
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078・亀田得治
○亀田得治君 この二軒の家の持ち主が違っておる場合でもそういう理解ができますか、この場合は。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/78
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079・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 一体として利用しておりますればよろしいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/79
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080・亀田得治
○亀田得治君 四、五軒離れた先にある場合にはどういう理解になりますか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/80
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081・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) たいへんむずかしい問題でございますが、一般にそれを考えまして社会通念上それが一体と見られるか見られないかということに帰着するだろうと思うわけでございまして、一軒隣に住宅部分があるからというふうなことだけではたして全然別個のものであるというふうに見てよろしいのかどうか、これはやはりそれぞれの利用状況を具体的に判断いたしまして、これが一体的に利用されておるものと見られますならば、この規定の適用があるというふうに考えてよろしかろうと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/81
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082・亀田得治
○亀田得治君 私は、この条文の書き方では、社会的経済的には四、五軒離れておる二つの家屋が一体になっているのだけれども、どうも客観的には別々なものになっておるということになりますと、七条ノ二の規定の解釈としては、離れておる店舗のほうはだめだ、住んでいたほうだけは救っていこうというふうなことに、ばらばらにされるのじゃないかと思いますが、これは裁判所のほうはどうですか。あるいは事案によるのかもしれませんが。どうも、四、五軒も離れますと、ここに「居住ノ用ニ供スル建物」という表現だけでは、非常にやはり不自然な結果になるのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/82
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083・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 私ども事務当局でございまするので、法律上の解釈につきましてあまり申しますと、実際の事件になりましたときにどういうような解釈がされるかわかりませんし、確かに御指摘の点は問題だと思います。そこで、どのような解釈をするであろうかということは、これは法律が出まして判例を見ましてから私どもは考えたい。事務当局の者でございますので、法律解釈につきましては、この際こういうような席ではちょっと申し上げにくいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/83
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084・亀田得治
○亀田得治君 だから、ここの書き方を「居住ナド」といったような何か表現を使うとかして、居住と限ってしまうのはどうも狭くされるおそれがあるわけです。実際の判例でそういう狭いものが出てくれば、またそれは法律改正をしなければならぬというふうなことになるかもしれぬと思いますが、しかし、いま民事局長の解釈は、相当弾力性を持った、実態に合うような解釈をしなければならぬというふうなお答えのようですから、
一応その点は了解しておきたいと思います。
それからもう一点は、七条ノ二では、結局同居しておる事実上の妻あるいは養親子の関係にある人、この二つのものだけを考えておるわけですが、現実の社会の事情から言いますと、その、死亡者と一緒に長年居住なり仕事をずっとやっておる、実質的には夫婦、親子に劣らない関係にある、そういう者も救うような措置をとってやらないと、これはやはり不自然なんじゃないでしょうか。そういう場合には、現行法でいきますと、相続人からいままで一緒にやってきた人が何か権利を譲ってもらう、そういうことになるのですか、それをそのまま維持していこうとすれば。だから、こういうふうに七条ノ二という非常にいい条文が出てきたわけですが、もう少しその救済される人の点を広げていくべきじゃないかと思うのです。その点はどうでしょう。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/84
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085・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 確かに、せっかくこのような救済の規定ができるのでございますから、できるだけ広くというお考えもごもっともであるわけでございます。ただ、現実にその建物に居住しておる春であればいかなる人でも差しつかえないということにいたしますと、その範囲が必ずしも明確にならない場合がございますし、また、かえってそういう措置をとりますことによって結果的に妥当でない場合も生じてくるわけでございます。たとえば、賃借人が死亡いたします前日にたまたま入ってきたというふうな場合も全部入ってまいります。そうかといって、実質的に救済する必要のある者を除外するわけにまいりません。その辺のいろいろの事情を考えまして、最小限度必要なところをこの規定によって救済しようというのが趣旨でございます。
ただ、先ほどのお話にございましたが、他に相続人があります場合には、これは現在の判例においても認められておりますが、その相続人の承継いたしました賃借権を援用いたしまして従前の居住者は居住できるということになっております。今後も、事実上の夫婦あるいは養親子と同居しておる人たちでございますれば、この規定によりまして承継いたしました賃借権を援用いたしまして、同じようにその建物に居住できるという結果になるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/85
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086・亀田得治
○亀田得治君 まあこの程度にしておきましょう。
それから陳情書がいろいろここへ来ておりまして、いろいろな法律的な問題なども書かれたものもありますが、その中でこれはなるほどと思うのが一つありました。こういう借地借家といったようなものは、ずいぶんたくさんの人に関係がある、そういう法律なんだから、わかりやすい口語文で若いてもらえぬものだろうか。これは法律全体の立て方の問題に大きく影響するわけですが、いつかはやはりそういう問題が出てくるわけです。しかし、それを民法、刑法はじめ一挙にやるというようなことは、とてもできるものじゃない。せめて日常われわれに非常に密接な法律だけでもわかりやすい現在のことばで響けぬものだろうかという要請があります。私はこれはもっともだと思うんですよ。そういうところはどういうふうにお考えですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/86
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087・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) まことにごもっともな御意見でございます。私どもも、かたかな文語体の法律の規定というものが現代の時勢に合わないということは、われわれ自身痛感いたしておるわけでございます。できますならば口語体に改めるということが望ましいと思うわけでございますけれども、これまでの法律の改正につきまして、亀田委員も十分御承知のように部分的に必要なものを改正しようという場合には、その本法のほうはもとのままにいたしまして必要な改正を加えてきたのが、政府全体の方針と申しますか、扱い方でございます。今後この法律をひらがな口語体の読みやすいものにしていくという必要性につきましては、十分私どもも考えておるわけでございます。ただ、文語体を口語体に直すというととも、一口に申しますと非常に簡単なようでございますけれども、表現が非常に変わってまいる場合が出てまいります。したがいまして、簡単に文語体を口語体に直すということによってその問題が解決できるものではございませんで、それに伴っていろいろ表現も考えなければなりませんし、そうなってまいりますと、部分改正ということでなくて、また全面改正というようなことにもなりかねないわけであります。いろいろのそういう事情がございますので、今回は一部改正という形にいたしまして、従前のかたかな文語体をそのまま踏襲いたしたわけでございます。確かに、これからの法律というものの体裁は、お説のような形にできるだけ直していくべきものであろう、かように考えるわけでございますけれども、政府といたしましても、法制局のほうとの関係もございますし、今後の問題として十分検討さしていただきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/87
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088・亀田得治
○亀田得治君 新しい法律をつくる場合には、そういう口語体でやってみようというふうな方針、考え方はあるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/88
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089・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 新しく法律をつくりますときには、全部口語体ひらがなの表現になっております。かたかな文語体のものの部分改正の場合に限りまして、従来の基礎になっております法律に改正を加えませんために、やはりそれに歩調を合わせまして同じ表現の法律の条文を新しく加えていく、あるいは部分的に改めていくというのが従来の扱い方なのでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/89
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090・亀田得治
○亀田得治君 まあ借地借家というのはそう、長い法律じゃありませんからね。だから、こういうのはぜひ——これはこれとして通ってもいいわけだが、一ぺん作業をやってみたらどうですか。それは非常にわかりいいということになれば、一種の法律を出し直すことにもなるんでしょうが、これはだれにも異論がないと思うんですよ。なるほどこれはわかりやすい、これならしろうとが見ても非常にわかるということになればね。これはずいぶん結果がいいと思います。大きな法律について行なうことはなかなかできぬでしょうが、この程度のものは手ごろだと私は思うんですよ。もちろん、たとえば民法の規定との関連などがあるものですから、どうも両者の表現が不一致になるというふうなことがあるのかもしれませんがね。しかし、一ぺん作業をしてみたらどうですか。でき上がったものをわれわれが読んで、これは別に民法のほうは口語体になっておるけれども誤解を起こさない、これは非常にわかりいいということになれば、こういうのはさっそくそういう口語体の法律として出してあげたほうが非常にみんなが助かる。そういうことをやる気はありませんか、この法律について。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/90
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091・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) この法律についてといいますよりは、むしろ古い従前のかたかな文語体の法律全般の問題であると思うわけでありますが、まあさしあたり従来の法律の改正案をつくりますときの取り扱い方に私ども従いましてこの法案をつくったわけでございます。御趣旨のところも十分わかりますので、これからさらに検討を加、えさしていただきたいと考えます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/91
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092・亀田得治
○亀田得治君 まあその検討をという段階はもう過ぎておると私は思うね。新しくできる法律は口語体でやっているわけでしょう。だから、今度改正されたものを織り込んだ借地借家法、そんなにこれは長たらしいものじゃないですから、みんなが見たがっておるものですから、一ぺん作業をしてみたらどうですかね。次の国会ぐらいまでに、頭のいい人がたくさんそろうとるんだから、やろうと思えばできぬことはないと思うんですよ。これは資料として要求しておきますが、どうですか。(笑声)発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/92
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093・新谷正夫
○政府委員(新谷正夫君) 十分勉強さしていただきます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/93
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094・亀田得治
○亀田得治君 じゃ、まあこのくらいで……。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/94
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095・松野孝一
○理事(松野孝一君) ちょっと私から執行官法についてお伺いしたいのですが、執行官法施行に伴う予算について、今年度どういう予算につくって、それがどういうふうになっておるか、ちょっと説明していただきたい。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/95
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096・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) この法案におきまして最も重要な点は、六条関係の会計を裁判所にとり入れるところと、それから二条関係の事務分配の点と、二十一条の国庫補助金の関係でございます。したがいまして、この法案を準備しつつ今年度の予算の要求をいたしました点は、「まず、会計関係で金銭の保管関係を裁判所にとり入れるために、会計職員が裁判所に必要になります。その関係で事務官に七十名の増員の要求をいたしました。
それから国庫補助金の増額の関係、これは本年度の予算におきまして最も重点を置きました点でございまして、要するに、これによって執行官の待遇を改善し、いまや崩壊に瀕しておる執行官の制度をこれによって適任者を求め、補充していくというに必要な費用と存じまして、最も力を入れて大蔵と折衝した点でございますが、この点は、最初、裁判所といたしましては、少なくとも四等級の十号程度、と申しますると六十九万二千円程度の補助金を必要とするということで大蔵と折衝してまいったのでございまするが、その折衝の段階におきまして、最後的には四等級の七号、六十二万二千円ということで予算が成立いたしまして、ただし、これは新しい執行官法に基づいて任命された執行官に限って六十二万二千円を認める、ただいまの執行吏は、本法の附則によりまして本法施行と同時に執行官に任命されたものとみなされますが、これは従来の任命資格によって任命された執行官であるから、新しい執行官法によって任命された執行官と同額の六十二万二千円を認めることはできぬということになりまして、これは二十六万二千円程度で予算を妥結せざるを得なかったのでございます。
それから先ほど申し上げました事務分配に関しまして、受付あるいは監督関係の職員の増員の要求を、これは二十八名の事務官の増員を要求いたしました。しかしながら、この増員も、会計職員の増員も、これは大蔵の認めるところとはならなかったわけでございます。
次に、これは国会でたびたび御指摘を受けました執行官の研修に要する予算を要求いたしまして、これは大蔵が認めてくれました。
そのほか、執行官事務所の諸設備にケースであるとか書だなであるとかということの施設関係の予算も要求したのでありますが、これも本年度は大蔵が認めるところとならなかったわけであります。
要するに、本年度の本法の施行に伴って必要な予算のうち、大蔵が認めてくれましたものは、国庫補助金の増額でございます。これが従来の約三倍程度のものを新しい執行官についてのみではございますけれども認めてくれたわけでございます。それと研修関係の予算でございます。これでは十分な予算ではございませんので、たとえば金銭の裁判所における保管ということに必要な職員というものが認められませんでしたので、人員の増加がなくてもやれる部分から少しでもやっていく、さしあたって本年はそうやっていかざるを得ないのでございます。この法案が通りますれば、本年度は強力に大蔵省に対しまして会計職員の増員ということを要求してまいりたい所存でございます。
なお、役場が廃止されまして裁判所の中に事務所を設けるという今度の制度になりましたので、執行官の事務所に必要な庁舎関係の整備等に要する予算というものも本年度は大蔵に対して強力に推進していきたい、かように考えておる次第でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/96
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097・稲葉誠一
○稲葉誠一君 この予算というのは、すでに四十一年度で通っているものですか、いまの話は。どうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/97
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098・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 補助金の関係、先ほど申し上げました関係の分は、これは本年度の一月に大蔵との折衝はできまして、そうして国会において御承認いただいた予算の中に入っている分でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/98
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099・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、新しく任命される執行官は、四の七で六十二万二千円ですか。新しく任命されるというのは、本法施行と同時に今の執行吏が執行官になるんでしょう。そうすると、新しく採用されるんですか。何名ぐらいどういうふうに採用されるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/99
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100・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) これは、ただいまの三百二十五名は、そのまま現執行官として任命された者にみなされます。しかも、執行吏代理という制度が廃止されます。その関係でも少なくとも百名の増員ということは必要なわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/100
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101・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、現在執行吏をやっている者よりも、執行吏代理から執行官になったほうが有利になっちゃうのじゃないですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/101
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102・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 現在の執行吏のうち、今度執行官に任命されたものとみなされる者の中には、新しい執行官法のもとにおける任用資格を備えている者がございます。したがいまして、そういう人の中からいい人を選考いたしまして、補助金の基準の高いランクの執行官に引き上げていくということも可能でございますし、そういう方法をやってくつもりであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/102
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103・稲葉誠一
○稲葉誠一君 ちょっとはっきりしなかったんですが、現在いる執行吏は全部本法施行と同時に執行官になるわけですね。その人は、全部二十六万幾らなんですか、あるいは、そうではなくて、その人の中でも六十二万二千円の者も出てくるということなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/103
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104・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 現在の人は、一応二十六万二千円のみなす執行官になるわけであります。その中で選考いたしまして、選考試験に合格した者は六十二万の補助金を受ける執行官に引き上げていくということをやりたいと思っております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/104
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105・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、新しく任命される者は何名ぐらいいて、本法施行と同町に執行官となる者の中からおよそどの程度の者を採って新しく任命するというのは、どこからどういうふうにして採ることになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/105
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106・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 百名の増員は、一ぺんには一年間では無理だと思います。私ども今の計画では、三年間にまずこの百名の増員をしたい、こう思っているわけでございます。したがいまして、一年の間に三十人程度の人は新しく任命していかなければならぬと思いますし、そのほかに、先ほど申し上げました現行の執行官で資格があり試験に合格した人は六十二万二千円の執行官として引き上げていく、こう思っているわけでございますが、大体におきまして新執行官の受験資格は大部分の現執行吏が持っていると考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/106
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107・稲葉誠一
○稲葉誠一君 説明はわかるんですが、そうすると、全体の予算は幾らとれておって、その内訳はどういうふうになっているわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/107
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108・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) この予算は、実は格づけの点が問題なわけなんでございます。と申しますのは、補助金と申しますのは手数料額がそれに達しない場合にその額を補助するわけでございますから、六十二万二千円の者が何名あったからそれの何名という積算で出てこないわけであります。六十二万二千円に上がった場合にその額に達しないであろうという執行官の数を積算いたしまして、三十数名、そして差額は幾らという計算をいたしまして、結局、四百万程度の補助金にしかならないわけであります、さしあたっては。ただ、これが恩給の基準になるわけでございます。恩給は、新しく任命された者につきましては十七年先の予算には問題になるわけであります。さしあたっては金額は少のうございますけれども、大蔵のほうで非常に問題にしているのは、将来の姿を考えればやはり制度としてこういうものを予算上考えていく上には相当大きな問題がある、こういうふうに見ているわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/108
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109・稲葉誠一
○稲葉誠一君 執行吏代理は、公務員ではないわけですから、恩給通算には全然関係ないわけですね。まあこれはあたりまえのことですけれども。
そうすると、新しく任命される者には、純粋に新しい人と、それから執行吏が本法施行と同時に執行官となって、そのうちから試験をやって任命するという話がありましたね。これは、具体的に、新しく採用する人の場合はどういう試験をやるのか、それから執行官に本法施行と同時になった者が新しく任命されて執行官になるというんですか、そういう場合はどういうふうにするんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/109
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110・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 新しい執行官の任命資格は、四等級ということでございます。その中で、裁判所書紀官の経歴を有する者につきましては、筆記試験を免除いたしまして面接でやる。それから四等級の資格を持っておる者につきましては、法律の、ことに執行吏関係の法規の筆記試験をいたしましてそれから面接で採用する。それから四等級と申しましても、これに準ずる者も含めていく。準ずる者と申しますのは、たとえば五等級の者であっても、その後会社につとめて社会的経験を経てそれが四等級に準ずるという計算ができる者、これは人事院の内規によってきまっております基準を用いまして、社会的経験を何等級という年数の上に計算をする、そういうような基準を用いまして四等級に準ずる者と認められる者につきましては新執行官に任命していくわけであります。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/110
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111・稲葉誠一
○稲葉誠一君 会計の七十四名という話がありましたけれども、これはいつからということになるんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/111
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112・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) この金銭保管につきましても、暫定措置が法律の附則できめられておるわけでございます。どうしても人員が足りないところで無理にやろうといたしましてもできないわけでございます。大体、私どもの計算では、金銭の出納受け払いの一人の事務量というものを年に四千件と見まして、それで積算いたしまして、どうしてもその人間が必要であるところは、予算がとれ、人員の手当てができてから施行していく。そうでなくて、人員の手当てがなくてもやれるところでは、この法律が施行になったと同時にこの法律の規定どおりの金銭の保管を裁判所でやっていく。これは大蔵がどの程度人員の増加を今年度認めてくれるか、こういうことによって全面的施行が何年になるかということがきまると思いますが、その点も私どもは少なくとも三年後には全面施行にもっていきたい、こういうふうに考えております。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/112
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113・稲葉誠一
○稲葉誠一君 執行官というものは、法案が通ればいつから執行官ということになって、そして新しく任命されるのはいつごろ採用されるのか、目安はどうなんですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/113
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114・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) この法案の施行期日は、公布された後六カ月以内ということになっております。私どものほうといたしましては、これに基づく施行のための作業といたしましていろいろの規則がございます。それで、手数料関係の規則であるとか、あるいは事務処理規則であるとか、そういうものをまず整備いたします。それから試験に関する規程等も整備いたしますが、まず十月くらいまではその準備にかかるだろうと思います。そうして、十月に施行されますれば、それら所要の規則等に基づきまして試験を行ないまして新しい執行官を命じてまいりたいと思っておるわけでございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/114
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115・稲葉誠一
○稲葉誠一君 そうすると、会計七十四名を三年間にふやすというのは、来年からという意味ですか。ことしは執行官ができ上がっても、仕事の内容が変わってきて裁判所の負担が重くなると思うんですけれども、裁判所の職員のほうは来年三月まではふえないわけですか。それで間に合わせていくということになるわけですか。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/115
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116・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理者(菅野啓蔵君) 全面的施行は、人の手当てがつきませんとこれは無理でございます。私どもの先ほど申し上げました計算、すなわち受け払いの件数が年に四千件ということを要務量といしまして、全国の裁判所の人員の手当てなしに金銭の受け入れのできるというふうに見込んでありますところが二、三十庁でございます。ですから、来年度予算ができるまでに金銭の保管が裁判所でこの法律によってできるというふうに見ておりますのが二、三十庁でございます。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/116
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117・松野孝一
○理事(松野孝一君) さっきお話がありましたように、三年間で完全施行するというお話でありますけれども、来年度予算に対してはぜひ費用を強く、要求してください。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/117
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118・菅野啓蔵
○最高裁判所長官代理(菅野啓蔵君) そこで、この法案に伴いますことし認められました予算は、先ほども申し上げたとおりでございますが、来年度引き続きことし認められませんでした会計職員の増員がやはり六、七十人程度、それから受付関係の職員といたしまして三十人程度、それから監督関係の補佐官としての職員の増員も三十人程度の増員要求をやってまいる、そうして裁判所の庁舎関係と執行官の事務所、あるいは競売場の関係での営繕関係の予算というものを順次不十分なところがら充実していくという点に重点を置きまして予算の要求をしていきたいと思います。発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/118
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119・松野孝一
○理事(松野孝一君) 速記をとめて。
〔速記中止〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/119
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120・松野孝一
○理事(松野孝一君) 速記を始めて。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/120
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121・松野孝一
○理事(松野孝一君) 委員の異動について御報告告いたします。
本日、安井謙君が委員を辞任され、その補欠として田村賢作君が委員に選任されました。
暫時休憩いたします。
午後四時九分休憩
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午後四時三十五分開会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/121
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122・和泉覚
○委員長(和泉覚君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
委員の異動について御報告いたします。
本日、鈴木万平君、岡村文四郎君が委員を辞任され、その補欠として任田新治君、中村喜四郎君が委員に選任されました。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/122
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123・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 借地法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は順次発言を願います。−別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/123
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124・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでございますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/124
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125・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
借地法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/125
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126・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/126
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127・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/127
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128・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 次に、執行官法案を議題とし、質疑を行ないます。
質疑のある方は順次御発言を願います。ーー別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/128
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129・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより討論に入ります。
御意見のある方は賛、否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もないようでごさいますが、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/129
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130・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
それでは、これより採決に入ります。
執行官法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。
〔賛成者挙手〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/130
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131・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 全会一致と認めます。よって、本案は、全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
なお、議長に提出すべき報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/131
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132・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/132
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133・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 次に、継続審査要求についておはかりいたします。
売春防止法の一部を改正する法律案につきましては、閉会中も審査を継続することとし、議長に継続審査要求書を提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なしと呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/133
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134・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/134
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135・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/135
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136・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 次に、継続調査要求についておはかりいたします。
検察及び裁判の運営等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/136
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137・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/137
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138・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
—————————————発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/138
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139・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 次に、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。
検察及び裁判の運営等に関する調査のため、閉会中委員派遣を行ないたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/139
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140・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認めます。
なお、派遣委員の人選等派遣の細目及び議長に提出する委員派遣承認要求書の作成は、便宜委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/140
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141・和泉覚
○委員長(和泉覚君) 御異議ないと認め、決定いたします。
本日はこれにて散会いたします。
午後四時三十九分散会発言のURL:https://kokkai.ndl.go.jp/simple/txt/105115206X02819660625/141
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